衆議院

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第5号 平成26年3月12日(水曜日)

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平成二十六年三月十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      池田 道孝君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小林 史明君

      小松  裕君    新谷 正義君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      高木 宏壽君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      長島 忠美君    福山  守君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      大島  敦君    後藤 祐一君

      津村 啓介君    若井 康彦君

      遠藤  敬君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      村上 史好君

    …………………………………

   議員           松田  学君

   議員           近藤 洋介君

   議員           大熊 利昭君

   議員           後藤 祐一君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  稲田 朋美君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長)         川淵 幹児君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            千葉 恭裕君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     池田 道孝君

  川田  隆君     小林 史明君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     青山 周平君

  小林 史明君     川田  隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十五回国会閣法第一九号)

 幹部国家公務員法案(渡辺喜美君外五名提出、第百八十五回国会衆法第一五号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(津村啓介君外四名提出、第百八十五回国会衆法第一六号)

 国家公務員の労働関係に関する法律案(津村啓介君外四名提出、第百八十五回国会衆法第一七号)

 公務員庁設置法案(津村啓介君外四名提出、第百八十五回国会衆法第一八号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(渡辺喜美君外四名提出、衆法第一号)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 第百八十五回国会、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及びこれに対する西川公也君外七名提出の修正案並びに第百八十五回国会、渡辺喜美君外五名提出、幹部国家公務員法案、第百八十五回国会、津村啓介君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案、国家公務員の労働関係に関する法律案、公務員庁設置法案及び渡辺喜美君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案の各案及び修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長川淵幹児君、人事院事務総局人材局長千葉恭裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより各案及び修正案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 昨年の臨時国会、この内閣委員会において、この国家公務員法改正案については、与党の皆様方の御努力、そして稲田大臣を初めとした政府側の皆様の柔軟な姿勢、これに敬意を表したいと思います。

 何とか合意が成立したということを踏まえて、きょうは、幾つか確認的に、今後実際に運用していくに当たって、この法案の条文をどう解釈していくか、そして、今後まだ決めなきゃいけないことはいろいろあるでしょうから、これについて幾つか御質問を申し上げたいと思います。

 ちょっとその前に、あわせて、先日、閣議、閣僚懇談会の議事録作成について新たな方針が示されました。冒頭、これについて幾つか確認をさせていただきたいと思います。

 まず、現時点において、閣議及び閣僚懇談会については、正式な議事録、議事概要は作成していないということでございますが、後世というか後で、閣議で一体どういう議論があったのか事務的に確認するという意味においても、何らかの議事メモ的なものは作成しているのでしょうか。

加藤内閣官房副長官 今御質問ございました閣議あるいは閣僚懇のいわゆる議事メモについては、現在は作成しておりません。

後藤(祐)委員 きょうは、配付資料に公文書管理法がありますけれども、配付資料の二枚目の第四条一項のところは現行法です。二項のところは、これは我々が出している公文書管理法改正案で、二項を追加してはどうかという案を出しているわけでございます。

 この四条、現行の一項を見ますと、「意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。」となっておりますが、閣議における案件表あるいは配付資料以外の、実際に閣議で行われた発言内容、これがこの公文書法四条でいうところの「意思決定に至る過程」に該当することはあり得ますか。

稲田国務大臣 公文書管理法四条は、意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に後づけ、または検証することができるよう、文書の作成義務を規定しているところでございます。

 閣議の議論についても、公文書管理法第四条の「意思決定に至る過程」となり得ると思います。

後藤(祐)委員 そうしますと、閣議における発言内容が「意思決定に至る過程」になり得るとすると、それについての文書を作成する義務が、公文書管理法四条上、あるのではないですか。

稲田国務大臣 ただし、公文書管理法第四条は議事録作成を一律に義務づけているものではなく、閣議については、各行政機関において、閣議請議書など閣議に至るまでの文書を保有しているほか、内閣官房では、閣議案件表、閣議配付資料、閣議発言要旨などが保有されており、これらの文書を総合することにより、閣議決定等の経緯を合理的に後づけ、または検証することは可能であるというふうに認識をいたしております。

後藤(祐)委員 もう一回確認しますが、先ほど言ったように、案件表、配付資料以外の閣議における音声の発言内容が「意思決定に至る過程」になることはあり得ますか。もう一回確認します。その部分についてのみ、「意思決定に至る過程」になり得ますか。常になるとは申し上げません。

稲田国務大臣 公文書管理法四条の趣旨は、政策決定の過程について検証できるようということでありますので、あり得るのかという御質問であれば、あり得るというふうに考えております。

後藤(祐)委員 もう一回聞きます。

 明確な答弁、ありがとうございます。であるとするならば、そのような「意思決定に至る過程」になり得た発言内容については、文書を作成する義務があるのではないですか。

稲田国務大臣 あり得るかあり得ないかということであれば、あり得るということで御答弁をいたしました。

 ただ、閣議については、閣議に至るまでの文書については各行政機関で保有をして、内閣官房で、案件表、配付資料、また閣議発言要旨などが保有をされておりますので、それらの文書を総合することで、合理的に後づけ、検証することは可能であったのではないかというふうに思います。

後藤(祐)委員 そこが答弁いただけないのは大変残念ですが、そういう法律上の義務を果たせていないということもあって、今度、議事録をつくることになったと推察させていただきます。

 それでは、続きまして、NSCについてお伺いしたいと思いますが、NSCの議事録については、配付資料の三枚目。

 これは昨年の安全保障特別委員会の中で、附帯決議、これは案とありますが、これでセットされております。附帯決議となったものでありまして、その一という方には、「国の安全保障を損ねない形で速やかに会議録その他の議事に関する記録の作成について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」とされております。

 その後、NSCは設置され、これまで十三回開催されておりますが、この議事録及び議事概要をつくるかどうかについてはまだ決まっていないと事務方から伺っておりますが、このような附帯決議が付されているにもかかわらず、速やかにこの対応を決めないで会議を開いていることは問題だと考えますが、なぜ議事録ないし議事概要をつくるということを決定していないんでしょうか。

加藤内閣官房副長官 今いただきました資料のまさに附帯決議なども踏まえまして、国家安全保障会議の審議内容は機微な情報も含むので、公表のあり方や関連文書の作成及び取り扱いについては、国家安全保障会議の性質などを十分に勘案しつつ、また国家の安全保障を損ねない形でどういうふうにしていくのかについて、今鋭意検討させていただいているところでございます。

 なお、さはさりながら、では、今、作成方針が決定したときに、さかのぼって過去の分はどうなるのかという御指摘も含めていたのではないかと思いますけれども、それについては、何が話し合われ、結論がどういうものであったか、記録に残すことは大変重要であるというのは私ども認識しておりまして、これから具体的な作成方針をつくっていくわけでありますけれども、その方針が決まれば、それに対処でき得るようなことで今現状も対応させていただいている、こういうことでございます。

後藤(祐)委員 要するに、これから議事録なりをつくるということが決まった場合には、これまで開かれた分についてもさかのぼって議事録を、私は公開しろと言っていません、事後的にさかのぼって作成することができるような用意はしているという趣旨でよろしいでしょうか。

加藤内閣官房副長官 決議もございますけれども、基本的には、先ほど議論されております公文書管理法第四条というのがございますから、そうしたことも含めて、必要な対応がとれるような体制にはしてある、こういうことでございます。

後藤(祐)委員 ぜひ早目に方針を決めていただいて、事後的にでもさかのぼって議事録を作成していただきたいと思いますし、この方針は、附帯決議がきちっと付されておりますので、早く決めていただきたいと思います。

 そして、本来は、閣議においても同じなんですね。NSCにおいて、今のように、そういう方針が決まるときに備えて対応できるようにしているわけですから、閣議においても、そのときに備えて対応しておく必要があるんじゃないですか。特に今、四月以降の閣議及び閣僚懇談会における議事録は作成して公表、まあ公表というところまでするかどうかは、またちょっといかがなものかという点もあるんですけれども、とりあえずこれから後、まだ三月も何回か閣議がありますけれども、後で対応できるようにすべきではありませんか。

加藤内閣官房副長官 現時点では、具体的にどういう形で閣議のものを残していくのかということで、今鋭意検討させていただいておりまして、それを閣議決定して、それを踏まえて四月以降対応する、こういうことでございます。

 現状においては、先ほど大臣からもお話がありました、そうした資料を残しておりますので、そういった形で対応させていただきたい、こういうふうに思っております。

後藤(祐)委員 これは、NSC以外の、関係閣僚会議的なもの、閣僚が参加するような会議についてはおよそ全て該当すると思うんですね。今後、閣議及び閣僚懇談会、そしてNSCで議事録を残すというような形になっていくのであれば、その他の閣議メンバーが参加するような会議についても、公開するかどうかはまた別の判断があると思いますが、少なくとも議事録を作成すべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。

稲田国務大臣 今委員御指摘の閣僚会議等については、数多く存在することに加えて、設置根拠、運用も異なるという事情もあるため、公文書管理を担当する私のもとで運用の現状を現在調査をしているところであります。

 その上で、公文書管理法第四条の趣旨に基づいて、対応を踏まえた必要な措置を検討してまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 設置根拠はさまざまかもしれませんが、それら全ては、公文書法四条の「意思決定に至る過程」に該当し得るわけですよね。その点を確認したいと思います。

 公文書法四条で見たときに、そういった関係閣僚会議における、配付資料ではなくて、音声による発言は、四条の「意思決定に至る過程」になり得ますか。

稲田国務大臣 四条の趣旨は、重要な政策決定、そしてそれに至る過程を、きちんと公文書として後から検証できるように作成をしていくことを義務づけていると思います。

 そういう趣旨からすれば、なり得るのかという質問であれば、なり得ると思います。

後藤(祐)委員 はっきりとした答弁、ありがとうございます。

 なり得るのであれば、四条の趣旨からすれば、これは議事録を残す必要が法律上の義務だと考えますので、ぜひこれを踏まえた対応をお願いしたいと思います。

 ただ、私は、議事録を残すということと公開すべきということは別のものだと思っています。何でも公開されるのであれば、それは会議における発言が萎縮してしまう効果があると思います。これは、情報公開法の五条の不開示理由に該当するかしないかというところで厳密に判断すればいいというふうに思います。

 その上で、今回の閣議及び閣僚懇談会の、これは公開するそうなんですが、情報公開法に照らしてやるということなんですけれども、結局、萎縮効果が発生し得るんでしょうか。つまり、逆に言うと、今まで何で議事録をつくっていなかったのかということとも関係するんですが、この四月以降の閣議及び閣僚懇談会における議事録が残ることによって閣僚の発言が抑制されるのであれば、それは本末転倒だと思うんですね。

 この萎縮効果はあり得るんでしょうか、副長官。

加藤内閣官房副長官 今回の閣議や閣僚懇談会の議事録の扱いについては、今のあり方をもちろん前提にしているわけでありますけれども、そういう中で、作成、公表するに当たっての、国の安全等に関する情報など情報公開法の不開示事由に該当する内容は直ちに公表することにはならない、そういう形で対応していくというふうに思っております。

 したがって、そうした対応があれば、今御指摘がありましたように、閣議や閣僚懇談会における忌憚のない議論に支障が生じるということはないというふうに考えております。

柴山委員長 ちょっと質問と答弁がかみ合っていなくて、要するに、稲田大臣がおっしゃっているのは、そういう、要するに、意思決定プロセスにかかわることがあり得ると答弁しているのに対して、後藤委員の質問は、では、それも含めて全ての発言について議事録を作成しろというふうに言っているように聞こえるので、そこが何か聞いていて質問と答弁がかみ合っていないので、委員が何を残せというふうにおっしゃっているのか、もう少し明確に要望していただけるとありがたいんですけれども。

後藤(祐)委員 私は、かみ合っていたと理解していますけれども。

 先ほどの答弁で十分だと思いますし、どの部分が「意思決定に至る過程」に該当するかを判断するのは大変困難ですから、広目に議事を残す、現実的には全て残していくということが現実にできる対応だと思いますし、それを公開するという話と作成するという話はまた別の話ですから、議事録を作成することに関して、先ほどの答弁で、「意思決定に至る過程」に該当すると四条上つくらなきゃいけなくなるわけですから、それは法律上の義務なので、先ほどの答弁は相当重いものだと私は受けとめています。そこはかみ合っていると思います。

