衆議院

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第3号 平成23年1月27日(木曜日)

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平成二十三年一月二十七日(木曜日)

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 議事日程 第三号

  平成二十三年一月二十七日

    午後二時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)


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    午後二時三分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

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議長(横路孝弘君) 内閣総理大臣から、昨日の会議における答弁に関し発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣菅直人君。

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 昨日の小池百合子議員の質問において二つの答弁漏れがあったことをおわび申し上げ、改めて答弁させていただきます。またさらに、一層丁寧にお答えした方がよい質問が二問ありましたので、あわせて答弁をさせていただきます。

 まず、来年度の予算についての御質問がありました。

 民間エコノミストにはいろいろな見方があろうと思いますが、現実の経済を見れば、景気は、足踏み状態にあるものの一部に持ち直しに向けた動きが見られ、株価も上昇してきております。

 来年度予算は、成長と雇用や国民の生活を重視し、新成長戦略やマニフェスト施策を着実に実施する最善のものとなっております。この来年度予算等を三段構えの経済対策のステップスリーとして、ステップワン、ステップツーである二十二年度予備費〇・九兆円、補正予算約五兆円に続き切れ目なく実施することにより、景気の自律的な回復に向けた道筋を確かなものとしていきたいと考えております。

 来年度予算と関連法案を成立させ、早期のデフレ脱却により国民に安心と活気を届けられるよう、十分に御審議いただき、速やかに御賛同いただきたいと思っております。

 次に、一票の格差是正と解散権についての御質問がありました。

 一票の格差是正については、国会において各党各会派でぜひ御議論をいただきたいと考えております。また、解散は、総理の専権事項であることを改めて申し上げておきたいと思います。

 動的防衛力の確保で何をどう守るかについての御質問について、補充をさせていただきます。

 政府は、昨年、安全保障と防衛力のあり方に関する新たな指針として、新防衛大綱を決定いたしました。

 新大綱においては、日本を取り巻く安全保障環境の変化等を踏まえ、防衛力を単に保持するだけでなく、運用を重視することにより、より実効的な抑止と対処を可能とし、アジア太平洋地域の安全保障の一層の安定化とグローバルな安全保障環境の改善のための活動を能動的に行い得る防衛力が必要との考え方に立っています。このため、防衛力の存在自体による抑止効果を重視した基盤的防衛力構想によることなく、従来にも増して、即応性、機動性等を備え、高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力を構築することといたしております。

 政府としては、新大綱に沿って動的防衛力を整備することで、いかなる危機にも迅速に対応する体制を整備するとともに、関係国との信頼、協力関係を強化し、国際平和協力活動にもより積極的に取り組み、我が国の平和と安全及び国民の生命と財産を守ってまいります。

 もう一点、国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事案に関する責任についての御質問に、補充してお答えします。

 警察において、国家公安委員会の管理のもと、すべて全力で事実の究明に当たるとともに、個人情報を掲出された方の保護、情報保全の徹底強化のための取り組みを一層強化することがまさに責任を果たすことになる、このように考えております。

 答弁漏れがあったことを改めておわび申し上げておきたいと思います。

 以上です。(拍手)

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 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)

議長(横路孝弘君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。井上義久君。

    〔井上義久君登壇〕

井上義久君 公明党の井上義久です。

 私は、公明党を代表し、菅総理の施政方針演説について質問します。(拍手)

 民主党政権の政策的な矛盾や不誠実な政治姿勢、そして国民感情とのずれ。菅総理、私たち公明党は、あなたの政権担当能力に大きな疑問を持たざるを得ません。

 そして、あなた方民主党が国民との契約とまでうそぶいたマニフェストを修正するのであれば、国民、有権者に対して契約の不履行を心からおわびし、改めて信を問うべきであると申し上げたい。また、それができないのであれば、総理の職を潔く辞すべきです。

 チュニジアで起こったジャスミン革命は、学校を卒業しても職につくことができず、生活のために道端で野菜を売っていた青年が焼身自殺を図ったことが発端でした。

 翻って国内では、今春卒業見込みの大学生の就職内定率は六八・八%、短大生に至っては四五・三%、かつての就職氷河期を下回る史上最低の緊急事態です。あなたは、一に雇用、二に雇用、三に雇用と声高に叫んだことをよもやお忘れではないでしょうね。国民の悲鳴や苦悩の声に、居ずまいを正して耳をそばだてるべきです。

 児童養護施設などに善意の連鎖が広がっているタイガーマスク運動。この伊達直人と名乗る匿名の善意は、私たち国民に温かな気持ちを運んでくれています。しかし、永田町の直人さん、あなたの言動は、政治への信頼を損ねるという負の連鎖を拡大し、国民感情とのずれを増幅させるばかりです。

 政治と金の問題をめぐる党内抗争、国益を守れない外交、高どまりした為替を見守るだけの金融政策、実行されない成長戦略など政策の滞り、財政規律を無視し、財源探しに明け暮れた予算編成、あげくの果てに、予算編成直後のマニフェスト修正の暴言、そして、消費税増税のための内閣改造と、その閣僚起用に見る議会人としての矜持の欠如。

 あなたが今語るべきことは、いたずらに国家の危機を語ることではなく、わずか四カ月で改造せざるを得なかった失政への謙虚な反省の弁であるはずです。あなたが強調する消費税と社会保障の一体改革、平成の開国というTPPなど、それはまさに内閣改造せざるを得なかったことから生まれた副産物であり、現政権の延命のためのキーワードとして利用しているにすぎません。

 菅総理、そもそもあなたは、日本の進路を左右する政策を判断するための信任を国民から得ておりません。得たのは、さきの代表選という党内での審判と、参議院選挙での不信任という洗礼ではないですか。

 平成の開国、最小不幸社会の実現、不条理を正す政治と、言葉は躍りますが、中身は具体性を欠き、その先にあるべき国の姿があなたから示されたことはありませんでした。今度こそ熟議の国会と言いながら、その一方で、我々野党に対し、歴史への反逆と挑発する。謙虚さがみじんも感じられないあなたのいわれなき高揚感に、私は、現政権の劣化、不安を感じないわけにはいきません。

 以下、重要案件について質問しますが、総理、いたずらに多弁を弄することなく、誠実に、そして明快にお答えください。

 まず、当面する緊急課題について二点伺います。

 初めに、雪害対策です。

 昨年末から続く記録的な豪雪により、雪おろし作業中の転落事故などで、既に四十五人の方が亡くなっています。また、長時間の交通渋滞、孤立地区の発生、公共交通機関の運休、停電、断水、漁船の転覆や、ビニールハウス、牛舎の倒壊など、各地で甚大な被害が発生しています。

 亡くなられた方々、そして被災された皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。

 自治体では、補正予算を組むなど復旧へ向けた取り組みが懸命に行われていますが、その後も大雪が続いていることから、財政支援はもとより、除雪作業や公共交通機関の復旧、生活に必要な電力などのライフラインの確保には、国による適切な支援が必要です。また、漁業者、農業者へのきめ細かな支援など、スピード感を持って行うべきです。総理の見解を求めます。

 また、今回の豪雪で、除雪体制の弱体化が浮き彫りになっています。東北地方のある県では、公共工事減少のあおりを受けて、老朽化した機材の買いかえや作業員の確保が困難になっており、除雪作業に携わる建設業者の七割以上が、五年後までには今の除雪体制を維持できなくなるとしています。

 命にかかわる除雪体制を今後どうしていくのか、総理に答弁を求めます。

 次に、家畜等への伝染病予防対策です。

 昨年末から、渡り鳥の飛来地を中心に野鳥に鳥インフルエンザ被害が発生しており、今月に入ってからは、宮崎、鹿児島、さらに愛知県の養鶏場でも発生が確認をされました。

 昼夜を徹して対応に当たっておられる関係者の御労苦に、心よりお見舞いを申し上げます。

 政府に対し、拡大防止へ、迅速な殺処分や、発生農場周辺での鶏や卵の移動制限と消毒、鶏舎への野生動物の侵入防止対策などに全力を挙げるよう求めます。

 また、今後拡大が心配される野鳥からの感染を防ぐため、第一に、正確な情報に基づく広報を迅速に行い、風評被害を防止すること、第二に、野鳥の監視体制を強化すること、第三に、養鶏農場へのウイルス侵入を防止するため、鳥ネットの整備点検を徹底すること、第四に、渡り鳥のルートや飛来地での発生状況などの情報共有について、韓国、中国、ロシア各国と協力して行うことを求めます。

 また、韓国で感染拡大に歯どめがかからない口蹄疫についても、国内での水際対策の一層の強化とあわせて、アジアにおける検疫・防疫能力向上をサポートする国際協力体制を強化すべきです。

 そのためには、現行の家畜伝染病予防法の抜本改正も必要と考えます。総理の答弁を求めます。

 次に、景気・経済対策について伺います。

 日本経済は、依然としてデフレ状況から抜け出せないばかりか、足元の経済も雇用不安が増し、欧州を初め世界経済の先行きも不透明です。少子高齢化、人口減少社会の本格的な到来、そして新興国の台頭など、世界経済の劇的な変化に対して日本はどう立ち向かうのか。民主党政権の司令塔なき経済無策では、その展望は全く見通せません。

 昨年は、党内政局と外交無策による対応に忙殺され、経済政策は大きな停滞を余儀なくされました。補正予算の編成も、公明党が昨年八月に提案したにもかかわらず、菅総理は党内政局を優先し、結局、国会提出は十月末。スピード感ゼロ、責任感ゼロ、現場感覚ゼロの姿を露呈しました。

 「民主党が日本経済を破壊する」、これは、菅総理がこのたびの内閣改造で任命された与謝野経済財政政策担当大臣がわずか一年前に発刊された著作のタイトルです。日本経済の現状は、まさにそのとおりになりつつあります。

 ところが、総理は、その与謝野氏を、よりにもよって、政権の肝心かなめの経済政策の責任者に任命されました。民主党に経済政策がなかったがゆえに任命できたのでしょうか。また、仮に総理が与謝野氏の経済政策を十分に認識された上で大臣に任命されたとすれば、民主党マニフェストを直ちに撤回すべきではありませんか。総理、お答えください。

 しかも、与謝野氏は、入閣後も自民党比例による議席で国会議員の職にとどまり、さらに、衆議院では民主党会派入りしています。昨年三月の参議院予算委員会で、当時副総理であった菅総理は、民主党比例で当選し、その後、離党して自民党・改革クラブに所属した大江康弘参議院議員に対し、「政治家としてもし筋を通したならば、ちゃんと離党と同時に辞職して自民党に入党されればよかった」「天につばするものだ」とまでののしられました。この発言と、今現在やっていることは、全く違うではありませんか。有言実行と言うなら、即刻、与謝野氏に対し、議員辞職と自民党への議席返上を求めるのが筋ではないですか。

 また、与謝野氏は、民主党の前代表、前総理の鳩山氏を平成の脱税王とまで厳しく追及した人です。その与謝野氏の指摘に対して総理はどうお考えですか。答弁を求めます。

 日本経済は、確かにマクロの数字だけを見れば、エコカー補助金やエコポイントなどの政策効果もあり、一時期の危機を脱した感はあります。しかし、地域経済やそれを支える中小企業の現状は依然として厳しく、雇用はもちろん、そもそも仕事がない状況です。

 菅総理は、公共事業を二十二年度一八・三%削減したのに引き続き、二十三年度予算案でもさらに五・一%削ろうとしています。地域における雇用創出や需要創出の有効な方策もないまま、どう地域経済を回復させていくのか。社会インフラ整備のおくれも心配であります。

 総理、なぜここまで大幅に公共事業を削減するのか、また、地域経済やそれを支える中小企業の活性化をどのように推進するのか、答弁を求めます。

 平成二十三年度予算案、税制改正について伺います。

 来年度予算案は、民主党政権になって二度目、しかも、初の実質的な予算編成となりました。二十二年度予算では、マニフェストを実現できない言いわけに、自公政権を批判したり、経済情勢の変化などの理由を述べていました。しかし、総理みずからが認める仮免許は既に終わりました。ところが、来年度予算は、総括すれば、国民不在、理念不在、リーダーシップ不在の中で、昨年同様マニフェストありきで迷走を重ね、国民生活の安心、安全のための予算とはほど遠い内容であると断じざるを得ません。

 まずは、二年続けて、新規国債の発行、いわゆる国の借金が税収を上回る異常な予算である点です。

 民主党は、歳出の見直しなどで財源は幾らでも生み出せると言ってきました。しかし、歳出の見直しは全く進まず、むしろ場当たり的な増税や一時的な埋蔵金頼みで財源を取り繕い、結局、昨年と同じ四十四・三兆円もの新たな借金をつくる。総理、こんな手法でどうして財政健全化ができますか。答弁を求めます。

 第二に、成長戦略もその本気度が全く見えません。

 成長戦略に重点配分するとした元気な日本復活特別枠は本来の趣旨を大きく逸脱、思いやり予算など成長戦略とは無関係な予算が含まれるなど、ごまかしと架空計上がなされています。何のことはない、政治主導とは見せかけで、役所が勝手に予算要望を出して思うままに配分しただけ。実態は官僚主導そのものではないですか。総理の答弁を求めます。

 第三に、マニフェストの破綻がさらに明確になりました。

 特に、二年目に達成、進捗すべき子ども手当、高速道路の無料化、暫定税率廃止などは、恒久的な財源手当ても不明確なままで、期限内の達成は到底困難です。民主党は、速やかに、マニフェスト破綻を認め、撤回の上、国民に謝罪すべきです。総理、いかがですか。

 第四に、税制抜本改革の全体像が全く見えてきません。

 例えば法人税減税は、代替財源をめぐる帳じり合わせに終始した結果、国内投資や雇用拡大などのプラス効果につながるのかどうか、全く不透明です。減税財源も確保できず、新たな施策を行う際は恒久的、安定的な財源を確保する、いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴー原則、これを全く有名無実化させるなど、菅政権における経済財政運営の基本的方針は初年度から崩壊をしています。

 また、家計増税となる人的控除の見直しや相続税見直しなども、結局は、子ども手当などのマニフェスト実現のための財源あさりとして行われました。

 総じて、足し算と引き算だけの場当たり的、財源あさりの税制改正であると断じざるを得ません。総理の答弁を求めます。

 次に、社会保障のあり方について伺います。

 公明党は、昨年十二月、充実した中福祉・中負担の実現や、共助社会を確立する、新しい福祉社会ビジョンの中間取りまとめを発表いたしました。ここでは、セーフティーネットの機能強化や国民目線に立った社会保障制度改革、新たな福祉社会の方向性を提案しています。

 公明党は、年金、医療、介護、子育て支援など、社会保障をより充実させるための安定的な財源として、景気回復などの前提のもとに、消費税を含めた税制の抜本改革は必要との立場です。しかし、その前に、あるべき社会保障の姿を示し、それを受けて必要な費用、財源を論議してこそ国民の理解を得られると考えます。そのために、公明党は、まずは、社会保障のあるべき姿、機能強化を検討するための与野党の協議機関を立ち上げることを提案しております。

 総理も、施政方針の中で、社会保障の費用負担のあり方について与野党間で協議を始めようではありませんかと呼びかけておられます。しかし、総理、その前に民主党にはなすべきことがあるのではないですか。

 民主党は、二〇〇三年の衆議院選マニフェストで、年金制度を一元化して月額七万円の最低保障年金をつくると提案して以来、七年以上が経過した今も具体案をまとめておりません。後期高齢者医療制度についても、うば捨て山と批判し、制度廃止を掲げたにもかかわらず、今度は二〇一三年三月末まで存続させると言っております。介護に至っては、介護労働者の賃金を月額四万円引き上げるという約束は、一体どこへ行ったんでしょうか。

