衆議院

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第3号 平成26年1月29日(水曜日)

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平成二十六年一月二十九日(水曜日)

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 議事日程 第三号

  平成二十六年一月二十九日

    午後二時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)


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    午後二時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

議長(伊吹文明君) 昨日に続き、国務大臣の演説に対する質疑を行います。まず、井上義久君。

    〔井上義久君登壇〕

井上義久君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました安倍総理の施政方針演説に対し、総理並びに関係大臣に質問します。(拍手)

 安倍内閣発足から一年が経過し、政治の安定と機敏かつ的確な政策対応により、経済を初め、状況は大きく動き出しました。

 日本経済は、三本の矢による経済政策により、過度な円高が是正され、株価も上昇、大企業を中心に収益が増加するなど、大きく改善しました。

 東日本大震災からの復興は、瓦れきの処理やインフラの復旧にめどが立ちつつあり、住まい、まちづくりを含めた本格的な復興が加速度を増しています。

 福島の原子力事故災害からの復興再生も、国が前面に出て対処するなど、新たな段階に入りました。

 社会保障制度は、安定財源を確保するとともに、昨年成立したプログラム法に基づく本格的な改革がいよいよ始動します。

 さらには、財政健全化への取り組みも着実に進展しています。

 このように、政権交代前まで日本の政治、経済、そして社会全体を覆っていた閉塞感を打ち破り、未来へ向かっての展望を開いた、それが二〇一三年であったと確信します。

 しかし、これからが正念場です。

 安倍総理が今国会を好循環実現国会と銘打たれたとおり、日本経済の再生と震災からの復興の加速を最優先の課題として、全精力を傾注すべきです。さらに、安心の社会保障の実現や外交・安全保障問題など、内外の諸課題にも取り組まなければなりません。

 公明党は、与党として、これらの課題に責任を持って全力で取り組むことをお誓い申し上げます。

 以下、政策課題について質問します。

 まずは、最優先課題である経済再生についてであります。三つの視点から質問します。

 第一に、経済の好循環こそが経済再生の目的であるという点です。

 安倍内閣発足により、日本経済は着実に回復に向けて動き出しました。長引くデフレからの脱却は、すなわち、失われた二十年からの脱却です。何が何でもやり遂げなければなりません。

 これまでは、金融緩和による過度な円高の是正と適切な財政出動が経済を牽引してきました。それを民需主導の経済成長につなげ、景気回復の効果を、家計へ、地域へ、中小企業へと、全国津々浦々まで波及させ、雇用拡大、賃金上昇につなげていくことが不可欠です。

 政府は、引き続き、経済対策の実行はもとより、政労使の協議の場を活用するなど、賃上げを確実に実現するための環境整備に努めるべきです。

 企業、経済界に対しても、賃上げに向けた一層の努力を改めて強く要請いたします。

 他方、円安やデフレ脱却過程での物価上昇や原材料費の高騰などが家計や企業に与える影響にも十分注意を払い、適宜適切な対策を講じるよう求めます。

 第二に、二十五年度補正予算、二十六年度当初予算、税制改正を含めた関連法案の速やかな成立と執行です。

 特に補正予算は、四月の消費税率引き上げによる経済への影響を最小限に抑える観点からも重要です。

 補正予算では、消費税引き上げに伴う負担の軽減策として、臨時福祉給付金や、中堅所得層、特に子育て世帯への給付金などが、また、駆け込み需要による反動減の緩和策として、すまい給付金や被災者の住宅再建のための給付措置などが盛り込まれています。

 税制面での対応も不可欠です。消費や民間投資の拡大を促すため、給与をふやした企業に減税する所得拡大促進税制や、成長力強化に資する投資減税の拡大などが措置されています。

 また、二十六年度当初予算には、復興の加速化に向けて、例えば、福島再生加速化交付金を補正予算と合わせて千六百億円へと拡充するなど、被災地に寄り添った復興予算を十分に確保しています。

 そのほか、安心、安全につながる社会インフラの老朽化対策や全国的な防災・減災対策の推進、さらには、子育て支援策として、高校生向けの給付型奨学金の創設や保育所等の前倒し整備など、公明党の主張を踏まえた予算が数多く盛り込まれており、一日も早い成立と執行が求められます。

 第三に、日本の強みを生かした成長戦略の着実な実行です。

 物づくりは日本の大きな強みであり、高い技術力や層の厚い中小企業群、そして裾野の広い産業集積の存在をフルに生かせられれば、日本は世界で勝ち抜くことができます。

 元気で強い中小企業を守り、育てるためにも、設備投資、技術開発の促進、金融の円滑化など、さらなる支援策に力を注ぐべきです。

 観光も成長戦略の大きな柱です。

 おもてなし、世界文化遺産・富士山、無形文化遺産・和食、いずれも、物づくりと並ぶ、日本が世界に誇る貴重な財産です。さらに、クール・ジャパンと称されるコンテンツや文化芸術などとあわせ、日本を一つのブランドとして世界に発信し、魅力を高めていく戦略的取り組みが重要です。

 昨年、日本を訪れた外国人観光客が、史上初めて一千万人を突破しました。オール・ジャパンで取り組む二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、二千万人を目指し、ビザ発給要件の緩和や外国人旅行者にわかりやすい案内表示の整備など、グローバルな観光戦略を強力に推進すべきです。

 以上、経済再生への取り組みについて、総理の答弁を求めます。

 税制について伺います。

 車体課税については、二十七年度の自動車取得税の廃止を見据えた税率引き下げと、取得税、重量税のエコカー減税を拡充することとしています。

 また、軽自動車については、二十七年度以降に新規取得される新車に限って税率を引き上げるものの、軽自動車が特に地方における大切な生活の足となっていることを重視し、既存ユーザーの税負担は、現行のまま据え置くこととしました。

 今後は、公明党が一貫して主張してきた、簡素化、負担の軽減、そしてグリーン化を進めるとの観点から、車体課税全体の見直しを進めていくべきです。

 消費税の軽減税率については、二十六年度与党税制改正大綱に、税率一〇%時に導入することが盛り込まれました。公明党は、飲食料品などを対象に、一〇%への引き上げ時に軽減税率制度を実施すべきと考えています。

 いずれにしても、与党大綱に沿い、対象品目や納税事務のあり方などの詳細な制度設計の協議を急ぎ、今年末までに結論を出すべきです。

 改めて、消費税率一〇%への引き上げの時期、また、軽減税率の導入、実施についての総理の認識を伺います。

 次に、社会保障制度改革についてです。

 自民、公明、民主三党で合意した社会保障と税の一体改革は、昨年の臨時国会で社会保障制度改革の全体像と工程を示したプログラム法が成立し、いよいよ具体化に向けて動き出します。

 公明党は、一体改革の基本的な考え方、すなわち、安心の社会保障の確立に全力で取り組む決意です。

 以下、具体的に伺います。

 まずは、地域包括ケアシステムについてです。

 高齢化の急速な進行の中で、地域では、医療、介護、住まいなどのサービスが包括的に確保される体制、すなわち、地域包括ケアシステムの構築が不可欠です。

 公明党は、党内に地域包括ケアシステム推進本部を設置し、地方議員とのネットワークを生かし、全党を挙げて推進への取り組みをスタートさせました。

 今国会に、地域包括ケアシステム構築に向け、地域における医療、介護の総合的な提供体制づくりのための法案が提出をされます。医師、看護師の確保や、在宅医療・介護を推進するための財政支援制度が法定化されることの意義は大きいと考えます。

 二十六年度予算では、九百四億円の基金が創設され、地域医療を支援することとなっており、地域の実情を踏まえた適切な活用が望まれます。

 一方、現場からは、医療提供体制が本当に充実をするのか、医療難民や介護難民がふえることになるのではないかとの懸念や、軽度者が切り捨てられる、介護従事者の確保も難しいとの切実な声が届いています。地方自治体や医療・介護現場の声をしっかりと受けとめ、実効性のある改革にしなければなりません。

 基金の活用のあり方を含め、地域包括ケアシステム構築に向けた総理の決意をお伺いいたします。

 難病対策について伺います。

 難病患者、家族の長年の悲願であった難病対策が抜本的に改革されます。

 難病の治療研究を進め、疾患の克服を目指すとともに、共生社会の実現という基本理念のもと、難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられるよう、恒久的かつ総合的な改革とすべきです。

 医療費助成については、法律に基づく安定的な制度となり、助成対象の疾患が現行の五十六から約三百疾患へと拡大し、対象者数も百五十万人へと倍増する見込みです。

 また、患者負担についても、公明党の提言を踏まえ、検討の過程で、患者の所得や生活実態を踏まえた、より一層の軽減措置を講じています。特に、ALSなど人工呼吸器等を装着している超重症患者の方々の負担を大幅に軽減します。

 あわせて、小児慢性疾患についても、抜本的な見直し、拡充がされます。

 実施に向けて、関係法案を速やかに成立させるべきと考えます。総理の難病対策に対する決意をお伺いします。

 がん対策について伺います。

 公明党が推進したがん対策基本法の制定と、同法に基づく基本計画によって、がん対策は大きく進みました。しかし、なお、目標の達成に向けては幾つかの課題があります。

 第一に、検診の受診率向上に向け、コール・リコールの徹底や、特定検診との同時実施、企業の検診推進などを急ぐべきです。

 第二に、病気だけでなく、命の大切さを育むための、学校等におけるがん教育の全国展開です。

 第三に、がん診療連携拠点病院等における、診断時からの緩和ケアの推進です。

 がんから国民を守るため、これらの課題に今こそ本腰を入れて取り組むべきと考えます。総理の答弁を求めます。

 子育て支援について伺います。

 日本の将来を担う若い人たちが、希望を持って働き、安心して子育てができる環境を整備しなければなりません。

 二十七年度から施行される子ども・子育て新制度に向けて、今後、保育所、幼稚園、認定こども園などの公定価格の設定を初め、環境整備が進められます。その際、関係団体や制度運営を担う地方自治体としっかりと連携し、現場で混乱が生じないよう、万全を期すべきです。

 また、二十五、二十六年度に、保育所の受け入れ児童数を約二十万人拡大するなどの待機児童解消加速化プランを確実に実施するとともに、あわせて、保育士の処遇も改善し、保育人材の確保を急ぐべきと考えます。総理の答弁を求めます。

 年金について伺います。

 一体改革によって、基礎年金国庫負担二分の一の恒久財源が確保され、年金制度はさらに安定したものとなりました。一方、若者を中心に、非正規労働者の割合が高くなるなど、雇用環境が変化している中で、無年金者や低年金者がふえることが懸念されます。

 こうした若者雇用への対応としては、経済成長による雇用・所得環境の改善や、正規化、均等待遇への取り組みを含め、雇用対策を強化するなど、幅広い観点から総合的な取り組みが必要です。その上で、年金制度についても、さらなる厚生年金の適用拡大など、無年金・低年金対策を着実に進めるべきと考えます。総理の答弁を求めます。

 東日本大震災からの復興の加速化について伺います。

 間もなく、震災から三年を迎えます。今なお、十万人を超えるプレハブ仮設住宅の入居者を含め、約二十七万人が、特に福島県では、県外避難者五万人を含め、約十四万人の方々が避難生活を余儀なくされております。

 改めて、被災された皆様に、心よりのお見舞いを申し上げます。

 被災者の方々が一日も早く普通の平穏な生活に戻れるよう、できることは全てやるとの覚悟で、政府・与党一丸となって、復興の加速化に全力で取り組む決意です。

 被災地では、瓦れきの処理が、福島の一部を除き、三月末で完了する見通しとなり、道路を初め、インフラ整備も進んでおります。

 いよいよ、これから住宅再建、まちづくりなどが本格的な段階に入ります。一層の加速化に向け、住宅の工程表なども、問題があれば積極的に解決策を見出し、適宜見直しを行うべきです。

 特に、住宅再建やまちづくりにとって障害となっている用地取得の加速化については、昨年十月に、政府が、土地収用制度の運用改善、手続簡素化などの特別措置を決定したことは評価しますが、まだ不十分との指摘もあり、今後さらに、被災地における実情や当事者の意見を踏まえて、一層の加速化措置を検討すべきと考えます。

 福島の復興再生に向けては、除染や廃炉、汚染水対策、賠償、健康対策、帰還など、多くの困難と立ち向かっていかなければなりません。特に、早くふるさとに帰り、ふるさとを再生させたいという方々の思いにしっかりと応えることが大切です。

 今後、避難指示の解除が具体化していく中で、帰還を選択する方、新しい生活を選択する方、いずれの場合においても、適切な賠償や放射線の安全、安心対策などを含めた積極的な支援策を講じていくべきです。

 一方で、避難指示が継続し、ふるさとに帰還できない状況が長期化せざるを得ない地域もある中で、未来を見据えたまちづくりの姿を示していくことが重要です。

 先般、福島・国際研究産業都市構想研究会が設置されましたが、地元の期待も大きく、官民の英知を結集し、地域の再生、新たな拠点づくりに向けた具体像を示すことができるよう、切に要望します。

 さらに、復興の加速化に当たっては、地域ごとの進捗状況や課題の変化に即し、被災地との連携をより一層図りつつ、これまで以上にきめ細かく対応すべきです。政府においても、現場のニーズに沿った形で柔軟に対応できるよう、万全な体制をしくべきと考えます。

 公明党は、震災発生直後から、国会議員の担当地域を決めて現地に派遣し、地方議員や被災自治体とも連携をとりながら、日々、被災地、被災者から寄せられる生の声を政治に届け、復旧復興や生活再建に全力で取り組んでまいりました。これからも、より被災者に寄り添い、党の総力を挙げて復興の加速化に取り組む決意です。

 復興の加速化、福島の再生について、総理の答弁を求めます。

 関連して、インフラ整備に係る担い手不足について伺います。

 今後、復興の加速や東京五輪に向けて、インフラ整備の需要が高まることが想定されます。

 しかし、鉄筋工や型枠工などの技能労働者を初め、担い手不足が構造的な問題としてあります。さらに、経済回復による資材のコスト増等が重なり、このまま放置すれば、復興やインフラ整備が大幅におくれることになりかねません。現実に、公共工事の入札不調が頻発しております。

 先般、太田国土交通大臣は、入札不調に対し労務単価引き上げ等の措置を指示されましたが、今後、担い手不足や資材高騰などの課題にどのように対応されるのか、大臣の見解を伺います。

 防災、減災の国際的な取り組みについて伺います。

 公明党は、今月、昨年の台風三十号により大きな被害を受けたフィリピン現地へ二名の国会議員を派遣し、被害状況や復興支援のあり方について調査を行いました。

 その中で、我が国自衛隊による医療支援が大きな役割を果たしていることや、学校や医療機関の再建など、災害に強いまちづくりに向け、日本の継続的な支援が必要であることを確認いたしました。

 人命や社会経済活動に甚大な影響を及ぼす大規模災害への備えとして、国境を越えた支援ネットワークの強化とともに、各国政府の防災、減災への事前投資の重要性が国際的に共有されつつあります。

 こうした中、来年三月に仙台で開催される第三回国連防災世界会議は、我が国のこれまでの経験や知見を世界に発信し、各国の防災機能の向上に寄与する絶好の機会です。会議の成功に向けて、政府としても全面的に取り組むよう、改めて要望いたします。

 さらに、人間の安全保障の観点から、二〇一五年に終期を迎えるミレニアム開発目標の後継目標に防災を明確に位置づけて開発、国際協力を推進するなど、防災、減災を主要な政治課題へと高めていくことが重要です。

