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第20号 平成28年3月31日(木曜日)

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平成二十八年三月三十一日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十二号

  平成二十八年三月三十一日

    午後一時開議

 第一 サイバーセキュリティ基本法及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 航空業務に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十九回国会、内閣提出)

 第三 航空業務に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十九回国会、内閣提出)

 第四 社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第五 公職選挙法の一部を改正する法律案(政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長提出)

 第六 社会福祉法等の一部を改正する法律案(第百八十九回国会、内閣提出)(参議院送付)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 サイバーセキュリティ基本法及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 航空業務に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十九回国会、内閣提出)

 日程第三 航空業務に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十九回国会、内閣提出)

 日程第四 社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第五 公職選挙法の一部を改正する法律案(政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長提出)

 日程第六 社会福祉法等の一部を改正する法律案(第百八十九回国会、内閣提出)(参議院送付)

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法及びスポーツ振興投票の実施等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 サイバーセキュリティ基本法及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、サイバーセキュリティ基本法及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長西村康稔君。

    ―――――――――――――

 サイバーセキュリティ基本法及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔西村康稔君登壇〕

西村康稔君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、サイバーセキュリティーの確保のために国が行う情報システムに対する不正な活動の監視及び分析等の対象を独立行政法人等に拡大するとともに、サイバーセキュリティ戦略本部の事務の一部を独立行政法人情報処理推進機構等に委託することができることとし、あわせて、当該委託に係る事務を同機構の業務とするほか、情報処理安全確保支援士制度を創設する等の措置を講ずるものであります。

 本案は、去る三月二十四日本委員会に付託され、翌二十五日遠藤国務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。三十日に質疑を行い、質疑終局後、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 航空業務に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十九回国会、内閣提出)

 日程第三 航空業務に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百八十九回国会、内閣提出)

 日程第四 社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

議長(大島理森君) 日程第二、航空業務に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第三、航空業務に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第四、社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長岸信夫君。

    ―――――――――――――

 航空業務に関する日本国とカンボジア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 航空業務に関する日本国とラオス人民民主共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔岸信夫君登壇〕

岸信夫君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、日・カンボジア航空協定は、平成二十七年一月十四日にプノンペンにおいて、日・ラオス航空協定は、同月十六日にビエンチャンにおいて、それぞれ署名されたもので、我が国とカンボジア及びラオスとの間で、定期航空路線の開設及び定期航空業務の安定的な運営を可能にするための法的枠組みについて定めるものであります。

 次に、日・フィリピン社会保障協定は、平成二十七年十一月十九日にマニラにおいて署名されたもので、我が国とフィリピンとの間で年金制度に関する法令の適用について調整を行うとともに、両国の年金制度の加入期間を通算すること等について定めるものであります。

 日・カンボジア航空協定及び日・ラオス航空協定は、第百八十九回国会に提出されましたが、今国会に継続審査となり、一月四日外務委員会に付託されたものであります。

 日・フィリピン社会保障協定は、今国会に提出され、三月二十四日外務委員会に付託されたものであります。

 以上三件は、三月二十五日岸田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨三十日、質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 三件を一括して採決いたします。

 三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 日程第五は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第五 公職選挙法の一部を改正する法律案(政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長提出)

議長(大島理森君) 日程第五、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長山本公一君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山本公一君登壇〕

山本公一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、船員の投票の機会を拡充するため、洋上投票の対象を広げるとともに、選挙において候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するため、要約筆記者に対する報酬支払いを解禁しようとするものであります。

 その主な内容は、

 第一は、洋上投票の対象の拡充であります。

 本案は、一定の指定船舶に乗っている船員等に限ってすることができる洋上投票について、新たに指定船舶に準ずるものとして総務省令で定める船舶に乗っている船員について、洋上投票の対象とするもの等としております。

 第二は、要約筆記者に対する報酬支払いの解禁であります。

 現行では、選挙運動においてウエブサイト等を利用する方法による文書図画の頒布等に当たり、要約筆記者に対する報酬の支払いは禁止されておりますが、本案は、これらの選挙運動において専ら要約筆記のために使用する者について、一定の報酬を支給することができるものとしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとしておりますが、要約筆記者に対する報酬支払いの解禁については、公布の日から起算して一月を経過した日から施行するものといたしております。

