衆議院

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第11号 平成25年5月10日(金曜日)

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平成二十五年五月十日(金曜日)

    午後三時二十九分開議

 出席委員

   委員長 平井たくや君

   理事 木原 誠二君 理事 関  芳弘君

   理事 西川 公也君 理事 平口  洋君

   理事 若井 康彦君 理事 松田  学君

   理事 高木美智代君

      青山 周平君    池田 道孝君

      岩田 和親君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      新谷 正義君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    平沢 勝栄君

      福山  守君    山際大志郎君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      荒井  聰君    岡田 克也君

      後藤 祐一君    津村 啓介君

      遠藤  敬君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 古屋 圭司君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    森 まさこ君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           甘利  明君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)  稲田 朋美君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   外務副大臣        鈴木 俊一君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     池田 道孝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     青山 周平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

平井委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として水産庁長官本川一善君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。

岡田委員 民主党の岡田克也です。

 官房長官は記者会見があるということなので、最初に官房長官にお聞きしたいと思います。

 まず、内閣の件でお聞きをしたいと思いますが、閣議の議事録の件です。

 所掌は稲田大臣だということも承知しておりますが、これは、私が閣内におりましたときに、副総理と官房長官の共同議長のもとで検討組織を立ち上げまして、有識者の間で議論して、一定の結論に達しているわけであります。

 つまり、閣議の議事録をつくるかどうか。内閣制度発足以来、そういった議事録というものはつくられてはおりません。しかし、イギリスやドイツは、そういったものが、議事録がつくられている、やはり後世、その時の政権が、いかなる議論が行われ、そしていかなる判断をしたかということがきちんと国民に理解できるようにすることは、非常に民主主義にとって重要なことではないか、そういう御議論をいただきまして、三十年後に原則公開するという仕組みにいたしました。そこまで決めて、立法の形式もほぼ煮詰めた上で、政権交代ということになったわけです。

 この国会で検討法案になっているというふうに承知しておりますが、ぜひこれは、やるということについて、官房長官の御意見をお聞かせいただきたいと思います。そして、そもそもそういったことは意義があるかどうかということも含めて御意見をいただきたいと思います。

菅国務大臣 委員の今の発言にもありましたけれども、委員が副総理のときに、閣議議事録の作成、公開制度の創設について検討して、閣議及び閣僚懇談会について議事録を作成して、今言われたように、三十年後に公開する方向で検討チームが取りまとめられたと。しかし、その後、閣議決定はされていなかったというふうに聞いております。

 本制度に係る法案の今国会への提出は検討中としておりますけれども、法制化が、公文書管理のみならず、閣議のあり方、ここに私は絡んでくるんだろうというふうに思います。政府内部で今後十分検討して、本制度の扱いを含めて決定をしていくということが大事だろうというふうに思います。イギリス、ドイツの閣議、そうしたものと比べて、今の閣議のあり方というものも我が国は違っておるわけでありますから、そうしたことも検討していきたいと思います。

岡田委員 閣議、それから閣僚懇あわせてということでありますが、今、閣議のあり方というふうに言われましたが、具体的にどういうことが問題となって、ひっかかっているんでしょうか。具体的にお話しいただけますか。

菅国務大臣 例えば、この制度というのは、閣議全体の運営に大きな影響を与えるというふうに思っています。

 従来、現在の閣議というのは、陪席者というのはこれで限定をされておりますし、議事録の作成方法、例えば、これは録音するだとか、陪席者をふやすだとか、いろいろなことがありますし、また、現に行われているイギリスやドイツにおいては、議論に必要な時間というものを十分にとっております。今の日本の閣議というのは、委員御承知のとおり、全体の大きな流れの中で、ある意味では事前に議論をされたものを閣議で了承するという方式を今とっていますから、そうしたことも含めて、これは検討する必要があるだろうと思っています。

岡田委員 閣議がかなり形式化しているということは、私はそのとおりだと思います。ただ、閣僚懇では、かなり自由な議論というのは、これは内閣によって違うと思いますが、行うことは可能ですし、そして、重要な問題があれば、現に今までの内閣もやってきたと思うんですね。

 そういうときに、後から振り返って、閣僚間でどういう議論をして、最後、閣議は内閣の最高意思決定機関ですから、そこで政治家同士、大臣同士が議論して、その結論に至ったかということは、やはり後からわかるということが非常に大事だと思うんですね。

 速記者が必要じゃないかとか、録音するのかとか、そういう議論は我々もいたしました。それは一つの割り切りの問題で、本質じゃないというふうに思います。やはり本質は、後世、しっかり検証することができる、そのための議事録を残すということであって、余り形式論ではなくて、その本質に基づいて、これはぜひやるということを決断していただきたいと思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 委員は十分閣議の内容もわかっていらっしゃると思います。

 今の我が国の閣議というのは、閣議にかける前にそれらを十分議論した上で、まとめるものを閣議にかけるという方式をとっております。多分、民主党のときもそうじゃなかったかというふうに思います。その閣議決定に至る仕組み等も検討しながら考えていきたい、こう思います。

岡田委員 しかし、閣僚懇は、安倍内閣でも、実質的な議論は時にやられているんじゃないんですか。全くの形式であるはずがないし、本来、各省のトップであり、閣議の構成メンバーである大臣、大臣というのは各省の代表だけではないんですね。閣議の構成メンバーとして、そういうものを離れて議論する立場にもあるわけで、そこで議論したことが後から検証できないというのは非常に問題じゃないですか。

菅国務大臣 現内閣におきまして、当然、閣僚懇談会もありますし、そこでそれなりの議論もしています。しかし、今の内閣のやり方の一つとして、事前に関係閣僚会合というのをやっていまして、そうした中で、話をある程度詰めた上で、最終的に閣議決定をするというような方向で今私どもは物事を前に進めておりますので、そうしたことも踏まえて、これはぜひ検討させていただきたいと思います。

岡田委員 関係閣僚会合も、正式なものであれば、これは議事録を残さなきゃいけない、少なくとも記録は残さなきゃいけないことになっているはずであります。ですから、閣僚懇だけ除くというのはよくわからない話で、これは、日本を代表する有識者の皆さんにかなり熱心に御議論いただいて結論を得ていることですから、ぜひ、このことについてしっかりとこの国会で対応していただきたいと思います。なお、この問題は、機会があれば官房長官や総理の御見解を聞いていきたいというふうに思っております。

 時間も限られていますので、もう一つの歴史認識についてお聞きをしたいと思うんですが、特に村山談話であります。

 村山談話について、記者会見で、官房長官も、それから総理も、いろいろとお答えになっているわけですが、村山談話の中にある言葉で、官房長官の記者会見で出てこない単語が二つあるんですね。それは、植民地支配、それから侵略、この二つの言葉は出てこない。それ以外の、その前後は引用されて、認識は同じだと言われるんですが、植民地支配とか侵略という言葉は使われません。これは何か意味があるんですか。植民地支配とか侵略ということを認めていないということですか。

菅国務大臣 ぜひ御理解をいただきたいんですけれども、村山談話に対して、内閣の基本的な考え方でありますけれども、我が国は、さきの大戦に至る一時期、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたということ、さらに、これまで日本政府は、こうした歴史の事実を謙虚に受けとめて、改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明するとともに、さきの大戦における内外の全ての犠牲者に対して哀悼の意を表明してきた、このことについては、安倍内閣も同様の認識であります。

 さらに、近隣の国々、日本にとってはかけがえのないパートナーであり、地域の平和と繁栄のために貢献をしていく考えであるということであります。

 そして、これは基本的なことでありまして、安倍総理の第一次内閣、二〇〇六年でありますけれども、総理大臣として、安倍内閣として、これまでの歴代内閣の立場を引き継いでいる、こういうことについては表明をいたしております。

岡田委員 質問に答えていただいていないんですが、植民地支配あるいは侵略ということについてはどうお考えかと聞いているわけです。

菅国務大臣 今申し上げましたけれども、二〇〇六年の安倍内閣のとき、また、今度の第二次安倍内閣のときも、歴代内閣と同じ立場を引き継いでいく、そういうことで御理解をいただけるんじゃないかと思います。

岡田委員 歴代内閣といえば、この村山談話あるいは小泉談話、いずれも植民地支配とかあるいは侵略という言葉が出てまいります。ですから、認識は同じということは、この言葉を当然共有されているわけですね。

菅国務大臣 今申し上げましたけれども、二〇〇六年当時もそうでありますし、現在も、これまでの内閣の立場を引き継いでいくということは全く変わりがありません。

岡田委員 ですから、内閣の立場を引き継いでいるということは、「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」村山談話ですね。「私は、未来に過ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、」この「事実」というのは、「植民地支配と侵略」ということを受けているわけですね。

 事実というふうに村山さんは言っていて、小泉さんも基本的に同じトーンで言われていると思いますが、この植民地支配と侵略ということについて、はっきりその言葉を挙げて言っていただきたいんですが、それは受け継いでおられるんですか、受け継いでおられないんですか。

 これ以上何も言われないと、受け継いでいないと言ったに等しくなりますよ。

菅国務大臣 私ども、今申し上げたとおり、これまでも歴代内閣の立場を引き継いできたし、これからも引き継いでいく考え方でありますし、村山政権は戦後五十年に総理としての談話を出されました。小泉総理は六十年に総理大臣としての談話を出されました。

 安倍総理は、こうした談話を引き継いでおりますけれども、七十年に未来志向の談話を出したい、これが安倍政権の考え方であります。

岡田委員 官房長官は、朝鮮半島において過去に日本が植民地支配を行ったということは、お認めになるんですか、ならないんですか。

菅国務大臣 私、先ほどから申し上げておるとおりでありまして、歴代内閣と同じように、その立場を引き継いでいくという形が現政権の基本的な考え方であります。

岡田委員 先ほどから全く答えていただけないんですが、植民地支配を朝鮮半島に対して行ったということについて、官房長官の認識はイエスかノーか、お答えください。

菅国務大臣 先ほど来申し上げていますけれども、我が国は、さきの大戦に至る一時期、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた、また、こうした歴史の事実を謙虚に受けとめて、改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明するとともに、さきの大戦における内外の全ての犠牲者に謹んで哀悼の意を表明しました。ここについては歴代内閣と同じであり、近隣の国々というのは日本にとってかけがえのないパートナーであり、将来もこれらの国々と未来志向の関係を築き上げていきたい。

 そして、安倍政権としては、これまでの歴代内閣の立場を引き継いでいく、そういうことの中でこれは御理解をいただけるんじゃないでしょうか。

岡田委員 引き継いでいくと言われながら、今も、「植民地支配と侵略によって、」という、その言葉についてあえて引用されませんでした。ですから、この二つの言葉については、これは同意していないということですね。そういうふうに受け取られても仕方ありませんよ。それを覚悟で言っておられるんですね、官房長官は。いかがですか。

