衆議院

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第2号 平成22年3月10日(水曜日)

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平成二十二年三月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 井戸まさえ君 理事 大泉ひろこ君

   理事 小宮山洋子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 井上 信治君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      荒井  聰君    石毛えい子君

      泉  健太君    磯谷香代子君

      市村浩一郎君    大島  敦君

      岡島 一正君    岸本 周平君

      工藤 仁美君    後藤 祐一君

      笹木 竜三君    菅川  洋君

      田村 謙治君    高井 崇志君

      中後  淳君    津村 啓介君

      寺田  学君    中島 正純君

      野木  実君    橋本 博明君

      古川 元久君    松岡 広隆君

      山尾志桜里君    山岡 達丸君

      吉川 政重君    渡辺浩一郎君

      渡辺 義彦君    甘利  明君

      小渕 優子君    金田 勝年君

      鴨下 一郎君    小泉進次郎君

      橘 慶一郎君    中川 秀直君

      長島 忠美君    塩川 鉄也君

      浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   菅  直人君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   福島みずほ君

   国務大臣

   (「新しい公共」担当)

   (公務員制度改革担当)

   (国家戦略担当)     仙谷 由人君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     枝野 幸男君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  荒井  聰君     中後  淳君

  逢坂 誠二君     山岡 達丸君

  岡島 一正君     松岡 広隆君

  園田 康博君     高井 崇志君

  津村 啓介君     渡辺浩一郎君

  橋本 博明君     菅川  洋君

同日

 辞任         補欠選任

  菅川  洋君     橋本 博明君

  高井 崇志君     山尾志桜里君

  中後  淳君     荒井  聰君

  松岡 広隆君     岡島 一正君

  山岡 達丸君     逢坂 誠二君

  渡辺浩一郎君     吉川 政重君

同日

 辞任         補欠選任

  山尾志桜里君     工藤 仁美君

  吉川 政重君     野木  実君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 仁美君     園田 康博君

  野木  実君     津村 啓介君

    ―――――――――――――

三月十日

 戦時慰安婦問題の最終解決を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第三一五号)

 日本国憲法九条を変えること反対に関する請願(阿部知子君紹介)(第三一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、会計検査院事務総局第一局長鵜飼誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川秀直君。

中川(秀)委員 今国会、内閣委員会、当委員会の大臣所信に対する質疑、最初の質問をする機会を与えていただいた与野党の同僚議員にまず感謝を申し上げます。きょうは、菅、仙谷、枝野三大臣の所信について中心にお伺いをいたします。

 私は、お三方に対して、やはり国民は改革断行の期待が強いと思います。私も、そうした改革をしっかりやるという立場から、例えば私は埋蔵金という言葉で流行語大賞をいただいたことがありますが、そのようなことがまた埋め戻されたりあるいは塩漬けにされたり、そんなことがあってはならぬと存じますし、国民が期待する霞が関改革に逆行するような肥大化や焼け太りなんということがあってもならぬと思うのでございます。

 簡単に言えば、これだけ厳しい経済状況、若者たちが三人に一人就職ができないようなこんな厳しい状況の中で、重税国家などにしてはならぬ、公務員天国にしてもならぬ。決してこれは公務員の皆さんをたたくという意味ではありません。能力のある公務員になっていただき、国民に貢献、奉仕をしていただく、その能力が民間で生かせるときには、十分その能力を持って、利権つきでなく、民間にも出ていただく、また帰っていただく、そういう制度にしていくことが何よりも大事であって、その人事についても、簡単に申しますならば、身内の共同体の評価で決まる、そんなことがあってはならぬ。国民への奉仕、貢献の度合いによってその人事が、昇進、降格が決まる、こういう公務員像にしていかなければいけない、そう思うのでございます。

 そういう視点で、大臣の改革の基本姿勢をお伺いしたいと思っています。

 時間の関係で、まず、途中退席なさる菅経済財政担当大臣、財務大臣からお伺いします。

 経済財政諮問会議がなくなりまして、国家戦略室がその機能を代替するということですね。しかし、経済財政担当は菅大臣が担当なさっておられる、このように聞いておりますが、この過程で、一つ大きな変化が生まれているのではないかと考えています。

 それは、マクロ経済政策運営と財政政策運営の切り離し、デカップリングが行われないか、そういう危惧が生まれているということです。つまり、中期財政ビジョンの方、これは国家戦略室、仙谷大臣の御担当ですか、それから成長戦略の方は菅大臣の御担当でしょうか。

 例えば、新聞報道によりますと、二月十二日の国家戦略室の中期的な財政運営に関する検討会がございましたね。その終わった後、きょうも御出席ですが、古川内閣府副大臣が記者団に、財政を健全化するには将来に対する慎重な見通しが大事だと、中期財政フレームづくりではかた目の成長率見通しを採用する方針を示唆しておられます。

 私の経験では、政調会長時代も幹事長時代もそうでしたが、小泉政権のときも、それは一部わからなくはないんですが、財政の立場、財政だけ考えて何とかしてまず増税をしたい、こういう人たちは、必ずかた目の成長率を言うんですね。このかた目の成長率見通しというのが実はくせ者なんですよ。

 名目成長率が四%超えると、増税なしで財政再建ができる可能性が出てくる、これは経済学を少し勉強した人、私は「上げ潮の時代」という本の中でも書きましたが、論証しておりますけれども、そう言われているんです。各国の例ですね。しかし、成長率が低ければ低いほど増税幅がふえるわけです。当然のことです。これは名目のことでございますが。だから、どうしても増税したい人は、かた目の、低目の成長率、これで財政再建を議論したがるんです。

 そこでお尋ねですが、菅大臣、OECD諸国で過去十年間、直近の十年間です、名目成長率と長期金利の関係を調べますと、名目成長率が四%以上の場合は、名目成長率が長期金利を上回る、つまり、金利より成長率、経済の伸びがふえる、こういう実際の事象の傾向があるわけでございます。データをとれるOECD諸国二十五カ国、とれない国もありますが、その一九九七年から二〇〇八年、今統計が出ているのは大体二〇〇八年までですね、その二〇〇八年までの平均名目成長率は五・七%です。平均金利は五・二%です。直近です、この十年。日本は、名目成長率〇・一%で長期金利一・九%。もうはるかに長期金利の方が高い、こういう状態ですね。

 名目成長率が四%を上回ると、長期金利よりも名目成長率が上回るので財政再建がやりやすい、これは各国のそういう政策当事者が言っていることであります。直近の実績もそうでございます。

 菅大臣はこの考え方を支持されるかどうか。私は、ちょっとストップウオッチが出ているので、たくさん質問したいので、なるべく私の質問時間の範囲内で答えてください。

菅国務大臣 私も、「上げ潮の時代」というのを部分的に読ませていただきましたし、また、今の四%のお話もいろいろ読ませていただきました。

 基本的な方向としての考え方は私もそうではないかと思っております。

 ただ、客観的なデータはそうたやすくなくて、先ほどOECDのデータを出されましたが、我が国の一九八〇年以降のデータを見ておりますと、名目成長率が、一九八〇年以降、四%を上回ったのは十二年間あるんですね。しかし、その十二年間の中で名目成長率が名目長期金利を上回ったのは、八五年、八八年、八九年、九〇年の四カ年だけになっております。

 ですから、私は、一般的には成長率が高くなれば名目金利よりも高い成長率になると、一般的傾向は、OECD含めて、思っておりますが、日本の実態は、過去において必ずしもそのことが一義的には言えないということも指摘しておきたいと思います。

中川(秀)委員 そういうデータをまた官僚が出されたんだと思うんですが、今言われたのは八〇年代の話ですね、菅大臣。一九八〇年代の話ですね。(菅国務大臣「八〇年代以降です」と呼ぶ)だから、以降といっても八〇年代でしょう、実際、上回ったというのは。

 しかし、私が言っているOECDの二十五カ国の平均は、九〇年代、この十年間の話なんですね、九〇年代後半から。ちょっと状況が違うんじゃないかと思いますが、それはさておきます。

 何を言いたいかというと、選挙向けに、成長戦略では、夢のような高目の成長率を、成長戦略をまとめる、菅大臣のところで出される。財政再建では、ばらまき財源として、悪夢のような増税のための低目の成長率を出す、仙谷大臣のところですね。そんなことをやっていたら、本当の意味の経済財政運営などというのはできません。

 そこで、大臣に伺うんですが、大臣は財務大臣であると同時に経済財政政策担当大臣ですから、マクロ経済政策の成長率見通しと財政運営上の成長率見通しの切り離しはしない、デカップリングはしない、同じ数字を使う、このことをここでお約束していただきたいと思います。副総理でもあられるわけですから、ぜひよろしくお願いします。

菅国務大臣 マクロ経済政策の成長率ということについて、我が政権で昨年の十二月三十日に発表しました新成長戦略を念頭に置いて言われているのかなと理解しておりますけれども、この中では、二〇二〇年度までの十年間の平均を、名目三%、実質二%の成長率、これを目標にするという言い方をいたしております。目標としたのは、必ずしも見通しというところまで言える状況になかったからであります。

 ただ、私としては、この目標を達成するためにはどういう財政運営、場合によったら金融運営が必要かということを考えて、この達成できる姿をある程度考えられる段階では、それが次の財政運営上の成長率とも連動してくるだろうと思っています。

 ただ、この場において、機械的に、今申し上げた新成長戦略の目標として掲げたものを、財政運営上の、例えば中期財政フレーム、仙谷さんのところを中心にまとめていただくものの数字に一致するということを私が今言える状況ではありません。

 あくまで目標であって、その目標を実現するための財政にしていきたい、そういう考え方で連動はする、こう思っております。

中川(秀)委員 いずれにしても、本来ならば一月にそういう経済見通しはつくって、そして成長戦略の方もできる限りその場で提示をして予算を組んでいくべきものでございますけれども、現実そうなっていないということはあえて指摘をしておきます。

 いずれにしたって、この六月には見通しをちゃんと出さなきゃいけない。これは目標というのじゃなくて見通しです。それがさっき言ったような意味でデカップリングしているようではだれも信用しなくなります。市場も信用しません。だから、連動するという大臣の御答弁でそれで結構ですが、仮に、決め打ちが簡単でないんだ、そういうおっしゃり方をしても、私は、少なくともしっかりと連動するような、そういうシナリオを出していただかないと、今後の経済運営はもうその段階から破綻していくんじゃないのか、そう考えますので、その点はよろしくお願いいたします。

 次に、デフレの克服についてです。

 菅大臣と白川日銀総裁の発言を聞いていると、どうもデフレの原因論、対策論、この意思疎通が十分でないのではないのか、そういう心配をいたします。今がデフレであるという認識だけは一致しました。では、次のステップが何なのか、全く見えてまいりません。

 菅大臣は、デフレ克服のためにも、まずデマンドサイド、需要面で、需要をつくることが大事だとお考えなのではないかと思います。十二月の十六日の成長戦略策定会議の菅大臣の御発言は、今まさにデフレという状況が生まれているけれども、実は、私たちが考えている経済政策あるいは成長戦略もそうだけれども、まず需要をつくることが重要ではないか、このように発言されておられますね。

 一方、白川さんはどういうことを言っているか。白川さんは明らかに、デフレ克服のためにはサプライサイド、供給面の生産性向上が大事だ、そのようなことを言っておられます。詳しく言いますと、デフレは経済の体温が低下した状態だ、生産性の向上に地道に取り組むことによって成長期待を高めていくことが大事だ、将来にわたって所得がふえていくという期待が生まれて初めて本格的に支出がふえていく、生産性の向上ということが多分日本経済が直面している最も大きな問題だと。言っていることが違いますよね。

 どうも、そういう基本認識にずれがあるんじゃないのか。

 日銀法第四条で、政府の経済政策の一環である日本銀行の金融政策、意思疎通を十分にとれと法律が定めております。私は、本当に、それをもっとやらないと、そして次のステップにしっかりと取り組まないと、いつまでたっても、日本だけですよ、こんな、十年デフレがずっと続いている、もう十年以上ですね、日本だけです。それは脱却できないはずです。生産性も高まらない。意思疎通をもっとやって、それが具体的なステップにつながるようにやらなければ、生産性も高まらず、菅大臣の言う需要も高まらず、成長期待も出てこないんじゃないのか。要は、これでは時間の浪費だけなのではないかと思います。

 昔、陸軍はソ連を仮想敵にし、海軍は米国を仮想敵にし、国策を誤り、あのような愚かな自滅を繰り返してしまった。そんなことをしてはいけないのであって、ここは本当に大事なところですから、考えていただかなければならぬと思います。

 そこで大臣に伺いますが、第一に、デフレ脱却の上で民間企業の生産性向上の重要性について、菅大臣と日銀総裁の違いをどう考えているのか。

 第二に、政府経済見通しでは、平成二十二年度の消費者物価は対前年度比〇・八%の下落ということになっていますね。しかし、菅さんは、目標としては何とか今年中に物価が上昇する状況に持っていければと思っていると述べておられます。年内デフレ脱却のために、需要、供給両サイド、両面から、追加的なポリシーミックスを行うのか行わないのか。

 第三に、年内のデフレ脱却のために、英国のように政府と日銀間でアコード、キング総裁から伺いましたが、イギリスの場合は二%という物価上昇率、CPIをアコードしています。できない場合は議会にレターを送ってその理由を明らかにしなければならぬ政策協定を結んでいるわけですが、そういうことを締結したらどうかと、何度も私はそう申し上げております。

 今、諸悪の根源は、まさにデフレと不況です。たしかこれは経産省のこの前の産業構造審議会から出た資料ですが、潜在的な失業者数九百五万人、潜在的な失業率一三・七%、詳しいことは言いませんが、そういう資料が出ております。まさにそれが顕在的な完全失業率になってしまいますよ、このままいったら。そのことを考えると、就職浪人で苦しんでいる若者たちのことも考え、そういったことに本気で取り組むべきではないか、このように考えますが、いかがですか。

菅国務大臣 幾つかの重要な項目についておっしゃったので、若干の時間をいただきたいと思います。

 目標は、中川さんが言われていることはほとんど私も同感です。

 ただ、今言われたことの中で、供給サイド、生産性向上は、まさに、せんだって竹中さんに成長戦略の場に来ていただいたときも、その議論になりました。今中川さんが言われたように、私は、需要サイドがより重要だ。

 つまり、私の見方でいえば、この間の小泉・竹中路線、場合によったら中川さんもその中におられたわけですが、大間違いをしたという認識がまず必要だと思っています。まさに、デフレ状況の中で、個々の企業の生産性さえ上げれば全体がよくなるという発想でやられました。

 しかし、例えば日産が、多くのリストラで人を減らして立て直ったかもしれませんが、では、リストラされた人が完全雇用の状態で次の企業に移れるんならいいですが、リストラされたままになっていれば、マクロ的に見れば、生産性が高くなった日産と失業者のかなりの数が、一緒になって計算してみれば、経済の成長にはなっておりません。

 ですから、私は、デフレ状態の中で、供給サイドだけを考えたことによって大きな失敗がこの十年間起きた、このように見ています。それが私の言う第二の道の間違いです。私は、第三の道ということで、需要サイドから物事をより重要視してやるべきだということを申し上げております。

 今、日銀総裁と私の意見との差があるのではないかと言われましたが、日銀総裁は両面を言われております。確かに生産性のことも言われておりますが、消費者の需要のことも言われておりますので、私が直接あるいは間接的に話している限り、私と白川総裁との間にそんなに大きな認識の差はない、このように思っております。

 それから、追加的な何かをやるべきではないかという御指摘です。

 御承知のように、この間、二次補正、そして今参議院で御審議をいただいている本予算、切れ目なく執行することによって、少しずつ今経済の指標も上向いておりますが、緊張感を持ってそれを進めていくこと。同時に、日銀においても、昨年の十二月段階から順次、政府の方針とある意味では連動する形で、例えば三カ月物〇・一%、あるいはデフレは容認しない、プラスゼロからプラス二の間を一つの目安とする、そういうことも言われておりますし、場合によってはさらなる金融政策ということも、一部に報道もされております。そういった形で、政府と日銀が共通の目標を持って、緊張感を持って対応していく。このことが追加と言えるかどうかわかりませんが、そういう姿勢で臨んでいきたい、こう思っております。

 アコードについては、確かに魅力的なところもありますけれども、やはり明示的にそういうものを結ぶ、過去の中川先生なり関連の人たちのものを読みますと、福井総裁を選任するときに約束をしたんだけれども守られなかった、明示的に公の場でそういうものを結んでおけばよかった、そういうことを言われている方もありますけれども、果たしてそこまでやることがいいのかどうか。

 私は、公の場で、少なくともプラスゼロからプラス二の間を目安にするということを日銀の総裁がみずから日銀の方針として出されているわけですから、そういう形で、きちっとしたアコードとは言えませんけれども、共通目標を持って進めていくことができていると思っておりますので、今のところ、アコードという形の、形式まで踏んだものには少し慎重に対応していきたい、こう思っております。

中川(秀)委員 後の質問もあるので余りこだわりたくないんですが、今、五分以上お話しになったけれども、共通の目標を持って、大差はないんだ、そういう御発言ですが、日銀総裁はやはり、先ほど言ったように、供給面の生産性向上、それが最大の問題、こう言っていて、私は、大臣のおっしゃっていることとはちょっと違うような気がするんですね。

 なおかつ、もう一点だけ申しますと、所得分配による内需拡大なんというのは、はっきり言いまして、もう限界ですよ。日本の貯蓄率はアメリカよりも低いんですよ。三%台、現実にそうなっているわけです。かつての、日本の貯蓄率が一番高いなんてもう幻想の幻想。それからまた、労働分配率は、国際比較をすると主要先進国の中では一番高いんですよ。それでは、所得分配だけしてどうやって内需が拡大するんですか。経済学を勉強すればわかる話です。日本全体のパイを拡大しない限り、はっきり言って内需は拡大しないんです。

 そういうこともしっかり考えて、今言った認識の差というもの、だれが考えてもそう受け取るんです。(菅国務大臣「違います」と呼ぶ)それがそうでないというように、これから努力をしてもらわなければならない。それはあえて申し上げておきます。(菅国務大臣「今のところ、ポイントですから」と呼ぶ)

 次に行きます。

 経済学をしっかり勉強してもらいたいということは事実です。いや、違うと言うなら、これは経産省が出した資料ですよ。(菅国務大臣「いいですか、委員長」と呼ぶ)

 まあいいです。これはこだわる時間がありませんから、次の質問を僕はいたします。(菅国務大臣「今のところ、ポイントじゃないですか」と呼ぶ)いや、次のことを私は質問します。(菅国務大臣「ポイントのところを逃げちゃだめですよ」と呼ぶ)ちっとも逃げてなんかいませんよ。(菅国務大臣「委員長、では」と呼ぶ)それでは、どこかのところで答弁しなさいよ。長くなっちゃって、もう五分も六分もたってしまうから。(菅国務大臣「一分」と呼ぶ)それでは、一分。

菅国務大臣 ありがとうございます。

 いや、ポイントだと思うんですよ。これは政策論争ですから。

 つまり、私たちが今言っているのは、例えば介護の分野は潜在需要があるんです、医療の分野も潜在需要があるんです。しかし、価格が安過ぎるために介護労働者が足らなくて、供給が出ないんです。需要があるのに供給が出ないんです。ですから、私たちは、そういう潜在的な需要がある分野には、場合によったら財政出動をしてでもやって、それが需要を生み出すと同時に、サービス生産も生むんです。その意味で、私たちは、需要というものをもっと重視すべきだ。あるいは、新しい製品、環境問題の新しい製品もそうです。

 ですから私は、供給サイドだけやればうまくいくというのは、この十年間の失敗を検証していないことだということで、はっきり申し上げているんです。

中川(秀)委員 ちょっと一分過ぎちゃったけれどもね。

 ともかく、これは政府の出した資料ですよ。所得分配だけで内需拡大は限界です。(菅国務大臣「そんなことは言っていない」と呼ぶ)いやいや、政府が言っている。あなたは副総理ですが。経産省の産構審に出た資料ですよ、これは。

 次を申します。事業仕分けのことについて少しお話ししたいと思います。

 菅財務大臣と、枝野行政刷新担当大臣、事業仕分け担当大臣に関連する質問であります。

 まず、事業仕分け第一弾で取り上げた、独立行政法人国立印刷局について伺いたいと思います。

 独立行政法人の不要資産は売却、売却金は国庫返納、これはもうそういう原則で最近の政策はやってきたわけです。これからもそれはしっかりと貫徹していかなきゃいけないと私は思いますね、この財政ですから。

 事業仕分けでも、独立行政法人印刷局については、十一月二十七日の議論の結果、皆さんが選ばれた二十七人の評価者のコメントのうち、廃止というのがお一人、現行独法のまま不要な保有資産の売却をさらに進めるが六人、全体の見直しの中で国へのさらなる財政貢献のあり方を検討する、これがやや一に近い部分もあると思いますが、それが十名となっています。

 しかし、見直し結果はこの二十七名中多数意見の十七名の評価者意向に必ずしも沿っているとは私は少し思えないのでございます。

 印刷局と造幣局、合わせて一千億円の不要資産については、民間売却した上での現金の返納ではなくて、現物給付での、現物です、国への返納で、まあ霞が関の埋蔵金の埋め戻し、塩漬けみたいな、そんなことをして、その上で、枝野大臣が御担当だったんだと思いますが、国立印刷局自体を国の機関化、すなわち財政貢献はゼロで財務省本体の肥大化をする、そんな結論になってしまったんではないでしょうか。

 きょうも御出席ですが、野田財務副大臣は、昨年十二月十日の記者会見で、印刷局と造幣局の事業仕分けの結果としての不要資産売却による国庫納付の上積み三十六億円。国庫納付ですね。三十六億円。不要資産の現物給付が簿価合計で一千億円近く、こう言っておられます。

 財務大臣である菅大臣、今、財政は本当に危機的状況ですね。鳩山政権では不要資産は即売却とすべきでしょう。菅大臣、この簿価一千億円の資産というのは時価総額幾らでしょうか。そして、現物給付というのは、簿価一千億円の資産を、売却しないで、政府本体に塩漬けするということです。これでは国への財政貢献にはつながりませんね。現物給付された簿価一千億円の不要資産は売却すると私はここで明言すべきだと思いますが、売却するなら、いつ売却なさいますか。

菅国務大臣 まず、簿価九百八十七億円ということで、これは平成十五年に独法化のときに時価を踏まえて評価がえされたということでありまして、平成十五年から七年ぐらいたってはおりますが、そう大きくこの間にこの実勢価格は動いてはいないのではないかと思っております。

 その上で、このものについては、先ほどお話がありましたように、売れたものについては現金で、来年度中の二十二年度に金銭納付がされるもの、これは予算計上では二百八十九億円になっております。先ほどの九百八十七億円のものについては現物で納付をされることになっております。

 なぜ、すぐ売れないのか。それぞれ事情があるようでありますけれども、例えば、防衛省の近隣の土地とか、あるいは再開発中の周辺でのいろいろな事業があるとか、あるいは自治体が活用を望んでいるとか、そういう理由ですぐに売れないので現物納付をするということでありますので、現物納付されたものをそのまま塩漬けで持っておくということではなくて、もう一度、地域の関係者などと協議をして、いい形で利用ができるという展望の中で、売れるものは売っていく。また、最近私は財務省に成長戦略をつくれと言っているんですが、つまりは、あいた土地があって、そこで、場合によったら売るよりも何かをつくって貸した方がよければ、そういう考え方だってあるじゃないかと思っております。

 そういう意味で、少なくとも塩漬けにするために現物納付をされたと言われないように、しっかりとした売却なり活用を考えていきたいと思っております。

中川(秀)委員 最後の言葉のとおりにぜひやっていただきたいと思います。この、先ほどの防衛省近くの件とか、ちょっと後ほどもう少し詳しくお伺いをいたします。

 それよりも、大臣がいるときにお伺いしなければならぬことが幾つもありますのでお伺いしたいんですが、先ほど埋蔵金の塩漬けとか埋め戻しとかいうことを申しましたが、私は、この関連で心配しているのが、独立行政法人以外の基金や法人なんです。

 そこで、これは新聞報道で見たんですが、二十一の独立行政法人で、国から資金をもらいながら、その資金で購入した国債の保有額が計三千億円と最近報じられました。

 特別会計のもとには、独法だけではないんですね、いろいろな法人があるわけです。特殊法人、特別民間法人というのもあります、あるいは公益法人、ぶら下がっているわけですね。国費で、お金をもらって事業をやり、それをまた、たまりのように、国債を買って運用する、そういうことは私はあってはならぬと思うんですが、それが可能性があるのは独法だけではないでしょう。

 そこで、これから事業仕分けで独法をなさる枝野大臣にあえて伺いますが、一般会計、特別会計から補助金等をもらっている特別民間法人、独立行政法人、公益法人、国債の保有残高は幾らでしょうか。それから、今回の独立行政法人通則法改正案、鳩山政権が出している改正案ですが、この改正案では、それらは全額国庫に返されるんでしょうか。返されないとするならば、全額国庫返済に必要な法改正をすべきではないか。これが第一点の質問です。

 第二点。福田内閣、前々内閣の独立行政法人通則法改正案と、今回の政府提出の通則法改正案、これを比較しまして、なぜ、独立行政法人からファミリー法人への天下り規制条項を外したんでしょうか。今度の政府提出の法案には天下り規制条項は入っておりません。なぜ外したんでしょうか。独立行政法人の評価を総務省に一元化するのを外した、この理由も含めて、ぜひ答えていただきたいと思います。

枝野国務大臣 まず、独立行政法人については、二十年度末の投資有価証券に係る国債残高を把握しておりまして、その額は約四兆五千億円となっております。

 ただ、この中には、御承知かと思いますが、日本貿易保険とか勤労者退職金共済機構などの、いわば運用をしてという、そもそもそのこと自体を目的としている独立行政法人がございますので、この全額を国庫納付できるというものではございませんが、御指摘をいただきましたとおり、国からのお金などをため込んで国債を買っているというのは、これはあり得べからざることだというふうに思っておりますので、原則これは全部返させるという方向で進めていくつもりでおります。

 なお、特別民間法人及び公益法人については、現時点で保有する国債残高の総額を把握しておりません。

 その問題意識もございまして、今回、公益法人等を事業仕分け第二弾の対象として含めまして、それぞれ、保有している資産の残高も、すべての公益法人を一度にチェックできませんので、保有している資産の残高というのもセレクトの考慮すべき事項の一つに含めまして、国等から流れているお金が蓄積、ストックされてというようなことがないかどうか、あれば、どういうルールで返納させるかということをチェックしていこうというふうに思っております。

 二点目の御質問でございますけれども、ファミリー法人への天下り等についてもしっかりとやめさせていくということも考えておりますし、それからまた、評価機構の一元化という方向性、そのこと自体について、私ども全く方向性が違っているわけではありません。

 ただ、さらに踏み込んだ形で独立行政法人のあり方そのものを大きく見直すプロセスに既に入っておりますので、まずは、御指摘もいただいた独立行政法人の保有している資産を、勝手に売られないように早くとにかく取り戻しておいて、その上で、より踏み込んだ形での独立行政法人全体の改革を、今回の事業仕分け第二弾を踏まえてまとめまして、提起をしようというふうに思っておりますので、ぜひ、その折には、より積極的な改革への御示唆等があれば、いただければというふうに思っております。

中川(秀)委員 大変いい方向の御答弁と私は評価いたします。

 であれば、これは当委員会の審議法案ではございませんが、総務委員会になると思いますけれども、今回政府提出の独立行政法人通則法改正案、やはりこういうものをちゃんと返すんだ、そしてまた、ファミリー企業の天下り規制もちゃんとするんだ、今枝野大臣が答弁されたように、評価も一元化していくんだ、そういうことで与野党修正で修正したらいいじゃないですか。仕分けするまでもなく、原則は、今度の通則法を改正して修正すべきではないかと思います。あえて答弁を求めませんが、それを、政府側も努力をするように、また与党側も努力するように、私はここで提案をしておきたいと思います。今のままの通則法では、やはり霞が関の言いなりになったんだなと思われてしまいますよ。私は、それは違うと思いますね。

 さらに、具体的に聞きます。

 独立行政法人国立印刷局の持つ資産についてもう一回伺うんですが、先ほど菅大臣も、売却するものは売却するということですが、保有するという理由は僕はないと思うんですけれども、具体的に少し聞きたいんです。

 まず、市ケ谷センターなんです。事業仕分けをやったところですね。十一月二十七日の行政刷新会議ワーキンググループ配付資料では、平成二十二年に廃止して、博物館機能の移転後処分予定とございます。

 枝野大臣、市ケ谷センターは売却しますね。売却はいつでしょうか。売却しないとすると、その理由は何でしょうか。

 先ほど菅大臣がちょっと触れたけれども、一部新聞報道では、市ケ谷センターについて、内閣衛星情報センターや防衛省に隣接しているところだから「「民間に売却してマンションなどが建つと情報管理上も好ましくない」(政府筋)」として、現状のまま国へ納付させることにしたと報じています。

 前政権時代、こんなことは聞いたことありませんよ。ちなみに言うと、付近に高層マンション、ありませんか。既に、ザ・センター東京という、二〇〇七年にできた三十八階建ての高層マンションがあるじゃありませんか。これは実際は国立印刷局売却話に連動した再開発マンションなんですよ。もしも情報管理上のことを鳩山政権が言い張るなら、徹底的に議論して検証しなければなりませんね。いかがですか。

枝野国務大臣 直接的な所管は財務大臣でありますが、事業仕分けからの流れでございますので、私の認識からお話をさせていただこうと思います。

 一部の報道でそのような見解も流れていることは存じておりますし、そうした視点を全く考えなくていいのかどうかということはあるかと思いますが、今回、売却の上現金で納付という形にせずに、現物で納付という方向で、事業仕分けの結果を踏まえて対応をということにいたしましたのは、国立印刷局という独立行政法人が、その独立行政法人の判断と責任で売却をしていただくよりも、国の資産をしっかりと国民の視点から有効に売却する、あるいは活用していくという観点で、一括して対応した方がより効果的であるというふうに考えましたので、勝手に売らないで、むしろ、より高く、あるいはより有効に使える方法を、私ども行政刷新の立場も含めて、政府として対応するので現物で返せという方向で取りまとめたということでございます。

 報道は間違いとは申しませんけれども、決して、そういった理由で民間に売却をしなかったという理由ではございません。

中川(秀)委員 ならば、その方向でしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、同じ印刷局のその他三カ所の不要資産についてまとめて聞きます。

 大手町敷地、膨大なものですね。虎の門工場、久我山運動場、それぞれ売却はいつですか。売却しないとすると、その理由は何でしょうか。

 久我山については、先ほど菅大臣もちょっと言われたが、もう会計検査院から、「譲渡を含む適切な処分に向けた調整を積極的に進めて、調整がつかない場合には国庫へ返納すること」、そういう処分計画を作成してという改善が決算検査報告で出ておりますけれども、行われたものとされています。

 ともかく、この五年間の維持費が七千二百十万円、利用料金が六百五十三万円、一割にも満たない。印刷局の負担は六千五百五十七万円と多額であります。

 印刷局は、二十一年九月に、不要資産とされたこの久我山運動場について、杉並区への適正な対価による譲渡を含む調整を積極的に進める、調整がつかない場合は、国庫返納のための法的整備が整い次第速やかに返納するという処分計画を作成することにしたそうですが、これも踏まえてお伺いをいたします。

 いずれにしても、先ほど御答弁もありましたが、こういう不要資産を一刻も早く処分して、この財政難の中で財政に寄与させる、これはもう大方針でなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたが、今御指摘の三カ所については、国へ現物で納付の予定がされておりまして、その後どうやってそれを売却ないしは活用するかということで、今も中川委員が言われましたが、久我山運動場については、杉並区、東京都から公園施設としての利用要望も出されておりまして、また、周辺の地域を含めた都市計画公園区域に指定されているということもありまして、そういう中でどのように、例えば都なり区に売却ができるのか、どうできるのか、そういうことを検討していると聞いております。

 また、大手町の方も、すぐそばにいろいろと、NTT、NHK、日本郵政株式会社等々が近くにありまして、再開発計画を策定中と聞いております。そういう再開発の中で、これも、売却になるのか、あるいは一緒にそういう事業をやることになるのか、そういう形で進めておりまして、決して、何かそのまま持っておこうということではありません。

 市ケ谷についても御指摘がありましたが、確かに一部に大きなマンションが建っておりますが、これはいろいろな議論があるところだと思います。すぐ隣接して機動隊の本部等々もあって、そういう民間的な活用が望ましいのか。ある場合には、逆に民間的なものが望ましいところがほかにあれば、そういうものと振りかえてそういった利用がいいのか。ここは、一つの活用のあり方としては、大いに透明な形で議論する必要があるかなと思っております。

中川(秀)委員 あえてもう一回言います。この会計検査院の決算検査報告にも出ているんですけれども、二十年の四月二十五日に独法通則法改正案が国会に提出されたんですが、もうあえて経緯は言いませんが、結果的にこれは廃案になってしまったわけです。したがって、資産を国庫に返納する仕組みというのは法的に整備されないままになっているんですよ。

 だから、今度の通則法も、ちゃんとそれを入れてやらないと、また売らない。今言った意欲はわかるけれども、手続がないじゃないかみたいな話になってくる。だから、一刻も早く、検査院のこういう検査もあるわけですから、処分を具体的にする、関係者の話し合いもする、それで本当にことしじゅうに現金納付をさせる、そういう強い決意で政治的主導をやらなければならぬ話だと思います。これは、私の意見として申し上げておきます。

