衆議院

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第2号 平成26年9月30日(火曜日)

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平成二十六年九月三十日(火曜日)

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 議事日程 第二号

  平成二十六年九月三十日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(伊吹文明君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑

議長(伊吹文明君) 国務大臣の演説に対する質疑を行います。まず、海江田万里君。

    〔海江田万里君登壇〕

海江田万里君 民主党の海江田万里です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、安倍総理の所信表明演説に対し質問いたします。(拍手)

 まず、九月二十七日の御嶽山の噴火によって犠牲になられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族に謹んでお悔やみ申し上げます。二次災害に留意しつつ、いまだに行方不明の方々、負傷された皆さんの一刻も早い救出を政府に要請いたします。

 また、この夏の豪雨災害、広島土砂崩れ災害でも多くの方々が犠牲になられました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 民主党は、いずれの災害においても直ちに対策本部を立ち上げ活動してまいりましたが、今後とも、被災者支援、災害対策に全力で取り組む覚悟でございます。

 政府におかれましても、過去の災害対策を教訓として、救援、救済に全力で臨まれることを要請いたします。

 さて、総理、昨日の所信表明を伺って、私は唖然といたしました。集団的自衛権については何も触れられていません。見事に論議拒否の姿勢を貫いています。また、日本各地での生活の現場での人々の独自の努力をみずからの手柄のように得々と羅列していますが、労働者派遣法の改悪、実質賃金の低下など、都合の悪いことは全部頬かぶりです。

 自分が言いたいことは言いたい放題ですが、国会での議論はしたくない、それで国民の理解が進まなくても国会で絶対多数だから構わない、最近の安倍総理にはそんなおごった態度がにじんでいます。

 この国会で改めて、集団的自衛権問題を初め、国民の皆さんが疑問を持っていること、不安を持っていることについて議論を尽くし、国民に丁寧に説明を行うべきですが、総理の所見を求めます。

 最近、内閣改造で入閣した複数の女性閣僚と、社会的に問題視される団体幹部との過去の写真撮影が問題となり、海外のメディアでも報じられています。

 安倍内閣が国際社会からあらぬ目で見られないためにも、この際、安倍総理は民族差別や偏向したナショナリズムとは相入れず、そのような主張には政府も総理も一切くみせぬことを、はっきりとこの場でお示しいただきたいと思います。

 そして、ヘイトスピーチについては、国連機関からも勧告を受けています。安倍内閣として具体的にどう規制していくのか、お示しください。

 最近、地方議会で、自民党会派議員のアイヌ民族に対する差別発言、アイヌ民族の存在を否定するかの発言がありました。また、東京都議会ではセクハラやじが大きな問題となり、国会でも事例が発覚しました。

 女性議員がふえれば、セクハラやじは減少します。セクハラや差別をなくすためにも、女性議員をいかにふやすかは男女共同参画の戦略的課題でもあり、党派を超えて取り組むべき課題です。議会でのセクハラ禁止の規則、規範の策定や、女性議員クオータ制導入のための検討組織を国会に設けるべきと考えますが、自民党総裁でもある総理の所見を伺います。

 民主党は、もちろん、積極的にこの問題に取り組みたいと考えています。

 さて、安倍総理は、女性の登用を打ち上げていますが、問題の本質を見失っているように私は思います。

 子育てや介護に追われ、仕事との両立に疲れ果てている女性や、非正規雇用で必死に子育てしているシングルマザー、それぞれの境遇で一日一日を何とか乗り切ろうとしている女性たちのことをお忘れではありませんか。家事労働に専心する専業主婦の皆さんも、介護や低年金を初め多くの困難を抱えています。生活や差別に苦しんでいる女性にこそ、支援の手を差し伸べるべきであります。

 輝く女性と総理はおっしゃいますが、輝きたくても輝けない、生活に追われ苦しんでいる女性に総理はどのような施策を講じるのか。それこそ、女性の登用の本質的な課題です。総理の所見を求めます。

 女性の給与水準が低いことは、大変大きな問題です。女性の一般労働者の平均給与は、男性の七割にしかすぎません。そして、非正規労働者の約七割が女性です。女性の短時間労働者の平均給与は、男性の一般労働者の五割です。母子世帯の平均所得は年間二百四十三万円で、シングルマザーの二人に一人が貧困ライン以下の生活を送る現状であります。

 そして、女性の貧困は子供の貧困に直結しています。二〇一二年の子供の貧困率は過去最悪の一六・三%となり、一人親等の世帯の貧困率は五四・六%です。これは、先進国の中で最悪のレベルです。

 ことし八月に閣議決定された子供の貧困対策に関する大綱には、目ぼしい施策が盛り込まれず、失望の声が上がっています。日本でも、諸外国に倣い、改善すべき目標値も定めるべきです。

 民主党は、女性労働者の所得の向上、無料学習支援、給付型奨学金、児童養護政策の拡充などを含め、集中的に対策を講じていくことが必要と考えています。

 総理の、女性を大切にする所見、わけても女性の貧困化の問題についてどう考えるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

 総理は、地方創生を含めて若者の活躍に期待されるとしていますが、その若者たちは、経済的理由で大学を中退したり、ワーキングプアにあえいでいます。総理は、やれば、できると言いますが、若者の活躍の足を引っ張っているのが安倍内閣の政策であることを自覚すべきであります。反論があれば、お聞かせください。

 次に、震災復興対策について伺います。

 東日本大震災から三年半以上の月日が経過しました。復興庁は、七月末に、二〇一三年度の復興予算七兆五千八十九億円の執行率が六四・七%にとどまり、二兆六千五百二十億円余りが年度内に使われなかったと発表しました。

 人件費や資材価格が高騰し、入札不調や人手を確保できず、工期がおくれるケースが相変わらずです。政府・与党の掲げる国土強靱化の名のもとに公共工事が乱発され、結果、最も重要な被災地の復興がおくれるのでは、本末転倒と言わざるを得ません。安倍総理は、この震災復興のおくれについてどのような説明をされるのでしょうか。

 また、来年度で区切りとなる集中復興期間は打ち切られるのでしょうか。安倍総理がこの場で、震災復興の加速、集中復興期間の延長を表明されることを求めます。

 そして、福島第一原発では、いまだに大量の汚染水が発生するなどの困難が続いています。福島の再生なくして日本の再生はなく、オリンピック・パラリンピックの成功もありません。

 総理は、きのうの所信表明で、六年後には、見事に復興をなし遂げた東北の町並みを背に、三陸海岸から仙台湾を通り、福島の浜通りへと、聖火ランナーが走る姿を、世界に向けて発信しようではありませんかと力んでおっしゃいました。しかし、総理のこうしたかけ声は、被災者の方々にとってどう映ったでしょうか。むなしく響いたのではないでしょうか。

 まだ、福島の被災地では、十二万人余りの人が、住みなれた自宅に戻れずに故郷を追われています。

 汚染水処理にしても、現状からどう脱却するのか、六年後の絵そらごとではなく、今からどうするのか、政府の対応について、総理から明らかにしていただきたいと考えます。

 福島原発の事故がまだおさまらない中で、九州電力川内原子力発電所一、二号機の再稼働を推し進めようとする安倍内閣の姿勢が顕著です。原子力規制委員会、地元自治体、それぞれの判断はありますが、再稼働に際して、国が負うべき責任に基づく対策は果たして万全でしょうか。

 立地自治体を初め関係者の理解を得るよう、丁寧な説明、避難計画充実支援などに取り組みますと言うだけでは、余りにも曖昧かつ不十分です。御嶽山の噴火を見ても、避難計画は果たして万全か、影響を受ける周辺自治体、住民の理解は得られているのか、福島原発事故におけるさまざまな事象を参考として、具体的にどのように対処するのかがはっきりしていません。

 日本経済は原発抜きには成り立たないという思い込みに基づく原発神話の復活は、国民が認めません。もう一度政府の責任と対策を点検して、明確にするべきと考えます。避難計画に国が本当に責任を持つのかどうなのか、改めて総理の所見を求めます。

 次に、経済政策について伺います。

 総理は、きのうの演説で、経済最優先で政権運営に当たっていく決意ですと述べましたが、その内容は、成長が最優先、企業がもうけるのが最優先という考え方です。

 こうした安倍総理の経済政策は、世界の潮流から外れた政策であり、日本の著名な経済学者はほとんど、アベノミクスの成長至上主義、企業利益最優先の政策を間違っていると指弾しています。私もそうだと思います。

 私は、安倍総理の経済問題での姿を見ていると、一周おくれのトップランナーという言葉を思います。自分は一番前を走っているつもりかもしれませんが、実は、安倍総理のやっていること、考えていることは、世界の流れから見ると、一周おくれているわけであります。安倍総理も、そのことに一日も早く気がつくべきであります。

 一時的な成長のために格差の固定化、拡大を容認する政策は、成長と分配のバランスをとり、国民の暮らしを守るという政府の最大の責務を放棄するものであります。

 今まさに、安倍経済政策の副作用が表面化し始めています。

 急激な円安により、ガソリン価格は前年比でプラス一〇・四%、電気料金はプラス八・五%など大幅な上昇を見せ、原材料費も値上がりするなど、コストが増大し、特に中小企業の収益は悪化しています。

 総理は、この間、中小企業を中心とする円安によるコスト増大に対して、どのような対策を具体的に打ってきたのか、どういう効果があったのか、お答えいただきたいと思います。

 総理が幾ら自慢しても、賃上げの幅は低いまま推移しています。一方、ガソリン、電気料金だけでなく、生鮮食品が昨年比五・八%上昇するなど、生活必需品も価格上昇する中で、家計は火の車です。実質賃金指数は、去年の七月より一貫して対前年比マイナスを記録しており、本年七月においてもマイナス一・七%を記録しています。

 政府が言う天候不順や駆け込み需要の反動による消費減は、問題の本質ではありません。実質賃金が低下すれば、家計が生活防衛のため節約に走るのはごく自然なことであり、消費が低迷するのは当たり前です。

 総理は、円安による物価上昇を上回る賃金上昇が、中小企業も含めて本当に実現できるといまだにお考えなのか、所見を伺います。

 そして、総理は、この実質賃金の低下という事態をどう説明し、これにどう対処していくつもりですか。民主党が政権時代に行った子ども手当のような、個人の実質可処分所得を拡大し、個人の懐を暖める施策を一つでもお考えでしょうか。お答えください。

 総理が六月に公表した新たな成長戦略の具体的な内容は、大企業偏重で、従来の政策の焼き直し、延長にすぎません。特に、大企業の減税のために中小企業増税の検討を進めていることは、もってのほかであります。

 安倍総理は、地方創生をうたいながら、地方経済を支えている中小企業を潰すのでしょうか。はっきりお答えください。

 今や、非正規労働者は一千九百万人を超えていますが、正規雇用と非正規雇用の賃金、労働条件、社会保険の適用などの格差是正は放置されたままです。

 安倍政権は、この三年間で、非正規労働者から正規労働者に百万人が転換したと自慢します。女性労働者は八十二万人ふえたとも吹聴しています。

 しかし、厚生労働省の調査では、この一年で、パート労働者から一般労働者への移動よりも、一般労働者からパート労働者への移動の方が七万人も多いのです。女性労働者がふえたといいますが、ふえたのは非正規の女性労働者です。これは四十八万人もふえています。

 数字はうそをつかない、しかし、うそつきは数字をよく利用するという西洋の箴言があります。実態を示す数字に目をつむり、自分の都合のいい数字を並べるのは、一国の宰相として品位に欠けると思いますが、いかがでしょうか。

 そして、総理は、後ろめたいのか、所信表明演説では一言も触れませんでしたが、今国会で、性懲りもなく、現実には正社員を減らし、派遣社員をふやす法案、つまり、労働者派遣法改悪案を再提出いたしました。

 派遣は一時的なもの、永久なものであってはならないというのは世界の常識です。世界の常識に反して、派遣で働いている人は一生派遣で働けと言うのでしょうか。お答えください。

 また、安倍総理は、残業代ゼロ制度の導入を狙っています。これは、自民党も含めて前国会において全会一致で成立させた過労死防止法に逆行し、過労死の種をまき、ブラック企業を育成することになりますが、いかがでしょうか。

 安倍総理は、なぜ格差を放置するのか、なぜ女性を痛めつけるのか、明快な答弁を求めます。

 続いて、社会保障と財政について伺います。

 社会保障と税の一体改革は、社会保障の安定と充実が目的でした。しかし、二十六年度予算では、特に社会保障の充実分は消費税増税分の一割にすぎません。

 消費税率引き上げの増収分の二割ほどの金額を社会保障の充実に使うことは、政府と国民の約束です。来年十月に消費税率を一〇%に引き上げる場合には、社会保障の充実分として、二割相当の予算を必ず確保すると約束してください。これは極めて重大な問題です。総理の明快な答弁を求めます。

 塩崎厚生労働大臣は、就任時の記者会見で、経済こそ最優先と高らかに宣言されました。年金資金の積立金を、ベンチャー企業や未公開株への投資もあり得るとも発言しています。

 これが社会保障を推し進める厚生労働大臣の発言でしょうか。私は、一瞬耳を疑いました。

 塩崎大臣は、宣言どおり、年金運用の株式比率を高めることに邁進していますが、株価を上げる目的で巨額の年金原資を使うことは、政府による露骨な株価操作であり、市場をゆがめることになり、これは禁じ手です。市場動向によって年金資金の大損失が出た場合、誰が一体責任をとるのでしょうか。総理大臣ですか、厚生労働大臣ですか。安倍総理の見解を求めます。

 二〇一五年度における基礎的財政収支赤字半減という目標は、将来の国民生活の危機を招かないために、最低限守るべき約束です。

 しかし、安倍総理は、経済対策や国土強靱化を名目に、公共事業のばらまきを推進し、来年度予算の概算要求は、既に百兆円を超えてしまいました。

 法人税減税にも前のめりです。数年で法人実効税率を二〇%台までに引き下げることを目指すとしていますが、そのためには二兆円強の財源が最低限必要です。

 総理は、公共事業によるばらまき、法人税減税を行っても、二〇一五年度における基礎的財政収支赤字半減、二〇二〇年度の基礎的財政収支黒字化は実現できるとお考えですか。明確な答弁を求めます。

 一方で、消費税は逆進性が高い税金ですから、この逆進性を緩和する、例えば給付つき税額控除などの議論もほとんど行われていません。

 消費税増税による低所得者の負担を軽減するために実施された臨時福祉給付金、子育て世帯に対する臨時特例給付金は今年度限りなのか。それとも、民主党が主張している給付つき税額控除制度のような、抜本的な逆進性対策導入まで今後も続けていくおつもりなのか。この際、総理の方針をお示しいただきたいと思います。

