衆議院

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第12号 平成21年5月27日(水曜日)

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平成二十一年五月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 具能君

   理事 加藤 勝信君 理事 渡海紀三朗君

   理事 西村 明宏君 理事 平井たくや君

   理事 平田 耕一君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      あかま二郎君    赤池 誠章君

      宇野  治君    大高 松男君

      大塚  拓君    岡本 芳郎君

      上川 陽子君    川条 志嘉君

      木原 誠二君    河本 三郎君

      佐藤  錬君    中山 成彬君

      長島 忠美君    並木 正芳君

      広津 素子君    馬渡 龍治君

      松浪 健太君    安井潤一郎君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      吉良 州司君    楠田 大蔵君

      佐々木隆博君    長島 昭久君

      西村智奈美君    平岡 秀夫君

      森本 哲生君    山田 正彦君

      鷲尾英一郎君    池坊 保子君

      高木美智代君    吉井 英勝君

      重野 安正君

    …………………………………

   国務大臣         小渕 優子君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     岡本 芳郎君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  利根川 一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山崎日出男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 田部 秀樹君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 甲斐 行夫君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 松本隆太郎君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     赤池 誠章君

  木原 誠二君     川条 志嘉君

  篠田 陽介君     安井潤一郎君

  徳田  毅君     上川 陽子君

  市村浩一郎君     逢坂 誠二君

  佐々木隆博君     森本 哲生君

  笠  浩史君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     赤澤 亮正君

  川条 志嘉君     木原 誠二君

  安井潤一郎君     広津 素子君

  逢坂 誠二君     市村浩一郎君

  森本 哲生君     佐々木隆博君

  鷲尾英一郎君     長島 昭久君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     篠田 陽介君

  長島 昭久君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 淳也君     笠  浩史君

    ―――――――――――――

五月二十七日

 政府広報テレビの開設を求めることに関する請願(武田良太君紹介)(第二六五八号)

 同(馬渡龍治君紹介)(第二六五九号)

 同(西村真悟君紹介)(第二九一九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公文書等の管理に関する法律案(内閣提出第四一号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公文書等の管理に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官利根川一君、内閣府大臣官房審議官山崎日出男君、総務省大臣官房審議官田部秀樹君、法務省大臣官房審議官甲斐行夫君、防衛省防衛政策局次長松本隆太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 おはようございます。民主党の西村智奈美です。

 公文書管理法案の質疑、きょうからスタートということになりました。行政情報公開法の制定からちょうど十年、もう本当に長い時間がかかったなという感じがいたします。それぞれの立場でそれぞれの方々が努力をされてきて、きょうの審議に至ったんだろうというふうに理解をしております。そのことについては、心からの敬意を表したいと思います。

 私は、公文書管理法というのは、いわゆる十年前の情報公開法とセットで、車の両輪でやはり制定されるべきだったし、運用もそのようにされるべきであるというふうに考えております。

 行政情報公開法の運用の中では、情報公開請求をしても、例えば、文書が不存在であるという理由で不開示になったり、いろいろなことがあるわけですけれども、今回の公文書管理法が制定されると、そのような事態はこれからもう決して生じないんだろうというふうに確信をし、そういう法律案になるように、私たち民主党としても修正のポイントなどをまとめさせていただいたところであります。

 きょうは、この法案の言ってみれば基礎、土台となっておりますいわゆる公文書管理の在り方等に関する有識者会議の最終報告をベースに質問をしてまいりたいと私は考えております。

 「「時を貫く記録としての公文書管理の在り方」 〜今、国家事業として取り組む〜」、非常にすばらしいタイトルがついている最終報告でありまして、この最終報告を私も読んで、これだったらいい公文書管理法案ができるかなというふうに非常に期待をしておりました。

 ところがであります。この最終報告に盛り込まれていたことがすっぽりと抜け落ちていたり、また、極めて中途半端なままで終わっている項目が大変多くありますので、そのことについて、まず一つ一つ伺っていきたいと思います。

 まず、小渕大臣に伺います。

 この最終報告の最初には「公文書の意義」ということで記載があります。公文書というのは「未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な国民の貴重な共有財産である。」というふうに書かれているとともに、「公文書は「知恵の宝庫」であり、国民の知的資源でもある。」というふうに書かれています。

 政府として、この最終報告に書かれている記載と同じような認識を持っておられるかどうか、伺います。

小渕国務大臣 国の活動や歴史的な事実の正確な記録である公文書は、民主主義の根幹を支える基本的なインフラであります。過去、歴史から教訓を学ぶとともに、未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な国民の貴重な共有財産であると認識をしております。そして、これを適切に管理し、後世に伝えていくことは国の重要な責務であると考えております。

 そのため、今般、統一的な文書管理のライフサイクルを通じた管理ルールや、歴史公文書等の保存及び利用のルール等について定める本法案を提出させていただいたところであります。

西村(智)委員 貴重な共有財産だというふうにおっしゃっていただきましたし、説明責任も果たされるべきだというお言葉をいただきました。

 そういたしますと、やはり法案の中では、いわゆる国民の知る権利についての保障がきちんとされるべきだったのではないかと思います。説明責任の裏返しは、これは国民の知る権利というものがあるというふうに考えますし、民主党の考えとしては、やはり、公文書は国民共有の財産であるということと同時に、国民主権、そしてまた知る権利を保障することを明記すべきだというふうに考えておりますけれども、この点についてはなぜ盛り込まれなかったのでしょうか。

小渕国務大臣 いわゆる知る権利につきましては、その内容や憲法上の位置づけについて学術上さまざまな理解の仕方があり、また、請求権的な権利としての知る権利は最高裁判所の判例において認知されるに至っていないとのことであります。

 そのため、本法案におきましては、あえてそのような文言を使わず、情報公開法と同様に、「国民主権の理念にのっとり、」や「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」という文言を用いているところであります。

西村(智)委員 それではやはり明確になっていないと私は思うんですね。ここは意見がなかなかかみ合わないところだというふうに思いますが、私たちとしてはやはり、知る権利というのは明記できるし、明記すべきだというふうに考えております。そこは主張として申し上げます。

 次に、有識者会議の四ページに、いわゆる行政文書の定義について記載があります。ここからは行政文書の定義に関する質問なんですけれども、公文書管理に当たっては、ここは極めて重要なポイントの一つであると考えております。その行政文書の定義について、最終報告の中では、「経緯も含めた意思形成過程や事務・事業の実績を合理的に跡付けることができる」ように文書を作成、保存しなさい、こういう方向性が書かれておりますけれども、この点について、公文書管理法案の中ではこの意思形成過程についてどのように示されているのでしょうか。

増原副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の有識者会議の最終報告における文書作成の方向性でありますが、我々としましては、それを踏まえて第四条に、意思決定について文書を作成することを法律上義務づけるということにいたしております。

 その具体的な範囲につきましては、有識者で構成する、新たに設けます公文書管理委員会の御意見を伺いながら政令で定めることを予定しておりまして、今後、本国会での御審議あるいは最終報告の提言に沿って検討を進めてまいりたい、そのように考えております。

西村(智)委員 この公文書管理法案の中でも極めて重要なポイントだと思われる行政文書の定義について、政令で定める、そして今後の議論にゆだねたいというのは、余りにも見えない法案であると思うんですね。本来であれば、行政文書の定義、それは事細かく書くことは難しいのかもしれませんけれども、最低限の基準なりを示して、法定化した上で法案審議に付することは必要なのではないかというふうに考えております。ですから、政令に任せるという空手形ではとても、なかなか納得できないということは申し上げておきます。

 行政文書の作成についてでありますけれども、私もよく、行政文書の作成、作成と、言葉を聞いていますと、とかく行政機関の中だけでつくられる文書についてのみが対象範囲として頭の中に浮かぶんですけれども、本来、行政文書というのはもっと広い定義なのではないか。つまり、今政府がいろいろな意思形成を行う過程において、行政機関などが民間の例えばリサーチ会社などに委託事業を行っているケースはかなり多くあると思うんです。

 ただ、その報告の中では、調査のもとになるデータが示されていなかったりいたしまして、結局、そのことによって、意思形成にかかわるトラブルといいますか、そういったものが少なくないというふうに考えているんですけれども、意思形成過程にかかわる委託調査によるデータは極めて重要なものだと思いますけれども、作成だけではなくていわゆる取得、この取得義務に関してはどういうふうにお考えでしょうか。

増原副大臣 御指摘の点につきましては、委託元である各省庁が、委託事業の成果物の活用や適正な事業執行が行われたかどうかを確認するためなどの必要性を的確に判断して文書等を取得することが適当であると考えております。

 このため、政令等の文書管理ルール上の委託事業に係るもとデータの取り扱いにつきましては、これはそれぞれ、昨年の予算委員会でもありましたように、道路関係でBバイCについての委託の分がありました。かなり膨大なデータとなっておりますが、あるいは、そうでない、簡易なデータもあるんだろうと思います。

 いずれにしましても、その取り扱いにつきましては、有識者で構成する公文書管理委員会の意見も伺いながら、そのあり方について今後検討していく必要があると思います。いろいろなケースがあります。

 それから、先ほどの公文書の件ですが、私も、大蔵省にいましたときに財政演説の草稿をつくった立場でありますが、案件それぞれ、最終的にはそこでは財政演説が公文書になるわけでありますけれども、その前に、まず、私は企画官であったんですが、係長クラスから、パーツをそれぞれ割り振って、出させます。それを私が全部まとめてたたき台をつくる。それが課長のところに行って赤字がたくさん入る。局長のところに行って入る。さらには、あのときは渡辺美智雄大蔵大臣でしたが、大変な赤字が入りました。

 だから、どれをもって意思決定の過程で、どこまでを公文書とするかというのは、かなり難しい問題であると思っております。

西村(智)委員 難しい問題であるということは承知の上です。有識者会議の報告はもう既に出ているんですよ。有識者会議の最終報告を踏まえてこれからその取得データについては検討するというのは、どういうことですか。

 今すぐここで、取得データについても、これは取得義務がある、行政文書の範囲に含めるというふうに副大臣がおっしゃってくだされば、それは入るんですよ。どうですか。答えてください。

増原副大臣 委託事業につきましては、委託をすれば、そのデータは全部委託をした者の、要は行政庁のものになると思います。そのうちどこまでを公文書という形にしていくかという議論ではないでしょうか。そこのところはケース・バイ・ケースによっていろいろあるのではないかということから、公文書管理委員会の意見も伺って決めていきたい、こういうことであります。

西村(智)委員 有識者会議の意見というのはこの最終報告に尽きているんですよ。

 その有識者会議の最終報告の中で「経緯も含めた意思形成過程や事務・事業の実績を合理的に跡付けることができる文書が作成・保存されるようにする。」というふうに書いてあるんですよ。だから、そうすべきなんです。ですから、委託データ、調査結果のもとデータなども、これは取得義務を課すべきだというふうに強く主張をしたいと思います。

 先ほどの長い答弁でちょっと時間が限られてきましたので、先に進みます。

 その行政文書の定義でありますけれども、行政情報公開法と同一の定義であるということで説明を受けました。行政文書の定義では、「当該行政機関の職員が組織的に用いるもの」というふうにされておりますけれども、「組織的に用いる」というのはどういう意味でしょうか。

 何か、政府の説明を聞いていても極めてあいまいでありまして、私は、個人的なメモであっても、例えば二人以上で回覧したもの、閲覧したものであれば、これは組織共用文書として行政文書の定義に加えるべきではないか、範囲に加えるべきではないかと考えますが、いかがですか。

増原副大臣 個人的なメモの件でございますけれども、委員が言われている個人的なメモというのはどういうケースを言われているのかということになると思います。外交上の交渉の話なのか、各省折衝の話なのか、あるいは、ある国会議員から調査依頼が来たときにメモった話なのか、これはいろいろケースがあると思いますよ、先ほどの委託事業と同じでして。

 それを、一体どこまで含めるようにすべきか。これは、意思形成にかかわってくる、そしてそれが組織的に使われるというものであれば、個人的なメモも行政文書に該当することは当然あり得る、そのように考えております。

西村(智)委員 私の考えですと、先ほど副大臣がおっしゃられた三つとも、すべて組織共用文書に含まれることになると思います。

 民主党は、この点についても、個人的なメモであっても、二人以上で回覧、閲覧したものについては、組織共用文書として行政文書の定義に含めるという考えであります。

 ですので、その点についてはここでは明確な御答弁はいただけなかったのかなというふうには思いますけれども、ここのところは、今後の審議の過程でもまた明らかにしていきたいというふうに考えています。

 次に、最終報告の五ページ、六ページ、文書ファイルの点について伺いたいと思います。

 五ページのところになりますが、「一連の業務プロセスに係る文書が、その個々のプロセスごとに別のファイルに編集され、異なる保存期間で保存されるため、後から一連の業務プロセスの全体像を把握することが困難な場合がある。」というふうに書かれております。これについては、政府はどういうふうに認識しておられますか。有識者会議と同じ課題があるというふうに考えておられますか。

増原副大臣 基本的には、有識者会議と同じような認識を持っております。

 本法案につきましては第五条の方で、統一的な保存期間基準を定めた政令を策定することにいたしております。また、その有識者会議の最終報告におきましても、「業務遂行上の必要性に対応するとともに、一連の業務プロセスに係る文書の一覧性を高める観点から保存期間が設定されるようにする。」という方向性も示されております。

 これを踏まえて、保存期間基準につきましては、業務遂行上の必要性、一連の業務プロセスに係る文書の一覧性の確保等の観点から、公文書管理委員会の御意見をお伺いしながら、今後検討してまいります。

西村(智)委員 そこは非常に大きな問題だと思うんですね。

 有識者会議が指摘している点は、「一連の業務プロセスに係る文書が、その個々のプロセスごとに別のファイルに編集され、異なる保存期間で保存されるため、後から一連の業務プロセスの全体像を把握することが困難な場合がある。」というふうに書いてあります。つまり、一つのファイルの中に、いわゆる決裁文書と意思形成過程に係る文書が一緒に保存されている。恐らくそれは、決裁文書と意思形成過程の文書ですから、保存期間が異なるということになると、一冊のファイルの中に異なる保存期間のものが含まれるということになるわけですね。ところが、法案の第五条の二項では、括弧書きで、「(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る。)」と書かれているんです。これは矛盾しますよね。

 そういたしますと、先ほど私が読み上げた有識者会議の指摘の点というのは解消されないのではないかと思うんです。有識者会議の最終報告に忠実にこの法案をつくるのであるとすれば、この括弧書きの中は削除しなければならないというふうに考えるんですが、いかがですか。

増原副大臣 西村委員御指摘の点につきまして、私も、法案を読んだときにあれっと思ったんですよ。正直申し上げまして、思いました。

 それで、これはこういうことなんです。例えば、審議会の答申が出ました、こういうものは十年です、閣議決定なり閣議了解、そういうものは大体三十年と保存期間が定められておりますと。これをいかに一覧性のあるものにするかということが、実はベースにそういうものがあってこの五条二項があるというふうにお考えいただきたいと思います。審議会の答申を受けて政省令をつくります、閣議了解をしますというようなケースであれば、十年と三十年であれば、両者を一緒にして三十年にする、こういうことなんです。

 保存期限というものを、一応それぞれの事項ごとに今つくっています。それを今度は一つの一覧性のあるものにしてまとめていくとき、その必要があるものという意味でこの五条二項が書かれておりまして、そういう意味で、まとめたときは全体を三十年として保存期間にする、こういう趣旨であります。「単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き、」というふうになっておりますので、ここの括弧書きのところは、そういう意味をより強調している、こういうことでございます。

西村(智)委員 それでしたら、国民にきちんと説明責任を果たすということにはならないのではないですか。保存期間の異なるものが一つのファイルの中にあって、十年のものと三十年のものがあったら、そのファイルの保存期間は三十年ということになるんですか。(増原副大臣「そうです」と呼ぶ)その間は利用できないということですか。ほかの文書については利用できないということですか。(増原副大臣「それはどういう意味ですか」と呼ぶ)閲覧できないのかという意味ですが。

増原副大臣 保存期限でありますから、破棄しないということなんですね。閲覧できるかどうかというのはまた別の話でありまして、破棄しないということでありまして、従来は十年で破棄していたものを、これは意思決定の全体の一覧性を確保するために三十年にしておりますということで、破棄しないということであって、保存期限ですから、その点はちょっと御趣旨とは違うのかなと思います。

西村(智)委員 それでしたら、次の点について伺います。

 行政文書ファイルの管理簿についてでありますけれども、情報公開で情報公開請求をする場合に、ファイル管理簿の上での文書の名前のつけ方が極めてずさんであるために、これが役に立たないという指摘を受けておると思います。私たちでも、ヒアリングをする中でそういうお話を承りました。

 ファイルの名前と管理簿上の名前を一致させておかなければ全く役に立たないというふうに考えておりますけれども、今後そういった問題が発生しないために、具体的に内閣府ではどういう対応を考えておられるのか、具体的な対応策をお答えください。

増原副大臣 御指摘のようないろいろな問題につきまして我々も重々承知をいたしております。

 したがいまして、今のような御指摘を踏まえまして、新たな公文書管理法のもとでは、国民へのわかりやすさを意識したファイル名の設定など、行政文書ファイル管理簿の記載方法につきまして、先ほど来申し上げておりますが、委員会の審議、調査も経ましてマニュアル等で定めてまいりたい、そのように考えております。国民によりわかりやすく、アクセスしやすいような形にしてまいりたい、そのように考えております。

西村(智)委員 またここから先も検討なんですね。具体的な問題がわかっておられるのに、また有識者会議の最終報告などを受けて検討ということでは、とても、政府の国民に対する説明責任を果たそうという姿勢が欠けているのではないかというふうに指摘をさせていただきたいと思います。

増原副大臣 西村委員、それは違うんじゃないでしょうか。今現在そういったような問題がある、したがって、このたび新たな法律をつくって、きちっとしたものをつくっていこうということでありますから、ちょっとそれは委員の御指摘とは違うと思いますよ。

 やはり、国民から見てわかりやすく、どのように持っていくかということですから、私が答弁申し上げたのは。国民の期待にこたえていないという御指摘は、ちょっとそれは私はいただけないと思います。

西村(智)委員 先ほど来、今後検討しますという御答弁が非常に多いわけですよ、行政文書の定義についても。しかし、本来、有識者会議の最終報告がここまで出ていて、しかも法律案を出されているわけですから、できる限りこの法案の中で法定化をして、本当にこれで政府は説明責任を果たすんだという姿勢をもっと強く打ち出すべきであるというふうに私は考えているんです。ですから、そういう点から先ほどのことは申し上げました。これは副大臣にも御理解をいただきたいと思います。

 次に、最終報告の九ページと十ページ目、移管と廃棄についての記載がございますので、その点について伺いたいと思います。

 最終報告の中で、移管と廃棄については、「移管・廃棄基準の具体化・明確化を図り、移管基準に適合するものについては、原則移管とするとともに、公文書管理担当機関の判断を優先する仕組みを確立する。」というふうに記載をされています。

 この点について、政府の認識はいかがでしょうか。

増原副大臣 本法案につきましては、歴史資料として重要な公文書はすべて移管する、第五条五項及び第八条一項、これを明確に規定いたしております。

 また、確実な移管、廃棄の措置を担保するために、あらかじめ移管または廃棄の措置の設定を行います。これは五条第五項です。

 当該措置につきまして行政文書ファイル管理簿に記載され、これは第七条であります、定期的に内閣総理大臣への報告が行われるとともに、公表も行います、第九条。さらには、改正行政機関情報公開法第二十二条一項となっております。

 さらに、この報告等によって移管、廃棄の設定に問題があると考えられる場合には、内閣総理大臣が実地調査や勧告を行い、改善を行っていく、第九条三項、第三十一条となっております。

 これらの措置により、公文書管理担当機関の判断に沿った適正な移管、廃棄の措置が講じられるもの、そのように考えております。

西村(智)委員 要約いたしますと、つまり政府案では、行政機関の長が政令で定めるところによって移管をして、それ以外のものは廃棄する、こういうことになっているわけですね。

 有識者会議が求めていたのは、公文書管理担当機関の判断を優先する仕組みをつくるということであったはずです。ですので、そういったことからいたしましても、公文書担当機関、これは、担当大臣ないしは内閣府などに置いた場合は内閣総理大臣ということになるんだと思いますが、公文書管理担当機関がチェックする仕組みにすべきではないか。

 私たち民主党の考えでは、当面、公文書管理については政治的なリーダーシップが必要だと考えますので、内閣総理大臣に移管、廃棄の最終責任を負ってもらうというふうに考えているんですけれども、政府案ではそのようなことは検討されなかったんでしょうか。なぜ公文書管理担当機関がチェックする仕組みにしなかったんでしょうか。

