衆議院

メインへスキップ



第13号 平成19年4月18日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年四月十八日(水曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      伊藤 忠彦君    遠藤 宣彦君

      岡下 信子君    木原 誠二君

      谷本 龍哉君    寺田  稔君

      土井  亨君    中森ふくよ君

      長崎幸太郎君    丹羽 秀樹君

      林田  彪君    平口  洋君

      牧原 秀樹君    松浪 健太君

      山内 康一君    市村浩一郎君

      小川 淳也君    古本伸一郎君

      三谷 光男君    横光 克彦君

      渡辺  周君    石井 啓一君

      谷口 隆義君    佐々木憲昭君

    …………………………………

   国務大臣         渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井手 憲文君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 正徳君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        戸塚  誠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 榮畑  潤君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  須田 和博君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 香川 俊介君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   小手川大助君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   玉木林太郎君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房政策評価審議官)       中尾 昭弘君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            近藤 賢二君

   政府参考人

   (国民生活金融公庫総裁) 薄井 信明君

   政府参考人

   (国民生活金融公庫理事) 山本  繁君

   政府参考人

   (農林漁業金融公庫総裁) 高木 勇樹君

   政府参考人

   (農林漁業金融公庫理事) 村田 泰夫君

   政府参考人

   (中小企業金融公庫副総裁)            横田 捷宏君

   政府参考人

   (中小企業金融公庫理事) 塚原  治君

   政府参考人

   (国際協力銀行総裁)   篠沢 恭助君

   政府参考人

   (国際協力銀行理事)   近藤 純一君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     山内 康一君

  遠藤 宣彦君     鈴木 馨祐君

  嘉数 知賢君     平口  洋君

  木原 誠二君     牧原 秀樹君

  谷本 龍哉君     近藤 基彦君

  村上誠一郎君     丹羽 秀樹君

  小川 淳也君     古本伸一郎君

  佐々木隆博君     森本 哲生君

  石井 啓一君     谷口 隆義君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 基彦君     谷本 龍哉君

  鈴木 馨祐君     猪口 邦子君

  丹羽 秀樹君     村上誠一郎君

  平口  洋君     嘉数 知賢君

  牧原 秀樹君     伊藤 忠彦君

  山内 康一君     長崎幸太郎君

  古本伸一郎君     小川 淳也君

  森本 哲生君     三谷 光男君

  谷口 隆義君     石井 啓一君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     木原 誠二君

  猪口 邦子君     遠藤 宣彦君

  長崎幸太郎君     赤澤 亮正君

  三谷 光男君     佐々木隆博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社日本政策金融公庫法案(内閣提出第四六号)

 株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四七号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官井手憲文君、大藤俊行君、鈴木正徳君、内閣府公益認定等委員会事務局長戸塚誠君、総務省大臣官房審議官榮畑潤君、郵政行政局長須田和博君、財務省大臣官房参事官香川俊介君、理財局次長小手川大助君、国際局次長玉木林太郎君、農林水産省大臣官房政策評価審議官中尾昭弘君、中小企業庁事業環境部長近藤賢二君、国民生活金融公庫総裁薄井信明君、理事山本繁君、農林漁業金融公庫総裁高木勇樹君、理事村田泰夫君、中小企業金融公庫副総裁横田捷宏君、理事塚原治君、国際協力銀行総裁篠沢恭助君及び理事近藤純一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。一時間賜りまして、質問させていただきます。

 まず冒頭に、昨日凶弾に倒れられました、長崎市長であられた伊藤一長さんに対しまして、心からのお悔やみを申し上げるとともに、哀悼の意をささげたいと思います。

 報道によりますと、何か犯行声明に近いものを報道機関に送っていたということもあるようであります。いかなる理由であれ、背後から問答無用に銃を撃つということは許されない行為であります。

 特に、私たち政治家は、特に改革を志している者は、これまでの既存のあり方に対してそれで安住している人たちにとっては余りいい存在ではないということもありまして、そうしたときに、問答無用に消してしまえというのでは、これはもう社会が成り立たないということであります。二度とこういうことが起こらないように、かつ、こういうことがあったとしても、我々は発言にいささかもちゅうちょすることなく改革に邁進していくべきだというふうに思っております。

 渡辺大臣、きょう私は渡辺大臣に冒頭、大変感謝を申し上げたいと思って、きょうは質問をさせていただくことを喜びにしておりました。

 なぜかと申しますと、この内閣委員会での議論を通じまして、非営利法人ということについて大分、NPOのことですけれども、議論をさせていただきました。最近の報道を見ますと、公益法人を含む非営利法人、こういう言い方が新聞、テレビに躍るようになってきたということがありまして、これは本当に我が意を得たりであります。まさにそうした、公益法人も実は非営利法人なんだ、NPOなんだという概念がしっかりしないと、何かNPOと公益法人は別物かのような、またNGOは別物かのような話があるとすると、やはり議論が散漫になりますし、聞いている方も一体何のことかわからないということがあったわけですけれども、私は、渡辺大臣初め林副大臣が内閣でかなりそうした、あるべき主張をしていただいているものだというふうに、あの報道から感じ取っておりまして、大変いい流れになってきたな、こう思っております。

 ぜひとも、非営利法人という概念において、NPOですね、これが本当のNPOですから、非営利法人という概念においてこれからもしっかりと議論が進められることを心から祈っておりますし、また、大臣の改革に対する思いというものをぜひとも貫いていただきたい、こういうふうに思っております。

 ただ、一点、人材バンクのことになるんですが、ちょっときょうは人材バンクのことではないんですけれども、せっかく大臣がいらっしゃいますので一点だけお聞きしたいのは、あれは例えば、ここに行きたいと自分で見つけてきた場合というのは、要するにあっせんも受けないで、自分であるところへ行って、ぜひとも自分を雇ってほしい、こういうことはもうできないということになるのですか。登録をせずに自分であっちこっちに行って見つけてきた、そして自分はそこに行くんだということは、これはもうできないということの理解でよろしいのかどうか、ちょっとまず大臣にお聞きしたいと思います。

渡辺国務大臣 現職職員の求職活動につきましては、今回の法案では規制をいたしております。現職職員がみずからの職務と利害関係を有する一定の営利企業等、非営利法人も含むということでございますが、営利企業等に対し求職活動を行うことを規制する。政府・与党の合意文書にもそう書かせていただいております。したがって、原則は規制をされるということであります。

市村委員 そのときに、私は非営利法人という言葉を使っていただいたのを大変うれしく思っておるんですが、非営利法人といいましても、それこそ大変幅広い概念でありますし、幅広いものを含むものでありまして、例えば、特定非営利活動法人で一生懸命地域で頑張っているようなところがあって、退職後に、まあ余り給料も高くないけれども自分の行政経験を生かして地域のためにそういうところで働きたい、もし、こういうふうな思いを持った方がいらっしゃった場合、そうした小さな特定非営利活動法人まで含んで人材バンクに登録をした上で行かなくちゃいけないのか、こういうことにもなってくるわけですね。

 ですから、公益法人とか、割と規模のでかい、特に官益法人のようなところについてはわかるんですが、そうした割と小ぢんまりとちっちゃくやっているところまで含めていくと、えらい大層かなと。私としては、非営利法人という概念を言ってくれたのは大変うれしいんですけれども、特定非営利活動法人まで含む概念としての非営利法人であれば、えらい大層な話になっているんだなというふうにちょっと思ったことがありまして、この辺のところは、政府としてはどう整理されているんでしょうか。

渡辺国務大臣 そのあたり、詳しい条文が手元にございませんのでちょっと正確さを欠くかもしれませんが、政府・与党の合意文書では、こうした現職職員の求職活動に対しまして、一定の官職以下の職員の再就職の場合、官民人材交流センターを利用する場合、こういった例外を認めているということですね。センターを利用する場合、現職職員による当該非営利企業等への求職活動は可とするという道も開いております。

市村委員 ありがとうございます。

 この話はまた改めてぜひともさせてください。

 きょうは、株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案についての話でございます。

 まず、大臣、小泉内閣で、いわゆる郵政民営化というのは入り口改革、こういう話だったと思いますが、今回のこの法律案というのは、政府としては、明確に出口改革というふうに位置づけてこの法律を出されているんでしょうか。まず、その位置づけを教えてください。

渡辺国務大臣 これは御指摘のように、財投の入り口、中間、出口と改革を進めてまいりましたが、その分類でいきますと、出口改革と我々は位置づけております。

 今の政策金融機関の担っている機能を抜本的に見直し、廃止、民営化されるものは外に切り出してしまうわけでございます。一方、必要最小限の政策金融として実施すべきものは、今回の公庫法で一つにいたします。このような改革によって、官から民へお金がシフトをしていくという効果を私どもとしては見込んでいるわけでございまして、これは、入り口、中間、出口の財投全体の改革の中では出口の改革であると言っていいかと存じます。

市村委員 まずは、出口改革であると明確に政府は位置づけられているということだと思います。

 では、今回新しくできます日本政策金融公庫は、いかにして資金を調達するということになっているんでしょうか。そのスキームについて教えていただきたいと存じます。

大藤政府参考人 新公庫が担います業務は、政策金融として国が引き続き責任を持って実施していく業務でございます。このため、業務の円滑な遂行に支障が生じないよう、これまでと同様に財政融資資金の借り入れや政府保証債の発行が可能となるよう、新公庫法案において所要の規定を措置しております。

 なお、新公庫におきましては、資産、負債の総合管理の観点を踏まえまして、資金調達コスト、期間、市場の状況等を勘案しつつ、財投機関債、政府保証債、財政融資資金の借り入れ等を適切に組み合わせまして、予算、決算について国会での御審議をいただいた上で、新公庫による効果的、効率的な資金調達を図っていくということになります。

市村委員 では、その今おっしゃっていただいたことは、これまでのいわゆる入り口、出口ということでいろいろ問題視されたこととどう違うのか、教えていただけますでしょうか。どこがどう違うのか。

大藤政府参考人 当然、財政融資資金についての基本的な見直しというものと平仄を合わせて対応していくということになりますけれども、新公庫の担う業務が政策金融として国が責任を持って実施していくという業務でございますので、先ほど申しましたように、手段といたしましては、財政融資資金の借り入れ、政府保証債の発行は引き続きできるということで措置しているものでございます。

市村委員 今お聞きしていますと、要するに私が申し上げたいのは、これはいわゆる入り口改革に対する出口改革だということで明確に位置づけられている、こういうことだったんですが、今の話だとこれまでと資金調達のスキームはそう変わらない、こういうふうに聞こえるんですが、それで私の認識は正しいんでしょうか。それとも、いやいや、これまでとは全然違っておりますということなんでしょうか。どっちなんでしょうか。

大藤政府参考人 手段といたしましてはそういうものを可能としておりますけれども、そういった中で、ALMの観点等も含めまして、一元的にできるだけ効率的な資金調達を図っていくということでございますので、基本的には大きな変化があるものと考えております。

市村委員 結局、いわゆる政策金融という形について言えば、財政投融資資金に依存するという体質のあり方については変わらない、こういうことなわけですね。

 そうすると、大臣、出口改革と名づけられているということなんですが、何が変わるということで考えればいいんでしょうか。つまり、資金調達スキームはそう変わらない、政策金融は残ると。まあ、規模がちっちゃくなるから変わるということなのかもしれませんが、出口改革、こう明確に位置づけられているということであれば、それだけではちょっとやはり何かおかしいぞという疑問が出てくるんですが、大臣としては、これについてはどう整合性をとられて出口改革、このようにおっしゃっておられるんでしょうか。

渡辺国務大臣 まず、かつて大変大きなずうたいを持っておりました政策金融の世界を、とにかく、小さくて効率的で、かつ民業補完に徹する、必要最小限のものは残しますけれどもそういう方向性を持った出口改革であるということでございます。

 資金調達の面におきましても、従来、自動預託義務というのがありました財投の世界を、自動預託義務を廃止し、そして財投機関債をふやしていこうということをやってきているわけでございまして、こっちの方は、引き続き財投機関債はふやしていきましょうということを考えているわけでございます。

 ただ、政策金融でありますから、むやみに調達金利が高くなってしまうということになりますと、政策金融の役割をなかなか果たせないということもありますので、では、政府保証はつけられるようにしておきましょうねというような工夫はしておるわけでございます。

 いずれにしても、政策金融のずうたいをスリム化するという方向性は、間違いなく新しい制度のもとで着実に行っていかなければいけないわけでございまして、今までの直貸しに対して部分保証にするとか、そういった工夫もいたしますし、また、証券化によってバランスシートを小さくしていくというようなことも今回考えているわけでありまして、これは出口の改革と言うにふさわしいものでございます。

市村委員 わかりました。

 巨大だったものは、整理してある程度規模を小さくするといいますか、整理することによって政策金融のあり方についてもっと効率化を図っていこう、こういうことだろうというふうに思います。

 では、今回、統合がされる。まさに今大臣おっしゃったように、巨大化したものをスリム化していく、そこには統合があるということだと思いますが、その統合のメリットというものを当然お考えになられていると思います。政府として、統合のメリットというのはどういうところにあるというふうにお考えになっておられますでしょうか。

大藤政府参考人 現行の四機関を一つの政策金融機関に統合する主なメリットといたしましては、次のような点が挙げられるものと考えております。

 まず第一に、管理部門等の共通する業務の一元化や、同一地域に複数の支店が存在するような場合に、統合する等によりまして、役職員数の縮減、経費の節減を図るということでございます。

 第二に、新公庫が一元的、効率的に資金調達を実施することによりまして、資金調達コストの低減を図るということでございます。

 第三に、業務に関するノウハウの共通等によりまして、新規創業の支援や事業再生支援といった共通の課題につきまして連携した取り組みを行う。また、経営コンサルティングでありますとかビジネスマッチング等、従来の垣根を越えた幅広いサービスの提供に取り組むということでございます。

 それから、第四でございますけれども、支店統合によりまして、主要な支店において新公庫のすべての金融サービスに関するワンストップサービスを提供する。また、全支店におきましてすべてのサービスに関する情報提供体制を整備するというようなことでございます。

 これらの項目に取り組むことによりまして、業務の効率的な運営を図り、最大限の効果を上げていくことが重要であると考えているところでございます。

市村委員 今おっしゃっていただいたこと、これは一般的に、いわゆる統合があった場合のメリットだというふうに思います。

 では、ちょっと具体的に教えていただきたいんですが、例えば、今現在職員は八千人いらっしゃるんですかね、これが一体どれだけ削減できるのか。つまり、人を切ると言ってはいけないかもしれないけれども、それをしないとした場合でも、では人件費をどれだけ削減できるのか。支店を改編するとおっしゃいましたが、どれぐらいの支店数があって、それをどれぐらいにしていこうとされているのか。そういう具体的数値というのは、もう既に今あるんでしょうか。

大藤政府参考人 統合の効果につきましては、定量的に把握し得るものと、それがなかなか難しいものとがございます。

 その中で、今後定量的にしっかり取り組んでいくものといたしまして支店の統合があるわけでございます。国内三公庫、二百三十三店舗がございます。そのうち六十地域で同一地域に複数の支店、二ないし三ということでございますけれども、支店が存在することから、これを極力統合していくとの方針のもと、十九年度から順次店舗統合を進めていくということでございます。

 また、新公庫の役職員数の縮減につきましても、定量的に検討していくということでございます。まず、行革推進法に基づく総人件費改革によりまして、五年間で五%以上の人員の純減または人件費の削減を行うということでございます。これに加えまして、本店の間接部門の一元化等によりまして、円滑な業務遂行に必要な職員は確保しつつ、五年間で五%以上という目標を上回るさらなる縮減の努力を行っていただきたいというふうに考えているところでございます。

 このような具体的な目標につきましては、新公庫の経営責任者によく検討していただくことになるわけでございますけれども、行革の立場からも、行政減量・効率化有識者会議にワーキングチームを設けていただきまして、そこでしっかり見ていただくことになっているわけでございます。

市村委員 今年度の予算で、支店統合に伴う増改築費や利用者の利便性向上のためということで三十五億円が計上されているということなんですが、この三十五億円は一体具体的に何に使おうという考え方なんでしょうか。