 以上が、本案の趣旨及び内容であります。

 本案は、昨三月三十日、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 なお、本委員会におきまして、本案に関し、地方議会議員の選挙における選挙運動用ビラの頒布解禁に関する決議が行われたことを申し添えます。

 何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第六 社会福祉法等の一部を改正する法律案(第百八十九回国会、内閣提出)(参議院送付)

議長(大島理森君) 日程第六、社会福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長渡辺博道君。

    ―――――――――――――

 社会福祉法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔渡辺博道君登壇〕

渡辺博道君 ただいま議題となりました社会福祉法等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、福祉サービスの供給体制の整備及び充実を図るため、社会福祉法人の経営組織の見直し、事業運営の透明性の向上及び財務規律の強化、介護人材の確保を推進するための取り組みの拡充、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、前国会、本院において可決され、参議院において継続審査となっていたもので、去る三月二十三日、参議院において法律番号の年表示を修正の上、本院に送付され、同日本委員会に付託されました。

 本委員会においては、昨日、提案理由の説明を省略した後、採決の結果、本案は賛成多数をもって参議院送付案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法及びスポーツ振興投票の実施等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、独立行政法人日本スポーツ振興センター法及びスポーツ振興投票の実施等に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部科学大臣馳浩君。

    〔国務大臣馳浩君登壇〕

国務大臣(馳浩君) 独立行政法人日本スポーツ振興センター法及びスポーツ振興投票の実施等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 国際的な規模のスポーツの競技会における日本人選手の活躍は、国民に誇りと喜び、夢と感動を与え、国民のスポーツへの関心を高めるものであります。また、これらを通じて、スポーツは、我が国社会に活力を生み出し、国民経済の発展に広く寄与するものであります。

 この法律案は、こうした国際的な規模のスポーツの競技会の我が国への招致またはその開催が円滑になされるようにするために行うスポーツ施設の整備に必要な財源を確保するため、所要の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、平成二十八年度から平成三十五年度までの各事業年度のスポーツ振興投票に係る収益において、国際的な規模のスポーツの競技会の我が国への招致またはその開催が円滑になされるようにするために行うスポーツ施設の整備に必要な財源に充てるために控除されることとなる金額の上限を、売上金額の百分の五から百分の十に変更することとしております。

 第二に、平成二十八年度から平成三十五年度までの各事業年度のスポーツ振興投票に係る収益のうち国庫に納付しなければならない金額を、当該収益の三分の一から四分の一に変更することとしております。

 第三に、国際的な規模のスポーツの競技会の我が国への招致またはその開催が円滑になされるようにするために独立行政法人日本スポーツ振興センターが整備を行うスポーツ施設のうち、地域の発展に特に資するものとして政令で定める施設の整備に要する費用について、当該スポーツ施設が存する都道府県がその費用の三分の一以内を負担すること、また、当該都道府県が負担する費用の額及び負担の方法は、独立行政法人日本スポーツ振興センターと当該都道府県が協議して定めることとするとともに、当該協議が成立しないときは、当事者の申請に基づき、当事者の意見を聞いた上で、文部科学大臣が裁定することとしております。

 第四に、平成二十八年度から平成三十五年度までの各事業年度のスポーツ振興投票に係る収益のうち地方公共団体または地方公共団体の出資等に係るスポーツ団体に対する資金の支給に充てる金額を、当該収益の三分の一から八分の三に変更することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法及びスポーツ振興投票の実施等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。長島昭久君。

    〔長島昭久君登壇〕

長島昭久君 民進党の長島昭久です。

 私は、民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました独立行政法人日本スポーツ振興センター法及びスポーツ振興投票の実施等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。(拍手)

 半世紀前の一九六四年十月十日、昭和天皇の開会宣言で幕をあけたオリンピック・パラリンピック東京大会は、史上初めてアジアで開催された大会であり、日本の国際社会への本格的な復帰を象徴し、敗戦から立ち上がった日本の復興を世界に示す意義深い大会となりました。

 そして、二〇一三年九月八日、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京への招致決定は、東日本大震災からの復興を願う日本国民に大きな勇気と希望をもたらしました。