 防災先進国として日本の果たすべき役割と取り組みについて、総理の見解を伺います。

 次に、外交、安全保障について伺います。

 昨年十二月、外交、安全保障の司令塔となる国家安全保障会議が発足しました。これを受けて、政府は、外交・安全保障政策の包括的な指針として国家安全保障戦略を策定し、同時に、これを踏まえた新防衛大綱を決定しました。

 安全保障戦略を進めるに当たっては、これまで日本が歩んできた国際協調主義や平和国家としての基本理念を堅持すること、そして、防衛力や経済力だけでなく、ソフトパワーを重視した外交力の強化など、総合的かつ平和的なアプローチによって地域の安定と繁栄に貢献するという姿勢を明確に発信していくことが重要だと考えます。

 総理が、就任後一年余りで三十カ国を訪問するなど、積極的な首脳外交を展開されていることを評価いたします。

 一方で、中国、韓国との関係改善は、引き続きの課題となっています。

 隣国である中国、韓国との関係は、最も重要な二国間関係の一つであり、東アジアの安定と繁栄を築いていく上で、日中韓の連携と役割は極めて重要です。だからこそ、これまで、困難な問題に直面しても、両国が互いに知恵を絞り、粘り強い対話と努力で難局を乗り越えてきた歴史があり、公明党もそのために尽力してきました。

 現下の膠着状態から脱却するため、対話のドアは開かれているという状態から一歩踏み出し、我が国からも具体的なアクションを起こすことが必要だと考えます。

 対話のドアは一つではありません。大局的見地に立って、政治、経済、文化、環境、防災等の各分野において未来志向の協力関係を積み重ねていくことが重要であり、国際社会もその動向を注視しています。

 また、国家安全保障戦略や新防衛大綱に明記された、日中間における不測の事態の発生回避、防止のための枠組みの構築や、相互理解を促進する人と人との交流の強化の早期具体化を急ぐべきです。

 以上、外交の基本方針、特に日中、日韓の関係改善について、総理の答弁を求めます。

 沖縄の基地負担の軽減及び振興策について伺います。

 日本の米軍施設のうち七四%が集中する沖縄の基地負担の軽減は、最優先で取り組むべき課題です。在沖縄米海兵隊のグアム移転の推進を初め、在日米軍再編に取り組みつつ、基地の段階的整理縮小や訓練の分散移転など、負担軽減を着実に進める必要があります。

 また、昨年日米合意された嘉手納以南の土地返還計画も、前倒しを含めた一日も早い実施に向けて、米国と調整を図るべきです。

 普天間基地移設の問題は、危険性の除去という問題の出発点に立ち返り、固定化回避に向けて、県民の理解を得つつ、より慎重に進めるべきと考えます。

 沖縄振興策についても、総理と仲井真知事との面談において約束されたとおり、沖縄二十一世紀ビジョン基本計画に沿って、所要の予算を確保しつつ、着実に実施していくべきです。

 沖縄の負担軽減と振興策について、総理の答弁を求めます。

 農林水産政策について伺います。

 農林水産業については、昨年末に農林水産業・地域の活力創造プランを決定し、今後十年間で農業、農村全体の所得倍増を目指す方針が示されました。特に米政策については、生産調整の見直しなどを含め大きく転換しますが、農家には、戸惑いや懸念、不安が広がっています。

 丁寧な説明に努めるとともに、安心して経営を続けられるよう、法制化された安定的な制度を構築すべきです。特に農作物の収入保険については、生産調整の見直しとあわせ導入を実施すべきと考えます。

 また、農業の持続的な発展に向け、担い手対策や高付加価値化の促進などにも一層力を注ぐべきです。鳥獣被害や農作業事故への抜本対策も必要です。

 水産業については、豊かな水産資源を適切に管理するとともに、国際的な衛生管理基準であるHACCP認定体制の構築や施設整備などを行うとともに、輸出体制の強化が重要です。

 林業については、強度、耐震性、耐熱性、耐火性にすぐれた集成木材である直交集成板、いわゆるCLTの利用拡大や、国産材の安定的な供給体制の整備などを進め、東京五輪の関連施設などに積極的に活用すべきです。

 関連して、福島を初め東北三県の農林水産物に対する風評被害も依然として残っております。正確な情報発信や販路拡大に向けたPRなど、継続的な対策を強く求めます。

 以上、農林水産業の課題について、総理の答弁を求めます。

 特定秘密保護法について伺います。

 特定秘密保護法は、国民の知る権利に資する報道や取材の自由への配慮を初め、特定秘密への通常取材行為の不処罰、外部チェック機関である有識者会議の設置など、我が党の主張が条文に明記され、大幅な修正を経て成立いたしました。

 しかし、国民の間には、今なお、特定秘密保護法の運用に対する根強い不安や懸念の声があります。

 政府は、このことを真摯に受けとめ、法施行に向けての準備については、より丁寧に進め、かつ、一層国民へのわかりやすい説明に努めるべきです。

 国権の最高機関である国会も同様です。

 特定秘密にかかわる国会の自主性を確保するためにも、施行までに国会に設置するとしている常設的な機関については、国民の安心に資する、実効ある組織にしていくべきです。

 将来的に第三者機関への移行、格上げが検討されている情報保全監察室については、個別の特定秘密の指定及び解除の適否の検証などを行うという運用の根幹的な役割を担うことから、十分な公正性を持った体制にすべきと考えます。

 あわせて、公文書管理法や情報公開法の改正など、情報公開制度を拡充すべきです。

 特に、閣議や閣僚懇談会の議事録作成等を義務づける公文書管理法改正案は、今国会に提出すべきと考えます。

 特定秘密保護法に係る諸課題について、総理の見解を伺います。

 最後に、一言申し上げます。

 日本の将来に対し、高齢化や人口減少などを捉えて、悲観的に見る向きがあります。しかし、高齢社会は、長寿の実現であり、世界に誇るべきことです。

 私たちには、高齢化や人口減少を乗り越えて、未来に向かって日本の活力を維持し、安心の社会保障、安全で豊かな国土を築く責任があります。そして、一人一人が誇りを持ち、幸福な人生を送れる社会、世界の平和と繁栄に貢献する日本をつくり上げていかなければなりません。

 公明党は、本年、結党五十年の節目を迎えます。

 私たちは、結党以来、「大衆とともに」「生命尊厳」の立党の精神のもと、一貫して一人一人の庶民の思いを大切にし、その声を政治に届けてきました。

 そして、政治勢力の離合集散など激しく変動する政党政治の中にあって、五十年の歴史を刻んで、今日、公明党は、与党として国政の一端を担わせていただいている重い責任を自覚し、決意を新たにしております。

 これまでの公明党に対する多くの国民の御理解と御支援に心より感謝申し上げるとともに、これからも、謙虚にひたむきに、そして真の国民政党として公明らしさを発揮し、あらゆる課題に真っ正面から向き合い、日本の現在と未来に責任を持って努力することをお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上義久議員にお答えをいたします。

 経済再生への取り組みについてお尋ねがありました。

 ただいま井上議員に御指摘いただいた経済再生に向けた諸課題については、十分にその御趣旨を踏まえ、全力で取り組んでまいります。

 三本の矢によって、日本経済は、長く続いたデフレで失われた自信を取り戻しつつあります。景気回復の裾野は着実に広がっています。

 こうした中で、企業の収益を雇用の拡大や所得の上昇につなげ、経済の好循環を実現することが重要です。

 そのために、政労使の三者が、政労使会議の共通認識も踏まえた具体的な取り組みを進めることが必要であり、政府としても全力で取り組んでまいります。

 同時に、御指摘のように、物価の動向が家計や企業に与える影響については、引き続き注視し、適宜適切に対応していきます。

 また、本年四月の消費税率引き上げに対応するため、御指摘のとおり、平成二十五年度補正予算等の早期成立と迅速な執行が重要であり、速やかな御審議をお願いいたします。

 さらに、中小企業、小規模事業者支援策として、ものづくり・商業・サービス革新補助金など、地域経済を支える中小企業、小規模事業者への支援に万全を期すとともに、御指摘の観光への取り組みについても、二〇二〇年に向けて、訪日外国人旅行者数二千万人の高みを目指し、観光戦略を強力に推進してまいります。

 政府としては、こうした取り組みにより、経済の好循環を実現し、景気回復の温かい風を全国津々浦々まで届けてまいります。

 消費税率の一〇%への引き上げの時期及び消費税の軽減税率についてお尋ねがありました。

 消費税率の一〇%への引き上げの時期については、税制抜本改革法において、二十七年十月とされています。この引き上げについては、法律にのっとって、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断したいと考えております。

 また、軽減税率については、二十六年度与党税制改正大綱において、引き続き、対象品目の選定や区分経理等のための制度整備を含むさまざまな課題について、与党税制協議会において検討するとされております。政府としては、これを踏まえた与党における検討を見守ってまいりたいと考えております。

 地域包括ケアシステムの構築についてのお尋ねがありました。

 政府としては、地域において、効率的かつ質の高い医療や介護サービスを受けられる体制を整備するため、新たな財政支援制度を創設し、急性期の後の受け皿となる病床などの整備、在宅医療の推進や介護サービスの充実、医療従事者や介護従事者の確保、養成の事業を行うこととしています。

 今後、この制度をしっかり活用し、地方団体や医療・介護現場の方々の意見を十分に伺いながら地域包括ケアシステムの構築を進め、医療や介護が必要な状態となっても、住みなれた地域での暮らしを継続できる社会を目指してまいります。

 難病対策についてお尋ねがありました。

 難病に苦しむ方々の視点に立った政策を進めていくことは、私のライフワークと考えております。

 難病及び小児慢性特定疾患対策については、大幅に予算を拡充し、対象疾患を拡大するとともに、公平かつ安定的な医療費助成の制度を確立し、あわせて疾患の克服に向けた治療研究を推進するなど、総合的な対策を講じるべく今国会に法案を提出し、速やかな成立をお願いしたいと考えております。

 がん対策についてのお尋ねがありました。

 がん対策については、第一次安倍内閣において初めて策定したがん対策推進基本計画に基づき、総合的な取り組みを進めているところであります。

 御指摘のございました、がん検診の受診率向上、がん教育の全国展開、検診時からの緩和ケアの推進等については、この基本計画に基づき、御党の御指導も賜りながら、着実に進めてまいります。

 子ども・子育て支援新制度と待機児童の解消に向けた取り組みについてのお尋ねがありました。

 子供を安心して産み育てられる環境整備のため、地域のさまざまな子育て支援を活用していくことは極めて重要です。

 このため、来年四月から施行が予定される子ども・子育て支援新制度については、地方自治体等の関係者と丁寧に意見交換を行い、円滑な施行に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 また、待機児童の解消については、新制度の施行を待たず、来年度までに約二十万人分、二〇一七年度までに約四十万人分の保育の受け皿を整備してまいります。

 保育の現場を支える保育士についても、処遇改善や潜在保育士の再就職支援などに総合的に取り組み、人材確保に努めてまいります。

 若者の雇用対策と年金制度についてお尋ねがありました。

 将来の年金給付の確保の観点からも若者の雇用対策は重要であり、安定雇用の確保や非正規から正規へのキャリアアップの支援など、個々の事情に応じたきめ細かな就労支援を進めてまいります。

 また、低年金・無年金対策については、社会保障・税一体改革の中で、受給資格期間の短縮や低所得の年金受給者に対する給付金の支給を着実に進めるとともに、短時間労働者に対する厚生年金のさらなる適用拡大についても検討を進めることにより、雇用環境の変化に対応したセーフティーネット機能を強化してまいります。

 復興の加速化と、福島の再生についてお尋ねがありました。

 復興の加速化は、安倍内閣の最重要課題の一つです。

 本年は、地震、津波からの復興では、住宅再建等の工事が本格化するとともに、福島の再生では、早期帰還や長期避難者の生活拠点の整備に向けた各種事業が本格化するなど、大変重要な一年となります。

 これまでも、復興事業を加速するため、用地取得の迅速化等に取り組んできました。復興のステージが上がるたびに見えてくる課題については、今後とも、現場の声を伺い、政府を挙げて一つ一つ解決してまいります。

 また、福島の再生については、昨年末、与党からの提言も踏まえて決定したとおり、第一に、早期帰還支援と新生活支援との両面で福島を支えること、第二に、福島第一原発の事故収束に向けた取り組みを強化すること、第三に、国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速させることとの方針に沿って、地元とも十分に協議しながら、全力で取り組んでまいります。

 この一環として、赤羽現地対策本部長を座長とする福島・国際研究産業都市構想研究会をスタートし、福島県浜通り地方の新たな拠点づくりに向けた検討を行ってまいります。

 防災先進国として日本の果たすべき役割等についてのお尋ねがありました。

 第三回国連防災世界会議を仙台市で開催することは、東日本大震災を初めとする幾多の災害を通じて得た貴重な経験や知恵を国際社会と共有し、国際貢献を行う、極めて重要な機会と考えています。

 我が国は、ミレニアム開発目標の後継枠組みの策定を主導し、人間の安全保障の観点から防災分野の国際協力を推進し、同会議の成功につなげてまいります。

 日中、日韓関係についてお尋ねがありました。

 中国、韓国との間で意思疎通を図っていくことは、アジア太平洋地域の平和と安定にとって有意義であり、大局的な見地から、政治、経済、文化など、あらゆる分野において未来志向の協力関係を発展させていくことが重要と考えます。

 韓国については、ダボス会議で朴槿恵大統領の講演を聞きに行き、会場で尹炳世外相を初めとする韓国政府幹部の方々と挨拶をし、握手をしました。

 中国との間では、第一次安倍政権の際に、日中首脳会談において、防衛当局間の連絡体制を強化し、不測の事態の発生を防止することで一致しました。その後、防衛当局間の海上連絡メカニズムについて大筋合意しましたが、いまだ中国はその運用開始に合意をしていません。政府としては、中国側が運用開始に応じるよう、働きかけを続けてまいります。

 このように、私の方からは、中国、韓国には積極的に働きかけを行っております。困難な課題があるからこそ、前提条件を付することなく、率直に話し合いを行うべきであります。

 また、相互理解の促進をするために、青少年交流を初めとする人的交流を促進してまいります。

 私のドアは常にオープンであり、中国、韓国にも同様の態度を期待しているところでございます。

 沖縄の基地負担軽減と振興策についてお尋ねがありました。

 沖縄の基地負担を軽減するため、海兵隊のグアム移転やオスプレイの訓練移転を初め、沖縄県外における努力を十二分に行うべきであると考えています。

 また、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は、絶対に避けなければなりません。地元の皆様の御理解を求めながら、返還に向けて全力で取り組んでまいります。

 嘉手納以南の土地の返還については、既に当初計画よりも早く進捗しているところでありますが、特に地元から強い要望のあった牧港補給地区については、返還までの期間を最大限短縮することを目指します。

 沖縄振興については、二〇二一年度まで毎年三千億円台の予算を確保し、沖縄の成長を後押ししてまいります。

 基地負担軽減と沖縄振興の両面にわたって、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、できることは全て行うとの姿勢で、政府一丸となって取り組んでまいります。

 農林水産業の課題についてお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意であります。

 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、農地の集積による生産性の向上、多様な担い手の育成、確保、美しいふるさとを守る日本型直接支払いの創設と、深刻化する鳥獣被害への対応などに精力的に取り組んでいくとともに、四十年以上続いてきた米の生産調整の見直しを行っていくこととしております。

