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第7号 平成15年4月25日(金曜日)

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平成十五年四月二十五日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 佐々木秀典君
   理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君
   理事 星野 行男君 理事 渡辺 博道君
   理事 中沢 健次君 理事 山内  功君
   理事 遠藤 和良君 理事 西村 眞悟君
      大村 秀章君    嘉数 知賢君
      木村 隆秀君    小西  理君
      近藤 基彦君    菅  義偉君
      鈴木 恒夫君    高橋 一郎君
      谷川 和穗君    林 省之介君
      山本 公一君    吉川 貴盛君
      石毛えい子君    大畠 章宏君
      永田 寿康君    横路 孝弘君
      太田 昭宏君    吉井 英勝君
      北川れん子君    江崎洋一郎君
    …………………………………
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   内閣府大臣政務官     木村 隆秀君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君
   政府参考人
   (警察庁交通局長)    属  憲夫君
   内閣委員会専門員     小菅 修一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十日
 委員釘宮磐君が退職された。
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  奥山 茂彦君     吉川 貴盛君
  金子 恭之君     近藤 基彦君
  亀井 久興君     鈴木 恒夫君
  谷本 龍哉君     小西  理君
  近岡理一郎君     山本 公一君
  平野 博文君     永田 寿康君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     谷本 龍哉君
  近藤 基彦君     金子 恭之君
  鈴木 恒夫君     亀井 久興君
  山本 公一君     近岡理一郎君
  吉川 貴盛君     奥山 茂彦君
  永田 寿康君     平野 博文君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)


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     ――――◇―――――
佐々木委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長栗本英雄君及び警察庁交通局長属憲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永田寿康君。
永田委員 おはようございます。
 まず、自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案についてでございますが、特に私が関心があるのは、事故証明の発行業務という部分について、恐らく民間会社化されてもこの法人が引き続き独占して業務を行うんだろうというふうに思います。
 事柄の性格からして、新規参入というか、いろいろな複数の会社にこういう業務を任せるというのは難しいのかもしれませんが、しかし、一般論からいって、民間会社化することの大きなメリットというのは、複数の企業がお互いに市場原理に基づいて競争することによって、効率的にしかも安価に業務を進めていくことができるという部分にあるんだと思います。何とかして、できるだけ、この法人が担う業務の多くの部分で、複数の会社がマーケット原理に基づいて競争するような仕組みというものを考えることはできないのかということを、ちょっと簡単に質問しておきたいと思います。
属政府参考人 お答えいたします。
 自動車安全運転センターにつきましては、交通事故歴や交通違反歴等の個人情報を取り扱う、そういった業務の特性上、複数の民間事業者の参入を認めて競争原理を働かせるということは、なかなかなじまないという面がございます。そうしたことから、その業務の実施主体については、民間法人化後もセンターに引き続き限定することとしております。
 今回の民間法人化によりまして、センターの自主性、自立性が向上し、センターみずからが積極的に国民のニーズを把握して、国民の期待により一層こたえる業務運営を行うことができるようになるものと考えております。
 例えば、交通事故証明書の申請者が、インターネット等で交通事故証明書を申請したり交付を受けることができるようにすること等につきましても、政府の規制改革推進三カ年計画を踏まえて現在検討中でありまして、十六年度中に結論を得ることとしております。
 警察庁としましても、センターの民間法人化後、センターにおいて国民の期待に一層こたえる業務運営が行われるように、適切に指導監督を行ってまいりたいというふうに考えております。
永田委員 本来であれば、もう少し突っ込んで、こういうふうな仕組みを考えれば複数の企業が競うようにできるよということは、幾らでもお話はできるんです。
 例えば、損害保険会社なんというのは、個人の事故情報を膨大に持っていて、しかもその機密をきちんと管理、保持しながら業務をやっているわけで、民間企業であるから事故に関する個人情報がきちんと管理できないというような理屈というのは、正当性が希薄ではないかというふうに僕は思っています。
 きょうのところはこれぐらいにしておきまして、今、世論そしてこの永田町を揺るがしている松浪議員の問題について質問をしていきたいというふうに思っています。
 二〇〇三年四月十六日の読売新聞の夕刊、これは報道ベースのお話でございますが、松浪議員が、当時市長さんであった向江さんという方の仲介で、大阪府警の刑事に対して頼み事をしたというようなことが書かれています。いろいろな論点があるんですが、全体としてこれが事実かどうかということを一度確認しておきたいと思います。
栗本政府参考人 今委員御指摘の報道がございましたことは承知しておりまして、これを踏まえまして、大阪府警におきまして、関係者の方から事実確認などを行っているところでございます。
 これまでの大阪府警からの報告によりますと、当時、大阪府警の警察官が大阪府の泉佐野市長らと会食した際、お尋ねの議員が同席していたことは事実でありますが、その際、御指摘のような仲介を議員から依頼されたというような事実はなく、また、後日、当該警察官が御指摘のような事案に関与したことはないとの報告を受けております。
永田委員 それ以外の部分はおおむね事実であるというふうに確認されたわけでありましょうか。
栗本政府参考人 今報道をちょっと持ち合わせておりませんが、いろいろな面からの報道がございますので、今は府警として確認できる事実に基づいて御説明したものでございます。
永田委員 つまり、問題になっているのは、当時の向江市長が松浪議員から頼まれて刑事を一人紹介した、仲介をしたという言葉がこの報道ではなされております。つまり、だれか刑事さんが市長から紹介された、松浪さんに紹介されたというふうな、ここまでは事実なんですね。
栗本政府参考人 これは、市長と会食をした際に、市長から議員を警察官が紹介をされたと聞いております。
永田委員 その会食はいつですか。
栗本政府参考人 これまでの確認では、約五年前の話でございまして、明確に何月ごろというような関係者の話は出ておりませんが、やはり平成十年ごろではなかろうかという報告を受けております。
永田委員 何月ぐらいかということはわからないんですか。
栗本政府参考人 あくまでも、関係警察官がこれまでに事実を確認させていただいたものの話を見ますと、余り明確に、内容等も含めて、時期も詳細に記憶していないということでございます。ただ、ただいま先生の御指摘になられた報道等では、平成十年三月末ごろですか、そういう報道は承知しておりまして、それを踏まえて確認をいたしておりますが、はっきりとそのころかどうかということが明確でないという意味でございます。
永田委員 時期と内容が明確でない会食について、内容がこの報道とは違うことであったということを確認するのは困難であると思うんですが、一体どういう内容の会食だったか、どういう調査になっておりましょうか。報告の事実を教えてください。
栗本政府参考人 まず、そのような会食は一回だけでございますから、詳しい点、いつということはございませんが、当該当時の警察官が市長らとお尋ねの議員と会食したのは過去に一回であり、そういう意味において、明確な時期等については記録がございませんが、恐らく平成十年ごろであろう。したがって、報道等を否定するものではもちろんございませんが、確認ができていないということでございます。
 それからまた、今のお尋ね、どのようなものであるかというお尋ねかと存じますが、先ほど申し上げましたように、これまでの報告では、報道のようなその事案に関する仲介を受ける、これは市長への仲介ではなくて、別の関係者に対して仲介を刑事が受けたのではなかろうかという報道かと。その報道は、刑事が議員の依頼を受けて、何かトラブルがあることに対して仲介をしたのではなかろうかという報道だと私は存じておりますが、そのような仲介はもちろん受けていないという認識を持っておるということでございます。
 それでは、今御指摘の、この会食の際にどのような内容があったのかということかと思います。
 これにつきましては、そのような仲介は受けていないという認識を持っておりますが、そのほかの、議員が被害者的な立場になり得るようなトラブルに関する問題であったと報告を受けております。その際に、相談を受けました当該警察官は、そのお話を承った相談内容によれば、直ちに事件として立件するということは大変難しいような状況であった、したがいまして、今後、その関係におきまして、いろいろトラブル等で御心配の点があれば、警察署へ届けた方がよい旨、あるいは状況によっては自分にも相談して結構ですというような趣旨の助言をしたと聞いております。
永田委員 昨日質問取りに来ていただきました御省の職員の方によりますと、別の団体と松浪議員とのトラブルについて解決に協力をしてほしいというような、別の団体という言葉を使って昨日説明されたんですが、何か別の団体がかかわっているという内容だったんでしょうか。
栗本政府参考人 今申し上げましたように、先ほどの、別の、報道のような、仲介の依頼を受けたということはございませんけれども、今申し上げましたように、議員から、大変困っているということを踏まえた、被害的な立場での相談でございますので、私ども警察として、その具体的な内容がどのようなものかということは、もちろん関係者のプライバシー等にもかかわるものでございますから、このような場においてその内容を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 いずれにしましても、その相談を受けました後、関係警察官がそのことについて事後関与したこともございませんし、また、議員側から再度その関係においての依頼を受けたこともないという報告をいただいております。
永田委員 相手方のプライバシーに配慮をしてその事案の内容については説明できないというお話でありましたが、一般論としてそのような説明をすることになるだろうということは、きのうから御省の職員の方から説明を受けておりましたので、それはそうなんだろうと思いますけれども、しかし、事は、今回非常に特別なケースでありまして、つまり、松浪議員が暴力団とのつき合いがあった。暴力団というのは反社会的な活動をすることを目的に組織された存在でありまして、この反社会的な活動を目的とする組織と国会議員がつき合っているというのは、それは法律には触れないにしても、官房長官その他、保守新党の幹部の皆さんおっしゃるように、法律には触れないにしても、極めて異常なというか、よくないことであろうというふうに思います。
 ですから、世間で、松浪さん、もう議員を辞職しなさいというふうに世論が大変渦巻いておるわけでございますが、これはなぜかというと、前回の総選挙は二〇〇〇年ですね、それよりも前にこの事件というのは起こっているわけですよ。暴力団とのつき合いがあったということはその前の話です。ということは、暴力団とつき合いがあるということを隠したまま行われた西暦二〇〇〇年の選挙というものは、民主的正当性が乏しいのではないかという話なんですよ。ですから、一回おやめになって、そして、もう一回選挙に出るんだったら出なさい、法律には触れないけれども、よくないことであるということについては、最終的には国民が、民主的な手続にのっとって、つまり選挙において判断するであろう、そういうことを期待して、おやめなさいという話をしているわけですよ。
 ですから、ここで改めて、松浪議員と暴力団のつき合いがどうであったかということは、国民がやはり知らなければならないし、それは民主主義の極めて根幹をなす存在である国会議員のあり方にも当然かかわってくる話なわけであります。ですから、ここは、特殊事案であるということを考慮して、松浪議員がどのような依頼をしたのか、果たしてそれが民主主義の根幹をなす存在としての国会議員のあり方として正しいものなのかどうかということを、国民にぜひ知らしめていただきたいというふうに思っております。
 改めて、その会食の内容、頼まれ事の内容について、可能な範囲でお話しいただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。
栗本政府参考人 本事案をめぐりまして、いろいろな観点から報道がなされておりまして、ただいま先生の方からの御指摘もございますけれども、警察といたしまして、いろいろな観点から、いろいろな立場の方からいろいろ相談を受けることは多々あるわけでございます。もちろん、その際に、極めてプライバシーにかかわるような内容が盛られているものもあるわけでございます。
 そのようなことにつきまして、私ども、信頼をされ、国民の立場に立っていろいろ相談に対処する立場として、その内容についてつまびらかにするということは、やはり今後いろいろな問題があろうかと思いますし、また当該相談をされた方の個人の名誉とかプライバシーとか、また内容によっては私どもの捜査上のいろいろな問題も出るということがあるわけでございまして、そのような意味からも、個別のこのような内容について、やはり具体的にその内容を明らかにするということは控えさせていただきたい。御理解を賜りたいと思います。
永田委員 谷垣委員長に同じ質問をしたいと思います。
 つまり、これは僕は政治判断だと思うんですよ。それは、正直申し上げて、閣僚ではない方が、この場で頼まれ事の内容を説明しなさいと言われて、はいはいとできるわけはないと思います。僕はこれは政治判断だと思いますよ。つまり、透明な民主主義を担保するために、どうしても警察が知っている事実を教えてほしいというふうに私からお願いしているわけですね。それに対して、いや、一般論からいって、こんなものは世間に公表するものじゃありませんよというふうに言われているわけですよ。一般論か、今回、特殊事例だから民主主義のためにちゃんと内容を説明しようと思うのか、それは政治判断だと思います。
 それは、正直言って、閣僚にしかできないと思います。谷垣さんに、改めて同じ質問をしたいと思います。
谷垣国務大臣 今、永田委員は、一般論として警察がこういう問題については発表しないということについては、理解を示していただきました。それは、もういろいろな事案の御相談を受けていますので、警察に相談に行ったときに、その事案の内容が表に出てしまうということになれば、これはそういう業務自体が成り立たなくなるわけですね。そこで、今、今回は特殊事案である、やはり国民代表たる議員の、暴力団に対する姿勢が問われているというお考えからのお問い合わせだと思います。
 しかし、先ほど刑事局長が御答弁しておりますように、私も、一般論として、一般論としてというか、この案件についてのお答えは差し控えたいと思うのでありますが、先ほど刑事局長も御答弁しましたように、これは、松浪議員がどちらかといえば被害者的立場に立つ、これは被害者、加害者というのもなかなか難しい問題でございますが、被害者的立場に立つ案件といいますか、そういう環境の中でのお問い合わせであったということで、私は、永田議員が問題にしておられる案件と若干違う案件であるというふうにも思っております。
 一般論としてはお答えできませんが、本件が特殊事案であるからお答えをするという場合にも当たらないのではないかなというような判断をしております。
永田委員 それでは国民がさっぱりわからないんですよ。少なくとも、向江さんという市長さんが、暴力団に関する捜査の経験が豊富だということで当該刑事さんを選んだというふうになっています。そうであるならば、この案件は、松浪さんが被害者であろうが加害者であろうが、どっちであろうが、これは暴力団にかかわる話ではないかというふうに思うわけですよ。
 暴力団にかかわる話であれば、秘書の給料を肩がわりしてくれたその会長さん以外の人であっても、やはり暴力団関係の頼まれ事があるようなことであれば、それは何らかの関係があったというふうに考えるのが普通であって、全く関係ない案件なのに暴力団の経験の豊富な人を紹介してもらって、その人に何か頼み事をするというのも不自然だと思うんです。だから、その内容も、やはり国民から疑われるようなことがない、民主主義のあり方を揺るがすようなものではないということはちゃんと説明しなきゃいけないと思うんですよ。それは、その中身を語っていただかなきゃわからないんですね。
 もちろん、警察としては、その後の二次的な被害、つまり、松浪さんかあるいはその相手方の方に、何らかの嫌がらせとか、そういうような二次的な被害が発生してはいけないというところに配慮するんだということは、先ほど国会控室の方から説明を受けましたけれども、確かに、そういう迷惑をかけるようなことがあっちゃいけないとは思います。だけれども、この発言については、谷垣さんにもあるいは局長にも、全く責任が発生しないんですよ。何でかというと、憲法は院内での発言は院外で責任を問われないというふうに保障しているんですね。ですから、ちゃんとここで説明しても問題はないはずなんですよ。そういうことのためにあの憲法の規定というのがあるんですよ。ぜひ国民にわかりやすく説明してください。
谷垣国務大臣 私は、何も自分の責任が発生することを恐れてここで先ほどのような御答弁をしたわけではありません。私は、やはり警察がいろいろな場合に、国民の安全を守り得るような体制をきちっと守っていくのが国家公安委員長の役目だと思いますので、先ほどのような御答弁をさせていただきました。
 そして、なかなか私も、こういうところで答弁させていただいて、歯がゆい思いをするわけですが、私の立場というのは、個別問題についてはなかなか発言のしにくい立場であります。永田議員は、一般論として発言しにくいのはわかるけれども、特殊事案だという問題の立て方をされておられるんだろうと思います。その永田議員の問題意識もわからないわけではありませんけれども、私は、そこでなぜこれが特殊事案に当たらないかというようなこともるる説明し出しますと、一般的な原則を崩してしまう。
 それで、私の判断としては、今までの警察の一般的な立場ももちろん妥当でありますけれども、仮に、永田議員の特殊だということをいろいろ考えたとしても、この問題を個別に御説明する場合ではないというふうに判断しております。
