衆議院

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第7号 平成18年11月15日(水曜日)

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平成十八年十一月十五日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      伊藤信太郎君    江崎 鐵磨君

      遠藤 武彦君    遠藤 宣彦君

      近江屋信広君    岡下 信子君

      岸田 文雄君    北村 茂男君

      木挽  司君    杉村 太蔵君

      鈴木 淳司君    谷本 龍哉君

      寺田  稔君    中森ふくよ君

      長島 忠美君    西本 勝子君

      林田  彪君    藤井 勇治君

      松浪 健太君    松本 文明君

      三ッ林隆志君    御法川信英君

      吉野 正芳君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    菊田真紀子君

      小宮山洋子君    佐々木隆博君

      田名部匡代君    松木 謙公君

      横光 克彦君    石井 啓一君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   議員           鈴木 宗男君

   国務大臣         佐田玄一郎君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   総務副大臣        大野 松茂君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   財務大臣政務官      江崎洋一郎君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総括審議官)           土肥原 洋君

   政府参考人

   (内閣府「道州制特区」推進担当室長)       山崎 史郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増田 優一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 津曲 俊英君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 品川  守君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     土井  亨君

  逢坂 誠二君     横光 克彦君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  遠藤 宣彦君     木挽  司君

  嘉数 知賢君     鈴木 淳司君

  木原 誠二君     杉村 太蔵君

  谷本 龍哉君     吉野 正芳君

  土井  亨君     長島 忠美君

  中森ふくよ君     松本 文明君

  林田  彪君     御法川信英君

  村上誠一郎君     西本 勝子君

  市村浩一郎君     逢坂 誠二君

  小宮山洋子君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     遠藤 宣彦君

  杉村 太蔵君     岸田 文雄君

  鈴木 淳司君     三ッ林隆志君

  長島 忠美君     北村 茂男君

  西本 勝子君     伊藤信太郎君

  松本 文明君     藤井 勇治君

  御法川信英君     林田  彪君

  吉野 正芳君     谷本 龍哉君

  逢坂 誠二君     田名部匡代君

  松木 謙公君     小宮山洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     村上誠一郎君

  岸田 文雄君     木原 誠二君

  北村 茂男君     土井  亨君

  藤井 勇治君     中森ふくよ君

  三ッ林隆志君     江崎 鐵磨君

  田名部匡代君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     近江屋信広君

  菊田真紀子君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     嘉数 知賢君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第九〇号)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、内閣提出、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、本案審査のため、去る十一月十三日、北海道に委員を派遣し広く意見を聴取いたしましたので、派遣委員を代表して、私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、団長として私、河本三郎と、理事木村勉君、後藤田正純君、戸井田とおる君、泉健太君、田端正広君、委員石崎岳君、松浪健太君、市村浩一郎君、逢坂誠二君、佐々木隆博君、吉井英勝君の十二名であります。

 このほか、現地参加議員として松木謙公君が出席されました。

 現地における会議は、札幌市内のホテルニューオータニ札幌において開催し、冒頭、北海道佐呂間町における竜巻被害により亡くなられた方々に対し黙祷をささげた後、私から派遣委員及び意見陳述者の紹介等を行い、北海道知事高橋はるみ君、旭川大学大学院客員教授川村喜芳君、北海道奈井江町長北良治君、前北海道芽室町長常山誠君の四名から意見を聴取いたしました。

 その内容につきまして、概要を申し上げます。

 高橋君からは、道州制等に対するこれまでの北海道の取り組み状況、本法律案に対する北海道の評価、本法律案に関する住民理解の促進策、本法律案成立後の北海道の取り組み等についての意見が述べられました。

 川村君からは、これまでの官による行政から住民参加と民主的統制による自治行政に転換する必要性、国と重複する行政の廃止と行政改革の実現の重要性、道州制の先行モデルにふさわしい改革の推進策、各省大臣を道州制特別区域推進本部のメンバーから排除する必要性等についての意見が述べられました。

 北君からは、住民参加を基本とした行政サービスと自治活性化の促進策、住民によく実感できる地方分権の推進方策、本法律案についての評価と今後の課題、実効ある道内分権の推進のための諸方策等についての意見が述べられました。

 常山君からは、さらなる権限と財源の移譲及び地方の自由度と責任拡大への対応策、都道府県を越える広域的行政課題への対応、国と重複する地方行政の解消による行政組織のスリム化の必要性、国からの権限移譲の拡大策等についての意見が述べられました。

 次いで、各委員から陳述人に対し、道州制特別区域推進本部の参与のあり方、権限移譲事務の所掌大臣が道州制特別区域推進本部の本部員となることの是非、憲法第九十五条に基づく住民投票を実施する必要性、連邦制についての各陳述人の所見、道州制特別区域構想についての小泉前総理大臣の要請の有無とその内容、本法律案第十九条に基づく工事等交付金の今後のあり方、道州制特別区域制度の運用によって目指す方向性、北海道庁と国の地方支分部局との統合の見通し等について質疑が行われ、滞りなくすべての議事が終了いたした次第であります。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催に当たりましては、地元関係者を初め多数の方々の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

 お諮りいたします。

 ただいま報告いたしました現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

河本委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房長山本信一郎君、大臣官房総括審議官土肥原洋君、大臣官房タウンミーティング担当室長谷口隆司君、「道州制特区」推進担当室長山崎史郎君、総務省大臣官房総括審議官久保信保君、文部科学省大臣官房審議官合田隆史君、生涯学習政策局生涯学習総括官清木孝悦君、厚生労働省大臣官房審議官御園慎一郎君、政策統括官薄井康紀君及び国土交通省北海道局長品川守君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。民主党の逢坂誠二でございます。

 先般は、委員長を初め派遣委員の皆様方が北海道に来られまして公聴会が開催されたということで、私も北海道に住む者として、皆様が北海道に来られたことに対して本当にうれしく思うと同時に、願わくば、もう少し余裕があって、北海道の本当のよさも何か実感できるチャンスがあればもっとよかったのかなというふうに思っております。

 それはさておきまして、きょうはまた、佐田大臣、少しの時間でありますけれども、質疑、よろしくお願いいたします。

 先般、十一月十日の日でございますけれども、四名の参考人の方々にお越しいただきまして、いろいろと話を聞かせていただきました。非常に意義深い話だったなというふうに私も感じました。きょうは、その参考人の方々の話も交えながら、いろいろと質疑をさせていただきたいと思います。

 どちらかといいますと、参考人の方はここでしゃべって議論ができないということもございますので、私が四人の参考人に多少成りかわる部分もあり、そういう役割も果たしながら質疑をしたいなというふうに思っております。

 先般の議事の速記録を若干見ますと、なるほど本当に、何というんでしょうか、道州制そのものに対しては、四名の参考人ともに、分権のある種の形としての意義、検討の必要性というものは多く語っておりましたけれども、今法案については、やはり幾つかの課題というものの指摘もあったのかなというふうに思っております。

 まず最初に佐田大臣に、先般のこの十一月十日の参考人が来ての発言についての全体的な感想をちょっと、どんな感じに思われたか、お伺いできますか。

佐田国務大臣 私、聞いておりまして、今逢坂委員が言われたように、道州制を行うことによって、いわゆる行財政改革を進めるであるとか、行政の効率化を図るとか、そういうことはそれなりに意義があるというふうな共通点はありましたけれども、今お話がありましたように、今回の道州制特区推進法につきましては、いろいろと御不満のある方もおられた、そしてまた、進めるべきというふうな強い御希望のある方もいらっしゃった、そういうふうに感じております。

逢坂委員 さて、それで、まずお伺いをいたしますけれども、これは石井参考人がしゃべったことでありますけれども、道州制の検討に当たっての留意点というようなことで幾つかしゃべっておられましたが、その一点目は、目指すべきこの国の形というものを、国、地方を通じて、あわせて一体的に示していくことが大事だという話を石井参考人がされておりました。道州制というものを検討するからには、一体、日本の国がどんな国になるんだ、中央政府はどんな形だ、自治体の政府というのはどんな形になるんだということを示すことが大事なんだという話をしておりましたけれども、これについて、大臣、どのようにお考えでしょうか。

佐田国務大臣 これも先般の議論の中にありましたように、また、石井参考人も非常に自分の御意見を持っている、こういうふうに感じたわけでありまして、地方制度調査会の答申でもありますように、道州制は、広域自治体改革を通じて国と地方の双方の政府のあり方を再構築しまして、国の役割を本来果たすべき役割に重点化して、内政に関しては広く地方公共団体が担うという我が国の新しい政府像を確立しようとするものでありまして、このことは、同時に、国として対応すべき課題への高い問題解決能力を有する政府を実現する方向であると位置づけておるというふうに感じております。

逢坂委員 今の大臣の話、まさにそのとおりだというふうに思うんですが、その一方で、私はこのようにも感ずるんですが、地方分権などを議論するときに、国と地方の役割の明確化という話をよくされるわけであります。

 まず、役割を明確化することが大事なんだということでありますが、大臣、これ、国の形を考えるときに、国と地方の役割って明確にできるものなんでしょうか。そのあたり、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 そういう意味におきまして、やはりそれは、国と地方の役割というものは、国にしかできないことももちろんありますけれども、地方にできることは地方にやっていただく、こういうことは非常に重要なことだと思います。

 この道州制の答申もそうでありますけれども、今回の法案を通して、基本的に、例えば北海道、九州も随分意欲を持っておられますけれども、そういうところが、うちの方はこういうことを権限移譲してほしいとか、税財源の移譲をしていただきたい、こういうことを、やはりこれからどんどん声高に議論が進むのではないか、こういうふうに思っております。そうなってくると、おのずとビジョンができて、その中で、国の役割、地方の役割というのが確立してくるんじゃないか、こういうふうに思っております。

逢坂委員 私は、ここで申し上げておきたいのは、実は分権を考えるときに、国と地方の役割、国においては、例えばよく言われるのは、通貨だとか防衛だとか外交だとか、まさに国にしかできないものをやるのが国の役割であるというようなことを言われるんですが、その役割を考えるときにいつもやはりジレンマに思うのは、一つの課題、問題、テーマであっても、国と地方がそれぞれ相互に乗り入れているといいましょうか、領域がはっきりしないファジーな部分というのは相当あるんじゃないかなというふうに思うわけですね。だから、ここからここまでが国で、ここからここまでが地方だというふうに分け切れない課題、そのことの方が、分権型社会を考える上で、あるいは道州制も同じだと思いますが、実は重要なのではないかなというふうに思うわけです。

 例えば、自治体のエリアを決める、いわゆる市町村合併というような問題があります。これは、まさに自治体みずからの判断によってどうしたいということを決めていくのが筋だというふうには思いますけれども、でも、やはりその大きな枠組みを決定するのは、法で決めているわけだから、当然国の関与というものも必要になるわけですね。

 したがいまして、幾ら自治、地方の専管的な課題であるとはいえ、相互乗り入れしている部分、重なりの部分、ある種、境界のはっきりしないファジーなもの、この扱いをどうするかが実は分権型社会を考える上で極めて重要ではないか、私は、この議論というのが少ないのではないかなという気がする。この議論をしっかりしないから、やはり地方の側にも、どこか分権型社会のもどかしさ、国の側にも、何か役割を決めているはずなのにどうもはっきりしないな、いつまでも我々も関与しなきゃいけないなというような課題が残るんじゃないかという気がしているんですが、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 委員の言われるとおりだと思います。その辺を、やはり地方自治体の自立性であるとか、また財政面の強弱もありますし、そういう中で、地方にやれといったって、それは税源移譲しても果たしてやれるのかどうか、こういうこともあるわけでありまして、それじゃなくても、例えば東京都のように、ちゃんと財源のしっかりしたところは、うちはかなり権限をいただいてやれますよ、こういうふうなことを言われるところもあるわけであります。

 ですから、そういうことを考えたときに、地方自治体、地方自治体、やはり個性もありますし、その中で、基本的にはやはり自立的に成長していただきたいというのが我々の考え方でもありますけれども、ただ、その特色を生かして、ファジーな部分もありますけれども、それをやはりだんだん明確化していくということが大事なことではないかな、こういうふうに私は思っています。

逢坂委員 了解いたしましたが、これまでの国と地方の議論を聞いていて、私が言うところのファジーな部分の交通整理というところには余り踏み込まれていないのではないかという気がするものですから、あえてこの場で、総務副大臣もおりますけれども、指摘をしておきたいと思います。

 それから次に、先般の十日の参考人の話の中で、これも石井参考人でしたかから、道州制の必要性の提示というものをぜひはっきりしなければいけないんだ、しかも、メリットばかりではないんだ、課題もあるだろう、こういうことをきちんと提示した上で議論をしていくことが大事だという話がございましたけれども、この点についてお伺いをします。

佐田国務大臣 言うまでもありませんけれども、道州制につきましては、市町村合併の展開や都道府県を越える広域行政課題の増加といった社会情勢の変化を踏まえて、導入の検討がなされておるわけでありまして、メリットとしては、地方分権の推進及び地方自治の充実強化、自立的で活力のある圏域の実現とか、国と地方を通じた効率的な行政システムの構築とか、口で言うのは簡単ですけれども、そういう非常に難しい内容があるわけであります。

 一方で、道州制に関する課題は、国の政治行政制度のあり方を初めとしまして広域にわたりまして、またその導入は国民生活にも大きな影響を及ぼして、道州制の導入に関する判断は、むしろ国民の皆さん方が判断していただくということでありまして、言いかえるならば、先ほど申し上げましたメリットがある税財源の移譲であるとか権限の移譲であるとか、これは行われますけれども、それと同時にまた責任もあるということでありまして、これはやはり国民的な議論の中で判断をしていく必要がある、こういうふうに思っております。

逢坂委員 了解いたしました。

 それでは次に、先般の参考人の話の中で随分話題になっておりましたのが、特定広域団体の件でございますね。いわゆる三つの県以上の、合併というふうに言ってよいんでしょうか、集まってつくる特定広域団体でございますけれども、これについて、これは法文の中には書いていないのだけれども、いわゆる普通地方公共団体なのでしょうかというような話がございましたけれども、この特定広域団体の性格についてお知らせいただけますか。

佐田国務大臣 この特定広域団体は、基本的に三県以上ということでありますけれども、要するに、その三県が合併をして、合併するに際しましては国会の承認を得るということであります。それを推進本部が検討して広域団体に指定していくわけでありますけれども、これはあくまでも都道府県ということで御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 合併をする、そして都道府県ということで理解をしてもらいたいということでありますから、当然、いわゆる市町村の合併のような都府県合併というふうに理解をしていいのかというふうに思いました。

 この中で、実は、この三つ以上の、特定広域団体ですか、これに関して、「自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域」というような規定があるわけでありますけれども、この「相当程度認められる」というのは、だれが認める、あるいは認める基準というようなものはどうなっているのか、これについてお話をいただきたいと思うんですが、本来、こういうものというのは、認めるというのは、他者が認めるというよりも、やはり自立的、自発的に、それぞれの地域の人たちのまとまりによって出てくるものかなという気もするんですが、それもあわせてお願いいたします。

佐田国務大臣 前回も、この自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当認められる地域というこの項目につきましては、大変議論をさせていただきました。

 いろいろな場合があろうかと思います。しかしながら、三県以上ということと、これがなし遂げられた場合には、これを認めるのは、いわゆる道州制特区推進本部が検討を行い、十分そのようなことが認められるということで判断をさせていただくということであります。

逢坂委員 この点に関しましてなんですが、本部が判断をするということですが、これは岡山県知事を務めておられる石井参考人からも、それから関経連の井上参考人からも出ていた話ですが、まず石井参考人からは、いわゆる県の合併というのは現時点では簡単ではないだろう、相当な時間を要するというような余り現実的ではない話が出されておりました。

 それから、井上参考人はもっと踏み込んでお話が出ておりまして、そもそも三府県合併というのは極めて教条的でありまして、もう少しフレキシブルな制度でないと道州制の実験はできないとか、そんな話があったわけでありますね。

 それから、これは石井参考人ですが、三以上の合併ということになりますとなかなかハードルが高うございまして、今すぐにどこかが手を挙げるとかいうことにつきまして、現時点でそういった動きは残念ながらないのではないか、こんな話があったわけであります。

 すなわち、法文上は北海道以外の地域もできるというふうにはなっているんだけれども、現場にいらっしゃる皆さん、岡山、関西の皆さんから見てみると、それは現実的ではないですよという言いぶりだと私には感ずるわけですが、果たしてこの点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

佐田国務大臣 参考人質疑におきまして、三県合併がハードルが大変高いという意見があったのは聞いております。これまでも、全国知事会のアピールや、平成十八年十一月七日、北海道東北知事会によりまして、道州制特区推進法の今国会での成立を求めるアピールをいただいているところでありまして、北海道以外の地域でも、本法案や道州制に対する関心は高いものと考えております。そういうことを考えたときに、今後都道府県レベルの合併が出てくることを期待はしておるところであります。

 本法案におきましても、特定広域団体は、総合的な行政分野における国の事務事業が幅広く移譲されることとなるものと予想されることから、特定の目的により存立する広域連合などの特別地方公共団体ではなく、地方公共団体として一般的な権限を付与される普通地方公共団体である都道府県を対象とすることが適当と考えるところであります。

 東北の話を今させていただきましたけれども、特に私がびっくりしておるのは、財界であるとか地方自治体の首長の方々、かなり積極的に、東北もそうですけれども、九州もそうですし、また関西の方々もかなり関心を持っておられまして、来られますので、私の方から、今回はそういうことで、この法律においては都道府県としてやっているんだ、こういうことをよく説明させていただいているところであります。

逢坂委員 その今の大臣の説明というのは私もよくわかるわけであります。いわゆる最終的に目指す姿としては都道府県の合併だよということでありますけれども、現実にはなかなか難しいではないかというのが岡山県の知事さんの話であり、あるいは関経連からの代表の井上さんであれば、具体的に実践、実験をするのであればもっとハードルを下げるべきではないかという指摘がされたわけですよね。

 だから、今大臣がおっしゃられた話というのは、それはそれで理解はいたしますが、そもそも実験ということであるならばハードルを下げるべきだという指摘があったわけですが、この点についてはいかがでしょうか。

佐田国務大臣 ハードルが高いかどうかというよりも、逆に地方の気持ちが醸成されてくるかどうかということもあるんじゃないかと思うんですね。

 今回の法案を通していただくならば、その中で、三県以上ということでありますけれども、北海道の基本方針が変更されて、相当な量の権限、税財源の移譲が行われてくる。そういうことを見ておりまして、逆に、先ほど申し上げましたように、各地域で今相当醸成されてきておりますから、その中で議論をすることによって合併が行われて、これは地方公共団体としての合併でありますから、その合併の中で、三県以上ということでありましたけれども、私なんか九州の方にお伺いすると、三県以上というと、では北と南ですかなんと言うと、全部だ、全部によって合併しなくちゃ意味がない、そのぐらいの気持ちでおられますから、そういう意味におきましては、この法案を早く通していただいて、よく周知徹底することによってハードルが下がってくるんじゃないか、こういうふうに思っております。

逢坂委員 大臣、本当にそうお考えでしょうか。都道府県の合併というのは、モデル的に、実験的にやるようなことを前提にして県民が合併を選択するとお思いでしょうか。そうではなくて、もし合併をするということであるならば、分かれるということは基本的にはできないわけでありますから、相当な決意を持ってやるわけであります。モデルをやるときに、モデルをやるために、あえて制度の根幹、地域の根幹を変えるような合併を本当に県民が選択するんでしょうか。いかがでしょうか。

佐田国務大臣 逢坂委員も御案内のとおり、道州制と、市町村合併というのもあるわけでありまして、市町村合併のときも、私も、こんなことはできるのかな、歴史であるとか今まで培ってきた伝統であるとか、こういうことの根幹を揺るがすような市町村合併ができるのかと思っておりましたけれども、その中で、やはり市町村の住民の方々の熱望というか情熱によってかなり進んできたわけでありまして、私のところの群馬県でももう半分以上が合併が進んでおる、こういう状況があります。

 本当にやれるのか、こういう委員の御指摘でありますけれども、そのためにもしっかりとこの法律を通していただいて、その中でわかりやすいビジョンをつくっていきたい。その中において、地方のいろいろな高揚というか醸成というか、そしてまた県民の皆さん方の意思の疎通、そして御理解を賜っていきたい、こういうふうに思っています。

逢坂委員 大臣、議論の前提が全く違うわけですね。市町村合併というのは、モデル的にやる何かのために合併をする選択をしているわけではありません。これから先、未来永劫、この地域がどうなるかということを地域の住民の皆さんが強い決意を持って、よし、我々はいろいろ相談をした結果、この地域をこうしたいという強い決意を持って合併しよう。いやいや、そうではない、我々の地域は古くからあるこのエリアの中で、小さいけれどもきらっと輝くように頑張ろう。そういう決意を持ってやる。そういう前提があっての市町村合併。明治のころは万だった。それがだんだん減ってきて、今は千八百台になった。そういう決意でこれまで進んできたものであります。

 今回のこの道州制に絡む都道府県合併は、そういう前提ではありません。モデル的に道州制的なるもの、ここでは道州制の定義がありませんので何といってよいかわからないんですが、広域行政的なるものをやろう、モデル的に。それを前提にしてやるわけだから、未来永劫この形でいけるかどうかというようなものではない。実験的な要素を含んでいる。実験的な要素を含むものを決断するのに、まずがっちりとした形の枠組み、その決意が大事なんだというのは、少し議論が飛躍しているのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 実験的というお話がありましたけれども、私は、実験的というよりも、地方分権であるとか税源移譲であるとか権限の地方に対する移譲、最終的には基礎的自治体に対する移譲というものについては、やはり国民的な流れだと思っているんです。したがって、北海道でこれをやることにつきましても、実験的というよりも、これは当然のことながら一つの時代の流れである。その流れの中で、今度の法案を通していただくことによって進んでいくわけでありますから。

 そしてまた、委員、合併できないところも無理やりしてやれということではなくて、本当に今、今もお話をしましたように、東北であるとか関西であるとか九州の方でも相当議論を重ねてやっておるわけでありますから、それは十分時間をかけてやっていきたいと思いますので、その辺は御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 この道州制的なる広域的な行政、それは国民的な要請というか流れだという話がございました。だとするならば、なぜ北海道だけを取り上げて先にやるんでしょうか。であるならば、全国展開ができる仕組みを設ける方が合理的なのではないでしょうか。

 関経連の井上さんからは、関西においてはそういう機運が高まっていて、具体的なこともやろうという準備がある、ただし合併ということがやはりハードルになるんだ、だからもっと簡便にやれる方法を考えてみてはどうかという参考人の意見だったわけであります。この点に対してはどうなんでしょうか。

佐田国務大臣 先生、時間はもうじっくりと、やはり各地域地域で練っていただくということでありますけれども、今回の法律におきましては、これは三県が先生に言わせると非常にハードルが高い、こう言われておりますけれども、基本的には、時間の醸成とともに、やはりどこの県でも、要するにどこの地域でもやれるというスキームになっております。当初、北海道の方から経済財政諮問会議に対する知事さんの積極的な発言もあったということで、こういう特定広域団体で進んでおるわけでありますけれども、私の私見で申しわけないんですけれども、例えば九州だとか関西であるとか東北の方々の情熱を見たときに、それは将来はいろいろと県民の御理解をいただきながら進む可能性もある、こういうふうに思っておるわけであります。

逢坂委員 いえ、私が言いたいのは、九州だとかでこれから進む可能性もあるということを聞いているのではなくて、先般の井上参考人の、関西ではこれまでも十分議論をしてきている、だけれどもネックになっているのは三県合併だけなんだという話だったわけですよね。ではそういう声にどうこたえるんですかという話を私は聞いているんですね。

佐田国務大臣 先生、三県がいいか悪いかということではなくて、私は、要するにそういう意見として、三県合併というのは関西においては厳しい部分もあるというふうなお話でありますけれども、ですから、時間はある程度しっかりかけて議論をしていただき、今回の法律の道州制推進特区と将来のビジョンをつくった後の道州制というのはまた別の問題でありますから、それはよく関西の方で御議論いただいて、この法案に適合するような形、時間をかけて御理解いただけるのならばそういう方向でやっていただきたいということであって、それは県民によく御理解いただくしかないんじゃないかと思っております。

逢坂委員 この問題、幾ら議論しても御理解をいただけないようですので、このあたりでやめたいと思いますが、法の中に幾ら書いてあっても、しかもそれをやりたいと思っても、できないハードル、目の前にそちらのハードルの方が高い。そちらのハードルというのは、三県が合併するというハードルが高いという指摘がされているのに、なぜここまでかたくななのか、私には理解できません。

 広域行政というのは国民的な流れだというのであるならば、しかもモデル的にもやりたいと言っている地域もある。関経連の取り組みは私も数年前から存じ上げておりまして、本当に大したものだなというふうに思っております。したがって、私は、本当に政府としてこの広域行政の必要性というものを感じておるならば、そういう声にこたえることが私は重要なのではないかなというふうに思っております。

 それでは、若干論点を変えましてお話をさせていただきますと、同じく石井参考人がこんなことをおっしゃっているんですね。

 実は、広域行政ということを考えるのであるならば、それをモデル的にやるということを考えるのであれば、北海道以外の府県でこそ意味があるのではないかという私の問いに対して、北海道が道州制特区のモデルにふさわしいとはどうも思えないというふうにおっしゃっているんですね。これは大臣も聞いていたかと思いますが。

 その理由は何か。そもそも北海道、河川だって道路だって北海道という島の中で一体的なものとしてやっているではないか、府県の方がやはり道路にしても河川にしても分離されているところがある、だからこそモデル的な意味合いがあるんだという話だと私は理解をするわけですが、この指摘についてはどうお考えですか。

佐田国務大臣 その辺は私もちょっと聞いておりませんでしたけれども、確かに言われることはよくわかります。他府県をまたぐ、川であるとか砂防事業であるとか林野であるとか、こういうのは全部分かれていますから、そういう中で県と県との県境を越えるということに対して一つのどういうふうな処理をしていくかというのは、非常にこれは興味のあることだと思います。

 ただ、今回の直轄事業に対する交付金の問題もそうなんでありますけれども、実際問題として交付金をどのように扱っていくかということはありますけれども、年度を超えた効率性であるとか、例えば同じ河川の場所を融通してやっていくであるとか、そういうことから始めておりますので、いきなりぼんとやるというのも非常に難しい部分もあろうかと思います。ただ、これを進めていくうちにおいて、やはりいろいろな基本方針の変更が出てきますから、その中で一つの試みとして理解ができるんじゃないか、こういうふうに思っています。

逢坂委員 北海道でやることに対する試みとしては理解できるのではないかという話でありますけれども、私が聞きたいことはそうではなくて、井上参考人が言っている、そもそも広域行政的なるものが北海道よりもどちらかというと進度が低い、そういう地域でこそやって意味があるのではないかということについてどうお考えかというふうに私は聞いているんですね。

佐田国務大臣 それは先生の言われるとおりだと思います。それによっていろいろな場合を想定して、そして税財源の移譲、権限の移譲をやっていくわけですから、そういう例があるならばそういう形で進めていきたい。繰り返しになりますけれども、三県が合併するというふうな前提において行われれば、そういうふうな試みも非常に他の地域についても参考になる、こういうふうに思っています。

逢坂委員 またここで堂々めぐりなんですけれども、何か言っている話がよくわからないですよね。井上参考人の話というのは、冒頭に大臣も理解できるという話をした。だけれども、井上参考人は、三県の合併というのはハードルが高い、もっとフレキシブルな制度にすべきだという指摘をした。話は理解できると言いつつ、でもそれは合併を前提にしてやっていただければという今の答弁、これは矛盾するんじゃないでしょうか、どうでしょうか。本当にモデル的にやるというのであれば、井上参考人の言うフレキシブルというところにもっと配慮が必要なのではないかと思うんですが、どうでしょうか。

林副大臣 先ほどの、広域連合で特定広域団体にしてしまうべきではないかという井上参考人の御意見というのは、ある意味では、この法案の検討の前にいろいろ御議論があったかもしれませんけれども、一つの御意見だというふうに思っております。

 広域連合になりますと権能を要求できる。しかし、特定広域団体のように、一義的に、もうなったからすぐ付与されるというわけではないから近いのではないかというのが井上参考人の御意見であったと思いますので、それは、広域連合になった場合にどうするのかということは、きょう副大臣おられますけれども、総務省の方でも御検討いただきたいと我々は思います。

 ただ、今回の法案では、やはり一般の普通公共団体にしようということを決めて、そういうふうに法律に位置づけておりますのが大臣が今御答弁されたことでありまして、それは、一部事務組合、広域連合でございますと、一般的に、例えば税財源を移行ということになっていきますと、委員御承知のように大変難しいことが出てきてしまう、こういうこともございますので、そういう扱いにした。

 一方、北海道は、もうこの委員会でるる御議論いただいておりますように、既に広域に当たるような広い地域で、一つの地方公共団体、現に存在しておる、これは繰り返しの答弁になりますが、そういう前提がありますので、最初に試行していただくという意味では非常に適したところではないのかということを繰り返し御答弁しているところでございます。

逢坂委員 私、林副大臣が大好きなんですが、この委員会での質疑答弁になると、必ずしも好きでなくなるものですから。

 まあ、冗談はさておきまして、であるならば、あえて林副大臣にお伺いをしますが、今回の法律で、北海道で実現すべきというふうに思われていることは一体何なのかということです。

 既に広域的な取り組みが行われているいわゆる北海道以外の他府県における広域的な取り組みについては、今回の法案の中では、どちらかというと、現時点で実現可能性は高くはない。では、北海道において期待しているのは何なのかというところなんですが、先ほど、総務省が所管する広域連合的なもの、それだったら税財源の移譲というのはいかないんだというような話でございましたけれども、では何を期待しているのかというところ、今、紙も来たようでございますけれども、いかがでしょうか。

林副大臣 まず、来た紙は、モデルの議論で井上さんは、難しいからこれをきっかけにやらせていただきたいと。

 私が先ほどから申し上げておりますのは、できる可能性が高いわけでありますからやっていただこう、この程度の、今のモデルの定義の意味でございます。

 今、委員がおっしゃった、何ができるのかというのは、私はちょっと先ほど言葉足らずだったかもしれませんが、まさに北海道庁というものが既にあるわけでございます。これは先ほどの御議論でいうと、一部事務組合、広域連合では、なかなかそういうところまではいっていない。ということでありますれば、その幾つかある中の一つとしては、国の出先機関と、それから広域自治体である、この場合は特定広域団体、北海道の場合は北海道というものの、双方のシステムの活用によります行政の効率化というものが北海道の場合はすぐにできる。これが一つ、それだけではございませんが、一つであるということを繰り返し御答弁を申し上げておるわけでございます。

 そのほかに、まさに非常に広域であるということ。それはもう委員の方が私よりもよく御承知のとおりでありますし、一つの圏域を昔から形成しておる、こんなことがそれに加えてその先に来るべきものでありますが、道庁の話はその三番目ぐらいに来る話ということで御説明申し上げたということでございます。

逢坂委員 この法律の第一条、「広域にわたる行政の重要性が増大していることにかんがみ、」ということなんですよね。「広域にわたる行政の重要性が増大していることにかんがみ、」というのがこの法律の目的であります。

 今の話からしますと、広域よりも先とは言いませんでしたが、他の地域と違って北海道の特色として挙げておられたのが、国の出先と道庁の、双方のシステムという話がございましたけれども、それは広域というよりもいわゆる縦の流れ、国と地方という縦の流れの、国というものがあって道というものがある、それの活用ということを意味している。広域とはちょっと視点が違うのではないか。広域というのは面的広がりでありますけれども、どうも今の場合は上下の重なりを指摘されているのではないかという気がするんですが、そうなると、法の趣旨と少し違うような気がするんですが、いかがでしょうか。

林副大臣 繰り返しになりますが、まさに広域、横の広がり、今、委員が御指摘になったように、私がこうやると自分の体が広がっているな、こう思ってしまうわけでございますが、冗談はさておいて、広域というのがまずあって、非常に広い地域である。それから、一つの圏域としてのまとまりが、もちろん歴史的にも文化的にもあるということに加えて、この法の趣旨にもありますように、双方の行政の、道民、広い意味で国民の皆様に、よりいいサービスを提供できるための効率的な行政、こういうものも当然法律の趣旨に含まれているわけですから、その三つ目ぐらいにあるのが、今、道庁と国の出先機関の間でより効率的にできるのではないかという視点もあります、こういうふうに申し上げたところでございます。

逢坂委員 でも、そういうふうにして考えてみますと、本来の広域行政を何とか実現したいというふうに考えるのであるならば、北海道以外の他府県の地域と北海道の違いというのは何でしょうか。ただ一つだけなのでしょうか。要するに、北海道という広い島全体を道庁という一つの役所が広域自治政府として担っているという点だけなのでしょうか。林副大臣、どうでしょうか。

