衆議院

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第20号 平成26年4月22日(火曜日)

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平成二十六年四月二十二日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十三号

  平成二十六年四月二十二日

    午後一時開議

 第一 平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 第二 平成二十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 第三 平成二十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 第四 平成二十三年度特別会計予算総則第十七条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 第五 平成二十四年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 第六 平成二十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 第七 平成二十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 第八 平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 第九 平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 第十 平成二十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)

 第十一 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件

 第十二 千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件

 第十三 南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件

 第十四 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件

 第十五 視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件

 第十六 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十七 難病の患者に対する医療等に関する法律案(内閣提出)

 第十八 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第二 平成二十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第三 平成二十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第四 平成二十三年度特別会計予算総則第十七条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第五 平成二十四年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第六 平成二十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第七 平成二十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第八 平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第九 平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第十 平成二十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)

 日程第十一 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件

 日程第十二 千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件

 日程第十三 南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件

 日程第十四 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件

 日程第十五 視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件

 日程第十六 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十七 難病の患者に対する医療等に関する法律案(内閣提出)

 日程第十八 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)並びに独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(第百八十三回国会、松本剛明君外三名提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第二 平成二十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第三 平成二十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第四 平成二十三年度特別会計予算総則第十七条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第五 平成二十四年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第六 平成二十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第七 平成二十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第八 平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第九 平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百八十三回国会、内閣提出)

 日程第十 平成二十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)

議長(伊吹文明君) まず、日程第一から日程第十に掲げました平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)外八件及び平成二十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)の十件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。決算行政監視委員長松浪健太君。

    ―――――――――――――

    〔報告書は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔松浪健太君登壇〕

松浪健太君 ただいま議題となりました平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外九件につきまして、決算行政監視委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 第一に、予備費等の各件について申し上げます。

 これらの各件は、財政法の規定等に基づき、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。

 まず、平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費は、東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質の除染事業等に必要な経費等九件で、その使用総額は四千九百九億円余であります。

 次に、平成二十三年度一般会計予備費は、災害救助費等負担金の不足を補うために必要な経費等九件で、その使用総額は七百四十八億円余であります。

 次に、平成二十三年度特別会計予備費は、社会資本整備事業特別会計における大雪に伴う道路事業に必要な経費の一件で、その使用額は十六億円であります。

 次に、平成二十三年度特別会計予算総則第十七条第一項の規定による経費増額は、地震再保険特別会計における再保険金に必要な経費の増額等二特別会計の十二件で、その経費増額の総額は四千九百三十八億円余であります。

 次に、平成二十四年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費は、保育所緊急整備事業等に必要な経費等百八件で、その使用総額は九千九十九億円余であります。

 次に、平成二十四年度一般会計予備費(その1)は、衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費等十六件で、その使用総額は千百三十一億円余であります。

 次に、平成二十四年度特別会計予備費(その1)は、東日本大震災復興特別会計における震災により被害を受けた中小企業者の施設等に係る中小企業等グループ施設等復旧整備事業に必要な経費等十件で、その使用総額は三千三百九十六億円余であります。

 次に、平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額(その1)は、社会資本整備事業特別会計における防災・減災対策に係る河川事業に必要な経費の増額等二特別会計の二十件で、その経費増額の総額は千五十九億円余であります。

 また、(その2)は、交付税及び譲与税配付金特別会計における地方譲与税譲与金に必要な経費の増額の一件で、その額は百四十五億円余であります。

 第二に、国庫債務負担行為について申し上げます。

 国庫債務負担行為は、財政法の規定に基づき、災害復旧その他緊急の必要がある場合にあらかじめ予算において国会の議決を経た金額の範囲内で債務を負担する行為をなすものであり、事後国会に報告することとされているものであります。

 平成二十四年度一般会計国庫債務負担行為(その1)は、航空機購入、大型巡視船代船建造等の三件に係る債務負担行為で、その総額は三百四十三億円余であります。

 委員会におきましては、これら各件につき去る四月四日麻生財務大臣から説明を聴取した後、四月十七日に質疑を行い、質疑終了後、討論、採決の結果、平成二十三年度一般会計東日本大震災復旧・復興予備費、平成二十三年度一般会計予備費、平成二十三年度特別会計予備費、平成二十三年度特別会計予算総則第十七条第一項の規定による経費増額、平成二十四年度特別会計予備費(その1)、平成二十四年度特別会計予算総則第二十二条第一項の規定による経費増額(その1)及び(その2)の七件は全会一致をもって、平成二十四年度一般会計経済危機対応・地域活性化予備費、平成二十四年度一般会計予備費(その1)の二件は賛成多数をもって承諾を与えるべきものと議決しました。また、国庫債務負担行為は賛成多数をもって異議がないものと議決をいたしました。

 ただ、平成二十三年、平成二十四年の予備費についての審査は終了しましたものの、当委員会では、いまだ平成二十一年度の決算の審査も終了しておりません。

 ただいま、各党の理事の皆様の御協力を得まして、抜本的な決算委員会の改革策を議論しております。

 以上、御報告を申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決を行います。

 まず、日程第一から第四、日程第七及び第九の六件を一括して採決をいたします。

 六件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、六件とも委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。

 次に、日程第五につき採決をいたします。

 本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本件は委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。

 次に、日程第六につき採決をいたします。

 本件を委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本件は委員長報告のとおり承諾を与えることに決しました。

 次に、日程第八につき採決をいたします。

 本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本件は委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。

 次に、日程第十につき採決をいたします。

 本件の委員長の報告は異議がないと決したものであります。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本件は委員長報告のとおり決しました。

     ――――◇―――――

 日程第十一 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件

 日程第十二 千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件

 日程第十三 南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件

 日程第十四 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件

 日程第十五 視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件

議長(伊吹文明君) 次に、日程第十一、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件、日程第十二、千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件、日程第十三、南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件、日程第十四、二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件、日程第十五、視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件、以上五件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鈴木俊一君登壇〕

鈴木俊一君 ただいま議題となりました五件につきまして、外務委員会における審査の経過及びを結果を御報告申し上げます。

 まず、意匠国際登録ジュネーブ改正協定は、平成十一年七月にジュネーブで開催された国際会議において採択されたもので、複数の国に対する意匠の保護のための出願を出願人が一括して行うことを可能とするため、意匠の国際出願及び国際登録に関する手続等について定めるものであります。

 次に、意匠国際分類ロカルノ協定は、昭和四十三年十月にスイスのロカルノで開催された国際会議において採択されたもので、締約国が採用する意匠の国際分類、その修正及び追加の手続等について定めるものであります。

 次に、南インド洋漁業協定は、平成十八年七月にローマで開催された国際会議において採択されたもので、南インド洋の公海における漁業資源の長期的な保存及び持続可能な利用の確保を目的として、締約国会議で定める保存管理措置をとること等について定めるものであります。

 次に、船舶バラスト水規制管理条約は、平成十六年二月にロンドンで開催された国際会議において採択されたもので、船舶の安定性を確保するため船舶に取り入れられたバラスト水及び沈殿物の規制及び管理により、有害な水生生物及び病原体の移動から生ずる環境等に対する危険を防止すること等について定めるものであります。

 最後に、視聴覚的実演北京条約は、平成二十四年六月に北京で開催された国際会議において採択されたもので、視聴覚的実演に関し、人格権並びに複製権及び譲渡権等の財産的権利を実演家に付与するとともに、これらの権利の行使に関する法的な保護及び救済等について定めるものであります。

 以上五件は、去る四月九日外務委員会に付託され、十一日岸田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、十六日及び十八日質疑を行い、質疑終局後、採決を行った結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、五件を一括して採決をいたします。

 五件を委員長報告のとおり承認するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、五件とも委員長報告のとおり承認することに決しました。

     ――――◇―――――

 日程第十六 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第十六に移ります。鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長伊藤信太郎君。

    ―――――――――――――

 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔伊藤信太郎君登壇〕

伊藤信太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における鳥獣の生息の状況及び狩猟の実態に鑑み、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化の一層の推進を図るため、集中的かつ広域的に管理を図る必要がある鳥獣の捕獲等をする事業の創設、鳥獣の捕獲等をする事業の認定制度の導入等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月八日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、直ちに本委員会に付託され、同日石原環境大臣から提案理由の説明を聴取しました。次いで、同月十一日から質疑に入り、十五日参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を重ね、十八日に質疑を終局いたしました。質疑終局後、採決いたしました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十七 難病の患者に対する医療等に関する法律案(内閣提出)

 日程第十八 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第十七、難病の患者に対する医療等に関する法律案、日程第十八、児童福祉法の一部を改正する法律案、右二案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長後藤茂之君。

    ―――――――――――――

 難病の患者に対する医療等に関する法律案及び同報告書

 児童福祉法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔後藤茂之君登壇〕

後藤茂之君 ただいま議題となりました両案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、難病の患者に対する医療等に関する法律案について申し上げます。

 本案は、難病の患者に対する医療その他難病に関する施策に関し、基本方針の策定、難病に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度の確立、難病の医療に関する調査及び研究の推進、療養生活環境整備事業の実施等の措置を講じようとするものであります。

 次に、児童福祉法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、小児慢性特定疾病に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度の確立、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実施、調査及び研究の推進等の措置を講じようとするものであります。

 両案は、去る四月八日本委員会に付託され、翌九日田村厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、十一日から質疑に入り、十五日には参考人から意見を聴取するなど審査を行い、十八日に質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び結いの党の六会派より、両案に対し、検討規定について、検討の目途を施行後五年から施行後五年以内に改める修正案が、また、日本共産党より、両案に対し、特定医療費及び小児慢性特定疾病医療費の額について、食事療養等に要する費用を区分して算定する規定を削除すること等を内容とする修正案が提出され、各修正案について趣旨説明を聴取した後、日本共産党提出の両修正案について内閣の意見を聴取しました。

