衆議院

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第19号 平成27年8月7日(金曜日)

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平成二十七年八月七日(金曜日)

    午後二時十分開議

 出席委員

   委員長 井上 信治君

   理事 秋元  司君 理事 亀岡 偉民君

   理事 田村 憲久君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 泉  健太君

   理事 河野 正美君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      井野 俊郎君    岩田 和親君

      越智 隆雄君    大隈 和英君

      岡下 昌平君    加藤 寛治君

      神谷  昇君    木内  均君

      工藤 彰三君    熊田 裕通君

      笹川 博義君    寺田  稔君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      平口  洋君    ふくだ峰之君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      山田 美樹君    若狭  勝君

      緒方林太郎君    佐々木隆博君

      津村 啓介君    中島 克仁君

      古本伸一郎君    小沢 鋭仁君

      高井 崇志君    升田世喜男君

      輿水 恵一君    濱村  進君

      池内さおり君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君

   国務大臣         山口 俊一君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣         有村 治子君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   外務副大臣        中山 泰秀君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   環境副大臣        北村 茂男君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  谷脇 康彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 浜田 省司君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  種谷 良二君

   政府参考人

   (特定個人情報保護委員会事務局長)        其田 真理君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮地  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐藤 達夫君

   政府参考人

   (文化庁次長)      有松 育子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           大野 高志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 亀澤 玲治君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月七日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     山田 美樹君

  池田 佳隆君     熊田 裕通君

  石崎  徹君     井野 俊郎君

  武部  新君     赤枝 恒雄君

  山尾志桜里君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     中川 俊直君

  井野 俊郎君     石崎  徹君

  熊田 裕通君     笹川 博義君

  山田 美樹君     青山 周平君

  中島 克仁君     山尾志桜里君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     工藤 彰三君

  中川 俊直君     武部  新君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

八月六日

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

七月九日

 TPP参加断念に関する請願(本村伸子君紹介)(第三四六六号)

 中部地方の安全・安心を支えるために必要な国の出先機関と独立行政法人の体制・機能の充実に関する請願(大口善徳君紹介)(第三四八一号)

同月二十四日

 特定秘密保護法の撤廃に関する請願(藤野保史君紹介)(第三五五九号)

 同(真島省三君紹介)(第三五七二号)

 同(斉藤和子君紹介)(第三六〇八号)

 TPP参加断念に関する請願(斉藤和子君紹介)(第三六〇九号)

 全ての子どもの権利が保障される保育・教育、子育て支援の制度の実現に関する請願(畑野君枝君紹介)(第三六六七号)

八月七日

 特定秘密保護法の撤廃に関する請願(真島省三君紹介)(第三七四四号)

 同(宮本徹君紹介)(第三七四五号)

 同(畠山和也君紹介)(第三八四二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三八九〇号)

 特定秘密保護法廃止を求めることに関する請願(梅村さえこ君紹介)(第三七四六号)

 マイナンバー制度実施を延期し、廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三八一二号)

 同(池内さおり君紹介)(第三八一三号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三八一四号)

 同(大平喜信君紹介)(第三八一五号)

 同(笠井亮君紹介)(第三八一六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三八一七号)

 同(斉藤和子君紹介)(第三八一八号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八一九号)

 同(清水忠史君紹介)(第三八二〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三八二一号)

 同(島津幸広君紹介)(第三八二二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三八二三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八二四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三八二五号)

 同(畠山和也君紹介)(第三八二六号)

 同(藤野保史君紹介)(第三八二七号)

 同(堀内照文君紹介)(第三八二八号)

 同(真島省三君紹介)(第三八二九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三八三〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第三八三一号)

 同(本村伸子君紹介)(第三八三二号)

 特定秘密保護法を速やかに撤廃することに関する請願(池内さおり君紹介)(第三八三三号)

 同(清水忠史君紹介)(第三八三四号)

 同(真島省三君紹介)(第三八三五号)

 秘密保護法の廃止に関する請願(近藤昭一君紹介)(第三八八九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、内閣府大臣官房審議官浜田省司君、警察庁生活安全局長種谷良二君、特定個人情報保護委員会事務局長其田真理君、総務省大臣官房審議官宮地毅君、外務省大臣官房審議官佐藤達夫君、文化庁次長有松育子君、農林水産省大臣官房総括審議官大澤誠君、農林水産省生産局畜産部長大野高志君、環境省大臣官房審議官亀澤玲治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木隆博です。

 内閣委員会での一般質疑で、TPPについて甘利大臣にお伺いをしたいと思いますが、甘利大臣とはこの課題で三度目ぐらいになろうかというふうに思います。

 まずは、ハワイでの交渉、夜を徹しての交渉もあったというふうに報道されてございますが、大変御苦労さまでございました。大変、御奮闘されたことについては敬意を申し上げたいというふうに思います。

 資料をお配りさせていただいてございますが、我々も新聞報道で知るしかないわけでありますが、ナンバー1、一ページの右側の方で、交渉で進展が見られたというようなことの報道のコピーであります。今回の交渉で、「妥結に向けた道筋をつけつつ、限られた数の残された課題の解決に向けた作業を継続する」という閣僚声明を出されてございます。

 その一方で、結果の概要を見ますと、物品だとかISDSだとかあるいは環境だとかの部分においてはかなり進展をしたと。一方で、一部の物品アクセス、それから知的財産分野の一部などについては利害が対立したというような概要報告がございました。

 一体、今回の交渉でどこがどのように進んだというふうに認識をされているのか、あるいはどこが難しい課題だというふうに認識をされているのかなどについて、大臣の率直なお考えを伺いたいと思います。

甘利国務大臣 七月の二十八日から三十一日まで四日間でありますが、ハワイで閣僚会合を行ってまいりました。交渉は大きく前進をいたしましたけれども、幾つか、これは限定された論点について、引き続き議論が必要という結論であります。

 例えば、ルール分野でいいますと、物品貿易のルールの部分、あるいは投資の部分、そして環境、金融サービス、法的・制度的事項等々、これまで未決着の論点が残されていたわけですけれども、その多くの分野におきまして交渉をまとめることができたわけであります。

 それから、難航していた知財の分野であります。知財も、マスコミ報道では医薬品のデータ保護期間の話ばかり出ますが、それ以外にもたくさんいろいろな項目がございまして、その知財の多くの論点については決着をさせることができました。

 それから、物品市場アクセスそのものにつきましても、鉱工業品を中心に、多くの国との間で交渉を前進させることができました。

 しかしながら、報道にありますとおり、一部の国の間での物品市場アクセス交渉、それから知財分野の一部につきましては、どうしても各国の利害が対立をしまして、交渉を終結させるには至りませんでした。

 多くの論点が決着をして、残された課題は相当絞り込まれたということであります。

 それから、我々もちょっと返答に困っているんですけれども、具体的項目についてマスコミがいろいろ報道いたしております、これは全部決まったと。結論から言うと、交渉の方式からいって、この種のこと、何の関税がどうなったというのは、決着は正確に言うとしていないんです。

 パッケージ合意という言葉がよく使われますけれども、ある種、仮置きみたいに置いていって、最後のワンピースがきれいに決まったときに全体が合意ということが成り立つわけでありまして、交渉でよくありますけれども、こっちの最後のピースがはまらないときにこっちを調整したらほかに響いてくるところがあるとか。全体がセットされてかちっとなって決まりましたということなものですから。

 ですから、確かに数字は、この期に及んで数字が出ていないということは申し上げません、最後の場面ですから、それぞれ参加する国は最終カードを持って参加をしてきているはずでありますから、いろいろな数字は飛び交っているわけです。ただ、それで完全にコンクリートされたかという問いを受けると、いや、全体のパッケージですから、まだこれは、変わる要素はゼロじゃないということなので、これがこのとおりですということが言えるのは、全部がはまってかちっとセットされたときに初めて、この数字で決まりましたとか、あるいはこの数字が少し動きましたとかということが言える、そういう種類の交渉でありますから。

 新聞はその交渉過程をどこかからニュースをとっているのかもしれませんけれども、それをどんどん報ずるものでありますから、非常に返答がしづらい。交渉でいろいろな数字がそれぞれの国から出ていることは事実でありますけれども、それが完全にフィックスしたということではないというのは、申し上げたとおりの理由によるものです。

佐々木(隆)委員 TPPの交渉は、大臣の今の御答弁のとおりだというふうに私も理解してございます。最後のピースが二つなのか三つなのかはわかりませんが、今おっしゃられたように、そのピースが必ずしもその形に合うかどうかというのも、これもまたこれからの大きなテーマの一つだというふうに思いますが、最後の一つがはまらなければ全体が崩れるという場合もあり得るんだろうというふうに思っております。

 そこで、とりわけ、衆参の委員会決議にありました重要五品目について、これは交渉をまとめることができた方に何かどうも入っているような報道、ニュアンスなのでありますけれども、一粒たりとも、一ミリたりともと言っていたこの重要五品目でありますが、報道によると、そこの表のように、米についても麦についても牛肉・豚肉、乳製品、それぞれ何か一定の数字が詰められているかのような報道になっているんですが、実はこのことが、今ほどのお話もそうですが、農家の皆さん方にとっては、大変先行き不安の状態に今あるわけですね。決して、決めてくれという意味じゃないんですよ、どうなるかわからない。

