衆議院

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第13号 平成20年5月8日(木曜日)

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平成二十年五月八日(木曜日)

    午後二時六分開議

 出席委員

   委員長 中野  清君

   理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君

   理事 櫻田 義孝君 理事 高市 早苗君

   理事 村田 吉隆君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    大塚 高司君

      大塚  拓君    加藤 勝信君

      河本 三郎君    平  将明君

      戸井田とおる君    土井  亨君

      中森ふくよ君    西村 明宏君

      西本 勝子君    萩生田光一君

      藤井 勇治君    市村浩一郎君

      川内 博史君    吉良 州司君

      楠田 大蔵君    佐々木隆博君

      西村智奈美君    馬淵 澄夫君

      石井 啓一君    吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   増田 寛也君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 泉  信也君

   国務大臣

   (国民生活担当)

   (科学技術政策担当)   岸田 文雄君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   内閣府大臣政務官     加藤 勝信君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 殿川 一郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   丸山 剛司君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  西  達男君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進委員会事務局次長)    松田 敏明君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    末井 誠史君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           古谷  毅君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木内喜美男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           谷口  隆君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   平岡 英治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   佐藤  均君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局次長)          神谷 俊広君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局技術安全部長)      松本 和良君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   内閣委員会専門員     杉山 博之君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  遠藤 宣彦君     西本 勝子君

  加藤 勝信君     大塚 高司君

  木原 誠二君     平  将明君

  楠田 大蔵君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     加藤 勝信君

  平  将明君     木原 誠二君

  西本 勝子君     遠藤 宣彦君

  川内 博史君     楠田 大蔵君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官殿川一郎君、政策統括官丸山剛司君、国民生活局長西達男君、地方分権改革推進委員会事務局次長松田敏明君、警察庁生活安全局長片桐裕君、刑事局長米田壯君、交通局長末井誠史君、外務省北米局長西宮伸一君、文部科学省大臣官房審議官古谷毅君、厚生労働省大臣官房審議官木内喜美男君、木倉敬之君、医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、農林水産省大臣官房審議官谷口隆君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、電力・ガス事業部長西山英彦君、原子力安全・保安院審議官平岡英治君、佐藤均君、国土交通省自動車交通局次長神谷俊広君、技術安全部長松本和良君、防衛省大臣官房長中江公人君、人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。

 三十分いただきまして、三つのテーマについて議論させていただきたいと思います。

 まずは、高齢者の方々の交通事故防止対策について議論させていただきたいと存じます。

 かつて一万人を超えていた二十四時間以内の交通事故死亡者の数ですが、今、警察の御尽力にもよりまして、昨年度は五千七百四十四人まで減少しているということでございます。もちろん、究極的にはゼロということではございますけれども、これはなかなか、ゼロになるのはかなり難しいかもしれません。しかし、そこを目指して努力を続けるということが大切だと思います。

 しかも、これは、平成二十二年までに二十四時間死者数を五千五百人以下にするという目標と、死傷者数を百万人以下にするという目標を警察は掲げていらっしゃるんですが、どうも平成二十年度中にこの二つとも目標を達成できるんじゃないか、こういうことがかなり高い確率で予測されているということでございまして、関係各位の皆さんの御尽力に大変敬意を表したいと思うわけであります。

 しかし、五千人台まで減ってきましたこの数字をもう少し細かく見ていきますと、さまざまな問題点が出てきます。特に、六十五歳以上の高齢者の方々が死者数の半分弱を占めるという状況になってきています。かつ、この皆さんは車を運転しているときに事故に遭って亡くなるというよりも、むしろ歩行中に亡くなられるというケースが相対的にどんどんふえてきているということでありまして、このことにつきまして少し議論させていただきたいと存じております。

 まず、ことしじゅうに二〇二二年までの目標を達成したとする場合、次なる目標をどこに設定されようとしているのか、もしある程度見通しがあるならば教えていただきたいと思います。

泉国務大臣 御指摘のように、交通死亡者を目標を立てて減らすということは、今日まで官民挙げて取り組んでいただいたところでございます。五千五百というのが当面の目標でございまして、これをできるだけ早く達成するということで、さらに新たな目標を今立てておるわけではございません。

 ただ、交通死亡者ゼロを目指すという新たな目標のもとで政策を進めさせていただいておりますので、その政策に沿って、さらに一層死亡者数を減らすという努力を続けていかなければならないと考えておるところでございます。

市村委員 先ほども申し上げましたように、今、十九年度の交通事故死亡者数を状態別に見ますと、自動車の運転中が三五%でトップなんですが、次いで歩行中というのが三三・八%ということで、この差はどんどん縮まってきています。恐らく、ことしとか来年あたりには歩行中の死亡者というのが運転中の死亡者を抜いてくるんじゃないか、こう思います。

 したがいまして、運転中につきましては、例えば飲酒運転の厳罰化等々、運転者に対する取り組みというのは進んでいるところなんですが、歩行者に対する取り組みというのは、例えば子供たちに対しては交通安全教育とかいうことで、いわゆる児童、青少年に対してはそういう取り組みがあるわけですが、六十五歳以上の高齢の皆様、大先輩方でございますけれども、こういった皆様に対してはどういうような取り組みがなされているか。今現在やられている取り組みについて教えていただければと思います。

末井政府参考人 お答えいたします。

 高齢者の状態別死者数について見ますと、歩行中が最も多く一千三百四十五人、四九・三%を占めておりまして、次が自動車乗車中の六百十二人、二二・四%となっております。なお、高齢者の歩行中の死者の実に八二・八%の方が運転免許を保有していない状況にあるという実態でございます。

 警察におきましては、こうした高齢者の事故防止を図るため、交通安全教室などを実施いたしまして交通ルールの周知徹底を図りますほか、いわゆるヒヤリ地図というものを作成するとか、反射材の有効性を体験できる講習会の開催など、参加、体験、実践型の交通安全教育を推進しております。

 また、先ほど申し上げたとおり、日ごろ交通安全教育を受ける機会が少ないという特色がございますので、平素高齢者と接する機会の多い民生委員の方や医師などと連携をいたしまして、日常的に交通安全のワンポイントアドバイスなどが行われるような地域での支援ネットワークづくりに取り組んでおりますほか、関係機関、団体、ボランティア等の協力をいただきまして、高齢者世帯への訪問指導活動を実施しております。

 このほかでございますが、歩行者用の青信号の時間を延長するといったバリアフリー対応型信号機の整備や信号制御の歩車分離化、生活道路におきます交通規制の見直しなどによりまして、高齢歩行者が安全、安心に通行できる交通環境の整備を推進しているというところでございます。

市村委員 ありがとうございます。ぜひともそういう取り組みをさらに拡大し、また深めていただきたいと思います。

 また、昼間と夜間ということになりますと、死亡事故の場合は五七・二%が夜間に起こっているということなんです。このとき、さっき局長もおっしゃっていただきましたが、こういう反射材をかばんとか衣服につけるということを警察は推奨されているようでありますが、ほとんど知られていません。ですから、もちろん、こうした反射材でいいのかどうか。また、今、有機ELとかいろいろそうした新しい素材というか技術も出てきています。ああいうので、もうほとんど電力を使わずにみずから光ってくれるようなものも出てきていますし、蓄光材なんというのもあります。そうしたものもまたいろいろ活用しながらこうしたものの普及にも努めていただけたらなと思いますが、こうしたことにつきましては今後どういうお考えか、また改めて聞かせていただきたいと思います。

末井政府参考人 お答え申し上げます。

 反射材の普及促進につきまして、実は平成十六年に全日本交通安全協会におきまして、反射材活用推進委員会というものがつくられております。これは、反射材用品製造業者から成る全国反射材普及促進協議会とか、あるいは流通業界、アパレル・用品業界、交通安全関係団体が結集されたものでございまして、ここにおきまして、年一度の例えば反射材フェアといったものを各都市において開催し、このようないろいろな新規素材あるいは普及品というものの紹介がなされているわけでありますし、また、繊維、衣料そのものへの織り込みといった形でいろいろな促進をしております。

 私どもも、先ほど申し上げました高齢者訪問活動の際にも、例えばこういったものを貼付してそれぞれに利用してくださいといった形のものを交通安全指導員とともにやっておりまして、今後とも普及促進に努めたいと考えております。

市村委員 今は歩行者のことでございました。やはり運転者の方も、私はずっと、飲酒運転の厳罰化ということにつきましては、この内閣委員会を通じてさまざま主張し、また議論させていただきましたが、国家公安委員長、どうでしょうか、さらなる厳罰化が私は必要だと思います。飲酒運転の厳罰化につきまして、またさらに御検討いただきたいと存じます。委員長から一言、よろしくお願いします。

泉国務大臣 飲酒運転の厳罰化につきまして、罰則につきましては、平成十三年それから十九年、二回道交法を改正させていただきまして、飲酒運転撲滅のための取り組みをさせていただいたわけでございます。特に十九年の改正では、飲酒運転の周辺者、お酒を飲ませるとかあるいは車を提供するとか、そういうところまで罰則の対象を広げさせていただいて、飲酒運転の撲滅ということに取り組ませていただいておるわけでございます。

 ようやく国民の中にも飲酒運転の問題、飲酒運転根絶機運の高まりが見られてきておる、事実上、飲酒運転の数値もこのところ減ってきておるわけでございますので、これからさらに取り締まりあるいは国民の協力をいただいて、飲酒運転による交通事故を大幅に減らしたい。これは一層努力していかなければならないと思っております。

市村委員 それから、今ドライブレコーダーが大変普及をしてきていまして、このおかげで、交通事故のことにつきまして、今までは、目撃者証言等々いろいろ食い違い等ありまして、どっちが本当に悪かったのかというのがなかなかわかりにくかったケースも多かったと思いますけれども、このドライブレコーダーの普及によりましてこれがはっきりしてくるというのは、私は大変いいと思います。しかも、お聞きしましたら、大体三万円ぐらいだということであれば、もうちょっと普及をさせれば当然安くなってくると思います。

 それで、私は、やはりドライブレコーダーはそもそも自動車メーカーと協議していただいて全部つけていくということが望ましいのではないかという考えを持っておりますが、これは何か国土交通省との関係もあるようでございますけれども、ぜひとも国家公安委員長からお考えをちょっと聞かせていただきたいと存じます。

泉国務大臣 このドライブレコーダーにつきましては、八次の交通安全基本計画におきましても普及に向けた働きに努めるということが記されておりますし、昨年六月の衆議院の道路交通法改正の議論の場におきましても附帯決議をつけていただいておるところでございます。

 このドライブレコーダーの果たす役割につきましては、一つには、先生御指摘のような安全運転意識の向上、あるいは車を動かす事業者等における交通事故原因の分析等に非常に役立つものであるというふうに私自身も認識をいたしております。

 したがって、副次的なことではありますけれども、事故の映像が交通事故の捜査にも役立つという、少し本来の目的とは違いますけれども、そういうことを通じて、交通の安全を図っていく上において有益であるというふうに考えております。

 警察庁では十九年度、昨年度から、このドライブレコーダーの記録映像を活用した効果的な交通安全教育手法、見ていただいて、どういう場合に問題が起きておるかという調査研究を行っているところでございまして、この成果を踏まえて、また、委員御指摘の国土交通省などの御意向も踏まえて取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたが、自動車メーカーとも御協議いただいて、できれば、全部最初からドライブレコーダーを組み込んで車をつくるというふうにすればコストも安くなると思いますので、またぜひとも御検討いただきたいと存じます。

 交通安全対策についてはこれだけにさせていただきたいと思います。

 きょうは西川厚生労働副大臣にもお越しいただいていますが、実は私は、この委員会、内閣委員会だけではなくて予算委員会の分科会等々を通じまして、介護の問題について幾つか議論させていただいておりました。それで、何といいましても、私は、ついの住みかといいますか、人生最期をどこで迎えるか、こういうテーマについて議論させていただいたわけでありまして、介護保険の理念としては、理想としては、在宅介護、家で家族でお世話し、最期をみとる、これはもちろん理想とするところでありますけれども、現実はなかなか厳しいということも議論させていただいているところであります。

 かつては、介護というと、私の記憶でも、私の祖父なんかも、床に伏せったら大体一カ月ぐらいでもう残念ながらといいますか、亡くなっていたと思います。かつてはそういうケースだったと思います。しかし、今は医療の発達のおかげで、これが二年、三年、五年、十年と介護期間がすごく長いということになってきますと、やはり家族にそれを負わせるのは大変難しいんじゃないかと。

 となりますと、ついの住みかとしましては、施設介護がやはり中心にならざるを得ないんじゃないかという意見を私は持っておりまして、そのときに、例えば特養というのはとてもお金がかかるということになってきますと、結局民間の有料老人ホームというものをもっと普及させなくちゃいけないんじゃないか。また、実際普及しているんですね、普及しようとしています。どんどんふえています。

 しかし、そのときに、本当に志を持っていわゆる大先輩方のお世話をし、最期もそこでというような、心安らかにというような形ならばいいんですけれども、例えば、有料老人ホームは株式会社の形態ですから、経営がおかしくなったら、ごめんなさい、もう経営できないんですといって閉じてしまった場合、一体そこに住んでいらっしゃる方はどこに行くのかというような問題も発生してくる。

 ということで、私が厚生労働省さんにお願いしておったのは、例えばドイツにホーム法というのがありまして、こうしたことに関して規制をかけているんですね。ホームの定義をしっかりして規制をかけているわけです。だから、やはり野放し状態ではいけないんじゃないか、こういう有料老人ホームについてはしっかりとした規制をかけていくべきじゃないかと。もちろん、規制はなるべく撤廃した方がいいというのが私の考えですが、安全面とかこうしたことに関しては強化すべきことじゃないか、こういう考えで議論してきました。

 また、去年、ちょうど一年ちょっと前ですけれども、これから絶対、介護殺人、介護心中というのがふえてくる傾向にあるということで、これはぜひとも対策を打ってほしいということを一年以上前に私は議論させていただいた覚えもありますが、昨今、ここ数カ月の状況を見ただけでも、介護殺人、介護心中というのが多発しているという状況であります。

 私としては、もう三年も一年も前からいろいろな意味で議論をしてきたわけでありますけれども、この間、こうした議論を踏まえて、厚生労働省としましては、一体どういう対策を打っていただいたのか、これにつきまして、まず大臣か、どなたでもいいですが、教えていただけますでしょうか。

西川副大臣 ありがとうございます。

 まさに今委員がおっしゃいましたように、介護の問題というのは、厚生行政におきましても、医療と並んで最大テーマの一つということが言えると思います。

 介護保険制度というのがスタートした中で、最初、厚生労働省として思っていた以上の、倍ぐらいの必要度と財政の面もかかっているわけですけれども、そういう中で、確かに、今おっしゃったように、お年寄り御本人の意識調査をすると、実はやはり住みなれた場所で最期を迎えたいという方が圧倒的に多いんですね。しかし、大概の場合は、子供に迷惑をかけたくない、あるいは家族に迷惑をかけたくない、そういう思いの中で施設に入りたいという御意見を持っていらっしゃるお年寄りが多いのもまた事実でございます。

 ですから、その辺のところ、本音はどうなのか、そういうことも自分の身に引き比べて考えますと、これは大変複雑な問題でございまして、厚生労働省が一方的に施設がいい、地域がいいと決めかねることはあると思います。

 そういう中で、でも御本人の本当の意思に即したような介護ができれば本当は一番いいわけですから、厚生労働省の方向性としては、やはり地域でみとる、そのための地域支援センター、これを各市町村に全部つくりましたけれども、あらゆる皆さんのお悩みにこたえた中での便宜を図る、地域全体で支援する、そういう方向が実は望ましいんじゃないか、そういうものは出しております。

 しかし、現実に、重度の方、いろいろな方がいらっしゃる、御家族のお考えもある中で、施設整備ということも、またやはり大事なことだと私も思っております。

 今、厚生労働省で出している基本指針にのっとって、市町村で全体の介護の量をある程度把握する、きちんとした調査をいろいろかけています。きちんとした量を把握した中で、どの程度、施設介護がいいのか、地域サービスがいいのか、この辺のところはしっかり現実の要望にこたえた中で持っていきたい、そういう思いでおります。

