衆議院

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第22号 平成25年5月14日(火曜日)

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平成二十五年五月十四日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十六号

  平成二十五年五月十四日

    午後零時三十分開議

 第一 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 食品表示法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後零時三十二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) まず、日程第一、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長吉野正芳君。

    ―――――――――――――

 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔吉野正芳君登壇〕

吉野正芳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、フロン類の大気中への排出の抑制を一層推進するため、主務大臣等がフロン類またはフロン類使用製品の製造業者等及び業務用冷凍空調機器の管理者の判断の基準となるべき事項等を定めることとするとともに、フロン類の充填を業として行う者の登録制度及びフロン類の再生を業として行う者の許可制度を導入する等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月二十二日本委員会に付託され、翌二十三日石原環境大臣から提案理由の説明を聴取し、二十六日に質疑を行いました。

 今月十日、質疑終局後、本案に対し、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党より、政府が法律の規定について検討を加えるに当たっての勘案すべき事項として、フロン類代替物質の研究開発の状況などフロン類の使用の合理化や特定製品に使用されるフロン類の管理の適正化に関する技術の研究開発の状況等を追加することを内容とする修正案が提出されました。

 本修正案の趣旨説明の後、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 全会一致。異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決をいたしました。

     ――――◇―――――

 食品表示法案(内閣提出)の趣旨説明

議長(伊吹文明君) 次に、内閣提出、食品表示法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣森まさこ君。

    〔国務大臣森まさこ君登壇〕

国務大臣(森まさこ君) ただいま議題となりました食品表示法案の趣旨を御説明申し上げます。

 食品に関する表示は、消費者が食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関し、重要な役割を果たしております。

 一方、現在、食品一般を対象とした表示制度は、食品衛生法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、健康増進法の三つの法律で定められております。この結果、一つの食品に対する表示のルールが複数の法律及びその下位法令に分かれて規定されており、複雑でわかりにくいものになっております。

 このため、これらの法律における食品に関する表示の規定を統合して、食品に関する表示について包括的かつ一元的な制度を創設するため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、この法律は、食品に関する表示について、基準の策定その他の必要な事項を定めることにより、その適正を確保し、もって一般消費者の利益の増進を図ること等を目的とすることとしております。

 また、基本理念として、食品に関する表示の適正の確保のための施策は、消費者基本法に規定する消費者施策の一環として、消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援を基本とするとともに、小規模の食品関連事業者の事業活動に及ぼす影響等に配慮しなければならないこととしております。

 第二に、内閣総理大臣は、食品を販売する際に表示すべき事項と、それを表示する際に遵守すべき事項を内容とする食品表示基準を定めなければならないこととしております。また、食品関連事業者等は、食品表示基準を遵守し、必要な表示をしなければならないこととしております。

 なお、栄養表示については、現在は任意表示となっておりますが、他の表示事項同様に義務化が可能な枠組みとしております。

 第三に、内閣総理大臣等は、食品表示基準に定められた表示事項が表示されていない食品を販売し、または遵守事項を遵守しない食品関連事業者に対し、食品表示基準を遵守すべき旨の指示をし、さらに、指示に従わない者に対し、指示に係る措置をとるべきことを命ずることができることとしております。

 第四に、内閣総理大臣等は、本法の施行に必要な限度において、食品関連事業者等に対し、立入検査、報告徴収、書類等の提出要求、収去等を行うことができるとしております。

 第五に、食品に関する表示の適正化を図るため、適格消費者団体による差しとめ請求制度及び内閣総理大臣等に対する申し出制度を設けることとしております。

 以上、食品表示法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 食品表示法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(伊吹文明君) ただいまの趣旨の説明に対し質疑の通告がありますので、順次これを許します。郡和子君。

    〔郡和子君登壇〕

郡和子君 民主党の郡和子でございます。

 ただいま議題となりました食品表示法案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して質問をいたします。(拍手)

 まず、冒頭でございますが、日本維新の会の橋下共同代表が、旧日本軍の従軍慰安婦制度は必要だったと発言をしたことに対し、言葉にできないほどの憤りを覚えました。公党の代表である方の発言とは思えません。全ての女性を冒涜する、人権を踏みにじるものだと、強く抗議をさせていただきます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 本法案は、民主党政権下において検討し、法制化に向けて準備をしてきたものです。

 食品表示は、これまで、食品衛生法、JAS法、健康増進法など複数の法律にまたがり、それぞれの法律の背景や目的によって規定が分かれていて、事業者や消費者から見ても大変わかりにくい制度でありました。

 今の国会で提出に至ったことは、消費者の立場に立つ民主党として歓迎するものであり、国会において消費者の目線に立った十分な審議の上で成立されることを望みますが、本法案の検討経過を踏まえた意義と、審議に臨む基本姿勢について、森担当大臣の御所見を伺います。