 とりわけ酪農家の皆さん方、北海道に非常に多いんですが、酪農家の皆さん方にとっては、四十年から五十年ぐらい前に第一次の投資があったわけですね、あの近代化の。ちょうど四、五十年たっていますから、再投資の時期に来ているんです、今。そのときに、これは投資をすべきか待つべきかということを今非常に悩んでおられるわけであります、農家の皆さん方全体がそうでありますが。

 そういったことも含めて、この先行き不安に対してやはり一定程度、政府は応えていかなければならないのではないかというふうに思うんですね。とりわけ、農業の重要五品目の状況についてお伺いをいたします。

甘利国務大臣 特に重要五品目については、国会の決議がある、衆参農水委員会の決議がある。これは、私は、それが事実でありますから、交渉のときにも、議会縛りがある中で我々はハンドリングをしなきゃならないということを申し上げてきました。だから、とにかく相手側の要望も、何でもかんでもゼロにしろということをはねのけることの後ろ盾になったということもありますから、それ自身があったということは、交渉をする者として、ある面では心強いというのもあったわけです。

 ただ、この交渉をしますときに、物品の市場アクセスの議論をしますときに、必ず、既に加盟をしていた国から、ホノルル合意というのを常に持ち出されました。日本はホノルル合意というのを承知で入ってきたんじゃないのかと。

 ホノルル合意というのは何が書いてあるかというと、先行する九カ国の首脳がハワイに集まって、物品の市場アクセスについては関税をゼロにするという目標が掲げてあるわけですね。だから、基本的に関税はゼロにするということを承知で日本は参加をしたんじゃないのかというのが、最初のころ私に先行する九カ国から来た言葉です。

 それについて我々はどういう反論をしたかというと、我々、それはホノルル合意は知っていますよ、知っているけれども、それぞれの国に、物品であるか物品以外、つまりルールであるかは別として、センシティブな部分、譲れない部分というのは各国持っているんじゃないですか、ルールでも物品でも一切どうぞと言っている国というのはありますか、それはある種のセンシティビティーじゃないですかと。

 我々は、交渉参加をするときに、最大のGDP、経済国であるアメリカとの二国間交渉をして、もちろんそれ以外の国ともやりましたけれども、主要はアメリカと二国間交渉をしました。そこで安倍総理がオバマ大統領と議論をした点で一番の問題は、センシティビティーをどう扱うのかという議論でありました。

 そのときに、日米両国にセンシティビティーはあるということの書面が交わされました。日本は農産品五品目を中心とするもの、アメリカは自動車と言ったわけであります。工業国が自動車がセンシティビティーと言うのもちょっと奇異に感じたんですけれども、そういう、両方がセンシティビティーがあると。センシティビティーは、ただし、交渉の中で最終的に関係国がかち取るものであるということが正式に文書で交わされたわけですね。最初から一切のセンシティビティーはないと言って交渉に参加するんじゃなくて、センシティビティーはあるけれども、それは最初から登録するものじゃなくて、それを交渉でかち取って、結果としてセンシティビティーとして残せるんだという文書が交わされているわけです。

 そこで、日本としては、衆参両院決議があるセンシティビティーについては強い交渉力でかち取っていくんだと。だから、ホノルル合意は知っていますよ、知っていますけれども、同時に、我々は、センシティビティーが最初からあらゆるものにないと言うんじゃなくて、センシティビティーは交渉の中ででき上がってくるものだという書面を交わしていますから、だからこそ、我々はそれを国会決議に合致するように、最低限合致するように、交渉力を発揮してセンシティビティーを確保しているんですよという話をずっとしてきたわけであります。

 でありますから、五品目についてはそれを念頭に、これはセンシティビティー品目であると。ただし、センシティビティー品目だから最初から何もさわらないということであったら、では、何のために参加したんだということになります。ホノルル合意というのはゼロにしろということを承知で入ったんでしょうと。最初から一切何もしませんということであるならば交渉自身が成り立たないんじゃないか、交渉でかち取るんでしょう、だから、交渉はしなさいよということになるわけです。

 交渉していって、その結果が衆参農水委員会決議に合致するかどうかというのは、最終的には国会の判断ということに委ねざるを得ないのでありますけれども、相手の国は、では、センシティビティーを認めて、関税そのものは残るにしても、パーセンテージを下げよという要求をどんどんしてくるわけです。そういう中でずっと戦ってきているということであります。

 我々として、農水委員会の決議に何とか合致する、それをクリアできるものであるという思いを持ちつつ交渉してきたつもりでありますけれども、最終的に出た結論がそれをクリアしているかどうかというのは、我々はそう思っていますけれども、最終的には国会の判断に委ねるしかないかなというふうな思いであります。

佐々木(隆)委員 大臣のお話をずっと聞いてはいたいのでありますが、私も三十分しか時間を与えられてございませんので。もう少しお伺いしたいことがございます。

 今の話からすると、確かに、このごろ政府の言い方も一粒とか一ミリとかいう言い方をしなくなってきておりますので、少し中身は変わってきているのかなというふうにこれは類推せざるを得ないところであります。

 私がここ数カ月の交渉で大変気になっていることは、特に日米二国間なんかでもそうなんですが、日本側がかなり譲歩を一方的にしているのではないかというような、報道も含めて、そんな思いがあるわけであります。TPPで、これは日本がとってきたものなんだというものがあれば、ぜひそれも報告をいただきたい。

 それから、どうも臨時国会か何かに間に合わせようとして交渉を急いでいるのではないかという印象があるわけでありますが、その前のめり感というものがどうも我々には気になるところでありますけれども、それについての大臣のお考え、決意というものを伺いたい。

 もう一つは、やはり全体に情報がどうしてもないということで、この情報の開示については検討するはずだったんですが、その点についてどの程度検討されているのか、含めて、お伺いをいたします。

甘利国務大臣 まず、我が方としては、通商交渉上は、鉱工業製品については基本的に関税はゼロにするというのは、通商交渉の大前提であります。いまだ、日米の間も、あるいはそれ以外の間も、鉱工業製品の関税がかなり残っております。ですから、目標としては、基本的に鉱工業製品は、ステージングはあるにせよ、最終的にはなくしていくということを目指していますし、その方向はかなり進んできております。

 対米でいえば、自動車あるいは自動車部品についても、自動車及び自動車関連部品というのは、たしか、金額ベースでいえば日本の輸出の半分近いはずです。ですからここを、アメリカもそれからアメリカ以外も、最終的にはゼロを目指して交渉しているというところであります。

 自動車ばかりが目につきますけれども、部品も、日本の中小の部品メーカーにとっては関税をなくしていくというのは悲願であろうと思いますし、それに向かっても取り組んでおります。

 それから、それ以外にも、政府調達で途上国に日本の企業が入っていけるとか。

 あるいは、投資に関して、今、投資は、よく聞かれるのが、投資に対するパフォーマンス要求というのがあるんですね。パフォーマンス要求とは何かというと、投資した場合、技術移転をせよと迫られるとか、あるいはローカルコンテンツで、みんな自国のものを使えとか、あるいはできたものの半分は輸出しろとか、いろいろな負荷をかけられるんです。そういうものは全部なくすと。だから、投資した後、予期せぬ負荷をかけられちゃう、それで、こんなはずじゃなかったということにならないように予見性を高めていくということも極めて重要なところであります。

 あるいは、流通業や金融業、銀行が支店を設けられないとか、コンビニが一店目はいいけれどもそれ以降は厳しい制約があるとか、そういういろいろなものを外していくということも大事なことであります。

 あるいは、農産品に関しても、輸出戦略をとっていく。といっても、では、和牛が無税枠で際限なく輸出できるかというと、向こうの制約もあって、枠があって、無税ならここまでとあるわけですね。それを取っ払って拡大していくということをやれば、農産品の輸出戦略、攻めの農政にもつながっていくわけであります。

 そういったものをかち取るべく、交渉しているところであります。

 それから、交渉を急いで失敗しないかということなんですけれども、やはりみんな、終盤に向かって、どこの国もカードを切っていきます。そうすると、どこの国も、これ以上延ばされてこれ以上要求されたって、もうできませんよと。ということは、その時期に合わせて、もうそこで決めちゃわないといけないということがあると思うんですね。

 だから、期限を切らずにいつまでも引っ張っていった方がいいとおっしゃる方もいますけれども、いつまでも引っ張っていくということは、次々切るカードを要求される危険性もあるわけです。長引けば長引くほど、お互いにカード要求がどんどん加算していく。これは、センシティビティーを考える点からいうと、いかがなものかということもあるわけであります。

 いずれにしても、ここまでに決めるという思いでみんながテンションが上がっていかないと、気持ちが切れちゃうと交渉が漂流する危険性があるということを危惧しているところであります。

 それから、情報開示につきましては、これは各国とも苦労しております。気軽に、いいんじゃないかと言った国で、事実上ほとんどアクセスする者がいないとか。というのは、交渉がまとまれば、もっと広範囲に情報が開示されるわけです。その前に情報にアクセスしようとすると、何年間は一切言ってはいけないということにサインせよみたいになるから、もうまとまるのが近いのに、その前に、拘束をされることにサインをして見る人はいませんよというような話が出たりしていますので、開示せよと、それにアクセスしてくる人は、各国見ていましてほとんどいない。まとまるのがもうすぐだとしたら、そこから開示をされるんだから、守秘義務にサインをする必要もアクセスする必要もないじゃないかというような話になっています。