 さて、その次に、報道によると、枝野大臣、二月二十日の長野県の講演で、財務省所管の国立印刷局について、高い給料をもらっている旧大蔵省OBが四人くらいいる、財務省の一部局で昔は十分回っていたのだから、その方が安上がりだ、こうおっしゃったと。そして、四月に行う事業仕分け第二弾で独立行政法人国立印刷局の再国有化の考え方を明らかにされた、こういうことですが、この報道は本当でしょうか。

 あなたは、天下りポストを減らすという名目で、結局、財務省に印刷局長というポストを復活させて局長ポストを一つふやす、そんなねらいでおっしゃっているとは思わないんですけれども、印刷局の再国有化というのは、すなわち霞が関の肥大化になると私は思いますよ。後ほどもう少し言いますが。

 例えば、国立印刷局の国の機関化は、幹部公務員も一般職として身分保障を続ける終身雇用制をとることになる、そして定年も延長する、事務次官が局長に降格してくる、局長ポストが足らない、だから財務省印刷局長という局長ポストを一つ復活させる、そんなことを目的でおっしゃったとは私は思いませんけれども、そういうシナリオに受け取られてしまう。それがまず一つ。

 それから、もう一つのねらいを指摘しなければならないのは、独立行政法人化に対して最も強硬に抵抗したのが、印刷局の労働組合全印刷の組合員四千六百人、これをもう一回国家公務員に戻すということですね、再国有化ということは。国家公務員に戻りますよ。後ほどこの人件費のことを伺いますが、そういうことになりますよ。かなりの違いになりますよ。

 つまり、あなたがやろうとしている事業仕分け第二弾は、幹部公務員にはポストを与える、官公労には国家公務員の身分と高い給与を与えるものではないのですか。歳出削減や収入確保の観点はどこへ消えたんでしょうか。

 国立印刷局の人件費総額は四百四十五億円です。印刷局を国の機関化して、わずか数人の天下りポスト、先ほど言った四人です、これがなくなることの見返りに、四千人を超えるすべての職員が国家公務員になります。

 国立印刷局の「監事監査の状況」という二十一年七月の資料を読みましたが、国立印刷局の民間事業者との年齢ラスパイレス指数一〇〇・八、ほぼ同じですね。国家公務員との給与比較、国家公務員に戻るんですよ。給与比較ではどうなっていますか、八八・三です。つまり、国家公務員よりかなり低いんですね。しかし、それが民間とはほぼ拮抗している。

 だから、枝野大臣、二つ聞きますよ。

 独立行政法人国立印刷局を国の機関化、再国有化したら、わずか数名の天下り、裏下りはなくなるかもしれないが、四千六百人の全職員は国家公務員になる、給与水準が一二%も上がる。独立行政法人国立印刷局の国の機関化で一体幾ら総人件費がふえますか。総人件費を二割削減するというのがあなた方の公約ではないですか。逆行ではありませんか。

 第二に、あなたは、四つの無駄な天下りポストができたから独法化は間違いだと言っている。天下りポストが無駄と言うなら、事業仕分けなんか待たずに、四月一日からその四つのポストを廃止したらいいではないですか。簡単なことです。無駄なポストだから、廃止しても全く事業に支障はないと思いますが、いかがですか。

枝野国務大臣 まず、再国有化ということを申し上げておりません。検討の対象になり得るというふうには思っています。

 しかも、御指摘いただきましたとおり、普通の形、従来のもとの形に戻せば、局長ポストが一つ復活をして、そして、独法化によって、ここの職員、現在でも公務員型でございます、公務員型でございますが、独法の公務員ということで、その給与体系、給与水準については、一般の公務員と違う形で削減ができています。そういったプラスの面のところをしっかりと残しながら、しかしながら一方では、独立行政法人になったということで、そのガバナンスの部分のところに大変重たい機構が必要になって、実は、私四人だと思っておりましたら、今五人、大蔵省の天下りが、理事としてOBがいらっしゃるという構造にあります。

 私は、いわゆる従来の、省庁と独立行政法人という、通則法もあって、一つの枠、型にはめられている二分論で物を考える必要は全然ないと。

 どういうやり方をすれば一番少ないコストでやらなければならない仕事が行えるのかということを考えたときに、例えば国立印刷局について言えば、少なくとも、財務省印刷局であった時代には、ガバナンスをしているのは当時の局長一人でありました。これが独立行政法人という形になったことで、ガバナンスの部分のところに大変たくさんの人数が必要になっている。

 それから、先ほど来出ております資産の話も、独立行政法人として独立した形でバランスシートをバランスさせなければならないという見地から、前政権時代に、実は、独立行政法人国立印刷局には過大な資産をバランスシート上のっけないとバランスができないということで、そういった資産がつけられたというふうに聞いております。しかし、印刷局のやっている仕事の趣旨から考えれば、バランスシートをバランスさせなければならないといえば、それは逆に言えば、国そのものだってしなきゃいけないということになってしまいますので、そういった意味では、現在の独立行政法人制度の枠組みの中だけで考える必要はない。

 ガバナンスするのは、あえて言えば、責任者一人ぐらいいて、なおかつ、現場の部分のところについては、従来独法化によってプラスの効果があった部分をしっかりと残しながら、さらにコストを下げるということは私は十分あり得ると思っていますので、二分論ではなくて、例えば独法とは違う形の、よりコストを削減できる、例えば天下り等のポストをつくらないで済むような、あるいは、過大な資産をバランスシートにのっけないとバランスができないというような変なことを考えなくても済むような形のものにすれば、行政改革、行政刷新の効果がよりあるのではないか、そういう問題意識から発言をしたということでございます。

中川(秀)委員 それでは、長野県で言われたという新聞報道は違うということですね。

 私は、もし本当にこれが再国有化、そういうふうに、つまり、昔は財務省の一部局であって十分回ったんだから、その方が安上がりだ、そんな認識でいて今の御答弁の方向でやるといったら、実際は私はそんな改革はできないと思いますよ。

 だから、この報道は間違っていたということですね。

 少なくとも、少なくとも国家公務員にするという、つまり、簡単に言えば、選挙で世話になっているそういう労働組合を持つ独法を特別扱いする、そんなことをこの事業仕分けの前に宣言してしまうなんということがあったら、だれも信用しなくなるだろう。

 また、公務員改革を先送りすることで、財務省と手を握ったんじゃないか、そんなことをちまたでは言う人たちもいるわけでございます。菅大臣、直接の担当大臣なんですが、ちょうどいなくなりましたので、これは財務省のマターとして、この事業仕分けを通じて行われる印刷局の再国有化、完全にもとに戻す、国家公務員まで戻す、全印刷労組の要望にこたえるだけのそんなことだけする、そういうことはしないということをお約束いただきたいと思いましたが、いなくなりましたので、私は、そういうことはすべきでないということを枝野大臣に申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

枝野国務大臣 報道が完全に間違っていると言うつもりはありませんが、あえて言えば、舌足らずであった、あるいは報道の部分が、一部分、ガバナンスの部分については独法化によって大きくなっている、その部分のところは、ガバナンスをやる人間の数はもうちょっと少なくできるという意味で、かつての方がそこは小さかった、そういうところの問題意識を持った上で、御指摘のとおり、逆に、改革をすることによって、従来の悪い部分が戻るようなことには絶対しない、むしろ、より改革の効果が上がる方向で進めていく、このことはお約束申し上げます。

中川(秀)委員 つまり、二割人件費を削減しようというマニフェストを掲げておられるわけですから、また国家公務員に戻して、一二%も給料が四千七百人も上がる、そんなことはしない、そういう意味だと今の御答弁は伺いました。それでよろしいですね。

枝野国務大臣 趣旨としては全くそのとおりでございます。

中川(秀)委員 次に、公務員制度改革法案がようやく国会に出てまいります。

 この法案については、前麻生政権がつくった法案のままの、最近若者たちがよく言うんですが、コピペという言葉がありますが、そういう法案だ、しかも官公労が反対する改革の根を丁寧に取り除いた法案ではないかと言われています。

 具体的内容は、今後のこの委員会質疑、法案審議で同僚議員からもお尋ねがあると思いますが、きょうは、公務員制度改革についての基本的なスタンスを私は伺っておきたいと思います。

 平成二十二年一月二十九日の鳩山総理の施政方針演説の中で、「税金の無駄遣いの最大の要因である天下りあっせんを根絶することはもちろん、裏下り」、裏下り、裏の天下りという意味ですね。これを裏ルートと長妻さんは言ったかと思いますが、「やゆされる事実上の天下りあっせん慣行にも監視の目を光らせて、国民の疑念を解消します。」という言葉がありました。

 これに関連して、去る二月二十六日に、私の、天下り・渡りに関する質問主意書に対する政府答弁書をいただいております。

 この中で、十一の政府系金融機関、日本政策投資銀行、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、住宅金融支援機構、地方公共団体金融機構、日本政策金融公庫の国民生活部門、中小企業部門、農林水産部門、国際金融部門、国際協力機構の有償資金協力と有償資金協力以外、ここへの過去二十年の天下りあるいは裏下りの実態がこの答弁書で明らかになっています。

 お手元の配付資料で、この一部だけまとめて配付しておりましたが、きょうは時間がないので、この資料に出した中から、三つの機関の一部について伺います。

 二月十日の大臣就任の際、鳩山総理から枝野大臣は、法令解釈担当という指示もお受けになりましたね。その意味で、その立場で、枝野大臣に伺います。

 この政府答弁書で、切れ目なく、同一の役所から政府系金融機関、政策金融機関に天下り、わたりが行われている実態が明らかになっているわけですが、これは、過去において政策金融機関の人事は役所の人事と一体的に行われたと言うべきでしょう。

 こうした人事は、天下り根絶をマニフェストに掲げた鳩山政権のもとでは、天下り、わたりと認定して禁止するのか否か、先ほどの施政方針との関連性も含めて伺います。

 例えば、鳩山政権の判断として、日本開発銀行総裁、日本政策投資銀行総裁の流れをくむ株式会社日本政策投資銀行の役員ポストの人事において、あるいは日本輸出入銀行、国際協力銀行総裁の流れをくむ株式会社日本政策金融公庫国際協力銀行の役員ポストの人事において、三つ目は、国民金融公庫、国民生活金融公庫総裁の流れをくむ株式会社日本政策金融公庫国民生活事業本部の役員ポストの人事において、これらの人事異動については同一の役所からの就任は認めない。ごらんのとおり、もう何代もですから。明らかに、先ほど申したとおりです。また、他の役所とのたすきがけの人事も認めない。

 これをひとつ、本当は枝野大臣にも仙谷大臣にも伺いたかったんですが、いらっしゃらなくなりましのたで、枝野大臣が、法令解釈担当大臣としても、先ほどのお尋ねにお答えいただきたいと思います。

枝野国務大臣 法令解釈の担当大臣という立場から申し上げますと、法令上といいますか、政府としての公式の、天下りについては、法令に違反して、省庁のあっせんで再就職をするということでございます。しかし、我が政権として考えております、いわゆる広い意味での天下りを許さないということの範囲には、今御指摘をいただいたような問題が生じないようにしていくということになっていきます。

 これは、現行の制度でどこまでできるのかということと、それからさらに、今おっしゃられたようなさまざまな機関に対する、例えば政府としての関与、ガバナンスをどれぐらい強めることができるのか、関与、ガバナンスを強めることができれば、当然そこでそういった人事を許さないということを直接的にできるようになります。

 そうしたことも含めて、行政刷新の立場から、法令上どこまで強制的にできるのか、運用でどこまでできるのかということについては今後さらに精査をしてまいりまして、御指摘のような問題が生じないことを目標にしていきたいというふうに思っております。

中川(秀)委員 大変その点では評価できる御答弁だと思いました。

 ともかく資料を見てください。切れ目なく続いているんですね、同じ役所から。これが実態であるということです。これを正さなければならぬということは、私は強く思う次第でございます。

 これから公務員制度改革関連法の審議が始まりますが、自民党時代の改革案と民主党政権の案との大きな違いの一つは、総人件費の管理に関する機能をすっぽり抜け落ちさせたことであります。総人件費抑制という、これはマニフェストであったはずですが、その思想が今度の公務員制度改革法案から抜けている、そういう結果ですね。

 先日総務省が公表した、定年まで勤務できる環境整備に係る試算、つまり、今、勧奨退職もやめ、そして定年までいる、こういうことにして、民主党の言っている公務員の定年延長、これで公務員がどれだけふえるか、人件費が幾らふえるか。これはもう皆さん御存じだと思いますけれども、公務員は四万九千人ふえますね。人件費は、現在の総給与費、三十万人の二兆円ですが、これに対して約二割の増加になります。

 他方、民主党は、マニフェストで国家公務員総人件費二割削減と言ったんじゃないでしょうか。定年延長、天下りあっせん禁止、人件費二割削減、この公約は矛盾していますよ。矛盾しているからこそ、最近の報道では、仙谷さんも、退職勧奨を行わざるを得ないと。平野官房長官と一致した。

 また、配付資料を見ていただきたいと思いますが、民主党、野党時代、天下り根絶法案というのが、これはポンチ絵も含めまして民主党のホームページそのままですよ。これは別段私、何にも手を入れておりません。あなた方がどういうことを言われたかというと、これにあるとおり、退職職員による働きかけ行為の禁止、早期勧奨退職、肩たたきは、政府案は温存しているけれども我々は一切禁止するんだ、廃止するんだ、あっせんも禁止するんだ、そして、二万七千八百八十二人、この天下り、五兆九千二百億円減らすんだ、こういうことを出してきたんですよ。二枚目の紙もそういうふうに言っておりました。

 それが今度は、やはり退職勧奨せざるを得ない。人件費二割削減を言いながら、退職勧奨は行わざるを得ない、肩たたきはせざるを得ない、新人の採用ができないから。皆さんの主張は、政府案との違い、肩たたき、退職勧奨しないということが大きな、肩たたき禁止が大きな政府案との違いだったんじゃないですか。そんな肩たたき禁止の看板を簡単に下げるのでしょうか。

 原口さんも、肩たたきをやめた場合は士気の低下やいびつな年齢構成を招くおそれがあると言ったようです。こんな話は自民党政権時代に天下り容認派から私は百万回聞いておりますよ。今さら、天下り根絶と言う民主党が何を言っておるんですか。

 私は王道を行くべきだと思いますね。民主党政権で、即時人員削減と給与法改正をやる、官公労の圧力になんか負けない、すなわち国民のために公務員の大リストラをやる、そういうことを宣言して具体的に取り組むべきではないですか。組合に対する、民主党にはリストラという言葉はタブーなんでしょうか。私は、そういう意味で王道を行くように、お尋ねをしたいと思います。

枝野国務大臣 別に私は官公労に何の遠慮もございませんし、別にリストラも、やるべきところはやるべきだというふうに思っております。

 それから、総務省が試算をした二〇%、一定の条件といいますか、全く公務員制度を改革しないで今のまま全員定年までいたらということでは確かにそうなりますが、まさに、仙谷大臣のもとで、公務員の給与体系含めて大胆な見直しに向けた準備、作業を進めております。

 具体的な方向性が固まっていない段階で、余り私が先走ったことを申し上げるべきではないかもしれませんけれども、例えば民間企業においては、ある程度の年齢になりますと、それより昇進をされる方以外は給料は上がっていかない、むしろ下がっていく、あるいは、子会社などに出向される場合には給料が下がるというようなのが常識でありますけれども、残念ながら公務員の仕組みの中においてはそうなってはおりません。

 それから、退職勧奨について仙谷大臣がどういう趣旨でおっしゃられたのかは直接は伺っておりませんが、いわゆる従来のような意味で、つまり、ここに天下り先があるからやめてくれというような形の肩たたきをするというのは、天下りを根絶するという立場でございますので、考えておりません。

 ただ、今申し上げたような、民間がどういったことを行っているのかといえば、早くおやめいただく方には例えば退職金が上積みをされるという制度が民間企業では一般的にございます。先ほど申し上げたような、例えば、一定年齢で昇進しなければ昇給しないというような民間の考え方を取り入れる際にはそういったことも考慮に入れてもいいというふうには思っておりまして、まず、とにかく公務員の制度、そして公務員の給与体系、これをかなりゼロベースに近い形で抜本的に見直していく中では、当然、給与が下がるというような方もいらっしゃる、あるいは従来期待されていた給料に上がっていかないという方もたくさん出ていく。

 そしてもう一つ、定員、人員のことについては、必要のないところの定員は削減していくということでございますが、まさに昨年の九月に政権が発足いたしまして、それぞれのところで、どこに人が余っているのか、あるいはどこの仕事をやめることができるのか。例えば地方の出先機関についても具体的な作業、検討を進めておりますが、数を減らしたら仕事ができなくなったでは困ります。ここの部分の仕事が具体的には減らせるというようなこととセットでなければいけないというふうに思っておりますので、そのための精査に若干のお時間をいただきたい。

 四年間で公務員人件費二割削減という、政権公約で示した目標は、今のところ全く揺らいでおりません。

中川(秀)委員 だとすると、やはり給与法改正というのに一刻も早く取り組んで、国会に出さなきゃいけないはずですよね、おっしゃるとおり。

 おっしゃったとおり、民間では年功賃金というベースもありますし、しかし、やはり職務手当的なものが乗る。公務員はそういうふうな体系になっていませんね。やはりそういうことをちゃんと入れていく、そういう給与体系を考えないといけないはずです。それから、JALがやっているように、公務員だって希望退職を募る、そういうことも必要でしょう。ただし、それも、退職金だって人件費ですから、二割削減の範囲内におさめる、そういうことにしなければいけない。それから、民間に行った場合は、何か、官民人材交流の仕組みの中で、少し民間の給料が下がった場合は補てんするという規定がある、確かにあるんですね。それを利用してやるという。これも人件費がふえる話であって、そこら辺はちゃんと整合性をとってマニフェストどおりやらないと、言ったことが違うということになりますよ。

 だから、私は、第一に、国家公務員制度改革基本法、これは間違いなく与野党合意でつくった基本法ですね、今の基本法は。その十一条第一項二号に、「総務省、人事院その他」「行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能について、内閣官房が新たに担う機能を実効的に発揮する観点から必要な範囲で、内閣官房に移管するものとすること。」の、その他の行政機関の中には、財務省の給与共済課というのも入るんですね。よって、基本法に基づいて財務省の給与共済課も内閣人事局に統合させる、それが正しい方向だと思います。

 しかし、今度の法改正では、この人事院の機能も総務省の機能も実は抜け落ちてしまった。そういう麻生内閣政権の法案以下の状況になってしまっているわけであります。

 第二に、給与体系の改革について申しますと、自民党が与党の時代には、今年中、平成二十二年度中にやるということを決めまして、法律にもそのように書き込んだわけであります。枝野大臣、今国会でそういう給与法改正の法律をできるだけ早く国会に提出する、そのような決意は持てませんか。

枝野国務大臣 公務員制度あるいは給与体系、あるいは公務員をめぐるさまざまな行政のあり方、これはできるだけ早く抜本的に改正する御提案を国会にお願いをしたいというふうには思っております。

 ただ、御指摘をいただきました部分でもございますが、例えば、今、人事院も含めていろいろな役所に分かれております公務員の管理等に関する機構、これをどう抜本的に改革をするのか、そして、その中で例えば給与体系のあり方をどうしていくのか、こういうことをパッケージで、全体として、今仙谷大臣のもとで一生懸命精査をして検討しているところでもございます。

 特に人事制度等について大変抜本的な改革をして成果を上げたDOWAホールディングスの吉川さんに今度行政刷新会議のメンバーにも入っていただくという方向で、こうした民間の皆さんの成功体験というものをしっかりと踏まえて、できるだけ早くさせていただきたいというふうに思っておりますが、具体的時期については、やる以上は一気に、大がかりに、抜本的にやりたいというふうに思っていますので、細切れにやりますと途中で整合性が、あ、ちょっと違っていたなというようなことがあり得る、全体としての体系が求められる世界でありますので、そこは全体の抜本的な改革を行うということで、時期についてのお答えは御容赦をいただければと思っております。

中川(秀)委員 本当は、私の質問の仕方がうまくなかったのかもしれませんが、この質問まで菅大臣、仙谷大臣にはいていただく予定で考えておりましたが、この質問はまた同僚議員に譲りたいと思います。国家戦略局と内閣官房の他の部局との関係について実は聞きたかったんですが……(発言する者あり)副大臣、答えられる。本当に答えられる。

 国家戦略局は内閣官房の他の部局の並立か、下に入るのか。もし並立になると、ラインから外れた盲腸的存在になるのではないか。これがまず第一です。

 第二に、国家戦略の担当大臣としての国家戦略担当大臣を廃止するのか。これに関連して、仙谷大臣は三月七日のテレビで、実質的に総理大臣のもとに担当大臣、形式的には官房長官の下にせざるを得ないという説明をしていたが、私はこの説明はおかしいんじゃないかと思いますね。今回内閣法をわざわざ改正しているのだから、実現したい実質に合わせて規定を改めればいいじゃないですか。なぜそれをしないんでしょうか。

 私の推測するところ、強力な国家戦略局の設置を阻止しようとする官僚たちにだまされたんじゃないかと思いますよ。指揮命令系統を混乱させ、政治家同士を内輪もめさせるのは官僚主導勢力の常套手段です。今回条文上は担当大臣が出ていないようにしたのは、官僚たちが指揮命令系統を混乱させるために打った布石だろうと思いますよ。それにまんまと乗せられたとは残念ですね。

 例えば内閣府設置法では、枝野さん、これも聞いておいてください、特命担当大臣もきちんと位置づけられています。あなたもそうですね。内閣府設置法。例えば金融担当大臣は総理の直下で官房長官は挟まない、明確になっていますよ。同様に、内閣法で国家戦略担当大臣を規定すればいいじゃないですか、金融担当大臣と同じように。あるいは、麻生内閣で出した法案のように、総理の直属ということを明確に規定するのでもよかったはずですね。簡単に答えてください。

古川副大臣 お答えさせていただきます。

 中川委員の方から、官僚にだまされたんじゃないか、そういう御指摘がございましたが、そんなことは全くございません。この国家戦略局あるいは行政刷新会議、総理直属の、総理のリーダーシップを強化するそうした仕組みというのは、私たちが政権を獲得する前から考えてきたものであります。

 ここは、委員、御自分で内閣官房長官をやられておりましたからわかると思いますけれども、官房長官というのは、総理を支える、そして全体を把握していく、行政各部を見ていく、そういう、支え役として余りにも非常に幅広く所掌があり過ぎるということが、逆に十分な支えになっていないのではないか。やはり総理のリーダーシップを強めるためには、官房長官一人ではなくて、官房長官が今まで担っていた部分、例えば重要政策の政策調整、こうしたものを、官房長官がやっていた、担っていた役割を、国家戦略担当大臣そして行政刷新担当大臣、両方で、三本の矢として総理を支えていく、そうした仕組みをつくっていくという中で私ども政治家が考えてこの仕組みをつくったわけであります。

 そういった意味では、今までの、官房長官が全体を統括しているという仕組み、その仕組みの中で官房長官の役割の一部分を専属の担当大臣を交えて行うというものでありまして、先ほど御指摘のあったような、何か盲腸であるとか、あるいは担当大臣が直属でなくて、官房長官の下にあって、ここが混乱するであるとか、そういうことはないような形で、私ども、これはあくまで総理を支える直属の機関として一体として運営を行っていくということでございますので、御心配の懸念というものは全く当てはまらないというふうに思っています。

中川(秀)委員 大いに心配の懸念がある。だったらそう言われたとおりの法律になぜしないんですか。今回内閣法を改正しているんでしょう。総理直属の金融担当の特命担当大臣と同じように、国家戦略担当大臣というのをちゃんと法文に書いて、大臣の名前も出てないじゃないですか、それを位置づければいいじゃないですか。なぜそれをしないんですか。

 法律のことを聞いているんですよ。総論はわかっている。今回内閣法をわざわざ改正しているんだから、実現したい実質に合わせて、国家戦略担当大臣は総理直属の大臣、そういうふうに法律で書けばいいじゃないですか。なぜそういう法律になっていないんですか。法律がそうなっていないということも古川さんは知らないんですか。

古川副大臣 法律がそうなっていることは当然承知をしておりますが、そのことと、私が先ほど申し上げましたように、この大臣が担当大臣として国家戦略局を所掌していく、そのことは、私は、今回の法律においても、別にそういう懸念が起こるような問題は全く生じないというふうに認識をいたしております。

中川(秀)委員 それは全く答弁になっていないね。金融担当大臣は特命担当大臣になっていて、官房長官は挟まりませんよ。今度の国家戦略担当大臣のところはどうして組織的に官房長官のもとになって、担当大臣という名前も置かれていないのですか。ともかく、これを議論していても、もう少し私の論点、あなたの言う総論は私も基本的には賛成ですが、法律上そういう措置が行われていないということに、大いに疑問と、何が裏にあるんだろうかと思いますね。

 もう一つ。もう一度話題を裏下りに戻します。裏下り、裏の天下りに関して、長妻現厚生労働大臣ですが、野党時代に、平成二十一年二月四日の衆議院予算委員会で以下のように天下りの裏ルートを説明しているんですね。「一回天下ったOBの方が、後輩をそこに呼んで、そしてその団体に後輩を引っ張っていって脈々とわたりの指定席で、天下り団体に指定席としてわたり続けるということで、これは中央省庁は関知しないことになっていますので、あっせんをしていないということで、これはないことになっているウラルートでございます。」こういうことですね。

 鳩山内閣の法令解釈の責任者たる枝野大臣に伺いますが、この長妻大臣の言う裏ルートを鳩山政権は根絶しますか、容認しますか。まず、このお尋ねだけしましょう。

枝野国務大臣 御指摘のような、あっせんの事実は確認されていないものの、事実上の天下りあっせん慣行があるのではないかと疑念を抱かせるような退職した公務員の再就職についても、厳格な監視を行い、国民の疑念を解消する必要があるというふうに考えております。

 そういった対応をしてまいります。

中川(秀)委員 であれば、今度の法案も、この裏下りは法的に規制する。この法案では具体的にどのような行為規制を追加したのか、全く見えてまいりません。そういう措置をとるべきです。

 私は先ほど資料を出しました、政府答弁書。何代も同じ府省庁出身が特定の団体のポストに再就職する。これは精査する必要があるということは枝野大臣もおっしゃっていますが、これだけでは、私は、松井副長官も言っておられますけれども、そんな組織的なあっせんはないと役所の見解があったとしても、その団体との関係、それから役所のあっせんにかわってOBがかわりにあっせんしたようなケースがあれば、それは我々がこれからとる措置に対する脱法的な措置だからしっかり監視したいということですが、私は、今のその答弁は、この松井さんと全く同じ、脱法的なことなんだという認識でやっていただかないとこれはなかなかうまくいかない、そういうふうに思います。

 枝野大臣に伺いますけれども、具体名を挙げて恐縮ですが、例えば日本郵政の副社長人事の玉突き人事として、日本損保協会、損害保険協会副会長のポスト、昨年十一月にあったんですが、これはOB同士のあっせんであって省庁としてはあずかり知らない、こういうことで容認されたようでありますけれども、結局、先ほどの配付資料にもあるように、OB同士のあっせんであって省庁はあずかり知らないと言ってきたらどうするのか。

 私は、かつて議員立法を仲間と一緒につくったときには、やはりそういうことは刑事罰を科さないと確認できない、そういうことで、単なる懲罰、懲戒ではなくて、そういう規定を盛り込みました。私は、そこまでやるべきだと思いますね。そうでないと、本当に、例えば次官室や官房長の部屋へ入って書類など全部出させて、OB人事について押収して調査をするなんということは、そういう規定がなきゃできないでしょう。

 今度、監視委員会ができたとしても、今、どんな調査ができるのでしょうか。今回出された法案の監視・適正化委員会、調査権限は麻生内閣のあれと同じですが、それだけでは実際はできないんじゃないのか。役所に聞けば、全員、何のことですか、していません、証拠はあるんですかと答えるでしょう。物的証拠で確認するためには、他の懲戒とかそんなんじゃなくて、刑事罰を科して確認するしかないはずです。

 枝野大臣、いかがですか。そういうことも入れて裏下りを根絶する、これが一番ポイントだと思います。与野党修正で、与野党共同でもこの委員会でそういう修正をすべきだと思いますが、あなたはどう考えますか。

枝野国務大臣 御指摘のような、なかなかあっせんが立証されないようなケースについて、まさに、事実関係をいかに調査できるのか、そして調査によって事実を明らかにできるのかというのは大変重要なポイントだというふうに思っておりますし、今回改正提出いたします国家公務員法改正案でも、新設される再就職等監視・適正化委員会におきましても、証人喚問、書類または写しの提出要求、調査対象職員に出頭を求めて質問、調査対象である職員の勤務場所への立入検査などの調査ができるということとされております。また、これに対しては、罰則によって調査の実効性を担保するというものもつけております。

 まずはこの改正を速やかにお通しをいただいて、この仕組みを使いまして、実態、怪しいもの、疑義を持たれるものについてはしっかりと調査をしていくということの上で、さらに強力な制度が必要かどうかということは、この運用を見ながら検討してまいりたいというふうに思っております。

中川(秀)委員 結局、今回の法案で設置されます監視・適正化委員会というのは、裏下りを監視するということですが、現実にこれは同意人事が民主党の反対で行われていないわけですね。だから、そんな委員会は今ないわけです。結果として、裏下りの監視はその間できなかった。これは、皆さんの判断は間違いだったと私は思いますよ。その意味で、今の、現行法上の監視委員会も、一刻も早く委員を任命して直ちに監視すべきですよ。

 そして、この法案で、今枝野さん言われたようなこともちゃんとやり、足りなければ刑事罰もつける、そういうことでしっかりと監視をしていくべきではないんでしょうか。

 この監視・適正化委員会と同時に、民主党の皆さんも官公労天下りバンクをつくっていますよ。官民人材交流センター、これは、皆さんは天下りバンクだとさんざん批判をされた。しかし、今度の民間人材登用・再就職適正化センターは、組織改廃等による分限処分者のあっせんのみを行う、それならば官公労天下りバンクじゃありませんか。同じ理屈じゃありませんか、そういう批判をされた民主党の論理を使えば。

 この官公労天下りバンクについて、平成十九年六月六日の衆議院内閣委員会で、皆さんの同僚の長妻さんが野党議員として質問したときの同じ表現で政府側に聞きますので、答えてください。

 ハローワークを利用できるんですよ、官公労公務員も。私は完全な官尊民卑だと思います、民主党政権の発想の根底にあるのは。

 私の素朴な疑問として、一般の方は就職情報誌とかあるいはハローワークで再就職先を探されているわけでありますけれども、何で官公労公務員の方は、就職情報誌とかあるいはハローワークに行って仕事を探す、この際あっせん仲介を全面的にやめて、そういうことを、なぜハローワークに行って探されないんですか、仕事を。

 国から言われて、官公労公務員の天下りはどうですか、受け入れませんか、そういうふうに言われたときに、きちっと断れるのかどうか。押しつけ天下りも公然と認めるということじゃないですか。これは一般常識感覚の話です。

 何でハローワークに行かないんですか。官公労はハローワークに行かないでスペシャル版の天下りバンクに行くわけでしょう、自分たちだけが。それはおかしいじゃないですか。

 官公労天下りバンクをやめれば、ハローワークに公務員がいっぱいお客さんとして来る、それをきっかけにハローワークを、きちっと仕事が見つかるさらにいい場所に変えましょうよ、お互い、与野党を超えて。

 そんな官公労天下りバンクのようなことに税金を使うお金があったら、ハローワークにその金を注ぎ込んでくださいよ。民間の方は見捨てるんですか。とんでもない話です。

 これは、長妻さんの、幹部公務員のところを官公労公務員にかえただけです。

 今度のセンターは、組織解体、分限処分、つまり、一般職公務員、その者だけ世話します、これはあっせんするんですよ。では、同じ理屈でこういう質問が出るじゃありませんか。

 枝野さんどうですか。

枝野国務大臣 御指摘のとおりでございまして、一般的にはハローワークに行っていただくということで、全く変わりません。

 今、長妻大臣が議員として過去に発言されたことを朗読された中にも入っておりますとおり、官尊民卑であってはならない、公務員であっても民間と、基本的には、公務の特殊性以外のところは全く横並びでなければいけないという考え方に立ちます。

 そういたしますと、民間におきましても、整理解雇を行う場合には解雇回避努力義務があるとされております。したがいまして、整理解雇を行う場合には、例えば再就職のあっせん等について努力をすることが求められております。同様に、民間の整理解雇に当たる、組織の改廃等による分限免職の場合に限って例外的に今のような措置をとっているということでありまして、基本的に、これが発動されることは大幅なリストラがなされるというケースとセットでなければあり得ないということでございまして、基本的には公務員の皆さんもおやめになったときにはハローワークに行っていただくという、長妻委員がかつておっしゃられた考え方に基づいて対応をさせていただきます。

中川(秀)委員 枝野さん、そうおっしゃるんですが、実際、法律的にそこをちゃんとしておかないと、組織の改廃に伴うあっせんをしますということですから、現実問題として運用でそうなってしまうおそれは十分あるわけですよ。おっしゃることはわかりますけれども。だけれども、基本的にそうだというならば、基本的にそうだという政府の方針をしっかり決めてください。そうしないと、今の法律のままだったら、この組織改廃に基づく分限処分、これで全部お世話しますよと、無制限にそうなる可能性があります。

