衆議院

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第4号 平成20年11月19日(水曜日)

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平成二十年十一月十九日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 具能君

   理事 岡下 信子君 理事 加藤 勝信君

   理事 渡海紀三朗君 理事 西村 明宏君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    宇野  治君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚  拓君    河本 三郎君

      高木  毅君    徳田  毅君

      中森ふくよ君    並木 正芳君

      馬渡 龍治君    松浪 健太君

      村田 吉隆君    市村浩一郎君

      吉良 州司君    北神 圭朗君

      楠田 大蔵君    佐々木隆博君

      田村 謙治君    馬淵 澄夫君

      三谷 光男君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   内閣府大臣政務官     松浪 健太君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    東川  一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           稲葉 一雄君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十九日

 辞任         補欠選任

  遠藤 武彦君     小里 泰弘君

  木原 誠二君     徳田  毅君

  中山 成彬君     高木  毅君

  佐々木隆博君     三谷 光男君

  西村智奈美君     田村 謙治君

  馬淵 澄夫君     北神 圭朗君

  池坊 保子君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     遠藤 武彦君

  高木  毅君     中山 成彬君

  徳田  毅君     木原 誠二君

  北神 圭朗君     馬淵 澄夫君

  田村 謙治君     西村智奈美君

  三谷 光男君     佐々木隆博君

  高木美智代君     池坊 保子君

    ―――――――――――――

十一月十八日

 国家公務員の再就職状況に関する予備的調査要請書(長妻昭君外百十二名提出、平成二十年衆予調第三号)

は本委員会に送付された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、加藤勝信君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。加藤勝信君。

    ―――――――――――――

 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

加藤(勝)委員 ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表いたしまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本修正案は、政府案を一層充実させるとの観点から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党による真摯な協議を経て、各派共同提案として提出することとした次第であります。

 次に、本修正案の内容について申し上げます。

 第一に、内閣府令で定める要件に該当する医師の診断書の添付の義務づけであります。

 猟銃または空気銃の所持許可に係る申請書には、医師の診断書であって内閣府令で定めるものを添付しなければならないものとしております。

 第二に、猟銃に適合する実包の所持状況に係る帳簿の検査等であります。

 都道府県公安委員会が警察職員に行わせることができる猟銃の所持者に対する検査等の対象に、猟銃に適合する実包の所持状況について記載した帳簿を加えることとしております。

 第三に、調査を行う間における保管制度の拡充であります。

 都道府県公安委員会が調査を行う間における保管制度の適用対象に、刀剣類を加えることとしております。

 第四に、銃砲刀剣類の確実な引き渡しの確保であります。

 銃砲または刀剣類の譲り渡しまたは貸し付けに当たり行う所持禁止に係る除外事由に該当することの確認または所持許可に係る許可証の提示は、銃砲または刀剣類を所持することができる者以外の者に銃砲または刀剣類が譲り渡され、または貸し付けられることを防止するため必要なものとして内閣府令で定める方法により行わなければならないものとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長片桐裕君、生活安全局長巽高英君、交通局長東川一君、国土交通省大臣官房審議官稲葉一雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。

田端委員 おはようございます。公明党の田端でございます。

 今回、四党による修正ということが相調いまして、より充実した法案になったということで、関係者の一人として大変喜んでいる次第でございます。

 とはいえ、きのうもまた大変な事件が起こりました。元厚生省の事務次官が相次いで、刃物による犯罪で亡くなったり、あるいは重傷を負ったりということでございまして、二人の家族といいますか、相次いで同じ日に行われたという、これは一種の連続テロ行為的な感じもいたします、同一犯かどうかわかりませんけれども。しかし、いずれにしても、刃物であったというところに大変大きな問題があるなということを感じています。

 ダガーナイフの所持禁止ということは今回の法改正ではっきりしたわけでありますが、しかし、刃物による事件といいますか、まだこういったことが現実に起こっているわけでありますから、ここはさらにまたもう一歩議論すべき必要がある。刀剣の所持禁止についてはこの前も、送致件数でも六百二十七件、五百七十八人ということでございましたが、刃物の携帯禁止違反はもっと多くて、四千六百七十七件、三千七百四十一人という大変な数がやはり指摘されているわけでありますから、そういった意味では、刃物に対してのより一層の厳格なチェックということが必要ではないか。

 今回の事件を見ても、これは明らかに刃物であるということであれば、非常に難しい問題はありますけれども、そこはこの法律の外の部分になりますので、これは警察関係の方の一層の御努力が必要かと思います。

 そういう意味で、大臣の、今後刃物による犯罪をどう抑制していくか、そこのところの御決意をひとつよろしくお願いしたいと思います。

佐藤国務大臣 おはようございます。

 今先生から御指摘がございました件についてお答えを申し上げたいと思いますが、刃物に関しましては、その種類が多種多様でございまして、社会的有用性があるものも多いことから、その販売や所持を一律に規制することは大変難しいものと考えております。

 しかしながら、今御指摘にあったように、今回刀剣類に含めなかった一般の刃物につきましては、全く野放しというわけではないということを前回の委員会でも話させていただきましたが、刃体の長さが六センチメートルを超えるものについては、現行法二十二条によって正当な理由なき携帯が禁止されておりまして、昨年の銃刀法改正によりまして罰則も強化されたところであります。