 ただ、現状の中でどう開示できるかということは、いろいろ、担当者と各党とやりとりをしているところであると思います。

佐々木(隆)委員 今の大臣のお話でも、少し気になるのは、例えばニュージーのグローサーというんですか、スーパーネゴシエーターとも言われているそうでありますが、この方は、二級の合意を受け入れることは避けられたのでよかったと。あるいは、アメリカの報道官は、大統領は基準に届かない合意に署名しない、国益を最大化するためなら、交渉から離脱したり期限を過ぎて交渉し続けたりすることもいとわないというような発言をしている。恐らく国内向けかもしれませんが。しかし、今ももうすぐだというようなお話がございましたが、どうも日本だけが前のめりになっているのではないかというような印象をどうしても受けるということは、国民の皆さん方にとって逆に不安になるということもありますので、その辺はこれからの交渉の中でぜひ留意をしていただきたいなと思います。

 次は、政府は国益を守るということを言い続けているわけでありますが、今もお話がございましたが、TPPは、マルチ、無差別、互恵、あるいは野心的、包括的、高い水準というのをずっと原則にしてやってきたわけでありますが、これは多国間の交渉ですから、その中には、今大臣も言われましたように、お互いのセンシティビティーなものがあるわけでありますし、そういった意味では、多様性とかバランスというものも非常に重要だと思うんです。そういうものの配慮が必要だという前提で、国益というものについて経済的効果をどう考えているのか。

 あるいは、もう一つ心配なのは、漂流ということもささやかれ始めた中で、日米二国間の合意についてのみ履行が求められるなどということは、私はこの原則からしてないと思うんですけれども、それらについての考えをいただきたいと思います。

甘利国務大臣 全体がまとまらないのに、二国間の話がまとまってそれに対する履行要求があるということは絶対にありません。まとまらない場合は、全くそれまでの話し合いも終わりということになります。

 それから、某国が日本との物品交渉でトラブって云々というのがありますけれども、その某国は日本だけじゃなくてアメリカともカナダともメキシコともトラブっちゃっているわけであります。でありますから、プレスカンファレンスの席で、全十二カ国が並んでいたときに、場内のプレスから某国に対して、おたくはいつ交渉から出ていくんですかという質問が飛んだら、もう大慌てで、我々が出ていくということは絶対にありませんということを慌てて言っていました。

 交渉が大詰めになってくると、最後のチャンスとばかりに高いボールを放ってくるという国は当然ありますけれども、そういう国は、法外な要求は誰も相手にしませんから、それはその国のために交渉がだめになるということはないと思いますし、頭を冷やした対応で臨んでくるのではないかというふうに思っております。

 国益に関しては、この地域の成長をしっかり日本に取り込むということと、このエリアで、人、物、資本、情報が自由に行き交うエリアができるわけです。その自由に行き交う際のルールをちゃんと、かちっとつくります。そうすると、そのルールは、新しく入っていく人はそれにサインをするという、サインをしない限りは入れてもらえないことになります。そうすると、我々が決めているこの多方面にわたるルールが国際ルールになるという可能性が高くなるわけです。あるいは、RCEPのルールのもとルールになるという可能性が高くなる。ですから、そこのルールメークには参加をしていた方がいいと思います。

 もちろん、それぞれの国柄がありますから、その国柄、伝統的な歴史、文化の背景を、国柄としての背景をしっかり守るというのは、日本に限らず各国が主張しているところであります。それらをしっかりと構築して、守るものは守り、そして新たに構築するものは構築していくということが国益にかなっていくことではないかというふうに思っております。

佐々木(隆)委員 お配りをした資料の裏面、ナンバー2という方を見ていただきたいんですが、日本は、TPPに参加することが最大の成長戦略だというような思いというか、そういう言い方でずっとこの交渉を進めてきているのでありますが、これは対GDPの輸出、外需依存度を示した表であります。

 実は、ニュージーランドを初めとする国々は、ニュージーランドは依存度が二二・二%ですが、シンガポールみたいなところは一三七・七%も、いわゆる外需にほとんど依存しているという国なわけですね。どちらかというとP4というのは外需依存度の高い国々なわけでありまして、日本はここで見てもアメリカに次いで低いわけであります。日本は一四・七、アメリカは九・五%。いわゆる内需の国なんですね、日本もアメリカも。だから、外需でないと日本は生きていけない、だからTPPだという論理は私は少し違っているのではないかというふうに思うんです。

 そういう意味では、今まで、貿易が全てだというようなのがもしもTPP推進の原則になっているんだとしたら、それは私はちょっと違っているのではないかというふうに言わざるを得ないと思います。

 そこで、最後に一点だけお伺いをしたいんですが、ナンバー1の方の左側ですが、政治的日程を見ますと、もはや八月中の交渉は断念ということも何か、きのうきょう、もう報道され始めてございますが、実質的には八月末の交渉は難しいと思うんですよね、スケジュール的にも。その間にも、ここにありますように、ASEANの会議だとかRCEPの会議だとかいろいろ会議も続いているようでありますから、その中で、八月は基本的に無理ということを含めて考えると、政治日程も考えると、合意そのものもかなり困難な状況になってきているのではないかというふうに思うんです。アメリカ議会のTPA法案の中には九十日ルールというのもありますし、加えて、米国の貿易委員会などの手続というものもあるというふうに聞いておりますので、それらを踏まえると四カ月以上かかるという報道も一部にあるわけであります。

 そういうことを考えると、今慌ててこの交渉を進めなければいけない状況にはもはやないのではないかというふうに思うんですが、そのことについてしっかり一度立ちどまって考えるべきときではないかということを私は思うんですが、大臣のお考えを伺って、最後の質問にしたいと思います。

甘利国務大臣 ハワイでの会合のときに、一番交渉がおくれるであろうと言われた国が、最後の場面で、我々はもう一日残ってもやるつもりだ、何としてもまとめようという発言をしました。それは各国そういう思いでやってきたわけでありますけれども、一日延ばしたところで残りが全て解決するということにはいかないという判断を議長国たるアメリカがしたんだというふうに思います。

 各国とも、ここでまとめたいという思いで来ていますから、残されている課題はかなり絞られてきています。ですから、もう一回会合を開けばこれは何とかなるんじゃないか。ただし、八月開催ということを私が提案しましたけれども、議長国たるアメリカが言明を避けたというのは、今までは、日程を先に決めて、日程が来れば何とか解決するだろうということで持たれてきた節があります。しかし、それだと、もう次でまとめ切れないと、本当に危惧する声になってしまう。次は、残されている課題を水面下でバイやプルリで詰めていって、これなら大丈夫というときに直ちに招集するという作業になるんじゃないかと思います。

 その日程から考えますと、個々に関係国がそれを詰めていくということ、それから、夏休みに入っている国もありますから、そういうことを踏まえると、八月中に全て終わらせるということはなかなか厳しいかなということを昨今のぶら下がりで私は申し上げているわけであります。ゼロだとは思いませんけれども、厳しくなってくる。

 しかし、八月を超えてうんと先に行ってしまうというほど、残されている課題がどうにもならないということではないというふうに思っております。

佐々木(隆)委員 私は、TPPは必ずしも国益に結びつかないという考え方をずっと持っておりますので、ぜひともこの先もそのことを念頭に交渉に臨んでいただくようにお願いを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。

 きょうは、内閣委員会、貴重な時間を一時間いただきまして、ありがとうございます。

 TPP、今こうやって交渉が進んでおりますが、私はもともと外務官僚でありまして、二十一年前にWTO協定の国会審議のときは、役所に入って一年目でありました。まさに部局に配属をされまして、当時、ミニマムアクセス米の問題が非常に盛り上がったときでありまして、一年生で、役所一年目で、もう本当に東奔西走したことを思い出します。そして、今のWTO交渉が始まるときも、外務省で担当の課長補佐をやっておりまして、直接の担当、農業交渉をずっとやっておりましたもので、万感の思いで質問をさせていただきます。

 そういう経緯もありまして、私は、民主党の中では、TPP交渉を始める前は、最もやれやれと推進派の方で、恐らく民主党の方はみんな知っていると思いますけれども、一番の急先鋒だったということでございます。

 そういう観点から、きょうは一時間質問させていただきます。

 ハワイでの閣僚会合が行われまして、今回、残念ながら、妥結をすることができませんでした。

 甘利国務大臣にお伺いをいたしたいと思います。これは、誰の責任で、そして、何が原因で妥結をできなかったというふうにお考えですか。

甘利国務大臣 誰のせい、何のせいでという言い合いは余り生産的でないなという思いがしますので、いろいろ新聞報道されていますけれども、私の口からどこの誰のせいと言うのは、なるべくその種の評価はしない方がいいかなというふうに思っています。

 ただ、一言で言えば、閣僚折衝にまで持っていく前に前さばきがあります、前さばきがきちんとできていなかったなという感じがいたしました。

 幾つかの問題が残りましたけれども、それは、もう大臣会合の前にもっとこの辺まで詰めておくべきことじゃなかったのか、つまり、それが詰め終わった後に日程設定がなされるべきじゃなかったのかなというふうに思っています。

