衆議院

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第4号 平成18年11月1日(水曜日)

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平成十八年十一月一日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    石崎  岳君

      遠藤 武彦君    岡下 信子君

      上川 陽子君    木原 誠二君

      桜井 郁三君    寺田  稔君

      土井  亨君    中森ふくよ君

      林田  彪君    松浪 健太君

      村上誠一郎君    市村浩一郎君

      小川 淳也君    小宮山洋子君

      佐々木隆博君    横光 克彦君

      渡辺  周君    石井 啓一君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣         佐田玄一郎君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河  幹夫君

   政府参考人

   (内閣府「道州制特区」推進担当室長)       山崎 史郎君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  嘉数 知賢君     桜井 郁三君

  谷本 龍哉君     石崎  岳君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     谷本 龍哉君

  桜井 郁三君     上川 陽子君

同日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     嘉数 知賢君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第九〇号)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、内閣提出、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案につきましては、前国会において既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河本委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官河幹夫君及び内閣府「道州制特区」推進担当室長山崎史郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎岳君。

石崎委員 自由民主党の石崎岳でございます。

 道州制特区推進法案の審議がようやく始まり、大変うれしく思っている一人であります。自民党でも、道州制調査会を設置いたしまして、さらにその下部組織として北海道道州制検討小委員会を設けまして、一年以上にわたって議論を積み重ねてまいりました。私もそのすべての議論に参加した一人であります、北海道選出ということもありますけれども。

 道州制の議論は、地方制度調査会を中心に長年議論が続いてまいりました。特に、直近の平成十五年の第二十七次答申、そして本年二月の第二十八次答申では、道州制導入について具体的な提言が行われております。

 本年二月の答申、前文におきまして、こういう部分がございます。「道州制は、国と基礎自治体の間に位置する広域自治体のあり方を見直すことによって、国と地方の双方の政府を再構築しようとするものであり、その導入は地方分権を加速させ、国家としての機能を強化し、国と地方を通じた力強く効率的な政府を実現するための有効な方策となる可能性を有している。」こう表現されております。

 また、相前後して全国の自治体からも道州制導入の声が起こっております。また、自民党を初めとする各政党も道州制導入検討の公約を掲げるようになってまいりました。

 その背景としましては、地方分権をさらに進めていこうという大きなコンセンサスがあると思います。明治以来の中央集権体制の限界があらわれてきた。また、市町村合併がかなり進んで、基礎自治体の力が強まったという背景もあります。

 基礎自治体の数は、富山県が十五、福井県、香川県が十七となっておりまして、また、市町村数の減り方も、広島県では八十六市町村が二十三、愛媛県は七十市町村が二十ということになっております。いわば県という単位が総体的に小さくなってきたという事情があろうかと思います。

 さらには、広域行政のニーズというものも飛躍的に高まってきた事情があります。さらには、道州制を目標とすることで地方分権が現実的に進むという見方もございます。過去に道州制が議論されていた時代とは大きく異なる状況になってきたという認識を持っておりますし、すなわち道州制導入の機が熟してきたというふうに言えると思います。

 しかし、もちろん、これは一朝一夕に変えられるような、そんな簡単なものではないと思います。明治の廃藩置県以来の大改革でありますし、憲法改正と同じぐらい、あるいはそれ以上のエネルギーを要する国家体制の変革でもあります。政治も官僚も国民も、本気でこの制度を導入する、国を変えていくという決意をしなければ変わらない改革であろうと思います。

 恐らく最低十年はかかる大改革だというふうに思っておりますが、しかし、この壮大な試みの最終的な設計図がかき上がらなければ、この中央集権体制に風穴をあけることができないのだろうか、国からの権限移譲というものが進まないのだろうか、そうは私は考えません。

 昨年十月に、自民党の道州制調査会がまとめました中間報告において、この道州制特区構想につきまして、「「道州制特区」を、北海道における地方分権改革のモデル的、先行的取り組みと位置づけ、現行の都道府県制を前提に、権限委譲等のモデル的な取り組みにより、国民や道民が「道州制特区」の成果を通じて、広域行政や二重行政改善等のメリットを実感し、道州制導入に向け国民的理解や議論を深め、具体的な道州への移行効果を期待するものとする。」と定義しているところであります。

 つまり、最終的な全体の設計図ができ上がる数年後を待つのではなくて、北海道は、道州制を導入しても地理的には北海道というエリアは変わらないという特性があり、さらに北海道庁という行政の受け皿があるというところが大きな違いがあります。他府県の道州制ブロックは、現時点ではその中核となる行政組織がない。北海道は、エリア的に北海道であるということは変わらない、なおかつ北海道庁という行政の受け皿があるというところが大きな違いがあります。

 ですから、国から道へ、道から市町村へという分権、権限移譲を具体的に進め、徐々に積み上げ、一つのモデルをつくるということが可能ではないかというふうに私は思っております。

 今回の法案では、北海道が地元の意見を聞き、議会の承認を経て提案し、内閣に設置した推進本部で協議をして実施に移していくというスキーム、いわば提案のサイクルというものをつくります。

 今回の一連の動きは、平成十五年八月の小泉前首相と高橋北海道知事の会談がきっかけでありまして、道州制の先行的取り組みについて、これまで北海道から二度、権限移譲等の提案があったところであります。これまで非常に時間をかけて議論をしてまいりましたが、各省庁は小さな権限も頑強に抵抗して、道に移譲しようとしなかったというのが現実であります。

 それは、これまで法的な枠組みも制度もない中で議論をしてきたということが一つの背景にあり、今回のこの法案によって、晴れてスキームと法的根拠が与えられるということになり、私は、画期的な法案であるというふうに認識をしているところであります。

 あとは、この法案に、法律に血を通わせることが大事であり、これは政府の姿勢と北海道の知恵、これがかぎを握るというふうに考えます。北海道から今後すばらしい提案がなされ、それを国が真摯に受けとめて前に進むことが、この道州制の議論を進めるかぎとなります。北海道の提案に対して内閣の推進本部が各省庁の抵抗を排除して強いリーダーシップを発揮できるのかどうか、過去一年間の各省の抵抗の歴史を目の当たりにしてきた私にとっては、この法律に魂が入るかどうかというところがかぎになるというふうに認識をしております。

 以下、佐田大臣初め、質問をさせていただきたいと思っておりますが、この道州制特区推進法案、この法案の意義とねらいについて、明確に佐田大臣から御発言をいただきます。

佐田国務大臣 委員の言われることはまさにごもっともなことでありまして、近年、市町村合併が進展いたしまして、三千以上あった地方自治体も随分少なくなってまいりました。市町村の区域が広域化して、また、環境規制や観光振興等、複数の都道府県が連携して取り組むべき課題が見られるとともに、少子高齢化の進展等を背景とした財政的制約の増加等によりまして、将来、都道府県単位の行政運営が困難となるおそれがあるという課題が見受けられるところでございます。

 このような状況のもとに、我が国が引き続き発展するためには、さまざまな機能や資源を有している広域の地方ごとにそれらを有効活用、適切に組み合わせて一体的な活用をすることにより、各地方が自立的発展をしていくことが重要なことでございます。

 このために、現行の都道府県制を前提としつつ、将来の道州制導入に対する国民的議論の深まりやその検討に資するためには、北海道地方または自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした区域を特定広域団体ということでありますけれども、都道府県を位置づけまして、その中で広域行政を推進していくということであります。

 今、委員の方からお話がありましたように、この試みに対しましては、大変な、これはもう重要な試みでありまして、私の方にも、日本全国から経済団体そしてまた地方自治体の方々が来られまして、とにかく、この道州制特区推進法を早く通して、ビジョンをつくり、我々もしっかりと行政改革を行っていきたいという声が非常に多いということをつけ加えて発言をさせていただきたい。

 以上です。

石崎委員 ありがとうございます。

 自民党の中でも随分議論になった点は、道州制というものの全体の話、これと今回、この法案で導入をしようとする道州制特区というものの概念、この関係、あるいは違い、あるいはそのつながりというものをどうとらえるかということが自民党の中でも随分いろいろ議論になりました。

 道州制というものがはっきりまだ決定しない中で、一部地域において特区で先んじようとする、このことをどうとらえるかということで、随分意見が分かれたり、意見が対立したりという経緯が党内の議論でもさまざまございました。

 この法案の審議を機に、この道州制全体、そしてこの今回の特区というものの関係、違いというものをぜひ明確にしていただきたいと思います。

佐田国務大臣 道州制については、本年の二月末に内閣総理大臣に提出されました第二十八次の地方制度調査会の答申でありまして、国と基礎自治体の間に位置する広域自治体のあり方を見直すことによって、国と地方の双方の政府を再構築しようとするものでありまして、現在の都道府県にかえて道または州を置くものであります。

 これに対しまして、本法案における道州制特別区域は、現在の都道府県制度を前提としつつ、将来の道州制導入の検討に資するために、北海道地方またはこれに準ずる地域の区域を、この法律に基づく国の権限移譲等の特別措置を講ずる区域として設定するものであります。

 要するに、今回の法案、道州制特区推進法によりまして、現在の都道府県の位置づけを置きながら、そして、大きな試みとして、まず北海道が行い、そしてまた、そういう三県以上の県が集まった場合にはそれを広げて、将来的には大きなビジョンをつくりながら道州制に近づけていく、こういうことでございます。

石崎委員 今回の法案でありますけれども、先ほど申し上げましたように、自由民主党の道州制調査会における長い議論、それから北海道からの要請、北海道議会からの二度にわたる意見書、全国知事会のアピールなど、北海道を初め多くの意見を聞いた上で策定されたものと考えております。

 そもそも、この道州制特区構想は、自由民主党の二〇〇三年と二〇〇五年の衆議院選挙の政権公約として掲げられ、有権者の信任を得たものであります。

 また、先日、札幌市で道内の地方六団体が開きました地方分権推進北海道総決起大会におきましても、本法案の早期成立を求める緊急決議が行われたばかりでございます。いわば、北海道民の合意あるいは熱意といったものをこれ以上どうやってはかるのかなと思うぐらいでありますけれども、一部には、北海道民の合意がないのではないかとの声もあるやに聞いておりますが、このことについて大臣はいかがお考えでしょうか。

佐田国務大臣 委員の言われるとおりでありまして、本法案は北海道知事の提案を踏まえておりまして、本年四月六日の北海道議会からの意見書の内容もすべて反映しているところでありまして、さらに、本年十月二十日には、道内の地方六団体により、法案の早期成立を求める決議が行われているところであります。