 さらに、政府の行政改革努力についても伺います。

 安倍内閣の行政改革とは、一体どのようなものですか。行政事業レビューは形骸化し、独立行政法人改革も、その質、量ともに骨抜きです。

 安倍内閣において、なぜ行政改革が進まず、後退しているのか、総理から国民の皆さんにわかりやすくお答えいただきたいと思います。

 公務員の天下りも復活の兆しを見せています。

 安倍政権発足以来、天下りが復活しています。例えば、商工中金、日本公庫、JBIC、JTなど、民間出身者をこれまでトップに据えてきたポストは、軒並み財務省や経産省出身者にかわりました。農水関連の独法の役員も農水省出身者に戻っています。文科省から大学法人への再就職も目立ち始めています。

 安倍総理は、なぜ天下りの復活を容認しているのか、国民の皆さんに説明をしていただきたいと思います。

 安倍総理は、地方創生本部の基本方針で、ばらまき型の投資などの手法はとらない、各府省庁の縦割りを排除し、ワンストップ型の政策を展開するとしています。

 しかし、安倍内閣が各省に指示し、作成させた概算要求は、各府省が地方創生関連という冠をつけて、特別枠を狙って、完全縦割りの水膨ればらまき予算要求を行っています。方針が全く矛盾しています。この点について、総理はどのようにお考えでしょうか。

 地方分権改革推進本部が、地方公共団体への事務、権限の移譲や規制緩和について、地方などから提言を募集しました。百二十六団体から九百五十三件の提案がありました。しかし、それに対する各府省からの第一次回答は、実施するがたったの九件、手挙げ方式により実施がたった一件という悲惨な結果です。八百件余りは対応不可という、実にあきれたものでした。

 これは総理の責任でやり直すべきです。各省の態度は地方創生への反逆です。総理の所見を伺います。

 安倍政権では、民主党が推し進めた、地方による自主的な事業選択を可能とする一括交付金を廃止し、従来型のひもつき補助金を復活させてしまいました。しかし、今になって、一括交付金の復活を考えるとも言われています。その無責任さにあきれています。なぜ廃止したのか、まずその責任をはっきりさせ、釈明するべきです。総理の所見を求めます。

 次に、外交、防衛について伺います。

 二〇一二年末に安倍政権が発足してから一年九カ月もの間、隣国である中国や韓国と一度も首脳会談を持つことができない状況は、世界からも異常な事態だと見られています。

 国益を守るためには対話が重要です。両国に、安倍総理の歴史認識に関する不用意な発言や行動が無用な挑発と受けとめられ、日本のイメージダウン戦略に利用されています。ドアは開いているから来いと言うだけでは外交とは言えません。

 ニューヨークの国連総会では、日中、日韓の外相会談は実現しました。しかし、首脳会談の実現はまだ見通しがついていないのが現実です。首脳会談の実現に向けて、安倍総理自身はどのような環境整備を進めるのか、いつ、どこで首脳会談を実現させるのか、所見を求めます。

 そして、所信表明においては北方領土返還については一言も触れていませんが、日ロ首脳会談はどうなったのでしょうか。明快な答弁を求めます。

 また、北朝鮮の拉致事件解決のための調査報告がおくれています。民主党は、政府の活動を全面的に支援する決意でありますが、この間の報告の立ちおくれや北朝鮮の発信内容に危惧を抱いています。

 安倍総理は、みずからの手で拉致事件を解決すると約束されました。なぜ調査報告がおくれているのか、政府認定の拉致被害者の生存情報の集約はどうなっているのか、きのうの瀋陽での政府間協議も踏まえて、国民の皆さんにこの場ででき得る限りの情報開示をしてください。

 閣議決定による憲法解釈の変更に基づく集団的自衛権の行使の議論は、一体どうなったのでしょうか。政府が示した十五事例について、具体的にどのような整理がされたのでしょうか。国民には何の説明もないまま、議論は来年の予算成立以降に棚上げされようとしています。一方で、日米ガイドラインの協議は進められています。

 国会での議論は先送り、国是と言ってよい専守防衛は風前のともしび、武力行使の新三要件に歯どめなしという安倍総理のやり方は、立憲政治を根底から否定するものであります。

 議論ができない、法案が提出できないというのなら、なぜ閣議決定を七月一日にしたのですか。なぜ法案審議が来年の四月以降なのでしょうか。なぜ法案審議の前に日米ガイドラインの改定が実質的に進められるのか。総理の明快な答弁を求めます。

 さらに、いわゆるグレーゾーン事態について閣議決定で言及されていますが、抽象的な文言が並んでいるだけです。政府は、グレーゾーン事態に対する対応について、運用の改善で終わらせるのか、それとも、領域警備法などの抜本的な法整備を行うのか、明確な方針をこの場でお示しください。

 また、菅官房長官は、今月十七日に沖縄県を訪問し、米軍普天間基地を二〇一九年二月をめどに運用停止を目指す方針を表明しました。仲井真知事を初め沖縄県の要請の柱であり、ぜひこの約束を守っていただきたいと考えますが、安倍総理本人からも、二〇一九年二月をめどに普天間基地を運用停止することを、この場で約束してください。

 また、内閣として約束する以上、米国側と合意が前提ですが、日米合意の進捗状況について、この場で安倍総理から情報開示をお願いします。

 さらに、米軍基地内の環境保全に関する新たな日米協定の締結に向けた協議も進んでいると聞きますが、いつまでにまとめるのか、期限についてもあわせて伺います。

 次に、政治改革について伺います。

 衆参の一票の格差是正のための選挙制度改革のおくれは、政治家みずからが身を切るとの国民との約束を踏みにじるものであります。

 衆議院における定数削減は、消費税率引き上げ、国会解散における、当時の野田総理と安倍自民党総裁のかたい約束であったはずですが、既に約束の履行は一年以上にわたりおくれています。これは極めて異常なことです。

 しかし、ようやく、第三者機関である衆議院選挙制度に関する調査会が発足しました。私は、次の総選挙は、定数削減、一票の格差を是正した新制度で行うことが最低限の政治の責任だと考えます。したがって、第三者機関が、現行選挙制度を前提とした定数削減と一票の格差是正について早期に実りある答申を行い、各党の協力によって改革が前進することを期待します。

 定数削減を国民に約束したのは、安倍総理、あなた自身であります。次の総選挙には必ず間に合うように改革を実施すると、改めてこの場で国民に約束していただきたい。明快な答弁を求めます。

 また、参議院の選挙制度改革は、与党である自民党の混乱、党内事情によって振り回され、議論がおくれています。安倍総理は、改革実現に向けてリーダーシップをぜひ発揮していただきたいと思います。議論のおくれにどう責任を果たすのか、明確な所見を求めます。

 そして、身を切ると言いながら、肥え太ろうとしている、それが経団連による企業献金のあっせん再開です。

 震災復興のための法人税負担は廃止する、さらに法人税減税を約束する、経団連が要請している原発再稼働に邁進する、その見返りがこのあっせん再開でしょうか。

 安倍総理は、なぜ国民には負担を求め、大企業には税負担ではなく自民党への企業献金を求めるのか、政治献金で政策を切り売りするのか、国民にわかるように御説明ください。

 そして、集団的自衛権に関する強引な閣議決定、円安による急激な物価の上昇により国民生活の厳しさが増すなど、実体経済においてアベノミクスの副作用が進行し、安倍内閣の経済政策に対する期待はしぼみ、不満が高まっています。こうした安倍政権に対する国民の声を正面から受けとめ、国政に反映していくことが、野党第一党である民主党の責務です。

 民主党も、臨時国会前に体制整備を行いました。この新しい体制で、全党一丸となって安倍内閣としっかりと対峙してまいります。

 民主党は、専守防衛に徹し、軍事大国にならないとの基本理念を堅持します。そして、格差拡大に歯どめをかけ、日本に分厚い中間層を再生させます。民主党は、多様性を尊重し、全ての人に出番と居場所がある共生社会を目指します。年金を初めとする社会保障の持続性と財政の持続性を可能とし、女性の雇用と所得の向上を求めます。

 民主党は、具体的な政策を提示し、安倍政権とは異なる選択肢があることを国民にお示しいたします。

 民主党はこの責任を果たしていくことをお約束し、代表質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 海江田万里議員にお答えをいたします。

 海江田議員からは、二十七問質問をいただいておりますが、答弁漏れのないように、かつ簡潔にお答えをしたいと思います。

 御嶽山の噴火や土砂災害への対応についてお尋ねがありました。

 まず、今般の御嶽山の噴火及び各地で発生した豪雨、土砂災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に対して心からお見舞いを申し上げます。

 御嶽山の現場では、噴火活動が続く中、警察、消防、自衛隊による懸命の救助活動が行われていますが、いまだ連絡のとれない方がおられます。

 政府としては、関係機関が一体となって、引き続き救出活動に全力を尽くしてまいります。

 また、こうした災害の経験を踏まえ、国民の生命と財産を守るため、必要な法整備も含め、政府一丸となって防災対策に全力で取り組んでまいります。

 国会での説明責任についてお尋ねがありました。

 政府の考え方について、国会から求められれば、丁寧に説明すべきは当然であります。少なくとも、自公連立政権には、海江田議員御指摘の議論拒否などという発想は毛頭ございません。

 七月、新たな安全保障法制について閣議決定した際にも、国会閉会中ではありましたが、衆参両院の予算委員会での審議に、私自身も含め積極的に対応させていただいたところであります。

 全ては国家国民のため、建設的な議論を行い結果を出すことが、私たち国会議員に課せられた使命であります。

 この臨時国会においても、ぜひ海江田議員と、それぞれの立場を国民の前に明らかにしながら、建設的な議論を行ってまいりたいと考えております。

 ヘイトスピーチについてお尋ねがありました。

 一部の国、民族を排除しようという言動のあることは極めて残念であり、あってはならないことと考えております。

 いわゆるヘイトスピーチと言われる言動の規制については、個々の事案の具体的状況を検討する必要があり、一概に申し上げることは困難でありますが、自民党における検討や国民的な議論の深まりを踏まえ、考えてまいります。

 いずれにせよ、今後とも、一人一人の人権が尊重される、豊かで安心できる成熟した社会を実現するため、教育や啓発の充実に努めてまいります。

 女性議員をふやすことについてお尋ねがありました。

 政治における女性の参画拡大は、男女共同参画社会の実現にとって重要な課題であると認識しております。

 私の政権では、昨年、各政党に対して、議員候補者や党役員における女性の役割が高まるよう要請を行ったところであります。また、今般の内閣改造、党役員人事においては、率先して女性の積極的な登用を行っております。

 議員御提案の国会の組織等につきましては、今後、国会において適切に御判断されるべきものと考えております。

 全ての女性が輝くための取り組みに関するお尋ねがありました。

 私が目指しているのは、全ての女性が生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会であります。

 御指摘の、子育てや介護に追われている方やシングルマザーの方々なども含め、さまざまな事情により厳しい状況にある方にも、その持てる能力を最大限発揮し、希望を持って生活できる社会をつくっていくことが必要です。

 このため、安心して育児をできる環境の整備、働く女性の処遇改善、母子家庭への支援等、さまざまな状況にある女性を応援する政策を推進することとしており、近く、全ての女性が輝く政策パッケージを取りまとめてまいります。

 子供や女性の貧困に関するお尋ねがありました。

 子供の貧困は、母子家庭などの女性の貧困の問題と密接な関係があります。一人で子育てを行いながら懸命に働いているものの、生活が不安定な女性は少なくありません。

 このため、母子家庭に対する生活支援や就業支援を組み合わせた包括的な支援を行うとともに、子供の貧困対策に関する大綱に基づき、保護者と子供の支援を総合的に行い、貧困が世代を超えて連鎖することを防止してまいります。また、来年四月に施行する生活困窮者自立支援法に基づいた支援を着実に進めてまいります。

 若者の活躍と大学中退、ワーキングプアについてのお尋ねがありました。

 御指摘の大学中退については、家庭の経済状況によって勉学を断念することのないよう、今後とも、奨学金事業や授業料の減免等を通じ、学生等の経済的負担の軽減を図ってまいります。

 また、若者の安定就労やフリーター等の正規雇用に向けた取り組みを進めるとともに、総合的な若者雇用対策について法的整備を含め検討し、次期通常国会への法案提出を目指してまいります。

 これらの施策などにより、地方創生の観点も含め、若者が将来に夢や希望を抱きチャレンジできるようにしてまいります。

 被災地における復興事業のおくれと集中復興期間の延長についてお尋ねがありました。

 被災地の復興事業を優先的に進めるため、政府としては、これまで、人材や資材を円滑に確保するため、発注規模の大型化や生コンクリートのプラントの増設などを行ったほか、実勢価格を適切に反映するため、労務単価を引き上げるなど、五度にわたり加速化策を打ち出してまいりました。

 こうした対策により、復興事業は全体として着実に進んでおります。

 五年間の集中復興期間は来年度で区切りとなりますが、二十八年度以降も、被災地の一日も早い復興のため、しっかり対応してまいります。

 福島の復興再生に向けた取り組み及び汚染水対策に関する政府の取り組みについてお尋ねがありました。

 福島の復興再生については、早期に帰還される方、長期に避難をされる方、それぞれに沿って、安全、安心対策、十分な賠償、帰還支援の充実などの対策を講じています。

 汚染水対策についても、東京電力任せにせず、国も前面に立って取り組んでまいります。

 このため、政府としても、世界から最先端の技術を集めるとともに、高性能の汚染処理設備の開発導入など、全力を挙げて対応してまいります。

 この結果、一歩ずつ着実に取り組みが進んでいます。

 避難計画等、原子力発電所の再稼働に関する対応についてのお尋ねがありました。

 いかなる事情よりも安全性を最優先させる前提のもと、原子力規制委員会により世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合すると認められた原発については、その科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進めていく方針です。

 地域防災計画、避難計画は、地域の実情に応じた内容とする必要があることから、災害対策基本法に基づき地方自治体が策定しますが、政府としても、関係省庁を挙げて、関係自治体が行う地域防災計画、避難計画の作成、充実化への支援に取り組んでおります。

 川内地域の避難計画を含む地域の緊急時対応については、先日、関係省庁、鹿児島県、関係市町が参加したワーキングチームで、IAEAの国際基準や国の指針に沿った具体的かつ合理的なものになっていることを確認し、その結果を私が議長を務める原子力防災会議で了承しました。

 今後、これ以外の地域についても、順次同様の取り組みを進めていく方針です。

 中小企業を中心とする円安によるコスト増大に対する政策とその効果についてのお尋ねがありました。

 コスト増などにより厳しい経営環境に置かれた中小・小規模事業者の方々には、政府系金融機関によるセーフティーネット貸し付けにより、八月末までの半年余りで約八万七千件、一兆九千億円の支援を行い、資金繰り支援に万全を期しているところです。