増原副大臣 委員御指摘の公文書管理機関というのは、内閣府も入れば公文書館も入ればあるいは公文書管理委員会も入ります。ある意味では、関係省庁も全部入ります。政令できちっとルールを定めれば、これは各省庁ということではなくて、政府全体という形になってまいります。

 毎年それをチェックしていく規定をこのたび入れております、先ほど申し上げましたように。内閣総理大臣への定期的な報告、さらにそれを受けて、もちろんそれも公表いたしますが、さらに実地調査や勧告、これを行うことにいたしておりますので、実質的にそれは担保できるというふうに考えたものであります。

西村(智)委員 今のは大変苦しい答弁だったと思いますね。公文書管理担当機関というのが政府全体という説明は、今初めて私伺いました。公文書管理担当機関のあり方については、有識者会議の中でもこれといった結論は実は出ていません。

 私たちもいろいろ考えました。公文書管理庁という独立した庁を置くか、それとも内閣府の中に局とか置くか、外局として置くか、担当大臣を置くか置かないかということまで含めていろいろ考えてきたんですけれども、これは政府全体で各行政機関の長で任せてきたから、今のように文書があるとかないとか、それから勝手に捨てられてしまったとか、保存期間前なのに捨てられた文書もありましたね、たくさん。こういった問題が起きているわけであって、だからこそ有識者会議は公文書管理担当機関がきちんとチェックする仕組みにしなさいよということを言っていたはずなんですよ。

 そういったことからいたしますと、今の答弁というのは非常に理解に苦しむんですけれども、ですから、ここは私たちの主張としては、やはり内閣府の中にきちんと庁なりを置いて、最終的に総理が最終責任をとって移管、廃棄を行うという仕組みにすべきだ、この主張だけはさせていただきたいと思います。

 次に、移管後の利用についてなんですけれども、これも有識者会議最終報告の十ページから十一ページで、こういうふうに書かれていますね。「一般の国民や海外からの利用がまだまだ十分とは言えない。」というふうに指摘をされております。

 この点について伺いたいと思うんですけれども、一般の国民や海外からの利用がまだまだ十分ではないということからいたしますと、公文書というのは、国民共有の財産であるのと同時に、これからデジタルアーカイブということにもなってくるでしょうから、海外からのアクセスを容易にするということは必要だと思いますし、公文書管理において国際的な知見というのも大変貴重、重要だと思っております。

 国際的には、既に、利用制限は原則として三十年を超えないといういわゆるマドリッド原則があるんですけれども、これをきちんと記載して、この移管後の利用促進というものを図るべきではないかというふうに考えます。この三十年原則を法定化することについての是非、法定化されておりませんけれども、法定化すべきであると私は考えておりますが、この点についての意見を伺います。

増原副大臣 西村委員の御質問は二つあったと思います。一点は、要は、移管後の利用について、一般国民含め、海外も含めて、より強力に推進すべきではないかということと、マドリッド原則ですか、その三十年ルールというのをどのように考えておるか、日本もすべきではないか。二点あったと思います。

 一点目につきましては、利用者にとっては行政手続法の関係規定が適用されるわけでありますので、利用制限に関する不服申し立て、取り消し訴訟といったような手当ても既に用意してございます。それから、海外の場合になりますと、どうしてもデジタルアーカイブズが非常に重要になってくるということでございますので、この点についてはしっかりこれからもやっていきたいというふうに考えております。これは法の第二十三条の方に位置づけております。

 それから、国際ルールの三十年ということでありますが、先生御指摘の部分は、ICAのマドリッド大会、一九六八年の部分だと思いますが、文書閲覧開始まで三十年を超えないものとすべきであるとの勧告が出されておることは私どもも承知しておりますが、三十年たったら一律に全面公開するということは、それは必ずしも、実務的なケース、いろいろな各国のケースを見ても、そのようになっているわけではございません。

 本法においては時の経過を踏まえる規定を置いておりまして、これによってこれからさらに積極的な公開を行っていきたい、そのように考えております。

 ちなみに、ICAでありますが、これは、いわゆる国際機関というよりも、国際公文書館会議ですね。ですから、国連のもとにある国際機関というわけではありませんで、また、各国によってもその取り扱いはいろいろあるということを申し上げておきたいと思います。

西村(智)委員 戦後の外交史を知る上で、私たち日本人が、日本で公開される日本の行政文書によって知るのではなく、アメリカで公開されるアメリカの行政文書によって知ることができるのはなぜかといえば、やはりここが違いなんだと思うんです。つまり、三十年原則というのをきちんと踏まえて、アメリカは、年月がたったからということで公開をする。しかし、日本は相も変わらず、やれいろいろな障害があるとかなんとか理由をつけて、なかなかそういった分野での情報というのは公開されていかないんですね。

 ですから、このままでいけば、やはり政治的な意思といいますか、今回、公文書管理法ができるんだ、法案が出ているんだということをきっかけにして行政文書の情報公開を進めるんだという本当に強い意思がないと、この点はやはり前に進んでいかないんだと思うんですよ。

 ですから、ここは私としては強く主張したいと思います。ぜひ、この三十年原則を踏まえて、より適切な公文書の管理と情報公開はやるべきだというふうに考えます。今の副大臣の答弁では、私は、正直言うと納得はしていないんですけれども、その点を主張させていただきます。

 次に、同じく移管後の利用について、第十六条の関係で伺いたいと思います。

 法案の第十六条では、「特定歴史公文書等」、つまり、行政文書の中から歴史公文書が選択をされて、その中から国立公文書館に移管されたものが特定歴史公文書等ということになるわけですけれども、その特定歴史公文書等の利用権について記載をされている。私は、「これを利用させなければならない。」という十六条の書きぶりは非常に評価をいたしております。

 ただ、この一のハとニのところなんですけれども、政府案では、「公にすることにより、」ちょっと省略をいたしますけれども、「おそれがあると当該特定歴史公文書等を移管した行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」はそこから除くことができるというふうに書かれているわけですね。

 一方では利用原則、やはり国民に対する説明責任を果たさなければならないというふうに考え、利用原則というものを掲げていながら、一方で、こういうおそれがあるというふうに当該の行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報は利用できませんよというのは、ある種これは非常にきつい利用制限なのではないかというふうに考えるんですけれども、ここのところは改めるべきではないか。

 つまり、行政機関の長がおそれがあるかどうかということを判断するという、その判断の主体は削除すべきではないかというふうに考えていますが、いかがでしょうか。

増原副大臣 要は、その「相当の理由」に全部尽きるんだろうと私は思っておりますが、外交文書あるいはいろいろなジャンルの文書によっていろいろ違いは出てくるんだろうと思いますけれども、できるだけそういうものはやはり制約すべきではないかと私は思っております。

 そして、先ほどもいろいろありましたけれども、要は、有識者会議の報告でも、合理的な理由とか、ある意味ではそういう一般論、抽象論がついている。そこのところをより具体的にどう落としていくかということではないかと思っております。

 特に、外交とか犯罪とか、将来予測等の専門的、技術的な判断、こういったものが必要になってくるということになりますと、やはり現在の情報公開法と同様に、これらに知見のある行政機関の長の第一義的な判断を重視するという規定ぶりとしたところであります。

西村(智)委員 おそれがあるものはあるでしょう。それは私も認めます。例えば警察あるいは外務省の情報、防衛省の情報、出せないものもあると思います。

 しかし、それを判断する主体がなぜその当該の行政機関の長なのか。別の主体が判断してもいいと私は思うんですね。当然のこと、担当の行政機関から意見は聴取はしますよ。意見は聴取しつつ、だけれども、判断を主体的に行うのは、その行政機関の長ではなくて、別の機関が行う。それは、公文書管理委員会というものに意見を聞いてもいいでしょうし、また、その担当課などが意見を聴取して、判断するという手段もあると思いますけれども、ここのところは、やはりここのところを削除しないと、一方で利用原則があるのにその利用を制限するという、何といいますか、冷房と暖房を一緒につけるような、そういうような極めておかしな話になっているわけですから、ここのところは改めるべきだと思います。

 次に、先に進みますが、統一的管理について伺いたいと思います。

 これも最終報告の中でありますけれども、十二ページから十三ページにかけて、「統一的管理の推進」と記載をされています。その中で、「公文書管理担当機関が、基準の設定・チェック等により適切に関与する仕組みとする。」というふうに記載をされているのと同時に、「保存期間満了時の移管・廃棄の扱いについて、公文書管理担当機関が定める統一的基準に基づき一次的な評価・選別を行う、」となっております。政府としては、この点、どういうふうにお考えでしょうか。

 つまり、文書管理の際の基準の設定について、行政機関の長が定めることが望ましいとお考えか、それとも、公文書管理担当機関が統一的に定めることが望ましいか、これはどちらと政府は認識しておられるのですか。

増原副大臣 私ども、本法案では行政文書に関する統一的な管理ルール、作成は四条、整理が五条、保存が六条、それから行政文書ファイル管理簿は第七条であります、移管または廃棄は第八条でございますが、これについての具体的なルールについては政令で定めるということになっております。当然のことながら、これは内閣府が主導して統一的な基準をつくってやりますということであります。

 その上で、各省庁の行政文書管理規則、いわゆる省令になると思いますが、「行政文書の管理が第四条から前条までの規定に基づき適正に行われることを確保するため、行政文書の管理に関する定め」、いわゆる行政文書管理規則、これを設けなければならないと第十条一項で規定しております。したがいまして、その統一ルールの範囲内で各省庁が定めるということになっておるものでございます。

西村(智)委員 私の質問は、基準は行政機関の長が定めるのが望ましいと思うか、それとも統一的な基準として公文書管理担当機関が定めることが望ましいか、どちらですかと伺ったんですよ。どちらですか。

増原副大臣 これは、先ほど申し上げましたように、政令をつくるときも、当然のことながら公文書管理委員会の方に諮問をして、そこできちっと協議をし、そしてそれをもとに政令を作成していくということになるわけでありまして、内閣府も今先生御指摘の公文書管理機関でありますし、公文書管理委員会、これも公文書管理機関ということになっておるわけでありまして、そこのところはどれがどれというわけではない、私どもの案は。広義でいえば、それは公文書管理機関であります。先ほど私が申し上げたところであります。

 そういう意味で、西村委員の御指摘、非常に、何か別の公文書管理庁というようなものがあって、そこだけが専権的に公文書を管理している公文書管理機関であるというふうに定義づければ、今の西村先生のような頭の整理になるのかもしれませんが、我々としては、先ほど来申し上げているように、内閣府が主導して公文書管理委員会に諮問をして、その意見を聞いて、内閣全体として政令を定めていく、統一ルールは政令のレベルで定める。そして、各省庁それぞれ特別なこともあると思いますが、この規則、今度は省令でそれをさらに裏打ちしたものをその統一ルールの範囲内でつくっていく、このような構成にいたしております。

西村(智)委員 民主党は、この点については、行政文書管理規則は、今回は内閣総理大臣が責任を持って、しかも、各行政機関に今までのように、そして政府案のようにお任せをする形ではなくて、内閣府令という形で横ぐしをより強力に刺す。今までそれはできてこなかったわけですから、今回、公文書管理法案が提出されたのに合わせて、やはりここはもう少し強力に横ぐしを刺していく。ですから、内閣府令で定める必要があるのではないかと考えております。

 ここもこの法案の非常に重要なポイントの一つであります。この点について、もう一回副大臣に見解を伺いたいと思います。先ほど私は、どっちが望ましいと思いますかと伺ったんですよ。政府案の説明は十分、もう二回も聞きましたので、理解をいたしました。どちらがつくるのが望ましいというふうにお考えですか。

増原副大臣 こういう場で個人的見解を申し上げるのはなかなか難しいのでありますが、要は、やはり、このたびの法案で関係省庁も非常にその責務をきつくいたしております。また、内閣府、内閣総理大臣、それとの、調査や勧告や、そういった行き来もある。かなり全体を厳しくしている状況であります。そういうときに、私どもが提案しているのは、一つの統一的なルールを政令でつくって、あと、各省庁個別事情があると思います、外務省、防衛省、あるいは国家公安委員会とかあると思います、そういうところはそういうところで、今度はそれぞれの特色を加味したものをつくっていくというふうになるんだと思うんです。

 先生御指摘のように、政令だけではなくて省令も府令も全部内閣府で一たんつくって、あと、関係省庁がそれ以外のものをつくりたいのであれば個別に協議に来なさいというふうなことになるのかな、先生の御意見ですと。多分そういうことになるんだと思うんですけれども、当然、その場合も公文書管理委員会の意見を全部聞いてやっていくことになると思うんです。

 我々は今この法案を出しております。個人的には、どちらがより整合的であるかどうか、ちょっと考えなくてはいかぬところもあると思いますが、ぜひ私どもの現在の立場を御理解賜ればと思う次第でございます。

西村(智)委員 非常に誠意のある御答弁ありがとうございました。ぜひ、できれば一緒にその点についてはこれからも議論させていただければなというふうに考えております。

 行政文書の管理規則について、今度はIT化に向けた方策の関連で伺いたいと思います。

 最終報告の十七ページに、「IT化への対応」ということで、「公文書管理担当機関は、紙文書と電子文書を通じた統一的な基準を定める」というふうに書かれているんですけれども、これも行政機関の長に任せることになるのでしょうか。私はやはり、統一ですから、内閣でやるべきではないかというふうに考えております。

 この点が第一点と、あわせて次の質問を一緒に伺いますが、実は著作権法の関係です。

 IT化については、この後、逢坂委員の方からも質問があると思いますけれども、デジタルアーカイブがこれから進展していきますと、著作権の問題が発生してくると思うんですね。つまり、著作権が発生するものが出てくる。一方で、これは国立公文書館に移管されているわけですから、特定歴史公文書等として扱われるとなりますと、この扱いをどうするかというのは極めて難しい問題になってくるのではないかと思います。これは、ですから、その説明責任ということ、利用原則というものを考えたときには、公文書として優先されることになるのかなというふうに考えるんですけれども、この点についてはどのように検討されておられますか。

増原副大臣 前者の点につきましては、これから我々は十分、内閣府としまして、全体を統制と言ってはおかしいですけれども、調整していく上では、ある程度積極的に意見を申し上げていきたい。さらには、恐らく受けることになると思います、公文書管理委員会がございますので。当然、内閣総理大臣の調査やあるいは勧告という権限もあるわけですから、そういうものを利用して充実を図っていきたいということであります。

 後者の点につきましては、いわゆる例外的なケースとしまして、特定歴史公文書等に著作物が含まれていた場合でありますが、当該著作物についてのみ、それらの複製権とか公衆送信権との関係が論点になり得るというふうに考えております。これは著作権法の第二十一条、二十三条あたりであります。この取り扱いにつきましては、これから関係省庁とも十分よく相談していかなくてはいけない、こういう事項でありますが、方向性としては、できるだけ前向きに持っていくべきであるというふうに考えております。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 次に、最終報告の二十ページ、先ほどからも出ておりました公文書管理担当機関のあり方についてであります。有識者会議は、この公文書管理担当機関に、いわば司令塔としての役割を果たせというふうに言っているんですね。

 では、政府案としては、この公文書管理担当機関の役割や機能などの強化についてどういうふうにお考えになっておられるのか、司令塔としての役割を担うに足る組織形態や機能、権限の付与のされ方となるのかどうか、なっているのかどうか、そこを伺います。

増原副大臣 行政全体の司令塔という意味では、今参議院で審議をいただいております消費者庁の設置というのがございまして、これは二百人余りで司令塔的機能を果たすというので、いろいろ、各党の御理解を得ながら、今その審議をしていただいております。

 本件についてもそのような御意見を民主党の方々がお持ちであるということは我々も聞いておりますが、公文書管理担当機関のあり方につきましては、ライフサイクルを通じた統一的な、かつ効率的な文書管理を実現するため、ここがポイントだと思いますが、本法案では、政府における公文書管理に関する事務を内閣府に一元化しておる、そういうことにいたしております。

 また、国立公文書館が行政文書を含む歴史公文書等の保存に関し専門的な知識を持っておりますので、その助言を行えるようにすること、これが国立公文書館法の第十一条、これもあわせ改正することにいたしておりますけれども、あるいは内閣総理大臣が国立公文書館に実地調査等を行わせることができるようにする、内閣総理大臣の調査権を国立公文書館に委託しましてそれを行うということでございますが、そういうことをするなど、内閣府が国立公文書館と連携して、その専門的な知見を生かしながら公文書管理に当たる、そういう意味ではいわゆる司令塔ということになっております。

西村(智)委員 聞くところによりますと、内閣府の中に置かれるのは担当部局、いわゆる課レベルだというふうに聞いておりますし、また、先ほど国立公文書館の知見を生かしてというふうにおっしゃいましたが、国立公文書館の職員は、今、四十二名ですよね。他の国の公文書館の例えば数百人規模とか数千人規模とかいうのからいたしますと、これで本当に日本の公文書管理はできるのかというような、大変情けない状況なんです。

 ここのところは私たちも、やはり専門職の養成、育成は非常に大事だと考えておりまして、そこは目標数値などをきちんと入れて進めていくべきだと考えておりますし、また、あわせて、本来だったら私たちはやはり公文書管理庁というのを目指していくべきだと思いますが、同時に、その行政機関の中で仕事をする職員一人一人に対する研修、これはきちんと行う必要があると考えております。しかし、今回の法案の中にはそういったことは何も書かれていないのは不満なんですけれども、そういうふうに考えております。

 もう一つ、この有識者会議の中で、公文書管理担当機関に関連して、組織のあり方として、国立公文書館を現在の独法形式から特別の法人とすべきであると。つまり、今も国会や裁判所などの記録は移管できるということになっておりますけれども、この移管は進んでいません。ですから、特別の法人として、そのような政府とのいろいろな連携、そしてまた、司法府、立法府からの文書の移管ということをよりスムーズに進めるために特別の法人にするということについて最終報告の中でも提起をされているわけですけれども、この点について政府としてはどうお考えですか。

増原副大臣 御質問は二つあったと思います。

 一つは、その体制が十分であるかどうか。これは消費者庁の場合もいろいろ議論になりまして、いろいろな御意見があったと思います。この行財政改革を非常に厳しくやっているときにどうかという議論もありますが、私はやはり、今の体制は極めて、必要最小限にすぎないといいましょうか、これからもう少しこういった分野について強化をしていかなくてはいけない、そういう分野だというふうに思っております。

 それから、特別の法人でありますが、あの有識者会議の報告では恐らく、恐らくというよりも、行政の公文書だけではなくて、立法府そして司法府、これも入れた全体、国民から見ればもちろんその方がいいんだと思います。一覧性がある、そこに行けば、アプローチすれば全部そこで見られる、こういうことを前提にしたものをつくれという御趣旨なんだろうと思います。

 そうした中にあって、我々もいろいろやってまいりましたけれども、政府側としましては、立法府、司法府からの文書の移管に関する協議機関の設置の是非につきましては、それぞれ立法府、司法府の事情や判断もあることから、三権分立の観点から見て、内閣の提出法案の中に、協議機関を設置し両府の参画を義務づける、この規定を入れるということは難しかったということでございます。

 それぞれ独立の三権分立になっておりますので、このために、本法案では立法府、司法府との間の協議機関を法定することはしなかったこと、その結果として、特別の法人ではなく独立行政法人になったというところでございまして、御指摘の点、我々も十分わかっておりますので、引き続き、これからもいろいろ立法府、司法府との協議も続けてまいりたい、そのように考えております。

西村(智)委員 時間からすると最後の質問になるかと思いますけれども、十年前の行政情報公開法が施行されたとき、実は、行政情報公開法の施行目前に霞が関から大量の文書が廃棄されたということが市民団体の調査などによってもわかっております。物すごい、何倍にも膨れ上がっているんですよね、その数字、トン数で見ましたら。こういったことが今回も起きないようにという願いを持って質問をさせていただきたいと思います。

 上川前担当大臣が、平成二十年の三月の時点で、有識者会議の議論を行っている間、当分の間は、保有する行政文書の廃棄を一たん中止していただきますようお願いしますと、これは閣僚懇談会において発言をされておられます。

 小渕現大臣は、平成二十年の十一月に、この最終報告がまとまったことに関連して、「今後の行政文書の管理に関する取組について」ということで、「行政文書・公文書等の管理・保存に関する関係省庁連絡会議申合せ」ですか、ここにおいてペーパーを出されておられるようでありますけれども、これがどう担保されているのか。これは適正に、行政文書の作成について、保存期間の設定について、保存場所について、あるいは延長、移管または廃棄についてということで、事細かく各省庁にお願いをされておられますけれども、これが本当に担保されているのかどうかということについてはどう確認をされるのでしょうか。

