衆議院

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第36号 平成28年5月31日(火曜日)

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平成二十八年五月三十一日(火曜日)

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  平成二十八年五月三十一日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 安倍内閣不信任決議案(岡田克也君外三名提出)


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    午後三時三十二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

伊藤忠彦君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 岡田克也君外三名提出、安倍内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 伊藤忠彦君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

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 安倍内閣不信任決議案(岡田克也君外三名提出)

議長(大島理森君) 安倍内閣不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。岡田克也君。

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 安倍内閣不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

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    〔岡田克也君登壇〕

岡田克也君 民進党代表の岡田克也です。

 私は、民進党・無所属クラブ、日本共産党、生活の党と山本太郎となかまたち、社会民主党・市民連合を代表し、ただいま議題となりました安倍内閣に対する不信任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。(拍手)

 まず、決議案の案文を朗読します。

  本院は、安倍内閣を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

以上であります。

 冒頭、端的に申し上げます。

 第一に、公約違反の経済失政、アベノミクスの失敗。第二に、立憲主義と平和主義への重大な挑戦。そして第三に、国民に対して強権的で不正直な政治。これが、我々が安倍内閣を信任し得ない理由です。安倍総理は直ちに退陣すべきです。

 不信任の第一の理由は、公約違反の経済失政、アベノミクスの失敗です。

 一昨年十一月、安倍総理は、消費税一〇%への引き上げを一年半延期するとともに、それを理由に、何ら大義のない解散・総選挙を行いました。その際、あなたが国民に対して何と約束したか。よもやお忘れではないでしょう。

 再び延期することはない、皆さんにはっきりと断言する、必ずやその経済状況をつくり出すことができる、アベノミクス解散だ、あなたはそう言って大見えを切ったのです。

 あれから一年半、日本経済の現状はどうでしょうか。国民の生活、暮らしは依然として厳しく、苦しい。安倍総理は、常に自分に都合のいい数字を並べ立てて反論します。しかし、安倍政権発足後三年半を経た現在においても、国民の八割が景気回復を実感していないと答えている。そのことが全てを物語っているではありませんか。

 結局、民間投資を喚起する成長戦略は不発に終わり、円安と株高のみを牽引車としたアベノミクスは、今や完全に行き詰まっているのです。

 格差と貧困も拡大しています。しかし、安倍総理は余りにも冷淡で無策です。

 例えば、不安定な非正規労働者は増加の一途をたどり、今や四割に上っています。それにもかかわらず、昨年九月、非正規雇用をさらに拡大する労働者派遣法の改悪を行いました。完全に逆行しています。

 参議院選挙を前にして、慌てて一億総活躍社会なるスローガンを掲げ、あれこれ取り繕っていますが、そこに格差の是正の視点はありません。そんな安倍総理に、保育園落ちたという若いお母さんたちの悲痛な叫びが聞こえないのは当然です。

 安倍総理は、来年四月に予定されている消費税一〇%への引き上げを、何と二〇一九年十月まで二年半再延期すると伝えられています。

 確かに、我々も、消費税を引き上げられる経済状況ではないと考えています。しかし、その原因は安倍総理の経済失政にある。そして、二〇一九年十月に再延期するということは、無責任にも、増税の最終判断を安倍総理の総裁任期後に先送りするとともに、二〇二〇年度基礎的財政収支黒字化の財政健全化目標を放棄するということです。経済失政と財政健全化目標の放棄、これだけでも内閣総辞職に値する重大な公約違反です。

 それだけではありません。先週の伊勢志摩サミットにおいて、突如、安倍総理は、世界経済がリーマン・ショックの前と似た状況であるとの認識を示し、G7はその認識を共有し、強い危機感を共有したと胸を張りました。

 私は驚きました。世界経済がリーマン・ショック前と似たような状況にあるなどという見解は聞いたことがありません。IMFによる経済見通しも、サミットに先立って行われたG7財務大臣・中央銀行総裁会議も、そして日本政府自身も、リスクはあるものの世界経済は緩やかに回復し成長しているというのが共通認識です。

 安倍総理が示した認識をG7で共有したというのも根拠がありません。例えば、サミット直後に、ドイツのメルケル首相は、世界経済はそこそこ安定した成長を維持していると述べ、フランスのオランド大統領も、私たちは危機の中にいないと明言しているではありませんか。

 結局、安倍総理がリーマン・ショック前夜とあおり立て、世界経済の危機を誇張しているにすぎないのです。そして、安倍総理は機動的財政出動を強調しています。サミットの場を利用して、みずからの経済失政をごまかし、消費税引き上げ再延期を正当化しようとするなど、前代未聞、我が国の名誉と信用を大きく傷つけるものです。

 そもそも、こんなやり方がまかり通ると安倍総理が思っているところに、この政権の信じがたいおごりがあるのです。本会議に出席している国会議員の皆さん、そして国民の皆さん、本当にこれでいいのでしょうか。よくお考えください。

 安倍総理、あなたが重大な経済失政により消費税を引き上げられる状況をつくり出せなかったことは動かしがたい事実です。国民生活は破壊され、格差と貧困が拡大しています。経済失政、アベノミクスの失敗を正直に認めて、公約違反を国民に謝罪し、即刻退陣すべきです。

 不信任の第二の理由は、立憲主義と平和主義への重大な挑戦です。

 安倍内閣は一昨年七月、歴代内閣が憲法違反としてきた集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行いました。そして昨年九月、国民の八割が説明不十分と言い、国会でまともな答弁すらできない中で、安全保障法制の成立を強行しました。

 しかも、安全保障法制は、極めて曖昧な新三要件のもと、我が国が武力行使可能となる存立危機事態を認定するものです。これは、内閣に防衛出動を白紙委任するもので、憲法違反であることは明らかです。

 憲法違反の法律は、幾ら時間がたっても憲法違反です。我々は、安全保障法制を白紙化することを柱とする議員立法を今国会に提出しました。しかし安倍総理は、これを一度も審議することなく、全く無視しました。これからも丁寧に説明する努力を続けていくと言った安倍総理の約束は一体どうなったんでしょうか。立憲主義をないがしろにし、国民を欺いた安倍総理、あなたの責任は極めて重大です。

 その安倍総理が次に狙うのは憲法改正です。安倍総理は、在任中に改正をなし遂げたいと明言し、夏の参議院選挙で憲法改正発議に必要な三分の二以上の議席を改憲勢力で確保することを目指すとしています。

 では、安倍総理の目指す憲法改正とは何か。本丸は九条です。安倍総理は、二度と戦争の惨禍を繰り返さない、平和主義を貫くと言います。しかし、日本国憲法の平和主義とは何か、安倍総理はそれすら理解していません。

 先日の私との党首討論でも、二度と他国を侵略しない、これこそまさに平和主義だと述べました。この答弁に全てがあらわれています。日本国憲法は単に侵略戦争を禁じたものではありません。海外の紛争に武力をもって介入しない、それが憲法の平和主義の根幹となる考えです。安倍総理はこの憲法の平和主義をねじ曲げようとしているのです。侵略戦争をしないというのは当たり前のことで、これを憲法の平和主義と言うのは詭弁もいいところです。国民の皆さん、本当にこれでいいのでしょうか。

 安倍総理が内閣総理大臣である限り、安全保障法制を実施するのみならず、憲法の平和主義を捨て去り、限定のない集団的自衛権の行使に道を開くことになります。これは立憲主義と平和主義への重大な挑戦です。そんなことは絶対に認めるわけにはいかない。安倍総理は即刻退陣すべきです。

 不信任の第三の理由は、安倍内閣が極めて強権的で、国民に対して正直に語らず、不都合な真実を隠し続けてきたことです。

 ここでは、特に三つ指摘しておきます。

 一つ目は、URと甘利前大臣の政治と金をめぐる問題です。

 甘利氏の閣僚辞任から四カ月が経過しましたが、一度も甘利前大臣は説明をしないまま放置されています。URという政府機関と安倍内閣の重要閣僚にかかわる疑惑であるにもかかわらず、安倍総理は責任を果たすつもりがないのです。

 二つ目は、TPP交渉とその関連資料です。

 安倍内閣は、重要五項目を守るとした国会決議に反する協定を締結しました。さらに、今国会で我々が交渉の経緯や経済効果の根拠などについて説明を求めても全く不十分な対応であり、かつ、全て黒塗りされた資料を提出しました。これでまともな国会審議などできるはずがありません。国会軽視、国民無視の安倍内閣の体質をまさしく象徴するものです。

