衆議院

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第26号 平成26年5月22日(木曜日)

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平成二十六年五月二十二日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十九号

  平成二十六年五月二十二日

    午後一時開議

 第一 行政不服審査法案(内閣提出)

 第二 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 第三 行政手続法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 投資の促進及び保護に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第六 投資の相互の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とモザンビーク共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第七 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とミャンマー連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第八 航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 第九 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 行政不服審査法案(内閣提出)

 日程第二 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 日程第三 行政手続法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 投資の促進及び保護に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第六 投資の相互の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とモザンビーク共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第七 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とミャンマー連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第八 航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第九 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案(内閣提出)

 学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 行政不服審査法案(内閣提出)

 日程第二 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

 日程第三 行政手続法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) まず、日程第一、行政不服審査法案、日程第二、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、日程第三、行政手続法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長高木陽介君。

    ―――――――――――――

 行政不服審査法案及び同報告書

 行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書

 行政手続法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔高木陽介君登壇〕

高木陽介君 ただいま議題となりました各法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 初めに、行政不服審査法案は、行政庁の処分または不作為に対する不服申し立ての制度について、公正性及び利便性の向上等を図る観点から、抜本的な見直しを行おうとするものであり、不服申し立ての種類を審査請求に一元化するとともに、原処分に関与した者以外から指名される審理員による審理手続、第三者機関である行政不服審査会等への諮問手続を導入するほか、不服申し立てをすることができる期間を六十日から三カ月に延長する等の措置を講じようとするものであります。

 次に、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、行政不服審査法の施行に伴い、三百六十一の関係法律について、不服申し立ての種類の一元化に伴う規定の整備を行うとともに、国税、関税等について、再調査の請求を、社会保険、労働保険等について、再審査請求を設けるなど、所要の規定の整備等を行おうとするものであります。

 最後に、行政手続法の一部を改正する法律案は、処分及び行政指導に関する手続について、国民の権利利益の保護の充実を図るため、法律の要件に適合しない行政指導の中止等を求める制度及び法令に違反する事実の是正のための処分または行政指導を求める制度の整備等を行おうとするものであります。

 各法律案は、去る四月二十一日本委員会に付託され、二十四日新藤総務大臣から提案理由の説明をそれぞれ聴取した後、五月八日から質疑に入り、十三日には参考人からの意見聴取を行い、十五日に質疑を終局しました。

 かくて、去る二十日、行政不服審査法案に対し、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党共同提出による修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、まず、行政不服審査法案の修正案は全会一致をもって、修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。次に、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は賛成多数をもって、行政手続法の一部を改正する法律案は全会一致をもって、いずれも可決すべきものと決しました。

 なお、行政不服審査法案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決を行います。

 まず、日程第一及び第二の両案を一括して採決いたします。

 日程第一の委員長の報告は修正、日程第二の委員長の報告は可決です。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、両案とも委員長報告のとおり議決をいたしました。

 次に、日程第三につき採決をいたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 全会一致。御異議なしと認めます。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 次に、日程第四に移ります。マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長梶山弘志君。

    ―――――――――――――

 マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔梶山弘志君登壇〕

梶山弘志君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、地震に対する安全性が確保されていないマンションの建てかえ等の円滑化を図るため、多数決によりマンション及びその敷地を売却することを可能とする制度を創設する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、耐震性不足の認定を受けたマンションの区分所有者は、五分の四以上の多数で、マンション及びその敷地を売却する旨の決議を行い、売却に合意した区分所有者は、マンション敷地売却組合を設立して売却を行うことができること、

 第二に、耐震性不足の認定を受けたマンションの建てかえにより新たに建築されるマンションで、一定の敷地面積を有し、市街地環境の整備改善に資するものについて、特定行政庁の許可により容積率規制の緩和ができること

などであります。

 本案は、五月十四日本委員会に付託され、十六日太田国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十一日、質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決を行います。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 日程第五 投資の促進及び保護に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第六 投資の相互の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とモザンビーク共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第七 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とミャンマー連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第八 航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

議長(伊吹文明君) 次に、日程第五、投資の促進及び保護に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第六、投資の相互の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とモザンビーク共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第七、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とミャンマー連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第八、航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 投資の促進及び保護に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 投資の相互の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とモザンビーク共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とミャンマー連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鈴木俊一君登壇〕

鈴木俊一君 ただいま議題となりました四件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、日・サウジアラビア投資協定は、平成二十五年四月三十日にジッダにおいて署名されたもので、我が国とサウジアラビアとの間で、投資の拡大により経済関係を一層強化するため、投資財産の設立後における投資家及び投資財産の保護等について定めるものであります。

 次に、日・モザンビーク投資協定は、平成二十五年六月一日に横浜において、日・ミャンマー投資協定は、平成二十五年十二月十五日に東京において、それぞれ署名されたもので、我が国とモザンビーク及びミャンマーとの間で、投資の拡大により経済関係を一層強化するため、投資財産の設立後における投資家及び投資財産の保護について定めるとともに、投資財産の設立段階における内国民待遇等についても定めるものであります。

 最後に、日・ビルマ航空協定改正議定書は、本年一月三十日にヤンゴンにおいて署名されたものであり、協定中の国名をビルマ連邦からミャンマー連邦共和国に改めるとともに、我が国とミャンマーとの間の人的及び物的交流が活発化していることを受け、これをさらに促進するとの観点から、両締約国が指定できる自国の航空企業の数を、現行の一から、一または二以上に改めること等について定めるものであります。

 以上四件は、去る五月十四日外務委員会に付託され、十六日岸田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十一日質疑を行いました。質疑終局後、まず、日・サウジアラビア投資協定、日・モザンビーク投資協定及び日・ミャンマー投資協定について、討論の後、採決を行いました結果、三件はそれぞれ賛成多数をもって承認すべきものと議決し、次に、日・ビルマ航空協定改正議定書について採決を行いました結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、採決を行います。