 ここで、ぜひ大臣からは断言をしていただきたいんです。情報公開法の施行前のように、霞が関からあんなに大量に、一気に文書が消えるようなことは、私の責任においてありません、しませんということをぜひ言っていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

小渕国務大臣 御指摘のように、昨年の十一月に閣僚懇談会におきまして、この有識者会議の報告を踏まえて法案化の作業を進めていくということ、そして、法制化を待たずに取り組めるものについては、各府省の移管、廃棄の判断に関しては速やかに対応していただきたいということ、また、職員の意識改革、積極的な文書の移管の協力要請などにつきまして発言をさせていただきました。

 これを受けまして、十一月の二十五日に関係省庁の連絡会議が開催され、「今後の行政文書の管理に関する取組について」の申し合わせが行われました。

 そして、現在、各府省では、この申し合わせに基づき、行政文書の作成から移管、廃棄に至るライフサイクルに沿った文書管理の徹底の取り組みを進めておるところであります。

 また、この申し合わせにつきましては、その取り組み状況について毎年度内閣官房が調査を行い、結果を公表することとなっておりまして、現在、昨年度の状況について調査、集計を行っているところであります。この結果がまとまり次第公表をさせていただきますが、大体本年の七月中を目途に公表できるように作業を進めておるところであります。

 委員が御指摘のように、前回の轍を踏まないように、今回の法律整備前にそのような廃棄が行われることのないように、徹底して関係省庁に発言してまいりたいと考えております。

西村(智)委員 最後に、今回の公文書管理法の制定プロセスというのも、私は、これは後世に残す極めて貴重な資料としていろいろ残していくべきだろうと思います。きのうファクスで送っていただいたこの文書、上川前大臣の閣僚懇談会での発言、そして小渕現大臣の閣僚懇談会での発言等も、これも貴重な発言でありますので行政文書として定義されるべきものだと思いますけれども、その点について一点伺います。

 二点目は、これからつくられる政令、そしてさまざまな規則の制定過程も、きちんと後から合理的に裏づけできるように、まさに他の省庁のお手本になるようなファイル作成、そして管理、公開というような、まさに他の省庁のお手本になるような取り組みを進めていただきたいと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

小渕国務大臣 委員の御指摘は、まさにもっともなお話であるかと思います。

 この法律の趣旨というものは、その意思決定の過程をしっかりと行政文書として適切に作成、管理をしていくということでありますので、この法律につきましての意思決定過程もしっかりと文書として管理をしていきたい、そして、委員の御指摘のように、各省庁の今後のモデルケースとなるように努めてまいりたいと考えております。(西村(智)委員「これはどうですか、閣僚懇談会」と呼ぶ)それも含めてしっかりと管理をしていきたいと考えております。

西村(智)委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 それでは、一時間、よろしくお願いいたします。

 最初に、お手元に資料を配らせていただいておりますが、届いておりますでしょうか。一枚目の資料でございます。「諸外国における公文書館の制度と現状」ということで、国会図書館におまとめをいただいた資料でございます。

 もう既に御案内のことというふうに思いますけれども、諸外国に比べれば非常に日本の公文書管理は手薄である、しかも、けたを外れて手薄であるというふうに感じているわけですが、まず小渕大臣にお伺いしたいんですけれども、日本の公文書管理の現状についてどういう認識をお持ちになっておられますか。

小渕国務大臣 御指摘の点でありますけれども、我が国におきまして、今、行政文書のライフサイクルを通じた管理や歴史公文書の保存、利用について統一的に定めたルールがなく、また、この管理に当たっても専門的な知見を生かすような仕組みというのが整っていない状況でありまして、委員が御指摘のように、諸外国から比べますとかなり手薄な状況であるかと思っております。

 しかし、公文書は、民主主義の根幹を支える基本的なインフラでありまして、国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な、国民の貴重な共有財産であります。これを適切に管理をして後世に伝えていくことは国の重要な責務でありますので、しっかりとしたルールや仕組みを定めるためにこの法律を提出させていただいたところであります。

逢坂委員 民主主義のインフラだという言葉がございましたけれども、まさにそのとおりなんですね。

 実は、アメリカの公文書館の館長がこういうことを言っているんです。公文書館は、社会がどれだけ民主的であるかをはかるバロメーターになるんだ、公文書館は、アメリカが百年後も民主的な社会でいられるかどうかのかぎを握っている、公文書館の衰退は民主主義の衰退を意味するとまで言い切っているわけですね。

 すなわち、日本の現状、公文書館の職員が四十二名、本棚の延長が四十八キロだと。翻ってアメリカは、職員二千五百名、書架の延長九百三十キロ。日本の場合は、衰退どころか、このアメリカの公文書館の館長の言葉をかりるならば、まだ民主主義の芽生えすらできていないというふうに、この公文書管理の面を見ると言わざるを得ないわけです。

 やはり、主権者である国民が主体的に物を判断し、考えて、行動していくためには、その物を判断し、考え、行動していくもとになる情報というものが適切に提供されていなければいけないわけです。ところが、そこが日本の国はまだ全く不十分だというのが今の現状ではないかと思うんですね。

 もちろん、アメリカは、これは非常に進んでいる国だから、二千五百名は、逢坂さん、それはアメリカだから特殊なんだというふうに言うかもしれないが、イギリスでも五百八十人の職員、書架の延長百七十六キロ、あるいはドイツでも八百人の職員、書架の延長が三百キロというふうに、やはりけた外れに大きいわけでございまして、ぜひ、この分野についてはどんどんやはり力を入れていかなければいけないというふうに私は思っております。

 そこで、まず最初に、議論に入る前に内閣府にちょっと確認しておきたいんですけれども、今、公文書管理担当機関、公文書管理担当機関という言葉が何度も出てまいりましたけれども、今回政府が提出している法案における公文書管理担当機関というのはどこのことを指しておりますか。ちょっと説明いただけますか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 公文書管理担当機関でございますけれども、先ほどの答弁にもございましたように、まず、現在は、現用文書は総務省の行政管理局、そして歴史公文書は国立公文書館を所管する内閣府というふうに分かれておりますので、それを一元化していく、これがコアでございます。

 そういうことで、新たに設けられます内閣府の行政機関、そして専門的知見を有する国立公文書館、そして有識者の意見をお聞きする公文書管理委員会、この三者が中核になって、各省とも協力しながら適切な文書管理を推進していくというのが本法案の趣旨でございます。

逢坂委員 では、その認識を踏まえた上で、条文、それぞれの中身をちょっと議論していきたいと思うんです。

 まず、私、今回の法案の目的規定を読みまして、ちょっとやはり残念だなというふうに思いました。と申しますのは、これをストレートに読むと、やはり、政府が決める公文書というある種の範囲、それに基づく説明責任が全うされるということだけが一つの目的になっているわけですね。

 しかしながら、先ほど来、小渕大臣も、公文書というのは国民共有の財産だという話がございました。あるいは、知る権利というものについては裁判上の定義はまだ必ずしも十分ではないけれども、やはり主権者である国民が主体的にその公文書を利用できるということは、私はこれは非常に大事なことだと思うんですね。

 公文書管理は何のために行うかといえば、それは、政府が説明責任を全うするために行うこともこれまた一つの理由でありますけれども、国民が、政府の意思とは関係なしに、自由にその情報を活用できるということも、これは大事なことなわけですね。政府の一方的な上意下達的な説明だけでは私は十分ではないというふうに思うわけです。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、上川前大臣も、公文書は国民共通の財産だとおっしゃっておられる、今小渕大臣もそうおっしゃっておられるのに、なぜそれを盛り込まなかったのかということが一つと、もう一つ、知る権利という言葉を盛り込むか盛り込まないかはいろいろ議論のあるところでありますけれども、先ほど私が説明したように、主権者である国民が主体的に利用すべきというような言葉を盛り込むことで、法律上の知る権利のいろいろな議論を飛び越えて、その概念だけは体現できる、具体化できるのではないかと思うんですけれども、そのあたり、いかがでしょうか。

小渕国務大臣 公文書に関しまして、国民の貴重な共有の財産であるという点に関しては、私は、委員と思いを同じくするところであります。

 しかし、この財産という用語についてでありますけれども、これはまた、法律上、通常、金銭的な価値のある権利と解されておりまして、国民の共有の財産という用語を本法案の目的規定に用いるということはなかなか難しいと考えております。

 また、知る権利についてでありますけれども、先ほど答弁をさせていただきましたし、委員も御指摘のあるように、今、最高裁判所の判例において認知されるに至っていないという状況であります。

 しかし、そのような趣旨をしっかりこの法律の目的に規定をするという意味におきまして、あえてそのような文言を使わずとも、情報公開法と同様に、「国民主権の理念にのっとり、」また「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」という文言を用いているところであります。

逢坂委員 まず、財産のことについてですけれども、では、財産がだめだったら、ほかの言葉もあるわけですね。国民共有の資源であるとか、国民共有の資産であるとかという言い方もできるわけでありまして、それによって法の思う概念というのは十分伝わるのではないかと思うんです。そのあたり、いかがですか。

小渕国務大臣 今御指摘がありました、国民の知的資源という言葉を用いたらどうであるかということでありますけれども、そうしたところも全部含めまして、この「国民主権の理念にのっとり、」や「国民に説明する責務が全うされる」ということをあわせて用いているところであります。

逢坂委員 余り答えになっていないようなんですけれども。

 財産という言葉が法律上難しいのであれば、ほかの言葉を使うことは可能ではないかという問いかけを私はしたわけでありますけれども、再度、いかがですか。

小渕国務大臣 国民からの目線を意識した規定としていくために、そうした委員の御趣旨も踏まえまして、しっかり考えてまいりたいと思っております。

逢坂委員 ぜひそういうところも、これから法案の中身を、我々も一緒になって、より考えていきたいなというふうに思います。

 それともう一つですが、先ほどの答弁で、説明責任を全うするという話は、全く同感で、それはそれでいいのでありますけれども、国民が利活用するという観点もやはり公文書管理には必要でありまして、後にも議論になりますけれども、検索ファイルなどが非常に使いづらいなんという話もあるわけでありまして、やはり国民がちゃんと利活用できるというような概念も入れておくことが公文書管理法をより強固なものにならしめるのではないかと思うんですけれども、そのあたり、いかがですか。

小渕国務大臣 その視点もまさにおっしゃるとおりでありまして、今回の公文書の法案におきまして、そうした国民の利用につきまして、最大限、公文書館といたしましては、国民の利用を促進していきたいと考えております。

 そうした趣旨におきましては、この十六条に記述しておるところであります。

逢坂委員 ぜひこの二つは目的規定に検討していくべきだというふうに私はとりあえず申し上げておきたいと思います。

 それから次に、やはり問題になりますのは二条の「定義」でございますね。

 小渕大臣、行政文書というのは何だと思いますか、どういうものだと思いますか。

小渕国務大臣 行政文書につきましてですけれども、これは、職員が職務上作成、取得したものであるということ、また、組織的に用いるものであり、当該行政機関が保有しているものと理解をしております。

逢坂委員 今のは行政情報公開法の定義と一緒のことなわけですね。

 今の行政情報公開法の定義で、これまでの公文書に係るさまざまな国会での議論や、国民への説明責任というのは十分に果たされているというふうにお考えですか。いろいろな事件が起きていますね。そういうことを踏まえてみて、公文書の範囲なんかもいろいろ問題になっているわけでございますので、今の定義で十分だというふうにお考えですか。

小渕国務大臣 先ほど申し上げました二つの定義が確実に果たされているのであれば十分ではないかと考えております。

逢坂委員 またアメリカの例を引き出して大変恐縮ですけれども、アメリカでは、いわゆる起案文書に当たるものだけではなくて、メモ、電信文書、あるいは手書きの草稿、あるいは電話録、電子メール、これらも公文書の範囲に含めて公開をするということをやることによって、政府の意思形成過程がどういうものであったかということがよりつまびらかにわかるようになっているわけですね。

 今の日本のこの規定でいけば、私は、こういうものは必ずしも十分には入らない。もちろん、先ほど副大臣から答弁があったとおり、公文書の定義というのはなかなか簡単なものではないのが事実ではありますけれども、公文書管理の出発点はどこかというと、公文書というものは何かというところをしっかり議論することが実は重要なんですね。ここがすべての物事の発生源でありますから、ここの範囲を狭めてしまうと、どんなにいい公文書館をつくろうが、どんなにいい管理のシステムをつくろうが、それは機能しないというか、そもそもターゲットが狭いものになってしまうわけですね。

 だから、公文書というものの定義はいかなるものか、行政文書というものの定義はいかなるものかということをやはり十分に議論しなければならないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

小渕国務大臣 政府の諸活動を国民に説明する責任がしっかり全うされるように、行政文書というものをしっかり残していかなければならないということであるかと思います。

 本法案におきましては、行政機関の意思決定並びに事務及び事業の実績について、文書作成原則を明記しておるところであります。具体的にどのような文書を作成すべきかにつきましては、公文書管理委員会において御議論いただき、文書作成の統一的な基準として政令で規定することといたしております。

逢坂委員 必ずしも議論がかみ合っていないんですけれども。

 ですから、私が主張したいのは、公文書というものの定義はある一定の時期にこうであるというふうに決めることは、それはそれでいいとは思うのですが、公文書の定義について、やはり不断の見直しをしておく。不断の見直しというのは、切れ目のない見直しを常にするんだという思想がなければまずいというふうに私は思います。

 それともう一つですが、大臣、やはりちょっと御認識されていないようなんですが、それは、役人の書いた答弁を読んでいるからどうしても御認識されない。本当は、お心の中では御認識されているとは思うんですけれども、政府の説明責任を全うするということだけを何度も言うんですけれども、そうじゃないんですよ。政府の説明責任を全うすると同時に、国民が自由意思で、その行政情報というものを知りたい、活用したいという、そのことを保障してあげることがなければ、それは一方通行の押しつけ的なことになってしまうわけですね。

 だから、そのことも含めて公文書の定義というものが決められなければいけないと思うんですが、不断の見直しをするということについてはどう思われますか。

小渕国務大臣 今お話がありましたように二つの大事な視点があるということは十分に承知をしておりますし、国民がしっかりとそうした情報というものを知っていくということについて、こちらとしては、その情報を狭めていくということではないようにと思っております。

 委員が御指摘のように、そうした範囲を狭めることなく、今後しっかりとした議論の上で広げていくことの重要性については十分に承知をしておるところであります。

逢坂委員 ぜひ、公文書の定義、行政文書の定義のところが出発点でありますから、ここを何度も何度も議論をしていくということが大事だと私は思います。

 これもまたアメリカの例でありますけれども、アメリカでは、公文書とは何か、私文書とは何かということについて、具体的な事例をもって、これは私文書だ、だけれどもそれ以外のものは公文書だというようなことを、何度も何度も繰り返し議論をし、かつまた、それを職員に周知するわけですね。だから、そういう不断の見直しが必要だということで、ぜひ大臣にも御認識をいただきたいというふうに思います。

 そこで、次でございますけれども、第四条「作成」ということがございました。

 私は、この閣法の第四条の「作成」の規定では十分ではないのではないかなというふうに思うんですね。もう少し法律で具体的に書いてもよいのではないか。もちろん「政令で定めるところにより、」というふうには書いてはおるのでありますけれども、私が役人だったら、これを読むと、まあこれだったら作成しなくてもいい文書が山のように出るなというふうにも、私が役人ならですよ、思うのでありますけれども、大臣はこの規定で十分だと思われますか。

小渕国務大臣 どういうものを残していくか、残していかないかにおきましては、やはりそれぞれの事案によって異なってくるものではないかと思いますので、統一的なルールを決めてこちらに書き込むということがなかなか難しいのではないかと思っております。

 それにつきましては、先ほど申し上げました公文書管理委員会によって具体的に議論をしていくことになるかと思っております。

逢坂委員 私は、最低限やはり、これは有識者会議でも何度も出ていることでありますけれども、意思決定に至る過程を合理的に跡づけることができるようにするとか、あるいは、例えば閣議だとか関係行政機関の長で構成される会議または省議の決定、了解及びその経過みたいなものは必ずちゃんと残すとか、あるいは、複数の行政機関による申し合わせ、打ち合わせ、あるいは行政機関に示す基準の設定みたいなもの、あるいは地方に対していろいろと指示をしているようなこと、そういうことも、どういうプロセスでそれが決められたのかなんということもしっかり残すというようなことも例示をより具体的にしておくことが必要だと思うんですけれども、いかがですか。

小渕国務大臣 今御指摘の点、もっともだと思っておりまして、今委員が例示として並べられたことは基本的に残されるべきものであるかと思っております。

 ただ、一つ一つやはり丁寧に管理委員会におきまして議論をしていく必要性があるかと思っておりますので、この法律上ではそうした細かな事例まで明記していないというところであります。

逢坂委員 でも、もし法律に書けるのであれば、私は可能な範囲で書いた方がよいのではないかなというふうに思います。例えば、今私が言ったようなことを例示として書くことは、それほど法文としては問題のないことだというふうに思いますので、この点は指摘をしておきたいなというふうに思います。

 そこで、先ほど来、副大臣の先ほどの答弁の中にも幾つかあったのでありますし、今の小渕大臣の言葉の中にもあったのですけれども、今後、公文書管理委員会で議論するとか、有識者会議で議論をするという話がございました。いわゆる公文書管理担当機関の一翼を担う委員会なわけですね。このいわゆる公文書管理担当機関というのはどういう位置づけであるべきだというふうにお考えですか。

 どういう位置づけだというのは、私は、これはやはり独立性の強いものでなければだめなのではないかというふうに思うんですね。

 例えば、またアメリカの公文書館の話をさせていただきますが、アメリカでウォーターゲート事件というものが起きたのは皆さんも御承知だと思います。あのとき、アメリカの公文書館の独立性というのは余り強くなかったんですね、アメリカでウォーターゲート事件が起きたときに。そして、そのときに、当時のニクソン大統領は、その証拠を隠そうとして、ホワイトハウスの執務室でとっていた録音テープや文書を廃棄しようというようなことをやろうとしたわけですね。しかも、それをだれに頼んでやったかというと、文書管理担当の長官に頼んで、それを持ちかけてやろうとしたということがあるんですね。

 これを契機にして、アメリカでは、これは公文書管理担当機関というのは政府と一体ではだめなんだ、もっと独立性の強いものにしなければいけない、そうしなければ、その時々の権力の恣意性で、文書の範囲だとか、廃棄するだとか保管するだとかが決められてしまう、これではまずいということで、NARA、アメリカの公文書館の独立性を強めるということになったわけですね。

 こういうアメリカの事例から見れば、今回の日本の法案、やはりこれは必ずしも独立性が強くないというふうに思うんですね。その独立性の強くない公文書管理委員会にいろいろなことを預けて、そこで決めていただくというのは、私は相当に問題が多いのではないかと思うんですけれども、いかがですか。

小渕国務大臣 公文書管理委員会につきましてでありますけれども、この委員会は、審議会等の、いわゆる諮問機関ということで、内閣府に置かれることが適当であるかと考えております。内閣総理大臣が、この公文書管理委員会のメンバーも、その責任とリーダーシップのもとでこのメンバーを決め、この委員会は、内閣総理大臣が権限を行使する上で必要な場合に、その諮問に応じて専門的見地から意見を述べる役割を果たすということであります。

逢坂委員 法律のしつらえは私も理解をしておりますけれども、いわゆる公文書管理委員会や公文書管理担当機関は独立性が強くなければだめだという私の指摘に対してはどうお考えですか。

小渕国務大臣 公文書管理委員会もしくはその担当機関というものが独立性が高くあるべきだというお話でありますけれども、今のこの体制で十分にその機能を発揮できるものと考えております。

逢坂委員 今の体制で十分にその独立性は担保できるという根拠は何ですか。

小渕国務大臣 先ほど申し上げましたように、この委員会のメンバーにつきましても、内閣総理大臣の決定のもとで決められることでありますので、しっかりと内閣総理大臣のチェックのもとでこの委員会ができるということで、その管理体制もしっかりとしたものになるかと思っております。

逢坂委員 私の指摘はそうじゃないんですね。

 先ほどウォーターゲート事件の例を引っ張り出したのは、大統領であっても自分の都合のいいように文書を廃棄してしまうということだから、アメリカの公文書館は独立性をさらに強めて、政治からある程度離れた場所に置くということに最終的になったわけですね。

 ですから、今回の法律のしつらえは私も理解はいたします。しかしながら、大臣に、将来の課題として独立性を強めていくということについてどう思うかというふうに私は伺っているんですね。