 公明党の、新しい福祉社会ビジョンに触れていただくことは結構ですが、まずは民主党案を示すことがすべての大前提ではありませんか。総理の答弁を求めます。

 次に、農林水産業について伺います。

 菅総理が突然協議開始を表明した環太平洋経済連携協定に対し、全国の農林漁業者、自治体関係者から懸念と批判の声が上がっています。

 総理は、平成の開国を断行すると言われましたが、日本の全品目を通した平均関税率は世界で最も低い水準にあります。農産物関税に限っても一一・七%とEUよりも低く、既に世界有数の開かれた市場になっています。総理は、日本の現状について何か勘違いをされているのではないでしょうか。

 加えて、自由化と農業の再生を両立させると言いますが、施設園芸、果樹、畜産などは既に国際競争の中で闘っており、農産物の生産額ベースの自給率も七〇%に達するなど、健闘しています。課題は、水田稲作を初めとする土地利用型農業の構造改革ですが、政府・与党からは具体策が全く見えてきません。平成二十三年度予算案も、構造改革を進める中身にはなっておりません。

 そもそも民主党は、小規模経営を含めた農業の継続を可能にするために戸別所得補償制度を導入したはずです。政権を担うようになって、やはり農地の集約、大規模化が必要だと言うのは、何を今さらと、聞いてあきれます。

 政府は、さきの国会で、全国一律に交付する仕組み自体に規模加算のインセンティブが含まれており、その結果、需給は引き締まるので、米価維持のための政府買い入れは行わないと繰り返し答弁しています。それが一転、二〇一一年度予算で規模加算を行い、昨年末には米の政府買い入れを決定し、さらには、提出するとしていた戸別所得補償法案まで見送ったことは、民主党農政が幻想であり、いかに場当たり的であったかの何よりの証左です。答弁を求めます。

 今、日本農業に必要なものは担い手、特に水田稲作を初めとする土地利用型農業の担い手を育成することです。そのためには二つの視点が必要です。

 第一に、徹底した農地情報の整備と共有です。農地基本台帳を法定化するなど農地情報の整備を進めずして、規模拡大も構造改革も進みません。

 第二は、新しく農業を始めようとする将来の担い手に対して長期的な支援を行う必要があります。農業技術を習得し、自立した農業経営者になるまでには数年かかります。その間の生活費を保障するなど、安心して農業に参入できる大胆な仕組みをつくることです。

 農業ビジョンを明確にすること、特に農地情報の整備や担い手の育成支援について、その工程を早急に示すべきです。総理の答弁を求めます。

 国際森林年である本年、国内では、国産の杉やヒノキの需要が高まり、林業復興の好機が到来している一方で、国内林業の後継者不足や高齢化により、生産量が追いついていません。公明党が推進してきた緑の雇用などをてこに人材育成を一層進めることはもちろん、林業に欠かせない路網整備が急務です。

 森林情報の収集や路網整備計画の作成とあわせて、公共財として必要な基幹的な路網は国による整備が必要です。総理の答弁を求めます。

 次に、海洋水産資源の持続的な利用と開発について伺います。

 我が国は、水産資源の持続的利用の方法として、漁獲可能量、TACを設定していますが、現在のような一律の割り振りには疑問の声が上がっています。各県で調整できる仕組みが必要ではないでしょうか。現在七魚種にとどまる対象魚種の拡大も検討すべきです。

 また、複数国の漁船が操業する海域においては、特定の国だけが資源管理に取り組んでも効果は薄く、操業国すべてが参加して取り組む必要があります。日中韓にロシアを加えた周辺諸国間との連携協力の強化がますます重要です。その道筋を示していただきたい。

 私は、地域活性化の一つの方策として、一次産業に支えられたまちづくりを一層推進すべきと考えます。国が町を支えるのではなく、町が国を支えるという視点に立ち、地域住民の知恵と発想を柔軟に展開できる仕組みが必要です。

 日本の津々浦々で地域ビジネスが注目を集めております。例えば、徳島県上勝町の葉っぱビジネスなどです。上勝町は過疎化と高齢化が進む町ですが、一方で、全国でも有数の地域活性型農商工連携のモデルとなっている町であります。

 一次産業を基盤とする地域産業が持続可能となるためには、地域に眠る資源と消費者ニーズをつなぐコーディネーターやプロデューサーの存在が不可欠です。地域活性化の中核を担う協同組合やNPOなどの育成支援を大胆に行うべきと考えます。総理の答弁を求めます。

 次に、科学技術の振興について伺います。

 今、我が国は国際競争力が著しく低下するという厳しい現実に直面しており、その基盤である科学技術の振興に国の総力を挙げて取り組む必要があります。私たち公明党が衆議院に科学技術・イノベーション推進特別委員会の設置を提案したのも、国会において科学技術政策に関する議論を活発化させる必要があると考えたからです。

 科学研究費補助金、いわゆる科研費の来年度予算案について、減額の方向が一転増額となったことは評価しますが、その過程については疑義を抱かざるを得ません。何とかしろの総理の一言で増額が決まったと伝えられております。もしそれが本当なら、どういう戦略、方針に基づいて予算を組んだのか。そもそも菅内閣に科学技術研究の戦略がなかったのではないかと疑わざるを得ません。

 科学技術は、天然資源に乏しい我が国にとって、国を成長、発展させ、世界に貢献していく生命線です。当然のことながら、研究には、戦略性、中長期の一貫性が求められます。そうでなければ、多くの研究者も腰を据えた取り組みができません。科学技術研究の戦略、また、予算の確保についての総理の見解を求めます。

 地域主権改革について伺います。

 民主党が公約の一丁目一番地と位置づけてきた地域主権改革は、政権発足から一年たった現在も遅々として進んでいません。地方公共団体の自治事務について国が法令で事務の実施やその方法を縛っている、義務づけ、枠づけの見直しさえも進んでおりません。

 さらに、国の出先機関の廃止に向け昨年十二月に閣議決定されたアクション・プランに広域ブロックへの移譲推進が盛り込まれたものの、ブロックの運営自体に課題が山積しており、いまだ設立見通しの立たない地域も多くあります。さらに、何を、いつ、どのくらい移譲するのかも全く明確になっておりません。どの出先機関を、いつまでに、どう廃止しようとしているのか、総理、明快にお答えください。

 マニフェストで、民主党は、ひもつき補助金を廃止し、地方が自由に使える一括交付金として交付するとしていました。その考え方自体は否定しませんが、今回の一括交付金は、少額であるのみならず、結局、継続事業に消化されるだけで、地方の裁量拡大に寄与するとはとても思えません。今後、段階的にひもつき補助金を廃止するというものの、将来的な配分や工程表、スケジュールがはっきりせず、地方からは不満と不安の声が上がっています。一括交付金化の将来像とスケジュールを明確にすべきであります。総理の答弁を求めます。

 一部地方自治体で起きた首長と議会との対立などを契機に、地方自治の二元代表制における首長と議会のあり方等について、地方自治法改正の問題が浮かび上がっています。

 私たち公明党は、この問題を重く受けとめ、住民の視点で改革を進めるべく、今月十二日に、地方議会改革への提言を発表しました。提言では、首長や行政に対する議会のチェック機能を強化するために、議長への議会招集権付与や通年議会化、今後重要性を増す地方議員の役割、責務を踏まえて、地方議員の法的な位置づけを明確にすべきとしております。また、議会と首長が対立した場合、第三者機関の調停や住民投票を行うなどのルール化も進めるべきと考えております。

 地方自治法改正について、総理の見解を求めます。

 次に、がん対策の充実について伺います。

 がんによる死亡者は年々ふえ続け、一九八一年より我が国の死亡原因の第一位になり、今では国民の三人に一人ががんで死亡しております。生涯リスクとして、男性の五四%、女性の四一%、つまり国民の二人に一人ががんになると言われております。

 公明党は、がん対策を国家プロジェクトとして取り組むよう訴え、二〇〇七年四月に施行されたがん対策基本法の制定に全力を挙げました。そして、与党時代からがん対策予算の増額を毎年実現してきたのも公明党であります。

 がん対策基本法の理念に基づき閣議決定されたがん対策推進基本計画は、公明党の主張が三本柱として盛り込まれています。一つは、放射線治療や化学療法を普及させ、患者自身が治療法を選択できるようにするための環境整備です。二つ目は、治療の初期段階から痛みを取り除く緩和ケアの実施。三つ目に、基礎データを把握するためのがん登録の推進です。これまで日本で立ちおくれてきた分野の推進をがん対策の骨格に盛り込んだのです。

 基本計画は、二〇一一年度までの五年間を対象として数値目標を定めています。しかし、五年後の時点での目標達成度報告では不十分な結果になるおそれがあるため、中間報告を義務づけるよう公明党が提案をし、昨年六月、中間報告が行われました。

 基本計画では、五年以内に、すべてのがん診療に携わる医師に緩和ケア研修を行うことや、すべてのがん診療連携拠点病院で放射線治療、外来化学療法を実施できる体制を整備するなどのほか、十年後のがん死亡を二〇%減らすという大きな目標を実現するため、二〇一一年度末までにがん検診受診率五〇%を目指すなど、さまざまな目標を掲げ、国民に約束しています。

 菅政権に、この目標を達成し、国民をがんの恐怖から守る気持ちはおありでしょうか。例えば、がん治療の切り札である早期発見のためにはがん検診しかありませんが、現状のがん検診受診率は二五%程度。あと一年余りで受診率五〇%をどう実現するのか。そして、五年以内に医師への緩和ケア研修を終える目標についても、国民、患者の皆様のために何としても実現すべきです。総理の決意を求めます。

 次に、高額療養費制度の見直しについて伺います。

 がんや慢性疾患など、高額な医療費負担に苦しんでおられる方がたくさんおられます。しかし、現行制度は、中低所得者の自己負担限度額が重いことや、要件に該当せず制度の恩恵を受けられないなど、患者の負担軽減を図る観点から、制度の見直しが必要です。

 これまで公明党は、七十歳未満の自己負担限度額の引き下げや、レセプトが二万一千円を超えない場合でも合算対象とすることなど、具体的な改善策を国会論戦の場で繰り返し求めてきました。

 菅総理も、昨年十月の私の質問に対し、自己負担限度額の見直しについて、社会保障審議会での議論を進めており、引き続き幅広い観点から検討したい、このように答弁されています。しかし、政府の来年度からの対応は、外来診療における現物給付化を決定しただけで、患者の要望の強かった自己負担限度額の引き下げは見送られました。総理、なぜ見送ったんですか。明確な答弁を求めます。

 次に、B型肝炎訴訟について伺います。

 去る一月十一日、札幌地裁より和解に向けての所見が示され、政府も前向きに検討する方向と伝えられています。

 公明党は、これまで、命にかかわる問題は党派を超えて最優先で取り組むべきと主張し、C型肝炎患者の救済法や肝炎対策基本法の制定に尽力してきました。

 B型肝炎訴訟の全面解決に向け、政府は、原告との和解、合意を目指し最大限の努力を行うとともに、患者の幅広い救済を行うため、新たな立法措置について政府において早急に検討すべきと考えます。総理の考えをお聞かせください。

 昨年末、新たな防衛計画の大綱が閣議決定されました。新大綱では、基盤的防衛力にかわって、動的防衛力という概念が採用されました。

 基盤的防衛力は、軍事的脅威に直接対抗するよりも、みずからが力の空白となって周辺地域の不安定要因とならないよう、独立国として必要最小限の防衛力を保有し均衡に配備するという、日本の防衛力整備の基本となってきた方針です。

 六年前に作成された現大綱では、基盤的防衛力構想の上に立って、テロや地域紛争などの新たな脅威や多様な事態に対処できるように、多機能で弾力的な実効性ある防衛力を打ち出しました。これとどう違うのか、なぜ、今、基盤的防衛力構想を変えるのか、政府から明確な説明がありません。

 原則なき不明確な動的防衛力の強調に対して、これまでの憲法の恒久平和の原理に基づく専守防衛を逸脱するのではないかとの懸念さえ指摘をされております。総理の見解を求めます。

 熟した議論などあったかに思えない大綱の策定プロセスで、総理のリーダーシップがあったかのように見られているのは、武器輸出三原則等の見直しの明記を断念したことです。しかし、これも、明確な信念に基づく判断からなされたものではなく、政局的判断からなされたものであることは明白で、今後に火種を残しただけの先送りにすぎないと言わざるを得ません。

 長年にわたる国会での安全保障論議の中から生まれ、衆参両院それぞれの国会決議でも武器輸出三原則は取り扱われてきました。つまり、国家の基本的なありようにかかわる極めて重要な原則です。

 それを見直すかどうかの判断は、その原則に基づく政策展開が果たしてきた効果を詳細に検証することが最初になされなければなりません。その上で、国民を巻き込んだ形での国会の徹底した議論が必要です。いわば、防衛計画の大綱よりももっと上位に位置する、平和国家の基本理念というべきものであります。これを、大綱の変更に当たって、政府・与党の御都合主義的な姿勢で見直そうというのは、言語道断です。総理の所見を求めます。

 普天間移設問題について伺います。

 もとをただせば、鳩山首相の辞任の二つの理由のうちの一つが普天間移設問題の失敗です。その後を受けて首相の座に着いた菅総理は、何が何でもこの問題の根本解決を図る責務があります。

 施政方針演説で、沖縄に集中する基地負担の軽減に全力を尽くすと述べておられますが、具体的にどのように進めるのか、全く明らかにしておりません。例えば、地位協定の見直しをどう進めるか等について具体的な一歩が示されない限り、沖縄県民は政府・民主党への疑念を晴らすことはないと思います。総理の明確な答弁を求めます。

 次に、政治改革について伺います。

 相次ぐ政治と金の問題で国民の政治に対する信頼を失墜させた民主党政権、とりわけ総理の責任は極めて重大です。国会における鳩山氏、小沢氏の説明責任はいまだに果たされておりません。

 昨年十月、小沢氏喚問に関する我が党議員の質問に対し、総理は、「場合によれば御本人の意向に沿った形、場合によれば沿わないでもこれをやらざるを得ないというときには党として判断をしていきたい」と答えられております。また、報道によれば、岡田幹事長は、国会での説明責任の場は政倫審と証人喚問の二つしかないので、残りは一つになると述べておられます。

 総理は、小沢氏にどう国会における説明責任を果たさせるのか、明確にしていただきたいと思います。

 鳩山前総理について、実母から資金提供を受けた偽装献金問題をめぐって約六億円の贈与税を納付したものの、そのうち約一億三千万円が時効で還付されたと報道されています。それは事実でしょうか。もしそれが事実であれば、納税者である国民感情からいって、到底納得できるものではありません。まさに与謝野大臣が指摘されたとおり、平成の脱税王になるのではないでしょうか。

 鳩山氏の修正申告を受けて、どのような税務調査が行われ、結論はどうだったのか、国民の前に明らかにすべきです。もし明らかにできないというのであれば、鳩山氏みずから国民の前で説明すべきだと思いますが、総理、どのように思われますか。見解を伺います。

 もとをただせば、民主党の自浄能力のなさが原因の政治資金疑惑。公明党は再三再四にわたり政治と金の問題の再発防止策実現を訴えてきましたが、総理は一向にリーダーシップを発揮しようとしません。

 昨年十一月、秘書がやったとの政治家の言い逃れを許さないために公明党が提出した、政治家の監督責任を強化する政治資金法改正案について、我が党議員の質問に、総理は、「次の通常国会のある時期までというところで、何らかの結論を出してお示しをしたい」と答えられました。いつまでも先延ばしせず、今国会で直ちに成立させるべきです。答弁を求めます。

