衆議院

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第21号 平成26年4月25日(金曜日)

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平成二十六年四月二十五日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十四号

  平成二十六年四月二十五日

    午後一時開議

 第一 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 第二 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案(衛藤征士郎君外九名提出)

 第三 会社法の一部を改正する法律案(階猛君外一名提出)

 第四 会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会、内閣提出)

 第五 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(第百八十五回国会、内閣提出)

 第六 農業者戸別所得補償法案(第百八十三回国会、大串博志君外六名提出)

 第七 農地・水等共同活動の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)

 第八 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)

 第九 環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案(大串博志君外六名提出)

 第十 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十一 農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案(内閣提出)

 第十二 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十三 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十四 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 日程第二 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案(衛藤征士郎君外九名提出)

 日程第三 会社法の一部を改正する法律案(階猛君外一名提出)

 日程第四 会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会、内閣提出)

 日程第五 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(第百八十五回国会、内閣提出)

 日程第六 農業者戸別所得補償法案(第百八十三回国会、大串博志君外六名提出)

 日程第七 農地・水等共同活動の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)

 日程第八 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)

 日程第九 環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案(大串博志君外六名提出)

 日程第十 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十一 農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案(内閣提出)

 日程第十二 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十三 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十四 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)


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    午後一時十二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(伊吹文明君) まず、日程第一、特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長富田茂之君。

    ―――――――――――――

 特許法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔富田茂之君登壇〕

富田茂之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、我が国産業の競争力強化に資するため、知的財産制度の一層の国際調和を図るとともに、知的財産に係る制度的・人的基盤を整備するための措置を講じようとするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、特許法について、手続面での救済措置の拡充を図るとともに、特許異議の申し立て制度を創設すること、

 第二に、意匠法について、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づき、複数国に対して意匠を一括出願するための規定を整備すること、

 第三に、商標法について、新たに色彩や音を保護対象とするとともに、地域団体商標の登録主体に、商工会、商工会議所及び特定非営利活動法人等を追加すること、

 第四に、弁理士の使命を法律上明確に位置づけるとともに、その業務を拡充すること

であります。

 本案は、参議院送付に係るもので、去る十四日本委員会に付託されました。十六日茂木経済産業大臣から提案理由の説明を聴取し、十八日に質疑を行い、質疑を終局いたしました。続いて、二十三日に採決を行った結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 全会一致。御異議なしと認めます。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案(衛藤征士郎君外九名提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第二に移ります。国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長柴山昌彦君。

    ―――――――――――――

 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔柴山昌彦君登壇〕

柴山昌彦君 ただいま議題となりました国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、大自然の根本たる山と向き合い、その恩恵に感謝し、山との共存、共生を図るため、国民の祝日として新たに山の日を加えること、山の日は、八月十一日とすること、山の日の意義は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。」とすることを定めるものであります。

 なお、この法律は、平成二十八年一月一日から施行することとしております。

 本案は、去る三月二十八日衛藤征士郎君外九名から提出されたもので、同日本委員会に付託され、四月二十三日、提出者衛藤征士郎君から提案理由の説明を聴取した後、直ちに採決いたしましたところ、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 会社法の一部を改正する法律案(階猛君外一名提出)

 日程第四 会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会、内閣提出)

 日程第五 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(第百八十五回国会、内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第三、階猛君外一名提出、会社法の一部を改正する法律案、日程第四、第百八十五回国会、内閣提出、会社法の一部を改正する法律案、日程第五、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長江崎鐵磨君。

    ―――――――――――――

 会社法の一部を改正する法律案(階猛君外一名提出)及び同報告書

 会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会、内閣提出)及び同報告書

 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔江崎鐵磨君登壇〕

江崎鐵磨君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、内閣提出の会社法の一部を改正する法律案は、株式会社をめぐる最近の社会経済情勢に鑑み、社外取締役等による株式会社の経営に対する監査等の強化並びに株式会社及びその属する企業集団の運営の一層の適正化等を図るため、監査等委員会設置会社制度を創設するとともに、社外取締役等の要件等を改めるほか、株式会社の完全親会社の株主による代表訴訟の制度の創設、株主による組織再編等の差しとめ請求制度の拡充等の措置を講じようとするものであります。

 次に、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、会社法の一部を改正する法律の施行に伴い、商法ほか九十四の関係法律に所要の整備を加えようとするものであります。

 次に、階猛君外一名提出の会社法の一部を改正する法律案は、最近の我が国における株式会社の不祥事の実態に鑑み、企業統治の一層の強化を図るため、大会社で株式を上場しているもの等に対して社外取締役の選任を義務づけようとするものであります。

 内閣提出の両法律案は、第百八十五回国会に提出され、継続審査に付されていたもので、今国会では、去る一月二十四日本委員会に付託され、四月八日谷垣禎一法務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。また、階猛君外一名提出の法律案は、四月十日本委員会に付託され、翌十一日、提出者階猛君から提案理由の説明を聴取した後、三法律案を一括して質疑に入り、十八日には参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行いました。

 二十三日、日本維新の会の提案による会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案につきまして提出者から趣旨の説明を聴取、三法律案及び修正案を一括して質疑を行いました。

 質疑終局後、自由民主党及び公明党の共同提案による内閣提出の両法律案に対する修正案がそれぞれ提出され、提出者から趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、三法律案及び各修正案を一括して討論を行い、順次採決いたしましたところ、階猛君外一名提出の会社法の一部を改正する法律案は賛成少数をもって否決すべきものと決し、内閣提出の会社法の一部を改正する法律案は全会一致をもって修正議決すべきものと決し、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は全会一致をもって両修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。

 以上、御報告といたします。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決を行います。

 まず、日程第三、階猛君外一名提出、会社法の一部を改正する法律案について採決をいたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。原案について採決をいたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立少数。したがって、本案は否決をされました。

 次に、日程第四、第百八十五回国会、内閣提出、会社法の一部を改正する法律案及び日程第五、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、両案とも委員長報告のとおり修正議決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第六 農業者戸別所得補償法案(第百八十三回国会、大串博志君外六名提出)