林副大臣 申しわけございません、繰り返しになるようでございますけれども、国土の五分の一でございましょうか、大変広い、広域の地域であるということがまずございます。その地域が、歴史的にも地理的にも一つの独自の地方、まとまりを形成している、このことがまずあって、そして、それに加えて、今申し上げました、出先の管轄の、いわゆる地方支分部局と、それから道庁という広域自治体の管轄区域が一致しておる、これが三つ目に来るということでございます。

逢坂委員 しつこいようですが、第一条を読みますと、市町村合併のことが最初に書いてありまして、「経済社会生活圏の広域化、少子高齢化」「経済社会情勢の変化に伴い、広域にわたる行政の重要性が増大していることにかんがみ、」と書いてあるんですよね。今の林副大臣の話からすると、私自身もそう感じているんですが、北海道においては、そもそも自然だとか経済だとか文化だとか歴史だとか、あの地域というのはもともと一体的なものだった。要するに、「変化に伴い」ということで広域行政の重要性が増大したエリアではないのではないか。逆に、これまで府県として分かれていたところの方が、社会情勢の変化に伴って広域行政の重要性が増しているのではないか。そういう指摘は当たらないでしょうか。

林副大臣 今、第一条を御指摘いただきましたので、この後の方に、「地方分権の推進及び行政の効率化に資するとともに、北海道地方その他の各地方の自立的発展に寄与することを目的とする。」こういうふうになっておるわけでございまして、先ほど私が申し上げましたのは、この行政の効率化に当たるかなと思っております。

 既に北海道では昔からやってきたではないかということでございまして、確かに委員の御指摘、昔から北海道は北海道でやってきたということでございますけれども、合併の進展、数字が少ないという御議論もここでいただいておったような気もいたしますけれども、その中でもやはり合併は進展はしておるわけでございますし、いろいろな情勢が変化しておるということですから、北海道が道庁としてスタートした時期と現在とでは、やはり置かれている状況は変わってきている。

 それに対応して、今回の、今申し上げました三つの要件は、北海道はいずれも満たされておるわけでございますから、広域行政をさらに推進していくためにこの特区を活用していただいて、さらにできる先進的なモデルになるのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。

逢坂委員 この点も、なかなか一致点は得られそうで得られないのでありますけれども、では、ちょっと大臣にお伺いしますけれども、いわゆるこういう言い方をちまたではしているようですが、よく二重行政という言われ方をします。北海道においては二重行政だという言われ方をするのですが、この点において二つ質問をしたいのです。

 まず、ハード整備における、例えば道路だとか河川だとか砂防だとか、そういうものの整備における北海道における二重行政というのはどういうことを指して指摘されているのだというふうにお考えなのかというのが一つと、では、本州の他府県において、北海道以外の他府県において、いわゆる二重行政というのはないのかどうか。このあたりはいかがでしょうか。

佐田国務大臣 ハード整備の問題でありますけれども、北海道は、その区域が国のブロック機関の管轄区域とかなり一致しておりまして、その区域において国と北海道が広域の見地から施策を行っていることから、国から北海道への権限移譲を進める余地があると考えておるわけであります。そしてまた、それがいわゆる二重行政と言われているのではないかと思います。

 また、二番目の質問の、それ以外のところで二重行政はあるかと言われますと、やはり、例えば北海道なんかの場合は、国道を維持管理する、この辺は非常に、本来ならば、北海道の場合は、国もやっておる、それでまた道もやっておる。また、本州の方に来ると、今度は国道の維持管理についてはほとんど地方自治体がやっている。そういうふうな違いはちょっとありますけれども、そういう意味でいうならば、補助金も出ているということを考えると二重行政ということもあり得る、こういうふうに思っております。

逢坂委員 今の大臣の話から、やはり私は、北海道という島に国の出先もあり道庁もある、だから、エリアが一致しているから二重行政だということではないと思うんですね。逆に言うと、例えば本州だと、青森、秋田、岩手などがあって県はばらばら、だけれども、例えば地方整備局などというものもやはり同じようにあるわけですから、その点においては同じなわけですよね。エリアが一致しているか一致していないかで二重行政だとくくるのは、やはり少し問題があるかなというふうに私自身は感じていたんですが、今大臣の説明の中からも、本州においても二重行政というのはあるだろうという話をされましたので、その点は私も全く同感でございます。

 実は、北海道における二重行政で課題になっているのは、いわゆる開発局があって北海道庁があるから二重行政だということではなくて、私の実感から言いますと、子供のころなんかは、今もそうですが、例えば国道の除雪、ああ、これは開発局が来ますねと。道幅も広くて交通量の多いところの除雪、これはお金もたくさんかかるし、大きな機械も要るし、北海道開発局が来て除雪している。道道については、やはりそれよりも若干グレード、交通量が多少下がるところを北海道土木現業所が除雪している、市町村道はそれぞれの自治体がやっているという意味で、例えば道路の除雪という点で見ると、どうも二重などというふうには全く思えないんですね、実際に北海道に住んでいる者の実感としては。

 逆に、解決すべきはそういうことではなくて、二重という概念ではなくて、もし災害が起きたときにどうするかとか、例えば、物すごい雪がたくさん積もって、それぞれの開発局や土木現業所や市町村の除雪ドーザーが動けないなどというときに、それは相互協力してどうやってやっていくかなんということが非常に重要だったり、交差点ですね、例えば国道と市町村道の交差点がある、国道は国道だけで除雪していっちゃうと、市町村道の方へ雪がのけられて市町村道の方が通行できなくなるから、そこの取り合いをどうするかなんというところをうまく解決していくというのが非常に大事なことだと思うんですね。

 だから、私は、ちまたでよく言われる二重行政というのもやはりよく検証してみなければいけないなというふうに思っています。北海道だからイコール二重行政という感じは、多分道民の生活実感からはないのではないか。また逆に言うと、本州だから二重行政がないということも、先ほどの大臣の話からもあるとおり、それも必ずしも言い切れないのだろう。だから、ちまたで言われている言葉というのは結構感覚的に言い過ぎているなというようなところを私も感じているところであります。

 さて、それじゃ、この点はそういうことにしまして、きょうは聞きたいことがたくさんありまして大変恐縮でございます。次なんですが、今度は、ちょっと法制局の方から来ていただいておりますので、憲法九十五条のことについてお伺いをしたいんです。

 憲法九十五条に規定する住民投票については、先般もいろいろ聞かせていただきましたが、この解釈について、私はやはりどうしても理解できないところがございます。

 それは、いわゆる特別法というものが、その地方公共団体そのものの組織、権能、運営を規律する法律が憲法九十五条に規定している特別法に当たるという話を先般宮崎政府特別補佐人からされましたけれども、そのときに、いわゆる学説を二つほど紹介していただきました。ただ、私がどうもその学説を読んでもわからないのは、学説がもうそもそも断定しているんですよね。「その地方公共団体そのものの組織、権能、運営を規律するものではない法律は、ここに言う特別法ではない」というふうに断定をしている。

 二つ御紹介いただいた学説いずれもそうなんですが、私が聞きたいのは、その地方公共団体そのものの組織、権能、運営を規律するものではない法律はここに言う特別法ではない法文上の理由を聞きたいんですよ。なぜそういうふうに言い切れるかの理由を聞きたいんですよ。いかがでしょうか。

宮崎政府特別補佐人 憲法の地方自治の章を拝見しますと、九十五条の前に九十二条や九十四条もございます。九十二条には、地方公共団体の組織、運営という言葉が出てまいります。また、九十四条には、地方公共団体の権能ということで権限と出ておりまして、その三つのキーワードというものは憲法自身決めておることから、主なる学説は、地方公共団体に対する特別の定めというのは分解するとその三つのどれかに当たるだろうというふうに考えて解説しているものだというふうに私ども理解しておりまして、それはそのとおり、なるほどというふうに考えておるわけでございます。

 したがって、根拠はといいますと、憲法自身のその関連の条文の中にあります要素というものを取り上げているんだ、このように思います。

逢坂委員 今のお話、自治というものをいろいろ分解していくと、その要素は三つだ、組織、権能、運営だというふうにおっしゃられましたが、これは、いわゆる地方自治の本旨という言葉がございますけれども、これとの関連というのはいかがでしょうか。地方自治の本旨ですね。

宮崎政府特別補佐人 御質問が大変大きな御質問で、どのようにお答えしていいかわからないんですけれども、問題が二つあるということを、先生は御案内かと思いますが、もう一遍ちょっと申し上げたいと思うのです。

 この委員会で憲法九十五条に関して御指摘のある問題というのは、一の地方公共団体のみに適用される法律というのは何だという問題で、この法案は北海道に実質的に限られているんじゃないか、したがって、そういう意味で九十五条の対象になるんじゃないかという問題と、それからもう一つは、この法案の一部に、十九条などにおきまして交付金の交付という制度が書かれておって、それは北海道といいますか、道に限っておりますので、そちらの問題は、一の地方公共団体にのみ限るということは明らかではないかという問題がありまして、地方公共団体の組織、運営、権限にというふうに申し上げていますのは、その後者の問題に限って申し上げているわけです。とりあえず、そういうふうに申し上げます。

逢坂委員 いや、とりあえずそのように申し上げますはいいんですが、自治の憲法上の規定を分解すると、組織、権能、運営というところにある種分解されるんだという答弁がございまして、そのことと、巷間よく言われる地方自治の本旨というところとの関連はどうなるんですかということを私はお伺いをしたんですよね。

 というのは、なぜ私がそういうことを言うかというと、これは余り手品のネタを明かすといけないんですけれども、先般、法制局からこういう回答をいただいているんですよね。なぜ、九十五条の住民投票をするかしないかという答弁の中で、この九十五条の規定というのは国会の立法権の例外をなすことだ、その立法権の例外をなすということは、要するに、国会の立法権を制約しているんだから、それに対する制約というのは、憲法の自治の本旨というものを踏まえたら、その合理性、必要性が認められるものに限定して認めていくべきではないかという立場に立っているから、合理性、必要性というのを認めているんだというような話をされているわけで、では、その自治の本旨というのは何なんだということを私は聞きたいんですよ。

 要するに、組織、運営、権能に関与していない法律は特別法じゃないと言っている、こっちでは本旨ということを言っていますので、それじゃ、その関係というのは何かあるんですかというところを聞きたいんですね。

宮崎政府特別補佐人 結局、この間少し申し上げたことと関連いたしますといいますか、繰り返しになりますけれども、地方自治に関する憲法の規定といいますのは、地方公共団体の団体に着目して、その自主性なり自律性というものを保障するという形で書いてあるわけでありまして、必ずしも、直接地域的なものを取り上げたり住民を直接取り上げたりしていないということが出発点だと思います。

 その意味で、そういうことから、住民投票の必要性ということにつきましても、一の地方公共団体のみに適用される法律ということについては、ちょっと繰り返しになりますが、地方公共団体の自律性、自主性というものについて、ほかの地方公共団体とは違う特別の差別というものをする法律であるかどうか、そういうことがある場合には、それは国会の立法権の例外として住民投票にかけようということであろうということを申し上げております。

逢坂委員 いや、ですから、自治体の自律とかいう話をされましたが、では、その本旨というところは一体何なのかということをお聞きしたいんですね。本旨というものを踏まえつつ、その合理性、必要性が認められるものに限局してという言葉でしたか、先般は。だから、この本旨というものを踏まえつつのところは一体何なのかというところをお伺いしたいんですね。

宮崎政府特別補佐人 前回そのように言及いたしました趣旨は、今申し上げましたように、地方自治についての憲法の規定というのは、領域概念である地域とか領域とかいうことでなくて、地方公共団体という組織といいますか団体というものの性質に着目して、それについての自主性や自律性を保障しようということに本旨があるのだろうということを指して、地方自治の本旨を踏まえつつというふうに申し上げたわけでありまして、講学上いろいろな説明が、住民自治であるとか団体自治であるとかいう解説は別途ございますが、とりあえず前回私が申し上げましたのは、団体に着目しているということを指して申し上げたかったわけであります。

逢坂委員 この問題をやっていくとなかなか深遠な議論になりますので、これはまた別のところでやるべきかなというふうには思いますが。

 私は、今、法制局の方から言われた組織、運営、権能という言葉というのは、これは自治体の自主性、自律性を考える上で極めて重要なことだというふうに思います。しかし、今回のこの住民投票という側面から、同じようにこの地方自治の本旨というものを眺めたときに、本旨の中に、それでは、団体の自主性、自律性をある種規定する組織、運営、権能という概念が多少包含されているという答弁に解釈してよろしいんでしょうか。その点はいかがでしょうか。

宮崎政府特別補佐人 私が前回それについて言及しました趣旨は、そういうことでございます。

逢坂委員 了解いたしました。

 それでは次に、これはちょっと法制局に聞いた方がいいのかどうか、私も悩むところなんですが、これは実は法制局の方からも、この住民投票というのは最終的に国会が決めることですという発言をされております。これは御承知かと思います。なるほど、そうだなという気はするんですが、法制局に聞くのがいいのかどうか、これは例えば十一月一日の宮崎政府特別補佐人の答弁によれば、本来は、これを議決しました国会の御判断によるべきものであると考えておりますと。御判断によるべきものということはわかるんですが、これは具体的な手続というのは、では、どのようなことになるのか、どなたか答弁いただけますでしょうか。

大野副大臣 私の方から、手続についてなんですが、もう既に先生御案内のとおり、地方自治法の二百六十一条の規定によりまして、一の地方公共団体のみに適用される特別法が国会または参議院の緊急集会において議決されたときは、最後に議決した議院の議長は、その旨を内閣総理大臣に通知し、内閣総理大臣は、直ちにその旨を総務大臣に通知し、総務大臣は、五日以内に、関係地方公共団体の長に通知しなければならない、こう書かれているところでございます。

 関係地方団体の長は、その通知を受けた日から三十一日以後六十日以内に、選挙管理委員会に当該の法律について賛否の投票を行わせることとしております。

 選挙管理委員会は、賛否の投票の期日について、都道府県にあっては少なくともその三十日前に、市町村にあっては少なくともその二十日前に告示するものとされております。

 このほか、住民投票の投票に係る手続につきましては、公職選挙法に定められた地方公共団体の選挙に関する規定に準じて行うこと、これが手続でございます。

逢坂委員 総務副大臣からの説明は非常によくわかります。それは、要するに国会が判断した後のということでございますね。

 私は、その国会の判断にということを、この委員会で何度か言葉を聞いているんですが、では、国会の判断のその具体的な手続というのはどうなのかというところについてはいかがでしょうか。答弁の中で国会の判断、国会の判断と言われるんですけれども、では、その国会の判断ってどういう手順でやるんだというところについては、どなたか御承知の方いらっしゃいますでしょうか。

林副大臣 常識論みたいな話になってしまいますが、この今御提案をしております法案は、そういう解釈で、いろいろ御指摘がありますけれども、憲法九十五条に照らして住民投票は必要がないという形で御提案をさせていただいておりますから、この法案は、今のように御質疑をいただいて論点を明らかにした上で、国会として、委員会、本会議ということになりましょうが、両院で御議決をいただくということが、いわゆる国会の御判断ということになろうかというふうに考えております。

逢坂委員 ということは、この法律が九十五条に該当するものだということであるならば、それは例えば否決をされるなどのことがなければ、その判断、九十五条に該当するということの議論にはならないということなんでしょうか。

林副大臣 その理由でもって否決をされたかどうかということが残ると思いますけれども、累次のいろいろな、戦後、幾つか例があって、した場合、それから必要がないとされた場合、それぞれ国会で賛否を問うて、そして議決をされてきているといったことでございますから、否決された場合にその判断があったかどうかというのはまたあると思いますけれども、そういうことだと思います。

逢坂委員 せっかくの機会ですから、これは林副大臣に聞くのが適当かどうかわかりませんが、これまで九十五条の住民投票に付された案件、十数件ございましたけれども、その場合は、これはどういう手続で、手続というか、国会の判断になっていたんでしょうか。それは法案の中に書いてあったんでしょうか。それとも、そうではない何かがあったんでしょうか。この点、もし御存じでしたら、これは通告しておりませんので大変申しわけございません。

林副大臣 今ちょっと確認をさせますが、国会法のお話であろうか、こういうふうに思いますので、御指摘がありましたのでちょっと調べさせていただきたいと思います。

逢坂委員 大変申しわけございません。これはちょっと通告外の話でありましたので、この程度にしたいと思います。

 いろいろ、さっきの自治の本旨もそうでありますけれども、我々がついつい口に簡単にしがちなことであっても、よくよく調べてみると、あれっ、どうだったかなということが結構あるのかなというふうに思っているところです。二重行政なんかもそうかもしれません。あたかも北海道が二重行政の典型のように言われるんだけれども、本当にそうなのかなという目線を持って見れば、結構そうでもないところが見えてきたりもするんじゃないかというふうに思うわけです。

 さてそこで、また先般の参考人の方へ戻りたいと思うんですが、先般、参考人からこんな話も出されておりました。

 いわゆる今回の法案の中に交付金のことが書いてございます。交付金に対して、評価をする声と評価をしない声が二つあったわけであります。交付金だからいいよねという声を上げた方もいらっしゃいましたけれども、そうではない、交付金はその算定基準が必ずしも明確じゃない、かなり抽象的だ、それから、将来これがどのように保障されるのかがわからないというような点で、将来に不安を残すのではないかという指摘が参考人の方からあったわけですが、この点についていかがでしょうか。

佐田国務大臣 今回の場合は、この法案に明記されているように、河川であるとか林野であるとか砂防であるとか、これは別々の交付金という形で、ある程度の利便性が増して、また、北海道の特別な今までの補助金の比率、直轄事業に対する比率等につきましても、それを参酌して交付金とやっていくわけでありますけれども、将来、これがもっと使い勝手をよくするべきではないかとか、そういう提案がなされたときに、平成二十七年にこれをもう一度見直すという附則が付されておるわけであります。

逢坂委員 今の話はわかるんですけれども、この参考人の疑問というのは、算定基準が必ずしも明確じゃない、この点、いかがですかという話ですね。それから、将来どうなるのかは二十七年に見直すという話でありましたが、算定基準の点についてはいかがでしょうか。

佐田国務大臣 ですから、算定基準は、基本的に、今までの直轄事業の補助金としての割合であるとか、それを参酌して、決して減らないような形で交付金として交付していく、こういうことです。

逢坂委員 参酌して、減らないような形でという話がありましたけれども、減らないという言葉が出ると、地元の人は多少安心するのかどうか、この辺はちょっとわからないんですが。

 あと、使い勝手がいいという話がありましたけれども、交付金は、でも、これは分野ごとの交付金ですね。河川は河川、砂防は砂防だったと私は理解をしているんですが、このあたりで、それは果たして使い勝手がいいと言えるんでしょうか。河川のものは河川にしか使えない、砂防は砂防にしか使えないということであるならば、本当にそう言えるのかどうか、このあたり、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 河川別であるとか、砂防の山の地域であるとか、いろいろあるわけですけれども、そのときに、基本的に、河川改修したときに、思ったよりもうまくいったり、次の年に繰り越ししたり、そして同じ河川のところで延長線上だったら、それを便宜的にやってみたり、砂防も同じことでありますけれども、そういうふうな融通というか、そういう独自性が得られるんではないかと思っています。

逢坂委員 ちなみに、今回の法案の中で予定されている、もう既にこの法案の中に含まれている砂防だとか河川の事業というのは、何事業入っているんですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 御質問のまさに公共事業関係でございますけれども、例えば、直轄砂防事業が二カ所、民有林直轄治山事業も二カ所、さらに開発道路事業が五カ所、それから二級河川の直轄事業がございます、これも二カ所という形で具体的な対象を考えている次第でございます。

逢坂委員 すなわち、五カ所という開発道路もありましたけれども、残りのものは二カ所だと。二カ所の中で融通がきくということだということで、大臣、よろしいんでしょうか。その点だけがいわゆる補助金とは違うということでよろしいんでしょうか。

佐田国務大臣 そういうことです。

逢坂委員 これは非常に寂しい話でありまして、一カ所ずつついていた補助金が二カ所一本になりました、端的に言うとそういうことだということでありますね。これは極めて残念な内容かなというふうにも思いますが。

 何かこれから権限が百も二百もという言葉が出てまいりましたけれども、大臣、百も二百もというふうに言ってよろしいんでしょうか。

佐田国務大臣 私は個人的にはそう希望しておるわけでありますけれども、あくまでもこれは北海道の方々のいろいろな御意見を聞きながらということですから、基本方針は、最初の、今言われたとおり数カ所しかないということでありますけれども、これこそやはり、本当に各役所の垣根を越えて、しっかりと地方の御意見を聞きながらやっていくという端緒になるんじゃないか、私はこう思っています。

 もう言うまでもありませんけれども、今回の基本方針をもって、北海道の方々の、いろいろな市町村並びに道民の皆さん方の意見を聞き、そして最終的には判断をするわけでありますけれども、私は、結構、いろいろな権限の問題、税源の問題、相当議論が出てくるんじゃないか、こういうふうに思っています。

 したがって、この法案を通していただけたら、私もみずから説明に回りたい、そのぐらいに思って、皆さん方のこれからの権利として、道の自立性、そして道民の皆さん方の意見をしっかりとやって、要するに本当の意味の今度の法案の北海道の特定広域団体としての自立性を確立していただくということで御説明していきたい、こういうふうに思っています。

逢坂委員 さて、それに関連して、第六条に特定広域団体の提案ということがあるわけでありますが、「特定広域団体は、」「道州制特別区域計画の実施を通じて得られた知見に基づき、」ということが書いてございます。

 この「知見に基づき、」という、これは実績とも書かずにあえて知見という言葉を書いたわけでありますけれども、これはどういう意味なのかということをお伺いしたいのが一点と、知見に基づき提案をする、知見に基づかない提案というのはできないのかどうかという話と、もう一つは、そもそもこういうことは、提案というようなことは法の規定がなければできないものなのかですね。

 これは何か分権型社会と言っている割には随分お上的な、上意下達的な要素も感じられるわけでありますけれども、ここを取り上げて、提案ができる、皆さんの意見を聞くことができる、だからすばらしい法律ですよというふうにも聞こえなくもないんだけれども、そんなことがなくても、国と地方は対等、協力で、意見を言い合えて、こうしてもらいたいと言えるのが当たり前の社会じゃないかなという気もするんですが、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 確かに、私もそれはそう思います。常に国と地方は議論をして、これは今の政令、省令でもやれるんじゃないのとか、現行の法律だってこれはやれるのに、やってもいいんじゃないかとか、そういう御提案はもちろん提案として出していただくということで、知見というのはどうして知見にしたの、こういうことでありますけれども、これは法律的用語みたいなところがあろうかと思いますけれども。

 先ほど申し上げましたとおり、基本方針を、今度は、最初の提案ですから、それを出していただいて、それによって道州制特区計画を立てていただくわけですね。どういうことかというのはもう言うまでもありませんけれども、これは実質的な計画ですよね。その計画によって実行してみて、要するに、うまくいくところもあるし、これはどうなのかなとか、今の既存の法律でもできるんじゃないかとか、いろいろなことが出てくると思うんです。

 それでその中で、必要のないものは必要のないものとしてやる、そして必要のあるものは、これは基本方針の変更として本部の方に送る。本部は本部として、また特定広域団体と議論をしながら、特定広域団体と議論するというのは、やはり知事も最後に入っていますから、それを議論しながら、できる限り閣議決定をしていく。

 そしてまた、先生言われるように、常にやはり議論をしているということが大事だと思うんです。そしてその中で、法律によって法律改正をしなくちゃいけないという部分も出てきますから、それは、要するに閣議決定したものについては速やかに法律改正をしていく、こういうことでございます。

逢坂委員 何か、私は、だんだん議論していくうちに、この法案の意味というものがどんどんわからなくなっていくんですね。

 というのは、日常的に、地方団体、自治体は、国に対してこうあるべきだ、こうした方がいいという提案は、やはりこれはできるのが多分今の日本の社会ではないかと思うんですね。ただ、その提案が現行法制度に照らして、提案のままで即実現できるか、法改正が必要かという判断はあるけれども、提案そのものをあえて、こういう知見に基づくとか、提案をすることができるとか、この書きぶりだけ見ると、では、ふだんは提案できないのかということになっているわけですが、そのあたり、もう一度御説明いただけますか。なぜあえて提案することができるなんですか。

佐田国務大臣 実際問題として、先生、提案することができるというのは、例えば、基本方針の変更ということもあるわけですね。それがやはり提案をできるということだと思うんですよ。

 それは、例えばやってみなくてはわからないという部分もありますから、やってみたらこれは余り北海道のためにはならないよ、北海道のためにこれはぜひしてほしいと。実際問題として、計画を立てて実施するわけですから、その実施した知見に基づいてやるわけですから、そのときに、やはり提案ができる。要するに、提案するというのは、基本方針の変更の提案ができるということでありますから、そういうふうに御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 ますますわからなくなるんですね。ますますわからなくなるというのは、基本方針というものがありき、そしてそれに基づく計画ありきなわけでありますけれども、基本方針、計画というものをあえて形のあるものにするということの意味合いなんですね。

 すなわち、先ほど来の議論からしてみると、北海道に限らず、広域行政、いろいろな新しい取り組みをしたいという地域はある。東北の例も出されました。九州の例も出されました。あるいは、私は、この間の参考人の、関西の話もさせていただきました。みんなはやりたいんだ、もうどんどん提案もしたいんだということを言っている。だけれども、そこにあえて国が方針をつくる、そして計画をつくってというようなことを入れ込むことによって、逆にそれらやりたいという声を阻害することになりはしないか。いや、それは助長するんだ、それを助けるんだという考え方もあるかもしれないけれども、どうもそうではない。

 国と地方、対等、協力の関係だという大きな前提条件を出発点にするならば、こういう法律がなくても、地域で広域行政の必要性がある、だから地域はこう変わりたいんだということに対して、虚心坦懐に声を聞いてそれに対応していくというやり方もあるのではないかと思うんですが、それとのこの法律の差異は何ですか。

佐田国務大臣 ですから、先生の言われたのはわかります。要するに、別にこの法律がなくても基本的に地方の意見を吸収できるではないか、そういうことですね。

 ただ、今回の法律につきましては、要するに、基本方針では、現実的な問題として、今回は道民の方々、最終的に議会で議決いただくわけでありますけれども、そういう意見を能動的に、やはりそれを自立的にいろいろ出していただく、出していただいて、そしてその中で法律として実行してその知見を得ていく、こういうことでありますから、今までの先生の言われたような、例えば地方から、いや、こういうこともありますよ、これもやっていただきたいね、こういうことも含めてそれはやりますけれども、今度の法律につきましては、そういう、要するに地方分権として進めるという一つの要素として、いろいろな計画を立てていただき、実際問題として、ガラス張りの中で実行してみて、そして北海道のためになるもの、ならないものを選別というか、また地方自治体の意見を聞いて基本方針の変更をしていくわけでありますから、それなりに相当な効率をもって地方分権が行われる、そういう促進的な意味も含んでいるということです。

逢坂委員 委員長の方も大分この辺に笑みが漏れておりますが、余り私には理解できないところがあるんですね。もし私が総理だったら、こういう法律はつくらないかもしれない。もっと虚心坦懐に地方の声を聞くということの方が、現実的に日本の国における広域行政が進むのかなという印象を持っております。

 これは見解の相違でありますから、私が総理になったときに考えればいいことなのかもしれませんが、そのときは、佐田大臣にも林副大臣にも、今度はまた一緒にやってもらうという日が来るかもしれませんが。せっかくここまで議論したんですから。

 さて、それでは、前回の私の質疑のちょっと積み残しを幾つかお話しさせていただきたいと思います。

 前回、私が質疑をしたときに、内閣府の方では、最初、ことしの四月の上旬につくった法案の素案レベルの段階では北海道の限定的な法律であった。ところが、最終的に法案として閣議決定されたものは現在の形になって、全国一般法的なる展開をできるようになった。的なるという言い方をして、私もまだこだわっているんですが、そうなった。この詳細な経過について教えてほしいという話をしたわけであります。これに対して、大臣の方から、それについてはよく調べてという話をされておりましたので、この経過をお知らせいただけますか。

 ただし、この前年の十月秋に知事会の方から全国展開してほしいという要請があったからだということについては私は理解しないということは前回言っておりますので。というのは、時間的整合性がとれない。秋口から言っていたのなら、何で四月の時点で全国展開できるようにしなかったのかというところが明確ではないということですね。四月から五月の間になぜ全国展開できる方に変わったのかというところを聞きたいということでありますので、よろしくお願いいたします。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点は、本年四月の段階においてはまさに北海道を対象であったものが、最終的な法案段階においては北海道以外も対象となったその経緯でございますが、これに関しましては、先般もお答え申し上げましたが、この法案を作成する段階において、当然いろいろな要素を考えるわけでございますが、その中で、北海道以外の都府県が、まさに北海道地方に準ずるような、そういう形で該当する場合については、これを特定広域団体の対象外とする合理的な理由はないということで考えまして、法案の策定の段階におきまして、私どもとしまして、最終的には、一般的に適用されるこういう形の、現在の法案という格好で取りまとめさせていただいた、こういうような趣旨でございます。

逢坂委員 私が聞きたいのは、なぜそれが四月から五月の間だったのかというところなんですね。それまで長い時期があったはずですね。北海道だけに限定させる合理的な理由はないと。しかも、秋口の段階で地方六団体の方からも、あるいは知事会でしたか、全国展開できるような法律にしてほしいという声もあったにもかかわらず、年が明けて四月の上旬までは北海道限定で議論をしていたわけですね。

 なぜその時期に、一カ月の間に、多分一カ月はないと思いますけれども、その間に変わったのかというところを聞きたいんです。その事実関係を聞きたいということで大臣にお伺いをしたわけですね。事務方としてはああいう答弁でございますけれども、大臣、いかがですか。

佐田国務大臣 先生、現行の地方自治法上の、本法律案に規定する一定の要件に該当するような都道府県が今後出てくることもあり得るんじゃないか、こういうことを考えまして、北海道以外の都府県であっても、北海道と同等の条件を満たした場合には、本法案による国の事務事業の移譲等を対象外とするのは合理的ではないのではないかというふうに、基本的にはそう考えたわけです。

 これが、先ほど先生が言われた議論、要するに、これから国と地方がよく議論をしていくということも大事じゃないか、こういうことでありますけれども、そうなってきたら、北海道に限らないわけですから、例えば、道州制特区推進法ということで、当然のことながらこれは都道府県を単位として進めていくわけであります。これは異論はあるかもしれませんけれども、相当な税財源移譲、権限移譲が行われた後は、やはり最終的には道州制に対するビジョンにもつながってくるのではないかということがあるわけでありまして、そういうことを考慮してこういうふうな一般法になったということです。

逢坂委員 余り生臭い話をするのもなんなんですが、先般の参考人の発言の中に、いや、一般法にしたのは、実は九十五条における住民投票を避けるために便法的に急ごしらえで入れたんじゃないのというような指摘が、こういう言葉ではなかったと思いますが、あったんですけれども、こういう議論はこの法案をつくるときにはなかったでしょうか。議論はなかったかどうか、それが真実であるかどうかは別にして、議論はなかったかどうかをお伺いします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 何度も申し上げておりますけれども、まず、法律として、この道州制特区推進法案のあり方としまして、先ほど来申し上げましたように、北海道以外の地方においても当然今後あり得るという可能性を考えますと、そもそも法律論としてそれを一律に対象外とする合理的な理由はないということから、基本的には、現在の法案という形で取りまとめさせていただいたというところが基本でございます。

逢坂委員 余り議論しても、多分もうしゃべらないと思いますので、これ以上この点については私は追及をしません。

 ただ、冒頭にも申し上げましたとおり、せっかく広域行政を前提とする道州制というものを考える、それはやはり、いろいろな識者の皆さんを含めて、これからの日本において大事なことだねという議論がされているわけであります。しかし、今回の法案を見る限りは、せっかく熱意のあるところも逆にモデル的な展開をできない、阻害させている要素、側面もあるのではないかという指摘は真摯に受けとめるべきではないかというふうに私は思います。

 北海道がどうこうというよりも、確かに、四月の上旬までは北海道限定的だった、だけれども、北海道だけに適用する合理的な理由はない、全国展開がいいんだということを、もしそのお言葉を真正面から受けとめるのであるならば、関西だって九州だって東北だって、よりモデル的展開がやりやすいような仕組みにしておくことが実は大事なんじゃないでしょうか。

 しかも、そのモデル的な取り組みというのは、モデルというのは場合によっては不都合だと思ったら引き下がれるということもあって初めて試行というものでありますから、試行が一回やってしまって戻れないというなら、それは試行ではありませんので、こういう声というのはきちんと受けとめなければいけない。

 その意味において、この法案はやはり十分とは言えないのではないかというふうに私は思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 委員の意見もよくわかります。だから、私がそれについて反論するつもりはありませんけれども、できるだけよく周知徹底をして、こんなはずじゃなかったみたいなことのないようにそれはやりたいと思います。

 要するに、この法律のもとに特定広域団体に進んでいくということになれば、それだけのインセンティブもやはり与えていかなくてはいけないということもあります。そしてまた、もしものときのための何らかの要素ということも委員の言われるとおりでありますので、これは物すごく大変なことでありますし、前に質問の中で廃藩置県以来の大改革だという話もありましたから、それは踏まえて、しっかりと検討していきたいと思います。