 ところが、あの高揚感は、今急速にしぼみかけています。オリンピック・パラリンピックの夢舞台を目指し、寝食を忘れて準備に取り組んでいる現場の皆さんや、猛練習に励むアスリートの皆さんの日々の努力に水を差すような、関係組織の混乱と政治の無責任ぶりが次々と露呈したのです。

 特に、新国立競技場を舞台にしたお粗末などたばた劇は、最近の聖火台をめぐって繰り広げられた主要人物たちの責任転嫁のオンパレードでまさに頂点に達した感があります。

 聖火台の設置場所がないとの信じられない事実が発覚した際、組織委員会の森会長は、日本スポーツ振興センターの少し頭のおかしな連中が聖火台を忘れた設計図をつくった、組織委員会ばかりが悪者扱いされるが、一番悪いのは馳浩です、文部科学省ですと発言。

 招致を決めた猪瀬前東京都知事は、政府と組織委員会の綱引きで、双方が責任をなすりつけている、信じられない無責任体質は、森会長の存在に端を発している、なぜなら、馳文科大臣も遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣も森会長の配下として任命された経緯があったのだと発言。

 森会長に名指しをされた馳文科大臣は、責任はという報道陣の問いに対して、みんなの責任だと述べ、遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣に至っては、聖火台のことは関係者の間で余り議論されず、前の計画で済んでいた気になっていたのではとまるで他人事のようなコメント。

 きわめつけはJSCの幹部です。組織委員会から聞き取った要望の中に聖火台を競技場内に置くという話はなく、白紙撤回後の公募時にも設置場所は想定しなかったと驚くべき証言が報道されております。

 まず、端的に伺います。

 新国立競技場建設に責任を負う大臣は、文科大臣、五輪担当大臣のどちらですか。建設費が当初の三倍近くまで膨れ上がり、国民の激しい批判を浴びて白紙撤回に追い込まれ、文科省の担当局長、JSCの理事長は更迭されましたが、責任者と目された文科大臣は辞任もせず、更迭もされず、内閣改造によってその責任の所在はうやむやとなりました。

 文科大臣、五輪担当大臣にそれぞれ伺います。

 次にこのようなことが起こった場合、どちらの大臣が責任をとるのでしょうか。

 新国立競技場プロジェクトのやり直しをめぐっては、デザインと設計、施工の一括入札と、甚だ強引な手法がとられましたが、採用案の選定もすっきりしない決め方で、採用された案の基本構造は、あのザハ案に酷似しているとの指摘もあります。このやり直しの事務を担った政府機関は内閣官房であります。責任者の政治家は一体誰であり、官僚のトップは一体誰なのか、内閣の統一見解として官房長官からお示しをいただきたいと存じます。

 ところで、経費を賄う財源の問題には、依然として不透明感がつきまとっています。

 そこで、文科大臣に四点伺います。

 新国立競技場建設に係る国庫負担の上限は幾らになりますか。国と地方公共団体の負担割合の変更は今後ありますか。スポーツ振興投票くじtotoの収益に係る国庫納付金が今後さらにオリンピック事業に充当されることはあるのでしょうか。大会終了後の新国立競技場の収益採算性は確かに適正であり、これ以上の税金投入はないと国民に約束できますか。お答えください。

 その関連で、totoについても端的に四点伺います。

 国庫納付金がtotoの収益の三分の一から四分の一に変更されますが、その影響が他にしわ寄せされることはないのでしょうか。totoの売り上げ向上のためにどのような対策をとるおつもりでしょうか。収益確保のために、野球やラグビーなどにtotoの事業を広げることはあり得るのでしょうか。大会終了後も将来的な施設運営費にtotoの収益が支出されることはないと約束できるのでしょうか。文部科学大臣に明快な答弁を求めます。

 東京大会終了後の新国立競技場は、国民のレガシーとして、少なくとも五十年は、スポーツやコンサートなど多岐にわたって利活用されることが期待されています。二〇一九年のラグビーワールドカップには残念ながら間に合いませんでしたが、サッカーのワールドカップ招致も当然視野に入れていると考えます。この点、まず馳文科大臣に確認させていただきます。イエスかノーかでお答えください。

 ところが、関係者によれば、新たに採用された設計案では、そもそもFIFAの最低限の基準を満たしていないとの懸念があると言われています。具体的には、FIFAが開催国に求める、開幕戦及び決勝戦は八万人を収容するスタジアムで開催するという基本中の基本のスペックの要件が満たされていないというのです。