 現在、現場に対して丁寧な説明に努めており、今後、やる気のある担い手が安心して経営展開を図れるよう、現場の声も踏まえ、プランに沿って必要な法整備を図ってまいります。

 また、水産業については、適切な資源管理、水産物の輸出体制の強化などにより、水産日本の復活を目指してまいります。

 さらに、林業については、新たな木材需要の創出や国産材の安定供給体制の構築などにより、林業の成長産業化を図ってまいります。

 東北のおいしい農林水産物が適正な評価を受けないことは残念なことであります。私も、先頭に立って風評被害の払拭に努めてまいります。

 安倍内閣は、地方の活性化が最重要のテーマであります。地方経済の中核をなす農林水産業の振興に、今後とも全力を挙げて取り組んでまいります。

 特定秘密保護法に関する諸課題についてのお尋ねがありました。

 特定秘密保護法については、さまざまな御議論を経て成立したものであり、その過程で伺った御意見を真摯に受けとめ、今後とも、同法について国民の皆様に丁寧に説明を重ねるとともに、第三者機関の設置を含め、同法の適正かつ効果的な運用が図られるよう、施行準備を進めてまいります。

 また、公文書管理や情報公開は、行政が国民に対し説明する責務を果たすために重要なものであり、今後とも、両者がともに適正かつ円滑に実施されるよう取り組んでまいります。

 御指摘のございました、閣議議事録の作成等に関する公文書管理法の改正法案については、明治以来議事録を作成してこなかった我が国の閣議のあり方ともかかわる問題であるため、政府部内で必要な調整、検討を行った上で提出することとしたいと考えております。

 なお、国会の関与のあり方については、国会で講じられる具体的な保護措置などを含め、あるべき国会運営の全体像の議論の中で、国会においてさまざまな観点から検討されるものと考えております。

 この国会におきましても、友党公明党の御指導、御協力を賜りながら、謙虚に、しっかりと国民の皆様に説明をしながら結果を出していきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) インフラ整備の担い手確保等の課題についてお尋ねがございました。

 公共事業を円滑に執行するためには、人材や資材の状況をきめ細かく注視しながら対策を講じる必要があると考えております。

 御指摘の入札不調につきましては、大型建築工事や条件の厳しい工事などで発生しておりますが、予定価格の見直しなどによりまして、最終的には契約がされているところであります。

 さらに、現場の技術者を有効に活用するための発注規模の大型化や、資材価格の上昇に応じた最新単価の適用などにより、円滑な執行を図ってまいります。

 予定価格の積算に用いる労務単価につきましては、昨年、十六年ぶりに、全国平均で一五%、被災三県で二一%と大幅に引き上げたところでありますが、技能労働者の賃金が上昇傾向にあることから、実態に見合う水準への引き上げを来月よりさらに実施いたします。

 また、建設産業の担い手については、若年入職者の減少や技能労働者の高齢化といった構造的な課題があるため、人材確保に向けた中長期的な取り組みの検討も進めているところであります。

 今後とも、被災地の復興に万全を期すとともに、全国的な課題にも対処していくため、現場の状況を常に注視しながら、円滑な事業執行に努力してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、次の質疑者、渡辺喜美君。

    〔渡辺喜美君登壇〕

渡辺喜美君 みんなの党代表、渡辺喜美です。(拍手)

 まず、冒頭、会派問題で、伊吹議長、逢沢議運委員長初め各会派関係各位の真摯な御指導、御助言を賜り解決を見ましたことを、心から感謝申し上げます。

 冷戦が終結して二十五年近くがたちました。

 フランスの政治学者レーモン・アロンの定義では、冷戦とは、平和も不可能であるが、戦争も不可能な時代です。ポスト冷戦時代は、平和も可能となりましたが、戦争もまた可能となったということであります。

 そうした時代においては、日本が、平和を守るため、一人前のプレーヤーとして国家戦略を持ち、さまざまな課題に対処していかなくてはなりません。

 算命学の大家、高尾義政氏の言葉をかりれば、人間が生きていくためには、その時代が平和であれ動乱であれ、常に何かに向かって戦い続けることが必要であります。

 平和のための戦い、家族を初めとする愛する者のための戦い、時には、黙して語らず、無言の戦いもあります。決して、戦争だけが戦いであり、戦い即破壊なのではありません。本来、生きることそのものが戦いなのであり、ここに登場してくる思想が軍略であります。難病と闘ってこられた安倍総理は、この東洋の思想がよくおわかりのことと思います。

 みんなの党は、結党以来、増税の前にやるべきことがあると申し上げてまいりました。

 増税の前にやるべきこと、それは、デフレとの戦い、不公平との戦い、国民に負担を強いる側である政治家、公務員の定数削減や報酬カットなど、身を切る戦いです。残念ながら、全て道半ばであります。みんなの党は、今国会でもこれらの議員提案をしてまいります。

 総理は、今国会を好循環実現国会と位置づけられました。そのためには、アベノミクス一丁目一番地であるデフレとの戦いが不可欠であり、正しい現状認識が求められます。

 しかし、経済演説においては、物価動向は、もはやデフレ状況ではない、デフレ脱却に向けて邁進しているという、デフレなのかそうでないのかよくわからない、まさに霞が関文学らしい曖昧な表現となっております。

 確かに、消費者物価指数(CPI)はプラスに転じました。しかしながら、エネルギーや生鮮食品を除いた、いわゆるコアコアCPIの動きはいまだ弱く、直近の新興市場に端を発した世界的なマーケットの変調を見ても、高度の警戒が必要であります。

 ちなみに、IMFのラガルド専務理事は、一月十五日、世界経済のデフレ危機を指摘しています。

 四月には消費税増税が行われることが決定しています。総理、我が国経済の現状認識と、改めて、デフレ脱却に向けた強い御決意をお聞かせください。

 二〇一三年七―九月期のGDPギャップはマイナス一・六%となりました。これは、四―六月期のマイナス一・七%からほぼ横ばいであり、依然として我が国経済が供給過剰状態にあることを示しています。このままでは、デフレから脱却する前に消費税増税を迎えることはほぼ確実です。

 金融緩和には効果ラグがあることから、私は、昨年秋より、増税に備えた追加金融緩和が必要であると指摘をしてまいりました。

 総理が消費増税を最終決断する過程で、それに肯定的な見解を示した黒田日銀総裁には、増税によるマイナスの影響を金融政策でカバーする責任があります。

 総理、遅くとも、やらないよりはましです。日銀に追加金融緩和を求めるお考えはございませんか。

 また、金融政策を通じて我が国経済成長を実現する責務を持つ日本銀行には、物価安定目標に加えて、雇用にも配慮する必要があると考えます。

 物価が二%から三%のマイルドインフレになれば、失業率は一%近く下がるはずであります。雇用がふえれば賃金も上がる。こうした好循環を金融政策でつくるには、二年かかります。

 日本銀行の目的や責任を明確化し、こうした目標を盛り込んだアコードを政府と日銀が締結するなどの日銀法改正は、ぜひとも必要です。総理の御見解をお伺いいたします。

 現在、失業率は四%で横ばいとなっております。また、給与は前年同期比でマイナスが続いております。

 総理は経済団体に賃上げを要求され、経団連は春闘におけるベアを容認しましたが、こうした民間企業任せで解決できない問題もあります。

 今、労働者の最低賃金について、産業ごとの格差が大きくなっています。求人と最低賃金のミスマッチが発生しており、有効求人倍率が高いにもかかわらず、賃金が上がっていない例があるようであります。都道府県別、産業別にもっと細かく見れば、最低賃金を引き上げることができる業種も必ずあります。

 最低賃金は、国の政策として、労働市場の改善や国民全体の所得向上、経済への好影響が期待されるものです。

 国として、ミスマッチのある最低賃金の引き上げに取り組むことも検討に値すると考えますが、御所見はいかがでありましょうか。

 アベノミクスとは全く異質のスケジュールでありますが、来年十月には二回目の増税が控えています。消費税を一〇%にしたら、軽減税率を導入すべきという議論もあります。

 みんなの党は、これは筋の悪い政策だと考えます。どの物品に軽減税率が適用され、どれには適用されない、これはまさしく利権の温床となることが目に見えています。

 イギリスでは、二〇%の付加価値税に複雑怪奇な軽減税率を組み合わせたことにより、国税収入に占める割合が、税率五%の日本と大差がないという結果に陥っております。軽減税率は、逆進性の緩和効果が少ない上に、税務行政上の非効率性をもたらすことが、諸外国の経験から既にわかっているのではないでしょうか。

 消費税の逆進性を緩和するためには、軽減税率より給付つき税額控除の方が正しい政策と考えます。いかがでしょうか。

 たくさん集めてたくさん配るという歳出権の拡大は、大きな政府をますます大きくいたします。

 増税のダメージ回避のためには、減税をすればよいのです。理想は、家計にダイレクトに反映される所得税の恒久減税です。それが難しいのであれば、期限を区切った所得税特別減税も考えられます。また、収益の高い企業は、短期間で償却できる自由償却税制があれば、設備投資を積極化いたします。利益調整になるからだめというのは、目先の税収が減るからだめという発想で、中長期的には、税収はニュートラルのはずです。総理の御見解はいかがでありましょうか。

 みんなの党は、現行の三八%の法人実効税率を二〇%に引き下げ、国際競争力の向上と産業構造改革の促進を目指すことを主張しています。

 総理は、ダボス会議の基調講演で、法人税改革を国際的にお約束されました。総理は、異次元の税制措置という言葉で強い決意を示されましたが、先日の財政演説や経済演説では、法人実効税率の大胆な引き下げが盛り込まれていませんでした。

 総理の国際公約がストレートに施政方針演説とならないところが、日本の政治の弱点であります。財務省や自民党税調と戦わなければなりません。

 みんなの党は、こうした構造改革につながるテーマは真摯に協力をいたします。総理の考える異次元の税制措置を御説明いただき、その覚悟のほどをお聞かせください。

 昨年の通常国会で成立したマイナンバー関連法案は、さまざまな改革の可能性を秘めています。

 その一つが歳入庁です。歳入庁の設置を通じて、税や保険料の取りはぐれを解消していくことが可能となります。

 税や保険料の徴収窓口が、一体幾つあるでしょうか。ざっと数えただけでも両手に余ります。これは、国民のために分かれているのではありません。役所の都合で分かれているだけです。であれば、国民の利便性向上のためにも、窓口は一本化すべきであります。

 基本的に、こうした改革はシステム統合の問題に行き着き、総理の言う、やればできる改革ではありませんか。税や保険料徴収の不公平是正をするため、各役所の既得権と戦って、歳入庁の設置を考えてはいかがでしょうか。

 総理は、ダボスで、向こう二年間、いかなる既得権益といえども、私のドリルから無傷でいられない、国家戦略特区などを突破口に、岩盤規制を集中改革すると表明されました。大変頼もしい言葉であります。

 みんなの党は、電力、農業、医療の三分野で、戦う改革を進めてまいりました。すなわち、電力自由化であり、農協の経済事業と金融事業の分離や、農業への株式会社参入拡大、混合診療解禁などの改革です。

 総理の既得権益打破に向けた決意は大歓迎いたします。でも、医薬品のインターネット販売解禁も、厚労省の抵抗で九割を占める処方薬が骨抜きになった現状を見ると、よほどの覚悟と戦略が必要でありましょう。

 岩盤規制という言葉が登場したのは第一次安倍内閣のときでありました。そのときの規制改革担当大臣は私であります。

 総理、岩盤規制とは何でしょう。それを二年で処理するためにはどうすればよいとお考えでしょうか。

 世界の食料・食品産業は、二〇二〇年までに、今の三百四十兆円から六百八十兆円産業になると言われています。和食がユネスコ文化遺産に登録された今、日本の農産物や食品産業がグローバル市場に乗り出す絶好のチャンス到来であります。

 しかし、日本には原料問題という岩盤があります。つまり、国内産品も輸入品も、原料のコストが高過ぎるという問題であります。これを一挙に解決していくことが、TPPなどへの参加と、直接支払いへの転換を含めた農政の大改革です。米価を高く維持して手数料を稼ぐ農協のビジネスモデルも変えていかなければなりません。

 TPPなどへの参加と農政・農協改革は、ワンセットでやる必要があります。総理の御所見をお伺いいたします。

 公務員制度改革に関しては、自公民で三党修正合意していますが、これは、官僚機構と労働組合の意向を酌んだ法案であります。麻生内閣当時のいわゆる甘利法案からも大幅に後退をしています。

 現在の法案では、例えば官邸の意向を酌んだ局長をつくったとしても、そのもとの部隊編成が思うに任せないという難点があります。また、一度選んでしまったら最後、局長には身分保障がついて降格されません。天下りも、この法案ではなくならないでしょう。

 かつて、野党時代の自民党は、みんなの党とともに公務員制度改革法案を提出しました。人事院や財務省、総務省の人事部門を一元的に統合した内閣人事局や、幹部公務員の身分保障をなくして、抜てきや降格、解任ありの実力主義にするといった強力な法案を実現させ、公務員制度改革を進めなくてはなりません。

 岩盤規制は公務員制度と裏腹の関係にあり、国家経営のイノベーションを行っていくためには、公務員制度改革が不可欠であります。

 昨年修正合意された法案は、あるべき公務員制度の最終的な姿であるとお考えでしょうか。総理の公務員制度改革に向けた御決意をお聞かせください。

 東京都知事選で大きな争点となっているのが原発問題です。

 みんなの党は、市場メカニズムを通じて原発ゼロを実現していく経済的アプローチをとってきました。これは、時間をかけて原発をゼロにしていく考えです。

 これに対して、倫理的アプローチをとる論者は、原発即ゼロとなります。

 電力が自由化されれば、必ず、コスト高の原発は市場から淘汰され、電気料金の値下げにつながっていきます。

 原発事故は、超優良企業であった東京電力ですら実質破綻に追い込みました。すなわち、原発は、民間企業で扱うにはリスクが大き過ぎる代物であり、原発への公的関与は公共経済学の初歩であります。

 稼働できない原発は、電力会社にとっては大きな不良資産です。かつて、民間金融機関の手に負えない不良債権を整理回収機構などに集めたように、不稼働原発を、原発整理機構をつくって集約してはいかがでしょうか。お値段は、今後の相談です。

 みんなの党は、まず、東電の不稼働原発から国の一括管理としていくことを検討しております。

 国鉄民営化の際の清算事業団と同様、新旧分離を行うことで、電力会社のバランスシートも改善されてまいります。国が原発を管理すれば、民意を踏まえて原発の将来を決めることも容易になります。総理の御見解をお伺いいたします。

 日本を守るという観点からは、集団的自衛権の議論も避けて通れません。

 世界標準のルールでは、個別的自衛権とともに、集団的自衛権が認められるのは当たり前の話です。国連憲章五十一条にも定められた、国家が国民の生命や財産、領土などを守るために、当然に有している権利です。

 日本では、集団的自衛権については、戦後、個別的自衛権と集団的自衛権を殊さらに区分して議論を行う神学論争が繰り広げられてまいりました。

 現在の東アジア情勢には、緊張感を持って臨まなくてはいけません。戦争を抑止し、平和を構築していくためには、すきを見せない一人前のプレーヤーとして、軍略を磨いていかなければなりません。