逢坂委員 それでは、きょうの質疑の最後でありますけれども、やはり、この法案の持つ最大の弱点といいましょうか疑問点、最後にお伺いをします。

 この法案は道州制というこれまでの日本の行政の中では余りなじみのなかった言葉が使われているわけでありますけれども、最終的に、道州制の定義というものがされないままに、道州制という言葉と特別区域という言葉を抱き合わせで定義をしてしまったというところに相当大きな問題点があるんだろう。このことについては、先般の参考人からも出ておりました。道州制という定義のない、道州制という冠を付した法案である、だから道州制とは違うものであるという話があったわけであります。

 なぜこういういびつな定義になったのかというところを一つお伺いしたいのと、大臣がお考えになる道州制というのはずばり何かについてお話しいただければと思います。

佐田国務大臣 繰り返しになって恐縮なんですけれども、今、地方分権を進める、税財源の移譲をしていく、こういうことはまず一つの国民の流れであろう、こういうふうに思っております。

 ただ、道州制を考えた場合に、国と地方の役割分担であるとかそういうことが出てきますけれども、やはりもっと具体的に物事を考えていかなくてはいけないと思うんです。それはどういうことかといったらば、今回の法案を通しまして、要するに北海道の方々がどういうことを望まれていくか、例えば税財源の移譲であるとか権限の移譲、基本方針の変更というふうな形をとっておりますけれども、どういうふうにやっていきたいのか、これがだんだん収れんされていくんじゃないか、こういうふうに私は思っています。

 であるから、その中で、ほかのところの地域がうちの方もそれではやってみたいとか、インセンティブを与えていくとか、そういうこともこれから必要でありますけれども、二、三年たてば一つの大きなビジョンができてくる。その中で、ほかのところも、あいまいにやっているんじゃなくて、九州は九州、関西は関西、東北は東北でいろいろな議論はもう既に始まっておりまして、その議論の中で、うちの方はこういうふうな形でまとまっていきたい、こういう要素でまとまっていきたい、こういうふうな地方自治体にしていきたい、そういうことを一つ一つ地方地方でつくっていくことによって、ビジョンができ、そして最終的には道州制につながっていくんではないか、こういうふうに思っておるわけであります。

逢坂委員 質疑時間が終了しましたが、ずばり、道州制とは何かというところについてはいかがでしょう。

佐田国務大臣 基本的に道州制は、国と地方との役割分担をやっていくということでありますけれども、また税財源の移譲も行っていく、そしてまた行財政の改革にもつながってくることでありますけれども、私のイメージとしては、やはりそれぞれの地域を生かした地方分権が行われていく形であろう、こういうふうに思っています。

逢坂委員 以上で質疑を終わりたいと思います。長い時間にわたりまして、ありがとうございます。

河本委員長 次に、松木謙公君。

松木委員 民主党の松木謙公でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今から百七十年前の今日というのは、十一月十五日、皆さんも御存じだと思うんですけれども、坂本竜馬の誕生日なんですね。そして命日でもある。そして、自分なんかもそうですし、皆さんの中にもそういう方はおられると思いますけれども、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」だとか、そういう本を読んでちょっと心を熱くした、そういうことを思い出す方も多いんじゃないかなというふうに思っております。既成の概念に全くとらわれないで、脱藩浪士となって、薩長同盟あとは船中八策、大政奉還、こういうことを提案して、まさに明治維新の原動力として近代国家への扉を開いたことは皆さん方もよう御存じだというふうに思っております。

 その坂本竜馬なんですけれども、北海道とは随分縁遠いような気も皆さんすると思うんですけれども、実は結構ゆかりがありまして、明治三十年に、坂本竜馬のおいごさんが、坂本直寛さんという方なんですけれども中心となって、移民団として入植して、野付牛村というのですけれども、この役場が設置されたのは、この人たちがつくって、そしてそれが今私の選挙区の北見市の始まりなんですね。

 そういうことがちょっとありまして、きょうの論点である道州制の導入、まさに明治維新やあるいは戦後の改革、これに匹敵するほどの国の形を変えるという試みに何となく思いをいたしますと、やはり、竜馬を思い出して、彼のように大胆で、時代への洞察力というのでしょうか、そういうものを持って、制度疲労しつつある既存の国の仕組み、こういうものに現実に毅然と立ち向かっていかない限り、大きなことはなし得ないものだというふうに私は思っております。

 明治維新は黒船、そして戦後の改革は敗戦ということで、いずれも、どっちかといえば外からのものがあって、そして国を一変することができたんだと思いますね。今回の試みというのは、内発的なエネルギー、国の中ということですね、によって、日本人自身の英知を使ってそれをなし遂げなければならない、そういうわけですから、結構大変なことだというふうに言わざるを得ないと思います。

 今日は、そういう認識のもとに今国会に上程されております北海道道州制特区推進法について質問させていただくわけでございますけれども、よろしくひとつお願いを申し上げます。

 そもそも北海道庁は、六年前から道州制検討懇話会を設置して道州制の検討を進めていたわけですけれども、平成十五年の八月に小泉前総理から、構造改革の一環として北海道における道州制の先行的な取り組みを要請され、道州制特区構想が一気に加速したんです。それを受けて、道州制推進会議を設置したんですね。そして、特区に関しての国への提案内容の検討に入りまして、平成十六年の八月には道州制特区に向けた提案を三十三項目にまとめた。

 そして、権限の移譲に関しては十三項目を提出したんですけれども、今回その中で認められているというのは、残念ながら六項目のみですね。そして、ほかから措置したもの、それが二項目。合計八項目ということになったわけですね。

 例えば、都市計画決定等の機能、また中小小売商業の活性化に関する機能、雇用創出関係助成機能など、こういうのは国は断ったんです。国の断りの理由を見てみますと、国との利害調整の必要があるとか、あるいは全国的視野から最低限のチェックを行う必要があるとか、あるいは特定の自治体に助成するのは公平性を欠くことから困難であるとあります。そういうことですね。

 この事務的な回答の文脈からは、どうも国が権限を放したくないという本音が見え隠れしているかなという感じがちょっとしますね。ただ、譲りやすいものだけは道に譲ってやれ、そういう姿勢が読み取れるような言葉の羅列に見えてならないんです。一方では、北海道からの提案もいま一歩で、もっともっと大胆な内容であってよかったのではないかというふうにも思っております。

 双方のやりとりからは、国と道そして市町村の基本的な役割分担というのが一向に見えてこないと言わざるを得ない。まして、権限の移譲に伴う財源の移譲についても不明確であり、交付金としての対応と記載されているわけですけれども、十分に予算がつくかどうかはやはり大変気にかかるところなんですね。

 とりわけ道州制の先駆として北海道に特定した法律であるにもかかわらず、まず、道民の合意、この手続が全くとられていない。これは全国のことだという意見もあるようですけれども、やはりこれは問題ではないかというふうに私は思っております。

 本来、地域のことは地域が決める分権型社会をつくるために道州制の導入が検討されていたはずですね。ただ、国から地方への補助金や交付税を大幅に削減し、いたずらに地方を疲弊させるための手段として特区構想があるのではないかとさえ疑いたくなるというふうに思うわけでございます。

 そこで、まずお答えいただきたいんですけれども、本音のところ、国は道州制の導入というものを、今回は特区ですけれども、道州制の導入に続けていくわけですけれども、本気でどこまで考えているんでしょうか。今回の八項目の権限移譲を見て、私は随分拍子抜けをしたという気持ちでいっぱいでございます。

 壮大な道州制への改革の先駆けとして入り口に今あるんだ、率直にそういうことを思えるんでしょうか。まず、佐田大臣に。

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

佐田国務大臣 先生、道州制については、市町村合併の進展や都道府県を越える広域行政課題の増加といった社会経済情勢の変化を踏まえれば、その導入の検討は重要な課題であるということであります。このために、今回の組閣において、道州制の導入に向けた施策を府省を横断して総合的に一体的に進める見地から、新たに道州制担当大臣が置かれ、私が任命されたわけであります。

 今後、担当大臣として、まずは本委員会においてこの法律を速やかに御審議をいただいて、先生が今言われておりました基本方針、この基本方針は、今先生が言われたように、ちょっと役所の抵抗があるんじゃないか、こういうふうにお話がありました。私は、少なからず、多少はそれは否めないと思っております。

 というのはどういうことかといったらば、この基本方針によってこれから基本計画を立てるわけですけれども、どのようになっていくかはまだ不明瞭な部分もあります。これを立てるときには、道民の皆さん方の意見、市町村の意見、そして最終的には広域団体、要するに北海道の議決をいただいて、そしてまた知見を見てやっていくということでありますから、もちろん、これをどんどん進めて、多く税財源の移譲、そして権限の移譲をしっかりとやっていくと同時に、先生が今言われた、話し合いによってこれはちょっとだめだねというのが多いんじゃないかというふうな御意見がありましたけれども、予算につきましても各省庁をしっかりと押さえて、やれるものはしっかりとやっていきたい、こういうふうに思っています。

松木委員 今回のこういうことというのは、政治家が主導で一生懸命やっていかないと、役所の方々は大きな改革というのはなかなか、やはり自分ももし同じように役人だったら、自分の首が絞まるようなことというのはなるべくやりたくないですよね。ですから、やはり我々政治家が頑張らなきゃいけないというふうに思っております。佐田先生はたしか北大出身ですよね。ですから、北海道のにおいもよく御存じだと思いますので。内閣府の取りまとめ役ですから、そういった回答になるというのはよくわかっておりますけれども。

 それでは、率直に各省庁の意見をちょっとお伺いしたいというふうに思っております。

 それではまず総務省の方、旧自治省時代には道州制というのは随分反対されてこられたんですよね。今はいかがでしょうか、お答えください。

大野副大臣 我が国の広域自治体のあり方についてでありますけれども、御案内のことかもしれませんが、昭和五十六年の地方制度調査会の小委員会報告におきまして、現在の府県制度は国民の生活及び意識の中に強く定着し、住民意識や行政需要の動向とかかわりなく府県制度の改廃を考えることには重大な問題がある、実はこういう指摘がなされました。このことからもうかがい知ることができるところでございますが、都道府県制度が長く前提とされてきたことは事実でございます。

 そうした中ではありますけれども、例えば、平成七年の地方分権推進法以降、地方分権に関する改革が急速に進んでおります。そしてまた、市町村合併の進展、また都道府県を越えるような行政課題の増加といったような旧来では考えられなかった社会経済情勢の変化を背景といたしまして、道州制の検討が重要な課題になってきたもの、このようにも認識をしております。

 加えて、本年二月の第二十八次地方制度調査会の答申の中に、広域自治体改革を通じて国と地方双方の政府を再構築し、我が国の新しい政府像を確立するとの見地に立つならば、その具体策としては道州制の導入が適当、このように明らかにされたところでございました。このことは、地方分権を進める上で重要な指摘であったろう、こう思っております。

 今般、道州制の導入に関しましては、各府省を横断した総合的、しかも一体的な取り組みを進めるために、新たに道州制担当大臣が置かれて、今後、道州制ビジョンの策定を進めることとされておりますので、総務省といたしましても、地方分権を一層推進する意味におきましても、連携を図ってまいりたい、こう考えているところでございます。

松木委員 大変まじめなお答えの仕方でございます。副大臣自身も道州制というのは導入していかなきゃいけないというふうにお思いだというふうにお聞きおきをしておきます。

 それでは、国土交通省、こちらは公共事業で最も関係してくるわけですけれども、いかがでしょうか。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

吉田大臣政務官 委員の御質問の冒頭の、坂本竜馬を例に挙げられて、そして、日本国が近代化に向かう道のりの中で、一々、残念ながら外圧だったじゃないかと。だけれども、今度のこの道州制については内なる改革だ、このことはよほど力を込めなければならないぞという御発言、まさに我が意だと思って受けとめさせていただきました。でありますからこそ、この北海道道州制特区、日本全国これからあまねく、そのサイズはともかく道州制に向かう、そのプロトタイプとして必ず成功させなければならないという強い思いを私自身は持っております。

 国交省としてかかわる事案は三件だと思います。北海道開発事業に関するもの、これについては、平成二十二年以降に、火山地帯で行うものを除く直轄砂防事業の一部並びに開発道路及び指定河川を北海道に移譲するという予定でおります。

 また、先ほども挙げて話題にしていただきました、都市計画決定の際の大臣同意については、道州制特区の性格に応じ、大臣同意の必要な範囲を告示の改定により見直す予定でおります。告示という形でわかりやすく、そして今までよりもその権能を広げることなく、できるだけ北海道自身が自助自立していけるという方向に告示で明確にしていこう。

 そして、過疎地におけるNPO等に対する有償運送の許可については、ことしの五月に成立しました道路運送法等の一部改正、これによりまして今までの許可制は廃止されます。そして、地方公共団体が主管する運営協議会で、地域のニーズを反映する新たな仕組みでやっていただこう。これはぼちぼちですけれども、全国的に許可という制度がなくなったものですから、区バスとかQバスとかいろいろなものが動き出しているという状況であります。

 御指摘いただいたとおり、政治が前へ出て、そして果敢にこのことをやっていかなければならない。政務官を拝命する前の党での議論の中でも、私自身は、個人として、あの緑なす魅力ある北の大地、クラーク先生はボーイズ・ビー・アンビシャスと伝えて去っていかれた、あそこが真に一つの道として機能するためには、どういう形になろうと同じことは全部やらなければならないのだから、それらをきちっと移管して、そして必要なものも、道具もみんな任せるという極端な意見を言い続けてきた一人であるということも、この折ですから申し上げさせていただいて、政務官としての答弁にさせていただきたいと思います。

松木委員 政務官としての答弁、それは、私はこの際ですから、やはりいろいろと政治的なことを言ってもいいと思うんですよね。ですから、思い切った発言をそれぞれしていただきたい。

 きょうは北海道局長は来られているのかな、来られていますか。もし一言あるんでしたら、どうですか。中には役人の方も必要ですからね。

品川政府参考人 今、政務官から私どもの取り組みについてはお話をさせていただいたところでございますけれども、今回の特区の法案、幾つかの私どもが実施しております事業につきましても移譲をさせていただくということになっておりますので、これらの行政の効率化など、まず、その前に、移譲について円滑にできるように努めてまいりたいと思っておりますし、またそれらが行政の効率化などにどのように寄与するかというようなことについて、関係府省とも協力して取り組んでまいりたいというふうに考えております。

松木委員 それでは、財務省、いかがですか。

江崎大臣政務官 先ほど松木先生が、道州制導入に当たっては道民のコンセンサスが重要であるとおっしゃっておりましたが、私もその国民のコンセンサスが重要であるというふうに同様に考えている次第でございます。

 財政当局から申し上げますと、この事務移譲に伴いまして発生する税源移譲、これらを十分に検討する必要があり、また国、地方を通じた行財政のスリム化ということも重要ではないかというふうに考えている次第でございます。

松木委員 言うまでもないと思うんですけれども、道州制の根本のところというのは、やはりまず道州に独自の自主財源を与える心持ちがあるかどうかということが非常に私は大きいと思うんです。

 例えば、いろいろなことがあるんですけれども、法人税なんかで見ますと、現行制度では、本社の所在地であるところから一括納付ということになっていますよね。これでいくと、大体、やはり首都圏に税金が集中するだけですからね。そうすると、地方はちょっとメリットが薄いのかなというふうにも思うわけですね。

 または、考えられるに、例えば、これをどうのこうのというわけじゃないですけれども、北海道でカジノをやるとか、そういうものも含めたような新しい自主財源のことを与える、そういうお気持ちというのは、どうなんでしょう、財務省はおありなんですかね。

江崎大臣政務官 今、松木委員がおっしゃるように、税収は人口、経済活動が集中する都市部に偏在してしまうという傾向が強い、こういうことでございます。これは大変大きな問題で、地方財政を考えるに当たって、これらをどういうふうに是正していくかということが重要なわけでございます。

 自主財源に関しまして、今、カジノ構想を含めて御提案がございましたが、これらを含めて地域間格差の是正に向けた仕組みがどのように具体的に検討されるか、これは中身はこれから具体的に詳細を詰めていかなければいけないと考えている次第でございます。

松木委員 今言ったカジノなんというのはまだまだ先の話かもしれません。でも、今の法人税のことなんかは、どうなんでしょう、利用地域にやはり出先機関とか営業所なんかありますよね。そういうところである程度法人税の徴収をさせてもいいような、そういうことをできないですかね。どうでしょう、考えられませんかね。

江崎大臣政務官 今、財務大臣のもとでも、この地域間格差是正に向けて、今おっしゃられるような検討課題を含めて、どのような仕組みがあるかということについて、詳細、具体的に検討していこうという方向を大臣御自身としても示されているという状況にあります。

松木委員 せっかく副大臣来られたんですから、どう思います、私のちょっと今言ったこと。ごめんなさい、政務官でしたね。失礼しました。

江崎大臣政務官 一つの考えとして、十分検討に値するのではないかと考えております。

松木委員 ありがとうございます。

 ぜひそういうことも検討に入れていただきたいというふうに思っております。

 いろいろと今各役所から聞いたんですけれども、道州制、これは本当に大きなことだと思うんですよね。何とかいい形で成っていけばいいなというふうに思います。何となく北海道だけ特区にして、何かそこで終わってしまうんではないかな、そんな気がどうもちょっとするんですよね。

 そして、正直なところ、北海道庁の担当者の皆さんも内心は、かつて首都移転構想というのがありましたでしょう。随分いろいろなところが誘致合戦、あれだけ派手にやりましたよね。私が秘書をやっているときも、三重県の方でも一生懸命やろうというのでやっていて、いや、でもそれは余り、実現性どうかななんて思っていましたけれども、案の定、結局今はほとんど顧みられることがなくなって、多分中止になったんですかね、もうだれもそんなこと言わなくなっちゃったんですよね。

 いつの間にか北海道の特例外しで終わってしまうんじゃないか、こんな気もしてくるんですけれども、先ほど言ったとおり、道州制の根本というのは、やはり自主財源というのを持ってもらうということだと思います。それに関しては、今もう政務官から、済みません、副大臣と間違えましたけれども、副大臣に見えたものですから。

 そんなことで、ぜひ、これは大きな問題ですね、もう一度佐田大臣に。せっかく林副大臣がおられるので、副大臣の方からも一言。これは政治家がやはりみんなで議論するというのが僕は大切だと思いますので、副大臣の御意見をどうぞ。

林副大臣 御指名ありがとうございました。私も順番がやっと回ってきたなと思いました。

 最初に委員がおっしゃった坂本竜馬、私は長州でございますので、まさに薩長同盟、長州、私の家のすぐ近くにも実は功山寺というお寺がありまして、高杉晋作が兵を興した回天義挙というのが、今でも銅像があるところでございまして、その坂本竜馬が北海道とどう関係があるのかなと聞いておりましたら、今委員が御指摘のように、実は大変御縁が深い。感慨深く聞いたわけでございます。

 まさにあのとき維新の士がやったように、新しいことをやるというのは大変抵抗が強い。晋作も松陰先生も、実は明治維新を見る前に命を落としておるわけでございますから、我々もそういう覚悟で、政治が主導する、これは与野党ない、こういうふうに思いますので、先生の熱い心をいただいて、我々頑張ってまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

佐田国務大臣 先生、北見市が、坂本竜馬の御親戚がしかれたというのは、私、びっくりしました。やはり開拓の気概というか、北海道の方は、私はそういう物すごい行動力を持っていると思っています。

 最初のこの議論の前に、実は内村鑑三という方がおられて、この人は世界的に活躍したキリスト教徒でありますけれども、この方が北海道を去るときに、私は学問に育てられたのではなくて北海道の自然に育てられた、こういうふうに名言を残されました。

 私も、この北海道、昔いたときには大変道民の皆さん方にもお世話になりました。その私が北海道のことを決して悪くするつもりは全くありませんし、よりよくしたい、こういうふうに思っております。御恩返しをしたいぐらいの気持ちでありまして、そういう意味におきましては、この法案が通りましたら、本当に北海道の皆さん方の御意見をしっかりと謙虚に聞いて、この道州制のビジョンにつながるようにしていきたい、かように思っています。

松木委員 道州制、実現すれば、中央官庁の皆さんの仕事も減るわけですよね。そして、大変痛みも伴う改革であるわけですけれども、特区の段階ではまだいろいろとそこまで言ってもしようがないのかもしれませんけれども、特区を進める以上、そういう気概を持って法案をつくっていっていただきたいというふうに思っております。

 そして、何より本当に心配しているのは、とりあえず道州制特区というのをつくって、それで何となくお茶を濁して終わっちゃうみたいな、そういうのを非常に私は心配しています。

 きょうお話しいただいた皆さん、やはり政治家中心でこれはやりましょうよ。そうしていかないと、やはり役所の人たちは御自分のことだから、それはなかなか厳しいですよ。ですから、きょうは、この前に並んでいる皆さん、私には明治の志士に見えますので、ぜひ本当に、我々も一生懸命やりますので、ぜひいいものをつくりましょうよ。本音でできるぐらいのことをしなきゃ、これはもう大変なことですよ、この道州制。

 大体、北海道じゃなくて、本当だったら違うところでやるべきじゃないですか、北海道なんだから、もともと道は。そうじゃなくて、どこかの県で、三つや四つ一緒になってちょっとやってみろと。それはすごい文句がありますよ。でも、そのときは我々民主党だって協力しますよ。大丈夫ですかね。まあ、そこら辺は私、個人でちょっと言い過ぎましたけれども、そういうつもりで、やはり政治家が、価値のあるものになるように、我々みんなで頑張りましょうよ。ぜひ大臣、頑張ってください。

 以上でございます。

河本委員長 次に、松原仁君。

松原委員 今回のこの道州制特区法案、大変に質疑を重ねてまいりまして、さまざまな問題点、本質的な問題が明らかになってきている、私はこのように思うわけであります。

 まず、ちょっとお伺いしたいのは、この中で明示的に書かれている地名は北海道だけであるということであります。北海道という地名は、法案の中にも明示的に書かれている。

 ここに幾つかあるんですけれども、「北海道地方又は自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域」、だから本当であれば、この法律もこういったことで、北海道地方または自然、経済、社会、文化等において密接な関係がある地域を一体とした地方全体云々、これぐらいに言ってもいいぐらいで、なぜ北海道だけ明示的なのか。極めてわかりやすい説明を、時間がないから簡潔にお伺いしたい。

林副大臣 この委員会でまさに議論になってまいりまして、その意味では繰り返しになるかもしれませんが、北海道につきましては、おおむね三つのことを申し上げてまいりました。

 一つは大変広い面積、国土の五分の一を占める広い地域であるということ、そして、自然、経済、社会、文化等で独自の地方、一つの固まりを形成しているということ、そして三つ目はその今の区域が国のブロック機関、いわゆる地方支分部局の管轄区域とおおむね一致をしておりまして、既に一定の施策を行っているという理由で、将来の道州制導入の検討に資するということで、ふさわしいのではないかというふうに考えておるところでございます。

松原委員 法律というのは、私はできる限り、そうだ、おっしゃるとおりだとだれもが思えるものじゃないとおかしいと思うんだよね。今、北海道だけはそういう理由を言った、ほかのものは三つの県以上だと。これはどうしても、だれもが理解できる形じゃないんだよ、北海道だけが明示的にしてあって。これをまず最初に指摘をしておきたい。

 だから、北海道というのは明確に北海道と言っているわけだ、ほかのものに関しては、三つ以上と言っているけれども、それは四つでもいい。これまた二つでいけない理由もよくわからない。この間も我が党の小川委員から質問があったように、情況証拠であって決定打でないというふうな認識であります。

 お伺いしたいことは、この法案作成の三県合併の根拠というものを皆さんはこの委員会でも明らかにしてこられた。それは法案を提出する側ですからいろいろと理由をくっつけるでしょう。ただ、問題は、この三県、北海道は明示的にする、他のものについては三県以上だ、この議論は、例えば実際の地方自治体やそういう人のところにヒアリングをしたのか、意見を聞いてきたのか。これは法案作成にかかわった事務方の方が答弁にいいかもしれない。お答えください。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 御質問の趣旨は、三つの県が合併することについて具体的に自治体と意見交換を行っているのか、そういう御質問というふうに考えておりますが、お答え申し上げます。

 北海道以外にも、九州地方などで道州制の議論が盛んに行われておりまして、道州制における道州の具体的な事務についていろいろな提案が行われているものと承知してございます。

 しかしながら、都道府県合併につきまして、具体的な予定については私どもでは承知しておりませんで、今申し上げましたように、三つの県の合併について、特に自治体との具体的な意見交換というところまでは至っていないわけでございます。

松原委員 それは必要がないという判断でしたか。いかがですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 必要性という以前に、今申し上げましたとおり、実際の具体例としまして、今三つ以上の県において具体的な合併の提案といいましょうか、それに関する話がないということでございまして、それを踏まえた上で、まだ具体的な意見交換を行っていないということでございます。

松原委員 いや、そういうことを聞いているんじゃないんですよ。だから、そういう、これは地方にとっては、さっき佐田さんがおっしゃったように、廃藩置県以来だ。廃藩置県以来になるかどうか、残念ながら、極めてならないんじゃないかと私は思っているんだけれども、このままいったら。

 少なくとも、こういった法案をつくって、私が言ったのは、だれもが納得する理由になっていない、北海道と三県以上というのは、平仄が整えられていないわけよ。原則として三県以上だが云々かんぬんというので北海道も入るならわかるけれども、北海道先にありきで、平仄が整っていない、こんなのはだれが考えたって。

 まあ、それはいいでしょう。よくないんだけれども、百歩譲っていいでしょう。だったらば、三県以上というのはどういうふうな、机上の空論だけで決めたのかということを確認しているんですよ。答えてください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 三県以上の趣旨につきましてはこれまでるる御説明しておりますけれども、実は、この法案に関しましては、法案作成段階において、もちろん北海道以外の、全国知事会の意見でありますとか、当然、法案において三府県以上が対象になるということにつきましては、そういう団体等においても十分承知いただいておりますし、それを踏まえた上で、例えば全国知事会におきましても、この法案についての早期の成立をという形のアピールもいただいている、こういうことでございます。

松原委員 では具体的に、三県以上でいくべきだというどういう議論があったんですか。教えてください。

山崎政府参考人 ちょっと聞こえなかったんですけれども……(松原委員「三県以上でいくべきだという、そういった地方自治体の意見というのはどんなのがあったのか、教えてください」と呼ぶ)

 お答え申し上げます。

 三県以上は、先ほど申し上げましたように、基本的に、この法案におけるあり方として、私どもとして考えたものでございます。北海道地方と、それに準ずるものとしてどの程度の広域性が必要かということで、一つの目安として三県以上を法案としたわけでございまして、当然その内容を踏まえた上で、今申し上げましたように、全国知事会等においても一定の評価をいただき、この法案の早期成立のアピールをいただいているんじゃないかな、こう考えている次第であります。

松原委員 苦しい答弁ですな。この際、聞いていませんと言った方がわかりやすい。

 沖縄はこの法案についてどういうふうなことを言いましたか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案、個別について、沖縄県のみがこういう御意見というのはいただいてございません。全国知事会の中での御意見として、全体として承っているということでございます。

松原委員 沖縄というのは、この間小川委員の質問でもあったように、文化的、歴史的にはまさに一つの固まりなんですよ。歴史的にはなかなか厳しい過去があって、それは九州に随分いじめられたとか、そういった経緯がある。もともとは琉球王国ですよ。

 沖縄には少なくとも、こういう道州制の議論で、沖縄が三県でいいのか、うちはそうはいかないよ、そういうふうなことについて聞く必要が私はあると思うんだけれども、全然そういうことをしてこなかったのか。それだけ確認したい。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、特別の沖縄とかそういう個別に御意見というのでなく、全体まとめて全国知事会という形で御意見をいただいた、このように承知している次第でございます。

松原委員 ちょっとこれ、物すごくふまじめだよね。沖縄の意見は聞かない。しかし、私はこの間の長い時間の委員会の質疑を聞いて思ったのは、北海道が一つの地域でいくというなら、沖縄だってそうでしょう。しかし、沖縄は納得しています、私たちは鹿児島と組みましょう、熊本と組みましょうと納得しているならいいよ。おかしいじゃないか。

 佐田さん、沖縄にこういうものについての意見を聞かないでこういうものをつくるということは、これは沖縄に関しては聞く必要がないという認識なんですか。

佐田国務大臣 いや、そういうことじゃないです。それは、これでもしも法案を通していただくことになれば、その中でいろいろな形で地方分権が進むわけですから、その中でもちろん沖縄の意見も聞いていくということであります。

 もう一つですけれども、もう一点は、三県以上という議論は前の委員会のときからありますけれども、これも副大臣も私も答弁をさせていただきました。基本的に、北海道が平成十五年の十二月に経済財政諮問会議で知事が手を挙げられたわけでありますけれども、その北海道ということの中で人口であるとか面積であるとかそういう要素を考えたときに、三県というのは連想できるのではないか、こういうことでございます。

松原委員 北海道は一つなんだから。私は、この案件で、少なくとも、北海道という一つの文化的な固まり、翻って南の方にある沖縄という固まり、それは三県の枠を外すべきだというのは正論だと思うんだね。だから、それについて、沖縄が了解してこういう法律だったらばいい。

 しかも、今話を聞いたら、机上でつくっていった議論だよ。全国知事会といって、それぞれ個別のところのヒアリングが十分されているとは思えない。非常にそういった意味では急ぎ過ぎたのか、理由は何だかわからないけれども、納得できない。これをまず申し上げておきたい。

 次に、憲法九十五条との関係、これはいろいろとあるんだけれども、今回の質疑で何が明らかになったかというと、どうしても住民投票はやめたいんだな。住民投票をやめたいから沖縄のヒアリングもしないでこれをつくったというのが恐らく真相だと私は思うんだ。

 さっきの逢坂委員の話にもあったけれども、これは確認したい。憲法九十五条を避けるために三県以上という議論があったという事実が法案作成時においてあったかなかったか、これだけ。あったらどうなるかというのは後の議論にして、あったかなかったか、これだけ聞きたい。あったかなかったかだけでいいから。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど逢坂先生にお答えしたことに尽きるわけでございまして、申し上げましたように、この法案そのもののあり方として、北海道以外の都府県において北海道に準ずるようなものが出れば、これについては、それを対象外とする合理的な理由はないということでこういう法案にしたということでございます。

松原委員 あったかなかったかを、なかったと言ってあったら困るからそう言っているんだろうけれども、これ以上時間もないからいいけれども。これは、あったということが、九十五条を避けるがために三県以上という特約をあえて後で入れたということになれば、それは欺瞞だよ。

 それで、私、今回どうして住民投票を入れないのかなと思った。憲法九十五条には、これはいろいろな議論があって、地方自治の特別法、立法権の例外をつくるということになった場合は住民投票と。

 これは、法制局長官、なぜ、憲法九十五条で住民投票をする必要があるのか。そこの解釈はあなたの範疇かどうかわからないけれども、答えられたら答えてください。

宮崎政府特別補佐人 お尋ねは憲法九十五条の立法趣旨ということだと思います。

 そこで、憲法の教科書等を見ますと、すべての地方公共団体に対して適用されます例えば地方自治法であるとか地方財政法であるとかいった法律と違いまして、特定の地方公共団体のみに適用される法律を制定することは、その地方公共団体のみを特別に取り扱い、その点で他の地方公共団体と差別するものであること等にかんがみて、その住民に国会の決定した法律の成果を享受させるべきかどうかを決定させることが適当であるという考え方から、国会の立法権を特別に制約する例外規定として設けられたものというふうに大体解説されておると承知しております。

松原委員 これは先ほどから議論にあるけれども、組織、権能、運営というこの部分がきちっと分かれるようなことになったときに、簡単に言えば、なぜこれを占領軍が日本国憲法において定めたのか。私は、これは彼らの頭で考えて、リスクをそこの地域住民が持つんだ、だから、リスクを持つ以上は権限を、権限を与えるというのは責任も発生する、だから、住民投票というものでその住民に真意と決意を求めるというのが趣旨だったんではないかなと思っております。

 大事なことは、今回、この住民投票を何としても避けたいというのがどうもこの法案を作成するプロセスで非常に見え隠れしている。だから、はなから北海道以上のものがどうも該当しないという前提の中で、沖縄県民に対してこういった大変に失礼な法律をつくってきたんだろうというふうに私は思っている。

 問題は、さっきこれは松木さんの議論にあったけれども、例えば、移譲困難ということで幾つかの北海道の権限等の移譲の項目を挙げているけれども、これは、移譲困難ということになってきた、要するに、中央省庁としては余り権限を渡したくない、こういうことだろうと思います。

 当然、佐田さん、一般論で、中央省庁は、この法案をつくる過程で、そんな権限は渡したくないよ、そういう反発があったわけですよね。

佐田国務大臣 この法案の中で、直轄事業の交付金の部分のことを言われているんじゃないかと思うんですけれども、また、権限移譲の問題があろうかと思いますけれども、その過程の中で抵抗があったかどうかというのは私はわかりませんけれども、議論はあったと思いますし、今後とも、その予算の問題につきましても、広げるという観点からいえば、それはしっかり政治主導でやっていかなくちゃいけない、こういうふうに思っています。