 また、エネルギーコスト上昇の影響緩和のため、二十五年度補正予算以来これまで、約千百件の中小・小規模事業者に、先端省エネ設備の導入を支援しています。

 さらに、円安方向の動きに伴うコスト上昇分を転嫁できない場合を含め、下請代金の減額や買いたたきなど、下請代金支払遅延等防止法に違反した行為に対し、厳正な取り締まりを行っております。

 今後も、引き続き、中小・小規模事業者対策に万全を期すとともに、電力システム改革、北米からのシェールガス、LNG供給の実現などに取り組み、コスト上昇の影響緩和に取り組んでまいります。

 賃金上昇についてお尋ねがありました。

 三本の矢の効果もあり、経済の好循環が生まれ始めています。ことしの春闘での賃上げ率は、過去十五年間で最高となっております。

 また、一人当たりの名目賃金に雇用者数を乗じた民全体の所得、賃金である雇用者所得は、昨年四月以降上昇基調にあります。

 一方、今般の物価上昇により、まだ賃金の上昇を実感しづらい状況であることも事実です。

 このため、政労使の会議での議論などを通じ、経済の好循環拡大に向けた環境整備を図り、賃金が毎年しっかりふえていく状況を実現してまいります。

 地方経済を支える中小企業についてお尋ねがありました。

 地方創生のためには、地域の中小企業、小規模事業者の活性化が何より重要です。今回改訂した日本再興戦略においても、ローカル・アベノミクスを主要な施策の一つとして位置づけており、大企業偏重との指摘は当たりません。

 個人保証偏重の慣行を断ち切るとともに、今国会で、政府調達において創業から十年未満の企業を優先するための枠組みを新たにつくるための法案や、地域ならではの資源を活用したふるさと名物の商品化、販売開拓の努力を後押しするための法案の提出を検討するなど、地方経済を支える中小企業、小規模事業者をより一層支援してまいります。

 なお、今後、法人税改革の議論を進めるに当たっては、中小企業、小規模事業者への配慮の観点も含め、年末に向けて検討してまいります。

 女性労働者数、労働者派遣法改正案、労働時間制度の見直し等についてお尋ねがありました。

 非正規から正規に移行した雇用者数が、五四半期連続で前年から増加していることなどにより、雇用者に占める非正規比率は低下しています。また、女性の雇用者数は、平成二十四年第四・四半期以降増加しており、かつ、足元では、非正規の比率が下がっております。

 労働者派遣法改正案は、キャリアコンサルティングや計画的な教育訓練等の実施を派遣会社に義務づけるなど、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップを支援するものであり、派遣で一生働くことになるとの御指摘は全く当たりません。

 新たな労働時間制度については、希望しない人には適用しない、職務が明確で、高い職業能力を持つ人材に絞る、賃金が下がることのないようにするとの三原則のもと検討を進めており、残業代ゼロ制度とは全く異なるものであり、そのようなレッテル張りは不適当と考えます。

 以上のように、安倍内閣としては、全ての人々が生きがいを持って働くことができ、何度でもチャンスを与えられる環境をつくっていくことが重要と考えており、格差を放置する、女性を痛めつけるとの御指摘は当たりません。

 消費税率の引き上げと社会保障の充実についてお尋ねがありました。

 今年度の消費税率引き上げによる増収分については、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げに充てた上で、それ以外の社会保障の安定化と社会保障の充実に適切に充当することとし、社会保障の充当に約〇・五兆円を充てることとしたところであります。

 消費税率の一〇%への引き上げは、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断していくこととなりますが、仮に消費税率を一〇%に引き上げた場合には、二割程度を社会保障の充実に充てることとなり、平成二十七年度は一・八兆円強を充てることになると見込まれます。

 年金積立金の運用についてお尋ねがありました。

 年金積立金の運用は、年金制度の一部として、所管大臣である厚生労働大臣の責任のもとで、専ら被保険者のために行われており、政権交代のあった平成二十四年第四・四半期から直近まで約一年九カ月、安倍政権ができて一年九カ月、約二十五兆円の運用収益が出ております。

 デフレ脱却に向けた経済、運用環境の変化の中で、基本ポートフォリオについても機動的に見直すことが、年金財政の安定、ひいては年金受給者の利益にもつながります。こうした運用の見直しは、株価対策を目的とするものではありませんが、結果として、日本経済の成長にも貢献するものであると考えています。

 財政健全化目標の実現についてお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、経済再生と財政健全化の両立を図ることにより、国、地方の基礎的財政収支に関する財政健全化目標の達成を目指します。

 来年度は、半減目標の達成時期に当たります。この達成に向け、デフレからの脱却、経済再生を確実なものとしつつ、歳出歳入両面の取り組みを進めてまいります。

 臨時福祉給付金及び子育て世帯臨時特例給付金についてお尋ねがありました。

 税制抜本改革法においては、消費税率引き上げによる低所得者への影響に配慮する観点から、総合合算制度、給付つき税額控除、複数税率等について検討を行い、その結果に基づき導入する施策の実現までの間の暫定的及び臨時的な措置として、簡素な給付措置を実施することとされております。

 消費税率の引き上げに伴う低所得者対策については、この規定に基づき対応してまいります。

 行政改革と天下りについてのお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、行政改革を進め、無駄の撲滅への不断の努力、取り組みを進めております。

 行政事業レビューについては、政権交代後、基金シートの作成、公表や外部チェックの重点化などの改善策を講じ、より効果的に実施しております。

 独立行政法人改革については、さきの通常国会で、民主党を含む各党の御賛同を得て独法通則法の改正案が成立したところであり、各法人の組織の見直しについても、政策実施機能の向上と官のスリム化を両立できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

 国家公務員の再就職については、再就職等監視委員会による監視のもと、公務員OBの口きき、予算、権限を背景とした再就職の押しつけ等の不適切な行為を厳格に規制し、再就職に関する国民の疑念を払拭してまいります。

 各府省の概算要求の状況と、まち・ひと・しごと創生本部で決定した基本方針との整合性につき、お尋ねがありました。

 私のもとに設置したまち・ひと・しごと創生本部には、各省の企画立案機能を集中させており、政策の企画立案、実行に当たっては、地方創生担当大臣のもと、一元的、効果的に政策を実施する体制としています。

 この体制のもと、地方創生の推進に当たっては、各地方の発意に基づく自主的な取り組みを後押しすることを基本としており、国の示す枠にはめるような手法はとりません。また、各省の施策の効果検証を厳格に実施することにより、限られた財源の中で効果の高い政策を集中的に実施することとし、ばらまき型の投資は行いません。

 地方分権改革についてお尋ねがありました。

 元気で豊かな地方を創生していくためには、地方の自主性を高める地方分権改革の推進が不可欠です。地方からいただいた提案については、現在、有識者会議の議論も踏まえ、さらに検討を深めているところであり、提案の最大限の実現に向けて取り組んでまいります。

 地域自主戦略交付金については、手続の煩雑さなどさまざまな問題点が指摘されていたことから、昨年度廃止し、地方からの意見を踏まえ、運用改善を図った上で、各省庁の交付金等に移行しました。

 今後も、地方の意見を踏まえた不断の検討を行い、真に地方にとって効果が高く、使い勝手のよい施策の仕組みづくりを推進してまいります。

 日中、日韓、日ロの首脳会談についてお尋ねがありました。

 中国には、APECで十一月に北京を訪問する予定であり、その際に日中首脳会談ができればよいと考えております。そのためにも、両国が互いに静かな努力を重ねていくことが必要であります。

 韓国とも、一歩一歩お互いに努力を重ね、さまざまな国際会議の機会に首脳会談ができればよいと考えております。

 ロシアとは、十一月の北京APECの際の首脳会談の可能性を含め、今後も対話を積み重ねながら、我が国の国益に資するよう日ロ関係を進めていく考えです。

 北方領土問題については、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、粘り強く交渉に取り組んでまいります。

 拉致問題についてお尋ねがありました。

 北朝鮮の特別調査委員会による調査については、北朝鮮側が誠意を持って迅速に調査を行い、その結果を速やかに通報すべきと考えています。

 こうした観点から、二十九日の瀋陽における外交当局間会合の開催を日本側から提案し、その会合において、調査の現状を聴取するとともに、北朝鮮側に、調査を迅速に行い、その結果を速やかに通報するよう強く求めたところであります。

 北朝鮮との交渉の最中であるので、情報開示にはおのずと制約がありますが、全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き締めるその日まで私たちの使命は終わらないとの決意で、今後とも、全ての拉致被害者の帰国に向けて、対話と圧力、行動対行動の原則を貫き、全力を尽くしてまいります。

 十五事例への対応、安全保障法制の整備と日米ガイドライン及びいわゆるグレーゾーン事態への対応方針についてお尋ねがありました。

 十五事例は、その全てが集団的自衛権の行使を必要とする事例ではありませんが、事例集の八から十五までの事例については、新三要件を満たす場合には、国際法上、集団的自衛権が根拠となる、自衛の措置としての武力の行使が憲法上許されると考えています。

 政府としては、先般閣議決定で示された基本方針のもと、切れ目のない安全保障法制の整備に向けた準備を精力的に進めています。

 いわゆるグレーゾーンに関するものから集団的自衛権に関するもの、さらにはPKO活動にかかわるものまで、内容は非常に幅広く、膨大な作業であるため、少し時間がかかると考えていますが、今後、与党とも相談の上、国会に法案を提出し、御審議をいただきたいと考えております。

 日米ガイドラインの見直しと国内法整備については、両者を整合させて進めてまいります。

 また、武力攻撃に至らない侵害への対処については、自衛隊が米軍部隊の武器等を防護し得るよう法整備を行うこととしていますが、近傍に警察力が存在しない場合等の対応に関しては、現時点では法整備を行う必要があるとの認識には至っておらず、運用の改善を検討することとしています。

 他方、先般の閣議決定を踏まえ検討を行った結果、政府として法整備が必要であるという認識に至れば、与党において改めて議論していただくことになると考えています。

 普天間飛行場の五年以内の運用停止や日米地位協定の環境補足協定についてお尋ねがありました。

 普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む仲井真知事からの御要望は、沖縄県民全体の思いとしてしっかり受けとめ、日本政府としてできることは全て行うというのが、安倍政権の基本姿勢であります。

 このうち、普天間の運用停止については、沖縄県より、本年二月から五年をめどとするとの考え方が示されており、政府としては、そのような沖縄県のお考えに基づいて取り組んでまいります。

 米国との関係では、日米首脳会談において、私からオバマ大統領に対し、直接、知事の御要望について説明し、米国のさらなる協力を要請しました。オバマ大統領からも、沖縄の負担軽減に引き続き取り組みたいとの発言があったところであり、米国とは緊密に協力しながら進めているところです。

 日米地位協定の環境補足協定については、早期妥結に向けて日米で協力していくことで閣僚間で一致しており、できるだけ早くよい成果を上げられるよう、引き続き全力を尽くしてまいります。

 米国を初め、相手のあることではありますが、目に見える負担軽減を図っていくため、引き続き、政府を挙げて、その実現に向けて全力で取り組んでまいります。

 衆議院の定数削減と参議院の選挙制度改革についてお尋ねがありました。

 議員の定数や一票の格差に関する問題は、議会政治の根幹にかかわる重要な課題であり、与党がリーダーシップを発揮し、各党各会派と真摯に議論を行い、早期に結論を得ることが大切と考えています。

 衆議院及び参議院において、現在、それぞれ第三者機関や議員による協議機関でさまざまな議論が行われていると承知しています。各党各会派により建設的な議論が進められ、政治の責任において国民の負託にしっかりと応えてまいるべきものと考えております。

 企業献金についてお尋ねがありました。

 政治活動に対する献金のあり方については、長年の議論を経て、企業・団体献金は政党等に対するものに限定されるなど、改革が行われてまいりました。

 私は、企業、団体が政党等に献金することが不適切なものとは考えていませんが、この問題は、民主主義の費用をどのように国民が負担していくかという観点から、各党各会派において十分御議論をいただくべきものと考えております。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(伊吹文明君) それでは、次の質疑者、谷垣禎一君。

    〔谷垣禎一君登壇〕

谷垣禎一君 自由民主党を代表して、安倍内閣総理大臣の所信に対し、質問いたします。(拍手)

 九月二十七日午前十一時五十二分ごろ、御嶽山で噴火が発生しました。現時点で、行方不明者等の正確な人数は把握できていない状況ですが、一人でも多くの方の生存を心よりお祈り申し上げますとともに、犠牲となられた方に、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。また、危険な状況の中、今も捜索救助活動を行っている警察、消防、自衛隊、その他の方々に、心より敬意を表したいと思います。

 ことしの夏は、全国各地で記録的な豪雨による災害が起きました。

 七月の長野県南木曽町の土石流災害、八月の京都府福知山市や兵庫県丹波市の豪雨災害、そして広島市の土砂災害等があり、多くの方が犠牲となられました。謹んで御冥福をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 特に、広島市の土砂災害において、美しい自然に囲まれ、笑顔があふれていた家々が一瞬にして土砂にのまれ、愛する人の命が奪われていったその光景は、筆舌に尽くしがたい惨劇でありました。避難生活も長期化しており、一日も早い復旧、生活再建のために全力を挙げることを政府に強く求めます。

 ことしに限らず、近年、我が国では、台風、集中豪雨、竜巻、地震等の自然災害が多発しています。そして、今後も、数十年に一度や、今まで経験したことのないというような、以前は見られなかった大規模な災害が多発する可能性もあります。

 こうした状況を鑑みれば、既存の法律では対応できない災害に関する法整備が急務であることは明白です。

 災害対策にはスピードが不可欠でありますが、今般、総理は、災害対策基本法の改正案の提出や土砂災害対策の制度見直しを明言されました。

 安倍内閣として、国民の命と暮らしを守るためにどのような方策を講じ、災害防止に備えていくのか、総理のお考えを伺います。

 東日本大震災から三年半を迎えました。

 総理が毎月のように被災地を訪問し、復興への取り組みの陣頭に立たれている姿を見るたびに、安倍内閣がどれだけ震災復興を重視しているかを示していると感じます。

 与党としても、政府に対してたびたび提言を行う等、政府と一体となって取り組んできたところであります。

 実際、住宅再建や農地、漁港の整備、災害公営住宅の整備等は、着実に進みつつあると理解しています。

 しかし、復興はこれからです。とりわけ、避難者数は二十五万人弱まで減少したものの、いまだこれだけ多くの方々が避難されている状況を我々は直視しなければなりません。

 そこで、総理に、復興のスピードアップに向けた決意を伺います。

 さらに、福島については、まだ復旧が始まったばかりです。福島にとっての復興とは、原子力事故災害の克服であり、それは、とりもなおさず、日本の再生への道でもあると考えます。

 先般、佐藤福島県知事が中間貯蔵施設建設を受け入れ、大熊、双葉両町長が知事の判断を重く受けとめ地権者への説明を了承するという、関係者による苦渋の決断がなされました。政府は、この決断の重大さを踏まえ、住民の方々の声を真摯に受けとめ、取り組んでいかなければなりません。