 また、国への新たな提案や、道州制特区計画の作成については、関係市町村の意見を聞いた上で北海道議会の決議を経ることとしておりまして、北海道民の合意を得ながら進めるよう配慮しているところであります。

 したがって、この法律ができた後においても、基本方針の変更、そして計画の作成、こういうことにつきまして、すべて北海道並びに北海道の道民の方々の意見をしっかりと聞きながら、反映をし、そして行政改革を進めていくということでございます。

石崎委員 ありがとうございました。

 私も、北海道内の多くの首長さんたち、市町村長さんたちにお会いする機会があります。私は余りそういう声を聞いたことがないのでありますけれども、一部には、北海道内の市町村の大半は法案について理解していないという意見もあるという話も仄聞をしております。私は余り聞いたことがないのでありますけれども、そういう声もあるという説もあります。

 本法案は、基本的には、私は、スキーム法といいますか、その仕組みをつくって、道州制特区の提案の仕組みをつくる、それをビルトインした法案であり、本格的な北海道からの提案というのはこれから道民議論を加えながらなされるものというふうに認識をしております。

 北海道内では、これまで延べ四百回を超える地域意見交換会などを開いており、市町村の理解も相当進んできたというふうに認識をします。(発言する者あり)四百回であります。北海道としては、この法案が成立後、道州制特区推進条例を策定し、幅広く道民や市町村などから提言や意見を募集し、道民参加のオープンな議論で意見集約を図り、その上でさらに市町村の意見を聞き、北海道議会の議決を経て、次の第二回の本格的な提案をする予定だというふうに聞いております。極めて民主的で、オープンなプロセスを計画しているということでございます。

 そこで、国として、この道内市町村や関係機関への理解を深める必要性や方法について、政府としてはどのように考えておられますでしょうか。

林副大臣 今、石崎先生おっしゃいましたように、道におかれては、かなりの広報活動、周知活動をやっていただいているということを認識しておるわけでございまして、国としても、その必要については十分に認識をした上で、これまでも周知を図ってきたところでございます。

 今おっしゃいましたように、法案が成立いたした後におきましては、道民のみならず、国民の皆さんに、これは全体にかかわる法案でございますから、広く制度の周知を図る必要があるというふうに考えておるところでございます。

 道内におきましても、これはもう当然のことながら、北海道はまずやっていただくわけですから、十分に北海道とも連携をして、今お話しになりました説明会の開催等、いろいろなことで制度周知を図っていきたいと思っております。これをやることによりまして、本法案や道州制そのものに対する理解を深めていただくことによって、新しい提案というものにつながっていくということを期待しておるところでございます。

石崎委員 次に、憲法九十五条との関係について質問をさせていただきます。

 本法案の制定に当たりましては、憲法第九十五条の規定する住民投票が必要との意見も一部に出ておりますが、この憲法第九十五条が実際に適用されたケースというのはどういうものがあるのか、その類型ですとか数ですとか、あるいは実際に適用された時期などについて、簡潔に御説明をいただきたいと思います。

宮崎政府特別補佐人 お答えいたします。

 これまでに、憲法第九十五条の規定によりまして住民の投票が行われました法律は、昭和二十四年から二十六年までの間でございまして、広島平和記念都市建設法ほか十四件、合計十五件があると承知しております。

 ただ、これらの法律は、特定の地方公共団体が特別の都市計画事項を定めることができるものとするなど、他の地方公共団体とは異なる権能を定めたものであるというふうに理解しております。

石崎委員 私は、この法案は、北海道だけに適用されるものではなく、また、北海道だけ限定であってはならないというふうに認識をしております。今後の道州制議論の進展や、また、都道府県合併ができるという状況になっておりますので、いつでもその合併をした都府県に適用できる可能性を担保しておくということが緊要だ、肝要だというふうに考えております。

 ですから、本法案は、一般法として、憲法九十五条の住民投票は必要ないと考えますが、内閣法制局長官の考えをお聞きします。

宮崎政府特別補佐人 少し前置きを申し上げますと、ある法律が憲法第九十五条の「一の地方公共団体のみに適用される特別法」に該当するか否かにつきましては、手続上、地方自治法第二百六十一条というのがございまして、これをというのは、この法案を、最後に議決しました議院の議長が、内閣総理大臣に通知することにより住民の投票が行われる旨、明記しているところでございまして、これからしましても、本来は、これを議決しました国会の御判断によるべきものであると考えております。

 そのことを前提としまして申し上げますと、本法律におきましては、広域行政の推進の観点から、その対象となる特定広域団体といたしまして、御指摘のとおり、北海道に限定せず、今後、地方自治法に基づく廃置分合等によって広域の地方公共団体があらわれる可能性も考慮し、広域行政の推進にふさわしい一定の要件を備えた都道府県であれば、一般的に適用があるものとして構成しているところでございます。

 したがって、本法律案は、特定の地方公共団体の組織、運営、または権能について特別の定めをするというものではございませんで、憲法九十五条の規定による住民の投票を要する地方特別法には当たらないというふうに私どもとしては考えてございます。

石崎委員 ありがとうございました。

 さらにちょっと確認をさせていただきたいと思うのですが、法律上、他の都府県が対象となり得ても、当面、政令で対象となるのは北海道に限定するという事実上の状況が発生すると思いますが、政令で北海道に限定する以上、憲法九十五条の住民投票が必要だとの意見もありますが、見解はいかがでしょうか。

宮崎政府特別補佐人 御指摘のとおり、本法案は、政令によって初めて特定広域団体としての都道府県を定めることにしておりますけれども、法律の形といたしましては、あくまでも具体的な都道府県を特定しておりませんで、一定の要件を備えた都道府県であれば、一般的に適用があるという考え方をとっております。

 したがいまして、憲法第九十五条の規定による住民の投票を要する地方特別法には該当しないと考えております。

石崎委員 私も心配性なもので、さらに、ちょっともう一点だけ。

 本法案は、特定広域団体が北海道である場合における交付金の交付の仕方について規定をしているところでありますが、こうした、つまり交付金のあり方の規定というのは特定の北海道という地域に特定されているという法案の仕組み、このことが、こういう規定が憲法九十五条の住民投票に該当するのではないかとの意見もありますが、見解をお聞きします。

宮崎政府特別補佐人 憲法第九十五条の地方特別法といいますのは、一般に、特定の地方公共団体の組織、運営、または権能につきまして、他の地方公共団体と異なる定めをする法律なんだというふうに解されておるところでございます。

 本法案におきましては、特定広域団体が道である地方公共団体である場合において、一定の工事または事業を実施するときは、国が交付金を交付することができる旨を御指摘のとおり規定しているところでありますが、このような国の財政上の特別の援助を定めます規定といいますのは、地方公共団体の組織、運営、または権能に関するものには該当しないと解されておりますものですから、道に対する交付金の規定をもちまして、本法案が憲法第九十五条の地方特別法に該当するということはないものと考えております。

石崎委員 重ね重ね、内閣法制局長官に憲法第九十五条との関係を質問させていただきましたが、いずれの答弁を聞きましても、本法案はこの憲法九十五条を適用する法案ではないという政府の見解でありますので、そのことを確認させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

 それでは、法案の中身について、少し詳しく質問をさせていただきたいと思います。

 非常に、我々も参加して、法案、この中身の議論を積み重ねてきたわけでありますけれども、何をさておいても、この法案の第一の特徴は、特定広域団体の提案権というものを認めているということだろうというふうに思います。

 地方分権、かなり進んだと言われております。国と地方は同等の関係である、同じ位置であるということが、もう久しく前から叫ばれているわけでありますが、事実上は、いろいろな権限の関係上、国と地方というのはなかなか対等の関係にならないというのが現実であろうというふうに思いますが、この法案では、北海道から提案ができる提案権というのを認め、それを国が受けとめて実施に移していくということになりました。

 そして、同じく国と北海道の協議の場というのをつくった。そして、内閣総理大臣を本部長とする推進本部に北海道知事が、参与という形になるということでありますが、参加をして、今まで、内閣総理大臣を本部長とする国の推進本部に地方自治体の長がレギュラーメンバーとして加わるということがどの程度あったのか、ちょっとわかりませんけれども、同じ立場で協議ができるということをこの制度に盛り込んだということも大きな特徴だというふうに思います。

 さらには、交付金の支給の仕方というものも、一括してその事業単位ということにした。それから、実施のサイクルというものをつくった。提案から実施まで、国と特定広域団体の間で実施のサイクルをつくり、提案から実施まで一つの循環として法律にビルトインをした。そして、その中身を積み上げていく、だんだん権限移譲等をふやしていく、そのことによって道州制特区の成果を上げていくという仕組みをつくったというところに大きな特徴があり、画期的な法案であると私は思っております。

 そこで、この北海道からの提案権についてお聞きをしたいと思います。

 この一年間、自民党の中で議論を続けてまいりましたけれども、これまでは、法的根拠がない、あるいはスキームがない、ルールがないということで、この議論がなかなか前に進みませんでした。権限移譲等、国から地方へ権限を移すということについては、物すごい各省庁の抵抗、反対があったということであります。

 この法案が成立をした、施行の暁に、この権限移譲のルールというものがどのように具体的になっていくのか。相変わらず各省が判断をして、調整がつかなければ一歩も前に進まないということ、つまり、今までと同じことを法律ができても繰り返すのか。あるいは、そうではなくて、この推進本部を中心として、総理大臣のあるいは担当大臣の力強いリーダーシップによってなるべく形をつくっていく、そういうことになるのか。

 法案には、基本理念としては、「国と特定広域団体との適切な役割分担及び密接な連携の下に特定広域団体の自主性及び自立性が十分に発揮されることを旨として、」と書かれてあります。今後、この法律に基づいて北海道が新たな提案を出してきた場合には、政府としてその提案を最大限尊重すべきであると考えますが、見解を伺います。

佐田国務大臣 本法案では、特定広域団体が、国の権限の移譲等について、基本方針の変更という形で内閣総理大臣に提案することができることとしているところでありまして、この基本方針の変更提案については、内閣総理大臣を本部長とし、すべての国務大臣を本部員とする、今お話がありましたような道州制特区推進本部において検討することとしておりまして、地方分権の推進の観点からこれを十分に進めていく。

