衆議院

メインへスキップ



第3号 平成25年1月31日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十五年一月三十一日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第三号

  平成二十五年一月三十一日

    午後二時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)


このページのトップに戻る

    午後二時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

議長(伊吹文明君) 前日に引き続き、国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。井上義久君。

    〔井上義久君登壇〕

井上義久君 公明党の井上義久です。

 私は、公明党を代表し、安倍総理の所信表明演説に対して質問をいたします。(拍手)

 まず、このたび、アルジェリアで発生したテロ事件により、世界の最前線で活躍する日本人が犠牲になったことは、まことに痛恨のきわみであり、亡くなられた方々とその御遺族、関係者の皆様に衷心よりお悔やみを申し上げます。

 残虐で卑劣なテロへの怒りを新たにし、テロ行為は断じて許されないと、断固として非難するものであります。

 このような悲劇が二度と繰り返されることのないよう、邦人の安全確保や危機管理に対する政府の取り組みを強化するとともに、邦人保護のあり方を含めた幅広い検討が必要です。特に、情報収集・分析体制の強化や関係国との緊密な連携を図るための外交基盤の強化が急務と考えます。安倍総理の見解を伺います。

 昨年十二月の総選挙の結果を受け、公明党は、自由民主党と連立政権合意を交わし、与党として政権の一翼を担うことになりました。

 このたびの選挙結果は、景気、経済や外交、安全保障など、まさに内政、外政ともに危機的な状況から日本を再建してほしいという国民の期待のあらわれにほかなりません。直近の各種世論調査を見ても、国民は安倍内閣に大きな期待を寄せており、まさに、危機突破内閣として日本再建の結果を出すことが強く求められています。

 自民党と公明党は、十年間の連立政権を経て、ともに野党を経験してきました。再び政権を担うに当たって、私どもは、国民の中にある多様な民意を重く受けとめる謙虚な姿勢を貫かなければなりません。

 公明党は、両党の信頼関係を基本としつつ、地域に深く根差した政党として、地方議員と国会議員のネットワークを通じて地域の実態や住民の皆様の声を真摯に受けとめ、日本再建の役割を果たしていく決意です。

 安倍内閣の最優先課題は、東日本大震災からの復興と福島の再生、そして景気・経済対策です。

 初めに、東日本大震災からの復興と福島の再生について質問します。

 間もなく大震災から二年を迎えますが、住宅再建や除染は遅々として進まず、今なお全国で三十二万人の方々が避難生活を余儀なくされています。一日も早く、被災者の方々が、住宅の再建や生活の再建など、復興を実感できる成果を出さなければなりません。

 総理は、内閣発足後、初の復興推進会議で、復興の司令塔である復興庁の体制強化や、五年間で十九兆円とする復興予算枠の拡大など、復興の加速化に向けた指示を次々と打ち出されました。

 ここで、改めて総理に、復興の加速に対する決意を伺います。

 福島は、原発事故の深刻な影響により、今なお多くの県民が長期の避難生活を強いられ、住宅や生活再建もままならない状況です。また、農林水産業や製造業、観光業など、あらゆる分野で厳しい状況が続いております。福島の再生には、国の責任で、長期的な視点に立った手厚い支援を講ずる必要があります。

 補正予算案には、原発事故避難住民の帰還促進や営農再開支援、福島県環境創造センターの整備等が盛り込まれました。また、二十五年度予算案においても、企業立地補助金や福島定住のための緊急支援交付金、長期避難者の生活拠点形成のための交付金等が盛り込まれています。福島の再生を加速させるためにも、予算の早期成立と執行が求められます。

 福島の再生にとって、最重要課題は除染です。

 ほとんどの地域で除染実施計画の策定を終え、除染事業に着手していますが、現地では、縦割り行政の弊害による複雑な手続や、住民、地権者との交渉、仮置き場の設置、作業員の確保など、さまざまな難題が絡み合い、思うように進まない現状にあります。

 それに加えて、生活圏以外の森林地帯、農業ダムやため池などの農業水利施設は、ほとんど除染が進んでおりません。また、本格的な除染の前提となる中間貯蔵施設や最終処分場についても、具体的な設置場所の見通しが立っていない状況です。除染を確実な軌道に乗せ、その迅速化を図ることが重要です。

 加えて、国直轄の除染事業で、手抜きなどの被災者の信頼を損ねる不適切な実態が明るみになりました。総理の指示のもと、環境省により再発防止策が講じられていますが、今後、市町村が進める除染においても、こうした問題が起こる可能性があります。全ての地域で再発防止策を徹底する必要があります。

 福島の再生と除染の加速について、総理の見解を伺います。

 被災者の方々の最も切実な願いは、住宅の再建です。

 多くの被災者が長期にわたり仮設住宅など不安定な環境での生活を余儀なくされ、いまだに先が見えないことから、不安や焦燥感が募っています。災害公営住宅の建設や高台移転など、いつ安定した住宅に入居できるのか、そのめどを示すことが必要です。

 住民の合意形成に時間がかかるなど、住宅再建には数々の障害がありますが、一つ一つを乗り越え、着実に成果を出していかなければなりません。住宅再建に向けた取り組みについて、総理の見解を伺います。

 復興を加速させるためには、被災自治体の職員の増員が欠かせません。特に、土木や建築を専門とする職員の増強がなければ、計画を具体化することはできません。

 被災地には、現在、全国各地から数多くの自治体職員が応援で駆けつけ、復興の推進力となっていますが、それでも人材は全く足りておりません。被災自治体からは、職員の増員や応援職員に対する処遇改善、心のケアを求める切実な声が上がっております。

 復興計画を前に進めるためにも、さらなる自治体職員の増員とその処遇について急ぎ取り組むべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 被災地では、町中にうずたかく積まれていた瓦れきこそ撤去されつつありますが、住宅などの建築物の基礎部分はいまだにむき出しのまま、荒涼とした景色が広がっております。そうした中で、ようやく始まったと思った工事も中断や完成時期の延期を繰り返し、今なお復興を実感するにはほど遠い状況にあります。

 その原因の一つは、昨年秋以降顕著となった、資材や人手の不足が深刻化していることです。資材の中でも、特に生コンの不足が深刻です。復興需要の本格化を前に、需給は一層逼迫しております。人手も、昨年九月ごろから不足が顕在化し、特に主任技術者や技能労働者の不足は深刻です。

 昨年四月から十一月の入札不調の発生割合は、仙台市で四九%、宮城県で三六%にも上り、港湾工事のような大規模工事でも不調が相次ぐなど、改善の兆しは見えません。こうした資材や人手の不足が復興の進捗の妨げとなることは明らかです。

 太田国土交通大臣は、年頭から現地に赴き、対策の必要性についていち早く言及しておられます。復興予算を早期に執行し、復興計画を進めるために必要な資材や人手の確保について、具体的な対応策を伺います。

 次に、成長戦略について伺います。

 公明党は、金融政策と需要創出策を車の両輪として、まずは早急に十兆円規模の補正予算を編成すべきと主張、エネルギーや医療など今後成長が期待される分野への投資を加速する一方、防災・減災対策を集中的に行うことで地域の雇用を守るなど、具体策を提案してきました。今回の補正予算には、そうした公明党の主張が基本的に盛り込まれており、評価するものです。

 デフレから脱却し、経済成長を実現するためには、総理が所信表明演説で述べられたように、大胆な金融政策、機動的な財政政策に加え、民間投資を喚起する成長戦略を着実に進めることが肝要です。

 成長戦略の柱の一つが、新技術による省エネルギーの促進、再生可能エネルギーの普及拡大、火力発電の高効率化です。中でも再生エネルギーの普及拡大には、送電網の整備とともに蓄電池の導入促進が重要であり、さらなる政策的な支援が必要と考えます。

 公明党は、東京電力福島第一原発事故を直視し、たび重なる党内議論を経て、原子力に依存しない社会を目指すことを決定いたしました。自公連立政権合意では、可能な限り原発依存度を減らすと明記され、原発依存度の低減は、この内閣が取り組むべき大きなテーマの一つであります。その意味でも、再生可能エネルギーの普及拡大に思い切った投資を行うべきです。

 再生医療などの成長分野の育成には、研究開発への支援と、いち早い実用化に向けた規制改革が不可欠です。総理は、改革の成果が不明確であった行政刷新会議を廃止し、規制改革会議を復活させました。幅広い規制改革分野の選定と、会議の決定事項が、総理指示として確実に規制改革につながるような体制を整備すべきと考えます。

 また、補正予算案には、ベンチャー企業への投資を促進するため、産業革新機構への出資が盛り込まれています。官民ファンドの活用は、政府の経済再生への明確な決意のあらわれであり、その効果が期待されます。政府の一方的な出資とならないよう留意するとともに、出資先企業の経営状況の確認など、十分なチェック機能が果たされるよう求めます。

 以上、成長戦略について、総理の見解を求めます。

 中小企業対策について伺います。

 公明党は、中小・小規模企業の経営力、競争力の強化のための支援体制の拡充や、経済成長の担い手として期待される女性や若者などの創業や再就職支援を通し、地域経済を活性化するよう主張してきました。

 今回の補正予算案にはその主張がほぼ反映されており、施策の着実な実行と、補正予算と平成二十五年度予算を合わせた十五カ月予算による切れ目のない対策が不可欠と考えます。予算の執行に当たっては、支援施策を事業者が利用しやすいよう、各種の相談窓口の案内など、広報活動を強化するとともに、支援が事業者の満足につながるような取り組みが重要だと考えます。

 中小企業金融円滑化法については、出口戦略として公明党が提案し補正予算に盛り込まれた経営改善計画策定支援や事業再生支援体制の強化、セーフティーネット貸し付け等の拡充による資金繰り支援など、中小企業再生のための政策手段を総動員するとともに、厳しい経済状況の中で、それらの施策が効果を発揮するまでの間、半年程度の延長も含めて検討すべきと考えます。総理の見解を伺います。

 農業政策について伺います。

 我が国の食料自給率は、近年、カロリーベースで四〇%前後と低迷しており、国民の命を支える食料の六割強を海外に依存しております。食料安全保障の観点からも自給率を向上させることが重要であり、そのためには農業の活性化が不可欠です。

 農業は、国の基であり、国民の命を支える生命産業です。その農業を守るとともに、農業の可能性を最大限に引き出すために、攻めの農業に挑戦する必要があります。

 その第一は、新規就業者の育成、定着支援です。

 農業従事者は平均年齢が六十五歳を超え、後継者不足が深刻な反面、若者がチャレンジできる成長分野としての潜在力を秘めています。新規就業者の就業前研修の充実や農地確保支援、ビジネス展開への積極的な支援など、切れ目のない対策により、安心して農業を始められる環境を整備すべきです。