 そして三つ目が、報道の自由の制約と国民の知る権利の侵害です。

 国際NGOによる報道の自由度ランキングは、民主党政権時の十一位から、何と七十二位まで落ち込み、また、先般来日した国連の特別報告者からは強い懸念が示されました。彼らが指摘しているのは、安倍総理や高市総務大臣が繰り返し言及している電波停止の可能性や特定秘密保護法の問題です。安倍内閣の強権的な政治のもと、国民に正しい情報が届きにくくなっているのです。民主主義の重大な危機です。

 このほかにも、普天間基地移設をめぐり、沖縄に全く寄り添うことなく、法廷闘争にまで持ち込むなど、国民に対して強権的で不正直な安倍政治の事例は枚挙にいとまがありません。安倍総理は即刻退陣すべきです。

 以上、安倍内閣不信任の理由として三つ申し上げました。安倍総理、今あなたがなすべきことはただ一つ、直ちに総辞職することです。

 最後に、国民の皆さんに申し上げます。

 今こそ、思いを行動に移すときです。夏の選挙は、安倍政権と国民の良識の戦いになります。安倍政権の暴走をとめ、政治の流れを変える、そうでなければ日本の将来は危うい、その認識を国民の皆さんと共有しつつ、我々がその先頭に立つことをお約束し、私の趣旨弁明といたします。(拍手)

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議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。松本純君。

    〔松本純君登壇〕

松本純君 自由民主党の松本純です。

 討論に先立ちまして、さきの平成二十八年熊本地震において犠牲となられた方々に謹んで御冥福をお祈り申し上げるとともに、熊本県、大分県を中心に被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に対し、断固反対の討論を行うものであります。(拍手)

 安倍内閣は、民主党政権の迷走によって引き起こされた内政、外交での危機的な状況から脱却するため、政権交代から今日までの三年半の間、日本を取り戻すとの強い決意のもと、パフォーマンス政治をすることなく、国民の声には謙虚に耳を傾けながら、内外に山積する課題に対して着実に政策を進め、成果をおさめてきました。その実績は多くの国民からも高い評価をいただいており、内閣支持率にも明確にあらわれています。

 そのような国民の意思に反した今回の不信任決議案の提出は、まさに党利党略、パフォーマンス政治そのものであり、国民の政治不信を一層増長させる行為そのものであります。

 これまでの安倍内閣の実績や取り組みをお示しすることで、議員各位並びに国民の皆様にも、安倍内閣がいかに国家と国民を守るために今の時代にふさわしい行動をしている内閣であるかということを御認識いただけるものと確信しております。

 内閣発足以来、安倍内閣は、安定した政治基盤のもと、いかなる困難な課題にも果敢に挑戦し、政策を推進し、具体的な成果をおさめてきました。総理が就任以来最優先で取り組まれたアベノミクス、この三年半は、大きな果実を生み出してきました。

 名目GDPは二十八兆円ふえ、国民総所得は四十兆円近く増加し、本年中には、民主党政権までのデフレと円高の泥沼により失われた国民総所得五十兆円を取り戻すところまで来ます。

 国の税収は十五兆円ふえ、基礎的財政収支の赤字は、政権交代前の半分以下、十兆円余りにまで減りました。これは、赤字国債を発行することを無定見に言及する民進党には実現不可能であることは明らかであります。

 企業収益も過去最高となり、中小企業の倒産は政権交代前と比べて三割減り、二十五年ぶりの低水準となっています。

 有効求人倍率も二十四年ぶりの高い水準であり、四十七都道府県全てにおいて一倍を超えました。雇用は三年間で百十万人近くふえ、特に、昨年は、正規雇用も八年ぶりに増加に転じ、二十六万人ふえました。非正規雇用の増加よりも正規雇用の増加が上回ったのは二十一年ぶりです。賃上げも今世紀に入って最も高い水準が三年連続実現しています。中小企業においても、統計開始以来最高水準の賃上げが三年続いています。このようなことから、まさにアベノミクスにより、我が国の雇用や所得環境は順調に改善を続けており、日本経済は着実に回復に向かっております。

 さらに、一億総活躍社会の実現に向けた取り組みを進めるため、GDP六百兆円の実現に向けて、強い経済を確かなものとする二十八年度予算を成立させました。

 二十八年度予算では、介護休業中の方への給付を四〇%から六七%へとアップさせ、二〇二〇年代初頭までに五十万人分の介護の受け皿を整備し、二十五万人の介護人材を確保していくことで、介護離職ゼロの実現に大きな一歩を踏み出しました。

 また、この三年半、民主党政権時代の二倍以上のスピードで三十万人分の保育の受け皿を整備してきましたが、二十八年度予算でもこのペースを維持し、さらに十万人分以上の保育の受け皿をつくることとし、安心して子供を産み育てることができる社会をつくり、希望出生率一・八の実現を目指しています。

 さらには、十年先の未来を見据えながら、これまでの発想にとらわれない大胆かつ総合的なニッポン一億総活躍プランを取りまとめるなど、アベノミクスの果実を生かし、誰もが活躍できる一億総活躍の時代を切り開くための力強いスタートを切ったのであります。

 東日本大震災からの復興への取り組みも、総理は、就任以来三年半で三十回近く被災地に足を運び、被災者の方々に寄り添い続けています。現場で耳にしたことに一つ一つ対応する現場主義を徹底し、民主党政権時の復興行政を一新し、復興を加速してきました。

 政権交代時の段階では計画すらなかった高台移転は、ほぼ全ての事業が着工し、全体の四分の三の地区で造成が完了しました。また、ほぼ全ての漁港が復旧し、九割近い水産加工施設が再開、七割を超える農地で作付が可能になるなど、復興は一歩一歩着実に進んでいます。

 原子力災害から一日も早く福島を再生させるという強い決意のもと、一人でも多くの方にふるさとへと戻っていただけるよう、中間貯蔵施設の建設と除染を一層加速させ、生活インフラの復旧に全力で取り組むとともに、東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策に、国も前面に立ち、全力で取り組んでいます。

 熊本地震においても、三万人規模の自衛隊、警察、消防、海上保安庁、医療部隊などを動員し、救命救助活動に全力を挙げるとともに、現地からの要望を待つのではなく、食料、水、生活必需品をプッシュ型で現地に届けるなど、総理のリーダーシップのもと、できることは全てやるとの決意で震災対応に取り組んできました。

 本震発生からわずか九日後での激甚災害指定や、二十七日後に提出し、速やかに成立させた補正予算は、まさに総理の現場主義とスピード感に裏打ちされたものであり、一日も早い復旧復興に向けて全力で取り組んでいく総理の姿勢を示すものであります。

 地方創生についても、自治体の創意工夫や意欲的なチャレンジを自由度の高い地方創生推進交付金で応援することや、企業版のふるさと納税制度をスタートさせるなど、ダイナミックに地方創生を進めています。

 また、外国人観光客は、三年連続で過去最高を更新し、政権交代前の二倍以上、千九百万人を超え、旅行収支は五十五年ぶりに黒字となり、二十七年度は一兆円を超える黒字となりました。

 外交においても、安倍総理は、この三年半で、六十三の国と地域を訪問し、首脳会談は四百回を超えるなど、地球儀を俯瞰しながら、積極的な平和外交、経済外交を精力的に展開してきました。そこにあるのは、アジア太平洋地域の平和と繁栄を確固たるものとしていくために、日本こそが牽引役となり、その責任を果たしていかなければならないという総理の決意そのものであります。

 米国とは、普遍的な価値で結ばれた日米同盟を、世界の平和と繁栄のため、ともに行動する希望の同盟として築き上げ、さらには、今回のオバマ大統領の歴史的な広島訪問の実現によって、卓越した同盟関係に強化させ、国際的な諸課題の解決に向けた道筋をしっかりと示すべく、米国と力を合わせて立ち向かっています。

 今、民進党や共産党がしていることは、この日米の同盟関係、すなわち信頼と友情のきずなを断ち切り、国民を不安に陥れて社会を不安定化させる、極めて悪意を持った企てと言わざるを得ません。私たちの子や孫のため、そのようなことは絶対に許してはなりません。