 また、委員の方からお話がありましたように、この一つのサイクルというものは、基本的には北海道に権限があるということであります。というのは、まず基本方針を立てますけれども、その本部の方には、当然のことながら、今もお話がありました、北海道知事を参与としてお迎えし、そして意見をもらい、そしてまた、北海道にその基本方針が行った場合、基本方針を変更する場合にも、計画を立てたときに市町村の意見を聞き、そしてまた議会の同意も得る、そしてまた、その変更に際しましては、権限そして財源の移譲につきましては広く北海道民の皆さん方の意見を聞いていくという部分もあるわけでございます。そしてまた、その件につきましても、特定広域団体から基本方針の変更につきましても、計画につきましても、すべて本部の方と連携をとりながらやっていく、こういうことであります。

 そういうことを考えますと、これからどんどん北海道の方に事務事業が移譲されていくわけでありますけれども、繰り返し繰り返し進む中において、何十、何百という権限移譲、そしてまた財源の移譲、こういうことが行われて、しっかりとしたビジョンができてくるのではないか、こういうふうに思っています。

石崎委員 ただいま佐田大臣から、権限は北海道にあるという重要な御発言がございました。今回の法案にビルトインされている仕組みによると、北海道からの提案、この前提としては、道民の意見を聞く、市町村の意見を聞く、そして北海道議会の議決を経るという大変厳重なプロセス、周到なプロセスを経て北海道の提案がなされる。その提案というのは非常に重い。そのことを政府としても非常に重く受けとめて、権限は北海道にあるという大臣の御発言であろうと私は大変力強く思っております。

 そのことを、先ほど申し上げました法律に魂を入れるということは、この提案の中身、どれだけこの法律の本旨にかなう提案がこれから地方から出るかというところが大きなポイントかというふうに思います。

 そこで、過去ずっと議論してきた中で、そもそも、今回北海道からは二年前に三十三項目の権限移譲や連携・共同事業などの提案があったわけでありますけれども、本法案ではその中で八項目しか実現をしていないという現実がございます。

 私も、その三十三項目の各省庁との話し合い、議論の場にすべて立ち会っておりましたけれども、なかなか各省庁の抵抗というのはきつい、厳しい。地方分権というか権限移譲、もう一切認めないという本当に厳しい姿勢でありましたけれども、三十三分の八、これはこの法案の中身としては不十分ではないかというふうに思いますが、政府の見解を求めます。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の三十三項目の提案でございますが、この三十三項目のうち、実は二十項目は、例えば国と道の事業の共同実施でありますとか、いわゆる法令の改正を要しないものでございます。これに関しましては、既にこちらの方でもう対応しているところでございます。

 残りの法令改正が必要な十三項目でございますが、これに関しましても、今回の法案、そして他の法律も含めまして、十三項目のうち九項目を既に対応しているところでございます。

 したがいまして、結果としましては、その二十項目を加えまして、三十三項目中二十九項目については対応させていただいている、こういう状況でございます。

石崎委員 そういう意味では、国と特定広域団体、今回の場合は北海道との「適切な役割分担」という表現がありますけれども、国、道、市町村の役割分担のルールづくり、これの議論が同時に必要だというふうに考えております。

 現在、地方分権改革推進法が国会に提案をされておりまして、その中でも、それぞれの役割、国と地方の役割をどうするかということが盛り込まれておりますけれども、特に今回のこういう道州制特区法案の中ではその役割分担というのが非常にかぎになる、あるいは、より地方に権限を移す意味でもベースになるというふうに思いますが、政府の考えをお聞きします。

林副大臣 国や、この場合は道、もしくは都道府県、市町村の役割分担のルールづくりが大事であるというのはかねてより石崎委員の御主張でありまして、私も重要性をともに認識しておるものでございますが、非常に重要なことであろうと思っております。

 今後、この法案に基づきまして実際に国の事務や事業の移譲といったようなものが進んでまいりますと、将来の道州制全般の導入に向けた国と地方の役割分担、ルールづくりというものをどうやっていくかということについてのいろいろな知見や情報というものが入ってくると思いますので、その方向に資するように我々も努力してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

石崎委員 今回の法案では、北海道からの提案について、法律上は基本方針への変更提案という形になっております。そういう表現になっております。変更提案ということでありますが、その提案の内容、北海道からの提案の内容の範囲というものは変更提案という形で限定をされるのか、あるいはどんなジャンルも問わず、幅広いあらゆる可能性が含まれるのかどうか、そこを確認したいと思います。

林副大臣 今御指摘がありましたように、この法案には、特定広域団体は、広域行政の推進に関して、道州制特別区域計画の実施を通じて得られた知見に基づき、基本方針の変更提案をすることができるというふうに書いてあるわけでございます。ですから、一つの条件というのは、この知見に基づいてやっていただくということが必要であるわけでございます。

 したがって、広域行政の推進に関するものであって、このような知見に基づく提案であれば、それ以外の範囲の制限はない、こういうふうに考えております。

石崎委員 北海道からの提案のジャンル、範囲というのは、あらゆる幅広い範囲に及ぶ、可能であるということは今の答弁ではっきりしたというふうに思います。

 今、副大臣がちょっと触れられました、北海道からの提案は、基本計画の実施を通じて得られた知見に基づき、基本方針の変更提案ができるという法律上の文言でございます。

 知見に基づく判断というのは何か医学用語みたいな感じもしないでもありませんけれども、この知見に基づく判断とは、つまり、基本計画を実施して、例えば来年四月、施行になった後、実施をして、それに対してどうだったか、その実施状況がどうだったかということをいろいろ調べてみて、知見を得て、次の提案に結びつくということでありますが、そうするとかなり時間がかかるものなのかどうか。知見に基づく判断をするまでにかなり時間がかかるのか。

 今、いろいろな地方分権の推進法の議論もしている。時代は大きく変わっていく。ですから、次の提案というものは私はなるべく早くやった方がいいだろうと考えているものでありますけれども、この法律上の表現では、その判断というのがある程度の期間を担保しなければ判断できないのか、あるいは、どういう基準で知見に基づく判断というのは行われるのかということをお聞きしたいと思うんです。

 それから、北海道からの次の提案、これは本格的な提案になろうかと思いますけれども、この時期というのをどう見ておりますか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の特定広域団体からの基本方針の変更提案の時期でございますけれども、この変更提案のベースになります計画の実施を通じて得られた知見に基づく判断ということでございますが、これをどのように行うかにつきましては、基本的には特定広域団体の裁量によるものでございます。その上で、知見を踏まえて、新しい提案を行うのであれば、事務事業の性格にもよりますけれども、それほど長期に時間を要するということでなくとも提案できるものであるというふうに考えている次第でございます。

 なお、今、北海道におきましては、次の提案に当たりまして、条例の制定を検討するなど、道民、市町村、経済団体からの幅広い意見についてオープンな議論をし、提案内容を取りまとめていくものと聞いております。

 したがいまして、提案に至るまでは一定の期間を要するものと考えておりますが、政府といたしましては、本法案による成果をできる限り早急に積み重ねたいと考えておりまして、例えば施行、今考えておりますのは平成十九年四月一日でございますが、それ以降一年以内には御提案をいただくことを期待しているところでございます。

石崎委員 北海道がいつ提案するかということについて、その期間の縛りというのは国でしないということでお願いをしたいというふうに思っております。

 次に、北海道側は今回の権限移譲の三原則というものを言っております。一つに権限プラス財源の一体移譲、二つに自由度の拡大、三つに組織のスリム化ということを権限移譲の三原則ということで北海道は言っております。

 また、道州制における税財政のあり方として、一つ、標準的行政水準の確保、二つ、地方の裁量と自己決定権の拡大、三つ、安定した財政システムの三点を打ち出しております。

 権限だけ移譲して財源が伴わない地方分権というのは私は意味がないというふうに思いますし、特にこの道州制あるいは道州制特区という構想では、税財源ともに一体とした移譲というものがなければ絵にかいたもちになってしまう、そういう危惧を持っているものでありますけれども、今回のこの道州制特区構想における権限と財源の関係、あり方についての基本認識について大臣に伺います。

佐田国務大臣 委員の言われるように、税財源の移譲ということは、権限の移譲とともに非常にこれは重要なことでありまして、広域団体が、今回の場合は道でありますけれども、事業を実施するために必要な経費に充てるための交付金制度を創設しているところでありまして、今後、特定広域団体からの提案により事務事業を移譲することとなった場合に、追加して移譲する当該事務事業の内容や事業量などを踏まえ、事務事業を適切に実施する上で必要となる経費について、交付金を初めとする財政措置を講ずる必要はあるかどうかについて検討することとなると考えております。

 言いかえるならば、そのような使い勝手のいい交付金のような形で、要するに特定広域団体に対しまして自由度を増す、こういうことも基本的な考え方であるということを御理解いただきたいと思います。

石崎委員 今大臣から交付金のお話もございましたけれども、本法案では具体的な事業の移管に伴う予算措置として、いわゆる我々の言葉で根っこからの交付金と言っておりますけれども、国の直轄負担分を全額交付金化するという方法がとられました。これも大議論の末こういう形になったわけでありますけれども、しかし、裁量という面ではまだまだ国の省庁に抑えられているというか、自由度は低いというふうに思いますが、この財源の移譲を含めて、さらなる自由度の拡大ということは考えておられませんか。

佐田国務大臣 先ほど申し上げましたように、交付金は、従来の補助金と異なりまして、広域行政を推進する観点からも、国が実施している工事または事業を道が実施することとする場合に、その財源として交付するものでありまして、この交付金は事業の進捗等に応じて同種施設の箇所間での予算の融通や年度間の事業量の変更が可能となる仕組みとする予定であり、これにより道の裁量が従来よりも高まることから、特定広域団体の自主性及び自立性が発揮されるものであるわけであります。

 さらなる自由度の拡大については、今後の特定広域団体からの提案によりまして、追加して移譲する事務事業の内容や、事業量及び平成二十七年度に行われる交付金に関する制度を含む制度全体の評価の結果などを踏まえ、検討するということでありますけれども、先ほども申し上げましたように、その自由度、裁量を増していく、こういうことで御理解をいただきたいと思います。

石崎委員 大臣から非常に前向きな御答弁がございました。全部一つ一つの事業が決まって、フィックスになっていって、それではなかなか実質的な権限移譲、自由度の拡大にならないという事情があります。その点もぜひ新たな提案段階でさらなる前進をお願い申し上げたいと思います。