 また、先生がおっしゃいました老人ホーム等の、いわゆるもうけ主義と言っては言い過ぎかもしれませんが、そういう会社経営などの有料老人ホームに関しては、十七年度に老人福祉法の改正をいたしまして、一時金の保全措置とか、重要事項を説明しなければいけないとか、立入検査権とか、きちんと担保した上で、そういうことをきちんとやっていくことが大事なんだろうと。

 ちょっと長くなって恐縮なんですが、きょうちょっと目にしたきのうの新聞に、ある実際の読者の方からの投書で、認知症のお母様を介護していて、自分は母子の関係がずっと元気なときから余りよくなかった、そのお母様の介護に週に三日通っているんだけれども、非常に苦痛だった、お母様の方もかたくなだった、そういう中で、いいところ、よかった思い出だけを思い出してみて、まずそのことに感謝する言葉を吐いてみたらどうですかというアドバイスをいただいて、その人がピアノを教えているんですが、お母様が音楽の教師だった、自分がピアノをできたのはやはり母のおかげだったということで、お母様にありがとうという言葉を言ったそうですね。そうしたら劇的にお母様の表情がやわらかくなって、それから一月ぐらいたつけれども、自分でも、自分で信じられないくらい母親に対する気持ちが変わったという話を、ちょっときょう読んだんですけれども。

 やはり家族で介護することの本質というのは忘れてはいけないような気がいたしまして、その中で先生の御要望等にいかにきちんと対応していくか、対処したいと思います。

市村委員 副大臣おっしゃられたとおり、当然、家族が介護し、自宅で最期を迎えるのがいいと思います。これはもう、それができるのであれば望ましいということでありますが、現実は、先ほど申し上げたように、やはり介護の期間が大変長期にわたる。これは悪いことではないんです。それだけ医療が発達して、かつてだったら本当に早く命がなくなっていたものが長く生きていけるようになった、長寿国家日本として誇るべきことだ、こう思います。

 しかし、その結果、だれかに大変大きな負担がかかるような状況にもなってしまっているということで、現実を見ますと、それはもちろん、心の持ちようというのは大切でありまして、それは介護だけじゃありません、何事も心の持ちようが大切だ。何事もつらいと思ってやるのか楽しいと思ってやるのかでは心の持ちようで全然違ってくるのは、それはあります。ただ、施策をつくる者としては、やはり現実を見ていかなくちゃいけないと思うんですね。心の持ちようが変わったらいいんですよと言うのは、多分、政治家の仕事じゃなくて、宗教家の仕事かもしれません。だから、我々政治家としては、やはり現実を見ながら、現実を踏まえてそれに対して対処していくということだと思います。

 実際、私の選挙区なんかも、都市部ですけれども、ちょうど私の同世代の女性たちが特に介護をやっているんですね。それで、いろいろ声を聞くんです。そうすると、市村さん、そう簡単には施設に入れられないというふうに言うんです、やはりほかの目があると。あそこは楽していると言われると言うんですね。都市部ですらまだそういう状況だとすれば、推して知るべしだな、いわゆる地方、もっと地方に行くと。しかし、そういう意識もまだあるところにあって、それで、とても大変な状況にある。親二人、自分の親とだんなの親を抱えていると言って、大変なんだと。しかも子育てもやらなくちゃいけないという状況の中で、大変、何とかならないかな、こういうことなんですね。かといって、特養にといっても百人待ちとか、こういう状況もいまだに続いているという中で、結局、何とか家族でと思ってやってきた、特に心の優しい方の方が多分最後にぽきっと折れてしまって、それこそ親とかを殺してしまった後、自分も自殺するというような悲惨な状況になっているんじゃないか、こう思うんですね。

 ですから、これはもう現実が大変厳しい状況だということをまず認識いただきまして、そして対応していただきたい。特にそのときに、在宅介護は理想なんですが、やはり今は施設介護ということが、現実的にはもうそっちに持っていかなくちゃいけないと私は思っています。だから、そのためには、その施設、もちろん、特養が無理であれば民間がやるわけですから、それなら民間のいわゆる有料老人ホームがぴしっと経営されるようにある程度歯どめをかけておくというか、規制をかけておかなくちゃいけないという思いでありますので、ぜひとも御検討いただきたいと存じます。済みません、時間がないので、これは答弁は求めません。

 次に、ジェネリック医薬品についてちょっと議論させていただきたいと思っております。

 四月以降、処方せんのあり方が変わりました。これまではジェネリックに変更するというサインがあった場合はジェネリックに変更できたんですが、今回からは、そのままの処方せんならば、あとは御本人の選択でジェネリック医薬品を選べるということになっています。それで、導入から一カ月ちょっとたちましたけれども、今、使用不可にしているリストかそういう資料というのは、どれだけの方が、どれだけの処方せんが使用不可にされてというふうな、その資料はありますでしょうか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、この四月からの診療報酬改定におきまして、後発品の使用促進を図っていこうということで処方せん様式を変更いたしました。この制度変更につきましては、四月からということで、まだ一カ月余り、短期間でありますものですから、その変更状況、処方せん欄にどのような署名をいただいているかという変更状況につきましては、まだ実態把握まで至っておりません。

 しかしながら、本年二月のこの改定についての中医協の答申におきましても、「後発医薬品の使用促進策について、改定後における処方・調剤の状況について検証を行うこと。」という附帯意見をいただいておるところでもありますので、今後、この実態を把握し、中医協の意見を踏まえて使用促進のために適切な検証を行ってまいりたいというふうに思っております。

市村委員 ぜひとも、統計を早く集めて検証を行っていただきたいと思います。

 それで、処方せんなんですが、実は私が関係者の方からお聞きしているところによりますと、ある特定の病院が全部不可になるとか、ある特定の診療科が全部不可になるとか、ある特定の医師の処方せんは全部不可になるとか、これは極端な例が出てきているというふうに聞いています。このような状況がもしあったとした場合、このような状況について厚生労働省としてはどうお考えなのかというのがまず一点。

 これは、要するに、状況によってはジェネリックがだめな場合もあると思います、だから一〇〇%ジェネリックになるようにというようなことは決して私は思いませんが、しかし、極端に、全部だめだ、ジェネリックは全部だめだ、こういうことが特定のところで起こっているということに関して、例えば療養担当規則がこの四月一日に改正されていまして、この中には、ジェネリック医薬品、後発医薬品を使うように努力することという努力義務があるわけですね。「後発医薬品の使用を考慮するよう努めなければならない。」こうあるわけでございますが、もし、特定の場合のみほとんど不可だという場合は、この療養担当規則の努力義務に違反するんじゃないか、私はこういう見解を持っておりますが、厚生労働省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

木倉政府参考人 御指摘のように、後発医薬品の使用促進を図る一環としまして、処方せんのほかにも、保険医療機関、保険医の療養担当規則の改正も行っております。今御指摘いただきましたように、保険医の方は、投薬、注射を行うに当たって、後発医薬品の使用を考慮するように努めなければならないという努力義務を規定したところでもあります。

 しかしながら、この改定前におきましても、使用の実態というのは医療機関あるいはお医者さんによってまちまち、これはまだまだ御理解が十分いただけていないお医者さん、医療機関もあるようには伺っておりました。

 また、今回の改定を契機に、厚生労働省といたしましても、医療機関に対する指導、お医者さんに対する指導、御理解をいただくような指導に努め、御指摘のような、やはりいろいろ御事情はあろうと思いますけれども、なかなか使用促進いただけない医療機関につきましては、後発医薬品の使用促進の意義、ただし、それで直ちに療養担当規則に努力義務違反とまでとれるかどうかという実態もありましょうから、その実態を踏まえまして、その趣旨については理解を求める、地域での保険薬局とお医者さんの話し合いも進めてもらうというような努力を重ねてまいりたいというふうに思っております。

市村委員 これは決してジェネリック医薬品を使いなさいという強制ではなくて、まさに患者の皆さんが選択できるということでありますから、その選択をするときに、最初から医者が、不可だ、とにかく不可だ、いかなるケースも不可だ、これはやはりこれからジェネリック医薬品を普及するということでは大変阻害要因だと思います。

 今、多くのところは、多分八割方か九割近くはちゃんと公平にやっていただいていると私は思いますが、一部そういうところが見受けられるようなふうに何となく感覚を持っているんですね。ですから、今おっしゃっていただいたように、この普及に対してそういう阻害要因になることはしっかりと是正していただきたいと思いますし、副大臣の方からもこのジェネリック医薬品の普及についてもぜひとも一言いただいて、私の質問を終わりたいと思います。もしよければ、先ほどの介護心中、介護殺人についてもまた少し御見解をいただければ幸いでございます。

西川副大臣 ジェネリック医薬品の推進につきましては、今回の方向性でも強く打ち出しまして、今委員が御質問いただきました内容に沿って私どももきちんと対応してまいりたいと思います。

 今の介護の施設等の問題につきましては、あくまでも、やはり地域の要望にこたえた中でのバランスのよい施設、在宅を進めてまいりたいと思います。

市村委員 終わります。

中野委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 委員長や与野党の理事の先生方に御許可をいただきまして、発言の機会をいただきました。ありがとうございます。(発言する者あり)特に許すと言っていただきまして、ありがとうございます。

 まず、警察の関係で若干聞かせていただきたいと思います。

 本年四月十三日午後三時過ぎに、沖縄県北谷町のジーパン屋さんで、米国人少年らによる万引き事件が発生をいたしました。これらの三名の少年は、このジーパン屋の店員らに現行犯逮捕をされた。

 現行犯逮捕をされるというのは、私も今回初めて勉強させていただきましたけれども、刑事訴訟法の二百十三条、現行犯逮捕、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」。その後どうなるかというと、刑事訴訟法の二百十四条で、「検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。」と、現行犯逮捕された犯人は警察に直ちに引き渡されなければならないというふうになっておるということでございます。

 ところが、本件事案の場合には、沖縄県警の方々が現場に到着をしたらば、米軍事警察、すなわち憲兵隊の方々が先に到着をしていらっしゃって、この少年らに手錠をかけていた。そして、沖縄県警が、逮捕して事情を聞かなければならないので身柄を引き渡してほしいということを主張したにもかかわらず、米軍基地内に連れ去ったという出来事がございました。

 これらに対してさまざまな議論をしてきたわけでございますが、まず、憲兵隊が手錠をかけたことについては、これは逮捕ではない、逮捕したわけではないんだというのが憲兵隊の主張。では何なのかというと、規律及び秩序の維持のための必要な警察権の行使であったと。では、連れ去ったのは地位協定上何らかの根拠があるんですかということをお聞きしていたわけでございます。

 まず、警察の方から御報告をいただきたいと思いますが、外務省から、本来ならば現行犯逮捕をし、刑事訴訟法二百十四条で沖縄県警が身柄を拘束しなければならなかった米国人少年らを憲兵隊が連れ去ったことに対して、何らかの説明はございましたでしょうか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省から受けた説明の内容は次のとおりでございます。

 まず、外務省は米当局から、被疑者である米軍人家族が暴れる可能性があったので手錠をかけた、逮捕をしたわけではない、また、米憲兵隊員には沖縄県警が被疑者を逮捕するとの認識がなかった、沖縄県警との間に誤解があったとの説明を受けたということでございます。そして、外務省としましては、たとえ誤解があったにせよ、米憲兵隊員が被疑者を連れ去ったことについては問題があったと認識しており、米当局に対し遺憾の意を表明した。おおむね以上のような説明を受けております。

川内委員 憲兵隊は沖縄県警が逮捕するとの認識を持っていなかったという御説明のようでございますが、この米国大使館からの説明はどのような形でいつ外務省はお聞きになられたのか、だれから聞いたのか、口頭なのか文書なのか、それに正しくはどう書いてあったのかということを正確に御説明をいただきたいと思います。

西宮政府参考人 外交上のやりとりで、逐一は差し控えさせていただきますが、従前より照会しておったわけでございまして、五月二日に在京米大の者から外務省の北米局の者に連絡があったということでございます。

 その内容は、米側の大使館の調査の結果、憲兵隊は沖縄県警が米軍人家族を逮捕するとは考えていなかったようであり、当日のやりとりについて、沖縄県警と憲兵隊の報告の間には引き続き隔たりがある。それから、両者の間に誤解があったと考えることは不幸であるが、憲兵隊を含む在日米軍は、本件に関する沖縄県警の捜査に対し、全面的に協力することにコミットしているということでございます。

川内委員 沖縄県警が逮捕するとは考えていなかった、認識していなかった、誤解があったようであるということでございますけれども、認識はいかにせよ、刑事訴訟法上沖縄県警が逮捕をしなければならなかった米国人少年らを連れ去ったということに関して、地位協定上問題があるというふうに警察庁には御説明されたようでございますが、四月十六日の外務委員会では高村外務大臣は、大いに問題があり得る、かかる行為は大いに問題があり得る、連れ去ったことですね、というふうに御答弁されていらっしゃいます。

 米側からの回答をお聞きしました結果としても、問題があり得るのではなくて、問題があった、あるいは地位協定に根拠のない行為であったということでよろしいでしょうか。

西宮政府参考人 米側からの回答は先ほど申し上げたところでございます。それを踏まえまして、また、これまで警察庁から伺っている情報などを踏まえまして、憲兵隊と沖縄県警との間で十分な調整がなされないまま、米軍人家族が憲兵隊により施設・区域内に戻されたという状況が生じた原因につきましては、憲兵隊が沖縄県警の意図を正確に理解していなかったことにもあると考えられます。

 いずれにしましても、そうした十分な調整がなされないまま、いわば日本側の捜査手続を中断する形で米軍人家族が施設・区域に戻された状況が生じたことにつきましては、仮に誤解に基づくものがあったとしても問題があったと言わざるを得ず、したがいまして、米側の回答を受けて、その日でございますが、二日の日に、改めて米側に対しまして、憲兵隊が沖縄県警の立場を誤解して、米憲兵隊と沖縄県警との間で十分な調整がなされなかったことは遺憾である、憲兵隊が施設・区域外で警察権を行使するに当たっては、日米地位協定及び関連取り決めに従って沖縄県警察に協力するよう申し入れたところでございます。

 なお、実態といたしましては、四月十四日以降でございますが、沖縄警察署内で当該米軍人家族に対する取り調べなどが行われてございまして、その後の警察に対する憲兵隊の協力は得られているものと考えております。

川内委員 前提がいろいろついたようでございますけれども、誤解があったとか調整がうまくいかなかったというようなこととは全く別にして、日本の法令あるいは地位協定及びそれらの関連取り決めに照らし合わせて、今回の少年たちを基地内に連れ去ったことに関しては地位協定上問題があったという御答弁であったと思います。

 この地位協定の問題については、外務委員会や安保委員会でまた議論を、問題があったということをきょう答弁としていただきましたので、引き続きさせていただきたいというふうに思います。

 ちなみに、地位協定上問題があったというふうに日本政府として米軍の行為を認定するのは、多分本件が史上初めてであろうというふうに思います。

 続いて、イージス艦「あたご」の衝突事故についてお尋ねをいたします。

 被害者である漁船清徳丸の行方不明となられた吉清さん親子、御家族の方々、捜索活動に当たられた地元の漁業協同組合の方々への補償の問題についてでございます。

 防衛省は、事故直後、民主党の外務防衛部門会議で、捜索活動に協力していただいた漁協の漁船を動かしていただいた皆さんには燃料代などをきちんと補償するようにいたしますということを御報告いただいていたわけでございますが、事故から八十日が経過をしようとしておりますが、これらの方々への具体的な補償について今どのようになっているのかということを教えていただきたいと思います。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事件に際しまして、連日早朝から関係漁業組合並びに関係漁業者の皆様には自主的に捜索をしていただき、防衛省としましても大変感謝をしているところでございます。