 日程第七 農地・水等共同活動の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)

 日程第八 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案(大串博志君外六名提出)

 日程第九 環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案(大串博志君外六名提出)

 日程第十 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十一 農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第六、第百八十三回国会、大串博志君外六名提出、農業者戸別所得補償法案、日程第七、大串博志君外六名提出、農地・水等共同活動の促進に関する法律案、日程第八、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案、日程第九、環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案、日程第十、内閣提出、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案、日程第十一、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案、以上六案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長坂本哲志君。

    ―――――――――――――

 農業者戸別所得補償法案及び同報告書

 農地・水等共同活動の促進に関する法律案及び同報告書

 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案及び同報告書

 環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案及び同報告書

 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

 農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔坂本哲志君登壇〕

坂本哲志君 ただいま議題となりました六法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、内閣提出の二法律案について申し上げます。

 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案は、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する措置の改善を図るため、対象農業者への認定就農者の追加、生産条件不利補正交付金に係る基準年度の変更等の措置を講じようとするものであります。

 農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案は、農業の有する多面的機能の発揮の促進を図るため、その基本理念、農林水産大臣が策定する基本指針等について定めるとともに、多面的機能発揮促進事業について、その事業計画の認定、費用の補助、関係法律の特例等について定めようとするものであります。

 次に、大串博志君外六名提出の四法律案について申し上げます。

 農業者戸別所得補償法案は、農業の有する食料その他の農産物の供給の機能の重要性に鑑み、米穀、麦その他の重要な農産物の生産を行う農業者に対し、その農業所得を補償するための交付金を交付する等の措置を講じようとするものであります。

 農地・水等共同活動の促進に関する法律案は、農地・水等共同活動の促進を図るため、その基本理念、農林水産大臣が策定する基本指針等について定めるとともに、農地・水等共同活動促進事業について、その事業計画の認定制度を設けるとともに、これを推進するための措置等について定めようとするものであります。

 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案は、条件不利地域における農業生産活動の継続の促進を図るため、その基本理念、農林水産大臣が策定する基本指針等について定めるとともに、条件不利地域農業生産継続推進事業について、その事業計画の認定制度を設けるとともに、これを推進するための措置等について定めようとするものであります。

 環境保全型農業の促進を図るための交付金の交付に関する法律案は、環境保全型農業の促進を図るため、環境保全型農業を行う農業者に対する交付金の交付等について定めようとするものであります。

 六法律案は、去る三月二十七日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、四月一日の委員会において林農林水産大臣及び提出者玉木雄一郎君からそれぞれ提案理由の説明を聴取いたしました。翌二日からは六法律案を一括して議題とし、審査を進め、八日には参考人から意見を聴取し、翌九日には佐賀県及び新潟県においていわゆる地方公聴会を開催し、二十三日には安倍内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど慎重かつ熱心に審査を重ね、同日質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本維新の会及び公明党の三会派共同提案により、政府は、本法律の施行後三年を目途として、農産物に係る収入の著しい変動が農業者の農業経営に及ぼす影響を緩和するための総合的な施策のあり方について、農業災害補償法の規定による共済事業のあり方を含めて検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする規定を追加する修正案が提出されました。また、農業者戸別所得補償法案に対し、民主党・無所属クラブ及び生活の党の二会派共同提案により、法律の施行期日に係る修正案が提出され、両修正案について趣旨の説明を聴取した後、大串博志君外六名提出の四法律案について内閣の意見を聴取いたしました。

 次いで、各法律案及び両修正案について一括して討論を行い、順次採決いたしましたところ、大串博志君外六名提出の四法律案のうち、農業者戸別所得補償法案に対する修正案及び原案はいずれも賛成少数をもって否決され、その他三法律案につきましても賛成少数をもって否決すべきものと議決した次第であります。次に、内閣提出の二法律案のうち、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、修正案は全会一致、修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決され、修正議決すべきものと議決した次第であります。また、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案につきましては、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、内閣提出の二法律案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 討論の通告がありますので、順次これを行います。まず、大串博志君。

    〔大串博志君登壇〕

大串博志君 民主党の大串博志でございます。

 ただいま議題となりました、政府提出、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案に対し、民主党・無所属クラブを代表し、反対の立場から討論をいたします。(拍手)

 まず、先般熊本にて発生した鳥インフルエンザについては、政府としても今後完全な封じ込めに向けて全力を尽くしていただきたいと思います。

 さて、政府提出法案に対して、私たちは、戸別所得補償法案等を対案として提出し、議論を行ってまいりましたが、これに対して、なぜ今法案提出なのかとの質問がありました。

 戸別所得補償制度については、私たちが与党時代、ワーキングチームを設け、法制化に向け精力的な議論を行ってまいりました。平成二十三年夏、特例公債法に係る三党合意において、一二年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討することとされました。その後、三党協議が調わず、法案の提出に至らなかったものであります。

 もし与党の皆さんが真になぜ当時法案を提出しなかったのかと考えているのであれば、今、私たちの戸別所得補償法案に賛同いただくのが筋だと思います。しかし、委員会においては、そうはなりませんでした。残念でなりません。

 委員会審議の中で明らかになったのは、政府・与党と私たちの間での、農業政策における根本的な理念の違いであります。

 戸別所得補償制度は、標準的な生産費用と販売価格の差である恒常的なコスト割れ部分を補償することで、営農継続を可能とし、もって農業の多面的機能も守るというものです。

 しかし、政府案は、農業政策を産業政策と地域政策に無機質に切り分け、戸別所得補償制度について何ら根拠を示さないまま米の定額交付金を半減、将来に廃止し、これまでと同様に、集落活動への交付金を拡充するものであります。その背景には、米は関税で守られており、恒常的なコスト割れはないとする考え方があります。

 しかし、本当にそうでしょうか。恒常的なコスト割れがあるからこそ、農業経営の厳しい実態が続いているのではないでしょうか。根本的な現状認識の違いに基づく理念の違いは明らかです。