 今回の法律の中で、交付金額の算定について、国が負担する割合を参酌して定めるという言葉が出てまいります。参酌、ちょっと古い言葉だなと思いますけれども、参酌とは、辞書に、周りの状況や他の意見などを考え合わせて参考にすることというふうにあります。

 交付金額、これは極めて具体的なお金の話でありますが、こういう参酌というちょっとあいまいな言葉を使ったというのは解せないわけでありますが、この参酌とはどういう意味でしょうか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点でございますが、本法案におきましては、国が交付いたします交付金の具体的な額の算定について、「国が実施するならば当該工事又は事業の実施に要する費用について国が負担することとなる割合を参酌して定める」こととなってございます。

 この参酌でございますが、基本的には、国が直轄事業を実施する場合に負担することとなる割合と同じ割合を用いてこの交付金額の具体的な額を算定するということを予定しているところでございます。

 なお、この表現でございますが、沖縄振興特別措置法においても同様な規定がございまして、同法の実際の運用におきましても、国が負担し、または補助することとなる割合と同じ割合を用いて交付額を算定している、このように聞いている次第でございます。

石崎委員 それなら、参酌という言葉はもうちょっと正確な、厳密な言葉にすべきであったかなという印象は持っておりますが、今答弁がありましたような形でよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 それから、今回の法案の中では、今回は北海道でありますが、北海道知事が推進本部に参画をするという規定が盛り込まれる予定であると聞いております。政令対応になろうかと思いますけれども、内閣総理大臣を本部長とする道州制特別区域推進本部に、政令によって特定広域団体の知事が参与として本部の議論に参加できるというふうに私は認識をしております。

 参与というのはどういう役割なのか、参与としての役割、権能というのはどの程度なのかが一つ。さらに、この本部にほかにも参与となる者がいるのかどうか。また、全国知事会からもこの推進本部に参加したいという要請があると聞いておりますが、政府としてどう対応されますでしょうか。

林副大臣 今御指摘がありましたように政令対応だというふうに考えておりますが、北海道の知事に参与として参加をしていただこうという方向で検討しておるところでございます。

 参与の権能といいますのは、参加して意見を述べられる、こういうことでございます。いわゆるオブザーバーといいますと聞いているだけの人もいるわけでございますが、そこの場で本部員の皆さんと一緒になって意見を述べる、こういうことが一つの権能であるというふうに考えております。

 また、今先生がおっしゃいましたように、知事会からは、六月一日付で全国知事会道州制特別委員会からアピールというものもいただいておりますが、この中に、「北海道知事に加え、全国知事会を代表する知事を推進本部に参画させるなど、」云々、こういう御要望がありますので、これについては前向きに検討してまいりたい、こう考えておるところでございます。

石崎委員 参与ということでありますけれども、ぜひ、本部員と同格ということで、同じ土俵で対等な議論ができるという環境を担保していただきたいと思いますが、この点については大臣、オーケーですね。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

佐田国務大臣 先ほども申し上げましたように、今回の一番のこの法案のメーンは、基本方針をつくり、そして計画を、例えば今回の場合は道でありますけれども、道が計画をつくる。その計画につきましても、本部の方に報告をし、そして地方の意見ももちろん聞きながら、議会の同意も得る。そういうことを考えたときに、これはやはり本部に北海道の意見が反映できるように、私としても、政府としても、しっかりとこういうことを担保していきたい、こう思っています。

石崎委員 つまり、ここが大事であって、国が何でも決めるんじゃないんだ。つまり、道州制特区の今回の構想というのは、地方から沸き上がってきたもの、提案されたものというのを最大限尊重するんだ。つまり、地方が決定権を持つんだということの中で、推進本部で決定する際も、その代表として出てきた知事の位置づけというのは非常に高くならなきゃならないし、その発言は地方を代表して重くならなければならないし、その位置づけはしっかりとしたものでなければならないということを、この法律の本旨にかんがみて、そこがポイントであるということをぜひ御認識いただきたいというふうに思っております。

 さらに、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、北海道からの提案で、法令面における地域主権ということを北海道は主張しております。いわゆる法令上書き権、北海道独自の条例によって独自の基準を設定する権限ということでありますが、この法令上書き権、このことについてどう認識するかということと、本法案ではそのことがどのように担保されているかということをお聞きします。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の法令面における地域主権でございますが、これは、いわば法令の運営に関しまして、条例で独自基準を一般的に設定する権限を認める、こういうものでございます。

 北海道の方でそういう主張があることは承知しているわけでございますが、こういう条例による独自基準の設定につきましては、個々の法律によってそれがなかなか難しい面もございます。したがいまして、無条件で一律に条例で独自基準を設定するというのはなかなか難しい面があろうかというふうに考えている次第でございます。

 そこで、本法案におきましては、先ほど来ございますように、特定広域団体の方から、個々の法律について具体的な提案ができるわけでございますので、その中で、こういったいろいろな面の基準の設定等についての提案をいただくということが実は可能となってくるわけでございます。

 これは、法律面でいきますと、本法案第二条におきまして、変更提案ができる法令の特例措置としまして、法律の特例措置のほか、政令または主務省令で規定する特例措置というものも含んでいるわけでございまして、こういう形で、個別の法令につきまして、条例により基準を定めることができる範囲を拡大する、そういう特例措置の提案ということが担保されている、こういう状況でございます。

石崎委員 ありがとうございました。

 これはこれまでにない概念でありまして、ぜひ御検討いただきたい、さらなる対応をお願い申し上げたいというふうに思います。

 そこで、この道州制法案、今回の特区法案における権限移譲八項目、これは私は、キックオフとして、非常に小さな権限でありますけれども、非常に重要だというふうに思います。これが、さらに第二回の提案、第三回の提案という中で、だんだん大きくなっていくものと期待をしているわけでありますけれども、道州制ということを考えた場合に、私は、国と地方の行政組織のあり方ということの議論も当然視野に入れて、具体的にやっていかなければならない大きなテーマであるというふうに考えております。

 国の地方支分部局のあり方、これも行革推進法を初め、自由民主党の行革本部でもこれから大きなテーマとなってくるものと思っておりますが、今回の道州制特区構想と今後の国の地方支分部局改革とのつながり、関係、これをどう見ているのか、大臣にお伺いします。

佐田国務大臣 先ほど来も委員の方からお話がありましたように、これは権限、そして財源、税源を地方に移譲し、そしてまた、例えば都道府県に移譲したものをまた市町村に移譲していく。そして、無駄をなくしてスリムな行政を確立していく、そういう理念のもとに行われておるわけであります。

 理屈はそういう理屈でありますけれども、私は、今回の法律は、非常に丹念につくられていると思うんです。それはどういうことかと申し上げますと、今委員の言われたように、キックオフは八項目の事務事業の移譲でありますけれども、これが何十、何百となっていくうちに、要するに道州制のビジョンができてくる、こういうふうに思っています。

 そういう中において、地方支分部局がどういう役割を果たしていくか、これはある程度、基本的にはスリム化していきますけれども、まだ必要な部分はしっかりと権能を持ってやっていく、こういうふうに思っておるところでございます。そしてまた、日本にぴったりな形の地方分権を行っていく、こういう形になっていこうかと思っております。

石崎委員 ありがとうございます。

 道州制全体ということと今回の道州制特区ということ、この関係性ということも党内では随分議論になってきたところでありますが、今回の道州制特区ということも、やはり将来に道州制という大目標があってのものだというふうに思います。道州制という最終的なゴールがあって、その中の、そこに至るプロセスの一やり方としての道州制特区というものであって、初めて有効だというふうに考えております。

 自民党の道州制調査会におきましても、全体の道州制の議論がもう既に始まっているところであります。今後の道州制そのものの議論や、制度設計や、導入への環境整備というものをどのように進めていくのか、大臣にお伺いします。

佐田国務大臣 道州制は、行政全体の新たなグランドデザインの一環として位置づけられているものでありまして、将来の本格的な導入に向けて着実に取り組みを進める必要がある、こういうふうに考えております。

 このために、まず、道州制に向けた先行的取り組みとして、この法案に基づいて、特区方式で広域にわたる国の事業事務の移譲等を推進しまして、利便性の向上や行政の効率化等のメリットを国民が実感することによって、道州制導入に向けた国民的な議論を推進することを期待しているところであります。

 さらに、ここが重要なことでありますけれども、道州制タウンミーティングを全国展開することによって、道州制の導入に向けた国民的議論を喚起するように現在精力的に御検討をいただいておるところでありまして、そういう中におきまして、この北海道の状況を見ながら、何年かたちましたら道州制ビジョンもつくっていかなくてはいけない、こういうふうに思っているところであります。

石崎委員 道州制というのは非常に大きなテーマであり、国全体の大改革でありますから、これは一朝一夕にできないというのは当然のことでありますけれども、例えば、市町村合併というものもなかなか現場から、下からそれが沸き上がってくるということにはならない。ある種の国の大きな方向性というものがあって、そういう流れが出てくるという部分もあります。

 この道州制、あるいは都道府県合併というものも、それは、それを待っていてもなかなか発生してこない。道州制の導入ということも、これは国民世論が成熟するのを待つだけではなかなか時代は変わっていかないという部分があって、そこにある種非常に強く誘導するという部分もなければ、日本の改革というのはできない。

 これは、どんな改革でもそうでありますけれども、そこのところの見きわめ、世論の見きわめ、あるいは国内のいろいろな状況の見きわめ、あるいは市町村合併の進みぐあい、そういったものもぜひ、全体を見ながら、冒頭に申し上げました、大きな道州制という、時代の背景としては、いろいろな国内の状況としては、そういう方向をとるべきだという認識は非常に高まっているんだというふうに思います。

 それを後押しする力というのは、下からの盛り上がりということと同時に、やはり政府がどうそれを考え、どうそれに道筋をつけていくかという強い意思というものもなければ変わっていかないというふうに思っております。そこは、初めて担当大臣になりました佐田大臣の大きな役割だというふうに思いますので、御決意をお聞きしたいと思います。

佐田国務大臣 今現在も、日本全国からこの道州制に対する意見であるとか、そしてまた、うちの方もこういうふうな形で進めたいという意見がどんどん集まってきております。この中で、今回の北海道におけるこの法案につきましては、非常に重要な部分というのは、先ほど来から御議論いただいているように、北海道の道民の皆さん方の意見を吸収できるという法案の内容である、私はそういうふうに思っております。

