衆議院

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第9号 平成26年11月7日(金曜日)

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平成二十六年十一月七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井上 信治君

   理事 秋元  司君 理事 亀岡 偉民君

   理事 田村 憲久君 理事 平井たくや君

   理事 平口  洋君 理事 近藤 洋介君

   理事 木下 智彦君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    越智 隆雄君

      大岡 敏孝君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      菅家 一郎君    小松  裕君

      新谷 正義君    鈴木 馨祐君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      高木 宏壽君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      堀内 詔子君    松本 洋平君

      務台 俊介君    山田 賢司君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      泉  健太君    大島  敦君

      福田 昭夫君    今井 雅人君

      大熊 利昭君    河野 正美君

      山之内 毅君    輿水 恵一君

      濱村  進君    坂元 大輔君

      松田  学君    三谷 英弘君

      佐々木憲昭君    畑  浩治君

    …………………………………

   国務大臣         上川 陽子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)            山口 俊一君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     有村 治子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣総務官)  河内  隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  満田  誉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  佐々木裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  玉川  淳君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      山下 哲夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北村 博文君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菊地 和博君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中村 昭裕君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 林崎  理君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           市川 正樹君

   政府参考人

   (内閣府地域経済活性化支援機構担当室長)     小野  尚君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房公益法人行政担当室長)      高野 修一君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    倉田  潤君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    服部 高明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 杵渕 正巳君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  岡村 和美君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 河野  章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福本 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           勝田 智明君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           金丸 康夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大橋 秀行君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     吉田 光市君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   参考人

   (日本銀行理事)     雨宮 正佳君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     務台 俊介君

  鬼木  誠君     山田 賢司君

  豊田真由子君     堀内 詔子君

  河野 正美君     今井 雅人君

  杉田 水脈君     坂元 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     豊田真由子君

  務台 俊介君     菅家 一郎君

  山田 賢司君     鬼木  誠君

  今井 雅人君     河野 正美君

  坂元 大輔君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     青山 周平君

    ―――――――――――――

十一月七日

 TPP参加反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第一号)

 同(笠井亮君紹介)(第八四号)

 秘密保護法の廃止に関する請願(笠井亮君紹介)(第三一号)

 特定秘密保護法の撤廃に関する請願(笠井亮君紹介)(第四一号)

 戦時慰安婦問題の最終解決を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第五一号)

 特定秘密保護法の廃止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第五二号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一一八号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一一九号)

 共通番号制の導入反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第九三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出第二二号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事雨宮正佳君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官満田誉君、内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、内閣官房内閣参事官玉川淳君、内閣官房行政改革推進本部事務局次長山下哲夫君、内閣官房内閣審議官北村博文君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菊地和博君、内閣府大臣官房審議官中村昭裕君、内閣府大臣官房審議官林崎理君、内閣府規制改革推進室次長市川正樹君、内閣府地域経済活性化支援機構担当室長小野尚君、内閣府大臣官房公益法人行政担当室長高野修一君、警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君、警察庁交通局長倉田潤君、消費者庁審議官服部高明君、総務省大臣官房審議官橋本嘉一君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、法務省大臣官房審議官杵渕正巳君、法務省人権擁護局長岡村和美君、外務省大臣官房審議官河野章君、外務省大臣官房参事官滝崎成樹君、外務省大臣官房参事官水嶋光一君、厚生労働省大臣官房審議官福本浩樹君、厚生労働省職業安定局次長勝田智明君、農林水産省大臣官房参事官金丸康夫君、経済産業省大臣官房審議官大橋秀行君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官吉田光市君、観光庁審議官蝦名邦晴君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 本日は一般質疑の場であります。菅官房長官、そして甘利国務大臣に質問をしてまいりたいと思うのですが、まず冒頭、ちょっと質疑の前に一言申し上げたいと思うんです。

 実は、この内閣委員会、特にここ数年は、統治機構を扱う委員会でありますから、政府において内閣委員会所管の法案が大変提出をされております。したがって、非常にタイトな委員会といいましょうか、大変仕事をする委員会となっておるわけでありますが、国会日程が限られている中で、我々野党もできる限り、もちろん議員立法も含めて審議をしていきたい、こういうことであるわけであります。

 ただ、これは議会の中の話でありますから、それぞれどういう法案をどう議論していくかということはあるわけですけれども、今国会、実はきょうも、できることならば次なる閣法を、きちんと手続を踏んで、読み、審議を我々は促進したいという思いがあるんですが、なかなかそういう環境にきょうの今の時点では立ち至っていない。それはひとえに、重要広範である派遣法をめぐる議論等々で国会が、国会用語で言うと、やや波が高くなっている、こういう状況にあるわけです。

 その背景に、一つは、官房長官、なぜこのことを議会の場で申し上げたかというと、安倍総理大臣が非常に外遊の日数が長い、これがその背景にあるんですね。

 きょうも、甘利大臣、本当に御苦労さまです、TPPの閣僚会合、APEC。我々内閣委員会としては、甘利大臣が外遊されるというか、TPPについては、これはもう国家の大事でありますから最優先でということで、こういう認識で取り組んでいただきたいという思いで、委員会としても、野党の立場でありますけれども、協力してまいりました。

 ただ、安倍総理の外遊は、率直に申し上げて、この臨時国会の中で二回。しかも、これから行かれる、APECの首脳会合はともかく、この期間の長さを考えると、恐らく、今精査しておりますけれども、これだけの短い、タイトな臨時国会の日程の中で、政府が一カ月ぐらい延長されるのであれば結構でございますけれども、この期間の中で考えますと、過去に例のないぐらいの比率の外遊期間だろう、こう思うんですね。その中で、重要広範を通せ、通せ、議論をしろ、こう言われても、なかなか大変である。

 外遊をするなとは言いませんし、国益を守るためにぜひしていただきたいと思いますが、同時に、そうであるならば、やはり政府も、国会をどう召集するかということは、政府・与党一体の中で設定されるわけでありますから、早く国会を開くのか、延長するのか、その中で外遊日程を組むということが必要であります。短い国会日程の中で、これだけの長期の外遊を組まれて、法案を通そうという姿勢は、私は与党国会対策委員会及び与党の理事さんは気の毒だと思います。これはもう離れわざをやれというのに等しいことでありまして、これは政府においての責任だということを強く申し上げておきたい、こう思うわけであります。事実、法案をきちんと議論する気があるのかということを、この場であえて強く抗議を申し上げておきたい、こう思います。

 さて、議論に入ります。

 日本銀行が先週末に決めたいわゆるサプライズ緩和でありますが、これを受けて市場は大きく反応をしております。株も急上昇しておるわけであります。

 日銀の決定は、あくまでも日本銀行の判断、日銀の独立性の中での日銀独自の判断でありますけれども、同時に、政府、日銀は一体であり、とりわけ、これは我々の民主党が政権を預かってきた時代からもそうでありましたけれども、特に首相官邸と日本銀行首脳部というのは密に連絡をとるべきであるし、とってきたし、恐らく安倍官邸におかれてもそうであろう、こう推察をいたします。

 したがって、官房長官にお伺いをするんですが、内閣のかなめとして、今回の日銀決定をどのように受けとめ、また評価をされているか。まずお答えいただけますか。

菅国務大臣 委員は全て熟知をされた上の御質問であろうというふうに思います。

 まさにこの金融政策というのは、経済政策の一環をなすものであって、政府と日銀は連携をする。また同時に、日銀法には日銀の独自性というものもうたわれておるわけでありますから、具体的な政策手段については日銀の専権事項である。そのような立場で答弁させていただきますと、先週末の日本銀行による量的・質的金融緩和の拡大の決定は、経済の好循環をさらに後押しをし、持続的な経済成長につなげるための取り組みである、政府としては歓迎申し上げたいというふうに思います。

 政府としても、今後とも、民需主導の経済成長とデフレ脱却に向けて全力で取り組んでまいりたい、こう思います。

近藤(洋)委員 政府としては歓迎をする、こういうことでありました。

 マーケットといいましょうか、市場も驚き、かつ、株価が経済の体温だとするならば、冷え込んできた体温がまた熱くなってきた、温かくなってきた、こういうことでありますでしょうし、歓迎している向きもあろう、こういうことだろうと思います。

 その上で、改めて甘利大臣にお伺いしたいんですが、ただ同時に、経済財政担当大臣としてお伺いするんですが、この異次元緩和の拡大を現時点でどう評価されているか。一方で、この異次元緩和が続いている姿というのは、異次元の世界が続くというのはやはり異常な姿ではあることは間違いない、こう思うんですね。

 委員長のお許しを得て、きょう、資料配付を一枚だけさせていただいております。

 これは新聞記事の切り抜きでありますが、ここの記事に紹介されている識者の意見として、東京大学の吉川教授、非常にオーソドックスな、極めてオーソドックスな経済学者でありますが、彼は、このいわゆる量的緩和によって、異次元緩和の有効性を強く主張するリフレ派の考え方をオカルトと断じている、こういうことなんですね。オカルト映画で有名な「エクソシスト」、近代医学では手の施しようがない、母親がカトリック教会の悪魔ばらいに頼るというこの「エクソシスト」のことをひもときながら、手に負えないから神頼みでオカルト、こういうことであって、これはオカルトであると。

 かつて、サプライサイド学派に対して、ブードゥー、呪術的だ、ブードゥー経済学だ、こういうことを言われたこともありましたが、吉川教授は国内では比較的正統派の学者でありますが、彼はオカルトと断じている。そういう声もございます。

 甘利大臣は、どう評価されますか。

甘利国務大臣 オカルト映画も、ヒット作品は経済効果があるんですが。

 今回の日銀の対応は、私はオカルトだとは思いませんが、よく言われるように、マネタリストとケインジアンを乱暴に分けますと、マネタリストは、供給をふやせば需要がついてくる、ケインジアンは、需要の拡大が経済を拡大して引っ張るという、乱暴に言うとそういう分け方だと思うんですけれども、あくまでも日銀が異次元と言っているのは、世界に例がない、十五年以上続いているデフレが異常なことでして、異常な事態には相当衝撃的な対応をしないと脱却できない、デフレから脱却をしないと経済効果を発することができない、そういう脈絡だと思うんですね。

 デフレを脱却しつつあることは事実です。そこで成長戦略がきちんと効果を発現し、民需主導の経済成長に持っていくようにしていくということで、かなり刺激的には映ると思うんですけれども、この異常な事態を脱するための効果は出しつつある。それを出口戦略で後でどう閉じていくかというのは、手だては日銀にお任せするということでありますが、政府としましては、実体経済がきちんとついていくように各種施策を講じていくというところだろうというふうに思っております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 官房長官が半には会見でお出になるので、少し順番を入れかえて、本当は為替のことを大臣に伺う順番だったんですが、ちょっと先にエネルギーの話を伺おう、こう思うんです。

 こういうことで、異次元緩和をされてマーケットが非常に反応している。心配なのは、やはり為替が百十五円を臨む水準になっている。これは私は他方で深刻だなと思っておるんですが、それの関連で、まず、エネルギー価格が、いずれにしろ原油はマーケットとしては落ちついてはおるというか下がっているわけですけれども、しかし、その落ちついたマーケットの価格をこの円安が相殺するといいましょうか、してしまうわけであります。円安水準が、仮に百十五円、またそれを突破するような状況になってくると、原油価格がマーケット全体では下がっていたとしても、輸入のエネルギー価格は、原油価格は高くなっていくということになっていますし、さまざまな資材価格は上がっていく、こういうことかと思います。

 まず甘利大臣に最初に伺いますけれども、とりわけ心配しているのは、電気料金がさらに引き上げが予想される、こういうことであります。北海道電力は既に引き上げ。続いて、年内には、どうなるかわかりませんけれども、予想でありますが、関西電力もどうかとも言われております。その次は、これは財務諸表を見れば大体わかるわけでありまして、次は西の方、九州は大丈夫か、こうなりますし、西の方が一巡すると、今度はまたもう一回、さて次は、では東京は、東北は、東京電力が二巡目に来るのではないかということも、これは財務諸表を見ればわかるわけであります。これはもう単純な計算であります。

 そこでまず、甘利大臣、電気料金の引き上げというのは国民生活を直撃するわけであります。経済財政担当大臣の立場として、原子力発電所の再稼働の行方が、中期のみならず、足元一、二年の短期の日本経済の運営にもやはり相当影響を与えるのではないか、こう考えますが、どのように受けとめていらっしゃいますか。

甘利国務大臣 結論から言えば、そのとおりだと思います。

 今、電力会社、たしか三社くらいは三期連続の赤字だと思います。それ以外は二期連続赤字で、このままこの状態が続けば、債務超過になるわけでありますから、大変な事態になる。今までも、事業用の電気料金は三、四割上がっているはずです。これからも上がっていく見通しで、そうしなければ経営が確保できないということになります。

 その原因は、大きく分けて二つ。一つは、おっしゃるような原発全停止。それから、エネルギー資源の輸入価格が高くなっているということです。

 我々として、政府としてできることは、的確に対処していく。エネルギーであれば、調達の多様化とか一括調達とか、電力とガスとの間でもそういう動きがありますけれども、これはしっかりそういう方向に行くように、できることはやっていきたいと思っております。

 それから、原発につきましては、もちろん安全第一は変わりませんけれども、世界で一番厳しいと言われている確認基準、要するに、安全が確保されているかどうかの確認基準が世界で一番厳しい、これをクリアしたもの、動かす、動かさないの判断は政府ですけれども、安全ですよ、でも動かしませんという選択はないと思うんですね。

 もちろん、地元の理解を得ながら作業を進めていくということでありますけれども、日本経済にとって、国民生活にとって使える安全な手だては可能な限り活用していくというのが政府の基本方針であることは間違いありません。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 今大臣の御答弁で、動かす、動かさないの判断は政府とおっしゃいましたけれども、民間事業者、こういうことですね。(甘利国務大臣「ええ」と呼ぶ)であれば結構です。

 その上で、官房長官、今、甘利大臣にも半分お答えいただきましたが、まさに、安全性を十分に確認した原子力発電所は稼働させる、その稼働させるというのは、再稼働させる環境をきちんと政府の責任において整えるというのが安倍政権の基軸スタンスだということでよいかということをまず改めて確認と、その際、内閣としては、もう一つ、原子力発電の再稼働をめぐって、一方で、安全基準をつくる政府、稼働するかどうか最終判断する事業者、そして、別な意味でさまざまな権限を持っている地方自治体というのがあるわけでありまして、この地方自治体も広い意味で、地方政府という意味では政府なんですが、この地方政府と中央政府の信頼関係というのが極めて重要な肝だと考えるのですけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 再稼働については、甘利大臣の答弁どおりであります。そして、同時に、再稼働に当たって、今、民間事業者の話がありました。それと、地方自治体と政府。

 そういう意味で、民間事業者の方は、やはり、地方自治体としっかりとした連携が必要だろうと思いますし、政府としても、そうした自治体との関係もしっかり対応していく、このことも極めて大事だというふうに考えています。

近藤(洋)委員 地方自治体は、より地域住民に密接なわけですから、まさに地域住民を代表している、こういうことですから、非常に大事なわけですね。

 その上で、官房長官にお伺いするんですが、政府と地方自治体との関係において、ある意味で先頭に立つのが、この場合は、原子力発電の再稼働問題について言えば、やはり経済産業大臣になるわけだと思います。その経済産業大臣が、まず、今回の改造内閣において、残念なことに、小渕前大臣はみずからの不祥事で就任早々辞任をされた。

 次のことが、私、ちょっと問題だと思うんですが、その後任としてなられた宮沢大臣が、これは本当に私は驚きなんですが、震災後、大臣に就任するまでの間、三年半、福島原子力発電所、F一はおろか、福島県の被災地も訪問をされていない、こういうことでありました。

 宮沢大臣は、普通の与党議員ではなくて、実は、私も一緒に仕事をしていたからわかるんですが、当時、野党自民党の震災復興の政策の中核メンバーであられました。復興基本法をつくられた中核メンバーであり、復興庁設置法をつくられた中核者でありました。

 実は、私は、当時、与党側の事務局メンバーでありましたから、宮沢先生に大変厳しく御指導いただいた立場でございまして、全く厳しく厳しく、逐条的に御指導いただいて、ですから、よく覚えているわけであります。ですから、中心人物でございまして、もちろん、上には額賀先生がおられたり、時折いらしたんですけれども、少なくとも宮沢先生が中核でございました。

 ですから、復興の中核であられた、制度設計をされたのが宮沢先生だ。制度設計をされた方が、しかし、その後三年半も一度も、福島県、復興の中心である福島を訪れていなかったとはゆめゆめ考えていなかったんですが、驚いたんですけれども、こういうことであったと。

 また、先日、これも一部の新聞に出ているようですけれども、福島県ではなく、九州に早速訪れて、まさに川内原発ですね、九州電力の川内原発も非常に大事な局面を迎えております。ここ一両日で鹿児島県が判断を下す、こう報じられております。県議会が一つの判断を下す、こう言われておりますが、この九州電力川内原子力発電所、鹿児島県を訪問した際に、宮沢経産大臣が訓示の際に、この川内原発をカワウチ原発と読み違えられたと。あの聡明な宮沢大臣には考えられないと思うんです。

 エネルギーをある程度知っている人、エネルギー政策に詳しく、また、原子力政策であれば、確かに、地名で川内と書いていますから、知らなければカワウチと読みますが、しかし、薩摩川内市ですからね。川内原発をカワウチと現地に行って読み違えることは、少なくとも、考えにくい読み違いだと思います。これは地元で相当ひんしゅくを買っていると聞いております。

 読み違いをする、漢字を読めない大臣もかつておりました。ですから、余り揚げ足をとるつもりはありませんが、しかし、官房長官、地名は大事ですよ。我々も選挙とかいろいろな活動をやっていますけれども、地域に行って地名を間違えると、おまえ、何やっているんだ、地域のことをわかっているのかと非常に指摘されますからね。私らは、いろいろ地域を回ると、まず、ここの地名は何と読むんだと必ず聞きますから。自分の選挙区内だってそうですから。選挙区内で間違えたら、もう大変なことになるわけですね、あり得ないですよね。大事な地域であればあるほど、そうですよ。

 今の経産大臣にとって最も大事な地区はどこだ、こう聞かれれば、福島であり、そしてある意味では九州なり原発立地地域というのが、経済産業大臣にとって最大重要の地域のはずです。これを間違えたということです。

 こうした立地地域の現状を理解しないと受けとめられかねない問題を起こしたことは、猛省を促すべきではないかと思いますが、官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 まず、宮沢大臣が福島に一度も足を踏み入れていない。しかし、委員からも発言していただいたように、党内において、まさに復興基本法を中心として、そうした政策立案の責任者でした。ですから、そういう意味において、復興のために大きな役割を果たしてきている議員の一人である、私どもはそう思っています。

 それと同時に、今、川内村、川内原発のお話がありました。実は、川内原発を視察するたしか一日か二日前に、川内村に大臣は視察をされています。ですから、そういう意味において、現場でそのことが頭にあったのではないかなというふうに私は思っています。そして、その場でとっさにそこはおわびをして訂正をした、このように報告を受けております。

 いずれにしろ、宮沢大臣は、今回の鹿児島訪問において、川内原発の再稼働を進める政府の立場、そうしたものについて、地元の理解を得るためにしっかり説明をされて努力をしてきている、そういうふうに思っています。

 ちなみに、実は私も、かつて原子力防災会議のときに、川内村に対しての避難解除と同時に、川内原発の警戒についての会合がありましたけれども、間違えそうでありました。

近藤(洋)委員 しかし、官房長官は、間違えそうであったけれども間違えなかったんですね。ここが大事ですね。これは、間違えちゃいかぬところで間違えない官房長官と、間違えてはいけない現地に行って間違えるという、やっちゃいけないところで間違える人と間違えない人がいる。

 いや、わかります。忙しいし、人間ですから、間違えることは、それは私も、何も、こう思うのは、気持ちのここまでわかり切りながら、しかしながら、大事な局面なんですよ。今一番大事な、この一両日に決めるという、鹿児島県議会がこういう局面のときに間違えるというのは、これは一体、だから、要するに、どこまで現場をわかっている、気持ちがあるのかなと。

 あえて言うと、宮沢大臣は、福島を訪問しなかった理由に、私の質問に対して、こう御答弁されているんですね。議事録を精査すればわかることですけれども、現地を見なかったということに対して、つかさつかさに任せるのが宮沢家の家訓でございます、こういうお答えぶりをされました。現地を見ないのが宮沢家の家訓だとしたら、私はちゃんちゃらおかしくて、そんなことはないと。

 やはり、きちっと現場を理解する気持ちというのが、私は宮沢先生を尊敬している政治家でありますけれども、極めて聡明な方だとは思いますけれども、本当に今の局面としての経産大臣として正しいことなのかというのは、残念ながら、今回の、たかが間違い、されど間違い、言い間違いをもってしても言えるのではないか。

 やはり、官房長官、猛省を促したいと思いますし、ぜひここは、最終的には総理大臣がきちんと何らかの、この原発再稼働については、総理大臣がきちんとステートメントを発表するという場面は現時点では想定をされていますか、されていませんか。最後に一点だけお答えいただけますか。

菅国務大臣 まさに現場の責任者であります経産大臣がこれは責任を持って今対応いたしておりますので、総理大臣からのことは考えておりません。

近藤(洋)委員 だとすると、私は、宮沢大臣はちょっと残念な、余り適格ではないなと。別に隣に甘利大臣がいらっしゃるからじゃないですけれども、甘利大臣に経産大臣の方が、よほどエネルギーについて造詣が深いし、正しかったのではないかと思います。

 どうぞ、官房長官、離席されて結構です。お時間ですから。

 宮沢大臣については非常に問題が多いと言わざるを得ません。

 次に、甘利大臣、引き続き伺ってまいります。

 株高の、エネルギーもそうなんですが、まさに百十五円を臨むという為替の水準は、Jカーブ効果というものが残念ながらあらわれない今の現状の中では、むしろ見過ごせない弊害が拡大している状況ではないか、こう思いますが、大臣はどのように認識をお持ちでしょうか。

 この円安というのは、もはやここまで来ると、そして今の日本経済の状況からすると、ある意味では、内需中心型の中小企業や国内の生活者の所得を輸出型企業に所得移転しているだけじゃないか、こうもとれるんですね。壮大な所得移転が行われていて、国内の、例えば私の田舎の山形県民とか、秋田県とか、福島県とか、ああいう地方の、これから冬場が来ると余計そうですけれども、生活者からどんどん所得を吸い上げて、中小企業、国内需要型から吸い上げて、その分、一方、外需型の企業に所得移転が行われているだけではないか、このままだとこうもなってしまうと考えるんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

甘利国務大臣 為替レートがどれくらいが適切かというのは閣僚は答えることができないわけでありますが、言えることは、過度の円高も過度の円安も、それから、どちらかに進むにせよ、そのスピードが速過ぎることも経済にとってはプラスではない。要は、日本経済の実力を反映したレートに安定的におさまってくれるのがいいということであります。

 今は、輸出業者には優しく、輸入業者には厳しい状況が続いております。大事なことは、輸入価格、輸入物価が上がったその事業者が、きちんと価格転嫁がなされるということが大事でありまして、輸出事業者はもうけを懐に入れたままということでは経済の好循環は生まれないということで、価格転嫁に関する政策パッケージをさきに、経産大臣、これは小渕大臣の時代でありますけれども、発表されまして、それを実施しているところであります。

 場合によっては立入調査も含めて、消費税分に加えて、輸入価格が増加している分がきちんと経済自由化の中で織り込まれているかということをしっかり監視していきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ監視はしていただきたいと思うんですが、その上で、また大臣、しかしながら、これだけの状況、円、為替の水準が続く、また実質所得の低下等を考えると、地方再生国会と言われましたけれども、あの法案だけで何がなるというわけでもないと思うんですね。政府として緊急の経済対策を打ち出して実行する必要があると考えますが、補正予算云々となると、この場では何も言えなくなってしまうわけでありましょうが、しかし、それは承知の上で、我々とすると、やはり何らかの対策は必要だという認識は私どもも持っておりますが、大臣、いかがですか。