 また、本年六月に発生をいたしました、先ほどお話にございました秋葉原事件を受けまして、警察庁は全国の都道府県警察に対しまして、刃物販売時の身分確認や使用目的の確認、大量に刃物を購入しようとするなどの不審な客が訪れた際の警察への通報等を刃物販売業者に要請するとともに、刃物携帯事案の取り締まりを徹底するよう指示したところでもございまして、今後とも、刃物携帯事案の取り締まりの徹底や関係業界の協力を得るなど、刃物を使用した犯罪の未然防止に努めてまいりたいというふうに思っております。

 先生がおっしゃられること、十分に私どもも理解をしているつもりでございますので、厳正に対応してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

田端委員 私自身、三年前、大阪の寝屋川の中央小学校で刃物を持った少年が先生等三人を刺し、三人の一人が亡くなって二人が重傷だったと思いますが、三人の先生にそういう行為を働いたという事件がありまして、私はそこへ行ったんですけれども、本当に愕然としました。それから、その前には、大阪では池田小学校事件というのもありました。これも刃物による行為でありまして、こういった学校の中にまで刃物による凶行が行われるということについては、これはこのダガーナイフの所持禁止だけではまだまだ本質的な事件の解決には至らない、こう思いますから、ぜひ今後は行政面でさらにまた緊張感を持って、警察関係の方でもよろしくお願いしたいと思います。

 それで、今回の改正の中身との関連でお尋ねしたいんですが、一番目の、医師の診断書の添付ということが今回義務づけられることになりました。しかし、猟銃等はやはり山間部とか離島とか、そういったところが多いんだろうと思いますから、そういうところの皆さんが申請する、あるいは許可を受ける場合に、医師といってもやはりそれなりの専門的な知識のある医師でなければならないと思いますが、そこは現実の対応はどういうふうにされるのか、その点について政府のお考えを伺いたいと思います。

巽政府参考人 御指摘のとおり、離島等に居住する猟銃所持者については、専門医の診断を受ける機会が乏しいということもあり得るというふうには考えておりますが、医師の診断書は、欠格事由となる一定の病気やアルコール中毒等に該当するかを判断するためのものでございますので、できる限り専門医の診断を求めることが望ましいというふうに考えております。

 そういう観点から、今考えておりますのは、専門医としては、精神保健指定医、これは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定するこういう医者を考えているところでございますが、離島等であってこの精神保健指定医がいない地域につきましては、そういうお医者さんでなくても、精神科、神経科等の医師であって一定の知識経験をお持ちの方がいらっしゃればそういう方の診断書でよろしいという形で、柔軟な対応を検討していきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、その運用に当たりましては、できる限り多くの医師に御協力いただくということが極めて大事なことでございますので、そういった面の調整もこれからやっていく必要があると思いますが、法の趣旨を十分に踏まえて、運用上問題が生じないようにやっていきたい、かように考えているところでございます。

田端委員 それから、四点目の改正でありますけれども、インターネット取引等によって、この銃砲刀剣類を配達業者といいますか運送業者が持ち運びするわけですから、本人確認をどういう形でするかということの業者に対しての指導がしっかりしていないと、確認が間違ったり、手違いがあったり、そういうことになりますと、私はまた事件の大きな要因にもなると思います。確実な引き渡しをどうきちっと行政上していくのかということ、ここが非常に大事だと思いますが、その点についてお尋ねしたいと思います。

巽政府参考人 インターネットを利用いたしました通信販売による銃砲刀剣類の譲り渡しについては、現行法二十一条の二で、譲り受け人が許可証を提示した場合等でなければ、銃砲または刀剣類を譲り渡し、または貸し付けてはならない、こう定めているわけでございまして、この趣旨を徹底するため、この三月に通達を出して、許可証の写し及び運転免許証等の提示を受けなければ荷物の引き渡しを行わない運送サービスを利用するということを定めて、実際に配送する運送業者にも協力を求めているところでございます。

 今後とも、銃砲刀剣類を正当に所持することができない者に銃砲刀剣類が引き渡されることを防止するために、今回定めることとなります内閣府令におきましてもこの趣旨を盛り込みまして、運送業者に対しても、関係省庁と協力して本人確認が確実に行われるような指導を徹底してまいりたいと考えております。

田端委員 いずれにしても、現場の対応が大変大事なことになると思いますので、どうぞ緊張感を持ってやっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 おはようございます。民主党の衆議院議員、大畠章宏でございます。

 きょうの内閣委員会では銃刀法の改正案並びに修正案について質疑をするところでありますが、その前に、一つ質問をさせていただきます。

 というのも、先ほど田端委員からも御指摘がございましたが、厚生事務次官を経験する御夫妻らが殺傷されるという事件が起こりました。どのような背景かはまださっぱりわかりませんけれども、このような事件については到底容認することができませんし、この事件を契機としてさらに累次の事件が根絶されるよう、当委員会としてもしっかりと対処しなければなりませんし、また大臣にはそのように対処を強く要請いたしたいと思います。

 また、きのう、おとといあたりの新聞では、警視庁の警視が飲酒運転で事故を起こしたという事例もございました。その前のときにも、飲酒運転に起因して十六歳の新聞配達の少年が殺害をされたという事件、あるいはその前のころにも飲酒運転に起因して殺害されるという事件が連続して起こっております。