 まず、日程第五から日程第七の三件を一括して採決をいたします。

 三件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(伊吹文明君) 起立多数。したがって、三件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、日程第八につき採決をいたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、本件は委員長報告のとおり承認することに決しました。

     ――――◇―――――

 日程第九 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案(内閣提出)

議長(伊吹文明君) 日程第九、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長坂本哲志君。

    ―――――――――――――

 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔坂本哲志君登壇〕

坂本哲志君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、地域で育まれた伝統と特性を有する農林水産物、食品のうち、品質等の特性が産地と結びついており、その結びつきを特定できるような名称が付されているものについて、その名称を地理的表示として国に登録し、知的財産として保護する制度を創設することにより、生産業者の利益の保護を図り、もって農林水産業及びその関連産業の発展に寄与し、あわせて需要者の利益を保護しようとするものであります。

 本案は、去る五月十三日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託されました。

 委員会におきましては、翌十四日林農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十一日質疑を行いました。質疑終局後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告を申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 採決を行います。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(伊吹文明君) 御異議なしと認めます。したがって、本案は委員長報告のとおり可決をいたしました。

     ――――◇―――――

 学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(伊吹文明君) それでは、内閣提出、学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部科学大臣下村博文君。

    〔国務大臣下村博文君登壇〕

国務大臣(下村博文君) 学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 大学は国力の源泉であり、各大学が、人材育成、イノベーションの拠点として、教育研究機能を最大限に発揮していくためには、学長のリーダーシップのもとで、戦略的に大学を運営できるガバナンス体制の構築が不可欠であり、学長を補佐する体制の強化、大学運営における権限と責任の一致、学長選考の透明化等の改革を行っていくことが重要であります。

 この法律案は、このような観点から、大学の組織及び運営体制を整備するため、副学長の職務内容を改めるとともに、教授会の役割を明確化するほか、国立大学法人の学長の選考に係る規定の整備を行うなどの必要な措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、副学長が学長の命を受けて校務をつかさどることとしております。

 第二に、教授会は、学生の入学や学位の授与等のほか、教育研究に関する重要な事項で学長が必要と認めるものについて、学長が決定を行うに当たり意見を述べること、また、教育研究に関する事項について審議するとともに、学長等の求めに応じ、意見を述べることができることとしております。

 第三に、国立大学法人の学長選考について、学長選考会議が定める基準により行わなければならないこととするとともに、国立大学法人は、その基準及び選考結果等を公表しなければならないこととしております。

 第四に、国立大学法人の経営協議会の学外委員を過半数とすることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(伊吹文明君) 文部科学大臣の趣旨の説明に対し質疑の通告がありますので、順次これを行います。まず、細野豪志君。

    〔細野豪志君登壇〕

細野豪志君 民主党の細野豪志です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出の学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 法案の中身に入る前に、安倍政権の基本的な姿勢について一言申し上げます。

 安倍政権においては、総理に賛同する人を集め、利用する傾向があります。安保法制懇しかり、NHK会長や経営委員しかり、法制局長官もまたしかりであります。総理の考えを押し通すための我田引水の人事と言っても過言ではありません。

 総理が人事権を行使すること自体は否定しませんが、お友達を重用する政権運営は、多様な意見、自由闊達な議論を阻害する結果となりかねません。

 先日、いわゆる安保法制懇の報告書が提出されました。この懇談会は、名前こそ立派ですが、総理のお友達グループによる個人的な勉強会にすぎず、あたかも大方針が決まったかのような印象を与える安倍総理の記者会見を見て、私は強い違和感を覚えました。

 本来、総理と国民は、説得する側、される側という関係ではないはずです。国の安全保障の重要性を考えれば、与野党が党派を超えた協議を行い、熟議を通じた国民合意を目指す必要があります。総理が、与野党党首に呼びかけて、協議を促してしかるべきであります。与党内のみの閉じた議論を経て憲法の解釈変更を閣議決定するなどというこそくな手法によるのではなく、与野党の協議を重ねた上で、基本法を国会に提出し、国民的な議論に付すべきであります。

 思い起こすべきは、小泉政権のとき、一年間与野党が協議を重ねて有事法制の制定を行ったことであります。

 有事法制制定後の二〇〇四年、民主党と自民党、公明党の三党は、緊急事態基本法を制定することで合意をしています。合意に署名をした自民党の当時の幹事長は、安倍総理御自身であります。総理は残念ながらこの議場の中にはきょうはおられませんが、石破幹事長も、まさに当事者でありましたので、この合意のことはよく覚えておられるかというふうに思います。

 安全保障基本法は、さきの衆議院選挙、参議院選挙で自民党が掲げた公約でもあります。安保法制懇の報告書の中身は、まさに、この緊急事態、安全保障の基本に関するものです。

 安倍政権が、立憲主義に立ち返り、国の根幹にかかわる安全保障の議論を国権の最高機関たる国会で堂々と行うことを重ねて求めて、法案の質問に入ります。

 人づくりは国づくりです。民主党は、結党以来、教育政策を最重要政策と位置づけてまいりました。人こそが、我が国の最大の資源であり、人材育成こそが、我が国の未来を決める最大の課題です。

 大学は、社会の変革を担う人材を育成する場であり、世界に通用する研究成果やイノベーションを創出する知の拠点でもあります。また、社会や企業における大学への期待も、大いに高まっています。時代や社会のニーズに対応して、大学は変革のときを迎えています。

