衆議院

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第12号 平成22年5月12日(水曜日)

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平成二十二年五月十二日(水曜日)

    午後零時四十六分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 井戸まさえ君 理事 大泉ひろこ君

   理事 小宮山洋子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 井上 信治君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      石毛えい子君    泉  健太君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      打越あかし君    小原  舞君

      緒方林太郎君    大島  敦君

      大西 孝典君    岡田 康裕君

      岸本 周平君    工藤 仁美君

      熊田 篤嗣君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    斉木 武志君

      笹木 竜三君    菅川  洋君

      園田 康博君    空本 誠喜君

      田村 謙治君    玉木 朝子君

      津村 啓介君    中島 正純君

      中林美恵子君    橋本 博明君

      古川 元久君    渡辺 義彦君

      甘利  明君    小渕 優子君

      金田 勝年君    鴨下 一郎君

      小泉進次郎君    橘 慶一郎君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      漆原 良夫君    塩川 鉄也君

      浅尾慶一郎君

    …………………………………

   議員           塩崎 恭久君

   議員           柴山 昌彦君

   議員           菅原 一秀君

   議員           西村 康稔君

   議員           山内 康一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  仙谷 由人君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣官房副長官      松井 孝治君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   総務副大臣        渡辺  周君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   総務大臣政務官      階   猛君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  上瀧  守君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     大西 孝典君

  市村浩一郎君     岡田 康裕君

  逢坂 誠二君     工藤 仁美君

  岸本 周平君     渡辺 義彦君

  田村 謙治君     斉木 武志君

  津村 啓介君     熊田 篤嗣君

  寺田  学君     菅川  洋君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     泉  健太君

  岡田 康裕君     市村浩一郎君

  工藤 仁美君     玉木 朝子君

  熊田 篤嗣君     小原  舞君

  斉木 武志君     田村 謙治君

  菅川  洋君     寺田  学君

  渡辺 義彦君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     津村 啓介君

  玉木 朝子君     小室 寿明君

同日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     空本 誠喜君

同日

 辞任         補欠選任

  空本 誠喜君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第九号)

 幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及び幹部国家公務員法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案に対し、高木美智代さん外一名から、公明党提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。高木美智代さん。

    ―――――――――――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 ただいま議題となりました内閣提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表しまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 現在、我が国が直面する広範かつ重大な課題に対し、我が国の行政システムが十分に機能し、国民の期待に沿う効果を上げることができるよう改革を進めなければなりません。

 改革に当たっては、政治主導の名のもとに、かつての利益誘導のような古い政治体質を温存したり、時の政権政党の言いなりとなって仕事をするようないびつな行政システムを生み出す改悪であってはなりません。一党派や一省庁の利益のためでなく、国家国民のための公務員制度改革が真に必要なのであります。

 しかしながら、政府案では、幹部職の職制上の段階を一つとみなして転任という形で実質的な降任を行うことができるため、能力・実績主義に基づく公正で中立な人事は担保されず、ルールなき情実人事が行われるおそれがあります。

 また、国民から厳しい批判のある天下りを根絶しなければなりませんが、政府案は、かつて民主党が主張していたはずの早期退職勧奨の禁止も事前規制の規定も盛り込まれておらず、民間人材登用・再就職適正化センターを設置することで、天下りを温存するものであります。天下りを根絶するため、早期退職勧奨の禁止や事前規制の復活強化など、政府案や自民党、みんなの党案よりも強い規制を導入する必要があります。

 このように、公明党は、真に国家国民のための公務員制度改革を進めていくため、内閣提出の情実人事法案、天下り自由化法案を修正するものであります。

 次に、修正案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、幹部職員人事の公正性を確保するための修正であります。

 政治主導の名のもとに行われる情実人事を防止し、幹部職員人事の公正性を担保するため、職制上の段階のみなし規定を削除するとともに、適格性審査及び幹部候補者名簿について定める政令は、人事院の意見を聞いて定めるものとしております。

 第二に、民間人材登用・再就職適正化センター等に関する修正であります。

 再就職あっせんを行う民間人材登用・再就職適正化センターは設置しないこととするとともに、現行の官民人材交流センター及び再就職等監視委員会を廃止し、再就職等規制違反行為の調査等は国家公務員倫理審査会が行うものとしております。

 第三に、天下りを根絶するための修正であります。

 天下りの原因となっている早期退職勧奨を禁止するとともに、再就職あっせん規制の実効性を高めるため、同規制違反に対する罰則の新設を行うものとしております。

 また、職員は、人事院の承認を得た場合を除き、離職後五年間は、離職前五年間に在籍していた国の機関等と密接な関係にある営利企業及び非営利法人の地位につくことを禁止するものとしております。

 第四に、国家公務員の総人件費の抑制に関する検討規定の追加であります。

 国家公務員の総人件費を抑制するため、一般職の職員の給与に関する法律を初めとした関係法律について平成二十二年中に検討を行い、その結果に基づいて、必要な法制上の措置を講ずるものとしております。

 第五に、この法律の施行期日を、公布の日に改めるものとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

 ありがとうございました。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として防衛省人事教育局長上瀧守君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより各案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渕優子さん。

小渕委員 自由民主党の小渕優子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私ごとで大変恐縮ですが、のどがちょっとおかしくて、聞きづらいことがあるかと思いまして大変申しわけありませんが、最後までおつき合いをいただけますように、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、早速質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、来年度の新規採用についての御質問をいたします。

 四月の二十七日の閣僚懇談会において政府の来年度の新規採用方針に関しての総理指示があり、具体的な詰めを行った上で今月中にも具体的な採用者数を決めるとの報道がありました。

 この閣僚懇談会における議論の内容、また資料が丁寧に出されていなかったためか、報道では国家公務員の新規採用半減などと、これは関係者、とりわけ、今まさに来年度の就職に向けて国家公務員試験の準備の真っただ中にある学生さんたちにとっても大変ショッキングな見出しが躍っておりまして、これにつきまして大変心配をするところであります。

 また、同日、関係大臣の記者会見を見ましても、例えば原口大臣は、収入が減っているのだから前政権のように新規採用を前年と同じようにやるということは私たちはやらない、また枝野大臣は、民間企業でも経営状態によっては新規採用をゼロにするということはあると。

 これは、極めて表面的な理由しか述べられておらず、また、長期的視野に立って政府を支える有為な人材をどのようにして集め、また育成していくかというそうした中長期的なビジョンが欠けているため、学生さんたちの公務員離れを一層加速してしまっただけではないかと危惧するところであります。

 きょうは、総務省から副大臣にお越しをいただいていますが、まず副大臣にお伺いをしたいと思います。新規採用半減方針について、その意図、目的は何でしょうか。

渡辺副大臣 お答えをいたします。

 御指摘の点でございますが、原口大臣、枝野大臣が記者会見等で申し上げているとおりでございまして、今御指摘のとおり、大変厳しい財政状況にある。その中で、私どもの政権としては、まさに民間でいえば赤字企業が従来どおりの新規採用を続けるということはやはり考えられない。

 そうした中で、今後の地域主権のあり方を考えまして、例えば、地方の出先機関については、原則廃止という方針のもとで、新規採用数を平成二十一年度と比べて原則二割以内に抑制する等の厳しい抑制を、ここにいらっしゃる仙谷大臣初め四閣僚で協議を行いまして、半減をする、二十一年度の新規採用者に比べて半減をするということを目標として方針を打ち出したものでございます。

小渕委員 以前に、ことしの二月だったかと思うんですが、総務省が示した試算によると、退職勧奨なし、新規採用抑制なし、六十一歳以降昇給なし、定年を六十五歳まで延長した場合、総人件費は、二割減どころか二割増、四千二百億円ふえるということでありました。

 新規採用を半減した場合はどうなるんでしょうか。具体的な数字もあわせて教えてください。

渡辺副大臣 二月の総務省の試算の前提となっておりますのは、一つには退職勧奨なし、二つ目は新規の採用抑制なし、そして三つ目は六十一歳以降の昇給はなしという三つの前提に基づいて機械的な試算を行ったものでございます。

 今回、新規採用を抑制する、そして退職勧奨も行うということを含めますと、この前提が変わってまいります。

 今、具体的な数字ということでございましたけれども、総務省で現在試算したところで、採用抑制数を四千六百人、半減の場合でございますと、十五年間行って、およそ六万九千人。一人当たり、若い職員の、二十五歳係員、三十歳係員、それから三十五歳係長と、各モデルの平均値を用いて試算をしますと、これはあくまでも機械的な試算でございますが、およそ二千五百億円になる。そして、このほかに共済負担金等に対する効果も期待されるところでございます。

 また、詳細について今現在詰めているところでございますが、今、数字でということでございますので、現状で試算した結果は以上のとおりでございます。

小渕委員 民間企業において、例えば経営状況の悪化などによって新規採用を抑制する、そうしたことというのはしばしば行われていることで、それはそのとおりなんですけれども、それは、あくまでも組織の人員の整理縮小というものを行った後に、あるいはそれと同時期に行われるものであって、そうしたことというのはせずに、とりあえず新規採用半減をすると。今のお話ですと、十五年で六万九千人、二千五百億円の減という理解でよろしいんですね。あわせて、これは、新規採用を減らすというだけではなく、しっかり人員の整理縮小というものもやっていく必要があると思っております。

 四月の二十一日のこの委員会におきまして、金田委員の質問に対し、原口大臣は、新規採用と定員管理のあり方について、一定の結論を四月中にも出したいという御発言がありました。五月に入りましたけれども、もう一方の定員管理のあり方について具体的な方向性は示されたのでしょうか。

階大臣政務官 お答えいたします。

 新規採用の数をどうするかということで、恐らく新規採用と定員管理という言葉を使われたと思います。

 新規採用以外の定員管理全体については、この委員会で私から以前答弁したと思いますが、今年度中に定員計画を立てて、そして私どもがマニフェストでお約束しているような、四年間の衆議院の任期の期間中に定員の減少というものをやっていくということになっております。

小渕委員 新規採用の抑制の方針というものがこういう形で大々的に報じられた。そういうことで、やはり今後公務員になるべく優秀な人材というものを確保するということに関しては、意欲としてなかなか難しい、公務員離れを加速してしまったのではないか。

 一方で、肝心の、マニフェストにもある公務員の総人件費二割削減の具体策、今年度中に出すということでありますけれども、現在議論している公務員法にも十分にかかわってくることであり、また、給与法についても全く手つかず、さらには、早期退職勧奨は禁止をして定年まで働ける環境づくりをする、指定職クラスの年収の高位のスタッフ職を新設するといったことも検討中ということで、既存の組織や人員については今年度中、随分と先に返事をする、新規採用だけ抑制する、これが本当に政府の経営再建策なのでしょうか。

 ちょっと大臣にも質問をさせていただきたいと思うんですが、新規採用半減による総人件費削減効果というものは決してそんな多くない中で、民主党がこれからしっかり取り組むべくは、既存の組織や人員について、また給与体系をしっかり見直すことによって全体として徹底的な整理縮小を行っていくことではないでしょうか。

仙谷国務大臣 全体的、総合的に見直していくというのはそのとおりだと思いますが、めり張りをつけて、これからの日本の産業構造あるいは人づくり等々も含めて、やはり従来の定員枠の中で、新人採用に当たっても、それを従来の延長線上でやっていくということには決してならないだろうというふうに私ども四大臣は考えました。

 したがって、これからそういう観点も配慮しながら総務省の方で各省との折衝に臨んでいくわけでありますが、四大臣のところでそういう点も勘案しつつ、とりあえず現時点では、先ほど総務副大臣の方から申し上げましたような、大きく言って来年度の新人採用については半分ぐらいに抑えると。そこからどうめり張りをつけていくのか。

 例えば、やはり出先でも、減らさないで、総枠としてもふやさなければ対応できないというふうなところも当然出てくるんだろうなと私どもは考えておりますが、まずは、採用数については新人半分ぐらいでやるということでお考えをいただきたい、こういうことでございます。

小渕委員 これまでもこの委員会の中で何度も質疑に出ていると思うんですけれども、国家公務員の人件費を二割削減していくということ、この具体策については見えてこない、組織の人員の整理縮小についても今年度中に結論を出すということで、肝心なことや大事なことというのはすべて先延ばしにして、この大事な法案だけ通してしまえというのは余りにも乱暴ではないかというふうに思うところであります。

 あわせて、次の質問をさせていただきますが、先日、四月の十六日のこの委員会で、伊東委員の質疑の中で、政府案では給与法を改正しなくとも転任によって給与が下がる、例えば事務次官から局長に転任した場合に年収が五百万程度下がるというようなことが、大島副大臣からの答弁だったかと思うんですけれども、それが確認をされたかと思います。

 これを聞きまして、私は、人件費が膨張しないという点では納得をしたんですけれども、そもそも、そうした人事異動が転任として認められるということはやはりおかしいのではないかなというふうに思うところであります。事務次官から部長まで同じ職階とみなすというこの政府案、降任には当たらないとするための小手先のごまかしのように感じます。降任には当たらないけれども大幅に給与が、何百万円も下がるということは、国公法の基本である身分保障の考え方とは相入れないのではないかというふうに思います。これについても総務省から、また人事院から、見解をお伺いしたいと思います。

 まず、副大臣にお伺いしたいと思いますが、国公法が本人の意に反する降任を厳しく限定しています。この趣旨は何でしょうか。

渡辺副大臣 今、国家公務員法の趣旨についてのお尋ねがございました。

 職員が恣意的にその職を奪われることがないようにということで、国家公務員法あるいは人事院規則において、その定める事由がなければ、「その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。」というふうに書かれているところでございます。

 これは、恣意的にその職を奪われることがないようにということを担保して、公務の中立性、安定性を確保しているという趣旨であることを認識しております。

小渕委員 それでは、不利益処分に関する審査については、人事院ですけれども、江利川総裁にお伺いをしたいと思います。

 このような形で、職階上幾つもの段階に分かれていたものを、今回形式的に一つにまとめて、同一の段階なので降任には当たらないというふうにしています。

 これについて、身分保障の趣旨に照らして問題となることはないんでしょうか。

江利川政府特別補佐人 身分保障の規定は、国家公務員法の七十五条でございますけれども、「その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。」というふうに規定されております。

 今回の法改正によりまして、事務次官から部長、審議官までを同一の職階、職制上の段階とみなすということになりますので、現行法上は降任でありました異動も含めまして、新しい法律が成立しますとすべて転任という扱いになるわけでございまして、転任ということになりますので、法律上は、身分保障上の規定が、法律上の問題は出てこないということになります。

 ただ、国家公務員法上、分限制度、身分保障制度が置かれている趣旨というのがあるわけでございまして、これは、国民全体の奉仕者である公務員が、情実等に左右されないで、公務の公正性あるいは公務の適正かつ能率的な運営を図る、そういうような目的でこの制度があるわけでございます。

 法律上も、その意に反して降任されないというふうになっているわけでございまして、こういう規定がありますと、小渕議員がかねてから人事の公平性、中立性の確保について御疑念、御疑問を指摘されておりますが、そういう意味からどうなんだということだと思います。

 私は、法律上は降任ということにはなりませんけれども、人事につきましては、成績主義の原則にのっとりながら、基本的には任命権者の考え方、見識のもとに行われていく、そして人事の適正は期されていくものというふうに思ってはおりますけれども、特に、組織法令上の下位の官職に転任させるような場合には、異動の合理性、納得性を高める、あるいは円滑な人事管理を行うこと、そういう観点から異動の考え方、理由というようなものを明らかにしていくことが大事ではないかというふうに思っている次第でございます。

小渕委員 実際に今回、例えば事務次官から審議官になりますというようなことが降任ではなく転任という形で起こってくるわけですね。そうすると、実際、何百万円なのか何千万円なのかあれですけれども、確実に給与が下がるということになります。

 もう一度副大臣にお伺いしたいのですけれども、数百万円も給与が下がるということ、こうした点、これを転任ということですけれども、こうしたことを法は想定していますか。現行制度上でもこうしたケースというのはないと思いますけれども。あるんでしょうか。

 こうしたことが認められるとなると、それこそ身分保障に関して守られているというふうに言えるんでしょうか。

渡辺副大臣 御指摘の点でございますけれども、結論から申しますと、現在でも給与の減額を伴う場合はあり得るということでございます。指定職の俸給表が適用される職員については、官職に応じて定められる号棒に給与が決定されますので、同一の職制上の段階に属する官職への転任に際しては、現状でもあり得るということでございます。

 ですから、今回の法案において、幹部職が同一の職制上の段階に属するものとみなされておりますので、個々の官職への任用に当たっては人事評価に基づいて判断されますので、当然、そういうような場合には、今御指摘のあったような例を一つ挙げると、例えば重要局長が局長に転任となった場合には、千九百万円から千七百六十万円、約八%年間給与が減少になるというような試算もしておりまして、この法の中ではそういうことは想定をしているかと言われれば、当然そういうことはあり得るというふうにこの法はなっております。