 戸別所得補償はばらまきだという根拠のない批判もありましたが、それは、制度の本質を全く理解しないものであります。

 戸別所得補償制度は、全国一律の交付単価を設定することで、二ヘクタール以上の農家では収益が出る一方、二ヘクタール未満の農家では、なおコスト割れになる制度設計であり、大規模農家であるほど収益が上がります。

 その結果、五ヘクタール以上の農家の加入率は九八%、反対に、〇・五ヘクタール未満の小規模農家においては五割程度にとどまりました。全体の一割に満たない二ヘクタール以上の農家への交付が予算全体の六割を占め、集落営農数が増加するなど、集約化も進展しました。これらは、戸別所得補償制度の正しさをあらわしている事実であります。

 政府案に対する大きな懸念は、米の定額交付金を、強い根拠もなく、一万五千円から半減、その後廃止することで、農家の所得が直接的に減ってしまうということであります。

 さらに、戸別所得補償制度は、選択的減反制度を前提としており、これがインセンティブとなって、過剰作付米は着実に減ってきておりました。しかし、米の定額交付金の縮減、廃止で、過剰作付米がかえってふえ、米価が下がり、農家の所得がさらに減少するのではないかとの強い懸念もあります。

 しかし、そのような懸念に対して、政府から、そうはならないという明確な答弁はありませんでした。

 例えば、政府は、飼料用米の需要について、現在の需要量の二十五倍にもなる量を示し、主食用米から飼料用米への大転換を図ると説明してきました。しかし、何度も、このような見通しの実現可能性、根拠についてただしましたが、需要動向、加工工場の整備、主食用米への混入防止策などを含めたシミュレーションなど、実現可能性を担保する具体的な根拠は、何ら示されておりません。

 農業所得が今後どうなるかという、農家にとって死活的に重要な問いに何ら答えのないまま、猫の目農政が進められようとしています。

 さらに、この間の経済連携協定の進展を見ても、懸念があります。

 先日、日豪EPA協定交渉が大筋で合意され、牛肉の関税の引き下げなどが決定されました。しかし、これは、林農水大臣が再三、踏まえると委員会で答弁を重ねた、平成十八年の衆参農林水産委員会決議の趣旨をたがえるものであります。

 さらに、今般、オバマ大統領の訪日に伴うTPPの議論については、早期妥結に向けて引き続き協議を行うことと今のところはなっているようでありますが、牛肉、豚肉などの重要品目の関税引き下げが大きな焦点だと言われております。

 TPP交渉の具体的な内容は、全く開示されていません。

 これに対して、国民生活に重大な影響のある通商交渉に関し政府に国民や国会への情報提供を義務づける議員立法を、本日提出させていただきました。農政を左右する重大な外交交渉で十分な説明責任を果たさない政府の姿勢には、極めて深い憂慮を感じざるを得ません。

 このように、日本の畜産、酪農業に大きな打撃を与えかねない方向で経済連携協定交渉を今進めながら、他方で、飼料用米への政策誘導に頼る、このちぐはぐな政策運営は、全く理解不能であります。

 四十年ぶりの歴史的減反廃止と喧伝されていますが、実は、二〇〇二年に、政府は、今回と同じく、自主的な調整システムに移行するとし、結局、この案は実現できず、農家は翻弄されました。

 その際の検証も全く不十分なまま、戸別所得補償制度を廃止し、結局は、多面的機能維持という名のもとに、これまでとほぼ同様の、集落への補助金を拡充するのみ。これでは、単なる古い自民党農政への回帰にすぎないと言わざるを得ず、到底賛同するわけにはまいりません。

 戸別所得補償制度を基礎として、農家の所得を確保しつつ構造改革を進めていくことこそが、あすの日本の農業を支える道であることを改めて申し上げ、私の政府案に対する反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、齋藤健君。

    〔齋藤健君登壇〕

齋藤健君 自由民主党の齋藤健です。

 自由民主党、公明党を代表いたしまして、政府提出の二法案について賛成、民主党外二党提出の四法案について反対の立場から討論を行います。(拍手)

 我が国の農業、農村は、農業従事者の減少、高齢化や、耕作放棄地の増大等の課題が山積しておりますが、今後の政策によっては、魅力ある産業となる大きな潜在力を有しているということを、私は確信しております。

 今回の政府提出の二法案は、まず、経営の不安定さを軽減しながらも、意欲と能力のある担い手、まさに農業を経営する者が、需要の動向を敏感に把握し、創意工夫して経営を発展させることを支援する、つまり、農業を成長産業とする産業政策、また、国土保全や地域の伝統文化の維持といった面からも重要な、農業、農村の持つ多面的機能の発揮を図る地域政策、これら二つを明確に区分したことに、一つの眼目があります。

 これまで、ややもすると混然一体となっていた政策を、それぞれの政策目的と政策効果がより明確になるよう再整理したものであり、経済政策論の観点からも一つの画期を示すものと、私は確信しております。

 より具体的に申し上げれば、産業政策としては、今回の担い手経営安定法の改正によって、効率的かつ安定的な農業経営を目指す担い手に政策が集中されることになります。担い手であれば、規模要件だけで排除されることはありません。意欲と能力のある担い手はすべからく経営所得安定対策の対象者となり、今まで以上に、安心して経営の向上に取り組めることになります。

 地域政策としては、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案によって、新たに創設する農地維持支払い、資源向上支払いに、中山間地域等直接支払い等を加えた四つの支払いから成る日本型直接支払いを整理して法制化し、恒久的な制度とすることによって、現場が安心して取り組んでいただけるようになります。

 民主党外二党提出の一連の法律案の中で政府案と最も異なるのは、戸別所得補償法案であります。

 戸別所得補償は、我が党が野党時代から、ばらまき四K政策の一つとして、厳しく批判してまいりました。

 どう考えても、全ての販売農家に一律に配分するというのは、現状を固定するものと言わざるを得ません。政府提出法案のように、担い手を対象として経営安定のための各種の政策を講じていくことこそ、構造改革の名に値するものと断言をしておきたい。