松原委員 私は、こういうふうに考えています。

 なぜこの場でこれだけ住民投票をさせないか。住民投票というものが行われれば、それは極めて重いわけであります。住民投票によって地方分権が行われるということになれば、極めて重い。それは極めて意味も深いものになる。だからそれは避けたい。

 やはり日本の中央省庁はどこまで行っても中央集権なんです。だから、道州制特区という名称を与えても、住民投票までさせてしまったらば本当の権限が地方に行ってしまう、であるがゆえに、この法案において住民投票は必要でないようにつくりかえなければいけない、そういうふうに恐らく認識を持ったのではないかと私は思っております。

 大臣、先ほどから北海道民の理解が必要だと。北海道民の理解が得られたかどうかというのを一番はっきり明示的に我々に示唆するものは一体何だ、どういうことをすればそれは明示的に我々にわかるか、お答えください。

佐田国務大臣 今までに説明会を四百回以上行った、またタウンミーティングも行ってまいりました。

 それはそれとして、周知徹底を図りたいがためにやってきたわけでありますけれども、今後、基本的にどういう権限、税源、財源を移譲するか。これも事業計画で、きちっと道民の皆さん方、言いかえるならば市町村の意見を聞いて、またその地域の議会の議決もいただいていくわけでありまして、その中の知見をいただいてから、またそれも、基本方針の変更のときには、道民の皆さん方、そしてまた最終的には議会の議決をいただいていく、こういうことでありますから、それはどんどん道民の皆さん方の理解が広がってくるというふうに私は確信をしておるところであります。

松原委員 質問の趣旨はいささか違いまして、どういう形式が最もこの問題に関して道民の理解を深め、そして、どこまで深まっているかということの明示的な証明になるのかということを私は聞いているのであります。

佐田国務大臣 それは、先生の基準と私の基準は違うかもしれませんけれども、例えば、基本方針を出して、北海道の方々にいろいろと御意見を出していただいて、そして、その知見に基づいて税財源の移譲、権限の移譲をしていく中において、それでどのぐらいの理解が得られたかということを判断するのは、やはり北海道の方々からいろいろな税財源、権限の移譲の知恵がどのぐらい出てくるか、要するに、私は、その判断基準はその多さにもよるんじゃないか。

 また、それと並行して、我々は、このスキームの理解のためのいろいろな説明会も今後とも続けていきたい、こういうふうに思っています。

松原委員 理解と決意ですよね。道民じゃなくてほかでもいいんですよ、道民だと、北海道は昔からあるから。三つの県が集まる場合に、例えば、私はこの県と明治時代は戦争しましたとか、あります。しかし、仲よくしましょうと。一つの決意がそこにある。決意と責任が発生する、そこに理解への尺度がある。理解したって嫌なものは嫌なんだから、理解して、よし、やろうじゃないかというふうなところまで確認するには、一番いいのは投票じゃないですか。これよりも理解と決意を明確に、本人の責任感を、おまえも責任あるんだよといってできる手法というのはあるんですか、確認したい。

佐田国務大臣 また繰り返しになって恐縮ですけれども、確かに先生の言われる、要するに、選挙によって自覚を持って……(松原委員「投票ね」と呼ぶ)失礼いたしました。投票によって、そういうやり方もあろうかと思います。

 それと同時に、やはり今回のように、よく周知徹底をして、そしていろいろな意見、知恵を出していただく、その量によって判断するということも一つの判断基準になってきますし、その中においてしっかりと周知徹底を、周知徹底というか御理解をいただくための努力をしていくことが大事じゃないかと思っています。

松原委員 当然、周知徹底、御理解は大事なんですよ。では、憲法改正、これは最後、国民投票法というのを今議論している、国民投票は要らないということだよ、それだったら。

 つまり、周知徹底をし、議論するのは大事だ、最後はそれでいこうというそこの了解というものは、やはり人間において、国民や有権者において責任も伴うんだというものを負わせるには、私は住民投票しかないというふうに思うんです。所見をお伺いしたい。

佐田国務大臣 だから、先生、住民投票も一つの方法であるということを申し上げているのでありまして、今先生が言ったような憲法、要するに国民投票、憲法九十六条の問題につきましても、それはきちっとしたルールに基づいて住民投票をやるわけでありまして、今回も、それが一般法でなければ、それともう一点は先ほど言った組織、運営、そして権能にかかわることであるならば、それはやるということでありますから、それはルールにおいてやるということであります。

松原委員 私は、住民投票がないということは、率直に言えば、本当の意味での分権をさせないという意思表示だというふうに理解している。投票までしてしまうと重いですから、タウンミーティングとかそういうレベルで周知徹底する分には、それはまあ投票で賛否を問うよりは軽いですよ、どう考えたって。

 その重いことによって、こういった地方分権が本当に実行されたときには、それは中央省庁は、例えば我々がなぜこうやって国民の代表として議論できるのか。もしかしたら皆さんの後ろにいるこの方々は我々よりもはるかに博識かもしれない。しかし、我々は選挙によって選ばれてきている。やはり投票というのは非常に重みがある。これをどうしても避けようとしているというのがこの法案の中に極めて見えているんですよ。そこから、大変こそくな手法として、北海道だけは外して、三つの県の合併、こういうことをやっていては私は本当の地方分権にはならない。

 佐田さん、うなずいているから、本当は同じだと思っているんだよ。大臣もこれをおかしいと思っているよ。僕はそう思う。佐田さんはわかっているんだよ。職責上、苦渋の発言をしている。

 ただ、これは、沖縄に対しても、ヒアリングも事前にしていないというような形で、ヒアリングする必要もないし時間もなかったんじゃないかな、きっと。する必要がないと思ったんだよ、役人は。九十五条を避ければいい。九十五条を避ける理由は、ひっきょう、本当の地方分権で権力を、権限を地方に移管するというのは嫌だというシグナルですよ。

 こういうことを考えたときに、私は、この法案は道州制という冠をかぶせているけれども、上から見ようと横から見ようと、どこから見ても道州制という名前ははっきり言って詐欺的ですよ、これじゃ。道州制というのはこういう議論でやってきたんじゃないんですよ。

 林副大臣、これが本当に道州制、林さんが、もうここからは政治家対政治家の真心の話し合いでいきたい、本当の良識の発想で見たときに、これは道州制に値すると思いますか。

林副大臣 真心がそもそも私はあるかどうか、ちょっと自信がないものですからあれですが、道州制特区法案の審議をしていただいておりまして、何度も繰り返しになりますけれども、この法案は道州制そのものではなくて、道州制を将来今からやっていく上で、それに資する知見を得たり、試みだということで、何度も私ここで申し上げて、委員がおられたかもしれませんけれども、一歩一歩、できるところはやっていきたい。この仕組みをつくることによって、大臣からも御答弁がありましたように、非常に小さいスタートかというふうな御意見もあることも我々はよく承知して、その上でこの枠組みをつくることによってどんどん広げていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

松原委員 私は、尾てい骨が人間にあって、昔、しっぽがあったという話があるけれども、この法案の中の例えば第七条の、冒頭の日に我が党の枝野氏が質問したところでありますが、七条の、第四号の「特定広域団体が道である場合にあっては、」こういう文言の文章がきちっとある。これは道でない場合はどういう扱いになるのか、お伺いしたい。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御趣旨は第七条の交付金の対象ということでございますけれども、これは今ありましたように北海道が対象でございまして、この趣旨でございますけれども、御指摘の交付金でございますが、北海道と国との協議において具体的な検討が行われた事業でございますし、その中には、例えば開発道路事業のように北海道のみが行っている事業が含まれてございます。

 また、交付金の額の算定に当たりましての負担割合でございますが、いわゆる北海道特例といった、北海道の特別の財政事情等を踏まえて検討する必要があるということで、こういう形で、特定広域団体である道について交付金を交付するという形で考えておる次第でございます。

松原委員 こういう条文があるということも含めて、どうも初めから北海道ありきの法案だった。もう時間がないからまとめて言いますが、北海道ありきの法案であったとするならば、私はやはり住民投票をするという最低限のけじめをするべきだと思う。

 この法律によってその趣旨の目的が本当に達成できるかどうかというのは、仮に住民投票があるならば、北海道は、道民は全力でこれをやることになりますよ、自分たちが決めていくんだということになれば責任が発生するから。自分たちがこういった道州制特区を北海道でやるんだということで道民が理解をし、理解をしなければ賛成の票は入れませんよ。理解をし、そしてやるならば、本気でやりますよ。

 そういったパトスというのかな、情熱というものは、こういった法律の趣旨、北海道の本当の自立を目指す、地方分権のかがみとして、精神的、経済的な自立を目指す、その趣旨からいったら、その情熱がなかったら、上からの道州制議論では私は不十分だと思う。

 時間が参りましたからこれ以上言いませんが、よくよくその辺のことを考えていただいて、結論的には時期尚早なんですよ、これ。もっとそれは沖縄の方へも聞いたりして議論するべきなんですよ。大変残念であるということを申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 ここまで当初の予定よりは大変長い質疑をさせていただくことができております。それは我々がこうして要求をしたからでもありまして、やはり議論というのは大変重要なものだな、その中から恐らく、大臣、副大臣初め我々委員も多くの気づきがあったんじゃないのかなというふうに思うわけです。

 その意味で、まず大臣、副大臣にお伺いをしたいわけですが、ここまで我々議論をしてまいりました。幾つか、再考すべきでないか、修正をしていくべきではないかと前向きな提案をさせていただきました。

 まずもって、民主党は、道州制そのもの、分権そのものには一切反対はしておりません。その前提で、我々は、あるべきこの国の姿、国の形というものがもっとこの道州制の特区法案についてはやはり反映をされるべきじゃないかと。

 これまでも何度も、小粒だ、小さく産んで大きく育てる、そういうお話もありましたけれども、本当に、この前の月曜日の地方公聴会でも、与党推薦の北町長が、小粒で、大変これは物足りなさを感じるということをおっしゃっているわけですね。そういうまさに短い言葉で言うと小粒法案にしてしまってよいのかというのが、我々民主党の問題点の指摘なんですね。

 ですから、我々は、これが大粒であればきっと全会一致でいけるだろうなと悔しい気持ちでいっぱいなんです。なぜもっと中身を膨らませられなかったのか、あるいはなぜ急ぐのか、今のタイミングなのかということも含めて、殊さら先送りをする必要は全く感じませんが、しかし、今やるにせよ、もう少し中身を盛り込めるだろうという思いがあります。

 その意味では、大臣、副大臣に感想をお伺いしたいんですが、ぜひ、委員会質疑の中でのこの部分は大変参考になった、法案の修正も含めて考えたいという前向きな御意見をいただけることも含めて、これまでの質疑での感想をお述べいただきたいと思います。

佐田国務大臣 泉先生の御質問は、前の筆頭、松原先生の質問にもつながっているんですけれども、今回の法案、いろいろな基本方針が出て、その中で北海道の方々とも相談をしながら、そして、議論の積み重ねの上に基本方針ができたわけであります。要するに、これをまた北海道の方で計画を立てていただき、変更いただき、大きくしていくわけでありまして、器としてはかなり大きなものになったのではないか、こういうふうに思っています。

 もう一点は、先ほどのお話にもありましたように、各省庁が非常に不安に思って、逆に言うと、抵抗しているように見える部分もありますけれども、あくまでも、税財源の移譲、そしてまた権限の移譲につきましては、基本的には政治主導でやっていくということでありまして、それと同時に、広域行政の重要性をかんがみた場合に、市町村合併も進み、三千以上あった地方自治体が既に千八百ぐらいになっておるということをかんがみたときに、できる限り早くこの法案を通していただき、道州制ビジョンにつなげていきたい、こういうふうに思っております。

林副大臣 今、大臣が御答弁されたことに尽きると思いますが、細かい政省令を読んで御議論いただいた御質問もございました。

 我々は、この法案を通していただいてやる場合に、細かい運営が最初のここでやりとりしたとおりになっているかということをきちっとやっていく必要があるということを、この間も申し上げました。

 それから、大臣がお話しになったように、まず枠組みをつくって、中身が小粒だという御意見もありましたけれども、枠組みをつくってそれを大きくしていくということをやってまいりたいということを委員会の審議を通じて考えました。

泉委員 もう少し具体的に、やはりこの委員会質疑の意味ということを、これは内閣委員会だけじゃないかもしれませんが、私はもう一回考えるべきじゃないのかなというふうに思います。

 閣法だからとにかく早期成立をしてくれ、閣法だから修正する必要はないんだ、これでいってくれ、そして、野党の言ったことは政省令の中でチェックをしていくために使います、これでは、委員会質疑というのは何なんですか。

 私は改めて、やはり正しいこと、変えなきゃならないことがあるんだったら、それは真摯に受けとめて法案の中に盛り込んでいくということがないと、これは本当の委員会質疑と言えないんじゃないのかなというふうにまず冒頭申し上げたいと思います。

 大臣が、器は大きいとおっしゃられました。器は大きいけれども、お皿に何も乗っていないんじゃ、八粒の豆しか乗っていないわけですよ、お皿には。これでは、我々は、残念ながら泣く泣く反対せざるを得ないということを改めて申し上げなければならないと思っております。

 その意味で、補完性の原理という言葉がございます。これは、二十七次の地方制度調査会のときも取り上げられました。「今後の我が国における行政は、国と地方の役割分担に係る「補完性の原理」の考え方に基づき、「基礎自治体優先の原則」をこれまで以上に実現していくことが必要である。」ということが二十七次に書かれました。

 そして、高橋知事本人も、「NIRA政策研究」という雑誌の中で、「さらに国は外交や安全保障など国家として本来果たすべきことに役割を限定するなど、「補完性の原理」に立脚して役割分担を再構築すべきである。」これは、「北海道が目指す道州制」という項目の中でこの補完性の原理ということをおっしゃっております。

 その意味でいうと、今回のこの道州制特区法案、補完性の原理を十分盛り込んだものというふうに判断をされているんでしょうか、大臣。

佐田国務大臣 国から特定広域団体となる北海道への権限移譲が行われるだけでなく、同時に、補完性の原理及び近接性の原理に基づいて、北海道から道内の市町村への権限移譲を進めていくことにより、一層効果的に地方分権が推進されるものと考えておるところであります。

 本法案におきましては、国と特定広域団体との関係を規定するものでありまして、道から市町村への道内分権について直接規定していないものも、こうした趣旨を反映させるべく、第四条の第二項において、「国及び特定広域団体は、」「それらの行政を効率化するよう努めなければならない。」と規定しているところであります。

泉委員 なるほど、道内分権を規定していないのは、補完性の原理に基づいてそれは道にゆだねているからだ、あるいは各自治体にゆだねているからだというような理解をさせていただきました。

 しかし、道が行った提案、それに対する国の回答というものを一つ一つの項目について資料は持っているわけですが、この国からの回答というのは本当に、全く補完性の原理がない回答が非常に多いですね。一律に行わなければならない行政だから、国家的な許認可であるから、いろいろな理由で、国からというのはまず権限は移譲できないという前提で、話、回答が返ってきて、それに対して北海道が反論をしなければならない、そういう状況が各項目にわたって行われておりました。

 こういうところからも、私は、今回の法案というのは、その補完性の原理がどこまで今の国の政治の中に徹底をしているのかなということに疑問を抱かざるを得ないわけです。

 改めて、先ほど質問もしましたが、私は、もう少し具体的にこの質疑の中で、だれの、どの質問がということがあればよいのかもしれませんが、どの観点、どの論点が大臣としては非常に重たい議論だったというふうに考えていられますか。

佐田国務大臣 それは、私見でありますけれども、これからこの法案を通していただければ、例えば北海道の自立性であるとか、北海道の意見を優先するという話になってくれば、これはやはりあらゆる財源の問題、税源の問題、そして権限の問題になってきますから、その中におきましても、いろいろと抵抗もあろうかと思いますけれども、それをできるだけ排除するという意味においては、これは政治で判断もしなくてはいけないという議論は非常に重要なことだ、こういうふうに思っています。

泉委員 やはり余り納得のいく御答弁というか、この委員会質疑がどういうふうに印象に残っていられたのかなということは、これからまだ午後の質疑もありますし、場合によっては、それからもさらに質疑を続けるということもあるでしょうから、またその中でしっかりと我々は訴えていきたいと思います。

 我々としては、まず、分権、そして道州制そのものには賛成をしているんだということが第一点。そしてその中で、特に我々民主党の考え方というのは、この補完性の原理というものを徹底するということが我々民主党の地方分権、道州制のあり方なんだということをまず知っていただく必要があるというふうに思っております。

 基礎自治体がまず解決できるものをすべて解決し、そしてそこから広域自治体に解決できないものをゆだね、そこからさらに解決できないものを中央政府にゆだねる、我々はこういう完全なる補完性の原理というものを徹底していく分権案というものを出させていただいているところです。

 我が党は特に、これまで質疑に立った逢坂議員、そして枝野議員が中心となって、分権調査会でそのことの検討を続けてまいりました。

 そういう中で、我々が、ただ与党の案に批判をするということではなくて、前向きに訴えをしていかなければならない、そういうことも思っておりまして、我々の場合は、例えば道、州、これも後でちょっと触れますけれども、何が道で何が州なのか、全くこの法案には定義がなされておりません。にもかかわらず、道州制という言葉だけがひとり歩きをしている、そこも大変不満に思うわけです。

 私たち民主党が、例えば州、こういったものを設置する場合は、その州の設置や構成は、府県間の合意に基づき、自主的に判断をする。やはり国が関与するやり方ではなく、その地域、その都道府県だったら都道府県の中で議論をしていただいて、その中で合意が図られたものは、国が、それは何か手続を経て認めるということではなく、それをしっかりと受けとめるということを我々は考えているわけでして、その意味からも、今回の法案と私たちの考える道州制というのは随分違うなということを考えるわけです。

 そこで、今ちょっと触れましたけれども、やはり、道州制特別区域ということの定義はあります、それはよくわかりました。

 大臣、改めて、道とは何ですか、州とは何ですか。

佐田国務大臣 道州制については先ほど来も申し上げましたとおり、第二十八次地方制度調査会の道州制のあり方に関する答申において、広域自治体として、現在の都道府県にかえて道または州を置くものと位置づけているところでございます。

 国と地方の双方の政府のあり方を再構築して、国の役割を本来果たすべき役割に重点化し、内政に関しては広く地方公共団体が担うという我が国の新しい政府像を確立しようとする考え方において、道と州いずれも、現在の都道府県にかえて置かれる広域自治体であるという判断であります。

泉委員 そうしますと、道あるいは州、これはどちらを使ってもいいということになるんでしょうか。北海道は北海州になったり、例えば、では関東の方で幾つか合併した場合は関東州だったり、東海道であったり、いろいろばらばらになる可能性というのも今後あるのかなと思うわけですが、その道と州の区別というのは何なんでしょう。

林副大臣 今委員からも触れていただきました二十八次の地方制度調査会のレポートで、道州の位置づけということで、広域自治体として、現在の都道府県にかえて道または州、括弧で仮称というふうになっておりまして、「以下「道州」という。」ということになっております。

 ですから、この直近の二十八次の、ことしの二月でございましたが、出たものについても、まだ完全に道と州はそれぞれ何だという定義をし切っているものではない、この調査会の答申からもそういうふうなところが読み取れるわけでございますから、これは、今から道州制本体の議論をしていく中で、定義なりが必要であれば詰まっていく、こういうふうに考えております。

泉委員 これは、そうしますと、この法案の名前は詐称じゃないですか。道も州もまだはっきり姿が見えていない、地方制度調査会の中でもまさにそれが言われている中で、なぜ法案名にこれが出てくるんですか。これはおかしくないんですか。答えがあればどうぞ。

林副大臣 今私が申し上げたのは、道と州、それぞれの区別というかそういうものはまだここでは出ていないということでありますが、都道府県を越えて広域にやっていくものを道または州、現在の都道府県にかえて広域自治体として、そこまでは定義が二十八次制度調査会ではされておりますから、その名前を冠したというふうに理解をしておるところでございます。

泉委員 これは地方自治法で言うと、六条のところに合併の項目がありますし、三条のところには名称の項目があります。「地方公共団体の名称は、従来の名称による。」これは地方自治法の三条ですね。そして、「都道府県の名称を変更しようとするときは、法律でこれを定める。」ということも書いてあります。

 一方で、合併あるいは編入、合併というのはこの地方自治法には出てこないんですね。廃止か、一の都道府県の設置か、あるいは編入、そういうふうに書かれておりますので、合併というのは、本来、地方自治法の中には言葉としてはないわけですけれども、その場合ですと、「関係都道府県の申請に基づき、内閣が国会の承認を経てこれを定めることができる。」「関係都道府県の議会の議決を経なければならない。」というふうにもあります。都道府県についてはこれでいいでしょう。

 しかし、道や州、それぞれ定義がないけれども、今よりも、枠組みを変えて広くすることが道州制なんだという御説明でしたが、これは、今の検討段階における状況であれば、それはまだ認められるのかもしれません。しかし、今回の法律の定義でも、第二条「この法律において「道州制特別区域」とは、」云々と続いて、最後に、「都道府県であって政令で定めるもの(以下「特定広域団体」という。)の区域をいう。」と書いてありまして、法律の中でも、途中で特定広域団体というふうに呼びかえをこれはなさっているわけですね。法律の中でも、定義では最初「「道州制特別区域」とは、」となっているものを「「特定広域団体」という。」というふうに言い方を変えてその後の法律が進んでいっています。

 であるならば、これは道州制特別区域ということをこの法律に、名前に冠しているわけですが、これは事実上、先ほどから何度もあったように、北海道限定法じゃないか。まあ、それが法律のつくり方として、百歩譲って、そうはなっていませんからというのはよくわかりましたが、事実上北海道に限っているという中で、でも、この道州制の道というのは定義がいまいちだから、今の北海道の道とも違うという、厳密に言えば、そういうことになるんだと思います。今の北海道が今後の道州制の道になるかどうかは、これはわからないということになるわけですね。

 そうしましたら、これは、私は、ぜひ再考、検討をいただきたいんですが、道州制特別区域法案ではなく、やはりこれは特定広域団体法案ぐらいに名前を変えた方がいいんじゃないのかな。

 それをしないと、何だか道州制というものの看板だけを、世の中に混乱を来すためにこれを推し進めているんじゃないのかな。あるいは、これまで余りこの委員会の場では指摘されませんでしたが、政治的な事情も絡んで、道州制というものを売りにしようとしている、その一番先頭に立ってしまっているのが北海道だということは、これは道民に対しても私は大変失礼な行為だというふうに思うわけです。

 その意味では、この法律の名称を変えていただけないだろうかということを具体的に提案させていただきます。大臣、いかがですか。

佐田国務大臣 提案は提案としてお聞きいたしますけれども、実は、先生、今度の法案におきますと、北海道も特定広域団体ということで議論をさせていただくわけでありますけれども、要するに地方分権が北海道で相当進みましたら、先ほども申し上げましたように、今既に、九州の方も東北も関東も、財界、地方自治体の首長の方々も私のところにお見えいただいています。

 そういう方々からすると、道州制という方がむしろわかりやすい、こういうことでありまして、我々としては、それが、北海道は北海道としての要するに特定広域団体ができ上がった時点で、これを道州制のビジョンにつなげていきたいわけでありますから、そういう意味におきましては道州制の方が適当なのではないかと思っております。

泉委員 つなげていきたいというのは、それは政府の意向かもしれませんが、むちゃくちゃですよ。だって、全然違う法案なのに、無理くり道州制に将来つなげていきたいと。この委員会でも何度も混乱しましたが、ここで使われている道州制と将来の道州制は違いますなんという、それ自体が本来おかしいんですよ。

 これ、結局、先ほど、これまでも何度も審議でありました、九州からそんな声が上がった、関経連でもどうだといろいろ話がありましたが、全くそれは内部における将来的な道州制の検討が進んでいるのであって、今回の法律を使おうなんという話はほとんどない。全くないと言ってもいいですよ、これは。あったら教えていただきたいです、具体的な話を。

 だって、さっきから話がありますが、沖縄はこれを使えないんですから。実際使えるんだったら、沖縄の方々に面と向かって、皆さんが、沖縄もこれを使ってくださいと言える状況だったら、この法律が成立した後、ぜひ、全国に向かって、具体的にこの法律を使ってくださいと言うべきですよ。

 もしかしたら、ほかのところからもあり得るなんという話じゃなくて、この法律が通りました、北海道が現在進んでいます、ほかの地域でもぜひこの法律を使ってくださいと堂々と言えますか。これは言えない法律ですよ。三以上の都道府県を合併させないとこの法律を適用させられないなんてやったら、実際には検討しようないじゃないですか。

 東京だって、地方制度調査会の中では、実際には、一つで独立をした形ということの方が現実性があると言われているんです。関東一円等を合併するという話もありますけれども、実際には、東京だって一つでやろうという状況なんです。

 沖縄だってそうですよね。沖縄だって、どの試案を見たって、どの区域例を見たって、沖縄は分かれているんですよ、道州制、本来の中で言えば。

 恐らくそうやったら、結局は、いや、これはまずは北海道で始めるんだからという論議になってしまうんですけれども、ほかが非常に使い勝手が悪いようにしておいて、事実上全国にも適用されるようになっているから、だから住民投票は要らないんだ。これは詭弁ですよね。これはごまかしですよ。

 やはり、これは住民投票を回避するために無理やり法律の構成を変えたということにほかならないことが見えているじゃないですか。そういうことを政府にやってほしくないんですよ。

 住民投票ができない法律になってしまっているのであったら、せめて沖縄や東京が普通に使いやすいような法律にすべきじゃないですか。

 その意味で、私は、ほかの都道府県もそうかもしれません、さっき言ったように、都道府県の合併その他については、「関係都道府県の申請に基づき、内閣が国会の承認を経てこれを定める」「関係都道府県の議会の議決を経なければならない。」そして、特定広域団体の議会の議決というのもこの法律の中では出てきますから、都道府県が合併をして新しい議会もつくらなきゃならない。

 これはハードルが大変高いですよね。三つ以上のというとさらにこれが高くなるということでありますけれども、この三つ以上は本当に、大臣、考えていい論点じゃないですか。修正していいんじゃないですか。

佐田国務大臣 先生、この三県の問題につきましては、先ほど来の答弁もさせていただきましたけれども、沖縄の問題につきましては、全国知事会の中でそれは議論はしているはずでありますから、それはその中でまた調べさせていただきたいと思います。

 また、九州の方々が来られて、私が三県の話をしましたら、逆に、三県なんというのは少ないんじゃないか、うちは九州全体でやります、こういうふうな意見も返ってきた、こういうこともあるということは御理解いただきたいというふうに思います。

泉委員 三県以上ですから、それは多い分には構わないんでしょうけれども、二県とか一つ、そういうところの扱いをやはり大切にしていただきたいと思います。

 特に、やはり沖縄ですよ。今ちょうど知事選挙もありますけれども、やはりいい法律にすることは与野党共通でやるべきことじゃないですか。私は、それは改めて、沖縄県民の声、そして今回でいうと北海道民の声、非常に大切にすべきではないのかなというふうに思います。

 この論点ばかりやっていても、時間がありませんし、もっと質疑の時間が欲しいなという実感がありますが、次に行きたいと思います。

 次に、具体的に、項目、この法案の事業の中で、国道の整備、管理、開発道路ということですね。そして、河川管理、砂防事業ということに関してですが、このうちの国道、そして二級河川、これは北海道から提案はしておりません。にもかかわらず、これは本法案における権限移譲という形になっておりまして、これは大臣きっと御存じだと思うんですが、北海道から要望はしていないんですね。ということは、逆に言うと、道内の議論も進んでいないということなんですが、この点についてどうお考えですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点でございますが、確かにこれは一番当初の、二年前でございますけれども、三十三の項目の中には入ってございませんが、最終段階の法案を作成する段階におきまして、これは特に、例えば開発道路というのはもともと道道でございまして、国がそれに関する直轄事業を行っておるわけでございますので、逆に言いますと、国と北海道といろいろ御議論を重ねる中で、この二つについても移譲を行っていくということで対象に加えたものでございますし、これに関しまして、当然しっかりした準備のもとでしっかりした移譲を進めていくということで考えている次第でございます。

泉委員 それももっと深めたいところですが、もう一つ確認をしたいのは、交付金、これは、先ほど大臣、繰り越しあるいは融通が可能だということをおっしゃられました。

 やはり大切なのは、それを理由にして査定、これが厳しくならないのかどうかということも重要なポイントだと思いますが、査定については、ある意味全国共通というか、単価も含めて、全く同じ土俵の上で査定をしつつ、しかし、予算を北海道内で今後削減できた、効率的な使い方ができた場合は、それは柔軟に、ほかの事業にもこれは使えるということなのか。それともやはり、先ほどおっしゃったように、道路でいえば五カ所、そして河川でいえば二カ所という話がありましたが、その範囲内のみでしかお金を使うことができないのか。そこをお伺いしたいと思います。

佐田国務大臣 先生言われるように、これは河川、砂防、道路ということでありますけれども、まず第一に、北海道の場合は直轄事業が多いわけでありますけれども、それに対する補助金、今まで補助金でやっていたものについてきちっと参酌をして交付金化するわけですから、決してそれで減るなんてことはない、こういうことでございます。

 また、二つ目の質問でありますけれども、これはやはり今回の場合は、河川、砂防、道路と分かれておるわけでありますから、その中での融通というふうに判断しております。

泉委員 これは、その中での融通というところもやはり小粒だと言われる理由だと思うんですね。せっかく効率的な事業を行っても、それを使える範囲が限定されていたら、これ、どうしようもないじゃないですか。では、無理やりその河川にベンチをつくるとか何か大きいパネルをつくるとか、またわけのわからない予算の消化の仕方をせざるを得ない。

 余ったお金を有効に活用するというのが趣旨であれば、やはり一度渡した交付金の使い方は道にある程度任せるべきだということを私は改めて申し上げたいと思います。

 そして最後にですが、意見交換会についてです。

 大臣、これ、認識が間違っております。四百回の意見交換会をしたという説明を恐らく受けているんでしょうから、それはきっと、ああ、道民に向けて四百回ぐらいのタウンミーティングをしたのかな、そうじゃなくしても、ある程度、一般道民を呼んで、それぞれ意見交換をされたのかななんて思っているかもしれません。

 しかし、実態は、北海道庁作成資料が出てまいりました。私はこれよりもさらに詳しい資料を請求しておりますが、例えば平成十六年度、一万人の参加者というふうになっておりますが、そのうち一般道民は半分でございました。残りは公務員に対する説明、そして議員に対する説明。ですから、我々がレクチャーを受けるのも、これ、一件というカウントになるというんですね。

 そして、先日もある北海道の中の自治体の方に聞きましたら、うちの自治体で今度タウンミーティングをやるんだと。それ、何回目ですかと聞いたら、ことしに入って北海道内で五回目です。道州制推進道民会議第五回地域意見交換会「アクティブ・道州制!」というのが今度、十一月二十一日、北見であるそうですが、これ、ことしに入ってようやく五回目だということでございます。それぐらいしか実は一般公開の、広く人を集めた、無料で参加できる、そして広く皆さんに銘打って募集をしているものはないんだということをよく知っていただきたいと思います。

 民主党の道議会の会派でも呼んで、だれかに来てもらったらそれも一回、自民党の皆さんがやっても一回だそうです。ですから、四百回の意見交換会、これは実は、ほとんどまだ道民に知られていないんだということはぜひ御認識をいただきたいと思います。

 ちなみに、我が京都市は、ごみの有料化をこの十月一日からやりました。その京都市のごみの有料化でさえ二千回の説明会を行っているというふうに京都市は言っておりまして、ましてやもっと大きい道州制、道内じゅうで同時多発的に意見交換会ができるはずにもかかわらず、瑣末なものも含めて四百回しかやっていないということです。

 ぜひ改めて御認識をいただいて、道民の理解は進んでいないということからも、我々はこの法案に反対せざるを得ないというふうに考えております。この事実を受けて、大臣、どう思われるか、それを聞いて、本当に時間が足りなくて残念な結果ですが、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

佐田国務大臣 今お話がありましたように、北海道においては、道庁等が平成十六年、十七年、十八年に道内全市町村や道民等との道州制特区に関する意見交換会を開催し、その回数が四百回ということでありますけれども、今後ともこの意見交換会は続けていきたい、かように思っておりますし、そのメンバー等について、中に役人さんがおられたとか、そういうお話でありますけれども、いろんな方々を集めて、今後ともあらゆる意見交換会なり何らかの周知徹底を図っていきたい、こういうふうに思っています。

河本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、議員鈴木宗男君から委員外の発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官増田優一君及び総務省大臣官房審議官津曲俊英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑を続行いたします。鈴木宗男君。