 次に、経営安定対策についてです。

 農家の所得補償制度は、固定部分を維持しつつ、変動部分については農家からの拠出を伴う経営所得安定対策へと見直し、法制化を図るべきと考えます。

 農産物の輸出支援については、海外市場の拡大に向け、国産農産物の輸出促進対策を拡充するとともに、輸出を目指す産地、農業者に対する情報提供を積極的に行うことが重要です。

 民主党政権下で、農業の生産基盤である農地や水利施設を維持管理するための予算が大幅に削減されました。農業水利施設の老朽化への対応や防災・減災対策など、必要な予算を確保し、農業基盤整備の充実を図るべきです。

 二十四年度補正予算案においては、農業農村整備事業の拡充を初め、新規就業・人材育成支援対策や輸出促進対策などが盛り込まれ、攻めの農業が着実に前進することが期待されます。

 農林水産業のさらなる活性化のため、今後一層取り組みを強化すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。

 社会保障と税の一体改革について伺います。

 三党の合意に基づき、昨年十一月、社会保障制度改革国民会議の議論がスタートしました。衆議院が解散し、各党が選挙戦にしのぎを削るさなかに、自民、民主、公明三党の実務者協議を経て国民会議の議論を開始したことは、社会保障が国民にとって重要なインフラであり、高齢化の中でその改革が待ったなしであること、そして、その社会保障を政争の具にはしないという三党の決意のあらわれであると確信します。

 本年八月二十一日までという限られた期日の中で確実に成果を上げていけるよう、国民会議における徹底した議論をお願いするとともに、それと並行して三党における実務者協議を進め、国民の期待に応えられる社会保障制度改革をなし遂げていくべきです。

 社会保障と税の一体改革に向けた三党合意の意義並びに社会保障制度改革に取り組む総理の決意を伺います。

 次に、税制改正について伺います。

 与党の平成二十五年度税制改正大綱では、社会保障と税の一体改革に引き続き、消費税の引き上げに対応するための措置や、緊急経済対策と連動して、民間投資や雇用を喚起し、持続的成長を促すための政策税制、東日本大震災からの復興に対応する税制上の措置など、現下の諸課題に対応した税制改正を着実に実施することとしております。

 消費税引き上げに伴う軽減税率については、消費税率の一〇%引き上げ時に軽減税率制度を導入することを目指す、具体的な制度設計については、本年十二月予定の二〇一四年度与党税制改正決定時までに、関係者の理解を得た上で結論を得ることが盛り込まれました。

 公明党は、消費税に対する国民の理解、納得を得るためにも、軽減税率の導入は必須であると考えます。政府においても、本年十二月予定の来年度税制改正決定時に向けて、軽減税率導入のための検討を早急に開始し、与党税制協議会に積極的に協力すべきです。麻生財務大臣の答弁を求めます。

 財政の健全化への取り組みについて質問します。

 前政権が掲げた、当面の財政健全化の目標であるプライマリーバランスの半減、黒字化は、国際約束であり、実現に向けて努力すべきです。長期的には、国、地方の債務残高の対GDP比を安定させ、さらに引き下げるための政策努力が欠かせません。

 しかし、財政健全化は経済成長と車の両輪であり、緊縮一辺倒の硬直的な財政政策に縛られて景気を後退させてしまえば、むしろ財政健全化を遠ざけてしまうことになります。柔軟、弾力的な対応が必要です。

 強い経済をつくる、そして財政健全化も同時に達成していく、この難しい課題に果敢に挑戦していくことが、安倍内閣の使命であると考えます。総理の財政健全化に向けた決意を伺います。

 道州制について伺います。

 地域主権型道州制導入で中央集権的な統治機構を抜本から改めることにより、住民本位の効率的な行政を行うことに加え、地域の活力を促すことができると考えます。

 公明党は、道州制の基本的な仕組みを、国、道州、基礎自治体の三層構造にすべきと考えます。

 道州は、現在の都道府県より広い区域とし、国から移譲された権限と都道府県から承継した事務を処理。基礎自治体は、市町村の区域を基礎として、同じく従来の市町村の事務及び都道府県から承継した事務を処理しますが、住民に身近な事務は、国、都道府県から基礎自治体に大幅に承継することを基本とします。

 国の役割は、国家の存立の根幹にかかわること、国家的危機管理その他国民の生命と財産の保護、国民経済の基盤整備や国際社会の変化に戦略的に対応する事項などに限定します。それ以外は道州に広く権限を移譲するとともに、国、地方の行政組織を簡素化します。

 これにより、国家公務員及び国会議員の大幅削減が可能となり、また、国と地方、道府県と指定都市に顕在化している二重行政の解消にもつながります。

 まずは、早急に仮称道州制基本法を制定し、内閣に道州制推進本部を設置すべきです。本部長には内閣総理大臣が就任し、諮問機関である道州制国民会議において、約三年をかけて国民的な幅広い議論を集約した上で、その後二年をめどに、道州制移行に向けた必要な法的措置を講ずるべきと考えます。道州制について、総理の見解を伺います。

 TPPについて伺います。

 TPPについては、アジア太平洋自由貿易協定、FTAAPの実現に向け、これまで日本が推進してきた日中韓、ASEANプラス3、ASEANプラス6など、広域経済連携との関係性、整合性を含め、我が国のFTA戦略の全体像を描くことが重要です。

 前政権下において、TPPはFTAAPへの一里塚と位置づけられたものの、そのプロセスは明確ではありません。

 また、TPPに関する適切な情報提供がなされず、国民的な議論も不十分で、国益に関するコンセンサスもできておりません。

 国民の間には、農業への影響や食の安全などについて強い懸念があります。また、TPPは、包括的な経済連携協定であり、農業ばかりではなく、医療、保険、金融、電気通信サービスなど、広く国民生活に影響を及ぼす可能性があります。

 したがって、まずは、国民に十分な情報提供を行い、国民的な議論を深め、その上で国益にかなう最善の道を求めるべきと考えますが、総理の答弁を求めます。

 外交、安全保障について伺います。

 前政権における外交の弱体化が、近隣諸国との関係を悪化させ、東アジア地域の不安定化を招いたことは周知の事実であり、外交の再建は、安倍内閣に課せられた最重要課題の一つです。我が国の外交、安全保障の基軸である日米同盟をより強固なものとしつつ、中国や韓国など、近隣諸国との関係を早急に改善することが、我が国のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定を築く上で極めて重要です。

 総理は、最初の外遊先として、ベトナム、タイ、インドネシアの三カ国を歴訪されました。訪問先のジャカルタで、対ASEAN外交五原則を発表されました。当初予定されていた外交演説での発表は、アルジェリアのテロ事件を受けて中止となり、インドネシア大統領との共同会見での発表になりました。五原則で示された東南アジア諸国との連携重視は、極めて重要です。

 総理の外交全般に対する基本方針と、東南アジア諸国歴訪の意義や成果について伺います。

 最後に、現在、我が国は、世界に例のない速さで進む少子高齢化や、長引くデフレと円高がもたらした産業の空洞化、いつ起きてもおかしくない巨大地震や大規模自然災害の脅威、さらには東アジア近隣諸国との外交・安全保障問題など、困難な課題に直面しています。

 これらの課題を乗り越えてこそ初めて、総理が所信表明で述べられた、世界じゅうから投資や人材を引きつけ、若者もお年寄りも、年齢や障害の有無にかかわらず、全ての人々が生きがいを感じ、何度でもチャンスを与えられる社会を実現することができると考えます。そのためには、政治が課題解決に向けた幅広い国民の合意をつくり、国民の力と英知を結集しなければなりません。

 我が党は、来年二〇一四年に結党五十年の節目を迎えます。公明党には、大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいくという立党の精神があります。

 政治は国民のためにあり、大衆とともにという精神に立てば、私は、政治が幅広い国民の合意をつくり、国民の力と英知を結集して困難を乗り越え、日本再建を果たすことができると確信いたします。

 公明党は、その先頭に立って闘うことをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上義久議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、邦人保護のあり方等についてお尋ねがありました。

 海外において邦人が安心して活動できるよう、アルジェリアにおけるテロ事件への対応の検証をしっかりと行い、平素からとるべき対応、及び、危機が発生した場合に在留邦人等を保護するための対策の検討に、政府一丸となって迅速に取り組んでまいります。

 さらに、御指摘の情報収集・分析体制や外交基盤の強化についても、検証作業も踏まえ、迅速に取り組んでまいります。

 復興の加速と福島の再生についてのお尋ねがありました。

 復興は内閣の最重要課題の一つであり、閣僚全員が復興大臣であるとの認識のもと、新しい東北の創造と福島の再生の加速に向けて、全力で取り組む決意であります。

 御指摘のように、一昨日の復興推進会議で、五年間の復興予算フレームの二十五兆円への増額、住宅再建工程の明示やマンパワー不足対応の強化、福島の復興や再生に関する新たな支援制度の創設などを決定しており、これらを踏まえて、今年度補正予算案に加え、来年度予算案において必要な予算を計上しております。

 各党の御協力のもと、これら予算の早急な成立に努め、着実に実施することにより、現場主義で被災地の復興を加速してまいりたいと考えております。

 除染についてのお尋ねがありました。

 除染を加速するため、復興や除染等が縦割りや現場から乖離して行われている福島の現状を打破することが必要であります。

 このため、今月、根本復興大臣と石原環境大臣のもとに、関係府省の局長クラスを集めて、除染・復興加速のためのタスクフォースを設置しました。

 さらに、あす、福島復興再生総局を設置して、福島、東京二本社体制にすることとしたところであります。

 政府一丸となって、縦割りの排除と、現場主義で取り組める体制を構築します。

 生活圏以外の森林や農業水利施設の除染についても、今回の補正予算案に盛り込み、農林水産省と環境省が連携して、営農再開等に向け、新たに実証事業を開始します。

 また、福島の除染を推進するため、まず、中間貯蔵施設の設置に道筋をつけることが極めて重要であり、地元の皆様の理解を得るよう努めるとともに、必要な現地調査を迅速かつ丁寧に進めます。

 国が行う除染事業の手抜き工事の指摘については、私からも指示を行い、環境省において除染適正化プログラムを取りまとめ、再発防止に取り組んでいます。同時に、市町村が行う除染についても、地元や市町村の目線を生かしながら、適正な除染が確保されるよう、国としても支援してまいります。

 被災地の住宅再建についてお尋ねがありました。

 被災地の住宅再建の加速化に向け、これまで国としては、被災自治体に対するマンパワー対策など、被災自治体のまちづくり事業などが円滑に進むよう、さまざまな施策に取り組んでいるところであり、今後もさらなる充実に努めてまいります。