菅国務大臣 引き継いでいくということを今私は何回となく申し上げておりますので、そのことで全てが入っているんじゃないでしょうか。

岡田委員 植民地支配と侵略という言葉を引き継いでいるんですか、どうですかと私は何回もお聞きしているわけです。お答えください。

菅国務大臣 歴代内閣と同じように、引き継いでいくというこの談話を申し上げているんじゃないですか。

岡田委員 私が何度も何度も、植民地支配と侵略という言葉について聞いているにもかかわらず、歴代内閣を引き継いでいるという抽象論だけで、この言葉は絶対言われませんよね。

 ということは、やはり内閣として、この二つの言葉についてはノーだというふうに言われても仕方がありませんよ。それ以外の答えというのはないじゃないですか。どうなんですか。

菅国務大臣 何回も委員に申し上げていますけれども、総理大臣として、安倍内閣としては、これまでの歴代内閣の立場を引き継いでいく考え方でありますということで私は御理解をいただけるんじゃないかなというふうに思います。

岡田委員 ですから、立場といいながら、私が聞いている植民地支配、侵略ということについては具体的にコメントされていないわけです。これは非常に大きなことだと思いますよ。今までの内閣とは違う。

 そして、例えば、この談話だけではなくて、日朝平壌宣言の中に何て書いてありますか。「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、」こう書いてあるんですよ。

 でも、今の官房長官は、こういった平壌宣言の中の文章とも全くかけ離れているじゃありませんか。それが安倍内閣の考え方だというふうに理解せざるを得ませんよ。いかがですか。

菅国務大臣 それは一方的な解釈じゃないでしょうか。

 先ほど来申し上げていますように、この大戦における一時期、アジア諸国の人々に対し多大な損害と苦痛を与えた、さらに、歴史の事実を謙虚に受けとめて、改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明するとともに、さきの大戦における内外の全ての犠牲者に謹んで哀悼の意を表明する。ここについては、安倍政権も全く同様の認識であり、この近隣諸国については、我が国にとってかけがえのないパートナーであり、これらの国々との関係を未来志向で取り組んでいきたい。

 そして、二〇〇六年当時の第一次安倍内閣にも表明しておりますけれども、今内閣でも、歴代内閣の立場を引き継いでいくということに変わりはないということであります。

岡田委員 最後まで植民地支配と侵略については触れられませんでした。安倍内閣としては、この二つについては歴代内閣と異なる解釈をしているというふうに受け取らざるを得ません。これは、私だけじゃなくて、このやりとりを聞いていた人は普通そう考えるというふうに思います。

 私は、それは大変不幸なことだということを申し上げておいて、きょうは、時間がありますから、このあたりにしたいと思いますが、機会を得て、また総理にもぜひこの問題についてお聞きしたいというふうに思っております。

 それでは、社会保障・税一体改革、甘利大臣に来ていただいていますので、一言。

 きょうも本会議でもやりとりがあったんですが、やはり国民会議で高齢者医療と年金についてきちんと議論すべきだというふうに思うわけですね。もちろん、政府の考え方はよくわかっております。年金についていえば、百年安心プランを出したときの考え方、現状で、それで大丈夫だ、やっていけるというお考えだろうというふうに思います。

 ただ、我々は、必ずしもそういう考え方には立っていないわけであります。

 例えば、百年安心プランといっても、マクロ経済スライドをやっていく中で年金の額が目減りしていく、実質的にはそれは年金としての意味をなさないような額になるかもしれません。それから、そもそも年金に加入していない人たちがたくさんいる。つまり、年金の世界だけでは収支が仮に合ったとしても、しかし、年金に加入していない人のところについてこれをどうするか、未加入者をなくすために今の制度でできるのか、こういう問題もあります。そういうことに基づいて、我々は、年金の大きな改革を主張しているわけです。

 それから、みんなの党は、一体改革の議論でも何度も御主張になりましたが、積立方式を主張されている。

 ですから、政府の考え方と我々民主党の考え方、そして積立方式、それぞれについて、やはり専門家のそろった国民会議の場できちんと議論すべきじゃないかというふうに思うわけです。年金不信というのは国民の中にこれだけある。我々も、この年金の問題でいつまでも政治が答えを出さないというのはよくないと思うんです。

 ですから、お互いの問題意識をしっかり出し合って議論する、そういう機会として国民会議を生かすべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 きょうの本会議でも一部この話が出たことは承知いたしておりますが、これは委員よく御案内のとおり、昨年の六月の三党合意で、年金の問題については、「あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する。」というふうにされているわけでありまして、ダブルトラックではありますけれども、この三党協議の行方を有識者会議が見守りつつ、ではその間何もしないというわけじゃなくて、消費税の社会保障の強化部分、充実強化二・七兆円部分のうち、まだ具体的な内容が固まっていない医療と介護の分野についてまず優先的に議論すべきじゃないか、こういう意見が多かったので、そういうことでやらせていただいているわけであります。

 三党協議の結論が出るまで何もしないかというと、そうではありませんで、医療・介護分野での議論に続いて、きのうは少子化についての議論を行いました。そこで、次回、第十二回になります五月十七日には、年金分野の議論に入るということになっているわけであります。

 最初の方に全体的な議論をして、それから各論に入ってきました。消費税について、まだ詳細が決まっていない部分について固めておく必要があるということで、医療、介護を取り扱った。そして少子化。その後に今度は年金ということで議論を進めていくという予定にいたしております。

岡田委員 スケジュールは私も承知していますが、お尻が切れていますよね、八月という。ですから、私は、消費税引き上げを責任大臣として担当してまいりましたけれども、やはりあのときに、一つは経済状況を見きわめるということ、それからもう一つは、やはり社会保障改革をしっかりやるということが国民に対する約束だというふうに思うわけです。そういう観点で国民会議もできているということです。

 いろいろな議論を今までしてきたことは理解していますが、やはり大きな改革ということになれば、年金制度、それから高齢者医療制度、この二つについてはきちんと議論する必要がある。三党の間でいろいろ議論してきました。与党の自民党、公明党の委員も大変真摯に対応していただいたと思いますが、ただ、残念ながらお互い合意に至っていない、そういう状況であります。

 そういったことを考えれば、やはり国民会議の場でちゃんと議論するということが必要だと思いますが、そのことをお約束いただけませんか。

甘利国務大臣 国民会議は、三党協議でいろいろと出された方針に沿って議論をしているつもりでありまして、あらかじめ公的年金制度に係る改革については三党で協議するから、そういう方向が出て、ある程度それが先導的な議論になるんでしょう。その後、それに沿って議論を詰めていく。

 しかし、なかなか三党では方向性が見えてこない。しかも、前政権の中でも、では、この年金制度が本当に長期の使用にたえ得ないものかどうかということに関しては、当時の総理みずから、今の制度は、五年ごとでしたか、財政再計算、今は財政検証というのでしたか、それがあって、きちんと長期にたえ得るものにしてあるから、それは長期をしっかり支え得る年金であるという御答弁もあるわけでありまして、国民会議の中でも、三党協議の行方をずっと見守っているだけではなくて、いずれにしても、どういうことになるにせよ、現行の年金制度の改正し得る部分について、部分的にも議論をすべきではないかということになって、その議論もしていこうということになっているわけであります。

 期限は八月の二十一日ということを清家議長以下よく承知をされておりまして、その中で、年金の議論も次回入ろうということになっております。

岡田委員 最初に申し上げたように、今この年金制度が壊れているとか、そういうことを我々は言っているわけじゃないんですね。ただ、先ほど言ったように、例えばマクロ経済スライドということで額が減っていくということも考えられるし、それから、今の百年安心プランをつくってから、この数年間のいろいろな前提条件の変化もあるわけで、やはり、そこは国民の安心感を高めるためにもちゃんとした議論は必要だというふうに思っておりますので、ここはぜひお願いを申し上げたいと思います。

 最後、稲田大臣に来ていただきましたので、URの問題ですね。URの改革について、私が担当していたときに、有識者に非常に議論していただいて、一つの改革案をつくりました。

 URというのは、今、十三兆円という巨額の借金を抱えた独立行政法人で、毎年の支払い利息が収入の四分の一、二千百億円。これは、金利が上がればあっという間に膨れ上がっていく。当然、住宅の方はだんだん劣化していくわけですね。現在は七十年の償却期間で計算していますけれども、七十年もつというのはちょっと考えにくいので、普通に考えれば、財政状況は本当はもっと厳しいんだろうというふうに思います。一方で、人口が減っていきますから、空き家率も高まっていくことも当然考えられる。

 そういう中で、やはり、持続可能にするために、今住んでおられる方で所得の少ない方に対してはしっかり手当てをしながら、しかし、タワーマンションとか、そういうのも結構持っていたりして、高額のものも抱え込んでいるので、そういうものは民営化すべきではないか、そういうことで一つの絵を描かせていただきました。

 これは今、凍結状態ということですが、いかがお考えですか。

稲田国務大臣 岡田前副総理からは、十二月二十五日付の大変詳細な引き継ぎ書をいただきまして、そしてその中で、四十分、二人でいろいろと引き継がせていただきました。今お話しになったURの件についても、非常に重たい問題である、そして、報告書が出ていて、おっしゃったような内容の報告書にまとまっているんだというお話も伺ったところでございます。

 その上で、そのURの改革に関しては、昨年一月の閣議決定に基づいてなされておりまして、今回、政権交代を受けて、見直しをした上で改革をするということで、閣議決定自体は当面凍結をいたしているところでございます。

 URについては、先ほど委員が御指摘になったように、多額の有利子負債を抱えるなど、脆弱な財務状況になっていて、非常に問題であるという認識は共通をいたしております。収益力の改善、コストの削減などを進めて、改革に取り組んでいかなければならないと思っております。報告書も検討させていただきながら、国交省と緊密に連携をして検討を進めていくことにしたいと思っております。

岡田委員 このURの問題やあるいは独法改革全体、特会改革、こういうものを、我々は法案を用意したり報告書をまとめたりいたしました。政権がかわれば、それをもう一回再吟味するという時間が必要だということは私はわかります。わかりますが、ぜひこれがうやむやにならないようにしっかりと受けとめていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。

 終わります。

平井委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 本日は、公務員制度改革について稲田大臣にお尋ねを申し上げます。

