衆議院

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第5号 平成22年4月9日(金曜日)

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平成二十二年四月九日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 井戸まさえ君 理事 大泉ひろこ君

   理事 小宮山洋子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 井上 信治君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      石毛えい子君    石田 三示君

      泉  健太君    磯谷香代子君

      市村浩一郎君    稲見 哲男君

      大島  敦君    逢坂 誠二君

      岡島 一正君    金子 健一君

      岸本 周平君    桑原  功君

      後藤 祐一君    笹木 竜三君

      鈴木 克昌君    園田 康博君

      空本 誠喜君    田村 謙治君

      寺田  学君    中島 正純君

      橋本 博明君    古川 元久君

      松木けんこう君    森本 和義君

      森山 浩行君    山花 郁夫君

      横粂 勝仁君    和嶋 未希君

      渡辺 義彦君    甘利  明君

      伊東 良孝君    小渕 優子君

      金田 勝年君    鴨下 一郎君

      小泉進次郎君    橘 慶一郎君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      漆原 良夫君    塩川 鉄也君

      浅尾慶一郎君

    …………………………………

   議員           塩崎 恭久君

   議員           柴山 昌彦君

   議員           菅原 一秀君

   議員           西村 康稔君

   議員           山内 康一君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  仙谷 由人君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   総務副大臣        渡辺  周君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   総務大臣政務官      階   猛君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            菊地 敦子君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  荒井  聰君     和嶋 未希君

  石毛えい子君     稲見 哲男君

  磯谷香代子君     松木けんこう君

  岡島 一正君     石田 三示君

  笹木 竜三君     鈴木 克昌君

  田村 謙治君     森山 浩行君

  津村 啓介君     森本 和義君

  寺田  学君     山花 郁夫君

  中島 正純君     金子 健一君

  橘 慶一郎君     伊東 良孝君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     岡島 一正君

  稲見 哲男君     石毛えい子君

  金子 健一君     中島 正純君

  鈴木 克昌君     笹木 竜三君

  松木けんこう君    磯谷香代子君

  森本 和義君     横粂 勝仁君

  森山 浩行君     空本 誠喜君

  山花 郁夫君     寺田  学君

  和嶋 未希君     桑原  功君

  伊東 良孝君     橘 慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  桑原  功君     荒井  聰君

  空本 誠喜君     田村 謙治君

  横粂 勝仁君     津村 啓介君

    ―――――――――――――

四月八日

 平和憲法の改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第六三三号)

 憲法改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第六三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第九号)

 幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及び幹部国家公務員法案の各案を一括して議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大泉ひろこさん。

大泉委員 おはようございます。民主党、大泉ひろこでございます。

 子ども手当、高校の授業料無償化、そして農家の戸別補償制度などなど、マニフェストが次々に実行されていく中で、天下り徹底禁止、これも最重要事項として実現しなければならないと思います。

 また、政治主導を掲げる内閣にとりまして、立法府における制度化と、制度の運営を預かる行政府の関係というものが着実なものでなければならないと思います。いわば、私どもの足元を堅固なものにする極めて大事な立法を仙谷大臣を初め公務員制度改革推進本部の皆様が短期間で仕上げられましたことに敬意を表します。

 行政府のトップは、言うまでもなく、議院内閣制のもとでの政治家、政務三役でございますが、圧倒的多数は、公務員集団が法の施行に当たっております。政治家が選挙によって選ばれるなら、公務員は試験制度によって選ばれて、専門家集団として、政治の意思を実現する役割でございます。

 最初に、仙谷大臣にお伺いいたします。

 この法律の前提といたしまして、行政府において、政治家が方針を決める役割を持つのに対しまして、公務員は専門家、すなわちテクノクラートとして法律の運営に当たる役割であるという役割分担が明確であると思いますが、これでよろしいでしょうか。

仙谷国務大臣 おっしゃるとおりだというふうに考えております。

 政権発足時の昨年の九月十六日でございますが、閣僚懇談会で申し合わせをいたしました。「政・官の在り方」という申し合わせでございますが、その申し合わせでは、政は、つまり政治は、行政が公正かつ中立的に行われるように国民を代表する立法権者として監視責任を果たす、また、議院内閣制のもとで、政府に入って、行政の政策の立案、調整、決定を責任を持って行う、そして官を指揮監督する。

 官は、国民全体の奉仕者として政治的中立性を重んじながら、その専門性を踏まえて、法令に基づいて、主として政策の実施、個別の行政執行に当たる、こういうことでございます。また、職務遂行上把握した国民のニーズを踏まえて、政治に対して、政策の基礎データや情報の提供、複数の選択肢の提示等、政策の立案、調整、決定を補佐する、これが官の役割であるということが、先ほど申し上げました申し合わせに基本認識として定められておりまして、この方針を踏まえて、各大臣の判断と指示のもとに各府省において具体的に対応することというふうにいたしております。

大泉委員 ありがとうございます。

 政治家が方針を決めるためによい環境づくりをするための立法であるというふうに理解いたしました。

 同時にまた、公務員の方々にも生涯やりがいのある役割意識を持っていただく、天下りを目指した職業生活ではないということを考えなければならないと思います。そして、このことによって、国民の皆様が待ち望む制度化あるいは政策を施行していくことを願いたいと思います。

 内閣で幹部人事を一元管理するということは、各省の恣意とかあるいはなれ合いとかいうものを排除いたしまして、仙谷大臣のお言葉によれば縦割り行政を打破するということでございますが、縦割り行政を打ち破って、より高い次元からの人事が行われる仕組みとなろうというふうに期待されますけれども、実際には、幹部候補者名簿の候補者を内閣が一人一人よく知っていらっしゃるわけではございませんので、適格性審査に頼ることが多いと思います。

 この質問は副大臣にお願い申し上げたいと思いますけれども、適格性審査によりまして客観的に適切な人を選ぶための基準あるいはその方法についてお伺いしたいと思います。

大島副大臣 大泉議員にお答えをさせていただきます。

 大泉議員からの質問にありました適格性審査というのは、非常に大切だと考えております。

 どのように適格性審査が行われるかなんですけれども、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を判断するための審査だと考えておりまして、これは客観的かつ公正に行われることが必要だと考えております。

 適格性審査の進め方については、これは、必要に応じまして民間有識者等の意見を伺いながら制度設計をしていきたいと考えておりまして、この民間有識者等の意見も踏まえてまずは制度設計する。もう一つは、具体的には、例えば人事評価、そして職務履歴等に関する書類やあるいは面接の結果をもとに、これも必要に応じて民間有識者等の意見を聞きながら、これは面接になることも考えられるんですけれども、審査を行うことを想定させていただいております。

大泉委員 ありがとうございます。

 幹部候補者は、あるとき次官になったり部長になったり、従来ならば降任とされた人事も転任の範囲でできるようになるわけでございます。このことは、節度を持って行えば適材適所の人事になろうかと私は思います。

 ただし、事務次官を残すわけでございますが、事務次官を残しますと、官僚ヒエラルヒーのトップでございますが、この官僚ヒエラルヒーのトップがしばしば政治主導の妨げになってきた過去というのが思い起こされるわけでございます。

 そこで、仙谷大臣に伺いたいと思いますが、今後、事務次官の職をどう見直していかれるでしょうか。

仙谷国務大臣 事務次官が、従来、各府省においては社長と呼ばれてきた、役所にこういう実態があるとすれば、これは非常にゆゆしいことだと私は基本的に考えております。

 一つの原因は、自民党歴代内閣において、大臣の在籍の期間が短いとか、各大臣の方々がその府省の仕事の中で政策的あるいは政策形成をグリップするよりは、またちょっと違う角度から、君臨はするけれども統治はすべて社長以下、つまり、事務次官以下に任せるんだというふうな実態にだんだんとなってきていたのではないか。

 さらには、事務次官経験者とおっしゃる方々がまだ、長寿のせいもあって、この日本の世の中である種のポストを持ちながら、各省庁の人事や、ともすれば政策についても非常に大きな影響力を持っている、こういう実態が府省によってはどうもある。

 だから、採用されてからずっと事務次官を見て、みずからの官僚としての生活を律しというか、それを基準に行動して、できれば事務次官になって、さらにはポスト事務次官というか、事務次官経験者として影響力を残すことが当たり前であるかのような、このことは、やはり必ずしもこれからの日本の政策展開にとってはよくない。これは、政治の側にも相当責任もあれば、行うべきことが多々あると思いますけれども、そういう観点で、私は、事務次官のポストが従来のような格好で存在するとすれば、これはない方がいいというふうに考えております。

 つまり、役割、機能、その中身が変わってくるとすれば、それに事務次官という名前をつけようが、あるいは事務の副大臣という名前をつけようが、それはほとんど、実質的な役割としては、事務のある種のトップとしてその府省のマネジメント、ガバナンスをやっていただけるということであれば、政務三役、大臣、副大臣あるいは政務官が政策形成についての責任を持つとすれば、事務の副大臣役が事務次官という名前であっても、そういう人事管理等々含めてやっていただければ、それはそれで意味があることなのかなと現時点では思っております。

大泉委員 ありがとうございます。

 私の経験からも、しみじみと受けとめました。

 かつて城山三郎が書いた「官僚たちの夏」の中では、昭和三十年代に、既に当時の通産省におきまして保護貿易を擁護する国内派と自由貿易を主張する国際派の主導権争いがありまして、最終的に国際派が勝利することになりました。同じ公務員でも、こうした通産省のような経済官庁系と、私の出身、厚生省なんですけれども、旧内務省系とは傾向が異なります。旧内務省系では、今でも国際感覚を問われるということが非常に少ないわけでございます。

 公務員制度改革基本法の二条四号には、公務員の資質として、国際社会で渡り合える人材というのを求められているわけでございますけれども、まずは、一般論で、適格性審査においては、新しい時代に合った公務員の人材、求められている条件は何かということと、特に国際感覚も必要であるということを考慮していただきたいのですが、いかがでございましょう、これは副大臣に伺いたいと思います。

大島副大臣 大泉委員にお答えをさせていただきます。

 「官僚たちの夏」という小説は、私が高校か大学のときに読んだことがありまして、官僚というと、非常にまぶしい印象を持って、国に対する志を持った方たちが一生懸命仕事をしている集団というのが当時の私の認識でございました。

 大泉委員の御質問にありましたとおり、これからの国家公務員には、大泉先生も海外で働いた経験があると思います、国際社会の中で国益を全うし得る高い能力が求められているということをまずは考えております。

 このために、国際機関あるいは在外公館における勤務や、海外への留学の機会も通じまして、国際感覚を有する人材を確保、育成していくことがますます重要と考えております。これは、外交交渉というのは、政治家が行う場合もありますけれども、個々の外交交渉は官僚の皆様、官僚が各外国政府機関との交渉をしておりますから、この高い能力は今後も確保、育成していくことが必要だと考えております。

 もう一つ、適格性審査においては、このような国際分野における経験についても考慮されるものと考えておりまして、国際的な資質についても必要だと思いますし、先生が述べられました、国内的なことについても精通する、専門性を持った方もあわせて必要だとも考えております。

 以上でございます。

大泉委員 ありがとうございました。

 次に、公募の場合について伺いたいんですけれども、公募の場合は、公務員生活では得られない専門性を有する人材を発掘するようにしていただきたいというふうに思います。例えば、厚生労働省の医系技官でございますが、かつては、国立病院の十年選手が入ってくるというように、臨床の経験者が主だったわけでございますけれども、現在は、医師国家試験合格と同時に入る方ばかりになってきております。

 これは、私は専門性という観点からは若干疑問に思っているわけでございますが、公募につきましては、専門性の高い人を選ぶためにどのような方法で行い、どんな点を留意していらっしゃるか、これも副大臣に伺いたいと思います。

大島副大臣 大泉委員のおっしゃるとおりでして、先ほどもそこで仙谷大臣が、そのとおりという御発言がございまして、やはり医系技官の方についても、何年か臨床の経験があって官僚としての、公務員としての仕事につかれるとさらに深い見識が生かせるとも、今、大泉委員の御発言を聞きながら思った次第でございます。

 今回の法案では、国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する意欲ある人材を適材適所で登用することを可能とするために、先生御指摘のとおり、幹部職員の公募を内閣人事局で一元的に行う仕組みを新設いたしました。

 この公募については、公募する官職の職務の具体的な内容や、その他当該官職につこうとする者の参考となるべき事項をまず公示して行うこととしております。

 公募の実施に当たっては、専門性等の観点も踏まえつつ、どのような官職を公募に付すのがふさわしいのか、任命権者とよく協議するとともに、適格性審査のプロセスの中で民間有識者等からも意見を伺うなどの点に留意をしながら、いい人を国家公務員として採用していきたいと考えております。

大泉委員 ありがとうございました。

 早期勧奨もしない、天下りもしないで六十歳定年まで全員が在職すると仮定いたしますと、年々、幹部候補者名簿の数がふえていくことになります。ところが、ポストはふえないので、今後、幹部候補者名簿の出口を設けなければならないと思います。つまり、幹部の中での転任の任命回数の制限を設けたりとか、あるいは、最終的な行きどころとして、幹部ではなくスタッフ化したポストを設ける、こういうのは企業でよく行われていますけれども、こういう方法も考慮の余地があると思います。

 そこで、大臣に伺いたいと思いますけれども、本会議で大臣はおっしゃいました、今回の法律は一連の公務員改革の第一歩であると。公務員全員が六十歳まで働くことを前提とした環境づくりを第二歩目、第二弾の改革として考えていらっしゃるか。いらっしゃるとすれば、その内容はいかがなものでございましょうか。

仙谷国務大臣 鳩山内閣におきましては、天下り、わたりのあっせんを根絶しなければならない、あわせて、公務員が天下りをしないで定年まで勤務できる環境を整備するということを目指しておりまして、したがって、公務員制度の抜本的な改革が必要だというふうに考えております。

 つまり、同期入社の人が、ある種、肩たたきを受けてどこかへあっせんをされるという前提をなしにするとすれば、おっしゃるように、相当数のたまりが出てくる可能性は否定できません。

 ただ、ずっと見ておりましたら、民間の、普通の会社と比べてみて何が違うのかというふうに考えましたら、いわゆる配置転換と民間の会社では言われている横異動はしない、若いときからずっと横異動はあり得ないんだという、縦割り構造の中でどっぷりとつかっている。先ほどおっしゃった、技術系の官僚の方のお話が大泉議員からも出ましたけれども、とりわけそこはそういうことなんですね。

 技術系じゃなくても、一たん、就職といいましょうか、何々省に入ればもうその横に出ないということがあって、これはもう時代とともに、もたなくなっている部分もありますし、幹部になって、幹部スタッフ職というふうなものがなくて、幹部になる前は同期の方が一斉にというか、皆さん課長なら課長になれるというシステムは、これは民間と比べて相当違う仕組みでありますから、やはり、人事の回転の問題とか、あるいは専門性の問題とか、それから給与の問題、いろいろ考慮しながら、これをやはりできる限り、今の民間の会社でうまく人事を回転させながら会社の業績を伸ばしているところというふうなものを大いに参考にしながら、今申し上げたようなところを検討したいと思います。

 その際に、新規採用への影響についても、これは十二分に留意をしながらやっていかなければならない、こういうふうに考えておりまして、これから半年ぐらいをかけて、その辺も具体的に検討をして、法案につくり上げたいというふうに考えております。

大泉委員 ありがとうございます。

 大臣、私が次に質問しようと思いましたことも全部含めておっしゃっていただいたわけでございますが、改めて、もう少しお言葉をつけ加えてくださるかどうか。

 今後の課題といたしまして、給与のあり方、定員管理のあり方、級別定数、こうした改正も次々と必要になってくると思いますので、その基本的考え方、今幾つかおっしゃいましたけれども、もう一度まとめておっしゃっていただくかどうか。

 また、最後に大臣がおっしゃいました件、新規採用については、たくさんの人が心配をしていると思います。この法律施行年月日、四月一日になっていますけれども、既にもう四月半ばでございますので、まずは来年度の採用も心配でございますし、今後も、卒業生が、六十歳までみんな働くということになると新規採用が抑制されるのかなと思っている人も多いと思います。

 これは大臣の御担当でないかもしれないんですけれども、今申し上げた点を、恐縮でございますが、もう一度お言葉をいただけますでしょうか。

仙谷国務大臣 そこのところは、私のイメージでは、どうも、課長になるまでの方々は基本的に職員組合に所属をされている場合が多いわけでありますから、まさに基本権の問題と関係をする。基本権の問題と関係をしながら、先ほど大泉議員がおっしゃられた級別定数、あるいは定員管理、あるいは給与のあり方、この問題が、勤務条件でありながら、ある種の日本型官僚機構の、出世というか昇進というか、だれでも課長にまではなれるんだよみたいな話とか、その後はどこかいいところがちゃんとあてがわれるんだよという、ここのところが、世の中の批判も受けながら、あるいは、そういうだらだらとしたというか、余り、この変革の時代に、そこだけが変わるダイナミズムがない構造を持っていることが不都合だというふうに国民の多くが感じている時代には、そこから直していかなければならない。

 ただ、私のイメージでは、やはりここは働く人々の権利の問題が根っこにあるので、その問題からやっていかないと、出口の方からとめるだけでは納得が、つまり、国民の納得も、働く公務員の方々の納得も多分いかない。

 ある意味での公務員の世界での切磋琢磨と昇進というのはこんなものなんだよと。給与も、ある年代まで来ると、民間の会社でいえば取締役になり、その後トップまで行く人の給与の上がり方と、課長にならないけれどもその会社にとっては非常に有用性が高いというふうに認められて定年まで働くんだけれども、その方々の給与は同年代でもこのぐらい違うというふうなことは、これはやむを得ないこととして、そういう制度化されているわけでありますから、やはりそういうことも、納得がいくようにきちっと議論をしていかなければいけないと私は思っております。

大泉委員 ありがとうございます。さすが法律家の御答弁と納得いたしました。

 内閣人事局は、政治主導法によって今回設置されるであろう国家戦略局とともに内閣官房に置かれるわけでございますが、国家戦略局と違うのは、官房長官が主務大臣となるということでございます。

 官房長官は、多分、各省の任命権者に任せっきりにしない人事を行われるでございましょうし、その采配で省を飛び越えた人事がふえると期待できますが、それがこの法律の目玉政策にもなると思うんです。

 これも御担当かどうかわかりませんけれども、これについてどうお考えでございましょうか。大臣、お願いいたします。

仙谷国務大臣 私自身は、内閣府という、ある種、霞が関の省庁の中では特異な省庁の大臣になったものですから、ということは、課長さんも、あるいはその前段階の方々も、審議官も、あるいは次官クラスの方々も、内閣府プロパーの方というのは極めて少ないんですね。

 各省庁から来ておって、ほかの省庁の人から見れば、寄せ集めとかなんとか、そういうやゆする言葉も私の耳にも入ってきますけれども、私は、内閣府で私と一緒に仕事をさせていただいている職員の方々はオールラウンダーで、自分が入省した省の専門的なことはもちろんよく御存じだし、それから、どんな問題を問いかけて、あるいは私の方が質問し、あるいは調査をお願いしても、素早く的確に調査を遂げ、あるいは意見を求めれば意見を言えるという方々が多うございます。多うございますというか、ほとんどそういう方々だというふうに認識をしております。

 そうだとすると、一括採用の話というのもいろいろあるようでありますが、採用の問題はともかくとして、やはり御本人の気構えとその来し方というか、どの省庁に入っても、そこで専門的な分野に従事することと、そしてゼネラリスト的感覚とか見識をお持ちになるということは、本人の気構えと、同僚や上司の、十数年か何十年か知りませんけれども、その過程でそういう要素が身につけられる方と、そうじゃない方はもちろんいらっしゃるんでしょうけれども、ということなんだろうなという気がします。

 そうだとすれば、幹部職はよりよりクロスの、例えば、何とか省の局長に、官邸が、こういうセンスの、こういう能力の人を持っていった方がこれからの政策を展開するのにいいと思うという判断は、これから大いに出てくるのではないかと思います。

 現に、今、日本の政策課題はほとんど、こうしなければいけないけれどもなかなかできなかった、あるいは、なかなか容易ならざる壁があると言われているようなことはほとんど、省際問題というんですか、各省と各省があわせて権限があるかのような、あるいは所掌事務が重なっているようなことが物すごく多いですよね。

 これを突破して、別の格好で一体的に、一元的に政策をつくって、国会でも決めていただいて、今度は執行も一元的に行わないと、何とか計画はあるけれども執行はばらばらみたいな話があってはならないというのは、これからの政治と行政の関係であるし、行政と国民の関係ということになると私は思いますので、これはやはり、おっしゃるように、そこのところは一番大事ですから、クロスの人事が官邸主導で、あるいは、各省庁の任命権者も、そういう目で他の省庁の幹部もしくは幹部たらんという人を絶えず、あいつを引き抜いてやろう、こういうスカウトのような気構えでやっていただけるようになるのではないか、そういうふうに思っております。

    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

大泉委員 ありがとうございます。

 それでは、次に、国民の皆様が注目しております天下り完全禁止、この法律によりまして天下り完全禁止に踏み出したわけでございますけれども、民間人材登用・再就職適正化センターについて伺いたいと思います。

 センター長は大臣という重い任務の職でございますけれども、これは天下り禁止の強い意思のあらわれであると思いますし、同時にまた、民間会社との人事交流とか、あるいは民間からの中途採用を重視しているということのあらわれでもあると思います。

 そこで、仙谷大臣に、トップを大臣にしたその意気込み、趣旨についてお伺いしたいと思います。

仙谷国務大臣 お答えをいたします。

 確かに、センター長を国務大臣にしているわけでございますが、その国務大臣にしっかり人材登用と再就職の監視ということをやっていただかなければならない。要するに、気分として、どこか同情的気分や、なれ合いというとおかしいわけですが、お互いのことを考える気分がどうしても残る余地が全くないわけではない官僚の方よりも、政治主導でやった方が天下りの根絶ということができる、あるいは民間の人材を登用することができるというふうに考えて、このセンター長を大臣にしたということでございます。

大泉委員 ありがとうございます。

 次に、再就職等監視・適正化委員会についてでございます。

 この委員会が働くためには、いわば裏下りを排除できなければならないと思います。既に総理も所々方々で発言されておりますけれども、例えば、数代続いて官庁出身の役職者がいる場合、公募で結果的に特定官庁出身の方が独法のポストにつく、こういう場合も、公募ででも天下りとみなすというような具体的な基準づくりが必要であるというふうに思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。

仙谷国務大臣 なかなか証拠として各府省によるあっせんの事実というのが確認されない、しかし、客観的に見ておりましても、事実上の天下りのあっせん慣行があるのではないかというふうな疑念を抱かせるような再就職につきましては、厳格な監視を行って国民の疑念を解消する必要があると考えております。

 公務員の再就職先は、民間企業、公益法人あるいは独法などさまざまでありますけれども、また、再就職に至る経緯についても、府省庁の職員が関与した再就職だけではなくて、自力の再就職もあると考えられますことから、実態を踏まえた対策が必要であると思っております。

 おっしゃるように、公募という形をとっても、どうもあうんの呼吸でそういうことがなされておるのではないかというケースも全くないわけではないということでありまして、だから、そういう観点については、独法であれば各任命権者によく見てもらわなければならないと思いますし、この監視委員会の方も、ある種、そういうことはないだろうねという疑いの眼を持ってよく監視をする、そういう調査をするということが行われなければならないと私は思っております。

大泉委員 ありがとうございます。

 今回の立法が公務員改革の第一歩であれば、これまでの議論のほかに、残された課題として、例えば採用試験のあり方、あるいは労働基本権を付与する問題というのがあります。

 労働基本権の付与につきましては、基本法の四条に基づいて三年以内に結論を出すという仙谷大臣の御答弁を本会議場で既に聞いておりますけれども、そのとおりでよろしゅうございましょうか。恐れ入ります、イエスかノーだけで結構でございます。

仙谷国務大臣 大泉委員のおっしゃるとおり、労働基本権に関する問題こそが根幹で、ここの政治決断ができなかったことが、私は、ここ十数年の公務員制度改革というものをゆがめてきた、結局、すっきりしたものができなかったというふうに考えております。

大泉委員 最後の質問になるかなというふうに思いますけれども、行政改革は、それこそ八〇年代の前半から、第二臨調から続いてきたわけでございますけれども、この間、一つの大きな改革というのは、二〇〇〇年の中央省庁再編でございました。

 十年たちますけれども、この中央省庁再編についての評価がまだなされていないと思います。省庁をくっつけただけで、局や課を減らした分、独立官のようなものをふやして非効率になっていたり、あるいは、巨大省庁をつくりましたために大臣一人では一挙に仕事を終わらせることができなかったり、あるいは縦割り行政は全く変化していなかったりと、どう見ても、この中央省庁再編というのは成功しているように思われないんです。

 ちょうどあれから十年になりますので、ここで評価をして、無理に行われた省庁再編を見直すことはいかがでございましょうか。総理も幼保一元化のための子ども省について例示として言及されておりますけれども、このことをお考えかどうかを最後の質問として伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 私自身、九八年の橋本行革で行われた省庁再編が、大変大きい看板をかけかえたんだけれども、今度のこの公務員制度の改革論議の中でも自民党さんの方からも改めて提起されておりますように、何とか省審議官という、看板の下に次官が三人も四人も実質的におるとか、人事はその下の官房長が実質的には行うとか、こういう割と意味のない府省庁の再編の部分がかなりある。

 一方では、その過程で司法制度改革も行われたわけでありますが、これからは事前指導行政から事後審判行政とか事後救済型の社会へということを言いながら、そこのところは、そういう横への分権のようなことが全くできなかったという事態。それからもう一つは、やはり産業構造がこれだけ変わっているのに、この縦割り構造がそのままであるということの持つ非常に不都合な面。

 つまり、今、皆さん方が大変熱意を込めて取り組まれておる幼保一体化の問題なんかも、結局は、いろいろな省庁に権限が分散しているということによる、つまり、企画立案も執行も一体的、一元的に行われないことの弊害というのがあって、私は、そろそろ機能別にというか目的別に省庁を改めて再編する構想が行われなければならないし、そのときに、府省庁の数が少なければ少ないほどいいなんという、ばかな、そういう数合わせの議論だけはやめた方がいいというふうに考えております。

大泉委員 ありがとうございました。これで終わります。

小宮山(洋)委員長代理 次に、橋本博明さん。

橋本(博)委員 民主党の橋本博明でございます。国家公務員法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 私は、本日がデビュー戦でございまして、一年生議員としては遅い方に属するのではないかと思うんですが、緊張しますけれども、しっかり質問をさせていただきたいと思っております。

 さて、本法案は、我が党が主張していた政治主導を確立するという意味で極めて重要な法案だと思います。そういった意味では、私の質問は、きょうは少しポイントを絞って質問をさせていただきたいと思っております。

 最初に取り上げさせていただきますのが、天下りの問題でございます。

 今回の法改正というのは、いろいろなポイントがあると思うんですけれども、特に国民の皆さんが注目をされておられますのは、この天下りをどうするかということだと思うんです。天下りというのは、長い間、それこそ先日の本会議におきましては、橋本行革以来の懸案だったというような御発言もございましたけれども、その間の前政権の営々たる御努力には敬意を表するわけでございますが、一方で、今日に至るまでなかなか解決ができていないというような問題でもあったと思うんです。

 こうした繰り返しを断ち切るために、今回、鳩山総理は、何としても天下りを根絶するという覚悟のもと、この法案を提出されたわけでございます。まさに画期的な法案だと私も思っておりますが、一方で、野党の皆さんから、むしろ改革が後退しているんだというような指摘もございます。

 改めて、最初にまず確認をさせていただきたいんですけれども、鳩山政権発足後なんですが、実際にこの官民人材交流センターで再就職をあっせんされたのは何人なのか、お答えいただきたいと思います。

大島副大臣 橋本委員にお答えをいたします。

 鳩山政権が発足をいたしました平成二十一年九月十六日以降に官民人材交流センターが再就職先に職員を紹介し、当該法人に職員が再就職した事例は、三月三十一日現在、六十六件でありますが、すべて社会保険庁職員であった者の再就職でございまして、それ以外の再就職あっせんは行っておりません。

 社会保険庁の廃止に伴い離職せざるを得ない者については、平成二十年七月の閣議決定、これは前政権下のものでございます、「官民人材交流センターの活用など、分限免職回避に向けてできる限りの努力を行う。」という閣議決定が前政権下でなされておりまして、官民人材交流センターにおいては、昨年九月の総理指示で、組織の改廃等により離職せざるを得ない者の場合を除き、再就職あっせんは行わないとしております。

 社会保険庁の廃止は組織の改廃等に当たるものであり、これらの閣議決定等を踏まえて、分限免職回避の努力の一環として、官民人材交流センターにおいて社会保険庁職員の再就職あっせんを行ったものでございます。

橋本(博)委員 ありがとうございます。説明も含めてしていただきました。

 まずは六十六人というお答えがございました。まさに今御説明のあったとおり、この六十六人というのは、社会保険庁が廃止されることに伴って、政府として再就職をあっせんされたということだと思っております。

 これも野党の皆さんは天下りが行われているというふうに指摘をされているわけなんですが、一方で、この再就職をしたということについては、今も御説明がありました、あくまでも社会保険庁の廃止に伴った方々だけである。そういった意味では、それ以外の方々はゼロだということだと認識しますが、それを再度確認させていただきたいと思います。

大島副大臣 前政権下において、官民人材交流センターが再就職先に職員を紹介し、当該法人に職員が再就職した事例は、四百十七件ございます。また、社会保険庁職員であった者のあっせん事例二十九件を除くと、三百八十八件でございます。

橋本(博)委員 質問に先に答えていただいたんですけれども、改めて確認をさせていただきたいんですが、鳩山政権下で、天下りと申しますか、再就職あっせんをされた方々というのは六十六人。このうち、社会保険庁の廃止に伴わない方々についてはゼロだと思うんですが、そのことについてまず確認をさせていただきたい。

大島副大臣 あっせんは、鳩山政権下においては行っておりませんので、ゼロでございます。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 そういった意味で、繰り返しになりますけれども、社会保険庁の廃止に伴うものを除けば、これはゼロだということを確認させていただきました。

 最初に御説明をいただいたように、再就職のあっせん、特に社会保険庁の廃止に伴うものについては、言ってみれば政治の都合で職場を失った、失職を余儀なくされた方々については再就職をあっせんするというこの御説明については、私は、従来国民の皆さんが感じておられるようないわゆる天下りとは少し違うんじゃないかと思いますし、そのことについては国民の皆さんにも十分御理解をいただけるんじゃないかと思うんです。