 そういうことから、飲酒運転を何とか根絶できないのか、こんなことであの十六歳の少年の命を奪ったり、一生懸命まじめにやっていたサラリーマンの人の命を奪ったり、もう飲酒運転は殺人を犯すという、殺人にはならなくても、飲酒運転が殺人未遂に等しいんじゃないか、もっと刑罰を重くしてくれという声もございます。この問題については昨年、関係法を改正して重くしたわけでありますけれども、どうも飲酒運転が発覚した場合の対応というのが少し甘いんじゃないか、欧米並みに引き上げるべきじゃないかという声もございます。

 同時に、飲酒運転の場合には自動車が動かないとか、あるいは、この犯人の場合には飲酒運転で免許を取り上げられて無免許だったんですが、無免許でも運転していたという二重の背景がわかってきたんですが、免許証を自動車に差し込まないと自動車そのものが動かないとか、これだけの科学技術立国になってきましたから、そういう因子になるようなものは排除した形の仕組みをつくることも私は必要だと思いますが、大臣並びに警察庁、国土交通省から、それぞれこの件についてのお考えをいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 今先生がおっしゃられたこと等々を踏まえてお答えを申し上げたいと思いますが、警視庁の警視が飲酒運転をして事故を起こすなんということがきのうの報道等々でも報道され、非常に情けない思いをしたところでございまして、本当に関係の皆様方に御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げたいと思いますが、こういうものに対して、警察庁といたしましても、しっかりと処分等々のことも含めて、今後のことも含めて対応してまいりたいというふうに思います。

 また、飲酒運転に関しましても、大変罰則を厳しくして、数字的には少なくなったという傾向にございますが、一般的には何か悪質なものが目立って、そういう事案が非常にふえているということも含めて、先生がおっしゃられたような方向づけをいま一度考えなければいけない状況にあるのではないかなというふうに思っておりますので、御指導いただきながら考えてまいりたいというふうに思っております。

東川政府参考人 無免許運転、これは運転席に差し込まなければならないような装置と、免許証の変更は可能かとか、そういう御質問だと思いますが、警察におきましては、運転免許証の偽造防止等を図るために、運転免許証の記載事項を電磁的方法によりまして記録しますICカード免許証の導入を推進しております。平成十九年一月以降、これまで十都県でICカード免許証が導入され、今後も順次、導入府県が拡大される予定となっております。

 ICカード免許証のチップには、免許証の有効期間の末日、免許の種類等、いわゆる免許証の記載事項が記録されております。ICチップに記録された電磁的記録を読み取るためには読み取り装置と暗証番号が必要になっておりますが、運転免許証のICチップの仕様は一般に公開しておりますので、こうした装置を開発して自動車に搭載するということは技術的には可能ではないかというふうに思っております。

稲葉政府参考人 国土交通省といたしましては、これまで、交通事故の実態等を踏まえまして、各種の車両安全対策を講じてきております。

 先ほど先生からお話がありましたような、免許証を運転席の装置に差し込む、差し込まなければ動かないような仕組みというものにつきましては、これまで国土交通省としては検討したことはございませんが、一つのお考えであると存じます。

 利用者にとりましての費用負担あるいは成り済まし防止対策など、検討すべき課題は幾つかあるものと考えておりますが、いずれにしましても、諸外国の実態も踏まえて、その是非も含めて検討してまいりたい、かように考えております。

大畠委員 こういう事件を起こすという人は、そういう癖があるんだと思うんですね。ですから、何回もやってしまう。ですから、免許証を取り上げる、取り上げてもエンジンをかければ走っちゃうわけで、そういう意味では、免許証がなければ走れないという仕組みを日本なんかが実際的にやることが必要かなと思います。子供さんが、何か小学生が運転して、しばらく四キロぐらい走っちゃったという事件もありましたよね。ですから、そういうことも含めてぜひ御検討をいただきたいと思うところであります。

 さて、それでは次に、銃刀法改正について質問させていただきます。

 御存じのとおり、この銃刀法改正の背景は、佐世保事件、秋葉原事件が発端となりまして、規制強化というものでございます。私たち民主党の内部では、昨年の佐世保事件が起こった後、銃規制を強化しなければということで、山根参議院議員、藤本参議院議員を中心としてこのワーキングチームをつくって、法律案を国会にも提出しておりました。

 今回、政府の方が銃刀法の改正案を提出したことについては評価をしたいと思います。しかし、部分的に不十分なところもございましたので、各党の御協力をいただきながら修正案を共同で提案されたところでありまして、これについても評価をさせていただきたいと思います。

 そこで、修正案の提案者にお伺いしたいわけですが、今回の修正案では、所持を許可する場合、医師の診断書の添付の義務づけについて言及されておりますが、この背景をお伺いすると同時に、また銃所持者は、実包、弾の、どのくらい持っているかという所持状況を記載した帳簿が今回の検査対象等に加えられましたけれども、この二点について、まずその背景をお伺いしたいと思います。