永田委員 さすがポスト小泉と言われるだけの方ではあるなというふうに思いますけれども、しかし、では、これは要は、報道とは違う、こういう報道されているような頼まれ事はされていないということでありますけれども、松浪さんは、それについてはどういうふうに言っているんですか。こういう新聞に書いてあるような頼み事をしたよと松浪さんは言っているんでしょうか、言っていないんでしょうか。
栗本政府参考人 先ほどこの報道がなされて以降、府警におきまして、関係者の御協力をいただきながら、事実の確認でございますが、ただ、その中で、どのような方から御協力をいただいて聞いているかということについては、やはりこの場で申し上げるのはふさわしくないと思っておりますので、差し控えたいと思います。
永田委員 それではお話にならないのであって、どういう調査をしたかぐらいは教えていただかないと、その調査がどれぐらい正しいかということもわからないわけですよ。松浪さんから話は聞いているんですか。
栗本政府参考人 その報道がなされている会席があったという事実は、先ほど申し上げましたように、これまでの事実の確認はできているわけでございますから、そこの会席の中において相談内容がどうだったということでございますから、そこにいらっしゃった方に、現在御協力をいただいて事実を確認しておるところでございますが、その方について、すべてどの方と言うことはやはり控えるべきかと存じます。
永田委員 それでは調査にならないんですよ。そんなものは調査と呼ばないんですね。要は、松浪さんに話を聞いているかどうかというのは極めて重要な問題なんですよ。頼む側と頼まれる側がいるわけですね。頼まれる側の話だけを聞いてこれは調査だというのであれば、それは調査というよりは一方的見解というべきであって、証拠をそろえて客観的事実を確認していったというふうな行為とは思われないわけですね。
 つまり、松浪さんから話を聞いているかどうかというのは極めて重要なポイントなんですよ。松浪さんがどういうふうに言っているか、話が食い違っているのかどうかというのは極めて重要なポイントなんですね。そこを説明しなかったら、調査なんという言葉は使えないですよ、報告なんという言葉は使えないですよ、確認なんという言葉は使えないですよ。どういうことなんですか。
栗本政府参考人 もちろん、先ほど申し上げましたように、これまでの、今の状況下の中で、この報道を踏まえつついろいろな関係者の方にお聞きする中で、さらに他の方にお聞きする必要があるか否かということも踏まえて府警においてやっているところでございまして、そのような途中の段階でございますから、具体的に今の情勢の中で、お尋ねの議員を含めていろいろお話を承ることが果たして妥当なのか否かという問題も当然あるかと思います。
 ただ、これまで、当該警察官も含めまして、複数の関係しておる方から聞いた範囲では、先ほど申し上げましたように、少なくとも先生先ほど御指摘の、そこの報道の中におきますような秘書の給与の支払い等の問題でございますか、そのような問題に関しての仲介を受けたということは、これまで複数の者からについてそれはないという報告をいただいているということは、複数の方からの御発言でございます。
永田委員 この刑事は、「相談されたのは肩代わりとは違う秘書問題だった。」と、秘書に関する問題だったということを読売新聞には語っているようですが、それは事実ですか。
栗本政府参考人 その報道を見ていただいてもわかりますように、その報道自体だけでも、その中において、そこに登場する議員の方なり、あるいは市長さんなり、あるいは関係警察官の話が、報道を見てもかなり異なっているわけでございます。その報道の中でも、二カ所において、警察官がその事実を一部否定しているということがあるわけでございます。報道においてもですらでございます。
 もちろん、私ども、個別に府警において当該警察官からは話を聞かせていただいております。その中について、いろいろ出ておりますが、その中において出た内容は、先ほど申し上げました議員の被害的立場におけるトラブルということで、先ほど申し上げた仲介とは別の問題での相談を受けたということでございますけれども、そのような内容に係るものでございますから、報道についてどのようになされたということは承知いたしておりませんけれども、彼からの話はそういうような報告だったということでございます。
永田委員 それじゃ全然疑惑の解明につながらないんですよ。
 とにかく、暴力団の捜査経験が豊富な人が何か頼まれ事をした、しかも、働きかけはしていないけれども秘書関係の問題だったというような話があるわけで、であるならば、松浪さんが、当該秘書の給与を肩がわりした暴力団以外の暴力団関係のトラブルを抱えていた可能性というのは、やはり否定できないわけですよ。それについてどういうふうな説明をなさるんでしょうか、これ。――では、お答えください。
栗本政府参考人 まず前提として、当該警察官につきまして、大変長い捜査経験があるベテランでございますので、当然、その長い捜査経験の中において、暴力団関係の捜査の経験もございます。しかしながら、私どももいろいろな経験をいたしますけれども、そういう過去に経験があったということと、この時点において、相談をしたあるいは相談をするために当該警察官を紹介した方などの認識において、具体的な、今先生がおっしゃるような、暴力団関係の相談事案があるので話に乗ってほしいというような形のものでお会いしたというような話は聞いてございません。
永田委員 では、松浪氏は、この秘書給与を肩がわりしてくれた、実名は出せませんけれども、秘書給与を肩がわりしてくれたこの暴力団との関係を切る上で、当該紹介された刑事が何らかの働きかけをしてくれたおかげで和解できたと思うというふうに、刑事の働きかけが有効であったのではないかという推測をしているわけですよ。
 これは、松浪さんに話は聞いていますか、どういう根拠でそういうふうに思ったのかということを。
栗本政府参考人 当該議員の方がどのような形で取材に応じてお話をされ、報道になったかということについては承知をいたしておりませんが、先ほど申し上げましたように、議員らとの会席の場において、そこの報道に指摘されているような、そのような事実についての仲介の依頼というものはなかったと。また、そのような関係で、もちろん仲介の依頼を受けていないわけでございますから、当該警察官が、何らその事案に関与して、その後、特定のある人物に働きをしたとか何か動きをしたということは全くないと聞いております。
永田委員 これは、会食をしたとき、この当時の刑事さんは、市長から紹介をされた人が、要するに、この刑事さん、保釈中の暴力団の組員に関する話というのは、まさにこの会長さんに関しては全く話をされなかったということですね。だから、何と言ったらいいのか、質問の組み立てが難しいな。ごめんなさい、ちょっと事実関係が混乱していました。
 では、捜査に全く影響がなかったというお話でありますけれども、この暴力団の組員について、逮捕状の発行から逮捕に至るまでの時系列的なスケジュールを教えていただけませんでしょうか。時系列における事実関係ですね。
栗本政府参考人 ただいま先生の御指摘の点は、先ほどの問題とはまた別の観点で、恐らく、当該議員が談合事件の関係での問い合わせをしたのではなかろうかという観点からの御質問かと存じますので、そのような観点からの答弁をさせていただきたいと存じます。
 照会をなされた関係の事件といいますのは、大阪府発注の府営住宅解体工事の指名入札に関しまして、入札参加業者が平成八年の四月の下旬、入札の公正な価格を害しまたは不正な利益を得る目的をもって同工事を特定の業者に落札させるよう協定をし、談合した、こういう事案でございました。
 この関係につきまして、大阪府警において捜査を行ってきたわけでございますが、先ほども申し上げました刑法九十六条の三の第二項、不正談合容疑によりまして、平成十年の三月三日にこの事件の関係の被疑者四名を逮捕し、さらに逃走中でございました他の共犯被疑者一名を三月の十二日に逮捕し、いずれも大阪地検に送致をしているものでございます。
永田委員 松浪議員がこの当該容疑者について警察に問い合わせをしたということは先ほどもちょっとお認めになっていると思いますけれども、これはどういう問い合わせがあったんですか。
栗本政府参考人 この件につきましても、約五年前の事案でございまして、大阪府警において調査をする中で、関係いたしましたこの捜査担当者の記憶というのは、五年をたったということで、あいまいな点も若干ございますけれども、その記憶によりますと、先ほど申し上げました事件の関連で議員の方から大阪府警の捜査二課の方に、これは一回だけでございますけれども、一回だけ電話がございまして、その際の内容は、応対した担当者の記憶によりますと、この当該不正談合事件に関して、先ほど先生が御指摘になりました当該人物を捜しているのか、こういうような問い合わせであったというように報告を受けております。
永田委員 捜しているのかと聞かれて、どういうふうに答えたんですか。
栗本政府参考人 そのお尋ねの問い合わせの際に、議員に対しまして、府警としても当該人物につきまして捜している旨を伝えた上で、その所在につきます情報提供を求め、さらに当該人物が議員に連絡をしてきたような場合には速やかに出頭するように協力をお願いしたと思うと聞いております。
永田委員 出頭をお願いするというのは、どういうような形で捜しているのかということは、それは説明したんですか。つまり、単に容疑者として捜しているのか、指名手配なのか、あるいは何か事情を聞きたい、単に参考人みたいな、話を聞きたいとか、そういうようないろいろなケースがあると思うんですけれども、どういうケースで捜しているのかということは説明したんですか。
栗本政府参考人 報告によりますと、その際に、この具体的な事件捜査の中で、当該人物に関します令状の有無とかあるいは指名手配の有無、こういうようなものについては御説明をいたしておりません。
 ただ、この捜査の中で、先ほど申し上げましたように、当該人物を除く関係被疑者四名は既にもう逮捕しております。また、その逮捕を踏まえまして、府警において公表いたしておるところでございますし、また、当該人物につきましては、その後指名手配を行っております。その中で、府警としては、その関係被疑者に対する所在を確認するなど、いわゆる追跡捜査というものを行っている状況でございます。そのような状況の中で、いろいろなところにその所在を確認するためのいろいろな御協力をいただくべく、既に捜査中でございました。
 そういうような捜査中の中に、今申し上げましたような問い合わせがあったということでございますので、そのような事案の中身について詳しく申し上げるものでもなく、当該議員がその当該人物についての所在を知り得る可能性がありますし、今後その議員の方にいろいろまた連絡をしてくることがあるということが直ちに判断をできましたので、その中で、先ほど申し上げましたような協力依頼を行ったというように聞いてございます。
永田委員 これは、松浪さんとこの当該容疑者、指名手配中の者が関係があるだろうということは当然推察されるわけですけれども、松浪さんの関係からその所在を探るべく捜査をするということはなかったんでしょうか。
栗本政府参考人 少なくとも、この問い合わせがあるまでに今のような協力依頼をしたということはないと聞いております。
永田委員 大体事実関係は確認されたので、最後に、もう一回立ち戻りたいと思います。
 この事案というのは本当に特殊なケースなんですよ。やはり暴力団と松浪氏がどういう関係にあったのかということを知らなければ、民主主義というのはどうにもならないわけですね、これ。
 委員長の最後の政治判断、もう一度、この民主主義の重みと警察の一般論としてのそういう守秘義務というか秘匿義務というか、そういうものを比較考量して、最後の政治判断で、この会食の内容は何だったのか、松浪氏が警察に何を頼んだのかということを、もう別に、特定の個人や団体を特定せずに、可能な範囲で話をすることというのは、僕はできると思うんです。だから、ぜひ、どういう調査をして、どういうような内容の会食だったと把握しているのか、もう一度お話をいただきたいと思います。
谷垣国務大臣 これは、先ほどもどかしい思いといいますか、歯がゆい思いをすることもあると申しました。
 それから、仮に警察関係者が事実関係を話す場合、もし話すとすれば、当事者にとって有利な場合、不利な場合、いろいろあると思います。当事者にしてみれば、むしろ話してもらいたいと思うこともあるかもしれません。しかし、そこをやりますと、当事者に有利だから話すとか、不利だから話すとかいうようなことになりますと、これはなかなか警察としての、警察捜査官の外部からの信頼性というものを維持できなくなると思います。
 それで、暴力団情報というのは、警察としては原則としてこれは出さないというのが通常でございます。もちろん、全く出していないわけでもありません。それは、その被害をさらに拡大するのを防ぐためとか、そういう場合に必要な場合もありますから出す場合もありますけれども、しかし、この場合、やはり個別の案件はお答えを控えさせていただくのが私は妥当であろうと思います。
永田委員 しかし、それは発表するかどうかは警察の判断だ、要約すればそういう話だと思いますけれども、少なくとも松浪さん自身は、事件になっても構わない、暴力団との問題をアングラで処理するのはいかぬと思ったというふうに、少なくともこの読売新聞には語っているわけですね。
 これが事実とするならば、少なくとも、頼もうとした方の松浪氏は明らかになっても構わないという気持ちでいるはずなんですよ。それは、恐らく今本人に確認をとっても同じことになると思いますよ。それでもまだ発表するのを拒むというのは、民主主義というのはそれほど大した価値ではないというふうにお考えなんでしょうか。
谷垣国務大臣 被害者が承諾しているかしていないかという、被害者というか関係者が承諾をしているかしていないかということも、もちろん場合によっては意味がある場合があると思いますが、私が第一義として置いておりますのは、警察官の職務の執行に対する関係者の信頼ということであります。
 それで、ぎりぎり詰めていけば、その信頼と民主主義の健全性に対する信頼とどちらが大事か、それがぎりぎり衝突する場面も、場合によっては、ぎりぎり詰めていけばあるかもしれません。しかし、私は、この場合、今現在、警察の職務に対する信頼というものが大事である、それを乗り越えて、民主主義への信頼ということから行動しなきゃならぬという事態ではないと判断しております。
永田委員 その政治判断というのは大変重いものであるということをわかっていただきたいと思いますね。
 やはり、情報がきちんと提供されなければ民主主義は有効に機能しませんし、それがなければ、選挙というものも本当に正当性の乏しいものになってしまうわけです。ですから、民主主義がなければ警察も意味がないというのはおかしいですけれども、警察権力というものは民主主義のもとに成り立っているものでありまして、民主主義をないがしろにして警察権力が正当な信頼性をかち得るということは、これはないわけですよ。ですから、それはまさに天に向かってつばをするというか、自分で自分の足を踏んづけているようなものなんですよ。ですから、その判断というものは非常に重要なものだということを改めて指摘しておきたいと思います。
 きょうは事実関係を確認することしかできませんでしたが、いずれ松浪議員の口から政治倫理審査会の場でこれは説明があると思います。そのときに、当然これは議員の発言でありますから、一般論として守秘義務があるとかそういうような議論というのは通用しないので、きょう確認し得なかった事実も当然確認できることを期待しております。
 ちゃんと整合性がある調査になっているのかどうか大変不安ではありますけれども、今後、民主主義の根幹を守るために、ぜひ……(発言する者あり)わかりました。では、そういうことでございますので、今後もまた機会をとらえてこの件をお話しいただくようにお願いをしたいと思いますので、ぜひその政治判断をもう一度変えていただきたいなというふうに思いますので、お願いをいたします。
 ちょっと時間が余りましたけれども、きょうのところはこれぐらいにしておきたいと思います。ありがとうございました。
佐々木委員長 以上で永田寿康君の質疑は終了いたしました。
 次に、大畠章宏君。
大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
 永田委員の質問に続いて質問をさせていただきます。
 きょうは、自動車安全運転センター法の改正案でございますけれども、このことについてお伺いしたいと思うんですが、私は、今ちょっと個人情報保護法の審議も同時並行的に進んでいますので、ちょっと中断したことを大変恐縮でありますが、前段からいろいろお話を伺っていますけれども、暴力団と国会議員との関係が今問われました。
 実は、私が非常に気にしているのは、アメリカのマフィアが大体三万人というんですね、聞いているところでは。日本の暴力団といいますか、そういう部類に入る人は今三十万人というんですね。非常にふえているんですね。それから、〇九〇ですか、例の金融問題、よく電柱にいろいろ、何といいますか、金融、お金貸しますよということで、電柱に張ってありますね。それの取り立て関係に非常にそういう部類の人が動いているという話がありまして、ここら辺を国家公安委員長として――少し何か緩んでいるんですね。
 例えば、雇用の場がない。したがって、安易にそういう部類のところに、何といいますか、若い人が、仕事がないものですからそういうところに流れているんじゃないかという観測も今言われておりまして、これは事前にお話はしてございませんが、何か私は、暴力団に対して、あるいはそういうところに対する社会的なめり張りというのがなくなってきて、いわゆる昔の暴力団というものと、何かわからないけれども、正業との間のすき間のところに随分入り込んできて、正業なのかそういう法を犯しているのかという、どうもその間が、そういうところに随分新しい形で入り始めているんですね。
 今回の松浪さんの問題についても、先輩後輩という関係でいろいろ癒着があったという話を私も聞いているわけですが、ここら辺、某政府の幹部の方が、暴力団も有権者じゃないかというような話をしたとかしないとかという話が新聞に出ておりましたけれども、そこら辺を私はもうちょっと毅然としなきゃいかぬと思うんですね。
 アメリカにおけるマフィア対策というのは非常に強烈に徹底してやっていますね。それに対して日本の場合はどうかというと、今回もいろいろ警察の方が動いてやっているという話は聞いておるんですが、どうも警察行政のといいますか日本人のといいますか、市民もそうなんですが、暴力団に対して何となくあいまいになってきているんじゃないか。
 そういうものが相まって、こういう問題に、例えば、私も政治家をやっていますが、暴力団の方から、大畠さん、秘書をただで使っていいよというふうに言われた場合には、当然これは断りますが、何か先輩後輩とか、まあ、じゃいいかというような話を許容する雰囲気があるとすれば、これはゆゆしき問題で、ここら辺のことを国家公安委員長として、いわゆる暴力団対策。あるいは、そういう社会的に何となく雇用の場がない、したがって、若い人は高校を卒業してもなかなか就職先がない、あるいは今じゃ大学を卒業してもなかなか就職先がない。金融関係として採用しますよというふうに言われれば、仕事がないんですから、じゃやってみようかというと、いろいろ取り立て問題の仕事を担当させられるとか、どうもそこら辺が、日本の社会全体が暴力団に対して非常に寛容的な雰囲気が生まれているんじゃないか。
 それはもちろん雇用問題とか経済問題が絡んでいるんですが、ここら辺は私は、国家公安委員長になられて、経済問題も詳しいし、いろいろなものに詳しい谷垣大臣でありますからあれなんですが、ひとつ毅然とした日本の社会、麻薬問題も大変これは重要なんですね。麻薬問題も社会的に非常に入り始めているというんですが、暴力団とか麻薬とか、そういうものに対しては毅然としたものにするんですよということを、改めて、私は、国家公安委員長としても、この機会をベースとして方針を打ち出すことが必要じゃないかと思うんですが、冒頭に、この問題に対する谷垣大臣の御決意をお伺いしたいと思うんです。
