衆議院

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第7号 平成18年5月12日(金曜日)

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平成十八年五月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐藤 剛男君

   理事 木村  勉君 理事 戸井田とおる君

   理事 西村 康稔君 理事 林田  彪君

   理事 山本  拓君 理事 泉  健太君

   理事 大島  敦君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    遠藤 宣彦君

      小野 次郎君    大野 松茂君

      木原 誠二君    後藤田正純君

      土屋 品子君    土井  亨君

      中森ふくよ君    平井たくや君

      村上誠一郎君    村田 吉隆君

      市村浩一郎君    大畠 章宏君

      川内 博史君    小宮山洋子君

      鉢呂 吉雄君    太田 昭宏君

      吉井 英勝君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 沓掛 哲男君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     松田 岩夫君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   内閣府大臣政務官     後藤田正純君

   内閣府大臣政務官     平井たくや君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山浦 耕志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  荻野  徹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 齋藤  潤君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室長)    高松  明君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官付参事官)           満田  誉君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田 康敬君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 影山 幹雄君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    小林 武仁君

   政府参考人

   (警察庁情報通信局長)  武市 一幸君

   政府参考人

   (防衛施設庁総務部施設調査官)          木坂 愼一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          西阪  昇君

   政府参考人

   (文化庁次長)      加茂川幸夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡島 敦子君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       松本 義幸君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中谷比呂樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           高橋 直人君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           町田 勝弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      安達 健祐君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     広瀬 研吉君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 大口 清一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 黒田大三郎君

   参考人

   (食品安全委員会委員長代理)           寺尾 允男君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  石井 郁子君     吉井 英勝君

    ―――――――――――――

五月十一日

 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)

同月八日

 憲法九条の改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八四六号)

 憲法改正反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第一八四七号)

 憲法九条を守ることに関する請願(石井郁子君紹介)(第一八四八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八四九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八五〇号)

 憲法改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第一八五一号)

 同(阿部知子君紹介)(第一九四一号)

 憲法第九条を変えないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八五二号)

 同(柚木道義君紹介)(第一八五三号)

 同(山井和則君紹介)(第一九〇三号)

 同(金田誠一君紹介)(第一九六五号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一九六六号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一九六七号)

 同(辻元清美君紹介)(第一九六八号)

 平和憲法・九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九五二号)

 同(石井郁子君紹介)(第一九五三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九五四号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一九五五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九五六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九五七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九五八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九五九号)

 同(重野安正君紹介)(第一九六〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九六一号)

 同(辻元清美君紹介)(第一九六二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九六三号)

 憲法の改悪反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第一九六四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長代理寺尾允男君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房内閣審議官山浦耕志君、内閣参事官荻野徹君、内閣府大臣官房審議官齋藤潤君、遺棄化学兵器処理担当室長高松明君、政策統括官付参事官満田誉君、警察庁長官官房長安藤隆春君、長官官房審議官和田康敬君、影山幹雄君、生活安全局長竹花豊君、交通局長矢代隆義君、警備局長小林武仁君、情報通信局長武市一幸君、防衛施設庁総務部施設調査官木坂愼一君、法務省大臣官房審議官三浦守君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、国際社会協力部長神余隆博君、文部科学省スポーツ・青少年局長素川富司君、スポーツ・青少年総括官西阪昇君、文化庁次長加茂川幸夫君、厚生労働省大臣官房審議官岡島敦子君、医薬食品局食品安全部長松本義幸君、社会・援護局障害保健福祉部長中谷比呂樹君、農林水産省大臣官房審議官高橋直人君、生産局畜産部長町田勝弘君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長安達健祐君、原子力安全・保安院長広瀬研吉君、国土交通省鉄道局次長大口清一君及び環境省大臣官房審議官黒田大三郎君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長諸澤治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸井田とおる君。

戸井田委員 自由民主党の戸井田とおるであります。今回、三十分ほどいただいて、御質問をさせていただきたいと思います。

 今回質問させていただきますのは、化学兵器禁止条約に基づく遺棄化学兵器に関する問題であります。

 もう既に御存じかと思いますけれども、月刊「正論」に掲載されている「スクープ!“遺棄化学兵器”は中国に引き渡されていた」という記事がありました。私も、一瞬その表題を見てびっくりしたわけですけれども、その著者の水間政憲氏に連絡をとりまして、実は私のところに来ていただきました。いろいろお話ししていたら、かつて一度絶版になった本なんですけれども、「パール判事の日本無罪論」というのを復刻したんですね。その後ろにこの水間氏が解説を書いているんです。だから、そんないいかげんな人ではないのかなと思いながら、いろいろお話を聞いておりました。

 もともとパール判決書というのは、終戦後、東京裁判でもって、ちょうど私の父が清瀬一郎先生の秘書をしておりました。そしてその清瀬一郎先生から判決文を田中正明さんが借りてコピーをして、そして独立の日に合わせてそれを出版するということで準備をされていたという話も聞きました。何か因縁があるのかなと思いながら、実はその人のお話を聞かせていただいたわけであります。

 内容は、ほとんど「正論」の中に書かれてあるとおりではあります。しかし、若干の資料もその中にいただきました。お渡ししておりますこの写真がその物であるんですけれども、こういうふうにして現物の資料が出てきた。

 確認できるのはこの写真では表紙だけではありますけれども、仮にこういったものが事実であるのだとしたら、二月二十四日に衆議院の内閣委員会で高松明遺棄化学兵器処理担当室長が、正式に中国やソ連に化学兵器が引き渡されたという文書が発見されれば、基本的な枠組みは変わってくるという答弁をされておられます。

 このジャーナリストの水間政憲氏は、今回、こういった資料が六百冊、兵器引き継ぎ書の原本としてあるんだということを言われております。手元にお配りしているその写真は、水間氏に提供していただきました。

 資料を見ていただくとわかるわけですけれども、引き継ぎ目録には、日本側と中国側の責任者の引き継ぎに同意した署名と捺印があるわけであります。また、この「正論」の記事には、数千名の中国人の署名があることも明らかにしています。本人のお話を聞きましたら、もっと数が多いんじゃないかということで、推測でありますけれども、そういうことを言われておりました。

 今回発見された引き継ぎ授受書を政府は徹底的に調査する意思があるのか、まず最初に官房長官にお尋ねしたいと思います。

安倍国務大臣 ただいま戸井田先生が御指摘になられましたこの資料は、精査すべき内容である、このように考えておりますので、政府としてしかるべき調査をさせたい、このように思っております。

戸井田委員 その調査をするときに、プロジェクトを立ち上げるときには、旧日本軍の専門家とか、または防衛研究所の専門家が参加するのは当然なことだというふうに思うんですね。この書類の中の文言を見てもわかるように、やはり専門的な用語がたくさんあるし、また、当時の現物を見てわかるものとわからないものがあるということを考えれば、当然専門家が参加しなければならない、私はそういうふうに思っております。

 同時に、そういった人からの聞き取り調査というものは欠かせないことだと思うんですね。こういう聞き取り調査をする意思があるのかどうか、その辺のこともちょっとお聞かせいただきたいと思います。

安倍国務大臣 この資料の中身を精査するに際しまして、この中身が実際にどういう性格のものであるかということも含めて、精査をするためには専門的な知見が当然必要なんだろう、このように思います。そういう意味では、やるべきことはしっかりとやらなければいけない、このように思います。

 この資料を見てみますと、かなり細かく引き渡しの目録がなされておりまして、電気スタンド四十八個、電球が入っていないとか、本当に詳細にわたって書いてあるなという印象は受けておりますが、いずれにいたしましても、しっかりと専門的に精査をしていかなければならない、このように思っております。

戸井田委員 ありがとうございます。

 ということになりますと、平成十年の四月十日に、衆議院外務委員会での阿南政府委員の答弁で、「これらの化学兵器、砲弾が、終戦当時、通常の武装解除に基づいて、ソ連軍ないしは中国軍に引き渡されたものとは認められないと言わざるを得ません。そういう判断でございます。」という答弁をされているんですけれども、これはやはり、もしこのことが精査されて事実であったとしたら、間違ったということを言わざるを得ないと私は思うんですけれども、官房長官、どうでしょうか。

梅田政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生が御指摘のあった点につきましては、まず、やはり我々資料を見させていただいて、どういう内容で、それはどういうインプリケーションを持ち得るのかということを判断させていただきたいと思います。その上で、今後、まさしく、それは条約との関係でどういう意味を持つのか、中国との関係でどういう交渉が可能であるのか否かという判断をさせていただきたいと思っております。

戸井田委員 これを精査するのに、外務省だけでなく、やはり所轄の内閣府、特に官房長官に責任を持っていただいて、外務省だけでやらないように、当然ほかのところも一緒に精査をしていただく、防衛庁ももちろんそうですけれども、そういう形をぜひとっていただきたいと思います。どうでしょうか。

安倍国務大臣 先ほど御答弁いたしましたように、専門的な知見が必要であれば、当然そういう体制をとって、しっかりと精査をしなければいけない、これは十分に精査すべき重要な資料である、このように思っております。

戸井田委員 ありがとうございます。

 それでは、お手元の資料の一をちょっと見ていただきたいと思うんです。この一の三枚目の左のページの上に二重丸が二つついておりますけれども、「引継目録書」ということで、弾薬、品目、華語それから日語、要するに中国語と日本語の武器の名前がここに書かれているということであります。その中の九四式小発煙筒百六十発、それから九九式発射発煙筒三十発というのをごらんいただきたいんです。

 もう一つ、資料三を見ていただきたいと思うんです。これは、二枚目に書いてありますけれども、粟屋憲太郎さんという人が出版した「毒ガス戦関係資料」ということで……(発言する者あり)

佐藤委員長 資料三、ありますか。

戸井田委員 さっき、資料、一緒に渡していたんですけれども、あるでしょう。

佐藤委員長 私のところには、これでしょう、違うの。

 それでは配ってください。

戸井田委員 資料三の右側の上の方にTYPE99というのがあるんですけれども、これの下、写真の部分、横に縦書きになっていますけれども、黒地に白く、九九式発射発煙筒と読めると思うんですね。どうでしょうか。

 発射発煙筒、これが横に、物に対しては縦に書いてあるんですけれども、何となく九九式というのは読めると思うんですね。発射発煙筒といえば、確かに、へんの方しか見えない部分がありますけれども。

 そうすると、この資料は、これが有毒発煙筒と称しているものであれば、これが引き継がれたということになれば、現実に化学兵器が引き継がれていたことの一つの証拠であるんじゃないかなというふうに思うんですね。その辺のことはどうでしょうか。

梅田政府参考人 お答えさせていただきます。

 まさしく今先生が指摘された点も含めて、我々は専門家の協力を得て確認をさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

戸井田委員 もう一つ、九四式というものですね。九九式の下のものです。これはTYPE94Aと入っているんですが、Aと入ってあるからBも当然あったのかなとは思うし、Cもあったのか、その辺は我々わかりませんけれども、しかし、非常によく似たものであって、こうした発煙筒を含めて、そういう化学兵器ということでもって処理しているのかと。

 そもそも発煙筒は旧日本軍においては毒ガスに分類されていなかったわけであって、発煙筒を製造していた、瀬戸内海にあります大久野島というところに忠海製造所があるらしいんですけれども、そこの工員の危険手当は毒ガスの三分の一に当たる日給の二割だったとの資料もあるということを水間さんは言っているんですね。

 現時点で、有毒発煙筒を含む化学兵器が引き継ぎされていたのであれば、わざわざ税金を使って、将来幾らになるかわからないというようなこと、そういうことをする必要がないんじゃないかな。そういうことを考えれば、まさにこれは徹底した調査というものをぜひやっていただきたいなというふうに思うんです。

 さっき、官房長官からきちっとした答弁をいただきました。同時に、今これが所在するのは山形県ということを聞いております。そこに行ったら、こういう紙ですから、極端な言い方をしたら、爆弾を落とすということはないかもわからないけれども、不審火であるとか何であるという、燃えてしまったら、ただ一つのものであったとしたら、もうこれから手だてがなくなってくる。

 ましてや、ただでさえもう戦後六十年たって、そのときの資料がどこにあるのか。「正論」に書かれていることでいえば、ソビエトがああいう状況になって、その結果、日本に偶然入ってきていた。日本人の全抑協の会長さんがその資料を持っていた。だけれども、平成七年に亡くなられて、ちょうど条約を批准されたころなんだろうと思うんですけれども、それが十年たってここに飛び出してきたということは、やはり何か因縁が、因縁とこんなところで言うのはあれかもわかりませんけれども、そういう気がするわけですね。

 だから、ぜひともこれはきちっと、おかしな事件にならないように、また、おかしなことでそれが消滅するということがないように、警察庁の方ではきちっと警備をしていただきたいなというふうに思うんですね。その辺のところ、警察庁、どうでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の文書につきましては、委員御指摘の月刊誌に記載されている以上のことは警察としては承知しておりません。また、御指摘の文書の保管に関しまして、これまで管理者等からの相談もございませんし、また、警察としても具体的な危険性について承知しておりません。

 なお、警察として、御相談があれば、しかるべく防犯上の観点から指導助言を行ってまいりたいと考えております。

戸井田委員 ありがとうございます。

 ただ、やはり、これがこういうふうにして世の中に知れ渡っていくと、それが表に出てきたら困るという人たちも日本の中にもいるようでありますし、そういうことを考えると、きちっと警備だけはしていただきたいな、そういうふうに思います。

 また、この議論をしているときに必ず、我々もそうですけれども、有毒有毒ということで、その流れの中に入っていくわけですね。だけれども、よく考えてみると、十年前に締結した化学兵器禁止条約に基づいて有毒だということを示されているわけですけれども、しかし、通常の発煙筒とその他の分類については、当時、有毒発煙筒を遺棄した、その人たち、旧日本軍は、仮に遺棄したとしても、有毒発煙筒を遺棄したということがわかっていたんだろうか。

 この分類でいうと、ただ発煙筒との認識しかないと思うんですね。今、中国で出てきているものというのは全部有毒化学兵器なのか、そこらのことをきちっと分けていくためにも、かつての陸軍の兵器の名称であるとか、それと一致させていく作業というのは非常に重要なことだろうと思うんですね。そういうことがなされているのかどうか。

 そして、実際に、発煙筒のタイプの名前がこういうふうに全部はっきりわかっているわけですから、それをできたら委員会にでも出していただきたい、提出していただきたいというふうに思います。どうでしょうか。

高松政府参考人 現在のところ、中国各地で三万七千発の旧軍の遺棄化学兵器が回収されております。これは中国各地の保管庫で保管している、こういう状況でございます。

 この三万七千発につきましては、日本の専門家、先ほど委員御指摘のいろいろな、現在の日本における最も知見のある方々の鑑定をすべての個々の砲弾ごとにしておりまして、旧軍の遺棄化学兵器と私どもとしては確認して保管しております。

戸井田委員 それと、この資料の二も見ていただきたいんですけれども、これの三ページの真ん中に、やはり頭に丸がついておりますけれども、九七式(青)発煙筒というのがあるんですね。ここに書かれているのはほとんど発煙筒なんですよ。

 その青というのは何なのかなというふうに思ったら、ホームページを引いてみますと、その青という資料が出てくるんですけれども、発煙筒の頭に青いのがついているのが化学兵器だということらしいんですね。これがもしそうだとしたら、これもやはり引き渡しされているということの一つの証拠になってくるんだろうと思うんです。こういうものをあわせて考えてみると、非常にやはり重要なものだなというふうに思うんですよ。

 ただ、これは見られたものだけであって、私も、ひょっとしたら今はやりのガセネタかなと思いながらも、いろいろ見てみたんですよ。自分たちでこれを見てみれば、この一つ一つ、コピーなんかでも、これはやはり一冊のものからコピーしたなと思えるのは、周りのこうしたコピーされた状況、附せんが張ってある状況とか、そういうものを見ていけば一つ一つ精査できると思うんですよ。

 もう一つ、例えばこの中で、逆に疑ってかかっていったときに、九九式というのがありますよね。昔の日本のそういう事務官というかこれを精査した人たちというのは、非常に細かくきれいにやっているわけですよ。そうすると、この九九式というのはここだけ下があいているんですね。それ以外のものは大体、数が多ければ数は多いなりに、等間隔でみんなそれが書かれている。そうすると、これはどこかで修正したのかなというふうに思えなくもない。

 だけれども、そういうものを一つ一つこういうふうに精査していって見れば見るほど、かつての日本軍が、水間氏の話によりますと、ほとんど全中国を網羅しているというんですよ、その資料は。

 済みません、官房長官、どうもありがとうございました。

 現実に我々が親から聞いたことでも、やはり武装解除というのはきちっとされていたということなんですよ。その証拠というかそのあれは資料四を見ていただくと、先ほど官房長官も言われていましたけれども、この資料四で、これは兵器じゃないんですよ、精米とか小麦粉、大豆。それで、千単位の一けたまで全部きちっと書かれているわけですよ。訂正があれば、訂正印も押されて、文字の入れかえ何字みたいなことまで全部判こが押されている。そこに一つ一つ中国側は、全部これが墨で、筆で書かれているんですよ。最初は、後で上からなぞったのかなと思ったんですけれども、そうじゃない、中国側は全部筆なんだというんですよ。それで、こういうふうにきちっと鮮明に残ってきている。

 これだけの資料があったということは、こういうものはきちっとやったけれども、後はいいかげんにやっていたなんということはあり得ない。昔の我々の親の世代というのは余りいいことをしてこなかったということを戦後の教育でもってやられてきました。だけれども、こういう事実を一つ一つ見ていったときに、その中でもって類推して、我々の先輩がどういう生き方をしてきたのかということを考えてみると、我々よりもはるかにまじめに、きちっとやるべきことをやり、責任を果たしてやってきたことが、こういうものを見ただけでもよく、見過ごしてしまえば見過ごしてしまうことかもわかりませんよ。だけれども、それをきちっと、コンピューターも何もない時代に、手書きでもってそういうものをきちっと仕上げてやってきた。それも敗戦後の、自分たちがどうなるかわからない、それこそ、満州にいた人だったら、ソビエトが入ってきて自分たちが殺されるかもわからない、そういうような状況の中にあっても、きちっとこういう引き継ぎをやってきたんだ。そういうことを考えたら、いいかげんな処理なんかできないはずなんですよ。

 それは、外務省の方々はその場しのぎのことを考えるかもわからない。外交でもって今必要だ、そのせっぱ詰まったときにはそういう考えになることもあるかもわからない。だけれども、もう既に亡くなった人たちというのは、今この時代の中にあって、自分たちは発言も何もできないわけですよ。何でするんだといったら、こういう資料の中に出てくるわけですよ。その声を読み取るか読み取らないかというのは、今生きている我々の大きな責任じゃないですか。

 外務省の人にはそういうことを考えて外交をやっていただきたいと思うんですよ。だから、これを精査するのにも、自分たちだけじゃなしに公平に正々堂々と、外務省だけじゃなしにほかの省も、各省も全部含めて公明正大に、だれにもわかるような形で精査をしていただきたい、それが私の本音であります。

 同時に、私は兵庫県の選出議員で、かつて十何年か前に阪神・淡路大震災がありました。あのときに、もうみんなパニック状態の中でもって恐怖感にとらわれながら、その中にあっても、物を買うときにはみんなずらっと整列していた国民性なんですよ、日本は。海外の人たちは脅威的な目でそれを見ているわけですよ、日本人の国民性というものを。

 戦後の教育を受けながら、六十年たってもなおかつそれだけのものを維持している日本人というものを考えたときに、当時の人たちがどんな気持ちでこの引き継ぎをやったのか、ぜひそのことをしっかりと自分の胸に、あなただけじゃなしに、大臣から以下全部、そのことをもう一度胸に呼び起こしていただいて、その対応をしていただきたいと思います。

 すべて、この資料の中を全部あけてみたときに、それが出てくるかどうかはわかりません。だけれども、せめてこういうことを見て、わずか一ページ、二ページのものであったとしても、そのことから読み取っていくことの重要性というのは、我々、この後生きていくのに、自分たちがこれから将来の自分たちの孫子に対して、そういう生き方をしたんだということを示す必要があるんだと思うんですね。そのためには、かつてのこういう資料を徹底的に、そこまでやったのか、そこまで読み切るのかと言えるぐらいやっていただきたい、私はそういうふうに思っております。

 六十年もたったものであるから、そのものが本当にあるのかどうか疑わしいこともあるのかもわかりません。だけれども、少しでもその可能性があるんだったら、かつての人たちがどんな思いでそれを残してきたかということを考えれば、そこに自分たちが心を寄せて、心を一つにしてその仕事をやり遂げる責任が我々にはあると思っております。

 わずか三十分のことですから、もうこれ以上私は質問は申し上げませんけれども、きちっと、後、精査をしていただきたい。

 そしてまた、最後に、このことに本当に昔から気持ちを込めて対応をしておられた山谷政務官、何か一言、お言葉があったらどうぞ。

山谷大臣政務官 山形の史料館は、今、かぎがあかないような状況になっております。これをしっかりとかぎをあけさせまして、内閣府、外務省、防衛庁、そして専門家の方たちとしっかりと精査していきたいというふうに考えております。

戸井田委員 どうもありがとうございました。よろしく、しっかりと心を込めてやっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

佐藤委員長 次に、田端正広君。

田端委員 私は、きょうは、安心、安全の確保という視点で質問させていただきたいと思います。

 昨年の骨太の方針、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五の中に、第三章の二つ目の項目として「国民の安全・安心の確保」という大きなタイトルを、私たちの要求によりまして、見出しとして大きな柱を立てていただきました。

 そして、その中でも「「世界一安全な国、日本」の復活を図る」ということもきちっとうたわれておりまして、小泉内閣として、安心、安全を大きな柱としたという意識をきちっとこの骨太の中に入れていただいたわけでありますし、また、別表においては大変具体的な施策をずっと羅列していただきまして、別表の一番冒頭に、この「国民の安全・安心の確保」という一覧を入れていただいているわけでございます。

 それで、ことしもまた、いよいよこの骨太が作成される時期が参ったものですから、昨年ここでうたわれたことが、ことし、この一年、どういうふうに具体的に進捗状況として進められたのか、そして、引き続きこの問題、こんな一年や二年で終わる問題じゃないと思いますから、今後どういうふうにされていくのかということを政府の方でぜひお考えいただきたい、こう思うわけでございます。

 治安対策はもちろんですけれども、特に、自然災害、地震とか台風とか集中豪雨とかたくさんあります。それから、この安心、安全という視点でいけば、例えば交通事故もありますし、公共交通機関のこともありますし、建物の問題もありますし、それから原子力関係もありますし、環境問題、有害物質等の問題もありますし、さまざま、もう本当にいろいろな視点があろうかと思います。

 しかし、何となく今までの政府の考え方というのは、継ぎはぎと言ったら失礼ですけれども、何かあった、だからそれに対応しよう、こういうケースで来ているんじゃないか。安心、安全というものに対しての基本的な理念とか哲学というものを国として、政府としてしっかり持っているんだろうか、そういう危惧をちょっとしているわけであります。だから、この際、そういうことまで掘り下げてしっかりと考えて、そしてまた国民に意識を喚起して、一体となって安心、安全の確保ということをしていく必要があるのではないか。

 私は、人間というのは、人というのは間違いを起こすもの、こう思っています。だから、どんなことであっても、やはり人間が起こす事故というのは必ず出てくる。それから、機械というのは必ずつぶれるもの、壊れるものと思います。どんな機械であっても、何十年もたてばそれはさびついてくるわけでありますから、機械というのは必ずどこかで壊れていく。

 だから、そういう意味で、この安心、安全の確保ということはやはり国の責務であるという大きな視点に立っていただいて、この骨太の方針もことしもまた定めていただきたいと思いますし、そういう意味での内閣としての御決意をお願い申し上げたいと思います。

長勢内閣官房副長官 先生が、安全、安心に多大の御関心をお持ちでお取り組みいただいていることに敬意を表したいと思います。

 小泉内閣発足以来、安全、安心に重点を置いて取り組んできたと思っております。お話のように、安全、安心の観点は、生活の安心もあれば環境の安心もあれば、いろいろな観点から安心、安全と。総じて、国民の皆さん方が、そんないらいらしないで平穏に生活できる社会を目指すということが基本だろうと思うのでございますが、そういう観点から、各般の問題についていろいろな視点から、昨年の骨太方針においても取り組むべきことを明示してきたと思っております。

 そうはいっても、社会保障を初め生活の安心の話と、治安を初め本当に身の危険の話、生命財産の話、若干視点が違うものですから、それを先ほど言ったような、生活全体が平穏に行われる社会を目指すということ以上の哲学というのが、正直言って明確ではないのかもしれません。特に昨今は、ことしになっても忌まわしい事件がたくさん起きておるという、何よりも自分の命あるいは身体がどうなるかということがやはり一番人間としては最低限のことでございますから、この治安の問題について、ここ数年、重点を置いて取り組んできたのは事実でございます。