泉委員 ありがとうございます。

 まず、各党各会派が今回真摯な協議によって共同の修正案というものを出すことになった、このこと自体に私からも感謝、また敬意を表したいというふうに思います。

 そういう中で、今御質問が二つございましたけれども、一つ目は、医師の診断書の添付の義務づけであります。

 これは、現行制度でも、内閣府令の方では医師の診断書の添付が必要とされてはおったんですが、事実上はどの医師でもこの診断書を書くことができるということで、九八%が、いわゆる精神科医、神経系、こういったお医者さんではない方による診断書であったということが調査では明らかになっているということでありまして、警察庁の有識者懇でも意見書においては、可能な限り専門医の診断書を求める方向で検討すべきであるという答えが出ておりました。

 そういったことも踏まえて、今回は、内閣府令で定める一定の要件に該当するものを診断書として添付しなければならないということを法律に明記する。このことをもって、やはり専門医ということを今後重視していきたいということであり、また、申請をする側も、専門医の診断書が必要なんだというような意識づけをできるのではないかということで考えております。

 もう一つの、帳簿の検査対象になるということでありますけれども、こちらの方は、これまで、猟友会ですとかさまざまな銃を使用する方々が自主的に記録を残しておられたというのが現状でありまして、必ずしも明確な基準に沿った実包の管理がなされておりませんでした。

 しかし、やはりあの佐世保の事件を見ても、二千七百発の実包を所持していたということが大変問題になりまして、実際には八百発しか持てないところで三倍以上の弾を持っていたということから、今回は、政府案でも記録をしっかりと義務づけていくという考え方でありましたが、これに加えて、修正案の中ではさらに、その記録したものを、しっかりと帳簿の検査が可能であるということを法律に明記することをもって、この検査ということをしっかりと位置づけをさせていただいた次第であります。

大畠委員 わかりました。

 続いて、今回の修正のもう一つのポイントは、調査を行う保管対象に刀剣類を加えることにしたということと、それから銃砲や刀剣類の受け渡しのときの条件を厳しくしたという内容でございます。

 確かに、インターネット等で地球の裏側からいろいろなものを購入できるような時代にもなってまいりましたので、時代の状況に適した修正案とは思いますが、改めてこの背景についてお伺いしたいと思います。

泉委員 ありがとうございます。

 まず、調査を行う保管対象に刀剣類を加えるという修正を今回させていただこうと考えておりますけれども、政府案では、調査を行う場合、銃砲を保管できるというふうになっておりました。

 ただ、例えば刀剣でも、どのような許可を受けた刀剣があるのかといいますと、狩猟ですとか有害鳥獣の駆除用ということでは千以上の許可を受けた刀剣があり、あるいは風俗習慣用の刀剣、これは日本刀を主にしたものですが、そういったものは現在でも三千近く許可をされている現状がございます。

 そういったことを考えますと、狩猟をされる、猟銃を持たれている方が、同じように許可を受けて狩猟、有害鳥獣駆除用の刀剣類を持たれている可能性というのもありまして、それがイコール悪いということではないんですが、調査をもう一回やろうというときに、銃砲だけを保管して刀剣を保管しないということではやはり不完全ではないか。万全を期すという意味でも、今回政府案の方で仮領置という考え方だけではなくて改めて保管という、もう少し緩い形というか幅広い形で三十日以内の保管ということを考えたわけですが、その中にさらに、我々としては、刀剣類の被害もあってはいけないという考え方から、刀剣類も対象というふうに修正案の中では考えさせていただきました。

 そして、今委員御指摘のありました、銃砲や刀剣類の受け渡しなどの条件を厳しくするということでありますけれども、こちらの方は、現行法の中でも、確かに通達などにおいて、本人確認の徹底、あるいは許可証の原本を確認するということが明記をされておりました。

 しかし、通達ということもあって、実態上では、本来は原本確認をしなければならないとなっていたんですが、中には、その原本をコピーで済ますというようなケースも散見をされているというような話もございまして、そういった意味から、さらにこれを、通達の解釈レベルから内閣府令に引き上げをしていくということをもってより明確に本人確認というものを徹底していこう、こういう趣旨で今回はこの内閣府令の中で許可証の提示方法などを定めるということにさせていただいた次第でございます。

大畠委員 背景についてはよくわかりました。

 ところで、大臣にこの件については伺うんですが、これはなかなか難しいんですけれども、今回の修正案にも盛り込むことはできなかったんですが、要するに、佐世保の事件のときには、前々からその犯人の素行、日常における素行等について近所の方々が不安を持っていた、夜中に尋ねてきてトイレを貸してくれとかそういう行動をしていたので、そういうことを事前に警察の方にも通報はしていたんだけれども、結局この事件を未然に防ぐことはできませんでした。

 法等でこれを縛ることは確かに難しいかもしれませんが、こういうときに事前に何とかできなかったのかという声があったわけでありますけれども、こういうものについては大臣としてどのように対処されるおつもりなのか、それをお伺いしたいと思います。

佐藤国務大臣 御質問でございますが、銃砲刀剣類を所持する者の近隣の方々からの不安の声が寄せられるなどした場合に、警察としてその不安を真剣に受けとめることが必要だということは、今先生がおっしゃられたとおりだと思います。

 そのために具体的には、今回の改正において、都道府県公安委員会に対する近隣の住民等からの申し出制度を創設いたしましたほか、所持者に対する報告徴収や受診命令、公務所などへの照会、調査を行う間における銃砲の保管等の規定も整備することとしておりますので、申し出があった場合、これらの規定を活用して厳格な調査、監督を行うよう都道府県警察を指導してまいりたいと思います。