 もう一点だけ。連合の古賀会長が、公務員制度は基盤的行政だから、政権交代しても安定的に機能する必要があるので、与野党が協議を尽くして国民的合意形成を図る必要がある、これは、皆さんの支持母体である連合の古賀さんの昨年三月の有名な談話ですが、まさに、公務員制度改革は与野党が協議を尽くして国民的合意形成を図る、その決意は今の政権も変わらないんでしょうね。

 というのは、公務員制度改革法案は強行採決はしないということが大事ですよ。与野党協議をちゃんとやるということが大事ですよ。それをしないで、さきに与野党合意で成立した基本法を与野党合意なく勝手に改正する。今度の法律は、基本法まで改正しているんですよ、今度の法律で、基本法まで改正しているんですよ。そんなことはしないということをちゃんとやらないと私はいけないと思いますね。

 いろいろ改革の骨が今抜かれているコピペ法案だと申し上げましたが、まさに、総務省、人事院の機能移管なんか入っておりませんし、それから、その機能移管をやらないのは明確な基本法違反で、これは一年以内でやるという基本法だったんですから。これは民主党も賛成した、合意した基本法ですよ。この違反状態を、それを回避するために、違反を回避するために十一条の方を民主党だけで勝手に直してしまうというのは、共同責任者である自民党としては全く納得できないことです。

 最後にそれだけお伺いして、私の質問を終わります。

枝野国務大臣 まず、連合は私どもの支持母体ではなくて、私どもを応援していただいている団体の一つでございます。

 その上で申し上げたいと思いますが、国会の運営については国会の内部においてお決めをいただくのが権力分立原則の筋でございまして、内閣の一員として、そこに口を出すべき立場ではないというふうに思っておりますが、私どもといたしましては、国会に提案いたしました法案は、できるだけ幅広く多くの皆さんの御協力を得て成立させていただくことがありがたいというふうに期待をいたしております。

中川(秀)委員 終わります。

田中委員長 次に、小渕優子さん。

小渕委員 おはようございます。自由民主党の小渕優子でございます。

 本日は、少子化問題、子育て支援を中心に福島大臣、そして、その後、枝野大臣に御質問させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、福島大臣とは、昨年の九月に大臣の交代の際にお時間をいただきまして、いろいろとお話をさせていただきました。福島大臣とは、それ以前にも、女性政策をさまざま成立させていくに当たって超党派でいろいろお話をさせていただく機会もありましたし、また先日も、子育て、少子化問題、いろいろとお話させていただいた中で、私は、気持ちを同じくする部分が随分と多かったというふうに思っております。

 政権交代をいたしましたけれども、この少子化問題に関していえば、私は、やはり国を挙げて取り組むべき最重要課題であるというふうに思っておりますし、政権交代をしたからといっても、全力で進めていかなければならないことであるということに関しては、これは認識の違いはないというふうに思っております。その上、子供の問題を扱うということですから、やはり継続性というものが重要視されてくると思っています。政権がかわったということで、この子育て支援や少子化問題に関しては、その規模ですとか優先順位というものは違ってくるかもしれませんけれども、私としては、議論を重ねながらも、一歩でも二歩でも前に進めていきたい、その思いは基本的に持っておるところであります。

 そんな中、あの政権交代の際にも、福島大臣とお話をさせていただいたんですけれども、私は、福島大臣には大変大きな期待をしております。もちろん、福島大臣は子育ての当事者でもありますし、子供を育てながら政治家というお仕事をされてきた、そのことについては、政治家の先輩として、子育ての先輩として、やはり尊敬を申し上げるところであります。

 ただ、この半年、福島大臣の少子化対策担当大臣としての活動、発言を見ておりまして、正直、せっかく福島大臣がこのポジションにおられるのに、もっと頑張っていただきたい、もっとやっていただきたいという思いで、ちょっと残念な思いがしておるんです。

 これまで、超党派でいろいろな女性政策を扱ってきました。例えばDV法なんかは、まさに福島大臣の熱意あってこそだと思います。福島大臣の突破力ですとか行動力というものを知っているからこそ、私は、そのエネルギーが一〇〇%少子化に向いていないのではないかというような思いがしているんです。もちろん、社民党の党首としての顔もありますので、どうも頭が普天間とかそちらの方に行っているのではないかということで、私は、福島大臣の全力でこの少子化問題に当たっていただきたい、そのように思っておるんです。

 本題に移ってまいります。

 私は、きょう、一応、新旧の大臣の議論ということで、私たちのつくってきた二十一年度の予算、そして大臣のおつくりになってきた二十二年度の予算案、これをしっかり対比させながら議論をしたいなと思っていました。新しい政権がスタートをして、連立政権なわけです。その連立政権がこれから子育て政策についてどのような方向性で進んでいくのか、その全体像を示すという意味で、やはり二十二年度の予算をしっかり見ていきたいというのが私の思うところであったんです。

 ですから、今回の質問に当たって、二十二年度の少子化の社会対策関係予算の資料請求をさせていただいたんですけれども、いただくことはできませんでした。一枚紙で、少子化社会対策関係予算案の主なものということで、プラスになったものは出していただいたんですけれども、私が知りたかったのはこういうことではなくて、全体をすべて出していただきたかったんです。例年ですと、予算案決定後速やかにこれは公表されているものだというふうに承知をしておりますが、現在作成中ということでありました。これは、今後きちんと公表をしていただけるんでしょうか。

 というのも、今回、目玉として、子ども手当一・五兆円入ったわけであります。私たちが心配するのは、この子ども手当が入ったがために、これまでやってきた子育て、家庭に対するいろいろな予算というものが、どこかでしわ寄せを食ったり削られたりしたことがないのだろうかということをしっかり見ていきたいなと思ったんですね。ただ単に一・五兆円がふえたのですよということはわかるんですけれども、その全体像というものがわからなければ、この一・五兆円が多いのか少ないのか、あるいは、ほかのものがどういうふうにふえたのか減ったのか、しっかり議論することができないと思うんです。

 ちなみに、二十一年度の予算は、子供、家庭に係る予算は大体一・六兆であったわけなんです。とすると、一・五兆の子ども手当と、これまでの子供、家庭に係る予算というものを合わせると、単純に計算すると三・一兆円ということになるんですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。三・一兆になっているのだとすると、子ども手当を入れたがためにどこかにしわ寄せが来たということにはならないかと思うんですけれども、そのあたりのことも含めて、公表していただけるかも含めて、お答えをいただけたらと思います。

福島国務大臣 小渕さん、どうもありがとうございます。引き継ぎのときにいろいろアドバイスもいただきましたし、小渕前大臣がやってこられた安心こども基金やさまざまなプロジェクト、有識者の会議なども、引き継いでいるところも多くあり、本当にどうもありがとうございます。

 また、子供を応援しよう、子供を産んで育てることが困難な社会を変えようという点では、これも思いは一緒ですし、超党派でやれることもたくさんありますし、私も突破力と行動力でまた頑張っていきますので、どうかよろしくお願いします。

 今の御質問に関しては、私は細かいその質問通告は受けていないので、今作成中ということであれば、いずれ予算のきちっとした全体像をお示しするのはもちろん当然だと思いますので、事務方と相談をして、予算案は国会議員の皆さんにお示しするのが当然ですので、そのようにしたいというふうに考えています。

 それで、同じ資料、少子化社会対策関係予算案の主なもの、一枚もらわれたということなので、それを見ていただければ、今回の予算案は、確かに、子ども手当もあるのですが、保育園についても三百七十七億円追加をしている。保育サービスを何と見るかはさておきながら、四千百五十五億二千二百万円、プラス三百七十七億円前年比増です。また、放課後児童対策も四十億円プラスの二百七十四億二千万円、そして生活保護の母子加算の復活や児童扶養手当を父子家庭にもするという形で、やはり子供に厚い予算になっているというふうに思っております。

 もっと全体像や詳細が知りたいということについては、できるだけ国会の皆さんにもそのような情報提供をしていきたいと考えています。

小渕委員 私も、大臣の際に、子供とか子育て、家庭にかける予算というものが世界的に見ても本当に日本は少ないので、ここをどうしてもふやしていきたいということは、ずっと申し上げてきました。ですから、全体のパイがふえたということであるのであれば、それは喜ぶべきことであり、評価をすることなんだと思います。しかし、子ども手当を入れたがために、何かの形でどこかにしわ寄せが来るということは、避けていただきたいと思います。

 私も、保育の部分ですとか学童の部分も調べさせていただきました。確かに、そういう注目されるところは微増であります。そこにしわ寄せが行ったということはないということがわかったんですけれども、やはり、全体のものを見せていただいて、それからどこかにマイナス面がないかということをしっかり議論させていただきたいというふうに思っておりますので、できるだけ早い段階でこれを公表していただきたいと思っています。

 ただ、大臣は、しっかり環境整備をしていかなければいけないということに関してはすごく強い思いがあるというふうに私は思っていました。ですから、保育サービスが三百数十億円ふえたということであるんですけれども、本音とすると、もう少し拡充したいなというふうな思いがあったのではないかなと思っているんです。

 結局、子ども手当ありき、初めにこの子ども手当があっての議論がスタートということでありますので、関連施策については必要なだけ伸ばせない、子ども手当の議論ばかり先立ってその他の議論というものが十分にされない、また、それが表に出てこないということで、今回の予算、全体的に見ますと、現金支給をかなり重視した、正直、バランスを欠いた少子化対策の予算になっているのではないかというふうに思います。

 私は、この子ども手当に大臣が縛られて、本当にやりたいこと、大臣ならではのリーダーシップというものを発揮できていないようにお見受けしております。大臣は、御自身の経験から、子育て支援というものにはどんなものが必要なのか。もちろん、子ども手当のような経済的支援が必要だということは、私自身も思いますし、大臣も思うところであると思います。しかし、それ以外に、またそれ以上に必要なものというものも実感として感じておられると思うんです。

 ただ、連立という枠組みの中で、社民党でこのポジションをやっておられる、そんな中で、民主党の目玉政策であるこの子ども手当に関しては、正直、なかなか口を挟めないというような状況ではないかと思っておるわけであります。せっかく福島大臣がそのポジションにおられる、また、連立与党の中で福島大臣の声というものをもっともっと存分に通していくべきではないかというふうに私は思っているんです。

 そこで、子ども手当について、もう一つお伺いをしたいと思います。

 先ほども申し上げたように、少子化対策において経済的な支援が必要であるということについて、これは本当に、さまざまなアンケートからも、国民の声として出てきているということであります。しかし、私は、やはり限られた予算でありますので、それを効果的に活用するという観点から、この子ども手当のように新たな現金給付を創設するにしても、一定の所得制限をした上で、給付総額を圧縮した分は保育サービスなどの関連施策の拡充に充てる方が少子化対策としては効果的ではないかというふうに考えています。待機児童一つとっても、サービスの供給量を大幅にふやさない限り、現金給付による可処分所得を月額数万円ふやしたところで、それは解決にはなっていきません。

 大臣の示されたビジョンで、「新たな次世代育成支援のための包括的・一元的制度設計に係る主要な子育て支援サービス・給付の拡充に必要な社会的追加コストの機械的試算」というのがあります。量的拡大に施設整備費を加えても、ビジョンの最終年度における追加予算は七千七百七十億円。これを見ても、今回の子ども手当の半分のお金で賄えるわけです。乱暴な言い方をすれば、例えば所得制限をつけたり支給額を多少見直すなどによってこの子ども手当というものを少し圧縮すると、政府が今必要としている子育て支援サービス、給付はすぐにでも実現可能になるということだと思うんです。

 率直にお伺いいたします。福島大臣、子ども手当に所得制限をつけるべきではないかとお思いになりませんでしょうか。

福島国務大臣 私は欲張りですので、経済的支援も、それから現物支給も、両方だと思っています。それで、おっしゃるとおり、予算が潤沢であれば、もっともっと現物支給もやりたい。思いは、連立与党の中でも、与野党超えても、実は同じだと思っています。

 所得制限については、私自身は、現物支給をどう確保するかという、担当大臣という自分の思いもあったわけですが、結論的には、今のこの制度で一番いいと実は思っています。というのは、子ども手当をユニバーサルサービスとして、すべての子供に支給する、そして、現物支給として、保育園や学童クラブや病児・病後児保育や、いろいろなところも応援する。不妊治療については、本当に、ちょっと少ないかもしれませんが、将来の保険適用も踏まえて、今回は支援をまた応援するという形になっているので、今の予算規模の中では一番バランスよく配置をしたというふうに考えています。

 やはり、チルドレンファーストを打ち出して、子ども・子育てビジョンを打ち出して、子供を大事にする内閣にする。全体の予算の中で、子供に関する予算は今回ふえましたので、さっき、どこかにしわ寄せがとおっしゃったことはわかるんですが、優先順位として、子供に出そうということを決めたことは、社会にある種のメッセージを出して、みんなが子育てを負担とだけは考えない社会になるというふうに思っています。

 ですから、私自身は、所得制限がありますと、正直、事務経費や、毎年毎年その捕捉も含めて大変なので、子ども手当それから現物支給、そして小渕大臣から引き継いだ、現物支給も含めた予算獲得を頑張ってきましたし、頑張っていきたいと思っています。安心こども基金も、今回、補正予算で二百億円確保しましたので、これは各都道府県に今後お配りして、だから、実は前よりもずっと現物支給については手厚くしたという思いがあり、この方向で頑張っていきたいというふうに思っています。

小渕委員 子供、家庭に対する予算、その全体のパイを広げていただいたということ、本当にこれは大変すばらしいことだというふうに思うんです。

 ただ、内情を、全体的なことを見ていきますと、やはりこれが将来のツケに回っているということも受けとめていかなければなりません。将来の子供たちのために、日本の未来を生きていく子供たちのためにということで子ども手当という考え方があるということ。でも、一方で、その子供たちに大きなツケも残していく。そのことについての考え方もやはり避けて通るわけにはいかないと思うんです。

 そんな中、一般の方々に、この子ども手当について、どうですかというアンケートをとったところ、所得制限をしっかり設けるべきではないかとお答えになる方が七割近くいるというふうに言われています。公約どおり一律の給付を行うべきだという方は二割もいかないということなんですね。

 やはり、大臣というお立場であるのであれば、一般の方々がどのような子育て支援を必要としているのかということを十分に受けとめるべきだと思いますし、私自身も子ども手当を受け取る立場の人間なんですけれども、そういう方々でさえも、もちろん現金給付は欲しい、しかし、それが子供たちの未来にツケとして、赤字国債として残っていくのであればそれは少し考えなければならないというふうに、今回の子ども手当については、みんなが賛成かといえば、決してそうではなくて、みんないろいろなちゅうちょがあるように思うんですね。

 そういう声について、大臣、どういうふうに思われますでしょうか。

福島国務大臣 国民の皆さんは、今財源が逼迫していることを十分御存じなので、それで所得制限という話が出てくることは理解ができます。ですから、そういう思いも、そういうアンケートがあることも承知をしていますが、実は、そもそも、根本的に言って、どういう施策を打つかということがあると思うんですね。

 私自身は、本当は、根本的に言うと、子ども手当や子供に対する施策は、親と関係なく、どんな親だろうがと言うと変ですが、親の収入の多寡は関係なく、すべての子供を応援するというユニバーサルサービスというところに実は根本の価値があるというふうに思っています。今回の子ども手当は親に対する支給ですが、私は、スウェーデンの社会科の教科書を見たときに、自分がもらった子ども手当をどう自分のために使うかという子供たちのいろいろな声が載っていて、子供たちは、この社会がすべての子供を応援しているよというメッセージとしてあることもいいなというふうに思っています。

 ですから、哲学の問題とすれば、やはり、子供には、すべての子供を応援する子ども手当と、それから、困難を抱える部分、そこにもしっかり応援しなければいけない。だから、生活保護の母子加算の復活や児童扶養手当に対する父子家庭への援助、もう一つは、実際、保育所などもきちっとつくって、保育所や放課後学童クラブや病児・病後児保育、そういうことの充実などをしっかりやっていきたいというふうに考えています。

小渕委員 子ども手当の財源に関しては、もう随分長いこと議論がなされてきたと思いますが、正直、なかなか明確な答えというか、相変わらず平行線の議論をしているのではないかなというふうに思います。

 ただ、子供のことというのは、先ほども申し上げたように、継続性が必要でありますので、ことしもらった、来年もらった、でも再来年はもらえなかったということでは、やはり大きな問題があるわけですし、毎年毎年もらったのはいいけれども、どんどん赤字がふえていって、本当に将来不安だけれどもお金だけ入ってくるという現状も、とてもおかしなことなわけなんですね。ですから、実現可能であり、持続可能である政策というものをしっかり築いていく必要があると思っているんです。

 そこで、財源をめぐってはいろいろな紆余曲折がこれまであったかと思うんですけれども、きょう原口大臣が参議院の方でとられていて来れないということなので、ちょっと意見だけ申し上げておきたいと思うんです。

 財源をめぐって、原口大臣は、全額国庫負担をずっと主張してこられていました。十二月十五日の閣僚会見においても、絶対にこれは国庫負担でやるんだということをおっしゃっていたわけです。しかし、結果としては、最終的に、児童手当を継続する形で地方の負担を残すこととしたわけでありまして、それに関しては、地方もいろいろな反発を示しています。私の地元の群馬県においては、地方負担分も国が負担すべきではないかという決議を町村会で申し合わせをされたところであります。

 現行の児童手当の維持でということで地方に負担を求めたことについて、これも主要の市の百十八の自治体にアンケートをとっていますけれども、四分の三が反対だと言っています。その理由としては、最初に公約として国庫負担と言ったじゃないかというような声と、もう一つは、ここが私は一番大きいと思うんですけれども、説明とか協議とかそうしたものが全くなされない中で、ずっと国庫負担でやりますよと言ってきたにもかかわらず、地方にも負担をお願いしますということになったということで、私は、これはかなり場当たり的な対応だったのではないかというふうに思うんです。

 私は、別に、地方に子育てに対する負担を求めるなと言っているのではありません。私は、しっかり議論した上で、企業だとか地方だとか、みんなで子供を支える仕組みというのはつくっていかなければならないことなのではないかと思うんです。しかし、今回の子ども手当に関しては、絶対に国庫負担でやりますよという公約があるんです。ですから、地方は、だったら、自分で、ここで浮いた児童手当分を何に使おうかと、いろいろな形で、それなりに考えていたことだと思うんですね。

 原口大臣は、地域主権を担当されていて、地域の声をしっかり聞いていくということをずっと就任当時からおっしゃっておられるにもかかわらず、急に、今回、場当たり的な形で地方にも負担を求めるということになった。私は、これに対しては、大臣のお立場としてどう考えるか、ぜひ御意見をお伺いしたいと思っておりました。

 あわせて、二十三年度ももちろん国庫負担でやりますと今言っているんですけれども、実際どうなるのか。このあたりは、地方負担もあり得るのかどうなのかも含めて、しっかり今のうちから率直に地方の意見を聞きながら検討を進めていただきたいというふうに思います。今回のように、ずっと国庫負担でやると言いながら急に地方に求めるということ、それこそが、私は、理念とか哲学がない子育て支援策、子ども手当はそう言われてもおかしくないと思うのですけれども、きょうは政務官が来ていただいているということでありまして、副大臣と政務官はちょっとこの辺に関してはお答えがということだったので、ぜひとも大臣にその旨お伝えいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 福島大臣のもと、先日、子ども・子育てビジョンが閣議決定をされました。このことについて質問させていただきたいんですが、私は、この子育てビジョンの出るタイミングというのが、正直、ちょっと唐突だったのではないかというふうに思っております。

 先日、大臣とお話しした際にも、今後五年間というものはこれまで以上に大事な五年間になるということは、私、お話をさせていただいたかと思います。第二次ベビーブームの世代が、あと四年で大体四十代を迎えるわけです。そうすると、子供が多く生まれていたピークから、子供がどんどん減っていく時代にまた日本は入っていく。その中で、お母さんの数が減っていくのですから子供の数も当たり前のように減っていくということで、やはり、この五年に私たちは少子化対策という意味ではエネルギーを注いでいかなければならない。

 ですから、今回、子ども・子育てビジョンという名前になっていますけれども、いわゆる大綱ですね。今後の五年間を示す大綱には、やはり、大臣の熱意もそうですけれども、国民的な議論を巻き込んだ、かなり大きな、メッセージ性のあるビジョンを私は出していただきたかったというふうに思っているんです。

 この検討の場として、子ども・子育てビジョン検討ワーキングチームが設置をされたというふうに聞いていますけれども、メンバーは政務三役のみで、会合は非公開、十月中から十二月中旬まで計七回開催、そのうちの五回は有識者からのヒアリング、ビジョン案について議論したのは骨格案を議論した第三回の一回だけにとどまっている。資料、議事、概要等も公表されていないので、具体的に何をどのように議論したかということを知ることはできないんですね。国民からの意見募集ということでホームページで半月ほどやったようなんですけれども、これはちょっと形ばかりではないかと。なぜならば、そのホームページでやった意見募集をワーキングチームの議論として取り上げた形跡はないんです。その上、その国民の意見というものをビジョンに反映したかというと、その説明もないわけであります。

 私は、すごく少子化対策について難しいなと思ったのは、どうしても、子育て支援というと当事者だけの問題になってしまうんですね。みんな、子供であったころのことはすっかり忘れてしまうので、どうしても、年を重ねていくと、当事者から外れていくと、国の子育て支援なんかはどうでもいいわというような気持ちになっていきがちなんです。しかし、先ほども申し上げたように、少子化問題というのは、この国の最重要課題として位置づけられていて、小さいお子さんから年配の方まで、みんながこの少子化ということを考え、みんなで子供たちを育てていくんだという意識を高めていかなければいけないと思うんです。それに当たって、私は、この大綱をつくるというのは、絶好の機会であったというふうに思うんですね。

 ですから、私は、半年ぐらい時間をかけて、いろいろな意見を聞いて、それを全部公開にしてやって、国ではこんないろいろな子育て支援について話し合われているんだよということを表に見せて、それについてまたさらに意見をいただいて、それで、あるべき姿、これからの五年先を見据えた子育て支援としてこのビジョンを出すべきではなかったのかというふうに思っているわけであります。

 私は、不透明、また拙速に、政府の総合的かつ長期的な少子化に対するための施策の大綱を閣議決定してしまうというやり方が正しかったのかどうなのか、疑問を持っているところでありますけれども、このことについて、ワーキングチームという形で検討を進めて、また、パブコメなども行わずにビジョンを策定したことについて、大臣はどのようにお考えになるのでしょうか。少なくとも、今後、速やかに資料や議事録などを公表し、議論の経緯を明らかにすることが必要だと思われませんでしょうか。

福島国務大臣 子ども・子育てビジョンをつくってそのメッセージを出すことが重要だと思いました。御存じ、これは少子化社会対策大綱だったんですね。でも、上から目線の少子化対策では、若い人たちは、雇用が壊れて、これだけ経済的にも逼迫し、保育所も本当に待機児童解消が進まない中で、どうやって子供を産んで育てろというんだ、こうなると思うんですね。ですから、子ども・子育てビジョンは、チルドレンファースト、子供を真ん中に据えて、雇用やワーク・ライフ・バランス、育児・介護休業など、さまざまな施策にも踏み込みました。長時間労働の抑制などもきちっと出して、雇用対策も重要視をしました。

 なぜ一月末に出したかといいますと、やはり予算との関係で、十二月まで議論し、十二月までにかなり骨格ができたんですが、今度の予算案は、いろいろな特色はありますが、とりわけ子供を大事にする予算だという認識のもとに予算案と子ども手当の法案を出し、高校の実質無償化を出し、その中で、それを支える哲学、ビジョンとしての子ども・子育てビジョンをやはりあわせて出すべきだという考え方のもとに、一月末に発表をいたしました。

 でも、意見募集は三百十二件寄せられたんですね。この中では、例えば、保育所、幼稚園、放課後対策、ワーク・ライフ・バランスなど、子ども手当もさることながら、保育サービスの重要視というのがとても出てきたので、保育サービスの数値目標をしっかり子ども・子育てビジョンに盛り込むとか、ワーク・ライフ・バランスも政策の四本柱の一つとして位置づけるなど、十分生かさせていただいたというふうに考えています。

 それぞれ、与党の中でも議論をしていただきましたし、確かに、もっと時間をかければ、今回出した予算、あるいは、子ども手当てを出す際も、法案を出した際にも、では、保育所や子育てをこの内閣が五年間どういう考え方でやるのかということをやはり知りたい、示してほしいという声が出ると思いまして、ですから、どう考えているのか、五年間の数値目標と考え方を示して、あわせて発表させていただいたという次第です。

小渕委員 大臣、質問にお答えいただいていないんです。

 内容については、私は全く文句をつけておりません。数値目標をしっかり示した上でいろいろな形での支援策というものを出していただいたということに対しては、評価しているんです。ただ、それをつくった経緯、また、これまでの議事録の公表というものをしていただけるのかという質問をさせていただいたんですけれども、そのことについてはいかがでしょうか。

福島国務大臣 この子ども・子育てビジョンをつくるに当たっては、保育所、例えば有識者との意見交換、小渕大臣のときにつくられたゼロからPTメンバーからも意見を聞いたり、全部で八回やっておりますし、実はそれ以外に、細かく、一月に入ってからは、場合によっては連日に近いぐらい議論をいたしました。これは、機敏にやろうということもありまして三役でやっておりますので、議事録をとるという形ではやっておりません。いろいろなところに出かけ、いろいろな意見は生かしていると思いますし、アンケート調査もしたということです。ですから、それぞれ何回やって、どうやったかということの公表はできますが、審議会という形をとっていないので、議事録をお出しすることはできません。

 ただ、中身に文句を言っているわけではないということなので、今後、中身も踏まえてどうやっていくのか、それから、今度、青少年施策大綱の名前を変えて子ども・若者ビジョンというのをつくる予定で、これは相当時間をかけて、夏までですから、今も精力的にやっていますし、高校生、大学生との意見交換も二回やる予定です。その意味では、今公表可能なものは全部、もちろん中身については公表しますが、審議会という方針をとらなかったので、議事録は作成しておりません。

小渕委員 その必要性についてはどう思われますでしょうか。私自身、子育ての当事者として、国でどのような話が行われていて、どのような子育て環境が整っていくのかということは、大臣になってみて思うんですけれども、いろいろなところでやはり議論しているんですね。大臣もおっしゃったように、今回もいろいろな有識者との議論はしている、だけれども、それが全然一般には伝わっていかないわけです。ですから、子供を産む立場の人間とすると、このまま環境がもし変わらないのであれば、やはり二人目、三人目を考えるのはやめようかというふうに思う方々もおられるわけです。

 そういうことを防ぐためにも、国でどのような話が行われているのか、決して皆さんと遠いところの話をしているのではなくて、皆さんの環境整備のために私たちはしっかり議論をし、前に前に向けていくんだというメッセージを伝える意味でも、私は公表していただきたいと思います。

 大臣がこれまで、私もいろいろ同席させていただいたことがあるんですが、いろいろな会合に出席をして、オープンな形で、超党派で議論させていただいたこととかありますよね。ああいうところは二百人、三百人ぐらいしか集まりませんけれども、ああいう形でオープンに議論しているところを見せることの必要性というものはそういうところにあるんだと思うんですけれども、やはり、今後、しっかり議論の経緯というものも含めて公表していく必要があるのではないかというふうに思います。

 あわせて質問させていただきたいんですが、私は、このビジョンの最も問題だと考えるところは、その財源について具体的な説明がないことなんです。

 先ほど、予算に反映するために早く出したというような話がありますけれども、ワーキングチームが立ち上がったのが昨年の十月十五日で、これは二十二年度の予算概算要求の改要求の提出日です。仮にワーキングチームで新たな施策が必要ということになっても、概算要求に反映することはやはり難しかったのではないかというふうに思います。ビジョンの閣議決定も二十二年度予算案閣議決定後ということで、ビジョンの内容を予算案に反映することはできないのではないかというふうに思います。

 この中に書いてあることなんですけれども、財源について、ビジョンの十一ページに書いてありましたが、必要な予算については、「次世代の負担とすることなく、公費負担、事業主や個人の子育て支援に対する負担・拠出の組み合わせにより支えていきます。 具体的には、毎年の予算編成において、厳しい財政状況を踏まえつつ検討し、限られた財源の中で効果的かつ効率的に必要な社会的基盤の整備を図ります。」と書いてあるんですね。これは何を言っているんでしょうか。予算編成過程で財源の余裕がなければ目標は達成できませんよというふうにも受け取られかねないと思うんですね。

 二十三年度以降の子ども手当を満額支給すれば、国費だけでもさらに約三兆円、さらに、少なく見積もって、二十六年度で最低約〇・七兆円の追加コストが必要となるんです、このビジョンで。とすると、近い将来に財政事情が目覚ましく改善することというのはなかなか考えにくいことですし、また、二十一年度の少子化対策予算の総額で一・六兆かかったということを考え合わせると、三・七兆もの余裕が予算編成過程で生じるというのはちょっと考えにくいのではないかというふうに思うんです。私は、財源の裏打ちのないビジョンというものはあり得ないと思うんです。これは、絵にかいたもちになるのではないかという心配があります。

 大臣として、子供、子育てに関する予算を必ず確保していくんだという決意も含めて、御意見をお伺いしたいと思います。

福島国務大臣 必ず子供に関する予算を獲得してまいります。これは、本当に強い決意で頑張ってやってまいります。子供を応援する、あるいは子育てを応援しなければ、やはり子供自身もよくないですし、社会にとってもよくない、何にとってもよくないというふうに思っておりますので、これこそ不退転の決意で頑張って、予算を獲得してまいります。

 先ほどおっしゃったことなんですが、子ども・子育てビジョンをつくる、それには、子ども手当もさることながら、現物支給もちゃんとやっていく、そのことを宣言し、かつ数値目標をするということを早い段階から公表してきました。私は、そういう意見の公表、ビジョンづくりが予算案に明確に影響したというふうにも思っております。児童扶養手当の父子への適用や生活保護の母子加算の復活は最後にちゃんと入りましたし、閣議や閣僚懇談会や、さまざまなときにも、保育所の問題もよろしくということを財務大臣にも申し上げてきました。

 ですから、予算をつくるときとビジョンをつくるときがちょうど重なっておりますので、私は、総合的パッケージとして、とりわけ保育所や学童クラブもちゃんとやりますということを掲げてビジョンをつくったことが、今度の予算案にいい意味で反映しているというふうに思っています。

 それと、確かに、財源の獲得は大変です。しかし、数値目標を掲げておりますので、内閣のもとでこの数値目標を達成できるよう、予算の獲得に全力で頑張ってまいります。ぜひ応援をしてください。

小渕委員 これは、達成目標、二十六年度までということですね。大臣が二十六年度まで大臣でおられるかどうかというのはちょっとわかりませんけれども、大臣であるうちにできる限り予算を集めて、財源を確保して、できることはすべてやっていくという状況にしておくべきだと思うんですね。やはり、大臣でなくなったから二十六年度の目標が達成できませんとか、二十六年度のことは知りませんということでは困るわけで、ぜひとも、これは絵にかいたもちにならないようにということと、やはり財源なくして政策なしだというふうに思っておりますので、しっかり財源を確保するということをよろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと細かな話に入らせていただきます。出産無料化の話と妊婦健診の無料化についてであります。

 このことは、前政権のときに、三十八万円から四十二万円にアップをさせたということと、二十二年度までなんですけれども、妊婦健診の無料化を達成したところであります。

 このことについては、社民党も民主党もそれぞれの意見がありまして、社民党に関しては、出産に関しては保険適用をしていく、自己負担分は国庫負担として無料化をしたいということでありました。民主党については、出産時に五十五万円払うということで、両方とも、これまでやってきたことよりもさらに上乗せした、目標をかなり高く持ったことであると思いますし、やはりそうした高い目標を持って一歩一歩進めていく必要があるというふうに思っています。また、妊婦健診に関しても、一応、二十二年度まで無料化ということになっていますけれども、このことについて、社民党のマニフェストでも保険適用ということで書かれております。

 さっきの出産一時金のことも妊婦健診のこともビジョンの中では触れられていて、経済的負担の軽減を図りますというふうに書いてあるんですね。民主党のマニフェストでも社民党のマニフェストでもこのことについては触れられていて、私たちがやっていたころよりもさらに数段アップしたことを目指されておるわけであります。

 やはり、そうしたことをやりますと言ったのですから、しっかり議論をして前に進めていただきたいというふうに思うんですけれども、先ほども申し上げてきたように、どうしても、子ども手当の一点豪華主義になってしまって、ほかのことに手が回っていないというような感じに見えるんですね。でも、それは進めていかない理由にはなりませんので、そうした細かなところもあわせてしっかり、やると言ったからには議論を進めていただきたいと考えております。

 妊婦健診に関しては、一応、現行制度をそのまま維持ということであります。一応、これは二十二年度までということでありますけれども、二十三年度以降も継続すべきと考えておられますでしょうか。

福島国務大臣 恐らく経済的事情から妊婦健診を受けない女性たちがふえているという現状を見て、野党時代に、妊婦健診無料化すべきだということを強く主張してきました。

 今おっしゃるとおり、平成二十二年度までの間、十四回妊婦健診無料ということが実現をしております。ですから、二十三年度以降についても、引き続き安心して妊婦健診が適切に受けられるように、これについては、妊婦健診の実施をきちっとできるようにやってまいりたいというふうに考えております。