甘利国務大臣 十一月の十七日に七―九の一次QEが出ます。それも見て、もちろんそれ以外の経済指標も見ることは大事ですが、その一次QEを中心に見ながら、日本経済が安定軌道に、デフレを脱却して、弱インフレに向かって安定軌道の中にあるか、あるいは、消費税の反動減が長引いていると言われていますけれども、消費の停滞に対して何らかの、ピンポイントでも対策を打たなくていいのか、その判断をするときが来るんだというふうに思っております。

 与党におきましても、いろいろと経済の状況のヒアリングを始めて、必要な手だて、それは、補正として打てという御要請が来るのか、あるいは、それだけでなくて、来年度予算についてもこういうめり張りをつけよという要請が来るのかわかりませんけれども、先生と同じような認識を与野党、持っておられると思います。

 それらも踏まえて、政府としては、適切な判断をしたいと思っております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 続いて、TPPについて伺いたいと思います。

 本当にロングランの長い交渉がここ数年続いている、数年といいましょうか大臣御就任以来続けてこられておるわけですが、また、あすからですか、行かれるわけであります。

 先日、投開票が行われた米国の議会選挙、中間選挙で野党共和党が上下院とも過半数を制した、オバマ大統領率いる与党民主党が敗北ということであります。オバマ政権が任期を二年残して厳しい政権運営を迫られると。

 この結果としてTPPに与える影響は、いろいろな見方があるので何とも言いようがないわけでありますけれども、大臣としては、この米国議会の状況を踏まえてどう北京の交渉に臨まれるおつもりなのか、お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 中間選挙の前と後でどういう変化があるかということはよくいろいろな方面から聞かれるんですけれども、選挙に向かう候補予定者、候補者がステークホルダーの影響を受けるのは、選挙の前の方がよりプレッシャーは高いだろう、選挙が終わっちゃうともうしばらくないわけでありますから、そういう意味では、安定的な判断ができるのは選挙の後の方なのかなというふうに推測をいたしました。

 選挙の結果が、野党である共和党が上下両院を制するという結果、オバマ民主党が大敗をしたということでありますが、二つ言える点は、一つは、日本のような議院内閣制ではないので、大統領と与党との関係が全然逆に動いたりします。特にTPPでは、民主党が反対とか、我々の感覚からすると信じられないようなことが起きているんですが、共和党が多数を占める、そして、共和党と大統領府との間で、これとこれについてはきちんと協力していくからというようなニュアンスが交わされているようです。TPPを含めた通商交渉については、共和党は前向きな政党でありますから、ここは協力をしていくと。

 ただ、手放しで喜んでいられないのは、積み上げてきた交渉が、では、我々は協力するからこういう追加対応をしてくれと、そして、今までの積み上げがなし崩しにされるのであるならば通商交渉というのは成り立たないわけでありますから、そこらも含めて、オバマ政権には、今までの積み上げはきちんと守っていく、そして加えて、TPPの意義を共有して、早期妥結に向けて歩みを進めてもらうということを期待しておりますし、アメリカ国内でのそういうハンドリングは責任を持ってやってもらいたいというふうに思っています。

近藤(洋)委員 今の御答弁で、非常に御丁寧に状況を御答弁いただいたので理解できたわけでありますが、ある政府高官は登山に例えて、九合目まで来た、こうおっしゃっている。この九合目というのは一体何をもって九合目なのか、私はよくわからなかったんですけれども、今の大臣の答弁で何となく空気がわかりました。

 山というのは、八合目でも九合目でも、最後の山が一番大事でございますから、見方によると、九合目というとすぐにも合意できそうな感じ方ですけれども、私は、なかなかそうはいかない、最後のところが厳しい、まだまだ、年内合意というのは、個人的には、ぜひ頑張っていただきたい、国益を守るのには頑張っていただきたい、こう思いますが、難しい局面だと思います。

 大臣、共和党が勝ったというか、米国の議会が安定したということは、ある意味では、ファストトラックというのをきちんと米国議会が与える可能性もあるわけで、それはそれで交渉にとってはプラスだ、こう認識しますが、これは年明け以降になるかもしれませんけれども、そこは、済みません、いかがお考えでしょうか。

    〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕

甘利国務大臣 おっしゃるように、いずれにしろ、議会が安定をしました。そして、安定勢力は通商交渉には前向きだということはプラスと受けとめたいというふうに思っています。

 年内合意については、アメリカ自身がなかなか難しいと、言わなくてもいいと思っているんですけれども、言われているのは、それだけ、確かに山の最後の一登りが一番大変になってくる、それはそのとおりだと思います。

 日本としては、市場アクセス、ルール双方において、交渉早期妥結に向けて貢献できるように頑張りたいと思います。

近藤(洋)委員 ぜひ、新しい議会の構図の中で、我が国においては、腰をきちっとまた据えて、構えを据えて交渉に取り組んでいただきたい。大臣におかれては、なかなか大変な役回りで心から敬意を表しますが、ぜひここは腰を据えて取り組んでいただきたい。ゆめゆめ、拙速に、無理に合意をする必要はない、こうも思うわけでございます。

 ほかにもお伺いしたいこと、実は、議員立法の件でありますが、カジノ法案についての見解も伺いたかったんですが、帰国後ゆっくり伺いたいということを申し上げて、時間ですので、質問を終わります。

亀岡委員長代理 次に、大熊利昭君。

大熊委員 維新の党の大熊利昭でございます。

 甘利大臣、この秋初めて質疑させていただきます。今国会から維新の党になりましたので、引き続きよろしくお願いいたします。

 私ども、前のところから似たようなことをやっているんですが、党で今度、正式に行革調査会というのを政調の中につくりまして、私もメンバーということでやらせていただいています。

 中身は、きょうこれから細かいことも含めてお伺いします、いわゆる官民ファンド系の話、独立行政法人、それから基金、この三つを中心にいろいろチェックを入れていこう、こういうことでございまして、アウトプットとしては、具体的な数字的なものを出していきたいな、こういうことです。

 つまり、どのぐらいお金が寝ているのか。民間企業でいえば、やはり資金効率を上げていかなければいけませんので、正直、霞が関文化には、予算をたくさんとってくるんだということがあるのではなかろうかというのがあって、結構資金が寝ている、資金効率が悪いんじゃないかなと見ております。

 そういうことで、大変恐縮ながら相当細かいところまで、きょう、お伺いいたしますが、その辺は事務方中心にお答えいただいて、最後に大臣にちょっと感想なりコメントをいただければと思います。

 具体的には、いろいろある官民ファンドの中で、所管の地域経済活性化支援機構、こちらについていろいろ、全体それから個別案件を含めてお伺いします。

 まず、この地域活性化支援機構、これは厳密に言うと金商法上のファンドではないんですが、ざっくり、やっていることは、官民ファンドと言われていることですから、ファンド業務なんですよね。このファンド、機構全体としての、個別案件じゃなくて、全体としてのリターンはどのぐらいを目標に、何%か。あるいは、IRRはやっていないというふうに前回からもお話がありますけれども、何倍とかでも結構です、どのぐらいのリターンを目標とされているファンドなのか、教えていただけますか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 地域経済活性化支援機構につきましては、その公共的な性格から、リターンの見込みの多寡により投資判断を行うものではございませんが、支援決定に当たりましては、支援基準におきまして、五年以内に一定の生産性の向上及び財務健全化に係る数値を満たすことを求めまして、企業価値の向上を通じた投資資金の回収可能性を担保する、そのようにして運営を行っているところでございます。

大熊委員 お答えいただいたとおり、やはり純民間のファンドと違って、数字的な目標が言えない、そもそも目標が設定できない、こういうこと。

 これは、財務省が配っている、たしか「ファイナンス」という雑誌に官民ファンドの特集があって、そこには、リターンも満たし、公共政策上の目標を満たして、両方満たすんだという説明があったんですね。今の御説明と若干そごがありますよ。リターンもあり、かつ公共政策上の目的も、両方できるんだというのが財務省のその雑誌に書いてある。財務省発行の雑誌ですから、恐らく財務省さんの意見だと思うんですね。

 今のお話のニュアンスだと、リターンは出なくてもいいんだ、公共政策上の目的が果たせればいいんだというふうに聞こえてしまうんですが、そういうことなんでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の九月に決定されました官民ファンドに係るガイドラインにも記載されておりますけれども、個別のリスクというものをちゃんととりながら、一方で全体についてはプラスになるということでポートフォリオ全体の管理をきちっとしていくということでございますので、個別につきましてはもちろんマイナス、プラスはございますでしょうけれども、全体のポートフォリオについてはプラス、つまり出資した以上の、一以上を最終的には目的とするというところはありますので、必ずしもリターンを全部無視しているということではございません。

大熊委員 これは民間だけじゃなくて公共機関もそうだと思うんですが、金融のセオリーとしまして、一がちょっとふえてそれでプラスか、そういうことじゃないんですよね。これは資金調達コストがあるわけでございますから、国債だって資金調達コストを得てそれでやっているわけですから、一ちょっとプラスでそれでプラスということでは必ずしもない。そこがそもそもちょっとおかしいんじゃないかなというふうに申し上げます。

 では、なるべく私も生産的にいきたいんですが、今後のこと、例えば、直近で投資を発表された五島軒だとか、その他、時間の限り伺いたいと思いますが、そのために、過去の失敗をどう生かすんだ、こういうことでございまして、通告しています二番目の方の、過去の失敗例。

 これは、この委員会でも何回かやらせていただいていますね、コロナ工業。これは、地域活性化支援機構の法律、バージョンアップした法律がこの委員会で成立した、そのわずか一カ月以内に倒産しているわけでございますね、民事再生。だから、この委員会での審議中は、そんなことはよもや、皆わからず、私も含めてわからず、私どもは当時反対しましたけれども、この可決の一カ月以内に倒産したわけでございますね。そうですよね。しかも、それは去年の三月。十二月に民再の支援がめどがついて、株式及び債権の処分についてということで、九カ月もたってから発表をされている。それは、民再の手続があったから九カ月かかったんだとおっしゃるんでしょうけれども、ディスクロのタイミングも非常に遅いと言わざるを得ないわけなんです。

 このコロナ工業の失敗をどのように生かされるのか。今後の、五島軒とか沖縄三越とか知床グランドホテルとか、投資されていますよね、この失敗をどういうふうに教訓として検証されたのか、教えていただけますか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、コロナ工業につきましては、もともと、平成二十三年五月に当時の企業再生支援機構が支援決定を行いまして、以降、再生に取り組んでまいりましたが、予想以上に国内需要が縮小したこと等から大幅な収益改善に至らず、昨年四月に民事再生の申し立てを行ったものと承知してございます。

 機構の保有する株式、債権が結果として毀損することになったことにつきましては残念でございますが、外部環境の急激な変化があった中で、機構がそれぞれの時点におきまして最善の対応策を検討し、実行してきたものと承知しております。

 機構におきましては、コロナ工業の事案も踏まえまして、支援を開始した後に事業の継続等に懸念が生じた事業者につきましては、より厳格なモニタリング、集中モニタリングを行う体制に移行するなどの管理体制の強化を図っているところでございます。

 これまでに、旧企業再生支援機構の時代からも通じまして、機構が支援決定した案件で出資などが毀損したものはコロナ工業一件のみでございますが、今後も、昨年九月に決定されました官民ファンドの運営に係るガイドラインに基づきまして、個別案件でのリスクテークとファンド全体での元本確保のバランスをとるポートフォリオの管理が適切に行われていくよう努めてまいりたいと存じます。

大熊委員 私も金融機関出身でございまして、貸し金だけではなくて、エクイティーの投資なんかをやったこともあるんですが、これは全部成功しろと言っているわけじゃないんですね。やはり、エクイティーとかメザニン投資ですから、それは失敗もするんですよ。それはしようがない。

 しようがないといえばしようがないんですが、そのときに民間だったらどうなるかというと、その投資決定をしたファンドマネジャーは、ただ首になるだけじゃなくて、大手の金融機関系は、サラリーマンですから、首にはならないが、ある一定の人事が行われる程度なんだろうと思いますが、グローバルな、世界標準的なファンドであれば、その人は、大体普通は、ファンド金額の一%、個人財産を一緒に損をする形になる。これがファンドの世界の常識だと思うんですね。ヘッジファンドであろうが、不動産ファンドであろうが、このような再生PE系のファンドであろうが、それが常識なんです。

 ところが、やはり霞が関の場合は、そういう責任のとれる人事、制度も含めて、なっていないんですよ、簡単に言うと。だから、この体制の中でファンドをやるというのはなかなか無理があるんじゃないかなというのが私の根本的な問題意識なんです。

 確認で結構なんですが、法律上あるいは運用上、金銭的な責任のとり方というのは、これはそもそもできないというたてつけになっている、そういうことでよろしいでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げれば、法的な観点から申しますれば、機構法に基づき適切な手続により慎重に審査が行われていること、支援後の適切なモニタリングが行われていること、必要が生じた場合に出資等の毀損回避のための適切な措置を講じていることといった、経営陣に期待される役割を十分に果たしている場合においては、一概に責任を問われることにはならないというふうに考えているところでございます。

大熊委員 ですから、民間の普通の、大手の金融機関系ファンドは別にして、独立系のファンド、日本では余りないんですけれども、世界的に見るとそういうところが中心でありまして、とはもう全く違うんですね。責任をとらない。

 何か意図的にお金をどこかへ持っていっちゃったとか、それは別としまして、普通にやっていれば金銭的な責任はとらなくていいんだ、その投資審査をした責任者、プリンシパルと呼ばれている人たちは責任をとらなくていいんだという仕組みにそもそもなっていてやっているということは、エクイティー投資の失敗、メザニンでもいいんですが、失敗について責任がとれないような仕組みでそもそもやっているというようなことが確認をされたわけでございます。

 そういう法律でスタートしているので、では、そういうことで、今後、どれだけそのような事態を防げるんだということで、簡単に、時間もあれなので、五島軒のケースですね。

 このケースは、そうすると、先ほどの流れでいうと、一応元本をちょっと超えればいいぞということが目標なんでしょうか。青函活性化投資事業有限責任組合、二億円のファンドを地銀さんと設立していますが、一〇〇ちょっと超えればいい、期間が七年、これが目標、こういうことで大体よろしいでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 五島軒につきましては、御指摘のとおり、普通社債の引き受けで、五千万円の社債ということで引き受けさせていただいております。

 その目標とするリターンでございますが、もちろん、なるべく最大化を図りながら、かつ、やはり地域経済活性化支援機構の目的である地域経済の活性化、それから事業のより一層の経営改善というものを図りながら、なるべく最大の投資効果を上げていくということで今後やっていきたいというふうに存じているところでございます。

大熊委員 その中で、運営体制なんですが、五島軒と、もう一つ通告をさせていただいています知床グランドホテルの件を伺いますが、こちらは、政策投資銀行さん、それから民間の事業会社さんと一緒にやっていらっしゃって、GPについては、REVICキャピタル、機構さんの子会社のキャピタルさんと、それから株式会社RD観光ソリューションズ、これが共同運営者というふうに理解しているわけなんですが、この民間の方、株式会社RD観光ソリューションズの方の金商法上の登録あるいは届け出関係を教えてください。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地域経済活性化支援機構につきましては、先般十月に第二種金商業者ということで登録をしたわけでございますが、相手の方につきましては、御通告いただかなかったので、ちょっと今わかりませんので、至急確認いたしまして、後ほどお知らせさせていただきたいと思います。

大熊委員 春に、金商法上の登録をしていないのは、民間ですと、普通、ファンドをやる場合は、金融商品取引法上のいろいろな登録か届け出をやるわけでございますか、官民ファンドだけがこれを免れているのはおかしいじゃないかと言ったところ、十月に登録をされたと聞くと、それは一歩前進ではないかなというところでございますが、問題意識としては、恐らく民間の方は登録か届け出をしているはずなので、今度は、REVICキャピタル株式会社、こっちは無登録なんじゃないですか。していますか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 地域経済活性化支援機構の子会社でありますREVICキャピタル、これはファンドの運営をする子会社でございますが、このREVICキャピタルにつきましては、金商法の第六十三条に基づく適格機関投資家等特例業務ということでやっておりまして、当局には届け出てやっているところでございます。

 今回、先ほど申し上げました地域経済活性化支援機構につきましては、特に、本年六月に閣議決定されました「日本再興戦略」改訂二〇一四などにも掲げられました、今後、地域経済活性化支援機構が推進をしていきます地域経済活性化のファンドを組成していくときに、多額の出資が必要になる、それから広域を対象とするファンドもある、また、できる限り多様な出資者が望まれるということで、機構みずからも勧誘を行う必要性が出てきたということで、その観点から、この十月一日付で、機構におきましても金商法に基づく第二種金融商品取引業者の登録を行った、このような経緯があるところでございます。

大熊委員 REVICキャピタルは、適格投資家用の、プロ用ですかの届け出をしているということで安心しましたし、理由はともかく、REVICの方も登録をしたということで、春からすると一歩前進ではないかなというふうに、当時質疑をさせていただいた結果からしていいんじゃないかなと思います。

 今、ちょっと細かい議論をさせていただいた、一言、大臣に感想なりコメントをいただいて、あと数分でございまして、お願いしたいと思います。

甘利国務大臣 いわゆる官民ファンドは、私が申し上げるまでもなく、なくても市場がきちんとその機能を果たしていれば、ない方がいいんだと思うんですが、中小企業の事業再生というのは、民間のそうしたものがなかなか手を出しづらいし、出してくれない。でありますから、官民ファンドが手を差し伸べつつ、民間のそうした在来企業が参加してくれるということを誘導していくことが仕事なんだと思います。

 確かに、民間の人材を募って運営はしていますけれども、出資や融資が毀損すれば、それは税金が入っていることでありますから、そういう意識をしっかり経営陣にも持ってもらうということと、それから、過去の事例からの反省で、物言う株主、物言う債権者として、これは金融面だけじゃなくて経営面までもしっかり指導していくということになっていますから、そこは緊張感を持って、出資や融資をした以上、再建につながるように最大努力をしていきたいというふうに思っております。

大熊委員 ありがとうございました。

 ぜひ、これからのこととして、責任のとり方について、もう一工夫何とかならないかなということをちょっと申し上げて、最後の二、三分で、有村大臣にお越しいただきましたので、今度は独法の方を。

 これも、春の常会でも、いろいろ個別に、国立病院機構とか、独法についてやらせていただいたものを、まとめてシートにしてまいりました。

 百ぐらい独法がある中で、現預金と国債等の有価証券、これは単にBS上の資産サイドのものを足し合わせたものではなくて、それぞれの独法で、純資産と比較して小さい方をとってきています。だから割と保守的なものをとってきて、一番下の欄外ですが、二十四年三末で七兆一千億、二十五年三末で十八兆五千億、これが要は国庫にマックス納付可能ではなかろうかと。ただ、GPIFの部分がありますので、除きますと、二十四年三末で四兆五百億、二十五年末で四・八兆ぐらいありまして、このお金は寝ているんじゃないかというふうに見ております。

 恐らく、政府の方では、そういった数字での問題意識、あるいは目標設定がされていないので、ちょっと時間が終了なんですが、ぜひここは数字の目標設定を、企業経営と一緒ですから。これはもう甘利大臣には釈迦に説法ですが、大体民間企業の経営指標というのは数字で目標設定をしているわけですよ。だから、政府におかれても数字の目標設定をぜひしていただきたいなと思うんですが、一言だけお願いします。

    〔亀岡委員長代理退席、委員長着席〕

山下政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の金額につきましては、個々に見ていきますと、各独法の業務上必要な運転資金、リスク引当金などでありまして、これを直ちに数値目標を立てて処分をするということはできないものと考えております。

 ただ、独立行政法人の保有資産につきましては、二十二年の独法通則法の改正以降、業務上必要がなくなった資産のうち、政府からの出資、支出に係るものについては国庫に納付するものとされておりまして、このような取り組みを引き続き続けていくべきことと考えております。

大熊委員 本日は以上で終わります。また続きます。よろしくお願いします。

井上委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、一般質疑ということで御質問させていただきますけれども、基本的には、私が現場でさまざま聞いてきた内容についてお伺いしたいというふうに思っているんですけれども、最後にクールジャパンについてお伺いしたいと思っておりますので、大臣にそこまでおつき合いをいただければというふうに思っております。

 まず最初に、ウエアラブル端末についてお伺いをしたいと思います。

 このウエアラブル端末というのは、既に開発されて市場に出回っているものでありますし、今、本当は何か映像でも見せながら、こういうものですよというのをここで御披露した方がわかりやすいのかなとも思いましたけれども、グーグルグラスとかいったようなものが眼鏡のような形で出てきていたりとか、時計型のようなものもございます。そしてまた、日本でも、大手家電メーカーが、カメラがついているようなものを頭につけて、それで、有名な女優とかサッカー選手とかを使って誰々目線みたいな形でCMとかを打って、非常にいよいよこれから出てくるものなのだろうなという機運が高まっているわけでございます。

 これは、ずっと研究されていて、いよいよどうやって普及させていくかというところに、さまざま法的な整備もしていかなきゃいけないんじゃないかということで、神戸大学の塚本教授という方からさまざまお話を伺ったことがございました。

 一応、眼鏡型のようなもので録画すらできる、そういったものも出てきているわけでありまして、こういうものも映画館で録画されちゃうと著作権に抵触するんじゃないかとかというようなところとか、あるいは、運転中にその眼鏡型のものをかけていて、どうやらこのあたりにその内容が見える、グーグルグラスなり、そういったものが視界の前方ぐらいに見えるんだけれども、それが運転中にかけていると事故を誘発するのではないかということで、それこそ、どのようにするべきかということ。

 これは、道路交通法とかにさまざま定められていて、もう既に、本当は運転中しちゃいけないよというものであればいいんですけれども、そこのところを少し確認させていただきたいと思います。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の装置は、レンズに画像を映し出すことのできる端末であるというふうに承知をしております。

 ところで、運転者の遵守事項について定めております道路交通法第七十一条第五号の五におきましては、自動車等の運転者は、自動車等に持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこととされているところでございます。

 したがいまして、御指摘のような眼鏡型の端末は画像表示用装置に当たると考えられますので、これを使用してレンズに映し出されました画像を注視して自動車等を運転する行為は、道路交通法上、既に禁止をされているところというふうに理解をしております。

濱村委員 今お答えいただいたとおりだとは思うんですけれども、条文では「注視しないこと。」と定められているんですね。実は、注視しているかというとそうではなくて、ずっと見ているわけではないというのはあるので、これが違反に当たるかどうかというのはさらに細かく議論が必要なのではないかというのは少し思っております。

 いずれにしても、こういうものが普及していくというのは生活者のために非常に資するものでありますので、適切な普及のためにぜひ後押しをしていただきたいというふうにも思いますし、これを後追いで、問題が出てきてから対処すればいいというものではないんじゃないかという問題提起をきょうはさせていただきたいと思っております。

 というのも、実は、アメリカで今どういう状況になっているかというと、アメリカの映画館で、既に、こういったウエアラブル端末を使用するのを禁止しようということを、アメリカの映画協会とか、あるいは劇場所有者協会といったところが自主的に決めたというのがあります。

 ですので、アメリカでも法的には追いついていないというのはあるんですけれども、そうやって、どうやってそういう新しいものを使っていくかというものは、適切な法規制のもとに、さまざま自主規制も、業界団体の方々はいろいろ考えています、そこに対してしっかりと意見を聞いていける体制づくりはやっていただけるように、ぜひ政府としても御検討いただければというふうに思っております。

 続きまして、次の質問に行きますけれども、サイバー監視についてお伺いします。

 フランスの主要なニュース雑誌に、ある記事が掲載されました。どういう記事かというと、十五歳の少女が、フェイスブックを利用している中で、いわゆるイスラム国の過激派の人たちに洗脳されてしまったと。

 その少女は、最初はもともと、気分がすぐれない日に、今までのことをちょっと後悔しているみたいなことを書き込んだ。そうしたら、どんどん知らぬ人から友達申請が来て、友達になっていったんだけれども、その人たちから言われることは何なのかというと、シリアに行ってその罪を償いなさい、あるいは、最初は、人道的支援を行うことが君の目標になるべきじゃないかとかということで、どんどん友達として交流を進めていった。そうする中で、私がシリアに行くことこそが私が救われる道なんだというような考え方になっていってしまった。