 まず、総論でございますが、これまでも、第二次安倍政権下で、総理あるいは稲田大臣が、国際的な大競争時代への変化を捉えて改革を進めるということを御発言されておられますが、このことと基本法との関係ですね。特に、基本法では国際的な大競争時代の変化を捉えるということが不十分、要するに、五年たって不十分だということで国際的な大競争時代の変化を捉えて改革を進めるというふうに言っておられるのか、いや、基本法で十分なんだ、でも、言葉を単に言いかえているんだということなのか、どちらなんでしょうか。よろしくお願いします。

稲田国務大臣 私も何度もこの問題について答弁をいたしておりますけれども、国家公務員改革の核は、基本法の一条に書かれているところの、公務員一人一人が能力を高めて、そして責任を自覚して、誇りを持って職務に邁進する、それが改革の核だと思っております。

 そして、国際大競争時代に応じたという言葉は、表現は、総理の施政方針演説の中で、「国際的な大競争時代への変化を捉え、改革します。公務員には、誇りと責任を持って、世界との競争に打ちかつ国づくりを、それぞれの持ち場で能動的に進めるよう期待します。」と。総理は闘う公務員という言葉も使っておられますけれども、私は、その思いというか方向性は改革基本法の一条と変わるところはないというふうに認識をいたしております。

大熊委員 具体的に、そうしますと、基本法の第二条四号、これと同じことを言っていらっしゃるということでよろしかったでしょうか。

稲田国務大臣 今御指摘になったところで第二条四号を確認いたしますと、「国際社会の中で国益を全うし得る高い能力を有する人材を確保し、及び育成すること。」まさしく私は同じ趣旨だと思います。

大熊委員 同じ趣旨ということであれば、では、五年間たった追加的な検討事項には含まれない、こういう理解をさせていただきます。

 したがって、そうすると、この五年間については、これまでの改革の成果を踏まえてという、ここの部分についてだけがかかってくる、こういうふうな理解をいたしますが、そういうことでよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 改革の成果を踏まえてというのは、多分、それは総理のお言葉ですから。私は、この五年間、基本法に基づいてさまざまな改革も進んでいると思います。その中で、やはり、基本法の理念に従って国家公務員改革を進めることによって、国際大競争社会においても打ちかつ、闘う公務員というか、そういう国益、国家国民のための公務員制度というものを確立していくという趣旨ではなかろうかと思います。

大熊委員 この通常国会で公務員改革の関連法案をなぜ出さないんですかという話は前回もいろいろとやらせていただきました。ちょっときょうはここは時間の関係で飛ばします。

 そうすると、単純にといいますか、基本法の延長ですね。五年ということで、この夏前に、ほぼ、余り具体的には何もできていない状態の中で期限が切れてしまう。要するに、基本法がなくなってしまうわけですね。基本法がなくなるとどういうことになりますかというと、本部が消滅するわけですね。そして、当然事務局も消滅する。事務局については、ほかの行政改革の事務局と一体化するんでしょうか、というような報道ベースでは承知しております。

 そもそも、本部がなくなるということは、公務員制度改革を総合的、集中的に改革する、そういう機関がなくなるわけなんですが、これについて、なぜ単純に期限をあと一年なり二年なり延ばすんだというような閣法を出されないのか、教えていただければと思います。

稲田国務大臣 恐縮ですけれども、委員が御指摘になりましたこの改革基本法の期限が来て、改革基本法自体がなくなるということはありません。この改革基本法自体は、まだ改革も途上ですし、なくなることはございません。

 ただ、事務局の本部がなくなるというか、期限が来るということだと思っておりまして、この法律自体がなくなるとか、ここで書かれていることを、改革をしないということでは決してないというふうに思います。

大熊委員 大臣、大変申しわけないんですが、本部の事務局がなくなるんじゃなくて、本部がなくなって、かつ事務局もなくなるんです。

 事務局は、百歩譲って、どこかほかの行革の事務局と一緒になるということもあるのかもしれませんが、そもそも本部がなくなるということなので、先般のマイナンバーの議論でもありましたと思いますが、本部長なのか本部なのかという議論の前に、本部そのものがなくなるということは、当然本部長もいなくなるわけでございますから、これは普通に考えて、では、基本法に何て書いてあるかというと、総合的、集中的に本部が公務員改革をやると書いてあるわけなので、常識的に考えると、第二次安倍内閣は公務員制度改革に相当後ろ向きなんだなというふうに国民は思うと思うんですね。

 そういうことじゃないと私は信じていますので、どうなんでしょうか、国会の期間というのはまだありますから、五年をあと一年とか二年とか延ばすんだ、そういう閣法を出された方が、安倍内閣の姿勢を、逆に、公務員改革をやるんだということからしても、よろしいんじゃないかなというふうには思うんですが、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 基本は、改革基本法自体はなくなりませんし、そして、その改革基本法に基づいて改革をする責務を政府は負っております。

 では、なぜ五年という期限を切ったかというと、五年でこの改革プログラム規定であるところの改革基本法に基づいた改革を全て終了させるということで五年という期限があったわけですけれども、委員も御承知のとおり、三回政府案を提出して、三回とも廃案になりました。そして、その三つの法案が全て、どれをとっても同じ内容ではなくて、それぞればらばらな内容であるわけであります。

 先ほど来答弁いたしておりますように、改革基本法の一条はすばらしい理念ですし、私も改革はしなければならないと思っておりますが、本部が消滅するかどうかとその改革をするかどうかとは必ずしも一致はしないと私は思っております。

大熊委員 であれば、そもそも何で本部が置かれたのか。本部がなくてもできるというんだったら、なぜ本部が置かれたのか、そこの点がちょっと論理的に整合しないんですが。

 そしてまた、具体的に、本部がない状態で、公務員制度改革以外のといいますか、通常の行政としては総務省の人事・恩給局ということで、では、総務大臣との調整はどうするんだといった場合に、調整ができなくなるおそれが、少なくともその可能性がふえる、そういうふうに普通考えると思うんですが、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 なぜ本部を置いたかといいますと、五年間で集中してやろうということで置かれたんだと思います。そして、その期限が七月十日に来て、目前に迫っているわけですね。その中で、顧問会議での報告書があったり、また、政府が三回法案を提出して、全てが廃案になったわけです。

 私は、本部を延長する必要はないと考えておりますが、それは改革基本法がなくなるということではなくて、改革は進めますけれども、しかし、本部を延長する必要はないと思っております。しかし、改革についての推進体制はもちろん必要だと思っております。公務員改革というのは行革とも非常に関連する取り組みでもありますので、七月十日の期限が来ることは私も十分承知をいたしておりますので、他の行革の組織のあり方との整合性を持って検討してまいりたいと思っております。

大熊委員 基本法には、いろいろな、プログラム法ですから、五年間、三年間で措置すると書いてありますが、本部は、総合的かつ集中的に公務員改革を推進するんだと、五年とは十三条には書いてないんですね。ここには期限は書いてないんですよ。大臣、今、五年間でとおっしゃいましたが、そういうことは法律には書いていないんですね。ここをまず申し上げておきたいと思います。

 この問題は非常に重要だと思っておりますので、もし政府の方で出さないのであれば、ぜひ議員立法というような形で検討していきたいなというふうに考えているところでございます。

 続きまして、あと七分か八分ということなので、退職管理基本方針でございます。

 これは、民主党政権時代、平成二十二年六月二十二日に閣議決定されたものでございます。これのもとになっているのは、私が事務局にいた時代から、事務局で人事・恩給局と一緒に、当時の審議官のもとで、能力実績班のもとでやっていた話でございまして、これが、政権がかわって民主党政権になって正式に閣議決定をされたわけでございますが、これも改革の成果の一つだというふうに御認識されていらっしゃいますか。

稲田国務大臣 その前に、先ほど五年間ということは書いてないとおっしゃったんですけれども、四条で、「この法律の施行後五年以内を目途として講ずるものとする。」というふうに書かれておりまして、五年間という期間というものは、めどとして設置がされております。

 その上で、退職管理基本方針についてのお尋ねですけれども、これは、国家公務員法第百六条の二十六に基づいて、再就職規制の徹底など、退職管理の適正化に関して政府が取り組むべき指針を閣議決定において定めたものと承知をいたしております。

 委員が御指摘のとおり、これは民主党政権下での閣議決定であり、それを引き継いでいるということでございます。

大熊委員 引き継ぐということは、すなわち、改革の成果の一つだと認識され、そして自公政権でも引き継ぐんだ、こういう理解でよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 新たな閣議決定がなされない限り、引き継いだものと承知をいたしております。

大熊委員 この民主党政権時代の退職管理基本方針について、当時の内閣委員会で自民党の委員の皆さん方はどのような質疑、姿勢で臨んでいらっしゃったか、大臣、お答えいただければと思います。

稲田国務大臣 つまびらかには承知いたしておりませんけれども、例えば、現役出向等について批判的な質問をした議員も野党時代はいたのではないかと思っております。

大熊委員 批判的な質問をした議員もいたじゃなくて、全員批判的に質問しているんですよ。

 例えばこちらにいらっしゃる委員長、当時の強力野党の自民党の委員長がこういうことを言っている。「今回の法案では、政務調査官を置いて、政務三役をサポートすることになっています。しかし、一方で、現在総務省で検討されている退職管理基本方針では、これまでなら天下りしていた幹部官僚たちを役所の中で処遇するために、高位の専門スタッフ職なるものをつくろうとしています。その仕事も、政務三役の企画立案のサポートだそうです。一体、これはどういう関係にあるんですか。」とか、「退職管理基本方針の中の高位の専門スタッフ職というものなんですよ。こんなものをまたつくっちゃうとなると、国民の理解は得られないと思います。」と。

 平井委員長だけじゃないですよ。平委員も、「もう時間がありませんから指摘だけしておきますけれども、退職管理基本方針、これで現役出向をどんどん行けるようになりました。これはもうまさに天下り規制の緩和と言わざるを得ません。首をひねっていますから、」とかいうことなんですよ。

 なので、これをそのまま引き継ぐとなると、やはり自民党さんというのは与党になると変わっちゃうのか。手前どもで恐縮ですが、みんなの党は、アジェンダという評判の悪い横文字で、要するに、政策をもとにした、野党になってもならなくても変わりませんよ。だけれども、自民党さんというのは与党になると変わっちゃうんですか、こういうふうにみんな思っていますよ。どうなんでしょうか。

 これは、閣議決定した二十二年六月二十二日の退職管理基本方針を撤回して、現役出向とかなしにする、専門スタッフなしにする、こういう閣議決定をやっていただけませんか。

稲田国務大臣 先ほど私が申しましたのは、閣議決定というのは非常に重いものですので、違う閣議決定をしない限り、引き継いだものというふうに承知をいたしております。

 そして、専門スタッフ職、それから現役出向について、野党時代さまざまな質疑があったということは、今委員も御指摘になったとおりでございます。

 それは、きちんと運用することによって、制度の趣旨に合致をした運用をする必要があるということではないかと思っております。

大熊委員 いや、それは運用の問題じゃないでしょう。であれば、野党自民党時代、その運用の問題で云々という発言は誰一人、誰もいないですよ。そもそもの制度の問題じゃないですか、これは。