 本法案第三条の基本理念の第一項に、「消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、並びに消費者に対し必要な情報が提供されることが消費者の権利であることを尊重するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として講ぜられなければならない」と規定されました。

 これまで、食品表示は、衛生上の危害発生防止、品質に関する適正な表示、国民の健康増進を主たる目的とし、消費者の権利という視点は欠落していました。消費者の権利の尊重と自立を支援することを基本として食品表示を制度化することは、大変望ましいと考えています。

 そこで、森大臣に確認をいたします。

 本法案において、消費者の権利の尊重と自立を支援するとはどういうことか、特に、権利の尊重とはどういうことなのか、お答えください。

 他方、同条第二項は、「食品の生産、取引又は消費の現況及び将来の見通しを踏まえ、かつ、小規模の食品関連事業者の事業活動に及ぼす影響及び食品関連事業者間の公正な競争の確保に配慮して講ぜられなければならない」とし、事業者に及ぼす影響等への配慮規定が盛り込まれました。

 消費者の権利の尊重と自立を支援することを前項に置き、次項に事業者への配慮規定を併記した理由を、消費者及び食品安全担当である森大臣に伺います。

 本法案は、我が国における食品の表示制度が複数の法律にまたがり、消費者、事業者双方にとってわかりづらく、改善が求められてきたことなどから、消費者庁の設置に伴って、食品表示に関する一元的な法整備に向けた検討が行われ、今回、提出に至ったものです。

 しかし、本法案における一元化は、食品衛生法、JAS法、健康増進法の三法の食品表示に係る部分の一体化にとどまっており、執行体制は従前のままです。

 にもかかわらず、本法案では、酒類が、食品表示法の対象食品に新たに加えられています。

 この酒類を食品表示法の食品とすることについて、消費者庁は、地方機関を持っていない消費者庁に移管することによって、現在全国津々浦々の地方機関を持っている国税庁が執行しているよりも執行が弱体化してしまうおそれはかなりあると、否定的な説明をしておりました。

 しかるに、本法案で酒類を対象に加えることになったのはいかなる経緯だったのか、明らかにしていただきたい。

 また、このように消費者庁みずからが認めるように、地方支分部局等の地方出先機関を持たない消費者庁は、食品の虚偽表示等の不適正な表示に対する指示、命令、立入検査等については、現状では、農林水産省や都道府県、保健所等に頼ることにならざるを得ないと思います。

 本法案制定後、消費者庁としてどのように執行体制を整備していかれるのか、具体的方策についてお示しをいただきたい。さらに、将来的には、立入検査等の体制を含めて執行体制も一元化すべきと考えますが、一元化を検討してきた消費者庁を所管する森大臣としてどのようにお考えか、御見解をお伺いします。

 本法案で新たに義務化される食品表示の範囲は、現行制度において任意で表示されている栄養成分表示です。これは、既に各事業者の努力で表示が着実に進んでおり、今や、手にする加工食品等のほとんどに、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの五成分が表示され、行政の対応のおくれを事業者が自主努力で補っている状態です。

 一方、消費者庁の食品表示一元化検討会報告書は、社会構造の変化による食の外部化の流れや、インターネットの普及等による新たな消費行動の定着などを踏まえた上で、新たな食品表示制度における適用範囲を検討することも必要と指摘し、新たな食品表示制度の適用範囲の拡大等を検討するように提言しています。また、安全性についての消費者の関心の高まりなどに対応して、新たな観点から今後の検討事項に言及をしております。

 具体的には、本法案成立後の検討に委ねられた課題として、消費者の関心の高い中食、外食やインターネット販売の取り扱い、遺伝子組み換え食品の表示、添加物表示の取り扱いと、加工食品の原料原産地表示の取り扱いがあります。

 これらの検討課題について、具体的に、いつから、どのような方向性で検討され、いつまでに結論を得るのか、お答えください。

 アレルギー物質に係る表示について、お尋ねをいたします。

 食物アレルギーを有する子供たちも多く、家庭内だけでなく、学校では、給食による食育を進める教育現場においても神経を使っています。今後検討するとされる項目の中でも、中食、外食におけるアレルギー物質の表示については、一刻も早く実施に向けた環境整備を進めるべきだと考えます。

 国民の生命と健康を守る観点から、アレルギー表示について、どうお考えでしょうか。また、この検討に当たっては、患者団体等当事者も含めて検討されるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、食品表示基準については、消費者の安全を守り、消費者が自立して選択、判断していくために、消費者が最も関心を持つところです。

 本法案では、食品表示基準の策定に当たっては、内閣総理大臣が、厚生労働大臣、農林水産大臣及び財務大臣と協議し、また、消費者委員会の意見を聞き、内閣府令で定めることとなっています。しかし、本法案の理念に鑑みて、まず、消費者が求める項目について、その声を聞くことが大切であると考えます。