 福島復興への取り組みについて、総理の決意を伺います。

 政権交代後一年九カ月が経過しましたが、安倍内閣は、安定的かつ着実に政策を実行してきました。特に、アベノミクスによって、雇用の改善を果たし、賃金の上昇をもたらしつつあることは、数々の経済指標を見ても明らかであります。株価は一万六千円前後となり、行き過ぎた円高は是正され、景気の好循環が生まれ始め、経済の再生に向けて一歩ずつ前進しています。

 我が国のマクロ経済の状況ですが、四月の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動等により、四月から六月の経済成長率がマイナス七・一%となりました。とはいえ、一月から六月まででならしてみれば成長率は昨年に比べプラス一・三%であり、全体的には緩やかな回復基調が続いていると考えます。

 ただ、この夏の天候不順や急激な円安により、エネルギーや食料といった輸入価格が上がり、企業や家計の負担が今後ふえていく可能性もあり、こうした動向にも注視して経済運営を行っていかなければなりません。

 そこで、総理に、経済再生と景気回復に向けた決意を伺います。

 さらに、総理は、消費税率一〇%への引き上げを行うかどうかの判断を年内に行うとの考えを示しておられます。また、総理は、七月―九月の経済指標等を総合的に勘案して判断すると表明しておられます。

 デフレ脱却と経済成長を柱とする日本経済の再生と、持続可能な社会保障制度の確立等のための財政健全化は、いずれも喫緊かつ非常に重要な課題であります。

 そこで、これらを踏まえた上で、消費税率引き上げに関して、改めて総理のお考えを伺います。

 今国会の最重要課題として、総理は地方創生を掲げられました。

 地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服する。そのために、国民が安心して働き、家庭を築き、子育てができ、将来に夢や希望を持つことができるような魅力あふれる地方を創生し、地方への人の流れをつくる。これこそ、まさに日本再生の中核だと言っても過言ではないでしょう。

 この地方創生は、三つの基本的視点に立っています。若い世代の就労、子育て等の希望の実現、東京一極集中への歯どめ、地域の特性に即した地域課題の解決です。

 これらを具体化するためには、地方における魅力ある就業機会の創出、出産や子育てに希望が持てる環境の整備、市町村相互間の広域的な連携協力体制の構築等が不可欠です。

 総理は、まち・ひと・しごと創生本部の初会合で、各省の縦割りやばらまき型の対応を断固排除し、異次元の施策に取り組んでいただきたいとの方針も明確に示しておられます。

 地方のやる気を引き出し、各地の資源や魅力を生かした活性化への取り組みに対して、政府全体で強力に支援する姿勢をしっかりとつくっていくことが必要であります。

 改めて、地方創生に向けた決意と今後の取り組みについて、総理に伺います。

 総理は、今回の改造内閣のもう一つの課題として、女性が輝く社会の実現を掲げられました。社会のあらゆる分野で、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合を三〇%以上にするとの目標です。

 今、日本は、高齢化と労働人口の減少に直面し、いかに労働生産性を上げていくかが大きな課題であります。そのためにも、女性の活躍に真剣に取り組んでいかなければなりません。

 総理は、今回の内閣改造で、女性活躍担当大臣を新設し、任命されました。また、安倍政権になって、十六年ぶりの女性事務次官や、女性初の総理秘書官も任命されております。

 さらに、政府の動きに呼応して、経済界でも女性の登用が進んでおります。

 能力も意欲もある女性が社会の高いポジションで働いていただくことは、女性の活躍を象徴するとともに、社会や企業文化にもよい影響を与えるものと考えます。

 総理は、先般、ヒラリー・クリントン米国前国務長官と会談し、女性の社会進出について熱心に議論されたと伺っております。ヒラリー・クリントン氏から何を受けとめられ、その経験を日本にどのように生かすべきとお考えでしょうか。総理の忌憚のない御意見を伺いたいと思います。

 さて、性別や家族の形態を問わず、仕事をしながら子育てを行うのは、決して容易なことではありません。

 この仕事と子育ての両立のためには、家族や職場の理解と支援、さらには政府や自治体の手厚い子育て支援が必要であります。そのためにも、これまで余り子育てに参加してこなかったと言われる男性も、企業も、そして政治も、意識改革が必要であります。

 さらには、労働時間自体を短くするためのさまざまな取り組みが必要であることは言うまでもありません。その上で、多様かつ柔軟な働き方ができる経済社会を構築していく必要があります。

 仕事と子育ての両立のための支援、特に働きながら子育ても担う女性をサポートしていく仕組みについて、総理のお考えを伺います。

 次に、安倍政権の国際社会における日本の地位向上と信頼の確立を目指した地球儀俯瞰外交について質問いたします。

 安倍総理は、多忙をきわめる国会日程のさなか、驚異的ともいうべきペースで外遊日程をこなし、既に四十九カ国を訪問されました。国内においても、オバマ米国大統領やエルドアン・トルコ首相、アキノ・フィリピン大統領、モディ・インド首相等、精力的な首脳外交を展開し、国際社会における我が国の存在を不動のものとするとともに、積極的平和主義を初めとする我が国の主張に強い共感と支持を集めたのであります。

 安倍総理の外交は、その積極性はもとより、充実した内容と意義において高く評価されるべきものであります。

 総理は、昨年、日本版NSCである国家安全保障会議の創設及び国家安全保障戦略策定等国内体制の整備を行い、本年一月、オマーン、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアの中東、アフリカ四カ国訪問を皮切りに、地球儀俯瞰外交を加速させました。

 同じ一月には、スイス・ダボス会議に出席し、日本の総理大臣として初めてオープニングセッションで基調講演を行い、アベノミクス等について参加者の幅広い理解を得ました。引き続き、インドを訪問、経済交流や女性の活躍について協力拡大の道筋をつけたのであります。

 二月には、ロシア・ソチ・オリンピック開会式に出席し、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会成功への協力を取りつけたほか、プーチン大統領との首脳会談に臨みました。

 続く三月には、オランダの核セキュリティーサミットに出席、オバマ大統領がサミットの最大の成果とする核物質削減に関する日米共同声明を発表したほか、G7首脳会合に臨み、ロシアによるクリミア併合や中国の東シナ海、南シナ海での海洋進出を念頭に、民主主義と法の支配という価値観を共有する国々のリーダーとの間で、力を背景とした現状の変更は断じて許さないとの認識を一つにしたのであります。

 さらに、四月末からのゴールデンウイーク期間には、ドイツ、英国、ポルトガル、スペイン、フランス、ベルギーを訪問、各国との首脳会談やパリでのOECD閣僚理事会出席を通じて、地球儀俯瞰外交の強力なパートナーである欧州各国首脳との間で、我が国の経済政策や安全保障政策への理解と支援を取りつけました。

 五月末に、英国の国際戦略研究所の主催によりシンガポールで開催されたアジア安全保障会議、いわゆるシャングリラ・ダイアログにおいて安倍総理が行った、アジアの平和と繁栄よ、とこしえなれとする基調講演は、国際法に基づいて主張し、力や威圧を用いず、平和的に解決すべきであるとの法の支配の重視を訴え、我が国の安全保障法制の再構築に関する取り組みとあわせて、各国に感銘を与え、共感を呼び起こしました。

 続く六月には、ベルギーとイタリア、バチカンを訪問し、ベルギーでは、自由と民主主義、基本的人権、法の支配という価値観を共有する先進諸国の首脳が集うG7サミットにおいて、力による現状変更は許さないとの強いメッセージの表出をリードしました。

 七月のニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニアの三カ国訪問では、オーストラリアのアボット首相から、日本は今日の行動で判断されるべきだ、七十年前の行動で判断されるべきではないと、戦後、平和の道を歩み、国際貢献に努力し続けてきた我が国に対する最大級の賛辞が表明されたのであります。

 七月末から八月にかけては、メキシコ、トリニダードトバゴ、コロンビア、チリ、ブラジルと、成長著しい中南米、カリブ海の五カ国を訪問、貿易・投資の一層の拡大を初め、関係強化に成果を上げました。

 そして、この九月、総理はバングラデシュとスリランカを訪問し、バングラデシュでは、安保理非常任理事国選挙への立候補取り下げと、日本への支持が表明されました。また、スリランカで総理が行った、サンフランシスコ講和会議でスリランカが我が国の主権を擁護してくれたことへの感謝を表明したスピーチは、聴衆に感銘を与え、両国の関係ときずなを強固にしたのであります。

 総理は、先日、ニューヨークの国連総会から帰国されたばかりであります。今回の国連総会出席は、総理にとって、これまでの地球儀俯瞰外交を集大成する大きな節目であったと思います。総理がどのような思いで国連総会に臨まれ、何を訴えられたのか、地球儀俯瞰外交、そして積極的平和主義について、改めて総理の思いを伺います。

 政府は、七月一日、新たな安全保障法制整備のための基本方針を閣議決定いたしました。

 我が国周辺をめぐる情勢が大きく変化する中、どのような事態にあっても国民の生命と財産を守り抜くため、現行憲法下で何が許されるのか、議論を広く丁寧に尽くした上での閣議決定であり、切れ目のない安全保障法制を整備し、抑止力を強めることによって我が国の安全保障をより盤石にし、日米同盟と信頼関係をさらに強固にする、政府の強い決意を示したものと評価いたします。

 ただ、新たな閣議決定については、集団的自衛権の言葉だけが先行し、国民の間には、戦後平和国家としての道を一貫して歩んできた我が国がその方向を大きく変えるのではないかといった誤解や漠然とした不安があることも否定できません。

 今回の閣議決定の柱は、第一には、離島等で武装集団の上陸があった場合や米軍部隊の武器等防護など、武力攻撃に至らない侵害への対処、第二は、我が国による他国軍隊への支援活動や、PKOでの任務遂行やいわゆる駆けつけ警護に伴う武器使用、並びに在外邦人救出等における領域国の同意に基づく警察的活動の実施です。

 そして第三が、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使するという内容であります。

 これは、国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合がありますが、一方、憲法上は、あくまで我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容されるものであります。

 この第三の点について、非常に厳しい歯どめがかかっており、およそ平和国家としての我が国の性格を変えるようなものではあり得ません。にもかかわらず、こうした点も十分に国民に理解されていないのではないでしょうか。

 政府は、今後、関連法制の整備を進めることになります。そのためには、より国民に対する丁寧な説明が不可欠であります。

 新たな閣議決定と今後の関連法制の整備によって何が変わるのか、自衛隊が湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘に参加するようなことはないのか、外国の戦争に日本が巻き込まれることはないのか、こうした国民の不安や誤解を払拭できるよう、総理の言葉による丁寧な説明を求めたいと思います。

 日米同盟が我が国外交の基軸であることは、改めて申し上げるまでもありません。総理の地球儀俯瞰外交は、日米両国が共有する価値観外交のグローバルな展開であり、限定的な集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈の再整理は、日米同盟と信頼をより強固にする、総理の新たな日米パートナーシップ構築へのチャレンジであると思います。

 今、日本や米国、欧州の属する、自由と平等を中心とする基本的人権、民主主義、法の支配等を尊重する社会は、幾つかの国の拡張主義や、中東等におけるテロ勢力の脅威拡大といった極めて困難な問題に直面しています。

 自由や民主主義等の価値観を共有する諸国家が手を携え結束して、これらの問題に対処していくため、米国の友人として日本が果たすべき役割は大きいと思います。

 今後の日米関係のあり方について、総理の御見解を伺います。

 我が国を取り巻く外交において、やはり国民や諸外国が注視するのは、中国、韓国との関係改善です。安倍総理の就任以来、総理が、対話のドアは常にオープンと言い続けてきたにもかかわらず、これまで首脳会談の実現に至りませんでした。しかし、ようやくその実現に向けた機運が出始めております。

 そもそも、総理が八年前に第一次政権を発足されたときに最初に訪問した外国は、中国、韓国でありました。このことを見ても、総理がいかに隣国との関係を重視しているかは明らかであります。

 ことし十月のイタリアでのASEM、十一月の中国でのAPEC、ミャンマーでのASEAN関連首脳会合、豪州でのG20と、多国間の首脳会議が続きます。こうした機会を通じて、会談の実現に向けてお互いが努力していくことが必要でありますし、与党の議員を通じたチャンネルを生かしていくこともまた重要であります。

 改めて、中国、韓国との関係改善に向けた総理の決意を伺います。

 また、総理は、ロシアのプーチン大統領とも電話で協議し、対話を続けていくことを確認していますが、今後の日ロ関係についても、総理の見解を伺います。

 北朝鮮による拉致問題について、ことし五月にストックホルムで開催された日朝政府間局長級協議において、北朝鮮による拉致被害者を含む全ての日本人について調査するという約束が取り交わされました。このような交渉結果を獲得したことは、拉致問題解決へ向けた大きな一歩であり、高く評価いたします。

 しかしながら、今月十八日に北朝鮮側から伝えられた連絡は、我々をひどく失望させるものでしかありませんでした。現時点では初期段階を超える説明はできない、これは事実上の先送りであります。

 我々は、こうした北朝鮮の不誠実な対応に、幾度となく翻弄させられてきました。もう同じ失敗を繰り返してはなりません。我々は、こうした北朝鮮の対応に、断固とした態度をとっていかねばならないのであります。

 そこで、拉致問題について、総理の決意を伺います。

 仲井真沖縄県知事が、名護市辺野古の公有水面埋め立てについて、法律にのっとって承認をされたことで、民主党政権で迷走した普天間基地の移設は、仲井真知事、沖縄県民等の多くの皆様の御理解と御協力により、再び一歩前に進むこととなりました。普天間基地の危険性を一日も早く除去することを我々は形にしていかなければなりません。

 総理は、今回、新たに沖縄基地負担軽減担当大臣を設け、目に見える形での負担軽減に不退転で取り組む決意を示されました。

 仲井真知事からは、普天間基地の五年以内の運用停止と早期返還、オスプレイの本土への分散や日米地位協定の条項の追加等、四項目の要望が出されており、官房長官は、普天間基地の二〇一九年までの運用停止を目指すことを表明されております。

 改めて、沖縄の基地負担軽減実現に向けた総理の決意を伺います。

 次に、原発の再稼働について伺います。

 原子力規制委員会は、九月十日、九州電力川内原子力発電所一、二号機について、安全対策が新規制基準を満たしているとの審査書を正式に了承いたしました。

 原発再稼働に向けた安全審査の合格第一号であり、政府としても、地元自治体の同意を得、一日も早く再稼働できるよう、あらゆる努力を尽くしていただきたいと思います。

 我が国のエネルギーをめぐる非常に厳しい事情、さらには、年間三・六兆円に上る化石燃料の輸入増による貿易赤字の急速な拡大と、国民の富の海外への流出を一日も早く食いとめるべきこと、電力コストの上昇による国民生活や経済活動への大きな圧迫を考慮すれば、まずは原子力規制委員会の厳格な安全基準に沿った既存原発の再稼働を着実に進めるとの総理の考えは、当然であります。