 その上で、副長官の先ほどの答弁ですけれども、萎縮効果がないんだとすると、情報公開法で、特に安全保障に関するようなものですとか不開示事由に該当するものは必ずしもすぐ公開するわけではないという形で担保されていれば、萎縮効果はないというふうにお話がありました。そうあってほしい。

 であるとするならば、私が恐れるのはここなんです。今、閣僚懇談会がなぜ存在するか。それは、閣議本番ではないけれども、閣僚懇談会で自由に議論をしてほしいというためにあるわけです。閣僚懇談会についても議事録を作成するという方針を示されています。議事録に残るんだとするとしゃべりにくいなという事情が発生したときに、閣僚懇談会後懇談会が発生するのではないか。

 閣僚懇談会後に各閣僚が話し合うような、正式ではなくて、実態として話し合いをするような場は設けられることはあり得ないと考えてよろしいですか。

加藤内閣官房副長官 まず、先ほどの答弁は、最初に申し上げた、今の閣議や閣僚懇談会のあり方を前提にしたということで我々は議論をさせていただいているということをもう一度申し上げておきたいと思います。

 その上で、新たな別途のものをつくるのではないかという御指摘ですけれども、先ほど申し上げたように、非公表という形もとることによって忌憚のない議論には支障がないだろうというふうに考えておりますので、当然、新たな懇談会を開くようなことは考えておりません。

後藤(祐)委員 今の答弁は非常に大事な答弁だと思います。特に、閣議において自由に発言をしていただいて、それをすぐ公開するのはいかがなものかということは私はあってしかるべきだと思うんです、閣議というのは最終決定の場ですから。

 ですので、場合によっては、情報公開法五条の五号というのは、こういった意思決定過程におけるやりとりというのは、理由がきちっとあるときには不開示にできるわけですから、そことの関係をうまく生かしながら、自由闊達な議論を妨げることのないような形で積極的な公開、それは求められて公開するのではなくて、積極的な、自主的な情報提供という形で対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それでは、国家公務員法改正案の関連に移りますが、まず、内閣法の関係を先にやっておきたいと思います。

 内閣法が、今回の国家公務員法改正で改正されます。配付資料の一枚目のところにその中の一部を出させていただきました。

 今回、内閣法の十二条二項、これは内閣官房の事務ですが、ここにこれだけ多くの具体的事務が追加されます。通常、今の現行の十二条二項というのは、内閣官房のいわゆる内閣補助事務の一般的規定だけが規定されているんですが、今回初めてこういう具体的な事務が規定されるんです。

 マイナンバー法、これも、私は修正をさせていただきましたけれども、マイナンバー法で内閣官房に事務を追加したときは、この十二条二項はいじらず、内閣情報通信政策監を追加して、監の事務として追加している。つまり、十二条二項はそのままで、そこの中のどこかで読んでいた。また、NSC法のときも内閣官房に国家安全保障局を追加しましたけれども、これについてもこの十二条二項はいじっていません。国家安全保障局を別途追加して、そっちの方に書いています。

 それは、内閣補助事務と分担管理事務の違いということを重視したゆえにそういう条文の書き方をしていたと思うんですが、今回余りにストレートな、具体的な事務を内閣官房にこのように追加するのはいかがなものかという気がするんです。

 改めて聞きたいんですが、今回移ってきた事務、特にわかりやすいのは十三号と十四号、これは、今、総務省の行政管理局の機構・定員に関する事務なんですが、現行では明確に分担管理事務です。それを内閣官房に移すことによって、分担管理事務から内閣補助事務に、やっている内容は同じだけれども性質が変わるという説明を事務方から伺っておりますが、そうなりますと、内閣補助事務というものは一体何なんだろうか、内閣補助事務の定義、これをもう一度確認したいと思います。

稲田国務大臣 内閣補助事務については、内閣の重要政策にかかわる機能、企画立案、総合調整、そのもののほか、これまでも、例えば、情報の収集調査に関する機能、また、法律案、政令案等の審査に関する機能といった機能も、内閣の重要政策に関する機能と連携し、これを支援強化する機能として内閣補助事務とされてきたところであります。

 今御指摘の内閣人事局が担う機能についても、内閣の重要政策に関する機能と連携し、これを支援強化する機能であり、内閣補助事務として位置づけるのにふさわしい機能であることから、また、国家公務員制度改革基本法の国会修正において、内閣人事局は、内閣補助事務と分担管理事務の双方を担う内閣府ではなく、内閣補助事務のみを担う内閣官房に置くこととされたことの趣旨も踏まえ、これを内閣補助事務と位置づけているところでございます。

後藤(祐)委員 今回はもうこの条文はいじれないからしようがないですが、今後、この十二条二項に個別の事務をどんどん追加していくようなことはやめていただきたいんです。

 今の大臣の答弁であれば、現行の十二条二項の二号「内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画及び立案並びに総合調整に関する事務」あるいは四号「行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務」こういった号で読めるんですよ。

 そういったもので読んだ上で、何とか監なり何とか局ではこういうのをやると後ろに置けば、今までのマイナンバーみたいなやり方にしておけば、内閣法の体系というのは崩れなかったんですが、今後、この十二条二項に個別事務を余り追加しないように、改めて要請をしておきたいと思います。

 その上で、総務省、特に人恩局、行政管理局、そして人事院からある程度の事務が内閣人事局に移りますが、このポストのスクラップ・アンド・ビルドを確認したいと思います。

 いわゆる組織が肥大化していないかということですが、事務方から聞いているところでは、内閣人事局に、局長は副長官が当たるということなのでいいと思いますけれども、人事政策統括官、局長級が二つふえて、審議官が一つふえて、参事官が十二、三枚ふえる。そのスクラップとして、総務省の人恩局の次長、行管局の審議官、あと行管局の管理官が六枚、人恩局の参事官が六、七枚、あと、人事院からは研修調整課長というのがスクラップになるというふうに伺っておりますが、この正確なスクラップ・アンド・ビルド関係を説明していただきたいと思います。

稲田国務大臣 内閣人事局の組織については、国家公務員の人事管理に関する戦略的中枢機能を担う組織として必要な体制をきちんと整えるということは重要であると思っております。と同時に、スクラップ・アンド・ビルドに基づく既存組織の合理的再編成により、その担うべき機能に必要な体制を確保することが必要だと思っております。

 具体的には、内閣人事局の定員百六十一名については、総務省人事・恩給局から百九名、同省行政管理局から二十名、人事院から十名のほか、内閣官房、内閣府から二十二名の内部振りかえ等により必要な体制を確保し、政府全体としての増員を行わないことといたしております。

 また、内閣人事局の機構でありますが、幹部職については、人事政策統括官二名、内閣審議官一名の新設に対し、総務省の局長級一名、次長、審議官級三名をスクラップするとともに、管理職については、内閣参事官十四名の新設に対し、総務省、人事院、内閣官房、内閣府の所要の管理職をスクラップするなど、スクラップ・アンド・ビルドを徹底しているところであります。

後藤(祐)委員 最後の所要のは、きちんと数は合っているんですか、課長級は。人事院も含めてですか。

稲田国務大臣 今の所要のところを具体的に申しますと、内閣参事官総括人事行政担当八名に対して、総務省人事・恩給局総務課、同人事政策課、同公務員高齢対策課、同参事官四名、人事院人材局研修調整課でございます。また、内閣参事官(機構・定員等担当)四名については、総務省行政管理局管理官四名。また、内閣参事官(内閣人事一元管理担当)二名に対して、内閣参事官一名、柔軟化定数の内部振りかえ、内閣総務官室企画官一名、内閣府官民人材交流センター関東支局長一名というのが内訳でございます。

後藤(祐)委員 企画官クラスまで入っているので、数だけではないようなので、後でこれはきちっと検証したいと思います。

 もう一つ、財務省との関係です。

 先ほどの配付資料の一枚目の十二条二項十一号、国家公務員の総人件費の基本方針、この権限というのは非常に大きな権限なんです。

 今、総人件費というのはどうやって決まっているか。これは、給与実態調査というのを財務省の給与共済課が各省に対して夏ごろ調査をかけます。これはつまり、来年度、順調にこのまま一年過ぎた場合には、この方が何級何号俸からここに移り、あるいは、この方は定年退職しというものを全部積み上げると、何級何号俸の人は何人ずつになりますかという見込みを出してくださいというものであって、これを全部足し上げると何とか省はこれだけの人件費になりそうですというものを調べるものが給与実態調査と理解しておりますが、それで間違いないでしょうか。

葉梨大臣政務官 財務省で行っております給与実態調査でございますが、総人件費の予算です。予算の総額の所要額を過不足なく計算するということで、毎年六月に各省庁に調査をお願いしております。

後藤(祐)委員 今私の言ったような内容で内容的には間違っていないか、はっきり答弁してください。

葉梨大臣政務官 内容的に申し上げますと、昨年の、つまり前年度の各号それから各級の人間が、何号俸が何人いてということを、詳細な調査をこれは求めるわけでございます。あくまでこれは来年度予算に計上する額、あるいは補正予算もあるわけですけれども、予算の所要額を過不足なく計上するという観点から行っているものでございます。

後藤(祐)委員 少なくとも何級何号俸に何人いてということは調べるわけで、私が聞いている限りでは、それが一年後にはどうなるか、定年退職する方とかいますから、そういったところまで調べていると伺っておりますが。

 さて、この給与実態調査なくして総人件費の見積もりは不可能ではありませんか。これは誰に答弁していただけばいいのかわかりませんが、給与実態調査なくして総人件費の見積もりをつくることはできますか。これは稲田大臣にお答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 今回、内閣人事局が担う総人件費の基本方針に関する機能は、機構・定員に関する機能と級別定数に関する機能を基礎とするものと考えております。

後藤(祐)委員 機構・定員と定数だけでは実際の総人件費は計算できません。できるとお考えですか。

稲田国務大臣 財務省がやっているところの調査のデータは必要だと思います。

後藤(祐)委員 そのとおりなんです。定員があいていたり、定数があいていたりしますから、実際に払う額というのは、給与実態調査がなければ計算できないんです。

 しかるに、この十一号の総人件費の基本方針、これを決めるに当たっては給与実態調査が不可欠だということが今の答弁の趣旨だと考えますが、この内閣人事局の十一号の事務を果たす上で、現在財務省で行っている給与実態調査は内閣人事局で行うべきではありませんか。

稲田国務大臣 給与実態調査については、国庫大臣である財務大臣が、予算編成全般としての観点から行ってきたところであります。

 今、データは必要であると言いました。情報は必要だと思います。しかし、その情報を全て内閣人事局が集めなければならないということではないし、別にそれが秘密であるというわけでもないわけですから、調査自体は財務省で実施して、その必要なデータを共有するということで今の総人件費の基本方針というのは策定できるのではないかと思っております。

後藤(祐)委員 なぜ給与共済課が給与実態調査をやっているかというと、財務省組織令二十六条六号に、「国家公務員等の給与に関する国の予算に関係する事務に係る処理手続の統一並びに必要な調整に関すること。」というのが根拠となっています。手続の統一、そのためにというのは私は余り納得しませんが、つまり、予算書に載っけなきゃいけないという程度のことなんです。

 実際に、何級何号俸を何人にするか、もうちょっと言うと、何級を何人にするか、これは定数査定にかかわってくるんですよ。要は、給与実態調査をやった結果、来年度、各省の言いなりでやるとこのぐらいまで膨らむけれども、これだとちょっと出し過ぎだからちょっと削らなきゃいけないといったときに、何級はもう少し削らせてもらおう、そういったことを考えながら定数査定をやることになるんです。

 その定数についての議論は昨年の十二月にしました。あの大議論の根拠というのは、まさにこの給与実態調査で来年どのぐらいになるかというのを見込みをしながらやる、まさにここは企画立案なんですよ。給与共済課は何で自分のところでやらなきゃいけないかというと、予算書上の統一性を図るために必要だということなのであれば、むしろこれは、内閣人事局が調査して定数を決めるというところもやるわけですから、内閣人事局が調べた結果のものを、予算書をつくる上で財務省が必要ならお渡ししてあげてもいいですよというのが本来ではありませんか。

 この給与実態調査を財務省がやっている限りにおいて、内閣人事局は総人件費について主導権は握れないと思います。いかがお思いですか。これは、稲田さん、まだこれからでもできる話ですので、大臣、意外にこの話は重要なんです。財務省が決めるのか、内閣人事局が決めるのか。総人件費を内閣人事局が決めたいのであれば、ぜひこれは、給与実態調査をきちんととりにいっていただきたい。大臣の覚悟を聞きたいと思います。