小渕国務大臣 確かに、委員が御指摘のように、大統領でさえもそうした機密文書を隠してしまうというような事例があるというお話でありましたけれども、そういうことが行われてはもちろん困ることでありますので、この委員会の権限やそうした立場につきましては、しっかりと議論を進めていきたいと考えております。

逢坂委員 現状ではこういう法案が出されているというのは、それは事実としては理解をいたしますけれども、今後においては、この公文書管理担当機関というものがより独立性を強めていくということを考えざるを得ないと私は思います。

 当初は、やはり政治のリーダーシップによって、日本の公文書管理というもののあり方を生み出していく、つくり出していく、これは政治がやる以外にないというふうには思うんですけれども、政治がある一定程度のところへ押し上げていった暁には、公文書管理担当機関を、さらに独立性を強めて、ある種、政治の権限から離れた、まさに公平、中立な存在にしていくということは私は大事だというふうに思いますので、ぜひこの点は将来に向かっての検討事項にしていただきたいと思うんですが、どうですか。

小渕国務大臣 今後進めていく上で、やはり公文書管理委員会の役割というものが大変大きなものになっていくのではないかという御懸念というものもそのとおりであるかと思いますので、しっかり議論してまいりたいと考えております。

逢坂委員 そういう観点から見たときに、今度は、第五条「整理」という規定がございます。第五条の五項に「行政機関の長は、」ということで、ここで、移管をするのか廃棄をするのかということを行政機関の長が定めることになっていますね。五条の五項、行政機関の長が定めるわけであります。あるいはまた、これも先ほど来ちょっと議論になりましたけれども、第十条で「行政機関の長は、」「行政文書の管理に関する定めを設けなければならない。」と、主語が行政機関の長になっているわけですね。

 私は、公文書管理の基本的な精神は、やはりある種、政治や行政の現場とは違ったところで、公平、中立に管理をしなければならないという観点からするならば、この規定というのは、この主語が行政機関の長になっているのはいかにもまずいのではないかな、せめてここは内閣総理大臣でもいいし、もっと別なところがやる。それは、先ほど西村委員も話があったとおり、行政情報公開法ができる直前に文書の大量廃棄が起こるなんというのは、本当にこれはひどい話なんですね。そういうことをやはり避けるためにも、ここの主語はもっと別な人にする必要があるというふうに思うんですけれども、どう思われますか。

小渕国務大臣 本法案におきましては、文書ごとに保存期間満了時の移管や廃棄の措置はあらかじめ定める、いわゆるレコードスケジュールを導入しております。しっかり統一的な管理ルールの策定というものをした上で、各府省におきまして、文書管理の規定というものを、同意のもとでしっかりとした策定をしています。ですから、それぞれの府省の責任というものはしっかり果たしていかなければなりませんし、もともと統一的なルールというものがあって、その枠内でそれぞれの省ごとの規定の案というものが定められることになってまいりますので、そのあたりの心配というものは当たらないのではないかと考えております。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

逢坂委員 今大臣、もともと統一的なルールがあってとおっしゃいました。もともと統一的なルールというのは何ですか。

小渕国務大臣 統一的な管理ルールというものを政令で規定することとなっておりまして、その枠内におきまして、それぞれの省庁におきまして基本的な案というものを作成することになっております。

逢坂委員 すなわち、現在のこの法案は枠組み法なんですね。眼鏡でいえば、枠だけはあるんですけれども、眼鏡の度数がまだ入っていないんですよ。だから、先ほど来もいろいろなことが、有識者会議で決めます、政令で決めます、どっちで決めますと。本当のことを言うと、余り議論にならないんですね、細かいところは。だから、そういうところはできる限り法律に落とし込めるものは落とし込むということをしなければ、本当の意味での公平性は保てないし、行政機関の長が自分に都合のいいことをやらない保証はなかなかないんだということを指摘しておきたい。

 もしこの法案がこのとおり成立するとするならば、大臣、これから、政令をつくるとか、各府省がつくる規則の段階、これは物すごく大事ですよ。ここをちゃんとやらないとえらいことになってしまうというふうに思うんですね。ぜひそのことに対する御認識を、決意を。

小渕国務大臣 公文書の管理につきましては、これまでのさまざまな事案がありまして、それの反省のもとに今回のこの法案があると思っております。ですから、もちろん各府省におきまして勝手やたらのことができるということはあってはならないことですし、そうしたことがないように、しっかりとした統一的な政令を定めるということであります。

 先ほど西村委員の御質問にも答えさせていただきましたが、まさにこの法案をつくるに当たっての意思決定というものがしっかり文書にされていくことが大事であると思っておりますし、委員の御指摘はしっかりと受けとめさせていただきたいと思います。

逢坂委員 それじゃ、逐条の方は若干お休みをして、ほかの話題に行きたいと思いますので、しばしお休みください。体にさわるといけませんので。

 それで、今度は総務省にお伺いしたいんですけれども、総務省では、文書管理業務の業務・システム最適化計画というのをお持ちになって、これは二〇〇八年二月十三日に改定したものによって、総務省が、何か各府省を横断化する文書管理システムをつくり上げようとしている。

 それで、現にこれは十九年からもういろいろ作業が始まっていて、これまでに、システムの最適化に係る設計開発業務に約五億円、それからソフトウエアの賃貸借一式に約九億円、それから運用の請負一式に、二十一年度から二十四年度までに三億円ということで、これまで都合十七億円を投資しているわけですね。十七億円を投資して、総務省として各府省横断的な文書管理業務の最適化をしていくんだということをおやりになっているんですが、私、これはちょっと何か変なんじゃないかなという気がするんですね。

 今まさに公文書管理法案が議論されていて、これから各府省でいろいろなことを決めていきましょうという段階で、もう既に十七億使ってこういうことをやっているというのは、どうもちょっと腑に落ちないのでありますけれども、今回の法案と総務省がやられているシステム最適化計画との整合性というのは、倉田副大臣、どのようにとるおつもりですか。

倉田副大臣 今おっしゃられましたように、最適化計画というものがあるわけですが、これまで各省庁が各別に運用管理していた文書の管理につきまして標準化、一元化していこう、これによって文書管理業務を全体的に効率化する、結果として費用の削減もできる、こういうことでございます。

 今回の法案は、公文書のライフサイクルを通じた管理ルールを定めよう、こうしているわけです。最適化計画によるシステムは、例えば文書の散逸を防いだり誤った廃棄を防いだり等、防止する機能など、適切な文書管理を行うという基盤整備を行っているわけであります。したがって、今回の法案ができた場合に、その運用の基盤としてこれに資することになる、こういうぐあいに考えております。

逢坂委員 今回のシステムのイメージ図を見ますと、これはどうも紙ベースではなくて電子媒体でやるのかなというふうに思うんですけれども、そこで、総務省の政府参考人にお伺いするんですけれども、これは電子媒体ということでよろしいのでありましょうか。

田部政府参考人 先生御指摘のとおり、電子媒体でございます。

逢坂委員 ちょっと通告はしていないんですけれども、総務省でもし答えられれば答えていただきたいし、副大臣でもよろしいんですが、電子媒体でこういうものを管理するということになると、私は、電子媒体のメリットというのはあるとは思うんですけれども、電子媒体には相当デメリットも多いんですね。電子媒体のデメリットも考えた上でこういうことをやろうとしているんですか。そのあたりはいかがですか。あるいは、電子媒体のメリットについて何らかの認識はございますか。

田部政府参考人 基本的に、電子媒体でやりますと非常に効率的に業務が遂行するということで今最適化もやっておるわけでございますので、基本的な考え方としては、電子媒体で業務を遂行することに相当なメリットがあるというふうに考えてございます。(逢坂委員「デメリットは考えておりませんか」と呼ぶ)

 当然、それに移行する際に、いろいろなシステムの整備なりあるいは業務の見直し、そういったものが必要になるというふうには考えてございます。

逢坂委員 非常に認識が甘いですね。

 実は、紙媒体というのは古臭くてだめなシステムのように思われるかもしれないんですけれども、紙ベースの記録は千年残っているという実証がございます。電子媒体が千年残るという実証はまだございません。

 それから、一覧性、一覧性というのは、ぱっと見て情報が全部入ってくるという点においては、電子媒体よりも数段すぐれております。例えば新聞も、電子新聞というのが最近ございますね。携帯電話などでも、ある新聞社なんかは無料で紙面を閲覧できるというものがありますけれども、あれも、一覧性という点、一覧性というのは、紙面をざっと開いて、自分が見たい記事、見たくない記事を含めて目に飛び込んでくるという、それにおいては電子媒体よりも紙媒体の方が数段すぐれている。電子媒体は、その意味においてやはり数段下なんですね。

 それから、電子媒体は、記録するメディア、これが日々進歩をしていますから、電子媒体で何らかの形で保管をしたとしても、五年後、十年後に媒体変換ということはこれまでの歴史を見ると必ずあるんですね。そのときに、やはり相当なコスト、手間、そこでいろいろな判断が必要になってくるということなんですね。

 ほかにも電子媒体のデメリットはいろいろあるんですが、メリットがあることは事実なんですけれども、こういうことをもう既に十七億をかけてやられていて、電子だから全部いいんだみたいになっていくことは相当に危険だというふうに私は思います。

 特に公文書においては、先ほど来議論になっておりますように、公文書というもの、行政文書というものの定義が非常に重要なわけですね。アメリカの例に見られるように、メモだとか電子メールだとか、いろいろなものも広く含めている、手書きの草稿まで含めるわけですね。電子媒体で電子決裁なんかがたくさん使われるようになると、そういう手書きのメモや草稿なんというものは全部忘れ去られる可能性があるんですね。

 だから、そういう意味でいうと、電子媒体はすごくいいように思うけれども、実は危険な部分もあるということを承知してやらなければいけないのではないかと私は思っていますが、副大臣、いかがですか、今の私の話を聞いて。

倉田副大臣 おっしゃる要素が私にはよくわかります。これまでの文書の部分については、その項目等を電子記録にはしておく、けれども、そのもともとのものをどうしていくのかということはより適切に考えていかなければならない、そう思います。

逢坂委員 きょうの本論ではないので、これはまたどこか別の場でやりたいと思うんですけれども、行政文書の電子化というのは極めて危うい部分があるということをぜひ皆さんにも御認識いただきたいんです。

 繰り返しますけれども、紙といえば、古臭くて何か古典的な、レガシーシステムだというふうに思っている方もいるようですが、実は、紙媒体というのは相当に有能なものだというふうに私は思いますね。だから、その両方をちゃんと考えながらやるというのが大事だというふうに思います。

 そこで、今度、総務省に改めてお伺いをしますが、総務省では、この公文書管理法制とは別に、こういうシステムをこれまで、公文書管理法制の議論が始まる前からやっているわけですから、別にこのシステムのことをいろいろやっておられたわけですけれども、今回の公文書管理法案、閣法の策定過程で、総務省として、内閣官房の公文書管理検討室に対して、何かこのことで注文をつけられましたか、今回の法案をつくる上において。

 私たちはもう既にこういうシステムを検討、準備している、だから今度の法案に当たってはこういうことをやはり入れてもらわなきゃ困るとか、今度の法案を我々と独立したところでやられちゃちょっと整合性がとれないというようなことも含めて、何か注文はつけられましたか。

田部政府参考人 今回の法案の作成に当たりまして、公文書管理の在り方等に関する有識者会議、こういったところで、当局も、ヒアリング等行いまして、意見交換をやってございます。

 その中で、文書管理に関するシステムについての御理解をいただきますとともに、最終報告におきまして、分類基準に沿って適切に管理できる機能、適切な文書管理のための本システムの整備すべき機能、こういったことについての御指摘もいただいているところでございます。

逢坂委員 分類について適切にやれるようにという、そのことだけだったんですか。ほかはなかったですか。主張は、総務省としてはなかったですか。

田部政府参考人 詳細はあれですけれども、電子決裁についての取り決めとか、そういったものも入ってございます。

逢坂委員 私先ほども指摘したとおり、公文書管理ということは、日本で、まさに入り口に今立っているわけですね。これからスタートなんですね。そのときにまた新たなシステムが入るということでありますから、これは、相当に注意を持って、整合性を持ってやらなければ、日本の公文書が本当にむちゃくちゃなことになる可能性を、そういうおそれを感ずるんですね。

 ですから、ぜひこのシステムの運用に当たっては、慎重さを持って、今の公文書管理法制の精神をちゃんと踏まえたものになるように、大臣、具体的に何かやる必要があるんじゃないでしょうか。倉田副大臣、いかがですか。

倉田副大臣 御指摘は非常に重要な点だと思います。

 電子化、電子化ですべてが解決するというような考え方をしているわけではありませんので、本当の意味で、決定内容だとか、あるいはその思考過程だとかいうようなものも何らかの形で残っていくことは重要だと思いますので、よく認識して今後も対処してまいります。

逢坂委員 ちょっと通告していないんですけれども、参考までに、総務省、教えていただけますか。

 このシステムがフル稼働したら、年間の維持管理費、どれぐらいだというふうに見込まれておりますか。

田部政府参考人 現在、年間二十五億ほどかかってございます。これが十一億削減されまして、十四億円という運用経費になります。(逢坂委員「ちょっと言っている意味がわからない」と呼ぶ)

 年間二十五億円の運用経費が現在かかってございまして、新しいシステムになりますと十一億円削減されまして、年間十四億円の運用経費ということになります。

逢坂委員 今二十五億かかっているというのは、今の紙ベース、現状の、今のシステムを動かしているということではなくてということですか。今、そもそも総務省として行政文書の管理に二十五億かけているという意味ですか。

田部政府参考人 現在、各省で運用しておりますシステム、そういったものの総体の費用でございます。

逢坂委員 この点についてはまた別の機会に詳しくやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 さて次に、今度、現在のところについて再度お伺いしたいんですけれども、電子政府の総合窓口というのが政府のホームページにございますね。ここに行政文書ファイル管理簿の検索というところがあって、行政文書ファイルを、国民の皆様に、検索してどうぞ御利用くださいというところがあるわけであります。

 ところが、私がいろいろこれを操作してみたり、あるいは私以外の者が使ってみると、極めて使い勝手が悪い、評判が悪いもので、こんなもの、全然ファイル検索にならないじゃないかという声があるのでありますけれども、この行政文書ファイル管理簿の検索に対する現状の認識について、どう思われますか、副大臣。

倉田副大臣 私は、自分ではやらぬものですから、けさ、秘書がやるのを横でのぞいて、見ておったんですけれども、なかなか具体的に知りたいことがわかりにくい。

 したがって、今後ちょっと、もう少し詳しい項目、中身がわかるようなことまで表示をやっていくべきではないかな、こんなことを感じております。

逢坂委員 今、御実感されたように、余り使えないんですね。それで、ファイル名、行政文書ファイルの名前を、ある種恣意的というか、皆さんが自由につけられるわけですから、それにうまくヒットしなければ目的の文書に到達できないわけですね。

 そこで、こういうものをやるときにはメタデータという考え方があって、メタデータというのは、ファイル名は確かに何々に関する文書というふうになっているけれども、その中に何が含まれているのか。例えば、交付税であるとか特別交付税であるとか、あるいは漁業であるとかという、検索にかかりやすい言葉もあわせて埋め込んでおいて、検索にヒットできるように、メタデータを埋め込むということは必須のことなんですね。

 それをやらないで、ファイル名だけで検索させようとすると、それは全くやはり使えないものになりますので、ぜひその方向で、今後この新しい公文書管理法制ができた暁にもそういう対応をしていただくように、副大臣、よろしいですね。

倉田副大臣 情報の件名とか、あるいは作者、つくった人間、あるいは保存期間だとか、幾つかのものを、すぐにそういう表示が出てくるようなシステム、これを考えていかなければならない、そのようにしていこうと思います。

逢坂委員 次に、「二〇〇八年国会審議における行政文書の保存期間問題」というペーパーを、資料を用意させていただきました。裏表で六ページにわたるものでございます。

 これは日本計画行政学会のある報告の中からおかりをしてきたものでございますけれども、これ以上にももしかしたら国会審議の中でいろいろと議論はあったのかもしれませんけれども、とりあえずここで拾っているものはこの程度の件数があります。随分やはり行政文書について国会でも指摘がされているわけであります。

 そこで、その中で何点かについて、ちょっときょうはそれを一つの題材にして議論させていただきたいんです。

 私が用意した参考資料の六分の五、五枚目をごらんいただきたい。五ページ目です。

 これの下から二段目に、これは、六月三日、民主党の富岡議員が八ツ場ダムの問題についていろいろと議論をしているわけでありますね。八ツ場ダムの問題についていろいろ議論をしている中で、八ツ場ダムをつくるときのいわゆる費用対便益、その積算根拠になった資料はないかという質問をしているのに対して、隣におりますけれども、平井たくや国土交通副大臣が、これはないというふうに答えているわけですね。それで、「これ、私もないはずがないと思っておりまして、捜していただいたんですけれども、これが本当にないわけでありまして、」と副大臣も答えざるを得ないような状況になっているんですね。

 御案内のとおり、八ツ場ダムはまだ事業継続中のものであります。その事業をスタートさせるときの費用便益に関する資料がないなどということは、これはどう考えてみてもおかしいわけであります。

 そこで、国土交通省にお伺いしたいんですけれども、今回の法案ができ上がるとなったときに、こういう問題というのはなくなるんですか、国土交通省としては。ちゃんとなくそうとしてくださいますか。どうされますか。

西銘大臣政務官 委員御指摘のような答弁があったことを承知しております。

 国土交通省といたしましては、この公文書管理法案が成立をしました後には、法案の趣旨を踏まえまして、現在の文書管理規則を必要に応じて改正し、また、保存期間を過ぎた文書が事務的、機械的に廃棄されることのないよう、文書の性格に応じ適切な保存期間の設定、また、必要な場合には保存期間の延長などの措置を講じ、より一層適切な行政文書の保存に努めてまいりたいと考えております。(発言する者あり)

逢坂委員 隣の席からも、もっと踏み込めという話がございましたけれども、ぜひ、役人答弁ではなくて、政治のリーダーシップでこれはいかなきゃいけない。

 先ほども言ったとおり、行政文書の管理というのは、私は、何も役人の皆さんが悪いというふうに言うわけではないのでありますけれども、やはり、ある種第三者の目線でやらなければだめなんだというふうに思うので、もう一歩しっかり踏み込んで、絶対そういうことはないようにしますというふうに、もうちょっと御自分の言葉でいかがですか。

西銘大臣政務官 先生おっしゃっている意味は十二分にわかりますので、この法案の趣旨が十二分に生かされるように、国土交通省の文書管理規定もその趣旨に沿うような形で、二度と副大臣が答弁したような事態が起こらないようにしっかりと対応してまいりたいと考えております。

逢坂委員 次に、もう一つの事例をちょっと出したいと思います。

 私が用意したペーパーの六分の四、四ページ目です。六分の四の上から二番目でございます。

 郵政民営化準備室というのが二〇〇四年から二〇〇五年にございました。これは有名な話になりました。この郵政民営化準備室がアメリカ側と、我々が知っているだけで十八回にわたって何らかの協議、交渉、面談なんかをやっているわけであります。

 ところが、この問題について国会でいろいろとお話を伺いますと、当初、竹中総務大臣は、これは外交上のことなので相手側の了解を得なければならないからこの十八回の協議内容についてはお出しできません、相手の了解をとる必要がありますというふうに最初は答弁をいたしておりました。ところが、竹中大臣から今度は増田大臣にかわったあたりで国会答弁が変わってまいりました。それは儀礼的なものだった、アメリカから来てあいさつをしに来た程度のものだったからメモ程度しかないんだということだったんですね。それからまた、だんだん時間がたつと、メモ程度しかなくて、郵政民営化準備室からまた組織がかわってきたので組織がかわる段階でメモも廃棄をしたらしい、どうもどこにもないんだという話になっているわけなんですね。

 私は、これはいかにもひどい話だなというふうに思うんですが、御案内のとおり、郵政民営化は、日本の将来をどうするかで、もう国を挙げた大議論になったテーマですね。その政策の発生源であるところの議論について、いや、外交上だから出せないと言っていたのが、最終的には、メモだから廃棄しましたなんということは、これはまことにお粗末きわまりない、民主主義国家として信じられないことだというふうに思うのであります。

 さて、そこで今回この担当のところにお伺いしたいんですけれども、今回の公文書管理法案ができたらこういう問題はなくなるんでしょうか。あるいは、こういう問題を起こさないためにどういう対応をするおつもりでおりますか。

利根川政府参考人 お答えいたします。

 郵政民営化法案につきましては、先生御案内のとおり、当時の小泉総理の大方針のもとに経済財政諮問会議で議論をして取りまとめた基本方針に基づきまして、準備室の方が法技術的に条文化するという作業を担当したということでございます。したがいまして、第三者と協議とか交渉をするような立場には任じていなかったというふうに承知をいたしております。