緒方委員 先ほど、某国某国という表現で何度も言及がありましたが、どう考えてもニュージーランドのティム・グローサー大臣だというふうに私は理解をいたしましたが、私が外務省でWTOを担当しているときは、ジュネーブの大使でありました。非常に強いキャラクターの方だというふうに思いますけれども、ある意味、彼らの理屈からすると、彼らの理屈に私は乗るつもりはないですけれども、彼らの理屈からすると、まさに乳製品、酪農が自分たちの主産業であって、そして、巨大な国家貿易企業フォンテラがありますね、ああいったものがかなり攻撃的に外国で市場を開拓しているというところから見ると、彼らは彼らなりの理屈があるんだろうなというふうに思いました。決して私がそれに同じるということがないということを、あらかじめ申し上げさせていただきますけれども。

 TPPについてお伺いいたしたいのは、国民の中に、そもそもこれをやったら何がいいことがあるんだ、TPPのメリットというのはそもそも何だろうというふうに思っている方が結構多いと思います。甘利大臣の口から、TPPのメリットについてお伺いできればと思います。

甘利国務大臣 農産品や鉱工業製品の関税が基本的にはゼロになる方向を目指しているわけです。ただ、それぞれの国で譲れない部分がありますから、それは除いて、できるだけゼロを目指していく。ということは、どこの国の国民も、必要なものが関税なしに手に入るということになります。

 もちろん、生産現場では再生産が可能なように、それによって自国の産業が壊滅的な打撃を受けてしまって、その供給ができなくなるということはまた別の問題を引き起こしてしまいますから、そこの間合いをどうとるかということがなかなか難しいところであります。それは、農水委員会の決議を踏まえつつ、譲れない部分は譲れない、しかし、努力できる部分は努力するということをやってきました。

 それから、ルールの部分でも、いろいろなやりにくいルールがありますね。例えば、日本が、では、農産物の輸出戦略をとるぞ、ところが、輸出しても、税関処理がおくれて市場に出るときには腐っちゃったというようなことになったらこれは大変なことですから、急送便のものは何時間以内に終わることとか、手続を簡略にするとか、あるいは投資のルールの透明化を図るとか、予見可能性を高くしていく点があります。

 つまり、物と資本と人と情報が自由に飛び交えるような環境をつくっていく。そのルールが拡大する、EPAですから、よその国はもうウエーティングサークルに待っているのが結構ありますから、そういう国は入ってくるときにこのルールをのむことということになりますから、ルールの基本になっていきます。だから、ルールメーキングのときから参加していた方が有利であることは間違いがないというふうに思っています。

緒方委員 自由な貿易ができるだけ広く展開されること、これがメリットだということでありましたが、では、TPPのデメリットについて甘利大臣はいかがお考えでしょうか。

甘利国務大臣 日本では、国柄を守るという言葉があります。よその国でも、文化例外という言葉を出してきています、センシティビティーの中に。つまり、ある一定の方式で統一されるんだけれども、それは、国柄の違いとか、歴史、文化の違いがあるから、それまでなし崩しに全部一緒にしようというのでは問題がありますよねと。そこはしっかり各国が守っていくということは、共通認識を持っています。

 あるいは、関税をなくしていくということは、消費者にとってはいいことだけれども、競争力がそこまでついていない生産者にとっては、安いものが入ってきて、再生産が不可能になってしまう、産業がそこになくなってしまう。特に言われていることは、食料品については、安全保障の観点からも、最低限の自国生産を確保しなきゃいけない。そこをどう守るか、それに対する不安があるのではないかというようなことだというふうに思っています。

緒方委員 まさに、特に日本でいうと、農林水産業を中心とするところにデメリットが生じ得るというような趣旨ではなかったかなと。それを、デメリットを少なくするために今一生懸命に交渉しておられるというふうに理解をしました。よろしいですね。

 これまでのTPP交渉、まだ最終的に、これはパッケージ合意ですので、全部まとまったということではありませんが、大臣の目で見て、これまで得られている成果というのはバランスがとれたものというふうにお考えですか。

甘利国務大臣 分野を限って、その分野ごとにバランスがとれているかということはいろいろ議論があろうかと思います。

 全体として、日本は、少なくとも工業製品では攻めているわけであります。各国の工業の関税をゼロにしろという要求をしているわけです。これはかなり進展しつつあります。一方で、農業については、日本は恐らく農産品に対する関税を高くかけている方の国だというふうに思います。よその国からは、農産品の関税をゼロにしろという要求が来ているわけであります。我々は、それはできませんよ、できない理由はこうですということを提示しながらやっていますから、特定の分野だけで出入りがどうかというといろいろあると思いますが、物品の市場アクセスについても、バランスは全体としてはとれているのではないかというふうに思います。

 ただ、農産品だけに限ってどうだと言われますと、それは当然、日本が、攻めていく分野は弱いですから、これからやろうとしているわけですから、守っている方が多いですから、相手からすればガードを下げた、あるいは外したという方が、こっちが相手のガードをなくしたというよりは多いという主張があるかもしれません。

緒方委員 私がその後聞こうと思ったことをそのまま率直にお答えいただきまして、ありがとうございました。

 農林水産業だけを切り出してみると、バランスがとれていると言うことはなかなか難しいと、かなり率直に御答弁をいただいたと思います。農林水産委員会では多分この答弁は返ってこないと思いますので、その率直さに評価をさせていただきたいと思います。

 ここまでの交渉の評価として、すごく雑な質問ですけれども、大臣、大体何点ぐらいとれていると思いますか。

甘利国務大臣 これは自分でつけるのもどうかと。後で評価していただきたいんですけれども。

 私は、全体として、物品のマーケットアクセス、あるいはそのアクセスルール、それからそれ以外のルールとしては、TPPはかなり画期的な歴史になるのではないかというふうに思っています。

 経済の分野もそうですけれども、経済以外の分野の安定要因になってくる。アメリカがアジア太平洋にしっかりと組み込まれていくわけでありますし、その中でASEANがどんどんこれから入ってくるわけですね。そういう地域を安定させる各国の枠組みができるということは、経済の分野と、それを超えて安定化する要因になっていくんじゃないかというふうに思っております。

緒方委員 先ほどから甘利大臣は、これはアジア大洋州の貿易ルールをつくるものであり、今後、ウエーティングサークルに結構国が待っているということでありました。しかし、私は、ハワイで見ていると、結構、アメリカの業界団体がどっと押しかけてきて、アメリカの下院の議員とかも押しかけてきて、業界の利益をばんばん押し込んでいるような、そういう姿をやはりメディア等々を通じて見ます。

 それを見たときに、今のTPPは、アジアのほかの国から見て、そして大洋州の、例えばラテンアメリカの国々も含めて、それらの国々から見て、今のできばえを見て、これから、では、後発組だけれども、自分は後から入っていってやろうと、それだけの魅力あるものになっているというふうに大臣はお考えですか。

甘利国務大臣 今の加盟国でも、経済規模が四〇%とか言われているわけですね。もう既に入れてほしいという具体的な意思表示をしている国もあります。それがかなり連鎖をしていくと思います。

 そうしますと、これは、最初に入っていてルールメークに参加している国と、そのルールに賛同してサインをして入ってくる国と、やはり最初から入っている方がいいと思います。しかし、では、後から入るから魅力がないかといえば、そのシェアがどんどん膨らんでいく中で、参加していかないとその付加価値創造システムの中に入っていけないということになりますから、これは、その規模が大きくなればなるほど、やはり入っていかざるを得なくなるんじゃないかというふうに思います。

緒方委員 それで、先ほど佐々木議員からの質問でも、八月中の妥結というのはなかなか難しいだろうということで大臣からお話がありました。

 そうすると、日本の政治日程を見ていくと、恐らく、私は、大臣が八月の前半に妥結しなきゃいけない、妥結しなきゃいけないというふうに言っていたその背景の一つに、臨時国会でやりたいというふうな思いがおありだったんじゃないかなというふうに思います。そう考えて、これは邪推かもしれませんけれども、臨時国会でこのTPPを上げたいという思いがあるから、だから八月だと。そして、アメリカは、署名前の九十日通告のルールがあるので、八月上旬に妥結をして、そして八月の恐らくお盆が終わったあたりぐらいで議会通告をして、そして署名は十一月十八、十九のAPEC首脳会合だ、そういう絵姿を思い描いていたんだろう、私はそう思います。しかし、もうそれは難しいです。難しいと思います。

 そう考えると、日本の政治日程だけからいうと、次に来るのは通常国会ですね。三月が終わって、四月以降だと思いますので、日本的にはそれほど急ぐ必要がないというふうに、少なくとも国内の政治日程的にはそうなると思います。逆に、今回こういうふうになることによって苦しくなるのは明らかにアメリカだと思います。アメリカは国内法において、例えば九十日前通告であるとか、署名をした後も、一定の期間を置いて、そこで議会で審議を始めなきゃいけないとか、アメリカの方がきつくなりますね。

 そう考えていくと、少し日本も交渉戦略を変えて、早く妥結するのではなくて、場合によっては、これまで折り合っていたところについても少しひっくり返すことも含めて交渉に臨んでいく、交渉戦略の変更を行うことがいいのではないかというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがですか。