大藤政府参考人 ただいまの三十五億円でございます。これにつきましては、今順次統合に着手をして鋭意進めているところでございまして、十九年度予算でもう既に条件が整ったというものにつきまして、十八カ所につきまして二十四店舗の減少ということに伴う経費でございます。

市村委員 十八カ所二十四店舗で三十五億というのは、これはいわゆる民間の金融機関が例えば統合を進めるとかいった場合に、まあこれぐらいはかかるなというものなんでしょうか。それとも、結構頑張って三十五億でおさめようとされているんでしょうか。それとも、いや、三十五億もかかるのかと。大体どういう評価をされていらっしゃいますでしょうか。

大藤政府参考人 重複している地域につきまして店舗を統合していくわけでございますけれども、それぞれの地域地域で、例えば土地を有している場合、あるいは借りているような場合、区々でございます。それぞれの地域で、統合するに当たりましてできるだけ効率的な、できるだけコストの低いやり方でいくという方針で検討をしているところでございます。

 ちなみに、三十五億の内訳でございますけれども、このうち八・五億円が統合店舗移転等に伴う仮店舗の借料ということでございますので、店舗を借りるということが最も効率的であるということで措置したものでございます。

 それから、二十六・四億円というのが、これが店舗統合を実施するために必要な固定資産の取得費ということでございますので、土地を手当てして新たな統合店舗を準備する、整備するということでございます。

 いずれにしても、統合に当たりましては、できるだけコストを小さく済むようにという基本方針のもとで今後対応していく必要があると考えております。

市村委員 なるほど。統合メリットについては、今、多少具体的な話もしていただきましたけれども、これからいろいろとやはり考えていかなくちゃならないことがある、こういうことで、今お話のあったようなことが今年度で具体化するということですけれども、これからいろいろと進めていくということの理解でよろしいでしょうか。

大藤政府参考人 二十年十月の統合に向かいまして、これから統合の計画を鋭意具体化して、統合効果を出していくわけでございますので、これからそういうことで取り組んでまいります。

市村委員 それから、国民生活金融公庫でありますけれども、これは今どうも多額の累積欠損を抱えていると言われていますが、大体どれぐらい抱えているんでしょうか。

香川政府参考人 国民生活金融公庫の財務状況でございますが、法令等に基づき作成しております法定の財務諸表では、資本超過でございます。

 一方、民間企業会計ベースに置きかえた場合には、平成十七年度末におきまして一千六十九億円の債務超過でございます。

市村委員 今、民間のベースでいくと一千六十九億円の債務超過、こういうことなんですが、これは統合した場合にこの債務について、例えば国際協力銀行の国際金融の方については統合されるわけですけれども、こういう多額の余剰金を保有する機関と統合することで見かけ上の財務状況がごまかされないか、こういう懸念があるということらしいんですが、これについてはどういうふうにお答えになられますでしょうか。

大藤政府参考人 新公庫につきましては、国民公庫が従来担ってきたような零細事業者への貸し付けから国際金融に至るまで、多様な分野の政策金融を担っております。それから、必要に応じて公的負担もしているところでございます。

 このため、業務実施につきましては、それぞれの政策分野に責任を持つ主務大臣が責任を持って監督していくこととするとともに、各政策の適切な実施と透明性の確保を図る観点から、主要政策ごとに勘定区分を行うこととしております。国民生活金融公庫から承継する業務とその他の業務等につきましては、それぞれ勘定区分を設けまして、別々の勘定で経理されることになりますので、互いに損益が通算されるようなことはないということでございます。

 このため、今後公表される財務諸表においてそれぞれの勘定区分の経営状況は明確に示されて、経営責任が不明確になるという御懸念には当たらないものと考えております。

市村委員 今のお話の中で、結局、統合はするけれども勘定区分は分けてあるので、それについては主務大臣がこれまでと同じようにちゃんと責任を持ってやるということになりますと、これはいわゆる縦割りの弊害というのを私たちは考えなくちゃいけないんですが、では、その縦割りについて、これはある意味では温存されるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。どうでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 縦割りを温存するというよりは、区分経理を行うことによって、それぞれの部門がきちんと効率性を発揮してやってもらう。どんどん赤字を膨らませていって、黒字部門と通算して全体として黒字だから大丈夫だというモラルハザードが起きないように区分経理をするわけでございます。したがって、こうした区分経理というのは、政策目的ごとではございますが、分別管理の必要性があってやる話なので、合理性があると考えております。

 いずれにいたしましても、統合効果を最大限発揮しまして、会社法のもとに強力なガバナンスをきかせてやってまいりたいと考えております。

市村委員 ぜひとも今おっしゃったようなことで、統合メリットを生かしていただきたいなと本当に私も思います。

 ただ、そうはいいましても、例えば国民金融公庫、いわゆる国金というものが果たしてきた役割ということについてちょっと議論をしたいんですけれども、では、まずは国民金融公庫が抱えているいわゆる不良債権の比率というのは大体どれぐらいなんでしょうか。

香川政府参考人 国民生活金融公庫の不良債権比率についてのお尋ねですが、金融再生法開示債権ベースの不良債権残高は、平成十七年度末で約八千二百億円、比率としては九・一%となっております。

市村委員 この九・一%という数値は、例えば都市銀行もしくは地銀と比較して大きいんでしょうか、小さいんでしょうか。

香川政府参考人 不良債権の比率でございますが、先ほどの九・一%と申しますのは、都市銀行の一・八%に比べれば大きな数字でございますし、信用金庫の七・一%よりもやや大きい、それから信用組合の一〇・七%よりはやや低い、そういう数字でございます。

市村委員 信用組合については、今、大きいということなんですが、国金が果たしてきた役割ということで、中小企業の方々たち、なかなか資金調達を、いわゆる市場でそのまま得るというのは難しいといった場合に、国金の果たしてきた役割というのはかなりあったのではないかなというふうに思うんですね。もちろん、それが結果として、中には、いや、あんなもの返さなくていいんだと言っていたような人も、そんな声も聞いたことがあるような気もしますが、そういう方はごく一部であると信じたいと思いますが、国金が信用を保証することによって借り入れができるということ。

 国金の場合は、なかなか取り立てといいますか、返せない場合に、そう簡単にさあ返せ、返せといったことはしてこなかったと私は思っていますし、そのうちに、頑張っているうちにまた業績が好転したら返すことができたというようなことでも国金が果たしてきた役目があったんじゃないかなと思います。これも、やはり社会の安定装置として、いわゆるコストでははかれないこともあったのではないかなというふうに私は思っているんですね。

 それが、今回統合をされる日本政策金融公庫となった場合に、いわゆる貸し渋りといいますか、もう今までとは違うんだよ、今までの国金とは違うんだからと。勘定は別ですから国金のような性格のものは区分としては残るということですけれども、これからはちょっとコスト意識を持たなければいかぬということになってきた場合に、いわゆる貸し渋りというものが起こってきて、それが中小企業の資金調達において大きな影響を与えていくということになってきて、もう非情な世界で、いや、だめなものはだめなんじゃないかということで話がもし進んでしまうとなった場合、これでいいという割り切りもあるかもしれませんが、本当にこれでいいのかなということですね。

 だから、そういった意味で政策金融ということがあると私は思っていまして、いわゆるコストではかれない部分、社会の安定装置としての金融というのですか、そういった意味での金融のあり方ということもやはりあるのではないかなと私は思います。

 これはどうですか、大臣、国金が果たしてきた役割のようなものが、今後この新しい日本政策金融公庫になると、なかなか、いや、やはりそうはいってもコストなんだから、コスト意識を持ってもらわなくちゃいけないんだから、これまでのようにはいかぬぞということなのか。いや、それなりにやはり政策金融というものを残す以上、そういったことについても、もちろん最初から返すつもりもないような人に対して温情を示すということではないんです、ある程度の、一生懸命頑張りながら、しかし一時的に大変苦しい状況になったときに、どこも貸してくれないけれども最後、国金が何とか信用を保証してくれて融資が得られた、ここでとりあえず息をつけたということに関して、これはもうこれからは残念ながらないぞ、こういう話なんでしょうか。その辺をちょっとお聞かせいただければと思います。

渡辺国務大臣 行政改革推進法の第十三条でございますが、現行政策金融機関の利用者については、その利益が不当に侵害されないようにすることと規定をいたしております。したがって、今委員御指摘の貸しはがしとか貸し渋りとか、そういった不適切な扱い、利用者が不利益を受ける扱いがないよう契約条件はしっかりと行われるものと考えております。

市村委員 これはここでこの間からも議論をしていますが、結局、この日本という国は、資金調達のあり方というときに、株式会社でありながらも上場を目指さない株式会社がたくさん、ほとんどであって、いわゆる間接金融の世界、直接金融ではなくて間接金融の世界で特に中小企業はこれまで融資を得てきた、こういうことだというふうに思います。

 ですから、もし直接金融の世界が、例えば株式市場がもっと活性化していくというようなことが一方であれば、そっちで頑張ってください、どんどん上場を目指してそこで資金調達をしてくださいというような社会であれば、それはそれで一つかもしれませんが、どうやらそうじゃない。だから、この間もありましたように、株式会社から株式会社への寄附に苦心の作だと大臣はおっしゃいましたけれども、それも何かありなのかなと思えてしまうような日本の社会のあり方というようなことになっているんですね。

 そのときに、結局、国金とか中小企業金融公庫の果たしてきた役割というのが、一方でもちろんそれを悪用しようという人もいたかもしれませんが、やはり一定の役割はあったと私は思っているんですね。特に、日本にこれだけ中小企業がたくさんあるというのは、やはり一方でその陰に金融ということの世界がちゃんとあるからこそだと私は思います。

 今回、それが統合されるということで、大臣は今、いや、貸し渋りや貸しはがしは起きないということでおっしゃったわけでありますけれども、しかしながら、やはりコスト意識を持てと言われると、大臣がここでどうおっしゃっても、その職員が、いや、コスト意識を持たなければいかぬと思い始めたときに、やはりこれまでとは違うというふうになってくると、これまで果たしてきた役割がなくなる。先ほどから申し上げているように、一方で直接金融の世界がちゃんとしっかりしていればいいけれども、それもない。

 そうすると、中小企業に一体だれがお金を貸すのか、だれが融資をするのか、中小企業はどうやって事業資金を得るのかということについて、やはりしっかりとここを議論しておかないと、結局、NPOも同じでありまして、NPOに頑張ってくれといったって、事業資金を得る手段を何も渡さないまま法人格だけ与えて、はい、頑張ってくれと言っている状態なんですね、今の現状が、NPOの状態も。だから、それと同じようなことになって、結局は成り立たないということになってしまうと、当初考えていたものとは違う話になってしまう。やはり日本の場合、中小企業が社会の、特に製造の現場で大きな役割を果たしてきたということを考えたときに、大変危惧するものであります。

 ですから、大臣、ぜひともここで、そういった今まで中小企業金融公庫や国民生活金融公庫が果たしてきた役割について、もう一度大臣の御見解、評価をいただきながら、そして今後、日本政策金融公庫になった場合にその役割がどうなるかということについて、大臣のお言葉をいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 政策金融が果たしてきた役割については、私も評価をいたしております。

 特に、日本経済がデフレに陥りまして、日本の民間の金融機関が資本不足というとんでもない事態に直面をしたことは、ついこの間、記憶に新しいところでございます。そういうときに、民間がリスクをとれなくなってしまっているという状況のもとで、政策金融はまさに民間のとれないリスクをとって資金を供給してきたということが言えるわけでございまして、そういった政策金融の持っている必要最小限の民業補完の機能は残していくべきであると考えております。

 一方、民間金融の方は、今大変な資金余剰の中で、例えば協同組織金融機関においては預貸率が極めて低いという状況に直面をしております。どうやってこの余剰資金を運用していくか。中には、ちょっとハイリスクのものに手を出して大やけどをするなんというところが出てきたりしているんですね。

 したがって、やはり金融機関というのはきちんとリスクをとる。もちろん、リスク管理はやっていかなきゃいけません。金貸しがリスクをとらなくなっちゃったら金貸しと言えないわけでございまして、民間にもきちんとリスクをとっていただく必要がある。

 日本の金融は、残念ながら非常にいびつなところがございまして、いつも申し上げますように、金利の体系がちょっと日本独自の体系になっているんですね。つまり、ローン残高と金利をグラフにしてみますと、こういう大きなこぶが二%前後ぐらいのところにあって、この山がすっとなくなっちゃって、二三%ぐらいのところに小さいこぶが出てくる、こういうのもちょっと金融としては余り正常な状況ではないな。やはりリスクに見合ったプレミアムの世界があるはずなのであって、そういうところが実現をしていないゆがみについては、デフレも大きな影響を及ぼしているわけでございますから、そういったことも含めて、大いに改善の余地はあるのではなかろうかと考えております。

市村委員 今大臣の方から、一つに、民間銀行のいわゆる余剰資金ということもありました。僕は、民間も含めて、この国の金融のあり方というものをこの際一度考えるべきだと思っているんですね。

 先ほど申し上げたように、直接金融の世界が、一時期は株式上場とかかなりもてはやされましたけれども、やはりどうもなかなかそれが一般化しないというような状況にもまだありますし、結局、これは営利、非営利関係なく含めて、どうやってお金を回すのか。一方ではすごくお金をため込んでいるところがあって、一方ではお金がない、このお金を回す仕組みというものをしっかりと考えていかないかぬ。お金というものは、天下の回りものじゃないですけれども、やはり回して初めて生きてくるわけでありまして、ため込んで生きてくるものではないわけです。使って、流れて生きてくるものですから、そうしたことのためにいかなる仕組みをつくっていくのかということが、やはり私は求められているんだろうなと。必要なところに必要なお金が行く。

 しかも、さっき大臣がおっしゃったように、やはり金貸しがリスクをとらないようじゃだめですから、リスクはとっていただく。そのかわり大きなリターンがあるかもしれないということでやる。だから、これがそうした仕組みをつくっていくための議論の発端にでもなればなという思いはあります。

 ただ、先ほどはちょっと明確にはお答えいただかなかったんですが、そうした中で日本の場合、国金とか中小企業金融公庫の果たしてきた役割というのは、悪用した人もいるかもしれないけれども、あったということだと思います。特に国金の職員の方が持っている地域の情報というか、地域の中小企業の情報というのは、私はなかなかこれは得がたいものだと思っていますし、こうした情報というのは、日本政策金融公庫になってからもぜひとも生かしていただきたいというふうに思うんですね。だから、政策金融公庫になったから、もう昔の過去はどうとかということじゃなくて、やはりいいものは残していくということになったらいいなというふうに思っているわけであります。

 あともうちょっとありますからやりますが、今回、まさに大臣が今手がけている人材バンクですけれども、この日本政策金融公庫も対象ということでよろしゅうございますでしょうか。

渡辺国務大臣 今我々が考えて今国会に提出しようとしております国家公務員法の改正案では、各省のあっせんを全面的に禁止いたしております。なぜかといえば、各省が予算と権限を背景に人事の延長線として行うあっせんというものが、まさに天下りの本質だからでございます。

 天下りというのを広辞苑で引きますと、上から下に押しつけ的にはめ込む、ちょっと正確な表現ではないかもしれませんが、そういう方式の再就職あっせん、再就職、こういう定義なんだろうと思いますけれども、やはりこういう実態が大変な不信感を呼び起こしているのは紛れもない事実でございますから、これを根絶していこうと考えまして、各省によるあっせんを全面禁止しようというわけでございます。

 一方、公務員は再就職しちゃいかぬ、あるいは公務員はとにかくハローワークに行きゃいいじゃないか、これもちょっと非現実的な話でございまして、公務員と民間人とはいろいろな面で違いがあるわけなんですね。例えば労働基本権が制限をされているとか、民間だったら景気、不景気の波があって失業保険があるけれども公務員の場合にはそれがないとか、あるいは、民間人にとってはうらやましい限りかもしれませんけれども、公務の中立性とか公正さを担保するために身分保障制度があるとか、いろいろな違いがございまして、なかなか民間人とイコールフッティングの制度にはなっていないのが現実でございます。

 そこで、公務員は一回公務員になったら定年まで公務員だという単線型の方も結構でございますし、そういう方がいてもらわないと困るわけでもございますが、一方、複線型の官民人材交流があってもいいと思うんですね。官から民へ、民から官へ、民から官から民へ、官から官へというぐあいに、人材がどんどん流動化をしていくことがまさに今の時代には大変重要なことだと考えます。