 なお、私がどう首をひねっても理解できないのは、民主党の皆さんの、法律というものに対する考え方、政権与党というものの責任感についてであります。

 この戸別所得法案は、民主党が政権をとる前の野党時代に国会に提出をされ、参議院を通過いたしました。その後、政権をとられ与党になったので、当然、正々堂々と国会に法案を出してくるだろうと、国会での論戦を楽しみにしておりましたのに、結局、三年三カ月、法案は提出されずに、毎年毎年の予算措置のみで対応され、その後、また野党にお戻りになられましたら、今回、与党時代よりもさらにばらまき色を強めた法案を出されました。

 何ですか、これは。

 与党の立場にあり、いつでも法案を出せたのに法案を出さず、なおかつ、先ほどから聞いておりますと、法案提出できなかった理由を野党のせいに転嫁するという言動に至っては、怒りというよりも、むしろ、深い悲しみを覚えています。

 皆さんが底の浅い言葉を力めば力むほど国民が引いていくという現実を、認識された方がいいと思います。良心に照らして、素直に、みずからの言動を振り返っていただけないかと、静かに願うのみであります。

 強い農業をつくっていく、息をのむほど美しい日本の農村風景を守っていく、このためにも、政府提出二法案の早期成立をお願いし、もう次のステップに進みたい。

 以上をもって、私の討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、林宙紀君。

    〔林宙紀君登壇〕

林宙紀君 結いの党を代表して、内閣提出二法案並びに議員提出四法案、いずれに対しても反対の立場から討論を行います。(拍手)

 農政改革を論じるに当たり、我が党は、一貫して、これまで続いてきた生産調整による高い米価の維持をやめ、EU型の直接支払いを導入することを主張してきました。

 その目的は、農地を農地として保持し、食料の確保や多面的機能の発揮を担保すること、生産者側の意向に強く寄り添ってきた農政から、消費者の目線も十分に考慮した農政へ転換すること、そして、自由貿易が進む世界の潮流の中、農業の構造改革を強く促し、世界と戦える農業を実現することなどにあります。

 それらの視点から、まず、内閣提出案については、改革という言葉からはほど遠いものであると言わざるを得ません。

 多額の転作補助金を使って、事実上、生産調整を続け、高い米価を維持することは変わらず、消費者負担と納税者負担の二重負担を解消するという抜本改革にはつながらないこと、米の直接支払い交付金は廃止するものの、その財源を多面的機能支払いに充てるなど、単に予算をつけかえるだけにすぎないこと、水田をフル活用するために飼料用米等に多額の補助金を充てることが本当に適切なのか、大きな疑念が残ること、日本型直接支払いは、農業者ではなく団体に資金が流れる仕組みで、透明性に強い懸念が残ること、そして、多少の修正はあるものの、民主党政権前の制度に戻す程度にすぎない内容であること、以上から、我が党が目指す農政改革とは方向性を大きく異にするものと考えます。

 次に、議員提出案については、目指す農政の将来像において思想を共有できる部分も多いことは、理解できました。

 しかしながら、あくまで生産調整の継続が前提であり、消費者負担は解消されないこと、交付金の対象が主業農家などに限定されず、構造改革の推進に疑念が残ること、水田の転作補助金も維持されること、そして、EU型直接支払いに移行する方法や時期などが明確には示されなかったことなど、依然として大きな変更を求めるべき点が多く、今回は、賛成するには至りませんでした。

 一方で、将来的には、より合理的かつ強固な制度をともに構築できる素地はあると考えられ、今後さらに議論を深めていけることを期待しております。

 食料難と隣り合わせだった時代が過去のものとなり、農業に対する国民の意識に変遷が見られる中、農業に巨額の財政支援を行う合理的な意義について改めて国民の意思を正面から問うことは、今後の農政が避けて通れないものであり、それこそが農政改革に求められることであるということを最後に申し述べて、討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、岩永裕貴君。

    〔岩永裕貴君登壇〕

岩永裕貴君 日本維新の会の岩永裕貴でございます。

 まさに今、田植えの季節となりました。広がる新緑の苗が風になびき、全国の集落では豊作を祈るお祭りが行われ、地域のコミュニティーが一気ににぎわいを見せる、私の一番好きな季節でもあります。

 これから、その若い苗は、時には強い風雨や、時には嵐にも耐えながら、黄金色に輝き、強く、立派な稲穂として成長していきます。

 日本の農政も、取り巻く厳しい環境に合わせて大きな変化が求められるがゆえに、時には困難を伴う道のりではありますが、堂々と根を張り、天に向かって成長する稲穂のように、強く、プライドある農政の改革をなし遂げる覚悟を持ち、会派を代表して、ただいま上程されました政府提出の農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案に賛成の立場で、以下、討論をいたします。(拍手)

 日本維新の会の農業政策の基本理念の一つに、農業を成長産業化し、ひいては今後の世界市場を見据えた輸出産業へと発展させることを明記いたしております。

 我々は、これまでの農政は、余りにも生産者の視点を過度に意識し過ぎた各種施策が展開されてきたがゆえに、消費者を置き去りにしてきたことが、日本の農業を衰退させた最も大きな原因であると考えております。

 農業従事者の皆さんの今後のさらなる発展を本気で考え、若者の新規参入を促すためには、質、量、そして価格的に消費者に選んでいただける農産物を生産していくことが必要不可欠であり、その実現に向けた施策の実行こそが、今政治に求められている最も大きな役割であることを確信いたしております。

 このたびの法案は、限りある財政の中で、農業従事者の皆さんに、コストの削減を初め、経営の視点をこれまで以上に求め、消費者を意識する内容となっている観点から、評価をいたします。

 次に、多面的機能についての、我々日本維新の会の考え方。

 特に厳しい条件下にある中山間地の農業は、環境保全という側面をより強化し、産業とは一定の距離を置いた上で、果たす役割をより明確にするべきであると考えております。

 私自身、滋賀の小さな山村集落で生まれ育ちました。農業には、水源や水路の維持、担い手の供給、鳥獣からの被害を防ぐといった意味で、集落の維持が大変重要であることを実感いたしております。