稲田国務大臣 まさしく昨年の臨時国会で大議論をして、級別定数に関する機能、これは、委員の御指摘も踏まえて、昨年十二月に「級別定数関係事務に関する見解」というものを本委員会にお示しさせていただいたところでございます。

 級別定数の設定改定のための、これまでの各省に提出を求めてきた資料やデータについては、国家公務員制度改革事務局、人事院、財務省が連携して精査を行い、必要な見直しを今行っているところであります。

 先ほど申し上げましたように、内閣人事局で全て調査を行う必要があるのかといえばそうではなくて、情報を共有して、その方針というのを策定することができるのではないかというふうに考えております。

後藤(祐)委員 実際、実務をやってみてください。これがいかに大事かわかりますから。どうやって総人件費が決まっているか、よく実態を聞いた上で御判断いただきたいと思います。

 それでは、国家公務員法改正案そのものの条文の内容を幾つか再度確認していきたいと思います。

 まず、四十五条の二、総合職試験に関する規定でございますけれども、この規定で政令で定める部分があるんですが、あるいは一般職試験であるとかほかの試験も同じなんですけれども、この試験で採用する人材像というものは、最初につくポストに求められる職務遂行能力なりだけなのか、あるいは、その後、役所の中で育っていって、やがて求められる能力、将来の人材像というものも含むのか。

 この条文だけ見ると、採用した瞬間の人材像であったりというふうにしか読めないようにも思えるんですが、この採用というのは、長い目で見たときに大変大事なものでありますから、採用した瞬間だけではなくて、その先の人材像も含めた採用をするような政令を、四十五条の二第一項にも二項にも政令がありますけれども、ぜひこの政令の中で規定していただきたいと考えますが、これについての稲田大臣の御見解をいただきたいと思います。

稲田国務大臣 国公法四十五条において、採用試験は、対象となる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的とするものとされております。

 ただし、標準職務遂行能力及び適性の有無は、既に勤務実績のある係員について、人事評価を通じて判定を行うことは比較的容易ですけれども、新たに採用する、勤務実績のない、勤務経験のない学生を対象として行う採用試験は、人事評価とはまた別の観点から判定する必要があるかと思います。

 このため、今回の法案については、人事院による採用試験の設計の基礎とするため、また採用試験の受験者にとっての指針とするため、政令により、採用試験によって確保すべき人材像を政府として明示することといたしております。

 この政令を策定するに当たっては、学生の段階から実務で用いるような専門的知識を有しているということはむしろまれであること、採用試験により採用した職員については、多くの場合、長期継続勤務及びそれを通じた育成が想定されていることを留意する必要があると思いまして、今委員が御指摘のとおり、採用後の伸び代であるとか可能性というものも考慮した適切な内容になるよう引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 特に後段、大変重要な答弁だと思います。これは条文だけ読むとかなり苦しいんですが、私は、そうでなければ採用は成り立たないと思いますので、ぜひ、最初につくポストだけではなくて、その後のこともよく考えた採用方針で試験もやっていただきたいと思います。重要な答弁だと思います。

 五十四条、採用昇任等基本方針、これは、幹部職も含めて全てに適用されるものだと事務方から伺っておりますが、この中で、二項五号、任命権者を異にする官職への任用に関する指針というものがございます。これは、いわゆる府省間交流であったり、他省庁の方をできるだけ任用しましょうということだと思いますが、これについては、現行の採用昇任等基本方針というのは平成二十一年に閣議決定されていて、課長以上の「官職に就いている職員についても、任免権者は、相互に交流対象官職の拡大に努め、府省等間の人事交流を推進する。」とされておりますが、これをしっかりやっていただきたいんです。

 内閣人事局を今回これだけ苦労されてつくって、実際運用するのも大変だと思いますが、結局、各省の中での人事というものを追認するだけだったら、実質的な意味は非常に薄くなってしまうと思うんです。ぜひ、各省の中で、幹部職の中で、一割なのか二割なのか三割なのかわかりませんが、ある一定以上は、ほかの省であっても民間でもいいと思いますけれども、その組織で下から来た人以外の方を任用してほしいというようなことを方針として決めるべきではないでしょうか。

 この採用昇任等基本方針の中なのか、あるいは、幹部の任用に当たっての方針という形でもあり得ると思いますが、この幹部職の任用に当たっての外部人材の導入についての稲田大臣の見解を聞きたいと思います。

稲田国務大臣 まさしく、今回、内閣人事局をつくることの意味は、今までのような硬直的な人事ではなくて、やはり省庁横断的な、国益の観点からの戦略的な人事を行うことであります。

 縦割り行政の弊害を排除して、各府省一体となった行政運営を確保することを目的に、今回の法案の成立を目指しているわけですけれども、今委員が御指摘になったような、政府全体の人事方針について、人事交流を推進する基本法の考え方を踏まえ、適切な幹部人事を行うことができるような仕組みというものを構築していきたいと思っております。

後藤(祐)委員 少なくとも先ほどの閣議決定もそうですし、平成六年にはもうちょっと具体的な数字もあります。こういった具体的な数字を踏まえた方針というのを示さないと結局実現しませんので、この方針をつくるときは、場合によっては、この六十一条の四の任免協議のところに関しての規定の政令、この中で書くこともできると思いますので、ぜひ、稲田大臣のリーダーシップを期待したいと思います。

 もう一つ確認したいと思いますが、六十一条の三、これは採用だとかそういったところの規定なんですけれども、幹部職の話ですね、幹部候補者名簿に記載されている者からの任用ですが、民主党案、政権にいたときにつくった条文ですが、そのときは、内閣との一体性の確保にも配慮して任用を行うという一文が加わっていたんです。それが残念ながら今回抜けてしまっているんですね。

 つまり、明確に内閣の重要な方針に反するようなことを言う方を局長だとか部長にするわけにはいかないということはあると思うんです。例えば、集団的自衛権の行使の問題をあれだけやっているときに、防衛省の局長か何かが違うことを言ったら大変なことになるわけです。実際そういう人事は行われないと思いますが、ただ、この方はきちんと候補者名簿に載っていて、能力上はある、しかも、その当該省庁からこの人は局長でよろしくと来たときに、何を理由にはねのけるんですか。

 つまり、内閣との一体性の確保にも配慮してという条文が除かれちゃったのは大変残念なんですけれども、ぜひ、任免協議に関する六十一条の四は、政令がこれから決められることになっていますので、今の、内閣との一体性の確保にも配慮してという趣旨をその中に入れていただいて、今言ったようなネガチェック、政権にとってのネガチェックができるような趣旨を盛り込むべきだと考えます。

 政治主導の人事というのは、私は、いたずらにはねちゃいけないと思うんですけれども、最低限のチェックというのは必要だと思うんです。これについての稲田大臣の見解を聞きたいと思います。

稲田国務大臣 内閣人事局また今回の法案の趣旨からすれば、内閣全体の視点を有する観点からのチェックを行い、適切と判断された人物が幹部候補者名簿に記載されることになるというふうに考えております。また、任免協議において、内閣総理大臣及び内閣官房長官は、内閣の重要政策に対応した人材配置の観点から意見を述べるようになるというふうに思います。

 縦割り行政の弊害を排して、各府省一体となった行政運営を確保するために、今回の内閣人事局を設置するわけでありまして、今委員が御指摘になった点、大変重要だというふうに思っております。そして、そのような一元管理の仕組み自体がそれを担保する、今御指摘になった内閣の一体性の確保というのは、そういう仕組み全体で担保することができるようになるというふうに考えております。

柴山委員長 質疑時間が終了しました。

後藤(祐)委員 政令、物すごく細かいのがいっぱい来ると思いますが、今言ったようなところが政治家が見るべきところですので、ぜひ、大臣の目でよくチェックいただいて、規定していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、杉田水脈君。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。どうぞよろしくお願いいたします。

 この国家公務員法の一部を改正する法律案につきましては、昨年の臨時国会のときから引き続きこのように質疑がなされておるわけですけれども、政府案につきましてはさまざまな角度から皆さん質疑されていると思いますので、きょうは、日本維新の会とみんなの党が共同提案いたしました対案の方について質問をさせていただきたいと思います。

 まず一点目に、内閣人事局についてです。

 政府案の方は、人事院それから総務省、財務省の機能を統合して創設する、政府案の方は、人事院とかの関連の、総務省とかの機能はそのまま温存をしている形で、また新たに内閣人事局ができて、今までからさらに意思決定する機関がふえるみたいな、さらにややこしくなる、さらにしがらみがふえるといった形になっているかと思うんです。ここの部分をきちっと機能を統合して創設をするという形になっておりますけれども、人事院に左右されない機能になっていると思うんですけれども、そこのところを具体的に説明をいただきたいと思います。

松田議員 今、杉田委員御指摘のとおりでございまして、人事に関する機能は、現在、政府の中で一元化されていないということで、総務省、人事院、財務省などに分散されている。内閣人事局は、幹部人事を一元管理する、そして、人事に関する機能も一元化して、内閣主導の幹部人事を支えることができる体制をつくるということが趣旨でありますが、政府案では、任用、採用、その他いろいろな事務について、内閣人事局と人事院との間で複雑な業務分担になっている。また、級別定数の設定も内閣人事局の権限とはなっていますが、人事院の意見を十分に尊重するという規定がありますので、人事院の関与が大幅に残っているということになっています。

 また、先ほども議論がありましたように、財務省の給与関連予算の機能が内閣人事局に移管されていない。そういった意味で、一元化が非常に不十分であるということで、私どもの提案では、これも基本的に一元化し、人事院の意見を十分に尊重するという規定も置いておりません。

 結果として、内閣人事局は、人事院に左右されることなくその機能を十分発揮できるというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

杉田委員 この国家公務員法の改正の問題は、さまざまな、もう本当に大分前からいろいろな法案が出されていまして、その変遷というものもこの質疑の中ではかなり皆さん突っ込んでお話をされていたと思うんですけれども、もともとは、人事院も、廃止ぐらいまで行くようなきつい案があったりとかする中で、結局は、今の政府案、このような人事院がかなりまだ関与が強いというような形に残ってしまっています。

 もしもこの維新の会とみんなの党の共同提案という形が通りまして、人事局についてはそのような人事院に左右されないような機能をきちっと持つということになった場合に、行きつ戻りつしているということは、多分かなり抵抗が大きかったんじゃないかと思うんですけれども、もしこの我々の言っている法案が通って、内閣人事局が人事院から独立した形で機能するようになるためには、どのような抵抗とか、これを踏み越えていかないとだめだとかというようなことは想定されていらっしゃいますか。

松田議員 もともと、現在の官僚制度が、いわゆる中央集権ならぬ中央分権と言われるように、各省庁がそれぞれ並立してそれぞれ独自の世界をつくっているというのがこの日本の意思決定、もう時代にそぐわないということでありますので、やはりここは、それぞれが個別省益を追求していけば全体最適が実現される時代から大きく変わったということを踏まえて改革しなければならない。

 これに対しては、今までの仕組みに全てをかけてきた各省庁の官僚たち、特に今の幹部職員は大きな抵抗をする。これは、陰に陽にいろいろな意味での抵抗が内閣主導人事に対して行われることになると思いますので、その意味でも、内閣人事局というのは相当強い権限を持たなければいけない。これも私どもの提案した趣旨でございます。

杉田委員 今、幹部の登用の話が出ましたけれども、続いて、幹部職に若手とか民間人とかを起用する場合のことについてお尋ねをしたいと思います。

 幹部国家公務員法案ということで、ここの部分を変えていかないといけないというふうには思うんですけれども、若手でも、非常に有能な人がいれば大抜てきをして幹部にするというようなことは、もう民間では当たり前のように行われているんです。

 それから、私が勤めておりました地方公務員の世界でも、結構年功序列というのが大分崩れてきておりまして、若い方が上司として課長にいて、部下の方の方が年上でとか、入ったのが古いとかというようなことも、これは多々ある、もう当たり前になりつつあるんですけれども、やはりそこの部分が、私の目から見ても、国家公務員の世界というのはすごく硬直しているように思うんですね。

 政府案の方では、いわゆる身分保障がそのままになっているんですけれども、この身分保障を緩和して有能な若手を登用できるようにするというのが共同提案の方には書かれております。具体的にどのような仕組みになるのか、御説明いただきたいと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

松田議員 御指摘のように、若手の人材を登用できるということは、内閣主導の人事の上でも非常に重要な要素になってまいると思います。その意味で、今回の改革では、民間人だけではなくて官庁の中でも優秀な若手を起用できるようにと。