 国立大学法人法は平成十五年に成立しました。その際、衆議院では十項目、参議院では二十三項目の附帯決議が付されています。その中には、学問の自由や大学の自治の重要性、全学的な検討事項として、教授会の役割の重要性に十分な配慮をすること、政府や他法人からの役員選任については節度を持って対応すること、関係職員団体との十分な協議、高等教育に対する財政支出の充実など、重要な項目が数多く含まれています。

 この附帯決議の各項目について政府はどのような措置を講じてきたのか、また、今回の改正案はこの附帯決議をどのように踏まえているのか、具体的な答弁を求めます。

 次に、今回改正案を提出するに至った立法事実を明らかにしていただきたい。

 今回の改正の趣旨は、学長のリーダーシップの確立等のガバナンス改革促進とあります。副学長について、改正案においては、学長を助け、命を受けて校務をつかさどることになります。

 現在、大学でどのような問題が起こっており、なぜ今法律改正が必要なのでしょうか。例を挙げて具体的にお答えをいただきたいというふうに思います。

 次に、学長の権限について伺います。

 改正案が成立すると、学長の権限が大幅に強化されます。大学教員の中から、学長の暴走を懸念する声も上がっています。仮に学長が暴走した場合、歯どめをかける仕組みについてどのように規定しているのでしょうか。答弁を求めます。

 学長の権限が強化されることを考えると、その人選は極めて重要であります。今回の改正によって、安倍総理のお友達が学長に選任されることがふえるのではないか、文科省の官僚の天下りがさらにふえるのではないかとの指摘もあります。この際、文科大臣からはっきりと否定していただきたいと思います。

 次に、教授会のあり方について伺います。

 教授会は、現行法で、重要な事項を審議するためと規定されているため、大学の運営を含めた幅広い事項について審議できる会議となっています。

 改正案では、教授会が意見を述べることができるのは、学生の入学、卒業及び課程の修了、学位の授与についてに限定されました。それ以外の、教育研究に関する重要な事項については、学長が求めた場合のみ意見を述べることができるとされているため、学長の運営方針によっては、教授会の形骸化も懸念されます。

 我が国には、現在、七百八十二の大学があり、その中には、学生数が百人を下回る大学から五万人を超えるものまで存在をしております。大学の自治、自主的、自律的な運営の観点からすれば、大学によって教授会のあり方は多様であってよいと考えます。教授会で多様な意見が出た場合は、時間をかけて合意を形成する努力も重要です。必要なのは、現場で運用しやすい仕組みづくりだと考えます。文科大臣の見解をお伺いします。

 大学が自主的かつ自律的な経営判断を行うためには、学長が一定のリーダーシップを発揮できる体制づくりは必要です。しかし、経営や競争を最優先する余り、学生と教職員が自由に学び、研究にいそしむ環境を後退させるようなことがあってはなりません。

 安倍政権は、教育における国の関与を強めています。

 先般衆議院で可決された地教行法改正案では、いじめなどの緊急事態において大臣の指示権が拡大された一方で、首長には指示権が付与されませんでした。住民の負託を受け、現場を知り得る立場にある首長には、少なくとも大臣と同等の指示権が付与されるべきです。

 沖縄県八重山地区の教科書採択をめぐっても、竹富町に対し、本来であれば県が行うべき是正要求や指導を、国が直接、繰り返し行っています。

 民主党は、地域のことは地域が決めるとの理念から、教育における国の関与は抑制的であるべきと考えております。

 今回の学校教育法改正においては、大学に対する国の関与が強まり、大学の自治が脅かされるのではないかとの懸念の声も上がっています。

 憲法で保障されている学問の自由を守るため、大学は自治を確立してきました。改正案においては、大学の自治はどのように守られるのでしょうか。答弁を求めます。

 大学の改革は、進学を希望する人々に、そこで学ぶチャンスが確保されてこそ意味を持ちます。経済的理由によって大学進学を断念しなければならない若者を減らすために、奨学金制度の充実は極めて重要です。

 民主党政権から引き続き、大学奨学金制度の申し込み資格の拡大や返還期間の延長などが行われていることは、率直に言って評価できます。

 しかしながら、今でも、進学の機会に恵まれない子供たちは存在をしています。特に、児童養護施設で育った子供の大学進学率はわずか一二・三%、専修学校も一〇・三%と、平均を大きく下回っております。親に頼ることのできない子供は、学費の減免措置や通常の奨学金を受けることができたとしても、家賃や生活費を負担することができないため、最初から進学を諦めているケースが多いのが実態です。

 子供の貧困対策として、児童養護施設だけでなく、生活困窮者家庭や一人親家庭への支援を充実させる必要があると考えますが、大臣、いかがでしょうか。

 大学のあり方は、我が国の未来を左右いたします。私が先ほど指摘をした懸念を払拭するための充実した国会審議と、政府の柔軟な対応を求めて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣下村博文君登壇〕

国務大臣(下村博文君) 細野議員から、七つの質問がありました。

 最初に、国立大学法人法の附帯決議について、これまでの措置と今回の改正案への反映についてお尋ねがありました。

 文部科学省及び各国立大学法人は、これまでも、国立大学法人制度の運用について、御指摘の附帯決議の趣旨を十分に踏まえて対応しているものと考えております。

 文科省としては、例えば、学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、自主的、自律的な運営を確保すること、国立大学法人運営費交付金について、各大学が着実に教育研究を発展し得るよう、毎年度、必要額を措置することなどに努めているところであります。

 また、御指摘の附帯決議の内容を踏まえ、今回提出した法律案においては、学長選考会議、経営協議会及び教育研究評議会といった国立大学の教育研究の特性を踏まえて設けられた制度は維持しつつ、それぞれの機関がその役割、機能をより一層適切に発揮できるよう、必要な改正事項を盛り込んだものであります。

