衆議院

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第2号 平成23年1月26日(水曜日)

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平成二十三年一月二十六日(水曜日)

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 議事日程 第二号

  平成二十三年一月二十六日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

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本日の会議に付した案件

 議員請暇の件

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

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 議員請暇の件

議長(横路孝弘君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。

 河野太郎君から、二月五日から十三日まで九日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑

議長(横路孝弘君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。谷垣禎一君。

    〔谷垣禎一君登壇〕

谷垣禎一君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、一昨日の菅総理の施政方針演説について質問いたします。(拍手)

 一昨日、総理より、宮崎県の鳥インフルエンザについて言及がありましたが、その後、日本一の養鶏密集地帯である鹿児島県出水市においても発生し、さらに愛知県でも疑いのある症例があると報じられております。関係者の方々に心よりお見舞いを申し上げます。我が党も対策本部を立ち上げましたが、政府におかれましても万全の対策を講じられるよう、強く求めたいと存じます。

 さて、菅内閣の先般の内閣改造は、昨年の参議院選挙の敗北の責任をとったはずの枝野前幹事長代理が官房長官になり、かわりに仙谷前官房長官が党代表代行につくなど、民主党の人材の払底ぶりと無反省ぶりには目に余るものがありました。あげくの果てに、野党の与謝野議員にまで食指を伸ばし、内閣のかなめともいうべき経済財政政策、さらには社会保障、税一体改革の担当大臣に起用されるに及んでは、民主党政権の正統性への重大な疑義が生じました。

 そこで、まずは、菅総理に改めて与謝野大臣起用の意図を伺います。あわせて、これまで与謝野大臣が取り組んできた財政健全化や、消費税を含む税制抜本改革について、与謝野大臣の考えが、閣内、ひいては民主党内で共有されて、そごはないのか、閣内不一致はないのかを伺います。

 また、与謝野大臣はかねて民主党マニフェストを激しく非難しており、ひところは与謝野大臣と民主党政権の間には埋めがたい溝があったはずです。それが、今、席を同じくしているということは、与謝野大臣が変節したか、民主党政権が、国民との契約たるマニフェストの遵守を放棄し、一言のおわびもなく変節したかのいずれでしか説明できません。そのいずれなのでしょうか、菅総理の御見解を伺います。

 いずれにしても、最も残念なことは、今般の与謝野大臣の入閣によって、国民の政治に対する信頼が失われ、我が国にとって必要な改革の実現がかえって遠のくことであります。我が党としては、何より、菅総理や民主党の変節、政権としての正統性の喪失を今後とも明確にえぐり出し、解散・総選挙を求めていくとともに、財政健全化や、消費税を含む税制抜本改革等については堂々と国民に訴えてまいります。

 次に、小沢元代表をめぐる問題についてお尋ねいたします。

 菅総理は、小沢元代表をめぐる政治と金の問題についてけじめをつけると宣言しており、このことがいわゆる小沢切りなどとしてマスコミに取り上げられております。しかし、具体的な成果は全く見えません。岡田幹事長は、通常国会前とまで表明した小沢元代表の政治倫理審査会への招致議決を断念し、小沢元代表本人も事実上出席を拒否しており、まさに民主党得意のパフォーマンスを繰り広げています。

 我々は、このような支持率を上げるためだけの小沢切りごっこにつき合うつもりはありません。本当にけじめをつける気があるのであれば、直ちに我々が求める証人喚問を実現すべきと考えますが、いかがでしょうか。菅総理、御回答ください。

 次に、平成二十三年度予算審議に向けてお尋ねします。

 菅総理が熟議の国会を掲げながらも、政府が国会に提出した二十三年度予算や二十三年度税制改正法案を素通りしたまま、いまだ姿が見えない、消費税を含む税制抜本改革のみを取り上げて与野党協議の必要性を主張されていることは、不思議でなりません。先般の民主党大会では、野党が積極的に参加しようとしないなら歴史に対する反逆行為だとまで述べられましたが、協議すべき内容も定まっていないまま、仮定に仮定を重ねて野党を抵抗勢力に仕立て上げようというのは、空疎に過ぎて、意味不明であります。

 また、ばらまくだけばらまいておいて、国民に負担をお願いする耳の痛いテーマだけに絞って野党を巻き込もうと協議の参加を迫るということでしたら、単なる御都合主義にすぎず、ばらまきのための財源調達を手伝うわけにはまいりません。

 先般の民主党大会での一方的かつ不誠実きわまりない発言に対して、謝罪、撤回を求めます。

 二十三年度予算の具体的内容についてお伺いします。

 二十三年度予算は、一昨年八月の解散・総選挙で民主党がマニフェストの実現を掲げて政権交代を果たしてから二度目であり、概算要求段階から、思う存分に腕を振るったはずの予算編成であります。しかしながら、民主党マニフェストの達成度という観点から評価すれば、惨たんたる内容であります。

 まず、民主党マニフェストでは、国の総予算二百七兆円を全面的に組み替えるということをイの一番に掲げ、その際、マニフェスト実行に必要となる計十六・八兆の財源のうち九・一兆円を歳出削減によって捻出するとされていました。ところが、この総予算二百七兆円が、今般の二十三年度予算では二百二十兆円と膨れ上がったのが実情であり、総予算二百七兆円の組み替えによる財源捻出という仕組みがそもそもフィクションだったことが明白となりました。

 それに加え、二十三年度予算の段階で実現しているマニフェスト予算は、十六・八兆円のうち三・六兆円にとどまっています。うち、歳出削減による財源確保は、子ども手当に関連する税制改正による増収分を除く二兆円台半ばです。しかし、この程度の額の削減は、我が党が政権の座にあったときも毎年行っていたものであります。

 今や政治ショーと化した事業仕分けも、その直接の成果は二十二年度予算で〇・七兆円弱であり、二十三年度予算と合わせても一兆円程度であります。いずれにしても、九・一兆円の約一割にすぎません。

 藤井官房副長官は、かつて、総予算二百七兆円の一割から二割くらいは簡単に切れると豪語されましたが、何のことはない、政権交代の効果として切れたのは、総予算の一割ではなく、目標額の一割にすぎません。

 十六・八兆円と言っていたマニフェストの実行が三・六兆円、うち、二十二年度は約三兆で、二十三年度に至ってはわずか〇・六兆。九・一兆円と言っていた歳出削減において、政権交代の効果と言えるのはその一割程度というのは、あんまりじゃありませんか。

 国家公務員の人件費についても、マニフェストでその二割を削減するとされながら、二十二年、二十三年度予算で合計三%程度、やはり目標の一割強しか減っていません。総理が人事院勧告の深掘りを行うとされたにもかかわらず、影も形もなく、空約束に終わる気配であります。

 いずれも、箱根駅伝でいえば、本来、往路五区でいよいよ山の神登場かとなっている場面であるべきところ、一区か二区をいまだとぼとぼと歩いているようなもので、あきれ返るばかりであります。有言実行内閣はおろか、マニフェストが虚言だったとみずから実証されているだけなのではないでしょうか。菅総理の答弁を求めます。

 マニフェストの不履行について、最近は、仙谷代表代行を初め、税収が落ち込んでいることを言いわけにしようという動きがあります。税収減だからといって、無駄排除や予算の組み替えができなくなる理由はありません。税収が低かったから、事業仕分けでの蓮舫大臣の舌鋒が鈍ったとでもおっしゃるんでしょうか。詭弁以外の何物でもありません。原因は、単に、できないことを約束していたか、力が及ばなかったのか、そのいずれかだけであります。

 マニフェストにおける予算の組み替え、施策の不履行と税収の関係についてどのような論理的関係があるのか、菅総理の見解を伺います。

 マニフェストの二番目の柱とされたのは子ども手当ですが、一人当たり月二万六千円という公約は、いまだ果たされておりません。二十三年度予算においては、三歳未満までの支給額を一万三千円から七千円上積みしておりますが、聞くにたえない内容であります。

 すなわち、三歳未満の子供に対しては、我々が政権与党にあった時代にも、中低所得者層には一人当たり月一万円の児童手当が支給されておりました。そこから子ども手当になって、一見、三千円支給額がふえたようですが、御家庭によっては、二十二年度税制改正による所得税、住民税の年少扶養控除の廃止の影響をあわせれば逆に負担増となってしまうということが判明し、慌てて上積みしたということが今回の対応の背景の一つです。

 つまり、今回の上積みは、制度設計のミスを取り繕うびほう策にすぎません。しかも、上積み財源として、みずから税制抜本改革の一環と説明されている給与所得控除や成年扶養控除の見直しによる増収を充てることとされており、税制の大きな改正をやって見当違いの財源あさりに終始したという荒唐無稽な構図になっております。

 こんなマッチポンプのために一部の給与所得者や成年の扶養者が増税されるということでは、とばっちりもいいところであります。ばらまきという政策内容も問題ながら、その手法まで拙劣で、右往左往している姿がさらけ出されたのが今回の子ども手当の上積みであると認識しますが、総理の御見解を伺います。

 なお、兆単位という巨額の財源を要するこの施策を、財源確保に四苦八苦するがゆえに単年度立法で講じていく、いわば綱渡り的な政策運営を行っていることは、民主党政権の無責任体質のあらわれであると申し添えておきます。

 また、二十三年度税制改正全体で見れば、法人税減税を行うことでネット減税となっている以上、給与所得控除や成年扶養控除の見直しで多少の上積み財源を確保したところで、底に穴があいたバケツに一たん水を入れたと主張しているようなもので、財源論として意味がありません。

 むしろ、総理の裁断により、閣議決定のペイ・アズ・ユー・ゴー原則を覆して、恒久財源が確保されないまま減税に踏み切った法人税の実効税率引き下げや経済活性化予備費の減額を財源とした科学技術予算の増額の方が、形だけは見合い財源の確保を図った子ども手当よりも政策的優先度が高いと判断されたように見えなくもありません。総選挙においては、何よりも、家計への直接給付による成長戦略を訴えていたはずであります。

 このほかにも、二十三年度予算においては、歳出削減の多くが、マニフェスト実施以外の、社会保障の自然増や新成長戦略の実施への対応に充てられるなど、マニフェストをやりたいのか、他のことをやりたいのかよくわからない、支離滅裂な状況になっております。

 二十三年度予算における総理の政策の優先度はどこにあるのか、改めて御教示ください。

 ちなみに、民主党マニフェストの三番目の柱は、月七万円の最低保障年金制度の創設を初めとする年金制度改革でした。

 これについては、先日、枝野官房長官から、現行制度とは本質的なところに大きな違いはない、こういう信じがたい発言がありました。しかしながら、我が党は保険料を中心とした自助と共助を尊重する制度を掲げていた一方で、民主党がかつて主張した全額税方式は、皆で納める税金で皆を助ける、いわば公助の制度という違いが存在したはずです。かつて自公政権で現行制度への改革を行った際に、民主党は、これを小手先の改革と非難し、抜本改革の必要性を叫んでいました。

 年金制度改革は民主党の政策の金看板でしたが、現行制度と大差がないと言うなら、これまでの御主張はすべて針小棒大であったことになります。まさに長妻議員もびっくりの消えた年金改革であり、国民の安心を支える年金制度をいたずらに政争の具としてきたことの責任が改めて問われなければなりません。

 年金制度を殊さらに選挙の争点とあげつらったことを国民に謝罪し、年金制度に関する今般のマニフェストを撤回すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 さらには、政府・与党が今春につくる社会保障の改革案には、当然、具体的な年金改革案が含まれ、その内容が従来主張してきた内容と異なれば、その点の総括、謝罪が盛り込まれていると考えてよいか、総理に伺います。

 民主党マニフェストの柱の一つとして、地方向け補助金の一括交付金化も挙げられています。

 これについては、二十三年度予算では鳴り物入りで一括交付金が〇・五兆円計上されておりますが、さきの民主党代表選で、小沢元代表が一括交付金化により三割から四割の削減を期待できると強調され、菅総理も相当程度の削減は可能と応酬しておられたことは記憶に新しいところであります。先般のマニフェストにおける九・一兆円の歳出削減のうち、六・一兆円の削減もこの補助金改革等でなし遂げることとされておりました。

 ふたをあけたら〇・五兆円の一括交付金ということでありますが、これによる補助金等の削減額は幾らだったんでしょうか。数値をお答えください。

 そして、そのなけなしの歳出削減効果も、補助金等全体が社会保障の自然増などで相当伸びたことにより、雲散霧消してしまったのではないでしょうか。まさにこの分野こそ、総予算二百七兆円の組み替えという壮大なだまし絵の中核部分だったのではないでしょうか。菅総理の回答を求めます。

 また、農家の戸別所得補償については、民主党は、当初、つくってさえいれば価格差補てんで所得補償すると訴えていました。ところが、最近の総理は、TPP、農政改革に力点を置いており、国内の環境整備を早急に進める旨を閣議決定していますが、農業政策の一貫性、方向性がはっきりとしません。

 持続的な強い農業のために必要なものは、農地と担い手であります。この二つに対して、民主党政権は余りにも無策です。戸別所得補償を優先するため、土地改良などの基盤整備事業がカットされるとともに、担い手支援・育成施策も不十分であります。さらに言えば、二年にわたる公共事業費の大幅な削減で、本来は地産地消をはぐくむべき地域経済は、収縮の一途であります。

 マニフェストの施策を転換し、我が党が掲げる担い手支援や農地の利用集積の促進等に取り組まなければ、強い農業は実現できません。二十三年度予算には、水田、畑を対象とした規模拡大加算措置等が計上されていますが、これはまさにその政策転換の萌芽なのでしょうか。総理、その立場を明確にし、農政の方向性をお答えください。

 ここまでマニフェスト実現の状況が惨たんたるものであり、政策の優先度も見失われている状況ですと、民主党マニフェストが、だまし絵であるとか、選挙用の毛針であると非難してきた与謝野大臣の従来の指摘は、極めて的を射たものでありました。憲政史上最大の確信犯的な公約違反とも言え、有権者を著しく冒涜しております。こうしたマニフェストの上に成り立っている民主党の現在の議席、ひいては民主党政権の正統性そのものが、もはや崩壊したと言わざるを得ません。

 このマニフェスト策定の中心にあったのは小沢元代表でありますが、党の要職にありながら、これに異を唱えなかった菅総理もまたその責任を免れ得ません。

 国民に幻想を振りまいて政権を簒奪することが正当化されれば、我が国の民主制は瓦解します。苦しい言いわけに終始するのではなく、潔くマニフェストの過ちを認め、これを撤回し、有権者におわびした上で信を問い直すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。

 次に、税制についてお伺いいたします。

 まず、消費税を含む税制抜本改革についてお尋ねいたします。

 二十一年度税制改正法附則第百四条で定められた、二十三年度までに法制上の措置を講じるという、消費税を含む税制抜本改革の道筋を遵守すべきことについては、ようやく閣僚間で共通の認識が芽生え始めているようでありますが、法律である以上、政府がこれに従うことは当然のことであります。

 他方で、その具体的解釈については閣僚間でそごがあるようであります。この規定は、政府に対して、経済状況云々といった留保条件を特段つけることなく、二十三年度までに、消費税を含む税制抜本改革の具体的内容を定める法案を提出する義務を課すものであります。

 菅内閣の方針として、この規定に従って、二十四年三月末までに、消費税を含む税制抜本改革の具体的内容を定める法案を提出するということでよろしいか、総理に改めて確認いたします。その際、通常の、予算審議、税制改正を抱える来年通常国会ではなく、今秋の臨時国会に提出されるのが自然と考えますが、それでよろしいでしょうか。

 また、菅総理は、消費税を含む税制抜本改革について、強い調子で与野党協議を呼びかけられていますが、率直に申し上げて、総理自身がどこまで本気かつ誠実にこの問題をとらえられているのか、甚だ疑問であります。総理自身の覚悟のほどと、いつまでに、具体的に何をするのかということが明確でなければ、我が党としても協議に応じようがありませんので、そこを確かめさせていただきます。

 そもそも菅総理は、就任当初の昨年六月、民主党の参院選マニフェストの発表記者会見において、消費税の取り扱いについて、二十二年度内に、あるべき税率や逆進性対策を含む改革案の取りまとめを目指すとの方針を示されました。さらには、当面の消費税率について、自民党が提案している一〇%を一つの参考にするとまで述べられました。ところが、参院選で敗北を喫するや、打って変わって、期限を切っての議論をしないと、だんまりを決め込まれました。考えが一々ぶれるのであれば、協議のしようがありません。この間の経緯について、きちんと説明いただきたいと存じます。

 すなわち、税制抜本改革のスケジュールや消費税率に関して昨年六月に示されたお考えは撤回されたのか、それとも、一たん撤回したけれども今はまたもとに戻ったのか、一時的にでも撤回したとしたらどのような理由によるのか、お答えをいただきたいと存じます。

 その後、昨年の末あたりから、菅総理は、税制抜本改革の問題について、再びアクセル全開モードに急変されたように感じます。六月までに、消費税を含む税制抜本改革の成案を得ることを決められ、このことに政治生命をかけるとまで明言されました。