 偽造パスポートも用意されて、いよいよ、学校に行くふりをして家を出るだけのときに、親にパソコンの中身を見られて、親からとがめられた。それで、偽造パスポートとかを入手して出国するというようなところには至らなかったんだけれども、その次にまた、なぜ来ないんだということで過激派から連絡が来る。さらにまた、やはり行かなきゃいけないという気持ちになってしまった。なってしまったというときには、フランスの中では、内務省の国内情報中央局という情報機関がありまして、この機関からもう既にその少女は監視下に置かれていた。どういう行動を起こすかということで、しっかりと見張っていたという状況にありました。

 その結果、シリアに行くことも防げたということで、この少女は今も一応観察されている状況ではあるんですけれども、フランスではこうやって、この少女は救えたんですけれども、大体千人ぐらいがシリアに行っているというふうにこの記事の中では書かれておりました。

 日本でも、実は、この前の北海道の大学生の話もありましたけれども、こうした若者がテロに巻き込まれるということをしっかりと防いでいかなければいけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、日本ではどのような監視を行っているのか、その点をお伺いしたいと思います。

塩川政府参考人 お答えします。

 テロの未然防止のためには、情報収集を行うことが重要であります。警察では、インターネットからの情報収集などによりテロの兆候を把握し、必要に応じて関係省庁とも連携し、適切な措置を講じるよう努めているところであります。

 例えば、今委員御指摘の点でありますけれども、現在、警視庁において捜査中の大学生による私戦予備・陰謀被疑事件では、さまざまな情報収集を行い、捜査に着手したところであります。

 今後とも、さまざまな方法で情報収集、分析を行うなどして、国際テロの未然防止を図ってまいります。

濱村委員 ぜひ取り組みを進めていただきたいというふうに思っております。

 続いて、ネットにおける書き込みについてお伺いをしたいと思います。

 ネットにおいて誹謗中傷を書かれたという方が相談に来られました。どうやって削除を依頼したらいいんだとか、そういう話が最初あったわけですけれども、そもそも、このあたりの法整備。ネット選挙解禁で、プロバイダーに削除を依頼するとかというのが二日間ぐらいで対応していただける。これはリベンジポルノの法案でもそのように二日になっている。ただ、民間の一般の人は七日間となっているというのはあるんですけれども。

 それはそれとして、実際問題、今、どうやって削除を依頼しに行けばいいかというときに、実は総務省さんは受託事業で、違法・有害情報相談センターというところがあって、そこが一応、総務省から受託して相談窓口として開設されているというのはあるわけですけれども、その方は、実は法務局、地方法務局に行かれた。そういった場合、どのような対応をされているのか、まず確認させてください。

岡村政府参考人 インターネット上の人権問題につきましては、全国の法務局、地方法務局の窓口、電話、メールなどで人権相談を行っております。

 人権相談等により人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、インターネットのプロバイダーに対して被害者みずからが当該情報の削除依頼ができるよう、方法を助言させていただいております。

 また、御本人みずからの削除要請が困難な場合など、事情を確認いたしまして、私どもなりに調査をいたしました結果、人権侵害に該当すると認められるようなときには、法務局が当該情報の削除をプロバイダーに求めるということなど努力をしておりまして、適切な対応に努めているところでございます。

濱村委員 今、人権侵害と認められればというところもありますけれども、実は、そうやって依頼者が申請して削除していただければ非常に話としてはいいなと思うんですけれども、削除されないケースもあります。

 そうなった場合にどうなるかというと、名誉毀損で警察に相談するとか、あるいは、警察でそれが事件化されれば、警察もちゃんと調べるし、その相手、書き込んだ人は誰なのかという特定までしてくれるということになるんですけれども、事件化にならなかったら、これは放置され続けるわけです。自分にとって不利益、都合の悪い情報を書かれたままの状態がずっと続くわけですね。

 実質的には、これはさらに言うと、民事裁判で争うということも可能なわけでございますけれども、本当にそこまで、書き込まれた側が不利益をどれだけこうむらなければいけないんだというような状況にあるというところをまず問題提起させていただきたいのと、このあたりもぜひ包括的に法整備をしていく必要があるんじゃないかということを一言申し添えさせていただきたいというふうに思います。

 続いて、政府のIT調達についてお伺いをしたいと思います。

 私自身も、中央官庁はなかったんですけれども、地方の公共団体に対して入札、あるいはCIO補佐官とかそういった仕事をやっている者が仲間でしたので、そういった観点からも、中央省庁の入札要件のハードルの高さ、これについて非常に、なかなか入札に入りにくいな、あるいはもっと言うと、競争になかなかならないという状況であります。

 これは、時間があと五分になりましたので、きょう、せっかく向井さんに来ていただいておるんですけれども、ぜひ適正な見直しをやっていただきたいということを一言申し上げて、大臣が来られておりますので、ちょっとクールジャパンの話をさせていただきます。

 きょう、皆さんのお手元にも配付をさせていただきました。これは、余り皆さん見なれないような雑誌の一部です。いわゆるビジュアル系という方々がここには載っかっているんです。

 これはどういう記事か。雑誌の一部で、記事は、ロサンゼルスでビジュアル系の方々がイベントをやりました、たくさん来てくれましたよということで、二ページ目には、そういう方々がどういうファッションで来られているのか、ロサンゼルスの人たちがこういった格好をするということ。もともと、文化的にいろいろ交流があるというふうには思います。バンドとか、あるいはファッション、アニメ系、さまざまな入り口があると思うんですけれども、海外でも非常に集客能力があるということだと思います。

 このビジュアル系の方々をクールジャパンにおいてどのように活用されているか、経産省にお伺いしたいと思います。

大橋政府参考人 お答え申し上げます。

 クールジャパン戦略の大きな柱の一つとして、海外へ日本の魅力を発信し、現地での日本ブームを創出することに現在取り組んでおります。

 J―LOP事業、これは、字幕、吹きかえ等のローカライズ費用や国際見本市への出展等のプロモーション費用を補助し、ビジュアル系を含む音楽やアニメの海外展開を促進しているものでありまして、その具体的な事例として、日本のビジュアル系などの音楽アーティストが参加する、フランス・パリで開かれたジャパン・ミュージック・フェスティバル二〇一四に対する支援を行っていたりしております。

 今後とも、このような施策を通じて日本ブームの創出に努めてまいりたいと思います。

濱村委員 そういう意味では、もっとさらにビジュアル系の方々を活用していただきたいなというふうに思うんですけれども、実は、まだまだやれる取り組みがあるんじゃないかと思っております。

 というのは、男性でも化粧をされます。男性でもこんなにきれいになれるんだということで、非常に評価を得ているんですね。そういう意味では、日本の安全で高品質な化粧品というのを売るための大きな武器になるというふうに思うんです。

 ただ、ビジュアル系の方々がしっかりとした組織基盤を持っていなかったり、政府としてもどのようにアプローチしていったらいいのか、なかなか難しいのかもしれないんですけれども、これは企業側もそうでして、化粧品メーカーの方が、どうアプローチすればいいのかわからないというような悩みがある。ぜひここに、政府がリーダーシップを発揮して、基盤の弱いそういったビジュアル系の方々と産業界の方々をつなげていっていただきたいというふうに思いますけれども、大臣から御所見をお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 お答えをさせていただきます。

 これは私ども初めて拝見をしたんですが、VKとあるわけですよね。これは何の略かなと思ったら、ビジュアル系なんですね。しかも、ウィキペディアを見てみますと、英語版のウィキペディアでも、ちゃんと、このVK、ビジュアル系と出ておるわけですね。これは相当もう認知をされておる、ある意味でまさに日本のポップカルチャーとして認知をされつつあるんだろうと思っております。

 御指摘の、これからどういうふうにクールジャパンとしてというふうなことでありますが、もう御案内のとおりで、こうしたビジュアル系も含めて、さまざまな音楽とかファッション、これはせっかく国際的にも認知をされておるわけでありますから、しっかりと発信をしていくということによって、日本に対する関心とか、あるいは理解、好感度を深めていく、非常に大事な話なんだろうと思います。

 当然、これは、ある意味で、恐らく基盤的にはインディーズみたいな部分が受けているんだろうなと、わかりませんけれども、思います。そういったことで、基本的にはこれは民間主導というか、御自身で頑張っていただくというふうなこともあるんでしょうけれども、やはりそういった活力が最大限に生かされるように、そして、どういった役割というかお手助けができるかということも、またお話を聞かせていただきながら、私としてもしっかり発信をしていきたいと思っております。

濱村委員 ぜひお願いを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、田所嘉徳君。

田所委員 自由民主党の田所嘉徳でございます。

 我が党にとりまして大変貴重な質問の時間をいただきまして、心より感謝を申し上げたいと思います。ほかの質問者と違いまして、継続してお聞きしますということはありませんので、この場でよろしくお願いしたいというふうに思います。

 まず、人口減少社会における成長戦略についてお伺いいたします。

 我が国は、今から六十年前ごろから高度経済成長期に入りまして、五十年前の東京オリンピックの開催が一つの契機となって大きな発展を遂げ、世界の経済大国にもなったわけでございます。その後の失われた二十年と言われました低迷した時代を乗り越えまして、今やっと活力を取り戻そうとしているというところだと思います。

 日本でオリンピックを二度と見ることはできないだろうと我々は言われてきたわけでありますけれども、幸い、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることになりました。あの夢をもう一度ということではありませんが、再び我が国が大きく発展する時代を迎えたいものであると思います。

 しかし、それには大きな問題がございます。それは、戦後すぐのころの我が国の人口は八千万人ほどでありまして、高齢化率は五%程度、十四歳以下の年少人口割合が三五%。まさに、若々しい我が国が、人口の増加とともに経済も拡大し発展してきた、そういう時代でありましたが、これが全く逆になってしまいまして、急激な少子高齢化と人口減少によって、社会を支える労働人口が減少して、社会の活力が失われようとしているわけでございます。これをどう克服するか、大きな問題であると思います。

 そこで、経済を支える労働力人口の確保をどのように進めようとしているのか。また、初めて、政府は五十年後も人口一億人を維持するという目標を立てたわけでございます。適正な人口ということはなかなかこれまで示されなかったわけでありますけれども、この意義についてお伺いをしたいと思います。

小泉大臣政務官 田所委員にお答えをさせていただきます。

 先生おっしゃったとおり、人口急減、そして超高齢化の進行が、今私たちの時代にとっては大きな課題となっております。

 そういった中で、二〇五〇年、私が七十歳ぐらいになるときですけれども、このままいけば一億人を切る。過度にこれが進みますと、日本の社会保障を支えている若い世代の負担、そしてまた、これから経済の規模も縮小して、縮小スパイラルに陥りかねない。

 そういったことを変えるためにも、希望どおり働けて、結婚ができて、出産ができて、子育てもできて、そういった環境を整えて、人々の意識も変えて、そして、五十年後には一億人程度の人口規模を安定させて維持していく、そういったことを目指して、ことしの骨太の方針にもそのように盛り込んだところであります。

 この五十年後の一億人、仮にこれが維持できれば、人口構造の不均衡がほぼ解消されて、人口減少に伴って生じてくるさまざまな課題に対して解決する道筋がつけやすくなる、そういった考えを持っております。

 これから、まさに今、地方創生の部分でも、そういった観点で、我々の世代の大きな課題である、そういったふうに位置づけて取り組んでまいりたいと考えております。

田所委員 一億人を維持することによって、労働力人口もしっかりと確保できる、バランスがとれる、そういうことだろうというふうに思います。

 そういう中で、やはり現実に、建設業等においては大変な人手不足の問題が起きている。そして、コストが上がって、入札も不調になる。これでは、民間も公共も、投資の計画というものもままならないということだろうと思っています。また、介護とか看護、そういった分野でも人材不足というものがあるわけであります。

 そこで、どのように確保するかについて、外国人が大分労働力としてふえている、小学校にも南米の子供たちが何人かいるというような時代になってきたわけでございます。そういう背景にあって、経済財政諮問会議の専門調査会においても、外国人の労働者を毎年二十万人ずつ受け入れて人口減少に歯どめをかけようとするような議論もあったというふうに聞いております。

 このような、外国人、移民的な労働力の受け入れというものについてどのように原則的に取り組もうとしているのか、その点についてお聞きしたいと思います。

杵渕政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人労働者につきましては、日本経済のさらなる活性化を図り、競争力を高めていくために、これに資する専門的、技術的分野の外国人については積極的に受け入れることとしております。他方、単純作業を行うような外国人労働者を一般的、恒常的に受け入れる仕組みはございません。

 御指摘いただいた人口減少時代への対応という観点からの外国人受け入れにつきましては、まずは、出生率の向上に取り組むほか、労働生産性の向上、若者、女性や高齢者など潜在的な労働力の活用等の施策に取り組むことが重要であり、人口減少という状態を専門的、技術的分野に該当しない外国人を多数受け入れることによって改善しようという考え方には慎重であるべきというのが現在の政府の立場であります。

 なお、中長期的な外国人材の受け入れのあり方につきましては、六月に閣議決定されました「日本再興戦略」改訂二〇一四におきまして、「移民政策と誤解されないように配慮し、かつ国民的なコンセンサスを形成しつつ、総合的な検討を進めていく。」こととされております。

 法務省といたしましても、現在、法務大臣の私的懇談会である出入国管理政策懇談会におきまして幅広い観点から御議論をいただいており、同懇談会の報告書を踏まえ、今後の外国人材の受け入れのあり方について検討してまいりたいと考えております。

田所委員 外国人労働者の受け入れは、さまざまな弊害が考えられるという中で、慎重な原則的な姿勢というものがあるのではないかというふうに思います。

 そういう中で、例外として、東京オリンピック・パラリンピックにおける関連施設等の整備、これらに伴う労働力の需要に対応するために、外国人労働者の活用を認めようとする部分もあるわけでございます。

 この例外について、やはり、これはどの程度の不足が生じて、どのくらいの外国人を入れてそれを賄おうとしているのか、その点についてお聞きしたいと思いますし、また、これまでも、外国人労働者においては、さまざまな研修制度の中での問題や、あるいは一般的に指摘されております不法就労や不法残留、あるいは犯罪の問題、こういったものを防止するために、どのようなことを考慮して例外的な措置を進めようとしているのか、お聞きをしたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の建設分野における外国人材の活用に関する緊急措置でございますが、復興事業のさらなる加速を図りつつ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて一時的に増大する建設需要に的確に対応するため、まずは国内人材の確保に最大限努めることを基本とした上で、大会の成功に万全を期すことが重要との観点から、外国人材を時限で受け入れることが関係閣僚会議で取りまとめられたものでございます。現在、来年四月からの受け入れ開始に向けまして諸準備を進めているところでございます。

 受け入れの規模についてでございますが、あらかじめ目標数を定めるものではございませんが、対象となります現行の技能実習生の現在の在留数ですとか、過去の修了者の人数からいたしまして、六年間で延べ七万人程度を想定しているところでございます。

 また、委員御指摘のとおり、外国人材の受け入れに伴いまして、治安への影響や人権問題などを懸念する声もございます。このため、特別の監理体制を新たに構築することとしているところでございます。

 具体的には、優良な監理団体や受け入れ企業に限定すること、国土交通省等の建設業許可部局が受け入れ企業への立入検査等を通じて所要の監督を行うこと、元請企業が下請の受け入れ企業から監理状況の報告を受け、必要に応じて指導を行うこと、さらに、監理団体、元請企業団体、国等が協議会を構成いたしまして、これを通じて不正行為情報の共有等を行うことなどとしているところでございます。八月には、この具体的な内容を定める告示を策定したところでございます。

 引き続き、関係省庁とも密接な連携のもと、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

田所委員 まずは国内人材の確保ということでございます。

 それでは、国内のどこに人材を求めるのかということでありますけれども、やはり、世界一の長寿国にあっての元気なシニアの活用、さらには女性の活躍ということに行き着くのではないかと思いますけれども、この伸び代等についてどのように考えているのかをまずお聞きしたいと思います。

 続けて聞いておきたいと思いますけれども、政府は、成長戦略として、女性の活躍というものを積極的に推進しようとしております。この実現のためには、女性の活躍を求める社会のニーズがなくてはならないわけであります。次に、女性が積極的に社会進出しようとする意欲を持っているということが必要であります。そして、これらがどう捉えられているのか、これをまず聞いて、さらには、このことを、公的な機関のみならず、民間のあまたある企業にも浸透させるようにしなければならない。これらを施策としてどのように今進めようとしているのか、その点をお聞きしたいと思います。

勝田政府参考人 御質問にお答えしたいと思います。

 我が国が人口減少社会に入っている中で、労働力人口も減少傾向に入っております。こういった中で経済成長を実現していくためにも、働き手の数と、そして労働生産性の向上というのが非常に重要であると思っております。

 こういった中で、議員御指摘のように、国内労働者の雇用を優先することは大変重要だと考えておりまして、私ども、我が国の中で、女性、高齢者、若者といった方々が能力を高めて、家庭の事情でございますとか健康状態でございますとかライフスタイルでございますとか、こういったさまざまな個の状況にも応じながらその能力を十分に発揮できる全員参加の社会、これを実現したいというふうに考えて、施策を進めているところでございます。

 伸び代の話で、特に女性に関しましてはこれが多いのではないかと思っておりまして、子育てあるいは出産といったところで就業率が低下するM字カーブ、これは日本は欧米諸国においても大きいのではないか。大分小さくなっておりましたが、いまだに見られます。

 こういったことの中で、働いていないけれども働くことを希望する女性というのは三百十五万人に達するものと考えております。こういった女性の就業希望の実現に向けて、御本人に対する支援あるいは企業の取り組みを積極的に求めますポジティブアクション、そういった施策を推進してまいりたいと思っております。

田所委員 女性にもいろいろな考え方の人がおられます。積極的な上昇志向を持っている方、あるいは、それをよしとしない方もいるわけでありますし、それぞれに対応した現実的な方策を進めてもらいたいというふうに思います。

 続きまして、社会保障と税の一体改革についてお聞きをいたします。

 消費税論議が活発になっておりますけれども、私は、社会保障をどのようにするか、充実したものにし、持続可能なものにするかという視点がなおざりにされているんじゃないかということを常々考えているわけでございます。

 消費増税について、アンケートや何かでも一定の理解を国民が示しているというのは、これは社会保障が充実し安定するという期待があるからであって、これにしっかりと応えなければならないと思うのであります。

 しかし、これがまだまだ理解されていないと思われるような事例があったので、それを紹介したいと思います。ある雑誌に掲載をされて、それがネットで紹介されたものであります。それは、今国会の安倍総理の所信表明に対する民主党代表の質問のことであります。

 代表が、消費税引き上げの増収分の二割程度の金額を社会保障の充実に使うことは政府と国民との約束です。来年十月に消費税率を一〇%に引き上げる場合には、社会保障の充実分として二割程度の予算を必ず確保すると約束してくださいと。これに対して安倍総理が、税率を一〇%に引き上げた場合には、二〇一五年度はその増収分の二割程度の約一兆八千億円を社会保障に充てることになる。二人とも、国民をばかにするのにもほどがある。

 民主、自民、公明の三党合意で消費税増税法案が成立した日、時の野田佳彦首相は、増収分は全て社会保障として国民に還元されると約束した、安倍総理もそのようなことを言ったと。そういう中で、国民の社会保障費を勝手に八割も横領し、それを与野党でもともとそういうことだったととぼけようとしているという、結構有名な雑誌でありますが、取り上げられているわけでありますが、これは正しいのかどうか、ちょっと教えていただきたいと思います。

小泉大臣政務官 御指摘がありました十月二十四日号の週刊ポストの記事でありますが、これは私も今回先生から御質問をいただいて初めて目を通しましたが、二割しか消費税の行った分が社会保障に回らないんだという誤ったメッセージが伝わりかねないという印象も私も同じように受けました。

 これはもう法律の中で決まっているとおり、消費税は必ず社会保障に使う、これはもう法律で消費税法にも地方税法にも明記をされているものであります。

 この二割というのが、消費税が上がった部分の中で、充実の方に充てるのが二割であって、残りの八割は安定化に使う。つまり、全て、十割社会保障の中で、二割が充実、八割が安定。十割は社会保障です、そういった理解がこれからしっかり伝わるように説明に努めてまいりたいと思います。

田所委員 マスコミの誤報という問題になっておりますけれども、困ったものであるというふうに思っております。しかし、このことは、それにとどまらず、国民もやはり理解がなかなかできないことだろう。今政務官が言われたように、しっかりと理解をされるように進めることが大変重要だろうと思っております。

 それでは、法律上明記されているという、消費税増税分が一〇〇%社会保障に使われているということは言えるのかどうかということをお聞きしたいと思います。

小泉大臣政務官 重ねてになりますが、先ほども少し触れさせていただきましたけれども、消費税引き上げによる増収分、これを全て、全額社会保障の充実、安定化に充てるということは、地方税法そして消費税法、また予算総則にも明記をされておるので、この法律にのっとって、しっかりと社会保障に全額充てる、こういった方向で国民の皆様に御理解をしっかりといただけるように説明を重ねて、より一層してまいりたいと思っております。

田所委員 今、消費税は上がりましたけれども、年金等の給付は下がっている、こういうことに対して、非常に率直に人々は不満を持っております。

 確かに、マクロ経済スライドを行わなかった、特例水準の解消のために給付が減少しているということは、なかなか理解しがたいのかもしれません。しかし、今後、賃金等、あるいは物価もあわせてでありますが、伸びれば年金給付も伸びるということでありますので、政策によってしっかりとこれを実現しなくちゃならないということでございます。

 今、一〇〇%使っているかということについて、確かに、それは、社会保障費には三十兆円もの国庫負担がされているわけでありますので、消費増税分は全てそこに入っていると言えば、そうも言えるわけでありますけれども、しかし、国庫負担を免れた分について不適切な財政支出をしたのでは、それは実質的に社会保障費に一〇〇%使ったとは言えないんだろうと思います。人々が求める社会保障の充実分を手厚くするとともに、社会保障の安定化に十分な配慮が必要だと思います。

 消費増税分が真に財政の健全化に寄与するようにしなければならないと思うわけでありますけれども、これについての御所見を聞いて、質問を終わりたいと思います。

小泉大臣政務官 田所委員おっしゃるとおり、まさに消費税の話というのは、社会保障・税一体改革ということで、社会保障の改革と、そしてやはり財政再建、これを両方をしっかりと達成しなければいけない、そういった発想で、これは与野党でしっかりと進めていこうとなったものであります。

 法律でも明記したとおり、これは国民の皆さんにも御理解いただけるような形で、しっかりと消費税分の増収分は社会保障に全額使う、そして、消費税を含む社会保障・税の一体改革は、社会保障の安定財源を確保して、なおかつ財政の健全化をして、後世の負担をこれ以上大きくしない、そういったことで取り組んでいるというこの改革の趣旨をこれからもしっかりと説明に努めてまいりたいと思っております。

田所委員 ありがとうございました。

井上委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、マネタリーベースとマネーストックの関係でありまして、これは十月三十日の予算委員会でも議論させていただきましたが、本日は、金融緩和がいいかどうかという政策的な是非の議論をするつもりはありませんで、あのときも質問しましたが、ちょっと事実を確認しておきたい趣旨でございます。

 資料をお渡しいたしましたけれども、これを見ると、異次元の緩和になって、結局マネタリーベースは思い切りふやしていますが、マネーストックがそこまではふえていないということが見てとれます。

 従来も金融緩和をやりましたが、二〇〇一年、二〇〇六年、これも実は、大してきいていないと言われながらも、マネタリーベース以上のマネーストックが出てきた。これは結局、乗数効果なり信用創造でふえたということだと思うんです。

 結局、伸び率を見ると、今回、マネタリーベースの増加ほどもふえていない。結局、差があるわけですね、百九兆と四十三兆の差が。素朴に考えると、単年度もそうですし、今回の増加に対するマネタリーベースとマネーストックの関係でもそうですが、この差がどこに行っているんだろうということを端的にお聞きしたいと思って前回の予算でも質問したわけです。

 有識者というのはこの二通りの意見があって、結局、実利なわけだからどこかに消えている、その一つは、極端なことを言う人は、菊池英博さんが、国内では回らないんだから、過剰のマネタリーベースがあるんだ、これはアメリカの方なり超金融緩和の国に行って、そこの投資に使われているんだということを言っておられます。今、日本とアメリカの金利差はないのでそこはどうかという議論はありますが、従来は金利差があって、これからアメリカ側の金融緩和が終わり始めればそういうことも出てくるかもしれない、それが一つ。