谷垣国務大臣 今大畠委員がおっしゃいましたように、暴力団というのは、その構成員が集団的あるいは常習的に暴力的な不法行為を行うことを助長するおそれがある反社会的団体だ、これは暴対法の定義でございますが、そういうことでございますから、政治家はもちろん、社会を挙げてこれに対決、取り組まなければなりません。警察にとっては、暴力団とどう対峙していくかというのが基本的な問題であるというふうに私は思っております。
 若干、現在の認識を申し上げますと、平成四年三月に暴対法が施行されまして、基本的には少しずつ暴力団構成員というのは減少しておりますけれども、準構成員というものが少しずつふえているという状況で、その両者を含めた暴力団勢力の総数は、暴対法が施行された当初よりは減少してきて、昨年末現在で約八万五千三百人というのが現在の状況でございます。
 そこで、暴対法が行われましてから、暴力団事務所の撤去活動とか、あるいは、暴排条項というのがございまして、その整備による各種業からの暴力団排除が進んでまいりまして、暴力団が社会から孤立して、特に対立抗争が鎮静化するとか、それから、行政命令をたくさん出しまして資金獲得活動が困難になっているという状況が一方では確かにあるんです。
 しかし、その一方で、暴力団は伝統的に、みかじめ料を要求するとか覚せい剤を密売するとかいった、いわばここは伝統的な暴力団の資金源だったわけですが、今委員が御指摘になりましたいわばすき間といいますか、表の社会、どういうことをやっているかというのを余り言うといかぬのかもしれませんが、建設とか不動産とか金融とかあるいは特に産廃、こういう事業活動を通じた資金獲得活動が始まってきたということでございます。
 それから、そういう事業活動だけではなく、政治活動であるとかあるいは人権活動であるとかあるいは環境運動という社会運動を標榜するといいますか、そういう形だけれども、あるいは企業活動を装うなどして、結局、資金獲得活動といいますか、いわば表から一見したときにわからないような形での、しかし、実態は、その背後では暴力団活動をやっているという不透明な状況、こういうものが出てきておりますので、表社会の経済活動が暴力団の資金源とされる動きを阻止しなきゃならない。だから、暴力団も、純然たる暴力団というだけではなく、暴力団企業の周辺者といいますか、そういうものに対する取り組みを強化しなきゃならぬということで今やっているわけであります。
 そこで、暴力団犯罪の取り締まり徹底、これはもう当然でございますが、暴対法を効果的に運用する、それから暴力団排除活動、これを三本柱として組み立ててやっているところでございます。警察も、組織面でもこういうものにどう対応していくかというようなことで、いろいろ警察の組織の見直し等もやっておりまして、大畠委員が御指摘のように全力を挙げて取り組まなければならない、こう思っております。
大畠委員 我が党の石井紘基議員が刺殺されたんですが、あれも結局は、いろいろ言われているんですが、やみ金融問題に手を、メスを入れた、そこで、その業界からいろいろあってああいう形になったんじゃないかというふうにも言われているんです。
 今申し上げたように、古式豊かな暴力団というものじゃなくて、何といいますか、やみ金融といいますか、何か表看板は会社なんですね。ところが、中身でやっているのはかなりあくどいことをやっておりまして、これはもう法律を犯した形でやっているわけです。そういうところに対する、警察当局というか日本の社会というか、そういうものが非常に寛容になり始めているんじゃないか。だから、そこのところに大変でもメスを入れなきゃならないんじゃないかと私は思いますね。
 私の知り合いの方も、そういうものにちょっとねらわれて、四六時中防弾チョッキを着て朝から晩までいるんだ、家族の警護も警察に頼んだという話を前に聞いたことがあるんですが、一つのけじめをつける行為に入ったらそういうことをおどされたというんです。
 ですから、これは大変な仕事なんですが、やはり日本の社会としては、そういうものにけじめをつける、毅然とした行為をする。それから、今幾つかの業種の方のお話がありましたが、そういう問題についても日本の警察として毅然とする。そういうことを、やはり国家公安委員長として、改めて、私はそういう方針を打ち出してやるんですよということを、その一つとして、政治家とそういう問題についても毅然としなければなりませんし、また、与党の中でもその政治家の判断を待つというような発言をされているトップの方もおられますが、やはり政府がそういうものに対してあいまいな態度であってはならない。やはり国民のトップとして、そういうものに対しては毅然とした対応をとろうということを、政治家個人の判断とか何かじゃなくて、政府としてこういう問題にはけじめをつけますよという方針を打ち出すのが重要なんじゃないかと私は思うんです。
 谷垣大臣として、この事件に対する、先ほどいろいろなやりとりがあったのを前半私は聞いておりましたが、改めて、政府として、単に政治家の個人の判断に任せるという話なのか、あるいは、そういう問題に対して毅然としたけじめをつけるべきだと考えられるのか、ちょっとその件についての谷垣大臣のお話を伺いたいと思います。
谷垣国務大臣 今、大畠委員のお話の中で、警察なり日本社会が、いわゆる暴力団とのけじめというものがあいまいになってきているんではないかという御指摘がありました。
 私は、国家公安委員長になりまして、警察の職責の大きな柱がこの暴力団との対峙、対決であるというふうに思ってまいりまして、警察の姿勢がそこであいまいになっているということはないと思っておりますし、国家公安委員長としても、そういう暴力団に対峙、対決していくという姿勢に対しては、これは当然のことながら、督励をし、その柱を揺るがすことのないようにしなきゃならないというのが、私の国家公安委員長として仕事をしていく場合の一つの基本方針でございます。
 それで、ただ問題は、先ほど申しましたように、もうだれが見ても暴力団である、暴力団というはっぴを着て歩いていればわかるわけでありますけれども、ある意味では実に巧妙に、ちょっと見たところでは、善良な、全くの一般の企業であるかどうかわからないような形で巧妙に潜入してきて、潜入といいますか、普通の商取引、全く通常の商取引を装って入ってくる。それで、それが一たん何か弱みを見つけるやといいますか、がんがわっと広がっていくようになっていくというような話もこの仕事をしていてしばしば聞くわけでありますので、やはりそのあたりの、これは産業再生機構ではないんですけれども、まず毅然たる姿勢と、早期に対応していくということが大事ではないかな、そのことは警察としても私としてもしっかりやりたい、こういうふうに私は思っております。
大畠委員 今大臣がいろいろと御指摘されましたけれども、非常に巧妙になってきているんですね。見るからに暴力団風ではなくて、何といいますか、学卒暴力団というか知的暴力団というか、非常にスマートになってきているんですよ。しかし、やっていることはもう脱法行為なんですね。ここのところに対してどうするか。
 いわゆる昔からの、もう見るからにあの人は暴力団だという感じの人はよくいますよね、見てすぐわかる人。でも、今じゃ非常にジェントルマンになってきて、スマートになってきているんですよ。しかし、やっていることはかなりあこぎなこと、要するに、裏からいろいろ若い人を使っておどしてみたり、いわゆるやみ金融問題なんかその典型だと思うんですが、仕事がないからその会社に入っちゃうんでしょう。表から入るときには金融業ですということなんだけれども、入ってみたらやるのは取り立て業とか、毎日毎日行ってどんどんやるとか、いろいろな脅迫、あるいは生命保険に入れとか入らないとか、非常に実態としては入り組んじゃっているんですね。
 だから、ここのところは、金融関係の省庁の責任なのか警察の責任なのか、あいまいになってきているんですが、こういう新たな暴力団に対する対策をやらなきゃならないと思うし、言ってみますと、そういう従来の機構では対応できないところについては、きちっと新たな――要するに、社会が変わりつつあるんですから、IT社会とかいって。ここに、小野先生なんか大変詳しいんですが、新たな社会が生まれつつあるんです。そこに新たな犯罪も生まれつつあるとすれば、こちらもそれに対応した機構をつくってきちっとやる、そして政治の世界だとか一般社会につけ込むすきを与えないという体制を改めてとることが必要だと思うんですが、この件について谷垣大臣の御所見があったらお伺いしたいと思います。
谷垣国務大臣 今大畠委員がおっしゃるように、暴力団というより、もう少し広く言って、犯罪も常に時代とともにある意味では新たになってくるというところがございますし、警察も、基本は変わらないと思いますが、しかし、昔のままの手法でやっていればそれに対応ができるというわけではありません。
 そこで、この四月一日から、例えば警視庁では組織犯罪対策部という部を新たに編成がえをしまして、もうこれは、御指摘の暴力団あるいは覚せい剤、こういうようなものがみんな入ってくるわけですが、警視庁の体制の大きな柱、暴力団や何かに対応する柱を立て直したというか再編成をして、新たな意気込みでこの四月一日から警視庁は取り組んでいるというわけでございます。
 これは、警視庁だけではなく、課題は警察庁の各都道府県警も、それぞれ地域の特質がありますから全部が警視庁と同じ対応をするとは限りませんけれども、問題意識は共通にしておりまして、今おっしゃったような点について、時代に即応した体制をとるように不断の見直しを行わなけりゃならぬ、こう思っております。
大畠委員 この問題については最後にしますが、私も国会議員になって十三年、国会周辺を、例のでっかい音響を立てて、だれだれ議員は大したものだという、いわゆる褒め殺しの宣伝カーが随分回ったのを見ていますよ。二日間ぐらい回るとぴたっととまるんですがね、なぜとまったかというのは推測をするしかないんですけれども。
 そういうところに国会議員がつけ込まれないように、みずからもきちっとしなければなりませんが、私は、これは政治家個人という認識もあるでしょうし、当然、そういうものを包含している与党としても、あるいは政府としても、こういう問題に対する方針をきちっと打ち出す必要があるので、これは本人の判断でしょうねというわけにはいかないんですね。これは、国民が国会議員に対する不信を持ってしまったんですね、この十数年の間に。
 あるいは、国会議員の女性スキャンダルも新聞、週刊誌なんかで出されていますが、いずれにしても、やはり私は、国会議員、政治というのは、信なくば立たずですよ。そういう信頼を失うような事象あるいは事案に対しては、毅然とした姿勢を、今政権をとっている政府としては、私は打ち出すべきだと思うんですが、これは最後の質問にしますが、改めて谷垣大臣のこの種の政治スキャンダル、政治家スキャンダルに対する基本的な方針といいますか姿勢についてお伺いして、次の本来の質問に入ります。
谷垣国務大臣 政府といいますか政治といいますか、例えば暴力団、こういうものに対して毅然として対応するというのは、これは当然のことだろうと思います。いわんや、私が今管理をしております警察が暴力団に対峙するという意気込みとそれに対するめり張りのある態度を欠くようなことがあれば、私は、大げさに言えば日本社会は崩壊してしまう、こう思っております。
 他方、今委員いろいろ御指摘になりました、個々の議員の行動はどうか、個々に任せては済まないじゃないかということもございますが、やはり、一つは法というものがございまして、それから、例えば私ども閣僚でございますと、閣僚、大臣、副大臣、政務官、それぞれ倫理規範というものがございます。そういうものをまずきちっと守る、そしてよそから不信を招かれないようにするというのは、私は当然のことだろうと思います。
 やはり政治の世界で仕事をしている者は、もう一回胸に手を当てて、我々がどういう、何というんでしょうか、規範によって行動すべきなのかともう一回思いを新たにする必要があるな、こう自戒も込めて思っている次第であります。
大畠委員 これであれですが、いずれにしても、中国のことわざに、李下に冠を正さず。ナシの木の下で冠を正すと、ナシを盗んだんじゃないかと疑われる。実際にナシを盗んでなくても、ナシの下で誤解を受けるような行動はしないという、そういうことであって、それがもう何かナシを盗んじゃったことになるんでしょう、これは。
 そういうときにきちっとしなきゃいかぬのはそのとおりで、私は、まさに政治家というのは、小野先生もうなずいていますが、信頼をなくしたら終わりなんですよ、政治家も政治も。だから、今必要なのは、政府の信頼とか国会の信頼とか政治家の信頼とか、まさにそういう信頼をどう高めるかということを最大限やらなかったら、経済だって外交だって防衛だってこれは成り立ちませんからね。その根幹であるということで、ぜひ谷垣大臣におかれましても、内閣の中でこの問題に対してきちっと、毅然とすべきじゃないかということを、行動していただきたいということを要請して、本来の質問に入ります。
 さて、この自動車安全運転センター法の改正でありますが、実はこの自動車安全運転センターというものは私の住んでいる茨城県にございまして、私も内閣委員長のときに視察に伺いました。正直なところ、大変すばらしい施設ですよ。それで、急ブレーキをかける、あるいはどうやったら不安全な状態になるか、そういうことも体験させてもらえる施設でありまして、日本国内の警察のトレーニング場にもなっているという話でありますが、私自身は、この自動車安全運転センターの機能あるいは役割というのは大変重要だと思うんですね。
 これが今回法改正を行うということになったわけでありますが、体制を変えるということでありますが、改めて、この自動車安全運転センターの設置された経緯及びその後の業務の展開についてお伺いしたいと思います。
谷垣国務大臣 今大畠議員からこのセンターについて御評価をいただいて、ありがたいと思うんです。私も先般見に参りまして、あそこでいろいろ、まあ私は短い時間でしたから、訓練のまねごとみたいなものですが、見ますと、なるほど、今まで道路を走っていたときの常識と思っていたのとちょっと違ったことがあるんだなというようなことも発見しまして、あそこを活用していただくと、いい安全教育ができるんじゃないかなという思いを新たにいたしました。
 そこで、今までの経緯とその後の運用の状況ですが、これができましたのは、モータリゼーションが急速に進展しまして、それに伴って交通事故が急増してきた、我が国の交通情勢、昭和四十五年には交通事故死者数が過去最悪になった年でございまして、一万六千七百六十五人を記録する、極めて憂慮すべき情勢にあったわけで、そこで、何かしなきゃいけないということで、従来から行ってきた交通安全施設の整備であるとか交通指導取り締まりの強化に加えて、運転者対策を強力に推し進めていく必要があろうと。そこで、昭和五十年に、自動車安全センター法というのをつくっていただいて、安全運転を促進するための累積点数の通知であるとか、あるいは運転経歴証明等の業務を行おうということで、この自動車安全運転センターが設立されたわけであります。
 さらに、平成三年には、大畠先生の御出身の茨城県ひたちなか市に、警察、消防等の緊急自動車の運転者、あるいは自動車教習所の指導員などに対して高度の研修を行う安全運転中央研修所を開設しまして、運転者対策に強力に取り組んだということでありまして、こういうふうに交通事故の防止に寄与してきたところは、なかなか功績があったんじゃないかと思います。
 今後とも、交通安全対策上重要な役割を担ってほしいし、また担っていかなきゃならぬ、こんなふうに思っているところでございます。
大畠委員 今大臣からお話があったような経緯だと私も認識しておりますが、今回、改革する、法人化するに当たって、どういう中身を検討されたのかなと伺いながら私も法律案の説明を聞いたわけですが、やっていることをそのまま引き継いでいるような感じで、もうちょっと工夫があってもいいんじゃないか。
 例えば、この交通安全センターの訓練場といいますか練習場とか、そういうふうなものは、この機能は機能としながらも、付随する業務があるんですね。例えば、各種証明書を発行するということで、無事故・無違反証明書、運転記録証明書、累積点数等証明書、運転免許経歴証明書、こういうものを発行する等々のために各地域に支所を置いてやっているんですね。北海道では五カ所、東北でも各県に一カ所ずつやっていますね、関東もそうですし。こういうところをそのまま支所としてやっているわけですが、私は、これだけのIT社会ですから、何か一工夫あってもいいのではないかと考えるわけですが、今回の法人化に当たって何をどう改革したのか、それをお伺いしたいと思います。
属政府参考人 今回の改正で一番変わることは、国の出資を廃止して、国家公安委員会による理事長及び監事の任命制を廃止するなど、あるいは国の出資をなくしていくといったようなことで、センターに対する政府の関与を最小限にする、それによりまして、センターがみずから自主的に、また自立しましてみずからが経営をやっていく、そういうことをねらっているところであります。
 それによりまして、センターみずからが国民のニーズあるいは道路交通情勢の変化等を積極的に把握して、機動的にその業務運営に反映をさせていく。例えば研修業務につきましても、いろいろなニーズがあるわけです。それをいろいろな形で先取りをして、新しいいろいろな研修課程を設けるといったようなこと等、研修業務の多様化、内容の充実を図るなど、国民の期待により一層こたえるような業務運営をしていくということで、いい方向に行くのではないかというふうに期待をしているところであります。
大畠委員 よくわからないんですね。何をどう改革したのかというのを私は聞いたんですが、今の説明では、何をどう改革したのか私はわからなかったんですが、もう一度、私に答えるんじゃなくて、市民に答えるように。
 そうすると、何か変わったんですか、今回。何か変わったことがありますか。もう一度わかりやすく説明してくださいよ。小泉さんのようにワンフレーズでは、これはまた短過ぎてよくわからないんだけれども、今のように長いんだけれどもよく理解できないというんじゃ困るので、もうちょっと具体的に話していただけますか。何をどう変えたのか。
属政府参考人 業務そのものの中身が今回直ちに大きく変わるかどうかということであれば、これはそれほど大きく変わるわけではございません。
 これは、しかし、民間法人化になったら、そういう形態そのものが変わるということで、国の関与がなくなる、自分たちで責任を持ってやらなきゃいけないということで、みずからが経営責任をきちんと踏まえながらやっていく。そのためには収入も上げなきゃいけませんから、いろいろな研修業務も拡充をしていくということもありますし、また、コストも削減をする必要があるということで、いろいろな合理化もしていく。
 また、例えば、交通事故の証明業務にいたしましても、これは現在まだ検討中でありますけれども、交通事故の証明書の申請者が、現在は一々窓口で申請をしていただいておりますけれども、こういったものもインターネット等を通じて申請したり、あるいはその交付を受けることができるように、そういったことについても現在検討しておりまして、平成十六年度中には結論を得るといったようなことも考えてやっております。
 そしてまた、調査研究にしても、今までもいろいろな形で調査研究をして、それが政府の交通安全対策に生かされている例もあるわけですけれども、そういったことについてもさらに積極的に取り組んでいくことになるだろうというふうに思っております。