小渕委員 法は想定しているということですけれども、それでは、身分保障が守られているということでしょうか。

渡辺副大臣 今御指摘の身分保障でございますけれども、それは、先ほど国家公務員法や人事院規則を持ち出しまして、恣意的な人事というものがあって、本人の意に反するような形であってはならないという、この趣旨は生きておりますので、公正な人事評価あるいは業績評価を通じて公務の中立性、安定性は確保する、その思いのもとで当然この法が運用されるわけでございますので、職員の身分保障の趣旨はこれまでどおり損なわれないというふうに私どもは考えているところでございます。

小渕委員 それでは、江利川総裁にお伺いをします。

 では、事務次官から審議官になる、その場合、何百万円か給料が下がる、こうしたケースの場合は降給に当たりますが、この場合、不服申し立てが行われた場合に、それに対して人事院の調査というものはどこまで及ぶことになるのでしょうか。

江利川政府特別補佐人 まず、降任のことについて一言触れたいと思うんですが、現在の身分保障は、七十五条で、「職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。」その意に反してということが大事でありまして、それが身分保障だということであります。

 ですから、今までの、過去の人事においても、本人納得ずくであるポストから下のポストに移ったことも過去ありますので、そういう意味で、現行制度でもそういうことは想定されているというお答えになったのではないかと思います。

 それから、不服申し立ての関係でございますが、不服申し立てにつきましては、国家公務員法上の八十九条、九十条で規定がございまして、やはり、「その意に反して、降給し、降任し、休職し、免職し、」あるいは「その他これに対しいちじるしく不利益な処分を行い、」ということになっておりまして、かつ、それにつきましては第二項で、職員が「いちじるしく不利益な処分を受けたと思料する場合には、」本人がそう思う場合には、同項の説明の交付を請求する、なぜこうなったか説明を交付できる。かつ、こういう場合にはまた、不服審査もできることになるわけでございます。

 そういう意味で、本人が、この処分について、人事につきまして、著しく不利益な処分に該当するということで人事院に不服申し立てをすることは可能であります。まだこれはどんなことが出てくるかわかりませんが、仮にそういうものが出てきましたら、それを受け付けて、両当事者からの説明を聞いて対応をするということになります。

 これは、これからの話ですのでちょっと具体例はなかなか想定できないところでありますが、私どもとしましては、その意に反しての処分ということを担保するというのが身分保障の制度でありますので、先ほど申し上げましたように、今回の人事についての基本的な考え方などが基本的に職員に伝わる、そういうことが大事ではないかというふうに思っている次第であります。

小渕委員 しかし、不服申し立てができるということでありますから、そういう例が今後ないとは言えないわけでありまして、その場合、人事院は、こうした申し立てがあった場合、その転任を取り消すことは可能でしょうか。また、その降給を取り消すことというのは可能ですか。

江利川政府特別補佐人 不服申し立てが出ました場合には、その不利益処分と思っている中身について適否を判断するということまででございまして、それを受けてまた処分権者がどうするかは、その処分権者の問題でございます。適否の判断をするということであります。人事院が直接人事を発動するわけではありません。それなりの理由があるか、その適否を判断するということであります。

小渕委員 そうなりますと、それでは、人事院において、不利益処分に関する審査そのものの意味、位置づけというものはどうなってくるんでしょうか。

江利川政府特別補佐人 現在でもさまざまな不利益審査が人事院に提起されております。公務災害に当たるとか当たらないとか、あるいは給与の格付、ボーナスの評価が適当と思われるか思われないかとか、さまざまな事案が来ておりますが、私どもとしては、それぞれについて言い分を聞き、処分者の説明が納得でき、申立人の説明が納得できない場合には原処分を維持しますし、逆の場合には処分の取り消しを求める、そういう意味では、そのもとで新しい事情を踏まえて、処分権者に新しい事情で判断をしてもらうということであります。

 そういういろいろな行政行為に対します合理性を確認し、正すべきものは正す、維持すべきものは維持する、その一つのきっかけ、整理になるものというふうに思っております。

小渕委員 大変まじめに討論していただいてとてもありがたいんですけれども、これまでももちろんあるというのはよくわかるんですが、これからは、もう何度も例に出していますけれども、例えば事務次官に一たんなった方が審議官になるということも起こり得るわけですよね、一つにまとめて、それで一つの職階とするわけですから。

 江利川総裁、大変長く公務員生活をお過ごしになってこられたと思うんですけれども、実際、例えば御自身が、一回事務次官ですよ、その後審議官です、何百万円か給与も下がります、こういう降任でなく転任というものに対して、公務員の方は御理解いただけるんでしょうか。

江利川政府特別補佐人 小渕議員のおっしゃいました、御理解いただけるかどうか、その理解のところが私は大事なことだと思っております。

 そういう意味で、今回、こういう考え方でこういう人事をするということがありますと、そういうことについて周りも本人も納得すれば特段そこは不服審査も出てきませんし、私も事務次官までやりましたけれども、確かに事務次官になると給与は高くなりますが、余り給与については、個人的な差もあるかもしれません、関心もありませんで、少し下がってもどうということは私の場合にはなかったかなと。ただ、人事についての納得性が大事だ、私はそこがポイントだと思っております。

小渕委員 みんながみんな、江利川総裁のように給与に関心のない方ばかりだとはとても思えないんですけれども、やはりその理解というものが実際に得られるのかどうなのか。

 私は、結局、幹部職員というものを無理に同一の職域にみなします、それは降任ではなくて転任です、でも給与は下がりますというのは、ちょっと小手先のごまかしのように感じるんですね。それであるのであれば、降任であるなら降任ですとしっかり制度として明記するとか、あるいはしっかり給与法を見直すとか、そういう必要があると思うんです。

 大臣、今回の、転任です、でも給与は下がります、これはちょっと小手先でいじくったことに見えるんですけれども、いかがでしょうか。

仙谷国務大臣 小手先でいじくったというよりも、私どもは、公務員の側の意識も、我々の方の意識も、国民の意識も、そこは多分、ドライにといいましょうか、少々、ああ、そういうことがあるんだ、年収で二、三百万違っても、それはそれでやむを得ないと。国会議員の場合には、落選ということでたちまちゼロになるわけですから。つまり、アメリカの制度などだと、政権がかわったら数千人の人々がやめていかれるというようなこともある。

 よく例に出すわけでありますが、人事院がつくられた、平成二十一年二月の公務研修・人材育成に関する研究会というところでおまとめになった、公務員像といいましょうか、どういう公務員をつくるかという観点での資料を拝見しても、やはり、全体の奉仕者としての意識を持っていただくというのと同時に、「政治に従い、政治を支えるための意識や能力の涵養」という話があるわけです。

 政権がかわる、あるいは大臣がかわるときに、例えば、今おっしゃられたようなケースでいいますと、事務次官をお務めの方が、今度は外局の長官でひとつ仕事をしてくれと言われたときに、外局の長官としてする仕事に意欲を燃やしていただけるということならば、この場合には多分三百万ぐらい、二百五、六十万でしょうか、変わってくるわけですが、そこは、幹部職員というのはそんなものだと。

 こういう官僚文化が、あるいは霞が関文化が変容していただかないと、地位と給与といいましょうか、それにしがみつくというふうな話ではこれはにっちもさっちもいかないというか、つまり、しがみつかれたときに大騒動になるということが今まで時として霞が関で起こった、あるいは新聞種にならないでも起こっている。そのことで何か役所の中にある種の派閥ができて、何々派がどうのこうのとか、それから、ある種、その時点での大臣や内閣の行うべき、あるいは行わなければならない、行いたい政策の企画立案あるいは遂行が停滞するということがあるとすれば、それはむしろゆゆしきことです。

 私は、公務員の身分保障というのは、保障はされなければならないけれども、職を奪われるというふうなことがないという意味で身分保障はなければならないと思いますが、しかし、それが絶対的なもので、相当高位のポストに、つまり幹部職員以上のポストにつかれた人がポジションをかわることによって結果として給与の不利益がある、それは許容範囲というものがあるんでしょうけれども、それは、余りにも不合理というのじゃ困りますが、許容範囲の中で許されるべきだ。

 それは、むしろ公務員の世界がそういうものになっていただきたいというふうに、文化が変わってもらいたいということなんだろうなと思いながら今拝見しておりました。

小渕委員 それであるのであれば、転任ということではなくて、しっかり降任という形にされればよろしいのではないかなと思います。転任にすることによって逆に誤解が生じているのではないかということを指摘させていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、次の質問に移らせていただきます。

 天下りを伴う早期勧奨退職の禁止についてお伺いをしたいと思います。

 先日も議論があったんですけれども、天下りあっせんに関する質問主意書に対する答弁書で、鳩山政権発足後の半年間で、早期退職勧奨によって退職をした本府省課長、企画官相当職以上の職員九十八人中、再就職先まで公表された、つまり調査時点で再就職に関する情報の報告があったケースは二十九名ということで、追加して、四月の二十三日付でプラス二十名、合わせて四十九名の報告をいただいています。

 実際に、退職勧奨に応じて退職している以上、退職後の再就職について何にも当てがなくやめますというのは、これはなかなか考えづらいと思うんですが、鳩山内閣になってから天下りを伴う早期勧奨退職はないのだ、これまでそうした問題はないということでおっしゃっているんですが、禁止するということを公約して、問題がないということを言い張っているのであれば、しっかり今後もこのあたりを追跡調査して、本人の就職活動の結果、どこどこの会社に再就職をされて、役所のあっせんというものがなかったということをしっかり、今四十九名わかっていますけれども、残り半分がまだ空欄になっているわけでありまして、今後の追跡調査をして、どういうことがあったのかということを説明していく必要があるのではないかというふうに考えております。

 そこで、仙谷大臣にお伺いしたいのですが、なかなか再就職先というものがない中で勧奨退職に職員が応じるということ、これはなかなか一般的に考えづらいのではないかと思うんですが、よく繰り返し検事さんの例が示されるんですけれども、具体的に、こういう方々はどのようなところに、例えば民間企業なんかではどういうところに再就職をされておられるのか、教えていただきたいと思います。

階大臣政務官 幾つか質問があったと思うんですが、まず、再就職の追跡調査をしっかりすべきではないかということなんですが、こちらは、私どもの政権になってから、管理職職員に対して、国公法上、離職後二年間、どこに再就職したかということを、情報を届け出させる、それを四半期ごとに内閣で取りまとめるというふうになっていると思うんですが、その情報は、我々の政権になってから、四半期ごとにちゃんと公表するようにしました。

 ということで、先ほど取り上げられた八十三名の再就職先でございますけれども、これからもちゃんと四半期ごとに追跡調査して公表するということにしておりますので、よろしくお願いいたします。

小渕委員 質問主意書に対する答えということでいただいている資料、この中には、民間企業においては大手証券会社ですとか、大手の銀行ですとか、そうしたところに再就職をされているということが示されています。これは本当に全く役所のあっせんなく行っているんでしょうか。これは一般的に考えて、皆さん、それぞれ御家庭もお持ちの方ではないかと思いますけれども、そうしたものなく、行き先の提示なく退職勧奨をする、それでみんな、行き先もないけれどもやめる、そういうことが実際にあるということが信じがたいなというふうに思うんです。

 であるのであれば、この退職勧奨をどの程度の方にお願いをして、そのうちの九十八人が受けたということなんだと思うんですが、拒否した事例、前回、これはプライバシーにかかわることだということではあるんですけれども、大まかで構わないので、この九十八名が全体のどのくらいの割合を占めているのか、教えていただきたいと思います。

階大臣政務官 今御指摘の点については、この委員会でも何度か御議論があったところだと思います。

 私どもからは、退職勧奨した八十三人、これが全員であって、それ以外に退職勧奨をして拒否された人というのはいないのかということについて、企画官以上についてはいないですけれども、企画官未満のところについてはおりますということで、それは資料もお出ししていたかと思います。そういうことで、現実的に言えば、企画官以上のところについては、退職勧奨をして、断っているというような人はいなかったというのが現実でございます。

 これは、私も答えさせていただきましたけれども、そもそも、今、あっせんがない中で、退職勧奨というのは余りやられなくなっている。退職勧奨をする数自体は減ってきています。ただ、実際、退職勧奨を行う場合というのは、多分、家業がおありになる方とか、この人だったら大丈夫だろうというある程度目星をつけて役所の方から声をかけている。声をかけられる人もそれなりの覚悟はあるということで、断られる数自体もほとんどない。企画官以上について言えば、今回の調査ではなかったという結果になっているんだと思います。

田中委員長 時間が参りました。

小渕委員 先ほどから申し上げているように、行き先も、全然あっせんもないままにとりあえずやめるという人がそんなに多いということは、これは決して、思えないわけなんですね。禁止をするということを言う余りに、逆にそういう実態というものが見えなくなっている、逆に隠れてしまっているというところが私は問題ではないかというふうに思います。

 時間が参りましたので、以上とさせていただきますけれども、先ほどから質問していることについて、例えば人件費の二割削減のことについて、いろいろなことが、具体的な対策というものが、今年度中とか、全部先送りをされているにもかかわらず、この公務員法だけはまとめていかなければならないということは、ちょっといかがなものかというふうに思います。

 しっかりそういうものを出していただいて、さらにこの法案の内容というものを審議していく必要があるということを強く申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、大変恐縮でございます、官房長官にも御出席をいただきました。短い時間でございますので、何点か、簡潔に御答弁をいただければと思います。

 まず、皆様のお手元に資料を今お配りしております。前回、官房長官御出席の委員会におきまして、私は公務員制度改革の全体像と工程表の提出を求めました。その後、一度、チェックリストのような、工程表とは名ばかりのものが届きまして、不十分であると申し上げたところ、昨日でしたか、進め方という、きょうの資料の最後の紙でございます。進め方という、これもまた全く不十分な一枚紙をいただいたところでございます。ぜひ、きょう御出席の委員の皆様もごらんいただきたいと思います。今後の公務員制度改革の進め方ということで、このような図になっております。

 私は、今までもさまざま質問させていただいてまいりましても、その都度、基本法にあるとおりですと、もう何度もそういう答弁をいただきました。しかし、どのような協議を持ち、またいつまでに結論を出していくのか、少なくとも前政権並みにはこの工程表をお示しいただかないと納得はできないと申し上げるものです。

 重ねまして、一日も早い全体像そしてまた工程表の作成に向けまして新政権に御努力いただきますことを申し上げさせていただきたいと思います。

 また、あわせまして、総人件費抑制のために、当然、退職管理の基本方針につきましても提出を再三再四求めてまいりました。これも、報道関係では、新聞では全社と言っていいくらい報道されたわけですが、書類がなかなか出てこない。質問のたびに要求をしまして、昨日やっと出てきましたのは、四大臣会合における総務省案でございました。四月二十三日に開催されたものでございます。十日以上たってまだ出てこなかったという状況です。

 しかも、閣議決定につきましては法案成立後の施行までの間に行うという、全くこれは不誠実な政府の対応であり、また国会軽視と言わざるを得ないと私は思っております。本来であれば、基本法の成立過程から考えれば、与野党問わず修正協議等を行うところですけれども、とても対応できる状況ではないというふうに思っております。

 したがいまして、まさかこのような不十分な審議の段階で強行採決などなさらないでしょうねということを、この場をおかりしまして申し上げさせていただきます。

 まず、総務省の階政務官にお伺いをさせていただきます。政務官には何問か質問をさせていただきます。簡潔に御答弁いただきたいと思いますので、もしよろしければ、こちらの席の方でずっといていただければありがたいと思っております。

 きょう、あわせまして出していただきました退職管理基本方針(総務省案)という内容でございます。このそれぞれの項目につきまして総務省として試算されたのかどうか、また人件費の抑制効果をどのように考えていらっしゃるのか、また、さまざま検討事項がございますが、今後これをどのように実行されるのか、お伺いをいたします。

階大臣政務官 恐れ入りますが、試算というのは金額的な試算ということで。(高木(美)委員「そうです」と呼ぶ)

 私どもとしましては、金額的な試算は今のところ出しておりません。ただ、ここの委員会でも資料を出しましたけれども、このままいくと、定年延長をし、かつ早期退職勧奨を行わないということになりますと十数年後には人件費が二割ぐらいふえてしまうということで、この退職管理基本方針に書かせていただいた項目を積極的に推進していくことで職員の高齢化に伴う人件費増を抑制していかなくてはならない。

 ただ、それだけでは私どもの目指す人件費の二割削減というのは全くできないわけでございまして、さっき小渕先生のときにも議論がありましたような、定員の削減であるとか、新規採用の抑制であるとか、あるいは公務員の労働基本権回復後の給与の見直しとか、そういうようなさまざまな方策を通じて、金額的には二割削減に向けて進めていきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ということは、政務官、二割削減とおっしゃいましても、めどは立っていない、二割削減に向けて努力をされるということでしょうか。

階大臣政務官 そのめどをつけるべく、今、定員の問題については取り組んでいるところでございます。

高木(美)委員 私は、いつも、新政権の仕事の恐らく手法なんだと思うんですが、全体像がない。そして、そこに向けてどのようなドラフトを描いていくのか、そこが見えない。しかし、これはやります、ここで努力をします。これは、以前も申し上げました、手順が逆であるという識者の方からの指摘もありました。試算がなく、大体このぐらいという考えなく、それでどのように給与を削減していくのか。しかし、一方では、きょうもやっと書類をいただきましたけれども、新規採用抑制については、このぐらいに抑制するという方針もお出しになっていらっしゃる。