 その一環として、補正予算において、津波被災地域における住民の定着促進のため、震災復興特別交付税を増額することとしております。

 これらに加え、仮設住宅で不便な暮らしを余儀なくされている被災者の方々への住宅再建の見通しを提示することは重要と考えており、できる限り早期に工程表と住宅戸数の年度別目標を明示し、事業のスピードアップへの取り組みを進めてまいります。

 被災自治体における職員不足等についてお尋ねがありました。

 被災自治体における職員不足等への対応については、復興の加速化を進めるに当たり、大変重要な課題です。

 復興に携わる職員体制の充実と処遇の改善に向け、今後も、被災自治体の要望を伺いながら、地方団体とも協力して、最大限の支援をしてまいります。

 成長戦略についてのお尋ねがありました。

 日本経済再生に向けて、成長戦略を年央までに取りまとめたいと考えています。

 この成長戦略の中では、戦略分野の一つとして、クリーンかつ経済的なエネルギー需給の実現を取り上げています。この中で、できる限り原発依存度を低減させていくという方向に向けて、省エネルギー、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電等の効率化、石油、天然ガス等の資源確保等について、予算の重点配分や、関連する規制・制度改革を最大限進めてまいります。

 規制改革については、雇用関連、エネルギー・環境関連、健康・医療関連を重点分野として指定し、経済再生に資するものから優先的に大胆な改革を推進するよう指示をしたところであります。

 規制改革会議の決定につきましては、政府として閣議決定等を行うとともに、全閣僚から成る日本経済再生本部と連携協力をしつつ実行してまいります。

 官民ファンドについては、十分な審査体制及びリスク管理体制のもとで、民間主導で投資案件の目ききを行うとともに、出資後は、出資先企業の経営支援やモニタリングなど、各ファンドの特徴を生かした収益性確保やリスク管理を図り、十分なチェック機能を果たしてまいります。

 中小企業対策についてお尋ねがございました。

 中小企業、小規模事業者は、日本経済の足腰を強くし、地域経済と地域の雇用を支える重要な存在であります。

 今回提出する補正予算案では、公明党の御意見も取り入れ、経営支援体制の強化、女性や若者の創業や就職支援などの措置を講じることにしています。

 予算の執行に当たっては、中小企業、小規模事業者の立場に立ってきめ細かく広報していくとともに、丁寧なニーズの把握や使い勝手の向上、しっかりとしたフォローアップを行い、満足いただけるよう最大限努めてまいります。

 中小企業金融円滑化法についてのお尋ねがございました。

 中小企業金融円滑化法については、期限が到来しますが、期限到来後も、貸し付け条件の変更等や円滑な資金供給に努めるよう金融機関を促すとともに、借り手企業の経営改善支援や事業再生支援を強力に推進することが重要と考えます。

 このため、政府としては、緊急経済対策に盛り込まれた、中小企業金融円滑化法の期限到来後における検査監督の方針の明確化、認定支援機関による経営改善計画策定支援、経営支援と一体となった資金繰り支援などの総合的な施策を積極的に推進してまいります。

 農林水産政策についてのお尋ねがありました。

 農林水産業は、地域の経済を活性化するために重要な産業であります。攻めの姿勢で、農林水産業が有している潜在力を引き出すことが必要であります。

 このため、当年度補正予算や来年度予算において、新規就農者の確保、育成、輸出拡大や日本食の海外発信、農業水利施設の長寿命化等の基盤整備の充実などを図るとともに、戸別所得補償制度の名称を経営所得安定対策に変更し、将来に向けた新たな仕組みの検討を行ってまいります。

 今後、攻めの農林水産業を加速化するため、農林水産省に設置させた、攻めの農林水産業推進本部において、さらなる具体化を進めてまいります。

 社会保障改革に向けた三党合意の意義と改革への決意についてお尋ねがありました。

 自民、公明、民主の三党合意は、少子高齢化が進展する中で、安定財源を確保しながら、持続可能な社会保障制度を構築し、暮らしの安心を取り戻すためにも重要であり、これに基づき、社会保障・税一体改革を推進します。

 引き続き、三党間の協議を進めるとともに、社会保障制度改革推進法に基づき、国民会議で精力的に議論するなど、改革の具体化に向けて取り組みを進めてまいります。

 財政健全化への取り組みについてのお尋ねがありました。

 強い経済の再生なくして、財政の再建も日本の将来もないと考えております。

 日本経済再生に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を一体として実行してまいります。

 同時に、財政健全化目標を踏まえ、来年度予算において公債発行額をできる限り抑制するとともに、社会保障・税一体改革を継続し、中長期的に持続可能な財政の実現を図ってまいります。

 今後、経済財政諮問会議において、財政健全化と日本経済再生の双方を実現する道筋について検討を進めてまいります。

 道州制についてお尋ねがありました。

 道州制の導入は、地域経済の活性化や行政の効率化などを目指し、国のあり方を根底から見直す大きな改革であります。

 御指摘の道州制基本法については、早期の制定を目指し、与党において議論が行われております。今後、政府としても、連携を深め、取り組んでまいります。

 TPPについてお尋ねがございました。

 自由貿易の推進は、我が国の対外通商政策の柱であります。力強い経済成長を達成するためには、自由貿易体制を強化し、諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があります。

 他方、聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉には参加しません。

 TPPについては、政府としては、まず、これまでの協議の内容、TPPに参加した場合に生じ得るさまざまな影響等も含め、しっかりと精査、分析をします。その上で、自民党、公明党で合意したとおり、国益にかなう最善の道を求めてまいります。

 また、状況の進展に応じて、しっかりと国民の皆様に情報提供をしてまいります。

 外交の基本方針と、東南アジア訪問の意義や成果についてのお尋ねがありました。

 外交は、二国間関係だけを見るのではなく、世界地図を俯瞰するような視点で、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値に立脚し、戦略的に展開をしていく必要があると考えます。

 先般、そのような戦略的外交の皮切りとして、日・ASEAN友好協力四十周年の初めに当たり、東南アジア三カ国を訪問しました。

 成長センターとして発展を続けるASEAN諸国との協力関係を強化していくことは、この地域の平和と繁栄を確保していく上で不可欠であります。この訪問を通じ、各国首脳との信頼関係を深め、戦略的協力関係を強化することができたと考えております。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 復興予算の早期執行に必要となる資材や人材の確保についてお尋ねがございました。

 御指摘のとおり、被災地では、資材や人材の不足と、それに起因する入札不調が生じており、復旧復興事業を円滑に実施する上で、その解決は重要な課題と認識をしております。

 そのためには、資材や人材をできる限り効率的に活用するための取り組みを進めていく必要がございます。

 具体的には、人材の不足について、地域内外の建設企業で結成するJV制度の活用などに取り組んでいるところであります。また、地元企業の受注機会に配慮した発注ロットの大型化や人材配置の工夫により、技術者、技能者の効率的活用を図っているところであります。

 生コンなどの資材の不足については、原料の広域的調達やプラント増設などの対策を進めていく必要があると考えております。

 今後とも、被災地の実情や要望を的確に酌み取りながら、被災者の方々が復興の加速を実感できるよう、全力で取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 井上議員から、消費税の軽減税率の検討についての御質問を頂戴しました。

 政府といたしましては、今般の与党の税制改正の大綱を踏まえまして、軽減税率の導入に当たって起きるであろうさまざまな課題について検討を加えてまいらなければならないと考えております。

 与党における議論を踏まえながら検討すると同時に、与党における調査等々、検討がこれからなされると伺っておりますが、その必要な協力は当然のこととして行ってまいりたいと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 渡辺喜美君。

    〔渡辺喜美君登壇〕

渡辺喜美君 みんなの党代表渡辺喜美であります。(拍手)

 アルジェリアにおける人質事件で邦人十名のとうとい命が失われたことは、まことに残念であり、心から御冥福をお祈りいたします。御遺族の皆様には、心からお悔やみを申し上げます。

 今回の事件を検証の上、国民の生命、自由、財産を守る国家本来の業務に欠けるものがあれば、それを正していかなければなりません。

 在アルジェリアの日本大使館が独自の情報収集ができていなかったことが明らかになりました。外国政府の情報にばかり頼るのではなく、我が国自前のインテリジェンス機能を強化する必要があると考えますが、総理のお考えを伺います。

 次に、現在の犯罪被害者支援法では、邦人が今回のように海外においてテロ事件等に巻き込まれた場合は、救済の対象となっておりません。同法の適用対象の拡大等、邦人保護の枠組みやテロの犠牲者の救済のための制度の創設も必要であると考えます。

 みんなの党は、犯罪被害者支援法の適用対象の拡大を中心に法案を準備しております。総理には、ぜひ御賛同いただきたく存じます。

 補正予算案について、みんなの党は、昨年秋口に、十兆円規模の大型補正の提案を既に行っております。マクロ経済政策の規模としては、今回の補正は適正であると考えます。一日も早い実施が望まれます。

 問題は中身であります。霞が関に丸投げをし、霞が関が選んだ対象、分野に予算をばらまくというこれまでのやり方で、持続可能な経済成長につながるとお考えでしょうか。

 かつて、NTTの株式売却代金を原資とした産業投資特別会計は、二千八百億円の出資金の大半が戻ってきておりません。小泉内閣のとき、財政投融資は、投資をとって財政融資に整理をし、投資は限定的にいたしました。今回は、まさに、小泉内閣以前の霞が関を取り戻す中身になっております。

 霞が関がお金をばらまくのではなく、民間の底力を引き出し、新事業の創出やイノベーションにつなげられるような投資減税や規制改革、制度改革をまず考えるべきではないでしょうか。

 民間の投資の促進に必要なのは、投資をしやすい環境の整備であります。

 みんなの党は、租税上の償却期間の設定は企業の自由に任せる自由償却制度を提案しております。その上、大胆な規制改革を進めれば、民間の余剰資金が動き始めます。総理の御所見を伺います。

 自民党は選挙で勝った御礼のために公共事業のばらまきをやるんだと言われないためには、全ての公共事業プロジェクトで、費用対便益、補修・修繕費の割合を公表すべきであります。できるでしょうか。

 補正予算フレームを見ると、既定経費の減額によって財源に充てているように見えます。しかし、この経費減額の大半は、実勢以上に高く設定した金利分であり、まやかしであります。

 また、一般会計から国債整理基金特別会計に対する定率繰り入れをやめれば、震災復興財源は簡単に捻出できます。かねて我々が指摘してきたところ、頑として認めなかったのに、新年度は定率繰り入れした国債整理基金七兆円を取り崩すという。

 安倍政権がみんなの党の政策をぱくるのは結構です。いっそのこと、定率繰り入れなしの世界標準を採用されたらいかがでありましょう。

 震災復興特別会計の補正予算フレームには、歳出の中に、来年度の復興財源の追加、復興債の償還が入っております。復興債の償還などまだずっと先の話なのに、なぜこれが計上されているんでしょうか。