 これらの方々に対しまして防衛省としましていかなる対応がなし得るのか、真摯に検討を行っているところでございまして、現在、燃料代等の経費の負担を含めまして、御協力をいただいたことに対するできる限りのお礼を行う方向で、関係漁業組合の方々のお考えもお伺いをしながら、関係省庁とも最終的な調整を行っているところでございます。

川内委員 最終的な調整を行っているということで、いまだ支出は行われていないということでよろしいでしょうか。

中江政府参考人 そのとおりでございます。

川内委員 これは可及的速やかにお願いをしたいというふうに思います。

 さらに、官房長官、これは私が入手した情報なんですけれども、本当かどうかわからないんです。ですから、ちょっとお聞きするんですけれども、吉清さん親子の御家族というか、行方不明になられていらっしゃる吉清さんと御子息、残されているのは奥様と高校生の娘さんだというふうに聞いております。清徳丸は昨年千八百万円かけて新しいエンジンを購入し、そのローンの支払いが始まったばかりだと聞いております。生活の糧を断たれた病気がちの奥様、そして娘さんということで、大変厳しい状況に吉清さん親子は置かれているというふうに聞いておりますが、この吉清さんの奥様そしてお嬢様の御家族の置かれた状況について防衛省は把握をしていらっしゃるかということをまず教えていただきたいと思います。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としまして、御家族の方々に対しましてできる限りの誠意を尽くしたいというふうに考えておりまして、現在も、一週間に一回程度、横須賀の海上自衛隊関係部隊所属の幹部隊員が御家族のもとに赴き、御家族の状況や御意向を確認しているところでございます。

 委員御指摘の清徳丸を改修した際のローンの支払い等の件につきまして、御家族から直接伺っているわけではございませんけれども、委員御指摘のとおり、御一家のいわば大黒柱の方が行方不明になっておられるということで、御家族の生活に大変御苦労が多いものと拝察申し上げているところでございます。

川内委員 今官房長の方から、船のエンジンのローンについて直接聞いているわけではないがという御答弁でございましたけれども、ローンがある、昨年エンジンを新しくしたということを知っているのかいないのか、そして、それが千八百万円するものであるということを知っているのかいないのか、週に一回行ってそういうことを、どうなんですか、どういう状況になっているんですかということをきちんと把握していらっしゃいますかという趣旨でお尋ねをしておりますが。

中江政府参考人 委員御指摘のエンジン購入の件ですとか、あるいはローンの支払いの件に関して申し上げますと、その点について、直接、今のところお伺いをしているわけではございません。ただ、先ほど申し上げましたように、一週間に一度御家族の方を御訪問いたしまして、経済面も含めた御家族の生活の御近況ですとか、あるいは防衛省に対するさまざまな御要望をお伺いしているところでございます。

川内委員 官房長、週に一回お伺いして、吉清さんの御家族の状況についてしっかりとお聞きをしているんだとおっしゃる割には、しかし、実際の生活の苦労というのはお金の苦労が一番大きなものだろうというふうに思うんですね、月々、ローンの支払いとかは必ずめぐってくるし。そういうことをしっかり把握し、対処していくということが、御家族に対して誠意をお見せするということになろうかと思いますので、ぜひ、正確な状況把握に努めていただきたいというふうに思います。

 さらに、官房長官にちょっと御答弁をいただきたいんですけれども、福田総理も現地に出向かれて、御家族の方々などにお見舞いをされたということでございます。福田総理が個人的にお見舞いをお包みになられたというのが、現状では吉清さん親子に対してなされている唯一の金銭的な補償であるというふうに聞いておりますけれども、官房長官、内閣官房としても、防衛省だけに任せるのではなくて、内閣の取りまとめ役として、率先して、御家族の方々への生活の支援あるいは船のローンの問題、さらには漁協の皆様方に対する支援などについて手を打っていただきたいなというふうに思いますが、官房長官の御所見をいただければと存じます。

町村国務大臣 この問題は、政府が誠意を持って、被害を受けられた方々への、また御協力をいただいた漁協の皆さん方への誠を尽くしていく、これが基本的な考え方であります。

 現実の窓口は防衛省の方でそれはやっていただくということでありまして、いずれ近いうちに、先ほど答弁ありましたように、国家賠償法に基づく損害賠償でありますとか見舞金のお渡しをするといったようなことは、本当にそんなに遠くないうちにきちんと政府としても対応しようという方針で臨んでおりますので、政府としてのおわびの気持ちを込めた対応はしっかりやっていきたいと考えております。

川内委員 あともう一点、陸上自衛官によるタクシー運転手殺害事件というのが、私の地元の鹿児島県で四月二十二日に発生をいたしております。本当に大変痛ましい事件で、陸上自衛隊第一普通科連隊所属の一等陸士十九歳が、タクシー運転手神薗三郎さんをナイフのようなもので殺害したということでございます。

 本件を受けて、秋元防衛大臣政務官や江渡防衛副大臣が謝罪あるいは葬儀に参列をしていただいているということでございますけれども、こういう事件に対して防衛省として、服務規律を正す通知は出したということでございますけれども、具体的には神薗さんの御遺族に対してどのような補償をお考えになっていらっしゃるのか。それとも、これは防衛省とは関係のない殺人事件なのだということで、防衛省としての、謝罪や葬儀への出席はするけれども、補償といったことは全く別問題であるというような御認識でいらっしゃるのか。それをちょっと教えていただきたいと思います。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の生命財産を守るべき自衛官がこのたびこのような事件を引き起こしましたことは言語道断と考えておりまして、御遺族、国民の皆様に深くおわび申し上げたいと考えております。

 委員御指摘のこの御遺族の方への補償の件でございますけれども、委員御案内のように、一つは国家賠償法に基づく賠償という制度がございます。これは、公権力を行使するに当たって、故意または過失によって違法に他人に損害を加えたときを対象とするということになっております。それから、それとは別に見舞金という制度がございますが、これは、国の不法行為により他人に損害を与えた場合を対象として支給をするという基準でこれまで運用してきているところでございます。

 今回の事件につきましては、いわゆる私行上の非行によるものというふうには考えておりますけれども、これらの基準に照らしましてどうかということについては、慎重に検討していきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、御遺族に対してできる限りの誠意を尽くしたいという考えから、どのような対応がなし得るかについては真剣に検討してまいりたいと考えております。

川内委員 慎重に検討するとおっしゃったんですけれども、慎重にという言葉を取っていただけますか。最後には真剣に検討するとおっしゃったんですけれども、その前段で慎重に検討するとおっしゃったんですけれども、真剣に検討するということでよろしいですよね。

中江政府参考人 今申し上げましたように、国家賠償法に基づく賠償ですとか、あるいは見舞金につきましては、先ほどのような基準で、あるいは制度に基づいて運用しているということでございまして、そういった基準に照らしますと、今回の事件というものはいわゆる私行上の非行であるというふうに考えておりまして、そういうところからいたしますと、これらの基準に照らしてどうかということについてはやはり慎重に検討せざるを得ないというふうに考えているところでございます。

 ただ、いずれにしましても、御遺族の方にできる限りの誠意を尽くしたいということを考えておりまして、防衛省としてどのような対応ができるかということについては真剣に検討してまいりたいと考えております。

川内委員 ありがとうございます。

 さて、続いて、再びにがりのことについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 これは、官房長官それから岸田大臣にすばらしい御答弁をいただいて、にがりの規格基準については見直しをするということになりまして、本当に日本全国のお豆腐屋さん、伝統的なお豆腐屋さん、それからお塩をつくっていらっしゃる皆さん、にがりをつくっていらっしゃる皆さんから官房長官は大絶賛をされているわけでございます。

 私も、にがりにかかわりを持ったものですから、にがりのことについていろいろとホームページを見ておりましたらば、おしょうゆにもにがりが使われているということを発見いたしまして、そのネット上のにがりを使ったおしょうゆというのは伝統的な製法であるわけでございますけれども、しかし、これまたJAS法上の規格違反ということで業務改善命令を受けてしまった、JASマーク表示ができなくなったというネット上の文章でありました。

 にがりを使った伝統的製法のおしょうゆについては、四月十五日の農水委員会で私の方から質問をさせていただきまして、農水大臣からは、人体に害がないということが明らかであり、かつ、製造業者の中でそれを長年使っていて、商品としての信頼度があるということであれば、JAS規格の見直しの検討をするよということで御答弁をいただいております。これは、来年の二十一年度の規格見直しの際に適切な対応をするという趣旨であろうというふうに思います。

 これは、農水省さん、そのとおりでいいですよね、今の私の説明で。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま先生御指摘のにがりを用いましたしょうゆの件につきましては、先般の農水委員会で大臣の方で御答弁をさせていただいたとおりでございます。

川内委員 それからもう一つ、しょうゆについて、JAS法の規格と合わないということで業務改善命令を受けてしまったんだという事例がございまして、これもちょっと不思議なんですけれども。

 まず、官房長官、済みません、さいしこみしょうゆというおしょうゆを御存じですか。

町村国務大臣 今般、委員の御質問があるまでそういう言葉は全く知りませんでした。

川内委員 この委員会室にいる人は、さいしこみしょうゆといっても、ごくごく一部の地域の出身の人を除いて、これは恐らくだれも知らない。岸田大臣は広島だから、もしかしたら知っているかもしれませんが、さいしこみしょうゆというのを御存じでしたか。

岸田国務大臣 私自身は知りませんでした。山陰とか九州地方にそうしたしょうゆが広くあるというふうに聞いております。

川内委員 しょうゆにはJAS規格では、こいくちしょうゆ、うすくちしょうゆ、たまりしょうゆ、さいしこみしょうゆ、しろしょうゆと五つの規格がある。さいしこみしょうゆというのは、山口県の柳井市を中心として、そのあたりでつくられている、再仕込み、再び仕込むというその製法に由来する名前なんですけれども、要するに味が濃いんですね、うまみ成分がふんだんに入っていて。要するに、いいおしょうゆなんです。

 それを前提として、ところが、一般的には、さいしこみしょうゆといってもだれも名前を知らないので、こいくちしょうゆと。味が濃い、そしてまたうまみ成分がふんだんに入っているよということで、こいくちしょうゆとして今まで売ってきたものがあるわけでございます。

 では、このこいくちしょうゆというのはどういうしょうゆかというと、「しょうゆのうち、大豆にほぼ等量の麦を加えたもの又はこれに米等の穀類を加えたものをしょうゆこうじの原料とするものをいう。」。これは、こいくちしょうゆというのは原料だけをいっているわけです。

 一方で、さいしこみしょうゆというのは、「しょうゆのうち、大豆にほぼ等量の麦を加えたもの又はこれに米等の穀類を加えたものをしょうゆこうじの原料とし、」ここまではこいくちしょうゆと一緒なんですが、その後に、「かつ、もろみは食塩水の代わりに生揚げを加えたものを使用する」。この生揚げというのも専門用語で、私も今回初めて知ったんですけれども、生揚げというのは、発酵させ、及び熟成させた、しょうゆの仕込みのもとになるもろみを圧搾して、つまり搾って得られた状態のままの液体。

 つまり、さいしこみというのは、要するにぎゅうっと圧縮して、それをもう一回加えるという、再び、二回仕込むんだというような趣旨であろうと思いますが、原料はこいくちしょうゆと一緒なんです。そしてまた、二回仕込むけれども、本醸造方式という製造方法もこいくちしょうゆと一緒でございます。

 こいくちしょうゆというのは、文字どおり濃いわけですから、食塩水を加えて濃くするわけですね。食塩水を加えて味を濃くする。しかし、そこにさいしこみの場合は生揚げを使う、しょうゆをぎゅうっと搾ったものをもう一回加えるという、要するに、手の込んだ、伝統的な、電気透析法という装置を使って食塩を除去するというような工程がある工業製品的こいくちしょうゆとは全く違う、本当に最高級のしょうゆであると言っていいと思うわけでございます。

 そこで、農水省に、ちょっと私の説明が長々としていて、ちゃんと理解していただけたかどうか不安なんですけれども、農水委員会の答弁で、しょうゆのJAS規格については、平成二十一年の見直しに当たっては、消費者あるいは業界の意見を広く聞いて適切な対応をする、こうおっしゃっていらっしゃるわけでございますから、この再仕込み製法による味が濃いおしょうゆも、一般的な表示として、こいくちしょうゆだといって、その分類を認めるべきではないかというふうに私は思います。

 それは、さいしこみしょうゆが最高級のおしょうゆで、これはいいしょうゆなんだということを知っている人は、さいしこみと書いてあれば、ああ、これはいいしょうゆだねということがわかるわけでございますけれども、きょう聞いていただいても、さいしこみしょうゆという名前を知っている人はいない。そういう中で、消費者にとっても、あるいはおしょうゆのメーカーにとっても、手の込んだいいおしょうゆをつくりましたよ、味が濃いですよ、こいくちしょうゆだよという表示を認めてほしいという要望があるというふうに思いますが、これについて農水省としてどのように御対応されるかということを教えていただきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 しょうゆのJAS規格につきましては、委員御指摘のように、さいしこみしょうゆですとか、こいくちしょうゆですとか、五区分、現在ございまして、これがこのように区分をされましたのが昭和四十七年でございました。現在では、この区分というものが広く一般に定着をしておるというふうに私ども考えているところでございます。

 JAS規格につきましては、これも委員御指摘のとおり、JAS法に基づきまして、少なくとも五年ごとに、農林物資の生産ですとか消費の現況といったようなものを考慮するとともに、消費者の方々、それから業界の方々など多くの関係者から御意見を賜りまして、そういったことを踏まえまして見直しを行うこととされておるところでございます。

 このため、直近の改正が平成十六年でございましたので、遅くとも平成二十一年度中にはしょうゆのJAS規格を改正する必要が確かにございます。改正するに当たりましては、JAS法で、利害を有する者の意向を反映することというふうに明確に規定をされておりますので、事業者の方々、それから消費者の方々、こういった方々の御意見など、広く国民の方々の御意向を踏まえて、聴取いたしまして、規格づくりに反映をさせていきたい、かように考えておるところでございます。

川内委員 それでは、そのような方向でぜひともよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 次に、これも官房長官、岸田大臣にせんだって御答弁をいただきましたクローン牛のことについて再びお尋ねをさせていただきたいと思います。

 農水委員会でこのクローン牛について質問をさせていただきましたので、本委員会での質問と農水委員会での質問を踏まえてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 私は、このクローン牛、クローン豚の問題というのは非常に重大な問題であると。死産や病死が非常に多いというふうに言われてもおりますし、消費者がその表示に関して何も知らずにそれを購入するということは、消費者サイドに立った行政とは言えないし、食の安心、安全というものを標榜する内閣の方針ともそごを来すのではないかという観点で質問をさせていただきたいと思います。

 四月四日の本委員会で、岸田大臣は、国民生活担当大臣として、食品安全委員会での安全性の確認をした上で、国民、消費者の立場から選択の幅、選択の権利を確保するという意味から、食の表示の部分についてはしっかりと検討しなければいけない課題だというふうに認識をしているというふうに御答弁をいただきました。

 同じく、町村官房長官は、世の中に一〇〇%完全なものというのはそれはないかもしれません、しかし、科学的知見でやはり安全であろうと思われるものは、これは私は食に供してもいいのではないだろうか、あとは、それを消費者が選択するかしないかという、その一点が確保されていれば、私は、食べるものというのはそれでいいんだろう、こう考えておりますと、消費者が選択するかしないかということが確保されていることが大事だというふうに御答弁をいただいております。

 この両大臣の答弁を踏まえて、四月十五日の農水委員会で若林農水大臣にお尋ねをいたしましたらば、慎重に検討させていただきたいというちょっと消極的な、慎重にを取ってくださいと言ったら、首をううんと横に振って、慎重には取らないんだというふうにおっしゃられたんですけれども、消極的な答弁なんです。慎重に検討するで私はいいと思うんですが。