 世界一安全な国にもう一遍復活したいということを大きな基本方針として昨年は取り組み、具体的にも、治安関係職員の増員を図るとか、そしてまた何よりも地域機能が低下をしているということが大きく問題の解決を困難にしているところでありますので、犯罪防止のための地域における取り組み、こういうものを支援していくということも重点を置いて進めてきたところでございます。

 今、二〇〇六年の骨太方針の検討をいたしております。具体的な方向はこれから検討することになりますけれども、政策全体としてのウエートということよりも、今申し上げましたような、みんなが平穏に生活ができる、そういう意味での各般にわたる安全、安心づくりということをやはり基本的な重点として策定、検討を進めていきたいと考えておる次第でございます。

田端委員 ぜひ、国民の関心もこういったことについて今大変高くなっていると思いますので、これはもう内閣を挙げてお取り組みいただきたい、こう思います。

 それで、具体的な問題に入りたいと思いますが、例えば今、ウィニーの情報流出問題というのは、各般いろいろなところで大きな問題になっているわけであります。これをどういうふうに防いでいくかというのは、これはもう確かに技術と技術の知恵比べといいますか、そういう状況にあろうかと思います。

 政府の方も、今、政府を挙げてこのウィニー対策としての新たなソフトを開発する、こういうことでお考えいただいているようでありますけれども、ぜひそれはしっかりと対応していただきたい。各省ばらばらでやっているんじゃなくて、そういう意味では、情報をどう守るかということですから、政府を挙げてお取り組みいただきたいと思いますが、それがどうなっているのかということが一点でございます。

 それから、例えばウィニーの開発者の人の話によりますと、この人は今、著作権法違反の幇助罪で問われているわけでありますが、このプログラムを数行書きかえるだけで漏えい対策はできるようなこともおっしゃっているわけでありますから、そういったことも含めて、対応をぜひしっかりとしていただきたいと思います。

 ところが、ウィニーが起こった、それで今、それに対する対応をやる。ところがまた新たに、新型のコンピューターウイルスの山田オルタナティブというのが起こってきた。今、毎日三百台ぐらいのパソコンが感染し続けている、こういう状況にあるようでございます。

 そうしたら、きょうの新聞を見ましたら、ファイル交換ソフトのシェアというのが、陸上自衛隊のミサイル情報はここから流出したというのがきょうまた新聞報道で、新しい情報流出が起こってくる。つまり、そういう意味では、まさに技術との知恵比べで起こっているんだな、こういう感じがします。しかし、こういう悪質なウイルスをつくって、そして情報保管あるいは流出をさせた、こういう者に対しては厳然と取り締まらなきゃならない、こう思うわけであります。

 きょう、法務省に来ていただいていると思いますけれども、法規制は一体どうなっているのかということ。法整備を急ぐことで情報流出ということをまず防がなきゃならない、こういうこともあろうかと思いますので、以上二点、お願いしたいと思います。

山浦政府参考人 ファイル交換ソフトウエアを介したコンピューターウイルスによる情報の流出については、大変遺憾に考えております。

 政府機関の重要な情報の流出も明らかになっており、情報流出の防止のため、各省庁に対して、三月九日の事務次官等会議において、職員の一人一人にまで情報管理が徹底されるよう内閣官房長官から厳しく指示が行われたところであります。

 現在、各省庁では、職員への注意喚起のほか、情報流出の再発防止に向けまして、職員が重要情報を許可なく持ち出すことの禁止、私的パソコンの業務利用の制限など、情報管理の徹底について取り組んでいるところであります。

 また、政府機関以外においても情報の流出が多発しておりまして、三月十五日には、内閣官房長官から国民の皆さん一人一人に注意していただくようお願いするとともに、内閣官房のホームページ等を通じまして対策に関する情報提供等を行ったところであります。

三浦政府参考人 罰則の関係について御説明させていただきます。

 御指摘のウィニーを通じた情報流出の問題などのように、近年、情報処理の高度化が進んだ我が国におきましても、コンピューターウイルスというものは短時間のうちに極めて広範囲に広がり、広く社会に被害を与え、深刻な問題となっているところでございます。

 そこで、こうした状況を踏まえまして、現在国会で御審議いただいております関係の刑法等の一部を改正する法律案におきましては、コンピューターウイルスなどの不正なプログラムの作成、提供、供用等の行為自体を処罰の対象とする罪を新設することとしております。

 これによりますと、御指摘のウィニーを通じての情報流出の原因と考えられるコンピューターウイルスを作成したり、これを人のコンピューターで勝手に実行させるような行為につきましては、不正指令電磁的記録作成等の罪の構成要件に該当するものとして、処罰の対象にすることができることになります。

 したがいまして、この法案が成立いたしますれば、悪質なコンピューターウイルスに対して適切に対処ができることになるというふうに考えているところでございます。

田端委員 ぜひ、その法整備と、そして対策を政府としてお取り組みいただきたいと思います。

 次に、交通事故の問題についてお尋ねしたいと思います。

 交通事故は一時期、年間一万人という事故死亡者がいたわけでありますが、それが今、十七年時点で六千八百七十一名というふうに死亡事故も減ってまいりまして、非常にいい流れだと思います。

 今回、政府で第八次交通安全基本計画というのが策定されて、平成二十二年までの五年間で事故死者数を五千五百人以下にする、こういう目標を立てられました。平成二十四年には五千人以下にしたい、こういうことで、世界一安全な道路交通の実現という大変頼もしい方向を示された、こう思います。

 その上でお尋ねいたしますが、一つは、歩行者です。歩行者の事故の割合というのが非常に多くて、死亡者の三割を占めている。これは欧米と比べても大変高いわけでありまして、国際的には、韓国、ポーランドに次ぐ第三位という非常にまだ痛ましいことになっておりますので、ぜひこれは、歩道の整備率も一三%ですか、非常に悪いわけでありますから、そういった意味で、歩行者の安全を確保するための整備、そしてまたバリアフリー等いろいろあろうかと思いますし、そういったことに力を入れていただきたいというのが一点でございます。

 それからもう一つは、高齢者です。平成元年の若者の事故発生を一とした場合、平成十七年は〇・三五というふうに若者の場合は減っています。大変いいことだと思いますが、逆に、六十五歳以上の高齢者が三倍になっていまして、平成十七年は二・九七倍、こうなっております。

 そういう意味では、やはり高齢者の社会、高齢者が安全、安心に歩けるような社会にはまだなっていないなというふうに感じるわけでありまして、教育とかそういうことも必要なんでしょうけれども、あるいは技術とかそういうことも大事なんでしょうけれども、いかに高齢者が安心、安全に町を歩けるようにしていくかということをぜひお考えいただきたい、こう思うわけであります。

 それから三つ目は、自転車による事故であります。自転車は、大人から子供、あるいは男女を問わず、私たち国民生活になくてはならない、非常に活用しているものでございますけれども、交通事故に巻き込まれるケースが大変多いわけであります。そういう意味では、自転車の車道といいますか、自転車道というのがはっきりしていないということもありまして、あるいは自転車に乗る人のマナーの問題もありまして、いろいろな意味でトラブルになっているんだと思いますが、この問題も解決しなければならない。

 以上三点、残された大きな、その目標に向かうにはこの三つは大事だと思いますので、その辺のところをしっかりと御答弁いただきたいと思います。

影山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、我が国では、交通事故死者数のうち、歩行中と自転車乗用中の死者が大変高うございます。諸外国と比べて高くなっておりますし、また、歩行中あるいは自転車乗用中の死者のおよそ六割が高齢者でございます。その高齢者の方は今後もさらに一層ふえていくということ、あるいは、近年、自転車事故がやはり増加しております。こういったことを考えますと、歩行者、自転車利用者にかかわります安全対策が重要であろうということは十分認識しておるところでございます。

 このような観点から、本年四月に、先ほどお話しの第八次交通安全基本計画を受けまして、警察として重点的に取り組んでいく施策を取りまとめました。交通安全対策推進プログラムということでございますが、その中でも、歩行中、自転車乗用中死者数についての具体的な抑止目標を定めております。そういう中で、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 具体的に申し上げますと、一つは、歩行者、自転車利用者の安全確保のために、交通事故の多発しております住居系、商業系地区を指定しましたあんしん歩行エリア、これは全国で約八百カ所ございますが、それとか、あるいは生活道路における交通事故抑止対策を強力にやりたい、また自転車の走行空間の確保対策、これらも道路管理者と連携して総合的に推進してまいる所存でございます。

 第二に、高齢者を初めとします各年齢層を対象とした交通安全教室等を実施して交通ルールの確認を促すほか、例えば横断歩行訓練、自転車の実技、あるいは反射材の有効活用等を体験していただく参加、体験、実践型の交通安全教育、こういったものを推進してまいりたいというふうに考えております。

 それから自転車について御指摘がございましたが、確かに、自転車が被害に遭う事故がふえておりますので、そういった意味では走行空間の確保は大事でございますが、自転車による歩行者事故もふえておりまして、自転車利用者の交通ルール、マナー違反を指摘する声がかなり高まっております。こういったことを踏まえまして、自転車利用者の悪質な違反に対します指導取り締まりは強化してまいろう、こういうふうに考えておるところでございます。

 また、高齢者問題のもう一つの問題としましては、高齢運転者による交通事故がかなり増加しております。先生御指摘の数字は、多分、高齢運転者の第一当事者に責任がある事故だと思いますが、こういった高齢運転者対策も重要な課題だと認識しておりまして、免許更新時の高齢者講習の充実、あるいは道路標識とか道路標示の大型化、高輝度化といったことで高齢者が運転しやすい道路交通環境の整備にも取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。

田端委員 ぜひきめ細かく対応していただきたいと思います。

 次に、六月一日から、今度、駐車違反の取り締まりの新しい制度が民間委託されましてスタートします。それで、今、町中ではいろいろな意味でこの問題について意見や心配のお話を聞くわけでありますので、きょうはちょっとだけ確認させていただきます。

 駐車監視員の方の教育といいますか、その辺は大丈夫なのかということ、あるいは公平公正にそういう対応ができるのか、こういったことの声が非常に強いわけでありまして、この監視員の方がデジタルカメラで写真に撮って、そしてそれを端末機で警察に送って、そしてステッカーを張る、こういう流れでいくわけでありますけれども、今、この委託契約はどういうふうになっているのか、その辺のところを少し御説明いただきたいことと、それからガイドラインで、つまり禁止区域とかそういうことがどういうふうに広報されているのか、広く国民に示されているのかどうかというのが一番心配なところであります。

 例えば宅配便の人とかあるいは引っ越し作業の人とか、いろいろな方が、あるいは、商売でコンビニに品物を入れるとかそういうことでちょっととめたときにどうなるのかとか、そういう集配する車なんかは非常に困るのではないかとか、いろいろなことが言われているわけでありまして、ぜひ丁寧に対応していただいて、監視員に対しても万全な教育をしていただきたい。そういう意味で、この問題、今、当面のことだと思いますが、どういうふうになっているんでしょうか。その辺のところ、しっかりとお願いしたいと思います。

影山政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな駐車対策法制、これはいよいよ六月一日から施行されるわけでございます。これにつきましては、国民生活あるいは経済活動に深いかかわりを持つものであるということは十分認識しておりまして、そういった意味で、地域住民あるいは物流関係事業者等からの意見、要望の聴取等に努めまして、できるだけこれを踏まえた駐車規制の見直し、二年間かけて行いました。あるいは、取り締まり活動ガイドラインの策定もこういったものを踏まえた形でやっております。

 今、先生御指摘の駐車監視員、これは確かに公平公正という声が非常にあるものでございます。これは六月一日からの確認事務の民間委託でございますが、全国で七十四法人と委託契約が締結されております。これによりまして約千六百名の駐車監視員が活動することとなっております。

 駐車監視員につきましては、先ほどのお話のようなこともございます。これは法律上、みなし公務員という位置づけになっておりまして、守秘義務も課されております。こういったことも踏まえまして、現在、都道府県警察の指導のもとに所要の訓練、研修が行われているところでございます。

 さらに、各都道府県警察におきましては、駐車監視員が重点的に活動する場、これはいわゆるガイドラインで示してございますが、これをホームページ等で公表するほか、例えば重点路線とか重点地域につきましては立て看板を設置するなど、地域に密着した広報啓発活動に取り組んでおるものでございます。

 いずれにしましても、今回の制度改正、国民生活との関連も深うございます、各方面からの関心も高いわけでございますので、今後とも十分な広報啓発活動を行いまして、国民の理解のもとで新制度が円滑に施行されるよう努めてまいる所存でございます。

田端委員 官から民への一つの大きな実証実験のテーマだと思います。そういう意味では、ぜひ成功させていただかないと、変なトラブルがふえるようになりますと、また国民の厳しい意見も相次ぐことになると思いますので、ぜひしっかりと対応していただきたいと思うわけでございます。

 それで、安心、安全といいますと、やはり子供の安全、学校の安全、通学路の安全ということがすぐ浮かんでくるわけでありますが、昨年来、地域の防犯ボランティアの方と一体になって、スクールガードリーダーという制度をつくっていただきました。我々もそれをぜひということで応援してまいりまして、ことしの予算で十四億円ですか、そして全国二千四百人の警察官OBを軸にしたスクールガードリーダーを配置していただいて、そして、一人が十校の小学校を担当すれば全国二万四千の全小学校を網羅できる、こういう想定でこのスクールガードリーダーの仕組みが進んでいると思いますけれども、これは今どういうふうな状況になっているのか、その進捗状況をお伺いしたいと思います。

 少子化対策が叫ばれている中で、子供の安全を確保するということは、これはもう本当にそういう意味では大事なことだと思いますので、このスクールガードリーダー、ぜひこれは、地域の皆さんの協力も得て、成功させなきゃならない、こういう思いを持っているわけですが、今、状況はどうなっているんでしょうか。

西阪政府参考人 お答えいたします。

 通学路を含めました子供の安全確保のためには、学校だけでなく、学校安全ボランティアを中心とした地域全体で子供たちの安全に取り組むことが重要であると私どもも認識しております。

 その中で、特に、先生御指摘いただきましたスクールガードリーダーは、この学校安全ボランティアを中心とした学校安全体制整備の上で極めて有効なものというふうに考えております。

 十七年度は九百名の配置でございましたが、先生御指摘いただきましたように、十八年度は予算を倍増いたしまして、全国展開をしたいという考えでございまして、現在、各地方公共団体におきましてふさわしい人材の確保に取り組んでいただいているところでございまして、全国展開のための所要の人数の配置を私どもとしては図っていきたいというふうに考えております。

 今後とも地域全体で子供の安全に取り組む体制の整備ということを支援してまいりたいと考えております。

田端委員 私は、治安対策がこの安全、安心の一番大きな柱だ、軸だと思いますが、治安対策の中でも、そういう意味で、防犯の対策としては地域の力というものと一体になることが非常に大きなポイントだなと思っております。そういう意味では子供の安心、安全も、地域ボランティアの力をかりなくては、なかなか文部省だけではあるいは警察だけではというふうに思うわけであります。

 そういう視点でいきますと、例えば十六年から、市町村の職員とか町内会、自治会の役員の方による自主防犯パトロール車というのがありまして、それに青色回転灯を装備する、こういう仕組みも新たに進めていただいております。これは今四千台ぐらい全国にあるというふうに聞いておりますけれども、そういう意味では、地域の力をかりるという意味で、非常に、防犯パトロールとしてはこういうことはいいんではないかと思います。ぜひこの基準を緩和していただいて、もっとふやした方がいいんではないか、手続をもっと簡単にした方がいいんではないか、こう思います。

 また、一般の公用車なんかには、例えば、防犯パトロール中とか何かそういうステッカーをつけて意識を喚起するような、そういう仕組みも考えればいいんではないか。例えば、今、自転車にパトロール隊とか何か書いて、ママチャリで、お母さん方が乗るときにそういう自転車をよく見かけますけれども、そういうことだって非常にいいわけでありまして、ぜひそういう対応をしていただきたいということ。

 それから、もう一点申し上げますが、全国に生活安全条例を制定している都道府県が二十八あると聞いておりますが、例えば滋賀県では、この条例制定で三年間で犯罪認知件数が四一%減った、こういうふうに言われています。そういう意味では、自主防犯活動というものが、こういう条例を制定することによって、例えば防犯に関するブザーとかあるいはそういう資材を支援することによって犯罪を防いでいる、こういう地域ぐるみの防犯体制が進んでいるということでありますので、そういったこともぜひ進めていただきたい、こう思うわけであります。

 その上で、最後に、国家公安委員長にせっかくお見えいただいているので締めくくっていただきたいんですが、この国民の安全、安心の確保というのは、最大の国民的関心事ではあります。その中で一番大きなことは、やはり、地域の力をかりて、そして安心、安全を確保するということが非常に大事であり、その責任が国家公安委員長にあろうかと思うわけでありますが、御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

沓掛国務大臣 先生、最初に、青色回転灯の問題、またステッカーの問題、あるいは生活安全条例の問題の御質問ございましたので、時間の関係もありますけれども、まず簡単にこれを御説明させていただきたいというふうに思っております。

 警察では、地域の防犯力を高めるためには、みずからの地域はみずからの手で守るという自主防犯意識の向上に努めていくことが必要と考えておりまして、自主防犯ボランティア団体が全国各地で結成され、積極的に活動していくことが重要であると思っております。昨年の暮れで約二万団体ができております。この一年間で倍ぐらいできてきております。

 そこで、自主防犯ボランティア団体の活動がより円滑になされるよう、国土交通省と協力の上、自主防犯パトロールを適正に行うことができる旨の証明を受けた者については、道路運送車両の保安基準の基準緩和の認定の手続により、平成十六年十二月一日から、青色回転灯の自動車への装備を認めることとしたところであり、平成十七年十二月三十一日時点において、全国で四千百二十九台に達しております。また、青色回転灯の普及方策についても、これからいろいろなことをやっていきたいというふうに思っております。

 さて、ステッカーの問題ですが、なお、青色回転灯を装備した自動車については、警察が証明するに当たり、当該自動車の車体に団体の名称及び自主防犯パトロール中であることを明確に表示することを求めているところでありますが、青色回転灯を装備した自動車を運行している地域住民等から、統一したステッカーを貼付してほしいという要望もありますので、また、そういう要望を受けながら、この問題を真摯に検討してまいりたいというふうに思っております。

 また、各都道府県における生活安全条例等も大変有効だと思っておりますので、そういう点についても、また大いに進めるよう努力してまいりたいというふうに思っております。

 何はともあれ、地域の安全を守っていくためには、これは警察だけでできるものではありません。何といっても、地域住民の皆様、あるいは個人個人の皆様方のそういう御協力をぜひいただかなければなりませんし、そういう面でのPRというようなこと、方法等については、基本的に、先生、初めから大変適切な御質問をいただいており、それに対するそれぞれの回答そのもの自体が非常なPR効果になるというふうに私は思っております。

 これからもまた、先生の御指導等を踏まえつつ、しっかりと世界一安全な国日本の復権のために努力してまいりたいというふうに考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

田端委員 ぜひ、世界一安全な日本の復活を目指して頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。

佐藤委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。民主党の川内でございます。

 きょうは九十分というお時間をいただいておりまして、質問事項も多岐にわたりますので、テンポよく質問をさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。

 まず、経済財政政策担当の与謝野大臣にお伺いをさせていただきます。

 昨今は、経済財政諮問会議がさまざまな政策の企画立案に中心的な役割を果たし、新聞あるいはテレビのニュース等でも、経済財政諮問会議の中でどのような議論が行われているかということが大変大きな注目を集めるわけでございまして、おとといも、歳出歳入の一体改革がいかにあるべきかということについての議論が行われ、そしてまたさまざまな資料が提出をされ、それが話題になるというようなことのようでございます。

 内閣府設置法の第十九条で、経済財政諮問会議については、内閣総理大臣の諮問に応じて経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本方針、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する重要事項について調査審議すると定められておりまして、議長は内閣総理大臣が務めるというふうになっております。さらには、経済財政諮問会議令第五条に「議事の手続その他会議の運営に関し必要な事項は、議長が会議に諮って定める。」というふうに書いてあります。

 その議長が会議に諮って、すなわち、内閣総理大臣が経済財政諮問会議に諮ってお決めになられた経済財政諮問会議の運営規則第六条で、審議の内容等の公表について、会議の終了後遅滞なく行われ、議事要旨は、運営細則第二条により、会議翌日から三日以内に公表ということになっております。

 この議事要旨を会議翌日から三日以内に公表ということは結構でございますが、運営規則第八条で、議事録を作成し、一定期間経過後に公表するということになっております。さらには、運営細則第三条で、その一定期間とは四年間とすると書いてございます。

 私は、自分自身、経済財政諮問会議の議論の内容というものに大変注目をしておりますし、国民の皆様方も、この経済財政諮問会議でいかなる議論が行われているかということに関しては重大な関心を持っていらっしゃるというふうに思います。

 そこで与謝野大臣にお尋ねをいたしますが、平成十一年四月二十七日に閣議決定をされた審議会等の整理合理化に関する基本計画の中においては、審議会等の運営に関する指針の(四)というところで、「会議又は議事録を速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保する。」と閣議決定文書に出ております。「議事録を速やかに公開する」と書いてございます。

 経済財政諮問会議は、議事概要については三日後に公表されるわけでありますが、議事録については四年後に公表される。しかし、閣議決定文書では「議事録を速やかに公表する」と書いてございます。

 私自身は、経済財政諮問会議が今現在果たしている政策の決定に関する重要な役割、役目を考えれば、議事録そのものを速やかに、文字どおり、閣議決定文書にあるように速やかに公表すべきというふうに考えますが、経済財政担当大臣としての、議長代理としての御所見を承りたいというふうに思います。

与謝野国務大臣 まず、細かいことでございますが、先生が言われました審議会等の整理合理化に関する基本計画、これは確かにございます。ここで審議会等といったものが何を指しているかということでございますが、この基本計画における審議会等というのは、国家行政組織法第八条並びに内閣府設置法第三十七条及び第五十四条の審議会を指しております。したがいまして、内閣府設置法第十八条等で規定しております経済財政諮問会議はこれには該当をいたしておりません。

 したがいまして、ここで言っております議事録公表につきましては、これは諮問会議には該当しないことでございまして、細かいことでございますが、閣議決定に反しているものではないというのが第一点でございます。

 そこで、委員御指摘のように、経済財政諮問会議の議事録は、運営規則において四年後に公表することを定めております。議事録公表までに四年という期間を置いている趣旨というのは、一つは、経済財政諮問会議における詳細な発言内容が外部に公表されることが会議における議員の自由闊達な議論の妨げになる可能性があるということを考慮したためでございます。

 なお、経済財政諮問会議は、会議終了後遅滞なく、内閣府特命担当大臣が、この場合は私でございますが、記者会見をいたしまして、配付されたあらゆる資料も公表いたしますし、また、私がとっておりますメモその他会議の進行についてはすべて記者会見で明らかにするようにしております。

 また、議事要旨が三日以内に公表されるということでございまして、配付された資料及び議事要旨、また私の記者会見を読んでいただきますと、諮問会議で何が議論されたということは、もう本当に一〇〇%近い透明性を持って御理解をいただけると思っております。

川内委員 まず一点、閣議決定文書に言う審議会等には経済財政諮問会議は入らないというふうに大臣は御答弁されたわけでありますが、この審議会等が何を指すかということに関して、ちょっと私不勉強で申しわけなかったんですが、根拠文書はありますか、事務局の方で結構ですから。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の審議会等の整理合理化に関する基本的計画の一のところで、審議会等、これにつきましては「国家行政組織法第八条並びに内閣府設置法第三十七条及び第五十四条の審議会等をいう。」というふうに規定されております。

 以上でございます。

川内委員 それは私も気づきませんで、うかつでございました。

 それでは、経済財政諮問会議はこの審議会等には当たらないから、議事録を速やかに公表する必要はないのであるという今政府の御見解なわけでございますが、しかし、それこそ他の審議会等については、議事録が速やかに公表され、そして、その中でいかなる議論が行われているかということに関しては国民の皆様に公開をされている。他方、経済財政諮問会議という、今、この国のさまざまな政策について重大な決定権を持っている会議体の、議事概要は公表されているが、議事録については四年後でなければ公表をされない。

 それで、大臣は今御答弁の中で、ほとんど一〇〇%に近い透明性を確保しているというふうにおっしゃられたわけでありますが、私が、四年前に会議された経済財政諮問会議の今現時点で公表される議事録と議事概要を比べたときに、厚さというか、議事概要は半分ぐらいなんですね。半分ぐらい省略されているんです。要するに、議事概要というのは議事録という全体があるから議事概要があるわけですね。

 では、この議事録の中からどれを抜き出して議事概要にするかというのをチョイスしているのはだれですか。

与謝野国務大臣 そう恣意的にやっているわけではございませんで、きちんと内容を議事要旨という形でまとめております。そこに、これは発表する、これは発表しないという恣意性は実は全くありません。

 加えまして、私も記者会見をいたしますし、また、諮問会議で配られました資料はすべて世間に公表いたしますし、また、諮問会議のメンバーに、この話はなかったことにしようというようなことは一度もございませんから、諮問会議のメンバーも報道機関その他の方々と接触をして内容をすべて明らかにしておりますので、そういう意味では、諮問会議の内容は、他の審議会に比肩し得る精度と透明性を持って明らかにされているということを私は確信しております。