 さらに、教授会についても、専門的な観点から重要な役割を果たすことが求められていることに鑑み、その役割の明確化を図ることとしたところであります。

 次に、法律改正の必要性についてお尋ねでありますが、急速な少子化に伴う十八歳人口の減少やグローバル化の進展による国際的な大学間の競争等に各大学が適切に対応していくためには、予算や定員の再配分や、学部再編などの組織の見直し等を、学長のリーダーシップのもとで進めていくことが求められます。

 一方、大学のガバナンスについては、キャンパス移転や予算の配分等の経営に関する事項まで教授会が関与するなど、権限と責任のあり方が明確でない、教育課程や組織の見直しを行う際に、意思決定に時間を要し、迅速な決定ができない、学内の都合が先行し、十分に地域や社会のニーズに応えるような大学運営が行われていないといった課題が指摘されております。

 このため、今回の法律改正により、学長補佐体制の強化、大学運営における権限と責任の一致、学長選考の透明化等の改革を行うことにより、学長がリーダーシップを発揮しやすい環境の整備を目指すものであります。

 次に、学長の暴走をとめる手だてについてのお尋ねでありますが、今回の法律改正は、教授会を初めとした学内の組織が果たすべき役割を明確化するものであり、学長に新たな権限を付与するものではないことから、学長の暴走を助長するものではありません。

 学長にはすぐれた人物が求められる一方、そのチェックの仕組みとして、監事による監査や、自己点検・評価、認証評価等の評価、理事会や学長選考会議等の学長選考組織による業務執行状況の評価等が可能となっております。

 このような仕組みを通じて、大学が自主的、自律的に適切な運営を確保することが可能であると考えております。

 次に、学長選考についてのお尋ねでありますが、学長選考については、法律上、国立大学法人や公立大学法人の場合は学長選考会議が、私立大学の場合は学校法人の最高意思決定機関である理事会が、それぞれの権限と責任に基づき適任者を選ぶ仕組みとなっております。

 今回の改正は、教授会の役割の明確化や国立大学法人の学長選考会議による主体的な選考の促進など、学長がリーダーシップを発揮できるような大学のガバナンス体制の整備を行うものであり、国によって恣意的な学長選任が行われるようになるとの御指摘は当たらないと考えております。

 次に、現場で運用しやすい教授会の仕組みづくりについてのお尋ねでありますが、今回の改正案では、教授会が、教育研究に関する事項について審議する機関であること、決定権者である学長に対して意見を述べる関係にあることを法律上明確に規定したところであります。

 学内で合意形成を図り、自主的、自律的な大学運営を行っていくためには、専門的な観点からの教授会の意見を聴取することは重要であり、教授会のあり方については、法律の趣旨を踏まえて、学長の判断において、各大学の事情に適した仕組みを採用していただきたいと考えております。

 次に、大学の自治についてのお尋ねでありますが、大学における学問の自由は、大学における教授その他の研究者の研究と教授の自由をその内容とするものであり、この学問の自由を保障するため、教育研究に関する大学の自主性を尊重する制度と慣行として、大学の自治を尊重していく必要があります。

 今回の改正は、学長や教授会等の学内の組織について、適切な役割分担のもとで、責任ある運営を行っていく体制を整備するものであり、大学に対する国の関与を強化するものではなく、また、大学の自治が脅かされることもないと考えております。

 次に、困窮している学生等への経済的支援についてお尋ねがありました。

 経済的理由により学生等が進学を断念することがないよう、経済的支援を充実することは重要な課題であると認識しております。

 このため、平成二十六年度予算においては、授業料減免の充実や、無利子奨学金の貸与人員の増員を行うなど、授業料だけでなく、家賃や生活費に関しても支援し、安心して大学等に進学できる環境を整備しております。

 また、将来の収入に応じて返還月額を設定する所得連動返還型奨学金制度を初め、より効果的な経済的支援のあり方について検討しているところでございます。

 児童養護施設出身者であれ、生活困窮家庭や一人親家庭の学生等であれ、経済的に困難な学生が進学を断念することがないよう、今後とも、学生等への経済的支援の一層の充実に努めてまいります。

 以上です。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) 次の質疑者、鈴木望君。

    〔鈴木望君登壇〕

鈴木望君 日本維新の会の鈴木望です。

 私は、日本維新の会を代表して、学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 教育は未来への投資。長期的には最大の成長戦略。これは、いつの時代でも真実でありますし、現在のような、何となく将来が右肩下がりになるのではないのかとの暗い予測が支配している時代にあって、希望であり、明るい将来予測につながるものであります。

 しかし、幾ら教育は未来への投資といっても、投資先がどうしようもない非効率なところであっては、投資はできません。

 今回の法改正の対象である大学の実態はどうでしょうか。

 日本の教育は、初等中等教育の段階では世界のトップを走っております。

 数学の共通テストで世界一位であるとか、誇らしいニュースを耳にしております。昨今は、この状態も揺らいでいるような感じも受けており、初等中等教育の段階でも、見直すべきは見直し、学力レベルの維持向上に努力をしていかなければならないことは言うまでもありません。

 一方で、日本の高等教育はどうでしょうか。

 大学は、若者のレジャーランドとか遊園地とか言われております。本当に勉強したい若者は、大学に籍を置く傍ら、専門学校や各種試験の予備校に通っております。これは誇張でも何でもありません。私は、地方の大学に籍を置いていたことがありますが、残念ながら、現在の大学の実態であります。

 他方で、世界の一流大学に伍して学術研究に覇を競うべき日本の先端大学、大学院の実態はどうでしょうか。

 初等中等教育の段階では世界のトップレベルにあるのに比して、残念ながら、大学段階では、欧米の大学に大きくおくれをとっている状況であります。日本の大学の頂点に君臨する東京大学ですら、世界の中ではトップ二十にも入っていないありさまであります。