 先生がおっしゃられるようなこと等々があったことを無にしないようなこと等々を旨としてまいりたいと思います。

大畠委員 もう一つは、やはり警察の人も非常に忙し過ぎるんだと私は思うんですね。

 例えば、先日、ある新聞にこんな投書が出ていました。どういうことかというと、久しぶりに東京に来たお年寄りの方二人なんですが、行き先がわからないので近所の交番に寄った、ここに行きたいんですが何とか教えてくれませんかと言ったら、どれどれと言ってそのあて先を見て、住所と電話番号が入っているんだから、あなたは携帯電話を持っていないの、持っていたら、そこに電話して聞けばいいじゃないかという対応をされた、非常に冷たい対応をされて非常にがっかりしたというようなのが新聞の投書にあったんです。

 それはお巡りさんも多分忙しくてそういう対応をしてしまったのかもしれませんが、例えばこういう通報問題でも何でもそうなんだけれども、忙しいとついつい、情報を入手しても、それがどんな情報かというのをよく考えないで、できるだけ切ってしまおう、おれはこっちの方が忙しいんだからということになりがちなんだよね。

 ですから、この佐世保のケースもそうですが、今大臣がおっしゃったような形でやってもらいたいとは思いますが、派出所とかそういうところ、交番とかの人員体制をまずはしっかりとして、そういう情報が来たときには適切に対応できるという、そこももう一つは大事だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

佐藤国務大臣 次年度の予算でも、今おっしゃられたように確かに過重になっている部分はあるのではないかなという思いも含めて、増員も含めて体制を強化してまいりたいというふうな思いもございます。今先生がおっしゃられた対応についても、教育面等々指導をしてまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。

大畠委員 私の地元に日本一の国民宿舎があるんです、鵜の岬という国民宿舎。予約するのがなかなか大変なんですが、ここの支配人の心構えは何かというと、従業員に対して、あなた方のお父さんとお母さんが泊まりに来たと同じような、たまに訪ねてきて、自分のうちに来たと同じような心で接しなさいと。そういう心持ちでやったら非常に評価がよくて、たくさん来るようになったという話なんです。先ほどの交番の対応の仕方についても、お父さんとお母さんが交番に訪ねてきて、息子よ、ここがどこだか教えてくれというときに、携帯電話を持っているんだろう、おやじ、自分でかけて調べろなんて言いませんから、一つの心構えとしては、自分の両親あるいは兄弟が訪ねてきたときと同じように接しなさいというようなことも一つかもしれませんね。

 それから、秋葉原事件のときには、むしゃくしゃしたと。土浦でも荒川沖で八人を切りつけて一人が犠牲になってしまったんですが、むしゃくしゃしたとかだれでもよかった、秋葉原のときも、生活に疲れ、殺すために秋葉原に来た、だれでもよかった、こういう背景を持つ社会を、こういう事件をなくすためには、もう一方では対策が必要だと私は思うんですね。

 だから、麻生内閣のもとで、閣議のときでも、国家公安委員長としても頑張るけれども、関係諸氏もこういう人が出ないようにぜひ努力してくれ、あるいは麻生内閣を挙げてやろうじゃないかというぐらいのこともやらないと、銃規制とその社会的な事件の背景、これは非常に難しい関係にもなりますから、そういうことはぜひ御努力をいただきたいと思います。

 もう一つ、ちょっと時間がありますのでお伺いしたいんですが、私は、今回の警視庁の幹部の酔っぱらい運転については、これは非常に問題ですね。

 というのは、一罰百戒の逆の話でありますが、これは全国民に対してどういうメッセージを出しちゃったか。取り締まりをやっている人みずから法を犯したわけですよ。だから、これはぜひ、国家公安委員長、何らかの新たな措置をしないといけません。日本の総理大臣が漢字が読めないというのも問題だと思うんですよ、やはり全国の子供たちが学校で漢字の勉強をしているんですから。だから、やはり率先垂範する、リーダー的な者はその自覚を持ってもらわないといけないと思いますが、これについて大臣の御所見はいかがですか。

佐藤国務大臣 飲酒運転の根絶を求める声が高まっているというのは先生の御指摘のとおりだと思いますし、その任に当たっていた者がこういう事件を起こしたということに関しては、本当に言語道断、私も憤りを感じるところでございまして、厳正に対処していくと同時に、今後そういうことが起きないような対策をしっかりととってまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

大畠委員 終わります。

渡辺委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 今回の改正では、欠格事由の拡充の一つに経済的破綻というのを入れています。新たに追加された事由では、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」ということですが、この範囲では欠格者を排除するのはなかなか難しいのではないかと思われます。

 それで、「十七万人/三十万丁・総点検」、この中で、今回、二百三十八人から三百八十四丁の許可証の返納を受けたということで、二〇〇六年に比べたら四倍になっているんですが、その理由別自主返納件数という中で、経済的困窮で自主返納をした事例というのは幾らありますか。

巽政府参考人 二百三十八人から自主返納を受けたということでございますが、この中で、経済的理由によるものというのは二人含まれておりまして、いずれも、猟銃の所持者に借金があるとの風評がございまして、これをきっかけといたしまして、警察署の担当者が自主返納を促したところ、これに応じて返納した、こういう事例であったと承知しております。