川内委員 大臣がそう御主張されるのであれば、私は、なおさらのこと、議事録を速やかに公表されたらいかがかというふうに思います。

 私が、かつて、ある閣僚を経験された方の雑談の中で、経済財政諮問会議で自分が発言をしたことが議事概要には記載をされなかったということをお聞きしたことがございます。私は、その閣僚経験者の方の発言の内容というものをお聞きして、大変重要な発言であるというふうに思いましたが、それは議事概要には載らなかったということでございました。

 しかし、今、大臣は、そんなことはない、恣意的なことはないんだ、一〇〇%に近い透明性を確保しているということであれば、私は、議事録を速やかに公表される、それが会議体の透明性を、痛くない腹を探られることはないんだとおっしゃるわけですから、であれば、すべてオープンにしてやっていただきたい。

 経済財政諮問会議は、自由闊達な議論をする場ではなく、この国の重要な政策について責任ある発言をされる方々の集まりであると私は信じております。であれば、なおさらのこと、自由闊達な議論であったとしても、それは、一人一人の発言は責任ある発言でなければならないというふうに考えます。

 したがって、何度も繰り返し申し上げますが、総理に、経済財政諮問会議議長に、議長代理として、きょう国会でこのような指摘があった、議事録を四年後に公表するということになっているが、このような指摘を受けて、議事録の速やかな公表について、会議体に、経済財政諮問会議に諮りたい、あるいは、諮るのはいかがかというぐらいは相談をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 諮問会議では自由闊達な議論のできるような場を整えなければなりませんし、それと同時に、責任ある発言をしていただかなければなりませんし、また、それがよく国民に伝わるようにしなければならない。これらの要請を受けました今の仕組みというのは、私はよくできた仕組みだと思っておりますが、委員御指摘であらば、総理に、このような質疑があったということは報告をさせていただきます。

川内委員 ありがとうございます。それでは、よろしくお願いを申し上げます。

 与謝野大臣、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。総理によろしくお伝えください。

 次に、六月一日からスタートをいたします駐車違反取り締まりの民間委託の拡大による駐車監視員制度について、沓掛大臣にお伺いをさせていただきます。

 まず、週刊朝日五月十九日号の記事でございますが、今後は放置違反金というものを払えば違反点数はつかなくなる。今、駐車違反をすると違反点数が一点ということになるわけでございますが、今後は放置違反金というものを払えば違反点数はつかなくなるというふうな記事が出ておりました。

 すなわち、これはどういうことかというと、駐車違反をすると確認標章というステッカーを車に張られる。張られた人は今までどおり警察署に出頭して反則金を払う。反則金を払うと、反則したわけですから切符を切られ、違反点数がつくわけで、さらにこれが累積すると免許停止などの行政処分を受けるということになります。

 ところが、この確認標章を張られても出頭しないで、そのままにしておくと、ナンバーからその車の持ち主が割り出されて、車検証上の使用者に通知が来る。そして、その通知に基づいて銀行振り込みなどの手段で反則金と同額の放置違反金をお支払いすると、これは反則金ではなく放置違反金なので違反点数はつかないということになる仕組みなんだそうでございます。

 そうすると、正直な人は、出頭して、罰金払って、反則金払って、違反点数がつく。しかし、ほっておけという人は違反点数がつかなくなるということで、若干公正さを欠くというような気がいたしますが、なぜこのような制度にされたのかということについて御説明をまずいただきたいと思います。

影山政府参考人 御説明申し上げます。

 放置違反金の制度でございます。

 本来、確かに車両の運転者に対する責任ということでございますが、その責任追及ができない場合に、違反車両の使用者が有する運行管理義務、これに着目いたしまして、その責任を追及する、こういう趣旨でございますので、したがいまして、運転免許にかかわります違反点数の付加は確かに行われないところでございます。

 ただ、一定期間繰り返してこの納付命令を受けた場合には、都道府県公安委員会による車両の使用を制限する旨の命令を受けることになりますものですから、そういった意味で、駐車違反の反則告知を受ける場合と比べて、一概にどちらが有利、不利と言うことはできないのではないかな、こういうふうに我々は考えておるところでございます。

 そもそも、この違反金の制度でございますが、実は、これまでの制度では、放置駐車違反を行った運転者の責任追及が十分に行われない場合があるわけであります。先生おっしゃられましたように出頭しないとか、あるいは出頭しても違反事実を否認するといった者が近年実はふえてございます。約三割近くがそういう者がおりまして、いわゆる逃げ得が非常にふえておるということで不公平が生じておる。

 そういう中で、車両の使用者に対して行政的な制裁を加えることによって、公平で確実な責任追及を可能とするように創設された、こういうふうに考えておりまして、そういった意味では、現行の制度よりも放置違法駐車の抑止に資するものと認識しておるところでございます。

 いずれにしましても、このような制度の趣旨及び内容につきまして国民の十分な理解が得られますよう、引き続き広報啓発活動に努めてまいる所存でございます。

川内委員 この放置駐車違反の取り締まりの民間委託については、後ほど同僚の市村議員からも聞かせていただきますので、私は沓掛大臣に総論的なところを一つ聞かせていただきます。

 この六月一日から始まる駐車違反取り締まりの民間委託については、ほんの一分でも、放置駐車違反だということで、確認標章が張られて、違反になってしまうのではないかということで、多くのドライバーが戦々恐々としておりますし、また、もちろん法令に違反することそのものは、違反は違反ですから、ある意味いたし方ないということも考えるわけでございますが、しかし、他方、法律上は取り締まることができるという規定になっていて、すべてを取り締まらなければならないということでもないようでございますし、車を使った仕事をしていらっしゃる方々、あるいは社会生活、経済活動に大きな支障が出てはならないというふうに考えられるわけでございます。

 今回のこの民間委託がそういう社会生活や経済活動に大きなトラブルを生じさせるのではないか、あるいは警察の方々の天下り先を確保するための制度ではないのか、あるいは情報公開はきちんと行われるのかというふうに市民の皆さん、国民の皆さんは大きな疑問や不安を持っていらっしゃるのではないかというふうに思われます。

 そのような疑問や不安に対して、いつでも誠実に答えていく、情報公開も徹底してやる、あるいは改善点があれば積極的に改善をしていくというふうにしていかなければならないと思いますが、今回の民間委託の制度に対する決意も含めて、沓掛大臣に一言御答弁をいただきたいと思います。

沓掛国務大臣 お答えいたします。

 今回の駐車対策法制の施行に当たりまして、警察では、地域住民を初めとするさまざまな方の意見、要望も踏まえ、取り締まりの前提となる駐車規制の見直しや、重点的な取り締まりを行う場所、時間帯等を定めたガイドラインの策定を進めてきたものと承知しております。

 また、策定されたガイドラインを全国の警察においてホームページで公表しているほか、制度改正の内容についてもポスター、新聞、テレビなどを活用した積極的な広報に努めているところであります。

 今回の制度改正は、国民生活との関連も深く、関心も高いことから、国民の十分な御理解を得られるよう、積極的な広報啓発活動に引き続き取り組んでいくよう警察を督励していきたいと思っておりますが、一分でもというようなことではありません。やはり、この民間の駐車監視員は、それを確認して、ちゃんといろいろなもので写真を撮り、そういうものを認識した上で、さらに標章を張った時点でもうそれで終わるんですけれども、それまでにはかなり何分間かの時間もあるわけですから、そういう点で、すぐ用事を短い時間で足していただければ、そういう御不便も少ない、解消されるんではないかと思います。

 ただ、長時間を回っておれば、これはそういうふうにはならないので、しかし、そういう実態も踏まえながら、この運用が円滑に進めていかれること、また、その後においてのいろいろな問題があれば、さらにそれも十分検討していきたいというふうに考えております。

川内委員 それでは、ちょっと警察の事務方の方に最後に確認をさせていただいておきたいんですが、今沓掛大臣が、いや、数分は大丈夫だという趣旨の発言をされたわけでございます。私が承るところによりますと、最初は、この民間委託をされた、その取り締まりをされる方々も、機械の操作とか張る作業に手間取って時間はかかるでしょうが、なれると大体一分ぐらいでできるんじゃないかというような話も聞いております。

 基本的に、取り締まられるのは車両をすぐ動かすことのできない状況に放置する放置駐車違反であって、車をすぐ動かせる状態である継続駐車の場合にはこの駐車違反取り締まりの対象ではないということだけ、法律の放置駐車と継続駐車の違いについて最後ちょっと御答弁いただいて、この問題を終わらせていただきたいと思います。

影山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の民間委託による駐車監視員制度、これはあくまで放置駐車でございますので、すぐに運転できない状態の車について監視員が確認をし、標章を張る、こういう制度でございます。

 ただ、では乗っていれば違法駐車のところをずっとやってもいいか。これは駐車監視員という形ではやりませんが、普通の一般の警察官が、駐車禁止場所ですよというところで警告したり、あるいは場合によっては、悪質な場合は駐車違反として検挙する、これはあり得ると思います。

 以上でございます。

川内委員 それでは、次の問題に行かせていただきます。

 これは警察にも大きくかかわる問題でございますが、今、隣の委員会室で審議されております共謀罪に関連してお伺いをさせていただきたいというふうに思いますが、これは外務省にお伺いしたいんです。

 というのは、一昨日、五月十日の法務委員会で、私が質疑の中で、昨年十月三十一日提出の同僚の平岡秀夫議員の質問主意書に関して、G8の中で共謀罪を選択したアメリカ、イギリス、カナダについて、対象となる重大な犯罪、長期四年以上の自由刑に当たる犯罪は幾つあるのかということについて、文書で問い合わせをして文書で回答を求めてほしいと資料請求をした件についてでございますが、今後、外務省としてどのように対応されるのかということに関してお伺いをさせていただきます。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 G8の中では、アメリカ、イギリス、カナダがその国内法体系におきまして共謀罪の規定を有しているということでございますけれども、これらの国の国内法におきます重大な犯罪に該当する犯罪の数につきましては、昨年も照会したところではございますけれども、委員御指摘のとおり、十日の衆議院法務委員会の場での委員の御指摘を踏まえまして、改めて各国に書面で照会をいたしました。

 このうち、アメリカにつきましては既に書面によりまして回答を得ております。

 これによりますと、国際組織犯罪防止条約に定義される重大な犯罪の要件を充足する犯罪がアメリカにどれだけあるのか、その正確な個数に関する情報は残念ながら提供できない。連邦の刑法典だけを見ても、少なくとも数百の犯罪は存在する。これに加えまして、刑法典に含まれない、例えば環境犯罪とかあるいは反トラスト犯罪のように、重大な犯罪の要件を充足する多くの犯罪が特別な刑事規定として存在をするということもございます。

 また、連邦制度を採用している関係上、アメリカでは五十の州がそれぞれにこの要件を充足する非常に数多くの犯罪を定めているということでございまして、こういう犯罪の個数を数える必要性が今までアメリカにおいて生じたことがないということでございました。

 なお、アメリカの連邦法におきましては、共謀罪につきまして、特に法定刑の重さ等による限定は設けていないというふうに承知をしております。

 他方、イギリスでございますけれども、これも書面によって既に回答を受けております。

 これによりますと、英国法におきましては、犯罪は単一の刑法により定めているのではなく、膨大な個別法の中で定められているということでございまして、イギリスにおきます重大な犯罪に該当する犯罪の数を提供することは残念ながらできないということでございます。

 また、共謀罪の対象犯罪については、アメリカも同様でございますけれども、法定刑の重さ等による限定を付しておらず、理論的には、すべての犯罪について共謀罪が成立するものであるということでございます。

 最後にカナダでございますが、カナダにも書面で要求しておるわけでございますけれども、まだ書面による回答は得られておりません。ただ、昨年の照会の際には、重大な犯罪に該当する犯罪の数は把握していないという回答を得ております。

 なお、カナダにおきましては、共謀罪の対象犯罪は、正式起訴可能犯罪及び略式裁判で処罰される犯罪のすべてであるというふうに承知をしております。

川内委員 素早い御対応をいただいて、感謝を申し上げます。

 さらにちょっとつけ加えてお聞きをさせていただきたいんですけれども、アメリカ、イギリス、カナダというのは判例法の国で、日本は大陸法というか成文法の国なわけでございますが、G8の中で、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、大陸法の国々は国際連合条約の中で参加罪を選択しているわけでございまして、日本だけが、アメリカ、イギリス、カナダというふうな判例法の国々に倣って共謀罪を選択した。他方、成文法の国々であるフランス、ドイツ、イタリア、ロシアは参加罪を選択しているということでございますが、このフランス、ドイツ、イタリア、ロシアの参加罪についての規定ぶり、さらには、どのように団体を特定しているのかということについて御説明をいただきたいというふうに思います。

神余政府参考人 お答え申し上げようと思います。

 確かに委員御指摘のとおり、ドイツ、フランス、イタリア等におきましては、いわゆる参加罪というものを選択しているわけでありますけれども、ドイツの国内関連法におきましては、もともと参加罪に当たる犯罪として犯罪団体の結成の罪というものがございまして、その犯罪団体の結成の罪は、その目的もしくは活動が犯罪行為の遂行に向けられた団体を設立した者、またはこのような団体に構成員として関与し、そのために構成員もしくは支援者を募り、またはこれを支援した者は五年以下の自由刑または罰金刑に処するというふうに規定されているというふうに承知をしております。

 なお、フランス、イタリアにつきましては、それからG8ということでございますとロシアというのもあるんですけれども、その国内法におきまして、御指摘のありました国際組織犯罪条約第五条一(a)、これをどのように実施しているかにつきましては、明確には把握をしておりません。

 委員の御指摘のありましたように、大陸法あるいはそうでない系統の国ということでございまして、日本はどちらかというと大陸法に近いということでございますけれども、日本の国内法制の観点から、どちらかというと参加罪よりも共謀罪というものが日本の法制に親和性があるのではないかということで、選択をした次第でございます。

川内委員 また、この問題に関しては、多分法務委員会の方でしっかりと詰めていかれると思いますが、私も重大な関心と興味を持って審議の行方を見守らせていただきたいというふうに思います。

 次に、沖縄のことについて若干聞かせていただきます。

 実は、内閣府の沖縄に関する予算が、毎年五十億円ほど、沖縄振興調整費という形で各省予算につけかえられて使われているということでございまして、その中で、ジュゴンの保護、沖縄の海に存在をしている大変貴重な哺乳類、海の中の哺乳類であるジュゴンの保護のために、この内閣府の沖縄振興調整費というものが使われているそうでございます。

 正確に言うと、沖縄特別振興対策調整費から、平成十三年度はジュゴン保護のために一億五千二百万円、平成十四年度は一億四千万円、平成十五年度が一億七千六百万円、平成十六年度が一億九千六百万円使われている。ところが、平成十七年度に二千七百万円に減った。さらに平成十八年度当初予算ではゼロになったということでございまして、内閣府としてジュゴンの保護に関してどのようにお考えになられていらっしゃるのかということに関して、予算を所管している内閣府としてのお考えをまず聞かせていただきたいというふうに思います。

満田政府参考人 沖縄振興の調整費についてのお尋ねでございますが、お答え申し上げます。

 ジュゴンにつきましては、御指摘のとおり、その生態等に関する基礎的情報を収集するという見地から、平成十三年度から、生息状況あるいは海草藻場、えさ場ですね、藻場の状況などにつきまして調査を実施するということで、必要な所要額につきまして調整費の中で確保されてきたということでございます。

 御指摘の環境省分に加えまして農林水産省分もございまして、十三年度以降、一億五千二百万、一億八千百万、二億九千百万、二億七千八百万、十七年は六千六百万という形で累計九億六千八百万の金額を措置して、各省移しがえということにさせていただいたところでございます。

 御指摘の十八年度についてでございますけれども、まだ年度当初で、現時点ではまだ調整中の段階でございますし、ジュゴン保護に関します仕組みといたしまして、機動的に振興施策を実施するという見地から、県からの要望がある、しかもその県からの要望はその都度出てくる、こういう仕組みになっておるんですけれども、現時点において、県の方から所要額確保の要望というのは出てきていないというのが現状でございます。

 ただ、もちろん自然環境に著しい影響を及ぼさないということは非常に重要なことでございます。これは、全国にとりましても、そしてまた沖縄にとりましてもさらに重要なことであるというふうに考えておりまして、最大限努力を行うという見地でございます。

 また、昨年度も、県の地元の方でさまざまな調整をして、先ほど申し上げましたとおりその都度要望が来るという状態になっておりまして、年度半ばで来て、きちんと措置をさせていただいた、こういう状態にございます。

 地元の詰めをいましばらく見守って、しかるべきタイミングで、我々としても必要がございましたらいろいろと調整して適切に対処していきたい、こういう認識でございますので、よろしくお願いします。

川内委員 適切に対処をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、昨日、米軍の再編に絡みまして、沖縄県知事と額賀防衛庁長官との間で、ある一定の合意がなされたというふうにお聞きをしております。

 その合意文書の中に、合意文書というか在沖米軍再編に係る基本確認書、その2というところに、「防衛庁と沖縄県は、平成十八年五月一日に日米安全保障協議委員会において承認された政府案を基本として、1普天間飛行場の危険性の除去、2周辺住民の生活の安全、3自然環境の保全、4同事業の実行可能性―に留意して、対応することに合意する。」というふうに書いてございます。

 3の自然環境の保全という言葉の中には、当然に、普天間飛行場代替施設の予定地である辺野古海域に生息をするとされるジュゴンの保護ということも含まれるという理解でよろしいかということを防衛庁の方に御説明いただきたいと思います。

木坂政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、額賀防衛庁長官と稲嶺沖縄県知事との間で、御指摘のとおりの基本確認書を結びまして、ただいま先生から御指摘のあったとおりの内容の確認をしたところでございます。

 当庁といたしましては、普天間飛行場代替施設の具体的な建設の計画の策定に当たりましては、ジュゴンや藻場を初めとする自然環境の保全に十分留意しまして、沖縄県を初めとする関係地方公共団体と協議を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。

川内委員 そこで、この問題に関して環境省にお伺いをさせていただきますが、種の保存法という法律があって、その中に、絶滅の危機に瀕している希少野生動植物種に関しては、指定をし、保護を図っていくということが定められております。

 ジュゴンについては、海中の哺乳動物として希少であるし、さらにはその個体数も非常に限られているということで、一刻も早く国内希少野生動植物種に指定をするということが必要であろうというふうに考えられますし、内閣府の沖縄担当大臣でもある、そしてまた環境大臣でもある小池大臣は、平成十六年、二〇〇四年の十一月九日の環境委員会で、このジュゴンの国内希少野生動植物種の指定に向けて必要な検討を進めていきたいというふうに決意を語っていらっしゃいます。

 それからもう何年かが経過をしているわけでございますが、種の指定に関して今現在どのように推移をしているのかということに関して御説明をいただき、そしてまた、決意というか方向性をお示しいただきたいというふうに思います。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省は、平成十三年からジュゴンと藻場の広域的調査を実施してきておりますが、これまでの調査の中で、航空機の調査それから空中写真の解析であるとか潜水調査であるとか、さまざまな調査を実施し、ジュゴンにつきましてさまざまな知見を得てきているところでございます。

 主な内容を少し申し上げますと、ジュゴンは、沖縄本島周辺海域のうち、東海岸の中北部また西海岸の北部に生息していると考えられる。あるいは、沖縄本島周辺にジュゴンのえさ場となり得る藻場は約二千ヘクタール程度存在すると推定される。ジュゴンは、沖縄周辺に生育する七種類の海草を食べている。あるいは、ジュゴンは、一定の藻場を、同じ藻場を継続的に利用しているものではないようである。こういうようなさまざまな知見が得られてきております。

 また一方で、ジュゴンの保護対策を進めますには、漁業者など地元関係者の理解と協力を得ることが不可欠でございまして、このため、生息状況等の調査に並行いたしまして、ジュゴンが漁網により混獲された際のレスキュー方法の研修であるとか、あるいはジュゴンの保護の必要性、生息状況につきまして漁業関係者の理解を深めるための普及啓発、こういった、現時点で考えつくことをさまざま進めてきているところでございます。

 今後の取り組みでございますが、こういった地元の関係者の理解が得られるように対話を進めながら、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種の指定に向けて、専門家の意見なども聞きながら引き続き必要な検討をしていきたい、かように考えておるところでございます。

川内委員 必要な検討を進めていきたい、種の指定をする方向でということですね。もう一回、ちょっとそこだけ確認させてください。

黒田政府参考人 国内希少野生動植物に指定するということを目指してさまざまな検討をしていきたい、こういうふうに考えております。

川内委員 先ほど内閣府も、適切に予算を、措置を講じてまいりたいということをおっしゃっていただいておりますので、ぜひとも前向きに精力的にやっていただきたいというふうに思います。

 続いて、やはりこれも内閣府の沖縄振興に関する件でございますが、沖縄の石垣島の八重山、白保地区のサンゴ礁というのは大変な世界的なサンゴ礁であり、これはしっかりと保全をしていかなければならないわけでございますが、西表国立公園にはいまだに編入をされておりません。

 私の昨年三月十五日の国会での質問で、当時の環境省の小野寺自然保護局長は、今から一年後ぐらいをめどに西表国立公園への編入を目指してやってまいりたいと考えておりますと答弁をされたわけであります。あれから一年たったわけでございますが、八重山、白保地区の西表国立公園への編入についてどのように進捗をしているのか、今後のスケジュールも含めて環境省の方針をお伺いさせていただきます。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 石垣島とその周辺海域の西表国立公園への編入に関しましては、これまで地元の石垣市などといろいろ調整を重ねてきておりまして、これまでの調整を通じまして、石垣市のおおむねの了解というのは得られておるところでございます。現在は、公園の区域あるいは公園の利用の計画、こういったことにつきまして、こういうことに関する具体案を市あるいは漁協など関係者に提示をしまして、調整を行っておるところでございまして、この取りまとめに今後力を入れていきたいというふうに考えております。

 今後でございますが、こういった地元の調整を早期に終えまして、その後、自然公園法に基づきます所要の指定に向けた手続、こういうことを順次行い、来年の半ばには編入が実現するように努力してまいりたい、このように考えておるところでございます。

川内委員 来年の半ばに編入が実現をするように努力してまいりたいという御答弁で、ぜひ来年の半ばには実現をするように私の方からもお手伝いをさせていただきたいというふうに思います。

 次に、食の安心、安全についていよいよお伺いするわけでございますが、松田大臣、もうちょっと待っていてくださいね、きょうはたくさん聞くことがあるものですから。

 まず黒豚について、農水省に来ていただいていますので、伺わせていただくんですが、ちょうど一年前の五月十八日の農水委員会で、私は黒豚の定義について質問をいたしました。

 現在は、平成十一年の農水省畜産局長通達である食肉小売品質基準において「バークシャー純粋種の豚肉のみを「黒豚」と表示できるものとする。」と定義されております。

 ところが、その後、それまでは全く想定をされていなかったアメリカ産やカナダ産のバークシャーが大量に輸入をされて、それらが鹿児島産黒豚として販売をされ、非常に大きな黒豚偽装表示事件というものが起きたわけでございます。

 私は、偽装表示を根絶する、あるいは、黒豚というのは鹿児島を中心として、茨城やあるいは宮城や北海道の生産者の皆さんが、肥育期間も長いし、生まれる頭数も少ないけれども、一生懸命に育てて、日本語のブランドとして確立をしたものであります。そういう日本の知的財産戦略の面からも、小泉内閣御自身も農林水産物のジャパン・ブランド化というものを標榜されていらっしゃるわけでございますが、この際、黒豚の定義をバークシャー純粋種の豚肉ではなく、国産のバークシャー純粋種の豚肉のみを黒豚と表示できるものとするとすべきであるということを昨年の農水委員会で御指摘を申し上げたわけでございます。アメリカ産やカナダ産のバークシャーは、バークシャーというブランドで販売すればいいわけでございます。

 農水省からは、そのときに、消費者あるいは販売業者にアンケートを実施する、とりあえず聞いてみるという御答弁がございました。先日アンケートの結果が出たようでございますが、この場で改めてアンケート調査の結果を御報告いただき、そしてまた今後の方針についてお伺いをさせていただきたいと思います。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 黒豚の定義につきましては、委員今お話をいただいたとおりでございます。

 昨年の五月十八日の衆議院農林水産委員会で、国産のものに限定すべきではないかという御指摘をいただきまして、これを踏まえまして、まず消費者、あるいは卸売業者、小売業者の認識、意向、こういうことを把握したいということでアンケート調査を実施したいというふうに御答弁をさせていただきました。平成十七年度に実施をしたところでございます。

 今般この結果がまとまりまして、黒豚の定義につきましては、消費者の約六五%、卸売業者、小売業者の約七一%の方から、黒豚という言葉の使用を国産に限るべきだと思うという回答をいただいております。

 私どもといたしましては、この検討結果を、この表示を使っております全国のお肉屋さん、販売店、卸売業者などが公正取引の観点からつくっております全国食肉公正取引協議会、ここに提示をいたしまして、検討を依頼しているところでございます。この協議会での意見も踏まえまして、黒豚の定義につきましては、消費者の商品の選択に資するという観点から適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。