 こういうことは、全体像がなく、その都度その都度つけ焼き刃でやっていらっしゃるという、そのようなそしりを免れないと思っておりますが、いかがでしょうか。

階大臣政務官 人件費二割削減については、マスコミなどでもよく記事になっていますけれども、非常に変数が多くて、一つだけを変えることで達成できるような問題ではないということで、今、出先機関の改革もしておりますし、公務員の労働基本権の問題も取り組んでいますし、定員の純減の問題も取り組んでいます。

 そういったさまざまな取り組みをトータルしてやっていかないと二割削減の青写真というのはかけないわけでございまして、その三つをちゃんと統括しながら、必ず二割削減というものについて青写真をつくっていく、そういうことで今鋭意取り組んでおりますので、よろしくお願いします。

高木(美)委員 それは、いつお出しになるのでしょうか。

階大臣政務官 なるべく早くだと思っています。

 というのも、先ほども申し上げたとおり、政権交代後四年間、最初の衆議院の任期の間に二割削減ということを言っていますので、早急に計画を立てなければ、計画段階で相当時間がかかってしまいますと実行に要する期間が短くなってしまいますので、早急にやらなくてはいけないというふうに考えております。

高木(美)委員 それでは、ちょっと具体的に伺います。

 例えば、年功的な給与カーブの見直し、これはいつまでに行うのでしょうか。民間では、例えば、四十八から五十二歳ぐらいで給与は七〇%に削減になります。さらに、六十歳ぐらいになったときにその七〇%、いわば、もう定年退職のころにはピーク時の三、四〇%に削減される、これが民間です。これを参考にすべきだと考えております。こうした見直しは、いつまでに、どのようになさるのでしょうか。

階大臣政務官 今、民間の数字も出していただきましたけれども、その数字が果たしてすべて当てはまるものなのかどうかというのは、ちょっと私、にわかにはわからないんですが、いずれにしましても、定年まで勤務できる環境の整備ということを私ども取り組んでいくということで来年の通常国会に向けて法案を準備していきますので、その中で、当然のことながら、高齢公務員の給与カーブの見直しというものも含まれてきます。

高木(美)委員 重ねまして、資料の退職管理基本方針のページ二の三の1のところ、専門スタッフ職制、この拡大強化と給与等の整備がございます。これはいつまでに行われるんでしょうか。

階大臣政務官 先ほどの問いの答えと同じようなことになるわけですが、この専門スタッフ職制度というのも、今まで天下りで早期退職していた人が、しかるべき仕事を外ではなくて公務員組織の中につくってちゃんと働いていただく、これも定年まで勤務できる環境整備の一つの大きな柱でございますから、これも来年の通常国会に法案を出せるように制度を考えていきたいと思っております。

高木(美)委員 重ねまして、三ページに高位の専門スタッフ職制というのがあります。

 報道によりますと、高位の専門スタッフ職については、年俸一千万ぐらいではないかというふうに報道されておりますが、どのくらいを考えていらっしゃるのか、答弁を求めます。

階大臣政務官 具体的な金額についてはまだ詰めておりませんが、ただ、当然のことながら、部長級の給与よりは大幅に下がるということでございます。

高木(美)委員 ぜひ民間ベースを参考に決定をいただきたいと思います。

 あわせまして、希望退職が冒頭に出てまいります。一ページ目の下の4です。希望退職制度の導入につきましても、募るに当たって積み増しをするという話もあります。ここには勧告制度も何も入っておりません。そもそも本来の退職金が適切かどうか不明な中で、これを積み増ししていくのか、どのようになさるのか、答弁を求めます。

階大臣政務官 希望退職というのは、民間ではかなり導入されているところも多いということで、私どもとしましては、退職勧奨でそれに応じた人だけある程度退職金が上乗せして払われるというような、ちょっとあいまいといいますか、退職勧奨があったかなかったかで差がつくような話ではなくて、ちゃんと制度としてみんなが公平に、早期退職するんだというふうに手を挙げた人はそれなりの退職金をもらえるような、そういう仕組みをこれから考えていきたいと思っております。

 ですから、その制度もなるべく早くつくって、定年まで勤務できる環境整備の一助としたいと考えております。

高木(美)委員 重ねまして、退職手当が高額過ぎるという批判がよくあります。人事院勧告もしくは第三者機関の諮問を導入すべきではないかと思います。民間の実態調査の根拠規定を設けてもよろしいのではないかと思いますが、対応はいかがでしょうか。

階大臣政務官 この委員会で、みんなの党の浅尾委員からも御指摘がございました。共済年金の職域加算分というものが民間と比べて高額になっているというような御指摘もありますし、退職手当については、これから精査すべき課題はあると思います。

 そうした中で、今委員から御指摘のあった、第三者の意見、あるいは民間企業の実態を詳しく調べてそれを反映させる、これは非常に大事なことだと考えておりますので、これから抜本的な公務員制度改革を推進していく中で、退職手当制度のあり方についてもしっかり検討してまいりたいと思います。

高木(美)委員 もう一問お願いいたします。

 独法それから公益法人等への出向につきまして、退職金の通算等の整備ですが、これはいつまでに行う予定でしょうか。

階大臣政務官 退職金の通算の整備ということですけれども、これにつきましては、今までも出向は認められておりまして、ただ、もう少し、今まで出向が認められていなかった特殊法人等々への出向を認めてはどうかと。

 その場合に、問題になりますのは、同じ出向でありながら、独立行政法人では、行って戻ってくるまでの期間、公務員としての仕事はしていないわけですけれども、その間も公務員をしていたという前提で退職金の期間通算が認められておるのに、今回、もし出向先を広げた場合にその通算が認められないのでは不公平だということになりますので、退職金の通算の整備というものは、出向先の拡大とあわせて、セットでやっていきます。

 そうなってきますと、当然のことながら、来年に向けて、定年まで勤務できる環境整備というものと一緒に検討していくことだと考えております。

高木(美)委員 それでは、官房長官にお伺いいたします。

 ただいまの階政務官の答弁、ずっと重ねてお伺いさせていただきましたが、本来であれば、総人件費の抑制につきまして、やはり本法案の検討項目にきちんと入れるべきではないかと私は思います。

 そのように、今政府も現実に、給与法、退職手当法、定員法、共済組合法等、もう既に、見直しを年内になさる、そしてまた来年の通常国会に提出したい、このような明確な意思がおありになるのであれば、その趣旨を明確にされてはいかがか、法文上この検討項目にお入れになってはいかがかと提案をいたしますが、官房長官の御見解を伺います。

平野国務大臣 いつも先生に御質問いただきまして、大変うれしく思っております。

 今の御質問でございますが、総人件費を抑制するための給与体系の見直し、これは当然でございますし、関係法令の改正を行う必要があるということについては、私、先生御指摘のとおりだと思っております。

 そういう中で、手法、やり方としていろいろあると思いますが、今回、その手順として、この法案に続く改革として、まず、公務員の基本法のあり方を含む公務員制度の抜本的な改革を進めていく予定になっております。そういう意味で、給与体系の見直しについても、その抜本的改革の中で検討するということが私どもとしては妥当であるというふうに考えておるところであります。

 また、基本権のあり方につきましては、基本権を付与する方向で今後検討をより加速させる、国民に開かれた新たな自律的労使関係を構築する、こういうことで、これに関係する法案については次期国会で出させていただきたい、このように考えているところでございます。

高木(美)委員 官房長官に申し上げますが、やはり私は、政治主導とおっしゃるからには、政策決定プロセスが透明化されなければならないと考えております。密室的に大臣会合、そしてまた政務三役、その議事録が全く見えない。どのような検討が行われているのか、そこを推察することができない。出てくるのは新聞報道になります。それでは適正な提案、そしてまた、それに対するさまざまな議論、国民的な議論というのは巻き起こすことができないのではないか、私はこのことをあえて指摘させていただきます。

 したがいまして、そういうプログラムをお持ちになるのであれば、先ほどおっしゃった労働基本権につきましては検討項目に入っております。あわせて、こうした総人件費抑制のための法整備についても当然お書きになるべきだということを重ねて申し上げさせていただきます。

 あわせまして、今労働基本権のお話が出ましたので、きょう、一枚実は資料を用意させていただきました。国家公務員の職員団体という一覧表でございます。これは、それぞれのホームページを参考に作成をしたものでございます。

 各省庁の組合組織状況を見ますと、ちょっと数字まではよくわからないところが多くありました。しかし、これを見ますと、連合系それから全労連系、あえて政党名は申し上げませんが、今こういう二つの大きな団体に分かれております。

 官房長官と仙谷大臣等が協議を重ねていらっしゃる、今までも数回重ねていたという団体は、このいずれの団体になるのでしょうか。

仙谷国務大臣 先般から申し上げておりますように、私自身が協議の場に出ていったということではございません。国家公務員制度改革推進本部事務局でしょうか、事務局は、多分、連合系の方々、全労連系の方々のしかるべきポジションの方と打ち合わせ的といいましょうか、あるいは要望書を受け取ったり説明を聞いたりという範囲で対応をしてきたというふうに私は聞いておるところでございます。

 したがって、この系ということで書かれておる二つの流れでいいますと、双方ともというふうに理解をしております。

高木(美)委員 それでは、重ねてお伺いしますが、この双方から総人件費の抑制につきまして内諾もしくは感触を得ているというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。

仙谷国務大臣 自民党さんの時代、自公政権の時代に、そんなことというか、公務員制度改革問題について、あるいは労働基本権を付与する方向で、さあ、どういう話し合いを進めましょうかという程度の話も全くなさっていなかったんじゃないかと私は思うんですね。

 つまり、入り口の入り口の入り口の段階に今あるというふうに私は思っておりまして、そんな、労働条件のうち最も彼らの関心の高いというか、生活をする労働者にとって最も切実な問題である賃金引き下げにかかわることを話をするというような、それをテーマにして話ができるなんということは、とんでもない段階じゃないんでしょうか。そんなことはあり得るはずがないと思います。

高木(美)委員 それでは、大臣が今まで答弁してこられた、労働基本権を与えれば総人件費の抑制につながるというこの答弁は間違いであったということになりますが。

仙谷国務大臣 そんな安易なことを私言った記憶は全くありません。

 つまり、労働条件を、勤務条件をもし引き下げる、劣化させる可能性のあることについては、今の制度上であれば人事院が行わなければならないけれども、それは本筋としては、労働基本権を付与した上で、集団自治の中でしか行い得ないのではないか、労使協議の中でしか行い得ないというのが労働法の基本原理ではないか。

 だから、我々は、時節柄と言ったら語弊がありますけれども、国家財政や、あるいは先進国における種々の産業構造の転換等々の問題もあって、公務員労働者にとっても不利益なことも提案をしていかなければならないだろう。当然、総人件費の二割削減ということを私どもはマニフェストでも要求しているわけでありますし、今の税収を我々が真剣に、深刻に考えると、そういうことも当然のことながらテーマにしていかなければならない。そのためにこそ労働基本権の付与ということが必要だ、こういうふうな論理で申し上げている。

 安易に、労働基本権を付与したら交渉の中で二割削減が実現できるなんて、そんな安易なことを私は申し上げたつもりは全くありません。

高木(美)委員 今の大臣の御答弁、全く理解できません。

 以前、私が質問申し上げたときに、大臣は、今の、現下の世論からかんがみて、恐らく、人件費をさらに上げてくれというようなことは、そのようなことはないだろうと推察をしていると。ただ、やってみなければわからないとはおっしゃっていらっしゃいました。

 ただ、そうした趣旨から考えますと、先ほども労働基本権等について、給与の、総人件費の抑制の件で私は階政務官にお伺いいたしましたけれども、ここに対する政府の考え方、ここをしっかりと固めていかれるべきではないかと思っております。

 私は、ILO勧告の仮訳等も読ませていただきましたが、実に公務員という定義があいまいです。地方公務員というふうに読めるところもあれば、また、国のさまざまな行政に携わる、その公務員は除くと書かれているところもあれば。

 ここは、最終的には、我が国として労働基本権をどう考えていくかということかと思います。以前、ILO勧告等を何度も出されて本当にみっともないというようなどなたかの御発言があったかと思いますけれども、私は、むしろ、これは基本法にあるとおり、国民の皆様に費用と便益を提示して国民的議論の中で検討をされるべきことだと思います。

 特に、今ギリシャに見られますように、スト権の行使等によって国民の皆様が多くの不利益をこうむっていらっしゃる。それは、どの場合、どのような結論になっていくのか、また、そのことによって国民の皆様がどのような影響を受けるのかといったことも提示が必要かと思います。また、あわせて、その間の議論のプロセス、この透明性の確保を私は強く求めるものでございます。官房長官の今後のお考えを伺います。

平野国務大臣 私は、やはり公務員は公務員としての本来の仕事をすべきである、こういうことでありましょうし、先ほど仙谷大臣が申し上げましたが、人件費抑制、これは当然、我々としてはそういう方向を目指していますし、そういうことを申し上げてきたわけであります。

 しかし、安易にこの問題を政治的に下げるということよりも、自律的労使関係というものを確立する、その中で、今、社会的な背景、水準等々について十分勘案して、労使でしっかりと決められる仕組みをつくっていくためには、この基本権というものは非常に大事なことだ、こういうふうに考えているところであります。

 そういう中で、先ほど仙谷大臣並びに私に、労働組合との関係、こういうことを申されましたが、私は連合との間で、定期協議は私が担当してやらせていただいております。

 しかし、労働組合側からもこの基本権に関しての問題については強い御要望がございますが、その中で、私は、それを引きかえに人件費抑制、こういうことを安易に申し上げたことはありませんが、しかし、しっかり労使の中で協議をした結果としてそういうものが生まれてくる、こういうことは当然仕組みとしてあってしかるべきだと思っておりますから、ぜひこれは、そういう観点でこれからも前向きにとらまえていきたい、このように思っております。

高木(美)委員 重ねて申し上げますが、実は、私がなぜこの表を用意したかといいますと、連合系の組合がある省庁は四省庁、全労連系の組合がある省庁は九省庁。しかも、この人数は不明でございますが、聞くところによりますと、例えば、内閣府の沖縄、それから開建労、これにつきましても、ここの組織率は約二%、残りの九八%は組合に所属をしていらっしゃらない、こういう多様な状況です。

 この実態を正確に把握していただきまして、こうしたデータもきちっと国民の皆様に開示をされまして、ここに所属をしていない人が果たしてこのような給与の交渉権等を、例えば、組合が嫌いで加盟しない人もいらっしゃるかもしれない、また、そういう活動が面倒くさくてやらない方もいらっしゃるかもしれません。ただ、その方たちの主体性がこれからどのように保障されていくのか。

 私は、組織率は一〇〇%とはとても伺っておりません。五、六割とも伺っております。省庁によっても大きなばらつきがある。こういうところを正確に公表していただくことを私は求めさせていただきます。その点、官房長官、いかがでしょうか。

平野国務大臣 組織率の問題、まあ、組織論としての問題としてはあると思いますが、労働組合における設立要件が整えば、その組織の代表者としての、あるいは交渉窓口になり得ると私は思います。

 ただ、先生が御指摘のように、組織率が非常に低い中で全体の代弁と言えるかということについては、やはりしっかりとそのことを含めて受けとめながら対応していくということが大事であろうというふうに思っております。

高木(美)委員 最後に、これは官房長官に、通告をさせていただいていないのですが、私ずっとこの委員会審議を繰り返しながら気になっておりますのは、内閣官房をどのように考えていくかということです。

 今までは、内閣官房の役割といいますのは、どちらかというと、常時に携わらなければならない業務は置かない。したがって、アドホック的な、そしてまた、さまざま総理をサポートするための、今官房長官は、普天間そしてまた口蹄疫等々携わっていらっしゃいますけれども、本当に、まさにフリーハンドで国の将来を考え、緊急的に対応するというのが内閣官房だと私は思っておりました。

 ところが、今回は、この内閣官房に内閣人事局を設置する。これは基本法で定められた内容で、私は、本来、これは基本法も改正すべきで、内閣府に置くべきではないかと思っておりますが、また、これから出てくる政治主導法案、今回順番が逆になりましたが、そこでもお考えになっているのは、やはり内閣官房の中に置くという国家戦略局。

 私どもは、こういう常時どなたかが本当に責任を持ってやらなければいけないものは、官房長官と仙谷大臣のダブルヘッダーではなくて、やはり仙谷大臣が全責任を持つ、当然、そこで官房長官は御一緒になさるわけですから、このような業務分担、また内閣官房のあり方が必要なのではないかと思っておりますが、官房長官のこの内閣官房という考え方についてお伺いをいたします。

平野国務大臣 官房のあり方、その時々の考え方によって膨らんだり縮んだりいたしますが、あくまでも官房というのは総理を支える、こういう立場。いわゆる官邸主導を政治主導に基づいていかに運営していくかということでございますし、今回の鳩山政権におきましては、国家戦略、このことにつきましても大きな役割としてあります。

 決して、私、仙谷大臣と仲悪くありませんから、性格は違いますけれども、連携を密にしながら、先生の御指摘にあるように、ダブルでやっているとか、そういうことのないようにしたいと思います。