 韓国とは、昨年末、慰安婦問題の最終的、不可逆的な解決を確認することで長年の懸案に終止符を打ったことは、まさに総理の決断でありました。

 中国とは、戦略的互恵関係の原則のもと、地域の平和と繁栄のため、大局的な観点から対話を積み重ねることで、関係改善の流れを一層進めています。

 ロシアとは、領土問題の解決、平和条約の締結に向けて、精力的に対話を積み重ねています。

 また、もはやどの国も、一国だけで自国の安全を守ることはできない時代の中、自国防衛のための集団的自衛権の一部行使容認を含め、切れ目のない対応を可能とし、抑止力を高めるために整備をした平和安全法制は、まさに国民の命と平和な暮らしを守り抜くという、政府として最も重い責任を果たしていくために極めて重要なものであります。

 民進党や共産党は、平和安全法制の不安をあおり立て、一致した政策もなく、戦争法案反対のデマゴーグだけで国民を欺き、共闘する野合そのものであります。もはや、今の民進党には、国民の生命と財産を預かり、政権を担当していた面影は全くありません。無責任な民進党と共産党に、国民の命と平和な暮らしを守る平和安全法制を理由として安倍内閣が不信任されるいわれは全くない、このことは強く申し上げておきます。

 先日行われた伊勢志摩サミットでは、世界経済、テロ、難民の問題、アジア情勢など広範なテーマについて、議長国としてリーダーシップを発揮し、議論を取りまとめました。

 特に、世界経済が不透明感を増す中、G7こそがしっかりと経済を牽引していかなければならないという強い決意のもと、G7としていかなるリスクにも対応できるよう政策協調をしていくというメッセージを発信したことは、大変大きな成果であります。

 さらに、沖縄の基地負担軽減に向けた取り組みも、昨年は西普天間住宅地区の返還が実現するなど、沖縄県民の気持ちに寄り添いながら、一歩一歩着実に結果を出し、負担軽減に全力を尽くしています。

 そのほかにも、TPPや女性活躍など、安倍内閣のこの三年半で、内政、外交等全ての面で大変すばらしい実績を上げてきました。

 デフレ脱却まであと一息というところまで来ました。今こそ、少子高齢化の流れに歯どめをかけて、誰もが生きがいを感じる社会をつくっていかなくてはなりません。そして、国際社会においても、世界経済の持続的かつ力強い成長を実現していくためには、日本としてどのような貢献をしていくべきなのか、世界のリーダーたちと議論し尽くし、道筋を示していかなければなりません。

 財政再建、人口減対策、社会保障制度改革等の山積する課題に真正面から挑戦し、結果を出していかなくてはなりません。さらに、二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会を成功させていかなければなりません。

 このような大切なときこそ、継続は力であり、ぶれることなくこの道を進んでいかなくてはならないのであります。それができるのは、まさに安倍内閣であります。

 この議場にいる議員各位には、今の日本が置かれている状況の中で、国家国民にとって、政治を進める上で何が最善なのかということを十分に御認識いただき、本案件について毅然として否決していただきますよう強くお願い申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 江田憲司君。

    〔江田憲司君登壇〕

江田憲司君 民進党の江田憲司です。

 私は、民進党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に賛成の立場で討論をいたします。(拍手)

 安倍内閣を不信任にすべき第一の理由は、アベノミクスの破綻と、その必然の帰結たる一〇%消費増税の先送りです。そして、その先送りの理由を、みずからの経済失政ではなく、世界経済のせいにして責任を回避しようとする、その安倍総理の政治姿勢そのものです。

 安倍総理、総理は二〇一四年十一月、一〇%への消費増税の延期を表明された際、再び延期することはない、はっきりとそう断言する、景気判断条項を付すことなく確実に実施する、三本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すとおっしゃった。そう、景気情勢いかんにかかわらず、財政健全化のため、国民に消費税を一〇%にするという約束をしたんです。そして、その是非を問う解散・総選挙まで断行した。

 ところが、今、そのあなたが再びその消費増税を再延期しようとしているんです。信なくば立たず。総理、総選挙での公約を一体何と心得ているんでしょうか。一国の総理の言葉はそんなに軽いものなんでしょうか。身内の麻生財務大臣や稲田政調会長からさえも、増税先送りならば衆議院を解散して信を問うべきだ、そうじゃないと筋が通らないだろうとの声があったと聞いております。

 アベノミクスが本当に功を奏しているなら、再延期の必要などありません。そうです、再延期なら、アベノミクスが失敗したことを総理みずからが認めたということにほかなりません。この重大な公約違反、国民にうそをついたことになるというだけで十分過ぎるほどの不信任の理由ではありませんか。

 政権発足以来、あなたは、アベノミクス、アベノミクスと呪文のように唱え続けてきました。しかし、ほとんどの国民が景気回復を実感せず、生活は一向によくならないばかりか、格差や貧困が広がっている。確かに、金融緩和、第一の矢は飛びました。しかし、これはあくまでもカンフル剤です。確かに、一本打てば一時的に体はしゃきっとする。円も安くなり、株も上がった。ただ、当初から私も警鐘を鳴らし続けてきましたが、カンフル剤は二本も三本も打つものじゃないんですよ。打っても、その効果はどんどん減殺されていくんです。総理、今そのとおりのことが起こっているんじゃありませんか。

 そして、財政出動、第二の矢はとんでもない方向に飛んでいる。国民の貴重な税金を、国の新陳代謝、技術革新や国民の生活に充てていけばいいものを、安倍政権は相変わらず公共事業のばらまきや使い道のない基金へのブタ積みに充てているんです。

 例えば、公共事業は、安倍政権になって、補正予算を含む決算ベースで年間十兆円にまで膨れ上がりました。それまでの五兆円の倍もの額です。震災対応等である程度増額するのはやむを得ないとしても、余りにもばらまいたため消化不良を起こし、財務省によると、何と毎年二、三兆円も使い残している。こんなお金があったら、一体幾つの老人ホームや保育園が建てられるというんでしょうか。

 また、たび重なる景気対策、補正予算編成等で安倍総理からの指示を受けた霞が関官僚は、もう知恵がない。とりあえず、税金を積んでおく基金を三百以上もつくった。補正予算の規模、見ばえのための苦肉の策です。その結果、支出されないで残ったお金が毎年数千億円オーダーで国庫に返納されています。

 こんな税金の無駄遣いをしていて、総理、一体あの八%への消費増税は何のためだったんでしょうか。消費税収は社会保障に充てると言っていたじゃありませんか。

 こうした国民を欺く予算編成、税金の無駄遣いをしていることも大きな不信任の理由です。

 そして、致命的なのは、肝心かなめの第三の矢が飛んでいないことです。規制改革を初めとした成長戦略、今回のサミットでも指摘された構造改革政策が全く進んでいない。これではアベノミクスが行き詰まるのは自明のことでしょう。

 何のことはない、アベノミクスとか三本の矢とかという巧みな言葉で一くくりにしたネーミングに、多くの国民も含め、これまでさんざん惑わされてきましたが、その中身は、金融、財政、構造改革という、いわばこれまでどの政権もとってきた当たり前の政策手法ばかり。それが、いつものことですが、自民党の支持基盤や利権におもねり、既得権益の壁が打ち破れなかった結果、安倍政権でもその限界を露呈してしまったということじゃないですか。

 思い起こせば、二〇一二年十一月の党首討論でも、安倍総理は、来年の通常国会において定数削減と選挙制度改革を行っていくと約束しました。それが今国会の公職選挙法の改正まで引き延ばされ、おまけに、アダムズ方式の採用による抜本改革は二〇二二年、十年先に先送りですか。一体、そんなときまで安倍政権は続いているんですか。消費増税の再延期も二〇一九年十月では、あなたはとうに総理・総裁の任期を終えているんじゃありませんか。無責任きわまりない。

 公約違反の、消費増税や選挙制度改革の先送り。総理、綸言汗のごとしという言葉を御存じですか。一国のトップが一度口にした言葉は訂正したり取り消すことができないということ。私も自民党の総理にお仕えしたことがありますが、当時の自民党宰相には、最低限、国のトップとしての矜持というものがありました。

 そして、今回は、やってはならない伊勢志摩サミットの政治利用です。アベノミクスの失敗を認めたくない安倍総理は、事もあろうに先週のサミットで、今日の世界経済はリーマン・ショック並みの危機に陥るリスクがあると主張し、それを消費増税再延期の理由にした。

 この総理の認識に対しては、即座にイギリスのキャメロン首相やドイツのメルケル首相から異議が出たと海外メディアが報じています。政府部内からも、サミット直前に発表された月例経済報告の認識と違う、安倍総理が国内政局のために意図的に都合のよいデータをつまみ食いしただけだとの批判が出ている始末です。