川内委員 適切に対応していきたいというのは、国産のという限定を付する方向でという意味でよろしいですか。

町田政府参考人 まずは食肉公正取引協議会に今検討を依頼しておるわけでございますが、アンケート結果も出ておりますので、そういった結果も尊重し、踏まえながら、まずは検討いただいて、それを踏まえながら検討していきたいということで、きょうの時点ではそういうお答えをさせていただきたいと思ってございます。

川内委員 前向きじゃないんですか。こんなところで時間をとりたくないんですよ、前向きなのかどうなのかということをちょっと御答弁いただきたいんですけれども。

町田政府参考人 大変失礼いたしました。

 前向きに検討していきたいということでございます。

川内委員 はい。ありがとうございます。

 それで、きょうは九十分も時間をいただいたんですが、まだ半分も質問が終わっておりませんで、松田大臣には大変お待たせをするんですが、もうちょっと待っていていただいて、沓掛大臣の御所管の古物商の皆様方に関する件を、きょうは経済産業省に来ていただいておりますので、電気用品安全法、PSE法について若干お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 この件は、もう大変技術的に難しい問題がたくさんあるんですけれども、一応御説明を申し上げますと、ことしの四月一日からPSE法が本格施行されたわけでございますが、PSEマークのない改正前の電気用品取締法時代に製造された旧法の表示のある中古電気用品は、中古販売事業者が販売しようとすれば、中古販売事業者の皆さんは、製造事業者の届け出をし、そして旧法表示を確認し、技術基準の適合を確認した上で、さらに外観検査、通電検査、そして千ボルト一分間の電圧をかけて漏電をするかしないかを調べる絶縁耐力検査という三つの自主検査をして、PSEマークを張って販売しなさいと。

 販売事業者に製造事業者の届け出をさせるというだけでもおかしなことだと私は思うんですが、これらを中古販売事業者の皆さんに押しつけていらっしゃる、古物商に押しつけているわけですよ、沓掛大臣。

 これは大変問題だということで、私はずっと経済産業省さんとやりとりをさせていただいているわけで、古物商を所管する警察にかわって各省協議のようなことをさせていただいているわけでございますが、まず経済産業省に聞かせていただくのは、平成十三年四月一日の経済産業省令別表第三で、新品の製造メーカーに対しても中古販売事業者に対しても、絶縁耐力について、千ボルト一分またはそれと同等以上の全数検査、一品ごとの全数検査を義務づけているわけでございます。

 もちろん、大量生産の製造ラインを持つ製造メーカーに千ボルト一分の絶縁検査ができるはずはないんです、物理的に。千ボルト一分の絶縁検査を一個ずつ製造メーカーがラインでできるわけがない。これは私もメーカーに確認しております。では、製造メーカーは何をやっているかというと、同等以上とみなされている千二百ボルト一秒の全数検査をしていらっしゃる。したがって、製品を劣化させるおそれのある千ボルト一分の全数検査をさせられるのは、中古販売事業者だけということになってしまうわけであります。

 そこで、質問でございますが、この省令に基づいて、千ボルト一分の絶縁耐力検査と千二百ボルト一秒の絶縁耐力検査が同等以上であるということの科学的、技術的根拠について御説明をいただきたいというふうに思います。

迎政府参考人 御指摘のように、省令におきましては、千ボルトまたはこれと同等以上の方法で絶縁耐力試験を行っていただくという旨定めておるわけでございます。

 それで、これにつきまして、昭和四十三年の時点で、一部の品目につきまして千二百ボルト一秒間の絶縁耐力試験を行うことを同等とみなすというふうな通達を出した経緯がございます。

 その後、一九八〇年になりまして、横断的に絶縁耐力試験を定めたJISができるなど、広く千ボルト一分と千二百ボルト一秒というのが品目にかかわらず同等とみなし得るということがこの世界での常識というふうなことになったわけでございまして、一九九九年に改正されました電気用品安全法におきましても、先ほど申し上げましたように、同等以上の試験ということになっておるわけでございますけれども、これは改正前の電気用品取締法時代同様、千ボルト一分間あるいはそれと同等以上ということで千二百ボルト一秒間で全品検査をしていただくということで足りる、こういうふうに運用をしておるということでございます。

川内委員 今の迎審議官の御説明には若干違っているところがありまして、千二百ボルト一秒と千ボルト一分が同等以上の方法であるという法令上の根拠は、昭和四十三年十二月十日付の通商産業省公益事業局長通達であるというふうにおっしゃったわけでございますが、正確に言うと、この通達の中には「「これと同等以上の方法」とは、絶縁耐力について日本工業規格に定める試験方法をいう。」というふうに書いてあって、日本工業規格、すなわちJISに定める試験方法をいうと書いてあって、この通達の中で明示的に千二百ボルト一秒が千ボルト一分と同等であるとは記載されていないということをちょっと確認させてください。

迎政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、昭和四十三年十二月十日の通達におきましては「「これと同等以上の方法」とは、絶縁耐力について日本工業規格に定める試験方法をいう。」というふうな記載になっております。

 そして、日本工業規格においては、いわゆる個別のJISの規格の中で、千ボルト一分あるいは千二百ボルト一秒というふうなものが品目ごとのJISに書いてあった。それで、四十三年当時については、そういうものが書いてあるものについてはそれでもいいですよということで、結果として、千二百ボルト一秒を認めるというふうなことが電気用品安全法上の運用になってきたわけでございます。

 それで、先ほど申し上げましたように、各品目ごとに千二百を認めるというふうなJISがふえてまいりまして、一九八〇年の段階で横断的な絶縁耐力試験の方法を定めたJISというものができて、そこで千ボルト一分のものについては千二百ボルト一秒でもいいというふうな横断的な規定ができた、こういう経緯でございます。

川内委員 迎審議官、今現在、日本の製造メーカーが製造した電気用品で流通しているものの中で、一品ごとの全数検査として千ボルト一分の絶縁耐力検査をしたものはないということをお認めになられますか。

迎政府参考人 もともと千ボルト一分というふうな規定があって、製造ラインで大量に生産をしたものについて検査をする場合に一分というのはかかり過ぎるというふうなことで、千二百ボルト一秒という同等の方法を認めることにしたわけでございます。

 それで、今現在、生産現場においてどちらの方法が用いられているかということでございますけれども、もともとの要請がそういうことでございますので、大量生産のラインなんかでは千二百ボルト一秒というふうな方法もかなり使われておりますけれども、私ども、検査の実施状況について立入検査等を行っておるところで聞いておるところでは、多品種少量生産の工場なんかでは千ボルト一分というふうな方法で検査をしているところもあると聞いております。

川内委員 多品種少量生産をしている工場では千ボルト一分の絶縁耐力検査をしているところもあると聞いておると。果たしてどういう現場でそういうことをしているのか、また後日改めて聞かせていただきたいというふうに思います。

 経済産業省も、余りでたらめな答弁を繰り返していらっしゃると、本当にのっぴきならないことになりますから注意をされた方がいいと思いますよ。

 これは改めて申し上げておきますが、そもそも、電気用品取締法、安全法を改正されたときには、安全基準は全く変わっていないし、生産現場での、生産ラインでのさまざまな仕事も何ら変更されていないんです。もともとJIS規格の中では、商品のばらつき、製品のばらつきを検査するための千二百ボルト一秒の検査はされていたらしいというふうに私は聞いております。

 そういうことで、沓掛大臣、経済産業省のむちゃくちゃな解釈によってこの中古電気用品の古物商の皆さんが今本当に大変な思いをしていらっしゃるわけでございまして、ぜひ、古物商を所管される警察庁としても、経済産業省に対して、一体何をやっておるんだということぐらいは言っていただきたいなというふうに希望を申し上げておきたいと思います。

 余りこれで時間をかけるわけにもまいりませんので、電気用品安全法についてはこの辺にさせていただきたいと思います。

 次に、いよいよBSE問題、米国産牛肉の輸入再開問題について伺わせていただきます。

 以前より私はお尋ねをしているわけでございますが、食品安全委員会に提出をされた資料の中で、昨年九月に、牛肉輸出証明プログラムに基づく条件に一致している施設は二十六カ所ある、その上、さらに十一施設がQSAプログラムを展開し続けているという部分の二十六施設と十一施設のリストは、既に米国側に御請求をいただいているのかどうか、そして回答が来ているのかどうかということに関して御答弁をいただきたいというふうに思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 食品安全委員会のプリオン専門調査会に昨年九月二十二日に提出いたしました「米国において、EVプログラムで管理した牛肉等を日本に輸出可能と予想される食肉関連施設数(見込み)」によれば、二〇〇三年十二月二十三日以前、すなわち、アメリカで初めてのBSEが確認されまして我が国が輸入を停止する以前に、日本向けに牛肉製品の輸出を行っている食肉関連施設は約四十施設であったと、アメリカ側からの回答を得ているところでございます。

 昨年九月の時点で日本に輸出可能と予想される施設といたしましては、二十六施設が当時米国側が日本側に提案していたEVプログラム案の条件を満たしておりまして、さらに十一施設については品質保証プログラムを整備中という回答があったわけでございます。

 これらの施設の名称につきましては、四月二十日の農林水産委員会におきまして、委員から米国に照会するよう依頼がございました。これを受けまして、私ども、即日、在京の米国大使館に照会を行ったところでございます。現在、その回答を待っているところでございます。

川内委員 これは食品安全委員会の議論のためにも大変重要な資料になるというふうに思いますので、ぜひとも回答を得ていただきたいというふうに思います。

 さらに続けて、私が政府を通じて米国の農務省からいただいた資料でございますが、アメリカ側では、既に日本側の輸入再開決定、これは昨年の十二月十二日の輸入再開決定のはるか以前から施設認定手続が始まっていたということは明らかなわけでございますが、昨年の一月からアメリカ側ではもう日本向けの食肉加工処理施設の認可のための申請の受け付けが始まっている。そして、ほぼ九月までには出そろっているということでございます。

 このアメリカ側の手続の中で、先ほど申し上げた二十六施設と十一施設、合計三十七施設のオンサイトオーディット、すなわち、現地査察日の一覧表、この申請に基づく現地査察日の一覧表を米国農務省に対して資料請求していただきたいというふうに思いますが、農水省の御見解をお願い申し上げます。

高橋政府参考人 昨年の末、十二月十二日にアメリカ産牛肉の輸入再開につきまして日本側として決定いたしたところでございますけれども、それをもちまして、日本向け牛肉のEVプログラムは正式なものとなったわけでございます。

 それで、それに基づきまして米国側が現地の査察を行っております。これにつきましては、以前委員の方にも資料を出しているとおりでございまして、これは大体十二月の十二あるいは十三日ということでございます。それ以前の、プログラムそのものがまだ最終的なものとなっていない段階で、その段階で現地査察を行ったかどうかについては私どもは承知をしておりません。

川内委員 ですから、私がお聞きしているのは、EVプログラムのドラフトに基づいて申請の受け付けが始まった。そうすると、仮のオンサイトオーディットというものも行われていたはずではないかということを私は推測するわけでございまして、そのドラフトに基づく仮のオンサイトオーディットが行われているとすれば、それはいつですかということをアメリカ側に聞いていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。大変重要だと思います。

高橋政府参考人 それは、ある意味で仮のオーディットということになりますので、正式な行政行為のものでは、ちょっと完全な正式のものではないと思いますけれども、お話でございますので、私どもとしてもまたアメリカ側にちょっと照会してまいりたいというふうに考えております。

川内委員 ありがとうございます。ぜひ、これは食品安全委員会の議論のためにも大変重要な情報になり得るというふうに思います。

 さて、報道では輸入再々開へ向けての作業が進んでいるかのように受け取られておりますが、現在はどのような状況にあるのか、次に行われる日米の事務レベル協議はどういう内容のものになるのか、そしてそれはいつ行われるのかについて御説明をいただきたいと思います。

高橋政府参考人 米国産牛肉の問題につきましてるる報道がございますが、政府間での正式な話といたしましては、五月二日に行われた日米の農相会談において、ジョハンズ長官から、今月前半には対日輸出認定施設の再調査を終えて、その結果を日本側に連絡するという説明がございました。

 現在、そのアメリカ側の説明がどういう形で行われるのかについて照会をしております。このアメリカ側からの連絡を受けまして、日米による会合について日程を含めて調整することになろうかというふうに考えております。

川内委員 仮に、輸入再々開の手続に入るとするならば、今度は、米国内における食肉加工処理施設の事前の調査、輸入再々開前の事前の調査、すべての施設の事前の調査というものは必須の条件になるというふうに私は考えます。

 しかし、政府の正式な答弁として、いまだにすべての施設を調査するという御答弁は、私は、いろいろな方がこの件に関しては質問していらっしゃいますから議事録を精査したんですが、明確に調査すると答えている御答弁はないようでございます。

 農水省として、今度は間違いなきように、すべての施設を調査するということを明言いただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 先ほども申し上げましたように、現在、アメリカ側におきまして、これまでに対日輸出認定施設につきまして再度のチェックを行ってきたというところでございます。私ども日本側といたしましては、アメリカ側におきます対日輸出認定施設の再調査の結果及び日本側が行った意見交換会の結果などを踏まえまして、今後の対応を検討していきたいというふうに考えております。

 アメリカ側におきます再調査の結果については、きょう現在、まだ連絡はございません。したがいまして、アメリカ側の再調査の中身がどういうふうになっているのかわかりませんから、ちょっときょうの段階で向こうはどういう実情なのかわかりませんけれども、その結果を十分に分析した上で、輸入再開前における日本向け認定施設の現地確認調査の必要性やその具体的内容について十分な検討を行っていきたいというふうに考えております。

川内委員 ぜひ十分に検討をしていただいて、六月末か七月に日米首脳会談も予定をされているやにお聞きをしておりますが、それに合わせて決定するというような、消費者の安全、安心をおろそかにされることのないように、十分にやっていただきたいというふうに思います。

 そこで、重ねてお尋ねをするわけでございますが、昨年十二月の食品安全委員会の最終答申の内容であります。最終答申の結論の附帯事項の中に、米国内においてBSEのサーベイランスを拡大、継続する必要があるということが書かれております。飼料規制の強化も書かれております。

 私は、国会質問の中で、中川農水大臣に、直接ジョハンズ農務長官にこの件を主張するべきであるということをお願い申し上げました。中川大臣は、ジョハンズさんに直接、飼料規制を強化すべきであるということをおっしゃられたそうでありますが、それに対する米国側の対応はどのようなものであったのか。

 また、農水省としても、次回の日米事務レベル協議においてこの二点を強く主張されるべきであるというふうに思います。

 さらには、最近話題の年次改革要望書、アメリカから日本に年次改革要望書が出されて、何か日本の政府はそれに従って行政を行っているのではないかというような指摘があるわけでございますが、実は、日本からもアメリカに年次改革要望書は毎年出しているわけでございまして、この日本からアメリカに出す年次改革要望書の中に、アメリカ国内のBSE対策について、サーベイランスを強化すべきである、あるいは、飼料規制の強化がなければおたくの国は危ないよということをしっかりと盛り込むべきであるというふうに思いますが、農水省の見解をお伺いさせていただきます。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 食品安全委員会の昨年末の答申の附帯事項におきまして指摘されております、米国における飼料規制の強化及び十分なサーベイランスの継続につきましては、昨年十二月十二日の輸入再開に際しまして、アメリカ側に特段の配慮を強く要請したところでございます。これは文書で申し入れを行ったところでございますが、その重要性につきましては、その後も機会をとらえて、私どもの中川大臣の方からジョハンズ農務長官に直接伝えているところでございます。これは、先般、五月二日のジュネーブでの会談でも再度申し入れをしているところでございます。

 このうち、飼料規制の強化につきましては米国内でも検討中でございまして、規制の改正案について、昨年十二月二十日に締め切られたFDAに対するパブリックコメントの結果を踏まえまして、現在具体的な対応が検討されているところであるというふうに承知をしております。

 それから、サーベイランスにつきましては、ジュネーブの五月二日の農相会談におきまして、ジョハンズ農務長官から中川大臣に、米国で行われてまいりました拡大サーベイランスについての科学的分析の結果に基づきまして今後の扱いが決定されるという説明がございました。これに対しまして、中川大臣の方からは、日本の消費者の信頼の確保が大事だということを伝えているところでございます。

 それから、もう一点、米国の規制改革及び競争政策に関する日本政府の要望事項、このお話がございました。これは外務省中心での話になりますが、日米規制改革及び競争政策イニシアチブのもとで、両国における競争の強化及び市場アクセスの改善などについて議論するためにアメリカ政府に提出してきているというふうに理解をいたしております。

 一方、アメリカに対する飼料規制の強化、あるいは十分なサーベイランスの継続の要請は、食の安全の観点からのものでございまして、日米規制改革イニシアチブのもとの要望とは、目的あるいは事の性格がちょっと違うのではないかというふうに私どもは考えております。

 農林水産省及び厚生労働省、両省におきまして、昨年十二月の米国産牛肉輸入再開に関しまして、在日米国大使館に対しまして飼料規制の強化などについて公文で要請を行ったところでございますし、今後とも機会をとらえて、これはいろいろなルートがあるわけでございますから、こういった牛肉なら牛肉の問題でのルートできちっと話を伝えていきたいというふうに考えております。

川内委員 いや、事の性格が違うという、今、農水省の高橋審議官の御見解を私はちょっと疑問を持って受けとめるんですが、規制改革に関する要望書、米国内の飼料規制を強化する、これは規制改革ですよね。さらには、サーベイランスを拡大あるいは継続する、拡大サーベイランスをさらに拡大しあるいは継続をしていただく、これも規制の改革の一つである。そして、それは、日米の牛肉の貿易に大きく関係するという意味においては、政府間で取り交わされる年次改革要望書の大変重要な項目として取り上げるべき事柄であるというふうに思います。

 きのう、私がいきなり申し上げて面食らわれていらっしゃるのかもしれないですが、ぜひこれは、あらゆるチャンネルを通じて相手にみずからの立場を表明していくということは、政府としてしなければならないことであるというふうに思いますので、御検討をいただきたいと思います。

 さらに、松田大臣、残り時間で聞かせていただきますが、ジョハンズさんは、拡大サーベイランスはもうやめるというふうに中川農水大臣にこの前おっしゃられたわけですよね。ところが、食品安全委員会の附帯事項の中には、サーベイランスは拡大、継続すべきであるということを言っていらっしゃるし、飼料規制についても強化すべきであるということを言っている。

 食品安全委員会の議論の中では、飼料規制は強化されます、されますということが説明されてきた。しかし、全く強化されない。サーベイランスも、米国内においては縮小するということになっている。これは、食品安全委員会の結論というものに大きな影響を与えるというふうに思われます。

 本日は、寺尾食品安全委員会委員長代理にもお運びをいただいておりますが、サーベイランスが縮小されるのであれば、もう一度食品健康影響評価をやり直さなければならない事態に立ち至る、これは、立ち至るという警告ですよ。食品健康影響評価をもう一回やるというのではなくて、閣内で、食品安全担当大臣として、米国がそのような態度であれば、これはもう一回食品健康影響評価をやり直さなければならなくなってしまうのではないかというぐらいは発言をされるべきであるというふうに思います。

 大臣の御所見をいただき、さらには寺尾委員長代理に、食品安全委員会を代表されて、米国の、このサーベイランスを縮小する体制、さらには、飼料規制の強化もすると言いながら全くやろうとしない姿勢に対して、食品安全委員会としては、もう一度みずから評価をしなければならないというふうなお考えはないのかということをお聞かせいただきたいと思います。

寺尾参考人 それではお答えいたします。

 昨年十二月に、私ども食品安全委員会では、米国産の牛肉のリスク評価というものをやったわけでございますけれども、これはあくまでも日本向けの牛肉の輸出プログラム、上乗せプログラムといいますけれども、これはまず、牛が二十カ月以下であるということ、それから、すべての牛から特定危険部位を除去する、そういう条件がついてございますけれども、それが守られて、なおかつアメリカのBSE対策というものが行われている限りにおいては、これは、米国産の牛肉の安全性、日本の牛肉の安全性と比較してどうかということを評価したわけでございます。

 ですから、飼料規制云々、あるいはサーベイランスを拡大するとかというのは、これはあくまでも議論の中で出てきた言葉でございまして、評価そのものの中では、議論はありましたけれども、評価そのものには影響していないということでございますので、現時点におきましては、食品安全委員会といたしましては再評価を行う必要はないというふうに思っております。

 以上でございます。

松田国務大臣 答申の附帯事項にございます飼料規制の強化やサーベイランスの拡大の件でございますが、委員御案内のとおり、また、今農林省からも御答弁がありましたけれども、リスク管理を担当していただいております厚生労働省、農水省、両省におきまして、米国側の再調査の結果や、あるいは日本側で行われました意見交換会の結果等を踏まえて、今後の対応を今まさに検討されておられます。御指摘の、アメリカ側のサーベイランスの見直しの検討につきましても、農林水産大臣から直ちにその継続が要請されておられます。

 こういった答申の附帯事項、私にとりましても、委員御指摘のとおり、しっかりと見ておくべきことであることは言うまでもございません。今のところ、こういったリスク管理側の対応をしっかり見させていただいておるところでございます。そういう今の状況でございますので、御質問の中で、評価の見直しに立ち至るのではないかというようなこともございましたが、今の段階でそういったことに触れることは適切ではないと思います。

 いずれにいたしましても、国民の食の安全を守るというのは私の全く大きな責任であります。委員の御指摘も踏まえて、なお一層、食品安全担当大臣としてしっかり見定めていきたいと思っております。

川内委員 きょうは余り言い争う気はないのですが、寺尾代理、附帯事項は議論の中で出てきたことで、大したことないんだみたいな御発言をされるのは、みずからの存在意義を否定されることに等しいと思うので。これは結論の附帯事項で、議論の中で出てきた言葉じゃないんですね、結論の附帯事項として答申の中に書き込まれている言葉でありますから、ぜひその辺はちょっと御注意をいただきたいというふうに思います。

 さらには、私自身は、結論というのは、「米国・カナダのBSEリスクの科学的同等性を評価することは困難」というふうに冒頭で言っているわけですから、そういう意味では、飼料規制もサーベイランスも重要であるという位置づけで臨んでいただきたいというふうに思います。

 最後に、事実確認でございますが、一昨年、平成十六年九月の食品安全委員会の中間とりまとめ作成の際、私、昨日吉川座長にも確認をさせていただきましたが、当然削除されると思っていた、二十カ月齢以下の感染牛を現在の検出感度の検査方法によって発見することは困難という部分が、結論と本文と二カ所あったわけですけれども、結論部分からは消えていた。しかし、吉川座長は記者会見で、本文中からも消えるんですねと問われて、消えると思うと答えていたにもかかわらず、本文中にはそれが残った。これは、座長に任されていた最終案が、座長も知らないところで改変されていた。これは一体、だれがこれを行ったのかということに関して、最後にお答えをいただきたいと思います。

松田国務大臣 御指摘の記述の点でございますけれども、座長がプリオン専門調査会での議論の内容を確認し、座長代理とも相談の上、まとめておられるものでございます。どういう事情で、だれの指示とかいろいろおっしゃったかもしれませんが、そういうことはございません。もう一度繰り返させていただきますが、まさに座長が、プリオン専門調査会での議論の内容を確認して、座長代理とも相談の上、まとめられたものであると認識しております。

川内委員 終わらせていただきますが、座長は、本文中からも消えると思っていた、本文中から消えますよと、記者会見で問われて答えているんですね。だから、座長は知らなかったということです。これは吉川座長に確認していますから、これは今後しっかりとまた詰めさせていただきたいというふうに思います。

 終わります。

佐藤委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。三十分いただきまして質問をさせていただきます。

 まずは、先ほどの川内委員からの質問の中にもありましたけれども、今般、六月一日から、駐車違反の取り締まりのあり方が変わるということでございまして、これにつきましての議論をさせていただきたいと存じております。

 まず、この駐車違反の取り締まりについて、これは全国一律ではないわけですね。全国で大体何カ所でこの新しい駐車違反の取り締まりを実施するところがあるのかについて教えてください。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 全国で、警察署、千二百十九署ございますが、そのうち二百七十の警察署でこの確認事務の民間委託をすることと承知しております。

市村委員 今回、民間委託ということですが、民間委託のその民間というものの中身について、少し具体的に教えてください。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 この二百七十の警察署の確認事務につきまして、七十四の法人がこれを受託しております。その業種の内訳を申し上げたいと思いますが、警備業が四十一法人、ビル管理業が十四法人、公益法人が四法人、その他十五法人でございます。

 なお、NPO法人はございません。

市村委員 再三申し上げておりますが、NPO法人ではなくて特定非営利活動法人でございます。よろしくお願いします。

 それで、その他というのが十五あるということなんですが、その他の中身をもう少し詳しく教えてください。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 その他と申しますのは、人材派遣業あるいは建設業などでございます。