 さらに、アジアの大学の台頭にも著しいものがあり、このままでは、日本の高等教育研究機関は、世界から有能な若者を呼び集めるどころではなく、日本の若者からさえも、見限られて、海外の大学を選択されてしまうような状況になりかねません。実態は、そうなりかかっております。大いに危機感を抱くべきであると私は思います。

 ところが、当の大学関係者の危機感が一番薄いのではないでしょうか。数々の改革案が提示されても、何だかんだと理屈をつけて、さっぱり改革が進まない。日本の社会で最高レベルの有識者が集まっているにもかかわらず、今や、日本の社会の中で、最も改革が進まず、旧態依然のままになっているのは、大学ではないでしょうか。

 このような認識について、文科大臣はどう認識しているか、現在の日本の大学が世界の大学の中で置かれている位置に関連して、大臣の認識をお尋ねします。

 私は、大学において改革が一向に進まない原因は、既得権を享受している人々、具体的には、大学の教授会が決定権限を握っているからだと思っております。既得権が改革を阻止しているのです。

 大学における権限と責任のあり方を明確にし、責任をきちんととれる人が決定する。当然のことであります。

 日本維新の会は、自立という概念を大切にしております。まずは、大学という組織が社会から求められている要請を自立的に解決していかなければなりません。自立して自己決定をできる仕組みにすることが重要であります。

 そこで大臣にお尋ねしますが、今までの大学のガバナンスの実態はどうであったか、今回の法律改正によって、大学のガバナンスはどう変わるのか。

 従前は、学長と教授会の関係は、学長は、教授会の中から選ばれ、教授会という意思決定機関のいわば議長のような役割であったと認識をしておりますが、今回の法改正で、どう変わるのでしょうか。

 学長自体が執行機関となれば、一人では大学経営全般をみずから担当することは当然無理ですから、誰かに権限を委譲して、組織として大学運営に当たることが重要であります。

 その意味で、今後は、副学長の役割は飛躍的に重要になると考えますが、副学長は、具体的にどう変わるのか。

 一方で、副学長も、一人では何もできないと考えます。大学の構成員たる各教授や教授会の助けをかりなければならないと思いますが、その意味で、副学長と教授会や各教授との関係はどうなるのか、大臣にお尋ねします。

 ここまで議論を進めてきますと、そもそも教授会の役割とは何かという問いに突き当たります。

 大学は、世界史的には、中世の教会の修道院から発生したと言われております。その段階から、教師の集まりが、学生に対する教授内容、研究課題、その他もろもろを自主的に決定してきた沿革があり、その伝統が大学自治へとつながってきたと認識しております。

 大学の役割は、研究と教育であります。教授会の自治が、歴史的に、研究と教育に大きな役割を果たしてきたことも事実であります。そのよき伝統は守らなければならない。

 一方で、現在の教授会は、一旦構成メンバーになると、その地位は、定年退職するまで安泰であります。極端な事例としては、論文もほとんど出さず教授会にも出席しない、それでも地位は安泰といった事例まで仄聞いたします。

 そのような、教授会の主導で、本来有識者で良識の集まりであるはずの大学が、医学部に見られるような徒弟制度や学閥による身分差別、頑迷固陋の古い制度を一番残している組織体となっております。

 既得権の塊である教授会が、社会の変化に大学を合わせることを拒否し、若手の自由な研究意欲の頭を押さえ、自浄作用が全くきかない組織と化しているのであります。

 教授会の本来の役割とは何か、それを今回の法改正ではどのようにしようとしているのか、教授会は大学の意思決定機関ではないのか、文科大臣にお尋ねします。

 次に、学長のあり方についてお尋ねします。

 学長は、民間の会社でいえば社長に相当し、みずから大学を運営していかなければなりません。

 現在のように大学がふえた状況では、大学といっても千差万別。世界の一流大学と伍して日本の学術研究を引っ張っていく役割の大学もあれば、地域の特徴を生かす役割を担い、特徴を発揮して地域に貢献する大学もあります。大学の果たすべき役割、これから生きていく道筋も千差万別であります。

 学長には、そのような自分の大学の特性を十分に認識してもらい、従来のような金太郎あめ的な大学運営でない大学運営をしてもらう必要があります。

 そのためには、学長の資質が従来より飛躍的に問われる必要があります。

 学長はどう選考されるのか、学長選考会議では学長選考の基準を定めるとしているが、具体的にどのような基準が定められるのか、大臣にお尋ねします。

 次に、経営協議会についてお尋ねします。

 国立大学を国立大学法人化する際に、法律で、大学法人には経営協議会を設けることとされたところであります。

 今回の改正では、経営協議会の学外の有識者の数を、総数の二分の一以上から、過半数とされたわけであります。

 民間の知恵を学外の有識者から取り入れることは、至極真っ当で、自然なことと思います。それがなぜ機能しなかったのか。その理由は、単に、外部の有識者の割合が過半数でなく同数でもよしとする規定に原因があったとは思われません。

 従来でも、法律上は、二分の一を超えて多くの割合を外部の有識者に充てることができたにもかかわらず、なぜ多くの大学法人でそうしなかったのか。この原因究明なしに根本的な解決はないと考えます。

 そこで、経営協議会を設置することとした当初の目的がどのような理由で達成できなかったのか、そして、何ゆえに今回の改正が必要になったのかを大臣にお尋ねします。

 先ほど、大学の沿革から、大学の自治、教授会の自治について言及させていただきました。教授会が自主的に学問や研究の自由を守ることで、学問の自由が守られ、結果として学術研究の進歩に貢献したことは、きちんと認識されなければならないと思います。

