衆議院

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第2号 平成25年11月6日(水曜日)

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平成二十五年十一月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    安藤  裕君

      大岡 敏孝君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      小松  裕君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    長島 忠美君

      福山  守君    山田 美樹君

      吉川  赳君    大島  敦君

      後藤 祐一君    津村 啓介君

      若井 康彦君    遠藤  敬君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      山之内 毅君    輿水 恵一君

      浜地 雅一君    大熊 利昭君

      赤嶺 政賢君    村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方分権改革担当)

   (地域活性化担当)

   (道州制担当)      新藤 義孝君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (国家安全保障強化担当) 菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 古屋 圭司君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)

   (再チャレンジ担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (規制改革担当)     稲田 朋美君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   復興大臣政務官      小泉進次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  谷脇 康彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  片山 一夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総括審議官)           幸田 徳之君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       持永 秀毅君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      山本信一郎君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 上村  進君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 柳  秀直君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 昌稔君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     安藤  裕君

  新谷 正義君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     青山 周平君

  瀬戸 隆一君     新谷 正義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官片山一夫君、内閣官房内閣情報調査室内閣審議官鈴木良之君、内閣官房内閣参事官吉川徹志君、内閣府大臣官房総括審議官幸田徳之君、内閣府民間資金等活用事業推進室長持永秀毅君、宮内庁次長山本信一郎君、警察庁警備局長高橋清孝君、消費者庁審議官菅久修一君、総務省大臣官房審議官上村進君、外務省大臣官房審議官柳秀直君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、厚生労働省大臣官房審議官成田昌稔君、農林水産省農村振興局長實重重実君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、環境省水・大気環境局長小林正明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介です。

 質問の機会をいただき、委員長初め皆様に感謝を申し上げます。

 私ごとで恐縮ですが、私、ことしの十一月九日で、議席を預かって丸十年となります。(拍手)ありがとうございます。同期の仲間もおるかと思うんですが、いろいろ波風あって随分減ってしまいましたが、この十年、これまで常任委員会で、私は主に経済産業委員会にずっと所属をしておりました。

 私の地元の山形県は米沢市の郷土の大先輩で我妻栄先生という民法の大家の先生がおるんですが、この民法の我妻先生の言葉で、深い井戸を掘れ、こういう言葉がありまして、井戸をずっと一つの分野掘ると水脈にぶつかる、井戸をちゃんと掘ることが大事なんだ、こういう教えであります。私は不器用なものですから、十年間、井戸を経産委員会で掘ってきたんですが、水脈が見つかったかどうかよくわかりませんで、十年を機に内閣委員会筆頭理事を仰せつかりました。

 大変幅広い所掌の委員会でありますし、重要な委員会だ、こう思っておりますので、誠心誠意、議会の活性化のためにも努力をしたい、国民の皆様のためにも、野党の立場でありますが頑張りたい、こう思いますので、閣僚の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず官房長官にお伺いをしたいと思います。官房長官、昨日も貴重な御答弁ありがとうございました。

 まず官房長官には、去る四日、都内で行われた御講演についてお伺いをしたいと思います。

 この御講演の内容については、翌日の朝日新聞の朝刊一面でも大きく報じるなど各紙が取り上げておりますが、まず、これはちょっと通告にはないんですけれども、基本的なことです、この講演は、どういう場所で、どのようなオーディエンスというか方を対象に、どういう状況で行われたのか、簡潔にお答えいただけますでしょうか。

菅国務大臣 企業の経営者の方の会で、講演依頼を受けましたので、都内で講演をさせていただいたということであります。

近藤(洋)委員 私も、企業の方々の集まりだと聞いております。あえて言うと、マスコミフルオープン、こういう場であったとも伺っておりますし、対談形式の部分もあった、対談のお相手は竹中平蔵さんであった、こういうことで、うなずいておられますから間違いない、こういうことかと思います。

 委員長のお許しを得て、資料を配付させていただいております。この資料は、出席者の方からメモというか録音されたものを入手いたしまして、それを起こさせていただいたものであります。昨日の夕方に事務方に、これでよいでしょうかということで御提示をさせていただいたんですが、事務方からは、これでよいかどうかはちょっとわからぬけれども、配付はしていいよ、こういうことでございましたので。

 官房長官、これをざっとごらんいただいて、このQは竹中平蔵さんの問い、いわゆる東電問題についてとエネルギー問題、原子力再稼働にかかわるくだりの部分でありますけれども、官房長官、ざっと目を通していただいて、多少てにをははあるかもしれませんが、発言、この内容でよろしいということで、一枚目、見ていただいて、よろしゅうございますでしょうか、配付資料。

菅国務大臣 大枠は大体このとおりだというふうに考えています。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 私も、テレビで報道された発言の部分なども照らし合わせて、この発言と符合するので、ほぼ間違いないな、こういうことだったと思っております。

 この発言を受けて、朝日新聞の報道によると、ここにも書いてありますけれども、本来なら政府関与できる部分もあったと菅官房長官は指摘し、具体的に、除去した汚染土壌の中間貯蔵施設の建設費、追加の除染費用について、国費を投入することを検討する意向を示したと言って、見出しには、「福島第一、国が積極関与 除染の一部国費投入」、こういう見出しが立っております。

 この発言だけを捉えると、そこまでの記事には至らないのでありますけれども、いろいろな周辺取材、そしてまたこの状況、それなりにプロが聞いているというか経営者の方々が聞いている会合、あそこの会合というのは、私も実は、具体名を言ってはあれですけれども、あそこの主催するシンポジウム、私も過去出たことがございますから、大体雰囲気はわかるんですけれども、余りいいかげんなことが言えない雰囲気の会合だと思います。

 そういう中で、この発言を捉えてこの記事まで至っているんですが、伺いたいんですが、この記事の内容は正しいということで、官房長官、よろしいんでしょうか。

菅国務大臣 フルオープンで、インターネットでも中継をされたのであります。その中で私が発言をしたというのは、今委員が資料で配付をされておる内容でありまして、そこまで、見出しについては私の発言からかなり飛躍をしているんじゃないかなと私は思います。

近藤(洋)委員 私もかつて、短い期間でありましたけれども、十一年ほど新聞記者をやってきた経験がございまして、政府の中枢の方の半ばオープンな場面の発言、踏み込んだ発言、それを踏まえて記事を構成することがございます、周辺の取材をして。それで、朝日はこれを書いた。しかも、解説記事も御丁寧に入れた。

 なお、実は、けさの読売新聞、同様の記事を一面トップで書かれていますね。原発事故、国が前面、除染費一部負担、政府方針。これもほぼ同様で、菅官房長官のきのうの官房長官記者会見を使って、それだけを使って。そして中身は、実は中面では、これまた朝日と同様に全面展開です。中面の記事は、東電任せの対応一転ということで全面展開をして、四日の原稿を主軸に記事を展開しています。

 天下の朝日新聞、そして読売新聞、同じような記事を、読売からしてみますと、朝日にどんと書かれたものを追っかけて、しかも一面ど頭で書くというのは、相当社内的には確信がないと書きません。普通は現場の記者は、書かれてしまったらば、感性が弱いな、オープンなものを朝日にどんとやられた、いやあ、しばらくほっておけというのが通常の対応です。しかし、そうはいかない、これはかなり重要だ、しかも、真実に近いということで読売新聞は後追いしたと推定されます。これだけの周辺取材をされて書かれているわけですから、事実無根とは言えないと思います。

 官房長官、これは、実際、官房長官の発言がこれだけ引用されているんですから、両社に具体的に訂正を申し込まれていますか。どうでしょうか。

菅国務大臣 私は、国家の危機管理の責任者であります。少なくとも、自分の発言については、しっかり危機管理を行っているつもりであります。

近藤(洋)委員 危機管理の結果が、大臣は、これは確認できない、飛躍をしたというお話をされながらも、二つの記事が大新聞に出ている、こういうことですね。

 危機管理を行っているということは、くどいようですけれども、訂正なり抗議は申し込まれていない、こういうことですか。申し込まれているんですか。

菅国務大臣 私が具体的にこう言ったということであれば、言っていないことが書かれているわけですから当然抗議をしますけれども、私の名前は引用されていません。私自身が、例えばきのうの記者会見でも、言ったことの内容で書けるような記事ではないと思います。

近藤(洋)委員 官房長官、ただ、官房長官は、お隣に座られている甘利大臣と並んで、今まさに安倍内閣のど真ん中の方であられるわけであります。私も、多少短い期間でありましたけれども、政権を経験させていただいて、官房長官にはあらゆる情報が集約する、こういうことも想像できます。

 その官房長官が踏み込んだ発言をしたというのは、これは何か大きな転換点だ、こういうサインだととるのは自然なことでありますし、政府のスポークスマンを任じていられる菅官房長官なら、そのことは多分想定されて発言された、こう思わざるを得ません。ですから、多分こういう方向なのではないか。

 ちょっと一つ確認なんですが、もうそろそろ結論を出さなければいけない時期に来ていると発言されたと、実際ここにも書いていますが、その結論というのは、具体的に何の結論のことを意味されているのか、御解説いただけますでしょうか。

菅国務大臣 委員の提出資料の中にありますクエスチョンの中で、国が関与しなきゃならない云々とありまして、自民党本部でもっと積極的に出ろという話が出てきている、今後この問題はどのようにハンドリングしていくのかということの質問に対して、私が答えたわけであります。

 いずれにしろ、この汚染水対策や除染等における国や東電の役割分担に関連をして、先週、十月三十一日に自民党の復興加速化本部で提言がまとめられました。今週中にも与党提言として決定されるというふうに私は聞いております。

 提言の中に、廃炉、汚染水対策や除染などに関して重要な指摘があって、福島の復興、再生を加速する、また国もその中でしっかりと役割を果たしていくという考え方は共有しており、政府全体で受けとめていきたいという指摘です。

 それを受けて、政府・与党の中で、まさに、この汚染水対策等における国と東電の役割分担について方向性を出していく必要があるだろうというふうに考えております。

近藤(洋)委員 関連してもう一点伺いたいと思います。

 この二つの記事の中に、役割分担、これはまさに大事なことなんですね、この役割分担を見直さなきゃいかぬと。自民党内でも検討されている。我々民主党の中でも議論しております。

 この役割分担を幾つかの角度から見るわけですが、東京電力の責任、賠償、そして除染、大きな意味で汚染水対策も含めた廃炉、この三つがあるわけでありますが、特に大きな負担になっているのは除染なわけであります。賠償は、当然これは東京電力の責任でやらなければなりません。しかし、この除染というのをどうするか。もちろん、廃炉も大きな課題、技術的なチャレンジングな話でありますけれども、金額でいえば大変大きな課題になっているわけであります。

 資料の一ページをめくっていただき、これは朝日新聞の資料でありますけれども、見ていただければ、金額でも、除染、賠償、廃炉・汚染水対策の中で、除染は五兆円とも言われていると。これはいろいろな見方があるわけでありますけれども、金額でも一番大きい。

 この除染を国費で負担するとなると、現行法では、除染に関する特措法では、除染は賠償の一部だ、こういうことで、国費投入をしようといたしますと、これは賠償ではないと切り離す必要がございます。

 この議事録でも、二つの法律ということをおっしゃっておって、二つの法律というのは、原賠法、そしてもう一つは原子力賠償機構法、全体のスキームを言っている機構法と、通常我々は二つと言うんですけれども、恐らく除染に関する特措法も見直すという範疇になろうかと思うんですが、そこは当然、官房長官、視野に置いて除染のことを考えている、こういうことでよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 除染については、今決められていること、そのことに基づいて粛々とできるだけ早く除染を行うということが最優先だろうというふうに考えます。

 さらに、除染等に係る費用については、放射性物質汚染対処特措法の規定により東京電力の負担にされている、委員の言われたとおりであります。

 与党の方でさまざまな議論を今されていますけれども、特措法の見直しについては触れていないというふうに私は承知をしております。国と東京電力の役割分担については、今、与党で議論をされていますから、そうした中で提言というものをなされれば、そうしたものを政府として与党と調整して対応していきたいというふうに考えます。

近藤(洋)委員 もちろん、議院内閣制ですから与党の意見は重要でありますけれども、しかし、これは、事政府の大きな仕事でありますし、そして、これは後ほど甘利経済再生担当大臣にも伺いますけれども、重要な経済政策でもあり、かつ福島再生の話でもあり、政府の仕事でありますから、政府としてどういう考えかというのは当然お持ちなんだろう、こう思うわけであります。

 そこで、官房長官、ちょっとこれは通告にはないんですが、政治論なのでお答えいただきたいと思うんです。

 官房長官の御発言の中に、資料一枚目にちょっと目を通していただきたいんですが、こういう御発言があるんですね。菅官房長官の、最初の一段落目の御発言に、こうおっしゃっています。原発事故の対策、二つの法律に基づいて、本来なら政府関与でできる部分があったが、前政権は政府関与なしで東電でやらすという道を選んでしまった、こういうことをおっしゃっています。

 前政権はこういうことをやったということをおっしゃっていますが、ここは、二つの法律というのは、間違いなく一つは原賠機構法のことをおっしゃっていると思うんですけれども、言っていないと。

 では、この二つの法律というのは、何をおっしゃっていらっしゃるんですか。もう一度。

菅国務大臣 損害賠償法と原子炉等規制法です。

近藤(洋)委員 だとすると、この二つの法律については大きな問題があった、こういうことですか。

菅国務大臣 損害賠償法の中に、天変地異、まさにあのような大震災があったときに、国が関与することのできる仕組みも書かれています。

 ですから、当時の政権は、国の関与でなくて、事業者である東電に、その賠償の責務を全て東電の事業者がやるべきだという判断をされたわけですよね。当時、私は、国の責任も当然あるというふうに思っていますから、その法律の中で、あれだけの大震災ですから、国と東電という形でやるべきだというふうに思ったんですけれども、全て事業者である東電が対応するようにということでありましたので、そこの法律に基づいて、今日まで私たちも政権を引き継いで取り組んできていますから、そういう意味で、そういう発言をしたということであります。

近藤(洋)委員 しかしながら、結局、原賠法がある一方で、それに基づいて機構法ができて、その機構法については、まさに国の責任ということを明示して、現実問題として見ると、東京電力のスキームは、要するに、これはくどく言いませんけれども、国が事実上、債務を保証するというスキームをつくっているわけであります。

 現実、今動いているスキームについては、それは、自民党も賛成をされて今のスキームが成り立っておるわけであって、公明党さんも賛成をされたというか、むしろ自公の提案をほぼ全面的に受け入れて、あの修正案は成り立っているはずであります。

 したがって、原賠法のそもそも論は、それは、過去の経緯もいろいろありますし、私は、本来的には官房長官と同じ立ち位置に立つものであります。これは国のかかわりが大きい、共同責任だ、こういう立場に立ちます。我が党にはいろいろな人間がおります、御党にもいろいろな人間がいらっしゃるかと思います、御主張で。菅官房長官や甘利大臣のような方もいれば、同じ神奈川県連でも、違う国会議員の方がいらっしゃるかと思います、誰とは言いません。