鈴木(宗)議員 委員外議員の私に質問のチャンスを与えていただきまして、河本委員長初め内閣委員会の与野党の理事の皆さん、委員の皆さんに心から感謝を申し上げます。

 勉強不足といいますか、私自身、この法案にタッチしたわけでもなければ、また質疑に参加しておりませんので、もう既に議論をされている話も出るかもしれませんし、また行きつ戻りつといいますか、そもそも論になるかもしれませんけれども、ぜひともこれは、私も北海道に生まれ、育ち、北海道に骨を埋める者でありますから、この道州制の意義だとか、あるいは道州制のあるべき姿等も、私自身また初心に返って勉強もしたいなと思っておりますので、佐田大臣初め林副大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 道州制、これは北海道に関係しますので、最初に、この七日に北海道は佐呂間町で大変な竜巻の被害がありました。私も現場を見てきて、自然の猛威といいますか、エネルギーのすごさといいますか、改めて感じてきたところなんですね。

 その中で、役場の皆さんや関係諸団体の皆さん方が一生懸命やっておりました。特に、自治体初め被災された方、地域の皆さんが、自衛隊の支援といいますか、いわゆる後片づけ等、よくやってくれたということで非常に感謝しておりました。遠軽駐屯地というところの隊員の皆さん方がいわゆる後方支援で行ったんですけれども、一カ月かかるものを三日、四日でやってくれたというぐらいの非常に高い評価がされておりますので、この点、やはりねぎらうべき点はねぎらう、評価するものは評価する、これが勇気だとか誇りだとか名誉につながっていくわけでありますから、ぜひとも閣僚の一員として佐田大臣からも防衛庁長官に、現地では大変そういった評価というか感謝の声があるということはまたお伝えをいただきたいものである。

 同時に、これは事務方に聞きますけれども、今、一生懸命、災害の査定だとか、あるいは何ができるか等、調査、精査してくれていると思いますけれども、内閣府は防災担当の所管もありますので、現在、具体的に、被災された方々あるいは地方自治体に対して何ができるか、あるいは何をしているか、どういう進捗状況であるか、お知らせをいただきたいと思います。

増田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘ありました、今月七日、北海道佐呂間町で発生した竜巻によりまして、死者九人、負傷者二十六人の大変な人的被害が出ており、住家につきましても全壊十棟などの被害が出ております。

 この災害に対しまして、直ちに警察、消防が連携いたしまして、まず救助活動等に当たりました。

 それから、政府といたしましても関係省庁間で密接な連携を図りまして、災害救助法の適用、それから被災者生活再建支援法の適用などを行いました。

 さらにまた、お話がありましたように、北海道知事からの災害派遣要請に基づきまして、自衛隊が被災者への毛布の貸与や倒壊家屋の撤去活動を数日間にわたって行ったところでございます。

 また、当日のうちに溝手防災担当大臣を団長とする政府調査団を現地に派遣するとともに、翌日には冬柴国土交通大臣も被災状況の調査を行ったところです。

 現地は、本当に今、厳しい冬を間近に控えておりまして、特に被災者の住まいの確保など、速やかな復旧対策が求められておると思っております。

 このため、まずは災害救助法に基づきます住宅の応急修理というものを直ちに実施しておりまして、また、地元では直ちに被災者が入居可能な住宅として町営住宅など約四十戸の公的住宅を確保いたしまして、今、被災者の皆さんと御相談をされております。

 さらに、本格的な再建に向けて、住宅金融公庫による災害復興住宅融資の適用も決定したところでございまして、特に住宅対策に重点を置いて今政府で取り組んでおります。

 地元からいろいろな相談がございますので、十一月九日に、地元からのいろいろな相談をワンストップで受け付ける、政府と一体でやるということで、内閣府に北海道佐呂間町における竜巻災害に係る復旧相談室を設置いたしまして、いろいろ相談を受け付けておりまして、今後とも地方公共団体とも連携をして、しっかりした被災者支援に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(宗)議員 被災者生活再建支援金の支給事業の中身は、これはすべて該当されるんですか。例えば、年収五百万だと三百万が上限だとか、基準がありますね。これは全部、今の段階で、今、全壊十戸と言いましたけれども、当初はあれ、全壊四十七棟なんていう数字がありましたよね。あるいは、家屋の半壊が十一棟だとか、一部損壊が四十五棟だとか、この点、半壊の人あるいは全壊の人のそれなりのレベルに応じての策があると思うんですけれども、その点はどうなっていますか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 被災者生活再建支援法の対象は住家でございます。マスコミ等で、被災家屋が百棟近くという報道をされておりますが、かなり倉庫、事業所等の非住家も含まれておりまして、被災された家屋等につきまして、当初、目視、外側からの目視で調査をさせていただいておるんですが、現在、北海道が協力いたしまして、佐呂間町におきまして、改めて居住の実態でございますとか、あるいは世帯の実態、それから今御指摘ありましたような、内部の損壊状況がどうかということを、今詳細な調査を現時点で行っているところでございまして、それを踏まえて適用の状態が決まるということでございます。

鈴木(宗)議員 とにかく今、冬に差しかかって環境が厳しくなるものですから、この点、安心をさせるのが一番です。

 今、お聞きしますと、町の方も一生懸命やって、町営住宅等も確保しているということですけれども、やはり自分のうちというのはまた格別な思いがあるわけですからね。この点、さらにしっかりやっていただきたいなと思います。

 あわせて、これは佐田大臣、厚生労働省の絡みもありますね、災害救助法。きょうは道州制の法案の審議ですから、あえて呼んでおりませんけれども、厚生労働省の方にも災害救助法の関係がありますので、例えば、シートをかける経費なんかは持ってくれることになっているんですか。そういったことでなくても、あれもことし春には法律改正になったんですかね。従前までは五十三万ぐらいだったのが、今度は五十万に統一だとかとあったんじゃないでしょうか。ここら辺もよく、横並びというか、連携しながらしっかり対応をやっていただきたいな、こんなふうに思っております。

 あわせて北海道は、佐田大臣、北海道のみならず、十月の初旬、七日、八日にかけて、例の台風以上の低気圧で災害を受けているところがたくさんあるんですね、これは全国規模で。そういった意味でも、北海道はダブルパンチを受けているところがたくさんありますね。

 きょう私は、あえて総務省に来てもらっているのはその点なんですけれども、これは特別交付税なんかで速やかに措置してもらうしかない。これは来年になるんですか、この点、十分カウントしてもらえるように、今からお願いしておきたいと思うんですが、その点、総務省の方のお考えはどうですか。

津曲政府参考人 今般の竜巻被害や低気圧被害により被災した北海道佐呂間町を初め各地方公共団体においては、応急対策や復旧対策などに財政負担が生じることが見込まれております。

 総務省といたしましては、これら関係地方公共団体の実情を十分お聞きして、特別交付税を初めとする地方交付税や地方債による地方財政措置を講じまして、その財政運営に支障が生じることがないように適切に対処してまいる所存であります。

鈴木(宗)議員 津曲官房審議官、なかなか立派なひげを蓄えておりますから、大変な迫力で、また、頭なんかもちょっと私と似ているから、それなりの重きがあって立派な答弁だと思いますけれども、私がお願いしているのは、通常の計算でいくとそれなりの数字しかもらえない、災害があったんだから、ここは間違いなく特別に配慮しますよという行政の判断や政治の判断があっていいのでないかという意味で聞いているんですよ。

 そういった意味で、きちっと、特別交付税、地方交付税あるいは地方債の話が出ましたけれども、やはり、実際はお金を借りても返すことは大変ですから、真水で使える特別交付税なんというのが一番の今求めている希望、要望なんですよ。それについて総務省としてはどうしっかり対応するかということを聞いているんですけれども、あなたのひげに比べたらちょっと切れ味が悪いような気がするものですから、もう一回しっかりとその点を担保してほしいな、こう思いますね。

津曲政府参考人 お答えが不足しておりました。

 このような災害が生じたときには、特別交付税の方で、特別に、普通交付税に加えた形で、こっちの方で財政措置を講じるということでございますので、その点は適切に対処してまいります。

鈴木(宗)議員 適切の意味を私はいい方に解釈していますので、どうか津曲さん、しっかりやってください。

 今、総務省の財政局長も経験したり、担当しているのは瀧野さんですから、これは北海道の出身ですから北海道の現状をよく知っていますから、必ず瀧野さんに伝えて、よく相談をしてやっていただきたいな、こう思いますが、よろしゅうございますか。

津曲政府参考人 はい。お伝えいたします。

鈴木(宗)議員 審議官、お伝えするんじゃなくて、あなたも幹部で、政府委員で来ているわけですから、自信を持って、上が何と言おうとも、私が裂帛の気合いでやりますという話を私は聞きたいんですからね。もう一回お願いします。

津曲政府参考人 中身につきましては適切に対処いたしまして、かつ、今お話がございました瀧野審議官の方にはきっちりお伝えいたします。

鈴木(宗)議員 津曲審議官も答弁になれてきたので、何となくいい顔になってきましたね。余裕を持って、その気持ちでぜひともやってください。

 やはり現地の被災された関係自治体というのは深刻です、財政が大変なわけですからね。そういった意味でも、ぜひとも血の通った、心の通った行政を展開してほしいな、こんなふうに思っています。

 さて、大臣、大臣は十日の日にこの内閣委員会で、道州制のタウンミーティングでは、やらせはないという答弁をされていますね。それは間違いないでしょうか。

佐田国務大臣 その前の委員会で聞かれまして、やらせはなかったというふうに発言をさせていただきました。

鈴木(宗)議員 きょうも官房長官なんかは、ほかのタウンミーティング等については、やらせがあったということで話が出ているんですけれども、これは道州制担当の事務方にお尋ねしますけれども、内閣府から北海道庁に、例えばあれは八月の稚内でのタウンミーティングですね、そのときに全く依頼はないのか、何かお願いはしているのか、その点、事務方で結構ですから、お答え、お知らせいただけますか。

林副大臣 鈴木先生、まことに恐縮でございますが、タウンミーティングの方の関係の政府委員の登録がなかったようでございますので、便宜私からちょっとお答えをさせていただければと思います。

 道州制タウンミーティングにつきまして発言内容を提供した事実はないか、こういうお尋ねでございまして、これは事務方の方で内閣府に保存されている資料やタウンミーティング室の担当者及び開催地の関係機関の担当者の双方に対する聞き取り調査を行いまして、そういうことはなかったというふうに聞いておるところでございます。

鈴木(宗)議員 私のところに、これは七月五日、タウンミーティング担当室というのがあるんですか、そこで、「道州制 タウンミーティング イン 稚内」というタイトルで「参加募集のための広報と参加者召集のお願いについて」というペーパーを道庁に送っているというふうになっているんですね。

 参加者募集のための広報

 「ポスター、チラシ」を関係機関・団体等へ配布願います。

 ※それぞれの必要部数、郵送先(郵便番号、住所、所属、担当者、電話番号)をお知らせ下さい。

 ※参考までに、ポスターの具体的な配布先、貼る場所をご提示願います。

例えば、各区役所(掲示板)二十カ所、府庁舎一階掲示板だとか細かく書いてありますね。

 参加者の招集

 召集参加者…「二百名」程度

 テーマに興味・関心を持つ、あるいは関心を持って頂きたい一般の方

 テーマに関わる機関、団体、NPO等の方(公務員を除く)

となっています。

 内閣府のターゲット→「若者、女性、学生」

と書いてあって、通常のタウンミーティングの主な参加者は、四十歳以上の男性が中心であったから、若者、女性、学生を頼みますという話。

 依頼発言者(三から四名程度)

  依頼発言者による発言は、他の質問者の発言のきっかけや発言方法等をリードする効果があり、タウンミーティングをテーマに沿って円滑に対話を進めることができるメリットがあり、事前に、三から四名程度、依頼発言者の登録をお願いしています。

  依頼発言者の選定に当たっては、賛成・反対を問わず、対話のテーマの趣旨に沿った意見を持つ者とし、可能な限り、予め、発言内容をヒアリングするなど把握願います。(氏名、性別、職業、年齢も含む。)

  また、可能な限り、「女性、若者、学生」を。

  発言の依頼に際しては、事前に発言内容を決めた「さくら」ではないため、その発言を強制はせず、「(本テーマに有意義な発言であるため)、是非、手を挙げて、発言をして欲しい」旨などのお願いすることを前提とし、また、基本的には、予め座席を指定しない。

 ※発言候補者が手を挙げた場合に備えて、当日の発言候補者の着席位置を把握して、対応する予定です。

これはちょっと紙を渡します。よろしいですか、持っていますか。

 ここまで懇切丁寧に書いて、担当室からこういう指導が行った場合、受けとめる側はあうんの呼吸でないでしょうか。「「さくら」ではないため、」なぜこういう表現が必要なんでしょうか。しかも、発言者の登録もさせる、内容も前もって聞いておく。

 私は、これは体裁よければ協力依頼であるけれども、こう見て考えれば、受けとめる側、北海道庁としては当然これは協力せいという意向だというふうに受けとめていますよ、ぜひともと、発言者を出しているわけですから。この紙が現存して、道庁に残っている。それを受けとめてやった。

 これは、皆さん、どうでしょうか。私は、表現はきついかもしれませんけれども、きついかどうかというのは受けとめる側でありますから、これは、行政指導といいますか、上からの協力依頼ではあるけれども、それなりに、受けとめる方は重く受けとめるわけですよ。

 この紙からしても、佐田大臣が、佐田大臣は事務方の正直な報告だと思って、この委員会でそういうことはないと言っておりますけれども、現実、この紙は残っていて、七月五日に送っているんですから。いわゆるタウンミーティングの一カ月前ですよ。私は、これも一種のやらせだと考えますけれども、どうですか。

林副大臣 今の委員がお示しになった紙、吉井先生から資料を求められまして提出をさせていただいた資料の中に入っておるものでございまして、今御指摘のあったように、正確を期して言いますと、発言内容をこういうことをお願いしますという提供はないということを大臣からも御答弁いただいたとおりでございます。

 私、実は、たまたま、道州制特区の担当の佐田大臣の下の副大臣ということと別に、タウンミーティングの担当の副大臣、これは官房長官の下になるわけでございまして、そちらの担当ということで、実はけさから調査委員会を立ち上げまして、本格的な調査に入るということになったわけでございます。

 今委員の御指摘になったように、こういう紙を配って、こういうふうにやっておると、仮にこちらはそのつもりがなかったとしても、受けとめる方はどういうふうに受けとめるのか、また座席の指定がどういうふうになされているのか等々、きちっと調べて、やはりタウンミーティングというのは皆さんのためにやるわけでございますから、そういうことがどういうふうに受けとめられて、実情はどうであったかということもきちっと調査をしていくべきではないかというのが私の考えでございますので、今御指摘のあったところも含めて、なるべく早く、この教育、道州制以外に、これを含めて百七十三か四、ずっとやってきておりますので、全部を調査するということでやってまいりたいと思っておるところでございます。

鈴木(宗)議員 佐田大臣、大臣は事務方を信頼し、事務方の報告をそのままこの委員会で答弁されたと思うんですよ。

 今、私とさらに林副大臣の答弁を聞きながら、佐田大臣はどういう見解でしょうか。

佐田国務大臣 このタウンミーティングにつきましては、資料は出させていただいているということを聞いておりますけれども、基本的に、こういう内容で言ってくれとか、そういうふうなことはなかったというふうには聞いております。

 ただ、先生も御案内のとおり、こういうふうなタウンミーティング、私は内情を詳しくはわかりませんけれども、例えば説明会だとかタウンミーティングでは、やはりそれについての方々に集まっていただく。そうすると、やはり本当にアトランダムな人たちが集まるかというと非常に難しい部分がありますから、ある程度集めるときには基準を設けて集まっていただく。

 また、今、私はちょっと鈴木先生のお話を聞いただけなんですけれども、有意義な発言をしてくれと。これは非常に意味深な言葉でありまして、今回の道州制について有意義な発言ということは、やはりそれなりの、反対意見も賛成意見もこれは有意義であって、そういうふうに解釈せざるを得ないんだなと。

 ただ、今後の議論の過程の中においては、これは道州制だけではありませんけれども、やはりもっと広くいろいろな方に集まっていただいて自由に討論する。その自由に討論するとき、なかなか発言者がいないという現実もありますけれども、それはやはり司会の方に、本当になれた方にやっていただいて、新しいそういうタウンミーティングをやっていく方がいいんじゃないか、こういうふうに思っております。

鈴木(宗)議員 大臣、(本テーマに有意義な発言であるため)、これは括弧なんですよ。いいですか。「可能な限り、予め、発言内容をヒアリングするなど把握願います。(氏名、性別、職業、年齢も含む。)」ですよ。これは枠をはめているんじゃないですか。

 さらに、内閣府から道に対して、農政改革、その点からいえば酪農家あるいは団体職員、地方議員、観光業者という、できればこういう人にお願いしたいというお願いもあったんですね。

 だから、私は、大臣の認識と連絡をとった事務方の認識は違うと思いますよ。この議論を聞いておって、あるいはこのメモを見ておって、委員の皆さん、どうですか。与野党を問わず、これは……(発言する者あり)ある種のやらせと言っても不思議でないと思いますよ。

 そこで、佐田大臣も林副大臣も勘違いしないでください、私は正直であれということを言っているんですよ。私自身、例えば、四年前、外務省から全くのいいかげんなリークなんかで迷惑しましたよ、そのリーク文書で、また共産党を初め各野党は正しいかどうかわからぬで質問しているわけですから。私は今裁判をやっていますけれども、そういったもので今裁判している点はないですよ。

 だから、私はその経験を踏まえて物を言っているんですよ。この神聖なる国会で、発言の重さだとか、何が大事かということ、風聞だとか、ただ誹謗中傷するだけではいけないんです。同時に、答弁者の答弁は重いわけでありますから、私は、ここは正直に、これはやはり、行き過ぎと言えるかどうかはこれまた判断がありますけれども、こういう指導をするだけでも公平でないという思いがありますよ。

 ただタウンミーティングがありますから協力してくださいというのなら、わかりますよ。しかし、ここまで個別に「依頼発言者による発言は、他の質問者の発言のきっかけや発言方法等をリードする効果があり、」タウンミーティングを円滑に進めたいといって前文を置いたり、「予め、発言内容をヒアリングするなど把握願います。」ということは、また道庁と内閣府の事務方は、これはすり合わせするわけですから。

 ですから、私は正直であれという話をしているのであって、私は、何も、佐田大臣が虚偽の答弁をしたなどとは思っていません。あなた自身の性格もよく知っているし、あなた自身は、それは、真っすぐに生きている。真っすぐ生きて、逆に、もっと早く大臣になれるのが、今回遅きに失したぐらいの感じで、私はずっと激励してきた者として、考えておりますから。

 この点、私は、大臣が委員会で言った話と実態はちょっと違うんじゃないかという意味で、うん、あのときの段階ではそう言ったけれども、今こういう資料が出てきたところを顧みるとき、ちょっとしっかりとこの内部調査はしたいとか、あるいはいま一度精査したいというのは、これまた責任者としての答弁の話でないかと思いますが、どうでしょうか。

佐田国務大臣 今鈴木先生言われたとおり、これは私、今読ませていただきまして、「発言の依頼に際しては、事前に発言内容を決めた「さくら」ではないため、その発言を強制はせず、「(本テーマに有意義な発言であるため)、是非、手を挙げて、発言をして欲しい」旨などのお願いすることを前提とし、また、基本的には、予め座席を指定しない。」と書いてあるんですね。

 先生、それとヒアリングの話、今ありましたよね。どういう内容のヒアリングかはわかりませんけれども、私個人としては、これはやはり、そういうことは自然にやるべきことであって、反対の意見、どんな意見でも、どんなことでも、議論でも、反対も賛成もあるのは自然ですから、私は、そういう意味では、これも最近新聞等で出ておりますけれども、今後とも、副大臣に専門で担当していただいておりますけれども、すべてもうそれはつまびらかにして、ガラス張りで出すべきだ、こういうふうに申し上げておりますし、そして、まずその前に、今までのタウンミーティングの状況を全部調査するということで今進めております。

鈴木(宗)議員 この北海道の道州制のタウンミーティングについても、先ほど林副大臣から、もう一回きちっとチェックをするという前向きな答弁をいただきましたけれども、佐田大臣からも、これは林副大臣ときちっと連携をとって調査するという考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。

佐田国務大臣 それはもう、もちろん調査いたします。

鈴木(宗)議員 たまたまこのタウンミーティングの帰り、当時の竹中大臣と私たちは稚内から飛行機が一緒だったんですよ。そんなこともあったものですから、私ちょっと関心を持っておって、竹中大臣も、担当大臣ではありましたけれども、北海道の景気は大変ですとか、北海道はちょっと東京とは違いますなんて、大体格差社会を実感しましたというような意味の話をしてくれまして、大臣、あなた、私に言うんでなくて、そういうのは閣僚の記者会見だとか何かで言ってくださいよ、こう言ったものですから、なおそのときの印象が残っておったものだから、今お尋ねしたということであります。

 佐田大臣、今、道州制、これは長い法案名ですけれども、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案となっていますけれども、これは簡単には何と言っているんですか。この法案、通称……(発言する者あり)道州制特区法案。では、私もその略称というか簡単な方で言わせてもらいますね。

 道州制特区法案で、大臣、北海道にとって何のメリットがあって、何の利点があるか。大臣は学生時代は北海道で過ごされた。北海道のよさを十分知っていると私は思うんです。また、北海道に対する、こうした方がいいんじゃないかというお考えもあると思いますね。

 そういった意味で、何かしら道州制特区法案が北海道にとってバラ色だという話だけが先行しまして、具体的なものはないですね。この法案が通ったら、北海道のグランドビジョンはこうなります、十年後はこうです、二十年後はこうですという、それなりの絵を描きつつ、私はやはり国と道との一体性の中でなければいけないと思っているんですよ。

 どうもこの道州制特区法案というのは、ただやることに意味があるんだみたいな話で来ていますので、この点、大臣から、具体的に、この道州制特区法案が成立したならば、二十一世紀の北海道はこうなります、そういう明確な指針があってのこの法案審議であって、また法案を進めているのか、お尋ねしたいと思います。

佐田国務大臣 要するに、基本的には、今、例えば、税財源そして権限の移譲をして地方分権を進めていかなくてはいけないという大きな流れの中におきまして、もちろん私も北海道におったときは大変道民の方々にもお世話になった。したがって、北海道に少しでも恩返しができれば、こういうふうに思っております。

 今回の法案につきましては、今、基本方針でいろいろな権限、税源、財源の移譲をして、そして北海道に自主性を持っていただいて、これからいろいろな知恵を出していただく。知恵を出していただく中からやはり北海道のいいところを出していっていただく。そしてまた、それをどんどん広げていって、要するに、こういう権限は北海道でやれるじゃないか、こういう財源は渡してくださいよ、こういうことで、北海道のお知恵を拝借しながら、北海道は北海道の道民の皆さん方からの意見を聞きながら地方分権を進めていきたい、こういうことでございます。

鈴木(宗)議員 大臣、今、権限を移譲して、財源が必要ならばこういう財源を下さいと言ってくれという話をしたけれども、本来は、では、国の持っている権限を道に移管しますというならば、財源の裏打ちなくしてできませんね。道がくれと言うんでなくて、国の方で示すべきじゃないですか。今、国の財政事情はこうです、これだけは担保しますから、これでやってくださいとか、ではこれで何ができるんですかと持ちかけるのが私は本来の議論でないかと思いますよ。今の大臣の話を聞くと、道の方で知恵を出してきなさいと言うんですよ。私は逆でないかと思いますが、どうでしょう。

佐田国務大臣 先生の言われるように、財源等につきまして、それは国のもとがなければ、これはなかなか潤うことはできませんけれども、まず、そういう国の方でもなかなかない部分において、やはり道のいろいろなお知恵を拝借しながら地方分権を進め、そして無駄をなくしていく、それで行政の簡素化を図っていくということでございますので、ぜひそういうふうに御理解いただきたいと思います。

鈴木(宗)議員 道州制と無駄というのはどういう関係でしょうか。今の答弁を聞きますと、何かしら無駄があったという言い方ですけれども、具体的に、では何が無駄かちょっと示してください。

佐田国務大臣 無駄というんじゃなくて、例えば、二重、三重行政であるとか、そういうことについてできるだけスリム化をしていくということであります。

 例えば、北海道の場合でも、もちろんほかの県もそうですよ。ほかの県もそうでありますけれども、例えば、道があって、開発局があって、基礎的自治体があって、そういう中においてできる限りの工夫をして簡素化を図っていくということがあるわけでありまして、例えば、今年通った行政改革推進法で五%以上の純減、人員も純減していくということで、そういうこともあるわけでありますから、そういうことを通して、それは北海道だけじゃなくて、この法律案が、北海道だけじゃありませんから、北海道以外のところも、例えば、うちの群馬県のように、自分の県でやるものもありますし、それと一緒に国と一緒になってやる工事もあるわけでありますから、そういうことをできるだけ簡略化していく、こういうことを進めよう、こういうことであります。

鈴木(宗)議員 大臣、この道州制特区法案というんですか、これは群馬県も該当するんですか。今、大臣の答弁から聞くと、どこでも各都道府県該当するというふうになっていますけれども、法律にそうはなっていないと思いますよ。

佐田国務大臣 要するに、どこが無駄になっているかということで例えで申し上げたのであって、ただ、申し上げたいのは、群馬県も、群馬県、栃木県、埼玉県だとか、例えばその辺が合併した場合は、これは対象になります。

鈴木(宗)議員 大臣、今、二重行政、三重行政と言った。何が二重行政で三重行政か教えてください。

佐田国務大臣 ですから、同じ地域において、うちの方も、国、県、両方ともが入ってやっている部分もあります。北海道もいろいろな、きょうは、けさ除雪の話が出ましたけれども、開発局であるとか道であるとか、また基礎的自治体であるとか、そういうところが事務所を置いてやっているわけですよね。ですから、そういうものをできるだけ簡略化していくという方向で努力するということは、私は自然だと思います。

鈴木(宗)議員 大臣、私が聞いているのは、簡略化はいいんですよ。二重行政、これが二重行政ですと、何をもって二重行政か。よく、新聞を見たり、委員会の質疑で二重行政という言葉が出ますけれども、では、与党の委員の皆さん方でも野党の皆さん方でも、具体的にわかりますか、何が二重行政かというのを。だから、これは一本にしましょうと、具体的に何を二重行政として指しているかということをお知らせくださいと言うんですよ。

佐田国務大臣 ですから、先生、例えば、同じ地域において、市町村がやったり、また開発局、うちの方は国なんかの組織が出ていますけれども、そういうところをできるだけ簡略化していくということが、例えば権限、財源を道に移譲した場合は、その道がまた基礎的自治体に権限、財源を移譲していく、こういう方向性をつくったらどうかということであります。

鈴木(宗)議員 大臣、かみ合わない話をしていますけれども、私は、今の大臣の答弁、無理があると思いますよ。具体的に言ってくれればいいんですよ。

 例えば、群馬県は道路は国道も県が管理をやっています、北海道はそうなっていませんね、だから、その点、一本にするんですという説明ならばわかるけれども、少なくとも、北海道と沖縄は法律が違うんですよ、だから補助率も違うわけですから、特例があるから北海道や沖縄も生きているわけですから。この点、説明不足だと思いますよ。だから、道州制が道民に理解されるかといったら、理解されていませんよ。

 たまたま小泉総理が、北海道は道なんだから道州制をやれと言って、それに北海道の知事が軽く乗っただけの話ですよ。はっきり言って、乗る方がおかしな話だ。これまた北海道の実態がわからぬからですよ。北海道の置かれている環境だとか自然環境の厳しさだとか、実態を知れば、簡単に受けられる話じゃないですよ。

 そもそも、大臣、この道州制の議論、特例法案というんですか、道州制特別区域の推進法案、これはどこから、いつ出てきた話ですか。

佐田国務大臣 これは、鈴木先生が言われたように、最初、平成十五年八月の二十六日に小泉前総理と高橋知事が面談いたしまして、その際、北海道における道州制に向けたモデル的な取り組みについて話題となったことが道州制特区の一つの契機と認識しているところでありますけれども、いずれにいたしましても、それが正式に決まったのは、平成十五年十二月十九日の経済財政諮問会議におきまして、高橋知事の方からの説明があったというふうに聞いております。

鈴木(宗)議員 そもそも、大臣、合併だとかあるいは地方への権限移譲なんというのは、議論としては地方制度審議会でスタートしたものではないんでしょうか。そのことも踏まえないで総理が、私は、民主主義、特に法律なんというのは、一番大事なのは手続と中身だと思いますよ。手続と中身の上において、これは思いつきで取り組んだような話ですよ、提案した方も受けた方も。だから理解が進まないんですよ。だからグランドビジョンもないんじゃないんですか。

 そもそも道州制なんという話が出てきたのは、平成八年、橋本内閣のときからですよ。橋本内閣は、六つの構造改革と沖縄問題は我が橋本内閣の最重要課題です、これを二年半のとき、五回の国会がありましたが、二回の施政方針、三回の所信表明でこのフレーズは使っていますよ。そのときから道州制なんという言葉が出てきたんですよ。それで、地方制度審議会の議論なんかも、小泉総理が言ってから、地方制度審議会でやっと平成十六年ぐらいから乗った話じゃないんですか、流れからいって。

 だから、私は、そもそもこの法案にはいかほどの哲学と理念があるかということと、これを推進して進めて、北海道が明確にこうよくなります、北海道はバラ色の地域になりますという、いかほどのものが見えてくるかということを聞いているんですよ。

 それを推進する、進めるならば、ただ知恵を出せじゃなくて、丸投げする話じゃなくて、担当大臣として、私は北海道についてこう考えている、だからこの法案は必要なんだというものを見せてくださいということを言っているんですよ。

佐田国務大臣 ですから、北海道につきまして、今回そういうことで知事さんの方から手も挙げられた。そしてまた、この法案につきましても、鈴木先生、ぜひ御理解いただきたいのは、最初は非常に基本方針少なくて、税源、財源、そして権限の移譲が少ないということでありますけれども、できる限り北海道の道民の皆さん方のお知恵を拝借しながら、よかれという方向で地方分権を行っていきたい。

 先生言われるように、どういうふうにバラ色なんだ、こう言われますけれども、これはあくまでも税財源、権限を移譲するということになれば、それなりの責任がまた出てくるわけでありますから、やはり本当にバラ色になるか、これは断言はできない、こう思っております。

鈴木(宗)議員 大臣、それならば何も急ぐ法案じゃないですわね。推進法案にならないでしょう。

 これは大臣、言葉の遊びは要りませんよ。必要だから閣法で今出しているんでしょう。早く成立させてくださいとお願いしているんじゃないんですか。将来の裏づけがありませんね。担保がなくて、では何でそれをやる必要があるんですか。ここら辺は言葉の遊びはいけない、こう私は思いますよ。

 それと、北海道が手を挙げたんじゃないんですよ。北海道にやれと言ったのはだれなんですか。大臣、それを小泉総理が言ったから、北海道は渋々受けたというのが紛れもない事実じゃないですか、これは。

佐田国務大臣 私も、小泉さんと北海道知事との会話を具体的に知っておるわけではありませんけれども、少なくとも十二月には経済財政諮問会議の方で説明をして知事さんが提案をされたということは、やはり北海道の方からの提案という要素もあるというふうに理解をしております。

鈴木(宗)議員 ですから、大臣、そういう方向に持っていくためには、本委員会で遠藤先生なんかも努力されて、自民党は自民党の中で努力されて進めていったんですよ。こういう方法がいいんではないか、あるいはこれは一つの北海道の将来にとってのやり方としてあるんではないかという努力の中で持っていった話であって、何も、北海道がやらせてください、大臣がよく言う、北海道が知恵を出すと言うけれども、北海道の知恵で手を挙げてきた話じゃないんですよ。

 小泉総理が、うん、北海道はもう既に道だ、これは簡単だ、一つの行政体がもうできているから、では試しにやってみろというのがそもそものスタートなんですよ。だから、私は、哲学や理念が足りないというのはそこを言っているんですよ。同時に、そういったスタートだから将来のグランドビジョンも描けないというような話ですよ。

 では、大臣、総理はこう言いました。北海道開発局が六千五百人要る、外務省は五千人だというんですよ。何で北海道開発局に六千五百人要るかと。

 大臣、どう理解しますか。

 群馬県庁は何人いますか。群馬県庁の数を言って、何で群馬県庁が五千人だ、東京都庁は一万人じゃないかといって理解できますか。北海道開発局が六千五百人だ、外務省は五千人だ、こういう乱暴な比較で進めてきた話でいいかということを言っているんですよ。

 大臣、北海道は二二%の面積を擁しているんですよ。そこに北海道開発局が六千五百人いる。残り七八%、本州ですよ、四国、九州。では、ここに農、林、水、いわゆる農政局と、地方整備局、国土交通省関係ですね、この数は何人おりますか。これを比較したら、北海道開発局がいかに効率よくやっているかというのがわかりますよ。事務方はそれを把握していますか。