 それから、絵にかいたもちにしないことはもちろん当然で、また、保育のあり方、保育の質をどう担保していくのか、待機児童解消やさまざまな施策との関係について、御存じ、保育に関する検討会が発足をしております。枝野さんと私と仙谷さんが共同議長でありまして、精力的に議論をして、今政務官の間で議論を始めておりまして、その中でも、おっしゃるとおり、総合的パッケージあるいはいろいろな形で、どう保育をやっていくのかという議論を、保育の質、あるいは地域の中でどうしていくかということも踏まえて、しっかり議論をしていきたいと考えております。

 それが子ども・子育てビジョンをまた大きく底支えするものにもなると思いますし、そこでの議論を、できるだけまた多くの人たちと意見交換をしながら、しっかりやっていきたいと思いますので、ぜひ御注目をよろしくお願いいたします。

小渕委員 保育について、議論の会をスタートさせたということについては、承知をしております。注目される分野に関してはそのような形で議論が進んでいるというのは目に見えてわかるんですけれども、選挙のときにかなりいろいろな項目を挙げてきたわけですね。国民はそれに対して大きな期待をした。それについて、半年たって何も結果が出ていない、何もスタートさせていないというのは、やはり誠意のある対応だとは思えませんので、出産育児一時金に関しても、妊婦健診に関しても、しっかりマニフェストの中で書いてあるのであれば一歩でも二歩でも前に進めていただきたいというふうに思っております。

 あわせて、不妊治療について質問させていただきます。

 前政権において、経済状況の悪化を見たときに、これまで助成十万円であったのを十五万円に引き上げました。これは一時的な措置ということであったんですけれども、これを二十二年度の当初予算で恒久化していただいたこと、これについては本当に大きく評価をさせていただきたいというふうに思っております。

 問題なのは、ビジョンの中でも不妊治療について触れられているんですけれども、「医療保険の適用を検討し、支援を拡充します。」というふうにおっしゃられています。また、その前に、民主党のマニフェストの中では、不妊治療に対しては医療保険の適用と支援を拡充するということが出ているわけです。これについて、不妊治療をされている方々からかなり大きな御期待があります。しかし、半年たって、不妊治療の保険適用については、正直、議論すら始まっていないというか、全く手がついていないというのが現状なのだと思うんです。

 私は、もちろん、不妊治療について保険適用になれば、それはやはり目指すべきところでありまして、そうなるにこしたことがないと思うんですけれども、それ以前にももちろんやらなければならないことがあると思います。昨年だったかと思うんですけれども、不妊治療の際にほかの人の受精卵をおなかに入れてしまったというようなことが起こって大変な問題を呼んだのを御記憶かと思うんですけれども、しっかりとした安全管理のための体制の確保というものもやっていかなければなりませんし、そのために例えば法整備が必要であれば、法整備をする必要があると思います。

 また、現在の助成の仕組みをもう少し柔軟な形で、使いたいときに使いたいお金をというような御希望もありますし、期限を切るのではなくて、自分は短期間の中で不妊治療をやりたいという方もいれば、長期間をかけてやりたいという方もおられるわけで、その辺の柔軟性のある助成の仕組みというものを考える必要もあるのではないかと思うんです。

 ですから、私は、保険適用できるにこしたことはありませんけれども、それ以前にやらなければならないことがたくさんある中で、それでも民主党のマニフェストの中で、またビジョンの中で、保険適用をやります、検討しますということをおっしゃっておられるんです。おっしゃっておられるのであれば、一日も早く検討を進めるべきだと私は思います。

 というのは、ここで私が申し上げることではありませんけれども、不妊治療をやられている方というのは、まさに時間との勝負なんですね。このことについてもっと深刻に受けとめる必要があると思うんです。不妊治療をされている方々にとって、本当に、民主党政権になったらすぐにでも保険適用の議論がスタートするのではないか、すぐに保険適用になるのではないか、大きな期待を持たれていた方々が大勢おられたと思うんです。にもかかわらず、これが全く話にも上っていないというのは、余りにも不誠実なのではないかと思うんです。

 今後の見通しも含めて、不妊治療に対する大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 私の周りにも不妊治療を受けた方もたくさんいらっしゃいますし、また、メールや面会、いろいろな形で、不妊治療の大変さや費用がかかること、切実なこと、うまくいかないこともあることや、さまざまなことは聞いております。ですから、言っていただいたとおり、ビジョンの中にも検討するという形できちっと盛り込みました。

 おっしゃるとおり、不妊治療、これは保険適用してほしいという方と、なかなか、こういう点で逆に問題がある方と、実は議論はさまざまであることも了解をしておりますが、今回、助成は少しですがつけたわけですが、どういう形でやるか、保険適用も含めてしっかり議論をしてまいります。

小渕委員 ありがとうございます。一日も早く議論をスタートさせていただきたいと思います。

 時間がなくなってきたので早口で、男女共同参画について質問させていただきたいと思います。

 私、本当にこの分野こそ福島大臣の本領発揮というか、リーダーシップを発揮できる分野だというふうに思っているんですけれども、男女共同参画も、正直、ちょっと二の次になっているような気がしてならないのです。

 自公政権のときに、男女共同参画社会の実現に向けて、政策や方針の決定の場面へ女性の参画の拡大が極めて重要であるという認識のもとで、女性の参画加速プログラムというものを決定いたしました。これに基づいて、トップへの働きかけだとか能力開発、さまざまなことを実施してきて、二〇二〇年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を少なくとも三〇%にするという目標を立てて、特に重点分野として、女性医師、研究者、公務員、この三つを設定して、さまざまな施策を講じてきました。いずれの分野も、社会の中においては活躍が期待されていて、でも女性の参画が進んでいないということでありまして、ここを重点的にすることにより、効果を上げ、また、ここが上がることによって他分野への波及効果も大きいというふうに考えていたわけであります。

 社民党も、アファーマティブアクションを通じて、あらゆる分野での意思決定レベルの地位の女性の公平な参画を進めますというふうにおっしゃっています。しかし、今回、女性医師の参画加速プログラム、女性研究者の参画加速プログラムに関しては、予算がかなり減らされました。

 大臣、このことについて、説明をしっかり受けて、どういう認識でこの予算を減らされたのか、教えていただきたいと思います。

福島国務大臣 まず冒頭、でも、男女共同参画担当大臣として、随分変わり、随分努力していることもぜひ申し上げたいんですね。

 本年度、第三次基本計画をつくりますので、そのために、本当に実効性のある男女共同参画基本計画をつくろうと、今鋭意頑張っているところです。女性への暴力やそのキャンペーン、それから、ことしはAPECの女性の会議が日本でありますので、その取り組みも強化をしております。

 そして、政権がかわってとても変わったと思うのは、例えば、ポジティブアクションも具体的に、実効性のあるものにしようと、私の内閣府のところで、男女共同参画やワーク・ライフ・バランスの業務委託をする際の公共調達をする場合に、入札の要件として女性の雇用率などを総合加点理由とすることを、まず四月から始めます。ですから、男女共同参画と口で言うだけでなく、さまざまな施策を実は具体的にこの内閣が始めたということも、ぜひ応援をしてください。

 医師、研究者、公務員の分野での女性の活躍促進について重点的に取り組んでまいります。研究者、公務員というよりも、女性医師のところで、とりわけ女性医師支援センター事業が減ったという部分はあるわけですが、女性医師の支援については、総合的なさまざまな施策を通じて応援をしていきたいというふうに考えております。

小渕委員 これは、女性医師の方も研究者の方も、私現場に行っていろいろ意見交換させていただいて、すごくいいプログラムであったんですね。ですから、ここまでやってきて今後続けていけないというのはとても残念なことですので、もう一度しっかり、どのような内容でやっているのかということを検討していただきたい。

 国会の中では女性議員がずっと少なくて、それでも超党派でいろいろなことをやってきたわけです。しかし、現状を見ますと、民主党ではすごく女性議員がふえた。その上、このポジションに福島大臣がおられる。私は、すごく新しいこと、もっともっと加速できることというのがあると思うんですね。ですから、福島大臣の時代に男女共同参画に関してこれをなし遂げたというような、後世に残るようなことをしっかりやるというぐらいの意気込みで進めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 済みません、最後まで座っていただきまして。枝野大臣に、最後に質問させていただきたいと思います。

 話はがらっとかわるんですけれども、公文書管理についてであります。

 昨年の通常国会に提出した公文書管理法案は、与野党間の修正協議が調って成立をいたしました。枝野大臣は、民主党を代表して、修正案の提出者として、法案の成立に御尽力いただきました。その過程で、条文の解釈をめぐって相当突っ込んだ議論を展開したことは御記憶に新しいのではないかと思います。

 そのような経緯から、法の趣旨を最大限尊重した行政文書の作成、管理、保存に責任がある枝野大臣ということでありますので、この公文書管理については法をつくる段階から一番よく御存じの方が今その責任者におつきになっているということを、私は大変心強く思っているんです。

 法は、第一条、国の諸活動や歴史的事実の記録である公文書が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資産として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであるとした上で、第四条、行政機関の職員は、その目的を達成するため、経緯も含めた意思決定に至る過程並びに行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、または検証することができるよう、重要な事項について文書を作成しなければならないとしております。

 このあたりのことは、私が申し上げるまでもなく、意思決定のプロセスを透明化する上でしっかりやっていかなければならないということは、この法律案を議論する中でも随分とやらせていただいたところでありますので、もう申し上げるまでもないかと思います。

 そこで、大臣に質問させていただきます。

 現在、政務三役会議が行われております。この開催の根拠はあるんでしょうか。また、出席者、公開、非公開、議事録作成、公開などに関するルールについては、どのように書かれておるんでしょうか。

枝野国務大臣 本当に、昨年は、小渕大臣のもとで修正をさせていただいて、お互いにいいものができたんじゃないかなというふうに思っております。まさか、その段階で、私が担当の大臣として答弁をさせていただくとは全く想定をしておりませんでしたが、経緯をよく知る者として、昨年のあの小渕大臣の御尽力を含めて、制定に至る経緯、しっかりとそれを踏まえた運用ができるように努力してまいりたいと思っておりますので、ぜひ今後とも御指導よろしくお願い申し上げます。

 政務三役会議でございますが、これは昨年の九月十六日に基本方針が閣議決定をされておりまして、そこを根拠といたしております。

 ただ、それぞれの政務三役会議の運営は、それぞれの省庁、大臣ごとに、相当といいますか、若干違っているかというふうに思っております。

 実は、私の内閣府の場合ですと、内閣府の大臣が九名ございます。それから、私のもとで、支えていただいている副大臣が三名、政務官がお二人ということでございまして、私の場合は、政務三役会議を二つ、それから、事実上の政務三役会議的なものを一つ、それぞれの担当する副大臣、政務官ごとにやっております。それから、政務三役会議に例えば事務方がどれぐらい入られるのか、入られないのかというのも、省庁ごとに、あるいはその都度ごとに、それぞれ違いがあるというふうに聞いております。

 閣議決定をされました趣旨、つまり、常に国民の視点で政策の立案や調整を大臣、副大臣、大臣政務官を中心にやっていくという趣旨に基づいて、それぞれ、今、さまざまな運用をしている状況だというふうに思っております。

 議事録の作成や公開等についてでございますけれども、政務三役が自由に意見交換を行うという観点が重要であるというふうに思っております。私のもとでやっております政務三役会議も、部分的には官僚の皆さんに入っていただきますが、ある部分は政務三役と、ぎりぎり政務の秘書官ぐらいまでで、実は、役所の皆さんに入っていただかないというようなことが適切ではないかと思われる部分も持っております。

 それから、人事案件、私のところの場合は、特に国会にお願いをする同意人事案件のようなものの調整などもいたしておりまして、こうした部分は公開に適さないかなというふうには思っております。したがって、透明性確保という観点から、私のところの場合、会議終了後、政務官から記者ブリーフをしていただいております。

 ただ、御指摘をいただいております公文書管理法の趣旨を踏まえれば、もちろん政務三役会議の中身の内側全部を公開したり文書に残したりできないにしても、文書に残して、そして、経緯も含めた意思決定に至る過程をしっかりと後からたどれるようにするという趣旨を踏まえて、政務三役会議における記録をどういうふうにするかということは、積極的に検討してまいりたいというふうに思っております。

小渕委員 この法の成立に尽力されたのがまさに担当大臣としての枝野大臣でありますので、ぜひともリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 現状ですと、この政務三役会議というものは、基本的に非公開で、議事録というものも作成されていない。しかし、そこの中で話し合われたことがしっかりと、意思決定に至る過程並びに事務及び事業の実績を合理的に裏づけ、検証できるようにするために、そこの内容を公開する必要というもの、また公文書管理、公文書として残していかなければいけない必要性というものは必ずあると思うんですね。

 それこそ、政権交代をしたばかりのこの時期の公文書というものは、やはり歴史的に見てもとても重要なものではないかというふうに思うんです。こうしたことを怠ると、鳩山政権は、政治主導という名のもとにおいて、すべての重要事項の決定過程が全く不透明になっている、後世の国民や研究者が検証しようにもできない。まさにこの時期が公文書管理の暗黒時代というふうに呼ばれないように、ぜひとも、ほかの省庁にもきちんと連携をとって、大臣がリーダーシップをとって公文書管理法に基づく管理というものをしっかりしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間となりましたので、以上とさせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 仙谷大臣がまた参議院本会議の質問に戻らなければいけないというふうに伺っておりますので、ちょっと質問の順番を変えさせていただいて、先に仙谷大臣に伺いたいと思います。

 経済の成長戦略ということでありますが、私は、今の日本にとって成長戦略が大切だということは、皆さんと同じ思いを共有しております。その中で一つ、きょうは、その道筋をどういうふうにされるのかなというふうに思っておりますことがありますので、そこを御答弁いただきたいと思います。

 鳩山政権は、二酸化炭素の排出量二五%削減ということを目標としている、約束しているということであります。一方で、成長率については、実質で二%、名目で三%ということであります。年率で、二五%の削減を考えると、大体二%ぐらい毎年減らしていかないと二五%にならないということですけれども、経済活動を規定するある部分はエネルギーの消費ということになります。ということは、エネルギーの消費の形態が一緒であるとすると、実質で四%成長しないと二五%削減はできない。あるいは、逆に言ってもいいかもしれません、三%の経済成長はできないということなんですが、きのう、質問通告をして、国家戦略室の皆さんとレクをさせていただいた中で、どうも、二五%削減するということと成長するということがリンクした積み上げの資料が余り出てきていません。

 今の話を他国を例に出して言いますと、中国は、別に中国がいいと言うつもりはありませんが、中国が言っているのは、経済成長はしますが、新たに成長する分について、従来よりも排出する量を半分にしますと。ですから、例えば中国が一〇成長すると、今までだったら一〇、二酸化炭素を出していたのを、五しか出しませんと。ですから、全体で出す量はふえるというのが中国であります。日本の場合は、今、一〇〇出しているとすると、七五にしながら、しかし一方で経済も成長すると。

 そこの二つ、二酸化炭素の排出量と出された成長戦略はどうつなげていくのか。この点について、まず御答弁いただきたいと思います。

仙谷国務大臣 的確なお答えになっているかどうかわかりませんが、今浅尾議員がおっしゃったことを、例えば電気自動車に今のハイブリッドを含めたガソリンを使う車が置きかわってくるときに、電気自動車部分の製造、生産がどんどん伸びてくる。当然、そこではエネルギーを使うわけでありますが、この最終商品が市場に大宗を占めるようになったときに、そこで出される排気ガスといいましょうか温暖化ガスはほとんどなくなるわけでありますから、そういうところのつなぎの計算というのが現時点でできていないことは間違いございません。

 ただ、私どもは、この二五%削減目標と経済成長の関係は、やはり大胆にグリーンイノベーションを誘導する、あるいはそこへ政府が後押しするというふうな、あらゆる手段を使っての政策展開をしなければいけない。多分、そのことが日本のこれからの成長につながっていくし、そのことが十年間で平均、名目三%の成長ということになるだろうというふうに考えているところでございます。

浅尾委員 つまり、今大臣もまさにお認めになったんだと思いますが、二五%という数値が一方であって、三%という数値があるんですが、その二つが、実は、連係して出した、積み上げた数字ではないということが一番の課題だろうというふうに思います。

 もちろん、二五%削減はやるべきだと思いますし、やっていかなければいけないと思いますが、そうだとすると、では一方で成長を維持するためにどうするのかというのを、政府の今の出した案ですと、六月までに具体的なものを出されるということでありますので、そのときは、時間があるわけですから、二五%削減と三%の名目成長とをしっかり、今の定性的な話じゃなくて、定量的に実現できるんだという工程表を出していただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

仙谷国務大臣 検討させて、努力をしてみたいと思いますが、この種のものについて、私自身は割とシニカルなんですね。余り、もちを絵にかいてもしようがないなという気もしないでもない部分もありますが、そういう定量的な数値目標と、それから政策展開との関係が定量的にできるものならば、努力をさせてつくりたいと思います。

浅尾委員 いや、シニカルなのはわかりますが、そもそも三%がどうなのかという自体が、なかなか、目標値しか出ていない。しかし、三%と二五%と、数字が大きい結論で出されているのであれば、そこをつなげないと、言葉はきついですけれども、無責任ということになってしまうのではないかなというふうに思いますので、ぜひそれをお願いしたいと思います。

 あわせて、政府の「成長を支えるプラットフォーム」というところの中で、文書を読ませていただきますと、「人類を人類たらしめたのは科学・技術の進歩に他ならない。地球温暖化、感染症対策、防災などの人類共通の課題を抱える中、未来に向けて世界の繁栄を切り拓くのも科学・技術である。」その先を読ませていただきますと、「科学・技術は、未来への先行投資として極めて重要であることから、二〇二〇年度までに、官民合わせた研究開発投資をGDP比の四%以上にする。」というのが、これは政府の出された文書に出ているんです。

 先般、予算委員会の最後の締めくくり質疑の中でも今年度予算について質問をさせていただきましたが、科学技術振興費は、本年度、マイナスの三・三%で、減っております。政府は掲げている中でGDP比四%以上にすると言いつつも、科学技術振興費が減っている、そこはどういうふうに説明されますか。

仙谷国務大臣 官民合わせてというふうになっておると思いますが、いずれにしても、手元不如意というか、こういう財政状況の中で、浅尾議員がおっしゃられたようなことに今なっているんだろうと思います。

 ただ、私どもは、科学と科学技術については、これからの日本の生きる最大の糧といいましょうか、中核的なものであるという認識だけは持っておりまして、これからも、この科学と科学技術については、政府の方からも、つまり、なかなか民間でリスクをとれない分野なども多いわけでありますから、そこは政府の方からも、投資という感覚でやっていけるような、そういう財政環境をつくりたいと考えております。

浅尾委員 まさに、今仙谷大臣が最後に言われたことに尽きるんだと思うんです。基礎科学に対する投資は、民間企業に求めても、言葉は悪いですが当たるも八卦の世界ですから、それは資本を使える分野ではない。多分、応用研究はできると思いますが、基礎ができないと思いますから。だとすると、ことし三・三%減らしたのは、大変厳しいのではないかなと。ですから、来年度の予算の話をこれからするのはまだ早いかもしれませんけれども、ぜひ、来年度予算においては科学技術振興費について考えていただきたい。

 もし何か御答弁があればあれですし、また参議院の方に戻らなければいけないということで、うなずいていただいているので賛成していただいたというふうに考えて、参議院の方にまた戻っていただいて結構でございます。

仙谷国務大臣 国家戦略的見地から、科学と科学技術を最優先課題としたいと思います。

浅尾委員 参議院の本会議、多分、御答弁があるということでございますので御随意に。あとは質問ございませんので、退席していただいても結構でございます。

 続いて、沖縄の米軍再編について伺わせていただきたいと思います。

 米軍再編は、日米安保条約と密接に絡んでいる課題でございます。まず、その米軍再編について伺うに当たって、少し法律について福島大臣にも伺いたいと思います。法律というか憲法ですね。

 先般、国会において、自衛隊が違憲か合憲か決めていないというふうに福島大臣は御答弁をされました。その自衛隊と協力するためにあるというふうに言ってもいい日米安全保障条約も、そういう趣旨でいうと、違憲か合憲か決められないという理解でよろしいですか。

福島国務大臣 御存じ、社民党は、社民党宣言というものをつくりました。その中に、日米安保条約をどうするか、自衛隊をどう位置づけるかということをきちっと書いてあります。それは、ちょっと古い言葉ですが、下部討議を経て、全党員で議論して結論を出したものです。ですから、党首として申し上げることは、それ以上でもそれ以下でもないと。そこで決めたことであり、日米安保条約につきましても、将来友好条約に変えるということは記しておりますが、それ以外のことについては特に触れておりません。

 私が答弁できることは、その社民党宣言の中身のとおりです。

浅尾委員 済みません、社民党宣言を私も手元に持っていればいいんですが。

 先日、自衛隊は違憲か合憲か決めていないということでありましたが、日米安全保障条約はその解釈でいうとどちらになるんでしょうか。

福島国務大臣 そのことについては触れておりません。

浅尾委員 触れていないということは、合憲になりますか。

福島国務大臣 触れていないということは、合憲か違憲かについて、触れていないイコール合憲であるというふうには概念上はならないと思います。

 ですから、自衛隊については、その存在ではなく、当時、イラク戦争をやっている状況について社民党としてはこう考える、そして、日米安保条約については、そうではなく、そういう判断ではなく、日米安保条約を例えば友好条約にずっと将来にはやるべきだというようなことを私たちで決めというか、社民党として決めたということです。

浅尾委員 繰り返しになりますけれども、要するに、今の普天間の移転というのは、そもそもについていえば、去年の協定がありましたけれども、それが、ロードマップの協定というのが一つの基準になっていますが、その協定のもとになるのは日米安保ということですが、今おっしゃいましたことでいうと、日米安保については違憲か合憲か触れていない、触れていないということは合憲とも言えないという理解でよろしいですか。

福島国務大臣 それについては、そういう形で討議をしなかったということです。

浅尾委員 では、討議しなかったのなら結構ですけれども、現在どちらですか。

福島国務大臣 私が党首として答弁できるのは、そのことについては触れていないということです。

浅尾委員 でも合憲とは言えないという理解でよろしいですね。

福島国務大臣 それについては触れていないということです。

浅尾委員 合憲とは言っていただけないということで理解いたしました。

 官房長官、官房長官は日米安保は合憲だという理解ですね。

平野国務大臣 先生のおっしゃるとおりでございます。

浅尾委員 私、これは結構大事な問題だと思うんです。つまり、日米安全保障条約が合憲だというふうに判断されている官房長官と、そして、そこについて合憲だと言い切れない、福島大臣も含めて、今その扱いがどうなっているかわかりませんが、三党で議論をすると。

 そもそも、閣内において、日米安全保障条約が合憲だという判断をされる方と、合憲かどうかわからないという人がいること自体が、私は閣内不一致になるんじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。

福島国務大臣 連立政権ですから、政権の中で意見が違うこともあると思います。

 それから、社民党は、日米関係は極めて大事だというふうに思っておりますし、この議論をきちっと、例えば、日米関係は重要である、そしてそのもとできちっとやっていくべきだというふうに考えております。

 そして、御存じ、三党で連立をつくるときに、きちっと連立政権の合意をつくりました。その中にきちっと、日米関係についても、重要であるということや、三党での共通の理解をきちっと盛り込みましたので、御心配には及びません。

浅尾委員 その三党連立協議の中に、自衛隊がそれでは合憲か違憲かということについて、共通解釈は私はなかったと思います。そこは三党連立協議の中で触れていない事項だと思いますし、日米安保についても、今申し上げましたように、官房長官は合憲だとおっしゃる、福島大臣は合憲か違憲か言えないという立場と。それが意見が違うというレベルの話なのか。

 しかし、憲法の解釈、その延長線上にある日米安全保障条約、そしてその延長線上での今の沖縄の普天間の話ということについて、基本的なスタンスが異なるということは、その中で福島大臣が社民党の立場を主張されるのはわかりますし、私は、その立場を主張されることは当然あってしかるべきだと思いますが、基本的な立場が異なる方同士でこの沖縄の問題を解決していくのはかなり難しいんではないかなというふうに思います。

 ということはまず申し上げた上で、今福島大臣が閣内不一致ではないというふうにおっしゃいましたけれども、閣内不一致と官房長官が言うと新聞の大見出しになりますし、大変なことになるから、そうは言われないかもしれませんが、しかし、意見が違うということについては、そういう認識を持っておられるかどうか、内閣のかなめの官房長官として、基本問題についてこういう形で意見が違うことについてどういうふうに考えておられるか、平野官房長官に御答弁いただきたいと思います。

平野国務大臣 浅尾先生も今まで一緒にやってきた同志の仲でございますから、よくその状況についてはおわかりになった上での質問だろうと思いますが、少なくとも、鳩山連立政権におきましては、この部分は連立の中におきましては乗り越えていっているということでございます。

 したがって、連立政権の中で、自衛隊については違憲である、こういう内閣を構成しているつもりはございません。

浅尾委員 連立政権として違憲であるという整理をしていないということは理解をいたしました。

 ただ、申し上げたいのは、安全保障条約についても、これが合憲だという判断をされている民主党の皆さん、あるいは国民新党の皆さんもそうかもしれません。それと、その判断ができない社民党の皆さんとで、その安全保障条約に基づいて沖縄の移転というのがある程度規定されるんだと思いますが、そこで議論をして、果たして、本当にそのもともとのところで意見が必ずしも合っていない中でまとまるんですかという率直な疑問でございます。

平野国務大臣 基本的には、三党の連立合意ということでありますが、綿密な、対等な日米同盟関係を構築いたしますと。日米協力のもとに未来志向の関係を築くということと同時に、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についてもこれからの未来に向けて見直しをしていきましょうということでありますから、全面の、ベースが否定されている、こういうふうには理解をいたしておりません。

浅尾委員 時間が参りましたので終わりますけれども、しかし、そもそもの、そのもととなる法律ないしは条約が憲法に対してどういうスタンスかということが異なる中でまとめるのは相当難しいだろうということを申し上げて、私の質問を終えたいと思います。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。橘慶一郎君。

橘(慶)委員 それでは、午後、一時間最初に質問させていただきます。

 枝野大臣が後の御予定もあるということもありましたので、実は、少子化から入りまして、地域問題をやってから、最後事業仕分けと思っておりましたが、ちょっと順番を変えまして、事業仕分けの方を先にやらせていただいて、その後、少子化対策というふうに進ませていただきたいと思います。

 事業仕分けのところが実は全体の中では一番辛い部分だったので最後にやりたいなと思っていたんですが、最初から辛くやるのは余り好きではないんですけれども、ここは初めてされた試み、大臣、担当もかわられたということもありまして、当然、一回目のいろいろな意味でよかったところ、悪かったところを含めて二度目の法人関係の部分にチャレンジということではないかと思いますが、そんな意味で少し、こういうところはお考え直されたらという思いで、五点御質問したいと思います。

 まず、今回、事業仕分け、最初ということで、私は、事業仕分けというのは、言ってみれば、短編小説と長編小説があれば、短編小説のような具体的な事業、これを吟味するには非常に意味のあることだ、しかし、長編小説を一時間で上げようとすると非常に無理があるんじゃないか。その中で、地方交付税とか義務教育職員給与の国庫負担といった、非常に大きな哲学とかあるいは制度論、こういったものを一時間で扱うということには非常に無理なところがあったんじゃないかと思うわけです。あえて俎上にのせられた理由をお伺いいたします。

枝野国務大臣 順番を御配慮いただきましてありがとうございます。

 また、ただいま御指摘いただきましたとおり、まさに事業仕分けはミクロのところから切っていくという制度でございまして、そこを大変御理解いただいてありがとうございます。

 その上で、御指摘のとおり、地方交付税とか義務教育職員の給与の国庫負担、哲学を持った制度でございまして、実は、このこと自体については今回も俎上にはのせておりません。ただ、そうした制度の中に、ミクロで見たときに問題のある部分はないだろうか、こういう視点で取り上げさせていただきまして、いずれも議論の中における整理が重要であるということで、当時統括役でありました私が直接その議論自体を仕切らせていただきまして、若干、評価者の皆さんの中にはそこの整理がつかないでのコメントが部分的にはありましたが、全体としてはしっかりと整理をして議論させていただいたつもりでおります。

橘(慶)委員 そのようにお答えいただければ、二点目、三点目は一緒にさらっといけると思うんですが、そういったいわゆるミクロの立場の議論をする場所で、例えば地方交付税交付金、私は自治体を預かっておったということがあるものですから、例えばそこで「地方債の元利償還金に対する交付税措置は、地方財政の計画的運営の支障。」とか、こんなことを言われても、合併をするときの国の示された条件がそうであり、今やっております臨時財政対策債だってそういうことが認められているから交付税のかわりと言えるわけでありまして、そういったことをいきなり出されても、今枝野大臣おっしゃったミクロということからすると、余りにもちょっとかけ離れたお話である。

 そんなコメントをいただいたところで、三点目のところで予定していましたが、そういった議論をされても、それをどう生かすかというのは、例えば総務省であっても文科省であっても非常に難しいんじゃないか、このような認識、ここは認識の問題です。これからの改善ということも含めてお答えいただきたいと思います。

枝野国務大臣 事業仕分けにおきましては、幅広い多様な評価者の皆さんに、一般の納税者、市民の目線で自由闊達なコメントはしていただきました。その中に多様な御意見があったこと、間違いございません。その中には、せっかく議論していただいたので、今後制度を議論していく上で参考にさせていただくべきものもありますし、また、ちょっと論点がずれていたかなという判断をするべき部分もあるかというふうに思っております。

 特に、制度にかかわる部分については、実は、今、現時点でも昨年の秋の議論を詳細に整理しておりまして、今後の参考にできる部分を抽出して生かしていくというふうに、その部分については思っております。

橘(慶)委員 今、いろいろな方々の目をくぐってということで、評価者についても非常に工夫をされたと思うんですけれども、ただ、仕分け人の名簿というのを実は出されております。ワーキンググループごとに仕分け人の名簿はあるんですが、実は、ちょっと普通の行政の文書に余りない形で肩書きがそれぞれ書いてある。というのは、例えば民間の企業の方であれば執行役員で何々部長とか、それから大学の先生は何々学部の教授と書いてある。ところが、自治体の職員だけが○○市職員と書いてあったんですね。職名も何もない。

 本当は、それはすべて、やはり一つの平仄という、特に行政の文書ですから、行政の文書としては、そういう名簿をつくるときに平仄が違ったものをそのままにされるということは余りないことであり、またよくないことだと思うんですが、この辺はいかがでしょうか。

枝野国務大臣 昨年の事業仕分けにおける評価者の名簿の記載は、評価者御本人からの申し出を踏まえて記載をいたしました。

 ただ、御指摘のような御意見もあるということを踏まえまして、次回の事業仕分けにおいては、評価者それぞれの、御本人の意向も尊重しながら、統一的な対応がとれないか検討する必要があるというふうに考えております。貴重な御意見、ありがとうございます。

橘(慶)委員 改善をしていただければありがたいわけです。せっかくの連綿と続く日本の国の制度の中でやはり後へ残る資料ですから、そういったところに何か恣意性な、その場合、今のお話でいけばその評価者の方の御都合ということなんですが、そういう恣意的なことで書類が残ること自体が非常に残念なことだと思っております。ぜひ改善をいただきたいと思います。

 そして、これは質問ではありませんが、この自治体の職員の方々も、仕分けをされたことがある方ということではあったんですが、すべて神奈川県の自治体の職員の方であったというのはちょっと残念だったな。やはり日本全体の議論でありますから。

 それで、一番残念だったのは、交付税の議論をしておりながら、当然交付税の恩恵を受けているはずのそういう自治体の職員の方から何らこのことについて発言がなかったということが非常に私は残念です。極端なことを言うと不交付団体の方はそれでもいいかもしれないけれども、やはり交付税は非常に大事だという意見もあるわけで、そういったことぐらいは言ってほしかった。それで職員として身分を隠されるのであれば、これはおかしい。これは意見として申し上げますので、ぜひ改善を図っていただきたいと思います。

 もう一つ、やはり透明性とか、一つの行政の事務として国税を使ってやる以上、これは実は質問主意書で何回かやりとりしたんですが、インターネットでは公開されているんですが、いまだ議事録が完成していないというのはいささか気になるわけですが、今後の予定をお伺いいたします。

枝野国務大臣 大変申しわけございません。現在、可能な限り正確かつ詳細に議論の状況を明らかにするための速記及び録音に基づく議事概要の案の作成と、それから、評価者の皆さんにその内容の確認の手続を経て、作業を進めているところでございます。

 我々、税金の無駄をチェックするという立場の事業でございますので、そこで余り大きな経費をかけたくない。どんとまとまったお金でテープ起こし等お願いをすれば早かったんだというふうに思いますが、そこは、できるだけ早くという趣旨も踏まえながらできるだけ少ないコストでということで、若干時間がかかっていることをおわび申し上げたいというふうに思います。

 できるだけ急がせたいと思いますが、同時に、見るのに時間はかかりますが、インターネットにおきましては、動画ではすべて現時点でも配信しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