稲田国務大臣 専門スタッフ職というのは、複雑化している行政需要に対応して、職員の能力を生かして公務部内で長時間勤務することが可能になるよう、調査、研究、情報分析等の専門的な分野で人材を適材適所で活用するということですから、私は、制度自体はそんなおかしなものではなくて、それを何か高給窓際族みたいな、そういう運用をすることは間違っていると思います。

 また、現役出向についても、大臣の任命権のもとで、その職員が培ってきた専門的な能力を生かしてもらおうということで、独法等で活用するために現役出向させる、そしてまた帰ってきていただくということを前提にしているわけですから、それを例えば隠れ天下りとか、運用次第ですけれども、制度そのものがおかしいということではないのではないかと思っております。

大熊委員 同じ事例で恐縮なんですが、当時の平井委員は、窓際ポストで年収が一千三百万から千四百万ですよ、首を振られるけれども、では年収は幾らなんですか、七百万ですか、五百万ですかということなんですよね。では、今度同じ表現で、七百万にするんですか、五百万にするんですか。そういう運用ならまあそうかなと思いますよ。どうせ千何百万なんでしょう。変えずにやるわけですよね。

 大臣は、運用を改善とおっしゃいます。では、七百万、五百万、当時の平井委員長がおっしゃられる、これでやるんですか。

稲田国務大臣 当時の平井委員長の質疑を、その前後を含めてもう一回読まないとどういう趣旨でおっしゃったかわかりませんけれども、その職にふさわしい俸給ということになるのではないかというふうに思います。

大熊委員 お読みになっていないということで、私が申し上げますよ。そのつながりは、要するに専門スタッフというのは、幹部から外れた人を、天下りのかわりに役所内部で処遇するための窓際ポストなんですよねと。これはもう断定ですから。それで、窓際ポストだけれども年収は一千三百万から千四百万、こういうふうにおっしゃっているわけなんですね。これは、前も後もつながりもなくて、明確にこういうふうなお話なわけです。

 これは運用というのであれば、今現状、高位の専門スタッフ職をつくらなくても、一級、二級、三級があります。当時は、三級の上に四級で千五百万とかをつくるみたいな議論があったんですが、逆に、ゼロ級にして七百万とか五百万、こういうのを具体的にでは制度としてつくってくださいよ。いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今でも専門スタッフ職というのは別の給与体系でありますので、その人の能力や、そして仕事に応じた俸給というか給料であることは当然ですし、そういう運用をしていくという趣旨で答弁をした次第でございます。

大熊委員 時間も大分なくなりましたが、これは、みんなの党は公務員いじめをしているわけじゃなくて、むしろやる気のある若手官僚を応援しようということで、霞が関の若手の公務員の皆さんが一番この問題に対していろいろ不満を持っているんですよ。

 私どもも、公務員人件費のカットとか、そういうことも言っておりますが、やはり前向きに公務員改革を捉える場合、この問題は本当にやる気、モチベーションに強く影響していますので、ぜひとも、専門スタッフ職、ゼロ級の、給与をもっと下げた状態、そういったものをつくって運用を改善していただきたい。運用ということならばですね。そもそも私どもは運用だと思っておりません、制度そのものだと思っておりますが、もし運用だというならそういうふうにやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

稲田国務大臣 制度そのものは問題がないことは、御党の代表である当時の渡辺大臣も認めておられまして、例えば現役出向について、「これは独立の法人格ではあるけれども、行政を行う法人でございますから、こういうところに現役の公務員が出向するということは問題はなかろうと思います。」というふうに答弁をされております。また、専門スタッフについても、「専門スタッフ職というのは非常に必要な仕事ではないでしょうか。」ということで、制度については前向きな答弁をなさっております。やはり運用の問題ではなかろうかと思います。

大熊委員 渡辺喜美大臣時代、これは平成二十年ですから、これは全然違いますよ。通常の専門スタッフ職の話であって、退職管理基本方針における専門スタッフの話とは全然違いますので、渡辺喜美も、私、今、当時のブログを持っておりますが、全然認めていないですから、そこだけちょっと訂正させていただいて、終わらせていただきます。

 以上です。

平井委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 きょうは、古屋国家公安委員長、国務大臣に、拉致の可能性が否定できない行方不明者に関する捜査の現状及び拉致問題に関する質問をさせていただきたいと思います。

 この問題は、与野党対立する問題ではありません。政府を初め、与党、野党を問わず全国会議員が一致して協力をして取り組まなければならない問題だと認識をしております。

 従来、政府は、拉致の可能性のある捜査対象、調査対象の総数を公開をされなかったということだったんですけれども、昨年末に初めてその総数を明らかにされたということでございますけれども、なぜ改めて総数を公表することになったのか、その背景についてお伺いをしたいと思います。

古屋国務大臣 委員の御指摘は、いわゆる拉致が否定できない方々、特定失踪者の皆さんということになるんでしょうか、これは、当初発表したときは八百六十八か九だったですかね。今は、だんだん減りまして、八百六十四まで減ってきました。

 これはやはり、公開できるものは公開する、私の大臣としての基本理念でありますから、公開するのは当然だと思っております。これは、八百六十四人のうちどれだけが拉致をされたのかはわかりませんよ。だけれども、疑いが払拭し切れない人たちがそれだけいらっしゃる、こういうことですね。私は、そういう発表できるものは発表していこうということで発表しております。

村上(史)委員 わかりました。その背景については、大臣の思いが、そういうことで公開をされたということでございます。

 実は、民間の特定失踪者問題調査会もそのリストを持っておりますが、公表された人数の中にそのリストの方々は含まれるんでしょうか、含まれないのでしょうか。

古屋国務大臣 特定失踪者問題調査会の会長の荒木さんですね、よく承知しています。それで、荒木さんからもリストをもらっていますよ。私も全部それを照合しました、警察庁にさせまして。そのうち、名前を公表している方々がいらしたんです。そのもらったリストはたしか三百七十人ぐらいだったと思いますけれども、これは全員名前が一致しましたね。

 そのほかに、何人か、ちょっと正確な数字は忘れましたが、非公開リストというのがあるんですね。これに類する方々については、七名ほどが一致していないということが判明しています。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 そして、第二次安倍内閣、政権として、不退転の決意で問題解決に当たっていくという総理自身のお言葉もございました。それだけの決意というものを我々も重く受けとめなければならないと思いますけれども、現実に、大臣が二月に、拉致可能性失踪者のDNA試料採取を都道府県警に指示されたというふうに聞いておりますけれども、この現状はどのようになっているのか、また、これをどのように捜査に生かしていこうとされているのか、お尋ねします。

古屋国務大臣 ちょっと整理してお話ししますと、DNAの鑑定については、告訴、告発を受けている方々については、既にその時点でもやっています。それを当時公表したんですね。たしか、公表した当時で六十人ぐらいだったですかね。今は実はふえていまして、四月末時点で百五十二人ということです。それは公表しております。

 今後は、この特定失踪者の方々というのは、拉致された疑いが払拭できないんですよ。ですから、しっかり捜査をしていくというのは当たり前のことで、これは、やはり家族の方々の心情を考えると、当然の警察としての責務ですよね。

 そこで、そういった方々についても捜査をさらに、これは第一義的には各都道府県でやっていることなんですけれども、特別指導班というチームを警察庁の中につくりました。現実に各都道府県で特定失踪者の方々の調査をしていますが、それが本当にぴしっと調査ができているのかということを、要するに警察庁本庁の、もちろん各県警もプロですけれども、プロのプロと言ったらいいかな、こういった方々にもしっかりチェックをしてもらって、今その作業を進めています。

 今後、拉致の疑いのある人については、さらにその捜査を進展させていくということにしていこう、そういう指示をしております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 今、次にお聞きする予定であった特別指導班、警察庁の外事課に設けられた組織、班だと思いますけれども、プロをより一層活用しながら、捜査を実のあるものにしていきたい、拉致の可能性のある方を確定していくということで、それは、今大臣御自身もおっしゃいましたように、拉致されたかどうか、この事実を解明すること、事実を追及することが、拉致問題の全貌を解明するやはり第一歩だと思います。

 そういう面で、今後の捜査のより一層の発展、また努力をお願いしたいと思いますし、何よりも、失踪者家族ですね。本当に拉致されたのか、行方不明なのか、そういうことで毎日気をもんでおられる、また苦しんでおられる。そういう方々に対しても、やはり納得のいく答えを警察として出していただいて、そして、拉致というふうに認定されるならば、今後新たにまた被害者家族としての活動もしたいということもおっしゃっておられますので、これからも捜査の進展を強く要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 捜査に対する思い、強い思いをお伝えください。

古屋国務大臣 その前に、私どもの、拉致に対する政府の基本スタンスですけれども、政府が認定していようが認定していなかろうが、それの有無に関係なしに、拉致された被害者は全員取り戻すというのが今度の新しい内閣の考えなんですよ。ですから、ある意味で、政府認定をするということは、実際戻ってこられた後の支援というのが中心なんですね。

 ですから、そのことよりも、やはり、有無にかかわらず、拉致された人間は全部取り戻す、これはもう我々の政府の強い意思です。安倍総理初め担当大臣としてもそういう意識でやっているんですね。ですから、今申し上げたように、そういった拉致が否定できない案件についても、特別指導班をつくってしっかりチェックをしているということなんです。

 これはもう委員おっしゃるように、やはり家族の方にとってみれば、もう言葉には言いあらわせない苦痛の毎日ですよ。そういう苦しみというのを私たちは共有しながら、拉致問題そして特定失踪者問題に取り組んでいる。

 私も、大臣になる前からずっと十数年間、家族会の皆様、あるいは特定失踪者の皆さんを救う会の皆様、そして応援していただいている皆様と一緒に取り組んでおりますので、その気持ちは寸分も変わることはありませんし、そういう意識に基づいて拉致問題に取り組んでいきたいと思っています。

村上(史)委員 力強い決意をいただき、我々も一緒になって頑張っていきたいなというふうに思っております。

 それでは、失踪者の捜査に関連をいたしまして、捜査プラス問題解決に向けて取り組んでいかなければならないわけでありますけれども、それについて何点か質問をさせていただきたいと思います。