甘利国務大臣 私が、各国事情を勘案しながら、時期は切られていると申し上げたのは、これは幾つかの理由があります。

 一つは、アメリカの政治日程。これは、なぜTPPが進み出したかというと、オバマ大統領が自身のレガシーにするという決断をしたときからです。交渉をやっていまして、何でこんなに進まないんだといういら立ちがありましたけれども、要するに、ホワイトハウスが本気になったときから動き出したんです。

 それが、その政治日程が、次の大統領選の予備選が本格的にスタートして、そっちに気をとられてそれどころじゃないということになりますと、漂流をします。アメリカは、御案内のとおり、新しい政権ができるその前とできた後しばらくの間はほとんど重要なことが機能しないという部分があります、人が全部配置できていないとか。そうしますと、年単位でそれが漂流をしてしまいますと、モチベーションが途切れちゃって、それから巻き返すのにまた相当時間がかかるということになります。そうすると、みんな気持ちがなえてしまうと、やり直さなくちゃならないということになるわけですね。そうすると、またそこまで持っていくのに相当時間がかかるから漂流する危険性があるということを考えていたわけであります。

 カナダも、十月の十六日ですか、選挙があります。政権がかわったらこれはどうなるんだ、そういう要素もありますから、各国事情を見ながら、おのずと尻尾は切った方がいいなと。

 もうこれから先というのはなかなか難しくなるぞという警告を発していないと、やはりみんながその気持ちにならないんですね。全ての国がこの会合でまとめるという気持ちを持って参加しないと、間合いというのは縮んでいかないんです。

 それから、その蒸し返し論は、この交渉の中で、我々は、リオープンはだめだぞと言いながら迫っているわけです。議会からこう言われたからちょっと考え直してよ、これを全部聞いていたらもう交渉というのは全部雲散霧消してしまいます。一度こういう方向でいこうよと詰めてきたらそれから拡散することはない、少なくともそこからまた始まるということを交渉事でやっていかないと、リオープンは絶対認めぬぞということを厳しく迫らないと交渉というのはまとまりません。

 私は、このTPPチームの交渉団は、日本の通商交渉史上、最強だと思っています。日本の官僚のシステムというのは世界最強です。アメリカを見て、よその国を見ていて、どうしてこの程度のことが日本みたいにできないのかと。それは日本ができ過ぎているんです。すぐに回答が来るような仕組みになっています。全体をシステマチックにざあっと動かしていく能力は世界一だというふうに思っていますから、ここまで来たものをリセットしてやり直すということは、みんなのエネルギーが多分続かないんじゃないかというふうに危惧しています。

緒方委員 納得できるところもあり、実は、さっき申し上げましたが、私が一年目のころにやりましたWTO交渉なんというのは、途中までブッシュ政権で、お父さんの方ですね、ずっとやっていて、大統領選挙中は動かないだろうというふうに言われていたんですが、その間も動きまして、そして、クリントン政権にかわって、それで妥結をしたということでありまして、そういうこともあるので、一概に、必ずしもそう言えないんじゃないかなという気持ちも私の中にはございます。

 やはり、個別のテーマを見てみると、かなり押し込まれているところがあるわけでありまして、先ほど大臣もお認めになりましたけれども、幾つか非常に厳しく押し込まれているところもあるということなので、私は、日本の国内政治上を見ると、少し時間的にゆとりが、ゆとりという表現がいいかどうかわかりませんけれども、時間的に制約が少し下がってきているので、交渉戦略、もしかしたら、リオープンはしない、それはそれでいいかもしれません。しかし、残っているところがあります。残っているところについては、予断を抱くことなく、交渉戦略の見直しをやっていただければというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

甘利国務大臣 私は、少なくとも、大臣交渉あるいは首席以下の交渉で、日本は相当タフな交渉をしてきたと思います。それは、よその国に日本の交渉を聞いていただければ、日本の通商交渉史上、これだけタフにやったことはかつてないと思います。

 難しいのは、時間がたって交渉のシビアさから一回離れると、また原点回帰があるんです。原点回帰とは何かというと、ホノルル合意です。ホノルル合意をまた持ち出して、そういえば、この交渉は基本的にはゼロにするところからスタートしているよね、やはり仕切り直しをするときには原点回帰が必要だよねとかとなると、またそこから説得を始めて、我々はそれを承知していながら、しかし、日米の間で、かち取るものだというからタフな交渉をしているんだということから始めて、また巻き返さなきゃならないということなんですね。

 ここまでかなり間合いを詰めてきましたから、この勢いというかモメンタムを維持したままずっとゴールになだれ込んだ方がいいなということを、交渉全体を監督する立場で、肌感覚で思っているというところです。

緒方委員 それでは、少しずつ個別具体的なテーマに入っていきたいと思います。

 先ほど佐々木議員のところでも質問をさせていただきましたが、簡単に言うと、農林水産業の五品目については、農林水産委員会の決議どおりにはもういかないというふうに理解してよろしいんですね、大臣。

甘利国務大臣 農水委員会の決議は、我々なりにはクリアするつもりで交渉をしています。その評価は、最終的に国会が、これでは自分としてはクリアしていないと思うとか、自分はこうしているとか、それはやはり最終結果を諮って判断していただくしかないと思います。

 我々は、満点かどうかは別として、合格点はぎりぎりいただけるような交渉をしているというつもりであります。

緒方委員 本当につらい交渉をしていると思います。WTOで農業交渉に携わったときのあの何とも言えない感じというのは自分自身も肌感覚でよくわかっておりますので、大臣の御苦労というのもよくよくわかります。

 その上で、では、米について聞いていきたいと思います。

 アメリカに米の優先枠というのを検討されておられますか、大臣。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 TPP交渉におきます米の取り扱いにつきまして、さまざまな報道がされていることは承知いたしております。ただし、交渉の具体的な中身についてはコメントできないことを御理解いただきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、米は国民の主食でありまして、最も重要な基幹的作物という認識のもとで交渉を進めているところでございます。

緒方委員 これだけ報道されていてその答弁かという気もしますが、それでは、交渉内容について一切答えられないということですので、少し違う視点から聞いていきたいと思います。

 今、アメリカから国家貿易で輸入しているミニマムアクセス米、大体、毎年三十六万トンでびたっと数字が一致していますね。

 農林水産省にお伺いいたしたいと思います。今の国家貿易で輸入している米の数量というのは、アメリカの既得権ではないという理解でよろしいですね、農林水産省。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 米は国家貿易で運用されておりまして、国家貿易は入札等によって具体的な米の輸入を決めておりますので、あらかじめ約束があるということではございません。

緒方委員 それでは、三十六万トン、大体四七%ぐらいですね、全体で玄米ベースで七十六・七万トンの四七%ぐらいを毎年固定的に輸入していますが、これは固定枠ではないということで今答弁をいただきました。

 そこからさらに広げまして、では、これからアメリカと、まあ現時点でお答えできないということでありましたが、例えばですけれども、条約上の解釈についてお伺いいたしたいと思いますが、現在の国家貿易輸入七十六・七万トン、これを拡大して、拡大した分だけ、アメリカというか、特定の国に対して優遇してその枠を出すということについては、私は、ガット十七条、国家貿易のルールがありますが、これに反するというふうに思います。これは外務省でよろしいですかね、副大臣。

中山副大臣 ウルグアイ・ラウンド合意に基づきますミニマムアクセス米は国家貿易により輸入しているというのは、委員も御承知のとおりだと思います。

 関税及び貿易に関します一般協定、御指摘の第十七条は、国家貿易企業について、この協定の他の規定に妥当な考慮を払った上で、商業的考慮のみに従って購入または販売を行うこと、無差別待遇の一般原則に合致する方法で行動することなどを規定いたしております。

 政府としては、国家貿易の運用に当たって、同条の規定を含むガットとの整合性を確保する必要があると考えております。

緒方委員 国家貿易の運用については無差別原則だということでございました。

 ということは、具体的にこの事例に落としてお伺いをいたしますが、今の七十六・七万トンの国家貿易の枠を拡大して、拡大した枠を特定の国に優遇して購入するということは、これは条約違反だということでよろしいですね。これはどちらですかね。外務省ですかね。よろしいですか。

佐藤政府参考人 今、副大臣の方から申し上げたとおりでございますけれども、政府としては、国家貿易の運用に当たっては、同条の規定を含むガットとの整合性を確保することが必要だと考えてございます。

緒方委員 いや、私は具体論で今お伺いをいたしました。七十六・七万トンの枠があって、それを拡大して、例えば九十万トン、百万トンと拡大して、その拡大した部分だけを特定の国に優先的に出すということについては、今言ったガット十七条の国家貿易の無差別原則に反する、だからこれはやれないんだというふうに理解してよろしいですね。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 ガットとの整合性につきましては、制度の具体的な仕組みとか運用に即して個別に検討していくという必要がございまして、制度についての評価が確定していない現段階において、予断を持って申し上げるのはなかなか難しいというふうに考えてございます。

緒方委員 しかし、無差別原則でやらなきゃいけないと書いてある以上、国家貿易の枠を拡大してそれを特定の国だけに出すということは、それは無差別原則じゃないですよねということを私は聞いているんです。その理解でよろしいですよね。もう一度。

佐藤政府参考人 ガットとの整合性の関係につきましては、ガットの条文に即しまして個別に検討していくことが必要になるというふうに考えておりますので、ちょっと予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