 こうした無駄な予算を積み上げておきながら、一方で増税を強行するというのは、本末転倒ではありませんか。総理の御所見を伺います。

 また、ファンドへの支援やファンドの拡充が盛り込まれていますが、いわゆる官民ファンドは、投資先の審査の甘さや、投資のための投資を行う傾向があるため、資金が毀損する可能性が極めて高く、政策的効果はほとんど期待できないことは、これまでの実例を見れば明らかであります。なぜ、その過ちを繰り返そうとしているのでしょうか。

 我が国の長期デフレの原因は、財政金融一体政策ができなかったという国家経営の失敗であります。マクロ経済政策としてのアベノミクスの実現のためには、大胆な金融緩和が不可欠です。

 しかし、政府と日銀が出した共同声明には何の法的根拠もなく、共同声明の内容や二%の物価安定目標を達成できなかった場合に責任を問う仕組みがありません。やはり、日銀法を改正して、政府と日本銀行の協定に法的な根拠を持たせ、目標を達成できなかった場合に、日本銀行総裁に責任を問えるようにすべきであります。

 総理、将来などと言わずに、今国会で日銀法を改正しようではありませんか。みんなの党は、雇用の最大化も含めた日銀法改正案を安倍総理にプレゼントいたします。

 また、大胆な金融政策を実行するためには、日本銀行の総裁及び副総裁の人事についても、これまでのやり方を大きく転換することが必要であります。

 そして、具体的なふさわしい人材の最低条件は、まず、マクロ経済学の博士号、PhDを保有していること、英語が堪能であること、そして、危機管理を含めたマネジメント能力があることであります。

 財務次官OBや日銀OBといった役所の人事による天下りでは、大胆な政策への転換は不可能であります。総理は、アベノミクスを実行できる、天下りではない人材を登用されると考えてよろしゅうございますね。御見解を伺います。

 自民党は、その政権公約において、天下りの根絶を掲げておられます。

 しかし、自民党への政権交代が決まった昨年十二月、日本郵政株式会社の社長に就任した坂篤郎氏は財務省OB。前任の齋藤次郎氏も大蔵省次官OBです。日本郵政の社長は、財務省からの天下り固定ポストにするおつもりなのでしょうか。

 平成二十五年度予算案における約五兆二千八百億円にも上る公共事業関係費と補正予算案の約五兆円を加えれば、公共事業費は、昨年度当初予算に比べて約六兆円近くふえています。

 景気対策としての公共事業の効果は、カンフル剤的なものでしかなく、長続きいたしません。そもそも、その実施に必要な資材や専門人材、土地には限度があり、これだけの規模の事業を一気に実行することなど極めて困難であります。本当にこの予算が消化できるのでありましょうか。

 農業基盤整備等に六千億円近い金額が計上されています。

 農業の体質強化をするためには、農地の流動化や規模拡大を進め、農業の生産性を高めること、そして、農地法等の規制改革が必要であります。

 みんなの党は、株式会社の農地取得を解禁し、農地のゾーニング規制は、むしろ厳しくすることを提案しております。農業を成長分野にしようとするなら、なぜ株式会社の農地取得を認めないのでしょうか。

 尖閣諸島をめぐって日中関係の緊張が高まる中、日米同盟を、経済も含めて多角的に強化していくことが極めて重要であります。

 総理は、TPPの戦略的位置づけについて、どうお考えでしょうか。

 参議院選挙までに方向性を示すとされておられますが、交渉参加の時期が遅くなればなるほど、国際的なルールづくりに関しては、我が国が不利な状況に立たされてしまいます。総理が来月アメリカに行ってオバマ大統領と会談される際に、TPP交渉への参加を表明されてはいかがでしょうか。

 自民党内の守旧派におもねるのではなく、TPP交渉参加をきっかけに、政策の大転換のできる安倍総理のリーダーシップを発揮されて、抵抗をはねのけて改革を進めていただきたい。

 農協改革も必要です。

 もうからない農家の数が多いほど農協がもうかる仕組みに成り下がっている現状はおかしい。本業の経済事業が赤字で、金融保険事業の黒字をもって補填する構造は、農家の犠牲において農協経営が成り立っていることを意味します。持続可能性はありません。

 総理は、農協の三事業一体体制を見直すお考えはございませんか。

 産業競争力会議の資料には、新ターゲティングポリシーという枠組みが出てまいります。これは、育てるべき産業分野を政府が特定する、役人が決めるということであります。

 役人による戦略産業分野の特定は、うまくいったためしがありません。むしろ、なすべきは、民間企業の活動を制約する障害を取り払い、自由に活動できる幅を広げることです。規制改革はその鍵です。

 電力や医療等の規制改革に取り組む総理の姿勢を伺います。

 まず、電力の自由化について。

 発送電分離を徹底し、電力小売の新規参入を促進する環境を整備し、これにスマートグリッド等の技術を組み合わせれば、分散型の電力供給体制の構築も可能になり、再生可能エネルギー関連等の新しい事業の創出につながるとともに、原発ゼロを実現することが可能になります。総理の御見解を求めます。

 次に、混合診療の解禁について。

 保険診療と保険外診療の併用を可能とすることは、先端医療分野、医療機器関連分野の成長に資するばかりでなく、混合診療が認められないため治療が困難とされてきた患者に救済の道を開くことにつながります。さらに、医薬品や医療機器の承認手続の迅速化が促進され、世界最先端の医療機器や医薬品が速やかに国内で使用できる体制を整えることができるようになります。

 難病と闘ってこられた安倍総理の率直な見解をお聞かせください。

 第一次安倍内閣においては、国家公務員制度改革は最重要課題の一つに掲げられていました。

 その後、私が担当した国家公務員制度改革基本法では、五年以内に改革を終了することになっており、その期限がことしの七月に来るのであります。しかし、信じがたいことに、まだ何一つ改革が進んでいないという現状です。

 野党時代の自民党は、みんなの党と共同で国家公務員制度改革関連法案を国会に提出いたしました。

 総理、第二次安倍内閣が公務員制度改革にかける決意と、その中身を教えてください。政府がやらないのであれば、今国会においても、自民党と共同で関連法案を提出し、成立に向けて御尽力いただけると考えてよろしゅうございますね。

 また、道州制は、まず地域主権改革を行い、国の出先機関、地方支分部局を廃止し、その権限、財源、人間の三ゲンを地方公共団体に移譲することが必要不可欠であります。それがなければ、官僚主導型の道州制になってしまいます。

 総理は、地方支分部局の廃止についてどうお考えでしょうか。みんなの党は、既に道州制基本法案を昨年提出いたしました。地域主権型道州制を導入する御決意をお聞かせください。

 みんなの党は、税と保険料の一体改革を訴えております。

 まず、歳入庁の設置による、徴収漏れの防止と収入の増加、社会保険料支払い額の上限の撤廃及び社会保険料率の統一によって、給付と負担の適正化を図ることであります。歳入庁を設置して推定十兆円からの保険料の徴収漏れをなくせば、消費税の増税の必要はありません。また、七つも八つもある税や保険料の窓口を一本化することができ、国民の利便性向上や行政改革につながっていきます。

 みんなの党は、歳入庁設置法案を提出いたします。総理の御見解を伺います。

 増税を強行すれば、さらなるデフレの長期化につながっていきます。総理、増税の前にやるべきことをもう一度御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 我が国は、先進国の中で唯一、選挙期間中にインターネットを活用することが許されておりません。

 今や、インターネットを使って政党や政治家が情報発信を行うことは当たり前、有権者も政治に関する多くの情報をインターネットを通じて入手しています。このような実情に鑑みれば、一日も早く選挙におけるネットの活用を解禁すべきであります。

 みんなの党のネット選挙解禁法案を昨年暮れに提出いたしました。安倍総理の御決意を伺います。

 さて、国際的な子供の拉致とも言える連れ去りについて定めた条約、いわゆるハーグ条約について、既に八十九カ国が批准をしており、我が国も批准に向けて準備が進められています。

 総理、いつまでに批准なされるのでありましょう。

 国際的にそれを認める以上、国内でも同様の規定を整備すべきであります。その際に、国外と国内を別々の基準、ダブルスタンダードによって運用されることがないようにすべきであります。

 例えば、監護者が確定した場合の一方の親との面会交流については、欧米では年間百日程度で運用されていますが、我が国では、月に一回、施設の中で二時間という運用がなされている状況です。いかがでしょうか。

 原発事故から二年近くが過ぎた今、政府の務めは、汚染によって自分の家や土地から引き離された無辜の市民に対して、最優先でその資産価値を保障することではありませんか。

 みんなの党は、汚染地域の資産を借り上げ、買い上げて、自然エネルギーの生産拠点や除染の実験施設等として活用する法案を国会に提出いたしました。

 帰れない地域の方々に、除染を待って帰るか、移転をして新しい生活を始めるか、選択できる経済的条件を保障する仕組みを直ちにつくるお考えはおありでしょうか。

 みんなの党は、一昨年、子どもと妊婦を放射能被害から守る法案を取りまとめ、各党に呼びかけ、参議院に全会派一致で提出、昨年六月に子ども・被災者支援法が成立をいたしました。

 同法五条では、政府は、被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針を定めなければならないとされています。しかし、六月に施行されたにもかかわらず、いまだに基本方針が制定されておりません。

 福島にとどまっている子供たちは、不安に満ちた生活を送っています。被災者の声を反映させた基本方針を速やかに制定し、必要な予算を措置して、早急に支援を実施すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 除染事業について、福島県とそれ以外の都道府県において適用基準が異なり、福島県と同様に比較的線量の高い地域であっても、必要な補助金が交付されず、実施ができない状況にあります。

 原発事故は福島県内で発生しましたが、その影響は、福島県内にとどまらず、地理的な状況や気象条件によって、周辺の都県に膨大に広がってしまいました。

 地域の実情を考慮することなく一律の県境基準を当てはめるという官僚主義的なやり方を踏襲するのではなく、より柔軟な運用が可能となるようガイドラインを改めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 指定廃棄物の最終処分場の建設地の選定に関し、国が突然かつ一方的に栃木県矢板市や茨城県高萩市を候補地として決めたことに、地域住民から白紙撤回を求める運動が起こっています。

 建設候補地の選定手続は特措法に基づいているはずでありますが、実際は、その枠外の基本方針等で決定をされています。

 みんなの党が選定に携わった職員をヒアリングした結果、判明したのは、水源や地下水脈の調査は全く行っておらず、いかに工事をやりやすいかという基準で決めたということでありました。