 企業・団体献金の禁止も同様です。

 民主党は、直近の衆参マニフェストで企業・団体献金の禁止を掲げていました。ところが、昨年、自粛していた献金の受け入れを再開しました。

 施政方針演説で、総理は、政治改革の推進について、それぞれの提案を持ち寄って今度こそ国民が納得する具体的な答えを出そうではありませんかと呼びかけられました。まるで人ごとのような言いぶりには、あきれるばかりです。総理、あなたが決断すれば、これは実現できるのです。明快な答弁を求めます。

 最後に、総理、私は、今回の施政方針演説を聞いて、あなたの言葉に謙虚さが全く感じられなかったことに、正直驚きました。政権交代からわずか一年四カ月、昨年の参議院選挙における民主党惨敗の原因が、期待を裏切った民主党に対する国民の怒りだったことへの反省はないのでしょうか。

 雄弁に欠かせないものは誠実さである、自分に対して誠実な人間になれば人を説得することができるとは、英国の批評家ウィリアム・ハズリットの言葉です。総理の演説には、残念ながら、そうした謙虚な姿勢、誠実さが感じられませんでした。総理、いかに多弁を弄しても、誠実を欠けば国民を説得することはできません。

 公明党は、だれよりも国民の声を真摯に受けとめ、闘う野党として、真剣な議論を通して、国民生活を守り、国益を守るために全力で闘うことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 井上義久議員の御質問にお答えを申し上げます。

 まず、井上議員から、最後のところで、私に余り謙虚さが見られない、あるいは誠実さが見られないというお話をいただきました。

 私としては、参議院選挙に大きく敗北して、私なりに誠実に、謙虚に対応してきたつもりでありますけれども、もしそうした姿勢が十分に伝わっていないとすれば、これは私自身の不徳のいたすところだと思っておりまして、今回の質疑においても、できるだけ誠実に、そして明快に答弁を申し上げたい、このことを冒頭申し上げておきたいと思います。

 まず、昨今の大雪等による被害に対しての国の支援についての御質問であります。

 今回の大雪で、多くの方、特に高齢者の方がお亡くなりになったというニュースを聞いて、私も胸を痛めております。この方々の御冥福をお祈りするとともに、被災した方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 この冬は、大雪等によって各地で被害が生じているところであり、国民の安全、安心を確保するため、政府一丸となって対策を推進していくことが重要であると認識しております。先週、松本防災担当大臣が出席して関係省庁の連絡会議を開催し、除雪等の適切な道路管理その他のライフラインの確保、農林漁業者支援、災害即応体制の強化等、対策をさらに徹底することといたしました。

 また、例えば、雪おろし、除雪については、ボランティアの皆さんあるいは住民の皆さんによる助け合いを促進するとともに、必要に応じては自衛隊の活用をも考えてまいらなければならない、このように思っております。

 引き続き、大雪などへの警戒を継続し、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいりたい、このように考えております。

 次に、高病原性鳥インフルエンザの防疫対応及び家畜伝染病予防法の改正等についての御質問をいただきました。

 高病原性鳥インフルエンザの蔓延防止は、危機管理上極めて重要な課題であると認識しており、宮崎県の第一例目の発生確認当日に私を本部長とする鳥インフルエンザ対策本部を開催し、殺処分などの初動対応を迅速に行っているところであります。

 しかし、その後の鹿児島県あるいは愛知県での新たな発生に対しても、きょうの昼間にも関係閣僚の会議を行って、これからは、拡大ということだけでなく、ネット、つまりは野鳥などからの感染などが心配されますので、ネットがしっかりしているかどうかといったことなどを含めて、さらに徹底した拡大防止を図ってまいりたい、このように思っております。

 また、こうした防鳥ネットの整備点検、野鳥の監視体制の強化などを進めるとともに、韓国を初めとする関係各国との積極的な情報交換を行い、アジアにおける家畜伝染病の防疫対応の強化に努めてまいります。

 風評被害の防止には、消費者や流通業者への正確な情報の提供を行っているところであります。

 次に、昨年の口蹄疫対応については、第三者による口蹄疫対策検証委員会において検証が行われ、昨年十一月に報告書が取りまとめられたところであります。この報告書を踏まえて、政府としては、今通常国会に家畜伝染病予防法の改正法案を提出することといたしており、これにより、水際対策の強化など防疫対応の強化を図ってまいる所存であります。

 次に、与謝野大臣の起用について御質問をいただきました。

 社会保障と税の一体改革は、国民の不安と不満を取り除くために避けては通れない課題で、この二十年間先送りされてきた重要課題の象徴とも言える事項であります。

 この社会保障改革において、大きな方向で志を同じくし、高い見識を持っておられるのが与謝野さんであると確信し、私の内閣に、三顧の礼をもってこの担当大臣としてお迎えをいたしました。

 私の大江議員についての発言に御批判をいただいておりますけれども、私としては、国民利益のための改革を実現するという大義において、私が過去に発言した例とはいささか異なるもの、このように認識をいたしているところであります。

 地域経済や中小企業の活性化に向けた施策について質問をいただきました。

 まず、公共事業については、極めて厳しい財政状況の中、地域の生活や経済の厳しい状況を踏まえつつ、国民にとって本当に必要なものかどうかを見きわめ、真に必要な社会資本整備を戦略的に進めるとの観点から重点化を図ってきたところであります。

 一方、地域経済やそれを支える中小企業の活性化については、中小企業金融円滑化法の延長や資金繰り対策に加え、低炭素型産業の国内投資に関する支援、中小企業の技術開発や新事業展開の支援等を推進してまいります。

 さらに今後は、総合特区制度の創設等により、地域の創意工夫を生かした地域活性化を図ってまいりたいと考えております。

 次に、財政健全化の取り組みについての御質問をいただきました。

 来年度予算は、財政運営戦略に基づき、基礎的財政収支対象経費を約七十一兆円以下、新規国債発行額を約四十四兆円以下とし、財政規律を堅持したところであります。

 財政健全化は、どの内閣にあっても避けることのできない課題であります。財政運営戦略で示した財政健全化への道筋に向けて、成長と雇用拡大を実現しながら、一歩一歩着実に目標の達成を目指していく所存であります。

 次に、元気な日本復活特別枠について御質問をいただきました。

 来年度予算では、元気な日本復活特別枠を活用し、政治主導で予算編成を進め、大胆な予算の組み替えを行ったところであります。

 具体的には、社会保障関係費を五%増、科学技術研究費補助金を三割増したほか、新成長戦略等に〇・九兆円を配分し、需要と雇用を生み出す分野に財政資金を重点化することができました。

 なお、在日米軍駐留経費負担については、国民生活の安定、安全等に真に必要なものであり、ごまかしとの指摘は当たらないというふうに考えております。

 マニフェストの財源についての御質問をいただきました。

 子ども手当などマニフェストに掲げた施策は、いずれも恒久財源を確保できた範囲で実現をしています。平成二十二年度、二十三年度において、既存予算の縮減、税制改正等によって恒久財源を確保し、この間実現してきた子ども手当等のマニフェスト施策の所要経費を確保しております。

 子育てに係る経済的支援については、昭和四十七年の児童手当創設以来、公明党の努力もあり、これまで順次拡充が行われてきましたが、これらの蓄積を基礎としながら子ども手当制度があることを御理解いただいていると思っております。

 マニフェストは国民との約束であり、引き続きその実現に向けて取り組んでいくことが基本だと考えております。一方で、本年九月で衆議院議員の任期の折り返し点を迎えることから、党においてマニフェストの検証を行いたいと考えております。検証の結果、マニフェストを見直すとの結論を得た際には、国民の皆様に丁寧に説明し、御理解を得たいと考えております。

 平成二十三年度税制改正は、場当たり的、財源あさりではないかとの御質問をいただきました。

 平成二十三年度税制改正は、デフレ脱却と雇用のための経済活性化や、格差拡大とその固定化の是正などを大きな柱として、所得課税、資産課税、消費課税全般にわたる改正を行うものであります。特に、デフレ脱却と雇用拡大を最優先し、課税ベースの拡大等とあわせて法人実効税率を五%引き下げるとともに、雇用促進税制等の政策税制措置を講ずることや、格差の拡大とその固定化を食いとめるために、税の再配分機能を回復させる観点から、所得税の諸控除、相続税の控除や税率構造を見直すことなど、改正に取り組んだところであります。

 今回の税制改正は、所得、消費、資産にわたる抜本改革の実現に向けて、全体として、税制抜本改革の一環をなす緊要性の高い改革を実施するものであると認識をしております。

 次に、社会保障改革の与野党協議について御質問をいただきました。

 公明党が昨年末に公表された新しい福祉社会ビジョンは、共助の精神にのっとり、充実した中福祉・中負担を実現するとし、衆参両院合同の社会保障協議会の設置を提言するなど、時宜を得た内容であり、歓迎いたしたいと思っております。

 社会保障改革については、政府・与党も既に取り組みを始めております。昨年末には、以下の五項目の原則を決めました。まず第一に、若者世代への支援を強化し、全世代対応型の社会保障とする。第二に、子ども・子育て支援を強化し、未来への投資としての社会保障とする。第三に、サービス給付を重視し、雇用創出効果を高める。第四に、縦割りを超えた包括的支援を行う。第五に、安定財源を確保し、次世代に負担を先送りしない。この以上の改革の五原則をまとめました。

 この基本原則に基づき、四月ごろまでに、あるべき社会保障の姿、方向性を明らかにし、六月までには、具体的な制度改革案と、消費税を含む税制抜本改革案を提示したいと考えております。

 また、新たな年金制度の創設、後期高齢者医療制度の廃止、介護労働者の賃金引き上げについては、民主党マニフェストにおいても掲げている政策であり、鋭意検討を進めているところであります。

 ぜひ、超党派協議の進め方を含め御意見を伺いたいと考えておりますので、そうした進め方についての御議論への参加もあわせてお願いを申し上げておきたいと思います。

 農業者戸別所得補償制度に関する質問をいただきました。

 今回の予算で概算決定した戸別所得補償制度については、畑作に拡大し、規模拡大を含む加算措置の導入など、マニフェストで想定していた内容はおおむね盛り込んでおります。当初想定していた制度をほぼ実現しているものであり、民主党農政が場当たり的との指摘は当たらないと考えております。(発言する者あり)

議長(横路孝弘君) 静粛に願います。

内閣総理大臣(菅直人君)(続) その際に、土地利用型農業の構造改革については、全国一律の単価設定により加速化されると考えられますが、それをさらに促進するため、最終的に規模拡大加算を導入することといたしました。

 また、遅くとも田植えの最盛期前には制度を固めることが円滑な実施を図る上で不可欠であることから、今国会への関連法案の提出を見送り、平成二十三年度は予算措置で対応することといたしました。

 なお、二十二年産米の政府買い入れは価格維持のためではなく、これまでの方針を変更するものではありません。

 次に、農業のビジョン、特に農地情報の整備、担い手の育成支援についての御質問をいただきました。

 我が国の農業は、過去二十年で生産が二割減少し、若者の農業離れが進み、農業従事者の平均年齢は六十六歳に達しております。その再生は、待ったなしの課題であります。

 昨年の視察で、夢とやりがいに満ちた農業の現場に接し、商工業と連携した六次産業化や農地集約による大規模化の推進などの取り組みを広げれば、この日本でも若い人たちが参加する活力ある農業の再生が可能であるということを、私自身、確信いたしました。

 この目標に向けた政策の柱が農業の戸別所得補償であります。来年度は対象を畑作に拡大するとともに大規模化の支援を厚くする、これにより、意欲のある担い手を育成することができると考えております。また、井上議員おっしゃるように、農地の集約には農地情報の整備が極めて重要であると私も考えております。

 これらの課題も含め、引き続き内閣の食と農林漁業の再生実現会議で集中的に議論をし、六月をめどに基本方針を、そして十月をめどに行動計画を策定することといたしております。

 次に、林業に関連して、路網整備についての御質問をいただきました。

 林業の再生については、昨年十一月に森林・林業再生プランの具体策の最終取りまとめを行い、木材自給率の向上を目指す森林施業の集約化、路網整備、人材育成、森林計画制度の見直し等を推進することといたしました。

 私も、この問題では、数年前、ドイツの黒い森などの視察をして、日本においても林業の再生は必ずや可能である、このことを確信して、これまでも私なりにこのことを後押ししてきたところであります。

 日本型フォレスターなど人材の育成を進めるほか、路網整備については、集約化や施業の効率化に資するよう丈夫で簡易な森林作業道の整備を図るとともに、林業専用道等の整備を推進していくことが必要だと考えております。

 次に、海洋水産資源の持続的利用についての質問をいただきました。

 漁獲可能量制度に基づく漁獲可能量の都道府県への配分については、その年の漁獲状況等に応じて必要な見直しを行っており、今後とも制度の柔軟な運用に努めてまいります。

 この制度の対象とする魚種の拡大については、現時点で、資源状況にかんがみ、直ちに対象に加えるべき魚種はないと考えておりますが、引き続き検討してまいりたいと思います。

 我が国周辺国間の水産資源の管理に係る連携協力については、日中、日韓、日・ロシアの間においてそれぞれ漁業協定を締結しております。今後とも、これら二国間の漁業関係の枠組みのもとで水産資源の管理の強化を図ってまいりたいと考えます。

 次に、地域活性化のための協同組合やNPOの育成支援についての御質問をいただきました。

 一次産業を基盤とする地域産業を持続可能とするためには、地域資源を活用して成長への潜在力の発揮及び需要喚起に結びつけていく取り組みが必要だと、おっしゃるとおり、考えております。

 このため、農商工連携の推進、いわゆる六次産業化を進めるとともに、新しい公共の推進や寄附税制の拡充を通じてNPO等の地域活性化の担い手を育成することにより、地域が有する資源や個性を生かした地域活性化を進めてまいりたい、このように考えております。

 次に、科学技術振興についての御質問をいただきました。

 科学技術は、言うまでもなく、成長を支えるプラットホームであり、その振興は極めて重要であると認識をしております。

 総合科学技術会議が昨年末に行った科学技術の基本方針についての答申においては、グリーンイノベーション、ライフイノベーションなどの課題対応の重点化、基礎研究及び人材育成の強化等を盛り込むとともに、平成二十三年度からの五年間で政府研究開発投資の対GDP比一%、総額約二十五兆円を目標に掲げております。

 こうした中期目標に基づいた平成二十三年度科学技術予算を増額したところであり、今後、答申を踏まえて科学技術基本計画を策定し、科学技術を強力に推進してまいりたいと考えております。

 次に、出先機関改革及び一括交付金について御質問をいただきました。

 地域主権改革は、この政権の最重要課題の一つであります。一括交付金については、当初、各省から提出された財源はわずか二十八億円でありましたが、私から各閣僚に強く指示し、来年度は五千百二十億円、平成二十四年度は一兆円規模で実施することになったところであります。

 一括交付金は、対象となる事業において、各府省の枠にとらわれず自由に事業を選択して使えるものであり、地方の裁量を大きく拡大するものであります。来年度は県の単位でありますが、県知事の方から画期的だという評価も数多くいただいているところであります。

 また、経常的な補助金等についても、平成二十四年度から段階的に一括交付金化を実施することといたしております。

 一括交付金の配分については、当面は継続事業を考慮いたしますが、条件不利地域等に配慮しつつ、客観的手法に基づく、恣意性のない仕組みを導入してまいりたいと考えます。

 また、出先機関改革については、今月二十五日の地域主権戦略会議において、具体的な改革を円滑、速やかに実施するため、アクション・プラン推進委員会を設置することといたしました。

 出先機関のブロック単位での移譲については、地域の自主性を尊重し、全国一律一斉にこだわらないで、地域からの発意に基づき移譲する仕組みを考えておりますが、既に関西広域連合が設立されたほか、九州も広域的実施体制の整備を検討されているところであります。