 そこで、お尋ねいたします。

 まず、期限についてですが、民主党政権における期限設定というと、鳩山前総理が、普天間移設問題の政府案の決定を、当初、昨年三月中とおっしゃっていたところ、法的に決まっているわけじゃないとして、一たん五月まで延期された上、五月末になっても結局何も得られず、辞職されたことを思い起こします。今回は、閣議決定において本年半ばと明確に期限を付され、年頭の記者会見などでも六月とおっしゃった以上、よもや延期されることはないと思いますが、念のため、六月という期限に対する本気度を総理に伺います。

 なお、この六月までに成案を得ることは閣議決定されておりますので、当然、自見大臣を入閣させている国民新党の合意を得たものと理解してよろしいでしょうか。

 次に、昨年末の閣議決定における成案という言葉が、施政方針演説では、消費税を含む税制抜本改革の基本方針と言いかえられていますが、早々と後退された感が否めません。成案とおっしゃる以上、具体的なでき上がりの案であり、消費税の引き上げ幅や引き上げ時期を含むものであることはもちろんのこと、具体性、完成度の観点から法案の一歩手前といったレベルのものが示されてしかるべきと考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。特に、消費税の引き上げ幅や引き上げ時期を具体的に盛り込むかを明確にお答えください。

 また、その成案は、議院内閣制である以上、当然与党の合意を得たものと理解してよろしいでしょうか。

 さらに、政治生命をかけるという言葉の意味ですが、約束の期限どおりに物事をなし得なかった場合には辞職する、もしくは信を問うために解散するということを指すことと受けとめるのが通常と考えますが、それでよろしいでしょうか。そこまでのお覚悟があって我々に協議を求めているのか、明確な回答を求めます。

 いずれにせよ、二十一年度税制改正法附則百四条は、一義的には政府に対して法案提出の義務を課しており、法案の前段階である成案を示すのも政府の当然の義務と考えます。しかしながら、そもそもその案はマニフェスト破りになることは必至です。

 無駄排除で財源は幾らでも出てくる、消費税の引き上げは必要ないとした、さきの総選挙の主張と大きく乖離したことに取り組まれるからには、まずは引き上げ自体について国民に信を問い直すことこそ成案の取りまとめのためには必要な手続であり、本件に関して混乱している与党内の現状を見るに、最短距離ではないかと存じます。

 同時に、昨今、マニフェスト見直しの議論についても仄聞しますが、撤回もなされてしかるべきです。

 それらの点について、具体的にどのような整理をし、けじめをつけられるのか、総理のお考えを伺います。そのプロセスなくして、みずからの案もなく与野党協議に臨もうとするのは、マニフェストの違背をうやむやにして責任を回避する、こそくな政治的戦術にすぎません。

 我が党は、自公政権下において、将来にわたって安心できる持続可能な社会保障制度の構築とその安定財源の確保を図る中期プログラムを策定し、税制抜本改革の道筋と方向性を附則第百四条で法制化しました。また、ばらまきの阻止、財政健全化の道程や税制抜本改革の実現、与野党協議を明記した財政責任法を昨年三月より国会に提出しております。さらには、昨年の参院選では、消費税率やその使途についても国民に真摯に訴えました。野党転落以降も、累次にわたって、予算や税制改正に対する基本的考えを示してきております。

 我が党に比べれば、民主党政権の取り組みはようやくスタート地点に立ったところであり、しかるべきけじめをつけた上で、我が党の議論までぜひ追いついていただきたいものであります。

 次いで、二十三年度税制改正関連法案についてお尋ねします。

 同じくねじれ国会だった三年前の今ごろ、当時野党の民主党の諸君が、ガソリン値下げ隊なるものまで結成して、ガソリン税率の水準維持を含む二十年度税制改正関連法案に徹底して反対されたことを思い起こします。そのガソリン値下げ隊の結団式で、ガソリン税率の引き下げを求めて声を張り上げておられたのが、菅現総理であります。

 そして、民主党の諸君は、両院議長のあっせんをほごにしてまでガソリン税率を期限切れに追い込み、一カ月ほど一時的にガソリン税率が下がることとなったため、結果として、ガソリンスタンド、消費者、減収が生じた地方自治体などに甚大な迷惑がかかることとなりました。

 菅総理は、このように税制改正法案を人質にして国民生活を混乱に陥れるというあしき前例をつくられたわけですが、こうしたみずからの行動について、適切なものであったとお考えなのでしょうか。現在のお考えを伺います。

 しかも、その後、政権交代を実現し、総理にまでなられた菅総理が、当時の主張どおりにガソリン税率の値下げを目指された形跡は全くありません。これもまた、国民に対する裏切りです。まさに、当時の野党民主党が政局のためだけに国民生活を混乱に陥れたことがあからさまになっておりますが、ガソリン税率の引き下げという主張は一体全体どうされたのか。これも、与謝野大臣が言うだまし絵、毛針だったのか、菅総理に伺います。

 当時の野党民主党は、さらに、税制関連法案について、一つ一つの措置ごとに一本一本税法を分けろといった御無体な要求をされていたことも思い起こされますが、政権与党になった今回は、何ら野党に相談することもなく、唐突に、全体を一本化した法律案を提出されました。

 ただし、政府は、二十三年度税制改正関連法案について、税制改正大綱に明記されたとおり、全体として税制抜本改革の一環をなす法案であると説明されており、それゆえに法案を一本化されているものとそんたくはいたします。確かに、そこに含まれている所得税の給与所得控除の見直しは、かつてですとサラリーマン増税との批判を受けかねない大改正ですし、相続税の税率構造の見直し、法人税率引き下げ、国税通則法の見直し、どれ一つとっても、近年まれに見る大改正と言えます。しかも、これらの内容は、具体的な改正の是非は別として、テーマ自体は、二十一年度税制改正法附則第百四条第三項において我が党が定めた、消費税を含む税制抜本改革の検討の方向性とも、一見、軌を一にしています。

 しかし、であればこそ問いたいことがあります。

 総理は、昨年八月の予算委員会で、私が、消費税を含む税制抜本改革の前に信を問う、それはそれでよろしいかとお尋ねをいたしましたときに、「例えば消費税を大きく引き上げるとか、あるいは別の税金でもそうかもしれませんが、大きな税制改正を行うときには、やはり国民の皆さんに判断をいただく、そういうことが必要だろう、その考え方は変わっておりません」と答えられております。すなわち、消費税以外の税制であっても、大きな税制改正を行うときには国民に信を問うという考え方を述べられております。

 この答弁に従えば、所得税、法人税、資産税、さらには国税通則法の大改正、まして、税制抜本改革の一環として説明される内容を盛り込んだ法案を提出し、かつ、年度内成立、四月施行を目指される以上、直ちに衆議院を解散すべきことになるはずですが、いかがでしょうか。事柄は、予算委員会で総理大臣が野党第一党党首に対しての発言にかかわりますので、この点を明確にお答えいただきたいと存じます。

 繰り返し申し上げます。

 消費税を含む税制抜本改革は、無駄排除の財源確保を基本構造とするマニフェスト、国民との契約条件を根底から覆す一大政策転換である以上、解散して国民に信を問い直さなければなりません。

 それに加え、今般の二十三年度税制改正関連法案について、税制抜本改革の一環と説明し、かつ、六月までに、消費税を含む税制抜本改革の成案を得る、政治生命をかける、税制の抜本改革に当たっては国民の信を問うとまで述べられておきながら、私の念頭には解散のカの字もないということでは通用しません。

 二十三年度税制改正関連法案を施行し、消費税の成案を得る前に解散すべきであります。それが、民主党代表選時の公約や、先ほどの答弁だけでなく、あらゆる機会において、繰り返し、税制抜本改革に当たっては国民の信を問うと述べられてきたことの当然の帰結です。

 仮に、本当に解散のお考えがないということでしたら、政治生命をかけるという言葉の意味は、政権にしがみつくための口実として消費税を利用する、政治延命を図るという意味であったということになり、総理のこれまでの一連の発言はすべて信頼に足らないということになります。協議相手どころか、国会で議論する相手としても適性を疑わざるを得ず、今までの、公の場で軽々しく虚言を弄してきたことに対する責任を問われざるを得ません。

 しかし、我々が望んでいることはそのような事態ではありません。菅総理が歴史を重んじられるのであれば、みずからの言葉を裏切り、税制抜本改革を口実にして政権にしがみついて結局何もできなかった総理として歴史に汚点を残すより、消費税を含む税制抜本改革の成案を仕上げるという歴史的事業をなし遂げんがために、みずからの言葉に従って国民にも信を問うた潔い総理として歴史に名前を残されることを選択されるべきだと考えます。

 我が党は、覚悟のカの字もない総理とは協議できません。国民に信を問うことをもって菅総理の覚悟と受けとめ、税制抜本改革の与野党協議に真摯かつ積極的に参加させていただきたいと存じます。いかがでしょうか、総理。逃げも隠れもしない、堂々たる答弁を求めます。

 菅総理は、昨年六月以降、消費税を含む税制抜本改革について、急発進、急ブレーキ、バックと慌ただしい動きを見せ、そのまま居眠りされているのかと思ったら、再びアクセル全開になり、先日は教習本を購入し、周りには早く進めと派手にクラクションまで鳴らされていますが、車は余り動いていないように見えます。

 御自身は、昨年末、総理として仮免許から本免許になったとおっしゃられましたが、このたびの改造で与謝野大臣や藤井官房副長官という指導教官を迎えて、どうしても路上教習に出たいという思いのようです。我々としても、まずはお手並みを拝見させていただきたいと存じます。

 ただし、我々が協議に応じる前提として、菅総理の覚悟を求めました。端的に申し上げれば、国民に信を問うことです。これが、菅総理のこれまでのお言葉に従った対応です。

 この解散には、もう一つ重要な意味合いがあります。すなわち、小沢元代表が民主党にもたらした問題は、政治と金にとどまるものではありません。小沢元代表につくられた偽りのマニフェストを基盤とし、小沢元代表の選挙の手腕によって得られた砂上の楼閣がごとき多数の議席を清算することなくして、小沢切りは貫徹し得ません。一昨年の夏、民主党マニフェストを片手に国民に幻想を振りまいた全員が、胸に手を当てて、国民へのうそで政権を簒奪したことへのけじめを一たんつけ、新たなスタートを切ることこそが、我が国が健全な民主主義を取り戻す唯一の道と考えます。

 我が党は、国益を全く考慮せず、国会審議をいたずらに混乱させるだけのひきょうな野党にはなりません。民主党政権の失政を徹底的に追及しつつ、自民党の政策ビジョンを国民の前に堂々と示し、政権にかわり得る選択肢となる所存であります。

 国家財政の一事を見るに、二年連続で借金が税収を上回るという異常な事態が続いております。我々政治がこのような国家的危機に対する認識を一にした上で国民の信を問えば、その後、改めてともにその危機を乗り越えていくことは可能であると考えます。

 私は、その覚悟を胸に、消費税を含む税制抜本改革を初め、我が国の未来を切り開く改革を実現するための解散・総選挙を菅政権に強く求め、歴史を大きく前に進めてまいります。

 どうもありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 谷垣総裁の御質問に、聞いておられる国民の皆さんにもわかりやすいように、私の考え方も紹介しながらしっかり答弁をさせていただきたいと思います。

 また、質問によっては、内容に応じてまとめてお答えさせていただくことを御了解いただきたいと思います。

 最初に、高病原性鳥インフルエンザについて述べられました。

 宮崎県に続いて、鹿児島県、愛知県でも発生したことを重大にとらえております。内閣としても全力を挙げてこの問題に取り組んでいくことを改めて国民の皆さんにお約束申し上げたいと思います。

 さて、まず、与謝野大臣の起用と、税制抜本改革の与野党協議について御質問をいただきましたので、まとめてお答えを申し上げます。

 社会保障と税の一体改革は、この二十年間先送りされてきた重要課題の象徴と言える事項であります。

 与謝野さんについては、過去においていろいろな発言をされておりますけれども、この国民の最大の関心事である社会保障改革については高い見識とそうした志を持っておられる方だ、私はそのように考えまして、この問題の責任者として、内閣に、三顧の礼をもってお迎えいたしたところであります。(発言する者あり)

議長(横路孝弘君) 静粛に願います。

内閣総理大臣(菅直人君)(続) これから議論をさらに進めていき、成案を得る段階では内閣の不統一といったことはあり得ない。私は、そのことは全く心配をいたしておりません。

 社会保障改革について申し上げれば、既に取り組みを始めております。昨年の末には改革の五原則をまとめました。

 第一に、若者世代への支援も含めた全世代対応型の社会保障とする、第二に、子ども・子育て支援を強化し、未来への投資としての社会保障を実現する、第三に、サービス給付を重視し、雇用創出効果を高める、第四に、縦割りを超えた包括的支援を行う、第五に、安定財源を確保し、次世代に負担を先送りしない、こうした五原則をまとめております。(発言する者あり)

議長(横路孝弘君) 静粛に願います。

内閣総理大臣(菅直人君)(続) この基本原則に基づき野党の皆さんとの協議も提案をいたしておりますので、決して、一方的かつ不誠実との御指摘は当たらないと考えております。

 これから四月までに、五原則を具体化して、あるべき社会保障の姿、方向性を明らかにし、六月までに、具体的な制度改革案と、消費税を含む税制抜本改革についての成案を得ることといたしております。

 ぜひ、案作成の段階から超党派協議の進め方を含めて野党の御意見を伺いたいと考えておりますので、議論への参加をぜひお願い申し上げたいと思います。

 小沢議員の国会における説明についての御質問にお答えします。

 小沢議員は、国会が決めれば従うことを表明し、昨年末には、条件をつけずに政倫審に出席することも約束をされておりましたので、民主党も岡田幹事長を中心に努力をいたしてきましたが、結果的に実現していないのは残念に思っております。

 いずれにしても、国会の場における説明は必要だと考えております。今後の小沢議員の国会における説明問題については、各党にも御意見があると伺っておりますので、関係委員会等において、各党各会派で議論をしていただきたいと考えております。

 次に、マニフェストの財源や税収減との関係、さらには子ども手当などについての御質問について、まとめてお答えを申し上げます。

 まず、マニフェスト全体についてばらまきと批判をされておりますけれども、マニフェストは、国民生活が第一という視点で、子ども手当、高校無償化、農業の戸別補償制度など、従来の政権ではできなかった政策を取り入れたものでありまして、とるべき政策を実行していることであって、ばらまきでは決してありません。

 その財源は、事業仕分けで徹底的な無駄削減を行って、しっかり確保いたしております。政権交代以降、公共事業を大幅に削減し、社会保障や教育などの分野を充実させ、大胆なめり張りがついてきたのも、政権交代の成果であります。

 また、リーマン・ショックで税収が落ち込み、当初四十六兆円程度を想定していた税収が大幅に減少した中でも、三段構えの景気対策や新成長戦略など、新たな課題も次々と実現をいたしております。

 マニフェストはこの四年間で実施することを想定しており、今後とも引き続き税金の無駄遣いの根絶に向けての努力をぎりぎり行っていくとともに、本年九月で衆議院議員の任期の折り返し点を迎えることから、できること、これからさらにやろうとしていること、また、残されていることなどを改めて検証してまいりたい、このように考えております。

 子ども手当についてのお尋ねがありましたが、人口減少、少子化の中で、次代の社会を担う子供一人一人の育ちを社会全体で応援する観点から創設したものでありまして、ばらまきではないということははっきりしております。

 平成二十三年度の子ども手当につきましては、児童手当制度当時との比較において負担増にならないようにしたものであります。一般的に、子供の年齢が低ければ、親の年齢も若く、収入も低いと考えることに加え、仕事の休止など、出産、育児の負担感が比較的高いことなどを考慮し、三歳未満の子供に対し、月額を七千円引き上げ、二万円としたところであります。

 一方、平成二十三年度税制改正では、給与所得控除については、格差是正、所得再配分機能の回復の観点、成年扶養控除については、本来成年者が基本的に独立して生計を立てるべき存在であることなどを踏まえ、控除の見直しを行うこととしたものであり、財源あさりではありません。

 次に、二十三年度予算における優先順位についての御質問をいただきました。

 リーマン・ショック後の経済停滞の中、政権交代をしてから、まずは景気回復を最優先課題として経済財政運営に取り組んでまいりました。

 そこで、二十三年度予算としては、昨年からの経済対策を引き継ぎ、雇用と需要の創造に重点を置き、法人実効税率の五%引き下げや、新成長戦略に沿った重点分野への重点配分を行ってきました。事業仕分けで、約三兆円の財源も生み出しました。

 マニフェストについては、子ども手当や農業戸別所得補償制度を拡充するほか、求職者支援制度を創設いたしました。

 この結果、二十三年度予算は、公共事業を削減する一方、社会保障関係費を五%、科学研究費補助金を三割増すなど、めり張りのきいた予算になっております。

 さらに、地域が自由に活用できる一括交付金を創設し、来年度は五千百二十億円規模で実施することといたしました。

 財政規律については、財政運営戦略に基づき、国債費を除く歳出の大枠約七十一兆円以下、国債発行額を約四十四兆円以下という、この財政運営戦略に基づく約束はしっかりと守らせていただきました。