 その意味で、今回の改正での懸念事項を質問したいと思います。

 今回の改正では、学長のリーダーシップを強化することを目的にしておりますが、一方で、学長の暴走をとめる手だてはあるのか、文科大臣にお尋ねします。

 大学の改革では、大学のあり方が若手研究者の自由な能力の発揮を妨げているという問題も指摘せざるを得ません。

 日本の大学では、一度教授というポストにつくと、定年になるまで身分安泰ということになります。このようなことは、同じ公務員の身分でも特異ではないでしょうか。

 一般の公務員も、よほどのことがない限り不利益処分はされませんが、職務怠慢等の理由で、課長等のライン職から、参事や官房付、部付などのスタッフ職に配置転換されることは、よくあることであります。

 ところが、大学では、教授は、どこまで行っても教授であります。そのような制度が、教授自体の向上意欲をそぎ、能力のある者の登用が著しく制限されていることにつながっている、そう断じざるを得ません。

 STAP細胞の問題がことし前半の最大の話題の一つとなっておりますが、この問題の背景には、若手研究者の身分の不安定、有期雇用なるがゆえの、与えられた期間内で成果をどうしても出さなければならない、いわば制度上の焦りがあるのではないかと疑念を抱いております。そのしわ寄せは、若手や小保方氏のような女性研究者に来ているのではないでしょうか。

 とかく腰かけ的に見られがちで、本人の意思とは無関係に差別されがちな若手や女性研究者の活用について、森大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。お尋ねいたします。

 私は、教授職も、欧米と同様に、十年なら十年、五年なら五年の有期とし、その間の研究や教育の実績を評価し、教授の入れかえもどんどんすべきと思います。そうすれば、教授会は活性化し、結果として大学改革も進むと考えますが、文科大臣、いかがでしょうか。

 最後に、今回の大学改革は、大改革とはほど遠い改革であると評価せざるを得ません。しかしながら、実態に即して改正すれば効果を発揮するだろうと思われる改革が俎上にのせられております。その意味で、現実に効果を発揮できればと思うところでありますが、効果を発揮できなければ、すぐにでも次の大学改革を断行すべきであります。時代は待っていてくれません。

 その意味で、附則第二条の検討規定では何を想定し、何を検討しようと考えているのか、文科大臣にお尋ねをしまして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣下村博文君登壇〕

国務大臣(下村博文君) 鈴木議員から、九つの質問がありました。

 最初に、日本の大学に対する認識についてお尋ねがありました。

 大学力は国力そのものであり、最近二十年で成長を遂げた世界の国々は、いずれも高等教育を重視しております。その中で、少子高齢化が進む我が国が今後も世界に伍して発展していくには、高度人材の育成を担う大学を、質、量ともに充実していくことが不可欠であります。

 各大学においてもさまざまな取り組みを行っておりますが、例えば、大学生の学習時間が米国と比べて非常に短いとの調査結果もあります。また、大学の国際化のおくれもあり、二〇一三―二〇一四年の、タイムズ・ハイアー・エデュケーション社、これによる世界大学ランキングにおきまして、上位百校に入る我が国の大学は二校にとどまるなど、残念ながら、日本の大学の国際的な評価は高いとは言えない状況にあります。まさに、鈴木議員の大学に対する認識と全く同じであります。

 こうしたことを踏まえ、今後、我が国の大学が、教育研究の質を高め、国際競争力を強化していくことができるよう、迅速な意思決定を可能にするガバナンス改革などに取り組むため、本法案を提出したところであります。

 次に、大学のガバナンスの実態と、改正によりどう変わるのかについてのお尋ねでありますが、大学のガバナンスについては、権限と責任のあり方が明確でない、意思決定に時間を要し、迅速な決定ができていない、学内の都合が優先し、十分に地域や社会のニーズに応えるような大学運営が行われていないといった課題が指摘をされております。

 このため、今回の法律改正によって、学長と教授会の関係について、学長が決定権を有し、教授会は学長に対して意見を述べる立場にある、副学長の権限が拡充され、学長の補佐体制が強化される、学長選考の基準等の公表が義務づけられることによりその手続がより明確になることなどによりまして、学長のリーダーシップのもとで、社会の多様なニーズを踏まえた適切な大学運営が行われることが期待をされます。

 次に、副学長の役割についてのお尋ねでありますが、現行の学校教育法第九十二条第四項では、「副学長は、学長の職務を助ける」のみの規定とされており、その権限は、学長を補佐することにとどまっております。

 今回の改正により、学長の命を受けて校務を処理することが可能となり、また、副学長と教授会や各教授との関係においても、学長の指示のもとで、学長にかわって教授会から意見を聞くことができるようになります。

 次に、教授会の本来の役割についてのお尋ねでありますが、教授会は、本来、教育研究に関する事項について検討を行うことが想定されており、また、法律上は、決定権を有しない審議機関として位置づけられております。

 しかしながら、現行の学校教育法第九十三条では、教授会は、「重要な事項を審議する」とのみの規定であり、その内容が必ずしも明確ではありません。

 そのため、教授会において、予算の配分など大学の経営に関する事項まで広範に審議されている場合や、本来審議機関であるにもかかわらず、実質的に決定機関として運用されている場合があるなど、学長のリーダーシップを阻害しているとの指摘もされております。

 今回の改正では、教授会が本来果たすべき役割を明らかにするため、教授会が、教育研究に関する事項について審議する機関であること、教授会が、決定権者である学長に対して意見を述べる立場にあることなど、教授会の役割を、法律上、明確に規定したところであります。

 次に、学長の選考方法と、学長選考の基準についてのお尋ねがありました。

 国立大学法人の学長は、各国立大学法人に設置されている学長選考会議において選考されます。

 その際、今回の法改正においては、学長選考会議が定める基準により選考を行うことを義務づけることとしております。

 具体的な基準については、学長選考会議が、各大学の特性やミッションを見通した上で主体的に判断しつつ設定するものでありますが、学長に求められる資質、能力、また、学長選考の具体的手続、方法等が盛り込まれることを想定しております。