 次いで、両案及び各修正案について討論、採決を行った結果、まず、難病の患者に対する医療等に関する法律案について、日本共産党提出の修正案は賛成少数をもって否決され、六会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと議決した次第であります。次に、児童福祉法の一部を改正する法律案について、日本共産党提出の修正案は賛成少数をもって否決され、六会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと議決した次第であります。

 なお、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、両案を一括して採決をいたします。

 両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 全会一致。御異議なしと認めます。したがって、両案とも委員長報告のとおり修正議決をいたしました。

     ――――◇―――――

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)並びに独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(第百八十三回国会、松本剛明君外三名提出)の趣旨説明

議長(伊吹文明君) それでは、内閣提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに第百八十三回国会、松本剛明君外三名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案について、順次趣旨の説明を求めます。まず、国務大臣稲田朋美君。

    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕

国務大臣(稲田朋美君) ただいま議題となりました独立行政法人通則法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 独立行政法人制度については、その本来の趣旨にのっとり、主務大臣から指示される明確な目標のもと、独立行政法人が、自主性及び自律性を発揮した業務運営と適切な組織規律により、その期待される政策実施機能を最大限に発揮できるようにするとともに、肥大化防止・スリム化も図るため、法人の分類や目標、評価のあり方等にも踏み込んだ抜本的な改革を行うことが急務であります。

 このような観点から、法人の事務及び事業の特性に応じた法人の分類を設け、各分類に即した目標管理の仕組みを導入するとともに、監事の機能強化と主務大臣による事後的な是正措置を導入することなどにより業務運営の改善を図る仕組みを設ける等の所要の措置を講ずるため、本法律案を提出する次第であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人を事務及び事業の特性に照らし三つに分類し、国民の需要に的確に対応した多様で良質なサービスの提供を通じた公共の利益の増進を推進することを目的とする法人を中期目標管理法人として、我が国の科学技術水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することを目的とする法人を国立研究開発法人として、また、国の行政事務と密接に関連して行われる国の指示その他の国の相当な関与のもとに事務及び事業を正確かつ確実に執行することを目的とする法人を行政執行法人として、それぞれ個別法で定めることとしております。

 第二に、独立行政法人の業務運営は各分類に応じ、中期目標管理法人は三年から五年の中期的な目標管理によるものとし、国立研究開発法人は五年から七年の中長期的な目標管理により、研究開発に関する審議会が業績評価等に関与するものとし、行政執行法人は単年度の目標管理によることとしております。

 第三に、政策実施機関としての独立行政法人の役割が的確に果たされるよう、主務大臣による実効性、一貫性のある目標設定及び評価の仕組みとするため、これまで各府省に設けられていた評価委員会にかわり、主務大臣が法人の業績評価を行うこととしております。

 また、総務大臣が目標設定及び業績評価に関する指針を策定することとし、このうち、研究開発の事務及び事業に関する指針案は総合科学技術・イノベーション会議が作成することとしております。この総務大臣が策定する指針に基づき、主務大臣は目標設定及び業績評価を行うこととしております。

 第四に、総務省に第三者機関として独立行政法人評価制度委員会を設置し、中期目標の設定、中期目標期間の業績評価、中期目標期間の終了時の見直し内容について主務大臣に意見を述べることとしております。

 第五に、独立行政法人の監事及び会計監査人は、法人の業務及び財産の調査を行うことができることを明確化し、その職務権限を強化するとともに、役員に損害賠償責任を導入するなど、役員の義務及び責任を明らかにすることとしております。

 第六に、独立行政法人に対する主務大臣の関与のあり方を見直し、中期目標管理法人及び国立研究開発法人については業績評価の結果に基づく法人の業務運営の改善命令及び違法行為等の是正命令を、行政執行法人については特に必要があると認めるときにその業務に関し監督上必要な命令をすることができることとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 次に、独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 この法律案は、独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴い、個別法に各独立行政法人を中期目標管理法人、国立研究開発法人または行政執行法人のいずれかとする規定を追加する等、関係法律の規定の整備を行うものであります。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次に、議員立法について、提出者松本剛明君。

    〔松本剛明君登壇〕

松本剛明君 民主党の松本剛明です。

 ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ、みんなの党提出の独立行政法人通則法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、本法案提出の意義について申し上げます。

 本法案は、平成二十四年一月二十日の閣議決定、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針を受けて同年の通常国会に提出された法案と、基本的に同じです。当該閣議決定は現政権において一旦凍結されましたが、今回、制度の見直しについて、政府から改めて提案されたものと理解しております。

 政府案は、その意味では、民主党政権の政策を継承したもので、昨年提出した本法案から多くの点を踏襲しています。

 しかし、私たちが政権にあって役所ともかんかんがくがくの議論をし、信頼される法人制度とするために法案に盛り込んだ、役員の処遇に関する規定など何点か、民主党政権案、すなわち本法案から落ちております。そこには、行政改革に対する根本的な姿勢の違いがうかがえます。

 また、当該閣議決定では、組織も改革して、各法人の具体的な見直し、統廃合、民間移管を進め、見直し後には法人を三十八減らして六十四法人にまで整理することも定めております。

 現政権においては、十三法人を削減する方針のようですが、本気で行政改革に取り組んでおられるのでしょうか。

 行政改革は、税金を初め、限りある行政資源をもって、意義のある政策を効果的、効率的に実行する行政を実現しようとするものです。役所をたたき、対立することは私たちの本意ではありませんが、やすきに流れてはなりません。しんどくても高みを目指そうと役所を説得し、主権者である国民の信頼を得、誇りを持って仕事ができるようにすることであります。

 行政改革は、アスリートのトレーニングと同じで、一日やらなければ三日のロス、みずからに妥協していっときは楽になっても、いい結果は得られません。行政改革も、少しでも後退すれば、取り戻すのに何倍もの労力が要り、厳しさが足らないと、国民の不信という大きなツケを払うことになります。

 行政改革の姿勢が問われる法案審議の機会に、政府・与党の行政改革への強い意思を欠いた姿勢を正すべく、このたび、本法案を提出したものであります。

 本法案は、独立行政法人について、公共上の見地から確実に実施される必要がある事務事業であって国がみずから行う必要のないものが、その特性に応じた国の適切な関与のもとに的確に行われ、その施策を遂行する機能を最大限に発揮できるように、所要の措置を講ずるものであります。

 内容を申し上げれば、政府案にない主な点は、役員の任命に当たり原則として候補者を公募すること、役員の定年を設けること、役員に対する報酬の額に上限を定めることなどであり、その他の主な点は、現行の独立行政法人にかわり、行政法人を設立し、中期目標行政法人、行政執行法人の類型を設けること、法律の名称を行政法人通則法に改めること、実効的で一貫性のある目標設定、評価となるように、これまでの評価委員会にかわって、主務大臣が行政法人の業務実績の評価を行うこと、第三者機関として行政法人評価制度委員会を総務省に設置すること、監事及び会計監査人の職務権限を強化すること、主務大臣の関与のあり方を見直して実効的なものとすること、交付金が貴重な財源で賄われるものであることに留意し、適切で効率的な使用に努める義務があること、中期目標行政法人の役職員の離職後の就職について、密接関係法人等に対するあっせんを原則禁止するなど、再就職規制を導入することなどであります。

 何とぞ、十分に御審議いただくとともに、国民に理解される改革を実現するために、本法案に御賛同あらんことをお願い申し上げ、趣旨の説明といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)並びに独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(第百八十三回国会、松本剛明君外三名提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(伊吹文明君) ただいまの内閣提出法案及び議員提出法案の趣旨の説明に対し質疑の通告がありますので、順次これを行います。まず、階猛君。

    〔階猛君登壇〕

階猛君 民主党の階猛です。

 ただいま議題となりました内閣提出の独立行政法人制度改革関連法案並びに民主党・無所属クラブ及びみんなの党提出法案について、民主党・無所属クラブを代表して質問させていただきます。(拍手)

 さて、安倍首相は、先日の本会議において、我が党菊田議員の質問に対し、民主党政権は、政権を担っていた三年間、教育改革に何をやったのでしょうかと発言しました。何ら具体的な論拠を示さず、いきなり公党を非難する。議院内閣制のもと、国会の監視を受ける行政府のトップとして、あるまじき発言です。

 しかし、安倍首相がこうした発言をし、撤回も謝罪もされない以上、内閣を監視する立場にある国会議員の一人として、私も、あえて言わせていただきます。

 安倍政権は、これまでの一年四カ月、震災復興に何をやったのでしょうか。社会保障改革に何をやったのでしょうか。そして、独法改革に何をやったのでしょうか。

 ただし、首相とは異なり、私は、具体的な論拠を示したいと思います。法案の質疑と絡めて申し上げますので、静粛にお聞き取りください。

 第一に、震災復興です。

 安倍首相は、ダボス会議の演説で、既得権益の岩盤を打ち破るドリルの刃になると述べました。しかし、被災地では、高台移転や土地のかさ上げを進めるための工事がおくれ、ドリルの音はなかなか聞こえません。独立行政法人である都市再生機構、略称URは、復興事業のために人員を増強していますが、宝の持ち腐れです。

 着工がおくれる最大の理由は、事業用地の取得に時間がかかることです。

 被災地では、相続登記未了や所有者不明の事業用地が多数存在します。従来の土地収用手続では、被災自治体による権利調査や事前交渉、収用委員会による審理や裁決を経なくてはならず、着工までに長い時間がかかってしまうのです。

 被災自治体や弁護士会、それに私を含め野党議員からは、昨年来、何度も何度も、用地取得を迅速化する特別法の制定を求めてきました。しかし、政府のスタンスは、運用改善で対応できるというものでした。