 しかし、今、少子高齢化が進む時代背景の中で、集落では、都市に先駆け人口が減少し、集落の共同活動機能を果たすことが難しくなっている状態です。

 先日、委員会の中でも、総理から、美しく活力ある農山村を維持するために、今回の改革でも、農地の集積、多面的機能の維持、六次産業化の支援などを行うのだと述べられました。

 大変難しい課題ではありますが、伝統や文化を含めて、一度失うと二度と取り戻すことが難しいのが集落機能です。

 そうした観点からも、このたびの法案は、環境保全にこれまで以上に予算の配分を充実させている点、また、集落機能の維持のための要件をより大きく広げたという点においても、評価をさせていただきたいと思っております。

 が、しかし、本法案を含め、今後の日本農業を発展させる上で、幾つかの懸案事項を、以下、指摘させていただきたいと思います。

 まず、補助対象作物に対する国民の二重負担の問題で指摘をいたします。

 我が国の農業を考えていく上で最も重要な品目である米でありますが、長年の大きな矛盾が解決されないまま今に至っていることは、御案内のとおりでございます。

 それは、いざというときのためにしっかりと米をつくる土台となる資源としての水田と技術、そして生産者を維持する一方で、人口減少、また一人当たりの消費の減少に伴う急激な国内需要の減少に対応していかなければならないという難題でございます。

 これまで、政府は、供給が過剰になった米に対して、わざわざ補助金を払って、減反や転作による生産調整により米作を抑制し、需要と供給のバランスを無理やりずらすことによって、米価を高く維持してまいりました。日本の消費者は、納税と高い米価の、二重の負担を強いられてきたわけでございます。さらに、余剰米の処理に税金が使われるという、ゆがんだ状況が長年続いております。

 今回の改革によっても、こうした状況が抜本的に解決をされたというわけではございません。

 米の生産基盤を維持しながらこの矛盾を解決するには、需要をふやすしか手だてがありません。

 需要に関しては、主食用米と非主食用米がありますが、今回の改革では、主食用米から非主食用米である飼料米への誘導が図られております。

 飼料米に関しては、もみ米の不足、価格の問題、対応する設備の問題、顧客である畜産農家とのマッチングの問題など課題は山積いたしておりますが、国家戦略の方向性としては間違っていないものと考えられます。今後、飼料米に取り組もうとする農家が安心して作付できるように、しっかりとしたバックアップがとられる方策を緊急に整備する必要があることを指摘させていただきます。

 次に、担い手については、御案内のとおり、我が国の農業従事者は、六十五歳以上が六〇%以上、四十歳代以下がわずか一〇%という状況であり、世代間のバランスを大きく欠いた状況となっております。

 これには、ほかの仕事をリタイアした後実家の農業を継ぐ人が多いといった就農の要因もあり、一概に悲観的になる必要はありませんが、しかし、力強い農業、成長産業としての農業を考えれば、若者が積極的に農業に参入してくれるような環境が望ましいのは、言うまでもありません。

 農業高校の就農率の低さは委員会でも指摘をいたしましたが、女性や若者に魅力ある産業としての農業にしていくために、管理技術の向上による省力化により投下労働時間が減少しても、しっかりと所得につながるように、政府として取り組む必要があると考えております。

 最後に、現場を歩かせていただいて最も多くのお声をいただくのが、猫の目農政への批判です。

 一九九八年に稲作経営安定対策が導入されてより、二〇〇四年に、転作面積から、米の生産数量目標の導入へ、また、稲作所得基盤確保対策と担い手経営安定対策が始まり、二〇〇七年からは、さらに、品目横断的経営対策の導入により、担い手中心の農政を目指す姿勢が示されました。

 こうした施策の転換における現場の戸惑いの中で、政権交代が行われたことにより、二〇一〇年から、戸別所得補償制度による直接支払いが導入されたわけでございます。そしてまた、今回の、新たな経営所得安定対策への方向転換。

 こんなにも農政を取り巻く経営の大きな要素がころころと変化をするという、先の見えない不安の中で、農業従事者は、生き物を相手に、年単位の計画を立てて事業を進めていかなければならないわけでございます。

 申すまでもないことではありますが、与野党問わず、日本農業の発展を願う心は同じであるとするならば、生産者の目線に立って、十年、二十年、安心して生産ができる環境をつくっていかなければなりません。

 以上、三点を指摘とさせていただきます。

 なお、民主党、生活の党、社民党三会派共同提出の四法案につきましては、方向性としては理解をいたします。ただ、財源の確保、また、成長産業化への積極的推進という我が党の観点とは考えが異なりますので、反対とさせていただきます。

 しかし、このたびの法案提出によって、閣法との比較検討が幅広く多角的に行われました。日本農業の将来について深く議論ができたことは、大変有意義でございました。その意味については、深く敬意を表するものでございます。

 最後に、日本農業が成長産業として大きく羽ばたき、今後のグローバルマーケットの中で日本の農産品が大きく伸びていくことを心より期待を申し上げ、日本維新の会を代表しての賛成討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、畑浩治君。

    〔畑浩治君登壇〕

畑浩治君 生活の党の畑浩治でございます。

 ただいま議題となりました政府提出の二法案に対し、生活の党を代表し、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 政府案については、そもそも、農業者支援の理念が、我々の考えるところと全く異なります。

 農業者戸別所得補償制度は、再生産可能な農業所得を補償し、農業の経営が成り立つようにすることを通じて多面的機能の維持が図られることを目的とする、合理的な制度であります。

 一方、政府案は、農地やその多面的機能を維持すること自体を目的とするものです。

 しかし、農業の経営が成り立たなければ、それは困難になるものであり、政策の手順と理念が間違っていると言わざるを得ません。また、農業者経営の多様性への配慮が弱く、認定農業者、認定新規就農者、集落営農から除外された農業者への対策が示されずに、意欲ある小規模農家の離農促進や切り捨てが危惧されます。

 次に、政府案は、日本型直接支払い制度と銘打っておきながら、交付先は、一義的には、個々の農業者ではなく、団体が対象であります。法案の中に直接支払いという用語が規定されていないのは、このような理由があるからだと思われます。