 国民や都民の血税を含む巨費を投じておいて、肝心かなめの利用者の要求基準を満たさない施設を建設してしまうとすれば、エンブレムや聖火台などで見せたガバナンス欠如による迷走をまた繰り返すことになり、失敗の教訓から何も学んでいないということになるのではありませんか。文部科学大臣から明確な答弁を求めます。

 このように、JSCのガバナンス問題は、東京大会の成否に暗い影を落としています。JSCの所管は文部科学省ですが、行政改革担当として、このJSCという組織はどこが問題で、何をどう改革すべきなのか、河野太郎大臣の御所見を伺います。

 また、行政改革担当大臣として、この間の新国立競技場、エンブレム、聖火台などをめぐる混乱と行政組織、公益法人とのかかわりについて、その問題点と課題はどこにあるとお考えか、見解を求めます。

 次に、東京大会にかかる全体費用について伺います。

 東京都などが招致活動に使った二〇一三年立候補ファイルによると、大会経費は総額七千三百四十億円と明記されております。

 ところが、組織委員会の森会長は、昨年七月、日本記者クラブでの講演で、当初より三倍、最終的には二兆円を超すことになるかもしれないと語りました。舛添要一都知事も負けじとばかり、十月には、大まかに三兆円は必要だろうと述べました。オリンピック・パラリンピック開催に最も影響力のある二人の言動としては、余りにも軽いと言わざるを得ません。

 そんな中で、昨年十二月、大会運営費だけで当初予算の六倍に当たる一兆八千億円にふえるという報道があり、波紋を呼びました。

 大会全体として一体幾らかかるのか、いつ正確な積算ができるのか、遠藤大臣、馳大臣、そして菅官房長官、どなたでも結構です、責任を持って答えられる閣僚に御答弁願います。

 この点で参考になるのは、二〇一二年のロンドン大会です。

 イギリスでは、競技場や社会インフラなどの整備は、組織委員会ではなく、国とロンドン市が一体となったODA、オリンピック・デリバリー・オーソリティーという組織体を設け、関連予算や権限を集中させ、計画的、一体的な整備に当たりました。

 しかし、今回はそうした体制にはなっていません。競技大会担当大臣は置くものの、国、東京都を初め関係自治体、組織委員会、JOC等が円滑な連携を図って対応するとされているのみです。結局、誰が最終的な責任を持ち、進捗状況を掌握して全体をリードしていくのか、全体を統括するプロジェクトマネジャーが不在なのです。それが今日の混迷をもたらした最大の原因ではないでしょうか。

 遠藤オリンピック・パラリンピック大臣に、東京大会全体に係るガバナンスの立て直しについて、政府の決意を伺いたいと思います。遠藤大臣、ここは肝でございます。頑張りますではだめです。みずからがプロジェクトマネジャーである、そう宣言していただきたいし、一元化に向けた具体的な体制の再構築、明確なビジョンをお示しください。

 さて、オリンピック・パラリンピック大会の成功に向けて推進すべき政策について、三点伺います。

 第一に、障害者スポーツの振興についてです。

 パラリンピックという言葉は、一九六四年の東京大会の際に初めて使われました。したがって、夏のパラリンピック競技大会が同一の都市で二回開催されるのは、今回が史上初めてであります。その意味でも大変意義深いと思いますが、障害者スポーツの振興のために、選手及び指導者の育成、施設整備にはどのような予算と計画があるのか、文部科学大臣からお示しください。

 第二に、ドーピングの問題です。

 そもそも、日本選手がドーピングをしないというのは当然ですが、世界から集まってくる選手のドーピングを事前にしっかりと捉まえて、名実ともにクリーンな大会とする体制を築く必要があります。そうでなければ、東京大会のイメージが失墜するだけでなく、日本の運営の力も問われることになり、日本国の信頼性にも影響を及ぼしかねません。政府として、どのようにアンチドーピング対策に取り組むのか、文科大臣及びオリンピック・パラリンピック担当大臣にお伺いいたします。