 与野党協議の末、ようやく、緊急使用という収用手続中の制度を手直しする法律が成立する運びとなったものの、法改正に取り組んでこなかった安倍政権に対しては、これまで何をやってきたのかという思いを禁じ得ません。

 さらなる用地取得のおくれを避けるため、太田国交大臣にお尋ねします。

 今回成立する法案に関し、衆議院の復興特別委員会で決議がなされました。その中では、土地収用法による事業認定や収用裁決の申請に際し、事前の任意交渉を必須とする運用は行わないよう、政府に配慮を求めています。この点につき、どのように対応されるのか、お答えください。

 また、法律が施行されたとしても、緊急使用の期間である一年以内に収用の裁決まで至らなければ、工事中止となるリスクがあります。さらに、申請時には土地調書の添付義務が免除されましたが、収用裁決までの間には依然として提出義務が課せられています。土地調書を作成するには、権利関係の調査など、被災自治体の事務負担は大きいのです。

 これらのリスクや事務負担を軽減し、さらに土地取得を加速化するための法案を、民主党は、議員立法で提出しています。政府としては、こうした残された課題につき、どのように対応するのか、お答えください。

 専門能力を備えたマンパワーが十分でない被災市町村にとって、URの力は不可欠です。しかしながら、まちづくりの事業発注をURに包括委託する市町村は、他の業務に忙殺され、URの業務をチェックする余力に乏しいと思います。また、URは、被災市町村と比較すれば当事者性に欠け、時間やコストの管理が甘くなるリスクもあります。

 迅速かつ適正な復興事業を行うため、政府としてURの管理監督をどのように行うのか、お答えください。

 復興関連の事業以外にも、URはさまざまな事業を行っています。

 民主党政権時代には、住宅賃貸事業のうち民間企業でも可能なものは、別会社として収益を向上させ、その収益で、UR本体が抱える巨額の借金を返済する方針を示しました。

 しかし、安倍政権では、このような分社化は取りやめ、収益性の高い物件は、サブリースにより収益向上を図ることとされています。

 あえて方針を見直すのであれば、分社方式よりサブリース方式の方が収益性にまさることを示す責任があります。具体的に、どの程度収益性が高まるのか、数値を挙げてお答えください。

 第二に、社会保障改革です。

 消費税引き上げは、社会保障の維持充実のためだったはずです。

 しかし、安倍政権のもとでは、二年連続の補正予算で公共事業の充実は図られましたが、医療では、診療報酬が、消費増税を考慮すると、マイナス一・二六%の改定、介護では、消費増税に伴う人件費の手当ては全くなされていません。充実にはほど遠い状況です。

 公的年金についても、約百三十兆円の年金積立金を託す年金積立金管理運用独立行政法人、略称GPIFの資金運用改革が急務です。

 第一次安倍政権は、民主党が年金保険料の納付記録が消えてしまう消えた年金問題を追及したことで、退陣に追い込まれました。しかし、年金記録は、誰のものかわかれば、年金を支払うことができます。ずさんな年金運用で原資が枯渇してしまえば、さらに深刻な、消えた年金問題になりかねません。だからこそ、運用改革が急がれるのです。

 民主党政権では、GPIFの運用目標や運用手法等の改革を目指し、私を含め、関係政務三役も参加して精力的に議論を重ね、平成二十二年十二月に報告書をまとめました。安倍政権になっても、内閣官房に置かれた有識者会議や、厚労省に置かれた専門委員会において、公的年金の運用につき議論が行われたようです。

 しかし、ことし三月に同委員会がまとめた報告書では、運用手法について、「基本的には、運用の専門家であるGPIFに委ねるのが適当」と結論づけています。一体、今まで何をしてきたのでしょうか。

 GPIFを所管する田村厚労大臣、今後のGPIFの運用手法は結局どうなるのか、御説明ください。

 また、当該報告書では、目標とする運用利回りは、従前どおり、名目賃金上昇率プラスアルファとしつつ、運用目標としては、アルファのみを数値で設定し、その値を一・七%としています。

 そうだとすると、仮に名目賃金上昇率がマイナス一・七%であれば、運用利回り〇%でも目標に達するため、GPIFは、何も考えず定期預金にしておけばよいことになります。マクロ経済運営が失敗した方がGPIFの運用目標達成にとって有利となるのは、違和感があります。

 こうした運用目標を設定する理由を、田村厚労大臣から、わかりやすく御説明ください。

 一方で、麻生財務大臣は、十六日の衆議院財務金融委員会において、GPIFについて、六月以降に動きが出てくるとし、そうした動きがはっきりすれば、外国人投資家が動く可能性が高くなると答弁しました。

 GPIFが、株式相場を底上げするために、年金資金で株式を購入することは、さきに述べた第二の消えた年金問題を招きかねず、違法ではないでしょうか。また、GPIFの運用につき所管外の財務大臣が言及することは、問題ないのでしょうか。田村厚労大臣の見解をお答えください。

 第三に、独立行政法人改革です。

 独法改革については、民主党政権時代の平成二十二年四月と十一月に事業仕分けを行い、それを踏まえ、独法通則法の改正と全ての独法の改革方針を平成二十四年一月に閣議決定し、関係法案を提出しました。

 今回の内閣提出法案は、業務の特性に応じて法人を分類するなど、民主党政権の案を踏襲しています。法案提出まで時間がかかった割には、進化の跡が見られません。安倍政権は、これまで何をしてきたのでしょうか。

 むしろ民主党案より退化している部分もありますので、稲田行革担当大臣に二点お尋ねいたします。

 まずは、独法役員の公募についてです。

 民主党案では、主務大臣が独法の長を任命する際、原則として候補者の公募を義務づけています。一方、閣法では、公募以外の手段を広く認め、義務規定を努力規定にした点で、民主党案に比べて二歩後退しています。

 なぜ、独法の長への公務員OBの天下りや指定ポストの復活への道を開きかねない選択を行ったのか、民主党案を大きく後退させた真意をお答えください。

 次に、独法役員の定年と報酬の上限についてです。

 民主党案では、定年について、「内閣総理大臣が定める基準に基づき、」「役員の定年について規程を定め」となっていますが、閣法には、こうした規制がありません。

 また、役員報酬について、民主党案では、「民間企業の役員の報酬その他の事情を勘案して内閣総理大臣が定める額を超えてはならない」としましたが、閣法には、そのような規制もありません。

 ちなみに、自民党政権は、平成十四年に独法役員の定年を閣議決定で定めています。

 閣法がこれらの規定を削除した理由をお答えください。

 最後に、民主党案の提案者への質問です。

 平成二十一年に政権交代が実現できた背景には、独法改革を初め、民主党の行政改革に対する期待もあったと思います。

 そこで、伺います。

 民主党として、政権担当時代の行政改革についてどのような評価をしているのか、何ができ、何ができなく、できなかった理由は何なのか。そしてまた、今後、民主党としてどのように行政改革に取り組もうとしているのか。以上につき、国民にわかりやすく、丁寧に御説明ください。

 独法改革とは、言うまでもなく、独立行政法人の改革です。しかしながら、安倍首相は、違う意味での独法改革、すなわち、独裁的法解釈の改革に御執心のように見えます。

 民主党は、国民の納得と満足を得られる行政サービスの実現を目指し、本来の意味の独法改革に取り組んできました。十分な審議の上、民主党案に対する御理解をいただけますよう、私からも心よりお願いを申し上げ、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕

国務大臣(稲田朋美君) 階議員からお尋ねがありました。

 まず、法人の長の任命に関するお尋ねがありました。

 法人の長には、主務大臣から与えられた目標を最も効果的、効率的に遂行し得る最適な人材を登用することが必要です。これにはさまざまな方法が考えられ、最適な人材の獲得のためにいずれの方法をとるかは、任命権者の責任で選択されるべきであると考えます。

 御指摘の公募は、一般に、手続の透明性等の長所がある一方、現行の運用実態を見ると、一割超が公募応募者に適任者不在のため再公募等となるなど、課題も見受けられるところです。

 これらに鑑み、本法案では、主務大臣が法人の長及び監事を任命する際には、公募その他の適任者の任命に必要な措置を講ずるよう努めなければならないとしております。

 なお、公務員OBを対象とした現行の閣議決定に基づく公募は引き続き行うこととしており、国民の疑念を招く天下りは根絶してまいります。

 独法役員の定年及び報酬上限に関するお尋ねがありました。

 独法の役員の人事管理においては、国家公務員よりも弾力的な運用を通じて、適材適所の人材登用を確保していくことが重要と考えます。

 法人の役員の定年や報酬の水準についても、主務大臣や法人の長が、個々の法人の特性等を踏まえ、国民への説明責任を果たしつつ、責任を持って判断すべき事項と考えます。

 このため、今回の法改正では、定年や役員報酬について法律で制約を課すことはせず、定年に関しては、閣議決定に基づき、六十五歳を原則としつつ、弾力的に、例外も認める運用を行うことといたします。

 役員報酬に関しては、昨年末の独法改革の基本方針に基づき、各法人及び主務大臣において、報酬水準の妥当性について、理由の公表等により、国民に説明責任を果たしていくこととしております。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 階猛議員の御質問にお答えいたします。

 まず、衆議院復興特別委員会の決議への対応についてお尋ねがございました。

 用地取得に関しては、これまでも、不明裁決の活用など収用裁決の迅速化につきまして、被災三県の収用委員会等に働きかけてきたところであります。

 復興特区法改正案が成立した際には、御指摘の特別委員会の決議を踏まえ、収用裁決申請において任意交渉を必ずしも必須の前提とはしないことを周知するなど、用地取得加速化のための柔軟な運用について、さらに関係機関に徹底してまいります。