 住民の意思を無視した現在の手続では、一向に処分場の整備が進まないばかりか、指定廃棄物の処理自体が滞ることになりかねません。

 前政権がつくったおかしな基本方針であれば、総理、迷うことなく改めればいいではありませんか。白紙撤回をぜひお願いいたします。

 みんなの党は、全ての政党と共通の政策を持っている唯一の政党であります。今国会においては、闘う改革のための法案を次々と提出していく所存であります。

 安倍内閣が闘う改革を進めていくのであれば、みんなの党は真摯に協力をいたします。

 一方、改革マインドを失った安倍内閣に対しては徹底追及していくことを宣言し、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 渡辺喜美議員から、二十八問御質問をいただきました。

 まず、インテリジェンス機能の強化についてのお尋ねがございました。

 複雑多様化する国際情勢のもと、我が国の国益を守り、国民の安全を確保するためには、政府全体の情報収集能力の向上を図るとともに、内閣の情報集約機能を強化することが必要不可欠であると認識をしております。

 こうした観点から、我が国の情報収集・集約・分析機能の一層の充実強化に取り組んでまいります。

 海外における邦人のテロ被害等の救済についてのお尋ねがありました。

 犯罪被害者への支援のあり方については、現在、第二次犯罪被害者等基本計画に基づく有識者等による検討会において、犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討を行っているところであり、今回の事件も踏まえ、さらに検討を進めてまいります。

 補正予算についてお尋ねがありました。

 今般取りまとめた緊急経済対策及び補正予算案は、私が重点分野等を指示し、全閣僚で構成される日本経済再生本部においてしっかりと検討したものであります。また、持続的成長に貢献する分野や日本を支える将来性のある分野に重点を置き、その中で、特に、即効性や需要創造効果の高い施策を優先しております。

 本補正予算を実行に移すことにより、経済再生を推し進め、持続可能な経済成長につなげていきたいと考えております。

 民間投資の促進のための税制についてお尋ねがありました。

 税務上の償却期間を企業の自由に任せるとの御提案は、恣意的な利益調整が可能にもなることから、公平公正な課税の観点から、慎重な検討が必要と考えます。

 なお、先般取りまとめた政府税制改正大綱においては、緊急経済対策として、民間投資を喚起するための大胆な措置を講ずることとしたところであります。

 公共事業プロジェクトについてお尋ねがありました。

 直轄の公共事業については、事業評価を実施し、事業ごとの費用と効果、費用の内訳を公表いたします。

 補助事業についても、事業評価を実施し、事業ごとの費用と効果を公表しております。費用の内訳についても、地方公共団体に対し公表するよう要請するなど、情報公開のさらなる充実を行ってまいります。

 また、地方公共団体が行う交付金事業についても、成果目標のより一層の定量化等を要請するなど、費用と効果が見えるようになる取り組みを進めてまいります。

 国債整理基金特別会計への定率繰り入れなどについてのお尋ねがありました。

 我が国では、国債償還の財源について、国債整理基金特別会計への定率繰り入れを基本とする制度が定着し、市場の信認の基礎ともなっており、これを停止して他の目的に資金を振り向けることは、適当ではないと考えています。

 なお、新年度には国債整理基金の残高を圧縮しますが、その分も、本来の目的である国債償還に充てることとしております。

 復興債の償還についてお尋ねがありました。

 平成二十四年度補正予算案におきましては、財政法及び東日本大震災復興財源確保法の規定に基づき、平成二十三年度純剰余金の二分の一について、平成二十四年度中に償還期限の到来する復興債の償還財源として歳出に計上したものであります。

 補正予算と消費税についてお尋ねがありました。

 消費税の引き上げを含む社会保障・税一体改革は、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から取り組む改革です。

 他方、今般の補正予算は、景気の下支えを行うために必要な緊急経済対策を実施するための経費や基礎年金国庫負担等に係る経費など、真に必要な経費を計上しており、無駄な予算を積んでいるとの御指摘は当たりません。

 官民ファンドについてのお尋ねがありました。

 我が国の豊富な民間資金、多様な人材、すぐれた技術などの潜在力を引き出し、成長による富の創出を実現するためには、民間投資の喚起を図っていくためのリスクマネーの供給を行っていくことが重要であります。

 官民ファンドについては、十分な審査体制及びリスク管理体制のもとで、民間主導で投資案件の目ききを行うとともに、出資後は、出資先企業の経営支援やモニタリングなど、各ファンドの特徴を生かした収益性確保やリスク管理を図ってまいります。

 日銀法の改正についてのお尋ねがありました。

 政府としては、まず、今般取りまとめた共同声明にあるように、日本銀行がみずから設定した二%の物価安定目標について、責任を持ってできるだけ早期に実現することを期待しております。

 なお、日銀法改正については、将来の選択肢の一つとして、引き続き視野に入れてまいります。

 次期日銀総裁、副総裁についてのお尋ねがありました。

 次期日銀総裁、副総裁については、出身母体は問わず、デフレ脱却に向け、金融政策に関する私の考え方に理解をいただき、確固たる決意と能力でこの課題に取り組んでいく方を人選してまいります。

 日本郵政株式会社の社長人事についてのお尋ねがありました。

 日本郵政株式会社の取締役は、総務大臣の認可を経て選任され、また、執行役社長については、取締役会において選任されるものであり、会社の経営判断に委ねられております。

 いずれにせよ、これを、御指摘のような天下りの固定ポストにするつもりはありません。

 公共事業の執行についてお尋ねがありました。

 公共事業については、経済再生に向けて、老朽化対策や耐震化など国民の生活を守る事業、成長や地域活性化を促す事業に重点化した上で、その中でも、ニーズが高く、早期執行が可能な事業を速やかに実施したいと考えております。

 その執行に当たっては、地方公共団体や建設業団体等と連携しつつ、人員の不足に応じた施工方式の導入、建設資材の生産能力の増強の促進といった取り組みを進めることにより、迅速かつ円滑な施工確保に努めてまいります。

 株式会社の農地取得についてのお尋ねがありました。

 株式会社の農業参入は、平成二十一年の農地法改正で、リース方式による農業参入は完全自由化され、法改正前の約五倍のペースで参入が進んでいます。

 なお、農地が耕作放棄された場合に、リース契約であれば、契約を解除し原状回復が容易ですが、所有権取得の場合はこうしたことができないため、所有権取得による農業参入は自由化しておりません。

 TPPについてのお尋ねがありました。

 自由貿易の推進は、我が国の対外通商政策の柱です。力強い経済成長を達成するためには、自由貿易体制を強化し、諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があります。

 TPPについては、政府としては、これまでの協議の内容、TPPに参加した場合に生じ得るさまざまな影響等も含め、しっかりと精査、分析した上で、国益にかなう最善の道を求めてまいります。

 このため、交渉参加の是非の判断時期については、現時点では決めておりません。

 二月第三週に予定される日米首脳会談における議題については今後調整していくこととなりますが、我が党の公約で明記したとおり、聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉には参加いたしません。

 農協改革についてのお尋ねがありました。

 農協は、農家組合員の選択により事業範囲を決めており、多くの農協は、組合員が必要とするサービスを総合的に提供する観点から、経済事業、信用事業、共済事業を総合的に行っております。

 このため、農協が自主的に事業範囲を決める現在の仕組みを見直す必要はないと考えておりますが、農協は、農業者の所得向上に向けて努力することが重要と考えております。

 成長戦略と規制改革についてのお尋ねがありました。

 今回、成長戦略の策定に当たっては、渡辺議員が御懸念のように、戦略産業分野を特定していくのではなく、幾つかの、将来のあるべき社会像を戦略目標として特定します。例えば、健康に長生きできる社会の構築、クリーンかつ経済的なエネルギーの実現などです。

 その上で、戦略目標実現のために、コア技術への研究開発集中投資、規制改革、関連投資の促進などの政策資源を一気通貫で投入するためのロードマップを策定いたします。

 この中でも、とりわけ規制改革は、経済活性化、民需主導の経済成長を実現する重要な手段であり、今般、省庁横断的にこれを推進する新たな規制改革会議を設置したところであります。

 その際、エネルギー・環境関連や健康・医療関連等を重点分野として規制改革担当大臣に指示したところであり、御指摘の電力や医療分野を含めて、我が国の経済再生に資するものから優先的に大胆な改革を推進してまいります。

 電力自由化についてのお尋ねがありました。

 電力自由化については、電力供給構造のあり方及び小売全面自由化の工程等について検討を進め、安定供給を大前提としつつ、具体化を図ってまいります。

 その際、御指摘の分散型電源の活用、再生可能エネルギー関連の新たな事業の創出のみならず、低廉で安定的な電力供給の確保や消費者の電力選択の幅を広げる観点から、電力自由化にしっかりと取り組んでまいります。

 原子力を含むエネルギー政策については、まず、いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提であります。

 この点、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという前政権の方針はゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。

 その際、できる限り原発依存度を低減させていくという方針で検討してまいります。

 混合診療の解禁等についてお尋ねがありました。

 最先端の医療機器や医薬品を用いる先進的な医療技術については、安全性や有効性を個別に確認した上で、保険診療との併用を認めることとしています。

 これにより、医療機器や医薬品が全国で速やかに使われ、患者が先進的な医療を受けられるよう努めてまいります。

 また、ドラッグラグやデバイスラグの解消に向けて、医薬品や医療機器の審査の迅速化や合理化を図ってまいります。

 公務員制度改革についてお尋ねがありました。

 第一次安倍内閣において、渡辺議員を思い切って担当大臣に任命したのは私であります。当然、公務員制度改革の重要性については十分認識しておりますし、そのときの信念は、今も、いささかも変わっておりません。

 したがって、これまで公務員制度改革基本法に基づき提出された法案に対してさまざまな議論があったことも踏まえ、過去の経緯の総括を行った上で必要な改革を進めてまいります。

 国の出先機関の廃止と道州制についてのお尋ねがありました。

 国の出先機関に関しては、これまでも地方への事務、権限の移譲等必要な取り組みを行ってきたところでありますが、今後、地方の声等も踏まえ、そのあり方を検討してまいります。

 道州制の導入は、国のあり方を根底から見直す大きな改革です。与党において、道州制に関する基本法の早期の制定を目指し、議論が行われています。

 今後、政府としても、連携を深め、取り組んでまいります。

 歳入庁の設置についてお尋ねがありました。

 歳入庁については、昨年成立をした税制抜本改革法において、自民、公明、民主の三党合意に基づき、年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施するとされているところであります。

 政府としては、この法律の規定に基づき、年金保険料の徴収体制をどのように強化していくのか、幅広い観点から検討を行ってまいります。

 選挙におけるインターネットの活用についてのお尋ねがありました。

 この問題は、選挙運動のあり方という、まさに、選挙の基本的なルールにかかわる極めて重要な課題と認識しています。

 インターネットの活用は、みずからの考えを多くの人に知ってもらう上で効果的であることから、各党各会派において積極的に御議論いただいた上で、できる限り早期に選挙で活用できるよう取り組んでまいります。