 そこで、天下りを根絶する一方で、こうした官民人材交流を活発化させようというもくろみで官民人材交流センターというものを創設するという決断に至った次第でございます。

市村委員 今大臣おっしゃったように、私も、とにかく流動性を高めていくというのは大賛成です、官民問わず。どうも日本という社会は、特にこの数十年、流動性が大変低くなっているんじゃないかなというふうに思います。ですから、流動性の高い社会にして、一遍公務員になられた方も、別に民間でまた働きたいと思ったら民間で働いて、民間で働いているうちにやはり公務員としてまた働きたいなと思ったら戻れるような、そういうふうになった方がいいんじゃないかなと思いますし、一たん採用したら一生そのままということではなくて、いつでも出入りができる方がいいというふうに私は思っています。

 縦割りについて、これはないとおっしゃられると思うんですが、とりあえずは、主務大臣が財務に厚生労働に農林水産に経済産業大臣ということで、複数大臣において監督されるということになると、その権益が新公庫においてもそのまま持ち込まれるのではないかというおそれがあるというふうに懸念されるんですけれども、そうはさせないぞ、そういうふうにはならない、区分はするけれどもそういうふうな権益の温存がなされることはないというふうに、大臣の方から一言いただきたいと思います。

渡辺国務大臣 天下り規制も行われ、かつ、今度の新公庫法でも、どこそこ省の事務次官だから自動的にトップになるという制度は排除をいたしておりますので、そうした観点からも縦割りがそっくりそのまま残るということは全くなかろうと思います。それぞれの公庫が担ってきたものが一つになることによって、シナジー効果が発揮されるということを願ってやみません。

市村委員 あと、政策金融公庫は株式会社になるわけですから、では、人事採用といいますかいわゆる採用については、もうこれは官民問わず幅広く行われるというふうに考えてよろしいでしょうか。

渡辺国務大臣 官民問わず、その職にふさわしい方を選任すべきであると考えます。

市村委員 今八千人の方がいらっしゃる、これからこれを五年間で五%ということでありますけれども、今大臣が強くおっしゃっていただいたように、官民問わず、ふさわしい人材をその役職につけていくということがやはり一番だろうと思います。

 ただ、さっきから一番私が懸念しているのは、そのときに、政策金融というものが果たしてきた役割についてやはり理解をしっかりとした方でないと、余りコスト意識、コスト意識でやると、いわゆる政策金融が本来果たすべき役割についてちょっと違う方向に行って、大臣はないとおっしゃったけれども、貸しはがしや貸し渋りというようなことがもし起こったとすると、日本の現在の社会を支えてくれている中小企業の皆さんについての金融の道がやはり細くなるということだと思いますので、その辺は、ぜひとも政策金融の果たす役割というものを理解した方にしっかりとやっていただきたい、こう思うわけでありますけれども、最後に、大臣と、せっかく副大臣、ちょっときょうあれですけれども、副大臣からもこのことについて一言いただいて、私の質問を終わりたいと思います。

渡辺国務大臣 貸し渋りや貸しはがしは、先ほど申し上げた行革推進法によって、やってはならぬ、こういう規定がございますので、どうぞ御安心をいただきたいと思います。

林副大臣 ちょっと登録をしていただいておらなかったようなのでございますが、御指名でございますので答弁をさせていただきます。御指名をありがとうございました。

 まさに、大臣が今御答弁になったように、委員の御指摘は、本当にずっとその大きなテーマについて我々も議論してきたというふうに思っております。政策金融の必要な機能は残さなきゃいけないし、必要な機能は必ずこれらの中にある。しかし一方で、行革の観点等々でこれはやはりきちっと効率化していかなければいけない。先ほどから大臣の答弁がありますように、一見二律背反に見えるようなものをきちっとやっていただくというのがこの新しい公庫のリーダーシップに求められるということでございますので、我々もきちっとそこを見てまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

市村委員 では終わります。ありがとうございました。

河本委員長 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 大臣、何か遠いですね、この部屋は。いつもの部屋に比べると非常に遠いなという気がしますけれども、よろしくお願いいたします。

 私は、この法案に向き合うに当たりまして、非常に取っ組みにくい法案だなという印象を受けております。と申しますのは、恐らく、政策金融、公的金融について、変えなければならない部分と変えてはならない部分と、その両方が混在しているからだという気がいたしております。

 この変えてはならない部分というのは、たとえいかなる批判にさらされようとも、本当に変えてはならない、そこはむしろ相当な迫力というか自信を持って御答弁なり法案の仕立てをいただきたい部分でありますし、逆に変えなければならない部分は、私は意外と器づくりは簡単だと思うんですが、器づくりができても、それに本当に魂を吹き込むことは意外に難しいことだと。その辺の御認識も含めて御答弁をいただきたいと思っています。

 問題意識は、つまり、変えてはならないものまで変えようとしていないんだろうかというのが一つの不安、本当に変えなければならない部分は本当に変えていただけるんだろうかという、この両面の不安が私どもの立場からすると混在しているという前提で、以下お尋ねを申し上げたいと思います。

 冒頭、午前中の質疑の中で、大臣は盛んに住宅金融公庫の件を引いておられました。これは御通告申し上げておりませんが、もしお答えになれればその範囲で御所感をいただきたいと思いますが、まさに、住宅金融公庫は四月の一日から住宅金融支援機構に変わられたとお聞きをしております。今申し上げました、これによって何が変わるんですか、何は変わらないんですか、住宅金融支援機構は。今回の八機関とは直接関係していませんが、まさに今月、二週間前に変わったこの機構、これによって、住宅金融公庫は何が変わって、何が変わらないんですか。もしこの場で端的にお答えをいただけるようでしたら、お願いしたいと思います。

渡辺国務大臣 詳しく勉強していないので正確さには欠けるかもしれませんが、もう既に、住宅金融公庫は、たしか直貸しからは撤退をしていると存じます。一方、証券化業務などは大いに活発にやってきているのではないかと思います。

 新しく支援機構になって、こうした今まで過渡的な役割としてやってきたものをより明確な形でおやりになるのではなかろうかと思います。直貸しということではなくとも、国民の住宅保有を政策的に支援していくという手段、方法はあるわけでございまして、まさしく住宅支援機構ですか、ちょっと正確に名前すら覚えていませんで恐縮でございますが、まさしくそういう新しい手段、方法で住宅支援を行うものと存じます。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 直貸しでなくとも政策目的を遂行していき得るというお答えですから、これは今回のこの八機関の見直しについても、恐らく見直し、さら見直しという観点からいえば、大事な視点を今お答えいただいたと思います。

 それから、もう一点御所感をお聞きしたいことがございます。

 これまでもいろいろな機関の統廃合等は目にしてまいりました。その中で、やはり一番大きなのは、まさに中央省庁の統廃合であったかと思います。

 大臣は、午前中、またこれまでの質疑の中でも、盛んにシナジー効果、シナジー効果ということを御答弁されているわけでありますが、例えば、平成十三年に中央官庁が統廃合されました。現在大臣が所属しておられる内閣府には、渡辺大臣を含めて七名の大臣、副大臣、政務官あるいは補佐官まで含めれば十四名の国会議員、全部で二十一名の方々が入っておられる。中には、当然、旧来ありました沖縄開発庁、北海道開発庁、それから国土庁、経済企画庁、それぞれの庁としてやっておられたはずの機関が、例えば今ですと高市大臣ですとか大田大臣等々ですね。

 大臣、それは、実際に今大きく統合された内閣府でお務めの中にあって、シナジー効果というのは内閣府の中で実際体感されるようなことはございますか。高市大臣、大田大臣と渡辺大臣とのシナジー効果、もし体感されるものがあれば、あるいはむしろ逆に課題を感じられることが多ければ、その点、御所感をいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 これはやり方次第だと思うんですね。こういった新たな体制がスタートをし、まだ試行錯誤の連続ではあると思います。

 というのは、大臣レベルでは、シナジー効果を発揮しようという形で、しょっちゅうそのパイプの目詰まりをなくす努力をしてきているわけでございますが、肝心かなめの官僚機構の方がまだ、各省から来られている方々が官邸の方を向いていないで、要するに、いずれまた各省に戻って再就職をあっせんしてもらうというようなインセンティブが強過ぎますと、これはシナジー効果を発揮しようがないわけでございまして、政治家レベルでは、私は大変にシナジー効果の発揮しやすい状況にあると考えております。

小川(淳)委員 大変興味深い御答弁をありがとうございます。

 多分、シナジー効果とお答えになることは、それはもちろんそのとおりだと思いますが、実際にこれを発揮していくというのは容易なことじゃなくて、非常に難しいことだと思います。

 現に今おっしゃったように、役所の御担当の方々から、今回の、今回といいますか六年前の中央省庁の再編のあおりを受けて、例えば、えらいリストラに遭っていますとか、昇進がおくれて非常に困っているとか、仕事の進め方に困っているとか、あるいは逆に、非常にいい効果が出てきているとかいう声を私は聞きません。

 これは恐らく、管理部門の一元化なんて言われていますが、まさに各省庁にある大臣官房、大臣を直接支えておられる機構ですね、ここの課長相当職として例えば参事官職ができたり、あるいは局長相当職で総括審議官ですか、それから次官相当職で統括官等々、言葉はあれなんですが、困らないようにできているわけですね。

 ですから、午前中からの御答弁をお聞きして、シナジー効果、シナジー効果とおっしゃるのは、言葉としては非常に悪くないんでしょうが、これは実際、合理化も含めて、あるいは相乗効果も含めて、本当の効果を出していく、魂を書き込んでいくというのは容易なことじゃないなという御認識をぜひあわせてお持ちいただきたいと思います。

 あわせて具体的にお聞きしたいと思いますが、これも統合して八年の実績になろうとしていますが、今回見直しの対象になっています政策投資銀行の前身であります当時の開銀と北東公庫、これは統合して八年になりますが、実際にスリム化、効率化、合理化の効果がどの程度出ているのか、あるいは、大臣のおっしゃるシナジー効果、相乗効果、この開銀と北東公庫の統合に関連してどの程度具体的に御説明できるものがあるのか、お答えをいただきたいと思います。

香川政府参考人 開銀と北東公庫の統合につきましてお尋ねがございましたので、お答えいたします。

 平成十一年に日本開発銀行及び北海道北東公庫が統合されたわけですが、統合前の平成十年度に比べまして、例えば店舗数は二十店舗から十九店舗へ、役職員数は千四百四人から千三百六十五人へ、それから融資残高は十九兆円から十三兆円へということで、店舗、人員、融資残高ともに減少しております。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 大臣、お聞きのとおりであります。これをどう評価するかというのは恐らく難しい判断だと思いますが、ちなみに、今御計画の中にございます例えば五年間で五%の人員削減とかいう基準からしますと、これはざっと八年間で二%ちょっとですか、三%弱の人員削減の合理化。開銀と北東公庫が一緒になったことで、店舗は一つ減っているということですか、その程度という見方も恐らくこれはあり得ることだと思います。その辺の事実関係もぜひ御認識をいただきたいと思います。

 あわせて、これは今回既に質疑の対象になっていることだと思いますが、当時非常に不良債権をたくさん抱えていると言われていた北東公庫、むつ小川原の開発ですとか苫小牧港ですとか、いろいろな大規模プロジェクトを抱えておりました。この不良債権を大変たくさん抱えていると言われた北東公庫と、一方でまずまずの業績という言い方が当たっているのかどうかわかりませんが、非常に内部留保も厚かったと言われる開銀との合併によって、北東公庫のそれまでの経営責任があいまいになったんじゃないかという声も当時ありました。

 この点、まさに今、国際協力銀行とそれ以外の公庫との合併に関しては同じような批判があり得るわけでありますが、そうした声に対してどうお答えになられるか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

渡辺国務大臣 試行錯誤の過程はあったかと思います。たしか、北東公庫と開銀の統合、それから輸銀とOECFの統合は同じ時期だったような気がいたします。私の記憶が正しければ、村山内閣のときだったのではないでしょうか。あのときも、たしか連立の成果を上げようという形でこういう形の統合が行われたのでありますが、JBICなどは同じ建物の上と下にあるからいいじゃないかというような、相当むちゃな議論もたしか当時あったような気がいたします。

 一方、開銀と北東公庫は、御指摘のように、北東公庫に大変な不良債権があって、たしか何千億円かの資本増強をやることによってこの問題をクリアした記憶がございます。

 いずれにしても、こうした統合の成功と失敗の教訓には学ぶ必要があるわけでございまして、新公庫においても、いかに統合の成功事例としていくか、シナジー効果を発揮するにはどうしたらいいかという観点を、国会の御審議の状況も踏まえながら、行政減量・効率化会議のワーキンググループにおいて議論をしていきたいと考えております。

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

小川(淳)委員 またその点、少しおいおい詰めてまいりたいと思います。

 今変えなければならないこと、それから変えてはならないこと、こういう二つの切り口でお尋ねを続けてまいりたいと思うんですが、政策金融に関して、合理化とか規模の縮小というのが今回の大きなコンセプトだと思います。一方で、本当に大事なもの、守らなきゃいけないものは守ってくれよという声もあるわけですが、民間ではなかなか手の出しにくい部分とか、あるいは細かな手当てがしにくい部分というようなお答えがございます。

 大まかにお聞きしたいんですが、民間ができないからこそ政府として公的金融が補完をしなければならない部分というのは、もう少し詰めますと、具体的にはどういう点ですか。どういう点を民間が手を出せないから政府がそこをカバーしないといけない、補完しなければいけないんでしょうか。その切り口をお教えいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 典型的には危機管理だと思うんですね。やはり、今回の新公庫においても、これは民間金融機関も活用した危機対応制度をつくるわけでございますが、こうした観点は、なかなか民間にすべて任せておいてもうまくいかない分野の一つではないでしょうか。

 また、今回政策金融として残る業務についても、これは民業補完という観点から政策金融の意義が認められて残っていくわけでございますから、そういう点は、民業補完を徹底させつつ、必要最小限のものはきちんと業務を継続していくべきと考えております。

小川(淳)委員 ありがとうございました。危機管理の分野というのはそのとおりだと思います。

 あえて申し上げたいんですが、一つには、やはりそういった部分ももちろんですが、国民生活金融公庫とか中小公庫が果たしてきた、本当に国民の生活あるいは生活の基盤となっています零細事業を、営利ベースを超えて下支えしていくような機能、営利では成り立たないけれども、どうしても国民生活あるいは国民生活を支えるための零細事業を下支えするような金融、これは多分一方の柱なんだと思います。それは今後も続くんだと思います。

 もう一つは、私は、時代からいうと、昔でいう重厚長大といいますか、最近ですと、例えば日本航空に対する過剰融資なんかは非常に問題になる声も出てきていますけれども、ああいう将来をにらんだ国家的なプロジェクト、大規模なプロジェクト、これもやはり、今後も私は、国家政策の見地から、ある部分必要なんじゃないか、全くなくしてしまって本当にいいんだろうかという気がすごくするわけなんです。

 特に、ここから先、例えば新しい分野でのエネルギー開発とか、それから環境技術に関しても、これは国内にとどまらず、世界にその付加価値を発信していくんだという観点に立てば、この分野にあっては、やはり取っかかりの部分、営利に乗っかれば別です、営利に乗っけてやるまでの取っかかりの部分を国家的な意思でもって金融的な支援を行っていくという部分は、私はやはり残るんじゃないかと思うんです。

 この二つの分野、中小零細で、営利ではどうしても支え切れないけれども支えなきゃいかぬ部分。もう一つは、単純に民間だけにリスクを負わすには余りにも規模が大き過ぎるようなプロジェクト。この二つの部分だと思うんですが、まずお聞きしたいんですが、大規模な部分、これは今回の政策金融改革からすっぽり抜け落ちてしまう部分だと私は思うんですが、大臣、その点はそれで本当にいいんですか。今後をにらんで、いかがですか。

林副大臣 まさに今委員が御指摘になったように、この政策金融改革は、長らく議論してまいりましたが、基本のスタートのときに、経済財政諮問会議で基本方針というのをまとめております。