 改めて私が申し上げるまでもなく、拉致問題は日本の主権の侵害、また、被害者及びその御家族の人権の侵害、これは際立ったものでありますし、被害者が日本に戻ってくる、それが何よりも第一、それが目的であると思います。そういう面では、我々全国会議員また全国民が一致して取り組まなければならない課題である、私が改めて申し上げるまでもなく、共通した認識だと思っております。

 しかしながら、現実はどうかということを考えますと、なかなか拉致交渉が進展をしていないというのも現実だと思います。その原因は、北朝鮮のミサイルの発射あるいは核実験の強行、たび重なるそういう緊張をつくり出していく北朝鮮に問題があるということは事実だと思いますが、日本側としても、問題が起これば交渉の窓口を一旦閉じてしまうということの繰り返しではなかったかなという思いがいたします。

 また、あわせて、拉致家族の横田滋さんの言葉を引用するわけではありませんけれども、対話と圧力、もちろん両方必要だけれども、とにかく交渉をしてほしいんだ、打開の糸口を見出していただきたいというのが、被害者の高齢化ということも相まって、そのことを強く訴えておられるのは御承知のとおりだと思います。

 そういう中で、五月の連休の二日から三日ですか、大臣が訪米をされました。その訪米の目的は何だったのか、まずお伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

古屋国務大臣 訪米の目的ということで申し上げますと、これは日本政府が主催した、初めて海外、特にアメリカで、こういう拉致問題のシンポジウムを開催しました。この目的は、国際連携。

 それから、拉致をされた国々、一説では十四カ国にも及ぶというふうに言われていますね。ニューヨークとワシントンでなぜ開催したか。ニューヨークというのは、御承知のとおり、国連の本部があるんですよ。国連の関係者がたくさん来るんです。ですから、まず、ニューヨークのシンポジウムは、国連関係者の皆様にしっかり集まっていただこうということ。

 それからもう一つ。ポスター等、ウエブでも募集したんですね、一般市民の皆さん。二百五十名の会場、満員になりました。入り切れないぐらい。それで、私が基調講演をした後、家族の皆さんが悲痛な訴えをしたら、一般の市民の皆さんは、ハンカチを出して目頭を押さえて泣いていましたよ。知らないんですよ。それだけの、人権問題という範疇を超えた、要するに国家によるテロに等しいんですよね。そういったことをみんな認識していただいたのです。

 それから、国連関係者の皆様には、御承知のように、三月の二十二日に、新たな人権メカニズムということで、国連に北朝鮮の人権問題、それも拉致ということを具体的にはっきりテーマとして取り上げる委員会が立ち上がる。今度、その委員も決まりましたね。ついおとといかきのうか、正式に決まりましたよ。やはり、これで本当に稼働していきます。だから、そういう国際連携をしていく。

 それから、アメリカの協力というのは極めて大切でありますから、そのアメリカの協力をしっかり訴えてくる。特に、ケリー国務長官が訪日をした際に、外務大臣との会談の中でも、拉致問題については完全に支持をして、そして全力で取り組む、これは飯倉公館の公開の場ではっきり言明しているんですね。それだけやっていますよ。

 だから、確かに十年間進展がなかったことも事実ですけれども、一方では、アメリカがそれだけ強い、厳しい立場になる。あるいは、もう御承知のとおり、中国も今、制裁を強化していますね。これはちょっと、ある意味では私もびっくりしているところなんですけれども、でも、これは好ましいことですよ。そうなってくると、過去の例からして、中国とかアメリカが厳しい態度に転じると、北朝鮮は必ず日本にも何らかのサインを送ってくるんですね。それは、立場からしたら、そういうことでしょう。

 ですから、私は、今、安倍内閣のもとで、そして政府も、官邸も、外務省も、拉致担当室も、私、大臣も同じ方向を向いて取り組んでいるということですから、これは解決に向けての糸口というのは見えてきていると思います。そして、それに対して、北朝鮮、特に若い指導者ですね。多分、人生経験がないことはもう間違いないですよ、三十歳ですからね。この指導者、そして周りのそういった取り囲んでいる人間が、拉致問題で日本にしっかり解決しなければ何の支援も得られないんだということを正しく理解させるということが大切だと思うので、今、そのための北朝鮮包囲網をありとあらゆるチャネルを通じて取り組んでいますよ。今後ともその姿勢を徹していきたいというふうに思っております。

 その一環として、このアメリカでのシンポジウムを開催した。非常に、私が言うのもちょっと僣越かもしれませんけれども、成功だったと思いますね。予想外の反応がありました。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 先ほど、シンポジウムの中で講演をされたということでございますけれども、新聞報道でございますけれども、大変重要な発言をされていると思っております。

 まず一点は、核、ミサイル問題をめぐる取り組みの入り口で、日本が、日朝間のとげをみずからの手で抜く可能性を模索したい、二点目は、日本は主体的に行動すべきであり、米国も完全に理解をしている、そして三番目に、拉致問題解決の機運は高まっている、こういう発言をされました。

 これは、背景、例えば北朝鮮からの何らかのシグナルが来ているのか、それとも大臣の思いなのか、そのことも含めてお話をいただければと思います。

古屋国務大臣 これは内閣委員会ですので、当初、警察の関係の特定失踪者のあれだったので、これはだんだんほとんど拉致問題そのものの議論になってきたので、本来なら、これは私、警察の担当の大臣ですから、ルールからすると、これは副大臣が来て答弁しなきゃいけない話なんですけれども、ほかならぬ村上先生の御質問でございますので、やはり私もお答えさせていただきたいと思います。

 今委員おっしゃるとおり、私、向こうで基調講演をいたしまして、今の趣旨を申し上げました。政府のホームページにも、あるいは私のブログ、ホームページにも原文、英語で挨拶させていただきましたが、その日本語訳と、全部載っておりますので、ごらんになっていただけましたか。(村上(史)委員「はい」と呼ぶ)ああ、そうですか。ありがとうございます。

 そういう意味では、今委員が御指摘あったように、我々は、その交渉の入り口において、日本の政府は、拉致、核、ミサイルを包括的に解決するというのが基本方針ですが、一方では、日本にはそのとげ、拉致問題がある、だから入り口においてそれを先行的に主体的に交渉するということも一つの選択肢なんだという趣旨の発言をさせていただきました。

 しかし、そのためには一つ絶対な前提条件があるんですよ。それは日米関係の信頼なんですね。

 私は、安倍総理になって、やはり日米関係の信頼のきずなというのはほぼ完全に回復したというふうに思っております。それは、日米首脳の会談、そして我々それぞれのレベルでいろいろな交渉をしていますけれども、やはりそれからもうかがい知ることができますよ。

 ですから、そういった信頼関係があるからこそ、日本のその問題を主体的に交渉したとしても、結果として、アメリカは支持してくれるだろうし、一方では、核とかミサイルの問題についても、その問題を解決していくきっかけになり得るんですね。

 ですから、私たちは、そういう意思でもってこの拉致問題を主体的に入り口論において先行してやるということもあり得るんだということを強調させていただいたわけであります。

村上(史)委員 まことに申しわけない思いでございます。大臣が御配慮いただいて御答弁いただきましたことを心から感謝申し上げますと同時に、委員会の皆様にもちょっとおわびを申し上げたいなということを申し添えたいと思います。

 いずれにいたしましても、この拉致問題、本当に我が国にとって大変重要な課題であり、そして、少しでも早く解決をする、そのためには、与党、野党関係なく、そして政府一体となってやはりこれに取り組んで、日本としての意思を明確にすべきだ、そういうふうに思っております。

 これからの御尽力を心からお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

関委員長代理 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。

 本当に、きょうはもうゴールデンウイークも終わりまして、早くもきょうは金曜日ということで、もう委員の先生方も閑散としてまいりました。先ほど菅官房長官と岡田前副総理が白熱した議論をされておりましたけれども、何か残念ながら静かな雰囲気になっております。

 本日は、かねてより菅官房長官に御指導賜りながら、またまたお出ましいただきまして、幾つかの御質問をさせていただきたいと思っております。その後、古屋国家公安委員長、森少子化担当大臣にお聞きしたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 先ほどゴールデンウイークも過ぎましたと申しましたけれども、ゴールデンウイークの最初の祝日が四月の二十九日の昭和の日でございます。昭和の日は、祝日法によりますと、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。」とされております。昭和の時代においては、四月二十九日は天皇誕生日でございます。それが昭和天皇の崩御に伴い、みどりの日となりました。しかし、平成十七年の祝日法改正によって昭和の日となりました。

 一方、十一月三日の文化の日は、もともと明治天皇の誕生日であり、明治節でございました。戦後、日本国憲法が公布された日であることなどから、文化の日とされました。

 先日、我が党の田沼議員が予算委員会で明治の日に関して質問した際、政府参考人から、文化勲章親授式が行われていることなども踏まえ、文化の日の制定趣旨等が理解されるよう努めるとの答弁もございました。

 しかし、文化勲章は文化の日が制定される前から存在しており、文化の日と文化勲章は関係ないと存じております。

 私は、明治という時代は、歴史上、近代化を進め、日本のアイデンティティーを確立した大変輝かしい時代の一つだと考えておりますけれども、みどりの日を昭和の日に改めたのであれば、文化の日も明治の日に改めなければ首尾一貫しないのではないか、そのような市民運動まで起こっております。

 菅官房長官におかれましては、昭和の日の推進議連のメンバーだったということも承知をしております。そういう意味では、明治の日の制定について御理解もいただけるものだと思っております。

 政府においては、国民の祝日について、現行の文化の日から明治の日に改めるべきとの意見に対してどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

菅国務大臣 十一月三日は、戦前は明治節、そういうことで祝われた日でありましたけれども、昭和二十三年に、これは議員立法で国民の祝日に関する法律が制定される際に、文化の日、こうされた経緯があります。国民の祝日、実は私もかつて、みどりの日じゃなくて昭和の日がいいだろうということで、議連で運動したことを今思い浮かべております。

 全体として、国民こぞって祝っていただける、感謝し、また記念をする日、広く国民の皆さんに理解をしていただけるということが物すごく大事でありますから、そういう意味で、国会でそれぞれ会派の皆さんが御議論いただいて決定いただくことでありますので、今、遠藤委員はこれを明治の日ということを言われていました。そこの趣旨に従って、それは、そうした各党会派でそういう雰囲気をまずつくっていくことが大事だろうと思います。

 昭和の日は多くの皆さんに御理解をいただいて制定をすることができたわけでありますから、そういうことを思い浮かべながら、ぜひ各党会派の御議論に、政府としては、これは議員立法でありますので、まちたいと思います。