吉井委員 銃刀の適正な取り扱いのために経済的破綻を理由として許可の取り消しなども必要ですし、それから、そもそも、さまざまな事件で今回の改正ということにつながったわけですが、そういうものを考えたときに、経済的破綻の理由などにしても、現実に見合ったガイドラインを作成してうまく運用していくといいますか、そういうこととともに、やはり何といっても根底にある、特に経済的な問題については、経済的破綻に追い詰められる人をいかにして少なくしていくかという、この根本をちゃんとやっていかないとさまざまな形で問題が出てまいりますから、きょうは、その点では貧困ビジネスと言われるものについて伺っておきたいんです。

 経済的困窮者を食い物にするいわゆる貧困ビジネスが今社会問題になってきております。例えば、敷金ゼロ、礼金ゼロ、仲介手数料ゼロをうたい文句にしたゼロゼロ物件というのがありますが、家賃の支払いが数日おくれただけで部屋のかぎが交換されてロックアウトされる、新しいかぎを受け取ろうと思ったら、家賃の一割に当たる違約金と施設再利用料の支払いが求められる。株式会社スマイルサービスなど、失業者とか派遣労働者、それから、住宅、福祉、金融などいろいろな分野で、困っている貧困者が苦しんでいる分野にすき間産業のように入り込んでいって、日雇い派遣業とかゼロゼロ物件とか、やみ金、消費者金融などを行って、困っている貧困者を食い物にしている。一例を言いますと、時給八百円台で週三日ぐらいしか仕事がないという本当に困っている若者、日雇いで暮らしている若者が、払いたくとも払えないというときに違約金を繰り返し取られて、その取られた額が二十六万九千百五十円になる、こういう被害も出ております。

 そこで、警察庁に伺っておきたいのは、こういう問題についてどういうふうに把握しておられるのか、これを伺いたいと思います。

巽政府参考人 ただいま委員が御指摘になりましたような事案が問題となって報道されているということは承知しているところでございます。

 警察といたしましては、こうした貧困者を初めとする市民を食い物にするような形の新たな手口による、これは今の段階では犯罪と言えるかどうかわかりませんけれども、こういったような動き、動向といったものについても常に関心を持っているところでございまして、刑罰法令に触れるような行為があったというような場合には、法と証拠に基づいて厳正に対処してまいりたいと考えております。

吉井委員 法に触れるということが明白に出てきた場合、事件となってからの問題もあるんですけれども、もともと借地借家法では、家賃の支払いがおくれたことを理由に一方的に借家人をロックアウトするということは許されないことになっています。施設つきかぎ利用契約といううたい文句なんですね、このゼロゼロ物件などは。これは本来は、かぎつき施設利用契約が本来の姿なんですが、これが逆になってしまって、かぎの利用に付随して施設があるなどというのは、これは全くそれだけでもおかしい話なんです。ですから、かぎつきの部屋を貸し借りする賃貸契約、これは本来、借地借家法そのものなんです。株式会社スマイルサービスというのは不動産会社だから、こういうのは法律をよくわかっているはずなんですね。わかっていてこういうことが今生じているわけですけれども。

 警察庁の方でも以前大分苦労してもらい、私も、財務金融委員会でやみ金規制の法律をつくるときに警察庁にも財金委員会に来てもらって質疑、やりとりしたことがあるんですが、やみ金問題も、さまざまな事件が起こって深刻になってから動き出したという感じが非常に強いんですね。今度の場合は、この教訓から、早く実態把握をし、そして被害者対策、違法行為の阻止行動に取り組むという必要がやはりあると思うんですね。事件になってから頑張ってもらうのはもちろんの話なんですけれども、もともと事件を起こさせない、そういうためにどういう検討をしておられるのかを伺いたいと思うんです。

巽政府参考人 この問題につきましては、基本的に、民事上の問題になるのかあるいは刑事上の犯罪という形になるのかというのは具体的な事案によって多分違うんだろうというふうには考えておりますけれども、もしそういった形で被害を受けている方から相談があった場合には、やはりこれは真摯に対応していかなくちゃならないというふうに思っておりますし、こういう問題があるということについて、そしてまた現場でいろいろとトラブルが起きているということにつきましては、各都道府県警察に対して注意喚起をしていきたいというふうに思っておりまして、その上で、相談への適切な対応、それから違法行為があった場合の取り締まり、厳正な対処ということで対応してまいりたいと考えております。

吉井委員 ちょうど先日、十一月九日付の東京新聞で紹介されましたが、警官の目の前でかぎを交換したと。これはスマイルサービスの元社員の方の証言が出ておりましたけれども、この社員の方は「宅建の資格を持っているので、違法性は分かっていた。でも、自分が食っていくのに精いっぱいで、居住者のことを考えている余裕はなかった。」というふうに言っているんですね。

 それで、ロックアウトとか部屋にある荷物を勝手に撤去するというのは、これは住居への不法侵入あるいは窃盗ということに該当することにもなってくるわけです。ですから、これは実際に立ち会っておられたかどうかとか、個々の具体の例を見ないと簡単に言えないことはありますけれども、しかし、ロックアウトとか部屋にある荷物を勝手に撤去するというのは、これは借地借家法にも違反するし、民民の話とあったけれども、この業者は、ここはホテルと同じだ、だから居住権は発生しないんだとまで言ったりしているんですね。ホテルと一緒だといったら、これは旅館業法の世界になってくるんですね。