 加えて、今御説明ありましたように、そもそもこの社会保険庁の廃止に伴う再就職のあっせんというのは、前政権が閣議決定で約束をされたことである。そういった意味では、鳩山政権発足後の再就職のあっせんについては、前政権の約束を新政権も継承して行っておられることだということをしっかりと確認させていただきたいと思っております。

 その上で、改めて御質問させていただくんですが、官民人材交流センター、発足が二〇〇八年の十二月三十一日だと聞いております。そういった意味では、鳩山政権の前、麻生政権下におきましても約八カ月間活動をされていたんじゃないかと思うんですが、では、この八カ月間で再就職のあっせんをしたのは何件か。加えて、先ほどの話で申しますと、社会保険庁の廃止に伴って再就職をあっせんした方以外の人数を、あわせて御説明をお願いいたします。

大島副大臣 職員が再就職した事例は、これは、前政権下における官民人材交流センターが再就職の職員を紹介した事例については四百十七件で、社会保険庁の者だったものが二十九件ですので、これを除くと三百八十八件になります。

 以上です。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 そういたしますと、改めて、麻生政権下におきましては、同じ官民人材交流センターではありますけれども、言ってみれば、離職を余儀なくされた方々以外でも約四百件の方々、一般の職員の方から四百件近い方々が再就職をあっせんされていたということをお示しいただいたわけでございます。

 一説によりますと、この官民人材交流センターというのは制度設計上は毎年二千五百名の方々をあっせんを行うということも検討されたようでございますけれども、これが鳩山政権下では実質上ゼロになったということだと私も理解をさせていただきますし、ぜひ皆さんにも、国民の皆様にもそのことはぜひ御理解をいただきたいと思っております。

 その上で、今回新たに、官民人材交流センターを廃止いたしまして、民間人材登用・再就職適正化センターを設立することとされております。

 この官民人材交流センターと民間人材登用・再就職適正化センターの違いについて、御説明をお願いいたします。

大島副大臣 お答えいたします。

 官民人材交流センターは、前政権下においては再就職のあっせんを一元的に行う組織でありますけれども、現政権下においては、先ほどお答えしましたとおり、再就職のあっせんは原則行わないこととして、これを廃止することといたしました。

 新たに設置する民間人材登用・再就職適正化センターは、主に再就職等規制の監視を中心とした再就職の適正化に関する業務を行うものであり、再就職のあっせんを主な業務としておりました官民人材交流センターとは業務が大幅に異なっております。

橋本(博)委員 それでは、改めて、今後、一般のと申しますか、政治の都合で失職を余儀なくされる方々以外の一般の公務員の皆さん、こうした方々が例えば自主的に退職をされる場合、では再就職はどうすることになるのか、お答えをいただきたいと思っております。

大島副大臣 お答えいたします。

 国家公務員の一般的な離職の場合には、民間人材登用・再就職適正化センターは再就職の支援は行いません。今後、退職した公務員は、府省のあっせんを受けずに、みずからの努力により、その能力を生かして会社、法人等に適正に再就職してもらうことになると考えております。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 そういたしますと、確認をさせていただきたいんですが、言ってみれば、これからは、公務員の皆さんについては、再就職をされるときには、基本的には普通の国民の皆様と同様に、例えばハローワークを利用する、あるいは民間の人材紹介ですとかそういったものも活用する。本当に国民の皆さんと同様の再就職活動をしていただくということだと理解しますが、それでよろしいでしょうか。

大島副大臣 あっせんは行いませんので、民間の方が離職されたときと同様に、例えば求人情報誌もあるかと思いますし、今先生が御指摘となったことも踏まえて、民間と同様な再就職が行われるものと考えております。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 この点も、私ども民主党というのは、かねてから主張させていただいていたと思うんですね。公務員特有の、再就職をあっせんするようなものをつくるのではなくて、国民の皆さんと同様に、それこそハローワーク、あるいは今お話がありました求人情報誌、そういったものを使っていただいて就職活動を行う。そういった意味では、これまた、本法案でかねてから我が党が主張していたことが実現されたものだと理解をさせていただきます。

 さて、そういった意味では、いわゆる表の天下り、こういったものについては、先ほどから政府から御説明をいただいておりましたとおり、全く根絶がされるということが改めて明らかになったのではないかと思うんですけれども、そういたしますと、一方で、忘れてはならないのは、いわゆる裏下りの問題だと思います。

 鳩山総理御自身も、「裏下りとやゆされる事実上の天下りあっせん慣行にも監視の目を光らせて、国民の疑念を解消します。」と決意をされておられます。

 では、これを実際にどう実現するかということなんですけれども、先日の本会議で同僚の後藤議員が指摘をされておりましたけれども、たとえ直接的なあっせんがなくても、指定席への天下りがあったような場合には、これはあっせんがあったものとみなして対応するべきではないか、そういった御指摘もございました。実際にはこれをではどういう基準でやっていくかというのはなかなか難しい問題ではないかと思うんですけれども、具体的にどんな方法でこの裏下りをとめようとされているのか、それについてのお考えをお示しいただきたいと思います。

大島副大臣 お答えいたします。

 水面下で府省庁職員による情報提供等の疑いがあるような再就職事案については、本法案により新設する再就職等監視・適正化委員会が、まず、規制違反行為に対しては懲戒処分等の勧告を行います。脱法的行為に対しては是正のための指導を行い、厳正に対処することとしております。

 また、閣議決定に基づきまして、国家公務員出身者が役員または職員等に在籍する公益法人については、国民的な観点から徹底的に見直してまいります。独立行政法人については、公務員OBが役員に就任しているポスト等は、現在、公募により後任者の選考を行うほか、独立行政法人についても国民的視点から抜本的な見直しを行っていくこととしておりまして、これらの措置を総合的に講ずることで、いわゆる裏下りについても適切に対処していくこととしております。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 これを実際にどう基準化していくかというのは大変難しいことだと思うんです。逆に言いますと、何を裏下りと規定するのかというのが裏下り摘発の大きなポイントでありますし、一方で、これが行き過ぎてしまうと、公務員の皆さんが自主的に再就職をされることについても妨げになってしまう。そこら辺をきちっと仕分けといいますか判断をしていくというのが、逆に言いますと、今御説明がありましたように、適正化委員会に問われる大きなポイントでもあると思うんです。

 一方で、そういう意味では、何を裏下りというかということの方がポイントでありまして、例えば野党案のような、罰則を強化したとしても果たしてそれが直接裏下りの摘発になるのかどうか。今お話がありましたけれども、懲戒処分といったこともあるわけですから、果たして罰則強化というのが本当に裏下りの摘発につながるのかどうか、そのことについては私も少し疑問に思うんですけれども、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 さて、今までは、天下りをいかにとめるかというようなお話について質問をさせていただきましたけれども、一方で、仙谷大臣御自身の方からも、先日の本会議で、これからは公務員も定年まで働ける環境をつくっていくといったようなお答えもございました。

 定年まで働ける環境をつくるということこそが天下りを根絶する切り札であるということについては、私も同感なんです。しかし、そういった場合、それこそ、先ほどの大泉議員の御質問にもありましたけれども、相対的に高給の公務員が役所に残られるということで、人件費二割削減なんてできるわけがないといったような御批判も野党の皆さんからいただいているところでございます。

 この人件費二割削減というのは、先日の本会議では、仙谷大臣あるいは菅財務大臣の方からも、平成二十五年度までには必ず達成するといったお話もございましたけれども、私自身は、この問題については、さらに一歩踏み込みまして、これまた本会議で後藤議員も指摘をされましたけれども、新規採用の削減ということについても踏み込まなくちゃいけないんじゃないかと思うんです。

 これについては、閣内不一致というわけではないんでしょうけれども、前原大臣については、組織の活性化という意味で反対の側の発言というのもあったわけでございますけれども、私自身は、これは単なる人件費の抑制という観点だけではなくて、例えば、我々民主党というのは地域主権ということを皆さんに訴えています。そういった意味では、将来的には中央官庁の仕事というのは必ず減る方向に向かうわけですから、そういった意味で新規採用を絞っていくということも必要なことだと思いますし、逆に言いますと、新規採用削減ということに踏み込めば、これは、民主党というのも本気で地域主権を実行しようとしているんだというようなアピールにもつながるんじゃないかと思っております。

 そういった意味で、例えば、私なんかは新規採用半減でどうかというような思いもあるんですけれども、この点について、御見解をお示しいただきたいと思います。

大島副大臣 ただいま橋本委員から御指摘がございました。

 地域主権を掲げている我が政権としては、今後、一括交付金化もしていきますので、行政の需要をどう見込むかというのも必要になってくるかと思います。その点を踏まえまして、あるいは、この間、人口統計を見ておりましたら、ことし採用される人が退職する四十年後の日本の人口は三千万人減っているわけですよ。ですから、そういうことも踏まえなければいけないのかなとも思います。

 天下りの根絶に伴いまして、委員御指摘のとおり、退職者の減少が見込まれます。ですから、来年度の新規採用の影響というのは、これからさまざまなことを想定しながら考えていかなければいけないと考えております。もちろん、組織の活力を維持する、あるいは新陳代謝を図る観点から、各年度の定員管理を通じて具体化される行政のスリム化とか総人件費削減とか、これらの点も踏まえた上で新規採用を行っていくべきだと考えておりまして、委員の御指摘は重く受けとめさせていただきます。

 以上です。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 すぐにお答えが出るような問題ではないとは思うんですけれども、私としては、これは引き続き提案をしていかなくちゃいけないことだと思っておりますので、政府としてもぜひ御検討をいただきますようお願いをさせていただきます。

 さて、今、総人件費の話をさせていただきましたけれども、この関係でもう一つ伺いたいのが早期退職勧奨の問題でございます。

 これは、先日の本会議で、鳩山政権発足後、八十三人の方々が早期退職勧奨に応じていたということが取り上げられておりました。もともと民主党というのはこの早期退職勧奨を禁止するという方針を持っていたわけでございますので、その点について野党の皆さんからも厳しく指摘があったわけでございますが、一方で、早期退職勧奨がなぜ悪かったのかというと、これがやはり天下りを伴うものだったからなんじゃないかと思うんです。逆に申しますと、当然、この方々というのは天下りを伴わない早期退職勧奨だったわけでございまして、そういったものについてまで禁止をするというのは、私自身はどうかなという思いも持っております。

 この点について今後どのように対応していくのか、御見解をお伺いしたいと思います。

    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

大島副大臣 鳩山内閣においては、天下り、わたりのあっせんを根絶することとしておりまして、あっせんを伴う退職勧奨は、先ほど述べましたとおり、組織の改廃等に伴い離職せざるを得ない場合を除き、既に禁止をしておるところでございます。

 天下りあっせんの根絶とあわせて、公務員が天下りをせず定年まで勤務できる環境を整備することが大切だと考えておりまして、これは公務員制度の抜本改革だと考えておりまして、定年まで働く環境を整えるための諸制度については、現在検討しているところでございます。

 その際に、職員のやる気とか、あるいは、先ほども仙谷大臣が申しておりましたが、横異動をしてポストをあけてもらって、人事を活性化していくことにも留意する必要があると考えております。特に、私もずっと民間企業に勤めておりまして、九月以降、初めて公務員の皆さんと仕事をさせていただいております。

 民間にあって公務員に若干薄いなと思うのはマネジメントだと思っておりまして、職員のやる気を、霞が関の皆さんもそうですけれども、三十万人国家公務員の皆さんのやる気を引き出すマネジメントが私たちの今後の抜本的な改革の中軸だと考えております。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 これまた難しい問題だと思いまして、総人件費の観点から、早期退職勧奨に今応じていただける方々についてまで禁止をするというのもどうかなと思う一方で、この早期退職勧奨が最後まで公務員として働きたいという方々に対する圧力になってしまうと、それまたおかしな話であり、マネジメントの観点、今副大臣がおっしゃったように、やる気を出すという観点から、早期退職勧奨は果たしてどうなのかという、いろいろな観点があると思います。これについては、引き続き慎重な御検討をお願いしたいと思っております。

 さて、少し残り時間があるんですけれども、天下りの問題はこのぐらいにさせていただいて、人事管理の一元化について御質問をさせていただきたいと思っております。

 今回の法案というのが、政治主導の確立という意味では、人事管理を、特に幹部人事を内閣官房が一元化する、それによって行政に対する総理のリーダーシップを確立するということ、加えて、縦割り行政を正すということが大きなポイントだと思っております。

 ただ、先ほど大泉議員の質問に対する大臣からのお答えもあったんですけれども、具体的にどういう人事が行われるのかということについてのイメージ、これがまだなかなかわかないというか、多くの国民の皆さんは、ではどうなるんだと。あるいは、もう少し言うと、現場で働いておられる役所の皆さんが、一体これでどういう人事になるんだということについては、不安を感じておられる、あるいはイメージがわかないというのが現実なんじゃないかなと思うんです。そういった意味では、具体的に、本制度を実施することによってどんな人事、運用をされようとしているのか。

 先日の本会議では、後藤議員の方から、例えば幼保一元化を具体例として挙げておられました。お互いの幹部人事を交換することによって縦割りの弊害を廃止する、そういった運用もありますでしょうし、あるいは先ほどの抜てき人事みたいなのもありますけれども、少し例示をお示しいただきながら、具体的にイメージがわくような形で御説明をお願いしたいと思います。

大島副大臣 まず、本法案が成立をいたしますと、内閣人事局が設置をされまして、その内閣人事局のもとで適格性審査が行われます。

 適格性審査で、多分、事務次官の方、局長の方、審議官など部長級の方が今六百人いらっしゃると伺っておりまして、まずこの六百人の適格性審査が行われて、六百人の名簿ができます。今まではこの名簿はございませんでした。各府省ごとの名簿であると伺っております。

 そして、この六百人の適格性審査を終えた幹部職員の名簿に基づきまして官房長官が府省横断的に幹部候補者名簿の作成を行うことができることとなっております。その範囲は、これは考え方ですから、六百人すべてなのか、あるいは府省に任せるところ等々あるかと思います。

 その中で、政権として必要な、優先順位の高い、あるいはここを重点的にやらなければいけないと思われるポストについては、官房長官が多分総理と協議をした上でその名簿を作成し、その後に任命権者である大臣と協議の上決定することとなっておりまして、ここがこれまではルール化されておりませんでした。ここをルール化したことが今回の大きな改正だと考えておりまして、先ほど橋本委員がおっしゃられたことも、こちらの局長とこちらの局長をクロス人事するということも、その適格性を見ながら官邸主導で可能となっているということを申し上げさせていただきます。

 しかしながら、これはあくまで任命権者である大臣との協議が必要でございますので、それを協議した上でそのような人事が行われるということでございます。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 まさに、例えば、おっしゃったように、局長同士を入れかえるとか、あるいは仙谷大臣もおっしゃいました、あのポストのあの人を引っ張ってこようと各大臣が一本釣りのような形で進めていくといったような、ある意味ではダイナミックな人事というのも目指しておられるのではないかなというふうに思いますが、一方で、今回の法改正におきましては、それこそ国家公務員制度改革基本法で定められていたような、総務省や人事院、その他機関の機能を移管しないというような中身になっております。

 今政府の側から御説明いただいたような人事というのはこういった機能を移管させなくても可能なのかどうか、あるいは、もう一つは、そうした機能を今回の法案で移管しなかった理由についてもあわせてお答えをいただきたいと思います。

大島副大臣 今回の法案は、公務員制度改革の第一歩として、幹部職員人事の一元管理を実現することにより、縦割り行政の弊害を打破し、官邸主導で適材適所の人材を登用することを目的としております。これは、内閣官房に新たに幹部職員の一元管理に関する事務を加えることにより可能になるものであり、総務省及び人事院の機能移管を必要としておりません。

 今回の法案に続く改革としては、公務員の労働基本権のあり方を含む公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を加速していくことが必要であり、総務省あるいは人事院等からの機能移管については、労働基本権のあり方を検討する過程で、抜本的な改革の中で検討することが適当であると考えております。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 先日の本会議でも、野党の皆さんから、特に、基本法の中の年限一年の部分を改正するのは撤回しろというような御質問もございました。基本法の中には、内閣人事局の設置については法律施行後一年以内で法制上の措置を講ずるというのは確かに書いてあります。

 しかし、私思いますのは、この間総選挙があったわけでございまして、新政権になってからこの法案を用意するまでの準備期間はわずか半年といった事情もやはり考えていかなくちゃいけない、そういった意味では、拙速な検討で結論を出すよりも、時間をとって、しっかりと準備をしていただくという趣旨だと私は理解をさせていただきます。

 さて、その上で、これからのことでございますけれども、政府の方に確認をさせていただきたいのは、これから目指す公務員の具体像なんですね。先ほど大泉委員の方からも、この点については質問がございました。

 これまでの行政官、私も行政官の端くれだったわけでございますけれども、特にキャリア官僚と言われた方々に求められていたのは、当該分野、それぞれの分野におけるプロフェッショナルとしての立場ではなくて、むしろ、広く俯瞰をするというか、ゼネラリストとしての立場というのが求められているとよく言われておりました。

 そういった意味では、前政権のもとでは、本来ゼネラリストとしての役割を果たすべきだったのは政治家だったと思うんですけれども、それが実は政策立案を官僚に丸投げしてしまった結果、結果的には、官僚、特に幹部職の官僚がゼネラリストとしての役割を求められた、しかしながら、そのゼネラリストとしての立場を果たすことができなかったからこそ役所の縦割りの弊害というのが生まれたんだと思うんです。

 しかし、これからは、我が政権は違うんだと思うんです。きちんと政治家がゼネラリストとしての立場を務める、その一方で、官僚の皆さんには、政治家を支える、そのために必要な材料をさまざま提供していただくプロフェッショナルとしての立場が求められるのではないかと思うんです。

 そういった意味で、こうした役割分担に対しての考え方、繰り返しになるかもしれませんけれども、確認をさせていただきたいと思います。

大島副大臣 橋本委員の御指摘のとおりだと思っております。

 政権発足の昨年の九月十六日に、政と官の適切な役割分担と協力関係を目指し定められた「政・官の在り方」、これは閣僚懇談会の申し合わせ事項なんですけれども、ここで定義をされております。政は、行政が公正かつ中立的に行われるよう国民を代表する立法権者として監視責任を果たす、また、議院内閣制のもとで、政府に入り、行政の政策の立案、調整、決定を責任を持って行うとともに、官を指揮監督すると申し合わせておりまして、官については、国民全体の奉仕者として政治的中立性を重んじながら、専門性を踏まえ、法令に基づき、主に政策の実施、個別の行政執行に当たることとしておりまして、また、職務遂行上把握した国民のニーズを踏まえ、政に対し、政策の基礎データや情報の提供、複数の選択肢の提示等、政策の立案、調整、決定を補佐するということが基本認識として定められております。

 現政権下においては、この方針を踏まえて、各大臣の判断と指示のもとに各府省において適切に対応しているものと承知をしております。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 そういった意味では、人事管理についても、当然、幹部職とそれ以外の職員の皆さんとはやはり扱いが異なると思いますし、そういう制度設計になっているのではないかと思います。

 幹部人事については、先ほどから申し上げておりますけれども、ゼネラリストとしての政治家を補佐するという意味で、一般の公務員の皆さんに対して政治の意図をしっかりと伝えていただく、そういう意味から、府省横断的な人事あるいは政治主導の人事が求められる。一方で、一般の、それ以外の公務員の皆さんについては、むしろプロフェッショナルを、あるいは特定分野の専門性を育てるような人事が必要なのではないかと思っております。

 そういう意味で、私は官僚としての経験から言いますと、例えば、いわゆるキャリア官僚のローテーションというのはこれまで大体二年というのが周期だったんですけれども、これについても少し見直しをして、例えば三年とか五年、同じ分野でしっかりと仕事をしていただくといったようなことも重要ではないかと思っております。

 いずれにいたしましても、幹部以外の一般職についてプロフェッショナルを育てるという人事につきまして、その体制を含めて、お考えについてお伺いをさせていただきたいと思っております。大臣、よろしければ。

仙谷国務大臣 これは、政治家の方もみずからを鍛え、政党人材といいましょうか、政党を経営する、あるいは日本の官僚機構を経営する、あるいは国家を経営するという人材にお互いがお互いを高めていかなければいけないと思いますけれども、官僚の皆さん方もそういうプロフェッショナルとして、専門性の高い、そして政治家が責任を持って選び取る、決定ができる選択肢をある種の条件のもとに提示するということができなければいけないし、そういう人材をどのようにすればつくっていけるのかということは、これからの日本の大きな課題だと思っております。

 私自身は、本来的な意味でのガバナンスとか経営とか運営とかということが、やはり日本の戦後は特に軽視されてきたのではないかというふうな思いを大変強く持っております。

 一九九〇年代、八五年、七年という一つのメルクマールの年があるわけでありますが、そこまでは右肩上がりの経済成長があってキャッチアップ型で来れたわけでありますが、そこから先、とりわけベルリンの壁崩壊の、グローバリゼーションの中では、日本がみずからつくり出す、あるいは考え出す、あるいは選び取る、この行為はやはり責任というものが伴いますので、官僚の方々がそこまで責任をとることはできないし、とってもらってはいけない範囲だというふうに思っております。

 そうだとすると、全体的な視点から経営を考えていく、その人材をお互いに養成していくということが極めて重要だなという思いを強く持っておるんですが、どうもそこのところが少々惰性というか、輝ける日本の延長線上でなかなかそういうところに切りかわらなかった、こういうふうな思いで、これからは、特に橋本議員のような世代の皆さん方には、そのことを強く意識しながら日々の政治活動あるいは政策を勉強していただく活動に邁進をしていただけたらと思っております。

橋本(博)委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますけれども、私自身は政治主導というのは法律だけの問題じゃないと思っておりまして、もちろん、この法律はしっかりと通さなければいけないと思うんですが、それ以上に、政治家自身の覚悟なり活動というのがやはり求められるんだと思います。

 そういう意味で、今、政務三役の皆様にもしっかり頑張っていただいておりますが、我々もぜひしっかりと活動させていただいて、これからの公務員制度改革、引き続き頑張っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

田中委員長 次に、中川秀直君。

中川(秀)委員 また質問の機会を与えていただいた同僚議員に心からお礼を申し上げます。

 七分ばかり押しておりますので、早速入らせていただきます。

 まず、私、本年、この衆議院に議席をいただいて在職三十年になりますが、その経験も踏まえまして、練達の仙谷大臣、識見も高い仙谷大臣に、立法府、国会のいい審議というかいい議論、本来のあり方、こういうものについての考え方を伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 この公務員制度改革というのは日本の今の時点においては大課題だと思っておりまして、つまり、反対から言うと、日本のガバナンスをだれがどのように行うのかという課題でありますから、これは大変重要な、重要というよりも根幹の問題であるというふうに認識をしているところでございます。

中川(秀)委員 全然仙谷さんらしくなく、答弁がかみ合っていないですね。私は、国会、立法府の本来の審議、本来の議論というのはどういうものか、それについての御見解を伺ったんですが。

 私は、与野党双方が、こういう審議を通じて客観的な事実も共有しながら、そして相互理解をちゃんと進めて、一番いい妥協点を見つけたり、あるいはまたより少し次元の高い発想や整理によって一つの結論を得る、対立や矛盾点も解消するというのが一番いい国会の審議だと思うんですよ。そういう場面はかつても幾つかありました。

 そうでなくて、お互いにそれぞれがそれぞれの立場や思い込みで意見をぶつけ合っているというだけだったら、本来の審議とは言えない。簡単に言えば、そんな国会は必要ない。国民の一般の方々からも、何で国会というのはそういう姿ばかり見せているんだと。これは長い間、我々が言われていましたし、民主党政権になっても言われておりますよ。

 それについての見解を聞いているわけです。

仙谷国務大臣 私自身は野党議員が長かったわけでありますが、だからということでもなくて、やはり、政府といいましょうか内閣と議会のポジションというのは全く、全くとも言えないかもわかりませんが、相当違うと思っております。

 日本は、やはり閣法、内閣提出法案が多いわけでありますけれども、大統領システムの国はほとんど、立法権は議会にあって、議会が法律をつくるということになっております。

 私自身は、日本も、内閣提出の法案であろうとも、やはり議会には、私の言葉で言えば熟議の民主主義というふうに言っておりますけれども、これをやはり議会が行うのが一番いい。要するに、議会で議論をして、そこで練り上げて修正する、あるいは別途新たな法律を議会の中でつくり上げるということがあっても、これは十二分に、むしろその方が国民にはよく見えるし、議会での審議中に、国民のある種の合意といいましょうか、方向性といいましょうか、動向を勘案しながら新たにつくっていくというのは大いに結構というのが、私は一般的に考えておりますし、今までそういう主張を公にもしてきたところであります。

 ただ、これを妨げる条件が日本の議会にはやはりあるものですから、そこはむしろ与党が心して野党にもある種のことを約束していただくということがないと、日本の国会の制約、つまり会期制のもとでは、余り延々たる議論が行われたり、我々も野党時代、ある種、心の中ではじくじたる思いをしながら審議拒否をして寝っ転がるという行為もやったことがあります。

 政策議論を中心に、国民の世論動向をちゃんと見ながら新たな合意形成を図っていくという役目が議会の役目だと僕は思いますけれども、そういうふうになかなかならない不幸がまだこの国の議会には、いろいろな外的な条件、つまり会期制の問題とかいろいろな問題があるんでしょうけれども、そういうことで、できれば、できるだけ早い機会にそういう合意形成の場に議会がなった方がいいなというか、なるべきだなというふうに考えていることは間違いございません。

中川(秀)委員 さすが識見の高い仙谷さんの答弁だ、私はそう思います。

 であれば、今審議にかかっております当国家公務員法改正法案、先ほど、この重要性は大臣もお触れになられました。これについての政府の基本姿勢なんですが、鳩山総理が四月六日に、この法案について、野党との修正協議に応ずるつもりは全くないと明言されましたね。これは、総理大臣として、行政府の長としての発言なんですね。記者団に、この与野党の協議について、全くそんなつもりはない、こう答えた。公式発言です。

 こういう協議をするとかあるいは修正するとかいうのは、また国会でどのような法案を成立させるかというものは、まさに今仙谷さん言ったとおり、立法府、我々の権限ですよね。総理が行政府の代表者として、そういう修正協議は全く応ずるつもりがない、応ずるつもりは全くない、こう発言したことは、立法府の役割を完全に否定するものじゃないですか。私は、断じて許容できないと思いますね。これは権力分立の原則の筋の問題ですよ。いかがですか。

仙谷国務大臣 ただ、これは立ち位置というか立場性の議論でありまして、私も、全くとは申し上げませんけれども、できるだけ早く成立をお願いしたいということは申し上げたいと思います。

 そこで、総理は総理の立場として当然の発言をされたのであって、議会の審議権なりあるいは修正権を否定するつもりも全くないんだろう。もし、議会で議論が大いに闘わされて新しい合意形成の方に向くということであれば、それはそれで総理も御納得されるのではないんじゃないでしょうか。

中川(秀)委員 それは、今、仙谷大臣はこの法案の担当の責任者ですよね、その仙谷大臣の御見解であって、総理もそういうことではないんじゃないでしょうかねって、そんなあやふやなことでは、これは審議をちゃんとすることはできませんよ。

 権力分立の原則の筋の問題と言ったのは、あなたの同僚の枝野大臣ですよ。三月十日の当委員会で、枝野大臣は、この公務員制度改革法案、公務員法改正案の審議のあり方についてこう言っておるんです。国会の運営については国会の内部においてお決めいただくのが権力分立原則の筋でございまして、内閣の一員として、内閣の一員として、そこに口を出すべき立場ではないと思いますが、私どもといたしましては、国会に提案いたしました法案は、できるだけ幅広く多くの皆さんの御協力を得て成立させていただくことがありがたいというふうに期待をいたしております。これは正しい考え方だと私は思います。

 今、枝野大臣はそう言った、総理は、全くそんなつもりはない、仙谷さんは、まあ、総理としての立場の話で、当然の発言ではないか、しかし審議拒否するつもりはなかったのではないかと。そんないいかげんなことで審議なんかできますか。ちゃんと今から政府の統一見解をつくってくださいよ。それでなきゃ審議なんかできませんよ。

仙谷国務大臣 ただ、従前、自民党政府の時代にも、ほとんどの場合に、内閣の提案が最善のものであるからこれを早期に成立させてほしいというふうにずっと繰り返しておっしゃっていたんじゃないですか。

中川(秀)委員 いや、これは、与党として、ちゃんと審議もして政府が提案した、それをやはり最善のものとして通してほしい、それは当然のことですよ。しかし、与野党協議するつもりが全くないなどということを行政府の長が言っていたのでは、そんなの、国会なんか要りません。まさに、権力分立原則の筋の問題と枝野さんが言ったとおりですよ。それじゃできません。それはやはり総理の発言を撤回してもらわなきゃいけないし、あなたが撤回できなきゃ、鳩山総理に来てもらって正式に撤回してもらわなければ、我々は、そうでなければ、この法案審議は応じられませんよ。

 まあ、時間もありますから、今、ともかく、総理と国務大臣たる枝野さん、そしてまた担当大臣である仙谷さん、その見解が違うんですから、統一見解を出してください。総理と相談するんなら、今電話ででもやってください。お答えがあるまでこの場で待ちます。

仙谷国務大臣 どうも中川議員と、権力分立についての基本的な考え方が違うようであります。

 つまり、大統領制による、三権分立の、議会と、それと行政府、執政権、この関係と、議院内閣制、つまり、議会から選ばれて、議員であると同時に執政の責任者を務める総理の立場、つまり、総理の立場と、これは当然のことながら民主党の議員という立場も総理はあわせ持っているわけでありますが、先般の発言は、これはつまり内閣の、行政府の長としての、みずからつくった法案を早く皆さん方に御審議をいただいて、早く成立させたいということに尽きるんだと思います。(発言する者あり)

田中委員長 仙谷国務大臣、再度答弁をお願いします。

仙谷国務大臣 総理の発言の修正を求められても、私は総理ではありませんので、修正はできません。(発言する者あり)

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 中川秀直君。

中川(秀)委員 何回も同じことを言いますが、正確に聞いてほしいんですけれども、仙谷さんは、総理にもいろいろな立場があると。政党人の立場、総理の立場。しかしこれは、今マスコミの皆さんもいるけれども、総理としての記者会見での発言ですよ。民主党の中の党内議論でそういう議論をした、それは代表としてした、それは許容できるかもしれません。しかし、総理としての記者会見での発言ですよ。まさにこれは行政府の長としての発言じゃないですか。行政府の長が立法府の、三権分立の原則の筋の話について、そんな与野党協議なんかするつもりは全くないって、それで国会審議をやれと言うんですか。