大畠委員 民間法人になったらやるんだというんだけれども、非常に遅いわけですよ、それは。日本の国が今経済的にも財政的にももう大変な状態で、市町村も厳しい財政の中でどうやってやるかと苦労しているときに、ここだけは何か、民営化になったらまあ考えますからというんじゃ、私は、国民の、市民の期待にこたえられない。では、何のために民間法人化するのか、なってから考えますというんじゃ、これもやってみなきゃわからないというのと、だれかが言っていますが、それと同じような話で、それじゃ、余り、まあ法律改正して民間法人化という方向性はわかるとしても、その目的は何なのかというのがよくわからないんですね、この改革の内容については。
 それからもう一つは、いろいろ言われていますいわゆる天下り問題、これは大臣から答えていただいた方がいいと思うんですが、何か官僚は非常に温かい雰囲気の中にいるんじゃないか。いわゆる高級官僚の人が一たん大学を出て入ってしまえば、後はリストラもないし、何か晩年になるといいところに行けるという話になっている。地域の市民は寒空の中で、うちの会社はいつ倒産しちゃうかもしれない、あるいは賃金が下がる、そういう状況のところに、何となく安全運転センターというのが天下り先になっているんじゃないかということを随分、そういう実態はどうなのかということも含めて、ちょっと教えてもらいたいと思うんです。
 そういう国民の疑念に対して、いや、そうではないというのであれば、そうではないというふうに答えていただきたいと思うし、この国民からの疑念、いわゆるこの安全運転センターというのが民間法人化されたとしても、天下り先になっているんじゃないかという疑念に対しては、どのように大臣はお答えになるのか、お伺いしたいと思います。
谷垣国務大臣 天下り問題もいろいろ議論がございまして、確かに弊害がなるほどあるな、幾つも転々としていって、これだけ退職金をもらったというような事例を見ますと、弊害もあるな、こう思うこともございますが、他方、やはり人材の活用とかやる気を考えると、もうこれを全廃せよというのも、実はなかなか実情に合わない場合が私はあるんじゃないかと思います。
 これは、きょうは、余り突っ込んで議論すると大ぶろしきを広げ過ぎることになりますので控えますが、やはり日本社会の中で、必ずしも人材のモビリティーがある社会ではありませんので、やはり一つの組織に入ったらその一つに忠誠心を持ってやっていくというようなところが、どこかまだ日本社会では残っているし、それを一概に否定できないところがある。そうしますと、天下りも全部悪いとはなかなか言い切れぬ面もあるなというふうに私は思うんです。
 そこで、さっきの大畠先生の、一体これは何のために民間法人化するのかということに、何が変わるのかということにつながってくると思いますけれども、では、民間法人化にしたら、がらっとすべてが変わっていくのかというと、私は、必ずしもそういうものではないんだろうと思います。
 民間法人化のねらいそのものも、親元と連なった形での、何というか、いわば下部組織みたいな、行政の下請みたいな法人がたくさんあって、そこがいわば天下りの場になって、結局、すべて親元を見ながら、利用者や消費者のことを考えないでやっているという、まあ全部がそうではありませんけれども、そういう事例も確かに見られた。そこをやはり民営化して、国の関与も少なくしていくことによって、自立性を高めることによって効率性を追求しようということで、全体として効果が出てくるのではないかというのが、私は、その流れの一環の中にこれもあるのではないかと思います。
 そこで、現状を申しますと、センターの役員の数は六名で、六名とも確かに国家公務員出身者でございます。それで、出身省庁の内訳は、三名が警察庁、残り三名は総務省、財務省及び国土交通省の出身者というふうになっているわけですが、先ほども申し上げましたような、今までの知識経験を生かしていくという形から考えた現在の人選であるというふうに思うんです。
 今後は、民間法人化によりまして、今までは国家公安委員会が任命していたわけでありますけれども、これからはセンターで自主的に選任した役員を国家公安委員会が認可するということになります。この仕事は、もう先ほどからも御議論のように、ある程度公共性のある事業を独占してやっていくような性格も持っておりますので、その公益性、公共性にかんがみて、相ふさわしい適切な人材をこれから選んでいかなきゃならないわけでありまして、これはセンターでそこのところをまず十分見ながら選んでもらうふうでなければいかぬと思います。
 それで、国家公安委員会としても、その辺、先ほど委員が指摘されましたようないかにも弊害だというようなことが起こらないように、私どももしっかり監督をしていかなければいけないな、こう思っております。
大畠委員 谷垣大臣といいますか、谷垣政治家の基本的な考え方は理解いたしますけれども、ただ、今お話伺うと、警察から三人、総務省から一人、財務省から一人、国土交通省一人、何となくこれはうさん臭いわね、一言で言うと。何で総務省なんか入ってくるんだ、国土交通省なんか何で入ってくるんだ。今のこの業務、安全運転、安全、道路といえば道路かもしれないけれども、これは自動車の安全運転センターですからね。それから、この無事故証明書、運転記録証明書、累積点数証明書、警察は絡んでいるかもしれぬけれども、道路も絡むといえば絡むかもしれぬけれども、基本的に何となく国民の疑念はやはり晴れませんね。
 私は、いろいろな民間会社のいいところは何かというと、そのところのプロパーといいますか、そこに入った人が社長になるということですよ、一つは。いつもトップのところをほかの人が占めていたら、やはりそこの従業員はどっちみち社長にはなれぬな、それは、入っても覇気がなくなっちゃうんだね。だから、大事なことは、トップに生え抜きというか、そのセンターだったら、民営化したらそこの人を入れることですよ。
 それから、もちろん、今谷垣さんおっしゃったように、優秀な官僚もいますよ。そういう人を、その技能とか能力を生かすために再就職させるというのは、これは私は反対はするわけではありません。しかし、どうも役割上とか、あそこのポストはいつも総務省が一人送るとか、ここのところに一人また財務省が来るとか、そういうふうにパターン化されていること自体が、組織体の社員といいますか従業員からすれば、また来たなということで、信頼だとかあるいは尊敬だとか、そういうのは逆に受けないですね。機能そのものがおかしくなっちゃうんですよ。
 ですから、私は、天下り問題とか人事問題が大事だというのは、そういうことを言っているんですね。トップにプロパーの人を入れる、それがやはり私は大事だと思う。
 だから、そういう意味で、この天下り問題につても、今谷垣さんおっしゃいましたけれども、そういう形で見直して、本当にそのセンターの職員がやる気が起こるような人事体制にする。そして、できるだけそういうところの、国からの関与をなくすといったって、人事的に送り込まれたら国からの関与はほとんどあると同じですよ、それは。直接的なものはないんだといったって、送り込まれていれば、あるいはそのセンターの長に、例えば警察庁から入っていれば、なってきますからね。
 そういう国民からの疑惑というのが、どうも今の説明では払拭される体制になっていませんけれども、ぜひ谷垣大臣がおっしゃったような方向でこれから改善していくということは要望しておきたいと思います。
 それから、民間法人化へのスケジュールについてお伺いしたいんですが、安全運転研修とか調査研究、これも大変重要な機能でありますし、このことについてはどのように考えておられるのか。それから、あわせて、いろいろなサービス業務があるんですが、IT化というのも、当然、先ほどの中で検討されているというお話を伺ったんですが、これからどういう形でIT化を導入して業務改善を図るのか。この二つをあわせてお伺いしたいと思います。
属政府参考人 初めに、安全運転研修業務について申し上げますと、センターでは、警察、消防等の緊急自動車の運転者や自動車教習所の指導員等を対象とする安全運転研修業務を行っておりまして、平成十年度には約六万人に対してやっております。
 この研修業務につきましては、平成三年度には、業務開始をした年でありますけれども、その際には十八課程でやっておりましたけれども、徐々に課程数をふやしまして、平成十五年度には四十一課程の研修を実施しているところであります。センターの民間法人化後は、さらに国民のニーズや道路交通情勢の変化に対応して研修の内容の多様化、充実化を図っていきたいというふうに思っております。
 また、センターの調査研究業務というのもあるんですけれども、これにつきましても、これまでも、例えば自動車運転中の携帯電話の使用規制等の問題についていろいろ調査研究をして、それを交通安全対策に反映するといったようなこともありました。こういった調査研究につきましても、ここは研修施設を持っておりますので、そういうところでいろいろな研究をやって生かしていきたいというふうに思っております。
 それから、IT化の関係ですけれども、従来から、情報通信技術の進展に対応して、センターも業務のIT化を進めてきております。
 例えば、交通事故証明業務におきまして、一つの都道府県事務所に提出されました交通事故証明の申請書を他の都道府県事務所に電子的に移送するためのシステムを導入するなど、取り組んできたところであります。
 平成十五年度には、研修の募集業務の効率化と利用者の利便の向上を図るために、安全運転中央研修所の研修課程の予約状況を各都道府県事務所でオンラインで確認できるシステム、こういったものを導入する準備を今進めているところであります。
 また、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、申請者がインターネット等でセンターの交通事故証明書を申請したり交付を受けることができるように、そういった方向での検討を現在して、十六年度中には結論を得るということにしているところであります。
 今後とも、IT化社会の進展に対応して、より一層情報通信技術の活用を図りながら業務効率化に努めてまいりたい、そういう方向で指導していきたいというふうに考えております。
大畠委員 大まかな話はわかりましたが、私がもしもこのところの合理化を図るとすれば、各都道府県の事務所というのは全部廃止しますね、基本的には。だって、やっていることは何かというと、無事故証明書、運転記録証明書、累積点数証明書、運転免許経歴証明書、こういうことでしょう。ですから、谷垣大臣、こんなのはデータベースに入れておいて、先ほどちょっと話がありましたが、インターネットから申し込めば――ちょうど同じものを持っておりますが、これなんですよ。四ページ目、ちょっと開いていただけますか。
 四ページ目に、無事故証明書、運転記録証明書、累積点数証明書、運転免許経歴証明書、右の方に証明書の見本がありますね。こういうたぐいのことの下の方に、「申込み用紙は、センター事務所のほか、警察署、交番、駐在所などにも備え付けてあります。」というけれども、余り交番にこの申込書をとりに行く人はいないでしょうね。ですから警察署、置いておいていいんですが、インターネットを使えない方はそこでも十分対応できますし、そういう意味では、私は改めて、各市町村にセンター事務所を置くということが本当に必要なのかどうか。やはりここのところは、一番手間がかかっているのは人件費だと思いますよ、これは、ここのセンター。
 だから、やるのであれば、民営化するのであれば、訓練センターとこういう事務関係は切り離しちゃうわけですよ。だって、この名前が自動車安全運転センターというのですからね、これは完全に、名前からすれば。ひたちなか市にあるここのところをまずやったんですね、それに付随的に免許証、事故証明書とかなんかの事務をくっつけたということなんでしょう。ここのところはもう切り離しちゃって、安全運転センターだけにしてさせるべきですね。
 その付随する事務作業というのは切り離して、IT化でもってやるとか、あるいは警察署、それから派出所、交番、そこに申請書を置いておいて、東京だったら東京の一カ所に集中してそこから情報をとったらそこで処理して郵送してやる、それで十分なんじゃないですか。各都道府県に事務所を置く必要性がどこにあるのか、私は理解できないんですが、再度答弁をお願いします。
属政府参考人 現在どの程度の事務量をやっているかということをまず申し上げた方が御理解いただけると思います。
 累積点数の通知業務、年間に百二十三万件やっております。運転経歴証明書の業務、四百六十万件やっております。交通事故の証明業務、四百四万件。また、先ほども申し上げましたけれども、研修業務については年間約六万人をやっているということで、これは非常に膨大な事務量になります。
 といいますのは、年間、非常に数多く起こる交通事故に関連するもの、それに伴ういろいろな業務をやっておるわけですので、これはデータそのものの取り扱いにしても保秘を非常に要しますし、セキュリティーの面からもきちんとやらなきゃいけないということで都道府県に、要員そのものはある程度限定をしておりますけれども、そこを拠点にして、いろいろなデータを管理しながら事務をやっていくという体制はとらざるを得ないというふうに思っております。
 ただ、御指摘のように、できるだけの合理化はやっていく、また、IT化を進めてより効率化を図っていくということが大変重要だということは、認識をしております。
大畠委員 手数料、一通につき六百円、これが交通事故証明書ですね。運転経歴証明書の方は一通につき七百円。これはほかで出してくれませんからね、みんな市民は払いますが。
 果たして、こんなプリントアウトするのに七百円とか六百円かかるのかということですよ。ここら辺もコスト意識が欠落していますね。百三十万件とか百四十万件、大量に処理できるわけでしょう。民営化したら、民間法人化したらもっと安くなりますよ、これは。多分どこかでむだがあるんですよ。
 だから、それでやっていけるような仕組みにしちゃうからそういうことなので、私はそこら辺が、民間企業が今どんな状況にあるのかというのは、それは属交通局長は御存じないかもしらぬけれども、実に厳しい中でやっているんですよ、実に厳しい中で。
 だから、そういう意味では、まだまだ、これからやるという話でありますが、御期待も申し上げたいと思いますが、現状不十分と言わざるを得ないと感ずるところであります。
 それから、最後の質問になってしまいますが、職員の雇用問題ですね。民間法人化することによって、職員の身分あるいは雇用条件というのはどういうふうになるのか。これも不安がっている方がおられると思うんですね、当然。そこで働いている方がいる、そしてまた生活をされているわけですから、この職員の身分や雇用条件というのはどうなるのかということをお伺いしたいと思いますし、もう一つ、今回の民間法人化によりどのような改革が行われるのかを問うわけですが、予算面ではどういう状況に変わるのかということをあわせてお伺いしたいと思います。
谷垣国務大臣 まず、職員の雇用ですが、今回の民間法人化というのは、センターに対する政府の関与を最小限とするということが主たる内容でありますので、センターの職員との関係では、役職員の給与それから退職手当の支給基準に関する国家公安委員会の承認制が廃止されるわけですが、センターの民間法人化がセンターの職員の身分関係に直接影響を与えるものではない仕組みになっているわけであります。
 民間法人化後のセンターについては、自主性、自立性の向上を生かして、より機動的、効率的な業務運営を行ってもらわなければならないわけですけれども、職員の雇用条件の面に配慮しながら、国家公安委員会としても適切な指導監督を行っていきたい、こう思っております。
 それから、予算面については、かねてから、いろいろまだ効率化が足らないという先ほどの御指摘でしたが、役員給与や退職金の削減とか施設管理の合理化に努めておりまして、できるだけ経費の縮減や合理化を行わなきゃいかぬということですが、平成十五年度予算額について見ますと、政府出資返還金とか、あるいは、安全運転中央研修所における第二宿泊棟建設などをやっておりますので、施設整備ですね、そういう民間法人化に伴う特殊要因による増額分を除きますと、十四年度予算額と比較して圧縮がなされております。
 今後とも、特殊法人等整理合理化計画で示されましたさらなる効率化という方針を踏まえて、経営の効率化が図られるようにセンターを指導していかなきゃならぬ、こう思っております。
大畠委員 今質問させていただきましたが、現状は不十分であると言わざるを得ません。しかし、谷垣大臣の将来のリーダーシップを、それは期待したいと思うんですね。
 先ほど、いろいろな証明書関係について云々という話をしましたが、これは地域の警察のサービス業務の中に本当は組み込めるはずなんですね。したがって、安全運転センター、あそこは非常にいい機能を持っていますから、あそこは大事に、より充実した形にしていただきたいと思うのでありますが、いずれにしても、改革、内容については不十分と言わざるを得ませんが、今言いましたように、谷垣大臣がいろいろと一つのビジョンを展開されました。そういうことで、ぜひ、そういう形で、今後については期待を申し上げたいと思います。
 以上、質問を終わります。ありがとうございました。
佐々木委員長 以上で大畠章宏君の質疑は終了いたしました。
 次に、西村眞悟君。
西村委員 今の質問が、最後には大臣のリーダーシップに期待して終わっておりますので、私自身は、一方的な意見の表明を、大臣の中に残ることを期待して、冒頭始めます。これは質問ではありません。
 今の我が国の政治の救いがたい無能さをあらわしているのは、今の時間のこの国会の状況です。第一委員室では個人情報保護法をやっている。したがって、私もこの質問時間を短縮して向こうに行くわけですが、質問する気にもなれない。
 なぜなら、国家が個人情報を保護する、そして向こうはセクション同士やっておるんですから、官僚さんはいい起案をしておるわけでしょう。しかし、国家の持つ情報を、個人情報を含めてすべてこっそり盗まれたらどうなるんですか。何のこともない、向こうでやっていることは全く無意味じゃないですか。
 国家が持つ個人情報を保護する法律ばかりやっていて、国家の情報を保護する法律がないわけですから、国家の情報がすっこり盗まれていて、気がついたら、日本国のコントロールのもとではなくて、日本国から情報を盗んだ某国のコントロールのもとに我が国民の情報がすべて集められているという事態を生じさせてはならないというのが政治の判断で、したがって、本日、今の時間のこの委員会は、国家機密保護法を審査しなければならない。これが政治というものの判断ですわ。
 官僚の判断に乗せられて、セクションを分けてこっちでやっていて、これは、自動車安全センター法案をやっているとは、余りのこの次元の隔絶さ、政治の無能さ、大臣のリーダーシップのなさ、驚くべきことですな。(発言する者あり)待て待て。ぶつぶつ言うな。意見の表明なんだから。質問と違うんだから。
 というわけで、それを表明して、短時間でこの質問を終わります。
 今、心に残られましたか。よろしくお願いいたします。
 国家の機密を保護することが、個人の機密を保護することなんです。国家をしっかりさせることが、北朝鮮に拉致された日本人の被害を防ぐことだったんです。人権だ、自由だ、表現の自由だ、これを声高に主張する人に限って国家をおろそかにした。したがって、自由、人権を声高に主張する人に限って、北朝鮮に拉致された日本人の救出に全く無関心であった。
 今、国家を大切にしなければ個人の情報も盗まれると言うたのは、国家を大切にしなければ個人の人権も無視される北朝鮮拉致問題に対比して私は今の問題意識を申し上げている。どうか国家公安委員長の心の中に、このみずからの重大な使命とともに、今私が具体的な北朝鮮の拉致の問題から意見を申し上げたこのことをとめておいていただき、国家国民のために仕事をしていただきたい。