 何といっても、地方分権の中において最も大事なことは、やはり、その地域の方々の意見をしっかりと還元して、そして、よりよき税源移譲、権限移譲、財源移譲、こういうものを行っていかなくちゃいけない、ここが私は、地方の意見をしっかりと聞いていくということが今回の道州制の最も大事なところだ、こういうふうに思っております。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

石崎委員 ありがとうございました。

 私も、この道州制特区構想をずっと担当して、かかわってまいりました。一年以上にわたって議論してきて、難しさを感じたのは、道州制全体の構造が未確定な中での北海道における先行実施ということの議論の難しさ、また、日本の中で特に中央依存の強い地域である北海道で自立政策をとろうとすることの難しさというものを痛感してまいりました。

 また、国と地方が道州制特区に期待するものがややずれがあるという部分もあり、また、国は国の出先と北海道の統合あるいは補助金の削減など行革的な要素を期待している部分がある、一方で、地方は地方分権的な改革というものを期待する、そのずれもあろうかというふうに思います。

 この法案は道州制と無関係ではないかという御批判があるわけでありますけれども、現行の都道府県制度を前提とする以上は、北海道にいきなり本格的な道州制を導入するということには無理があるというのはそのとおりでありますけれども、道州制の制度設計で最も難しいのは、国の権限、道州の権限、基礎自治体の権限の切り分けであろうと思います。そのことを北海道において実際にやってみる、その過程を積み重ねていくことで道州制の最終的なイメージを固めるモデルになり得るのではないかというふうに認識をしております。

 そういう意味では、北海道からの次の本格提案がかぎになってくるであろうというふうに思います。道州制の議論そのものは、過去何十年も議論をしてきて、一向に前進しなかったという現実がございます。ですから、これまでとは違ったアプローチがあっていいはずだ、今回の道州制特区のような新しいアプローチがあっていいはずだというふうに思っております。

 そういう意味で、道州制の前進という大目標のために、反対のための反対ではなくて、政争の具にすることなく、本法案の早期成立を望むものであります。

 終わります。

河本委員長 次に、松浪健太君。

松浪(健太)委員 自由民主党の松浪健太であります。

 私は、本日は歴史的な日であると思っております。道州制特区法案は、明治の二十一年に市町村制が導入されて、二還暦ぶりに、まさに私たちの新しい日本の形を創造する第一歩であります。

 今国会より初めて道州制担当大臣が置かれました。その歴史的な任を果たされます佐田大臣には、まずもって、改めて心より就任のお祝いを申し上げたいと思います。

 また、道州制が、本日ようやく国会の場に上がってきたわけであります。その歴史的な瞬間にこうして質問に立たせていただきますことを心より光栄に思う次第であります。

 この道州制、明治四年の廃藩置県にも連なります大きな改革であります。私たち政治家は、まさにこれは政治主導で行わねばならない。明治維新に心をはせますと、まさに志というものを、我々はもう一度しっかりと政治家としての志を確認する必要があるのではないかと思います。

 廃藩置県におきましては、そして、明治維新におきましては、武士はみずからの既得権益を捨てたわけであります。武士の命である刀を捨て、まげを切り、そして身分までも捨てた、これ以上の既得権益の放棄というものは歴史上にもなかなかお目にかかれないものではないかと私は思うわけであります。

 それゆえに、我が国の歴史に一層の誇りを感じますし、改めて先人への尊敬の念を深めるわけであります。そして、この廃藩置県によって、明治の三大改革、学制、徴兵制、地租改正が進んだわけであります。

 そこで、我が国の現状を見てみますと、私たちは今、国民全体が非常に大きなモチベーションを失っているのではないかと思います。豊かな国になりましたけれども、この豊かさの裏返しに、学生たちは知識があっても意欲がない、学力があっても意欲がない、そして、ニート、フリーターに代表されるように若い人なのに働く気力がないというような、こうした無気力も日本に蔓延しているのも事実であります。

 私たちは、もう一回、こうした現状の日本の中で大きな目標を見つけて、やるべきものは、この道州制というものを通じて、また、そうしたことにも、新しい日本をつくるんだという機運を日本の中にも高めていかなければならないのではないかと思っております。

 そしてまた、今の日本の現状を冷静に見詰め直さなければいけないと私は思うわけであります。インターネットの普及によりまして、現在は本当にメガ競争時代であります。企業間競争だけではなく、文化、教育、国家間、そして地域間の競争、まさに恐ろしい競争社会にいるわけでありまして、これがいわゆる格差を広げているという原因の一つにもなっているわけであります。

 また、人口減少の問題は、我が国は深刻であります。一億二千万の人口は二〇五〇年に九千万人、また、現在八千八百万人の労働人口は二〇五〇年に五千万人に減少する。こうしたことを踏まえると、私たちはまさに今行動をしなければならないわけであります。

 また、税収におきましても、我が国では、税収約四十五兆円で国家予算八十兆円を続けた結果、国、地方合わせて一千兆円という大きな債務を抱えているわけであります。抜本的な改革が必要なのは言うまでもないわけであります。

 そこで、私たちは、まさに国の形を示すためにこの道州制に取り組まなければなりません。地方分権、地方主権の実現はもちろんでありますけれども、それに見合った地方議会や国会といった統治機構の見直しにまで踏み込む必要があると私は思っております。道州制は、つまるところ、究極の行政改革、政治改革であると思っております。私たちも、まさに明治維新の先人に見習って、既得権益にとらわれない、そうした改革を今後やっていく必要があると思っております。

 今、これまでの質問の中で、石崎先生、これまで自民党の道州制議員連盟の中で事務局長として中心に働いてこられました。まさに、今までの質問で、今回の道州制に関する、特に特区法案に関する問題点、ほぼ網羅をされていると思いますので、私は、この道州制、大きな目で、まさに今回の特区推進法案は第一歩であるという点から、今後の可能性といったものを探ってまいりたいと思います。

 今申し上げましたように、この道州制に関しましては、まさに我が国の運命がかかっていると私は思うわけであります。そこで、道州制の意義も含めまして、まずは、初代の道州制担当大臣であります佐田大臣に、お覚悟のほどをよろしくお願いいたします。

佐田国務大臣 今委員の言われたように、私もそうだなとつくづくと感じ入って聞いておったんですけれども、まさに道州制、当初聞いたときにはこんなこと果たしてできるのかなと私も思いました。ということは、言うなれば、今委員が言われたように、これは廃藩置県以来の大改革であると言っても過言ではないわけであります。

 今、市町村合併につきましても、各県、各地域の皆さん方も、御案内のとおり、相当なスピードで進んでおる。その延長線上で道州制、または道州制特区推進法が今回出されたわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、今地域間の差であるとか、そして、今もお話がありましたように、ニートを含むような差ができているという声も聞きます。

 その中において、今までの仕組みの中でいうと、国がこういうふうにやる、ああいうふうにやる、地方は黙ってついてきなさいよ、そういう行政が主であった、私はそういうふうに思うんです。

 そうではなくて、そういう地方があきらめるのではなくて、逆に、私どもの地方はこういういいところがある、こういう行政で合併をしていきたい、こういうふうな税源移譲をしていただければもっと効率よく使える、権限はこういうものは地方に渡してもいいんじゃないか、こういうふうな意見がどんどんと地方からも上がってきておる。こういう中において、地方のやる気、個人のやる気を喚起することによって地域の活性化、地域の活性化を図ることによって日本全体の活性化、新しい時代をつくっていく、私はそういうふうに感じておるわけでありまして、短兵急にやるのではなくて、一つ一つ、日本の風土そしてまたは国民性、伝統に向いたそういうふうなやり方で今回の法律が組み立てられているということに感心をすると同時に、今の委員のお話を聞きながら、新しい改革に向かって全力で進めなくてはいけない、こういうふうに考えた次第でございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 まさにこの道州制、廃藩置県以来の大きな改革であると思います。そしてまた、廃藩置県が成功したのはなぜかというようなことに思いをはせますと、やはり明治の先人はすばらしい決断とそして調査をやっていることがわかります。

 明治元年には公議所というものができたわけでありますけれども、その中でまさに議論が尽くされたわけであります。そして、当時、公議所の議事取調掛の森有礼は、御国体の儀に付問題四条を建議いたしております。

 といいますのも、その中は、第一は封建と郡県が併存をしているのが現状であるということで、将来の国是をどうするのか。また、封建にするのか、郡県にするのか、その場合の理非得失は何か、まさにメリット、デメリットの問題であります。そしてまた、第三には、封建にする場合にはどのような措置が与えられるか。四番は、郡県にする場合はどのような措置が考えられるか。まさにしっかりとシミュレーションを行うということが、やはり昔であろうと今であろうと、大きな改革を成功させるためにはそれなりの筋道が必要であるということであると思います。

 そして、まさにそれほどの意義のある改革であります。私の地元で、関経連また経済同友会なども、道州制を早期に導入しよう、してくれということで、さまざまな案が出ているわけであります。特に、比較的新しい、ことしの四月に出ました関西経済同友会の案は、五年以内に道州制に移行しなければ日本はもたないというような、非常に危機感のある、まさに経済の先端にある経済人たちは非常な危機感を持ってこれを見ているわけであります。

 私は、拙速はいけないけれども、やはりできるだけ早くこのことは行っていかなければならないと思っております。そしてまた、この道州制の意義というもの、我々は一般に価値観で話しますので、学問の世界では規範的定義というらしいですけれども、分析的にはどのような定義があるのかというようなものも踏まえまして、まさにこうした声を踏まえて、今後道州制の導入の意義というものをどのようにお考えになっているのか、伺います。

林副大臣 委員のお話、私も大臣同様大変な感慨を持って聞かせていただきました。私も実は長州でございますので、明治維新については殊のほか思い入れが強いわけでございまして、よくいろいろなことをおっしゃっていただいたな、こういうふうに思っております。

 おっしゃられたように、何事にもメリットとデメリットをよく見きわめて、そしてきちっとしたシミュレーションをして、しかも遅滞なく、こういうお話でございました。

 まさに今回の道州制導入というのは、いろいろなメリット、デメリットを考えていく、シミュレーションを考えていく中で、国と地方の双方の政府のあり方というのをゼロから考えて再構築をしていく。国は、よく言われていることですが、本来果たすべき役割に重点化する。前総理も国から地方へということをおっしゃっていたわけでございますけれども、これをゼロベースで考えるいいチャンスだろう、こういうふうに思っております。