 あなたは、そういうことは違うと言った。枝野さんも違うと言った。総理は堂々と記者会見で言ったじゃないですか。日にちもちゃんと言いますよ、四月六日、記者会見ですよ。ぶら下がりといったって公式の記者会見ですよ。それがおかしいではないかということ、あなた御自身だって、そういうことは望ましいことではないという趣旨の発言もしたじゃないですか、今。枝野さんも明確に言っているじゃないですか。

 政府の統一見解を出すのは当たり前じゃないですか。だから、それを出さなきゃ審議に入れませんよと言っているんです。何度も同じことを繰り返させないでください。

仙谷国務大臣 お言葉を返すようですけれども、中川先生、それはちょっとしたこじつけじゃないでしょうか。

 つまり、ここであなたから何を提案されても私はそういう議論をしたくないと言うのならともかく、国会の院外で、記者会見とおっしゃるけれども、これは多分、記者会見でもないですよ、言っておきますけれども。(中川(秀)委員「記者会見ですよ」と呼ぶ)いや、いわゆるぶら下がりというものですよ。

 それで……(中川(秀)委員「ぶら下がりだって記者会見ですよ」と呼ぶ)それはともかくとして、いいですか、もしここで修正協議が始まっても、修正協議が始まること、修正協議が煮詰まること、その時点でそのことを拒否するというのであれば、これは国権の最高機関としての議会のポジションを否定すると言われても無理ないけれども、審議が始まったときに、院外で、私は自信を持っているから早期に成立させてくれ、何が行政府の長としておかしいんですか。先生、それはこじつけですよ。そんなこじつけをやっちゃだめだ。

中川(秀)委員 応ずるつもりが全くないというのは、それはこじつけじゃないじゃないですか。応じないと言うんだから。

仙谷国務大臣 総理が応ずるつもりがないということを漏らしたとしても、いいですか、議会で修正協議が始まれば、そして議会がやればいいんじゃないですか。(中川(秀)委員「統一見解を出して」と呼ぶ)

田中委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 中川秀直君。

中川(秀)委員 いろいろ理事の皆さんも御協議いただいて、あえてさらに質問させていただきます。

 総理のぶら下がりというのは、あのように、ちょっとテーブルも置いてレコーダーも置いて映像も撮って、事実上、もう我々の時代から公式の記者会見と変わらないんですね。また、国民との関係でも、それはなるべく、一国の総理たる者が今どういうふうに重要な問題について考えているのか、それをマスコミの皆さんが聞かれて、答えていく、メッセージを出していく重要な機会ですね。だから、もうこれは公式のものと同じです。それは、委員長もうなずいておられるけれども、そういうものですね。

 そこで、そういう修正協議あるいは与野党の協議、国会での協議、これは応ずるつもりが全くない……(発言する者あり)だから、そう言ったと伝えられている、あるいは報道もされている……(発言する者あり)

田中委員長 静粛に、静粛に。

中川(秀)委員 記録も残っているんだよ、テープレコーダーも映像も。その上で私は今伺っているわけです。だから、それが、したかしないかわからないというなら、政府と与党の立場で確認するのが本当じゃないですか。

 もう一度繰り返しますよ。

 枝野大臣は、仙谷大臣も同じような御答弁を冒頭されたが、国会での協議、国会での運営については国会の内部、立法府において決めていただくのが権力分立の原則の筋でありまして、内閣の一員として、総理の場合は内閣の代表だよ、その者が口を出すべき立場ではないと私は思う、これが枝野大臣の答弁だ。仙谷大臣も似たようなことをおっしゃった。

 だから、確認してください。確認するまで審議に入れません。何回も申し上げているとおりです。

仙谷国務大臣 私も、約十七、八年の経験の中で、ある意味では大修正と言われるような修正法案をつくることに関与したことが三度ぐらいありますが、例えば一九九八年の金融再生法、結果的には、与党が丸のみをし、政府もそれを容認した、こういうケースがありました。そのときも、多分、私の記憶では、当時の政府は、修正をするつもりなどは全くない、途中まではそういう発言と態度でなさっていたと思います。つまり、あのときも、政府がつくった何とかバンク法案が最善のものであるから野党と修正などするつもりはないと。

 私どもも、がん対策基本法のときも、あるいは昨年の消費者庁の法案のときも、そんなに物欲しそうに修正修正なんというのは最初から言っていません。

 というのは、修正権が議会にあることは間違いない、私はそう思いますが、そう考えておりますが、それは議会の自律的な権限であるわけですから、議論がそのような方向で煮詰まって、協議が調って新しい合意ができれば、政府が泣こうがわめこうが、法律ができればしようがないじゃないですか。それに従うんですよ。それが法治国家ですよ。私はそう思いますよ。

 だから、この審議が始まる段階で、審議が始まる段階で、政府の法案提出の責任者がこの時点で修正について考えていないと言うことが、そんなに、そのことにひっかけて審議をとめるような話なんですかということを私は言っているんですよ。

中川(秀)委員 ひっかけてだとかそんなつもりはありませんよ。あなたも熟議の民主主義ということを言われたが、やはり、それはもう立法府が決める修正、修正権、当然のことです。そんなことはわかって聞いています。

 ただ、枝野さんも言ったように、このことについて、国会が決めることについて行政府の長あるいは内閣の一員、それが、始まる前から口を出すという立場ではない、こう言っている。そこをちゃんと認めて、言ったか言わないか確認してもらわなければ審議に入れないじゃないですか。そのことを申し上げている。

仙谷国務大臣 ぶら下がりの発言というのは記事になるときにはごく一部の場合が多いわけでありますから、これは、どういう文脈の中で、脈絡の中で、どういうニュアンスでお話しになったのか、私、確認をしておるわけでもない、存じ上げておりませんので、この一部をひっかけてというか揚げ足をとるような格好で、だから審議をできないというのは、中川先生ともあろう方が大人げない、私はそう思いますね。

 だから、そんなことを確認しないと審議が続けられないなんて、そんなことをおっしゃらないで、中身の議論を堂々とやって、その中から修正すべき方向がもしこの委員会の中で出てこられるとすれば、それはそういう手続に入っていただく分には、そのことについて行政府の方が、委員会の運営の仕方、あるいは国会の議事の進め方、あるいは合意の形成の仕方について一々文句をつけるということであってはならぬことかもわかりませんけれども、現時点で、この法案に自信を持っているという趣旨のことを言われたことがなぜそんなにひっかかっていらっしゃるのか、私は理解できない。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 では、仙谷大臣、今の答弁について、再度、明快な答弁をしてください。

 ということは、仙谷大臣が、今の、総理が言っていることは当たり前だと思われているんじゃないかというようなことでありますから、そうじゃないと思いますと。だから、仙谷大臣の口からそのことも含めて答弁してください。

 仙谷国務大臣。

仙谷国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、法案提出の責任者が、法案を出して、実質的な委員会審議が始まる前に、自信を持って提案した法案である、これを審議の上早く成立させていただきたいと言うことは当然だと思うんですね。当然だと思います。

 どういう脈絡で、もしおっしゃったとしても、修正協議に応ずるつもりは全くないとか修正協議に応じないということを言ったとしても、それはそれで、自信を持っているということの別の表現で……(発言する者あり)いいですか。内閣としては、私が先ほどから申し上げておりますように、どんな法案を出したときでも、当初の段階はそうじゃないですか。

 修正は、議会で自発的、自律的になさる権限だから、なさればいいじゃないですか、もしそういう機運が盛り上がってくるのであれば。私は、そういう経験も踏まえてそういうことを申し上げているんですよ。そこに政府としてくちばしを入れる、政府としてはその時点では修正協議に応ずるつもりは全くないと言ったとしても、議会が独自に修正協議を始めることを我々はあってはならぬということを総理も言っているわけでもないし、私も言っているわけではありません。どうぞ、もしそういう機運が盛り上がってきたら、どうぞ御自由に、自発的に、積極的になさって、新しい合意形成を生んでくださいよ。

田中委員長 中川君。

 それでは、暫時休憩といたして、確認をさせて、午後の委員会でそれを報告します。

 暫時休憩。

    午前十一時六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十五分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。仙谷国務大臣。

仙谷国務大臣 先ほどの鳩山総理の御発言についての確認でございますが、先ほど、十一時三十分ころに直接携帯電話で鳩山総理と交信をいたしまして、電話で確認をいたしました。

 もとより議会の審議権や修正権を否定する趣旨で申し上げたわけでは毛頭ない、それから、あのときのぶら下がりの発言は、政府としてベストな案を提出したという意味で、提出したということを強調して申し上げたということであります。

 なお、議会において修正協議の機運が盛り上がり、その協議がなされることについては何ら容喙するものではないし、それは議会の自律的な権限と活動である、こういう趣旨でございました。

 以上でございます。

中川(秀)委員 今、仙谷大臣が、委員長の御計らいで、休憩中に電話で総理とお話をして確認をされたということですが、くどいようですが、これは決してそういう話じゃなかったということではないんですね。ともかく、ここに私、手元にございますが、読売新聞、朝日新聞、時事通信、みんな同じように、国会での協議、修正協議ですね、それに応じるつもりは全くない、こうおっしゃっておられるわけですね。NHKじゃ映像も残っている、そういう話です。

 それについて、今、先ほどからお話ししているとおり、同じ内閣の中で、しかも内閣が提出する法律、その最高責任者であられる総理、同時にまた鳩山さんは与党の代表でありますね。そのお方が、ともかく、ベストであると言うのはだれだっていつでも言う立場でありますが、政府の立場で。しかしそんな、国会での協議や修正協議をするつもりは全くない、全くない、そう言ったんじゃ、もう出口が決まっているような話で、審議する意味がないではありませんか。

 それはまさに立法府の権限、そして大事な議論、これをもう全く否定する考え方になってしまうので、枝野大臣も言われたとおり、これは三権分立の原則の筋にかかわる問題なのでございます。だから我々もこだわったわけで、仙谷大臣自身も、熟慮の民主主義ということを自分もずっと主張してきたということも……(仙谷国務大臣「熟議」と呼ぶ)熟議の、だから熟議と申しました、熟議の民主主義、そういうことを主張してきたとおっしゃった。

 そうすると、担当大臣、法令解釈担当大臣である枝野さん、総理、違うじゃありませんか。そういう意味の統一見解をちゃんと出してもらいたい、そういうことを申し上げたのでございます。

 今の統一見解は、趣旨で申し上げたつもりは毛頭ない、つもりは毛頭ない、それじゃ私は統一見解にならぬと思いますよ。

 立法府とそしてまた行政府との関係、内閣が提出した法案と立法府の審議の関係、これについての統一見解を三大臣共通で、総理自身、つもりは毛頭なかったんだというんじゃなくて、ちゃんとした統一見解でその関係について出してください。

仙谷国務大臣 先ほど電話でも確認いたしましたが、議会と政府の関係、それから議会審議と政府提案の法律案の関係、すべて、私のきょうこの委員会で申し上げたことと鳩山総理の考え方は変わりませんので、そのことを御了解いただきたいと思います。

中川(秀)委員 変わりはないという御答弁だけれども、事がここまで参りましたら、やはり統一見解で、短い文章でも結構です、ちゃんと出してください。

 委員長、お取り計らいください。これはもう国会の審議のスタートの、原点のところですから、これはお願いします。

田中委員長 後ほど理事会で検討させていただきます。(発言する者あり)

 では、再度、仙谷国務大臣、答弁してください。

仙谷国務大臣 委員長に対する抗議的文言に私が答える立場には全くないと思いますが、先ほど、総理の発言の趣旨は私が申し上げたとおりでございます。

 ちなみに、枝野さんの発言がどうのこうのというお話もございましたが、枝野国務大臣が三月十日の衆議院の内閣委員会で中川秀直委員の質問に答えた答弁は、私が今手持ちの部分で申し上げますと、

 国会の運営については国会の内部においてお決めをいただくのが権力分立原則の筋でございまして、内閣の一員として、そこに口を出すべき立場ではないというふうに思っておりますが、私どもといたしましては、国会に提案いたしました法案は、できるだけ幅広く多くの皆さんの御協力を得て成立させていただくことがありがたいというふうに期待をいたしております。

ということでございまして、

 国会の運営については国会の内部においてお決めをいただくのが権力分立原則の筋でございまして、

と、まことにもっともなお話で、私の考え方と軌を一にしておりますし、総理の、先ほどの私が電話で確認をした総理の御意向、あるいは御発言の趣旨、そしてお話と、これまた全く同一でございます。

中川(秀)委員 前段の私の質問も、ちょっと仙谷大臣、読んでくれませんか。

仙谷国務大臣 どこまで前段を読めばいいのかわかりませんが、

  いろいろ改革の骨が今抜かれているコピペ法案だと申し上げましたが、まさに、総務省、人事院の機能移管なんか入っておりませんし、それから、その機能移管をやらないのは明確な基本法違反で、これは一年以内でやるという基本法だったんですから。これは民主党も賛成した、合意した基本法ですよ。この違反状態を、それを回避するために、違反を回避するために十一条の方を民主党だけで勝手に直してしまうというのは、共同責任者である自民党としては全く納得できないことです。

  最後にそれだけお伺いして、私の質問を終わります。

と。

 その前に労働組合の関係をお聞きになっておるわけで、枝野国務大臣の答弁は、

  まず、連合は私どもの支持母体ではなくて、私どもを応援していただいている団体の一つでございます。

  その上で申し上げたいと思いますが、

というところで、先ほどの

 権力分立原則の筋でございまして、

というところにつながるわけでございます。

中川(秀)委員 私の大事な質問のところをわざと落として、質問をつままれたんですか。

 私は、やはりこういうものは与野党でしっかりと議論をして、そして、国会で修正するような協議をちゃんとやるべきではないかと。それに対する答えですよ、今の、枝野大臣が御答弁をなさったのは。(仙谷国務大臣「では、全部読むよ」と呼ぶ)いやいや、そこは要りませんよ。あなた、内容の話だけ読み上げただけで、内容の冒頭にちゃんとあるでしょう、与野党でちゃんと協議していくべきではないですかと。

仙谷国務大臣 では、一番最初から読みましょう。

  もう一点だけ。

という発言があって、

 連合の古賀会長が、公務員制度は基盤的行政だから、政権交代しても安定的に機能する必要があるので、与野党が協議を尽くして国民的合意形成を図る必要がある、これは、皆さんの支持母体である連合の古賀さんの昨年三月の有名な談話ですが、まさに、公務員制度改革は与野党が協議を尽くして国民的合意形成を図る、その決意は今の政権も変わらないんでしょうね。

  というのは、公務員制度改革法案は強行採決はしないということが大事ですよ。与野党協議をちゃんとやるということが大事ですよ。それをしないで、さきに与野党合意で成立した基本法を与野党合意なく勝手に改正する。今度の法律は、基本法まで改正しているんですよ、今度の法律で、基本法まで改正しているんですよ。そんなことはしないということをちゃんとやらないと私はいけないと思いますね。

と。そしてさっきの

  いろいろ改革の骨が

こうなっておりますね。

中川(秀)委員 つまり、それが私の尋ねたところであって、国会の運営というところを先ほど強調されたが、まさにそういう修正協議、いろいろなそういう協議、与野党の協議、これが重要ですよということを申し上げたのに対して、枝野さんがそう答えたんですよ。それは間違いありませんね、日本人ならわかるはずですね。

 だから、何度も繰り返しますが、権力分立の原則の筋の問題ですと枝野大臣が言われた、権力分立の原則の筋について、政府の統一見解を、簡単でいいから文書で出してください、そう申し上げているわけです。

仙谷国務大臣 先ほど委員長の方で理事会に諮るというお話がございましたので、どうぞ理事会の、それこそ国会の運営については国会の内部においてお決めいただくということで処理をしていただきたいと思います。(発言する者あり)

田中委員長 政府の統一見解として仙谷大臣が述べられていると思いますので、再度、仙谷大臣、そのことに……(中川(秀)委員「政府の立場でちゃんと答えて」と呼ぶ)政府の立場で。

仙谷国務大臣 総理大臣あるいは私、そして枝野行政刷新担当大臣の、議会と政府、議会の審議と政府の関係については、全く同一の統一した見解であるというふうに考えております。(中川(秀)委員「その内容について」と呼ぶ)

 さっき申し上げたとおりでありますが、議会における審議権、修正権というのは、おのずから議会が自律的に決定をされることであって、それがいいとか悪いとか、そういうくちばしを政府の側から入れるという対象ではないというふうに考えております。

中川(秀)委員 再度確認しますが、それが政府の統一見解、このように受けとめてよろしいですね、そういうふうなことでよろしいですね。

仙谷国務大臣 最初から申し上げているとおり、政府の統一した見解です。

中川(秀)委員 わかりました。

 であれば、総理のおっしゃった、全く修正協議に応じるつもりはない、これは撤回された、そういうことでよろしいですね。

仙谷国務大臣 ぶら下がりの発言ですから、それを総理がこういう趣旨だと改めてぶら下がりでおっしゃるかどうかは、これは私が総理でないからわかりません。

中川(秀)委員 政府の統一見解だと今言い切られた。それに対して、それは総理の発言が撤回されたということですねと私が確認した。それはまたぶら下がりで言うかどうかわかりませんと、それじゃ答弁にならないです。

仙谷国務大臣 総理の発言が、私がここで申し上げた趣旨、そういう中身だ、意味内容であるというふうに御理解いただいて結構だと思います。

 ただ、撤回という言葉を、撤回という言葉を今中川議員がお使いになりましたので、私が人の発言を撤回することはできないということであります。

 ただ、総理に発言の趣旨を確認いたしましたら、こういうことだと、先ほどから申し上げているとおりでございます。(発言する者あり)

田中委員長 仙谷国務大臣、再度政府見解を今のような形で述べてください。

仙谷国務大臣 国会の審議権、修正権、これは自律的なものでございますので、国会が、審議が熟して、その機運が出てくれば、どうぞ修正協議をおやりになっていただいて、それは政府がくちばしを入れることではありません、こういうことが我々政府の統一した見解であると先ほどから申し上げているわけであります。

中川(秀)委員 だから、それは、これだけメディア社会で全部記録まで残っている。総理の、私は公式だと思いますよ、ぶら下がりというのも、記者会見だって。

 そういう、協議にも応じるつもりは全くない、それは、今の、仙谷大臣が総理とも相談され、政府の担当大臣として統一見解を出されたという内容とは違いますから、記者会見で言われたことは。だからそれは撤回したことですねと確認をしているんだ。それに対して答えていただけばいいんですよ。

仙谷国務大臣 もし総理がそういう発言をして撤回をすることがあり得るとしても、撤回できるのは発言した御本人だけですから。

 私は、どういうニュアンスでおっしゃったのか、自分の耳では聞いておりません。

 先ほど、十一時三十分に総理に確認をいたしましたら、私が先ほどからこの場で発言しておるとおりのことをおっしゃったということであります。

 そういう意味内容だとすれば、これは実質的に撤回したのと同じだなともし中川議員がおっしゃるならば、私も、まあまあそんなものでしょうねというお答えをするしかないんじゃないんでしょうか。(発言する者あり)

田中委員長 仙谷国務大臣、再度、今のことについて明快に。

仙谷国務大臣 発言の撤回というのは発言した人じゃないとできないんじゃないですか。(発言する者あり)だから、あのときの発言は実質的にこういう意味だ、意味内容だと御理解いただけるんだったら、それはそのとおりです、こう申し上げているんじゃないですか。

田中委員長 政府統一見解として述べられているんですから、それは、その総理の発言も、枝野発言も、仙谷発言も同一見解という形で認識していただいて結構じゃないんでしょうか。

中川(秀)委員 繰り返しますが、野党の各党の理事の皆さんもおっしゃっているとおり、まさに三権分立の原則の筋の話で、これは僕はこだわって意地で言っているわけじゃないんですよ。やはり立法府の一番大事な点だから。そこについて、枝野大臣、仙谷大臣、総理の発言、余りに乖離があり過ぎる。

 修正協議なんてするつもりは全くありません。行政府の長ですよ。だから、それが今の統一見解でそうなんだとおっしゃるなら、事実上記者会見、これは準公式ですよね、公式と言ってもいい。それは撤回したのと同じですね、撤回されたんですね、その確認をされたんですね、こう聞いたんです。そうしたら、思うとか思わないとかということで明確な御答弁がないから。

 撤回するというのは、これは確かに総理の発言は総理しか撤回できないかもしれないが、政府統一見解というのは、枝野大臣も含めて政府の統一見解なんですよ。当然、総理はその主宰をしている立場なんですよ。であったら、撤回じゃないですか。それを聞いているんですよ。

 撤回しないんだったら、これは審議なんか入れませんよ。入り口で出口が決まっている法案を何で審議しなきゃならないの。

仙谷国務大臣 この国会の場で私が発言したことを、間違っていて、撤回せよと言われれば、私は自分が誤っていることが理解できれば直ちに謝罪もし、撤回もするつもりでございます、そういう場合は。ただ、先ほどから申し上げているように、人の発言を撤回せよと言われても、そういう私の責任下において発言したものでない部分は、これは撤回せよと言われても撤回できない。

 ただ、意味内容がこういうものであるんですねということで御了解がいただけるのならば、それはそのとおりでしょうと。だから、総理に確認をいたしましたら、ベストだということを強調した、そういう真意である、発言である、こうおっしゃっていますから、議会の審議権、修正権は、これはこれで、日本国憲法に定められた国権の最高機関として、立法をつかさどる機関として当然のことである、こういう趣旨であるという確認をしておりますので、中身はそういう趣旨なんでしょうなと言われれば、それはそうだ。

 もしそうならば、それは実質的に撤回したというのと同じじゃないか、こう言われれば、それもそのとおりでしょう、こう言うしかないでしょうね。それは認めます。(発言する者あり)

中川(秀)委員 今、議場からも話があったけれども、閣議もちゃんと開いた政府見解、そういうものを出すのは、私も官房長官や長く国対委員長もやりましたが、野党からも、仙谷さんからも、そういうものは、部外の、国会外の発言でも求められたことはあります、正直言って。そういういろいろな議論の中でやってきた。

 だから、その経験からして、そんな手続論を云々くんぬん余り言いたくはないんだけれども、しかし、しかし今仙谷大臣がそうおっしゃったならば、修正協議も、何にもそういう協議もする必要がないと、法案提出の政府の代表がそう言って最初から出口を決めているんだったら、審議する理由がない。修正協議しないと言うなら、ベストの案で、このままでいいと。だから、それは立法府の審議権や修正権は否定するものでない、それだから協議はちゃんとやるんです、全くつもりがないというんじゃなくてやるんです、そういう意味であるというふうに考えるのが自然でしょう。

 そうなったら、これはもう撤回した、事実上撤回したとあなたが思われるのならそう思うというんじゃ、それじゃ政府の統一にはならないのであって、政府としてそういうものはちゃんと受け入れますと、そういうことですね。

仙谷国務大臣 先ほどから申し上げているとおりでございまして、一般的にも、あるいは憲法論的にも、政府と議会の関係、国会の関係というのはそういうふうに律せられていると私は認識をし、自分でもそう考えております。

中川(秀)委員 ということで、総理の発言も、事実上そんなつもりはないと。内閣の主宰者ですよ、まさに総理ですよ。それが、そんなつもりはないと言うのは、間違いだった、誤りだ、私は担当大臣としてそう思います、そういう意味での撤回です。こう言っていいですね。

仙谷国務大臣 どうぞ、そういうふうに御理解ください。

中川(秀)委員 最初からそう言っていただければ。何で十五分もかかったのか、ちょっと疑問に思いますね。

 総理がそういう立場を、ちゃんと仙谷大臣が担当大臣として、まあ実質、仙谷大臣がそう言えば、総理だって、筋が間違っている発言をしてしまったんだ、思わず口が滑ったのかもしれませんが、しかし、これは、国会でいつもこういうのが問題になる。そういう発言をしてはいけないんです、法案を提出している政府は。それはもう仙谷さんはよく御存じですが。そういうことをちゃんと注意もしていただきたい。二度とそんな発言をしないようにしていただきたいと思っております。

 それでは、ようやくこれで本当の審議に入らせていただきます。

 今、私は、霞が関の問題を、組織、といっても民間企業に例えるならばそれぞれ部ごとに、霞が関でいえば省ごとになりますが、部ごとに人事課が独自の人事をやっておる。部ごとに人事をやっておる。それで、部ごとに、批判されているような子会社への再就職の面倒を見ている、こういう状態じゃないかと思いますよ。だから、働いている人は、社長、政府の場合は総理の言うことは聞かない、再就職の面倒を見てくれる部の言うことしか聞かない。こんな制度を続けていたら、あるいはそういう部分が残る制度を続けていたら、国民も役人自身も不幸だ、このように考えています。

 その諸悪の根源は何かというと、簡単に言えば、二十代前半の一回の試験にパスすることで生涯仕事の世話をしてもらえるという、いわゆる身分制度、身分制度。特権的という言葉をつけてもいいかもしれませんが。そして、その身分制度の内側で、仲間の間の評判だけで出世が決まるという、ある意味の仲間の評判、つまり、憲法に定められた国民への奉仕、国民へそういう奉仕をする、あるいはそういう問題を解決する、そういうことによる実績で評価されるのではなくて、その身分制度の上に立った共同体、身内共同体とでも言ってもいいですね、そういうことで出世が決まってくる。こういう組織に問題が一番ある、根源がある、こう思っているんです。

 だから、大事なのは、国民のために働く、そういう立場で、身分から、国民のために働くというとうとい職業なんだ、そういうふうに変えていくというのが公務員制度改革の一番大事なポイントだ、私はそう思っています。

 これについて、特権的な身分制度やそういう身分共同体の解体こそが公務員制度改革の目的である、仙谷さん、この問題意識を共有していただけますか。

仙谷国務大臣 その限りにおいては一〇〇%問題意識を共有いたします。

 さらにつけ加えますと、私は、公務員の世界が、無謬主義といいましょうか、間違ってはならないし、間違わないし、間違うことはないという、この神話といいましょうか幻想といいましょうか、これにかたく覆われていることもまた大きな問題だというふうに考えております。

中川(秀)委員 議員立法提出者はいかがですか。

菅原議員 中川議員におかれましては、公務員制度改革、まさにライフワークとして取り組んでおられることに敬意を表する次第でございます。

 今お話しの点でございますが、霞が関というのは、やはり民間企業と違いまして、民間と隔絶した極めて特異な身分制度あるいは共同体構造、こういったものが色濃くあるわけでございまして、この解体こそがまさにこの公務員制度改革の目的である、このことについての思いは共有してございます。

中川(秀)委員 客観的事実を共有して、さらに次元の高いところでお互いに新しい発想や新しい取り組みを共有していく、そういう国会審議で法律が成立していく、これが国会の、立法府の役割ですよ。だから最初の点にこだわったわけです。

 そういう意味では、今、現在の公務員制度が抱える身分制度、身分から職業へということを変えていくのが改革の目的だ、それから、身内共同体、そんなことで人事が決まることをなくしていかなきゃいかぬという点は、まさに仙谷大臣も議員立法提出者も共有していただいたわけです。

 そのために、そういうことを変えていくためにまずやらなきゃいけないことが、それこそが、天下りや裏下り、肩たたき、こんなものの根絶だろうと思います。

 鳩山政権は、私の感じでいうと、天下り、裏下りの解釈というものをどんどん狭めて厳密にして、範囲を狭めていって、実態は何にも変わっていないにもかかわらず、政権は天下り、わたりを根絶したと言っているように私には見えてしようがない。ちょっと残念でなりませんね。

 ちょっと、定足数、足りているの。

田中委員長 大丈夫です。

中川(秀)委員 では、具体例でその点を聞きます。

 民主党は、野党時代に、固定的、指定席のポストについての批判をしてまいりました。私は、これは極めてもっともな批判だと思っています。

 ここにございますが、私の質問書に対する二月二十六日の閣議決定の、天下り、わたりに関する政府答弁書、ここで、政府系金融機関の天下り、わたりの実態が明らかになっています。余りに膨大なので、幾つかの例を抽出して、今、委員各位のところにお届けしているのが、前回の委員会でも配ったんですが、こちらの二枚紙の委員会資料でございます。

 あれだけ野党時代に天下りや裏下りを批判してきた、そういう民主党です。きっと、この膨大な天下り、わたりリストの中に、民主党の定義で許すことのできない天下り、わたりの事例があるんじゃないかと思います。この質問は事前通告していますが、仙谷大臣、この中で、民主党の天下り、わたりの解釈で許すことのできない天下り、わたりは具体的にどれですか。また、その理由はどれでしょうか。

仙谷国務大臣 中川議員からお配りをいただいております資料を拝見いたしますと、これは、当然のことでありますけれども、すべて鳩山政権以前の政権で行われた人事でございます。個々の人事について、どういう理由でこういう人事が行われたのか、私にはわかりません。

 現政権では、府省庁によるあっせんの有無にかかわらず、特定の企業、団体等との癒着や行政の無駄などの原因になるような再就職は極めて問題があると考えております。府省庁によるあっせんの事実は確認されていないものでありますけれども、事実上の天下りあっせん慣行があるのではないかとの疑念を抱かせるような公務員の再就職についても、我々は、国民の疑念を解消するために厳格な監視を行おうと考えております。

 ここに示された一覧、基本的に、今、政策金融公庫ですか、それと、その中の輸出入銀行、国際協力銀行ですか、この人事について、どれが天下り、裏下りと言われるものか、あるいは問題があるかというのは、他の人事権者が行ったものでありますので、私の方からコメントをいたしますのは差し控えたいと思います。

 ただ、私の問題意識は、当然のことのように、つまり、年功を経るに従って、はまりポストというんですか、当然の行き先であるかのような人事がなされるということは、これは一つの大問題だというふうに私は考えております。

中川(秀)委員 あえて議事録をまた引っ張り出すつもりはありませんが、ずっと、仙谷さん、また民主党は、こうした例の固定的な指定席ポストというものを、これはまさに天下りの典型であって許せないんだと批判してまいりましたね。そして、政権交代して、こういうことはなくしていくんだということを言われましたね。だったら、これの中でどれがそれに当たるのか、やはり明確にするというぐらいの姿勢がないといけないんじゃないかと私は思いますよ。

 これは任命権者がどうのこうのの問題ではなくて、まさにこの法案の根幹にもかかわるところであって、そういう見解を私は求めたわけですが、どうも具体的に答えられないということだと、それは、こういうケースについても今後も甘い対応をしていくんだ、そんなふうに受け取れてしまいますよ。明確に、こういうものは私たちは今後許しませんと言えばいいじゃないですか。それが大事だと思います。

 今のお手元の配付資料を見ていただきたいんですが、これは三月の十日にも本委員会に提出した資料なんですけれども、これは、二月の二十六日の閣議決定の天下り、わたりに関する政府答弁書で明らかになった、固定的、指定ポストの実態の一部なんですね。