 質問に移りますが、この安全センターは昭和五十年に設立されまして、交通事故者のピークは昭和四十五年に一万六千七百名を超えたわけですね。五十年にこのセンターが設立され、死亡者の数は減少を始めたわけでありますが、昭和の終わりからつい最近までぐらいは一万人台を一貫してキープしておった。平成八年から減少に転じ、昨年は、ピーク時つまり昭和四十五年の一万六千七百名台の半数以下、八千名台になってきたということでございます。
 これは事務方にお聞きした方が正確にお答えされると思いますが、最近このように死者の数が一万人台の高原状態から減ってきた、この要因についてはどのように分析されておりますか。
    〔委員長退席、中沢委員長代理着席〕
属政府参考人 交通事故死者数の減少につきましては、何といいましても、関係機関、団体を初め国民各界各層が長年一生懸命取り組んできたその成果だろうというふうに思います。
 その中で、主たる要因ということでちょっと申し上げますと、一つはシートベルト着用率、これが非常に向上してきたということ、交通安全施設や道路の改善、そういった面の道路交通環境がよくなってきているということ、また、車両構造面からの安全性も大分向上してきた、救急医療体制の整備等もある、また、特に官民一体となった交通安全活動あるいは交通安全教育、そういったものが行われてきた、そういった総合的な取り組みの成果であろうというふうに思います。
 特に、平成十四年につきましては、昨年の六月以降死者数が大幅に減少しております。これは、飲酒運転等の悪質、危険運転者対策を柱の一つとする改正道路交通法等の効果も非常に大きかったというふうに認識をしております。
西村委員 さて、今審議している自動車安全運転センターの行っている業務、今のこの交通事故死者の減少を初めとする交通事故防止の観点でどのように役立っているのかということについて、概略を御説明ください。
属政府参考人 自動車安全運転センターは、中央研修所における安全運転研修業務とか、累積点数通知業務、運転経歴証明書の発行業務等を行っておりますけれども、安全運転研修業務につきましては、警察、消防等の緊急自動車の運転者に対する研修、あるいは自動車教習所の教習指導員に対する高度の研修を実施して交通安全に寄与しているといった状況です。
 また、累積点数通知業務というのをやっておりますけれども、これは、運転免許の停止直前、停止処分の直前の点数になっている人に、あなた、もう一回やったらもうだめですよ、停止になりますよ、そういったことを通知して、交通違反の再発防止等に寄与しているといったものであります。
 また、運転経歴証明業務というものがありますけれども、これは、無事故・無違反証明などの運転経歴証明書を交付して、できるだけ長い間無事故無違反であったことで、また就職するときとかいろいろな面でうまくいく、そういう成果があるということで、これも安全運転の促進に大きく寄与しているというふうに思っております。
西村委員 そういう業務をし、そういう役割をしている安全センターを民営化、民間法人化するというのが今回の改正なんですが、経営状態は現在どうなっておるのかということについて、概略ちょっと御説明ください。
属政府参考人 平成十三事業年度決算で申し上げますと、経常収益は約七十五億二千六百万円になっております。経常費用は約七十二億七千八百万円であります。当期の利益金は約二億四千八百万円となっているところであります。
 センターの総収入のうち約九五%は、これは六十九億三千百万円に当たりますけれども、これは各種証明書の手数料、研修料金等のいわゆる自己収入となっております。補助金も若干いただいておりますけれども、補助金につきましては、国及び都道府県から合わせて約三億九千二百万円、総収入に占める割合は約五%となっているところであります。
西村委員 今そこのセンターの収入源は何なんですかということと、その収入源の料金は何で決まっているのか、それぞれ算定方法はどうなっているのかについて御説明ください。
属政府参考人 センターの収入源で申し上げますと、先ほど申し上げました累積点数の通知業務、これはセンターでいわゆるサービス業務としてやっておりまして、これは一切料金を取っておりません。
 運転経歴証明書の発行については一件当たり七百円、交通事故証明書については一件当たり六百円、あと研修業務がありますけれども、これはいろいろな期間、長いのも短いのもありまして、これはそれぞれその研修の課程に応じて定めているところであります。
 それにつきましては、センターが業務方法書というのを定めるわけですけれども、それは、国家公安委員会の承認を受けて、業務方法書に基づいて、先ほど申し上げました経歴証明書、事故証明書、安全運転研修の研修料金については金額を定めるということになっておりまして、その中身については、それぞれの業務に係る人件費がどの程度かかるか、また、物件費、事務所の経費とか光熱費とかいろいろありますけれども、そういったものを勘案して金額が決められているといったところであります。
西村委員 さて、これは民間法人化するという中で、今手数料、研修料等のことを説明されましたけれども、これは引き下げられるんですか。それとも、民間法人化ですから、勝手に主な収入源の料金をアップして利益を図る、これは経営者なら当然それが可能ならやるわけですが、そういうふうな研修料、手数料に変化は、民間法人化後は民間法人が勝手にできるということですか。
属政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、証明書業務あるいは研修料金につきましては、国家公安委員会の承認を受けて現在センターが定めているわけであります。その仕組みそのものについては、民営化以降も同じであります。
 したがいまして、現在もこうした料金につきましては、それぞれの業務に係る人件費及び物件費を勘案して算定をしております。これは、長い年月値上げもしておりませんで、センターがいろいろな努力をしながら、値上げをしないような形で非常に長い年月同じ料金を維持しているといった状況でございます。法人化後の手数料等につきましても、センターにおいて、業務の実態、将来における証明業務のあり方等を踏まえ、国家公安委員会の監督のもと、適宜適切な見直しを行っていくことになると考えております。
 変な、ただもうけるために値上げをするといったようなことはとても認められるわけもありませんし、センターもそういうことは一切考えていないというふうに思っております。
西村委員 しかし、民営化後は、国家公安委員会による資金計画の認可制、財務諸表の承認制を廃止して、センターの自主性に任せるということになるようですから、それではサービスの質が安かろう悪かろうということで低下していく、これについてはどういうふうに防止ができるんですか、民営化後は。
    〔中沢委員長代理退席、委員長着席〕
属政府参考人 今回の民間法人化は、センターに対する政府の関与を最小限にしてセンターの自主性、自立性を向上させて、それによってセンターが国民のニーズや道路交通情勢の変化を積極的に把握して、研修業務の内容の充実など、国民の期待により一層こたえることができるようにしようという趣旨で民間法人化をしようというものでございます。警察庁としても、センターがこうした民間法人化の趣旨を踏まえて、交通事故防止にさらに資する業務運営を行っていくように適切に指導監督してまいりたいと思います。
 また、料金等の関係につきましても、先ほども申し上げましたけれども、国家公安委員会が承認をするという形は存続いたしますので、それによって妥当な額が決められることになるだろうというふうに思います。
西村委員 このセンターの冒頭の交通安全に係る業務の位置づけから見て、このセンターが経営が左前になったからやめますというわけにはいかないと思うんですね。しかしながら、民営化というのは、役人が無能で、また経済情勢の荒波の中で、経営が左前になることがある。したがって、民間であれば当然廃業だ、しかし、交通安全という国家的見地、国民の命という見地からはこの業務を廃止するわけにはいかない。
 この業務を継続するためにこのセンターが左前になっても大丈夫だというふうな担保はあるんでしょうか、ないんでしょうか。この点はどのように考えておられるのか。
属政府参考人 センターは、現在でもそれほど経営状況は、利益が非常に出ている、そういうような状況ではございません。経営そのものは非常に厳しいものがございます。
 今回の民間法人化に当たりましても、センターがきちんと経営ができるようにする、そういった配慮がやはり必要だろうということで、さらなる業務効率化の取り組みを進めるとともに、業務を適正かつ確実に実施していくための経営基盤の確立等に必要な条件を満たした上で民間法人化しようということになりました。
 それによって、政府の出資は廃止はいたしますけれども、中央研修所の、現在政府が出資をしている土地がございますけれども、これにつきましては民間法人化に当たってどうするかということがいろいろ議論になりましたが、その土地については、政府から拠出をするという形で経営基盤の確立を図るという方策が講じられたところであります。
 そういうこともありまして、センターについては、経営基盤の確立等に必要な条件を整備することにより事業を効率的に継続実施できると判断して、政府の関与を最小限にした民間法人に今回改組しようというものでございます。民間法人化後は、センターは、自主的、自立的な判断のもと、企業的経営に努め、業務の一層の効率化、合理化を図ることが期待されております。
 警察庁といたしましても、センターが適正かつ確実に業務を継続していくことができるように、途中でだめになるようなことがないように、適切な指導監督を行ってまいりたいというふうに思います。
西村委員 大臣のお立場から伺いたいんですが、民営化というのは、経営のやり方、運営のやり方を民間でやるということなんでしょうけれども、業務に注目をすれば、このセンターの業務の重要性から、経営の巧拙、景気の浮沈から直接影響がある形で、ある年度は業務が充実した、ある年度は左前になったからどうもできない、手薄だ、手数料をめちゃくちゃ上げざるを得ないとか、こういう浮沈があればだめなんですね。
 民営化の中で避けられないこのようないわゆる運営の条件から業務の継続性をいかに守るのか、監督する立場から大臣のお考え、決意をお聞かせいただけますか。
谷垣国務大臣 今委員が指摘されましたように、確かに民営化、民間法人化ということによって、効率性を今以上に追求してもらおうという一面があるわけですけれども、業務に公益性があるということは、もう御指摘のとおりであります。
 これを、今までの体制から民間法人化するということは、やはり大きな、こういうある程度公益的な役割を担っている、行政的な役割を担ってきた特殊法人、そういったものを民営化することによって、全体として見れば、少し効率化という観点が必要ではないかということからきているのだろうと思います。
 しかし、効率一辺倒を追えば公益を追求できないということも、これは極端に効率を追えばそういうこともあり得るかと思いますので、これを見ていく視点というのも実はなかなか簡単ではないんだろうという気持ちを、私は正直言って持っております。
 ただ、毎年毎年の財務内容などはきちっと公開してもらわなければなりませんし、そういうものを私どもが適切に見ていくという必要はあろうかと思います。やはり、透明性というものを通じて私どもが流れを把握して、長期的に公益的な役割を担えるように、きちっとフォローしていくということが大切ではないかな、こう思っております。
西村委員 冒頭、意見の表明で始まりましたが、この質問も意見の表明で終わります。
 やはり、ここでは国家機密保護法を今やるべきなんですね、向こうでは個人情報保護法をやっていますから。向こうの個人情報保護法というものの、いわゆるそれを漏らした者の法定刑は、二年以下の懲役なんですね。それを今放置しておれば、国家機密を漏らした者は一年以下の懲役で、個人情報を漏らした者は二年以下の懲役で、法定刑の上で、法治国家として見逃すことができないアンバランスを来しておるということですね。
 例えば、あすの公定歩合が何%上がるんだということを漏らして国家財政に決定的な損害を与えた者が一年以下の懲役、だれだれさんが結婚歴が三回あるということを漏らした人が二年以下の懲役。これは、法定刑を生み出す法の体系に、こっちが、国家機密が欠落し、個人情報だけがあるという、国家のいわゆる欠陥を法定刑が如実に示しているということになります。どうかそのこともお心に入れて、国家公安委員長としての役目を果たされませんことをこいねがいまして、質問を終わります。
佐々木委員長 以上で西村眞悟君の質疑は終了いたしました。
 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時三十八分開議
佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 それでは、昨日あらかじめ質問の通告もいたしておりますが、せっかく谷垣大臣に来てもらっていますので、まず、私は、暴力団対策の問題について伺いたいと思うんです。
 実は、中沢委員らと御一緒に、一九九一年に暴対法を衆議院の地方行政委員会で議論をして、我々は、立法府の意思として暴対法を通しました。
 そのときの議論の中で、当時の國松さんですね、あのオウムの被害者になられた國松さんが刑事局長で、私どもの暴力団取り締まりの究極の目的は、暴力団そのものをこの社会に存在を認めない、それを壊滅していくということでございます、こういう答弁でありました。
 まず、政府参考人に最初に伺っておきますが、警察庁の方針、立場は今も変わっていない、当然のことと思いますが、國松答弁を踏まえて、今のお考えを確認しておきたいと思います。
栗本政府参考人 まさに暴力団対策そのものにつきましては、警察としては、暴力団は、極めて虞犯性の強い反社会的な存在であります。いわば、ある意味では社会のガンとも言えるだろうと思います。
 いろいろな意味で国民に不安を与えるような存在でありまして、私どもとすれば、その組織として存在していること自体が不安を与えるものでございますから、暴力団対策の基本といいますものは、暴力団を解散また壊滅に追い込むために、あらゆる法令を駆使して取り締まりに当たるとともに、国民とともに暴力団を排除する社会的な機運をより盛り上げる、こういうものによって、究極的には、ただいま先生がおっしゃったように、暴力団の壊滅に向けてやるものだと認識しております。
吉井委員 それで、そのとき吹田大臣、吹田さんも、「ただいま長官から答弁がありましたとおりでありまして、あくまでもこの法律は」、つまり暴対法ですね、これは「裏表なしに、もう全く暴力団の壊滅ということに向けてあるわけであります。」と、これは立法時の政府答弁であります。
 当然、今も谷垣大臣として、小泉内閣としても暴力団の壊滅、これが政府の立場なんだというふうに、吹田答弁と変わってないと思いますが、確認をしておきたいと思います。
谷垣国務大臣 暴力団に対する姿勢、それから暴対法を運用していく上での目的、今おっしゃったとおりで、全く変わっておりません。
吉井委員 当時、政府答弁もあり、立法府の意思としては暴力団の存在を認めない、暴力団を壊滅させるんだ。これが暴対法をつくったときの政府の方の答弁でもあれば、国会の方の意思でもありました。
 そうすると、これは、立法府に身を置く者が壊滅すべき暴力団と関与をしてはならないのは当然なわけですね。まして、暴力団からみかじめ料なりシノギなり、どういう表現で呼ばれることになるか知りませんが、政治家としては、もともと反社会的というのは、暴力団が一般市民からみかじめ料を取ったりしてやっているわけですから、その上前をはねるようなことになっては当然いけないわけで、政治家としては、暴力団から金をもらうとか、あるいは指名手配などの警察情報を入手しようとしたり、言ってみれば暴力団に便宜を図るなどということは、これは立法府に身を置く者としては両立しない、あってはならないというのが、これは当たり前の話だと思うのですが、暴力団壊滅を目指して取り組んでおられる大臣としてのお考えを伺っておきたいと思います。
谷垣国務大臣 これはおっしゃるとおりでございまして、暴力団と対峙するというのは、直接私ども警察あるいは国家公安委員会の責務でございますが、最低限言えることは、思いを共通にしていただいてきちっと一線を画していただく、当然のことだろうと思います。
吉井委員 そこで、先日、福田官房長官は二十二日の会見で、また後に変わっていますが、国会議員が暴力団とかかわりを持つ是非についての質問に、暴力団であろうと有権者という意味では日本国民の一人で、事情や関係の厚みを勘案して考えるべきだなどというふうに述べられました。これは、わざわざ暴力団も有権者だ、国民だと。確かに国民であることは、日本の暴力団なら間違いないわけですが、それで事実上、松浪議員の行動をかばう発言と言わざるを得ない発言として、これは報道もされました。
 さすがに翌日二十三日の会見では、暴力団を容認した発言ではないと釈明をされた上で、暴力団とわかった上でさらにつき合いが続いていれば見識を問われる場合もあるという考えも示したというふうに報道もされております。
 ただ、私はこれは見識という世界なのかなと。つまり、立法府に身を置く者としては、これは暴力団とそもそもかかわりを持ってはだめなわけですよね、立法府は暴力団対策法をつくって、壊滅だという政府方針を受けとめて法律までつくったわけですから。ですから、これは見識というふうな程度の問題なのかと。
 これは私は谷垣さんに伺っておきたいのですが、暴力団とのかかわりというのは、それをどう持つかは見識レベルの話じゃなしに、小泉内閣としては、やはり立法府に身を置く者は、暴力団とわかったらかかわりを持たない、それは当然のことだという立場で臨むということでいかれると思うのですが、ちょっと確認しておきたいと思います。
谷垣国務大臣 吉井委員がお触れになりましたように、暴力団も確かに、暴力団の構成メンバーは、日本国籍を持っている場合もあるし、ない場合もあるかもしれませんが、当然国民としての有権者であり、いかに暴力団がこれを壊滅すべき対象だからといって、やはりそれは手続も必要だし、暴力団の構成員であるといっても基本的人権の保護を受ける局面があることは、これは言うまでもございません。そういうことを前提といたしましても、立法府にいる人間がきちっとけじめをつけるということは、私は基本的に大事なことだろうと思います。
 ただ、委員の御質問の御趣旨とやや離れるかもしれませんが、午前中も大畠委員とこの問題で議論をさせていただきましたが、非常に難しいのは、かつてのようにいかにも暴力団、だれが見ても暴力団というような行動様式をとって行動している場合には、対処は比較的簡単でございます。最近は、しかし、いかにも暴力団というか、いわば表社会の活動のようなことを、偽装すると言ってはいけないかもしれませんが、そういう形で行動する暴力団が非常に多いことは事実でございますので、それだけにまた対処の仕方も、弱みを見せるとつけ込まれるというようなことがございまして、対処の仕方も難しくなっている面があるように思います。
 そういうことも含めて、やはり身を正していくというのは、政治家として基本的に求められるということだろうと思います。
吉井委員 実は、この法律ができた後、何度も暴対法に基づく小委員会もつくりまして、ずっと議論をしてきたわけですが、当時、廣瀬さんの答弁を見ていますと、私思い出したのですが、会社をつくれということで臨んでいると。「例えば山口組の例でございますが、ファクス手配によりましてそれぞれ傘下組織に対しまして会社をつくれという示達を出しました。」ということで、今おっしゃったように、さまざまなやり方で資金源の拡大とか資金の調達ということでやっているわけですね。