 それと同じように、今動いているスキームは、少なくとも、国の関与ということでつくったスキームを回しているわけですから、この原賠法のスキームは、では是とする、こういうことでよろしいわけですね。この考え方は崩さない、こういうことですか。これもやはり見直す、こういうお考えですか。いかがでしょうか。

菅国務大臣 私は、今回のこの対応について、やはりそこは、政府が全ての責任を持ってこれは行うべきだというふうに考えていますから、政府・与党の中でですね、そういう形の中で申し上げたわけでありますし、また、先ほども申し上げましたけれども、今、与党でこの見直しを行っている中には、特措法の見直しには触れていないと先ほど実は申し上げましたけれども、そういうふうに私は理解をいたしているところであります。

近藤(洋)委員 だとすると、本当に抜本的な再建策になるのか、私は疑問です。この議論は、もう時間もあれですので、要するに、まず特措法でいうと、第一に、除染特措法の見直しは不可避だろう、私はこう思います。除染について一定程度、国が持たなければいけないのではないか、こう思います。

 もう一点、官房長官に伺いたいんですが、除染の範囲についても、これは反省を込めて言えば、いわゆる民主党政権下の、正直に申し上げると、その除染の範囲について、五ミリシーベルト、一ミリシーベルト、こういう議論がございました。いろいろな誤解の中で、現在、年間一ミリシーベルトということで運用がなされております。

 私は、正直申し上げて、山形県米沢に住んでおりますから、その風向によっては危険だということを感じた地域でもありますし、福島から今も、ピーク時では四千人、米沢市に避難に来られた地域でありますから、福島の方々の気持ちはよくわかります。しかし、本当の意味で適切な除染という意味で、その範囲、本当に科学的、合理的な範囲というのは何なのか、こういうことも実は整理をする必要があるのではないか、このこともあろうかと思うんですね。

 その役割分担、切り分け、もっと言うと、東京電力というのを、要するに、民間企業としてきちんと効率的に運営しつつ、きちんと賠償をしてもらうということが最も福島再生にとってプラスだ、私はこう判断しておりますが、国営企業に全部することが正しい道だ、こうも思いませんので、それはいろいろな考え方がいろいろあろうかと思いますけれども。

 その辺も含めて、私は、除染特措法も含めてどこかで見直しをする、そして、除染の範囲のことについても、現政権下で責任を持って対処するということがないと、いつまでたってもこの問題は解決しないと思いますが、官房長官、いかがお考えでしょうか。

菅国務大臣 まず東電についてでありますけれども、今委員から指摘がありました。東電を上場企業として維持せずに法的整理を行うことにした場合、それは被害者の方々の賠償だとか、あるいは現場で困難な作業に必死で当たっておられる関連企業の取引債権が十分支払われないおそれがあるとか、あるいは、直ちに東電と同等の電力供給を行える体制を確保できなくなるとか、そうしたことを勘案して、国民に悪影響が及ばないよう、東電は引き続き民間企業として、やはり損害賠償、廃炉・汚染水対策、そして電力安定供給などを確実に実施すべきだ、その考え方は委員と私は全く一緒であります。

 それと同時に、特措法の見直しでありますけれども、与党の中で、議論の中で、ここは与党が除染における国の役割ということをどうすべきかということを今議論していますので、その議論の中で特措法の見直しはないという方向だということに私伺っていますから、しばらく与党の議論を見守りたい、そういうふうに思います。

近藤(洋)委員 本件は、最終的には財務省とどう折り合いをつけていくかというところに入っていくので、ここは菅官房長官の、そして甘利大臣も含めた強力な力に、裁きに注目したい、こう思っているんです。どうやら安倍政権は、党低、党が低いというわけではないんでしょうけれども、TPP分野を除けば、そういうふうな風評が出ておりますから、そんな待ちの構えでいいのかなという気がしますが。

 甘利大臣、ちょっとお伺いをしたいと思います。この分野、甘利大臣は大変御造詣が深いわけでありますが、一つは、東電問題については今いろいろお答えをいただいたので、あえて甘利大臣にはお伺いをしませんけれども、もし、国が前面に出るということは、一つ間違うと、全部国営企業にしろ、法的整理にしろというのと紙一重で間違ってしまう部分があろうかと思うんですね。そこの整理というのをちゃんときちんと、それは違うんだと私は思いますが、そこについての御所見をお伺いしたいのが一点。

 あともう一つ、エネルギー価格、いずれにしろ、原子力発電所が動かないということは、アベノミクスにとってエネルギー価格の高騰というのは大変なアキレス腱になるんだろう、こう思っております。現実、私の地元米沢市は、今、一リッター百六十六円です。リッター百六十六円です。山形県は、私の地元は、一家三台当たり前ですから、軽も入れてですけれども、いかに大変かということです、百六十六円ということは。どんどん上がり続けておりますが、そういうことも含めて、伺いたいのは、東電の問題に対する所見が一つ。

 あともう一つ、原子力は、今さら基幹エネルギーとは言えないとは思いますが、民主党政権時代は、重要電源、こういう言い方の整理をしてまいりました。甘利大臣は、今総合エネルギー調査会で議論しておりますけれども、どのような電源、こういうふうに思っていらっしゃるのか。

 三点目は、いずれにしろ、原子力がこういう状況の中で、残念ながらエネルギー価格の高騰が抑えられない、この状況をどのように危機的だと認識されているか、お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 現在、私の所管ではありませんので、どうしても個人的な見解の域を出ないということを前提としてお聞きをいただきたいと思います。

 東電問題は、基本的に、官房長官がお答えさせていただいた路線のとおりだと私も思っておりますし、党の方で、国と東電のある種すみ分けをして、提言があろうかと思います。それを受けて、政府としても与党と平仄を合わせながらこの問題の抜本解決に取り組んでいくということになろうかと思います。

 やはり、民間企業にとって大事なことは、未来が見えるということだと思います。現場で働いている方々は、体力的にも精神的にも、恐らく折れる寸前になっていると思います。私が一番心配するのは、心が折れてしまった場合に、その後どういう危機がやってくるかということでありますから、きちんと将来像の絵図が描けて、頑張ればちゃんと未来が待っている、切り抜けられるという姿を、絵図を見せることが大事だというふうに思っております。

 それから、原子力が基幹電源であるかどうか、これも個人的な見解という前提でお話をさせていただきます。

 官房長官が答弁させていただきましたとおり、安倍内閣におきましては、安全第一、これは委員とも全く共有することだと思います。安全を犠牲にして、それから先に進むということはできません。

 今、規制委員会が抱えている規制は、恐らく世界で一番厳しいものになっているということだと思います。世界で一番厳しいという視点でもって安全を確認する。規制委員会は、再稼働を指示するところではありません、安全の判断をするところだけであります。それから先は政府の判断です。安全が確認されたものは有効に活用するということは、国民利益にかなっているものだと思います。

 現状、言ってみれば三兆六千億円の国富が海外に垂れ流しになっている状態であります。十年続ければ四十兆近い国富が外に流れていくわけです。これをとめる手だてを考えていかなければならない。そこは、安全が確認されたものについては国富の垂れ流しを食いとめるということに資するのではないかというふうに思っておりますから、エネルギー基本計画の中で電源構成をする構成員の一つであることは間違いないというふうに思っております。

 それから三点目、今のエネルギー危機に関してであります。

 実は、成長戦略の中で企業立地策を講じています。総理いわく、日本が世界で一番企業が立地しやすい環境をつくると。投資を呼び込む、外からも呼び込むし、国内投資も活性化していく、極めて大事なことであります。

 その中で、エネルギーが低廉で安定的に供給される見込みが立つということは、投資の予見性にかかわってくることでありますから、もちろん、新エネの低廉な普及ということも大事な課題でありますし、ベストミックスをどう図っていくかということ、そして、投資する側は将来にわたってこのくらいの金額でエネルギー供給が受けられるという予見性をしっかり持たせるということは極めて大事なことだというふうに思っております。

近藤(洋)委員 そういう、エネルギーが大変厳しい状況だから、投資を呼び込む、こういうことで税制の思い切った措置を打たれている、それは理解するんです。

 その中でお伺いしたいのですけれども、復興特別法人税の話をお伺いしたいと思います。

 この復興特別法人増税の前倒し廃止、年間八千億円、これは資料の四ページ目、最後のページですが、三年間にわたり八千億円ずつ増税をしていたものを、一年前倒しをして廃止する。突然出てまいりました。もう時間の関係上聞けませんが、一説には甘利大臣の発案だとも伝えられております、菅官房長官の発案かとも伝えられていますし、総理周辺の大物秘書官の発案かとも伝えられております。いろいろな発案者の名前が挙がりますが、それは誰が発案しても結構なんですけれども、これが浮上してまいりました。

 普通、法人税は経済産業省の事務方がいろいろやるんですけれども、どうも下の事務方からぎゅうっと上がった雰囲気は、取材の結果、余り感じられないので、いろいろな諸説が出てくるわけですが、小泉政務官、お忙しいところありがとうございますが、お伺いしたいんです。

 この復興法人税の十二月までのプロセスの中で最終的に決まるわけですけれども、この条件の中に、国民の理解、とりわけ被災地域の理解を得られることということが一つの条件になっています。

 この復興法人税を前倒しして廃止するということ、復興は終わってしまったというようなことなのかどうか。私は、少なくとも、この復興法人税の減税というのは、被災地域の方々の理解を得ることは相当ハードルが高いんじゃないかな、こう思いますし、政務官は経済再生の御担当の政務官でもあられますし、復興担当の政務官でもあられますが、そうした努力をどうされているのか。そして、実際、十二月に向けて理解を得られるとお感じですか。いかがですか。

小泉大臣政務官 ただいま御指摘の点ですが、近藤委員がおっしゃるように、被災地の皆さんの理解を得るのは高いハードルだと思います、率直に言って。

 ただし、幾つか誤解をされている点もありますので、私も、復興の政務官として被災地に行っているときに、こういった話で、被災地の首長さん、また現地の経済の関係者、不安を持っているときに、丁寧に説明をさせていただいております。

 例えば、今、近藤委員の提出された資料の中で、毎年八千億円という話がありましたが、これを、二十五兆円という復興のフレームが八千億円減って二十四兆二千億円になるのではないかという、これは誤った捉え方をされている方も中にはいらっしゃいますので、決してそうではないと。もちろん、この復興特別法人税の決着は来月ということになっておりますが、仮にどういう決着を見ようとも、この二十五兆というフレームは全く変わることはない、そして、仮にこれが前倒し、廃止となった場合、かわりの財源は必ず確保する、そういったことですので、復興に対して影響はない、そういった説明を丁寧にさせていただいております。

近藤(洋)委員 それは丁寧に説明されたらいいと思うんですけれども、これは甘利大臣、もう時間もあれなんでこの議論はできないので、またの機会にと思いますけれども、残念ながら、余り筋がよくないと私は思っているんです。やるなら本則を下げるべきです。復興増税はそのままにして法人税の本則を下げる、それならわかります。そして投資を呼び込む。それを、復興増税だけを下げるから、わけがわからなくなる。

 私は、筋としては、本則を下げるのにチャレンジングする。その力は、今の安倍官邸、安倍内閣にはあるんじゃないか、消費増税を実現したんですから。それは野田内閣だって言いたいですけれども、実現したのは、最後、いいところをとったのは安倍内閣ですから、それは。それをやったんですから、それぐらいのことはできるんじゃないか、本則にチャレンジすべきだ、こう思いますから、これはまた議論をさせていただきたいと思います。

 稲田大臣、お忙しいところ、ありがとうございます。これも大事なことなので、きょうはイントロだけ。

 大臣の所信で、公文書管理法について、検討しますという発言だけあったんです。提出するという文言がなかったんです。

 私は、公文書管理法、閣僚懇談会、この議論も含めて、これをきちんと議事録に残して保管する、公開は三十年後で結構です、NSCの議論も、全て情報は国民のものです、そして、意思決定のプロセスも、これは国民のものです、三十年、五十年でも結構です、その期間はともかく、きちんと管理をしてそして公開するという、この公文書管理法の改正案は、検討ではなくてもう提出の段階だ、こう思いますが、所信になかったので、それはいかがかということを伺って、時間ですので、私の質問を終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

稲田国務大臣 委員御指摘のとおり、公文書については、健全な民主主義を支える重要な国民共有の知的資源であるというふうに認識をいたしております。

 その上で、私の所信についてのお尋ねでありますけれども、閣議の議事録を作成して一定期間経過後に公開するための公文書管理法改正法案については、公文書管理の観点のみならず、閣議のあり方ともかかわる問題であるため、政府部内で必要な調整、検討を行った上で提出をするということになろうかと思います。

近藤(洋)委員 これが提出されないと機密保全法も大変厳しい質疑になるということだけ申し上げて、質問を終わります。

柴山委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 おはようございます。日本維新の会、中丸啓でございます。

 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 本日はまず、我が日本維新の会で拉致問題対策委員会という委員会が党内にできまして、委員長は、初代拉致担当大臣であった参議院議員の中山恭子先生でございます。その中できのう、特定失踪者調査会と救う会のおのおのの会長がお越しになられていまして、ぜひとも国会の質疑の場で質問してほしいというお話がありました。

 それは、失踪者調査会の会長がおっしゃっていたんですけれども、きょうも非常にきれいな青空が秋晴れで出ていると思います。しかし、御家族の方も、拉致被害者の方も、毎日その空を眺めて、この空は自分の祖国とつながっているんだ、いつ帰れるか、いつ救い出してもらえるか、こういうことを毎日考えているんだというお話をいただきました。

 そして、この問題は全員を取り返すまでは絶対に終わらないということだと思うんですけれども、私もちょうど国会議員のバッジをつけさせていただきまして約一年が来ようとしております。この間に拉致問題の特別委員会、衆議院では一度も開催されていないというふうに聞いております。

 今、これはパンフレットなんですけれども、このポスターが全国に四十万枚、非常に世論形成といいますか、そういう問題提起を拉致問題対策本部として政府が行われるということもよくよく聞いております。しかし、国内での啓蒙活動はもちろん大事なんですけれども、拉致被害者の方は北朝鮮におられるわけです。

 そういった中で、日弁連から要望書が、拉致問題対策本部長、もちろん安倍総理、それから古屋大臣、それから警察庁長官に、それぞれ調査報告書とともに提出されていると思います。

 その内容についての御答弁の前に、まず古屋国家公安委員長に、この拉致問題について、国家公安委員長として国家的見地からその対応状況についてお話し願えればと思います。

古屋国務大臣 お答えいたします。

 私は国家公安委員長であるとともに、拉致問題担当大臣も務めております。

 今、質問は、国家的見地からということですけれども、まさしく私たちは国家的見地でことしの一月二十五日に拉致対策本部の決定事項を決めて、決定ということで発表いたしております。これが国家の意思として取り組む基本姿勢です。