 次に、緊急使用における工事中止のリスクや、権利調査の事務負担の軽減についてお尋ねがございました。

 改正案では、緊急使用の期間を六カ月から一年に延長することとされており、使用期間が延長されれば、より積極的な制度の活用が図られると考えております。

 国交省としましても、これまで、収用裁決手続の迅速化を図ってきたところでありますが、法案成立の際には、特別委員会決議も踏まえながら、手続全体を一年以内に終えることができるよう努めてまいります。

 また、土地調書の作成につきましては、被災自治体の事務負担を軽減するため、権利者調査の合理的な方法や収用委員会の対応について、参考として示すこととしております。

 次に、URの震災復興支援に対する国の管理監督についてお尋ねがございました。

 URは、東日本大震災の被災地域の早期復興に向け、二十の被災自治体からの要請を受けて、復興まちづくりを支援しております。

 国交省としては、四半期に一回程度、本省から現地に出向き、個別の事業地区ごとに、県、市町村、URに対し、技術的助言等を行うとともに、事業の進捗管理を行っているところです。

 今後とも、URが受託した復興まちづくりが円滑かつ適切に進むよう、国土交通省としても努力してまいります。

 次に、URが行うこととされているサブリースについてお尋ねがございました。

 御指摘の分社化案では、資産の移転に伴い評価損が発生することが懸念されたところです。

 一方、サブリースによれば、URが資産を保有したまま民間のノウハウを活用することが可能です。

 このため、今般のUR改革では、東京都心部の高額賃貸住宅について、サブリースを導入することとしたところであります。

 その経営改善効果としては、URの試算によれば、今後二十年間で約二百億円程度収益が高まると見込まれているところであります。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣田村憲久君登壇〕

国務大臣(田村憲久君) 階猛議員から、三問ほど質問を頂戴いたしました。

 GPIFの運用方法についてのお尋ねがございましたが、年金積立金は、年金給付のために強制的に徴収された保険料を原資としており、専ら被保険者の利益のために安全かつ効率的に運用されるものとされ、運用に特化した法人である年金積立金管理運用独立行政法人、略称GPIFに寄託して行っております。

 有識者会議等では、デフレ脱却を図り、適度なインフレ環境に移行しつつある我が国経済環境での運用が提示されており、年金積立金の運用においても、この認識を踏まえることが重要だと考えております。

 続きまして、GPIFの運用目標の設定についてのお尋ねがありました。

 年金積立金の運用は、年金財政の安定化という目的に適合するように行われます。年金給付額は賃金上昇率に連動していることから、運用目標は、従前どおり、名目賃金上昇率プラスアルファで設定いたしております。

 次に、GPIFによる株式購入と財務大臣の発言についてのお尋ねがございました。

 年金積立金は、株式を含めた分散投資が行われ、その管理運用は、厚生年金保険法等に基づき、専ら被保険者の利益のために行うものとされており、被保険者の利益以外の他事考慮をすることは法律で禁止されております。

 また、年金積立金管理運用独立行政法人法において、年金積立金の管理運用は、市場その他の民間活動に与える影響に留意することとされており、株式運用についてもこれを踏まえる必要があります。

 なお、財務大臣の発言も、年金積立金への他事考慮などを意図されたものでないと理解をいたしております。

 以上でございます。(拍手)

    〔後藤祐一君登壇〕

後藤祐一君 民主党の後藤祐一でございます。

 同僚の階猛議員より、民主党政権における行政改革の評価と、野党になってからの取り組みについての御質問をいただきました。

 まず、財政の面では、事業仕分け等により、既存予算の見直しが約一・三兆円、埋蔵金を中心にストックベースで二・四兆円程度の財源を確保しましたが、目標の九兆円には達しませんでした。

 原因は、目標を高く掲げ過ぎたことにあり、そのこと自体は反省しなければなりませんが、公共事業費を三年間で三二%引き下げるなど、従来できなかった大胆な歳出カットが実現したのは、事実であります。

 事業仕分けについても、仕分け結果を予算に反映できなかったところも確かにありましたが、政府部内での予算査定プロセスを透明化し、既存予算を外部有識者が厳しく評価したこと、全ての予算を行政事業レビューの対象とし、統一フォーマットのシートでチェックできるようにしたことなどは、日本の財政政策の歴史上、大きな進歩だと確信をしております。

 行政事業レビューを現政権が引き継いでいただいたことは評価したいと存じますが、評価対象事業を五千から千に絞り込んだり、廃止判定がなくなってしまったりといったことを危惧しております。

 国家公務員の総人件費削減については、平成二十一年度の二割、一・一兆円の削減の目標に対し、七・八%の給与引き下げや退職手当の四百三万円引き下げなどにより、おおむね一一%程度まで一旦達成いたしましたが、ことし四月に、給与引き下げは終了しております。

 定員純減については、平成二十一年度に対し、平成二十三年度はマイナス三七%、二十四年度はマイナス二六%、二十五年度はマイナス五六%という、新規採用の抑制を断行してきております。

 しかしながら、現政権になって以降は、新規採用が大幅増加に転じており、長期的な総人件費の増大を大変懸念しておるところでございます。

 そのほか、国有資産を平成二十八年度までに約五千億円売却する工程表を決定し、国家公務員宿舎の削減などで一定の成果を上げてきており、この方向性は現政権でも引き継ぐと伺っておりますけれども、その着実な実行を、しっかりとチェックし続けてまいります。

 次に、国民の信頼回復の観点からの行政改革についてお答えいたします。

 天下り禁止については、麻生政権の平成二十年十二月から二十一年九月の政権交代までの九カ月で、三百九十人あっせんしておりましたが、これを、政権交代直後に、総理大臣の指示で、完全に禁止し、ゼロとしました。

 また、独立行政法人の役員に公募制を導入し、公務員OBの割合は、政権交代前の二九・五%から、平成二十四年十月には五・二%まで低下しました。

 ただ、いま一つこの成果が国民に理解されなかったのは、旧財務省OBの日本郵政社長への就任の問題、こういったことがあったものと思われます。

 今回の独法通則法改正案において、我々の議員立法案では、役員は原則公募制となっておりますが、政府案では、選択肢の一つにすぎなくなっております。この点については、今後の法案審議の場でしっかりと議論してまいりたいと思います。

 公益法人改革については、六百五十四事業を廃止、終了し、公益法人の保有するいわゆる埋蔵金も約五百九十億円を国庫納付させるなど、一部成果も出しておりますが、いまだ十分とは言えません。

 収入の大半を政府からの補助金等に依存する法人、あるいは、役員に公務員OBが多数在籍しているなど、政府と関係の濃い法人に対しては、役員を原則公募としたり、補助金の使途等の情報公開を徹底するなどが必要だと考えますが、残念ながら、与党においてこれらを検討しているとの話はほとんど聞かれません。

 調達改革については、共同調達が、今や九割以上で実施され、随意契約は、二割まで低下しております。このように、我々の政権で改善してきております。PFI法の改正、旅費制度の効率化、こういった取り組みも進んできております。

 現政権では当面これらの取り組みを継続するというふうに伺っておりますけれども、先日の、北陸新幹線をめぐる鉄道・運輸機構による官製談合、こういった問題も起きております。引き続き、野党として、徹底した点検を求めてまいりたいと思います。

 これまで行政改革の各論の成果と課題を述べてまいりました。

 できていない理由のかなりの部分は、ねじれ国会であったこと、また、大震災への対応を優先したこと、こういったことが大きかったのはもちろんでありますが、言ったことはやる、つまり、政権をとった場合に役所を説得する自信のある内容を野党としても唱えていく、この姿勢が国民の信頼につながるものだと考えております。

 具体的に、我々は、行政改革の各論点ごとの方向性とこれを推進する仕組みを定める行政改革実行法案を国会に提出しております。また、情報公開法、公文書管理法の改正案など、オープンガバメントの実現に向けた法案も提出しているところでございます。ぜひ、与野党の御理解を賜って、成立を図ってまいりたいと考えます。

 今回提出の独立行政法人通則法案について、我々の議員立法法案と政府案の主な違いである法人役員の定年制、報酬の上限制などは、実は、民主党政権時代に、政府から提出された原案に対して、政府の外にいた、我々、当時の一回生が中心となって、与党審査段階で我々が異議を唱え、修正が盛り込まれたという経緯があります。今回の政府案は、そのころの政府原案に戻ってしまったかのようなものであります。

 政治家は、官僚と必ずしも対立する必要はありませんが、政治が目を離したすきに、役所は、巧妙に骨を抜いてまいります。

 与党の皆様、特に政府に入っておられない若い議員の皆様が中心となって、政府側をもっと突き上げていただきたいと思います。

 野党の皆様におかれましては、決算行政監視委員会における国会版事業仕分けの早期再開、あるいは行政改革に関する法案の共同提案、こういったことを念頭に、実務者協議、合同勉強会、こういったことを始めているところでございます。

 野党にとって永遠の最優先課題である行政改革を力を合わせて着実に進めることにより、質の高い行政サービスを国民に提供するとともに、少子化、高齢化に耐えられる、コンパクトでオープンな政府を実現していくことをお誓い申し上げ、答弁といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次に、松田学君。

    〔松田学君登壇〕

松田学君 日本維新の会の松田学です。

 私は、今般政府が改革提案を行っている独立行政法人制度が、行政の効率化とスリム化を図る仕組みとして我が国に導入された経緯に鑑みまして、以下、行政改革への基本的な取り組み姿勢を中心に、政府の所見を伺いたいと思います。(拍手)

 この四月一日に消費税率が八%に引き上げられ、安倍総理は、来年十月から一〇%まで引き上げるかどうかを、経済情勢を踏まえて判断するとしています。

 消費増税について、これまで多くの政党が主張してきたのは、国民に負担増を求める前に、まずは行革で政府が身を切る改革を、増税はしかる後にというシナリオでありました。

 ただ、実質的には、社会保障目的税である消費税というものは、国民から国民へのお金の移転であり、政府は、そうしたお金の流れを仲介する立場と言えます。国民の誰かが負担したお金が国民の誰かに社会保障給付として移るわけでありますから、その限りでは、トータルで見れば、消費税を増税しても、国民経済的な負担がふえるものではありません。