 そうすると、確かにおっしゃるように、なかなか、それを判断するといいますか、暴力団対策法でいきますと、きちっと指定するわけですけれどもね。しかし、それが指定したものの構成員かどうかとか、きちっきちっと見きわめるというのは、それは確かにいろいろな、今おっしゃった人権上その他の配慮もしながらやっていかなきゃいけない、私はそれはわかった上でお聞きしているのですが、しかし、暴力団とわかったら、それはもうかかわりを持ってはいけない。地域でもかなり有名なのにおつき合いをするということになると、これはとんでもない話だというふうに思うわけであります。
 それで、念のために政府参考人に伺っておきますと、この松浪氏の大阪府警の捜査状況の照会事件に関連して、発端となった談合事件はどんな事件か。秘書給与を肩がわりしていた暴力団組員で談合を取り仕切った中心人物や、貝塚市の建設会社カンサイの実質経営者、山口富士男という人物を中心に、事件の概要ですね。私、ちょっと特別委員会に出ておりましたから、余り重複が多過ぎては他の委員の方に申しわけないと思いますので、簡潔にそこをお聞かせいただきたいと思います。
栗本政府参考人 大阪府警におきまして平成十年の三月に検挙いたしました談合事件につきましては、これは大阪府発注の府営住宅解体工事の指名入札に関しまして、入札参加業者がいわゆる不正談合を行ったという容疑で、刑法に基づいて関係被疑者五名を逮捕した事案でございます。
吉井委員 このカンサイの会長の山口富士男という人物は、元酒梅組系の組員とかそういうことがマスコミ等で伝えられておりますが、松浪議員は九七年末にこの人物が暴力団関係者だったことを初めて知ったということで、この人物は、報道されているように、大阪府警によると、この会長は一九九八年七月まで暴力団酒梅組の組員であったということが伝えられておりますし、松浪議員は、その九八年の、暴力団員と知ってから三月八日まで、会長からお金をもらっていただけじゃなくて、九八年三月八日に会長から連絡を受けて、東京の喫茶店で面談、その場で頼まれて府警に電話し、事件について質問したということなど伝えられておりますが、これは実際には、暴力団員であったのかどうか、いつまで暴力団員であったのか、そういう問い合わせ等のことが、照会等があったのか、ここのところを伺いたいと思います。
栗本政府参考人 ただいま先生お尋ねの、特定の人物がいわゆる暴力団員であるのか、またはあったのか等につきましては、それを一般的に述べますことは、大変私ども、個人の名誉やまたプライバシー、あるいは状況によっては捜査上の秘密にもかかわる問題でございまして、答弁を差し控えさせていただきたいと存じますし、また、今御質問の中で述べられました各報道についての詳細については、私ども承知していないところでございます。
吉井委員 報道は、東京版、大阪版で若干違いはあっても、読売も朝日も産経も皆同じことを伝えておりましたから、私はマスコミ等で紹介された範囲で、つまり松浪議員が、暴力団員と知っておつき合いをしたのか、全然最後まで知らなかったのかとか、もう既にマスコミ報道の中で、知っていてつき合った時期があることは御本人が認めておられますから、これは改めて聞くまでもないことかもしれませんが、そのことをきちんとやはり確認をしておくためにお伺いをしたものです。
 非常にこれはまさに個人情報にかかわるというお話で答えられないとなれば、それはそれまでなんですが、ここのところについて伺っておきたいと思うんです。
栗本政府参考人 ただいまの、議員の方がその関係の報道、取材においてどのようなお答えを出されたかということについては、私ども全く承知しておりませんし、確認もいたしておりません。
 ただ、警察といたしましては、先ほど申し上げましたように、具体的な特定の人物が暴力団か否かということにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
吉井委員 暴力団の活動については、企業等からの暴力団排除ということで、商法違反事件等で随分取り組んでおられる。また、そのために必要な商法の改正をやったりとか、これは、大企業の総務部長などが暴力団系の総会屋から金を取られる、逆に金をやるといつまでもそういうことが続くということで、立法府としてもその対応をやってきたものでありますし、一方、企業の総務部長なんかで、実際に検挙されて会社解雇となる人も少なからず出ているわけですね。現実にはそういう事件がある。
 また、公共事業にかかわっての暴力団の介入というのは随分あって、公共事業から暴力団排除ということについても取り組んでおられるということは、警察白書その他皆さんのPR誌でも出ているわけですが、企業等からの暴力団排除、公共工事からの暴力団排除についてはどのように取り組んでおられるのか、伺います。
栗本政府参考人 まさに先生御指摘のように、暴力団が、その存在を長らえるために、非常に巧妙な形で資金源活動を求めているところでございまして、そういうような中で、一つには、やはり企業に対する資金源を求めた攻撃を巧妙にやっておりますし、また、時には暴力団自身が実質的に企業などを経営し、それを資金源にしているということもございます。それからまた、各種行政等に働きかける等々によりまして、公共事業に巧みな形で参入し、それを資金源にしているということが現実としてございます。
 私ども、暴力団対策のやはり根幹、よく、人、物、金、こういうものが中心になるわけでございますが、その中でも特に暴力団を壊滅に向けて追い込むためにはその資金源を断つということでございますので、そのような観点から、今御指摘のような企業対策あるいは公共事業からの暴力団排除、こういう面についてこれまでも積極的に取り組んでいるところでございまして、今後とも引き続きさらにその方面の排除活動を強化してまいりたいと考えているところでございます。
吉井委員 本題のセンター法の方の質問に入る前に、私は締めくくり的に、くどいようですけれども、谷垣大臣にもう一度伺っておきたいんですが、大体、かつてプロ野球選手で暴力団と結びつきを持った人はプロ野球界からもう永久追放ですよね。大企業の総務部長その他、暴力団系の総会屋とおつき合いしてという人は、これは検挙もされれば、企業を解雇ですよ、もちろん刑事罰もあるわけですが。
 そういう中で、暴力団対策法なりあるいは商法改正なり、まさに警察庁やあるいは政府の方からの要請で、資金源を断つ、暴力団は壊滅だと皆さんおっしゃるので、国会の方も立法府としての責任を果たしてきた、法律をつくってきた。その立法府に身を置く者が暴力団とかかわりを持つということは、私は暴力団から金をもらったという政治と金の議論じゃないと思うんですね。もちろん、政治と金の世界の話もありますけれども、しかし、より根本的な問題があるんですね。そのことについての、これは、私は、単なる政治と金という話じゃないんだ、まさに暴力団壊滅に向けて担当しておられる大臣としてのお考えというものを改めて伺っておきたいと思うんです。
谷垣国務大臣 もう基本は吉井議員のおっしゃるとおりだろうと思います。
 少なくとも、立法府に身を置く議員が暴力団とタッグマッチを組むような行動があってはならないというのは、もうこれは私が申し上げるまでもないことだろうと思います。
 ただ、私の個人的な経験を申しますと、弁護士になりました最初の仕事は、顧問先の総務部長から呼ばれまして、それは、暴力団とおぼしき人物がゆすりに来ているから追い返してくれというのが私の最初の弁護士としての仕事であったのを思い返します。
 そういう形で、何か仕事をしていく場合に暴力団との接点があるということは、これは弁護士という仕事だったからかもしれませんが、私は、ごく平穏な暮らしをしている方には想像もつかないところで巻き込まれてしまうということがないわけではないと思いますし、また、こんなことを申し上げるのも、誤解を招くようなことを申し上げる必要もないんですが、やはり暴力団であっても、先ほど申し上げましたような人権があるわけでありますから、それを守らなければならない場合も全く論理的には否定できないだろうと思います。
 しかし、何でこの暴力団と対峙しているのかという目的をきちっと考えるならば、一線を画すべきところは一線を画す、これは当然のことでありますし、私、今警察を所管する者としては、そういうことを強く申し上げなければいけないと思っております。
吉井委員 暴力団員で、逮捕され、裁判を受け、刑務所に収監されている人であっても、受刑者の人権を守るとか、人権をそういう立場できちんとやっていくというのは当然のことであって、今まさに法務委員会でも刑務所の問題が大問題にもなっておりますし、刑務所だけじゃありませんが。
 それは当然なんですが、なぜ、政治に身を置く者、立法府に身を置く者が本当にきちっとしなきゃいけないかということについては、実はこれももう十年余り前になりますか、九〇年代に総理大臣を経験された方だったんですが、その方が総会屋と非常に親しくしておられて、あれは愛知県でしたか、どこでしたか。何ですか、自然神社だか天然神社だかというところに、碑文も建てれば、両者仲よくの写真まで神社に祭る、そういう例もありまして、これはただの、暴力団員といえども有権者だからとか、暴力団系の総会屋といえども有権者だからということで、非常に甘い対応がやはりずっと続いているわけですね。
 それでは、立法府としては、政府の方が、暴力団は壊滅だとおっしゃって提案された、せっかく暴力団対策法などをつくっても、肝心のつくった方の立法府の人間が何だかんだと言って、いろいろな形でかかわりを持っておったのでは、これは本当に壊滅ということにはならないわけですよ。それだけに、立法府に身を置く者は、両立しないんだ、相入れない、そこはきっちりやらなきゃいけないということをはっきりさせておかなきゃいけないということで申し上げているわけです。
 そういう点では、与党の大臣、与党の方の問題はやはりきちっと、それは、大臣という職にあってでも、まさにその問題を担当しておられるんですからね。大臣の職になかったとしても同僚議員に対して物を言うのは当然なんですが、私の身は暴力団を壊滅させる大臣なんです、その大臣がかかわりを持つなんというようなことは許せないんだということを、やはりはっきり言うべきだ。それが貫かれないで、あいまいなままでは、こういう問題は繰り返すことになってしまうということを申し上げて、法案の方に移りたいと思います。
 法案では、特殊法人等整理合理化計画実施の一環として、認可法人自動車安全運転センターを民間法人化するというのがこの法案ですが、この民間法人化によって法人業務が利用者との関係で何か変わることがあるのかということを、政府参考人の方に最初に伺っておきます。
属政府参考人 民間法人化でありますけれども、国の関与をできるだけなくしていくということが基本であります。
 例えば、センターの理事長それから監事等について、現在は任命制になっておりますけれども、これについては、任命制を廃止いたしまして、認可制にするということで、センターみずからが自分たちで自立した経営ができるようにするというのが基本であります。
 そうすることによりまして、センターの方は、現在もいろいろな交通安全にかかわりの深い仕事をやっておりますけれども、国民のニーズをよくとらえて、道路交通情勢の変化に機敏に対応したいろいろな業務ができるようにしよう、それによって国民のためのよりいい仕事ができるようにしていこう、そういう趣旨で民間法人化をしようというものでございます。
吉井委員 何か、より仕事をできるようにしようというお話なんですが、基本は何も変わらないわけでしょう。それで、この民間法人化というのは、特別の法律に基づく法人で、法律上、数を限定するものということで始まっているわけですが、つまり、これまでの証明発行業務をセンターが独占して行っていく、このことはそのとおりだろうと思うんですが、この点はどうなんですか。
属政府参考人 交通事故証明業務とかあるいは経歴証明業務とか、そういうものも現在やっておりますけれども、警察が保有する個人情報を取り扱うということで、これについては、既に現在やっておりますセンターが引き続きやるということでやっていきたいというふうに考えております。
吉井委員 ですから、これまでどおり証明発行業務をセンターが独占して行うという点では、別に変わるわけじゃない。自動車安全運転センターの主要業務となりますと、運転免許、経歴証明、交通事故証明の発行などがあり、それによる手数料収入を上げてやっていくんでしょうが、この手数料収入というのはそれぞれ幾らですか。
属政府参考人 交通事故証明書につきましては、一件当たり六百円であります。経歴証明書については、一件当たり七百円ということでやっております。
 トータルの収入でありますけれども、証明書の関係では大体五十六億四千万円、それから、研修をやっておりますので、研修関係の収入で十一億八千万円といったようなことで収入は得ております。
吉井委員 それで、センターの〇一年度当期利益、約二億四千八百万円を計上しておられるわけですが、民間法人化に伴って、監督機関の国家公安委員会の会計処理権限が縮小されるというふうに思うんですね。法人には裁量権が広く認められるようになっていくと思うんです。
 例えば、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表、それから資金計画、資金の借り入れ、役員、職員の支給基準などは、国家公安委員会の承認や認可が廃止されるということになっていくというふうに思うんですが、当期利益の積立金義務も廃止され、これらは情報公開法の適用からも除外をされるということになっていくんじゃないかと思うんですが、この点はどうですか。
属政府参考人 今お話がありましたように、国家公安委員会による資金計画、これは現在認可制でありますけれども、これについては廃止になります。それから、財務諸表の承認制についても、これは廃止いたしまして、そのかわり提出はしていただくということでございます。
 しかし、予算それから事業計画については現在も認可制をとっておりますけれども、これについては引き続き維持をするということで、全般的に、必要なものについては、このセンターについては、公共性の高い仕事をやっておりますので、必要な指導監督はできるような仕組みにはなっております。
 情報公開の関係でありますけれども、これにつきましては、現在は法律上の情報公開の対象に一応なっておるわけでありますけれども、今度こういう形で民間法人化になりますと、法律上の対象からは外れてまいります。しかしながら、こういった法人一般については、指導監督基準がありまして、できるだけ可能な範囲での情報公開をするということになっておりまして、現在もいろいろな形でやっておるものについては、可能な範囲で、また引き続きやっていくようになるだろうというふうに思います。
吉井委員 特殊法人は、もともといろいろな問題がこれまでから議論され、天下り問題その他もあったんですが、これは法律上の対象から外れる、要するに情報公開から外れるということで、ますますよくわからなくなるということが、問題として、今お聞きしていてわかりました。
 警察庁や県警に事故や運転経歴を照会できる権限、証明発行業務というのは、現在のまま独占できることになるというふうに思うんですが、そうすると、引き続き大きな収入が保障される、利益は法人の独自裁量で処分ができる、そして、要するに中身は情報非公開で、情報公開の外でよくわからなくなってくる。こういうふうになると、国家公安委員会の関与が薄くなることによってセンター独自の財政自立化、効率化という話になってきますと、懸念されるのは、証明発行業務の手数料の引き上げとか、こういう問題が出てくるのではないかと。
 この手数料引き上げの圧力というのは、たしか、一応国家公安委員会の承認事項ということではあると思うんですが、これまで以上に手数料引き上げの圧力がかかってくるのではないか、そういう方向へ向かうんじゃないかというふうに思うんですが、そうはならないという保証はありますか。
属政府参考人 現在の交通事故証明書あるいは経歴証明書の手数料については、昭和六十年の初めに定められた手数料、それぞれ、経歴証明については一件当たり七百円、事故証明については一件当たり六百円、それを長年、物価は相当高くはなってきておるわけですけれども、いろいろな努力をすることによって、現在まで一回も上げないでその後やってきておるといった状況でございます。
 今度、民間法人化になったら簡単に上げて金もうけをするんじゃないかという御指摘でありますけれども、決してそんなことはございません。これは、今でもぎりぎりの経営状況の中でいろいろ努力をしながら国民のために一生懸命交通安全に資する活動をしているわけでありまして、そういうセンターの業務については、今もセンターの業務方法書に基づいて、センターが国家公安委員会の承認を受けてその金額を定めるという仕組みになっておりまして、この仕組みについては、民営化になっても同じように維持をされることになっております。
吉井委員 維持されることになっているとおっしゃるんですが、これは手数料引き上げを食いとめる保証はないということで、利用者の負担増大というおそれが強くなる懸念は消えないということを申し上げておいて、天下り問題について聞きたいと思うんです。
 自動車安全運転センター法人への天下りが今あるわけですが、法人役員、管理職その他一般職員それぞれに占める警察からの再就職者とその比率は、今どういうふうになっていますか。
属政府参考人 センターの平成十五年度の職員定員を申し上げますと、四百八十一名であります。そのうち、都道府県警察を退職してセンターに採用された者は百九十五名、約四一%というふうになっております。また、役員について、現在は六名ですけれども、六名ともに国家公務員を退職した者であります。
吉井委員 この天下りの実態は、他の法人と比べてみても、天下り官僚が占める比率が非常に多いのが特徴だというふうに思います。
 そもそも、自動車安全運転センター法人の設立の動機が、警察の天下りの受け皿機関となるというのが設立目的としてあったのではありませんか。
属政府参考人 センターの設立目的というのは、これは当然のことながら、そういう天下り云々ということでは一切ございませんで、交通の安全のために資するようないろいろな活動をしてもらおうということでできたものでございます。
吉井委員 実は、発足時の法案審議の中で、当時の福田一国家公安委員長は、警察官僚からの天下り先機関がないという話を聞いて、それで福田さんは、「警察には一つもございませんという話を聞くと、むげにどうも、これまた類似のものを二つも三つもつくるということになればあれだけれども、一つくらいはひとつという、この一つくらいはというのには弱いのですね、」と。「まあお願いする以上は何か理屈をつけなければいけませんからね、やはり」「政府委員が答弁したように言うておるわけです」と。
 これは一九七五年ですから、随分前の話になりますが、七五年三月十九日の衆議院交通安全特別委員会で、センター発足の本音を当時の国家公安委員長が率直に語っておられるんですが、こういう答弁があったことは、今度提案されたときに、過去の記録を繰ってみられて御存じのことと思いますが、念のために伺っておきます。
属政府参考人 そういうような話を、何らかの形で答弁があったというような話は聞いたことがありますけれども、実際にどういう、具体的な中身がどうかというのは、私は承知をしておりませんでした。
吉井委員 これは民間法人化したとき、特別の法律に基づく法人であり、いわゆる民営化と違って人事院の天下り規制の対象とはならないと思うんですが、この点はどうですか。
属政府参考人 人事院のそういう監督のもとの対象にはなりませんけれども、一般のこういった認可法人等に係る指導監督基準というのがございますので、そういう基準に基づいた指導は当然のことながら受けることになります。
吉井委員 現状も天下りが多い、それで人事院の天下り規制の対象とはならない。ですから、従来どおり、天下り自由という世界なんですね。