 実際、私どもの方で当時の準備室の担当者に話を聞きましたところ、面談メモを作成したことはあったと思うけれども、先ほど先生御指摘のとおり、儀礼的なものでありますとか、あるいは問い合わせでありますとか、あるいは各種陳情的なものであるというようなことで、保存を要するほどのものではないことから廃棄をしたということではないかというようなことを伺っておりまして、その旨、私どもの室長からも御説明させていただいたところでございます。

 したがいまして、御指摘のメモに関しましては軽微なものであったということで当室に引き継がれていないということではございますけれども、あのような非常に政治主導でつくられた法案とは違う、積み上げ的にプロセスを経てつくられるような場合に、その内容に影響するような会合や何かが役所の中であったというような場合におきましては、私どもは本法案を所管する部局ではございませんけれども、本法案の趣旨にのっとりましてメモを作成し、一定の期間は保存するといった適切な措置が講じられることになるものというふうに考えております。

逢坂委員 今皆さんお笑いになっておりましたけれども、まさにこの事例は、今回の法案の第四条の問題でありますとか、第二条の公文書の定義、行政文書の定義の問題でありますとか、五条の廃棄の問題でありますとか、しかも、それは行政機関の長の裁量によってやっているわけですね。やはりこういうことを起こしてはいけないわけですね。そのためにこの法案をつくっているんですが、ただ、今の答弁からは、ではこの法案が成立した暁には本当にそれがちゃんと跡づけられるのかというところについては、私は心もとないような気がするんですね。

 小渕大臣、今の話を聞いてどう思いますか。

小渕国務大臣 御指摘のように、今の話を聞いておりましたり、あるいは出していただきました資料を見ておりますと、これまでの公文書管理のずさんな状況というものがまさに浮き彫りになっておると思っております。

 こうした状況というものが今後決してないようにしていくためにこの公文書の法案というものが出てきておるわけでありますし、先ほども申し上げた、しっかりとした統一的なルールを政令で定め、その範囲内においてそれぞれの役所においてしっかりとした案を策定していただきたいと考えておりまして、本当にこうしたことが二度とないような形になりますようにこの法律を制定するということであります。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

逢坂委員 ぜひ、今度統一的なルールをつくる、あるいは各行政機関が規則をつくるというときには今のことも頭に置きながら、これじゃやはりだめなんだと。各行政機関の長が、これは儀礼的で簡単だなんと言って、でも、本当に儀礼的だったのか、簡単であったのか、後でそれを証明できないんですから。しかも、あのたった一年の間に十八回もやっているわけですよね。なぜ日本の郵政民営化にアメリカがあそこまで来て、十八回もごあいさつに来なきゃならないのか。これはやはり、はてな、はてな、はてなというふうになるわけですね。ぜひこれは解決されるように、大臣、頼みますよ。本当によろしくお願いしますね。

 ところで、大臣、日本の予算の中で、一年間にいわゆる委託費というのはどれぐらいあると思いますか。

 委託費というか、外に対していろいろ、例えば設計委託とか、あるいはBバイCなんかをやるときに民間業者にいろいろ調査してもらって、事業効率がいいとか悪いとかとやる委託費、これが二十一年度予算で、表に委託という文字があるものだけで約八千億円あります、八千億円。それから、表に委託というのが出ていない、補助金とかなんとかの中で、独立行政法人とかにお願いするものの中に委託費が含まれているものがこれにカウントされておりません。例えば今回話題になっております国立メディア芸術総合センター、これの設計費なんというものは、あれも設計委託なんですけれども、それはこの八千億の中に入っていないんですね。

 だから、日本の行政機関は相当多くの部分を外部に委託して仕事をしているということがこの金額からもわかるのかなというふうに思うんです。多分一兆円近いお金が委託費になっているのではないか。この中にはあれは入っておりません、例えば庁舎の清掃管理委託とかは入らないで、このぐらいの額なんですね。

 そのときに、先ほど西村議員のお話の中にもありましたけれども、こういう委託に係る文書、何か調査を委託して成果物が来るということになったときに、成果物の根拠になったようなデータとか、それを開示してほしいというふうにこれまでいろいろな場面でお願いをすると、それは私どもの文書ではありませんので開示できませんとか、文書が不存在ですという言い方をして、なかなか行政機関ではこの部分を開示してくれないんですね。だから、道路やダムの費用対効果を考えるときの根拠のもとデータ、生データが知りたいと思ったら、国民はなかなか知れなかったわけであります。これは、大臣、問題だと思いませんか。

小渕国務大臣 やはりそうしたところも含めて、わからないでは済まないことですので、問題であると思います。

逢坂委員 ぜひ、公文書の統一的なルールをつくるとか規則をつくるときに、ここも配慮が必要だと思うんですね。委託であってももとデータは必ず我々の方に、民間事業者であっても開示をして、我々がそれをハンドリングできるんだというふうにしなければ、本当の意味での政策の発生源がわからなくなってしまうんですね。

 この点、しっかり担保をしていただくということで、大臣、いかがでしょうか。

小渕国務大臣 委託先のバックデータというものもしっかり委託元である各府省ができる限り取得をして、保存していくことが望ましいと考えております。しかし、それぞれの事案によりましては、例えば委託先の秘密のものということもありますので、おのおのにおきましては、その委員会におきまして議論していただきたいと考えております。

逢坂委員 業務を進める上でのノウハウみたいなものとか、そういうのはまさに秘密、それぞれの事業者の専門性だと思うんですね。ところが、やはり生データみたいなものというのはそうじゃないので、それはしっかり担保できるようにしてもらわなきゃ困ると思います。

 最後に、一つだけ申し上げておきたいと思います。

 公文書管理法制あるいは公文書管理の体制に、資源、人や物や金を使うことについて、行政の焼け太りだという指摘が一部にあるようでございます。あるいは、行政改革に逆行するというような指摘が一部にあるようなんですが、私の経験からしますと、それは全く逆だというふうに思われます。

 公文書の管理をしっかりやることで、私は、相当程度行革が進むのではないか、情報公開にもつながりますし、役所内の事務室の整理にもつながりますし、かけたコストがその倍、倍というのは言い過ぎかもしれませんが、倍にも、二倍にもなって、実はプラス効果となって返ってくるということがあると思いますので、ぜひ大臣、行政文書に資源を割くことは行革に逆行するということに対しては、そうではないという認識をお持ちいただきたいと思いますが、その点の認識を聞いて、終わりたいと思います。

小渕国務大臣 確かに、こうしたお話をしますと、行革に反しているのではないかというお声が聞こえてまいります。しかし、委員が御指摘のように、本当に大事なことでありますし、将来的なことを考えたら、逆に効率的になることであると考えております。人員の問題につきましても、現在の状況ではかなり少ない人数でやっておるわけでありまして、これを拡充また育成していかなければなりません。

 委員の御指摘をしっかり踏まえながら、決して行革に反するものではなく、将来的には大変大きな成果を残していくということをしっかり言ってまいりたいと思っております。

逢坂委員 終わります。

渡辺委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、最初、小渕大臣に、そもそも公文書とは何かという基本の問題について、考え方を簡潔に伺っておきたいと思うんです。

 もともと、国民の税金を投じて行政が行う、これは公務ですね、そういう行政において作成される文書というのは本来的に公文書という性格を持つと思うんですが、この公文書、それから公的記録とか情報ですね、本来そういう公文書というのは国民共有の財産であるというこの考え方が、やはりこうした問題を考えるときの一番基本の問題として必要だと思うんですが、まずそのことを確認しておきたいと思います。

小渕国務大臣 御指摘のように、公文書は、国の活動あるいは歴史的事実の正確な記録でありまして、民主主義の根幹を支える基本的なインフラであります。過去、歴史から教訓を学ぶとともに、未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な国民の貴重な共有財産であると認識をしております。そして、これを適切に管理し、後世に伝えていくことは国の重要な責務であると考えております。

吉井委員 そこで、今度は政府参考人の方に伺っておきたいんですが、公文書とは何かということになりますと、レクチャーを聞いていたときには、例えば奈良時代の古文書も公文書だということのお話もありました。そうすると、飛鳥の時代の木簡等に書かれた記録、その破片と言ったら変ですけれども、断片になりますから、当時、どの地域から幾らの税に相当するものが納められたかとか、そういう記録として残っているわけですが、そもそも公文書を考える場合、いつの時代のものからを公文書として考えていくことになるのか、これを伺っておきたいと思うんです。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 この公文書管理法案におきましては、その文書がいつ作成、取得されたものであろうと、行政文書、法人文書あるいは公文書館に移管された特定歴史公文書等に該当するものであれば公文書等に当てはまるということとしているところでございます。

 したがいまして、どんな古い文書であろうと公文書等に含まれ得るというところでございます。

吉井委員 今回の法案は、行政の文書主義の原則を法文化するというところが大事なところだと思うんですね。

 それで、文書管理の内部監査や点検については、各省庁ばらばらというのがこれまでの実態でした。これを統一的なルールを定めることは当然必要なことだと思うんです。このばらばら管理が今回の法律案によって根本的に解決されると考えていいのかどうか、これを伺っておきます。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、第四条におきまして、行政機関の意思決定に関する文書作成原則を法制化いたしました。また、行政文書ファイル等の名称、保存期間満了時の措置等を管理簿に記録することを義務づけました。また、各省庁の文書管理規則につきまして、記載事項を法定するとともに、その作成、変更に当たりまして、内閣総理大臣への協議と同意を義務づけたところでございます。

 また、これらの措置の実効性を担保いたしますため、文書管理の状況の報告義務、これは各府省から内閣総理大臣への報告義務でございます。また、内閣総理大臣によります各省庁の実地調査、その権限、また、問題がある場合には改善勧告、この規定も盛り込んでいるところでございます。

 これらの一連の規定が相まって、各省庁において適正かつ統一的な文書管理が行われることになると考えております。

吉井委員 保存期間を明記するというお話はそれはそれとして、行政機関が保有する公文書が保存年限に達した場合には、それを公文書館に移管するのは文書が歴史公文書に該当する場合であって、歴史公文書に該当しなければ、保存年限が来れば廃棄するわけですね。

 法案では、文書が歴史公文書に当たるかどうかの基準がやはり明確に規定されていないというふうに思うんですよ。法律施行後に国立公文書館が作成する判断基準に従って各行政機関の長が決定する、各行政機関の長にフリーハンドがゆだねられるという状況ですね。これでは、行政の意思形成過程を示した文書が、行政府の恣意的判断によって、公文書館に移管されることなく、保存年限に達すれば廃棄されてしまうということが非常に懸念される問題があります。

 これは、国民の知る権利を否定する重大な問題じゃないかと思うんですが、なぜ公文書館に移管する文書を歴史公文書に限定するのか、ここを伺いたいと思います。

山崎政府参考人 この法案におきましては、まず、どういう歴史的文書について保存すべきか、また、どういう文書は保存する必要がないか、こういうようなものについて、政令で各府省共通の基準を設定いたします。

 また、各府省は、恣意的に行うのではなく、この政令で定められた基準に従いまして、レコードスケジュールを各文書に設定いたします。それは、文書ごとに、例えば、この文書は保存期間三十年、その後移管でありますとか、あるいは、歴史的価値のないものにつきましては、保存期間が一年、その後廃棄とか、そういうレコードスケジュールが設定されるわけでございます。そのレコードスケジュールによりまして、歴史的価値があるとして移管というふうにラベリングされた文書については、保存期間満了後、自動的に移管する、そういうようなシステムになっているところでございます。

 なお、現在は、保存期間満了後、土壇場になって、国立公文書館と各府省が協議いたしまして、この文書を移管してください、いや、これは当方で保存しますとか、そういうやりとりを保存期間満了時ぎりぎりに行っていたわけでございますけれども、こういうレコードスケジュールの導入によりまして、各府省統一基準にのっとって、保存すべき文書は歴史公文書等として国立公文書館に移管され、保存される、こういうことにした次第でございます。

吉井委員 何か、レコードスケジュールと言うたら物すごいように聞こえるんですけれども。

 大事なことは、基準の問題だと思うんです。各省庁が、一応ぼんやりした基準があるにしろ、それに基づいて保存期間を決めて、過ぎたら破棄だとか何だとかやるとやはりまずいわけで、一応、公的文書というのは、例えば公文書館の中間書庫的機能を持つものに移して、そこで、もう一方の側では、基準については、第三者機関できちんと基準を設ける、ルールを設けて、それに照らして、これはもとの役所できちんと保存をしてくださいとか、あるいはこれは何年たったら廃棄してよろしいとか、あるいはこれは歴史公文書として公文書館できちんと保存しましょうとか。

 役所の場合も、役所そのものもまた歴史的文書を残しておくことが大事な意味がある場合がありますから、やはり中間書庫的機能を持つもので全部、役所が勝手に廃棄したり処分するんじゃなくて、預かって、もう一つはきちんとしたルールを定めておいて、ルールに照らして判断をする。

 やはりそういう仕組みというものを考えていかないと、本当に公文書の管理というのがきちんとできるかどうかというのは大変問題のあるところだと思うんですが、この法案のどこを読み取れば、中間書庫的機能を持つ問題とか、あるいはその基準をどうつくるかということを読み取ることができるのかを伺っておきたいと思います。

山崎政府参考人 委員御指摘の、基準が大切だ、まさに御指摘のとおりでございまして、この法案におきましては、先ほど申しました、政令を定める、そのときにも、役所の人間だけでやるのではなく、公文書管理委員会に諮問をして、それに基づいて政令、共通基準を策定するということにしております。それによって、より透明かつ合理的な基準が設定できるのではないかと考えております。

 また、もう一点の委員御指摘の中間書庫でございますけれども、これも有識者会議の最終報告にございまして、それを踏まえて、本法案におきましては、国立公文書館法の業務規定のところに中間書庫的事業を行うことができる規定を設けたところでございます。

 また、整理、保存のところに、時の経過に配慮して保存というふうに規定したところでございますけれども、これは、時の経過によって、例えば全部原課で保存するのではなく、一定期限たったら例えば集中的に管理するとか、そういうことも念頭に置いた文言は盛り込んだつもりでございます。

吉井委員 文言は入ったんですが、中間書庫的機能を持つものはつくるんですね。

山崎政府参考人 現在パイロット事業で既に行っておりますし、本法案におきましても、先ほど申しましたとおり、国立公文書館法の中間書庫の事業を行う規定ができますので、それに沿って検討してまいりたいと考えております。

吉井委員 これは検討の段階から実現に移る段階の話だというふうに思います。

 次に、防衛省に来ていただいておりますから伺っておきますが、実は、防衛省には宇宙開発利用推進委員会というのが設けられています。宇宙基本法を根拠に、防衛省が宇宙で軍事利用を具体的にどう進めるかの議論をしています。

 この委員会は、これまで三回行われていると思うんですが、議事録は公開されていないんですね。議事要旨というのをいただきましたが、余りにもお粗末な、メモ書き程度の紙一枚です。

 議事録を作成していないのではないかというふうに思われますが、今回の法案を提出している以上、防衛省は、やはり文書管理の不適切事案を反省して、改善して、そして議事録をきちんと作成する。つまり、議事録を残しておかないと、公文書館をつくっても公文書として来ないわけですよ。

 これについて、どういう扱いをしているのかを伺っておきます。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の宇宙開発利用推進委員会の議事録等の件でございますけれども、先生からもお話がありましたように、本委員会については、率直な意見交換を行うため非公開といたしまして、委員会における個々の発言者の氏名あるいは発言内容のすべてを公開することは差し控えさせていただいております。そのかわり、議論の透明性を確保する観点から、主要な発言内容等を記録した議事要旨を作成し、これを公開してきているところでございます。

 本会議については、発言者の発言を正確に記録する必要がある会議というよりも、むしろ、私ども、出席者の自由な意見を提示することを重視する会議というふうに考えておりますので、そういった観点から、議事録というのは作成しておりません。そのかわりに議事要旨というのをつくりまして、公表させていただいているところでございます。

吉井委員 その議事要旨ですね、これは、武田防衛大臣政務官あいさつというのが四行、講演者の氏名が三人出ていて、岸大臣政務官あいさつ、これが四行。これは恥ずかしく思いませんか。こういうものを議事要旨とは言わないんですよ。余りにもひどいものをつくっておいて、議事要旨だと。

 私は、小渕大臣にここで伺っておきたいんですけれども、実は、僕はこの件に関して質問主意書を政府に出して、答弁書をもらっているんですが、防衛省の第二回目の宇宙開発利用推進委員会では、三名の外部の人を講師として招聘しているんです、この議事要旨に出ているんですけれども。慶応大学の青木節子さんと、航空宇宙工業会技術顧問の中田勝敏さん、現在この方は宇宙戦略本部事務局の技術参与をやっている方ですが、講演に招いているわけですよ。そもそも、開催すること自体の文書決裁がないんです。さらに、青木節子さんと中田勝敏さんを講師招聘することについては文書決裁がないんです、とっていないんです。しかし、謝金は支払われているんです。これは行政の文書主義を否定する行為なんですね。

 私は、小渕大臣に伺っておきたいのは、こういうことをやると、これは公文書管理以前の問題なんですよ。公文書がそもそも作成されていないんです。だから正式議事録もない。そうなると、幾ら公文書管理だと言ってみても、これは、その公開もない、記録もない、何もない。これではもう本当に法律以前ですから、まずこういう事態は、これは内閣を挙げて改めさせるということにしないと、確かに、自由にしゃべってもらうので、その人が、こんな話をするのは恥ずかしくてたまらぬというので、もう恥ずかしいから記録を残さぬといてくれという話は、恥ずかしい話をされたとしても、例えば三十年たったら三十年たった時点で公開する、今は恥ずかし過ぎる話だけれども、三十年たったらその方もかなり御高齢で、もう恥をかいてもかまへんというふうになったら公開したらいいと。

 やはりこれが本来の公文書管理というもののあり方だと思うんですが、私は、これは内閣を挙げてきちんとその姿勢を貫くべきだと思うんです。これを小渕大臣に伺っておきます。

松本政府参考人 事実関係をちょっと御説明させていただきたいと思います。

 宇宙開発利用推進委員会で、講師の招聘等を文書決裁を行っていないというお話がございましたが、私ども、宇宙開発利用推進委員会設置要綱というものを決裁をとって定めておりまして、そこの中で、委員長の権限として、部外有識者の招聘という事項がございます。こういった文書の規定に基づきまして部外の有識者を招いたということでございます。

 また、謝金の支払いにおいても、当然のことながら、決裁をとってやっております。

小渕国務大臣 今のお話を聞いておりますと、しっかりとした意思決定過程における文書が残っていないという事実が明らかになっているのだと思っております。

 公文書管理法以前の問題ではないかという御指摘でありましたので、しっかりと問題意識を持って、それぞれの各省庁におきまして、意識改革といいますか、しっかりとした意識のもと、こうした公文書を歴史的文書として残していくという思いでやっていただかなければなりませんし、もちろんこの法案の中には、文書作成原則を法制化すること、あるいは定期的な報告や実地調査によりチェックをするということもしっかり入っておりますので、この法案が成立すればこうしたずさんな管理というものがないようにできることと思っております。

吉井委員 昨年十二月九日の答弁書をいただいているんですが、この中では、青木節子さんとそれから今挙げました中田さん、このお二人については文書による決裁は行われていないと、ちゃんと答弁書に書いているんですからね。だから、そういういいかげんな言いわけをしちゃいかぬということをまず言っておきたいと思うんです。私は答弁書を持ってきて言っているんです。

 それで、法案が成立すると、文書主義が徹底されて管理がしっかり行われ、都合の悪い文書を廃棄、隠ぺいすることがなくなる、文書が存在しないから開示できない、こういう理由からの非公開というのはまずなくなると思いますが、これはなくなりますね。これは一言でいいです。

山崎政府参考人 委員御指摘のとおり、なくなるものと思われます。

吉井委員 それで、実は法務省の方で、日本に駐留するアメリカ兵犯罪に関する日米間の密約を裏づける法務省文書があるんです。法務省刑事局が七二年三月に作成した合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料。内容は、アメリカ兵の犯罪に対し、日本側が優先的に裁判を行う権利の大部分を放棄するよう指示している一九五三年の通達など、アメリカ側の特権事項が書いてあるんですね。

 これまで国会図書館で実は閲覧可能だったんです。ところが、法務省は国会図書館に閲覧制限をやってくださいと要請するという形をとって、この圧力によって、二〇〇八年六月下旬から国会図書館は閲覧禁止の措置になっているんですね。その批判を受けて、国会図書館も二〇〇八年十一月から、墨塗りにして一部閲覧できるようにした。