 以上のように、来年度予算は、財政規律を堅持しつつ、新成長戦略やマニフェスト施策、地域主権改革を着実に実施することにより、元気な日本を復活させる予算といたしているところであります。

 次に、年金改革についての御質問をいただきました。

 民主党の年金改革の柱は、社会保険方式としての所得比例年金と、そして、税を財源とする最低保障年金の組み合わせからもともと構成されていることは、これは皆さんもよく御承知のとおりであります。

 この社会保険方式としての所得比例年金は、現役時代の収入が少ないために所得比例年金の受給額が少ない受給者に対して補足的に最低保障年金を給付することで一定の年金額を担保する制度として提案してきているところであります。その意味で、繰り返しになりますが、社会保険方式と税方式の双方を組み込んだ提案となっております。

 今後、社会保障のあるべき姿を検討するに当たっても、民主党案をベースとしながら、さまざまな選択肢を検討していきたいと考えております。ぜひ野党の皆さんにも御議論に参加していただくよう要請を申し上げます。

 次に、地方向けの補助金の一括交付金化について特に御質問をいただきました。

 一括交付金については、先ほど概略申し上げましたが、当初、各省に、一括交付金に充てる財源を捻出しろと言ったところ、わずかに二十八億円しか出してきませんでしたので、私から各閣僚に強く指示をし、来年度は五千百二十億円、平成二十四年度は約一兆円規模で実施することとなったところであります。各省から提出された平成二十三年度要求・要望額のベースの約五千四百億円と比較すると、約三百億円、約六%の削減となっております。

 一括交付金は、その使途について、地方の自由度を拡大することが目的でありまして、財源の捻出を直接目的とするものではありませんが、今後、一括交付金を拡充する中で、地方公共団体において優先度の高い事業が効率的に実施されることにより、国の予算の効率化もさらに図られることを期待いたしているところであります。

 農政の方向性について御質問をいただきました。

 我が国の農業は、過去二十年で生産が二割減少し、若者の農業離れが進み、農業従事者の平均年齢は六十六歳に達しております。その再生は、待ったなしの重大課題であります。

 昨年、視察を行いまして、夢とやりがいに満ちた農業の現場に接し、私は確信をいたしました。商工業と連携したいわゆる六次産業化や、農地集約による大規模化の推進などの取り組みを広げれば、日本でも、若い人たちが参加する農業、豊かな農村生活が可能であることを確信いたしました。

 この目標に向けた政策の柱は、農業の戸別所得補償。来年度は対象を畑作に拡大するとともに、大規模化の支援を厚くすることにいたしております。また、安全でおいしい日本の食の魅力を海外に発信し、輸出につなげる。中山間地域の小規模農家には、多面的機能の発揮の観点から支援を行う。

 引き続き、内閣の食と農林漁業の再生実現会議で集中的に議論をし、六月をめどに基本方針を、十月をめどに行動計画を作成することにいたしております。

 解散について何度かお触れになりました。

 まず、マニフェストについては、政権交代以来、その実現に努め、先ほど来申し上げていますように、多くの事項において既に実施し、あるいは着手をしているところであります。

 谷垣総裁はあたかもマニフェストが破綻したかのように言われますけれども、私たちがマニフェストで掲げたことは、従来の政権ができなかった政策に政策転換したことであるとともに、政策実施の優先順位に基づいて国民の生活が第一の政治を実現することであり、二十二年度予算、二十三年度予算を通じて多くのマニフェスト政策が実現していることは、先ほど来申し上げているとおりであります。

 現在の経済状況や国民生活を考えれば、平成二十三年度予算を一刻も早く成立させることが内閣の最重要課題だと考えております。私といたしましては、この最大の責務を果たすことに全力で取り組んでいく覚悟であり、現時点で、解散は全く考えておりません。

 次に、谷垣総裁から、二十一年度税制改正附則百四条の規定、税制抜本改革のスケジュール、さらに、六月までに、消費税を含む税制抜本改革の成案を得ることを決め、政治生命をかけるとしたことに関連して幾つかの御質問をいただきました。答弁漏れがないように留意して、まとめてお答えを申し上げます。

 まず、附則百四条の規定は、平成二十三年度までに、年金、医療、介護、子育てなど社会保障に必要な費用の増大を踏まえ、税制抜本改革法案を提出することを政府に義務づけているものであり、政府としては、法律を尊重し、しかるべく対応すべきものと考えているところであります。

 また、社会保障のための安定財源確保と、消費税を含む税制の抜本改革については、国民的な議論が必要であり、昨年六月の総理就任時や十月の所信表明演説でも、与野党を超えた議論を私から呼びかけたところでありまして、私のこの考え方は一切ぶれておらず、一貫をいたしているところであります。

 スケジュールについては、私は、施政方針演説において、ことし六月までに、社会保障改革の全体像とともに、必要な財源を確保するための消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示すことを申し上げました。これは、当然のことながら、政府・与党全体の方針であります。

 内容につきましては、あるべき社会保障の姿をしっかり議論した上で、最終的には、政府・与党として、社会保障制度と税制の改革案について具体的にお示しする必要がある、このように考えております。

 また、政治生命をかけるという点についてでありますが、これは、改革に向けて最大限努力をしていきたいという私の覚悟を申し上げたところであります。社会保障を守り、実現させる、この一点でやり抜く覚悟であります。

 以上、社会保障と税一体改革に関する御質問について、すべてお答えをいたしたところであります。

 次いで、さらにマニフェストの見直しについての御質問をいただいております。

 政権交代以来、マニフェストの実行については政権を挙げて全力で取り組んでおり、多くの項目が実施され、あるいは着手されていることは、これまでにも申し上げてきたとおりであります。

 同時に、これまでの実績を踏まえ、本年九月で衆議院議員の任期の折り返しを迎えることから、党においてマニフェストの検討を行いたいと考えております。その具体的な手順やスケジュールなどについては、現在、党において検討いただいております。

 仮にマニフェストについて見直しを行うという判断をした際には、国民の皆様に丁寧に説明することで御理解を得たいと考えております。

 また、所得税法附則百四条については、政府が尊重する義務を負っていることは当然であり、自民党の財政健全化責任法案の問題意識は政府も共有するところであります。国民の安心感を高め、将来世代への負担の押しつけを回避すべく一体改革に全力で取り組んでまいりますので、ぜひとも御協力をお願いしたいと考えております。

 なお、消費税引き上げについては、従来より、引き上げを実施する際には国民の審判を仰ぐと言ってきており、その方針に変更はありません。

 ガソリン税率の引き下げについての御質問をいただきました。

 ガソリン税については、道路財源の一般化の議論、そして、価格の高騰による経済や国民生活への影響など、当時の状況を踏まえ、年度改正について反対したものであり、経済と生活から離れての行動ではなかったことは、皆さん御承知のとおりであります。

 その上で、暫定税率については、二十二年度税制改正において、それまでの十年間の暫定税率を廃止する一方、厳しい財政事情や地球温暖化防止の観点などを勘案し、当分の間、その税率水準を維持することといたしました。

 平成二十三年度税制改正においては、この当分の間の税率について、地球温暖化対策のための税の導入にあわせて検討し、引き続き、国及び地方の厳しい財政事情や地球温暖化対策の観点を踏まえ、これを維持することといたしました。

 ガソリン税の暫定税率については、二十二年度税制改正において、当時の鳩山総理からも御説明をし、国民の皆様に率直におわびをしたところであり、閣内にあった私も同様な気持ちであったことを申し上げておきたいと思います。

 最後の御質問だと思いますが、予算及び関連法案の成立を目指す私の覚悟についての御質問をいただきました。

 政府が提出をしている予算案及び関連法案は、まず第一に、法人税の引き下げなど早期のデフレ脱却と日本経済の再生、さらに第二に、待機児童対策や子ども手当の増額など国民生活の改善、第三に、一括交付金の創設など地方分権の推進などの面で国民に安心と活気をもたらすための、なくてはならない予算と予算関連法案だと考えております。予算成立に向け、強い意思と覚悟を持っているからこそ、私は、国会における建設的な議論を呼びかけております。

 なお、私が国民の皆様に信を問うと述べたのは、仮に消費税を引き上げる場合や、それに匹敵する大規模な税制改正を行う場合についてでありまして、毎年の税制改正を行うたびに解散するようなことは、当然考えておりません。

 最後に、改めて野党の皆さんにお願いを申し上げます。

 社会保障改革に向けて国民の皆さんに責任を果たす立場から、ぜひとも超党派の協議に御参加いただきますよう最後に重ねてお願いを申し上げ、私の答弁とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 城島光力君。

    〔城島光力君登壇〕

城島光力君 民主党の城島光力でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、菅総理の施政方針演説について、総理及び関係大臣に質問いたします。(拍手)

 質問に入る前に、先ほど総理も触れられましたけれども、被害が拡大している鳥インフルエンザについては、被害に遭われている養鶏農家を含めて、万全の対策をとっていただきたいということをまず申し上げたいと思います。

 質問に入らせていただきます。

 我が国の社会経済は、長いこと政権交代のない自民党中心の長期政権のもと、疲弊をきわめておりました。このような政治の変革を求める国民の怒りの一票の集積が大きな山をなし、二〇〇九年の衆議院総選挙において、歴史的な政権交代が起き、民主党を中心とする政権が誕生いたしました。

 それ以来十六カ月が経過いたしました。民主党政権は、しっかりと政府を運営し、国民にお約束したことを政治主導、官邸主導で着実に実施し、成果を上げてきていると思います。また、国内外にわたる課題にも迅速に取り組み、適切な対応を行ってきたと確信しております。

 しかし、私どもの説明やあるいはPR不足もあって、民主党政権が取り組んだことを国民の皆様に正確にお伝えできなかった点もあり、誤解を招いたことも事実であると思います。また、自民党超長期政権が残した社会的問題は予想を超えるほど根が深く、私たちの政権がこうした課題を背負ってスタートしたことも否定はできません。とりわけ、昨年の後半以降、国民の皆様の目からすれば、政権運営の点で不安に見えた点があり、御心配をかけたことは率直に認めたいと思います。

 「花の咲かない冬の日は下へ下へと根をおろせ」という言葉があります。こうした厳しい時期をくぐり抜け、民主党政権はしっかりとした基盤固めができた、いよいよ民主党政権の本領を発揮するときが来た、そういうふうに私は思います。

 こうした中、第二次菅改造内閣は、去る一月十四日、発足いたしました。この内閣は、政権交代の原点に立ち返り、長期にわたって低迷をし続けてきた日本を再生する使命を持っていると思います。

 菅総理は本年をどういう年と位置づけているのか、菅内閣が、日本の将来像をどのように描き、何を最優先課題として実現するのか、総理の明快なる御所見を求めます。

 野党の中には、民主党の子ども手当、高校授業料無償化、戸別所得補償などを指して、ばらまきとの批判があります。しかし、これらの政策の重要性、意義を理解しない、その古さが政権交代をもたらしたと思います。

 自民党政権時代の経済対策は、主として公共事業一本で考えられ、子育て支援策や教育政策などの社会政策とは切り離されていました。しかし、一定の社会資本の整備が進み、公共事業の経済波及効果が落ちる一方で社会政策の重要性が高まる、こうした中で、これまでの考え方を転換する必要があります。

 すなわち、子育て支援の充実、意志ある者がだれでも教育を受けられる機会の提供、国内農業の衰退を防ぐことができなかった価格支持政策から所得補償政策への転換を進めることで、我が国が抱える課題に的確に対応すると同時に、家計の可処分所得をふやすことによって、外需への過度な依存体質から内外需のバランスのとれた経済構造へ転換することが可能となるのです。時代や環境の変化によって、これまでばらばらであった経済政策と社会政策を一体化することが必要かつ適正なことであります。

 なお、付言すれば、こうした大きな政策転換ができた最大の理由は、民主党がマニフェストを掲げて政権交代を実現したからだと私は思っております。こうしたマニフェストの効果を積極的に評価すべきだと思います。

 総理に伺います。

 このような政策転換を背景に、総理は、経済、社会保障、財政の一体的強化を掲げています。改めて、この三つの課題にどのように取り組み、そしてどのように実現していくのか、御説明をお願いしたいと思います。

 民主党が政権についたとき、日本社会はどん底の状況にありました。マイナス成長、低成長が続き、地方経済は疲弊し、国民生活は最悪の状態にありました。人口減少、少子高齢化、膨大な財政赤字という三つの大きな不安要因に直面しており、税金の使い道を大きく変えていかなければならないという課題にも直面していました。

 自民党政権が残した負の遺産がいかに大きかったのか、嘆いてみても仕方ありません。民主党政権は、その負の遺産も処理しながら、未来に向けて新たな日本をつくるという厳しい責務を負ったのであります。もちろん、国民の皆さんにお約束したマニフェストも、しっかりと実現していかなくてはなりません。

 この十六カ月余り、民主党政権が取り組んできたことを冷静に振り返ってみました。民主党政権は、経済対策、財政規律の維持、マニフェストの実施という三つの課題を同時に実行しているのであります。

 第一は、経済対策の実行であります。

 菅内閣は、三段構えの経済対策を着実に進めております。成長と雇用に重点を置き、七兆円規模の補正予算も成立をさせ、平成二十三年度予算もしっかりと編成いたしました。長らく持つことができなかった明るい展望が開けてきています。日本経済の回復を告げる曙光は差していると確信しています。

 第二は、マニフェストの実施であります。

 さきの総選挙において、民主党は、マニフェストにおいて、四年間で取り組むことをお約束しました。暫定税率の廃止を含め、完全実施が困難なものもあります。しかし、実現したこともまた、たくさんあるわけであります。

 高校の授業料実質無償化は完全に実施できました。子ども手当も、三歳未満は二万円を支給します。農業戸別所得補償制度も、来年度から畑作物にも対象を拡大します。さらに、森林管理・環境保全直接支払い制度、資源管理・漁業所得補償対策など、森林・林業、水産業に係る対策にもしっかりと取り組みます。事業仕分け等による無駄遣いの削減も着実に進んでいます。地方分権も大胆に実施しました。地方交付税を増額し、五千億円以上の規模の地域活性化交付金をつくります。

 第三は、財政規律の維持です。

 大型補正予算も組み、景気・雇用対策を推し進め、マニフェストもここまで実施しながら、新規国債発行四十四・三兆円以下を堅持してきました。

 私たちが取り組んだ成果を国民の皆さんにストレートに伝えることに、政府、与党ともに及び腰だったと思います。民主党政権は、過去の政権では逆立ちしてもできない、大胆な経済対策の実施、マニフェストの着実な実施、財政規律の維持、この三つの課題を同時に達成してきました。菅総理、国民に、わかりやすく、民主党政権の取り組んできたこの成果をお伝えいただきたいと思います。

 民主党政権が一から取り組んだ初めての本格的な予算である平成二十三年度の予算がしっかり編成されたことも、大きな成果であると思います。

 来年度の最大の課題は、成長と雇用の実現、デフレ脱却への道筋、国民の生活再建という三つの問題の解決を図ることであります。

 かかる目的を達成するために、いかなる予算を組んだのか。平成二十三年度予算の最大の目玉は何か。元気な日本復活特別枠を活用してめり張りのある配分をしたと伺っていますが、この点についても、わかりやすく説明をいただきたいと思います。総理の答弁を求めます。

 また、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、科学技術の研究開発支援、インフラの海外輸出、観光、航空、住宅など、民主党政権が重視する成長戦略分野における予算措置等についても、総理から説明をお願いいたします。

 さらに、国民の最大の関心事である年金、医療、介護における重点項目について答弁をいただきたい。とりわけ、基礎年金の国庫負担の引き上げ、地域医療の再生、定期巡回、随時対応の介護サービスへの取り組みについて、細川厚生労働大臣より説明をいただきたいと思います。

 来年度税制改正においても、画期的な内容が組み込まれました。

 最大のポイントは、総理のリーダーシップによって、法人税の実効税率が引き下げられることであります。今や、日本は、アジアを初めとする新興国との厳しい競争にさらされています。自民党時代は先送りされてきた結果、遅きに失したとはいえ、ようやく法人税実効税率が五%引き下げられ、三五%台となります。また、民主党のマニフェストの重要項目であった中小法人の軽減税率も引き下げられます。これまで困難であった航空機燃料税の引き下げが盛り込まれたことも、極めて大きな成果と受けとめております。

 総理の決断によって実施される法人実効税率の引き下げはどのような経済効果をもたらすのか、明らかにしていただきたいと思います。企業のコスト減となる中で、製品、商品、こうした価格の値下げ、あるいは社員の待遇改善、下請単価の引き上げ、新たな投資などの原資となり、雇用拡大につながることを期待しています。総理より答弁をいただきたいと思います。

 また、新しい公共やサラリーマンの視点から画期的な改正が盛り込まれたことを高く評価しています。

 事業収入の多いNPO法人でも認定NPOとなれるよう、三千円以上の寄附者が百人以上いることなど、認定要件を見直すことは、国民みずからの意思で、納めるべき税の一部の使い道を選択できる幅を広げるという点で、新時代を開く革新的なものと言えると思います。