 そして、三月十日、今、仙谷大臣もおっしゃったが、ちょうど仙谷大臣が予算委員会へ行かれたものですから、枝野大臣がかわって御答弁されて、これらの役員ポストの人事において、同一の役所からの就任は認めない、他の役所とのたすきがけ人事も認めないのかと聞きました私に対して、枝野さんは、「御指摘のような問題が生じないことを目標にしていきたいというふうに思っております。」と。これもちょっとふわふわっとした答弁で、心配だなと思うんですが、今、仙谷大臣も似たような御答弁であった、こう思うんです。

 それじゃ、もう一つ、もっと詰めて伺いますが、三月の二十三日に閣議決定をされました、これも私の質問書に対する答弁書なんですが、行政改革、公務員制度改革、天下り根絶に関する政府答弁書、これをどう解釈したらいいのかということなんです。

 それで、繰り返しますが、今の仙谷大臣の御答弁、それから三月十日の枝野大臣の、御指摘のような固定的、指定席ポストにどんどん同じ役所から行くというようなことを、そういう問題が生じないことを目標にしていきたいという答弁に対して私はさらに質問したわけですけれども、この三月二十三日の政府答弁書はこういう答弁書なんですよ。ちょっと仙谷大臣、よく聞いてください。大臣、聞いておられる。(仙谷国務大臣「はい」と呼ぶ)はい。

 「お尋ねの機関のポストについては、主務大臣が適材適所の人事を行うべきものであると考えており、その際、」その際ですよ、「識見及び能力を有しないにもかかわらず特定の府省庁を退職した公務員であるという理由のみによって同一府省庁出身者が何代にもわたって当該ポストを占めるような問題が生じないよう、適切に対処してまいりたい。」(発言する者あり)ちょっと横でうるさいよ、君。

 もう一回繰り返しますよ、大事な点なので。そういう、固定的、指定席ポストの天下りというのは、「主務大臣が適材適所の人事を行うべきものである」が、「その際、識見及び能力を有しないにもかかわらず」という条件が入っているんです。特定の府省庁を退職した者が同じ「退職した公務員であるという理由のみによって同一府省庁出身者が何代にもわたって」その「ポストを占めるような問題が生じないよう、適切に対処してまいりたい。」

 「識見及び能力を有しない」、ちょっと、今のリストを見て、仙谷さん、識見、能力を有しない人はいますか。

仙谷国務大臣 このリストに掲げられた人がどういう識見と能力を有しているのか、存じ上げている方はごく一部分しかございませんけれども、つまり、識見及び能力を有しているのか否か、私が全く存じ上げない方がほとんどだ、こういうふうに理解していただければいいと思いますが、私自身の感覚でいえば、一般的な識見及び能力を有しているかどうかはともかくとして、このポストにふさわしい識見及び能力を有しているかどうか、これは、私の目から見ますと少々疑問に思う方もいらっしゃいます。

中川(秀)委員 しかし、大事なのは、そういう、知っているか知っていないかという問題じゃなくて、これはまさに政府の答弁書ですから。

 つまり、主務大臣がそれぞれ人事をやるんですね。その主務大臣が、その役所の次官あるいは次官級審議官、局長をやった方もいるかもしれませんが、今のリストはほとんど次官クラスですね。その役所の次官まで務めた人、次官クラスの仕事をした人、それを、識見及び能力を有しないと判断できますか。そして、判断しない限り、固定的、指定的ポストへの天下り、わたりは可能であるという答弁書になってしまいますよ。

 私は、その意味で、今仙谷大臣に、そういう問題が生じた人事はどうですかと聞いたんですが、逃げの答弁で、明確な御答弁がなかった、このように受けとめざるを得ません。

 つまり、そういう役所の事務方のトップまで行った人を識見及び能力を有しないなどと言うことは、普通のケースではほとんどあり得ないですよ、主務大臣がそんなことを言うことは。こんな答弁書では、結局、当該ポストを占める固定的、指定席ポストの天下り、そういう人事はこれからも続いていくということになってしまいます。結局、そういうのに当たらない人はだれもいない。我々もそれは反省もございますが、自民党政権時代二十年間も、民主党が問題とする天下り、わたりの問題は存在していなかった、逆に言えばそうなってしまう。

 だから、この意味するところは、同じように固定的、指定席ポストに天下りが続いていくということじゃないでしょうか。結局、天下り、わたりの定義をどんどんこの政府の答弁書のように狭めていくことで、実際はこのような天下り、わたりの全面開放をしているということになりはしないか。

 議員立法提出者にこの点について聞きます。

菅原議員 OBのあっせんいかんにかかわらず、聖域なく民主党は天下りを根絶する、選挙のときこう訴えておられました。

 しかしながら、この七カ月間、OBのあっせんと言いながら、水面下で役所のあっせんが存在をしているということは、いわば霞が関では公然の秘密でありまして、今お話があったように、識見や能力いかんにかかわらず、いわば指定ポストで切れ目なく省庁のOBが就任をし続けているということは、OB個人がばらばらにあっせんをしておったのではそうはならないわけでございますので、この点、私ども、しっかりこの固定的な天下りポストを根絶すべきと考えておりまして、そのように取り組みを進めていきたいと思っております。

仙谷国務大臣 この具体的な人事は当然のことながら私の所管ではございません。人事権者は内閣官房長官、内閣総理大臣が決めることになるわけでありますが、つまり、先ほどの中川議員の論理でいきますと、財務大臣は、財務省から次官を推薦してきた場合に、識見がないとか見識がないとかいうことで拒否できないのではないか、こんな邪推といいましょうか勘ぐりでお話をされておるように私には聞こえました。

 なぜ今まで自民党政権時代にそのことのけじめがつかなかったのかというのは、私にとっては甚だわかりにくい理由でございますが、今度は、多分ことしの六月あるいはその後にも陸続と、中川議員が御指摘になっている、いわゆる特殊会社というんでしょうか、この種の法人についての人事が参りますので、まあそのときの人事をごらんいただければよくおわかりいただけるのではないかと思います。

中川(秀)委員 そういうのは、何か国会答弁として、半分は許容しますが、半分は、私の聞いている法律論、私は閣議決定した政府答弁書のことを聞いているんですからね。まあ今後の成り行きを見てくださいと。片方、議員立法提出者の方は、野党側の方は、根絶しますと、反省も込めて言っているわけですよ。それに対して、政府側、代表して仙谷さんは、まあ今後のやることを見てくださいと言うだけで、政府答弁では、今までどおり続けますということが十分可能な答弁書を出している。これで両法案の基本哲学の違いというか姿勢の違いが私は出ているような気がしますね。

 事実上、固定的、指定的ポストの天下り、裏下りを容認する、そういう政府答弁書であった、一方、自民党やみんなの党の提案は、根絶するという哲学でこの法案を提出している、そういう御答弁であったと言わざるを得ません。

 それでよろしいですか。

仙谷国務大臣 私は、声高に何を言おうと、やることが違っていればこれはもう全く意味がないと。

 特殊会社の人事については、中川議員が御指摘になられたところは、特に我々としては注意して人事を行わなければならないと思っております。

 さはさりながら、御指摘になった会社以外にもいろいろなケースがあって、私自身は、元官僚であろうが、現在官僚の人であろうが、その人の持っておる能力を十分この日本という国で生かし切らなければならない、あるいは使わせていただきたいというケースもこれは十二分にあり得るというふうに考えておりまして、一律に、一切、官僚のうち幹部職員を務めた者は、政府とある種の関連のある機関の、機構の、組織のポストにつけてはならない、こういう絶対的なルールを引いた瞬間に、これまた大変バランスを失した、ある種の、日本にとって悪い結果になる可能性があるということで、この政府の答弁書もこういう少々の柔軟性を持たせた書き方になっているというふうに理解をしております。

中川(秀)委員 含みのある発言のところは注目をしてまいりますが、能力そしていろいろな経験、そういうものが評価をされての人事が行われる、私はそれも否定しているわけじゃありませんよ。

 ただ、固定的に指定席ポストで、ずっと代々同じポストの人が行くというのは、それは国民の目から見て、これはもう決まったルートになっている。あるポストは、こちらから来て、交代交代で今度はこっちが来る、ずっと続いている、あるいはこの表にあるようにずっと切れ目なく続いている、そういうことについて、問題を提起して、そういうことはやらないんですねと聞いている。

 だから、そういうことはやりませんと、一方は根絶しますと言っている。一方は、何か、やり方を見てください、含みのあるような御答弁。根絶する、そういうずっと続けるやり方を根絶すると言われたらいいんじゃないでしょうか。その方が国民の理解が得やすいんじゃないですか、仙谷大臣。

仙谷国務大臣 役所の管轄下にある機関について、役所の次官経験者あるいは長官経験者がつくというようなことは原則としてあってはならないと私は考えておりますし、多分、今の官邸はそういう人事はしない。だから、見てください、こういうふうに申し上げているわけであります。

中川(秀)委員 それでは、もう押し問答しませんが、根絶する、議員立法提案者と同じ、そういう姿勢である、このように受けとめさせていただきました。反論があるならどうぞおっしゃってください。

 きょうはもう時間が、いろいろな、入り口のところの、総理の、本当に口が滑ったというか軽率な御発言のせいで、これは大事な三権の話ですから時間がとられてしまって、大事な質問はいっぱいあるんですが、もう余り時間がなくなってきております。

 広い意味の天下りについて、ちょっと問題提起だけしておきますが、職員の退職管理に関する政令というのが平成二十年十二月二十五日に公布されています。もちろん前内閣であります。

 簡単に言えば、監視委員会の委員長が任命されるまで、内閣総理大臣が権限を所要の読みかえで行使するという経過措置なんですが、これを仙谷さんが予算委員会でえらい問題にしたんですよ。覚えておられますね。こんな、政令が法律に優先することができるのか、おかしいじゃないか、憲法七十三条をどう考えているんだと言われた。私も、さっきの国会の議論もそうですよ、憲法をどう考えているんだというのと同じですよ。あなたも同じように、こういうことについてはこだわられた方ですよね。私は、それは正しいと思う。

 では、この規定は今も有効なんでしょうか。では、有効でないと判断されているならば、廃止手続はしたんですか。

仙谷国務大臣 御指摘のこの経過措置、私は、こんな政令がつくられてはならないと今の時点でも思っておりますけれども、もちろん一回も発動されることはなく、今回の法案の施行に伴い廃止することになるということでございます。

 再就職の規制違反行為の調査は、国公法上、調査権限を行使することが本来想定されております中立公正の第三者機関において行うことが適当、あるいは、そういう第三者機関でなければ本来の意味がないというふうに考えているところでございます。

 御質問にお答えいたしますと、現時点ではまだ廃止されておりませんが、今回の法案の施行に伴い廃止するということでございます。

中川(秀)委員 政令なんだから、あれだけ仙谷大臣が予算委員会でも問題にされたケースだから、そんな、今回の法案で廃止する、手続するんじゃなくて、すぐ閣議で廃止すればいいじゃないですか。その辺の姿勢が、どうなのかと思われる、あるいは言われる点でもあるんですよ。ぜひ官僚に巻き込まれないようにしていただきたいと思います。

 幾つか私伺いたいことはあるんですが、もう時間が来てしまいました。正直言いまして、仙谷さん、調べてほしいんですが、私の質問主意書の答弁書で、例えば損保協会の副会長の人事について、事実関係の確認を行っている、しかし、調査はしていないという答弁をしているんですよ。

 私は、これは今さっきの問題とも絡みますけれども、なぜ調査をしなかったのか、なぜ事実関係の確認だけにとどめたのか、それでは鳩山内閣はどんな確認というのをしたのか。そんな姿勢では、裏下りや広い意味の天下りなんか阻止できませんよ。具体的な行動で見ていただきたいと仙谷さんはおっしゃったけれども、具体的な行動をとっていないではありませんか。それが政府答弁書で出ているんですよ。やはり、単に確認じゃなくて、調査するのが本当じゃありませんか。

 今度の法律だって、調査、そういうことをすることになっているんでしょう。しかも、調査するといっても、その調査権限は、証人喚問を受けたそのときに虚偽の陳述をしたときは刑事罰が入っていますというだけです。そんなことは現行法の調査妨害の刑事罰であって、そんなのは当たり前の話ですよ。そうでなくて、天下りそのもののあっせんについて刑事罰を設けるというのが正しい考え方で、それは、議員立法提出者の方がそういう規定を盛り込んだということは私は高く評価している。そこのところで、どうも言うことと実際行っている行動が少し違うのではないかという疑問を持たざるを得ないわけでございます。

 最後に、私は時間を守る方ですから、民主党は七分もおくれたけれども、私は守る方ですから、これを最後の質問にいたしますが、まだまだ聞きたいことはいっぱいあります。もう一つだけ言っておきますよ。

 審議が十分尽くされていないときに強行採決なんか絶対してはいけませんよ。そのために、これは、私はこれからもこの国会の場でしっかり、大事な制度ですから、議論する時間をとっていかなきゃいけない、このように思います。

 古賀連合会長の発言は、私への答弁に対して仙谷さんが紹介していただいたから、これは枝野さんが私の質問に対してさっきのような答弁をしたんですが、繰り返しません。これは本当に基幹的制度だから、与野党共同でちゃんとした制度にしていくということが今後の国民や公務員にとっても重要なことだ、そのことを強く申し上げて、最後の御答弁をいただきます。

仙谷国務大臣 先ほどのお話は、一つは、政府が人事権を持っている特殊会社のお話が最初ありました。それについては、官邸のといいましょうか、これからの我々のビヘービアといいましょうか、人事をぜひごらんいただきたいということであります。

 それから、次に損保協会の話がございました。これもある種の確立されたルートがあるのではないかというお話でございまして、これについては、全く政府からお金も出ず、何にも、いわば政策、法律上の指定とか何とかもない、完璧な民間の法人でありますが、しかし、歴史的にここに歴代副会長さんとして何とか長官が行っていらっしゃるというケースでありますので、今度中立公正の第三者機関である再就職等監視・適正化委員会が新たに設置されますれば、この種の問題については調査権限を行使することが想定されている同委員会、つまり再就職等監視・適正化委員会というところが調査する、そのことが適切であると考えています。

 それから、先ほどのあっせんについての刑事罰のお話がございました。

 私も刑事罰の自民党提案を拝見しておりまして、この間からの議論を聞いておりまして、私が少なくともこの四十年なりわいとしてきた弁護士という職業からする刑罰感覚、刑法感覚というものからしますと、何でもかんでも罰則をつけて刑事犯罪にすればいいという事案と、そうじゃない事案というのが明らかにある。私は、このケースは、刑事罰をもって禁止をする、予防をするというふうな事案ではない、そういうふうに考えております。

 現時点では、不正な行為によってこの種の行為を行った場合には、当然のことながら各刑法犯あるいは国家公務員法違反事件として刑事事件にもなるということが規定をされておりますので、あっせんそのものが発覚したらこれを刑事罰の処分対象にするというのは少々刑罰権の濫用的になるのではないか、こういう心配をしておりますので、我々としては刑法犯にしなかったということでございますので、御了解をいただきたいと思います。

中川(秀)委員 もう時間ですからやめます。

 しかし、そういう姿勢ではこれはなかなか根絶できないというのが現実で、もう少し、仙谷さんは現実のことを一番御存じの方ですから、そういうような発言でなく、真剣に取り組んでいかなければいけない、私はそのことを強く申し上げて終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十一分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。甘利明君。

甘利委員 本当に随分久しぶりに質問をいたします。七、八年ぶりですか。ここのところずっと答弁ばかりしていたものですから、質問して自分で答えちゃわないように気をつけながら質問をさせていただきたいと思います。

 ようやく国家公務員法改正案の審議が始まるわけであります。

 思い起こしますと、もう二年以上前になりますか、政治主導をしっかりと進めていこうというもとに、国家公務員制度改革基本法、当時は渡辺喜美大臣でありました。渡辺大臣が提出をされて、この法案が、たしか反対は共産党だけでしたでしょうか、大多数の政党が賛成をして成立したわけであります。

 渡辺大臣の後、短い間、茂木大臣というのが入りました。その後、私が担当したわけでありますけれども、基本法というのをまずよく読み返してみました。

 国会の大多数が賛成をして成立した基本法が具体的な指示を出しているわけですね。普通、基本法というのは理念が中心なのでありますけれども、この公務員制度改革基本法というのは随分と具外的な項目がたくさん入っている基本法だなということを思いました。掲げる理念に基づいて具体的にこういうことをやりなさいという指示が各所に書いてあったわけであります。

 まず、一条にその目的が書いてあるわけでありますけれども、その一条の目的を達成するために、幹部職やあるいは管理職のあり方をこういうふうに規定せよ、それから、将来その管理職や幹部職になって日本の官僚機構を担っていく若手を育てるという意味で、幹部候補生の育成課程の設置を各省に要請しているわけであります。

 とかく幹部職のことばかりが言われるのでありますけれども、しっかり読みますと、この基本法には、幹部職だけではなくて、管理職について、あるいは幹部職、管理職候補生について、そしてもっとしっかり読んでいきますと、一般職の職制にまで改革の手を広げているわけであります。

 でありますから、私に言わせますと、グラデーションをかけながら公務員制度というのをしっかりグリップしていく。一番上の方は一番きついグリップになります。次は少し緩くなる。下の方はもっと緩くなる。でも、ガバナンスのグリップが途中でとまっているんじゃなくて、全部下まで行っているんだということをしっかり認識しなければならないわけであります。

 人事院であるとか、あるいは総務省、そして財務省もありますが、そういう人事にかかわる関係省から機能移管をして、その機能移管をした内閣人事局というのを一年以内に設置せよ、これも基本法の指示であります。それから、それ以外のかかわる法案整備を三年以内にちゃんと終えておけ、そして、全部がきちんと動き出すようにするのを五年以内にせよというふうに要請しているわけであります。かなり細かいところまで要請をしている基本法なんですね。

 私が就任しましたときには、正直言って、かなりストレスがかかる状態でありました。内外から、どうせ骨抜きになるんじゃないかとか、やれ先延ばしになるんじゃないかとか、やれ官僚にだまされておしまいだとか、いろいろな話がもううんざりするほど私のところに入ってきたんですね。

 私の性格はこのとおりでありますから、ならば徹底的にやってやるということで、有識者会議というものを徹底的に、ハッパかけて動かして大議論をさせて、それから、具体的な工程表に各項目を落とし込んでいく作業があるのでありますけれども、そのためのプロジェクトチームというのを編成して、それも徹底的に、回数をふやす。一カ月に一回なんかとんでもない、毎週やれ、毎日だってやれということを要請しました。

 この有識者会議というのはフルオープンにしましたから、動画で同時中継で配信ですから。その中で必ず私は出席をしました。それから、プロジェクトチームが終わった後には必ずブリーフをするということで、極力オープンでやっていったわけであります。まさに休日返上ぐらいの勢いで、幅広い議論と深い議論をして各項目を詰めて、それを工程表につくったわけであります。

 それから、やれ改革のスピードが遅いだ何だと絶対に言わせまいということで、基本法が要請している工程を全部前倒ししろという指示を大臣名で出しました。つまり、一年、三年、五年というスケジュールがあるわけですね。それを、一年を短縮したらゼロ年になっちゃいますから、内閣人事局をあした出せなんということは幾ら何でも不可能でありますから、そこの一年部分はおいておいて、三年、五年を一年ずつ前倒ししろということで、一年、二年、四年に前倒しして、それに加速をさせる議論の濃密度を上げたわけであります。

 そういう経緯を経て、昨年の通常国会に、第一弾としての、今ここに出ています法案の、私が担当したときの旧法でありますけれども、内閣人事局の設置のための法案を提出したわけであります。

 ところが、あれだけ審議を急げと国会内で言われていたにもかかわらず、ちっとも審議に入らない。急いだ方がいいじゃないかと思ったのでありますけれども、全然審議に入らない。結局、審議入りしたのはもう会期末ぎりぎりでありました。これじゃとても成立はしないかという悲観的な思いにも駆られましたけれども、そこで、実は水面下の与野党協議の場がずっと生きていましたから、これを断続的にやって、最後はかなり精力的にやりました。

 そこで、衆参一週間ずつあれば何とかなるよと民主党さんから言っていただきました。もっと日程が詰まってきたら、最後は、大丈夫ですよ、大臣、衆議院と参議院を両方まとめて一週間であっという間に通せますからという返答が来たのであります。それは何をしたかというと、水面下での与野党歩み寄り作業というのをしたのであります。さっきまでさんざん騒ぎになっていましたけれども、修正に応ずる、応じないで。

 私も答弁する側に何度もなりましたけれども、そのときに我々が一番気をつけなきゃいけないのは、行政の長として、国会に対しての敬意をどれくらい払うかということを物すごく注意しなきゃいけなかったんですよ。

 だから、もちろん、政府案というのはベストだと思うから出すわけですよ。もっといいのがあると思いますけれどもとりあえずこれを出しましょうなんという態度は、それは政府はとっちゃいけないんですから。だから、これがベストですと。そうすると、記者会見でも、修正はどうするんですかと必ず聞かれるんですよ。そのときに、もちろんベストだと思っています、しかし、もっといい方法があるということを与野党で協議されるのであるならば、それは国会の意思として最大限尊重しますと必ず答弁で言わなきゃならないんですから。それが国権の最高機関たる国会に対する敬意なんですよ。国会議員は自分たちのよって立つ基盤ですから、その敬意を忘れちゃいけないということをたたき込まれるんですね。

 さっき、委員の中で言い合いになりましたけれども、あなた、ここに何年いるんだ、一年生も十回生も一緒だと。一緒なんですよ。そういうつもりで言ったわけじゃないんです。そういう長い歴史、我々が積み上げてきた国会をいかに大事にするか、国権の最高機関をいかに大事にするか、そういう歴史を知っているでしょうということを言いたかったわけなんであります。まあ、余計な話になりましたけれども。

 その修正協議を経て、一週間でもいけるというところまで行った。ところが、例の内閣不信任案が出ましたから、不信任案が出た以上は議論ができないということで、これが泣く泣く廃案になっちゃったわけなんです。

 でありますから、新しい内閣ができた、特別国会はともかくとして、臨時国会が開かれた。ここまで歩み寄って、一週間で衆参を通せますよと。これは私が言ったんじゃないですよ、民主党の担当の責任者の方から私に言われたことなんです。でありますから、あっという間に臨時国会で政府提案のものを今度は新政府提案として出されて、そしてあっという間に成立するんだろうと思っていましたら、議論のギの字も出てこない。それで、結局出てきたのが、一年たった今なのでありますね。

 その内容を見てびっくり、私は思わず卒倒しそうになっちゃいました。結局、与野党合意ができる、これでいきますというのからすると、似ても似つかないものになっちゃった。要するに、幹部職の職制を一つにします、要はそれだけなんですね。あと、組織改編に伴うリストラに伴う天下り支援もしてあげますということが続いている。本体は、幹部の職制を一つにします、以上、おしまいということなのでありますから、一体、我々の歩んできた歴史というのは何だったんだと。

 総務省とは、機能移管に関して、事務方でやらせた後、総務大臣をつかまえて何度も大臣折衝ですよ。基本法はみんな賛成したじゃないか、その趣旨をないがしろにするのかと大臣同士でやり合いましたよ。人事院とは、例の報道されたとおりのチャンチャンバラバラ、絶対引かぬぞと。

 私、この人事院の機能移管の歴史をずっと見ましたら、法的には可能だ、でも、抵抗勢力に遭って、できない歴史なんですね。昭和四十年代からずっと歴史をひもといてみましたよ、何で、この問題は出てきて、いつもだめになっているのと。

 結局、官僚機構の最後のとりでというのが人事院になっちゃっているんですね。だから、そこが突破できない。それで、突破できないから、今度も抵抗していればどうせあきらめるという対応だったわけです。ほかの大臣ならともかく、相手はおれだぞ、私は絶対引かぬからねと言いまして、もう宣戦布告みたいな話ですよ。相手を見て考えてください、ほかの大臣ならともかく、相手は甘利明ですからということで押し切ってきたんですね。

 そこまでしていろいろ来た歴史、私の歴史は何だったんだろうか、こんながらんどうの法案が出ちゃったということで、愕然としたというのが正直な思いなんですね。

 そうやって苦労して、与野党の関係者にも汗をかいてもらって提出した。その法案がだめになって、今度の法案が出てきた。基本法の一番の出し主であった渡辺元行革大臣が仙谷大臣に、麻生内閣のものだってはるかにこれよりよかったじゃないかと。あのときに、ましだという表現をしたんですか。ましだというか、うんといいと思うんですけれども。そう言ったときに、いや、渡辺さんはよく御存じでしょう、どうしようもなかったじゃないですかというふうに仙谷大臣が答弁されたやに聞いております。私は現場にいませんでした。伝聞です。

 少なくとも、私は、それだけ苦労してつくって、与党の諸君にも野党の皆さんにも汗をかいてもらって、本当によくやってもらって、それこそ胸を張って出せる法案だったんです。それがなっていないと。突っかかりたくないですけれども、何がなっていないんでしょうか。

仙谷国務大臣 おっしゃるとおり、当時の甘利大臣が大変御苦労なさって、いろいろなどたばた劇の末に改正案を国会に提出されたことを見ておりました。昨年の三月三十一日だったと思います。

 日にちは定かではございませんが、その直前に、昨年の年明けで、この改正案が国会に提出される前に渡辺喜美さんが離党をされて、公務員法の改正案の策定に関して種々批判をされていらっしゃったこともまた疑いのない事実であります。

 私の記憶では、この国家公務員法の改正案を策定するについて、今ちょっとお話が出ましたが、人事院の総裁の反乱的行動があって、あれやこれやの議論をされておったと思います。

 そういう経過の中で、法案はできたわけでありますが、これはなぜ審議が始まらなかったのか。多分、その法案をかけた委員会にまだほかの法案が順番としてかかっておったということなのかどうなのか、それは私はわかりませんが、いずれにしても、六月の二十五日に衆議院の本会議で趣旨説明と質疑が始まったわけであります。

 その前に、士気の高い霞が関の再構築を実現するための研究会一同が、ありていに言えば、この公務員法の改正案では不十分だ、そしてまた、その研究会の皆さん方が、中馬行革本部長と大島国対委員長に対して、天下り、わたりの全面禁止、幹部公務員法案の今国会提出等を求める決議文を賛同者百二十五名の名簿で提出をしたというようなことがおありになって、新聞報道等々を見ておりましても、政府と政府内部の、人事院を含む各省庁のあれこれの本音のところでの調整の未了とでもいいましょうか、そういう事態、さらには、自民党の中で、果たしてこの法案でいいのかどうなのか、どうもそういう議論がおありになったのではないかと私は思っております。

 さらに、私がどうしようもないというふうに申し上げたのは、そういう事情に加えて、私が公務員制度改革担当大臣という職をいただいて、事務局がどうなっているのかというふうに拝見しましたら、そこは私にとってはある意味で伏魔殿のような世界でございました。つまり、二派、三派に分かれているのか分かれていないのかわかりませんが、それこそ幹部の公務員同士が次々と、半分リークをしながら、半分だれかをだれかがああだこうだというふうな話が、これも霞が関の各省庁を巻き込みながらそういう議論が行われているということがわかりました。

 これではとても法案の策定も、あるいは法案を国会にのせても審議にならないという、その程度のことは私にも見きわめがつきましたので、ああ、これはもう少し落ちついて、事務局人事でも時期を見てやりかえない限り、この法案を国会に提出して成立を図るということはできないだろうというふうに考えたわけでございます。

 今申し上げたようなことが、私が渡辺大臣の質問に答えた中身でございます。

 それで、渡辺さんがあの種の批判をされる、私に対して批判をされるのはそれは構わないわけでありますけれども、実は、甘利大臣もこの間の事情をよくおわかりになっていると思いますが、さらに渡辺さんも大臣経験者で、まあ早い話が、あの役人は渡辺派であるとか、いや反渡辺派であるとかなんとか、そんな話が飛び交うような話は多分渡辺大臣はよく御存じなんだろう。そういう事情を知りながら、そのことを棚に上げてああいう批判的質問をされたので、実はあなたが一番よく御存じなんじゃないんですか、こういうことを申し上げた、こういうことであります。

甘利委員 私が就任したときも、週刊誌からアングラ週刊誌からいろいろなことが入ってくるし、いろいろなことが言われるし、私が発言してもいないことが報道されたり、ひどい目に遭いましたよ。そして、この人はあっちの方を向いているんじゃないか、この人はあっちの方を向いているんじゃないかという話は確かにありました。ありましたけれども、私は、少なくとも大臣としてリーダーシップをとって、いいものをつくろうと。それで、いいものはつくったはずなんです。内容のことを言っているんですよ。法案が提出されて、仮に内閣不信任案が一週間遅かったとしたら成立しているわけですから。それは民主党さんも、これでいいですと。若干の修正を両者でやったんですよ。それで、ほとんど大宗を変えないで、これでいいと。

 だから、中身について、私が苦労してつくった、それはろくなものじゃなかったという批判であるならば、これは対抗しなきゃならないという気持ちですが、まあそういうことでもないようですので、次の質問に移りたいと思います。

 政府案の中身についての質問、こういう点が不備じゃないかという指摘はこれからすることとして、まずその前に、この公務員制度改革というのは、官僚主導から政治主導へ、もっと言えば官邸主導へということのシンボリックな法案である、政と官のかかわり合い方はどうあるべきかということからスタートしている法案なんですね。

 その際に必ず出てくるのがイギリスの制度の話で、いろいろな資料を見ました。これは菅さんが、まあよくイギリスにほれていらっしゃると思うぐらいイギリスの話が出てきて、我々もこういうふうにするんだ、政権をとったらするんだということもおっしゃっています。菅大臣が、国家統治の理想像をイギリスに求めて、イギリスのガバナンス手法が民主党の目指すところだということを、ここにも資料がいっぱいありますけれども、あちこちで発言されているわけです。

 そこで、これは本当は菅大臣に伺いたいと言ったら、財務大臣はここへ来ませんということだったので、まあ民主党の方針なのでありましょうから全閣僚が共有しているものだと思いますが、民主党政府が目指すべき国家統治のあり方、政とそれから官との関係についてはどうあるべきだということをお思いなんですか。

仙谷国務大臣 私も、菅副総理が、岩波新書の「大臣」という本を初め、政府のガバナンスについて、イギリスを大変高く評価しながら、日本もできる限り取り入れたいというような方向でいろいろ考えていらっしゃるのは承知しておりますが、これは菅さんは菅さん、私は私ということで、必ずしも菅さんが言うとおりではございません。

 というのは、日本はある意味で民主主義の歴史がまだ六十五年ぐらいであります。イギリスの場合は特に、議会制度といいましょうか、議会ができて、ハー・マジェスティーというか女王陛下の内閣がつくられるようになってから、もう六百年ぐらいですか。だから、それはやはり民主主義とか政府の成熟度が全然違うというふうに私自身は思っています。