 簡単に、具体的に申し上げますと、拉致被害者の政府認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者を取り戻すこと、実行犯を引き渡すこと、そして原因究明をする、これは基本方針の堅持。そのために八つの施策を我々は挙げております。もう時間がございませんので申し上げます。八つ目が、その他あらゆる施策を講じる、こういうことであります。

 総理が就任のときにもおっしゃいましたように、自分の政権のとき、必ずこの拉致問題を解決する、拉致被害者とその被害者の家族の皆さんが抱き合う日が来るまで私の任務は終わらない、こうはっきり言明している。ここまではっきり言っている総理大臣はいないと思いますね。

 一方では、首脳会談でも、もうありとあらゆる首脳会談で、この拉致問題の協力のことを言及いたしております。共同宣言をつくられるときには、そこにもしっかり拉致問題の解決への協力、記されています。これが拉致問題に対する政府の揺るぎない方針であり、国家としての方針であるということであります。

中丸委員 非常に頼もしい答弁、本当にありがとうございます。今回の質疑は、それぞれ調査会の方々も見ていただいていることと思いますので、お喜びいただいていることと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 その中で、実際の調査報告書、もちろん古屋大臣のところもそうなんですけれども、警察庁の方にも提出をされていると思いますので、警察庁の方に同じ質問を、警察庁としての取り組みということでお答え願えればと思います。

高橋(清)政府参考人 お答えいたします。

 警察としましては、今回、日本弁護士連合会から要望のありました八名の方を含めまして、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案につきましても所要の捜査、調査を推進してきているところでございます。

 本年三月には、警察庁の外事課に特別指導班を設置しましたほか、広く情報提供を求めるため、六月から都道府県警察のウエブサイトに事案の概要等を掲載するなど、その取り組みを強化してきたところでございます。

 警察としましては、今回の日本弁護士連合会からの要望も踏まえまして、今後とも、被害者や御家族のお気持ちを十分に受けとめて、関係機関と緊密に連携を図りつつ、事案の真相究明のため、全力で捜査、調査を進めてまいる所存でございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 悪いのは北朝鮮であるという事実はわかりやすく、これは揺るぎないものだと思います。しかし、一つ、私、疑問がありまして、今まで北朝鮮に対する批判、問題意識、当然多くあったと思うんですけれども、これを、まず自分をみずから振り返ってみたときに、我が国の警備、安全保障という観点での議論はほとんど出ていないような気がします。

 例えば、そういう、国民の生命財産、身体を守るという観点で意識の非常に高い米国なんかで考えれば、徹底的な国境警備というものを行ってくると思うんですけれども。

 そういった案件が、認定しているしていないにかかわらずというふうにおっしゃっていましたけれども、特定失踪者の数も非常に多くの数、出ております。それで、北朝鮮に行っていて誘拐されたのではないわけですね。拉致されたわけじゃないですね。日本国内に居住をしていて、侵入されて、工作活動をされたという時点で、それが一件、二件ではなくて多数あったわけです。普通は、なぜそういうことが起きてしまったのか、それも何年もかけて起こっていたわけですね。それに対する事情説明、謝罪声明ぐらいアメリカだったら出ると思うんですけれども。

 我が国、もちろん北朝鮮が一番悪いので批判するのは当然のことなんですが、国民を守れなかったという警察の責任、そのときの政治責任について、特別、国民に対して謝罪もなければ、何かあったような記憶はないんですけれども。

 小泉純一郎元総理が訪朝をしたときに、北朝鮮政府がはっきりと拉致を認めた。やったと言ったわけですね。その事実が確定している中で、守れなかったということに対して、国家公安委員長、どのようにお考えですか。

古屋国務大臣 残念ながら、日本国内において多くの、政府認定は十七人でございますが、そのほかにも拉致の可能性を否定できない事案がたくさんございます。残念ながら、そういった方が拉致をされてしまった、それを防ぐことができなかった。これは警察だけではなくて、国家あるいは国民全体の問題だというふうに思っております。

 だからこそ、私たちはこの拉致被害者を全て取り戻す、これが何よりも大切なんですよ。このことをしなければ、国民からの信頼は得ることはできないでしょう。警察挙げて、今、その拉致被害者並びに拉致を払拭できない事案の方々に対しても、全力を尽くして取り組んでいるということであります。

 拉致というのは、一種の国家によるテロですよ。誘拐とは違うんです。ですから、そういう認識をしっかり持って私たちは取り組んでいるということに尽きると思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 北朝鮮から工作船とかそういう形で日本の海岸線にいきなり来て、たまたまそこにいる人をたまたま連れて帰るのではなく、必ず小さな船で渡ってくるわけですから、向こうも、ある意味、命がけで来ていると思うんです。そういった中で、では、どの人をどのタイミングでとか、ある程度、国内に内通者並びにそういう工作員が手引きしたのではないかというふうに考える方が私は普通ではないかというふうに思います。

 もちろん、おっしゃるように、全員を取り返すまでこの戦いには終わりはありません。それと、もう一人たりともこれ以上のこういうことがないように、ぜひしていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 アベノミクスの効果にもより、非常に円安に振れていること自体は、輸出産業含め、株価もそうですけれども、非常にいい影響が出ているというふうに言われております。しかし、物事には裏表両面がございまして、円安になれば輸入材料は高騰します。先ほどの質問でも、ガソリンの販売価格のことについて触れられていましたけれども。

 私は朝食に和食を食べるんですけれども、和食といえば豆腐ということになりますけれども、十一月二日の読売新聞に、豆腐店が続々廃業している、三百六十五日働いても利益が出ないと。

 これはなぜかというと、大豆価格が高騰しているからなんですね。大豆価格が高騰しているにもかかわらず、スーパーでの売価は変わらないと。消費税転嫁云々という以前の問題がもう実はこの十年近く、もちろん、業態自体の問題もあるのかもしれませんけれども、この十年間で約五千軒が廃業しております。五千軒というと、全体の四分の一ぐらいがなくなっているんですね、この十年で。厚生労働省の集計によると、全国の豆腐業者は一二年度で九千五十九軒、〇三年度よりも四千九百五十七軒減っているわけですね。年間約五百軒のペースというふうに言われていますと。

 このように、豆腐業界だけに限らず、消費増税も間近に控えて、小売業、外食業等々、零細企業は共通の死活問題に直面しているんです。それは、なかなか地方の末端まで景気の上昇感、これが広がっていない。そういう中で、燃料代も含めて、円安の影響を受けて輸入材料等が高騰をしている。

 この死活問題をどう解決するかというのが一番大事だとは思うんですけれども、雇用を拡大していく、税収も増加させないといけない、こういったことを鑑みると、今の従来の企業の形態では生き残れない、新しく業態転換をしたり、新規事業に進出していかないといけないというふうに考えるのが通常の経営者の考え方だと思います。

 そういう中で、その受け皿をどうつくっていくのか、そういうことをやりやすくするために何をすべきかというふうに考えると、国民生活金融公庫というのがありまして、御存じだと思いますけれども、そこに新規創業支援融資制度というのがあります。新しく会社を立ち上げる、商売を始める、そういう、通常の金融機関では二年間の決算書を出してくださいと、普通、融資のときに言われるんですね。その二年間がない、ゼロの状態で貸し付けてくれる国民生活金融公庫の創業支援融資というのがあるんです。

 実は、そこに非常に予算もついていますし、この窓口のハードルが、例えば、お父さんが会社を経営しています、その息子が独立して自分で会社をしようと思って借りに行きます、例えば奥さんでもいいです、奥さんが借りに行きます、新規に創業したい、全く別事業です。そうすると、これは実際に広島であった現実でございます。その創業に関して、その事業の中身等を審査し、その使途に実現性があるか、そういうことを審査するわけなんですけれども、融資枠、融資の総額ですね、幾らまでならいけるかという枠を、その事業ではなく、その御主人だったり御家族の経営している会社の融資枠と合算をして、その枠の残りしか貸せませんよと平気で言う窓口がいるわけですね。

 これを逆に言いかえれば、個人の枠できちっと借りたければ、離婚するか絶縁して創業しろというような内容だと思うんですけれども、これが今、中小零細対策を積極的にやっているという安倍政権の話を受けて本当に地方でやっていることなんでしょうか。チャレンジ精神の芽を摘むようなことを実際にやっていると受け取られても仕方がないと思うんですけれども、こういった実態、甘利大臣、末端の地方のことは御存じないかもしれませんけれども、これは現実でございます。いかがお受け取りになられますか。

甘利国務大臣 まず、安倍政権以降の景況感、よく言われることは、大企業はいいけれども、中小零細はまだまだ景気回復の実感がないと。まだまだ足りない点はたくさんあると思います。ただ、かつてよりは改善しているかという聞き方であると、確実に改善しているということが返ってまいります。

 そういう中で、今、私どもとしては、景気回復の伝搬速度、タイムラグをできるだけ縮めたいというふうに思っております。そこで、いろいろなことにチャレンジをしております。

 それから、御指摘の中小零細企業に対する資金的な支援の環境整備、いろいろと今も御指摘をいただきました。実際、使い勝手の問題について、まだ政府として思いが至らない点は多々あろうかと思います。それは、御指摘をいただいて、改善できる点は改善していきたいというふうに考えております。

 あわせて、中央で取り組んできました産業競争力会議の地方版というのを十月から立ち上げました。そこで、いろいろなアイデアに加えて、現状の問題点の指摘も多々出てくるかと思います。地域から出てくる情報をできるだけ吸い上げて、改善策として取り入れられるものはできるだけ迅速に取り入れていきたいというふうに思っておりますし、いろいろと御指摘があれば、私どもの方に、こういう点はどうか、ああいう点はどうか、こういう点の改善点は必要ではないかという御指摘をぜひこれからもいただきたいと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

中丸委員 ありがとうございました。

 また、私も、もともと零細企業の経営者を十八年やらせていただいておりますので、そういった声をたくさん拾い上げて、ぜひともいろいろな場で御提案させていただきたいと思います。

 少し質問の方向を変えまして、中国との関係、尖閣問題も含めていろいろあると思うんですけれども、我が国と中華人民共和国との平和友好条約を結ばれたときのことをちょっと思い出していただきたいと思います。

 第一条にもあるように、要約として、主権、領土の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉というふうに書いてあるんですけれども、例えば閣僚の皆様の、総理も含めて、靖国参拝の問題、中国からもいろいろな意見が出ます。これは私は内政干渉だと思うんですけれども、この友好条約どおりに読めば、相互内政不干渉と書いてあるんですね。私は、中国政府のそういういろいろなところからの発言を聞いていると、この不干渉の意味に対して、感じない方の不感症になっているんじゃないかというふうに思うわけです。

 この平和条約をしたことによって、日本側から巨額のODA、経済援助を中国政府は当時から引き出してきたわけです。条約というのは非常に二国間の信頼関係のものですから、領土の相互尊重にしてもそうです、相互不可侵に対してもそうです、実際にこういう条約を結んでいるわけなんです。

 これは破棄されてはいないと思うんですけれども、こういう条約を結んでいるじゃないですかというようなことを公式の場で余り発言されることを聞かないんですけれども、官房長官、いかがお考えでしょうか。

菅国務大臣 日中両国は、一九七二年の国交正常化以来、政治、経済、文化、あらゆる分野で協力関係を深めてまいりました。そして、今委員御指摘の七八年に締結された日中平和条約、これによって、日中関係を法的に規律する文書として今日まで大きな役割を果たしてきているというふうに思います。

 現在、日中は極めて厳しい状況にありますけれども、日本と中国というのは、経済的にも第二、第三の経済大国であります。地域の平和と繁栄にともに責任を有する国家であるというふうに考えております。

 したがって、本年三十五周年を迎える日中平和友好条約を含む、今日まで日中間に四つの基本文書があります。その精神に基づいて、戦略的互恵関係、このことの基本的考え方のもとに日中関係はともに前に進めていく、そういう必要があるだろうというふうに考えております。

中丸委員 ありがとうございます。

 靖国問題、尖閣の問題、プラス、ニュースではありますけれども弾道ミサイルというところまで来ているわけです。条約の中に、「武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。」と書いてあるにもかかわらず、訴え続けている隣国があるということを改めて申し伝えさせていただきまして、次の質問に入らせていただきます。

 私は、昨年末の選挙を広島で戦わせていただきました。広島には平和公園という公園が中心部にありまして、そこに原爆ドームもあり、原爆死没者慰霊碑というものがあります。そこには、被爆者である私の父や祖母も名簿と写真を納めさせていただいております。正式には広島平和都市記念碑というふうに言われるものでございます。

 この記念碑、慰霊碑の石碑の前面に、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という言葉が刻まれているわけです。これは、設置するときから広島でも非常に議論が飛び交った石碑でございます。紙に書くと、紙というのは年月とともに文字が薄くなったり紙がぼろぼろになったりしますけれども、やはり石に刻むというのは、石碑というのはすごい重いと思うんですよね。

 この石碑が刻まれてありまして、当時、雑賀忠義さんという広島大学の教授が揮毫したものなんですけれども、当時の浜井広島市長が、この碑の前にぬかずく一人一人が過失の責任の一端を担い、犠牲者にわび、再び過ちを繰り返さぬように深く心に誓うことのみが、ただ一つの平和の道であり云々というふうに言っているんですけれども、犠牲者にわびという、広島で犠牲に遭ったのは広島市民なわけですよね。広島市民が犠牲になったものに対して、「過ちは繰返しませぬから」と。

 これを見たインド人の法学者のパール、元極東裁判のときの判事なんですけれども、慰霊碑を訪れた際に、献花と黙祷の後に、通訳を介して碑文の内容を聞くと、原爆を落としたのは日本人ではない、落としたアメリカ人の手はまだ清められていない、日本人が日本人に謝罪している、この碑文はおかしいじゃないかというふうに非難をされました。

 碑文を英訳すると、当時の雑賀広島大学教授が英訳しているんですけれども、「レット オール ザ ソウルズ ヒア レスト イン ピース フォー ウイ シャル ノット リピート ザ イーブル」ということなんですね。ウイは我々、広島にあって我々というのは広島市民ですよね、普通、解釈すれば。しかし、広島市の公式見解を含め、世界の人々、全ての人々という言い方をするんですね。

 これを実際に、広大の教養部の講義などで述べられているわけです。私も、小学校、中学校、高校と、ずっと広島で学校へ行かせていただきました。小学校のころから、平和教育という名の教育で、この教育を受けました。そのときの学校の先生からの説明は、日本人、当時の軍事国家が誤った戦争をしたから原爆を落とされたんだと。まるでアメリカ政府の公式見解のような教育を広島ではずっと受け続けたわけです。私は、子供のころは少し純粋な部分もございまして、当時は、先生が言うんだからそうなんだ、日本人が悪かったんだと子供心に思いました。これが自虐史観というものをつくり出したというふうに思います。