 また、特定支出控除を見直し、サラリーマンの特定支出控除の範囲を、企業が認めた図書費、交際費等に拡大し、給与所得控除の二分の一を超えた部分から実額控除する制度とすることは、大きな前進であります。まさしく政治主導による改正が行われたというふうに実感をしております。

 このように、平成二十三年度の税制改正には、納税者、生活者にも恩恵の及ぶものが含まれています。民主党政権だからこそできたNPO税制、サラリーマン税制などについても、総理より説明をいただきたいと思います。

 次に、地方分権について質問いたします。

 地方は、自民党政権の三位一体改革やアメリカに端を発した急激な景気後退の影響によって疲弊し切っていました。政権交代後、民主党政権は、平成二十二年度予算において地方交付税を一・一兆円増額しましたが、地方財政をめぐる環境は、今なお厳しい状況にあります。

 地方財政を立て直し、地方を元気にするためには、このような地方財源の確保や、地方自治体が地域の実情やニーズに合ったこうした取り組みを実施できるようにするための改革を継続的に行っていくことが必要であります。

 菅総理のリーダーシップによって、霞が関の抵抗を打ち破り、民主党政権は、平成二十三年度に、第一段階となる、都道府県に対する投資的な補助金五千百二十億円の一括交付金化を実現します。平成二十四年度は、市町村分としてさらに五千億円、合計で一兆円の一括交付金を図ると伺っています。さらには、維持管理に係る部分から先行実施されている直轄負担金制度の廃止にどう取り組むのか。大胆な地方分権への取り組みについて、総理の御決意を伺います。

 次に、国家公務員制度改革についてお尋ねします。

 国家公務員制度改革の目的は、これまで縦割りで閉鎖的と言われてきた官僚組織を透明で効率的なものへと改めるとともに、有能、多様な人材を適切に登用することによって国民の期待に的確かつ迅速にこたえる、そうした体制を整えることにあります。また、国家公務員の方々が誇りとやりがいを持って職務を遂行することができるよう、労働基本権の付与を初めとして、まじめに働く者がちゃんと報われるような職場環境の整備を実現することも重要であります。

 しかしながら、昨年に政府が提出した国家公務員法一部改正案は、幹部人事の内閣一元管理など重要な内容を含んでいたにもかかわらず、通常国会にて廃案となってしまいました。

 国家公務員制度改革基本法では、改革に必要な法制上の措置を法施行後三年以内に措置することになっており、その期限が迫っているところであります。今通常国会においては、これら国家公務員制度改革の諸課題についてどのように取り組んでいかれる予定なのか、総理の御決意をお尋ねしたいと思います。

 また、昨年の参議院選挙において、民主党のマニフェストには、国家公務員の総人件費を二割削減する旨が明らかにされています。政府として、この目標の達成のため、どのような手法を通じ取り組まれるおつもりであるか、総理より明確な答弁をお願いしたいと思います。

 総理は、年頭より、自分が目指す国づくりの理念として、平成の開国、最小不幸社会の実現、不条理を正す政治、これを提示されました。

 まずは、平成の開国に関して質問いたします。

 去る一月二十日、中国国家統計局は、二〇一〇年の国内総生産を発表しました。中国の経済力が日本を抜き、米国に次いで世界第二位になることが確実になりました。日本は、一九六八年に獲得した世界第二位の経済大国の看板をおろすことになります。これは、冷戦構造の終わりを告げる象徴的な事例でもあると受けとめたいと思います。

 日本経済はかつての活力に陰りが見え、世界最強を誇った製造業も、韓国あるいは中国の激しい追い上げ、あるいは追い越しという事態に直面し、かつての輝きを失い、国内雇用の担い手として期待されたサービス産業も伸び悩んでいます。

 人口減少や資源、食料制約に直面する我が国は、これまで以上に国を開き、成長センターであるアジアを初め世界とともに成長していくべきであります。我が国が世界の新興国の成長を支援するとともに、それらの国々のエネルギーを我が国のエネルギーとして成長につなげていくことも重要であると思います。

 また、我が国は、資源の大部分を海外に依存する世界最大級の食料輸入国でもあります。資源、食料等を円滑に輸入する一方、我が国のすぐれた技術に基づく製品輸出により、必要な外貨を稼がなければなりません。

 これまで以上に我が国は、国を開き、成長著しいアジアや新興国を初め世界とともに成長していくことを求められていると思います。

 同時に、民主党が一貫して取り組んできた戸別所得補償による農林水産業の再生、農山漁村の六次産業化、食の安心、安全の確保など、農業再生に全力を傾注していくことが必要であると思います。

 昨年十一月に閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針は、農業再生を念頭に置きながら、国を開くという決意を示しています。平成の開国についての総理の決意をお伺いいたします。

 経済連携により大きな影響を受ける可能性のある我が国の食料、農業、農村をめぐる状況は、食料自給率の低迷、農業生産や農業所得の減少、農業人口の減少、高齢化、農地面積の減少等の負のスパイラルから抜け出せず、危機的状況にあります。これも、自民党長期政権の結果としての現実であります。食料の安定供給の観点からも、農業等の再生、強化は早急に行う必要があります。

 日本の農業は、潜在的には大きな力を持っていると思います。その農産物は、すばらしい品質、味を誇っています。中山間地を含め、日本の美しい風景を守るなど、我が国の農村が持つ多面的機能を強化していくことも重要であります。

 いよいよ来年度より、戸別所得補償制度は畑作物にも対象が拡大されます。農業の高付加価値化、輸出促進、さらには、若者を初めとする農業への新規参画への支援も含めた大胆な農業、農村活性化策が求められていると考えます。農業再生に取り組む基本姿勢について、総理より明快なる答弁をいただきたいと思います。

 総理が掲げられた第二の理念は、最小不幸社会の実現であります。社会保障制度をしっかりさせ、国民の将来に対する不安を払拭することが求められています。

 社会保障費は、来年度予算において、国債費を除く歳出の約四割を占めることになります。さらに、今後、自然増だけでも約一兆円以上増加することは確実であります。他方で、社会保障制度の根幹を維持し、充実していくためには、それを支えるために安定財源の確保が必要であります。

 社会保障と税をばらばらに論議するのではなく、一体的に議論することが政治に課せられた重要課題と考えます。しかし、議論の順序が重要であります。初めに増税ありきではなく、あるべき社会保障の姿をしっかりと議論し、必要な財源と税制改革を一体的に考えるという姿勢で取り組むべきと考えます。

 社会保障と税の一体改革に取り組む基本姿勢と手順について、与謝野内閣府特命大臣の御所見を伺います。

 昨年末、民主党の調査会より、政府に対して、社会保障と税の一体改革について提言を行っています。

 この提言においては、抜本改革の目標は、社会保障の水準を現在より引き上げ、現在の安心と将来への希望を抱ける豊かな福祉社会を構築すること、社会保障の潜在需要を顕在化させ、デフレ脱却を含めた経済成長に結びつけるということを基本としています。

 その上で、全世代を通じた安心の確保、国民一人一人の安心感を高めること、包括的支援を行うサービス提供、受益と負担の納得の得られる社会保障制度、自治体と企業との役割分担という五つの観点から改革の方向性を示しています。

 民主党の提言にもこたえ、政府においても基本的方向性を明示して社会保障改革に取り組むべきというふうに考えますが、与謝野大臣より答弁をいただきたいと思います。

 以下、当面の社会保障政策の課題について、具体的にお尋ねします。

 民主党は、結党以来、一貫してチルドレンファースト、子供を第一に考える政策を提言してまいりました。少子高齢化が進展する中、子供と子育てを応援することは未来への投資であり、子ども手当の創設は、その大きな第一歩と考えます。改めて、子ども手当の意義をお伺いします。

 あわせて、子ども手当に関するこれまでのさまざまな指摘を踏まえ、平成二十三年度においてはどのように改善するのか、細川厚生労働大臣の御所見を求めます。

 さらに、保育所の待機児童を解消することで、出産、子育てを経ても女性が就業継続できるなど、雇用の拡大や所得の増加にもつながると考えます。保育所の待機児童解消に向け、具体的にどのように取り組んでいくのか、あわせて厚生労働大臣より答弁をいただきます。

 総理が掲げられた第三の理念は、不条理を正す政治であります。

 総理は、さまざまな問題で不条理に苦しむ人々に触れ、これを正していく政治を重点に位置づけています。硫黄島遺骨返還、若年者の雇用、難病対策などなど、個別の問題にきめ細かく対応すべきことを強調されていますが、全く同感であります。

 自殺対策と子宮頸がん対策について質問します。

 十三年連続して、不幸なことに、年間の自殺者が三万人を超える状況となっており、このことは不条理そのものだと考えます。長期にわたる不況は、国民の生活を破壊し、多くの命さえ奪っているわけであります。将来への不安が高まっている中、こうした閉塞状況を打破することは当然でありますが、政府として自殺対策に優先して取り組むべきと考えます。総理の答弁を求めます。

 さて、我が国はワクチン後進国と言われてきましたが、女性と子供の命と健康を守るとの観点に立ち、ワクチンで予防できる病気は積極的に予防接種を推進すべきと考えます。子宮頸がんを初めとしたワクチン接種について、政府としての取り組み状況についてお伺いします。厚生労働大臣の答弁を求めます。

 総理は、不条理の一つとして、若年者の雇用の問題にも触れています。大卒の就職内定率が過去最低となっており、極めて重大な課題であると思います。若者に職業人生のスタートを順調に切ってもらうためにも、政府としてしっかりと支援をする必要があると考えます。

 さらに、非正規労働者がふえている中で、雇用保険を受給できない方にも訓練の機会を与えることが重要です。第二のセーフティーネットとしての求職者支援制度の創設に向けて検討を進めているというふうに聞いておりますが、制度創設に向けて取り組みを加速する必要があると考えます。

 若者の就職支援、非正規労働者などに対する職業訓練など、きめ細かな雇用対策について政府としてどう取り組むのか、厚生労働大臣の答弁を求めます。

 また、雇用の分野における性差別を禁止し、男女の平等を実現することが求められています。指導的地位に女性が占める割合を少なくとも三〇%程度にするという目標の達成に向けても、取り組みの強化、加速が不可欠です。

 雇用を初めとする性差別禁止、男女共同参画社会の確立に取り組む内閣の基本姿勢について、与謝野内閣府特命大臣の答弁を求めます。

 不条理といえば、北朝鮮による日本人拉致問題もその一つとして位置づけるべきであり、最優先で取り組むべき課題であると考えます。

 北朝鮮は日本人拉致を認め、一部被害者が帰国しましたが、他の被害者については、いまだ北朝鮮から納得のいく説明がありません。拉致問題に関する北朝鮮側の主張には多くの問題点があることから、日本政府としてこうした主張を受け入れることはできないと思います。

 拉致問題は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であり、この問題の解決なくして日朝の国交正常化はあり得ないと思います。日本政府は、すべての拉致被害者の一日も早い救出を図り、帰国を実現するため、総力を挙げて最大限の努力を尽くすべきであると思います。

 このところ、拉致問題担当の大臣の交代が頻繁に見られたことは遺憾であります。中野担当大臣には、長く続けていただき、腰を据えて職務に邁進されるようお願い申し上げます。同時に、一日も早くこの問題を解決し、担当大臣の必要性がなくなることを強く期待いたします。

 北朝鮮による拉致問題への政府の取り組みについて、総理の明快なる答弁を求めます。

 きめ細かな措置として、国境警備を担い、物価が高い離島への対策、さらには米軍基地などで負担を強いている沖縄対策などに対する予算を強化する必要があると考えます。

 民主党は、民主党離島政策プロジェクトチームを設置し、野党時代に国会に法案を提出したガソリン税の免税など、抜本的な離島振興策を提言しました。

 平成二十三年度予算においては、離島航路・航空路などを含め、生活交通の確保、維持、改善を支援する地域公共交通確保維持改善事業や、離島におけるガソリン価格をリットル当たり最大十五円引き下げる離島ガソリン流通コスト支援事業の創設など、所要の予算が確保されております。沖縄関連の予算についても十年ぶりに増額し、補助金の一括交付金化を重点的に実現すると伺っています。

 離島、沖縄などに対してきめ細かな予算を編成した内閣の長として、予算における重点項目及び今後の振興策への取り組みについて、菅総理より答弁をお願いしたいと思います。

 次に、外交・防衛問題について質問いたします。

 昨年九月七日、尖閣諸島沖の日本領海内において中国漁船衝突事件が発生しました。また、朝鮮半島では、昨年十一月二十三日、北朝鮮が韓国・延坪島に対して砲撃を加え、死傷者が出ました。砲撃は一般市民を巻き込む卑劣な無差別攻撃であり、今なお緊張が続いています。

 これらの事案が示すように、我が国周辺の環境も必ずしも安全とは言えず、かつてないほど国の安全に対する国民の意識が高まっており、海上保安庁や防衛省など、関係省庁が一体となった取り組みの強化が重要となっています。

 菅内閣は、参議院マニフェストに記載したとおり、国の防衛の基本方針である防衛大綱を六年ぶりに改定いたしました。冷戦期以来の考え方を、より実効的な活動を能動的にできるよう転換し、即応性、機動性や高度な情報能力に支えられた動的防衛力を構築していく方針を明らかにしています。

 防衛大綱の改定を初め、新時代に対応した防衛のあり方について、わかりやすく国民の皆さんに説明をする必要があると思います。政府の取り組みについて、総理より答弁を求めます。

 我が国の安全を守るには、こうした我が国独自の取り組みに加えて、外交努力も重要であります。

 先週、総理は、「歴史の分水嶺に立つ日本外交」と題してスピーチを行われました。菅内閣の目指す外交・安全保障政策の方向性が五本柱として体系的にわかりやすく説明され、時宜を得たものだったと評価します。

 アメリカとの同盟関係や、アジア太平洋諸国との信頼、協力関係を強化して、我が国の平和と安全、国民の安心と安全を確保することが不可欠であります。菅内閣の外交政策の基本方針について、総理の答弁を求めます。

 我が国周辺海域における情勢は緊迫化しており、我が国の主権の確保は重要な課題であります。

 海上保安庁は、国土の約十二倍、世界第六位の広大な領海及び排他的経済水域において、厳しい気象条件の中、日夜業務に精励しています。

 我が国が領海警備を行うに当たっては、海上保安庁による巡視警戒を強化し、加えて、自衛隊の航空機、艦船等による警戒監視活動も含め、関係省庁が連携して我が国の島嶼防衛に万全を尽くすべきだと考えます。また、海上保安庁が機動的、効果的に対応できるよう、海上警察権の強化について検討を急ぐべきだと考えますが、政府の取り組みについて、総理より答弁をいただきたいと思います。

 以上、数多くの課題について質問いたしました。いずれも、その政策課題をしっかりと実行していくには、国民の皆さんの共感的理解が必要であります。いかにすぐれた政策、的を射た政策であっても、国民の皆さんの深い理解なしには実現はおぼつきません。

 総理、政策は、理にかない、法にかない、情にかないの心がけが重要であります。ぜひ、国民の心に響く訴えをお願いしたいと思います。

 また、昨年テレビで放映されたマイケル・サンデル教授の政治哲学に関するハーバード大学白熱教室は、大きな反響を巻き起こしました。大教室でサンデル教授を中心に深められていく学生たちの真剣な討論、私語ややじはもとより、居眠りやあるいは暴言など一つもなく、熱気に包まれた教室であります。まさに、これこそ熟議の教室であると思います。

 国民の皆さんの期待にこたえるような国会にしようではありませんか。白熱の国会、すなわち熟議の国会を、今こそ実現しようではありませんか。菅総理の今国会にかける決意をお伺いします。

 最後に、政府と与党が一体となり、車の両輪としてこの国の再生に全力を尽くしていくことをお約束いたします。

 子供たちや若者が未来に対して希望を持ち、現役世代の人々が安心して働き、家族を養い、お年寄りが長生きしてよかったと思っていただける、そういう社会をつくってまいります。

 必ずや、政権交代を選択してよかった、民主党政権が続いてよかったと国民の皆様から実感していただけるように努力を続けていく決意を表明し、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 城島議員の質問にお答えする前に、谷垣議員の質問に補充答弁を求められておりますので、お答えを申し上げます。

 政府・与党としては、六月までに社会保障と税の一体改革の基本方針をお示しすると先ほど答弁をいたしました。

 消費税の引き上げ幅や時期を含めた税制改革の法案の具体的な内容や法案の提出時期については、野党の皆様方の御意見も伺いながら判断していきたい、このように考えております。

 城島議員の方から、内閣の施策についての全般について御質問をいただきました。

 本年の位置づけ、そして日本の将来像、最優先課題についてどうかという御質問にまずお答え申し上げます。

 施政方針演説でも申し上げたように、平成の開国、最小不幸社会の実現、そして不条理を正す政治の三つの理念をこの日本に体現させるのが私の政治的な目標であり、目指すべき将来像であります。そのために、本年を、新しい国づくりに向け本格的にかじを切り、これらを実現していくことで元気な日本を復活させる重要な節目の年としたいと考えております。