 では、農水省にお尋ねをいたしますけれども、若林大臣が慎重に検討すると言われた、その検討の仕方、私は、農水省、あるいは厚労省と合同でも結構ですけれども、有識者や消費者代表あるいは業界の皆さんを含めた、クローン牛あるいはクローン豚の食品の表示に関するあり方検討会みたいなものを立ち上げて、検討をお進めいただきたいというふうに考えておりますが、今後の検討の進め方について、農水省からまず御説明をいただきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 先般の農水委員会の方でも、大臣から、慎重に検討するという形の答弁をさせていただきました。この点につきましては、私どもといたしまして、今回の体細胞クローンの家畜由来食品について、四月一日、厚生労働省の方から食品安全委員会の方へ食品健康影響評価について意見を求めたところでございまして、現在、食品安全委員会において検討が進められているというふうに理解をしております。

 先生御指摘のように、消費者の選択のためにクローン家畜由来食品の表示というものを検討するに当たりましては、まず、クローンも、それから通常畜産物も、肉それから生乳、こういったものの成分等は同等であるということであり、これまでの研究等におきまして品質に差がないと少なくともされているという状況があること、それから、アメリカ、EU等も含めまして海外で表示を行っている国がないことというのもございます。それから、クローン家畜由来の食品とそうでない食品を家畜が出生したときから最終製品の消費まで確実に分けるための手法というものを確立し、運用する必要がある、こういった点が実はございます。さまざまな課題について、まさに慎重に、丁寧に検討していかなければいけないものだという認識を持っております。

 そういうことを踏まえますと、いずれにしましても、まず、食品安全委員会における審議を注視しつつ、海外の諸事情も踏まえた検討を深めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

川内委員 時間がないのでまた農水委員会でも議論させていただきますが、品質に差がないというふうにおっしゃられましたけれども、一部の学説で品質に差がないとされている論文などがあるということはおっしゃってもいいかもしれませんが、政府として、品質に差がないというふうに言い切るだけの政府としての研究の成果あるいは政府見解を示す文書というものは、今まで出されたことはないと思いますよ。それはちょっと言い過ぎじゃないかなと思います。それはまた後日にしますが。

 とにかく私は、それは農水省や厚労省の言い分は、御主張はわかりますけれども、しかし、消費者から見たときに、クローン牛である、あるいは自然の由来の牛である、豚であるということがわかるようにしてくださいねというのは、消費者としての自然な思い、食の安心、安全というものを担保する上で非常に大事な視点であろうというふうに思います。

 したがって、私は、あらゆる慎重な検討の前提として、消費者がどのように考えているか、クローン牛やクローン豚を普通の牛や豚とは分けて表示をした方がいいですか、分けて表示をすべきだと思いますかというような形でのアンケート調査をぜひとも政府としてしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 岸田大臣、国民生活の担当大臣として、また、消費者の選択が大事だよねとおっしゃられたお立場として、内閣府がさまざまに国民生活の意識調査、実態調査などをされるツールを持っていらっしゃるわけでございますから、それに、このクローン牛、クローン豚について、消費者に対して、表示を分けた方がいいと思いますかというようなアンケート調査をちょっと大規模にしていただいて、そこから政府の中での議論をスタートさせるべきというふうに考えますが、御見解をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 この問題に関しまして、基本的な考え方は先ほど委員に御紹介いただきました先日の私の答弁のとおりでありますが、加えて申し上げるならば、今、食品安全委員会でこのリスク評価が行われています。科学的な見地からこうした安全性をしっかりと確認をしなければいけないと思いますが、その確認が行われた上で、食品安全委員会としましては、リスクコミュニケーション、これも役割として担っています。しっかりリスクコミュニケーションの役割を果たしていただき、多くの国民の皆さんにこのリスクについてしっかりとした理解をいただく、こういったことが次の段階で行われ、その上でさまざまな具体的な対応が考えられるべきだというふうに考えております。その中にアンケートの問題もあるでしょうし、表示の問題もある、そのように考えています。

川内委員 また引き続き議論をさせていただきます。ありがとうございました。

中野委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 きょうは、交通安全のさまざまな施策についてということで、主に岸田大臣、そして泉公安委員長、また国土交通省からも松島副大臣にお越しをいただいておりますけれども、まず最初に、ちょっと気になることがございまして、これは福田総理が、まさに後期高齢者医療制度、これについては名称が悪いということをおっしゃられて、そして、もう厚生労働省のホームページを今見れば、長寿医療制度という名前でずらっと文章が書かれております。だけれども、過去の資料はやはり後期高齢者医療制度というふうになったままのものもございまして、なかなか変更というのは難しいなというふうに思うわけですが。

 やはり、後期高齢者という言い方そのものが高齢者に対する軽視、冒涜ではないかというような話もあり、言葉というのは大変難しい問題ではありますが、実は、警察、交通安全の中においても同様の言葉遣いがありまして、春の交通安全運動、その中に、「後期高齢運転者(七十五歳以上)について高齢者マークの表示が義務化されることの周知徹底」という言葉がございます。

 この後期高齢運転者という言葉遣いについて、大臣、このままいかれるのか、それとも総理大臣から何か指示はあったのか、まずお答えいただきたいと思います。

泉国務大臣 今委員御指摘のように、後期高齢者という言葉に多くの国民の皆さん方が不快感を示されておるということを承知いたしております。私自身は、警察の文書の中に後期高齢者という言葉があるということは、まことに申しわけありませんが、承知いたしておりませんでした。御指摘を受けました以上、これをどうするかというのは、私自身、警察庁に検討を指示いたしたいと思います。

泉委員 私も意外だったんですが、毎年の交通安全運動の中のさまざまな取り組みの項目の中にそういったことが書かれておりまして、後期高齢運転者という形で、「(七十五歳以上)」というふうに書いております。

 この扱い、今御検討いただけるということでしたので、政府の中で、恐らく今までは余り気にせずに各省庁ともこういう文言を使われていたのではないのかなというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 一方で、きょう質問をさせていただく幾つかの点の中で、まず高齢運転者標識の表示義務ということについて質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 大臣は、高齢運転者標識、御自身でお車を運転されるかどうかも含めてで結構ですが、おつけになられたことはございますか。

泉国務大臣 私は、せっかくの御質問でございますが、運転免許証を持ち合わせておりませんので、全くその状況は承知いたしておりません。

泉委員 出身官庁で公共交通を推進されていたかどうかわかりませんが、免許をお持ちでないということであります。

 ちょうどこの六月の一日から道交法が実際に、昨年通った法律によって変わりまして、高齢運転者標識、きょう資料で配付をさせていただきました。いろいろな言い方がされます。いわゆるもみじマークという言われ方が一番メジャーかと思いますが、中には落ち葉マークだというふうにおっしゃられる方もおられたりということで、一時期は評判も思わしくないというのもありました。とはいえ、この高齢運転者標識というものが、きょうお配りした資料1の下の部分、こういうふうにございます。

 一方で、岸田大臣にお伺いをしたいんですが、国の方では、この資料1の上にかいてある高齢者交通安全マークというものも、実は昭和六十三年に総務庁が公募の上で選定をして使っておられるということなんです。岸田大臣、御存じですか。

岸田国務大臣 申しわけありません、私は知りませんでした。

泉委員 これは実は、まさに、交通安全の担当の岸田大臣のところの内閣府の交通安全対策本部の中の啓発のホームページから拾ってきたものなんですね。大臣そのものも恐らく、このツルのマーク、Sとツルをかけたマークだということなんですが、御存じなかったということで、今現在、この下のもみじマークが徐々に普及するに従って、こういった上の高齢者交通安全マークを、地元の公安委員会で、それぞれの警察署と公安委員会あるいは交通安全協会等々が自主的にチラシに使ったり、あるいはかつてはシールをつくったりということで使っておりましたが、徐々にそういったものも少なくなってきているというふうに私は認識をしております。

 ただ一方で、現在もこれはちゃんと内閣府の交通安全対策本部の中のホームページに載っておるわけですね。その中に、ドライバーに思いやり、譲り合いの心を喚起するシンボルマークとして自動車用シールなどに例えばお使いください、あるいはポスターに、普及、活用を図ってくださいと書いてある。でも一方では、高齢運転者標識、下のマークは、一般的には恐らくこちらの方が、自動車ということに限ってかもしれませんが、普及をしているということだと思うんですね。

 この役割の違いと、今後どのように分担をしていくのかというか今後の考え方、これは大臣、お答えいただけますでしょうか。

殿川政府参考人 お答え申し上げます。

 この高齢者交通安全マークと高齢運転者標識の違い等は、先生お配りいただきました資料に記載されているとおりであるわけでございますけれども、高齢者交通安全マークにつきましては、昭和六十三年……(泉委員「わかっていますから、結論から」と呼ぶ)はい。

 この両方の関係については、御指摘のように、現在においてはやや前者の方の普及度合いというのが少し低くなってきているのかなという感じがいたします。したがって、この両方の関係のあり方、あるいは、今御指摘ありましたように、その一方で高齢者交通安全マークについてもなお使われている団体等もございまして、私どもとしても、両者を役割をそれぞれ分担しながらどういう形で使っていくのがいいのか、これはまた関係省庁とも協議をして検討して、今後のあり方については検討を進めたい、このように考えております。

泉委員 今、事務方の方からは検討したいということでありましたが、泉公安委員長もぜひ知っていただきたいのは、警察の白書の中でもいまだに、これはややこしいんです。高齢者交通安全マークと高齢者マーク、似ているんですね。だけれども、違うものなんです。それで、「高齢者交通安全マークの積極的な普及・活用を図るとともに、」というのが白書の中にいまだに載っているんですね。どちらを広めるつもりなのか。正直言うと、過去の表現をそのまま置きっ放しにしているというようなことがやはり現実ではないのかなというふうに思います。

 文言を正確に読ませていただきますというか解釈させていただくと、上のマークの方は、交通安全の啓発一般に使うということで、自転車、バイクにも張ることはできますよと書いてある。これも事務方に確認でもいいんですが、下の高齢者マーク、いわゆるもみじマークは、自転車、バイク、これにも張ることはできるんでしょうか。

末井政府参考人 お答え申し上げます。

 法律上は、普通自動車にこれは表示をするということになりまして、前面、後面、見やすいようにということでございます。明確には書いてございませんが、自転車といったものについて、上にございますが、自転車、バイクといったものに表示をするものは予定はされておりません。

泉委員 今のをお聞きいただきました。下のいわゆるもみじマークは、自転車、バイクは想定していないんですね。車のみなんです。実際に、もう少し詳しいことを言うと、このもみじマークは、マグネットタイプ、よくあるものですね、初心者マークと同じマグネットタイプ、そして、吸盤タイプ、吸盤でぴたっとガラスにくっつけてちょこちょこ動くような、この二つしかないらしいですね。シールタイプがないということだそうであります。

 そういった意味からも、上のマークは、正直今の時代どこまで浸透しているのかなということは、先ほどからの答弁で皆さんも御認識されたと思いますので、そろそろ一本化をしていただいて、そして、役割も、できれば自転車やバイクにもつけられるような形で普及をしていただくことが一番ではないのかな。高齢者の保護、これをだれしもがわかる形にするのであれば、マークが二種類あって両方普及しているというのはちょっと考えがたいなというふうに私は思うんです。

 そういったことで、ぜひ両大臣に御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の二つのマークにつきましては、現実の普及状況等も勘案しながら、しっかりと役割分担、整理等につきまして検討したいと思います。

泉国務大臣 岸田大臣の御答弁のように検討させていただきたいと思います。

泉委員 そこで、この下の高齢者マーク、もみじマークについて、六月一日から七十五歳以上の方が義務化をされます。表示義務です。

 私はちょっと不思議なのは、この高齢者マーク、警察庁の方にレクでお伺いしましたら、高齢者の保護が目的だと言うんですね。高齢者の保護があくまで目的なんですよと。やはり高齢者の方というのは、運転をしている中で、幅寄せを受けたり追い越しを受けたり危険だ、そういうものを受けないように罰則もあって、幅寄せや割り込みをした場合の罰金五万円以下、そして反則金、あるいは違反点数一点というものがあるわけですね。にもかかわらず、表示しなかった場合に、反則金四千円、二万円以下の罰金、科料、基礎点数一点マイナス、そこまで果たしてすべきなんだろうか。

 高齢者の方の保護が目的にもかかわらず、どうして表示しなかったときの罰則まで設けなければならないのか、この趣旨を御説明ください。

末井政府参考人 高齢者を保護する趣旨、そしてまた高齢者に自覚をしていただいて運転をするということの関係でございますが、道路交通の場はお互いさまでございまして、それぞれにあの人の運転特性というものは何であるかということをこのマークによって知ることによって、道路交通秩序を維持していこうという考えがございます。

 そのために一律に高齢者の関係についてお願いをしたわけでございますが、これを担保するためには、やはり最低限ではございますが罰則による担保というものをお願いし、そして、初心運転者マークについても同様の仕掛けにしておりますので、これは行政処分の基礎点数一点というものを考えたということでございます。

泉委員 大臣、この高齢者マーク、現在の普及状況というか表示率は御存じですか。

末井政府参考人 ことし二月に、約四千八百名余につきまして、高齢者講習を受けられた方々にアンケートをいたしました。その結果、表示率、七十歳以上の方では三〇・三%、七十五歳以上の方では四一・八%でございました。

 これは十八年の一月に調査をいたしました。この場合、全体、七十歳以上では二二・六%、七十五歳以上では三五・三%という数字がございます。

泉委員 大臣、これは乱暴だと思いませんか。七十五歳以上の方々に、六月一日というのはもうすぐですよ、もうすぐ。六月一日から本当に表示しなかった場合の罰則ができて、これは大変なことになりますよ、それでたくさんの高齢者の方々が検挙されるようなことがあったら。

 これは高齢者いじめじゃないですか、大臣。そう思いませんか。

泉国務大臣 高齢者を守ろうという趣旨でつくらせていただいた仕組みであり、またマークであるわけであります。したがって、私どもとしては、このルールにのっとって、六月一日からスタートを切らせていただきたい。結果として、より安全な高齢者の運転が可能になると思っております。

 ただ、御指摘のように、まだ普及率が非常に低いわけですから、この点については、現場でどのように対応するかというのは一考に値することだと思います。しかし、ぜひともこのルールにのっとった安全対策を進めさせていただきたい、このように思います。

泉委員 一度法律で決めれば、なかなか、一考に値するといってもそれは難しい部分もあるわけですが、まさにお願いしたいのはそこの部分でして、やはり今から、ちょっと話は変わりますが、デジタル放送についてもまだまだ、例えば、一般に普及をしていないのに、何年からは地上波デジタルが始まりますと言っても、それに間に合わない御家庭はたくさんあったりする。それと同じように、やはり現在の普及率、これは普及させる責任というのも私は警察なり内閣府の方にあるというふうに思うんですね。だけれども、現在はまだ三五%とか四〇%だとかそういう段階であります。

 高齢者の方々に普及するというのは大変なことだというふうに思います。交通安全運動の中でいろいろと啓発活動も続けられているとは思いますが、義務化ということについては、今回の後期高齢者医療制度も、何年か前からずっと制度はできていて、二年も啓発期間があったんだけれども、結局、やはりこうして期日が迫ってみれば、国民の皆さんは、知らなかった、わからなかったという話になるわけですから、余りこの罰則をすぐ運用しようというお考えでいては、大きな混乱を現場にもたらすというふうに思いますので、私は、その大臣の一考する余地があるというか、そこはぜひ、その言葉を重く受けとめて対応していただきたいというふうに思うわけです。

 さらに言うと、七十五歳以上の方、すべての方にこの表示が義務づけられるという話でありました。実は、タクシー運転手さんもそうなんですね。ただ、不思議なんです。タクシー運転手さんというのは、健康診断も受け、適性の判断も受け、技能検査も受け、そして二種免許を取って、二種免許を取ってから、さらにちゃんと定期的な講習も受けられている。そういう方にこのいわゆるもみじマークを適用した場合に、では、お客様は果たしてどういう選択をされるだろうかということをお考えいただきたいんです。