 国民をミスリードさせている上に、個としての担い手に対する支援の意義を軽視し、農業経営の将来見通しを立てにくくしている点が問題であります。

 自主的かつ実効性ある米の生産調整の仕組みとしては、戸別所得補償制度とリンクさせた実質的な選択制である現行のやり方が、実際に米の過剰作付面積が減少している実態を見ても、効果があることが明らかです。

 同時に、農地の流動化、集約化の効果があらわれており、さらに、集積や規模拡大が進んで恒常的なコスト割れがなくなり、コストと収入の差が少なくなるにつれ財政支出額を減少させることが可能な制度であり、財政的に持続性があるという点でも、合理的な制度です。

 さて、日豪EPA協議の合意及びTPPの日米交渉の動向を見ると、飼料用米作付を誘導しておきながら、それと矛盾した政策をとりつつあり、需要の見通しに不安を与えるものにしている点は問題です。

 そして、今回の審議の中で、一連の農政改革のもとで米価を初めとした農産物の価格や農業所得がどのようになるのか、十分な情報提供がなされなかったことは遺憾であります。

 TPPの交渉についても、委員会決議にもかかわらず、情報公開が全く不十分であるとともに、いわゆる重要五項目の扱いなど、決議が守られているのかに大きな疑問が生じています。

 私たちは、本日、TPPの情報公開に関する法案を提出いたしました。農政の大きな転換点だからこそ、農業者に不安を与えないように、情報提供が適時適切に行われることこそ必要であると申し上げて、私の反対討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(伊吹文明君) 以上をもって討論を終わりといたします。

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決に入ります。

 まず、日程第六ないし第九の第百八十三回国会、大串博志君外六名提出、農業者戸別所得補償法案外三案を一括して採決をいたします。

 四案の委員長の報告はいずれも否決であります。この際、四案の原案について採決をいたします。

 四案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立少数。したがって、四案とも否決をされました。

 次に、日程第十、内閣提出、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び日程第十一、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の両案を一括して採決をいたします。

 日程第十の委員長の報告は修正、同じく日程第十一の委員長の報告は可決であります。両案を委員長の報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、両案とも委員長報告のとおり議決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十二 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第十二に移ります。道路法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長梶山弘志君。

    ―――――――――――――

 道路法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔梶山弘志君登壇〕

梶山弘志君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、多様な資金の活用により高速道路の適正な管理を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、高架の道路の下部空間の活用を図るため、占用許可基準を緩和するとともに、占用者を公平に選定するための入札制度を創設すること、

 第二に、立体道路制度を既存の高速道路にも適用できること、

 第三に、高速道路の更新財源を確保するため、高速道路会社が管理する高速道路に係る料金徴収期間の満了の日を変更すること、

 第四に、スマートインターチェンジの整備に要する費用の貸付制度を創設すること

などであります。

 本案は、去る四月四日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託され、十六日太田国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、十八日質疑に入り、二十二日には首都高速道路一号羽田線等の視察を行いました。翌二十三日、質疑を終了し、討論の後、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十三 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十四 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第十三、地方自治法の一部を改正する法律案、日程第十四、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長高木陽介君。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案及び同報告書

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔高木陽介君登壇〕

高木陽介君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、地方自治法の一部改正案は、地方制度調査会の答申を踏まえ、地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため、指定都市制度の見直し、中核市制度と特例市制度の統合、新たな広域連携制度の創設とともに、認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例の創設等の措置を講ずるものであります。

 次に、いわゆる第四次整備法案は、地域の自主性及び自立性を高めるための改革を総合的に推進するため、国から地方公共団体または都道府県から指定都市への事務、権限の移譲等を行うものであります。

 地方自治法の一部改正案は、去る四月十日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日に、また第四次整備法案は十四日に、それぞれ本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、去る十五日両案について新藤国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、十七日から質疑に入りました。

 二十二日には、安倍内閣総理大臣に対する質疑を行うとともに、地方自治法の一部改正案に対し、日本維新の会から修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取いたしました。また、昨二十四日には両案及び修正案について参考人からの意見聴取を行い、同日質疑を終局いたしました。

 次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、両案は賛成多数をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、両案に対しそれぞれ附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) ただいま報告のありました両案につき討論の通告がありますので、順次これを行います。まず、塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、地方自治法改正案並びに第四次一括法案に反対の討論を行います。(拍手)

 この間の政府による市町村合併や権限移譲の押しつけは、地方自治の拡充に逆行する深刻な事態をもたらしてきました。本法案は、この逆行をさらに進めるものであります。

 本法案は、特例市を廃止し、人口要件を二十万以上に引き下げた新中核市を、さらなる権限移譲の受け皿とするものです。

 新中核市には保健所設置が義務づけられますが、その対象となる特例市で保健所設置を希望するのは、わずか四分の一です。新中核市となれば、特例市に移譲されていない事務、権限も次々に移譲されることになります。

 地方公務員人件費の削減を初めとする地方行革のもとで、人的、財政的な裏づけが十分にないまま、一律に行われてきた権限移譲をさらに拡大するならば、地方自治体の一層の負担増と業務水準の低下を招き、結局、住民福祉の後退とならざるを得ないのであります。

 連携協約、事務の代替執行の制度は、こうした一律の事務、権限の移譲を新たな広域連携の中で受けとめる仕組みとなるものであります。

 また、指定都市と都道府県の調整会議を設置する問題です。

 指定都市の市長か知事のどちらかが必要とすれば、調整会議が必ず開かれ、調整がつかなければ、結論を出すために、総務大臣の勧告を求めることも可能となります。

 調整会議は、競合回避の原則や最小コストの原則を掲げています。

 しかし、そもそも、地方自治法第一条は、「民主的にして能率的な行政の確保」を明記しており、住民自治の追求を要請しているのであります。

 民主的、すなわち住民が主人公という基本を欠落させたのでは、二重行政解消を口実にして、公営住宅や病院、学校の統廃合や中小企業支援、男女共同参画事業といった、住民の暮らしや営業、人権に密接にかかわる行政の削減に使われることになりかねません。