 それは、ある意味で、僕はケンブリッジは行ったことはありませんが、オックスフォードの町に足を踏み入れてちょっと雰囲気を感じるだけでも、やはりリーダーのというか政治家のというか、あるいは政治家のリーダーをどう養成するのかということについても、歴史の積み重ねが全く違うなというふうにも思いますし、多分、官僚のあるべき姿を、大学教育の中でどのようなことを教育し、どのようなことを訓練するのか、あるいはプロの官僚制度の中でどのように官僚が育成されていくのかということについて、それほどつまびらかにはしませんけれども、もともと成文法の国じゃない国で、慣行的に積み上げられていった何らかのものがあってああいうことになっている。それから、もちろんシンクタンクの状況というのもイギリスと日本では違います。

 だから、現時点で、ああ、イギリスはよくできているな、イギリスのこういう制度を取り込んでこようね、こういうふうに言って、もし制度として移植しても、それがうまくいくかどうかというのはまた別問題だというふうに思います。

 やはり日本は、それこそ和魂洋才、翻訳的適応というのが最近あるようでありますが、つまり、特に近代国家の民主主義の諸制度というのは、法律からして、すべてある意味では輸入品といえば輸入品であります。ただ、これを日本的に使いこなしてきたというか、使ってきたという部分も日本の場合大いにあるわけで、そういう意味で、今度の公務員制度改革というのは、戦後六十数年ぶりにめぐってきた、ある意味で我々が、今甘利議員もおっしゃるようなガバナンスについて、特に政府を経営するという観点で、霞が関の官僚の方々あるいは一般職の方々、この方々に、どう政治の意思を貫きながら政府という組織を運営していくのか、このことを、試行錯誤の部分があるかもわかりませんけれども、学んでいかなければならないし、それを習得しなければならないと考えておりまして、ここから始まるんだろうな、こういうふうに考えております。

甘利委員 この質問をするに当たって、菅さんの発言していらっしゃる資料をかなり集めてみました。

 菅さんは、たしか六月にイギリスに行かれて、前の労働党の副首相と話をされて帰ってきているわけですね。我々は、こういう政と官のあり方、もっと言えば公務員の制度、これを我々が政権をとったら実現するんです、そのお手本ですということを副総理大臣がおっしゃっているわけですね。

 仙谷大臣が、私には私の考え方があります、それはそれで結構ですが、副総理との考え方のすり合わせをきちんとしていただかないと、また閣内が不一致だというようなことになりかねない。ここは、仙谷大臣の思いは思いとして、担当大臣ですからそれは私は尊重しますけれども、ここにも書いてあることを持ってきましたけれども、副総理大臣が、我々が政権をとったらこういうふうにやるんですということをおっしゃっている以上、ちゃんと考え方のすり合わせはしていただきたい。

 そもそも、私は、仙谷大臣と同じように、日本には日本のやり方があるから、そのまま移植したって、いろいろなバックグラウンドは違うんだという、それは共通の思いだからこういう質問をしているんですよ。

 菅さんが帰ってきて、イギリスはすばらしい、イギリスの制度がやはり最高だと言った二週間後にもう報道されましたけれども、イギリスの下院の行政特別委員会というのが、わざわざ二週間後、我々のやってきたやり方はうまく機能していないという議会報告を発表しているわけなんですね。これは物すごい皮肉で、何も帰ってきて二週間後に発表しなくたってとか、あるいは発表する二週間前に行かなくてもいいじゃないかと思ったのでありますけれども。

 何が間違っているのかといいましたら、閣外大臣、日本でいえば副大臣、それから政務次官、日本でいう大臣政務官、この閣外大臣や政務次官が自身の存在を示すことにきゅうきゅうとなって、周りの事務官僚、これがこの閣外大臣や政務次官に振り回されて、長期視点の政策づくりであるとか通常の業務、これに大いに支障を来していますという発表を彼ら自身がしているのであります。それなのに、これがすばらしい、このとおりやるんですと言っておられるわけですから、まるで漫画じゃないかというふうに感じたわけなのであります。

 イギリスの官僚組織が政治的中立が確立していて、野党はおろか与党とも接触禁止にしているということはつとに有名でありますけれども、菅さんのイギリスの元副首相との対談の話を読んでいましたら、まずアドバイスを受けましたと。大体、日本では役人が質問取りに行くらしいじゃないですか、そこが間違っているんだ、そこから直しなさいと言われて、そのとおりだと深く感銘をしましたと書いてあるんですけれども、私のところに最初に質問取りをしてきたのは役人です。どうなっちゃっているんだろうなと思って、これは違うんじゃないのというお問い合わせをしましたら、副大臣、政務官の意を受けて役人が動いておりますと。これはもう言い逃れの天才だなというふうに思った次第なのであります。

 菅副総理が何とおっしゃっているかというと、イギリスでは、「官僚は閣僚以外の議員に対する接触が原則的に禁止されている。省庁間の調整や与野党への説明などは基本的に全て政治家である副大臣や政務官の仕事となっている。このようにイギリスにおける官僚は内閣をサポートする専門家集団と位置付けられている。」「民主党政権では官僚組織はイギリスと同様あくまで内閣をサポートする専門家集団と位置付けたい。」こう書いてあるわけなんですね。

 菅副総理が解説されているとおり、イギリスの官僚組織というのは政治的中立性というのを厳しく要求されますね。日本よりはるかに厳しいと思います。そして、安定的な、強固な、ステーブルな組織であって、職業公務員集団とも言えるものです。さっき、女王陛下の云々という話がありましたけれども、まさに女王陛下の官僚集団という認識から、与野党に対して中立的な立場にいて、そして接触するのは政府に入っている議員だけということになっているんだと思うんです。

 日本では、官僚主導から政治主導、官邸主導ということをはっきりさせるために、大臣の官僚に対する人事権を今度の改革でより明確にしようとしているわけですね。人事権は所管大臣にあり。今までもそうなんですけれども、何か、事務次官に人事権があるような状態じゃないのかと。

 私は自分でやりましたよ。人事のときに、御意見はありますかと次官が来たから、こういうことと、こういうことと、こういうことに気をつけて原案を出してこいと指示を出しました。こうやって、いや、これはこっちにすると、自分で判断しました。サプライズとかいろいろ書かれましたけれども。それを大臣はできるんです。だから、やればいいんですけれども、それがどうも、何となく、突然来た大臣にはわからないような仕掛けになっているのではないか。だから、もっと大臣の人事権をはっきりさせようというふうにしているわけなのであります。

 菅副総理がこれに倣いたいと言っているイギリス、イギリス流にするんだとここに書いてあるわけですけれども、イギリスでは官僚に対する大臣の人事権というのはあると思いますか。質問通告していませんから感想だけでいいです。思うか思わないか。

仙谷国務大臣 多分、ごく一部には、政治家、大臣の人事権が存在しているというふうに理解をしております。

甘利委員 済みません。これはいきなりの質問だったので、ちょっと戸惑われたかもしれませんけれども。

 結論から言うと、公務員の人事権は大臣にないんですよ。不思議なことですけれども。菅副総理が目指すイギリスには、官僚に対する人事権は大臣にないんです。

 どういうスタイルになっているかというと、私はこのことは不思議に思ったので、イギリスに行って、公務員局長と一時間数十分、本当にそうなのかと、いろいろなケースを出して議論したんですよ。ないんですね。

 イギリスでは、課長ぐらいまでは年功序列で上がっていきます。それから先の、日本でいういわゆる幹部公務員のポストについては、全部、公募、内外公募なんですよ。つまり、だれかが定年でも何でも来てやめるでしょう、そうすると何とか局長というポストがあくんです。あくと内外公募にかけるんです。その選考は当然大臣がやるんだろうと言うと、大臣は口を挟めませんと。だれがやるのと言ったら、事務次官ですと。事務次官が決めるの、基本的にそうです、まれに官房副長官がかんでくるということがあります、しかし、それは事務の官房副長官ですと。つまり、政治家は全然関与ができませんと言うわけですよ。

 そんなことをいったって、おかしいじゃないか、だって、大臣が自分で使う部下なんだから、こういう人間を何とか局長に使いたいという大臣の意思というのがあるでしょう、そのとき、私がこれを使いたい、そういう意思というのは尊重されないのかと言ったら、ありませんと。不思議なことですねと。では、大臣がこの人間をこの局長として使いたいというときはどういう手だてがあるんだと言うと、そうですね、まあ、公募を勧めるぐらいでしょうね、こういう話なんですよ。

 だから、私が言いたいのは、菅副総理はイギリスの政治と公務員制度とのかかわりはすばらしいとおっしゃっているけれども、それでは、何で大臣の人事権がより明確になるようなものを出すんですかということを菅さんに聞きたかったが、来ないとおっしゃるので仙谷大臣に伺ったら、私には私の考えがありますと言うから、またここでちょっとすれ違ってしまうのでありますけれども、そういうことなんですよ。

 菅大臣も公募でやるということ自身はおわかりいただいているようなんですね。これもいろいろ資料を集めてみました。これは菅さんの発言です。

 「イギリスの例で言うと、同じ役所にずっといる人というのは例外的で、横断的に所属が変わっていくし、場合によっては民間に出ていき、また民間からも入ってくる。面白いことに、あるポストが空くと全部公募制なんですね。人事の扱いが全然違うし、六五歳までいればちゃんと年金がもらえるから、あたふたと天下り先を探す必要もない。」年金は日本にもあるんですよ。

 大臣、これも感想だけでいいですよ。通告していないから、ついでに聞きますけれども。例えば、イギリスやドイツの公務員年金と日本の年金と、どっちが多いと思いますか。

仙谷国務大臣 ちょっと、先ほどのイギリスの公務員制度の任命権の問題は、甘利議員のお話と違う部分があるように思います。

 特に、上級公務員が、あきができた場合に公募をする、これで採用が行われるというところまではそうでありますが、内国公務の長、これについては候補者名簿の中から首相が決定し、任命。それから事務次官も、内国公務の長の推薦に基づき、首相が任命する。局長クラスも、内国公務の長の推薦者に対する首相の承認を経て、これは各大臣が任命する。その上の上級公務員、シニアについては各省事務次官が任命する。こういうことになっておるようでございまして、どうも、やはり先ほど私が申し上げたように、一部を除いては事務次官、だけれども、事務次官を含む一部のシニアな公務員については、やはり首相が決定して任命するとか、あるいは首相の承認を経て各大臣が任命するということになっているようであります。

 年金の点についても、私も定かなことは存じませんけれども、何か人づてに聞いた話ですと、日本の公務員の年金制度よりもはるかにいいという印象を持っております。つまり、もう少し具体的なイメージでいうと、明治時代、大正時代、あるいは昭和の三十年ぐらいまでの高級公務員といいましょうか、官吏と言われた人たちの恩給ぐらいの恵まれ方というか、処遇のされ方をしておるような、そんなイメージで受け取っております。

甘利委員 今、国家公務員法の改正では何をやっているかというと、幹部職すべてについて大臣の人事権が、明確にやろうということをやっているわけですよ。

 先ほどの、大臣に人事権がないというのは、私は何度も向こうの公務員局長に、女性でした、今もそうでしょう、では、こういう場合はどうなんだ、ああいう場合はどうなんだと確認してきた話ですから。後ろの方で事務方が何を言っているか。あなた確認してきなさいよ、イギリスに行って。一時間何分、私は不思議に思ったからやり合ってきたんだから。その結果を言っているんです。

 では、仮に次官だけはそうだとしても、ここでやっているのは、むしろ、次官をなくそうとか、次官を同列にしようと。幹部職全部についての大臣の人事権を言っているんですから、方向性ということでいえば、大臣に人事権はない、それはそのとおりですということなんですよ。間違っちゃいけないです。

 それから、年金の話。何でここで年金の話なんか出すかというと、イギリスのようにするんだ、イギリスがいいんだ、イギリスはちゃんと年金につながっていって天下りをする人なんかいないんだ、だからイギリスはすばらしいと菅さんがおっしゃっているから、では、イギリスではどんな年金なんですかと。これは、日本人の退職金も入れてです。退職金も入れて、二十年間生きるとして、二十年間の退職金をならして年金に全部組み込みます。ですから、退職金が高いからということは、この際ちゃんと織り込み済みです。

 そこで、比較をしますと、局長クラスでいうと、イギリスは年金千六百十八万です。ドイツ千百二十万。日本六百二十二万です。日本の約三倍ですね、退職金を織り込んでも。課長クラス、イギリス九百七十二万円、ドイツ八百十八万円、日本四百五十一万円。

 つまり、ベースが違うものを比べて、向こうみたいにちゃんと年金でやっていなさいよ、だから天下りはけしからぬと。私は天下りがいいなんてちっとも言っているわけじゃないですよ、議論のベースが違うものと違うものをつなぎ合わせて、それであっちがいい、こっちが悪いなどと言うこと自身がおかしいということを私は言いたいのであります。

 大分時間が過ぎてしまったんですけれども、そろそろ法案に入りたいと思います。

 この国家公務員法の改正というのは、基本法の要請を具体化するものであります。その基本法は、何をどう変えたいのか。基本的な目的、理念というのは、まず、目的は一条に書いてありますね。その一条の目的を実現するために今我々は具体的な作業をしているわけでありますし、これからも作業をしていくわけであります。

 一条が求めている目的、国家公務員の制度をどう改革していくべきか、その目的とは何ですか、まずそこから伺います。

仙谷国務大臣 基本法第一条には、国民全体の奉仕者である国家公務員一人一人が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行できるよう、これが基本法の目的であるというふうに承知をしております。

甘利委員 私、昨年、法案を提出するとき、あるいはその前に工程表を綿密につくるときに、基本法を何度も何度も読み返したんです。基本法は何を要請しているんだろうかということを何度も読み返しました。そこの一条、要するに、どういう社会をつくるんだ、どういう政治と官僚制度のかかわり合いをつくるんだ、そのつくることは、何を実現するためにそうしなきゃいけないんだということをよく読み返しました。

 そこでは、社会経済情勢の変化に対応したものとする、つまり、これは国内外のいろいろな変化についていける日本にするんだ、そのための改革なんですね。

 よく引き合いに出されるのがダーウィンの進化論、正式には「種の起原」であります。この「種の起原」ではどういうことが言われているか。釈迦に説法だと思いますけれども、生き残る種とは、体の大きな種でもなければ、力の強い種でもない。生き残る種とは、環境の変化に対応できる、その種こそがまさに生き残ると言っているわけですね。

 つまり、これは国家も同じだと思うんですね。社会経済情勢が変化する、国内外の状況がうんと変化をしている、そこの変化に気がつかないで安穏としている国家は滅びていくんですね。ですから、つまり、世の中の変化、世界の変化に対応して、それを先取りして手を打っていく。政府が手を打つというのは、それに対する政策をどんどん出していく。それを機動的、果断にやっていくということで日本が生き残る、そのための公務員制度にしましょうよという話なんです。

 ということは、政策をつくるときに、世の中の要請というのは変わっていきますよね。例えば、戦後最初のころは、国民を飢えさせてはいけない、食料をしっかり管理して届けることが大事、食管政策が何よりも大事ですよ。だから、その部署というのは、農水省のみならず、政府としても一番大事な部署でしょう。ところが、市場がしっかりしてきて、食管自身、食糧庁自身が要らないという時代になれば、そんなポストは重要度はうんと下げるんですよ。むしろ、農水省に行ってみれば、今、WTO対応のポストの方を充実させなきゃいけないんだと思います。私は、WTO交渉にずっと十日間、七大臣会議に夜中の二時まで議論し合いに行ってきましたから、これは痛感しますよ。

 会社だってそうですよね。商社、日本の得意の形態ですけれども、商社だって昔は平たく言えば口銭稼ぎでしょう。それがだんだん自分で提案をし、投資をし、人材を派遣しという、仕事をプロデュースしていくというか、あるいは最近でいいますと、商社の最大の稼ぎ頭というのは資源ですね。ポストがどんどん変わってくるわけです。

 つまり、変化に対応するというのは、昔は重要だったけれども、こんなところじゃなくてこっちの方が重要だ、むしろこんなポストは要らない、こういうポストを開設しなきゃならない、このポストの重要度を上げなきゃならない、これが変化を先取りして手を打つことでしょう。それはすなわち経営判断なんですよ。トップの判断でやっているんです。会社なら当たり前です。

 国でいえば、それは政府、官邸がその指揮をとって、キャビネットのもとに、これから日本としてはどういう政策を前へ出さなきゃならない、この政策は引っ込めていい、こっちのポストの重要度を上げる、これが一丁目一番地じゃないですか。一条が要求しているのはそこでしょう。

 一番大事な一丁目一番地、級別定数、機構・定員機能を持たなきゃならない、それが欠落している。これは何でですか。

仙谷国務大臣 今冒頭におっしゃった社会経済情勢の変化に対応しなければ生き残れないといいましょうか、これはまさに、ちょっと不必要な話でありますが、政党も同じだなと思いながら聞いておりました。つまり、変われない政党はだんだん沈んでいくと。我々も、民主党もそのことに自戒しながら進めないと、たちまち自民党さんのようになってしまうのかな、そういうふうに思いながら今のダーウィンのお話を伺っておったわけであります。

 今の甘利議員の、目的条項等、国家公務員制度をなぜ現時点で変えなければならないのかと。まさにおっしゃるとおりだと思うんです。ただ、先生がおっしゃるように、私どもは、その問題こそが、この労働基本権の改革を含めた全体的な改革方針の中でしか、この級別定数も定員、定数問題も、それは解決できない、こういう思いで今度の問題に取り組んで、まずは時間との競争の中で、できるところ、これをしっかりまずはやって、第一弾、踏み固めて、次の段階で基本権問題をしっかりと位置づけて、そこで労働組合と協議をしながらこの定数問題をやっていかなければならない。単に、権限規定として人事局に書いたからできるというふうな生易しい問題ではないと私は思っているからであります。

 先ほど農林省の例が出ました。もうまさにおっしゃるとおり、私は、農林省の例というのは一番端的に我々の目に見えている例だと思います。農業土木、あるいは地方の事務所に存在する統計をなさっている職員の皆さん、この人数が、減らしたとはいえ、今の状態で、先生がおっしゃるように、社会経済情勢や公務員として必要な仕事として、こういう定員のまま置かれるのかどうなのかというのは、まさに、私は、おっしゃるとおりです。

 片一方を見れば、税関職場を見れば、税関を通る人間と物の量が圧倒的にふえているにもかかわらず、それほど激増というような格好にならない。こういう矛盾の中で、今、国家公務員の問題というのは、キャリアの問題のみならず、この定数の問題、級別定数の問題というふうなものは存在するんだなと改めて感じておりまして、これは大変な仕事でありますけれども、しかし、その問題は、結局のところ集団自治の中でしか解決できない問題も相当、質、量ともに多いということで、現時点では先生がおっしゃるような権限機能を人事局に書き込まなかったその理由であります。

甘利委員 基本権の問題が解決しないというのは、これは人事院の主張なんですよ。いいですか。

 なぜ基本権が必要かといえば、公務員は自分で給料を交渉して決められないんです。決められないから、民間の調査をして、この辺が民間であれば該当する賃金ですよというのを人事院が調べて、その調べるのも、人事院に言ったら、最低いつも一年かかるとか、では、民間に全部やらせようか、三月でやってくれるぞというプレッシャーをかけたら、結構早くやるんですよ。単にサボっていただけなんですね。半年でやれといえばできるんですよ。やろうと思わなかっただけですよ、人事院が。

 人事院勧告として示すんですよ。だから、人事院勧告として示すという部分は、それは協約締結権と入れかえ論議としておいておけばいいんですよ、それはそれで。そこの、自分で給料を決められないという部分に立ち入るつもりなんかないんですよ。そうじゃなくて、ポストの重要性、それから省を超えた人材とポストの再配置、これは政府がやることでしょう。その機能がないんですよ。

 そこで、この基本法を、大臣、もう一回、失礼ながら、二回読み返してください。この基本法は非常に慎重に書いてあって、基本権の問題は別途議論をして、その議論に立ち入らなくてもできる範囲と書いてあるんですよ。そのできる範囲をこうやりなさいと。基本権とパッケージで議論する問題は議論する問題として、そこの場でやってくれということを言っているんですよ。だから、基本権がなければという議論をしたら、この基本法自身成り立たないんですよ。

 これは、政府が、基本権議論は基本権議論としておいておいて、ここまでの改正ができるか、私は内閣法制局長官に確認をしました。それは抵触はしません。国会答弁で残っていますよ。できるんですから。なぜやらぬのですか。

仙谷国務大臣 では、なぜ今までできなかったんですか。

 つまり……(甘利委員「そういう話じゃないでしょう」と呼ぶ)いやいや、僕はそうだと思いますよ。つまり、給料の問題だけじゃなくて、業務の量、繁閑と人員の張りつけというのは、これは密接に関連するわけでしょう。ここの部署に何人定数を置くか、あるいは級別でどのぐらいの人数を置くかということを、一方では人事院が決めるシステム、一方では総務省行政管理局ですか、定員管理をしているのは。何かそういうばらばらの中でシステムがあって、なぜできなかったのか。権限を今度は内閣人事局に法律上の所掌事務として書き込んだことだけでできるのかということを私は聞いているわけですよ。何でできなかったんだと。それは、しょせんは、人事院がそんな権限を持つことを許容する体制になっているからできないんじゃないんですかということを僕は反対側から言って聞いているわけですよ。

 そこを、人事院の役割を、例えば不服申し立ての問題とか、研修の問題とか、あるいは採用の窓口とか、そういうことに限定をして、本格的な人事管理を内閣人事局なり、皆さん方の法案で、とにかく専門部署を内閣の中につくって人事労務管理をするんだというときは、すべての権限がそこに一元的に集中しなければいけないと思いますが、現時点ではそこまでできない、我々の、時間から、法整備から、あるいは人間の体制からできないという見きわめをつけたから、ここで限定的にこれだけをやろうということにしているということをさっきから申し上げているんです。

甘利委員 せっかく御質問がありましたから、お答えをいたします。

 なぜできなかったのか。これは、当時の為政者が途中で腰砕けになったからですよ。歴史を全部ひもといてみました。何回もトライしているんです。要するに、人事院はそれを単に拒否してきたからなんですよ。機能的にできないんじゃないですよ。拒否してきたことに対して、やろうとする方があきらめたからです。だから、冒頭言ったでしょう、私はあきらめませんよと。だから、やったんですよ。

 そして、人事の公正性を確保する機能はずっと残しておいていいんですよ、それは人事院の役目だから。それから、人事院勧告も、協約締結権ができなきゃもちろん向こうに残るんですよ。それ以外の、政府として、政策を実行する、戦略的な人材と省を超えたポストの再配置というのは一丁目一番地でやることでしょう。それが何でできないんですかということを申し上げたんです。

 では、法案はもう出ています。今指摘した問題は早急に取り組まれますか。

仙谷国務大臣 今指摘された問題と言われても、ちょっと僕には望洋としておりますが……(甘利委員「だから、人事局が機能をちゃんと持つこと」と呼ぶ)

甘利委員 内閣人事局が機構・定員、級別定数の管理機能をきちんと持つことという意味です。

仙谷国務大臣 今度の法案で、内閣人事局が幹部人事を一元的に管理する、つまり、適格性審査をして政治主導で幹部人事を行う、このために不足のない権限規定をここに書いているつもりでございまして、そして、今甘利議員がおっしゃられた、全職員に対する人事労務管理問題といいましょうか事項については、この法案ができ上がりましたら早急にそのことに取りかかろうと。もちろん、労働基本権の付与をするかどうか、どの範囲でするか、あるいは、した場合のいろいろな周辺関連組織をどうするか、あるいは人事院の役割をどう限定させるか、そのことに早急に取りかかりたいと思っております。

甘利委員 それはぜひやってください。

 級別定数管理機能を移管するときに、それが基本権とかかわると人事院はおっしゃったんですよ。何でかかわるんですか、私にはわかりませんと。民間企業の会社の社長に、戦略的に、時代の要請にこたえて、ポストの重要度を上げたり下げたり、ポストを改廃したりすることというのは組合と相談することですかと言ったら、そんなことはあり得ない、まさに経営権そのものじゃないかと。みんな言うんですよ。これは不思議に思っていますよ。

 それで、人事院が答えたのは、私もあきれ返りましたけれども、要するに、例えば重要級課長が二つあった、それを三つにする、そうすると重要級課長でない課長の数が一個減る、そうすると課長補佐から上がってくる可能性が一個減る、だからこれは基本権にかかわるんだと。わけのわからないことですよ、何それと。こういう説明ですよ。

 だから、大臣も、改革大臣であるならば、もっと踏み込まなきゃだめですよ。しっかり踏み込んで、私はそこでドンパチをさんざんやって、こんな理屈は認めないということでやってきたのでありますから、仙谷大臣の本来の、持ち前のチャレンジ精神をうんと発揮して、何物も恐れるものなしと言って、ぜひ前へ進んでいただきたいと思います。

 それで、この基本法が要請をしている公務員制度改革、特に公務員の人事に関して留意しなきゃならないことは、人事の公正性とそれから政治応答性なんですね。公正な人事であることと、その中で政治応答性をどうやって上げていくかということなんです。

 旧政府案では、職制というのは私の案では三階層、スリーレイヤーズにしました。ところが、今度の政府案ではワンレイヤー、一層にしてしまっているんですね。この公正な人事と政治応答性、大臣はどう解釈されてこの両方を整合性をつけようと思っておられますか。

仙谷国務大臣 政治応答性という概念がもう一つ私にはわかっていないかもわかりませんが、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無というのは適格性審査において判断をするということになっております。そして、その進め方については、やはり先ほどから甘利議員もおっしゃられているような、民間の今の幹部養成あるいは幹部登用あるいは幹部の配置の仕方、そういうやり方を大いに学ぶという意味で、有識者の方々から意見を伺うというふうなことをして、審査が客観的かつ公正に行われなければならないなということで、それが必要であるというふうに考えております。

 さらに、個々の官職への任用については、これは個々の官職ごとに求められる専門的な知識あるいは経験あるいは技術というものの有無を考慮して行われる必要があると考えておりまして、これを無視して恣意的な人事を行うことは許されないというふうに考えております。

 政治主導あるいは政治の応答性ということでありますが、これは、ある種、今までも、政治応答性よりも政治家応答性みたいな話が随分霞が関であったと言われておりますし、私もごく近くでそういうケースを見ていたこともございます。

 つまり、その人の職務遂行能力が秀でているよりも、某族議員との親しい関係が長年続いたために抜てきをされたと周囲に言われたり、そういうふうな疑わしさがある幹部の方々も全くいないわけではなかったということでありまして、これはやはり政治家の方も心して、調子よくすり寄ってくる人がいいという話でもない。

 やはり、専門的な能力を持ちながら、そして部下に対しての公平な評価ができるとか、そういうことも含めて、任命権者及びそれを補佐する側が、公正でかつ政治との距離感あるいは位置関係というものをけじめをつけて持っている方々を推薦していったり、それから任命をしていくということを心するということ、人事というのは最終的にそういうものであろうというふうに考えております。

甘利委員 大臣がこの人を任命するというのは、乱暴な言葉で言えば恣意性なんですよ。こいつの方がおれと相性が合う、どっちを選んでもいいんだったらおれはこっちを選ぶよと。どっちを選んでいいものまで、ある書式で決められていたら、大臣に人事権なんかないんですよ。大臣は、この中から自分の好きな者を選ぶというのは恣意なんですよ、もうこれは。極端なことを言えば、こいつの方が相性が合うからと。ただ、この中からというときに、能力評価で、これは客観性がないといけないんですよ。これが公正性なんですよ。

 だから、政治主導というのは大臣主導ですよ。大臣に人事権があるんですよ。大臣が人事権を行使するということは、まさに恣意なんですよ。だけれども、その恣意が客観性の基準の中で働くということが大事なんです。

 何が言いたいかというと、三層を一層にしちゃったでしょう。これは標準的な職務遂行能力ということで決めるわけですよ。そうすると、標準職務遂行能力、これはだれでも幹部職の上から下まで務まりますという基準で選んでいるから一層なんですよ。ワンバスケットなんですよ。こいつには次官なんか絶対できませんからというやつを審査でその幹部職のバスケットの中に入れることなんかできないんですよ。標準職務遂行能力がちゃんとありますということは、入れた者はだれを選ぼうと次官にして大丈夫ですというのしか選べないんですよ、一層だということは。そうすると、部長になるか次官になるか、それは大臣の思い次第で決まるわけですよ。

 私のときにはなぜ三層にしたかというと、次官が務まる能力の人、局長の能力がある人、そして審議官、部長の能力の人、この中であればだれを選ぼうと、恣意的に選ぼうと、公正な人事のもとに大臣との応答性が発揮できるんですよ。

 ところが、一層にしてしまったら、ではおれも選ばれるかもしれないということで、いや、あいつの方が普通からいったら下じゃないのか、でも、標準職務遂行能力があると認定されているんだから選んでいいですから。そうすると、大臣の恣意性の方が働いちゃう。そうすると、朝から晩まで大臣の顔を見ているような官僚集団になっちゃう。そういうことを言っているんですよ、一層にするということは。標準的な幹部職としての遂行能力があるとみなされたら次官になっていいんですから。言っていることがわかりますか。

仙谷国務大臣 わからないでもないですけれども、これは私の聞き間違いかもわかりませんが、甘利議員が公務員制度改革担当大臣をなさっていたときの、適格性審査でこれを三段階にして名簿をつくる、これは、ひょっとすれば、各省庁単位でそれをなさる、そういう限定された範囲だったんじゃないんでしょうか。

 ちょっとやはりそれじゃ狭過ぎるわけで、それだと、ある省で幹部として、多分そこに、適格性審査を通る人が十五人から二十人ぐらいというか、そういう数になるんじゃないかなという気が、僕は頭の中で計算するとなるんですが、そうすると、それはその人たちが全部大臣の顔色をうかがってごまをするかもわかりませんね。

 だけれども、我々の今の名簿の問題といいましょうか、適格性審査の問題は、約六百名が一つのプール。そこでの適格性審査を合格された方の日ごろの挙動というか行動は、いろいろな形で人事評価されて内閣人事局の方にも上がってくると思いますし、その人の後ろ姿を議員も見るでしょうし、あるいは世の中も見るでしょうし、先輩後輩も見るでしょうし、そういう情報が集積されてきて、そこで部長から局長へ、局長から次官へという評価が、それもクロスに、つまり、何々省は何々省の局長、何々局の局長を選ぶということじゃなくて、それは、何々大臣が、今よその省の部長を務めているあるいは局長を務めている人をうちの局長に持ってこよう、うちの次官に持ってこよう、このことが官邸で協議をされる、こういう枠組みになっておりますので、私は、そういう意味では、広いプールの中から選択をするということの方がむしろ、かえって公正で、おおらかで、いい人事ができるのではないか、そういうふうに思いますが。