 内政に関しては、なるべく広く地方公共団体が担う。今までは規模が小さいですとか財政力が弱いということで行かなかったものも、これだけ大きなものになってきますと、そういうことを離れて、そもそもどうなのかという議論ができていこうか、こういうふうに思っておりますので、そういう形で我が国の新しい政府像を確立していこうとするようなところになってくるのではないかというふうに思っております。

 また、メリットでございますが、これは地制調でも既にいろいろな議論をして答申をいただいているところでございますが、今お話のありましたように地方分権の推進と地方自治の充実強化、それからもう一つは、今申し上げましたようにその圏域が非常に自立的で活力が出てくる、これであろうというふうに思っておりますし、三つ目が国と地方を通じた効率的な行政システムというものができていくだろう、こういうメリットがあるのではないかというふうに考えておるところでございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 今まさに効率的な行政システムというお話が出ました。これはまた区割りの問題とも絡んできますので非常に難しいものがありますけれども、今まで自民党の方でも議員連盟そして今回は調査会の方でさまざまな研究を行っております。

 そして、これを見ていて、私も、大体日本の形というのは、何となくではあるけれども、できているんだなというのがこうした表を見ると一覧としてわかります。

 例えば、分支局は、近畿の場合はほとんどすべて、総務省、警察庁、法務省、財務省、厚生労働省に至るまで近畿はほとんど固まっている。あとは中国、四国というのも、中国と四国は分かれているけれども、これは固まっている。あとは北陸、中部のあたりが非常に入り組んでいるので、これをどうやっていくかというようなことも私は考えていかなければいけないと思うわけであります。

 また、その中で、これは何も国の分支局だけの問題ではありません。例えば、新聞社の地域経済版であるとか、また大手商社、JR、電力会社の区割りというものもほぼ我々のこうした分支局の区割りと同じようになっているわけであります。

 こうしたことを踏まえまして、まさに行政の効率化ということについてどのようなことが考えられるのか、確認に伺いたいと思います。

佐田国務大臣 いろいろな考え方があろうと思います。国の出先機関またはいろいろなライフラインの基盤、そしてまた最も大事なことは、歴史、伝統、文化、こういうことも踏まえて、より効率的な考え方として特定広域団体をつくっていくという形になっていくのではないか、こういうふうに思っています。

 ただ、問題は、今回の法案を成立させていただいて、この国にどのような税源移譲、財源移譲、そして権限移譲をした方がいいのか、私はそれはいろいろ、国によっても地域によっても違うんじゃないかと思っています。そういう意味におきましては、日本においてはどういうふうな権限移譲が必要かというのは、これからのとりあえず北海道でやらせていただくということの中においてわかってくるということでありまして、これによって効率性であるとか人間関係であるとか、そして一番ふさわしいような組み合わせというものが決まってくるのではないか、こういうふうに思っています。

松浪(健太)委員 まさに伝統、文化、そうしたものについて北海道で先行的にやるということは大事であると思います。

 そこで、ちまたではなかなか、これに、道州制に反対する方々には、なぜ、グランドデザインを示してこういうふうに決めた上で一律に道州制を導入するのではなくて、特区をまず先行するのかというような意見もあるわけでありますけれども、そこのところをもうちょっと突っ込んでお願いいたします。

林副大臣 なぜ道州制特区推進法案による取り組みが将来の道州制の導入につながるか、こういう御意見があるということでございましたが、先ほど来議論がありますように、一つの広域行政の単位となると考えられる北海道というのは、石崎先生のお話にありましたように、もう既にそこにあるわけでございまして、これをまず北海道地方、そして、そういうものが出てくれば三以上の都府県の区域ということでやってみようということで事務事業の移譲等を進めるということでありますので、これが先行的な取り組みになるというふうに考えております。

 この法案によりまして、移譲等が実際に進みまして、この道州特区でいろいろな成果が上がってくる、これを、先ほど大臣の御答弁がありましたように、道州制ビジョンというものの策定に活用をしていくということで、まずそれが一つでございますが、さらに、今委員御指摘のように、実際に国民の皆様に、なるほど行政が効率化したなということを実感していただくことによって、先ほどお話があったように、道州制の導入に向けた、これならやっていいのではないかという議論の進展を図っていける、こういうことがあるのではないかと思っております。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 まさに、こうしたメリットを感じていただくのが、国民の皆様にこの道州制の意義というものを最もわかっていただく最良の手段であると私も思うわけであります。

 先ほど来、副大臣も長州の出身だということで、廃藩置県の話も出ているわけでありますけれども、さきの森有礼の建議のように、実際、廃藩置県を行う際にも、公議所の方で八つも議案が出たそうですね。その八議案のうちの、実質的な郡県制という、まさに道州制に結びつくものは、その意見の中の全体の五分の一にも満たなかったそうであります。

 まさに、今から歴史を振り返りますと、本当に多勢の判断がいいとは限らないのも事実でありますので、私たちは、より実質的なものを見据えて、大胆に、そして政治家はリーダーシップを持って活動していくことが何より大事だと思うわけであります。

 一方で、そうした八議案を、二百三十六ですか、版籍奉還をしようとした藩にそれぞれ意見を聞いているということも、非常にそれはお互いに大事なことでありまして、その後の廃藩置県をスムーズに行う上で非常に大事なことでありました。

 こうしたことを踏まえまして、国が仕組みを変えることというのは非常に大事なことでありますけれども、一方で、現場の声をいかに反映していくかというのも、私も非常に重要であると思います。本当に道州制の現場の声を反映するためにはどのように進めていくのかということについて伺いたいと思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 道州制特区法案でございますが、御指摘のとおり、地域の声を聞きながら道州制特区に関する施策を進めていくということが大変大事でございまして、これまでも、北海道の提案を踏まえまして、法案の内容を検討し、反映させていただいてございます。

 また、法案に関しましても、特定広域団体におきまして、関係の市町村の意見を聞いた上で、議会の議決を経て、できる限り地域の声を反映させる、こういう仕組みで取り組んでいるところでございます。

 なお、北海道におきましても、道民の議論を深めるために必要な条例の制定等について検討している、このように聞いているところでございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 それでは、ちょっと目先を変えさせていただきたいと思います。

 我が国は、当然、全世界でも第二位の莫大なGDPを誇るわけであります。我が国の地域、道州制で想定をされます地域といいましても、例えば北海道でも、恐らくデンマークと同じぐらいのGDPがあったかと思うのでありますけれども、まさに、こうした我が国の地域というのは非常に大きな可能性があるということで、仮にヨーロッパの先進諸国と経済力を比較してみますとどのようになるのか、どのようにお考えか、ちょっと伺います。

河政府参考人 今、先生御指摘の、地域の区分みたいなものにつきまして、前提を置かなければいけないわけでございますけれども、地方制度調査会のことしの二月に出された答申によりますと、道州制の主要課題である区域について、いろいろな分け方がある区域例というものを示されているところであります。

 先ほど御指摘の国の地方支分部局の管轄区域などを参考にして分類されているようでございますが、この区域の有する規模、能力、ポテンシャル、経済力等々を勘案する上で、人口や面積、それから経済力等々、指標の着目の仕方がいろいろあろうかと思いますけれども、北海道の人口というのは、ちょうどデンマークとほぼ同じでございます。また、中国地方は、面積がベルギーと、それから、経済力、域内生産はいわばオーストリアとほぼ同じとなっておりまして、いろいろな比較の仕方がございますけれども、規模等々においては、経済力等々においては、ほぼ匹敵するものというふうに認識しております。

松浪(健太)委員 もし道州制が導入をされた場合に、このように、我が国の地域というのは非常に大きな可能性を持っているのも事実であります。

 そして、先ほど副大臣にお答えをいただきましたように、道州制のメリットというのは、まさに圏域の活力を高めるということにあることも、私はこれは事実であると思います。これは大きな目的であります。

 特に、我が国は現在、東京に一極集中の現状があるわけでありまして、私の選挙区であります関西等は、非常に、東京と比べても、タクシーの一日の上がりが、タクシーに乗ってみますと、まさに二倍違うわけであります。五千円を超えたら半額とか、余計なこともやっておりますので、それは文化的な側面もあると言われればそれまでかもしれませんけれども、まあ、それは改善されておるんですが。

 話がそれましたけれども、まさに、地域が元気になるということが、全部が成功するわけではないと思います。やはり、成功することもあれば失敗をすることもあるわけであります。それは現在の四十七都道府県においても言えることでありまして、まさに、先ほど審議官がおっしゃったように、大きな力を秘めているわけでありますけれども、そこにはまた大きな格差が生まれてくるという可能性も私は否めないと思うわけであります。

 そうした場合に、今までは交付税を出しているわけでありますけれども、まさにこうした道州間での何か財政調整機能のようなものが将来的に必要なのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

河政府参考人 今、先生もおっしゃいましたとおり、道州制のもとでどのような形のものを構想していくかというのは、これからの多くの検討が必要であると思いますけれども、税財政制度を検討するというときに至ったときに、今御指摘のように、地方の財政運営の自主性、自立性、あるいは地域間の財政力格差、あるいは高齢化等に伴う財政需要等々、踏まえなければいけないものが幾つかあろう、また、こういうものを踏まえて考えていくのが基本ではないかと私は思っております。

 先ほどの地方制度調査会の答申におかれましては、このようなところから、適切な税源移譲、あるいは偏在度の低い税目を中心とした地方税の充実、あるいは分権型社会にふさわしい体系等々のことを検討すべきであるということでまとめられているところでございまして、まさに、具体的にこれからどのようなことを考えていくに当たっても、先生の御指摘は大事なポイントであろうかというふうに思っております。

松浪(健太)委員 なかなか、まだグランドデザインが示されていない中で考えるのは非常に難しいことでありますけれども、私たちは、あらゆる事態を想定しながら対処をしていくことが大事であろうかと思います。

 これまで、今回、総論的な道州制の問題について触れさせていただきましたけれども、ここでまた特区法案関係にちょっと入らせていただきたいと思います。

 まさに、この道州制特区は、基礎的な自治体への権限移譲というのが不可欠であると思います。ただ、特区法案はあくまで国と都道府県の関係を規定するものでありますが、最終的にはやはり基礎的自治体に権限を大きく移譲していくことが前提でなければならないと思います。

 そして、今回の北海道について、私、少し現状を危惧いたしております。といいますのも、やはり、平成の大合併、これは全国的には非常に大きな成果を上げているわけでありますけれども、北海道では、平成十一年、二百十二市町村が、きょう現在でも百八十になっただけであります。