市村委員 あと、今、公益法人が四つだと言いましたが、その四つについて具体名を教えてください。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一つは、東京ですが、東京都の交通局協力会という財団法人がございますが、これが警視庁の城東署管内の事務の委託を受けております。

 それから京都ですが、京都市に京都市交通局協力会という社団法人がございますが、これが京都府の東山及び五条署、両署の委託を受けております。

 それから大阪でございますが、大阪府の交通安全協会、これは財団法人でございますが、大阪府の曽根崎、天満、大淀署、この三署の事務の委託を受けております。

 それから和歌山でございますが、和歌山県の交通安全協会、これも財団法人でございまして、和歌山東署の委託を受けております。

市村委員 それから、七十四法人が受託をするわけですが、この七十四法人が受託をして、例えば新規雇用ということでいえば、何名ぐらいの新規雇用者が生まれると考えていらっしゃるんでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 二百七十署で、予算規模で申し上げますと、おおむね千六百人ほどの監視員が必要となるほどの事業量でございます。それで、千六百人ということになりますと、これは休暇ですとか、それから交代要員が要りますので、それの何割増しかということになるかとは思います。

市村委員 今、予算とおっしゃいましたけれども、大体、千六百人に対してどれぐらいの予算措置がされているんでしょうか、二百七十の合計で。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、監視員だけではなくて、それにまつわる業務を一括して受託するわけですが、全部で約八十億と承知しております。

市村委員 今回の放置違反金、これが入る先はどこでしょうか。具体的に教えてください。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 放置違反金は、各都道府県の公安委員会がこれを命ずるわけですが、そこの県の歳入ということになります。

市村委員 ということは、各県で実はことしの六月一日を目指して予算措置がされているという認識でよろしいわけでありましょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございまして、委託に必要な予算を委託費として計上し、これを執行しようとしているわけでございます。

市村委員 八十億ということでありますけれども、これは、これまでのいわゆる反則金の全国合計について、何%ぐらいを占めると考えてよろしいでしょうか。これまで反則金が全国合計で幾らぐらい入っていたか。今回こうやって、ふえるというか、ふえるのかどうか知りませんが入ってくる、八十億が新たに措置される。それについては、今までの反則金の中でこの八十億が占める割合は何%と考えているか。数字をお持ちでしょうか。

 今までの反則金の全体がわかれば、八十億をそれで割ればいいわけですので、今すぐ計算できないのであれば、では、今までの反則金の全体、全国合計というのを教えていただけますでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 反則金は、駐車違反だけではありませんで、全部を含んでおりますものですからちょっと正確に申し上げられないんですが、全部でおおむね八百億を切るぐらいの総額だったと思いますので、そのうちの一部が駐車違反によるものということになります。

市村委員 わからないということですけれども、その八百億のうち、大体、駐車違反の反則金がかなりの部分を占めると考えてよろしいんでしょうか、この八百億というのは。それとも、駐車違反以外のものが結構入っているということで考えてよろしいんでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 違反の件数が、駐車違反と速度違反などが件数として多いわけでございますので、したがいまして、反則金収入に占めます割合も、これらの違反に対応するものが多いだろうと考えております。

市村委員 いろいろ細かいことを聞かせていただきましたが、本当はもっと聞きたいんですけれども、細かいことはこれぐらいにしておきます。

 そもそも、駐車違反の民間への委託というか受託の目的は何だったんでしょうか。もう一度ここで教えていただけますでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 この目的でございますが、駐車違反はさまざまな障害を生じておるわけでございます。駐車に起因します交通事故ですと年間八千件ほど起きていますし、これによります死者も百人でございます。また、渋滞もございます。

 そこで、これを取り締まる必要があるわけですが、警察力はなかなか不十分でございまして、これを補完するための仕組みというものをつくりまして、駐車秩序の改善、それからあわせて警察内部の事務の合理化というものを図るということでございます。

市村委員 今のお話、実は、二年前、二〇〇四年の六月二日に内閣委員会でこの議論をさせていただいているときは、もっと崇高な目的があったというふうに私は理解をしていまして、例えば、町づくりの観点とか、地域の安全に資する観点とか、もう少し、町をどうしていこうかとかそういった観点で、ただ単に事務量を減らすとか負担を減らすとか、そういうだけじゃなかったというような思いがあります。

 それで、今回、あれから二年以内にということでしたから、六月一日にということになるんだと思いますが、結局、あのときに議論をさせていただいた疑問がまだ晴れないままスタートしようとしているというような認識を私は持っています。

 例えば、一つ、私は、あのときに株式会社が本当にいいのかどうかということをかなりこの内閣委員会の場でも議論させていただいたことを今思い出しています。

 あのとき、大分、この委員会の議論を踏まえて勉強させていただくということはおっしゃっていただいておったんですけれども、結局、株式会社が、例えばほかの国でもこうした民間委託というのはあるんですけれども、日本とは違って反則金、つまり刑事罰ではなくて行政罰ということでやっているということであるとか、そういう点、行政罰として考えてくるというようなこともあるわけです。

 その上で民間に委託をするということなんですが、結局、日本はまだ、行政罰的な要素は入れましたけれども、刑事罰で残したまま、犯罪として残したまま今回の民間への委託を実施しようとしているわけでありまして、非常に考え方として整理されていないまま物事が進んでいるかのような、私はまだ二年前の議論を経ての印象をいまだに持たざるを得ないという状況でございます。

 突然でございますが、国家公安委員長、今の私の意見につきまして、実は、今申し上げたように、二年前にここで大議論をやらせていただきまして、本当に株式会社でいいんですかと。しかも、ほかの国は行政制裁金としての性格を持った上での民間委託ということをやっています。

 しかも、その民間委託先の株式会社にしても、私が調べた限りでも、純粋な株式会社はないんです。どこかの公がかかわっているものが株式会社に出資したりとかしてやっているというケースがあった。一部、イギリスでは違うケースが出てきたというその後の報告も受けていますけれども、やはり行政制裁金という意味でもそういう純粋民間の委託では余りないのにかかわらず、日本はいまだに犯罪というカテゴリーに残したまま民間委託を進めようとしているということに関しまして、国家公安委員長の御意見をいただけますでしょうか。

沓掛国務大臣 先生の最初の、もう少し崇高な考えというようなお話ですが、これは皆さん、朝の通勤、車で来られる方は、本当に、ちょうどラッシュのときに駐車がずっと並んでいる、そういうようなとき、もう少し時間帯を考えてもらえないかなとか、あるいは駐車をもう少し制限してほしい、規制してほしいというのは日常よく感じられることだと思います。

 これは商店街その他、いろいろな利害もまた、プラス・マイナスのあるところもあるんですが、そういうような要望が非常に強くて、やはり都市内交通の円滑、安全を確保していく上において、駐車規制というのは強く要望され、それではどうするかとした中で、警察の現在持っている人員だけではおのずから限界があるので、そういうもので確認行為について民間の力をかりようということで今回の制度が導入されたものでございます。

 先生、今、犯罪的なものと行政というのがいろいろあると思いますが、これはいろいろ運用上の問題もございますので、確かに、行政的な面にするのがよいのか、犯罪的なままでいいのかという問題はあるにしても、やはり今のままで、まず、今回は民間のエネルギーを借りて、確認行為を民間にしてもらう、そして後の処理は警察でするという形で、さきに申し上げたような目的をまず達成するために行ったものでございますので、これから、そういう言われたようなことについてもいろいろな面でまた検討していく必要があると思いますから、それはまた検討していきたいというふうに思っております。

市村委員 今、国家公安委員長の方から検討を進めなければならないというお言葉をいただきましたので、それは私は大変重く受けとめたいと思います。

 といいますのも、今、国家公安委員長の中にもありましたように、実は反則金の部分は残っているんですね。警察の事務も残っているんです。全部、丸ごと行政制裁金という形にして、いわゆる迷惑料という形にして、それはすべて犯罪行為でないということで、駐車違反の取り締まりからいわゆる事務作業まですべてを一貫してどこかに渡すというのなら、非常に事務効率もいいわけです。そして、警察官の負担も軽減されて、警察官が本来やらなきゃいけない仕事にもっと時間を使っていただける、こういうことならばまだ理解はできるということを実は二年前ぐらいに議論しているんです。ですから、今回、そのまま、結局、警察の事務は事務で残したままなんですね。

 だから、これはやはり、先ほどから申し上げているように、考え方として未整理なまま物事が進んでしまっている。先ほどの川内委員の発言の中にもありましたけれども、千六百人の新規雇用が生まれますね、そのうち、結局、では警察官OBが何人なのかということがまたまた問題になってくるわけですね。そういうふうな、お互いがまたもたれていく。

 しかも、今回、私もずっと、二年前も申し上げたんですけれども、笑えない例もありまして、アメリカの例ですけれども、私の友人がアメリカで駐車違反で捕まった。その反則金を、反則金じゃない、行政制裁金なのかな、これを払いに郵便局に行ったら、その置いている間にまた張られてしまった。それを払いにまた郵便局に行ったら、またそれを置いている間に張られてしまったということで、そういうことが実はアメリカという国では、日常茶飯事ではないけれども、身近で起こっているんですよ。

 だから今回も、恐らく、こうやって千六百人の方が張り切って、では、地域のために頑張らなきゃいかぬなと思って張り切ってやると、そういうことも起こりかねないことになってくると、まさに、国民からすると、何だこれはというような声が絶対に出てくるはずなんですね。そのときに、千六百人のうちの何人かが、かなりの部分が警察OBで占められたとかいう話になりますと、これまた要らぬ誤解というか、曲解も含めて、いろいろな声が出てくるわけです。

 だから、そうはならないように、やはり警察も、ただでさえ、現場の方は一生懸命頑張っているにもかかわらず、警察批判というのがあって、現場の方は苦労されているわけですから、またここでプラス何か文句を言えるような種をつくっていくということは、警察にとってもよくない。国にとってもよくない。ひいては国民の安全にとってよくないということになりますので、ぜひとも、国家公安委員長、絶え間のない改善の検討をいただきたい、このように思っております。

 済みません、ほかにも議論しなくちゃいけないので、国家公安委員長、ありがとうございます。

 それで、きょうは官房長官にお越しいただいていますので、まず官房長官の方にいろいろ質問させていただきたいと思います。

 いろいろ私がこの委員会でも話に出させていただいております公益法人のことがあるんですが、その公益法人の会長が一存で役員をふやしたり減らしたりとか、こういうことをしているような話が入ってくるわけでございます。そういった公益法人、社団法人でございますけれども、社団法人の役員を会長が、では、おれが好きだから入れてやろうとか、いいから入れてあげないとか、そういうことをやっているということが果たして許されるのかどうかについて、官房長官の方から、ちょっと一言いただきたいと思います。

安倍国務大臣 公益法人の設立許可及び指導監督基準におきまして、社団法人の理事及び監事は総会において選任すること、財団法人の理事及び監事は原則として評議員会で選任することとされているところでございまして、こうした手続によらずに公益法人の役員を選任することは適当ではないというふうに考えております。

市村委員 それで、その社団法人の元専務理事が九百万弱のお金を勝手に助成先に出したということで、これは私は横領だと思いますけれども、そういう理屈で、今回お金を戻されたようでありますけれども、では、今後、社団法人に限らず、例えばお金を勝手に使った、しかし、後から、理屈づけとしては、いやいや、もともと必要だったお金だったから、ちょっと黙って出しちゃったけれども、返せばいいでしょう、こういうふうな話になっているようなんです。

 一般論として、この財団法人だけじゃなくて、これは多分横領だと私は思うんですが、では、横領について、そう言って後から返せばそれで済むという話で認識していいのかについても、官房長官の方から一言いただきたいと思います。

安倍国務大臣 法人の関係者が法人に対して財産的損害を与えた場合には、与えたことがまた疑われる場合には、法人に対して事実関係を解明し、当然再発防止にこれは努めなければいけない。そのための措置がとられることが必要でありまして、こうした観点から、主務官庁がそれぞれ適切な指導を行っていくことが重要であるというふうに思います。

市村委員 ありがとうございます。

 それであとは、最後は、これは何回もここで質問しようとしながらできなかったことがありまして、ウィニーについてでございます。

 先ほどから、本日のこの委員会でウィニーに関しての質疑が行われておりますけれども、私は特に、愛媛県警で起きた、いわゆるウィニーを利用された情報流出についての質問をしたいと思います。

 まず、情報流出をされてしまったというか、してしまった方についてのお話をお聞きしたいと思いますが、どのような状況で情報が流出したんでしょうか。教えていただけますでしょうか。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 愛媛県警における情報流出事案についてでございますが、これは、愛媛県警の警察官が、平成九年ごろから平成十七年の四月ごろまでの間、職務上作成をいたしました捜査資料あるいはほかの警察官から入手をした捜査資料など、これがインターネット上に流出したものでございまして、おおむね四千四百人程度の個人情報を含むものというふうに報告を受けております。

 これまでの調査によりますと、流出した資料というものは、愛媛県警本部の捜査一課に勤務する警察官が承認を受けずに自宅に持ち帰った記録媒体に記録されていたものでございまして、このデータを自宅で使用しているパソコンに保存しましたところ、このパソコンでウィニーを使用しておりましたので、これがウイルスに感染をした結果、捜査資料等が流出したものというふうに見られております。

市村委員 今の中で実は重要なことがありまして、例えば自分のパソコンを、いわゆるノート型パソコンかラップトップ型かなんですが、警察は支給してくれないから、持っていって使っていた、ここまでは一般的には理解をされることかもしれません。

 しかし、今のお話の中でもありましたように、わざわざその媒体を、それは多分、ひょっとしたらCDに入れたのか焼いたのかどうか知りませんけれども、わざわざ自宅に持って帰って、自宅に置いてある固定されたパソコンに入れてしまったということについては、これは単に、いや、警察が支給してくれないから自分のを使わなきゃいけなかったという同情論では済まされない話が含まれていると私は思います。

 その上で情報が流出してしまったということはゆゆしき問題だろう、こう言わざるを得ないわけでありますが、その方の今後の処分というのはどうなるんでしょうか。

安藤政府参考人 お答えします。

 お尋ねの事案につきましては、現在、愛媛県警察が詳細を調査中でございまして、関係者の処分につきましては、当該調査をできるだけ速やかに終えまして、その動機、結果、職員の職責、あるいは社会に与える影響などを総合的に勘案しまして、調査の結果明らかとなりました事実関係に即して厳正に対処されるものと承知しております。

市村委員 きょうは文化庁からも著作権のことで来ていただいていますが、警察の方は、ウィニーに自動送信可能としただけで逮捕し、かつ、それが裁判も行われ、お二人の方が懲役一年、執行猶予三年の刑を受けておりますけれども、自動送信可能としただけでこれだけの刑を受けるということは、ウィニーそのものの性質から考えて、ウィニーをパソコンに落とした段階で、そしてそれがインターネットにつながれたという段階で、実はもう自動送信可能というふうにとってもいいような状況が生まれるわけでございますが、この状況において著作権法違反と言っていいんでしょうか。

加茂川政府参考人 ウィニーと著作権法との関係について御説明申し上げます。

 一般に、インターネットを通じまして著作物をダウンロードする行為は、著作権法上は、それが著作物を個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とする場合には、いわゆる私的複製ということに該当いたしまして、著作権侵害には当たらないのが原則、まずこういう原則がございます。

 しかし、委員今御指摘のように、不特定多数のコンピューター間でファイルデータを共有、交換するためのプログラムであるウィニーを利用して、他人の著作物を許諾なく不特定多数の者に著作物を送信できるような状態に置いた場合、お話にもございましたアップロードの状態に置くという場合でございますが、こういった行為は、著作権法に関して申します限り、著作権法上の権利侵害になると考えられるわけでございまして、一般の利用形態はこのようなものと私どもは認識をいたしております。

市村委員 となりますと、今アップロードとおっしゃっていたんですけれども、私、ちょっとウィニーは使ったことありませんが、恐らくこれ、アップロードじゃなくて、ウィニーというのは、ファイル交換ソフトというのは、要するに、それぞれがお持ちのコンピューターのデータを、どなたでもインターネットを介してコンピューターに入り込んでいって、ファイルをどうぞ使ってくださいよ、自由にとってくださいよということだと思うんですね。そのために、いわゆる共有フォルダというのを用意しているはずなんです。恐らく、私は使ったことないけれども、多分、いろいろ聞くと大体そうだろうというふうに理解しています。

 となると、もう既に自分のパソコンに共有フォルダを持って、これは自分が二、三台持っている場合、共有フォルダを使ってやる場合もあるわけでございますけれども、それがインターネットを介すると、もう全世界だれでもそこの共有フォルダに入っていってとれるという状況に置くわけであります。

 すなわち、そういうことになると、このウィニーそのものが、今申し上げたように、いわゆるソフトを入れてインターネットにつないだ段階または共有フォルダを公にさらした段階でもう著作権法違反、そこに何を置いているかなんですけれども、例えば音楽ソフトを置いていた、いわゆる映画ソフトを置いていたとか、そういうことになりますと、置いた段階で、ウィニーを入れてつないだ段階でもう著作権法違反というふうにやはりとらざるを得ないのかなと。

 実際に、自動送信可能としただけで逮捕されて、しかも起訴され、そして、裁判を受けて懲役一年、執行猶予三年を受けているということは、非常にこれはウィニーそのものがそういう性格をはらんだものじゃないかと考えざるを得ないわけでありまして、そのことだけ最後にちょっともう一回明確にお答えいただいて、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 ウィニーの利用形態にもいろいろあると承知をいたしておりまして、先ほど申しましたように、アップロードできる状態に置くというのが一般の利用形態のように私も認識をいたしておりますが、ダウンロードだけをするという、割合としては少ないようでございますが、そういう利用形態もあるようでございます。

 そうしますと、ケースごとに、アップロードしたのか、そういう状態に置いたのかどうかがキーポイントになるわけでございまして、一般的にはそういうことが想定されておりますけれども、すべてそうかということにつきましては、なかなか判断が難しい部分があるということでございます。

市村委員 きょうは質問を終わります。

佐藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 一般質問という時間をいただきましたので、主に警察関連について質問をさせていただきます。

 なお、警察の不正経理問題等々については鉢呂委員の方からも後ほど質問があるということでありますから、その周辺のといいますか、その課題を除いた形のものについて質問をさせていただきます。

 最初に、これは官房長官にもかつて質問をさせていただき、そして御答弁もいただいているところでありますが、一つは、子供を巻き込む事故あるいは事件が随分多発しておりまして、その対策についてという御質問を一つさせていただきますと同時に、二点目には、自殺者が大変ここ数年多くなってきておりますので、自殺者対策について。それから三点目には、警察官も一生懸命頑張っているんですが、事件とか事故が多発しておりまして、非常に疲れているんですね。この警察官の勤務の実態とその対策についてお伺いすると同時に、四点目には、犯罪が多発している現状に対して、警察庁あるいは国家公安委員会としてどのような対策をとっておられるのか。この四つについてお伺いをさせていただきます。

 最初に、子供を巻き込む事件、犯罪が多くなってきているわけでありますけれども、その中でも、前にも御質問させていただきましたが、今市市の小学校一年生が昨年末殺害をされまして、私の茨城県の県内の常陸大宮市の近郊で遺体が発見されるという痛ましい事件がありました。

 現在でもその犯人というものがまだ捕まっていないわけでありますが、この事件に関して、現在どういう状況にあるのか。そして、これを契機として、全国の学校関係者が子供を守るために、登下校時に大変な努力をして子供たちを守るという行動に入っているわけでありますが、この問題に対して文部科学省はどのような対応をされているのか。現状と対策について、二つお伺いします。

竹花政府参考人 御指摘の栃木県におきます事件でございますけれども、まだ犯人が捕まっておりませんけれども、現在、栃木県警で、今市警察署の約二百二十名の態勢、茨城県の大宮警察署の約八十名の態勢、合計約三百人態勢で合同捜査本部を設置いたしまして、所在不明となった現場及び遺体が発見された現場周辺での聞き込み捜査、監視活動等の所要の捜査のほか、チラシ等の配布、フリーダイヤルの設置などを行いまして、広く関連情報の提供を求めているところでございます。

 合同捜査本部において、一日も早い事件解決に向けて、徹底した捜査を推進しているものと承知をいたしております。

素川政府参考人 学校等におきます安全対策についてお答え申し上げます。

 私どもでは、十二月に、通学路の安全点検、防犯教室の開催、また学校安全ボランティアの参加の促進につきまして、通知その他いろいろな会議で積極的な取り組みを要請しているところでございます。

 大沢小学校におきましても、学校安全ボランティアを整備され、住民のボランティア団体によるパトロール活動が継続して実施されるなど、また保護者による同伴の下校など、具体的な対策を実施していただいているところでございます。

大畠委員 今、警察庁それから文部科学省から、それぞれ現状についての御報告をいただきましたけれども、官房長官、非常に私は残念なんですね。

 官房長官も、子供のころどういう形で学校に通学していたかわかりませんけれども、子供というのは学校に行ったり帰ったりするときにいろいろ学ぶんですね、自然との触れ合いとか。でも、学校に急いで行って急いで帰ってこい、道草するな、こういう環境になってきて、今教育基本法案の論議が始まろうとしておりますが、それ以前の問題として、社会が非常に危険になってきている、そして子供たちが伸び伸びと育つような社会環境が損なわれ始めているということにおいては、これは日本の社会の一つの現象だからしようがないということにはならないのであって、やはり政治が一つのそういう社会環境を整えるという責任もあるわけです。

 ここでお伺いしたいのは、官房長官は、その事案の後に、この内閣委員会の中で、スクールバスを活用する、あるいは子供たちの安全のために万全を期したいという御発言もございました。それから、おおよそ半年を経過しているわけでありますけれども、現在、どのような対策を実際行ったのか、このことについて官房長官にお伺いしたいと思います。

安倍国務大臣 ただいま大畠先生が御指摘になられましたように、昨年の十二月に犯罪から子どもを守るための対策を取りまとめたわけでございますが、具体的にどういうことをやっているかという御指摘でございます。少し長くなるわけでありますが、具体的に御紹介をさせていただきたいというふうに思います。

 学校に関係するものといたしましては、通学路の安全点検については、各都道府県教育委員会等に通知を発出いたしまして、各種会議やタウンミーティングにて周知し、そして、緊急安全点検を要請済みでございます。

 防犯教室の開催につきましては、各学校における取り組みを支援するため、防犯教室用のリーフレットを約三百七十万部作成いたしまして、全国の小学校一、二年生及び四月入学の新一年生の全児童に配付をいたしました。防犯教室実践事例集を約六万部作成いたしまして、すべての小中高等学校に配付をいたしました。

 学校ボランティアの充実につきましては、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業の予算額を二倍に充実いたしました。平成十七年度七・五億円のものを平成十八年度につきましては十四億円といたしました。防犯の専門家や警察官OB等から成るスクールガードリーダーの全国展開を図っているところであります。

 情報共有体制の立ち上げにつきましては、管内に学校があるすべての警察署において、警察と学校等との間でネットワークを整備し、不審者情報の共有を開始いたしております。

 先ほど御指摘のございました路線バスを活用した通学時の安全確保につきましては、関係省庁協議の上、路線バス等をスクールバスとして活用するための基本的な考え方と取り組み方等について各都道府県教育委員会等に通知を発出したほか、地方公共団体におけるスクールバスの運用の弾力化や町営バスの小中学生の無料利用など、地方においても自主的な取り組みがなされております。

 また、昨日、五月の十一日、私ほか五閣僚が構成員の青少年育成推進本部副本部長会議を開催いたしまして、内閣府、警察庁、文部科学省、法務省、厚生労働省から犯罪から子どもを守るための対策などの取り組みが報告をされました。関係省庁で連携して、引き続き、子供の安全確保の取り組みに遺漏なきよう推進することを確認いたした次第でございます。

 今後とも、子供の安全を守るために政府一体、一丸となって努めていきたい、このように考えております。

大畠委員 今官房長官からいろいろと現状についてお話をいただきましたけれども、私も民間企業におりますときに、事故が起こりますと、そういう対策、方針というものをばっと示すんですが、それが実際にどういう実態であるのかということをちゃんと把握しないと、官房長官から各都道府県関係、対策推進にそういう指令がおりましたから、多分きちっとやっているんだとは思うんですが、この質問に当たっていろいろお話を伺っていますと、現場でどうなっているかというのをどうもまだ十分サーベイしていないような感じを受けるんですね。

 ですから、今お話があったような形の指令に基づいて、実際どうなのかということをぜひ事実関係を把握して、そして、不足があるならば、さらに何らかの手を打つことが必要だと思いますが、官房長官のこの私の意見に対する御所見をお伺いしたいと思います。

安倍国務大臣 確かに委員のおっしゃるとおりでありまして、対策を打ってそれで満足することなく、実際にその打った対策が効果を発揮しているかどうか、効果を確かめなければならない。まさに、プラン・ドゥー・チェック・アクション、こういうサイクルを回していきたい、このように思いますし、現場で実際に、さらに何か不安があるかどうかという父兄あるいは現場の声もしっかりと受けとめ、また、それをフィードバックできるようにしていきたい、私ども、こう考えております。