 目の前にもみじマークをつけたタクシーがやってきた、あるいはいろいろなタクシーがずらっと並んでいる。そういうときに、これはお客様の選択の時代ですから、規制緩和の中で、もうタクシーはこれからは選択の時代だということが明確にうたわれておるわけですね。そういう中で、七十五歳以上の方々にも、特に個人タクシーを中心に、二種免許があり、そして営業を認めておきながら、一方で、このマークを義務づける。これは営業に対して非常に影響がある、もっと言えば、営業妨害じゃないかというふうに私は思うわけです。

 国土交通省からきょうは松島副大臣にお越しをいただいていますけれども、御見解をいただけますでしょうか。

松島副大臣 お答えいたします。

 おっしゃいますように、国土交通省では、ハイヤーやタクシーに乗務する六十五歳以上の方々に対しては、国土交通大臣が認定する適性診断を定期的に受診していただいております。そういうような安全対策をとっております。

 今おっしゃった件でございますけれども、今回の措置は、警察庁の御判断でも、加齢に伴う身体機能や認知機能の低下はすべての高齢運転者について生じるおそれがある、たとえどういう免許を持っていようとも生じるおそれがあるものですから、一律の義務づけを警察の方が必要だと判断されたものだと考えております。

 国土交通省といたしましては、安全、安心の確保がタクシー事業の基本でございますから、高齢運転者による交通事故の防止というのはやはり大事なことだと考えております。

 さっきおっしゃいました選択の時代ということでございますが、例えばもみじマークというのがついていたときにどういう判断をするかは、これはお客様が、例えば、年配の方だったら丁寧で安心だからいいと御判断されるかもしれないし、自分は年配の方のものに乗りたくないという判断をされるかもしれない。それは確かに、選択の時代において選択肢を示すことは悪いことではないと私は思います。タクシーのドライバーだからといって、警察が安全に対する観点から決めていることについて、タクシーの運転手さんだけは違うんだ、そういうことをやらなくていいというその根拠は見当たらないと思います。

泉委員 では、警察にお伺いしますが、大型の二種免許を持っておられる方々は、車に対する高齢者マークの表示義務はございますか。

末井政府参考人 ございません。

泉委員 おかしくないですか、言っていることが。どっちなんですか。一律に高齢者の方にマークを義務づけするのか。何で大型の車だけ省かれているんですか。お答えください。

泉国務大臣 タクシーの場合は、お客様の命をお預かりしておるということで、いずれの場合、大型の場合ももちろん事故を起こしてはなりませんけれども、もっと重要な役割を私は担っていただいておると思うんです。高齢になる、七十五歳以上になれば、それは加齢による身体の機能の低下というのは避けられないわけでありまして、そうした観点から、私は、タクシーの場合についてはこのことをしっかり守っていくべきだ、そのように考えておるものでございます。

 お客様の選択ということが確かに今日のタクシー業界には一つの大きな事柄になってきておることは事実でありますが、お客様があえて高齢者のマークを選択されるときに、高齢者のドライバーとして、よりよいサービスをする、そういう面で努力をしていただくということも、一つの選択肢としてお客様に選んでいただける事柄につながるのではないかというふうに思っております。

 それからもう一つだけ、先ほど委員から御指摘ございました、高齢者いじめではないかというお話がございましたけれども、私申し上げましたように、むしろ安全な運転に心がけていただく、あるいは周りも十二分に配慮していただく、そういう意味でマークをつけさせていただいておるということでございまして、繰り返しになりますが、直ちにということが問題があるという御指摘については私も理解をいたしますが、ぜひともこのルールにのっとって安全な車社会をつくり上げていただきたいという思いをもう一度述べさせておいていただきたいと思います。

泉委員 もう恐らく多くの委員が気づかれていますね。バスは、より多くの命を預かっているんじゃないですか。そして、大型の輸送車は、場合によっては危険物を運ぶ場合があるんじゃないですか。どうして大型だけ省いているんですか。それは答えになっていませんよ。

末井政府参考人 高齢運転者標識の制度といいますのは、高齢運転者の交通事故防止を目的とするものではございますが、高齢運転者が大型自動車を運転する場合につきましては、車格が大きいために、他の車両の運転者に対して、この大型自動車を運転する高齢運転者を保護すべき義務を課す必要性が低いと考えられたことでございます。

 以上でございます。

泉委員 申しわけないですが、警察の中ではその論理で通っているかもしれませんが、全く意味不明です。どうして車が大型だったら保護する必要性が低いのか、その理由がわかりません。だから、今の答弁は答弁になっていません。

 とまります。答弁、考えてください。

末井政府参考人 結局、この制度をいかに実効的に行うかということで、例えば自動二輪車に七十五歳以上の方が乗られる場合に、高齢者マークというのは表示する義務がございません。これは、そのバイク、自動二輪車につける場所がないという問題がまずあるからでございまして、これについては、いたし方ないということで捨象したわけでございます。

 他方で、先ほど、理由がわからないと御指摘をちょうだいいたしましたが、大型のバスに対して幅寄せをする、あるいは割り込みをするというようなことについて、事実上、これまでそのようなものが見えなかった、なかったということを前提で、私どもは、この大型自動車を高齢者が運転される場合については保護すべき義務を課す必要性は低い、このように考えておるということでございます。

泉委員 見えなかった、なかったというのは何を根拠におっしゃっていられるんですかね。あなたが見えなかったということなんですか。それはどうして、大型だと幅寄せや追い越しがなかったということなんですかね。

末井政府参考人 言葉遣いが大変おかしいところがあったと存じますが、これまでの警察庁の持っております統計というもので、明示的に、このような大型自動車に対して、割り込みあるいは幅寄せという形で、保護をするという案件が我々として認知をしていなかったということでございます。

泉委員 警察の中で認知されていたかどうかはわかりませんが、こういった幅寄せ、追い越しというのは常日ごろから、場合によってはそれはよくあることですよ。でも、それを我々国民だれしもが一つ一つ把握しているわけも多分ないでしょう。だけれども、今のお話をお伺いしていても、大型の車だからそれは保護する必要性が低いと。これはおかしいですよね、皆さん。これは納得できないですよ。同じ二種免許でも、普通自動車、タクシー運転手さんは保護しなければならないから。

 だけれども、もう一つ大事なことを言います。では、どんな立法事実があってこういう法律にしたんだということなんです。私が警察に聞いたら、高齢者の交通事故がふえているという資料を持ってきたんですよ。でも、皆さん、それでうなずいちゃいけないんですよ。

 私がきょうお配りしている資料の2、一枚めくってください。まず一番上の表を見ていただくと、年齢別二種免許保有者、これは、先ほどお話がありましたように、バスとタクシー、両方です。現在というか、十八年度の一番最新の数字でいくと二百三十三万五千人、七十五歳以上が二十五万七千八百九十六人ということになっております。

 ちょっと飛ばしまして、一番下の表をごらんいただきたいんですね。ハイヤー・タクシー運転者(第一当事者)の年齢層別死亡事故件数、七十五歳以上のところを見てください。十五年から見て、ゼロ件、一件、ゼロ件、一件、二件ですよ。

 真ん中の表を見てください。これは、普通の一種の免許を持っておられる方、全部合わせた死亡事故件数の推移です。これを見ると、七十五歳以上は確かに微増、ずっと、まあ全体の件数は少ない。これは、走行距離が少なかったり、実際、免許を持っていても運転者が少ないということはあるでしょう。だけれども、微増していっている、ここを、この真ん中の資料をもってして、高齢者はイコール運転は危険だ、こういう論理展開なんですよ。

 先ほど、松島副大臣がおっしゃいました。高齢者のマークをつけているからといって、必ずしもそれを選ばないというわけじゃなくて、逆に選ぶケースもある。

 だけれども、国はこういうふうに、高齢者の運転は危険ですよ、できたら免許は返納してくださいね、国交省と警察庁は今一緒になって、一生懸命、国民にそういうふうに宣伝しているわけです。高齢者の方々、余り運転しちゃいけませんよ、慎重に、講習も受けてやってくださいね、こういうふうにやっているわけです。できれば免許を返納してくださいね、こういうふうにやっていながら、まあ、マークをつけていても選ぶ人は選ぶでしょうと。世の中、そんな甘いものじゃないです。

 私は、実際にタクシー会社にアンケート調査をとりました。そしてまた、タクシー会社だけじゃなくて、例えば社団法人全国個人タクシー協会、こういったところにもアンケート調査をとりました。私の地元の近畿でいいますと、個人タクシー協会は総運転者数が七千四百九十八名、そのうち七十五歳以上が三百十一名、七十歳以上は千百四十四名。七分の一ぐらいが七十歳以上だというんですね。

 いろいろと事情を聞きました。タクシー運転手というのは若い人が今少ないんだと。どうしてかといえば、それだけで食っていけないからです。大変なんです、生活。一般の方々のお給料が大体五百万から五百五十万、だけれども、タクシー運転手さんは年収が三百万台です。低い方であれば、二百万という方もおられるでしょう。そういう中で、基本給だとかタクシーの運賃から得られる給料だけでは、会社勤めのタクシー運転手さんは基本的にやっていけない、だから若い人たちが参入しないというんですね。勢いどうなるかといえば、年金をもらいながら、会社を退職して、第二の人生で運転手をやる人が非常に多いんです。これがタクシー業界の実態なんです。そういう中で、まさに公安委員長と同じような年代の、同級生の方々がタクシー運転手をやられているんです。

 そういう中で営業をされている方々に対して、しかも大型の免許についてはこれは表示しなくていい。だけれども、同じ二種免許でも、普通の免許にだけは表示しなければならない。同じ営業車でも違いがある。タクシーだけはなぜかこの表示をしなければならない。

 この表示がなされれば、恐らく、この近畿支部におられる七十五歳以上の三百十一名、平成十四年に法律が変わって、新規の個人タクシーの免許を取られる方については、基本的には国交省さんの方で七十五歳定年制ということがとられ始めています。ですから、いずれ消え行く存在かもしれません。だけれども、現にこれだけの方々がおられるという中で、生活、大変なんです。そういう方々の首を本当に絞める気なんですかということなんです。そんなことを本当に国がやっていいんですか、こういうことなんですよ。

 公安委員長、岸田大臣、そして松島副大臣、どうですか。これは本当に、タクシー運転手さんにまでこの表示をさせるべきですか。多分、答弁ではというか、この委員会の場で、そののりはなかなか越えられないんだと思います。だけれども、もう本当に、六月一日からという段階なんです。これはぜひ特別の御配慮をお願いしたい。御答弁をいただきたいと思います。

 三大臣、まあ三大臣といっても岸田大臣は直接の担当じゃないですから、お二方で結構です。松島副大臣と泉大臣、お願いします。

泉国務大臣 若干繰り返しになりますが、安全な輸送を心がけてほしいという趣旨でこういうマークをつけさせていただいておるわけであります。

 先ほど委員の提示されました資料の一番下のこの数値、確かに、七十五歳以上の事故件数は少ない数値が出ております。これが実際のタクシー、ハイヤーのドライバーの数とどういう関係になっておるのかというのは、この表だけからはわかりません。恐らく運転手の方は五十歳から五十九歳の方が一番多くいらっしゃる、そういう中で事故の発生件数もふえておる、そういう数値なのかどうかわかりませんが、私どもとしては、やはり、先ほど申し上げましたように、決して個人のドライバー、高齢者のドライバー、七十五歳以上の方のお仕事を邪魔するという意味ではなくて、安全を保つためにそうしたマークをつけさせていただくという趣旨でございます。

 お客様がどういう選択をされるかということについては、先ほど申し上げましたように、安全な、そしてまたサービスのいい、あるいは地域を熟知した、高齢者のドライバーとしてのセールスポイントをつくり上げていただくというような、そういう努力で委員御指摘の厳しい立場を乗り越えていただければ、このように思う次第でございます。

泉委員 そんなセールスポイントがあるんだったら、公安委員長、出してください。なかなかないですよ、そんなに。高齢であるがゆえに私はこんなメリットがあります、そういうことを外から、このマークは外に表示しなければならないんですよ。外に表示されるものというのはそれぐらいじゃないですか。私は運転が上手です、そんなものはタクシー運転手であれば当たり前の話であって、みんなそうですよ。ではどうやって、私は地図をよく知っています、私は道をよく知っています、そんなことを車に書けというんですか。それは余りにも非現実的ですよ。そんなものはなかなか思いつくわけがないんです。

 実際にアンケートをとってみれば、恐らく警察の方々もいろいろな形で各種団体にヒアリングをされたんだと思います、だけれども、私のところに届いている声は、このもみじマークの表示義務化に賛成ですか、反対ですか、反対ばかりですよ。

 実は、事業者サイドにすれば、個人タクシー以外のところにすれば、それは差別化になっていいというふうな御意見もございます。だけれども、高齢運転者を多く抱える個人タクシーの業界、これはまさに当事者、この方々はみんな、自分たちの生活がもう立ち行かなくなるということなんです。

 私はやはり、大臣には、立法事実、これは、先ほど、どれぐらいの運転免許者数でこうなのかわからないとおっしゃいましたが、この一番上の表をごらんください。一番上の表が、年齢層別二種免許保有者数の推移です。ですから、これが二種免許を持っている方々の数です。高齢者の方々はどんどんふえています。七十五歳以上、平成十八年でいえば、二十五万七千八百九十六名、右下の、一番下から二つ目の数字がそれです。

 ですから、免許保有者はどんどんふえています、これだけの高齢化の社会ですから。にもかかわらず、ハイヤー、タクシーの死亡者数は非常に少ないですね、当事者数は。立法事実がないんじゃないですか、これは。これが立法事実なんですか。その確認だけ、大臣、答弁してください。これが立法事実なんですか。

末井政府参考人 事実、数字の関係でございますので、御答弁させていただきます。

 七十五歳以上のハイヤー、タクシーの運転者が第一当事者となった死亡事故については、最近十年間、ゼロ件から二件で推移しているところでございます。

 個人タクシーにつきまして、年齢層別の人数がわかりまして、先般、私ども、調査をいたしました。

 七十五歳以上の個人タクシーの運転者十万人当たりの交通事故件数について見ますと、平成十九年中、六千九百八・九件でございまして、七十四歳以下の個人タクシーの運転者十万人当たりの交通事故件数と比較して約一・八倍となっておりますことから、交通事故防止の観点からは、七十五歳以上のタクシーの運転者についても高齢運転者標識を表示していただく必要があると考えております。

泉委員 これだけ事前にヒアリングしていて、この数字は今出てきたんですよ。全く私に知らされていないんです、この数字。これじゃ、こちらだって委員会質問しようがないですよ。その資料は、後で紙でいただければと思います。

 改めて検証しますが、ただ、本当に六月の一日からもうこういう形で始まるわけです。先ほど言ったように、何百人、何千人という七十五歳以上の運転者の方がおられる、そして、その方々は、皆さんがおっしゃるほど営業努力なんて簡単にできるものじゃないんです。そのことだけはぜひよく御認識ください。

 そして、私は、ぜひこれは国交省と警察庁の中でもう一度御判断いただいて、確かに、全体の交通死亡事故件数を減らす、私はその目標は非常にすばらしいことだと思うんです。だけれども、今、ともすれば警察は、本当はもう一つ、きょう、聴覚障害者の問題も扱うつもりでおりまして、残り時間があればと思うんですが、ともすれば、この目標達成のために、交通弱者に対して、いわゆる交通社会からの御退場を願う、あるいは、交通社会からと言えば言い過ぎかもしれない、でも、それは、運転の当事者から御退場いただくという考えがかいま見えるんですよ。本当にそういうことなんですか。それは、そうではないはずじゃないですか。どうぞ。

泉国務大臣 今委員から厳しい御指摘をいただきましたけれども、私どもは、いわゆる交通弱者と言われる方々がこの交通社会から御退場いただくというような政策をとっておるつもりはございません。できるだけ健常者と同じように今日の車社会に御登場いただく、しかも安全にということでお願いをしていきたい、このように思っております。

泉委員 高齢者に一律義務化すると言いながら、先ほど言いましたように、大型の車は免除というか対象外ですからね。この理由だけでも、全く説明がつかないというふうに私は思っています。納得する説明を盛っていただかないと、私は、もちろん次の委員会でもこれを扱いますし、きょうではとても納得できないという状況であります。