 ただし、官房でございますから、先ほども緊急に入ってきましたが、口蹄疫の問題でありますとか、危機管理上の問題としては、これは私の本来の役割だと思って、それについては関係なく対処する。政府として、このことをやることによって何かが抜けるということのないように、目配り、気配りをしながら国家国民のために尽くす、総理のために尽くす、これが、私、官房の使命だ、このように思っております。

高木(美)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、最初に、公務員総人件費二割削減の関連で、法案について質問をいたします。

 最初に、法案について。

 この改正法案の十八条の四について、この規定を設けた理由についてまずお聞かせください。

    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

仙谷国務大臣 国家公務員法第十八条の四第一項では、内閣総理大臣は、組織の改廃等により離職を余儀なくされることになる職員に限り再就職支援を行うこととしております。再就職支援に関する事務は民間人材登用・再就職適正化センターに委任して行うこととしているというのは、お読みいただければわかるとおりでございます。

 民間企業におきましては、整理解雇を行う場合には解雇回避義務が努力義務としてあるというのが、いわば確立された判例であるというふうに私も考えております。したがって、公務員職場といいましょうか公務員組織というふうに考えれば、その組織の改廃等による分限免職というふうな事態に立ち至る場合には、これは民間の事業所閉鎖に伴う整理解雇に当たるというふうに考えておりまして、分限免職の回避の努力の一環として再就職支援に関する規定を十八条の四として設けたということでございます。

塩川委員 七十八条の四号との関係でも、「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」、こういう場合について行うわけですけれども、具体的なものを想定しているんじゃないのかということでございます。

 民主党は、国家公務員の二割削減をマニフェストで掲げております。当委員会の答弁におきましても、仙谷大臣は、二割削減というのは、一つは、地方分権推進に伴って事務を地方に移管する、二つは、手当の水準や定員を見直す、三つは、労働基本権付与によって労使交渉で給与水準を決めるというお話をされておられます。

 ということでありますと、例えば、地方への移管に伴う定員の改廃または過員を生じた場合、こういう場合も想定しておられるんではないのか。その点についてお聞かせください。

仙谷国務大臣 具体的に想定しているわけではありませんけれども、地方への移管の問題は、現在、地域主権戦略会議で、義務づけ、枠づけの撤廃の問題ともども、あるいは補助金の一括交付金化という問題ともども、どの、現在国の出先機関で行っている機能、職務を地方に移管した方がいいのか、これは各省庁のそれぞれの思惑も、意識もいろいろございますので、大変激しいせめぎ合いの中で調整が進められていると聞いておりまして、その結果いかんによりましては、先生が御指摘されたような事態も全くないとは言い切れないだろうなというふうに頭の中でぼんやりと考えておりますが、先生御指摘のとおりの部分も、そういう事態も出来する可能性がないとは言い切れないと思っております。

塩川委員 全くないとは言えないという点では、極めて重大であります。

 今お話ありましたように、地域主権戦略会議の中で一連の議論をする中で、出先機関の地方移管の話がございます。ですから、受ける側の都道府県の方でもプロジェクトチームをつくっておりまして、そこでの検討が行われているわけであります。

 地域主権戦略会議で、全国知事会の国の出先機関原則廃止プロジェクトチームが、国の出先機関の原則廃止に向けての中間報告をまとめております。そこでは、「国の出先機関の原則廃止を実現するためには、移管事務の受入体制、国から地方への財源移譲、国から地方への人材移管について全国知事会としての考え方を明確にしなければならない。」とあり、「国から地方への人材移管について」では、「人材移管の前提として、まずは国に対して徹底した組織・定員のスリム化を求めること。」とあります。

 全国知事会は、今後、政府の地域主権戦略会議等の議論に本中間報告が反映されるよう積極的に働きかけていくとしておるわけで、そういう点でも、地方移管の受け皿である知事会がリストラを要求している中で、こういった規定が盛り込まれているということは極めて重大だ。

 私は、そういうことを想定し得るようなやり方をつくるこういう規定というのはとるべきではない、このことをぜひ、撤回を求めたいと考えています。大臣、いかがですか。

仙谷国務大臣 いや、むしろ、だからこそ、この種の規定で再就職あっせんができる、分限免職の回避の努力義務が国なら国にあって、分限免職をするまでに配置転換の可能性はないんだろうかと。

 これを、局あるいは省を超えた配置転換の努力義務、さらには、もし国家公務員法の七十八条四号に書かれているような廃職または過員を生じる場合には、分限免職にならないように再就職をちゃんとあっせんする努力義務というものを書いておかないと、これは職員の側から見られても危なくてしようがないという話になるんじゃないんでしょうか。

 私は、要するに、そういう今度の地方分権、地域主権改革に伴って、抽象的なレベルでは、一般論としては、廃職または過員を生ずるという可能性は、それは一般的にはありますよ。だから、そのときに、職員の地位というか、職員が、切り捨て御免、生首を飛ばされる、そんなことがないようにしなければいけない、こういうふうに考えているのであります。

塩川委員 実際に、センターの機能を見ても、社保庁の事例のように、十分機能したとは言えないということがあるわけです。具体的なリストラ計画を想定したこういう改正法案の十八条の四のような規定というのは撤回をすべきだということを申し上げます。

 その上で、この委員会でも議論してまいりました、防衛省における再就職規制の問題について質問をいたします。

 この間、自衛隊法の改正案について質問をしてまいりましたが、四月二十八日の公聴会、五人の公述人の方においでいただきました。その皆さんに、防衛省の事務官及び自衛隊の将補以上の幹部以外の自衛隊員、いわゆる若年定年制の隊員の天下りの行為規制について、防衛省の内部の機関が監視することは問題じゃないのか、こういうことを質問いたしました。

 そういう中で、中野公述人は、自衛官の若年者に関しましては、一般の職業紹介とは別に再就職支援を行ってきたという経緯もありますし、そういう意味では再就職の特殊性というのもあると思います、ただ、御指摘のように、アメリカでも産官複合体みたいなものが、ペンタゴンと軍需産業の関連性とか、こういうものがずっと言われていますので、御指摘のように、第三者的な目も入れて行為規制もしていかなきゃいけない、そう思っていますと答えられております。

 また、稲継公述人も、防衛省の中だけで、身内で監視するということには若干の危惧を持っている、このように言って、若年定年隊員だからといってあっせんを省の中で見るということにすると非常に甘い見方になってしまうのではないか、若年定年等隊員についても、やはり第三者機関、防衛省から独立した第三者機関がこれをしっかり監視するような、そういう組織をつくられてはいかがかと述べておられます。

 進藤公述人も、両公述人と同様の主張、防衛省外の中立の機関による審査が必要だと考えていると述べておられます。

 大臣、こういった公述人の声にこそ耳を傾けるべきではないでしょうか。防衛省において、再就職規制を身内の防衛省の監視機関が行う、こういうあり方について、公述人から、見直すべきだ、防衛省外の組織にすべきだ、こういう声が上がっていることについて、大臣はどのように受けとめておられますか。

仙谷国務大臣 そういう貴重な御意見をちゃんと頭の中に置きながら、若年定年の再就職ということが、ある種、この自衛隊という組織にとっては欠くべからざるものといいましょうか、そういうことになっておるという、その余の公務員の組織、公務員の方々の地位、身分というものとは大きく基本的な考え方を変えなければいけないというようなこともあります。

 今塩川委員がおっしゃいましたように、まさに産軍複合体といいましょうか、業者さんの方も、マーケットが自衛隊・防衛省以外にあるわけではないというようなこともこれある部分も多くて、どうしてもそこでは非常に身内的関係ができてくるということも、今度は他方にそういうこともあるわけでありますので、この監視の問題というのはこれからまだまだある種の試行錯誤を行いながらやっていかなきゃいかぬのだろうな、こういうふうにも思っております。

 現段階におきましては、防衛大臣が実施する再就職の援助を受けた再就職か否か等の見きわめなどを、防衛大臣のもとで、再就職の援助にかかわる部局と密接に連携しながら監視の実施に当たる必要がある。したがって、防衛省に置かれる、法律的には審議会でありますけれども、ここで監視する方がより監視の実効性が確保できるというふうに考えておりまして、現状のような形でどうかお認めをいただきたいと考えております。

塩川委員 いや、公述人の意見にあるように、そういうあり方ということを見直すことこそ行うべき仕事であろうと思います。

 この行為規制についての監視は、防衛省の中を見ても、六十歳以上定年の部分につきましては、これは再就職等監視委員会の仕事になります。しかし、若年定年等隊員については、防衛省の身内の機関となるわけですけれども、その点でも、四月の二十八日の当委員会で仙谷大臣が、この再就職等監視委員会の機能の話のやりとりのときに、今度つくる委員会と前の委員会との比較をしていましたけれども、新委員会というのはあっせんをしないんだ、旧委員会というのはあっせんを行うんだ、あっせんをしない委員会が監視をしても問題ない、ずぶずぶにはならないんだ、このように述べておられたわけですね。

 しかし、防衛省においては、若年定年制隊員であれ、再就職のあっせんをするのも防衛省であり、監視するのも防衛省ということになると、これはずぶずぶの関係になってしまうのではありませんか。

仙谷国務大臣 防衛省以外の公務員職場といいましょうか公務員にとっては、再就職のあっせんというのはむしろやってはならないことになっています。

 自衛隊・防衛省の場合には、あっせんをしてでも若返りを絶えず、不断に図っていくということでなければ自衛隊という組織が精強な部隊として、つまり使命感を果たす組織として維持できないのではないか、維持できない、そういう要請のもとに、むしろ若年あっせんということはあり得べしなんだという、前提が百八十度ぐらい違う、ここをひとつ御理解いただきたいと思うんです。

塩川委員 あっせんをしてでもという場合になりますと、押しつけと癒着にならないようにという点がどこまで本当に機能するのかということが問われてくるわけであります。そういう点でも、独立した第三者機関が行うということがその担保につながると思うわけです。

 その上で、では、独立性の問題だけではなくて、監視機関として想定をしています防衛省の防衛人事審議会の監視のための体制がどうなっているのか、この点について、防衛省から、予算上の措置としてどのような体制の配置を考えているのかについてお答えいただけますか。

上瀧政府参考人 御質問の審議会でございますが、これは防衛省の人事審議会に分科会として設置するというふうに考えております。

 これは、防衛大臣が任命いたします五名の隊員歴がない学識経験者で構成するというふうに考えておりまして、さらに、その調査を補佐するために、外部の有識者、これは例えば法曹関係の方なんかを念頭に置いておりますが、そういう方を非常勤として二名程度活用する。もちろん、事務局として、我々人教局が事務局になっておりますし、また、これ以外に、必要に応じて我々防衛省の中から必要な要員を調査に充てていくということを現在考えている次第であります。

    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 今お話ありましたように、体制とすれば、防衛省の事務局はまさに防衛省そのものですから、監視機関としての体制は非常勤職員二名なんですよ。一方で、少なくとも、再就職等監視委員会については、予算上の措置で見ても、事務局十七名に加えて、監察官が常勤一名で、非常勤二十八名です。

 そういう意味でも、この適正化委員会が本当に機能するかどうかも疑問ではありますけれども、防衛省の監視機関そのものも極めてお粗末な体制でありまして、独立性がないだけではなくて、監視の体制もそもそも整っていないんじゃないのか、これで本当に機能するのか、このことがあわせて体制の問題としても問われるんじゃないかと思うんですが、大臣のお考えはいかがですか。

仙谷国務大臣 さっきから私申し上げているように、これは前提が違うんですが、だからといって、何をやってもいい、要するに、一般の人から見れば、癒着というか、なあなあでやって、若い自衛隊員であろうが何であろうが受け入れるかわりに発注をもらうというふうなことが常態化する、そういうことがあってはならないというのは、塩川先生がおっしゃるとおりであります。

 しかしながら、その若き自衛隊員の再就職ということを絶えず防衛省としては考えて、新陳代謝とでもいいましょうか、そういう代謝機能を隊の中に持たないと、どうもみんなが高齢化していくような防衛組織では困るんだというお気持ちがあるというか、それは事の本質上そうなんでしょうね。そういうところにおいては、今までそういう観点でいろんな不祥事あるいは不祥事的なことも起こってきたんだろうと思うんです。

 だから、そこは今度は、非常に第三者性の高い人々を選任して、調査機能まで持ってなさる、自己規律を高めて行う、こうおっしゃっているわけでありますから、事態の推移、その機能の果たされ方というものをじっくりと見せていただくということにまずはしたいと考えているところであります。

塩川委員 この間、議論してきましたように、防衛省そのものは、空自の官製談合事件を初めとして一連の不祥事を起こしてきた、その問題について公取から指摘をされた、その回答もまだ行われていない。いわば謹慎中の身でありながらこういう改正を行うというのは、どう考えてもおかしい。こういう部分については少なくとも撤回をすべきだということを申し上げなければいけない。

 大体、こういう案が出てくる背景として、例えば、平成二十一年三月、防衛省人事教育局の文書として……

田中委員長 塩川君、時間です。

塩川委員 はい。

 新たな再就職援助に係る防衛省の取組についてというのがありますが、ここに出ている案というのが自民党の国防部会に出された案なんですよ。その案が、基本的に今回の法案とまるで同じなんです。

 防衛省内に身内の監視機関を置くことを含めて出されているわけで、そういう点でも、私は、今回の案が、防衛省の中で出された案をそのまま出してきている、いわば防衛官僚主導のそういう中身となっているという点でも極めて重大だ、この点でも撤回を求めると同時に、防衛大臣の出席も得て一層の審議を行うべきだ、きょうの質疑終局、採決などは決して許されるものではないということを最後に申し上げて、質問を終わります。

田中委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 この法案の審議で、何回か早期退職勧奨についても伺ってまいりました。

 本来は早期退職勧奨については、これはやらないということであったわけでありますけれども、鳩山政権が発足をしてしばらくしてから早期退職勧奨が行われている状況になったわけであります。

 そもそも、この早期退職勧奨と自己都合との間に、退職金の計算方式が大きく違うというようなことも、私は調べてわかりました。この違いについてまず、これはどなたになるんでしょう、仙谷大臣にお答えいただけますか。あるいはどなたでも結構でございます。

階大臣政務官 早期退職勧奨を受けた場合と自己都合で退職した場合の退職金の差についてのお尋ねでした。

 退職手当の計算式ですけれども、基本額というのがまずありまして、それは、退職日の俸給月額と退職理由別の勤続年数別支給率というものを掛け合わせた額でございます。それに調整額というものを加えましてトータルの退職手当が出てくるということなので、退職理由別に支給率が変わってきます。退職理由の中で、自己都合の場合よりも勧奨の方が支給率が高くなっています。

 勧奨による退職の場合について具体的に言いますと、定年前早期退職特例措置というものがございまして、定年前十年以内に勤続二十五年以上の職員が勧奨等により退職した場合、定年前の残り年数一年当たり退職日の俸給月額を二%割り増して基本額を算定する仕組みとなっているということであります。

 例えば、定年前十年を残して五十歳ぐらいでやめた場合ですと、二%掛ける十年ということで二〇%割り増しになります。ただし、これが四十八歳でやめた場合に二四%になるかということは、それはありません。二〇%が上限です。

浅尾委員 この質問をさせていただいているのは、今までは、あっせんつきの早期勧奨退職であった、あっせんがついているけれども割り増しがあるというのもちょっといかがなものかなと思わなくもないんですが。今度は、あっせんがないけれども割り増しは同じだということですが、実際には、これは早期退職勧奨と言いつつ自己都合の人も入っているんじゃないかなというふうに思ったところもあるわけでありまして、本当は本人もやめたいと思っていたんだけれども、たまたまこういう制度があるから勧奨を受けましたという人も中にはいられるんじゃないかな。そうでないと、あっせんがなくてやめるということはなかなか出てこないと思います。

 きょうは官房長官がお越しでございます。先般、松野副長官に、内閣官房、三名、早期勧奨退職になられたということで、経緯を伺わせていただきましたが、すべて、官房長官からそろそろいかがですかというふうに言われてやめていただいたということでありますが、あわせて、その方々は事務次官経験者もいられるようなことを言っておられましたけれども、ですから、本当は早期にそもそも当たるのかどうかというところもあって、どういう経緯でその方を、制度があったから早期の中に入れたのか、ちょっとその経緯をもう一度お答えいただけますでしょうか。

平野国務大臣 浅尾先生の御質問でございますが、そもそも、私のところで三名の方々に退職勧奨ということをいたしました。これは私がいたしたことは事実でございます。ただ、事務次官経験者、また特別職の方でございますから、これは私は早期というふうには思いません。

 前政権のときの御経験でやっておられた方につきましては、例えば公務員制度改革については改めて鳩山政権として基本法に基づいて新たな考え方でやるということについて、人心を一新する。また加えて、特別職につきましては、かなりの長い年数をお勤めいただきましたので、そういう意味で、私のもとで、そろそろいかがなものでしょうかと、人心を一新する、こういう考え方で私が行ったものでございます。

浅尾委員 多分、事実としてそういうことなんだと思うんです。ただし、質問主意書で我が党の山内議員に対する御答弁では、その三名の方も早期に当たるという形で内閣名で出されておるわけでありまして、そこに私はこの制度の矛盾というのがあるのではないかなというふうに思うわけであります。