 第三に、テロ、サイバー攻撃についてであります。

 テロ攻撃やサイバー攻撃への予防、抑止、対処、これは国の重大な責務であります。これには、周到な計画と着実な準備、そして十分な時間を確保し、関係者間でしっかりと信頼関係を醸成し、強靱な組織をつくっていくことが重要です。こうしたテロやサイバー攻撃に対し、今後どういう段取りで準備を進めていくのか、国がどういう役割を果たしていこうとするのか、官房長官に伺います。

 最後に強調しておきたいのは、大会成功のためには国民の理解と協力が不可欠だということであります。

 この観点から、私たち民進党は、本改正案の足らざる点を補うために、大会準備状況に関して政府が定期的に国会に報告し、審議することによって、情報公開を促進し、透明性を高め、国民の理解と支持を確かなものとするとともに、国際的な信頼を確保するためとの趣旨で具体的な法案を既に衆議院に提出しております。せめてこれくらいは、政府、与野党の合意に基づいて実現させようではありませんか。

 この点に関し、河野行政改革担当大臣、そして遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣にそれぞれ御所見を承り、オリンピック・パラリンピック東京大会の成功のために、民進党として、国民とともに最大限の協力をさせていただくことを表明し、私の質問といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣馳浩君登壇〕

国務大臣(馳浩君) 長島議員から六つ質問がありました。

 最初に、新国立競技場建設に責任を負う大臣についてお尋ねがありました。

 新国立競技場の整備については、遠藤大臣を議長とする関係閣僚会議において、昨年八月に新たな整備計画を決定したものであり、遠藤大臣が整備の責任者であると認識をしております。

 私も、閣僚会議の副議長として整備プロセス全体の点検に参画するほか、整備事業の主体であるJSCを所管する大臣として、二〇二〇年東京大会に確実に間に合うよう、しっかりと責任を果たしてまいります。

 次に、財政負担等についてのお尋ねであります。

 新国立競技場の整備に係る財政負担については、昨年十二月の関係閣僚会議において、国、スポーツ振興くじ、東京都のそれぞれの負担割合を二対一対一とし、国の負担額は、スポーツ振興くじの収益に係る国庫納付金の減少見合い分を含め七百九十一億円と決定しております。

 また、この負担割合については、本関係閣僚会議の決定において、消費税率の引き上げや賃金、物価等の変動に伴い追加負担が生じる場合においても、この割合でそれぞれが負担することとしています。

 次に、国庫納付金については、国の一般会計の歳入予算に計上されることになりますが、文部科学省として、引き続き、オリンピック・パラリンピック対応などスポーツ関係予算の確保に努めてまいります。

 また、新国立競技場の収益採算性については、現在、文部科学副大臣を座長とするワーキングチームにおいて、大会後の利活用のあり方として、民間事業への移行による収益を高めるための方策や、維持管理コストの縮減などについて検討を進めており、効率的な運営管理が図られるよう努めてまいります。

 次に、totoについてのお尋ねでありますが、今回の改正案では、スポーツ振興くじの収益のうち国庫納付に係る割合を三分の一から四分の一に引き下げることにしておりますが、スポーツ振興くじの売り上げを向上させること等により、できる限り影響が出ないよう努めてまいる所存であります。

 また、スポーツ振興くじの売り上げ向上を図るため、本年四月から新たに百円BIGを販売するなど、新商品の開発や販売方法の工夫に取り組むこととしています。

 次に、スポーツ振興くじの対象競技の拡大については、超党派のスポーツ議員連盟において検討がなされているところであり、文部科学省として引き続き議論を注視してまいります。

 さらに、大会後の運営については、現在、文部科学副大臣を中心に、大会後の利活用のあり方について検討を進めており、その中で、収益採算性を高める効率的な運営管理が図られるよう努めてまいります。

 次に、東京大会後における新国立競技場の使用計画のお尋ねでありますが、東京大会後の新国立競技場の利活用のあり方については、現在、文部科学副大臣を中心に、スポーツ団体など関係者からのヒアリングを行いながら検討を進めているところであり、新国立競技場がレガシーとして国民から愛される場となるよう努めてまいります。

 また、新国立競技場が国際サッカー連盟の基準を満たしていないとの御懸念については、新国立競技場の整備事業において、サッカー、ラグビー、陸上競技等の国際基準に適合することを要件としております。