緒方委員 多分、今聞いている方、そして映像を見ておられる方も、おかしいなというふうに思っておられると思いますが、この件について、私は、非常に、やれないというふうに思うので、ここの選択肢はないんだというふうに言ってほしかったんですけれども、これは恐らくまた農林水産委員会等々でも、外務委員会等々で議論させていただきたいというふうに思います。

 それでは、今度、私は、今、枠を拡大して、その拡大した分だけを特定の国に出すということについては、これは国際条約違反だ、ガット十七条に書いてある国家貿易は無差別原則で運用しなきゃいけないというところに反していると思うので、そこの可能性をあえて閉じると、アメリカに優遇枠を出そうとすると、今度、国家貿易の枠外なわけですね。

 何か聞こえてくるのは、SBSでの輸入をふやすというような話も上がってきています。SBS輸入をふやすことで、こうすれば結果的にアメリカからの輸入がふえるではないかというふうな、そういう議論がなされているというふうに思います。

 農林水産省にお伺いをいたします。SBS輸入をふやせばアメリカ産の米の輸入がふえるというふうにお考えになりますか。

大澤政府参考人 TPP交渉は、まさに今交渉中でございます。交渉の中身について、今、仮定をもってお話しすることはできないというふうに考えております。

緒方委員 では、本当に一般論としてお伺いをいたします。

 現在のSBS輸入、全体で七十六・七万トンのうちの大体十万トンぐらいだったと思いますけれども、これを例えば十五万トン、二十万トンと一般論として拡大すれば、アメリカ産の米が、その分の、SBS輸入のところに入ってくる可能性が高い、その蓋然性は高いんだというふうに農林水産省はお考えになりますか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 TPP交渉に限らず、先ほどもお話しいたしましたとおり、米は国民の主食でありまして、最も重要な作物でございます。そういうこともございますので、米の動向につきましては、TPPに限らず、どういうことになるかというのは非常にセンシティブな問題でございますので、仮定の質問にはお答えできない。本当に申しわけございません。

緒方委員 では、この件、もう一回だけお伺いをいたします。

 今、SBS輸入をしている米、大体内訳として、輸入してくる国のどういう内訳になっておりますでしょうか。これは答えられればで結構ですけれども、農林水産省。

大澤政府参考人 現在資料を持っておりませんので、後ほどお答えさせていただきますけれども、全体として、SBSは実トンベースで十万トンが枠になっております。年によりまして入ってくる数量自体が異なっておりまして、十万トン入ってくる年の方が多いわけでございますけれども、昨年度の場合には一万トン少しということだったと思います。

 シェアも年によって異なっておりまして、主要な国はアメリカ、オーストラリア、タイ等でございますけれども、シェアは毎年変わっている状況でございます。

緒方委員 そうすると、やはりそこを拡大すると、今、アメリカ、オーストラリアが多いということでありましたので、その枠を拡大すれば、そのままびよんと十が二十になれば二倍になるかということはともかくとして、恐らくアメリカ優遇の方策に結果として、目的ではなくて結果としてそうなるというふうに私は理解をいたしました。

 それ自体、では、本当に今の国家貿易が商業的考慮のみに基づいているのかという疑義を招くわけでありますが、この件はもう余り追及いたしません。

 ここからは話を別の品目に移しまして、バターについてお伺いをいたしたいと思います。

 昨今、私も地元のスーパーとかへ行きますと、バターが品薄だということに気づきます。行ってみるとバターがそもそもないとか、行ってもお一人様一つとかいうふうに書いてあります。明らかに、去年の末とか、よくケーキ屋さんとかでバターが足らないんですとかいう報道がありました。

 昨今のバター不足というのは何が原因で、そして、恐らく、足らないということは政策的にどこかに瑕疵があったということだと私は思うんですけれども、副大臣、いかがでございますでしょうか。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 バターの件でございますが、私もスーパーに行って、本当にお一人様一個限りというふうなところを見させていただいているところでございますが、バターや脱脂粉乳はさまざまな食品に利用されます。そうした一方で、需給が緩和した場合には在庫としての保存が可能なものでもございます。我が国の生乳の需給の安定を図る上において、ここは重要な役割を果たしているものでもございます。

 我が国の生乳の需給に関しましては、天候の変動、これは特に夏の暑さでございますね、今も暑うございますが、これに大きく影響を受けるところでございまして、バターや脱脂粉乳が無秩序に輸入されますと、牛乳も含めました乳製品全体の国内需要に非常に影響が大きいところでございます。

 このため、国内への影響を最小限にするように国家貿易により輸入を行っているところでございまして、平成二十六年、また二十七年度におきまして、生乳の生産量の減少に伴いましてバターの生産量が減少しておりまして、また、ウルグアイ・ラウンドの合意で定められたカレントアクセス、これによります輸入数量を勘案した上でも、国内でバターや脱脂粉乳が不足しておりまして、さらに輸入が必要と判断されましたので、追加輸入を実施してこの需給の安定を図ったところでございます。

 なお、国家貿易におけるカレントアクセスによる輸入数量は、生乳換算で十三・七万トンでございますが、昭和六十一年度から昭和六十三年までの三年間の輸入実績をもとに定められたものでもございます。

 今後とも需給の状況を注視しながら、国家貿易を適切に運用してまいりまして、生乳と乳製品の安定供給に努めてまいります。

緒方委員 国内市場で何かが不足していて、しかも、先ほど追加輸入の話をされましたけれども、追加輸入は結構恒常的に行われているんですね。ことしなんかは、年度が始まって、四月に始まったらもう五月に追加輸入しているわけです。

 一、五、九にやるというふうにお伺いしましたけれども、追加輸入というのは、WTO協定の農業協定で決まっているカレントアクセス、先ほど、十三・七万トンのうちの一部をバターに充てているということでありますが、もうこれでは、そもそもこの想定されている枠では今国内の需給を満たすのに適当でなくて、この枠の設定自体が不十分なのではないかというふうに思うわけですが、副大臣、いかがですか。

あべ副大臣 繰り返しになりますが、生乳需給の安定を我が国で図る上において重要な役割を占めております。

 そういう観点から、国内の影響を最小限にするために、輸入し売り渡す乳製品の量また時期を選択、調整することが可能である国家貿易によりまして、逼迫のときには機動的に追加輸入を実施いたしまして、緩和のときには輸入時期を調整するなどによって需給の安定を図ることが重要だというふうに私ども考えておりまして、これからもしっかりと乳製品の安定的供給を図ってまいります。

緒方委員 ニュージーランドと交渉するときに、やはり今の現状認識だと、別に農林水産省は悪くも何ともない、ただ、例えば暑くなったから乳牛の働きが悪くて、そして生乳、特にバターとかは北海道ですけれども、このとれぐあいが悪かったとかそういうことを言われて、特に政策的に何も間違いはなかったということなんですが、恐らく、これだけ恒常化しているということはどこかに政策上の瑕疵があるんじゃないか。

 その現状認識をしっかりした上で、ニュージーランドから過剰な要望があるというふうに大臣、ニュージーランドとは言いませんでしたけれども、特定の国から過剰な要求があるというふうに言われました。現状認識がちょっとしっかりしていないんじゃないかなというふうに思うわけですが、これは、では甘利大臣、お願いいたします。

甘利国務大臣 御案内のとおり、生乳の生産量の調整対象としてバターとか脱脂粉乳があるわけであります。ですから、バター、脱脂粉乳が足りないからすぐ輸入、それが恒常的になるということと、生乳の生産との関係がありますから、本当に恒常的にどう足りないんだと。

 今まで恐らく、輸入したときに、ニュージーの供給のタイミングと合った時期に輸入をかけるとニュージーランドだけから来るから、ニュージーランドの需要はもっとあっていいはずだという主張をすると思うんですけれども、これは時期によってアメリカから、あるいはそれ以外のオーストラリアとかという選択肢もあるはずであります。それと同時に、本当にそれが恒常的にずっと足りないのかどうかということを、そこの要因をしっかりと把握するということが必要だというふうに思っております。

緒方委員 このバターの件は国民の皆様方も関心が非常に高い。特にスーパーに行ってみると、お一人様一個と言われると結構せつない思いをするわけでありまして、この件については、別にニュージーランドの過剰な要望をそのまま受けろとか受けないとかいうことじゃないんですけれども、しかし、やはり正確な国内市場における課題、そして、今もう本当に乳製品については非常に厳しく生乳とバターとチーズとといろいろ分けていて、一つ一つがちっとやっていることを私はよくよく知っております。がちっとやっているからこそ、ちょっと配分を間違えるとすぐに足らなくなったりとかいろいろな問題が生じるわけです。今副大臣がうなずいておられます。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 品目を移しまして、次は豚肉の件であります。

 豚肉というのは、輸入するに際して余りに脱税事案が多い品目であります。豚肉は脱税事案が物すごく多い、輸入するときに。最近どうだったかわかりませんが、毎年大体十億円とか二十億円とかの脱税事案がぼんぼん生じてくるんですね。これは一流商社がその脱税事案にかんでいるということが結構多いです。

 農林水産省にお伺いいたします。理由は何だと思いますか。

大野政府参考人 お答えいたします。

 まず、差額関税制度につきましては、輸入価格が低い場合に基準輸入価格に満たない部分を差額関税として徴収して、それで国内養豚農家を保護する、一方で、価格が高い場合には低率な従価税を適用することによりまして関税負担を軽減し消費者の利益を図るという、生産者の利益と消費者の利益のバランスに配慮した仕組みである、双方にとって重要な仕組み、こういうふうに考えております。