 みんなの党も、現在、党内議論を進めておりますが、改めて、総理の集団的自衛権行使容認に向けた決意をお伺いいたします。

 みんなの党は、当たり前の自由社会と、一人前の国家の構築を目指します。

 日本のゆがみは、本来民間や地域に任せるべき業務を中央政府がやり過ぎていることであります。これは、一九四〇年前後の戦時体制のもとで完成した官僚統制、中央集権体制が、占領時代をかいくぐって戦後レジームに引き継がれたものであり、その劣化が我が国衰退の根本原因となっております。

 みんなの党は、自由民主主義の原点に立ち戻り、こうした歴史のゆがみを正してまいります。各省割拠主義を排し、真の政治主導、すなわち、総理官邸主導体制を確立して、輝ける成長国家日本をつくることを目指します。

 政党の使命は、政策の実現にあります。政界再編はそのための手段です。安倍総理がみんなの党を、政策の実現を目指す責任野党と正しく御理解いただいていることを心から歓迎いたします。

 安倍総理の戦う覚悟と戦略が我々と共通のものであれば、みんなの党は、真摯かつ柔軟な協力を惜しみません。

 みんなの党は、改革を促進する政策を提言し続けてまいります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 渡辺喜美議員にお答えいたします。

 デフレ脱却に向けた決意についてお尋ねがありました。

 三本の矢の効果もあり、一年前と比べ、全地域で消費が拡大し、企業の景況感も中小企業を含め幅広く改善するなど、景気回復の裾野は着実に広がっています。

 政府としては、本年四月から、消費税率引き上げに対応し、五・五兆円の経済対策と一兆円規模の税制措置を講ずるとともに、企業収益の拡大を設備投資拡大や賃金上昇、雇用拡大につなげていく好循環の実現を図ってまいります。これらの取り組みにより、デフレ脱却と経済再生に向けた道筋を確かなものとし、景気回復の温かい風を全国津々浦々まで届けてまいります。

 追加金融緩和についてお尋ねがありました。

 日本銀行による量的・質的金融緩和の効果もあって、日本経済は、デフレ脱却・経済再生に向けて着実に前進してきています。

 具体的な金融政策の手法については日本銀行に委ねるべきと考えておりますが、黒田総裁は、さきの臨時国会でも、今後、何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じて、二%の物価安定の目標を実現するために必要であれば、ちゅうちょすることなく調整を行っていくと答弁されているものと承知しております。日本銀行が今後ともデフレ脱却・経済再生に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しております。

 日銀法改正についてお尋ねがありました。

 安倍内閣発足以来、政府と日本銀行の間で緊密な意思疎通を行う中で、日本銀行は、政府との共同声明において、二%の物価安定目標をみずから設定したところです。まずは、この目標の早期実現に向けて、日本銀行が雇用についても十分に配慮しつつ、責任を持って大胆な金融緩和を着実に推進していくことが重要と考えています。

 なお、私は黒田総裁を信頼しておりますが、日銀法改正については、将来の選択肢として、常に視野に入れていきたいと考えております。

 最低賃金についてのお尋ねがありました。

 最低賃金は、賃金のセーフティーネットとして、地域や産業の実情等を考慮して適切に定められているものと認識しております。平成二十五年度においては、全国平均で対前年度十五円の引き上げが行われたところです。

 最低賃金をさらに引き上げていく環境整備のためにも、企業の収益を向上させ、雇用の拡大や賃金の上昇につなげる経済の好循環を目指してまいります。

 また、こうした取り組みとあわせ、中小企業、小規模事業者の支援を工夫しつつ、労使と丁寧に調整するなど、最低賃金の引き上げに努めてまいります。

 軽減税率と給付つき税額控除についてのお尋ねがありました。

 税制抜本改革法においては、低所得者への配慮として、給付つき税額控除と複数税率が、ともに検討課題とされています。

 このうち、複数税率については、法律にも盛り込まれているとおり、財源の問題、対象範囲の限定、中小事業者の事務負担等の課題があるものと認識していますが、一方で、給付つき税額控除についても、所得の把握、資産の把握の問題、執行面での対応の可能性等の課題があるものと承知しています。

 昨年二月の自民党、公明党、民主党の三党合意において、低所得者対策については引き続き協議を行うとされており、三党における議論や与党における軽減税率に関する検討の状況等を踏まえながら、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

 所得税減税と自由償却制度についてお尋ねがありました。

 個人にかかる所得税の減税を行えば可処分所得が増加することにはなりますが、持続的な成長を目指す上では、賃上げを通じた自律的な好循環を生み出すための総合的な取り組みの方がより効果的と考えます。

 減価償却制度のあり方として自由償却制度の導入の御提言をいただきましたが、設備投資の促進に関して、二十六年度税制改正においては、生産性の向上につながる設備を導入した際に即時償却や税額控除を選択できる制度を創設することとしたところであります。

 なお、消費税率の引き上げに当たっては、これに伴う反動減を緩和し、その後の経済の成長力を底上げするため、好循環実現のための経済対策を策定しております。万全の転嫁対策とあわせ、持続的な経済成長を確保してまいります。

 法人税改革についてお尋ねがありました。

 平成二十六年度税制改正においては、賃上げにつなげるきっかけとするため、復興特別法人税を一年前倒しで廃止することとしました。これにより、国、地方を合わせた法人税率は、二・四%下がることとなります。

 また、今回の税制改正に盛り込んだ、生産性向上につながる設備投資減税の創設及び研究開発税制や所得拡大促進税制の大幅な拡充などは、企業がためたキャッシュを企業の競争力強化や賃金引き上げへ振り向かせるための、次元の異なる対応であると考えております。

 法人課税のあり方については、引き続き、与党の御議論も踏まえつつ、グローバルな経済の中での競争力等も考えながら検討していく必要があると考えており、本年、さらなる法人税改革に着手いたします。

 歳入庁についてお尋ねがありました。

 内閣官房副長官及び関係省庁政務官による検討チームが取りまとめた論点整理においては、歳入庁に関するさまざまな問題点が指摘されるとともに、年金保険料の納付率向上のためには、保険料徴収の基本的な考え方を整理し、必要な対策を講ずることが重要であり、組織を統合して歳入庁を創設すれば問題が解決するものではないと指摘されたと承知しています。

 論点整理の具体化に向けて、先般、厚生労働省の専門委員会で報告書が取りまとめられ、現在、この実現に向けた取り組みが進められています。現在の体制のもとで、可能なものから速やかに実施されるものと承知しております。

 なお、国民の利便性向上に関しては、納付手段の多様化や電子申請の推進などを行ってきたところでありますが、今後、社会保障・税番号制度の導入を一つの契機として、添付書類の簡素化などのさらなる方策について検討してまいります。

 岩盤規制の集中改革についてお尋ねがありました。

 いわゆる岩盤規制とは、経済社会情勢の変化の中で、民間が創意工夫を発揮する上での障害になってきているにもかかわらず、長年にわたり改革ができていないために、民間の能力が十分に発揮されていないような規制であると考えています。

 こうした規制については、総理である私がリーダーシップを発揮し、今後二年間を集中取り組み期間とし、規制改革の突破口である国家戦略特区を活用するなど、思い切った改革を進めてまいります。

 TPPなどへの参加と、農政・農協改革についてお尋ねがありました。

 TPPは、世界の経済成長センターであるアジア太平洋に一つの経済圏をつくる大きなチャンスであり、攻めるべきは攻め、守るべきは守るとの原則のもと、国益にかなう最善の判断をしてまいります。

 一方で、TPP交渉のいかんにかかわらず、我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの課題であり、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意であります。

 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、農地の集積による生産性の向上、美しいふるさとを守る日本型直接支払いの創設などに精力的に取り組んでいくとともに、四十年以上続いてきた米の生産調整の見直しを行っていくこととしております。

 今後、これらの施策を着実に実行するとともに、現場の声を踏まえ、農林水産業を成長産業とするため、農協も含め、さらに必要となる改革についても全力で取り組み、農政の大改革を進めてまいります。

 公務員制度改革についてお尋ねがありました。

 御指摘の法案は、平成二十一年に政府が提出した法案を基本とし、国家公務員制度改革基本法の条文に則し、近年の公務員をめぐる環境の変化も踏まえ立案したものです。

 本法案は、内閣の重要政策の実現などのための戦略的人材配置を実現することや、公務員が責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行できる体制を実現することという改革の目的を具体化するものであり、さきの臨時国会における合意内容も踏まえ、本法案をできるだけ早期に成立させていただきたいと考えております。

 国による原発の一括管理についてお尋ねがありました。

 我が国においては、国は、原発の安全性や適切な事業運営を確保すべく、制度の整備や規制の実施、そして政策の方向性の決定等の役割を担い、原発の運営自体は民間事業者が責任を持って行うこととしてきました。

 国による原発の一括管理については、行政の肥大化、事業の非効率化等、多くの課題があり、現時点で検討しておりません。

 集団的自衛権についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増しており、脅威は、容易に国境を越えてきます。もはや我が国のみでは我が国の平和を守ることはできません。国際社会と協力して、地域や世界の平和を確保していくことが不可欠です。このような観点に立って、安全保障の法的基盤を再構築する必要があります。

 このような認識のもと、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、集団的自衛権等と憲法との関係について検討が行われています。

 政府としては、懇談会から報告書が提出された後に対応を検討することとなりますが、懇談会では今後詰めの議論が行われていくこととなっており、期限ありきではなく、まずはしっかり議論を深めていただきたいと考えております。

 以上であります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次に、江田憲司君。

    〔江田憲司君登壇〕

江田憲司君 結いの党代表、江田憲司でございます。(拍手)

 結いの党は、昨年末結党し、初めての国会を迎えることができました。懸案だった会派離脱問題も、伊吹議長、逢沢議運委員長初め各党各会派の皆さんの御尽力のおかげで認められ、衆議院では、晴れて一人前の政党として活動を開始することができました。この場をおかりして、心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 しかし、参議院では、いまだ会派離脱が認められず、現行法の枠組みで正当に認められた政党が憲法や法律で保障された国会活動、政治活動ができないという、前代未聞の異常事態を招来しています。こうした事態を一刻も早く解消するため、参議院が院としての自律機能、自浄作用を発揮していただくことを、党の代表として、強くお願いする次第でございます。

 さて、党名の結いには、二つの意味を込めました。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

江田憲司君(続) 一つは、政界再編を目指す政党であるという性格づけです。

 この一強多弱と言われる政治状況の中で、政治理念と基本政策の一致を大前提に、野党勢力を結集し、与党自民党にかわり得る政権担当可能な一大勢力をつくっていく、その結節点となるという意味合いが一点。

 二つ目は、結いに込められた、助け合いという意味です。

 古来、日本には、田植えや稲刈りといった農作業に互いに無償で人を出し合うというならわしがありました。今の言葉で言うと、共生社会、協働と言っていいかもしれません。東日本大震災以降、国民の間には、人と人とのきずなや地域コミュニティーの大切さが再認識されました。その思いを体現していこうという意味も込めています。

 そして、結いの党の使命は、脱官僚、脱中央集権、脱既得権益、この三つからの脱却で、この国の形を変えていくことです。

 脱官僚。官僚主導の政治を変えて、国民主導、民間主導にしていく、我々が目指す、民間が主役の国づくりです。

 脱中央集権。別の言葉で言えば、地域主権。市町村を初めとした基礎自治体に、権限、財源、人間、この三ゲンを徹底的に移譲し、地域のことは地域で決める、地域が主役の政治です。

 そして、脱既得権益。全くしがらみのない立場から、国民本位の、既得権益を打破する改革を断行していく。

 既得権益といえば、その最たるものが国会議員や公務員のそれでしょう。

 しかし、安倍政権になって、この我が身を切る改革がなぜか声高に叫ばれなくなった。消費増税を決めた政権であるならなおさらのこと、国民にだけ負担を押しつけるのではなく、国会議員や公務員の定数や給与の大幅カット、天下りの根絶や幹部公務員の身分保障撤廃等の公務員制度改革、さらには、特別会計や独立行政法人を中心とした無駄遣いの解消等に率先して取り組んでいくべきでしょう。総理の見解を求めます。

 総理は、この結いの党の結党大会に長文のメッセージをお寄せくださいました。政党の離合集散を牽制されながら、安定した、政権担当可能な一大勢力たる政党となって、我が党と、自民党ですが、国家、国民のために議論することを望んでいる。

 何か、巨大与党の余裕すら感じられます。

 自民党の皆さん、皆さんも、切磋琢磨できる、自民党に対抗し得る野党がなければ、緊張感もないでしょう。何なら、自民党から出てきて一緒に再編をやりませんか。自民党も含め、基本政策すら一致しない寄り合い世帯の政党を整理整頓することこそ、真の政界再編です。

 総理、何か、この点、お考えがありますか。総理は、あらまほしき政党政治や政界再編のあり方について、どのような絵姿をお持ちですか。

 また、さきの施政方針演説では、連立与党は衆参両院で多数を持っているが私の信念はなお変わらないとした上で、政策の実現を目指す責任野党とは柔軟かつ真摯に政策協議を行うとされました。その上で、憲法改正にも触れられています。

 これは、一部報道にもあるように、連立の組みかえを意図したものなのか、責任野党とは一体何で、具体的にどの政党を指しているのか、お答えいただきたいと思います。

 今の政治状況では、民主主義は死んでしまう。

 私は、強い危機感を抱いています。先ほど触れた、一強多弱と言われる政治状況です。これでは、本来あるべき野党のチェック機能も働かない、与党の数を頼んだ暴走も許してしまう。

 私がこのことを痛感したのは、さきの国会会期末、安倍政権が強引に特定秘密保護法案を可決に持ち込んだときのことでした。

 国の根幹である安全保障や国民の知る権利という基本的人権にかかわる重要法案で、多くの問題点を残し、しかも、野党と建設的な法案修正が進んでいたにもかかわらず、安倍政権は審議を打ち切ってしまいました。猛省を促すとともに、今国会では丁寧な国会運営を強く求めます。

 この秘密保護法制について、米国では、公文書館内に設置された情報保全監察局が、国民の申し立てにより秘密の指定を解除する強制権限を持っています。実際にもこの機関は機能していて、申し立て件数の三分の一は全面公開、三分の一は一部公開という結果になっています。

 日本でも、立法府、行政府ともに、事前かつ事後のこうしたチェック機関、第三者機関の創設が必要不可欠です。今のままでは官僚統制を強めるだけです。総理、どう見直していくおつもりですか。

 安倍総理は、ここに来て、これまで隠していたタカ派色を色濃く出し始めたような気がしてなりません。

 憲法改正や集団的自衛権の行使についての積極的な発言が目立ちます。

 そして、昨年末には、突如、控えていた靖国神社への参拝もされた。この安倍総理の靖国参拝は、中国、韓国だけではなく、同盟国のアメリカですら、失望したと厳しく論評し、さらに、EU等からも否定的な評価が相次ぎました。

 マックス・ウェーバーの「職業としての政治」に、心情倫理と責任倫理という言葉があります。私の理解するところ、前者は、みずからの信念に基づき行動し、その結果は神に委ねて顧みない、その信念自体がとうといのだという考えです。後者は、起こるであろう結果を想定した上で行動し、その責めを負うという考えです。

 今回の安倍総理の靖国参拝は、恐らく、心情倫理に基づく行動だったのでしょう。安倍さんにとっては、一度ならず二度まで総理になった以上、実現できなくて痛恨のきわみとまで表現していた靖国参拝は、信念に基づく行動だったに違いない。