 最後に、道州制導入についてです。

 新藤大臣は、地方分権を進めた結果と道州制の設計は、必ずそこに連携が生まれると答弁しました。

 全国町村会は、道州制が、新たな集権体制を生み出し、大都市への集中を招き、地域間格差は一層拡大し、市町村合併が事実上強制されると、厳しく批判しています。

 地方自治を根本から覆す道州制の導入には断固反対であることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、黄川田徹君。

    〔黄川田徹君登壇〕

黄川田徹君 民主党の黄川田徹であります。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 安倍総理は、一月の施政方針演説で、ことしは、地方の活性化が安倍内閣にとって最重要のテーマであり、地方が持つ大いなる可能性を開花させると、高らかに宣言いたしました。

 地方の活性化が最重要のテーマであることは、おっしゃるとおりであります。

 地方が持つ可能性を開花させるには、それぞれの地方が持つ特色と魅力を生かせるよう、地方のことは霞が関ではなく地方が決められる地域主権改革を、着実に推し進めなくてはなりません。

 それぞれの地方が独自の施策を展開し、その効果が発揮されるには、ある程度の時間を要します。だからこそ、補助金改革、権限、財源の移譲、出先機関改革といった改革を、大胆かつスピード感を持って進めなくてはなりません。

 しかしながら、今国会に出てきた両法案は、地方が持つ可能性を開花させるに足るものでしょうか。

 地方自治法改正案は、民主党政権時代に地方制度調査会に諮問したことを受けての改正であります。指定都市下の区の役割の拡充、中核市、特例市の統合、連携協約制度の創設など、大都市制度のあり方について見直しを行うものであります。

 義務づけ・枠づけに係る第四次一括法案は、民主党政権が精力的に進めてきた、国から地方、都道府県から基礎自治体への事務、権限の移譲を引き続き行うものではあるものの、これまでの移譲に比べれば、小規模にとどまっております。すなわち、どちらも、極めて小粒な改革であると言わざるを得ません。

 改革を多少なりとも前進させるものでありますので、民主党として両法案に賛成はいたしますが、地方が持つ可能性を開花させるには全くの力不足であると、残念ながら、指摘しなければなりません。

 安倍政権になってから、補助金改革は、進むどころか、一括交付金が廃止されて、霞が関支配の象徴でもあるひもつき補助金が復活し、後退を余儀なくされています。出先機関改革も一向に進みません。

 安倍総理は、第二次地方分権改革の集大成とも施政方針演説でおっしゃいましたが、これで改革を打ちどめにされてしまえば、地方の再生など、望むべくもありません。ごく一部の大都市、しかも、ごくごく一部の人たちだけが繁栄を謳歌する、そんな政策の効果が長続きし得ないことは、歴史を見ても明々白々であります。

 地域主権改革こそが、さまざまな地域が繁栄し、多くの人がその恩恵を享受することで、複層的で、より息の長い成長を可能とする改革であります。

 地域主権改革を大胆かつスピード感を持って現実的に進められるのは、政権担当時代に改革を強力に進めてきた民主党しかいないということを、最後に国民の皆様にお訴えして、私の討論を終わりたいと思います。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、浦野靖人君。

    〔浦野靖人君登壇〕

浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。

 日本維新の会を代表して、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案に賛成し、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案に賛成する立場から討論を行います。(拍手)

 この地方自治法改正案の内容は、区の役割の拡充や指定都市都道府県調整会議の設置を行う指定都市制度の見直し、特例市制度を廃止し、中核市の要件を人口二十万以上の市に変更するという中核市制度と特例市制度との統合、普通地方公共団体が相互に連携するに当たっての基本的な方針及び役割分担を定める連携協約制度の創設、その他、事務の代替執行制度の創設などです。

 これらの改革については、地方分権を推進する我が党の方針と合致しており、基本的には評価できるものであると考えます。

 しかしながら、指定都市制度に係る見直しの部分については、以下のような点で、不十分な内容であると言わざるを得ません。

 まず、総合区長についてであります。

 指定都市の区長については、本来であれば区長公選制を導入すべきです。その上で、公選区長に対して最大限の権限移譲を行い、完全な人事権や予算編成権などを認めると同時に、そのチェック機能として、議会を設置すべきです。

 しかしながら、本改正案では、総合区長に対する権限移譲が十分ではありません。「総合区長は、」「事務の執行について当該指定都市を代表する」と法定されています。にもかかわらず、区域のまちづくりを推進する事務など、本案に掲げられた事務を執行するに当たり、「法律若しくはこれに基づく政令又は条例により市長が執行することとされたものを除く」とされており、実際には、総合区長が執行可能な事務は限定的になるのではないかと、危惧するところであります。

 人事権などについて、総合区長には、当該総合区の職員の任免権、市長に対し総合区に係る歳入歳出予算についての意見を述べることができる等、これまでの行政区の区長よりも強い権限が与えられることとなっています。

 しかし、指定都市の規則で定める主要な職員の任免に当たっては市長の同意が必要であることや、総合区長の予算については単に意見を述べるにとどまることなど、都市内分権を進めるには不十分な内容となっていると考えます。

 そもそも、本改正案における総合区長は、特別職であり、市長が議会の同意を得て選任することとされてはおりますが、役人であることに変わりはありません。区長公選制としなければ、住民にとっては、自分たちで選んだ自分たちの区長との意識は生まれにくいと思います。

 地域の声に耳を傾け、地域の事務について総合的に責任を持って担うべき総合区長に対して公選制を採用しなかった点は、本改正案の最大の欠点であると言わざるを得ません。

 次に、指定都市都道府県調整会議についてであります。

 同会議は、二重行政の解消を目的として、指定都市と都道府県の協議の場として設けるものです。これまで指定都市や道府県が実際に設置してきた連絡調整の場を法定化するものである点については、一定の評価をすべきと考えます。

 しかし、新しい裁定等の仕組みとして、総務大臣が、指定都市都道府県勧告調整委員の意見を求めた上で勧告を行うこととなっています。日常的に地域の実情を把握する立場にない総務大臣の勧告がどの程度の実効性を持つのか、疑問です。