 今後は、この推進委員会において、こうした地域と十分に協議を行った上で、来年の通常国会に法案を提出し、平成二十六年中の移譲を目指すことといたしております。

 このほか、義務づけ、枠づけの見直しについても、今国会に所要の法案を提出することを予定いたしております。

 地方自治法改正についての御質問をいただきました。

 地域主権改革を推進するためには、議会のあり方の見直しを含めた、住民自治の充実強化、首長と議会の関係に関するルールの整備が必要である、このことは御指摘のとおりだと考えております。そのため、政府内において検討を進めており、成案が得られた事項から順次地方自治法の改正案を国会に提出することとしております。

 現在、まず第一に、一定の場合の議長への議会招集権の付与、選択制の通年会期の導入、第二に、首長の再議対象の拡大、専決処分の見直し、三番目に、住民投票制度の導入などの事項について、今国会に地方自治法の改正案を提出すべく、鋭意検討を進めているところであります。

 次に、がん対策の推進についての御質問をいただきました。

 がん対策推進基本計画に基づき、御指摘のがん検診や緩和ケアの推進を含めたがん対策を総合的に推進しているところであります。

 がん検診については、公明党の御指摘も踏まえ、乳がんや子宮頸がん検診の無料クーポン事業を引き続き行い、平成二十三年度からは大腸がん検診にも拡大するなど、最大限努力をしてまいりたいと思います。

 緩和ケア研修については、平成二十年度以降、二万人を超える医師が修了いたしております。今後の緩和ケア研修等の充実に向けた取り組みについて、現在、専門家により議論を行っているところであります。

 今後とも、公明党の御指摘も受けながら、がん対策の推進に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 高額療養費についての御質問をいただきました。

 高額療養費の見直しについては、外来診療の現物給付化を平成二十四年度から実施することといたしました。これにより、患者は、医療機関の窓口で一たん支払う負担が自己負担限度額までで済み、負担が軽減されることになります。

 一方、自己負担限度額の見直しは、厳しい医療保険財政において、保険料財源を負担する保険者の理解を得ることが難しく、平成二十三年度予算案では見送らざるを得なかったところであります。御理解をいただきたいと思います。

 B型肝炎訴訟の全面解決について御質問をいただきました。

 一月十一日に札幌地裁が示された見解については、政府としては、基本的には受け入れ、裁判所の仲介のもと、基本合意を目指すことといたしております。

 本件の全体解決に向けた対応の全体の枠組みについては、今通常国会の会期末までに各党協議に付すことという対応案を各党に御説明し、御協力を要請しているところであります。この対応案について、与野党、党派を超えた御協力をぜひともいただきたい、このように考えております。

 動的防衛力についての御質問をいただきました。

 六年前に策定した防衛大綱においては、基盤的防衛力構想の有効な部分を継承しつつ、多機能で弾力的な実効性のある防衛力を構築することとしていました。これは、テロを含む新たな脅威への実効的な対応の観点から、抑止に加え、事態発生時の対処や国際協力を重視したものであると考えます。

 昨年末の新防衛大綱の作成に当たっては、日本を取り巻く安全保障環境の変化等を踏まえ、防衛力のあり方について、改めて総合的な検討を行いました。この結果、防衛力を単に保持するだけでなく、運用を重視することにより抑止の信頼性を高めると同時に、地域の安定とグローバルな安全保障環境の改善を図ることが重要と考えました。このため、新大綱においては、防衛力の存在自体による抑止効果を重視した基盤的防衛力構想によることなく、従来にも増して、即応性、機動性等を備え、高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力を構築することとしているところであります。

 政府としては、新大綱に沿って、専守防衛に徹し、文民統制を確保するとともに、非核三原則を守るなど、基本方針を引き続き堅持し、我が国の平和と安全を確保していく考えであります。

 次に、武器輸出三原則等の見直しについての御質問をいただきました。

 武器輸出三原則等は、国際紛争などを助長することを回避するという平和国家としての基本理念に基づくものであり、政府としては、この基本理念は引き続き堅持していく考えであります。

 他方、平和への貢献や国際的な協力において、自衛隊が携行する重機等の装備品の活用や被災国等への装備品の供与を通じて、より効果的な協力ができる機会が増加しております。また、国際共同開発・生産に参加することで、装備品の高性能化を実現しつつコストの高騰に対応することが先進諸国で主流となってきております。昨年閣議決定された新たな防衛計画の大綱においても、防衛装備品をめぐる国際的な環境変化として、これらを政府の認識として示しているところであります。

 いずれにしても、このような大きな変化の中で、国際的な協力を推進するとともに、効果的、効率的な防衛力整備を行うにはどのような方策が適切なのかなど、平和国家としての基本理念を堅持しつつ、幅広い視点から検討していく考えであります。

 普天間飛行場移設問題に関する質問をいただきました。

 普天間飛行場の移設問題については、昨年五月の日米合意を踏まえ、沖縄に集中した基地負担の軽減を図るべく、全力を挙げて取り組んでまいります。

 負担軽減の具体策としては、訓練移転の拡充や在沖縄海兵隊のグアム移転事業の着実な実施、米軍施設・区域の返還のさらなる進展などについて、米国と協議をしながら前進させてまいりたいと思います。

 日米地位協定については、日米同盟をさらに深化させるよう努めていく中で、普天間飛行場移設問題など、他の喫緊の課題の進展を踏まえつつ検討してまいりたいと思います。

 政府としては、沖縄の一層の負担軽減を実現すべく、沖縄政策協議会などの場で沖縄の方々の意見も伺いながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

 小沢議員の国会における説明について御質問をいただきました。

 小沢元代表は、国会が決めれば従うことを表明されて、政倫審の出席について言われておりましたが、また昨年末には、条件をつけずに政倫審に出席するということもお約束をしていただいておりましたが、その方向で民主党も岡田幹事長を中心に努力したわけですけれども、結果としてそのことが実現していないことは大変残念であり、申しわけなく思っております。

 いずれにしても、国会での説明は必要であると考えております。今後の小沢元代表の国会における説明問題については、各党に御意見があると伺っておりますので、関係委員会等において各党各会派で議論をしていただきたい、このように考えております。

 また、鳩山前総理の贈与税納付に関する質問もいただきました。

 個人の申告納税の問題は、税執行の個別にわたる事柄でありまして、その内容については承知をいたしておりません。

 鳩山氏自身の説明については、総理として国会の場で説明を何度もされた、そのように理解しておりますし、また、この問題も含めて、責任をとって総理の座を辞されたということで、政治的には一定のけじめがついているものと理解をいたしております。

 最後に、井上議員から、監督責任の強化そして企業・団体献金禁止という、政治資金規正法改正に関する二つの質問をいただきました。

 まず、公明党が提案されている、政治家の選任・監督責任を強化する政治資金規正法改正案の中で政治家の責任を明確化されている趣旨は、私たちも評価し、理解をいたしているところであります。ただし、詰めるべき論点も存在していることから、私から岡田幹事長に検討を指示し、今国会中に何らかの結論が出せるよう、他の課題とあわせて、党の政治改革推進本部において議論しているとの報告を受けております。

 また、企業・団体献金禁止については、民主党の方針にいささかの変更もなく、法改正以前の経過的な暫定措置を含め、マニフェストどおりの対応を決めております。

 施政方針で、政治家、政党代表として協議を呼びかけたのは、この問題は政党、政治家に係る問題であることから、政党間協議を必要とすると考えたからであります。

 井上議員から、総理たる私が決断すれば実現するとの御提案がありました。私も党に指示いたしますので、提案をいただいた二つの課題については政党間協議に入ることをぜひとも実現させていただきたい。私の方からも我が党には指示をいたしたいと思います。

 以上、井上議員の御質問に対して、私なりに誠実に答えさせていただいたつもりであります。

 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(横路孝弘君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣菅直人君。

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 一点答弁漏れがありましたので、おわび申し上げ、答弁を補足させていただきます。

 与謝野大臣の起用について申し上げましたが、追加をさせて答弁させていただきます。

 与謝野大臣の過去の発言についてお尋ねがありました。

 過去に与謝野大臣としていろいろな発言があったことは私も承知をいたしております。しかし、一貫しているのは社会保障と税一体改革に対する熱意であり、国民のために党派を超えて改革を実現するためには小異を捨てて大同につくことが必要である、このように考えたところであります。

 また、マニフェストを直ちに撤回せよということでありますが、その御指摘は当たらず、大きな志を同じくし、相互理解に基づく議論によって一緒に改革の大事業につける、与謝野さんとの間でそうした大事業を進めることができる、このように考えているところであります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、菅総理に質問いたします。(拍手)

 質問に入る前に、各地に被害をもたらしている鳥インフルエンザ問題で、政府が防疫体制の徹底、農家への補償などの対策に万全を期すよう求めるものであります。

 一昨年の政権交代で国民が民主党政権に寄せた期待は、幻滅に、そして怒りへと変わっております。私は、幾つかの国政の基本問題で菅政権の問題点をただすとともに、今日の閉塞状況を打ち破る方策を提案するものです。

 まず、日本経済の危機をどう打開するかについてです。

 今の日本を覆う閉塞感の根源に、働く人の賃金が長期にわたって減り続けているという問題があることは、立場の違いを超えて広く指摘されていることです。

 民間の賃金は、ピーク時の一九九七年から、年収で平均六十一万円、総額で三十兆円も減りました。年収二百万円以下の働く貧困層は一千百万人までふえました。今春就職予定の大学生の就職内定率は六八・八%と過去最悪です。その一方で、大企業の内部留保、ため込み金はふえ続け、二百四十四兆円に達し、現金、預金など手元資金だけでも六十二兆円と、空前の金余りになっています。

 こんな異常な賃下げ社会でいいのかが問われています。一方で、働く人の貧困の拡大、他方で、ごく一握りの巨大企業への富の蓄積、これが、GDPの六割を占める家計消費と内需を冷え込ませ、日本の経済成長をとめてしまっているのです。総理、ここにこそ日本経済の抱える最大の問題があるという認識はありますか。

 国連貿易開発会議、UNCTADの最新の報告書は、日本を名指しして、輸出競争力を理由に人件費を抑える従来の手法から、賃上げを通じた内需拡大と雇用創出への転換を求めました。賃上げを通じて日本が家計と内需主導の健全な経済成長を実現することは、国際的要請ともなっているのです。総理は、国連機関のこの提起をどう受けとめますか。答弁を願いたい。

 この問題を労使の問題と、政治が傍観していることは許されません。私は、賃下げ社会から脱却するために、政府が次のような総合的な賃上げ政策をワンパッケージで実行することを提案するものです。

 第一は、労働者派遣法の抜本改正、有期労働の規制強化、均等待遇のルールの確立などによって、非正規社員を正社員にすることです。

 低賃金で不安定な非正規雇用の拡大こそ賃下げ社会の最大の要因であることは、政府の労働経済白書も認めています。雇用は正社員が当たり前のルールを確立すべきだと考えますが、いかがですか。

 第二は、最低賃金を時給千円以上へと大幅に引き上げることです。

 そのためには、中小企業への支援の抜本的拡充が必要です。欧米では、最賃引き上げのために年間数千億円もの予算を組んでいます。ところが、政府の最低賃金引き上げに向けた中小企業への支援事業はわずか五十億円。余りにお粗末ではないですか。中小企業への支援の抜本的拡充と一体に、時給千円以上を本気で目指すべきであります。国や自治体が発注する事業の官製ワーキングプアをなくす公契約法を制定すべきです。答弁を求めます。

 第三は、雇用の七割を支えている中小零細企業への本格的な支援で、大企業で働く労働者との賃金格差をなくすことです。

 今、中小零細企業の労働者の賃金は、大企業の五割から七割にまで落ち込んでいます。大企業による中小零細企業への際限のない単価の切り下げなどが、そこで働く労働者の賃金を押し下げているのであります。大企業と中小零細企業との公正な取引のルールをつくり、労働者の賃金格差をなくすことを産業政策の大目標の一つに置くべきではありませんか。答弁を求めます。

 第四は、違法な退職強要、解雇、雇いどめをやめさせ、解雇規制のルールを強化することであります。

 この点で極めて重大なのは、日本航空が、経営破綻を理由に、一万六千人もの人員削減を強行した上、昨年末に百六十五名のパイロットと客室乗務員の整理解雇を強行したことであります。この整理解雇は、日航が一千四百六十億円もの利益を上げていること、既にみずから設定した人員削減目標を超過達成していることだけを見ても、判例で確立している整理解雇の四要件を乱暴にじゅうりんするものであることは明白であります。

 さらに、世界百カ国以上、十万人の民間パイロットで組織する国際操縦士協会は、日航が病欠などを整理解雇の基準としたことについて、このあしき前例ができ上がれば、乗員は体調不良にもかかわらず職を守るために乗務につかざるを得ない危険な状況が発生しかねないと、安全性への深刻な懸念を表明しています。

 総理は、十九日、日航の稲盛会長と会談し、私が期待した以上の成果を上げたと称賛しました。日航の整理解雇は、整理解雇の四要件を満たすものだと考えているのですか。空の安全を危険にさらすとの世界のパイロットの声に、どうこたえるつもりですか。

 我が党は、総理が無法な整理解雇を中止するよう日本航空を強く指導することを求めます。しかと見解を伺いたい。

 次に、TPP、環太平洋連携協定について質問します。

 総理は、施政方針演説で、平成の開国を掲げ、TPP交渉参加に向けた協議を表明しました。総理は、アジアの成長を我が国に取り込むなどと述べ、その方策としてTPPを位置づけています。

 しかし、韓国、中国、タイ、インドネシアは、TPPと一線を画す姿勢をとっています。アジアでTPP交渉に参加している国は、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシアだけであり、そのすべてが、日本と、FTA、自由貿易協定、EPA、経済連携協定を既に締結している国であります。したがって、日本にとってTPP参加の意味合いは、米国とのFTAということになるではありませんか。

 そのことによって失うものは何か。まず何よりも、国民への食料の安定供給です。

 TPPとは、農産物も含めて、すべての品目の関税をゼロにする協定です。関税ゼロとなれば、食料自給率は四〇%から一三%に急落し、米生産の九〇%が破壊され、農林水産物の生産は四兆五千億円も減少する。これは、ほかならぬ農水省が行った試算であります。

 政府は、昨年三月に、食料自給率を四〇%から五〇%に引き上げる食料・農業・農村基本計画を閣議決定しています。自給率五〇%と関税ゼロが、一体どうしたら両立できるのですか。具体的に説明していただきたい。

 大規模化ですか。しかし、日本で最も平均耕地面積が広い北海道と比べても、アメリカは十倍、オーストラリアは約百五十倍という広さであり、どうやって競争するというのですか。戸別所得補償ですか。しかし、農産物だけで四兆一千億円もの生産減による減収を、すべて所得補償で補うのですか。その財源をどこから持ってくるのですか。どれも現実を全く無視した暴論ではありませんか。

 自給率五〇%と関税ゼロは絶対に両立不可能であり、TPP参加は、農林水産業を破壊し、関連産業を破壊し、地域経済を破壊し、国土と環境を破壊し、そして国民への食料の安定供給を破壊する亡国の道だと考えますが、いかがですか。

 もう一つ失うものがあります。それは、日本の経済主権です。

 一月二十日付で政府がまとめたTPPに関する各国との協議と題する報告書があります。そこには、TPPに参加するにはすべての交渉国の同意が必要であり、米国については、議会の同意を取りつけることが必要だと明記されています。これから参加する国は、米国の要求を一方的にのむしかなくなるのです。

 TPPは、食料だけでなく、金融、保険、医療、国の公共事業への参入、看護師などの労働力の自由化も交渉内容とされていますが、これらにかかわる日本の経済主権をすべて米国にゆだねることになるではありませんか。これを売国の政治と言わずして何と言うのか。