 しかし、マックス・ウェーバーは、政治家は心情倫理ではなく責任倫理で行動すべきだと説きます。私も、総理という地位にある方に間近でお仕えしましたが、一政治家とは違い、一国の代表である総理は、みずからの信念だからと何でも押し通すことは控えなければなりません。四囲の状況を慎重に見きわめ、その結果起こるであろうさまざまな事態も総合的に勘案した上で、国益のために何がベストなのか、それを決断しなければならないのです。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

江田憲司君(続) 最近の安倍総理を見ていると、これからの幾多の国政の課題への対処は、もう、この心情倫理に基づき決断、実行していこうと考えているのではとすら疑ってしまいます。

 総理、このマックス・ウェーバーの、政治家は心情倫理ではなく責任倫理で行動すべきという考えに対する御見識を、あれば御披露ください。

 次に、経済政策についてお聞きしたいと思います。

 まず、好むと好まざるとにかかわらず、これからは国際大競争時代を勝ち抜いていかなければなりません。そのためには、国際標準の制度、ルールで戦うしかない。日本だけ異質な制度やルールを企業に押しつけることはできないんです。そう、フリーで、フェア、オープンな市場主義が原則なんです。

 我々は、日本経済のポテンシャルの高さを信じています。その可能性を生かすには、規制改革などの環境整備が欠かせません。法人税の実効税率の引き下げも必要です。

 特に、直接の競争相手、中国や韓国といった国の法人税率は二〇%台前半です。したがって、一挙には無理でも、重要なのは、いついつまでにどこまで下げるといった行程表をつくることです。企業は、将来の見通しさえ立てば、それに合わせて計画を立て、行動していきます。それにより、企業立地や設備投資が拡大をしていくんです。

 総理、この段階的な法人税引き下げの道筋をお示しください。その最終目標は何%に置いておられますか。

 一方で、市場主義社会は、基本的に優勝劣敗の世界であります。そのまま放置しては、当然、非効率な衰退産業は市場から退場を迫られ、失業者は生まれ、格差も広がってしまう。そういう人たちのために、手厚いセーフティーネットを構築していかなければなりません。政治は社会的弱者のためにあるのです。

 こうした考え方、小さな政府で大きなサービスのよい例がスウェーデンです。

 スウェーデンは社会福祉大国だと言われますが、衰退する産業を潰すこともいといません。リーマン・ショックで経営危機に陥った自動車メーカー、ボルボやサーブでさえ救済しなかった。もちろん、大量の失業者もその結果出てきます。そこで、政府は三年ほどの時をかけ、職業訓練などを行って再就職先まで面倒を見る。そういうシステムが構築されているんです。

 この手厚いセーフティーネットの構築についての安倍政権の政策は何ですか。具体的にお答えください。

 景気に目を移すと、これまで安倍政権の高支持率を支えてきたアベノミクスも、大胆な金融緩和というカンフル剤が効いて、今のところ、順調に推移しているように見えます。

 しかし、四月からの消費増税、成長戦略の肝である規制改革の骨抜き等で、早晩息切れし、残念ながら、このままでは、年央以降、景気は失速する可能性が高い。この春先には、これまで十五兆円も買い越してきた外国投資家が、先行きを憂え、東京市場で株を投げ売りするという怖い話もあります。

 それを回避し、景気を本格的に回復させていくためには、お金だけではなくて、実体経済、すなわち、物やサービスを動かす成長戦略、安倍総理の言う第三の矢を力強く飛ばす必要があります。そう、規制改革や地域主権改革を断行していかなければなりません。

 しかし、規制で守られた既得権益から多くの組織票や献金をもらっている安倍自民党に、その岩盤を打破する改革が本当にできるでしょうか。地方に権限や財源をおろすといっても、それに体を張って抵抗する中央官僚や、その背後にいる族議員を、押し切ることができるでしょうか。これまでの自民党政権は、ことごとく、そのしがらみに足をとられ、改革の後退を余儀なくされてきました。

 安倍政権でも、同様に、我々から見ると、官僚主導、族議員主導の政治が頭をもたげ始めた。例えば、デフレ下における増税の強行、国土強靱化と称する公共事業のばらまき、さらには、成長戦略の肝である規制改革の骨抜き等々です。そして、その結果、国民が置き去りにされつつある。

 衆院の解散権や、内閣や党の人事権を持つ安倍総理が、身を捨てて、この改革に反対するなら俺の首をとれという覚悟を示さなければ、岩盤規制を打ち砕くことも、地域主権改革を断行することもできません。

 よい悪いは別にして、小泉元総理にはその覚悟があった。それが結果的に長期政権を導いたんです。

 残念ながら、安倍総理からは、その覚悟、気迫が感じられません。長期政権狙いで安全運転に徹しようと思った途端に、その政権は短命で終わるんです。総理、そうじゃないとおっしゃるなら、ここで、その覚悟のほどをお示しください。

 そこで、成長戦略の肝、規制改革の具体策についてお伺いします。

 日本の将来を切り開く成長産業は、電力、エネルギー、医療、福祉、子育て、農業といった分野から生まれます。しかし、これらの分野はどこも、規制でがんじがらめ、新規参入が自由にできない。

 安倍総理は、この規制改革に前向きな姿勢に映ります。官邸主導で、霞が関の官僚も抑えているようにも見える。しかし、その実態は、竜頭蛇尾、最初のアドバルーンは高く上がりますが、族議員や官僚の抵抗に遭い、ことごとく骨抜きにされているのが現実です。

 一つ具体例を挙げましょう。

 米の減反制度の廃止。初めて聞いたときは、いよいよ本気かと私も期待したものです。

 ところが、政府がまとめた農林水産業・地域の活力創造プランには、減反廃止という言葉はどこにもない。そのかわり、来年度から、飼料用米などに転作した農家への補助金を最大で三割上積みする。結果、農家の所得は一三%増になるそうです。結局、税金で賄う補助金が今よりふえ、農地を手放す兼業農家も減り、農地の大規模化も進まない。

 これのどこが改革なんでしょうか。非効率な農家まで全部面倒を見る、ばらまきそのものです。形を変えた減反政策と言ってもいいでしょう。これでは日本の農業は弱体化するばかりです。総理の見解を伺います。

 減反を廃止すれば、当然、米の値段は下がります。一時的に農家の所得は減るかもしれない。しかし、採算の合わない零細農家から農地が手放されることで、農家を大規模化、集約化できる。また、これからも農業で頑張るという人には税金で減収分は補填、直接支払いしてもいい。欧米でもやっていることです。その上で積極的に米をつくってもらうようにすれば、日本の米は安全でおいしいので、北京やシンガポールでも飛ぶように売れることでしょう。

 このように、農業を輸出型の産業にしなければ、将来はない。そのためには、農業の担い手に新しい血を入れていく、規制を緩和し、新規参入を促進していくことです。株式会社の農地取得を可能にしたり、事実上既存農家の協力を得なければ設立できない農業生産法人の要件を、役員、出資制限などを緩めて、市場志向型の農業へと転換していけばいい。こうした改革が進めば、農業は成長・輸出産業化できる。

 総理、このような農業分野の規制改革をどう進めるおつもりですか。

 電力の分野も、送電線を分離して民間に開放すれば、いろいろな会社が参入してきます。あたかも、NTTの通信回線を開放したらいろいろな電話・通信会社が参入してきたのと同じです。そして、競争効果で、料金も格段に下がった。そうした機会、チャンスさえ民間に与えれば、地域分散型の電源開発や電力の地産地消も可能となり、それが地域の活性化にもつながるはずです。

 総括原価主義のような親方日の丸のコスト算定方式も改め、競争で電気料金も下がっていけば、もう、安くもない安全でもない原発は、市場淘汰で、近い将来ゼロにしていくことができると結いの党は訴えています。

 こうした、電力の再編自由化に向けた決意と具体的方策、スケジュールについて、総理はどうお考えですか。

 また、もう安くもない安全でもない原発を、もう米国でも原発は一番高い電源だと位置づけられているんですよ、なぜ、再稼働させないと国民負担が重くなると言って重要なベース電源と位置づけようとするのか、その理由をお聞かせください。

 次に、地域主権改革について伺います。

 成長戦略にもう一つ必要なのは、地方へ権限、財源、人間の三ゲンを徹底的に移譲していくことです。それにより、各基礎自治体、つまり、市町村が地域の実情に応じたきめ細かい行政を行うことで日本全国が活性化していくというのが地域主権の考え方です。そう、地域主権は、日本底上げのための切り札になるんです。

 ところが、そう簡単にはいきません。既得権益を譲りたくない霞が関や族議員といった抵抗勢力がいるからです。

 民主党は、政権末期、国のブロック機関の一部である国土交通省の地方整備局、経済産業省の経済産業局、環境省の環境事務所を地方の広域連合へ移管する法案を策定しました。

 ところが、安倍政権になってから、この程度の法案でさえ見向きもしない。一体どうなってしまったんでしょうか。施政方針演説でも、この地域主権については総論的なことしか触れられておりません。

 総理の地域主権にかける決意と具体策、あわせて、道州制を実現されるのかされないのか、お聞かせください。

 国土交通省の地方整備局は、公共事業のばらまきマシンで、まさに、自民党が推し進める国土強靱化計画の手足となる組織です。いわゆる自民党の国土強靱化族は、十年間で二百兆円の公共事業を行うと言います。

 しかし、一体どこにそんなお金があるのか。何のための消費増税だったのか。社会保障の財源に充てるはずじゃなかったんでしょうか。こんなことでは、来年秋に想定されている消費税の一〇%への増税は取りやめるべきではありませんか。経済を本格的な成長軌道に乗せることの方が先決でしょう。総理の見解を求めます。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

江田憲司君(続) また、この全国的な公共事業のばらまきが、東北の被災地の復興の明らかな足かせになっています。資材、人材の不足、そのコストの急上昇等がその大きな要因です。

 総理、日本の再生は被災地の復興からではなかったのでしょうか。御見解を伺います。

 最後に、外交、安全保障についてお聞きします。

 日本を取り巻く安全保障環境は、近時ますます厳しくなっています。

 テロやミサイル、サイバー攻撃等、多様な脅威に対する備えには万全を期していかなければなりません。特に、北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題については、国際社会と連携して厳しく対応していく。尖閣諸島を初め南西方面の対処も喫緊の課題です。

 さらに、国連によるPKOや災害救助、人道援助等にも積極的に参画し、唯一の被爆国として、核軍縮や核不拡散にも主導的役割を果たしていくべきでしょう。

 そうした中で、安倍政権になってからクローズアップされているのが集団的自衛権の問題です。

 この議論で危惧するのは、対米追従や、普通の国、一人前の国論といった観念論から結論が導かれていくのではないかということです。

 この点で、我が結いの党は、現行憲法下でまずは可能な自衛権の行使のあり方を具体化し、必要に応じて法整備すべきだと考えています。重要なのは、まずは、今の枠組みの中で、日本自身がみずから国を守る体制、方途を整備していくことです。その上で、日米同盟や国際的な連携がどうあるべきかを検討する。そういう手順で議論を進めるべきでしょう。

 その意味では、集団的自衛権の前にやるべきことがある、いわゆるマイナー自衛権と称される、武力攻撃に至らないさまざまな危機、事態への対処について万全を期していく必要があります。

 例えば、武装漁民による離島占拠や不審船による奇襲、レーダー照射への対処等の具体的ケースに即し、その効果的な対応について検討していくべきです。近年深刻な問題となっているサイバー攻撃への対処もそうでしょう。

 総理、こうしたマイナー自衛権についてのお考えと、それに万全を期す具体的な方策についてお答えください。

 その上で、集団的自衛権行使の可否については、まずは、日本の防衛及び日米同盟の効果的運用という観点から何が一体支障となっているのか、具体的なケースごとに検討すべきです。その上で、現行の憲法解釈で不都合があるのかどうかを慎重に検討していく。初めに憲法解釈の変更ありきという立場はとるべきではありません。

 要は、これまで自民党政権を含む政府の憲法解釈で長年個別的自衛権と集団的自衛権との間に引いていた一線、ルビコン川、歯どめを越えるには、慎重にということです。当たり前です。

 その意味で、総理はどのようなケースが支障になっているとお考えか、具体的にお示しください。

 その上で、どうしてそれが個別的自衛権ではなく集団的自衛権でないと可能とならないのか、その理由をお示しください。

 安倍総理、結いの党は、これからの国会活動においては、責任政党として、反対のための反対はしない、常に国家国民の立場に立って、政策、法案ごとに是々非々で行動していきます。

 今一番政治に求められているものは何でしょうか。安倍政権が、既得権益を打破して、真の意味での規制改革、地域主権改革を断行し、景気回復を本格的なものにしていく。さらには、社会保障制度の抜本改革にも踏み込み、国民の将来不安を払拭していく。

副議長(赤松広隆君) 江田憲司君に申し上げます。申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

江田憲司君(続) 本当に実行されるなら、我々も全面的に支援します。しかし、それが、自民党の支持基盤、既得権益、さらには族議員や霞が関の抵抗で骨抜きになるようであれば、結いの党は、それをしっかりとただし、それにかわり得る対案を安倍政権に突きつけ、国会論戦を通じて、国民の皆さんの理解も求め、実現してまいります。そのことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 江田憲司議員にお答えをいたします。

 国会改革、行財政改革についてお尋ねがありました。

 議員定数の削減については、与党がリーダーシップを発揮し、各党各会派と真摯に議論を行い、早期に結論を得ることが大切と考えております。

 公務員の定数や給与については、我が国の厳しい財政状況に鑑み、定員管理の徹底、給与体系の抜本改革などに取り組んでまいります。

 国家公務員制度改革については、昨年の臨時国会に提出した法案の早期成立をお願いしたいと考えております。また、国家公務員の再就職については、押しつけ等の不適切な行為を厳格に規制し、天下りを根絶してまいります。

 無駄の撲滅については、独立行政法人の業務の質と効率性の向上、毎年の予算編成過程での特別会計の合理化、効率化を図るとともに、行政事業レビューの徹底により、積極的に取り組んでまいります。

 政党政治や政界再編、責任野党の考え方についてお尋ねがありました。

 政党同士がおのおのの政策を掲げて切磋琢磨することが民主主義の基盤であることは、言うまでもありません。そうした中で、政界再編が起こることもあるでしょう。しかし、それは、政権獲得だけを目指した政局本位のものであってはなりません。全ては国家国民のため、政策の実現を目指すものでなければならないと考えます。

 自民党と公明党による連立与党は、基本政策で合意するのみならず、意見の異なる政策に対しても、深い信頼関係のもとで、話し合いを行い、結果を残してまいりました。その上で、私たち連立与党は、政策の実現を目指す責任野党の皆さんとは、柔軟かつ真摯に政策協議を行ってまいります。

 責任野党とは、特定の政党を想定したものではありません。何でも反対、何でも抵抗ではなく、全ては国家国民のため、政策を前に進めるとの方向性を共有し、建設的な提案をしてくださる野党は、全て責任野党であります。

 ぜひ、結いの党の皆さんとも、建設的な議論をさせていただきたいと考えております。

 特定秘密保護法に関し、第三者機関の設置についてのお尋ねがありました。

 政府としては、本法施行までに、内閣府に独立性の高い第三者機関である情報保全監察室を設置し、行政機関による個別の特定秘密の指定等をチェックすることとしております。

 また、国会の関与のあり方については、国会で講じられる具体的な保護措置などを含め、あるべき国会運営の全体像の議論の中で、国会においてさまざまな観点から検討されるものと考えます。