 広島の慰霊碑の前には、多くの海外からいろいろな方が訪れられます。慰安婦の問題についてもそうですけれども、日本が悪かったから、無差別殺人を行う兵器を人類初で投下されたのが広島であると。アメリカの政府の見解は、もちろん向こうの内政もありますから、いろいろなことを言うでしょうけれども、少なくとも、うちの祖母や当時子供だった父に、原爆を落とされて被爆に遭うほどの責任があったとは到底思えません。

 私が政治家を志そうとした大きな要因の一つに、私は、この碑文の過ち云々という文言をぜひ広島からなくしたいという強い思いを持って政治を志しました。広島選出の議員にとって、この問題に触れるのは今までタブーとされていまして、誰も公の場ではなかなか言わなかったということもありまして、ぜひともそれを言っていきたいという思いでやらせていただいているんです。

 この碑文について、普通の日本語解釈をしたらやはりおかしいというふうに思うんですけれども、菅官房長官、いかがお受けとめになられますか。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 実は私、この碑文について、委員からの質問通告の中で初めて知りました。

 御指摘の碑文は広島市によって作成されたということでありますので、政府の立場としてコメントすることは控えさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、いろいろ調べる中で、広島のウエブサイトによりますと、この碑文は、全ての人々が原爆犠牲者の冥福を祈り、戦争という過ちを再び繰り返さないことを誓う趣旨であるというような説明もありました。

 いずれにしろ、戦争は二度と再び起こしてはならない、そのように考えます。

柴山委員長 質疑の時間が終了いたしました。

中丸委員 ありがとうございました。ほかにもたくさんあったんですけれども、また次回させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学です。

 今、日本維新の会、中丸委員の方から質問させていただきましたが、前通常国会に引き続きましてメンバーは同じでございます。なお、今国会もよろしくお願いいたします。

 私の方は、十分だけ時間をいただいております。

 先般、内閣委員会で海外に出張してまいりました。海外というのは、スウェーデン、エストニア共和国、バルト三国の一つですね、それからデンマーク、ドイツの四カ国でございまして、前平井委員長以下、各党から理事等が出張に行ってまいりました。

 行った趣旨は、先般の国会で審議いたしまして成立しましたマイナンバー法に関しまして、個人情報のIDカードというかIDシステムというのが基本的に社会インフラとなっている国々の状況を確認するということで行ってまいりました。

 国会審議でもいろいろ議論させていただいたんですが、日本ではまだ税と社会保障と防災の三つの分野だけであって、見直しは三年後ということなんですが、既にそういった国々では相当これが社会インフラとして定着しておりまして、個人情報の保護という観点から、活用する、いろいろなイノベーションに活用していくというか、利用の方にどんどん動いていって、日本は随分こういう先進国から比べるとおくれているなという感じもしたんですけれども。

 例えば、経済取引もほとんど全てがIDというか番号システムでなされておりまして、確定申告なんかも、これはスウェーデンもエストニアもそうなんですが、国が基本的にその人の所得等々の情報を全部把握しているものですから、確定申告は、これでいいですかと言われて、署名したら五分で済んでしまうと。あるいは、電子署名とかそういうものは当然でありまして、何とデンマークでは遺伝子情報まで、いわゆるCPR、セントラル・パーソンズ・レジストレーションと言われる、そういう登録システムの中に組み込まれていて、千五百万ぐらいの検体の情報がいわゆるバイオバンクというところにあって、その遺伝子情報を研究目的で本人の同意なく使ってよろしいと。そういうことを基礎にメディコンバレーと言われる大変な医療の先端産業を生み出している、デンマークのGDPの二割を生み出しているというような、そういう産業集積も発展していると。

 こういうように、ほかの国はどんどん進んでいるので、我が国も、三年後の見直し、やはり未来の社会インフラとしてこのシステムをしっかりと定着というか発展させていかなければいけないという思いを強めたところなんです。

 ただ、この委員会で私があえてちょっと質問に立ちましたのは、便利なこういう個人番号システムなんですけれども、これは一旦サイバーテロということに遭いますと大変なことになってしまう、想像もつかない事態が起こってしまう。

 実は、訪問したエストニアは世界最先端のICT国家と自他ともに認めている国でありまして、例えばスカイプなんというのもこの国から出たものでありまして、究極の利便性というか、そういうのが追求されていまして、例えば国政選挙なんかも電子投票が既に実施されている、こういう国なんですね。

 この国は、実は二〇〇七年に大規模なサイバー攻撃を受けた国でありまして、そこのエストニアの政府の方に、サイバー攻撃を受けて、いろいろな対応を考えているんですが、何が一番大事なんだと聞きましたら、重要なのは攻撃を受けた経験であるというふうにおっしゃるんです。日本が攻撃を受けるわけにはいかないんですけれども。

 それで、実は、この二〇〇七年のサイバー攻撃を受けまして、その経験を生かして、翌年にエストニアの首都のタリンにNATOサイバーセンターというのが設置されまして、NATOの組織なんですね。そこも我々は訪れたんですが、このエストニアへの二〇〇七年の攻撃というのは人類史上最初の深刻なもので、NATOがこれを大変重視してこういうセンターの設立を決意したものなんですけれども。

 その目的は、NATO加盟国のサイバー攻撃対処能力を向上させる、あるいは情報力を向上させる、あるいは、各国の経験を集めて、いろいろなトレーニングをして人材養成をするとか、情報交換や技術協力を行っているということで、NATOに加盟していない国も参加しようということでいろいろ人員を送ってきていると。韓国なんかも来年の訓練に参加したいと言っているようでございまして、そういう国際協力が非常に進んでいるということがあります。

 それで、そこのセンターで私がちょっと質問しまして、サイバー攻撃を受けた経験として何が一番重要かというふうに聞きましたら、やはりサイバー攻撃対策というのは、単に技術者のレベルじゃなくて、政策決定者のレベルでしっかりと認識しなきゃいけない、特定のソリューションというのは非常に脆弱で、いろいろな工夫を重ねていかなきゃいけない、サイバー攻撃対策訓練に例えば閣僚クラスなんかも参加していくというぐらいのトップの意識が非常に重要だということがございました。

 ただ、サイバー攻撃対策が本当にできる国というのは、やはりサイバー攻撃が自分でできる国だけに限られるという話もありまして、例えばアメリカとかイギリスとか、そういう国に限られている話もありまして、日本が本気でこれに取り組むためには、そういった海外との協力とかあるいは人材を活用するとか、いろいろなことが必要になると思いますけれども、日本の今の取り組み状況、今後の方針につきまして官房長官に御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 まず、貴重な視察の御報告、本当にありがたいというふうに思います。

 サイバー攻撃への対応については、国家の安全保障、危機管理上、極めて重要であるというふうに政府は認識をいたしております。このため、政府においては、平素から政府機関や重要インフラの情報セキュリティー水準向上に努めるとともに、政府機関等を二十四時間体制で監視、官民の情報共有の促進等の措置を講じているところであります。

 また、サイバー攻撃に迅速に、また的確に対処するために、今委員から提案がありましたけれども、諸外国と連携が不可欠であるということで、米国を初めとして、二国間での取り組みや国際会議への参加などを通じて、情報共有や人的対応能力の向上、こうしたものに国際的連携を今深めているところであります。

 また、本年十月に、私を議長とする情報セキュリティ政策会議において、サイバーセキュリティ国際連携取組方針、こういうものも決定をいたしました。

 今委員から御指摘もありましたけれども、まさに各国との連携というものを大事にしながら、サイバー攻撃に対処することができる体制をつくり上げていきたいと思います。

松田委員 ぜひ、諸外国の人材も活用しながら、攻撃対処能力の向上に努めていただきたいと思います。

 もう時間がほとんどありませんので、もう一問だけ。

 同じ情報ということにも関連しますが、今、NSCでいろいろ議論がされていると思いますけれども、今度、内閣に置かれる国家安全保障局みずからがいろいろな諜報機能や情報機能を持つべきだという議論もいろいろ出ているかと思います。かといって、日本ではすぐに諜報工作部隊をつくるというわけにもいかないと思いますが、今既に内閣情報調査室ですか、ありますけれども、例えばそういうところをどういうふうに活用していくのか。恐らく、情報というのは待っていても来るものでなくて、やはりトップがしっかりとした問題意識を持ってこそ、いい情報を選別し、収集することができると思いますが、そういった意味で、内調というのをどういうふうに活用していくか、官房長官にお答えいただければと思います。

菅国務大臣 今の国会にお願いをしています国家安全保障局、安全保障会議の保障局ですね、ここについては、安全保障政策の企画立案、総合調整を行って、いわゆる政策と情報の分離、それに基づいて、国家安全保障会議というのは組織的につくらさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、そこでさまざまな情報集約をして企画立案する際に、いわゆる質の高い情報というのは、これは極めて大事でありますから、そういうことを考えたときに、今委員から御指摘のありましたように、内閣情報室、そこで情報コミュニティー、各省庁が内閣の下に、相互に密接な連携をとりながら情報分析活動を今行っているところであります。また、国家安全保障局から、みずから必要な情報分についても要求することができるような、そんな仕組みにさせているところであります。

 いずれにしろ、現在は二百人体制でありますけれども、今申し上げましたように、国家安全保障にとって情報は極めて大事だ、そういう観点から、まずスタートさせていただきながら、充実をさせていきたいというふうに考えています。

柴山委員長 松田君、申し合わせの時間が終了しております。

松田委員 ありがとうございました。

 ぜひ、情報というものに対して、戦略的視点というのは、やはり、総理あるいは官房長官の意識が一番重要だと思いますので、何とぞ、その点、よろしくお願いしたいと思いまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 通常国会に引き続きまして、どうぞよろしくお願いをいたします。

 最初に官房長官にお伺いしたいと思っているところでございますが、偶然といいますか、ただいまの松田委員ともかなり重なる部分、情報セキュリティー関係の観点でございます。

 私も、平井団長以下行きました、北欧に。松田委員もいらっしゃいましたけれども、同行させていただきまして、エストニアも含む北欧諸国、エストニアというとバルト三国というような言い方をしますが、やはり現地に行きますと、北欧、特にフィンランドと非常に近いということで、北欧諸国の一つなんだと私も初めて認識させていただいたんですが、非常にすぐれた先端的なICT国家ということで、感銘を受けてまいりました。そこの中でのやりとりでも出たわけでございます。

 また、今般、官房長官の御発言で、情報保全のさらなる徹底ということをおっしゃっていらっしゃいますが、ただ、現実には、我が国の霞が関の各府省、サーバーのバックアップを持っているところはほとんどないという若干お寒い状況ではないかというふうに思っているところでございますが、この点、情報保全のさらなる徹底という観点から、長官に一言お願いしたいと思います。

菅国務大臣 政府機関が取り扱う情報の保全についてでありますけれども、各府省庁のセキュリティーポリシーの基礎となる政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準、そうしたものにおいて、適切に情報をバックアップするように今義務づけをいたしております。

 具体的に申し上げますと、一週間ごとにバックアップを実施する、さらには、記録媒体等はやはり耐火性のある保管庫や耐震性の高い施設に保存する、そういう形で今行っているところであります。

 さらに、私を議長とする情報セキュリティ政策会議において、本年六月にサイバーセキュリティ戦略でも、政府機関等においては情報及び情報システムに係る情報セキュリティー水準の一層の向上を図ることとして、引き続き、今、適切な情報の保管が行われるように、各省庁に対して一層の指示、指導をして、結果として、一週間に一回は必ずバックアップするように、そこもしっかりと対応できるようにしていきたいと思います。

大熊委員 確認なんですが、別の場所に物理的に同じサーバーを別途置いているというのは、私が承知している範囲では財務省だけというふうに承知しているんですが、ほかの府省では持っていないというふうに承知しているんですが、そういう理解で正しいでしょうか。

谷脇政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど官房長官から申し上げました、政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準群の中におきましては、同時被災をしない遠隔地にもバックアップを保存するということを書いておりますけれども、必ずしも全ての省庁がそういった措置がとれているという状況ではございませんので、引き続き内閣官房としてそういったことを促進してまいりたいというふうに考えております。

大熊委員 そういった意気込みは大変結構だと思うんですが、具体的に私の質問は、財務省以外はお持ちになっていないんですねというのは、ちょっと事実関係だけ確認したいということなんです。

谷脇政府参考人 そのように理解しております。

大熊委員 そうしますと、残りの府省というのは多分十二府省ということになるんでしょうか。どういう実施計画、三年以内に全部そろえるのか、その辺について何かございませんでしょうか。計画はありますか。

谷脇政府参考人 先ほど官房長官からも御答弁申し上げましたけれども、サイバーセキュリティ戦略、本年の六月に決定をいたしましたけれども、その中で、政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準群、この見直しを行うこととしております。具体的には、本年度中を目途に実施をしたいと思っておりますけれども、その中で、今委員御指摘の点も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。

大熊委員 この瞬間、サーバーが飛んでしまう可能性というのはゼロではございませんので、これは早急に整備した方がよろしいのかなということをまず指摘させていただきます。

 類似の点でございますが、内閣委員会でエストニアに参りましたときに、デジタルアーカイブズ、この設備、体制、非常にしっかりなっておりまして、ここの部分でも我が国は残念ながら大分おくれているのではないかなというふうに思うわけでございます。

 このデジタルアーカイブズについても、意気込みでも結構でございますので、一言、長官の方にお願いいたします。

谷脇政府参考人 政府保有の書類について、デジタルアーカイブ、これは国立公文書館の所管でございます。また、最近では、東日本大震災のアーカイブ、これは国立国会図書館と総務省が連携をして構築しておりますけれども、こういったものの情報保全というものについても取り組んでいく必要があるというふうに考えているところでございます。

大熊委員 一刻も早く、世界最先端の体制に我が国もなれるようにぜひお願いしたいというふうに強く期待をしております。

 続きまして、これは通常国会でも長官に、あるいは大臣にお伺いしたんですが、いわゆる官民ファンドのその後の進捗状況、モニタリング体制を含めた、アドバイザリー委員会の設置ということがなされているかと思うんです。

 私、昨日、ホームページを拝見させていただいたところ、残念ながら、六月十一日以降の議事要旨、もう半年近くもたっているのに出ていないというような状況になっておりまして、一般質疑でお伺いしようと思ったら、直近のが五月二十日でしたかね。非常にこれは情報公開という観点からも、半年近くも出ていないというのはどうなのかなというふうに思うわけでございますが、この辺、タイムリーに情報を出していただいて、それで一般質疑でもお伺いさせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 会議はやっていますので、また改めてそれは公開させていただきたいと思います。

 この官民ファンドにつきましては、本年五月に、世耕副長官を座長として、関係府省と有識者から成る官民ファンド総括アドバイザリー委員会を設置して、官民ファンドの運営状況等について検討を行ってきました。

 本会議のこの議論を踏まえまして、官民ファンドの運営状況について検証を行うためのチェック項目のガイドラインを取りまとめました。そして、本年の九月二十七日に、私が議長となって官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議を開催し、決定をいたしました。