 そのためには、政府案では、特例降任として次官から部長級までの入れかえを弾力化するということにとどまっておりますので、いわゆる幹部職員から外すということができない状況になっている。そうなってきますと、幹部職員の枠の中になかなか若手が入っていくということが非常に難しいということになりますので、大抜てきということをやろうと思っても実現できないという要素が非常に強いわけでございます。

 そこで、私どもの法案では、一般職といわゆる政治任用職の中間形態のような位置づけで、幹部職員を特別職という扱いにいたしまして、内閣における行政の遂行を最大限に行う上で必要と判断するときには、幹部職員から外して管理職員である課長級まで特別降任することができるということにいたしました。これによって弾力的な人事管理を行えるようにすることになりますので、若手を幹部に登用することがより容易になるというふうに考えております。

 なお、私自身の経験で言いますと、私も大蔵省、財務省におりましたが、自分が一番優秀であるという人たちの集まりなものですから、その人たちの間でいわゆる差を設けるためには年次という序列をつけるしかなかったという実態がありまして、これを各省庁に委ねておりますと、やはりそこからなかなか逃れられないということでありますので、そこはやはり内閣主導で人事のやり方を刷新していくしかないということであろうかと思っております。

 以上でございます。

杉田委員 ありがとうございました。

 次に、退職管理の適正化について御質問をしたいと思います。

 いわゆる天下りの問題なんですけれども、こちらは、自民党が野党時代に提出した法案には天下りのあっせんに関して刑事罰を適用すべきだというような考えがあったんですけれども、今回の政府案では外されています。ここはもう何回も議論になっているところかと思うんですけれども、これはやはり、日本維新の会とみんなの党の共同提出の法案の方では、しっかり刑事罰の規定を設ける、罰則規定を設けなくてはならない、そういう考えが盛り込まれています。

 具体的にはどのような罰則規定を想定しているかということが一点と、それからもう一点お尋ねしたいんですけれども、先ほども松田議員の官僚時代のことの経験を交えて御答弁いただいたんですけれども、今回もちょっとその経験を交えて御答弁いただきたいんです。やはりこれは罰則規定がないと天下りはなくならないものじゃないかなと私は思っているんですが、そのあたりの経験を踏まえての意見とかをお聞かせ願えたらと思います。

松田議員 お答えいたします。

 維新・みんな案では、国家公務員法第百六条の二第一項の規定に違反して他の役職員等に関する天下りのあっせんをした職員に対して二十万円以下の罰金に処するということになっております。

 現在の国家公務員法では、天下りあっせん規制に違反した場合のペナルティーとして国家公務員法上の懲戒処分というものがあります。この点について、今回の政府案は、もともと二〇一〇年に、自民、みんなの党の共同提案においては刑事罰というのが盛り込まれておりましたが、今回はそれが抜けているということで、改正になっていないという状態になっております。

 これは、平成二十五年三月二十六日に再就職等監視委員会によって公表された元国交省審議官の事例というのがございまして、これは、既にやめた職員に対してあっせんをしたということで調査をしたところ、その事実が判明した。しかし、現在の規定では、現在職員である者がやめるときのあっせんでないと国家公務員法上の処分をできないということで、これは何らのおとがめもなしということになった事例もありました。

 加えて、今度は、刑事罰にした方がいいと考えておりますのは、国家公務員法上の処分だけですと、裏でいろいろ天下り的なことが行われているんじゃないかということの疑念をなかなか払拭できない。私どもが考えている公務員の今後のあり方として、やはり自分の実力で再就職をしていく、キャリアを積んでいくというのは、これは私は大いに自由にやるべきだと考えていますが、そういった方々についてまで、あれは省庁の天下り人事である、どこどこ省庁出身のというレッテルを張られていくというのは、本人にとっても大変不幸なことでありますし、なかなかこれは官民の人材交流の妨げになる。

 こういった疑念を持たれないためにも、刑事罰であればさすがにそういったことは行われないだろうというふうに世間も理解するようになると思いますので、その面からも私は刑事罰にした方がいいというふうに考えて、提案をさせていただいたところでございます。

杉田委員 先ほどの答弁にもあったんですけれども、裏で天下りらしいことが行われているというようなことで、きのう、私のところにいろいろレクに来られた方が裏下りとおっしゃっていて、私は裏下りという言葉を初めて聞いたんですけれども、実は、その裏下りの実態把握が全くできていないというような現状もお聞きしたんですよ。そういうところもしっかりしていかないと、どんどんどんどん抜け道ができていってしまう。そのためにも、私もやはり罰則規定というのはしっかりとつけていかないといけないと思っております。どうもありがとうございました。

 最後になりますけれども、国家戦略スタッフ、そして政務スタッフの登用についてという、この部分が、我々の法案は政府案にプラスして追加をされています。

 国家戦略の部分というのは、ここの内閣委員会の中でも何度も、ほかの法案、特区とかででも議論をされておると思うんですけれども、しっかりとしたスタッフにしていかないと、やはり国家戦略というきちっとしたものがつくっていけないというふうに思うんですけれども、現状はまだまだ国家戦略が脆弱な状態だというふうに私は思っているんです。

 政治主導を強化して、そして国家戦略スタッフ、政務スタッフというのをきっちりした方々を登用していく、そこの部分について、どのような人材が必要とされているのか、そして、そのすばらしい国家戦略にたけた人材をどのように登用していくことを松田委員が考えているのかというのをお尋ねしたいと思います。

松田議員 どのような人材を登用するかは、私は、基本的には時の政権や各大臣がみずから考えるべきことだと思っております。

 逆に、こういう状況をつくりますと、閣僚たるもの、大臣になったら官僚がみんなサポートしてくれるということではなくなって、みずからのスタッフは自分で起用するという状況をつくりますと、個々の政治家が、自分が閣僚になったらどういうことをするのかということを常日ごろから考えることを促すことになる。やはり、真の政治主導というのは政治家みずからの自覚から生まれるものと考えておりますので、まずはそういうことだと思います。

 その上に立って、私は、二つばかり、想定される人材として申し上げたいと思います。一つは、いわゆるチームということをつくっていきやすくなる。単なる補佐官が個別にサポートするのではなくて、例えば官邸には、時の総理や政権の考え方を最も深く理解して、各省庁にもにらみをきかすことができる、そういう政権チーム。各省庁大臣のもとには、大臣みずから遂行したいと考える政策を企画して、各局の官僚をリードできる政策チームを構築するということだろうと思います。

 政治家の側では、自分でスタッフを選ぶんだということになりますと、常日ごろから、そういった方々といろいろと勉強をしたりとか、意見交換をしながら、では自分が閣僚になったときにはこういう人たちを入れようということで、日ごろの研さんという意味でも非常に大きな効果があるのではないかと思っております。

 また、それにふさわしい人材は別に民間だけではなくて官庁の中にもたくさんいると思いますけれども、そういった、官僚からノミネートされた場合に、その出身官庁の側では、そういった方をサポートして、任から離れた後も、その処遇にちゃんと留意してあげるということも一方で必要になると思います。

 それからもう一つは、私は、官邸に、いわゆる国家戦略スタッフとして広く一般国民の立場に立って省益を横断し、横串をして、そして全体システムを設計できるような設計者というか、かつ、各省庁に対してもそれをリードできるようなすぐれた人材を各界から募って、日本は非常に大きな曲がり角に来ていますので、次の日本、ネクスト・ジャパンを構想できるような、そういうチームをぜひ設けるべきではないかというふうに考えてございます。

 以上です。

杉田委員 日本は民間においてもそういったシンクタンク的なものが育ちにくいとか、そこの部分が弱いとかとよく言われているんですけれども、ここ数年急激に、そういうふうな部分が担えるような団体とか勉強会とか、そういうのが立ち上がっています。

 松田委員自身も、御自分が大蔵省を退職された後に議員になられるまではそういうシンクタンクの中でさまざまな研さんを積まれたということをお聞きしておりますので、そういったシンクタンクが、本当に今、日本の中で育っている、それが有効活用できるようなそういう新しい組織のあり方というものを考えていっていただきたい、そのように私は思います。

 どうもありがとうございました。

 それでは、最後の質問は稲田大臣にお願いをしたいと思います。

 官民の流動化のことについてなんですけれども、これは私はずっと言い続けていることなんですけれども、地方公務員と国家公務員の人事交流というようなことももっと積極的にしていくべきだと思っておりますし、それからまた、官と民の人事交流が、まだまだこの政府案であっても、私は共同提案の方でもちょっと根本的に弱い部分があるというふうに考えております。

 以前に、同じ質問を、総務委員会のときに新藤大臣にさせていただきました。

 例えば、イギリスとかフランスとかの公務員の中では非常に流動化が進んでおりまして、私も実際にイギリスに視察に行ったときなんかは、お会いする方と名刺交換をすると、今は何々市にいますけれども、その前は国のここの部署にいました、その前は何とか県にいましたということで、皆さん本当にいろいろなところを渡り歩いていて、公務員でも民間で言うところのヘッドハンティングみたいなものがありまして、例えば、環境政策にすごくたけた方とか、行革にたけた方とか、そういうような人たちが、ここの自治体は今度はこういう人材が欲しい、では、こういう人材、手を挙げている人の中にこういう方がいますよというような形で回っていくことによって、地方自治体も、それから各省庁もずっとボトムアップをしていけるというような、またトップダウンにもそれがつながっていくというような、そういうシステムが海外ではあるんですけれども、日本にこういう形が導入できないかという。

 最終的には、私は、そこまでいかないと官民交流とか地方と国家公務員との交流、人事交流ということにはならないというふうに思っているんですね。ただ、このような問題意識を新藤大臣にぶつけますと、そこの部分は、諸外国の制度とは任用の仕方からして違うんです、それから、公務員の流動化と公務の流動化というのを、これをきちっと分けて考えなければならないというような御答弁をいただきました。

 この公務員の流動化、最終的には、これはやっと、今回の国家公務員法の改正の中で官民の交流をうたっておりますから、やっと第一歩を踏み出したと思っております。これを今後さらに進めていかなければならないと私は思っておるんですけれども、それに関しての稲田大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 今回の法案でも、また基本法でも、官民の交流、それから国と地方行政の交流、また、幹部候補育成課程では、留学をしていただいたり民間に行っていただいたり、そういう流動性を高めるということは基本理念の一つといたしております。

 今回の改正では、官民交流法について対象法人の拡大等の措置を講じております。また、採用昇任等基本方針に官民人材交流に関する指針を追加し、民間からの有為な人材の登用を含めて、官民の人材交流を一層推進することといたしております。

 ただ、今回の法案で期待をいたしておることは、そういった交流を深めて、また帰ってきていただいて、その幅広い見識を国家公務員として生かしていただくということで、そういうことを期待した仕組みとなっております。

 今委員が御指摘になった姿というのは、前回の答弁でも言いましたけれども、やはり労働市場全体の雇用の流動化ということが前提となっていて、社会全体の意識の変革ということも必要である長期的視野で考えるべきことかなというふうに思っております。

杉田委員 やはり公務員というのが職業ではなくて身分になってしまっているというところに我々の問題意識があります。

 例えば、自分の身分が保障されたまま民間に行っても、またそこに戻ってこられるという形じゃないとこの改革が進まないというのであれば、日本の国というのが今後本当にグローバル化していかないといけない中で、戦っていけなくなるときがいつか来るんじゃないかというふうに私は思っておりますので、長期的な視点でというふうに大臣はお答えいただきましたので、今すぐできる問題ではないと私も思っておりますので、今後も、ここの部分については、また皆さんと一緒に研究をして、前に進めてまいりたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。終わります。

橘委員長代理 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。

 今回の法律の改正案については、昨年からずっとこの委員会で取り上げさせていただきまして、稲田大臣とも、さまざまな御答弁を頂戴してまいりましたけれども、本日は、昨年の答弁の中から少し踏み込ませていただきたいなというふうに思います。

 そもそも、野党時代に、二十一年法案と言われて、四年間の間に中身が変わったというような質疑を昨年何度も、私だけではなく、ほかの委員ともされていたと思いますけれども、その中で、民主党の近藤委員の質問に対して、今回変えた経緯に関して、「これまでの経過を全て検証した上で今回の法案を提出したわけであります。」という御答弁をいただいております。