 消費者の声をどのように食品表示基準策定に反映されていかれるのか、大臣のお考えを伺います。

 遺伝子組み換え食品や添加物、アレルギー物質などに係る食品表示の検討課題については、消費者の利益を守る観点から、事業者の理解と実行可能性にも配慮する必要があります。検討と同時に、事業者の理解が得られるように対話を重ねながら、自主的に表示の拡大を促すような取り組みも進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 あわせて、消費者の理解を高めることも重要だと考えます。

 昨年、消費者教育推進法が成立をし、推進計画のもとに消費者教育が順次進められると思います。特に、食育は重要であり、消費者教育の中に明確に位置づけられることが必要と考えます。

 この法案の基本理念にもある、消費者の自立を支援する観点からも、消費者の理解力を高めるための具体的な方策について、大臣の御所見をお尋ねいたします。

 適格消費者団体の役割と支援について、次にお尋ねをいたします。

 本法案において、適格消費者団体による差しとめ請求権の規定が設けられたこと、これは大変高く評価をいたします。消費者行政においては、適格消費者団体の担う役割は大きく、欠かせないものと考えます。

 本法案に適格消費者団体による差しとめ請求権を規定した理由と、期待する役割について、お答えください。また、適格消費者団体への支援についてどう考えるのかもお尋ねをいたします。

 次に、TPPの交渉参加により、食の安全、安心に対する不安の声も聞かれ、関心が高まっています。消費者に対してどのように海外由来の食品の安全確保にかかわる情報を伝えるのかといった観点からも、食品表示の役割は大きいと考えています。

 そこで、厚生労働大臣に伺います。

 TPP交渉の中で、食品の安全、安心をどのように担保し、国民に情報を提供していくのか、交渉に臨む基本姿勢と方針をお示しください。

 四月十一日に開かれた参議院消費者問題に関する特別委員会で、民主党の大河原雅子議員の、TPP交渉参加、輸入食料に関する食の安全、安心に関する質問に対し、森担当大臣は、現在、我が国は安倍総理がTPP交渉への参加に向けた調整を行っているところではございますが、私は、国民の食品の安心、安全、そして食品の表示のところはしっかりと消費者に資する形になることを閣内でも求めて全力を尽くしてまいりたいと御答弁されています。

 森大臣が閣内で求めるという、食品の安心、安全、そして食品の表示のところはしっかりと消費者に資する形になることとは、具体的に、何を、閣内でどういう形で求められるのでしょうか。具体的に、明確にお答えください。

 日本の食品表示は、食品添加物の一括表示が認められているなど、アメリカやEU、韓国等諸外国の食品表示制度と比較しても、最もおくれている、十分ではないという指摘があります。

 我が国の食品表示制度について、諸外国と比較した際に不十分だとの指摘について、大臣の御見解をお尋ねいたします。

 最後に、本法案の運用に当たっては、消費者の権利と利益の確保を最優先とすることを強く求め、私の代表質問を終わりにいたします。(拍手)

    〔国務大臣森まさこ君登壇〕

国務大臣(森まさこ君) 食品表示法の意義と、審議に臨む基本姿勢についてお尋ねがありました。

 現行の食品表示に関する制度は、食品衛生法、JAS法、健康増進法の、目的の異なる複数の法律により規定されているため、複雑でわかりにくいものとなっており、本法案によって、統一された目的に基づく、整合性のとれたわかりやすい表示制度となることは、消費者、事業者双方にとってメリットがあるものと考えています。

 私としては、本法案の意義を十分御理解いただけるよう、誠心誠意答弁させていただく所存ですので、御審議のほど、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 食品表示法案における消費者の権利の尊重及び自立の支援についてお尋ねがありました。

 本法案において、基本理念に消費者の権利の尊重と自立の支援を明記した趣旨は、食品表示制度が、基本的に、消費者が、必要な情報に基づき、みずから安全を確保して合理的に選択できるようにするものであるという考え方を明確にすることでございます。

 基本理念に事業者の配慮規定を併記した理由についてお尋ねがありました。

 小規模の食品関連事業者は、大規模の事業者に比べて、表示基準の遵守コストに係る負担が過重になる傾向があるため、その活動に及ぼす影響について配慮すること、また、表示内容によっては特定の事業者に不当に有利なものとなる可能性があり、そのような事態を避けるため、食品関連事業者間の公正な競争の確保にも配慮すること、このことにより、より公正な食品の表示の一元化が図れていくことになると考えております。

 消費者と事業者は消費生活における車の両輪というべきものであり、消費者の権利の尊重とあわせて本規定を設けることにより、消費者の自主的かつ合理的な食品選択のための食品表示の実現に資するものと考えております。

 食品表示法案において、酒類を対象に加えることについてのお尋ねがありました。

 酒類については、現行の食品衛生法及び健康増進法に基づく表示基準制度の対象とされていることから、両法とJAS法を一元化する食品表示法案においても対象としたところでございます。