 サミットという首脳会議の場で、しかも議長として、日本国の品格をおとしめた安倍総理に、恥ずかしいという思いを抱くのは私一人だけでしょうか。

 民進党は、現下の日本経済の現状を直視し、強い者をさらに強くすれば弱い者にもそのおこぼれが行くだろうというトリクルダウンのアベノミクスではなく、財政では、介護や子育て、教育支援などを初め、人への投資を通じた公正な分配の実現により、普通の人から豊かになれる、幸せになれるボトムアップ型の経済政策に転換すべきだと考えています。もちろん、構造政策、成長戦略では、規制改革による新規参入、起業促進、イノベーションなどによる生産性の向上を図っていかなければなりません。

 そして、増税に耐え得る経済体力をつけた上で、二〇一九年四月には消費税を一〇%にする法案を今国会に提出しました。その間、徹底した行財政改革、身を切る改革を断行し、必要な財源を生み出しながら、子育て支援や低年金者対策を初めとした社会保障の充実は予定どおり実施し、軽減税率にかえて、給付つき税額控除、総合合算制度を実現する。

 安倍総理の言う二年半の増税延期なら、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標の達成は困難でしょう。にもかかわらず、我々より半年あえて増税をおくらせるのは、国益よりも選挙、その年の夏にある参院選前には増税したくないという党利党略だと断じざるを得ません。

 安倍内閣を信任すべきでない第二の理由は、この内閣が、違憲の安保法制の強行により、我が国の国是、すなわち憲法の平和主義と立憲主義をないがしろにしようとする言語道断の内閣だからです。しかも、それは、戦後レジームからの脱却を唱えてきた安倍総理の確信犯的な所業なんです。

 その安倍安保法制は、言うまでもなく欠陥、矛盾だらけ。例えば、安倍政権はあくまで自国防衛のための集団的自衛権と言い募りますが、そんな概念は国際法上ありません。集団的自衛権とは他国防衛の権利です。これが、国際司法裁判所のニカラグア事件判決を初め、国際法の常識なんです。しかし、安倍政権は、今回の集団的自衛権はあくまで自国防衛のためとし、憲法が許容する必要最小限度の武力行使だから合憲というトリックを使った。

 しかし、本当にそうなら、日本が存立の危機にあるのに、それが限定的であれ集団的自衛権と位置づけられるため、ニカラグア事件判決も要件とする他国からの要請がないと自衛隊が出動できなくなる。どこの国に、自国が深刻な危機に直面しているのに、他国からの要請がなければ何もできないなんという国があるでしょうか。この一点をとってみても、今回の法制が深刻な欠陥、矛盾を抱えていることがわかるんです。

 存立危機事態という概念自体も、幸福追求権が根底から覆されるなどという曖昧な言葉を使うから、武力攻撃以外の経済的要因、ホルムズ海峡の閉鎖というケースも入ってしまう。後方支援する地域もより前線に近づき、武器弾薬の提供や戦闘機への空中給油までできるようになると、明らかに敵はそこを狙う。兵たんをたたけが戦争の常識、鉄則だからです。そうなると、自衛隊も応戦せざるを得ない。重要影響事態法で後方支援は地球の裏側まで可能となりますから、自衛隊が、他国、例えば米国の戦争に巻き込まれる危険性も格段に高まるんです。

 こうした違憲の、国際法の常識もわきまえない、従来の政府解釈すら踏みにじる安倍安保法制は白紙に戻し、民進党は、改めて、中国の海洋進出や北朝鮮の核ミサイルの脅威から国民の生命財産、領土、領空、領海を守る対案を国会に提出いたしました。しかし、安倍政権、与党自民党は、あれほど対案を出せ出せと言っていたのに、この国会で一顧だにしませんでした。今でも、国民の過半数はこの安保法制に反対です。

 総理、国会での対案審議を通じて、国民の理解を深めようとする努力をなぜされなかったんですか。これだけでも内閣不信任の理由は十二分にあると私は考えます。

 そして最後に、安倍内閣による言論統制です。ことしの春、安倍政権に批判的なニュースキャスター、コメンテーターが続々と番組を降板しました。その全てを安倍内閣、与党自民党の圧力の結果だとは言いません。しかし、放送局の監督官庁である総務省のトップ、高市総務大臣が予算委員会という公の場で堂々と、政治的中立性に関連して、放送局への電波停止の可能性にまで言及した。これをメディアへの圧力と言わずして何と言うんでしょうか。

 こうした言論統制、表現の自由や報道の自由が危機にさらされている状況も、安倍内閣になってから特に顕著です。極めてゆゆしき事態だと断ぜざるを得ません。

 そうです。これはいつか来た道ではないのでしょうか。戦前、言論統制、言論弾圧、大本営発表のもとにひたすら戦争への道に突き進んだ、あの悪夢を二度と繰り返してはいけません。我々は、この国の将来のために、子や孫のために、二度と戦争への道を歩んではいけないんです。

 我々民進党は、こうした安倍強権政治に対峙し、この国の道筋に誤りなきよう、国是たる平和主義と民主主義、立憲主義を徹底的に守り、持続的な景気回復を実現し、将来の社会保障に全きを期する。そのために、来るべき参院選を全力で戦い抜くことをここにお誓い申し上げ、私の賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 佐藤茂樹君。

    〔佐藤茂樹君登壇〕

佐藤茂樹君 公明党の佐藤茂樹です。

 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)

 以下、四点にわたり、反対の理由を述べさせていただきます。

 第一に、安倍内閣において、我が国の経済は、民主党政権時と比較して圧倒的に前進しているということであります。

 企業の業績は大幅に改善され、その収益が着実に雇用や賃金に回っています。失業者は約六十万人減少し、失業率は三・二%と十八年ぶりの低水準で推移。有効求人倍率は一・三四倍で二十四年五カ月ぶりの高水準となっています。就業者数も三年前に比べ約百四十万人増加し、ことし三月に卒業した大学生の就職率は過去最高の九七・三%と五年連続で改善しています。政権交代前にはほとんど実施されなかったベースアップは、三年連続で多くの企業で実施され、中小企業においても、全ての地域で賃上げの割合が上昇しています。

 こうした景気回復によって、国税と地方税を合わせた税収は年々増加し、民主党政権時代に比べて、国税で十五兆円、地方税を含め二十一兆円も増加。GDPもプラス基調に転じ、八千円台まで落ち込んでいた株価も、現在は約二倍の水準に上昇しています。

 これらの取り組みが高く評価され、内閣府が今月九日に公表した社会意識に関する世論調査では、社会満足度の割合が過去最高の数値となっています。

 内閣不信任決議案ではアベノミクスの失敗などと言っていますが、これら経済指標と国民の声を完全に無視しているものであり、全く理由も根拠もない、単なるパフォーマンスにすぎないと強く申し上げるものであります。

 今後は、アベノミクスの成果を生かし、成長と分配の好循環をなし遂げ、景気回復の実感を地方へ、中小企業へ、家計へ確実に届けることが必要です。その実現に向け、政府・与党は全力で取り組んでまいります。

 第二に、安倍内閣こそが我が国の諸課題に着実に対応できるということであります。

 さきの国政選挙で再び信任を得た自公連立政権は、安定した政治基盤のもと、デフレ脱却や雇用環境の改善、東日本大震災の復興加速、外交、安全保障等の諸課題に全力で取り組み、数多くの成果を生み出してきました。

 今国会では、提出された閣法の九〇%近い五十本の成立が見込まれます。軽減税率の導入を決めた改正所得税法や障害者の生活と就労支援を充実させる改正障害者総合支援法、一人親家庭の支援を拡充する改正児童扶養手当法など、生活者の視点に立った多くの法律が成立しました。

 また、先日の二十六、二十七両日に開かれた伊勢志摩サミットでは、議長を務めた首相のリーダーシップが高く評価されるとともに、アメリカのオバマ大統領が現職の大統領として初めて被爆地広島を訪問し、核なき世界の実現に向けた歴史的な一歩を踏み出したことで、九割を超える国民から高い支持を得ています。平和と安定を求める安倍内閣への期待の声はますます強くなっているものと実感いたします。

 ところが、驚くべきことに、日ごろより尊敬申し上げる民進党の蓮舫代表代行も、御自身のツイッターに、安倍内閣の外交は高く高く評価しますと投稿されたそうです。これは、安倍内閣への信任ということではないですか。

 この一事をもってしても、今回の不信任決議案には理由がないことが明らかであるということを指摘するものであります。

 少子高齢化や人口減少問題など、我が国が抱える課題は深刻です。全ての人が輝き活躍できる社会を実現するためにも、国民から信頼される政策運営を進めることが不可欠です。これまで着実に政策を実現してきた自公政権、安倍内閣だからこそ、その責任を果たす使命があり、不信任には全く値しないと強く申し上げる次第であります。