 原発再稼働には反対もあります。不安に思う人もいます。現実に被災された方々が心情的に受け入れがたいのも当然です。しかし、政治は、つらい現実、厳しい現実を直視しつつも、今の我が国にとってなすべきことは何か、時には苦渋の中で決断し、国民に正面から訴えかけていかなければなりません。

 原発再稼働について、総理の御所見を伺います。

 一方、総理は、ことし一月の年頭会見で、原発の新増設については現在のところ全く想定していないと明言し、まずは、既存原発の再稼働の判断に集中し、エネルギー源の多様化を図りつつ、原発依存度を可能な限り低減していくとの考えを示されました。

 このためにも、代替エネルギーの開発に官民挙げて英知を振り絞ることも含め、さまざまな方策によって、エネルギーの安定供給確保に全力を尽くす必要があります。

 同時に、第二世代の原子炉の廃炉解体や使用済み燃料の再利用と安全な処分を長期的な視野を持って進めることも必要です。これらによって、世界最高水準の技術の開発、獲得、集積をなし遂げ、この分野においても世界に貢献していくことも期待できるのではないでしょうか。

 これらの点について、総理の御所見を伺います。

 多くの政策課題について、政府・与党内で徹底的に議論し、その上で最後は一つにまとまる、そして国民のために働いていく体制をつくっていくことが求められています。

 政府と与党、自民党と公明党、政府・与党と野党、それぞれが適度な緊張関係を保ちつつ均衡点を見出していくことが、政治を安定させ、政策を強力に推進していくものであると確信しております。

 そのような関係をしっかりと構築し、国民から信頼される政治を進めていくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 谷垣禎一議員にお答えをいたします。

 災害への備えについてお尋ねがありました。

 自然災害が起こりやすい我が国において、国民の生命と財産を守るためには、発生した災害から得られた貴重な教訓を踏まえ、迅速に制度を改めるなど、防災対策を不断に見直していく必要があります。

 そのため、今国会に、土砂災害警戒区域の指定を行いやすくするための土砂災害防止法の改正案、災害時における放置車両対策を強化するための災害対策基本法の改正案を提出するほか、ハードとソフトの対策を適切に組み合わせた総合的な防災対策に政府一丸となって取り組んでまいります。

 復興のスピードアップに向けた決意と福島復興への取り組みについてお尋ねがありました。

 東日本大震災からの復興は、内閣の最重要課題の一つであります。岩手と宮城での高台移転や災害公営住宅の着工は八割を超えています。

 今後とも、心と体の健康支援を充実強化するとともに、被災地の産業、なりわいの再生についても、スピード感を持ちながら全力で取り組んでまいります。

 原子力災害から一日も早く福島を再生させることは、国の責務です。中間貯蔵施設建設の受け入れについて、佐藤知事に決断をしていただきました。今後、地権者の皆様に対し丁寧な説明を行い、御理解を得ながら、整備に取り組んでまいります。

 東北の復興なくして日本の再生はありません。新内閣でも、全員が復興大臣との意識を共有し、東北を新しい日本創生のフロントランナーにするよう全力で取り組んでまいります。

 経済再生と景気回復についてお尋ねがありました。

 安倍政権では、デフレ脱却を目指し、経済最優先で政権運営に臨んできました。その結果、賃上げが過去十五年で最高水準となるなど、景気の好循環が生まれ始めています。

 消費税率引き上げや燃料価格の高騰、この夏の天候不順などによる景気への影響にも慎重に目配りしつつ、成長戦略の確実な実行等により、景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けてまいります。

 消費税率の一〇%への引き上げについてのお尋ねがありました。

 消費税率の引き上げは、国の信認を維持するとともに、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものです。

 他方、引き上げにより景気が悪化して、税収も増加しないという事態に陥ることは、絶対に避けなければなりません。経済再生と財政健全化の両立、この道しかありません。

 消費税率の一〇%への引き上げについては、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断してまいります。

 地方創生に向けた決意と今後の取り組みについてお尋ねがありました。

 若者が将来に夢や希望を持てる、魅力あふれる地方の創生は、安倍内閣の最重要課題です。景気回復の波を全国隅々にまで届けるとともに、若い方々が安心して働き、子育てができる地域をつくることにより、我が国が直面する人口減少を克服する道筋を描いていくことが必要です。

 このため、私のもとに、まち・ひと・しごと創生本部を創設し、各省の企画立案機能を集中させることとしました。この本部のもとで、各省の縦割りを排し、従来の取り組みの延長線上にはない、大胆な政策を力強く実行してまいります。

 政策の検討、実施に当たっては、おのおのの地域ならではの資源やよさを生かすことにより、地方に仕事をつくることを重視します。また、強制するのではなく、地方に住みたい、子供を持ちたいといった国民の意欲を実現するアプローチをとってまいります。さらに、地域の声に徹底して耳を傾け、国の示す枠にはめるような手法を排し、地域の個性を尊重し、支援してまいります。

 ヒラリー・クリントン氏との会談内容と、今後の取り組みについてお尋ねがありました。

 クリントン氏は、女性の活躍が経済成長のため重要である点に賛同し、私のリーダーシップを評価してくださいました。さらに、働き方の改革が必要であることでも意見が一致しました。

 この議論も踏まえ、我が国における女性の登用促進を着実に前進させるための新しい法案を今国会に提出します。また、より柔軟な働き方を促進する取り組みを強化してまいります。

 また、女性の地位向上に向けた我が国のODAの取り組みにも謝意が示されました。

 今後も、世界の女性の活躍に向け、積極的に貢献してまいります。

 仕事と子育ての両立支援、女性へのサポートについてお尋ねがありました。

 全ての女性が生き方に誇りを持ち、輝くことができる社会に向けて、日本再興戦略においても、女性の活躍を推進するため、仕事と家庭の両立支援を重要な施策と位置づけます。

 このため、待機児童解消加速化プランの推進、育児休業給付の引き上げなどの施策を総合的に展開してきたところです。

 さらに、本年改正された次世代育成支援法に基づき、男性の子育てを促進するとともに、残業を減らす労使の取り組みの促進、フレックスタイム制の改革、テレワークの普及等を進め、仕事と子育てが両立できる環境を整備してまいります。

 これらの施策を通じて、女性が、子供を産み育てながら、しっかりとその仕事も続けていくことが可能となるような社会づくりを進めてまいります。

 国連総会での主張、地球儀を俯瞰する外交、積極的平和主義についてお尋ねがありました。

 国連総会では、日本が国際社会で何をしようとしているのか、日本が歩んでいこうとしている道や日本の考え方をしっかりと発信し、積極的平和主義の考えのもと、これまで以上に世界の平和と安定に積極的に貢献していく決意を具体的に示すことができたと考えています。

 エボラ出血熱、イスラム国を標榜する武装勢力への対応、ウクライナ支援、気候変動といった世界が直面する重要な問題について、日本の具体的な貢献策を明確に示すことができました。

 女性が輝く社会の実現については、先般東京で開催した国際会議の成果を紹介し、ヒラリー・クリントン前国務長官を初め、米国で活躍する女性リーダーたちから期待と称賛の声をいただきました。

 来年創設七十周年を迎える国連を二十一世紀にふさわしい姿に改革していく上で、我が国がリーダーシップを発揮していくことを総会演説や二国間会談で訴え、多くの国から支持を得ることができました。

 今後とも、地球儀を俯瞰する外交を力強く進め、積極的平和主義のもと、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献してまいります。

 安全保障法制についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、もはや、どの国も一国のみで平和を守ることはできません。

 先般の閣議決定は、このような大きな情勢の変化を踏まえ、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜く、そして、地域や国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献することを可能とするものです。

 ただし、自衛の措置をとる場合であっても、それは、他に手段がないときに限られ、かつ、必要最小限度でなければなりません。憲法解釈の基本的考え方は、これまでと何ら変わるものではありません。

 海外派兵は一般に許されないという従来からの原則も、全く変わりません。自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません。

 また、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものでもありません。したがって、外国を守るために日本が戦争に巻き込まれるということは決してありません。

 ましてや、徴兵制につながるなどという議論は、全く根拠のないものです。徴兵制は憲法上許されるものではなく、この解釈に変更の余地はありません。

 平和国家としての日本の歩みは、これからも決して変わることはありません。このことを明確に申し上げたいと思います。

 引き続き、国民の皆様により一層の御理解を得られるよう丁寧に説明しながら、法整備を進めてまいります。

 日米関係のあり方についてお尋ねがありました。

 自由、民主主義、人権、法の支配を初めとした基本的価値を共有する日米両国は、強固な同盟に基づき、外交、安全保障、経済、相互理解の増進といったさまざまな分野において、地域や国際社会の平和と繁栄に貢献してきています。

 御指摘のような諸課題への対処に当たっても、米国は国際社会において主導的役割を果たしており、我が国としても、積極的平和主義の考えのもと、米国初め、価値観を共有する諸国と緊密に協力し、これらの諸課題に積極的に取り組み、世界の平和と安定により一層貢献してまいります。

 中国、韓国との関係改善、今後の日ロ関係についてお尋ねがありました。

 私は、中国や韓国との関係を改善していきたいと考えています。中国も韓国も、日本にとって重要な隣国です。隣国同士であるがゆえに、さまざまな課題が生じますが、課題があるからこそ、前提条件をつけずに対話していくべきと考えています。

 十一月には北京でAPECが開催されます。中国の平和的発展は、日本にとって、そして世界にとってチャンスであると言えます。地域の平和と繁栄に大きな責任を持つ日中両国が安定的な友好関係を築いていくためにも、APECで北京を訪問する際に日中首脳会談ができればよいと考えています。そのためには、先般のニューヨークにおける外相同士の協議のように、両国が互いに静かな努力を重ねていくことが必要です。

 韓国とも、先般、ニューヨークで外相会談が行われました。今後も、一歩一歩お互いに努力を重ね、さまざまな国際会議の機会に首脳会談ができればよいと考えています。

 プーチン大統領とは、就任以来一年九カ月の間に五回の首脳会談を重ねてきており、先般も電話会談を行い、両国の間で対話を継続していくことで一致しました。

 今後は、十一月の北京APECの際の首脳会談の可能性を含め、対話を積み重ねながら、我が国の国益に資するよう、日ロ関係を進めていく考えです。

 プーチン大統領訪日についても、引き続き、実現を目指してまいります。その日程については、何ら決まっていませんが、種々の要素を総合的に考慮して検討してまいります。

 御指摘のとおり、中国、韓国と、首脳会談の実現に向けて、お互いに努力をしていく上で、与党の議員を通じたチャンネルを活用していくことも重要であり、議員交流が果たす環境醸成にも期待しております。

 拉致問題についてお尋ねがありました。

 北朝鮮の特別調査委員会による調査については、北朝鮮側が誠意を持って迅速に調査を行い、その結果を速やかに通報すべきと考えます。

 こうした観点から、二十九日の瀋陽における外交当局間会合の開催を日本側から提案し、その会合において調査の現状を聴取するとともに、北朝鮮側に、調査を迅速に行い、その結果を速やかに通報するよう強く求めたところです。

 全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き締めるその日まで私たちの使命は終わらないとの決意で、今後とも、全ての拉致被害者の帰国に向けて、対話と圧力、行動対行動の原則を貫き、全力を尽くしてまいります。

 沖縄の基地負担軽減に向けた決意についてお尋ねがありました。

 仲井真知事からの四項目の御要望は、沖縄県民全体の思いとしてしっかりと受けとめ、日本政府としてできることは全て行うというのが、安倍政権の基本姿勢です。

 このうち、普天間飛行場の五年以内の運用停止については、沖縄県より、本年二月から五年をめどとするとの考え方が示されており、政府としては、そのような沖縄県のお考えに基づいて取り組んでまいります。

 負担軽減の具体化のため、関係閣僚、沖縄県知事及び宜野湾市長をメンバーとする普天間飛行場負担軽減推進会議を設置しており、引き続き、地元の皆様の意向を丁寧に伺いながら進めてまいります。

 また、今後とも、沖縄県外における努力を十二分に行い、目に見える負担軽減を図っていくため、菅官房長官を沖縄基地負担軽減担当大臣に任命したところであります。

 日米首脳会談においても、私からオバマ大統領に対し、直接、沖縄県知事の御要望について説明し、米国のさらなる協力を要請しました。オバマ大統領からも、沖縄の負担軽減に引き続き取り組みたいとの発言があったところであります。

 米国を初め、相手のあることではありますが、引き続き、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、政府を挙げて、御要望の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

 原発再稼働についてお尋ねがありました。

 御指摘のとおり、痛ましい原発事故によって福島を初め多くの方々が不安を持たれていることも、当然のことだと思います。

 しかしながら、原発が全てとまった結果、海外への化石燃料依存度が石油ショックのころよりも高くなるとともに、エネルギー価格の高騰は、中小企業、小規模事業者の皆様を初め、国民生活に深刻な影響を与えています。

 また、我が国の電力分野の温室効果ガスの排出量は、震災前に比べ大幅に増加しています。

 このため、いかなる事情よりも安全性を最優先させる前提のもと、原子力規制委員会により世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合すると認められた原発については、その科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進めていく方針です。

 その際、立地自治体を初め関係者の理解を得られるよう、国も前面に立ち、丁寧に説明してまいります。

 原発の新増設、技術による世界貢献の重要性等についてお尋ねがありました。

 原発の新増設については、現在のところ、想定しておりません。まずは、エネルギー源の多様化と、既存の原発の再稼働の判断に集中してまいります。

 徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入により、できる限り原発依存度を低減するというのが基本方針です。

 原子力利用先進国として、廃炉や再処理、最終処分等の原子力関連分野で、世界的水準の技術を開発、蓄積し、世界へ貢献していくことは重要です。こうした課題について、政府としてもしっかりと対応してまいります。

 以上であります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(赤松広隆君) 次に、江田憲司君。

    〔江田憲司君登壇〕

江田憲司君 江田憲司でございます。

 私は、維新の党を代表して、安倍総理の所信表明演説について質問をいたします。(拍手)

 まず、冒頭、この夏の豪雨災害、先日の御嶽山噴火等で多くのとうとい命が失われました。謹んで御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 災害対策に与党も野党もございません。我々も国会審議等を通じて建設的な提言を行ってまいりますので、安倍総理、よろしく御検討ください。

 さて、維新の党は、日本維新の会と結いの党が合流し、二十一日に結党大会を開き、翌二十二日、正式に発足をいたしました。

 維新とは、「維れ新たなり」です。すなわち、イノベーション。イノベーションとは、シュンペーターの時代の技術革新にとどまりません。それは、ありとあらゆる政治、経済、社会システムの変革を意味します。