 最優先の課題としては、経済成長、雇用拡大の実現に向けた新成長戦略の実践、社会保障と税の一体改革、平成の開国、地域主権改革の推進と行政刷新の強化、徹底など、全力で取り組んでまいります。

 経済、社会保障、財政への一体的取り組みについて御質問いただきました。

 過去二十年間の経済政策は、公共事業中心の第一の道、また、行き過ぎた市場原理主義に基づいた生産性重視の第二の道と進んでまいりました。しかし、時代においては適切であった政策も、時代の変化の中では必ずしも効果を上げてこなかったのが、この二十年間であります。

 そこで、私が目指す経済社会が抱える課題の解決のためには、需要や雇用創出を中心とした第三の道という考え方を一昨年の新成長戦略の基本方針の中に盛り込んだところであります。

 また、平成の開国の理念のもと、勢いを増すアジアの成長を我が国に取り込むため、包括的経済連携の推進と同時に農林漁業の再生に取り組むことが重要であります。

 社会保障については、最小不幸社会の実現のためには、国民生活の安心の基盤である社会保障をしっかりさせることが不可欠であります。そのため、六月までに、社会保障改革の全体像と、必要な財源を確保するための、消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示してまいります。

 財政については、財政健全化は、どの内閣であっても避けることができない課題であります。財政運営戦略を着実に実行し、財政規律を堅持してまいります。

 これらの改革により、国民の安心を実現し、経済成長につなげていく覚悟であります。

 次に、民主党政権の成果について御質問をいただきました。

 民主党政権は、リーマン・ショックで経済が低迷し、税収が落ち込むという極めて厳しい状況の中で政権を引き継ぎ、経済の立て直しを最優先課題に、新成長戦略の実行など、最大限努力をし、走り続けてまいりました。その成果を要約すれば、次の三点であります。

 第一の経済対策では、厳しい経済状況に迅速に対応する三段構えの経済対策を実行し、景気、雇用の両面から経済を切れ目なく下支えしてきているところであります。

 そのほか、国を開くための包括的経済連携に関する基本方針の策定、法人実効税率の五%引き下げなど経済政策を推進するほか、新しい公共のための寄附税制の拡充についても法案を提出いたしました。

 そうした中で、直近では、景気は、足踏み状態にあるものの一部持ち直しに向けた動きが見られ、雇用情勢は、厳しいものの持ち直しの動きが見られます。ジョブサポーターの支援で、昨年までに約一万六千人の新卒者の就職が決定をいたしております。

 第二のマニフェストの実施については、子ども手当、高校授業料実質無償化、農業の戸別補償制度など、お約束どおり、二十二年度から実施をいたしました。財源も、事業仕分けの実施などにより、無駄の削減で確保いたしました。地域主権についても、二十三年度から五千億円規模の一括交付金を創設するなど、着実に前進をいたしております。

 第三の財政規律については、財政運営戦略を策定し、歳出の大枠七十一兆円以下、新規国債発行額四十四兆円以下を堅持しました。

 引き続き、政策を着実に実行し、有言実行内閣の実を上げてまいりたいと考えております。

 次に、二十三年度予算について御質問をいただきました。

 二十三年度予算は、予算を大胆に組み替え、社会保障関係費を五%、科学研究費補助金を三割ふやすほか、元気な日本復活特別枠を活用し、成長と雇用に資する政策などに重点的配分を行いました。その際、特別会計も含め事業仕分けを実施し、無駄を徹底的に排除いたしました。

 また、地域主権改革の観点から、地域が自由に活用できる一括交付金を、先ほど申し上げたように、来年度から約五千億円規模で創設いたしました。

 財政規律については、財政運営戦略に基づき、国債費を除く大枠約七十一兆円以下、国債発行額約四十四兆円以下を堅持したところであります。

 次に、成長戦略分野における予算措置についての御質問をいただきました。

 平成二十三年度予算においては、新成長戦略の実現に向けたステップスリーとして、元気な日本復活特別枠による配分を含め、新成長戦略関連施策に重点的配分をいたしました。

 御質問の各分野に関して申し上げれば、例えば、電気自動車や太陽光パネル等の低炭素機器のリースに対する助成によるCO2削減、投資機会、雇用の創出、第二に、世界に先駆けた革新的新薬、医療機器創出のための臨床試験拠点の整備、第三に、若手研究者への科学研究費補助金の配分拡充を含めた科学技術振興予算の増額、第四に、ベトナムでの原子力発電所建設プロジェクトのような、日本企業による海外インフラプロジェクトの受注支援、第五に、中国人個人観光ビザの取得容易化など、訪日外国人三千万人プログラムの推進、オープンスカイを推進するための首都圏空港の拡充強化、医療、介護と連携したサービスつきの高齢者住宅の供給拡大などの予算措置を盛り込んだところであります。

 次に、法人実効税率の引き下げの効果についての御質問をいただきました。

 法人実効税率の引き下げにより、企業が海外へ移転して雇用が失われることを回避し、国内投資の増加や雇用創出につながる効果が期待されるところであります。

 例えば、今般の法人課税の見直しについては、一定の前提のもとで行った試算では、国内投資によるGDP成長率の押し上げ効果が〇・二%程度、雇用創出効果が九万人程度と見込まれております。また、産業界は、政府が国内投資促進策を講じる場合は十年後に約百兆円の設備投資を目指すという、経済界自身の行動目標を明らかにしているところであります。

 このような投資や雇用の増加により、所得が増加し、消費の増加につながり、経済の好循環がもたらされることを期待いたしております。

 次に、市民公益税制及び特定支出控除などについての御質問をいただきました。

 今般の税制改正では、認定NPO法人等への寄附に対する所得税の税額控除の導入を行いました。また、同時に、認定NPO法人の認定要件の緩和、こうしたことによって、新しい公共によって支え合う社会の実現に本格的に取り組むことになりました。

 また、いわゆるサラリーマンの経費である給与所得者の特定支出控除の範囲を拡大し、弁護士等の資格の取得費を加えるなどの改正を行うことといたしております。

 次に、直轄事業負担金の廃止と今後の地域主権改革の取り組みについて御質問をいただきました。

 地域主権改革は、この政権の最重要課題の一つであります。一括交付金については、平成二十三年度は都道府県向けの投資に係る補助金等五千百二十億円を一括交付金化しました。平成二十四年度は、市町村向けにも導入し、合計一兆円規模で実施いたします。また、経常的な補助金等についても、平成二十四年度から、段階的に一括交付金化を実施することといたしております。

 直轄事業負担金については、平成二十二年度から、維持管理に係る負担金制度を廃止いたしました。

 その他のものについては、平成二十五年度までに、現行の制度の廃止とその後のあり方について結論を得ることといたしております。

 出先機関改革については、昨年末にアクション・プランを策定し、また、昨日、地域主権戦略会議において、改革実現に向けた推進体制を整備したところであります。引き続き、私が議長を務める地域主権戦略会議を中心に、政治主導で改革を強力に進めてまいります。

 次に、公務員制度改革や総人件費削減についての御質問をいただきました。

 公務員制度改革や総人件費の削減は、政府としても大変重要な課題であり、天下りあっせんの廃止などの措置を講じてきたところであります。これにより、独立行政法人への補助金の削減なども実現いたしました。

 さらに、幹部人事の内閣一元管理や自律的労使関係制度の措置など、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を実現するための法律案を今通常国会に提出することといたしております。

 また、国家公務員総人件費の二割削減という目標については、第一に、地方分権推進に伴う地方移管、第二に、各種手当、退職金等の水準や定員の見直し、第三に、労使交渉を通じた給与改定など、さまざまな手法を組み合わせることにより、平成二十五年度までにめどをつけることとし、目標達成に向け取り組んでまいります。

 平成の開国についての御質問をいただきました。

 我が国は、この百五十年間、明治の開国と戦後の開国をなし遂げました。不安定な国際情勢の中で、政治や社会の構造を大きく変革し、創造性あふれる経済活動で難局を乗り切ってまいりました。私は、これらに続く第三の開国に挑んでまいります。

 経済を開くことは、世界と繁栄を共有する最良の手段であります。高いレベルの経済連携による貿易自由化等を通じ、世界と日本の間で人、物、金の流れを大きく増加させる。平成の開国のもう一つの大目標として、若者の参加しやすい農業の実現など、農林漁業の再生に取り組んでいく。開国を通じて、精神的に日本人全体が世界に向かって羽ばたいていくようにしたい。平成二十三年度を、明治維新や戦後に続く平成の開国元年といたしたいと考えております。

 農業再生に取り組む基本姿勢についての御質問をいただきました。

 我が国農業は、農業生産の減少や若者の農業離れが進むとともに、農業従事者の平均年齢は六十六歳に達するなど、その再生は、待ったなしの課題であります。

 若い人たちが参加する農業や豊かな農村生活の実現を目指し、六次産業化、農地集約による大規模化や農産物の輸出促進を推進する。政策の柱となる農業者戸別所得補償については、来年度は、対象を畑作に拡大し、大規模化の支援を厚くして、本格実施をいたします。

 農業再生に向けた対策について、内閣の食と農林漁業の再生実現会議において集中的に議論をし、六月をめどに基本方針を、十月をめどに行動計画を策定することといたしております。

 次に、自殺対策についての御質問をいただきました。

 我が国における年間の自殺者は、昨年は千名程度減少したものの、平成十年から十三年連続して三万人を超える状況となっており、深刻に受けとめております。昨年九月には自殺対策タスクフォースを設置し、関係府省と地方公共団体、関係団体が連携して取り組みを実行いたしております。

 自殺対策が集中的に実行されておりますと、確実にその後に自殺者数が減少するという効果も見られていることから、引き続き、先ごろ発足させた「一人ひとりを包摂する社会」特命チームを活用しつつ、自殺に追い込まれる方を一人でも多く救うため、自殺対策に全力で取り組んでまいります。

 次に、拉致問題への取り組みについての御質問をいただきました。

 拉致問題は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題です。国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現するため全力を尽くします。

 例えば、情報の収集、分析については、拉致問題対策本部事務局の体制を拡充するとともに、関連予算を大幅に増額し、取り組んでおります。北朝鮮から拉致問題の解決に向けた具体的な行動を引き出すべく、引き続き、関係国と連携して最大限の努力をしてまいります。

 十二月には拉致被害者の御家族とお会いをして、拉致問題解決に向けた決意を新たにいたしたところでありますが、拉致被害者の皆さんの帰国を実現するために、政府としてやれることは何でもやるという覚悟で臨んでまいります。

 次に、離島そして沖縄対策についての御質問をいただきました。

 二十三年度予算では、離島及び沖縄について、きめ細かな措置を盛り込んだところであります。

 まず、離島については、一、島民の生命線である離島航路・航空路などの地域公共交通に係る予算を充実するとともに、二、本土に比べて割高な離島のガソリン小売価格が実質的に下がるよう支援措置を創設いたしました。

 また、沖縄については、十年ぶりに前年度を上回る予算を確保するとともに、沖縄振興について国の責務を明確にするため、他の都道府県関係予算とは別に、沖縄振興自主戦略交付金を創設するなど、予算の充実を図ったところであります。

 今後とも、地元の御意見も伺いながら、離島及び沖縄の振興を積極的に支援してまいりたいと考えております。

 次に、防衛力のあり方の国民への説明についての御質問をいただきました。

 新たな防衛大綱に沿って、即応性や機動性等を備えた高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力の構築に取り組んでまいります。

 防衛力の構築は、国民一人一人の理解と支持があって初めて成り立つものであります。我が国の安全保障、防衛政策について積極的な発信を行うなど、国民へのわかりやすい説明に努めてまいりたいと考えております。

 次に、菅内閣の外交政策の基本姿勢についての御質問をいただきました。

 国際社会が大きく変化している中で、我が国周辺には依然として不確実性、不安定性が存在いたします。平和と安定を確かなものとするためには、現実主義の基調に立って、世界の平和創造に能動的に取り組む外交・安全保障政策の推進が不可欠であります。

 日米同盟は我が国の外交、安全保障の基軸であり、安全保障、経済、文化・人材交流を中心に同盟を深化させてまいります。

 中国、韓国、ロシア等アジア太平洋諸国との関係強化にも努めます。ASEAN、豪州、インド等とも関係を深め、開かれたネットワークを発展させてまいります。

 次に、島嶼防衛及び海上警察権の強化についての質問をいただきました。

 我が国周辺海域においては、平素から海上保安庁が巡視船、航空機による警戒監視を行うとともに、情勢に応じて体制を強化するなど、適切に警備を実施しているところであります。海上警察権の強化についても、海上保安庁において具体的な検討が進められております。また、自衛隊も、周辺海域において、航空機、艦艇等により警戒監視活動を行っております。

 今後とも、関係省庁が緊密に連携しながら、警戒監視活動に万全を期してまいります。

 今国会にかける決意について御質問をいただきました。

 私は、施政方針演説で、国民にとって、日本の現在と将来にとって避けて通ることができない、先送りできない最重要課題について、私の考え方、決意を述べたところであります。党首討論を含む国会審議を通じて建設的な政策議論を進めて、国民の期待にこたえて回答を出していこうではありませんか。

 先ほど来私も申し上げておりますが、やはり、国民の皆さんがこの国会に望んでおられるのは、もちろん激しい議論は当然あっていいわけですけれども、それが一定のところで何らかの合意形成につながり、それが何らかの実行につながることを多くの国民の皆さんは望んでいると思われます。

 私たちも、これまでの姿勢について反省しなければいけないところは反省する中で、ぜひとも国民の皆さんからのそうした期待に対してこたえられるような熟議の国会になることを野党の皆さんに改めて重ねてお願いを申し上げて、答弁とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣細川律夫君登壇〕

国務大臣(細川律夫君) 城島議員にお答えをいたします。

 年金、医療、介護における重点項目についてのお尋ねがございました。

 国民の皆様の生活を豊かで安心できるものとするために、年金、医療、介護を初めとする社会保障の充実にしっかりと取り組みたいと考えております。

 この観点から、平成二十三年度予算案におきまして、まず、年金につきましては、基礎年金の国庫負担割合について、二分の一を維持するための予算を確保したところであります。そのための法案を今国会に提案いたします。

 医療分野におきましては、平成二十三年度予算案に、医師不足病院の医師確保の支援等を行う地域医療支援センター等の予算を盛り込んだところであり、こうした取り組みを通じて地域医療の充実に努めてまいります。

 介護分野におきましては、二十四時間対応の定期巡回・随時対応型のサービスにつきまして、平成二十三年度予算案におきましてモデル事業のための費用を計上するとともに、介護保険制度改正法案にも盛り込み、普及を図っていくこととしております。

 次に、平成二十三年度の子ども手当及び保育所待機児童解消策についてお尋ねがありました。

 子ども手当は、社会全体で一人一人の子供の育ちを支援するという観点から実施するものでございます。保育所等の現物給付やワーク・ライフ・バランスの推進と相まって、子供を安心して生み育てることができる社会を構築してまいります。

 平成二十三年度の子ども手当については、ゼロ歳から三歳未満の子供に重点的に七千円上積みを行うこととしたいと考えております。

 また、これまでのさまざまな御意見を踏まえまして、子供に対して国内居住要件を設けること、児童養護施設に入所している子供等についても支給をすること、保育料について子ども手当から直接徴収ができるようにするとともに、学校給食費等についても本人の同意により子ども手当から納付することができる仕組みを設けるといった、こういう見直しをしたいと考えております。

 保育所の待機児童解消策につきましては、保育所運営費の確保による受け入れ児童数五万人増、安心こども基金の積み増しによる集中重点的な保育所整備等、保育サービスの量的拡充、そして、待機児童ゼロ特命チームにより取りまとめられました、国と自治体が一体的に取り組む待機児童解消「先取り」プロジェクトの推進などに取り組んでいるところでございます。

 子宮頸がんを初めとしたワクチン接種についてお尋ねがありました。

 ワクチンにより防ぐことのできる病気を予防し、命と健康を守っていくことは、大変大事なことでございます。このため、平成二十二年度第一次補正予算におきまして、子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンについて、平成二十三年度末までにほぼ全額公費で受けられる事業を盛り込みました。

 本事業は、我が国の予防接種行政を一歩前に進める画期的な取り組みだと考えております。平成二十三年度中にほとんどの市町村で三種類のワクチンについて接種が行われる予定でありまして、その円滑な実施を図ってまいります。

 若者と非正規労働者に対する政府の取り組みについてお尋ねがありました。

 新卒者の就職状況は非常に厳しく、特に大学生の内定率は過去最低の状況にあります。学校を卒業する方々が就職できないということは、本人はもとより、社会、国家の損失でもあります。

 これまで、ジョブサポーターを二千人に倍増してきめ細かな支援を行い、昨年十二月までに約一万六千人の方が就職が決定したところでございます。また、卒業三年以内の既卒者を採用する企業やトライアル雇用を行う企業へ奨励金の創設などして取り組んでまいりました。