 センターが生まれたときから天下り受け皿機関であるという議論が、当時の福田一国家公安委員長の国会でのやりとりの中でも出てきているわけですが、その天下り受け皿機関で、現状もそのとおり、民間法人になっても結局規制なしというのが実態じゃないかと思うんです。そして、民間法人化によって財政の自立化、効率化などということが強まってくると、証明発行手数料の引き上げの懸念、これもまた依然として残ってくるということがあります。
 そこで、谷垣大臣に伺っておきたいんですが、今これだけ天下り問題が出ているときに、やはりこの天下り問題について、天下りの官僚が占める比率が異常に多いとか、やはりこういう国民的に見て、そもそも天下り問題、非常にみんな厳しく見ているんですよ。そのときに、天下りの規制の対象にもならない、そういうふうなあり方でいいのかというそもそも論というものがあると思うんですが、これは国の行政機関全体についてとなれば、ほかの大臣、担当大臣に聞かなければいけませんから、この分野についての天下り問題について、大臣としてはどのように考えておられるか、これを伺っておきたいと思います。
谷垣国務大臣 そもそも論という切り口で今おっしゃったわけですけれども、そもそも論ということで言えば、今度こういう法律をつくりますことは、やはり政府の関与を減らすことによって自主性というか、自由度を高めて、より効率的な運営をしてもらうことを期待しているわけですね。
 吉井先生は、そうなると天下りも自主性、自由度が高まるじゃないかという視点だろうと思いますが、ひとつ私としては、かつての大先輩の国会での御発言、先ほど読まれまして、それを受けて先生は天下り受け皿機関だというような表現をなさいましたけれども……(吉井委員「いや、私じゃない。福田さんが言ったんだ」と呼ぶ)いやいや、福田先輩が言われたのか先生が言われたのか、私どもとしては、そういう表現はやはりこの際払拭をしなきゃいかぬだろうと思います。
 それで、ただ、もう一つやはり考えなければならないことは、国家公務員も、退職した後、現職にいた間の経験とか蓄積というのをどう生かしていくかという視点も、私は全く無視していいというふうには思わないんです。
 そこで、具体的にはどうなるかということになりますと、確かに現在は、先ほど交通局長が答弁しましたように、役員六名全員が国家公務員のOBということでございますし、職員の中にも、国家公務員の出身者、あるいは地方公務員もあるかもしれませんが、パーセンテージがかなり多いということであります。今までは、役員に関しましては国家公安委員会が任命をするという仕組みでございましたけれども、今後は、センターが自主的に自分のところの業務に適切な人を選任して、そしてそれを国家公安委員会が認可するという、より自由度の高い形になりまして、まずセンターにおいて、自分のところの業務の目的をよく考えて、適切な人材を選んでもらうことが大事だろうと思います。
 それで、私どもとしては、やはり天下りの中で確かにこれは問題だなというような事例を、過去いろいろな議論がございまして、そう思う面もございますので、そこはしっかり見ていかなきゃならない。先ほど交通局長も御答弁申し上げましたけれども、昨年、特別の法律により設立される民間法人の運営に関する指導監督基準というのをつくったわけで、閣議決定をしておりますので、それにきちっとのっとった指導監督をしていく必要がある、こう思っております。
吉井委員 これは老後の問題、人生設計にかかわることで、定年制をどう延ばすかとか、実際短くなっている方が多いんですが、それから、老後の最初のところで、やめてからの就職機会をどう拡充するか、拡大するか、これはまさに国民の雇用の問題とかかわって政治が考えていかなきゃいけないことですが、自由度を高めることが天下り天国になったり手数料引き上げの自由になってはいけないということ、これだけ申し上げておきたいと思います。
 最後に、私、これは反対しますので、簡潔に理由だけ言っておきます。
 これは、国家公安委員会の関与や規制は弱まるものの、民間法人化によって、その運営に財政の自立化、効率化などが強まり、手数料引き上げのおそれが強くなることについて、私たちは反対します。この業務は、業務が持つ公共性、業務執行の効率性、個人情報の保全、手数料の低廉化などの観点からも、警察が直接行うことが妥当だというふうに考えております。
 第二の理由は、自動車安全運転センターが警察官僚の天下り受け皿機関となっているというのが問題です。これはやはり、そもそもセンター発足時の審議でも明らかなように、当時の国家公安委員長が、センター発足の本当の目的が警察官僚の天下りの受け皿機関であることを赤裸々に語っておられるわけですから、民間法人化されても天下りは何ら規制されない、こういうことでは賛成はできない。
 このことも申し上げまして、質問を終わります。
佐々木委員長 以上で吉井英勝君の質疑は終了しました。
 次に、北川れん子君。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。
 本日は、まず初めに、政治家と暴力団、普通の市民社会生活では出会うことが少ないと思うんですよね。報道等を通してはよく聞く名前というか主体者であると思うんですけれども、その交差点に警察という、交通事犯では市民社会生活では出会う人たちとの関係という点から、少しだけお伺いしたいと思うんです。
 警察も、暴力団と言われる方たちの世界も、それから政治家の世界というのも、一般的にはなかなか中が、内部がどうなっているのかわかりにくいということがあろうと思うんですが、今回の松浪議員の件で報道を二、三見ていますと、四月十六日の読売新聞に、ムカエ氏とお読みするんでしょうか、向江氏は、「松浪議員が暴力団との関係を切りたがっていると聞き、知り合いの刑事を紹介したが、その後どうなったかは知らない」というコメントを載せていらっしゃるんですね。
 暴力団との関係を切りたがっている、いわゆる相談事に当たると思うんですけれども、現在、暴力団関係の相談件数というのはどのぐらいの件数になっているのか、そして、この十年間ぐらいではどういう傾向にあるのかを、まず初めにお伺いしたいと思います。
栗本政府参考人 ただいまの御質問は、暴力団に係る警察へのいろいろな相談の件数というお尋ねかと思いますが、実は急な御質問で、資料を手持ちしておりませんので、よろしくお願いします。
北川委員 どうも済みません。きのうですかね、おとといですか、お伺いしたところによると、去年は三万九千六百五十九件で、十年前は三万二千三百一件ということで、一万件ほどふえているということで、増加傾向というふうな形でお伺いしていたんですけれども、この相談事の中に、松浪議員の場合のように、関係を切りたがっているというか、そういう相談事の深刻さなんですけれども、相談の内容とかの分析とか、そういうことはされているんでしょうか。件数だけではなくて、傾向的にどういう暴力団絡みの、市民社会生活での相談の持ち込まれ方の傾向とか分析。
 そして、次にお伺いしておきたいのは、今回、もう定年退職された方から聞き取りをされた結果を警察庁が発表されているというふうに聞いたんですけれども、記録ですね。その相談事に対しての個人の記録を多分文書にして残していらっしゃると思うんですけれども、そういう文書の保存期間とか、そういうものは何かガイドライン的に、どれぐらい保存しているとかあるのでしょうか。そういうところを少しお伺いしたいと思います。
栗本政府参考人 まず、警察署等に対して、執務時間中にいろいろ暴力団に関する相談を受けたものに対しましては、恐らくきちっとした形で、誠実に相談を受けた上で、その内容についてどのようなアドバイスをしたのか、また警察として今後どのような措置をすべきなのか、そういうものについては、恐らくきちっとした形で残し、事後の再度の御相談に的確に対応できるようにする。あるいは、中身によりましては、既に犯罪として成立している可能性があり得るようなものであれば、しかるべき部門にその情報を回す。そういう意味において、具体的にそれぞれの都道府県警察、また署においてきちっとした形で記録が出されていると思いますが、ただいま、具体的に何件ぐらいとか、どういうものかということについてはちょっと承知いたしておりませんので、答弁を控えたいと思います。
 それからまた、もう一件の、先ほどの新聞報道との関係で、相談があったというお尋ねが今ございましたけれども、これにつきましては、全く私的な、執務時間外の、私的にもともと知り合っておられる秘書等の紹介で話がなされたというものでございまして、今申し上げたものとは全く違うところでの相談でございますので、それについては、先ほど私が申し上げたような形で残っていないのではないかと思っております。
北川委員 政治家と警察の方の難しいところというのは、プライベートな時間があるのかないのか。その人の立場を配慮して、公務時間以外だけれども、こういう相談に乗ってと。そして中身が、具体的な捜査の内容に入っていくとか、自分の身近な出来事を早く解決してもらいたいので、警察に、官である立場の人に相談を投げかけるといった意味では、公務外とか公務内というのは余り問題にはならない。その人が別に警察官とか刑事さんでなければ、相談にはならない。すごく警察の中で影響力を持つ立場にいて退職された方というのであれば違うかもわかりませんけれども、一般的には、公務内の時間、公務外の時間とはっきり明確に区分けができるような形にはなっていない職業の一つだと思うんですけれども、その辺はいかがお考えになっていらっしゃるでしょうか。
栗本政府参考人 若干私の先ほどの御説明が不十分な点があったと思いますが、新聞報道に関しますものは、その当時、相談を受けた警察官においては、具体的な暴力団関係の相談だという認識は持っておりません、その問題につきましては。
 それからまた、もう一つの、先ほど私、公務中云々というふうに申し上げましたが、これはもちろん、執務時間外において警察官が国民の方から具体的な暴力団にかかわるような被害に係る相談を受けた場合には、当然、これは警察官としては、責務でございますから、そこだけで聞きおくということではなくて、もちろん改めて詳しくお聞きをする、またしかるべき関係部門に対して情報を回して、その後、被害の防止、また被害の回復、また状況によっては捜査を行って関係者を検挙していく、こういうようなことが行われるために的確な対応をしていくものと思っておりますので、仮に執務時間外に聞いても、それは別のものという対応はしないと思っております。
北川委員 少しその辺が、やはり人的交流の中でどうなっているかというのが、あいまいな面があるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、先ほどの情報の提供、捜査と情報、おとり捜査とか、そういうので以前にもお伺いしたことがあったんですけれども、相談事の内容の中に先ほどおっしゃったように事件絡みのものがある、事件絡みのもので、なっている中で、その事件の内容を提供してしまう。今回、この問題も少しかかわってくると思うんですけれども、相談で、出だしが、入り口が相談、中に入っていくごとに捜査状況を提供していく、その相手が、一般の市民と、例えば政治家と言われる方でいて、影響力がある人と一般的に普通の人から見ると思われる人たちへの対応が警察の中でどうされているのか。公平にされているのか、されていないのか、その辺なども市民社会は見ていると思うんですけれども、入り口が相談で中に入っていくごとに捜査の情報が提供されていくという問題との、かなり重層的に難しいところはあると思うんですけれども、その辺の、訓練といいますか、この問題というのはいろいろな形で指摘があると思うんですけれども、捜査情報と個人情報、その辺の警察の今の限界というか見解、限界というか見解というとおかしいですけれども、その辺などはどうなっていたかというのを教えていただけますでしょうか。
栗本政府参考人 ただいまのお尋ねは、具体的な、暴力団関係者などからいろいろな嫌がらせなりあるいは言い寄ってきたというような場合に、不安を感じて警察にまず相談がなされる、その中で、まだ犯罪としては成立していない段階、あるいは、さらには犯罪として成立しているようだと認められるような段階ごとに警察としてはどのような対応をするのか、その中で情報提供をするのか否かというような御質問かと存じますが、そういう観点にかんがみてみた場合には、私どもは、目的は、警察に来られる方の、あくまでもいろいろな各種犯罪あるいは被害に遭わないようなために、警察として、仮にそれが暴力団等にかかわるような関係者からの嫌がらせ等を受けているということであれば、そのような相談者に対して、具体的なそういう事実を踏まえた上で、今後被害に遭わないように、また、あるいは今既にある程度の被害に遭っているとすればその被害の拡大を防止するために、いろいろな相談に対して情報提供をすることはあり得るだろうと思います。
 それからまた、具体的な捜査というお話でございましたけれども、具体的なその中から、その相手方において既に犯罪が成立し、警察としては各種法令を適用して検挙することによってその種の暴力団にかかわる犯罪というものを防止していく、また被害を回復していくということであれば捜査に着手するわけでありますが、その辺についての内容を当該被害者の方、相談者の方に提供するか否かということにつきましては、それはやはり個別、ケース・バイ・ケースでございますので、その中で判断をした形での提供が一部においてなされるかと思います。
 いずれにいたしましても、それぞれの段階においても、やはり、個人情報につきましては、私ども、本来の警察で保有している保有の目的に即し、また他の法令等にかんがみて適切に判断し、対応していかなければいけないと考えております。
北川委員 そこにおいて相当な解釈とか、恣意的な運用ですね、ケース・バイ・ケースにおいてされていくのをどう防ぐかということにもつながっていくと思うんですが、相談の、入り口のところで、一対一での相談ではなくて、きっちりと記録を、先ほど記録のことでお伺いして、どれぐらいきっちりしたカルテとして残して、何年保存とか、そういう仕組みになっているのかというのには御答弁がいまいちなかったんですけれども、一対一で相談を受けないというシステムをとるというのは、警察の中ではいかがでしょうか。
 きっちりと聞きながら、それを横で聞いていて書き取りをする人、それが第三者が、次の人に引き継ぐときにも、どういう状況までこの問題が来ている相談であり、内容はこうであり、どう解決をする、例えば暴力団との関係を切りたい、ここまで切れてきているんだけれども次はこうだとかという、ある意味、お医者さん的に言うとカルテになると思うんですが、相談記録の日誌みたいなものですね。そういうふうな体制というのが入り口でとられたとするならば、どの人に対応しても、議員であろうが一般の方であろうが、適切に吟味、検討しながら物事を解決としていくというふうな形が警察内部でもとられていくというふうに思うんですが、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
栗本政府参考人 今のお尋ねは、被害者等の方が相談に来られていることに関してのものだろうと思われます。それは、先ほど申し上げましたように、こちらが必要な、一人、あるいはその状況によって二人、複数で聞く場合がふさわしければそのような形で適切に応対するだろうと思われますし、また、その相談事案等につきましては、事後の措置が当然求められるわけでございますから、当然、そこにおきましては、具体的な相談内容等についてはしかるべき、恐らく記録化し、そのものだけにとどまらず、組織的な対応ができるような措置を講じているだろうと思います。これはどのような方が相談に来られたかということにおいて変わるようなものではもちろんございませんで、どのような立場の方であろうと、警察に困って相談に来られれば、当然、適切に対応するのが警察の立場でございます。
北川委員 最後にお伺いしたいんですけれども、一つは、全般的な話として、そういう記録というのは何年保存という規定があるのかどうかというのが一点と、そして、この松浪議員の事件の中で、相談と情報の提供ということはなかったというふうに言い切られるのか、その辺だけ押さえておきたいと思うんですけれども。
栗本政府参考人 今の御質問は二つあろうかと思いますが、今、警察署等におきまして、具体的な御相談をいただいたときに、記録を残したものについて何年の保存があるのかという御質問が一つかと思います。それについて、ちょっと私も今、詳細、承知しておりませんので、答弁いたしかねるところでございます。
 それからまた、後の方の御質問は、新聞報道等において行われている、談合事件の捜査に関しての問い合わせがあったか否かということについてでございますか。――それだとすれば、それにつきましては、その時点において対応いたしました捜査担当者が、その事件についての問い合わせをなされた関係者に対して早期に警察への事情聴取に応じるように協力を依頼した、こういうふうに聞いております。
北川委員 そこまでのことは提供したということで今お答えになったんだろうと思いますが、まず、記録のきっちりしたものがあるのかないのかも含めて、これは二年前の退職の方に聞き取りをしたということなので、ないということなんだろうと思いますけれども、やはり、これが事件性が追及されて深く関与せざるを得ないところまで来ると、どうだったのかという検証というのが必要になってくると思いますので、今後のことも含め、記録の保持に関しては、第三者がちゃんと見ても公平にわかるものとして残るものをつくっていくべきだということを提案して、刑事局長の方にはもう御退席していただいて結構でございます。
 次に、自動車安全運転センターの問題についてなんですけれども、私たちは、この問題は独立行政法人として整理した方がいいという立場で、次の点をお伺いしたいと思います。
 今回、民間法人化する理由なんですけれども、お述べいただけますでしょうか。
属政府参考人 今回の特殊法人等改革におきましては、廃止あるいは民営化という基本方針のもとでいろいろな検討がなされました。
 事業の採算性が高く、かつ国の関与の必要性が乏しい法人、企業的経営による方が事業をより効率的に継続実施できる法人、または民間でも同種の事業の実施が可能な法人は、原則として民営化をするというふうになったわけであります。他方、廃止または民営化できない事業であって、国の関与の必要性が高く、採算性が低く、業務実施における裁量の余地が認められる事業を行う法人については、独立行政法人化するということの仕分けがなされました。
 そういう中で、センターにつきましては、犯罪捜査等の過程で得た交通事故歴、交通違反歴等の個人情報を取り扱う、そういった業務の特性上、国の関与の必要性は高いわけでありますけれども、事業収入の大半は自主財源で賄っているということ、事業の採算性は決して高くありませんけれども、効率的に企業的経営をやることによってこれは民間法人化できるだろうという判断で、独立行政法人ではなく民間法人化されたものであります。
 今回、民間法人化することによりまして、経営の自主性、自立性が向上して、より効率的かつ効果的な運営が可能になるだろうというふうに思います。例えば、そういったメリットを生かしまして、国民のニーズあるいは道路交通情勢の変化に機敏に対応して、いろいろな研修業務とかそういうようなものに反映していくことができるだろう、そういうことで、民営化のメリットを生かしてまいりたいというふうに思っております。
北川委員 先ほど独立行政法人の方がふさわしいのではないかというお話をしたんですけれども、それか、もしくは直接警察がやるという方がいいのではないかという立場をとっております。
 なぜならば、センターの証明書発行の事務というのは行政行為の延長だというふうに思うわけでありまして、全国一律に個人情報が、いわゆる交通歴としての情報が、センシティブな情報が一極に集まってくるといった意味においても、国の関与、国の関与というのは上からの関与ではなくて、市民や国民が自分の情報にどうアクセスできるか、関与できるかといったことを押さえるためにも、先ほど情報公開制度の問題について吉井議員の方からも質問がありましたけれども、その対象外になるといった点一つ見ても、民間になったことにおいて、市民や国民が自分の苦情や不服や申し立てがしにくいというふうになっていくのではないかという懸念を抱いているところが私たちの方にもあります。