 ですから、私の質問の趣旨は、なぜ、鳩山総理の名前で早期だということで内閣官房としてはお答えになられたのかということで、ちょっと伺ったわけであります。再度の御答弁で恐縮ですが。

平野国務大臣 これは、早期という概念というよりも、退職勧奨、こういう理解で答弁をさせていただいていると御理解いただきたいと思います。

浅尾委員 退職勧奨が、すべて早期というのが前についてあるわけですから、二つくっついているということだと思いますが。

 いずれにしても、本質的な話で申し上げますと、あっせんをやめるということと、それから、あっせんつきの場合に割り増しというのは、先ほど申し上げましたようにちょっといかがかという気もしなくもないんですが、では、あっせんをやめた場合の、やめてくださいといったときに二%が適当なのかどうかということについて、多分、時間の関係で最後の質問になると思いますが、これは仙谷担当大臣にお願いするのがいいんだと思いますけれども、今後あっせんはやめるということでしょうから、そうすると、今の最大二〇%の割り増しが適当かどうか、どういうふうに考えておられるかどうか。これは、この答弁をもってこう言ったじゃないかと後で追及することはいたしませんので、皆さんの皮膚感覚の御答弁を伺えればと思います。

仙谷国務大臣 年代にもよりますが、まず、私が現状の国家公務員の退職手当との関係で聞いておりますところは、例えば勤続三十五年の場合の自己都合は四七・五、こういう支給率があるわけですね。それが勧奨になると五九・二八。三十五年というと、大学を出てすぐに入られると五十七歳ですか。もう少し、四十五年、こういう方がいらっしゃるのかどうか疑問なんですが、この場合には、自己都合の場合が五九・二八、そして定年あるいは退職勧奨でも五九・二八、整理退職でも五九・二八と、すべて同率になっておるわけでございまして、私の感覚からいうと、高いのか安いのか、最大二〇%増しということがいいことなのかどうなのか。

 民間の会社なんかでよくやられていることは、この先二年分ぐらいの給料を保障するので、ここで、その二年の間に身の振り方をお考えになるというか、あるいは起業されて頑張ってみられたらどうですかと。そういう意味で、ある種、希望退職募集のような、二年間ぐらいの一時金をつけてのものが通常の退職金のほかに行われておるようでございます。自己都合プラス二年間というふうなことが行えればいいなという感覚からいえば、今のところは、やはり再就職あっせんつきであったために勧奨分の割り増しというのが少なかったのかなという感覚で今見ております。

浅尾委員 時間が参りましたので終わります。

田中委員長 次に、平井たくや君。

平井委員 自由民主党の平井たくやでございます。よろしくお願いをいたします。

 私もずっと、この公務員制度改革の質疑はもう四十時間程度聞かせていただいておりますので、最近感じることではございますが、どうも民主党政権になって、いろいろな法案の質疑、また法案の取り扱い、またいろいろな実行過程において、全部普天間スタイルに陥っているなというふうに感じざるを得ません。

 つまり、どういうことかというと、この公務員制度改革も、当初は、選挙のときによく言われていた、天下りの根絶、それと国家公務員の人件費の二割削減というような勇ましいことを言ってしまったがために、いざ政権をとって、公務員制度改革、基本法等々を忠実に守りながら新たな法案を出していくといったときに、これはどうやったって人件費の二割は削減はできないと感じたはずです。ですから、要するに、天下りもあっせんも、こんなのやめたのでは何にもできない。つまり、普天間で鳩山総理が学んだとおっしゃっているお話と全く同じようなことが起きているのではないかというふうに私自身は感じています。

 ですから、今回の法案質疑の中で、人件費の二割削減ということに対して、多くの議員が本当にどうやってやるんだと。地方移管とかITとかいろいろな話とか出てきました。労働基本権をお渡しになって、それから労使交渉をして、給与法を改正してというような流れも御説明いただきましたけれども、それでも二割削減というのは本当にできるのかというふうに思うわけです。

 つまり、それほど大変なことを、選挙のときには、イメージがいい、票が欲しいということで言っちゃったということだと思うんですよ、今の民主党さんにとってみれば。つまり、同じことが、普天間でもそうなんです。勇ましいことを言うのはもうこれからやめませんか。できないことはできないと認めていかなきゃいけない。

 天下りもあっせんも、はっきり言って、民主党政権になって加速化しています。ですから、ある意味では、天下りとかあっせんは加速化します、そうやらなきゃ二割は削減できないというところまで腹をくくってしまえば、二割を削減できるかもしれません。これは、考えてみると、幹部の給料は下げられない、一般職も、こんなもの、リストラできない。どうやって二割下げるんですか。皆さん、本当に真剣に考えてください。これはやらなきゃいけないんですよ。マニフェスト違反になっちゃう。この大きなマニフェスト違反をどうやって繕うのか。

 まあ、繕い方をこれから考えるんだと思うんですが、そうではなくて、できない、学んでわかってできないことはこれから認めていかれた方が実のある質疑ができるのではないかと思いながら、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、階政務官に、退職管理基本方針、これはもう皆さんがいろいろ聞きましたね。このことについてお聞きしたいと思います。

 これは高位の専門スタッフ職というものが出てくるんですが、これは一体、わかりやすく言うと何なんですか。

階大臣政務官 お答えいたします。

 先ほども申し上げたところでございますが、定年まで勤務できる環境を整備しようということで、従来は、局長や事務次官あるいは局長の下の部長、こういった幹部になると、定年まで勤められる人というのはほとんどいなかったと思います。途中で天下りをしていったわけでありますけれども、我々は、定年まで勤務するためにどうやったらいいかということでいろいろな方策を考えている中で、一つの手段として、高位の専門スタッフ職というのを設けまして、そしてその方たちには、今まで培っていただいた行政の特定の分野における高度な専門的知識経験に基づく調査研究あるいは情報の分析などを行っていただいて、我々政務三役に対して政策の企画立案等を支援する、そういう業務を行っていただいたらどうかということを今検討しているわけです。

平井委員 現行の専門スタッフ職三級は年収約一千万から一千二百万ですよね。そうしますと、高位ということ、また、「四級を追加」と書かれていますから、つまり、年収一千万から二百万のゾーンよりは高いということですよね。

 まず、そのことについてお話しください。

階大臣政務官 今おっしゃったのは、既存の三級の専門スタッフ職と比べて……(平井委員「そうなんです」と呼ぶ)それは、高位というわけですから、それとの比較でいえば高くなるのかもしれません。

 ただ、先ほど申し上げたとおり、そもそものこれの設置の趣旨というのは、部長級以上についていた人が定年まで働けるような環境ということで設けるわけでございますから、部長級よりは大幅に下がるということになります。

平井委員 ぜひだまされないようにしていただきたいのは、大幅に下がるだ何だかんだの話をしていますが、結局は、現行の専門スタッフ職三級というのは年収一千万から一千二百万なんですよ。要するに、それの高いレベルということになると、どう考えたって千三百万から四百万になるんですよ。そのことが、大幅に下がったという、その大幅に下がるという話と整合性がとれるのかよくわからないんですが。

 資料の中には、目的は「課長級に降任させることなく」、これは別に書かなくてもよかったと思うんですけれども、衆法に対する嫌がらせかなと思って私は読んだんですが、要するにこれは、幹部から外れた人を、天下りのかわりに役所内部で処遇するための窓際ポストなんですよね。それで、窓際ポストだけれども年収は一千三百万から四百万。

 首を振られるけれども、では年収は幾らなんですか。年収七百万ですか、五百万ですか。結局は、三級は一千万から一千二百万でしょう、それより高いわけですから、一千三百万から一千四百万。私は大変な給料だと思うんですけれども、民主党さんから見たらその給料は安いということなんですか、階政務官。

階大臣政務官 私は、今具体的な数字は、こういうものだとは言えません。

 言えませんけれども、ただ、今までは、天下りして独立行政法人などの役員になっていたわけです。それで二千万とかをもらっていた人が、仮に部長級より大幅に下がった一千百万とか二百万とか三百万とか、ちょっとその辺はまだ全然具体的な数字は出せませんが、そういう数字になったからといって、国民的な批判はないのではないかというふうに考えますけれども。

平井委員 この話は、基本的に、普通、ポストというのは、仕事があってポストがあるんですよ。要するに、ポストをつくって仕事を考えるみたいな順番に今回なっちゃっている。それはしようがないと思いますよ、天下りをやめさせて残すというようなことになるわけだから。

 それで、今回、政務三役の企画立案をサポートするということになっていますけれども、これが、私ますますわからなくなってしまったんですが、今皆様方が御準備の、俗に言う政治主導法案、この中で政務調査官というのを今度つくるわけですよね、これは月給七十五万ぐらいで民主党の職員の方々を雇って。この政務調査官というのがいて、そして政務三役がいて、今度ここに高位のスタッフ専門職がいて、そしてラインの課長たちもそこにいてとなると、これはどういうふうな組織で役割分担で動いていくのか。

 これは、ラインの課長というのは極めてやりづらくないですか。その政務調査官と新しい高位のスタッフというのはどんな感じになるんですか。

階大臣政務官 議員が御懸念されることは、多分、無理やり高齢の人のためにポストをつくるけれども仕事は全くないんじゃないかということを言っているんだと思いますが、それは、そうならないようにしなくてはならないということは重々承知してございますし、かつ、多分これから法案にかかると思うんですが、国家戦略スタッフ的なものとかぶらないような仕事にしなくちゃいけないということも承知しております。

 そういった中で、もう少し詳しく高位の専門スタッフ職の職務について申し上げますと、高位の専門スタッフ職というものは、政務三役が行う重要な政策についての企画立案等を支援することを職務目的としております。課などに置かれている既存の専門スタッフ職よりも、高度な、部局横断的な課題や、局内の各課にまたがる課題などに従事することを想定しています。例えば、部局横断的な重要政策や基本的な法制について、施行状況や諸外国の状況の高度な調査分析を行うことによって、改善方策に係る企画立案の支援を行うことなどを想定しております。

 いわば、こちらの専門スタッフ職は、PDCAサイクルと通常呼びますが、プラン・ドゥー・チェック・アクション、この後者のチェック、アクション、こちらの方を重点的に見ていただいて政務三役をサポートしていただく、こういうことを想定しております。

平井委員 PDCAサイクルと言われますけれども、役所というのは大体PD、PDで、CAがないんですね、今まで。ぐるぐる回ったことがない。そこにまた願望的にCAをやらすといったって、うまくいきませんよ。

 これは結局、ポストをつくるという発想で考えないで、今やらなきゃいけないことは一体何があって、どういうふうに人材のリソースをそこで分けていくかというふうにしないと、これは本当に、一千三百万から四百万の高位専門職というのがいて、課長もやりづらい、何か偉そうだけれども、急に何か窓際に追いやられて、どうするのか。これは慎重にお考えをいただきたいし、ここも、総人件費との絡みでいうと、私は結構重要なポイントだと思いますよ。ぜひそれはお考えいただきたいというふうに思います。

 今のは幹部の話。皆さん方が幹部を守ろうという気はわかります。しかし、やはりここはもっと厳しくやらないと、これは役人の皆さん方の言いたい放題を全部受けたというようなことではないかな、私もそのように思っています。

 給与の話になると、今度はやはり一般職の給与という話になるんだと思うんですけれども、基本法の十条二号では、「職員の能力及び実績に応じた処遇の徹底を目的とした給与及び退職手当の見直しその他の措置を講ずること。」が定められていて、基本法施行後三年以内ということは、来年六月までに行わなければ基本法違反になるわけですよね。

 仙谷大臣がいろいろ言われている、来年の通常国会、また、労働基本権の問題、給与を変える、交渉するという話からいくと、これは来年六月までにはおよそできるスケジュールではないと思うんですが、いかがですか。

仙谷国務大臣 平井議員の先ほどのお話で、鳩山政権になって天下りあるいはあっせんが加速している、こういうことを堂々とおっしゃったんだけれども、こういう事実に反することを前提に御質問をしていただかないようにしていただきたい。まず、そのことをお願いしておきます。

 それからさらに、我々が政権交代選挙において、痛みを感じさせないようなことを言い、甘目のことばかり言ってきたので、そういう話をしないように、そういうことを言わないようにしようという御提言でございましたが、それは、我々が常時おいしいことだけを選挙で言って、その実施について苦労するとか、あるいはできもしないことを言うのをやめよう、そこは誠実に、真摯に政策を考えようという御提言であると思いますので、私も心して、甘目のことを言わない、痛みを国民の皆さん方に感じていただくようなこともあえて申し上げる。これは多分、この時代、そして、平井先生の所属する自民党と私ども民主党が絶えず心してそういう政治言論をしなければならないという意味では、まことにありがたいお話でございますので、どうぞ今後ともそういうことでお願いをしたいと思います。

 それから、先ほどからのお話で、総人件費二割削減が絶対にできない、こういうことをおっしゃられて、その前提でお話しになっています。

 私は、従来のやり方であれば絶対にできないのかもわかりません。しかし、今、我々の目の前にはビルマの状況というのが毎日のようにあらわれているわけであります。これは、絶対にできないとか努力するとかという話ではなくして、絶対にやらなければ……(発言する者あり)ごめんなさい、ビルマじゃなくてギリシャです。我々の国ですらギリシャ化してしまう可能性があるという、他山の石にしなければならないという意味で、これは歯を食いしばってでも、何があろうとも実現をしなければいけない問題であるというふうに、私は最近、改めてそういうふうに思っているところでございます。

 先ほどの日程でございますが、確かに、政権交代選挙があったために、あるいは去年の六月までに行われるべき法案が一年間はずれ込んでおりますので、大変きつい日程でございますけれども、平井先生の御協力もいただいて、三年以内に行うべきことは来年の通常国会までに仕上げたい、こういうふうに考えております。

平井委員 これは来年の通常国会に仕上げるというより、本当は、私は思うんですけれども、皆さん、もともと我々一緒につくった基本法を廃止したいんですよね。廃止をして、民主党なりの案を出し直した方が多分すっきりいくんだと思います。ですから、ちょっとずつ基本法をさわりながら、ごまかしながら進むというのは、我々にとっても、同じ基本法の精神に乗って進んでいけるのかどうなのか非常にわかりづらくなっているんだと思います。別に基本法を今すぐ廃止しろと、これは私は基本法を守りたいという立場でお話をさせていただいているわけですから。

 何度も何度もお話をさせていただきますが、高位の専門職をつくるということは、結局これは、さっき言ったように、幹部の給与を守るということと同じだということが一点。そして、今回、給与制度の全体の改革を行わないということは、労働組合の困ることには今回は手をつけないということ、これが二点目。つまり、この話をもっと嫌らしく表現すれば、官僚にすり寄って、労組に土下座して、どうやって二割削減するんだという表現になってしまうんですよ。

 ですから、我々は今回、二割削減、どうしてもやろうというふうに思っています。そのためには相当厳しい給与法の改定をやっていかなきゃいけないんですよ。基本権を与えて、それから労使交渉して、それから給料。本当に下げられるんですか、大臣。

仙谷国務大臣 平井議員に申し上げますが、官僚にすり寄って、労働組合に土下座する、何で土下座しなきゃいけないんですか。先ほど高木議員の提示した資料の中にも、我々が土下座しなければいけないような労働組合がどこにあるんですか。そういう下品なお話はあなたにはふさわしくないと私は思いますよ。

 それで、できない、できないというふうにおっしゃるけれども、まあごらんになっていてください。

平井委員 ですから、要するに、下げるという方向を明確にして、いつまでに下げるということをちゃんとお話しいただければ、我々は仙谷大臣の御活躍を見るのも楽しみにはさせていただきますけれども、やはり政治というのは結果を出さないと。結果を出さないと同じことなんですよ。これは鳩山総理に皆さん習ったと思います。言って、後で苦しむんですから。ですから、仙谷大臣には、多分そんなようなことはなさらないと思いますが、ぜひ結果を出していただきたいなというふうに思います。

 きょう、せっかく官房長官も来ていただいておりますし、前回のこともありますので、実はここに日本郵政の坂さん、副社長に来ていただいて、そして損保協会でしたか、それの裏下りの話、後任人事の話等々させていただいたんです。まず、これは田村政務官です、これも何度も何度も答弁させて申しわけないんですけれども、坂さんが、牧野さんがよいのではないかと推薦したという説明、つまり、ここはOBのあっせんがあったという認識で間違いないんですよね。

田村大臣政務官 お答えいたします。

 細かい経緯もまた必要があれば後で繰り返させていただきますけれども、あっせんがあったということは申し上げておりません。金融庁として、協会に確認をしましたところ、前任者に当たる坂さんから牧野さんを紹介されたというふうに金融庁としては確認をしております。

平井委員 紹介ね。つまり、今の国家公務員法上のあっせんというのを皆さん御存じだと思う。これは、OBの適用という話ではないんですけれども。要するに、国家公務員法上のあっせんというのは情報提供、要するにこの人がいいのではないかと名前を挙げることは、当然これはあっせんなんですね。今の、現行法の、国家公務員法上ですよ。