 マックス・ウェーバーの考え方に対する私の見解についてお尋ねがありました。

 マックス・ウェーバーは、御指摘の点について、心情倫理と責任倫理は絶対的な対立ではなく、むしろ両々相まって政治への天職を持ち得る真の人間をつくり出すと述べています。これが、マックス・ウェーバーが述べようとした本質であります。

 政治家として、行動によりもたらされる結果に責任を持つべきは当然であります。信念だけに任せて、結果を考えることなく決断を行うようなことが、あってはなりません。一方で、政治家として、信念がないままにただ結果だけを案ずるのは、妥協的な、事なかれ政治に陥りかねません。

 今後とも、私は、マックス・ウェーバーが「職業としての政治」の中で最後に説いたように、情熱と判断力の二つを駆使して、どんな事態に直面しても断じてくじけない政治家でありたいと考えております。

 法人税引き下げの道筋についてのお尋ねがありました。

 二十六年度税制改正においては、賃上げにつなげるきっかけとするため、復興特別法人税を一年前倒しして廃止することとしており、これにより、国、地方を合わせた法人税率は二・四%下がることとなります。

 本年は、さらなる法人課税改革に着手いたします。その改革に当たっては、与党での御議論も踏まえつつ、グローバルな経済の中での競争力等も考えながら、将来に向けた法人税のあり方について幅広く議論してまいります。

 失業者などへのセーフティーネットの構築に関するお尋ねがありました。

 失業者に対しては、これまでも、雇用保険や求職者支援制度により必要な給付を行うとともに、公共職業訓練の実施、ハローワークでの職業紹介などを行ってきています。

 今国会には、キャリアアップを希望する非正規雇用の方々などを支援するため、教育訓練給付の充実などを行う雇用保険法の改正法案を提出することとしており、今後とも、安心して働けるよう、重層的なセーフティーネットを構築してまいります。

 規制改革や地方分権改革に対する姿勢についてのお尋ねがありました。

 安倍内閣の発足以来、日本経済の再生に向けて抜本的な構造改革に取り組み、電力市場の自由化や、四十年以上続いた米の生産調整の見直しなど、これまで不可能と思われていたさまざまな改革を実現してまいりました。

 安倍内閣の改革に終わりはありません。

 ここで歩みをとめることなく、アベノミクスの三本目の矢がさらに加速して、壁を打ち破り、日本経済を安定的な成長軌道に乗せるよう、規制改革や地方分権改革を初め、さらなる改革を断行してまいります。

 農業分野の規制改革についてお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意です。

 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上を図るとともに、リース方式を活用した農地集積による生産性の向上などに精力的に取り組んでいくこととしております。

 農業への企業参入については、平成二十一年の農地法改正によるリースの解禁で、株式会社のままでも自由に参入できることとなっており、昨年の臨時国会で関連法が成立した農地集積バンクの取り組みとの組み合わせによって、さらに効率的に農業経営を展開できるようになります。

 その上で、四十年以上続いてきた米の生産調整を見直しし、農業者がみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることによって農地のフル活用を図り、食料自給率と食料自給力の向上をあわせて図っていくこととしております。

 今後、これらの施策を着実に実行するとともに、現場の声を踏まえ、農林水産業を成長産業とするため、さらに必要となる改革についても全力で取り組み、農政の大改革を進めてまいります。

 電力自由化と、原発の位置づけについてお尋ねがありました。

 電力自由化については、昨年成立した改正電気事業法で示された内容に基づき、改革を着実に前進させます。具体的には、平成二十八年を目途に電気の小売業への参入を全面自由化し、平成三十年から平成三十二年までの間を目途に発送電の分離を行います。

 現在、責任あるエネルギー政策の構築を目指してエネルギー基本計画の検討を行っているところであり、その中で原発の位置づけについても議論しています。その際、資源のない日本は、昨年、化石燃料の輸入に二十七・四兆円も支払っており、原発がないことにより三・六兆円も多く支払っている点も考慮する必要があります。

 いずれにせよ、原子力規制委員会が定めた、世界で最も厳しい水準の安全基準を満たさない限り、原発の再稼働はありません。

 地方分権改革及び道州制についてお尋ねがありました。

 地方分権改革は、個性を生かし、自立した地方をつくるために不可欠です。

 今国会に、国から地方への事務、権限の移譲等についての一括法案を提出し、第一次安倍内閣で始めた一連の地方分権改革をさらに前に進めてまいります。

 また、道州制の導入は、地域経済の活性化や行政の効率化などを目指し、国のあり方を根底から見直す大きな改革です。

 現在、与党において、道州制に関する基本法案の早期制定を目指し、精力的に議論を行っており、今後、政府としても、連携を深め、取り組んでまいります。

 国土強靱化や消費増税、被災地の復興事業についてお尋ねがありました。

 国土強靱化については、公共事業の額ありきではなく、二百兆円といった額を決定したという事実もありません。ハード、ソフトを組み合わせながら、優先順位をつけて、災害に強い国づくりを行ってまいります。

 消費税率引き上げによる税収は、全額社会保障財源化することとしており、公共事業に充てることはありません。

 消費税率の一〇%への引き上げについては、税制抜本改革法にのっとって、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断したいと考えております。

 また、消費税率の引き上げに伴う反動減を緩和し、その後の経済の成長力を底上げするため、好循環実現のための経済対策を策定しており、政労使の取り組みなどをあわせて進め、持続的な成長を確保してまいります。

 さらに、被災地の復興事業については、これまで、人材や資材の不足に対応するため、発注規模の大型化や生コンクリートのプラントの増設などを行ったほか、実勢価格を適切に反映させるため、労務単価を引き上げるなどの加速化措置を打ち出してきたところであり、今後とも、その円滑な実施のため、対策をきめ細かく講じてまいります。

 いわゆるマイナー自衛権についてのお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐる、いわゆるグレーゾーンの事態が増加する傾向にあります。このため、御指摘のような武力攻撃に至らない事態を含め、さまざまな事態にシームレスに対応することが必要です。

 また、サイバー空間の安定的利用の確保も、安全保障上の重要な課題となっています。

 現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、御指摘のような問題も含め、さまざまな検討が行われています。

 懇談会における議論の一例を申し上げれば、国際法上、外国潜水艦は、他国の領海内では海面に浮上して国旗を掲げて航行しなければなりませんが、我が国領海内において、外国潜水艦が水中に潜ったまま航行し、退去の要求に応じず、徘回を継続する場合など、武力攻撃に至らない侵害に際して、どのような実力の行使が可能か検討する必要があるとの問題意識も示されています。

 政府としては、個別的自衛権などにかかわる課題については、懇談会の報告も踏まえ、対応を検討してまいります。

 集団的自衛権についてお尋ねがありました。

 現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、政府としては、まずは、この懇談会における議論を待ちたいと考えています。

 その上で、懇談会において議論が行われた具体的な事例について紹介すれば、例えば、次のようなものがあります。

 ミサイル防衛のため公海上で警戒に当たっている米軍のイージス艦が攻撃を受けた場合、我が国はこのイージス艦を守ることができないが、それでよいのか。我が国の同盟国である米国が武力攻撃を受けて対応している中で、攻撃をしかけた国に武器弾薬を供給しようとしている船舶を米国からとめてくれと言われても我が国は対応できないが、それでよいのか。

 懇談会では個別的自衛権を拡大解釈していくのは国際的常識に反するとの指摘もあると聞いておりますが、いずれにせよ、政府としては、懇談会から報告書が提出された後に対応を検討することとなります。

 以上であります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次に、志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。(拍手)

 昨年の臨時国会は、秘密保護法に反対する一万五千人の人々が国会を包囲する中、安倍政権がこの希代の悪法を強行するという幕切れとなりました。

 しかし、国民の目、耳、口を塞ぎ、日本国憲法の基本原理をことごとくじゅうりんする秘密保護法に反対する声は、法案が強行された後も、さらに広がっています。秘密保護法の廃止等を求める地方議会の決議や意見書は、この一カ月余りで百自治体を超えています。

 この通常国会は、召集日に秘密法反対を求める人々が国会を大包囲するという幕あけとなりました。

 日本共産党は、この国会に秘密保護法廃止法案を提出いたします。

 総理は、秘密法を強行した翌日、私自身がもっと丁寧に時間をとって説明すべきだったと反省していますと述べました。この言葉が真実のものであるならば、総理は、廃止法案の審議に、丁寧に、時間をとって応じるべきであります。

 総理にその用意はありますか。廃止法案の成立のために、党派を超えた共同を呼びかけるとともに、総理の答弁を求めます。

 総理は、施政方針演説で、経済の好循環を実現し、景気回復の実感を全国に届けると述べました。私は、総理が本気で経済の好循環を実現するというなら、二つの点で、従来の方針の根本からの転換が必要だと考えます。

 その一つは、四月からの消費税の八%への引き上げをこのまま実施していいのかという問題です。

 総理は、景気回復の裾野は着実に広がっていると述べました。しかし、日本経済の実態は、それとはかけ離れたものとなっています。

 異常な金融緩和によって株価は上がりましたが、庶民への恩恵はなく、円安による燃料、原材料、生活必需品の値上がりが、家計と中小企業を苦しめています。

 二〇一三年七―九月期のGDPの実質成長率は年率換算で一・一%にとどまり、一―三月期の四・五%、四―六月期の三・六%を大幅に下回り、経済の減速傾向が明瞭になりました。

 しかも、その中身を見ますと、家計消費や設備投資は低迷し、GDPの伸びを辛うじて支えているのは、消費税増税を前にした駆け込み需要と公共事業の積み増しという、一時的なものにすぎません。何よりも、働く人の賃金は、十八カ月連続で減少を続け、ピーク時に比べて七十万円も減っています。

 このような経済情勢のもとで、消費税増税で八兆円、社会保障の負担増、給付減を合わせれば十兆円という史上空前の負担増を強行すれば、どうなるか。国民の暮らしに大打撃を与え、日本経済を壊し、財政も共倒れという悪循環の引き金を引くことになることは、明らかではありませんか。

 総理は、中小企業に対して万全の転嫁対策を講じると述べました。

 しかし、全国中小企業団体中央会が一月に発表した景況調査では、多くの中小企業から、現状でも、原材料高、燃料高を販売価格に転嫁できないとの訴えがされています。総理は、このような実態を御存じでしょうか。現状でも転嫁できずに苦しんでいるのに、この上、増税分を転嫁する保証が一体どこにあるのでしょうか。

 消費税大増税の一方で、大企業には大盤振る舞いの減税が行われようとしています。復興特別法人税の廃止に続き、総理は、ダボス会議で、法人税減税を国際公約しました。

 国土強靱化の名で、東京外郭環状道路を初め三大都市圏環状道路、国際コンテナ港湾など、巨大公共事業に巨額の税金が投入されようとしています。

 今後五年間に二十四兆六千七百億円の軍事費をつぎ込む、大軍拡の道に踏み出そうとしています。

 消費税大増税と一体で政府が行おうとしている社会保障制度改革の内容は、医療、介護、年金など、あらゆる分野で負担増と給付減を押しつけ、その総額は、試算できるものだけで三兆円を超えます。

 結局、消費税大増税の目的は、財政再建のためでも、社会保障のためでもない。消費税増税で吸い上げた税金を、大企業減税と巨大開発、軍拡予算に流し込む、これこそ事の真相ではありませんか。

 総理が本気で経済の好循環を実現するというのならば、四月からの消費税増税の実施は、今からでも中止すべきであります。応能負担、負担能力に応じた負担の原則に立ち、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革こそ行うべきであります。総理の答弁を求めます。

 いま一つは、どうやって働く人の賃上げを図るのかという問題です。

 賃上げが経済の好循環を実現する鍵であることは、総理も認めるところだと思います。であるならば、私は、次の三つの賃上げ政策を実行することを政府に求めるものです。

 第一は、二百七十兆円に上る大企業の内部留保の一部を賃上げに活用することを経済界に正面から提起することです。

 昨年末、総理が出席した政労使会議が取りまとめた合意文書には、「まずは経済の好転を企業収益の拡大につなげ、それを賃金上昇につなげていく」と記されています。こうした企業収益の拡大先にありきという姿勢では、企業内部に大量の資金が滞留していても、もっともうけがふえなければ賃上げをしなくてもよいということになります。これでは賃上げは、いつまでも先送りされてしまうではありませんか。

 総理は、昨年の臨時国会で、我が党議員の質問への答弁で、内部留保の活用を政労使会議でお願いすると約束したはずです。ところが、合意文書には、内部留保という言葉さえ出てきません。総理は、この約束を果たされたのですか。政府として、内部留保の活用を正面から提起し、賃上げの実行を迫る意思はありますか。答弁を求めます。

 第二は、最低賃金の抜本的引き上げと、そのための財政出動を行うことです。

 総理は、賃上げする企業を応援する税制を拡充すると言いますが、雇用の七割を支えている中小企業の七割は赤字経営です。法人税を減税しても恩恵はなく、賃上げの促進にはなりません。

 中小企業に賃上げを波及させる最も効果的な方法は、中小企業への直接支援を行いながら、最低賃金を引き上げることです。

 アメリカでは、最低賃金引き上げのために、五年間で八千八百億円の中小企業支援を行っています。フランスでは、三年間で二兆二千八百億円の社会保険料の軽減を行っています。ところが、日本では、最低賃金引き上げのための中小企業支援は、この三年間でわずか九十九億円にすぎません。

 総理、賃上げのための財政出動というならば、最低賃金引き上げのための中小企業支援を抜本的に拡大すべきではありませんか。答弁を求めます。

 第三は、雇用のルール破壊をやめて、人間らしく働ける雇用のルール強化を図ることであります。

 安倍政権は、世界で一番企業が活躍しやすい国のスローガンのもと、派遣労働の無制限の拡大、解雇の自由化、サービス残業の合法化を進めようとしています。どれも、財界が人件費削減のために要求してきたことであります。こんなことをやって、どうして賃上げになるのか。政府主導の賃下げ政策ではありませんか。

 今取り組むべきは、労働者派遣法の抜本改正、均等待遇のルールの確立、ブラック企業の規制など、人間らしく働くことを保障するルールの確立であります。それこそが、非正規社員から正社員への道を広げ、働く人の所得をふやす道ではありませんか。

 以上、三つの賃上げ政策について、総理の答弁を求めるものであります。

 政府は、原発を、基盤となる重要なベース電源として、将来にわたって活用し、再稼働を進めると明記したエネルギー基本計画を閣議決定しようとしています。

 原発に関する基本姿勢について、二つの点を端的にただしたい。

 第一は、安倍政権は、原発ゼロという目標を投げ捨てるのかという問題です。

 民主党政権が定めた方針には、二〇三〇年代に原発ゼロという政府としての目標が明記されていました。ところが、エネルギー基本計画には、原発ゼロという目標は影も形もありません。総理も、原発依存度の低減は述べても、原発ゼロは一切口にしません。しかし、どんな世論調査でも、原発の今後について、今すぐ廃止、将来は廃止を合わせますと、七割から八割に上ります。

 安倍政権の方針は、この圧倒的民意に背いて、将来にわたって原発との共存を図るというものなのですか。しかとお答えいただきたい。

 第二は、原発再稼働の問題です。

 原発事故の被害は、今なお深刻さを増し、福島では十四万人もの方々が先の見えない避難生活を強いられています。事故は、収束するどころか、放射能汚染水が制御できない非常事態が続いています。原発事故の原因は、いまだ究明の途上にあります。こうした状況のもとでの再稼働など、論外ではありませんか。