大畠委員 今申し上げましたけれども、実は、これもさきに申し上げたとおり、茨城県のPTA連合会の会長さん、女性の方なんですが、子供を守るために一生懸命朝晩頑張っているんだけれども疲れていますという声もございますので、今官房長官から御答弁がございましたけれども、ぜひ官房長官みずから、そこら辺の現実、私が指令したとおりにどうなっているのか、現実を調査していただいて、不足があればきちっと指示をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 さて次に、自殺者の問題に入りますが、平成十七年の七月十九日、参議院の厚生労働委員会で、自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議というのが行われているんですね。

 この中の一文を御披露申し上げますと、七年連続で三万人を上回っている。また、人口十万人当たりの自殺死亡率は、我が国では二十五・三人となっており、欧米の先進諸国と比較すると、我が国の自殺死亡率は突出して高い。さらに、自殺未遂は大体この十倍あると言われておりまして、年間自殺者が三万人を上回るということは、未遂者が三十万人以上いると推定されます。また、自殺や自殺未遂により、遺族や友人など周囲の少なくとも数人が深刻な心理的影響を受けるとされており、全国で毎年、百数十万人の人々が自殺問題に苦しんでいるということになる。

 そこで、この決議の中では、自殺予防総合対策センターを設置すること、それから、自殺した人の遺族や自殺リスクの高い自殺未遂者に対する支援については十分に行ってほしいという決議がされているところであります。

 私自身も、最近の自殺者の推移というものを調べさせていただきましたところ、確かに、この決議にありますように、ロシアが第一位でありますけれども、日本が第二位として自殺率というのがあるわけですね。この中でも、特に女性の自殺率では世界のナンバーワンが日本になっているんです。日本が一番で、十万人当たりの自殺者数が日本で十三・八人、ロシアが十一・九人、世界で一番自殺者数が多いのが日本という非常に恥ずべきといいますか、私たち日本の社会を考える上で、政治家としてもこの問題は重大視して取り組まなければと私は考えます。

 それから、自殺者の年代でいいますと、二十五歳から二十九歳という若い方々が自殺する割合が一番高いわけでありますし、また、自殺の動機等々を調べますと、健康問題が一番でありますが、二番目に経済問題が浮上しております。それも小泉総理が就任した平成十三年四月の二十六日以降、平成十四年、平成十五年、平成十六年と高い率になっておりますし、私はいろいろこのデータを見せていただきましたけれども、小泉改革によるいわゆる競争あるいは市場万能主義、そういうものが社会の中に蔓延することによって経済的に追い詰められて、結局、自殺者数がふえている、そのようにも感ずるところであります。

 さらには、破産の総数を調べてみましたところ、平成十三年までは十六万八千件あたりですが、十四年から二十二万、十五年は二十五万、十六年も二十二万ということで、小泉改革の経済的な変化によって自殺者数がふえているというような感じを受けるわけでございます。

 この件について、自殺問題については厚生労働省が中心となって動いているということでありますけれども、この状況をどのように把握しておられるのか、そして自殺防止策としてどういう対策を今されようとしているのか、その二つについてお伺いしたいと思います。

中谷政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、現状でございますけれども、確かに、平成九年まで二万五千人程度の自殺者の数が、十年から三万人台に上りまして、それ以降も高どまり状況、これは非常に重要な問題でございます。したがいまして、やはり政府全体として取り組みをしなければならないということで、厚生省といたしましても鋭意取り組みを進めているところでございます。

 その対策、今進めておりますことを四つ申し上げますと、まず第一でございますけれども、さまざまな自殺関係の情報、これを全部まとめをしまして、やはり政府だけではなく民間団体のお力もかりて対策をしなきゃなりませんので、発信を積極的にしていく、こういう意味から、自殺予防総合対策センター、これは仮称でございます、これを新たに設置することとしております。

 それから第二に、保健所ですとか精神保健福祉センター、ここで自殺予防の相談をしております、その関係の施策を充実する、また労働者に対するメンタルヘルスの相談事業を整備する。

 それから、自殺予防の普及啓発、これにつきまして、都道府県において地域の実情に応じたPR事業、これを行う場合に補助をする。

 それから、やはり自殺の予防、それから今御指摘されました自殺未遂者の再発の予防、これにつきましては、必ずしも今まで有効な対応というのは開発されておりませんでしたので、その対応の研究をする。

 こういうような対策をとろうということにしておりまして、ただ、これにつきましては、やはり関係省庁、自治体等連携をしなければできませんので、その連携を密にしながら充実を図っていきたい、このように思っております。

大畠委員 特に、国民にとって非常に深刻な問題は、朝の通勤時に鉄道自殺する方が非常に多いんですね。国土交通省がおいでになっていると思うんですが、国土交通省の方から、この鉄道自殺の件数の推移等々、あるいは、国土交通省も言ってみれば被害者の方かもしれませんが、何か国土交通省の方として困っていること、あるいは他の省庁にも要請をして、この自殺をいかにして減らすか、そういうところについてのお考えがありましたらお伺いしたいんです。

大口政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道事業につきましては、いわゆる旅客列車につきましては三十分以上、それから旅客列車以外の列車につきましては一時間以上の遅延あるいは運休が生じた場合には、必ず鉄道事業者から国土交通省にその都度報告がなされることになっております。

 そうした報告のうち、原因が自殺によるものであるというふうに明確にわかるものについては、過去三年間で毎年五百件から六百件程度発生しているのが実態でございます。このうち駅構内で発生したものにつきましては、約半分、二百四十件から二百八十件程度が発生している状況にございます。

 私ども国土交通省といたしましては、鉄道駅における利用者のホームからの転落防止というような安全対策、安全性向上という観点から、ホームドアあるいは可動式のホームさくというものでございますが、その設置を推進、支援しております。これらの設備がまた自殺防止にも効果があるというふうに考えております。

 こうした施策の結果、現在、路線の新設時に設置するものあるいは既設の路線に後から追加的に設置していくもの、これを合わせまして、これまでに、ホームドアは十二路線の百十五駅、それから可動式のホームさく、これが二十一路線の百八十三駅に設置が進んでいるところでございます。

 ちなみに、国民あるいは都民の皆様がよくお使いになる東京地下鉄丸ノ内線、これも相当昔につくられた路線でございますけれども、可動式のホームさくの設置を現在進めているところでございまして、十九年度中の供用を目指しているところでございます。

 いずれにしましても、私ども国土交通省といたしまして、技術上設置可能な箇所につきましてはホームドアあるいはホームさくの設置の整備を進めるなど、これからの社会に向けて、鉄道の利用者のホーム上の安全性の向上に引き続き努力していきたいと考えております。

 よろしくお願い申し上げます。

大畠委員 今、国土交通省からも御答弁をいただきましたけれども、官房長官、この自殺問題、いろいろ新聞でも報道を、特集を組んだりなんかしていますが、どういう心境で自殺をされてしまうんだろうか、その気持ちを考えると、あるいは残された遺族なんかを考えると、非常に私はいたたまれない。それがもしも政治的な影響が強いとすれば、これは政治の責任ですよ。

 特に、私は、平成十四年から経済問題が原因で自殺するという方がふえているという傾向を見ますと、まさに小泉内閣の掲げた改革というものが経済的な破綻を呼び、自殺者をふやしているんではないか、増加させているんではないか。

 そうなってくると、ポスト小泉、今最有力というふうに言われておりますが、安倍官房長官が、小泉改革を継承する人ということを小泉さんはおっしゃっていますが、私は、もとの自民党の堀内さんの新聞記事を読ませていただきましたけれども、小泉改革で問題点があればそろそろそれを軌道修正されなければならない、こういう発言もされているんですが、安倍官房長官として、今の自殺の現状について、あるいは小泉改革、要するに経済的に追い詰められて自殺する人が平成十四年から急増したというこの現象について、どういう御感想をお持ちなのか。

 そして、小泉改革というものは、やはり自民党の議員の皆さんのところにみんな張ってありますが、加速すべきものなのか。もしも問題点があれば、私は、自民党でも民主党でも政権はどっちでもいいのでありますけれども、現実の社会の中で問題点があれば、余りそれにこだわらずに軌道修正してしかるべきだと思うんですが、そのことについての官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。

安倍国務大臣 自殺者数でございますが、この自殺者数が、それまで大体二万三、四千人で推移していたものが三万二千人にはね上がったのは平成九年から平成十年でございますので、これはまだ小泉総理が総理に就任する以前の話でございまして、その後、残念ながらこの三万二千人台でずっと高どまりしてしまっているということではないだろうか、このように思うわけでございます。

 その中で、今、大畠委員からその自殺の理由として経済的な理由ということを挙げられたわけでございますが、しかしながら、自殺自体は、これはさまざまな要因が絡み合って起こるのではないか、このように思うわけでございます。しかし、私の地元の後援者の方にも、会社の経営者ですが、大きな借金を背負い、連帯保証人等の関係もあって、みずから生命保険に幾つか入り、そして自殺をしてそれを清算されたという方もいらっしゃるわけでございます。

 そこで、私は、基本的にはこの小泉構造改革は正しい方向であり、これはこの方向に進まない限り、日本が十年後、二十年後に世界の中で堂々と、活力のある、世界から尊敬される国として生き残っていくことはできないのではないか、このように思うわけでありますが、他方、一回失敗したことで、強い挫折感の中で、もうこれはだめだという気持ちを持つ可能性のある人たちに勇気を与えるのも政治の仕事であろう、このように思うわけでありまして、一回失敗しても再びチャレンジができる、再チャレンジ、何度でもチャレンジができる社会を可能としていきたい、こう思っています。

 一回会社をつぶしても、あるいは会社を解雇されても、もう一度頑張って職業訓練を受ければ再び雇用される、あるいは会社を頑張ってもう一回立ち上げることができる、あるいはまた、十八歳で受験を失敗しても、時がたてばもう一度大学院、大学に通うことができる、そしてまたそれが、仕事をしていてもさらにキャリアアップにつながっていく、こういうようなことも可能な社会にしていくことも我々チャレンジをしていきたい。そのために、今、再チャレンジ推進会議を開催し、いろいろな方策また政策を結集していきたい、こう考えている次第でございます。

 つまり、小泉改革につきましては、検証すべき点はしっかりと検証しながら、その中で挫折を感じる人がいるのであれば、その人たちに勇気を与える政策はしっかりと考えていきたい、このように考えているところであります。

 また、自殺の防止につきましても、先ほど厚生省の方から説明がございました。しっかりと自殺防止の施策は進めてまいりたい、こう考えております。

大畠委員 これは警察庁でしょうか、今官房長官が、トータルの数字は平成十年からという話ですが、経済生活問題での自殺者の内訳の推移というのも資料を私は持っているんですが、平成十二年度から十六年度にかけての人数をちょっと話していただけますか。

中谷政府参考人 警察庁の資料によりまして、自殺者の数、それから自殺の原因、動機についての調査があるわけでございます。

 経済問題につきましては、今数字として持っておりますのが平成九年から十年、これはふえたときでございますけれども、全体的には二万五千人から三万二千人にふえまして、そのうちで経済生活問題、こういうカテゴリーがございます、それによって自殺をされたとされておりますのが三千五百五十六名、これは平成九年でございます。これが平成十年には六千五十八という形になってございます。(大畠委員「ずっとずっと話してください」と呼ぶ)済みません。あと、現在手持ちでございますのが、平成十五年、これが八千八百九十七、平成十六年七千九百四十七というのでございます。

大畠委員 おおよそ合っていますが、今、平成十年が六千五十八人、それから平成十五年が八千八百九十七人、これは明らかに二千人ふえているんですよね。

 ですから、官房長官の御認識の中で、平成九年から大体三万五千人程度の自殺者だとおっしゃいましたけれども、経済生活問題で自殺したという内訳を見ますと、明らかに千人から二千人、その要因で自殺している数はふえているんです。グラフを私もいただいたんですが、明らかに、平成十四年、十五年、十六年というのは、これは官房長官も御存じだと思いますが、やはりふえているんですね、経済生活問題というところでは。

 したがって、官房長官も、自殺の推移というのは、平成九、十年から始まっていて、三万五千人ぐらいで大体同じで、小泉改革とは余り関連性はないんだという御認識はぜひ改めていただいて、そして問題点があれば、余り固執することなく、意地を張らずに、国民生活を直視してやっていただく、これが私は、若い安倍総理候補の一つの指針だと思いますよ。

 小泉さんと同じことをやるんだったら、小泉さんにやってもらえばいいんですよ。そうでしょう。安倍さんになるということは、安倍さんの新しい感覚で政治をやるということですから、小泉さんと同じことをやるんだったら、小泉さんに続投してもらった方がいいんじゃないですか。私はそう思うんですが、安倍官房長官、どう思いますか。(発言する者あり)

安倍国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、基本的には小泉改革が目指している方向は間違いない。しかし、その間、先ほども申し上げましたように、挫折感の中で悩みあるいは苦しんでいる人たちがいれば、そういう人たちに対して勇気を与える政策をしっかりとこれは考えていかなければいけない、その思いで再チャレンジ推進会議を立ち上げて、今まさに、何をやればいいかということを検討しているところでございます。

大畠委員 ここは内閣委員会だよというやじも飛びましたから、これはまた、要するに、先ほども申し上げたように、本当に世界の中で女性の自殺率ナンバーワンという、世界一が日本なんですよ。ロシアよりも高いんです、女性の自殺率が。男性の自殺率は、ナンバーワンがロシアで日本が二番目というこの事実は、非常に政治の原点なのかな、だって命を絶つというんですよ、希望を失って。

 官房長官は、負けたけれどもまた再チャレンジしてもらえるような環境をつくりたいと言うけれども、再チャレンジすることができなくて、あるいは再チャレンジしても負け続けて、結局どこからもお金を貸してもらえない、どこからも援助をもらえない、あるいは家族の中でも、孤立して家族心中する、そういうケースもあるでしょう。そういう国民がいるということを、大くくりも大事だけれども、ぜひ細かなところにも十分な視点を置いてやっていただくことを官房長官には、将来の日本をしょって立つという話も随分新聞で聞いておりますので、御指摘をさせていただきたいということであります。

 さて、そこで、今度は警察官の勤務実態等々についてでありますが、私の知り合いにも警察官がおりまして、正直言って、警察の勤務はかなりきついんですね。

 そこで、この警察官の勤務実態について、警察庁からも話を聞きましたが、もっと現場の警察官の話を聞いてもらいたいなということと、それから、交番なんかでプレハブの交番があるんですよ、仮設の交番が。土地もない、パトカーの駐車場もない。その仮設の交番で一生懸命頑張っているんだけれども、夏は暑いし、冬は寒いし、それでしっかりやれと言ったって、委員長、これはなかなか大変ですよ。

 だから、せめてそういう警察官の勤務の環境は、警察庁は、いや、私たちの管轄ではなくて都道府県警の管轄ですとよく言うんだけれども、とはいいながら、では、何のために警察庁はあるのか。全国の二十四万の警察官がみんな心身ともに充実して治安対策に入るのには、私はこういうものを解決することが必要だし、あるいは、警察庁と都道府県警は関係ないといえばそうかもしらぬけれども、ぜひ、そういう問題があったら解決しなさいということの指導をしてもらいたい。

 それから、凶悪犯罪が非常にふえているんですね。これも、言ってみますと、外国人の犯罪者も日本に随分入ってきて、最初から云々する、凶悪な犯罪を犯してしまおうというやからも日本国内に徘回し始めていますから、日本の警察官もそれに応じた対応をしなきゃならないんです。

 私の聞くところ、年に一回ぐらいしかピストルの射撃訓練をやっていない。射撃訓練場もなかなかないんです。弾ももったいないしということかもしれませんが、せっかくけん銃を持っていても、撃ったことがない、練習したことがない、なかなか練習もできない。これでは外国の犯罪者からは、日本の警察官は、ピストルを撃たない、警棒でもそんなにめちゃめちゃたたかない、捕まっても冷暖房つきの留置所で三食食べられる、こういうふうな評価というか話も聞いているので、私は、日本の警察官の態勢についても、二人で、ワンペアで必ず警らするとか、これはフランスなんかでも必ず二人ですよ、市中パトロールも何も。

 ところが、日本の場合には、なかなか人がいないというので一人勤務、あるいは一人で巡回するということが多いんですが、これはもうそういう社会状況じゃなくなってしまったんです。先ほどの自殺もそうですし、穏やかな安心できる社会という状況からもう変わり始めているんです。ですから、ここのところは警察の方も、社会が変わったんですから、それに対峙するために警察官の方でもそれに準じた態勢を整えてあげないと、警察官、頑張れ頑張れと言ったって、私はかわいそうだと思いますよ。

 それから、けん銃の使用についても、発射するとすぐ新聞ざたになる。だから、けん銃の使用基準なんかも明確にしておいてあげないと、撃った方がいいのか、それも練習不足の中で撃つんですから、これは大変な状況の中で警察官は今治安対策に入っているということですから、ここら辺を総合して、そろそろ全体的な態勢といいますか、準備態勢を整えることが必要だと思いますが、この件について警察庁の所見を伺います。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 いろいろ委員の方から、現場の一線の実情を踏まえた御指摘をされたわけでございます。何点かにつきまして簡潔にお答え申し上げたいと思います。

 一つは、警察官の勤務時間といいますか、そういう休暇等の現状といいますか、現場の負担が重くなっているのではないかということでございます。

 これは確かに、御案内のとおり、平成元年当時から比較しますと犯罪情勢が非常に厳しくなっておりまして、平成十七年と比べますと、刑法犯の認知件数自体が約一・四倍とか、あるいは一一〇番受理件数が約二・二倍ということなどによりまして、やはり現場の警察官の業務負担が大きくなっております。

 このことは、例えば平成十六年中の年次有給休暇の平均使用日数のデータを見ますと、一方で、地方公務員の一般というのは一〇・九日の年次休暇の取得でありますが、他方、警察官は四・八日ということで、数字にもあらわれておるということでございまして、我々警察庁としても、そういうことをかねてから重く受けとめております。

 もちろん、第一義的には各都道府県警察におきまして、こういう業務負担の増加に対しまして、まず業務の合理化とかあるいは適正な人員配置、特に管理部門から実働部門へシフトするとか、第一線警察署の人員を強化するとか、さらにはいろいろな、特に年次有給休暇の使用促進、とりわけ夏季においては取得奨励策を強力に推進しております。

 そういうことをやっておるわけでありますが、これはさらなる努力が必要ですし、また先ほど委員も御指摘のように、これは各県が一義的にそれぞれ努力するんですが、警察庁としてはやはり全国的に、どこに負担があるかということをいつも考えながら、もちろん、どういう新しい施策を打つかということを常々考えておりますが、さらに努力してまいりたいというふうに思っております。

 二つ目は、プレハブの仮設交番についての御指摘であります。

 これは実際は、プレハブのこういうものというのは、新しい交番をつくる場合に、暫定的にプレハブとせざるを得ないということでございます。もちろん、御指摘のような環境につきましては、さらに各県の方に指導して環境を改善してまいりたいと思います。

 それからもう一つ、けん銃使用の関係でございます。

 これは、まず、新たに採用した警察官に対しましては、全体で五十時間以上の実射訓練をして、ここで正確な射撃技術等を身につけさせます。その上で、やはり練度を維持するということが必要でありますので、実際にけん銃を常時携帯します約十五万人、警察官二十五万のうち約十五万人の警察官に対しましては、毎年一回以上の実射訓練というのをやっております。

 ただ、これ以外に模擬訓練弾による射撃訓練、これは年一回以上。それから、やはり射撃技術だけじゃなくて、今は非常に現場の環境といいますか職務執行の環境が悪化しておりますので、いかに現場の複雑な中で正確に使用判断をして撃つかということで、これは映像射撃訓練というシミュレーターを導入して、これを年二回以上実施するということで、最低でも年二回やって、そうした練度を維持する努力はしております。もちろん完璧ということはありませんので、さらに努力をしてまいる必要があると思います。

 けん銃使用につきまして、先ほどの外国の犯罪者の指摘、そういう指摘は承知しております。

 そういう中で、従来の日本の警察官として、過度にちょっと抑制的なといいますか、そういう使用の習慣みたいなものがございましたので、これは平成十三年に、取り扱い規範の解釈及び運用につきまして新たに通達を発しまして、撃つべきときはきちっと撃つ、こういうようなことをやって、今、撃つべきときというのは語弊があるかもしれませんが、けん銃使用につきまして、相手を、人を殺傷する武器でありますので、やはりそういう慎重の上の判断というのはあるわけでありますが、従来は、とかく過度に抑制的なところがありまして、現在はその方針で対応しておるわけでございます。

 以上でございます。

竹花政府参考人 警察官のパトロールのあり方についてお答えを申し上げます。

 現状では、時間あるいは場所、治安状況等も勘案をいたしまして、これは危ないなと思えば二人でパトロールする、そうでなければ、できるだけ空き交番をつくらないように一人でパトロールするということで対処しているところでございます。

 こういうこともございまして、昨年からことしにかけまして、一人でパトロール中に襲われてけがをしたという事案はございません。いずれも二人以上の者でパトロールしている者が受傷した事件は数十件ございますけれども、そういう状況にございます。

 こういう方向で、受傷事故のないように、しかしまた空き交番をつくらないようにということで地域警察官を頑張らせたいというふうに思っております。

大畠委員 そろそろ時間になってきていまして、国家公安委員長には鉢呂さんの方から質問していただきますのであれですけれども、今の答弁を聞いても、年に一回しかけん銃の射撃訓練をやらない、できない。そして、言ってみますと、日本刀をいつも持っていて、真剣での練習は年一回しかやらない、そして、しかるべきときにピストルを発射しろといったって、いつ発射していいかわからないですね。ところが、相手の方はプロの強盗団なわけですよね、言ってみれば。

 だから、そういう意味ではもっと、せっかく十四万人がけん銃を携えているんですから、年に一回なんという話じゃなくて、月に一回ぐらいは射撃訓練をやらないと、もう日本の社会も非常におかしくなってきた。そういう意味では、いろいろ、弾の予算の関係もあるかもしれませんけれども、もっと現場の警察官のことを考えた対策が私は必要なんじゃないかと考えております。

 そういうことで、国家公安委員長に対する質問は鉢呂委員の方からさせていただきますので、これで終わります。

佐藤委員長 次に、鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。

 前回の四月の内閣委員会の質問に続きまして、警察関係一本に絞って、国家公安委員長さんだけに質問をさせていただきたい、このように考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 大臣、私は、この間、警察問題をずっとやってきております。去年は国対委員長をやっておりましたから、一年間は一回も質問できませんでしたので、それ以前も含めて、この警察問題をやってきておるわけであります。

 今大畠委員からもお話があったとおり、国民の皆さんの治安あるいは安全を守る、これは警察の最大の職務であると思っております。同時に、その職務を遂行するに当たっては、国民の皆さんの信頼がしっかりと確立をしておらなければならない、こういうふうに思います。

 もちろん、警察官の個人的な不祥事も、日常茶飯事のような形で多発をしておる実態もございます。同時にまた、大臣も御案内のとおり、この三、四年間、各県警で、さまざまな裏金、不正経理という形で組織的、慣行的に、長年にわたって正常でない経理が行われておるということで、ほぼ、もう十三、四県警にわたってこれが発生をしておる。そして、大事なことは、今なおこの問題が終息をしておらないという状況でございます。

 例えば、これは昨年になりますが、当委員会でも、委員長初め、調査をいたしました愛媛県、この愛媛県の新聞社の調査でも、他の警察署でも不正があったと思うかという質問に対して、何と八五%の県民の皆さんが、あったと思う。不正流用はなかった、いわゆる私的流用はなかったという県警側の説明に納得しておりますか、納得しておらないというのが八六・七%。個人的な不正行為だと思うか組織的なものであるかということに対しても、組織的なものであるというのが八五%。

 これは、愛媛県警は、大臣も御案内のとおり、いわゆる費目違い、勘違いのようなものはあって、三百二十万程度でしたか、それの国庫、県費の返還という措置はありましたが、いわゆる組織的なもの、あるいはまた個人的な利得、私的流用はなかったという内部調査をしておるわけでありますが、これに県民は納得しておらない。

 私の地元の北海道においても、この北海道は、道警本部長がこんなことは絶対ないとおととしの冒頭言ったにもかかわらず、その最高トップを経験された原田元警視長、この発言もあったりして、全面的に、これは全道ほとんどの警察署あるいは方面本部でこういった組織的な不正経理があったと認めざるを得なかったのがおととしのときでありました。

 しかし、昨年のこれも新聞社の調査でも、九割以上の方は、道警の内部調査は全容が解明されておらない。約八割の方は、強い調査権限を持つ地方自治法に基づく百条委員会、これは証人喚問なり、うそをついたら偽証罪に問える、この百条委員会の設置を八割の方が求めておるという状況なわけであります。

 私は、こういった観点から、やはり警察は正義を貫く機関であります、みずからの組織の内部におけるこういう不祥事に対して甘いということでは、国民の皆さんに、強い権限に基づく業務の執行はできないのではないか。あるいは、国民の皆さんからさまざまな情報等のものを得て、その信頼関係の中で初めて事件が解決をするというふうに思うわけであります。