 さらに、先般、新卒者雇用・特命チームにおきまして、未内定者が卒業前に就職できるよう、既卒者を採用する企業への奨励金を未内定者も対象とするということとともに、ジョブサポーターによる徹底した電話連絡などの個別支援、さらに、中小・中堅企業を中心とする就職面接会の追加開催などに取り組むとしたところでございます。

 また、三人に一人が非正規労働者となっております現在において、雇用保険を受給できない方々に対する雇用のセーフティーネットの強化が大変重要だと考えております。このため、平成二十三年度中に、無料の職業訓練と訓練中の生活支援のための給付を行う求職者支援制度の創設を考えております。

 現在、この具体的な内容につきましては労働政策審議会において検討いたしておりまして、今通常国会に所要の法案を提出する予定でございます。

 以上、御答弁いたします。ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣与謝野馨君登壇〕

国務大臣(与謝野馨君) 社会保障、税の一体改革についてお尋ねがありました。

 社会保障は、五十年前に骨格ができましたが、現在では、若い世代の新たな生活リスクに対応できていないなど、機能不全に陥っているところがございます。また、後代の負担にツケ回ししている現状にあり、持続可能な制度としていく必要がございます。

 社会保障改革を進めていくに当たっては、議論の順序が大変重要であります。まず、社会保障の姿をしっかり議論し、その維持強化に必要な財源と税制改革を一体的に考えるというスタンスで取り組みたいと考えております。その際、政治家みずからが身を切る覚悟も必要であり、行政の無駄削減を徹底することも当然の前提であります。

 社会保障改革の方向としては、民主党の調査会の中間整理なども踏まえ、総理が施政方針演説で示された五つの基本原則を具体化することとしております。

 今後、国民的な議論をオープンに進めながら、社会保障改革の全体像と、財源としての消費税を含めた税制抜本改革の基本方針を六月までにお示ししてまいります。

 次に、男女共同参画社会の確立等についてお尋ねがございました。

 我が国の経済社会の発展のためには女性の活躍が不可欠であり、昨年十二月に閣議決定した第三次男女共同参画基本計画においても、この視点を重視しております。二〇二〇年までに、指導的地位に女性が占める割合を少なくとも三〇%程度とする目標を達成するため、実効性のあるポジティブアクションの推進など、取り組みを強化、加速してまいります。

 また、雇用の分野における男女の均等な機会や待遇の確保、女性の就業継続や再就職に対する支援等を進めるなど、男女共同参画社会の実現にしっかりと取り組んでまいります。

 以上です。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 小池百合子君。

    〔小池百合子君登壇〕

小池百合子君 自由民主党の小池百合子でございます。

 谷垣総裁に続きまして、外交、安全保障を中心に菅総理に対して御質問させていただきますが、先ほどの谷垣総裁への御答弁、逃げ、すりかえ、抱きつきと、一国の宰相とすれば余りにも堂々としていない。大変悲しい思いで受けとめてまいりました。菅総理からは、まじめで真摯な答弁を求めていきたいと存じます。(拍手)

 さて、私は、現在、自民党の最終、最高意思決定機関であります総務会の長を仰せつかっております。御承知のように、自民党では、法案であれ党則の改正であれ国会対策であれ、すべての意思決定はこの総務会で行われます。時には激論を交わし、激しくぶつかり合い、時には離党劇もありました。長い歴史の間に、数々のドラマの舞台となり、また民主主義の土俵となったのであります。それが総務会であります。

 国民から選ばれた議員が議論を通じて結論を出す、回り道のように見えても、この過程こそが政党として重要なのだと、特に現政権与党の政策や物事が決定するまでの迷走ぶりを見ていると、つくづくそう思うのであります。

 そこで、民主党の代表であります菅総理に伺います。

 例えば、一昨年の暮れ、暫定税率の廃止の廃止がどなたかの一声で決まったように、また、消費税への取り組みが参院選前に突然菅総理の口から飛び出したように、TPPもしかりであります、政権与党でありながら、意思決定のデュープロセスが全く不明であります。

 民主党の意思決定は、一体、どこで、だれが、どのように行われるのでしょうか。他党とはいえ、政権与党としてそこは明確にしていただかなければ、国民が振り回されています。企業も段取りがつきません。菅総理がお決めになるのでしょうか、幹事長でしょうか、役員会でしょうか、常任幹事会なのでしょうか。やっぱり小沢さんなんでしょうか。もしくは、まだ決まっていないのでしょうか。要は、これはガバナンスの問題であります。そして政策決定へのスピード感の問題であるからこそ、菅総理、明確にお答えをいただきたい。

 実は、政権交代という出来事は、自民党に改革のチャンスをもたらしてくれました。長年政権を担うことで培ってきた先人たちの知恵や、民主主義のあるべき姿を再確認できたからであります。変えるべきは変え、守るべきは守る、常に進歩を目指す保守政党の精神で、ニュー自民党として取り組んでまいる所存であります。

 例えば女性政策であります。女性の、女性による、女性のための政策をこれまで以上に推進いたしてまいります。量的な高度成長期から生活の質への転換を加速度的に進めなければならない時代に、人口の半数を占める女性の観点を生かし、きめ細かな生活者としての感性を生かした政策を描く、そして実行する。大義ある政策を、国民の共感を力として進めてまいります。

 そこで、女性の視点、生活の実感に基づいた政策、ウーマノミックス政策を募集いたしましたところ、二十一歳の女子大生から七十九歳のおばあちゃままで、海外からのものも含めますと二百通を超す御応募をいただきました。自民党の肉食系女性議員によります児童虐待ゼロ運動に加えて、これらの提言を、実現可能なものから順次法案として提出をしてまいります。もちろん、議員立法、政治主導でございます。

 民主党の子ども手当のように、ただ有権者におもねるばらまき政策や、親子別姓推進政策のように、無縁社会、家族崩壊をさらに加速させる政策には、自民党は反対をいたします。今の世代さえよければいい、日本だけがよければいいといった考え方を自民党はとりません。それが保守の政治というものだと思います。

 さて、今、世界は激動の中にあります。世界のリスク分析で定評あるユーラシア・グループは、昨年、十大リスクとして、米中関係、イラン情勢、欧州財政危機、米国の金融政策、そして五番目に日本を挙げました。ほぼそのとおりとなりました。ことし二〇一一年を見てみますと、トップに挙げられたのがGゼロ。つまり、G7でも、8でも、G20でも、もちろんG2でもありません。多極化ならぬ無極化に陥るリスクがあると指摘をしているのであります。

 ソビエトの崩壊時でさえ、G7がG7プラス1となる程度の変化でありました。しかし、今起きているのは、それを上回る新しい秩序または無秩序の到来だというのであります。ましてや、来年二〇一二年は、世界の主要国、アメリカ、ロシア、フランス、韓国などで大統領選が行われます。つまり、これらの国々が内向きとなり、世論を気にした政策をとる可能性も高い。さらに、中国、北朝鮮での権力承継期におけます軍部との関係も微妙なところがあります。

 先日は、菅総理は、国会外で外交に関する講演を行われました。そして、現在は歴史の分水嶺と位置づけられましたね。では、世界史の大転換点で日本をどう位置づけるのか。世界は無極化すると考えられるのか、そうではないのか。日本の役回りは一体何なのか。菅総理の平和の海と、鳩山前総理の友愛の海との違いは一体何なのか。日米中の三角論について、あなたは、副総理当時、賛同しておられたのか、実は反対だったのか。変節した結果としての日米同盟基軸なのか。明確にお答えをいただきます。

 無極化の例は、世界のほとんどの国が締約国として参加し、ほぼ平場で何日も徹夜状態で会議する気候変動枠組み条約締約国会議、いわゆるCOPで既に見られています。各国の政治経済状況も複雑に絡んでいます。特に、第一約束期間切れ目前のことし末のCOP17は相当難航が予想されております。昨年末のCOP16では、京都議定書の単純延長という最悪のシナリオが当面回避されただけの状態となっております。菅総理持論の、一人当たりのCO2の排出を新基準にとのお考えも、残念ながら夢物語となるでありましょう。日本が世界の標的となるおそれさえにおってきております。

 仲間づくりが重要な環境外交、どう対応されるのか、お考えがあればお聞かせをいただきたい。

 次に、海外での有事におけます邦人保護について伺います。

 先般、チュニジアでの政権崩壊による混乱では、一時、約二百人の邦人観光客が足どめされる事態となりました。私自身、エジプト留学中、第四次中東戦争が勃発し、日本人には救援機さえ来ないんだよとベテランの留学生仲間から聞かされて、驚きました。ならば、みずから飛び込んだ国の人々と苦楽をともにする覚悟を決めたものであります。また、最近のエジプト情勢も気になるところであります。

 加えまして、同じ年の夏ですが、リビアのトリポリからエジプト・カイロに戻ります民間航空便の予約を都合で取り消したところ、その便は、シナイ半島上空において、領空侵犯のかどでイスラエル機に撃墜をされました。命拾いはいたしましたものの、中東、世界における領土、領空をめぐる厳しい現実を痛切に感じた瞬間でありました。

 経済のグローバル化に伴い、ビジネスや観光で外国に多数の邦人が滞在をいたしております。政情不安、軍事紛争、大規模災害の発生など、海外で有事が発生した場合は、国家が責任を持って邦人保護に当たらなければなりません。それが国家の役目であります。特に、昨年末より緊張が高まっている朝鮮半島における有事に対しては、政府として、起こり得る危機を想定し、適切な対応策を練っておかなければなりません。

 チュニジアの際にはチャーター機の派遣も検討されたようでありますが、イラン・イラク戦争の際の邦人救出の例を見ましても、民間機を紛争地帯へ飛ばすことには大変な困難を伴うものであります。今こそ、自衛隊機の派遣について真剣に検討する時期に来ています。もちろん、現行法では法制上の制約があります。そこで、自民党は、在外邦人輸送のための自衛隊法改正案を国会に提出しているところですが、いまだに審議されることなく、継続扱いとなってまいりました。

 菅総理、この法案を審議して、有事における邦人保護の検討をさらに進めるお考えがあるのかお聞かせいただきたいし、何よりも、対案を出せ、対案を出せとおっしゃいますけれども、政府案のないことが問題なのであります。

 さて、チュニジアに話は戻ります。

 今回政変が起こったチュニジアは、古代都市国家カルタゴの流れをくむことは御承知のとおりであります。小さいながらも、商業主義に徹し、国民も豊かな生活を享受。ローマとの第一、第二ポエニ戦争ではいつも負け戦でした。敗戦国として、武装解除、戦争放棄を強いられるわけであります。ところが、戦後も貿易一筋で奇跡の復興をカルタゴはなし遂げ、戦後賠償もさっさと払い終えますが、その経済力がかえって脅威ととられ、結局、ローマ帝国により、せん滅されるわけであります。

 アルプス越えで有名なカルタゴの武将ハンニバルは祖国の危機をカルタゴ市民に訴え続けましたが、長年平和に酔いしれた市民はその警告に耳をかそうとしませんでした。いわゆる平和ぼけであります。ハンニバルの警告からカルタゴが実際に陥落するまではわずか三年、生き残ったカルタゴ市民五万人は、すべて、後に奴隷となりました。

 塩野七生さんや森本哲郎さんの著書などで有名なカルタゴの滅亡の問題でありますが、最大の理由は、国家の安全保障をないがしろにしたことでありましょう。これに尽きます。外国傭兵に頼り、国内世論も平和主義的な論調が強く、有事に備えた軍事力の確保が困難だったからであります。

 菅総理、賢者は歴史から学ぶといいますが、何を菅総理は学ばれますでしょうか。

 そこで、我が国の安全保障について伺います。

 我が国周辺情勢は、北朝鮮による韓国領土への砲撃事件、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事案、メドベージェフ・ロシア大統領の北方領土の訪問などで激変、緊迫をしております。中国、ロシアなどの近隣諸国の軍事費増大、軍拡に、多くの国民は、日本は大丈夫か、防衛は一体どうなっているのかと、不安、危機感を抱いています。

 どんなに長ったらしい外交演説を前原外相が読み上げても、現民主党政権の過去一年数カ月にわたる外交、安保への取り組みに対する信頼感は既にないと言っても過言ではありません。町の新年会でも、このままで日本は大丈夫かという話題ばかりが聞こえてきます。

 国防は、まず、みずからの手で国を守る姿勢を明確にすることが大切であります。そのためには、裏づけとなる国防の手段を確保し、必要な防衛関係予算を増額するなりしなければなりません。多様化する任務に対応する人員の確保も必要であります。

 ところが、平成二十三年度の防衛省予算は、四兆六千六百二十五億円と、前年比マイナス二百一億円。しかも、子ども手当の約三百億円が計上されての話でありますから、それを差し引きますと、削減額はさらに膨らむわけであります。ましてや、自衛隊の定数は、陸自のマイナス三百四人を筆頭に、陸海空すべてで定数削減となっております。我が国を取り巻く状況が激変しているにもかかわらずであります。

 中期防においては、今後五年間で二十三兆三千九百億円の枠内とされていますが、前回の中期防では五年間で二十四兆二千四百億円でしたから、こちらも削減幅が大きくなっています。菅政権は、二十三年度予算だけでなく、向こう五年間の防衛関係予算についても、これまでに比して縮減方針を打ち立てたことになります。これでは、現在の緊迫した東アジア情勢の中、国民はさらなる不安に駆られます。また、周辺諸国に誤ったメッセージを与えるではありませんか。

 もう一度言います。民主党政権下で、新たな状態をみずから招来させながらの措置であります。子ども手当は増額しても、防衛、国防費は削る。カルタゴへの道を歩むおつもりでしょうか。

 民主党政権は、防衛計画の大綱、中期防を、自民党政権の防衛政策を見直すということで一年間先延ばしをされ、昨年末、ようやく策定をされました。

 具体的には、基盤的防衛力構想からの脱却や南西方面への防衛力重点化などの島嶼防衛の強化、武器輸出三原則の見直しの検討などとなっておりますが、すべて、自民党政権時代に我々が議論し、その方向性を出してきたものばかりであります。

 今回、その中で、基盤的防衛力構想から動的防衛力構想へと大転換を図り、「抑止力の信頼性を高める」とありますが、言葉だけで、関係予算の裏づけはないのであります。動的防衛力の確保で何をどう守るのか、国民の皆さんにわかるように、もう一度具体的にお答えをいただきます。

 装備の大幅削減は、我が国の防衛力の生産、技術、教育等、基盤の維持すらも困難となります。これでは抑止力の強化になりません。ましてや、国民の安心、安全が確保できないのです。

 武器輸出三原則については、菅総理が一たん見直しに言及されたにもかかわらず、社民党に配慮して、検討という表現にトーンダウンされました。国益よりも社民党との連携を優先された結果であります。

 兵器の国際共同開発は世界の趨勢であります。我が国もその対応を真剣に検討しなければなりません。例えば、現在アメリカと共同開発中の弾道ミサイルSM3ブロック2Aは、純粋な防御兵器として、将来的には第三国への輸出も視野に検討されるべきものでありましょう。

 武器輸出三原則の見直しは喫緊の問題であります。再度、武器輸出三原則の見直しに踏み込むお考えがあるのかどうか、総理の見解を伺います。

 次に、自衛隊とともに、我が国安全保障のかなめであります日米同盟について伺います。

 この一年間で日米同盟の信頼関係は大きく傷つきました。そうとしか言いようがありません。日本及び東アジアの平和と安定のためには、日米安保に基づく強固な日米同盟が必要であることも言うまでもありません。日米同盟の弱体化につけ込み、中国漁船による尖閣諸島沖での違法操業の活発化と北方領土へのメドベージェフ大統領の訪問などの事案が起こった。そうとしか言いようがありません。

 菅総理は日米同盟の再出発を強調されている。これまで自民党は、日米同盟を基軸に、価値観外交、主張する外交、自由と繁栄の弧と、戦略に彩りを加えてきましたが、再出発というのでは、結局、もとのままの日米同盟に戻るだけではないのでしょうか。いや、違うと言うのならば、どこが違うのか、明確にしていただきたい。

 日米同盟の再出発ならば、鳩山政権における外交、安保政策は間違いであったとお認めになるのでしょうか。また、平成の開国と強調されておられますけれども、では、我が国はそれほど開国してこなかったのでしょうか。日米同盟の立て直しには一体どのように取り組まれるのでしょうか。一つ一つお聞かせをいただきたい。

 日米同盟が大きく傷ついた最大の原因は、言うまでもなく普天間基地移設問題であります。国外、最低でも県外という言葉は、今では民主党政権の方針から消え去り、自民党時代に策定した辺野古移設案に戻っただけではありませんか。いえ、戻っただけではありません。より困難になったのであります。

 一月十八日付の朝日新聞、辺野古での「V字案で調整」と題した記事を見まして、私は、五年前の新聞かと目を疑いました。くらくらいたしました。しかし、もはやVでもIでも同じことです。移設できるかできないかが問題なのであります。客観的には、当初の目的の普天間空港の移設はさらに遠のき、事実上、普天間の固定化が確実になっただけであり、これこそがワーストなのであります。