 第三に、平成二十八年熊本地震、東日本大震災からの復興加速は、政府・与党が被災者に寄り添い、きめ細かな支援に総力を挙げて取り組んでいるということであります。

 熊本や大分などを襲った地震に対し、公明党として、発災直後直ちに党本部に対策本部を設置。各議員が被害現場へ直行し、政府へ二度にわたる緊急要請を行うなど、被災者に寄り添った支援に全力を挙げました。そして、公明党が主導し、震災復旧のための補正予算を早期に成立させ、被災者への義援金が差し押さえられないようにする義援金差押禁止法案を提案から約二週間というスピードで成立させました。

 一方、民進党は、補正予算を審議する際、質疑者六人のうち三人が被災地に関係のない質問を行いました。中継を見ていた被災者の気持ちをおもんぱかるとき、本当に残念でなりません。

 結局、民進党は、政局優先、被災者無視なのであります。この指摘に対し、民進党の諸君は果たして自信を持って反論できるのでしょうか。

 本年、発災から五年を迎えた東日本大震災の復興は、集中復興期間を終えて、四月から復興・創生期間の新たな五年に入りました。被災者は今なお十六万人を超え、現在被災地では、仮設住宅の空室化が進行し、入居者の孤立化が深刻になっています。次の五年は、心の復興、人間の復興への取り組みを一層強化し、どこまでも被災者に寄り添った支援を政府・与党一丸となって進めていく決意です。

 近年は、震災被害のみならず、広島市の土砂災害、茨城県常総地区の大水害、御嶽山の噴火など、大規模な自然災害が発生し続けています。想定を超えるこれらの災害にも、迅速にきめ細かく手を打ってきたのが自公政権です。平成二十八年熊本地震、東日本大震災からの復興とともに、防災・減災対策のさらなる強化が今こそ求められています。

 遅い、鈍い、心がないと言われた民主党政権時代の東日本大震災の対応を振り返れば、自公政権、安倍内閣が引き続き政権を担うことが、国民のための安全、安心な国づくりを加速させることは間違いありません。よって、内閣不信任案は断固否決するべきであると重ねて申し上げます。

 第四に、安倍内閣は、我が国の安全保障に責任を持ち、平和外交を進めていくということであります。

 昨年成立した平和安全法制は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、日米同盟の信頼性を強化し、抑止力を高め、国際社会の平和と安定に貢献することを通じて、我が国の平和と安全を一層確かなものにするものです。こうした法整備を進めることで、戦争を未然に防ぐだけでなく、平和外交が一層推進されます。

 実際に、法案成立直後、公明党の山口代表は、韓国の朴槿恵大統領や中国の習近平国家主席と会見。法案成立から約一カ月で、日中韓首脳会談がソウルの地で三年半ぶりに実現しました。

 一方、民進党は、平和安全法制に対し、今国会において領域警備法案などの対案を提出しました。ところが、民進党は、同法案について、結局最後まで積極的に審議しようという姿勢が見られませんでした。民進党は一体どのように平和な日本を構築しようとしているのでしょうか。民進党には、日本の安全保障に対し、危機感が全くないと申し上げざるを得ません。

 民進党の諸君には猛省を促したい。

 そもそも、昨年否決された内閣不信任決議案においても、安保法案は立憲主義のじゅうりんとしていたにもかかわらず、今回も同様の理由で不信任決議案を再提出するということは、公党としても見識を疑わざるを得ません。

 一部野党が戦争法案などと国民の不安をあおるレッテル張りを続けているのは、全くの見当外れと言えます。

 公明党は、今後も対話外交をさらに進め、平和の党としての役割を果たしてまいります。

 以上が、内閣不信任決議案に反対する理由であります。

 ここで、あえて、今国会における民進党の政治姿勢に対し、申し上げておきたい。

 第一に、民進党が提案する給付つき税額控除についてであります。

 本年二月、当時の民主党は、軽減税率導入を決めた改正所得税法等の対案として、給付つき税額控除導入法案を提出しました。ところが、民進党は、驚くべきことに、今国会中、本日まで、議運理事会や財務金融委員会理事会で、同法案の委員会審議を求めたりすることはありませんでした。

 給付つき税額控除制度は、国民一人一人の所得把握が難しい、給付を受けるのに申請が必要で国民に手間をかける等、さまざまな課題が指摘されているところであり、国民生活の負担軽減のために最も現実的なのは軽減税率制度であります。

 結局、民進党が審議を求めなかったのは給付つき税額控除に自信がない証左であり、法案提出はパフォーマンスにすぎなかったということであります。

 第二に、特に終盤国会で顕著だったのは、民進党は、自身が推進したいと思っても共産党の主張にかなわない法案については成立させなかったということであります。

 例えば、フリースクールなどの多様な教育の機会を確保するとともに夜間中学への支援などを定めた教育機会確保法案について、民進党は法案の提出会派であるにもかかわらず、参議院民進は、全会一致でないものは送られても処理できないとして、共産が反対する法案は処理しない姿勢を示し、衆議院からの同法案の受け取りを事実上拒否、今国会成立は不可能になったのであります。休眠預金活用法案もしかり、政見放送に関する公職選挙法案もしかりです。

 選挙優先主義で、国民生活にとって大事な法案をないがしろにする民進党の態度については、厳しく指摘するものであります。

 また、昨日、女性の政治参画推進法案についても、超党派の議連を中心に与野党で法文案をつくり、各党の手続を残すのみであったにもかかわらず、民進党、共産党は勝手に法案を提出しました。強く抗議するとともに、政治にとって大事なことは信義であり、誠実に約束を守るか否かを有権者は厳しく見ているということを申し上げたい。

 最後になりますが、日本が抱える政治課題は山積しています。それに対する認識については、共産主義社会を目指す一部野党以外は、与党も野党も大きな認識の違いはないはずです。それでは、重要な違いは何か。その課題に対し、責任を持って実行できる能力があるかどうかです。

 政権構想や基本政策で違いが大きくばらばらの野合集団が、選挙のためだけに共闘し、国のかじをとるようなことにでもなれば、日本は再び沈没し、政治の混乱は避けられないことは火を見るよりも明らかです。

 決められない政治で混乱を招いた民主党政権時代の三年半と、その後の、責任ある政治を貫き結果を残し続けてきた自公連立政権の三年半を比較すれば、どちらが真に国民の期待に応える政権であるかは言うまでもありません。

 改めて、このたびの内閣不信任決議案に対して断固反対し、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)

議長(大島理森君) 志位和夫君。

    〔志位和夫君登壇〕

志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍内閣不信任決議案への賛成討論を行います。(拍手)

 私は、不信任の理由として、安倍政権が、国民多数の民意に背いて、次の五つの大罪を犯してきたことを厳しく指弾するものです。

 第一は、憲法違反の安保法制、戦争法を強行し、我が国の立憲主義を根底から破壊しようとしていることです。

 戦争法には、戦闘地域での米軍等への兵たんの拡大、戦乱が続いている地域での治安活動、地球のどこでも米軍を守るための武器使用、そして集団的自衛権の行使、自衛隊の海外での武力行使を可能にする四つの仕組みが盛り込まれています。そのどれもが憲法九条を乱暴にじゅうりんするものであることは、既に明々白々となっています。

 自民党などは、この間、北朝鮮が国連決議を無視した核兵器、ミサイル開発の暴挙を行ったことを利用して、集団的自衛権を備えないと北朝鮮の脅威から国を守れないなどと言い募っています。しかし、北朝鮮問題に対応するのに、どうして集団的自衛権が必要か。

 集団的自衛権の行使とは、日本に対して武力攻撃をしていない国に対して、日本の側から武力の行使をするということです。それは、相手国から見れば、事実の問題として、日本による先制攻撃となります。それは、相手国に日本を攻撃する大義名分を与えることになります。

 国民の命を守るのではなく、国民を進んで危険にさらす、ここにこそ集団的自衛権の本質がある。それは既に国会審議で浮き彫りにされたことではありませんか。北朝鮮問題を利用して戦争法を合理化するなど、論理的に成り立つものではありません。

 戦争法が三月に施行され、日本の自衛隊が戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出す、差し迫った危険が生まれています。