 また、取り締まりの実効性を確保する観点から、酒類の不適正表示に対しては、内閣総理大臣とともに、財務大臣も指示を行うことができるよう措置したところです。

 食品表示法における執行体制の整備と将来の執行体制の一元化についてお尋ねがありました。

 本法案に係る執行事務としては、表示基準の遵守状況の監視や違反に対する是正措置等があるところ、消費者庁における執行体制の整備については、現行制度における執行実績等も踏まえつつ、必要に応じ検討してまいります。

 また、消費者庁は地方組織を有していないため、引き続き、地方出先機関を有する行政機関や都道府県、保健所と連携し、効果的、効率的な執行に努めてまいります。

 いずれにせよ、執行体制については、取り締まりの実効性の維持強化を図っていくことが重要であり、こうした観点から、必要に応じ、あり方を検討してまいります。

 食品表示一元化検討会報告書で今後の検討課題とされた事項についてお尋ねがありました。

 食品表示法案が成立し、施行するに当たっては、まず、現行の三法に基づく表示基準を統合した、新たな食品表示基準を作成する必要があります。

 また、栄養表示については、現在、任意表示となっておりますが、法案の成立後、対象となる栄養成分等について検討し、その義務化に必要な表示基準の策定を行うこととしております。

 御指摘の検討課題については、以上の課題の目途がついた段階から、関係者の意見を聞きつつ、その方向性を含めて検討を行ってまいります。

 中食、外食におけるアレルギー表示の考え方についてお尋ねがありました。

 現在、中食や外食に対してはアレルギー表示の義務はありませんが、アレルギー表示を行っていくためには、その食品に、アレルギー物質含有の有無を正確に把握した上で表示を行うことが不可欠です。

 中食や外食へのアレルギー表示については、食品表示一元化検討会の報告書において、専門的な検討の場を別途設けて検討を行うことが適当と判断されたところであり、御指摘の患者団体等当事者も含めて、今後、しっかりと検討してまいります。

 食品表示基準の策定への消費者の声の反映についてお尋ねがありました。

 食品表示基準の策定に当たっては、消費者委員会の意見も聞きつつ、また、消費者の方々、有識者の方々など、さまざまな立場の方の意見を広く伺いながら、消費者にとって必要な情報が的確に伝えられる、わかりやすい表示制度の実現に努めてまいります。

 事業者との対話を重ねながら自主的な表示の拡大を促す取り組みを進めることについてのお尋ねがありました。

 表示基準の検討を行うに当たっては、消費者の意見を聞くとともに、基準の実行可能性を担保する観点からも、義務の対象となる事業者にその過程に参画していただくことが重要と考えます。また、検討過程においては、表示の義務づけの検討と同時に、可能なものから事業者の自主的な取り組みを促し、先行的に行っていただくことも一つの考え方であると思います。

 いずれにせよ、消費者及び事業者の意見をしっかりと伺いつつ、検討を進めてまいります。

 消費者の理解力を高めるための方策についてのお尋ねがございました。

 御指摘のとおり、食育が目指す、さまざまな経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することは、消費者教育と密接な関係があると考えます。

 消費者教育の推進に関する法律において、消費者教育に関する施策を講ずるに当たって、食育に関する施策との有機的な連携を図るよう求められており、現在作成中の基本方針案において、食育との連携を適切に位置づけてまいりたいと考えています。

 適格消費者団体における差しとめ請求権についてお尋ねがありました。

 食品に係る偽装表示については、個々の消費者が一個人では表示の改善を求めることが困難であるため、適格消費者団体に差しとめ請求権を与え、同種の被害の拡大防止を図ることは重要であると考えております。

 本差しとめ請求制度を設けることにより、行政機関による監視とあわせて、表示違反行為を排除する仕組みを複線化し、表示違反行為の効率的な抑止を図ることが期待されるところでございます。

 適格消費者団体の支援については、消費者庁としては、消費者団体訴訟制度や適格消費者団体の周知、普及、認定NPO法人制度の活用促進、国民生活センター等による消費生活相談に関する情報の提供などの支援策を実施してまいりました。

 今後も、広く関係者から御意見を伺いつつ、適格消費者団体に対する必要な支援について、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。

 四月十一日の参議院消費者問題に関する特別委員会における大河原議員の質問に対する私の答弁についてのお尋ねがありました。

 TPP交渉の成果が、食品の安心、安全、食品の表示について、消費者の安全や合理的な選択の機会の確保等の消費者の権利を実現するものとなるよう、厚生労働大臣、農林水産大臣を初めとする関係閣僚とは、既に、個別に意見交換を行っております。今後も、あらゆる機会を捉えて、全閣僚に働きかけてまいりたいと考えております。