 問題は、墨塗り部分が非常に重要な意味を持っているんですが、日本側が優先的に裁判を行う権利の大部分を放棄するよう指示した箇所なんですよ。なぜ国会図書館にそういう指示をしたのか、伺っておきます。

甲斐政府参考人 御指摘の資料は、法務省刑事局において作成いたしました合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料でございますが、平成二十年五月に、秘文書でございます本件資料が国立国会図書館に所蔵され、一般の閲覧に供されていることが判明いたしました。そこで、同月、同図書館に対して、同館規則に従い利用制限の措置をお願いしたというところでございまして、六月には同図書館において閲覧禁止の措置がとられたものと承知しております。

 法務省刑事局が本件資料につきまして利用制限の申し出を行いましたのは、同資料には米国との間の協議の内容でございますとか刑事裁判権の行使に関する記載というものがございまして、公にすることにより米国との信頼関係の維持や、捜査、公判の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと判断したからでございます。

吉井委員 私、あわせて外務文書の方を見ておきたいんですけれども、砂川事件をめぐって東京地裁が五九年三月に米軍基地の存在を違憲として被告を無罪とした、有名な伊達判決というのがあります。これに関して事件の元被告が、最高裁、内閣府、外務省に、日本側の公文書を二〇〇九年三月に開示請求したんですね。これに対して三機関とも、そういう文書は存在しませんと不開示を決定しました。

 ところが、二〇〇八年四月、昨年四月ですが、新原昭治氏の砂川事件をめぐる公文書開示請求で、実はアメリカの公文書館では外交文書が見つかっているんですよ。それが出てきているんです。その中では、伊達判決をめぐる当時の、ダグラス・マッカーサー二世アメリカ駐日大使が、藤山愛一郎外相に高裁への控訴を飛ばす最高裁への跳躍上告を提案してみたり、田中耕太郎最高裁長官が大使と極秘会談を持って、短期間で判決を出す言質を得ていることなどが明らかになっております。つまり、アメリカの公文書館では全部明らかになっているんですよ。

 アメリカ公文書館には公文書が残されているのに、なぜ日本政府は存在しないと言うのか。これはおかしいと思うんですね。公文書、つまり情報を明らかにしないために、文書は存在しない、不存在だ、こう主張しているわけですよ。

 これは大臣に伺っておきたいんですけれども、先ほどの法務省の例にしても、法務省の場合には、要するに、国会図書館に、アメリカとの関係は秘密にしてください、表にしてくれるなと。一方、アメリカの公文書館では公開しているんですよ。これは本当に恥ずかしい話だと思うんですね。

 それで、特に法務省の文書についてはアメリカ兵犯罪の第一次裁判権放棄に関する通達や非公表の日米合意などが記されているんですが、日本政府の裁判権放棄の密約は、日本でのアメリカ兵を特別扱いにして、アメリカ兵の犯罪を助長させるということにもなっているんです。

 実は、これについては、日本図書館協会は、全国のすべての図書館が加盟しているんですよ、国会図書館に対して閲覧禁止措置を見直すよう要請しているんですね。国民が情報を受け取る自由を妨げる行為は、私は戦前の検閲と同じことになると思うんですよ。社会的、政治的圧力による自己規制は図書館の運営原則に反しているというふうに図書館協会は言っているんです。

 もともと図書館法では、真理が我々を自由にすると前文でうたっているんですよ。だから、法務省のやっていることは図書館法にも反するし、今回の公文書管理やあるいは情報公開にも反するし、アメリカの公文書館と比べてみても、法務省や外務省のやっていることは余りにも恥ずかし過ぎる。

 私は、こういうことについては、やはり大臣として、法務省や外務省、あるいは防衛省とか関係するところに対して、内閣を挙げて、この法律を出しているのは、公文書の管理はきちんとやりましょうと。

 外交関係がありますから、私も直ちに全部出せと言っているんじゃないんですよ。アメリカだって三十年たったら公開するわけでしょう。三十年たったものがアメリカでは公開されて、わかったんですよ。しかし、日本は、その文書は存在しないんだといううそまでついて公開しようとしない。こういうことでは公文書管理のこの法律が生かされないと私は思うんですよ。

 やはり提案するからにはこれはきちっとする、それも内閣を挙げてやるんだという姿勢を内閣として徹底していただきたいと思うんですが、これは小渕大臣に伺っておきます。

小渕国務大臣 御指摘の点に関しましては、まさにごもっともなことであるかと思います。

 ただ、他国が公開をしているから日本も全部公開しますという、一律に公開する仕組みということはなかなか難しいかと思いますけれども、やはり他国の公開事情のこともしっかり勘案しまして、可能な限り積極的な公開を進めていきたいと考えております。

吉井委員 そこで、私、最初に伺った基準の問題に戻るんです。

 日本が第三者機関を中心にして基準をきちんとつくって、今直ちに出すことが外交上問題あったとしても、例えばアメリカの場合、大体おおむね三十年たったら全部公開するわけですね。たとえそのときに恥ずかしい思いをするにしても、自由に物を言いたいという点は、恥ずかしいことを言ったために三十年先に恥をかくという人はかなわぬかもしれぬけれども、やはり公開しなきゃだめなんですよ。私は、やはりそういう姿勢を貫くことが必要だというふうに思うわけです。

 それで、不存在ということがありますから、あわせてこの機会に伺っておきますが、法律案が施行すれば不存在により開示できないという事案はなくなると理解していいのかどうか、これを伺っておきたいと思うんです。

 実は私、あらかじめ国会図書館に調べてもらったんですが、二〇〇一年は三千百五十一件が不存在になっているんですね。不開示の部分は、一部開示合わせて、全体の開示したものの中の一六・一%だったんです。二〇〇二年は九・六%、二〇〇三年は一〇・三%、二〇〇四年は一一・〇%、二〇〇五年は一六・六%、二〇〇六年が一九・七%、そして二〇〇七年度は八・七%。大体一〇%から二〇%は、情報公開を求められたら存在しませんというんですね。でも、本当に廃棄しておったらそれ自体問題なんですけれども、存在しないということを口実にして公開しないというのは、これはまた私は、公文書管理のあり方として大きな問題だと思うんです。

 そういう点では、まず今回の法律に基づいて、不存在ということを理由にして公開しないようなことはしない、させないということを最後に小渕大臣に決意を伺っておいて、質問を終わるようにしたいと思います。

小渕国務大臣 もともと、文書が存在しない限り文書管理のしようがないということでありますので、やはり何よりも文書が存在しているということが大事でありますので、不存在という事態が起こらないようにしっかり努めてまいりたいと考えております。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 公文書等の管理に関する法律案の審議が行われているわけでありますが、私は、まず公文書の目的に関して尋ねておきたいと思います。

 昨年十一月に公文書管理の在り方等に関する有識者会議の最終報告が出されましたが、その中で、「公文書の意義」について「国民の貴重な共有財産」ということが明記されています。

 ところが、今提出されております法案の目的において、この国民の貴重な共有財産という文言がないわけであります。これは非常に大きな意味を持っていると思うんですが、なぜこの国民の貴重な共有財産という文言が抜け落ちたのか、まずその点について聞いておきます。

小渕国務大臣 有識者会議の最終報告におきまして国民の共有財産という言葉を用いておりますが、これは公文書が、国民が正確な情報に自由にアクセスし、それに基づき正確な判断を行い、主権を行使するために、また、国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な基本的なインフラであるということをとらえて、このような表現をしておるかと思います。

 財産という言葉についてでありますけれども、先ほどお話をしたとおり、財産ということを法律に明記するというのはなかなか難しいということでありまして、しかし、このような趣旨を十分にこの目的の規定に反映するために「国民主権の理念にのっとり、」「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」旨を規定しておるところであります。

重野委員 私が問題にするのは、今の大臣の答弁でも、国民というのはこの中ではあくまでも受け身なんですね、受け身。この法律は、まさしく公文書、公の文書でありますが、そういう与えられるものではなくて、それらについて国民は主体的にかかわる権利を持っている、その趣旨がこの法案の目的のところに出ていないという認識を私は持つわけです。そこのところは、やはりこの法律そのものを規定づける極めて重要な要素をはらんでいると思うんです。

 この法律の主体が国民にあるんだというところがなぜもっと具体的に表現されないのか、改めて聞きます。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 国民の共有財産という御指摘でございます。確かに、有識者会議で国民の共有財産という提言をいただいたわけでございますけれども、財産という用語は、通常、金銭的価値のある権利と解されておりまして、こういう用語を本法案で規定するのは適当ではないのではないか、そういうふうに考えたことによりまして、目的規定には含めておりません。

 その一方で、公文書を適切に管理して、その内容を後世に伝えることは国の重要な責務であるということを踏まえまして、国民主権の理念にのっとり、あるいは、国及び独法等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責任が全うされるようにする。将来の国民への説明責任と入ったのはこの法案の新しい特徴でございますけれども、そういう旨を規定した次第でございます。

 そういうような規定ぶりとすることによりまして、最終報告書で国民共有の財産と記述された趣旨は本法案において反映されたのではないかというふうに考えております。

重野委員 趣旨において国民共有の財産という認識を持つのであれば、今一々説明をしなくてもいいように、国民共有の財産という文言をすたっと入れれば済むことなんですね。なぜこんな回りくどい説明をするようなことになるんですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 国民共有の財産というのは、普通は金銭的価値を持つものに対して使う言葉で、それに伴いまして分割請求権という問題が生じまして、共有財産というふうに規定しますと、国民が、では、うちの持ち分をよこせというようなことにもなるのではないかという関係方面の御指摘も踏まえて、このような文言にした次第でございます。

重野委員 今の答弁は、これは聞き捨てなりませんよ。

 知らしむべからず、よらしむべしという言葉がありますが、あなたはまだそんな発想を持っているんじゃないですか。何で共有の財産といえば金銭的なんという狭い解釈をしなければならないんですか。共有の財産というのはまさしく共有の財産であって、そういう金銭的な云々というふうな説明をあえてするというのは、僕はこれはおかしいと思う。そんな説明で、そんなスタンスでこの法律をつくっているんですか。これは法律の趣旨を規定づける極めて重要な要素ですよ、この問題は。

山崎政府参考人 公文書が民主主義の基本である、これは有識者会議の最終報告の提言をいただいたところでございまして、それに基づきまして「国民主権の理念にのっとり、」ということを規定いたしましたし、「その諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされる」、こういう文言を記述したことによりまして、我々といたしましては有識者会議の趣旨が反映されたのではないかというふうに考えた次第でございまして、民主主義の原点、また国民主権の理念というものにつきましては十分わきまえているつもりでございます。

重野委員 これは何時間やっても平行線。これは納得できません。

 次に、最終報告で、今私も触れましたけれども、「国民の貴重な共有財産」という文言が入った意味ですね。このメンバーの皆さん方が合議をして、最終的にこういう文書を作成し答申したわけですね、皆さんに出したわけです。その方々がこの「貴重な共有財産」という言葉をあえて入れたその意味を、大臣、どのように考えておりますか。

 昨年十二月十九日の政府の答弁書があるんですが、その中で「政府の活動又は歴史的事実の正確な記録は国民の貴重な共有財産であり、その記録を公文書として適切に管理・保存し、広く国民の利用に供することは、国の重要な責務であると認識している。」となっているんですね。これは政府の答弁書ですよ。

 例えば大阪市の条例では、第一条の目的に「市政運営に関する情報は市民の財産である」、このように書いているんですね。これに比較しますと、今の説明を聞けば聞くほど、もうわけがわからぬ。何でそんな回りくどいことを言わなきゃならぬのですか。大臣、この「貴重な共有財産」という文言、この意味をどうとらえておりますか、お聞かせください。

増原副大臣 委員御指摘の点、私どもお聞きしていまして、非常によくわかります。

 とかく内閣法制局というところは、これまでの事例をずっと調べまして、それで、その用語の使用が適切であるかどうかとか言ったりいたしますが、一方で、議員立法などにおきましては、どんどんと従来の慣例を破った形でもって、新しい感覚でそれを取り入れております。

 御趣旨は十分私も御指摘の点についてはわかりましたので、いろいろまた、この御審議を踏まえながら考えてまいりたいと思っております。

重野委員 我々の側も、この法案については、修正協議が進められつつありますが、そういう中でしっかり生かしていくように、そしてそれを正確に受けとめていただきたい。

 次に、法案を見ますと、目的としまして、公文書の管理と適正な保存は、行政の適正かつ効率的運営のためや、国などの国民への説明責任のためとなっております。

 冒頭に「国民主権の理念」という言葉があるのですが、いずれも主語は行政であり国なんですね。しかし、公文書は決して国や政府、時の為政者のためにあるものではない。中国の春秋時代の崔杼の例を引くまでもなく、記録は時の為政者のものではないんだ。はっきりしているんですね。日本はその点で余りにも立ちおくれているんだと言わざるを得ない。

 これは重要な点ですので、大臣の見解を聞いておきたい。

増原副大臣 ただいまの御指摘でございますが、私も二十六年間国家公務員をやっておりましたけれども、やはりこれまでの我が国の流れを見てみますと、知らしむべからず、よらしむべし、先生が先ほど言われましたけれども、かなり、まだまだ残っているなというふうに思っております。

 そういう意味で、先ほど西村委員の方から御質問がございましたが、十年おくれてのこの法律案という形になっておるわけでございまして、もっとこういうものは加速していく必要がある、それがやはり民主主義の原点ということであろうというふうに思っておりますので、我々もよくそれを拳々服膺しまして頑張ってまいりたいと思っております。

重野委員 次に、公文書管理委員会について伺います。

 公文書管理委員会というのは、まさしく文書管理の司令塔です。今回の法律は、私は、発想はいい。しかし、これが結果的に、先ほど第一の質問で執拗に聞きましたけれども、骨抜きにならないように、そのためにも、公文書管理委員会というものの位置づけというのは、これはもう極めて重要な点だと思います。

 法案では、内閣府に置く、こういうふうになっていますが、私は、その重要性にかんがみ、国家行政組織法第三条に基づく組織にするべきだというふうに思いますし、そうすることによってこの公文書管理委員会の機能がより発揮できるのではないか、このように考えるんですが、その点についてはいかがでしょうか。

増原副大臣 いわゆる三条委員会にしてはどうかという御指摘でございます。

 先生御承知のように、三条委員会は、公正取引委員会等のように、強力な権限を持って、法律で授権されてそれを執行していく、そういう委員会でございます。そういう意味では、私どもが考えております公文書委員会というのは、強力に何かを執行していくというようなものではございません。あくまでもいろいろな形でもって企画立案に対してアドバイスをしチェックをする、こういうところでございます。

 そういう意味で、このたびは内閣府のもとにこの委員会を置いたわけでございますが、実は、消費者庁のときも、消費者庁、今参議院で審議していただいておりますが、その消費者庁のもとに消費者委員会を置いたのでは弱いではないかという御指摘がありまして、それは消費者庁とは別に、こちらの内閣府の方の委員会という形で、ある意味では対等な形にいたしました。

 このたびの場合は、それとはちょっと様子を異にしておりまして、先ほど申し上げましたように、三条委員会というような強力な執行権を持ってやるようなものではないという点につきまして御理解を賜ればと思う次第であります。

重野委員 以下また質問しますが、そのことがあるからこそ、私は三条委員会にすべきだということを提案しているんですね。

 以下述べてまいりますが、この公文書に関する法律案が出てきたきっかけというか理由というか、その一つに、例えば、年金記録の紛失、肝炎患者のリストの問題、これが放置された、あるいは、卑近な例では、自衛官の航海日誌の誤廃棄など、文書管理のずさんさが表面化してまいりました。

 単にずさんであるだけ、あるいは意識の欠如であるのならば、制度を整備し、教育訓練を行えば対応できると思うんです。しかし、数々の文書廃棄などを見るにつけ、そこには意図的な怠業や廃棄があったのではないか、こういう合理的な疑いが残るんですね。

 そこで、尋ねますけれども、今回のこの法整備で意図的な怠業だとか廃棄を防ぐことができるんでしょうか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のこれまでの不適切な文書管理の事案を踏まえまして、本法案では、再発防止に資する措置を盛り込んでおります。

 例えば、文書未作成事案の再発を防止するためには、行政機関の意思決定に関します文書作成原則を法定化いたしまして、適正に文書を作成することを明確化いたしました。これは第四条でございます。

 また、文書の倉庫への放置などのずさんな文書保存の再発を防止するためには、適切な保存と利用を確保するための保存義務の明確化、第六条でございます。

 また、文書管理状況の内閣総理大臣への定期的な報告、また内閣総理大臣による実地調査を実施する権限を第九条第一項及び第三項に規定してございます。

 さらに、保存期間満了前の誤廃棄の再発防止のためには、保存期間満了前にあらかじめ移管または廃棄の措置を設定させる、これがレコードスケジュールでございます。第五条第五項でございます。

 また、その状況を、定期的な内閣総理大臣への報告でありますとかあるいは内閣総理大臣の実地調査により確認する仕組みとしております。これが第九条第一項及び第三項でございます。

 これらの仕組みによりまして、行政機関の文書管理は抜本的に改善されるものと考えております。

重野委員 違反した場合の罰則はどうなっているんですか。

山崎政府参考人 不適切な公文書管理を行った職員につきましては、国家公務員法第八十二条に基づきまして、その事案によっては免職も含めた懲戒処分が可能となっております。この懲戒処分は、刑罰と異なりまして時効がないということでございますから、職員の身分を有する間は相当過去の事案でも処分することが可能となります。

 なお、公文書管理にかかわる刑罰といたしましては、刑法におきまして、公務所で用いる文書を毀棄した者を三カ月以上七年以下の懲役に処する公文書毀棄罪、刑法第二百五十八条が規定されております。

 そういうことを踏まえまして、本法案では、直接、改めて罰則を規定しなかったところでございます。

重野委員 アメリカの連邦記録法での罰則規定はどうなっているんですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 米国におきましては、合衆国法典第十八編、刑事及び刑事訴訟という節の中に規定がございまして、合衆国裁判所の書記官あるいは公務員に対しまして、または合衆国の公的機関、司法官、公務員に対して提出もしくは寄託された記録等を消滅、破壊、毀損等、そういう意図を持って持ち去る者は、罰金または三年以下の懲役あるいはその両方を科せられる、こういう規定になっております。

重野委員 次に、前後して恐縮ですが、公文書の定義について尋ねますけれども、第二条に、「不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの」「を除く。」となっておりますが、除かれた理由は一体何なんでしょうか。これらも公文書の一つだというふうに私は認識するのでありますが、いかがですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 行政機関あるいは独立行政法人等が発行いたします出版物を含めまして、不特定多数の者に販売する目的で発行された図書等につきましては、一般に、容易に入手、利用が可能であるところでございます。一方、こうした文書につきましては、随時、定期的に新たな版が出版されることが多く、一般の行政文書、法人文書と同様の管理を義務づけることは、新たな取得のために分類、保存期間等の設定を行う必要が生じるなど、行政機関や独立行政法人等の事務負担の面から問題があると考えまして、またその実益も乏しいことから、本法の目的の一つであります行政運営の効率化にも反するではないかというふうに考えた次第でございます。

 なお、行政機関でありますとかあるいは独立行政法人におきまして、業務上の必要性から保有されております文書、雑誌等につきましては、主として特定部分、その組織の業務に関係する記事でありますとかそういう部分を抜粋して用いられることが多くなっておりますけれども、そうした文書につきましては、当然、行政文書として管理されることになる次第でございます。

重野委員 同じように、今度は、今まではいわゆる国あるいは地方がやっていた、それが、今この民営化の流れの中で民営化された企業というのもたくさんあるわけですが、その民営化される以前の文書、これについてもしっかり管理すべきだと思います。まず、その点についてどうなっていますかということが一つ。

 また、公益法人や民間企業であっても、国の補助金など公金による業務でつくられた文書、たくさんあると思うんですね。それも含むべきだと考えますが、その点についてはいかがですか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、国民への説明責任を全うするために、一定の文書につきまして公文書等と定義して各種の管理ルールのもとに置くものでございます。

 民営化以前に公社やあるいは特殊法人等であった企業が有する文書については、かつて公的な性格を有していたといたしましても現在は民間企業であることから、民間企業になってしまったものにつきましては、行政機関が有する文書同様の公文書等とすることは適当ではないと考えております。

 ただ、今回、法案におきまして、民間におきます歴史的に重要な文書を国立公文書館に寄贈できる、そういう規定は設けておりますので、その規定に沿って、重要な文書が適切に入るように要請あるいは努力することは可能であると考えております。

 次に、お尋ねの二点目でございますけれども、補助金など公金で行う文書でございますけれども、これにつきましては、当該支出を行いました行政機関におきまして、事業終了後に必要な文書を取得することが通例でございまして、それを取得した時点で当該行政機関の行政文書になると考えております。これは、独法につきましても基本的に同様でございます。