 下の方には、伊東光晴さんという方は、いやいや、結局、金利差は今ないんだから、この線の部分ですね、海外には出ておらずに、日銀にある当座預金勘定に積み上がっているんだと。要は、マネタリーベース、資金供給すると、民間金融機関が末端、エンドユーザーに貸し出さない以上は、民間金融機関の持っている日銀の当座預金にあるわけですね、常識で。

 この二つの見方のどちらかだと思うんですが、そこの所見をお伺いしたいと思います。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございまして、マネタリーベースの伸びとマネーストックの増加というのは必ずしも一対一対応をしないわけでございまして、前回の量的緩和時、今回も、両者の伸びには差があるわけでございます。

 マネタリーベースなるものが物理的にどこにあるかと問われればそれは日本銀行の当座預金にあるわけでありますけれども、あるものが別にそこにとどまって役に立っていないということではありませんで、そうやって金融市場に大量の資金を供給することによって、金利あるいは資産価格等に影響を与え、金融緩和の効果を引き出そうというふうにしているわけでございまして、その影響は、企業や消費者の金融活動あるいは内外市場のさまざまな取引に影響を与えているというふうに考えております。

 ただ、これも先生御案内のとおり、一方で資金需要や貸し出し行動は、やはりその資金需要、実体の需要というものがございますので、これがなかなか、例えば企業は大量の手元資金を持っておりますので、それが直ちには資金需要には結びつきにくいという面はあろうかというふうに考えております。

畑委員 海外に流れているというよりも、まさに日銀の当座預金に積まれているということが確認できましたので、きょうは結構でございます。

 その是非は別にいいんですけれども、総裁も、きょう理事もおっしゃっているように、手元資金が民間のエンドユーザーの企業にあるわけで、そこでなおさら金融緩和するのがどうかという議論はまたいずれしたいと思いますけれども、わかりました。

 理事、きょうは抜けていただいて結構でございます。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、規制改革の観点からお聞きしたいと思っていまして、自動車の販売業者が車両を販売するために自社のスペースに自動車を展示する、その場合の車庫証明の扱いということなんです。

 まずお伺いしたいのは、ナンバーをとっていない新車、これは、ナンバーをとっていないので、そもそも車庫証明を取得しないで自社のスペースで当然、展示販売というか、展示できると理解してよろしいですか。確認です。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 自動車の保管場所を確保いたします義務は、自動車を公道で運行する際に生じるものでございますので、自動車の保管場所を確保した際に、そうした車両につきまして、警察署長が保管場所証明、いわゆる車庫証明を交付するものでございます。

 したがいまして、自動車販売店において展示、保管するのみで、公道では運行しない、ナンバーがついていない、そういう新車につきましては、保管場所証明は不要ということでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 実は、ここでちょっと違った観点で見なきゃいけないのは中古自動車であります。

 中古自動車でナンバーがあるものを売る場合というのは当然あるわけでして、これを販売業者が展示販売する場合に、業者の展示場に、そこに置くわけですけれども、その場合はナンバーがあるわけで、実際にはもちろん公道は走らないけれども走ることができる、ナンバーがありますので。その場合、エンドユーザーの場合と同様に、一台一台、展示する車両の販売のために、当然、車庫証明のとり方ですから、場所も明確に決めて車庫証明をとらなければならないというふうに聞いているんですが、それはやはりそのとおりでしょうか。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのように、中古車販売業者がナンバーのついている中古車を購入して展示、保管する場合には、当該中古車が公道を走ることが可能でありますことに鑑みまして、新たに保管場所の確保が必要でございまして、警察署長に対しまして、保管場所の確保を証する書面の提出等を行っていただいているところでございます。

畑委員 実は、そこのところがやや規制が強過ぎるんじゃないかなと思っています。

 というのは、エンドユーザーが乗る場合じゃなくて、自動車販売業者が売るために、ナンバーがそのままあるものを売るために展示するわけで、そこでその都度、一台一台とるというのはどうなのかなというのが、よく聞くところであります。

 これは、端的に言うと、百台売る、展示したいならば、業者というのは、百台分大枠でというか、トータルでとっておいて、業者の展示場のここにとめますよということだけ担保しておけば、このナンバーの車両はここに車庫証明ですよとそれぞれのロットに一々とらなくてもいいのだろうと私は思うんですが、そのところは規制緩和すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねのあったような方法をとる場合には、中古車販売店の収容の可能な台数と、また、その時点ごとの実際の収容台数をどうやって把握するか。いわばオーバーフローがないということをどうやって確認するかといった課題もあろうかと思います。

 いずれにいたしましても、自動車の保管場所確保という目的を全うしつつ、できる限りの手続負担の軽減という観点から、今後とも、合理的な手続のあり方については真摯に検討してまいりたいと考えております。

畑委員 これから検討されるということで、前向きな答弁だったと思いますが、オーバーフローがないところの確認、そこは結局、業者というのはエンドユーザーほど多くないわけなので、立入検査とかでしっかり監視していけばいいのかなという気もしますし、どの審査もそうですけれども、出したのと違う形はどうするかというのは、そこは制度の組み方だろうと思います。

 ぜひとも前向きな御検討を今後とも賜れればと思います。

 それからもう一つ、この関係で申し上げますと、個々人が、エンドユーザーがとる場合と、販売業者が今言ったような形でとる場合で、実は証明がとれるまでの期間が大体同じだというんですよね、かかっている期間が。とともに、もちろん、今のところ手続書類も同じだ。これからいろいろな検討はしていただかなければいけないと思いますが、現時点ではそうなっている。

 ここも、まさにチェックの仕方、規制のあり方を検討するに当たって、当然、期間も短縮できるのかも検討していただきたいと思いますし、また書類も、これは簡素化ということも含めてやはり検討していただきたいと思うんですが、そこはいかがでしょうか。

倉田政府参考人 手続の簡素化についてでございますけれども、自動車の保有に伴い必要となります各種行政手続といたしましては、保管場所証明に加えまして、登録、納税がございます。

 こういった手続をオンラインで一括して処理するワンストップサービス化というものを推進しているところでございまして、現時点ではこのワンストップサービスは新規登録の場合のみを対象といたしておりますけれども、移転登録についても対象とすべく、関係省庁とも連携の上、準備を行っているところでございまして、こうしたことにより手続負担の軽減も図ることができるのではないかというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、自動車の保管場所確保という目的を全うしつつ、できる限りの手続負担の軽減ということについてもいろいろと配慮してまいりたいというふうに考えております。

畑委員 今の答弁は、恐らく販売業者の場合とエンドユーザーの場合の負担とか手続の差、軽減というんじゃなくて、一般論でワンストップ、全体の話をされていますが、お聞きしたいのは、まさに、おのずからエンドユーザーの場合と販売業者の場合は手続の軽重の違いがあるだろうという前提でお聞きしていますが、販売業者の場合もしっかりとそこは合理的な範囲で、エンドユーザーとは恐らく違った形もあると思うんですが、検討もいただけるという理解でよろしいのでしょうか。

倉田政府参考人 実際の道路、いわゆる道路を車庫がわりにしないという法目的を達成する上で、より合理的なものをどうしたらいいかということについて、それぞれのお立場、御指摘にもありましたようなお立場も考慮しながら、いろいろと検討をしていく必要があるんだろうというふうに思っております。

畑委員 今後ともよろしくお願いいたします。

 実は、こういうことを申し上げましたのは規制改革の一つのテーマとしてお聞きしたんですが、規制改革の議論はかねてよりありまして、成長戦略でも大変有意義だと思っていますし、さはさりながら、意外に法目的と実際の規制の度合いが違っている場合も多いなという問題意識で質問させていただいたわけでございます。

 大きな成長戦略というのはもちろん重要ですが、実際、意外に、見ると、内需をふやすためのこういう足元の規制の障害が結構多いところがございます。この中古自動車なんかも、特に地方は車が庶民の足ですから、こういうところをできるだけ負担なく、安く、そして早く手に入れられるようにすればいいし、それはエンドユーザーのためにもなります。また、もちろん地方というのは中古車両の販売業者が多いわけですから、そこの底上げの経済的な対策にもなるだろうなという思いもございます。

 そういうことで、きょうは有村大臣に来ていただいていますが、総論でお伺いしたいんですが、規制改革の進め方の基本的な考えというか、その辺の認識というのをお伺いしたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 委員の真摯な問題提起、心して拝聴をさせていただきました。

 おっしゃるように、経済再生あるいは成長に向けて、規制改革は不可欠な取り組みでございます。改革を前に進めるに当たって特に重要な事柄については、現在、規制改革会議において専門的な見地を生かして詳細な検討を行っていただいております。

 現在、内閣府に規制改革ホットラインを開設いたしております。広く国民や企業の皆さんから規制改革に関する提案を受け付けております。私も記者会見で二回ともアナウンスをさせていただきましたが、十月は地域活性化に重点を置いて、また十一月は多様な働き方について規制改革があるべきものがあればぜひお聞かせください、それ以外の御意見も承っておりますということですが、ぜひ、先ほどの中古車の場合でも、お聞かせいただければありがたいというふうに思っております。

 いただいた御意見をしっかりと所管の省庁とも振り分けながら、改革事項を着実にフォローアップして、改革を前に進めていきたいということが基本姿勢でございます。

畑委員 ありがとうございました。

 まさに法律の目的と規制の実態との均衡がなっているかどうか。できるだけ規制はない方がいいわけですが、そこのバランスということをしっかりと見て、また今後とも進めていただきたいと思います。必要に応じてまた御相談させていただきたいと思います。

 それでは、小泉政務官に本日来ていただいておりまして、地方創生及び復興への御尽力も非常に敬意を表する次第でございます。

 地方創生の絡みで本日はお伺いしたいと思っておりました。

 地方創生で、政府は、よく言うように、総理もそうですが、うまくいっている事例を盛んに喧伝されて話されます。それはそれで、私はそれも必要だと思うんですが、実は、さておき、問題はそこからどういう教訓を得るかであります。むしろ、教訓を得るという意味では、成功したものをぽっと出されるよりも、仮に、成功したものについてはこういうところが難しかったとか、成功する前にこういう失敗があったとか、あるいは、そもそも結論が失敗した事例でもいいんですけれども、こういう失敗例がありますよと言ってくれた方が、一般の人はわかりやすいと言うんですね。

 私、地元で言う場合もそうですし、あるいは、実は農林水産委員会で七月に現地視察をしたこともございまして、農村レストランに行ったんです。農村レストラン、かなりうまくいっているところなんですけれども、そこで、そのうまくいっている経営者の人がそういうことを言っていました。成功事例じゃなくて、失敗事例なんかをもっときめ細かくアドバイスしてあげた方がいいんじゃないかと。

 なぜかというと、地方の一般の人々、庶民というのは、制度だって知っているわけでもないし、経営能力もあるわけではありません。こういう人たちがいかにしっかりとした成果を上げられるかというと、むしろ、そういう人たちの立場に立った指導が、指導というかそういうのが必要なんだろうと思います。

 例えば、農林水産行政だと、農業改良普及員というのがありまして、あれは経営指導は細かく回ってやっているわけですけれども、ああいう役割とか、ああいうやり方も必要じゃないかなというふうにその方が言っておられました。

 そういうことで、これから地方創生に当たっては、そういうところのきめ細かいアドバイスのシステム、体制なのか、あるいは失敗事例をまとめて事例集を出すこともいいと思うんですが、そういうことも含めて、これからそういうことをどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

小泉大臣政務官 畑委員におかれましては、岩手県での復興、そして、地方創生もいろいろとさまざまなアイデアをいただきましてありがとうございます。

 畑委員の御地元の岩手県の紫波町にあるオガールプロジェクト、これは私も視察をさせていただきましたが、その視察をした際には、関係者の皆さんに加えて、紫波町の地域の皆さんも参加をしていただいた対話集会みたいな、そういったものも開催をさせていただきました。

 その際に、なぜ今私が政務官として紫波町に来たのか、そして、御地元の皆さんにとっては、やはり、何で地元のオガールに来たんですかと。地元の方だから当たり前に使っているものを、私みたいな者が行くと、なぜ来たんですかという思いがあるんですね。なので、いや、皆さんがやっていることは全国的に見ても珍しいんです、これだけすばらしいんですよと。例えば、施設の中にあるマルシェに対して、あえて農水省の補助金を使わないという決断のもとにやったこととか、さまざまな意義を説明するようにしています。

 また、先週末の連休でも、島根県の海士町、そして雲南市、また出雲市と行ってまいりましたけれども、例えば、出雲大社の前にある神門通りという、きれいになった商店街の町づくり協同組合の理事長さんには、この町づくりをやるに当たって何が一番大変でしたか、そういった苦労話を聞くようにしております。そういった、大変だったところ、課題、そして、ほかの横展開をしていくに当たって何が教訓となり得るのかをしっかりとこちらも把握して、現場に出向いていくことは欠かさない、そういった姿勢でやっていきたいと思います。

 石破大臣、平副大臣、そして私と、合わせて十一回、今まで現場視察をしております。そして、創生本部の職員も、今さまざまな自治体から話を聞かせてくれと要望が来ていますので、そういった職員も七回地方に足を運んで説明会等を務めております。また、これからは、施策の中で、若手の国家公務員を基本的に人口五万人以下のところに派遣して、首長の補佐役として、現場に根づいて活動してもらうという、日本版シティーマネジャーの制度なども用意をしておりますので、そういった人材に対しても、地域で、そういった優良事例、また課題、苦労、そういったものをしっかりと地元の皆さんにも説明できるような、そういった取り組みを促していきたいと考えております。

畑委員 よろしくお願いいたします。

 特に、そういうことをまず役所というか政府としてもシステム化していくということが一つと、あと、失敗事例の事例集みたいなのをつくってもいいと思うんですが、そういうことも含めて、さらに進めていただくようお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 きょうは、甘利大臣、そして有村大臣、ありがとうございます。

 きょうは、私も短い政務官をしたことがありますけれども、そのときに担当しておりましたのが公益法人制度、そしてNPO制度ということでありますので、少し最近の状況について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、有村大臣の方にお伺いをしたいと思いますけれども、この公益法人制度、ようやく全面的な移行が終わりまして、これからさらに公益法人制度そのものを発展させていくという段階に入っていくと思います。

 過去、さまざまな、主務官庁制度ということの不透明さが指摘をされたりですとか、法人そのものが蓄財に走ってしまって、また、その財産がそのまま残ってガバナンスが不透明なままになっているケースですとか、あるいは行政委託型の特別な法人が生まれてきたんじゃないかなど、いろいろな問題がありまして、そういったものを一掃することも含めて改めてこの制度改正が行われたわけでありますけれども、近年の公益法人改革への大臣なりの評価というものをお聞かせいただきたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 泉委員の御貢献にも敬意を表して、お答えさせていただきます。

 平成二十年十二月にいわゆる公益法人制度改革三法を施行し、委員おっしゃったように、それまでの裁量に基づく各府省の主務官庁制を廃止、また登記のみで一般法人の設立が可能となりました。

 また、公益性の認定については、判断基準を法定化し、民間の有識者から成る合議制の機関が設置されまして、一般法人からの公益認定の申請があれば統一的に公益性の判断が行われることになりました。

 旧主務官庁から離れて、志のある法人が自主的に公益認定を申請、エントリーすることができるという制度になったことは、大きな成果の一つだと認識をしております。

 現在、平成二十六年十月末現在ですが、全国で九千二百九十一法人が新たな公益法人として誕生し、今、公益的な活動を行っていただいております。

 民による公益の増進を担っていただく公益法人は、活力ある公助の社会を支えていく重要な存在だと認識をしております。引き続き、公益認定等委員会と協力し、公益法人の自己規律を持っていただくこと、信頼性を向上していただくこと、また、志ある適正な法人による公益活動が一層推進されるように取り組んでまいりたいと存じております。

泉委員 ありがとうございます。

 今、たしか九千二百幾つというお話も伺って、これからさらに徐々にふえていきながら公益を担っていただくことが期待されるわけです。

 確かに、税制的な優遇措置を受けるということもありますので、さまざま厳格な運用がなされているところもございますが、一方では、旧来から公益のために活動してきた団体ということの中で、新制度に移行する中で、事務手続等が大変煩雑になって、運営が厳しくなっておられるところもあるというふうに伺っております。

 大臣、ちなみに、公益法人協会ですとかとは直接意見交換をされたことはございますでしょうか。

有村国務大臣 まだお目にかかってはいませんけれども、資料や要望書を拝見したことがございます。

 これからも、御要望があれば、当然お目にかかる機会をつくっていきたいというふうに思います。

泉委員 そうですね。ここは、非常に多くの公益法人の皆さんが参加をされておられますし、独自で検討会等々も行いながら、一つ一つ改善項目についての洗い出しを行っている団体でもありますので、ぜひ、理事長を含め、そういったところと意見交換をしていただきたいなと思います。

 きょうは、そういった中で幾つかお伺いしたいと思っております。

 まず、公益認定法の第十四条というのがありまして、ここに収支相償の原則というものがございます。

 確かに公益法人ですから、もうけてはいけないということはあるわけですけれども、一方で、この第十四条というところは、「公益法人は、その公益目的事業を行うに当たり、当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない。」というふうに書いております。これは、従来の公益法人の指導監督基準というところでは、「法人の健全な運営に必要な額以上の利益を生じないようにすること。」というふうに書いてありまして、ある意味、少し幅があるような書かれ方になっているわけですね。

 ですけれども、この新しい認定法十四条というのは、今お話をしたように、超える収入を得てはならないということになっておりまして、ただ一方では、団体ですから、ある程度の余裕がなければ、何もぼろもうけするという話じゃなくて、ある程度のプラスがなければ、余裕がなければ、団体の信頼性や安定性というものは担保されないわけですね。

 そういった意味で、本当に一円も余剰財産がないような団体では社会的にも大丈夫かというふうに思われるのは当然のことでありまして、そういった意味では、ハンドルの遊びというか、やはり一定の幅があってしかるべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のように、公益認定法の第十四条に、いわゆる収支の相償ということを規定しております。委員に読んでいただいたとおりでございます。

 この規定の背景には、やはり原則として、公益法人が税制上の優遇を受けるための前提という認識がございます。やはりそれぞれの団体の透明性や信頼性を高める上でも、この原則というのはたっとんでいただきたいというふうに思っております。

泉委員 とはいえ、大臣がおっしゃられた一方では、実際の運用上ではさまざまにいろいろと実態に合った運用が行われておりまして、例えば剰余金による借入金の返済も認められているとかそういったことで、完全に、全くもって、超える収入を得てはならないというふうにはなっていないわけであります。

 改めてですけれども、事務方でも結構なんですが、この認定法十四条の読み方、「当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない。」ということについては、この「適正な費用を償う」というところについてですけれども、そういった意味で、適正な費用というのは、一事業ごと、一円も利益を出してはいけないということではなくて、継続的に複数年にわたって事業が行われるように、ある程度収入というものがあってもよいし、当然ながら、管理費ということも見ていかなければいけない中でいえば、団体としては一定の超える収入があっても構わないという解釈でよろしいでしょうか。

高野政府参考人 ただいまお尋ねのありました公益認定法第十四条の収支相償の原則についてでございますが、まず第一に、収支相償の原則といいますのは、公益法人の収支全体についてではございませんで、公益法人の収支のうち公益法人が行う公益目的事業、これについては、事業を行うことによりまして黒字を出す、つまり、もうけてしまうということは避けていただく必要があるだろうというのが法律の趣旨だというふうに考えてございます。

 そういった中におきまして、具体的に、例えばどのようなものが収支相償上取り扱われるのかということでございますけれども、毎年毎年の事業を実施していく中におきまして、当該年度におけるやむを得ない事情、さまざまな事情によりまして、結果として一旦は見かけ上の剰余金が生ずるということは、当然、場合によってはあり得るわけでございますけれども、そのような場合でありましても、例えば、個々の法人の実情、事情に応じまして、中長期的な公益目的事業に充てるための計画の裏づけがあり、特定費用準備資金といったものに充てる、あるいは公益目的に使うための財産の取得に充てるということで、これも計画の裏づけがある資産取得資金ということできちんと整理をしていただきましたら、それが合理的なものである限りにおいては費用の扱いができますので、そういったものを費用として引いた上で収支相償の判断を行うということになります。

 したがいまして、法人全体について、一切法人の事業継続を否定するような趣旨でもございませんし、中長期的に公益目的事業の実施のために必要な費用についてはきちんと費用計算ができるような、費用控除ができるような、そのような仕組みでございますし、そのような運用をしているということでございます。

泉委員 中長期的な展望というか計画というものについて、団体側とどこまでを明示するのかというところは少し開きがあるのかなというふうに思いますので、より法人側の考え方に沿った考え方で運用の方を行っていただきたいなということをまずお願いさせていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間もありませんので、次のことに行きます。

 法十五条の方には、運営に関する公益目的事業比率ということが書かれておりますけれども、ここの管理費の関係、経常的経費のところが十五の三に書かれておりまして、ここが、公益目的事業そして収益事業とまた別な形で、法人会計という概念で会計業務を行わなければいけない、区分経理も要求されてくるということで、それについては、同じような形ではなくてもう少し簡便な、管理費という概念そのものは残るということで、会計の形をもう少し簡素にしてもよいのではないかという要望が寄せられておりますけれども、この点についてのお考えをお聞かせください。

高野政府参考人 ただいまお尋ねのありました、公益認定法第十五条第三号に規定されております運営に必要な経常的な経費ないしは法人会計の区分といったものでございますけれども、公益認定法上、公益法人は、公益目的事業を行うことを主な目的とする法人である、このようにされておりまして、具体的には、例えば、公益法人が行う全ての活動の費用の総額に占める公益目的事業の比率が少なくともその半分、百分の五十以上を占めているということが求められておりましたり、また、収益事業を行っている法人の場合には、収益事業から生ずる利益の半分以上を公益目的事業の方に繰り入れなければならないといったようなことが法律上の基準、要請となっております。

 これらは公益法人が税制上の優遇を受けるための重要な前提ともなっている、そういう基準でございますので、これはやはり守っていただく必要があるだろうということでございますが、具体的には、例えば、運用ベースの話といたしまして、特に収益事業を行っていない法人、法人会計と公益目的事業会計の二区分しか実際は使っていないんですといったような法人を中心に、もう少し運用上弾力的な措置といったものがとれないだろうか、そういう余地はあるのではないかというような意見、要望を伺っているというのも事実でございます。

 そういったさまざまな要望、それに限りませんけれども、会計上の運用の問題につきましては、現在、公益認定等委員会のもとで有識者による研究会を設けまして、そこで諸問題、諸課題について検討しておりまして、その中でも御指摘の点についても検討課題の範疇に入ってございます。

 内閣府としましては、そういった検討結果も踏まえました上で適切に対処していきたい、このように考えてございます。

泉委員 ぜひ検討の方をお願いしたいと思います。

 続いて、公益法人の情報公開のことについてなんです。

 私もホームページを見させていただきましたら、かなり個人情報を入力して、そして情報を請求するという形にしなければいけないわけですが、一方で、各公益法人、ホームページ等々で情報をみずから公開している団体もありまして、当然ながら、個人の住所ですとかを書く必要はないわけで、一定プライバシーに配慮した形の情報は、公益法人が一般的にホームページ等々に載せられるインターネットの世界ですぐに、別に申請をしなくても閲覧できる状態にあるわけですけれども、あくまで請求があった場合というふうに法の二十二条でなっているからそういう形をとっているのか。もう少し、全団体の寄附行為ですとか、あるいは役員ですとか財産ですとかということについては、請求をせずともインターネット上で見られるというふうに変えてよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

高野政府参考人 現行の条文ないしは技術的な話もございますので、私の方から説明させていただきます。

 公益法人は、税制優遇を受けて、不特定多数の人のための事業を行うという法人でございますので、国民からの信頼を確保するということが非常に重要だということでございます。

 現行の法令の規定でございますが、公益認定法の二十一条、二十二条というのがございまして、公益法人そのもの、それぞれの法人及びそれぞれの法人から御指摘のような財務書類等の提出を受けた行政庁、それぞれは、国民から請求があった場合、これは法律の条文でございますが、財産目録等を閲覧に供しなければならないということでございますので、法律の趣旨に沿って制度をつくる必要はございます。