佐田国務大臣 先生、北海道の方が開発局が六千五百人で、普通の本州の方は整備局であるとかそういう出先機関もあるわけでありますけれども、それに比べたら別にそんな特別多いというわけじゃないじゃないかという御質問だとは思うんですけれども、別に北海道だけを集中的にそうするということではなくて、今回の法案につきましては、三県が一緒になった場合には特定広域団体として認めることになっておりますから、日本全国すべてが一応適用範囲になっているということは御理解いただきたいと思うんです。

鈴木(宗)議員 大臣、私が言っているのはそういう話じゃないんです。そもそも議論のスタートがそういう乱暴なところでスタートしてきたということを言っているんですよ。

 たしか、地方整備局が二万二、三千人いるんじゃないですか。そして、農政局は一万六千から七千人いるでしょう。たしか三万九千ぐらいいるはずですよ。では、いいですか、北海道の六千五百人と本州の三万九千なら、比率にしてたしか一・五倍ぐらいあるはずですよ。本州の方が数が多いですよ。それを何で、北海道をいじめるような、差別するような判断によってスタートしたかということを私は言っているんですよ。

 北海道開発局が六千五百人。これは、小泉さんの有名な話ですよ、外務省は五千人しかいない、何で六千五百人も要るのかという話。これは非常に失礼な話ですよ。

 どうか皆さん、その点、たしか、地方整備局と農政局は北海道開発局が一つでやっているんですよ。三万九千人いるはずですよ、両方合わせて。ですから、率から言えば、本州の方の人員が一・五倍多いということですよ。わかりますね。面積二二%なんですから、約四分の一弱。四分の三が本州として見てください、本州、九州、四国で。そして、三万九千人おって、北海道が六千五百人といったら、北海道が少ない数の中で一生懸命頑張っているということじゃないですか、しかも、厳しい自然環境の中で。

 こういったことを評価して、権限の移譲だとか財源の担保なんかもあわせてやっていくのが筋じゃないかと私は言っているんですよ。

 時間がありませんから、私言いますけれども、例えば、開発道路を移します、二級河川を移しますということで、一部、道に権限を移譲したとしました。そこでも人の数を六十人ぐらい道に受けてもらうという話ですね。

 しかし、今の六千五百人と三万九千人を比較しても、北海道開発局は四年間で一六%、千人以上切ることになっていますね、定員削減。しかも、それは純減で一六%ですよ、大臣。ほかの本州は新規採用あり、定年も入れてたしか五%か六%でしょう、定員削減。五%ですか。(佐田国務大臣「五・七」と呼ぶ)五・七、だから六%か。六%なのに北海道開発局は一六%ですよ。

 私は、例えば、事務屋さんなんかは、パソコンだとか電話だとかが便利になってきたから、仕事の役割も少ないからカットしてもいいと思う。しかし、北海道なんかは、今回の竜巻だとか水害だとか、特に地震の多いところですよ。技術屋の専門家なんというのは切る数がないぐらい一生懸命働いていますよ。そういった実態をよく考えて、私は、この道州制推進法案というものを議論してほしいし、また、もっと精査をしていただきたい。

 例えば、これは本州の皆さん方はちょっとわからぬと思いますけれども、除雪なんかでも、雪の降る量によって北海道の除雪と国の除雪、違うんですよ。国は、五センチ雪が降ればここは除雪態勢なんです。北海道は残念ながら、体力的に、能力的に十センチ雪が降らないと動かないんですよ。では、急病が出たとき、十センチ雪が積もったとき救急車が走れるかといったら、走れませんよ。

 だから、簡単に道路を移せ、この法案のときでも、自民党で遠藤さん方の議論の中で、三けた国道を移せなんという話があったんですよ。ありましたね、三けた国道を北海道に移管せいという。三けた国道というのは、北海道は四分の三ですよ。いかに実態を知らない無駄な議論をしているかということですよ。命にかかわるんですよ。

 そういった現実を知らないでこの推進法案の議論をしたって、私は意味がない。ぜひともここら辺、佐田大臣も林副大臣も、まだまだこれは将来がある人ですから、しっかりと北海道に対して認識を持ってもらいたいな、こう思いますね。

 それと、大臣、これ、群馬県も、埼玉あるいは隣の県を集めれば、三県集まればできる、それはそれでそういう仕組みだからいいですね。しかし、もし北海道が、例えばこういうことをやりたい、新しいことをしたいといった場合、また法律が必要ですね。そういう場合の手続はどうなりますか。

佐田国務大臣 例えば、それは基本方針の変更だと思いますけれども、要するに、北海道の方からいろいろな御希望をいただいて、それを本部の方で検討いたしまして、閣議決定をし、もしも閣議決定が済んだときには、速やかに各省庁の法令改正を行いたい、こう思っています。

鈴木(宗)議員 大臣、私は、閣議決定だけでなく、これはやはり国会が絡む、これも大事でないでしょうか。これも十分な、私は、ベストかベターかと言われたら、この推進法案というのはまだベターの段階でないでしょうか、手探りの部分もあると思いますよ。

 そういった意味では、変更申請なんかが出た場合、すぐ閣議決定できるかどうか。この点、私は、国会の関与というものが大事だ。そういった意味では、こういった法案に附帯決議がつけられるのかどうかは別にして、何かしら国会の関与が必要だと思いますけれども、どうでしょう。

佐田国務大臣 特定広域団体からの提案を受けて、政府といたしまして、繰り返しになって恐縮ですけれども、具体的な事務事業の移譲等についての方針を閣議決定した上で、法律改正が必要な場合には、国会の御審議を経て法律改正を行うこととしております。したがって、当然ながら、国会でもそれは御審議をいただいていく、こういうことでございます。

鈴木(宗)議員 私が言っているのは、変更提案ですよ。法律を変える前、こういうことをしたいと挙げておったのを変える場合、変更提案なんかがあった場合、そのとき、法律改正をするんじゃなくて、逆に国会での担保、例えば、速やかに動かすために、この委員会でこの法案の附帯決議につけておくだとか、それはできないか、やった方がいいんじゃないんですかということを私は言っている話なんですよ。

佐田国務大臣 それは、要するに、基本方針の変更を国会で議論しろということですか。(鈴木(宗)議員「はい」と呼ぶ)それは、一応、このスキームの中では、本部で検討をして、閣議決定するんですけれども、あくまでもそれは、当然のことながら、具体的には、御議論をいただくときに国会の方にもその議論をお願いするということでありますから、御理解いただきたいと思います。

鈴木(宗)議員 佐田大臣も林副大臣もお世話になった人ですから、なかなか強く言えなくて、ちょっと私ももどかしいところがあるんですけれども、ぜひとも、これは、大臣、林副大臣、北海道に対して、こうしたい、国と地方の役割分担もある、同時に、そこはまた綿密にすり合わせもしていかなければいけない。

 北海道なんかは、来年がまた新しい十カ年計画の閣議決定の年ですよ。本来、こういったものも踏まえて道州制推進法案は議論すべきですよ。国は国でこうやります、道は道で知恵を出しなさいといったって通る話じゃないですよ。

 そんなに今、日本は、国も地方も財政的にも余裕がないんですから、一体でなければいけませんよ。来年の六月にはまた新たな十カ年の閣議決定を見なければいけません。この道州制推進法案も、やはり国の役割、道の役割、例えば、道が何か要望しても、いや、国は受け付けられませんと切られたらそれで終わりですから、そういった懸念もある法案でありますから、この点、ぜひとも国と道との一体感というものをお願いしたいと思います。

佐田国務大臣 鈴木先生の言われるとおりで、繰り返しになりますけれども、私も本当に、よくならないじゃないかと言われると困っちゃうんですけれども、道民の人にはお世話になりましたから少しでも御恩返ししたい、こういうように思っておりますので、今後とも、それは先生の言われるように、道の方の、道民の皆さん方の意見はできるだけお聞きして、そしてすぐ、こちらの本部に来たら、けるんじゃなくて、優先的にこれは閣議決定をしていきたい、こういうふうに思っています。

鈴木(宗)議員 いろいろありがとうございました。

 最後に大臣、やはり権限を移譲する、今回の場合は二級河川だとか開発道路は交付金という仕組みになっていますけれども、私はいつまでもこれでもつかなという心配をしていますよ、率直な話。この点、権限は移譲する、財源の裏打ちは必要だ、その必要なものについてはきちっと国としても配慮するという考えが大事でないか、私はこう思いますね。

 それと、北海道はこうしたい、上げる、国はできませんとなった場合、はい、北海道さん勝手にしなさいという、短絡的に言えばそういうところも出てくると思いますよ。これも困りますね。

 そういった意味では、やはりきちっとした精査はする、同時に、必要なものは国がちゃんと担保しますという財源といわゆる施策の展開について、私は、国の果たすべき役割はちゃんとやるということだけ、きちっと大臣の決意として最後にお尋ねしたいと思います。

佐田国務大臣 先生の御心配もごもっともだと思います。

 まず第一に、財源の問題ですけれども、これから、先ほど申し上げておりまして私も本当に思うんだけれども、地方も国も財源が厳しいんだ、これも当然だと思うんです。それともう一つは、要するに交付金にしたから財源が減ったなんということのないようにしっかりとその辺は監視をしていきたい、こういうふうに思っております。

 またもう一点は、よっぽどのことではない限りは、それはやはり優先的に、いろいろな提案が出たら、それをしっかりと北海道の意見として閣議決定するように努力をしていきたいと思っています。

鈴木(宗)議員 財源は切らないという担保をいただきましたから、少しは北海道は安心すると思いますけれども、これはきちっと歴代踏襲するように、佐田大臣のときはそう言ったけれども、次は違うなんて言われたら困りますからね。今そういうのがはやっていますからね。人生いろいろだなんていってそれで逃げ切られることもありますからね。どうかきちっと担保をしていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、佐々木隆博君。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

    〔委員長退席、平井委員長代理着席〕

    〔平井委員長代理退席、委員長着席〕

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

河本委員長 速記を起こしてください。

 ただいま、民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後三時七分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

   派遣委員の北海道における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成十八年十一月十三日(月)

二、場所

   ホテルニューオータニ札幌

三、意見を聴取した問題

   道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案(第百六十四回国会、内閣提出)について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 河本 三郎君

       石崎  岳君   木村  勉君

       後藤田正純君  戸井田とおる君

       松浪 健太君   泉  健太君

       市村浩一郎君   逢坂 誠二君

       佐々木隆博君   田端 正広君

       吉井 英勝君

 (2) 現地参加議員

       松木 謙公君

 (3) 意見陳述者

    北海道知事       高橋はるみ君

    旭川大学大学院客員教授 川村 喜芳君

    北海道奈井江町長    北  良治君

    前北海道芽室町長    常山  誠君

 (4) その他の出席者

    内閣府「道州制特区」推進担当室長       山崎 史郎君

     ――――◇―――――

    午後一時開議

河本座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院内閣委員長の河本三郎でございます。

 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願い申し上げます。

 議事に入るに先立ちまして、派遣委員団を代表して一言申し上げます。

 このたびの北海道佐呂間町における竜巻の被害によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

河本座長 黙祷を終わります。御着席願います。

 これより議事に入ります。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 当委員会におきましては、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案の審査を行っているところでございます。

 当委員会といたしましては、本案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、御当地におきましてこのような会議を開催することとなりました。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からそれぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、まず派遣委員を御紹介いたします。

 自由民主党の木村勉君、後藤田正純君、戸井田とおる君、石崎岳君、松浪健太君、民主党・無所属クラブの泉健太君、市村浩一郎君、逢坂誠二君、佐々木隆博君、公明党の田端正広君、日本共産党の吉井英勝君、以上でございます。

 また、現地参加議員として、松木謙公君が出席をされております。

 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 北海道知事高橋はるみ君、旭川大学大学院客員教授川村喜芳君、北海道奈井江町長北良治君、前北海道芽室町長常山誠君、以上四名の方々でございます。

 それでは、高橋はるみ君から御意見をお述べいただきたいと存じます。

高橋はるみ君 北海道知事の高橋でございます。

 冒頭に御礼を申し上げたいと思います。

 ただいま委員長の方から、先週、北海道において起きました竜巻被害に対しまして、大変に温かいお言葉をちょうだいすると同時に、黙祷をしていただくようにお声をおかけいただきましたこと、心から御礼を申し上げたいと思います。

 また、政府におかれましては、竜巻のございましたその当日に防災担当大臣にお入りいただきまして、また翌日には国土交通大臣もお入りいただいた後に、災害救助法の適用を初めとして大変迅速な対応をしていただきましたこと、心から御礼を申し上げたいと思います。

 さて、それでは私の意見を述べさせていただきます。

 本日は、道州制特区推進法案に関しまして、北海道の知事としての意見、考え方を聴取していただけるということでございまして、大変ありがたく、光栄に存じている次第でございます。

 道州制特区推進法案につきましては、私ども北海道が、地方分権改革を進める一つの先駆的な仕組みとして、その制定を強く望んだものであります。そのことを踏まえて、将来の道州制導入の検討に資する取り組みとして法制化作業が進められ、今まさに御審議いただいているものと認識をいたしております。御尽力された方々には大変感謝をいたしているところでございます。

 初めに、これまでの私ども北海道の道州制に対する取り組みについてお話を申し上げます。

 北海道におきましては、既に前知事の時代、平成十二年から有識者会議を設置して、将来、道州制になった場合の考え方などを整理、検討してきた経緯がございます。特に、北海道は、他府県との合併というプロセスなしに道州制に移行できる状況にあるというふうに認識をいたしておりまして、こういった検討の経緯が昔からあるところでございます。

 こうしたことから、これまでも、平成十六年の四月と八月、二回に分けて国に対して道州制特区に関する提案を行い、さまざまな議論を行ってきたわけであります。

 このたび、道州制特区推進法案が今国会で成立すれば、道州制特区を進めていく制度的な裏づけ、法的枠組みができることにより、地方分権をさらに前進させるステップになるものと考えているところでございます。

 次に、道州制特区推進法案に対しての私の考えをお話し申し上げたいと思います。

 まず第一に、法の目的についてであります。

 第一条において地方分権の推進を鮮明にしていることは、道州制特区の議論を方向づける上で大きな意義があるものと考えております。

 次に、その仕組みについてであります。

 法案の第六条では、地方側から内閣総理大臣に対し、閣議決定された道州制特区基本方針について変更提案ができること、あわせて、その提案に対し遅滞なく対応することを政府に義務づけていることなど、国と地方との関係において画期的なものとなっているのではないかな、このように考えているところでございます。

 さらに、道州制特区推進本部という国としての意思決定にかかわる場に知事が参画をし、同じテーブルに着いて議論することができること、また、国から道への権限移譲に伴う財源として、これまで国が要していた経費を補助金ではなく交付金で交付するとされていることなど、地方の自主性、裁量性に配慮した、これも画期的な制度設計がなされているのではないかと考えているところであります。

 このように、本法案は、地方からの提案に基づき国からの権限、財源の移譲を先行的に実施するなど、地方分権の一層の推進を図る上で大きな意義を持つものであると認識をいたしております。

 北海道議会においても二度にわたって法案制定の意見書が採択されておりますほか、全国知事会においても法律の早期成立を求めているところでございます。知事会では他県の知事さん方から、地方分権の入り口に立っている、あるいは、北海道に頑張ってもらって我々も応援すると言っていただいているところであります。

 さて、話はかわるわけでありますが、道といたしましては、道州制及び道州制特区については、道民の皆様方や市町村の皆様方の御理解をいただきながら進めていくことが何よりも重要であると考えてきたところであり、今もそのように考えているところであります。

 道州制のもとでの北海道の姿や自治のあり方などについて、これまでに、四百回を超える各界各層の皆様方との意見交換を積み重ねてきたところであります。特に、道州制特区推進法案につきましては、圏域単位で開催をしております地域意見交換会では、多くの道民の方々の御参加をいただいてきているところでございます。私や副知事などが直接対話をいたしますほか、市町村長や関係団体などへの説明や意見交換を行うなどして、道州制特区及びこの法案の意義などについてより一層御理解をいただけるよう、これまでも努めてまいりましたし、これからもその努力を続けていく所存であります。

 こうした中で、道民の各界各層からもさまざまな意見、検討の動きが出ているところでございまして、例えば道経連、北海道経済連合会、また青年会議所、観光連盟など、多くの団体も独自に道州制についての検討をされ、多くの御提言もいただいているところでございます。

 そして、私どもが道民各界各層の意見交換を続けている中で、八項目の移譲内容では不十分であるとか、財源が担保されるのかどうか心配などという発言の一方で、先日、ある町長さんからお話があったのでございますが、当初は、権限移譲される項目が非常に小粒なので、こんな内容であるなら意味がないと思っていたが、最近は考え方が少し変わった、一気に権限移譲を進めようとしても無理があるので、段階的に進めることが重要だ、そういうことで、最近では賛成論者になっているというお話もいただいたところでございます。

 次に、法案が成立した場合の北海道の取り組みということでお話をさせていただきます。

 道といたしましては、新たな権限移譲などの提案は、道民の皆様方や市町村、議会、経済団体など、幅広く各界各層からの御提言や御意見をいただく、また、いただいた御提言についてオープンに議論をし、その上で国への提案を取りまとめていく、そして関係市町村の意見を伺っていく、こういったことが重要であると考えており、こうした仕組みを位置づける条例の制定について検討を進めているところでございます。

 法律が成立した後の新たな提案につきまして、私といたしましては、本道経済の活性化や道民生活の向上を目指した提案を広く募集させていただき、道民参加のもとに提案を取りまとめ、国からの権限移譲等を積み重ねていくことで道民の皆様方にその意義を実感していただきたいと考えているところであります。

 例えば、今北海道では、本道の特性や資源を最大限生かして経済の活性化につなげるため、食や観光といった本道経済をリードする分野で、世界に通用する北海道ブランドの創出に向けた取り組みを展開いたしているところでございます。

 観光の分野におきましては、個性ある新たな観光資源を掘り起こし、付加価値をつけて北海道ブランドとして磨き上げていくことが重要だと思います。また、食の分野において、食の安全、安心の確保を基本としながら、食育の総合的な推進など、全国の消費者の方々が北海道の食を愛し、応援団となっていただくための取り組みを進めているところであります。

 そして、これらの取り組みは、従来の分野割り、縦割りの政策ではなく、観光、交通分野、あるいは食の安全、安心の分野に加え、例えば農業、環境などといったさまざまな分野の施策を広域的自治体が一体的に実施することで初めて最大限の効果を発揮することができるものであると確信をいたしております。

 今回の法案は、このような北海道という広域自治体が独自の施策を総合的に展開する際に、国からの権限移譲などを活用できるといった点で、がんじがらめの規制を打破して施策を展開していくための新たな武器、ツールになるものと考えているところであります。

 私といたしましては、こういった観点から道民の皆様方と幅広く意見交換、議論をして、北海道としての新たな提案を取りまとめてまいりたいと考えております。

 最後になりますが、私といたしましては、この法案の意義は、国からの権限移譲などを北海道が提案し、国と同じテーブルで議論し、実現していくという、地方側が参画して分権を進めていく新たな法的枠組みができることにあると考えており、まずはこの法案の早期成立を強く要望するところであります。

 そして、成立後は、新たな提案型の仕組みを十二分に活用して、道民の方々の参加のもとに、北海道が元気になる提案を行ってまいりたいと思います。

 以上、私の意見をお話しさせていただきました。よろしくお願いをいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

河本座長 ありがとうございました。

 次に、川村喜芳君にお願いいたします。

川村喜芳君 旭川大学の川村でございます。

 本日の公聴会、意見陳述の機会を与えていただきましたことをまず感謝申し上げたいと思います。

 それから、今回のこの道州制特区法案の作成に当たりまして、恐らく非常に厳しい状況であったと思いますけれども、そういう状況の中でここまでおまとめになった内閣府の皆様、そして高橋知事の御努力にまずもって敬意を表したいと思います。

 ただ、残念ながら、私としては何点かいろいろと不満のあるところもございまして、そういった点について、お手元に陳述要旨をお配りしてございますけれども、これに沿いまして三点ほど私の意見を申し上げたいと思います。

 私は、道州制の意義、私なりの理解では二つあると思っておりまして、一つは、やはり問題は国の地方支分部局のあり方であると思っております。

 長期的に言えば、これを廃止することによって、いわば二年置きに霞が関の官僚が辞令一枚持って北海道にやってくる、そういう官僚による北海道の官治行政を、道民が自分の手で選んだ知事のもとに執行し、道民の代表である議会の統制のもとに執行する、まさに官治行政から自治行政に転換することが大きな意味であろうと思っております。

 もう一つは、国の地方支分部局と都道府県との間の二重行政、三重行政、その無駄を廃止して、行政改革を徹底するということであろうと考えております。

 特に、北海道の場合、道外と違いまして、一道一局体制でございまして、産業政策、雇用政策、観光行政、総合交通政策等々、いろいろな分野で国の地方支分部局と道庁との二重行政が顕著に目立っております。北海道開発局の場合には、もともと国の直轄公共事業を所管する官庁ということで設立された官庁でありますので、その限りにおいては道との二重行政はないはずでありますけれども、ここ十年ほど、いわゆるソフト事業ということで、産業行政とか新技術の開発支援であるとか観光でありますとか、いろいろ幅広い行政分野に進出をしてくるという中で、まさに今日、道庁のほか経済産業局、運輸局、開発局、労働局と、いろいろな役所にある二重、三重の行政の無駄が見られるようになっております。

 道の提案を見ますと、もう何年か前の提案でありますけれども、こういった機能統合すべき地方支分部局としてたしか十一の部局を上げておりました。これをまず北海道総合行政庁として十一の部局を統合する、その上で道庁と統合するんだという、いわゆる二段階方式の提案をしております。しかも、これを十年、二十年という長いスパンの間でなし遂げよう、こういう提案でありますけれども、私の考えとしては、ちょっとこれは回り道し過ぎるのではないか、時間のかけ過ぎではないのか。もっと道民の目にはっきり見える形で、スピードアップすべきではないのかというのが私の考えであります。

 法案を見ますと、十条で「法令の特例措置の適用」というところがあって、ここでいろいろと法律の特例措置をとることができるんだというものがございますけれども、例えば、国土交通省設置法三十三条というのがありまして、ここに北海道開発局の所掌事務が決められております。その中に、いろいろありますけれども、例えば、北海道の区域における開発に関する総合的な政策の企画立案、推進に関することというのがある。これは、場合によっては、運用次第によっては第二の北海道庁がそこにでき上がるということにもなりかねないと思うわけであります。

 私としては、この特区法案の第十条以下の法令の特例措置、これによりまして、国土交通省設置法の特例として、こういった今申し上げたような規定は設置法から削除をするということも可能ではないのか、検討すべきではないのかと思っております。

 それから、経済産業局でありますけれども、これも、経済産業省の設置法によりまして非常にたくさんの事務事業がありますが、一例を挙げると、産業立地、産業公害、消費者行政、中小企業振興、エネルギー政策、ガス、火薬類の取り締まり等々、これは御承知のとおり、いずれの都道府県もそうでありますし、道庁、道庁経済部において現在執行している事業、完全にそこのところは重複する分野でございます。

 これについても、こういった重複部分は解消するという趣旨のことを、経済産業省設置法の改正という形で、今回の特区法の十条以下の規定によって、そこの特例を設けるということも検討すべきではなかろうかと思っております。

 今回の第十条以下の法令の特例措置、六項目ほどありますけれども、いずれも小粒である。一体これが道州制の全国の先行モデルなんだろうかという不満の声があちこちから聞こえてまいります。やはり、これこそ道州制なんだという、はっきり目に見える成果、目に見える形の改革をすべきであろうというのが私の意見でございます。

 それから、三点目が道州制特別区域推進本部の構成についてでございますけれども、推進本部につきましては、基本方針の作成でありますとか、特定広域団体からの提案を審議するといったような非常に重要な役割を担っておるわけでありますけれども、この特区法案の第二十五条を見ますと、本部員は、「すべての国務大臣をもって充てる。」こうなっております。

 しかし、国務大臣はそれぞれの所管する省庁を代表する立場の者でございます。それぞれの省庁の利益を代表する大臣全員にその調整を任せたのでは、仮に特定広域団体から大胆な提案が出たとしても、恐らく、それぞれの省庁の既得権益、権限を守ろうとする官僚の抵抗によって、提案が骨抜きにされてしまうということは十分考えられる、予想されることでございます。

 昨年の三位一体改革は非常に成功いたしました。官僚が何十年にわたって絶対に手放そうとしなかった補助金、四兆円の補助金の廃止が実現いたしました。それで、三兆円の税源移譲という改革の成果が出たわけでありますけれども、これは成功した理由は、関係大臣に任せないで、利害関係のある関係大臣を全員外して、総理をトップにして、完全に第三者で固めた。総務大臣とか財務大臣とか、いわゆる民間議員という方とか、学者、研究者とか、そういう方々だけで経済財政諮問会議を固めて、利害関係大臣の一切入らない第三者だけによる経済財政諮問会議に事実上の決定権を与えたということが、戦後何十年も達成し得なかった補助金の削減という成果をかち取った大きな理由ではなかったかと思います。

 私は、官僚の代弁者である各省大臣の協議に任せたのでは、省庁の権限をはぎ取って、これを道州政府に移譲する、こういう大改革は到底期待できないと思いますので、推進本部のメンバーから直接の利害関係者である各省大臣は一切外して、総理を議長とし、官房長官、道州制担当大臣、総務大臣、あとは第三者としての学者、民間議員、それと参与として参加される高橋知事、こういったメンバーだけで、十名程度のメンバーをもって推進本部を構成する、こういう形にすべきではなかろうかと考える次第でございます。

 以上でございます。(拍手)

河本座長 ありがとうございました。

 次に、北良治君にお願いいたします。

北良治君 御紹介賜りました奈井江町長の北でございます。

 本日は、道州制特区推進法案の審査におきまして、公述人として意見を述べる機会をいただきましたことを感謝申し上げる次第でございます。

 私ども奈井江町は、北海道の米どころ石狩平野の、ちょうど札幌と旭川の中間に位置いたし、人口が七千人弱であります。道内の多くの自治体と同様に、近年、人口の減少や高齢化が進んでおりますが、行政サービスの効率化と質を高めるため、平成十年に、介護保険、国民健康保険、老人保健等を含めながら、近隣一市四町と空知中部広域連合を立ち上げ、現在、共同で進めているところでございます。

 また、広域連合以外にも、隣の町、二万人ぐらいの人口になりますが、砂川市の中核病院、北海道は医師不足、医療問題、大変深刻な問題でございますが、病院同士、病病連携をとらせていただき、多様な自治体間連携の強化を進めているところでございます。

 一方、市町村合併につきましては、旧法下においては結果として合併には至りませんでしたが、現在、新法下における道の合併推進構想に基づきながら、新たな組み合わせにより研究会を設置いたしまして、鋭意議論を交わしているところでございます。

 住民とのかかわりにおきましては、地方分権が進められる中、町民とともに意識改革に取り組むべく、平成十七年には奈井江町まちづくり自治基本条例を制定いたしました。情報の共有、住民参加を追求いたしまして、住民自治の強化に主眼を置いて町づくりを進めているところでございます。

 本日は、こうした町の現状を踏まえて意見を述べさせていただきますが、まずは、道州制特区推進法案と並行して昨年六月、北海道庁は道州制推進道民会議を設置いたしましたが、私もその一員に加えていただきまして、議論に参加してまいっておるところでございます。この中で私が一貫して主張していることを申し上げます。

 この道州制については、地方分権の観点から、いわゆる住民参加を基本としつつ、どう行政サービスを高めていくか、どう自治を高めていくのか、そこに視点を置くべきであるということであります。可能な限り、住民の最も近いところに権限、財源を置きながら、自主的、自覚的地域自治をつくることが国の発展にもつながるという観点から道州制、そして道州制特区を検討すべきと考えておりまして、国の財政再建のいわゆるツールとして使われては困るということを申し上げておきたいと思います。

 道内における分権といたしまして、この道州制の議論と並行して道庁では、二千項目にわたる事務事業、権限をリストアップいたしまして、その移譲について道内市町村との協議を進めております。奈井江町においても、農地法に基づく事務など、これまで十の事務、三項目の移譲を受けまして、来年四月以降、十数項目の事務事業を受ける予定になっております。

 また、当町に事務局を置く空知中部広域連合においても、指定居宅介護支援事業者にかかわる事務などの移譲を受けておりまして、これまで道内分権を協議した中で非常に重要と考えることの一つは、役所の机上の許認可に関する権限だけでなく、住民に見えるもの、住民が実感できるものが必要だということであります。

 そこで、当町では、近隣自治体との連携によりまして、道道の維持管理について道庁に申し入れを行いました。

 北海道においても、冬場の除排雪を含めた国道、道道、町道の維持管理は、道路法に基づきましてそれぞれ別々に実施しているのが現状であります。奈井江町は、明治の開拓におきまして道路は碁盤の目に整備がなされました。これと同時に、国道と道道、町道が相互に交差いたしております。道道は、五路線、総延長にいたしますと三十二キロぐらいになりますが、町内だけでなく四つの自治体とつながっております。

 町道の除排雪につきましては、従来から、行政と住民そして業者の三者による計画を立てながら、住民の意見を組み込んだ手法で実施をいたしております。しかしながら、国道、道道、町道におきましては、それぞれ作業にタイムラグがございまして、住民から、交差点に残る雪の処理などに苦情が寄せられます。その都度、道道、町道区別なく対応をしていた経過がございます。

 こうした現状から、一昨年以来、道庁建設部、土木現業所と協議を進め、分権担当の地域主権室にも調整に汗をかいていただきました。来年四月以降、モデル委託として隣町の浦臼町とともに六路線、二十五キロメートルの管理を行うことになりました。道道、町道をそれぞれが面として管理することによりまして、さらに効率的かつ住民ニーズに合った対応が可能になると考えております。

 こうした実例を住民が目の当たりにすることによりまして、道と市町村の役割分担、分権の効果について理解が深まり、結果として行財政改革に結びつくものであると考えております。

 法案につきまして、今回示された法案を見ますると、その趣旨に、地方分権の推進、あるいは北海道の自立的発展に寄与するものと記されております。基本的な考え方は評価するものでありますが、ここに記された八項目はやや小粒と言わざるを得ないわけでございまして、今後、地域の課題を加味しながら新たな項目をふやしていく努力が必要だろうと思います。

 また、今後の展開のイメージといたしまして、特定広域団体となります北海道が市町村の意見を聞いた上に提案していくこととなっておりますが、これらの議論をよりオープンにしながら透明性のあるものにすることが適正な法の運用につながるものであり、何よりそれが市町村、地域住民の道州制協議への参加に欠かせないものと考えております。

 私どもは、厳しい財政状況の中、住民とともに自己改革にも努めております。今回の特区法案、将来にわたる道州制の議論、直面する市町村合併の問題、それぞれ切り口は違うものの、住民自治を高める手法、自立的発展のツールとして地域事情を加味しながら検討し、自治の向上、課題の解決につなげていきたいと考えております。

 先ほど申し上げました道道のモデル委託の検討とあわせて、奈井江、浦臼両町では、来年度からの町営バスの共同運行についても今話を進めております。これは、高齢者や通学の足を守る観点ばかりでなく、地域医療連携、高校の配置問題とも密接にかかわってくる問題でもあります。

 また、本年の障害者自立支援法の改正によりまして、障害程度区分の審査会の設置が自治体に義務づけられましたが、これまでの経過から、中核病院である砂川市立病院の協力を得て、必要な精神科医を確保しながら、空知中部広域連合で審査会を設置することができました。

 このように、道内分権、あるいは制度の改正においても、地域の知恵と工夫、協調が重なりまして、現実にさまざまな相乗効果を上げているものもあります。こうした流れが地域の自立を醸成し、ひいては行財政改革、必然的にはまた広域連合、市町村合併にもつながるものだと思います。

 道州制議論においては、国の出先機関の見直し、あるいは市町村に対する行財政改革をさらに進めるためではないかなど、不安視する道内の報道もございます。それぞれ市町村も不安視されているところも事実でございます。

 今後の議論に当たっては、単に国と都道府県のやりとりでなく、ぜひ、住民や地域が自治の主体であるという観点、理念に立ちまして、権限、財源の移譲をしっかり検討していただきたいとお願いを申し上げます。そして、その思い、手法を道民に逐一発信することにより、道州制特区あるいは道州制の道内議論がさらに高まっていくことを期待いたしておるところでございます。

 以上、私の意見とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

河本座長 ありがとうございました。

 次に、常山誠君にお願いいたします。

常山誠君 私は、ことしの七月まで三期十二年間、芽室町長を務めていたほか、その以前は、三十二年間、北海道職員として勤務した経験を踏まえ、道州制特区推進法案に関して意見を述べさせていただきます。

 私は、近年における地方分権時代の動向から見て、我が国が真の分権国家に転換し、地域主権型の地方自治の仕組みを確立するためには、国と地方の役割分担を抜本的に改めようとする道州制の導入は望ましいと考えております。道州制の導入により、国から地方へのさらなる権限と財源の移譲により地方の自由度と責任が拡大すること、都道府県を越える広域的課題の対応が可能になること、国の地方出先機関と都道府県との重複行政の解消により国と地方との行革や組織のスリム化等が図られるなど、効果は大きなものがあると思います。