 こういった中で、輸入価格を偽ることによって関税を不当に免れる、こういう不正輸入が摘発されておりますが、これについては制度を悪用した脱税行為自体が非難されるべき、こういうふうに考えております。

 こうした中で、この制度の一層の適切な運用を図るため、農林水産省としましても、税関当局と連携しつつ、食肉関係団体に対する指導文書の発出など、コンプライアンス体制の確立、徹底、これを進めているところでございます。

緒方委員 しかし、こんなに脱税事案が生じる品目というのは豚肉だけなんですね。なぜかというと、差額関税でありまして、価格がどれぐらいのところに設定されようが、一定の上限との差額を全部持っていくということであると、輸入申告のところを非常に高目に設定してやれば、実際は安くても高目に設定すれば払う税金が少なくて間のところを抜けるから、そういう動機が働く税制なんです。だから、十億円、二十億円と、一流商社であろうともそういう脱税をしたくなるというような制度なんです。こういう差額関税制度をとっているのは豚肉と、ちょっと似ているなと思うのはタマネギであります。

 この差額関税制度、どうも今回の交渉を聞いていますと、差額関税を五十円のところに設定して、まだ差額関税制度を残そうというような話をしています。脱税を誘発するようなこの制度をなぜまだ価格を下げてでも残そうとするのか。そうであれば、何%とかパーセントをつけて、そういう関税でやった方がより有効な守り方ができるではないかというふうに思いますけれども、農林水産省、いかがですか。

大野政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、豚肉の差額関税制度は生産者、消費者の双方にとって重要なものであるというふうに考えております。

 繰り返しで恐縮でございますけれども、この制度を適切に運用するということが重要でございまして、税関当局と連携いたしまして、コンプライアンスの確立、徹底、これを進めさせていただいているところでございます。

緒方委員 今、四百円を超えるところで価格が設定されていて、それを五十円に下げても、もう既に差額関税としての効果を余り持たないんだと思うんですね。

 そうすると、何でそれを残すかというと、差額関税を残したというその名目のところが欲しいから、だから、差額関税を残しました、余り保護効果は、これまでに比べて下がっているけれども、だけれども残したというふうに、何となく、最後そこをとりたいがゆえに、国内的に説明するためにそこを残したいがゆえにやっているんじゃないかなという違和感をちょっと覚えるわけでありますが、この件はまた別の機会に問うていきたいと思います。

 では、テーマを移して、次は、文部科学省、著作権であります。

 現在の著作権の国際収支というのは大幅な赤字であります。去年のデータを見ていますと、日本の外国からの収入というのが大体二千億ぐらい、そして日本から出ていくものについては一兆円近い。八千億円近い赤字であります。これは、現在、クールジャパンとかそういうことを頑張っていてもこの数字であります。

 文部科学省にお伺いをいたしたいと思います。著作権が五十年からさらに長くなるというときに、この赤字を固定化するというような認識をお持ちでございますでしょうか、文部科学省。

有松政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの著作権の保護期間についてでございますが、個別の交渉の内容についてはお答えできないことは御理解いただきたいと思いますが、一方、著作権の保護期間について、国内の例えば文芸関係の団体とか音楽関係の団体、実演家団体等、多くの権利者団体から、これを延長すべきであるという強い要望が寄せられております。

 その背景には、国際的な制度の調和ですとか、また、保護期間の延長によりまして、新たな創作活動や、新たなアーティストの発掘や育成が可能となる、こうした日本の文化の発展に寄与するということがありまして、こうした延長すべきだという強い要望が日本の団体からも寄せられているところでございます。

緒方委員 これは正確かどうかわかりませんけれども、くまのプーさんの著作権だけで日本の著作権全体の金額に相当するぐらい、それぐらい外国の著作権で日本からどんどんお金が出ていっているんですね。

 延長する場合、今、メリットがあるということでありましたけれども、そのデメリットとして、例えばですけれども、五十年たってみると、五十年というのは、今から考えてみると一九六五年であります。相当長い期間取っているわけですよね。五十年たってみると、今から五十年前を思い出してみると、そのときに出された著作物が、では今誰が権利を持っていて、そしてどうなっているかとか、そういう権利のふくそうも生じたりして、非常に、これがさらに拡大するということになると、七十年というと、ことし戦後七十年ですので、まさに終戦時です。終戦時につくったような著作物が今までずっと守られ、そして、一九四五年に書かれた書物が現在まで保護をされるということ、これは、実際には、著作権が切れた著作物を有効活用しようとする人にとって非常に重荷になっているんじゃないかというふうに思うわけですが、文化庁。

有松政府参考人 著作権の保護期間につきまして、先ほど御説明申し上げましたように、多くの権利者団体は、国際的な調和の観点、それから日本の著作物の著作権の保護という観点から、延長すべきであるという強い要望があります。

 一方、先生お話しのとおり、保護期間の延長によって、自由利用が可能となる時期が遅くなります。そのことによって、自由に利用できる著作物を活用した事業の発展にとって障害となるという御意見をお持ちで、慎重に議論すべきだという御意見も一方でございます。

 この著作権の保護期間の延長につきましては、文化審議会の著作権分科会におきまして、平成十九年の四月から二十一年の一月まで検討を行いましたけれども、こうした賛否両方の意見が関係者から寄せられました。そして最終的な結論には至らなかったところでございますけれども、この整備に当たりましては、著作者の権利の適切な保護と、一方で著作物の円滑な利用の調和を図るということが極めて重要でありまして、この保護期間の延長に関する問題につきましては、国内におけるこうした賛否両論、さまざまな御意見や国際的な諸状況も踏まえながら総合的に判断をするということが求められているというふうに考えております。

緒方委員 アメリカでは、著作権を延長する法律というのは大体、ミッキーマウス・プロテクション・アクトと言われるんですね。ミッキーマウスの著作権を守るための法律とやゆされるぐらい、実はアメリカでは、著作権の延長というと何を思い出すかというと、みんな、あのウォルト・ディズニー社を思い出すんです。ミッキーマウスを思い出すんです。

 そして、ミッキーマウスの著作権、これは今、実は私、質問主意書で聞いているので答えを待ちたいと思いますけれども、故人であるあのウォルト・ディズニーさんが著作権者であると仮定すると、ウォルト・ディズニーさんが亡くなったのは一九六六年十二月であります。

 日本には著作権で戦時加算というのがありますので、戦争中、実はこれは知っている人は少ないと思いますけれども、太平洋戦争が始まってから講和条約をするまでの十年ちょっとについては日本は著作権をとめられています。なので、実際には恐らく、戦時加算も含めると、ウォルト・ディズニーのミッキーマウスについては二〇二七年ぐらいまで保護されるということになっていますが、これをさらに二十年拡大するということになると、二〇四七年までこれを保護するということになるんですね。恐らく、そのときになるとウォルト・ディズニー社は何をするかというと、では次は百年だと言い始めると思います。

 文化庁にお伺いいたしたいと思います。著作権の適正な保護される期間というのは、本当にどれぐらいが適正だというふうにお考えになりますか、文部科学省。

有松政府参考人 直ちに何年が適正かと今ここで私がお答えすることは難しゅうございますけれども、国際的な状況を御紹介いたしますと、二〇一三年一月現在でございますが、ベルヌ条約の締結国の百六十六カ国中七十一の国が著作者の死後七十年以上としているという国際的な状況がございます。

緒方委員 百六十のうちの七十ですよ。別に国際的なスタンダードでも何でもないですね。

 アメリカとかEUとかそういった国が、比較的そういう古い著作物を持っているところが自分のところの権益を守りたいと思っているから、だから七十年と言っているわけであって、TPPで今七十年という議論が出てきています。これは恐らく背景には、一番強いロビイストとして存在しているのはウォルト・ディズニー・カンパニーであります。

 ウォルト・ディズニー・カンパニーの戦略を踏襲することがアジア太平洋の新しいルールだというふうに、甘利大臣、思われますでしょうか。

甘利国務大臣 日米交渉の際に著作権の話がありました。ああ、ミッキーマウス法かと言いましたら、ハローキティ法というのもあるんじゃないかとか言われましたけれども。

 これはやはり、十二カ国のうちのどれくらいの国がこのくらいが適切だと考えているかによるわけだと思います。日本としては、基本的には、現状日本はこうである、これを変えていくためには、大多数の国が賛同する案ということを主張しているわけであります。ただし、そのときには戦時加算は事実上なくしていくということが必須の交渉だというふうに思っています。

緒方委員 戦時加算をなくした上で五十年から七十年となると、プラス二十マイナス十なので十年だなというふうに思うわけですが、先ほど文化庁次長が御答弁されましたけれども、著作権を拡大するかどうかという議論につきましては、平成十九年から国内で鋭意議論したけれども結論が出なかった、賛否両論だったということなんですね。けれども、実際に日本は、先ほど申し上げましたが、これで八千億の赤字を出しているわけです。

 そう考えてみると、結局、国内で結論が出ていないものを、これはもう典型的な外圧じゃないか、本来国内で利益がどうかよくわからないものについて、それを外圧で変えようということにほかならないじゃないかという議論もあるわけでございますけれども、文化庁、文部科学省、いかがでございますでしょうか。