 我が国の食品表示制度について、諸外国と比較した際に不十分だとの指摘に対する見解についてお尋ねがありました。

 食品添加物も含め、我が国の食品表示制度は、食品を摂取する際の安全性及び自主性かつ合理的な食品選択の確保のために必要な情報を伝えていくことを基本としながら、表示すべき事項が多くなることでかえって消費者に必要な情報が伝わりづらくなる面があることや、事業者の負担も考慮したものとなっています。

 消費者庁としては、各国の制度も参考としつつ、関係者の意見を聞きつつ、よりよい食品表示制度の推進に努めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣田村憲久君登壇〕

国務大臣(田村憲久君) 郡議員からは、TPPと食の安全についてのお尋ねをいただきました。

 これまで得られた情報では、TPP協定交渉において、個別の食品安全基準の緩和の議論はされていないと承知をいたしております。

 交渉に当たっては、食の安全が損なわれることのないよう、国際基準や科学的知見を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと思います。

 また、国民への情報提供については、関係省庁と連携し、公開ができることは、国民の皆様方に提供してまいりたいというふうに存じます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次に、重徳和彦君。

    〔重徳和彦君登壇〕

重徳和彦君 日本維新の会の重徳和彦です。

 食品表示法案に関連し、日本維新の会を代表して、政府のお考えを何点か伺います。(拍手)

 まず初めに、食品表示の重要性について、近年増加傾向にある食物アレルギーの観点から、伺っていきたいと思います。

 近年、日本では、食物アレルギーを持つ方の数が著しく増加し、乳幼児の五%から一〇%が食物アレルギーを持つとも言われています。

 かく言う我が家も、息子が生まれつき小麦、卵、乳製品の強いアレルギー体質であり、赤ん坊のころ、初めてパンを口にしたとき、顔がぱんぱんに膨れ上がり、急いで病院に運び込んで点滴を受け、一命を取りとめたことがあります。

 そんな息子に、私は、小麦粉のかわりに米粉、牛乳のかわりに豆乳、卵のかわりにサラダオイルを使って、チョコレートブラウニーケーキをつくることを趣味としておりました。

 さて、我が国には、アレルギー体質の子供を持つ親が大勢います。どの親も、毎日の給食の成分表を注意深く見て、学校の先生にもよくよくお願いをして、不安な日々を過ごしているはずです。

 アレルギーの子供を抱える家庭は、外食することもままなりません。小麦、卵、乳製品を食べられないとなると、ラーメンも、うどんも、カレーも、ほとんどの洋食料理も食べられません。和食料理の一部のメニューしか食べられません。それも、万が一のことを考えると、原材料を店員さんに確認し、重ねて店長さんや料理長さんにも確認するぐらい、念には念を入れ、心配しながら食べることも少なくありません。

 外食産業においてアレルギー成分の表示が徹底していれば、こうした家庭でも、たまの休日には、みんなで外に食べに行きやすくなります。

 子供たちの大好きなハンバーガーショップでも、中には、小麦などアレルギー物質抜きのライスバーガーを販売しているお店もあります。家族でそろってハンバーガーを食べに行くこともできるので、救われる家族も少なくないはずです。

 外食へのアレルギー表示の義務づけは、家族で安心して外食を楽しむことのできる環境をつくり出すことができ、経済活性化につながるだけでなく、事業者に食物アレルギー問題への意識を高めていただき、消費者とのトラブルを回避することにつながると考えます。

 そこで、今後の検討課題とされている、外食へのアレルギー表示の義務づけによって期待される効果と、現状における課題を、森消費者担当大臣にお伺いをいたします。

 次に、甘味料のアレルギー表示についてお伺いします。

 先日、テレビニュースでも話題になっていましたが、甘味料にも、アレルギー反応が出るケースがあるようです。

 これは、国立病院機構相模原病院の医師や栄養士などのグループが、昨年十月、食物アレルギーの患者を診療している全国の医師などに調査をしたもので、加工食品などに使われている甘味料が原因と見られる食物アレルギーの患者が三十人余り報告されていたとのことです。

 エリスリトール、キシリトール、ステビアなどの甘味料は、現行制度では表示義務はなく、含まれる量が少ない場合、原材料としての表示を省略することもできるそうです。

 調査を行った医師は、テレビニュースのインタビューの中でこう述べられております。甘味料がアレルギーの原因になることは余り知られておらず、見逃されているケースも多いと見られる、ダイエットのための低カロリー食品がふえているので注意が必要で、今後は表示についても検討すべきだと。

 この調査結果は消費者庁にも報告されているとのことですが、消費者庁として、どう受けとめ、どう対応していかれるのか、森大臣に見解をお伺いいたします。

 ところで、アレルギーに関する表示義務づけは必要なことではありますが、あくまでも対症療法であって、この問題の根本解決にはなりません。

 食物アレルギーに限らず、花粉症、ぜんそく、アトピー性皮膚炎など、症状の内容や程度の差こそあれ、近年、多くの国民の皆さんがアレルギーに悩まされています。

 この原因としては、私たちを取り巻く衛生環境、食生活や生活環境の変化など諸説ありますが、そもそも、食物アレルギーの原因は一体何なのか、そして、根本解決に向け、日本社会に何が必要とお考えになるか、田村厚生労働大臣にお伺いをいたします。