 このため、道州制特区推進法案により、本道を対象に道州制をモデル的、先駆的に実施することは大変意義のあることであり、高橋知事を初めとする道関係者及び国会議員、さらには道と各省庁との調整に御努力された内閣府の担当者に心から敬意を表する次第であります。

 しかし、最終的に本国会に提出されているこの法案の内容は、道民や市町村長、知事を初めとする道などの意向、要望などが反映されているものとは到底言えないというふうに私は思っております。また、第二十八次地制調の答申の内容や、さまざまな関係者等が提案してきた道州制の理念、内容等から見ても、この法案が将来の道州制のモデル的、先駆的実施と果たして言えるのか、甚だ疑問であります。

 その理由はいろいろありますけれども、二点申し上げますと、例えば、道がこれまで国に要望してきた権限移譲項目が余り取り入れられていないのではないかというふうに思っております。道は十六年四月と八月に二回にわたって、国に対して二十二項目の権限移譲を要請いたしました。そのほか、連携・共同事業、規制緩和など五十二項目もありました。しかし、その後、内閣府の担当窓口を通じた協議調整の結果、権限移譲を伴わないものについては一定程度認められたものがありますが、最終的には権限移譲はわずか八項目であります。

 二点目は、第二十八次地制調の答申によりますと、国から道州に権限移譲事務として望ましいものの事例として二十一項目を掲げておりますが、今回の道州制特区法案の八項目については、この二十一項目に該当するものがほとんど見られないのではないかというふうに私は率直に思っております。

 また、特区法案に掲げた八項目は、来年度以降速やかに施行されるのではなくて、ソフト事業中心に五つの事務事業は十九年度から実施されるようでありますが、砂防事業、開発道路、二級指定河川の三事業は四年後の平成二十二年からの予定となっています。確かに、移譲には国と道の準備がある程度必要でありますけれども、それにしても、余りにもその期間が長過ぎるのではないかというふうに思っております。

 さらに、開発道路に係る事業など四項目のハード事業は、従来の国の補助負担分は道に交付金として交付することになっていますが、この交付金額の算定は、主務省令で定めるところにより予算の範囲内で定めるとなっております。しかし、私がこれまで経験した実感から申し上げますと、国の補助金や交付金の省令基準や補助基準は、国の財政事情に応じて、ある程度それに合わせた形で改正されるケースが非常に多く、結果として地元の超過負担を招いているのが実態であります。

 単純に比較はできませんけれども、かつて私が芽室町で経験した事例を申し上げますと、平成十六年に、農村保育所運営費補助金、九カ所でありますけれども、これは国から補助金は三千百四十一万七千円いただきました。しかし、制度の仕組みが変わって、平成十七年度には交付金になり、名前も次世代育成支援対策費交付金になりました。その金額は大幅に下がって、一千八百万円に減額をされました。いわば四三%削減されたわけでありますけれども、国に照会したところ、国も金がないんだから、その辺いろいろ我慢してほしいというのが率直な意見でありました。こういう矛盾がありますから、私は、実態からいって交付金というものを必ずしも信用しておりません。

 それから、道は将来の道州制導入に備え、平成十七年四月から、道の権限や事務事業二千二百件余りを市町村へ積極的に移す作業を始めております。しかし、その受け皿となる市町村は、行革での人員削減や、北海道の場合は合併が余り進みませんでしたので、六割が一万人未満の小規模自治体が多いことから、道からの権限移譲には極めて消極的であります。その結果、平成十八年度では、この二千二百件のうち、それを受けますというふうに受け入れたのはわずか一六%の三百六十件であります。

 したがって、私は、この道州制のモデル事業を実施する場合、急には難しいかもしれませんけれども、本州ではかなり合併が進んで基礎的自治体の規模が大きくなりました。しかも、県によっては、合併の進んだところは十五ぐらいしか市町村がないんですね。特に、北陸、中国、四国あたりは二十前後の市町村というのが非常にふえた。そういうところこそ、まさに基礎的自治体の行政を補完するような県の役割が高まるんだと思います。

 したがって、北海道でやっても、これはもう走っていますからいたし方ないんですけれども、そういう県の体をなしていないと私は思うので、十五ぐらいの市町村で一県だとか二十の町村で一県ということにはならないのではないかな。県の合併というのはなかなか難しいことでしょうけれども、道州制ということになりますと、そういうことも改めて検討する必要があるだろうというふうに思っているわけであります。

 しかし、この特区法案は、今臨時国会で成立の見通しにあるということが報道されておりますので、この法律施行後も、常に、道や市町村、さらには広く道民の意見や要望、さらには、本道の実態を反映する法案に、そして中身のある法案に見直して改正を行うことを強く要求していきたいと思います。

 こうした対応、措置を通じて、本道での特区法案の先行実施が今後、道民や道庁その他道の関係者から高く評価をされ、また、国で今後検討される道州制ビジョン等の参考になるような内容、換言すれば、名実ともに関係者から評価される内容になることを強く期待して、私の意見発表とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

河本座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

河本座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎岳君。

石崎委員 自由民主党の石崎岳でございます。

 陳述人の皆様方におかれましては、貴重な御意見の御開陳、まことにありがとうございます。それぞれ大変有益な、そして参考になる意見ばかりでありまして、大変勉強になりました。ありがとうございました。

 私も、先日、十一月一日の衆議院内閣委員会で本法案について一時間にわたって質問をさせていただきました。私自身が自民党の道州制調査会におきましてこの道州制特区構想にずっとかかわってまいりまして、その議論の成果としてこの法案が提案をされているところでありまして、議会の質疑というものを大変私もうれしく思っておりますし、きょう、こういう公聴会で道内の意見が拝聴できるということも大変うれしく思っております。

 この法案というのは、私は、基本的には道州制特区構想の、制度の仕組みを整える、法的な根拠を与えるスキーム法案というふうに認識をしておりまして、根幹は、道から提案ができるということ、提案権を認めたということ、そして、総理大臣を初め国と地方、本部において知事が参加しての議論のステージを明確に設定をしたというところに大きな意義があろうかというふうに思っておりまして、そういった意味では、中央集権体制に風穴をあける意味でも、とにかくスタートをしてみる、やってみる、トライをするということに大きな意義があり、このスキーム法的な法律自体をネガティブにとらえる必要は私は全くない、そういう要素はないというふうに認識をしております。

 きょう、四人の皆様の御意見を拝聴していても、この改革の方向性を否定するという御意見は一切なかったというふうに思います。この法案が持つ限界といいますか問題点、足りない部分、そういったことについて御指摘をいただいたと認識をしておりまして、今後、この法律が成立した後に道からの提案という形で、より中身を積み増していくという可能性はもちろんありますし、将来、また状況が変わればこのスキーム自体も変更していける、そういう可能性を十分担保していると私は思っておりまして、四人の先生方の御意見は非常に貴重な御意見と認識をしております。

 そこで、質問をさせていただきたいと思いますが、高橋知事にお伺いをしたいと思います。

 よく国会でも、あるいは自民党の中でも随分議論をしたポイントでありますけれども、道州制そのものと今回の道州制特区構想、あるいは、道州制をこれから議論していく上でこの道州制特区推進法案というものをどう生かしていくのか。道州制と道州制特区の関係、これを知事はどのように考えておられるでしょうか、お聞かせください。

高橋はるみ君 お答えをいたします。

 先ほど御説明申しましたとおり、この道州制特区法案、私どもからも強く要請をさせていただいた結果、今こういった法案提出、御審議ということになっているわけでございますが、道州制特区と道州制そのものの関係につきましては、道州制というのは、やはり将来の分権の行き着く究極の姿としての一つの形であろう、このように思っております。

 そして、そのことの実現に向けて国民あるいは私ども道民の理解を一歩一歩進めていくために、今の都道府県制のもとでできる形での権限、財源、パッケージとしての移譲、そういったことを一つ一つ積み重ねていく努力というのがこの道州制特区であり、それを実現していく仕組みとしての道州制特区推進法案ではないか、このように私自身は理解をさせていただいているところでございます。

石崎委員 重ねて、高橋知事にお聞きしたいんですが、今回は、推進本部の中で参与として北海道知事が議論に参画をするという仕組みになっております。参与ということで、これも先般の内閣委員会で私も政府側の見解はいろいろただしました。知事の気持ちとして、この推進本部における参与の位置づけ、権能、これをどうすべきだ、こうあるべきだという知事のお考えがあれば、披瀝していただきたいと思います。

高橋はるみ君 ありがとうございます。

 道州制特区推進本部に北海道知事が参与として参画をすることが政令で制定されるということが、さきの審議の中で明らかになっているわけでございまして、私ども地方の立場から申しますと、道州制という分権の一つの姿の進め方の中で、国に対して地方から提案をし、その提案をする地方サイドが国と同じテーブルに着いて、しっかりと議論して意思決定に参画をしていくということは、意義深いことであろう、このように思う次第でございます。

 また、私ども地方サイドの思いとしては、道知事に加えて、全国知事会を代表する知事の参画というものもぜひお手当ていただければということは強く思っているところでございます。

石崎委員 川村先生にちょっとお聞きしたいんですが、先ほどの先生のペーパーの第三項目、今の推進本部の構成について、関係する国務大臣が参画をしていれば提案が骨抜きになるという御意見ですね。

 これは、我々も危惧するところであります。先般の国会質疑でも私、そのことについても質問をさせていただきました。ただ、これは逆に、権限移譲を議論する場合に、その関係する国務大臣が参加しない議論をやっていいのかどうかという懸念もあるわけですね。

 ですから、全閣僚が参加した推進本部、そこに知事も参画しているという場で、オープンな中で権限移譲のあり方がどうあるべきかということを全体で議論して、その権限を守ろうとする大臣の姿勢というものが、全体から見て、これはおかしいぞ、言っていることがもう理屈に合わない、そういう批判を受ける、その議論が、その議論の過程というのがまた一つ重要ではないかというふうに思います。

 つまり、省庁の利益だけを代弁するような当該大臣の主張というものはもう認められないんだ、そういう議論のプロセスもあるべきではないかと思いますが、先生、いかがでしょうか。

川村喜芳君 そのような形で関係大臣がよく話し合いをし、意見が一致するということになると、これはもう理想的でありまして、最もそれは望ましいところだと思いますけれども、戦後六十年の我が国の歴史を振り返りますと、経験からいって、そういうことはまず期待できないのではないかと思われるんですね。よく話題になっている、閣議にかける前に必ず事務次官会議がある、事務次官会議でただの一省でも反対したら、もう閣議にも上がらないんだ、そういう伝統がずっと何十年も続いている。

 先ほど申し上げました経済財政諮問会議、これも、官僚は補助金を削るなんというのはとんでもない話だと断固として抵抗したわけなんですけれども、結局は、利害関係を持つ各省大臣をだれ一人入れない、一切外して、小泉総理のリーダーシップで、第三者で固めた経済財政諮問会議に強大な権限を与えた、そこでもう事実上決めてしまったということがあの大改革が成功した原因であったと思うので、そういう方式をとらざるを得ないのかなというのが私の考えでございます。

 すべての大臣が集まって、きちっと話が決まればこれにこしたことはないですが、私は、これはもう九九・九九%期待できないと思っているわけです。

石崎委員 高橋知事に同じことをお聞きしたいんですが、道の提案の十三項目の権限移譲議論も、大変な抵抗があり難航して、最終的な形がこの法案に盛り込まれているわけでありますが、今の川村先生のお話に関連して、そういう推進本部の構成に対する懸念というのは、知事はお持ちですか。

高橋はるみ君 経済財政諮問会議が現在とても機能しているというのは、私もマスコミ報道等を通じて十分に理解をしているところでございますが、法律上のその強力度というんでしょうか、位置づけとしては、諮問会議はやはり諮問会議だと思うわけであります。

 一方、この法案で位置づけてございます道州制特区推進本部は、これは法律に基づく、閣僚から成る組織でございまして、そこが検討の場であり、意思決定の場であり、そして実施の場であるというものを法律の中で位置づけをしっかりとし、その場に道知事も参画をして同じテーブルで議論をするという仕組みというのは、私は、推進のやり方としてはこの方がより強力なものではないかと思うわけであります。

 しかしながら一方で、こういった推進本部の役割を実施する上で、それを補完するような形で民間の有識の方々にもお入りいただくアドバイザリーボードのようなものができることは、この推進本部における議論、決定あるいは政府としての実行ということの効果をより高める意義はあるのではないかな、このように理解をするところでございます。

 それから、もう一つでございますが、確かに、各省庁の事務方の方々は各省の利害を代表してさまざまな発言をされるかと思うのでございますが、その代表である大臣あるいは副大臣、大臣政務官、いずれも政治家でいらっしゃるわけでございますので、その方々すら政治家としての大所高所の判断ができないということを私は申し上げる立場にはないと思います。それぞれの大臣が、それぞれのつかさつかさの仕事を踏まえる中で、また一方で国民経済的、国民社会全体の中における政府あるいは国のあり方という大所高所の判断をしていただける、このように一国民として確信というか願っているところでございます。

 その意味でも、推進本部におけるメンバー構成というのは、こういった分権、道州制を進める議論の上では有意義なものではないか、このように考えております。

石崎委員 北町長にお伺いします。

 先ほど常山前町長のお話で、交付金制度については、国の財政の限界があるから、実際問題としては大変厳しいんだぞというお話がございました。それから、国から道へ、道から市町村へという事務事業の移管の中で、国と道の関係の中での交付金の問題はありますが、道と市町村の関係の中における財源措置というものがしっかり担保されるかどうかという問題もあろうかと思います。

 先ほど常山前町長が御指摘になった交付金の問題点、それから、道から市町村への事務事業の移譲に伴う財源措置についての御懸念等はありますでしょうか。

北良治君 今のお話でございますが、交付金の問題をまず申し上げたいと思います。

 やはり交付金そのものの本質は、私から申し上げるまでもなく、自由度、裁量権を幅広く与えられる、そして、そういった地方のニーズに対応できるという意味では大変貴重なものであると思います。ただ、交付金として位置づけましたよと言いながら、なかなかそこに入っていないという実態が今までもありましたから、その面の懸念というところはありますけれども、いずれにいたしましても、交付金制度をきちっと担保しながら、権限、財源と同時に移行するということが最も大切なことだと私は思います。

 それからいま一つは、道内分権、道からの分権改革の問題でございますけれども、私どもは、先ほども道道の管理等の例を申し上げましたが、これは財源もセットで移行していただくということは話し合いの中に当然含まれておりますし、進行いたしているところでございます。

 以上でございます。

石崎委員 時間が参りました。

 今回の法案について、ぜひ前向きな、ポジティブな見方の中で中身を強化し、積み上げていく、そういう議論をこれからもやっていきたいと考えております。

 ありがとうございました。

河本座長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 私も実は北海道の出身でございまして、高校までずっと石狩で過ごしてまいりました。その意味からも、またこの道州制は、北海道選出の議員のみならず多くの国会議員、また各党それぞれが大変強い関心を持っている問題だというふうに思っています。

 この法案につきましては、いろいろと法案質疑の中で疑義も出ておりますけれども、北海道限定法なのか、それとも全国に事実上本当に広がる法案なんだろうかというところが一つの焦点になっているところです。

 そういった意味で、きょう、我々は四人の質問者を立たせていただくことになっております。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、我々がこの法案を考えるに当たって、第一条のところを見ておりますと、「広域にわたる行政の重要性が増大していることにかんがみ、」この理由が一番最初に来ております。ある意味、広域行政の必要性のみを理由にしているというところがあるのではないか、本来的な地方主権ということがこの第一条に書き切れていないのではないかというふうな思いを持っております。その意味で、知事の御見解をお伺いできればというふうに思います。

 そして、私の持ち時間は五分なものですから、最初に質問をずっとさせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 憲法九十五条の関係も指摘をされております。先ほども申しましたように、特別法ではないかということ、そして住民投票が必要ではないかということが言われているわけですが、その一方で、この憲法九十五条にかかわらず、私は、多くの道民が望んでいるのは、これだけの大きな法案であれば、やはり住民投票という手続を道として独自に考えることも含めてやっていくべきではないかというふうに思います。このことについては、四名の皆様それぞれにお伺いをさせていただきたいと思います。

 さらには、これは知事に少しお答えづらいお話かもしれませんが、きょうは教育問題の地方公聴会も札幌で行われております。その中で、稚内のタウンミーティングにおいては大変残念な問題が発生をしております。そしてさらに、本日の報道では、再チャレンジのタウンミーティング、札幌で行われたものについても疑義が寄せられているという状況の中で、そういったタウンミーティング、そしてまた北海道が行ったそれぞれ四百回の、これは大変重要な位置を占めていると思いますが、意見交換会におきまして、やはりその中身が問われている状況に今あるのではないか、世論がそういったことに関心を寄せているのではないかというふうに思っております。

 その意味で、いわゆる質問項目を事前に選んでおく、あるいは動員を多数に呼びかける、そういったことが道内の意見交換会ではなかったのかどうか、このことについても知事にお伺いをしたいというふうに思います。

 そして、最後の質問でありますけれども、常山前町長からお話がございました、六割は一万人以下の自治体であるという点でございます。北海道におきましては、道から自治体への地方分権ということで二千の権限がリストアップをされたわけですけれども、今回の法案とその分権の二千というものを照らし合わせたときに、今回の道州制特区というものが本当に十分な内容なのであろうかということを常山前町長にお伺いさせていただきます。

 そしてまた知事としては、この二千の項目についてはこの法案にかかわらず積極的におろしていくことができるのか、あるいは、先ほど常山前町長からお話がありましたように、自治体の規模が小さいということでなかなかおろしていけない状況があるのかということをお伺いしたいと思います。

 質問がたくさんになりましたが、私からは以上でございます。

高橋はるみ君 それでは、私には四つ御質問があったと理解をいたします。

 一つ目、法目的についてでございますが、私ども地方の立場、これは先週ございました東京におきます参考人聴取の際に石井岡山県知事からもあったかと思いますが、道州制あるいは道州制特区推進の第一の目的は、地方分権のため、このように考えているところでございます。

 そして、そのことを実施、実行する過程において、当然、先ほど来さまざまな議論も出ておりますとおり、二重行政の解消ということが進んでいくわけでありますので、結果として、国、地方を通じての行政改革にも資するものであるというのが私の考え方でございます。

 それから、二番目でございました憲法九十五条との関係についてでございますが、この法律自身についてどうするかということは国会でお決めになることでございますので、私自身、答える立場にはないと思いますが、個人の意見を申し上げさせていただくとすれば、法律案自身は一般法でございますので、住民投票は必要ないのではないかなというふうに思う次第でございます。

 その上で、道としては、この道州制について私どもは、法律ができれば特区第一号として手を挙げて道で実施をさせていただくということを考えているところでございまして、その意味で、これまでも道民議論を十分にやってきたつもりでございますが、さらに道民議論を十分に続けていくということは当然やっていかなければならないし、やってまいりたいと思っているところでございます。

 そのために、私どもは、第二、第三の提案に向けて道民の方々の幅広い御提言をいただき、それをオープンな形で議論していくための条例の制定ということを検討させていただいているところでございます。

 三つ目は、タウンミーティングについての御質問だったと思います。

 北海道の中では、道州制をテーマとしたタウンミーティング、今年の八月下旬でしたか、日本で一番北の市でございます稚内市において、当時の竹中大臣が来られて、あったわけでございます。私自身はちょっと参加はさせていただきませんでしたが、さまざまな議論があったというふうに報告を受けているところでございます。

 そして、その際についてでありますが、国からの依頼を受け、道からテーマに沿って人選を行い、本人の内諾を得て一名を推薦したという事実はあるわけでありますが、発言内容を指示する、あるいは質問を用意するといった、今日、現在問題となっているいわゆるやらせ発言はなかった、このように承知をいたしております。

 それから四つ目が、道内分権のこれからの進め方についてという御質問だと思うわけであります。

 確かに、北海道は広域でございまして、現在、合併が進んでも百八十の市町村がございます。そして、その多くが一万人に満たない人口の自治体であるというのはそのとおりでございます。合併についてはいろいろな議論、我々も構想を示し、それぞれ個別に御相談に応ずるということもやっておりますが、何せ広域ということもあって、議論は今進んではいるけれども、なかなか形としての合併までに至るものが、全国との比較においては少ないというのは事実でございます。

 しかしながら、そういった中で、先ほど奈井江の北町長からもございましたとおり、さまざまな形で道内の市町村から、権限、財源移譲についての積極的な御提案もいただいているところでございまして、私どもはやはり、国から道への権限移譲と並行し、あわせて、道内分権というのでしょうか、道から市町村への権限移譲というものをきめ細やかに進めていきたい、このように考えているところでございます。

 一応お答えしたと思いますが、よろしいでしょうか。

川村喜芳君 住民投票でございますけれども、私個人の印象としては、法律の形が北海道だけに適用される法律という形をとっておりませんので、住民投票の対象となるべき法律なのかどうなのか。私はそこまでは考えておりません。

北良治君 今ほどの住民投票の必要性ということでございますけれども、この内容については、今川村先生からもお話がございましたように、全国的な取り組みだというふうにも伺っているところで、北海道だけと限定されたものでないということでございますから、そういう点では住民投票というのは問題があるのではないか。

 それから、やはり住民投票の前に、情報提供をしながら、北海道だけでやるとしても情報提供をする。例えば、先ほど私が申し上げたように、モデル的な事業をさまざま行いながら住民の実感できるような中で住民投票をやらないと、住民投票の対象としての理解度が本当に広まるかどうかと懸念しているところでございます。

 以上でございます。

常山誠君 まず一点の住民投票の件ですけれども、率直に申し上げて、この道州制なり道州制特区法案というのは、一般の道民の方はほとんど理解していない。私は、首長の中でも、あるいは市町村議会議員の中でも、これを十分理解している人は極めて少ないと思う。したがって、投票をやっても大して意味がないと思っております。やるのならば、少なくとも市町村長だとか有識者と言われる主な団体の皆さんの意見を十分きめ細かく聞く方が、私は賢明なやり方ではないかなというふうに思っております。

 二点目の、道から市町村への権限移譲、これは問題があるのです。率直に申し上げて、道は、国から権限移譲を受ける場合は権限と財源をしっかりセットでもらわなければ受けませんと言っているのですけれども、道が実際に二千項目を市町村に説明するときは、権限と財源の面倒を見ますと言っているんだけれども、実際にはごく一部しか面倒を見ていないのです。

 私どもの町でも、ことしからパスポートの交付申請を町の窓口ですることにしました。そのためには五十数万円の端末機器が必要なんです。それは、道庁は金がないから出せぬので、住民サービスのことをやるんだから町で持ってくれ、そのかわりパスポート一件当たり千三百五十円上げます。そういうような例で、ほかの幾つかの例も、私どもも受けようかなと具体的に道のそれぞれの担当課に聞いたら、まだ内容が十分固まっていないだとか、財政の面については十分保障できるかどうかわからないというのがあるのですね。その辺、道庁の幹部の方はそう言っていますけれども末端まで、そういう実態というのは理解されていないというふうに私は思います。その辺が私は問題だなと。

 それから、先ほど言った、人員が少なくなって、小規模な自治体では一人で四つも五つも仕事を担当しているんですよ。その内容を理解して住民に説明して適正な処理というのはなかなかできない、そういう実態にあるということも御理解いただきたいと思います。

 以上です。

河本座長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。五分いただきまして、質問をさせていただきます。

 本日はこうした機会をいただきまして、本当にありがとうございます。また、意見陳述人の皆様には、貴重な時間をいただきましてありがとうございます。

 私は道州制、大変賛成をするものであります。ただ、このたびの道州制特区については、本当に道州制を名乗るべき法律なのかどうか、これについてはやや疑問を持っております。

 やはり、これからの国のあり方を考えていくという中で道州制は語られるべきでありまして、残念ながら今の国会においての議論におきましても、熱がまだ足りない、こもっていないと思います。

 一方で、今の安倍総理大臣は、三年をかけてこれから道州制ビジョンをつくっていこう、こういう流れもあります。また、地方分権ということで、もうここ十一年ほどの積み重ねがあり、かつ、その地方分権という中でも道州制の議論は行われてきたと思います。しかも、これもこれから三年ということでありますので、やはり今の段階で道州制というのを名乗る法律をつくることが本当にいいのかどうか、これは大変疑問でありますが、その上できょうは御質問させていただきたいと思っています。

 まずは、今、政府の見解におきますと、道州制は広域自治体を前提としたものであって、連邦制は考えていないという意見でございますけれども、四人のきょうの陳述者の皆様の御意見を聞きたいと思いますのは、連邦制についてどうお考えかということをごく簡単にお答えいただければ幸いでございます。

 北海道は、日本の地図の中では北の果てというようなイメージもありますが、しかし、地球上全体を見渡しますと、北海道より緯度の高いところで十分発展した国や都市がたくさんあります。ということは、北海道が権限、財源を持ち、そして独立をするくらいの気持ちでいかれれば、十分に発展する余地はあるということでありまして、もちろんこれが将来の連邦制、北海道だけじゃありません、九州も、もちろん中国も関西もありますが、そうしたところがまず基本的に権限や財源を持って地域を運営し、その連合体として日本というこの国を運営していくということはいかがかというふうに思います。その辺について御意見をいただきたいと思います。

 また、内閣委員会の議論を通じますと、道民の皆さんの理解が十分に得られていないのではないかという意見も多々聞くところであります。これにつきましては、高橋知事からの御意見をいただきたいと思います。

 また、最後にですが、今回三十三項目の提案をされた、そのうち二十九項目は内閣府としては手当てをした、できているという発言があっています。

 そもそも、一番最初に提案された内容というのは、恐らく道として最もやりたいことであったはずだと私は思います。しかし、その最もやりたいことですら、法律がなくても、内閣府によりますと二十九項目は十分もう手当てできた、話がついたということでありまして、ということは、これからの流れの中で、今現在本当に道州制特区と名乗るような法律を必要とするのかどうか。できているわけですから、本当に法律を必要とするのか。では、もしできているのであれば、法律がなくても、もっと幅広い議論、もっと突っ込んだ議論をすれば、ひょっとしたらできることが多いのかもしれないということも言えなくもありません。それについても高橋知事の御意見をいただきたいと思います。

 私からは以上でございます。ありがとうございました。

高橋はるみ君 お答えを申し上げます。

 まず、連邦制についての考え方ということでございますが、日本国の将来の形というものをどういうふうにするかということについては、国民、道民各位、国会においても、またそれぞれの地域の議会においても、各界各層でいろいろな議論が行われるということを大いに期待するものでありますが、私個人としての現時点における認識を申し上げれば、日本のこれまでの歴史的な経緯、あるいは文化的な、あるいは国民の考え方などを総合的に考えた場合に、例えばアメリカであるとかそれからドイツもそうだと思いますが、ああいった形での連邦制というところまでいくということが日本国になじむのかどうか、やや私自身は否定的な考え方を持っているものであります。

 それから二つ目は、道民の理解を十分に得ていないのではないかという御質問でございます。

 先ほど来、あるいは国会でも御議論があったやに聞いておりますが、私ども道としては、さまざまな形での議論を展開させていただいているということをまずは申し上げたいと思います。

 そもそも、この道州制につきましては、先ほど冒頭に申しましたとおり、平成十二年から、私が知事になる前から有識者の方々に集まっていただいて、北海道が道州制になる場合にどういう形でやっていくべきかというさまざまな議論をし、「道州制 北海道発・分権型社会の展望」というレポートをもう既にまとめて公表をさせていただいているところでございます。

 そういった中で、さらなる議論という意味では、全部御説明する時間的ゆとりはないと思うんですが、まずは、道民の代表である道議会の場におきまして、特区法案提出に至るさまざまな過程におくことを含めて、通常の定例会に加えて二回の臨時会の開催をし、極めて活発な御議論をいただいているところでございます。

 そして、道議会からは二度にわたり、法の制定に関する意見書の採択もいただいているところでございまして、この中身については、多くの会派の方々の御賛同をいただいているという状況がございます。

 また、私自身の参画を含めて、四百回以上の地域との意見交換会ということをやらせていただいているわけでありまして、老人クラブとか農業者の団体、女性団体、それから高校生の方とか、本当に幅広くいろいろなところからお声がかかり、そういったところに私どもが出向いてお話をする、あるいは法案そのものについては圏域ごとの御説明会をさせていただく、そういった努力を続けさせていただいているところでございます。

 また、こういった中で、民間サイドでも独自の検討、議論も進んでいるところでございまして、例えば北海道経済連合会、道経連、それから商工会議所、観光連盟、青年会議所、それから純粋に民間の方々から成る道州制道民臨調といいましたか、そういう任意のグループなど、さまざまなところで御検討がされ、私どもに対する御提言もいただいているところでございます。

 それでも、先ほど常山前町長もおっしゃられたとおり、何せ五百六十万道民はおられますし、私どもとしてはこれで十分と思っているわけでは一切ございませんで、これからもさまざまな形での道民議論というものをしっかりと進めていかなければならない、このように思っているところでございます。

 それからもう一つが、道の提案が十分この法案に反映されているかという御質問だったと理解をいたします。

 提案が実現しているんだったら法案は要らないんじゃないか、ちょっと済みません、そこらあたり、御質問の趣旨がよくわからない部分があったんですが、この法案が道の提案を受けたものかどうかという点に絞ってお答えをさせていただきます。

 石崎委員も御指摘ございましたが、この法案というのは、四十条にも至る相当大きな法律の体系の中で、スキーム法という位置づけ、スキーム法の定義いかんと言われると私もつらいところはございますが、いかに国に対し地方サイドから提案をし、それをどういう形で国が真摯に受けとめて議論をして実現していくかということを定めようとしている法案ではないか、このように理解をいたしているところでございます。

 そして、その法案の一部分として、八項目に係る権限移譲、そしてそれに伴う交付金制度など、そういったような体系になっているところでございます。そして、私どもは、この法案は、これからさらに道州制特区ということで北海道活性化のためにさまざまな提案をさせていただくスタートラインとしての八項目である、このように理解をさせていただいているところでございます。

 そして、そのスタートラインから、この法案の案が取れた段階、法律になった段階では、先ほど来申し上げておりますとおり、条例を制定し、幅広く道民の方々の御意見を伺い、そしてオープンな形で議論を進めるプロセスを経て、第二弾、第三弾の提案をぜひしていきたいというふうに考えているところでございまして、そういった提案を国におかれては真摯に受けとめていただけるよう心から願うものでありまして、そういった点につきましても、内閣委員会の各委員の皆様方、ぜひこれからも、法案が法律になった後もしっかりと国をウオッチしていただきたい、このように思う次第でございます。

 以上でございます。

川村喜芳君 連邦制についてどう考えるかという御質問であったと思いますけれども、連邦制については、歴史的な経緯、成り立ちを考えなければならぬと思うんです。

 たしか、最初の連邦制国家がアメリカ合衆国、一七七六年に独立宣言発布したときは十三のそれぞれの国家、小国家群であった。これが、諸外国の脅威に対抗するためには十三のばらばら国家じゃまずいよというので一つの国家にまとまった。しかし、それぞれの十三の独立性は残したいということから、連邦制という政治制度が発明されて、世界最初の連邦制国家が成立した、こう理解しております。

 ドイツの場合も、これは御承知の、中世以来の小国家がずっと長い間分裂していったというあの国の成り立ちの中から、戦後、連邦制国家という形をとったわけでありますが、日本の場合には、そういう必然性はないのだろう。南北に長いとはいえ一つのまとまりを持った、単一民族と言うと怒られますけれども、そういう国家として、連邦制の必要性は極めて薄いと思っております。

 もう一つ、実利的な面で考えますと、連邦制国家になると、財政調整制度というのは、連邦間の配分というのは恐らく難しいと思うんですね、独立国家群ですから。あくまでも憲法上の地方公共団体という位置づけとしての道州であることの方が実態に合うし、望ましい、こう思っております。

北良治君 今、川村先生からもお話がありましたけれども、いえば、歴史的視点に立って、本当に日本に連邦制度が成り立つのか、そして生きていくのだろうか、こういうことを考えますと、やはり現状では非常に難しい。

 議論をしていくということについてはいいと思いますが、現実的問題といたしましては、今その議論をこの道州制特区の中に入れながら並行して議論していくということの実現性ということになりますと、非常に難しい面が出てくると思いますから、そういった意味で、現実的な問題といたしましては、日本の歴史、さまざまな成り立ち、そういったことを考えると、現実にこの議論を優先してするということは非常に難しい。

 そして、将来についても、なかなかそこに到達するという、理想は理想的なものがありますけれども、アメリカのようにステーツという形で、いろいろな面で国の成り立ちが違いがございます。そういった意味では、やはり地方自治体としていかにその中で権限、財源を譲りながら、そういった中で住民主体の議論を今していくことを優先した方がいいのではないか、私はそう考えております。

常山誠君 私は、連邦制は、日本のような比較的小さな国でやると、かえって複雑になる。例えばアメリカあたりですと、このほかに郡というのがあるんですね。郡によってまた仕組みが違う場合もあり、複雑になって、むしろ私は、こういう分権時代ですから、行政の組織を単純化すべきでないかな。かえって複雑になるので、そういう面で望ましくないなというふうに思っております。