 その答弁の、全て検証しているという前提で御質問をさせていただきたいんですけれども、その四年間で、昨日、三月十一日、追悼式もございましたように、大きな震災もございました。そういった中で、どのような環境、時代の変化がこの法案を変更するに当たってのどの部分にどういう影響を与えて、それによってなぜそう変わったのかというような質問を前回もさせていただいたときに、公募の数値目標のお話は、一つの例として大臣からいただきました。

 それ以外に、特に、全体的な骨子として見たときに、時代環境の変化と、今回の法案の中身が変わっていった一番大きな影響というのは一体何だったのか、また教えていただきたいと思います。

稲田国務大臣 基本は、二十年の改革基本法を基礎として、そして、自民党時代の二十一年法案をベースに今回の法案をつくってきたわけであります。

 どういう大きな事情の変化があったかということでありますが、一つは、先ほど委員が御指摘になった東日本大震災がありまして、任免協議について迅速かつ機動的な人材配置の必要性の高まりというところから、緊急時における任免協議を事前ではなくて事後にするという特例を設けたところであります。

 また、内閣人事局への機能移管について、近年の労働基本権をめぐる議論の状況等を踏まえ、職員の勤務条件への配慮や人事行政の公正確保についての配慮をより明確に反映する方向で修正を行った。そして、二十一年法案のときには、人事院と全く協議すらできず、その対立が国会にまで持ち込まれるという状況だったわけですが、今回は、きちんと人事院の持っている公正担保という問題と、あと内閣人事局で果たすべき国家の国益という観点からの戦略的な人材配置という役割分担を明確に反映する方向で修正を行っております。

 また、過去に多量の政治的任用が行われたことに対する批判があったことなども踏まえ、国家戦略スタッフを総理大臣補佐官として五名以内置くこととし、政務スタッフを大臣補佐官として、大臣が特に必要な場合に限り、一名置くこととできるようにしたわけであります。

 そういった時代というんですか、そういう事情の変化による見直しは行ったところではありますけれども、今回の法案は、幹部人事の一元管理の目的である内閣の重要政策の実現のための戦略的な人事配置の実現、また、内閣人事局における総合的人材戦略の推進、そして、公務員がみずからの責任を自覚して、誇りを持って職務を遂行する体制を実現するという、今回の改革の目的に照らして十分なものになっているというふうに認識をいたしております。

中丸委員 今の大臣の御答弁を聞かせていただきますと、もとの法案よりも、はっきり言ってよくなったというふうに聞こえるんですけれども、我々は、もとの法案をベースとしまして、日本維新の会とみんなの党共同提案という形で提出をさせていただいております。

 なぜもとの案をあえて我々が提出させていただいているかという根本は、もとの案の方が行政改革ができるからなんです、公務員改革ができるからなんです。明らかに今の方が我々は後退していると。

 先ほど、人事院との激しいやりとりがあった、そういったやりとりの中で、先ほどの杉田委員の質問にもございましたけれども、やはり身分を守りたい、この気持ちは非常にわかるんですね。でも、そこをやはり打ち崩していくには非常に力強いパワーが要ると思うんですけれども、今の御答弁をいただく中で、よくなったとしか言えないお立場も理解はできますけれども、でも、現実的にはそうではない部分もあるのではないかと我々は思っているというのが、今回の法案を提出させていただいている大きな理由であるということは御理解いただきたいと思います。

 今の御答弁の中でも、何かわかったような、わからないような部分もありますので、これは仕方のないことだと思いますので、ちょっと次の質問に行かせていただきます。

 昨年の十一月の二十七日、私が、この公務員法、要はルールを変えるだけではなくて中身が大事だということで、特に今からそういうグローバルに通用する人材を育成していくという観点から、グローバルということは生まれも育ちも違う国の人たちがお互いに一緒に仕事をしていく、そういう中で、自分たちのアイデンティティーというのは国柄であり、その国の持つ歴史であると思うんですねというお話をさせていただいて、私はそのとき一つの例として、カリキュラムの中に例えば日本書紀であったり古事記であったり、こういったものを、しっかり日本の歴史、成り立ちを学習していただく必要があるのではないかということに対して、稲田大臣からは、グローバル人材といったときに、きちんと、日本の歴史であるとかお国柄であるとか、学んでおく必要があると思いますという御答弁を頂戴しています。

 必要があると大臣にお答えいただいたので、では、具体的に、その後どのようなものを今回の仕組みの中に入れることができるというふうにお考えか、お聞かせ願えればと思います。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

稲田国務大臣 人材の育成、また国家公務員の育成といったときに、私は、やはり省庁縦割りのプロフェッショナルな観点というのも必要だけれども、やはり全体を見る視点というのは必要だというふうに思っております。そして、その基礎的な問題として、今委員が御指摘になった自分の国に対する国柄だとか、あと、歴史についてのそれぞれの素養というか教養というのは身につけておく必要があると思います。

 ただ、それをこのカリキュラムの中で育成していかなければならないものなのか、むしろ、それはもう当然のものとしてそれぞれの個人が身につけておくべきものなのかということは、議論の余地というか、いろいろな考え方があるのではないかと思います。

 いずれにせよ、公務員、とりわけ幹部職員となるような者は、当然有するべき素養として、今おっしゃったような点は身につけておくべきだというふうに感じております。

中丸委員 私があえて制度の中にと言った意味は、本来であれば、奉職につく立場の人は率先して学んでおいていただきたいことだと私も思います。しかし、実態として、そうなっていない現実もやはりあるのも事実だと思うんですね。

 ですから、個人の自覚の中でやっていただきたい、これは理想論です。これは全ての法律においてそうだと思います。やはり、性善説に言い切れば法律は要らなくなってしまいますし、ルールは要らなくなってしまいます。ですから、きちんとやはりそれをカリキュラムとしてやっていく必要があるのではないかというふうに私は考えているわけですけれども、原点としては、大臣と非常に共有させていただいていると私は思っています。あとは、やはりそれを具体化するのは、カリキュラムの中になくても、強いリーダーシップだとか働きかけというのが非常に大事だと私は思います。

 大臣、そういった働きかけを今後やっていただけるというふうな認識でよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 自分の国のことをよく知って、そして、そのいいところを世界に向けて発信することができるというのは、私は非常に重要だというふうに思っております。ただ、それをカリキュラムの中でやるのか、それとも、先ほども言いましたように自分の素養として持っておくべき常識と考えるのかという点については、さまざまな議論があろうかというふうに思います。

 その上で、やはり国家的な視野に立ってきちんと企画立案できる公務員というのは、私は育成していく必要があろうかと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 今のは十一月二十七日の御答弁の内容なんですけれども、それに引き続きまして、十一月二十九日、その二日後、やはり私のさせていただいた質問に対して、大臣の方から、奉職という意味における、公務員を育てていく基準をつくっていきたいという御答弁を実はいただいているんですね。私が、カリキュラムはどうするんですかとか制度はどうするんですかとお伺いしているのは、大臣から二十九日に、基準をつくっていきたいという御答弁をいただいているというところで、私は、この件に関しては実効性というのが非常に大事だと考えております。

 基準をつくっていくというふうにお答えいただいているんですが、ですから、その基準をどのようにお考えか。また、その基準を構築する上で必要な要素とか項目、何と何を入れた基準をつくらないといけないという、イメージで構いませんので、お聞かせいただければと思います。

稲田国務大臣 今、幹部候補育成課程については、内閣総理大臣が定める統一的な基準のもとで、各大臣等が、一定の勤務期間後に、本人の希望及び人事評価に基づき随時選定し、比較的若い年代から、各種研修、多様な勤務経験の機会を付与することにより、国民の立場に立ち職務を遂行する上で求められる幅広い視野、高い専門性、マネジメント能力等を身につけさせることといたしております。

 具体的なイメージと今おっしゃいましたけれども、私は、先ほど来委員が御指摘になっている、自分の国のことについてよく認識をしているということもそうでしょうし、行政事業レビューなどをやっていて感じるのは、やはり企画立案の段階から国益という観点から立案する能力というのは非常に重要であろう。それは、高い専門性を基礎として、縦割りの行政の弊害を排して、幅広く国家的見地から行政のあり方について考え、企画立案できる能力というのが必要ではないかと思っております。

中丸委員 ぜひともしっかりとした基準を定めて進めていただきたいと思います。

 企画立案というのは、私も会社経営を長くやっておりましたので、小さな会社でしたので、ほぼ自分で企画立案して、さまざまな公約も含めてプレゼンテーションしていくという作業を二十年近くやっておりましたけれども、責任があるか否かでこの企画立案というのは中身が全然変わってまいります。

 というのも、責任が他者にある場合の企画立案、わかりやすく言いますと、例えば、クライアントさんに対して企画立案をします。その運営、出した成果に対して責任をとらなければいけない場合、民間企業でいえば、これを失敗したら次から仕事がなくなるよという場合と、そうではなくて、お手伝い的に企画立案する場合、これは全然違うんです。なぜかというと、自分の身に降りかかってくるかどうか。

 そういう意味では、今回の法案の中で、人事異動の間隔と責任について、これも前回やりとりをさせていただきました。自分が出した企画立案に対しての結果の責任をとれる場所まで在職期間がない、これで本当に責任感のあるいい企画立案ができるとは私は到底思えないんですね。やはり自分の出した結果を自分で受ける、それに対する、結果に対する処遇まで、自分の評価、民間であれば当然なんですけれども、やはりここを仕組みの中に入れられるかというのは私は結構肝だと思っていまして、この企画立案に関しては。

 やはり期間というのを、やりがいを醸成できるかどうか、そういう、やりがいを感じる制度にしていきたいというふうに言われましたけれども、そのやりがいというのは、やっている感ではなくて、責任があって、ある意味自分の身につまされているからこそできるというふうに思うので、こういう期間についても、前回もお願いしていると思いますけれども、再度お願いをさせていただきたいと思います。それを配慮した形で考えていただけますでしょうか。

稲田国務大臣 今回の法案の目的の一つとして、人事の硬直化を排して適材適所という人事を行う、また、戦略的な観点からの人材配置を行うということでありますので、人事異動のタイミングも、二年たったら必ずかえるということではなくて、ポストの特性や本人の能力、適性、組織全体の人事管理等を総合的に勘案して、各任命権者が適切に判断すべきだと思っております。

 また、先ほど責任という問題がありましたけれども、やはり縦割りの人事を排するということは、まさしく省益を排して、国益の立場から、例えば予算を切ったり、事業をやめたり、規制を緩和したりした公務員をきちんと登用する仕組みをつくっていくということではないかと思っております。

中丸委員 ありがとうございました。非常にありがたい御答弁を頂戴できたと思っております。

 また次の、内閣がかわるというお話もマスコミ等々ではありますけれども、稲田大臣には非常に大事なお仕事をやっていただいていると思いますので、きちんと推進していただきたいということをお願い申し上げまして、中丸の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊でございます。本日もよろしくお願いします。

 恐らく公務員法関係の質疑、きょうが最後ということで、私としては大変名残惜しいわけでございますが、恐らく大臣は、顔を隠して、真逆の感覚をお持ちになっておられると思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最初に、人事院総裁にお伺いをいたします。

 これは、二月三日の予算委員会での稲田大臣の御答弁でございます。配付資料をごらんいただければと思います。

 今回の政府案では、いわゆる特例降任については条件が三つあって、そのうちの一つ、これは最後のところに書いてございますが、「他の幹部職員に比して勤務実績が劣つているものとして人事院規則で定める要件」、こういうのが三つの要件の最初なんです。

 ところが、稲田大臣はこう繰り返し御答弁されているんですね。「能力が劣っていなくても、ほかにいい人を登用したいがために、一つポストを下げる、そういう特例の降任制度」、あるいはもう一つ、「繰り返しで恐縮でございますが、今回の特例の降任というのは、能力は全く劣っていない、しかし、ほかのいい人を採用するために、そのポストを、無理やりというか、あけて、」こういう答弁をされている。

 人事院規則はこのような答弁の趣旨でつくられるというふうに考えてよろしいでしょうか。

原政府特別補佐人 全く劣っていない職員というのを稲田大臣がどういった意味でお使いになられたかについては私は承知してございませんが、御指摘のように、改正後の国公法の条文におきましては、幹部職員が、人事評価等に照らし、同一の任命権者のもとで、同じ職制上の段階に属する他の幹部職員に比して勤務実績が劣っている場合が要件とされているものというふうに承知してございます。

 お尋ねの人事院規則につきましては、今後、具体的に取り決めてまいる所存でございますが、法律の趣旨、また国会における論議を踏まえまして、適正に人事が行われるように人事院規則として定めてまいりたいと考えているところでございます。