 ハーグ条約の締結等についてお尋ねがありました。

 国境を越えた人の往来が飛躍的にふえ、国際結婚も増加した現在、ハーグ条約の締結は我が国にとって重要であることから、政府としては、ハーグ条約の早期締結を目指してまいります。

 他方で、御指摘の面会交流のあり方など、子の親権や監護権に関する事項については、ハーグ条約においても各締約国の法制に委ねられているところであり、各国に共通する基準はないものと認識しております。

 資産価値の保障についてのお尋ねがありました。

 安倍内閣では、福島復興が政権の重要課題の一つであり、東京電力福島第一原発事故により被害を受けた方々への迅速かつ適切な賠償に万全を期する必要があると考えております。

 事故により避難を余儀なくされた方々の土地や建物については、東京電力がその価値の喪失または減少に応じ賠償しますが、その際、被害者の方々の中には、帰還して生活再建を希望する方、あるいは移住を選択する方など、さまざまな立場の方が存在することを踏まえ、それぞれの選択に資するよう、賠償金の一括前払いも行うよう、政府の原子力賠償紛争審査会において方針を示しています。

 現行の原子力損害賠償支援機構法に基づく枠組みのもとで東京電力が着実に足元の賠償等に取り組むよう、政府としても、進捗状況をフォローし、しっかり支えてまいります。

 子ども・被災者支援法についてのお尋ねがありました。

 政府としては、真に支援を必要とされる方に適切な支援が行われることとなるよう、基本方針の策定を進めているところであります。

 一方、被災者への具体的支援については、基本方針の策定を待つことなく、平成二十五年度予算等に盛り込まれた関連施策を速やかに実施してまいります。

 除染事業についてお尋ねがありました。

 政府としては、追加被曝線量や土地利用の状況、除染手法ごとの効果などを総合的に勘案して、現時点で適切と考えられる除染手法を補助金の対象として示しております。

 一方、除染の技術的な方法に関するガイドラインについては、ガイドラインに位置づけられていない手法であっても、その手法で除染を実施する必要がある場合には、柔軟、迅速に判断し、自治体に示してきております。

 このガイドラインについては、今後とも、知見の蓄積を踏まえ、必要に応じ見直してまいります。

 指定廃棄物の最終処分についてのお尋ねがありました。

 指定廃棄物の最終処分場の候補地の選定については、現在、前政権が行ってきたこれまでの取り組みを環境副大臣を中心として検証しているところであり、その検証の結果を踏まえて、改めるべきところは改めて、今後の進め方について検討をしてまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問いたします。(拍手)

 私は、まず、アルジェリア事件によって犠牲になられた方々、御遺族、関係者の皆様に、心から哀悼の意を表するものです。

 今回の事件をしっかりと検証して、二度と悲劇を繰り返すことのないよう力を尽くす決意を、まず申し上げたいと思います。

 東日本大震災から間もなく二年を迎えますが、復興は立ちおくれ、被災者の命と暮らしが脅かされる状況が続いております。

 日本共産党は、次の三点について、これまでの政策の抜本的転換を図ることを要求します。

 第一は、個人財産の形成になるとして住宅や事業所などの復旧を支援しないという従来の災害対策を改め、住宅となりわいの再建に必要な公的支援を行うことを基本原則に据えることであります。

 住宅再建支援金を三百万円から五百万円に引き上げる措置をとるべきであります。中小企業再建を支援するグループ補助金を大幅に拡充するとともに、再建意欲のある全ての小零細事業者を対象にした直接助成制度を新たに創設すべきであります。

 第二は、期限切れなどといって支援策を打ち切る非情な政策をやめることであります。

 政府が昨年九月末に打ち切った医療、介護の減免措置を復活すべきであります。

 第三は、福島原発事故の収束宣言を撤回し、除染、賠償を初め、安全、安心の福島県を取り戻すまで、全ての過程で復興に責任を負うことであります。

 総理は、所信表明で復興を加速すると述べましたが、その言葉が本気のものであるならば、多くの被災者が切望している以上の諸点で、これまでの政策の転換に踏み切ることは当然ではありませんか。答弁を求めます。

 どうやって深刻なデフレ不況から抜け出すかは、多くの国民が切望する国政の大問題となっています。

 まず伺いたいのは、デフレ不況が深刻化した原因と責任についてであります。

 政府の緊急経済対策を読んでも、なぜ日本経済がデフレ不況に陥っているかという原因の分析が一切ありません。原因を明らかにせずに対策を立てるというのは、例えて言えば、的を定めずに矢を射るようなもので、矢を何本射ようとも、的外れという結果になります。

 総理は、日本経済がデフレ不況に陥った最大の原因は一体どこにあるとお考えなのでしょうか。

 私は、働く人の所得が減り続けてきたことがデフレ不況の最大の原因だと考えます。

 一九九七年を一〇〇として、企業の経常利益は一六三までふえましたが、労働者の所得、雇用者報酬は八八に落ち込んでいます。

 総理は、賃下げとリストラの繰り返しで働く人の所得を減らし続けてきた、このことにこそデフレ不況の最大の原因があるという認識をお持ちでしょうか。

 さらに、私は、日本をこうした賃下げ社会にしてしまったのは誰なのか、その重大な責任は、歴代自民党政権にあると考えます。

 労働法制の規制緩和を進め、派遣やパートなど非正規雇用を拡大してきたことが、賃金を引き下げ、貧困と格差を拡大したことは、政府の統計でも明らかであります。

 総理、今日の深刻なデフレ不況をつくり出した重大な責任の一端を、あなたも含めた歴代自民党政権が負っているという認識と反省はありますか。答弁を願います。

 減り続けている働く人の所得をふやす方向に転換する、ここにこそデフレ不況から抜け出す最大の鍵があります。

 私は、次の三つの決断を政府に求めるものです。

 第一は、消費税増税の中止であります。

 一口で消費税一〇%と言いますが、サラリーマンの世帯でいえば、一カ月分の給料が丸々消費税に消えてしまうのが税率一〇%であります。消費が凍りつき、景気の底が抜ければ、税収も落ち込む、そのことは、九七年の消費税増税後に十四兆円もの税収が減ったという事実によって証明済みのことではありませんか。

 同時に、社会保障削減計画を中止すべきであります。

 政府は、その突破口として、生活保護制度の大幅切り下げを進めようとしていますが、これは、受給者の生存権を乱暴に破壊するとともに、最低賃金など国民生活全体の悪化をもたらし、賃下げ社会をいよいよ深刻にすることにもなり、断じて認めるわけにはいきません。

 総理に真剣にデフレ不況から抜け出す決意があるのならば、国民の所得を奪うあらゆる政策の中止を決断すべきだと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。

 第二は、大企業、財界の身勝手な賃下げ、リストラに政治の責任でストップをかけることであります。

 日本経団連は、賃上げを拒否するだけではなく、定期昇給の延期、凍結など、新たな賃下げ宣言を行っています。電機情報産業の大企業は、業績悪化を理由に、十三万人の首切り計画を進めています。

 個々の企業だけを見れば、賃下げ、リストラは利益を上げるように見えますが、それを全体の企業が競い合って行えば、合成の誤謬に陥る。社会全体の需要がますます冷え込み、デフレ不況をいよいよ深刻にし、結局は、企業も立ち行かなくなります。

 政府として、日本経団連、財界に対して、賃下げ、リストラ競争の中止を強く要請すべきではありませんか。これは、ヨーロッパ各国の政府ならば当たり前のように行っていることであります。

 大企業の内部留保は、不況下でもふえ続け、二百六十兆円に上っており、そのごく一部を還元しただけで賃上げは可能です。答弁を求めます。

 第三は、人間らしい暮らしを保障するルールづくりに踏み出すことです。

 労働者派遣法の抜本改正、パート労働法の改正など、非正規社員の待遇を改善して、正社員化の流れを進める。中小企業への手当てをしっかり行いながら、最低賃金を時給千円以上へと大幅に引き上げて、この日本から、働く貧困層をなくしていく。独占禁止法の強化など、大企業と中小企業が公正に取引できるルールをつくる。

 政治の責任で、これらの改革を進め、賃下げ社会から脱出し、働く人の所得がふえる社会への転換を図るべきではありませんか。

 安倍総理は、無制限の金融緩和で二%の物価引き上げ目標を持つとしていますが、仮に物価が上がっても、賃金が下がり続けたままでは、生活はいよいよ苦しくなります。

 政府として目標を持つというなら、賃上げ目標こそ持つべきではありませんか。答弁を求めます。

 原発問題について、安倍内閣は、再稼働を推進し、新増設を容認するなど、あからさまな原発推進政策を進めようとしています。しかし、少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいるということが、国民的議論の結果を分析した政府の認識ではありませんか。

 総理は、自民党政権に交代したから、原発に対する国民的議論のこの到達点が変わったとでもおっしゃるのでしょうか。あからさまな原発推進政策は、過半の国民の意思に背くものだと考えませんか。

 大体、二〇〇六年十二月に、日本共産党の吉井英勝議員が、質問主意書で、巨大地震の発生に伴う全電源喪失によって冷却機能を失った場合の検討を行っているのかとただしたのに対して、政府は、答弁書で、御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しておりますと答えたのであります。この答弁をしたのは、安倍総理、あなただったのであります。

 総理に今求められているのは、こうした安全神話を振りまき、大事故を引き起こしたことへの深刻な反省であり、国民、とりわけ福島県民への謝罪ではありませんか。しかとお答え願いたい。

 日本共産党は、即時原発ゼロと再生可能エネルギーへの抜本的転換の政治的決断を強く求めるものであります。

 米軍普天間基地問題について、総理は、総選挙直後、辺野古移設を明言しました。選挙期間中は具体的言及を避け、選挙直後に辺野古移設を明言するというあなたのやり方に、県民を欺き、侮辱する行為だという激しい怒りの声が噴出しております。

 しかも、沖縄の四人の自民党公認候補は、全員が県外移設を公約に掲げて当選しています。選挙が終わったら、手のひらを返して新基地を押しつけるなど、断じて許されるものではありません。

 沖縄県民の総意に応え、県内移設は断念すべきではありませんか。

 傍若無人で沖縄全土を飛び回っているオスプレイ配備撤回も県民の総意です。

 先日、沖縄県下四十一市町村全ての首長と議会の議長、全ての党派の県議会議員がそろって上京し、オスプレイ配備即時撤回、普天間基地閉鎖、撤去を求めました。

 総理は、この沖縄県民の総意にどう応えるのか、答弁を求めます。

 最後に、総理が日本軍慰安婦問題について軍の関与と強制を認めた河野談話の見直しを主張していることに対して、ニューヨーク・タイムズが日本の歴史を否定する新たな試みと題する批判を掲載するなど、大きな国際問題になっています。