 このイノベーションとは、人間の体に例えれば、新陳代謝を大いに促進していくということです。

 日本は、今、経済のグローバル化と大競争時代の荒波の中で、この新陳代謝がおくれ、国力が停滞し、国民は多くの不安を抱えています。

 古い細胞を老廃物として排出し、新しい細胞をつくる、そうすることで、人間の体も成長していくんです。

 国も同じです。これまでのしがらみ、既得権益、非効率な産業分野を整理して、人的、物的資源を新しいフロンティア、成長分野にシフトさせていく、これこそが、国の新陳代謝、イノベーションであり、日本の将来を切り開く、日本再生のための唯一の道だと維新の党は確信をしています。

 そう、我々は、日本の、日本人の可能性、ポテンシャルを信じているんです。民間の活力、そして地域の底力を信じているんです。

 しかし、現状はどうでしょうか。わざわざ、規制や許認可といった官僚統制で、民間に手かせ足かせをかけ、民間の活力をそいでいる。そして、相変わらずのお上意識の中央集権体制で地域の底力を抑えつけているじゃありませんか。

 我々は、こうした官僚統制を排し、民間の能力が、活力が伸び伸びと発揮できるような環境を整備していく。地域のことは地域の人たちが一番わかっているのですから、中央から地域に権限、財源などを徹底的に移譲し、地域のことは地域で決める。そうすれば、民間の能力、活力、地域の底力で、必ずや日本は再生します。

 維新の党は、こうしたイノベーション、国のありとあらゆる新陳代謝を、利権圧力団体に一切依存しない全くしがらみのない立場から断行してまいります。ぜひ、国民の皆さんの御理解、御支援を心からお願い申し上げます。

 さて、具体論に入りましょう。

 まず、景気、経済、成長戦略です。

 大胆な金融緩和、アベノミクスの第一の矢は、確かに飛びました。

 しかし、景気を持続的かつ本格的に回復させ、その恩恵を、国民の給料の引き上げ、生活の向上という形で均てんしていくためには、金融、お金だけではなく、実体経済、すなわち、物やサービスを動かす成長戦略、安倍総理の言う第三の矢を力強く飛ばす必要があります。そう、その肝中の肝である規制改革を断行していかなければならないんです。

 しかし、規制で守られた既得権益から多くの組織票や献金をもらっている安倍自民党に、その岩盤を打破する改革が本当にできるでしょうか。

 維新の党は、しがらみのない立場から、真の規制改革を断行していく、農業や医療、福祉、電力、エネルギーといった日本の将来を切り開く分野に株式会社やNPO、個人などを新規に参入させ、経済、産業の新陳代謝を促していきます。

 安倍総理は、この規制改革に一見前向きな姿勢に映ります。官邸主導で、霞が関官僚や族議員も抑えているように見える。しかし、その実態は、竜頭蛇尾、最初のアドバルーンは高く上がるんですが、抵抗勢力の反撃に遭い、ことごとく骨抜きにされているのが現実です。

 一つ具体例を挙げましょう。

 米の減反制度の廃止。廃止とは名ばかりで、実際は、飼料用米などに転用する農家への補助金を最大で三割上積みし、減反を促す。形を変えた減反政策と言ってもいい。この結果、既存の農家の所得は一三%増になるそうですから、反対の声が上がらなかったのは当然のことでしょう。結局、税金で賄う補助金が今よりふえ、農地を手放す兼業農家も減り、農地の大規模化も進まない。これのどこが改革なのか。

 総理、減反という需給調整はやめ、価格下落分は直接支払いで、やる気のある農家を支え、おいしい日本の米をどんどんつくって輸出してもらおうじゃありませんか。総理の見解を伺います。

 今、農家の平均年齢は六十七歳です。しかも、跡取りがいない。このまま閉鎖的な農業政策を続けていたら、それこそ十年後には日本の農業は死んでしまいます。

 だからこそ、農業の担い手に新しい血を入れていく、規制を改革し、株式会社の農地取得を可能にしたり、農業生産法人の役員、出資制限などの要件を緩めて、市場志向型の農業へと転換していけばいい。株式会社は利益が上がらなければすぐ農地を放棄して退出するというなら、そこはゾーニング規制の強化等で歯どめをかければいいじゃありませんか。

 総理、このような農業分野の規制改革、構造改革をどう進めるおつもりですか。

 成長戦略は規制改革にとどまりません。

 日本は、好むと好まざるとにかかわらず、生き馬の目を抜くような国際大競争時代を勝ち抜いていかなければなりません。そのためには、国際標準の制度、ルールで戦うしかないんです。そう、フリーで、フェア、オープンな市場主義が原則なんです。だからこそ、TPPであれ、FTAであれ、RCEP、APECであれ、自由貿易、自由投資の促進のために、二国間、多国間の交渉、その全てに日本は保険を掛けて、積極的に参加、議論をリードしていくべきなんです。

 資源もエネルギーもない日本が将来にわたって飯を食っていくためには、その持てる人材や技術を駆使して、それらを世界じゅうに行き来させ、新しい製品やサービスを生み出し、付加価値を上げていくしかないんです。

 その意味で、TPPは特に重要です。この枠組みは、単に経済にとどまらず、アジア太平洋地域の安全保障上の意義も有しています。

 マイケル・フロマンUSTR代表は、私の米国留学時代のルームメートでもあり、タフネゴシエーターであることは重々承知していますが、ぜひ、総理、甘利大臣、日本の国益はしっかり背負いつつ、一方で、グローバルな見地から着地点を見つけ、早期妥結を図っていただきたいと思います。

 先週の日米閣僚級協議は物別れに終わったと聞いていますが、交渉の現状と総理のTPP交渉の年内合意にかける意気込みを伺います。

 企業の競争条件を国際的にもイコールにするという意味で、法人税の実効税率の引き下げも必要です。一挙には無理でも、重要なのは今後の工程表をつくることです。

 総理、この段階的な法人税引き下げの道筋を示してください。その最終目標は、いつまでに何%に置いていますか。

 一方で、市場主義、自由貿易、自由投資の世界は、基本的に優勝劣敗の世界でもあります。そのまま放置しては、当然、非効率な衰退産業は市場から退出を余儀なくされ、失業者は生まれ、格差も広がってしまう。そういう人たちのために、手厚いセーフティーネットを構築しなければいけません。政治は社会的弱者のためにあるんです。

 こうしたセーフティーネットの構築、整備についての安倍総理の基本的な考え方とその具体策をお答えください。

 セーフティーネットといえば、少子高齢化に対応できる、持続可能で、かつ、受益と負担を明確化した社会保障制度改革を実現することも不可欠です。

 維新の党は、給付つき税額控除制度の導入を通じた最低生活保障の実現、年金制度の積立方式への移行や医療保険の一元化、地域が主体の多様な子育て支援サービスの提供等をその政策にしていますが、ことしは五年に一度の年金財政検証の年です。

 政府が示したシナリオのうち、名目賃金上昇率一・三%、運用利回り二・三%、女性のM字カーブも実勢に近いシナリオでは、二〇五五年度には、現在百三十二兆円ある年金の積立金は枯渇し、モデル世帯の所得代替率も三〇%台という暗たんたる将来像が示されています。すなわち、このまま無策でいれば年金財政は将来破綻するという予測なんです。

 総理、この年金制度の抜本改革についてどうされるのか。維新の党のように、世代間で公平な、みずからの払った保険料がみずからのもとに返ってくる年金制度の積立方式への移行を真剣に検討されたらいかがでしょうか。

 さて、アベノミクス失敗への決定的な引き金を引くかもしれないのが、さらなる消費増税の強行です。

 維新の党も、今後の社会保障費の増大等に応じて、消費増税の必要性を否定するものではありません。しかし、財政再建は、経済成長と歳出削減、増税のベストミックスでなし遂げられるんです。千兆円になんなんとする借金を増税だけで返せるはずがありませんし、無駄削減も徹底的に行っていかなければなりませんが、一般会計予算の規模が九十兆円台では限界があります。だからこそ、将来にわたって持続的な財政再建のエンジンたり得る経済成長、すなわち、金の卵を産むガチョウを殺してしまっては元も子もないんです。

 その意味で、この四月の増税後の経済指標を見ると、とてもさらなる増税を行える経済体力にないというのが維新の党の考えです。国家運営の基本は、既定路線を単に踏襲するのではなく、時々の状況変化に応じて適時適切に経営判断することです。

 今の経済は、四―六月期のGDPが年率七・一%減と大幅減になったことに加え、七月も、安倍政権がボーナスが出て上向くとしていた消費が、マイナス五・九%と大幅減となりました。増税と物価上昇の影響で、十カ月連続でサラリーマン世帯の実質収入が大幅に低下したことが大きい。これは、単なる反動減や天候不順が原因ではなく、家計の実質所得の減少で購買力、消費マインドが落ちているという構造的問題だと私は深刻に捉えています。

 今後、七―九月期の指標を注意深く分析していく必要はありますが、今の経済の体力からして、増税できる状況にはない、そのタイミングではないというのが我々維新の党の考えです。安倍総理の見解を伺います。

 また、総理、消費増税時の約束、国会議員の定数削減の約束は一体どうなったのでしょうか。一昨年末の国会での党首討論でも、総理は、議員定数削減を必ず実現すると約束されたじゃありませんか。さらなる増税を検討されているというならなおさらのこと、ここではっきりと国民にお約束をいただきたい。総理、いかがですか。

 維新の党は、さらにこの機会に、文書通信交通滞在費の使途公開を提案したいと思います。

 例の号泣県議の一件を契機に、地方議員の政務活動費の問題が大きくクローズアップされている中で、国会議員だけが、月々百万円、年千二百万円の、領収書の要らない、公開する必要もない税金をもらっていいはずがありません。また、この程度のことができなくて、どうして国民に消費増税や社会保障の負担増をお願いすることができるんでしょうか。

 二〇〇一年には、衆議院議長の諮問機関、衆議院改革に関する調査会が、使途報告書提出の義務化とその閲覧、公開を提言しています。ぜひ、各党各会派の皆さんにも真剣に検討していただきたいんです。

 維新の党としては、今国会に使途公開のための議員立法を提出し、各党各会派にその実現を働きかけてまいります。仮に他の政党が反対をした場合でも、この十月分から他党に先駆けて公開をしてまいります。

 総理、消費増税を実行に移した政権であるだけに、ぜひ、自民党総裁として、みずからが主導され、この文書通信交通滞在費の使途公開を実現しようじゃありませんか。見解を求めます。

 さらに言えば、大震災の復興財源に充てるため、また議員定数の削減が実現するまでの間、国会議員の歳費を二割カットしていたのに、なぜこの五月からもとに戻したのか。

 当時、我々は、国民に消費増税をお願いするのだから当然と、逆に議員歳費の三割カット法案を提出しましたが、自民党には見向きもされませんでした。こんなことが、一体、世間の常識からして許されるのでしょうか。総理、再考してください。

 安倍政権になって、歳出の無駄削減も全く不十分です。

 消費増税分は社会保障経費に充てると言いながら、実際は、震災・防災対策、国土強靱化という美名のもとに、無駄な公共事業をばらまき、かつ、消化し切れず、年二兆円から四兆円の使い残しが出ているのが現状です。今や、公共事業予算は、補正予算などを入れて、例年の倍の十兆円規模で推移しています。

 総理、金に色目はないのです。消費税収を区分経理し特別会計に入れているというならともかく、これでは、消費増税で出た財源を公共事業に回していると批判されてもしようがないでしょう。

 公共事業以外でも、消化し切れない巨額の基金が天下り法人にたまったままです。復興予算の流用も目立ちます。

 総理、もうこんな財務省流のまやかしはやめましょう。見解を求めます。

 消費税のさらなる二%増税で得られる年間五兆円の財源。この程度の額は、議員や公務員の身を切る改革や歳出削減で、総理、賄えますよ。例えば、国、地方の公務員の総人件費二十五兆円を二割カットするだけで、五兆円ぐらい出てきます。総理、やりましょう。見解を求めます。

 増税と物価上昇で国民は負担に苦しみ、しかも景気は本格的には回復しない。その間のばらまきで財政は肥大化し、そして、背負い切れない借金だけが残る。この最悪のシナリオに向けて、日本は今、かじを切りつつあります。

 総理、自民党や公明党からは、またぞろ消費増税のためにも補正予算編成をという声が上がっていますが、されませんね。総理、明確にお答えください。

 国破れて財務省あり。絶対にそうさせてはならない、それが政治の責任だと私は考えております。

 さて、二つ目のイノベーションは、中央集権体制の打破、すなわち、地域主権改革です。

 安倍総理、なぜ政府は、相変わらずの中央集権体制で地域の底力を抑えつけているのでしょうか。地域のことは地域が、地域の市町村長や住民の皆さんが一番わかっているのです。

 安倍政権は、この臨時国会最大のテーマに地方創生を掲げ、専任大臣まで置いて、関連施策を推進すると言います。しかし、なぜ、相変わらずのお上意識で、中央から地方を見おろす、上から目線で地方を創生しようとされるのか。

 維新の党は、この中央集権を打破し、地域のことは地域で決める、中央、すなわち、霞が関官僚、族議員から、基礎自治体、市町村に権限、財源、人間を徹底的に移譲し、地域の実情に応じたきめ細かい行政を行う、地方創生も地域で決める。

 安倍総理が所信表明演説で挙げた地域の成功事例は、何も安倍政権のおかげでも何でもなく、地域の底力そのものなんですよ。霞が関で椅子に踏ん反り返っている役人に地域のことはわかりません。

 安倍政権になってから、この地域主権、分権改革には極めて消極的です。それは、自民党の国土強靱化族が進める、十年間で二百兆円の公共事業、こうした権益を手放したくないからじゃありませんか。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

江田憲司君(続) 地方創生とは、またぞろ、その美名のもとに、この公共事業のばらまきに終わってしまうのではありませんか。

 この八月末で締め切られた来年度予算の概算要求でも、それが顕著です。ついに、その総額は百兆円を突破しました。つい数年前の一般会計予算の規模が八十兆円台だったことを思えば、とても消費増税では追いつかない歳出規模が続いているんです。総理の見解を伺います。

 また、この全国的な公共事業のばらまきが、東北の被災地の復興の明らかな足かせになっています。資材、人材の不足、そのコストの急上昇が大きな要因です。

 総理、日本の再生は被災地の復興からではなかったのでしょうか。御見解を伺います。

 自民党政権は、数年前から道州制の検討を行っています。しかし、一向にその法案が国会に提出されません。安倍総理、もう諦めたんでしょうか。そうじゃないとおっしゃるなら、この道州制実現に至る道筋をはっきり示してください。