 残り時間が少なくなってまいりましたので、これは障害者の皆様との約束でもありますから、扱いたいと思います。

 同じくというか、聴覚障害者の運転免許、これがようやく道が開かれるという形になりました。そういう中で、昨年の国会審議の中では、普通自動車について聴覚障害者に、皆さん、思い浮かべてください、車の中にルームミラーが真ん中にございますね、運転席と助手席の間に。そのルームミラーに、より視野が広くなるワイドミラーというものをもう一個ぱこっとつけて、それをもってして車を運転することになれば、視野が広がるから、これで聴覚障害者は安全性が高まるので認めても構いませんよということになったんです。国会審議の中ではそこまででした。

 それが、さらに府令だとか政令ということを警察の中で検討されていくうちに、どうもさらに限定がなされまして、簡単に言いましょう、警察はそういう表現をされませんが、三ナンバー、五ナンバー、専ら人を運搬する構造の普通自動車はいいけれども、貨物を運搬する、いわゆる営業車というふうによく使われる四ナンバーの車、これについてはだめだ、乗ってはいけないというような限定がつけられ始めました。これは何でなのかと。

 営業車といってもいろいろあって、トラックや赤帽の形であれば、それは全く後ろの景色は見えませんから、これは確かに、そもそもの趣旨からいけば、しようがないな、これは乗ることはできないなと聴覚障害者の方は納得しているんです。だけれども、いわゆるライトバンのような営業車、後ろに荷物を積める、だけれども、その車、荷物を積んでいなければ当然後ろはよく見えます。よく見えます。荷物を積んでも、満載をしなければちゃんと後ろは見えるわけですね。

 後ろが見えるか見えないかという問題が、なぜ、いつの間にか、専ら人を運搬する、貨物を運搬する、こういう分かれ方で限定をされて、これが聴覚障害者の方々の中で今問題になっていて、彼らの職業選択の自由すら奪うんじゃないかという話なんです。

 だって、そうですよね、営業しようと思って営業車、あるいは、営業車というのはちょっと税金が安いですから、そういったことで四ナンバーにお乗りになる方々もある。障害を持っている方々というのは、必ずしも生活が楽だと言えない方々も多い。そういう中で、この四ナンバーの車を使ってお仕事をされるというケースもある。にもかかわらず、これを規制するというのは行き過ぎじゃないんですかというふうに私は思うんです。

 警察の方は、ようやく今第一歩を開いたところだからどうか許してほしいという話なんですが、私は、それはそうじゃないと思いますよ。そもそも、国会審議の中では、普通自動車はオーケーだという話だったんですから。では、附帯決議でどう書いてあるか。参議院の附帯決議では、今後、聴覚障害者の方々の免許の拡大について検討してくださいと書いてある。これは逆行じゃないですか。附帯決議に違反しているじゃないですか。

 公安委員長、いかがお考えですか。

末井政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案の審議におきましては、現行の聴力に係る適性試験の合格基準に達しない聴覚に障害のある方についても、ワイドミラーを活用していただき、慎重な運転を行うことによって普通自動車を安全に運転することができるものと認められましたので、ワイドミラーの装着を条件に、聴覚に障害のある方の普通自動車免許の取得を可能とすることを説明申し上げました。

 こうしたワイドミラーの装着によって確保しようとする視界は、車両の後方及び運転者側の反対側の斜め後方の交通状況でありまして、ワイドミラーの装着によって構造上これが確保されることが必要と考えております。

 今回、新たに聴覚に障害のある方が取得する普通自動車免許には、交通の安全を確保するため、専ら人を運搬する構造の普通自動車に限定する旨の条件を付したいと考えておりますが、今後、運転することができる自動車等の拡大について検討する中で、聴覚障害者の社会参加の拡大という要請と交通安全の確保という要請との調和を図りつつ、条件のあり方をさらに追求してまいる所存でありますので、御理解をお願いしたいと存じます。

泉国務大臣 私どもは、聴覚に障害のある方の社会参加を促進したいということで改正をさせていただきました。その中で、さまざまな議論があったことも承知をいたしております。

 御指摘の車種の拡大につきましては、この附帯決議もあることでございますので、実態を踏まえましてさらに検討させていただきたい、このように考えております。

泉委員 きょうこうしてお越しいただいた大臣、副大臣にお伝えしたいんですが、私は、さまざまな情報とか市民の皆さんから声が寄せられる中で、もちろん省庁からもお話を事前に聞いて、納得をするものは質問にしないということをふだんはとっているつもりです。だけれども、きょうお話ししたこの高齢運転者標識そして聴覚障害者の運転免許については、幾らヒアリングを受けても納得できないんです。これはやはりおかしい。

 そして、先ほど大臣が、障害者の社会参加、交通への参加を促進していきたいとおっしゃいましたが、やはり当初の国会審議よりも限定されているんです。国会で審議したのは、普通自動車は乗せる、だから三ナンバー、四ナンバー、五ナンバーは大丈夫だったんですよ。その前提で我々は審議している中で、実際に警察さんの中でいろいろな実験もなされた、だけれども、営業車について、四ナンバーの車について大丈夫かどうかの検証というのはまだ十分に実はなされていなかったという御説明もいただいております。

 ですから、早急に、あらゆる車種の車について本当に安全性がどうなのかということについて御検討をいただいて、やはりそれが誠実な対応だと思うんですね。実験もしていなかったということじゃ理由になりませんから、一年間期間があって。そういったことで、ぜひ早期の検討をこの両方についてはお願いしたいというふうに思います。大臣のリーダーシップをお願いいたします。

 これにて私の質問を終わらせていただきます。

中野委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木隆博でございます。

 増田大臣と何度か議論させていただいておりますけれども、きょうは、地方分権改革について大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 といいますのも、地方分権改革推進委員会の第一次勧告というのがこの五月中にもというふうに言われているわけでありますが、五月中ということになればもう間もなくでありますので、まず、この委員会の進捗状況についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、高市委員長代理着席〕

松田政府参考人 御説明申し上げます。

 地方分権改革推進委員会は、昨年四月に発足いたしましたけれども、昨年十一月十六日に、それまでの調査審議の結果を踏まえまして、中間的な取りまとめというものを行いました。この中間的な取りまとめは、勧告に向けましたいわゆる羅針盤というものでございまして、そこで示された改革の方向性に基づきまして、ことし一月以降、第一次勧告に向けて調査審議を進めてきているところでございます。

 このような審議を踏まえまして、五月一日の委員会におきまして、第一次勧告の構成案、目次の案が示されたところでございます。

 具体的には、以下の内容を柱とすることが明らかにされております。

 第一点は、国と地方の役割分担の基本的な考え方、総論的なものでございます。

 それから二点目が、重点行政分野、暮らしづくりの分野とまちづくりといった大きな分野に二分いたしまして、それを抜本的に見直していく。

 それから第三点目が、基礎自治体、市町村への権限移譲の推進等ということで、基礎自治体への権限移譲の推進、それから補助対象財産の財産処分の弾力化ということが挙げられております。

 それから第四点目で、第二次勧告に向けました検討課題ということで、一点目が、国の出先機関の改革の基本方向、それから、いろいろな法制的な義務づけですとかそういったことの仕組みの横断的な見直しの進め方、こういったことを内容とするというふうに示されたところでございます。

 このうち、重点行政分野の抜本的見直し、これにつきまして、今申し上げました中間的な取りまとめにおきまして各省で具体的な改革案を取りまとめるよう要請いたしまして、本年一月に中間的な状況報告をいただき、三月末に最終的な各省からの検討結果の回答を得たところでございます。現在、この各省からの検討結果の回答をもとに第一次勧告に向けた詰めの審議を行っているところでございまして、この四月から明日九日まで計五回の委員会で、文科省以下の五省と、現職局長クラスの出席を求めまして順次公開討議を行っているところでございます。

 また、基礎自治体への権限移譲の推進等につきましては、都道府県から市町村への権限移譲ということで、これは、事務処理特例条例ということで市町村へ権限移譲をそれぞれできるわけでございます。そういう個別に今までやってこれたその調査結果等を踏まえまして、見直しの方向に関しまして今照会中でございまして、これを各省の回答を踏まえまして勧告に盛り込む予定でございます。

 また、国庫補助負担金等によります補助対象財産処分の弾力化につきまして、これは合併等で生じましたそういう施設等を転用する、こういうものでございますが、この転用等に対する制限をもっと緩めろということで、その改善の措置状況につきまして今照会中でございまして、これをその回答を待って勧告に盛り込む予定でございます。

 さらに、出先機関の見直しにつきまして第二次勧告に盛り込むことを予定しておりますけれども、一次勧告では、基本的な見直しの進め方、視点について明らかにすることとしております。そうしたヒアリングということを実施するとともに、論点を整理して各省に照会しております。また、法制的な仕組みの見直しにつきましても今横断的な調査を行ったところでございまして、今後、二次勧告に向けまして整理していくこととしております。

 これらの調査審議を踏まえまして、今後、具体的な勧告分野につきまして委員間で議論を行い、早ければ五月末にも第一次勧告を取りまとめる予定でございます。

 以上でございます。

佐々木(隆)委員 今、四つぐらいに分けて一次勧告に盛り込みたいということでありましたが、一番中心になるのは、重点分野のところと基礎自治体への移譲のところかなというふうに思います。

 とりわけ重点分野のところなんですが、なかなか難航されているようでございまして、四月十五日に丹羽委員長の報告を受けて総理は、各閣僚におかれては委員会の意見を十分に踏まえ政治家としての判断で事務方を指示するようにとの発言をされたというふうに言われておりますが、にもかかわらず、ほぼゼロ回答であったというふうに言われております。また、大臣は、委員会と府省の間には地球と火星ぐらいの隔たりがある、私も汗をかかないといけないと言われて大臣折衝に入ったというふうに聞いているわけでありますが、その状況といいますか、相違点などについて。

 それからもう一つは、この大臣折衝を踏まえて、今言われた重点分野が目玉だとするならば、第一次勧告にどのように盛り込むのかということについてもあわせてお伺いをいたします。まさかゼロのまま一次勧告をするということはないというふうに思いますが。

 お願いいたします。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今、分権委員会と各省との間で、公開の場で、各省の方は局長さんにレベルを上げまして議論を展開している、明日も厚生労働省の方から来てもらって議論を展開する、こういうことでございます。

 私も、委員会が今の段階では一番当事者でございますけれども、担当大臣として、委員会の活動を後押しするために、直接大臣のところに足を運んでお会いをして、率直に意見交換をさせていただいております。先月三十日に厚生労働大臣、それから今月に入りまして、一日に農林水産大臣にお会いをいたしました。

 幾つか御質問でございました相違点等につきましての考え方を申し上げたいと思いますが、実は、農林水産大臣との意見交換では、例えば農地法の転用許可につきまして、今、御案内のとおり、四ヘクタール以上は大臣許可、それから二ヘクタール以上四ヘクタール以下の部分については大臣協議をしつつ都道府県知事が判断する、こういう形になっているわけでございますが、これを都道府県知事の方にもう譲り渡すべきではないか、こういうのが委員会の考え方でございますが、農林水産省の方では、優良農地を守るために引き続きこの点については国が見ていく必要がある、こういう話をしておりました。そういう認識を示しております。

 それから、厚労省の福祉施設の設置基準でございますが、これについて委員会の見解は、さまざまな施設の設置基準、例えば保育所にしても老人福祉施設にしても、全国一律の最低基準という考え方をこの際改めて、国が標準を、いわゆるガイドラインを示す、そして後は、それをしんしゃくしながら地方自治体が具体的な基準を条例により定めるようにしたらどうか、そして各自治体の責任でそこをきちんと運営していけるようにしたらどうか、こういう見解でございましたが、厚生労働省は、サービス水準の低下につながるようなことが心配である、その低下につながらないような仕組みとして現在の制度ができ上がっているんだ、こういう見解でございました。

 両大臣とはまだ一回の意見交換ですから論点を確認したという段階にとどまってございますが、今後また逐次お会いをして、委員会の活動をサポートしていきたい、見解をサポートするように私も行っていきたいと思います。

 あと、国土交通大臣につきましては、来週意見交換を行うということで、今、日程調整中でございます。早急に日程をセットして、引き続き私と関係閣僚で意見交換を行って、私の立場としては、分権委員会のそういう立場、活動を支援していきたい、こう思っております。

 それから、最後にお尋ねございました分権委員会の勧告の関係でございますが、これは分権委員会の方でまたいろいろ御判断されることではございますが、恐らく各省のそういった回答を超えて分権委員会としての勧告がなされるであろう、今までの議論の経過を見ますと、分権委員会としてもそういうことを超えて恐らく勧告をしていかれるのではないか。これは、これからまた分権委員の先生方とも私もよく意見交換をしてお互いに理解を深めていきたい、このように考えております。

佐々木(隆)委員 多分、分権委員会は書き込まれるんだろうと思います、丹羽委員長がどこかで頭にきたという表現をされておりましたので。

 ただ、今も大臣からお話がありましたけれども、これは新聞報道で見る限りですけれども、例えば、県によってばらばらの判断になるとか、高い専門性を有しているので災害に対応できないであるとか、ひどいのは、地方に十分な能力がないというような表現もあったやに思いますが、それは、権限、財源というものが移譲されていないがゆえに、例えば専門的な職員を雇うとか、あるいは予算も含めていえば、今の状態で権限、財源が移譲されていないがゆえに起こることであって、人もあるいは財源も権限もある程度地方にゆだねられればそんな心配をする必要はないのではないかというふうに思います。

 県によってばらばらという話がありますが、それが地方分権だと私は思うんですね。全国一律でない、ばらばらというのは、それは特色があるということですから、それを恐れていては分権なんかできないわけですから、ぜひ、そういった意味で、これからも大臣の粘り強い折衝を、時には強い折衝を御期待申し上げたいというふうに思うんですが、その点についてのお考えがあれば。

増田国務大臣 今まさに委員の方から御指摘いただいたことと同じような考え方を私は持っておりまして、やはり地域のことを一番よく知っているのはその地元の自治体でございますので、そこの判断を最大限生かしていくということがこれからの地域づくりに必要である、それがまた住民にとっても一番いいことではないか、そのために必要な権限あるいは財源を国から大胆に移譲して初めてそういったことが実現できるというふうに思います。

 国の方のいろいろな主張の中で、一つの例で言えば、今、都道府県によってばらばらの判断になるというようなことをよく言われるわけですが、地域の特性というのは御案内のとおり非常に異なっておりますので、そういう事情が異なる中で自治体に創意工夫の余地をもっともっと広げていくということが大事でございますし、今の画一的なあるいは全国統一の基準ということであれば、そういった創意工夫の余地を極めて狭め、制約することになります。それよりも、むしろ国が標準を示して、後は地方自治体の創意工夫の余地を認めるということになれば、もっと地域の特性が生かされるのではないか、先ほど委員がお話しになったようなことにつながっていくんではないか、そのためにも、やはり人やそれから財源というものを自治体に移管することによってそういったことも一方で実現をしてくるんではないか、こういうふうにも思います。

 災害対応のことなどもよく例に引き出されてそういった場合の不安のことも言われますが、当然、そういった大規模な災害の場合には、また別途国が支援するような仕組みというのは必要になると私も思いますが、それはまた別に考えればいいということでもあると思います。

 今委員から御指摘いただきました点は私も同じように考えている点でございますが、ぜひ、その点についての理解が得られるように私も汗をかいていきたいと思いますし、また、そういう方向で政府部内の考え方を取りまとめていきたい、このように考えます。

佐々木(隆)委員 ぜひ御奮闘いただきたいというふうに思います。

 これは質問ということではなくて、きょうはそこまでちょっと論議ができないかというふうに思うんですが、いわゆる基礎自治体への移譲のところ、これは市長会の提言であったり都道府県知事会の提言というのが推進委員会のベースになっているようなんですが、その中で少し気になったのが、教員の人事と給与を市町村にというのがありました。