 その一方で、公金を支出して行われる事業はさまざまでございまして、例えば研究者への補助金でありますとか、さまざまでございますので、当該事業に関して支出先において作成された文書をすべて行政文書と取り扱うことは必ずしも適切ではないのではないかというふうに考えている次第でございます。

重野委員 関連して、法案の第四条には、「軽微なものである場合を除き、」という文言があります。

 この「軽微」を理由に文書が破棄されることが起こるんじゃないか。とりわけ、先ほどの意思形成にかかわる資料が「軽微」として廃棄されることを私は危惧いたします。その点についての見解を。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 法案第四条におきまして「処理に係る事案が軽微なもの」というふうにされておりますのは、行政機関内部におきます日常的な業務連絡でありますとか、あるいは所管事項に関します簡単な照会等、作成しなくても国民への説明責任あるいは業務遂行の観点から支障が生じないものを想定しております。

 これらにつきましても文書の作成を義務づけることは、行政機関の事務負担の面から考えて、あるいは実益的にも乏しいのではないかというふうに考えている次第でございます。

 なお、政令等におきまして、作成、保存すべき文書の範囲について規定することとしておりまして、その中で、「処理に係る事案が軽微」という判断基準を具体的に盛り込むことを予定しております。

 以上でございます。

重野委員 時間が来ましたから、通告をずっとしておりましたけれども、行きませんでした。ただ、今の答弁を聞いた感想なんですけれども、せっかく我が国の公文書に対する情報開示の流れの中で、先ほど逢坂委員も外国の例を報告していましたけれども、やはり、今の答弁を聞いていると、公文書を国民に広く開示するという精神が乏しいと私は思うんですね。まだまだ、抱え込んで、知らしむべからず、よらしむべし、やはりそれがあるんだと実感しますよ。

 だから、今、議員の方でそれぞれ修正の協議もあると思うんですが、私は、所轄として、もっと幅広に受け入れて、本当に情報公開、開かれたという文字どおり、そういうふうな関係をこの際しっかり構築していくという基本的な立場に立って取り組んでもらいたい。そのことを要望しまして、通告しておったのにもかかわらず、そこまで行き着かなかったことはおわび申し上げまして、私の質問を終わります。よろしくお願いします。

渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。上川陽子君。

上川委員 午前中に引き続いての午後ということで、一時間質問をさせていただきます。自由民主党の上川陽子でございます。

 本日、いよいよ、公文書管理法案、この内閣委員会で審議をされる運びとなりました。渡辺委員長を初めとして理事の皆様、また委員の皆様の御努力に心から感謝申し上げたいというふうに思います。また、この日をある意味では注目していた、きょう傍聴席にもたくさんの方がいらっしゃっていますが、大変関心を持ってフォローしていただいておりまして、そうした皆様に対しても心から感謝申し上げたいというふうに存じます。

 我が国の公文書管理の実情を大変憂えて、またその改革に並々ならぬ熱意を持って取り組んでこられました福田前総理が本法案の一日も早い成立を待ち望んでおられるということを思うと、昨年二月に、福田総理から初代の公文書管理担当大臣を拝命した私といたしましては、本日、このような形で質問をさせていただく機会をいただきましたことに、心から感謝を申し上げたいというふうに存じます。ありがとうございます。

 それでは、一時間ということで、きょうは、小渕大臣また副大臣、政務官、よろしくお願いをいたします。

 まず、総論的な話でございますが、我が国の公文書管理に取り組むのに際しまして、基本的な考え方ということで三点ほどお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、第一の項目につきましては、公文書の意義についてでございます。

 昨年の三月に、尾崎座長のもとで公文書管理の在り方等に関する有識者会議が開かれたわけであります。会議は、すべて公開のもとで、計十二回に及ぶ大変熱意のあふれる審議が行われまして、最終的に、十一月に最終報告という形で取りまとめられました。実は、そのタイトルでございますが、「「時を貫く記録としての公文書管理の在り方」 〜今、国家事業として取り組む〜」というこのタイトルでございますが、私の提案を受け入れていただくことができまして、大変ありがたく思っております。

 このタイトルの思いということでございますが、論語に、我が道は一をもってこれを貫くという言葉がございます。孔子は、人の心の中には確固とした理想があり、その考えは一つに統一されている、まさに孔子の人生観でございます。こうした人としての人生観と同じように、国としての国家観という哲学もやはり貫かれていなければならないのではないか。公文書は国の営みの記録でありまして、過去、現在、未来を貫く国の背骨としての役割を果たすものであり、また常に国民の皆さんのアイデンティティーのよりどころでもあります。そういう意味では、国民共有の財産として大変大きな役割を担うものである、そんな思いを込めてつけさせていただきました。

 国民が国の活動記録に自由にアクセスし、また判断をし、また主権を行使する上で、この国の活動や歴史的事実の正確な記録である公文書、これはまさに時を貫く、重要な、民主主義の根幹を支えるインフラとも言えると思います。有識者会議のスタートに当たって、こうした国の活動の記録を公文書として十全に管理、保存し、作成から利用までのライフサイクルを通じた公文書管理法制を確立し、また二十一世紀にふさわしい公文書の管理システムを構築すること、これが国の責任である、こういう問題意識で最終的な報告書に至ったというふうに理解をしております。

 官房長官であられました福田総理は、官房長官時代から大変熱意を持って取り組まれてこられた。また、小渕大臣におかれましても、与党の公文書管理を推進する議員連盟の事務局長として御活躍であったということ、まさに、大変、時の重みも含めまして、いろいろな思いを感じるところでございます。

 最終報告にも、今申し上げたようなことも含めまして、公文書の意義についてしっかりと書き込まれているということでありますが、小渕大臣から、公文書の意義につきまして改めて御所見をいただきたいというふうに思います。

小渕国務大臣 公文書は、民主主義の根幹を支える基本的なインフラであります。過去、歴史から教訓を学ぶとともに、未来に生きる国民に対する説明責任を果たすために必要不可欠な、国民の貴重な共有財産と認識をしております。そして、これを適切に管理し、後世に伝えていくことは国の重要な責務であると考えております。

 そのために、今般、統一的な行政文書のライフサイクルを通じた管理ルールや歴史公文書等の保存及び利用のルール等について定める本法案を提出させていただいたところであります。

上川委員 公文書の意義につきましては、大変大事な国民の共有財産であるという認識については、今小渕大臣からのお話のとおりでございます。そのことも含めて、本法案におきましての目的の規定の中にもしっかりと書き込むべきではないかというような声も実はいただいておるんですけれども、このことにつきましては、私は、法律の持っている趣旨に照らして考えれば、でき得る限り、最終報告の趣旨も生かしつつ、また今大臣が御指摘いただいたことの大変大事な心髄のところを目的の中にしっかりと書き込んでいくということは大変大事なことではないかというふうに思っております。その点について指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、第二点でございますが、今も、行政機関の中でもあらゆる意思決定がなされ、またそのためのさまざまな活動の文書が作成されているところであります。法制度の改革がなければ文書管理の改善が図られないという趣旨のものでは全くないので、今も各省庁あるいは担当のところでしっかりと文書を残していくということ、これは大変大事なことではないかというふうに私は思っております。

 法制度の改正がなければ一歩も進まないという趣旨のものではなく、それを待たずとも、やるべきことは改善努力を惜しみなくやり続けるということ、この姿勢が非常に大事ではないかというふうに思っておりまして、その際、さまざまな文書管理の取り組みには差があるということでありまして、いいモデルもある、いい事例もあるということ、このいい事例をできるだけモデルにしながら、本気で取り組んでいただきたい、こういうことをぜひ強く申し上げたいというふうに思っております。

 私は、昨年、大臣就任早々に、十九の省庁を視察いたしました。一時間の予定というところを大幅に上回って、かなり細かく現場の中を拝見させていただきまして、省庁によっては、ああ、しっかりやっているなというふうに思うところもあれば、ずさんな管理で、これで仕事がやっていけるのかというような気持ちになるところもございまして、今のこの枠組みの中でも取り組みの実態にはかなりの差があるなという思いでございました。

 そのほかには、国立公文書館はもちろんのこと、地方の公文書館にも行かせていただきましたし、また、満鉄の記録を保存しているアジア経済研究所にも行かせていただきました。また、映像記録という意味では、NHKのアーカイブスにも行かせていただきましたし、また、日本銀行の文書管理、また、アーカイブという形で整備している現場につきましても視察をし、意見交換をさせていただきました。

 こうした各事例の中には学ぶべきことはたくさんあるということであります。しかし、同時に、先ほど申し上げたように、ずさんな管理で、ある意味では、適切な意思決定ができないのではないかと思うような場面も幾つか遭遇し、また、事実、この間の事例の中でも不適切な文書関連の事例も発生しているところであります。「とわだ」の航海日誌の誤廃棄の問題、記憶に新しいものでございますが、C型肝炎関連資料の倉庫への放置の問題、また、装備審査会議の議事録の未作成の問題、次から次へとこうした文書の作成及び保存、管理にかかわる問題が発生してきたということも事実であります。

 つまり、ずさんな管理の状況というのは、全体として見れば、すべてではないにしても、大変厳しい状況に置かれているところがあるということ、これはやはり直視していかなければいけないというふうに思っております。と同時に、いい事例のモデルについては、率先してこれを共有化し、また努力をし、改善努力に向けてこうした事例をうまく活用していくということも大事ではないかということは、先ほど申したとおりであります。

 そこで、文書管理の改善努力、公文書管理担当という形で任命をされてから、全体的に見ると一年と数カ月たっているところでありますが、この間の改善努力は大変私も気になるところでありまして、このことについての取り組みの最近の状況についてお伺いしたいというふうに思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 法律を待たずにすぐにできる取り組みというのは、上川先生御指摘のとおり、非常に重要だと我々も認識いたしまして、公文書管理の在り方等に関する有識者会議の報告をいただいた以降直ちに、小渕大臣が、閣僚懇談会におきまして、法制化を待たずに取り組み可能なものについて対応をいたしました。これは二十年の十一月七日でございます。その後、同じ二十年の十一月二十五日に、行政文書・公文書等の管理・保存に関する関係省庁連絡会議の申し合わせをいたしまして、そこにおきまして、行政文書の作成、保存場所、移管、管理体制等について、法制化を待たずに取り組むべき事項について各省庁に依頼いたしました。

 また、工夫した取り組みを行っております省庁の事例を参考として対応するため、文書管理に関する優良事例集といったようなものを配付いたしますとともに、情報共有のための連絡会議の開催、各府省への研修といった取り組みを実施しているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを通じまして、さらなる文書管理の徹底と移管の促進に努めてまいりたいと考えております。

上川委員 制度的というか、取り組みについて体系的に取り組まれているということに対して、気になっていた者としては大変よかったというふうに思うんですが、しかし、実態が本当に動いているのかどうかということも大変気になるところであります。

 そういう意味で、私も実態を見にということで現地視察をさせていただいたところでありますが、デスクのところで打ち合わせをしていたときの表現ぶりと現実の間には大きなギャップがあるという印象でありまして、小渕大臣あるいは副大臣、政務官、どなたでも結構でありますが、そのことが現実にしっかりと運用されているのかどうか、これを、十九省庁とは言いませんが、ぜひ、問題先につきましては十分に視察に行っていただきたい。そして、そこでしっかりと、言ったこととやっていることの違いということを指摘していただきまして、よりレベルアップができるように指導力を発揮していただきたいというふうに、これはお願いでございますが、よろしくお願いしたいと思います。

 第三点目でありますが、私は、公文書管理の改革というのに当たりましては、やはり職員の皆さんの徹底した意識改革が大前提ではないかという思いでありました。意識改革なくしてあるべき文書管理の実現はあり得ないと言っても過言ではないとさえ思っております。

 しかし、公文書の重要性についてはまだまだ意識が低いということでありまして、今のような取り組みをしていただいていたとしても、まだまだお一人お一人のところまでしみ通っていないのではないか。また、同時に、文書管理のスキルという意味でも、十分であるかどうかということについては甚だ疑問であるというふうに思っているところであります。

 また、文書管理を徹底していくと仕事がふえるというような大変後ろ向きなとらえ方もあるということでありまして、文書管理はむしろ業務の効率を上げていく大変大事な手段である、ぜひこういう前向きなとらえ方で文書管理の実態を上げていただかなければいけないというふうに思うところであります。

 そこで、私は、一人一人が御自分の仕事、つまり国の大変大事なさまざまな意思決定に資する事業を進めていくためのこの仕事に対して誇りを持って取り組む、そしてその記録については堂々と残していただく、このことが大事だというふうに思うわけであります。後世に恥じない、公に奉仕する、公の仕事としてのその誇りをぜひ持っていただきたいし、それを堂々と記録として残していただくということが大事ではないかというふうに思うわけであります。

 そこで、統一したルールによる文書の作成、保存また管理のスキル向上のためには体系的な研修がやはり不可欠ではないかというふうに思っておりまして、この文書管理の研修を十分に経た上で、現場の中で文書管理をしていただく過程の中で、人事考課の評価対象の一つに加えてもいいんじゃないかというふうに思うぐらい大事なものではないかというふうに思うわけであります。

 そうしたことも踏まえまして、職員の徹底した意識改革についての今後の方策につきまして、副大臣から御答弁をお願いいたします。

増原副大臣 ただいまの、職員の意識改革でありますが、私も二十六年間行政官をやっておりまして、振り返ってみまして、文書管理といいますと、今の財務省、前の大蔵省なんかは文書課というのがあるんですね。省内の分については大体そこが全部やるんですが、やはり日が当たるポストとはとても言えないというところがありました。

 一方において、私も主計局で勤務いたしましたが、そこに法規課というのがあるんですが、そこでは、財政法とか会計法、これに照らして当該支出が適正かどうか、違法性はないか含めまして、過去の事例も含めて、全部各予算係から上がってくる相談事をきちっと起承転結調べて、そして結論を出してやるんですね。各省庁から来る場合もあります。これは毎年毎年きちんとしたファイルになっていまして、別冊にしてつくってある。目次集は事項ごとにずっと毎年毎年できていくという感じなんですね。

 だから、きちっとなっているところとそうでないところの格差は物すごく大きいんだろうというふうに思います。これをどのようにして充実していくか。

 一つは、人事考査の面で、今上川委員言われたように、もう少し日の当たるようなものにしていく、これも大事なことだと思います。一方で、要は、この法案、これが通れば、やはり、この公文書管理の大切さ、ただ単に過去のものとして整理していくというだけじゃないので、自分たちが働いた、公務員として働いたときのあかしですよね。よくCMか何かで、お父さんがあの橋をつくったんだよというので、目に見える形でというので、子供たちをそこへ連れていくとかありますけれども、そういう意味では国民全体から見ての大変な記録になるんだというふうに私は思っています。こういうところからしっかり公務員、職員の方々の意識を変えていかなくてはいけないということだと私は思っております。

 もとより、昨年十一月の閣僚懇談会におきまして、小渕大臣から各大臣に、職員の意識改革についての指導、これの徹底についてお願いをいたしました。

 先ほど事務当局から答弁させましたように、進んでいるところは進んでいるのでございますが、いずれにしても、この法律を通すことが職員の大変大きな意識改革になる、そのように私は思っております。これを通していただければ、その後に統一的な政令によるルールづくりもあります。さらには、今度は、もちろん内閣府と協議しながらでありますけれども、各省庁が文書管理規則というものをしっかりつくっていく、このあたりでもってその重要さというのが徐々に浸透していく、そういう意味で新たなこの立法の意義は極めて大きい、そのように私は思っております。

 加えて、平素より余りやっていないと言ったらおかしいですが、おろそかになっている研修などにつきましても、どういうふうにやればその充実が図られるかについてまた検討を重ねてまいりたいと思います。

上川委員 私は先ほど、公務員の皆さんが堂々と記録を残してほしいということを申し上げましたが、そのことは、国民の共有財産としての公文書、つまり国民がそれにアクセスするということでありますので、そうした面からも大変大事な問題であるということで、そういう意味でも、職員の皆さんの意識向上を前提としてスキルを上げていくということについては、法案成立後、体系的に取り組んでいただきたいというふうに御要請を申し上げたいと存じます。

 それでは、次に、法案の幾つかのポイントにつきまして御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、日本の公文書管理、特に歴史公文書としての移管、廃棄ということについては、他の国と比べても大変見劣りをするということで、よく問題になるわけでありますけれども、移管率の現状につきまして、これは省庁別にかなり違いがあるということでありますので、そのことも踏まえて、移管率の現状についてまずお伺いしたいと思います。

山崎政府参考人 各府省から国立公文書館に移管される公文書等の移管率でございますけれども、年度によって若干のばらつきがございますけれども、府省全体といたしましてはおおむね〇・七%程度であったところ、平成二十年度には一%程度になったというふうに承知しております。

 省庁別の状況につきましては、省庁それぞれに事情が異なるところでございますけれども、例えば農林水産省からの移管数は、平成十九年度に約千二百冊であったところ、平成二十年度は約四千冊が移管されるなど、移管促進に熱心に取り組んでいただく事例も出てきているところでございます。

上川委員 ただいま、〇・七から平成二十年は一%という御指摘でございまして、その中でも農林水産省の移管率が、例示的ではありましたけれども、アップしたということであります。

 このアップした理由でございますが、私も大臣就任中に、若林大臣が、農林水産関係の、特に戦後の農地改革の広報資料というものが大変各地域に、地方に残されていた、これを移管したいと決断をなさったということで、これを受けてもしかしたら移管率が高くなったのかなというふうに推察するわけでありますが、この点はいかがでございましょうか。

山崎政府参考人 確かに、上川先生が大臣のときに、若林農水大臣といろいろと調整をしていただきまして、それが移管率向上の大きなきっかけになっているのではないかと思っております。

上川委員 トップの決断というのが大変大事だなということを改めて痛切に感ずるわけであります。そのときには決断をして指示したということまでは承っておったわけでありますが、実際にこうした形で移管率が、若干ではありますけれども、他の省庁と比べては高くなっているということについては、これは非常に大事な点ではないかというふうに思うんです。

 他の省庁も、恐らく、そのまま余り変わらないところもあれば、また著しく移管率が高まった省庁もあろうかというふうに思いまして、そうした移管率のアップがどういう要因で達成されたのか、ここにつきましてはまたきめ細かなフォローをしていただきたいというふうに、これはお願いでございますが、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、そうはいっても、平成二十年の一%というこの状況は、私は、他の国々の公文書の移管状況あるいは公文書の管理の実態から照らしてみても、必ずしもレベルの高いものではないというふうに思うわけでありますが、他の国々の公文書の移管状況につきましても、比較の中でどう考えているのか。またさらに、この法律が制定されて、できるだけ高い比率で移管していただきたいというふうに思うわけでありますが、大体どのくらいのパーセンテージで現用文書から歴史公文書としての移管をすべきと考えるのか、この辺の見通しにつきまして、今の段階の御見解をお願いしたいというふうに思います。

山崎政府参考人 上川先生御指摘のように、諸外国におきましては、我が国より移管率がかなり高くなってございます。

 問い合わせへの回答によるものでございまして、厳密な統計数字ではございませんけれども、例えば米国におきましては二、三%、カナダも同様でございます。なお、米国につきましては、昨年秋に中山恭子大臣がアメリカのNARAに行かれたときに、ワインシュタイン長官から、はっきり二、三%だという数字を得られております。そのほか、イギリスが五%、ドイツが五から一〇%。それに比べまして、我が国におきましては〇・七あるいは〇・八というのは極めて低い、今は極めて低いというのが現状でございます。

 そういうことで、本法案が仮に通って、適正な文書管理が行われ、適正な移管が行われた場合について、推測することはなかなか難しいわけでございますけれども、アメリカが二、三%ということでございますので、最終的にはそういう方向になるのではないかなというふうに推測をしているところでございます。

上川委員 移管率が高まる理由の一つとして、先ほど、トップの大きな決断だということもありますし、また、いろいろな要素がかかわるわけでありまして、その中の大きな柱が文書管理のこの法律の制定ということになるわけであります。

 私は、今回の仕組みの中で特に注目している取り組みとして、レコードスケジュールを導入したという点に注目をいたしておりますし、これは大変画期的なものではないか、つまり、移管率を高め、また文書を大切に利活用していくための大変大きなツールになるのではないかというふうに思っているところであります。

 レコードスケジュールについては、各国でその内容は差があるとはいえ、何らかの形でこうした取り組みをしている国がほとんどだというふうにも承っているわけでありますが、今回我が国でこのレコードスケジュールを導入する意義につきまして、そして同時にその内容について詳しくお伺いしたいというふうに思います。