 日本共産党は、開国どころか、亡国と売国のTPP参加には絶対に反対です。

 経済の世界化が進む中で、貿易の拡大は、もとより当然の流れです。しかし、食料、環境、雇用など、市場任せにしてはならない分野まで自由化一辺倒であってはなりません。とりわけ食料については、世界の大きな流れとなりつつある食料主権、自国の食料は自国で生産するという立場に立った貿易ルールの確立こそ強く求められています。そのことは、地球的規模での食料不足と飢餓が広がる中で一層切実であります。総理の見解を求めます。

 総理は、施政方針演説で、社会保障改革とともに、消費税を含む税制抜本改革を進めると表明しました。

 しかし、まず、社会保障改革と言いますが、菅政権が現に進めていることは何でしょうか。自公政権時代につくられた社会保障費削減の傷跡を治すという公約を投げ捨てただけではなく、逆に、傷口を広げ、そこに塩をすり込む冷酷な政策をあらゆる分野で押しつけることではありませんか。

 後期高齢者医療制度の問題で政府が決定した新制度案は、七十五歳以上を、形式だけは国保や健保に戻しつつ、引き続き現役世代とは別勘定とするというものです。これでは、民主党が総選挙で即時廃止すると公約した、国民を年齢で差別する仕組みがそのまま残るではありませんか。

 さらに、新制度案には、自公政権ですら手をつけられなかった、所得の少ない人への保険料軽減措置の縮小、七十歳から七十四歳の窓口負担の二割への引き上げも盛り込まれています。これも、窓口負担や保険料負担の維持、軽減という民主党の総選挙の公約に真っ向から反するものではありませんか。

 差別温存、負担増拡大の新制度案は撤回すべきです。後期高齢者医療制度は即時廃止し、老人保健制度に戻して差別の根を絶ち、国庫支出を増額して、だれもが安心してかかれる医療制度への改革を図るべきです。総理の答弁を求めます。

 高過ぎる国民健康保険料の問題も、全国どこでも大問題です。滞納世帯は四百四十五万世帯、正規の保険証が取り上げられた世帯は百五十二万世帯に及び、お金の心配で医者にかかれず、命を落とす悲劇が後を絶ちません。

 政府は、保険証の取り上げなどの非道な制裁、預金、給与の差し押さえなど、生存権を侵害する取り立てを強化していますが、〇八年度の国保料の収納率は八〇%に下落し、最低を記録しました。どんなに厳しい制裁や取り立てでも、収納率向上に役立たない。保険料が高過ぎて、払いたくても払えないのであります。それならば、自公政権が減らし続けてきた国庫負担をふやして国保料を引き下げる、これが国保制度を持続可能にする唯一の方法であり、民主党もかつては公約してきたことではありませんか。

 ところが、民主党政権が行ったことは、市町村が行っている一般会計からの国保会計への繰り入れをやめ、国保料の引き上げに転嫁せよという通達を出すことでした。今、市町村が独自に行っている繰り入れの総額は三千七百億円に達し、それをやめれば国保料はさらに一人平均一万円もの値上げになります。高過ぎる国保料にさらに追い打ちをかける通達は、直ちに撤回すべきです。国庫負担をふやして国保料値下げに踏み切ることを強く求めるものであります。

 他方、税制改革と言いますが、菅政権が最初に手をつけたことは何か。法人税の税率を五%引き下げ、一兆五千億円もの大企業への減税のばらまきを行うこと、証券優遇税制の二年間延長による大資産家への減税を続けることです。総理は、これが雇用と投資につながるかのようなことを言っていますが、その保証はどこにあるのですか。具体的に示していただきたい。空前の金余りにある大企業に減税しても、内部留保がさらに積み上がるだけではありませんか。

 一方で社会保障の切り捨てを続け、他方で大企業への減税のばらまきを行いながら、消費税の増税など、論外と言うほかありません。今取り組むべきは、社会保障を削減から拡充に転換すること、大企業、大資産家への行き過ぎた減税を正して応分の負担を求めること、米軍への思いやり予算を初め軍事費に縮減のメスを入れる改革ではありませんか。答弁を求めます。

 最後に、米軍基地と日本外交の問題です。

 総理は、沖縄・普天間基地の問題について、辺野古移設の日米合意をあくまで推進する立場を表明しました。しかし、県内移設反対、普天間基地の閉鎖、撤去という沖縄県民の総意は、もはや揺らぐことはありません。それは、仲井真知事が、県内はすべてバッドと否定したことからも明らかです。

 総理は、本気で県内移設が可能だと考えておられるのですか。県民の意思はもはや変わることはないことを率直に認め、日米合意を白紙に戻し、無条件で普天間基地の返還を求める立場に、今からでも立つべきではありませんか。総理が説得すべきは沖縄ではありません。米国政府こそ説得すべきなのであります。

 これは、世界の中で日本がどういう進路を歩むか、その選択を問う問題でもあります。

 基地押しつけ勢力は、尖閣問題、朝鮮半島問題、千島問題など、日本を取り巻く紛争問題を挙げて、日米安保の強化が必要だ、沖縄の基地はやむを得ないなどと言い募ります。政府は、動的防衛力などと、自衛隊を米軍とともに海外に展開する軍隊に変質させ、今後五年間で二十三兆五千億円に上る軍備増強を進めようとしています。しかし、日本を取り巻く紛争問題の解決に必要なものは、軍事同盟という戦争力でしょうか。国際的道理に立った外交力こそ必要ではないでしょうか。

 そして、日本政府はそうした外交力を発揮してきたと言えるでしょうか。尖閣問題でも、千島問題でも、領土問題を歴史的事実と国際的道理に立って解決する外交交渉をやってきたと言えますか。朝鮮半島の問題でも、対話と交渉による解決のために、憲法九条を持つ国にふさわしい外交努力を果たしてきたと言えますか。対米従属、軍事偏重、外交不在こそ、日本外交の姿ではありませんか。

 ここでも転換が求められています。日本共産党は、憲法九条を生かした平和外交によって東アジアに平和的環境をつくる努力を重ねつつ、日米安保条約を解消し、対等、平等、友好の日米関係に転換する目標を高く掲げて奮闘する決意を最後に表明し、質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 志位委員長にお答えを申し上げます。

 まず、高病原性鳥インフルエンザの防疫対応及び農家への支援についての御質問です。

 高病原性鳥インフルエンザの蔓延防止は、危機管理上重要な課題であると認識しており、宮崎県の第一例目の発生確認当日に私を本部長とする鳥インフルエンザ対策本部を開催し、スピード感を持って殺処分などの初動対応を行っているところであります。

 また、感染経路の究明のため専門家を現地に派遣するとともに、発生農家等に対しては、家畜伝染病予防法に基づく手当金等が支払われることになっております。関係省庁と県がよく連携して、引き続き感染拡大の防止に全力を挙げてまいります。

 次に、働く人の賃金についての御質問をいただきました。

 日本経済を本格的な成長軌道に乗せ、豊かな暮らしを実現するには、雇用の創出を起点とした需要の創造が必要であり、雇用の拡大により失業率が低下すれば、賃金上昇圧力になります。また、消費が刺激され需要が回復すれば、さらに雇用が創出されるという好循環が生まれることになります。

 このため、新成長戦略の実行により、新たな雇用と需要を創造していくとともに、ジョブサポーターの増員や、求職者支援制度、雇用促進税制の創設など、雇用をつなぐ、つくる、守るという取り組みを進めております。

 なお、御指摘の国連貿易開発会議の報告書については、我が国では賃金の増大により個人消費が伸びる余地があるとの指摘を行ったもの、このように理解をいたしております。

 次に、総合的な賃上げ政策についての御質問をいただきました。

 非正規労働者の正社員化については、まず、事業主が正社員転換制度を導入し、実際に適用した場合には奨励金を支給する制度を設けました。また、派遣先事業主が受け入れている派遣労働者を直接雇い入れる場合に奨励金を支給する制度も設けました。これらを活用して、非正規労働者の正社員としての就職を支援しているところであります。

 そのほか、労働者派遣法の改正や、労働政策審議会における有期労働契約のあり方の検討などの取り組みを行っております。

 こうした施策により、非正規労働者の正社員化や処遇の改善を図ってまいりたいと思っております。

 最低賃金の引き上げについては、最低賃金、昨年の六月に策定した新成長戦略において、二〇二〇年までの目標として、全国最低八百円、全国平均千円の実現に取り組むことを盛り込んでおります。今後とも、雇用、経済への影響にも配慮し、労使関係者との調整を丁寧に行いながら取り組んでまいります。

 また、最低賃金の引き上げにより最も影響を受ける中小企業に対しての、地域の中小企業団体とも連携した相談窓口の整備や、賃金引き上げに資する業務改善への助成等の支援を効果的に講ずるとともに、技術開発や新事業展開支援など総合的な施策を講じてまいります。

 公契約法の制定については、公契約の契約先企業における賃金等の労働条件については、関係法令を守ることは当然として、その具体的なあり方は、当該企業の労使間で自主的に決定されることが原則であります。こうした労働条件のあり方に関しては、発注者である国の機関や地方公共団体も含めて幅広く議論を進めるべきと考えております。

 労働者の賃金格差については、中小企業への総合的な支援策に加えて、違法な買いたたき等を排除するため、独占禁止法や下請法の厳正な執行に取り組んでいるところであります。

 また、昨年十一月には、公正取引委員会において、「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」を策定、公表し、どのような行為が優越的地位の濫用に該当するのかを明確化することで規制の実効性を確保するように努めております。

 退職強要、解雇等のルールの強化について申し上げます。

 労働者の自由な決定を妨げる退職勧奨は違法な権利侵害に当たるとされた最高裁判決が存在をいたしております。解雇については、労働契約法において、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用するものとして無効とするとされています。雇いどめについては、一定の場合には解雇権濫用の類推適用がなされるとの判例法理が確立しているところであります。

 政府としては、今後とも、適切な労務管理が行われるよう、こうした労働関係法令や裁判例について周知、啓蒙に取り組んでいく所存であります。

 次に、日本航空の整理解雇に関する御質問をいただきました。

 日本航空の再生のためには、人員削減を含め、更生計画の確実な実施が不可欠であります。他方、安全な運航の確保は公共交通機関の使命であり、日本航空の再生に当たっては、安全な運航の確保を大前提としつつ経営改善を実現していくことが必要であります。

 具体的な人員削減の進め方については、日本航空において適切に判断されるべきものであると考えますが、整理解雇については、司法の場で判断されることになっていると理解しており、私からのお答えは差し控えたいと思います。

 次に、TPP協定参加の意味についての御質問がありました。

 TPP協定交渉参加九カ国の中で、我が国は、シンガポール、チリ、ブルネイ、ベトナム、マレーシアとEPAを締結済みであります。他方、既に妥結済みのペルーのほか、米国、豪州、ニュージーランドとの間ではまだ締結はされておりません。九カ国の中で米国が貿易額、GDP等で圧倒的に多いことは事実でありますが、我が国としては、アジア太平洋地域全体が自由な貿易圏として発展していくことが重要だ、このように考えております。

 TPP協定は、昨年十一月の横浜APECで採択された横浜ビジョンにおいて、我が国として重視しているアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPを追求していく上で基礎となる取り組みと位置づけております。

 我が国としては、以上の認識のもと、昨年策定した包括的経済連携に関する基本方針に従い、TPP協定への参加について検討しているところであります。

 次に、TPPと農業政策との関係について御質問をいただきました。

 貿易を自由化したら農業は危ういといった声がありますが、私は、そのような二者択一の発想はとりません。過去二十年で国内の農業生産は二割減少し、若者の農業離れが進んでおります。今や農業従事者の平均年齢は六十六歳に達しております。農林漁業の再生は、まさに待ったなしの課題であります。

 昨年十一月に閣議決定した包括的経済連携に関する基本方針においては、高いレベルの経済連携の推進と我が国の食料自給率の向上や国内農業、農村の振興とを両立させ、持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じることといたしております。

 現在、私が議長を務める食と農林漁業の再生実現会議において、六次産業化、農地集約による大規模化、戸別所得補償制度のあり方など、我が国農業の潜在力を引き出す大胆な政策対応を検討しているところであります。六月をめどに基本方針を、十月をめどに行動計画を策定してまいります。

 次に、TPP協定と経済主権についての御質問がありました。

 私は、第一の国づくりの理念として、平成の開国を掲げております。具体的には、貿易・投資の自由化、人材交流の円滑化により経済を開くことは、世界と繁栄を共有する最良の手段と考えております。

 また、さきにお答えしたとおり、TPP協定は、APECの横浜ビジョンにおいて、アジア太平洋自由貿易圏、FTAAPを追求していく上で基礎となる取り組みと位置づけられております。さらに、TPPは、世界の成長センターであるアジア太平洋地域の成長とエネルギーを日本に取り込むためにも重要である。したがって、日本の経済主権をすべて米国にゆだねるとか、売国の政治とかという御指摘は、全く当たらないと考えております。

 いずれにしても、TPP協定については、昨年策定した包括的経済連携に関する基本方針に従い、関係国との協議の結果や国民の理解の深まりぐあいなども総合的に勘案しながら、ことし六月をめどに、交渉参加について結論を出してまいります。

 次に、食料の確保と貿易ルールについて質問をいただきました。

 我が国農業は、過去二十年間で農業生産が二〇%減少し、耕作放棄地が増加するなど、食料安定確保の観点からさまざまな問題を抱えております。このため、農業の再生が急務であり、しっかり取り組んでいく必要があります。

 また、我が国は食料純輸入国であり、貿易ルールの確立に当たって、安定的な食料の確保が重要な課題でもあります。今後とも、各国の多様な農業との共存と食料問題の解決を目指して、農産物貿易ルールをめぐる議論に積極的に参加してまいります。

 次に、後期高齢者医療制度について御質問をいただきました。

 後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度のあり方については、厚生労働大臣のもとで検討を進めておりますが、新制度は、まず第一に、加入する制度を年齢で区分せず、七十五歳以上の高齢者の方も現役世代と同じ国保か被用者保険に加入することとした上で、第二に、多くの高齢者の受け皿となる国保の財政運営について、段階的に都道府県単位化を図り、国民皆保険の基盤である国保の安定的な運営を確保することといたしております。

 また、老人保健制度に戻すことについては、事務を担うことになる市町村や、多くの拠出金を負担する被用者保険の保険者も反対であるなど、国民の理解をいただくことは困難であります。

 新たな制度については、幅広い国民や関係者の納得のいく制度とすることが必要であり、御指摘の、所得の少ない方への保険料軽減措置や窓口負担のあり方も含め、引き続き、厚生労働大臣のもとで検討、調整を進めてまいります。

 次に、国民健康保険の財政についての御質問にお答えします。

 国民健康保険は、まず第一に、構造的に低所得者が多い、第二に、健康保険のように事業主負担がないといった事情があり、財政力が弱いことから、他の医療保険制度に比べて多くの補助がなされております。しかしながら、国民健康保険の財政は厳しい状況にあることから、昨年の通常国会において、平成二十一年度で期限を迎えた財政基盤強化策を四年間延長するため、国民健康保険法の改正を行ったところであります。

 御指摘の通達については、保険料の引き上げだけでなく、収納率の向上や医療費適正化策の推進など、国保財政の安定化のための各般の施策を提言したものであります。

 引き続き、地方自治体の意見も伺いながら、国民健康保険の財政運営の安定化を図ってまいりたいと考えます。

 次に、法人税引き下げ等の税制改正や社会保障のあり方等に関する質問をいただきました。

 平成二十三年度税制改正において、デフレ脱却と雇用のための経済活性化、格差拡大とその固定化の是正などを大きな柱として、法人実効税率の引き下げなどのほか、雇用促進税制の創設や税制の再配分機能回復のための所得課税や資産課税の見直しも行うことといたしております。