 まず、第一の基本原則で、政策金融は三つの機能に限定して、それ以外は撤退しよう、こういうことでございまして、まさに今委員から御指摘がありましたように、まず一つ目が、中小零細企業、個人の資金の調達の支援ということでございます。そして二つ目が、国策上重要な海外資源の確保、国際競争力確保に不可欠な金融、これを入れております。三つ目は円借款でございまして、これは整理的には外へ、JICAの方に出しましたけれども、政策金融機能と援助機能をあわせ持つということで、そのときはそういう整理をしておりまして、まさに委員御指摘のように、今回この政策金融公庫に入るようになりましたのはこの二つでございますが、それを基本原則として考えて、そしてその基本原則に基づいて、それぞれの政策金融機関でやっておられたそれぞれの機能を三つに分類する。まず、撤退するもの、それから二つ目が、必要であり残すもの、そして三つ目が、当面必要であるけれども将来的に撤退するもの、こういう分類をして、それが今回の最終的な法案にまとまってきた、こういう経緯でございます。

小川(淳)委員 今の副大臣の御説明、ある部分は御説明されているんだと思うんですが、まさに中小公庫なり国民生活金融公庫が担ってきた部分と、それから輸銀が担ってきた部分、それを恐らく説明になっているんだと思うんですが、私がもう一点補足的に申し上げたのは、やはり国内プロジェクト、国内で成り立たせるべき、旧来開銀が担ってきたような部分、これが本当になくていいんだろうかという部分、これはもう水かけ論になりますからあれですが、やはり一つの懸念すべき点として、私は付言だけこの場でさせていただきたいと思います。

 それを本当に落としていいんだろうかということとあわせてなんですが、中小とか国民生活にかかわりある部分でいいますと、渡辺大臣、小さいころから政治家をというお話が午前中の御答弁の中でございました。私なんぞは、そんなこと夢にも思わない、本当に小さな商売人の子でありまして、まさに国金さんの、国の教育ローンで大学まで出させていただいた、そんな生い立ちといいますか、生活実感をそのあたりに置いている人間であります。

 それからいいますと、例えば中小公庫の一般貸し付けとか、あるいは国金の、申し上げました教育貸し付け、これを縮小していくあるいは廃止をするということにおいても、私は非常に慎重であるべきだと思いますが、その点、いかがですか。

林副大臣 大変大事な論点であろう、こういうふうに思っておりまして、中小公庫でやっておりました一般貸し付けと特定貸し付けというのがございますが、一般貸し付けは、量的補完ということで、撤退をする分野という整理をいたしましたけれども、新たな政策ニーズ、これは中小企業の政策というのは、今委員のお言葉をかりれば不易流行ということで、不易の部分と流行の部分というのはそれぞれの時代に応じて変わってくるところはあり得るわけでございます。そういった部分を特定貸し付けの部分で、中小企業政策として必要な部分はきちっとそこで見ていこう、こういう考え方を我々はしているということがまず第一点でございます。

 それから教育の方は、ぽてんヒットが出ないようにということを何回も答弁させていただいておりますが、政策金融が後退して、民間の方でやってもらえなくて、結局どちらからも借りられないという方が出ないようにきちっとしていく、これが基本的な姿勢でございます。

小川(淳)委員 今御答弁いただいた趣旨が本当に現実になるように、奨学金とのいろいろな兼ね合いとか、こういう難しい問題が出てくるんでしょうが、やはりその趣旨だけは今後も生かしていただきたいなと思います。

 特に中小の部分を支えてきた制度が、先ほど来議論になっていますが、やはり補給金の制度だと思います。ここがまさに民間ベースでは利益に乗らない、営利目的ではどうしても成り立たない部分を支えてきたということだと思うんですが、きょう、各省の御担当の方にもお越しをいただきました。補給金をこれまで出してきたその根拠、それぞれ全部合わせると、大体昨年ベースで八百億ぐらいですか、補給金を出しているということでありますが、これは代表して、例えば国民金融公庫さんですと、どんな基準でもって、この補給金、最近ないとかいうお話もありますが、その基準についてお尋ねを申し上げます。

香川政府参考人 国民生活金融公庫への補給金に関するお尋ねでございましたが、平成十四年度以降、いわゆる収支差補給金というのは計上しておりませんが、例えば第三者保証人を不要とする融資でありますとか、生活衛生改善貸し付け、あるいは無担保、無保証人の融資というようなリスクの高い融資に関しましては、利子補給金を措置しております。

 平成十七年度におきましては、合計五十五億円の補給金を措置しております。その額につきましては、それぞれの貸付制度に係る残高、あるいは貸付見込みというのを勘案しまして、財政当局との調整を経た上で、必要最小限の措置をしておるというのが現状でございます。

小川(淳)委員 これは、事前にお教えいただいた中でも、こういう基準で出しましたとはっきりおっしゃるところはなかなかないんですよね。ですから、予算の許す範囲ということになるんでしょうが、この収支差を補てんしている今の制度については、制度設計の中で見直していくということを書かれているわけですが、これは本当にそれでいいんですか。中小の部分を補っていくに当たって収支差を補う観点から出している補給金については見直す、これは本当にそれでよろしいんでしょうか。

林副大臣 委員から御指摘がありましたように、この収支差補給金というのは、お言葉をかりれば流行の方に入る分類だろうな、こういうふうに考えておりまして、一年を通してやってみて赤字が出たら、それは収支差補給ということで結局最後に埋める、こういうことでありますと、いかに経営努力をしてもしなくても、結局最後は赤字が埋められる、こういう弊害も指摘をされておられたところでございまして、今回は、そういう出た赤字を事後に結局埋めるという形から、あらかじめ必要と考えられる金額についてできる限り明確な基準で見積もって、政策コストとしてこれぐらいのものは必要だというような方式に改める方向で見直すことにしておるわけでございます。

 新公庫は、言うまでもないことでございますけれども政策金融を実施する機関でございますから、こういったような必要な業務を的確に実施するために、必要な財政支援というものは国会の議決をいただいた上できちっと予算措置をしていくということは申すまでもないことでございますが、その計算の仕方が、最終的に出た赤字を補給するということではなくて、あらかじめ必要な政策経費として見積もっていただく、こういう考え方に変えるということでございます。

小川(淳)委員 まさにそこなんですけれども、外形標準的なものに基準を置きかえていくというのはあり得ることだとは思うんです。あり得ることだとは思うんですが、結局、そこにはある種覚悟が必要で、本当にそれで立ち行かなかったときには、これは欠損金を埋めないなんという規定も法案に盛り込んでいるみたいですけれども、本当に外形標準で立ち行かない場合にはやめますよ、あるいは法人がつぶれてもしようがないんだというぐらいの覚悟を持っておっしゃっていることなのか。

 あるいは、私は、本当に率直に申し上げて、もともとこれは営利で立ち行かない部分を下支えするわけですから、いかなる批判があろうとも、これは赤字を埋めてでもやるんだとむしろ言い切っていただきたいような思いすらあります。それを逆に言い切ることで、赤字を埋めるんだから変なことはできません、赤字を埋めさせてもらうんだから変なことはやっていませんというぐらいの、赤字を埋める制度だからこそおかしなことは私たちはできないんですというふうに言い切って説得し切るぐらいの制度設計の方が、私は、むしろこのケースにおいては、この中小、国民生活を本当に下支えするんだという部分に関しては、外形標準的な基準でやりますというよりも、やはり政府の思想とか哲学とか思いというのが伝わる制度になるんじゃないかなという気がしてなりません。その点、御指摘を申し上げたいと思います。

 あわせて、収支差を補てんしないというのは制度設計には書き込まれているわけですが、そこの意志がかたいのであれば、そこは外形標準的なものでやるという御意志がかたいのであれば、なぜ法案には書き込まなかったんですか。法案にそのことを書き込まなかった理由をお教えいただきたいと思います。

林副大臣 制度設計は閣議決定をさせていただきましたので、これをきちっとやっていくということは申し上げておきたいと思います。

 その上で、法律事項であるかどうかというようなことをいろいろ考えまして、これは新公庫においてそういう運営をしていただこう、こういうことでありますし、収支差補給金にしても政策コストを見積もってやるあれにしても予算の措置ということになりましょうから、そういうことを判断したということだと思います。

 先ほどの委員の御指摘も、考え方としては、最終的に赤字をやるという考え方も、お聞きしていて、なるほど、そういう考え方もあり得るのかなと私は今思っておりましたけれども、事前に見積もった政策コストを上回って、その事業についてたくさんお申し込みがあってたくさん融資をして、結果として補給金が見積もりよりもたくさん必要になったという場合、これは当然ながらそういうことを勘案してさらに補給をするということは考えられるべきことだと私も思っております。

 そういうことではなくて、経営が放漫になるといいますか、きちっとそういう見積もりをつくってやらずしても、余りきちっとしたバンクとしての経営をしなくても、最後は赤字じゃなくなるんだというような安心感ではないという考え方でやったということでございまして、本当にそこに政策金融として必要な人がいるにもかかわらず、最初に見積もった金額に達してしまったのでもうやらない、そういうような考え方ではないということを御理解いただきたいと思います。

小川(淳)委員 時間になりましたので、きょうは途中にさせていただきます。改めてまた来週お時間をいただいて、積み残し、お尋ねを申し上げたいと思います。ありがとうございました。

戸井田委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

戸井田委員長代理 速記を起こしてください。

 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 連合審査に引き続きまして内閣委員会での質問の機会をちょうだいいたしましたことに、関係の委員の皆様に感謝を申し上げます。

 さて、連合審査の際に少し触れさせていただきました、統合の目的に当たります、なぜこの四機関を一つにすることによって財投の出口の改革に当たるんだと、大臣も熱弁を振るっておられた、それにかなう話であるかどうか、そこら辺をまず、マクロの話としておさらいをさせていただきたいと思います。

 財投が今、関係の四機関で、累計、ストックベース、幾ら残っておられますか。

渡辺国務大臣 財投のストックベースの残高は、平成十九年度の見込みでございますが、二百四十九・七兆円でございます。一番高かったのが平成十二年で、四百十七・八兆円でありますから、大体三分の二ぐらいの規模、着実に縮小をしております。

古本委員 そのうち、この四機関が借りているのは幾らありますか。役所でもいいですよ。

大藤政府参考人 済みません、突然の御指摘でございますので……(古本委員「突然といったって基本的なことじゃない、冗談じゃないよ」と呼ぶ)申しわけございません。大至急整理いたします。

古本委員 だって、これは大臣が財投機関の出口改革だとおっしゃったんですよ。この四機関をまとめて、今ストックベースで財投幾ら入っているんですかと聞いただけですよ。兆円の単位で答えてもらったっていい話ですよ。びっくりしましたよ。質問できませんよ。とめてくださいよ。(発言する者あり)

戸井田委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

戸井田委員長代理 では、速記を起こしてください。

 大藤審議官。

大藤政府参考人 平成十七年度末の財政投融資の残高でございます。四機関の合計でございますけれども、国際協力銀行につきましては、今回新公庫に統合されません円借款の部分も入っておりますが、現在の国際協力銀行ということでございまして、国民生活金融公庫が七兆四千百四十八億円、中小企業金融公庫が五兆八千五百六億円、農林漁業金融公庫が二兆六千百三十六億円、国際協力銀行が十一兆五百三十一億円ということでございまして、合計で二十六兆九千三百二十一億円でございます。

古本委員 ありがとうございました。

 では、その約二十六兆円ですか、大臣、今後どのタイミングで、どこまで絞っていくんですか。その計画は今お持ちでいらっしゃいますか。

林副大臣 よく言われているGDP比残高の方は、これはGDP比で半減をするという目標でございますので、今回の四機関統合とそのほかのところが外へ出て行くことによって確実に達成をしていかなければならないと思っております。

 一方で、今委員が御指摘になった、この四機関が財政投融資から借りている残高というものについての数値目標というのは、現在はないということでございます。財務省の方でそういう財政投融資の改革は進めていただいておるものというふうに承知をしております。

古本委員 いや、これは実は、私は財金委員会からの差しかえできょうは参っておりますが、財金でもお尋ねしましたが、理財局としても持ち合わせていらっしゃらないと思います。

 つまり、財投の出口改革とおっしゃりながら、実は統合四機関が一緒になることによっていろいろな、これは尾身大臣の言葉をそのままおかりすれば、公的セクターのスリム化を図った結果、資金調達効率も上がり、そしてそこの、社債という言葉が適切かどうかわかりませんが、国際的にも信用が高まり、財投機関債を借りるウエートをシフトしていくこともできる、シェアが財投依存から変わってくる、こういったことのスキームがあるならばこの話もなるほどなと思えるんですが、実は入り口の話として、まさに小泉さんがあれだけ、唯一、争点にして解散をした総選挙の郵政の出口の改革がこの八機関の統廃合であるとおっしゃって、この四つを今絞ってまさに提案されている法案なんですよ。

 その法案の財投のストックベースが二十数兆円、それもすぐに出てこなかった。それを一体何年までにどのくらいの規模で絞るんですかという計画さえないんですよ。ないんです。まず、そこを指摘しておきます。

 それから、では、この午前中にも使わせていただいた、今委員長のお許しをいただいてお配りをいたしております資料の三の一、二、三あたりをごらんいただきたいと思うんですが、今申し上げた話です。平均しますと、財投への依存度は、資金調達先として大体二割から三割、多いときですと四割依存していますね。他方、財投機関債は、記載のような、大体数%レベルです。この中でJBICだけは突出して財投機関債への依存度が高いんです。というか、買ってもらえているんです、恐らく。これは、引受先を分析すれば、機関投資家が中心に支えておられるんだと思います。

 今後、この統合四機関が新しく生まれ変わった株式会社日本政策金融公庫なる会社は、大体どういう資金調達の目標を持っておられるんですか。大体何年までに補給金依存度をこのくらいに持っていって、何年ぐらいをめどに財投機関債のウエートを例えば二割、あるいは三割、優良企業になったら五割依存できるかもしれない、そういう数値目標を持っておられますか。これは大臣です。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、不断の絶えざるチェックが大事なことであります。したがって、私のもとに行政減量・効率化会議というのがもう既にございまして、この中に政府系金融機関のワーキングチームをつくろうと考えております。当然のことながら、国会でいろいろな御意見を承っておりますので、こうしたことも踏まえて、この減量・効率化会議ワーキングチームで論議をしてまいりたいと考えております。

古本委員 ということは、この統合四機関が一つの会社になった暁には、財投改革のこれは総仕上げなんです。出口の改革であると言っておられる。にもかかわらず、今現在は絵姿は持っていない。そして、この法律の中でうたってもいない。今後のプログラム法あるいは整備法、どういうものが今後ついてくるか承知していませんが、その中にもうたわれていない。うたう予定もない。別途省内のどこかでだれかが議論して決める、こういう理解でよろしいですか。

渡辺国務大臣 この行政減量・効率化会議は、密室でやるような話では毛頭ございません。もう既に提言も出しておりますし、今回はさらに政府系金融に特化をしたワーキングチームをつくりまして、そこで議論を深めていくということでございます。

 せっかく新公庫法の御審議を国会でやっていただくわけでございますから、古本委員のような前向きの大変的確な御意見が出てくるわけでございますから、そういう御提言や御意見も踏まえて議論をさせていただきたい、こう申し上げているわけでございます。

古本委員 先ほどの議論に少し戻りたいわけでありますが、引き続きまして、各公庫の総裁あるいは副総裁にお越しをいただいております。

 海外への、今後のJBICとの連携によって、中小公庫さんにおかれましては、統合効果があるということでありました。

 それでは、お尋ねします。国民公庫さん、それから農林、それぞれに、中小公庫にも再度お尋ねします。

 今皆様が貸し出されておられる方々の貸出総残高の中で、大体で結構ですよ、海外にビジネスの展開を今なさっておられる貸出先は何割ぐらいございますか。順番にお願いします。

薄井政府参考人 国民生活金融公庫は、御存じのように、商店街のお店とかそういうところが多いわけですから、なかなかそういうおっしゃるようなケースが極端に多いということではなくて、製造業関係で、多分数千ぐらいあるのか、それは調べてはおりませんけれども、製造業関係でかなり規模の大きいところが海外に進出しているかもしれません。私ども、データを持っていません。