 いずれにしても、きちんとそれぞれに法律というものがあって、その法律違反になるものについては、とりわけ不法侵入とか窃盗というのは、これは旅館であれ借家であれ同じことですから、きちんと本来、現認した場合は対応すべきだと思うんですが、伺っておきます。

巽政府参考人 具体的な事実関係がどのような形になっているのかということは必ずしも詳しく承知しているわけではございませんし、また、個々の事案がそれぞれ犯罪となるのかどうかという点につきましては、やはりこれは具体的な事実関係に即して個別に判断していくべきだろうというふうには思っております。そういう意味では、一般的にお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、先ほども申しましたように、犯罪と認められるような行為が行われているという場合は厳正に対処していく考えでございます。

吉井委員 そこで、この問題で大臣に伺っておきたいんですけれども、いずれにしても、旅館業法違反にもなりかねない問題、あるいは、借地借家法違反、こういう法律によって禁止されていることですから、取り締まりはできるし、やはり深い検討が今必要だと思うんですね、貧困ビジネスと言われているものについて。

 とりわけ、経済的困窮者を相手にして、これがビジネスチャンスだということでもうけを拡大するなどということは、そもそもゆゆしき問題だと思うんですが、私は、この点では、職安機能の強化とか小口公的貸付制度とか公営住宅とか、あるいは借家入居の一時金貸し付けなり補助金なり、保証人引き受けの公的保証協会を考えることなり、仕事と住居と金融と福祉のセーフティーネットをちゃんと機能するようにすることが本来的な解決の道だというふうに思うんです。それをやっておかないと、犯罪というのは動機は単純じゃありませんけれども、今度の銃刀法改正の中でも経済的事由を考えてもらっているというのも、やはりそこに大事なところがあると思うんですよ。

 ただ、それは法律に書いたら済むということじゃなくて、やはり経済的困窮にならないようにちゃんとしていく。そういう点では、民間企業というのはもうけになるところへ行くんですよ。もうけにならないけれども必要とされる公の役割というのはあるわけですね。それが、この間、規制緩和だとか小泉構造改革などで大分ずたずたにされてしまったので、貧困と格差が拡大しました。

 これを放置しておくと、ますます追い詰められるということになりますから、そこをねらってビジネスチャンスと乗り込んでくる連中も生まれてくるわけで、私は銃刀法改正で経済的破綻を欠格事由にすることは必要だと考えるものですが、同時に、貧困ビジネスの蔓延など、大もとにある格差と貧困を拡大した政治はやはり改めていかないと、秋葉原事件などを深いところで防ぐということができないということになります。

 セーフティーネットの張り直し、根本を正す政治の取り組みについて、政府としてどういうふうにやっていこうというお考えかを大臣に伺っておきます。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられたことは理解をさせていただきたいと思いますが、御指摘のとおり、生意気を言うようでありますけれども、政治家の使命は、全国民が豊かで幸せな生活を享受できるような世の中を築き上げることにあると思います。そもそも、経済的困窮に追い込まれる人がいないようにするための取り組みというのは積極的に取り組むべきだというふうに考えております。

 そういう意味で、現在世界を揺るがしている経済的危機等を原因といたしまして、我が国は経済的に困窮する人がこれから増加するということも想定できると思います。そういうことを含めて、閣僚の一人といたしまして、全力を挙げて先生がおっしゃられるような経済対策や生活対策等に取り組みたいというふうに考えております。

吉井委員 今の金融、円高不況でますます状況が厳しくなっているんです。要するに、まず労働の問題があって、日雇い派遣とか、携帯でかかってきたところへ仕事に行く。安定して毎日きちんとどこかへ行くということができないで、雇用が不安定。したがって、雇用者所得が不安定。金がないから、住むところが不安定になってしまう、ネットカフェ難民と言われるような状態になったりとか、ゼロゼロ物件に行かざるを得ないという人たちですね。

 それから一方では、金に困って消費者金融、それがさらに危ないやみ金の世界にまではまり込んでしまうとか。そして、なかなか住民票が固定しないということで、福祉の面での、生活保護なり就職一時金なりで支援を得て生活の再建を図るということもなかなか困難というふうに、本当に大変なところにいる。その人たちのすき間をねらって、口入れ稼業的に派遣業をやってみたり、あるいはゼロゼロ物件のように住宅のところをねらっていくとか、やみ金でやっていくとか、すき間産業的に貧困ビジネスとして横行しているわけですね。

 だから、これはやはり大もとのところできちんと正すということをやらないことには、もちろん大きい対策もそうなんですけれども、そういうすき間産業的に貧困ビジネスとしてやるようなものについては、これはどの省庁の仕事だということじゃなくて、政府を挙げてこの機会にきちんと取り組んでいくということをやってもらうことが、あなたの場合、大臣であり同時に国家公安委員長をやってもらっていますから、自分の担当する銃刀法その他の世界でも、大もとをちゃんとすることを政府一体でやらないと大変なんだということを提起して、取り組んでもらうということが必要だと思いますので、もう一度伺っておきます。

佐藤国務大臣 もちろん私どもの分野だけでそういうことが解決できるとは思っておりませんし、全閣僚、総理を中心といたします閣僚の皆様方にも御理解をいただけるように努力をしてまいりたいと思います。