橘(慶)委員 やはり、無駄を省く、その気概ということは当然評価されることではありますけれども、また一面、一つの事業としての起承転結、そしてまた、インターネットでは入っているわけですけれども、個々に発言を確認したいとすれば、するすべが今のところないということであります。ぜひ、第二回目の仕分けの中では、もちろん節約は大事でありますけれども、その中でよりよい方法で実行していただければ大変幸いであります。

 大臣、これで結構でございます。ありがとうございます。

 それでは、また戻ってまいりまして、少子化問題からきょうは入りまして、地域問題というふうに進みたかったわけであります。

 実は、一つお願いをしていて、きょうは楽しみにしていて実現しなかったこと、これは逆に、福島大臣、私がおわびをせぬといかぬのですが、前回の御質問は男女共同参画で終わりまして、後ろに女性の方も並んでということで、実は、内閣府の方にはできるだけ後ろは女性に並んでくださいとお願いしたんですが、残念でした。厚生労働省さん、今、厚生労働委員会に行ってきたんですが、そこは二、三人並んでいただけたんですけれども、並んでいただけなかったことは大変残念であった。何か行政刷新会議あたりは女性の方が一人もいないという話もありましたので、ぜひ改善をいただきたい、このように思っております。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。子ども・子育てビジョン、少子化対策であります。

 この質問をする前にちょっと統計資料もいろいろ見ていまして、人口動態統計を見ていたんですが、政府の出されている人口動態統計で、二十一年十月あたりの数字が出てきておりますけれども、一年間で日本の人口が十八万人ぐらい減っているということになってまいりました。いよいよ人口減少時代に入ってまいりまして、その中で、やはり少子化対策のウエートは高くなってくると思います。

 その中で、まず最初の質問は、そうはいいましても、合計特殊出生率というのは、きょう皆様にお出ししているとおり、全国的に都道府県別にかなりばらつきがございます。高いところが沖縄とか九州の方、大臣の御出身の宮崎も含めて大変高い状態になっておりますし、低位は、北海道はちょっとイレギュラーではありますけれども、やはり大都市圏周辺のあたりで、特に東京、大阪近郊が低いなという感じを持っております。

 いろいろな原因はあるとはいうものの、その要因について、今から議論をする政策展開の前提として、どのようにお考えか、お伺いいたします。

福島国務大臣 大都市圏と地方圏の合計特殊出生率の違いは、さまざまな要因が影響していると考えられて、一概に答えることは難しいというふうに思います。

 一つは、都市部と地方部で、社会的、経済的な状況は随分違うだろう。例えば、因果関係の立証は難しいんですが、福井県は、全国六位ですが、三世代同居率が高い、全国二位、持ち家比率が高い、全国三位など特徴があります。委員御出身の富山も、持ち家比率日本一、共働き率日本一みたいなことも影響しているのではないでしょうか。あと、鹿児島ですと、近居率、御両親と近くに住むという方も多いので、こういうことも影響しているかもしれません。

 またあるいは、私の想像ですが、九州とか地方都市の方が、東京に比べてやはり、正直、地価が安いので、子供がゆっくり育てられる環境などもやはりあるのではないでしょうか。大都会は、やはり通勤時間の問題、家の面積の問題、持ち家比率の問題など、影響しているというふうに思います。

 地方自治体においては、地方の実情を踏まえてさまざまな施策を行っておりますので、委員御指摘のとおり、出生率が各地でかなり違いますので、地方と連携した取り組みをしっかりやってまいります。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 大臣のお考えでお話をいただいて、それが一番ありがたいわけでありまして、言ってみれば、国土のいろいろな場所でいろいろな子供の育て方というか育ちがあるということであります。

 要は、私が最後に申し上げたいのもそのことで、均衡ある国土の発展といいますか、国土のそれぞれのよさを生かした形で国づくりを進めていくことが少子化対策のためにも有効ではないか、こんなことを最後は申し上げてみたい、そして仙谷大臣へとバトンタッチいただきたいという思いがあるんですけれども、すぐに答えまで行ってしまうといけないわけで、少し道行き、順番にお話をさせていただきたいと思います。

 今のお話にもつながりますが、やはり、少子化対策といっても、都市部で期待されること、地方部で求められること、内容が異なるのではないか。質問主意書でお出しすると、その辺は、当然質問主意書の性格からして余りいい答弁はもらえないわけですが、大臣としてのお考えを少しお伺いしたいと思います。

福島国務大臣 これは私の感想ですので、統計的なものではないんですが、正直、地方都市に行きますと、私の出身の宮崎もそうなんですが、いろいろな自治体や当事者とお話ししていると、宮崎は待機児童というのは余りいないんですね。それは恐らく、やはり地価が安いとか、影響していると思います。私の一つの感想で言えば、東京や大都会はやはり待機児童の問題は深刻で、若い働いている女性たちの集会などに行きますと、みんなが口々に、とにかく待機児童解消を何とかしてくださいというふうに言われます。

 ですから、全国でいえば、皆さん、子ども手当も望んでいるし、待機児童解消も望んでいますが、都市と地方というのでは、やはりちょっとその辺は、地方といってもさまざまですが、それはあると思います。

 地方で待機児童率日本一というのが沖縄でありまして、これは沖縄の今までの歴史と施策が関係していると思いますので、沖縄においては、沖縄待機児童解消対処基金を、十億円あるんですが、このたび、認可外から認可にするお金を、七百万円助成を三千万円に上げるとか、ちょっと個別にいろいろ工夫をしているところです。

 地方公共団体においては、次世代育成支援対策推進法に基づく後期行動計画を策定中であります。地域の実情も踏まえながらやっていただけると思います。御存じ、これは東京都下の各区におきましても待機児童解消などの予算が全く違います。各自治体においてできるだけ待機児童解消に向けて、子育て支援を一緒にやっていきたいと考えております。

 長くなって済みませんが、子ども・子育てビジョンをつくったときに、全国の自治体に子育てお国自慢というのを寄せていただきました。二百八十二自治体から、多くのメッセージと地方の特色を寄せていただきました。そういうところと連携をしていきたいと考えています。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 待機児童問題を出していただきました。私も富山県の方なものですから、おっしゃるように、なかなかその実態ということについて、肌でわからないものがありました。この立場にならせていただいてから、ちょっと都下のある町へ行きまして、お話をじかに聞かせていただく機会もありまして、ああ、こういうことなのかと。

 そこで、今大臣から大体答弁いただいたわけですが、待機児童問題、全国的に見ると、特別区、指定都市、中核市などで多くて、しかも焦点はむしろ三歳未満児ではないか、このように思うんですが、実情いかがでしょうか。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 平成二十一年四月一日の待機児童数は二万五千三百八十四名です。そのうち、都市部にいる割合は待機児童全体の八〇・六%、三歳未満児の割合は待機児童数全体の八一・九%です。

 ですから、橘委員御指摘のとおり、待機児童は都市部及び三歳未満児に特に集中しているという状況にあります。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 そして、都市部ではこの対策が必要になるわけですが、三歳未満児のお子さん方を保育するとなると、例えば出入り口を別にしたり、要するに、お子さんが小さいものですから、当然保育士さんも定員としては余計配置しなきゃいけないとか、ですからスペースの問題、人の問題、いろいろ出てまいります。

 なかなか東京都下ではやはり、こういう周りじゅう建物が建て込んでいるという中ではスペースの確保が難しく、そこで、認証保育所制度、今回義務づけ、枠づけの見直し等でもその辺は国も配慮されるわけですが、さまざまな方法でできるだけお子さん方を預かれるようにという努力をされていると思います。

 国として、こども安心基金の活用を含め、どんな方針で今後臨まれるか、お伺いします。

福島国務大臣 東京都の認証保育所にも私も見学に行きました。認定こども園などにも実は行っています。

 安心こども基金で二百億円の積み増しを行い、地域の余裕スペース等を活用したりしようと思っています。港区で小学校が廃校になった跡を保育所にして業務委託しているところにも行きました。小学校というのは、給食もあるし保育室もあるし、廊下は広いし、保育所としてもいいなと正直思いました。それから、品川区は小学校の空き教室を使って五歳児の子供を入れるということなど、取り組みを始めています。

 ですから、学校の余裕教室、公営住宅、公民館等を活用することにする、また、賃貸物件等を活用して保育所の分園をする。都会ですと、駅前の貸しビルの分園ということもあると思います。

 それから、家庭的保育の実施場所の確保、保育ママさんの拡充などを行うことが重要だと考えています。

橘(慶)委員 本当に、都会ではビルのそういう空きスペースなんかも利用して分園というようなことも、この間お伺いして驚かされた部分もあったわけですけれども、ハード対策を今お話しいただきました。

 ハードがあれば、あとはソフトであります。つまり、保育士さんがそこにはいらっしゃらなきゃいけない。しかも、三歳未満児ということになれば保育士さんの数もかなり要求されるということであります。

 しかし、保育士というのは、私の地元なんかでいいますと、夢のある仕事といいますか、割となり手も多いという印象を私なりには持っていたんですけれども、実は、どうも都市部では不足しがち、こういうお話もお伺いしました。

 原因についてどのように見ておられるでしょうか。

福島国務大臣 保育士さんは、女性の比率が九五・三%、勤続年数が比較的短くて七・八年、賃金水準が、現金給与額が二十一万四千円。いわゆる介護の職に比べればちょっとは高いんですが、でも二十一万四千円ということで、正直決して賃金が高くない、そういう状況があります。ですから、都市部においては、保育資格を取得しても仕事につかなかったり、就職しても定着しないという問題があります。ペーパー保育士さんの存在は、やはり実に残念です。

 自治体によっては、滋賀県は保育士バンクをつくっているという話を聞いたり、私はいろいろ聞きます。勤務時間、早朝や延長保育、土曜日勤務の問題や給与の処遇面など課題があるので、保育士が魅力ある職業となるようにしていくことが大変重要だと思います。そのためには、とりわけ国、自治体における保育部門における予算の獲得が重要だと考えています。

橘(慶)委員 おっしゃるとおりで、やはりこの保育所、ハードの問題、ソフトの問題、両面で取り組まなきゃいけない。そうなりますと、この委員会の所管ではありませんが、子ども手当を含めてどういう予算の張りつけをしていくかということは、当然、私どもとしてはいろいろな御意見を申し上げたくなるわけですが、きょうは内閣委員会であります。

 引き続き、この保育士ということで申し上げますと、やはり雇用の問題が今非常に重視されている。その中で、ペーパー保育士さんということであれば保育士さんになれる資格がある、そういった方に保育士さんになっていただける、そういう環境があれば雇用という意味では雇用問題の一助にもなる。今、介護職場の問題が随分言われているわけですが、この保育士の確保対策ということについてもやはり進めていかなければいけないんじゃないか。そのことは、いわゆる子供の育ちということだけじゃなくて、今の社会においては一定の経済効果もあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 幼保一体化を含めた新たな子育て支援システムについて検討していく中で、サービスの質の向上、受け手の子供の立場から見た質の向上が本当に求められると思います。役割や専門性の高まりに対応した保育士さんの配置、処遇、実務経験や研修を通じた専門性の確保などについて検討していきます。

橘(慶)委員 よろしくお願いします。

 ここまで、保育所、保育士さんということでお話ししたんですが、今お話ありましたように、三歳未満児の方が非常に待機されている。ただ、また一面、この三歳未満児の方の育ちということを考えた場合に、いろいろな育ちがあっていいんじゃないか。

 みんながみんな保育所へ入所してしまうということ、それは当然御家庭の事情からしてそうなるわけですが、一面、本当は御家庭の方で、例えばワーク・ライフ・バランスがとれて御家庭の方ででも子供と触れ合える形があれば、例えば三カ月や六カ月からじゃなくて、少しでも後に入所の時期をおくらせられるかもしれない。そうすると、全体の待機児童対策というのは、ハード、ソフトとはまた違った意味で、いわゆる家庭でまたそういうことが可能になってくれば、そこからも山を崩していくことができる。ですから、そういうワーク・ライフ・バランスという問題も非常に大事なテーマではないかと思うわけです。

 この辺、すべての待機児童を保育所へ入れていくという考え方でいくのか、それとも、ワーク・ライフ・バランスの方である程度確保するのか。数字はなかなか難しいと思うんですが、その辺の思いをお聞かせいただければと思います。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 私は、子供の担当の部門と男女共同参画とワーク・ライフ・バランスは、三つがとても密接に結びついていると思います。ですから、これは違う概念ですが、やはりつながっている。

 私は何をしたいかというと、日本はM字カーブ、働いている女性が妊娠、出産すると七割がやめていっている、ともすると、再就職するときにやはり労働条件が極めて悪い。ですから、橘委員がおっしゃるとおり、いろいろなライフスタイルがあっていい、しかし、仕事を持ちながら子供を持つことができるということをもっとやはり社会が応援すべきだと思います。

 育児・介護休業法が改正になりました。パパ・ママ・クオータ制もできましたし、男性も育休をかなりとれるわけです。その意味では、育児休業をとるという形をとって、その間は子供と一緒にいる、あるいは男性ももっと取得をする、そして、望めば本当に働き続けられるようにするということを全力でやっていきたいと思っています。子育て中の短期時間勤務、所定外労働の免除、子の看護休暇の充実なども本当に必要だと思います。

 日本は、企業が変わるとやはり一番いいと思うので、企業における取り組みを促すため、次世代認定マーク、くるみんの取得促進と、入札手続における対応。私ども内閣府のところで事業委託をするときに、女性の雇用率や、ワーク・ライフ・バランスでさまざまな取り組みをしていることを入札の加点理由の総合評価にするということで、企業の態度が変わるように、私はこれを花よりだんご政策と名づけているんですが、企業は変わるんじゃないか。公契約条例を千葉県野田市が初めてつくりましたが、それと考えが似ている。やはり企業のあり方を変えるということをまず私のところで始めて、この公共調達が他の役所に広がっていく、あるいは、公共調達だけではなく公共事業まで広がれば、随分変わると思います。

 これは、橘委員は首長経験者ですが、実は自治体の取り組みは活発ですので、そういうところとも連携をしていきたいと考えています。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 一つの少子化対策という山を登るためには、やはりいろいろなところから登っていかなきゃいけない、答えは一つではないけれども、いろいろなことを組み合わせなきゃいけない、そのとおりではないかと思います。

 これで都市部の方の問題を一応区切りまして、地方圏の方へ今度は移らせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたように、待機児童、そういう問題もあるんですかと言われる地方部もあるわけですが、そこではむしろ、お医者さん、医療の問題が深刻であります。産みたくても、近くの病院で産婦人科さんが休院になっちゃったとか小児科の医師不足があるとか、むしろこういった医療の問題の方が深刻ではないかと思います。

 この問題への対処を含めて、地方圏向けの少子化対策ということでお考えをお伺いしたいと思います。

福島国務大臣 きのうたまたま、子育て応援団というNGOの集まりで、遠野市と横浜市と三鷹市の市長、首長さんたちと意見交換を行いました。

 遠野市は、社民党が産声の聞こえる街づくりプロジェクトをつくって二年ほど全国を回ったんですが、その皮切りのところでした。二〇〇二年から産婦人科が一人もいない、公設助産院をつくって、二人の助産師さんを公務員にして、モバイル検診をやりながら自治体が本当に努力している、すばらしい例だと思いました。

 おっしゃるとおり、地方は公立病院が減り、かつ医療がかなり傷み、かつ自治体の統廃合のあおりもあり、かつ、お里帰り出産お断りというところが本当にふえ、地元で安心してお産にかかれる場所が急激に減っているというのが現状です。

 ですから、医師をふやす、産婦人科や小児科をどう応援していくのか。今度の予算でも周産期医療にかなり予算をつけるという形で、お医者さんを応援する、産婦人科、小児科を応援する。それは診療報酬のときにも今回の予算で考慮しています。それから、周産期医療や病院をどう応援していくのかというところが大変重要だと考えていますし、そのような施策で頑張ってまいります。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 やはり、周産期医療、そういったところにもお金は必要だ、予算はいろいろなところに必要であります。改めて言えば、一つの施策だけじゃなくて、所得制限なしのそういった形のものがよかったのか、いろいろなものを組み合わせて、より総合的なパッケージでやればよかったのか、あるいは、これからどうするのか、こういったことについて、やはりいろいろな考え方をこれからまだまだ議論しなきゃいけないんじゃないか、そのように思います。

 そこで、地方圏でありますけれども、先ほど保育所のハードのお話をしましたが、ハードが足りないという都会、保育所を統合しなきゃいけない、学校も統合しましょうという地方圏。そうすると、本当はもしお子さんがもっと地方にいていただければ、あしたからでも保育所に入ってもらえる、そういう地方もいっぱいあると思うんですよ。

 一面、東京の出生率は一番最新のデータで一・〇九であります。私は言うんですけれども、例えば若い方が二人で地方から東京へ出てきたとしたら、その次の世代では二人が一人になる。そういうジューサーみたいに人を減らしていくところが、合計特殊出生率のデータからいえば、それが東京ということになってしまうのではないかと思います。

 もちろん、今からの施策で、これは目標というのはないにしても、出生率をある程度上げていく、そういう努力をするわけですが、この一・〇九という東京の数字と、例えば宮崎や福井のような一・五とか一・六という数字は隔たりがあるような気がいたします。

 何かこの一・〇九問題というのは、保育所の待機児童の問題だけではなくて、もう少し、なかなか乗り越えられない大きい問題もあるように思うんですが、これは御感想としていかがでしょうか。

福島国務大臣 そうですね。でも、東京や大都会には若い人が集中して来るので、そういう若い人たちが雇用をきちっと確保し、安定した中で安心して子供を産み育てる、希望が持てるようにすることは、やはり都会でも本当に大事だと思います。

 しかし、きょうは、橘委員は一番初めに私に解答を準備してくださいまして、均衡ある、地方でも本当に若い人が子供を産み育てられる環境をつくるべきではないかと冒頭おっしゃって、それは本当にそのとおりだというふうに思っています。私も地方出身者でありまして、私が学生のとき以上に、今、地方は本当に雇用の場がどんどん失われつつある。第一次産業も、御存じ、疲弊しておりますし、その意味では、やはり地方でどう雇用をつくっていくのか。

 ですから、戦略局がいろいろな提案をしたりしておりますけれども、地方を元気に、あるいは地方に対する交付金を今回ふやしたわけですが、そのことも含めて、地方を元気にして、そして子供たちがIターン、Uターンも含めて地元に戻れる。私は、東北で、お里帰り出産お断りという張り紙を見たり、それは嫌がらせでやっているわけでは全くなく、お医者さんがいないから仕方なくやっている。でも、もしお里帰り出産ができる状況であれば、地元に戻って、やはりこういうところで子育てしたいよねと、ふるさとで子育てしたい若者も出ると思います。

 ですから、まず雇用、それから地域での医療、地域でお産ができる環境、若い人たちが地域で頑張れるようなことも内閣の中でやっていきたいと思いますし、子供担当大臣としても頑張ってやってまいります。

橘(慶)委員 一気に最後までお答えをもらったように思います。そのお答えがいただければ仙谷大臣に大変質問がしやすくなる、そういう答弁でございました。

 要は、決して東京で育たれる方のことを否定しているわけじゃなくて、いろいろなところに育ったいろいろなお子さんがいる、そういう多様な日本であってほしい。

 ただ、今、少子高齢化、そして、どちらかというと東京や都市圏への若者の流入ということからすると、どんどんどんどん地方では新しいお子さんを産み育てる世代が減っていく。

 その問題は何かといえば、やはり雇用の問題。こんな仕事があればいるんだけれどもというところの受け皿がなかなか出ていないということ。もちろん、いろいろな仕事があるといっても、東京の人たちが担っている仕事も含めて、もっといろいろな仕事がないとなかなか地域では若者は定着いたしません。それは、私が市長をしておりまして、一番つらく、身につまされた問題であります。幾ら子供を育てても、みんな大学へ出ていって、帰ってこようと思っても、仕事がないのでと。その仕事がというのは、仕事はあるのですけれども、自己実現をする、そういう多様な仕事がないという問題であります。

 そういったことをぜひ解決しながら、あわせて、地方のいろいろな問題解決のために、財源もある程度均衡を持たせて配分をいただかなきゃいけない、こんな思いがございます。

 福島大臣、ありがとうございました。

 そこで、そういう思いを共有させていただきながら、仙谷大臣の方に、国家戦略ということでの国と地方の関係の問題をお伺いしていきたいわけであります。

 質問に入る前に、きのう、内閣府の「共同参画」という雑誌をたまたま見ておりましたら、管理職の女性の率が一番高いのが徳島県、社長さんも何か一番徳島県が高いということで、そういう意味では、福島大臣、仙谷大臣と並んでいただいたのは、きょうはよかったかな、そのように思っております。それは、ひとつよいしょをしながら、最初からよいしょしながら、すぐ落としていくので申しわけないのですが。

 ここに、私、実はこれは予算委員会の分科会で出した、橘のつくった、計算した資料なわけですけれども、きょう皆さんにおつけしている最後の資料であります。

 今回の予算、二十二年度予算の中で、コンクリートから人へという哲学のもとに公共事業費が大きく削られたわけであります。それは一つの考えでありましょう。その中で、政府経済見通しによれば、その効果として、日本全国でGDPに与える影響として二・一兆円減るんです、こういうお話でございました。子ども手当の方は、これはあまねく家計に入っていくわけですが、これのGDPプラス効果が大体一兆円という内閣府さんの積算でありました。これは内閣府さんから出された数字です。

 橘は、では、それが地方圏と大都市圏でどんな影響が出るんですかという質問を内閣府さんにしたわけであります。しかし、経済分析担当さんは、地方経済のそういう分析はいつもやっていないのでということで、どうしても資料を出していただけませんでした。そこで、自分なりに一つの仮定を置いて計算をしたのがここに出している資料であります。

 地方圏と大都市圏、大都市圏は東京、愛知、大阪とその周り四県ずつ集めました。例えば、東京なら神奈川、千葉、埼玉ということですね。そういうふうにやって、十二都府県で大都市圏。そして、地方圏は、残りのところ、三十五道県ということになっております。

 そこで、公的固定資本形成、いわゆる、GDPで言う公共事業の効果ですね、それは、県民経済計算年報を見ますと、大体、地方圏で六割、大都市圏で四割、そういうふうに投資はされております。これは菅前国家戦略大臣もおっしゃっていました。公共事業というのは、ある程度都会から、要するに中央から地方へお金を流していく、そういう効果が出ているわけです。

 子ども手当は、これは当然その支給対象のお子さんの人口に比例しますので、大体、四七対五三という数字になるんですね。大体、四五対五五ということになります。もちろん、それはやはり足りないよ、この下に、今の新政権でいえば、高校の無償化もやったじゃないか、戸別所得補償もあるじゃないかということですが、額としてはやはり子ども手当が一番大きい。

 そういうふうにやって、おつりを見ますと、やはり地方圏の方に大都市圏よりかなり厳しかったかな、これを一番今心配しております。二十一年度予算では、この部分は第一次補正等で積んであったものですから、第二次補正でも、現政権でも五千億のきめ細かな交付金がされました、そんな意味で、ある程度地方を見てあるわけですが、二十二年度は息切れするんじゃないかという大変懸念をいたしております。

 このことも含めて、このことは質問としてはなかったわけですけれども、どう思われるかということもできれば添えていただきながら、この戦略の中で書いてあることについての質問から入っていきたいと思うんです。

 過日、分科会で古川さんと大分やりとりしたんですが、どうももう一つはまらなかった、お話が空中戦だったな、すれ違ったかなという思いで、きょうは、徳島からいらっしゃっている仙谷大臣ということで、もう少し話がかみ合わぬかなという思いを持って、今、特に福島大臣と大分やりとりしたことを踏まえて、最初の御質問をしたいと思います。

 地方活性化の道筋については、この成長戦略の中では、農林水産業の六次産業化、交流人口の拡大、また、地域に残る文化遺産の活用ということが活字としては挙げられているわけであります。しかし、本当にそれだけで、今テーマにした若者の流出あるいは若者の自己実現ということで十分であろうかという質問であります。

 つまり、いろいろな仕事があるわけですね。これで本当に地方の若い方々、全部が全部とは言いません、もちろん行ったり来たりしてもいいわけです。東京から、六次産業をしたいということで地方へ行かれる方もあってもいい、ホテルへ勤めたいからといって東京から行かれる方もあってもいい。だけれども、逆にまた、それがつり合ってこないと困るわけで、東京で例えば外資系の企業へ勤めたいとか、東京でテレビ局へ入りたいとか、そういう人とのバランスがとれないと、本当の意味でのつり合いがとれてこない。

 そんな意味も含めて、例えば、この国家戦略では、物づくりとか製造業という言葉も今ないわけです。私は、これは枝野大臣への質問と一緒なんですが、これから練り上げられるから、まだまだいろいろなことを盛り込んでいけるということも含めて、本当に今書いてあることだけで、若者の多様な自己実現の場、雇用というものは成り立つのか、もう少しお考えのあるところはございませんか、こういうことを、まず仙谷大臣にお伺いしたいと思います。

仙谷国務大臣 そこの、今、パネルでお示しの図は、単年度の経済効果としては確かにそういうことが言えるのかもわかりません。

 しかし、ずっとこの間、むしろ、別に首都圏の肩を持つわけではありませんけれども、今の総務省がつくっております行政投資実績、あれを見ますと、埼玉、千葉、神奈川あたりは、全国平均を一〇〇としますと、大体、一人当たりの行政投資実績というのは六八とかだったような気がします。反対に、島根、鳥取、高知、徳島、まあ徳島はそれほどでなかったんですが、そういうところは一五〇台とかです。つまり、地方というか田舎の方は、公共事業をばんばん予算づけをすることで、とりあえずの衰退といいましょうか、地域経済の疲弊をごまかしてきたというのがこの二十年ぐらいだったんじゃないかという気が私はしております。

 こういうことを申し上げると、大変、地域に、あるいは地方に住む方々の誤解を生む可能性もあるのでありますが、特にここから先、本当は私は二十年ぐらい前から始まっていると思っておるんですが、経済構造を、第三次産業というか、ここは農業も六次産業化するというような書き方をしてあるわけでありますが、そういう知識経済化というかサービス産業化を製造業も農業もしなければならない。

 そして、サービス産業構造にどうしても適応する形に地域の経済構造も変えなければならないという要請があったとすれば、そのサービスを考え出すのは、あるいは一味違ったサービスをつくり出すのは、基本的には人、人間の持っている力ですね。ということに立ちますと、やはり、人材をどう養成して、それで地方とか地域に帰ってもらうかということなんだろう、そこが一番大事なんだろうなと思います。

 つまり、製造業中心社会にあっては、工場を地方に誘致すれば、そこに企業城下町が生まれて雇用が生まれる、これを指して雇用があるとかないとかということをずっとみんな言ってきたわけですが、ついに、現時点に立ち至ってみますと、明らかにパラダイムが変わって、そういう形の雇用というのは、一方では省力化、一方ではグローバリゼーションということで、多分、地方都市から見ても、昔のような、製造業大企業が工場立地すればそこに雇用が生まれる、そのこと自体で雇用が生まれるということにはなかなかならない。あるとしても、非正規であったり派遣であったりというようなことで、必ずしもそのことで、働く人々が、橘議員がおっしゃる自己実現をしているかということになると、どうもそうではないのではないかという気もいたします。

 そんなことで、私は徳島でおりましても、これはだけれども、東京へ来て、派手そうに見える表参道を歩いていても、そこで若い子たちと行き交うわけでありますが、一体全体、皆さん方はというか、あるいは私どもはここから先何をやって飯を食っていくんだろうか、何で稼ぎ出すんだろうかということを、本当に、人ごとを心配しながら、自分の子供たちのことも心配しながら、まあ我々は、早い話もうあと残り少ないですからどっちでもいいといえばどっちでもいいんですが、これからの日本と日本人がどういう価値を生み出して生きていくのか。

 結局のところ、先ほど申し上げました人材養成というか、人がつくり出すサービス、あるいは製造業においてもそこに付加価値をつけていく、そのことが大変な価値だということを認めていただく努力をするということが極めて重要な時代に入ってきたな、そんな感じがします。

 田舎というか地方にあるいいものは地方の人はかえってわからないことが多々あるようでございますので、多分そこは、人の交流というか第三者的な目というか、徳島であれば、他県の人とかあるいは都会の人が移り住んでこれるような、あるいはもうちょっと言えば、我々世代は、団塊の世代の私は一年上ですけれども、団塊の世代が会社をやめて、いい人は週に何回かゴルフに行くというような生活、あるいは会社にしてもお役所にしても、天下り的なところへ行って、それほど現役のときのような充実した労働生活じゃなくて、半分お茶飲んで過ごすような時間を過ごしていらっしゃる方も多いので、そういうことならば、培った経験と技能を持ってもう一度ふるさとに帰っていただいて、そこでそのスキルを十二分に発揮して、地方の若者たちと何か社会貢献できるようなこと、あるいは社会的企業でもいいですしNPOでもいいですし、あるいはそれを事業化するというようなことを行っていただきたいものだなということを感じます。先生もひしひしと感じていらっしゃると思うんですが。

 富山と高岡は全国一住みやすい県ということになっておるようでありますが、我が地方の格言で、私は必ずしも秀才ではありませんけれども、秀才は故郷に帰らずという格言があります。要するに、同世代で成績のいい人は、東京や大阪や京都の大学へ出ていったら、そのまま糸が切れたたこのようになって地元へ帰ってこない、これは戦前からの格言のようでありますが、こういうことを言っております。

 交通機関も便利になったことですから、なるべくそうじゃなくて、自分のやっている仕事が東京中心だろうが都会中心だろうが、やはり地元でもそれを還元する、そういう機会を行政がつくる、政治がつくる、あるいは本人も意識してつくるというようなことから始めなければいけないのかなと思ったりもしておるところであります。

橘(慶)委員 大変熱心に御答弁いただいてありがたかったんですが、ちょっと時間が厳しくなったかなという感じがいたします。

 ただ、今お話のあったところ、私はかなり納得した部分もあったんですけれども、基本方針にそのことがまだ書かれていないというふうに思っております。今の大臣のお考えでもう一度見直していただくと大分書き加えること、あるいは直さなければいけないことがあると思います。

 特にサービス産業、これが大事です。それから、今六十代の人が戻っていかれるというお話もありましたが、若い方も欲しいんですね。みんな六十代の方だけでUターンされてもこれまた困るわけで、やはり、若い方と相まってとおっしゃった、その若い方を確保したい、こういう思いであります。

 そこで、私も製造業がそのままでいいとは思っておりません。伝統工芸も、いろいろなものが各地域にありますけれども、そのままではやはり立ち行かない、変えていかなきゃいけない。大変いいお話を今された、付加価値ということをおっしゃいました。その付加価値論というのが今余りないんですね、国家戦略の中に。そういうものをつけるという意味では、若い方々がまた伝統工芸を新しい息吹で見詰め直して頑張っているケースもあると思うんです。

 こういったものもまた、そういった、今おっしゃったサービス産業化あるいは付加価値ということで、戦略の中に位置づけるお考えはありませんでしょうか。

仙谷国務大臣 先般、こういう話がございました。ルーブル美術館が、べっこうや象牙を材料にして漆とまき絵でまいたような日本の細工、これをルーブルにぜひ買い取って展示したいという話が私のところに聞こえてきました。それはすばらしいと。つまり、日本的に言うと、ある意味でのクール・ジャパンです。新しい成長戦略の中でも、一つは、人づくりとともに、クール・ジャパン戦略を、これは政府が後押しをしてやっていける。

 我々は、先生のところの漆とか工芸品についても、あそこはまあまあいいものがあるなという程度なんでしょうけれども、外国に出したら、よだれを垂らさんばかりに、垂涎の的になるような作品が、これは多分日本にはまだまだいっぱいある。それを若い職人さんたちも頑張って守りながらこつこつとつくっていらっしゃる。

 この間テレビを見ていたら、京都だったと思いますが、おけ屋というんですかたる屋さんというんですか、ここに、ドンペリニヨンの、氷を入れておくアイスボックスというか、あれを頼んで、それを見ましたけれども、物すごい技術ですね。すばらしい。一個八万円でそれをつくってもらうんだと言っていましたけれども、時間がかかるんでしょうけれども。そういう日本のわざとかなんとかはクール・ジャパンですよ。こういうことを大々的に海外に展開していくというようなことで、そこにつながっていただく地域の方々をエンカレッジすることはできるのではないかと思います。

 ただ、そのために成長戦略の中で割と重要だと僕が思っているのは、今海外で仕事をする政府関係の部署が縦割りで、いかんともしがたいみたいな話なんですね。ここを束ねるというか統合して、まさに執行の一元化のような話がないと、例えばパリでもマドリードでもどこでもいいわけですが、それを宣伝し勧誘するのが一元化していないと、みんながぱらぱら趣味的にそれぞれの職分に応じて仕事をするというようなことでは、クール・ジャパンを売り込むと、展開するということもなかなか難しい。

 成長戦略の中では、政府も、それから民間もできるだけ組み合わせるというか、そこから生まれる効果を最大限発揮するようなお世話人を政府がやるというようなことを考えなければいかぬ、それでそれを実行しなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。

 したがって、富山、高岡にあるすばらしいものも、どんどん、マーケットは海外にもある、クール・ジャパンとして海外にもあるんだという元気づけをぜひ地元の方々にもしていただきたいと思うし、それを実行していきたいなと思っております。