 次に、大きく二つ目の質問に移ります。

 日本の食、とりわけ酒類、すなわち、お酒の振興に関する行政の問題点について指摘をしたいと思います。

 今回の法案は、これまで、農水省のJAS法、厚生労働省の食品衛生法、健康増進法と、三つの法律でばらばらに規定されていた食品表示の仕組みを、包括的かつ一元的な仕組みとし、消費者が商品を選ぶ際にわかりやすい制度を目指すものとして、一定の評価をいたしております。

 しかしながら、よくよく法案を見ると、条文の至るところに、農水省、厚労省のほかに、財務省の事務権限の規定が登場します。これはひとえに、酒類、すなわち、お酒に関する所管が財務省にあることによるものです。

 お酒を所管するのが酒税法を所管する財務省であることは、知る人ぞ知る事実であり、行政の世界では、ある意味、常識化している面もあります。それは承知しております。

 しかしながら、お酒は、単なる課税対象として捉えるより、日本人の食生活や、ビジネス、社会、文化に深く根づいた、極めて多面的な重要性を有する食品であることは言うまでもないことであって、税を所管する財務省が所管するのが最も合理的とは思えません。

 私は、これまで、酒どころ青森県、山形県、広島県、そして地元愛知県で暮らし、各地でおいしい地酒に親しんできました。

 青森には、田酒、菊駒、山形には、出羽桜、初孫、広島には、醉心、賀茂鶴、私の地元にも、長誉、尊皇、孝の司など、全国津々浦々に、郷土の誇り、地域ブランドである銘酒が数多くあることは、この本会議場にいらっしゃる議員の皆様に知らない方は一人もいらっしゃらないはずです。

 お酒は、古来より、人々のコミュニケーションに欠かせないものであり、また、我が国では神事や儀式にも欠かせないものとして、日本人の心のよりどころでもあります。

 キャベツやニンジンがどこの産地か関心がない方でも、日本酒を飲むときに、どこの地域のどこの酒蔵でつくられたものか、無関心な方は少ないと思います。

 日本酒や焼酎に限らず、ビールやワインについても、地ビールや御当地ワインなど、地域活性化の起爆剤として、農商工連携の目玉商品として開発されることも少なくありません。

 また、海外におけるすしブームや健康食など日本の食の進出に伴って、日本酒は、日本のソフトパワーとしても重要な戦略商品です。お酒を担当する省庁は、こうした戦略性を含めた総合的な政策を打ち出せる省庁とすべきです。

 一方、地元の蔵元の方から話を聞いたところ、今問題となっていることとして、国の減反政策による米の生産調整により、酒づくりに使用される酒米までが生産されなくなり、仕入れが困難になっているとの話もあります。減反政策が、どこの蔵元のどの銘柄の酒米の確保を困難にさせているのか、財務省がきちんと把握し、農水省と連携して、日本酒の生産に支障を来さないように努力されているのでしょうか。

 また、日本酒を製造する酒蔵の数は、農村地域の過疎化、高齢化など地域コミュニティーの衰退に伴って、近年、急激に減少しております。このことは、お酒を愛好する方だけでなく、酒蔵の存在を地域のシンボルとして誇りに思う多くの方々にとって、ふるさとの風景を変えていってしまう、非常に悲しむべき事態だと思います。

 さらに別の視点から見ると、お酒は、生産や消費がふえさえすればよいというものではなく、酒にまつわる社会問題は、飲酒運転による悲惨な死傷事故は言うまでもなく、飲酒の上でのさまざまなトラブルや未成年飲酒の問題など、多岐にわたります。

 お酒については、以上のとおり、さまざまな面において重要な行政課題であり、各省庁が連携して取り組むべきですが、その主務官庁が、現行では、国税庁の課税部酒税課であり、お酒の生産、流通、消費、さらには海外戦略に至るまで担当しているそうです。国税庁において現に担当されている職員の皆様方は、その持ち場で真剣に仕事に取り組んでおられるものと、心から敬意を表する次第ではあります。

 しかし、財務省がお酒を所管していることについては、戦費調達のために酒税を徴収した歴史的背景があり、税の中でも少し特殊な位置に置かれていることは一応理解できたとしても、これまで述べた社会、経済、文化的な背景を考えると、やはり、食品全般または地域活性化や食文化を担当する省庁が戦略を持って政策立案、実行すべきと考えます。