 我が党は、この間の国会論戦で、南スーダンのPKOに派兵されている自衛隊の任務拡大、過激武装組織ISに対する軍事作戦への自衛隊の参加、アフガニスタンの治安部隊を支援する多国籍部隊への自衛隊の参加などが、最初の殺し、殺されるケースになりかねないことを強く警告してきました。政府はどのケースについてもその危険を否定できなかったではありませんか。日本を再び、殺し、殺される国にしてはなりません。憲法違反の安保法制、戦争法はきっぱり廃止すべきです。

 安倍政権が、安保法制、戦争法強行に際して、憲法九条のもとでは集団的自衛権は行使できないという戦後六十年余にわたる政府の憲法解釈を一内閣の専断で百八十度覆すという、立憲主義を乱暴に破壊するやり方をとったことが、日本の法治国家としての土台を根底から危うくしています。

 野党が憲法五十三条に基づいて行った臨時国会召集要求を握り潰す。放送局の電波を停止できるなどという憲法破りの発言を行った閣僚を内閣挙げて擁護する。安倍総理とその内閣には、自分たちが憲法によって縛られているという自覚が全くありません。このような内閣に国政を担う資格は断じてありません。

 さらに、総理は、憲法を改正していく、来るべき国政選挙で自民党改憲案をお示ししていきたいと公言しています。自民党改憲案は、憲法九条二項を削除し、国防軍の創設を明記し、海外での武力行使を無条件で可能にするものとなっています。緊急事態条項という事実上の戒厳令に道を開く毒薬が盛り込まれています。公益及び公の秩序の名で基本的人権を制約するものとなっています。

 憲法を憲法でなくしてしまう、憲法によって権力を縛るのではなくて、憲法によって国民を縛るものへと大変質させる、安倍政権による憲法改定の野望を絶対に認めるわけにはいきません。

 第二は、三年半にわたるアベノミクスが破綻し、日本経済と国民生活を深刻な危機に陥れていることであります。

 総理は、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指すと宣言し、まず大企業を応援し、大企業がもうけを上げれば、いずれは家計に回ってくると言い続けてきました。しかし、現実は、それが妄想だったことを証明しました。大企業は史上最高の利益を上げましたが、労働者の実質賃金は五年連続マイナス、五%も目減りしました。

 消費税大増税路線が大きな破綻に陥っています。消費税八%への増税に際して、我が党は、景気悪化の悪循環の引き金を引くと強く警告し、中止を求めましたが、総理は、影響は一時的と言って増税を強行しました。結果はどうですか。日本経済の六割を占める個人消費は、増税実施から二年以上たっても冷え込み続けているではありませんか。二〇一四年度、一五年度と、個人消費は二年連続マイナスとなりましたが、これは戦後初めての異常事態にほかなりません。

 追い詰められた総理は、来年四月からの消費税一〇%への引き上げについて、二年半先送りする方針を示しました。これは、アベノミクスの破綻、消費税大増税路線の破綻を示すものにほかなりません。にもかかわらず、総理は、みずからの失政の責任を認めず、先送りの理由を世界経済に転嫁し、破綻した路線にしがみつき続けています。

 総理は、世界の経済はリーマン・ショックの前の状況に似ているなどと述べましたが、そんなことを言っているのは世界の中でも安倍総理だけであります。現に、伊勢志摩サミットでも、総理のそうした主張は受け入れられず、首脳宣言には、「世界経済の回復は続いている」と明記されたではありませんか。

 リーマン・ショックのような危機というなら、世界経済ではなくて、日本経済の現状こそ当てはまります。現在の個人消費の落ち込みは、リーマン・ショックのとき以上に深く長く深刻です。アベノミクスの失政、消費税大増税の失政、総理の失政がこういう事態をつくり出したのです。

 そのことへの反省もなく、みずからの経済失政の責任を世界経済に転嫁し、破綻した路線にしがみつく、これは余りに無責任であり、厚顔無恥ではありませんか。もはや総理に日本経済のかじ取りをする資格はありません。

 消費税頼みの道は破綻が明瞭となりました。消費税一〇%への増税は、先送りでなく、きっぱり断念すべきです。

 富裕層と大企業への優遇税制を正し、応分の負担を求める、消費税に頼らない別の道への転換が必要です。経済政策のかじを、財界、大企業応援から国民の暮らし最優先へと大きく切りかえることを強く求めるものであります。

 第三は、みずから賛成した国会決議すら無視したTPP協定を力ずくで押し通そうとしていることであります。

 わずかな国会審議でも、TPP協定が二〇一三年の国会決議に二重に違反していることが明らかになりました。

 一つは、国会決議が国民に十分な情報提供を求めているにもかかわらず、異常な秘密主義で批准を強行しようとしていることであります。

 いま一つは、国会決議では、農産物の重要五項目、米、麦、豚・牛肉、乳製品、砂糖は関税撤廃を認めない、除外、再交渉としているにもかかわらず、それをじゅうりんしていることであります。

 重要五項目のうち三割の品目で関税が撤廃され、残る七割でも関税率を引き下げるなど、無傷な品目は一つもないことが明らかになりました。しかも、発効七年後には、日本だけが、残った関税も撤廃に向けた協議が約束させられました。こんな協定に調印して聖域を守ったなどと言うのは、国民への大うそではありませんか。

 農林水産業、食の安全、医療、雇用、保険、共済、政府調達などあらゆる分野で、日本の経済主権を、米国を中心とする多国籍企業に売り渡す亡国のTPP協定は撤回すべきです。国民に大うそをついた安倍政権は退陣すべきです。

 第四は、福島原発事故が収束せず、今なお福島県全体で九万人を超える方々が避難生活を強いられているにもかかわらず、原発再稼働と原発輸出への暴走を行っていることです。

 この暴走は、国民多数の声を踏みつけにしたものです。どんな世論調査でも、再稼働反対は五割から六割と揺るがない多数派です。この世論の圧力を受けて、二〇一三年から一五年までの約二年間にわたって稼働原発ゼロとなりました。日本社会は原発ゼロでも立派にやっていけることが、国民的体験を通じて明らかになったではありませんか。

 この暴走に未来はありません。とりわけ核のごみ、使用済み核燃料の問題は、文字どおり八方塞がりとなっています。原発を再稼働させた場合には、計算上わずか六年で全ての原発の貯蔵プールが満杯になります。再処理した場合には、利用目的のないプルトニウムがとめどもなく蓄積されることになります。

 原発ゼロの日本の決断こそ必要です。国民の命と安全よりも、原発でもうける巨大企業の利益を優先させる安倍政権に、国政を担う資格はありません。

 第五は、沖縄県民の意思を無視して新基地建設を押しつけてきたことです。

 元海兵隊員によって引き起こされた卑劣な蛮行に強い憤りを持って抗議します。これは基地があるゆえの犯罪です。沖縄に基地を押しつけ続けた日米両政府の責任は極めて重大です。

 日米両政府は、事件が起こるたびに、再発防止、綱紀粛正と言ってきましたが、守られたためしがないではありませんか。それならば基地撤去しかないではありませんか。少なくとも、米軍に不当な特権を与え、犯罪の温床となっている日米地位協定を見直すことは、最小限の緊急課題ではありませんか。

 ところが、安倍政権の対応はどうか。五月二十五日の日米首脳会談で、総理は、基地撤去はおろか、日米地位協定の見直しすら提起しませんでした。それどころか、この場で、名護市辺野古の新基地建設を唯一の選択肢と述べ、その推進を誓約したのです。このどこに沖縄に寄り添う心がありますか。米国に物を言えず、沖縄の怒りも痛みもわからない安倍政権には、主権国家の代表者たる資格はありません。

 今、安倍政権の暴走に反対して、戦後かつてない新しい市民運動が豊かに発展し、この運動に背中を押されて野党共闘が大きく前進しています。

 野党と市民の共闘を必ず成功させて、選挙に勝ち、自公を打ち倒し、憲法の平和主義、立憲主義、民主主義を貫く新しい政治を築くために全力を尽くす決意を表明し、安倍内閣の速やかな退陣を強く求めて、私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 下地幹郎君。

    〔下地幹郎君登壇〕

下地幹郎君 おおさか維新の会の下地幹郎です。

 ただいま議題となりました野党四党提出の内閣不信任案に対して、おおさか維新の会は明確に反対を表明し、その趣旨で討論をさせていただきます。(拍手)

 今国会の冒頭の代表質問において、我が党の馬場幹事長が、おおさか維新の会は、与党でもない、野党でもない、政策提案型責任政党を目指すということを国民の前で宣言いたしました。その趣旨は、反対のための野党にはならない、反対ならば対案を示すということであります。