 以上です。

河本座長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 きょうは、皆様、御苦労さまでございます。

 私は、道州制につきましては、分権の一つのある種の究極的な形であり、これは十分に検討に値すべきものだろう、しっかりと検討することが大事だというふうに思っております。

 しかしながら、今回の道州制特区法案に関しては、やはり相当に問題が多い。これをこのまま北海道に適用することについては、私としてはいかがなものかなというふうに思っております。

 まず一つ目に、分権という観点から考えてみますと、相変わらず自治体が国にお願いをして物を決めるという上下主従の関係、これがやはりこの法律の中でも組み込まれているということですね。分権という観点から見ても、十分とは言えない。

 あるいは、道州制という観点には広域行政というものがありますが、広域的な行政は、北海道の場合は、他の府県に比べればどちらかというと進んでいる方であります。例えば河川の管理も、県をまたがって河川を管理する必要がないわけでありますから、モデル的な事業を実施するのであるならば、他府県においてこそモデル事業というものが実施されるべきであろう。この点につきましては、十日の内閣委員会で井上参考人、関経連の方ですが、この方が明確に言っておりまして、モデル事業を広域的にやるのなら、北海道以外のところこそがモデル事業なんだという話をされていました。

 それからもう一つの点ですが、地域限定法であるか、あるいは日本全国に広がる一般法であるかの点についてですが、この点について、三県以上の合併が必要だとこの法の中では言われているわけですが、これについて、同じく十日の内閣委員会で岡山県知事が参考人として、現時点で県の合併というのは簡単ではない、きょうやあすにできるようなものではない、相当時間がかかるというようなことを言って否定的な見解を出されました。同じく関経連の井上参考人からも、県の合併ということをもし条件としてモデルをやらせるのであれば、それは無理だ、そういうような発言がありまして、そういう実態から考えてみますと、事実上、この法案は地域限定法と言わざるを得ないのだろうというふうに私は思っております。

 そういう点からしてみますと、これは、道州制という定義の非常にあいまいなオブラートにくるんでしまって、北海道が本来実現しなければならない分権ですとか行財政改革ですとか、あるいは広域行政という真の課題を少し隠ぺいしてしまうのではないかな、そんな懸念を私は持っております。

 そこで、若干お伺いしたいんですが、今回の法案の発端、それは、二〇〇三年の八月二十六日に当時の小泉総理から高橋知事に対して、道州制の北海道先行実施を前向きに考えてほしいと要請があったことに端を発しているというのが新聞報道などで言われております。しかも、総理と高橋知事のこの面談というのは、前の日の夜、高橋知事が台風十号の災害復旧の要請で上京中だったところをとらまえて、武部自民党幹事長から電話があって実現したものだというふうに聞いているわけです。

 この時点で、知事の方では、それをきっちりと受けとめられるよう準備に前向きな発言をしたということでありますが、私は、これほどの重要なものであるならば、そこで、検討をするとか、あるいはきっちりと、この点についてはもう少し時間をいただきたいとか、実はこれほどの大きな議論になるのであれば、そういう対応というのが必要だったのではないかと思うのですが、高橋知事、いかがでしょうか。

 なお、答弁は簡潔にお願いできればと思います。

高橋はるみ君 平成十五年の八月の下旬だったですか、ちょっと日は今手元にありませんが、あの年、八月に台風十号というのがございまして、日高、十勝、大きな雨が降りまして、大台風になりました。私はすぐに現地に入りましたが、これは激甚災害指定を含めて相当に国にも支援をしてもらわないと対応が不可能だというふうに思いまして、被害状況をまとめつつ、副知事等と手分けをして国に対しての要請活動も開始をいたしました。

 そういった中で、総理はなかなかお忙しいので、単独の県の知事の面会というのは受けないというのが通常だそうでありますが、たまたまお時間があいたので、私は、激甚指定の要請ということの一環として総理官邸にお邪魔をいたしたところでございます。

 そのときに、私も余り前のことなのでよく覚えていなかったので、その直後の記者会見録なんかを見て思い出していたんですが、災害対応の中で国と道が必ずしも十分に連携ができなかったというふうな経緯があったと。流木対策なり道路の管理なりそういった話。それから、雇用対策の話とか幼保一元、いろいろなことを話をした中で、総理の方から、道州制について提案をしてみたらどうかというお話があったのは事実でございます。ちょっと言いぶりまでは私は記憶にございません。

 その際に、私は、先ほど来御説明申し上げておりますとおり、平成十二年以降、道としては、一道一局という客観的な環境情勢でもあるということも踏まえて、さまざまな道州制についての検討を進めてきて、その結果をまとめてオープンにしていた経緯もございました。私どもとしては、これをぜひ実現したいということで有識者の会合を持って、道としても考え方を取りまとめておりましたので、その実現が早くなるということに何らちゅうちょする必要はないというふうに思いましたので、小泉総理からのお話に対して、では私ども道として提案内容をまとめて、しっかりと御提案を申し上げますということを申し上げたというふうに記憶をいたしております。

逢坂委員 私が聞きたかったのは、それは検討するというふうに言うべきだったのではないかという点に関して聞きたかったわけですので、もし時間があれば、それをまたお伺いしたいと思います。

 もう一つですが、憲法九十五条に関する住民投票ですが、これは一の地方公共団体のみに適用される特別法の場合に九十五条に該当するわけですが、この特別法の要件としては、特定の地方公共団体の組織、運営、権能について、ほかの公共団体とは異なる特例を定める法律の場合はやるんだということであります。

 先ほど来、高橋知事はこの住民投票に関して否定的な発言をされておりましたが、ということであるならば、今回の特区の提案というのは組織、運営及び権能に関することは盛り込まない方針なのかどうか、これを一点お伺いしたいということと、仮に北海道として組織、運営、権能に関するものを盛り込まなかったとしても、政令市である札幌市との関係が整理されておりませんので、反射的に札幌市の組織、運営、権能に影響を及ぼすことも考えられはしないか、そうであるならば、住民投票がやはり必要ではないかというふうに私は思うのですが、この点、いかがでしょうか。

高橋はるみ君 この法律自身について住民投票が必要かどうかというのは、国会でお決めになられることでありますので、私からお答えをする立場にはないと思いますが、個人的なことで申し上げるとすれば、確かに、北海道は一番手として手を挙げることを想定しているのは当然であります。しかしながら、他の県における適用ということを想定した一般的な法体系になっておりますので、この法案自身についての住民投票というのは、私個人としては、必要ないのではないかなということを申し上げたところでございます。

 しかしながら、私ども道の立場としては、法律ができた後、さまざまな提案を繰り返していく中では道民議論というのは十分必要であるというふうに認識をいたしておりますので、条例を準備した上で広く道民の方々の御議論を展開していく必要があるだろう、このように考えているところでございます。

 お答えになったかどうか。

河本座長 持ち時間が過ぎております。簡潔にお願いします。

逢坂委員 はい、大変申しわけございません。

 政令市との関係についてはいかがお考えでしょうか。

高橋はるみ君 今の、一般法であるということで、同じことだと思いますが。

 以上でございます。

河本座長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 時間をずっと押してきておりますので、私の時間が相当少なくなっておりますので簡潔にお伺いをしたいというふうに思います。

 ずっとこの論議を私も内閣委員会でやらせていただいてきたんですが、今までもお話がありましたように、道州制の論議と道州制特区の論議が行ったり来たりしながら論議が交わされるということに、この課題をかえってわかりづらくしている原因があるのではないかというふうに思っています。

 もし道州制というものをにらんだ特区ということであれば、国がまずしっかりとした意思を示さなければいけないんだと思うんですが、この特区法案に限って言えば、そこまで明確にはなっていない。そして同時に、こういうものを提案するときには、メリット、デメリット両方提案をしなければならないというふうに思うんですが、必ずしもそういったことが整理をされていない。それともう一つ、制度をつくるにおいての参加形式についても必ずしも明確でないというようなところに、非常にわかりづらくしているところがあるというふうに思います。

 そこで、川村先生にまずお伺いをいたします。

 どのようなスキーム法であれ何であれ、条例も同じですが、法律をつくろうとするときには、できるだけ法律にしっかりと書くということが大切だと思うんです。そういった意味でいいますと、今回の法律において、例えば責務の問題でありますとか、あるいは知事の参加の形態が政令であって、法律そのものには書かれていないわけですね。あと、今逢坂さんからもお話がありましたが、国と地方が対等な関係だということが分権を進めていく上でやはりきちっと明記をされなければいけないというふうに思うんですが、そうした法律上の記述の部分についてお伺いをしたいと思います。

 それから、北町長は、広域連合などでいろいろなモデル的な取り組みをされているわけであります。先ほども、除排雪のモデルに取り組むというお話がありました。モデルで取り組まれている北町長の取り組みは高く評価をするんですが、モデルで取り組む、いいことである、何年かたつ、それから全道に実施をされるということになれば、結局時間のかかる話になるわけで、それこそ、法律あるいは条例でしっかりと明記をして、みんなで協議をして一斉に始めるぐらいなスピード感を今持っていかないと、なかなかできないのではないか。

 それともう一つ、道内で参加をされているという立場でいえば、国と道の対等な立場、関係というものをどのようにお考えになっておられるかということについてお伺いをいたします。

 常山さんにもお伺いをしたいと思うんです。

 交付金の関係ですが、この法律では、種類ごとの交付金ということになっていて、結局その法律ごとの交付金に縛られるわけでありますが、私どもは、せめてもう少し幅広い交付金にすべきでないかというふうに思っていますが、その点についての御意見を伺います。

 最後に、知事にお伺いをしたいというふうに思います。

 一つには、今申し上げました、先ほど知事が、食と観光について新たな北海道ブランドを創出したいというようなお話がありましたが、そうしたものに取り組もうとするときに、今の法律を超えてやっていかなければならないというようなことがたくさん起きてくると思うんですが、いわゆる権限、上書き権について、今回は全く触れられていないわけでありますが、そのことについてどう思われるか。

 同時にまた、国と地方の対等な立場ということからいうと、私は、推進本部などというのではなくて、推進委員会というような対等な場をつくるべきではないかというふうに思いますが、その点。

 最後に、法として必ずしも十分でないということであれば、あえて今急いで取り組むという理由がなくなるわけでありますので、もう少し論議をしてからでもいいのではないか。急ぐ必要はない、もう少し時間をかけて十分な法律にして進めるべきではないかということについて、それぞれお伺いいたします。

川村喜芳君 法律にできるだけしっかりと、基本になることはきっちりと書き込むべきであるという佐々木先生の御指摘、まことにそのとおりであると思っております。

 その例として、道州制特別区域推進本部の構成についてのお尋ねがあったわけでありますけれども、知事が参与として入るということが法律に書かれていない。これは、対等の立場で国と地方が議論をするのであれば、当然、法律に正式の本部員として知事を位置づける、これが本来あるべきことであろうと思います。これは私も佐々木先生と同じ意見でございます。

 先ほど申し上げましたように、この法律の中で、道州制特別区域推進本部の役割は非常に大きいものがあると思います。毎年、道の方からあるいは知事の方からいろいろな提案をする、それを決定する場でありますから、そこの構成はしっかりしておかなきゃならぬ。先ほどの繰り返しですが、足を引っ張るような人はなるべく入らない方がいいし、当然、地方を代表する立場の知事も正式の本部員として入るべきもの、こう考えております。

北良治君 今ほどの佐々木先生の質問でございますけれども、確かに、完全な法律で裏づけをすることはいいことです。そのとおりだと思うんです。しかし、やはりこれをじっと待っていたら、私ども、まさに逆にスピード感、これを切り口にしながら実際的に経験的にやる。例えば道道の移管なども、住民参加の中で皆さんで話し合って、道道、町道、全部つながっておりますから、こういったことをやることが本当の道内分権である。こういうことを住民にわかりやすく示すという中でやらないと、意見交換会等を道もやっていることは事実でございます。ただ、議論だけでは実感としてわかないわけでございますから、道州制特区を一つの切り口にしながら、そしてそれを広めていくということも必要だと思います。

 そして、道州制特区の中でも、みずからの発想といいますか、そういった中で国に提言ができる、提案ができる、そういうことを生かしていって、その中でいろいろと地域住民あるいは道民に示しながら前向きに進んでいくということが大切なことになるし、大きな役割ではないか、こういうふうに思っております。

常山誠君 まず一点目の、交付金を事業の種類ごとに交付するか、あるいは八本一括、どちらがいいか。私は基本的に、それぞれの事業ごとの内訳はわかった方がいい。そういう意味で、事業の種類ごとの交付金をきちっと明示していただいた方がいいだろう。一本にしますと、どんぶり勘定になって、首長の裁量で、こういうかなり厳しい財政の時代ですからそのとおり使われない危険性もある。そういう意味では、私は、種類ごとにきちっと明示をして国から交付を受けた方がいいと思っております。

 それから、道州制の議論ですけれども、基本的には私は、道州制そのものは十年なり十五年、かなり長期の慎重な議論が必要だと思っています。したがって二十八次の地制調でも期限は明示をしなかったんですね。しかし、今、北町長が言われたように、特区は、もうここまで来ている、後ろ戻りできないわけですから、小さく産んで大きく育てる。そして、積極的に道や道民の意向を国で十分配慮いただいて、より中身の濃いものにしていただきたいというふうに考えております。

 以上です。

高橋はるみ君 簡潔にということでございますので、簡潔にさせていただきます。

 条例の上書き権の規定を導入すべきではないかという御質問でございます。

 結論的に言えば、今後の検討課題として、私どももその必要性について認識をしているというふうに申し上げたいと思います。今のやり方は、個々の法律ごとに、この分野について必要であれば条例が優先することがあり得るというふうになるわけだと思いますが、一般論として、法律よりも条例の方が優先するという議論になりますと、大変大きな法律的な議論が必要になってくるかと思いますので、私どもとしては、そういった検討課題も念頭に置きつつ、一歩一歩着実に分権、道州制への試みというものを進めていくことが重要だと思っております。

 第二点、協議会でございますが、確かに、分権改革あるいは道州制そのものについてのビジョン策定という意味で、国と地方の協議の場というのは必要だと思います。しかしながら、では、この法律案が意味がないかといえば、今と同じ答えで恐縮でありますが、一歩一歩、分権ということ、そして道州制というものを進めていくためには、こういった形で取り組んでいくという国の姿勢は私は評価するところであります。

 以上でございます。

河本座長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 きょうは四人の先生方、大変に貴重な御意見をありがとうございます。

 早速ですが、知事の方にまずお伺いしたいと思います。

 知事の非常に前向きなといいますか、意欲的な、そういうここ数年間の御努力によりまして、道州制論議というものが大変喚起されて、国民の中にもそういう議論が起こってきたという意味では、これは非常に大きな役割を果たしていただいたと、まず評価したいと思います。

 その上で、しかし、私も北海道の友人何人かにも聞いてみましたが、やはりまだ道民的には理解といいますか、なかなかまだ浸透していないといいますか、そういう点も現実にはあるなということも実感しているわけであります。

 きょうのお話を伺っていますと、四人の先生方も、基本的には、この特区法案はぜひ、しかし、なお法律の中身についてはいろいろな問題点、あるいは権限移譲についてはまだまだ数が少ない、こういうことが大半の御意見だというふうに認識しておりますが、知事として、今後、この分権を進め、住民サービスにつながるように努力を積み重ねて、そして段階的に権限移譲というものを進めることによって、どういう方向を目指しているのか、お考えになっているのか、まずその点からお伺いしたいと思います。

高橋はるみ君 ありがとうございます。

 私は、この道州制あるいは道州制特区の議論を通じて、北海道の活性化をねらうというのが北海道知事としての大きな目的だというふうに理解をいたしております。そのために道州制という手段がどのように役立つかという御質問だと理解をいたしました。

 今までの、あるいは今現在の政策のやり方というのは、国と道が縦割りというんでしょうか、そういった形ですべてのことを決めていかざるを得ない形になっております。しかしながら、北海道というのは全国の都道府県が二十個以上入るぐらいの広い多様な地域でございまして、こういった広域な北海道の中で、先ほど冒頭に申しましたとおり、例えば観光、例えば経済、例えば農業、例えば環境、そういったそれぞれの分野で、縦割りではない、さまざまな分野を超えて全体としての一貫した地域の振興、地域の活性化のために何が必要か、そういった政策展開が可能になるツールとしてこの道州制というものを位置づけさせていただいているところでございます。

 その意味では、私どもあるいは私自身がねらいとしております北海道の活性化のそれぞれの究極の目標とするところの実現のために、いろいろな形でこの道州制特区あるいは道州制というツールが役立ってくるというふうに期待をいたしているところでございます。

 以上です。

田端委員 つまり、道州という組織と県あるいは市町村という行政組織、ここの関係がこれから非常に大きくかかわってくることだと思います。

 そしてもう一つは、これが北海道でのモデル実験、モデルケースと言われておりますけれども、他の三県以上の広域団体が今後手を挙げてきた場合に、その人たちに対する影響というものもまた大変大きなことになるんだろうと思います。そういう意味では、この今回の法律は、北海道というところをベースにして先駆的な役割を果たされているんだということでありますが、特定広域団体と県、道州と県といいますか、この関係について、知事はどういうふうな整理をされているのか、そしてそれが道民の皆さんにどういう御説明になっているのか、そこが少しわかりにくい点になっているんではないかな、こう思いますので、その辺のところをお伺いしたいと思います。

高橋はるみ君 道州と県との関係という御質問と理解をいたしましたが、道州制の究極の姿につきましては、地制調の議論あるいはさまざまな場での議論で、全国を十なり十一、十二、十三、どういった形での区割りがあろうかわかりませんですけれども、そういった広域的な自治体というものを想定し、国からの大胆な権限、財源移譲を図っていくということだと理解をいたします。

 そういった中で、北海道は、もう今段階でも、国の出先と私ども道庁のカバーするエリアが一対一しておる状況にございますことから、この道州制の先行的な実施をやる場合の一つの先例たり得る客観的な環境にあるということから進めさせていただいているところでございまして、その意味では、地域住民の皆様方に、確かに、私どもも先ほど来申し上げておりますとおり、さまざまな機会に意見交換会等をやらせていただいておりますが、なお一層、これからもそういった住民理解を高める機会をふやすことによって、我々の身近な生活を変えていくための仕組みとしてこの道州制というものを活用してまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

田端委員 ありがとうございました。

 北町長にお伺いします。

 先ほど来、道の道路ですね、国道と道道と町道の維持管理を一体的にやっていくということで、例えば雪処理なんかを非常に効果的にされていく実験を今からされるということでありまして、非常にすばらしいと思います。話を伺いますと、国道は国道、道道は道道、町道は町道ということで、町全体の一体的な雪処理が今までできていないケースが多々あるということも伺っておりまして、そういう意味では、非常にすぐれたリーダーシップをお持ちになって、しかも一市五町ですか、広域連合という形で、そういう方向をとられているというのはすばらしい一つのまた町づくりのあり方だ、こう思っております。

 それで、例えばこの前の阪神・淡路大震災のときに、私は大阪ですが、あの一月十七日に地震が発生して、大阪市は直ちに医師団を編成して、医師、看護師、薬剤師、そしてヘリコプターとか、それでいつでも応援できる態勢をとりました。しかし、実際に現地に行ったのは十九日でありまして、二日間待機したということがありました。

 これは、もし道州制がそのとき実現していれば、直ちに連係プレーで情報処理がなされて、ここに来てくれ、そこに行ってくれということが対応できたと思うんですが、県をまたいでいるために、隣の県で起こったことを、そういう態勢を組みながら動きがとれなくて二日間始動がおくれてしまった。

 もし最初から動いていれば、その間に何人かの人を救えたんじゃないかなという思いはいたしますが、そういう意味で、その後、他県で起こったことも大阪市、大阪府においてはこうするというマニュアルをつくりまして、そういう形で今、他県で起こっても自然災害といったことには直ちに対応しよう、こういうことになりました。

 そういう意味では、この道州制というものは、これから広域行政がより必要になっていく社会的要請の中で時にかなった議論だと私は思っておりますが、地域において広域連合を一市五町で北町長がされているという一つのことは、それはそれなりにすばらしいことだ、こう思うわけでありまして、この道州制が実現すれば、北町長は、自分の経験からいって、将来この道州制というものがどういうふうに日本全体に反映されていくとお考えになっているか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

北良治君 一つは、私どもは、今お話がございましたように、道道の除雪、排雪の問題、町道もどうやれば皆さんにとって除排雪が一番有効にやれるか、こういうことを住民対話と参加の中でやっているわけです。道道は別々にやっております、町道の中にも道道もありますから、そういった中で、これから一体的にやることによって、しかも隣町と一体的にやるわけでございますから、そういう意味で結果的にはやはり非常に効率化が図られる、こういうことは言えると思います。

 そして、はっきり申し上げますと、役所も縦割りですが市町村もちょっと縦割りなところがあるんです。これは正直に言わなければいけない。そして、私ども一市五町で広域連合をやっていると、どうしても我が町、我が町、リスクをみんなに広げてオープンに見せたくないんです。それをやはりこの広域連合は開けた。

 そして、今先生がおっしゃいました災害の問題等も、皆さん、共同で協力し合ってやっていくということが大切だ。そして道道の管理をやり、しかも医療の不足、これも共同で隣町とバスを使って、いわゆる住民の安心感を構築しよう、こういったことに発展していく。先ほど言いましたように、いわゆる広域行政の道州制が、特区も含めて切り口になって、それが全国的に広がれば、地域全体の一体的な運営が、財源だとかさまざまな面で不十分なところが相当ありますが、この壁を乗り越え、領域を乗り越えながらエリアを広めて、地域というものはそういったエリア全体でコミュニティーをつくっていくものだ、こういうふうに思っております。

 以上でございます。

田端委員 常山元町長にお伺いしたいと思います。

 最初のお話では、国と都道府県との行政の重複している部分が整理されるという意味でこれは非常に発想としてはいい、しかし、権限移譲については、まだまだいろいろ不満な点がある、少ない、こういう御指摘でありました。

 しかし、おっしゃっていたように、権限移譲をもっとふやし、そして既に動き出しているこの事態をさらに発展させていくという発想が大事だという御指摘でもありましたが、これを中身のある法案に、これは時間がかかるんだろうと思いますが、どのぐらいの時間をかけて、おおむねよしとするような流れに持っていくべきか。今のところ、七つとか八つとかという次元でありますけれども、しかし、これを住民サービスの本当の意味の実現にしていくためには、どのぐらいの時間をかけてやっていくべきか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

常山誠君 それは事業の種類なり事務の種類によって、性格によってかなり違うと思うんです。基本的に一定の準備期間を必要とするものもありますけれども、先ほど言いましたように、ハード事業が四年後でなきゃできないというのは、それは人員の定数削減だとかいろいろな問題はありますよ、そういう調整がありますけれども、我々の感覚からいったら、四年というのは何を考えているんだろう。それは役人の発想ですよ。私も役人をやっていたんですけれども、私も首長としてなった場合は、そういう発想はすべて捨てて民間の感覚でやる、そういうことが必要ではないでしょうか。

 それには、私は、やはり国会は議院内閣制ですから、国会議員の人にもっと頑張ってもらわなければいかぬ。役人の言いなりにならないで、ぜひ頑張っていただきたい。それが成功するかどうかは、基本的に国会議員が強力なリーダーシップで、ある意味では小泉さんはいろいろ評価は分かれましたけれども、あの人は私は大したものだと思う。そういう感覚で、今後とも、地域の実情を一番わかっているのは国会議員の皆さんですから、霞が関の役人の言いなりにならないように、地域の声を大切にしてぜひやっていただきたいということを思っております。

田端委員 ありがとうございました。

 以上です。

河本座長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、四人の陳述人の方には貴重なお話、ありがとうございました。

 それで、私は、道州制とか道州制特区の問題を考える最大のポイントとなってくるのは、住民自治の上に立つ団体自治としての地方自治の拡充につながるものとなっていくのかどうか、そういう基本的なところが大事だと考えておりまして、言葉をかえて言えば、住民の身近な自治体に力をつけていくものになるのかどうか、権限と財源保障を一体として基礎自治体に、本当にそれが移っていくのか、移されていくのかどうか、こういう角度から考えているものでございます。

 それで、最初に高橋陳述人に伺いますが、一つは、先ほども質問がありました八月二十七日の稚内のタウンミーティングで、発言依頼があって一名推薦したというお話と、質問案は示していないというお答えを伺いました。

 このときに、内閣府なり総務省から北海道庁に質問要項案についての話があったのか、もしあったとすればどのような話であったのかということを一点目に伺っておきたいと思います。

 それから、高橋陳述人がインタビュー等でお答えになられたのを、「ガバナンス」の昨年の三月号とか「官界」に書かれたものなどを読ませていただきましたけれども、例えば道州制特区についての考え方についてですが、どう進めるかということについては、「第一段階として五年以内をめどに、国の出先機関のうち道と同様の業務をやっている十数機関をスリム化を前提に統合する。」「その五年後をめどに、そこと道庁との統合をやるという二段階です。」という、二段階の進め方についてのお考えなどを述べておられるのを読ませていただきました。

 それから、「官界」の二年前の十二月号の方でお書きになったものでは、国の出先機関をスリム化、一本化、まず五年、そして十年後、新たに道州制ということで、「道庁と国の出先機関との統合政府をつくる。」こういう言葉で語っておられましたが、高橋陳述人の道州制という考え方というのは、基本的にはこういう国と道との統合というものもかなり大きな部分を占めているのかどうか。

 この二点を最初に伺います。

高橋はるみ君 ありがとうございます。

 一つ目の御質問は、八月二十七日の稚内におけるタウンミーティングについての御質問でございますが、私どもから質問依頼をした経緯はございません。

 それから二つ目でございますが、私、高橋の考える道州制の中に、国の出先機関との統合というものが大きな部分を占めるかどうかという御質問だと理解をいたしましたが、確かに、国から地方への、道への権限移譲を多く進める必然的帰結として、国の出先機関と道とのそういう組織的なものも十分出てくるかと思うわけでありますが、実は、国の権限というのは、必ずしも地方支分部局が持っているものばかりではございません。その意味では、先生の御質問にお答えするとすれば、統合論というのは、一つの部分ではありますけれども、多くの部分を占めるということではないというふうにお答えをしたいと思います。

 お答えになりましたでしょうか。失礼しました。

吉井委員 私、お伺いいたしましたのは、ずっといろいろな雑誌等でインタビューを受けたりしてお答えになっておられたのが、統合政府の考え方とか二段階の統合ということを言っておられたので、そこのところをお聞きしておきたかったわけであります。

 それから、タウンミーティングに関しては、質問依頼をしたということじゃなくて、一名推薦をされ、質問を示してはいらっしゃらないということでしたから、ただ、内閣府なり総務省から北海道庁に対して、質問要項案について考えてもらいたいとかそういう話があったのかどうか、あったとすると、そのときにどういう話をされたのかということでして、今おわかりだったら、その点をお答えいただけたら結構です。

高橋はるみ君 ございません。

吉井委員 次に、川村陳述人にお伺いしたいと思うんです。

 HEEROレポートの二〇〇三年六月号にお書きになったものとか、西尾勝さんと御一緒に「都道府県を変える!」というものの七章に書かれたものなどを読ませていただいておりまして、北海道開発局設置は、一九五一年、道庁労働組合委員長田中氏が知事に再選されたことから、田中知事は、北海道の開発は地域住民の参加によって推進されなければならない、そのために北海道開発事業の実施機関は従来どおり道庁とすべきだという主張があったんだけれども、国の方が全国知事会の反対や北海道知事の抵抗を抑えて、道庁土木部と農地開拓部の一部を分離した組織としてつくられたんだというお話がありまして、地方自治の原則に照らして見たときには、道民の意向が陳情という手段でしか行政に伝えられない現状は問題じゃないかということを指摘しておられましたので、そこで簡潔にお伺いしたいんです。

 北海道開発局の設置はもともと問題があった、そういうお考えでいらっしゃるのかどうか。そして、道に権限と財源を保障することこそが道民の意向を生かすことになるものであったんだ、そういうお考えであったと理解をしてよろしいかというところです。

川村喜芳君 これは先生御承知かと思いますけれども、北海道開発庁が設置されたときには、当時の田中知事は当然賛成であったわけです。これが、たしかその四年後だったと思いますけれども、北海道開発法を改正いたしまして、現地の実施機関として、それまで北海道開発事業の現地における実施機関は北海道庁であったものを、その権限を取り上げて、北海道開発局という国の地方支分部局を新たに設置したのが昭和二十五年だったでしょうか。

 ということで、これは当然、知事も何度も国会に呼ばれたり、あるいは全国知事会も一緒にそれを応援したり、いわば道内挙げての反対、抵抗を押し切って実現したのが北海道開発局であった、こう理解しております。

吉井委員 それで、後段の、北海道に権限と財源を保障することこそが道民の意向を生かすことになった、そういうお考えでいらっしゃるのかなというふうに、私、読んでおりまして理解したんですが、それでよろしいんでしょうか。

川村喜芳君 そういう考えでございます。

 結局、道という組織に権限と財源があれば、道民が自分の手で選んだ知事がそれを執行する、道民が自分の手で選んだ議会がそれを監視する、民主的に当然するという仕組みなんですけれども、官僚機構である北海道開発局が実施する限りにおいては、そういう手は届かない。まさに陳情という手段でしかお願いできない、そこのところに問題があるということをその論文で私は当時書いたわけであります。

吉井委員 次に、北陳述人と常山陳述人のお二人に伺いたいと思います。

 北陳述人の方には、道州制特区推進法案は主として北海道を対象にしているが、肝心の道内の自治体や道民の議論を得て出されたものではないという自治体関係者などの声もよく伺うわけです。こうしたことについて、どのように考えていらっしゃるかを北陳述人に。

 それから、常山陳述人の方には、道州制は拙速に進めるべきではないと町長の時代から言っておられたと思いますが、自治体の現場から見てどのように拙速な印象が強いのか、その辺、率直なところをお伺いしたいと思うんです。

 もう一点、常山陳述人の方に、この法案が開発局のリストラと結びつけられて出されているという意見などもありますが、自治体の現場から見た開発庁の果たす役割、また道民や自治体の立場から見て、二重行政の解消というのは本来的にどのようにすべきであるというふうにお考えか。この二点をお伺いしたいと思います。

北良治君 それでは、お答え申し上げたいと思います。

 まず、北海道の道内の市町村長を含めていえば、道州制については余り広がっていないんじゃないか、理解がないんじゃないか、そして、皆さん方がそこで意見交換だとか情報の伝達だとか、そういったものが不足しているんじゃないか、こういう声があるじゃないか、確かにそれはあるかもしれません。

 ただ、私どもの考えといたしましては、まず、道州制特区の内容そのものは、市町村長はある面ではわかっていると思います。したがって、その内容をどう具体化するか、具現化するか。そして、先ほどお話ししましたように、住民の自治拡大をどうしていくか、身近な市町村長としてこれをどう生かしていくか。

 確かに不十分な点はありますが、生かしていくということで、先ほども申し上げましたように、道道の移管等を含めて住民参加の中でやるということが、町民としては、住民としては非常に理解を広めて深めていただいておる。そういう実行する基礎自治体をいかに強めていくかという視点の中で、これを住民に見える形で私どもとしては示す必要がある、そういうこともやはり我々の努力の範囲で必要ではないか、こういうふうに思います。

常山誠君 まず一点目の道州制、道州制特区とはたしかおっしゃらなかったので。道州制は拙速で進めるべきではない、私はそのように思っております。

 先ほども申し上げたとおり、地制調でも、これは実現をするためには相当時間がかかる、だから、いろいろな専門家、学識者が議論をした末、御承知のとおり期限は切らなかったんですね。したがって、これは日本の行政の組織を大改革するものですから、いろいろな国民的議論を巻き起こしてやるべきだ。しかし、特区については、もう走り出したんですから、これは先ほどから言っておりますように、いいものにしていっていただきたいということであります。

 それから二点目。私は、開発局の今までの実績というのはすばらしいものがあったと思います。確かに、ほかの本州の府県に比べましてインフラ整備がおくれていますから、そういう面ではまだ存在価値はある。ただ、将来的な方向としては、道との二重行政の弊害も出ておりますから、いずれ一本化すべきだ、その方が合理的だというふうに考えております。

 ただ、現地にいて非常に不満なのは、国家公務員は減らしていると言っておりますけれども、実質的には霞が関は年々肥大をしている。上京するたびに霞が関のビルはどんどん大きくなって、職員がふえて、減っているのは国の地方出先機関。北海道でも四十近くありますけれども、そこがどんどん廃止をされて、あるいは縮小されて、地域が疲弊をしております。時代の流れですから、これもやむを得ないといえばやむを得ないんですけれども、そのような認識を持っております。

 最終的には、ある程度時間がかかっても、道庁と開発局は一元化すべきだというふうに考えております。

 以上です。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

河本座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 意見陳述者の皆様方におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。

 本日拝聴いたしました御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後三時二十三分散会


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