 本会議のもとに設けられる、関係府省と有識者から成る幹事会を年数回の頻度で開催し、ガイドラインに基づいて、官民ファンドの運営状況等の検証作業というものもしっかりやっていきたいというふうに考えています。

大熊委員 個別には、PFIのファンドの関係、後で甘利大臣にお伺いしようとは思いますが、全体観としまして、官民ファンド総括アドバイザリー委員会、議事録は、最後に議事要旨が出ている五月二十日の部分を拝見しているところでございますが、政策目的に応じた投資案件の選定、選択が適切に行われたかということと、それから、投資実績が透明性をもって公開されているかというような、あと二つあるんですが、特にこの一番と二番、これらをチェックしていきたいというふうになっております。

 まず、この点は出ているとおりでございますが、一方で、ちょっと個別なので長官でなくて結構だと思うんですが、この内閣委員会でこの春に法案が成立しました地域活性化の方の官民ファンドでございますが、これは法律上、投資案件そのもの、特に具体名、企業名が公開されない、公開しなくてもよいという法律になっているかと思いますが、このことと、今申し上げた、投資実績が透明性をもって公開されているかというこの矛盾ですね、これをどういうふうに整理すればいいのか、事務方で結構ですので、よろしくお願いします。

吉川政府参考人 先ほど長官から御答弁させていただきましたとおり、官民アドバイザリー委員会の成果を踏まえまして、ガイドラインを取りまとめております。今後、ガイドラインに沿ってチェックしていく予定でございますので、その中でしっかり御指摘の点についてもチェックをしていきたいと思っております。

大熊委員 そうすると、地域活性化の官民ファンドについても、投資案件名、そして投資実績、それから時価がどうなっているか、この辺が公開される、そしてまた、こういった内閣委員会の場で議論できる、こういう理解でよろしいですね。

吉川政府参考人 今後行われるモニタリングの中で、どのような状況になっているのかということを把握した上で、適切な対応をとってまいりたいと思っております。

大熊委員 重ねてでございますが、公開をされるという認識で間違いないというふうに承知いたしますが、それでよろしいですね。

柴山委員長 吉川参事官、明確に御答弁ください。

吉川政府参考人 法令上不開示になっているものにつきましては、そのような対応をする必要があると思っております。不開示になっているものにつきましては、不開示だという認識でおります。

 以上でございます。

大熊委員 正直にお答えいただきました。だからこそ、私、先ほど申し上げました、透明性を持って公開されているかということと矛盾するんですね。

 ちょっと時間もあれなので、きょうは、この点はこのあたりにさせていただきます。

 古屋国家公安委員長にお伺いしたいと思うんですが、厳しいテロ情勢への認識という御発言があったわけでございますが、もし、安倍内閣、あるいはその後もなんでしょうか、積極的な平和主義ということになりますと、テロへのリスク、特にイスラム過激派系のテロのリスクというのが高まってくるのではないかなというふうに一般的には思うわけでありますが、この点について、厳しいテロ情勢の中の一部という御認識なんじゃないかと思いますが、一言お願いしたいと思います。

古屋国務大臣 やはり今の重大なテーマの一つに、問題の一つに、国際テロがあるのは事実であります。だからこそ、厳しいテロ情勢に鑑みということを私は発言をさせていただいたわけです。

 これは、一月にアルジェリア人のテロが発生いたしました。こういった状況を見ても、やはり大規模なテロというのは発生していまして、そのほかにも、テロの対象となり得る米国関係の施設、日本にもたくさんありますので、こういったことは否定できない。

 一月にも、TRT―2という国際テロリズム緊急展開班、これを派遣いたしましたけれども、今後とも、そういった派遣体制とか、あるいは情報の収集機能の強化、これは着実に私ども進めさせていただいております。

 また、国内のテロの問題についても、ことしの五月に、テロを想定して、福島の原子力発電所で、警察の特殊部隊と海上保安庁の特殊部隊が合同で訓練をさせていただきました。これは初めてのことですけれども、今後は、これに自衛隊の部隊も含めて、こういった三者がしっかり連携をするということも必要だということで、そういった計画も立てておるところでございます。

 いずれにしても、やはりテロを初めとする重大な犯罪に対して、しっかり警察としても対応していきたいと思っています。

大熊委員 繰り返して恐縮ですが、やはり私としては、積極的な平和主義ということになりますとテロのリスクが高まるというふうに思いますので、ぜひ、防ぐという観点から、先ほど拉致の話も出ましたが、事が起こってからではなくて、その前に防ぐ、そういう観点から、ぜひきっちりとよろしくお願いしたいと思います。

 あと六、七分でございますが、甘利大臣に、PFI推進機構の適切な運営の確保という御発言がありましたが、この点についてお伺いしたいと思うんです。

 具体的には、私どもはPFIのときはこの場で反対をさせていただいたんですが、それはなぜかといいますと、政府の資産を売る、要は売るということなんですが、そこに政府自身も半分買い手として入るわけなんですね。つまり、売り手と買い手が、利益相反の関係で政府が関与する、これがまさに官民ファンドでございますから、私どもは、民民ファンドならいいんじゃないかと。まさに諸外国で行われているPFI、これは民民ファンドでございます。

 つまり、売り手と買い手が同時に同じ人が入ってくる、利益相反の問題、これで何で適切な運営が確保できるのか、そもそも論で法案には、済みません、反対させていただいたんですが、そもそも疑問を持っているわけでございます。

 なぜこれで、利益相反の中にあって適切な運営の確保ができるのか、大臣に一言お願いします。

甘利国務大臣 まず、基本的に、PFI推進機構をどうしてつくるかといえば、そこに適切な民間のファンドが育っていない。そこが育ってきた段階では、これはフェードアウトしていくんだろうと思います。ですから、時限でやっているということであります。

 その上で、きちんとした基準に従って客観的に進めていくかということについては、総理大臣が定める支援基準に従っているわけであります。プロジェクトファイナンス等の専門的な知識、ノウハウを有する職員で構成する営業部門による案件の立案と、管理部門による審査、それから同様に、公正中立な評価、判断、そして監査役による支援委員会決定への意見陳述等々、適切な運営を確保する体制をとるための枠組みをきちっとしているつもりでございます。

 政府といたしましても、機構の行う個別の金融支援に対する意見陳述等を通じまして、必要な監査を行ってまいる所存でもあります。

大熊委員 そういった一般的な御答弁かと思うんですが、民間のファンドであればこういった利益相反のものは金融庁は認可されないはずで、私も金融業界出身でございまして、ファンドの運営もやっておりました。こういったファンドを例えば金融庁に持ち込んだら、もうその場で門前払いを食らうのではなかろうかというふうに懸念しておりますので、ぜひ、ずっと官が残るということのないようにお願いしたい。

 そしてまた、一言でちょっと、これはテクニカルなことなので大臣じゃなくて結構なんですが、サブデット、メザニンを入れますね、というスキームになっているかと思うんですが。

 そもそも、日本ではもちろんメザニンというのは余りないわけなんですが、これは、資金調達者側がニューマネーをたくさんとりたいからということでメザニンというスキームを入れるわけでございまして、基本的には、余り民間ファンドが育っていないときに、いきなりメザニンかとなると、非常に、基本問題をやらずして最初に応用問題から入らせるようなものでございまして、一般的には、これはちょっと無理があるというふうに思うわけでございます。

 しかも、このメザニンというのは、要はシニアデットより金利が高いわけですから、オリジネーター、つまり最劣後部分を持つ人からすると、もうかったものがより持っていかれちゃうわけですね、金利が高いですから、サブデットですから。そうすると、余り好ましくない、かつ、要するに、お金が足りないときに、何とかして投資家の目を引こうということで、お金が足りないときに、どうしてもしようがないからやるスキームなんですね。

 でも、今、日本の状況は逆ですよね。金融緩和で、私ども金融緩和は賛成しております、お金はある程度ある。でも、それが国債に向かっている。それを何とかこっちに振り向けよう、そういう状況で、逆、お金が不足しているんじゃなくて、お金が余っているという状況の中で、何ゆえ、このちょっと無理なスキームをやってきているのかというところがそもそも論でちょっとわからないんですが、一言お願いします。

持永政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として、お金の余っている状況があるのかどうかということはちょっと議論の脇に置かせていただきまして、個別のPFI事業、特にPFIファンドにつきましては、料金徴収型のPFI事業を対象ということで法律上明記しております。

 したがいまして、やはりどうしても需要変動リスクがあるということで、金融機関側にしても、またエクイティーの出し手にしても、やはりある程度、リスクマネーの供給額には限界があろうということで、リスクマネーの補完、あくまでも民間の投資の補完ということですけれども、リスクマネーの補完ということで、お金を機構が供給し、それで案件形成に持っていきたいという動機でこのスキームに至ったものでございます。

大熊委員 今の御答弁はよくわからなかったのですが、あと一分しかないので、また機会を見てお伺いさせていただきます。

 最後に、済みません、稲田大臣に来ていただいていますので、公務員改革について。

 自民党の中で調整に大変御苦労されているというのは漏れ伝わってきておりますが、一言、意気込みをお願いいたします。

稲田国務大臣 今回、ようやく、平成二十年の改革基本法に基づいて国家公務員改革の法案を提出することができました。

 明治以来と言っていいかと思いますけれども、縦割り行政の弊害を排して、そして、人事行政の積極的な使命を果たせる改革を推進してまいりたいと思います。

柴山委員長 質疑時間が終了しております。

大熊委員 ありがとうございます。

 四年前の甘利法案と比べても、ちょっと法文を見せていただくと、大分後退しているように思いますので、ひとつよろしくお願いをします。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、山田美樹さん。

山田(美)委員 自由民主党東京一区選出の山田美樹でございます。

 本日は、質問の時間をいただき、心から感謝を申し上げます。

 昨日、閣議決定がなされ、秋の臨時国会の重要テーマとなると言われております国家公務員制度改革と国家戦略特区について、質問をさせていただきます。

 私は、社会人としての生活の半分を霞が関で、半分を民間で過ごしました。霞が関から民間に転じたとき、官と民の間に大きな隔たりがあることに衝撃を受けました。物事が動くスピード感、顧客志向が生み出す質の高さ、極限までの効率化、民は官よりはるかに先を行っている、民間企業で当たり前のことをなぜ官にはできないのか、このままでは政府の政策は国民や企業から見捨てられてしまうのではないかという強い焦りが、私が政治を志した出発点でした。

 公務員制度のあり方をめぐって、これまで長年にわたって議論が繰り返されてきました。二度の政権交代を経て、政治主導とはどうあるべきなのか、改めて問われています。政治家にとって、霞が関批判は麻薬と同じです。官僚をたたけば票がふえる。しかし、長い目で見て、行政と手を携えて仕事をすることができない政治家には、政治家としての未来はありません。

 私は、昨年末の衆院選の大変苦しい戦いの中で、一言も霞が関批判を口にしませんでした。政と官、メディアを含めた終わりなき戦いをもういいかげんに終わりにして、前に進まなければなりません。日本の行政の長い歴史、日本を支えてきたたくさんの方々の中で、私は小さな小さな存在にすぎませんが、未来につながる改革の議論をしたいという切なる願いを込めて、きょうの質問に手を挙げさせていただきました。

 最初に、内閣人事局が管理職となる前の公務員に対して行う人事政策についてお伺いいたします。

 中央省庁の幹部職員の一元管理については、さまざまな意見の対立がありますが、その目的は縦割り行政の弊害の排除であることは、国家公務員制度改革基本法にも明記されているところですし、まずは、幹部職員に、各省庁に帰属するのではなく、内閣に帰属するのだという意識を持ってもらおうというのがそもそもの趣旨であったと承知しております。

 しかし、公務員にとって省庁への帰属意識が形成されるのは、むしろ幹部になる前の段階であり、既に採用段階から始まっています。現行の採用システムは、公務員試験の合格者を各省庁がとり合う仕組みになっていますので、各省庁は、リクルーティングや面接の段階から、学生のロイヤルティーを醸成する、あるいはロイヤルティーを試すようなことを行わざるを得ません。

 私自身の経験では、転機となったのは、課長補佐のころ、小泉政権下の内閣官房副長官補室で、霞が関の全ての省庁から集まった人々と同じ部屋で一緒に働いたときです。若手でしたが、自分は政府の一員であり、政権を支えているんだということを誇りに思いましたし、本省の経済官庁ではかかわることのなかった北朝鮮の拉致被害者問題のような案件にかかわることができたのは、貴重な経験でした。

 かつては、一括採用という議論もありました。しかし、本人の希望と異なる行政分野に配属になった場合、モチベーションが下がるという問題や、総合職だけ一元化して専門職は各省ごとというわけにもいかないなどの理由で、最近は、一括採用は余り議論になっていないと伺っています。幹部候補生は、幹部になるまでに必ず一回は他省庁や地方への出向を経験させるという努力目標や、年次に合わせて省庁横断的な研修をするなどの取り組みも、これまで既に議論し尽くされてきた感があります。

 内閣人事局になると、どのように今までよりもさらに踏み込んだ省庁横断的な政策が可能になるのでしょうか。内閣人事局が行う幹部候補育成の具体策について、稲田大臣にお聞かせいただければと思います。

稲田国務大臣 山田委員は、霞が関の経験、そして民間の経験に基づいて、今の貴重な立場に立たれて質問をされております。

 そして、今、山田委員がおっしゃったように、この公務員制度改革が第一次安倍内閣で始まって、三度の法案が三度とも廃案になる、しかも、それが政局の具に使われたり、そして、あたかも公務員バッシングのように捉えられた不幸な歴史があるかと思います。

 私が、今回、公務員制度改革に臨むに当たって考えていることは、決して今御指摘のような公務員バッシングに陥ることなく、本当に優秀な限りある霞が関の人材、国家公務員の人材を、最大限に効果を発揮していただこうと。そして、今日本は、今までの、かつてのように、省庁縦割りで人事をやり、省庁縦割りで人材戦略を練り、省庁縦割りで徒弟制度のような研修をして、全体として国が発展していくというような状況ではなくて、省庁を排して、もう政府一丸となって人事をやり、人材戦略をやり、そして優秀な人材を育てていく、そういう必要があるという思いで、今回の改革法案を提出させていただいているところです。

 そして、今御質問の幹部候補育成課程についてでございますけれども、今回の改正では、基本法を踏まえております。先ほど一括採用の問題が提起をされておりましたけれども、改革基本法の制定過程の中で一括採用ということは見送ったわけですけれども、その基本法を踏まえて、将来の局長や審議官など、幹部職員の候補となる人材の育成に資するように、課長などの管理職員として、その職責を担うにふさわしい能力、経験を有する職員を政府として総合的に計画的に育成する仕組みとして、幹部候補育成課程を設けることといたしております。