 日本軍慰安婦問題について、一部に、強制性を立証する文書がないことをもって強制の事実そのものがなかったとする議論があります。

 しかし、この議論にかかわって、河野談話の作成に直接携わった当時の石原信雄官房副長官は、次のように証言しています。

 通達とか指令とかという文書的なもの、強制性を立証できるような物的証拠は見つけられなかったのですが、実際に慰安婦とされた人たち十六人のヒアリングの結果は、どう考えても、これはつくり話じゃない、本人がその意に反して慰安婦とされたことは間違いないということになって、河野談話にしたわけです。

 このように、河野談話は、もともと強制性を立証する文書を見つけることはできなかったことを前提に、慰安婦とされた人たちの証言の真実性に基づいて、これは真実のものだと政府として判定して、政府として強制性を認めたものであります。

 したがって、政府として河野談話を継承するという立場をとる限り、強制性を立証する文書がないから強制の事実はなかったなどという議論を肯定する余地は全くないと考えます。総理の見解を問うものです。

 第二次世界大戦後の世界の秩序は、日本、ドイツ、イタリアによる戦争は不正不義の侵略戦争だったことを共通の土台としております。この土台を覆す動きが万が一にも具体化されたら、日本は世界とアジアで生きていく政治的、道義的地位を失うことになるということを厳しく警告して、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 志位和夫議員にお答えをいたします。

 住宅と生業の再建についてのお尋ねがありました。

 住宅や生活の再建については、被災者生活再建支援金による支援を講じています。また、補正予算案で、津波被災地域の自治体が住まいの形成に資する施策を通じて住民の定着促進を進めるため、震災復興特別交付税を増額しました。

 また、生業の再建については、当初予算案で、中小企業再建を支援するグループ補助金を、復旧がおくれている地域に重点化しつつ、共同施設の新設等を対象に加え、充実、拡充する等の措置を講じることといたしました。

 医療、介護の減免措置についてのお尋ねがありました。

 東京電力福島第一原発事故に伴う国による避難指定等が行われていない特定被災区域における国民健康保険、介護保険等の窓口負担及び保険料の減免措置については、昨年九月まで、国による全額の財政支援措置を講じていました。これは、前年所得に基づく窓口負担等について、被災による所得の減少を反映したものとなる時期まで講じていたものであります。

 ただし、平成二十四年十月以降も、制度上、保険者の判断による減免措置が可能であり、財政負担が著しい場合には、減免額の十分の八以内を国が支援する措置を講じております。

 原発事故の収束及び福島の復興についてのお尋ねがありました。

 一昨年十二月の東京電力福島第一原子力発電所事故の収束に向けた道筋のステップ2完了については、専門家による緻密な検証作業を経た上で、原子炉の客観的な状態として、冷温停止状態の達成を確認したものであると認識しています。

 私は、総理就任直後の訪問地として、迷うことなく福島を選びました。福島、東京の二本社体制の整備を初め、今般の補正予算及び来年度予算においても思い切った予算措置を講じるなど、責任を持って福島の再生を加速してまいります。

 デフレ不況に陥った原因についてのお尋ねがありました。

 我が国経済は、長期にわたり需要が弱い中で、企業などによる日本経済の将来に対する成長期待の低下やデフレ予想の固定化もあって、デフレが継続してきたと考えております。

 自民党政権においては、経済産業構造の変化に応じて、必要な労働分野の改革を行ってまいりました。

 私の内閣では、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢で、長引くデフレから脱却して、経済を成長させ、雇用や所得の拡大につなげることを目指してまいります。

 消費税についてのお尋ねがありました。

 昨年八月に成立した税制抜本改革法では、来年四月に消費税率を引き上げることが決まっております。ただ、機械的に何が何でも引き上げるということではなく、経済状況等を総合的に勘案して判断することとなります。

 いずれにしても、我が国経済を、全力を挙げて再生してまいります。

 生活保護制度の見直しなどについてのお尋ねがありました。

 今回の生活扶助基準の見直しは、社会保障審議会における検証結果や物価の変動を勘案し、適正化を図ることとしたものであります。また、この基準の適正化に合わせて、生活困窮者の自立・就労支援にしっかりと取り組んでまいります。

 さらに、政府としては、経済再生を推し進め、雇用や所得の拡大につなげてまいります。

 なお、御指摘のような社会保障削減計画というものは存在しません。

 賃下げやリストラ競争の中止についてのお尋ねがありました。

 将来への確かな期待を持てるような成長戦略により、企業の収益を向上させ、それを雇用の拡大や賃金の上昇につなげていきたいと考えています。

 例えば、税制においては、企業の給与支払いを拡大するための新たな措置を講じることとしたところです。企業の経営者の方々にも協力をお願いしたいと考えています。

 働く人の所得がふえる社会への転換のための取り組みについてのお尋ねがありました。

 政権発足以来、経済再生を通じた雇用や所得の拡大に向けて、全力で取り組んでおります。

 同時に、労働者派遣法のあり方の検討、パートタイム労働法の見直しや、中小企業支援や、労使との調整により最低賃金の引き上げに努めるとともに、独占禁止法等の厳正な執行など、実効ある取り組みも進めていきます。

 賃上げ目標についてのお尋ねがありました。

 賃金等の労働条件については、各企業の労使関係において決定されるものでありますが、先ほど申し上げたとおり、成長戦略により、企業の収益を向上させ、それが雇用の拡大や賃金の上昇をもたらすような好循環を生み出してまいります。

 いわゆる国民的議論の結果への政府の認識と、原発推進策への転換についてのお尋ねがありました。

 前政権が原発に関して昨年夏に実施した、いわゆる国民的議論の結果については、大きな方向性として、少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいるとされていると同時に、一方で、その実現に向けたスピード感に関しては意見が分かれているとも分析されています。

 いずれにせよ、前政権が掲げた、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという方針は、具体的な根拠を伴わないものであり、これまでの国のエネルギー政策に対して協力をしてきた原発立地自治体、国際社会や産業界、ひいては国民に対して、不安や不信を与えました。

 このため、前政権のエネルギー・環境戦略については、ゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。

 その際、できる限り原発依存度を低減させていくという方向で検討してまいります。

 原発事故の反省と謝罪についてのお尋ねがありました。

 東京電力福島第一原発事故によって、被災者の皆様を初めとする国民の皆様に多大な御苦労をおかけしていることに対して、心からおわびを申し上げます。

 かつ、原発の安全性について、国会事故調や政府事故調からも指摘されているとおり、複合災害という視点が欠如していたことや、規制組織の独立性が十分ではなく、いわゆる安全神話に陥ってしまった点、政府として深く反省しなければなりません。

 こうした反省を踏まえ、昨年九月に原子力規制委員会が新たに設置され、原子力安全規制の抜本的な見直しが進められているところです。事故の検証等も踏まえ、あらゆる事態を想定した、原子力発電所の安全に関する新基準について、現在検討中であります。

 妥協することなく、たゆまぬ安全性、信頼性の向上を目指していく、安全規制、安全文化をつくっていく、そのために全力を挙げてまいる所存であります。

 エネルギー政策についてのお尋ねがありました。

 いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期してまいります。

 このため、前政権の、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという方針については、ゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。

 その際、できる限り原発依存度を低減させていくという方向で検討してまいります。

 また、再生可能エネルギーについては、今後三年間で最大限普及を加速させてまいります。

 普天間飛行場の移設問題についてのお尋ねがありました。

 普天間飛行場の移設を含む在日米軍再編については、現在の日米合意に従って進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減に全力で取り組みます。

 普天間飛行場の固定化は、あってはなりません。政府としては、沖縄の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しつつ、普天間飛行場の移設に取り組みます。

 オスプレイの配備等及び普天間飛行場の移設について、沖縄県民の声にどう応えるのかとのお尋ねがありました。

 オスプレイの配備は、我が国の安全保障にとって大変大きな意味がありますが、その運用に際しては、地元の皆様の生活への最大限の配慮が大前提です。オスプレイに関する日米合同委員会合意等について丁寧に御説明するとともに、この合意が適切に実施されるよう、米側との間で必要な協議を行ってまいります。

 また、繰り返しますが、普天間飛行場の固定化は、あってはなりません。政府としては、沖縄の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しつつ、普天間飛行場の移設に取り組んでまいります。

 河野談話についてお尋ねがありました。

 これまでの歴史の中では、多くの戦争があり、その中で女性の人権が侵害されてきました。二十一世紀こそ、人権侵害のない世紀にすることが大切であり、日本としても全力を尽くしていく考えであります。

 慰安婦問題についても、筆舌に尽くしがたい、つらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛みます。この点についての思いは、歴代総理と変わりはありません。

 また、私としては、この問題を、政治問題、外交問題化させるべきではないと考えています。

 いわゆる河野談話は、当時の河野官房長官によって表明されたものであり、総理である私からこれ以上申し上げることは差し控え、官房長官による対応が適当であると考えます。

 以上であります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 鈴木克昌君。

    〔鈴木克昌君登壇〕

鈴木克昌君 私は、生活の党を代表し、安倍内閣総理大臣の所信表明演説に対して質問をいたします。(拍手)

 まず、冒頭、アルジェリアで発生したテロ事件でお亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。また、突然のことであり、御遺族、御関係者のお悲しみはいかばかりかと拝察し、深く哀悼の意を表します。

 世界の最前線で活躍するとうとい命を失うことは、企業のみならず、我が国にとっても大きな損失であります。私たち生活の党は、政府が御遺族、御関係者の方々に御支援を図ることに対し、できる限りの協力をさせていただきます。それと同時に、今後同様の悲劇を繰り返さないために、今回の事件への政府の対応について、しっかりと検証し、必要な提言をしてまいりたいと存じます。

 しかし、政府が、この悲劇を悪用し、憲法の解釈をねじ曲げて、自衛隊の海外での戦闘を合法化しようとするのであれば、そのことだけは断固として阻止しなければなりません。

 確かに、主権国家にとって、自国民の生命と財産を守ることは国家の義務であります。しかし、歴史を見れば明らかなとおり、いつも戦争は、自国民の生命や権益を守るために軍隊を派遣することから始まっているのであります。

 国際紛争を一国の軍事力によって解決することは、不可能であるだけではなく、さらに紛争を大きくすることを歴史は示しています。最近のイラクやアフガンの例を見ても明らかなとおり、世界最強の米軍を何万人投入しても、決して民を安定させることはできないことが証明されております。

 私たちは、国際法に基づく、よりよい解決策を模索しなければなりません。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