橘(慶)委員 伝統工芸もそういう形で全体として応援いただける、それはそれで大変ありがたいことでありますし、ぜひまたお願いしたいんです。

 サービス産業のお話がありました、人の話もありました。そういう中で、これは一つ考え方として、確かに公共投資は今までも非常に絞られてきていることだと思います。今パネルで出したのは決して長い目で見たお話じゃなくて、逆に言えば、今景気が非常に厳しい、二番底に行かないための地方への手当てとしてどうかという意味で申し上げているわけで、そこは最初の仙谷大臣のお答えとは観点は違うわけですけれども、それにしても、公共投資だけで今地方がやっていけるということではないと思います。

 サービス産業というお話がございました。そういう中では、広い意味で、先ほど表参道ということもございましたが、東京あるいは大都市にある都市機能、その都市機能の中には、例えば役所の機能もあれば民間の会社のいろいろな管理機能もあります。そういったものをある程度ブロック都市とか地方にも分散配置をしていくということ、いわゆる一つの町だけで成り立つ国ということではなくて、均衡ある形でこの国土を利用していくという考え方もあってもいいのではないか。それは、決してお金をかけるということではなくて、それぞれのセクションなりそれぞれの団体においてそういうことをお考えになる、あるいは、そういうものを誘導していくということがあってもいいのではないかと思いますが、このことについてのお考えをお伺いしたいと思います。

仙谷国務大臣 先般の所管がえで、私のところからは規制改革あるいは特区の担当が枝野大臣のところにかわったので、余りそこの領分を侵すようなことを言ってはいけないとは思いますが、私は、民間の会社が、それも、民間の会社といっても日本の企業だけではなくてアジアに拠点を置く企業が、本店というかアジア支店というかそういうものを日本に置く場合に、高岡市なら高岡市という自治体が、例えば固定資産税を全額五年間取らないようにすることができるとか、法人事業税を半分にするとか取らないとか、そういうことのできる特区をできないものだろうかというふうに考えております。

 それからもう一つは、政府機関、機能の移転というのは、言うにやすく行うにかたしだと思いますが、私は、これからは日本海時代が再び始まるのではないか。つまり、地勢的に、成長センターのアジアと最も日本海を挟んで向き合っているのが日本海地域、つまり、ここまで太平洋ベルトラインが栄えて、要するに日本海側がやや過疎で悩んだりなんかしているということがあったのかもわかりませんが、これは多分、今までは情報も含めて日本の向きが欧米に向いていたということと関係あるんだろうな。ここから先は、現に今、貨物船の通航量は日本海の方が圧倒的に多いという話も聞きます。ここから先、東アジア共同体へのきっかけ、端緒をつくっていくという政策を日本が展開しなければいけないとすれば、政府としても、やはり日本海側にその拠点をこれは九州も含めてつくっていくという発想、そういうものがあってしかるべきだというふうに考えております。

橘(慶)委員 本当に最後まで大丈夫かなと私心配しながらいたんですが、どうやら少しかみ合ってまいりました。

 ただ、私は、別に日本海側へ持っていくという意味でございませんので、九州もあれば四国もある、東北もある、それぞれにやはりそういうことが、例えばあるこの機能は仙台へ、この機能は広島へというようなこともあっていいんじゃないか、そういう思いで申し上げていますので、どうか誤解のないようにお願いしたいなと思うわけであります。

 そういう意味で、一つだけ、もう一問させていただくとすれば、大学の果たす役割であります。一律に大学法人化されて、いろいろな形で今のようになっているわけですけれども、ただ、日本のように、これだけ東京やあるいは京都、大阪付近だけに大学が、かなりいろいろな意味で研究機能等が集中している国も私は珍しいと思っております。本当は、昔はもともといろいろなところに大学があって、農学部なら札幌とか、そういう時期もあったと思います。

 若い方々というので、一つやはり大事なことは大学だと思います。大学があればそこに若い方々が集う、また、その大学を中心にいろいろな産業も展開できるという意味では、国立大学法人あたりで、例えばこの学部、この分野はこちら、この分野はこちらということで、もう少し機能分散を図っていく。今お金をたくさん使うという話はしておりません、同じ予算の中で、そういう機能を切り分けていくというようなことも、省庁のセクションを例えば地方へ持っていくということも含めてお考えになってはどうかと思いますが、最後にこのことをお伺いしたいと思います。お願いします。

仙谷国務大臣 私の個人的な趣味からすれば、先生のお考え方、まことに共鳴するところでございます。

 というのは、やはりもうここまで来ますと、金太郎あめみたいにどこを切っても同じような顔しか出てこないような国立大学なんというのは、ほとんど存在価値がないんじゃないかと僕は思っておるんですが、これを、今おっしゃるように、この分野はここ、この分野はこちらの地域、これは徳島、これは愛媛というふうなことをするためには、相当、住民の意識と、それぞれの大学法人を担っていただいておる方々の意識の内側から変わってくるといいましょうか、それなしには、政府が無理やり仕分けるというわけにはなかなか、この問題だけは容易ならざる話になるんだろうなという気もしないでもありません。

 ただ、そういう問題意識を持って、特色ある地域づくりとか、まさに選択と集中をどうしていくのかということだと思いますので、常に頭に置いて、どういうインセンティブを与えてどういうふうにすればできるのかということを考えてまいりたいと思いますので、橘先生にも御指導いただきたいと存じます。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

 決して、地方へ何もかも持ってきたいとか、そういう意味ではなくて、東京と地方が共生をしていく、また地方でお子さんも生まれてこなければ東京へ入ってくる方もいないという意味において、どうか理解をいただきながら、また国家戦略の中でいろいろと御検討賜れば大変幸いでございます。もう少し戦略が煮詰まった中でまた御質問をさせていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

田中委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、本日、官房長官、また福島大臣、仙谷大臣に御出席いただいております。

 パラリンピックが十二日からスタートをいたします。そのことにつきましてまず質問させていただきます。

 十二日からバンクーバーで始まりまして、我が国からは四十二人の選手を派遣するとしております。実は、私も先般、選手団の結団式に伺わせていただきまして、民主党からも多くの議員の方たちがお見えになっていらっしゃいました。そこでやはり大きな話題になりましたのが、資金が足りない、また、オリンピックとパラリンピックの格差が大変大きいといった課題でございます。

 実は、こうした障害者スポーツを推進しよう、また支えようということで、かつて、平成十四年でしたか、我が党の冬柴前幹事長が努力をいたしまして、議員立法として、基金を福祉医療機構に三百億積みまして、そこから、何かあればその運用益で障害者スポーツを支えていけばいいということを、恐らく全会一致と私は聞いております、そのように制定をいたしました。その後に長野でスペシャルオリンピックがありまして、このときも資金が足りないということから約十三億取り崩しまして、そして、残り二百八十七億が今積まれていたはずでございます。

 そこが、先般、事業仕分けによりまして、基金を全部返還する、そしてまた、そのかわりと言ってはなんですが、予算で毎年必要なものは手当てをする、こういう流れになっております。

 恐らく、これから何かあればその基金を取り崩すことができるというのがその方たちの一つの支えでもあったわけですけれども、それがなくなってしまい、私は、そういう意味では、これをしっかりと今後も予算におきまして手当てをするということ、まずこれの答弁を求めたいと思います。これは、今後、予算そしてまた税制につきまして担当される仙谷大臣に答弁を求めます。

仙谷国務大臣 私も、長野のスペシャルオリンピックのときはそれなりのお手伝いをさせていただいたわけでありますが、最後の最後まで資金をつくるのに苦労をした記憶がございます。

 今おっしゃられましたように、パラリンピックあるいはスペシャルオリンピックというふうな行事については、どうしても、健常者のスポーツに対する、自助努力といいましょうか、そういうことは限界があるといいましょうか、これはやはり、相当、国家あるいは自治体としても支援の措置が必要であるというふうに思っておりまして、おっしゃるように、基金よりは、予算を着実に、あるいは堅実に、しっかりとつけていくということが重要だというふうに思っておりまして、今後ともそういうふうに、私がちょっかいを出せるというか、口を出せる範囲では、そのことは心していきたいと思っております。

高木(美)委員 ただいま仙谷大臣から、ちょっかいを出せる範囲というお話がございましたが、私は、これから法案が提出されます国家戦略局、大変大事な位置であると思っております。このことにつきましては、後でまとめて質問させていただきたいと思います。

 大変高い、また力のある位置におありなわけですから、どうかそのことを、むしろ、そのお力をいい意味で振るっていただきまして、こうした障害者の方たち、また国政に当たっていただきたいということをまず申し上げさせていただきます。

 御存じのとおり、オリンピックとパラリンピック、さまざまな差があります。今、もう先進国におきましては、障害者スポーツ、また、こうしたスポーツの世界は、障害の有無にかかわらず、むしろユニバーサルになってきているというのが実感でございます。しかし、我が国は、スポーツについては文科省、障害者スポーツについては厚労省、こうした大きな縦割りもあるわけでございまして、そこで、それを突破するためにはスポーツ庁の設置等が必要なのではないか、こうした声があります。このことに対しまして、官房長官はどのようにお考えか。たしか、民主党さんのマニフェストの中にはスポーツ庁というのはなかったかというふうに私は記憶をいたしております。この障害者スポーツにつきましても、どのようにお考えか、伺わせていただきます。

平野国務大臣 先生に御答弁させていただきます。

 私は、スポーツ省云々ということの前に、このパラリンピックの関係でございますが、特に、みずからの障害にきちっと向き合いながら努力をしている、この姿に私は心から敬意を表したいと思いますし、感動を覚えるものであります。

 その前提は、私のおじいさんが実は全盲でございました。そういう環境の中に育っておるものですから、やはり障害というのはなりたくてなるわけではありません。しかし、そのことを踏まえて十分に努力して頑張っている姿は、国民全体がやはりサポートしていかなきゃならない、私はこういうふうに基本的に考えております。

 今先生御指摘のように、そういう中でのパラリンピックの予算あるいは支援策を見ても、オリンピックとの圧倒的な差がある。これにつきましては、何としても、先ほど仙谷大臣がお答えをいたしましたが、政府としても、どういう仕方でサポートできるか、こういうことはしっかりと検討してまいりたい、このように思っています。

 私も、長野のオリンピックスのときには、私の地元の選挙区で、支援をする輪の中の一人として、ふだん走らないマラソンをしたりしたことも実はございます。そういうことを含めてしっかりと頑張りたいと思いますし、その上で、スポーツ省ということは一つの検討の課題にはあるのかな、このように思っております。

 ただ、私も調べてみました。先生の御指摘があるように、支援の金額等々含めて、かなりの差があることは事実でございます。したがって、政府として最大限どこまでできるのか、あるいは国民全体がどうサポートするのか、あるいは支援企業を含めてどういうふうに支援をしてもらうのか、このことを私、個人的にもしっかりと考えていきたい、このように思っております。

高木(美)委員 大変力強い答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 恐らく、パラリンピックの選手の皆様も、今バンクーバーで最後の調整に余念がないことと思います。大きなメッセージになると思いますので、また今後とも積極的なお取り組みをお願いいたします。

 実は私、このことはきょう質問するつもりはなかったのですが、今仙谷大臣の御発言がございましたので、一つ確認をさせていただきたいのです。

 私は、先ほど申し上げましたとおり、国家戦略局、大変大事な位置にあると思っております。今回のこの法案におきまして、室が局になるのみならず、これをどこに位置づけるかということを見ましたときに、官房長官のもとにこの国家戦略局が位置づけられている、このことを拝見いたしまして、恐らく、内閣官房にこのような局を置くのは初めてのことではないかと考えております。あわせて、内閣人事局もここに置くという、別の法案で提案されているとも承知しております。

 そうなりますと、国家戦略局担当大臣、その位置づけというのが大変難しいなと。要するに、何も書いていない。先ほど中川秀直先生からも御指摘ありましたが、私も法律を読みまして驚きました。行政刷新大臣は法律の中に明記をされている、しかし国家戦略局担当大臣は明記をされていない。しかも、その局は官房長官のもとにある。これは、指揮系統はどのような形になるのか。そしてまた、当然、仙谷大臣には手腕を振るっていただき、役割は、税制、予算、さまざま、多角的な役割を担うことになられるわけで、それだけの大きな役割が与えられているにもかかわらず、その位置づけというのが大臣は不明確なのではないか。

 しかも、そうした流れの中で、税制調査会というのがあります。この税制調査会の会長は菅大臣、そして、そのメンバーといたしまして、副大臣、政務官等選ばれた方がそこに入る。そして、加えまして、国家戦略局長は委員としてそこに連なる。もちろん、官房副長官、副大臣級が任命されるとも伺っております。ただ、そうしますと、内閣官房の中におけるバランス、また、内閣府の経済財政諮問会議を廃止して設置をするものでございますので、内閣府とのバランス、こうした総合的な指揮系統というのが本当に難しいなと。

 政治主導でありますので、ここはすっきりと、私は、官房長官のもとというのもいいのですが、もう少し格上げをして、国家戦略局ではなくて国家戦略会議とか、そういう高い地位から税制、予算等々を総合的に見おろして、日本の未来も含めて、成長戦略も含め、立案そして企画、総合調整していく、本来、そういう役割ではないかと思います。

 したがいまして、今回のこの法案、これを一見しただけでも、とても不十分だな、中途半端だなと。むしろ、私は、仙谷大臣の位置づけをしっかりしていただいて、もう一度出し直していただいた方がいいのではないかな、そんなような思いがあります。答弁を求めます。

仙谷国務大臣 私も、内閣法あるいは内閣府設置法、国家行政組織法、それほど詳しいわけではありませんが、要するに、内閣府の特命担当大臣であるか、それとも、事務局といいましょうか、執務をする局が内閣官房にあるかということによって、国家行政組織法上の組織の流れといいましょうか、役割の流れがうまく位置づけられないことにどうもなっておるようであります。

 実は私も、本来、法律をつくるときに、もしそうであるとすれば、官房の一員としての大臣、例えば、総理、戦略大臣、戦略局長、戦略官、こういう流れが正しいのではないかということで随分事務方と論争をしてみましたけれども、今の国家行政組織法上の決まりでは、内閣官房は、要するに官房長官がすべて事務の統括をする。したがって、官房長官の下に入るのか、横に官房長官と同格で第二官房長官ができるというようなことはちょっと組織上あり得ないことに内閣法、内閣府設置法等々でなっているということでございまして、ここはなかなか私レベルでは大変難しい法解釈、あるいは組織づくりでございました。

 結局、現時点では、平たく言うと、今私は公務員制度改革担当大臣というのをやっておりますが、この公務員制度改革担当大臣、それから、現に存在するものでいえば、拉致問題担当大臣、年金改革担当大臣、郵政改革担当大臣、これはすべて、内閣法三条二項で、行政事務を分担管理しない大臣の存在することを妨げるものではないという規定に基づいてその担当大臣というのが置かれている。したがって、これはこれで、内閣府特命担当大臣というものとも違う。

 したがって、私は今、内閣府特命担当大臣としては「新しい公共」担当ということでございますが、もう一つは、いわゆる無任所大臣でありながら公務員制度改革を担当し、そして国家戦略を担当している。今もそうでありますけれども、今度の法律でもそのことを規定したということでございます。実質的には全く変わるところはないと思いますけれども、形式的なラインの引き方がどうにもこうにも、それ以外に今の段階ではつくれないということであります。

平野国務大臣 今、仙谷大臣が考え方としてお答えをしたところでありますが、要は、内閣官房の事務について官房長官が基本的に統括をいたしておりますが、これまでも、その時々の情勢において、特命担当大臣、こういう仕切りのもとに官房のもとに置かれてきた担当大臣というのも、過去の、旧政権下にも実はございます。

 一例を挙げますと、例えば行政改革担当大臣、あるいは郵政改革担当大臣、これも、官房のもとでそれぞれの分担を管理、いわゆる事務を所掌しない担当大臣として設置をしてきた経過がございますので、そういう一連の流れのもとに、今回、国家戦略担当大臣、こういうことを置かせていただいたということで、官房の中を二分するとかそういうことではなくて、事務の統括は、あくまでも官房長官が統括をしていく、こういうことでございます。

高木(美)委員 大変納得できない答弁でございました。

 要するに、国家戦略自体をルーチンにきちんと位置づけなければいけないんじゃないか。行政改革とか郵政改革とか、そういうある一時期の、そのようなところに位置づけていいのか。これは新政権として一丁目一番地で、国家戦略と行政刷新、これは車の両輪だという鳴り物入りでスタートした内容ですので、今の答弁では、とてもこれからの法案審議は無理です。しっかりと、もう一回よく検討していただきまして、正しい位置づけをどうするのか。要するに、これからの国家戦略というのは、少子高齢社会に日本がどう対応していくのか、グローバルの経済の中で日本が生き残っていけるのかどうか、こういう総合的なところを、ここはやはり、新政権は何をしてくれるのかと国民が今一番待っているわけです。

 そこで、さまざまなことが起こり、今、世論はいろいろあるわけでございますけれども、そうしたことを踏まえましても、私は、国家戦略局をどのような位置づけにするのか、また、どのように新政権としてとらえていくのか、そこをしっかりと考えていただきたいと思いますし、先ほども申し上げましたが、仙谷大臣には、そのような事務の所掌とか、もちろん、分担管理、これが内閣の原則でございます。しかし、その中にあって、やはりその総責任者として責任を持つのだという強い責任感をお持ちの上でこれからの国会審議に臨んでいただきたい、このことをまず強く申し述べさせていただきます。

 あわせまして、ちょっと辛口な話が続くのですが、実は今、地方から声が上がっております。陳情窓口の一本化、これを何とかしてくれという悲鳴でございます。

 地方団体等が直接、行政府に地域の実情をわかってもらって、しかも、その窓口も専門化したり多様化している。懸案も、全部そうです。そういう中にあって、その陳情が制限をされている。しかも、民主党の県連を通じて、もしくは幹事長室で一括して受け付け、その上で、内容を吟味した上で行政府に送る、そういうルールが一応、策定をされております。

 総理は、それに対して、自治体に対して政党のルールを押しつけるものではない、このように答弁をしていらっしゃいますけれども、やはり自治体、各種団体におきましては、民主党を経由しなければ政府に対する陳情ができない、また、処理が遅い、このような声を多く受けております。やはり、これは行政府への窓口を閉ざすことにつながってしまうのではないか。むしろ、私は、今こういうときだからこそ、多様な民意をくみ上げていく、こういう本当にオープンな、そして国民に向かった、そうした姿勢が大事なのではないかと思っております。

 要するに、団体または首長に対して党の圧力がかかることになってしまうのではないかとか、また、野党のところに行きにくいとか、そういう流れではなく、やはり、オープンな形で政府への陳情も認めていただくべきと考えておりますが、官房長官はどのようにお考えでしょうか。

平野国務大臣 先生にお答えしますが、基本的に、そもそも、今連立政権でございますが、民主党は、陳情政治は基本的にはやめていきましょう、本当に地方が主体的に物事が決められるように制度設計をいたしましょう、いわゆる地方主権の社会にしたいというのが基本であります。したがって、今までのように、地方からお金を使って東京へ上がってくる、こういうことはやはり好ましくない。こういうことで、本来、それぞれの地域の、例えば県連なら県連がそういう御要望を集約して政府の方へ上げてくる、こういうことを試行していることが一つであります。

 ただ、誤解を招いているようでありますが、政府が決して陳情を、御要望を受けない、こういうことで窓口を閉めている、こういうことではありませんので、物事によると思います。

高木(美)委員 それでは、官房長官、確認ですが、首長そしてまたさまざまな各種団体の方たちが、陳情という場合ももちろんあります、それはもうやむにやまれない思いで。もちろん、地域主権をともに推進していく、その理念は共有した上で、ただ、目の前の、困っていらっしゃる方がいらっしゃる、また、地域主権を進める上でも、現実の行政をあずかる上でも、ここは国の制度として変えていただかなければどうしようもないという課題も実は多くあります。そこはともにつくらせていただきたいと思う方も中にはいらっしゃるわけです。そこは、与党、野党問わず携わっていくべきだ。例えば、福島大臣も御尽力いただいておりますが、少子社会に対する対策、そしてまた障害者に対する対策、そうした弱者を守るというような課題はむしろ超党派で取り組むべきである、そういうことを共有していらっしゃる団体も首長もたくさんいらっしゃるわけです。

 それでは、今の御答弁をさらに確認させていただきますが、その場合に、政府に対する陳情は十分できる、先ほど案件によるという話もございましたが、させていただいて構わない、官房長官、このように受けとめさせていただいてよろしいのでしょうか。

平野国務大臣 政府の立場でいえば、国民の声をしっかり聞くということは第一義であります。その声を踏まえて政策を決定していく、こういうことでございますし、昨年の選挙では、少なくとも、国民生活第一という考え方のもとにマニフェストを掲げて、その後、連立合意のもとに、今、政権が組まれているわけであります。

 したがって、これ以外の御要望は聞かない、こういうことではございません。常に国民の皆さんのお声を聞きながら運営をしていく、これが基本だと私は思っております。

高木(美)委員 大変前向きな答弁と受けとめさせていただきまして、ぜひとも多様な民意をお酌み取りいただくことを重ねて要望いたします。

 余談ですが、昨年ということをよくおっしゃられるわけですが、例えば、小選挙区の票だけ見ましても三千三百万、それに対して、自公で二千八百万。この二千八百万の方たちの意見を聞かないということも、これまたあってはならないことであると思っております。そうしたことはどうしても独裁につながってしまう。そこを今、官房長官は、前向きな御答弁をいただきました。そのように進めさせていただきたいと思っております。

 続きまして、トヨタのリコール問題を少しお話しさせていただきたいと思っております。

 今回、このトヨタの問題につきましては、さまざまな問題を多方面に投げかけております。トヨタ社長がアメリカ下院の公聴会、また中国にもお出向きになって説明をされた。当然、消費者の目線からは、対応がおくれた、また、危機管理のあり方の改善をしてもらいたい、こういう御意見が多いわけでございますし、それは大変大事な点であると思っております。

 きょうは、辻元副大臣にお越しいただいておりますが、実は前原大臣が、まず、二月九日、閣議後の記者会見でこのように述べていらっしゃいます。トヨタとして顧客、ユーザーの視点に立った機敏な取り組みが欠けていた、このようにお述べになりまして、その次に、今度は、二月二十四日、ここでは、トヨタ社長が下院の公聴会で証言することに対しまして、真摯に対応し安全を守る姿勢を貫いてほしい、このような注文をおつけになり、さらに、三月八日ですが、世界のブランドとして活躍していただきたい、このように述べていらっしゃる、私はこうした話を承っております。

 今回のこの問題、やはり、世界の厳しい競争にさらされて、当然、先端技術の高度化であるとか複雑化という宿命的な課題にこうした企業はさらされておりまして、どう立ち向かっていくかということが課題でございます。自動車の部品は三万点、すそ野の広い産業であるということから、エコカー減税等も私たちも考えまして、経済効果の上からも、そしてまた環境対策の上からもということで推進をさせていただいた経緯もございます。技術開発、そして安全重視、顧客第一のその姿勢を貫いていただく、これはまたもちろんでございます。

 ただ、もう一方で、一つの民間企業でございますので、どこまで国として応援できるかという限界はあるかと思います。ただ、大手三十社のうち、では、輸出産業でどの企業がどれほど稼いでくれているか、このことを考えましても、トヨタを含む大企業が四割、四四%を稼いでくださっている。そのことを考えますと、こうした企業が折れましたら、影響が大変大きいという状況もございます。日本は、何といいましても、エネルギーそして食料、これも総額約三十兆円近くを海外から買い求めている。こういうことを考えますと、私は、政府としても、何ができるかということを真剣に協議をしていただきたい、このことを提案させていただくものでございます。

 きょうは、辻元副大臣がお越しでございますので、副大臣の見解を求めたいと思います。

辻元副大臣 高木委員の御質問にお答えしたいと思います。

 国土交通省といたしましては、自動車の安全、これを所管しております。いろいろ、輸出とかそちらの関係は経産省などを中心に所管をされております。

 今回は、その安全という観点から、先ほど前原大臣の会見での話を引用していただきましたけれども、非常に厳しく対応をしております。その中で、特にトヨタの社長さんにも二回、大臣と、私も一緒にお目にかかりましたけれども、一つは、適切な処置を迅速に、かつ、もう一つは、消費者の皆さんの安全と、そして、安心につながるというのは情報公開、これが安心につながるわけですので、情報を速やかに出していただく。そして、さらには、消費者の皆さんの信頼回復をしていくための説明をきちんとしていただくというようなことを直接社長さんにも大臣の方から申し伝え、そして、これは国内でも起こっておりますが、アメリカでも問題にされておりましたので、訪米される前と後、報告も受けまして、国交省としても、引き続き報告を聞きながら適切に対処してまいりたいというように考えております。

高木(美)委員 私が先ほど申し上げましたのは、そうした安全性はもちろん第一でございます。その上で、やはりグローバル産業でございますので、世界は、大臣がどのように発信をするのか、恐らくそこを注目されている。

 当然、所管が違う、そこは経済産業ですというのはありますけれども、例えば、経済産業省と連携をしながら技術の安全について何ができるか検討してみますとか、もう一つ、その後ろに、ナショナルフラッグという言い方は私は余り好きではありませんけれども、トヨタも、またホンダも今同じような状況にあります。そこのところを、やはり国としても信頼をきちっとサポートするために努力をするんだというメッセージ、ここが大事なのではないか。アメリカ、中国、そしてまた世界各国で今、トヨタ車、ホンダ車、環境配慮であるということから大きな流れができておりますけれども、信頼を損ねずに済むという、むしろこのリコールということをプラスに転換していくための、何かしらそうした前向きなお言葉ということは必要だったのではないかなと思います。

 私は、できれば、そこに、幅広い教育、理工系の教育も必要ですし、人材の育成のためにさらに連携をしますとか、イノベーションの推進においてもこうした安全の技術が必要ですとか、余計な話かもしれませんけれども、そうした企業に対する国としてのかかわり、この姿勢が今回、実は問われているのではないかと思います。

 その点を官房長官はどのようにお考えでしょうか。

平野国務大臣 今、辻元副大臣が所掌の立場で申されました。

 私は、やはりこの自動車、生命にかかわる問題でございますし、特に品質というのは、その商品にとっては致命傷になるわけでございます。その結果として、基幹産業の成長戦略に大きく影響する、こういうことでございますので、さはさりながら、これは民間企業のことでありますから、これを政治問題化してやるというのは、私は本意ではございません。

 しかしながら、自動車産業というのは非常にすそ野の広い産業でございますし、そこにおける物づくり、日本の持っている物づくりの力、やはり、先ほど先生が申されましたように、教育という場面、あるいは理工系の分野においてもっと政府が力を入れることによって、物づくりの力、品質にサポートでき得るようなことは、政府としては、側面的にしていくことが大事であろう、このように思っております。

高橋大臣政務官 高木委員に経済産業省としてお答えをさせていただきたいと思います。

 高木委員は、経済産業省の政務官をされて、私の先輩に当たるわけでありますけれども、前政権からも人材育成という部分は力を入れていただいておりますが、先ほど委員から御指摘があったとおり、自動車というのは三万点の部品がありまして、今回のリコール問題も、一部の部品のふぐあいというところからまず発生をしているわけなんですけれども、そういう部品をつくっているところには、下請の中小企業もかなりございます。

 その意味で、前政権からも、さまざまな、中小企業の人材を育てるということを、かなり予算をとっていただいて、やってこられましたけれども、今政権でも、この予算が通過すればということが前提でございますけれども、こういう中小企業の人材育成について、さまざまなメニューを用意して、それを実行していきたいというふうに思っています。

 ともかく、経済産業省の方にも、大臣の方に、おととい、トヨタの社長が訪問していただきまして、いろいろな御報告をいただきました。我々とすれば、できる限りの対応をしていきたいというふうに思いますけれども、まずは、トヨタの真摯な対応ということを我々としては期待していきたいというふうに思っています。

高木(美)委員 ありがとうございました。省庁連携をして、ぜひとも前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、官房長官、私の官房長官への質問は以上でございますので、御公務御多端でございますので、どうぞ御退席くださって結構でございます。ありがとうございました。

 それでは、次に、新成長戦略につきまして、仙谷大臣に質問をさせていただきたいと思います。いろいろありますので、簡潔な答弁をいただければ幸いでございます。

 まず、この新成長戦略、仙谷大臣はどのように評価をしていらっしゃるのか、お伺いいたします。

仙谷国務大臣 お答えをいたします。

 私自身は、この新しい成長戦略を、その基本方針を菅さんが戦略大臣の段階でおつくりになっているわけでありまして、これを肉づけする役割ということになっておるわけでありますが、リーマン・ショック後の世界経済というふうな視点から見てみますと、改めて、資本主義が実体経済にちゃんと奉仕する金融というものを位置づけなければならないだろうと。

 日本は、物づくり先進国というふうに威張ってきていたわけでありますが、単品をつくって売ることにかけては世界一だったんですが、どうも、ここから先、例のグリーンニューディール、グリーンイノベーションというふうなこともあって、やはり、エコ、グリーンを軸としたシステムをどうやって世界じゅうに売っていくのかというか、輸出して世界の地球環境保全に貢献していくのかというふうな視点が重要だし、あるいはそこに大きなマーケットがあるというふうに考えておりまして、東アジアのみならず、先進国を含めたインフラのパッケージで、あるいはシステムとして輸出をする、これが一つであります。

 それから、もう一つは、人づくりを意識的に、戦略的に行わなければならないということが二つ目であります。戦略的にというふうに言うときには、当然のことながら、男性と女性の社会に対する参画の問題というのも出てまいりますし、子供をどのような、生きる力のある社会人につくっていくのか、このことも必要でありましょうし、それから学校教育、あるいはポスト学校教育といいましょうか、そういう中で、私どもが職業再教育や再訓練というものをどう位置づけて、時代の産業構造にふさわしい、そういう人づくり戦略を持てるかということが重要だ、それが第二番目。

 第三番目は、あくまでも、グリーンイノベーションというものにこだわるというよりも、これを軸にして、これからの成長戦略といいましょうか、成長政策を展開しなければならない。成長戦略というものは、そういう観点からは積極的に評価をできるだろうと思います。

 もう一つは、後で高木議員からも問題提起があるかもわかりませんが、私どもが、新しい、新成長戦略と言うときに、やはり成長の概念というか中身も、新しい成長というふうに我々最近言っておるんでありますが、やはり成長の概念も問い返される。つまり、GDPの数字だけであらわされる、GDPは伸びたけれども可処分所得は落ちたとか、可処分所得も維持されているけれども何となく人間関係がぎすぎすして社会的な孤立感が強くなったとか、そういうことでは成長と言えないんではないか、そういうことも今考えておりまして、その概念についても大いなる議論をし、我々の方からも問題提起をしていきたいなというふうに考えております。

高木(美)委員 それでは、この工程表ですけれども、これは、いつ、六月という報道も伺っておりますけれども、どのような内容で、六月ということでよろしいのかどうか、重ねて答弁を求めます。

仙谷国務大臣 六月を目途に、新しい、新成長戦略の最終取りまとめをする予定でございます。その段階で、成長戦略の実行計画、これは工程表ということになろうかと思いますが、これを策定する予定でございます。その中で、二〇一〇年内に実行する早期実施事項、それから、向後四年間程度で実施すべき事項と成果目標、それから、二〇二〇年までに実現すべき成果目標、これを時系列で明示して、政策実現を確保していきたいと思います。

 先ほども橘先生の御質問にお答えをしたかと思いますが、私は、この成長戦略も、日本の場合、もうお気づきになっておると思いますが、執行の一元化というようなものがやはり一つの大きなキーワードというか、キーになるというふうに思っております。

 せんだっての参議院でもそのことをお話ししたんですが、結局、何とか本部がつくられたり、何とか計画がつくられても、執行が、各省庁、各課に持って帰られた、本籍に持って帰られた段階で、それぞれが自分のざんごうにこもって何かやっているみたいな感じになって、統合された一つの力が全然出てこない。ここが、例の女性政策とか子供政策とか、男女共同参画もそうでしょうけれども、何となく、その今までの失敗といいましょうか、何をやっていたのかよくわからないねということにつながっている、そういうふうに思っております。

高木(美)委員 ただいまの仙谷大臣の問題意識はよくわかりました。それだけに、一つは、先ほど申し上げた、国家戦略局としてどのように手腕を振るわれるか。そういったものを総合しながら、役所の縦割りを乗り越えて、総合するもの、そしてまた分担するもの、仕分けが必要ではないかと思います。

 あわせて、私は、今御指摘ありました、これから、新しい成長戦略に当たってもう一つ大事なのは、どうしても、こうしたコストを、四十五兆円とかいろいろな話が飛び交っておりますけれども、だれが負担するのか、そういうことも大事なのではないかと思います。例えば、二〇二〇年、四十五兆円という医療・介護サービス費用とか、そうした内容につきましても、当然、それは保険料の引き上げとか増税とか必要になるわけでございます。それをだれが負担するのか、その主体者もぜひこの工程表には明記をしていただきたいと思います。

 あわせて、もう一つ、ここにないのは、私は、規制緩和、規制改革をどのようにしっかりと進めていくか、例えば、この会議体、そしてまたその具体策をぜひとも盛り込んでいただきたいと思います。今まで進まなかったのは、どうしても、この規制緩和のところが省庁の壁、またさまざまな利権の壁で阻まれていたわけで、恐らく、よほど強いリーダーシップでここに踏み込んでいきませんと、また、先ほど申し上げたように、本当に民意をくみ上げながら進めていただきませんと、ここのところはなかなか手がつくものではないというふうに思っております。そうすると、下手すれば、弊害は変わったけれども、行き過ぎた市場原理主義による第二の道という同じ道を結局たどっている、これでは何にもならないというふうに思っておりますので、お願いをいたします。