 法人実効税率の引き下げについては、企業が海外へ移転して雇用が失われることを回避し、国内投資の増加や雇用創出につながる効果が期待されております。また、産業界は、政府が国内投資促進策を講じる場合に、十年後には約百兆円の設備投資を目指す等の考え方を示しており、国内投資や雇用の拡大に積極的に取り組んでいただけると考えております。

 平成二十三年度予算においては、社会保障予算については五%増を確保しているところであります。

 防衛費については、新大綱に示された動的防衛力を構築するため、適切な規模の防衛力の着実な整備に当たり、厳しい財政事情を踏まえ、真に必要な機能に資源を選択的に集中して防衛力の構造的な変革を図ることといたしております。

 普天間飛行場の移設問題についての質問をいただきました。

 普天間飛行場の移設問題については、危険性の一刻も早い除去に向け、昨年五月の日米合意を踏まえ、沖縄の皆様に誠心誠意説明し、理解を求めながら、最優先で取り組みます。

 また、沖縄に集中した基地負担の軽減を図るべく、訓練移転の拡充や在沖縄海兵隊のグアム移転事業の着実な実施、米軍施設・区域の返還のさらなる進展など、米国と協議をしながら前進させます。

 政府としては、沖縄の一層の負担軽減を実現すべく、沖縄政策協議会などの場で沖縄の方々の御意見も伺いながら、全力を挙げて取り組んでまいります。

 最後に、日本の外交の姿について御質問をいただきました。

 国際社会が大きく変化している中、我が国周辺には依然として不確実性、不安定性が存在します。平和と安定を確かなものとするためには、現実主義を基調にして世界の平和創造に能動的に取り組む外交・安全保障政策の推進が不可欠であります。

 このような認識のもと、現在の日本を取り巻く安全保障の課題に的確に対応するため、我が国自身の防衛力を構築するとともに、我が国の外交、安全保障の基軸である日米同盟を一層深化させる、また、アジア太平洋諸国との関係強化にも努める、さらに、開発援助や国連平和維持活動などの分野で地域や世界の平和と安定や人間の安全保障の確保にも貢献する、政府としては、このような基本的な考え方に立脚し、御指摘の尖閣諸島、北方領土、北朝鮮を含め、着実に外交を推進していかなければならないと考えております。

 対米従属、軍事偏重、外交不在が日本の外交の姿であるという御指摘は、全く当たっておりません。

 以上、御答弁とさせていただきます。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 重野安正君。

    〔重野安正君登壇〕

重野安正君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、菅総理の施政方針演説に対し質問いたします。(拍手)

 総理、菅内閣の進めている政策は、法人税減税に見られる大企業優遇施策、消費税増税を企図した、税と社会保障一体改革、TPP問題に見られる輸出主導と規制緩和によって経済成長を目指す政策、日米同盟の深化など、国民生活が第一から乖離し、新自由主義と官僚主導、対米従属回帰の傾向を強めているように感じられてなりません。

 今、必要なのは、内向きの権力闘争や揚げ足取りではなく、生活再建を目指したしっかりとした政策論争で、社民党は、生活再建を願う国民の立場で、前進させるべきものには協力するし、そうでないものにはしっかりとチェックし歯どめをかけていく立場を鮮明にして国会に臨んでいることを、冒頭申し上げておきます。

 そこで、一昨年九月の三党合意について、私は四年間かけて実現する国民への公約だと思っているのですが、改めて総理の認識を伺います。

 また、我が党が連立政権以前から共同して進めてきました課題であり、継続審議となっております労働者派遣法改正案及び郵政改革関連三法案の成立に向けた決意をお聞かせください。

 総理は、平成の開国を実現するため農林漁業の再生を掲げていますが、既に農産物の平均関税率は約一二%にすぎず、もう十分開国しており、これ以上の関税撤廃になれば、農業は壊滅的影響を受けます。

 何よりも問題なのは、TPPが農林漁業問題としてしか位置づけられていないことです。

 TPPでは二十四分野が協議されており、アメリカの対日要求を背景に、自動車の安全技術の緩和、郵政事業での対等な競争条件の確保、米国産牛肉の輸入条件の緩和、外国人労働者など、一層の市場開放要求が強まることは必至です。しかし、農林漁業分野以外の影響は一切明らかにされておりません。中国を初めアジア経済に与える影響の検討はなく、TPPに安易に参加することは、国の形そのものが変わる大きな問題であり、国民生活に深刻な影響をもたらすと思いますが、総理の見解をお聞かせください。

 林業再生について伺います。

 総理は、林業を中山間地の基幹産業として再生すると述べられ、昨年決定された森林・林業再生プランでも、木材自給率五〇%を目指すと。適切な森林と林業の再生を果たしていくためにも、国としての大幅な予算措置、人材育成を早期に行うことが必要ではないでしょうか。

 林業の将来を考えると、境界確認や地籍調査による森林簿の作成、整理など、林業に従事する方の高齢化や不在村地主の増加を勘案すると、今すぐに着手しなければならない作業が山積し、そして他方では、高校や大学で林業を学んでも林業関係に就職できる人は多くありません。今後の森林・林業の再生になくてはならない作業とそれを担う人材の育成に大きく踏み出すときではありませんか。

 同時に、今後の山林・林業を考えるとき、国有林野事業が果たす役割は重要であります。民有林行政との連携と貢献を果たせるように人員を確保し、人材を国が積極的につくり出す体制づくりも重要だと考えますが、いかがですか。

 雇用情勢は厳しく、とりわけ若年層の失業率は九%台で、就職内定率も最低を記録しています。景気低迷の長期化が若者を直撃しています。

 デフレ脱却のためにも、賃金下落と物価下落の負のスパイラルを解消しなければなりません。安心して働くことができるように、セーフティーネットを強化し将来の不安をなくしていくことは、税金を納められる層の増大と社会的給付の節約につながり、財政再建にも資すると考えます。

 雇用、雇用、雇用と強調されるのであれば、もっと経済界に対し、国民生活や雇用確保、賃上げを求めるべきではないでしょうか。

 公務員制度改革に関して、消防職員も含めて、ILO勧告を満たした労働基本権の確立と民主的公務員制度改革実現に資する法制度の措置に向け、どのように対応されるおつもりなのか、総理の見解を伺います。

 「安月給されど仕事はプロ意識」、「気がつけば常勤教える非常勤」、笑い話ではありませんが、地方の総職員数は、一九九五年から十六年連続して減少し、四十七万人も減りました。一方、臨時・非常勤職員は五十万人以上となっています。公務職場の非常勤・臨時職員は、その多くが正規職員と同等の業務を行いながら、法の谷間に置かれ、極端な低賃金と不安定雇用の状態に置かれています。そもそもジョブサポーター自身が、官製ワーキングプアと呼ばれる非正規職員です。

 住民の福祉増進を目的とする自治体が、みずから低賃金で不安定な福祉対象者をつくり出し、公共サービスの質の低下をもたらしているのは、不条理ではないでしょうか。官製ワーキングプア問題に対する認識と、その解決に向けた決意を伺います。

 総理、肝炎問題についての前進は評価しますが、他方、薬害イレッサ問題についても一刻も早い救済が求められています。裁判所の和解勧告を受け入れる決断を求めたいと思います。薬害エイズ問題で活躍した菅総理、いかがですか。

 また、慢性疲労症候群について苦しんでいる人々がいます。難病と障害者のはざまで不条理を感じている人々への支援策の強化についての見解を伺います。

 選択的夫婦別姓や婚外子差別撤廃の民法改正について伺います。

 一九九六年の法制審答申の翌年から政権交代するまで、民主党は議員立法として法案を出し続け、選択的夫婦別姓や婚外子差別撤廃が政権交代で実現するのではないかと多くの国民が期待しました。国連の各種人権委員会も民法改正を再三勧告し、とりわけ女性差別撤廃委員会は、世論を理由に法改正しないことについて厳しく勧告しています。婚外子相続差別規定については、最高裁が九五年の合憲判断を見直す可能性が高くなっていると言われています。

 国連からの勧告や司法の判断を待つまでもなく、人権の問題は最優先で解決するべきです。菅総理の、民法改正の決意を伺います。

 年末年始の山陰地方の大雪を初め、大雪による被害が相次いでいます。今も、北海道や東北地方、日本海側の地域を中心に、住民生活や地域経済に大きな影響が出ています。

 雪国にとって、防雪、除雪は生活そのものに係る大問題。九十歳を超える高齢者が屋根に上り雪おろしをしている映像は深刻です。にもかかわらず、道路等の除雪費について、事業仕分けによって予算は一割カットされました。従前にも増して影響が大きくなっています。雪害対策の見直しと自治体への支援強化について、見解をお示しください。

 昨年末、島根県で発生し、ことしになって、宮崎県、鹿児島県、兵庫県、愛知県へと鳥インフルエンザが広がっています。蔓延防止対策を講じるとともに、原因究明、農家への補償、自治体や関連作業への支援など、鳥インフルエンザ対策に万全を期すよう求めます。総理、いかがですか。

 次に、外交・安全保障政策についてお尋ねします。

 民主党は、総選挙のマニフェストで、緊密で対等な日米関係を築く、東アジア共同体の構築を目指しアジア外交を強化することを訴え、有権者の支持を得ました。これは、昨年の参議院選挙のマニフェストにも掲げられました。

 主体的な外交戦略を構築した上で、緊密で対等な日米関係を築く、東アジア共同体の構築を目指すという有権者との約束についてどうお考えなのか、明確にお答えください。

 思いやり予算も、海外への訓練移転の経費まで日本が負担することにするなど用途を広げ、金額も現行水準を維持することが米国との間で合意されました。

 現状で、総額でNATO全体に倍する規模に及び、米兵一人当たり一千万円以上という、他の同盟国の数倍以上にもなる駐留経費負担をさらに引き上げることが、日本の有権者の願いであり、民主党に託された思いだと本当に考えているのか、お答えください。

 総理、沖縄だけ負担軽減がおくれていることはざんきにたえませんと言いながら、普天間飛行場の移設問題について、地元議会も名護市長も県議会も沖縄県知事も反対している辺野古だというのは、不条理ではないでしょうか。少なくとも、辺野古移設方針は早々に断念していただきたいと思いますが、いかがですか。

 さて、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を崩してまでの法人税の実効税率引き下げです。

 減税のメリットが及ぶのは、法人税を納めている一部の優良企業だけであります。二百四十兆円に達する手元資金を持つ中で、減税分が雇用や賃上げに回る保証はありません。内閣参与の峰崎元財務副大臣は、昨年六月、法人税率の引き下げ競争に対し、国際的に、一定の税率の幅を取り決め、歯どめをかける必要があると問題提起しています。

 国際的な法人税引き下げの歯どめと、企業内部留保に対する課税の検討についての総理の見解を伺います。

 成年扶養控除について原則廃止されることになりましたが、年収五百六十八万円の線はまさに中間所得層で、また、種々の理由で十分な所得のない人を抱えている家庭をねらい撃ちするというべき不条理な扱いです。

 そもそも、成年扶養控除の対象者と子ども手当の対象者は異なっており、何の給付もありません。そもそも少な過ぎる基礎控除を引き上げていくなど、暮らしを支える対応が必要であると考えますが、いかがですか。

 日本の将来ビジョンを見据え、社会保障全体と税制の抜本改革も含めた総合的な議論自体は必要であると考えます。しかし、どうも消費税増税ありきの感じが否めません。

 消費税の税率アップの前に、どういう社会保障の姿を描くのか、きちんと示すとともに、財源として政府の無駄の削減と、企業の適正な税負担、所得税や資産課税などの不公平税制是正や賃上げにより、富の再分配を徹底すべきではないでしょうか。

 総理は、与謝野さんとは考え方の共通性が高いと言われています。そもそも「民主党が日本経済を破壊する」という本を出された方です。

 総理は、かつて、消費税アップは鼻血も出ないくらい無駄をカットしてからだと訴えてきましたが、与謝野大臣は、まず無駄を省きましょう、その次は経済成長しましょう、それから消費税増税というのは逃げの議論だと完全否定されました。税による最低保障年金についても、社会保険方式の方が具体的で実現可能性があると切り捨てました。

 与謝野さんが変わったのでしょうか、総理が変わったのでしょうか、民主党が変わったのでしょうか。「杖るは信に如くは莫し」といいます。政権交代に期待した国民への信義を裏切ることのないよう申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 重野議員の御質問にお答えをいたします。

 政権交代時の三党合意に関する御質問をいただきました。

 二〇〇九年九月九日に社会民主党、国民新党、民主党の三党党首間で調印した連立政権樹立に当たっての政策合意につきましては、その後も、社会民主党と民主党、国民新党と民主党との間で、これを尊重し、引き継ぐことを確認してまいっております。

 御党との連立関係は解かれましたけれども、公党として、三党政策合意については引き続き尊重してまいりたい、このように考えております。

 次に、労働者派遣法改正案と郵政改革関連法案についての御質問をいただきました。

 労働者派遣法改正案については、行き過ぎた規制緩和を適正化し、派遣労働者を保護するための抜本的な改革を行うものであり、政府としては、速やかな成立を目指してまいりたいと考えております。

 また、郵政改革関連法案については、民主党と国民新党の間で、予算成立後直ちに審議入りし、成立させることといたしたところであり、今国会において速やかな成立を目指したいと思っております。

 いずれにしても、両法案について、協力して成立をさせたい、この考え方は全く変わっておりません。

 TPP協定について御質問をいただきました。

 私は、第一の国づくりの理念として、平成の開国を掲げております。具体的には、貿易・投資の自由化、人材交流の円滑化により経済を開くことは、世界と繁栄を共有する最良の手段と考えております。

 TPP協定は、昨年十一月の横浜APECで採択された横浜ビジョンにおいて、我が国が重視しているアジア太平洋自由貿易圏、FTAAPを追求していく上で基礎となる取り組みと位置づけられております。TPP協定は、市場のアクセスのみならず、さまざまな非関税分野のルールづくりを含む包括的協定として交渉されているものと承知しております。

 我が国としては、昨年策定した包括的経済連携に関する基本方針に従い、関係国との協議の結果や国民の理解の深まりぐあいなども総合的に勘案しながら、ことし六月をめどに交渉参加についての結論を出すことにいたしております。

 林業再生について御質問をいただきました。

 重野議員が言われていますように、我が国は世界有数の森林国である上に、戦後の植林した森林資源が充実期を迎えており、これを活用する絶好のチャンスだと私も思っております。

 このような観点から、昨年十一月に森林・林業再生プランの具体策の最終取りまとめを行い、森林境界の明確化、施業集約化、路網整備、搬出間伐、人材の育成等を推進する。

 具体的には、来年度から、路網整備と搬出間伐を一体的に促進する森林管理・環境保全直接支払い制度を創設するとともに、森林経営を担う日本型フォレスターの育成に努めていく。また、国有林野事業についても、その組織、技術力、資源を活用し、民有林と連携していく。

 森林・林業の再生にそういう形で貢献をしていく、こういうことを推し進めてまいりたいと考えております。

 雇用確保、賃上げについての御質問をいただきました。

 デフレを脱却し、国民の皆様が安心して暮らせる社会を実現するため、雇用の安定確保を図ることが極めて重要です。このため、成長と雇用に重点を置いた三段構えの経済対策を切れ目なく推進しているところであります。

 昨年十一月には、私から、経済三団体の代表も出席する新成長戦略実現会議で、経済界に対して、新卒者雇用について積極的な取り組みを要請したところであります。また、別の機会には、法人税引き下げを雇用の拡大や賃金の引き上げにつなげてほしい旨も伝えているところであります。