 しかしながら、実際のところを申し上げますと、利用者の利便性というのを考慮いたしまして、インターネット上の公益法人行政の総合サイトでありますところで、原則、二十四時間三百六十五日、無料で対象書類の閲覧を可能としております。

 実際には、何を求めているかといいますと、閲覧を求める対象の文書は確定していただかなければいけない。それから、実際に何日から自分が見たいのかの予定日を書いていただきますが、それ以外には、連絡に必要な氏名とメールアドレスのみを必須事項としてお願いしておりますので、それ以外のことについては、欄は設けてはございますが、記入の必要はないということでございます。

 なぜメールアドレスを書いていただくかということにつきましては、インターネット上で特定のところに情報を掲示する形で開示をするものですから、連絡先が最低限ありませんとお知らせすることができないということで、連絡先をお願いしております。

泉委員 今の時代にちょっとおかしな話でして、請求されたからそこに特定に出さなきゃいけないという、そのやりとりをすればメールアドレスが必要になってくるかもしれませんが、そもそもインターネットで閲覧できるようにしておけば、別に何の手続も要らないわけですよね。そもそも公開しておけば、別にわざわざ請求しなくてもいいわけです。

 これは大臣、法律でこういう請求があった場合というものがあるから、わざわざ請求フォームにさまざまな情報を書き込まなければいけないとなっているのであれば、これはぜひ、次の法改正でもいいかもしれませんが、請求があった場合はということじゃないやり方もあるんじゃないのかなと思います。

 要は、プライバシーに配慮した形で公益法人については情報を公開するということさえあれば、請求があるなしではなく、インターネットでそのホームページにたどり着いて文書を見るという行為と、役所を訪問して見るという行為は、実際には、両方、請求のような請求でないような行為であると思います。

 そういった意味では、請求があった場合という文言があるがゆえに、わざわざ請求フォームというか書式に書かなければいけない、打ち込まなければいけないというのは、面倒くさいし、一個一個どの団体かを特定して役所にお願いしないと見られないわけですね。そうではなくて、自由に閲覧できるということの方が利便性ははるかに高いと思いますので、それはぜひこれから改善をお願いしたいと思います。

 続いて、甘利大臣、お越しいただきましてありがとうございます。NPO法人について、残りの時間、お伺いしたいと思います。

 随分、NPO法人の業界も発展をしてまいりました。政府の方にも、さまざまな形でNPOが意見を述べたりする機会がふえてまいりましたが、現在、寄附だけでは事業資金が集めにくいということで、出資というものを可能にしてはどうかということがあります。

 ただ、出資といっても、NPO業界が求めている出資というのは、営利を目的とした出資ではなくて、非営利でいい、要は、お金を出してもらって、そのお金をうまく活用して事業を行いたい、しかし、それは元本を保証するものでは当然ないけれども、いわゆる寄附とは少し肌合いの違うもの。

 寄附というのは、ある意味、全面的にお金をただ渡してしまうわけですけれども、例えば、今NPOで考えられているのは、出資に伴って、NPO法人の議決権ということについて少し出資者に対して配慮ができないだろうか、そうすると、出資者のインセンティブが上がる、お金が集まりやすくなりますよね、こういうような話もあります。

 今お話ししたような非営利型の出資という形もあります。こういったものが認められるのかどうなのかということについて、大臣、お答えいただきたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘の非営利型出資というものがどういうものか、明確にイメージが描けないんですけれども、先刻御承知のとおり、NPO法では営利を目的としないものであることということがありますから、ですから、いわゆる出資については法律上できないというふうになっているわけです。

 今の、いわゆる従来型出資と違う出資がどういうものに該当するか等々、それが法律上抵触しないかどうか、いずれにしても、これは、NPO法は議員立法でありますから、国会でその辺の問題提起がなされて議論をいただくことになろうかというふうに思います。

泉委員 出資法を見ると、出資というのは、一般的に共同の事業のために拠出される金銭であって、その目的たる事業の成功を図るために用いられるものということで、営利、非営利というのは実は書いていないけれども、普通は営利というのが出資の世界ですね。

 内閣府のNPOのホームページの中にも、例えば、NPO法人がグリーンエネルギーによる売電を目的とした事業を行うに当たって、NPO法人自身が金商法に定める第二種金融商品取引業者の登録を行い、出資を募ることは可能ですかというQアンドAがありまして、これに対して、内閣府の答えというのは、出資金の受け入れの制限については明文化されていないが、株式会社における配当の受け取りを目的とするような、利益の享受を前提とする出資金制は、これはNPO法人においては認められないというふうになっております。逆に言うと、営利を求めない出資金であればどうなのかというところは、まだ疑問が残るというか、考える余地があるということになります。

 そして、もう一つ内閣府で書いてあるのは、業としての預かり金、これは出資法の第二条に書かれていることですけれども、預かり金ということについては、「法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。」というふうにも書いてあるわけです。

 ただ、一方では、預かり金とは何かというと、元本を保証し、かつ、それからさらに配当なり何らかの利益を得ることを想定したものを預かり金というわけですので、一定の注意書きがあって、元本を保証するわけではございませんということと、利益を求めるものではなく、あくまで非営利ですということの中での出資という考え方が私は一つあり得るのではないのかなというふうに思っております。ぜひこのことは部内で検討をお願いしたいというふうに思います。

 もう一つ、NPO団体から希望がありますのは、今お話をした議決権の問題なんです。

 NPO法の中では、明示的に果たして議決権が一人一票ということが書かれているのか。定款の中で書きぶりをさまざま工夫すれば、やはり出資者に対して複数の議決権を与えるということは可能ではないかというふうに思っておりまして、例えば、NPO法、特定非営利活動促進法の第十四条の七では「各社員の表決権は、平等とする。」と書いてあるわけですが、この平等ということの概念もさまざまな概念があり得るのではないのかな、出資の金額によって平等にするということもあり得るのではないのかなというふうに思います。

 そういったことも含めて、大臣、いわゆる非営利型出資ということが今出てきている中で、ぜひこのことについて内部で御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 まず、前段の、元本を保証しない出資と寄附とがどう違うのかという議論の整理も必要だと思いますし、基本的には、冒頭申し上げましたように、議員立法でありますから、立法府で、与野党で議論していただきたいと思うのであります。表決権について、御案内のとおり、認証と認定での扱いが違うわけですね。基本的には平等原則でありますけれども、認証の場合には定款で、そこに別の定めを置くことができるようであります。

 いずれにいたしましても、NPO法人というのができたときに、非営利法人として世の中のいろいろな役割を担うという大議論がなされて、議員立法として出されたものでありますから、その根幹、趣旨について、いわば憲法のような存在だと思いますから、そこは与野党で議論をしていただいて、設立趣旨に沿って、どういう明確な仕分けがなされるかということを議論していただいて、そして立法化をしていただければというふうに思っております。

泉委員 終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 きょうは、甘利大臣に経済財政、金融全般について御質問していきたいと思います。七問通告しておりますけれども、三十分しかありませんので全部できないと思いますが、御了承いただきたいと思います。

 最初に、十月三十日の予算委員会で私は総理にプライマリーバランスのお話をお伺いしたんですけれども、資料にもありますが、骨太の方針にもありますが、「国・地方を合わせた基礎的財政収支について、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対GDP比を半減、二〇二〇年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。」ということを総理がいろいろな国際会議の場で発言しておられるので、これはもう国際公約となっておりますから当然守っていただけるんですよねという話をお伺いしたところ、何と、国際公約ではないというふうに発言されまして、新聞にも見出しに書かれてしまいまして、金融関係者がちょっと驚いて、私のところにも電話がありました。

 改めてお伺いしますけれども、この骨太にある財政健全化の目標について、甘利大臣は、これは世界的に、まあ、国際公約という言葉の定義の問題はありますけれども、国際的に日本政府がコミットした、そういう宣言であるという御認識をお持ちかどうかをまずお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 公約の意味を引くと、公衆に対する約束ということであります。

 骨太方針、閣議決定もいたしておりますが、とにかくそこを目指して最大努力をするという約束はしているんです。それを目指して最大努力をするという約束と、そこに一〇〇%至るというのはまた若干のニュアンスの違いで、その辺を総理は、そこに至る努力については表明しているけれども、それ自身を一〇〇%表明しているということとは若干ニュアンスが違う、そういう表現だと思います。

今井委員 私は、これは追及したり、ひっかけをしたりという趣旨で申し上げているのではなくて、金融で運用をやっていた人間からすると、やはりこれが一つの歯どめとなっていて、ここを緩めてしまうと本当に信頼性を失ってしまうので、あえてこの質問をさせていただいているんですね。

 実際に総理がどれぐらい国際会議で発表しておられるかちょっと調べてみましたけれども、ロックアーンのサミットのとき、それからその後のロンドンでの講演、それからサンクトペテルブルクのサミット、それからダボス会議、それからG7のブリュッセルのサミット、五回これを発言しておられます。

 世界の場で五回発言されておるということは非常にやはり重いことでありまして、これは必ず、達成できるかはともかく、目指すと書いてありますので、国は目指していくんだろうというふうに当然みんなが思っているということだと思いますから、ここをまずしっかり守っていただきたいということだと思います。

 あわせて申し上げますと、先週末、日銀が追加の金融緩和をいたしましたけれども、きょうも日銀の人とちょっとお話をしておりましたが、平成二十五年一月二十二日に政府と共同声明を出していますね。「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」という共同声明を出しておられますが、そこにどう書いてあるかといいますと、「政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。」ということを書いて、つまり、財政再建をしっかりやっていきますということをここで宣言しているわけです。

 先ほども日銀の方とお話をしている中で、日銀がこれだけ、年間八十兆円もの国債を買うことができるのは、それは政府がしっかりと財政再建をやってくれて、その信頼感があるので、国債を我々は安心して大量に購入することができるんです、だから、逆に言いますと、これを外されると、日銀としてははしごを外されることになる、当然そういうことだというふうに理解をしておりますというような話でありました。

 改めて、もう一度お伺いしますけれども、今、消費税を引き上げるか引き上げないかというのを、有識者会議が今週から始まりました、最終的には総理が御判断になることだと思います。我が党は消費税引き上げの凍結法案を出しましたけれども、私もその責任者でありましたが、引き上げを凍結するにしても、やはりこの財政再建の目標だけは、たがは外しちゃいけないということを党内でもずっと申し上げてまいりまして、ことし、旧日本維新の会で本予算の修正案を出しておりますけれども、そこでは七兆円ぐらいの圧縮ということで修正案を出していますから、消費税を引き上げなくてもこの圧縮で財政再建目標は達成できるので、延期は是とするということで私も納得をしたわけであります。

 仮の話ということではなくて、これは消費税を引き上げる、あるいは少し延ばす、どちらの結果になるにしても、二〇一五年度のいわゆる目標ということ、これを目指すということはしっかり努力をしていくということをやはり政府ははっきりおっしゃるべきだと思いますけれども、これについてのお考えをお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 おっしゃるとおり、政府が財政再建に対する決意を揺るがすようなことになれば、日本の国債の信用にかかわってくるし、長期金利にはね返ってくるわけであります。それは、それ自身、むしろ財政の余力を失わせる、つまり、利払い費がふえて、利払い費以外に充てる費用が減っていくわけでありますから、経済の活性化にもマイナスになる。逆に言えば、経済の活性化をさせるためには、信用をしっかり確保して、利払い費が拡大していかないようにする。つまり、財政再建と経済の再生というのは、言ってみれば表裏一体で進んでいくものだと思います。

 そこで、総理も、とにかく掲げた目標に向かって最大努力をするということは揺るがなくしていくということであります。

 消費税判断は、各党からいろいろ御意見をいただいております。要は、結果として、今の経済状況下で、消費税は上げました、経済規模は縮まりました、税収というのは経済規模掛ける税率ですから、税率を上げたけれども税収は伸びないということになりはしないか、その辺を綿密に勘案しながら、一番コストパフォーマンスがいい選択をこの時点でやる。しかし、いかなる選択をする場合にも、財政再建に対する政府の決意を疑われるようなことがあってはならない、それはおっしゃるとおりだと思います。

今井委員 しっかりと御認識をいただいたので安心をいたしましたので、財政運営をしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 その上で、もう一つお伺いしますけれども、今目標にしているのは、言ってみれば単年度のフローでありますね。例えば、EU、ユーロ圏なんかのマーストリヒト条約にある目標というのは、一つは年度のフロー、もう一つはストックです。GDP比何%ぐらいの債務があるかということであります。

 よく国の借金が幾らとかというのはいろいろなところで出ますけれども、これは実は正確ではなくて、例えば介入見込みのFBなんというのは両建てですから、こういうのはカウントするべきじゃありませんので、正確に言えば、今プライマリーバランスの対象となっている国と地方の長期債務、これが正確な、一番見なければいけない債務ということになると思います。

 ことしの予算ベースでいくと、年度末一千十兆円ぐらいになるということですから、GDP比二〇〇%という、ほかの先進国には類を見ない大きさということなんですけれども、この水準についての大臣の危機感というか、これぐらいGDP比に対する債務残高のパーセントが高いということは、今どういう状況にあるというふうに御認識でいらっしゃいますでしょうか。

甘利国務大臣 これは、今、政府におる者としては、相当な危機感を持って臨んでいかなければならないと思います。

 もちろん、単純にイタリアと日本を比較して云々ということの議論はできないと思いますけれども、それにしても余力が、財政の信用力が次第に失われつつあるということは事実でありますから、今から相当な決意を持って、今からというか前からしていかなきゃいけないんですけれども、具体的目標を掲げて、それに向けて最大努力をしていく。歳入をふやしていくということと、それから、歳出の見直しをしていく、無駄をなくしていく、財政効率を上げていくということをしっかり取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

今井委員 安心しました。そういう観点でしっかりやっていただきたいと思います。

 次に、IRについて少しお伺いしたいと思うんです。

 今、IRは議員立法で議論されているということですので、政府としてこれに意見を言うのはちょっと難しいのかもしれませんので、一般論としてまずお伺いします。

 先月の十月三日に、大和総研が統合型リゾートの経済波及効果というものの試算を出しています。前提は、横浜、大阪、沖縄の三カ所に開設し、これは決まっているわけじゃありませんが、シンガポールと大体同規模のものをそれぞれつくるとどれぐらい経済効果があるか。ちなみに、いわゆる建設による経済波及効果が約五・六兆円、それから、IRの運営による経済波及効果で年間二・一兆円という試算が出ております。

 大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、統合型リゾート、これはよくカジノ、カジノと言われますが、カジノの部分というのは一割ぐらいですから、全体的には統合のリゾートをつくるということですけれども、これをやるかやらないかということ以前に、この経済波及効果のことについてはどういうふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

甘利国務大臣 カジノ自身は、その原資は、参加している人たち、参加した人たちが出したお金がどこに分配されるか、もちろんディーラーが取る分がありますけれども、というだけです。ですから、そこだけに限定したら経済効果というのはないわけですね。誰のお金が誰に移動するかだけの話です。ただ、そういうものを中心として、集客力になってくる、それ以外でお金を使うということにもなっていくわけであります。

 国内外から、特にカジノは国外を中心にするんだと思いますけれども、外から引っ張ってくる魅力になる。カジノだけで、かける金だけ使って、あとは一切飲み食いもしないで帰るという人はいませんから、その周辺の経済効果がかなりあるというふうに思っておりまして、その中だけではなくて、それが集客力になって、その周辺の、まさに統合型のリゾートが生み出す効果というのはかなりあるのではないかと思います。

今井委員 その上で、少し一般論でお話ししたいと思うんです。

 今、議員立法で出ておりますIR法案の考え方なんですが、これは規制改革、規制緩和をするときの考え方ということで一般論でお伺いしたいんですが、大体規制をするときというのは、入り口で規制をするか出口で規制をするか、あるいはポジティブリストなのかネガティブリストなのか、こういう考え方なんだと思うんですけれども、私は、規制緩和というのは、やはりできるだけ入り口を緩くして、そこで起きている問題は出口でしっかり抑えるという形がいいんじゃないかなと思っているんですね。

 例えば、IRの法案というのも実はそういうたてつけでありまして、一般的に、社会での依存症ということを非常に心配しておられる皆さんも当然いるわけですけれども、そういうことが出るかもしれないから、もう入り口でやめちゃえという考え方と、いやいや、ほかにはいいこともあるんだけれども、そういう問題も確かにありますから、それは出口でしっかり対応しましょう、例えばカウンセラーをつくるとか、こういうことだと思います。

 このIRということではありません、一般論として、規制緩和をしていくに当たっては、私は、やはり入り口はできるだけあけて、出口で締めておくという方がいいと思っているんですが、その辺は大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

甘利国務大臣 規制緩和、一般論としては、とにかく参加するハードルを下げるということ、そして、出てくる問題についてはそれに対応した処置をとっていくということだと思います。

 ただ、このカジノに関して言うと、この間、TPPの閣僚会議での合間にお茶飲み話でいろいろな話をしていたときに、そこにシンガポールの大臣とメキシコの大臣がいまして、私がシンガポールの大臣に、シンガポールのIRは大変な経済効果を生んでいるんですね、いろいろその中で依存症みたいな話が一部出ているけれども、それはどういうふうに対処していますかという話をしたときに、メキシコの大臣が、うちもやったから、うちのも参考にしてくれといきなり言いまして。

 それは何かというと、メキシコでは、要するに、普通の主婦がかなり依存症になった、子供をほっぽらかして行ったどうのこうのという話があったんですね。そこで、国内の人には一定のハードルを設けて、要するに、毎日そこに通うみたいなことじゃなくて、一万円なら一万円の入場料を取って、余力のある人が毎日通うんじゃなくてそこで楽しむと。普通の主婦が最初から一万円も払うのみたいなことならそういう状態にはならないみたいな話がありました。

 でありますから、恐らく外国人を主に、お金持ちが来て遊んで、それからそれ以外にたくさん観光してもらってお金を落としてもらうというのを主でやっているのかな、自国民に対しては、ある程度入り口で、いわゆる余力のある人を仕分けするというようなことをやっているのかな、そんな感じをちょっと受けました。

今井委員 できるだけ入り口でハードルを下げる方がいいというようなお話をされておりましたので、私も意を同じくしているところなんです。

 そこで、少し観点が違うんですが、貸金業法の話をさせていただきたいと思うんです。

 御案内のとおり、多重債務者の問題が起きて、貸金業法の改正ということで規制が強化されまして、平成二十二年に完全施行ということになったわけであります。

 何を規制したかというと、まず、個人は収入の三分の一までしか借りられないという総量規制というのを入れました。これは、私は非常に問題のある規制だと思っておるんですけれども。それともう一つは、出資法の上限の金利を二九・二%から二〇%に下げる、こういう二つのことをやったわけであります。

 そもそも、私の意見は、こういう借りちゃだめだというような規制をつくるというよりは、借りられる環境をつくった上で多重債務者の問題はしっかり対応していくということが本来やるべき形だったんじゃないかなというふうに思っているんです。

 それに加えまして、もう一つ問題なのは、これは経済面へのマイナスなんです。資料の二枚目を見ていただきますと、ことし、フォーブスジャパンの十月号に、「大人の日本の「おとなしい」消費者金融改革」という記事が出ておりまして、簡単に言いますと、消費者金融を規制を強くしてしまったことで、GDPが何%も下振れしてしまった、そういうことが書いてあります。

 二枚目をめくっていただきますと、若干その記事の根拠になっているようなものなんですけれども、札幌大学の飯田教授と、それから慶応大学の岩本教授が試算を出しておられまして、それぞれちょっと根拠が違うんですけれども、飯田教授の方は、日本のGDPに少なくとも六兆円の負の効果を及ぼした。それから岩本教授の方は、日本のGDPへのインパクトは八兆円から十八兆円のマイナスであった。これは、片方は三年間で片方は六年間ということなので、ちょっと座標軸が違いますけれども、いずれにしても、こういう結果が出ているということなんです。

 私、まずお伺いしたいんですが、一つは、今、この問題は何かといいますと、上限金利を下げてしまったことによって、いわゆる消費者金融の会社がリスクをとれなくなってしまったということです。

 私はそもそも、金利なんというのは、これは市場原理ですから、上限をつくること自体が問題だと思っているんですね。例えば、一日だけ借りたいとか三日間だけ借りたいという人は、例えば利息が五〇%だとしても、払わなきゃいけない利息の額なんというのは微々たるものなんですね。でも、その間、資金繰りができないので、これはお金を借りられないと倒産しちゃう、資金繰り倒産ですね、こういうときに貸してほしいと言うんですけれども、上限金利を下げられてしまうと、事業会社としては、いわゆる消費者の金融会社としては、その金利ではとてもリスクがあるから貸せませんという状況になる。

 そうすると、銀行で借りてくださいといいますけれども、銀行は、私は銀行員ですから申し上げますけれども、審査に時間がかかるんですよ。そんな、一日で、はい、貸しますなんということでお金を貸してくれないんです。でも、会社の方は待ったなしですから、その間のつなぎ資金というのが欲しい。ここのところが、やはり手当てが漏れちゃったんですね。

 ですから、個人のことはちょっときょうはおいておきますけれども、事業金融という意味で、例えば、事業金融のところだけもう少し金利の特例をつくるとか、こういうことをすればもう少し、いわゆる企業のところへの資金の循環、特に零細企業です、こういうところにしっかりお金が回っていくというふうに私は思っているんですけれども、大臣、お考えはいかがでしょうか。

甘利国務大臣 改正以降、いろいろな話が耳に入ります。特に中小企業の経営者にとって、どうも資金繰りをしたら何十万いつまでに足りない、手形が落ちない、ここだけしのげればやっていけるのに。だけれども、これから申し込んだのではとても、そのお金はどこへ頼みに行っても出てこない。従来であればすぐ用立てられていたものが、できないために倒産の危機と直面するというような話は各方面から伺います。

 そして、それぞれ融資が、焦げつくリスクを織り込んで貸す方は全部設計をするわけでありますから、何もドアの前にビラをいっぱい張って取り立てをするなんということは毛頭考えていないという事業者が大手はほとんどだったのであります。

 ただ、私は今、政府の人間を離れて個人的な見解を議員として述べよということであればいろいろ申し上げますけれども、ただいま政府の人間であります。政府の人間は議会の決定を尊重するというのが大原則でありまして、国会で、あの法改正はたしか全会一致で通っているわけであります。もちろん、それを先導した弁護士の方もいろいろなお話がある方だったというような声も聞こえてきますけれども、議会の意思でありますから、それにしっかり従って、それゆえ多重債務者が減った。実は、ソフト闇金なるものがまた出てきて、返済能力のある優良顧客をうちの方に回してもらえたみたいな話があるとか、いろいろな話が聞こえてきます。

 ただ、いずれにしても、議会の意思でありますから、議会の中で、改正後の問題点があるならば与野党を通じて議論していただければというふうに思っております。

今井委員 確かに、議員立法でございますので、これは議会の意思ということでありますから、伺っているところによりますと、与党の方でも今この点についてのいろいろな検討がなされているというふうにお伺いしておりますので、議会の意思をしっかり示して、今まで必要であったということをやってみて、ある一定の段階で何か問題があれば、それはまた直すということは別に問題ないことだと思いますので、それは前回のことを別に否定するわけではなくて、それを改善していくということでありますから、そういう取り組みを我々の方でもさせていただきたいというふうに思います。

 あと五分ぐらいですから、少し大臣が発言されていることでお伺いしたいと思うんです。

 実質賃金のことなんですけれども、予算委員会等で実質賃金が伸びていないじゃないかというふうにいろいろ我々も追及をしているわけでありますけれども、追及していながら、こういうものにはタイムラグというのがあるということもわかりながら申し上げているわけです。ただ、タイムラグじゃなくて、本当にそれが乖離したまま続いてしまうとまずいね、そういう問題なんだろうと思うんです。

 例えば、Jカーブ効果の話のときも、後で出てくると。大体、私は学者の方といろいろ話をしていましたら、過去の例をとると、一年から一年半で効果が出る、早い場合は半年で出るというふうに伺って、見ておりましたけれども、現在に至っても、もう二年近くたっていますが、そういう効果があらわれていない。

 大臣はよく、三つの理由だと。海外に行ってしまっているからと、新興国が伸びていないのと、それから企業が価格を下げない。ちょっと苦言を申し上げると、一番最初のものは、別に最初からそんなことはわかっていた問題なので、余り理由にならないと思いますけれども、確かに、新興国を見ますと、例えばトルコなんかは自動車の販売台数が激減していますから、そういうこともあるんだろうと思います。