 私もちょっと視察で先般北海道に伺ったんですけれども、地域の首長さんも、合併はとてもしたいんだと、身分にかかわるものではないんだけれども、例えば庁舎をどちらに置くのかというところで最終段階につぶれたという話が山ほどあったりとか、やはり屯田兵の時代からのまさに文化的な背景というものもあるというようなことも伺いましたけれども、それにしても、その減少率、計算をいたしますと一五・一%になります。この減少率は全国で四十四番目でありまして、非常に低くとどまっているわけであります。

 また、この百八十の市町村、北海道は非常に広いわけですから一概には言えないと思いますけれども、全国で断トツに多いわけであります。二番目の長野県は八十一市町村、三番目の埼玉県は七十一市町村と、二番目の倍以上と大きく引き離しているのが現状であります。

 こうした現状を踏まえて、合併が進まない中でこれをどのようにとらえておられるのか、伺いたいと思います。

林副大臣 今先生御指摘のように、北海道は二百十二から百八十ということで、全国の平均からするとまだ数字が出ていないという御指摘のとおりだろうと思います。

 御指摘があったように、文化的背景、地理的背景、いろいろあると思いますけれども、この法案との関連でいいますと、特定広域団体に北海道はなっていたということでありますが、ここに権限移譲が行われるということだけではなくて、同時に、北海道から道内の市町村への権限移譲を進めていくということと相まって、効果的に地方分権が推進されるというふうに考えておるわけでございます。

 実は、北海道でも、お聞きしますと、約四千の道の権限が、二千を市町村へ移譲する方針というふうに既に決めていらっしゃるということである、こういうふうに思うわけでございます。

 この法案についても、国と特定広域団体の関係を規定する、まさに委員御指摘のとおりでありますし、道から市町村へどうするということのまさに道内分権ということには、実は直接は規定がないのでございます。しかし、おっしゃったような趣旨が反映させられるように、四条の二項で、国及び特定広域団体は、それらの行政を効率化するよう努めなければならない、こういうふうな規定がありまして、この規定を読んでいきますと、まさに基礎自治体へおろしていこう、こういうことになるわけでございまして、おろしていくからにはやはりそれなりの規模というものが必要になってくるということで、最初の御指摘のあった合併というものに幾らかでもつながっていくのではないかというふうに思っておるところでございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 続きまして、基礎的自治体への権限移譲も大きな柱なのでありますけれども、実際、今の地方分権の流れで、市町村、大変な権限移譲されているわけでありますけれども、事この法案につきましては、事務事業の移譲されるもの、先ほど石崎議員の方からも指摘がありましたけれども、まさに、道の方からは三十三の提案があって、今回八つであります。そのうちの四つは北海道のみのものでありますので、通常であれば四つ、調理師養成施設の指定であるとか、国の医療機関に係る公費負担医療等を行う指定医療機関の指定であるとか、鳥獣保護法に関するものであるとか、非常に貧弱な感覚は否めないわけであります。

 今回、三十三もの提案があって、これが八にとどまったのはどういうわけなのか、政府参考人に伺いたいと思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 北海道からの提案でございますが、これは、二年前の平成十六年の八月に三十三項目の提案がございました。そのうち、実は三十三項目のうちの二十項目につきましては、これは法令上の改正を必要としない内容でございまして、これに関しましては、例えば事業の共同実施でありますとか窓口の一元化といった点につきましては、既に対応しているところでございます。

 したがいまして、残りは法令の改正が必要な十三項目になるわけでございますが、このうち、今回の法律、この特区法案及びその他の法律で対応している点がございまして、九項目は実現しているところでございます。

 したがいまして、合計いたしますと、三十三項目のうち、二十プラス九でございますから二十九項目を、今回の法律及びその他の対応において実際において実現している、こういう状況でございます。

松浪(健太)委員 その趣旨はよくわかりました。けれども、また今後さらなる分権を進めていかなければならないと思うわけであります。

 そこで、今回の法案についてでありますけれども、もし今回、今国会で道州制特区推進法が成立したとして、今後、こうした権限の移譲をふやしていくためには法改正が必要になってまいります。そのための手続もさまざま定められているところでありますので、その手続についてと、さらには、今回、今国会で道州制特区推進法案が成立したとして、最速で改正がなされるシミュレーションを伺いたいと思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 本法案に基づきまして特定広域団体となります北海道から、新たな変更提案といいましょうか、これがなされた場合でございます。その場合につきましては、内閣の方に置きます道州制特別区域推進本部の方で、その提案を踏まえまして検討、調整を行う、こういう形でございます。

 そして、その上で、この提案内容を踏まえまして、例えば基本方針を変更する必要があると認めた場合につきましては、基本方針を変更した上で、それに伴いまして法改正が必要な提案がございましたら、その改正法案を直近の常会等に提出する、こういう形で進むものというふうに考えている次第でございます。

松浪(健太)委員 直近のということは、具体的にはいつになるわけでありますか。

山崎政府参考人 まず、この件に関しましては、特定広域団体であります北海道は、いつ変更提案がなされるかという点を踏まえる必要がございます。これに関しましては、今北海道の方で、道民の方々の意見を踏まえたり、さらに、当然関係市町村の意見を聴取し、道議会の議決も必要でございます。

 今聞いている限りでは、施行、十九年四月を考えているわけでございますが、それから一年以内ぐらいに提案が出されるのではないかということを期待している次第でございまして、それを踏まえた上で、先ほど申し上げましたように、本部の方での検討を行い、そして、その基本方針を変更する必要があった場合につきましては、必要な法改正案をその直近の常会等に提出する、こういう形で進む形になろうかというふうに思っている次第でございます。

松浪(健太)委員 理解をいたしました。今後、こうした動きは機動的に行っていかなければいけないと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 また、今回、道州制、当然、今申し上げてまいりましたように、多くの分権の柱というものが非常に重要なわけでありますけれども、今国会は特に地方分権推進法というものも用意をされているわけであります。しかしながら、この道州制法案とは別に用意をされているわけでありますけれども、現在、地方分権推進法と、またこの道州制特区法案、どのように分けて整理をされているのか、伺いたいと思います。

林副大臣 大変大事な御指摘であろう、こういうふうに思っております。

 まず、地方分権改革推進法案の方は、関係法令の一括した見直しなどを行うことによりまして、全国ベースで国と地方の役割分担の見直しを進めるということをやって、それとともに、国の関与、国庫補助負担金の廃止縮小等を図るために、その推進体制等を整備しようとするものでありまして、全国的に地方分権改革を推進するというものであります。

 この道州制特区推進法案は、まさに、先ほど大臣から御答弁がありましたように、地域からの提案、この場合は、特定広域団体のまず第一号は北海道である、こういうふうに思いますが、そこからの提案を踏まえて、地域の意見を聞いてというところが一番違うところでございまして、その提案を踏まえて、広域行政を推進する観点から、その団体の区域において、国からその地域へ事務事業の移譲等を推進するということでございます。

 法律の仕組みや対象となる区域というのがその観点から違ってくる、こういう整理でございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 まさに地方分権から地方主権へと言われる時代にあって、こうしたプロセス、非常に大事なことであろうと思います。

 続きまして、今回の法案の中では、内閣総理大臣を本部長といたします道州制特別区域推進本部、これには全閣僚が参加するということでありますけれども、これについての意義といいますか、なかなか、まだ定まっていないと思いますけれども、こうした大きな意味でのこの推進本部の意義というものを改めて伺いたいと思います。

林副大臣 先生御指摘のように、法案の二十条で、この本部を設置するというふうになってございまして、特定広域団体から具体的な提案を受けまして、政府として具体的な事務事業の移譲等にかかわる方針を決定した上で、実際に事務事業を移譲するというような特別措置を講じるという仕組みになっております。

 先ほどの石崎先生の御質疑でもあったように、なかなか、この各省の権限の移譲というのはそう簡単に進まないということがあるわけでございまして、まさに本部をつくる、これは総理大臣が本部長になる、こういうことでありましょうから、リーダーシップを発揮していただいて、関係府省にまたがる、今言いましたような課題を総合的に調整して、やるものはやれという強力な推進を図る必要があるということでございまして、あえて内閣に本部を置くということにした次第でございます。

松浪(健太)委員 副大臣おっしゃいますように、この権限の移譲というものは、官僚の皆さんに当事者としてやれと言っても、これはなかなか難しいことでありますので、まさに政治の強力なリーダーシップが私も必要であると思います。

 そして、先ほども石崎議員の質問の中にもあったわけでありますけれども、特定広域団体の知事は参与としてかかわれるという話でありますけれども、その内容をちょっと具体的にお教えをいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の道州制特区推進本部でございますが、内閣総理大臣を本部長とし、本部員は国務大臣を充てる形になってございますが、御指摘のように、特定広域団体の提案の趣旨が本部の検討に適切に反映されるように、そういう趣旨から、特定広域団体の知事が、北海道知事が当たるわけでございますけれども、参与として本部のこの議論に参加できるように、そして意見が述べられるような形で対応してまいりたい、このように検討している次第でございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 まさに地元の意見を聞くという意味で、これはしっかりと担保をしていただきたいと思うわけであります。

 先ほどからこの審議の中でたびたび申し上げておりますように、大臣も所信の中で、三年以内の道州制ビジョンの策定等をしっかりと掲げられているわけであります。それを裏返せば、我々与党の立場、また自民党の調査会の中でも、今意見の取りまとめを我々は鋭意行っているところであります。

 そうした中で、やはり、地方分権の推進であれば、さまざまな民間の有識者による委員会というものも立ち上げているわけであります。この道州制におきましても、道州制ビジョン懇談会というものがつくられると伺っておりますけれども、これはどのような組織にするおつもりか、伺います。

佐田国務大臣 この法案、ぜひ早期に通していただきたいということは本音でありまして、その中で与党の方々も御議論いただき、また、野党の皆さん方にも御議論をいただいておるわけであります。

 今回のこの法案で重要なことは、何といっても、具体的に地方分権を遂行していく、こういうことでありまして、その中で、先ほど申し上げましたとおり、日本における地方分権、今までの歴史、文化、伝統、地域の方々のお人柄、そういうことを考えた場合に、どの部分を税源移譲すればいいか、財源移譲すればいいか、そして権限移譲すればいいか、こういうことが、この法案が通ることによって、まず最初の権限移譲、八項目は少ないと思われるかもしれませんけれども、基本方針の変更を重ねることによって、これが北海道において何十、何百とふえていくわけでありまして、その中で日本におけるいわゆる地方分権が確立をしてくるわけであります。