 もう一つ申し上げますと、お客様は百三十万ぐらいいますけれども、そのうち九割ぐらいが規模として従業員数九人以下ですから、そういうところでは余りないと思います。

高木政府参考人 農林漁業金融公庫でございます。

 今のお尋ねでございますが、私ども、三兆一千億ばかりの残高があります。お貸ししている先で、最近輸出に非常に関心を持たれている方々が出ておられます。私ども、ジェトロさんと業務協力するなどして、そういうことにサービスを提供しておりますが、現実に、それでは、今おっしゃられたような、額としてどれぐらいというところにはまだいっていないと思います。

横田政府参考人 中小公庫の融資先で海外に進出しております企業は、十八年三月末時点の調査で三千九百九十二社、取引先の約八%という数でございます。

古本委員 既に実績ベースで、貸出先で海外に進出されているというところで、さっき自信ありげにおっしゃっておられた中小公庫さんで、今現在八%。国金庫さんに至っては、中小零細が中心ですということでした。そして、農林さんにおかれては、大臣のおっしゃる、米一俵何万円でしたっけ、買ってくださる、日本米はおいしいですから、そういうのを輸出していこうというのはよくわかりますが、今現在は余りないということですね。

 という確認をとらせていただいた上で、さて、お尋ねするわけでありますが、今回、JBIC以外の残り三公庫は、午前中も指摘をさせていただきました収支相償の原則からいきますと、どういった趣旨の公庫に今なっておられますか。収支相償なのか、あるいは収支差補給の会社なのか、どっちですか。順番にお願いします。

薄井政府参考人 私ども、現在は収支差補給金に頼っておりませんが、利子補給的なものとして五十億程度をいただいております。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは収支差補給の対象と考えております。

横田政府参考人 中小公庫は、融資事業の方は収支差補給をいただいてございます。信用保険の方は、これは大変大きな赤字が出ておるわけでございますが、出資金でカバーをいただいております。

古本委員 JBICもお願いします。国際協力銀行。

篠沢政府参考人 私どもの国際金融業務は、収支相償の原則にのっとって業務を行うようにという法律どおりに運営をしているところでございます。

古本委員 さて、大臣、お尋ねします。現状はそうなっていますね。この法改正後でありますが、それぞれの、今ある部門というんでしょうか、各社が今後も別勘定だということを、中身を拝聴してまいりました。今後とも、統合後も別勘定になるわけですね。別勘定でいくか、そこを確認をとらせてください。

渡辺国務大臣 区分経理は行います。これは、先ほども申し上げましたように、それぞれの区分経理を行うことによって、経営の効率化と責任が明確になる。一緒にどんぶり勘定にしちゃいますと、これはモラルハザードが起きかねない、そういうおそれがあるわけでございますから、そのようにさせていただくわけでございます。

古本委員 区分経理と勘定という言葉を丁寧に使い分けた方がいいと思うんです。

 では、具体的な中身に置きかえさせていただきたいと思います。

 資料の二におつけいたしました統合四機関の国庫納付の実績でありますが、国際協力銀行におかれましては、毎年、まさに優良児でありまして、国庫に貢献されておられます。いわば利益が出ておるわけです。他方、残りの三機関は、中小公庫の平成十七年度、単年ですね、この直近を除けば、国庫に貢献されていません。これは当然です。補てんを受ける非収支相償だからです。収支差補給を受けている各行だから、これは当然なんですね。

 さて、合併後、それぞれの事業はどういう目標でオペレーションされますか。引き続き、統合後も収支差補給でいきますか、それとも収支相償になられますか、どちらですか。順番にお願いします。

薄井政府参考人 制度としては収支差補給があり得る制度だと思いますが、私どもやはり、低利の財投資金をお借りしていることですから、それをもって仕事をしていって、できるだけコストをかけない、そのためには、今維持しております収支差補給金ゼロをなるべく維持していかれるのがいいかな、まあ、私が言うのもおかしいですけれども、とは思っておりますが、ただ、経済情勢、金利情勢等でいろいろな事態もあり得る。そのときは収支差補給金をいただくことにもなるかもしれません。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもに課せられている政策の要請、それから現在の農業の現状、まだまだ産業としての農業というところまでいっていないということからいきますと、結論的に言いますと、収支差を補給する、どういう形でやるかはともかく、そういう点になるかと思っております。

横田政府参考人 中小公庫の融資事業の方の部門は、両公庫の総裁がおっしゃられましたように、経営責任を果たしながら所要の補給金はぜひお願いいたしたいと思っております。

 信用保険の方は、これもまた大きな赤字がしばらく続く見込みでありますので、出資金等のいろいろな工夫を続けていただければと考えております。

篠沢政府参考人 引き続き、収支相償の原則のもとで営業をしてまいりたいと考えております。

 なお、念のため申し上げますが、現在かなり大きな黒字が出ておりますが、これは、先生御承知のとおりの、現在の調達資金の金利が非常に低い、一方、返ってまいります金利は多少、昔貸した高目の金利のものが返ってくるというようなことがございますから、非常に大きな黒字がいつまでも構造的に続くということではなかろうと思います。しかし、全体として収支相償、赤字にならないようにしてやっていくということだと思っております。

古本委員 区分経理でやっていくと大臣はおっしゃいました。今の各公庫の最高責任者である総裁、副総裁方は、現状のままを続けたいという趣旨のことを、資金調達における国からの補てんのありようということで受けとめました。若干、国金庫の総裁は積極的な御発言があったかに受けとめましたが、思いは各総裁御一緒なんじゃなかろうかと受けとめました。

 そこでなんです。区分経理を行って、それぞれが別々に損益計算書も持つんですね。それでいいですか。各四本の事業がそれぞれに損益計算書を出す。午前中の引き続きですが、よろしいですか。

渡辺国務大臣 新公庫は、各政策の適切な実施と透明性の確保を図るために、主要政策ごとに勘定区分を行うことにしております。また、国際部門につきましては、国際的なマーケットの信認を維持していく必要性がございますので、国内部門とは大別をして、経理についても区分して管理をすることにいたしております。

古本委員 国内につきましては、国際的な信用が、国内の資金調達で足りるので海外からの資金調達はないんだという趣旨と受けとめましたが、財投機関債というのは海外の機関投資家からも募るものなんですか。それとも、国内の機関投資家だけでいいんでしょうか。役所でいいです。

大藤政府参考人 基本的には、財投機関債というのは国内ということだと思いますが……(古本委員「海外の人は買っちゃいけない」と呼ぶ)いや、財投機関債ということではございませんけれども、新しい公庫といたしまして外債を発行するということはございます。それは当然外国の方も出資をするということでございます。

古本委員 そうしますと、資料が前後いたしまして恐縮ですが、資料の三の一以降におつけをしておりますとおり、今は財投に依存しているんですよ。これに代替をする資金提供先、調達先を求めようとすると、財投機関債も今後依存していって、今の財投をずっと絞っていって、その先には財投機関債も独自で発行していってもらいたい、これは郵政の改革のときによく聞いた話ですね、行革のときにも聞きました。

 そうしますと、これはすぐれて、各社が、国際的な投資家の皆さんからごらんになっても、優良企業だなと思ってもらえるようにならなきゃいけない話なんです。JBICはそういう使命を今帯びていると思うんです。残りの三公庫は、全く水と油で、別のミッションを帯びておられる団体、公庫だと思っているし、法律にもそう書いてあるんです。午前中の質疑のとおりであります。したがいまして、この四機関を一つにすることによる財投の出口改革としての効果は、数字の上でのお示しもいただけなかった、今後議論をしていくということでありました。

 他方、財投依存度を減らそうと思えば、一体だれが貸してくれるかといえば、なかなかそう貸してくれる人はいないという前提に立てば、こういう財投機関債なんというのは、国からの依存は脱却していければいきたいという総裁もいらっしゃったぐらいですから。それは言い過ぎですか。ということは、国に依存しつつ引き続き財投機関債のシェアもふやしていかないと成り立ちませんよね。財投機関債がすぐれてゼロに、限りなくゼロにはなりませんよ、ストックベースが減らない。

 そこで大臣にお尋ねしますが、改めて聞かせてください。今回の四機関を統合することによって資金調達先として財投の依存度は減っていくんだ、その理由はこうなんだ、二つあわせてお聞かせ願いたいと思います。

渡辺国務大臣 それは絶えざる不断の見直しをやってまいります。

 まず、資金の出る方でございますけれども、これは直貸しを減らしていく手法もございます。先ほども申し上げましたように、部分保証という手法もあるわけです。また、証券化手法を使えば、これはまさにバランスシートをスリム化する効果が得られるわけでございます。また、機関債においても政府保証をつけることも可能でございますので、そういった手法を使えば、今財政融資資金からお金を調達している分は当然減っていくわけであります。したがって、もろもろの手法をいかに上手に組み合わせながらやっていくかということも大事なことではないかと思います。

 もとより、政策金融も金融でございますから、当然、資金のデュレーションギャップというもの、要するに、調達の金利の平均年数、貸し付けの平均年数、そのギャップがどれくらいになっているのか、資産、負債管理をきちんとやっていかなければならないわけでございます。したがって、政策金融もやりなさい、資金調達はとにかく財政資金からは一切借りるな、これも、手足を縛られて泳いでみろと言われるような話でございまして、なかなか難しい話なのでございます。

 いずれにいたしましても、できるだけ効率的にやっていきましょうということと必要最小限の政策金融はやりましょうという、一見相反するかのごとく見える二つの要請をきちんとやっていくことが次の経営者に求められるわざというものでございます。

古本委員 今国庫にJBICはこれだけ貢献されています。残りの三行はそうじゃない。これは、そういうミッションですから、それはいいんです。区分経理を行った上で、残りの三行は赤字だ、JBICだけが黒字だ。それぞれに区分経理をしているのに、それを通算して国庫に納付という概念は今後とも続けられるんですか。これは会社法上の会社になりますね、そんな会社は世の中にあるんですか。それとも、国庫に納付しないというならいいですよ、赤字会社に転落というなら。

大藤政府参考人 新公庫に関する法律で手当てをしておりまして、各勘定区分ごとに一定の剰余金というものを政令等で定めるわけでございますけれども、それを超える額につきましては、国庫納付を行うということになっております。

古本委員 それでは、ちょっと確認しますけれども、三公庫、国金庫と農林と中小、この三つを合わせて千億の赤字だった。仮にですよ、例えばの話をしますから。千億の赤字だった、JBICが五百億の黒だった、こうしますと、これは差し引き五百億の赤字で済むんですか、それとも、五百億国庫に納付してもらえるんですか。これは百八十度違いますよ。どっちですか。

大藤政府参考人 まず、JBICに関する勘定につきまして、いわゆる国庫納付が可能になる部分については国庫納付をするということでございます。

古本委員 可能になる部分というのは、この四つは一つの会社になるんですよね。ということは、総裁が今ずらっと並んでおられますが、引き続き、各省の何となく利権を握ったまま、縄張りを持ったまま、それぞれ独立会社のように今後とも四行がやっていくんだ、こういうことですか。それは会社法に照らして正しいですか。

大藤政府参考人 この公庫は、会社法に基本的によるわけでございますけれども、この法律で特段の定めを置いている場合には、その定めによるということになっておりまして、各勘定ごとに、一定の準備金というものを超える部分については、その勘定ごとに国庫納付を行うということでございます。

古本委員 法の何条にそれをうたっておられるんですか。別に定めたわけですね。

大藤政府参考人 法律の四十七条でございます。

古本委員 四十七条。つまり、これは特殊会社なんですよ。だから、法に定めれば何でもできる、こういうことですね。大臣、こういうことですね。会社法の会社をつくったんだ、株式会社だと言っておきながら、実はこれは特殊会社なんだ。

 では、せっかく手が挙がっていますからあわせて聞きますよ。過去、JT、NTT、JR、日本を代表するこういう各企業が特殊会社になったときに、この法の三条のような、全株を我が国政府が保有し続けるという、こんな条文は入ったことがありますか、ないんですよ。これが初めてです。

 したがって、会社法上の会社になります、ディスクロージャーも透明化します、いろいろなことをうたっておられますが、実はもう入り口の、会社を起業する上で、創業する上での大前提である利益をどうやってつくっていくか、収支をどうやって計算していくか、その計算になれば、それぞれ区分経理して単独で決済していきます、だけれども一つの会社なんです、こういうことをおっしゃっているんです。

 ここは、まず、マクロの本当に入り口の話でもう既に大分時間がたってしまいましたが、何か感想があればお聞かせ願います。

林副大臣 大変基本的なところであるというふうに思います。

 新公庫の法人形態でございますが、まず、今委員から御指摘がありましたように、強固なガバナンスを発揮するということをしながら、透明性の高い効率的な事業運営の実現と、それから政策上必要な業務の的確な実施を図る。これはたびたびほかの先生方からも御指摘いただいたことですが、政策金融の必要な部分はきちっと遂行してもらう、この政策目的がございます。

 こういった双方のニーズを満たすために、まさに今委員が御指摘になったように特殊会社にしたわけでございます。ですから、運営は基本的には会社法に従うわけでございますが、先ほど答弁がありましたように、この法案に定めることによって会社法の例外になるということで、まさにこの法案を御審議いただいている、こういうことでございます。

 そして、民間企業会計や会計監査人による監査の実施及び取締役会や監査役による企業的な組織運営による透明性の高い効率的な運営を目指す、このことが今申し上げた理由でございます。

古本委員 各四公庫が今持っておられるストックベースでの欠損金というのは、どのくらいあるんですか。累積欠損金です。

薄井政府参考人 四千数百億円になると思います、累積欠損で。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、収支差補給という形で、毎年、補給金ということで、公会計上はそういう欠損金というのはないです。(古本委員「民間準拠だったらあるでしょう」と呼ぶ)民間でやりますと、あと貸倒引当金の関係とかいうのが出てまいります。数字はちょっと……。

横田政府参考人 中小公庫の平成十七年度の行政コスト計算財務書類に欠損金がございまして、十七年度末で四千五十八億円。(古本委員「累積で」と呼ぶ)はい、累積。これはまさにこの時点の欠損金でありまして、十八年度末は若干減っております。

篠沢政府参考人 国際協力銀行の国際業務勘定におきましては、累積欠損金はございません。

古本委員 そうしますと、区分経理を行う今後の新会社では、このストックベースでの欠損金の扱いについては何か方針を持っておられますか、大臣。

林副大臣 実は、特殊法人が独立行政法人になりますときも同じような議論がございました。委員も御承知かと思いますが、それぞれの責任でもって、きちっと各省に責任を持っていただいた上で独法なりにしていく、こういうようなことがあったと思います。

 この統合をするときに当たって、同じような考え方で、勘定区分をして、今までそれぞれの機関であったものが、それぞれその運営によりまして今御答弁のあったような欠損金が出ているわけでございますので、これを統合するから直ちに一つのどんぶり勘定にするということではならない、こういうふうに思っておりますので、そのために勘定区分をきちっとやっていく、こういう考え方であろうかと思っております。

古本委員 統合後も、それぞれの公庫がこれまで累積してきた欠損金は区分経理で貸借対照表上も残していく、それぞれが残していく、こういうことでよろしいですか。

大藤政府参考人 それぞれが勘定ごとに残すということでございますが、それを合わせた公庫全体としての数字もあるということでございます。

古本委員 合わせた数字とおっしゃるのは、JBICの財務体質がいい分と合わせて相殺をするということをおっしゃっていますか。合わせるというのはどういう意味ですか。

大藤政府参考人 清算をするという意味ではございません。

古本委員 清算をせずに合わせるというのはどういう計算ですか。

薄井政府参考人 国金です。

 先ほど申し上げましたように、法定財務諸表上のバランスシートでは私どももきちっと債権超過になっておるんですけれども、民間準拠ですと千億程度の赤になる。これは貸倒引当金をたくさん積まなければいけない。今、林副大臣からお話がありましたように、今度の新公庫法の規定によりまして、その点を移行時に手当てしていただけると法律上措置されていると承知しております。

古本委員 これは入り口の話なんですね。財投の出口改革である四機関の統合。八つありました政策金融機関の中でこの四つに白羽の矢を立てて、絞ってくっつけるわけですね。それがシナジーがあると大臣も累次にわたっておっしゃっておられます。統合効果があるということなんでしょう。