 昨年の沖縄知事選挙でも、辺野古移設容認派の民主党候補すら立てることもできず、ただひたすら、沖縄県民の怒りがおさまるまで部外者のように静観していただけではありませんか。

 結局、民主党政権の一年と数カ月は、ただ沖縄を混乱させただけではありませんか。くいの一本も打てなかったどころか、悔いが残るだけの一年数カ月ではありませんか。

 菅総理は、日米合意に基づく普天間飛行場の辺野古への移設を、さあ、どのようにお進めになるつもりなのでありましょうか。知事の理解、市長の理解、住民の理解を得るのは至難のわざでございます。菅総理の具体的な方策があればお聞かせをいただきたい。

 昨年九月の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を機に、我が国民の領土に対する意識は確かに高まりました。しかし、尖閣諸島に関して、あたかも領土問題が存在するかのような誤解を国際社会に与えてしまったのは最悪です。稚拙な対応に終始した政府の外交感覚の欠如露呈は、目を覆うばかりであります。

 本件は、中国漁船の公務執行妨害が客観的証拠から明らかなのに、結局、起訴猶予、不起訴となりました。石垣の漁民の皆さんは、もう国は守ってくれない、漁ができないと嘆いていますよ。体を張って日本を守る海上保安庁の職員とても悔しく思っていることでありましょう。

 では、今後同じような事件が発生した場合、菅政権は中国船等に対してどのように対処をされるおつもりなのか、総理、お聞かせください。

 二度とこのような事態を起こさないためにも、もはや尖閣諸島の実効支配の強化は喫緊の課題であります。政府は、尖閣諸島の調査や整備を進めるなど、実効支配の強化のための各種施策を進めるべきと考えますが、菅総理の見解を伺います。明確にお答えください。

 領域を守り、日本漁民の安全操業の確保等に努めるため、自民党は通常国会で領域警備に関する法整備を提案いたしますが、政府は領土保全に関する施策をどのように行うつもりなのか、具体的に伺います。

 また、領土は島嶼部だけの問題ではありません。水源をねらうかのような土地買収の動きは全国各地で見受けられているところであります。この問題についても自民党では既に検討を進め、関連二法案を議員立法として提出済みであります。総理、政府案は一体どうなっておりますでしょうか。

 都市部においても同様であります。例えば、池袋でチャイナタウンが今出現しようとしています。改めて、外国人地方参政権の付与については慎重であるべきと考えます。それでも総理は突き進むのか、そのお考えをお答えください。

 中国漁船衝突事件は、別の課題も浮き彫りといたしました。情報の保全です。取り扱いです。

 我が国の正当性を広く内外に知らしめるためにも、事案発生後、早期に衝突のビデオを全面公開すべきでありました。官邸が、中国に配慮し、ビデオの公開を拒否し続けたのであります。その結果、海上保安官によるビデオ流出という、文字どおり罪つくりの結果を呼んだわけであります。

 改めて当時の流れを振り返っておきましょう。

 事案発生後、船長逮捕に際し、当時の岡田外務大臣は、法に基づき粛々と対応と述べ、当時の前原国交大臣も、日本国内法に基づき粛々と対応する、それに尽きるときっぱりと語っておられます。その後も前原氏は、外務大臣として、事件は国内法で粛々と対応していると述べられましたが、結果は御存じのとおりであります。

 つまり、那覇地検に今後の日中関係を考慮させ、体当たり船長は、粛々どころか、チャーターフライトで英雄のように堂々と帰国したのであります。

 日中関係を考慮し、遺棄化学兵器処理のための調査に当たっていたフジタの社員が、漁船船長の勾留延長中に中国当局に拘束されています。社員の皆さんは、解放後、心配をおかけして申しわけないと、深々と謝罪をされました。

 社員の皆さん、そして日本国民に謝罪すべきは菅政権ではありませんか。謝罪の意思はありますでしょうか。お答えください。

 ビデオの公開に法律論をこねくり回した結果、日本人社員の拘束、レアアースの事実上の禁輸と、あちこちに飛び火させた菅政権はドン菅そのものであります。法律、法律と言いながら、我が国の最大の財産であります法治国家というカードを毀損した罪は余りにも大きいのであります。

 ところで、中国漁船の船長が英雄扱いされたように、北朝鮮で英雄扱い、実は日本人拉致実行犯であった辛光洙元死刑囚の釈放嘆願書に、現閣僚二名が署名されておられます。一人は、菅総理、あなたであります。そして、参議院議長も務められた江田法務大臣であります。

 江田大臣は記者会見で謝罪されたようでありますが、菅総理からは明確な謝罪はいまだに耳にしておりません。菅総理の明確な謝罪を求めます。

 署名はうっかりミスだったんですか。そして、うっかり不平等条約に署名してしまうようなことは今後ありませんか。まだ実態もわからないTPPにも、うっかり署名されるのではありませんか。それぞれの設問にお答えをください。

 警視庁が作成したと見られる国際テロ関連資料が流出し、その後、警視庁が流出を事実上認めています。政府は事実を認める形で被害の最小化を図ったようでありますが、既に二次被害も発生している現状では、遅きに失したと言わざるを得ません。我が国のインテリジェンスに関する国際的な信用も失墜、今後、有益な情報を他国から得ることができなくなるおそれさえあります。そもそも、一国の政府に対する信頼がなければ、情報交換も容易ではないのであります。情報とはそういうものなんです。

 さきの国会で不信任や問責を出すに当たっては、警視庁資料流出問題に関して、官房長官そして国家公安委員長の責任を問うべきとの声も上がりました。当時は、流出の事実が明確ではないということで、見送った経緯もあります。

 政府は、早急に真相を究明した上、再発防止策とともに、国民に丁寧に説明する義務があります。また、個人情報をさらされた方々への対応も万全にしなければなりません。何しろ、人権を声高に訴える現政府ではありませんか。これらにけじめを十分つけた上で国際的な信頼関係の再構築を図るべきであります。

 総理は、どのような責任をとり、けじめをつけるおつもりなのか。官房長官、国家公安委員長の責任をどう明らかにされるのでありましょうか。

 情報保全体制の強化は政府全体で行わなければなりません。防衛省では、過去の防衛秘密流出事案等を踏まえて法改正を重ねてまいりましたが、他省庁では十分ではありません。懲役一年または三万円以下の罰金が定められている国家公務員法の適用がなされているにすぎません。スパイ防止法もない、ましてや軍法会議もありません。これが日本の現状であります。今後、どう対応されるのでしょうか。

 また、前原外相は、F35戦闘機の性能に関する情報入手に関して、秘密厳守を米国に対し約束されたようでありますが、どうやって秘密保持を担保されるのでありましょうか。菅総理はどうお考えでしょうか。

 ましてや、ウィキリークスに代表されるように、国家の機密が簡単に暴かれるサイバー事件が起こりました。サイバーテロ、サイバー戦争の段階に入っているのです。アメリカ国防総省の報告でも、中国からのサイバー攻撃は増すばかりであります。

 我が国の防衛省はサイバー空間防衛隊を二〇一一年度に発足させるそうですが、指揮通信システム隊のもとに設置される防衛隊の規模はわずか六十人、予算は七十億円にすぎません。有事の際には、緒戦段階で、サイバー戦能力が決定的に重要な役割を担います。通信ネットワーク、金融・エネルギーシステム、航空管制、新幹線一括管制システム等々、幅広いインフラ防衛に対処するには、この規模ではもはや少な過ぎます。

 菅総理は、政府の情報保全に関してどのような対策をとるおつもりなのか、具体的にお聞かせください。

 民主党は、政権交代の後、インド洋での海上補給支援活動を打ち切るかわり、一昨年、アフガニスタン・パキスタン支援策として、おおむね五年間で最大約五十億ドル程度までという莫大な額の支援を約束されました。これでは、まさに小切手外交への逆行であります。加えて、七月には米軍が撤退予定であり、治安の悪化がさらに懸念されるアフガニスタンでこれだけの予算を消化できる案件を見つけることは大変困難と承知をいたしております。

 ODAなど支援の総額が削減される中、アフガニスタン支援だけが突出するならば、当然、他の国・地域への支援額は削られることになってしまいます。余りに一地域に予算が傾斜し過ぎることの不均衡は、外交上、大きく国益を損ねる結果となりますが、菅総理の見解を伺います。

 また、政府は、アフガニスタンに自衛隊の医官を、防衛省設置法における教育訓練の名目で派遣することを検討されておられます。設置法による派遣は、法的には自衛隊医官の技量向上ということとなるわけで、全くの目的偽装と言わざるを得ません。インド洋での給油についても目的地偽装をさんざん指摘されたはずではありませんでしたか。さらに、医官は武器も携行できないのです。民主党が野党なら、まず反対したであろう事案であります。

 自民党なら、仮に派遣の必要があれば、それに見合うよう新たに特措法制定などの措置をとり、隊員の安全や処遇に万全を期します。

 菅総理は、この派遣の件について、どのように考え、検討されておられるのか、お答えをいただきます。

 もう一点、昨年から気になる動きがあります。

 いわゆる防衛事務次官通達として、自衛隊行事での民間人による政権批判を封じます言論封殺問題であります。

 加えて、防衛大臣直轄の防諜部隊、自衛隊情報保全隊が、我が党の佐藤正久参院議員や田母神俊雄元航空幕僚長の講演会、ひょっとして私の講演会にも潜入したかもしれませんが、現職自衛官の参加状況を監視していると報じられております。本来任務とは乖離した不当調査であります。憲法で保障された思想、信条の自由を侵害する監視活動、憲法違反ではありませんか。まるでスターリン時代を想起させるような動きであります。

 まず、事務次官通達を即刻撤回すべきであります。そもそも、保全隊の活動対象を内に向けるよりは、対外工作に向けるのが本来の仕事ではありませんか。菅総理、相手を間違えちゃ困ります。

 さらに、基本的、国家的な課題について伺います。憲法であります。

 国民投票法による国会法改正では、衆参両院に憲法審査会を設置して、本格施行のことし五月までの三年間の準備期間に、この憲法審査会で憲法改正に向けた論点整理を行うべきとしたはずであります。ところが、民主党や社民党が反対し、衆参両院で今もって憲法審査会は開催をされておりません。早急に衆参両院で憲法審査会を始動させ、憲法論議を行うべきではありませんか。

 そもそも、国家のあり方を論じ、政党として目指す道を描く綱領もなく、ハウツー物のマニフェストだけ。それも、今や目も当てられない状況にあるマニフェストにしがみつく政党に政権を任せることがいかに危険なのか、だれよりも、国民の皆さんが今そう感じておられます。

 民主党代表である菅総理に、日本国憲法への姿勢、そして憲法審査会設置に向けた取り組み、党綱領への取り組みについて伺います。

 ところで、菅総理、四月二十八日がどんな日か御存じでありましょうか。総理、お聞きですか。総理、聞いておられますか。

 菅総理、四月二十八日がどんな日か御存じでしょうか。だれかの誕生日ではございません。一九五二年の四月二十八日、サンフランシスコ講和条約が発効し、日本が主権を回復し、国際社会に復帰した日であります。我が国が独立を果たした重要な日と言うことができます。

 条約が調印された九月八日はサンフランシスコ平和条約調印記念日となっていますが、四月二十八日こそ日本の独立記念日とすべきではありませんか。戦後教育はほとんどこのことをスルーしてきたのです。

 改めて我が国の主権や独立国家としてのあるべき姿を直視するために、この日を記念日として、日本の真の独立を考える日にすべきではないでしょうか。総理のお考えをお聞かせ願いたい。

 総理、今、日本国民の多くは自信を取り戻したいと考えています。やる気を得たいと切望しています。

 総理は最小不幸社会という言葉を多用されますが、このままではやる気もなくなるよという声をよく耳にします。最小不幸のサイショウの字が違うのではないでしょうか。そもそも、不幸だの不条理だのと否定形ばかりでは、人間、やる気が起こらないんですよ。共感が呼び起こらないんですよ。

 経済の先行きがいまだ不透明な中で、この春卒業予定の大学生の就職の内定率は六八・八%と、過去最低であります。待機児童ならぬ待機学生が長蛇の列をなしているわけであります。あらゆる政策的対応を駆使し、景気回復の足取りを確実なものにし、そして雇用の確保を図ることは政府の最大の責務であります。

 ところが、平成二十三年度予算、税制改正、多くの民間エコノミストは、二十三年度経済への効果はゼロあるいはマイナスと予測をしております。一日も早いデフレの脱却と景気の回復を図り、国民生活の安定や発展をもたらす内容には全くなっておりません。

 特に地方経済は深刻であります。円高による企業の海外移転の促進で、地域の雇用を支える中小企業を取り巻く経営環境は一層の厳しさを増しています。民主党の農家の戸別所得補償制度が米価の急落を誘い、米作農家、農村も大変厳しい状況にあります。おまけに、二十二年度予算に引き続いての公共事業の大幅なカットときました。地方経済はさらに大きな打撃を受けようとしています。

 では、何のための予算なんですか。ましてや、閣僚、党幹部から、審議入り前から予算修正に応じるかのような発言が相次いでいるんです。何のための予算審議なんですか。総理、この政府予算にそんなに自信がないんですか。

 最近の世論調査では、いずれも早期の解散・総選挙を求める声が高まってきております。

 そこで、伺います。

 二月には国勢調査の速報値が公表されますが、結果次第では、一票の格差問題が再び浮上することとなるでしょう。もちろん、格差是正は喫緊の課題でありますが、かといって、総理の持つ解散権を縛るものではないことは明らかでありますが、総理の見解を伺います。

 最後に、国会のあり方について伺います。

 先般、民主党の岡田幹事長から、今後の国会運営のあり方に関する提案がございました。これまで民主党が行ってきた国会での数々の妨害行動を棚に上げ、いざ与党になって、都合が悪いから直しませんかでは、まさに御都合主義と言わざるを得ない。

 熟議の国会を標榜するのであるならば、議会制度協議会という協議の場もあります。今回提案のあった三点に限らず、自民党はこれまでも多くの国会改革を提案してまいりました。大臣の海外出張や質問通告などは既に与野党が合意した問題であり、実は、それらをことごとく無視してきたのは野党民主党だったんです。まず反省から始まるのが真摯な態度というものでありましょう。

 昨年十月、ブラッセルで開かれましたASEMに際して、菅総理は国会の合間を縫って出席されましたね。谷垣総裁は、そのとき、みずからのツイッターにこう書き込んでおられます。「菅総理がASEM出席をどうするかと検討されているようですが、温家宝首相も出席します。臨時国会では直ちに問い質すべきことが山積みですが、だからと言って足を引っ張るつもりはありません。総理は行くべきです。」

 これまで、野党の代表がこんな発言をされましたでしょうか。そして、実際に総理はASEMの会議にいらしたのであります。それは、私たちが認めたからであります。

 私も、一泊四日でブエノスアイレスへのトンボ返り案や、ロンドンでの会議出席のため、パリ行きの深夜便とユーロスターを乗り継ぎながらも、実際の滞在時間は二時間弱という、体力勝負、弾丸ツアーを数多くこなしてまいりました。

 国際会議は、会議自体はもちろんでありますけれども、会議の合間に行う二国間会談などが重要なのは、その身になればもうおわかりのことでありましょう。

 チャーター機を使用すれば、何人乗ったから一人が幾らだねというように野党時代に追及してこられたのが民主党なのであります。昨年の仙谷官房長官のダボス行きには豪快に政府専用機も飛ばされましたが、私たちはそのことでねちねちと追及したでありましょうか。(発言する者あり)

副議長(衛藤征士郎君) 諸君、静粛に願います。静粛に願います。

小池百合子君(続) さて、ことしはダボス会議に総理が出席されるとのことでありますが、どうぞゆっくりいらしてください。そのままずっといらしていただいても一向に構いません。

 政権与党となった今、民主党は、もう少し真摯で謙虚な国会運営を行うべきでしょう。ベストセラー書「もしドラ」で再注目されております経営の神様ピーター・ドラッカー氏も、経営者に求められる最大の資質は真摯さだと説いております。

 私たち自民党は真摯な熟議を拒むものではありません。まずマニフェストをゼロベースに戻す、そして、議論のたたき台と場所があれば、いつでも応じましょう。

 まずは菅総理から反省の弁をお聞きしたい。そこからであります。

 一日も早く、仮免政権から、経験豊富、かつ新しくリニューアルした「いちばん 自民党」に移行させるため、早期の解散・総選挙を求め、私の質問を終えます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 小池議員の真摯な御質問に、真摯に答えたいと思います。

 小池議員の方から、最後の質問の中で、国会運営に関する御質問をいただきました。冒頭、このことについてまず申し上げたいと思います。

 国会運営については、小池議員が御指摘されるように、私は、率直に言って、民主党にも反省すべきところがあると思っております。また、私自身も反省するところがあると思っております。

 その上に立って、国民の利益を優先して、国民が期待する国会を目指すために岡田幹事長が協議を呼びかけられたと理解いたしております。また、超党派の有志議員、比較的若い議員の皆さんが新しい国会のあり方を検討されているなど、そうした機運が生じていることも注目していきたいと思っております。