 したがって、それを見ながら、要するに検証をして、そして評価をしていく組織というものは、これは必要になってこようか、こういうふうに思っておるものでございます。

 そういう意味におきまして、委員の皆様方にこの法案を早期に通していただければ、速やかにその検証機関はつくっていかなくてはいけない、こう思っています。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 続きまして、先ほどから今後の未来像というものにかかわる部分に我々は入っているわけでありますけれども、私、冒頭申し上げました、まさにこの日本の国の形という意味での道州制を考える上で、地方分権を行う、中央の政府は外交、安全保障の分野に、また国の全体像にかかわる部分に特化をしていくという流れであるかと私は理解をしております。

 そうした中で、本当にこれを本格的に導入した場合、まさに我々国会議員の身分というものも考え直さなければいけない。まさに道州制を導入すると、都道府県議会、四十七も要らないわけであります。道州議会に統合する、そのときに、やはり、多くの議員の皆さんに、多大な、職を失うということも我々は覚悟しないといけないと思っているわけであります。

 私自身は、道州制が導入されるのであれば議員の身分を失ってもしようがないのかなという気迫でやっておりますけれども、しかしながら、地方議会、現在でも、市町村で合併の問題だけでも非常に大変な状況であります。

 シミュレーションをしてみますと、現在の地方自治法の規定で府県議会議員、人口を基準に削減しても、三四%ほどですか削減をしないといけないとか、まさに市町村の議員は、どういうふうに削減していくのかわかりませんけれども、例えば、全国が、基礎的自治体も、これは私が学生のころ読んだ小沢一郎さんの「日本改造計画」にあったように、三百の市に、今の小選挙区に限ってこれを市町村にやってみますと、現在約三万七千人いる市町村会議員は一万七千になるというようなことになってくるかと思います。

 これを見ますと、我々政治家というものも、どのように血を流さないといけないのか、また、流さずに済むような暫定的な機関を設けるのかということも、これは大事になってくるかと思います。

 また、行政についても、分支局が移るわけでありますから、これも大きな機構再編になります。

 ここまで踏み込むかどうかというものは現在は未定でありますし、これは、まだ全く、私どもが、こうなったらどうなるのかなというような想像というかそういうものでありますけれども、大臣は率直にこうしたことについてどのようにお考えでしょうか。

佐田国務大臣 将来どうなるか、これはわからない部分があります。したがって、今回の場合は八の権限移譲ですけれども、これが何十、何百になってくるわけでありますから、そういう中でビジョンをつくっていく、こういうことであります。ただ、これから地方分権が進むということは間違いがないことであるということをぜひ委員には御理解いただきたいと思います。

 もう一点は、実は、私は群馬県でありますけれども、私の選挙区は、前、市と郡でありましたけれども、うちの方は物すごいスピードで合併が進みまして、郡が消えてしまうというような状況が今現出しております。

 その中で、村会議員、町会議員の方々はその住民あっての議員でありますから、確かに、市長さんだって、首長さんだって、議員さんだって、自分はやめたくはないんでありますけれども、やはりそれは身を切って、住民のためだ、県民のためだ、国民のためだ、こういうことでみんな我慢をしてやっております。みんなやめております。

 私はそれが非常に重要なことであって、将来に向けて、そういう意味におきましては、国会議員がそれに準じて身を切るということも、または県会議員が身を切ることも、そしてまた地方議員の皆さん方が身を切ることも、これはまさに一つの行政改革の一端であるということは、やはりこれは否めない、こういうふうに思っております。

 そういう意味におきましては、ぜひ御理解をいただきたいのは、本当に無駄な部分をそいで、そして、将来に向けて、真に国民のためにある行政を、小さな政府をつくっていかなくてはいけない、かように思っています。

 最後になりますけれども、現実的な話ですけれども、では、選挙区はどうなるんだ、こういうことであります。

 これは、あくまでも公選法の問題、そしてまた区割り委員会の問題も客観的にございますから、そういうことも含めて、今後ともこれが進むにつれて議論をしていきたい、かように思っています。

松浪(健太)委員 大臣、非常に突っ込んだお答えをありがとうございました。

 市町村議員については、広さというものも考えなければいけないと思うんでありますけれども、私も、ふだん割と大阪という都会に住んでおりますと、参議院の一票の格差は考えるんですけれども、地方議員の一票の格差というのは、これはまた我が国においてはすさまじいものであるかと思いますので、またそうした意味におきましても、これは必然的な流れなのかなと思う次第であります。

 そして、先ほど大臣がお答えをいただいたときに、まさに先ほどのビジョン懇談会のところでお答えいただいたように、これは日本における税源、財源の権限の移譲の仕方が重要だ、私もそのとおりだと思います。といいますのも、やはり我々、道州という今までに使ったことのない言葉を使っているわけであります。

 といいますのは、やはり海外における連邦制とは私たちの目指す国の形というのは違うのであろう。まさに地方制度調査会が提言をしているように、例えば、司法については、連邦のように道州に任せないで、我々はやはり同じ価値観を持ってやれるんじゃないかとか、そういう価値観としては、もうこれは固まってきているのかなと私は思っているわけでありますけれども、それでは、道州制と連邦制の違いというのはどういうところにあるのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

林副大臣 大事な御指摘でありまして、委員がおっしゃったように、二十七次の地制調、十五年十一月十三日で答申が出ておりますが、そのときに随分御議論されて、「我が国の成り立ちや国民意識の現状から見ると、連邦制を制度改革の選択肢とすることは適当ではない」という結論がもう出ておりまして、それを引いて、二十八次、ことしの二月でございますが、道州の位置づけは、「広域自治体として、」というふうに書いております。地方公共団体ということでございますから、ここでも明確に連邦制ではないということを言っておるわけでございます。

 いわゆる連邦制というものには、いろいろ、人によって定義はさまざまであろうと思いますけれども、一般的には、我々今議論しています行政権を移譲するということにとどまらずに、立法権や、今委員御指摘になりました司法権を国と州で明確に分割されている国家形態、こういうことであろうと思います。

 御承知のように、アメリカでは、連邦に一審、二審、最高裁というのがあるのと同時に、州に憲法があって、州にも一審、二審、三審と全く分かれているという状況があるわけでございますから、そういうものは先生御指摘のように我が国ではとらないということが、累次の調査会、また自民党のこのペーパーにも出ておるというふうに承知しておるところでございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 続きまして、さきに申し上げましたように、官僚の皆さんも、いろいろとふだん話を伺っていますと、いや、霞が関はこの道州制には反対だからねという話も、割と堂々と官僚の皆さんからお話も聞くわけでありますし、佐田大臣が先ほどのようにすぱっとおっしゃっていただいたんですけれども、私も、北海道へ行くと、首長の皆さん、非常に、国のため、地域のため、我が立場にはこだわらないんだという、本当に日本には志のある政治家がたくさんいるんだなというのを実感をしているところでありますけれども、やはり実施となりますと、政治家そして官僚が抵抗するということは非常に大きいかと思います。

 そうした中で、これを進めていくためには、国民がこれを望んでいるということがやはり一番の推進力になってくるのかと私は思います。現在のところ、福岡、大阪、稚内で既にタウンミーティングが行われ、とても好評であったという話を伺っているわけでありますけれども、こういう国民に対する道州制のアピールについて、今後どのようにお考えでしょうか。

佐田国務大臣 私も本当にびっくりしているんですけれども、いろいろな地域、九州から、先生のところの関西の財界の方々、地方自治体の皆さん方、そしてうちの方の関東、そしてまた東北、北海道はもちろんでありますけれども、もう日本全国から来られて、何を言うかと思えば、とにかく、我々はこういうプロジェクトをつくって、道州制を進めるべく全力でやっています、ぜひ、大臣を含めた政府の皆さん方、そしてそれに興味のある議員の皆さん方に来ていただいて、タウンミーティングなり、そしていろいろなお話を伺いたい、討論をしたい、こういう声が物すごく多いというのが現実でありますから、今後とも、そのPRのために、私も全力で、今、国会中はこの議論がありますけれども、その合間も見て、そして終わればすぐに全国を、関係の我々の副大臣も政務官もおりますけれども、それだけではなくて、興味のある議員の皆さん方にも出ていただき、日本全国でこの道州制の推進法案、そしてまた将来に向けてのビジョンを議論していきたい、こういうふうに思っています。

松浪(健太)委員 非常に積極的な姿勢をありがとうございました。まさに大臣のその笑顔と舌鋒で、国民の皆さんに非常に道州制に対する関心を高めていただきたいと思うわけであります。

 それで、最後になりますけれども、先ほどから大臣に非常にいい御意見を伺って、大変恐縮しているぐらいなんですけれども、さきの小泉内閣のもとでも、私たちは道州制を含むマニフェストで当選をさせていただいておりますし、また、今国会から道州制担当大臣というものが置かれましたことは、まさに安倍総理の、安倍政権の非常に意欲的な姿勢のあらわれかと思います。

 最後に一言、ぐっと締めていただきたいと思います。

佐田国務大臣 このことにつきましては、今委員が最初に申し上げましたように、廃藩置県以来の大改革だ、こういうふうに私は思っています。そして、これが本当に北海道においてしっかりと練られ、北海道の方々のいろいろな意見を吸収しながら、そして本当に日本型地方分権、税源、財源、そして権限の移譲が確立するということになってくれば、これは本当に世界に冠たるすばらしい法律だ、そしてまた一つの方向性である、こういうふうに私は思っております。

 そしてまた、その中において、北海道並びにほかの地域、物すごくやる気のある地域がたくさんあるというふうに今申し上げましたけれども、その方々の地域のいろいろな地方分権のあり方もできてくる。その中において、道州制の中でいろいろな知恵を出していただき、そして、そういう中におきまして地域間格差も是正をしながら、本当に無駄のない、そして本当に国民本位の日本をつくっていけると私は確信をしておるところでございます。

松浪(健太)委員 最後に大臣、志の高いお言葉をありがとうございました。

 まさに明治維新以来のこの大きな改革に携われるということは、我々は政治家として本当に幸せなことであると思います。今後、自民党調査会におきましても我々はビジョンの策定にも、また党の側もしっかりとやっていきたいと思っておりますので、我々は、大臣のもとに、また道州制の鬼と呼ばれるまで頑張ってまいりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わります。

河本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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