 あわせて、有識者会議におきましては立法府と司法府の文書の移管についても議論されてきたわけでございまして、今回の法案ではこの点についてどのような規定をされているのか、そして今後この立法府、司法府の文書の移管についてはどのように検討をしていくつもりなのか、この点につきましてもあわせて御答弁をお願いしたいと存じます。

並木大臣政務官 先生の御指摘のように、レコードスケジュールというのは、個々の文書ごとにライフサイクルをあらかじめ定めるというものであります。

 これまでは、移管、廃棄の判断というのが、保存期間を満了するときに、短期間に慌ただしく行われてきたという実態があります。そういう意味で、今回この法案でこのレコードスケジュールを導入したことによりまして、行政文書の保存期間満了前に、必要に応じて国立公文書館の専門家のサポートを受けつつ、各省庁において移管または廃棄の判断を行っていく。そして、その上で、歴史公文書等に該当するものはすべて国立公文書館へ移管されるということになっておりますので、歴史的に重要な文書がこのレコードスケジュールによって国立公文書館等へ確実に移管されるということになると考えております。

 立法府と司法府の文書の移管についてでございますけれども、これは、それぞれの府に事情とか判断もあります。三権分立というところから、義務的にこの協議機関を設けるということは、今回、ちょっと現時点ではできなかったわけですけれども、合意を得ながらお互い協議して定めをつくり、そしてその定めに基づいて、国立公文書館において保存する必要があると認める場合には内閣総理大臣が移管を受けることができるという旨も規定しているところで、これは十四条でございますけれども、そういう規定がございます。政府としましては、この規定に基づいて、立法府、司法府の保有する歴史公文書等が適切に保存されるよう積極的に取り組んでまいろうと思っております。

 現在、司法府から大学等に、判例等司法府の文書が配付されている、そうしたものは今度直接的に受けることができるんじゃないか、現在そういったところの協議も進んでいるところであります。

上川委員 ありがとうございます。

 ただいまの御説明でいきますと、レコードスケジュールについては、これまでの仕組みでいきますと、最終的に移管、廃棄というステージになったときに初めてそのことが決定される、合意されるということ、しかし、レコードスケジュールという制度を導入することによって、文書の作成の早い段階でこの道筋をあらかじめ決めておくということだというふうにおっしゃったと思うんですが、具体的に、文書が作成された後のどのような段階でこのレコードスケジュールが決められるのか、このことについて政府の方からよろしくお願いしたいと思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 レコードスケジュールにつきましては、できるだけ早く設定したいと考えております。また、設定された後は、行政文書ファイル管理簿に記載されますし、また定期的に内閣総理大臣への報告が行われますとともに、公表も行います。そこで明らかになるわけでございます。そして、この報告を受け、移管、廃棄の設定に仮に問題があると考えられる場合には、内閣総理大臣が実地調査あるいは勧告を行いまして改善を図る仕組みとなっておりますので、これらの手段を総動員することによりましてかなりの改善が図られるのではないかと考えております。

上川委員 このレコードスケジュールのところにおいては、法文上はどのような記述がなされているのかということについて回答をお願いします。

山崎政府参考人 第五条の第五項に規定がございまして、「行政機関の長は、行政文書ファイル及び単独で管理している行政文書について、保存期間の満了前にあらかじめ、保存期間が満了したときの措置として、歴史公文書等に該当するものにあっては政令で定めるところにより国立公文書館等への移管の措置を、それ以外のものにあっては廃棄の措置をとるべきことを定めなければならない。」という規定でありまして、法律上は保存期間の満了前と。

 これは、読みようによっては保存期間満了前に設定して事足りるというふうにも読めないわけではないんですけれども、そこは、毎年内閣総理大臣に実施状況を報告することになりますので、保存期間満了前までぐずぐずしているようでは内閣総理大臣の実地調査とかあるいは改善が入るということで、実質的には作成段階のできるだけ早い段階でレコードスケジュールが振られることになるのではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

上川委員 今の御指摘、つまり、立法の趣旨としては、作成された時期にできるだけ近いところでレコードスケジュールが付与されるという趣旨であって、満了前にあらかじめという、こちらの、移管、廃棄のところに近い時期に決定をされるという趣旨ではない、こういう理解でよろしゅうございますか。

山崎政府参考人 上川先生御指摘のとおりでございます。

上川委員 そうしますと、作成の早い時期にレコードスケジュールが決められるということでありまして、そういう意味では大変安心して、つくってそして保管していくというプロセスが流れに乗る、こういう仕組みになろうかと思います。

 ただ、その満了した後に廃棄するのか、あるいは歴史公文書であるのかどうか、この判断を、できるだけマニュアルにのっとって、一律に、統一的なルールで決めていくべきと私は思いますけれども、仮にこれがなかなか難しい判断だという場合の対応につきましては、ここは専門的な知見が大変大事ではないかというふうに思うわけであります。

 この点については新しい法制度の中ではどのような工夫がなされているのか、よろしくお願いします。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の点は極めて重要な点でございまして、内閣総理大臣への報告、実地調査、改善勧告、そしてそれには公文書管理委員会の専門家が関与する仕組みとなっておりますので、そういう専門家の支援を得ながら、また国立公文書館の専門家もフェーズ、フェーズで専門的な支援を行うことになっておりますので、そういう専門家がいろいろな文書管理段階の段階ごとに関与していただいて、文書管理担当機関としてしっかりと運営できるような仕組みをつくっていきたいと考えております。また、そのような仕組みで法案を作成した次第でございます。

上川委員 各府省の文書管理が進まない原因の一つとして、文書管理が各省に任せられておりましてルールがまちまちではないか、こういう御指摘がございます。今回の法案で、ルールについてまちまちであることが考えられるというこのことについてどう改善しているのか。

 また、コンプライアンスはどう図られるのか。

 特に、作成すべき文書に関しては、意思決定の結果だけではなく、その意思形成過程についてもきちんと文書が作成されるべきと考えているわけでありますが、この法案の中ではこの点に関してどのように確保されているのか。御答弁をいただきます。

山崎政府参考人 確かに、最近問題になった事例を見ますと、文書管理が各省任せ、あるいは各省によって文書管理の実態がばらばらであるというような点も明らかになった次第でございます。そういう反省を踏まえまして、この法律では、従来各省ばらばらに文書管理規定を定めていたものを、今度は、政令で各府省統一的な基準を作成し、その統一的な基準の範囲内、そしてその統一的な基準にのっとりまして各省庁で文書管理規則を定めるという仕組みにしたところでございます。

 それでも、各省庁統一的な運用ができるかというような心配もあったものですから、これは普通は、各省庁の文書管理規則は省令でございますので、その大臣で判断していただくのでございますけれども、この法案では、そういう省令を定めた場合、事前に内閣総理大臣に協議して、内閣総理大臣が承認する、そういう仕組みになっております。そういうことで、省令におきましても、各省ばらばらな対応にはならないのではないかというふうに考えております。

 また、お尋ねの第二点目、コンプライアンスの確保でございますけれども、そこも、各省に任せっ放しではなかなか統一的な運用、改善が得られないではないかという点に立ちまして、まず、各省でしっかりと御自分の文書管理の実態を調査していただきます。そして、毎年度一回、内閣総理大臣に報告していただきます。それに問題があると思われる場合には、内閣総理大臣が実態調査をいたします。そして、実態調査で問題があるという場合には、公文書管理委員会に諮問して、御意見を聞いた上で勧告をする、これがコンプライアンスの仕組みになっております。

 また、文書の作成、これは第四条でございますけれども、事務事業の実績あるいは意思決定過程をわかるように書くということで、これは有識者会議の提言を踏まえて、ただ、法案作成の過程で、法律の条文としては有識者会議そのままの言葉とはなっておりません。しかしながら、有識者会議の報告書をもとにこの法案をつくったわけでございまして、当然、有識者会議の御提言を反映して法体系を築き上げるというのはもちろんでございますので、今後、政令で定める詳細な基準につきましては、公文書管理委員会で御議論いただいた上で決定されるわけでございますけれども、この有識者会議の趣旨が最大限生かされるようにしていきたいと考えている次第でございます。

上川委員 コンプライアンス、大変大事なことでありますので、今御指摘があったとおり、この仕組みがしっかりと国民に理解されて、そして、これが透明性の高いところで運用されることを強く要請したいというふうに思います。

 また同時に、文書作成については、意思形成過程も含めて作成義務があるというふうに理解しておりますけれども、この点も確認をさせていただきたいというふうに思います。再度、答弁をお願いします。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 昨年十一月にいただきました有識者会議の最終報告では、意思決定過程や事務事業が合理的に跡づけられるように文書を作成すべきといったような御提言をいただいております。それにのっとりまして、この法案、そしてそれに基づく政令で、最大限それを尊重して規定するということを考えております。

上川委員 次に、集中管理につきまして質問をさせていただきます。

 私は、この集中管理ということについて、実は現場の視察の中で大変印象深かった事例がございました。これは人事院の視察の場でありましたけれども、保存期間三年以上の文書につきましては、原則、主管課において一年間保存した後に文書管理担当課に引き継いで、文書管理担当課において集中管理をしている、こういう事例でございます。

 先ほど増原副大臣の話に主計局という話もありましたし、各業務によっても違いがあろうかと思いますけれども、一定の年限が来たら原則すべて集中管理にしていくという形で原課を離れるということ、このことは、文書の自立というか、そういう意味でも大変大きな制度になり得るのではないかというふうに思ったところであります。

 最終報告におきましても、「長期保存される文書を中心に、統一的な管理を推進することにより、組織の改編・廃止があった場合も含めて、ファイルが、劣化・散逸等しないようにする。」ことが提言されているところであります。同じ省の中でもさまざまな形で局や課が統廃合されたりということが起きるわけでありますので、その際の措置としても、一定の年限が来たところで集中管理の方向にでき得る限り持っていく、そういう意味での集中管理のシステムというのは大変重要というふうに考えておりますが、この点につきまして、本法案でどのように確保されているのか、お伺いをいたします。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、有識者会議の最終報告におきまして、集中管理の推進につきまして御提言をいただいたところでございます。これを受けまして、この法案の第六条におきまして、「時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所」における保存義務を定めております。

 若干持って回った言い方というような判断もあるかもしれませんけれども、この時の経過というのが、大体、文書というのは各府省の原課、要は何々局何々課というところで保存されるわけでございますけれども、そこは、一定期間終了後、文書管理の統括課に移すというようなやり方もあるでしょうし、また、同じ法案の国立公文書館法第十一条第一項第二号等におきまして、国立公文書館において中間書庫業務を行うことができる規定を設けているところでございます。

 ただ、こういう、ややちょっとおっかなびっくりのような、義務づけまでは至っていない規定を置いておりますのは、この中間書庫を仮に設けるとなりますとかなり経費がかかる話でございまして、内閣府といたしまして、おととしぐらいからこのパイロット事業を始めたところでございますので、そこは引き続き検討すべき点もあるということを踏まえまして、こういう条文になっている次第でございます。

 さらに、昨年十一月の関係府省連絡会議におきまして、「作成又は取得から一定期間が経過した行政文書ファイルについて、文書管理担当課による集中管理の実施について検討する。」ということを申し合わせておりまして、引き続き研究あるいは推進を図っていきたいというふうに考えている次第でございます。

上川委員 今、持って回ったような文言になっているということでありまして、まさに持って回ったような文言になっているということであります。

 先ほどの人事院の事例というのは、私が一番先にちょっと申し上げた、やはり好モデルをできるだけ目標にしながら、それに合わせて、どうしたらそうした方向に持っていくことができるのかという物の考え方で引っ張っていただきたい、こう思っておりまして、それで、あえて人事院の事例を申し上げたところであります。

 外部の機関におきましても、また地方の公文書の中でも、一定期間を経たものについては原則集中管理をするというところもありますので、ぜひ、そうした制度、またパイロット事業も十分に踏まえた上で、こうした集中管理が最終的には中間書庫制度という形に発展することができるように、検討及び取り組みを早急にしていただきたいというふうに思っております。これは要望ということでとどめさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、有識者、専門家の活用というところでございます。

 先ほど、レコードスケジュールのところの質問の中でも触れたところでございますが、やはり、重要な文書の移管や、あるいはまた廃棄というような重要な局面におきましては、専門的、技術的な助言をしっかりと仕組みの中に入れて、そして、その徹底した保存が行われることができるように担保していくということは大変大事であるというふうに思っております。

 先ほどでは、現用段階から、文書管理のライフサイクルの全般を通じて、いろいろな形の専門的知見を生かすことができるような仕組みを入れているということでありますが、もう一度この点に関して、どのような改善を図っているのか、この点について御答弁をお願いいたします。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、内閣総理大臣が、政令、要は統一基準の政令でございますけれども、政令を制定しようとしたり、あるいは各省庁に対する勧告、あるいは特定歴史公文書等の廃棄の同意をしようとするときなど、適切な公文書管理の実現のための重要な場面に、外部有識者から構成されます公文書管理委員会への諮問を義務づけているところでございます。また、国立公文書館等の長が特定歴史公文書等の利用に関します異議申し立てを受けたときも、公文書管理委員会への諮問を義務づけております。

 加えまして、国立公文書館が各省庁に対しまして、文書管理状況の実地調査、あるいは日常的な文書管理に関する助言を行うことができるという仕組みにするなど、文書管理の現場で専門的なサポートが行える仕組みも整えたところでございます。

 このように、本法案におきましては、適切な公文書管理の実現のため、文書のライフサイクルのさまざまな段階で、外部有識者でありますとか、あるいは国立公文書館の専門家の知見を最大限に生かす仕組みを構築しているところでございます。

上川委員 ここは大変重要な点であるということで、再度御質問をさせていただいたわけでありますが、現場の判断に任せないということ、そして、専門的な立場での知見を最大限活用し、適切に文書が移管されるということ、この仕組みを、先ほどのお話でもありましたとおり、作成のなるべく早い段階からしっかりとした道筋をつけていくということだというふうに思っております。ぜひここの点については、制度の実際の運用というところに至るすべての過程の中で透明性の高い形になるように、このフォローにつきましてもよろしくお願いしたいというふうに思っておるところであります。

 次に、利用の促進ということでの質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど小渕大臣の中でも、公文書の意義というところでも御説明がございましたけれども、現在及び将来の国民への説明責任を果たす、こういう文言をおっしゃったというふうに思います。現用、非現用を問わず、文書のライフサイクルを通じた利用を確保する、そして、その利用を促進するための施策を講じることは大変重要であるというふうに思うところであります。

 この公文書の利用促進に関しての方策につきまして、御答弁をお願いいたします。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 利用の促進につきましては、上川先生が大臣のとき以来一番強調されていた点でございます。

 現用文書の利用につきましては、本法案におきまして、本法に基づく文書管理の徹底が図られることによりまして、文書の不存在といったような件数が減少し、現用文書の情報公開制度の的確な運用を通じて、その一層の利用に資するものと考えております。

 また、非現用、いわゆる国立公文書館に移管された歴史公文書の利用につきましては、本法案におきまして、移管された文書につきまして、国民からの利用請求を請求権というふうに法的に位置づけました。

 この法的に位置づけるということは、もし不開示に不服がある場合には不服申し立てができるということでございます。これによりまして、標準処理期間の設定等の行政手続法の関係規定が適用されますとともに、特定歴史公文書等の利用制限に対しまして、利用者が行政不服審査法に基づく不服申し立て、あるいは行政事件訴訟法に基づく取り消し訴訟を行うことができるようになることが明確になりまして、利用に関する手続的保障が格段に整備されるということになります。

 あわせまして、国立公文書館所蔵の文書のインターネット利用を可能といたしますデジタルアーカイブ化など、特定歴史公文書等のさらなる利用の促進、これは第二十三条でございますけれども、規定もございますので、このデジタルアーカイブ化の促進につきましても一層努めてまいりたいと考えております。

上川委員 文書のライフサイクルを通じた利用の促進ということについては、シームレスに利用ができるようにということでありますので、情報公開法との絡みも含めて、でき得る限り、この公文書管理法の中に、公開という形の中の規定も明示的に入れ込むべきではないかな。情報公開法の絡みの中で推測するということではなくて、情報公開法との関連の中で利用ということではありますけれども、この公文書管理法の中にも、この利用ということについて、しっかりと公開のルールを入れ込むべきではないかというふうに私自身思っているところであります。この点につきましては、またこの委員会での議論もしていただけたらというふうに思うところであります。

 それから、この一連のルールが、制度ができますと、それで移管がうまくいくかなということにつきましては、私は、いかにも、国立公文書館も含めて、施設、体制ともに大変貧弱であるということから考えると、理想を掲げても、なかなかその実態が伴わないのではないかということを大変懸念いたしているものでございます。

 よく言われることでありますが、同じ並びで、例えばアメリカの公文書を扱っているNARAの事例でいきますと二千五百人の職員数を擁している。イギリスでも五百八十人、最近、韓国でも三百人規模ということでありまして、それに比較して、日本の四十二人というこの数字は、いかにも何もしないということのあらわれではないかと思うぐらい貧弱でございます。

 この公文書管理の体制を強化していくためにも、こうした機能の強化、また組織の抜本的拡充ということが大変大事ではないかと思いますし、そのための予算は、やはり国家事業として進めるということでありますので、しっかりと千年、二千年に恥じないものをつくっていく、そうした覚悟で臨むべきというふうにも考えるところであります。

 今後の取り組みの基本的な考え方につきまして、副大臣から答弁をお願いいたします。

増原副大臣 御答弁申し上げます。

 上川委員も、総務省の政務官、私の後、やられましたよね。あのときにやりましたように、行政改革というので、毎年毎年定員削減をしていく、要るところにつけていくというのをやってきておりますね、小さな政府を目指してというのでありますが。今のような状況だと、極めて難しいことだと思います。消費者庁の設置法案、今参議院でやっておりますが、ここでもやはり同じような壁にぶつかっておりまして、これをどういうふうに突破していくかということだろうと思います。

 日本は議会制民主主義ですから、アメリカのような大統領府の形ではないと思いますが、それにしても、イギリスと比較してみても、かなりシャビーであることは間違いないと思います。

 午前中、本当に司令塔として大丈夫か、こういうふうなお話が出ました。まことに私はお寒い限りであるというふうに思っております。定員あるいは予算の面においてもっとしっかりしたものをつくっていかないと、この法律で目的に書かれてあることが達成できないと思います。そういう意味で、しっかり頑張ってまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから施設面でありますが、二十一年度の当初予算におきまして調査検討費をつけていただいております。これでもってやっていくのでありますが、いずれこれも、施設、これでいいのかという議論は当然出てまいります。そのときに、将来を見据えた形のことをしっかり頭に据えて、この調査検討費の中では、将来設計を施設についてもやはりきちんとしていかないと、今のシャビーなままの部分を前提にした部分はよろしくないと思っておりますので、頑張ってまいりますので、ぜひ先生方の御支援もよろしくお願いいたします。

上川委員 今回の法案は、もちろん国家機関ということにまず絞られるわけでありますが、当然、地方の公文書館の建設促進も含めての動きや、また同時に、こうした専門家の皆さんにつきましてはまだまだ日本の中では育つ環境にない、そういう意味での教育という面でも大変大きな課題を持っているわけであります。

 そういう意味では、全体体系の中で、この施設あるいは人材養成、こういうことも含めて、一連の体系の中で取り組んでいかなければいけないという意味では、まだまだ、これから国家事業として取り組むというスタートをこの法案は切るわけでありますが、そのことの実現に向けての取り組みには、段階を経ながら、十全にその整備がなされるように努力をしていかなければいけないということでございます。

 そのことを含めまして、国家事業として進めるんだ、こういう御決意もあわせまして、小渕大臣に、この法案への思いも改めて触れていただきながら御決意をお願いし、私の質問を終わらせていただきます。よろしくどうぞお願いします。

小渕国務大臣 この法案によりまして公文書管理の枠組みが整備をされます。しかし、枠組みだけではだめでありますので、この枠組みのもとで積極的な取り組みを進めまして、抜本的にこの国の公文書管理のあり方というものを改善していきたいと考えております。

 上川委員におかれましては、これまでもいろいろな形で御指導、御協力いただきましたが、どうか引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。

上川委員 時間でございますので、最後に一言だけ。

 この公文書のあり方、これは将来の我が国の背骨となる、大変大事な民主主義の基盤であることを考えますと、やはり立法府、各政党ございますけれども、本当に協議を踏まえながら合意をもってこの法案を通していく、こういう意思を明確にしながら、ぜひそうした結論が出るように努力をしていきたいというふうに思いますが、また、その点につきましても、その意思を踏まえて、政府の方でもしっかりとした取り組みをしていただきたいということを再度お願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十九日金曜日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十九日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会


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