遠藤(敬)委員 ありがとうございます。

 議論を深めてまいりたいと思いますので、また今後とも御指導賜りたいと思っております。

 次に、公務員制度についてお伺いをいたします。

 私は、官房長官もよく御存じのとおり、大阪の泉州というところで育ちまして、岸和田のだんじり祭りで育ちました。まさにだんじりとともに生まれ育ちまして、こんな人間ができてしまいまして失敗かどうかわかりませんけれども、だんじりとともに育ってまいりました。

 そんな私の地元である大阪では、御存じのとおり、維新の会が牽引役となって地方公務員制度の改革を推進しております。また、維新の会では国家公務員の制度改革も掲げておりますし、第一次安倍内閣では国家公務員制度改革を重要課題の一つとして取り組まれておりましたので、第二次安倍内閣においても、第一次安倍内閣同様に、いやそれ以上に、大胆かつ抜本的に改革が行われることを強く期待するものでございます。

 そこで、公務員人材確保及び若手公務員の勤労意欲の向上について菅官房長官に御質問したいと思います。

 官房長官は、本年一月二十四日、国家公務員の給与改定に関して内閣官房長官談話を発せられております。この談話の中で、公務員諸君が行政のプロとして誇りを胸に職務に励むことを期待するという趣旨が述べられております。

 また、現政権では、民主党政権において進めていた国家公務員の新規採用の抑制について見直すことを閣議決定されておりますが、これに先立って、官房長官は、新規採用の抑制は組織全体の活力の観点から見直しをするべきだとの御指摘をされております。

 私は、長年大阪で教育問題に携わってまいりましたというか教育問題しかわからないわけでありますけれども、その中で感じたことは、若者が夢を持ち、そしてまた意欲を持って働ける環境の整備が求められているということは言うまでもございません。

 この観点から、公務員制度改革を進めるに当たっては、官房長官が御指摘された組織活力の維持に加え、職員が公務に対し意欲を持って取り組める環境づくりが必要であると考えております。意欲を持った優秀な若者が国家のため国家公務員を目指し働く、そのような国家公務員制度であるべきと考えます。

 そこで、若い優秀な人材が公務員を目指し、また、若手公務員が能力を発揮し、意欲的に公務に取り組めるよう、霞が関全体の組織としてどのような改革を目指されるか、官房長官の御意見を伺いたいと思います。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 公務員の人は、みずから、国家のために貢献をしたい、そういう思いで多くの優秀な人が入ってきています。そうした方が初志貫徹できるような、その制度改革というのは極めて大事だというふうに思いますし、国家にとっても必要なことだというふうに思います。

 本年二月からは、実は、稲田公務員制度改革担当大臣のもとで、公務員が誇りを持って職務に邁進し、若い優秀な人材が公務員を目指すことができる、そういう改革を行う、そういう観点から、公務員制度改革の在り方に関する意見交換会を今取りまとめをいただいています。

 取りまとめをいただく中で、そうした若くて優秀な職員が公務員を目指して、そして同時にまた、公務員に合格した後も、組織全体がやはり活力ある組織にしなきゃならないだろうというふうに思っていますので、そうしたことの全体の取りまとめを稲田大臣のもとで今行っておりますので、できるだけ速やかに総括、検証を行った上で、若い人材の育成確保、真の改革ができるように、内閣として全力で取り組んでいきたいと思います。

遠藤(敬)委員 それでは、続きまして、四月十九日に日本記者クラブで行われました成長戦略のスピーチにおいて、安倍総理は、御自身の病気の回復について触れ、健康長寿社会の必要について述べられております。そして、スピーチでは続けて、健康長寿社会の実現のための施策の一つとして、官民一体となった、研究から実用化までの一気通貫の国家プロジェクトを推進する仕組みとして、日本版NIHの創設を挙げられました。

 日本版ということは本家があるということになりますが、本家のNIH、アメリカ国立衛生研究所は、がん研究所やアレルギー・感染症研究所など、複数の研究所から成るアメリカの医学研究の拠点であり、世界的にも重要な医学研究所だと伺っております。

 健康長寿社会の実現に関しては、四月二日に、日本経済再生本部長である安倍総理から菅官房長官に対し、関係閣僚を束ね、革新的な医療技術の実用化スピードを大幅に引き上げるため、研究と臨床の橋渡し、研究費の一元的な配分、さまざまな研究開発、臨床研究、司令塔機能を創設するための具体方策を早急に政府内で取りまとめることと指示が出されたと伺っております。

 この指示を受けて、官房長官は、四月二十三日に開催されました第七回産業競争力会議に、医療分野の研究開発の司令塔機能たる日本版NIHを創設するための骨子を提出したと聞いております。

 そこで、日本版NIHの創設について検討を重ねている菅官房長官から、目的及び概要について御説明を賜りたいと思っております。

菅国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、四月二日の日に、日本経済再生本部において、総理から私に対して、革新的な医療技術の実用化スピードを大幅に引き上げるために、医療分野の研究開発の司令塔機能を創設するための具体的な指示がありました。これを受けて、私自身が中心になりまして、日本版NIHの骨子を取りまとめました。

 実は、三点ありまして、「司令塔の本部として、内閣に、総理・担当大臣・関係閣僚からなる推進本部を設置する。」さらに、「一元的な研究管理の実務を担う中核組織を創設する。」「研究を臨床につなげるため、国際水準の質の高い臨床研究・治験が確実に実施される仕組みを構築する。」この三本の柱に基づいて、医療分野の研究開発の司令塔機能を創設することにいたしました。

 日本のこうした分野というのは、余りにもこれは縦割りでありましたので、それをこのNIH一つにして、研究成果をスピードを持って国民の皆さんに提供できるように、さらにまた、日本の医療、医薬、そうした技術を世界に輸出できるように、そうしたことをこのNIHを中心に取り組んでいきたいと思っています。

遠藤(敬)委員 本当に非常に有意義な取り組みとして考えておりますけれども、健康長寿社会の実現に向けて、司令塔組織として創設が検討されている日本版NIHですけれども、司令塔の実現観点から、行政の肥大化を招かないか、スクラップ・アンド・ビルドの観点からも、新組織の創設は、現在ある医療関係の独法などの機関の統廃合をあわせて行うべきではないかということを、官房長官に一度お伺いをしたいと思っております。

菅国務大臣 組織の肥大化は絶対あってはならないというふうに思っています。効率的に所期の目的を達成できるようなそうした組織にしたいと思います。

遠藤(敬)委員 官房長官にはもう一点質問があったんですけれども、古屋大臣と森大臣に御質問をさせていただきたいので、続きまして古屋国家公安委員長に御質問を申し上げたいと思います。

 この質問は、急に質問の依頼が来まして、いろいろ考えていたんですけれども、電動車椅子の問題がございまして、先日電車に乗っておりまして、急に電車がとまったのでどうなのかなと思いましたら、ちょうど目の前に見えていまして、それが、電動車椅子が電車にはねられて、巻き込まれて亡くなられたという痛ましい事故だったんです。

 この問題は余り広く議論をされていないようですけれども、私は、これから高齢化社会に向けて、この問題は大きな問題になってくるんじゃないか、また、車椅子の点検など、いろいろな角度から考えなければならないなというふうにも思っております。

 七十五歳の男性が巻き込まれたんですけれども、ちょっとカーブになっていまして、電車が全く見えないということで、お亡くなられた七十五歳の男性のそのときの思いを感じますと、怖くてどうしようもなかったんだろうなと思いながら、こういう事故を未然に防ぐのも大変重要なことでもありますし、今後どういう対応をしていくのか、すぐに解決できるような問題ではないと思いますけれども、大臣に、これからのこういうトラブル、また、高架に伴うものもございますけれども、一大阪だけの事故ではないと思うので御意見を伺いたい、そのように思っております。

古屋国務大臣 お答えいたします。

 この新聞記事にも出ておりまして、これに乗っておられたんですか。(遠藤(敬)委員「そのちょうど前に乗っていました」と呼ぶ)前の電車、ああ、そうなんですか。

 警察でもこれは現場検証をしていますけれども、車椅子には電池が切れているとかそういう異常はどうもなかったようですね。恐らく、御高齢の方ですから、やはり車椅子に乗っているので足が不自由だったのかもしれないですね。本当に御冥福をお祈りしたいと思います。

 実際、電動車椅子の死者は、二十四年で七人が亡くなっていますね。二百六人が負傷者なんです。これは電動車椅子を使う方が高齢者が多いということなんですけれども、その大宗は、六五%以上は、みんな高齢者なんですね。そういう意味では、やはり警察庁でも電動車椅子の安全利用をしっかり推進していく必要がありますので、電動車いす安全普及協会といった団体があるそうで、こういったところと連携して、車椅子を利用される方への安全指導、あるいはマニュアルを作成して、それを配布するというような広報活動に努めているところです。

 また、都道府県警においても、そういった電動車椅子を扱う事業者に対しては、指導の講習会とか安全教室を実施したりしております。

 車椅子のメーカーと地方公共団体、警察、こういった方々が相連携をして、せっかくそういういわゆるマニュアルがあるので、マニュアルに基づいて、やはり利用者の目に沿ったパンフレットをつくって、しっかり啓蒙活動していくということが必要ですね。

 年寄りの方も、やはり老人クラブとか、まめに出てくる方は比較的そういったところにマインドがあるんですけれども、なかなか出てこられない方も大切なんですね、そういった方に指導していく。そのためにやはり、自治会とか、そういうきめ細かな配慮をして、啓蒙を徹底していくという必要があるでしょう。警察としてもその対応をしっかりしていきたいと思います。

 今後は、やはりこういった電動車椅子、高齢者はふえていきますので、その対策の重要性はますます高まっていくのかなと。警察をしっかり督励してまいりたいと思います。

遠藤(敬)委員 ありがとうございます。

 本当に、その男性の思いといいますか、ちょうどカーブになっている角度が、自殺も多いんですよね、その場所は。いきなり電車が見えて、電動車椅子のタイヤが挟まった状態で電車が来るというところで、誰も助けられなかったという、我々地域住民としてもふがいないなというふうにも思っておりますし、ぜひ安全の確保を十分にできるようによろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、森大臣に、大変恐縮でございますけれども、少子化について御質問を申し上げたいと思っています。

 こどもの日を前に総務省が四日にまとめた四月一日時点における人口推計によると、十五歳未満の子供の数は前年比十五万人減の千六百四十九万人で、昭和五十七年から三十二年連続で減少しております。

 平成二年の一・五七ショックを契機に、政府は、出生率の低下と子供の数が減少傾向にあることを問題として認識されておりますけれども、平成六年のエンゼルプラン以降、新エンゼルプラン、子ども・子育て応援プランなど、累次の少子化対策を講じてきたところであります。