大熊委員 ありがとうございました。

 そうすると、大臣の全く劣っていないという趣旨での人事院規則にはならないんだ、法律に則して、相対的に劣っている、そういう趣旨での人事院規則ができるはずである、こういうふうに理解をさせていただきました。

 そうすると、大臣の答弁はどうなっちゃうのかということになりますが、この点、どうなんでしょうか。

稲田国務大臣 私が委員会で答弁をいたしました能力が全く劣っていないというのは、そのポストに期待される能力は備えている、そういう意味において能力は全く劣っていないという趣旨で答弁をしたわけでありまして、今の人事院総裁の御答弁、さらには法律とは矛盾していないのではないかというふうに思っております。

大熊委員 では、人事院総裁にお伺いします。

 そのポストについては劣っていない、そういう趣旨で人事院規則は書かれる、大臣はそう言っているんですが、そういうことなんでしょうか。

原政府特別補佐人 現実に幹部職の職責にある人間と申しますか、幹部職員というのは、当然、その標準職務遂行能力があるということでございまして、そういった意味の能力は認定されているわけでございまして、法案の条文にのっとれば、そういった中で、相対的に劣るという場合には降格もあり得るというのが改正法案の考え方ではないかと思います。

 人事院規則につきましても、いずれにしましても、法案にのっとって人事院規則を定めるという形にいたしたいと思います。

大熊委員 このやりとりは、何回聞いても、多分、千日手みたいなことになるんでしょうから、とにかく、答弁と法律、それから人事院総裁の今のお話は法律どおりのお話だと思うので、かみ合っていないということをここで指摘しておきたいと思います。

 次に行かせていただきます。

 先ほど後藤委員の方から適格性審査関係の質疑があったので、ちょっとそちらの方から先に行かせていただきます。

 私も、政府案の適格性審査でもって、内閣との一体性、あるいは内閣全体の視点を持った者が名簿に記載できるのかどうか、これはちょっと、やや疑問に思っているんですね。

 先ほど大臣の答弁で、いや、それは担保されているんだという趣旨の答弁があったんですが、仕組み上、つまり、条文ないしは制度上どうなのかという疑問はなぜかというと、昨年もこの場でお話し申し上げたんですが、標準職務遂行能力表、これには、内閣全体の視点とか内閣を通ずるとか、あるいは内閣との一体性、一言も出てきていないんですね。

 例えば事務次官、「部局を横断する課題や府省の重要課題に責任を持って取り組む」、あるいは局長は、「局の重要課題に責任を持って取り組むとともに、服務規律を遵守し、」こうなっているわけです。内閣全体とか政府全体、そういうことは事務次官でも局長でも全くないんです。

 「国民全体の奉仕者として、」というのは頭についていますよ。だけれども、例えば、農業だろうが道路だろうが医療だろうが、それぞれの所管の業務、事務について国民全体の奉仕者として遂行する、そういう意味なのであって、一つの職務をじゃなくて政府全体のという、そういう意味じゃないわけなんですね。

 だから、私が申し上げたいのは、この標準職務遂行能力を一体として、これは政令事項だと思うんですけれども、今回一緒に改正しないと、はっきり言って穴があいているというか、これは今日現在、総務省の所管で、それは、稲田大臣が私がやりますと言ってもなかなかできなかったのかもしれないんですけれども、新藤大臣のハードルが高かったのかもしれませんけれども、今度は内閣人事局に移ってくるわけですから、人事・恩給局の所掌ですよね、これは今度、内閣人事局に移ってくるので、ここの標準職務遂行能力を、少なくとも幹部職員については、事務次官と局長と部長については、政府全体のとか内閣のとか、そういった文言が入るようにしっかりと変えていっていただきたい。そうじゃないと、もう一回言いますけれども、大臣が答弁されているようなことにならない、そういう適格性審査にならないんですよと私は疑念を持っています。

 ということで、提案も含めて、そういうふうな意見なんですが、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 適格性審査についてのお尋ねですけれども、適格性審査については、内閣総理大臣から委任を受けた内閣官房長官が、人事評価の結果など客観的な基準により、適格性審査対象者が幹部職としての標準職務遂行能力を有しているかどうかを審査いたします。

 事務次官、局長について言及がございましたが、事務次官、局長について求められている標準職務遂行能力においては、国民全体の奉仕者として重要課題に責任を持って取り組む、大局的な視野と将来的な展望に立って所管行政を推進する、国民の視野に立って基本的な方向性、方針を示す、国民の視野に立ち不断の業務見直しを行うなど、内閣との一体性、政府全体からの観点が盛り込まれているところだというふうに考えております。

大熊委員 申しわけないですけれども、大臣の答弁ではそうだとしても、実際の、これを私持っていますよ、実物、標準職務遂行能力表。書いていないんですよ。だから、書き込んでいただきたい。

 大臣の御答弁、去年も、幹部候補育成課程、内閣人事局がやると言っても、やはり法律ではそうはならなかった。だから、繰り返し、ならない、信用できないとは申しませんが、大臣の今の御答弁を担保されるためにも、標準職務遂行能力表に私が申し上げた趣旨を、これは政令事項、本当は法律でやってほしいんですけれども、入れ込んでいただいて、今度は内閣人事局に所掌が移るんだから、大臣の所掌でできるわけですから、ぜひやっていただきたいということで、ちょっと残り五分なので、急いで行きますと、国家戦略スタッフです。

 では、何か一言ありますか。もし何かあれば。

稲田国務大臣 先ほど私が申し上げた事務次官、局長等に求められている標準職務遂行能力に関しては、標準職務遂行能力についての別表第一の一に記載をされているところでございます。

大熊委員 だから、その表そのものを、そういった私が申し上げた趣旨で、改善というかバージョンアップしていただきたいということなんですね。

 次は、国家戦略スタッフです。

 これは、手短に、五年前の甘利法の国家戦略スタッフ、皆さんの頭にもちょっとあるかもしれません、基本法では国家戦略スタッフと明記されているんです。五年前の政府の、これは私の意見じゃない、五年前の当時の政府の逐条でも、基本法に国家戦略スタッフと明記されているんだから、国家戦略スタッフという官職の名前が出てこないのは問題だと。だから、国家戦略スタッフとするんだとしたんですね、五年前は。

 今回はしていないです、補佐官の増員なんです。それは、昨年の答弁だと、補佐官という制度が定着してきたからだ、こういうお話なんですが、五年前だって補佐官という制度はある程度定着していたんですね。

 もう一回申しますと、五年前は、基本法で書いてあった国家戦略スタッフというのが一言も出てこないのは問題だ、こういう政府の考えなんです。

 なぜこうなっちゃったのか。そして、何か違いはあるのか。いや、名前は補佐官のままだけれども、全く違いはないんです、複数のチームでできるんです、こういうことなのかどうか。それであれば、ある意味では問題は少ないのかもしれません。

 五年前の制度と国家戦略スタッフと今回の補佐官の増員、これは全く同じなんですか。名前だけ違って全く同じなんですか。これだけちょっと確認させてください。

稲田国務大臣 今回の法案における改正後の総理補佐官は、総理直属のスタッフとして、総理の企画及び立案について総理を直接補佐する職であり、所掌事務という点では、平成二十一年の国家戦略スタッフと同様であると考えております。

大熊委員 全く同じなんですね。複数のチーム、補佐官チームをつくってできるんですね、時の内閣が、安倍内閣かはわかりません、時の内閣が。五年前は、できないから、補佐官じゃなくて国家戦略スタッフにしたんですが、できるんですね。できるという解釈に変わった。

 憲法解釈じゃないですけれども、この法律の解釈が変わったんだということで、できるんですね。それだけ確認させてください。

稲田国務大臣 現行の総理補佐官についても、複数の総理補佐官がチームを組んで総理を補佐するということも否定されているものではないというふうに思っております。

 改正法についても、その点については変更はないというふうに思っております。

大熊委員 再確認ですが、ということは、五年前とやれることは変わりはないんだということですね。イエスかノーかだけで、はっきりお答えください。

稲田国務大臣 補佐官のもとにチームをつくるということは、今回の改正法案でできるというふうに考えております。

大熊委員 五年前と全く変わらないんですか。

 でも、条文上は「内閣総理大臣の」とついていますよね。これは変わらないんですね。「内閣総理大臣の」とついていますよね、後ろの方、アドバイスしてさしあげて。「内閣総理大臣の」とついていますよね、五年前と違って。変わらないんですね。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 総理補佐官の規定につきまして、今回、総理の命を受け、内閣の重要政策のうち特定のものに係る総理の行う企画及び立案について総理を補佐するとなっております。これは総理の命を受けて、それに対して直接補佐をするということを明確にしたものでございまして、その趣旨、内容は同様でございます。

柴山委員長 大熊君、質疑時間が終了しました。

大熊委員 はい。

 変わっていないんだということを確認させていただいた上で終了させていただきますが、よろしいですね、これで。全く変わっていないんだということで理解させていただきましたので、これで質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、労働基本権の回復の問題について質問をいたします。

 この問題については、ILOからは、二〇〇二年の勧告を初め、八次の勧告がなされています。

 稲田大臣は、昨年十一月二十九日の当委員会で、「平成十四年以降のILOから日本政府に対する勧告は、基本的に、公務員制度改革について、関係者と十分話し合うこと、また改革の進展について情報提供を続けることを要請しているというふうに認識をいたしております。」このように答弁をされております。

 この答弁が稲田大臣のILO勧告に対する基本認識ですか。

稲田国務大臣 今委員が述べられたことが基本認識でございます。

赤嶺委員 稲田大臣はそういう認識のもとに、ILO勧告については、日本政府は活動をきちんとしている、そういう答弁になっていくわけですね。

 そこで、確認をしたいんですが、端緒となった二〇〇二年の勧告についてまず確認いたします。

 二〇〇二年十一月のILO勧告は、(a)から(i)まで九項目あります。その一番目の(a)ではどのような勧告を行っていますか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の平成十四年十一月に出されましたILO結社の自由委員会中間報告の勧告部分、この中の(a)につきましては、「政府は、その表明した公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持するとの考えを再考すべきである。」というふうに記載されております。

赤嶺委員 つまり、ここでは、公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持する、そういう日本政府の考え方を再考すべきであると述べているわけです。

 つまり、労働基本権の回復を行うべきだ、二〇〇二年の勧告ではそのようになっていたのではありませんか。

稲田国務大臣 平成十四年十一月のILO勧告の(a)については、今おっしゃったとおりでございます。

 平成十四年十一月の勧告に対して、人事院勧告制度等の我が国の法制度についての理解が十分ではない、ILOの過去の見解と整合しないと認められる部分もある等の認識のもと、政府の見解について十分な理解が得られるよう、ILOに必要な情報提供を行ったというふうに承知をいたしております。

赤嶺委員 ILO勧告の方が日本政府のやってきたことを理解していない、こういうことでありますけれども、それは、二〇〇二年のILO勧告が出て、二〇〇三年の日本政府の側からの長文の追加情報、これを提出したわけですね。今の大臣の御答弁のとおりであると思います。

 それでは、日本政府は、その追加情報の中で、労働基本権の問題について、どのような内容の追加情報を提出したのですか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣からも答弁いただきましたけれども、平成十四年にILOの方から勧告が出まして、それに対して我が国の方から申し上げたのは、人事院勧告制度等の我が国の法制度についての理解が十分でない、それから、ILOの過去の見解と整合しないと認められる部分もあるということで、政府の見解について十分な理解が得られるよう、必要な情報提供をその時点で行ったものでございます。

赤嶺委員 それに対してILOは、二〇〇三年六月、政府が出した意見が二〇〇三年三月、それに対して六月に二度目のILO勧告が出されるわけです。そのときに、最初の勧告にあった「政府は、その表明した公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持するとの考えを再考すべきである。」、この勧告部分は変わらなかったのではありませんか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 委員今御指摘の部分は、平成十五年六月に出されたILO結社の自由委員会中間報告についてのことだと承知いたします。

 御指摘の部分につきましては、「委員会は、再度、政府に対し、その表明した公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持するとの考えを再考するよう強く求める。」と記載されているところでございます。

赤嶺委員 ILO勧告というのは、日本政府が立場を説明したにもかかわらず、労働基本権についての考え方をきちんと見直せということを繰り返し述べているわけですね。

 ところが、大臣の最初の答弁ですと、労働基本権を見直すという立場ではなくて、話し合いを関係者と続けるとか、あるいは改革の進展について情報提供を続けるとか、そういう立場になって、ILO勧告を正面から受けとめているというぐあいにはとても思えないんですが、いかがですか。