 そうしますと、これは横から読んでも縦から読んでもどこから読んだって、財投の出口改革ということは、その財投がストックベースで減らなければ改革にはなりませんね。依然として資金需要者であるわけで、財務省理財局としてはこんなにいいお客さんはないわけであります。

 したがって、今現在、議論してもここの数字が示されない、計画もない。そして、その財投への依存度を、シェアを下げていくためには、国の補給金を除けば、これはやはり財投機関債なり、場合によってはだれかから借りるなりしないと資金調達できないわけでありまして、そこら辺のモデルの計画の数字もお示しいただけない。

 これは、入り口の、財投の出口の改革であるというマクロのマクロ、大きな話中の大きな話であるその話をしただけでも、おおよそこの四つが一つになることによって財投の出口改革であるというふうには、申しわけありませんが、にわかには理解できないという状況だということを国会の場でありますから申し上げつつ、若干ミドルの話をさせていただきたいと思います。

 貸出先の絞り込み等々も今後の統合によって行っていくということでありますが、これこそ本末転倒じゃないのかなという見方も一方であるわけですよね。(発言する者あり)

河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こして。

 古本君。

古本委員 話を続けますが、今、実は政投銀と公営公庫だけでいわゆるGDP半減というのは達成できるんですよ。違いますか。

林副大臣 委員御指摘のように、現在の残高でこうやっていきますれば、確実に達成する見込みだというふうに考えております。

古本委員 いや、これは大事ですよ。四機関の統合は、財投のシェアからいうと、全体のパイからいうと、実はそんなに大きくないんです。やはり大どころは政投銀と公営公庫なんですよ。これは私が言うまでもないです。

 したがって、財投の出口改革としてこの四つの機関の統合だというのは、確かに、ウエートからいうと、割合からいうと、小さいよという話なのかもしれませんが、本筋からいえば、財投の出口改革としてこれを提案しているわけでありますから、その財投がいかに小さくなっていくか、それをどういう計画性を持って四公庫のそれぞれかじ取りをなさっている方が今持っておられるかというのは、大事なことなんですよ。

 それで、中くらいの話に行きますが、これは大臣も、天下りの件も大変今粉骨砕身で取り組んでおられるのはメディアを通じて拝察を申し上げておりますが、今国会に間に合うということでありますが、間に合うんですか。

渡辺国務大臣 国家公務員法の改正案は、今月中に国会に提出をさせていただくべく準備を進めているところでございます。

古本委員 その中に、わたりの問題があるということで調べていただいたというのは事務局から聞きましたが、わたり、渡り鳥というんですか、この四公庫の中にそういう方はいらっしゃいますか。

渡辺国務大臣 この調査は、私、手足がございませんので、菅総務大臣にお願いをしてお調べをいただいております。

 御指摘のわたりについては、行革事務局の部隊を通じて調べましたところ、三年間で確認されたのが、二十件ぐらいだったでしょうか、十六件という極めて少ない数字が報告されたところでございます。

古本委員 ちょっと議論が前後いたしましたが、さっきとまったのでちょっと質問を失念したものですから、ちょっと時計の針を戻させていただいて、累積欠損金のくだりですが、これは民間準拠ベースで、今はこうで今後どうなっていくかという計画図を、今はいいです、この委員会に提出していただけますか。委員長、お諮り願います。

河本委員長 理事会で協議します。

古本委員 ありがとうございます。

 あわせて、中小公庫さんは自分のところで今八%海外に業務展開をなさっているところの貸出先があるとおっしゃいました。残りの国金庫さんと農林さんも、現在の貸出残高ベースで海外に業務を持っておられる方々の割合、実態も、あわせて当委員会に提出していただきたいと思います。委員長、お諮り願います。

河本委員長 理事会で協議をいたします。

古本委員 その辺の数字を詰めていった上で、ぜひさらなる議論をしていく必要があろうかと思います。

 さて、わたりの話に戻りますが、実は、私は渡辺大臣を敬愛いたしておりまして、まさに、今ついておられる任はすごくフィットした任についておられるというふうに思っていますが、その上で、今回のこういう四機関の統合の話が出てきているわけですね。

 今、資料の中でおつけをいたしておりますが、七の一から二、三、四、五とございますが、これは、今現在の各四公庫の役員ですね、総裁以下、こういう実態なんですよ。天下り再就職、この中には、恐らく精査すれば、一度民間に出てからまた戻ったとか、俗に言われるわたりという方もおられるんだと思います。まあ、御当人方に聞けば一番お詳しいと思いますが。

 要するに、この実態は、私は、この四公庫が持つ使命を考えれば、ある一定の方々はやはり役所にも精通している等々、なぜなら、国庫による補給を今後も続けていく会社でありますから、これはやむを得ないと思うんですね。問題は、こういう経歴の方々が、本当にスリムな公的セクターをつくっていくに、大臣と思いを一にして粉骨砕身で取り組むことができるかどうかなんです。

 その象徴的な例を一つ申し上げますと、資料の八をおつけしました。八の一、八の二以下は、JBIC、国金庫、それから農林、中小の最近における副総裁、理事の皆さんの退職金です。

 これは、たしか平成十五年の閣議決定を受けてこういう公務員の退職の際に業績勘案率を入れるということで、これに基づけば業績勘案率ゼロから二を入れることができるということになっているんです。これは国民公庫の一番下に注書きで書いていますよね。

 残念ながら、頑張ろうが頑張るまいが、公的機関のスリム化を図るんだとまさにキャリア官僚OBの尾身さんが熱弁を振るっておられましたが、その先頭に立ってかじをとるはずの方々の査定の実態がこれなんです。属人的じゃないんです、属ポスト的なんです。見事に張りついています。ばらつきがありません。

 頑張った人に業績勘案率二を出せばいいじゃないですか。そうじゃない人は、申しわけないですが、ゼロでいいじゃないですか。その際の努力目標が、業績勘案率を計算する際の物差しが、四公庫の財政の体質をスリムにするために貢献したことがすばらしいのか、より公的機関にしか頼ることができないお客様に、国民に積極的に貸してリスクをとっていった方が評価されるのか。これは、水と油のJBICと三機関が一緒になっている限り、実はここの役員につく、公務員の皆様から出向いておられる方々は、苦悩の日々を送られる。そして、これを評価するのは外部機関に委託しているというんですよ。その外部機関の委託されている学識経験者の人も、査定項目が、一体何をもってこの副総裁は頑張ったんだろう、理事さんは頑張ったんだろうとできないんです。

 ですから、ハローワークに行けと言っているんじゃないんですよ、私ども民主党も。もちろん私もそんなことは言っていません。識見にすぐれ、役所にパイプを持っている人がそれぞれの持ち場で頑張ることはすばらしいんです。ところが、入れた業績勘案率なんて機能していないんです。そんなことで、大臣の目指す公務員の制度改革、働き方改革、そしてさらには、処遇でありますこういったボーナスも含めた話に至るかどうかという大きな問題を含んだまま、恐らく、きょういらっしゃる方々も含めて、今度の統合会社の設立に収れんなさっていかれるんだろうなと想像をいたしています。

 そこで、大臣にお尋ねいたします。

 新しくできる会社の使命を考えたら、役割を考えれば、何をやった人が業績評価されるんでしょうか。今その理念を持っていなければ、この会社は、郵政の出口改革だという美名のもとに、まずはつくりましたという会社で終わってしまいますよ。御答弁を求めます。

渡辺国務大臣 先ほどの御指摘の退職金の問題でございますが、これは、平成十五年の十二月十九日の閣議決定にございます。つまり、〇・〇から二・〇の範囲で業績に応じて決定する業績勘案率を乗じたものとする、こういう決定なのでありますが、委員御指摘のように、この勘案率が同じ数字じゃないかということでございました。

 こういうのをスーパー護送船団方式というんですね。したがって、こういうスーパー護送船団をやっておりますと、てんでその業績が何だかよくわからない、どういうぐあいに頑張っていいのかわからない。これでは、やる気のある人もやる気がなくなって、せっかくスター選手になれる人も、スーパー護送船団のもとでスターダストになってしまうという、もったいない人材の使い方がなされてしまうわけでございます。

 いずれにしましても、今回我々が考えております国家公務員法の改正案の中では、能力・実績主義、これをきちんと取り入れていこうと。もう既に評価は行われているわけでございますが、この評価が給料とポストに反映していないというのが今の実態でございます。したがって、評価を給料とポストに反映させていこうということを国家公務員法改正案の中で準備いたしておりますので、応援よろしくお願いいたします。

古本委員 統合の目的が、大きなマクロの話を随分時間を使ってやらせていただきました。そこの新しくできる会社の使命がどこにあるかということが、残念ながら今確かにはお聞かせ願えませんでした、いただけなかったです。

 これは無理もないんです。三つの機関とJBICとは役割が違うんです。それを一つにする限りは、相当崇高な、あるいは役職員八千名を率いていく上でのこうなんだという目的がないと、これは財投の出口改革には絶対になりません。

 ミクロの例を指摘して終わりたいと思いますが、資料の一をごらんいただきたいと思います。

 これは実は、事務局から最初にいただいた資料です。人員の縮減効果、支店の統合、利用者の利便性の向上ということでありますが、人については、五年で五%、こういうことであります。皆さん頑張れ、一年後には仕事がないかもしれないけれども頑張れよという叱咤激励が役職員の皆さんを鼓舞するのか、一緒に汗をかこうよ、一年後も仕事があるよ、だけれども国庫からの補てんの額をここまで下げていこうよ、あるいはJBICに負けずに利益を出していこうよと。でも、それもあり得ないんです、利益差補給は引き続き行うと今答弁いただきましたから。

 これは、すぐれて何を目的とする会社なのかということは、八千名の役職員が政府と一緒になって共有しないと、今後とも国庫から補てんなんてとてもできませんよ。残念ながら、人員の縮減という非常に表面的な数字だけちょうだいしました。

 支店の統廃合、ではこれは、向こう五年間で、あるいは十年間で何店舗に統廃合するんですか。今数字出ますか。

大藤政府参考人 支店の統合につきましては、これまでも御説明してきたとおり、国内三公庫で二百三十三でございます。その六十地域で同一地域に複数の支店が存在するということでございますので、これを極力統合していくということで、そういう姿をできる限り早く達成するように店舗統合を進めていくということでございます。

古本委員 今回の四機関の統合目的の中に、実は、寄せてとめるというか、統廃合により公的な部門のスリム化ということを結構大きくうたっておられますよ。それから、国庫への納付貢献というのも書いておられますよ。国庫納付からいえば、依然として霧は晴れませんね、水と油の会社が一緒になりますから。

 さらに、皆さんが言われるところの、私はこれはミクロと思っていますが、こんな支店の統廃合だ、人員の縮減だということさえも、今数字は出ないんですよ。これが今回の計画なんです。おおよそいい案だねというわけには至りません。

 ぜひ、当委員会に、せめて支店の統廃合計画ぐらい出していただきたいと思います。おおよそ是か非か判断できません。委員長、お諮り願います。

河本委員長 理事会で協議いたします。

古本委員 さらにミクロの話をもう一つつけ加えますと、随契の問題がございました。これも少し、事務局には大変、夜を徹して準備をしていただいたのかもしれません。そのことには敬意を表します。

 資料の五、統合四機関の随契の状況でありますが、今この四機関の随契は、大体九割前後で出されておられます。発注の規模が六十億、十億、七十億、八十億、小さいといえばそうかもしれませんが、他方、民間準拠ベースで各四公庫の経常費用を見ますと、このウエートは結構高いですよ。

 経常経費に占める発注を今後どうやっていくか等々も、これはまさにこの新会社の哲学、理念に通じる話であります。今後とも、谷垣大臣がこうやってお達しを出しておられる、随契は厳に慎むべきという話に見事に背いておられます。

 もう時間が来ましたので終わりますが、どうぞ、貴内閣委員会におかれまして充実した審議をされますことを切に願いまして、質問を終わります。

 以上です。

河本委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 四月十一日の内閣委員会で、私、質問をさせていただきました。その際、政府答弁の中に、中小企業向け貸出残高の数字に誤りがありました。基礎的な数字なのに百兆円程度も違うという大変な数字の違う答弁をされましたが、どうなっておりますか。責任を明確にしていただきたい。

    〔委員長退席、平井委員長代理着席〕

大藤政府参考人 先生ただいま御指摘いただきましたとおり、去る四月十一日に先生の御質問に対しまして私がお答え申し上げた答弁の中に、一部誤りがございました。ここでおわびして訂正させていただきたいと存じます。

 具体的には、先生からの、民間銀行の中小企業向け貸出残高についての御質問に対しまして、私から、一九九六年十二月末が三百六十・八兆円、二〇〇六年十二月末が二百五十六・九兆円、それから二〇〇六年末の数字は一九九六年比で七一・二%という割合でありますということで答弁させていただいたところでございます。

 しかし、この数値は、民間銀行、統計上は国内銀行ということでございますが、国内銀行の数値ではございませんで、国内銀行に信用金庫、信用組合、政府系金融機関を加えました国内金融機関の数値ということでございました。

 先生お尋ねの正しい国内銀行の数値は、中小企業白書によりますと、一九九六年十二月末が二百五十四・六兆円、二〇〇六年十二月末が百八十・三兆円でございまして、二〇〇六年末の数字は一九九六年比で七〇・八%という割合でございます。

 ここに謹んでおわびして訂正させていただきたいと存じます。

佐々木(憲)委員 基礎的な数字なので、今後、ぜひ注意をしていただきたい。

 次に、提案されている法案が中小零細企業に必要な資金を本当に供給することに役に立つのかどうかという点を、法案に即してお尋ねしたいと思います。

 これまでも少し議論がありましたが、現行の三公庫の目的というのは、一般の金融機関からその融資を受けることを困難とする国民、中小零細企業、農林漁業者が必要とするものを供給する、こういうふうに規定されております。ところが、この新公庫の目的は、一般金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、国民、中小企業、農林漁業者の資金調達を支援すると規定しているわけですね。

 つまり、中小企業にとって必要とするものを供給するという目的から、大手銀行を補完するものに限定する。ということは、本質的な性格を変質させるということになるのではないでしょうか。大臣のお考えをお聞かせいただきたい。

渡辺国務大臣 農林漁業金融公庫法の第一条で、農林中金その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする、こういう規定がございます。つまり、農業関係の金融機関というのは農協が一般的ですね。農協のお金を束ねて運用しているのが農林中金であります。

 したがって、政策金融というのは、そういう農業関係の金融機関とは違って、かつては郵便局に集まったお金が自動的に財政投融資という制度を通じて流れ込み、そして出口の農林漁業金融公庫に来ている財政資金、こういう位置づけだと思います。

 ですから、今回の改正によって、まさしく一般の金融機関がなかなかやりにくいことを補完する、こういう規定でございまして、新公庫の業務というのは、民間金融機関のみでは適切な対応が困難な分野に対して資金を供給する、また、債務の一部の保証とか、貸付債権の譲り受けなどの業務を行っていく、こういうことでございまして、決して矛盾はないと考えます。

佐々木(憲)委員 今、農協の話をしましたけれども、中小企業の場合は、一般金融機関というのは民間の銀行ですね。それが貸し渋り、貸しはがしで大変な事態になったときに、例えば国民生活金融公庫が支援をするという役割を果たしていたわけです。一般金融機関から融資を受けることが困難である、そういう中小企業に貸し出していた。ところが、今度は補完的なものである。これは矛盾はないとおっしゃいましたけれども、では、ないのなら、なぜ目的のこの表現を変えたんですか。

渡辺国務大臣 政策金融というのは、政策目的を達成するために民間金融のみでは適切な対応が困難な分野に資金供給を行うものでございます。この点、この基本的な役割については変更はございません。

 ただし、官とビジネスというのが、これは民業補完に徹するということを明確にした上で新しい公庫をスタートさせようということから、この見直しを行ったところであります。

佐々木(憲)委員 民業補完に徹するということに変えたことによって、これまで受けていた中小企業が資金の融資が受けられなくなるということが発生しないのかということを聞いているわけであります。