 消費増税の経済的な負担とは、将来世代にツケ回しをしていた分を減らす部分にこそあります。増税を先送りすればするほど将来世代へのツケ回しはふえるわけでありますから、それを是正する際のこうした経済的な負担は大きくなります。

 その金額について、甘利大臣は、四月十一日の内閣委員会で、消費税率を一〇%まで引き上げると、満年度化ベースで、後代へのツケ回しの軽減分では七・三兆円、基礎年金の部分が三・二兆円と答弁されました。つまり、この一年半の間に五%消費税率がアップすることで、年間で十兆円余りの国民経済的な負担増が生じる計算になります。

 これは、必要な社会保障費の増加のテンポに合わせて消費税率を引き上げていれば発生しなかった負担増分でありまして、これまで既成の大政党が選挙を恐れて課題を先送りしてきたことがもたらした負担増分でもあります。

 一〇%への引き上げを前に、今政治がとるべき責任は、この部分にこそあると思います。

 私たち日本維新の会は、安易な消費増税には反対しつつも、消費増税が、安易でない増税として容認できる前提として、国民が負担に向き合う上で納得が得られる改革を強く迫っております。

 今日の事態が、国民と課題を共有できなかった政治の失敗にあるとすれば、国民が、みずから国家財政の真実を把握し、納得を持って政策選択ができるような、透明でわかりやすい予算編成と、財政運営のインフラとなる公会計改革や、次世代への財政責任を法律で政治家にも課すことを趣旨とする我が党提案の財政健全化責任法案、これは、政治がとるべき責任として不可欠なものと考えます。

 こうした改革、立法措置の必要性について、安倍政権はどうお考えでしょうか。麻生財務大臣にお伺いしたいと思います。

 国民の納得を得るために必要な行政改革もそうであります。

 独立行政法人について、民主党政権は、法人数を百二から六十五法人へと三十七削減することを決定していたのに対し、今回の法案では、百から八十七へと、削減する法人の数は、十三にまで減っています。消費増税が実施されている時点での政権の決定としては、行革に対する取り組みが甘いという印象を与えることになっていないでしょうか。

 先般今国会で成立した国家公務員制度改革もそうでありましたが、どうも安倍政権に目立ち始めているように見えるのは、官僚主導という色彩であります。

 公務員改革では、自民党が政権に返り咲いてから提出した政府提出法案は、自民党が野党のときに提出した法案よりも改革色が後退し、官僚が困らない範囲におさまっていました。

 独法改革も、官僚のもっともらしい言い分を聞いていれば、統廃合は難しいという独法が次々と出てきます。今般の通則法改正も、全体的に、民主党政権が提案した二十四年法案の内容を、官僚機構が受け入れやすいものへと微修正したものにすぎないように見えます。

 消費税を負担する国民がなるほどと言えるような、行政改革のわかりやすい目玉があるのかどうか、安倍政権の行革に向けた姿勢を、稲田大臣に改めて伺います。

 さて、我が国では、政府の量的規模を小さくするということに行革の焦点が当てられてまいりましたが、量的な意味では、日本は、諸外国と比較しても、小さな政府であるという事実があります。

 先進国三十四カ国が加盟するOECD諸国の中で比較してみますと、日本は、租税負担率も社会保障以外の政府支出の対GDP比も最低水準であり、総労働力人口に占める一般政府雇用者の割合も先進国でほぼ最少、一般政府の雇用者報酬の対GDP比で見ると、日本は、先進国の中で人件費が最も安上がりという数字になっています。

 国、地方、政府関係企業などを合わせた公務員数の人口比は、英、米、フランスのほぼ四割、ドイツの六割にすぎません。

 雑巾を絞りに絞ってきた日本では、今や、量的削減という意味での行革は、簡単なものではなくなっています。

 政府は、既にOECD諸国の中で最も低い総人件費の対GDP比を、二〇一五年度には二〇〇五年度の二分の一にするとの目標設定をしてきました。世界で最も小さな政府を、どのようにして世界に類例のない極小の政府にするつもりなのか、目標達成の見通しも含め、稲田大臣、お答えください。

 もはや、日本の行政改革は、量よりも、質的な改革の側面に注力しなければ、量的なスリム化も実現しないところまで来ています。

 そのためには、行政の仕組みを大きく組みかえる改革が必要であります。それは、私たち日本維新の会が主張しているような、統治機構の改革といったレベルでの大改革であり、よほどの覚悟で取り組まなければなりません。

 今回の通則法改正の中には、肥大化防止、スリム化が掲げられていますが、政府案が、どのようにして行政の質的な改善につながり、それがどのようにして行政のスリム化にもつながるのか、その道筋をお答えください。

 今後、さらに量的に小さな政府を目指す上で必要なのは、行政の一人当たり生産性を高めていくことであります。そのためには、これまで以上に、公共分野にすぐれた人材を確保していく必要があります。

 独法も公募の推進が課題となっていますが、現状では、独法への民間人登用は、期待された成果を上げていないと言われています。

 その理由は何でしょうか。今般の法案で、それは、どのような仕組みによって是正されると期待されているのでしょうか。お答えください。

 先般、iPS細胞で著名な山中伸弥氏は、内閣委員会で参考人として意見を述べられましたが、その中で、新たに設立される独法である日本医療研究開発機構の人事に関して、公務員人事が内閣主導になる流れの中で、こうした機構の人事に政治が介入することについての不安を表明されました。

 ポリティカルアポインティーを基本とするアメリカでは、大統領がかわるとNIHのトップや上層部もかわりますが、アメリカの場合、政府の周辺に、人材を受け入れるさまざまな機関があります。

 官民ともに終身雇用を前提とした、労働市場の流動性が低い日本において、公務であれ独法であれ、民間から有為な人材が集まるためには、官と民との間でリボルビングドアを支える、層の厚い社会システムを新たに構築していかなければなりません。これは、今回の、内閣主導への公務員改革が目指す方向の前提にもなるものであります。

 行政改革は、今や、行政改革を超えて、国家全体の構造改革が必要な局面に至っていると思いますが、安倍政権にそのような認識と覚悟があるのかどうか、稲田大臣に伺いたいと思います。

 さきの公務員制度改革の法案審議に際して、私たち日本維新の会は、幹部職員の身分保障の緩和などを主張いたしましたが、それは、公務員を身分から職業へという観点から、公務の分野を、各分野のプロフェッショナルが活躍できる魅力ある職業にしなければ、人材を確保できないと考えたからであります。

 魅力ある職業とすべきなのは、独法も同じであります。

 独法の役職員の創意工夫や、やる気を引き出す環境を整えることが、行政の効率化や生産性の向上に何よりも寄与するはずであります。

 しかし、日本の独法は、制度上、事業の目標を主務大臣から一方的に与えられ、事業実施の効率性には責任を持つものの、事業そのものの適否については責任を負えないたてつけになっています。

 現場は常にダイナミックに変化しており、現場からしか生まれてこない戦略もあります。創意工夫が現場から生まれるようにするために、今般の改革ではどのような配慮がなされているのか、お聞かせください。

 独法改革の背景の一つには、独法に多額の税金がつぎ込まれて、官僚の天下り先として肥大化し、税金を無駄に食っているとの独法性悪説、独法シロアリ論があります。

 ただ、組織の形態よりも、大事なのは、税金を投入することに見合う説明責任であり、改革とは、説明責任の向上であると考えます。

 私たちが財政について提案している公会計改革もそうでありますが、改革の理想は、国民にとって、国家がガラス張りになることにより、無駄が省かれ、効率性が高まることにあります。

 しかし、説明責任とは、単に情報を開示することだけを意味するものではありません。

 一般に、責任に対応する英語の言葉としては、レスポンシビリティーという言葉とアカウンタビリティーという言葉がありますが、前者が、職務の内容が思わしくない場合に非難を引き受ける意味なのに対し、後者は、一定の職務について説明すべき権限と義務とを排他的に引き受け、違法あるいは不当な業務執行についてしかるべき事後措置を講じるという意味での責任を意味するものとされております。

 日本の独法制度の参考とされたのが、英国のエージェンシー制度であります。

 メジャー首相は、中央省庁の多くの部局をエージェンシーに変身させる大改革を断行しました。

 エージェンシーの最高責任者は、企画書を提出して公募で選ばれ、独裁に近い権限が与えられる一方で、その企画書を守れなかった場合は賠償責任を負うため必死に仕事をするため、そのもとで働く若い職員からの提案が必要になり、公務員から移った者も含めて、職員たちにとっても、やりがいのある職場となり、成果に結びついたとされています。

 英国の各省庁で政策立案を担う国会議員は、所管のエージェンシーのチェックについても責任を負うことになります。結果として、政治家も無理な要求はできなくなるメカニズムが働きます。

 今般の通則法改正で、各独法の業績評価は、これまでの第三者委員会ではなく、主務大臣が責任を持って行うなどの改革がなされますが、レスポンシビリティーとアカウンタビリティーに係る責任分担はどのように設計されているのか。また、各省庁が官僚主導で運営されている日本の場合、それが、結果として、官僚の介入権限をいたずらに強めるおそれはないのか。加えて、改革は、官僚ではなく、政治家による説明責任の強化につながらなければなりませんが、その上で、どのようなメカニズムが存在するのか。稲田大臣に説明を求めます。

 政府案では、独法を三つに分類し直し、それぞれ異なるルールを適用することとされています。

 ただ、理研のような研究開発法人に分類される機関については、その性格上、各省庁との間で成果目標の達成を義務づけられる独法とはそもそも異なる設計思想が必要ではないでしょうか。政府内でも、分離派と制度派との対立があったと聞いております。