 それで、情報公開の開示決定というのを十四年度でお伺いしましたら、十二件教えていただきました。その十二件のうち、全部開示というのが三件、あとは部分開示、一部開示、それと不開示というものがあるわけなんです。情報公開制度の対象にはならないということなんですが、あえてお伺いしたいと思うんですけれども、この全部開示の中の一つに、二〇〇一年度の退職者のうち、再就職した人の氏名、生年月日、退職時のポスト、再就職先の名前、再就職先でのポストなどを記した文書等というものが、これの一九九九年から二〇〇一年度までを開示請求した分は全部開示になっていたんですね。
 例えば民間法人になった場合、こういうものや、そして二〇〇一年度の各役員の報酬の明細を記した文書など、こういうものは、今と同様、開示を要求した場合は開示していただくような形になっていくのか。例えば、先ほど天下りの問題等々でも現行のありようを踏襲されるというふうなお答えがあったわけですので、ここの部分をお伺いしたいと思います。
属政府参考人 情報公開の関係では、センターは、現在、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の適用対象法人になっておるわけでありますけれども、この対象法人というのは、特殊法人、独立行政法人または認可法人であって、設立法においてその理事長等を大臣等が任命することとされているもの、または法人に対し政府が出資できることとされているもの、そういうふうな限定がなされておりまして、センターは、今回民間法人化されますと、理事長の国家公安委員会による任命制が廃止されます。また、政府出資も解消するということから、同法の適用対象法人には当たらないことになってまいります。
 しかしながら、特別の法律により設立される民間法人の運営に関する指導監督基準というのがございまして、その中では、情報公開については、例えば、財務等に関する資料を主たる事務所に五年間備えておき、一般の閲覧に供していること、またはインターネットによりこれらを公表するとか、そういった指導監督基準があります。これからは、その指導監督基準に従いながら、所要の情報公開には積極的に応じていくということになろうと思います。
北川委員 積極的に応じるとおっしゃっているんですけれども、株式会社形態ではないので、株主総会があるという形態をとるわけではないわけでして、人事の面において今の形を踏襲ということにおいては、やはり今ぐらいのレベルの情報公開、開示というのは必要だろうと思うんですけれども、そういうお考えは今のところ全くないという意味なんでしょうか。その辺について、再度お伺いしたいと思うんです。
属政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、特別の法律により設立される民間法人の運営に関する指導監督基準、これにいろいろなことを具体的に定めております。例えば、定款とか役員名簿とか事業報告書、損益計算書、貸借対照表等々、いろいろなものについてこれを主たる事務所に五年間は備えておきなさい、また一般の閲覧に供しなさい、またインターネットでこれらを公表しなさいというようなことになっておりますので、その基準に従ってセンターにおいて適切に対応するだろうと思いますし、警察庁としましても、そういったセンターの業務あるいは財務等に関する透明性が確保されるようにセンターを指導していきたいというふうに思います。
北川委員 指導の部分だけが残るということなんですけれども、これはもう少し、このセンターをやめるときのポストがどうで、再就職先はどうなんだと。だから、天下りのまた孫下りというんでしょうか、そういうことの情報を請求したら全部開示になっているんですよね。
 そういう意味において、やはり多くの国民から批判があった面が変わっていっているんだという検証を現実面として認証するためにも、情報公開というのはとても必要だろうと思うんですけれども、今の言葉の中では、現在、ある限定された状況のことはお示しするものがありますよとおっしゃるんですけれども、詳しく提供を積極的にするという仕組みはないというふうに聞こえてくるんです。
 情報公開法にのっとったぐらいのレベルは国の関与というのが一定残るということもお話しになりました上においては、ここのところは、ぜひ、ありようを民間にしたからといってすぐ切り捨てるという方向ではない方向で、今の情報公開制度のレベル、特殊法人に対してのレベルは守っていただきたいと思うんですけれども、再三しつこいようですが、御答弁いただけないでしょうか。
属政府参考人 また私も繰り返しで恐縮になりますけれども、特別の法律により設立される民間法人の運営に関する指導監督基準で、特別の法律で設立された民間法人については、これに従ってきちんとやりなさい、これは平成十四年四月二十六日の閣議決定で示された方針があります。この方針に従って適切に対応するということで、情報公開の務めを果たしていきたいというふうに思っています。
北川委員 今の状況の中でも、私からすれば部分開示の方が圧倒的に多いという点を指摘した上で、今局長がお話しになった点で、担保ができるとは到底思えないということをお伝えしまして、ぜひ情報公開においては積極的に、どうして切り開いていくかというのは御検討をいただきたいと思います。
 次に、国の関与のことを少し先ほどおっしゃったんですけれども、民間になっても残る国の関与というものは、項目的にどんなものがあるんでしょうか。
属政府参考人 役員の関係で申し上げますと、現在は国家公安委員会による理事長及び監事の任命制になっておりますけれども、これが認可制に変わります。
 それから、国家公安委員会による資金計画の認可制、これは廃止になりますけれども、財務諸表の承認制については、承認から提出をするということになってまいります。
 それから、いろいろ個人情報に係る交通事故の証明業務とか経歴証明業務をやっておりますので、その関係で、この役職員については秘密保持義務というのが課されております。
 また、罰則の適用についても、みなす公務員という規定がありますけれども、この秘密保持義務規定あるいはみなす公務員規定については、民間法人化後も維持されることになっております。
北川委員 国の関与としては予算の認可それから役員人事の認可が残り、働かれる皆さんはみなし公務員という二十八条をそのまま残すので、守秘義務は担保されているんだろうという話を今してくださったと思うんですが、事業計画といったものに関しての国の関与はいかがなんでしょうか。それと、認可はされたわけですけれども、あと監査などにはお入りになる予定になっているんでしょうか。
属政府参考人 先ほどちょっと申し落としましたけれども、予算及び事業計画については現在も認可制をとっておりますけれども、これは維持されます。
 監査については、国家公安委員会あるいは警察庁がいろいろな面で指導監督をしますので、予算のチェックとかあるいはその業務に何か問題があるといったようなときには、必要に応じて指導監督を行うようになると思います。
北川委員 では、監査はなしということではなくて、必要に応じてはやるんだということと理解してよろしいんでしょうか。
属政府参考人 監査につきましては、民間法人化された認可法人の財務及び会計に関しまして、特別の法律により設立される民間法人の運営に関する指導監督基準というものが定められておりますけれども、その中で、「収支決算額がおおむね五十億円以上の法人については、所管官庁からの要請に基づき、公認会計士による監査を受けるよう努めていること。」ということで、いわゆる専門的な立場からの外部監査、そういうのをやるように指導するということになっております。
北川委員 そうしましたら、次の質問なんですけれども、事故証明書にかかわる不服申し立てについてお伺いしたいと思うんですけれども、利用者から事故証明書にかかわる苦情があると思うんですが、どのような苦情があるのか、教えていただけますでしょうか。
属政府参考人 これまでのところ、センターの発行した交通事故証明書に関して訴訟等が提起されたということはありません。
 なお、利用者からセンターに対して交通事故証明書に係る苦情、要望等はあるというふうに聞いておりますけれども、件数については具体的には把握しておりません。例えばどんな例があるかということでちょっと聞いてみましたら、証明書の中の人定事項の記載に誤りがあったとか、証明書の中の人の欄に区分があるんですけれども、その区分の記載が、自分がこういう欄に書かれていたのはおかしいんじゃないか、そういったような指摘はあったそうであります。
北川委員 単なる記入ミスでの苦情があったということですか。
 きのうですか、お伺いしたときに、苦情とか要望の件数は把握していないということで、今もそうお答えになったんですけれども、苦情とか要望の件数を把握していないということは、少ないからしていないのか、記録に残すという性格をとっていないから把握していないのか、どちらなんでしょうか。
属政府参考人 そこまで具体的に私ちょっと把握しておりませんけれども、業務の性格からいって、非常に問題があるから苦情があるというよりも、比較的単純なミスですね、そういったもので間違って御迷惑をかけたというようなケースはあるんじゃないかというふうに思います。
北川委員 単純なミスなので、すぐ直しますよぐらいの形でおさまるだろうということなんだろうと思うんですけれども、やはり苦情とか要望というのが大きく会社を育てるというふうにもなりますので、その点などは、今後民間にされるときにも、ひとつ、消費者苦情といいますか、そういう窓口をつくっていただくことを要望しておきたいと思うんです。
 今、記入ミスというふうに言われたんですが、これはかなりの個人情報、センシティブな個人情報なんですが、システム的にですが、全国民の中の交通犯歴、無事故の証明もされるそうなんですが、事故証明がどこかの場所のどこかのホストコンピューターにすべて、統一番号といいますか付番がされておさめられているというシステムになっているんでしょうか。それとも、皆さんの箇所がありましたよね、何カ所かという、その箇所ごとに、センターごとに記載をされているのか、その辺のセキュリティー、安全性についてお伺いしたいんですけれども、今のところ仕組みが一体どうなっているのか、教えていただけますでしょうか。
属政府参考人 これは、各県単位に事務所があります。その各都道府県事務所にそれぞれサーバーを置いておりまして、そこで基本的にデータを管理運用している、当然のことながら、各都道府県事務所のサーバーは相互に結び合っているというものであります。
北川委員 ということは、これは八ブロックあるんですか、本部を除いて八ブロックになっているように見えるんですけれども、この八ブロックがブロックごとに管理をされていて、その管理をされている状況が本部に送られているというふうなシステムなんですか。本部に一括、すべての八ブロックの人が付番をされて記録を残されているという形態ではないということを今お答えになったんでしょうか。
属政府参考人 事務所は四十七都道府県、各県に一カ所ですけれども、北海道については方面ごとにありますので、全部で五十一事務所があります。その事務所がそれぞれ都道府県警察のいろいろなデータをフロッピーやらでもらって、それをまた活用して証明書の発行業務をするということになっておりますので、それぞれの都道府県事務所がサーバーを持ってデータを管理しているという状況です。
北川委員 それで、本部と中央研修所というのに出向組の方がいると言われていたんですけれども、この出向元はどの職場からの出向でいらっしゃるんでしょうか。
属政府参考人 出向については、各県警から出向していただいている方、あるいは民間の会社から、専門的な教習上の立場から出向してもらって、中央研修所でいろいろ教える、そういったいろいろな形で対応しております。
北川委員 出向元の方も警察関係の方ということなんですけれども、個人情報が漏れていく、特に電子情報管理をされている中で漏れていくといった点において、皆さんのところでは、お伺いすると、情報システム安全対策指針というものが今は使われており、これにのっとってやるというふうにお話をいただいたんですけれども、五章に個人情報保護というものが掲げられております。
 ここには、適正な収集とか、目的外には使ってはいけないということ、個人情報の収集は、適正に、必要な範囲内で正確かつ最新の状態に保つこととか、原則公開、それと、収集の目的の範囲内で行うこと、そして、自己情報の開示は、本人から自己の個人情報の開示を求められたときは、原則として、これに応じることということで、こういう指針にのっとってやっていらっしゃるとおっしゃったんですが、民間になった場合、この情報システム安全対策指針というものの有効性なんですが、どういうふうになっていくんでしょうか。
属政府参考人 情報の管理をきちんとやるというのは大変重要な問題でありまして、センターの情報システムは外部との接続をしていないクローズドネットワークになっておりますし、また、アクセスにつきましても、指紋認証システムを導入するなど、アクセスする資格のない者のアクセスを防ぐといったようなことをやっております。
 また、今御指摘がありましたように、センターの保有する個人情報のセキュリティーにつきましては、これは警察から情報を提供していることもありまして、国家公安委員会の告示であります情報システム安全対策指針に準拠したセキュリティー対策を講じておりますし、今後ともこれは同じような形でやっていきたいというふうに思っております。
北川委員 では、今、同じような形でやるというふうにも御発言いただいたんですけれども、従来警察庁は、証明書の発給について、交通事故証明や経歴証明等の内容は、だれが、いつ、どういう違反をした等の情報が載っているものなので、守秘義務や刑法上の公務員並みの厳しい規制が当センターには課せられており、民間機関がこういった個人情報を扱うのは難しいのではないかと考えるというふうに御答弁されていて、民間委託には個人情報の点からも消極的だったというふうに思うんですけれども、今回の法案では民間委託にされていくということなので、その辺では、この部分においての懸念が払拭した、払拭されるということで踏み切られたのでしょうか。
谷垣国務大臣 今御議論いただいておりますように、当センターを民間法人化するわけですが、センターが今後扱う業務は二種類あると思うんですね。
 一つは、安全運転研修業務というような、法人の自主的な発想で、民間的な手法も取り入れてやってもらっていい部分というのが一つあるわけです。それから、今御議論の通知とか証明業務のよに、これはセンターに限定してやる必要がある、そういう行政代行的業務もあるわけですね。
 ちょっとおどろおどろしく申し上げれば、こういう通知、交通事故証明業務は、警察が犯罪捜査といった、まさに公権力の行使の過程で得た情報を取り扱うという業務の特性がありますから、こうした情報を余り複数の民間事業者に取り扱わせるということは、場合によっては不都合が出てくるかもしれない、こういうことだろうと思います。
 ですから、こういう業務についてはこのセンターに限って実施させるということで、そして、この役職員には秘密保持義務を課して、みなし公務員とするという仕組みをとっておりますので、そういうみなし公務員というような形で国も関与するということで、個人情報保護の重要性に配慮した運営を行っていく、これをしっかりやっていかなきゃならないし、仕組みの上でも、今申し上げたような形ができているということであります。
 それから、これは国家公安委員会がこのセンターを今度いわば監督する責任があるわけですけれども、そういう個人情報の扱いの特殊性と申しますか、重要性にかんがみて、その点に意を用いて国家公安委員会としても指導していくといいますか、見ていきたい、こういうふうに思っております。
北川委員 時代は、民間移管に消極的な発言をされたとき以上に、個人情報の保護ということに関しては、市民は急速に目覚めているというか、関与したいという思いも強くなってきているというのが、きょうの個人情報保護の審議の過程でも明らかになったと思います。
 今公安委員長が御発言になった点を具体的に盛り込む、そういう、明文化されたものとしてきっちりと、民間委託になったときも残されるということを期待して、私の質疑は終わりたいと思います。ありがとうございました。
佐々木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 これより討論に入るのでありますが、理事会の協議により、討論は御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。
 これより採決に入ります。
 内閣提出、自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
佐々木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、渡辺博道君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。渡辺博道君。
渡辺(博)委員 ただいま議題になりました附帯決議案について、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守新党の各会派を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項について十分配慮すべきである。
 一 自動車安全運転センターの財政の自立性の確保、業務運営の適正化等を図る観点から、自動車安全運転センターが行う研修業務において、収支の改善に努めつつ、更なる業務の効率的実施を進めるよう指導監督すること。
 二 自動車安全運転センターが行う交通事故証明等の業務において、客観的な事業評価の指標を設定した上で、外部評価を実施するとともに、外部評価の内容を国民に分かりやすい形で情報提供するよう指導監督すること。
 三 自動車安全運転センターが行う調査研究業務において、研究課題の設定、実施体制の決定及び研究期間終了後の研究成果について、厳格な外部評価を求め、評価結果を研究資源配分等に反映させるとともに、研究成果及び外部評価の内容を国民に分かりやすい形で情報提供するよう指導監督すること。
 四 自動車安全運転センターに対し、「特別の法律により設立される民間法人の運営に関する指導監督基準」に基づき、役員等の定数、選任方法、任期、所管官庁出身者の割合及び報酬等について、適切に指導監督すること。
 五 自動車安全運転センターの民間法人化に当たっては、職員の雇用安定及び良好な労働関係の維持に努めること。
以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
佐々木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
佐々木委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。谷垣国務大臣。
谷垣国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重して努力してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
佐々木委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
佐々木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十四分散会


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