鈴木克昌君(続) 人質になって日本人の命が失われたことで海外派兵の道を開くような議論は、平和主義の基本理念に反するとともに、私たちが国際社会で生き延び、平和のうちに繁栄していく上で、極めて危険で短絡的な発想だと言わざるを得ません。

 そこで、安倍総理にお伺いいたします。

 総理は、自衛隊の海外での戦闘を合法化しようと考えているのでしょうか。また、どのような状況と条件のもとにおいて、自衛隊を自国民救出のため単独で海外に派遣すべきと考えておられるのでしょうか。具体的にお答え願います。

 政府は、経済再生を最大かつ喫緊の課題と位置づけ、今般の補正予算でも約五兆円を公共事業に投入することとしております。しかし、このような財政拡張政策では、その効果が富裕層や大手企業にとどまり、果実が一般国民に回ってきません。

 国民の生活の視点を欠いた小泉政権以来の自公政権の経済政策の結末を見ても明らかなとおり、イザナギ超えの経済成長をもたらしたといいながらも、一般国民にはその成長は実感できず、社会格差も拡大したという事実がそのことを証明しております。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

鈴木克昌君(続) 私たち生活の党は、財政政策は国民の生活が第一の観点から行うべきと考えます。その際、最も大事な取り組みは、家計の可処分所得をふやす政策であります。

 バブル崩壊後の二十年間で、若者の所得が減っております。これでは、結婚もできない、子供も持てない、家も買えないのです。若者が希望を持って生きていける社会をつくらなければ、家族を持とうという気にはならないのです。国民の幸せの単位である家族をふやすことはできない、そんな国家には未来はありません。

 我が国の生産年齢人口は、一九八〇年に七千八百万人だったのが、二〇五〇年には五千五百万人に減少すると推計されております。

 一方で、海外を見ると、中国は一九八〇年の五億八千三百万人が二〇五〇年に七億九千万人に、インドは三億九千八百万人が十一億四千三百万人に、フィリピンは二千五百万人が一億二百万人に急増するとされております。先進国のアメリカにおいても、一億五千二百万人が二億四千二百万人になると推計されております。

 このままでは、我が国の経済は、世界の成長から取り残され、生産年齢人口減少の問題に対する処方箋を欠いたアベノミクスこそが縮小均衡のスパイラルに陥ってしまいます。

 日本を元気にするために一番重要な取り組みは人口の増加策であります。そのためには、家族の生活が第一の目線で、日々の生活の負担を軽減させることが必要不可欠と考えます。

 ところが、安倍政権では、民主党政権で行ってきた、可処分所得をふやす結果となった子ども手当や高校授業料の無償化を見直すとしております。

 子供を持つ家族にとって一番負担になっているのは教育費であります。この負担を取り除くような家族重視の分配政策をとることにより、個人消費は拡大し、経済も自律的成長に向かうようになります。家族の生活を第一にする国であって初めて、家族がふえ、人口がふえていくのではないでしょうか。

 そこで、安倍総理にお伺いいたします。

 子ども手当の充実、高校授業料の無償化の継続、そして、家計の可処分所得をふやすための方策についてどのようにお考えでしょうか。また、生産年齢人口減少の問題に対する対処方針についても、あわせお聞かせください。

 また、今般の補正予算による約五兆円もの公共事業により、短期的に景気浮揚効果を演出し、消費税増税の前提となる経済成長を達成しようというのが政府の本音ではないでしょうか。

 しかし、公共事業の増額により景気浮揚を目指す一方で、消費税増税により景気を冷え込ませることになるような手法は、いわばアクセルとブレーキを同時に踏むようなものであって、非常にちぐはぐな政策であると言わざるを得ません。

 私たち生活の党は消費税増税に断固反対をいたしますが、政府は、今後の経済成長の動向いかんによっては消費税増税を中止する覚悟が本当にあるのか、安倍総理にお伺いいたします。明確にお答えください。

 私たち生活の党は、自立と共生の理念と、国民の生活が第一の原則に基づいて、日本をつくり直し、安全で公正な社会の実現を目指します。

 そのためには、地域のことは地域で決める、地域が主役の社会を実現しなければなりません。東日本大震災の復興のおくれに象徴されるように、中央が全てを決めて地方に押しつける中央集権体制は、国民の声に応えられなくなっております。

 行政の権限と財源を地方に大胆に移すべきであります。特に、国の補助金は、原則、自主財源として地方に交付すべきです。それにより地域経済を活性化させ、デフレ脱却を促進することができます。

 ところが、安倍政権が唱える国土強靱化構想では、ひもつき補助金の復活など、以前のような公共事業至上主義と受け取られるような政策のあり方に戻ってしまう懸念があります。

 確かに、建設土木事業の維持発展は、社会資本の老朽化に対応するために必要であります。しかし、それは、地方に合ったものを地方の判断で予算執行できるようにするのが、あるべき姿であります。

 国家官僚の役割は、国家としての大きな方向性を提示することと、政策分野ごとに、地方公共団体で何がなされているのか、調査とその結果の公開を行うことに特化すべきであります。こうすることで、国家官僚は、箇所づけや全国一律の画一的制度の作成から解放され、真に国家レベルで必要とされる仕事に集中できるようになります。

 そして、大幅に権限が移譲された基礎自治体は、中央官庁が調査した結果に基づいて公開される情報を活用することで、自分たちの町で行われている制度や予算の執行がほかの町と比べて効果的であるかどうか、容易に検証できるようになるのであります。地域住民や基礎自治体の議会の役割も、より住民自治が進む形で深化します。

 このプロセスを通じ、標準的な地方行政のコストも明らかになり、国の持つ財政調整機能を適切に機能させることもできるようになると考えます。

 このように、大胆な統治機構の改革を行い、予算執行の仕組みを変えることで、地域で必要な事業は地域の自主性を尊重する形で行えるようになるのです。これこそが、真の意味での地域経済活性化を行う経済対策と言えましょう。

 このような大胆な統治機構の改革について、安倍総理はどのように考えるか、お答えください。

 最後に、代替エネルギー対策についてお伺いいたします。

 残念ながら、安倍総理の所信表明演説には、エネルギー政策についての言及がありませんでした。しかし、エネルギー政策は、日本経済再生を実現する上で、最も重要な課題の一つであります。

 私たち生活の党は、エネルギー政策の大転換で、十年後を目途として全ての原発を廃止することを主張しております。

 そのために、日本の省エネルギー技術と再生可能エネルギーの普及、効率のよい天然ガス・コンバインド・サイクル火力発電、さらに、エネルギーの地産地消を強力に推進する必要があります。愛知県渥美半島沖で始まったメタンハイドレートの海洋産出試験もその中の一つであると思います。これにより、原発立地地域を初め、地域経済の発展と雇用の拡大を実現することができると考えます。

 私たち生活の党は、代替エネルギー対策の分野に大胆な公共投資を行うべきだと考えておりますが、安倍総理の見解をお伺いいたします。

 私たち生活の党は、国民の生活が第一の理念に基づき、命と暮らしと地域の三つを守ることを政治の最優先課題としております。

 そのために、政治、行政、経済、社会の仕組みを一新して、日本を根本から立て直します。

 エネルギー政策の大転換、消費税増税の阻止、行政の権限と財源の地方への大胆な移行を実現するとともに、社会保障、雇用、人づくりの仕組みをつくり直し、高齢者には安心を、若者には働く場を確保します。

 全ての国民が安心、安全で安定した生活を送ることができ、国民も地域も健全に自立し、互いに共生できる社会を実現します。

 それにより、日本は国家として自立し、世界の平和と安定に協力する外交を展開できると確信しておりますことを改めて申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 鈴木克昌議員にお答えをいたします。

 自衛隊の海外での活動及び自衛隊による在外邦人の保護についてお尋ねがありました。

 自衛隊の海外におけるさまざまな活動のあり方については、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告書も踏まえつつ、新たな安全保障環境にふさわしい対応を検討してまいります。

 また、在外邦人の保護については、政府の重要な責務であり、アルジェリアにおける今回のテロへの対応の検証をしっかり行い、政府一丸となって、必要な対策の検証に迅速に取り組んでまいります。

 家計の可処分所得をふやす方策等と生産年齢人口減少対策についてのお尋ねがありました。

 家計の可処分所得の増加については、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢で、経済再生を進め、雇用や所得の拡大につなげてまいります。

 また、児童手当については、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資するよう引き続き取り組むとともに、高校授業料の無償化について、真に公助が必要な方々への制度となるよう検討してまいります。

 さらに、生産年齢人口が減少する中で、若者の安定雇用の確保、女性の活躍促進、高齢者、障害者の就労促進などに全力で取り組んでまいります。

 補正予算における公共事業の目的及び消費税についてのお尋ねがありました。

 私が経済再生を重視するのは、働く人は報われるという社会の信頼の基盤を守るためであります。

 このための政策対応として、今般の補正予算においては、国民の生活を守り、地域活性化を促すための公共事業も盛り込んでおりますが、あわせて、成長力強化のための施策等も講じております。

 また、今後は、民間の投資と消費が持続的に拡大するよう、成長戦略を策定して実行していくこととしております。短期的に景気浮揚効果を演出するものではありません。

 また、昨年八月に成立をした税制抜本改革法では、来年四月に消費税率を引き上げることが決まっております。ただ、機械的に何が何でも引き上げるということではなく、経済状況等を総合的に勘案して判断することとなります。

 いずれにしても、我が国経済を全力を挙げて再生してまいります。

 国と地方に関する統治機構の改革についてのお尋ねがありました。

 国は国家の本来的任務を重点的に担うようにする一方、地方はみずからの発想で特色を持った地域づくりができるようにすることが重要です。国と地方の役割分担を見直し、引き続き、国から地方へ事務、権限を移譲するなど、地方分権改革を進めてまいります。

 代替エネルギー対策についてのお尋ねがありました。

 いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期していくことが重要であります。

 そのために、できる限り原発依存度を低減させていくという方向に向けて、省エネルギー、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電等の効率化、メタンハイドレートの開発を含む国内外の石油、天然ガス等の資源確保等について、予算を重点配分し、最大限取り組みを進めてまいります。

 以上であります。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       総務大臣     新藤 義孝君

       法務大臣     谷垣 禎一君

       外務大臣     岸田 文雄君

       文部科学大臣   下村 博文君

       厚生労働大臣   田村 憲久君

       農林水産大臣   林  芳正君

       経済産業大臣   茂木 敏充君

       国土交通大臣   太田 昭宏君

       環境大臣     石原 伸晃君

       防衛大臣     小野寺五典君

       国務大臣     甘利  明君

       国務大臣     稲田 朋美君

       国務大臣     菅  義偉君

       国務大臣     根本  匠君

       国務大臣     古屋 圭司君

       国務大臣     森 まさこ君

       国務大臣     山本 一太君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  加藤 勝信君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  山本 庸幸君


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.