吉井委員 次に、警察官の銃器の使用について伺いたいんです。

 佐賀署の交番勤務の男性警察官が女性警察官に実弾入りのけん銃を向けておどした事件について、どういう内容の事柄がいつ発生して、どのように扱われて、いつ公表されることになったのかを伺います。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの事案は、佐賀県佐賀警察署の五十歳代の警部補が七月中旬と八月下旬の二回、交番内で執務中であった部下の二十歳代の女性巡査に話しかけましたところ、同巡査がこれに答えなかったことなどから、同巡査に対して笑いながらけん銃を突きつけたという事案であるという報告を受けております。

 けん銃は警察官としての職務を遂行するために貸与されているものでありまして、それがこのように不適切に使用されたことはまことに遺憾であると考えております。

 本件につきましては、現在、佐賀県警察におきまして捜査、調査を行っているところでございますけれども、これが尽くされ、明らかになった事実に即して、今後、事実関係が公表され、厳正に処分が行われるというふうに承知をいたしております。

吉井委員 私は、その処分のこと、別にそれは内部で行われることですから、そのことよりも、七月十七日に一回目のピストルを突きつける事件があったんですね。それからその一週間後には、同僚の方から佐賀署幹部に報告はあったんだけれども県警までは話が行っていなかったということのようですし、八月二十二日に二回目の実弾入りのけん銃でおどすという事件が発生しているんですが、つまり、ずっとけん銃は所持したままなんですね。九月まで約二カ月間、けん銃を持ったままという状態だったんです。

 これは、容疑者逮捕で大変なことで現場に頑張っていただいているんですが、その場合、銃を向けたことについても報告が県警本部へ普通は行って、正当な職務執行であったということをきちんと確認する、そういう判断がされているというふうに思うんですが、この佐賀署の場合、本来、七月の十七日の最初の問題があった段階でよくそこは検討して、取り扱い規範に照らしてけん銃を取り上げる、そういう措置などを考えるべき事案ではなかったのかどうか、これを伺います。

片桐政府参考人 御指摘のように、一回目の事案と二回目の事案があったわけでございまして、一回目の事案についてもし報告がなされ、的確な措置がなされていれば、二回目の事案は発生しなかったということは事実でございます。

 そこで、その一回目の事案の後に、では報告があったのかというと、この報告はなされていなかったというふうに私ども聞いております。しかし、なぜそういった報告がなされなかったのかという経緯につきましては、現在調査をしておりますので、その調査が明らかになった段階で、事実に即して我々も何らかの対処をしたいというふうに考えております。

吉井委員 これは、警察官の皆さんが職務執行以外はけん銃を他者に向けてはならないというふうになっているものなんですね、もともと。また、銃器を持たせないで保管するということについては規定があるわけですね、これは専門医の判断とかいろいろなことももちろんついているんですが。

 一方では、警察官からけん銃を取り上げた事案について、県の人事委員会において、二年前の六月には、申立人に自殺のおそれや他者の危険性があったとは認められず、けん銃の保管措置には正当な根拠は見出しがたいとしたそういう県もあれば、一方では、佐賀では異常行動があってもけん銃を二カ月間持ち続けさせていたということも事実としてあったわけですから、取り扱い規範の扱い基準が都道府県でばらばらなのか、あるいは、佐賀県警のとった扱いないしはその基準が少しおかしかったのか。私は、本来、けん銃の取り扱い規範というのは全国一律の基準に基づくものだと思うんですが、その点はどうなんでしょうか、伺っておきます。

片桐政府参考人 御指摘のように、けん銃取り扱い規範において、職員に精神的な故障があるとかいう場合には、その銃の保管を命ずるという規定がございます。これに基づいてそういった保管措置をとっている例というのは結構多数ございまして、ただ、いかなる場合にこの保管措置をとるかについては、個別具体の事情に即して判断すべきことでございますので、したがって、こちらがこうだったからこちらもこうであるべきだったということは、なかなか一概には言えないのかなというふうに考えています。

 本件について、今御指摘のように、佐賀県におけるところの判断に誤りがあったのか、それとも取り扱いがばらばらだったのかということでございますけれども、取り扱いがばらばらであるということは本来あるべきではないと思っておりますけれども、この佐賀県の扱いがでは変だったのかということについては、今現在調査を進めておりますので、調査の結果で明らかになった事実に即してこれから対処いたしたいと考えております。

吉井委員 日本が銃社会になっては大変なことですし、けん銃等、銃というのはきちんと目的が明確であって、民主社会を維持していく上で必要な行使という範囲内にもともと限られているものですから、猟銃などにしても銃刀法できちんと規制しているし、暴力団その他の銃器等についてはもともと持たせないということで暴力団対策の中で皆さんに頑張ってきていただいているものなんです。

 警察官の方のけん銃の使用についても、犯人逮捕とか容疑者を逮捕する上で必要な場合で、引き金を引かなくても向けただけでも、その行為が正当であったかどうかまで厳格に検討されるぐらいのものですから、警察官の方の銃器の使用についても、そこはきちんとした基準に基づいて、佐賀県警で起こったような問題が明らかにされるとともに、県によってばらばら対応になるとかそういうことがないようにやってもらいたい。このことを申し上げまして、ちょうど時間が参りましたので、質問を終わります。

渡辺委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、加藤勝信君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時六分散会


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