 しかし、平成十七年、合計特殊出生率が過去最低の一・二六となり、以降、微増傾向にありますが、少子化の進行がとまったとはほど遠い状況であります。

 そこで、エンゼルプラン以降、現在に至るまで、数々の少子化対策を講じられておりますけれども、どのぐらいの予算が投じられていたのか。また、エンゼルプラン、新エンゼルプラン、子ども・子育て応援プランの予算額はそれぞれ幾らぐらいかかったのか、教えていただきたいと思います。

森国務大臣 御指摘のとおり、子供の数も減っておりますが、もうしばらくすると高齢者の数もあわせて減っていきますので、人口減少が非常に速いスピードで進み、三〇〇〇年には日本の人口がゼロになるという推計も出されているところでございます。

 子供の少子化の予算というのは、現金の給付と現物の給付は分けて考えた方がいいかと思いますが、総額ということで、また、計算方法もそれぞれのプランによって違うんですけれども、初年度だけ申し上げますと、平成七年のエンゼルプランで五千四百四十億、平成十二年の新エンゼルプランが七千五百十九億、平成二十一年の子ども・子育てビジョン、これは民主党さんの子ども手当が入っている予算でございますが、一兆六千五百六十三億円、そして、今回の安倍政権の少子化に対する予算は三兆二千八十六億円となっておりまして、全体的に増加傾向であるということは言えると思います。

遠藤(敬)委員 ありがとうございます。

 これまでの少子化対策については、具体的な出生率、どのぐらいにという目標値がなかったのではないかということもございますけれども、目標が曖昧なまま対策を講じても効果は上がらない。また、効果を検証して、より効果的な施策に予算や人材を投入していくこともできないのではないかと。

 森大臣は、三月十五日の内閣委員会において、我が同僚の杉田議員から、少子化対策の目標に関する質問に対して、出生率について、「私がまず目指しているのは、一・三九から限りなく二・〇にできるだけ早く近づけるということを目標にしております。」と御答弁をされております。この目標というのは、政府としての目標値と考えてよろしいのでしょうか。

 出生率の低下を深刻な問題として受けとめ、この対策に本気で取り組もうとするのであれば、政府として具体的な出生率の目標を設定することも検討すべきであると考えていますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

森国務大臣 数字の設定も大事ですけれども、今までの政策を棚卸ししてみたんですね。そうしますと、男女の人生で、出会い、結婚、妊娠、出産、育児となったときに、エンゼルプランから今までのプランが、ほとんど全てが子育て支援の方に集中をしておりました。先ほどの、ずっと予算が上がってきて、今度、子ども・子育て関連三法ができまして、これは毎年三兆円ずつ恒久財源として確保されているんですが、これも子育ての分野でございます。

 しかし、人口学者が統計をとったところ、やはり出生率が二・〇になるときというのは、二十代のときに結婚して子供を産んでいる場合であって、今は三十歳が初婚年齢であって、やはり全体的な出生数というのが減ってきております。夫婦が生涯に子供を産むということは実は二人で変わっていないんだけれども、夫婦になるまでの間が長い、つまり晩婚化または未婚化、これが進んでいるということが少子化の主な原因ということがわかってまいりました。

 そうしますと、この結婚、妊娠、ここにやはり予算をつぎ込んでいかないと、この人口減少は食いとめられないというところで、安倍政権においては、少子化政策三本の矢として、今までやってきた子育て支援、これもきっちりと取り組むと同時に、男女の働き方の改革、これもきっちりと二本目の矢で取り組み、三本目の矢として、今まで取り組みが弱かった結婚、妊娠、出産を対策の柱として加えたところでございます。

 そして、その結婚というところを、未婚の方が結婚したいという結婚を全てかなえた場合に、今おっしゃった数字ですけれども、出生率が幾つになるのかという推計値が出ておりまして、これが一・七五。未婚の結婚したい人が全て結婚して、そして二人ずつ産んだ場合に一・七五になるということが示されております。

 まず、この結婚したい人たちの希望をかなえるように、その障害となっている、例えば若い人たちの経済的な不安ですとか、そういったものを取り除いていく努力をしていくということを政府として申し上げたいと思います。

遠藤(敬)委員 ありがとうございます。

 あと、先ほどの明治の日の制定について、私自身の思いといたしましては、明治の日というよりも、明治時代というすばらしい文化的な背景であったり、我が地域には、日露戦争当時にロシア人の捕虜が二万三千人余り収容されておりました。浜寺捕虜寮というんですけれども、そのときに、私どもの地域の村民は三千人しかいなかった。そのときに、村民がロシアの捕虜の方々と親交を厚くして、この地域の活性化も、電気も通っていないときだったそうですけれども、日露戦争の戦争終結によって電気まで通った、そのような時代で、我々の地域の方々はロシア兵との、悪い話はなくても、交流があったという話だけ残っているということでございまして、それだけ日本人の文明、明治時代のひとときの時代が反映された話題だなというふうにも思っています。

 我が党の先輩方も明治の日の制定について積極的に取り組んでおりますけれども、私自身は、そういう明治の時代という歴史的な時代をこれからの我が子供たち、孫世代に伝えていく、誇りのある日本を取り戻していくためには、そういう近現代史の教育問題も進めなければ、グローバル社会の育成に、また、子供たちの育成に、本当の意味でのグローバル社会の教育がなせないんじゃないか、そんなふうにも考えております。

 ぜひ、明治の日というキーワードも大切ですけれども、明治から学ぶ我々の日本の近代史観というものも考えていきたいと思いますし、その村民を見て、イスラエルの建国の英雄と言われるトランペルドールさんという方が、地域のコミュニティーの中からイスラエルの国をつくりたい、こんな国をつくりたいと思って、我が郷里の方々と接して、イスラエルの建国に至った、そのようなことまで史実として残っております。そんな立派な日本の民族をこれからも営々と継承しながら、それこそグローバル社会に対応する日本人をつくっていかなければならないと思っております。

 ぜひ、明治の日も含めまして、ともに、この教育問題も含めた明治、そして近代のグローバル社会に向けた子供たちに、少子化も大切、そして子供たちも心のアイデンティティーをつないでいくということも含めて、私も頑張ってまいりますので、大臣にも今後とも御指導を賜りたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございます。

平井委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、日台漁業取り決めについて質問をいたします。

 先月十日に日台間で署名された漁業取り決めが、本日から全面的に開始をされました。政府は、沖縄の側から強い反発の声が上がったのを受けて、取り決めに基づいて設置された日台漁業委員会で沖縄の声を反映する考えを示していました。しかし、今月七日、開かれた委員会では、何も決められないまま終わったとのことであります。平等互恵の原則に反して、一方的に台湾側に譲歩した取り決めが、漁業資源の維持や安全操業にかかわるルールさえ決められないままスタートしたわけであります。

 まず、外務副大臣に伺いますが、七日に開かれた委員会では、日本側は何を主張し、どのような結果になったのか、その点を御説明していただけますか。

鈴木副大臣 七日におきましては、公益財団法人交流協会と台湾側の亜東関係協会、これが日台漁業委員会の第一回会合を七日に開催をし、取り決め適用水域における操業の取り扱い等について意見を行ったものと承知をいたしております。

赤嶺委員 操業ルールその他、そういうのを決めたんですか。

鈴木副大臣 そこの場の話し合いでは、双方の意見は一致をしなかったということを承知しております。

赤嶺委員 つまり、何も決められなかったわけですね。

 そもそも、問題の大もとにある取り決め、これ自体には手をつけないまま、それに基づいて具体的なルールづくりを進める。漁業委員会で問題を解決しようとしても、無理があると思います。沖縄の関係者は、委員会の場を途中退席いたしました。

 副大臣は、二月の末に上京した沖縄の関係者に対して、沖縄の漁業者の意向は理解している、頭越しに協定を締結することはない、このように回答いたしました。ところが、現実には、漁業者の意向を全く無視した取り決めを、何の説明もなしに締結したのであります。その責任、極めて重いと思いますが、どのように認識しておりますか。

鈴木副大臣 先生御指摘のとおり、二月に、沖縄の漁業関係者の方々が私のところに陳情に参りました。そのときに、沖縄の関係者の皆さんから、日台民間漁業取り決めにつきましては地元の漁業関係者の声を踏まえて対応してほしい、そういう御要望がございました。

 私自身、かつて、政界に入る前は全漁連に勤務をしておりましたし、また、自民党の水産部会長もやりましたので、水産に対しては大変深い思い入れがございます。ですから、私自身、そういう思いで、真摯にその陳情に対応させていただいたところでございます。

 ですから、私自身、事務方に対しましては、交渉事でありますから、日本の主張が一〇〇%通ることはないにせよ、沖縄の漁業関係者の方々の声にも耳を傾けて、その意向をできるだけ酌み取るよう意を用いるべきだ、こういうことを省内においても指示をしてきたところでございます。

 先生、今、頭越しとおっしゃいましたけれども、実際、二月には外務省の担当参事官が沖縄を訪問して、漁業協同組合の組合長さん初め関係者とも膝を突き合わせて地元の意向を聴取してきましたし、また、水産庁の担当部長も複数回にわたって沖縄を訪問して、地元の声に耳を傾けてきた、そういうことを承知しているところでございます。

 そのような中で、今回、相手がいる中で、我々の主張が反映されるよう最大限の努力を行ったわけでありますが、厳しい交渉の結果、最終的に本取り決めが作成された、そのように承知をしております。

赤嶺委員 鈴木副大臣、水産に従事していた、全漁連におられたと言うならなおさらですよ。

 何度か説明に行った、しかし、締結の直前まで、沖縄の漁民は、要望がこんなふうに頭越しに決められるとは考えてもいなかったわけですね。漁民としての存在そのものが無視された思いでいるんですよ。そういうのを、鈴木副大臣、認識していないんですか。

鈴木副大臣 私の気持ちといたしましては、先ほど述べたとおり、でき得る限り、交渉の過程において、沖縄の漁業関係者の気持ちを反映させるべきだ、そのことを事務方にも指示をしてきたところでございます。

 そういう中で、最大限努力をしたわけでありますが、相手のあることでございます。厳しい交渉の結果、このような結果に落ちついたということでございます。

赤嶺委員 それでは、どんな交渉をしていったのか、この点について、ちょっと振り返って見てみたいと思います。

 改めて交渉の経緯を確認いたしますけれども、日台漁業協議は一九九六年に開始されたものであります。日台間の主張の隔たりが大きく、二〇〇九年以降中断されたままとなっていました。今回の交渉は、民主党政権のもとで、協議の早期再開を求める日本側の提案を契機として再開されたものであります。