稲田国務大臣 ILOの勧告に対して、我が国としては、人事院勧告制度という我が国独自の制度についても説明をいたしているところであります。

 今委員御指摘のように、勧告の(a)は変わってはおりませんけれども、全体的には、ILOが日本に対して求めているのは、よく協議をし、そしてその事項について報告をせよということではないかというふうに思っております。

赤嶺委員 それは恐らく二〇〇六年、平成十八年の三度目の勧告に基づいての答弁だと思いますが、間違いありませんか。

稲田国務大臣 今御指摘の二〇〇六年、平成十八年のILO勧告以降、日本政府は、平成二十三年六月の自律的労使関係制度の措置を盛り込んだ国家公務員制度改革関連四法案の国会提出に至るまでについて報告をし、また、公務員への労働基本権の付与に関して、職員団体側等も含む関係者との合意に向けた努力を行ってきたが、四法案は廃案になった。そして、政権交代後の昨年の二月から、私のもとで、今後の公務員制度改革の在り方に関する意見交換会を開催し、自律的労使関係制度について、職員団体等も含む関係者からヒアリングなども行ってきたところであります。

 今回の法案は、自律的労使関係制度の措置を盛り込んではいませんが、職員団体とは、法案提出まで、私も含めさまざまなレベルで意見交換を重ねて、今回の改革について御理解をいただけるよう努力もしてきたところでございます。

赤嶺委員 ILO勧告は、単に話し合いを求めているだけではありません。話し合いを求めるという点については、これは二〇〇六年の勧告で、「政府は、その表明した公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持するとの考えを再考すべきである。」という項目はなくなりました。

 それは、先ほど出たように、二〇〇一年の公務員制度改革大綱を見直す、公務員に基本権を付与する可能性を検討することが確認されたという情報が提訴団体からILOになされたから、進展があったということを認めて、委員会はこれらの進展を歓迎するとともに、関係者が、早期に、望ましい方向にさらなる一歩を踏み出すことを強く督促する、このように言っているわけです。

 そこで、今までは、労働基本権を認めるような内容の努力が見られた、その方向で話し合いを続けなさいということだったんですが、安倍内閣になりまして、これが全くの白紙になってしまいました。その結果、ILOからはどういう意見が出てきているんでしょうか。

川淵政府参考人 恐れ入ります。ILOからの最新の勧告の内容ということでよろしゅうございましょうか。

 お答え申し上げます。

 最新の勧告は、平成二十五年三月、結社の自由委員会中間報告の中で出されております。公務員制度改革が遅滞なく完了するよう関係者と十分話し合うこと、また、改革の進展、衆議院解散により廃案となった国家公務員制度改革関連四法案が国会に再提出されているかについて情報提供することの二つを要請したものというふうに認識しております。

赤嶺委員 その中でILOは、特に公務員の労働基本権の付与について、これらの論点について、全ての関連団体と十分、率直かつ有益な議論を継続し、必要な措置を講ずることを促す、このようにあるのではありませんか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年三月の勧告におきましては、委員御指摘のような記述がございます。

赤嶺委員 労働基本権についてきちんと措置するよう話し合いなさいという、措置するということが目的であるわけですね。

 八次にわたるILO勧告は、一貫して、現行の労働基本権の制約を変更し、その付与、回復を要請してきました。その核心をひた隠しに隠していると言わざるを得ません。その内容は、関係者と十分話し合うこと、また改革の進展について情報提供を続けることだけだというのは、これはILO勧告の精神をゆがめるものであります。

 やはりILO勧告を正面から受けとめて、労働基本権の回復こそ国家公務員制度改革の柱にすべきだ、こういうことを申し上げまして、質問を終わります。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 きょうは、衆法を中心に質問をさせていただき、最後に、稲田大臣に今後の取り組みについて御見解を伺いたいと思います。

 それでは、まず民主党さんにお尋ねをしたいんですけれども、昨年の十二月三日に、自民、公明、民主による合意書が取り交わされました。そして、修正案について同意をされたということになっております。ただ、民主党さんが提案をされた衆法については、取り下げることなく、そのままの状態で合意をされたということは、ちょっとわかりにくいんじゃないかなというふうに思いますが、御説明をお願いしたいと思います。

近藤(洋)委員 先生にお答えをいたします。

 先生御案内のとおり、与野党協議においては、法案を提出されている維新の会、そしてみんなの党さんも含めて、また生活の党さんにも適宜情報を共有しつつ、改革を果たさなければいけないという共通認識を持ちながら、与野党間の協議を重ねてまいったわけであります。

 民主党としては、定年延長に係る措置については法案の修正、基本法に記載された自律的労使関係の措置や国家戦略スタッフの創設など、残された課題については附帯決議で対応するなど、改革の骨格やその方向性について大筋で合意したことから、自民、公明の三党で合意するとともに、修正案を提出したものであります。

 わかりにくいという御指摘ではございましたけれども、国家公務員制度改革については、平成二十年に成立した基本法の成立以降、同法に規定された改革の方向に沿って、これまで、幹部職員の人事の一元管理など、さまざまな議論が重ねてこられ、そして、さまざまな閣法、また議員立法も提出されてきたわけでありますが、残念ながら、いまだ成立に至ってこなかったわけであります。

 言うまでもなく、公務員制度は国家運営の基本であります。公務員が、全体の奉仕者としてやりがいを持って存分に力を発揮してもらうとともに、国民のニーズに合致した、効率的で質の高い行政を提供していくためにも、政権与党の判断一つで左右されることは極力避けなければならない。その意味で、与野党で胸襟を開き議論を重ねた結果、長年にわたり懸案となっていた公務員制度改革が、今回、残念ながら野党は民主党だけでありますが、三党合意をもって、より政治状況に左右されにくい安定した制度としてスタートすることができたことについては、大きな意義があった、こう考えておるところでございます。

村上(史)委員 ありがとうございます。若干意見の相違はありますが、きょうはもう時間もありませんので。

 それでは、衆法第一号についてお尋ねをいたします。

 維新さん、みんなの党さんは、以前の法案を取り下げて新しく提出をされました。その経緯と、またその理由についてお尋ねをいたします。

大熊議員 お答えをいたします。

 私どもみんなの党と、日本維新の会が共同でさきの臨時会に提出した法案は、国家公務員制度改革基本法に基づく内閣による人事管理機能の強化、国家公務員の退職管理の一層の適正化等を図ることを趣旨としておりました。

 今回、新たに提出をした法案は、これらに加えまして、内閣や各大臣を補佐する体制を充実強化することなどで、より総合的な形での国家公務員制度改革の実現を目指そうとするものであります。

 具体的なポイントとしましては、第一に、内閣人事局は、人事院、総務省、財務省の人事関連の機能を統合して創設するということとしておりまして、政府案では、人事院、総務省などに関連機能をかなり温存したまま、加えて内閣人事局をつくるということで、これでは、人事の一元化どころか人事の四元化体制になってしまうのではないか、機能不全がますます強まる懸念があるんだというふうに考えております。

 第二に、この法案とセットになっております幹部国家公務員法案におきましては、幹部公務員は、一般の公務員とは別制度とし、身分保障を緩和しております。現行の身分保障制度、一般職の制度のもとでは、若手、民間人を幹部に抜てき起用しようとしても、幹部ポストにある人を外すことは事実上できなくて、思い切った抜てきが困難となります。

 一方、これをあえてやろうとすると、今度は、現行の人事院の公平審査制度、不利益処分の制度というのがございまして、これでやられたといいますか、なった場合は、逆に行政遂行に問題が生じるリスクがあるのではないかというふうに考えております。

 またさらに、天下りを必要とする人事制度をそっくりそのまま温存されたままでございまして、これでは、内閣人事局をつくること自体は反対はしないんですが、中身については不十分ではないかというふうに考えているところでございます。

 さらに、公募につきまして、今回の政府案で、数値目標について、かつて五年前の政府案ではあったんですが、数値目標の法定がありません。こうなりますと、なかなか実際には役所の内外から優秀な人材を送り込むということにはならないんじゃないかなというふうに思います。

 そしてまた、政府案には逆に含まれている官民人材交流の促進、すなわち、天下りに近い手法である現役官僚を天下り機関に送り込んでしまおうという規定が入っておりまして、私どもはこれを除いております。

 そして、この法案を新たに再提出するに当たりまして、政治主導を強化しまして、内閣、各大臣を補佐する体制の一層の充実強化を図る観点から、国家戦略スタッフ及び政務スタッフの設置に関する規定を追加するとともに、縦割り、各省主義を排した適切な人事管理の徹底を図る観点から、内閣人事局による幹部候補育成課程の運用への関与を強める旨の規定も追加しているところでございます。

 以上でございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 閣法との違いというのは明確になっていると思います。そういう面でわかりやすいなというふうな印象を持ちます。

 総論から各論に移りたいんですけれども、もう時間も押しておりますので、降任制度についてお伺いしたいんですが、先ほども大熊委員が質疑をされておられますので、あえてこれは質問を飛ばさせていただきたいと思います。

 そこで、どうしてもお聞きしたいのが、労働基本権の付与についてでございます。

 これについては民主党さんにまずお伺いしたいんですけれども、かねてより民主党さんは労働権の付与をすべきだというお立場だったと思います。ただ、今回の合意の内容については閣法を認めるという形になっております。閣法では、人事院制度を存続する、人事院を存続するという内容になっておりますけれども、民主党さんにとって、立場からすれば、やはり違うと思うんですけれども、その点についてどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 今回の政府案が仮に成立したとしても、将来において労働協約締結権を回復するということは否定されていないものと考えています。実際に、国家公務員制度改革基本法の十二条の規定は引き続き効力を有しております。

 また、今回の十二月の三党合意においては、「自律的労使関係制度について、国家公務員制度改革基本法第十二条の規定に基づき、職員団体と所要の意見交換を行いつつ、合意形成に努めること。」を附帯決議に盛り込むべきこととされたところであって、さらに申し上げますと、昨年十一月二十九日の当委員会における稲田大臣の答弁で、自律的労使関係について、「引き続き、関係者の御意見をよく伺いながら、国民の理解が得られる制度を検討する必要があるのではないかというふうに考えております。」とおっしゃっておられます。

 以上を踏まえて、政府におかれては、この趣旨を踏まえて、当然、適切な対応をとるものだと我々としては考えております。

 いずれにしましても、民主党としては、既に協約締結権を回復する法案を提出しているところでございますし、やがて自律的労使関係制度について措置していきたいと考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 同じ質問でございますけれども、衆法第一号でも人事院勧告は存続ということになっております。今後、労働基本権の付与について、どのようにあるべきだとお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。

大熊議員 お答えをいたします。

 私どもの基本的な考え方は、やはり公務員の制度も民間並みの制度に近づけるべきだ、それがベースにございます。

 確かに、今回、私どもの案には協約締結権は触れてはいないんですが、今も御答弁ございました基本法の十二条が定めているとおり、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国家公務員に労働協約締結権を付与することを含め、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置していくべきであるというふうに考えているところでございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 続きまして、退職管理の適正化について一点お伺いをしたいと思います。

 閣法では、官民人材交流センターという名称になっております。今回の衆法では、民間人材登用センターという、名称が変わっております。単なる名称変更だけなのか、その内容についてお尋ねしたいと思います。

松田議員 お答えいたします。

 現在の官民人材交流センターは、内閣総理大臣の委任を受けて、職員の離職に際しての離職後の就職の援助、これはいわゆる再就職のあっせんですが、これが一つの機能なんですが、もう一つが、官民の人材交流の円滑な実施のための支援、こういう二つの事務を行っています。

 これに対して、私どもが提案している民間人材登用センターというのは、いわゆる再就職のあっせんはしないということでございまして、そのかわり、官民の人材交流、こちらの方をやる。しかも、民間の人材の登用に力点を置くということになっておりまして、名称が異なるだけでなくて、行う業務が全く異なっております。

 これは、いずれ、民間の賃金の決め方に準拠して、今は年功序列の給与体系になっていますが、準拠した公務員の給与のあり方が整備された際には、それに伴う法律の施行に合わせて廃止するということを想定しております。

 以上でございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 それでは、最後に稲田大臣にお伺いをしたいと思います。

 本来、公務員制度改革は、与党、野党関係なく、政治主導という観点から取り組まなければならない共通の課題だと思っております。そういう面では、二十時間余りの質疑の中で、いろいろと野党からも提案がございました。委員長も、なるほどなとうなずきになっている場合も多かったんですけれども、与党の方も、そうだという声もあります。