 これに関連して、橋下大阪市長、松井大阪府知事が推進している大阪都構想は、地域主権改革の象徴なんです。しかし、大阪自民党は、この足を引っ張り続け、安倍政権の成長戦略に沿った上下水道や地下鉄などの公営企業体の民営化にも強く反対しています。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

江田憲司君(続) 中央と地方がばらばらでは、地域主権改革も成長戦略も進みません。

 ぜひ、安倍総理も、その実現に力をかしていただけませんでしょうか。自民党総裁としての強い指導力を求めたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

 電力・エネルギー部門も、日本の将来を牽引する成長分野です。そして、ここでも、規制改革、すなわち、電力の再編自由化が必要不可欠です。

 発電から送配電を分離して民間に開放すれば、それを使っていろいろな会社が参入してきます。あたかも、NTTの通信回線を開放したら多くの電話・通信会社が参入してきたのと同じです。そして、競争効果で料金も下がった。そうした機会、チャンスさえ与えれば、地域分散型の電源開発や電力の地産地消も可能となり、それが雇用や所得を生み、地域の活性化にもつながります。

 総括原価主義のような親方日の丸のコスト算定方式も改め、競争で電気料金も下がっていけば、もう安くもない原発は、市場メカニズムによって、近い将来フェードアウトしていくと維新の党は考えています。

 総理、こうした電力の再編自由化に向けた具体的方策とその工程表について、明らかにしてください。

 また、米国エネルギー省も原発はもはや一番高い電源だと位置づけているのに、なぜ政府のエネルギー基本計画で原発を重要なベースロード電源と位置づけたのか、その理由をお聞かせください。

 維新の党は、原発の再稼働を全く否定するものではありません。しかし、現状のように、再稼働の安全性に誰が責任を持つのか、政府なのか原子力規制委員会なのか事業者なのか、それすら不明確な状況で再稼働させるべきではないと考えています。

 加えて、事故時の避難計画の実効性の担保や再稼働の前提となる三十キロ圏内の地元同意、核のごみの処分場確保の見通しや原子力損害賠償法の見直し等について不透明なままでは、なおさらのことです。

 特に、川内原発については、避難計画が不十分でその実効性が疑われている、地元の同意が得られていない、特に、御嶽山の噴火に見られるように、火山噴火への対応が全くできていないという状況では、とても再稼働など考えられません。総理の見解を求めます。

 現在、世界をめぐる国際情勢、安全保障環境は複雑さを増しています。国際社会のパワーバランスが変化する中、アジア太平洋地域の重要性が急速に高まり、日米関係の基軸たる日米同盟の意義もますます重くなっています。特に、北東アジア地域では、領域主権や権益をめぐる対立や核開発を強行する国もあり、一つ間違えば、国民の生命財産に重大な影響を及ぼし得る状況となっています。

 維新の党は、国民の生命財産や領土を守るため、平和主義を掲げる憲法の理念を踏まえつつ、昨今の安全保障環境の変化に対応し、憲法で許される自衛権の範囲の明確化、自衛権の再定義をいたしました。

 すなわち、憲法に定められた平和的生存権や幸福追求権の趣旨に鑑みれば、仮に、我が国が直接的に武力攻撃を受けていない状況下であっても、我が国と密接な関係にある他国に対する攻撃の結果、我が国にも戦火が及ぶ蓋然性が高く、国民の犠牲も深刻なものになる場合には、それを阻止し、我が国を防衛するために自衛権を行使することは、憲法解釈として許容されると考えます。

 もちろん、再定義された自衛の措置については、範囲の拡大や濫用にしっかりと歯どめをかけ、憲法の制約と安全保障上の要請を精緻に判断した上で、包括的な法整備にも取り組むことといたしたいと思います。

 以上のような維新の党の基本的な考え方に基づき、世上、集団的自衛権の限定容認と称される閣議決定について、安倍総理の見解をただしていきたいと思います。

 この閣議決定文は八ページにも及びますが、私には、その美しい、官庁文学に彩られた文章からは、どうしても集団的自衛権の限定容認という意味が読み取れません。そこに、集団的自衛権という六文字は一カ所だけ。しかも、主文ではなくて傍論的なところに、国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合があると書かれているだけです。

 しかも、閣議決定後の会見で安倍総理も、集団的自衛権が現行憲法のもとで認められるのかといった観念論ではなくとか、新三要件は今までの三要件と基本的考えはほとんど同じとも言われています。

 きわめつけは、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある。ここまで来ると究極の戦術的曖昧戦略だと思うんですが、総理、この閣議決定はいわゆる集団的自衛権を限定容認したものなのか、明確にお答えください。

 加えて、太田国務大臣、公明党も同じ認識、理解でよいのか、お答えください。

 閣議決定文の詳細に入ります。

 一つは、他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合というのは、現行の防衛出動の要件とどこがどう違うんでしょうか。

 ちなみに、内閣法制局長官が七月の予算委員会で明らかにした明白な危険の定義とは、国民に武力攻撃と同様の深刻、重大な被害、戦禍、犠牲が及ぶことが明らかというものです。防衛出動の要件も、武力攻撃の発生だけではなく、切迫していれば十分とされています。総理の見解を伺います。

 さらに、武力行使については、国際法上の根拠と憲法の解釈は区別して理解とか書いてありますが、これは一体どういう意味ですか。お答えください。

 国際法上、集団的自衛権の本質、性格については諸説あります。国際法の有権解釈権を持つ国際司法裁判所の見解は、他国防衛説といって、集団的自衛権は他国を防衛する権利、すなわち、正当防衛概念のうち、他人の権利の防衛に対応する国際法上の概念とされます。

 一方、安倍総理、日本政府の見解は、死活的利益防衛説に当たり、他国への武力攻撃で自国の死活的な利益が害された場合に行使するのが集団的自衛権とされます。しかし、これは異端、少数説なんです。

 今回の閣議決定は、他国への攻撃を契機とはしているものの、他国防衛ではなく、自国防衛の趣旨を明確にしています。さきの予算委員会でも、公明党の北側議員もそう断言しました。そうなら、それは国際法上も個別的自衛権の範疇に入るものです。

 私が予算委員会で、政府が示した十五事例について、架空の事例を除き、これまで必要以上にその範囲を狭めてきた個別的自衛権の解釈を国際標準に合わせて適正化することで十分対応可能と主張したのに対し、安倍総理や外務省がそれは国際法上おかしいと批判されましたが、逆に、私は今、安倍総理、あなたの方がおかしいと申し上げたいと思います。何か反論がありますか。

 国際標準の集団的自衛権の定義と日本政府独自の定義の違いは以上のとおりですが、それをさらに複雑にしているのが、近時の核や弾道ミサイル等の武器技術の飛躍的な進展なんです。個別的自衛権と集団的自衛権の外縁が交わる、重なり合うようになってきたんです。

 例を挙げましょう。

 日本海で米国の艦船が攻撃されたとします。昔なら、朝鮮半島から対艦砲で大砲の弾をぽんと米艦船に当てても、そんな弾が日本まで届きようがない。したがって、その場合、日本が米艦を守るのは明らかに集団的自衛権、他国を守る権利です。

 しかし、今はどうでしょう。北朝鮮のノドンミサイルが二百発以上日本に向けられている中で、同じように米艦船がミサイル攻撃された。その場合は、間髪を入れず在日米軍基地、すなわち日本本土がミサイル攻撃される蓋然性が高いでしょう。米軍基地から一斉に反撃されるのがわかっているのに、同時にそこをたたかない間抜けな司令官は北朝鮮にもいません。

 したがって、こうした状況は、まさに日本への武力攻撃が切迫しているとも言えるので、その米艦船を守るのは個別的自衛権の行使とも言えるんです。ただ、それは、見方によっては集団的自衛権の行使とも言える。ここが両者が重なり合う部分、限界領域の部分なんです。

 自民党の皆さん、よく聞いてください。(発言する者あり)

副議長(赤松広隆君) 静粛に願います。

江田憲司君(続) まあ、ちょっと聞いてくださいよ。

 こうした議論は、何も維新の党だけがしているわけじゃないんですよ。よく勉強してください。

 国際法の権威である中谷和弘東大大学院教授も同様の指摘をされています。具体的に、日本のために派遣された公海上の米艦防護、シーレーン上の船舶の安全確保、そしてミサイル防衛等を例に挙げて、集団的自衛権の外縁を中谷教授は論じています。

 個別的自衛権か集団的自衛権かは、現実には区別が相対化される場合もあるとされているんです。まさに我が意を得たりです。勉強してください。

 維新の党は、この個別的自衛権と集団的自衛権が重なり合う部分を今回限定的に認める。個別的自衛権とも集団的自衛権とも解せる部分なので、我々は、自衛権の行使あるいは自衛上の措置という言葉を使って認める。何も曖昧にしているわけではありません。そもそもの両者の定義自体が武器技術の進展等で相対化しているんですから、あえてそんな観念論争、神学論争はしないということです。

 その意味で、マスコミがはやし立てるような、旧日本維新の会と旧結いの党で全く違いはありません。

 一言で言えば、維新の党は、他国への攻撃であれ自国への攻撃であれ、その結果、日本国民の生命財産、領土に重大な戦禍、犠牲が及ぶ可能性が高い場合には日本を守るために自衛権を行使するということで完全に一致しているんです。したがって、我々が政権をとっても、自衛隊への指揮命令、オペレーションで全くそごはありません。

 しかし、そんなことよりゆゆしき問題は、現実に自衛隊への指揮命令権限を持つ安倍政権内の不一致の方でしょう。現実の安全保障、危機管理を担い、日々それに直面している政府・与党、自民党と公明党が具体的事例への対応で違いがあるという方が、よっぽど国民にとって深刻なことではありませんか。

 危機はいつ降りかかってくるかわかりません。にもかかわらず、このままでは、国の防衛方針が決まらない、自衛隊への指揮命令が発せられないという事態にもなりかねない。

 そこで、伺います。

 安倍総理、シーレーン防衛のための機雷掃海は、今回の閣議決定で可能になるんでしょうか。太田国務大臣、公明党は反対ということのようですが、それでいいですね。お二人に見解を求めます。

 さらに、国連の集団安全保障への対応についても、自民党と公明党には大きな違いがあると伝えられています。

 昨今、国際社会からは、集団的自衛権行使よりもこの集団安全保障への協力の方がはるかに求められる場合が多いんです。しかし、この点でも自民党と公明党に大きなそごがあるというのは、看過できない重大問題です。安倍総理、太田国務大臣の見解を求めます。

 先日、山口公明党代表が、NHK、党首に聞くで今後の関連法案づくりのことを聞かれ、閣議決定には憲法の解釈として集団的自衛権行使は認めるとは書いていない、その後の国会論議、予算委での内閣法制局答弁と総理答弁、それをしっかり踏まえて法律を整備していくことが重要、その核心は、これまでの個別的自衛権と同様の、国民のこうむる被害の深刻性、重大性、それがあるときに許されるということだと山口代表が述べられました。

 それに対し司会者が、政府部内の検討が今の山口さんの御指摘に沿ったものになるのかどうか、まさに国民も注目していると返していますが、安倍総理も今後の関連法案の整備についてこの山口代表と同じお考えなのか、お聞きします。

 また、こうした関連法案の前提となる安全保障政策の基本的な法整備をされるおつもりがあるのかどうか、お聞きをします。

 最後に、いずれにせよ、維新の党は、こうした憲法解釈は、三権分立の確立と憲法保障の観点から、憲法裁判所もしくは最高裁判所の憲法部等の抽象的な憲法判断によることが必要と考えています。総理のこの点についての見解も伺います。

 もう時間がありません。外交上の諸課題については今後の国会審議に委ね、ここでは、北朝鮮による拉致問題についてお聞きします。

 拉致被害者の再調査に大きな期待が集まりましたが、九月の第二週以降とされていた最初の報告が延期されてしまいました。家族の皆様のお気持ちを思うと、言葉になりません。

 総理、きのうも外務省局長級の協議が行われたということですが、今の調査の現状と、この事態をどう打開されていくおつもりか、お答えください。

 最後に、もう一度申し上げます。

 維新の党は、日本再生のため、日本の将来を切り開くため、既得権益を打破して、国民本位の真の改革、イノベーションを断行してまいります。

 もはや、保守だリベラルだといったイデオロギーで国の方向性を指し示す時代は終わりました。維新の党は、保守、リベラルを超えた政治を目指します。それは、内政、外交とも、イデオロギーではなく、政策ごとに国民の立場に立って合理的に判断することによって可能となります。そして、国政の根源的な課題を次世代に先送りせず、将来に向けた持続可能な制度、仕組みを構築してまいります。

 今、安倍自民党の一強多弱と言われる政治状況の中で、緊張感のない、切磋琢磨することのない政治は必ず慢心を生み出します。競争なきところに国民本位の政治はありません。

 ゆえに、維新の党は、巨大与党、安倍自民党に対抗し得る、政権担当可能な一大勢力を形成するため、政治理念や基本政策の一致を大前提に、野党再編、政界再編を率先して推進し、改革勢力を結集していく決意であります。

副議長(赤松広隆君) 江田憲司君に申し上げます。

 申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。

江田憲司君(続) そのことを最後にお誓い申し上げ、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 江田憲司議員にお答えをいたします。

 米の生産調整の見直し、いわゆる減反の廃止についてお尋ねがありました。

 安倍内閣においては、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意のもと、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上とともに、リース方式を活用した農地集積による生産性の向上、美しいふるさとを守る日本型直接支払いの創設などに精力的に取り組んでいくこととしております。

 その上で、四十年以上続いてきた米の生産調整を見直し、農業者がみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることによって農地のフル活用を図り、食料自給率と食料自給力の向上をあわせて図っていくこととしております。

 今後、これらの施策を着実に実行することによって、生産現場での混乱を招くことなく、農業構造の改革と、強い農業の実現を図っていきたいと考えております。

 農業分野の規制改革、構造改革についてお尋ねがありました。

 農業を成長産業にしていくためには、経営マインドを持つ、意欲のある農業の担い手が活躍しやすい環境を整備していくことが重要です。

 農業への企業参入については、平成二十一年のリースの解禁で株式会社のままでも自由に参入できることとなっており、農地集積バンクとの組み合わせによって、さらに効率的に農業経営を展開できるようになります。

 さらに、農業生産法人要件については、六次産業化等を図り、経営を発展させやすくする観点から、役員要件及び議決権要件の見直しを行うこととしております。

 また、農業委員会、農業協同組合についても改革を行います。特に、農協については、六十年ぶりの抜本改革を行うこととしており、地域の農協が主役となり、農業の成長産業化に全力投球できるようにしてまいります。