 次に、経営協議会についての現状と、今回の改正の必要性についてのお尋ねがありました。

 経営協議会は、国立大学の運営に社会のニーズを反映しつつ、その経営基盤を強化する観点から、専門性を有する学外の知見を積極的に活用するために設けられたものでありますが、十分に活用し切れていなかった国立大学法人もありました。

 しかし、近年、国立大学については、産業界等との共同研究や外部資金の増加、地域活性化への貢献に対する要請の高まりなどが見られ、社会のニーズに応えることがさらに求められるようになっております。

 現在、こうした国立大学法人を取り巻く環境変化を踏まえ、経営協議会の学外委員の割合を過半数とする自発的な取り組みも進んできておりますが、全ての国立大学が、社会のニーズを反映する必要性をこれまで以上に認識し、こうした状況の変化に積極的に対応できるよう、経営協議会の役割をより一層発揮する観点から、学外委員の割合を過半数とすることが必要であるものと考えているところであります。

 次に、学長の暴走をとめる手だてについてお尋ねがありました。

 今回の法律改正は、教授会を初めとする学内の組織が果たすべき役割を明確化するものであり、学長に新たな権限を付与するものではないことから、学長の暴走を助長するものではありません。

 学長にはすぐれた人物が求められる一方、そのチェックの仕組みとして、監事による監査や、自己点検・評価、認証評価等の評価、理事会や学長選考会議等の学長選考組織による業務執行状況の評価等が可能となっております。

 このような仕組みを通じて、大学が自主的、自律的に適切な運営を確保することが可能であるというふうに考えております。

 次に、教授の入れかえや若手研究者の活用促進のお尋ねがありました。

 大学においては、多様な経歴、経験を持つ者が切磋琢磨しつつ、その能力を高め、教育研究を活性化させることが重要であります。

 文部科学省においては、これまでも、大学教員の任期制の導入や公募制の推進等を通じて教員の流動性を高めるとともに、若手研究者の活躍を促進するための取り組みを進めてきたところであります。

 また、特に国立大学については、年俸制の導入を促進するなど、人事給与システムの一層の弾力化を支援することとしております。

 今後も引き続き、教育研究が一層活性化するよう、大学の改革を進めてまいります。

 最後に、附則の検討規定の具体的内容についてのお尋ねがありました。

 今回の法改正により、大学のガバナンスは相当程度改善するものと認識をしております。

 しかし、国立大学については、時代の変化の中で、組織、運営について制度改革が強く求められてきた経緯があります。今後の社会経済情勢のさらなる変化を考慮すれば、今回の改正でガバナンス改革が一段落するものではなく、制度改正の実施状況なども踏まえて、今後一層の検討が必要となるものと考えております。

 このため、御指摘の附則を踏まえ、今後、制度改正の実施状況などを検討し、国立大学法人の組織及び運営のあり方に係る幅広い検討を行っていくことを考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣森まさこ君登壇〕

国務大臣(森まさこ君) 女性研究者の活用についてのお尋ねがありました。

 安倍内閣では、女性の活躍を成長戦略の中核に位置づけ、仕事と子育て等の両立が困難な女性研究者等を支援することとしています。

 具体的には、研究と出産、育児、介護等との両立を図るための環境整備を行う大学等に対する支援や、出産、育児により研究を中断した研究者に対する復帰の支援などを実施しているところです。

 若手を初めとする女性研究者が、その能力を発揮し、活躍することができるよう、今後とも支援の充実に取り組んでまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、次の質疑者、宮本岳志君。

    〔宮本岳志君登壇〕

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法等改正案について質問いたします。(拍手)

 戦前、我が国の大学は、官吏養成機関として出発し、帝国大学令第一条では、「帝国大学ハ国家ノ須要ニ応スル学術技芸ヲ教授シ」と定められておりました。

 それが、学生を戦地に送った歴史の教訓から、戦後、大学は、国家目的への奉仕機関から、学術の中心の機関に転換したのであります。憲法が明記する学問の自由と大学の自治は、まさにその保障であると言わねばなりません。

 ところが、本法案は、大学の自治の土台である教授会を骨抜きにし、学長のリーダーシップの確立と称して、学長独断の大学運営を許す、大学自治破壊法案であります。

 教授会が審議できる事項を、学生の入学、卒業及び課程の修了と、学位の授与に限定し、その他は、学長が意見を聞くことが必要であると認める場合に限るなど、教授会の審議権を大きく制約しています。これは、大学自治の組織上の保障をなくし、学問の自由を脅かすものではありませんか。

 教育研究費の配分、教員の業績評価、教員採用などの人事、学部長の選任、カリキュラムの編成や、学部・学科の設置、廃止など、教育研究の重要な事項を、教員の意見も聞かずに、学長が独断で決められることになるのではありませんか。

 私立大学では、理事長の暴走が問題となってきました。文科省から解散命令を受けた堀越学園は、教授会による内部チェックが働かず、理事長の放漫、乱脈によって経営破綻を引き起こしました。このようなワンマン経営を、むしろ助長することになるのではありませんか。

 我が国の大学では、学長は教職員による選挙で選ぶという民主主義の制度が根づいてきました。国立大学では、法人化後も、多くの大学で、選挙の結果に基づき学長を選んでいます。

 法案は、国立大学の学長は、大学のミッションに沿った学長像など、基準を定めて選考するとしています。学長は、教職員の支持を得たかどうかではなく、この基準に合うかどうかで選ばれます。