 そういった意味合いから、警察権力というのは、なかなか私ども政治家にとっても、政治家の後援会の電話番号も全部調べておるというぐらいおっかない組織なんですよ。しかし、私は、だれかがやらなければ、だれかというのは、やはりこの国会の衆参の議員が意を決してやらなければ、捜査における秘密だということで言い逃れて、全容が解明されない。これがひいては、単に警察官を全国で五千名増員したとか一万人増員した以上の、私は、きちんとした警察の信頼関係、これをつくることが必要である。

 まさに第一線で、先ほど大畠さんが言われましたように、大変なところで警察官は職務を遂行しておるわけです。まさにそんな、手当ももらわずやっておる。そういう中で、まさに第一線の警察官、上司の方にも、信頼感を得るためには、こういった内部における不祥事、うそで言いくるめるような形にならぬような、しっかりとした全容解明をする必要がある。

 私も意を決してやっておるわけでありまして、国家公安委員長も同じ立場だというふうに私は思います。単に警察庁の長官という立場ではなくて、国家公安委員会のその存在意義というものをしっかり踏まえて、私のこの質問に対して御答弁をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。

 そこで、大臣、そんな細かいことは聞きませんので、ぜひ、後ろの方のペーパーにいきますと耳に入ってこないと思いますので、聞いていただきたいと思います。

 北海道警察の状況はこういうことです。その中で、私の地元の倶知安警察署で、昨年の十月二十六日に、私がここで、内閣委員会で、村田前国家公安委員長に対して質問したその日に、この倶知安警察署の職員の公金横領事件、これを質問しようと思ったら、上前をはねられてマスコミに流されましたが、この横領事件が発覚をしたところでございます。

 大臣、よろしいです、大丈夫、細かいことは聞きません。

 そういう中で、今、二回にわたる起訴がされまして、総額一千三百四十二万円余り着服をした。捜査費、捜査報償費、旅費あるいは物品購入費という形で、これが平成十四年の四月十八日から、平成十七年、去年の三月まで、計二十一回、旅費ですとか捜査費については二十一回、これが着服をされておるわけであります。

 これは会計給与係長という、警察官ではなくて職員だというふうに承知をしておるわけでありますが、これは大臣、道警は、全体で不正経理が行われておるのではなくて、全道、全部、内部調査委員会を設けて調査をいたしました。先ほど言いました。そして、それに基づいて北海道の監査委員の監査も行われて、平成十年から平成十五年度までの監査において、確かに、全道、組織的、慣行的にほとんどの警察署で不正経理があったという認定をされておったわけであります。

 そこで、この倶知安警察署ももちろん十五年度まではその中に入っておるわけでありまして、まさにそれは個人的な利得、いわゆる公金横領というものが入っておるというふうに私は思いますが、そのとおり認識してよろしいかどうか、まずお伺いいたしたいと思います。

沓掛国務大臣 北海道警において、今委員の聞かれたような問題について全面的に調査等をいたしておりますが、それに基づきまして、全道的にそういうものが行われているということではないという結果が出ておりますし、警察庁としても、それらについてのいろいろな、そういうものを踏まえての調査においても、全道的というようなことではない、倶知安警察署における、この方のそういう特別な行為であったというように認識いたしております。

鉢呂委員 昨年の十月の内閣委員会におきまして、漆間警察庁長官も村田国家公安委員長も、私的流用はなかった、組織の立場を離れ、個人的な利得を目的とした使用はなかった、こういうふうに私に答弁されました。

 しかし、実際、公金横領事件でありますから、いわゆる個人的な形で流用をされた。倶知安警察署におきまして、あったということでありますから、これは、この十月の時点の答弁が一部覆るというものになる、こういうふうに理解をしてよろしいかと思いますが、そうでしょうね。

沓掛国務大臣 いや、昨年のその答弁以降の考え方は変わっておりません。この人、この倶知安の係長さんですかの個人的な問題であり、いわゆる私的な流用云々というのは、この人の個人的で、全道的にそういうものが行われているということではないというふうに、道警検査、またこれは警察もそうですし、道の監査委員会もございますし、警察庁としてもそういうことはないというふうに認識いたしております。

鉢呂委員 全道的とは言っておりません。当時、長官も国家公安委員長も、いわゆる私的な流用、私的な流用ですからこれは個人的なものでありますが、これは認められなかったというふうに言っておるわけであります。それが今回、ちょうど十月、私が指摘をして、それから捜査を、内偵から捜査に変わって、十二月に第一回目の起訴をしたわけでありますが、そういった意味では、何も組織的に私的流用、組織的に私的流用といったらこれはえらいことになりますが、個人的な私的流用はなかったというふうに、いわゆる道警内部の調査委員会ではそのように報告をしたわけでありますが、それは覆るということで。そういうことでよろしいですね。

沓掛国務大臣 もう少し詳細に御説明いたしますと、北海道警察において行いました特別調査というのは、問題になっておりました捜査費、旅費、食糧費及び交際費を対象に厳正な調査を行ったものについて申し上げていたのでございます。

 倶知安警察署における業務上横領というのは、いわゆる物品関係の問題でございまして、支払い関係書類の金額の改ざんや旅費支給関係書類の差しかえにより、書類上の整合性や体裁が巧妙に整えられていたことに加え、署内の管理体制の甘さをついて行われた犯罪であったために、署長、次長等に対しての聴取からも把握できず、発見できなかった、こういう特に捜査費等の問題と関連のない時点での事件として起きたものだというふうに認識いたしております。

鉢呂委員 それは事実認識が全然間違っておりまして、それは事務方も含めておかしい話で、そのうちの二百十三万円はいわゆる旅費、捜査費、捜査報償費が入っておるわけですから、そういう間違った答弁をしてもらっては困ります。

沓掛国務大臣 今委員の言われたように、その横領の中には、旅費支給関係書類の差しかえなどによって書類上の体裁を整えた上で、旅費の抜き取りなども一部やっていたということではございますが、この性質として、いわゆる捜査費あるいは旅費、そういうものをある程度まとめて組織的にやっていたというようなものではなくて、これは全く個人的な問題であるというふうに、前の問題とは違う次元の話だというふうに認識しております。

鉢呂委員 それは違います。組織的であろうと私的であろうと、全部調査したんですね。全部調査したんです。そのときにそういった私的流用はなかったということですから、いわゆる特別調査と全然質が違うなんと言ったら大変なことになります。

 こんなことで質問の時間をつぶすのももったいないんですが、ちゃんと答えてください。何をやっているんですか。

沓掛国務大臣 監査というものは、会計検査院もそうですし、私らも国家公務員をやって監査するんですが、何もかも使ったものを一〇〇%やれるものではありません。書類上見て、一応全体としてそういうものを把握し、その中から抜き取って、特に問題がありそうだと思うようなものを何割かやるわけです。そして、全体としてこれを認定するというものでございますから、一応書類上見て、今の係長さんのように非常に巧妙に書類をいろいろ取り繕ってあったりすれば、検査官として、それをさらに見抜くという目にはやはり限界があるというふうに思います。

 ですから、一般的な、きちっとした厳正な検査、調査を行った上で、そういうものをきちっと認定した、しかし、その中には今のような巧妙な手法を使ってそれを逃れていたものがたまたまあったということであって、そのことをもって全体が、いわゆる検査が非常に不適正であったとか、甘かったということではないというふうに考えております。

鉢呂委員 監査報告で、そういう私的流用はなかったというふうに断じておるんですよ。しかし、私的流用はあったんですよ。あったということは、その監査指摘とは違うということは、国家公安委員長、認めるのに何もやぶさかではないじゃないですか。何を言っているんですか。監査はいいかげんにやっているということですか。

 では、なぜ私的流用はなかったというふうに断定したんですか。断定しなくても、そういうふうに記述されているんですか。それに対して、反しているんじゃないかと言っているだけですよ。違うんですか。

沓掛国務大臣 北海道警のいわゆる特別調査において、今私が申し上げたようなことをきちっとしたけれども、そこではそういうものは認められなかったということを言っているわけで、その後、今のような、すき間を抜けてのそういうことがあったということであって、前のことそのものが間違っているというようなことではないというふうに理解しております。

鉢呂委員 実は、ことしの四月二十七日に、警察庁は平成十七年度の会計監査実施結果報告書を出しています。

 大臣、これは、平成十六年の四月一日に国家公安委員会規則を改めまして、厳重に警察庁内部の監査、監査室がやっておる監査についてもきちっと規則を定めてやっておりまして、この監査報告は、警察庁長官から国家公安委員会にきちんと報告をするということで、書類でされておるものであります。

 この中に、北海道は重点的にやると。実は、おととしは内部調査も道警がやっておるということで、昨年、平成十年以降のものを一括、重点的に監査をした。これは警察庁がやった監査です。

 この中でも、先ほど言ったいわゆる道警の内部監査、内部調査を追認して、追認してですよ、私的流用、ここの中では、個人的な利得については認められなかった、こういうふうに監査報告をしているんです。これは十一月と十二月にやった、こういうふうに書類でなっておりました。

 大臣、先ほど言ったように、倶知安のものは十月に、私が指摘するそのときに発覚をして、十二月に検察が書類送検した事案なわけでありますが、まさにそれについて、やはりきちっとこの監査報告に入れ込むのが本当の意味の監査じゃないですか。

 もちろん、道警の内部調査ではこれはわからなかったのは事実です。今回の倶知安警察署の起訴を踏まえて、どうであったかという認識を私は聞いておるんですが、しかし、この警察庁の監査報告はいかにもずさんと言わざるを得ないですよ。これについてはどうですか。

沓掛国務大臣 警察庁の監査は、いわゆる北海道警において行った調査、監査、そういうものを踏まえて、その中で幾つかの問題のところについて現場できちっと確認して、そして全体として間違いがなかったというような形で行うものでありまして、倶知安の今の問題について、既に警察庁の監査の前にわかっていたではないかとか今いろいろ言われますが、その点については私どもは調査してきておりません。事前にきちっと言っていただければ調査しておるんですが、そういうことが伝えられておりませんから。

 一般的な形で申し上げれば、警察庁としては、そのような監査をし、そしてその監査において特にそごを来すことがなければ、それで確認したという形になる、そういうものでございます。

鉢呂委員 それは、国家公安委員長、この監査報告書を読んでいないというか、きちっと認識をとらえていない。

 この報告書ではちゃんと個別具体的に、三重県警、山口県警、タクシー代についても払っていないものを返還するよう指示したとか、指示事項を見てごらんなさい、個別具体的に言っているんですよ。しかも、私が十月の内閣委員会で指摘をした事項について、あなた、そんなものは関知しないでやってきたからと。これは四月二十七日に監査報告書が出ているんですよ。そういった個別具体的なものについてもちゃんと指摘をしなければならない。

 北海道の警察については私的流用はなかった、あの北海道警察の内部調査のとおりだった、こういうふうに言っているんですよ。これはおかしいですよ。これ以上質問しても、私、大変貴重な時間をいただいているわけですから、ちゃんと答弁してください。

沓掛国務大臣 警察庁においては、北海道警察に対する監査に際して、御指摘の事実について北海道警察から報告を受けたものというふうに理解しております。

 なお、今御指摘の警察庁の平成十七年度の監査においては、今回の業務上横領事件にかかわる執行については、当該事件が捜査中であるということも踏まえまして、監査の対象としなかったというふうに報告されております。

鉢呂委員 捜査中だから調査の対象にしなかった。警察のみずからの内部のことなんですよ。一般的などこかの、第三者の捜査にかかわることじゃなくて、みずからの問題について、ほかのところは全部やっているでしょう、そういうふうに、指摘したものは刑事事件であろうと全部報告していますよ。それは、きちっとこの監査報告書に記載をされなかったらだめだと国家公安委員長が厳しくやるのが当然じゃないですか、だめですよ、そんな。

 ちょっと、時間とめてください。

沓掛国務大臣 捜査中のものについては一応除いてするということを、今までも、ほかでもやっているそうでございますので、捜査中のものについては、捜査が終わり次第、翌年度なり次の年の監査においてそれをきちっとやって報告するということだというふうに思います。

鉢呂委員 そうでございますのようなあいまいなことを言ってもらっては困ります。

 そして、これはまさに、平成十年から十五年にかかわる、非常に国民注視の内部調査にかかわる、では、なぜ問題なかったなんて書けるんですか。一部捜査中だから、あるいは起訴中だから、公判中だからというその留意事項、全部書いてあるじゃないですか、これ中身見たら、米印で。ほかの事例ですよ。こんなあいまいな監査報告書で事足れりとする、そういったことが重大なんですよ。今回だって、倶知安警察署、函館中央署、私的流用で全部出ているんですよ。こんな監査室の怠慢さ、これは指摘されて十分じゃないですか。

沓掛国務大臣 北海道警察におきましては、多くの所属で、業者から白紙の請求書を受領し、それを利用して水増し請求を行っていたとの事実は把握されていないものと了解しております。

 なお、北海道警察においては、当該業務上横領事件等を踏まえ、監査において実際に支払われた金額や納入された物品が支払い関係書類に記載された内容と相違ないかを取引業者に対して直接確認するなどして、より実効性のある監査を実施しているものと承知しております。

鉢呂委員 それは次の質問事項の話で、今の感じではありません。

 白紙の請求書に基づく物品購入費にかかわる水増し請求、これは次の段階で、もちろんこれは道費でありますから、国費ではありません。国費の先ほど言いました二百十三万の二十一回の取引は、取引というか不正行為は、まさに捜査費、旅費の全道的に行った北海道の内部調査、これにかかわる、一部は除かれますよ、十五年以降のものは。一部は除かれますが、これに直接かかわるものだから言っているわけですよ。

 ちゃんと、大臣、きちっと私の、何も私はうそを言っているわけじゃないですから、物品購入費なんか今言っていませんよ。これは違うんです、後からまた言いますが。こんなことで、委員長、だめですよ、私、事前にきちっと言っているのに。

沓掛国務大臣 そういうことであれば、事前にきちんと言っていただければ、前日きちっと調べてまいります。何もそういう質問なくして、すべてのことについて私にそれを理解してこいと言われても、きのう来、私もけさまで起きているような状態で、たくさんのことをやっているんですよ。ですから、きちっとこれから教えてください、そうすれば、それに対してきちっとした答えをつくってまいりますから。

佐藤委員長 ちょっと、速記をとめて。

    〔速記中止〕

佐藤委員長 速記を起こして。

 鉢呂君。

鉢呂委員 私は今、少し質問の中で言ったように、昨年も私が質問した中で、大臣、ちょっと聞いていてください、公金着服について私が指摘をさせていただきました。そして、その後の段階についても、私も今も説明をさせていただいて、こういった公金着服、いわゆる私的流用に相当するものについては、道警のいわゆる内部調査委員会の報告はそれ以前のものでありますから、当然それは指摘することにはなりませんでしたが、それ以降について、こういう事件として発覚をしたわけですから、当然これは私的流用があったということになりますねということを大臣として認めるかどうかの話であります。

 それから、監査報告書についても、私はきちっと、これは大臣に行っている四月の二十七日の報告書です。この中で、道警問題を重点的にやった、そしてその総括の中で、北海道警察調査委員会による調査結果と異なる事実は認められなかった、こういうふうに、去年の十二月の監査を踏まえて、この四月の二十七日にそういう報告書を大臣に上げておるわけでありますから、これは去年の十月から私も指摘をし、警察の会計課監査室は当然これに着目しているわけですから、しかも十二月に第一回目の起訴がされたわけでありますから、当然これは、特にこれは警察庁として、こういった書きぶりは事実と違うのではないかということの御答弁を求めておるわけであります。

沓掛国務大臣 私は、監査についていろいろ申し上げたのですが、今言われたように、いわゆる倶知安警察署においてそういう横領事件があった、そしてその中で、今起訴も云々されている。そういうことを踏まえれば、監査とは別にして、要するにそういうものが、北海道警の中で横領事件があったということは、これは当然、認めるも認めないもなくて、そういう事実はあったわけです。

鉢呂委員 ですから、それを認めた上に立って、この監査実施結果報告書の文言というのは適切ではないのではないか。国家公安委員長にこれは提出するという規則をつくって、大変責任あるものとして出されたという中で、ほかの警察の問題については本当に詳細に、詳細というか指示と指導があるんですが、個別具体的な形で指摘をしておるわけですから、こういったものに比べたら、もっと重大な問題として、公金横領というものが警察の内部調査、捜査を踏まえて、もう既に発覚をしておるわけですから、これを監査報告書に指摘するというのは当然ではないでしょうか。

沓掛国務大臣 これは、監査結果については、平成十七年度監査において確認した内容を記載したものでありまして、したがって、監査対象としなかった倶知安の業務上横領については記載しなかったものでありますが、これは次のときに別途として、当然この問題は、これは十八年度になりますか、毎年度警察庁やることになっておりますから、その時期においてこの問題はきちっと取り上げられるものだというふうに考えております。

鉢呂委員 私は、そういう定期だからということではありません。まさに北海道の場合は重点的に、皆さんが監査をしたときには、既にこの事案はもうわかっていたことであります。

 同時に、きょうは会計検査院が来ておりますから、会計検査院は警察庁に対してどのような所見を今回の会計検査の報告でも述べられておるのか、御答弁をいただきたいと思います。

諸澤会計検査院当局者 平成十六年度決算検査報告に掲記いたしました所見についてのお尋ねでございますが、私どもの所見におきましては、北海道警察等において、捜査費等に関する不適正な経理が内部調査によって判明したということ、そして、今後新たに同種の事態が発覚した場合には、徹底的な調査及び速やかな対処が行えるような体制の構築も肝要であると記述しているところでございます。

鉢呂委員 これは昨年末に、我々の手元にはこの一月でありましたが、会計検査の報告で、特に警察庁に対して、所見という形で、今もお話がありました、今後新たに同種の事態が発覚した場合には、徹底した速やかな調査、これを言っているんですよ。あるいはまた、次のところは、対処ができるような体制の構築という二つを言っていますが、いずれにいたしましても、やはりこの種の問題が発生した場合には、速やかな調査、監査等を行えということを言っているんですよ。会計検査院みずからもそういう体制でいきますというふうに、後でまたこれは求めますが、定期に載っていなかったからこれは書き込んでいなかったというような問題ではないのではないですか。どうですか。

沓掛国務大臣 それは、この倶知安の問題は、今警察庁がいろいろ調査したりした時点においてはまだ捜査中のものでございました。したがって、それがきちっと結論が出てからやるべきことで、まだ捜査中であったのでこれは除くとしたものであって、決してこれを隠していくとか、そういうものではありません。厳正な検査を行い、監査を行っていくことは当然でありますから、これからもこういう問題について厳正に対応していきたいというふうに思っております。

鉢呂委員 それは今大臣が即席で言われたんでしょうが、では、北海道警察はこれについて監査をするというふうに言っておりますか、御答弁願います。

沓掛国務大臣 北海道警察においては、当然、こういう今回の事案も含めて厳正な監査をすることになると思います。

鉢呂委員 これは、北海道知事は北海道監査委員に再監査を強く要請したところであります。しかし、北海道警については、私ども、そういう確認をしておりません。国家公安委員長が、そういう、なると思いますというようなあいまいな答弁で果たしていいのかどうか。確かに私、この点については事前にお話をしておりませんが、やはり強い姿勢が必要ではないですか。

沓掛国務大臣 北海道警察におきましては、当該業務上横領事件等を踏まえ、監査において実際に支払われた金額や納入された物品が支払い関係書類に記載された内容と相違ないかを取引業者に対して直接確認するなどして、より実効性のある監査を実施しているものでありますが、今言われた件については今後とも厳正に監査していくことになります。

鉢呂委員 その最後のなりますというのは、どういう、だれが主体のことを言っているんですか。第三者的な、評論家的な形ですか。

沓掛国務大臣 これは直轄的な組織的なあれではなくて、北海道は自治体として運営されるわけですし、私らのこの国家公安委員会というのは、警察庁を管理する、警察庁に対しても直接、一つずつやるわけじゃなくて、包括的にこれを管理する立場でございまして、自分みずからがやるものではありません。

 したがって、またさらに、この警察であるところについては、督励するとか、これはぜひやれということで、自分がするのであれば、私はやりますということを、例えば国土交通省、私建設省出身ですが、普通の大臣なら、建設省の出先であれば、私がやりますと言えば、それで決着することですが、私がここで、では、そのことをやりますと言っても、私、組織的、法律的にはそういう体制に現になっていないんです。ですから、私としては、いわゆる督励する、そういうものをきちっとやるように、やりなさいと督励するのは私の包括的な権限でございますから、そういう形で私としてできる限りのことはやりますということを申し上げているんです。

鉢呂委員 これは、大臣、警察庁が監査実施結果報告書を出しているように、国費の捜査費あるいは旅費、こういうものが使われている、こういうふうに起訴状にも書かれておるわけでありますから、まさに警察庁が、私は最初に言っておるのは、十七年度の監査報告の中できちっとやるべきだ、おかしいじゃないかという指摘をしておるわけですから、まさに国家公安委員長が警察庁長官に、なぜ皆さんの監査室が総力を挙げて一日も早く、こういった私的流用があったわけですから、去年の十月に漆間長官は、あったら証拠持ってこい、こういうふうに私に強気の答弁をしていたんですよ。

 みずから内部の問題についてあれだけ、さまざまなライブドアの問題についても耐震偽装についても、百カ所以上も家宅捜索をして事件をちゃんとやっておるのに、これだけ全国規模で警察内部の問題について家宅捜査等の強制捜査もできないで、みずからに甘い、こういうふうに国民からも思われておる、こういった問題について、ちゃんと国家公安委員長として警察庁長官に指導をしなければならないと私は思います。いかがですか。

沓掛国務大臣 その点については十分督励もしておりますし、いろいろ、週一遍ずつ国家公安委員会委員と警察庁幹部との会合もありますから、その際についてはきちっとそういう話は申し上げております。

 その上で、一連の不適正経理事案についてですけれども、国家公安委員会は、関係警察において事実関係を厳正に解明し、その結果を公表するとともに、処分や返還などの必要な措置を速やかにとるよう警察庁を督励もいたしております。

 また、これら不適正経理事案を踏まえて、国家公安委員会は、会計の監査に関する規則を制定する、警察庁が行う会計検査については毎年度すべての都道府県警察を対象とするとともに、その手法、体制についても工夫を加えるよう警察庁を指導いたしておりますなど、これまでもリーダーシップを十分発揮してきているというふうに思っております。

鉢呂委員 ちょっと時間がなくなってしまいましたが、大臣は、先ほどの公金着服、横領で、巧妙になされておったので監査等でわからなかったという表現をされたわけであります。

 私の質問主意書に対しても、小泉内閣の答弁は、書類上の体裁が巧妙でわからなかったと。これは北海道警の監査も定期にやっておるんですが、わからなかったという表現なんですが、しかし、警察、検察を含めての起訴状を見ますと、こういうふうに言われております。

 この職員は、警察署長名で、いわゆる捜査費等が上から来た場合に、銀行の署長名義の口座に入ったものを自分名義の口座に振りかえ入金、これは伝票振りかえをしておる。これが二十一回です。しかも、今週月曜日の五月八日の公判で、この被告人は、上司がきちんと通帳を確認すれば、すぐ着服は見破られると思っていた、見破られていると思ったと。

 それから、被告人は、この警察署に着任したときに、もう既に自分の、会計担当係長ですが、自分の机の中にその署長の印鑑があった。その後二回署長はかわったんですが、次の署長のときは、新しい印鑑をつくれということで、つくって自分が保管した。次のときは、印影、判こを押したその跡のものをもってやはり印鑑をつくって、少なくとも三本はつくって自分が保管していた。

 こういうような表現で、私の質問主意書には、どういう決裁をしておったんですかというものに対して、署長ないし次長が決裁をしておったというふうに答弁書はなっておるんですが、この月曜日の形からいけば、公判の被告人の証言からいけば、もう預けっ放し。監査なり決裁というのは、通帳、現金なり、現金は出納簿と現金が本当にあるかどうか、あるいはさまざまな会計は、やはり現金にかかわるものは通帳を確認するというのがもうイロハのイの話でありまして、書類上巧妙でわからなかったというのは余りにも実態を言っていない、こう言わざるを得ません。

 ですから、多分、大臣、平成十三年から警察刷新、強化で、こういう経理もきちっとやるということになったんですが、去年の三月までこういった着服が行われておったんです。

 もう時間がなくなるからあれですが、しかも、先ほど言ったように、物品購入費については白地の請求書、これを使った。しかも、これは、私が行ったところではほとんどこういう形で白地の請求書に基づいて行われておったと。この方は、例えば道警の薬物対策課でも会計を担当しております。

 あるいは、大臣、このほかにももう一件、函館中央署、江差署でも同じような事例で着服が起きておるんです。最近のことです。去年の三月までということです。

 警察の体質は変わっておらない、この経理処理について。やはりきちんとした調査を、物品購入費についてはもちろん都道府県費です、したがって、これは国家公安委員長がやれというふうなことはできかねるかもわかりませんが、警察全体の不正経理という事例からいきまして、大臣、こっちの話をひとつ聞いてください、きちっと国家公安委員長として都道府県警に、今回調査しているのは四費目と言われておる、いわゆる県費、国費の捜査、捜査報償費、これが一つです。それから、旅費も国費と県費があります。それから、交際費ともう一つあるわけです。しかし、こういった物品購入費とか、まだ全部で七つ以上あるんですが、これらについては調査をしておりません。私はそれらも含めて調査をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