 お酒に税がかかるから財務省が所管するというのであれば、自動車税のかかる自動車産業も財務省の所管となるというロジックになってしまいます。

 今回の条文を読むと、財務大臣の所掌事務が頻繁に登場します。

 本法案第四条から十五条あたりまで、農林水産大臣の事務権限についての規定に続いて、お酒の担当についてだけ、財務大臣の事務権限として繰り返し定められているのです。この事務を農林水産大臣に一元化すれば、条文の量も半分になります。そして、単に条文の量の問題ではなく、実際の事務執行の非効率性、行革の観点から、所管省庁を見直す必要があるのではないかと考えます。

 そこで、酒類はなぜ財務省が所管するのか、改めて財務大臣にお伺いいたします。

 また、日本の重要な食文化としての日本酒の振興に当たり、財務省としてどのような取り組みをしてきたのか、減反による酒米確保の問題を含め、お伺いをいたします。

 そして、日本酒の消費量が減り、酒蔵が急激に減少している現状を見て、今までの取り組みは十分だったと思うか、財務大臣にお伺いをいたします。

 さらに、地方分権の観点からも問題点を指摘したいと思います。

 法第十五条によると、お酒以外の食品に関する農林水産大臣の事務権限は、都道府県知事が行うこととすることができ、地域の実情や県の施策とあわせて総合的に仕事ができる仕組みとなっていますが、お酒に関する財務大臣の事務権限については、都道府県知事が行うこととすることができる規定がありません。地域におけるお酒に関する事務権限は、国税庁の出先機関である地方支分部局の長に委ねることとされているのみです。

 地方分権の時代にあって、地域の仕事は都道府県など地方自治体が行うこととするのが原則と考えますが、財務大臣の権限はなぜ知事に委ねることができないのか、財務大臣にお尋ねをいたします。

 こういう質問を財務省の役人の皆さんに尋ねても、現状を肯定し、正当化する答弁しか出てこないんです。

 日本維新の会の石原慎太郎代表は、常々、役人の仕事は継続性と一貫性だが、政治家の力量が問われるのは、これを打破する発想力だと言っております。

 財務省がお酒を所管しなければ、財務省の職員は、権限や仕事が減って、困るかもしれません。しかし、こうした省益レベルを超えた議論ができるのが政治家です。ぜひとも、山口副大臣には、政治家として、大所高所の観点から、継続性と一貫性のみにとらわれない、改革マインドあふれる御答弁を期待いたします。

 残りの時間を使って、私が日々、常々考えている日本の問題についてお話を申し上げたいと思います。

 株価、円安に沸くアベノミクス効果の陰で、課題先進国と言われる我が国の構造的な課題は、いまだ何も解決されていません。

 最大の構造的な課題は少子化です。

 この問題を放置すれば、今後数十年にわたって人口が急速に減少し、経済も、産業も、財政も、社会保障も持続困難となる見通しの中で、今を生きる私たちが早急に根本的な手だてを講じなければ、手おくれとなります。

 予算委員会でも指摘をしたのですが、例えば農業について言えば、農業の後継者不足の問題は、三十年前の、私が小学生だったころの教科書にも既に載っていたほど昔からの問題であったにもかかわらず、これに有効な手だてを打てずに事実上放置をしてきたのが、日本の政治です。その結果、今や、農業従事者の平均年齢は六十六歳。限界集落、耕作放棄地が全国にあふれ、日本の農業は限界まで来ています。

 私たち政治家は、将来世代への責任を果たさなければなりません。

 今国会では、衆議院において、当初予算における莫大な国債発行は言うに及ばず、高齢者の医療費負担のあり方、地方財政制度のあり方、民間経済への官の過剰な介入など、さまざまな指摘が行われ、こうした財政運営に対する問題点を改めるため、野党から当初予算の修正案も提出されましたが、いずれも否決されました。

 財政運営一つとっても、今の世代の都合で、減り行く将来世代にツケを回す施策を漫然と続けることは、余りに無責任なことです。

 大胆な改革は来るべき選挙に不利との判断からか、安全運転に徹した従来型の財政運営には、将来への責任を全く感じません。

 私たちは、将来世代に責任ある国家運営をするとともに、一刻も早く少子化問題を解決すべきです。政治の舞台では、少子化、少子化だなんて先細りの暗い言葉を使うべきでなく、政治家は、学者や評論家と異なり、国民意思の代弁者なんですから、強い意思で子供をふやすんだという意味で、子供をふやす、増子化という言葉を使って、増子化に向け、全ての政策資源を動員し、ありとあらゆる手を尽くして、思い切った政策を打ち出すべきです。

 将来世代から、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんは一体何をしていたんだと言われないように、目先の選挙よりも、将来世代に対する責任をしっかり果たさなければなりません。

 本日申し上げた、アレルギーの問題にしても、日本の食文化の発展にしても、将来にきちんとした国と地域を引き継いでいくこと、これが私たち政治家の最大の使命だと考えます。