 具体的には、内閣総理大臣が定める統一的な基準のもとで、各大臣が、一定の勤務期間後、本人の希望と人事評価に基づき随時選定して、比較的若い年代から、内閣総理大臣による全政府的な研修、また各大臣による研修を受講させたり、他府省や民間企業、また国際機関等での多様な勤務経験の機会を付与したりすることで、幅広い視野、高い専門性やマネジメント能力を身につけていただくことといたしております。

 また、育成課程の運用に当たっては、内閣総理大臣は、府省間移動についての調整のほか、各大臣に対して運用状況の報告を求めることができて、必要な場合には運用の改善等を求めることもできるとして、的確な運用を確保いたしております。

 先生のように民間を経験された方にも、また霞が関に戻っていただいて、その経験もぜひ生かしていただきたいというふうに思っております。

山田(美)委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 次に、幹部人事の一元化について質問をさせていただきます。

 幹部人事の一元化については、かねてから根強い反対意見があります。数百人規模の人事を一元的に把握して、同じ基準で評価する難しさを指摘する声や、官邸が人事に介入すると、政治色の薄い地道な仕事に光が当たらなくなるという議論もありますが、むしろ、実際に省庁間の調整に膨大な時間と労力をとられる公務員の仕事の現実を考えますと、幹部人事が一元化されたら、本当に縦割りの弊害が減って、仕事が効率化されるのかというのが本質的な問題だと思っています。

 省庁の縦割りを克服する手段として、これまで、複数の省庁が絡む特命案件について、内閣官房や内閣府に担当室がつくられてきました。各省庁が人を送り込む、力の強い省庁が年次の高い人間を出してくる、案件によっては、省庁間の対立がそのまま内閣に持ち込まれるということも少なくありませんでした。今も内閣周辺には数多くの担当室がありますが、政権が直面するその時々の案件を何でも内閣に持ってくるやり方には限界があります。

 内閣人事局が主導して、幹部レベルで今までよりも踏み込んだ省庁横断的な人事が可能になるならば、三年、五年と経験を重ねるうちに、将来的には、本来その案件を所管すべき省庁に関係省庁の人材を分け隔てなく集めて対応することが可能になるのでしょうか。

 その際、あわせて検討しなければならないのが、能力、実績に応じた給与という問題です。努力した者が報われるべきという根本理念に給与面で対応できないのが公務員制度の悩みであり、若い世代やこれから公務員を目指す世代に希望を与えられない原因となっています。

 特に、幹部クラスとなりますと、各省庁の中では、現実に、OBも含めて先輩、後輩の関係があって、年次の序列に反するような給与施策は議論することさえ難しい中で、内閣人事局ならば、省内の論理を離れた客観的な立場から給与施策を推し進めることが可能になるのでしょうか。稲田大臣の見解をお伺いします。

稲田国務大臣 今回、内閣人事局で一元化する幹部職員の数は、基本法に従って、審議官以上の六百人規模といたしております。

 これについては、委員御指摘のように、それだけの人事を一元化できるのかというような懸念の声もあったわけですけれども、やはり、今のさまざまな政府一丸となって取り組まなければいけない問題、例えばTPPなどもそうだと思いますけれども、それには省庁横断的な人材の戦略の策定と、そしてその実施が私は必要であるというふうに思っております。そういう意味からも、今回の幹部人事を一元化する改革というのは必要であると思っております。

 そして、これによって行政の縦割りの弊害を廃止して、省庁横断的な幹部の人事を実現するとともに、今委員が御指摘のような、年功序列にとらわれない、能力、実績に応じた給与支給を含む処遇が可能になるというふうに考えております。

山田(美)委員 ぜひ強いイニシアチブを発揮してくださいますよう、お願いいたします。

 次に、民間人の幹部への登用について質問をさせていただきます。

 私は、官と民での経験を経て、民間で働く若い世代が、アドバイザーではなく、当事者として行政に参画する仕組みが絶対に必要だと痛感しています。しかし、現状では、民から官への人材登用は、特に幹部レベルでは、諸外国と比較しても非常に限定的です。その背景には、霞が関の人事・給与システムの特殊性があります。

 民間のエグゼクティブ人材の転職マーケットでは、個々人の報酬は、その人の経験や力量に応じて個々に決まります。具体的には、本人と雇い主が交渉して給与額を決める際に、前職での給与額がベースとなります。余人をもってかえがたいような有能な方、その分野で第一線で活躍されている方ほど、民間では高い報酬を得ていますし、そういう人をいざ行政に連れてくるとなると、公務員の給与体系にうまくはめ込むのが非常に難しいという問題があります。

 民間人を登用する幹部のレベルにもよりますが、例えば、局長級であれば、ある程度名誉職として、給与の額はそれほど問題にならないかもしれませんが、より実務の比重が高い課長級のポストなどにビジネスの最前線で働く若い世代を起用したいと思っても、その世代は民間ではまさに稼ぎ頭であり、給与が大幅に下がることが、民から官への転職をちゅうちょする理由になってしまいます。民間のトップクラスの人材を登用しようと本気で思うのならば、給与の問題は避けて通ることができない論点です。

 とはいえ、外から来た人間が生え抜きで働いてきた人間よりも高い給料をもらうとなると、公務員のモラールダウンにつながります。まずは、公務員制度の中での実力主義の給与体系をしっかりと確立した上で、公務員と民間登用の双方の整合性を持った給与施策を行っていく必要があります。

 一つの省庁の中では解決できなかった問題も、内閣人事局で、霞が関全体で取り組めば、弾力的な運用が可能になるのではないでしょうか。民間のトップクラスの人材に行政で活躍してもらう機会をふやすために、内閣人事局に何ができるか、稲田大臣のお考えをお聞かせください。

稲田国務大臣 官民交流は大変重要なことだと思っております。基本法においても、内閣人事局において官民の人材交流の推進を行うというふうにされていることから、今回の改正では、採用昇任等基本方針に官民の人材交流に関する指針を追加することとしており、政府としても、官民の人材交流を一層推進することといたしております。

 あわせて、官民人事交流法について、交流対象法人の拡大ですとか、さらなる人事交流の促進を図るための改正を行うこととしており、霞が関から民間に行って、民間のそのノウハウをまた霞が関で生かしてもらう、また、民間の方にも霞が関に来ていただいてそのノウハウを生かしてもらうというような、そういう双方の交流が図られる、拡大できるように工夫をいたしているところでございます。

 今委員御指摘の給与の問題、もちろん今すぐ解決できる問題ではありませんし、また、国家公務員になることによって非常にダイナミックな仕事ができるという側面もあろうかと思っています。霞が関が国民に信頼される開かれた組織となっていくためにも、官民の人材交流の促進は極めて重要な課題だと思っておりますし、今回の改正が実現することで、例えばNPO法人との間で人事交流が行われることも想定をされて、社会全体として公を担う環境が整っていく、公のために尽くしたいという民間人が霞が関に来ていただくということなども期待できるのではないかと思っております。

山田(美)委員 ぜひ、新しい組織のもとで官と民の交流がさらに進むことを期待したいと思います。

 内閣人事局の具体的な組織運営についてお伺いします。

 先ほど申しましたとおり、官邸主導が進むにつれて、内閣官房、内閣府に数多くの機能が集中してきましたが、内閣という看板を掲げただけでは、縦割りの弊害をなくすどころか、むしろ事務の複雑化を招く結果となるのは、前政権での国家戦略局が示してくれたとおりです。

 今回、新しく設置が検討されている内閣人事局は、総務省や人事院などの関係省庁から機能と人員を移転し、新聞報道によりますと、百人を超える大所帯となると言われています。

 人事局の職員は、発足から数年間はそれぞれの省庁からの出向で、二年たったら本省に戻るということになるのでしょうが、内閣で人事をつかさどる人間が何々省出身というのにも違和感がありますし、かといって、新卒を内閣人事局プロパーの職員として育てるというのも、人事や組織管理という職務の性質に鑑みると、そぐわないように思います。

 他方、ヒューマン・リソース・マネジメント、人的資源管理は、企業の組織管理においても、経験の蓄積が非常に進んでいる分野です。個々人の職務能力やポテンシャルを定量的に分析する手法や幹部レベルの能力開発など、民間の知見を生かしていくべきだと考えます。

 内閣人事局の長期的な人事構成、組織運営のあるべき姿と、民間の知見を生かす方策について、お考えをお聞かせください。

稲田国務大臣 今回の公務員改革の一つの大きな目的が、まさしく省庁の縦割りの弊害をなくす、何々省出身という省益のために働くのではなくて、国家国民、国益のために働く公務員組織をつくるということであります。

 政府一体となった人材戦略を練る、そのための内閣人事局が、今御指摘のような、省庁から来られて、その省庁のゼッケンをそのまま引き継いで内閣人事局で働いて、また省庁に戻るということは全くイメージしていないし、そういうことをなくすために今回の人事局をつくるわけであります。

 例えば、今私のもとにある国家公務員改革を進めるための事務局も、まさしく各省庁から来ていますけれども、全てゼッケンを外して、時には、親元に帰ると、何しに来たんだと冷たい目で見られながらも、国益のためにこの改革を進めようということで、機能が移管される省庁からも来ています。

 そういった本当の意味での国益のために働く官僚をつくるため、そしてそのための組織になるよう、民間のノウハウ等も生かして組織の運営等にも当たっていきたいと思っております。

山田(美)委員 ぜひ稲田大臣の強いイニシアチブに期待をしたいと思います。

 最後に、アベノミクス第三の矢の柱である国家戦略特区についてお伺いします。

 東京を世界で一番の町にしたいという言葉は、去る六月の東京都議会議員選挙において自民党が掲げたスローガンです。

 私は、社会人になってからニューヨークや上海、ロンドンで暮らしたことがありますが、整備された町、正確な交通機関、誠実な公共サービスなど、東京の暮らしやすさは世界の大都市のどこにも負けないという確信を持っています。東京には世界からビジネスを呼び込むことができるポテンシャルがある。その障害になっているのが、高い法人税率とさまざまな規制です。

 アベノミクスの成長戦略の柱となる国家戦略特区は規制改革に主眼が置かれていますが、税制措置はどのようなものになるのでしょうか。

 前政権のときに、国際戦略総合特区として定められた東京都のアジアヘッドクォーター特区では、特区エリアに新規設立される対象法人は、法人所得控除二〇%と法人事業税の減免で、通常なら三八%の法人実効税率が二六・九%まで引き下げられましたが、依然として上海、ソウル、シンガポール、香港に比べると高い水準です。また、対象となる法人が行える業務は、統括業務または研究開発業務のいずれかのみで、営業業務が行えない、エリア外に事務所を置いた場合は税の減免の対象から外れてしまうなどの厳し過ぎる制限のために、東京都が外国法人二千社に誘致を試みたうち、将来東京に進出する考えがあると答えたのは百三十社にすぎず、実際に誘致に至ったのはたった二件にとどまっていると伺っております。仏つくって魂入れずとはまさにこのことです。

 新しい国家戦略特区は、ビジネスを行う者にとって本当に意味のあるものであってほしいという期待が高まっています。ビジネスの世界はスピードが勝負です。七年後の東京オリンピックを視野に入れて、私たちは今、勝負に出なければなりません。国家戦略特区における税の取り組みについて、新藤大臣のお考えをお聞かせください。

新藤国務大臣 私たちがこの国家戦略特区のコンセプトを立てるときにまず総理から御指示いただきましたのは、我が国の経済成長戦略のかなめとなるような、そして象徴となるような特区をつくろうではないかということでございました。そして、その中で私どもが掲げましたのは、大胆な規制緩和と税制措置をもって世界で最もビジネスのしやすい環境をつくろうではないか、それをもって経済の成長の起爆剤となるような特区としよう、こういうことにいたしました。

 そして、まずは今国会に法案を提出させていただきました。各事業者からの御提案の中にある規制緩和項目を各省と調整いたしまして、今、十六項目ほどは実現が可能ということになったわけであります。

 加えて、税制の方につきましては、これは与党の税調プロセスが必要です。ですから、年末の税制改正に向けた作業、これを同時並行で進めておりますから、その時期が来ましたら、そちらの方も整理をして出せる、実施できるようになるというふうに思っております。

 何よりも、特区という特別な区域で、まず、そこでどこまでできるか試してみる、それで、その効果をはかり、よいものは全国展開をすればよいし、また、問題があるものは修正をしていけばいいということでございまして、いずれにしても、新しい経済を開くための取りかかりにしたい、このように考えております。

柴山委員長 山田さん、質疑の持ち時間が終了しております。

山田(美)委員 はい。

 日本が世界で一番の国となれるように、私も力を尽くしてまいりたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

柴山委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。

 まず、早速質問に入らせていただきます。

 私からは、日本における個人情報の保護体制の整備について聞かせていただきます。

 今日、日本、このIT社会の中にあって、ビッグデータあるいはパーソナルデータをいかに有効に活用していくか、それが国家の繁栄と発展の大きな鍵を握ると言ってもいいのかな、このように感じております。その上で、データを活用するためには、個人情報の保護体制をしっかりと整えた上でなければ、それがなかなか思うように進まない、そういった現実があると思います。

 残念ながら、先ほど視察に行ってこられた委員の皆様が話しておられましたけれども、EU諸国に比べると、個人情報保護に対する脆弱さというのがまだ日本にある。例えば、EUの会社から個人情報を日本の方に送ろうとしたときに、やはりその差があるがゆえにデータのやりとりに制限がかかっている、こんな現実もあるそうでございます。こういった問題に対しまして、しっかりと今、IT戦略本部の方で個人情報の保護に対する検討を進められている、このように聞いておるところでございます。

 また、さきの法案で、マイナンバー法案が通りまして、特定の個人情報に対してのそういった管理は進められる方向にはなっているんですけれども、例えば災害が発生したときなんかに、個人の基本的なデータと医療のデータ、これがもし一致していた場合に、その個人が違うところに避難をされた、その個人番号によって医療データがしっかり出せれば、どんな薬が必要なのかとか、どんな治療を受けていて、何があればその方の命が助けられるか、そういったことに対してスピーディーに対応できる、そんな現実も生まれるのかなというふうに考えております。

 そういった意味では、個人情報の保護というのは、識別番号を複数化していくことが、そこに意味があるのではなくて、保護、例えば情報を取り扱う管理者の制限とか管理をしていったり、あるいは情報のレベルに応じて多層化しながらそこにセキュリティーをしっかりかけていく、あるいは情報の不正なやりとりがないかどうかをしっかり監視体制を整えていく等の、そういったきちっとした体制を整えていくことが、今後の日本のデータの管理そして活用につながってくるように感じております。

 そういった意味で、国民の生命と財産を守る、また、これからのパーソナルデータ等の有効活用によって国家の繁栄と発展を進める上で、IT戦略本部としての個人情報の保護の整備に対しての考え方とか方針等についてお聞かせ願えますでしょうか。

後藤田副大臣 委員御指摘のように、パーソナルデータの利活用、これについての御理解もいただく一方で、やはり個人情報に対する保護、監視ということの重要性を委員おっしゃられたと思います。