 また、総務大臣の勧告に従わなければならないとする法的な拘束力がないため、必ずしも解決につながらないのではないかという懸念も残ります。

 さらに、調整会議の構成員として、市長と知事を基本に、議会の選挙で選出された議会の代表者も加えることができるとされています。しかし、議会の代表が調整会議の構成員になるかどうかについては、市長と知事の判断に委ねられており、必ずしも構成員になるとは限りません。議会の代表が構成員になったとしても、調整会議で決議されたことは、その後の議会審議において尊重される仕組みも存在していません。

 このような制度設計のままで果たして指定都市都道府県調整会議が機能するのか、疑問を持たざるを得ません。

 最後に、区常任委員会についてであります。

 第三十次地方制度調査会の答申には、こう記されています。「新たな区の位置付けを踏まえ、区を単位とする住民自治の機能を強化すべきである。区単位の議会の活動を推進するため、市議会内に区選出市議会議員を構成員とし、一又は複数の区を単位とする常任委員会を置き、区長の権限に関する事務の調査や区に係る議案、請願等の審査を行うこととすべきである。」

 この答申を踏まえ、当初、政府は、指定都市に区常任委員会を必置とする案を出そうとしていました。にもかかわらず、その後、法案作成過程において突如見送られた経緯があります。法案作成過程において必置規定がなくなってしまった本改正案は、この点においても、不十分なものであると言わざるを得ません。

 以上のように、本改正案は、指定都市制度に係る見直しの部分について不十分であるため、日本維新の会は、以下の三点を趣旨とする修正案を提出いたしました。

 第一に、指定都市は、総合区長公選制を選択することができること。

 第二に、指定都市の市長は、議会の同意を得て、総合区長を解任するための区民による住民投票を請求することができ、区民の過半数の賛成を得れば、当該総合区長は職を失うこと。

 第三に、総合区長へのチェック機能としての区常任委員会を必置とし、その委員は、当該総合区の区域を選挙区とする議員のうちから選出すること。

 政治主導で真のニア・イズ・ベターを実現するためには、区長公選制を選択できる仕組みが重要であると考えてのことでしたが、否決されてしまったことは、まことに残念であります。

 以上のように、本改正案は不十分なものではありますが、指定都市制度に係る今回の見直しは、昭和三十一年の地方自治法改正により指定都市が創設されて以来、約半世紀ぶりの改正となります。

 日本維新の会としては、今までほとんど手がつけられることのなかった指定都市制度の見直しを行う点を評価し、最終的に、賛成することにいたしました。

 なお、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案についても、国から地方公共団体への事務、権限の移譲と、都道府県から指定都市への事務、権限の移譲とを推進するための関係法律の整備を行うものであり、地方の自立を促進する我が党の方針と基本的に合致しており、賛成するものであります。

 最後に、本地方自治法改正案を契機として、今後さらなる都市内分権が推進されることを強く望み、私の討論を終わります。(拍手)

議長(伊吹文明君) 次に、椎名毅君。

    〔椎名毅君登壇〕

椎名毅君 結いの党の椎名毅です。

 私は、結いの党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方自治法の改正法及び分権一括法について、賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 結いの党は、民間と地域が主役の政党です。党の基本政策の一つが、補完性の原則に基づき、公的事務は、住民に最も身近な地域組織により担われ、それが難しいものについて、より広域の自治体が担うべきと考えられること、このボトムアップの思想で地方自治改革を進め、最終的に、いわゆる道州制を実現することです。

 今般の地方自治法改正案においては、都市内分権の拡充としての総合区の設置や、二重行政解消の道筋をつける指定都市都道府県調整会議の設置など、大都市制度の見直し、連携協約などの新たな広域連携制度の創設という内容であり、また、分権一括法も、権限移譲を進めるものであり、設計思想こそトップダウンですが、現行法よりも住民自治を一歩前進させることから、私たちの立場からも賛同することができます。

 しかし、地方自治法改正は、住民自治の強化につき、物足りないと感じています。

 本改正案は、都市内分権の観点から、指定都市の行政区について選択的に総合区を設置することができること、区長権限の強化を図ることとしていますが、区長には、予算の意見具申が認められるのみで、編成権まではありません。

 また、人事権については、区の事務所などの職員の任免権はあるものの、主要な職員の任免には、市長同意が必要です。

 従前から比べると前進していますが、総合区長がさらに強いリーダーシップを発揮し、区の特性を生かした独自の予算編成、事業の企画等を行うことで区民のニーズにかなった行政を行うという選択肢を認めるためには、住民代表としての性質、すなわち公選区長としての性格を持ち合わせることが必要です。そして、その場合、当然、公選議会による監視が必要です。

 この点、総務委員会内で否決された日本維新の会提出に係る修正案は、区長公選制を導入し、公選区長を選択した総合区については区常任委員会を必置とするなど、傾聴に値する案だったと考えています。

 総理は、委員会答弁において、公選区長について、一つの地方自治体の中に複数の公選職がいることは不適当ではないか、こういう議論があると指摘いたしますが、指定都市は既に基礎自治体としての規模をはるかに超えており、基礎自治体の内部に公選職が複数存在すると考えるのではなく、事実上広域自治体である都道府県と一般市町村とのアナロジーで考えるべきです。

 一部の指定都市代表が訴える特別自治市構想や大阪都構想は、まさに、このような大都市の規模感に対する問題意識から出たものであり、大都市がみずから制度選択を行う選択肢を求める意思の発現です。

 本改正案では、結局、区長公選などの住民自治強化のための都市内分権の選択肢拡充については、今後の課題として先送りされました。非常に残念です。

 私たちは、これら住民自治の強化のための残された課題につき、引き続き不断の取り組みをしていくことをお誓い申し上げまして、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございます。(拍手)

議長(伊吹文明君) 以上をもって討論は終了いたしました。

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 両案を一括して採決をいたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、両案とも委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣

       国務大臣    新藤 義孝君

       法務大臣    谷垣 禎一君

       農林水産大臣  林  芳正君

       経済産業大臣  茂木 敏充君

       国土交通大臣  太田 昭宏君

       国務大臣    菅  義偉君


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