 再稼働をすれば、核のごみがふえ続けます。エネルギー基本計画は、最終処分を将来世代に先送りしないとしています。しかし、一体、日本のどこを最終処分の場所にするというのか。全く見通しがないではありませんか。

 最近の世論調査で、安全性が確認された原発の再稼働に六〇・二%が反対と答えているのは、当然であります。総理自身、再稼働を決断するときには秘密保護法以上に国民世論は厳しくなるかもしれないと述べているとおりであります。

 総理に伺います。

 仮に、国民の理解が得られなくても、原子力規制委員会が安全との判定を下せば、再稼働を強行するおつもりですか。

 現在、全ての原発は停止しています。このまま再稼働せずに廃炉に向かうことこそ、最も現実的で、責任ある態度ではありませんか。

 即時原発ゼロを政治決断し、再生可能エネルギーの思い切った普及と低エネルギー社会への転換に力を注ぐことこそ、国民の命と安全に責任を負うべき政府が選択すべき道であります。総理の答弁を求めます。

 米軍の新基地建設問題が最大の争点となった沖縄名護市長選挙で、辺野古の海にも陸にも基地はつくらせないと公約した稲嶺進市長が、新基地推進を主張した自民党推薦候補を大差で打ち破り、圧勝しました。強圧を用い、札束をちらつかせて基地受け入れを迫った安倍政権の卑劣なやり方に、沖縄は屈しなかったのであります。

 政府は、この結果を重く受けとめて、新基地建設をきっぱり断念すべきであります。

 総理は、施政方針演説で、名護市長選挙の結果については一言も触れず、新基地建設を強行する姿勢を示しました。

 沖縄の地元紙は、選挙という民主主義の手続で示された名護市民の多数意思を完全に無視するやり方は民主主義を否定するものだ、世界じゅう探しても民意をこれほど露骨に踏みにじる民主主義国家は存在しないと、そろって、安倍政権の暴走を民主主義への挑戦と指弾しています。

 総理、名護市民が選挙で下した審判を無視し、七割を超える県内移設反対の県民の声を踏みつけにすることが、民主主義を否定する行為だとは考えないのですか。しかと答弁をいただきたい。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

志位和夫君(続) 普天間基地は、もともと、米軍の無法な土地強奪の上につくられた基地であります。返還に条件をつけること自体、許されないことであります。普天間基地の無条件撤去を求めて対米交渉を行うことを強く求めるものであります。

 総理は、昨年十二月二十六日、靖国神社参拝を強行しました。

 靖国神社は、戦争中は、国民を戦場に動員する道具とされた神社でありました。この神社は、現在も、日本軍国主義による侵略戦争を、自存自衛の正義の戦い、アジア解放の戦争と美化し宣伝することを存在意義とする、特殊な施設となっています。侵略戦争を引き起こした罪に問われたA級戦犯が、連合軍による一方的な裁判でぬれぎぬを着せられた犠牲者として合祀されています。

 この施設に総理が参拝することは、総理がどのような意図を持っているかにかかわりなく、侵略戦争を肯定、美化する立場にみずからの身を置くことを世界に向かって宣言するものにほかなりません。

 第二次世界大戦後の国際秩序は、日独伊三国による侵略戦争を不正不義のものと断罪することを共通の土台としています。総理の行動は、今日の国際秩序に正面から挑戦するものであり、断じて許されるものではありません。

 総理の靖国参拝に対して、中国政府、韓国政府は厳しい抗議を表明しました。米国政府も、失望したと、異例の批判を行いました。さらに、批判は、国連事務総長、欧州連合、ロシア政府、シンガポール政府などにも広がりました。

 総理、あなたは、みずからがよって立つ特殊な右翼的勢力、靖国派にこびを売る行動によって、国際社会の信頼を失い、とりわけ、近隣諸国との友好という国益を大きく損なったのであります。その反省と自覚はありますか。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

志位和夫君(続) 今後、靖国神社への参拝はもとより、村山談話の見直しなど、過去の侵略戦争を肯定、美化する一切の行動、言動を厳に慎むことを、私は厳しく求めるものであります。

 日本共産党は、侵略戦争と植民地支配に命がけで反対を貫いた党として、歴史問題での逆流を日本の政治から一掃するために全力を挙げて闘う決意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 志位和夫議員にお答えをいたします。

 特定秘密保護法についてのお尋ねがありました。

 特定秘密保護法については、さまざまな御議論を経て成立したものであり、その過程で伺った御意見を真摯に受けとめ、今後とも、同法について、国民の皆様に丁寧に説明を重ねるとともに、その適正かつ効果的な運用が図られるよう、施行準備を進めてまいります。

 消費税率引き上げについてお尋ねがありました。

 足元の景気は、雇用、所得環境が改善する中で個人消費が増加するなど、緩やかに回復しております。

 消費税率の八%への引き上げに当たっては、これに伴う影響を緩和し、その後の経済の成長力を底上げするため、好循環実現のための経済対策を着実に実行してまいります。あわせて、賃金上昇、雇用拡大を伴う経済の好循環の実現をしっかりと目指してまいります。

 また、消費税率の引き上げにより、国民の皆様の暮らしを支える社会保障制度の安定財源を確保し、国の信認を維持してまいりたいと考えております。

 転嫁対策についてお尋ねがありました。

 現状でも、原材料高、燃料高を販売価格に転嫁できないとの声があることについては、認識しております。

 経済産業省が昨年十一月に実施した調査によると、仕入れ価格上昇分の半分以上を転嫁できている、または、今後できると見込んでいる中小企業は、約半数となっています。

 また、昨年十二月の日銀短観によれば、中小企業の業況判断が、製造業では六年ぶり、非製造業では二十一年ぶりにプラスに転じるなど、中小企業にも景気回復の流れがあらわれ始めたところであります。

 政府としては、経済の好循環を実現し、景気回復の実感を全国津々浦々まで届けていくとともに、万全の消費税転嫁対策を講じてまいります。

 具体的には、転嫁対策調査官や消費税価格転嫁等総合相談センターの設置、転嫁拒否の疑いがある事業者への立入検査を初め、徹底的に監視、取り締まり等に取り組んでまいります。

 消費税率引き上げの目的についてお尋ねがありました。

 今般の消費税率引き上げは、少子高齢化のもと、安定財源を確保し、世界に冠たる我が国の社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡すとともに、子ども・子育て支援を充実していくためのものです。

 消費税率引き上げによる税収は、全額社会保障財源化することとしており、社会保障分野以外の財源に充てることはありません。

 消費税率引き上げを中止し、応能負担の原則に立った税制改革を行うべきとのお尋ねがありました。

 消費税率八%への引き上げに当たっては、これに伴う影響を緩和し、その後の経済の成長力を底上げするため、好循環実現のための経済対策を策定しており、その着実な実行により、デフレ脱却と財政再建の両立は可能であると考えております。

 また、持続可能な社会保障制度を構築し、国民の安心を確かなものとする観点からは、税収が安定し、勤労世代など特定の者へ負担が集中しない消費税が、その財源としてふさわしいと考えております。

 内部留保と賃金の上昇についてお尋ねがありました。

 これまで政府が強力に推進してきた三本の矢の効果等によって、今まさに企業収益は好転しつつあります。

 本来、個別の賃金水準は労使間交渉で決められるべきものと考えており、異例なことではありますが、先送りすることなく、この機を捉えて賃金の上昇を実現すべく、政労使会議等の場において、経済界や労働界に対して、賃金上昇を伴う経済の好循環を実現することが重要と申し上げてまいりました。

 昨年十二月の政労使会議では、経済の好循環を速やかに実現するため、関係者それぞれがこれまでの行動にとらわれない新たな取り組みを大胆に実行していただきたい旨を申し上げたところです。これは、内部留保の活用に限らず、長引くデフレでしみついた従来の行動から大胆に踏み出すよう要請したものであります。

 いわゆる内部留保については、個別企業ごとに事情が異なるものと承知しており、一律の対応を求めるのは適切でないと考えますが、ことしの春闘においては、内部留保の活用のあり方も含め、各企業が、それぞれの会社の経営状況等を踏まえて、昨年末の政労使会議において取りまとめた共通認識を踏まえ、好循環の実現につながる積極的な対応を行うものと期待しております。

 最低賃金を引き上げるための中小企業支援についてお尋ねがありました。

 最低賃金を引き上げる環境整備のために中小企業等への支援を行っていくことは重要であると考えています。

 このため、政府としては、最低賃金を引き上げた中小企業等の業務改善に要する費用への助成等を拡充するとともに、例えば、ものづくり・商業・サービス革新補助金等において、賃上げや人材育成等の処遇改善に取り組む企業が優先的に採択されるよう工夫を行うなどにより、中小企業等への支援を拡充してまいります。

 安倍政権における雇用制度の見直しや賃上げについてお尋ねがありました。

 現在検討中の労働者派遣制度や労働時間制度の見直しは、安倍政権が掲げる多様な働き方の実現を目指すものであり、御指摘のような目的のために行うものではありません。また、解雇の自由化といったことは、全く考えておりません。

 したがって、政府主導の賃下げ政策などというレッテル張りは、不適切であります。

 政府としては、労働界や経済界と協力して、非正規から正規へのキャリアアップの支援を進めることなどにより、若者、女性を含め、頑張る人たちの雇用を拡大してまいります。

 今後の原子力政策についてお尋ねがありました。

 原発については、徹底した省エネルギー社会の実現と再生エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度は可能な限り低減するというのが基本方針であります。

 しかしながら、電力供給における海外からの化石燃料への依存度が第一次石油ショック当時よりも高くなっているという現実を考えると、そう簡単に、原発はもうやめたというわけにはいきません。

 福島の事故も経験し、国民の皆様が原発の安全性に不安を持つのは当然のことです。福島の事故の教訓を踏まえ、安全を確保することが大前提であります。

 その前提のもと、独立した原子力規制委員会が、世界で最も厳しい水準の安全基準に基づいて徹底的な安全審査を行い、これに合格した原発について再稼働を判断していくこととする方針であります。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分については、仮に原発をゼロにしたとしても、必要であることからは逃れられません。むしろ、最終処分場をしっかり確保することこそが政治の責任です。これまでのやり方を見直し、責任を持って最終処分場を確保すべく、科学的根拠に基づき国から適地を提示するなど、国が前面に立って取り組みを進めてまいります。

 普天間飛行場の移設についてお尋ねがありました。

 住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は、絶対に避けなければなりません。これは、安倍内閣の基本的な考え方であり、政府と地元の皆様の共通の認識であると思います。

 地方自治体の首長選挙の結果について政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、普天間飛行場の危険性を除去し、沖縄の負担を軽減するための政府の取り組みについて、民主主義を否定する行為であるとの御指摘は当たりません。

 政府としては、引き続き、地元の皆様の御理解を求めながら、また、日米間で緊密に連携し、普天間飛行場の速やかな移設、そして返還に向け、全力で取り組んでまいります。

 靖国神社参拝等についてお尋ねがありました。

 私は、靖国神社を参拝し、国のために戦ってとうとい命を犠牲にした方々に対して、尊崇の念を表し、みたま安かれなれと御冥福をお祈りしました。これは、国のリーダーとして当然のことであり、世界共通のリーダーの姿勢だと考えます。

 各国には、謙虚に、礼儀正しく理解を求めてまいります。

 また、参拝に際して、二度と人々が戦争の惨禍に苦しむことがない時代をつくるとの決意を込めて、不戦の誓いをいたしました。

 戦後、我が国は、自由で、民主的で、基本的人権や法の支配をたっとぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり、平和国家として歩んできました。その歩みは、今後も変わりません。

 以上であります。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次に、鈴木克昌君。

    〔鈴木克昌君登壇〕

鈴木克昌君 私は、生活の党を代表し、安倍総理の施政方針演説に対し、生活の党の安全保障政策、経済財政政策について、私の所信を申し上げながら、総理の御意見を伺います。(拍手)

 まず、安全保障についての質問から入ります。

 安全保障とは、諸国民、諸国家との平和共存をどのように構築していくのかという平和の問題であります。

 二十一世紀となった現在、自己主張するだけの国家のあり方から脱却し、国際社会が協力して国家間の争いをなくしていかなければいけないというのが、生活の党の基本的な考え方であります。これは、第二次世界大戦の結果生まれた国際連合の基本理念とも合致します。

 日本の安全と平和は、世界の平和が維持されて初めて実現できるものであります。私たちは、戦後の国連の理念と世界観に立って日本の安全保障を展開すべきと考えます。

 これに対し、旧来の主権国家の武装独立、軍備強化を基本とするのが安倍政権の安全保障ではないでしょうか。

 二十世紀までの国家と国際社会は、主権国家が、それぞれの国民と国土、そして国益を守るために政治を行ってきました。安全保障の観点で見ると、敵の攻撃から自国を守るということも含めて、軍備の拡充と武装独立がそのかなめでありました。主権国家は、武力をもって敵の武力に対抗するということになります。しかし、これは、必然的に軍拡競争となり、軍備の充実に狂奔し、それが、結果として戦争につながっていきました。二十世紀は、この繰り返しであったと言えます。

 安倍政権は、こうした主権国家論に基づいた国家を目指しているようであります。これは、二十一世紀の国際社会では通用しない、本当に、間違った、いびつな考え方であり、絶対に平和と両立しないものであります。

 安倍総理は、国際社会の協力という新しい世界観ではなく、いまだに、旧来の主権国家論に基づいて安全保障を展開しようとするお考えでしょうか。

 加えて、主権国家論に基づく武装独立の手段である核武装について、総理は、かつて、憲法は核武装を否定していないと述べていますが、憲法と核武装の関係について、いかがお考えでしょうか。総理の答弁を求めます。

 安倍政権による旧来の主権国家論に基づく安全保障政策を憲法上正当化しようとするのが、集団的自衛権について、憲法九条の解釈の変更を目指す動きです。

 安倍政権との対比を明らかにするために、生活の党の憲法九条の解釈を申し上げます。

 国連が行動をとるまでの間、我が国の安全をどのように守っていくのかを示すのが、自衛権に関する憲法九条の解釈です。

 現行憲法九条一項では、国際紛争を解決する手段として、国権の発動たる武力の行使は行わないとし、二項で、そのための戦力は保持しないとしています。

 その解釈の前提として、自衛権というのは、自然権として、憲法を超えて、世界的に認められています。その上で、九条一項は、国権の発動たる武力の行使である自衛権の発動について、国際紛争を解決する手段として永久に放棄するとしています。

 これらを踏まえて九条一項と二項を具体的に解釈すれば、個別的であれ、集団的であれ、自衛権の行使は、日本に対する急迫不正の侵害があったとき、あるいは、周辺事態法で言う日本の安全を脅かす事態に至ったときに限って自衛権を行使するということであります。

 他方で、これら以外の、日本に直接関係のない紛争については、自衛権を行使せず、国連の決定に従い、国連の行動に参加することで世界平和を維持していくべきであると考えます。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

鈴木克昌君(続) 安倍総理、国連中心に世界平和を守るという理念に基づき自衛権行使を限定するという生活の党の憲法九条の解釈について、いかがお考えでしょうか。明快な答弁を求めます。

 これに対して、自民党日本国憲法改正草案では、集団的自衛権を保持していても行使できないとの解釈の重要な根拠となっている、戦力の不保持等を定めた現行憲法九条二項を削除して、新しく二項で、改めて、自衛権の発動を妨げるものではないと規定しています。