 ちょっと今、話がずれちゃいましたが、実質賃金に戻りますけれども、大臣の今のお考えでは、実質賃金が後で追いついて、企業活動がしっかりして、皆さんが賃金を上げてくるというのには、大体どれぐらいのタイムラグがあるんだろうなというふうにお考えになっていらっしゃるかをお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 何年ということを申し上げるのが一番いいんですけれども、できるだけ短い複数年ということしか今は申し上げられないわけでありますが、要は、委員御指摘のとおり、そういう方向に向かっているかどうかということが最も大事だと思うんですね。

 私がよく申し上げるのは、名目の総賃金、これは直近の数字も含めて十七カ月連続でプラスになっています。その次に、一人当たりの名目賃金は七カ月連続でプラスになっています。つまり、名目の全体がプラスになり、名目の一人当たりがプラスになり、次に実質の全体がプラスになり、実質の一人当たりというのがプラスになるという手順を踏んでいくと思うんですね。

 これは一応手順に向かって進んでいる。だけれども、恐らく、多くの方々からは、向かっているのは確認できても進み方が遅いというような御指摘があるんだと思います。

 ですから、この循環を早く回さなきゃならない。そこで、政労使会議をまた開いております。本来、政府がやるべきことではないのかもしれませんけれども、二巡目を回してください、一巡目が回りまして二巡目を回してくださいと。しかし、そのためには、働き方の改革についてもいろいろ問題提起をします。生産性を上げるという運動として捉えていただければ、組合の方も前向きにぜひ捉えていただきたいということを申し上げている次第でありまして、結論から申し上げますと、複数年かかりますけれども、政府としてはその複数年の数をできるだけ短くしていくということに全力を挙げるということであります。

今井委員 もう時間もほとんどなくなりましたので、最後に一点だけ。

 これは予算委員会の基本的質疑のときにちょっとお伺いしましたけれども、今、輸出企業は空前の決算でありますが、やはり地元を歩いてみると、孫請、下請会社はもう全然、むしろコストカットしろということで本当に厳しいんです。最近、円安倒産も非常にふえていますし、要するに、コストだけ上がって販売価格が上がっていかないわけですから、それは苦しいわけです。だから、こんな状態で法人税を引き下げしても、結局、大企業だけいい思いをして、裾野にお金が回っていかない。この状態を改善しない限りは、法人税を引き下げるにしても本当に意味がないと思うんですね。

 だから、ここについてどういう取り組み方をされるか、この点について最後にお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 今、濃淡が非常にあります。もうかっているところと厳しいところの濃淡があります。

 トリクルダウンなんてあり得ないということをおっしゃる方もありますけれども、しかし、もうかっているところは自分がもっともうかるために循環させるという、責務というか、そうした方があなたのためにいいんですよということを政府として申し上げているわけです。それを下請代金や賃金にはね返すことが消費力になって、生産の増強になって、収益の増強になりますよ、これを認識してくださいということをやっておりまして、それを政府として環境整備に全力を挙げたいと思っております。

今井委員 今の点は本当に地方経済にとっては重要な問題ですから、しっかり監視をしながら指導していただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣総務官河内隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑を続行いたします。山之内毅君。

山之内委員 維新の党の山之内毅です。

 午前中に引き続きまして質疑をさせていただきたいと思いますが、今回私が質疑させていただきたいのは、国民の皆さんの関心が高い、十一月十七日、七―九のGDP速報の数値、これと、あとは、やはり当然、消費税増税の一つの大きな要因になると思っておりますので、これについてのお話と、それから、午前中最後、我が党の今井委員の方からも質疑がありましたが、当然それと同時に、財政健全化、こちらについてもまたお話をさせていただきたいと思っております。

 その中で、先ほど、財政健全化の目標、国、地方を合わせた基礎的財政収支、プライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対GDP比を半減、二〇二〇年までには黒字化ということだと思います。その中で、先ほど甘利大臣もおっしゃられました、安倍総理も、これは公約ではないと言いながらも、当然尊重すべきもの、甘利大臣の方におかれましても、それは重要なものという認識を答えていただいたと思います。

 その中で、今回、予算委員会でもやりとりがあった、安倍総理の発言なんですけれども、四―六のGDPがマイナス七・一となった、それに対して、ただ一方で、統計のとり方ですね、GDPのとり方であれば、ことしの、二〇一四年の一―三から四―六、上半期というんでしょうか、上の一―三から四―六を足し込むと、ことしの一月から六月まで、それと昨年の一月から六月までを比べればプラス一・三の成長になっていると。

 確かに、私もGDPを調べさせていただきましたけれども、右肩上がり。一部、二〇一三年のときには厳しいときが、一部減ったときもありますけれども、あった。

 その中で、先日、第一回の今後の経済財政動向等についての点検会合というのもあったと思います。今率直に甘利大臣が、一―三から四―六、そして今度の七―九にかけて、経済の動向というのは今現在どのような状況かと思われているか、この所見についてお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 政権交代時、そしてその前の経済状況から振り返ってみますと、政権交代する前は三四半期連続のマイナス成長でありました。特に、思い起こしますと、七―九のデータが出たときだったですかね、おととしの十一月中旬だったと思いますが、その数字が悪くて、底割れをするのではないかと、一挙に大型補正の話が出ました。もちろん、政権交代後に直ちに大型補正をしたわけでありますけれども、それから経済が上向いてきていることは事実であります。

 ただ、七―九の四半期の数字が間もなく十七日に出るわけでありますけれども、その数字は、当初民間予測をしていた四%台から、直近の民間予測平均値だと、年率換算二・一パーという数字に半減をいたしております。ちょっと心配な数字であるというふうに認識をいたしております。

 分析をいたしますと、特に消費が落ち込んでおります。やはり、消費は経済全体の六割でありますから、ここに陰りを来すようなことになると、アベノミクス全体の成功にかかわってくるということになりかねないわけでありますから、そこは慎重に見きわめをしながら、適時適切な対応をしていく必要があろうかというふうに思います。

山之内委員 ありがとうございます。

 アベノミクスの成功ということで、私も、日本国、それは当然、経済がよくなるのを望む一人でございます。成功した方がいいと思っております。

 その観点で、今回、先ほど申し上げました今後の経済財政動向等についての点検会合、とりあえず前回は、八人参加中、三名が反対、五名が賛成ということだったと聞いております。

 まず、今、成功と。アベノミクスの目標値、例えばこれは名目と実質があると思いますが、改めて、目標値というものがありましたら、大臣、お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 掲げております目標は、二〇一三年度から向こう十年間で、これは平均値がでありますけれども、実質成長二%、名目成長三%を目指すということであります。

山之内委員 ありがとうございます。実質二%、名目三%と。

 今回、内閣官房参与の浜田宏一教授も参加されていたと思います。浜田宏一参与は、今回の消費増税はしばらく見送った方がいいんじゃないかという考えの方だと思います。

 その中で申されているのが、今回、七―九のGDP速報、第一次だと思いますが、あと十日後に発表されるものだと思いますが、これがどれぐらいの数字であれば、ある意味、実質二パーにそぐうのか。それとも、これが何%だと厳しいのかということだと思うんです。

 その中で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡氏が言われていらっしゃるのは、最低限三・九あれば、三・八か三・九ぐらいだと思うんです、それぐらいあれば、駆け込み需要、それから反動減、その大体中間点ぐらいが三・八から三・九ぐらいと言われているんです。

 これについて、今回の七―九のが、仮に実質二パー、成功しているというのであれば、どれぐらいの数字が必要かとお考えでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 本年の一―三月期、それから四―六月期、この実質GDPの単純の平均の水準と比べまして、七―九月期の実質GDP、これが今御指摘の年率の二%、この二%と申しますのは中長期的に満たす成長率でございますけれども、仮にこの年率二%のトレンドで成長する、そのために必要となる成長率、これを機械的に計算いたしますと、前期比で一・四%、年率で五・八%、こういうふうになります。

 以上でございます。

山之内委員 五・八%と。結構高い数字だと思うんですね。

 日経新聞等を回りますと、今回は二%以下になるんじゃないだろうかと。各紙報道もある。十日後明らかになると思うんですけれども。そういったものも加味して、この消費増税について判断をされていくということだと思います。

 我々の党は、消費税凍結法案というものを提出させていただきました。将来的な増税を否定するものではないんですけれども、今の時期だと、デフレ脱却に対してちょっと冷や水を浴びせるんじゃないだろうかという判断です。

 浜田宏一教授の資料を拝見させていただきました。その中でやはり注目なのは、当然プライマリーバランスの改善は国民にとっても重要なことである、ただ、財政再建イコール増税という議論はおかしい、最も国民にとって重要な政府が無駄な支出をしないという面が抜け落ちているという書類をいただきました。そうだと思うんですね。

 今回、消費増税を仮に見送るということになれば、先ほど今井委員も触れたと思うんですが、当然その分歳出削減をしないと、先ほどの、公約ではないということではございますが、財政健全化へ向けた数字、これが達成できない、達成しづらいということになるので、当然削減もしていかないといけないんじゃないかということだと私は思っているんです。

 ある意味、浜田宏一教授も言われているこの観点、今回、甘利大臣におかれましては、これも踏まえて、今の経済動向、今度十日後に発表された後にこれは判断されることとは思いますが、今の時点で甘利大臣が、今五・八という数字がありましたが、これについてどのような認識があるか、お答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 年率換算五・八という数字は、相当な高いハードルであります。

 七―九の数字も判断指標の一つでありますし、それ以外の指標もあり、あるいは有識者、専門家から今ヒアリングをしておりますけれども、それも判断材料の一つになるわけであります。

 総理が御判断される際には、総合的に判断をするということになりますので、どれか一つが幾つ以上なら予定どおりやる、幾つ以下なら延期するということにはなかなかならないと思いますけれども。要は、総理が判断される際には、この経済のトレンドが反転をしてしまって、デフレ経済に戻ってしまうかしまわないか、そこが一番心を痛めておられるところだというふうに思います。

 総理は、今のところ、自分は全くニュートラルと。だから、全くニュートラルということは、五分五分で、延ばす可能性もそのままやる可能性もフィフティー・フィフティーだということだと思います。

 ただ、やはり当初の民間予測よりは成長率が落ちてきておりますし、市場関係者も、この春の時点では一〇%への引き上げは当然やるべしという方が大勢だったんですけれども、現時点では慎重に見きわめるべきだという数がかなり多くなってきた。

 もろもろの専門家、識者の意見に耳を傾け、そして経済指標を精査しながら、最終的に総理が消費税判断は恐らく十二月上旬あたりまでにされるのではないかというふうに思います。

山之内委員 ありがとうございます。

 第二次速報が十二月八日だったと思うんですけれども、その後かと思います。

 今回の会合にはさまざまな方々が参加されて、とりあえず八名ですかね、トータルは四十五名参加されるということですが、その中でも、日本商工会議所の資料も見させていただきました。特に、その中の一点で、大都市と小都市で景況感に格差があるという数字もあります。これはそうだと思います。あとは、コスト上昇分を販売価格に転嫁できずということもあります。それから、経営上望ましい為替水準は九十五から百円未満というのが三〇・五%、百円から百五円未満という方が三八・八%、こういった状況の資料もあります。

 今、政府の方でも、地方創生とされていると思います。私も再三質疑の方でもさせていただいたのが、どうしても都市部と地方の格差が出てしまう。私は、デフレを脱却するためにはやむを得ないところであると思うんですが、当然その処方箋を何かしら打たないと厳しいというのは指摘させていただいてきました。

 今回、それに対して、消費増税をさらに二%するとなると、この相性がよくないんじゃないかな。消費増税二%というのは、さらに地方にほどダメージがある。参加された荻上チキさんが言われているのも、逆進性ということですね。消費税には低所得者に大きな負担の逆進性があると。

 ですので、私は、片方で地方創生と、アベノミクスがある、デフレを脱却しないといけないけれども、その副作用で都市部と地方に格差が出た、地方創生をした、ここでまた消費税二%をするとなかなか厳しいんじゃないかと思うんです。

 この点について、甘利大臣、いかがお考えでしょうか。

甘利国務大臣 先般の有識者、専門家ヒアリングに関しても、無条件でそもそもやるべきではないとおっしゃった方は一人だけで、あとは全員、要するに条件つきなんですね。無条件でやれという方もいらっしゃいませんでした。こういう対策を前提に引き上げよという方と、そういう対策を前提に延期せよという方でありました。消費税自身の意義については、ほとんどの方が認識をされていて、安定的な財源で社会保障を担っていくと。上げないで済むと思っていらっしゃる方は、その一人を除いていらっしゃいませんでした。

 ただ、経済を失速させてしまったら元も子もないという認識、リスクがどのくらいあるかということの認識の差だと思います。

 私自身が、こうならやるべし、ああならやるべしでないということを申し上げる立場にはないのでありますけれども、総理が判断される際には、日本経済が名目GDP値もきちんと順調に大きくなっていく、そのことによって消費税が本来の効果を上げてくる、だから、そうなるために、識者の話も参考にしますし、あるいは市場関係者の話も参考にしますし、そして、経済データは何よりも参考にするということだと思います。

 GDP速報値が幾つより上ならやって、幾つより下ならやらないということは、私が申し上げるのは適切ではないと思います。

山之内委員 なかなか大臣では適切ではない中、お答えいただきましてありがとうございます。

 私も、議員になる前に決められた三党合意での消費税引き上げなんですが、その中の附則十八条の中にあられること、「名目の経済成長率で三パーセント程度かつ実質の経済成長率で二パーセント程度」という経済条項があると思います。先ほど、五・八という数字が実質二パーにそぐうということなんですが、もちろん、それだけで判断することではないということだと思いますが、その前後、あと十日後にはそういった重要な指数が発表されることと思っております。

 いずれにしろ、今の状況ではなかなか、我々の党、私個人もそうですが、二%引き上げというのは延長、凍結した方がいいんじゃないかということを申し伝えまして、少しまだ早いのですが、私の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、松田学君。

松田委員 次世代の党の松田学です。

 お忙しいところ、官房長官、ありがとうございます。

 まず、先般の議論の続きにもなるんですが、従軍慰安婦問題に関しまして、お手元の配付資料の一番最初のところに、これは、次世代の党が今、国会決議、いわゆる慰安婦問題について対外発信の強化を求める決議の案を作成して、先般、山田幹事長が自民党の谷垣幹事長のところに御協力の御相談に伺ったところであります。ここでも、いわゆる強制連行を示す証拠が見つかっていないことを改めて確認する、国際社会への働きかけを強化してほしい、戦略的な対外発信を行うことを強く求めるという決議案を作成しているわけであります。

 これはこれとして、先般、河野談話の検証作業を行っていただいた結果、そこで明らかになったことは、談話の作成過程で、一連の調査を通じて、いわゆる強制連行は確認できないという認識を日本側が持っていたということが確認されたわけであります。

 では、これを見直すかどうかについては、先般、菅官房長官の御答弁では、政府として河野談話を継承し、見直しはしないことの理由として、日本は強制連行は確認できないというその認識に立って、日韓両国のぎりぎりのすり合わせが行われてこのような文書になった、そういう未来志向のためにお互いが努力をしてできた文書であるというふうに御答弁されておられます。つまり、未来志向で日韓がお互いに努力したことを多としたからだというふうに御答弁されたということかと思います。

 これは、一種の国益の比較考量の問題があろうかと私は思いますが、良好な日韓関係から得られる国益と河野談話の見直しで得られる国益とどちらを重視するかというと、良好な日韓関係の方を重視したというふうにも理屈からいうと受け取れるような感じがするんです。

 そうであれば、先般官房長官が、河野発言、強制連行の事実を認めた発言は大きな問題であるとおっしゃったことは、そういうふうにおっしゃっても、これは良好な日韓関係に大きな影響を与えないと考えられたのかなというふうに想像されるんですが、だとすれば、この河野談話の方は、見直しをしないのであれば、強制連行を認めたものではないんだということを明言しても、何ら論理的には、今の官房長官の御答弁から論理的に出てくる結論であろうかというふうにも思います。

 改めて、これは認めたものではないと明言すべきであるということを私は確認したいと思っておりますが、官房長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 まず、いわゆる河野談話の中の慰安婦問題については、平成十九年の第一次安倍政権の閣議決定で、その答弁書の中で、これまでに政府が発見した資料の中には軍や官憲による強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった、こういうことを閣議決定いたしております。

 そして、このことが、今回の検証の中でも、日本政府としてはまさに韓国政府とぎりぎりのすり合わせを行って、この一線だけは守る中であの談話が発出をされた、このように理解をしています。

 ただ、その後の記者会見で、河野当時官房長官がマスコミの方の質問に答えて、強制連行があったということでいいですかということに対して、そうですと言ったことが大きな問題だということを私どもはこの間申し上げたところであります。

松田委員 なかなか明確におっしゃっていただけないんですが、それが大きな問題だというのであれば、この河野談話も、参考資料にもありますように、読めばあたかも、強制連行という言葉は使っていませんが、何か強制連行があったかのようにとれる文書であることは間違いないので、この事実は確認されていない、これが強制連行を認めたものではないということは、何ら論理的にも同じことではないかというふうに、私は常々どうしても思わざるを得ないものですから。そのような確認をぜひしていただきますと、これはやはり、海外でも日本人のお子さんがいじめに遭っているとか、いろいろな実害も発生していますので、広報活動を強化されているのであれば、はっきりと、これは認めたものではないとおっしゃっていただくと、相当違ってくるんじゃないかなということを改めて申し上げたいと思います。

 それから、これに関連してですが、広報活動を強化しているというふうに何度も官房長官も御答弁いただいていますけれども、欧米なんかで、例えば従軍慰安婦にしても南京虐殺にしても、歴史的事実に基づいた議論を日本人が提起しようとするたびに、それ自体が何となくうさん臭いものに思われてしまう、とられてしまうというのは、国際社会の現実であろうという状況があろうかと思います。

 こういう状況にまさに打ちかっていく、国際世論がそういうふうにできちゃっている状況に打ちかっていくためには、政府の広報の強化も大事ですが、日本の対外発信力全体を、言説パワーという言葉もありますけれども、それをもっと相当強化する必要があるんじゃないか。

 それで、これはお手元の資料にございますが、例えば、アメリカでは外交問題評議会というものがありまして、これは、官民各界の方々が、有識者が参加して、世界的な世論形成に非常に大きな影響を与えているということで有名なフォーリン・アフェアーズという雑誌を出しているところなんですが、裏を見ていただきますと、日本にも言論NPOというのがありまして、私は個人的に設立以来かかわってきたんですが、ここもいわゆる、外交問題評議会が日本を代表する言論機関として、世界に発信する力のある言論機関として唯一認めている民間の団体であるということで、御案内かもしれませんが。

 例えば、日本と中国との間では、十年前から北京・東京フォーラムというのがありまして、ことし十回目、十年目に当たったわけですが、日中間で不戦の誓いというのを出したりとか、さかのぼれば、この北京・東京フォーラムが二〇〇五年に第一回、そのとき、私も、役人をやる傍ら、個人的に応援してかかわったんですが、当時、小泉総理の靖国参拝で反日デモが中国ですごい中で北京でこういうものを行ったということで、非常に大きな意義がありまして、当時も、日本と中国が、お互い政府間ではなかなか建前で十分な意思疎通もできない中を、テーブルの下で、本音で語り合える場として、中国側から政府の外交を補完する、いわゆる公共外交という言葉も出てきたということで、非常に意味のある一つのチャネルというかプラットホームができ上がったということでありました。

 これは官房長官の御答弁ですが、正しい歴史認識が構成されるように、日本の名誉、信頼回復を図るべく、それぞれの国に対してしっかりと今広報活動を行っているという御答弁をいただきましたが、まず、この歴史認識の問題について、政府として具体的にどういう内容の広報をしているのか。それと、やはり政府だけでは不十分なので、日ごろから層の厚い言論の場というものを国際間で結んでいく、これも政府としてもバックアップしていくべきだと思いますが、そういった面について政府としてはどういう御認識をされているのか、お答えいただければと思います。

菅国務大臣 工藤さんを中心に行われています言論NPO、私も十分承知をしておりますし、まさに日中、さらに隣、日韓ですか、そうした中でもお互いのまさに草の根の中から大きな成果を上げておられるということは、政府としても評価をさせていただきたいというふうに思います。

 そうした言論NPOに代表されるようなNPO活動に対しても、政府としては、支援することは、ここは支援させていただいておるところでもありますし、特に、日本の著名なジャーナリストあるいはアメリカの大学で教鞭をとっていらっしゃる方、そうした方にも日本の歴史的立場というものをしっかりと説明をさせていただくとか、あるいは、アメリカの大学に日本講座というんですか、そうしたものをつくるとか、総合的そして戦略的に、少し時間がかかるかもしれませんけれども、行わないと、やはり相手国の広報宣伝には全くかなわないというふうに思っていますので、そこは広報予算も倍にするとか、そういう中でしっかり対応していきたい、このように思っています。

松田委員 今御答弁いただいたように、言論NPOを初めとして、こういった民間のプラットホームというのが極めて重要な役割を果たしますので、政府が言うことにひとつ信憑性がないということも場合によってはあっても、これは民間の方々の層の厚い議論のネットワークがあってこそ説得力が出てくる。ぜひこういうものを支援していただきたいんです。耳にするところでは、余りこういうことを言論NPOがやりますと、外交一元化に反するといって外務省が嫌がるという話も一部聞いたことがあるんですが、決してそうではなく、政府としてバックアップしていただきたい、よろしくお願いしたいと思います。

 この言論NPOですが、北京・東京フォーラム、二〇〇六年、第二回、東京で開催されたときに、安倍総理が、当時は官房長官で、総理になられる直前だったんですが、ここでメッセージを発出しまして、当時の胡錦濤主席にそれが届いてというようなことも、総理になられてすぐ日中首脳会談が実現する上で大きな効果があったというふうなことも言われているんです。

 当時、どんな状況だったかというと、まさに小泉総理の靖国参拝の中でいろいろな問題が起こっていて、政冷経熱という時代から政冷経冷だと言われていたわけで、政治的なそういう問題あるいは安全保障上の問題、現在も日中首脳会談に向けてこれからどうなっていくのか。報道ではできそうなことも報道されていますけれども、我が国としては、あくまで領土問題は存在しないと尖閣諸島への毅然とした厳正な対応というのは当然やらなきゃいけないんですが、かといって、この間、経済界の方から、日中経済関係がなかなかこうなってしまって困るという声も随分あったんだと思うんですね。

 いわば、国家か市場かというか、二つの相対立し合う軸というのが常にあるわけだと思います。国家の基本線を守っていけば、外交面や経済面でいろいろと困難を生じる。こういった対立軸の中で、これから日中首脳会談の実現に向けてどのような考え方で臨んでいかれるのか、もう日中首脳会談の見通しはついているのかどうかも含めて、官房長官、お答えいただければと思います。

菅国務大臣 現在の時点においてはまだ何も決まっていません。これが現状であります。

 ただ、私ども政府がずっと申し上げていますのは、日中というのは、まさに世界第二、第三位の経済大国でありますから、この地域の平和と繁栄だけでなくて、世界全体の平和、繁栄にも責任を持つ大国であります。ですから、お互いに、問題があるからといって会わないことではなくて、あるからこそ会って胸襟を開いて会談をすることが必要ではないかという形の中で、我が国は常に対話のドアはオープンであるという姿勢で今日まで取り組んできました。

 そしてまた、日本の立場というのは、それぞれ国が主張するということもそこは当然なことだというふうに思っています。

 そういう中で、安倍総理、第一次安倍政権が誕生した際には、まさに冷え込んでいた日中関係を、最初に中国に訪問しまして、戦略的互恵関係、今日の日本と中国の経済発展の基礎を築いた総理大臣でもあります。そういう中で、一年と十一カ月目に入った政権でありますけれども、常に対話のドアはオープンという形で今日まで取り組んできました。

 そしてまた、日中の間に、経済界の交流、あるいは、舛添東京知事が北京に行きました、自治体間の交流、そうしたものを深めてきているということも事実でありますし、現在、中国の訪日観光客は八割ぐらい増加をいたしておりますから、一つ一つ、閣僚会談も行われています、そういう中で間合いは詰まってきているということを私は日ごろ申し上げているところであります。