甘利委員 有識者会議に議論をさせたら、有識者会議から私に上がってきた原案がどういうものだったかというと、各大臣の恣意が働かないように、各局長ごとに、何とか局長はこの二人から、何とか局長はこの二人からと、みんなこうやって、一ポストごとに限定するという案が来たんですよ。そんなことをしたらこれは事務方が決める人事じゃないか、大臣のリーダーシップというのは全然働かないじゃないかと、それは没にさせたんです、私。

 それで、局長で、例えば農水省なら農水省の局長、国交省なら国交省の局長、でも、それは重複登録させるわけですよ。局と同じ数じゃないんです。局のポストが十あったら、二十とか、それ以上から選ぶんです。それは何かというと、能力的に部長しかないはずだ、それが何であいつが次官になるんだよということは絶対ないんですよ。

 つまり、大臣の恣意というのは、もうこのレベルはみんなあるんだから、このレベルのだれから選ばれようとそれはしようがないじゃないかなんですよ。能力評価がこのレベルにあるんだから。このレベル、このレベル、このレベル。このレベルだったらだれが選ばれても仕方がないんですよ、これは大臣との相性ですから。おれはこいつの方がうまく外交交渉ができるよと。こっちとこっちとで、それは厳密に言えば順番がつくのかもしれません、一番から、十人いたら十番まで。だけれども、みんなこのレベルの者は局長が務まりますという中から選ばれたら、それは運、不運で、もう仕方がないんですよ。大臣との相性、それが政治応答性ですから。ところが、どう見たってあいつは部長の能力しかないのに何で次官になるんだ、これがまさに恣意的人事に偏りやすいということなんです。

 だから、人事というのは公正性、公正性というのは能力評価です、実績評価です、客観評価です。恣意じゃないんです。それと、恣意、つまり、おれはこいつの方が使いやすい、大臣の、こいつだとうまくウマが合うよと。性格だってあるんですから。公正性をそぐわない中でその恣意性をどう織り込んでいくかということが大事なんですよ。

 ところが、全部、バスケットですよ。しかも、六百人というけれども、大臣、六百人じゃ済みませんよ。この中に公募、民間だって入れるんですから。ぎちぎち。この中に入ったら一人残らず、おれは幹部が保証されたなんていうことになりませんから。もっと膨らむんですよ。ポストが六百だったら、九百、千になるんです。九百、千の中から大臣が全部、どうやって見るんですか。事務方が用意した、これはこういう方ですから、大臣、これをお使いになったらどうですかというので全部左右されませんか。

 だから、私が言っているのは、人事というのは公正性がなきゃならない。公正性というのは客観基準です。客観基準の中で、ある一定の範囲の中の人間であればだれを使ってもいいというのが大臣の政治応答性です、政治主導です。そこをうまくすり合わせるということが公務員制度では大事なんです。

 何が一番大事かというと、公務員のやる気を起こすことでしょう。モチベーションを上げることですよ。今の、一層にした仕組みの中で、恐らく、立ち回りのうまいやつがうまくつくんじゃないかなという思いでみんないっぱいだと思いますよ、公正性の担保というのがないですから。公正性で唯一、法的に担保されているのは、標準的な職務遂行能力の審査だけですよ。それは一段階でしかやらないわけですから。これは問題があると思いますよ。

 もう時間がなくなっちゃったので。

 これは私の懸念です。だから、それをぜひ共有してもらいたい。お金を払って公務員というのは雇うんですから。会社だって、有能な人材を雇って、そのモチベーションをどうやって上げるか。この社長のもとに一生懸命頑張りたい、この会社のもとに頑張りたいという社員をどれだけ多くつくるかが勝負なんですから。

 まず第一には、大臣のリーダーシップと高い志ですよ。本会議での答弁を聞いていたら、大臣の言うことを聞いてくれない人は首にしちゃいますよということが言えるようにしたいみたいな答弁がどこかの大臣からありましたけれども、情けない話ですよ。どんなばか社長が座っても繁栄するような会社の仕組みなんかないんですから。やはり、社長が志を高く持って、それから社員のモチベーションを上げるということをちゃんとやっていかなかったら、それはもう、日本を将来にわたって一等国として率いていくような制度なんかはできませんよ。

 では、議員立法提案者、皆さんが提案した法案は、政府案よりもどこがすぐれていますか。

塩崎議員 先ほど、かなり重要な部分が甘利先生の指摘によって明らかになったのではないかと思っておりますけれども、大きく言って四点問題だと思い、そこについての我々の考えを込めた議員立法を出しているということであります。

 一つは、先ほど議論になりました各機能、人事院の機能、先ほど級別定数の話がありました。これはまさに組織の問題でありますから、これを持ってこないという話はありませんし、そもそも、基本法で一年以内に持ってくるということも決めておったというのは、民主党とも協議の上で決めたことでありますので、ですから、当然、人事院、総務省、そして今回は財務省の機能も持ってくるということと、これはもう既に甘利法案のときに入っておりました、人件費管理の機能というものを持たせるということをしている。この内閣人事局の問題点について、我々はおおむね去年の法案と同じようにしているということでございます。

 それから、幹部制度につきましては、我々の幹部公務員法は、いわゆる一般職とそれから政治任用の特別職の言ってみれば中間、六百人ぐらいの人数でありますから、三十三万人分の六百人ということであれば〇・二%、この人たちは、やはり少し別扱いでよかろうと。

 そしてまた、政治応答性の話がありましたけれども、人事院も、単に能力・実績主義だけではなくて、内閣との一体性、これも含めた幹部公務員法を入れる。

 ただ、六百人という中で、事務次官級のポストは廃止をするということで、ポストの再整理をすることを念頭に次官級ポストを廃止しますから若干人数は減りますけれども、いずれにしても、一般職ではない、人事院勧告の対象ではない幹部職というものを新たに設けるという提案であります。

 それから、決定的に内閣提出法案に欠けているのは、給与について何も書いていないということであって、天下りは禁止する、早期勧奨退職もやめるとなると、では一体どうやって人数を管理していくのかということが、何もすべがないということで、我々は、この給与体系の抜本的な見直しを、それぞれ年内ないしは六カ月以内に行うということで、新たな給与体系を民間の制度を参考にしながらつくるということであります。

 もう一つ、我々の案で違うのは天下り問題で、先ほど少し議論になりましたけれども、あっせん禁止違反、これも安倍内閣で決めたものでありますが、これに刑事罰を科すということで、さっき、四十年の弁護士生活から見てアンバランスだという話でありますけれども、これは、民主党は、あれだけ天下りとそれから無駄遣いをリンクして、大事な問題だということで国民にアピールして、マニフェストに入れてきた。そういうことであれば、極めて重要な問題でありますから、罰金の二十万円という刑事罰でアンバランスと言うのはおかしいし、そもそもそのバランスはこの国会で決めればいいことでありますので、皆様方の御議論を賜りたいと思います。

 それから、センター、名前は少し変えましたけれども、我々は、分限免職のときの再就職支援もやらない、そして給与体系が新しくなったときにセンターもサンセットするということで、新たな体系をつくろうということであります。

甘利委員 冒頭申し上げましたように、この改革は、時代の変化を先取りして手を打っていく、そのために政府が政策を立案して、その実施体制をどうするか。これだけの予算とこれだけの人員でこれだけの政策を進めていきます、その点からも、総人件費管理というのは政府のもとに置かなきゃいけないんですね。

 きょう指摘されたことをぜひ真摯に受けとめていただいて、修正協議にもぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。

田中委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 春四月、卯月は九日、午後三時という時間でございます。今から三十分もおつき合いをいただくわけでございますが、大切なお時間だとは思いながらも、私は、質問に立つと万葉集の歌を詠んでからやるということにしておりますので、一首詠んでから質問に入ってまいりたいと思うわけであります。春の歌。

  玉くしげ二上山に鳴く鳥の声の恋しき時は来にけり

 では、よろしくお願いいたします。(拍手)ありがとうございます。いろいろな声を聞いて、そしていろいろな議論を闘わせて、いい結果を導き出していきたい、そういう思いで歌を詠ませていただきました。いい声が聞こえますように、よろしくお願いを申し上げます。

 通告に従いまして順次進めるわけですが、あともう一度お時間もいただいております。じっくりと議論を深めていきたいという思いで、時々行きつ戻りつ、横道にもそれるかもしれません。午前中からいろいろな議論もございましたので、いろいろな皆様方の質問も踏まえながら進めてまいりたいと思います。

 それでは、始めます。

 午前中から、中川議員と仙谷大臣のやりとりの中でも、この立法府のいろいろな法案を生み出す力、熟議という言葉もございました。甘利議員からは、今の国家公務員制度改革基本法が、大変な御苦労の中で、民主党の皆様方も入って、皆さんで修正協議の上成立した、そういう非常に貴重なプロセスを経てこの法案ができているというお話もございました。

 そこで、新政権におかれても、特段の事情変更がない限り、この基本法に書かれている事柄、そういったものを遵守されていくものと思いますが、まず冒頭、御見解をお伺いいたします。

仙谷国務大臣 国家公務員制度改革基本法は与野党の共同修正で成立したものでございまして、鳩山政権におきましても、基本的にこれに基づいて改革を進めていくつもりであります。

橘(慶)委員 今回の政府提案では、基本法第十一条第一項の「施行後一年以内を目途」、これは削られたわけであります。改めて、この文言を削られた理由、そしてまた、この部分、削った部分にかかわります改革の今後の進め方についてお伺いします。

仙谷国務大臣 私どもの記憶では、改革基本法が成立したのが二十年の六月の六日だったというふうに思います。そうだったと思います。

 基本法に定める一年で人事局をつくれ、こういうお話であったんですが、その一年後には、まだ衆議院の本会議で趣旨説明がなされる前に一年がたってしまった。結局、今何か自民党さんが一年を言い募っていらっしゃるわけでありますが、もう昨年の解散前の段階で一年たってしまっていたという事態の中で、解散・総選挙、そして政権交代による新政権が生まれた、こういう事態でございましたので、新政権としては、当時の与野党として共同修正のもとに改革基本法ができたわけでありますけれども、改めて新政権の中で、基本的なこの方向性に従いながら、さあ、どうやってこれを実現していくのか。

 御承知のように、この問題が、永田町でというか、国会で与野党が合意すればそれだけでできるというような、あるいは法律ができただけで中身が変わっていくというような生易しい話ではないということはもう皆さん方もよく御承知でございますので、堅実にといいましょうか、着実に一歩一歩できるところをきちっと踏み固めていく、こういう方針で、現在のような、この一年約束の内閣人事局問題も現時点になっているということで御了解をいただきたいと思います。

橘(慶)委員 そこで、今度は、改正をしなかったという、逆の消極的な趣旨からしますと、そうなりますと、三年以内という次のターゲットになっていくわけであります。これは、今回改正案を出されなかったという趣旨からすれば、逆に三年以内、これは実は意外と早くて、今、二十年六月とおっしゃいましたから、実は二十三年六月、ですから、次の通常国会には出さなきゃいけない、こういう縛りになっていると思います。

 そこを改正されなかったという政府の趣旨とすれば、そこについては今のところしっかり頑張ります、こういうことではないかと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 来年の通常国会では、さらに、今回の改正案が成立しましたならば、それを前提に、次の段階を衆参両院で議論して成立をさせていただきたい。今度はよりより抜本的な改革提案になろうかと思います。

橘(慶)委員 ここでちょっと横道にそれるわけですが、午前中に大泉ひろこ議員が、労働基本権、三年以内、イエスかノーかという御質問がありまして、ちょっと大臣からははぐらかし答弁であったように思うんですが、衆議院本会議の速記録のところでは、せんだっての平井議員の質問に対しては、国家公務員制度改革基本法第四条の規定を踏まえて、労働基本権に関する法律については施行後三年以内に提出できるように努力をしてまいりますという御答弁を大臣はされております。これは確認をさせていただきたいと思います。

仙谷国務大臣 全くその考え方は変わりません。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 三年以内といいましても実は一年以内ということになっているというきょう現在でありまして、先ほど来のいろいろなお話からすると、この後もなかなか道のりは険しい。あるいは、今もう少し先に進んでおかないとなかなかこの後のことは難しいかな、こんな心配もいたすわけですが、ここで、今度は衆法の提案者の皆さんに二問お伺いをしていきたいと思います。

 議員提出案におきましては、内閣人事局において人件費管理機能をどのように発揮させていくということを想定されるのか、また、そのことによって期待される成果についてどのようにお考えか、お伺いします。

西村(康)議員 橘委員の質問にお答えをしたいと思います。

 内閣人事局における人件費管理機能についてでありますけれども、御案内のとおり、現行の体制では人件費にかかわる機能が各省ばらばらに分散をしておりまして、給与は人事院が人事院勧告をつくる、退職金は総務省人事・恩給局が管理をする、定員の数、定数は総務省行政管理局、それから級別定数は人事院、予算全体は財務省主計局ということで、人件費の管理、すなわち人件費抑制をしようというようなことをやろうとしても、機能がばらばらであるため、なかなか整合的に進められないという問題がございました。

 そこで、議員立法案では、人事院、総務省、財務省の関連機能を内閣人事局に統合し、そこに総人件費管理の機能を持たせるということで、具体的には複数年度の削減方式などを定めていくことにしております。

 この結果、強力に人件費管理を進めることが可能となりますので、民主党政権、民主党はマニフェストでは国家公務員人件費二割削減と言いながら、政権をとった後は、このままでは二割増になるというようなことを言っているわけでありまして、財政厳しい折、我々、一日も早くこの体制をつくって、人件費を管理し抑制していく体制をつくろうということでありますので、現実に人件費削減をどこよりも早く我々の案ができるということであります。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 この質問を練り上げるに際して、内閣府さん、また総務省さんといろいろな議論をさせていただき、現状の御説明も承っているわけであります。しかし、今ほど西村提案者がお話ございましたように、実は、今、後ほども質問で触れますが、二割削減ということの大目標を、エンジンをつけてやっていかなきゃいけない、もちろんマニフェスト的に言えば。エンジンをつけてやっていかなきゃいけないんですが、そのエンジンがどこなのかということが、どうもよくわからなかったんですね。

 行政管理局は、定員は管理しているけれども人件費削減は私どもではございませんと。行政改革推進本部も、人件費の話はよく聞いておりませんと。そしてまた、そのほかの、内閣府、いろいろな部署においても、今度局になるんでしょうけれども、国家戦略室でもないし、行政刷新会議でもないしと。どこなんだろうというのは後からまた御質問したいと思うんですが。

 先へ進みまして、議員案において想定される内閣人事局、この議員案で進められた場合の組織・定員がどれくらいの規模になるのか。また、そうなってくるとかなり大仕掛けのもののような気もいたしまして、もともとこれは内閣人事庁ということから話が始まっていたと思うんですが、そういうこともまた内閣官房のあり方としてはあるのではという気もいたしますが、このことについての御見解をお伺いしたいと思います。

山内議員 まず最初に、内閣人事局の組織・定員についてお答えします。

 内閣人事局には、総務省、人事院、財務省から必要な機能を移管して設置することとしております。想定する規模としては、内閣人事局に移管される機能を現在担っている人員数はおおむね二百人程度でございます。ただ、同じような業務が従来複数の部署に分散していることを考えると、統合によって相当規模の削減、合理化が可能と考えます。他方で、幹部人事の一元管理は新しい業務であり、ある程度の人数を充てることが必要です。いろいろな条件を考え合わせると、おおむね百数十人規模の体制になるものと想定をしております。

 次に、内閣人事局ではなくて内閣人事庁とすることに関してお答えします。

 もともと、国家公務員制度改革基本法を国会提出した時点では内閣人事庁構想でありました。ただ、その後、民主党を含め与野党の修正協議を経て、内閣人事局となったことは御承知のとおりであります。議員立法では、あくまで与野党の修正協議を経て成立した、いわばこの分野における憲法と言うべき基本法に従って、内閣人事局を設置するということにいたしております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 提出者の皆さんには、今度またもう一度、次のときに、政府の案と対比ということで、かなり、何度もまた御質問させていただくことになりますが、きょうはどうもありがとうございます。

 さて、今度は政府案の方に戻ってまいります。

 内閣案において想定される内閣人事局の組織・定員の規模についてお伺いをしたいと思います。そして、この場合は、国家公務員制度改革推進本部事務局からの移管という部分が大きいと思いますので、そのことを含めて、ですから、本部の事務局からこれくらい、それにプラスアルファでこれくらい、それでこうなりますという御答弁をいただきたいと思います。

大島副大臣 ありがとうございました。お答えいたします。

 新たに設置する予定の内閣人事局については、当面、局長以下五十五名程度の人員規模を想定しているところでございますが、他の内閣官房の部局と同様、その時々の行政需要に応じ弾力的に人員を配置してまいりたいと考えております。

 また、お尋ねの国家公務員制度改革推進本部の事務局機能については、現在約四十人体制なんですけれども、今回の法律改正に伴い、新設の内閣人事局に引き継がれることとなりますが、具体的にどのような人員体制で内閣人事局を発足させるかについては、今後、設置までの間に鋭意検討してまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 ちょっと確認を大島副大臣にしたいわけですけれども、四十名移る、そして四十名に十五名足して五十五名になるという理解でよろしいんでしょうか。

大島副大臣 当面は五十五名体制で発足をして走ることになるかと思います。

橘(慶)委員 そこで、一つ危惧いたしますのは、これは仙谷大臣も別のところでもおっしゃっておりました内閣府の構造ですね、旅館に離れがいっぱいできてくる、こういう問題です。ですから、できることなら、やはりスマートな、スリムな形、そして一気通貫で改革ができた方が本当はいいということであります。

 きょうは初めてこうやって議員案と内閣案を対比させていただいたわけですが、これはやってみなきゃわからない部分はあるにしても、すべての機能を得て百五十名なのか、それとも、幹部公務員人事と国家公務員の、もう少し、まだ改革の二段ロケットを打ち上げるための五十五名ということがいいのか、この辺、まだまだいろいろ議論があるんじゃないかな、こんなふうに感じたところであります。

 内閣案なんですけれども、あえてこの内閣人事局というところまでの必要性があるのか、ちょっとこれはなお内閣案よりも後ろ向きなことを申し上げますが、まあ、事務局は今もあるわけですし、ただ六百人の方の管理だけなら、参事官とか内閣審議官とか、あるいは行政刷新会議の中でやる、まあそれはちょっと行き過ぎかもしれませんけれども。内閣府の組織の中で何とか抱え込んでいくという、仙谷大臣も認識を共有される、内閣府、内閣官房の肥大化をさせるということではないやり方もあるようにも思いますが、政府の御見解をお伺いいたします。

仙谷国務大臣 以前、私が温泉旅館の継ぎ足しの部屋みたいな話をしたことがありますが、実は、現時点も、ややこしいのは、事務局は内閣総理大臣官房の中にあるんですね。私自身は内閣府の国務大臣で国家公務員制度改革担当と、普通の人間ならば余りよくわからないような関係になっているわけです。

 今度は、内閣官房の中に内閣人事局というのができて、この局長自身は、副長官もしくは副大臣もしくはその他の職の中から指名する者、つまり、これは官房の組織で、今度は一元的にそこで幹部人事の一元管理と次の段階の公務員制度改革の推進というのが行われる、こういうことでありますから、今までよりはわかりやすくなるのではないかと思います。

 それで、もう一つの御質問の、幹部人事の一元管理、つまり、幹部人事を行う部署は何人ぐらい人間がおればいいのかという話でありますが、私は、六百人プラスアルファ、つまり、二百ふえるのか百ふえるのか、公募の人も含めて取り扱うわけですから、公募というのは、霞が関の中からの、課長さんや、あるいはもうちょっと下の方が応じてくるかもわかりません、それから一般の民間の方々も応募されるわけでありますから、そういう公募の分も、そういう方々を扱い、常時、人事情報を収集しながら管理するという仕事でいえば、この十五人という人数も決して多くない。

 多分、ここの人事は、霞が関の各省庁と言われているところの人事の問題のほかに、さっき、午前中にもお話が出ましたけれども、特殊会社とか独立行政法人の理事長とか、これも相当程度は含まれてこざるを得ない。そうすると、今官房長官が割とその辺はこなしていらっしゃるわけでありますが、この人事の話というのは、大変忙しいし、難しいし、期限を切られて、大変な仕事だなというふうに僕も横から見ていて思います。例の審議会等々の同意人事みたいなものまでここでもし処理するということになると、多分そうなるんじゃないかと思うんですが、これは相当大変な部署になりますので、人数の点からいいますと、ここはゆめゆめ怠りのない配置が質、量ともできることを考えた方がいいだろうな、そういうふうに思います。

橘(慶)委員 仙谷大臣の御苦労というのが、私、やはり、いろいろ内閣府さんと話していてもよくわかる部分が、別の、裏から見ている形になりますが、思います。

 そこで、これは通告しておりませんが、この内閣人事局、もしこういうのをつくるとしたら、どこに置かれる予定ですか。というのは、現状では、例えば、行政刷新会議は内閣府の中にある、あるいは行政改革推進本部は合同庁舎の四号館にある、そして、実は地域主権戦略会議は自転車会館の二階にある、そして総務省本省は第二号館にあるわけですね。

 もう既に、いわゆるタコつぼ化してしまっているわけですが、内閣人事局をつくって、今見た人はどこにスペースとして入れられる予定なのか。これは通告しておりません。もしわかっておれば、お答えください。

仙谷国務大臣 私の権限の範囲内でもございませんし、イメージがございません。

 ただ、これは、担当の局長さんのいらっしゃる近くにいた方がよろしいかと思いますし、最終的には総理大臣と官房長官のまさに人事権を担保するものということになろうと思いますので、できれば官邸か官邸の直近にいなければ多分仕事にならないんだろうな、こういうふうに思います。

橘(慶)委員 ゆめゆめ、どこかの民間のビルに、また家賃を、借りて入るということがないことを御期待申し上げたいと思います。

 これくらいにしまして、二点目の、国家公務員総人件費二割削減というところで、財務省から御担当、政務官が来ておられると思います。それでは、きょうで終わらせたいので、何とかこの三本まではあと十分で進めていきたいと思います。

 二十二年度予算、国家公務員全体で一万一千百五十五人、一・九%の減員であります。そしてまた、人事院勧告の給与マイナス改定効果は、マイナス二・四%と言われております。それ二つを合わせると四%ぐらい本当は人件費が減るはずだったんですが、特別会計を含めた人件費予算額五兆一千七百九十五億円、一千四百億円、二・六%の減にとどまり、内輪に終わっておるわけであります。

 増額要因について御説明をお願いいたします。

大串大臣政務官 お答え申し上げます。

 二十二年度の国家公務員の人件費予算でございますけれども、増加要因、減少要因、両方あります。相対して、今おっしゃったように、二十二年度の国家公務員の人件費は一千四百の減少、五兆一千七百九十五となっているわけでありますけれども、もちろん、いろいろな減要因がある中で、増要因としては、国家公務員共済組合負担金の増加分一千十億円程度、これは非常に特殊の要因でございます。それと地域手当の支給率改定による増加分二百五十億円程度、これも、この数年間やってきた、ある意味一時的な特殊要因、こういうものがございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 ただ、今度、今、減員ということで一・九%減員になりましたとは言われるんですが、実は、ここはちょっとからくりがありまして、四月一日、ナショナルセンターが非公務員化された五千六百八十人があるわけであります。そしてまた、総人件費一千四百億円減といっても、実は、一月一日から社保庁がいわゆる政府の外へ出たということがありまして、昨年の四月から十二月分の社保庁の職員の方の給料を入れて、ベースから一千四百億円減ったというのが実は実情でございます。

 そういった特殊要因を抜いた場合の減員数及び人件費の減額幅、それぞれ教えていただきたいと思います。

大串大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、一万一千百五十五人の減員となっている、こういう現状でございます。これに関して、国立高度専門医療センター、これの独立行政法人化に伴う減員は五千六百八十人でございます。これを除いた減員数は五千四百七十五人。もう一つおっしゃいました社会保険庁改革に伴うものは、これは二十二年度において減員になるのではなくて、二十一年度において減員になっておりましたので、ここはもうそういう意味で手当てが済んでおります。

 予算面ですけれども、二十二年度予算における人件費は、先ほどのように、三角千四百億円の減少でございますけれども、この中で、社会保険庁改革による減の分、そして国立高度専門医療センターの独立行政法人化による減少の部分、これは二つ合わせて千二百五十億円程度でございまして、これを仮に差し引きすると、三角百五十億円ぐらいの残りになります。

 ただ、これはいろいろ増減要因のある中でございますので、こういう特殊要因もございますけれども、いろいろな手だてをして、定員の純減あるいは給与改定等々を行って、ここで百五十という数字は申し上げましたけれども、いろいろな減要因、これをつくってきているところではございます。

橘(慶)委員 大串政務官、ありがとうございます。

 もう一問、国家公務員共済組合費等、いわゆる給与というのは、所定内のグロスの、給与以外のいわゆる福利厚生費的なもの、いろいろなものがございます。それを全部入れていわゆる給与関係費、民主党さんの二割削減のベースになる五兆円という数字がはじかれているわけでありますが、いわゆる本給、手当じゃない部分、そういったもので、また例えば保険給付の部分では負担率が上がるとか、そういった部分での増額要因がないかと危惧するわけでありますが、この点、一応確認のため、お答えください。

大串大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、御指摘ありましたように、国家公務員の人件費、一言に人件費といっても、いわゆる給与費の部分、三兆八千億円の部分と、それに付随して、退手あるいは国共済の負担金等々も含めると五兆一千、これを含んだところで二割削減、こういうことを私たちは申しておるわけでございます。

 今お話のありましたように、国共済の部分に関して、負担金等々、先行きどうなのか、増要因にこれもなるんではないかというような御懸念もあろうかと思います。ただ、国家公務員共済組合負担金が増要因になるか減少要因になるか、これはなかなか先行き読みにくいところがあります。確かに、高齢化の流れの中で、これに関する負担金がふえるという読みもありましょう。ただし、別途、高齢化に伴って例えば恩給に関する追加負担の部分が減るという要素もあります。ですので、これが減るのかふえるのか、私たち自身はそんなに大きな増減はないんじゃないかというふうに見ております。

 いずれにしても、そういうものも含めながら、国家公務員の人件費二割削減というものは、いろいろな、地方分権の推進や、あるいは労使交渉を通じた処遇の改善等々で達成していきたいというふうに思います。

橘(慶)委員 政務官、どうもありがとうございます。今度は秋の人勧のときにお会いできると思いますので、またよろしくお願いしたいと思います。

 さて、皆さんにどうか理解いただきたいのは、五兆円と簡単に言うんですが、そのうち三兆八千億と一兆二千億は別れていまして、一兆二千億のところは、なかなかここは削れないんです。これは給与改定をしても、労働基本権、そういうこととちょっと違うんですね。そんなことを思って、私はいつも思うんですけれども、二割削減というのは非常に難しいテーマだと思うんです。

 そして、仙谷大臣、四年、四年と言われますけれども、既に政権が発足してやがて七カ月たちまして、あと三年と五カ月、総選挙は四年ごとということでもないものですから、実は、もう四捨五入したらこれからあと三年、このように言いかえていただきたい、それくらいにだんだん詰まっている。しかし、ことしたった二%しか、見かけで見ても二・六%しか下がっていないんです。道遠しです。非常に大変なんです。

 そして、これからそれを進めていく上で、私はみんなでこれは考えていくことだと思うので、いろいろな方の名前を、この間の本会議で後藤議員がなかなかいいことをおっしゃっています。この総人件費「二割の中には、地方分権推進に伴う地方移管を含めるとされています。しかし、これでは、結局どこかの税金から人件費が支払われる点で実質カットとは言えません。」そのとおりだと思います。ですから、よく御答弁で、地方への移管も含めて、それはおかしいんです。国の中で、そしてつけかえじゃない形でどうやって二割削減するか。大変だとは思うんですね。このことについてどう取り組むのか。

 そしてまた、政と官の閣議決定とかはしているんですけれども、この二割削減については、方針としては出ていますが、まだ閣議決定されておりません。閣議決定でもされて、しっかりやって、どこかの部署に落とすつもりはあるのかないのか。

 この後ろは通告しておりませんが、この二点についてお答えいただくと時間がなくなると思います。よろしくお願いします。

仙谷国務大臣 おっしゃるとおり、この総人件費二割削減へという大きな難題に、大変だからこそぶつかっていこう、こういうことを考えているわけでございます。

 地方分権推進に伴う地方移管の問題というのは、その分が地方へ行ったということだけじゃなくて、要するに、今の地方と中央の重複行政のような分のそういう人件費も必要なくなるだろう、こういうふうに考えて、二割の中に入っておるわけでございます。鳩山総理も、各種手当、退職金等の水準や定員を見直していく、それから、労働組合との交渉を通じて給与改定や定員を見直していく、そういう手法によって四年間かけて達成するということでございまして、鋭意頑張ってまいりたいというふうに思っております。

 閣議決定をするかどうかは、ちょっと今のところ、私の見積もりとしてはといいましょうか、予定としてはそういう予定は現時点ではございません。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

 後段は、鳩山総理にまた電話ででもお伝えしていただければ大変うれしいなと思っております。

 これで終わりますが、一つだけお願いをしたいことがございます。

 きょう仙谷大臣がおっしゃったとおり、内閣府のスタッフの方を褒めていただきました。あれはすごく大事だと思います。やはり、元気を出して仕事をするためには、部下を褒める、これは一番大事なマネジメントの要諦だと思います。

 それで、あと一つだけお願いです。

 私、きのうレクをやったんですけれども、なかなか、だれが答えるのか、皆さん、タコの八ちゃんになって困っているんですね。例えば、だれかお一人、何でも最後になったらおれが答えるというアンカー政務官をつくっていただくと、非常にレクをしていて質問の割り振りがいいんです。階さんあたりがせっかく総務委員会から来ておられるので、どうですか、アンカー政務官を一人お決めになったらということは提案として申し上げて、これで終わります。

 きょうはありがとうございました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長菊地敦子さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、本日の国家公務員法等の一部を改正する法律案につきまして質問させていただくのですが、きょうは特に、天下り、総人件費の抑制につきまして質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、今回、この法改正に当たりまして、また公務員制度のあり方につきまして、これは共有をさせていただきたいと思っているのですが、なぜ天下りがだめなのか、国民の皆様がノーと言うのか。まず、大臣、この認識につきまして、なぜ天下りがだめなのかということを、どのような認識をお持ちなのか、お話しをいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 私自身は六十四になりまして、同世代を見ておりましたら、民間会社も、五十六、七、八で肩をたたかれて、関連会社に行かれるというケースが多うございます。ただ、よく考えてみますと、民間会社は、そうやって面倒を見るということはみずからの責任でなさっているわけですから、会社本体の、つまり本社というか親会社というか、本体の営業成績が悪くなろうがつぶれようが、これは自己責任でやっていらっしゃるわけですから、何をなさっても結構だ、こういうことになると思います。