 これによれば、個別的であれ、集団的であれ、何らの制限もなく自衛権を行使できるようになります。つまり、自民党案によれば、自衛のためと称して、地球の裏側にまで自衛隊を派遣することが可能になります。

 二十世紀までの戦争のほとんどは、自衛権の拡大解釈で起こりました。日本でも、上海で日本人が殺された、財産が損なわれたといっては出兵したわけであります。制限のない自衛権を認めることは、戦前において破綻に至った考え方への回帰にほかなりません。

 安倍総理、無制限の自衛権行使を憲法上正当化することが、憲法の平和主義の名に値するのでしょうか。さらには、米軍とともに地球の裏側に自衛隊を派遣して日本国民の安全を確保することが、適正な道だとお考えでしょうか。総理の答弁を求めます。

 生活の党は、日本が直接攻撃を受けたり、日本の安全に重要な影響を与える事態が生じた場合は自衛権を行使し、それ以外の国際紛争については、国連の決定に従い、国連の行動に日本が参加することで世界平和を維持していくというのが、日本国憲法の理念であり、また国連憲章の理念であると考えます。

 旧来の主権国家論の繰り返しではなく、国連の基本理念に立脚して平和を構築するためには、日本が率先して国連が機能するように努力することが必要であり、そのための根拠を憲法に明示するというのが生活の党の考え方であります。

 生活の党は、憲法九条に国際協力の規定を追加すべきだと考えております。

 具体的には、国連の平和維持活動に我が国が参加する根拠となる規定を設けることと、国連の平和維持活動への参加に際しては実力行使を含むあらゆる手段を通じて世界平和のために積極的に貢献する旨を規定することであります。

 安倍総理は、憲法九条について、一項、二項を変更せず、国際協力を加憲するという私たちの提案を、どう受けとめてみえるでしょうか。答弁を求めます。

 日本が国連決定に従って行動することは、日米同盟とも全く矛盾しません。

 日本が他国から攻撃された場合や周辺事態が発生した場合、国連が何らかの行動をとるまでの間、タイムラグが生じます。その間は、日米安全保障条約に基づき、日米が共同で反撃して日本を守る。しかし、一たび国連で何らかの決定が下された場合は、日米ともにその決定に従って行動するというのが日米安全保障条約であります。

 日本国憲法も、国連憲章も、日米安全保障条約も、全く明快そのものであり、三つは何ら矛盾していないのであります。生活の党は、日本国憲法、国連憲章、日米安全保障条約は、三位一体であり、相互に補完し合うものと考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。

 生活の党は、あくまでも国連を中心として世界平和を守るという理念を堅持し、国連に積極的に協力すべきであると考えます。

 二十一世紀の国際社会は、二十世紀までの戦争の時代に終止符を打つべきであります。そのためには、旧来の主権国家論から脱却して新しい世界観で国連を機能させることこそ世界平和への最良の道であると生活の党は考えております。

 安倍総理は、施政方針の中では、国連の平和活動には一切触れず、そのかわりに、米国との安全保障面での連携強化を強調されました。

 総理は、世界平和を構築していくためには、国連中心ではなく、米国中心の体制を優先していこうとお考えなのでしょうか。答弁を求めます。

 次に、経済政策について伺います。

 平成二十五年は、いわゆるアベノミクスと呼ばれる経済政策を背景に歴史的な円安が進行しました。安倍政権発足前の平成二十四年十一月初めに八十円だったドル・円相場は、平成二十五年十二月末には百五円まで急落しました。

 このような急激な円安は、輸出企業に大きな収益をもたらす反面、当然のことながら、輸入コストが上がる企業の収益を圧迫しています。そして、円安による原材料の高騰に苦しんでいるのは、ほかでもない、我が国経済を支えてきた中小企業であります。また、物価高で苦しむ多くの国民であります。

 中小企業家同友会全国協議会の二〇一三年四月から六月までの景況調査で、円安の進行による仕入れ価格の上昇での利益の影響について回答を求めたところ、回答企業四百十三社のうち、利益が減少したという企業が八六・七%に達しました。そのうち九・七%は、円安によって赤字になったと回答しています。

 円安が進めば、販売価格に転嫁できない内需型の中小企業は利益が減少することになります。円安の進行をやみくもに歓迎することはできません。

 ここで少し、中小の元請、下請企業の苦悩をお話しします。つまり、円安で苦悩が増している実態であります。

 二〇一三年の輸出総数量はマイナス一・五%ですが、輸出総額は九・五%ふえています。つまり、輸出単価の平均は一一%上がっている。しかし、輸入総数量はマイナス〇・四%ですが、輸入総額は一五%ふえているのです。つまり、輸入単価の平均は一五・四%上がっています。このことは、元請、下請の中小企業は、この分だけ原材料価格が上昇して、製造単価当たりの利益が減少しているのです。

 このように、中小企業は原材料高に泣いています。したがって、輸出大手は、元請、下請に、円安のメリットを工賃として支払うべきであります。そうでなければ、中小企業の従業員の給料は上がりません。総理は、政労使会議での給料アップのみならず、中小への工賃アップを要請していただきたい。

 総理、円安に泣いている中小零細企業に給与所得者の七〇%が雇われています。また、日本の企業の九九・七%がこれら中小零細企業であることを御理解いただきたいわけであります。

 経済評論家の池田信夫氏も、「アベノミクスの幻想 日本経済に「魔法の杖」はない」の中で、次のように指摘しています。円が弱くなることは資産評価が減ることであり、本来望ましくない、それが経済を改善するのは、貿易黒字が経済を支えていた高度経済成長期の貿易立国の時代の話であり、いつまでも円安を続けることはできないとあります。

 リーマン・ショック後、一ドル七十円台まで進んだ円高の影響で、多くの日本企業は海外進出を加速させました。人、物、金が自由に国境を越える時代になっており、かつてのように、円安が日本国内に経済的な利益をもたらすことは保証されなくなりました。輸出量が伸び悩む一方で輸入額が膨らみ、平成二十五年には過去最大の貿易赤字を記録するなど、安倍政権の経済政策のゆがみが徐々に顕在化しています。

 我が国が経済の好循環を取り戻すためには、一部の大企業や輸出企業の利益ではなく、経済の構造変化を踏まえ、中小企業も含めた、真に内需拡大に資する経済政策が必要なのではないでしょうか。総理の答弁を求めます。

 次に、財政健全化について伺います。

 総理は、国、地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べて赤字の対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化する財政健全化目標の実現を目指し、平成二十六年度予算において、中期財政計画を上回る五・二兆円を改善すると言われました。しかし、これは消費税の増税によるものでしかありません。

 一方、財政健全化に必須である歳出削減については、社会保障費だけでなく、公共事業費が前年度比実質二%増など、主要経費は軒並み増額されており、歳出総額が過去最大の九十五・八兆円と、歳出削減どころか、逆に、ふえているありさまであります。

 また、一月二十日に内閣府が公表した中長期の経済財政に関する試算においては、二〇一五年度の半減目標は、二〇一三年度から今後十年の平均成長率が実質二%程度、名目三%程度という非常に甘いシナリオに基づいて辛うじて達成する程度であり、二〇二〇年度では十一・九兆円もの赤字が残るとされております。このままの歳出規模では、黒字化目標が達成できず、さらなる収支改善の努力が必要であることは明白であると考えます。

 総理は、経済の再生なくして財政再建なしと言われておりますが、歳出削減も財政健全化には必要なことであると考えます。

 そこで、二〇二〇年度の黒字化を見据えた財政健全化への具体的な道筋と歳出削減の必要性について、総理のお考えをお聞かせください。

 また、報道によれば、総理は、昨年十二月の企業経営者との懇談で、財政は世間で言われているほど、財務省が言うほど悪くないという認識を示したとされますが、本当にそのような考えをお持ちなのか、あわせてお聞きしたいと思います。

 足元、景気情勢は一定の回復を見せておりますが、それと同時に、一部食料品等の価格の上昇などが見られています。このような状況の中で総理が消費税率引き上げを決められた理由を、ここで改めてお伺いしたいと思います。

 また、国民の目から見れば、お金に色はないわけですから、消費税収が社会保障に使われるといっても、結局は、回り回って公共事業などに充てられるのではないかという思いが拭えないと思います。

 このような疑念を払拭するためにも、消費税での収入が社会保障に使われることを明確化するために、区分経理を行い、社会保障特別会計の設置を図るなどの措置を講ずるべきではないでしょうか。総理のお考えを伺います。

 また、消費税率の引き上げとともに、一体として行う社会保障改革の中身について、具体的にお示しください。

 さらに、財政再建は、税収増などの歳入確保と歳出削減の、両面から考えていくべきであります。景気回復による自然増収自体は望ましいことですが、これを、借金の返済ではなく、政策経費に振り向けるようなことでは、財政再建などおぼつきません。その点についても、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

 最後に、議会制民主主義における責任ある健全野党のあり方について確認いたします。

 議会制民主主義をよりよく機能させるためには、野党が、与党との政治理念や基本政策の違いを明確に打ち出し、政権交代を目指し、国民に自分たちへの支持を訴え、政権をとった暁には、責任を持ってその政策を実行していく。これこそが、健全な野党の使命であります。

 古今東西の歴史が示すとおり、一強支配体制の行き着く先は、国民に多大な負担や犠牲を強いて、不幸をもたらす悲劇であります。国民生活の向上は、一強支配からではなく、政党同士がよりよい政治を目指して切磋琢磨する、健全な競争のある政治体制から生まれるのであります。政治に健全な競争があることこそ、国民に対して真に責任ある政治ではないでしょうか。

 責任ある政治の実現に向け、議員各位の理解と御協力をお願い申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 鈴木克昌議員にお答えをいたします。

 我が国の安全保障政策及び核武装と憲法との関係についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増しており、脅威は、容易に国境を越えてきます。もはや我が国のみでは我が国の平和を守ることはできません。国際社会と協力して地域や世界の平和を確保していくことが不可欠であります。

 このような認識のもとに、我が国は、積極的平和主義の立場から、これまで以上に、積極的に国際社会の平和と安定に寄与してまいります。

 我が国が自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは、憲法第九条第二項によっても禁止されていません。したがって、そのような限度の範囲内にとどまるものである限り、通常兵器であるか否かを問わず、これを保有することは憲法の禁ずるところではないとの解釈を従来より政府はとってきています。

 いずれにせよ、安倍内閣としても、非核三原則を守るとの基本方針を堅持する立場に変わりはありません。

 自衛権についてお尋ねがありました。

 今日に至るまで国連軍が創設されていないことを見ると、国連中心に世界平和を守るという理念は、完全には実現されていないと言わざるを得ません。

 そのような状況のもと、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しており、もはや我が国のみで我が国の平和を守ることはできず、安全保障の法的基盤を再構築する必要があります。

 このような認識のもと、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、集団的自衛権等と憲法との関係について検討が行われています。政府としては、まずは、この懇談会における議論を待ちたいと考えております。

 憲法第九条に国際協力の規定を追加すべきとの、生活の党の憲法改正案についての御提案がございました。

 そうした憲法改正案については、国民的な議論の深まりの中において判断されるべきものと考えております。まず御党から国民の皆様に訴えられた方がよいのではないか、このように思います。

 日本国憲法、国連憲章及び日米安保条約の関係についてお尋ねがありました。

 日米安保条約のもと、我が国の施政のもとにある領域における日米いずれか一方に対する武力攻撃に対しては、日米が共通の危険に対処することとなっています。そして、日米のいずれかが受けた武力攻撃及びその結果として日米がとった措置は国連安保理に報告され、国連安保理が国連憲章に基づき国際の平和及び安全の回復、維持のために必要な措置をとったとき終止することとなっています。

 なお、我が国がとる措置は、憲法上許されるものとなることは当然であります。

 政府としては、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、日米同盟の抑止力、対処能力を向上させつつ、国連における国際の平和と安全の維持、回復に向けた取り組みや、PKO等の国連が主導するさまざまな取り組みにも、より積極的に寄与していく考えであります。

 経済の構造変化も踏まえた、内需拡大に資する経済政策への取り組みについてお尋ねがありました。

 安倍内閣発足当時と比べて、中小企業を含めて業況が幅広く改善するなど、日本経済は閉塞を脱し、明るさが広がっていますが、経済再生に向けて、ここからが正念場であり、より一層取り組みを強化する必要があります。

 このため、政労使の共通認識に基づく取り組みや、好循環実現のための経済対策を着実に実行してまいります。

 さらに、経済の構造変化も踏まえ、成長戦略の実行の加速化、深化により、新たな市場や需要を掘り起こし、企業の収益や雇用、所得の拡大、さらには、消費や投資といった、内需が拡大する好循環を実現していきます。

 こうした好循環の動きを地域や中小企業等にも波及させ、持続的な経済成長を実現してまいります。

 基礎的財政収支の黒字化に向けた対応と、我が国の財政状況に対する認識についてお尋ねがありました。

 二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化に向けては、昨年八月に策定した中期財政計画に沿って、基礎的財政収支と税収等の対GDP比の乖離を解消できるよう、歳出歳入両面の取り組みを進めてまいります。

 この目標の達成については、今後、二〇一五年度における財政状況等を踏まえて経済、財政を展望し、その後五年間について、さらに具体的道筋を描いてまいります。

 また、我が国の財政については、巨額の公的債務が累積するなど、大変厳しい状況にあると認識していますが、経済再生がなければ財政健全化もできないと考えており、政府としては、これらの両立を目指しているところです。

 これは狭き道ではありますが、安倍内閣発足後一年で景気回復の動きが広がり、平成二十六年度予算では、一般会計の基礎的財政収支について、中期財政計画の目標を上回る五・二兆円の改善を実現するなど、財政健全化に向けて着実に進んでおります。

 繰り返し申し上げているように、この道しかありません。全力で取り組んでまいります。

 消費税率引き上げと社会保障改革及び財政再建についてお尋ねがありました。

 持続可能な社会保障制度を構築し、国民の安心や、国際社会、市場からの信認を確かなものとする観点から、本年四月より、消費税率を三%引き上げることとしました。引き上げによる増収分は、全額、社会保障財源化します。

 一般会計の最大の歳出である社会保障関係費を切り出して特別会計で経理することについては慎重に検討していく必要がありますが、国分の消費税収の使途を法律や予算に明記するなど、消費税収が社会保障に充てられることを明確化いたします。

 また、社会保障制度改革については、昨年十二月に成立したプログラム法にのっとり、受益と負担の均衡がとれた制度へと、不断に改革を進めます。

 財政再建については、引き続き、経済再生と財政健全化の両立を目指し、経済成長による税収増を図る一方で、歳出の効率化を進め、中期財政計画に沿って基礎的財政収支の改善を進めてまいります。(拍手)

副議長(赤松広隆君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。

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副議長(赤松広隆君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会

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 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       総務大臣     新藤 義孝君

       法務大臣     谷垣 禎一君

       外務大臣     岸田 文雄君

       文部科学大臣   下村 博文君

       厚生労働大臣   田村 憲久君

       農林水産大臣   林  芳正君

       経済産業大臣   茂木 敏充君

       国土交通大臣   太田 昭宏君

       環境大臣     石原 伸晃君

       防衛大臣     小野寺五典君

       国務大臣     甘利  明君

       国務大臣     稲田 朋美君

       国務大臣     菅  義偉君

       国務大臣     根本  匠君

       国務大臣     古屋 圭司君

       国務大臣     森 まさこ君

       国務大臣     山本 一太君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  加藤 勝信君


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