松田委員 あと、官房長官にもう一つ、先般衆議院で可決されたまち・ひと・しごと創生法案、これは次世代の党として、私も代表質問で内容がないといって大分批判させていただいたんですが、基本的にその内容というもので抜けていたのが道州制を展望した将来の大きな日本のビジョンだったというふうに理解しています。

 今般、次世代の党はこれに賛成いたしましたが、それは、自民党の谷垣幹事長が、我が党の山田幹事長との会談が行われて、自民党も衆議院選挙の公約で道州制基本法の早期成立を図ると明記しているところでもありますし、その幹事長会談で、自民党も、この公約に掲げている道州制の実現に向けて一層努力するというお言葉がありまして、我々としては、これを多として賛成をしたという経緯があります。

 これは、道州制基本法案というのを、ずっと進んでいないわけでありますが、これと並行して政府としても取り組んでいるという今までの御答弁、総理等からも国会でなされていますけれども、この今の、今回の合意を受けて、政府としての、あるいは安倍政権としての道州制推進に向けたコミットメント、さらに一歩進んだコミットメントをぜひ確認したく思います。官房長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 道州制の導入というのは、地域経済の活性化や、あるいは行政の効率化、そうしたことを目指す、国と地方のあり方を根本から変える大改革であります。

 私ども自民党も、そうした、今委員から指摘がありましたように、選挙で公約したことも事実であります。

 現在、与党において、議論を少しでも前に進めるよう、さまざまな意見交換が行われている。そうした中に、先般、我が党の谷垣幹事長と山田次世代幹事長が道州制について意見交換をされた。そして、今後、精力的に検討が重ねられ、議論を集約させていくという、そうしたことを両幹事長会談の間で合意がされた。政府としても、さらにこの連携を深める中で取り組んでいきたい、このように思っています。

 いずれにしろ、これは議員立法でありますので、まず与党と、そして御党との間で、中心に、また、ほかの野党の皆さんも賛成のところがたくさんありますから、そういうことを含めて、連携をしながら進めていきたいと思います。

松田委員 ぜひよろしくお願いいたします。我々、この動向を注視してまいりたいと思っていますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 官房長官、以上でございます。もしよろしければ。

 あと、以下、甘利大臣に御質問させていただきます。

 通告の順番が少し変わりますが、先ほども山之内委員がいろいろ質問されていたんですが、消費税の来年一〇%への引き上げ判断について、私、いわゆる附則に書いてある、経済状況をよく判断してという、あれを常々、ことしの七―九月期のGDP等の経済指標を見て、実際、消費税率が上がるのは来年十月で、一年も先のことなんですね。この一年先の経済情勢を判断して、増税の可否をそれに依存して判断するということも、非常に、もともと無理がある。

 だから、あの附則の趣旨というのは、恐らく、一年たってもほぼ確実に経済が停滞しているような、リーマン・ショック並みの、あるいは大災害が起こったとか、物すごく大きな経済の基盤が損なわれているような深刻な事態でもなければ、一年先のことを今から予測してどうこうということ自体が、私、ちょっと論理的にどうかなということは前々から思っていたところでございます。

 したがって、この時点で引き上げをどうするかを逡巡しているということは、それ自体が足元でそれぐらい深刻な経済の崩壊的現象が起こっているということを想定しているというか、そうだとすると、アベノミクスでもともと想定していた流れから日本経済が外れているということを政府みずから認めているというか、アベノミクスは現時点では失敗だったという認識をしていることになりかねないんじゃないか。

 いや、我が党は、もろ手を挙げて来年十月消費税率アップに賛成だと言っているわけじゃなくて、慎重に判断と言っていますが、慎重に判断というのは、その前提として、いろいろな諸改革ができていないということが慎重に判断ですが、経済情勢を見てというのはちょっと違うんじゃないかなというふうなことを率直に思うんです。甘利大臣、この点はどのようにお考えでしょうか。

甘利国務大臣 十月の経済状況がどうかというのは、それに近ければ近いほど正確な判断ができます。ただ、では十月の判断を九月にせよというと、準備もありますし、予算編成も、上げた場合とそのまま上げないで行く場合と、予算編成作業自身が変わってきてしまう。

 では、どうして十月にしたのかというのはちょっと不思議なんですけれども、普通は、四月の新年度からということであれば、予算編成時に判断をすれば、予算編成作業もそれを織り込んでできるし、十カ月も十一カ月も先のことを判断しなくても済むから、より正確になる。この時期が不思議だなということは一つ思うのであります。

 アベノミクスがうまくいっている、いっていないから消費税の引き上げをしないで先に延ばす、延ばさない、これは若干似て非なるところがありまして、アベノミクスというのは、十五年以上続いたデフレ経済からの脱却。つまり、人間の体でいえば、風邪が肺炎になって寝込んでいた状態、それが、肺炎は回復して外を走れるぐらいにはなった。しかし、外を走ったら、十五メーター走ったらハードルがあって、ハードルをジャンプしたら、着地して以降どうも体の調子がおかしい。すぐまた、十五メーター先にもう一回ハードルがあるという判断をどうするかということであって、回復したけれども、ただ、障害物を乗り越えながら走っていく状態、そこまでにはまだ回復していないのではないかという判断なのかなというふうに思います。

 ですから、詭弁ではなくて、ハードルを越えたときの状況が期待どおりの状況ではないから回復自身がうそであったということではないと思います。

 経済指標、七―九の指標だけではなくて、ですから、おっしゃるように、できるだけたくさんのデータをとりたいと思いますし、識者の意見も伺い、あるいは国内外の市場関係者がどう言っているかということも含めて、総理は、十二月には判断をされるのではないかというふうに思っております。

松田委員 それは、来年十月の経済で、今もしさらに二%上げると、デフレ脱却がそこで損なわれる、来年十月にそういうことが起こるかもしれないと考えること自体、私は敗北主義じゃないかと思います。

 今後一年ぐらいの間に、政府が経済運営のよろしきを得て、そういうものは乗り越えられるようにする。アベノミクスの延長上に経済政策をちゃんと打っていってそうなっているんだということを想定してこそ、責任のある経済運営ではないかと思いますし、今この時点で決めると来年そんなになってしまうというのは、よほど足元が深刻ということで、循環的な要因以上に深刻な状況が起こっているのじゃないと、やはりなかなかそういう判断にならないような気がいたします。

 ですから、私は、別に来年上げろとか、もろ手を挙げて言うわけじゃありませんが、いろいろな方に、何十人もヒアリングをして、経済がどうのこうのと聞いて右往左往していること自体が、アベノミクスそのものがもう自己否定されているというか、政権そのものを自己否定しているような、そういう印象を非常に抱くので、その点について最後に御答弁いただければと思います。

甘利国務大臣 安倍政権ができて、安倍政権がスケジュールを組んで消費税引き上げの作業を行っているわけではなくて、もう既に用意されたものを引き取っているわけであります。

 でありますから、慎重の上にも慎重を期すというのは、デフレを脱却できない、ただ引き上げるということをやるだけの政府であるならば、経済対策をあらん限りしていって乗り越えるという手もあるのかもしれませんけれども、基本的に、デフレに舞い戻ってしまわないということが最大のミッションでありますから、それを勘案して、消費税の引き上げをやらないという判断はしません。

 要するに、やるにしてもどういう状況下でやるのかという判断だけするわけでありまして、消費税を引き上げないでいいなんということは政府内、誰も思っていないわけでありまして、デフレから脱却していくのに一番いいシナリオを描きたいということであります。

松田委員 時間が来ましたので、またもっといろいろな議論をしたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

井上委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 きょうは、実は、質問通告は官房長官にお願いしていたんですけれども、きょう参議院の本会議があって、急遽参議院の方に行かなければいけないということを近藤筆頭が了解、私も了解いたしまして、それで今、参議院の方に行っていらっしゃるので、官房長官に対する質問はきょうはちょっとできないのです。

 ただ、官房長官に対する質問というのは、ことしの二月、関東一円で大雪が降ったときに、二月の十四日に大雪が降って、ちょうどその一週間後、二月の二十一日の内閣委員会で四十分ほど官房長官に質問をさせていただいて、その後の政府の対応が極めて早かったので、御礼を言いたかったので官房長官をお願いしたんです。

 その経緯につきまして、農水省の政府参考人から、いつ雪が降って、どういう対策が時系列的に行われたのか、ちょっと御説明をお願いいたします。

金丸政府参考人 今般の大雪被害につきましては、関東甲信地方を中心に、二月七日から八日の降雪に加えまして、二月十四日から十五日の過去最大級の降雪によるものでございます。

 農林水産省といたしましては、今回の雪害は、通常降雪量が少ない地域を中心に、過去に例のない降雪により地域の基幹産業である農業が壊滅的な被害を受けていることに鑑み、早急に産地の復旧を図るとの観点から、二月二十四日にハウスの再建、撤去等に対する助成措置の発動を公表するとともに、三月三日に、再建、修繕に係る補助率を十分の三から二分の一に引き上げるとともに、撤去については農業者負担がないように定額助成とする追加の支援対策を公表し、被災農業者の営農再開を支援するとしたところでございます。

大島(敦)委員 ただいまの答弁について確認をしたいんだけれども、三月の三日の最終的な政府案が出たときに、ハウスが倒壊したその撤去については全額、再建あるいは修繕に関しては、十分の五が農水省さんの予算、十分の四が都とか県あるいは市町村という理解なんだけれども、それでいいか、もう一回答弁していただけますか。

金丸政府参考人 そのとおりでございまして、撤去につきましては、農家負担のないように、都道府県及び市町村を合わせて事業費の二分の一を負担することを前提に、国が二分の一を補助するということでございます。

 それから、再建、修繕につきましては、ハウス等を再建、修繕する場合に、国は事業費の二分の一を補助するということでございます。

大島(敦)委員 それで、ことしの二月の私の質問の資料を改めて読み直してみまして、二月の十四、十五に雪が降って、その一週間後の質問でしたので、当時としては、農水省の皆さんに何回も来ていただいて、さまざまな融資制度、あるいは経営体育成支援事業、これの災害で使える分、当時は十分の三だったと思うんですけれども、さまざまな対策を伺って、それでも、当時、私は埼玉県ですから、地元の農家を歩いてみると、皆さん、落ち込んでしまっていて、ハウスを再建して取り組むという気力がほとんどなかったんです。

 そのことはこの場でお伝えをさせていただいて、できるだけ早急に、できるだけ早く農家がやる気を持ってもらうということが必要だということをお願いさせていただいて、恐らくそのこともあって、二月の二十四日、十分の三、これが確定をして、三月の三日には先ほどの緊急支援の措置がとられたということは、非常に了としております。

 ただ、今、やはりその後も大切でして、地元の農家を一軒一軒歩いてみると、都道府県あるいは市町村の対応というのもさまざまなわけですよ。同じ県であっても、市町村が違うと、市の窓口の、農業関係者、農業に携わっている市の職員の方の要はマンパワーの問題があって、スムーズに応えられているところと応えられていないところがあって、本当にこの給付措置が出るか出ないかというのをみんな不安に思っていたりするのです。ですから、この場で一回確定はしておきたいなと思って、きょう質問をさせていただいているんです。

 それで、今回の予算規模、恐らく今年度予算が農水省関係で五百億円弱だと思うのです。プラス、特別交付税措置をしていきますから、それが、十分の四の七割が国の負担なので、それも含めると八百億円ぐらいだと思うんだけれども、その点につきましての、今回、雪が降って、それに対する国としての支援の規模について答弁願えますか。

金丸政府参考人 予算の規模でございますが、十月末までに県、市町村に四百五十五億円を配分しております。また、近日中に百六十億円を配分することにしておりまして、これを合わせました総額は六百十五億円、これが農水省から配分される今の予算規模でございます。

大島(敦)委員 申しわけないんですけれども、総務省の橋本大臣官房審議官、これは、特別交付税でどのくらいかという金額は、今、手元にあるかしら。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 現在、手元にはございません。

 と申しますのは、今回の特別措置は三月補正を考えておりまして、一応、十二月末あたりを期限にして各団体から数値を集めて、それで算定をしようと思っております。したがいまして、今現在、数値は持っておりません。

 ただ、資材等でなかなか事業の進捗が、いろいろと苦労されている、このように伺っております。

大島(敦)委員 今回、一番最初に思ったのは、農水省さんの予算はそのまま、農水省から県を通じて市町村、農家、一直線に行きますから、市の負担がないので意外と払いやすい予算かなと思ったわけです。

 もう片っ方、今の再建とか修繕のときの十分の五の農水省さんの予算とは別に、農家は一割、十分の一は農家負担だ、十分の四は特別交付税措置、県と市町村が見て、それを要は特別交付税でも穴埋めするということだと思うんですよ。だから、県とか市の予算も若干予算措置しなければいけないので、意外と、構えて払いにくい予算かなと思ったんだけれども、実はそうじゃないということも聞いているので、その点、例えば埼玉県だと、これは申請ベースで再建とか修繕についても払うという理解でいいと私は思うんだけれども、その点についての御答弁をお願いします。

金丸政府参考人 埼玉県につきましては、十分の五の国庫補助に加えまして、県が十分の二、それから市町村が十分の二を補助しておりまして、国と地方と合わせて十分の九の再建、修繕の補助率でございまして、農業者の負担は事業費の十分の一で実施するというところまで可能ということでございます。(大島(敦)委員「可能なんだよね」と呼ぶ)はい。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 そこのところは結構重要でして、なかなかこれも難しくて、さまざまなハウスがあるわけで、新しいものもあれば、三十年前のものもあったり、パイプのものもあれば、鉄の、ちゃんと鋼材を使っているようなものもあったりして、さまざまなハウスの形態があって、普通考えると、今回の場合には同程度で同機能で同規模のものをつくれと言っているので、そういうことというのは算定できるのかなと思うわけですよ。

 ただ、市町村でも申請を全部受け付けて、見て、県の方でも見て、国でも、関東農政局はそのために部局を大分拡充して、それぞれ判断しながら県、市町村に返していくので、恐らく、今の現時点だと、大体この程度の金額かなという目安ができていると思うんだけれども、そういう理解でよろしいですか。

金丸政府参考人 先ほど申し上げました六百十五億で、今のところ配分ということでございまして、これを交付していくということでございます、規模といたしましては。

 同程度をどういうものに見るかということにつきましては、一つ具体的に申しますと、被災施設の建設等の資材が入手できないで、現在一般に流通しております資材で再建する場合です。この場合は同程度と考えられます。それから、連棟施設を同面積の単棟施設とする場合、それから、施設の設置場所を移転させる場合、そういうようなものにつきまして同程度というふうに考えられます。

 その同程度の判断につきましては、地域の実情がさまざまでありますので、国が一律の基準を示すのではなくて、事業実施主体である市町村が判断していただくということにいたしております。

 御地元の埼玉県につきましても、県と市町村が相談して対応しているというのが現状でございます。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 同程度のもの、あるいは同規模のもの、同機能のものというのも、大体こういうものだという基準があって、申請ベースでそれを要はお支払いしていく。それも、一応基準の範囲内であれば、大体、十分の九は要は支援される。

 一点だけ確認したいのは、農家によっては、特に、米と違って、果樹とか果物、あるいは野菜をつくっているところというのは、後継者が育っているところが多いんですよ。そうすると、今の規模よりも、今のものよりも、より高機能のもの、よりいいものをつくりたいというのは、それは自己負担でいいとすれば、そういう考え方で、ベースは同程度のものかもしれないけれども、プラスアルファでこういう設備をさらに強化したいということも、個人負担であれば可能かどうかの確認答弁をお願いします。

金丸政府参考人 お答えいたします。

 施設を機能強化したり規模拡大したりする場合、そのような場合どのように取り扱うかということでございますが、被災農業者向け経営体育成支援事業、この助成対象は、被災前と同程度の生産施設の復旧部分が助成対象なのでございますが、これとあわせて、今回の大雪被害にも耐えられるような機能を強化した施設、あるいは規模を拡大した施設、そのようなものについて自己負担により整備すること、これは可能でございます。

大島(敦)委員 残りの時間もあと五分から六分になりましたので、まず、副大臣に御答弁願いたいことがあります。

 三月三十一日までに新しく再建あるいは修繕しろということで、国としては、予算も二十六年度予算ですから、二十六年度までというんですけれども、御承知のとおり、人的に非常に今不足をしている。資材も、これまでになく、関東一円ですから、山梨もあれば、あるいは群馬もあったりもして、非常に広くなっているので、資材の手当ても、経営者の方に伺うと、地元の納材屋さんになかなか入りにくい状態であって、どうしても工事としては来年まで延びてしまうという声が非常に多いわけですよ。ですから、二十六年度で一旦区切られると非常に困ると思っています。

 その前に、副大臣の前に確認しておきたいのは、予算は二十六年度であっても繰り越しできるんだよね。それだけ答えてもらってから、副大臣にお願いします。

金丸政府参考人 繰り越しにつきましては、資材や人員等の事情によりまして、二十六年度中に対応できないというようなことのある場合には、繰り越しといった措置が考えられるということでございます。

大島(敦)委員 では、あべ副大臣、今の点につきまして、副大臣の答弁は非常に重いものですから、二十六年度で間に合わなくても、二十七年度になっても、当初の金額どおりのものがちゃんと支援いただいて、農家がしっかり再建できるというところの答弁をお願いします。

あべ副大臣 大島委員にお答えいたします。

 平成二十五年度の大雪に対する被災農業者向け経営体育成支援事業、早急に産地の復旧を図るため、平成二十五年度及び二十六年度の予算を活用いたしまして特例的な措置を講じているものでございまして、平成二十六年度までに行うことが基本と考えております。

 このため、被災地の農業者の一日も早い経営再建が図られるよう、まずは、年度内の事業完了に向けて、市町村、県など関連機関が連携して事業に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

 なお、最大限努力をしていただいても、資材また人員の事情により二十六年度中に対応できないということも考えられます。この場合には、繰り越しといった措置も考えられるところでございます。

 以上です。

大島(敦)委員 あべ副大臣、二十六年度予算ですから、この年度中に一生懸命やってもらうということが第一だと思うんですけれども、なかなかそれでも間に合わないところも多分多く、埼玉県よりも群馬県の方が多いと聞いているものですから、あると思うんです。

 ですから、その点につきまして、二十六年度中なんだけれども二十七年度もしっかりやっていくよと、もう一度言っていただけると助かります。

あべ副大臣 注視をさせていただきながら、基本は二十六年度中でございますが、対応できないということも考えられるため、この場合には、繰り越しといった措置も考えられるということでございます。

大島(敦)委員 そこの部分はもう一頑張り踏み込んでいただいても余り問題ないと思いますので、ぜひ、省に戻られてからも、多分党派関係なく、二十七年度という話は伺っていると思いますので、よろしくお願いいたします。

 もう一つ、きょうは総務省の方に来ていただいているんですけれども、特別交付税ですよね。ですから、十分の四についてのその七割は特別交付税で、特別交付税は十二月、それで三月がメーンで一兆円を出していくわけですよ。先ほど、農水省関係の予算で六百十五億ですから、これが十分の五だとすれば、それの十分の四のさらに七割ですから、大体二百億とか三百億円ぐらいかなと想定をしておりまして、トータル六百十五足す三百、八百億円ぐらいの対策だと。

 ですから、特別交付税について、確かに、個人と違って市町村は、ある程度余裕はあったにせよ、小さいところに行くと結構かすかすで資金繰りをしていて、特に今回のような災害はなかなかないものですから、なかなか措置できないところもある。

 十二月が特別交付税の締め切りで、三月と言われると、では、十二月、一月、二月の支払いは、その年の十二月まで一年弱待たなければいけないので、その点についてもう少し事情を見ながら柔軟に対応できるかなと思うんだけれども、その点についての答弁をお願いします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 三月分の特別交付税の作業スケジュール上、原則として十二月末ぐらいに各地方団体からデータを出してもらうというふうにしておりますが、今議員御指摘のように、今回の農業用ハウス等の撤去、再建等に関しては、一部の地方団体に多額の財政負担が生じた場合に、その団体の財政運営に支障が生じるおそれもありますので、このタイムリミットにつきましては少し柔軟に対応いたしたいと思います。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

井上委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 官房長官がお着きになりましたので、官房長官からお聞きしますけれども、最初に政府参考人に数字だけ確認してから始めたいと思います。

 内閣官房報償費、いわゆる官房機密費についてでありますが、一昨年末に安倍内閣がスタートして、それから、発足以来、官房長官が取扱責任者となっている官房機密費、これはトータルで幾ら使ったか、そのうち今年度幾ら使ったか、月ごとの数字と合計額、これをお答えいただけますか。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 第二次安倍内閣が発足した平成二十四年十二月二十六日から現在までの間に国庫から支出された内閣官房報償費は、約二十八億円でございます。このうち、内閣官房長官が取扱責任者であります内閣官房報償費につきましては、約二十三億六千万円でございます。

 また、内閣官房長官が取扱責任者でございますこの内閣官房報償費のうち、平成二十六年度分につきましては、平成二十六年四月から十月までの間に国庫から支出された額は八億円でございます。具体的には、四月に二億円が国庫から支出され、その後、毎月一億円ずつ国庫から支出されているところでございます。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 この内閣官房機密費というのは、菅官房長官は毎月一億円使っている。相当な金額でありまして、トータルでこれは二十三億六千万円、今年度だけで八億円お使いになったということでございます。

 この官房機密費の内訳、これはどのように分類されているんでしょうか。それから、どのように管理し、記録する仕組みになっているのか、これをお答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 内閣官房報償費の執行に当たっては、取扱責任者である私が決定をした内閣官房報償費取扱要領に基づいて、報償費の支払い時期、支払い金額及び目的類型等を記載した記録簿を整備いたしております。

 そして、報償費の目的類型については、官房長官の交代時及び毎年度作成をします内閣官房報償費の執行に当たっての基本的な方針に基づき、政策推進費、調査情報対策費、活動関係費の三つの目的類型ごとに、それぞれの目的に沿って執行をさせていただいております。

 その支払いに当たっては、所定の様式の文書を作成し、その管理を行っており、全体として適正な記録が行われているところと認識をいたしております。

佐々木(憲)委員 今、分類としては、政策推進費、それから調査情報対策費、活動費、こう三つに分けてやっておられるということですが、そのうち調査情報費と活動費は、取扱要領によりますと、官房長官が指名した事務補助者をして役務提供者等への支払いに当たらせるというもので、支払い目的、支払い相手方、金額、これが書かれて、全ての記録が残されているというふうに聞いておりますが、政策推進費、これは官房長官がみずから支出するものでありまして、支出先、支出金額、支出目的の記録、これは細大漏らさず全て残っているというふうになっているんでしょうか。

菅国務大臣 政策推進費の支払いに当たっては、政策推進費受払簿を作成し、その管理を行っているところであり、支出先等については領収書等で確認することができます。

佐々木(憲)委員 その領収書は全てそろっているんでしょうか。領収書のあるものもないものもあるのではないでしょうか。あるいは、支出先、支出金額、支出目的の記録は完全には残っていないということなのではないでしょうか。

菅国務大臣 政策推進費は、施策の円滑そして効果的な推進のために、官房長官としての高度な政策判断によって、機動的に使用することが必要な経費であると考えています。

 このような政策推進費の性格上、必ずしも領収書等を得ることができないこともあります。

佐々木(憲)委員 支出については、領収書があるものもないものもある、こういうことでありました。それから、目的とか支出先についても、官房長官の頭にはあるけれども、文書には残っていないというものもあるということですね。

 そうしますと、支出が目的どおり適正に行われたかどうかというのは、これは誰がどのように検証するんでしょうか。

菅国務大臣 報償費は、国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきておりますが、取扱責任者であります官房長官、すなわち私自身の判断と責任のもとに、厳正で効果的な執行を行っているところであります。

 いずれにしろ、国民の不信を招くことがないように、適正な執行に努めてまいりたいと思います。

佐々木(憲)委員 要するに、チェック体制はないということでありますね。これは、一体どのように使ったか、適正かどうかというのは誰もわからないという話になって、非常に問題だと思うんですね。

 ことし二月の当委員会で官房長官は、この透明性を確保するルールについては検討中であるというふうにおっしゃったわけでありますが、検討中というのは、今も検討中ということでよろしいですか。