 具体的に、もうちょっと聞きましょう。

 政府の施策に基づく政府系金融機関と、金融市場の競争のもとにある銀行というのは、当然次元が違うわけです。これを一緒にして、政府系金融機関を民業と競争させるというか、あるいは民業の補完的なものとして位置づけるということになりますと、政策金融機関を非常に狭い枠内に押し込むことになるのではないか、これでは政策金融機関としての機能を十分発揮できないのではないかというふうに考えるわけです。政府によって、業務の縮小、廃止、あるいは業務の民営化ということに拍車がかけられるということになる。

 附則第四十七条は、政府は、公庫が一般の金融機関が行う金融を補完するものであることを旨とする観点から、資金貸し付けの業務その他の公庫の業務のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、業務の廃止その他の所要の措置を講ずるものとすると規定をしているわけですね。拡大するという方向は一切ないわけであります。縮小、廃止という方向が基本方向だ、こういうことなんですか。

渡辺国務大臣 我々の基本的な発想は、やはり官と民との関係は民が主役であると。官が主役になって民をコントロールしていくんだ、そういう立場にはないわけでございます。

 したがって、この点は共産党さんと基本的な哲学の違いはあるんだろうと思いますが、公庫法の今御指摘になられた附則四十七条一項の規定であります。これは、御指摘のように、新公庫が一般の金融機関が行う金融を補完するものであるという観点から、新公庫の業務に関して不断にチェックを行っていきますよという規定であります。その上で、必要があると認めるときは、業務の廃止その他の所要の措置を講ずる、こう規定しているわけであります。

 したがって、見直しの結果、業務を縮小していくものも当然あり得るわけでありますが、あらかじめ特定の業務の縮小を前提としているわけではございません。

    〔平井委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木(憲)委員 見直しの結果、拡大するということはあるんですか。

渡辺国務大臣 具体的な見直しに際しましては、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、行政減量・効率化会議のワーキングチームで御検討をいただきたいと考えております。

佐々木(憲)委員 結局、中小企業あるいは農林漁業に貸し出すものがふえていくんじゃなくて縮小の方向だ、これは非常に問題があるというふうに私は思います。

 私は、別に政府系金融機関が主役になれとかといっている話じゃないんです。借りる側が安心して借りられるような条件をどこが主役であろうがきちっとつくるべきである、そういう角度から言っているわけです。政府系金融機関というのは、民間が貸せない、そういうところにちゃんと貸してくれるという役割を果たしてきたわけであって、それを縮小しちゃうと、借りる側からいうと、借りる先がなくなってくる、貸してくれるところがなくなってくる、こういう心配をしているから言っているわけであります。

 例えば、中小企業者に対する貸付業務は、中小企業に関する重要な国の施策に従って行われる特別貸付に限定して、事業に必要な設備資金あるいは長期運転資金などの中小企業公庫の一般貸付等を廃止する、こうなりますと、中小零細企業は借りることができなくなるのではないか、あるいは、条件が不利な非常に高い金利の民間銀行から借りざるを得ない、そういうふうになるのではないかと思いますが、いかがですか。

渡辺国務大臣 中小公庫の一般貸付という制度は、言ってみれば、高度成長時代の、民間の資金が不足をしていた時代の民間補完の制度であったと考えます。つまり、一般貸付はいわゆる量的補完であったということでございますから、今のような、資金がじゃぶじゃぶあって日本の企業部門まで資金余剰になっちゃった、こういう時代に果たして意義のあるものなのかということを考えましたときに、いや、これはもう役割を終えた制度じゃないんですか、こういうことで、今回は廃止をしているわけでございます。

 ちなみに、一般貸付というのは、御案内のように、四億八千万円まで、運転資金の場合は二億四千万円まで、基準金利が五年以内で二・四%、設備資金の場合は十年以内、運転資金の場合は五年以内、こういう商品設計でございますが、これらのことは特別貸付で十分カバーできる代物なんですね。あるいは、民間でもこういう資金ニーズに全く対応できないかといったら、そんなことはないでしょうということから、今回は廃止をいたしております。

佐々木(憲)委員 じゃぶじゃぶあるからじゃぶじゃぶ貸しているか。現実に、過去の不況下を振り返ってみても、不況のときになって資金が余って、貸出先について、当然大いに貸すべき時期に中小企業に対して貸し渋り、貸しはがしが起こってきたじゃないですか。じゃぶじゃぶあっても銀行の姿勢が貸し出すという姿勢になっていないというところに問題があって、まさにそういうときに補完的な役割、政府系金融機関の役割というものが発揮されてきたわけであります。したがって、じゃぶじゃぶあるからどんどん貸し出せるんだという発想自体が現実をよく見ていないということを申し上げておきたい。

 整備法の第五十一条は、新公庫の業務を民間企業の入札で業務を請け負わす、いわゆる市場化テスト法の対象にしております。これは、行革推進法五条一項六号で規定されているように、新公庫の業務の評価、監視、必要性の有無、民間化、貸付残高の継続的な縮小を行う、こういう規定に沿ったものであると思います。こういう形で結局、民業を圧迫するという理由で業務の縮小、廃止という方向が進む仕組みになっていると言わざるを得ないわけであります。

 したがって、こういう方向をこの法案の中に書き込んでいるということは、全体としていいますと、中小企業にとっては極めて大きなマイナスである、本来やるべき公的な役割を後退させるものであるというふうに言わざるを得ないと思います。

 次に、天下りの問題についてお聞きをしたい。

 提案されている法案を見ますと、第六十一条にこう書かれているわけです。「特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮すること。」となっていますね。この意味を確認したいんですが、固定的に選任されることがないようにというのは、特定の公務の経歴を持っている、そういう人々は固定的に選任されることがないようにということなのか。つまりこういうことですね、ある省の事務次官が次々と特定のポストに天下るような状況、このことを言っているのか。それとも、特定の者、特定のAならAという人がいつまでも固定的に選任され続けるという状態をいうのか。どちらのことを言っているのでしょうか。

渡辺国務大臣 特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないようにという規定の趣旨は、小泉前総理の時代から言っていますように、固定的に事務次官だからトップになる、そういう時代じゃもうないんですよと。官民のいかんを問わず、必要と認められる識見及び能力を有する人たちの中から適材適所で経営責任者を選任していく、そういう意味でございます。

佐々木(憲)委員 そうすると、系統的に同じところに、例えばどこどこの事務次官が毎回、出ていったらまたそこに送り込むというようなことはしないという意味だと思うんですね。

 そこで、お配りした資料を見ていただきたいんですが、先ほども少し議論がありましたが、私、整理をして、二〇〇二年から二〇〇七年まで五年間の四つの政府系金融機関の天下りの現状について調べてみました。これは天下りの部分は網かけになっております。これを見ますと、ともかく多いわけですね。例えば国民生活金融公庫、先ほどお見えになっていた方も含めまして、役員十人のうち総裁初め七人が天下りであります。農林漁業金融公庫は八人のうち総裁初め四人、中小企業金融公庫は十二人のうち六人、国際協力銀行は十二人のうち総裁初め五人、全体で四十二人の役員中二十二人が天下りであります。

 私は、確かにこれは極めて異常な状態だというふうに思うんです。しかも、今言ったように、特定の公務の経歴を有する者が固定的に次々と天下っている。大臣、このような状況は新しい法律によってどのように変わるんですか。

渡辺国務大臣 まさにこのような事態を改革するために今回の法案を御提案申し上げているわけでございます。

 今回の法案では、まず、「特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮すること。」と法案の中に明確に書いて規定しているわけですよ。

 また、それを担保するために、主務大臣の認可のみならず、閣議の口頭了解、これもあわせて必要としております。平の役員は主務大臣の認可プラス官房長官協議、代取については主務大臣認可プラス、常勤者については官房長官協議、会長、社長の選定についても、代取会長、社長については閣議口頭了解、こういうチェックをかけているわけでございますから、今までみたいに、次官だから、長官だから自動的にこのポストなんて、安倍内閣では考えられないことでございます。

佐々木(憲)委員 六十一条を見ますと、代表取締役または代表取締役のうち経営責任を負うべき者の選任の手続及び要件に関する事項ということで、これは、総裁、一番トップの部分ですね、対象になっている。「特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮すること。」というのは、一般の役員じゃなくてトップだけじゃないんですか。

渡辺国務大臣 役員全体についても天下りを禁止すべきではないかということでございますか。

 先ほども申し上げましたように、役員の選任について認可をすることにしております。また、認可に当たっては、適切な人選であるということについて政府のルールに基づいて内閣としてきちんとチェックをするということにしてあるわけでございます。官房長官の同意、閣議の口頭了解、こういったチェックが同時にかかるわけでございますから、適材適所の人選が行われるということになるわけでございます。

 また、新公庫においては、役員全体について公務員OBを二分の一以下にするという目標は当然適用されてまいります。

佐々木(憲)委員 二分の一は認めるということですか。この六十一条は、代表取締役、つまり社長ですよ、それだけの対象でしょう。何か全部これが、さっき私が出した表のすべてを入れかえるような大げさなことを言いましたけれども、社長だけじゃないですか。

渡辺国務大臣 今御指摘になった規定は代取、社長だけでございますが、役員について、先ほど来申し上げているように、認可プラス官房長官同意、こういう縛りをかけているわけでございますから、今までみたいに固定的に、役所の幹部だからそのポストに天下れるという時代は終わったということでございます。

佐々木(憲)委員 では、この六十一条の最初に、代表取締役及び役員はと書き直してください。

渡辺国務大臣 この規定はトップだけの規定でございますが、先ほどから申し上げているように、主務大臣の認可に当たっては、適切な人選であることについて役員全部について、政府の確立したルールに基づいて内閣としてきちんとチェックをする、こういう縛りをかけているわけであります。したがって、役員全員について官房長官の同意が必要になるわけであります。

佐々木(憲)委員 認可とか同意とかルールとか言いますけれども、では、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されないということを明言できますか。

渡辺国務大臣 固定的に、役所の幹部だから天下りして、それぞれの機関の幹部になるということはございません。これはもう官民のいかんを問わず、必要と認められる識見、能力を有する人たちの中から適材適所で経営責任者を選任していくということでございます。

佐々木(憲)委員 今の答弁は、もしそれが全部適用されるというんなら、法律上ちゃんと書いてください。法律上書いてあるのは社長しかないですからね。

 問題なのは、こういう形でべたっと、いわば半分以上天下りが、しかも同じところに同じ部署からどんどんどんどん行くような、そういうシステム化されているところに問題があるわけです。そのことについては、認可すれば幾らでも同じことが繰り返されるじゃないですか。何の歯どめにもならないんですよ。

 もう一つ、ちょっと角度を変えまして、では、今まで、この天下りと言われていたものがどう行われていたのか。各省庁ごとに組織的なあっせんを行っていたというのが実態だと思うんですけれども、実態というものは正確に把握されているのかどうか。例えば、各省庁に担当者、人事課などが担当者を決めて、関連企業に要望を聞いて、そして、こういう人がいますよということで紹介をして割り振る、そういう組織的あっせんというのが現に行われてきたんじゃありませんか。

渡辺国務大臣 いずれにしても、国民の目から見て押しつけじゃないかと見られかねないようなものまで根絶をする必要があると安倍内閣では考えているわけでございます。

 したがって、天下りの一番根源になる大もとは何だ、それは、各省が予算と権限を背景にして人事の延長線でやっているあっせん、これが一番の元凶でありますから、これを全面的に禁止するというのが今回の法案でございます。

佐々木(憲)委員 押しつけを根絶すると言いますが、各省庁に聞いてみると、押しつけはほとんどありませんという回答じゃないんですか。押しつけというものは人によって解釈がばらばらなんですよ。組織的に、次から次と企業に対して送り込んでいく。いや、これは企業が要望しているんだから、民間の要望に基づいてやっているんだから押しつけじゃありません、そういう解釈を今までやってきたんです、私も質問したときは。

 ですから、問題なのは、押しつけがどうかという話じゃなくて、組織的に、系統的に、特定の業界を対象に次々と送り込んでいくというこのシステムが問題なんです。システムそのものを変えないといけない、やめなければならない。それを、一本化して統合して同じようなシステムをつくったのでは同じなんです。各省庁の声がそこにまた反映されるということまで妥協してやっている。

 そういうところに重大な問題点があるわけで、だから、今度の法案も、何か天下りを規制するかのような形をとっておりますが、抜け穴だらけ、網の目がでか過ぎて全部落ちてしまう、そういう内容になっております。その点を指摘して、時間が参りましたので、終わります。

河本委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。

 本法案、差しかえできょうは質問をさせていただくわけでございますが、初めに、国民生活金融公庫についてお伺いをいたしたいと思います。

 十八年三月末現在の貸付金の口数で見ますと、国金が二百九十七万八千件、農林公庫が二十五万六千件、中小公庫が十九万四千件、国際協力銀行が二千件と、国金がこのように明らかに口数が多いわけでございます。先ほどからも国金についていろいろな質問が出ておったわけでございますが、国金が今まで果たしてきた役割というのは非常に重いものがあり、かつ存在感もあるということだと思います。

 私も、従来から国金についてはいろいろな観点で申し上げてきたわけでございますが、国金という存在はラストリゾートだと私は言っておるわけで、民間金融機関で融資を受けられない方が最後のよりどころとして行く機関、こういう位置づけをいたしておるわけでございます。

 ですから、従来は、国金の窓口に行きますと非常に対応が悪かったというようなことがあったものですから、私もそのことは申し上げたり、担保評価で十日ぐらいかかったとか二週間かかったとか、こういうようなことがあったり、これも申し上げました。また、融資の実行が非常におくれたりしたものですから、これも早くしろと言って、最近は非常によくなったと聞いております。

 なぜこんなことを言うかと申し上げますと、今申し上げましたように、国金というのはラストリゾートだ。国金に断られると、融資を受けるところはもう、最近は貸金業規制法が改正をされましたので大分変わりましたけれども、高利の金を借りに行かなきゃいかぬというような状況に陥る。下手をしますと最後には自殺も考えなきゃいかぬという方がたくさんいらっしゃるわけで、そういうような観点で国民生活金融公庫が果たしてきた役割は非常に大きなものがあるわけであります。

 今回、この法案において、日本政策金融公庫ということで株式会社になって、その中で国金の機能を担ってやっていかれるわけでございますが、統合後の法人が、現在やっていらっしゃる国金の融資と比較して、今やっていらっしゃる機能を十分行い得るのかどうか、まず初めにお伺いをいたしたいと思います。

渡辺国務大臣 新公庫のもとで、それぞれの政策金融の必要最小限の機能は業務として残ります。今後の組織設計に当たっては、支店の統廃合や役職員の縮減などによって経費の節減は図ってまいります。一方、利用者の利便性の維持向上が図られるようにきちんと対応してまいります。

 第一に、支店に各専門分野に明るい担当者を適切に配置いたします。主要な支店においては、新公庫のすべての金融サービスに関するワンストップサービスも提供いたします。その際、相談に来られた方々が戸惑わないよう、わかりやすく案内するなどの工夫もいたします。

 第二に、業務に関するノウハウを共有することによって、新規創業の支援や事業再生支援といった共通の課題についても連携した取り組みを行ってまいります。

 したがって、国民生活金融公庫がこれまで果たしてきた役割については、新公庫において十分対応できるものと考えております。

谷口(隆)委員 一時、ベトナムからの要請があって、庶民金融を教えてもらいたいということで、最近はどういう形になっておられるのかちょっとわかりませんが、ベトナムに国金の皆さんが行っておられたわけでございまして、やはりかなりそういうノウハウも持っていらっしゃるわけでございますし、融資を受けておられる方は、個人だとか中小零細企業の方だとか、さっき申し上げましたように民間企業でなかなか融資をしてくれないところで、最後に国金に頼るという方が多いのも事実でございます。

 ですから、今回、貸付金残高の対GDP比率半減目標ということはあるわけでありますが、総体としては、やはり今渡辺大臣がおっしゃったように、十分配意をしてやっていただきたい。財政基盤が非常に弱いものですから、最近は金融機関は、預貸でほとんど利益が出ませんから余り積極的に貸し金をやろうという姿勢がありません。

 そんなことを考えますと、この国金、財政基盤の弱い方々が融資を受けるということを考えた場合に非常に存在感があるわけで、そういう観点でいって、今後をどのようにお考えなのか、もう一度御答弁をお願い申し上げたいと思います。