 しかし、大学のミッションとは、大学の再編統合を視野に入れた文科省の方針ではありませんか。これは、つまり、文科省の方針に沿った人しか学長にさせないということではありませんか。

 しかし、学内で支持されない学長が、どうしてリーダーシップを発揮できるのですか。これでは、学長独裁ともいうべき上意下達の運営がまかり通り、大学から、自由と民主主義が失われます。教育研究への教職員の主体性や活力は、失われていくのではありませんか。

 そして、民主主義のない寒々とした大学では、むしろ、教育研究の質は低下するのではありませんか。

 安倍内閣が大学自治の破壊を進めるのは、財界の強い要望があるからです。政府、財界言いなりの大学に変えるのが、この法案の狙いにほかなりません。

 財界は、大学が産業競争力強化に貢献する人材を育成すべきだとして、大学の再編統合、企業経営の論理を大学に導入することを求めています。さらには、国立大の学費設定の自由化まで主張し、学費の際限のない値上げまで要求しています。

 しかし、そのようなことになれば、最大の被害者は学生ではありませんか。

 国がなすべきは、大学自治の破壊ではなく、学問の自由を保障し、大学の多様な発展に必要な条件整備を行うことであります。

 この間、大学予算は削減され続け、非正規の教員、研究者がふえ、基礎研究が存続できない深刻な危機に直面しています。世界で最低水準の大学予算を抜本的にふやすことこそ、急務ではありませんか。

 日本共産党は、安倍内閣の大学自治破壊を許さず、貧困な大学予算の抜本的拡充に全力を尽くすことを表明し、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣下村博文君登壇〕

国務大臣(下村博文君) 宮本議員から、六つの質問がありました。

 最初に、教授会の審議権についてお尋ねがありました。

 現行の学校教育法第九十三条第一項は、教授会が重要な事項について審議するとされておりますが、その内容が曖昧なため、本来その審議事項として想定されていない経営に関する事項まで審議されている場合もあると指摘があります。

 このため、改正案の第九十三条第三項では、教授会が本来審議すべき内容を、教育研究に関する事項として明確化したところであり、大学の自治や学問の自由を脅かすものという御指摘は当たらないものでございます。

 次に、学長が重要な事項を独断で決めてしまうことに対する懸念についてのお尋ねでありますが、今回の改正案では、学長が決定を行うことに当たって教授会が意見を述べるべき事項として、教育研究に関する専門的観点から、教授会が果たすべき役割を例示したものであります。これ以外の事項についても、専門性を必要とする事項について教員組織の意見を適切に聞いていくことは重要であると考えております。

 法律上、学長は全ての校務に関する最終決定権を有しておりますが、大学全体として教授会等の協力を得ながら運営することが望ましいと考えております。

 次に、今回の法案が理事長の暴走を助長するものではないかとのお尋ねがありました。

 今回の法律改正は学校法人の理事長に新たな権限を付与するものではないことから、ワンマン経営を助長するとの御指摘は当たりません。

 学校法人の理事長の職務執行については、理事会による監督がなされるとともに、監事による監査が行われることとなっております。

 また、仮に、学校法人において法令に違反するなどの事態が生じており、自主的に改善が望めない場合には、先般の私立学校法の改正規定も含め、関係規定に基づき、所轄庁において必要な措置を講ずることができることとされております。

 次に、学長の選考についてのお尋ねがありました。

 国立大学法人の学長は、各国立大学法人に設置されている学長選考会議の権限と責任のもとで選考されるものであります。今回の法改正においては、学長選考会議が定める基準により選考を行うことを義務づけることとしております。

 この具体的な基準については、学長選考会議が各大学の特性やミッションをみずから検討、勘案しつつ主体的に定めるものであり、文部科学省が定めるというものではありません。

 なお、選考された学長がリーダーシップを発揮して大学の教育研究機能を最大限に高めていくためには、教職員への明確なビジョンの提示や丁寧なコミュニケーションを図るなど、教職員の意欲と能力を引き出していくことが重要であると考えます。

 次に、企業経営の論理を大学に導入することについてのお尋ねがありました。

 大学が、産業界を含めたさまざまなステークホルダーの意見を踏まえつつ多様なニーズに応えていくためには、主体性を持って教育研究の充実に取り組むことが肝要であると考えます。

 また、大学のガバナンスは、営利を追求する企業経営とは本質的に異なる点もありますが、権限と責任の明確化などコーポレートガバナンスの考え方が参考となる点もあると考えております。

 御指摘の、国立大学の授業料については、教育の機会均等等の観点からも適正な水準を確保することが必要であり、文部科学省としては、引き続き、学生の経済的負担の軽減を図るために必要な、大学に対する予算措置や奨学金等の充実を図っていきたいと考えております。

 最後に、大学予算の充実についてのお尋ねでありますが、大学は、世界的な教育研究拠点、幅広い教養と高い専門性を備えた人材や社会の各分野を牽引する人材の育成など、国民生活や社会経済の発展に大きく寄与するものであり、高等教育への投資は、社会の発展の礎となる未来への先行投資と言えます。

 しかしながら、我が国の高等教育への公財政支出、対GDP比は、OECD加盟国平均一・一%に対し、最低の水準、〇・五%となっております。

 産業、社会の高度化、グローバル化が進む中、近年大きく成長している国々は、いずれも高等教育を重視しております。大学力は国力そのものであり、我が国においても、その財政基盤の充実強化に向けて力を注いでまいります。

 以上でございます。(拍手)

議長(伊吹文明君) 以上をもって、予定されておりました質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣     新藤 義孝君

       外務大臣     岸田 文雄君

       文部科学大臣   下村 博文君

       農林水産大臣   林  芳正君

       国土交通大臣   太田 昭宏君

       国務大臣     森 まさこ君

 出席副大臣

       文部科学副大臣  西川 京子君


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