 ただいま、現状、我々内閣府としての認識でございますが、まず、パーソナルデータの利活用、これを進めることは、新事業、新サービス創出を促進する重要な取り組みであるという認識をしております。一方で、委員御指摘のように、ICTが飛躍的に進歩して、個人に関連した情報の蓄積量というものが急速に拡大しております。その中で、消費者意識の変化、データの扱い方の変化、企業活動の委員おっしゃられたグローバル化、このような環境変化に伴う個人情報保護も含めた課題に対応する必要がある、このように我々はまず認識をしております。

 その中で、今政府では、本年六月十四日に閣議決定されました世界最先端IT国家創造宣言に基づいて、パーソナルデータの利活用ルールの整備に関する新たな検討組織として、パーソナルデータに関する検討会を設置しているところでございます。

 その検討状況でございますが、これまで三回開催しております。利活用及び保護の対象となるパーソナルデータの範囲について、パーソナルデータの利活用促進のための技術的、制度的な解決策についてなどの論点を議論しております。特に、委員御指摘のパーソナルデータの保護体制を有効に機能させるためには、パーソナルデータを取り扱う企業の活動を監視、監督等、独立した第三者機関の設置が必要であるとの強い御指摘がなされているところでございます。

 また一方で、委員御指摘の海外の状況はどうかということでございますが、監視、監督体制については、アメリカでは連邦取引委員会、イギリスでは情報コミッショナー等が存在をしております。また、本年七月に改定されましたOECDのプライバシーガイドラインにおきましては、新たに各加盟国に対してプライバシー執行機関の設置が求められているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、我が国の個人情報保護法制におきましても、独立した第三者機関が設置されていない、この状況は政府としても早急に改善すべき点だ、このように認識しております。

 政府といたしましては、以上の点を踏まえまして、引き続き、パーソナルデータ検討会、あと四回、五回と年内また議論がされる予定でございますが、その年内中に、個人情報保護体制に関する新たな法的措置も視野に入れました制度見直し方針を策定してまいりたい、このような状況でございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに独立した第三者機関としての個人情報の保護体制の整備、これは喫緊の課題だと思っております。積極的な取り組みをよろしくお願いいたしたいと思います。

 そこで、さきの番号法を受けて、いわゆるマイナンバー制度で、特定個人情報保護委員会設置、そういった方向で今政府の方で動いていると思います。この特定、いわゆる税、社会保障、防災等の特定の個人情報の保護委員会の設置に向けての現状についてお聞かせ願えますでしょうか。

甘利国務大臣 御指摘の特定個人情報保護委員会についてでありますけれども、これは来年の一月一日の設置に向けて準備中でございまして、先般、委員長及び二名の委員の人事案を衆参両院に提示をさせていただいたところでございます。国会の御了解をお待ちしているところでありまして、この委員長は、御案内のとおり、この分野の第一人者であります堀部政男先生に御就任をいただく予定でございます。

 現在、委員会の運営に必要な予算であるとか、あるいは機構定員及び委員会の立ち上げ時に必要な、スタートは全体で三十名程度でスタートしたいと思っておりますが、この実員の確保に向けて政府内で調整を行っているところであります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 今、スタートは三十名程度で、そして、番号法を受けての特定の情報に関する個人情報の保護、そういう観点で設置が進められているというふうに伺いました。

 ここで私は、先ほどもありましたように、諸外国に比べて個人情報の保護の体制が非常に脆弱であるという観点から、第三者機関として、決して特定ではなくて、あらゆる個人情報に対してしっかりとした保護、監視体制というものを構築する必要があるというふうに感じております。

 そして、今せっかくこの特定個人情報保護委員会、立ち上げられるわけなんですけれども、やはり将来この特定を取るという形で、個人情報保護委員会としての大きな飛躍を視野に入れた状態で、しっかりとした人員の配置あるいは予算の投入等を今のうちから考えながら計画的に進めて、まずは当然、この特定の部分から入るかと思いますが、広い視野で、また将来への発展性を考えながら、拡充する方向で進めていただきたいなというふうに感じているんですけれども、大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

甘利国務大臣 極めて大事な御指摘だと思います。現状では特定ですから、社会保障と税と災害防災情報に限っていますけれども、昨今、いわゆるビッグデータという話がどこでも話題になっているわけであります。日々取り扱われる情報量をいろいろな分野で利活用すれば、国民にとっても極めて有効な手だてになるのではないか。同時に、その時点では、個人情報をどうしっかり守っていくか。利活用と、情報をしっかり守るということを同時並行でしていかなければならないわけであります。

 そこで、政府のIT総合戦略本部、これは山本大臣の所管するところでありますけれども、ここに設置をされましたパーソナルデータに関する検討会におきまして、そうした視点から、独立した第三者機関の設置について検討されています。その中には、御指摘のように、現状の特定個人情報保護委員会を発展的に拡大させていって、それら全体を含めた個人情報保護体制をつくっていくのも一つの手だという議論がなされているところであります。

 いずれにいたしましても、御指摘の点を踏まえて、今後、いろいろな飛び交う情報、データを国民生活の利便性等に還元していくためのしっかりした体制を検討していきたいというふうに思っております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、個人情報の保護につきましては、独立した、そういった第三者機関として、当然、独立性、継続性、そして専門性を持って、日本の誇れる個人情報の保護体制、個人情報保護委員会というものの一刻も早い設置を目指して取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 昨今、ホテル等におけるメニューの問題に対する、そのことについて質問をさせていただきます。

 消費者がメニューあるいはそういったものを見て、ああ、これはすばらしいものだからと購入をしたり食べる、そういった状況の中にあって、小さいエビが全てシバエビ、中くらいのエビがクルマエビとか、業界の中でそういったことが横行しているような状況、さらに、食の安全、安心という面で非常に心配なのが、成形肉の部分が普通のステーキとして市場に出回ってしまっている、そういった現実も今回発覚したわけでございます。

 そういった問題につきまして、私たち、食の安全、安心というのは、生活の上で基盤となる、そういった問題であると思いますが、まず、今回のホテル等のメニューにおける問題に対する現状の調査状況、さらにこの再発防止に向けての取り組みについて、お聞かせ願えますでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 景品表示法という法律が対象になっておりますけれども、これは、事業者が、自己の供給する商品またはサービスの内容につきまして、著しく優良であると一般消費者に誤認を与える表示というものを禁止しております。

 報道のあります、ホテルにおけますメニューの表記につきましては、現在、この景品表示法に違反する事実があったかどうかにつきまして、当事者などからよく話を聞くなどいたしまして、必要な調査を進めているところでございます。

 また、業界全体での表示の適正化、これが図られますよう必要な対応をとるということにつきまして、森大臣より指示を受けております。

 消費者庁といたしましては、業界におけます表示の適正化に向けました自主的な取り組み、これを促進するための必要な措置を進めていきたいと考えております。

 また、今回のようなホテルにおけますメニュー表記といった問題につきましては、本件の調査結果も踏まえまして、さらに、必要に応じまして、業界全体での表示の適正化が図られますよう、適切な対応をとってまいりたいと考えております。

輿水委員 景品表示法ということで、その辺からしっかりと、優良誤認というお言葉が今ありましたけれども、そういったことがないように適切な対応を、今回、これがまだ氷山の一角と言われておりますけれども、こういったところを早目に、また広い視点できっちりと取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 最後に、革新的、先進的な技術による医療機器の審査の迅速化について伺いたいと思います。

 日本の再興戦略として、医療機器産業、これが産業の復興あるいは国際戦略における成長産業として重要な位置づけをされていると思います。今まで、日本の電機とか自動車産業、これは日本の物づくりを支えてきた基幹産業として大きく成長してまいりましたが、それに続く産業として、まさにこの医療機器産業、注目をされているところであると思います。

 そういった中で、この医療機器というのは、実際、現場で使われるためには、さまざまな治験等を含めた実用化に向けての検査、審査が必要になってくるわけでございます。そこの審査、今までなかった技術、例えば、見に行かれた方も何人もいるかと思いますけれども、今まで、生体の電位信号を受け取って、それに応じて動くロボットスーツ、そういったものが日本で開発をされ、そういった規格については日本でそういった標準安全基準というものをつくりながら、世界のそれが基準になっていく、そういった方向性で動いているものがあります。これが医療機器として生体電位信号を受け取る、そのやりとりをする生体の中の回路が損傷したものを、それをつけることによってまた回復してくる、そういう医療的な効果があるはずというか、あるということで、そういった治験が今進められているんですけれども、これは全く今まで考えられなかった新しい技術であり、革新的なものであると思うんですね。そういったものが、今までの考え方で治験をしていたのであれば、いつまでたってもなかなか国内での実用化が進まない。

 このものについては、ドイツではもう既に保険適用していく、そんなニュースも先日新聞で見させていただいたんですけれども、日本においてもまさに医療機器をこういった国際戦略として新しい基幹産業に成長させていこう、そういった視点があるのであれば、まず、この医療機器の審査等の迅速化が非常に重要である、この点についての取り組み、考え方についてお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。

成田政府参考人 御説明させていただきます。

 医療機器の審査の迅速化に向けた取り組みといたしましては、医療機器の審査の実務を担当しております独立行政法人医薬品医療機器総合機構、PMDAでございますけれども、におきまして、審査人員の増員や専門的知識の向上などの審査体制の強化、それから開発の早期の段階から治験などの相談に応じる相談事業の充実などの取り組みを行っているところでございます。

 また、現在国会で御審議いただいております薬事法の改正法案では、PMDAが審査を行っている大臣の承認が必要な医療機器のうち認証基準を定めたものについて、民間の第三者機関を活用した認証の仕組みに見直すこととしておるところでございます。これによりまして、PMDAの審査では、革新的な医療機器に重点的に取り組むことが可能となり、さらなる承認審査の迅速化が期待できると考えております。

 こうした取り組みを進めまして、医療機器産業の育成と成長戦略の実現に貢献していきたいと考えているところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 今、PMDA、革新的な技術、新技術に特化してそういった審査を迅速化していく、また人材も拡充をしていく、そういった問題につきましては、今は厚生労働省所管でやられているということですけれども、これは国家戦略的な体制として、しっかりとそこに産業を育成するという視点でも、政府を挙げて、総体的にそういった視点を持ちながら、日本の新しい基幹産業を育成していただければ、それが現場の中小企業のそういった成長にもつながる、このように考えておりますので、何とぞよろしくお願いをいたします。

 本日はまことにありがとうございました。以上で質問を終わります。

柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず、秘密保護法の作成過程について聞いていきたいと思います。

 この法案は、どのような検討を経て、こうした内容になったのか。作成過程について明らかにしてほしいと思います。

岡田副大臣 赤嶺委員の御質問にお答えをいたします。

 特定秘密の保護に関する法律案については、これまでも可能な範囲でその検討状況を明らかにしてきたところであります。

 具体的には、政府における情報保全に関する検討委員会及び秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議の議事要旨を公表し、また、有識者会議がまとめた「秘密保全のための法制の在り方について」を平成二十三年八月に公表しております。さらに、本年九月には、特定秘密の保護に関する法律案の概要を公表したところであります。

 現在、特定秘密の保護に関する法律案について、これを閣議決定し、国会に提出したところであり、法案の検討過程を今後より明らかにするよう努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

赤嶺委員 答弁にありましたように、今回の法案の土台となっているのは、民主党政権下の二〇一一年八月に公表された有識者会議の報告書「秘密保全のための法制の在り方について」であります。

 私の手元に、二〇一一年五月十九日との日付がある、「報告書案(反映)」とのタイトルがある第一次報告書案があります。これはどういう性格の文書ですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 有識者会議におきましては、平成二十三年一月から六月までの間に六回にわたり開催されまして、第一回から第五回会議において各論点について議論が行われました。この第一回から第五回会議における各論点について、事務局が報告書案の試案として作成したものが当初の案でございます。

赤嶺委員 五回行われて、第一回から第五回まで文書が出ていった。それが、第一回目、私の手元にある文書ですね。第二回目の文書を見ましたら、これは第一回目が五月十九日、第二回目は六月二日に作成をされております。

 第一次案から第二次案の中で大きく修正をされた点があります。例えば、罰則について、最高刑を十年とすることについては、第一次案には、現行の防衛秘密との整合性についてさらに検討すべきであると。現行の防衛秘密の罰則は五年で、現行の防衛秘密との整合性等についてさらに検討すべきであるという一文が第一次案にはありました。第二次案ではこれが削除されております。どういう経過で削除に至ったのですか。

岡田副大臣 お答えいたします。

 当初の案では、本法制における最高刑を懲役十年とすることも考えられる、この場合、現行の防衛秘密制度との整合性等についてさらに検討すべきであると記載をしてありました。

 これに対し、有識者から、犯罪の重大性に鑑みれば、刑の上限を十年より重くすることは困難だとしても、少なくとも刑の下限を定めるべきとの御意見をいただいたことから、二次照会において、さらに、法定刑を相当程度高いものとする観点からは、懲役刑の下限を設けることも検討に値するという一文をつけ加えることとなった一方で、委員御指摘の、この場合、現行の防衛秘密制度との整合性等についてさらに検討すべきとの記載については、防衛秘密制度との整合性を検討することは当然の前提となると考えられることから、これを削除することとしたものと承知しております。

 その後、政府内での検討の結果、本法案は、特定秘密の漏えい行為等についての刑の上限を懲役十年以下としておりますが、これは、特別防衛秘密の漏えいや営業秘密の開示行為等、窃盗罪の法定刑が懲役十年以下とされていることと比べても、国の安全保障に関する特定秘密の漏えいが国家公務員法の守秘義務違反にとどまることは、バランスを失し、特定秘密の漏えいを抑止する観点からも十分ではないと判断したためであります。

赤嶺委員 第一次案をつくるときに事務局が出したペーパーを見せていただきました。

 二〇一一年四月二十二日の有識者会議に出された事務局の提案は、「罰則等に関する考え方(事務局案)・論点」、こういう配付資料に記載をされておりますが、そこでは、「本法制の最高刑も懲役五年が適当」、このように提案をされて、「最高刑を懲役十年とすることも考えられる」との選択肢については、「特に現行の防衛秘密制度との整合性が問題となることから、その必要性や相当性について更なる検討が必要」である、こういうことが示されているわけです。

 そこで、お伺いをいたしますけれども、この第一次案というのは、皆さんは、誰に照会し、意見を求めたんですか。

鈴木政府参考人 第一次案につきましては、有識者会議の委員の方は当然のことながら、関係省庁に対しても意見照会を行ったところです。

赤嶺委員 第一次案から第二次案までの間に、有識者の意見は出ておりましたか。

鈴木政府参考人 具体的な細かいデータはちょっとございませんけれども、意見をもらっておると承知しております。

赤嶺委員 出ていたかどうかを確認して、後できちんと報告してください。

 関係省庁には回されたんですよね。関係省庁というのは、どういう省庁に意見の照会をしたんですか。

鈴木政府参考人 これは通例、防衛省、外務省、警察庁等に照会しております。

赤嶺委員 第一次案から第二次案そして最終案に至るまで、罰則の問題のほかに、司法手続の問題、国民の知る権利との関係、幾つか重大な論点が修正をされて、現在の報告書になっております。