 研究開発には、結果が見通せない不確実性があります。山中伸弥参考人も、アメリカで与えられた自由な研究環境こそが基礎研究の成果に結びついたことを強調しておられました。

 政府は、特定国立研究開発法人を別法で定め、政府の関与を強めることとしていますが、これは、その点を十分にクリアしたものなのかどうか、稲田大臣に伺いたいと思います。

 最後に、成長戦略との関係について質問いたします。

 政府は、今回の独法改革を成長戦略の推進に貢献させるとしていますが、安倍政権は、本法案がどのようにして日本経済の成長につながると考えているのでしょうか。稲田大臣にお尋ねします。

 今や、日本は、世界で最初に人類共通の課題に直面する課題先進国になったと言われています。それは、日本が、課題が何であるかそれ自体が課題である時代に入り、法律で成果の最大化と定めても、成果自体が何なのかを特定できない時代に入っていることを意味するものであります。

 このことを十分に踏まえ、今回の独法改革が真の成長戦略へと結実する道筋をしっかりと確保するよう強く求めて、私の代表質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕

国務大臣(稲田朋美君) 松田議員にお答えをいたします。

 独法改革と行政改革の取り組みについてお尋ねがありました。

 独法改革について、民主党政権では、独法制度を廃止し、特殊法人や行政法人などに見直す方針であったと承知しています。

 一方、現政権は、政策実施機能の向上と官のスリム化のため、独法制度本来の趣旨にのっとり、予断を持つことなく、制度と組織の両面で抜本的な見直しを行うことにより、国民に対し、より質の高い行政サービスの提供を実現することを目指しております。

 このため、民主党政権と現政権の方針について単純に比較することは適当でないと考えます。

 行政改革については、行政機能や政策効果を最大限向上させるとともに、政府に対する国民の信頼を得るために極めて重要な取り組みであり、今後とも全力で取り組んでまいります。

 国家公務員の人件費についてお尋ねがありました。

 平成十八年の行政改革推進法において、国家公務員の人件費の総額のGDPに占める割合については、今後の名目成長率などにより大きく左右されることを踏まえ、平成十七年度の割合の二分の一にできる限り近づくことを長期的な目安として、留意するとされております。

 今後、地域間や世代間の給与配分の見直しなどを内容とする、給与制度の総合的な見直しの検討を早急に進めるとともに、今春設置する内閣人事局において、新たに国家公務員の総人件費の基本方針を策定し、適切に対応してまいります。

 また、限られた人的資源のより効率的、効果的な活用など、行政の質の向上にも取り組んでまいります。

 通則法改正案と、行政の質的な改善、スリム化についてお尋ねがありました。

 本法案において、効果的、効率的な業務運営を確保する方策として、法人内部においては、運営費交付金を適切かつ効率的に使用する責務を課すこと、調査権限の明確化、役員の不正行為等の主務大臣等への報告の義務づけなど監事の機能を強化すること、法人外部からは、中期目標期間終了時に主務大臣が行う業務、組織の見直しについて第三者機関が厳格にチェックすること、法人の違法行為や著しく不適正な業務運営等に対し、主務大臣が是正命令や業務改善命令を行えるようにすることなどの措置を盛り込んでおります。

 これらの措置により、行政の実施機関としての独立行政法人の肥大化防止、スリム化が図られ、主務大臣のもとでのPDCAサイクルの強化により、広い意味での行政の質的な改善、スリム化につながるものと考えております。

 役員の公募に関するお尋ねがありました。

 公募は、一般に、手続の透明性等の長所がありますが、現行の運用実態を見ると、一割超が公募応募者に適任者不在のため再公募等となるなど、課題も見受けられるところです。

 これらに鑑み、本法案では、主務大臣が法人の長及び監事を任命する際には、公募その他の適任者の任命に必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。

 これにより、主務大臣が与えた政策目標を最も効果的、効率的に遂行し得る能力、資質等を備えた最適な人材の登用を促進してまいります。

 行政改革に対する認識と覚悟についてお尋ねがありました。

 行政改革は、行政機能や政策効果を最大限向上させるとともに、政府に対する国民の信頼を得るために、極めて重要な取り組みであります。

 このため、単なる予算や人の削減に陥ることなく、各府省の自律的な取り組みを促し、より質の高い行政にみずから変革できるよう取り組むことが重要です。

 また、縦割り行政の弊害を排し、各府省一体となった行政運営を確保し、国益の観点から迅速に行動し、実現する体制が求められております。

 このような考え方に立ち、独法改革を初めとする行政改革にしっかりと取り組むとともに、先般関係法律が成立した公務員制度改革を着実に実行します。これにより、公務員一人一人が国益の立場から既存の規制、事業、予算などを果敢に見直すことができる行政組織に改めてまいります。

 中期目標の設定における配慮についてお尋ねがありました。

 本法案では、通則法及び個別法の運用に当たり、法人の事務事業の特性や業務運営における自主性に十分配慮することとしております。

 目標の設定は主務大臣の責務でありますが、昨年末の独法改革の基本方針において、目標案またはその変更案を作成する際、主務大臣と法人との間で十分意思疎通を図ることとしており、実際の運用では、法人の現場での創意工夫や自主性に配慮した目標設定が行われることが重要と考えております。

 業績評価など、レスポンシビリティーとアカウンタビリティーについてのお尋ねがありました。

 今般の改革では、独法制度本来の趣旨にのっとり、法人に主体的に業務を行わせるため、法人の長の任期を中期目標期間と対応させる、役員に職務忠実義務と損害賠償責任を導入するほか、説明責任の観点から、法人が業績評価を受ける際に業績などを記載した報告書を作成、公表することとしております。

 業績評価では、主務大臣が法人の業績評価を行うこととし、その結果に基づき、法人に業務改善を命令することができるなど、主務大臣の責任でPDCAサイクルを機能させる仕組みとしております。

 また、目標設定、評価に際し、所管府省の恣意性を排除するため、総務大臣が目標設定、評価に関する統一的な指針を策定するとともに、主務大臣の中期目標の目標案、評価結果などを総務省に置かれる第三者機関が点検することとしております。

 こうした中で、主務大臣は中期目標を公表するほか、業績評価結果や中期目標期間終了時の見直し内容を公表することで、説明責任を強化する仕組みとしております。

 独法改革における研究開発法人の取り扱いについてお尋ねがありました。

 今般の改革において、世界トップレベルの研究開発成果を出すことが期待される法人については、特定国立研究開発法人として位置づけ、総合科学技術会議や主務大臣の強い関与や業務運営上の特別な措置等を別法により講じることを閣議決定しております。今後の具体的な制度設計に当たっては、この趣旨に即した措置が講ぜられるべきと考えております。

 また、研究開発法人の取り扱いについては、研究開発法人も、国民の税金を主たる財源として国の政策を実現するための業務を実施する機関である点で、他の法人と本質的に異なるものではなく、独法制度の枠組みの中で、研究開発の特性を踏まえた対応を図ることが適当と考えております。

 独法改革法案と成長戦略との関係についてお尋ねがありました。

 今般の改革では、独法が、国の政策の実施機関として、その政策実施機能を最大限に発揮することができるよう、主務大臣による法人への明確なミッションの付与と評価、法人ガバナンスの強化、経営努力を促すインセンティブの向上や弾力化措置など、独法を伸ばす観点から、各般の措置を講ずることとしております。

 また、研究開発を主たる業務とする法人の類型を新たに設け、研究開発の最大限の成果を確保することを法人の目的とし、その業務の特性に応じた目標、評価の仕組みを設けることとしており、成長戦略に資する研究開発の推進を図ることとしております。

 これらにより、独法が、各府省の講ずる成長戦略のための施策の最前線の実施機関として、その機能をしっかりと発揮し、成長戦略の推進にも大いに貢献することを期待いたしております。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

国務大臣(麻生太郎君) 財政健全化責任法案についてお尋ねがあっております。

 日本維新の会から、公会計改革や財政運営への国会の関与を強めることなどを盛り込んだ財政健全化責任法案が提出されておることは、承知をいたしております。

 法案の取り扱いにつきましては国会の会派間で決められることとは存じますが、政府としては、法制化という手段そのものよりも、同様の趣旨を実現するための取り組みを進めることこそが重要だと考えております。

 この点、まず、国の予算や財務状況のわかりやすい開示につきましては、政府としては、国会審議や各種資料の公表などを通じて、国民への説明に努めておるところでもあります。

 また、平成十五年度決算分より、発生主義、複式簿記の考え方や手法によります国の財務書類を作成、公表するなど、公会計の透明性の向上も進めているところでもあります。

 次に、財政健全化につきましては、昨年八月に閣議了解した中期財政計画に沿って、目標の達成に向けた取り組みを進めておるところです。

 その一環として、平成二十六年度の予算におきましては、国の一般会計のプライマリーバランスにつきましては、同計画の目標を上回る、四兆円プラス一・二、五・二兆円の改善を実現し、新規国債発行額を一・六兆円減額するなど、政治が、しっかりと責任を持って、財政の健全化を着実に進めているところであります。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次の質疑者、伊佐進一君。

    〔伊佐進一君登壇〕

伊佐進一君 公明党の伊佐進一です。

 公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました独立行政法人通則法の一部を改正する法律案等につきまして質問させていただきます。(拍手)

 改革に必要なものは何か。それは、大胆な決断力と、そして何よりも、それに至る前、丁寧な責任ある議論と、検証の努力だと考えます。

 地に足のついた議論のないまま、ただただ見せかけの決断力だけでは、国民にとって不幸な結果となるでしょう。数合わせだけの統廃合、見せるためだけの給与カット、業務量を考慮しない人員削減など、パフォーマンスの改革、ポピュリズムの改革から、政治は脱却すべきだと考えます。