渡辺国務大臣 貸付残高をGDP比で半減するという目標は掲げております。これは新公庫には承継させますけれども、早い話が、商工中金それから日本政策投資銀行の完全民営化措置、それから公営企業金融公庫の廃止措置、これらは政策金融から切り出すことにしているわけでございますから、この半減目標は十分達成できるものと考えております。

 新公庫法においては、利用者を考えまして、資金調達支援を初めとして政策金融として必要な機能は引き続きしっかりと担ってまいります。具体的な貸し付けの規模は、必要な財政上の措置も含めて、毎年度の予算の国会議決の過程で御審議をいただきます。利用者のニーズを踏まえた必要な融資は実施してまいります。

谷口(隆)委員 ぜひ細かい配慮をお願いいたしたいと思います。

 次に、国際協力銀行の関係についてお伺いをいたしたいと思います。

 最近は、もうはやりになってまいりましたけれども、イスラム金融。私は今、日本・アラブ首長国連邦の友好議員連盟の事務局をやっておりますが、在京の中東各国の大使と協議をしても、従来からこの問題が出ておりまして、向こうに行っても、最近はドバイが非常に金融機能が高まってまいりまして、今はバーレーンからドバイに移っている。JBICの支店もドバイにできておりますし、東京三菱UFJ銀行の支店だとか、メガバンクがどんどん今向こうに行っている。産油国の資金を取り込みたい、こういうような形で行っておるわけであります。

 それで、一年以上前だと思いますが、きょうは篠沢総裁も来ていただいて、後からまた御答弁をお願いしますが、ぜひJBICでもそういう研究をお願いしたいといって、JBICも一生懸命今までされてこられました。この一月に国際協力銀行の主催でイスラム金融のセミナーが行われまして、私、二日間ずっと出ましたが、予想を上回る、大変盛況でありました。

 そのときに、マレーシアが今このイスラム金融の中心になっておるわけでありますが、マレーシア中央銀行のゼティ総裁という非常に有名な総裁がおっしゃったのは、イスラム金融は世界全体で五千億ドル、大体六十兆円程度ある、このようにおっしゃったわけであります。

 また、マレーシアに本拠地を置きます国際監督機関、イスラム金融サービス委員会、IFSBというのがありますが、ここの事務局長は、年一五%以上の勢いで市場規模を拡大しておるというように言っておられたわけでございます。

 そもそも、イスラム金融というのは一体どういうものなのと、こういうことになるわけでありますが、イスラム金融というのは、コーランの教えに従ってイスラム法に基づく金融制度でありまして、利息は不労所得として禁じておるわけであります。資金や労力を出し合って一緒に働く協業を奨励するということで、銀行は、貸付金で利息を得るかわりに、客と共同で事業に投資し、収益は分かち合う、こういうような制度であります。

 それで、最近はイギリスも大変熱心にやっておりまして、ブレアさんの後、次の総理になられるんじゃないかというブラウンさん、ブラウン財務大臣も、シティーをイスラム金融のゲートウエーにする、こういうように宣言をされて、我が国であれば、融資をしますと金利を取る、金利は損金処理できるわけですけれども、配当という形で来たらこれは税制上の対応はできませんから、配当とした場合にでも税制上の恩典を与えよう、こういうことで今英国は一生懸命やっておるわけであります。

 そこで、先ほども申し上げましたように、JBIC主催で一月に行われたセミナー以降、日銀も大変関心を持っておりますし、JBIC、本当に頑張って大変な方々を集めていただいたわけでありますが、非常に存在感のある働きぶりだったと私は思っております。いわばJBICがイスラム金融をこの日本の舞台に引っ張り出してきた、こういうように私は感じるわけでありますが、このようなJBICの働きについて、どのようにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。

渡辺国務大臣 イスラム金融というのは、私もまだ不勉強にして存じませんけれども、イスラム、コーランの教義に従って、例えばお酒とか賭博とか豚には金を貸さない、養豚業ですね、そういった規律はあるんだろうと思います。しかし、そのリスクやプロフィットはシェアする、こういう発想でございますから、これは大いに研究してみる価値はあるなと思います。

 JBICがいろいろな金融の知見に基づいてイスラム金融についても検討や情報提供を行っていくということは、大変に意義のあることであると考えます。

谷口(隆)委員 この四月末に安倍総理が訪米した後に中東各国を回られるということでございまして、その折に、百名を超えるデリゲーション、財界の方が向こうに一緒に行かれていろいろなお話をされるということでございまして、私は、大変すばらしいことだ、いいことだと思っております。

 そのメンバーの中で、JBICの篠沢総裁も行かれるということでありますが、篠沢総裁に申し上げたいんですが、中東各国、特にUAEにおいでのときには、その財界の皆さんに、イスラム金融というものはこういうことなんだ、状況はこういうようになっておるというような、現地でセミナーをされたらどうかと思っておるわけでありますが、篠沢総裁、どうでしょうか。

篠沢政府参考人 この四月末から五月初めにかけましての安倍総理の中東訪問の際、経済界の多数の方々が同行、ミッションとしておいでになるということでございますので、私も参加をさせていただく予定にしているわけでございます。

 その中では、恐らくイスラム金融の話もいろいろ話題に出ることと思います。何分スケジュールがタイトでございますので、今先生がおっしゃられたようなことがうまくはめ込めるかどうかというのは、やや自信がないのでございますが、いろいろな形でこの問題について話題に供し、意見交換をさせていただくようにしたいと思っております。

谷口(隆)委員 イスラム金融に関しまして、ちょっと別件でありますけれども、私は昨年末、十二月二十八日に総理に、私どもの党の代表と二人で官邸に参りまして提言をさせていただきました。

 アジア・ゲートウェイ投資機構、これは仮称でありますけれども、こういうことを政府としてやっていくべきでないかということを申し上げまして、今、アジア・ゲートウェイ構想の中で協議をいただいておると思うわけでございますが、なぜこのようなことを申し上げたかと申しますと、我が国は、二〇〇五年に貿易黒字を所得収支の黒字が上回った、いわば貿易立国から投資立国に変化しつつあるんじゃないか、こういうようなことが言われておるわけであります。ストックがふえてきた、対外投資、債権が非常にふえてきた、こういうことであります。その際には、やはりこの対外債権を有効に活用するということが非常に重要でございます。

 このような状況があって、今の金融の世界的な動きは一体どういう動きをしておるかといえば、我が国の資金が欧米にいわば未加工に流れておって、それが、欧米で加工されたものがまたアジアに還流してくる、こういうような大きな資金の流れがあるわけで、そういうようなことをやった場合は、一つは、日本に対するリターンが非常に少ないわけですね。リスクが少ない、ということは利ざやが少ないということで、アジア・ゲートウェイ投資機構というところに民間中心にファンドを組んで、そこから直接アジアに資金を流していく、アジアのスタートアップ企業、成長企業、こういうところに運用していく。また、一年前倒しで産業再生機構が三月末で終わりましたが、この再生機能を投資機構に入れていく、こういうことをしたらどうか、こういうことを言ったわけでございます。

 アジアに貢献をし、アジアの活力を取り入れる。今、少子高齢化でありますけれども、リターンを上げてその財源にしていくということをしたらどうかということを申し上げたわけでございます。

 一方で、きょうは財務省に来ていただいていますが、財務省では従来から、アジア債券市場育成ということをやっておられるわけでございます。その一つのきっかけは、一九九七年に起こったアジア通貨危機。この通貨危機というのは、よくよくこの原因を分析すると、欧米の資金を現地、アジアに流したときに、短期で調達したものを長期で運用しておる、また、ドルで融資したものを現地では現地通貨だ、こういう通貨と長期、短期という期間の二重のミスマッチの結果起こったと言われているわけですね。

 今、いろいろな試みがされております。九七年にはバーツの下落から始まったわけでありますけれども、このようなことを今考えたときに、どのようなやり方がいいのか、こういうことになるわけでありますけれども、アジアの債券市場を育成して、むしろアジアの地域内でお金を融通し合う。チェンマイ・イニシアチブといった形で、欧米じゃなくてアジアの域内で資金を調達し合うということを今やっているわけでありますが、一方で、共通通貨の問題だとか、アジア開発銀行を通じていろいろなことをやっております。

 そういう中で、私は、今申し上げたアジアに日本の資金を直接流していくという構想、このような構想を総理にお渡ししておりますが、きょう財務省に来ていただいておりますので、財務省の立場で所感をお述べいただきたいと思います。

玉木政府参考人 御指摘のとおり、アジア通貨危機の残した教訓の一つは、アジア諸国が国内投資の財源として、外国からの資本流入ではなくて、国内貯蓄を望むらくは直接自国通貨建ての債券市場で吸収し、それに充てるということがどうしても必要だということでございます。

 こうした教訓を生かすために、ASEANプラス3、ASEAN諸国と日中韓三カ国の財務大臣会議の枠組みのもとで、私どもも、こうした形の資金調達が可能になるよう、アジア諸国の債券市場を育成するイニシアチブを進めてきております。こうした中で、JBIC、国際協力銀行も、アジア通貨建て債券の発行でありますとか、アジアにあります日系企業が発行する債券の保証といった形で、これに大いに貢献しているところでございます。

 アジア域内の豊富な資金をアジア域内に還流させ、域内の経済発展に必要な中長期の資金ニーズに充てるということは、アジアの各国の安定的な経済成長のために御指摘のとおり極めて重大なことでありまして、JBICの資金仲介機能がこのような面で貢献していくことを強く期待しております。

谷口(隆)委員 まずは、私が申し上げた構想についてどう思うかということを述べていただきたいと思うんです、今財務省の立場で。

玉木政府参考人 昨年の末、公明党におかれまして、アジア・ゲートウェイ構想の具体化に向けて、アジア・ゲートウェイ投資機構の創設あるいはアジア・ゲートウェイ拠点地域の形成に向けた重点的支援といった政策提言をいただいたことは承知しております。

 現在、内閣官房で御提言を踏まえた検討が進められていると承知しておりますが、財務省国際局を中心にこの検討に積極的に協力してまいりたいと思います。

谷口(隆)委員 本日は塩崎官房長官にちょっと答えてもらいたかったんだけれども、これは法案審査ということで、財務省にきょう来てもらったわけですね。

 私は、そういう意味で、今、世界全体の中で日本のプレゼンスをどう発揮するのか、アジアの中で日本のプレゼンスをどう発揮するのかといったことを考えた場合に、変化が生じてきているという中でJBICの占める存在感は大変大きなものがあると思うわけでございます。今回、四機関が統合されてスタートをするわけでございますが、これからもこのJBICの働きを私は大変期待するところでありますけれども、なかなか政府では行い得ないようなところを彼らがやってくれているということをまず御理解いただきたいと思いますし、またそれを支えていかなきゃいかぬ、このようにも思うわけでございます。

 それで次に、これもJBICの関係ですけれども、環境関係なんです、環境対策といいますか、日本の温室効果ガス削減目標達成に対するJBICの対応ぶり。

 京都議定書に基づいてこの達成に各国が今大変な努力をしておるわけでありますけれども、開発途上国であるとか体制移行国で行われる温暖化ガス排出削減プロジェクトから生じる排出権を購入することを一つの目的としまして、民間企業中心でございますけれども、民間企業とともにJBICも、日本政策投資銀行も入っておりますが、一つは日本温暖化ガス削減基金、JGRFというのをつくりました。もう一つは日本カーボンファイナンス、JCF、この二つをつくって、大体出資額が一億四千万ドルだと聞いておりますが、このうちJBICが一千万ドルを出資しているということでございます。

 実は、これを実質的に動かしておるのはJBICでありまして、海外の二十七カ店のいろいろなネットワークの中で情報を取り寄せて、排出権取引を非常に頑張っている。このような基金によって、買い取り支援だけではなくて、排出権を創出するプロジェクトに対する直接融資などを行って、総合的な支援を行っている。

 排出権について、世界全体で大体二十億から三十億トン程度と言われておるわけでありますが、日本の省エネ技術によって排出削減が二億から三億トン程度になる、このようなことを言われておるわけでありますが、これらは将来、排出権獲得に向け影響力を発揮し得るわけであります。

 このようなJBICの活躍の結果、我が国企業に排出権の供給を図るということに対して、今JBIC、国際協力銀行が大変頑張っておるということでございます。これは民間金融機関ではでき得ることではありません。

 それでお尋ねをいたしたいわけでありますが、このような大きな排出権取引の絵をかいて頑張っておるJBICに対してどのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

林副大臣 委員が御指摘になりましたように、ファンドをつくる、また、そこのファンドから排出権獲得事業について直接融資をするという組み合わせをしたり、今まさに委員が御指摘になりましたような途上国ですとか体制移行のところはカントリーリスクというのがございますので、非常にJBICが、めぐりめぐって我が国の排出権の獲得に資する案件を支援してきた、大変重要な役割を果たしていただいているというふうに承知をしております。

 新公庫が、発足後におきましても、今回の政策金融改革において新公庫の国際部門が担うこととされた機能を的確に果たしていくという観点で、JBICがこのような取り組みを行うことにより我が国企業の国際競争力の向上に寄与するということは大変意義深いものと考えておるところでございます。

谷口(隆)委員 排出権の取引の日本の市場をつくるということで今頑張っていただいておるようでございますが、JBIC総裁、今どのような状況になっておるか、御報告いただきたいと思います。

篠沢政府参考人 この排出権問題につきましては、ただいま先生からお話があり、また林副大臣からお話がございましたような形で、当行、それなりに今尽力をしているところでございますが、これまでの経験でありますとかあるいは海外ネットワークを通じて得られる情報などを活用しながら、本邦企業などが容易に、かつ円滑に海外から排出権を獲得できる枠組みづくりということにつきまして、外部専門家あるいは民間企業を交えた研究会の場で検討、協議を行っておりまして、先般、研究会の成果を公表したところでございます。

 排出権の円滑な管理のための信託機能活用研究会というのでございますが、一応この研究会成果の公表までいったわけでございますが、今後も、海外からの円滑な排出権獲得や排出権取引に係る情報提供のための枠組みの構築に向けて、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

 この排出権問題につきましては、民間企業も独自のいろいろな工夫もしておられますし、いろいろな努力が相まって、できるだけ我が国としての排出権取得の盛況につながるようにというふうに考えて努力をしてまいりたいと思っております。

谷口(隆)委員 我が国の省エネ技術を世界的に広く使っていただいて、削減をしていくということによって排出権を得るということは、大変世界にも貢献するわけでありますから、ぜひ手広くやっていただきたいと思うわけでございます。

 次に、バイオエタノール、小泉総理のときにブラジルに行かれて大変前進したわけであります。我が国では、新バイオマス・ニッポン総合戦略、二〇〇六年の三月に閣議決定したものでありますが、これに基づいて、今バイオエタノールの安定確保にも精力的に取り組んでおるわけでございます。ガソリンの中に三%程度入れようというE3だとか、E10だとか、今やっておられるわけであります。

 このように政府と一体となって果たしていくのに、民間金融機関ではなかなか果たし得ないわけでありますが、これも国際協力銀行、JBICは大変いろいろなところで成果を上げております。このようなことについても見解をお伺いいたしたいと思いますが、よろしくお願いいたしたいと思います。

林副大臣 委員御指摘になりましたように、バイオマス・ニッポン総合戦略というのが十八年の三月に閣議決定をされて、その導入の促進を頑張ってやっていこうということになっておるわけでございます。

 まさに先ほどの排出権と似たようなことでございますけれども、我々といたしましては、新公庫が発足後におきまして、新しくこの新公庫の国際部門が担うこととされた機能を的確に果たしていくという観点で、JBICが、今先生が御指摘になりましたバイオマスエネルギー導入に向けた取り組みを進めていくということは、これも大変意義がある、こういうふうに考えておるところでございます。

谷口(隆)委員 今申し上げましたように、エネルギーの関係であるとか環境の対策であるとか、いろいろなところでJBICの国際的なネットワークを利用した働きがあるということを私たちはよく考えなければならないと思います。

 今回、四機関が統合するわけでありますけれども、その働きを阻害するようなことがあってはならない。私たちは、先ほど申し上げましたように、世界の中の日本のプレゼンスをどう発揮していくのかといった観点でも、その先兵としてJBICが頑張っておるわけでありますので、そのあたりのことを十分念頭に入れてやっていただきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。よろしくお願いします。

河本委員長 次回は、来る二十四日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.