 市町村の中で教員の人事をやるというのは非常に非現実的な話だと私は思うんですね。ですから、むしろ、教育委員会というものが市町村単位で置く必要があるのかどうかという論議はあってもいいのかもしれないんですね、私は学区制ぐらいにあった方が効率的なのではないかなというふうに思うんですが。

 それは農業委員会も同じで、それも何かテーマにはなっているようですが、これは、置く必要があるかないかということよりは、今の市町村単位で置く必要があるのかないのかという論議の方がむしろ重要なのではないかと思うんです。市町村の移譲のところは、市町村にそのまま移管するというような話が中心になっているようなので、それだけで本当にいいのかなということがちょっと読んでいて気になりましたので、このことは意見として申し上げておきたいというふうに思います。

 そこで、今大臣からもお話がありましたが、その中の一つに、先ほど向こうからお話があったんですが、国と地方の役割分担、これは長いこと論議をされているかと思うんですけれども、このベースになっている分権推進法や地方自治法なんかを中心にして三つぐらいの考え方があるようです。

 国際社会における国家としての存立にかかわること、全国的に統一して定めることが望ましいこと、全国的な規模、視点に立って行わなければならないことというようなことが書いてありますが、これをもって国と地方の役割というものを今度の一次勧告にどう書き込むのかわかりませんが、これで今の各大臣との折衝なんかも含めてやっていくというのは、私は、もう少しはっきりした明確なものにしておく必要があるのではないかと思うんですね。存立というのは一体何のことをいうのかとか、どうしても統一して進めなきゃいけないことというのは何なのかとか、基準がもう少し明確であるべきかなというふうに思うんです。

 例えば、外交、防衛は国に、その他は身近なところでなどという表現がよくありますが、それも基準としては極めて乱暴な基準であって、社会保障などについては全国的に統一しなきゃいけないものもあるでしょうし、高速道路は、では地方にゆだねるのかというと、それは少しどうなんだというようなものもあると私は思うんですね。そういう中身について、ゼロ回答が多いという中でこれから進めていくときに、ここの基準をもう少し明確にしておく必要があるのではないか。

 同時にまた、これは第一次勧告に盛り込む予定だというふうにも聞いているんですが、その辺あわせて大臣のお考えを伺いたいと思います。

増田国務大臣 今お尋ねの点でございますが、三つ御指摘ございました原則、考え方でございますが、これは、今お話ございましたとおり、国と地方の役割分担の基本ということで、地方分権改革推進法にも、それから地方自治法にも規定をされておりまして、本当に基本となる大もとの考え方でございます。

 これを原則に、それぞれの行政分野で、役割分担としてさらに具体にブレークダウンをした考え方をまとめる、そして、それに基づいて個々具体の事務それから権限をさらに具体的に切り分けていく、こういう作業を今ちょうど行っているところでございます。

 今お話ございましたとおり、外交、防衛あるいは金融など、本当に国家の大もととなるようなものは国、社会保障など身近なものはできるだけ自治体にということをよく言われますが、社会保障分野でも国の役割というのは重要な部分がございます。それから、例に挙げられました道路整備においても、本当に基本となる国幹道のようなものは、国の役割というのは大変大きいと思います。

 ですから、それぞれの分野ごとにさらに今の根本に立ち返って、常に、どういう国と地方の役割分担なのかということを問い直しながら、それを切り分ける基準というのはやはり必要になるだろう。それについては、今、分権委員会の中で相当細かく議論してございますので、むしろ、さらに、そうしたブレークダウンした考え方、それに基づく具体的な事務や権限の大要というものが今度の第一次勧告の中に盛り込まれて明らかになる。それを受けて、次の第二次あるいは第三次勧告の方で、それをもとに具体的な、出先機関のあり方をどうするのかとか、あるいは税財源をどういうふうにしていくのか、そういう勧告に結びついていく。こういう整理になっていると理解をしてございます。

 大分作業も進んでおりまして、その考え方が今月の下旬には明らかになるところでございますので、私どもも、そういう受けとめ方で、分権委員会の活動に期待をしているといいましょうか、分権委員会の活動を見守っている、こういう状況でございます。

    〔高市委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木(隆)委員 道州制という話もありますが、当面の話として、分権は、これからのこの国の形として大変重要なテーマだというふうに思いますので、それについて一番基本になる国と地方の役割分担というものを、基本はこれで間違いはありませんけれども、もっと明確にしていって、分権というものをもっと積極的に進めていくということのためにも、ぜひ第一次勧告にも期待を申し上げたいというふうに思うところであります。

 少し乱暴な言い方をさせていただくと、プラン・ドゥー・チェックというような言い方がされて、企画と行動というよりは、もう少し別な言い方をさせていただくと、企画をして発注をして監督をするという三つの権限を全部持っている役所というのは日本ぐらいなのではないかと思うんですね。みずから企画をしてみずから発注をしてみずから監督をすれば、これは大体、悪いことをやるなと言う方が無理だというふうに私は思うんですよね。

 諸外国ではこのうちの一つがどこか必ず外へ出ているんですよね。この三つ全部持っていれば、当然のことのように、自分で企画して自分で発注して自分で監督するわけですから、これはどうしたって魔が差す人たちが出てくるのは当然のことでありまして、極端なことを言えば、そのうちの一つぐらいは外に外してしまうぐらいなことをやることの方が本当の意味での改革なのではないかなというふうに私は思っていますが、今そこまで求めるわけではありません。

 ただ、今回論議をされている幾つかの課題というのは、ほとんどは九五年の分権改革の積み残しです。首相が閣僚に協力を求めたという話を先ほどもしましたが、私は、実は、最初に地方分権というものを政策のメーンテーマにしてこなかった、そこにおくれた原因の一つがあるのではないかというふうに思っています。そういった意味では、おくればせながらという表現がまさにそのとおりでありまして、その分やはりおくれてきているんだと思うんですね。

 これは地方自立政策研究所の試算だったと思うんですが、行政の非効率の一因に国と地方の二重行政がある、国と地方の仕事の重複をなくすだけで三兆八千億を超す歳出削減が可能、そんなことも言われております。

 そこで、財源と権限とよく言われるんですが、私は両方とも必要だというふうに思います。とりわけ権限の象徴は上書き権だと私は思うんですね。先ほども条例の話を大臣からされましたが、権限の中で地方に上書き権を認めるということに踏み込めば分権というのは相当進むんではないかというふうに私は思うんですが、その辺を含めて大臣の御認識を伺います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、二重行政の問題などについていろいろな試算等も出ておりますけれども、そういったことからも、分権というのはやはり進めていかなければならないというふうに私も思いますし、そのためにも、現内閣で、総理も再三発言をして、最重要課題である、こういうことを申し上げているわけでございますので、ぜひ、勧告と、それからその後、政府として形を分権型に切りかえる、こういうことに全力を尽くしたいというふうに思いますが、その際には、やはり、自治体の条例制定権というのはもう既に憲法上も規定をされているわけですが、その条例制定権の拡大というのが不可欠ではないかというふうに思っております。

 先ほど、福祉施設の設置の基準のところで少し申し上げたんですが、そこにも見られるがごとく、やはり、地方自治体の条例、具体的に条例への委任ですとか条例による補正の許容、補正を認めていく、今委員からお話ございました条例による法令の上書き権を認めるということは、また逆に、自治体の責任感をふやすということにもつながりますし、そういう意味で、まさに自治立法権の確立のために非常に有効な手段ではないかというふうにも思うところであります。

 今、分権改革推進委員会でも、こうした条例による上書き権の導入について具体的に検討しているところでございまして、今回の勧告の中でも何らかの形でこの点について触れられるものというふうに思っておりますし、議論の推移を見ながら、またその次の勧告の中でもこうした関係が出てくるのではないか、こういうふうに見ております。

 いずれにしても、国の方からの立場で権限あるいは財源を譲り渡すということだけでなくて、自治体みずからがこうした条例の制定権を拡大させて、本当に質の高い、実のある条例を、住民との対話あるいは議会との関係の中で真剣に議論して、そういった条例を自分たちの手でつくっていくということがこの分権を生かしていくことにつながると思いますので、この条例による上書き権の仕組み、どういう考え方で、どういう勧告として出てくるものか、今、法制の専門家も入った議論が委員会の中で行われておりますので、私どももそれを十分に注視をして、そしてその上で勧告等が出てまいりましたら適切に対応していきたい、このように考えております。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わりますが、今の福田政権が地方重視ということをテーマにしてあるのであれば、本来、この分権というのを最大のテーマにすべきだというふうに私は思います。そういった意味で、第一次勧告が出た後にもまた論議をさせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、高速増殖炉「もんじゅ」の問題から入っていきたいと思います。

 高速増殖炉「もんじゅ」に取りかかったのが一九五六年ですから、五十二年ほどになるんですね。半世紀以上やってきました。そこで、高速増殖炉「もんじゅ」開発に要した予算額は合計幾らになっているのか。もちろん、五十年前の金額からすれば本当はもっと高いわけですけれども、それを最初に確認したいと思うんです。

 「もんじゅ」の総事業費八千八百二十九億円、これは建設費と運転費ですが、ナトリウム関連研究開発で千九百六十億円、実用化戦略研究で三百四十九億円、高速増殖炉再処理技術開発で千四百四十九億円、燃料・材料研究開発、その他で二千二百五十九億円、MOX燃料製造施設総事業費で千六百五十五億円、これには建設費と運転費が入りますが、高速実験炉「常陽」の総事業費で三千三百六十三億円、これも建設費と運転費が入ります、再処理施設総事業費が七千六百一億円、これも建設費と運転費ですが、五十年前と随分貨幣価値が変わってしまっておりますが、単純にこれを足すと、単純な足し算でいくと二兆七千四百六十五億円になると思うんですが、最初、政府参考人に確認しておきます。

古谷政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、昭和三十一年からのすべての総事業費についてお答えを申し上げたいと思いますけれども、旧動力炉・核燃料開発事業団及びその後継組織でございます核燃料サイクル開発機構におきます累積予算額というのは、昭和四十二年度から平成十七年九月までで、総予算約五兆五千五百三十五億円でございまして、そのうち政府支出は約四兆八百七十六億円でございます。

 また、前身組織でございます原子燃料公社の昭和三十一年から昭和四十二年までの累積予算額は、総予算で約百六十七億円でございまして、そのうち政府支出は約百五十九億円でございます。

 加えまして、平成十七年十月に日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合して発足をいたしました日本原子力研究開発機構における平成二十年度予算までの累積予算額は、総予算で約六千八百五十六億円でございまして、そのうち政府支出は約六千四百八十六億円でございます。

 これらを合計いたしますと、総予算は約六兆二千五百五十九億円でございまして、そのうち政府支出は約四兆七千五百二十一億円というふうになります。

 なお、この中で、高速増殖原型炉「もんじゅ」に係りますこれまでの累積予算額でございますけれども、これは昭和五十五年度から平成二十年度まででございまして、総予算は約八千八百二十九億円、政府支出額は約七千四百四十七億円というふうになってございます。

吉井委員 ですから、動燃関連ですね、名前を変えておりますけれども。総事業費で六兆二千五百億円余り使って、その中で「もんじゅ」関連は、「もんじゅ」の総事業費、ナトリウム関連研究開発、「もんじゅ」というのはプルトニウムを使うわけですから、プルトニウム研究関係とナトリウム関係ですね、非常に危なくて難しいものの研究にかかわるんですが、その「もんじゅ」関係の合計は二兆七千四百六十五億円、これでいいですね。このことを確認しておきます。

古谷政府参考人 実は、再処理関係の事業費の中には軽水炉関係のものも入ってございます。したがいまして、そういう意味で申し上げますと、高速増殖炉等の関連予算額というものについては算出ができないということになってございます。

 「もんじゅ」の関係につきましては、先ほども申し上げましたように、これまでの間で約八千八百二十九億円というようなことでございます。

 なお、それぞれについて申し上げますと、「もんじゅ」のところは八千八百二十九億円、FBRサイクル関連技術開発につきましては六千十八億円、MOX燃料製造施設総事業費につきましては一千六百五十五億円、それから高速実験炉の「常陽」の総事業費については一千七百八億円、それから、軽水炉の分も含んでおりますけれども、再処理施設総事業費につきましては、政府支出以外の民間のものも含めまして七千六百一億円というようなことでございます。

吉井委員 ですから、「もんじゅ」というのは、使用済み燃料を再処理したプルトニウムを取り出して、それとウランとをMOX燃料にするわけですね。その技術と、プルトニウムに関連する研究開発が必要ですし、「もんじゅ」そのものの本体をつくって動かすことが必要ですし、それからナトリウム技術が必要なんですね。そのための実験をやっているんです。

 だから、「もんじゅ」に関係したものというのは、再処理してプルトニウムを取り出すところから、燃料をつくるところから、それからナトリウムの研究そのものとあわせてやりますから、先ほど、もう既に昨日資料をいただいていますから、全部計算したら、「もんじゅ」総事業費が八千八百二十九億円、ナトリウム関連研究開発が千九百六十億円、実用化戦略研究が三百四十九億円、FBR再処理技術開発が千四百四十九億円、燃料・材料研究開発、その他が二千二百五十九億円、MOX燃料製造施設総事業費が千六百五十五億円、高速実験炉「常陽」の総事業費が三千三百六十三億円、再処理施設総事業費が七千六百一億円、これを、「もんじゅ」関連の経費ですと言って資料を持ってきていただいているんですから、これは電卓をたたいて単純計算をやれば二兆七千四百六十五億円になるんです。今ややこしいことを言っておられたけれども、単純計算で、電卓をはじけばそういう数字になるんです。

 伺っておきたいのは、「もんじゅ」にこれだけお金を使って、今もうまくいっていないんです。それで、再生可能エネルギーと少し比較してみたいんです。

 再生可能エネルギーの方の開発普及がおくれておりますが、太陽光発電ではとうとうドイツに追い越されたんですね。風力発電などはとっくに差がついているんです。

 二〇〇八年度で見れば、直接の再生可能エネルギーの開発費の国の予算は三百九億円で、太陽光、風力、マイクロ水力など再生可能エネルギーの予算は合わせて三百七十七億円。合わせますと六百八十六億円ということになろうかと思いますが、これは資源エネルギー庁がいいのかな、政府参考人に伺っておきます。

上田政府参考人 済みません、ちょっと今、手元のデータと照合する必要がございます。

 新エネ全体の予算額というのは大体年間一千億円ぐらいでございます。恐らく御指摘なのは、バイオマス、幾つかの新エネルギーを足した数字かと思いますので、お差し支えなければ、後ほどちょっと数字を確認させていただきたいと思います。

吉井委員 再生可能エネルギーということで持ってきていただいたんです。これはきのう持ってきていただいた数字ですから、これも電卓をたたいて足せば六百八十六億円ということになってきます。

 それで「もんじゅ」関連は、動燃事業団以来の、いわゆる旧動燃関係で先ほどおっしゃった六兆二千五百億余りですが、「もんじゅ」関連の経費で見れば二兆七千四百六十五億円なんですね。それを再生可能エネルギーの研究開発及び普及に使えば、つまりこの普及という中には、先ほどの三百七十七億円というのは、太陽光、風力それからマイクロ水力の家庭用を含めた普及のために補助金として出している分なんですね。これを使うことによって各家庭やあるいは公共施設などに普及していくわけです。そういう予算と比較してみたときに、「もんじゅ」が二兆七千四百六十五億円ですから、大体四十年分に相当するんですね。四十年分使ってきたということになるんです。

 ことしの予算を少し聞いておきたいんですが、「もんじゅ」関係は、「もんじゅ」総事業費百八十一億円、ナトリウム関連研究開発費五億円、実用化戦略研究が八十二億円、FBR再処理技術開発がゼロですが、燃料・材料研究開発その他が三十一億円、MOX燃料製造施設の総事業費で四十二億円、高速実験炉「常陽」関係で二十七億円、再処理施設総事業費で五十億円、合計で四百十八億円になると思いますが、どうですか。