 また、あわせて、人材教育に対する視点をぜひとももう少し強力に盛り込んでいただきたいと思います。教育については後ろの方で書いてありますが、普通の内容です。そうではなくて、これだけの成長を支えるための人材育成をどうしていくのか、また、先ほど申し上げたような、日本の特色ある物づくり、こうした人材もどんどん退去しておりますので、そこをどのようにしていくのか、こうした視点もぜひしっかりと盛り込んで、お願いをしたいと思います。

 時間がだんだん迫ってまいりましたので、次に、中小企業の支援につきまして質問をさせていただきます。

 これは、まず仙谷大臣にお伺いしたいんですが、中小企業の法人税の引き下げ、当初、一一%に引き下げるというお話が、一八から一一へという、マニフェストにもございましたが、これが見送りとなりました。これは、中小企業の方たちから大きな失望の声が上がっております。これは今後どのようにされるおつもりなのか、仙谷大臣の御見解を簡潔に伺わせていただきたいと思います。

仙谷国務大臣 中小企業税制といいましょうか、支援税制をマニフェストでお約束しておるわけでありますが、これについては、ことしのといいましょうか、来年度の税制調査会の中で、課税ベースの問題を含めて、税率をどのように下げていけばいいのかということを真剣に考えてまいりたいと思います。マニフェストでお約束したことでありますから、何らかの格好で、中小企業が力をつけて中堅企業になっていただけるような、そういう支援を税制上も、あるいはその他の面でもやっていかなければならないというふうに思っております。

 そのキーは、私は、中小企業においても、先ほどから高木委員がおっしゃっているように、人材に尽きると思います。とりわけ、やはり経営人材を中小企業がどうつくっていけるのか、そのことの支援を国なり自治体なり、あるいは、民間が行うことに日本の中央政府がどう側面援助といいましょうか、支援の措置をとれるかということが、これからの中小企業の成長、発展のキーだと思っておりますので、中小企業金融ともども、中小企業が元気になっていただきませんと、そこで働く人々、七五%ぐらいの方が中小企業で働いていると言われておりますので、日本経済全体が元気が出てこない、この思いでやっていきたいと思っております。

高木(美)委員 実は今、中小企業の方たちは、私も先般お会いした方がおっしゃっていましたが、昨年は前年度の八割減の収入でした、ことしは昨年より八割また減っていますと。どんどん収益が落ちているんですね。もちろんそうなんですが。

 そういう中で、先般、衆議院の調査室が、民間委託をしてくれまして、調査をしてくださいました。その結果を見ましたところ、どこの企業ももちろんそうなんですが、特に中小企業は群を抜いて、一つは、仕事がない、そこが回答としては約八〇%近く、もう一つは、これは圧倒的に、半分の方たちが、単価が引き下げられている、この二つを大きな課題として挙げていらっしゃいました。法人税引き下げというのは、そういうところに対してまさに端的に届くものでありまして、中小企業の方たちは、子ども手当、高校授業料無償化、いろいろやったから財源がなくなったんだね、やはりこういう話になってしまうわけです。

 ここでまた、先ほども申し上げたとおり、新政権が企業に対してどのような姿勢で臨んでいくのか、ここの姿勢も問われているわけで、どうしても、今、需要の方からむしろ経済回復を目指していく、そういう姿勢は承っておりますけれども、でも、今、それか、それとも企業の支援か立て分けるときではなくて、二分化の論理ではなくて、私は、あれもこれも、そうやって大きな流れに立ち向かっていかなければいけないときではないかと思います。

 ぜひ、仙谷大臣、この引き下げに向けまして、ことしのまた御活躍を心から期待させていただきたいと思います。

 あわせまして、今申し上げました、仕事がない、単価の引き下げにつきまして、高橋政務官から答弁を求めます。下請法等はよく承知しておりますので、今、経産省として、端的に、何をしようとされているのか、簡潔にお願いいたします。

高橋大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 委員おっしゃるとおり、中小企業は本当に仕事がなくて、どのグラフを見ても、右に下がって少し上がったという、グラフはみんな一緒だと思うんですけれども、いろいろな対策の中で、仕事をつくるというのが一番大事なことだろうというふうに思います。それは委員も同じ意見だろうと思いますけれども。

 この中で、前政権から続いているもので家電エコポイントだとかエコカー補助というのがありますが、つい最近、住宅版エコポイントというのを始めさせていただきました。これは反響が結構大きいんですけれども、こういうものとか、あとは、ものづくり中小企業への研究開発の支援だとか、農商工連携の促進などの支援、そういう予算も、この予算案が通ってからということになりますが、充実させていきたいと思いますが、先ほど委員から御指摘あったように、新成長戦略を六月にまとめる予定でありますけれども、これもあわせて、一緒に、仕事をどうやってつくっていくのかを考えていきたいというふうに思います。

 それともう一つ、下請の問題、代金の値切りの問題ですね。これについては、下請代金法の運用を強化しております。これを全面的に頑張って、なるべく下請いじめが起こらないようにということで、下請代金法に基づく書面調査数というのを二十万件から二十三万件にふやしました。買いたたきを初めとする違反の実態把握をこれで強化ができると思います。あと、下請代金検査官というのがいるんですが、これを来年度は十八名増員をして八十四名といたします。それから、適正化を要請する通達というのを八百の事業者団体に近日中に出す予定をしておりまして、取り組み状況の報告を求める予定をしております。それから、下請かけこみ寺というのをやっておるんですが、全国四十八カ所にございまして、無料相談弁護士を四百名にふやします。

 今後とも、下請代金法を厳格に運用して、下請業者が泣かない、泣かなくても済むように、我々としてもしっかりと対応していきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 政務官にお願いなんですが、私は、単価の引き下げ状況を、当然、下請何でしたか、よくわかっているつもりなんですが、名称を忘れました……。

田中委員長 下請代金。

高木(美)委員 下請代金法、通称、そうです。済みません。

 それで、そこにつきまして、調査を今二十三万社に拡大するというお話がありました。できれば、例えば、この部品は五年前は幾らだった、今は幾らだ、こういう本当に生々しい実態が中小企業庁でしっかり掌握できますように、ぜひともそういう項目を加えていただきまして実態調査もしっかりやっていただき、あわせて、その部分は公表するとか、これだけ今中小企業は下請の厳しい状況の中で生き抜いている、こういうメッセージを発することが、例えば大企業が、下請いじめとは言いませんけれども、やはりそこは合意のもとで上手に行われているケースもたくさんあります。私のところにもそういう話が多くあります。したがいまして、そこに対する、それをしちゃいけないよという大きなメッセージになるのではないかと思います。そうしたことも、ぜひあわせて検討をいただきたいと思います。

 また、もう一つ、これは仙谷大臣にお願いなんですが、中小企業につきまして、経済成長戦略の中にもはっきりと位置づけていただきまして、次の工程表、また取りまとめの際には、どのように中小企業を支援していくのか、具体策を盛り込んでいただきたいことをお願いさせていただきます。

 政務官、これで質問は終わりですので、もしよろしければどうぞ。

 済みません、きょうは福島大臣にずっとお時間をいただきまして、恐縮でございます。

 まず、福島大臣にお願いがあります。私はいつも福島大臣にいろいろお願いをさせていただいておりまして、沖縄の無認可の保育所を認可に引き上げるための、七百万から三千万円の拡充も骨折りいただきまして、感謝いたしております。

 実は、あわせまして、民間保育所の方たちから、私も昨年何カ所か視察に伺いました。そこであります話が、一時預かり事業をやってくださっている民間保育所があります。これは、きょうの日経新聞で、これをまとめている団体がアンケート調査を行って発表したというような記事が出ておりました。民間保育所で一時預かりを実施しているのは今二百五施設、約四〇%にとどまっておりまして、実施していない施設は二百四十一施設、約四五%。その中で四十九施設が、一時預かりを実施していたけれどもやめた、このように回答しております。

 撤退理由は、要するに、法改正で新たに義務づけられた事項を満たす見通しが立たないということからこの事業継続を断念した、こういう声が最も多かったということなんですが、実は、この一時預かりの事業と保育所の運営、この会計区分を分けなければいけない、こういう規定がありまして、恐らく、そのことによって新たな人件費が発生するとか、保育士の兼務が難しくなって経営的に困難になった、こういう施設の数もここに報告をされております。

 こうして、地域に根差した民間保育所が一時預かりできない、そういうことになるのはとても私は残念なことと思っておりまして、実は、私が伺った東京のある区のところは、江東区、私の住まいです、遠いんですが、そこまでお母様たちが、一時預かり事業また地域子育て支援センターの事業に参加するために、わざわざお見えになっていた、こういう例もあります。そういうことも含めまして、私は、この一時預かりの事業を継続できますように、ぜひ厚労省とまた連携をとっていただき、推進をお願いしたいと思っております。

 大臣、済みません、その答弁の前に。

 辻元副大臣、済みません、お待たせいたしまして。以上で質問は終了でございますので、どうぞ御退席いただいて結構でございます。申しわけありません。

福島国務大臣 私は、子供を長時間預けた母親、長時間というか、一日、朝から夕方までという母親だったんですが、一時保育の重要性はとても思っています。例えば、それで助かる方もいらっしゃるわけですし、一週間のうちとにかく四日間働きたい、三日間働きたいというパパ、ママもいらっしゃるわけです。

 先日、神奈川県で一時保育を営んでいらっしゃる皆さんたちが大臣室に来てくださって、いろいろ話をしてくださいました。今度またそういう保育園を視察に行く計画、自治体と一緒に視察に行く計画を立てております。ですから、皆さんたちからも、これは必要なんだけれども、なかなか大変で、例えば保育士さんたちの待遇もそれに響いて悪くなるという話も聞きましたので、厚生労働省と協議をして、一時保育というのもどう応援していくかをまた考えたいと思います。

 ぜひよろしくお願いします。

高木(美)委員 もう一つ、大臣にお伺いしたいのですが、幼保一体化ということなんです。これは大変難しい課題と私は思っておりまして、一体化と一元化とどう違うのか、こういう質問も一つはあります。

 この子ども・子育てビジョンの中に、「幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築」とあります。今までありました議論は、どちらかというとお金の話が多いと思いました。保育所の方が多く予算が入っている、文科の方が少ない、これを一体化することによってその予算をもう少し幼稚園にも回してほしい、こういうことから一体化という論議が行われたということは承知しておりますが、大臣は、ここでどのようなイメージでこの幼保一体化ということをお考えなのか、また、どのようにお進めになるおつもりなのか、所感をお伺いします。

福島国務大臣 子ども・子育て新システム検討会議を設置し、この検討会議において、幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的、一元的なシステムの構築について検討するところです。今高木委員おっしゃったとおり、今まで、ついつい供給側サイドから、あるいはコストの点から議論があったことがもしかしたら多かったかもしれません。それを、子供の側から、利用する側、でも、利用するというパパ、ママよりも、むしろ子供の立場からこの幼保一体化を考えてみたいというふうに思っております。

 というのは、御存じのとおり、幼稚園は定員割れをしているんだけれども、保育園は満杯でとても大変ということや、お母さんが働いていたけれども、やめると保育園をやめなくちゃいけなくて今度は幼稚園とか、上の子と下の子が幼稚園と保育園で違う、さまざまありますので、これは、厚生労働省と文科省の縦割りをやめて、その地域で子供たちのために何が一番かという議論が必要だと思います。しかし、当たり前ですが、制度改革のための制度改革ではありませんし、働いていらっしゃる、両方の皆さんが、自分たちはどうなるんだろうという不安感に駆られたり、士気が落ちたりしないようにしていきたいというふうに思っています。

 先日、仙谷大臣も、子ども省の前身をことしの夏までにもつくりたいとおっしゃいましたが、私も、子供を中心に据えたさまざまな施策、これはもう総合パッケージ、三百六十度必要ですので、いずれそういう方向に行けばと思います。しかし、その過程の中で、子供担当大臣としては、無理が通れば道理引っ込むというか、制度を無理やりやることでハレーションが余りに起きることのないよう、しかし縦割りは排除して、子供たちのための施策をしっかりやりたいと思います。

 ですから、幼保一体化だけでなく、多様な幼児教育と保育サービスの質の向上や、地域の実情に応じたサービスの提供、それから、待機児童の解消や、利用者の視点に立った制度のあり方について、この検討会議でしっかり議論してまいります。

高木(美)委員 重ねてお伺いしますが、認定こども園、四類型あります。これもそれぞれ課題が多いわけですが、いずれにしても予算の話です。

 幼保一体化といいますと、やはり、今申し上げたように、当然、保育所の質も確保しなければいけない。事故が起こってもいけませんし、また、幼稚園もそうです。そこにさらに上乗せをしながら推進をしていくという形になるかと思います。

 そこと認定こども園、どのように違うのか、お考えを最後に伺わせていただきたいと思います。

福島国務大臣 文科省と厚労省、両方の間で、幼稚園と保育園のよさを発揮しながら認定こども園が、御存じ、あるわけです。私も見学に行きましたが、幼稚園に行っている子と保育園に行っている子が同じところへ行って、途中で早く帰る子と夕方までいる子といるわけです。

 ただ、認定こども園は、二重に書類を、両方の役所に出さなければならない。余りに煩雑だったり、大変だ、不便だという声を聞きました。思ったほど認定こども園がふえなかった理由もそういうところにもあるというふうに思っています。

 ですから、認定こども園の今までのメリット、デメリット、あるいは、なぜ進まなかったかを検証しながら、幼保一体化の議論もしっかりやっていきたいと思っています。

高木(美)委員 大臣、ぜひとも、その論議に当たりまして、本当に多くの方が注目する大事なところだと思いますので、オープンな論議で、先ほどもお話ありましたが、議事録等しっかり掲載していただきながら進めていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、外務省機密費上納問題、また官房機密費の使途の問題について質問をいたします。

 外務省報償費、いわゆる外務省機密費の上納問題についてですが、これは質問主意書への政府の答弁書の中で、「これまでの経緯等を改めて確認したところ、かつて外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたことが」「外務省において判明した。」と述べているわけであります。

 この点に関連して、まず会計検査院に質問いたします。

 会計検査院の平成十二年度決算検査報告におきまして、内閣官房にかかわり、「総理外国訪問に係るその他の経費について」ということで記述がございます。ここでは、「総理外国訪問に際しては、」「宿泊費差額及び諸経費並びに旅費のほか、自動車や会場の借料等の現地における経費などが必要になる。これらの経費は、内閣官房の庁費及び」「報償費(首相外国訪問経費)において、予算措置が講じられている。しかし、これらの予算が実際に要する経費を支弁するのに必ずしも十分でなく、また、これらの経費のうちには本来外務省が負担すべき通常の外交政策を遂行するのに必要な経費も含まれているとの考えから、外務省がその一部を負担している。」と記述をしております。

 そこでお尋ねしますが、この会計検査院の検査報告で書いてあります、「総理外国訪問に係るその他の経費について」「外務省がその一部を負担している。」とありますけれども、どんな予算項目から外務省が負担をしていたのか、これをどのように会計検査院として指摘されておられますか。

鵜飼会計検査院当局者 お答えいたします。

 平成十二年度決算検査報告「内閣官房及び外務省において、内閣官房報償費の適切な執行等を図るよう是正及び改善の処置を要求したもの」という報告の中におきまして、先ほどおっしゃいました、自動車や会場の借料等の現地における経費などについて外務省で負担しているという記述をしておりますが、その表五におきましては、外務省の報償費等でこれを負担しているというふうに記述しております。

塩川委員 資料を配付させていただきました。

 その一枚目に、この会計検査院の検査報告に出ている「表五 総理外国訪問に係る経費内訳」、例の松尾事件、使い込み事件についての検査報告にかかわっての部分でありますけれども、総理が外国訪問する、その際にいろいろな経費がかかる、それは内閣官房として庁費あるいは官房報償費を使ってやってきたけれども、そういった総理外国訪問に係る経費の中に外務省の報償費も使われているということが指摘をされているわけであります。

 そこで官房長官に伺います。

 先ほど紹介しました質問主意書への政府の答弁書で、「かつて外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていた」としているその外務省の報償費と、この会計検査院の決算報告で指摘をしている外務省報償費というのは、違うものなのでしょうか。

平野国務大臣 委員にお答えいたします。

 私は、質問主意書への回答の中にございました、これは外務省の方のお調べによって、そういうことがあった、そういう用務に使われていたことがあったということを受けたので、そういう質問主意書への答弁を作成したということでございまして、今の会計検査院の中身と整合しているかどうかは、私の立場では承知いたしておりません。

塩川委員 それは内閣として出されたものですから、官房長官としてお答えできる話ではありませんか。

平野国務大臣 一義的には、外務省の中での調べに基づいて、そういうことはあったということでありますから、それを事実として主意書に答えたものでございます。

塩川委員 それは、内閣としての答弁書に対して、官房長官のお立場としての発言としては極めて無責任なものだと思います。

 外務省でというお話でしたので、外務省から西村外務大臣政務官にもおいでいただいておりますので、その点を改めて確認したいんですけれども、この会計検査院の検査報告で、かつて、総理外国訪問に係る経費として、内閣官房の費用だけではなく外務省の報償費が使われていたと今会計検査院もお認めになりました。

 この外務省の報償費と、さっきの政府の質問主意書への答弁書にある外務省報償費、これは違うものなんですか。

西村大臣政務官 お答えいたします。

 これまでの経緯等を改めて確認いたしましたところ、かつて外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたことがあったことが判明いたしましたが、これ以上の詳細については、報償費という経費の性質上もありますし、また、過去の政権下で行われたものでありますから、お答えすることは差し控えたい、できないということでございます。

塩川委員 もともと松尾事件をきっかけとして、予算の適正な執行に問題があったという形での会計検査院の検査報告が出されているわけです。それに対しては、内閣官房に対しても、外務省に対しても、この点を指摘して是正を求めるということも行われた、その件についてお聞きしているわけです。

 外務省として、ここに出されている外務省報償費、一枚目の資料で出ている、表五のところの外務省報償費、これは、いわゆる外務省報償費、総理外国訪問の際に外務省報償費が充てられていたということを示すものということですよね。

西村大臣政務官 委員重ねてのお尋ねでございますけれども、これが外務省報償費であったかどうかということについては申し上げることはできません。

塩川委員 無責任な答弁であります。

 会計検査院が先ほど認めましたように、総理外国訪問にかかわって外務省報償費が使われていたということは、この報告にも明らかであるとおりであります。つまり、会計検査院の決算報告の記述というのは、外務省報償費が、答弁書で言っている、総理大臣官邸の外交用務である総理外国訪問に係る経費に使われていたということを示すものであります。

 この点で、「かつて外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたことがあった」というこの答弁書の記述というのは、会計検査院が指摘をしている総理外国訪問という官邸の外交用務に外務省報償費が使用されているという事実を追認した、かつて、二〇〇〇年度まで使われていたということを認めるということですね。

平野国務大臣 その案件とは直接関係ないと思います。

塩川委員 関係ないと言える根拠は何ですか。

平野国務大臣 会計検査院の報告というのは、宿泊費の一部に使用されていたことに関して指摘を受けた、こういうことでありますし、あくまでも、今回の質問主意書の問題は、かつて外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたということ、このことに対して判明をしたということであって、その会計検査院の指摘とは関係ないと思います。

塩川委員 総理外国訪問にかかわって外務省報償費が使われていたというのが会計検査院の指摘でも明らかなんですけれども、ここで言っている外務省の報償費の使われ方というのは、この答弁書で言っているもののうちの一つ、含まれるということではないんですか。

平野国務大臣 含まれるかどうかは私は承知しておりませんが、あくまでも外務省の調べの中に、そういうことがあったということが外務省の中で判明をした、こういうことでございますから、内閣としては、かつてそういう用務に使われていたということで、主意書への答弁として記載をいたしました。

塩川委員 この答弁書で言っている、総理官邸の外交用務に外務省報償費が使われていたと言っているわけですけれども、その中に、この、会計検査院が指摘をしている、かつての総理外国訪問の際の費用に外務省報償費が充てられていたという事実は含まれないという理由が改めてわかりませんけれども、もう一度お答えいただけますか。

平野国務大臣 中身がよく、確かめないとわかりません、私の今の立場ではわかりません。会計検査院に聞いてください。

鵜飼会計検査院当局者 お答えいたします。

 平成十二年度決算検査報告の「内閣官房及び外務省において、内閣官房報償費の適切な執行等を図るよう是正及び改善の処置を要求したもの」という報告事項の中で、先ほど申し上げましたとおり、総理外国訪問に際しては、自動車や会場の借料等の現地における経費などが必要になっておりまして、内閣官房の予算で足りない分につきましては外務省がその一部を負担していて、その費目が外務省の報償費等で負担されていたというふうに記述をしておるところでございます。

塩川委員 そもそも、具体的な事例を語らないということにおいて国民への説明責任を果たしていないという点が極めて重大だということを申し上げるのと、少なくとも、この会計検査院の指摘にあるように、総理の外国訪問という総理大臣官邸の外交用務に外務省の報償費が使われていた事実があるということであれば、そういうかつての事実があったということを今回の答弁書がいわば追認しているということは変わらないということが言えると思います。

平野国務大臣 お答えいたします。

 ですから、かつてということは、そういう事実があったということを質問主意書への答弁として答えた、こういうことであります。

塩川委員 かつてあったと言われる事実の一つにこれも含まれるんじゃないのか、会計検査院が指摘をしているこの事実が含まれるんじゃないかということをお聞きしているわけです。

平野国務大臣 したがって、会計検査院が今言っていることと今回の部分が重なっているのか重なっていないのか、私は承知しておりません。

塩川委員 改めてその点を確認していただけますか。

平野国務大臣 検討してみます。

塩川委員 ですから、いわゆる上納問題と言われますけれども、かつてこういう事実があった、これ自身は、外務省がこの報償費を使っているわけで、上納の事実ということではございません。そういう点でも、この間上納の事実を認めたと政府が言われているのは事実と異なるということを改めて指摘しておくものであります。

 その上で、平野長官になってからの内閣官房報償費、いわゆる官房機密費の問題ですけれども、平野長官になってからの内閣官房報償費の国庫からの支出状況について、その日付と金額を明らかにしていただけますか。

平野国務大臣 私が九月の十六日に官房長官を拝命して以来の報償費の部分でございますが、九月の二十四日、十月の十四日、十一月の十八日、十二月の十八日、本年一月の二十二日、二月の二十二日、計六回でございまして、それぞれ六千万円でございます。

塩川委員 資料の2に、内閣官房からの資料として「内閣官房報償費(機密費)の国庫からの支出状況」をお配りしています。

 これは、麻生内閣の時代は同一の日付に一億円ずつ支出されていたものが、九月の一日に二億五千万円を支出されているということが大きな問題として指摘をされました。その後、鳩山内閣になって、平野官房長官のもとで毎月六千万円ずつ国庫からの支出が行われて、いわゆる官房長官の金庫に入ったということであります。

 そこでお聞きしますけれども、こういった、金庫に入ったお金を使った記録のことですけれども、十一月に私が質問した際に、平野長官になってから機密費の使用に関する記録というのは残されているのかという質問に対して、平野長官は、私の頭の中にありますとお答えになりました。

 今はどうでしょうか。支払いの記録というのは残されておりますか。

平野国務大臣 私の頭の中にございます。

塩川委員 これは、でも事実と違うんじゃありませんか。

 では、その問題については引き続き聞きますけれども、そもそもなぜ六千万円ごとなんでしょうか。なぜ六千万円ごと毎月一回、国庫からの支出を受けると決めておられるんでしょうか。

平野国務大臣 それは必要だと思ったから請求しているわけであります。

塩川委員 改めてお聞きしますけれども、その使い道を明らかにするというお考えはございませんか。

平野国務大臣 報償費の持つ性格上の問題から考えますと、やはり、相手様のあること、あるいは情報収集、あるいは報償等々のことを考えますと、使い道を明らかにすることによって国益を損なう、こういうことで、あってはならないことだと思っておりますから、そういう観点におきまして、私は適切に対応している、こういうことであります。

塩川委員 この点についても改めて明らかにすることを強く求めるものであります。

 その上で、先ほど、官房報償費、機密費の支払いの記録については私の頭の中にありますというお答えでしたけれども、この点について、かつて自公政権の時代、二〇〇二年に、松尾事件などが大きな問題となって、官房機密費の使途が大きく議論をされました。そのときに、小泉政権で、福田官房長官のもと、会計検査院の指摘を受けて、内閣官房長官が取扱責任者となった内閣官房報償費の取扱いに関する基本方針を定めております。

 基本方針には、「取扱責任者である内閣官房長官は、毎年度(長官が異動する場合にあっては、異動の都度)、報償費の目的類型を明らかにした上で、その執行にあたっての基本的な方針を定め、これに基づき自らの責任と判断により報償費の執行にあたるものとする。」とあります。

 当然のことながら、この基本方針は今も生きていると思いますが、その点を確認させてください。

平野国務大臣 もちろんそのとおりでございます。

塩川委員 この基本方針に基づいて、平野官房長官は、内閣官房報償費の執行にあたっての基本的な方針をお決めになっておられます。その中に、この報償費、機密費の三つの目的類型をお示しになっておりますけれども、この三つの目的類型の種類とどんな中身なのかについて、基本的な方針でどのように記しているのか、お答えいただけますか。

平野国務大臣 先生がおっしゃっている意味につきましては、執行にあたっての基本的な方針につきましては、政策推進費、調査情報対策費、活動関係費という三つの分類体系のもとに管理されて支出をいたす、こういうことでございます。

 また、取扱要領というのは、もう先生も御案内かもわかりませんが、出納管理簿、政策推進費受払簿、支払決定書に記録をつけて管理させていただいている、こういうことでございます。

 その中身の使途については、ここで言うことは差し控えたいと思います。

塩川委員 今お答えいただきましたように、基本方針に基づく執行にあたっての基本的な方針で、三つの目的類型を示しています。

 政策推進費は、「施策の円滑かつ効果的な推進のため、官房長官としての高度な政策的判断により、機動的に使用することが必要な経費」と記され、調査情報対策費については、「施策の円滑かつ効果的な推進のため、その時々の状況に応じ必要な情報を得るために必要な経費」としています。そして、三つ目の活動関係費は、上記の政策推進費及び調査情報対策費を行うに当たり、「これらの活動が円滑に行われ、所期の目的が達成されるよう、これらを支援するために必要な経費」としています。

 この三つの類型を定めて、今長官がお答えいただきましたように取扱要領を定めて、内閣官房報償費出納管理簿、政策推進費受払簿、支払決定書を定めておられます。これで管理をしておられるという話でございました。これは、資料の三枚目にあります三つの会計記録の表となっているものでございます。

 ですから、ここにもありますように、適正な執行の記録を図るという点では、頭の中にあるのではなくて、みずから官房長官が定めたこういう形で記録で残されているということではありませんか。

平野国務大臣 類型単位には分けておりますが、先ほど委員から御指摘ありました三つの目的類型がございましたその中身については、特に政策推進費は高度な政治判断が要るというところについては私が責任を持って判断をし、対応している、この中身のことを私は申し上げているわけであります。

塩川委員 政策推進費については官房長官が責任を持って判断するということで、頭の中にある。しかし、それ以外の調査情報対策費、活動関係費は、少なくとも記録があるということでよろしいですね。

平野国務大臣 少なくとも管理をいたしております。

塩川委員 ですから、政策推進費については、官房長官が何月何日に幾ら受け取ったか、その記録は残るわけですけれども、そこから先は領収書もつかないような世界に入っていくという点では長官の頭の中にあるということと、支払決定書については、官房長官がみずから支出するのではなくて、事務方が支出した記録を支払決定書に記録する。政策推進費についての政策推進費受払簿と支払決定書の記録が、内閣官房報償費の出納管理簿に記録をされるということであります。

 その上で、続きの資料として、資料の五枚目以降、5、6、7でお示ししているのが、先ほど紹介しましたこの三つの会計記録をもとに、安倍官房長官時代、二〇〇五年の十一月から二〇〇六年九月の内閣官房報償費の支出について、支払決定書等ごとに、使用目的、使用目的区分を明らかにしたものであります。

 提出資料は、分量との関係で、最初の月、平成○○年のA月と、六ページ、七ページにあります平成○○年のK月に当たるものだけを紹介しておりますけれども、AからKという月の全期間の概要については資料の4でお示しをしているところです。安倍官房長官時代の官房機密費の使用目的ということであります。

 そこで、長官にお尋ねしますが、ここで資料の5から7であります「対象期間中における内閣官房報償費一覧」と表題のあるこの一覧表は、安倍元総理の官房長官時代の期間のものであり、この資料を作成したのは内閣官房ということでよろしいですね。

平野国務大臣 この資料は、毎月内閣官房がつくっている、こういうことではなくて、情報公開請求訴訟の中において裁判所から資料提出を求められた、こういう中にあって、裁判所への提出資料として作成したものでありまして、常時これをつくっている、こういうことではございません。

塩川委員 今お話ありましたように、不開示処分の取り消し請求事件にかかわって、裁判所側に政府の方で提出をした資料であります。そういう点でも、内閣官房の方で作成をした資料ということであります。不十分ではありますけれども、少なくともこういう記録は作成をされているわけですから、このような資料の作成は可能であるわけであります。

 こういった、少なくとも、この表自身を見ても、日付もありませんし、また内容もわからない、金額もわからない、ただ件数だけの資料ですけれども、この程度のものは、最低限、説明責任として出すということは可能ではありませんか。

平野国務大臣 私は、何回も記者会見でも記者さんの質問には申し上げておりますし、総理からも、報償費についてできるだけ公開でき得るように努力をしろ、こういう指示も受けております。

 したがいまして、委員から御指摘するまでもなく、新しいこの予算を通していただいて新しい年度から、途中からかわったわけですから、一年間、年度の状況が、どんな出費になるか、必要性のある経費になるかということが掌握できておりません。したがって、新しい予算を通していただいた後の新しい年度から、どれが本当に開示が不可能なのか、これまでだったら開示がいいのかということを一年間かけて検討し、判断をしたい、このことを申し上げているところでございます。

塩川委員 来年度からと言わずに、九月から三月というこの期間においてもこういうものをつくって明らかにするということは可能であります。

 この資料を見たいんですけれども、平成○○年のA月というのは、平成十七年の十一月に相当します。そういう中で、「使用目的」のところにあるように、政策推進費に「対価」として「合意・協力、情報」とか、活動関係費で「謝礼」とか、調査情報対策費で「会合」とか、また右側の方にも、活動関係費で「会合」とか「交通費」とか「書籍類」とか「贈答品」「慶弔費」「支払関係経費」などが掲げられています。

 こういうのを見ても、圧倒的に多いのが「会合」という項目であります。これは資料の四枚目も見ていただくとありますように、調査情報対策費として「会合」の合計が、右端、三百七十二、活動関係費としての「会合」が百三十二、合わせて五百四件もこの期間に会合が行われているわけであります。圧倒的に回数としても多いわけであります。

 金額の多寡はわかりませんけれども、こういう会合で内閣官房の報償費、機密費が使われていた、その一端が紹介をされたのが、二〇〇一年の我が党の大森猛衆議院議員の決算行政監視委員会での質問であります。

 資料の九枚目と十枚目に、総理官邸の首席内閣参事官名の振り込み依頼書がありますように、例えば9の一番上の欄に、灘萬山茶花荘というような高級料亭の名前が出たりしている。こういうのが、首席内閣参事官、つまり官房機密費を取り扱う担当者あてに請求がされている。この灘萬で見ても、金額が百十一万三千円と、かなりのいい金額であります。電話番号も、これはちょっと消してありますけれども、官邸事務所の番号であります。

 こうした料亭で会合を行った場合の飲食費の支払いというのも「報償費一覧」による「会合」に相当するんでしょうか。

平野国務大臣 この資料はどこから出た資料なんですか、入手は。

塩川委員 決算行政監視委員会の提出資料として大森猛衆議院議員が提出をしたものであります。

 ですから、私がお聞きしているのは、裁判所に内閣官房が提出をした記録の中で「会合」とされているというものに、高級料亭などでの飲食費の支払いも相当するのかという点をお尋ねしているんです。

平野国務大臣 その当時の官房長官がそういう判断をされているかどうかというのは、私は承知いたしておりません。

塩川委員 こういった、使い道について非常に疑惑の多い問題がこの官房機密費であり、外務省の機密費でありました。

 この問題についてしっかりと事実関係を明らかにしていく、このことが当委員会の大きな責務であると考えています。これまでの官房長官経験者の方にもしっかりとお答えいただきたい、このことを改めて求めますし、少なくとも平野官房長官の九月から三月のものについて、こういった、最低限、裁判所に提出したものさえ出すことがないという姿勢では、国民に対しての説明責任を果たすことができない、このことを申し上げて、質問を終わります。

平野国務大臣 そういう疑念を持たれないように、私は、政治家として責任を持って判断をいたしているところでございますし、先ほど加えましたように、四月の新年度から、そういうことも含めて適切に、国民の皆さんに理解いただけるような対応を検討する、こういうことを申し上げているわけであります。