 今後とも、JSCにおいて、これらの規定にも十分留意し、スポーツ団体等とも連携しながら、着実に整備事業が進むよう努めてまいります。

 次に、障害者スポーツの振興についてのお尋ねでありますが、パラリンピック選手の活躍は、人々に夢や感動、勇気を与えるものであり、二〇二〇年東京大会に向けて、選手及び指導者の育成、施設整備等は重要です。

 このため、平成二十八年度予算においては、各競技団体の大会遠征や強化合宿の実施、専任コーチの設置等に係る支援の充実、オリンピック競技、パラリンピック競技が共同利用するナショナルトレーニングセンターの拡充整備、障害者スポーツ指導者の養成への支援などに係る費用を計上しているところであります。

 今後とも、関係機関と連携しつつ、二〇二〇年東京大会等を見据えて、障害者スポーツ振興のための環境整備に努めてまいります。

 最後に、アンチドーピング体制の強化についてお尋ねがありました。

 二〇二〇年東京大会において、万全のアンチドーピング体制を整備すべく、現在、文部科学副大臣のもとにタスクフォースを設置して検討を重ねているところです。

 具体的には、ドーピング検査体制の構築、専門的人材の育成、教育や研究活動の促進等による国内のアンチドーピング体制の強化、国際的なアンチドーピング活動の促進に向けたさらなる支援、貢献について、法的整備の必要性を含め、必要な対応を検討しております。

 今後とも、政府としても、世界ドーピング防止機構、日本アンチ・ドーピング機構、組織委員会等と連携を密にし、東京大会がドーピングのないクリーンな大会となるよう努めてまいります。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣遠藤利明君登壇〕

国務大臣(遠藤利明君) 長島議員から五つの質問をいただきました。

 まず、新国立競技場建設に責任を負う大臣についてのお尋ねがありました。

 新国立競技場については、私が議長を務める関係閣僚会議において決定した整備計画に基づき、私が責任者として整備を進めてまいります。

 次に、東京大会にかかる全体費用に関するお尋ねでありますが、現在、大会組織委員会において、東京大会成功に必要な業務の全ての洗い出しを行っているところであると承知をしております。

 大会組織委員会では、業務の洗い出しを踏まえ、大会開催経費の見直しについて、ことしの夏ごろにはIOCと調整できるよう作業を進めているところであります。

 このため、現時点において東京大会全体にかかる経費についてお示しすることはできませんが、大会に関してさまざまな要望がある中、大会組織委員会において、必要性の有無や、さらに効率的、効果的なものがないかなどについて、しっかり精査していると認識しており、大会に関する国民の皆さんの信頼を損なうことがないように、しっかりと所要の作業に取り組む必要があると考えております。

 政府としても、こうした作業が確実に進むよう促してまいります。

 次に、二〇二〇年東京大会に対するガバナンスの立て直しについてのお尋ねでありますが、新国立競技場やエンブレムなどをめぐって国民の皆様から厳しい御意見をいただきましたことについては真摯に受けとめ、昨年十一月閣議決定したいわゆるオリパラ基本方針に掲げている、明確なガバナンスの確立に向けた関係機関との連携、オープンなプロセスによる意思決定、関連施策の点検などについてしっかり取り組んでまいります。

 このように、明確なガバナンスの確立に向けた関係機関との連携などは非常に重要なものと認識しており、今後、政府代表であるオリパラ大臣、大会の運営主体である大会組織委員会の森会長、開催都市である東京都の舛添知事の三者が定期的に直接会談し、情報を共有するなどの取り組みを通じ、大会の成功に向け、関係者が一体となって取り組んでいけるよう、さらに努力してまいります。

 次に、アンチドーピング体制の強化についてのお尋ねでありますが、ドーピングは不正そのものであり、アスリートの健康を害するだけではなくて、スポーツの価値を損ない、公平かつクリーンなスポーツを愛する人々を失望させるものであり、絶対に許されるものではありません。

 昨年十一月に閣議決定されたオリパラ基本方針においても、アンチドーピング対策を強化するため、世界ドーピング機構や公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構とも連携しつつ、競技者等に対する研修、ドーピング検査員の育成、検査体制の強化等の万全の体制整備を行うことを盛り込んでおります。