 野党とは、予算に反対する、内閣の不信任案に賛成する、首班指名でみずからの党首の名前を書く、その三要素から構成されると言えます。

 おおさか維新の会は、今国会における安倍内閣提出の平成二十八年度予算案については、組み替え動議を予算委員会で示し、安倍総理が我が党の組み替え動議に対して前向きに答弁をするか否かで賛否を決めるという初めての試みに挑戦しました。国民の前で予算の議論を尽くし、賛否を決めるという、わかりやすい政治を実現しようとしたのです。

 また、今回の野党四党が提出した内閣不信任案については、甚大な地震被害を受けた熊本、大分の早急な復興対策の観点、沖縄で起きた米軍属による女性殺害事件に対する対応、厳しい景気状況における国民生活の安定のための補正予算を含む早急な経済政策の実現、これらの国民視点からしても、今回野党四党が提出した内閣不信任案は、決して国民が納得するものではないと判断したことが、おおさか維新の会の反対の理由であります。

 野党四党の皆さん、内閣不信任案を提出するということは、衆議院を解散しろという趣旨も含むはずであります。つまり、七月に行われる予定の参議院選挙にあわせて衆議院も解散し選挙を行うべきだという趣旨を持つ提案であることには間違いありません。約一カ月間に及ぶ政治空白をつくることは許されるのでしょうか。

 私どもおおさか維新の会は、国民は決して今回提出の内閣不信任案については評価しないと考えています。

 国会会期末には必ず内閣不信任案を出さなければ野党ではないという考え方こそが、逆に、自民党、公明党、与党を利することになっていると思います。

 内閣不信任案が否決されることは、内閣の信任を意味することとなり、夏の参議院選挙においても、私ども野党にとっては何一つプラス要因にならないのであります。政権を奪回するための国会戦略は、改めて大胆に見直さなければならないということも指摘しておきたいと思います。

 安倍総理、先週行われた伊勢志摩サミットを受けて、消費税の増税の延期を決められたことでありますが、それは正しい政治決断であります。

 おおさか維新の会は、消費増税の延期を、どの党よりも明確にし、国民負担よりも身を切る改革によって財源を確保し、国民のための社会保障政策と経済政策を行うべきだと強く主張してきただけに、我が党の考え方が認められたことは評価いたします。

 しかし、消費増税の是非につき、みずからが言ってこられた基準である大震災、リーマン・ショック級の経済危機の判断を、なぜ伊勢志摩サミットを利用する形で行おうとしたのか、理解に苦しみます。国民は、この手法については、茶番劇を見ているような思いであったことは間違いありません。

 二〇一四年十一月の記者会見で安倍総理が、消費増税を再び延期することはない、ここで皆さんにはっきりと断言いたしますと発言されましたが、国民との約束は守れませんでした。

 伊勢志摩サミットを利用するのではなく、みずからの経済政策、アベノミクスの三本の矢が十分な成果をおさめなかったことを率直に認め、謝罪から始めるべきではないでしょうか。そして、消費増税を行わないことで社会保障に不安を感じる国民に対して、明確な財源の対案を示さなければなりません。

 財政政策と金融政策だけではもう限界です。これから必要なのは、アベノミクスの三本目の矢である大胆な成長戦略をしっかりとつくり直すことです。

 官から民へ、そして規制緩和を、経済政策のど真ん中に明確に位置づけるべきです。そうでなければ、二年半後も同じ結果となり、財政再建と社会保障について国民が不安を持ち続けることになるでしょう。

 安倍総理、一億総活躍社会の実現の意味をかみ砕いて国民にわかりやすいものにしながら、民間活力による景気回復を図るために、アベノミクスをゼロから見直すときが来ていることを指摘します。

 また、沖縄で起こった軍属による悲惨な凶悪事件を受けて、日米首脳会談が五月の二十五日に行われました。

 私ども沖縄県民は、この日米首脳会談への期待は、安倍総理が想像している以上に大きなものがあったと思います。

 今回の事件を起こした軍属や、軍と契約する企業の職員までが、日米地位協定の適用範囲内にあります。今回の事件を受けて、せめてその軍属、軍と契約する社員を地位協定の適用範囲から外すということに、県民はわずかな希望を安倍総理に託しておりました。そのことが再発防止を実現する最大の手段だと信じていたからであります。

 しかし、県民のわずかな希望や期待はこてんぱんに打ちのめされて、何も決め切れない日米首脳会談でありました。

 再発防止は半歩も前に進んでいないことが今の現実であり、沖縄県民は、安倍総理がよくお話しする日米同盟の深化とは何なのか、答えを見出せずに、一方的な負担にもがき苦しんでおります。

 集団的自衛権の行使を強引に行う、辺野古移設も強引に行うなど、米国政府が共感するものについてはとまることなく走る安倍総理が、事件、事故の抑止力になる日米地位協定の改定を全く行われていないことは、残念で仕方ありません。

 一九七二年の本土復帰から二〇一四年までに、米国人の軍人軍属による刑法犯罪の検挙は五千八百六十二件です。うち、殺人、強盗、放火、強姦の凶悪犯は五百七十一件です。

 沖縄で安全保障論議が客観的に、冷静に行われる環境を整備することは安倍総理の役割であることは、強く申し上げておきたいと思います。

 東京都知事の公費の無駄遣いの問題が、今、東京都民だけではなく国民全体から強く批判を受けています。舛添都知事を誕生させた原動力は自民党と公明党であり、彼を推薦した責任はどういうふうにしてとるのでしょうか。

 おおさか維新の会が提案する、議員定数、歳費の削減、国会議員の文通費の使途の公開、公務員給与の削減など、身を切る改革によって税金を大事にしている姿を政治が国民に示さない限り、その信頼は簡単に戻ることはありません。国政では野党であるおおさか維新の会が大阪で実現した身を切る改革に、安倍総理はもっと真摯に耳を傾けることが必要であります。

 おおさか維新の会は、今国会における質疑において、与党、自民党、公明党と、野党、民進党、共産党に対して、同じエネルギーで向き合ってまいりました。第三勢力としての存在感を示すには、与党にも野党第一党にも厳しい指摘をすることが必要であります。それが、第三政党が日本の政治を進化させることになると信じております。

 日本の政治が大きく変わる分岐点になるこのとき、おおさか維新の会の政党としての進化が必ず国民生活を豊かにすることになるという強い気持ちを持って政治に取り組むことをお約束して、反対討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(大島理森君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(大島理森君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百六十九

  可とする者(白票)       百二十四

  否とする者(青票)      三百四十五

議長(大島理森君) 右の結果、安倍内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

岡田克也君外三名提出安倍内閣不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君   赤松  広隆君

荒井   聰君   井坂  信彦君   井出  庸生君   石関  貴史君

泉   健太君   今井  雅人君   江田  憲司君   枝野  幸男君

小川  淳也君   小熊  慎司君   緒方 林太郎君   大串  博志君

大島   敦君   大西  健介君   大畠  章宏君   太田  和美君

逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本  充功君   奥野 総一郎君

落合  貴之君   柿沢  未途君   金子  恵美君   神山  洋介君

菅   直人君   木内  孝胤君   吉良  州司君   黄川田  徹君

菊田 真紀子君   岸本  周平君   北神  圭朗君   黒岩  宇洋君

玄葉 光一郎君   小宮山 泰子君   小山  展弘君   後藤  祐一君

郡   和子君   近藤  昭一君   近藤  洋介君   佐々木 隆博君

坂本 祐之輔君   重徳  和彦君   階    猛君   篠原   豪君

篠原   孝君   鈴木  克昌君   鈴木  義弘君   田島  一成君

田嶋   要君   高井  崇志君   高木  義明君   武正  公一君

玉木 雄一郎君   津村  啓介君   辻元  清美君   寺田   学君

中川  正春君   中島  克仁君   中根  康浩君   長島  昭久君

長妻   昭君   西村 智奈美君   野田  佳彦君   初鹿  明博君

原口  一博君   伴野   豊君   平野  博文君   福島  伸享君

福田  昭夫君   古川  元久君   古本 伸一郎君   細野  豪志君

馬淵  澄夫君   前原  誠司君   牧   義夫君   升田 世喜男君

松木けんこう君   松田  直久君   松野  頼久君   松原   仁君

水戸  将史君   宮崎  岳志君   村岡  敏英君   本村 賢太郎君

山尾 志桜里君   山井  和則君   柚木  道義君   横路  孝弘君

横山  博幸君   笠   浩史君   鷲尾 英一郎君   渡辺   周君

赤嶺  政賢君   池内 さおり君   梅村 さえこ君   大平  喜信君

笠井   亮君   穀田  恵二君   斉藤  和子君   志位  和夫君

清水  忠史君   塩川  鉄也君   島津  幸広君   田村  貴昭君

高橋 千鶴子君   畑野  君枝君   畠山  和也君   藤野  保史君

堀内  照文君   真島  省三君   宮本  岳志君   宮本   徹君

本村  伸子君   小沢  一郎君   玉城 デニー君   照屋  寛徳君

吉川   元君   上西 小百合君   川端  達夫君   仲里  利信君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あべ  俊子君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君