 それをOBということで考えてみると、今言われた話はOBによるあっせんということですね。田村政務官、いかがですか。

田村大臣政務官 金融庁といたしましては、紹介をしたという事実を確認しておりまして、あっせんはなかったというふうに認識をしております。

平井委員 だから、OBによるあっせんはいいんですよね、別に。これは事実関係の確認だけなので、そんなに気にせずに。要するにOBによるあっせんでいいんですよね、だから。いかがですか。いや、ひっかけようとしているわけじゃありませんから。OBによるあっせんという認識でいいんですよね、紹介というのは。

田村大臣政務官 金融庁としましては、重ねて申し上げますけれども、あっせんというふうには認識をしておりません。あくまで紹介だというふうに確認をしております。

平井委員 つまり、紹介するというのは国家公務員法上のやはりあっせんなんですね。そうなんですよ。ですから、紹介ということは要するにあっせんをしたということで、あっせんという言葉は何か嫌なんですか。そんなことないですよね。まあ、まあこの話はいいです、そうしたら。

 それで、きょう松井副長官も来られておりますのでお聞きしたいんですが、二月八日の予算委員会で、「役所のあっせんにかわってOBがかわりにあっせんをしているようなケースであれば、それは我々がこれからとる措置に対する脱法的な措置」と答弁されていますが、今回のケースは、さっき、ずっと聞いていると、どう考えても、OBみずからが、OBによってあっせんしましたというふうに事実を認めていて、いわば、二月八日の予算委員会の松井副長官の答弁からいうと、これは明らかに脱法的な措置なんですよね。脱法的ですから、脱法とは言わないのかもわかりませんが。

 これで脱法的な措置がなされたことが既に判明していて、このことに対してどのように対処をされるのか、お聞きしたいと思います。

松井内閣官房副長官 御答弁申し上げます。

 私、予算委員会でこの御質問をいただきまして、もともと、委員も御承知のように、これは国家公務員制度改革基本法は、自民党さんとも公明党さんとも修正合意をして、私もそのときの実務担当者の一人でしたが、再就職あっせんについての規定はなかったですね。自民党さん、そこはのられなかったということはまず申し上げたいと思います。

 我々は、しかし、再就職のあっせんというものは禁止しよう。したがって、当時、渡辺喜美担当大臣とも随分議論をさせていただきましたが、渡辺喜美担当大臣は、官民人材交流センター、先ほどから下品という言葉が出ていましたが、僕らが下品な言葉で言うと天下りバンク、天下りバンクによるあっせんはいいんだというふうにおっしゃっていました。しかし、我々は、その天下りバンク、官民人材交流センターによるあっせんもやめようということで、それを今、現実に、新政権になってから、官庁によるあっせんというのはやめようということで、これはとめています。

 とめているんですが、現実に私が予算委員会で答弁したのは、例えば、役所はあっせんしなくても、役所のOBが役所と意を通じて、事実上、次官や官房長があっせんしなくても、次官OBの人とかどこかの局長OBの人があっせんしたんなら、これはもう、全く役所のあっせんはなくなったとしても、別の代理人がいてあっせんしているようなものじゃないか。私は、こういうことが行われているとすれば、これはやはり脱法的だと思いますね。

 現に、先ほどからの御質問を伺っておりまして、では、官庁OBの一民間人がだれかを紹介したから、今の国家公務員法上これが官庁によるあっせんになるのかというと、恐らくならないという解釈だと思うんです。

 我々は、とにかく官庁によるあっせんはやめようということで、そこはとめたんですが、二つ問題があります。それは、過去にやめた人はずっと残っているわけですね。これをどうするか。これはなかなか手を出しにくい問題です。もう一つあるのは、官庁によるあっせんはしなくても、だれかがそれを、官庁の意を通じて別の代理人があっせんするようなことがあってはいけないだろうということは、我々、方針として明確にして、私自身は明確に答弁したつもりであります。

 さて、御指摘の話が、先ほど来出ている話は、恐らく、今の牧野さんを損保協会の副会長にされたというのが、これが脱法的なあっせんに当たるかどうかということについて、私も二月の予算委員会で答弁しましたので、内閣府の組織にも要請をしまして調査をしていただきました。していただきまして、田村政務官からも御答弁があったところだと思いますけれども、少なくとも金融庁、あるいは財務省も含めて、あっせんをした事実はない、これは確認をいたしました。

 では、当該、牧野さんの前任者の坂さん、これは官房副長官補で、たしか、私の記憶では、委員とも官邸周りで一緒の仕事をされた方だと思いますけれども、坂さんが個人として牧野さんを紹介されたということはあったというふうに私も聞きました。これが本当の脱法的なあっせん、要するに、金融庁なり財務省が、自分たちがあっせんできないから、坂さんに頼んであっせんをさせているということに当たるのかどうかというところまで私は確証を得られていません。

 しかし、これは何代か、ずっと損保協会のOB、続いていますね。過去のことは財務省もはっきり言いませんけれども、私は、ある段階まではあっせんがあったんだろうと、これは個人的認識でありますが、そう理解しています。ところが、ある段階から、財務省も金融庁も、あっせんはやっていない。しかし、あっせんをやっていない後に、官庁OBの人、すなわち財務省のOBだった方々が、どうも、個人的に、自分の後任としてだれがいいということを紹介なりし、推薦されているというような心証を私は持っています。

 このことが、組織と意を通じて、脱法的に、組織にかわってOBが、連なりのような中で事実上のあっせん行為を行っているのかどうかというところまで私はまだ確証を得ていませんが、いずれにしても、今後、組織によるあっせんを我々が幾ら禁止したとしても、やめた方々がずっと連携をとって、後輩をあっせんし続けるようなことがあってはいけないと思いますので、そこは厳重に、この法案でも提起させていただいているような、第三者的な組織を置いてしっかりと監視をして、そして、今の法律上、やめられた民間人がどなたかを御紹介されたということを必ずしも禁ずることができない状況になっていますが、そこをどう監視し、国民的にそういうことを、疑念を抱かせるようなことをなくしていくかというのは今後の課題だと思っております。

平井委員 これは順番が逆だと思うんですね。

 要するに、法案を通していただいたら監視委員会で調査をするということですけれども、本当は、前回の四月二十八日の私の質問に対して、仙谷大臣も、要するに、少々問題があるなと疑う事案だというふうに御答弁いただきました。つまり、さっきの松井さんの話もそうなんですけれども、やはり何かすっきりしないというのは同じ感覚だと思うんですよ。

 ここで、私は思うんですけれども、これは、内閣総理大臣は立入検査なども含む調査権限が本当はあるんですね。この調査権限というのを全く行使していない、それと、監視委員会というものも実は全然機能させていない。

 ここは官房長官にお聞きしたいんですけれども、現行法では、こういったケースにおいて、総理が立入検査なども含む調査権限を行使することができるんですよ。これは二月の松井副長官の答弁でも、この問題が脱法的な行為というような、お話にも表現もあるんですから、本来はこれはやはり権限を行使すべきではなかったかと思うんですが、官房長官、いかにお考えですか。

平野国務大臣 行使できるという考え方は、確かに先生の御指摘のとおりでございます。

 しかし、今松井副長官からも御説明ありましたが、同一府省庁において何代にもわたって特定の団体等のポストに再就職している事態について解明すべく、総務省において、所管関係、国からの金銭交付及び退職事由等も含めて、あらゆる調査を今実施いたしているところでございます。

 また、加えて、これは多分、定義が定かではありませんが、裏下りという、表現的に使われていることも含められるのかもわかりませんが、水面下で各府省庁職員による情報提供の疑い等々のある再就職事案につきましては、やはり徹底的に厳正に対処すべくやるべきであるという考え方のもとにおります。しかし、今の、現行の状態では一定の限界もあることも事実でありますが、これは、良識に従う部分と、このような状況をやはり国民にさらすことによって、公開することによって是正をする、加えて、我々としても指導、是正をしていく、こういうことで進めていかなければならないと考えているところであります。

平井委員 結局、調査をしなきゃいかぬという認識は一緒だと思うんですね。やはり、どのような体制でそれを、ちゃんと調査を行うのか。話を聞いていると、役人にお願いして、問い合わせてくれというような調査で果たしていいのかなと私は思うんですね。ですから、本当は、政治主導と言われている民主党は、そんなことは役人に任せずに、やはり政務三役がちゃんとみずから、自分の目と耳とそして行動力で解明していくべきだと思うんです。

 そこで、先ほど官房長官の方から、やはりこういうこと、裏下りについても徹底的に調査をしていかなきゃいかぬという発言がありましたので、さっき言ったように、単に役人に任せてお茶を濁すというのではなくて、ちゃんとした体制でちゃんと調査をしてほしい、そのようなお考えがあるかどうかについてお聞かせ願いたいと思います。

平野国務大臣 今、国民の代表である先生がそういう疑念を持たれている、こういうことに対して、その指摘に対して、しっかりと受けとめて対処していきたい、このように思います。

平井委員 この問題は、要するに調査権限の行使に関しては、私、これは仙谷大臣にお聞きしたら、それはおれじゃなくて官房長官に聞いてくれということなのでお聞きをさせていただきましたが、どうせ、こういうグレーゾーン、要は白か黒か、要するに今回の事案はグレーなんですよ、このグレーのものを置いておくと、グレーがどんどんどんどん大きくなって、白と黒が少なくなるんです。ですから、グレーとみずからお話をいただいた仙谷大臣もきょうはおられるので、ぜひそのあたりのことを、徹底的に、協力して調査をしていただきたい。仙谷大臣にも一言そのことについてお話しいただければと思います。

仙谷国務大臣 法案をお願いしている立場から、この法案が成立をいたしましたら、再就職等監視委員会の方で、平井先生御指摘のような事案については的確にその能力を発揮して調査をするということになろうかと思います。

平井委員 ずっとその答弁ですけれども、結局、今国民が求めているのは、頑張っている姿ではなくてもう結果だと思います。ですから、ぜひ、白黒をつけていただくような、すっきりした調査をしていただきたいと思います。

 これはまた階政務官にちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、現行法の監視委員会の人事についてなんです。

 階政務官は、二十三日の委員会で、「設置しない状態が長期間続けば違法になるかと思いますが、」という答弁をされていますけれども、この設置しない状況というのがどのぐらい、つまり、このときお話しになった、長期間続けば違法になるという意味の、この期間というのは大体どのぐらいの期間ですか。

階大臣政務官 それは、具体的な期間というものは法案には書かれていないわけでございますけれども、設置しない理由も考えながら、個々具体的なケースにおいて、どの程度の期間が経過すれば違法状態になるかというものは決まってくるのではないかと思います。

平井委員 ということは、今の状態というのは違法になるんですか、違法じゃないんですか。

階大臣政務官 違法ではないと考えております。

平井委員 その違法でない根拠というのをぜひお聞かせ願いたいんですが。

 これは御存じのことだと思いますけれども、人事官の場合は、六十日間空席を放置した閣僚に刑事罰がかかるんですね、これは国家公務員法上の罰則規定。監視委員会の場合は罰則こそ設けられていないんですけれども、九カ月も八カ月も放置するのは明らかに違法行為ではないかと思うんですが、それが違法ではないと言い切れる根拠はどこにありますか。

階大臣政務官 人事官のような規定はございませんし、明文で、違法とされるような規定はないと思いますので、逆に、違法という根拠があればそちらを教えてほしいと思います。

平井委員 長期間続けば違法になるというのはあなたがおっしゃったんですよ、あなたが自分でおっしゃったんですよ、六十日間空席にしたらこっちは、人事官の場合はなるよと。だから私は、それに合わせて、長期間というのはどのぐらいですかという問い合わせだし、違法になると思うというのは御自分の答弁ですから、まずそこのところを御説明願わないとおかしいと思います。

階大臣政務官 先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、法律上定めがあるにもかかわらず、それを、正当な理由もないのに長期間徒過した場合は、その期間は個々のケースによって決まってくると思いますけれども、その理由が正当なものでなければ違法な場合はあり得るのではないかと考えます。

平井委員 いや、御自分で「設置しない状態が長期間続けば違法になる」というふうに発言をされているから、私は、これは、国家公務員法上の罰則規定があることも含めて、官房長官にお聞きしようと思ったんですが、行かれちゃいますか。済みません。

 今お話を聞いていただいて、要するに行政府はやはり法律を守るべきだと思うんですね。そういうふうに長期間ほったらかしにしたら違法になると思うというものを実は八カ月も九カ月もほったらかしにしちゃったということに関して、官房長官はどのようにお考えですか。

平野国務大臣 失礼をいたしました。少しトイレに行かせていただこうと思ったんですが、御質問が出ましたので。

 当然、行政府の役割というのは法律を守るということがあってしかるべきだ、このように考えているところでございます。

平井委員 一事が万事こういう答弁だから、この委員会というのはやはりすっきり落ちないんです。

 この後あっせんの話とかいろいろな話もまた出てくるんだと思うんですけれども、もともと各省のあっせん承認機能があるから要するに委員会を動かさなかったんだという答弁も何度もお聞きしたんですよ。だけれども、去年の十二月で、政令でそれはもうなくなっているわけですよね、終わっているんです。ですから、当時反対されていた理由もないのにほったらかしにしていて、長い間ほったらかすのは違法だと言っておきながら全然やらないというのは幾ら何でも無責任で、これは私は思うんですけれども、やはり行政府にいる者は法律をちゃんと守るという感覚がないと。

 私は、もう本当に民主党さんにお願いをしたいのは、最初言っていた天下りの根絶であるとか、要するに裏下りも全部なくすというようなことを言っていたじゃないですか。政治主導でやると言っていたじゃないですか。それだったら、もう本当に、官僚の言いなりになったような答弁をするのではなくて、自分たちならこうするんだと明確な思想を持って答弁していただかないと、このままでは政治主導という法案も、政治主導という言葉が最近危なっかしくてしようがない。政治主導という言葉のイメージががらっと悪くなっちゃったんですよ。

 だから、そういう意味も踏まえて、この質疑、私の時間はもう終わってしまったんだと思いますが、後は小泉進次郎委員にバトンタッチをしますが、実は、本当に全く納得できないことが多過ぎるんです。今の答弁も、民主党の議員の皆様方も聞いていてよくわからないでしょう。違法なのかどうなのかもよくわからないでしょう。こういうのは、やはりちゃんとしていただかなきゃいけないと思います。

 では、どうぞ。

平野国務大臣 今、私、簡潔にそもそも論を申し上げましたが、したがって、今先生御指摘のそういう観点に立ちますならば、現内閣におきまして、昨年十二月に、閣議決定をし、国家公務員法を改正して新たな監視機能を強化した再就職等監視・適正化委員会を設置することとし、この二月に法案を国会に提出している、こういうことでございますので、ほうりっ放しという概念からは少し違うのではないでしょうか。

平井委員 もう時間が来ているようなのでこれで最後にさせていただきますが、つまり、今の、法律が通るまでは何にもやらない、監視ができないということですから、いわばこの期間というのは要するに天下り加速化期間というふうにも置きかえられるわけですよ。あっせん、天下りはもうやりたい放題。それで、そういうことを考えちゃう……(発言する者あり)いや、それだったらちゃんと今精査したらいいじゃないですか。

 ですから、そういうことではなくて、法律を盾にとってあれができない、これができないというのではなくて、できることからやらないとこの問題は解決しないということを最後に強調させていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

田中委員長 次に、小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 官房長官に最初にお話をしたかったんですが、戻り次第、官房長官に質問をしたいと思います。

 松野官房副長官、前回の質問に続きましてきょうも冒頭に触れたいと思いますが、前回の質問のときに私が触れたのは、大臣、副大臣の給与返納が今のところ一〇%、そして政務官には手をつけていない、この現状は、国家公務員法で今人件費を二割カットしようとしている政権の中で、みずからがまず襟を正す、まず隗より始めよという精神からいって認められないのではないかというお話をしました。そして、松野官房副長官からは大変前向きな議論をいただきました。そして、その前向きな答弁の結果、前回、松野官房副長官は私の質問を受けて、官房長官と相談をして考えたい、そういう答弁をいただきました。

 官房長官と相談をした結果を教えてください。

松野内閣官房副長官 前回小泉委員から、四月の二十三日にこの御質問をいただきました。

 若干そのときも説明をさせていただきましたけれども、要は、政務官としての、行政府としての上乗せ分の給料というのが十五万五千五百八十円、これをもし一〇%、大臣、副大臣のように返納すると返納額が十二万三千百円、手取りが、三万二千四百八十円から税金が引かれる、その税金の引かれる額は、お子さんの数の扶養控除の関係とか、それぞれ、所得がほかにあるかとか、まあ、所得はほかにないんでしょう。そういう関係で若干変わってくるんですけれども、これで税金を引かれるとほとんどゼロに近くなる方が出てくるから、これは前政権と同じように見合わせているんですということをお答えさせていただきました。

 同時に、小泉委員が、一般的な常識に照らして、これを一〇%返納しないのは、やる気の問題、隗より始めよという部分が抜けているのではないか、こういうような御指摘がございましたので、前向きな答弁をさせていただきました。

 その結果を受けまして、官房長官とも相談をさせていただいて、今鋭意、前向きな形でしかるべき時期にきちんとお答えを出そうというようなことを相談しているところでございます。

小泉(進)委員 その相談はそんなに時間がかかるものじゃありませんよ。

 官房長官、官房副長官とどういう相談をしたのか教えてください。(発言する者あり)