菅国務大臣 この報償費の機能の維持に最大限留意しながら、その中でどのような情報公開が可能であるかということを考えてまいりたいというふうに思います。

 いずれにしろ、国民の皆さんから不信を招くことがないように、適正な執行に徹底をしてまいりたいと思います。

佐々木(憲)委員 ところで、官房長官はあす八日、沖縄を訪問すると報道されていますが、これは事実でしょうか。

菅国務大臣 沖縄を訪問する予定であります。

佐々木(憲)委員 官房機密費というのは、選挙に使うこともできるんでしょうか。

菅国務大臣 私の判断のもとで、そういう使い方はしません。

佐々木(憲)委員 元官房副長官の鈴木宗男氏の証言によりますと、一九九八年の沖縄の県知事選挙で特定の候補者のために官房機密費を三億円使った、こう述べているわけでありまして、もしそれが事実だとしたら、金の力で不正な選挙をやったということになるわけでありまして、選挙をゆがめるということになる。

 今、沖縄の知事選挙が行われていますけれども、官房長官はこの知事選挙には絶対に使わないということでよろしいんですね。もう一回ここを確認しておきます。

菅国務大臣 この選挙だけでなくて、ほかの選挙にも使うことはありませんし、官房長官の政策判断のもとに、国益を担うために報償費というのは使わせていただくというのが私の考え方であります。

佐々木(憲)委員 しかし、チェックする体制がないわけで、これは官房長官が自分でチェックされるわけでありまして、第三者的な目からチェックできないわけですから、大変私は、幾らそう言われても、そうかなというふうに思ってしまうわけですね。仕組み上、そうなっているものですからね。

 この官房機密費というのは、もともと国民の税金なんですよ。ですから、それを毎月一億円使って、領収書もないのもある、何に使うかは私の判断でございます、チェックする体制がないというのでは、これは問題だと思いますね。

 ですから、ルールはきっちりしてもらわないといけないし、国民から見てなるほどと。それは詳細に全てというのはなかなか、性格上無理かもしれないけれども、しかし、今のようなやり方では国民は納得しないというふうに思うんです。

 次に、内閣官房には懲役十年の厳罰で守る特定秘密というのが他方あります。この問題について、次に上川大臣にお聞きします。

 十一月四日の参議院予算委員会で、我が党の仁比参議院議員の質問に上川大臣はこのようにお答えになったわけです。特定秘密保護法につきましては、委員御指摘のとおり、国民の皆様の間に懸念や不安があるということを踏まえまして、その運用の適正を確保するために、政令や運用基準におきまして二重、三重の仕組みを構築したところでございます、こう答弁をされたわけです。また、安倍首相は、秘密保護法の運用状況について、しっかりこれは国会に年に一度報告することになっている、こういうふうにお答えになった。

 こういうふうな答弁があったということ、これは間違いありませんね。確認しておきたいと思います。

上川国務大臣 御指摘の、十一月四日に、特定秘密の指定に対して、恣意的な部分をどうチェックするかという議員からのお尋ねがございまして、私からは、二重、三重ということで例示をいたしまして、法律や運用基準で特定秘密に指定できる事項を限定したということ、そして政令で特定秘密の指定の検証、監察等を行う独立公文書管理監を設置したこと、さらに運用基準で通報制度を設けたというような形で、二重、三重の仕組みを構築した旨お答えをしたところでございます。

 さらに、御指摘がございました、安倍総理からの発言ということでございますけれども、法の運用状況につきましてしっかりと国会に報告することになっている旨の御答弁がなされておりまして、国会への報告の内容につきましては、これを踏まえて、法の運用状況を見つつ検討をしていくべきものというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 そこで、具体的にお聞きしますけれども、例えば防衛大臣が指定した特定秘密を独立公文書管理監が提出を求めたということがあったとしますと、それに対して防衛大臣は、いや、これは出せないということになりますと、運用基準の疎明の手続を行うということになるわけですね。これは他の省庁でも同様なことが起こり得るわけであります。

 安倍総理は、年に一度しっかり国会に報告する、こう答弁したわけですから、例えば、独立公文書管理監が提出を求めた件数が年に何件あって、その中で何件がどういう疎明によって提出を拒否されたのか、当然、その点も国会に報告されるという理解でよろしいですか。

上川国務大臣 委員御指摘の点でございますけれども、特定秘密保護法におきましては、政府は毎年、特定秘密の指定等の状況につきまして国会に報告をする、そして公表をするということでございます。運用基準におきましてその手続を定めているということでございます。

 その運用基準におきまして、独立公文書管理監は毎年一回、特定秘密の指定等の適正を確保するために、独立公文書管理監及び行政機関の長がとった措置の概要を内閣総理大臣にも報告をし、公表するということにしているところでございます。

 政府から国会への報告及び独立公文書管理監の報告等をどのような内容とするべきかにつきましては、法の運用状況も見つつ検討していくべきものというふうに考えておりまして、そうした状況の中で、独立公文書管理監が行政機関の長に対して特定秘密の提供を求め、行政機関の長が理由を疎明し、その求めに応じないということがあれば、その報告や公表につきましても適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 今の御答弁ですと、細かい、何件あったとか、どういう疎明で提出拒否したか、こういうことの中身、どういうふうにそれを報告するかは今検討中、まだ決まっていない、こういうことなんでしょうか。

上川国務大臣 独立公文書管理監において検証、監察等の実際の実施状況を踏まえた上で、法の運用状況を適切にお伝えするための報告の内容を具体的に検討することが適当であるというふうに考えておりまして、そのようなことでございます。

佐々木(憲)委員 今の答弁ですと、結局まだ細目は決まっていないと。

 これは、そういう点を国会に、先ほど私が言った点ぐらいは、数字ですからね、それから疎明の理由とか、こんなのは別に何も隠すようなものじゃないわけでありまして、それをまだ決まっていないというのでは、国会にしっかり報告すると総理がおっしゃっているのに、国会自身がそれをチェックできないということになるわけでありまして、非常に問題だと私は思いますね。

 もう一点は、総理が指定した秘密をチェックするというこの体制でありますが、内閣保全監視委員会というのは、総理のチェック機能を補佐するものですね。独立公文書管理監の任命責任者も総理でありまして、内閣官房の保有する情報を特定秘密に指定するのも総理大臣ですね。全部総理なんですよ。

 総理が指定した秘密を総理がチェックする、そうなりますと、これは、例えば総理が恣意的な秘密指定をするというような場合、あるいは政府にとって都合の悪い情報を隠そうとして秘密に指定する、そうした場合に誰もチェックできないということになるわけですね。安倍総理は答弁で、この仕事自体を根本から全く悪意によって運用されるというふうに考えられてしまえば、もうお答えしようがない、こういう答弁をされているわけです。

 例えば核密約のように、総理が国民にうそをつく、あるいは、総理が自分の都合の悪いものを隠す、恣意的な指定をする、そういう悪意によって運用された場合が仮にあるとすると、防ぎようがない、こういう仕組みになっているんじゃありませんか。

上川国務大臣 御指摘ございました、総理から法の運用状況についてしっかりと国会に報告するということでございまして、ただいまのようなことが起こらないということについてのしっかりとした適正な実施、あるいは、法律にのっとって、実際に運用基準で定められたルールにのっとって適切に報告がなされ、また、国会の方にも内閣総理大臣から報告がなされることになっております。そうしたことを通して適切に実施できるものというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 今の答弁は答弁になっておりません。自分で自分をチェックするから正しいんだというような答弁をしたって、これは何も答弁になっていないですね。

 先日の参議院の方の予算委員会で、総理は、形式上は確かに私が指定するという形式になっております、政権が交代をしていく中において、後に政権によってそれは十分にチェックされると答弁しているんですね。政権交代したらチェックできると。したがって、現在の法体系、秘密保護法の体系のもとではそのチェックの仕組みがない、こういうことになるわけでありまして、これは、二重、三重の仕組みを構築したというような言葉を並べても、実態的には何のチェック体制にもなっていない。

 そのことを総理自身がこういう答弁の中でお認めになっているという非常に重大な内容でありまして、この秘密保護法については、我々は、こういうものは廃止ということで、もうこういうずさんな法体系、法律はやめるべきだというふうに思っております。

 以上で終わります。

井上委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。本日、二十分間の質問時間をいただきました。

 本日は、四時間四十分の長丁場となっておりますけれども、皆さん、お疲れさまでございます。

 本日は、内閣委員会ということでございまして、今回もまた山口大臣にお越しいただいておりますので、さまざまな質問をさせていただこうと思っております。

 私が弁護士から国会議員になったそもそものきっかけというものをちょっと振り返ってみると、さまざまな新しいビジネスというものがある中で、日本の規制によってなかなかそういったものが妨げられてしまっているというようなものを見てきたというところでございます。そして、日本のそういったビジネスがさまざまな規制によって足かせを受けている間に、海外ではどんどんそういったビジネスが進んでいく。そして、もちろん、インターネット等の世界でございますから、国境を越えて日本の中にもやってくる。当然ながら、日本の国内の事業者というのは真面目ですから、そういう規制をしっかりと守ってやっていく。一方で、規制がかからない海外の事業者は、構わずどんどんビジネスをやるということで、そもそも競争条件が違うわけですから、これは競争になるわけがありません。

 そういう意味で、国際競争力というものが、日本の事業だけ、日本の企業だけどんどん低下をしていく、世界の中でおくれをとってくるというような姿を数多く見てまいりました。

 本日質問させていただくのは、またぞろそういうことが国内に起きているんじゃないか、そういうようなことで質問をさせていただこうというふうに思っております。これは、基本的には実務的な内容が主になりますので、政府参考人の方とのやりとりということになるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

 まず、近時話題となっておりますビッグデータの取り扱いというものに関して少し質問をさせていただきたいと思います。

 個人情報というものを守らなければいけないという観点から、個人情報保護法ができました。個人情報保護法のもとでビッグデータをどういうふうに使っていくかといいますと、当然ながら、個人情報に係る部分をなくしていく。単なるデータだけ見てもどういう個人かということが識別できないような加工をした上で、ビッグデータとして使っていくというようなやり方を多くの企業ではやっているということではありますけれども、しかしながら、このビッグデータの取り扱いというものには、実はまだまだグレーゾーンが多いということでございます。

 どういうグレーゾーンかといいますと、ビッグデータからもともとの個人情報に立ち戻ることができる、つまり、ほかの情報と突き合わせるということによって個人が識別できてしまえば、それはビッグデータといえども個人情報だ、個人情報データベースだということで規制の対象になるというような考え方。その考え方自体は仕方がない部分はありますけれども、しかしながら、では、どこまでビッグデータとしてのデータベースと個人情報データベースというものを切り分けていかなければいけないのか、これが各企業において一番グレーゾーンとして難しいというふうに言われているところでございますので、この点について、まずは現行の解釈というものについてお答えいただければと思います。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 個人情報保護法に関しまして御質問いただきました。

 個人情報保護法におきましては、個人情報の定義としまして、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができるものも含むとしております。すなわち、それ自体では個人を識別できない情報であっても、事業者におきまして、通常業務における一般的な方法で個人を識別する他の情報との照合が可能な情報は、個人情報に当たることとなります。

 個人情報保護法は、個人の権利利益の保護を目的としており、他の情報との照合により個人を識別できる情報につきましても、単体で個人を識別できる情報と同様、その取り扱いによっては、個人の権利利益を侵害する可能性があるということから、個人情報に含めているものでございます。

三谷委員 それを前提に伺いますけれども、同じ会社の中で、個人情報データベースと、いわゆるそういった個人情報の部分が一切捨象されたビッグデータ用のデータベースが、二つある。この二つが、運用上も規定上も別物ということで、アクセスというものが、両方に同時にアクセスできないよという場合には容易に照合することができないというようなことですから、個人情報データベースとビッグデータのデータベースは別物だから、ビッグデータ用のデータベースには個人情報保護法の規制がかからないというふうな理解でよろしいでしょうか。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 容易照合性は、事業者におきまして、通常業務における一般的な方法で個人を識別する他の情報との照合が可能かどうかで判断するものでございます。

 社内規定等によりますもとデータへのアクセス制限を含め、組織的、技術的にどの程度分離されているかを個々のケースごとに見ていくものでございまして、御指摘のような社内規定等により容易照合性が否定されるとは一律に言えるものではないというふうに考えております。

三谷委員 規定だけをもって一律に否定をしろというふうに言っているわけではありません。先ほどのお答えの中でやはり一番問題だと思うのが、可能かどうかというような、これが判断基準となりますと、これは非常に厳しい状況に追い込まれるだろうというふうに思っております。

 二つのデータベースがあるという中で、先ほど申し上げたのは、規定上も運用上も厳格に双方へのアクセスが禁止をされているということでありますから、それによって、規定違反なり何なりがあった場合には、当然ながら、社内的に罰則なりいろいろな処分が下されることにはなるというような場合でも、どういうことに基づいて今お答えいただいているかというと、経済産業省がつくられているんだと思いますけれども、「「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」等に関するQ&A」でそういったところが書いてあるんですよ。「他の取扱部門のデータベースへのアクセスが規程上・運用上厳格に禁止されている場合であっても、双方の取扱部門を統括すべき立場の者等が双方のデータベースにアクセス可能な場合は、」容易に照合することができる。

 これは、確かに照合することはできるかもしれませんけれども、法文上の「容易に」というところを果たして満たすのかどうか。これはちょっと、本来の法律の趣旨は、経済産業省なり、消費者庁でもいいんですけれども、そういったところが余りにも消費者寄りといいますか、個人情報保護に偏り過ぎてこういうガイドラインをつくっているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

服部政府参考人 やはり、個々のケースにつきましては、一律に見るということではなくて、具体的に、組織的分離、これは社内規定によるアクセス制限、それから技術的な分離、これはもとデータを復元できないような技術的加工、こういったものも総合的に個々のケースごとに見ていくということであるというふうに認識をしております。

三谷委員 今までのケース、たしか前の国会におきましてグレーゾーン解消制度というものが経済産業省さんの鳴り物入りで導入されたというふうに私は理解をしておりますけれども、では、今まで、いわゆるグレーゾーン解消制度のもとで、もしくは具体的な問い合わせのもとで、これは会社を分ければ、ある意味、簡単なのかもしれません。しかしながら、会社を分けるか、一つの会社の中でやるかというのは、はっきり言えば法技術的な問題だけであって、同じ会社であってもしっかりそこは分けられているということであれば、それは特段問題ないと私は思うんですけれども。

 そういう形で、事前に照会をして、このデータベースは大丈夫ですよというようなお墨つきを下したケースというのはあるんでしょうか。

服部政府参考人 現在のところ、承知しておりません。

三谷委員 実際問題、今、ビッグデータの利活用というものが非常に議論されている中で、海外の事業者は、はっきり言ったら、こんなことを考えずに、どんどん同じ会社の中でビッグデータ化して、そのデータをつくって使っているというような状況がある中で、これは日本の企業だけというふうに言っても構わないと思うんです。

 もしあれば、海外の事業者に関して、個人情報データベースに当たるから個人情報保護法違反だということで何らかの対策をしたケースが過去にあったかどうか、教えてください。

服部政府参考人 ないと認識しております。

三谷委員 これが現状だと思います。

 そういう意味で、どうしても日本の事業者というのは、こういう法律、法律までは我々国会議員も責任があると思うんですけれども、その法律をどう解釈するか、今回のような容易照合性の部分に関して、特定の誰か一人でも両方のデータベースにアクセスできればアウトだ、こんな厳格な解釈をする必要があるのかどうかということは、これは改めて考えていただきたいというふうに思います。

 その意味で、今回、個人情報保護法の改正というものが今検討されている状況だと思いますけれども、この点について、改正の検討状況、第三者機関というものを設けようとされているというふうに理解をしておりますけれども、その点について事実関係を確認させてください。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 現在、パーソナルデータに関する制度改正大綱に基づきまして、内閣官房におきまして法改正の検討がなされていると承知をしております。この中では、第三者機関のあり方も含め、また、容易照合性に関しましては、個人が特定される可能性を低減した情報について、一定の条件のもと、本人の同意を得ずに利活用可能とする枠組みを導入することが検討されているものと承知しております。

 私どもといたしましても、引き続き検討に協力してまいりたいと考えております。

三谷委員 ことしの六月にパーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱というものが出されておりまして、この中で、第三者機関については、パーソナルデータの保護及び利活用をバランスよく推進することを目的とするんだというふうになっております。そして、その中では、民間の自主規制ルールの認定等というものによって、プライバシー保護水準を、ちゃんとプライバシーを保護しているかというようなことを判断するんだというふうになっております。

 どうか、この具体的な進め方、運用の中で、今の、海外の事業者も全然普通にビッグデータとして使えるようなデータを、日本の事業者だけが、例えば、さまざまなデータを管理する事業者、顧客とのやりとりの中でやられる事業者はいっぱいあります。インターネット上の事業者は数多くそうですけれども、日本だけがこのビッグデータの活用という意味では不利益をこうむっている状況というものを十分理解していただいた上で、それに対応をしていただきたいというふうにお願いをさせていただきます。

 このビッグデータの活用という部分に関して、一言だけでも、山口大臣、もしよければお答えいただきたいと思います。

山口国務大臣 実は、今の個人情報保護法、私も自民党内で担当していろいろやっておりました。当時はこういうことは想定していませんでしたし、同時に、運用に当たって、ある意味、必要以上に出てくるべきはずの情報が出てこない等々、いろいろありました。やはり、法改正の必要はあろうかというふうな問題意識はございました。

 先ほど来、三谷先生のお話のとおり、やはり照合できるかどうかということ、ちょっと微妙なところがまた、なかなか運用に問題が起こっておるんだろうと思います。そういったことも含めて、私自身も、個人情報保護の法改正に向かって、できるだけ関与していきたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。IT担当大臣として非常に心強いお答えをいただけたのではないかというふうに思っております。

 先ほど申し上げたQ&Aというのは、実は、これは二〇〇七年の三月にできた回答なんですね。もう七年半たちますから、時代も変わっているということで、ここの書きぶりも変えていただければというふうに思います。

 それから続きまして、もう一つ大きな話としてありますのが、いわゆる旅館業法に関しての話です。

 今、クールジャパンという取り組みの一環として、逆の方向かもしれませんけれども、ビジット・ジャパンというのもあります。海外から多くの観光客をとにかく日本に、入ってきてくださいというようなことをやっているという中で、日本でどういうところが海外からのお客さんの受け入れ先になっているかという現実を見ていただきたいんです。

 それはもちろん、いろいろなホテルとか旅館とか、そういったものもありますけれども、実は、今海外で、海外から日本を訪れるときに使うサイトというのがあって、具体的に言うとエアビーエヌビーというところがそういったサービスを提供しているんですけれども、これはどういうところかというと、我々が持っているような普通の家を短期的に貸しますよということをやらせているわけです。それが、何日、一日でもいいし、一週間でもいいしというようなことで、ショートステイ、暮らすように訪れる、暮らすように旅をするということが一つの売りでございます。

 そういったサイトがあるという中で、なぜか同じようなサービスを日本の事業者がやると規制を受けているというところでございますけれども、旅館業法に基づく建物の短期賃貸借に関して、その現状というものを教えていただきたいと思います。

福本政府参考人 お答えいたします。

 旅館業法の規制でありますけれども、これは旅館あるいはホテルに対して規制がかかるということですが、その旅館、ホテルの定義をどうしているかでございますが、一つには宿泊料を受けるということと、二つには寝具を提供して施設を利用させる、宿泊する空間を利用させるということと、それから宿泊期間が一カ月以内であるという、この三つが該当いたします。そういうことで事業を行う場合は都道府県知事の許可を受けなければならず、そしてまた許可を受ける際には、構造設備基準、フロント等を設けなければならないというような基準とか、換気あるいは採光、衛生面の基準というようなものがございますし、許可を受けた後は、運営の基準、これは宿泊者名簿を備えて記入させる、あるいは寝具の消毒をするというような基準もございます。委員御指摘の事例がこういうような形態に該当するということであれば、都道府県知事の許可を受けなければならないということになっております。

 ただ、昨今の、日本に外国人を招くという観点からは、昨年成立をいたしました国家戦略特別区域法という中で別の扱いがされておりまして、これは旅館業法の適用を除外するわけですけれども、特区法の中で、外国人旅客の滞在に適した施設であって、かつ宿泊期間が七日から十日までの範囲内で条例で定める期間以上のものということで、先ほどの一カ月というのを少し短くしているんですけれども、そういうものは、特区区域内に限ってですけれども、都道府県知事の個別の認定を受けた上ででありますが、これは旅館業法の適用除外をして営業ができるということになっております。

 ただ、法律は施行されておりますけれども、都道府県でまだ条例を準備中でありまして、日本国ではまだ認定を受けたものはないと承知しております。

三谷委員 今、国家戦略特区というものの中で旅館業法の規制の緩和というのも検討されているというところではありますけれども、しかしながら、海外のサイトを見ると、本当に数多くの物件が載っているわけです。しかも、先ほどお答えいただいたような国家戦略特区の中で認められる範囲だけではありません。そういう海外ではどんどん進んでいるというサービス、これは正直な話、こういうものは全部だめだということであれば、規制を海外の事業者にもかければいいんです。かけて、日本の事業者と同じような競争条件をつくっていただければ、それはそれで構わないというふうに思います。

 しかしながら、以前にもありましたけれども、具体的な名前を挙げてしまいますけれども、Gメールの場合に、その中のテキストを見て、そのテキストに一番マッチした広告を出すというサービスがGメールではされますが、同じサービスをヤフーメールがやろうとした場合には、それは通信の秘密に抵触するからできないというふうに言われた。そんなことをされたら、広告主は全部Gメールの方に流れていくというようなこともあります。

 とにかく、海外の事業者だから手が届かないと思って規制をしない、日本だから規制をかけやすいからやるということをやっていくと、日本の競争力がどんどん下がっていくというような危機感を持っておりますので、この点、十分対応していただきたいというふうに思っております。

 時間がなくなりました。もしよろしければ、一言だけ大臣のお答え、御感想をお聞かせいただければと思います。

山口国務大臣 確かにダブルスタンダードというのはおかしいので、やはり我が国経済をしっかりと再生していくためにも、そこら辺はきちっと整合性をとっていくべきだと思いますので、検討させてください。

三谷委員 以上です。ありがとうございました。

井上委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

井上委員長 次に、内閣提出、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。有村国務大臣。

    ―――――――――――――

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

有村国務大臣 ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応していくためには、みずからの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍することが一層重要となっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって豊かで活力ある社会を実現することを目的として、本法律案を提出する次第であります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本原則を三点定めております。

 一点目は、みずからの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性に対する採用、教育訓練、昇進その他の職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じて、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として行われなければならないこととしております。

 二点目は、女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として行われなければならないこととしております。

 三点目は、女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならないこととしております。

 第二に、政府は、基本原則にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針を定めることとしております。また、都道府県及び市町村は、基本方針等を勘案して、女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画を定めるよう努めるものとしております。

 第三に、内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、事業主が女性の職業生活における活躍の推進に関する取り組みを総合的かつ効果的に実施することができるよう、基本方針に即して、事業主行動計画策定指針を定めることとしております。

 第四に、常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主は、女性の職業生活における活躍の状況を把握し、改善すべき事情について分析した上で、事業主行動計画策定指針に即して、計画期間、定量的に定めた目標、取り組み内容等を定めた行動計画を策定し、公表すること等としております。また、女性の職業生活における活躍の推進に関する取り組みの実施の状況が優良なものであることなどの基準に適合する事業主について、厚生労働大臣がこれを認定することとしております。

 第五に、国及び地方公共団体の機関等においても、事業主としての行動計画を策定し、公表することとしております。

 第六に、常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主並びに国及び地方公共団体の機関等は、女性の職業選択に資するよう、女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表することとしております。

 第七に、国及び地方公共団体の機関は、地方公共団体の区域において女性の職業生活における活躍の推進に関する取り組みが効果的かつ円滑に実施されるようにするため、関係機関により構成される協議会を組織することができることとしております。

 このほか、女性の職業生活における活躍の推進に関し、必要な事項を定めることとしております。

 この法律案の施行期日は、公布の日からとしておりますが、行動計画の策定等については、平成二十八年四月一日としております。また、この法律案は、平成三十八年三月三十一日限り、その効力を失うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

井上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

井上委員長 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 文部科学委員会において審査中の内閣提出、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案について、文部科学委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、文部科学委員長と協議の上、公報をもってお知らせをいたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十五分散会


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