 今後とも、新成長戦略実現会議や雇用戦略対話などの場を通じて、経済界の皆様とも十分意見交換をしながら、雇用をつなぐ、つくる、守るの取り組みを強力に進めてまいりたいと考えております。

 次に、労働基本権の確立及び民主的公務員制度改革実現に資する法制度の措置についての御質問をいただきました。

 公務員制度改革、とりわけ公務員の労働基本権については、政府としても大変重要な課題であると考えております。このような認識のもと、具体的な制度設計を精力的に進めているところであり、自律的労使関係制度の措置など、国家公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を実現するための法律案を今通常国会に提出することといたしております。

 なお、消防職員の団結権のあり方についても、公務員制度改革の状況を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

 次に、官製ワーキングプアについての御質問をいただきました。

 地方公共団体の臨時・非常勤職員がその職務に見合った処遇を受けることは当然必要であり、そのことが良質の公共サービスにつながると認識をいたしております。臨時・非常勤職員の処遇は、各地方公共団体が責任を持って対応していくべきものであり、各地方公共団体において適切に対応していただくことを期待いたしております。

 いずれにしても、このワーキングプアの問題、民間でも官製であっても、できるだけそうした形から正規雇用に移れる形をより進めてまいる努力をしていきたいと考えております。

 イレッサ訴訟の和解勧告及び制度の谷間にある病気の方々への支援について御質問をいただきました。

 イレッサ訴訟については、一月七日、東京地裁及び大阪地裁から和解勧告が提示され、一月二十八日が回答期限となっております。

 この問題は、私は、がん患者の立場に立って何が本当に大切なのかを考えることが重要である、このように思っております。つまり、副作用で被害を受けられていると主張されている人たちのことは、私も、いろいろな薬害でそうした皆さんの支援をいたしておりましたので、よくその気持ちはわかります。

 一方で、そのことが新しいがんの治療薬の開発にとってどういう影響を与えるのかという御指摘もいろいろといただいておりまして、そういった意味で、がん患者、現在がん患者である方、過去の方、未来にがん患者になり得る可能性のある国民の立場に立って、どういう形が最も適切かを考えなくてはならないと思っておりまして、現在、政府内において関係閣僚が鋭意対応を協議しているところであり、その結果を踏まえ、回答期限までに方針を決定いたしたいと思います。

 また、慢性疲労症候群を初め難病や障害者などの既存の制度の対象とならない方々に対する支援のあり方については、厚生労働省に設置された検討チームにおいて制度横断的に検討いたしているところであります。

 民法改正についての質問をいただきました。

 選択的夫婦別姓の導入や、嫡出でない子と嫡出である子の相続分を等しくすることなどについては、平成八年、法制審議会において、民法改正案の要綱を決定し、法務大臣への答申が行われているところであります。

 民法改正については、いろいろな意見がありますが、この答申を踏まえ、引き続き与党内において調整してまいりたいと考えております。

 雪害対策について御質問をいただきました。

 除雪を含む雪害対策については、冬期の道路交通の確保の観点から、非常に重要な対策であると考えております。この点で、事業仕分けでこの雪害対策の事業が縮減されたという理解を示されましたが、実は、この事業仕分けでは、直轄国道の維持管理全体について、間に公益法人による中抜きなどが入っていたことで、その中抜き是正を目的として予算要求の縮減の指摘が行われたものでありまして、雪害対策の事業そのものの縮減を目的としたものではないというふうに承知をいたしております。

 いずれにしても、この冬の降雪状況も踏まえ、地域の実情にきめ細かく対応できるよう、道路に係る除雪費用の追加配分など必要な対策を検討し、冬期の安全な道路交通を確保するよう努めてまいります。

 また、例えば、雪おろし、除雪については、ボランティアの人たち、住民等による助け合いを促進するとともに、どうしても必要な場合には自衛隊の活用等も検討しなければならない、このように考えているところであります。

 高病原性鳥インフルエンザの防疫対応及び農家への補償等についての御質問をいただきました。

 高病原性鳥インフルエンザの蔓延防止は、危機管理上重要な課題であると認識しており、宮崎県の第一例目の発生確認当日に私を本部長とする鳥インフルエンザ対策本部を開催し、その後の発生に対しても、スピード感を持って殺処分などの初動対応を迅速に行っているところであります。

 また、感染経路の究明のため専門家を現地に派遣するとともに、発生農家に対しては、家畜伝染病予防法に基づく手当金等が支払われることになっております。

 関係省庁と県がよく連携して、引き続き、感染拡大の防止に全力を挙げてまいりたいと考えております。

 マニフェストでの約束について御質問をいただきました。

 我が国と米国は、それぞれ責任と役割を分担しながら、日米二国間の課題のみならず、アジア太平洋地域のさらにグローバルな課題について、緊密な連携のもとで、ともに役割を果たしております。

 また、我が国は、日米同盟を外交の基軸として、アジア諸国との間で、将来的には、東アジア共同体というこの構想を、APECや東アジア首脳会議など地域協力のそうした枠組みとともに、重層的な協力関係として強化をしてまいりたいと考えております。

 以上のように、マニフェストを踏まえた外交を推進してきているところであります。これからも、現実主義を基調にして、世界の平和創造に能動的に取り組む外交・安全保障政策を推進してまいる所存であります。

 次に、在日米軍駐留経費負担についての御質問をいただきました。

 我が国を取り巻く国際環境が依然として不透明、不確実である中、在日米軍の抑止力が我が国や地域の平和と安定のために重要な役割を果たしていることなどから、在日米軍駐留経費負担の総額については、現行水準を維持することといたしました。一方で、内容的には、娯楽性の高い施設に勤務する駐留軍等労働者の給与負担を取りやめるなど、国民の理解が得られるよう、包括的な見直しを行っております。

 また、グアムへの訓練移転は、昨年五月の日米合意に基づき、沖縄の負担軽減を図るための取り組みであります。訓練移転を日本側が要請する以上、移転に伴う追加的な経費を負担することが適当だと考えております。

 なお、日本とNATO諸国などでは、その置かれている安全保障環境等が大きく異なっておりますので、駐留経費負担の金額などを単純に比較することは必ずしも適当ではないと考えております。

 次に、普天間飛行場移設問題についての御質問にお答えします。

 普天間飛行場の移設問題については、危険性の一刻も早い除去に向け、昨年五月の日米合意を踏まえ、沖縄の皆様に誠心誠意説明し、理解を求めながら、最優先で取り組んできているところです。

 また、沖縄に集中した基地負担の軽減を図るべく、訓練移転の拡充や在沖海兵隊のグアム移転事業の着実な実施、米軍施設・区域の返還のさらなる進展などについて、米国と協議をしながら前進させてまいりたいと考えております。

 政府としては、沖縄の一層の負担軽減を実現すべく、沖縄政策協議会などの場で沖縄の方々の御意見も伺いながら、全力を挙げて取り組んでまいります。

 法人税の引き下げ競争と企業の内部留保課税に関する御質問をいただきました。

 各国の租税政策はそれぞれの国がみずから決定することが原則と考えられますが、グローバル化が急速に進展する中で、税制面においても国際的な協力が重要となっており、我が国としても、そうした取り組みに積極的に貢献したいと考えております。

 また、企業の内部留保に対する課税のお尋ねがありましたが、一般論として申し上げれば、新たな課税を行う際には、その目的や効果等について十分な検討が必要と考えております。

 今回の法人税実効税率の引き下げについては、他の国と比べて法人税が高い場合に企業がそれを理由に海外に移転する、中には、それに伴ってその下請の企業も仕事がなくなる、そういうことを通して雇用が失われることを回避して、国内投資の増加による雇用創出につながる、そういった観点を含めて引き下げを行ったものであります。

 産業界は、政府が国内投資促進策を講じる場合には、十年後に約百兆円の設備投資を国内で目指していくという考え方を示しておりまして、国内投資や雇用拡大に積極的に取り組んでいただけるものと、それにつながるよう、こちらからも働きかけをしてまいりたいと思っております。

 成年扶養控除について質問をいただきました。

 いわゆる成年扶養控除については、本来、成年者が基本的に独立して生計を立てるべき存在であること等を踏まえて、見直すことといたしたものです。

 一方で、障害者、要介護認定者、その他心身の状態等により就労が困難な方、高齢者などについては、控除を存続することといたしております。また、所得制限についても、平均的な所得を相当に上回る水準に設定するなど、広範な方について、負担増にならないよう配慮しているところであります。

 次に、社会保障、税の一体改革の進め方についての御質問にお答えします。

 社会保障、税の一体改革を進めていくに当たっては、議論の順序が大変重要であると考えております。まずは、あるべき社会保障の姿をしっかり議論し、社会保障制度の維持強化に必要な財源と税制改革を一体的に考えるというスタンスで取り組む所存であります。その際、行政の無駄の削減の徹底も同時に進めてまいらなければなりません。

 また、税制については、所得課税、消費課税、資産課税全般にわたる改革を進めることとしておりまして、平成二十三年度税制改正においても、デフレの脱却と雇用のための経済活性化、格差拡大とその固定化の是正などを大きな柱とする改正に取り組んだところであり、再配分機能の回復にも資するものであります。

 最後に、社会保障、税の一体改革の考え方について、さらなる御質問をいただきました。

 与謝野大臣については、過去さまざまな発言がありましたけれども、国民の最大の関心事である社会保障改革において高い見識と強い志を共有しておられる方だ、このように考えまして私の内閣に起用させていただいたところであります。これからさらに議論を進めていき、成案を得る段階では、政府・与党が一体として案をまとめていくことは言うまでもありません。

 無駄の削減については、これを徹底することは当然でありまして、与謝野大臣もこのこと自体を否定されているとは理解いたしておりません。

 年金については、民主党の年金改革案は、社会保険方式としての所得比例年金を基本とし、補足的に税を財源とする最低保障年金を給付することで一定の年金額を担保する制度をこの間提案したところであります。そういった税と社会保険の両方で成り立つという意味で、与謝野大臣がこれまで言われていることともそうした大きな面では違いはありませんが、これから、ある意味で白紙の中であらゆる提案を議論の場にのせて検討したい。

 今後の検討に当たっては、民主党の考え方をベースとしながらも、マスコミや各団体など多方面から提出されている意見や提案も伺い、幅広い議論を重ねて成案を取りまとめていきたいと思います。

 社民党におかれても、ぜひ議論に加わっていただきたいと心からお願いを申し上げます。

 以上、答弁とさせていただきます。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 渡辺喜美君。

    〔渡辺喜美君登壇〕

渡辺喜美君 みんなの党、渡辺喜美であります。(拍手)

 ひな壇を見渡してみますと、自民党時代も含めて四名の歴代財務大臣がお座りになっています。まことに珍しい。大増税を悲願とする内閣であることがよくわかります。

 みんなの党は、消費税を全額地方の安定財源にすると提案をしています。

 消費税を社会保障目的税としたら、財政再建はどうするんでしょうか。増税をすれば景気がよくなるという話はどうなったんでしょう。

 なぜ、消費税は全額地方の財源にしてはいけないんですか。中央集権、官僚統制が守れなくなるからですか。

 増税後の消費税には軽減税率を設けるんですか。食料、医薬品、公共交通、新聞、文化施設、住宅など、一体何を軽減するんでしょう。

 軽減税率の創設は、政治家や役人の利権拡張につながると思いませんか。

 菅総理は、昨日、消費税引き上げ実施までに国民の審判を仰ぐ方針は変わっていないと言う一方で、来年度中に法案提出という義務を尊重と答弁されました。

 では、いつ解散して審判を仰ぐんでしょうか。与野党合意の前ですか、後ですか。増税路線を既成事実化してからですか。

 昨年、菅総理が財務大臣だったとき、逆立ちしても鼻血も出ないというほど完全に無駄をなくしたと言えるところまでやると言っていたのに、逆立ちもせず、菅総理はいいものを食い過ぎて、官僚にも天下りまんじゅうをばらまいているじゃないですか。変節じゃありませんか。

 みんなの党は、増税の前にやるべきことがあるだろうと訴えていますが、菅総理は反対ですか。

 総理は、負担の議論に当たり、行政の無駄を徹底排除することが当然の前提と言いました。みんなの党は、特別会計にある剰余金の取り崩しなど埋蔵金発掘も当然の前提と提案をしていますが、反対ですか。

 みんなの党は、埋蔵金を国会の議決により取り崩し、一般会計に繰り入れることができる法案を昨年提出いたしました。菅総理は反対ですか。

 昭和五十七年から平成七年までの間、合計十一回、財政が厳しいときは、国債整理基金特別会計への定率繰り入れを停止し、国債費を圧縮していました。大体二十五兆円です。定率繰り入れ停止に総理は何で反対するんですか。

 みんなの党は、さらに進んで、減債制度をやめ、国債整理基金特別会計の減債基金十二・五兆円の全額取り崩しを行い、長期国債買い入れ消却を提案いたします。菅総理は、官僚の言いなりになって、後生大事に守り続けるおつもりですか。

 みんなの党は、労働保険特別会計の資産・負債差額約十二兆円のうち、必要な責任準備金を除く五兆円以上について一般会計への繰り入れを提案いたします。菅総理はなぜ反対するんでしょう。

 これらの埋蔵金を発掘すれば、昨年みんなの党が補正予算の修正案として出した、五兆円以上の自由償却制による大規模な投資減税だって可能になるじゃありませんか。国内投資や雇用がふえて経済成長につながるのに、なぜ反対するんですか。

 総理は、国会議員もみずから身を削る覚悟を国民に示すことが必要と述べました。みんなの党は、今国会も、議員歳費三割カット、ボーナス五割カット法案を提出します。反対ですか。

 臨時国会における国家公務員の給与カットは惨たんたる結果でした。総理御自身は、月給二百六万円をたった五千円カットしただけ。このことについて反省はまるでなし。人件費二割削減は断念。労働基本権を付与して給与を下げると言っているようですが、労使交渉をしたら給与は下げられるんですか。

 財政再建は、名目成長率が高くなった方が成功します。みんなの党は、増税の前に、デフレから脱却して名目成長率を高くし、増収によって財政再建を考えます。総理は反対ですか。

 総理は、なぜ、強い経済と言わなくなったんでしょう。成長なくして分配なし。社会保障を守るには、名目四%成長が黄金律です。デフレ脱却で、なぜ四%成長を目指さないんですか。実質成長二%、物価上昇二%、名目四%を達成すれば、五年くらいで基礎的財政収支は黒字化し、増税は要らないじゃありませんか。

 みんなの党は、デフレ脱却に向けて日銀法改正案を再提出し、財政金融一体政策を提案しますが、菅総理は反対ですか。

 デフレの原因は少子高齢化だとでもお考えになっているんでしょうか。人口増加率と物価上昇率は無関係です。

 みんなの党は、地域主権の確立を提案しています。消費税を全額地方の財源にすれば、補助金、交付税はその分少なくできるじゃありませんか。みずからの責任において住民サービスを行う方が地域主権にかなうと考えませんか。反対ですか。

 みんなの党は、歳入庁を創設し、税と社会保険料を合わせた社会保障個人口座の創設を提案しています。税と社会保障の一体改革は単なる増税。税と社会保障の統合が必要です。なぜ歳入庁をあきらめたんですか。財務省が反対だからですか。

 納税者番号制は、納税の義務と社会保障を受ける権利のセットとすることが大事です。なぜ社会保障個人口座をつくらないんですか。みんなの党は、個人が選べる社会保障お好みメニューを提案しています。

 次に、公務員制度改革です。

 民主党政権の失敗は、官僚を使いこなす前に官僚を選べという鉄則を怠ったことにあります。内閣人事局をつくり幹部人事を回す、国家戦略局をつくり総理直属の裏方ブレーン部隊を持てば、官僚主導に陥ることはありませんでした。この二つの局をこれまでつくらず放置してきたことについて、反省はありますか。