 責任ある政権与党として、地に足をつけて、丁寧かつ大胆な改革を前に進めていく、その決意で、以下、質問させていただきます。

 平成十三年の制度開始より十数年、独法制度の行き詰まりは、幾度となく指摘されてまいりました。

 その原因の一つは、一律的、硬直的な制度運用にありました。

 現在、独法と呼ばれている法人は、その業務も、また由来も、ばらばらです。公共事業のファイナンスを行う法人もあれば、研究開発を行う法人もあり、病院もあれば、美術館もある。また、行政機関の一部であった法人もあれば、特殊法人あるいは認可法人であったところもある。

 多種多様な法人を、独法という一律的、硬直的な枠組みに押し込めて、共通の横串で縛ってしまった、ここに大きな問題がありました。

 一方、本来独法を管理監督すべき主務大臣は、目標は示すが評価は行わない、こうした状況でした。

 つまり、制度官庁である総務省の過剰関与、そして主務官庁の責任不在が、この十数年間、独法制度を非効率化させてまいりました。

 そこで、大臣にお伺いします。

 本法案において、制度官庁である総務省と各独法の主務官庁の役割はどのように変わるのか、お答えください。

 評価について伺います。

 現行制度下において、現場は評価疲れという状態にあります。

 例えば、研究開発を行う独法であれば、毎年度の業績評価、政策という観点から行われる政策評価、行革事務局が制度官庁となる行政事業レビュー、総合科学技術会議の指針に基づくプロジェクト評価、そして、研究者同士が評価するピアレビュー。毎年のように行われるこうした数々の評価の事務作業によって、研究活動に専念できない、こうした研究者の声も伺っております。

 さらに言えば、こうしたさまざまな評価の結果が、財務省の予算査定あるいは総務省の機構定員の査定に必ずしも結びついていないという現状が、より現場を疲れさせております。

 そこで、大臣にお伺いします。

 今回の法改正によって、こうした評価疲れがどのように解消され、また、PDCAサイクルに反映させるのか、お答え願います。

 次に、三つの分類について伺います。

 これまでの一律的、硬直的な横串規制を改め、独法制度に三つの分類を設けたことは、評価いたします。三年から五年の目標期間を有する中期目標管理法人、研究開発の最大限の成果を目指す国立研究開発法人、そして、国の行政事務と密接に関連し、単年度ごとに管理される行政執行法人。

 しかし、同じ分類の独法であっても、業務は多種多様です。また、単一の独法の中でも、多様な性質の業務を行っている場合もあります。例えば、国立病院機構は、地域医療のほか、研究活動も、あるいは災害対応などの政策医療も行っております。

 こうした現状を考えれば、それぞれの類型の中で、新たな横串規制が新たな硬直性を生む、こういう結果とならないよう、実際の運用において柔軟な対応が認められるべきだと考えますが、大臣の御所見を伺います。

 国立研究開発法人について伺います。

 世界で最もイノベーションに適した国を目指す安倍政権において、研究開発を担う独立行政法人の役割は、ますます重要になっております。

 独法制度の目的が、事務の執行をいかに効率的かつ効果的に行わせるのかである一方、研究機関が第一に目指すべきものは、効率ではなく、研究開発の成果の最大化であります。そして、その目的の違いから、独法制度が研究開発の足かせとなる場合もありました。

 例えば、評価については、効率を定量的にはかる独法制度では、社会をどう変えたかという定性的な評価が困難でした。あるいは、予測が難しい研究開発活動が、五年の中期目標期間ごとに分断されるとの指摘もあります。また、独法制度の総人件費削減によって、グローバルな人材獲得競争の中、優秀な人材を集めることも困難でした。

 そこで、大臣に伺います。

 今回の法改正において、これまで研究開発の現場が抱えていたこうした課題がどう解決されるのかについてお答えください。

 次に、世界トップレベルの成果が期待される法人である特定国立研究開発法人については、別法により、特別な措置がなされる予定となっております。どの法人が対象となるかについては、総合科学技術会議の決定を踏まえて今後選定されるものと理解しております。

 そこで、この特定国立研究開発法人に関する法案提出の方針を改めて確認させていただくとともに、今後、世界で最もイノベーションに適した国を目指し、その対象機関を随時拡大していくべきだと考えますが、大臣の御所見を伺います。

 法案提出者に伺います。

 政府案が、過剰な横串規制を反省し、主務官庁の責任の所在を明確にするのに対し、民主党、みんなの党提出の法案においては、必要以上の横串規制となっていないかが懸念されます。

 独法幹部の採用においては、一律に公募制を義務づけるとしております。しかし、これまで、公募制は、必ずしも成果を上げておりません。また、報酬の上限の設定は、例えば、世界との人材獲得競争の渦中にある研究開発機関にまで当てはめるのは、疑問を感じざるを得ません。

 法案にあるこうしたさまざまな規制が、独法の多様性を縛る画一的な横串規制とならないかについて、法案提出者に伺います。

 最後に。

 本法案は、十数年の運用で見えてきた独法制度の課題解決を図るものですが、しかし、これで終わりではありません。限られた財政、人的資源をフル活用し、国民の皆様の期待にお応えする、この視点に立って、新しい独法制度についても、引き続き、その運用状況を監視し、不断な見直しが必要だと訴えさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕

国務大臣(稲田朋美君) 伊佐議員にお答えいたします。

 通則法改正案における総務省と主務官庁との役割についてお尋ねがありました。

 今回の改革では、法人が政策の実施機関であるとの位置づけに鑑み、主務大臣のもとでのPDCAサイクルを強化することとしており、主務大臣が法人に目標を指示するとともに、毎年度、責任を持って業績評価を行い、その結果に基づき、必要な業務の改善を命令できることとしております。

 一方、制度官庁である総務省については、各主務大臣がその責務を全うできるよう、総務大臣が、業務の特性に配慮した目標、評価に関する指針を策定するとともに、総務省に置かれる第三者機関が、主務大臣による目標設定や中期目標期間終了時の業績評価をチェックすることとしております。

 本法案における評価疲れの解消と、PDCAサイクルへの反映についてお尋ねがありました。

 本法案では、各府省の評価委員会と総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が毎年度の業績評価に関与する現行制度を改め、主務大臣が、毎年度、業績評価を行うこととしております。また、総務省に置かれる第三者機関は、中期目標期間の業績評価をチェックし、基本的に毎年度の業績評価には関与しないこととして、評価事務の簡素化を図っております。

 また、運用においても、行政事業レビュー、政策評価、総務省の行政評価・監視などと連携し、これらの情報を活用することで、法人の事務負担にも配慮しております。

 業績評価の結果については、法人が中期、年度の計画や業務運営の改善に反映させることを法定するとともに、評価結果に基づき主務大臣が法人に業務運営の改善を命令することが可能な仕組みとしております。

 法人分類における柔軟な運用についてお尋ねがありました。

 今回の制度見直しで三つの法人分類を設けることとしましたが、御指摘のとおり、同じ分類に属する法人であってもその業務内容は多種多様であり、分類の中での一律的な取り扱いとならないよう配慮していくことが必要です。

 このため、法の運用に当たっては、法人の事務事業の特性に十分配慮する旨を通則法に明記することとしており、これにより、各分類の中でも、個々の法人の事務事業の特性を踏まえた柔軟な運用を図ってまいります。

 独立行政法人における国立研究開発法人への対応についてお尋ねがありました。

 今回の独法通則法改正法案において、研究開発を主たる業務として行う法人に対し、研究開発の最大限の成果を確保することを目的とすること、総合科学技術・イノベーション会議が、研究開発の事務事業の特性を踏まえ、研究開発の事務事業に関する指針案を作成すること、目標期間を最大七年に長期化すること、給与の支給基準の策定に当たり、職員の職務の特性や雇用形態等も考慮事案とすること等の措置を講ずることにより、御指摘のような課題に対応することとしております。

 これらの取り組みにより、研究開発の特性を踏まえた弾力的な業務運営を可能とし、研究開発法人が、世界で最もイノベーションに適した国を目指し、我が国の研究開発を牽引することが期待されるところです。(拍手)

    〔国務大臣山本一太君登壇〕

国務大臣(山本一太君) 特定国立研究開発法人についてお尋ねがありました。

 国際競争の中で、世界トップレベルの研究開発成果を生み出し、そうした成果を科学技術イノベーションの創出につなげていくことは極めて重要な課題であり、科学技術イノベーションにより成長戦略を推進していく上で、特定国立研究開発法人制度は意義のあることと考えます。

 総合科学技術会議では、特定国立研究開発法人制度の創設に当たっては、世界に対して影響力の大きい、我が国を代表する、科学技術に関する総合的な研究機関と言える理化学研究所及び産業技術総合研究所を対象法人候補といたしましたが、今般のSTAP問題を踏まえ、法案の提出時期などについては、理化学研究所における今後の対応を見きわめた上で、総合的に判断する必要があると考えます。

 なお、特定国立研究開発法人の選定に当たって考慮すべき要素及びそれに基づき選定される対象法人については、社会経済情勢、科学技術イノベーション政策の動向、研究成果及び活動状況等を踏まえ、今後、必要に応じて見直しを行うこととしております。(拍手)

    〔大島敦君登壇〕

大島敦君 伊佐議員にお答えいたします。

 御質問いただきまして、まことにありがとうございました。

 今回の閣法は、民主党政権時代の閣法をベースに検討されたものでありますが、御指摘の、規制に関する部分では、長、監事などの採用の際の公募の義務化、役員の報酬上限、役員の定年について相違点があります。

 まず、公募の義務化でありますが、ポイントは、主に税金で運営される独法の、役員人事の透明化であります。国民の懸念を払拭するために、公募により広く人材を集め、例えば、第三者である有識者が選考過程に入ることなどで、広く開かれた形で人事を行うべきだと考えます。