 まさに共通した認識のもとで公務員制度改革を進めなければならない立場だと思うんですけれども、今までの議論を踏まえても、労働基本権の付与の問題、あるいは降任制度の問題、また、一般職と幹部職を同じ身分にするのか、それとも分けるのか、特別職にするのか、そういうことも意見が分かれておりますし、国家戦略スタッフの、あるいは政務スタッフの任用の問題についても、与野党で意見が分かれているのは御承知のとおりだと思います。

 そして、その分かれている部分は、公務員制度改革のいわゆる肝の部分だと思います。この肝の部分について、残念ながら、与野党の意見が一致しないままに先送りをされようとしております。しかし、大臣はいつもおっしゃっておられます。公務員制度改革はこれで終わりではないんだ、不断の改革、不断の努力が必要なんだということをたびたび御答弁でもおっしゃっておられます。

 このように、本来ならば、与野党が一致して公務員制度をよりよくして、そして政治主導、内閣がかわろうとも役人の有能な人材を活用して政策を強力に遂行していく、そのための公務員制度改革だと思います。

 今後の課題への取り組み、そして今後の公務員制度改革への決意のほどを大臣にお伺いしたいと思います。

柴山委員長 それでは、稲田大臣。質疑時間が終了しておりますので、端的に御答弁をお願いします。

稲田国務大臣 この公務員制度改革は非常に重要で、しかも長年の懸案であったと思います。内閣人事局構想も随分古くからありますし、戦後三十年ぐらいから級別定数の移管の問題も何度も廃案になり、ようやく改革基本法ができて、その後に自民党で一回、民主党で二回廃案になったという不幸な歴史もあり、今回一つの区切りとして法案を提出させていただいて、ぜひこの法案を成立させて、内閣人事局において幹部人事の一元化と、本当に政府一丸となった人材戦略を実施していくというこの法案を運用上もきちんとしていきたいというふうに思っております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

柴山委員長 これにて、ただいま議題となっております各案中、第百八十五回国会、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及びこれに対する西川公也君外七名提出の修正案並びに渡辺喜美君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案に対する自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提出の修正案及び修正部分を除く原案について賛成、日本維新の会及びみんなの党提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案について反対の立場から討論いたします。

 国家公務員制度改革は、その時代の変化に対応して、国民のニーズに合致した効率的で質の高い行政サービスを実現するため、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を推進するものであり、それによって国民の信頼を確保していこうとするものであります。

 国家公務員制度改革については、平成十二年の行政改革大綱に端を発し、翌十三年の公務員制度改革大綱においてその改革の方向性が示され、平成二十年には、改革の具体的な方策を示す国家公務員制度改革基本法が成立しました。そして、基本法を踏まえ、これまで幾度も法律案が提出されたものの、いまだ成立に至っておらず、改革は実現に至っておりません。既に基本法の求める措置期限は到来しております。

 前国会においても政府から法案が提出され、野党提出案とともに審査が行われましたが、継続となり、今国会を迎えました。

 政府案の内容は、かつて自民党が野党時代に提出した法案からは後退するものであり、なおかつ、自律的労使関係の措置が講じられていないなど、基本法を踏まえて措置するものとしては不十分な点が見受けられましたが、ここで改革をとめるわけにはいかないと、我が党としては大局的見地に立って判断いたしました。

 そのため、我が党は、政府提出案について、一歩でも改革を前進させるべく、内閣委員会における質疑及び与野党修正協議の場において、修正すべき点及び今後の改革の継続の必要性について議論を重ねてまいりました。その結果、十年来の課題である公務員制度改革を進捗させるという共通の認識のもと、自民党、公明党そして民主党の三党において、民主党の主張する意見が取り入れられ、修正合意に至りました。

 再度申し上げます。公務員制度改革は急務であり、ここで改革の流れを停滞させるわけにはまいりません。その点において、政府提出案及び修正案は改革を一歩前進させるものであり、賛成するものであります。

 なお、日本維新の会及びみんなの党提出案は、他の役職員についての依頼等の規制違反に対する罰則を創設するなどを内容とするものであります。我が党は、かねてより、国民からの信頼の確保に向けた国家公務員の適正な退職管理のために、再就職等規制の強化を訴えてまいりました。しかし、刑事罰の対象の拡大の可否の検討などは十分かつ慎重に議論を行うべきであり、その点に鑑みて、日本維新の会及びみんなの党の法案は性急過ぎると言えます。

 最後に、基本法第十二条に定める国家公務員の自律的労使関係制度については、残念ながら修正案には盛り込まれませんでしたが、附帯決議に盛り込むことで合意いたしております。残された今後の重要な改革課題として、自律的労使関係制度の措置を速やかに検討するとともに、国家公務員制度について引き続き不断の見直しを行い、霞が関改革を進める必要性を訴えて、私の討論といたします。(拍手)

柴山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学です。

 私は、日本維新の会を代表して、政府提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案及び修正案に反対し、日本維新の会、みんなの党共同提出案に賛成する立場から討論を行います。

 自民党は、野党時代の二〇一〇年に、みんなの党と共同で公務員制度改革法案を提出いたしましたが、その内容は、幹部職の一般職への降格や民間からの公募の制度化、天下りあっせんの規制違反に対し刑事罰を科すなど、私ども日本維新の会が主張する公務員を身分から職業へという観点にも即した、改革色のより強いものでありました。

 ところが、自民党が政権与党に返り咲いて提案した今回の政府提出法案では、それらは消えるか、後退していました。野党のときは正しいと考えた内容を、与党になるとなぜ引っ込めるのか。稲田担当大臣に尋ねても明確な御答弁をいただけませんでした。答えられないのは当然であります。官僚が反対するからであります。政府提出法案は、その他の点も含めて、旧来の仕組みを温存したいのが本音の今の幹部職員たちが受け入れられる内容へと換骨奪胎されていることが明白であります。

 これは、安倍政権が、総理がドリルという言葉で表現した改革姿勢とは逆に、官僚主導政権であることを示すものであり、改革への決意や姿勢を疑わせるものであります。

 国家公務員制度は、我が国の重要な国家インフラの一つであります。総理が新しい国づくりを唱えるのであれば、公務員改革においてもその覚悟と時代の要請にふさわしい設計思想が示されなければなりませんが、法案からはそれが十分にうかがわれません。官僚もグローバルな国際競争の時代となった今、公務の分野には、待遇や身分ではなく、公務が職業として魅力あるものとなることで、すぐれた人材を確保する必要があります。

 これらを考え合わせれば、これからの公務員像は、いたずらに組織にしがみつくことなく、各分野で組織を超えて活躍できるようなプロフェッショナルを目指すべきであります。

 そうであれば、みずからの実力でキャリアを積む再就職は自由であるべきであり、省庁による再就職のあっせんに罰則を科すことで、再就職が天下りとの疑念や批判を招かずに堂々と行われることを担保する必要があると考えております。

 そして、プロフェッショナルとして伸び伸びとその使命を追求できるよう、近年の公務員バッシングでともすれば萎縮しがちな公務員の行動への過剰な縛りも緩めて、誇りとやりがいのあるキャリアパスを描ける職業にすることも必要だと考えます。

 他方で、約六百人の幹部職については、身分保障のある一般職とは異なるコンセプトの職業として再構築すべきであります。幹部職ともなれば、真のノーブレスオブリージュとして、国益に身をささげるべき特別な位置づけがあってしかるべきだからであります。

 このような考え方を踏まえまして、私ども日本維新の会は、みんなの党と共同で、二〇一〇年に自民党が提出したのと同じ内容の法案をさきの臨時国会で対案として提出いたしました。また、今回、国家戦略スタッフ及び政務スタッフの規定を追加した法案を再提出することで、真の政治主導を確立し、そのもとに新しい国づくりを担い得る公務員制度を構築することを目指そうとするものであります。

 やる気のある公務員、頑張る公務員がやりがいを持って頑張れる社会へ、公務員制度も維新が必要であり、そのためにも、私どもの共同提出案に御賛同を賜りますことをお願い申し上げまして、私の討論といたします。

 以上です。(拍手)

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 私は、みんなの党を代表して、政府提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について反対、みんなの党、日本維新の会提出の国家公務員法等の一部を改正する法律案について賛成の立場から討論を行います。

 政府提出の法律案及びこれに対する修正案は、国家公務員制度改革基本法に基づく実定法としては、極めて不十分な内容にとどまっています。

 主な反対理由は、以下のとおりであります。

 第一に、幹部職員を引き続き一般職としたままでのいわゆる特例降任の制度は、大きな改革を実行するために大胆な幹部人事を行うには余りに非力な制度であります。あるいは、この制度によって大胆な幹部人事を行った場合には、人事院の公平審査制度によって当該政府の人事が取り消される事態もあり得、そのような場合には、行政の遂行に著しい障害をもたらす可能性があります。

 第二に、内閣人事局への総務省、人事院、財務省からの機能移管が不十分な点です。これでは、幹部人事の一元化は夢のまた夢です。また、幹部候補育成課程に対する内閣人事局の関与も限定的です。

 第三に、国家公務員制度改革基本法で明記されている国家戦略スタッフが、今般の法律案のどこにも見当たらない点です。単に総理大臣補佐官の所掌事務を変えるだけでは、基本法の要請に応えたとは言えません。

 第四に、二十一年法では法定されていた公募の数値目標が、今般の法律案ではない点です。これでは、改革の後退と言われてもいたし方ないものと考えます。

 第五に、いわゆる天下り規制に対する刑事罰の導入が、附帯決議では検討事項とされているようですが、法定は見送られている点です。

 私どもとしては、今後も、国家公務員制度改革基本法に基づいた真の公務員改革を求めてまいります。

 以上をもって、政府提出の法律案及びこれに対する修正案に対する反対討論、みんなの党、日本維新の会提出の法律案に対する賛成討論といたします。(拍手)

柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。

 反対する理由の第一は、官邸による幹部職員人事への恣意的な介入を可能とする内閣一元管理制度を導入するものであり、憲法が規定する全体の奉仕者としての公務員制度を変質させるものだからです。

 内閣一元管理のプロセスには、政治家である官房長官による幹部候補者の適格性審査等が組み込まれて、官邸による幹部人事の恣意的な運用を可能とする制度化が行われています。

 安倍総理は、現行の任命権をフル活用して、内閣法制局長官やNHK経営委員などの人事を行ってきましたが、官邸のそうした恣意的な人事に対して国民の批判が巻き起こっているのであります。求められているのは、こうした官邸の恣意的な人事権限を内閣一元管理の名のもとにさらに強化することではなく、中立公正な任用制度を再構築することであります。

 第二は、労働条件にかかわる人事院の事務を使用者である内閣人事局に移管することは、人事院の代償機能を後退させるものだからです。

 国家公務員制度改革は、ILO勧告に従い、何よりも労働基本権の回復を第一とするべきです。

 第三は、天下りを原則禁止から容認へと転換した二〇〇七年国公法改悪と並びの改悪を自衛隊法にも持ち込み、自衛隊員の天下りも原則解禁するものだからです。

 天下り容認の拡大ではなく、天下りの原則禁止に立ち返るべきです。

 なお、日本維新の会、みんなの党提出の対案も、政府案と基本方向を同じくするものであり、反対です。

 以上、反対討論とするものです。

柴山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、渡辺喜美君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、第百八十五回国会、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、西川公也君外七名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、西川公也君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及び生活の党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    国家公務員法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切に対応すべきである。

 一 職員の公募について、実施状況を検証し、その結果を踏まえて、内閣総理大臣が幹部職員の公募を実施すること等必要な推進方策を検討すること。

 二 自律的労使関係制度について、国家公務員制度改革基本法第十二条の規定に基づき、職員団体と所要の意見交換を行いつつ、合意形成に努めること。

 三 内閣総理大臣補佐官及び大臣補佐官について、その運用状況を踏まえ、増員の要否及び内閣総理大臣や大臣を支えるスタッフの拡充について検討すること。

 四 国家公務員法に定める再就職規制について、再就職等監視委員会の監視を含む運用状況を見つつ、あっせん規制に対する刑事罰の対象の拡大の可否について検討すること。

 五 幹部候補育成課程について、その運用において、内閣総理大臣が主体的かつ中心的な役割を積極的に果たすことができるよう、基準において必要な事項を定めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

柴山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。稲田国務大臣。

稲田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえ、配慮してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

柴山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

柴山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十三分散会


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