青山  周平君   赤枝  恒雄君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君

秋元   司君   秋本  真利君   麻生  太郎君   穴見  陽一君

安藤   裕君   井野  俊郎君   井上  信治君   井上  貴博君

井林  辰憲君   伊東  良孝君   伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君

伊藤  達也君   伊吹  文明君   池田  道孝君   池田  佳隆君

石川  昭政君   石崎   徹君   石田  真敏君   石破   茂君

石原  伸晃君   石原  宏高君   稲田  朋美君   今枝 宗一郎君

今津   寛君   今村  雅弘君   岩田  和親君   岩屋   毅君

うえの賢一郎君   江崎  鐵磨君   江渡  聡徳君   江藤   拓君

衛藤 征士郎君   遠藤  利明君   小倉  將信君   小此木 八郎君

小里  泰弘君   小田原  潔君   小野寺 五典君   小渕  優子君

尾身  朝子君   越智  隆雄君   大岡  敏孝君   大串  正樹君

大隈  和英君   大塚  高司君   大塚   拓君   大西  英男君

大西  宏幸君   大野 敬太郎君   大見   正君   岡下  昌平君

奥野  信亮君   鬼木   誠君   加藤  鮎子君   加藤  勝信君

加藤  寛治君   梶山  弘志君   勝沼  栄明君   勝俣  孝明君

門   博文君   門山  宏哲君   金子  一義君   金子 万寿夫君

金子 めぐみ君   金子  恭之君   金田  勝年君   上川  陽子君

神谷   昇君   神山  佐市君   亀岡  偉民君   鴨下  一郎君

川崎  二郎君   河井  克行君   河村  建夫君   神田  憲次君

菅家  一郎君   木内   均君   木原  誠二君   木原   稔君

木村  太郎君   木村  弥生君   城内   実君   黄川田 仁志君

岸   信夫君   岸田  文雄君   北川  知克君   北村  茂男君

北村  誠吾君   工藤  彰三君   熊田  裕通君   小池 百合子君

小泉 進次郎君   小島  敏文君   小林  鷹之君   小林  史明君

小松   裕君   古賀   篤君   後藤  茂之君   後藤田 正純君

河野  太郎君   高村  正彦君   國場 幸之助君   今野  智博君

左藤   章君   佐々木  紀君   佐田 玄一郎君   佐藤   勉君

佐藤 ゆかり君   齋藤   健君   斎藤  洋明君   坂井   学君

坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君   塩崎  恭久君

塩谷   立君   柴山  昌彦君   島田  佳和君   下村  博文君

白石   徹君   白須賀 貴樹君   新谷  正義君   新藤  義孝君

菅   義偉君   菅原  一秀君   助田  重義君   鈴木  馨祐君

鈴木  俊一君   鈴木  淳司君   鈴木  憲和君   鈴木  隼人君

瀬戸  隆一君   関   芳弘君   園田  博之君   薗浦 健太郎君

田所  嘉徳君   田中  和徳君   田中  英之君   田中  良生君

田野瀬 太道君   田畑  裕明君   田村  憲久君   平   将明君

高市  早苗君   高木   毅君   高木  宏壽君   高鳥  修一君

高橋 ひなこ君   竹下   亘君   竹本  直一君   武井  俊輔君

武田  良太君   武部   新君   武村  展英君   橘  慶一郎君

棚橋  泰文君   谷   公一君   谷垣  禎一君   谷川  とむ君

谷川  弥一君   津島   淳君   辻   清人君   土屋  品子君

土屋  正忠君   寺田   稔君   とかしきなおみ君   土井   亨君

冨樫  博之君   渡海 紀三朗君   冨岡   勉君   豊田 真由子君

中川  俊直君   中川  郁子君   中谷   元君   中谷  真一君

中根  一幸君   中村  裕之君   中山  展宏君   中山  泰秀君

永岡  桂子君   長尾   敬君   長坂  康正君   長島  忠美君

二階  俊博君   丹羽  秀樹君   丹羽  雄哉君   西川  公也君

西村  明宏君   西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君

根本   匠君   根本  幸典君   野田  聖子君   野田   毅君

野中   厚君   葉梨  康弘君   萩生田 光一君   橋本   岳君

橋本  英教君   馳    浩君   鳩山  邦夫君   浜田  靖一君

林   幹雄君   原田  憲治君   原田  義昭君   比嘉 奈津美君

平井 たくや君   平口   洋君   平沢  勝栄君   ふくだ 峰之君

福井   照君   福田  達夫君   福山   守君   藤井 比早之君

藤丸   敏君   藤原   崇君   船田   元君   古川   康君

古川  禎久君   古田  圭一君   古屋  圭司君   星野  剛士君

細田  健一君   細田  博之君   堀井   学君   堀内  詔子君

前川   恵君   前田  一男君   牧島 かれん君   牧原  秀樹君

松島 みどり君   松野  博一君   松本   純君   松本  文明君

松本  洋平君   三ッ林 裕巳君   三ッ矢 憲生君   三原  朝彦君

御法川 信英君   宮内  秀樹君   宮川  典子君   宮腰  光寛君

宮崎  政久君   宮澤  博行君   宮路  拓馬君   宮下  一郎君

武藤  容治君   務台  俊介君   宗清  皇一君   村井  英樹君

村上 誠一郎君   望月  義夫君   茂木  敏充君   盛山  正仁君

森   英介君   森山   裕君   八木  哲也君   保岡  興治君

簗   和生君   山際 大志郎君   山口  俊一君   山口  泰明君

山口   壯君   山下  貴司君   山田  賢司君   山田  美樹君

山本  公一君   山本  幸三君   山本   拓君   山本ともひろ君

山本  有二君   吉川  貴盛君   吉野  正芳君   義家  弘介君

和田  義明君   若狭   勝君   若宮  健嗣君   渡辺  孝一君

渡辺  博道君   赤羽  一嘉君   井上  義久君   伊佐  進一君

伊藤   渉君   石井  啓一君   石田  祝稔君   稲津   久君

上田   勇君   浮島  智子君   漆原  良夫君   江田  康幸君

大口  善徳君   太田  昭宏君   岡本  三成君   北側  一雄君

國重   徹君   輿水  恵一君   佐藤  茂樹君   佐藤  英道君

斉藤  鉄夫君   高木 美智代君   高木  陽介君   竹内   譲君

角田  秀穂君   遠山  清彦君   富田  茂之君   中川  康洋君

中野  洋昌君   浜地  雅一君   濱村   進君   樋口  尚也君

古屋  範子君   真山  祐一君   桝屋  敬悟君   吉田  宣弘君

足立  康史君   井上  英孝君   伊東  信久君   浦野  靖人君

遠藤   敬君   小沢  鋭仁君   河野  正美君   木下  智彦君

椎木   保君   下地  幹郎君   谷畑   孝君   馬場  伸幸君

松浪  健太君   丸山  穂高君   浅尾 慶一郎君   小泉  龍司君

鈴木  貴子君   長崎 幸太郎君   松本  剛明君   武藤  貴也君

吉田  豊史君

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  安倍 晋三君

       財務大臣    麻生 太郎君

       総務大臣    高市 早苗君

       法務大臣    岩城 光英君

       外務大臣    岸田 文雄君

       文部科学大臣  馳   浩君

       厚生労働大臣  塩崎 恭久君

       農林水産大臣  森山  裕君

       経済産業大臣  林  幹雄君

       国土交通大臣  石井 啓一君

       環境大臣    丸川 珠代君

       防衛大臣    中谷  元君

       国務大臣    石破  茂君

       国務大臣    石原 伸晃君

       国務大臣    遠藤 利明君

       国務大臣    加藤 勝信君

       国務大臣    河野 太郎君

       国務大臣    島尻安伊子君

       国務大臣    菅  義偉君

       国務大臣    高木  毅君


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