沓掛国務大臣 今いろいろ項目を挙げられましたけれども、ともかく適正なそういう監査というのはぜひ必要だというふうに思います。

 この職員のやり方というのは本当に許せない行為だというふうに思いますが、非常に計画的に準備しながらやっているということ、それから、今おっしゃった、では、その上司の者が監査、ちゃんと検査、あるいはそういう通常の管理者としての注意が欠けていなかったかといえば、欠けていたというふうに思います。したがって、そういう方々は、しかるべく処分はいたしております。

 これからも、厳正な処分、そして綱紀、規律、そういうものをきちっと警察官は身につけていく、従来からきちっとしているというふうに思っておりましたけれども、こういう事案を見ると、そういうこともあるのかなという思いもいたしますので、適正な、厳正な監査を行い、また何らか非違な行為があれば厳正な処分をすることをやっていきたいというふうに思います。

鉢呂委員 私の質問の趣旨は、この個人も、もちろん犯罪ですから、許せません。しかし、同時に、白地請求書、全く白紙の請求書というようなものが全道の各地で広くこういう方式でやっていたということで、やはり原田警視長が言っているように、お金に色がついていない。しかも、ほとんど領収書はないんですよ、この前私が質問したように。現金で渡されて、実際何に使われたかわからない。

 しかし、同時に、最もいけないのは、これは福岡県警でも北海道警も同じですが、署長等が異動の際に、せんべつ費と称して多額の数百万にわたる現金、その裏金、不正経理で残ったものを持っていってしまうということは、いわゆる第一線の警察官は本当に何も、旅費ももらわないで、自分の事件に当たって身銭を切りながらやっておる中で、大臣、聞いてください、答弁は求めませんから、そういったことが最も上の幹部によって行われておる。

 大臣、答弁は求めませんから、そして、警察の組織は、警察庁から幹部が、第一線の高級の第一捜査課長だとかそういう部門も含めて、警察庁から派遣されておるんです。

 ですから、この組織の実態からいけば、私は、ある面では警察庁を交えた組織的な犯罪の容疑が非常に強い。もう十四県がそういう形になっていますから、それらを含めて、大臣が重大な決意でこの不正経理問題に臨んでいただきたい。

 また質問する機会もあろうと思いますが、きょうはもう五分の一、六分の一でありましたから、私の質問とさせていただきます。

 答弁は要りません、私は時間を守りたいと思いますので。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、日本の原子力発電所も大体三十年から四十年たってきましたから、原発というのは、原子炉の圧力容器の中で核燃料が要するに核分裂反応をやっているわけですから、中性子がどんどん飛び交い、それによって連鎖反応が次々と起こっていく、そういう現象ですが、中性子によって材料がたたかれることによってもろくなってくるという問題があるんですね。わかりやすく言いますと、要するに、熱いガラスのコップの中に冷たい水を入れたらぱりんと割れるように、もろくなるということはそういう意味なんです。

 そこで、きょうは、脆性遷移温度というのをお手元に資料を配らせていただいておりますが、これは、幾つかある原発の原子炉圧力容器、これに中性子がどれぐらい当たったときにどれぐらいもろくなっていくかということは、この脆性遷移温度というのがどんどん上がっていくわけですね。ですから、こういうグラフというのは、少し端っこと端っこを斜め向けにこういうふうに見てもらうと、大体の傾向として、ずっと右肩上がりに上がっていくというのがよくわかってもらえると思うんです。

 これは片対数グラフですから、横軸の方は、中性子照射量が、上の数字の下に一掛ける十の十六乗とか十七乗、十八乗というふうに書いておりますが、要するに、中性子が一平方センチ当たり幾ら当たったかというその個数、それを横軸にして、そのときにもろくなっていく度合い、つまり脆性遷移温度がどう変化しているかというのを、全部の原発ではこんがらがってややこしくなりますから、沸騰水型では敦賀一号、福島第一原発一号機、あと、加圧水型では関電美浜一号、二号、大飯一号、二号、九州電力の玄海一号というものについてプロットしたのがこのグラフです。そのもとになるデータが下にある表であります。

 それで、加圧水型原発については、高速中性子が、要するに、今言いました圧力容器の壁、炉壁などに、母材に照射されることによって、中性子が当たりますと金属格子がきちっとした組み合わせのところからずれるものですから、格子欠陥というんですが、これが生じます。そうなりますと、緊急事態発生時などに原子炉の急冷を行ったときに、急に冷やしたときに、金属がもろくなっていて熱衝撃などに耐えられなくなる問題、つまり、原子炉が壊れるという問題を抱えてくるというのが原発の老朽化ということです。

 沸騰水型原発の場合には、三年ほど前に東京電力の不正事件で明らかになりましたが、炉心隔壁と言われるコアシュラウドというのが中性子を遮へいする役割を果たしておりますから、ある意味では、圧力容器の壁に中性子が当たる比率が加圧水型に比べると二けたから三けたは低い数字になっておる。つまり照射量が少ないということになるわけでありますが、いずれにしても、その場合は、コアシュラウドというのが中性子を次々と浴びてもろくなってくる、ひびが入りやすくなるとか、そういう問題が出てくるということです。

 このことは、制御棒に関しても、あるいは燃料被覆管の被覆材の方で、燃料体の被覆管などでもそういう問題は本来起こり得る問題で、最近も、東京電力を初めとして、ハフニウムの制御棒の制御板にひびが入ったというのは、そういう中性子が次々と照射されることによって起こった現象です。

 そこで、最初に政府参考人の方に伺っておきますが、もろくなる状況を示すこの脆性遷移温度が、これはどんどん温度が上がっていって、美浜一号ですと七十四度C、美浜二号で七十八度C、高浜一号で八十八度C、大飯二号で七十度C、玄海一号で五十八度Cというふうになっていますけれども、いずれも、運転開始前はマイナス数度とか、あるいはマイナス三十度ぐらいが脆性遷移温度であったものですから、やはり三十年、四十年近く運転してくると、そのことによって脆性遷移温度がうんと上がってきているということをまず読み取らなきゃいけない。もろくなってきているという問題について真剣に取り組んでいかなきゃいけないというふうに思うわけですが、まず最初に、この数字などを含めて少し確認をしておきたいと思います。

広瀬政府参考人 先生御指摘の脆性遷移温度の上昇でございますが、これは、高経年化に伴う主要な劣化事象の一つであります中性子照射脆化によるものであると認識をいたしております。核分裂により発生する中性子が長期間にわたり圧力容器に照射されることにより、破壊靭性が徐々に低下されるものでございます。

 これにつきましては、炉内に装荷した監視試験片を取り出し、強度試験を行うことによりまして健全性を確認することといたしております。

吉井委員 ですから、そういうふうにして健全性というのは、つまり、健全であるか、大分危ないと思って注意しなきゃいけないかということを確認する試験片であるわけですが、今申し上げました数字は、これは絶対値なんですね。

 それで、相対的に、つまり、どれぐらいもろくなったかという点では相対値で見た方がいいので、これは、資料の下の方の表の、それぞれのものの、ゼロというのは装荷したときですから、運転前ですから、一番新しい数字が一番大きい数字として、美浜一号にしても二号にしてもみんなこの差をとればいいわけですから、そうすると、この相対値で見たときに、美浜二号では八十一度C、大飯原発二号では八十八度C、玄海一号では七十二度Cなど、上昇が非常に大きいんですね。

 だから、そういう点では、絶対値も高くなっているんですが、相対的に見ても、かなり日本の原発も長期に運転してきて、材料の面ではもろさということについて真剣に考え、取り組んでいかなきゃいけないという問題を抱えてきていると私は思うんですが、これも政府参考人に伺います。

広瀬政府参考人 先生御指摘のように、沸騰水型と加圧水型を比べましたときに、加圧水型の原子炉の方が中性子照射量が多くなる傾向にございます。

 また、この表にございます各炉で、沸騰水型と加圧水型があるわけでございますが、材料の中に含まれる不純物によりましても脆性遷移温度の上昇傾向が変わってまいります。一般に、不純物の含有量が多いほどその傾向が大きくなると言われておりますので、このような中性子照射量、また材料の不純物の量等をこれからしっかり管理していくことが重要だと考えております。

吉井委員 今おっしゃった沸騰水型ですと、さっき言いましたように、炉心を取り巻いているコアシュラウドという炉心隔壁がありますから、直接的には、原発の圧力容器に当たる中性子の量は加圧水型に比べて二けた、三けた低いんですね。

 ところが、このグラフの左端に近い方をごらんいただくとよくわかるんですが、沸騰水型の敦賀一号は、下の方は確かに低いんですが、白い四角ですね、これもどんどん使用しているうちに高くなってきて、これは五十度を超えるものになってきている。福島第一原発の一号機については、これは〇・一というところ、一掛ける十の十八乗個のところで見ると、急速に、わずかの調査期間にぐんと上がっているんですね。

 これは、実際上、データというのはばらつきもありますから、私はそれだけで決めつけて物を言うわけじゃありませんが、この傾きのまま行きますと、比較的近いときに調べたときにはさらにぐんと上がっていくということになりますと、そうすると、これはNRCの方がきちんとした解析をしなきゃいけないと言っている華氏二百七十度、摂氏百三十二度というところに、これは百度のちょっと上のあたりですけれども、すぐに到達をするということで、これは、いずれにしても、沸騰水型原発の場合であっても圧力容器の脆化がコアシュラウドの問題だけじゃなしに進んでいる。このことを、加圧水型だけじゃなくて沸騰水型についてもこの脆化という問題はかなり深刻に受けとめる必要があるというふうに思うんですが、この点、政府参考人、どうですか。

広瀬政府参考人 先生御指摘のように、中性子照射脆化によります遷移温度の上昇につきましては、運転管理の面でも十分対応していくことが必要であると考えております。特に脆性破壊に厳しくなりますのは、運転中あるいは事故時に低温かつ高圧力になることでありますので、先生御指摘の沸騰水型原子炉につきましても、特にそのような状況になる事態、例えば原子炉圧力容器の耐圧試験時によく注意をするということが必要になってくると考えております。

吉井委員 それで、実は、これは圧力容器だけの話で見ていたんですが、私、余りいろいろ書き込むとややこしくなるから省略しているんですよ。三年ほど前の東京電力のコアシュラウドのひび割れ問題ですね。あのデータというのは、実はこれで見ると、今度は右端の方から一つこっちに一という数字がありますが、これは中性子照射量が一掛ける十の十九乗個・パー・スクエアセンチというところ。その少し右あたりのところを見ていただくと、上から白い三角、黒い三角、黒い四角のひし形にしたもの、それからプラスに、白いひし形に見える、これが大体一直線に並んでいるぐらいに見えるところがあります。これは上から美浜一号、美浜二号、大飯二号、玄海一号、大飯一号というふうに縦型に大体並んでいるところなんです。

 実はこのところで、一・八三掛ける十の十九乗個で、東京電力は福島第二原発三号機で、溶接線ナンバーH2というところでひび割れを起こしていますね。その一つだけじゃありませんが、あれはその周辺で、つまり、今までは圧力容器についてはこの程度なら大丈夫だろうと思っていた領域で、実は中性子照射が非常に多いものですから、東京電力のコアシュラウドではひび割れが起こっていたというのが幾つも観測されたというのが事実の問題としてあると思うんですが、これも参考人の方に伺っておきます。

広瀬政府参考人 先生が御指摘になられました東京電力の福島第一・四号機、第二・二号機、第二・三号機、第二・四号機、また柏崎刈羽一号機のシュラウドの溶接線、これはそれぞれ場所が異なっておりますけれども、その溶接線のところで中性子照射によるものと思われますひびが生じております。

 このひびにつきましては、それぞれのひびの状況に照らしまして破壊力学的評価を実施いたしております。

吉井委員 私が今言いましたのは、コアシュラウドで一・八三、つまり大体二掛ける十の十九乗ぐらいの照射量のところで、そこで幾つもの沸騰水型原発でひび割れが起こったんです。同じ照射線量に至っているのがこの周辺の加圧水型原発の圧力容器と言われる、核分裂反応をくるんでいる容器そのものが、実は沸騰水型ではひびの入った、それぐらいの中性子の照射量になっているというのがこのグラフを見ておりますとよくわかるわけです。

 それで、参考人の方に引き続いて伺いますが、外国の研究事例に基づいて、中性子照射量が一平方センチ当たり三掛ける十の二十乗個以上になると、コアシュラウド、炉心隔壁の材料であるステンレス鋼に脆性劣化が起こるということを、これは二〇〇二年八月二十九日の原子力安全・保安院の、東電原発の不正事件の安全性への影響についてという報告の中で示しておられると思うんです。

 外国の研究事例にしても、そして保安院自身が考えていらっしゃるものにしても、中性子照射量は、既にコアシュラウドで起こっているわけですが、ステンレス鋼であっても脆性劣化がかなり深刻に起こってくる、このことを国の方ではつかんでおられる思うんですが、どうですか。

広瀬政府参考人 先生御指摘のように、炉心シュラウドへの中性子照射量が三掛け十の二十四乗個中性子・単位平方センチメートル以上になると、炉心シュラウドの材料、ステンレス鋼でございますが、脆化するという海外からの情報を私ども確認いたしております。

 このような中性子照射による脆化に対しまして、私ども、いろいろなことを今取り組もうと考えておるところでございます。その一つとして、やはり監視の試験のデータをふやしていく、中性子照射量が今後ふえてまいりますので、監視試験のデータをふやしていくということを考えていきたいと思っておりまして、そのためには、この炉心の中の監視試験片を再生すること等に取り組んでいきたいと思っております。また、一方では、この脆性遷移温度の上昇に伴う脆化に関します評価のやり方、これを最新の知見に照らしましてもっと向上させていくということにも取り組んでいきたいというふうに考えております。

吉井委員 この中性子照射による原発の脆性劣化の問題はかなり深刻だということを受けとめておられることはよくわかりました。

 それで、今おっしゃった単位は、一平方メートル当たりは二十四乗個なんですが、一平方センチ当たりにしますと十の二十乗個ということになりますから、ちょっと単位だけは合わせておいた方がいいと思うんです。

 それで、実はこの点では、先ほどのグラフで、大体プロットしてある点をずっと逆に上の方へ延ばしていくとどういうことがわかるかといいますと、こう延ばしていったときに、一番右端の線に接するあたりで、これが華氏二百七十度、もうちょっと上の方に、百度の上に線を引っ張ったらよくわかるんですが、摂氏百三十二度の線に大体接してくるわけなんです。

 これはどういうことかといいますと、NRC、アメリカの方では、脆性遷移温度が華氏二百七十度、摂氏百三十二度以上になると詳細な安全解析を行えと指示している温度なんですね。つまり、それぐらい原発の老朽化、脆性劣化は深刻だというのがアメリカの原子力規制委員会などでは指示が出されているわけです。

 既に炉心隔壁、コアシュラウドではひび割れが生じているわけですし、ほどなく脆性遷移温度も上昇して、百三十二度というNRCが安全解析を指示しているラインに近づいてきているわけです。そこで、私、この点も伺っておきたいんですが、NRCはどういう安全解析を求めているのか、日本はどういうふうな実証試験をやっていこうと考えていらっしゃるのか。

 つまり、物事というのはデータをとればいいだけの話じゃなくて、実際にそれが大丈夫なのかどうか。もちろん先ほどおっしゃった、試験片をもっと密に調べるというのも大事です。中には十七年間全然試験をやっていないという炉もありますから、ですから、もう少しきちんと密に調べるというのは、私は当然必要なことだと思っているんです。

 しかし、それとともに、どのように安全かどうかを実証するか。十七年一カ月やっていないのは伊方二号ですけれども、そういうものもありますが、どのような実証試験をやっていくのか。アメリカがどういう安全解析をやっているのか。ここのところを明らかにした上で、日本としても、やはり老朽化した原発が本当に安全かどうかということをきちんと実験によって実証することによって確認するということが大事だと思うんですが、どういうことを考えておられますか。

広瀬政府参考人 中性子照射脆化によります影響として厳しいものは、先生御指摘になられましたように、加圧水型原子炉の加圧熱衝撃事象、先ほど私申し上げました、低温で高圧力になる事態であるわけでございますが、この加圧熱衝撃事象に、内圧が高い状態で原子炉容器の内面が急冷され、容器の靱性が急冷によって低下をして、内圧と熱応力による高い荷重が発生するという事象が最も厳しい事象と想定をいたしております。この想定に対しまして、現在まで得られております監視試験のデータ等を用いて十分安全性を評価していくということが必要ではないかと思っております。

 現在まで、我が国では九つのプラントの中性子照射脆化の予測と監視試験データの突き合わせをしてきておりますが、特に加圧水型原子炉につきましてはこの予測がほぼ一致をしておりますので、今後さらに、このような評価手法を向上させていきたいというふうに考えております。

吉井委員 それで、高温、高圧の状態から原発をとめるときにトラブっちゃいけませんから、緊急炉心冷却とか急冷するということもありますから、それにもつかということももちろん大事なんです。

 その実証試験も必要ですが、実際にこれだけ脆性遷移温度が上がってきた、劣化してきたといいますか老朽化してきた原発を、日本は地震国ですから、大規模地震のときにもつかどうかということについてちょうどいい装置が実はあったんですね、あったという過去形にするのは非常に残念なんですが。

 これは財団法人原子力発電機構が四国の多度津に大型の振動台、起震台を持っていました。これは、兵庫県にE―ディフェンスという新しい振動台をつくったからもう古い方をほうってしまおうということで、スクラップにして完全に解体してつぶしてしまったんですね。

 ところが、原発の容器というのは放射化されていますから、一度振動台で実験をやりますと、その装置そのものを管理区域にしないともう使えないんですね。ほかには新しいものを使ったりするわけにいかないんですね。ですから、これを解体する前に、今問題になっている脆化した、老朽化した原発の各機器について、何か、大型振動台を使って耐震性の試験、大型地震に相当するものが来たとしても脆性劣化した部分は大丈夫だという試験を行ったデータがあるのかどうか、伺います。

広瀬政府参考人 多度津工学試験場の大型高性能振動台を用いた振動試験につきましては、安全上重要な大型設備のデータの取得を終えましたために、平成十六年度で終了をいたしました。

 これまで行いました試験の中に、高経年化したものを実際に用いた試験というものは行っておりません。

吉井委員 これは、四年前の二〇〇二年の四月八日の決算委員会で、当時の佐々木保安院長が、原発の最終耐力をきちんと、地震が起こっても大丈夫かという耐力ですね、これをこの振動台等を使って実証する必要があるということを答弁していたんですが、それ以降も、結局一つも実験、実証しないままスクラップにしてしまったんです。私は、これは本当に大変なことをやってしまったと思うんです。

 そこで、あわせて伺っておきますが、通常の軽水炉と、そこで既にもう中性子で脆化している中でプルサーマルだといってプルトニウム燃料を燃やすこと、その場合で発生する高速中性子の数はどのように変化すると見込んでいらっしゃるか、伺います。

広瀬政府参考人 プルサーマルにおきますMOX燃料の使用に伴いまして、プルトニウムの熱中性子の吸収がウランよりも大きいために、高速中性子束が若干増加をすることになります。原子炉容器等の中性子照射による脆化についても若干の影響が考えられますが、この高速中性子の増加量は数%程度であるというふうに見込んでおります。

 実際には、MOX燃料の炉心内の配置による影響が大きいために、一概にこの増減を論じることはできないと考えておりますけれども、先ほど申し上げましたように、MOX燃料を用いました場合でも、原子炉容器内に監視試験片を入れて定期的に取り出し、設備の健全性を確認していきたいと考えております。

吉井委員 私も、データというのはどこでも一様とは思っていないんですよ。今おっしゃったように、試験片にしても置いてある場所によって当然データにばらつきが出てきます。そのことはわかった上でなんですが、昨日もレクチャーを受けておりましても、大体プルサーマル利用で五%ぐらい増加する、約五%というお話でした。

 それで、今でも中性子照射によって脆性劣化が進んでいるんです。軽水炉のままでもそうなんですが、プルサーマル利用でさらに中性子をたくさん照射させれば、さらにこの軽水炉の傷み方はひどくなってくる。

 冒頭言いましたように、熱いガラスのコップに冷たい水を入れたら割れるように、これは大変深刻な問題が出てくるわけです。新品の原発の話じゃなくて、老朽化した原発でプルサーマルをやっていこうとする。脆性劣化が進んでいるのに、さらに壊れやすい事態をさらに速いスピードで進めようというやり方が、果たして本当に国民の皆さんにとって安全を守りますと言えるような話なのかどうかということが今一番問われている一つだと思うんです。

 そこで、私は、なぜそういう中で、安全の証明もなしに、脆性劣化している老朽原発でプルサーマルをやろうとするのか、その方針を考えているのかを、エネ庁の方に伺っておきます。

安達政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国原子力政策の基本でございますプルサーマルを含む核燃料サイクルの推進は、エネルギー資源に乏しい我が国にとって、エネルギー安全保障や地球環境問題への対応を考える上で不可欠な取り組みでございます。プルサーマルは、その一環をなすものとして着実に進めていくことが極めて重要であると考えております。

 国といたしましては、あくまでも安全の確保を大前提として、地元の方々を初め国民の皆様の御理解、御協力を得つつ、プルサーマルの実現に向けて今後とも一歩一歩着実に取り組んでまいる所存でございます。

吉井委員 時間が参りましたので、せっかく大臣に来ていただくように言っておいて一言も聞かずでは悪いですから。申しわけないですね。

 今ずっとお聞きいただきましたように、日本の原発の中で、三十年、四十年と運転してきて、脆性劣化が進んできているんです。中性子をもっとふやすようなプルサーマルに走ったら、さらに危険を増すということははっきりしているんです。

 科学技術担当大臣として、また原子力を担当してもらっているんですが、研究開発の実験だけじゃなしに、長期間使用、老朽化したものの大規模地震時の安全性をどう実証していくのかとか、やはり、科学技術というものは国民の安全をどう守るかということについて根本的な取り組みをもっと強めていかないと、それ行けどんどんで、国の政策だからプルサーマルを進めればいいというふうな簡単なものじゃないということを考えなきゃいけないと思うんです。このことを最後に大臣に伺って、終わりにしたいと思います。

松田国務大臣 吉井委員御指摘のとおり、原子力施設の安全性、今おっしゃったプルサーマルも含め、あるいは地震に対することも含め、安全性を確保していく、一番大事なことだと思います。特に、きょうお話を伺っていまして、高経年化といいますか、これにかかわる安全問題というのも極めて大事だと意識しております。

 したがいまして、委員御案内のとおりと思いますが、内閣府の原子力安全委員会では、国による安全研究の推進というのを計画的に図っていくために、平成十六年七月に原子力の重点安全研究計画というものを策定いたしまして、同計画におきまして、材料劣化、高経年化対策技術を重点的に進める研究分野として位置づけておるところでございます。

 この計画に沿いまして、今後とも、当然のことでございますが、材料劣化あるいは高経年化対策研究というものを積極的に推進してまいりたいと思っておりますと同時に、今おっしゃいましたように、科学技術政策の面においても、つい先般、第三期の科学技術基本計画をつくらせていただき、その中で分野別推進戦略というものをつくらせていただきました。きょうお話しいただきました分野は、まさに国が責任を持ってやっていくべき重要研究開発課題ということで位置づけさせていただいておりまして、今後五年間、しっかりやっていくべきだということをはっきり決めさせていただいた分野でございます。

 私としても当然、きょう委員のお話をよく承りました。その意を踏まえまして、さらに努めていきたいと思っております。

吉井委員 質問を終わります。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 次に、内閣提出、参議院送付、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。沓掛国家公安委員会委員長。

    ―――――――――――――

 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

沓掛国務大臣 ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、最近における準空気銃を使用した犯罪の実情等にかんがみ、これによる危害の発生を防止するため、その所持を禁止し、その他所要の規定を整備すること等をその内容としております。

 以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。

 第一は、準空気銃の所持の禁止に関する規定の整備についてであります。圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃であって空気銃に該当しないもののうち、人を傷害し得るものを準空気銃と位置づけ、法令に基づき職務のため所持する場合等を除き、その所持を禁止することとするものであります。

 第二は、猟銃の許可の基準の特例に関する規定の整備についてであります。準空気銃を使用して人の生命または身体を害する罪その他の凶悪な罪に当たる違法な行為をした日から起算して十年を経過していない者に対しては、猟銃の所持の許可をしてはならないこととするものであります。

 第三は、準空気銃の一時保管等に関する規定の整備についてであります。警察官は、準空気銃による危害を防止するため必要があるときは、これを提出させて一時保管等をすることができることとするものであります。

 第四は、その他の規定の整備についてであります。準空気銃を不法に所持した者に対する罰則規定その他所要の規定を整備することとするものであります。

 なお、この法律の施行日は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会


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