平野国務大臣 それは失礼なやじですね。

 小泉さんの御質問でございますが、非常にいい指摘をいただきましたので、できるだけ早くこれは対処したい、このように考えています。

小泉(進)委員 できるだけ早くという言葉は、これほど信憑性がない言葉はないんですよ。はっきりと時期を明示したのにもかかわらず、今まで鳩山政権は何度も先送りですよ。普天間にしたって、十二月と言ったのが三月、三月と言ったのが五月、そして五月末と言ったら、今度はできる限りのことを五月末まではする。全然信じられないんですよ。

 だから、官房副長官、前回、前向きな答弁をいただいているんですよ。四月の二十三日からきょうの五月の十二日、これは相談にそんなに時間がかかることですか。

松野内閣官房副長官 お言葉でございますけれども、四月の二十三日からゴールデンウイークを挟みまして、平日はわずか九日しかございません。一応、行政法の手続をとるのに……(発言する者あり)いやいや、それはもう正味九日でございますので、そんなに先送りと言われるような期間ではないというふうに思っております。

小泉(進)委員 この問題は、閣議決定でできるんですよ。新しい法案をつくってくださいと私言っていませんよ。閣僚申し合わせで、大臣、副大臣は一〇%カット、政務官はゼロ、これじゃ公務員の総人件費を二割カットするという説得力がない、だから閣僚の皆さん、二割カットで私たちもやりますからいいですね、この一言でいいじゃないですか。

平野国務大臣 わかりました。きちっと対応します。

小泉(進)委員 わかりましたというのは、いつまでにやるということですか。

平野国務大臣 小泉さんのように心地よく御指摘をされる。我々としては、全体のところを含めてでありますが、必ずこれはやります。

小泉(進)委員 たびたび申し上げてちょっとこちらも恐縮ですが、必ずという言葉じゃなくて、いつやるのかを教えてください。

平野国務大臣 これは先生には御理解いただきたいと思いますが、手続を経ますものですから、その時間は猶予いただきたい。

小泉(進)委員 官房長官、これは、きょう私の質問の後に採決に行くのかどうかわかりませんが、この場で答えてもらわなかったら、なあなあで終わっちゃうかもしれないんですよ。

 そして、前回、官房副長官には言いましたが、大臣、副大臣の一〇%の給与の返納、これはなぜ一〇%なのかと聞いたら、安倍政権、麻生政権からの引き継ぎだとおっしゃいました。政権交代をして、自民党にはできなかったことをやるんだと言ったんですから、そんなもの自民党から引き継がないで、さっさと二〇%カットしてくださいよ。

松野内閣官房副長官 お言葉でございますけれども、私ども、政権交代をしても、旧政権のすべてを否定しているわけではございません。いいところはいいところで引き継がせていただいているところでございます。

小泉(進)委員 前政権のいいところはいいところで認める、引き継ぐとか言いますけれども、強調するのは悪いところだらけじゃないですか。全然言っていることとやっていることが違うんですよ。

 そして、官房長官にお伺いしますが、必ずやるとおっしゃいました。これがもし実行できなかった場合はどうしてくれますか。

平野国務大臣 実行できなかったらというよりも、実行します。

小泉(進)委員 それだけ必ず実行すると言いながら、時期は言えないんですか。

平野国務大臣 実行いたします。

小泉(進)委員 実行するという言葉をこれだけ納得できない思いもなかなかないですが。

 きのう官房長官は、夜、沖縄県の仲井眞知事とお会いをしました。仲井眞知事が官房長官とお会いしてから記者に向かって何と言ったか。隔靴掻痒の感がある、そう言いました。どういう意味ですか。

平野国務大臣 それは私に会ってから言われたのかその前に言われたのかよくわかりませんが、それは仲井眞知事にお聞きください。

小泉(進)委員 では、この思いは、仲井眞知事がどういう思いだったか聞きますが、隔靴掻痒の感とは何ですか。

平野国務大臣 私も文学者でありませんから詳細にその定義ということはよくわかりません。しかしながら、靴の底からかくような話かな、こういうふうな気はいたします。

小泉(進)委員 官房長官がおっしゃったとおり、隔靴掻痒の感というのは、靴を隔ててかゆきをかく。靴の上からかゆみをかくような、じれったい、もどかしい、核心に触れない、核心をつかない、そういう感があると仲井眞知事は言ったんです。

 私も今、全く同じ思いです。官房長官の答弁を聞いていて、同じく、核心をつかないなと。やると言うけれども時期は言わない。これで信じてくれと言われて、今まで政権交代してから着実に、やると言ったことをやっているんだったら、その言葉を信じて次の質問にすぐ行こうと思いましたよ。しかし、そうじゃないから、どうせやると言っているんだったら時期まで示してくださいよと言ったんです。

 官房長官にはもう一つ聞きたいことがあるんです。今の総理大臣の給与、これを教えてください。

平野国務大臣 やることはやりますから、御心配なく。

 総理大臣の給与ですか。(小泉(進)委員「はい」と呼ぶ)総理の給与は、俸給及び地域手当を合わせて二百四十四万円だと私は承知いたしております。

小泉(進)委員 年間で幾らですか。

平野国務大臣 年収ベースで三千九百九十一万円と承知をいたしております。

小泉(進)委員 その総理大臣の年間給与三千九百万円から議員歳費を引いた額は幾らですか。

平野国務大臣 一千八百五十一万円だと思います。

小泉(進)委員 この一千八百万円からは、総理大臣も、大臣、副大臣と同じく一〇%の給与返納があるはずです。その一〇%の給与返納の額を引くと、今大臣が言った千八百五十一万円から、千六百三万円になります。

 官房長官、鳩山総理大臣は、毎月一千五百万、母親から援助を受けているわけです。それだけの、ああいった政治と金のスキャンダルがありながら、総理大臣としてのこの年間一千五百万以上、これを受け取っている。それは、総理大臣としての職責というか、国民に対する真摯な態度として返納することを進言するつもりはありませんか。

平野国務大臣 全く筋違いの話であります。

小泉(進)委員 どう筋違いか、教えてください。

平野国務大臣 これは総理としての報酬であります。今、小泉先生の御指摘とは、全く違う話だと思います。

小泉(進)委員 総理としての給与だけれども、国民は、総理大臣としてあれだけの政治と金のスキャンダルがあったことにショックを受け、そして、がっかりしているんですよ。それに対して、政治家として、モラルとして、これを正すべきだという思いはありませんかということです。これは、私は筋違いどころか筋が通っていると思っています。大臣、官房長官はそう思いませんか。

平野国務大臣 総理自身の問題は問題として、この問題で、だから返すべきである、返納すべきである、このことと、私は全く論点が違う、こう思います。

小泉(進)委員 国民からしたら、毎月千五百万円、一年間で一億八千万円、これだけの額を、援助を受けながら、それは総理大臣としての給与だから別に返すつもりはありません、それは決して、あれだけの政治と金のスキャンダルを抱えている方にとって真摯な対応とは思えません。

 核心をつかない議論というのは、正直、この内閣委員会で、法案審議の間ずっと続きました。

 私が質問に立った四月の十四日そして四月の二十三日、仙谷大臣には、マニフェストの総人件費の二割カット、これを中心に質問しました。その中で仙谷大臣がおっしゃったのは、二割カットをどうやって実現するか、一つが給与改定や定員の見直し、二つ目が労使交渉、そして三つ目が地方分権の推進に伴う地方移管ということでした。しかし、この三つ、この三つをやれば二割カットできるということだと思いますが、全然、この一つ一つも核心をつかない議論ばかりなんです。

 そして、もともとこの国家公務員法、そして国家公務員改革、なぜするのかと考えたら、大臣が再三答弁でおっしゃっているとおり、一つは縦割りの打破、二つ目が政治主導の確立、そして三つ目が天下り、わたりの根絶、これをなし遂げるためにやらなきゃいけないのが公務員制度改革だということですよ。

 しかし、そのうちの一つ、天下りの根絶、この法案審議を通じてわかってきたことは、全くやる気がないということです。

 きょう私がお配りした配付資料にありますが、民主党のマニフェスト。この「一 ムダづかい」という、国の総予算二百七兆円を全面組み替えする、そして税金の無駄遣いと天下りを根絶する。このマニフェストを見ていて、幾つか天下りに関する言及があるんです。

 しかし、私もこれは政治家になってからわかったことなんですが、一つの言葉の使い方でこれだけ意味が変わるのかという、いわゆる霞が関用語とか永田町論理とか、そういったものが本当にあるんだなと思ったんです。これは恐らく、元官僚の国会議員の皆さんとかは、一語の違いで法案の意味が変わる、そして結果が変わってしまうということをよくわかっていると思いますが、このマニフェスト、一番大きな、上のところだと、「税金のムダづかいと天下りを根絶」となっております。そして、その下の「ムダづかいをなくすための政策」というこの黒い枠、ここに行くと「天下りのあっせんを全面的に禁止」となるわけです。

 次の、配付資料の二ページ目を見ていただくと、「マニフェスト 政策各論」というのがあります。この一の「ムダづかい」の右側、四番目の「公務員制度の抜本改革の実施」という、私が下線を引いたところですが、「具体策」の一つとして、「定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する。」。

 もう一枚めくっていただくと、これは総務省が出した退職管理基本方針ですが、まず、「基本的な考え方」の中には「天下りあっせんの根絶」、そして二番目の「職員等の再就職に係る指針」、この最初も「天下りあっせんの根絶」。

 確認をしたいんですが、天下りの根絶と天下りの全面的な禁止、これはどう違うんですか。

仙谷国務大臣 私の理解では、ほとんど同じだと理解しております。

小泉(進)委員 このほとんど同じというのがくせ者なんですよ。

 今まで、いろいろな法案の審議とか、自民党でも国対法案説明会とかで法案の審議が毎回毎回来ます。そして、役所の皆さんが説明をしてくださった法案に対していろいろな質問をするんですが、何とか的とか、基本的にとか、原則とか、全面的にとか、そういう言葉、形容詞で全然意味が変わっちゃうんですよ。これは国民の皆さんが見ていてなかなか理解できない点かもしれません。しかし、私がこの細かい文言にこだわるのは、この細かい文言で、いじって、一体今までどれだけ、その一言でどれだけ法案が骨抜きになったか、皆さんが自民党政権に対してそう言ってきましたよね。私も、今同じ気持ちがあるんです。

 だから大臣、そこをほとんど同じですという言葉でごまかさないで、根絶と、全面的に禁止というのが何が違うのか、はっきりさせてください。

仙谷国務大臣 私はいわば謙虚に申し上げたのでありますが、つまり、言語の概念というのは外延と内包がありますから、全く同じということは違う言葉の中ではあり得ないという思いがあるからであります。これは法律学の前提の、言語学といいましょうか、そういうところでは常識化しておりますから。だから、政治的な意味は全く同一にしなければならないという意味では、小泉議員が御指摘のとおりだ。

 ただ、言葉の外延といいましょうか含む範囲が同じかどうかと問われれば、ほとんど同じとしか答えられない、こういう答弁をしているわけであります。

小泉(進)委員 大臣がおっしゃっていることはほとんど同じということで、そのほとんどの幅が、大臣によって、人によって違うと困るわけですよ。私はこれはほとんどだと思うと。

 だから、この天下り根絶というのは、はっきり言ったら、天下りゼロというのが天下り根絶ですよ。根絶という字は根絶やしですから。これは、全面的な根絶も、基本的な根絶も、原則根絶もないんですよ。根絶は根絶、ゼロです、これはゼロ。しかし、全面的な禁止というのは、ゼロともとれない可能性があるんですよ。だから大臣に詰めているんです。天下りをゼロにするんですか、それともゼロにはしないんですか。

仙谷国務大臣 一つは、小泉さんのお話の中でもう少し気をつけなければいけないのは、主語が何かということをもう一つ考えておかなければいけない。つまり、天下りというのは、主語は必ず一公務員がということでなければ論理的につじつまが合いません。

 だから、私どもは、政府の行為としてはあっせんを根絶する、あっせんをやらない、こういうことを言っているわけであります。

 つまり、政府は、公務員が天下りをしようとするときに、これをあっせんは決してしないという意味のことを言っておるのでありまして、御本人がどこか見つけてきて、あるいは旧来の職務に関係のある天下り先といいましょうか職務を見つけてきて、そこに再就職をされた、これは天下りであります。だけれども、政府としては全く何の関与もしていなければ、本人が職を見つけてきたこの天下りが果たして適正かどうかということは、別の観点からこれは調査をし、あるいは分析をし、そして、このことについて何らかのペナルティーを科せるかどうかというのは、また次元のちょっと異なるというか、次元が別の話であるというふうに私は考えております。

小泉(進)委員 天下りつきの再就職のあっせん、これはしないと大臣はおっしゃっていますが、その例外として組織の改廃等による分限免職の場合、以外と、そういうことを言っていますが、これは後で触れます。

 今回、総務省案が出してきた退職管理基本方針、これを読むと、改めて、天下りや、また民主党のマニフェスト、総人件費の二割カット、これのやる気が疑われるんですよ。

 この退職管理基本方針、「基本的な考え方」には、一番最初に「天下りあっせんの根絶」とありますが、これも私は信じられない。そして、「「官を開く」との基本認識」とありますが、この官を開くという意味も私はわからない。官を開くというのは、官の皆さんに天下りはやはり開きますよということだと思いますよ、これは。そして、この退職管理基本方針の中で一番最後、きょう公明党の高木先生が配っていただきましたが、「高位の専門スタッフ職について」という規定があります、この高位の専門スタッフ職。

 私は今まで、これは四月の十四日の質問だったと思いますが、大臣に聞いたのは横異動という言葉でした。よく大臣は覚えていると思いますが。そして大臣は、横異動の一つとして、肩たたき、早期勧奨退職、これも横異動の一つだとおっしゃいました。そして、それ以外にもいろいろと横異動の例を挙げていただいたんですが、そのときの大臣の答弁ですと、横異動の横とは、配置転換、職種転換、民間出向、肩たたき、こういうふうにあるんです。

 そして、私は、衆法提出者の柴山議員に同じような質問をしました。柴山議員はこうお答えになりました。「仙谷大臣の見解ですと、ポストの横滑りあるいは民間出向、それから早期勧奨退職、この三つというような御指摘がありました。 まず、最初のポストのつけかえ、横異動ということは、これはとりもなおさず、給与を維持したままで、例えば局長ポストの人が名誉職ということで移転をするということで、まさに人件費の削減には一切役立たない、」柴山議員はこういうふうな答弁をしました。

 柴山議員にお聞きしますが、この高位の専門スタッフ職は、四月の十四日に挙げたこのポストのつけかえ、まさにここに当たると思いませんか。

柴山議員 小泉議員にお答えいたします。

 あのときに私が指摘をさせていただいたとおり、この、今回提示をされている高位のスタッフ職は、まさしく横異動、そして人件費の抑制に役立たない政策、そのとおりだというように認識をしております。

小泉(進)委員 仙谷大臣、この高位の専門スタッフ職、今柴山議員がお答えになったとおり、ポストのつけかえ、つまり公務員の総人件費二割カットに全然貢献しないじゃないですか。その貢献しないことを今回おやりになろうとしている。まだこれは、退職管理基本方針は決定ではありません、総務省案です。つまり、これから閣内での調整で、協議でまだまだ変更可能ということなんですよ。

 仙谷大臣、今からこれを総務省と協議して、ここを変更するつもりはありませんか。

仙谷国務大臣 余り独自の思い込みで質問されても困るんですよね、この種の話は。高位のスタッフ職の給与をどういうふうに設定するか、制度設計するかというのは、まさにこれからですから。

 そして、小泉議員に申し上げたいのは、総人件費二割削減という話と、お一人お一人の、ある種の各省庁なり政府全体としての人事、ガバナンスに基づく異動で、一人一人の単価を下げなければならないというふうな、こういう、みんな給料を下げればその方が安くなっていいじゃないかみたいな議論は、やはり我々としては慎んだ方がいいんじゃないかと思うんですね。

 つまり、総人件費の削減は、それはきっちりやらなければいけませんけれども、高位のスタッフ職の給与あるいは待遇をどうするのかは、高位といっても、そのスタッフ職の持つ機能、役割に応じてちゃんとそこは制度設計をしなければいけないということでございますので、それは私も心してというか、小泉議員の提言も踏まえて、これから総務省にちゃんと意見を申し上げていきたいと思います。

小泉(進)委員 仙谷大臣はそうやって、あたかも自民党が、公務員の給料をカットしろ、そういうふうにばかり言って、そんなことはなかなか簡単じゃないと言いますが、総人件費の二割カットの目標自体がそもそも、人を減らす、金を減らすで大胆にやらなかったらできない目標を掲げたのは民主党じゃないですか。これをやる手法は労使交渉そして地方移管、こういったことでやろうとしても、事実、この法案審議の中でこのような意見を言っているのは私たち自民党側だけじゃないじゃないですか。民主党側だって言っているじゃないですか。与党からだって出ていることを、あたかも、私たちしか言っていない、そして私たちが役人たたきをしているようなことは到底筋が違っていますよ。