古谷政府参考人 お答え申し上げます。

 二十年度予算でございますけれども、ちょっと今委員御指摘の数字そのものを手元に持ってきておりませんけれども、「もんじゅ」関連で申し上げますと、高速増殖炉サイクル関連技術開発関係といたしまして、平成二十年度予算、ナトリウム関連の研究開発が五億円、それから実用化増殖研究が八十二億円。そうですね、この数字で大丈夫でございますね。(吉井委員「足し算したものだから、その表を。合計四百十八億ですね、電卓をはじいたら出てくるから」と呼ぶ)そうですか、ちょっと電卓はたたいておりませんけれども、その数字で間違いございません。

吉井委員 ですから、ことしでも四百十八億円なんです。二〇五〇年にFBRが実用化できるなどとして今も年間四百十八億を使ってやっているんですが、再生可能エネルギーの研究開発・普及費が総額で六百八十六億です。再生可能エネルギーの方がことしの「もんじゅ」関連の予算の三分の二なんですね。再生可能エネルギーの普及の方は三百七十七億円で、家庭につける補助金、もうなくなっちゃったんですけれども、公共施設につけるとか風力とか、それからマイクロ水力の場合、補助金をつけているんです。この補助金が三百七十七億円ですから、これと比べてみれば、実はことしの「もんじゅ」関係の予算の方が一・一倍も再生可能エネルギーの普及のための予算より多いんですよ。

 再生可能エネルギーというのは、ことしは地球温暖化対策で洞爺湖サミットでも最大のテーマの一つになると思うんですが、一番取り組まなきゃいけないんですね。これは太陽のエネルギーがもともと出発ですから、燃料費はただなんです。最初につくってしまえば、後は金がかからないんですね。しかも二酸化炭素は出さないというものですが、そちらの方の普及のための予算の方が少ないというのは、岸田大臣、これはちょっと変だと思いませんか。

岸田国務大臣 原子力というエネルギーですが、まず、エネルギーの安定供給という観点から大変重要なエネルギーであるというふうに思いますと同時に、地球温暖化対策にとりましても大変重要なエネルギーだというふうに認識をしております。

 地球温暖化対策としても大変重要視する原子力エネルギーでありますので、研究開発の中で、この「もんじゅ」、高速増殖炉サイクル技術の中核施設であります。限りある資源をリサイクルして有効利用するという点で、資源の乏しい我が国にとって原子力政策上大変重要な施設だというふうに認識をしております。原子力政策上大変重要な「もんじゅ」の研究、これは地球温暖化対策にとりましても大変重要な政策だと認識をしております。(吉井委員「再生可能エネルギーは」と呼ぶ)

 そして、原子力は、発電段階では全く地球温暖化ガスを発生いたしません。ライフサイクル全体を見ましても、原子力発電という発電方法、再生可能エネルギーと同等の地球温暖化ガスを発生するという評価にあるというふうに認識をしております。

 ともに大切な施策でありますが、その一つの原子力政策、これも我が国にとって大切な施策としてしっかり進めていかなければいけない、そのように認識をしております。

吉井委員 きょうは一般的な原発の話をしているんじゃないんです。「もんじゅ」の方をしているんです。一般的な原発の話でいっても、これは既にこの前もうやっているんですけれども、柏崎原発がとまっていますね。志賀原発がとまって、逆に原発頼りのやり方では、かわって火力をたきましたから、CO2を物すごくたくさん出してしまっているんですね。

 それから、クリーンかといえば、チェルノブイリの被害というのは非常に大きなものがあって、これは公式発表の数字だけでも六十四名の方がお亡くなりということですが、実際はもっと多いんですね。白血病患者は今も四千人を超えて、それから汚染地域面積、人が入れないところが二万三千平方キロメートルあるんですね。そういうふうな大きな被害を及ぼすものであって、原発頼みで、クリーンで安全だということは簡単に言えないわけで、まして「もんじゅ」については、半世紀やってきてまだうまくいっていないというのが現実なんです。それを将来の安定した技術であるかのように言うというのは、これはとんでもない話だということをまず言っておかなきゃいけないと思うんです。

 その「もんじゅ」のことしの予算に比べても、再生可能エネルギーの普及のための予算が少ないじゃないかということについては、私はやはり深刻に受けとめて考えていかなきゃいけないと思うんです。

 ドイツで、市民の設置に補助をしたり、固定価格での買い取り義務制度を設けているんですね。そのことによって太陽光発電などが随分進んでいるんですよ。二〇〇五年で日本はドイツに抜かれてしまったんですね。全然普及が違うんです。

 資料を持ってきていただいてお聞かせいただいたら、今、公共施設などにつけるだけで年間予算は二億円だというんですね、これは二〇〇七年ですか、二億円で六十八万キロワット時だというんです。これを簡単に一万倍すれば六十八億キロワット時ということになってきて、平均的原発の一基分ですが、これがちょうど二兆円ですから、「もんじゅ」でやってきた分の、大体あれが二兆超えているわけです。ですから、もう「もんじゅ」と比べてみても、二兆七千四百六十五億ですから、これまでやってきた「もんじゅ」を再生可能エネルギーの太陽光の公的なところでの補助金に使っただけでも原発一基分がもうでき上がってしまっているんですよ。それぐらいのものだということをしっかり見ておかなきゃいけないと思うんです。

 風力発電の方ですと、これは一億一千万円の補助金だと。本当にわずかな補助金しか公共施設につくる場合も使われていないんですが、七十六億キロワット時だというんですね。これも、一万倍すればすぐわかってくるように、一億一千万の一万倍といえば一兆一千億ということになりますが、これは平均的原発の十基分ができることになるんですね。発電電力量での計算でいっていますから、既に十基分できていることになるんですよ。しかも、それは一億一千万ですから、「もんじゅ」並みの金をかけておれば、そのおよそ二倍ぐらいですから、平均的原発の二十倍ぐらいはできているという話になるんですね。

 だから、いかに再生可能エネルギーにもっと日本は力を入れることが大事かということが、そういうことを見ても本当にはっきりしてくるんじゃないかというふうに思うんです。

 これは、私、勝手なことを言っているんじゃなくて、私の部屋へ来ていただいて、レクチャーを受けまして、目の前で試算もして出していただいて、もう一遍念を入れてということで部屋へ帰って計算された数字を聞かせてもらった分ですが、それぐらい再生可能エネルギーの研究開発、普及に政府が本気で力を入れるということがどれだけ大事かということなんですよ。それを、何年たっても、五十年たってもうまくいかないものを、二〇五〇年でうまくいくのかといったら、では二〇五〇年の長期エネルギー需給見通しに、これは「もんじゅ」でなくていいんですけれども、高速増殖炉で発電する分がカウントされていますか。

西山政府参考人 「もんじゅ」を初めとします研究開発段階での原型炉などにつきましては、長期エネルギー需給見通しには含まれておりません。

吉井委員 だから、もともと長期エネルギー需給見通しにもいつ入れたらいいかさえわからないというのが今の事態なんです。

 五十年間やってきて、これをもし再生可能エネルギーの方に使っておれば、平均的原発でいえば風力でも原発の二十基分ぐらいに相当する分ができている、そういう事態なんですね。やはりそのことを本気で考えて再生可能エネルギーということにもっと力を入れなきゃいけないと思うんですよ。

 あわせて、「もんじゅ」について伺っておきます。

 「もんじゅ」から二百メートル離れたところに活断層が見つかったという話はこの前やりました。先日、四月四日の当委員会で取り上げたときに、「もんじゅ」再開に向けて保安院も新しく燃料を装荷することを認めたわけですね。

 しかし、保安院の審査も終わっていない、原子力安全委員会も、活断層が新しく見つかったんだけれどもこれは大丈夫だという、その判断を下していないんですね。だから安全だということはまだ言えない段階で、しかし燃料装荷だけはさっさと認めて進めていこうというわけでしょう。これはどう考えてもおかしいんじゃないかと思うんですよ。

 さらに、審査中の中で、実は、「もんじゅ」停止に至ったナトリウム冷却系の冷却剤の漏えい燃焼事故というのがありましたけれども、最近、ナトリウム漏えい検出器の誤作動があって、二百五十九カ所中調べたのがまだ七カ所ぐらいだと思うんですが、それから、設計ソフトの欠陥で配管強度に問題ありとなったところも出てきているというのが現実で、だから、需給見通しの中でもめども立たないし、現在もまだこれを続けていくこと自体に問題ありと。

 諸外国は、高速増殖炉からもう撤退をしているんですね。そういう中で、日本がいつまでも高速増殖炉には一生懸命金をかけるんだけれども再生可能エネルギーの方には本当に真剣に開発や普及の努力をしないということでは、これは地球温暖化対策を進める上でも、こういうやり方というのが非常に大きなマイナスになってくると思うんですが、この点、もう一度岸田大臣に伺っておきたいんです。

岸田国務大臣 地球温暖化対策に対しましては、エネルギーの節約、そして再生可能エネルギーの増進、これは大変重要な施策だとまず認識をしております。そして、資源の乏しい我が国にとりまして原子力エネルギーというものも大変重要なエネルギー源だと思っておりますし、その中にあって、資源のリサイクルを可能とする、この「もんじゅ」を初めとする施策、これもまた重要な施策だと認識をしております。

吉井委員 一般的な原発の話をきょうやっているんじゃないんですよ、さっきから言っているように。「もんじゅ」の話をしているんですよ。

 「もんじゅ」の話について担当大臣がどこまでおわかりいただいているのかよくわからないんだけれども、これは、五十年やってうまくいかない、事故続きで破綻もしているんです。世界は撤退しているんです。日本は二〇五〇年ごろにはできるかもしれないという話は耳に入ってきますけれども、しかし、それもうまくいくかどうかもわからないということに今なっているんですね。だからこそ長期エネルギー需給見通しにさえ入れることもできないんですよ。

 そういうものにいつまでもかかわりながら、一方、その金を再生可能エネルギーの方に投じておれば、もっと大きな対策がとれるのに、二酸化炭素の排出を削減することも大幅に前進させることができるのに、なぜそのことに、科学技術の担当大臣として真剣に取り組んでいこう、そういう立場で取り組もうとしないのかということが私は問題だということを申し上げておいて、次に、フルMOXの大間原発について伺いたいと思うんです。

 一〇〇%MOX燃料を商業炉にしているところは世界にありますか。

西山政府参考人 すべての炉心にMOX燃料を有する燃料集合体を用いた実績といたしましては、ドイツのカールでの実験炉、VAKというものにおきまして、一九八一年に装荷実績があるものと承知しております。

吉井委員 私が伺ったのは、商業炉でありますかということを聞いたんです。

 商業炉ではないんですよ。今あなたがおっしゃったVAKというのは、この実験炉というのは、一九八一年四月から十月までの半年間実験に使ってみたというだけのことなんですよね。実験炉なんですね。ドイツはなぜ実験をやめて商業炉にしなかったんですか。

西山政府参考人 私どもの聞いておりますところでは、所期の試験を終了したということと、それから経済的な理由などから廃炉となったというふうに承知しております。

吉井委員 フルMOXがそんなにいいものだったら、廃炉にすることもなくもっと実験を続けたでありましょうし、商業炉にもしたでしょうけれども、実はそうはなっていないんですね。欠陥があり、プルトニウム過剰による反応などいろいろな問題があって、それでドイツでは結局やらなかったんですよ。

 では伺いますが、日本でフルMOXの実験炉というのはありますか。

佐藤政府参考人 日本におきましては、日本原子力研究開発機構の実験装置でございますけれども、TCAという装置におきましてフルMOXの試験を行ってございます。

吉井委員 短い実験をやったということですけれども、商業炉ではないはずなんですけれども。

 それで、大間原発は実験炉なのか商業炉なのか。つまり、日本では商業炉はないということは事実だと思うんですけれども、今度の大間原発は実験炉なのか商業炉なのか、どっちになりますか、あわせて聞いておきます。

西山政府参考人 商業炉でございます。

吉井委員 まず、ここで泉大臣によくお考えいただきたいんですけれども、この間お話ししましたように、日本では今原発の老朽化が物すごく問題になっているんですね。老朽化して、日本は全国が地震国なんです。活断層の上に建っている原発も見つかったし、「もんじゅ」も活断層が「もんじゅ」本体から二百メートルのところにあるんですね。「もんじゅ」も最初のつくり出しからもう何十年もたっているんですけれども、古くなってきた構造体そのものについて、全部は無理ですけれども、実験装置に乗せて振動実験をやるということが随分大事なことなんですが、その実験装置はかつて多度津にあったわけですよ。しかし、それをつぶしてしまったんですね。E―ディフェンスのような新しい装置でかわりの実験ができないわけじゃないんですけれども、一遍老朽化原発を使ってしまうと、放射線管理区域にしなきゃいけないんです。もうE―ディフェンスは二度とほかの新しいものの実験ができなくなるんですね。

 そういう本当に必要な実験装置もつぶしてしまって、今度、フルMOXをやろうというときには、実験をまともにやったわけでもなく、日本にも世界にも商業炉で一〇〇%のフルMOXを実験したという例もなく、いきなり、世界に例のない、日本だけフルMOXの炉をやろうというわけですね。

 一体そういうふうなやり方をしていいのかということが、私は原発が好きな人もそうでない人もいろいろな方がいらっしゃると思うんですよ、これは好き嫌いの話じゃないんです。そうじゃなくて、原発には基本的に危険が伴うんです。危険をどれだけ本当にコントロールできるかどうかというのは、技術その他にもかかわってくるんですけれども、好き嫌いだ何だという物の考え方の違いは別にして、ろくに実験もやっていない、世界的にも問題ありということで廃炉になったようなものを、今度は実験炉じゃなくて商業炉として本格的にやっていこうとしている、一体そういうことでいいのだろうかということについては、原子力安全委員会を担当する大臣として、やはりいきなり大間で始めるのではなくて、これは大間でフルMOXでやることについては中止をするべきだと勧告をするぐらいの、そういう勇気や信念というものが政治家には求められると私は思うんです。

 このことを伺います。

泉国務大臣 坂出の実証実験の問題については、前回の委員会で委員から御指摘があり、今日の状況と経緯、そして今兵庫県の一部にもそういう大型の振動台があるというようなことを勉強させていただきました。しかし、この実証実験をやらなければ必ずしも安全性が確保できないかということについては、委員とは少し見解が違うところがあると私は思っております。

 ところで、大間のフルMOX型の実験について、いきなりそういう商業炉としてやっていいのかという事柄につきましては、委員の御指摘の懸念を払拭するために原子力安全委員会としては今日まで特段の配慮を求めてきておるわけでございまして、初めて従来の原子力発電所と異なる技術を導入してやるという意味においては、これからも慎重な対応をなお一層求めていくということになると思っておるわけであります。

 経済産業大臣から、四月二十三日に、この大間の原子力発電所について許可が行われていると承知いたしておりますが、原子力安全委員会はそれに先立って、このフルMOX燃料装荷に計画的かつ段階的に移行するということを注文をつけるというか、段階的に移行するとともに、各段階ごとに事業者から報告を受け、原子力安全委員会に報告するように特に要請をしておるところでございます。

吉井委員 原子力安全委員会が安全だとしたら大丈夫というものじゃないんです。柏崎刈羽原発も、原子力安全委員会は安全だとしておったわけですが、大体あれは合計四千カ所ぐらいですか、昨年の事故で、事故、トラブル等が発生しているんです。「もんじゅ」事故も、「もんじゅ」も大丈夫だとして原子力安全委員会はお墨つきを与えたんだけれども、やはり事故をやったんです。原子力安全委員会が大丈夫だと言ったら大丈夫だという、そういう話にはならない。

 だから、原子力安全委員会はもちろん、当然、責任を負わなきゃいけないし、しっかりやらなきゃいけませんけれども、そこを管轄する、所管する大臣として、あなたには非常に大きな責任があるんだということを、ぜひ、そういう認識と申しますか自覚といいますか、そういうものを持って臨んでいただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

中野委員長 次回は、明九日金曜日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十七分散会


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