 この過程で、各省庁や委員が意見を述べて、それに対して内閣調査室が回答を行っています。これらの内容を求めた文書を、私の方で、資料要求で内閣情報調査室から提出をさせました。これが手元にありますけれども、省庁の名前、例えば安危からどういう意見が出たとか、あるいは、いろいろな、防衛省とか外務省とか全部意見が出て、それについて、出てきた意見とその対応方についてやりとりがあったと思うんですが、私のところには真っ黒な文書しか来ていないんですね。全部真っ黒なんですよ、全部。

 これは何か隠す必要があるんですか。省庁間でどういうやりとりがあったのか、全て黒塗りで出してきた。何でこれを明らかにできないんですか。

鈴木政府参考人 失礼します。

 開示等決定を行った当時、政府におきましては本法案の法案化作業を行っていたところでございまして、今委員お示しの黒塗りの部分につきましては、関係省庁相互間における検討や協議の対象とされた事項についての具体的な内容が記載されているところでございまして、当該部分は法案化作業にかかわる内容であり、これを公にすることによって、率直な意見の交換または意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ等があるため、情報公開法第五条五号及び六号に該当すると判断したことから、不開示としたところでございます。

赤嶺委員 何で、これを公開することが公正な議論をゆがめたり、そういうことになるんですか。

 大体、TPPの問題だって、こちらに西川先生いらっしゃいますけれども、TPPをめぐっては、各省庁間でやりとり、全部公開されているじゃないですか。規制改革もそうですよ。特区や戦略についても、いろいろな省庁間の意見というのは、法案になる前にいろいろなやりとりがあって、そこから私たちはいろいろなことを知り、国民にとって大事な問題を提起していく。

 ところが、皆さん、これは全部真っ黒け。だから、これは秘密の文書なんですか。マル秘の秘の指定でもされているんですか。秘の指定もされていないのに、皆さん、公開しないということですか。

鈴木政府参考人 当該文書につきましては、秘には指定されておりません。

 ただ、情報公開法第五条第五号及び六号につきましては、秘に指定されていない文書であっても、率直な意見の交換または意思決定の中立性が損なわれる文書については非開示とできるとされております。

赤嶺委員 政府は意思形成をやりました。法案として成っています。この黒塗りの部分は全て公開して、国民の目の前に明らかにすべきだと思いますが、その点、いかがですか、副大臣。

鈴木政府参考人 現時点におきましては、法案が閣議決定されておりますので、今後、先生の御指摘の部分につきましては、不開示部分を開示するか否かについて早急に精査の上、対応したいと考えております。

赤嶺委員 国民に隠れて秘密にして、秘密保護法をつくり、何が秘密になっているか、これも秘密、その秘密に接近したら罰則が十年、十年になった過程も明らかにならない。これでは、審議の前提を欠いていると思うんです。

 我々は、そんな秘密保護法案はまず撤回すべきだということを申し上げて、官房長官がお帰りになりましたので、今週も毎日、官房長官に質問をやらせていただきましたが、きょうはちょっと立場を変えまして、長崎県の諫早湾の干拓で締め切られた、開門について質問をしたいと思います。

 今、諫早湾が締め切られて、しかし、漁業者の皆さんも頑張りがあって、二〇一〇年十二月に当時の福岡高裁から、国に調査のための五年の開門を命ずる判決が下され、国もそれを受け入れ、確定判決となりました。国は、開門命令を実施する義務を法的に負っています。開門期限はことし十二月二十日であります。

 農水省にまず伺いたいんですが、農水省は長崎の理解を得てと言いますけれども、開門に向けた農政局の対策工事は三回にわたり妨害をされております。準備作業としては、農業用の海水淡水化装置の設置や干拓地の被害防止工事なんですが、これは開門を進める上でぜひとも必要な対策工事であるわけですが、開門に反対する人々が、九月十三日と二十七日、十月二十六日の三回にわたり、農政局の工事を阻止いたしました。中には、農政局が立てた国有地という立て札も撤去され、農政局が国有地に入ることを阻止された。

 こういうような無法な阻止活動を農水省は容認するのか。まず、十二月二十日の開門期限を必ず守るのか、お答えいただきたいと思います。

實重政府参考人 諫早湾干拓排水門につきましてでございますが、委員御指摘のとおり、平成二十二年の福岡高裁判決の確定によりまして、本年十二月二十日までに国は開門の義務を負っております。開門した場合に被害が生ずるおそれがあるという地元の懸念に対応するために、国としては、防災上、農業上、漁業上の対策を提案してきたところでございます。

 今委員御指摘のとおり、九月から十月にかけまして、九州農政局が対策工事の着手を三度試みたところでございますが、地元関係者が多数集まって、工事場所への到達を阻止されましたので、工事の着手に至らなかったところでございます。

 この対策工事については、公共事業に該当いたしません。国が土地収用などにより強制的に工事を実施することは困難でありますので、いずれにしても地元の協力が必要でございます。実力で阻止されたことについては当方も抗議を行っているところでございますが、仮に工事の一部が着手できたといたしましても、工事を実施すべき場所には民有地とか私有地がたくさんございます。また、工事の施工に当たりましては、車両の通行ですとか資材置き場など、民有地を借り上げる必要もございます。

 こういうようなことから、地元の協力がなければ対策工事の全体を実施することはなかなか困難であるという実情がございます。粘り強く説得して、協力をいただきたいと思っております。

 それから、今委員御指摘の、国の看板を一時撤去するという行為があったわけでございますが、これは長崎県の職員によるものでございまして、長崎県は、県の管理権限がありますので、それに基づいているということを主張しておられます。ただ、当方としては、これは適切な管理には該当しないということで、県に対して強く抗議を行ったところでございます。

赤嶺委員 十二月二十日開門、これはもう国の義務ですから、それに不安を抱かせるような発言でありましたけれども。

 官房長官に伺いたいんですが、開門するという確定判決があって開門ができなければ、これは法治国家としての資格が問われてまいります。憲政史上例にない、前代未聞の不祥事だ、このように指摘をされております。政府全体の責任であります。この点、官房長官はどのように受けとめておられるのか、説明をいただきたいと思います。

柴山委員長 官房長官、時間が経過しておりますので、御答弁は簡潔に願います。

菅国務大臣 平成二十二年の十二月に当時の菅政権が最高裁に上告しなかった、このことによって開門は確定判決による国の義務になっておりますけれども、開門した場合、地元に被害が生ずることのないようにするためには対策工事が不可欠であり、開門と対策工事の双方を実施することが大事だというふうに思っています。

 今事務方から説明がありましたように、公共事業に該当する土地収用法等が適用されませんので、地元関係者の理解と協力が必要であり、粘り強くここは説得に努めていきたいと思います。

柴山委員長 時間が経過をいたしましたので、赤嶺君の質疑は終了をさせていただきます。

赤嶺委員 これは本当に政府全体の責任があるわけですから、総理も官房長官も開門のために全力を挙げて努力していただきたい、こういうことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 私に与えられた質問時間は十五分ということで、極めて短うございますので、答弁の方もより簡潔にお願いを申し上げたいと思います。

 まず、私は、マイナンバー制度のシステム整備についてお尋ねをいたします。

 法案が採決するときには、私は反対をいたしました。しかし、成立した以上は、巨額の税金を投入するシステム整備でございます。数千億円、あるいは、ランニングコストには百数十億円かかるというシステムの構築でございます。そういう視点から、現状、問題がないのかどうか、フォローアップの質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、このシステムのスタートですけれども、御承知のとおり、二〇一六年一月がスタートとなっております。

 今現在、システム構築の業者選定、あるいは契約状況についてはどのようになっておるのか、お尋ねをいたします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーのシステム、各関係省庁でいろいろなシステムがございますが、まず、内閣官房のシステムにつきましては、今年度中に調達をスタートしたいと思いまして、現在、意見招請をするような手続をとっているところでございます。そのほか、付番システムにつきましても、今年度中にできるだけ調達に入りたい。それから、国税のシステムの変更につきましても今年度中、それ以外につきましては来年度始めるような感じで現在検討しているところでございますけれども、現時点で、一番早いもので意見招請をするような段階に入っているというところでございます。

村上(史)委員 それでは、地方との統合が大きな問題にもなると思います。そのスケジュール感を教えていただきたいのと、それと、春の質疑でも指摘をいたしましたけれども、このシステム構築の中で、特許庁あるいは年金機構がシステムを構築するのに失敗をした、それ以上の巨大なマイナンバーのシステムを構築するに当たっては、この問題を早くクリアしないと同じ失敗を繰り返すのではないか、税金の無駄遣いをまた繰り返すのではないかと私は指摘をいたしましたけれども、その問題点のクリアについてどうなっているのか、お尋ねします。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 地方との連携につきましては、地方とのつなぎを行います中間サーバーにつきましては、総務省において現在開発中でございます。

 それから、地方団体での開発につきましては、翌年度、来年度の開発を目指しまして、どういうふうな財源措置をとるのかということを、今年度、これからの予算編成において決着していく必要があるというふうに考えております。私どもといたしましては、できるだけ地方に御迷惑をかけないように決着をいたしたいというふうに考えております。

 それから、いわゆる特許庁とか社会保険庁のシステムで、必ずしもうまくいっていない部分があるというのはもう既によく知られているところでございますけれども、前回の国会でCIO法案というのを通していただきました。現在、遠藤CIOが就任されておりまして、このマイナンバーの関係につきましても、CIOから既にヒアリングを十回以上、各省庁受けておりまして、厳しく指摘されているところでございます。

 これらの、まさに全体としてシステムが動くようなシステムをつくることを目指しまして、CIOの御指導のもと、開発してまいりたいというふうに考えてございます。

村上(史)委員 いろいろな取り組みをされているということはよくわかりました。

 それで、間違いなく二〇一六年にはスタートを切れるんだという確信を持ってお答えいただいたと思いますが、どうでしょうか。

向井政府参考人 正確に申しますと、二〇一六年一月に番号の開始でございます。二〇一七年の一月に各機関がそれぞれ連携するのを開始する。したがいまして、情報をやりとりするのは二〇一七年一月でございます。さらに、国と地方は二〇一七年の七月を目途としておりますが、これらにつきましては、十分間に合いますように、現在、鋭意努力しているところでございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 それで、次に、システムの調達について、これも春の委員会で質疑をさせていただきました。いわゆるTPPとの関連はどうなるのか、いわゆる海外からの競争参入についてどう扱うべきか、オープンなのか国内事業者で賄うのかという質問をさせていただきました。

 その折、総理からは、WTO政府調達協定では、公の秩序のために必要な場合を除き、競争入札を行うことを原則としている。甘利大臣も、WTOの原則に沿って行うというふうにお答えになり、また、TPP交渉に関しては、まだ交渉に参加をしていないので情報がありませんという答弁でございました。

 私は、その答弁を踏まえて、番号システムの調達は、公の秩序のために必要な場合に当たると理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

甘利国務大臣 TPPは、基本的に、この政府調達については、WTOの政府調達協定に準ずるということになっていくんだと思います。

 そこで、委員御指摘の、公の秩序のために必要な場合というのは何を指すかというと、これは、軍事的それから国家安全保障上の措置、それから国内の治安とか社会秩序、検疫とか環境保護、これに当たるかどうかということであります。綿密な精査はしているところであると思いますけれども、基本的には、安全保障上の問題に厳密には抵触をしないのではないか。

 と同時に、番号制度のシステムというのは、極めて高い技術力が求められるわけであります。これは、セキュリティーを含めた技術力。つまり、企業が国際展開していくに当たって、その国際企業というものは、当然、日本の国益を損なうようなことがあれば、その企業自身の評価にかかわってくるわけであります。高いセキュリティー、技術力、それとWTOの政府調達協定、TPP、これに準ずるものとの整合性をしっかりとって、間違いないものにしていきたいというふうに思っております。

村上(史)委員 個人情報の保護という観点から、公の秩序だと私は思っております。

 そういう面において、やはりシステムの調達あるいは構築に当たっては、安全保障には抵触しないのではないかという御答弁ではありますけれども、広い意味で、安全保障、個人情報の保護、そして国益の観点からいえば、やはり国内の企業あるいは国内の中で自己完結をすべきではないかな、そのことを指摘して、次の質問に移らせていただきます。

 菅官房長官に、もう時間も五、六分となりましたけれども、基本的な、国民の知る権利やあるいは国家機密は行政側から見てどうあるべきか、その観点から質問をさせていただきたいと思います。

 私自身も、国家機密等については当然守られるべきであり、また必要なものだという認識はしておりますけれども、どの内閣においても、国民の知る権利とそして秘密の保持というのは、相反する部分もありまして、大きなテーマ、問題であると思います。

 そういう視点から、安倍内閣はどういう視点でこの問題を捉えているのか、基本認識をお伺いしたいと思います。

 まず、国民の知る権利と国家機密との関係について、内閣の基本的な認識をお伺いいたします。

菅国務大臣 国の安全等に関する情報について、その漏えいを防止し、保護することは、我が国及び国民の安全を確保するために極めて重要だというふうに考えます。

 また一方、国民の知る権利については、憲法上、明文の規定が設けられているわけではありませんけれども、憲法第二十一条の保障する表現の自由と結びついたものとして十分尊重されなければならないという考え方に立っております。

村上(史)委員 もちろん憲法の条文では知る権利というのはありませんけれども、まさに憲法が規定する基本的人権の一つでもありますし、憲法の大原則でもあると思います。国民にとっては、情報が政治に対する判断の一つにもなります。

 そういう面で、国家機密という部分で秘密にしなければならないことはあるけれども、やはり基本は、国民のための情報であるという視点を持って、国民の知る権利を最大限保障していく、これはどの内閣においても共通した課題だと思っております。

 そういう面で、今の御答弁では、ありきたりの御答弁だったものですから、ひとつ踏み込んで、最後の質問にしたいと思います。

 それでは、間もなく審議も始まると思いますけれども、特定秘密保護法がございます。そのときに一番問題になるのが、国家機密の保護のために国民の知る権利の制限は許されるのかどうか、許されるとすれば、どのような基準でどこまでが許されるのか、基本的な内閣としての御認識をお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。官房長官、内閣です。

鈴木政府参考人 秘密を保護する必要性と政府の有するその諸活動を国民に説明する責任とのバランスを考慮しつつ、国の秘密の保護のための方策を検討することが必要であると考えております。

柴山委員長 官房長官、追加ございますか。

菅国務大臣 今答弁のとおりであります。

村上(史)委員 本当に、踏み込みにくいんでしょうけれども、でも、これはさまざまな委員会で、また御答弁を踏まえて質疑を深めていきたいと思っております。

 きょうは、どうもありがとうございました。

柴山委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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