 ところが、政府の場合には、それと同じような事柄をやりますと、政府の本体がつぶれるということは、あるいは、そこの営業成績が悪くなるというか、そこの政策経費にまで食い込んでくるような話になるということは、これは、何といいましても、国民の税金で回していく、あるいは、今や借金の方が税収よりも多い事態になっておるわけでございますので、どういう言いわけをしても国民の皆さん方に言いわけが立たない、こういうことになるはずでございます。

 ところが、この数十年、役所の課長さんの仕事は、課長在籍中に一つ天下り先をつくることが仕事だなんということが巷間ささやかれるようなことがあって、現にそういう政府関連の公益法人というのがずっとふえてきたことも事実だと思います。そこに天下りをする、天下りをする際には仕事を持っていくとか、何とかの助成金を持っていくとか、指定法人の資格がついていくとか、そこしかできない資格、商売ができるようになっておるとか、そういう官製市場がそこに大きくつくられていく。

 よく道路公団とか、あるいは、今郵政になった、郵政なんかでもファミリー企業の存在と言われていますけれども、それに類したようなことが至るところで行われていっているというのが、これは、そうじゃない方々から見たら、ふんまんやる方ない上に、意気阻喪するというんですか、頑張ろうという気がなくなる最大の事柄だと私は思っておりまして、やはり日本は、いいかげんにするというか、適当なレベルにそれを抑えるということよりも、この際、やはりその世界は一掃をしてけじめをつける。

 もう少し見ておりますと、現にそこに行かれた方も、私は親戚の方でそういうところに行かれた方もおりますけれども、かなりの人が、役員で行っても、やはり、余り喜んでお仕事をなさっている方はどうも多くないような気がするんですね。

 今、鳩山総理が、新しい公共ということで、居場所と出番というふうに言っていますけれども、高額の収入が保証されたり、そこそこの収入が保証されても、そこでのお仕事というのはそれほど気に染まないというか、進んでやりたくないようなことは、何年であろうと余りその人の人生にとってよくないのではないかという気もあるものですから、こういう世界はできるだけ減らしていく、できればなくしたい、こういうことでこの天下り問題に取り組んでまいったつもりでありますし、天下り問題に取り組まなければならないと思っている理由でございます。

高木(美)委員 もう少し簡潔に御答弁をお願いいたします。

 私は、天下りがなぜだめかといいますと、国民の皆様から見れば、今の大臣の御発言にも共通いたしますけれども、利権誘導はやめてもらいたい、そしてまた癒着をやめてもらいたい、国民のための政治を実現してもらいたい。まさに民主党さんは、そこを上手に、上手にという言い方は言い過ぎかもしれませんが、そこを受けとめて、そして政権交代を果たされたわけですから、私は、国家公務員法等の改正案につきましても、今回の審議につきましても、やはり国民主権、国民のための公務員改革であるという、これを一つの大きなテーマに掲げていただきまして、論議を進めさせていただきたいと思っております。

 当然、そこで、私たち政治家も切るところは切る、また、公務員もさまざまな思いもしていただかなければいけないところもあるかもしれませんが、やはり私たちは、国民に奉仕しようじゃないか、こういう思いを政治家もそしてまた公務員も共有しながら今日がある、このように思っております。国民の皆様も、国民のための仕事に専念してもらいたい、広く国民に公平に目配りをしながら、しかもその中でも弱い方たちに配慮してもらいたい、これがそもそもの出発ではないかと思っております。

 したがいまして、何が利権なのか、ここのところを本当によく見きわめながら進めさせていただきたいと思います。したがって、古い政治体質、これを温存したり、また時の政権政党の言いなりとなって仕事をするようないびつな行政システムを生み出す改悪であってはならない、本会議でも私はそのように述べさせていただきました。その姿勢で私も臨ませていただきたいと思っております。できる限りなくすと大臣はおっしゃいましたが、根絶するとかつて民主党はおっしゃったわけですから、その強い意思で進めていただきたいことをまず申し述べさせていただきたいと思います。

 まず、私は先般、本会議のときにも大臣から九問の御答弁をいただきました。そこにつきまして、少し重ねてお伺いをしながら質問を進めさせていただきたいと思っております。

 まず、退職勧奨につきまして、早期退職勧奨を禁止するのかどうするのか、政府としての明快な答弁を求めます。

仙谷国務大臣 私どもは、早期退職勧奨が、いわゆる再就職のあっせん、天下りのあっせんとセットになっているようなケース、つまり、そういうケースは絶対にやってはならない。大臣であろうが政務三役であろうが職員であろうが、やってはならないというふうに考えております。

 ただ、先ほど来問題になっておりますように、幹部人事を、回転というか張りつけのために席をあけていただく、こういう、政策展開のために、後輩になるのか同僚になるのかわかりませんが、この方をそのポストにつけたいので、あなたはどいていただくというふうなときに、再就職のあっせんをしない退職勧奨というのはあり得るかなというふうに思っております。

 あるいは、もう少し、人員の問題等々を含めて、民間でいえば希望退職募集のようなことをやらざるを得ない事態がこの国の中央政府機構に到来するということも考えておかなければならないというふうに私は思っております。

高木(美)委員 素朴な疑問ですが、そうしますと、民主党さんがマニフェストに掲げた「定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する。」後段の方は、そのように取り組んでいらっしゃいますが、前段の「定年まで働ける環境をつくり、」というこれは、既に、マニフェストについては、これを撤回されるということでしょうか。

仙谷国務大臣 人事政策として例えば希望退職募集のようなことを行う、あるいは退職の勧奨を行うということと、定年まで働ける環境をつくるというのは全く矛盾しないと思います。つまり、御本人が希望退職募集に応じなければいいわけでございますし、勧奨されても、いやいや、私はここでしっかりと働くとおっしゃれば、それを強制できるというものではないと私は思っております。

高木(美)委員 一見そのような感じは受けますけれども、例えば、入省します、年代が来て、そして当然、さまざま、早ければ四十代半ば、早期退職勧奨はもう既に始まっております。ここで、例えばそこの早期退職勧奨に応じなかった場合、果たしてその方がそこでそのまま頑張れるかどうか。そういう、まさにモチベーションとか、また本人の、ここで私は働きたいと言った場合、当然、やはり閑職に回されるという、そうした本人が望まない不適切な取り扱いを受けるおそれがあります。

 そうしたことにつきまして、このマニフェストで見る限りは「定年まで働ける環境をつくり、」と言われれば、スタッフ制とか、先ほどお話のありましたいろいろなシステムを用意してくれるんだな、シンクタンクとかそういうところもあるな、総合的にさまざま検討してもらえるんだな、恐らく、国民の方もまた公務員の方も当然そのように思っているというのが、私は、このマニフェストの率直な読み方ではないかと思うのですが、そのようなそもそものこのマニフェストの内容の読み方なのでしょうか。

仙谷国務大臣 全体の規模をどうするのかということは、まだまだ私ども詰めて議論をしておりませんけれども、ただ、一つ申し上げることができるのは、地方支分局の、出先の統廃合というふうなことには、前の政権からの地方分権推進委員会の勧告にもございます。分権を、あるいは我々の言う地域主権を進めるためにも、そこは当然のことながら、人員的にも少なくなっていくんだろうなと、私は、推測といいましょうか推論をしております。

 先ほどおっしゃったお話でありますが、我々は必ずしも絶対的に小さい政府がいいとは思いませんけれども、ただ、中央政府のやる仕事は、地域主権を進めれば進めるほど、分権を進めれば進めるほど、これが小さくなっていくというのは当たり前の話だろうなというふうに思っておりますので、そこで配置転換ができないというふうなことがありますれば、これは、その人のその時点でのポジションにもよりますけれども、労働組合の方々と協議を経ながらやっていくということに、定数といいましょうか、そこの座席は減っていく。それを自然減と、あるいは先ほどから申し上げているような希望退職募集というふうなことになるんでしょうか、そういうことでやっていかなければならない、そういうふうに思っております。

高木(美)委員 いずれにしましても、このマニフェストを素直に読みますと、どの公務員もというふうに十分読めるわけです。それが、一部の公務員は定年まで働ける環境をつくりという読み方は、私はこれは余りにいびつではないかと思います。率直に申し上げて、ただいまの答弁ではとても足りるものとは思いませんし、冒頭の前段につきましてはマニフェスト違反ではないかな、そのように率直に申し述べさせていただきたいと思います。

 今大臣がおっしゃいました総人件費の抑制等についての内容ですけれども、私に対する本会議の答弁におきましては、「地方分権推進に伴う地方移管、各種手当、退職金等の水準や定員の見直し、労使交渉を通じた給与改定など、さまざまな手法により、四年間かけて達成するよう努力することといたしております。」このように答弁されておりますが、なぜ四年間なのかということを、もっと早くやるべきではないか、一年後でも二年後でもやるべきではないかと思いますが、なぜ四年間なのかということに答弁を求めます。

仙谷国務大臣 私の記憶では、平成二十五年度に達成するようにマニフェストでは書いたと思います。つまり、五年間だったんじゃないかと思うんですが、政権をとって五年という記憶があるんですが、間違っていたらお許しをください。

 ただ、人件費を二割削減というのは、もし自然減とかそういうことで、個々人の賃金額に減額ということがなくてできるという部分もありますけれども、もしそのことが影響があるとすれば、これは明らかに勤務条件の不利益変更でありますから、労働組合が存在する場合には労働組合との交渉を通じて行わなければならないというのが、これはある種の労働関係諸法の原則だと私は思っておりますし、あるいは労働組合がなければ、個々人の同意がなければ、賃金のような基本的な勤務条件を変更するということは、これは原則としてはなかなか許されない。よほど特別の事情がない限り、それは許されないということがございます。

 したがいまして、労働組合との交渉ができるような環境を早くつくらなければならないし、つくるということも含めて、それは人数の方で見るのか、水準の方で見るのか、あるいは自然減で見るのか、いろいろなやり方があると思います。先ほどの地方移管の話もありましょうし、手当の問題もありましょう。いろいろなことを考えなければいけないわけですが、それは一挙に大根をたたき切るような話で二割落とすというようなことは、私には自信がありませんし、それは多分このマニフェストをつくった関係者も、そこのところはこのぐらいの時間はかけないとできないだろうな、この観測が五年間あるいは四年間ということだったんだろうと思います。

高木(美)委員 私がなぜこのようにしつこく申し上げるかといいますと、私は、定年まで働ける環境づくりというのは大事だなと実は思っている一人なんです。やはり、公務員という志を持って入ってこられて、何らかの形で国民の皆さんに尽くしたいという善意の公務員の方は多くいらっしゃいます。別に守るわけではありませんけれども、そういう入っていらっしゃるときのモチベーション、これを大事にする意味からも、私はむしろ働ける環境をつくるためにさまざまな努力をまずしてみていただきたいなというふうに思っております。

 具体的にどのような方策といいますと、またこれも私が考える範囲でございますけれども、例えば、当然、年功序列的な給与カーブを見直すとか、幹部職員についても、専門スタッフ職制をさらに拡充して、そのときに給与の引き下げが可能になるような俸給表への移行を考えるとか、さまざま手だては多く、シンクタンクを置くとか、いろいろな形があるかと思います。

 また、やはりこれは天下りではなく、私は、むしろ官民人事交流を推進すべきだ、このような思いもありまして、きょうは人事院にもお越しいただいておりますけれども、例えば公益法人、ここも、今実は公益法人については、一たん退職をしないと行けないというシステムになっているのですが、そこに例えば新たな法律をつくって、公益法人に出向という形で行ける、独立行政法人にも行ける。しかし、そこで、一たん退職をするときに退職金を受ける、次へ行って、そこで法外なお給料をもらって、またさらに退職金をもらうというやり方ではなく、出向し、そして今までのスキルを生かしてそこで働き、まさに国民の皆様の役に立って、最終的には国から退職金を受け取る。もちろん退職金のあり方につきましてももっと切り下げなければいけないかと思っております。

 そういう、もっと総合的なシステムを検討なさった上で、早期退職勧奨を禁止するのかどうか、本来そういう手順で検討されるべきではないかと思いますが、今退職管理の指針につきましても総務省で検討中だとも聞いております。大臣、こういうさまざまな方策、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、もう一度大臣の所見を伺います。

仙谷国務大臣 私は、先ほどからも、横異動の話というのを随分意識して申し上げているつもりで、今の高木議員の御提案はまことにそのとおりだと思っております。

 それで、私が今の時点で聞き及んでおるところによりますと、出向に行って帰ってくる、官民の交流はむしろ退職金は通算されるんだけれども、公益法人の場合とかあるいは独立行政法人の場合は通算をされるところとされないところとあるとか、政令でできるところと、法律を改めて改正するとかつくり直さなければいけないところがあるとかということがあるようです。

 その辺を一律に、私は、もう少し、おっしゃるように、官民も、それからその種の、御提起にあったような機関との関係も、退職金を何回も払うなんということはやめて、そこだけをやめて、横異動がもう少し闊達に行われる、そういう人事ができればなと思っております。

    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

高木(美)委員 それでは、本日人事院にお越しいただいておりますので、現在の官民人事交流の現状、そしてまたさらには、ただいまお話ありました公益法人等への出向がどのようにすれば可能なのか、そのことにつきまして人事院の見解を求めます。

菊地政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、官民人事交流の現状でございます。

 官民人事交流制度につきましては、国と民間企業という異なる組織間の人事交流を通じまして組織の活性化と人材育成を図ることを目的として法律が制定されまして、平成十二年の三月から施行されております。

 制度発足以来、制度の周知あるいは交流基準の見直しなど、交流推進のための環境整備に努めてまいりましたけれども、交流派遣、交流採用とも増加しつつございます。平成二十一年末時点で国から民間企業に派遣中の者が九府省の六十一人、民間企業から国に採用中の者は十三府省の百五十七人となってございます。

 人事院といたしましても、今後とも公務の公正性を確保しつつ、官民人事交流の活用が一層図られるように制度の周知、説明に努めますとともに、さらに必要な制度の点検、見直しにつきましても取り組んでまいりたいと考えております。

 さらに、公益法人につきましてでございますけれども、国以外の機関への職員の派遣につきましては、一般に今の官民の人事交流法、国際機関等派遣法、あるいは法科大学院の派遣法などの制度がございますときには行うことができます。あと、地方公共団体あるいは非特定独法などにつきましては、一たん退職をしますけれども、退職手当が通算されるというような形の出向制度が可能になっております。

 御指摘の公益法人の場合には、人事院規則の一一―四、職員の身分保障という規則でございますけれども、この規定に基づきまして、研究所等におきまして、職員の職務に関連があると認められる学術に関する事項の調査研究等に従事する場合、こういう場合には研究休職という仕組みによりまして、国家公務員の身分を保有したまま出向することが可能となっております。これ以外に、例えば、国と、公益法人あるいはNPO法人などと連携いたしまして、国家公務員の能力を活用して社会貢献のための活動に参画させる、こういうお話もいろいろございますけれども、それが今後重要になってくるのではないかと考えております。

 ただ、公益法人等に国家公務員を派遣する制度の整備につきましては、いわゆる再就職の問題を含めまして、政府全体として、その必要性、趣旨について十分整理される必要があるものと考えております。人事院といたしましては、政府におけるそういう整理がなされた場合には、国と公益法人等との人事交流に係る制度の整備について必要な検討を進めてまいりたいと思っております。

高木(美)委員 ぜひ、政府で整理された場合というのは恐らくそうした法律がつくられた場合ということかと思いますので、むしろそちらの方にシフトしていただきまして、早期退職勧奨をそのまま進めるという形ではなく、まず働ける環境を、これは公務員の皆さんにとっても安心してできる、そうでなければ、いつ自分は早期退職勧奨を受けるんだろうか、何歳までここにいられるんだろうか、次の場所をどう探せばいいのだろうか。優秀なトップの方はいいですけれども、本当に現場で一番支えてくれているそういうメンバーが腰を浮かせながら仕事をするというのも、これもいかがなものかと私は考えております。そういう意味で、ぜひ法整備に向けまして進めていくべきと私は申し上げさせていただきたいと思います。

 あわせて、そうしたことも含めて、先ほど大臣が、人件費をどのように決めていくかということで、労働組合と協議しながら、恐らくそれは労働基本権とあわせて、そうしたことを付与する暁にはという、私はこのような解釈でおりますけれども、当然そこで懸念されることは、労働組合と協議して果たして賃金が引き下げられるのか、ここの問題でございます。

 大臣は、その点はどのようにお考えなのでしょうか。

仙谷国務大臣 引き下げられるかどうかはやってみないとわからないと思いますが、ただ、都道府県で、大変財政状況が苦しいとか、いろいろな諸手当についてその地域の住民の方々から批判があるとか、いろいろな理由がありましょうけれども、これは、オープンな団体交渉を通じて組合の方々にも、あるいは住民の方々にも御理解をいただいて、そこで協議を成立させるという方法しか、うまく総人件費が減ってくるとかいうことは起こり得ないというのが、私はこの間の経験値だと思っております。

高木(美)委員 きょう、私は、余り労働基本権に踏み込む気持ちはないのですが、ただ、いずれにしましても、今、人事院勧告、また人事院等がさまざまな、先ほど、機能移管を今後どうするかということも全部絡んでくる話でございますけれども、そこは本当に慎重に深く協議をしていただくべきなのではないかと思っております。

 交渉になりますと、改善するということに当然なるわけでございます。私たちも例えば大臣と交渉してマイナスの回答は持って帰れないです。という、やはりどうしようもない仕組みというのもありますので、そこを達観していただきながら、そういうわけで今回は法文の中で「検討」という条項に入っているというふうに私は認識しておりますけれども、本当に、いつまでもこのままでいいのかな、もう結論を出さなければいけないのではないかという思いもありまして、ぜひとも早期の検討をお願いしたいと思っております。

 あわせまして、今、検討項目という話を申し上げましたが、今、総人件費の抑制ということにつきましても、私はむしろ、給与法、退職手当法、総定員法、国家公務員共済法等を含めまして、やはりこれもしっかりと検討項目の中に入れて総人件費の抑制を考えるとか、このようにきちんと位置づけるべきではないかと考えております。それが盛り込まれなかったということに、これはむしろこの公務員制度改革の中の大きな柱と位置づけている割には、残念だなという思いがございます。これは指摘のみで終わらせていただきたいと思っております。

 あわせまして、きょうは総務省の階政務官にお越しいただきました。退職管理の指針につきまして、今さまざま検討をされていると聞いております。その概要で結構でございますので、ポイントをお示しいただきたいと思います。

階大臣政務官 お答えいたします。

 退職管理の考え方、一言で申し上げれば、天下りのあっせんを禁止して、定年まで勤務できる環境を整備するということに尽きるわけです。

 ただ、先ほど御指摘がありました、早期退職勧奨を廃止しなければそれは実現できないのではないかということでしたけれども、先ほど仙谷大臣がおっしゃっていたのは、あくまでも天下りあっせんとセットになった退職勧奨の禁止でございます。天下りあっせんとセットでなければ、それはもう、退職勧奨をもしやるとしても、おのずとそこで、それに応じてやめられる方というのはごくごくわずかになる、そういう試算もしております。

 そういった中で、私どもは、もし退職管理の今の考え方に基づいてやった場合、新陳代謝が進まないという問題あるいは新規採用が困難になってしまうという問題、こういったことで活力の低下という懸念があるわけです。それから、先ほど来お話が出ておりますように、人件費の二割削減ということも困難になるわけです。

 そういったことも考えながら、退職管理の基本方針について、削減の大原則だけではなくて、新規採用の問題、公務員制度の活力の維持の問題、こういったことも考えて、より大きな視点で方針をつくらなくてはいけないという中で、今、仙谷大臣、それから私のおります原口総務大臣、さらに枝野行政刷新担当大臣、この三大臣のもとで、大きな視点でもってこれからの公務員の人事管理のあり方について協議をしているところでございます。

高木(美)委員 その管理の指針というのはいつ発表されるんでしょうか。

階大臣政務官 来年の採用が、そろそろ人数も確定しなくてはいけないということもございますので、なるべく四月中をめどにそういったものを決めていかなくてはいけないということで、鋭意今検討中でございます。

高木(美)委員 私は、今階政務官からお話がありましたのであえて申し上げさせていただきますが、ちょっと法案審議の順番がいかがなのかなという思いがございます。例えば、政治主導につきましても、政治主導はこのように考える、このようにしていこうというやはり国会の一つの方向性を確定した上で、その中で、政治任用と一般職公務員のあり方とか、こういう、本当は上からやっていくものかと思います。

 また、この国家公務員法の検討につきましても、入りの採用と出の退職、ここが一番肝であるわけですけれども、この退職管理の指針、実は一般紙で報道されましたので、そういう内容がほぼ決まったのかと思いまして私は総務省に問い合わせをしましたら、いや、それは情報が管理されていたにもかかわらず一部から出たものです、本来、あのとき発表があったのはこの一枚だけですという、ポンチ絵をいただいて、本当に大変残念に思いました。

 やはりそういうものが示された後に、公務員のあり方はこれでいいのか、退職管理のあり方についてももっとこのようなメニューで考えるべきではないか、本来はそういう筋ではないかと思っております。

 四月中というお話でございますので、ぜひこの委員会も四月いっぱいしっかりと、少なくとも四月いっぱい審議をしていただきまして、この退職管理の指針についても総務省から提出をしていただき、また検討もこの委員会でもぜひさせていただきたいと申し述べさせていただきます。

 次に、事前規制につきまして質問させていただきます。

 かつて、民主党の天下り根絶法案、この中に事前規制がしっかり盛り込まれておりました。国家公務員の事前規制ということで、再就職の原則禁止期間を離職後二年間から五年間に、当時二年間でしたので五年間に拡大し、対象を、密接な関係のある非営利法人等に拡大するとしておりました。

 それをなぜ今回変えたのか、事前規制を盛り込まなかったのか。ぜひこれは大臣、前回、本会議で答弁いただきましたが、この質問に対する答弁はいただいておりません。大臣の政治家としての御見解を端的にお話しいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 今回の改正案におきましては、官民人材交流センターを廃止した、それから、同センターが行ってきた一般的な離職者に対する再就職の援助は一切行わないということにしております。したがって、問題とされてきた退職公務員の再就職あっせんをめぐる状況は大きく変化をした、こういう認識が一つでございます。

 また、新設する再就職等監視・適正化委員会において、規定の遵守に関する指導、助言の権限を付与するというようなことをやりまして、監視機能を強化するということにしております。したがいまして、問題のある再就職の適正化を図るためには、現在施行されておりますあっせん規制等の違反または脱法的な行為を厳格に監視し、規制の実効性を高める、このことが大事であるし、そのことが今度の法規制でできるということで、野党時代の、先ほど五年のお話がございましたけれども、その種のものは一切必要なくなった、こういう解釈といいましょうか理解でございます。

高木(美)委員 事前も入れない、事後の罰則も強化をしない、しかし状況は大幅に変化をする等々、お話がございました。

 まず、今大臣が答弁いただきました、再就職の援助は一切行わないということであっせんをめぐる状況は大幅に変化するとおっしゃいますが、どのように変化するとお考えでしょうか。これで本当になくなるというふうにお思いでしょうか。

仙谷国務大臣 少なくとも官民人材交流センターを廃止するわけですから、その種の、霞が関のあっせんセンターみたいなものがなくなるわけですね。そうすると、あとは潜りで、各省庁の大臣官房が再び地下に潜ってやるかどうかという話でありますから、さすがにそれは監視委員会で監視をしておればほとんどなくなるのではないか、そんなふうに私は思っております。

 あと、おやめになる方を心配して個人的にお世話する方が出てくる場合は全くなきにしもあらずでしょうけれども、それがもし発覚した場合には、これは監視センターあるいは公務員の倫理審査会等々で、そこから、こういう行為をした人についての厳しい行政処分の勧告といいましょうか注意が各任命権者のところに行くということで、これは十二分に規制効果はあるというふうに私は考えております。

高木(美)委員 それでは、衆法の提出者に、あっせん禁止違反に刑事罰を入れるとされておりますが、そのねらいにつきまして質問をさせていただきます。

柴山議員 刑事罰新設のねらいについてでございます。

 鳩山内閣発足以降、先ほど少しお話がありましたいわゆる裏下り、すなわち、表向きは、確かに役所はあっせんしていないですとかOBがあっせんしたんだというように言いながら、実は、事実上役所があっせんしているような事例がまだまだ横行しているという認識であります。

 例えば、昨年の十一月、日本損害保険協会副会長のポストに財務省OBの後任として元国税庁の長官が就任をされました。このポストは代々、財務省OBの就任する、先ほど御議論があったいわゆる固定天下りポストでありましたけれども、鳩山内閣はOBのあっせんによるものとして容認をしたわけであります。

 しかし、今後調査があるというように御指摘をいただきましたが、OBのあっせんと言いつつ水面下で役所のあっせんが存在するということは、霞が関ではいわば公然の秘密であります。何となれば、数多くの固定天下りポストに切れ目なく省庁OBが就任し続けるということは、OB個人がばらばらにあっせんをしていたのでは決して起こらないというように私は思っております。霞が関ではよくOB人事という隠語が使われますけれども、要するに、役所が組織的に人事としてポストを割り当てているからこそこういったことが起きるのであろうと思っております。

 したがって、こうした裏下りを根絶する方策としては、やはりあっせん禁止の実効性を高めることが極めて重要であると思っております。現行法では、御案内のとおり、あっせん禁止違反には役所内部の懲戒処分しか科されておりません。また、先日の本会議での仙谷大臣の御答弁にもありましたように、センターがそういった懲戒処分の勧告をするというだけで本当に実効性のある規制というものになっているのかどうかということを私は極めて疑問に思っております。

 その点、我々の法案では、鳩山内閣での裏下りの横行にかんがみ、さらに、国家公務員法百六条の二に倣った二十万円以下の罰金という刑事罰を科すこととした次第であります。

 以上であります。

高木(美)委員 今、議場からさまざま声が飛んでおりますが、そうした公務員制度改革、基本法のときも、与野党で力を合わせて天下り根絶のために頑張ろう、そういう流れがございますので、やはりこれは、そういうことをしっかり踏まえて、当委員会も力を合わせて審議をさせていただきたいと私は思っております。

 今、柴山議員からお話ありましたように、やはり官僚OB、表向きはOBの形にしながら裏は役所という、実はこれは、十一月六日、新政権が議運に、天下りの定義、政務三役の法律上の位置づけということで出された書類です。天下りの定義というところですが、もう一度念のために読ませていただきます。

 「「天下り」とは、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいう。したがって、公務員が法令に違反することなく、府省庁にあっせんを受けずに再就職先の地位や職務内容等に照らし適材適所の再就職をすることは、天下りには該当しない。 「渡り」とは、府省庁が」云々とあります。その「府省庁」というところに米印がありまして、「※「府省庁」には、政務三役、官僚OBは含まれない。」実はこういうコメントがあります。

 私は、これは大事なことだなと思っておりまして、やはりOBはここには含まれない、しかも議員も含まれない、また政党関係者がこうしたことをあっせんする場合も含まれない、こういう考え方からいきますと、今柴山議員からお話ありましたように、やはりこの裏下り、ずっとこれは長い間、長妻大臣も以前から、裏下りルートを根絶するために実態調査をすべきだ、こういうことをずっと繰り返して求めていらっしゃいました。私もやはり、新政権になられたのですから、この実態調査はしっかりとやるべきではないかと思います。

 実態調査をしていただいた上で、その上で、これで裏ルートを根絶できる、そのようなめどが立つのであれば、ただいまのような大臣の答弁、そのまま素直に受けとめさせていただきますが、そうでなければ、当然、私は、これは裏に入る、むしろ地下に潜る、この懸念をぬぐい去ることはできません。

 このことを指摘させていただきまして、またさらなる御協議をお願いしたいと思います。

 次に、民間人材登用・再就職適正化センターを新たに設置するということにつきまして質問をさせていただきます。

 この役割は、組織の改廃等による分限予定者への再就職支援に限るとしております。

 センターの概要につきまして、具体的に、人数の規模であるとか、センター長はどういう方が就任をされるとか、答弁を求めます。

    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

仙谷国務大臣 センターの定員は、現時点では三十五名というふうに予定をしております。

高木(美)委員 ハローワークに行けばいいという松本議員のお話をずっと私も聞いておりました。これをなぜ常時設置するのかということです。

 組織の改廃等による分限予定者ということですが、組織の改廃といいますのはどのようなことを具体的に想定していらっしゃるのか、重ねて答弁を求めます。

仙谷国務大臣 現に、我々が廃止を決めたわけではございませんけれども、社会保険庁の廃止というものに伴って、いわば民間でいえば事業所閉鎖、工場閉鎖に伴う余剰人員といいましょうか、どうしても行き先の見つからない方々というのが社会保険庁では出てこられて、それは前政権から引き続いてでありますけれども、現政権になっても再就職のあっせんを少々はせざるを得なかった、こういうことがございます。

 これからは、そういう、官公署の職場に組織の改編ということは十二分に起こってくると私どもは考えておりまして、そのときに、それをきれいにオープンにするということでありますと、こういうセンターであっせんといいましょうか紹介をする、あるいはマッチングをするということの方が必要なのかな、こういう趣旨でございます。

高木(美)委員 人事院に伺いたいのですが、国家公務員法の中には分限回避の規定が置かれております。これまで国鉄とか、また社保庁等、改廃がございました。これが、法律なのか、閣議決定なのか、どのような形で再就職支援を実施してきたのか、答弁を求めます。

菊地政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員法第七十八条第四号には、組織改廃等に伴う分限免職の規定が設けられております。この規定に関しましては、法律上に分限回避の規定は設けられてはおりませんけれども、地方公務員における判例上、配置転換が比較的容易であるにもかかわらず、配置転換等の努力を尽くさずに分限免職処分を行った場合には権利の濫用となるとされておりまして、民間と同様、分限回避の努力が求められるところでございます。

 過去における組織の改廃等による分限処分につきましては、昨年の社会保険庁の例を除き、余りございません。そういう意味では実例を申し上げることができませんけれども、どのような努力が行われるべきかにつきましては、一義的には任命権者において対応されるべきものと考えているところでございます。

 なお、昨年の社会保険庁の廃止時には、厚生労働省への配置転換や、官民人材交流センターによる再就職の援助などが行われたものと承知しております。

高木(美)委員 それから、社保庁は閣議決定が根拠でしょうか。その根拠をもう一度。あと、国鉄もどうであったのか、根拠を人事院に求めたいと思います。法的な根拠の話です。