 役員の報酬上限について、伊佐議員の懸念は私も共有しております。確かに、研究開発機関などで極めて優秀な研究成果を有する研究者や象徴的な著名人を招聘する場合、画一的な報酬規定を当てはめれば、障害になりかねません。

 このような懸念を踏まえ、私たちの法案でも、役員報酬は業績を考慮と規定し、上限額についても、民間企業の役員の報酬等その他の事情を勘案と明示しています。画一的な報酬規定を適用することを義務づけるものではなく、柔軟な対応ができるような規定になっているものと考えます。

 役員の定年についても、同様の趣旨であります。

 いずれも、ポイントは透明性であります。独法の事業実施に必要不可欠な人材の獲得を妨げる趣旨ではありません。

 一方で、過去に、公務員OBが独法や公益法人などの役員に繰り返し就任し、高額な報酬、退職金に対して国民から批判を受けたことも、事実であります。

 このようなことを繰り返さないためには、可能な限り公開し、国民の適切な監視のもとで独法運営を行うべきだと考え、織り込んだ規定であります。

 何とぞ、伊佐議員にも御理解を賜りたいと存じます。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、大熊利昭君。

    〔大熊利昭君登壇〕

大熊利昭君 みんなの党の大熊利昭です。

 私は、みんなの党を代表して、ただいま議題となりました独立行政法人通則法の一部を改正する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について質問をいたします。(拍手)

 この法律案においては、これまで画一的に規定されていた独立行政法人制度を見直し、業務の目標期間に対応した法人のマネジメントを行うため、独法を三つのタイプに分類すること等がその骨子ですが、その前に、分類にかかわらず、優先的に改革すべき部分があったはずです。それは、財務の適正化に向けた改革だと考えます。

 現行制度でも、不要財産に係る国庫納付や民間等出資の払い戻しを規定する条文はありますが、まことに不十分であり、その結果、過大な現預金や有価証券を計上している法人が多数見受けられます。

 実際に、平成二十三年度末の全百二独立行政法人の財務諸表によれば、国民に返還可能な有価証券や現預金等の額は、七兆二千五百三十二億九千五百三十一万四百四十円に上ります。

 この金額は、百二の独法の有価証券等を単純に合算したものではありません。借方の処分可能な有価証券等及び現預金の合計額と貸方の自己資本を比較して、より少ない金額を採用して合算した額、つまり、保守的な金額です。これを、本日この場で、新埋蔵金と命名いたします。

 このような独法の無駄削減を強力に推し進めるためにも、独法の資産の処分、資金の適正化等について、法律により、数値で規定すべきではないですか。大臣の踏み込んだ答弁を求めます。

 本法案に盛り込まれた改革の一つである、独法の分類について伺います。

 これまで一律に規定されていた独立行政法人を、中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人の三つに分類するとあります。

 このような、目標管理の期間による分類と業務特性に応じた分類が混在しているのは、なぜですか。あるいは、異なる基準を混在させた分類が最も合理的だと考えるのは、なぜですか。それぞれの業務特性に応じた分類に徹するべきではなかったですか。

 例えば、業務特性に応じて分類すれば、その財務についても、業務に応じた基準作成が可能となり、先ほどの新埋蔵金の適正化に資することとなると考えますが、見解を求めます。

 本法案では、ほかに、法人の内外から業務運営を改善する仕組みの導入が盛り込まれております。

 この法律によってガバナンスが向上するだろうことは率直に評価いたしますが、そうであれば、この独立行政法人通則法の一部を改正する法律案が成立した後に日本医療研究開発機構法を審議すべきではなかったでしょうか。

 事務作業の面から、国会に提出できるものから提出するというような事情はあったのかもしれませんが、今回の独法通則法の改正がなされた後に日本医療研究開発機構法の審議を行うことで、よりガバナンスのきいた独法通則法を前提にして同機構の審議ができたのではなかったでしょうか。

 なぜ、日本医療研究開発機構法の審議の前にこの独法通則法等の審議をするという順番でできなかったのか、答弁を求めます。

 さらに、日本医療研究開発機構に関連して、国立研究開発法人の目標、評価について伺います。

 研究開発業務の目標、評価については、総合科学技術・イノベーション会議が指針案を作成するとのことですが、国立研究開発法人に分類される予定である日本医療研究開発機構においては、健康・医療戦略推進法によれば、総合科学技術・イノベーション会議ではなく、健康・医療戦略推進本部が行うのではなかったですか。

 同法により、日本医療研究開発機構の目標、評価について、健康・医療戦略推進本部が行う場合、今回の独立行政法人通則法等の成立後においては、法律違反になるのではありませんか。

 この矛盾について、明快な答弁を求めます。

 本法案に盛り込まれている、PDCAサイクルが機能する目標、評価の仕組みの構築について伺います。

 PDCAサイクルは、その業務に非連続的な変化がなく、漸進的な向上が必要な管理において有効な手法と言われております。ということは、逆に、非連続的な変化が求められるケース、あるいは、そもそも事業、研究等の方向転換をしなければならないケースにおいては、必ずしも適当な方法とは言えません。

 また、非連続的な変化がない組織であったとしても、もともとその組織が不適切であった場合には、PDCA以前の問題となります。

 PDCAサイクルは、サイクルであるがゆえに、現状から脱する必要がある場合はPDCAサイクルでは対応できないと、容易に考えられます。こうした事態に適切に対応できるほかの方法を、具体的にお示しください。

 真の独法改革が必要であることは、疑いようがありません。それは、本日の代表質問において取り上げた事項を含む具体的な果実が国民に還元されるような改革です。そのような真の改革を求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣稲田朋美君登壇〕

国務大臣(稲田朋美君) 大熊議員にお答えをいたします。

 独法の資産の処分、資金の適正化等についてお尋ねがありました。

 政府からの出資または支出に係る不要財産については、平成二十二年に独立行政法人通則法が改正され、法人に、不要財産を処分し、国庫に納付すべき旨の規定が盛り込まれました。

 不要財産の国庫納付については、総務省の通知において、独立行政法人の事業の用に供されている財産、福利厚生施設等、運営費交付金ごとに不要財産の判定の視点が示されており、二十六年度予算においても、七百四十二億円の国庫納付金が計上されるなど、不要財産の国庫納付は着実に行われてきたと認識をしています。

 他方、独法の資産処分等について法律により数値で規定すべきとの御指摘については、業務実態が法人ごとに異なることに鑑みれば、一律の数値基準は策定困難であることに加え、硬直的な運用を招き、法人の業務、財務に支障を来すおそれもあることから、現実的ではないと考えております。

 独法の分類についてお尋ねがありました。

 今般の改革では、目標管理の期間を一律とする現行制度を改め、国の行政事務との密接な関係や研究開発プロジェクトの中長期性などの法人の業務特性を踏まえた上で、最適な目標管理の期間の相違に着目し、単年度、三年から五年の中期及び五年から七年の中長期の目標管理を行う三つの法人分類を設けることとしております。

 このように、目標管理の期間で法人を三分類に大くくりした上で、目標設定、評価の指針等において、さらにそれぞれの業務特性を踏まえた運用となるなど、適切な対応を図ってまいります。

 PDCAサイクルが機能する仕組みの構築についてのお尋ねがありました。

 目標管理、評価の枠組みは、一旦与えられた政策目標について、その達成方法の最適化を図るものです。

 今般の改革では、主務大臣がみずから法人の業績評価を実施し、その結果に基づき法人に業務改善を命令することができるなど、主務大臣の責任で政策のPDCAサイクルを機能させることとしております。

 なお、独法は、主務大臣の政策の実施機関であり、従来と大きく異なる政策変更は、政策責任者たる主務大臣から提起されるべきと考えます。

 このため、主務大臣は、中期目標期間終了時において、評価結果を踏まえつつ、みずからの政策判断も総合し、法人の存廃も含めた、組織及び業務全般の見直しを行うこととしております。

 また、中期目標期間の途中であっても、主務大臣は、その政策判断により、中期目標の変更が可能となっているところでございます。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 法案の審議の順番についてお尋ねがありました。

 政府としては、一体となって健康寿命を延伸するとともに、健康・医療産業を戦略産業として育成すべく、健康・医療戦略推進本部や日本医療研究開発機構を設置する法案を、今国会に予算関連法案として速やかに提出したものであります。

 独法通則法改正案等は、非予算関連法案として提出したものでありますが、日本医療研究開発機構法についても、今般の整備法案において必要な改正を行い、改正後の通則法の適用がなされるものであり、特段、法制上、問題ないものと考えております。

 日本医療研究開発機構の目標、評価についてお尋ねがありました。

 日本医療研究開発機構の中長期目標の作成等については、あらかじめ健康・医療戦略推進本部の意見を聞くとともに、総合科学技術・イノベーション会議が作成する指針案を反映した総務大臣の定める指針に基づいて作成することとなっております。

 御指摘の点につきましては、総合科学技術・イノベーション会議は国立研究開発法人全般についての指針を作成し、一方で、推進本部は日本医療研究開発機構への個別の意見を述べるものであり、両者は性格が異なること、また、推進本部では指針等も考慮しながら意見を述べるものであることから、法律違反と解する余地はないと考えております。

 以上です。(拍手)

議長(伊吹文明君) 以上をもって、本日予定されておりました質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣    麻生 太郎君

       外務大臣    岸田 文雄君

       厚生労働大臣  田村 憲久君

       国土交通大臣  太田 昭宏君

       環境大臣    石原 伸晃君

       国務大臣    稲田 朋美君

       国務大臣    菅  義偉君

       国務大臣    山本 一太君

 出席副大臣

       内閣府副大臣  後藤田正純君


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