 公務員制度改革の目的の一つは、政策のイノベーションを起こすことです。そのため、採用年次や試験区分による身分制人事をやめさせ、抜てきも降格もできる信賞必罰のきいた制度にする必要があるんです。

 中野担当大臣は、昨年みんなの党が国会に提出した、幹部公務員を特別職とするなど、ワンパッケージの公務員改革を受け入れるつもりはありませんか。

 総理、ことしの最初にした仕事、退官後間もない資源エネルギー庁長官の電力会社への天下りを容認したことです。この人事は天下りそのものじゃありませんか。なぜ認めるんですか。

 待命期間の廃止は、幹部人事ではめ込む天下りのためではなく、若手官僚が官民の垣根を越えて人材流動化できる仕組みをつくるためです。総理は、本件が余りにも露骨な天下りだと思わなかったんですか。

 この天下りを皮切りに、所管業界への天下りが殺到することが予想されます。なぜ再就職等監視委員会をつくらないんですか。

 本件はあっせんがあったのかなかったのか、国家公務員法百六条の二違反か否か、明言してください。

 監視委員会がない以上、所管業界への幹部天下りを自粛する閣議決定をしたらいかがでしょうか。

 総理は、辛亥革命百年、革命を主導した孫文を支える多くの日本人がいたことを指摘されました。

 では、みんなの党が提出した、劉暁波氏の釈放を求める決議案を何で無視したんですか。もう一度提出したら、賛成しますか。

 総理の言葉には魂がこもっていません。きのうの政治生命をかけるという発言も、職を賭すという意味ではなく、一日も長く総理をやり続けたいという意味じゃないですか。政治家としての矜持はないんですか、覚悟はないんですか。菅総理は裸の王様、官邸病にかかっていますよ。国民の政治不信はピークに達しています。

 でも、国民の皆様は政治をあきらめないでいただきたい。ぶれない、曲げない、崩れない、覚悟の集団みんなの党があります。日本の政治をよくするには、だれがやるかではなく、何をやるかが大事です。覚悟のアジェンダのもとに、政界再編を行うべきです。

 菅内閣の早期退陣、解散・総選挙を要求し、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 渡辺喜美議員の御質問にできるだけ誠実に答えたいと思っております。

 ただ、質問の通告をいただいたのが午前中の参議院の質疑中でありまして、事実上、答弁を準備する時間はほとんどとれませんでしたので、多少答弁が食い違うかもしれないことは、これは渡辺さん御自身も、わずか二、三時間前に出された質問通告でありますから、御了解をいただけるものと思っております。

 いろいろなことをおっしゃったんですが、みんなの党は消費税を全額地方の安定財源にすべきと提案されているということであります。

 私は、そのことが、特に、私の考えとして、いいとか悪いとかいうことを考えているわけではありません。私たちが申し上げているのは、社会保障のあり方について徹底的に議論をして、その上で、その社会保障制度がちゃんと維持できるためにはどのような財源が安定的に必要であるか、このことを議論しようとしているわけでありまして、渡辺さんがその社会保障の方は別の財源があると言われるのであれば、またそれもぜひ聞かせていただきたい、このように思っております。

 また、消費税引き上げの実施までに国民の審判を仰ぐということについて御質問がありましたけれども、まさに消費税引き上げの実施までには、もしそういう形になった場合には国民の審判を仰ぐということで、特に変更はありません。

 また、完全に無駄をなくしてからやるべきだと言われました。ただ、無駄というのは、ある意味で、永遠に新たな無駄が生まれ、それをなくしていくことが必要であって、その努力は、私は永遠にやっていかなければならないと思っております。

 そういう意味で、私たちも事業仕分けで全力を挙げているわけですけれども、一〇〇%純粋な形で無駄がゼロと言われることがどういう状況なのか、私には、現実的にはよく理解できません。(発言する者あり)

副議長(衛藤征士郎君) 静粛に願います。

内閣総理大臣(菅直人君)(続) ですから、私が申し上げたのは、常に無駄の削減はこれからも内閣のまさに大きな方針として続けながら、同時に社会保障などの議論をしていこうということでありまして、決して間違っているとは思っておりません。

 また、埋蔵金についていろいろな項目を挙げられました。

 私も、いろいろな埋蔵金の議論が従来からありまして、それぞれについて、いろいろな立場に私もおりましたので、それが使えるものであるか使いにくいものであるか、いろいろと意見を聞いてまいりました。

 そういう意味で、今、国債整理基金特別会計とか、国債整理基金特別会計の減債基金とか、あるいは労働保険特別会計の資産・負債云々とかいろいろ言われたわけでありますけれども、それらがそう簡単に使っていいものか。また、使ったとしても、それは恒久財源ではありませんので、これで何かすべてがバラ色になるというふうな渡辺さんのおっしゃり方には、やや私は違和感を持ってお聞きいたしておりました。

 また、最終的に国会議員がみずからの身を削る覚悟は必要だということは、私も施政方針の中で申し上げてきたところであります。

 また、経済成長について、従来から、名目四%成長が黄金律だということを他の経済学者の方の本でもよく読ませていただいております。もちろん、高い成長率が好ましいことは私たちも全く同じであります。

 そういった高い成長率をいかにして実現するのかということの中で、私どもも新成長戦略を考え、そして、アジアの成長を日本につなげていくといったいろいろな活動をしているわけでありまして、ただ、何か、日銀法改正をすれば四%成長が実現するというのであれば、それは大いに検討することになると思いますけれども、もう少し中身を言ってもらわないと、希望的なことを言われているのか、政策的な裏づけがあるのか、私には理解できない渡辺さんの提案であります。

 以上、社会保障と税の一体化の問題とか、社会保障制度の個人口座の問題とか、あるいは公務員制度改革の問題とか、数多く、提案なのか質問なのか、言われました。

 冒頭申し上げましたように、十分これらを、どれが質問でどれが提案なのか分析して答弁をする余裕がありませんでしたので、私としては、今この場で聞いて、おっしゃった部分についておおよそは答弁をさせていただいた、このように思っているところです。

 以上、答弁とさせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣中野寛成君登壇〕

国務大臣(中野寛成君) お答えをいたします。

 日本の公務員制度は、明治維新以来百数十年、日本の近代化とそして発展のために大きく貢献をしてきたと思います。しかし、それから百年余り、制度疲労を起こしていることもまた事実であります。

 とりわけ最近は、公務員の皆さんがより一層使命感を持ってその豊富な英知と能力を存分に発揮する、言うならば、信賞必罰の精神がもっと旺盛であってほしい、また、そういう制度にしてほしいという御要請が強いと受けとめておりますし、そのためには、やはり、抜本的、総合的公務員制度改革が必要であると思います。

 また、渡辺議員御指摘がありました幹部人事については、おっしゃる御提案とは若干ニュアンスの違いはあるかもしれませんが、いずれにいたしましても、幹部人事の一元管理を初めとする人事制度の改革、あわせて、また一方では、労働基本権のあり方を含む抜本的な改革、これらのことを総合的に、今、鋭意検討を進めておりますが、この通常国会にその改革法案を提出する予定にいたしております。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 田中康夫君。

    〔田中康夫君登壇〕

田中康夫君 田中康夫です。(拍手)

 国民新党・新党日本は、平成二十三年度予算編成の過程で、政府及び民主党の方々と議論を重ね、文化振興予算は過去最高額に、沖縄振興予算は十年ぶりに前年度を上回りました。

 新しい公共のあり方を示す画期的な取り組みも、国家レベルで具現化します。

 その一つは、木製ガードレール設置を促進する、国土交通省道路局の、木の香る道づくり事業です。

 信州で誕生し、鋼鉄製と同じ強度の木製ガードレールは、間伐、製造から設置に至るまで、すべてを地域の企業が担当。鋼鉄製ガードレールに比べ、一キロ当たり五倍の雇用を地元に創出します。

 もう一つは、国土交通省河川局が調査費を計上する、鋼矢板を用いた堤防補強。

 日本の堤防は、土と砂だけの土堤。コンクリート壁から水がしみ込み、堤防内部は液状化現象を起こしがち。アメリカや韓国では、堤防の両肩から基礎まで、鋼の矢板を二枚打ち込み、仮に越水しても破堤しない補強を行っています。膨大な費用と歳月を要するダム建設と異なり、鋼矢板を用いた堤防補強は、地域密着型公共事業として、即時実施可能な治水。土堤原則からのコペルニクス的転回へと、日本の河川行政が踏み出します。

 内閣総理大臣菅直人さんの英断に敬意を表し、本日は、以下の提言と質問を行います。

 知事時代、商店街のしもた屋、集落の空き家を改修してデイサービスを行う宅老所に保育士を配置し、ゼロ歳児からの待機児童も預かる宅幼老所を、県単独事業で三百カ所余り開設しました。

 自宅の宅、幼児の幼、老人の老、場所の所と記して、保育と介護を行う宅幼老所。一つ屋根のもとに老いも若きも集い、元気のもとを分かち合う、これぞ、幼保一元化ならぬ、新しき老保一体化。世代分断型でない福祉のあり方です。が、現時点で宅幼老所が定着しているのは、長野、富山、佐賀の三県のみ。

 二万六千人に上る待機児童を解消するために計上された二百億円を活用し、政治主導で各都道府県に宅幼老所を設置すれば、国民も拍手喝采。そう思われませんか。

 へそくり預貯金者が他界し、金融機関の不労所得と化す休眠口座は、毎年、一千億円にも上ります。昨年十月の代表質問で、休眠口座の預貯金を金融機関から国家へと移譲する法改正を行い、それを元手に新しい公共施策を展開するイギリスを見習うべしと提言しました。その後の具体的検討状況をお知らせください。

 生命の源である水資源の保全と確保こそは、究極の安全保障。にもかかわらず、日本には公共財たる地下水を規定する法律すら存在せず、水源地の森林を買い占める外国資本も続出です。

 自由民主党の中川秀直さんを代表に、私も共同代表を務める超党派の水制度改革議員連盟は、水循環基本法の早期制定を目指し、具体的な法律案も既に策定済み。川端達夫さんが会長の民主党水政策推進議員連盟も、熟議の今国会でぜひとも制定をと歩調を合わせています。新しい公共をうたう菅さんの決断を求めます。

 読売新聞は、昨年十二月、「郵政改革法案 棚ざらしは国民利益に反する」と題する社説で、「もっと便利な郵便局への改革を求める国民の声に、国会は応えるべき」と言明。先送りせず、結論を出すことを国民は求めていると施政方針演説した菅さんの、郵政改革法案成立に向けての覚悟のほどをお話しください。

 最後に、増税で景気浮揚した国家は、古今東西、どこにも存在しません。増税よりも増収をもたらすのが、政治家の使命。

 特別会計を含む国家総予算二百七兆円の全面的組み替えと、徹底した無駄削減で新規政策の財源を捻出し、少なくとも四年間は消費税率を引き上げないとマニフェストで主張した民主党の約束を、国民は忘れていません。

 先日開催の政府・与党社会保障検討本部で、菅さんは、三十年後も持続可能な社会保障制度改革をと述べました。が、三十年後どころか、二十年後に、人口は一億一千万人へと千七百万人も、労働人口も六千五百万人から五千四百万人へと激減。その日本では、今や、四県に一県で、生活保護よりも最低賃金が低い不条理が生まれています。

 もとより日本は、貿易立国として開国済み。その日本を壊す国、壊国へと陥れるTPPよりも、きめ細かいFTAやEPAの締結で現状の至らぬ点を改善する、改める改国を。

 赤ちゃんから、おばあちゃん、おじいちゃんまで、すべての国民に分け隔てなく毎月一定額をお渡しする基本所得、ベーシックインカム導入も含め、創造的論戦、クリエーティブコンフリクトを予算委員会でも行えることを期待し、与党統一会派、国民新党・新党日本の代表質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣菅直人君登壇〕

内閣総理大臣(菅直人君) 田中康夫議員の方から、大変建設的な、また大変アイデアに富んだ提案をいただきまして、ありがとうございます。

 まず第一に、宅幼老所の整備について御質問をいただきました。

 高齢者、児童などが、ともに家庭的な雰囲気の中で、個々のニーズに応じたサービスを受けることができる宅幼老所と呼ばれる取り組みを、長野県、これは田中さんが知事をやっておられた県でありますから、この県などが実施しておられると承知をしております。

 御指摘の予算は、待機児童解消のための保育所の運営費や施設整備のために確保したものでありますが、こうした共生型サービスの推進は重要な方向であり、高齢者、児童などの各種施策による運営費や施設整備費などを生かしながら、地域の創意工夫ある取り組みを普及啓発してまいりたいと思っておりますので、こうしたものにどういう形で、ある意味、この組み合わせができるのか前向きに検討してみたい、このように思っております。

 次に、休眠口座の活用についてであります。

 これは私もお聞きをして、大変、ある意味、興味深いというよりも、できればそういう活用はあっていいのではないかと思っております。ただ、今のところ、若干読み上げますが、なかなか難しいという答弁書が出てきております。

 いわゆる休眠口座については、会計上、一たんは金融機関の収益として認識されているものの、実務上、預金者は権利を失うことなく、いつでも払い戻しが受けられることになっております。このような問題に加え、休眠口座の国家への移譲については、払い戻しの際の手続や金融機関の財務への影響などの多くの論点があって、慎重な検討が必要だ、こういう答弁書が事務方からは出ております。

 そういった意味で、私としては、こういった指摘も一方で踏まえながら、この制約を打ち破って休眠口座を活用できる道がないか、これは私の内閣としてもでありますが、ぜひ民主党としても、あるいは他の党の皆さんも、このような制約を超える方向をぜひ御検討いただきたいと私からも提案をさせていただきたいと思います。

 次に、水循環基本法の制定についてであります。

 御指摘の水循環基本法に関しては、超党派の国会議員を含む方々によって議論が行われてきていると承知しており、昨年夏に、水循環型社会の理念等について法制化に向けた案が策定されたと聞いております。

 その取り扱いについては、各党各会派においてしっかり議論をしていくことが必要であり、このような議論の中で、この話も私は大変興味深いと思っておりますが、今後の取り扱いが定まっていく、前向きな方向が出てくればいいと、私も努力をしたいと考えております。

 四番目、最後に、郵政改革関連法案についての御質問をいただきました。

 郵政改革関連法案は、郵政民営化によって生じた諸問題を克服し、郵政事業サービスが利用者の立場に立って郵便局で一体的に提供され、将来にわたり、あまねく公平に利用できることを確保するための法案であります。

 同法案については、昨年十二月、民主党と国民新党との間で、平成二十三年通常国会で予算成立後直ちに審議し成立させることとした、それで合意したところであり、今国会において速やかな成立を目指してまいりたい、このように考えております。

 それ以外でもいろいろと御指摘をいただきましたが、大変、ある意味、田中さんのすばらしい感性に基づく御意見でありまして、十分これからの政権運営に参考にさせていただきたいということを申し上げて、答弁とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

副議長(衛藤征士郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(衛藤征士郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  菅  直人君

       総務大臣    片山 善博君

       法務大臣    江田 五月君

       外務大臣    前原 誠司君

       財務大臣    野田 佳彦君

       文部科学大臣  高木 義明君

       厚生労働大臣  細川 律夫君

       農林水産大臣  鹿野 道彦君

       経済産業大臣  海江田万里君

       国土交通大臣  大畠 章宏君

       環境大臣    松本  龍君

       防衛大臣    北澤 俊美君

       国務大臣    枝野 幸男君

       国務大臣    玄葉光一郎君

       国務大臣    自見庄三郎君

       国務大臣    中野 寛成君

       国務大臣    与謝野 馨君

       国務大臣    蓮   舫君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官 藤井 裕久君


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