 また、スポーツの価値、インテグリティーをさらに高めようとする国際的な取り組みに貢献するため、国際的なアンチドーピング推進体制の強化を支援することとしております。

 政府としては、二〇二〇年東京大会に向けて、今後とも、アンチドーピングの重要性をアスリートのみならず広く国民に発信していくとともに、文部科学省を初め組織委員会や東京都等の関係機関と協力しながら、ドーピング防止に努めてまいります。

 最後に、大会準備状況に関して政府が定期的に国会に報告し、審議することによって、情報公開を推進し、透明性を高めるなどを内容とする民進党の法案についてのお尋ねであります。

 政府としても、昨年十一月に閣議決定したいわゆるオリパラ基本方針において、オープンなプロセスによる意思決定に努めることや、準備及び運営の状況について定期的に公表することなどを明らかにしており、今後とも、情報公開に努めるとともに、透明性を確保するよう努めてまいりたいと考えております。

 なお、議員立法の取り扱いについては、国会において御判断されるべきものと考えております。

 以上です。(拍手)

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

国務大臣(河野太郎君) 独立行政法人スポーツ振興センター、JSCについてのお尋ねがありました。

 JSCについては、昨年十一月に実施した秋のレビューにおいて、JSCへの運営費交付金を取り上げ、PDCAサイクルの徹底や積極的な情報開示を行うべきなどの指摘事項を取りまとめました。文部科学省及びJSCには、まず、これらの指摘を踏まえ、適切に対応していただきたいと考えております。

 このほかにも、その時々の課題に応じて必要な改革を行うべきと考えますが、その具体的な内容については、独立行政法人通則法、JSC法などのもと、主務大臣である文部科学大臣において御判断、御対応いただくべきものと考えております。

 次に、新国立競技場をめぐる問題と行政組織等のあり方に関するお尋ねがありました。

 二〇二〇年東京大会については、大会運営主体である大会組織委員会、開催都市である東京都のほか、国でも複数省が関係しています。そのため、昨年十一月に閣議決定されたいわゆるオリパラ基本方針に掲げている、明確なガバナンスの確立に向けた関係機関との連携、オープンなプロセスによる意思決定、関連施策の点検などをしっかり実施し、関係機関が一体となって取り組んでいくものと承知しております。

 一般に、関係機関が複数ある場合、複数あるということが問題であるというよりも、混乱を招かず確実に事業を実施できるよう、関係機関が互いにしっかりと連携し、他人の批判を行わず、目標の実現に向けて、それぞれの責任や役割を果たすことにより協働の実を上げていくことが重要であると考えております。

 次に、民進党提出の法案についてお尋ねがございました。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの準備については、情報公開を推進し、透明性を向上させていくことは重要であると考えておりますが、議員立法の取り扱いについては、国会において御判断されるべきものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣菅義偉君登壇〕

国務大臣(菅義偉君) 新国立競技場の整備の責任者についてお尋ねがありました。

 ただいま、馳、遠藤両大臣が答弁させていただきましたように、新国立競技場の整備については、遠藤大臣を議長とする関係閣僚会議において、昨年八月に新たな整備計画を決定したものであります。遠藤大臣が政府の責任者となっております。

 なお、遠藤大臣のもとには、事務局として、内閣官房に再検討推進室を設置し、その室長には官房副長官をもって充てており、杉田副長官が事務のトップになっております。

 テロやサイバー攻撃に対する準備、国の役割についてお尋ねがありました。

 政府としては、昨年十一月にオリパラ基本方針を閣議決定するとともに、セキュリティー対策を一丸となって推進するために、総理を本部長とする推進本部を設置しました。そして、そのもとに、内閣危機管理監を座長とするセキュリティ幹事会を中心に、テロやサイバー攻撃への対策に着手をしておるところであります。

 今後も、大会組織委員会、東京都等の関係機関と円滑に連携をして、必要な取り組みを加速させていただきます。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣     高市 早苗君

       外務大臣     岸田 文雄君

       文部科学大臣   馳   浩君

       厚生労働大臣   塩崎 恭久君

       国務大臣     遠藤 利明君

       国務大臣     河野 太郎君

       国務大臣     菅  義偉君

 出席副大臣

       文部科学副大臣  冨岡  勉君


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