菊地政府参考人 ちょっと私どもがお答えするものかどうかというところがございますが、国家公務員法上の規定はございません。それから、特別な法律に基づいての分限回避という規定ではございませんが、社会保険庁の場合には、閣議決定においてそういうような努力を行うということが決定されたというふうに承知しております。

高木(美)委員 失礼しました。

 国鉄は、たしか法に基づき、社保庁については閣議決定に基づき再就職支援を実施してきたと承知しております。

 そのことを考えますと、やはり、組織を改廃する際には必ず特別法もしくは法律がつくられ、また閣議決定が行われるわけでございます。そうした手法を考えますと、国家公務員法、これでいえば旧法になるかもしれませんが、第十八条の五、内閣総理大臣の援助規定、これをやはり切っていくということが、天下りを禁止するというそもそもの一番の根拠になるのではないかと私は思っております。これは不要でございますし、この後さまざま組織改編等が行われる場合には、当然、アドホック的に、特別法であるとか閣議決定であるとか、その中に盛り込んでいけばいい話でございます。

 その際、先ほども答弁にありましたとおり、任命権者が真剣に行えばいい。まさに多くの人たちの面倒を見るために店開きをした三十五名、これは再就職適正化センターも兼ねての人数でございますけれども、民間人材登用等のために、再就職支援のためにそのような人数をもっと減らすことができると考えております。

 この根拠を削るべきではないかと提案をいたしますが、これは大臣が御答弁いただけるんでしょうか、それとも階政務官、お願いします。

階大臣政務官 先ほど申し上げておりますとおり、民間人材登用・再就職適正化センターにおいては、分限免職に当たる場合の再就職のあっせんのみならず、官民人事交流の推進ということもやっておりますので、先ほど委員もおっしゃられたとおり、官民人事交流は大事だということですので、やはりこのセンターの機能というものもあった方がよろしいんではないか、そのように考えております。

高木(美)委員 私は、このセンターの機能云々ではなく、総理大臣の援助規定、十八条の五を削るべきではないかという提案でございます。

 それに対しては、大臣、いかがでしょうか。

仙谷国務大臣 趣旨がちょっと、もう一つわかりませんが、再就職の支援を内閣総理大臣が行うことができるのは、国家公務員法の「七十八条第四号に掲げる場合において離職を余儀なくされることとなる職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。」というのが十八条の四で書かれておりまして、五に、「内閣総理大臣は、第十八条の三の規定による権限及び前条に規定する事務」、つまり就職援助の事務を「民間人材登用・再就職適正化センターに委任する。」という構造になっておりますので、ちょっとこれは、削るとかなんとかという話にはならないのではないかという感じがするんです。

 それから、先ほどの質問で、このセンターの人員の問題でありましたけれども、民間人材登用・再就職適正化センターの中の再就職の適正化に関する業務を行う組織に属するものは、センターの総務課で行うものでございまして、通常は、その担当者は連絡調整など総務課の他の業務に従事しておりまして、そういう支援、つまり特段の支援が必要になったときに支援業務を行うというものでございますので、余り無駄な、いつも仕事がなくてぶらぶらしているというイメージではございませんので、念のために申し上げておきたいと思います。

高木(美)委員 私は、そこは人員削減ということで申し上げまして、大臣、第十八条の五、「内閣総理大臣の援助等」、内閣総理大臣が身を乗り出してやらなければいけないのかということでございます。「内閣総理大臣は、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。」という文言は、私は、先ほどお話ありました七十八条の第四号という形で十分担保できますので、総理大臣が身を乗り出して行うという、こうした天下り規定につきましては、それと読めるような規定につきましては、この際削除をされた方がいいのではないかという提案でございます。

 これは、恐らく衆法の方にはそのように盛り込まれているかと思いますので、衆法の提出者の答弁を求めます。

山内議員 今、委員のお考えに沿ったラインで、私どもの提出草案では再就職支援規定を削除いたしました。

 安倍内閣の当時の天下り規制では、官民人材交流センターでの再就職あっせん機能を設けておりました。これは、現在の給与制度のまま、単に早期退職勧奨と天下りをなくせば、高給の高齢職員が役所にたまってしまって人件費が爆発的に大きくなってしまう、そういうことを懸念したためでした。しかし、現時点においては、国家公務員制度改革基本法のもとで、既に給与制度の改革に踏み込む段階に来ていると考えます。そこで、議員立法案においては、給与制度改革を早急に進めることを定め、一方で、センターの再就職あっせんは全廃することとしております。

 なお、組織改廃時のいわゆる整理解雇に際しても、特段、センターでの再就職あっせんが必要とは考えられません。

 仙谷大臣は、さきの本会議で、「分限免職回避の努力の一環としてセンターが再就職支援を行うことはやむを得ない」と答弁されました。しかし、民間企業の場合は、解雇回避努力義務の一環として再就職あっせんのための特別な組織を設置することが義務とは考えられておりません。民間企業の場合は、例えば外部のいわゆるアウトプレースメント会社を利用することが広く行われております。

 また、仙谷大臣の答弁におきましては、整理解雇の対象となる職員に対して、ハローワークで再就職支援をするのでは不十分で、センターで再就職あっせんを行う必要があるとお答えになりました。しかし、なぜハローワークではなくてセンターであっせんが必要なのかといえば、恐らく、センターであれば、ハローワークと違って、独法や政府の関連の公益法人に対して、この人を何とか引き取ってほしい、そういった押しつけができるということなのではないかと思われます。これでは、天下りの押しつけになってしまいます。民主党の皆さんも、野党時代には、公務員もハローワークに行けとずっと主張していらっしゃったと記憶しております。

 次に、民間企業の場合は、整理解雇の回避のため、一般には、まず役員報酬の削減や新規採用の抑制などを行うべきものと考えられております。政府においても、センターでの天下りの押しつけをやるんじゃなくて、まず役員報酬削減に相当する幹部職の給与改革などに取り組むことが筋であると考えます。

高木(美)委員 大臣、もし重ねての答弁をいただけるようでしたらお願いいたします。

仙谷国務大臣 現行法は、「内閣総理大臣の援助」、第十八条の五のところには、一般的に、「内閣総理大臣は、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。」こういう規定であります。

 我々の改正案では、第十八条の四といたしまして、「内閣総理大臣は、第七十八条第四号」、これは先ほどから申し上げておりますような分限免職の規定でありますが、この「掲げる場合において離職を余儀なくされることとなる職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。」というふうに、つまり整理解雇、民間でいえば事業場閉鎖の場合の整理解雇の規定、いわばそういう努力義務の規定を設けた、こういうことでございますので、私は、むしろこの種の規定は置いておいた方がいいのではないか、そういうふうに思います。

 先ほど、人材バンクとかヘッドハンター会社とか、そういうところはいいかもわかりませんし、民間会社では、整理解雇の場合にはほとんど、会社がそういうところに委託をしているケースが多いようですね。もし役所が、再就職適正化センター、こういうものでそういう仕事をやらせないで、むしろ、そこからそういうヘッドハンター会社に、整理解雇に準ずるような場合に、委託をするということが望ましければ、そういうことを政令で書くということも考えられないでもないというふうに思います。

高木(美)委員 どうも議論がすれ違っているようで、こうしたことが一つ天下りのあっせんの根拠になるのではないかということで申し上げました。

 きょうは時間が参りましたので、残すところは引き続き、また次の機会にさせていただきたいと思います。以上で終わります。

田中委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 国家公務員法一部改正案について質問をいたします。きょうは、幹部人事の一元管理の問題について中心に質問したいと思っております。

 最初に、大臣に、この国公法におきましての規定でございますが、三十三条の任免の根本基準、そして七十五条の職員の身分保障の規定、この三十三条と七十五条の意義は何か、この点についてまず質問させていただきます。

仙谷国務大臣 国家公務員の世界においては、職員の任用が客観的、公正に、受験成績やあるいは客観的な評価に基づいて行われなければならないし、免職についても、法律に定める事由が必要だということが原則的に書かれておりますし、いわゆる免職には今申し上げたような合理的な理由が必要だ。七十四条は分限の規定でありますから、「すべて職員の分限、懲戒及び保障については、公正でなければならない。」これが原則である。

 私も、まさに人事というのは公正で客観性がなければならないし、分限というふうなことをするのはよほどのことがなければ人事権者が行ってはならないということは、その原則はわかっているつもりでございます。

塩川委員 人事の公正性、客観性が必要だという話でございます。

 三十三条につきましては、国公法の代表的なコメンタールの「逐条国家公務員法」でも、任用について、特にその根本基準として成績主義の原則がうたわれている。その第一の理由というのは人事の公正さだということでございますし、七十五条の身分保障との関係でいえば、やはり情実あるいは猟官によるようなスポイルズシステムではなくて、入り口の、採用の場合での競争試験を実施して情実を排除するということと、採用された者が恣意的かつ不利益にその職を奪われることがないように制限するということも公務の中立性、安定性の確保のために必要だと。

 そういう点では、いずれにしても、この公務の中立、公正性の確保のために三十三条あるいは七十五条が規定をされている、これは当然のことながら幹部職に対しても当てはまることだと思いますが、確認の御答弁をいただけますか。

仙谷国務大臣 原則はそのとおりだと思いますが、ただ、その解釈、運用が棒をのんだような機械的なものになると、これはもう年功序列でいくしかないとか、そういう話になってくる。特に、制度というのは、成熟するというのは腐敗と裏表でありますから、特に人事はそこによほど気をつけて、公正を強調し過ぎる余りこれが形式的な平等、形式的な公正さみたいなところに堕してしまうと、つまり堕落してしまうと、全く人事が死んでしまう。

 その逆が、やはりポリティカルアポインティー制度でも公正な運用というのはできるし、しなければならないと私は思っておりますが、それを極度に政治的、あるいは、ひどい話になると猟官運動、猟官的な活動に迎合するような人事がもし行われるとすれば、その干からびた形式主義的人事の対極には、利益を伴った不正な猟官に対応する迎合人事みたいな話になってくるんだろうと思っております。

 それはともに排さなければ組織自身が生き生きとよみがえらないだろうな、こんなふうに考えて今度の提案をしているところであります。

塩川委員 原則はそのとおりというお話でございました。

 この三十三条については、三年前の国公法の議論の際に、勤務成績の部分が人事評価に書きかえられるということで、私どもは公正性が後退をしたと考えておりますけれども、法の枠組みとしては、この人事評価が公正に行えれば国公法の原則が維持されるという建前になっております。

 今回の改正は幹部職を対象とするものですけれども、その改正の中身というのはまさにこの任免の根本基準にもかかわるもので、憲法の原則にもかかわる問題でもありますので、この点について質疑の中で検証していきたいと思っています。

 そこで、幹部職の任用について、今回の改正案では、次官級、局長級、部長級を同一の階層とみなして、これまでは昇任、降任だったものを、この幅の中では転任とすることによって、事実上、幹部の昇任、降任を容易にするものだ、そういう中身でございます。

 二〇〇七年の改正国公法では標準職務遂行能力を定めてございます。それぞれの任用はこの標準職務遂行能力とその官職への適性によって行うとされているわけですが、そこで質問ですけれども、この次官級、局長級、部長級の標準職務遂行能力というのは、現行、どのような違いがあるのか、その点についてお答えいただけますか。

仙谷国務大臣 非常に細かい御質問でございますので、時間がかかってもよければ、ここに「標準職務遂行能力について 平成二十一年三月六日 内閣総理大臣決定(抄)」、この一覧表がございますので、読み上げてもよろしゅうございますが、要するに、もしなんでございましたら、現在の標準職務遂行能力についての書きぶりは後でこれで見ていただければいいと思いますが、あらあら言いますと、現行の国家公務員法においては、職制上の段階に応じて、標準的な官職は政令で定めております。標準的な官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として、この能力を先ほどお示しした能力表で書き分けているところでございます。

 部長の能力は、課長の能力とは相当程度の差がある一方、部長、局長及び事務次官の標準職務遂行能力については、倫理、構想、判断、説明・調整、業務運営、組織統率といった共通する項目について少しずつ書き分けを行っているところであって、私どもとしては、その個人差も含めれば、一グループにして差し支えない、そういうふうに判断をしているところであります。

塩川委員 私、この点は事前に質問内容ではお伝えしているものですし、細かいというよりも、大事な点ですのでお尋ねしているわけですから、しっかりと御答弁いただきたいと思っています。

 お話ありましたように、それぞれ次官級、局長級、部長級においては、この標準職務遂行能力に違いがあるわけです。当然のことながら、次官級というのは、例えば倫理におきましても、部局を横断する課題や府省の重要課題について職務を遂行することができる、これに対して、局長級であれば、局の重要課題に対応してできる、部長級であれば、担当分野の重要課題に対応してできるということでありますように、当然のことながら、それぞれの職階に応じた標準職務遂行能力というのが定められているわけです。

 今回の改正で、この幹部職の標準職務遂行能力が一つのものになるというふうに承知しておりますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

仙谷国務大臣 幹部については、適格性審査を経れば、標準職務遂行能力は全く同じということになろうかと思います。

塩川委員 それで、実際、この標準職務遂行能力を統一するということになりますと、どういう標準職務遂行能力を定めることになるのかということなんですが、これは、どういうものに統一する、どういうラインに設定するとお考えでしょうか。

仙谷国務大臣 先ほどからお示ししているように、現時点では、少しずつ書き分けて定められているということでございます。

 これからは、この職務遂行能力が同一といいましょうか、同一レベルということになりますから、個々の官職への任用に当たっては、さらにこの上に、一元管理の仕組みの全体の中で人事配置がされるということになります。

 したがいまして、私どもは、この事務次官、局長、部長について、同一の職制上の段階に属するとみなすわけでございまして、こういう定め方が経験上も合理性を欠くとは全く考えていません。

塩川委員 それをこれから議論していくわけですけれども、まず、この標準職務遂行能力は一つにするということでよろしいですね。

 その上で、では、どういうものをつくるのかということの中身を教えていただきたいんです。

仙谷国務大臣 ちょっと質問の趣旨がよくわからないんですが、中身というのは、文字で書きあらわす中身ということですか。(塩川委員「そうですね」と呼ぶ)

 それは、多分、法案がつくられてから、総理大臣決定ということになっていますから、総理大臣のもとで、現時点の制度ですと、総務省が補佐をして標準職務遂行能力というものをつくるんだろうというふうに考えています。

 ただ、現時点で、例えば倫理についてのところを見ると、事務次官と局長と部長、今議員が御指摘になっているように、「部局を横断する課題や府省の重要課題に責任を持って」というのが事務次官で、局長が「局の重要課題に」ということになっておりまして、部長が「担当分野の重要課題に」ということになっておりますが、これは、書き方として、全部重ねて書くか、それとも、部局を横断する課題及び局の重要課題、担当分野の重要課題にいずれも責任を持って取り組むとともにというふうな倫理観があるかどうかということであれば、要するに、どこまでの外延と内包の中に入ってくるのかということであります。

 要するに、今までですと、部長は担当分野の重要課題に責任を持って取り組めるかどうか、局長は局の重要課題に責任を持って取り組めるかどうか、事務次官は部局を横断する課題や府省の重要課題に責任を持って取り組めるかどうかでありますが、部長でもそういう横断する課題や府省の重要課題に責任を持って取り組んでいる、そういう方々もいらっしゃるし、その能力がある方々も相当数いらっしゃると私は見ております。

 早い話が、四十を超えた方々ぐらいですと、経験年数がそのぐらいになると、日本の官僚諸君は皆さん本当はおできになる。こういう細かい、わざと違いをつくるために文字に書いてあるだけだという程度のことしか私は思っておりませんので、これは、一つのグループの標準職務遂行能力ということで見れば、書き方はいろいろあるんでしょうけれども、今の日本の、特にキャリアの方々でいえば、どのことをとってみて書いても、そのことに当てはまる方の方がほとんどじゃないか、そんなふうに思います。

塩川委員 これは幹部候補者名簿に載せる、その際の基準の話でありますので、そういう点では、適格性審査を行って、それにかなった人が幹部候補者の名簿に載るわけです。その際に用いるのがこの標準職務遂行能力であるわけですけれども、それが、今お話しのような、だれでもオーケーみたいになる、そういうような話だったら、幹部候補者名簿そのものの妥当性が問われるんじゃありませんか。

 六百人からのプールをつくるということであれば、どこかで線を引くとなったときに、次官級の標準職務遂行能力となれば、それは枠がはまりますから、部長級レベルの標準職務遂行能力の線で何らか統一せざるを得ないというふうになってくると思うんですけれども、いずれにせよ、それは、幹部候補者名簿を議論していく上で、幹部人事の一元管理を行う上での大前提の話として、この標準職務遂行能力がどういうような文面で行われるものなのかということについてきちっと示していただきたいということであります。

仙谷国務大臣 そういういいかげんな話ではなくて、先ほどから出ております、この適格性審査を官房長官のもとで、民間の有識者あるいは人事の経験を持った担当者等々のお話を聞いて、基準を示しながらこの審査を行っていくわけであります。

 そういうときに、私は、ほとんど、部長以上の方々については、これほど書き分けて意味があるような話ではなくて、統一的にちゃんと書ける、書く、こういうふうに分析的に書こうとすれば書けると思いますが、そのお示しいただきたいというものは、現在のところ私の仕事ではないものですから、官房の方に、こういうものをいつごろ用意できるかということは問い合わせてみたいと思っております。

塩川委員 どういうものがあるのか問い合わせてみたいという話ですから、ぜひ委員会として、審議の上での前提として、この標準職務遂行能力、統一するということであればどういうものを示すことができるのかという、まあ、そのものとは言いませんけれども、考え方なり、基本となるようなものをぜひ委員会に提出いただきたい。この点について、ぜひ委員長としてもお諮りいただきたい。

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいま塩川君から請求のありました職務遂行等についての資料等については、理事会に諮って検討させていただきます。

塩川委員 出していただく方向で対応いただきたいと思っておりますので、その点について、ぜひお願いいたします。

 そこで、先ほども言いましたように、実際には部長級のラインで設定せざるを得ない話になってくるんですが、ぜひ具体的な、政令になるのか、政令案であれば、そういうものの提出を待ってぜひ議論したいと思っています。

 その上で、三つの段階が一つになるわけです。そこで、現行におきましてこの標準職務遂行能力がどのように人事評価に使われているのかという点について、この点は総務省の所管だと承知をしておりますので、この標準職務遂行能力は人事評価にどのように使われているのか、この点について、渡辺副大臣にお答えいただけますか。

渡辺副大臣 現在実施している能力評価において、職員が発揮した能力を評価するための評価項目として活用しているというのが役所がつくったペーパーでございまして、本音のところで言いますと、私は、非常にこの能力評価は難しいんじゃないのかなというふうに思っています。

 しかし、この中で、業績評価は可能だろうと。この六類型、客観的に判断しにくいものばかりなんですけれども、六つの例示の中の一つの「業務運営」については、こう書いてあります。「国民の視点に立ち、不断の業務見直しに率先して取り組むことができる。」と書いてあります。国民の視点というのは、イコール納税者の視点でありまして、政権交代して、三役に言われて初めて業務見直しに着手したような例がかなり散見されるわけでございまして、納税者の視点、国民の視点に立っているとは言いがたいのじゃないのかなというのが本音でございます。

 例えば、一つ例を挙げますと、法令のデータベース化を進めていますと言いながら、OBのいる団体から一冊九千円もするような法令集を何百冊と膨大に買っているんですね。これは非効率じゃないか、浪費じゃないかと言ったら、見直しますなどということができるわけなんですね。

 ですから、私は、正直言って、客観的に能力評価できないものが非常に多いんですけれども、そういう意味では、業務評価をする上においては、やはり業務運営で国民の視点に立っているかどうかということを一つには基準として考えていくべきだろうというふうに思います。

 導入されてまだ一年そこそこでございますので、正直なところ、人事評価に活用されているかどうかということについては、まだまだこれからを見てみないとわからないということでございます。

塩川委員 これをさらに変えようという話ですから、架空のものにさらに積み上げるようなことであっていいのかというところは当然残ります。

 今お話しのように、人事評価に当たっての能力評価に生かされているんだということであります。ですから、現行の人事評価のシートを見ますと、事務次官用のがあり、局長用のがあり、部長級のものがそれぞれあるわけですね。それぞれが、それぞれ対応する標準職務遂行能力についての倫理とか構想とか判断とか、説明・調整、業務運営、組織統率という項目で書き分けられて書かれているものになっているわけであります。ですから、そういう形でいえば、それぞれのクラスに応じた人事評価をすることになっているわけです。

 そこで、お尋ねしたいんですけれども、今現在も、実際、能力評価は難しいという話でしたから、そういうものを聞くのもなんですが、率直に言って、現在の抽象的な基準で、恣意性が入り込むようなそういう余地が大きくて、公正中立な評価を行えるかどうか疑問ですけれども、そういうものを、今まで少なくとも三つに分けていたものをさらに一つにすることで行われるわけですから、ますます抽象的な基準にならざるを得なくなるんじゃないのかと思うんですが、御見解をお聞かせいただけますか。

渡辺副大臣 これから当然議論をしていくべきでありますが、例えば、ここにある倫理、構想、判断、説明・調整、これは、この分野においてはどういう能力というようなことを客観的に判断するというのは、なかなか難しいんだろうと思います。ただし、今申し上げたように、業務運営において、国民の視点に立っている、そして不断の業務見直しというものに意欲的であるということは、やはり一つの考えるべき基準なのであろう、評価する基準なのだろうと私は思います。

 それ以外の点について、なかなか、「部下の志気を高め、組織を牽引し、成果を挙げる」とか、これは、だれもが、選ばれしエリートの方々ばかりですから、当然、上に立つ者は部下の士気を高めるなどというのは当たり前のことでございます。これを、だれかがどういうふうにして能力として採点するかというのはなかなか難しいんですが、そこはやはりいろいろな、比較的客観的に判断し得るように、恣意性の入らないような形で判断できるような形で進めていくべきことであろうというふうに考えております。

仙谷国務大臣 理屈でおっしゃればそうかもわかりませんけれども、では、一体全体、一年ごとに、そのなかった能力が、つまり、局長としての能力がまだこの人はないから部長におる、その人が一年後に局長になって、一年後に次官になる。一年後にそういう能力ができるというのは、いかに考えても僕は不合理だと思うんですね。

 もともとその能力がある人が、今は年功序列のもとで、じっと順番を待っているのか、あるいはそのうちの何人かが間引かれるのを待っておるのか、そういう体系で今は来ている。今の、能力評価がまずあって、審議官以上はみんな能力がある人だと今までのところで評価をされてきて、その中であとは時を待っている、こういう話だと思うんですね。そうしないと、一年後に何か急に全体を見渡せる能力がついて、それまでは全体を見渡せる能力がなかったなんて、そういう荒唐無稽な話には僕はならないんじゃないかと。それで、現に、そのクラスの方々を見ておりましたら、どこへ持っていってもできますよ、ほとんどの方は。よほどのことがない限りできますよ。

 だから、ある意味では、先ほど申し上げたような、本当に極端なというか、嫌らしい党派性とか政治性とか、そういうことを排除するためにどうすればいいのかというふうなことの方がむしろ問題になるんじゃないかと私は思っております。

塩川委員 いや、抽象的な基準であればあるほどポストにつける際に恣意性が介在するんじゃないのかということが問われてくるんじゃないですか。私はそこのところを問うているわけです。

 さらに言いますと、この人事評価をだれが行うかという話になります。ですから、職制上は次官、局長、部長が、今度丸めて変わりませんから、そういったときに、そうはいっても現行でいえば、次官は局長の、局長は部長の人事評価をすることになると思いますが、それはそういうことですよね。

仙谷国務大臣 聞くところによりますと、今は省庁が統一した評価の方法を定めてないようでございますけれども、これは三百六十度評価というふうな話がまずは前提になって、それから直近の上司が見て、さらにはその上の上司が見て評価して記録に残すというのがまずは評価の出発のところで、総合的な評価ということになりますと、それはさっきどなたか、甘利先生でしたか、あるいは中川先生でありましたか、ちょっと忘れましたけれども、いずれにしても、恣意的といえば恣意的、好みといえば好み、ウマが合うかどうかといえばウマが合うかどうかみたいな、そういうところは、それは全くそういうものをそぎ落として人事をやるということになってくると、目をつぶって鉛筆投げるか、それとも年功序列も厳格な年功序列でやるか、何かそういう形式論にならざるを得ないんじゃないでしょうか。

塩川委員 いや、でも、そういうことが、現状とすれば、恣意性が介在することによって党派的な人事が行われるんじゃないかという懸念になるわけですから、そういう点でもこの成績主義というのは原則として今まで掲げられてきたわけで、そういう点でも今のお話というのは看過できない話だと思いますよ。

 それで、お聞きしたかったのは、それぞれ、標準職務遂行能力が一つという、そういう中で、しかし、直近の上司が人事評価をするということなんですけれども、でも、その直近の上司であれ、標準職務遂行能力上、同じなんですよ。同じ能力の人が同じ能力の人を判断するという仕組みになっているんですね。そこにまともなチェックが可能になるかどうかということが問われてくるんです。その点はいかがですか。

仙谷国務大臣 人事評価というのはそういうものだと私は思っております。

 さっき塩川議員のおっしゃられたことは、僕に言わせると、きれいごとの、建前のもとで、本当は嫌らしいやり方で人事が決まっているということの方が今までは多かったんではないんでしょうかということが、むしろ反論として、この人事問題については行われるんじゃないんでしょうか。

 僕は、私の身近で、この霞が関で生活をした方と、知っていらっしゃる方もおりますけれども、最後になって本音を聞き出したら、やはりそこのところはありますよね。だから、余り、建前上の、きれいごとがあっても実態がどうなのかということがやはり次の問題で、そういうことをどういうふうにしてフィードバックするのかということを考えた方がむしろいいのではないかということを私は思います。

塩川委員 であるからこそ、しっかりとした、どういうものを考えているのかを示していただきたいということであるわけです。

 標準職務遂行能力についても、ぜひ、どういうものをお考えなのかを示していただきたいと思っていますし、そういう点では、標準職務遂行能力を一つにするという点で、あいまいな基準の上に、同じ標準職務遂行能力の段階の人が同じ段階の人を評価するという点では、二重の意味で、合理的な人事評価の体系の体をなしてないと言わざるを得ません。ですから、その全体像を示していただきたいんですけれども。

仙谷国務大臣 三百六十度評価がまずあるんですね。これは部下がまず評価するわけですね。同僚も評価するわけですね。そんなことは人事評価としてはあり得ないとおっしゃるならともかく、まずそこから始まると。そして、直近の部下、これが同レベルの人でありましても、仕事上というか、職制上、上下の関係にある場合、あるいはライン的にそういう関係にある場合には、あなたが同レベルと言っても、一応は上司の立場に立つわけですから、その人の直近の上司も、またその上も、もちろん評価があった方が総合的に評価というのはなされるんじゃないんでしょうか。

塩川委員 先ほど渡辺周総務副大臣が、業績評価は可能かもしれないが能力評価は難しいという話もされているわけですけれども、そういう点では、能力評価そのものが本当に可能なのかどうかという点は問われてくるんじゃないでしょうか。

 私は、そういう点でも、現行のものさえが非常に問題があるのに、さらにそれに加えて、あいまいなものにするという方向が、率直に言って、人事において恣意性が介在することになるということを拡大するものになるということを指摘せざるを得ません。

 お尋ねしますけれども、この幹部職の昇任、転任について、改正案の六十一条の三第二項によれば、「職員の昇任及び転任であつて、幹部職への任命に該当するものは、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であつて、職員の人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。」とある。職員の昇任とか、転任という名の事実上の降任を決める基準というのが、標準職務遂行能力に加えて、幹部職についての適性についてですけれども、この幹部職についての適性というのは、どういう基準、客観的な基準をもって示すお考えですか。

仙谷国務大臣 どういうお答えをすれば御納得いただけるのかわかりませんが、適性は適性であるというふうに私は思います。

 つまり、幹部職の適格性審査を受けて幹部職になった人のうち、今度は何とか国際局長に適性があるかないかという観点から、この名簿の中からその任命権者及び官房長官、総理大臣が選んでいくということを、多分ここに、例えばそういうことについて記載がある。

 だから、おのずから、局長であろうが部長であろうが、任命権者が適性があるとなぜ判断したのかというのは、判断をした人の個性によっても能力によっても少々差が出てくるかもわかりませんけれども、適性というのは、任命権者なり、あるいはその任命をするについて協議をする任命権者と官房長官、総理大臣、そこが、この職にはこのキャリア、この実績、あるいはこの人格とかネットワークとかであれば立派な業績を残してくれるだろうというふうに判断するのが適性についての判断ではないかと私は思います。

塩川委員 そういうキャリアとか実績とか人格とか、お話しされるそういうものが全体としてどうなるのかというのを示していただきたいんですけれども。

仙谷国務大臣 ちょっと十二分のお答えができるかどうかわかりませんけれども、それを外形的に示すというのは、全く示せないわけじゃないでしょうけれども、実際の人事として、それが各ケースにどのぐらい妥当するのか妥当しないのかということとはまたちょっとレベルが違う話ですし、すべてを網羅できるようなものをつくろうと思うと、またまたおっしゃるように、非常に抽象度が高く、言語の包摂度が高くというか、外延を広くするみたいなことになってきて、それほど生産的な意味があるようには私は思いませんけれども、おっしゃっていただいておるので、ちょっと頭の中で検討をしながら、私のスタッフと、スタッフというのは政務三役と議論をしてみたいと思います。

塩川委員 この点でもぜひお示しいただきたいと思っています。

 これまでの幹部の人事については、職員一般の人事と共通で、人事評価によって標準職務遂行能力と任命しようとする官職の適性の二つが基準とされてきたわけですけれども、幹部職についての適性に客観的な基準が見られません。

 人事評価についても、二〇〇七年の国公法の改悪で導入された能力評価というのが、ただでさえ中立性、公正性に大きな疑義があって恣意的な評価の危険性が排除できないものであったわけですけれども、今回のお話をお聞きしていても、こういう前回の改悪の際の建前でも存在していた標準職務遂行能力という基準さえ幹部職の中ではあいまいにされるわけで、これではやはり幹部職の評価が中立公正に行われるとされる建前上の前提さえなくなるんじゃないのか、このことを強く指摘せざるを得ません。

 この点についての考えを最後にお伺いして、きょうのところは区切りにしたいと思います。

仙谷国務大臣 人事、とりわけ幹部人事についての考え方とイメージが大きく違うな、そういうふうに私はきょう塩川議員と議論をして感じました。

塩川委員 終わります。

田中委員長 次回は、来る十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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