 そして、この高位の専門スタッフ職、まだまだ、私が思い込んでいると言いましたが、決まっていることは既にこの案の中に書いてあるじゃないですか。

 まず、もともとあるのは、高位ではない専門スタッフ職はありますね。その専門スタッフ職があるということは、高位の専門スタッフ職は専門スタッフよりも上に来るのが当たり前じゃないですか。ということは、専門スタッフ職よりも高位のスタッフ職の方は待遇も給与も上になる、これは当たり前じゃないですか。そうしたら、さっき平井議員も言いましたが、高位のスタッフ職じゃない、もともとのスタッフ職は一千万から一千二百万の給与、つまり、その一千二百万以上の給与、待遇を与えられるのが高位の専門スタッフ職。

 大臣、違いますか。

仙谷国務大臣 このまま四級になればそうですが、例えば、では、重要な局長がここになったら、その分だけ給料は減りますね、一人でも。あるいは、次官が高位のスタッフ職になれば、その分減りますね。そういう前提で、そういう前提でこういうものをつくろうというのが総務省の案だと思いますよ。

小泉(進)委員 ということは、今の大臣の答弁からすると、この総務省がつくった案の高位スタッフ職というのは、次官級とか局長級が下がるときのポストが高位のスタッフ職でいいですか。

仙谷国務大臣 そういうこともあり得るという前提です。

小泉(進)委員 今の仙谷大臣の、そういうこともあり得る前提というのと、その前の答弁は、随分後退しましたよ。最初は、あたかも、事務次官級、局長級が下がるときにそうなるから給料は下がるじゃないかと言ったら、次の答弁では、そういうこともあり得ると。つまり、そうじゃないこともあり得るんですよ。高給の窓際族となる方々、つまり、出世ルートから外れるから、そこから、出世ルートからは外すけれども名誉職をつける、まさにポストのつけかえ、これが高位のスタッフ職ととられかねないじゃないですか。

 もしも違うのであれば、大臣、そこははっきりしてくださいよ。

仙谷国務大臣 なぜ名誉職だというふうに断定されるんですか。あくまでもスタッフ職で、スペシャリストをスタッフとして使えると思うからここに異動するんじゃないですか。だから、きのうまで次官の人もおれば、局長の方もおれば、部長の方もいる可能性があるということを申し上げているだけで、そんな単線的な、固定的なことを、私が肯定的な答弁をしないからといって、何か話が変わったとかなんとかということではないでしょう。

小泉(進)委員 仙谷大臣はさっき、これはまだ案だから、別に高位の専門スタッフ職がどういったことであるのかだってまだ決まっていないうちに思い込まれてもと言いましたよね。でも、職務はもう決まっているじゃないですか。この高位の専門スタッフ職、職務は、政務三役が行う政策の企画立案を支援、サポートする。役割、決まっていますよ。

 つまり、この高位の専門スタッフの役割、この役割と、これは次の法案で審議をされると思いますが、政治主導確立法案の中でもありますとおり、民主党の職員の方を政務調査官として政府の中に入れるというその案、民主党の職員の方が政務調査官になったとき……(発言する者あり)

田中委員長 静かにしてください。

小泉(進)委員 その高位のスタッフ職、この方々と政務調査官、これの役割の違い、職務の違い、大臣はどう考えているんですか。(発言する者あり)

田中委員長 静かにしてください。質疑をしているんですから。

仙谷国務大臣 政務の調査官というのは民間からの登用ということに多くはなるんだ、そういうふうに考えております。

小泉(進)委員 それが本当だったらいいんですが、民主党の職員の方を政務調査官として政府の中に入れた場合、ちゃんと給与も出て、国からその職員の方々はお金をもらうんですよ。そして、その方々が行うことはまさにこの高位の専門スタッフ職と同じ役目、政務三役のサポートと政策の企画立案の補助じゃないですか。これと、高位の専門スタッフ職、全然役割がわからないままにこういう規定を設けては、これは、公務員の方々に天下りあっせんはしないと言ったがために、みずからが首を絞めた結果、やめさすことができないからわきにどけて、給与は据え置き、これをやらざるを得ないから、つけた文言だと言ってもしようがないじゃないですか。

 そして、総務省がつくった退職管理基本方針には、まだまだ疑問点がいっぱいあるんです。

 三つ目の、「独立行政法人等への役員出向」、この一番、「独立行政法人等の役員公募」「各大臣等の任命権の下、職員が役員出向する場合においては公募の対象外」。これはつまり、独法に対して現役出向をさせる、そして、それに関しては、大臣の任命がある場合は公募にかける必要がない。これは大臣お墨つきの天下り、しかも現役出向ということは、天下りを前倒しでやるということですよ。その天下りを前倒しでやることを、この独法の役員出向で、しかも大臣のお墨つきで認めているじゃないですか。

 大臣、これは違うんですか。

仙谷国務大臣 独立行政法人がある使命を持って、その業務を遂行することが一つの公共サービスとして、国民生活にとって有用である、そういう独立行政法人も私は相当数あると思います。

 ここまで問題になってきたのは、一たん役所をやめて、退職金をもらって、そうして独立行政法人に行って、それも我々から見ると、少々、こんな人数が必要なのかなと思われるような数の官僚のOBの方々が、みずからの植民地であるかのようにそこに行って支配をして、悪く言うと、何をしているのかわからぬような理事さんとか理事長さんも多々おって、ところが、そこで数年過ごしてまた退職金をもらう、こういうやり方を、果たして独立行政法人のためにもいいのか、国民の生活の利便のためにもいいのかという観点から見ると、独立行政法人がその使命、機能を十分果たすためにどういう人事をするのか、これは所管の大臣の責務だと私は思っております。

 その人事の一環として、単にこの人が役所で要らなくなったから独立行政法人に渡すというのじゃなくて、独立行政法人の職務がより充実したものとして展開できる、そういう人事として現役の役員出向というのを認めてはどうか、こういう話であります。

小泉(進)委員 大臣の答弁は、それは全く信じられないんですよ。

 民主党は、独法を見直すと。そして、自民党政権下で固まっていた独法化というのも凍結をしました。林野庁の独法化の凍結、そして気象研究所の独法化の凍結、これは、民主党が独法を全面的に凍結する、それとは筋は一貫していますよ。

 しかし、政権交代後、実際独法をふやしているのは民主党じゃないですか。最初は九十八の独法があったんですよ。今は百四ですよ。六つの独法をふやして、そして、今この議論を聞いていると、この退職管理方針に書いた独法への役員出向、これはあたかも、もう天下りあっせんができないから苦肉の策で独法への現役出向を認めた、そう思わざるを得ないじゃないですか。

 大臣、それは違いますか。

仙谷国務大臣 小泉さん、九十八から百四になったと。これは、自民党時代に法案をつくって、多分、ナショナルセンターという、国立高度医療専門センターの六つが加わって百四になったんじゃないでしょうか。私の記憶ではそういうことだと思います。(発言する者あり)

 そこで、そこで……(発言する者あり)

田中委員長 静粛にしてください。

仙谷国務大臣 ナショナルセンターの独法化については、行政刷新会議の中に独法ガバナンス検討チームをつくって、いいですか、検討チームをつくって、独立行政法人とはかくあるべし、コンプライアンスを保持するためにこういうことが必要だ、会計的に独立採算事業体であるためにこういうことが必要だ、その他五項目の基準をつくった上で、厚生労働大臣が新たな人事発令をした。

 それで、五月二日の読売新聞の「地球を読む」というところに、国立がんセンターの垣添さんはこれを非難して、もともと、厚生省の役人を運営局長に持ってくる慣行があって、それは麗しい慣行だったのに、がんセンターが独自の運営をする、そういう運営局長をつくったのはけしからぬ、こういうことを書いているじゃないですか。

 つまり、独法は独法として機能するようなものにするという人事を大臣が責任を持ってやらなければいけない、こういうことであります。(発言する者あり)

田中委員長 小泉君、小泉君、小泉君に申し上げます。申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

小泉(進)委員 今まで私たちが報道をベースにしたことを聞くと、大臣は、報道をベースにしたことは質問するなと言いましたよ。しかし、大臣は今、自分の答弁で、読売新聞の記事を使って答弁をしたじゃないですか。だったら、私も同じように新聞記事を使って大臣に質問をしますが、これは、五月の七日の朝日新聞のものですが……(発言する者あり)

田中委員長 小泉君、申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

小泉(進)委員 大臣、これは五月の七日の朝日新聞の記事です。「鳩山政権は独法役員が公務員OBの場合は後任を公募する方針を昨秋打ち出したが、大臣の任命で出向させる場合は公募の対象外とする。公益法人への出向は「高い公共性が認められる」法人でふやす方向だ。」そして、朝日新聞、この記事の最後に、「やり方によっては大臣のお墨付きを得た新たな天下りになりかねない。」こういう認識を多くの人が持つのは当然じゃないですか。

 大臣は今まで、私たち議員が大臣に質問をして、何々新聞にこういうことが載っていました、テレビでこんなことをやっていましたと大臣は言われると、そんな、報道に……(発言する者あり)

田中委員長 時間が参りました。小泉君、時間が参りましたので、協力してください。

小泉(進)委員 報道をもとにしたそんなことは言うなと言いましたよ。しかし、自分の都合がいいときに、大臣は新聞記事をベースにした話を今しましたよ。だから私も新聞記事をベースにしたことをやったんです。

田中委員長 小泉君、時間が参りました。御協力ください。

小泉(進)委員 大臣は全然私の質問に答えていません。まだまだ質問したいことはいっぱいあるんです。

 これは、先ほどから与党の方からも出ていますが、そんな……(発言する者あり)威勢がいいことを言っていますが、この公務員制度改革は、もともと自民党、民主党、公明党、これは超党派で基本法ができているんですよ。それを強行採決をやろうとする。そういったことは、国民は決して政権交代に求めた姿じゃないですよ。

 そして、鳩山総理はこう言いましたよ……(発言する者あり)

田中委員長 小泉君、申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

小泉(進)委員 仙谷大臣は答えていません。

 鳩山総理はこう言いましたよ。鳩山総理は、国会で政府提出法案を修正することが新しい政治だと言いましたよ。もしもそれが鳩山総理が言う新しい政治だとしたら、まさにこういうふうに基本法が超党派でできているんですから、その超党派で基本法がある審議を、強行採決とか、もう終わっているとか、そんなことを言ったって、全然筋が通りませんよ。

 大臣がはっきりと言っていたら、私だって、大臣がはっきり答えていたら質問を終わりますよ。大臣がはっきり答えていないんですから。(発言する者あり)

田中委員長 静粛にしてください。

小泉(進)委員 大臣が質問に答えていないんです。

 大臣、今まで大臣がこの法案審議で答えたこと、大臣は全然はっきりと答えていませんよ。

田中委員長 小泉君、申し合わせの時間が参りました。御協力をお願いします。

小泉(進)委員 大臣、そうやって笑っていらっしゃいますけれども、これは笑い事じゃないですよ。

 大臣は、この前、私の質問の一番最後に大臣はこう言いましたよ。二〇〇五年以降……(発言する者あり)

田中委員長 委員以外の皆さんは発言を自粛してください。

小泉(進)委員 仙谷大臣、仙谷大臣はこの前、私の質問で、最後にこう言いました。今の政治の現状は、政治の現状は、二〇〇五年以降、自民党が超党派の協議に積極的に応じなかったから今の現状があるんだと大臣は言いました。その言葉をそっくりそのまま今返しますよ。

 基本法が、自民、民主、そして公明、この三つで基本法ができているのに、大臣、全然超党派の合意をやろうとしないじゃないですか。しかも、与党側から……(発言する者あり)

田中委員長 小泉君、申し合わせの時間が参りました、過ぎております。御協力をお願いします。

小泉(進)委員 これは、委員長、大臣は全然質問に答えていないですよ。そして、民主党の議員の方だって、このままこの法案審議が終わっていいと思っていませんよ。この法案審議がこのまま終わったら、民主党の中の一部の声だって無視する形になるんですよ。(発言する者あり)

 民主党の中の一部の声……

田中委員長 小泉君、小泉君、時間が過ぎております、大幅に。しっかりと協力ください。

小泉(進)委員 しかし、大臣は全然質問に答えていません。

 大臣、与党の中からも、与党の中からだって、この法案審議の中で、総人件費を二割カットするためには、人を減らすか金を減らすしかないと言っているんですよ。その与党の声を聞いて、そして、私たち野党だって同じような意見を持っているんですよ。その同じような、超党派の議論をしたらいいじゃないですか。

 なぜ、なぜ今、なぜきょう……

田中委員長 小泉君、申し合わせの時間が大幅に過ぎております。御協力ください。

小泉(進)委員 なぜきょう、この法案を通さなきゃいけないんですか。この法案をきょう通さなきゃいけない理由なんてありませんよ。

 大臣、これは野党、私たちだけの声じゃありませんよ。それは与党からも声がありますよ。与党からだって、二割カットをするんだったら、人も減らす、金も減らす、その二つでしかやることはできないと言っているじゃないですか。その与党側の声を聞いて、まさに鳩山総理が言ったように新しい政治の姿、政府が提出した法案を国会審議の中で修正すればいいじゃないですか。大臣、大臣は全然だめですよ。(発言する者あり)

田中委員長 小泉君、大幅に時間が経過しております。少なくとも、申し合わせの時間を守ることが委員の仕事であります。

小泉(進)委員 大臣は私の質問に答えるのも仕事ですよ。そして委員長も、私が今まだ質問をしているんですから、その質問の権利を委員長に守っていただかないと困ります。

 これは、仙谷大臣、このままこの法案をきょう通したら、この法案をきょう通したら……(発言する者あり)

田中委員長 静かにしてください。

小泉(進)委員 超党派の合意のベースを仙谷大臣みずからが壊すことになりますよ。(発言する者あり)

田中委員長 静かにしてください。委員以外の人は静かにしてください。

小泉(進)委員 ちょっと、私が質問しているんですから、少し静かにしてください。

 この法案がこれで終わって本当にいいと思っているんですか……(発言する者あり)いやいや、そういう問題なんですよ。この法案がこれで終わっていいんですか。この法案が、この法案が通ったら……

田中委員長 お諮りいたします。

 時間が大幅に過ぎておりますので、少なくても、委員会は申し合わせの時間をお互いに守ることが優先しております。

小泉(進)委員 委員長、委員長。

 これは、この法案を通したら、自民、民主、公明、この超党派の合意のベースを壊すということですよ。それを壊すぐらいだったら、今回の法案を一度おいておいて、来年の通常国会まで、もう一度超党派で合意すればいいじゃないですか、もう一度やればいいじゃないですか。(発言する者あり)

 委員長、これは、今……

田中委員長 お諮りいたします。

 小泉君、時間が大幅に……。

 お諮りしていますので、皆さん、小泉君の質疑はこれにて終結をさせていただきます。(拍手)

小泉(進)委員 きょうこれは採決をするような法案じゃないですよ。これはまだ、到底採決に応じられるような状況じゃありませんよ、大臣。

田中委員長 お諮りいたします。

 これにて各……

小泉(進)委員 委員長、委員長。

 大臣、この法案を通したら、超党派の合意はもうできなくなりますよ。そして、前大臣の甘利大臣も含めて、この前、超党派の合意を得るために頑張ったんですよ。それを、政権交代をしたら超党派の合意は覆すんですか。そんなの全然新しい制度じゃないじゃないですか。

 仙谷大臣、もし、与党の中から私たちの声とは同じ声が一度もなかったらいいですよ。しかし……

田中委員長 小泉君に申し上げます。

 質疑時間がオーバーしておりますので、これにて質問を打ち切ります。(拍手、発言する者あり)

 お諮りいたします。

 この法案に対する質疑は終了、修正案に対する質疑を終局することとし、賛成の諸君の起立を願います。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(拍手、発言する者あり)

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、内閣提出、公務員法の一部を改正する法律案に対し、村上史好君外二名から、民主党の提案について修正案の提出をされます。

 提出者から趣旨の説明を求めます。村上史好君。

    ―――――――――――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

村上(史)委員 ただいま議題となりました国家公務員法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案の、原案において「平成二十二年四月一日」付となっている施行期日を「公布の日」に改めるほか、内閣法の一部改正規定について所要の修正を行うものであります。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手、発言する者あり)

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 これより各案及び両修正案を一括して討議に入ります。

 討議の申し入れがあります。塩川さん。(発言する者あり)

 これにて採決に入ります。

 まず、塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法の一部を改正する法律案について採決をいたします。

 本案に賛成の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立少数。よって、本案は否決することに決しました。

 次に、塩崎恭久君外四名提出、幹部国家公務員法について採決をいたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及びこれに対する両法案の修正について採決をいたします。(発言する者あり)

 高木美智代さん外一名提出について採決をいたします。

 本案の修正に賛成の諸君の起立を願います。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立少数。よって、本案は修正否決をしました。

 次に、村上史好君外二名提出、修正案について採決をいたします。

 本案の修正、諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。(拍手、発言する者あり)

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決をいたします。

 これについて諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案は修正可決するものと決しました。(拍手、発言する者あり)

 お諮りいたします。

 ただいま議決をいたしました各案に対する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任いただきたいと存じます。賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(拍手、発言する者あり)

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田中委員長 本日は、これにて閉会をします。

    午後四時十八分散会


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