 以上、思うところを述べまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣森まさこ君登壇〕

国務大臣(森まさこ君) 外食へのアレルギー表示の義務づけについて、期待される効果と現状における課題についてお尋ねがありました。

 現在、外食にはアレルギー表示義務はありませんが、仮にこれを義務づけした場合、食物アレルギーをお持ちの方に安心して外食を利用していただけるという効果が考えられます。

 他方、注文等に応じてさまざまなメニューを手早く調理することも求められる外食においては、調理器具等からのアレルギー物質の意図せぬ混入防止対策を十分にとることができるかなどが、大きな課題となると考えられております。

 外食へのアレルギー表示については、食品表示に関する一元的な法律の制定に向けて検討を行うために開催された食品表示一元化検討会の報告書において、専門的な検討の場を別途設けて検討を行うことが適当とされたところであり、同報告書の趣旨も踏まえ、今後、しっかりと検討してまいります。

 エリスリトールなどの甘味料によるアレルギー症例が報告されたことへの受けとめ及び対応についてのお尋ねがありました。

 我が国のアレルギー表示については、その対象となる物質を、おおむね三年ごとに行う実態調査等の結果を踏まえて定めており、現在、表示義務がある品目は、卵、乳、小麦などの七品目、表示を奨励する品目は、大豆など十八品目があります。

 御指摘のエリスリトールなどによるアレルギー症例については、昨年度、甘味料に特化して、初めての全国調査により報告されたものであり、症例の恒常性や重篤な症例の多さなどを確認するため、引き続き実態調査を行っていく必要があると考えております。

 消費者庁といたしましては、このような新たな発症例等を含め、最新の科学的知見等も踏まえつつ、食品のアレルギー表示制度が我が国の実情に即したものとなるよう、引き続き、しっかりと対応してまいります。(拍手)

    〔国務大臣田村憲久君登壇〕

国務大臣(田村憲久君) 重徳議員からは、アレルギー対策についての御質問をいただきました。

 我が国においては、国民の多くが何らかのアレルギー疾患にかかっていると言われておりますが、アレルギー疾患の増加要因については、いまだ十分に解明されておりません。

 今後とも、関係省庁と連携し、アレルギー疾患の根本解決に向け、病態の解明や治療に関する研究を初め、総合的な対策を推進してまいりたいというふうに考えております。(拍手)

    〔副大臣山口俊一君登壇〕

副大臣(山口俊一君) それでは、お許しをいただきまして、私の方から答弁をさせていただきたいと思います。

 財務省が酒類業を所管する理由というふうなお尋ねがございました。

 もう御案内のとおりでございまして、財務省設置法の十九条におきまして、財務省の外局であります国税庁の任務として、内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、これに加えまして、酒類業の健全な発達が掲げられております。

 この酒類業の健全な発達という国税庁の任務につきましては、酒類が実は高率の酒税を負担しておるいわゆる財政物資であり、酒類業の発達が酒税の保全と関連性を非常に高く有するというふうなことから、酒類業を産業として所管しておるというふうなものでございます。

 また、日本酒の振興のための取り組み等についてのお尋ねもございました。

 それぞれ消費の方で御努力はいただいておるわけでありますが、いかんせん、国民のライフスタイルの多様化などによって、近年、日本酒の消費量及び清酒の製造業者の数が減少傾向になっております。中小企業が大多数を占める清酒の製造業者の経営を取り巻く環境は、非常に厳しいというふうなものでございます。

 国税庁としましても、経営の革新のための取り組みの紹介あるいは経営革新計画等の作成支援等を通じまして、酒類業界の活性化のほか、酒類に含まれる、これは三・一一以降でございますが、放射性物質の分析等によりまして、酒類の品質、安全性の確保、醸造技術の研究開発などに取り組んでおります。

 また、酒米についてもお話がございました。

 これも、より安定的な確保がなされるように、農林水産省ともしっかりと連携をして、酒類業者に対するより一層の情報提供に取り組む等の対応をしてまいりたいと考えております。

 さらに、関係府省とも連携をして、日本酒を初めとする日本産酒類の輸出環境の整備も図っておりまして、引き続き、酒類業の健全な発達に総合的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

 三点目に、権限の委任等についての御質問がございました。

 これは、食品表示法案におけます酒類に関する事務は、国税である酒税の保全及び酒類業の発達等に関する事務の一環でありますことから、国が行うべきものであり、そして、国税庁が行うというふうなことにしております。

 したがいまして、食品表示法案におきましては、酒類に関する財務大臣の権限は、国税庁長官を通じて国税庁の地方支分部局の長に委任をすることができるというふうなことにしておりまして、都道府県知事等への権限の委任はなじまないのではないかというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。(拍手)

議長(伊吹文明君) 以上をもって食品表示法案に対する質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       厚生労働大臣  田村 憲久君

       環境大臣    石原 伸晃君

       国務大臣    森 まさこ君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  伊達 忠一君

       財務副大臣   山口 俊一君


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