 台湾と日本側窓口である交流協会のホームページを見ますと、昨年九月二十四日付で、日本政府は、日台漁業協議の早期再開への期待を表明し、十月五日には、玄葉外務大臣の台湾向けの異例のメッセージが出されております。

 メッセージでは、日本側が提案した日台漁業協議の早期再開への期待を重ねて強調するとともに、いたずらに緊張を高めるような事態が再び発生しないことを強く期待していると述べております。九月二十五日に台湾の漁船や巡視船約五十隻が尖閣諸島沖の領海に侵入したことを踏まえたものと報じられておりました。

 民主党政権のもとで日本側が協議再開を提案したのはどういう判断からだったのか、当然、政府として引き継いでいることでしょうから、この点を説明していただけますか。

鈴木副大臣 先生も御承知のことと思いますけれども、あの海域、従来、日本と台湾との間には、海洋生物資源の保存、利用、あるいは操業秩序の維持を図るための枠組みというものがなかったわけでございます。そのために、海洋生物資源の保存というものが十分できない、あるいは操業秩序も非常に安定したものが得られない、こういうことでございましたので、双方の民間窓口機関が、東シナ海における平和及び安定の維持、それから友好及び互恵協力の推進、海洋生物資源の保存及び合理的な利用、操業秩序の維持、これを図ることを目的として、交渉を重ねてきたところでございます。

赤嶺委員 沖縄の漁民も、安全な操業、資源の確保を願っていたわけですよ。沖縄の漁民たちは、みずから台湾に出かけていって、台湾の漁業関係者とルールをつくる努力も重ねていたわけです。

 ところが、今度の政府間の交渉というのは違うんですね。

 沖縄県や県内の漁業関係者は、協議に当たって、一、漁業者の意向を十分に尊重すること、二、地理的中間線を基本に交渉することを繰り返し政府に求めてきました。それだけでなくて、最大限の譲歩として、一、先島諸島の北では東経百二十五度三十分以東の水域に台湾漁船を入れないこと、二、先島諸島の南では台湾漁船の操業を認めないこと、三、台湾漁船に対して拿捕など徹底取り締まりを行うことを提示していました。

 協議に当たっての沖縄側の要請内容は非常に明確でありました。一方、明確でないのが、交流協会を窓口として、政府の側の交渉の方針であります。

 協議再開を提案するに当たって、日本側としてはどういう方針で交渉に当たることとしていたのか、この点を明確にしていただけますか。

鈴木副大臣 このことにつきましては、先ほど申し上げたことのとおりでございます。

 つまり、私どもとしては、そこに安定した操業秩序、それから海洋生物資源の保存、利用、そういうものの枠組みがなかったわけでありますから、東シナ海における平和及び安定の維持、友好及び互恵協力の推進、海洋生物資源の保存及び合理的な利用、操業秩序の維持、これを図ることを目的にして、方針として、交渉を重ねてきたところでございます。

赤嶺委員 そんな一般的な話じゃないわけですよ。

 きちんと、沖縄県の漁民にとって大事なところは最低限守ってほしい、漁業のルールをつくるのは、これは当然だと願っていたわけですよ。最低限守ってほしいということさえ、主張したのかどうか曖昧なわけですよ、今の皆さんの答弁では。そういう方針が曖昧だった。

 去年の十二月に安倍政権がスタートをいたしました。政権内で、日台漁業協議をめぐってどのようなことが話し合われ、確認されたのか、民主党政権のときと何か変更した点はあったのか、その点はいかがですか。

本川政府参考人 私ども水産庁としても、漁民の方々の御意見を伺うということで、昨年、豊かな海づくり大会のときに私も沖縄へ参りまして、意見交換をさせていただきました。

 その中で、皆さんが一様におっしゃったのは、先島以南の水域については取り決めの対象からぜひ外してほしいということをおっしゃいました。それから、当然ながら、尖閣の領海についても安全操業を確保してほしいということをおっしゃいました。それから、尖閣諸島と先島諸島の間の水域については、双方が入り乱れて操業しておるという実態を踏まえて、操業秩序の確立をしてほしいということを伺いました。

 そういうお話を伺った上で、例えば今回は先島以南の水域は協定の対象外にするなど、そのような形で交渉をさせていただいたという経緯でございます。

赤嶺委員 今、水産庁、よく知っているのに答弁をそらしたんですけれども、先島以南はそうですよ。しかし、沖縄の漁民たちから、久米島の、久米西、ここの漁場を守ってくれ、それから、暫定執法線からはみ出ることがないように、先島北側の漁場を守ってくれ、こういうのは交渉の方針にありましたか。これは日本政府の交渉の方針にあったんですか。答えてください。

本川政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしては、先島以南を適用対象にしないということについては、何としても守りたいという思いでございます。それから、先島より北の水域については、暫定執法線というものを基本に置きながら、そこに一定の秩序をつくるということを目指して取り組んでまいったわけでございます。

 その結果として、日台の漁業委員会という協議の場が、それまで全くできていなかったものができまして、この場において、これから、そういう操業秩序について、話し合いを第一回目やり、残念ながら継続協議になっておりますけれども、粘り強く議論してまいりたいと考えておるところでございます。

赤嶺委員 操業のルール、海域は決めたけれども、台湾側は、自分たちが求めていた以上の海域を確保したと。その求めた以上の部分が、沖縄側としては大事な漁場だから守ってくれと言ったと。しかし、そういう方針はなかったわけですね。

 私は官房長官に伺いますけれども、取り決めの内容について沖縄に説明に訪れた水産庁の幹部は、後ろから早くしろと叱られていた、このように述べています。官邸が早期締結を迫ったのではありませんか。

菅国務大臣 日本と極めて友好関係にある台湾との間で、先ほど副大臣からお話がありましたけれども、海洋資源の保存、利用や、操業秩序の維持を図るための枠組みがなかった。そういうことで、民主党政権で交渉し、私どもも、安倍政権になってから、この問題を解決するために交渉してきたわけであります。

 結果として、これは十七年間にわたっての協議が重ねられて、一定の共通認識が得られて、本取り決めが署名されるというふうに認識をいたしております。

 そして、また一方で、この署名が結果として沖縄県の漁業関係者の皆さんに懸念を与えているということには、政府としてもこれを重く受けとめております。

 今後は、本取り決めの実施状況を踏まえながら、台湾漁船の漁業のあり方に関する諸課題が解決されるよう、政府としても全力を尽くしていきたいというふうに思います。

 そしてまた、本取り決めの実施に伴う影響について、関係漁業者の意見も十分に聞きながら、しっかりと把握をして、関係省庁が連携をして、必要な対策をしっかりととっていきたいと思います。

赤嶺委員 こういうことは協定を締結する前にやるべきことなんですよ。

 水産庁の幹部の話として沖縄で報道されている中身ですが、非常に具体的です。

 報道を引用しますと、日本側の担当として台湾政府当局者と交渉に当たった同幹部は、交渉の最終作業を前に、菅官房長官と対峙していた。久米島西方の水域に台湾の船が来たらおしまいですよ。沖縄との関係が破裂しちゃいますよ。沖縄の人たちの生活の糧を奪っていいんですか。同幹部の反論に、官邸側から、なぜだめなのか、一つ一つ詰問責めに遭い、ことごとくはじかれた。日本のため、国益のために交渉しろと強く言われ、最終的には、菅官房長官自身が、自分の責任で最後まで対応するとの言葉で幕が引かれた、こう報じられております。

 菅官房長官自身が、沖縄側が最低限守りたいとしていた久米西、この水域を譲り渡して交渉を妥結するよう迫ったのではありませんか。

菅国務大臣 何の、どこの新聞記事かわかりませんけれども、まさに、あたかもそこにいて私が指示したようなことでありますけれども。

 やはり交渉というのはそれぞれ相手がいることでありますから、そして、十七年間にわたってできてこなかったことであります。政府として、やはり現場でそれぞれ交渉にあずかっている。相手がいることですから、先ほども鈴木副大臣が述べておりました、この厳しい厳しい状況下でありますから。

 そうした中で交渉が締結できたわけでありますけれども、当然これは双方に不満が残るわけでありますから、政府とすれば、沖縄の皆さんにできる限りのことをさせていただきたいというのは、政権として当然のことじゃないでしょうか。

赤嶺委員 できるだけのことをするというのは、まさに久米島の漁民の皆さんの漁場を守ること、そして、先島の北方の漁場を守ること。ここは、幾ら交渉の相手がいると言っても、これを台湾側に譲り渡してしまうと、沖縄の漁業はもう成り立たなくなっていくわけですよ。官房長官は、この話はあたかも見てきたことであるかのようにと言っていますが、そういう姿勢で臨んだのは間違いないわけでしょう。

 しかも、沖縄の漁民の漁場は、大半は米軍に訓練水域として奪われているんですよ。

平井委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

赤嶺委員 残った漁場がここだった。

 ここを、協議を急ぐ上で、アメリカの議会事務局からは、アメリカの圧力もあったという報告書が出ております。きょうは時間がないから取り上げませんけれども、そういうことまでして、漁民のなりわいを無視したやり方は撤回すべきだということを求めて、質問を終わります。

平井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

平井委員長 次に、内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。甘利国務大臣。

    ―――――――――――――

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 民間投資の喚起による成長力強化を実現するため、民間資金を積極的に活用したインフラ整備等を推進することが求められております。

 この法律案は、インフラ整備等への民間投資を促進し、インフラ投資市場の拡大を図ることにより、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の整備等を一層促進するため、利用料金収入により費用を回収するPFI事業等を実施する民間事業者に対し、民間による投融資を補完するための資金の供給その他の支援を行うことを目的とする株式会社民間資金等活用事業推進機構に関し、その設立、業務の範囲、財政上の措置等を定めるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、民間資金等活用事業推進機構は、株式会社形態の認可法人とし、政府は、必要があると認めるときは、機構に出資できることとしております。

 第二に、機構に、民間事業者に対する支援、株式または債権の処分等の決定を行う民間資金等活用事業支援委員会を設置することとしております。

 第三に、機構は、利用料金収入により費用を回収するPFI事業等を実施する民間事業者に対する出資または資金の貸し付け、保有する株式または債権の譲渡その他の処分、公共施設等の管理者等または民間事業者に対する専門家の派遣または助言等の業務を営むこととしております。

 第四に、内閣総理大臣は、機構が支援の決定に当たって従うべき基準を定めて公表するとともに、機構は、支援の決定に際しては、あらかじめ内閣総理大臣等に意見を述べる機会を与えなければならないこととしております。

 第五に、機構は、経済情勢等を考慮しつつ、平成四十年三月三十一日までに、保有する全ての株式及び債権の処分を行うよう努めなければならないこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

平井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十六分散会


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