 私も、この国会に三十年おります。小池議員も、いろいろな党におられたときに、住専国会とかいろいろな場面を経験されているわけでありまして、それらについて、それぞれよかったところ、あるいはやり過ぎたところも、それぞれ与党、野党の立場で経験してきたからこそ、これからの国会運営について、反省すべきところはきちんと反省した上で国民のための国会にしていこう、そういう提案でありますので、真摯にお受けとめをいただきたい、このように心からお願いを申し上げます。

 さて、民主党の意思決定プロセスについて御質問をいただきました。

 民主党は、政権交代をするに際しまして、従来の自民党のような、内閣と党の二重の意思決定構造を変えて、一元化するという方針をとったわけであります。つまり、内閣への一元化ということであります。原則は、現在、その一元化のもとで物事が決まっております。

 しかし、同時に、私が代表に就任した際に、一時廃止をされていた政策調査会を復活させて、現在は、国家戦略担当大臣が政調会長を兼務し、政府での検討と並行して政策調査会の部門会議等で政策議論を行って、党内機関によってそうした議論が積み上げられ、政調会長が政府に提言を行う形で政府の決定に反映をさせていく。この政調会長は閣僚でもありますので、提言ではあっても、極めて重い提言として内閣で受けとめられ、閣議で最終的に決定がされておりまして、きちんとしたデュープロセスがとられておりますので、御心配には及びません。TPPや防衛大綱に関する意思決定も、こうしたプロセスに従って行われております。

 なお、指導者たる総理大臣が、時に、みずからの意思や、内閣や党あるいは国民に対して問題提起をするというのは、これは各党、自民党でもよくあることでありまして、最終的に閣議で決定するときに最後の責任を持つのは当然でありますけれども、その時々において、代表なり総理という立場の中で発言をすることは、これは、当然あってしかるべきだと考えているところであります。

 次に、歴史の分水嶺における日本の位置づけ等について御質問をいただきました。

 委員が御指摘されている無極化という趣旨、私も必ずしもきょうのお話だけで無極化ということを理解ができたかどうかはわかりません。二十一世紀の国際社会は、少なくとも従来の二極化と違うということは明らかであります。新興国の台頭など、さまざまな要因により、二極化の時代とは比較できないくらい複雑化してまいっております。

 世界がこのような歴史の分水嶺にある中、我が国の平和と繁栄は、地域や世界の安定と密接不可分であり、そのような関係と位置づけております。その中で、我が国としては、ふさわしい貢献を国際社会に対して行っていくということが必要です。

 平和な海とは、豊かなアジア太平洋海域の恩恵を地域全体が平和裏に享受できるよう、紛争予防のための海上ルールをつくることなどを念頭に置いたものであります。近隣国との友好関係と経済的繁栄を目指すという意味で、友愛の海と鳩山前総理が言われたことと軌を一にするものだと私は理解をいたしております。

 なお、私として、いわゆる日米中の正三角形論の立場をとったことは、私自身ありません。一貫して、日米同盟が日本の外交、安全保障の基軸であると考えてまいりました。

 中国との間では、もちろん、幅広い分野での協力によって戦略的互恵関係を充実させていくことが必要だというこの考え方も、従来と変わっておりません。

 COP17に向けた国際交渉についての御質問がありました。

 気候変動問題の解決のためには、国際社会が一体となって取り組む必要があります。そのためにアイデアを出すことは、積極的な貢献であって、夢物語とか、日本が世界の標的になるといった指摘は全く当たりません。

 いずれにせよ、気候変動問題では、米中を含むすべての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築が不可欠であります。

 このため、我が国としては、途上国支援策の活用などを通じて、カンクン合意を発展させた新しい一つの包括的な法的文書の速やかな採択という最終目標を目指して、リーダーシップを発揮してまいりたいと考えております。

 次に、有事における在外邦人保護の検討について御質問をいただきました。

 在外邦人の安全確保は、国として重要な責務であります。平素から関係省庁が連携し、事態に応じて速やかに在外邦人の安全確保を図ることができるよう、その態勢につき不断に検証することが必要であると考えております。在外邦人の安全確保のために自衛隊が派遣先の外国でどのような活動を行うかについては、さまざまな観点から大いに議論し検討してまいりたいと考えております。

 歴史に見る国家安全保障の重要性について御質問をいただきました。

 古今を問わず、安全保障は、国家が担うべき最も基本的な施策の一つであります。また、国の防衛が国民一人一人に支えられて成り立つものであることは論をまちません。

 冷戦終結後、国際社会が大きく変化している中、我が国周辺には依然として不透明、不確実性が存在しており、政府としては、時代の流れに沿った新防衛大綱を策定し、この状況に対応しようといたしております。

 その防衛大綱においても、我が国の安全保障の目標を達成するための根幹となるのはみずからが行う努力であり、また、防衛力は我が国の安全保障の最終的な担保であるとの認識を示しているところであります。

 次に、防衛予算の減額、自衛隊の定数削減及び動的防衛力についての御質問をいただきました。

 政府としては、現在の日本を取り巻く安全保障環境を踏まえ、昨年末、安全保障と防衛力のあり方に関する新たな指針としての新防衛大綱を決定したことは、今申し上げたとおりであります。

 新大綱は、厳しい財政事情を踏まえ、真に必要な機能に資源を選択的に集中して、人的基盤を含めた防衛力の構造的な変革を図り、限られた資源でより多くの成果を達成することを目指しております。こうした考え方のもと、平成二十三年度予算や中期防においても、防衛予算の規模をおおむね現状程度に維持した形になっております。

 政府としては、この新大綱、中期防に沿って、従来にも増して、即応性や機動性等を備え、高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力の構築に取り組み、いかなる危機にも迅速に対応する整備をしていく考えであります。

 この動的防衛力という考え方は、今回の防衛大綱に従来と違った形で盛り込まれたということでありまして、自由民主党時代のこういった議論の中でその議論があったのかもしれませんけれども、少なくとも、この防衛大綱を決めたのは私の内閣のときであったことだけは、はっきりと申し上げておきます。

 武器輸出三原則の見直しについての質問をいただきました。

 新防衛大綱においては、防衛装備品をめぐる国際的な環境変化として、国際共同開発・生産に参加することで、装備品の高性能化を実現しつつコストの高騰に対応することが先進諸国で主流になっているとの認識を示しております。政府としては、このような大きな変化の中で、国際的な協力を推進するとともに、効果的、効率的な防衛力整備を行うためにはどのような方策が適切なのかなど、幅広い視点から検討していく考えであります。

 なお、武器輸出三原則等は、国際紛争などを助長することを回避するという平和国家としての基本理念に基づくものであり、政府としては、この基本理念は引き続き堅持していく考えであります。

 日米同盟と平成の開国について御質問をいただきました。

 鳩山内閣においても、一貫して日米同盟は我が国の外交、安全保障の基軸であった、このように理解をいたしております。私の内閣において、日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で、安全保障、経済、文化・人材交流の三本柱を中心に、深化、発展させたいと努力しております。

 我が国は、明治の開国と戦後の開国を経験しました。他方、この十年余り、二国間や地域内の経済連携の急増という流れに我が国は大きく乗りおくれてしまったのではないでしょうか。現在、新興国の台頭を初め、国際社会が地殻変動とも呼ぶべき変化に直面している中、政治や社会の構造を大きく変革し、創造性あふれる経済活動で難局を乗り切らなければなりません。私は、そのような意味で第三の開国が必要である、このように考え、申し上げているところであります。

 普天間飛行場移設問題について質問をいただきました。

 普天間飛行場の移設問題については、昨年五月の日米合意を踏まえ、沖縄に集中した基地負担の軽減を図るべく、全力を挙げて取り組んでまいります。

 昨年九月、沖縄政策協議会を再開し、沖縄の方々ともさまざまな意見交換を進めております。また、昨年十二月、私自身、沖縄を訪問したのを初めとして、関係閣僚も訪沖するなどして、あらゆる機会をとらえ、政府の考え方を丁寧に説明しているところであります。

 沖縄において、普天間飛行場の移設問題について厳しい声があることは十分承知しておりますけれども、引き続き、沖縄の方々の御理解を得るべく、全力で取り組んでまいります。

 領土保全についての御質問をいただきました。

 尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際的にも疑いがないことであり、現に我が国はこれを有効支配いたしております。

 尖閣諸島周辺海域には、平素から海上保安庁の大型巡視船を配備するとともに、情勢に応じて体制を強化するなど、適切にこの海域の警備を行っております。今後とも、関係省庁が緊密に連携しながら、我が国領域の保全に万全を期してまいります。

 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件は、我が国領海内における犯罪行為に対して国内法に基づき粛々と対応したものであり、今後とも、我が国領域内で犯された犯罪には毅然として対処してまいります。

 自民党提出の議員立法及び外国人参政権についての御質問をいただきました。

 昨年の臨時国会において、議員立法として、地下水の利用の規制に関する緊急措置法案及び森林法の一部を改正する法律案が提出されていると承知しております。また、民主党、政府内においても、さまざまな観点から検討が行われているところであります。いずれにせよ、自民党の提出した法案の扱いについては、国会において各党各会派で御相談をいただくことになると考えております。

 永住外国人への地方参政権付与の問題については、さまざまな意見があり、各党各会派においてしっかり議論していただくことが必要であり、そのような議論の中でその取り扱いも決めていくことになると考えております。

 辛光洙の釈放嘆願書についての御質問をいただきました。

 この問題では、当時、韓国の民主化運動に参加していた在日の学生さんが、この民主化運動を理由に逮捕されていた人たちに対して、当時の社会党が中心に、釈放要求をするということで各党に呼びかけられて、相当多くの国会議員が署名をいたしたと記憶いたしております。

 しかし、その中に辛光洙という名前があったということについては、私自身は、その署名はいたしましたが、その書類そのものを当時渡されておりませんでしたので確かめることができなかったことは大変不用意であったということで、反省をいたしております。

 これまで、国会も含めて何度もこのことを申し上げ、私の不用意さについては謝罪をいたしておりますので、この場でもおわびを申し上げたい、このように思っております。

 条約への署名及びTPPについての御質問をいただきました。

 我が国が条約への署名を行うに当たっては、当該条約の内容、意義等を十分に踏まえた上で対応してきていることは当然であります。

 環太平洋パートナーシップ協定、TPPについては、米国を初めとする関係国と協議を続け、ことし六月をめどに交渉参加について結論を出していきたいと考えております。

 国際テロ対策に係るデータのインターネット上に掲出した事案に関する責任についての御質問をいただきました。

 お尋ねの事案については、現在、警察において徹底した捜査及び調査が行われており、十二月には中間的見解等が発表されました。また、個人情報を掲出された方の保護、情報保全の徹底強化のための取り組みが推進されております。

 警察には、引き続き、国家公安委員会の管理のもと、全力で事実の究明に当たるとともに、これらの取り組みの一層の強化に努めてもらいたい、このように考えております。

 情報保全体制の強化についての質問をいただきました。

 政府においては、昨年十二月、内閣官房長官を長とする、政府における情報保全に関する検討委員会を設置し、秘密保全に関する法制のあり方及び特に機密性の高い情報を取り扱う政府機関の情報保全システムについて必要と考えられる措置に関して検討を進めているところであり、できるだけ早く結論を得て、情報保全の万全を図ってまいりたいと考えております。

 F35戦闘機の性能に関する情報については、米国との情報保全に係る取り決めを着実に履行することにより、その保全に万全を期してまいりたいと考えます。

 サイバーテロ等からのインフラ防護についての御質問をいただきました。

 情報通信技術の発達した現代社会は常にサイバーテロの脅威にさらされており、サイバーテロ対策は、国家の安全保障、危機管理にもかかわる問題であると認識をいたしております。政府においては、情報通信、金融、電力、ガス、航空、鉄道等の重要インフラについて、情報セキュリティー確保に係る安全基準等を策定するなどの対策を実施しております。

 また、サイバーテロが発生した場合には、直ちに政府一体となった初動対処体制をしいて、対処に全力を尽くすことにしております。さらに、新防衛大綱において、サイバー攻撃への対応についても記述をいたしたところであります。

 今後とも、安心、安全な国民生活を実現するため、万全を期してまいりたいと考えます。

 アフガニスタンとその他の国・地域に対する支援について質問をいただきました。

 アフガニスタンの安定と発展は、我が国を含む国際社会全体が対処すべき重要課題であり、国際社会における責任を果たすため、我が国としても最大限の支援を行っております。すなわち、アフガニスタンを再びテロの温床とはしないという考え方のもと、今後のアフガニスタンの情勢に応じて、二〇〇九年からおおむね五年間で最大約五十億ドル程度までの支援を表明し、着実に実施してきているところであります。

 同時に、ODA予算全体の中で他の主要課題やアフガニスタン以外の国・地域への支援とのバランスにも十分配慮しつつ、ODAの一層戦略的かつ効果的な実施に取り組んでおります。

 したがって、外交上大きく国益を損ねる結果となるとの御指摘は当たらないと考えております。

 次に、アフガニスタンへの自衛隊の医官派遣について御質問をいただきました。

 昨年十一月十三日の日米首脳会談において、私からオバマ大統領に対し、アフガニスタン国軍の医療分野での教育訓練について要請があると承知しており、前向きに検討している旨を申し上げました。現時点では、派遣の形態や法的根拠等について、まだ検討を進めている段階にあります。

 自衛隊情報保全隊についての御質問をいただきました。

 自衛隊情報保全隊の活動は、外部からの働きかけなどに対して自衛隊の部隊や隊員等を保全するため、関係法令に従い、適切な方法で行われるものであると理解をいたしております。このような自衛隊情報保全隊の活動は、思想及び信条の自由を侵すことはないものと認識しております。

 また、御指摘の防衛事務次官通達は、民間人の言論を統制しようとするものではなく、また、通達という性質上、一般国民の行為を規制する効力も有していないことから、通達を撤回する考えはありません。

 憲法審査会、党綱領への取り組みについての御質問をいただきました。

 民主党には、綱領という名称ではありませんが、「私たちの基本理念」という表現で、新しい形の目指すべき理念と普遍的な価値を結党時に定めているところであります。私が今回代表となった中で、この基本理念や基本政策の改定作業に着手するように幹事長に指示をいたしました。

 憲法のあり方については、これまでも民主党内で議論をし、二〇〇五年には憲法提言をまとめております。今後も党内でしっかり議論をし、その上で与党、しかる後に与野党間でしっかりと協議を進めていくべきものと考えます。憲法審査会の始動の問題も同様と考えているところであります。

 サンフランシスコ条約が発効した日についての御質問をいただきました。

 御指摘のとおり、四月二十八日は、一九五二年、今から五十九年前に日本が完全な主権を回復した日であります。記念日とするか否かについては種々の議論があり得ると考えますが、それを契機として、国民全体で日本の国のあるべき姿や進めるべき道について考えることは重要だと私も思っているところであります。

 最小不幸社会などの私の理念について御指摘をいただきました。

 小池議員も指摘をされておりますけれども、政治指導者として国民の幸福を願うことは、もちろん当然のことだと思っております。

 私がなぜ最小不幸社会という言葉を使うかというのは、時折説明しておりますが、十代のころに読みました、ハックスレーの書いた「すばらしい新世界」という本の中で、幸せの感じ方はそれぞれ人によって違う、だから、あなたの幸せはこれですよと政治という権力が押しつけるものでは私はないと。逆に、政治という権力が担わなければならないのは、貧困や戦争といった、人々を不幸にする要素をいかに少なくするか、取り除くか、そのことが政治の本当の役割だと私自身感じてまいったところであります。

 そのような意味内容を込めて、最小不幸社会の実現は私の政治理念というふうに考えておりまして、今回の施政方針でも堂々と掲げてまいりました。

 中には、暗いとかと言う方があるんですが、私は必ずしもそんなふうには思いません。権力というものの怖さを、権力を持つ立場にある政治家はやはり持たなければならない、そういうことを考えなければならないというところからきているわけで、私は、決して暗い考えではなくて、より自由な国民のあり方を認める考え方だ、このように思っているところであります。

 以上、答弁とさせていただきます。(拍手)

     ――――◇―――――

小宮山泰子君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十七日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(衛藤征士郎君) 小宮山泰子君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(衛藤征士郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  菅  直人君

       総務大臣    片山 善博君

       法務大臣    江田 五月君

       外務大臣    前原 誠司君

       財務大臣    野田 佳彦君

       文部科学大臣  高木 義明君

       厚生労働大臣  細川 律夫君

       農林水産大臣  鹿野 道彦君

       経済産業大臣  海江田万里君

       国土交通大臣  大畠 章宏君

       環境大臣    松本  龍君

       防衛大臣    北澤 俊美君

       国務大臣    枝野 幸男君

       国務大臣    玄葉光一郎君

       国務大臣    自見庄三郎君

       国務大臣    中野 寛成君

       国務大臣    与謝野 馨君

       国務大臣    蓮   舫君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官 藤井 裕久君


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