塩川委員 今年度からできることは直ちにやるべきだということも申し上げて、終わります。

田中委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 民主党の村上史好でございます。

 内閣委員会初の質問となります、また、新人でございます、ふなれな点、たくさんあると思いますけれども、よろしく受けとめていただきたいと思います。

 ここでいっぱしの前口上を言うつもりだったんですけれども、先ほど来、仙谷大臣の御答弁をお聞きしておりますと、大変懇切丁寧にお話をなさっておられますので、早速、新経済成長について御質問をさせていただきたいと思います。

 この基本方針は昨年十二月三十日に閣議決定をされたということで、従来の経済対策あるいはさまざまな方針が結局国民生活にはプラスになっていなかったという反省のもとに打ち立てられたものだと思っておりますし、需要をつくって成長を果たしていくんだ、そういう基本方針のもとでつくられたと理解をいたしております。

 ただ、まだ基本方針でございます。より具体的な中身を、ことしの六月に向けて最終取りまとめをされるというふうに伺っておりますけれども、この資料の中にもございますけれども、目標や政策の深掘りをする、また、新たな施策を追加するという表現がございますけれども、より具体的に教えていただきたい、そのように思います。

仙谷国務大臣 時間がそんなに長くないのでございましょうから、適宜申し上げます。

 まずは、アジアとともにこれから日本が生きていく、そのために貢献ができる、そういうシステムあるいは人材、日本も、日本として人材養成をしなければならないと思っておりますが、アジアの方々にも日本ができるような人材養成を、現地に行ってできるような仕組みを行う、あるいは、日本に今以上の大量の人においでいただいて、かの地の成長のために必要な人材の訓練を担当するというふうなことが一つでございます。そのときの一つのコンセプトが、やはりグリーンとかエコということが大変重要な視点になる、軸になろうかと思います。

 それから次は、アジアの中間層、中間所得者層の成長といいましょうか、膨らみが大変大きゅうございますので、ここをターゲットにした、アニメであれ、ファッションであれ、その種の雑誌であれ、ポップスであれ、あるいは日本の細やかな、伝統的に培ってきた技術を駆使したものであれ、要するにクール・ジャパンを大いに売り込みたいし、それで日本に観光客なりでおいでいただくというふうなことも戦略的に設定をして、行政ができることを一元的に展開しなければいかぬということであります。

 それからもう一つは、先進国に対しても、私どもは、今の時点というのは、資本主義が、金融が余りにも肥大化して、そのことによって実体経済を先進国自身がないがしろにしたのではないか。先進国に対しても、このグリーンとかエコとか、あるいは日本のすぐれたシステムを大いに使っていただく、新幹線とか原子力発電とか、あるいは水処理の技術とかということでありますが。これをパッケージにしてこれから売り込んで、お使いいただくような活動を、官民挙げてといいましょうか、あるいは議会の皆さん方も挙げて精力的にやっていかなければならない、こういうふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 本当に、新たな視点で、また意欲的な取り組みになると私は思います。

 ただ、私自身の印象として、我々、選挙中から言ってまいりましたのは、外需依存型から脱却をして、内需を拡大して経済を活性化させていく、そのことは私たちも有権者の皆様に訴えてまいりました。ただ、内需と外需というものは決して対立するものではない、外需も、当然内需を喚起するという側面もたくさんありますし、そういう面では、外需が悪いというわけではなくて、内需と外需がうまくミックスされる経済政策というのが必要ではないかなというふうに私は考えております。

 もちろん、この中でも、アジアに目を向ける、外国に目を向けた視点というものははっきりあらわれておりますけれども、お配りをいたしました資料にちょっと目を通していただきたいんですけれども、いわゆるBRICsの国を対象にした貿易額の統計でございます。ベトナムはちょっと違いますけれども。日本と中国と対比をさせてみました。

 中国といえば最も戦略的な国の一つだと言われておりますけれども、この数字を見る限りは、中国は、やはり、国家戦略、世界戦略の中で経済というものを考えているのではないか。本来、日本とブラジルというのは大変歴史のある友好国でありますし、関係の深い国でございますけれども、貿易総額を見ても三倍近く差がついているということ。こういう形で、押しなべて、ロシアあるいはインドに対しても同じような傾向が出ている。

 これはやはり、海外に目を向けた戦略というものが今までの政権にも最近なかったのではないか。単に経済ミッションというのは今までも派遣はされていましたけれども、結局、戦略がないままに、民間のそういう活動に依存をしていたのではないか。その一つのあらわれが、今、例えば新幹線をパッケージで売り込む、ほとんど競り負けている。台湾なんかは一つ成功はしておると思いますけれども、ヨーロッパなどに競り負けているというような側面もあります。やはり政府の後押しが弱いんじゃないかという思いがいたします。

 そういう面で、新しい経済成長戦略の中においても外需の戦略というものをやはり位置づけていくべきではないかな、私はそのように思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

仙谷国務大臣 私も同感でございます。

 つまり、このごろガラパゴスということをよく言われますが、どうも現在、アジアであれアメリカであれ、提供すればそこの民生がはるかに上がり経済成長に寄与できるであろうと思われる新幹線とか水処理とか原発とか、そういういろいろなシステム自身を提供するというか売ろうとすれば、やはり、企画のところと、システム運営、ここのところまで責任を持つというふうな体制が、つまり業界を超えたコンソーシアムがつくられないとなかなか受け入れられない時代になってきたというのが一つです。

 それともう一つは、ここの金融が、つまりファイナンスをどうつけるのかということが、この間、ほとんど忘れられていたというよりも、官から民へというお題目のようなことを言ったために、官がそういうことをやることは、できれば民業を圧迫しないように官は後景に退くべきだ、極端に言えばやっちゃならぬのだみたいな雰囲気の話が一方であって、民間の金融機関は、長期間であったり、為替リスクなのかソブリンリスクなのか知りませんが、政治的なリスクもあるんでしょう、いろいろなリスクを考えるととてもじゃないけれどもそんなところへ踏み出せない、その傾向が極めて強いんだなというのは改めて感じます。そこはやはり、もう少し日本が持てる力を、そこも含めて、お金も回していくことも含めて、相当思い切って国家信用がその種のリスクをカバーしていくという構えにならないといけない、改めてそういうことを考えております。

 衆議院あるいは参議院の皆さん方の御支援もいただいて、そういうことができる体制、つまり、各官庁間の壁を壊すことと同時に、業界間の壁を越えていただいて、統合された体制がプロジェクトごとにできるというふうなことをやらなければいかぬな、こういうふうに思っているところです。

村上(史)委員 本当に前向きな方向をお示しいただきまして、ありがとうございます。ぜひ、新しい視点で経済成長を実現していきたいと改めて思います。

 引き続きまして、この新経済成長の中でグリーンイノベーションというのが大きな柱となっております。その点について少しお伺いをしたいと思います。

 二〇〇九年度の四百七十三兆円のGDPから二〇二〇年には六百五十兆円のGDPへ、数字はそれほど重く見ないんですけれども、その中の大きな柱がグリーンイノベーション、環境・エネルギー、これが五十兆円規模の市場、雇用は百三十万人という内容になっています。この成長を実現するためにも、どうしてもグリーンイノベーションを実現していく、そのことが大変重要なことだと思います。

 しかし、これから初めて起こす事業がほとんどでございます。民間ベースでそれをお願いする、あるいは税制等において政府が誘導策をとるということももちろん必要でしょうけれども、なかなか市場を大きく開拓するというのは民間ベースだけでは大変厳しいんではないか。明治の初期に鉄鋼や、またあるいは繊維を国が主導した、もちろん時代は全く違いますから単純な比較はできませんけれども、新しい挑戦のときにはやはり官の力というものも一定期間必要だと思っております。

 そういう面で、このグリーンイノベーションを成功させるためにも、誘導策をどのようにお考えになっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

仙谷国務大臣 この世の中、日本の経済構造を低炭素型に変えなければならないというふうなことがずっと言われてまいりました。このことは、言いかえれば、脱化石燃料型に変えるということと同義か、もしくは脱化石燃料の方が厳しい言い方かもわかりませんが、先ほど公明党の高木委員のお話もございましたけれども、エネルギー源と為替レートによって日本は大変不安定な構造になっている。この十年間で三十兆円ものお金が燃料代として消えていった。特に一バレル百七十ドルぐらいになったときには、もうほとんど、どんなに日本の企業が頑張っても利益が出てこない構造になってしまうというようなことで、私は、そういう観点からもこのグリーンイノベーションを展開しなければならない。

 そうである以上、適切な規制と、そこに向けて努力する業界あるいは業者、そこにはやはり相当優先的なインセンティブをつけていくべきだろうというふうに考えております。

 あるいは、例えば太陽光パネルの問題なんかは、いわゆるスマートグリッドとかいうお話もございますけれども、そういう一体化されたものをちゃんと設定できるように、公共的な構築物からまずは先導してやっていく、優先するというふうな政策も、不平等だという声が出ようとも、思い切って公から、公共からまずは進んでいくというふうな法執行というか行政執行が必要だというふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 私も具体的なことをちょっと提案したかったんですけれども、お時間の方も大分なくなってきましたので、最後に、私なりのまとめをさせていただきたいと思います。

 成長は何のためにあるんだという本来のことはやはり押さえておかなければいけないと思います。過去も、成長、成長ということで、数字上は成長を遂げているけれども、結局国民生活はよくならなかった。その国民の声が昨年の政権交代の背景の大きな一つになっていることは皆さん御承知のとおりだと思います。やはり、成長の果実を国民生活にどのように生かしていくか、このことが今私たちにも問われていることだと思います。そのことをまず一点、お考えを、具体的な方策等も含めてお伺いをしたいと思います。

 そして、何よりも国民にこの新成長戦略に対して理解を持ってもらう、そのことも大変重要なことだと思います。

 かつて、池田内閣のときに所得倍増計画、いわゆる高度成長の初期のころだったと思いますけれども、国民の所得を倍に上げるんだ、そうしたら、国民は、ああ、倍になって物が買える、そういう政策なんだなということを実感ができる。しかし、単なる経済成長だというだけでは、国民の本当の実感も伴いませんし、協力もしたくてもできないというのが本当のところだと思います。そういう面では、我々が成長を果たしたときに、国は、あるいは国民生活はどういう姿になるんだ、そのこともはっきりこの新成長戦略の中で明確にしていく必要があるのではないかな、そのように思います。

 大臣の御所見を伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

仙谷国務大臣 成長自身が、やはり新しい概念というか意義内容、中身を持っていないといけないんじゃないかということでございますが、私もそう思います。

 そのことについては、皆さん方とも、特に若い世代の皆さん方とも大いなる議論をしてつくっていかなければならない。所得倍増にふさわしい、新しい成長概念の核をなす言葉を見つけることができるかどうか、それはもう皆さん方にもお考えいただいて、議論をしていただいて、出したいと思います。

 思いつきで言いますと、多分、希望倍増計画か感謝倍増計画か幸福倍増計画か不幸半減計画か、何かそういうことになるのかなと思って今も伺っておりましたんですが、どうもその辺、鳩山総理が新しい公共と言われて、新しいテーマコミュニティーを、みんながお互いに居場所と出番が見つけられるような、そういう関係性というかコミュニティーを、地域的なという意味だけじゃなくて、地域が重なればもっといいんでしょうけれども、そういうコミュニティーをつくっていく。

 そういうことを、社会的企業もNPOも、あるいは地域のそれぞれの人々もやっていこうよというような、それと、現在の生活水準を維持するような、あるいはもう少し発展形があるような、物的な水準も維持された、それが組み合わさったときに新しい成長というのが誇らしく言えるのかな、そんなことを今考えているところであります。

村上(史)委員 ありがとうございました。

田中委員長 次に、磯谷香代子さん。

磯谷委員 民主党・無所属クラブの磯谷香代子です。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私は、社会人になって以降、ほとんどの仕事をアルバイトやパートとして働いてきました。本当に普通の人たちとともに働いてまいりました。今、議員として質問をいたしますが、今後も一般人としての視点を大切にしていきたいと思っております。

 本日は、事業仕分けについて枝野行政改革担当大臣に、また自殺対策について福島国務大臣にお伺いしたいと思っております。

 まず、事業仕分けについてになります。

 事業仕分け第二弾が始まりますが、国民の期待もとても大きいことと思います。今回のターゲットは、国から運営費などの予算が流れ込む独立行政法人や政府系の公益法人といった、いわゆる天下り法人になります。ぜひ、枝野大臣の事業仕分け第二弾の目標と意気込みをお聞かせください。

枝野国務大臣 御質問いただいてありがとうございます。

 昨年の事業仕分けにおきましても、多くの国民の皆さんが、実態はこんなふうになっているんだということを事業仕分けを通じて知っていただいて、そして、そこを何とか変えていこうという私どもの努力に対して一定の御評価をいただいたんだというふうに思っております。

 今回は、特に国民の皆さんから見えにくい、わかりにくいとされていて、そこに問題があるのではないかと疑義を持たれている独立行政法人と政府系の公益法人を特に集中的に取り上げまして、そこの実態というものを国民の皆さんに知っていただくという目標を立てております。

 既に昨日から、そこに向けた準備として、ヒアリングを始めておりますけれども、そのヒアリングをした我々の仲間の立場からも、愕然とするといいますか、正確に言うと頭がくらくらすると言っていましたか、というぐらい、なかなか、実態を知れば知るほど問題だというような状況が既に散見されております。

 何とか、この事業仕分けを通じて、国民の皆さんに、こうした、問題のあると思われている部分について透明性を確保し、そしてその問題をしっかりとえぐり出すということが、着実に前に進んだんだということで信頼をしていただくというところを目標に頑張っていきたいというふうに思っております。

磯谷委員 ありがとうございます。

 やはり、私たちがふだん感じている、漏れ伝わるところの問題がある法人の実態についてぜひ解明していただきたいと思いますが、ただし、これらの法人が行っている社会的意義ですとか必要性もあると思いますし、そして、そこにいる天下り役人の高額報酬の問題とは分けて考える必要もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、独立行政法人や政府系の公益法人が行っている事業の中には、趣旨そのものは大変大事であるというものも少なからず含まれているというふうに思っています。私どもは、本来の趣旨をしっかりと貫くため、貫徹するためにどういう仕組みでどういうお金の使い方をしたらいいのかということを仕分けていくというのが事業仕分けの趣旨だというふうに思っております。

 むしろ、やはり、御指摘をいただきましたとおり、天下りだけをターゲットにしているわけではありませんが、その事業をするのにこんなにたくさん幹部の人たちが必要なんでしょうか、あるいは、その方々が得ている報酬が、本当にその仕事の量とか質に照らしたときに必要なんでしょうか、こういったところは、事業仕分けでメスを入れていく中心になっていくというふうに考えております。

磯谷委員 ありがとうございました。

 報道によると、枝野大臣は、今回の事業仕分けについて、職員や一般国民から意見を募集するとのことです。国の行政に関して、無駄、非効率、不公正、不合理、不透明、違法と思われることの指摘を募集するという内容です。

 この中で、特に違法な事案についてですが、公になれば事業の存続などに非常に大きな影響を与えます。組織の側としても、告発者の特定など、相当のプレッシャーをかけると思われます。既に、一般企業では、告発者がその行動のゆえに左遷されたように思われる事例もあります。善意による行動の結果、その人が不利益をこうむることがあってはいけないと思います。

 今回、告発者の保護は大丈夫なんでしょうか。大臣の考えをお聞かせください。

枝野国務大臣 まず、国民の皆さん、職員の皆さんにも、ハトミミという愛称の、国民の声、職員の声を通じて情報提供をお願いしておりますが、委員各位、磯谷さんも含めて、それぞれ情報を、いろいろなところから有権者の皆さんなどを通じて得ている方がいらっしゃいましたら、ぜひ私どものところにお寄せをいただければと、この場をかりてお願いを申し上げます。

 その上で、職員の声を通じて情報を今お願いしているところでございますが、そういった意見を出していただいた方が不利益な取り扱いをされないということは大変重要なことでございます。

 このため、私の就任前でございますが、昨年十二月一日、閣議決定で、職員の声の対象となった国家公務員が指摘等を行ったことを理由に不利益な取り扱いを行わないというところを閣議で確認、決定をいたしております。また、独立行政法人の役職員についても同様の趣旨の閣議決定をいたしているところでございます。

 さらに、この職員の声の情報そのものについて、接触する職員の数、私どもの職員も、基本的に、民間出身で、役所と直接のつながりのない方などに中心になっていただき、なおかつ、全件、基本的には私が見せていただいていて、そして、心配な事案、問題が将来生じそうな事案については直接把握をして、万が一のことがないようにというようなことで対応させていただいておりますので、安心して情報をお寄せいただければというふうに思っております。

磯谷委員 ありがとうございました。

 次に、福島大臣に、自殺対策のことについて伺いたいと思っております。

 ことし一月二十六日、警察庁が、昨年、二〇〇九年の自殺者数のまとめを発表いたしました。これによると、二〇〇九年の自殺者は三万二千七百五十三人で、前年より五百四人増加しております。自殺者が三万人を超えるのは十二年連続で、一九七八年の統計開始以来五番目の多さとなっております。月ごとに見ると、年度末から年度初め、三月から五月にかけて特に、自殺者が毎月三千人を超えておりました。

 現在、政府として対策に取り組んでいる最中ですけれども、民間にも、自殺予防の目的で相談活動を行っているNPOとかボランティア団体などが数多く存在しています。関連して、アルコール依存、薬物依存の自助グループ、引きこもりの若者たちを支援するNPOなどもあり、重要な役割を担っていると思います。

 政府の緊急プランでは、これら民間団体との連携にも言及しています。NPOを含めたこれら民間団体に対する具体的な連携策について、福島大臣のお考えをお聞かせください。

福島国務大臣 自殺対策を進める上で、自殺の危機にある人を現場で援助しているNPOの方たち、民間団体との連携は不可欠です。全国でもさまざまな団体が頑張っています。

 委員御指摘いただいたとおり、先月決定したいのちを守る自殺対策緊急プランにおいては、三月を自殺対策強化月間と定め、さまざまな民間団体の協力をいただいています。都道府県においても、地域自殺対策緊急強化基金などを活用して、相談支援事業やハイリスク地における自殺防止の取り組みなど、民間団体と連携しながらさまざまな取り組みが進められています。

 今後も、民間団体のノウハウを活用しつつ、効果的な対策が展開できるよう努めてまいります。

 ちなみに、三月は一番自殺が多いですから自殺防止強化月間なんですが、「お父さん眠れてる?」というのと「いのち」ということで、私も三月一日に新橋の駅でポケットティッシュを配ったり、キャンペーンをやりました。

 周りの人が気づいて、共感をして、そしてつなぎという、この三つがうまくいって、できるだけ一人でも多くの人が命を守るゲートキーパーになっていただければと思います。

磯谷委員 福島大臣、ありがとうございました。

 枝野大臣の質問は終わりましたので、どうぞ御退席いただいて参議院の方に行っていただければと思います。ありがとうございます。

 ここで、自殺願望がある人の心理状態にも目を向ける必要があると私は思っております。例えば数億円借金を抱えてしまった。いろいろな状況にあっても、自殺する人としない人、生き続ける方、実際にいらっしゃいます。自殺の原因を借金とか病気とか具体的な事柄でとらえるだけではなく、本人の絶望感の度合いとか家族の早い対応など、周りの環境の差も考えられるのではないかと思っております。

 自殺に追い込まれそうな人へのフォローとともに、小さな兆しをつかむための知識が重要だと思っております。私としては、例えば保健所などでうつ病などの早期発見のための家族向けの注意事項講座を開催してはどうかと思います。専門家に頼るほどのことなのかどうなのかと思って、なかなかメンタルクリニックとかに行けない間に、迷っている間に事態が悪化していくという人はよくいます。

 でも、自分自身とか家族に知識があれば対応策も見つけやすいと考えます。私の知人には、自分でうつの兆候に気づいたので早目に対処して、深刻な事態にならなかった人もいますし、逆に、知識がなかったために悪化してしまって、ベランダから飛びおりようかと思うまで追い詰められた人もいます。自分が追い詰められたときに自分自身を別の視点で見られるかどうかというのは大きな意味を持つと思います。

 カウンセリングの手法の一つに認知行動療法というものがありまして、これは簡単に言えば、外的な出来事が感情や身体反応を直接引き起こすのではなく、そうした出来事をどのように認知するかによって、体の反応や感情また行動が異なってくるというものです。つまり、今持っている認識を変えることで、情緒面、行動面の変化が起きることもあります。

 これは提案ですが、認知療法的な観点も踏まえた上での、すぐに実践できる気分転換の方法とか、そういったアイデアを広く一般から集めてホームページに掲載したり、冊子を配るといいのではないかと思っています。できればテレビ番組でも取り上げてもらえると情報が集まりやすいとは思っております。冊子の配布やテレビ放映については、スポンサーをつけて広告を入れてつくれば政府の予算も要りませんので、ぜひ御検討いただければと思います。ほかの方の知識や方法を実践してみることでメンタル面が改善していく可能性もあるのではないかと私は考えております。

 希望が持てない人の中には、人生に失敗したとか、わかってもらえないつらさとか、存在価値がないとか、認められない情けなさとか、期待にこたえられていない申しわけなさとか、さまざまな感情があると思います。自殺兆候の早期発見のために、政府による対応策に加えて、普通の人がお互いに声をかけて気遣えるような社会が、鳩山総理のおっしゃる友愛の社会であり、命を守る社会だと思います。そのような社会をつくるために政府が果たす役割はとても大きいと考えますが、福島大臣はいかがお考えでしょうか。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 多重債務などの相談なども必要で、去年十一月三十日と年末年始に、ハローワークで、ワンストップサービスの中で、心の健康相談として、保健師さんたちに来ていただいて本当に活躍していただいた。あるいは、多重債務相談と法律相談で、弁護士、司法書士会に御協力いただいて、いろいろなところでできるようにしました。あなた、時効にかかっていますよというその一言でほっとして帰っていかれる方を現場で私も見まして、いろいろな仕組みが必要だと思います。

 でも、本日委員が言っていただいた、気づき、それから共感、つなぎというのが重要で、多く気づく人が出れば、一声かけることで変わると思います。ですから、その気づく人たちを多くふやしていくということをとりわけ政府としてもやっていきたいと思います。

 ハローワークの職員や労働局の職員、学校の先生、公務員、保健師さん、心理療法士、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、看護師さんや薬剤師さん、お医者さん、一言、どうとか、こういう手段があるよと言うことで救われる。あるお坊さんたちが手紙の文通での支援をやっていることなどが紹介されていますが、周りがやはり気づいていく。「お父さん眠れてる?」というのも、家族が気づく、そういうことでキャンペーンを身近なところに置きました。委員御指摘のとおり、さまざまあると思います。

 政府としては、うつ病等の精神疾患の診療体制の充実や、心の健康相談に対する相談体制の整備など、あらゆることをやっていきますし、キャンペーンも、人の心に届く、当人だけでなくて周りの人たちにも届くような気づき、共感、つなぎがうまく回っていくようなキャンペーンをやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

磯谷委員 ありがとうございます。

 やはり政府の制度とか法律とか、これらで救われる人が大勢いらっしゃるのは本当にそのとおりで、これにまた別の視点からの、私は十年以上前に産業カウンセラーという資格を取得いたしましたので、特にそういったカウンセリング的な観点からの対策を設けていただけるとより一層効果が上がるのではないかと思っております。

 御質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、渡辺義彦君。

渡辺(義)委員 民主党の渡辺義彦でございます。

 私は、大臣所信におきまして、治安向上のためにということで中井国家公安委員長が御表明されました四つの施策がございますが、その中で、「北朝鮮による拉致容疑事案の捜査や対日有害活動の摘発に全力を尽くします。」と大臣が大きく御表明をされたわけでございますが、一番お力が入っておられるのは、当然、拉致問題担当大臣を御兼務されて、この問題に長くお取り組みいただいておられたというところだと思います。先般も、予算委員会において、この場所で松原議員に答弁をされておられましたけれども、予算も四・四三倍になって、人を集め、情報を集めて取り組んでいくんだ、そういう力強いお言葉を聞かせていただきました。

 本日は、内閣委員会でございますので、あくまで国家公安委員長としてのお立場として御所見をお伺いできたらと思っております。

 まず、拉致問題でございますが、もう皆さん御承知のとおりかもしれません。一九七〇年、八〇年代からこの事件が起こり、二〇〇二年、ですから平成十四年、地村御夫妻、蓮池御夫妻、曽我ひとみさん、五人の方が御帰国されたわけでございます。この間、いろいろな出来事があるにもかかわらず、積極的に政府は対応してこられなかったと申しますか、対応の不備やおくれというものがあって、やはり政府の責任も大きいのじゃないかな、私はそのように思っております。例えは悪うございますが、銀行強盗が銀行を襲って、被害届が出ないから、隣の銀行もそれならちょっとあした行こうかいな、あさって行こうかいなということで連鎖したような感想を私は持っております。

 本題に入らせていただきますが、新聞でこういう記事がございました。大韓航空機の爆破事件実行犯でございます元北朝鮮工作員の金賢姫さんを日本へ招致しようということで、大臣のいろいろ、日本に招致して話を聞く意義は大いにあるということで、掲載をされておられます。

 この金賢姫さんの訪日要請についての具体的なスケジュール等々、その辺について、公表できる範囲で結構でございますが、お教えいただけたらと思います。

中井国務大臣 バッジをつけていただいて、深い関心を拉致問題にお持ちいただいて、感謝を申し上げます。

 鳩山首相の御理解のもとに、四月一日から、内調と兼務をしておった職員等を拉致対策の専業という形で、あるいはまた、他の省庁からも韓国語が堪能な人たちを中心に集まっていただいて、情報を中心として、人集め、金集め、この五年間ほどブランクになっておった問題を徹底的に調査、そして解明、救済、これらについて頑張っていきたいと考えておりますので、さらに御支援のほどをお願い申し上げます。

 そういう一環として、お尋ねの金賢姫さんの問題を就任以来考えてまいりました。私は、そういう思いもあったのでありますが、去年の五月に、政府の関係者が彼女のところへ事情聴取、何回目かに行って、その席で初めて、横田めぐみさんに実際は会ったことがあるという話をされた。このことが、つい最近、韓国筋からの報道で実はわかったわけでございます。私もびっくりいたしまして、その資料を出させ、そして横田さん御夫妻にお見せをいたしましたら、横田さん御両親が、ぜひ会いたい、こういうことを言われ出したわけでございます。そういうことであるならば実現に向かって努力すべきだ、このように考えて、今、準備を急がせているところでございます。

 ただ、韓国におきまして非常にデリケートな立場に置かれていることは、御承知のとおりでございます。したがって、いつどうだとか、本当に来るのかどうかとか、そういったことは一切お答えを差し控えるのが一番いいことかなと考えておりまして、お許しをいただけたらと思います。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 スケジュール等に関してはお聞きできなかったわけでございますけれども、訪日した場合、国会での参考人招致でございますとか、そういうことは大臣はお考えでございましょうか。

中井国務大臣 私も、国会で長いこと働かせていただいていますから、当然、そういうことの必要性というものは認識をいたしております。

 しかし、韓国におきまして、あるいは外国のマスコミにとりましては、国会での参考人招致というのが非常にわかりにくい。法的な責任をとらされるのじゃないかとか、そういったことに対する疑義、疑惑がございますので、私どもは、いろいろな機会にこれを説明はいたしております。

 したがいまして、この点につきましても、どうこうするということは申し上げない方がいいかと考えておりますが、また特別委員会の委員長の皆さん方の御意見等も伺いながら、もし訪日ということが決定するならば努力をしたいと考えております。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 もしもの話ばかりで大変恐縮なんですが、お越しいただいたというときに、一つ問題点としては、有印公文書偽造及び行使の違反ということで、簡単に言いますと、にせ旅券を使ってということでございます。この辺の整合性もございますので、来日されるときにはどういう整合性でということをお答えいただけたら。

中井国務大臣 当局に対しまして、これらの点について確かめますと同時に、法務大臣にお目にかかって御相談を開始しているのも事実でございます。

 どういう形を考えるか、どういう形でお招きをするかということも含めて、非常にデリケートであります。したがって、この場で、方向を、あるいは、こういうことでということを申し上げることは、これもまた御勘弁をいただきたいというのが実態でございます。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。ぜひとも実現していただけたらと思っております。

 続きまして、以下いろいろ質問をさせていただく中で、先にお聞きしておきたいことがございます。

 国家公安委員長として、拉致問題を解決せずに日朝国交の正常化といいますか樹立といいますかについてはどうお考えかというところを、きょうは西村政務官にもおいでいただいておりますので、外務省としても、その樹立についてどうお考えになっておられるか。拉致問題を解決せずに樹立することについてどう思われているかということを、お二人からお答えいただけたらと思います。

中井国務大臣 国交回復について私は国会で答える立場ではないとは思いますが、個人的には、あり得ないことだ、また、やってはならない、こう考えております。

西村大臣政務官 お答えいたします。

 拉致問題は、到底容認できない問題でございます。外務省といたしましては、拉致、核、ミサイル、この三つの問題を含む諸懸案につきまして包括的に解決をして、不幸な過去を清算して、国交正常化を図る、こういう方針でございまして、この点については、岡田外務大臣、また鳩山総理の所信表明でも述べられているところだと承知をしております。

 外務省といたしましては、こうした諸懸案の一日も早い解決に向けて、考え得るあらゆる手だてを使い、関係国と引き続き協議を行い、連携をしまして、最大限努力をしてまいりたいと考えております。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 拉致問題の解決というのは、政府認定者だけの奪還か、特定失踪者も含む奪還かというような、そういう部分も大きな問題だろうとは思いますが、この問題につきましては、またいずれ改めましてさせていただくことといたします。

 先ほど申しましたように、政府から認定された被害者というのは十二件十七名、警察が拉致を認定した方を含めますと十三件十九名の方でございます。特定失踪者が約四百七十名、合わせますと五百名くらいの方が拉致をされたという疑いがある方でございます。

 そういった中で、この一連の拉致事件にかかわった拉致協力者といいますか、北朝鮮の工作員であったり工作活動の協力者と申しますか、そういう人たちというか、そういうやからが今も国内におられるんでしょうか。おわかりになる範囲で結構でございます。教えていただきたいと思います。

中井国務大臣 警察を担当する公安委員会の委員長といたしまして、二回ほど、警察の当局に対しまして、徹底的に捜査をやってくれ、二十年、三十年たっていようと容疑の明らかなものについてはきちっと立件すべきだ、こういうことを申し上げております。それから、同時に、お話しの特定失踪者と言われる人たちに対しましても、きちっと調査をしてくださいと。また、お名乗りにはならないけれども、それぞれの署に、自分の家族はさらわれたのではないかという御相談で、行方不明の届けのある方もかなりいらっしゃいます。

 先ほど渡辺委員のお話がありましたように、当時は、そんなよその国からさらうなんということはあり得ないということで、普通の家出人扱いをされておって、ほっておかれたケースもあるわけでございます。したがって、年数はたつけれども調査をしてくれ、これも私はかなり申し上げまして、警察庁長官も全国本部長会議等で指示を出しました。

 結果、私が就任しましてから、特定失踪者と言われる方で四名、それから、それぞれの署で御相談のあった方が五名。実はきょう一名見つかったんです。お元気で、国内で発見されて、九名確認がされました。会員の方や皆さんからは、さらわれていなくて御迷惑をかけたというお断りがありましたが、私は、全然構わない、元気で家族と会えたらそれほどいいことはないんだと。

 したがって、これからも両面で徹底的に捜査してくれと申し上げております。

渡辺(義)委員 先ほど、兼務をされておられるということでございました。また、昨年の十月に新しい拉致問題対策本部というのを立ち上げられたわけでございますけれども、前政権も二〇〇六年に拉致問題対策本部というものを、安倍総理の時代でしたか、お立ち上げになって、九月に設置をされて、十月に一度会合を開かれて、二〇〇七年、翌年の福田政権の時代は開催もされず、二〇〇八年、翌々年になりますと二回目の会合をされた。

 結局、稼働していない。救う会であり、家族会であり、国民の皆さんの活動は表に見える。捜査というものですから、当然、証拠や云々がないと動けないという部分は警察である限り理解はしておりますが、昨年の十月にできましたこの対策本部、それと警察との連携というもの、どういう活動をしておられるのか、その内容につきまして御説明をいただけたらと。

中井国務大臣 前政権下における対策本部と違いますことは、私自身が担当大臣になったということもあります。従来は、全大臣が本部員、こういうことでございましたが、鳩山内閣は、総理、官房長官、外務大臣、私、この四人で本部役員を構成いたしております。

 第一回目の会議が終わりましたが、その後、私から総理へ二度、外務大臣とは四度、打ち合わせの会合を行って、連携を密にして、そして、いざというときには内閣挙げて取り組める、こういう体制になっております。

 同時に、拉致対策室、先ほど申し上げましたけれども、情報収集、追跡、これらを専門とする職員を、兼務を外して私のもとへ集まっていただいて、動ける、こういう体制をようやく四月一日からとれたところでございます。今も一生懸命各種情報を求めたり追っかけたりいたさせておりますが、これからいよいよ本格的に働いていきたい、そして御存命の方をとにかく全員取り戻す、この思いで頑張ってまいりたいと考えています。

渡辺(義)委員 時間が参ってしまいました。

 最後に、日本政府として、問題の解決、そして被害者の安全な救出、早期そして全員の救出に全力を、私も国民の一人としてこの活動には一生懸命取り組んでいきたいと思っておりますので、大臣のますますの御活躍をお願いしておきたいと思っております。

 最後の質問者でございました。これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 次回は、来る十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十一分散会


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