 今後、次期通常国会にこれらの関連法案を提出すべく、検討を進めていきます。

 こうした改革の実現を通じて、農業、農村全体の所得倍増の実現につなげていきたいと考えております。

 TPP交渉についてお尋ねがありました。

 アジア太平洋地域の成長を日本に取り込む潜在力を持つTPPは、成長戦略の重要な柱の一つであります。

 日米の交渉については、先日、バイデン副大統領との間で、両国のトップリーダーが指導力を発揮し、交渉担当者に対し、柔軟性を持って、TPPの早期妥結に向けて努力するよう指示することを確認しました。

 TPP交渉は最終局面にあり、関係国と協力し、早期妥結に向け、交渉に全力を尽くしてまいります。

 法人税改革についてお尋ねがありました。

 政府としては、日本の競争力を高める観点から、成長志向に重点を置いた法人税改革に取り組むこととし、既に、骨太の方針において、法人実効税率を数年で二〇%台まで引き下げることを目指す、この引き下げは来年度から開始する、財源もしっかり確保するとの方針を決定しております。

 この方針に沿って、年末に向け、法人税改革の具体的内容について検討してまいります。

 失業者などへのセーフティーネットの構築に関するお尋ねがありました。

 失業者に対しては、これまでも、雇用保険などにより必要な給付を行うとともに、公共職業訓練やハローワークでの職業紹介などを行ってきています。

 成熟産業から成長産業への失業なき労働移動の実現を目指し、キャリアアップを希望する非正規雇用の方々などを支援するため、十月から教育訓練給付の充実を行うなど、働く人の能力開発をさらに進め、安心して働けるセーフティーネットを構築してまいります。

 年金制度の積立方式への移行についてのお尋ねがありました。

 今回の財政検証では、幅広い経済前提を設定しており、日本経済が再生するケースでは、所得代替率五〇%を確保できることが確認されています。これに対し、御指摘のケースは、最も低成長で、労働参加が進まないケースに当たります。

 安倍政権としては、女性や高齢者が安心して働ける環境の整備を進め、日本経済を再生させ、持続的な成長を目指してまいります。

 積立方式へ移行したとしても、低成長であれば、将来の年金の価値が低下することは避けられません。また、現役世代の自分のための積み立てに加えて、現在の高齢者の給付を賄ういわゆる二重の負担が生じるなどの問題があると考えています。

 消費税率引き上げと足元の経済状況についてのお尋ねがありました。

 消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減もあり、四―六期の成長率は前期比年率マイナス七・一%となりましたが、二〇一四年一―六月は前年同期比一・三%のプラス成長となっており、全体的には経済成長が続いていると考えております。

 また、一人当たり名目賃金に雇用者数を乗じた国民全体の所得、賃金である雇用者所得は、昨年四月以降上昇基調にあります。

 他方で、消費税率引き上げや燃料価格の高騰、この夏の天候不順などによる景気への影響にも慎重に目配りしていくことが必要です。

 消費税率の一〇%への引き上げについては、冷静な経済分析を行った上で、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断してまいります。

 国会議員の定数削減や政治活動の諸経費、国会議員の歳費についてお尋ねがありました。

 議員の定数に関する問題は、議会政治の根幹にかかわる重要な課題であり、与党がリーダーシップを発揮し、各党各会派と真摯に議論を行い、早期に結論を得ることが大切と考えています。

 政治活動の諸経費については、そもそも、それぞれの国会議員が、国民に疑念を持たれないように、責任を持って行動すべき問題と考えます。

 その上で、公開のルール化については、議員活動にかかわることであり、国会において、よく各党各会派で御議論いただきたいと考えます。

 国会議員の歳費については、現状は議院運営委員会で協議された結果と承知しておりますが、今後とも、国会において、各党各会派の間で議論が深まることを期待しております。

 消費税率の引き上げと公共事業や基金、復興予算についてお尋ねがありました。

 消費税率の引き上げは、国の信認を維持するとともに、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくためのものです。消費税増収分は、全額社会保障財源化することとしており、公共事業に充てることはありません。

 また、年度末に補正予算が成立する場合など、補正予算に計上された公共事業関係費の多くが結果的に翌年度に繰り越されることもありますが、これらについては、翌年度において適切な執行に努めているところです。

 基金については、財政規律の観点から、その創設、積み増しを厳に抑制するとともに、執行状況を全て公表し、使用見込みの低い基金については返納を検討することとしております。

 復興予算については、流用等の批判を招くことがないよう、平成二十四年度補正予算から、復興関連予算は被災地の復旧復興に直接資するものを基本としています。

 したがって、安倍政権のもとでの財政運営がまやかしとの御指摘は当たりません。

 公務員の総人件費についてお尋ねがありました。

 国家公務員については、厳しい財政状況に鑑み、職員構成の高齢化等に伴う構造的な人件費の増加を抑制するとともに、簡素で効率的な行政組織、体制を確立することにより、今後とも、総人件費の抑制を図ってまいります。

 これまでも、東日本大震災の復興財源を確保するための国家公務員給与の特例減額措置を実施してきたところですが、今後は、地域間、世代間の適正な給与配分等の実現を図る観点から、給与制度の総合的な見直しに取り組んでまいります。

 また、地方公務員についても、この趣旨に沿った対応が行われるものと考えています。

 経済と財政についてのお尋ねがありました。

 経済再生なくして財政再建はありません。また、財政健全化なくして経済再生はありません。

 安倍内閣においては、経済再生と財政健全化の両立に向け取り組んでまいりました。三本の矢の政策により、経済の好循環のさらなる拡大を目指してまいります。無駄な歳出は省き、ばらまきは行いません。

 地方創生は公共事業へのばらまきに終わってしまうのではないかとのお尋ねがありました。

 地方創生の推進に当たっては、地方の個性を尊重し、活気あふれる発意に基づく地方の自主的な取り組みを国が後押しすることとしています。

 このため、地方の声に徹底して耳を傾け、国の示す枠にはめるような手法やばらまき型の投資は断じて行わないこととしております。

 また、まち・ひと・しごと創生本部のリーダーシップで各府省の縦割りを排除するとともに、施策の効果検証を厳格に実施することにより、限られた財源の中で効果の高い政策を集中的に実施してまいります。

 被災地における復興事業の進め方についてお尋ねがありました。

 被災地の復興事業を優先的に進めるため、政府としては、これまで、資材や人材を円滑に確保するため、生コンクリートのプラントの増設や発注規模の大型化を行ったほか、実勢価格を適切に反映するため労務単価を引き上げるなど、五度にわたり加速化策を打ち出してまいりました。

 こうした対策により、復興事業は全体として着実に進んでおります。

 今後とも、資材や人材の状況を注視しながら、復興事業の円滑な実施のための対策をきめ細かく講じてまいります。

 道州制、大阪都構想及び公営企業の民営化についてお尋ねがありました。

 道州制の導入は、国のあり方を根底から見直す大きな改革であり、与党において、道州制に関する基本法案の早期制定を目指し、精力的に議論を行っております。

 この議論が集約されていくプロセスの中で法案が国会に提出されることになると考えており、今後、政府としても連携を深め取り組んでまいります。

 いわゆる大阪都構想は、二重行政の解消と住民自治の拡充を図ろうとするものであり、その目的は重要であると認識しております。

 実現については、法令の手続に従い、地域の判断に委ねられているものであり、関係者間で真摯な議論に努めていただくことを期待しております。

 公営企業の民営化については、政府として、民間能力の積極的な活用の選択肢の一つとして考えております。

 その具体化に当たっては、サービスの質の向上や事業の効率性などを検討し、地域の実情や住民の意見等を十分勘案の上、当該地域において判断されるべきものと考えております。

 電力自由化と原発の位置づけについてのお尋ねがありました。

 電力自由化については、昨年成立した改正電気事業法に基づき、平成二十八年を目途に電気の小売業への参入を全面自由化し、平成三十年から平成三十二年までの間を目途に発送電の分離を行います。

 御指摘の米国を含め、海外での電源コストと日本における電源コストを単純に比較することは適切ではありません。例えば、日本において、シェールガスが大量に生産される米国のような低価格で燃料を調達できるわけではありません。

 我が国においては、東日本大震災後に行った試算では、原発の事故対応費用や使用済み核燃料の処理コストも含めた上で、原発のコストは、他の電源と比較して必ずしも高くないとされています。

 その上で、エネルギー基本計画においては、原子力は、発電時のCO2排出がゼロであり、準国産エネルギーとして特徴を持つことから、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置づけています。

 原発再稼働についてお尋ねがありました。

 原発については、いかなる事情よりも安全性が最優先です。

 独立した原子力規制委員会が世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づいて徹底的な審査を行い、これに適合すると認められた原発について再稼働を進めていく方針です。

 その際、地元の理解を得ることが重要であり、国も前面に立ち、丁寧に説明してまいります。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分場については、科学的根拠に基づき国から適地を提示するなど、国が前面に立って取り組みを進めてまいります。

 原子力損害賠償については、現行法の制度のもとでも、賠償の迅速かつ適切な実施がなされるよう、さまざまな措置を講じています。

 川内原発については、避難計画を含めた川内地域の緊急時対応について、関係省庁、鹿児島県、関係市町が参加したワーキングチームで、具体的かつ合理的なものであることを確認し、先日、私が議長を務める原子力防災会議で了承しております。

 また、川内原発の審査に当たっては、火山による影響についても、原子力規制委員会が厳格な確認を行ったと承知しており、再稼働に求められる安全性は確保されていると考えております。

 集団的自衛権の限定容認についてお尋ねがありました。

 政府としては、国連憲章において各国に認められているのと同様の集団的自衛権の行使が、憲法上全て許されるとは考えていません。

 今回の閣議決定は、あくまで我が国の存立を全うし、国民の平和な暮らしを守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置を認めるものであって、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものではありません。

 武力の行使に関する閣議決定にある新三要件と、現行の防衛出動の要件の違いについてのお尋ねがありました。

 現行の防衛出動は、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態、または武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合に命ずることができるものであります。

 ただし、後者の、いわゆる切迫事態では、防衛出動は可能ですが、武力の行使は認められていません。

 他方、閣議決定にある、他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合とは、他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とする、自衛のための武力の行使が認められる要件であります。

 このように、現行の防衛出動と閣議決定にある新三要件では、その前提が異なりますが、両者の関係については、今後、法整備作業の中で十分検討していきたいと考えております。

 国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解することについてのお尋ねがありました。

 新三要件を満たす武力の行使は、国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合があります。したがって、この武力の行使には、他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とするものが含まれます。しかし、憲法上は、あくまでも、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容されるものであります。御指摘の点は、このような判断について述べたものであります。

 集団安全保障の対応についてお尋ねがありました。

 憲法上、我が国による武力の行使が許容されるのは、あくまで新三要件を満たす場合に限定されます。

 これは、国際法上の根拠が集団的自衛権となる場合でも、国連安保理決議が採択され、その根拠が集団安全保障となる場合でも、変わりません。

 先般の閣議決定でこの点は明確になっており、自民党と公明党の間に全く違いはありません。

 閣議決定の関連法案の整備についてお尋ねがありました。

 閣議決定にある、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるとは、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況のもと、武力を用いた対処をしなければ、国民に対して、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるということをいうものと考えています。

 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合に、いかなる事態がこのような場合に該当するかは、現実に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなります。

 今後の法整備については、閣議決定で示された基本方針のもと、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする観点から政府として検討を進めるということに尽きるわけであります。

 拉致問題についてお尋ねがありました。

 北朝鮮の特別調査委員会による調査については、北朝鮮側が誠意を持って迅速に調査を行い、その結果を速やかに通報すべきと考えています。

 こうした観点から、二十九日の瀋陽における外交当局間会合の開催を日本側から提案し、その会合において、調査の現状を聴取するとともに、北朝鮮側に、調査を迅速に行い、その結果を速やかに通報するよう強く求めたところであります。

 全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き締めるその日まで私たちの使命は終わらないとの決意で、今後とも、全ての拉致被害者の帰国に向けて全力を尽くしてまいります。対話と圧力、行動対行動の原則を貫き、全力を尽くしてまいります。

 そして、シーレーン防衛のための機雷掃海についてのお尋ねがありました。

 海洋国家である我が国にとって、国民生活に不可欠な資源や食料等を輸送する船舶の安全確保は、極めて重要であります。

 シーレーンにおける機雷掃海は、国際法に違反して敷設され、船舶の安全を損なう水中の危険物を除去するものであり、受動的かつ限定的な行為であります。

 実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して判断することとなりますが、新三要件を満たす場合には、シーレーンにおける機雷掃海は憲法上許容されるものと考えております。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣太田昭宏君登壇〕

国務大臣(太田昭宏君) 集団的自衛権の限定容認についてお尋ねがありました。

 先ほど総理が答弁いたしましたように、今回の閣議決定は、あくまで我が国の存立を全うし、国民の平和な暮らしを守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置を認めるものであって、他国の防衛それ自体を目的とするいわゆる集団的自衛権の行使を認めるものではありません。

 こうした考え方について、与党の間で異なることはないと考えています。

 次に、シーレーン防衛のための機雷掃海についてお尋ねがありました。

 先ほど総理が答弁いたしましたように、実際に発生した事態の個別的、具体的な状況に即して判断することとなりますが、新三要件を満たす場合には許容され、満たさない場合には許容されないものと考えています。

 こうした考え方について、与党の間で異なることはないものと考えています。

 集団安全保障の対応についてお尋ねがありました。

 先ほど総理が答弁いたしましたように、憲法上、我が国における武力の行使が許容されるのは、あくまで新三要件を満たす場合に限定されます。

 こうした考え方について、与党の間で異なるところはないものと考えています。

 以上です。(拍手)

副議長(赤松広隆君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとの申し出があります。これを許します。内閣総理大臣安倍晋三君。

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

内閣総理大臣(安倍晋三君) 憲法裁判所または最高裁判所における憲法部についてのお尋ねがありました。

 憲法裁判所または最高裁判所内に憲法部を設置し、具体的な訴訟事件を離れて抽象的な憲法判断の権能を付与すべきとの御提案は、非常に大きな問題であり、各党各会派で広く御議論をいただいた上、国民的な議論を深めていくことが必要と考えております。(拍手)

     ――――◇―――――

橘慶一郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十月一日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(赤松広隆君) 橘慶一郎君の動議に御異議はありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(赤松広隆君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十五分散会

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 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣     麻生 太郎君

       総務大臣     高市 早苗君

       法務大臣     松島みどり君

       外務大臣     岸田 文雄君

       文部科学大臣   下村 博文君

       厚生労働大臣   塩崎 恭久君

       農林水産大臣   西川 公也君

       経済産業大臣   小渕 優子君

       国土交通大臣   太田 昭宏君

       環境大臣     望月 義夫君

       防衛大臣     江渡 聡徳君

       国務大臣     甘利  明君

       国務大臣     有村 治子君

       国務大臣     石破  茂君

       国務大臣     菅  義偉君

       国務大臣     竹下  亘君

       国務大臣     山口 俊一君

       国務大臣     山谷えり子君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  加藤 勝信君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  横畠 裕介君


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