赤池大臣政務官 甘利大臣の方からお話がありましたとおり、著作権法、委員御理解のとおり、いわゆる公正な利用という留意と同時に権利者の保護、この保護というのはどうするかというのは、もうこれは大変な難しい問題でありますので、その辺、五十年、六十年、七十年の議論がある反面、では、これから先を見越したときに一体どういう形で日本の国益に資するかということは、これはなかなか一概に言えない。やはりその都度その都度総合的な判断ということに尽きるのではないかと考えている次第です。

緒方委員 それでは、もう一個著作権について、もうそれほど時間もないのでお伺いいたしますが、最近、安保法制でユーチューブを見ていると、ひげの隊長が教えますみたいな、安保法制について佐藤正久議員が、何か漫画みたいなのが出てきて説明するのがあって、今度それをパロディーにした映像がユーチューブの中でかなりはやっております。

 私、それぞれのその映像に出てくる見解について何か言うつもりはありませんけれども、これは質問通告しているので申し上げたいと思います。ひげの隊長のあの映像をパロディーで修正しているものについては、それは著作権を害しているというふうにお考えになりますか、文部科学省。

有松政府参考人 申しわけありません。その判断は個別の事案をよく検討しないと一概には申し上げられないと思います。

緒方委員 恐らく、私が思うに、そういうユーチューブで、恐らくあれをつくられたのは自由民主党さんだと思いますので、自由民主党がつくったものを勝手に改変して、そしてそれをパロディーにしているというのは著作権を害しているんだというふうに思います。

 現在、これは親告罪なんですね。親告罪だから、仮に自由民主党さんがそれで告訴すれば捜査が始まるんだと思いますけれども、これから仮にこれが非親告罪になるときというのは、仮に告訴がなかったとしても、もう一発目から公権力が出てきてそれを取り締まるということになるわけですね。それが少なくとも原理原則としては可能になるわけです。

 今、この著作権の非親告罪化についていろいろな懸念がネット上でも取り沙汰をされています。私、著作権を害していることをよしとするわけではないですけれども、現在の著作権法において親告罪にしているのは、仮に著作権を害していても告訴がない限りは公権力が動くことはないというふうにやっていて、その間に少し幅があるわけです。

 これから仮に非親告罪になると仮定するときに、やはり社会の成り立ちというのは、例えば健全な民主主義というのは健全な風刺とか健全な批判とかがあることが前提で、その中の一つにパロディーみたいなものがあるんだと思います。

 では、これは最後甘利大臣にお伺いをいたしたいと思いますけれども、著作権の非親告罪化が仮に実現するときに、そういう日本の言論社会とかそういったものに過度に抑圧的な効果をもたらすものには絶対しないというふうにお約束いただければと思います、甘利大臣。

甘利国務大臣 これはそのまま非親告罪化を全くの制約なしに認めるということはするつもりはありません。当然、ある種の制約、例えば、権利者の商業的な価値が損なわれないこと。それは、権利者がいる場合には、あなたにとって損なわれますかということを確認しないと確定はしないんだと思います。そうすると、本当に親告罪で訴えるという人は、そのときにけしからぬとおっしゃるでしょうし、そういうつもりのない人は、別に自分としては商業的価値が損なわれているとは思いませんよということになるんじゃないかと思います。

 いずれにしても、例えばの例で申し上げましたけれども、その種の、ある種の制約を当然かけないといろいろな心配があろうかと思います。しっかりその懸念の払拭をするような限定的な制約をかけたいというふうに思っています。

緒方委員 山際副大臣、そして橋本政務官、質問できませず本当に申しわけございませんでした。おわびを申し上げます。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井崇志でございます。

 まず、きょうは、サイバーセキュリティーについて。

 日本年金機構の情報漏えい事件を受けて、私は六月三日から五日、十日、十九日、それから七月一日、三日、そしてきょう八月七日、七回目、サイバーセキュリティーについて御質問をさせていただきますが、この間、六回質問に立っていろいろ御提案申し上げたことをかなり前向きに受けとめていただいて、日本再興戦略には盛り込んでいただいたというふうに評価をしております。

 サイバーセキュリティ戦略をもともと六月中にはつくるという話だったと思うんですが、この情報漏えい事件を受けて今策定中で、まだできていないと思うんです。しかし、余り時期を逸してもいけない、そろそろ策定をしていただかなきゃいけないと思いますが、これはいつごろでき、また今回の情報漏えい事件を受けてどのように新たに追加項目が入っているのか、お聞かせください。

山口国務大臣 御質問でございますが、サイバーセキュリティー、もう言うまでもないかとは思いますが、危機管理とか安全保障あるいは経済成長云々ということもありますが、本当に国民の皆様方にとっても重要なインフラ、いわゆるネットワークがインフラになってきた中で、一番大事な課題とも言えるんだろうと思います。

 御案内のとおりで、戦略をパブコメにかけて、あと少しというところで年金機構の重要な漏えい事態が発生をしたというふうなことで、実はいろいろと見直し等も含めて今検討をさせていただいております。そして、これもお話をいただいたんですが、日本再興戦略、この二〇一五でもしっかりとそこら辺も書き込ませていただいておるわけでありますが、ただ、日々動いておりますので、いずれにしてもこれは早急に戦略をつくる必要があるというふうなことで、速やかにサイバーセキュリティ戦略本部の次回会合を開催すべく、今調整中でございます。そして、この本部を開催して、基本法にのっとって閣議決定をしていきたいというふうに考えております。

 中身については恐らく、私も、若干これまでの答弁の中にもあるわけですが、監視、監査等の業務につきまして、これは政府機関だけであったんですが、これに加えて、重要業務を行う独立行政法人そして政府機関と一体となって公的業務を行う特殊法人なども対象とする、あるいはいわゆるGSOC、これのシステムの検知能力とかあるいは監視機能、運用体制の一層の強化を図っていきたい等を考えておるところでございます。

 いずれにしても、新たな戦略を踏まえてしっかりと、しかも、今回の場合は戦略見直しによって恐らく人の問題あるいは予算の問題も出てこようかと思います。しっかりと必要なものを確保しながら、サイバーセキュリティーを進めてまいりたいと考えております。

高井委員 今御指摘いただいたように、独立行政法人あるいは特殊法人、あと、今おっしゃいませんでしたけれども、地方自治体も再興戦略の中には記述もありますし、恐らく何らか盛り込まれてくるんではないかなと思います。

 ただ、私、この場でも指摘したんですけれども、やはりサイバーセキュリティ基本法、ここの中に本来は明確に位置づけた方がいいんじゃないかと。現行法の中でもぎりぎりできるという判断かもしれませんが、やはり、私は明確に位置づけるべきだと思っています。

 実は、我が党は一昨日、参議院の方にサイバーセキュリティ基本法の改正案というものを、私が指摘したことを含めて出させていただいております。ぜひこのサイバーセキュリティ基本法も今回見直すべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

山口国務大臣 今先生がお話しいただきましたサイバーセキュリティ基本法の改正案、これは維新の党の方からお出しをいただいたというふうなことは承知をしております。私ども、ざっとだけ、とりあえず見させていただきました。

 これはこれから立法府においてしっかりと御議論いただく性質のものであろうということで、私の方からは内容のコメントは差し控えますが、せっかく議員立法でやっていただいた基本法、やはりしっかりと議論をしていただいて、私どももそういったことを踏まえて、当然、基本法の見直しというのも視野に入ってくるんだろうと思っております。

 今御指摘いただいた地方自治体の方も、本来、基本法の方にもしっかりと地方のお手伝いをするというふうなことにはさせていただいておりまして、御案内のとおり、自治体、いわゆる地方自治ということを考えた場合に、どこまでしっかりとそこら辺をお手伝いすることができるんだろうかということも考えたりしておるところで、当然視野には入っております。

高井委員 ありがとうございます。

 もちろん法律も大事なんですけれども、一番大事なのは、先ほど大臣おっしゃったように、やはり予算、お金、それから人ですね。これは、やはりNISC、サイバーセキュリティセンターにかなり今回大きな業務がふえるということになりますから、今の人員ではとても足りない。二倍か三倍にふやすべきだと私は毎回申し上げ、セキュリティ本部長の菅官房長官も、うん、うんとうなずいていただいたように思います。ただ、菅長官もお忙しいですから、山口大臣、ぜひ副本部長としてしっかり補佐していただいて、この予算をしっかりとるということが何よりも大事だと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 それでは次のテーマに移りますが、マイナンバーについてでございます。

 私は、マイナンバーはぜひやるべきだ、もう予定どおりやるべきだというのが前提で、しかし、幾つか問題点があるので御指摘をさせていただきます。

 実は、私のよく知っているある市、某市、A市といいましょうか、仮にA市。実は、この市は名前を出してもいい、それから、私は今、この見積書をもらっていまして、これも出してもいいと言われて、よっぽど出そうか迷ったんですが、ちょっとそこまではとどめます。その市のCIO、この方は民間から市役所に雇われている方ですけれども、その市の情報政策課長さんからも直接お話を聞いている、ある大きな問題があります。

 それは、A市が今回、マイナンバーへの移行に伴ってシステム整備をするに当たり、国から、総務省やあるいは厚生労働省から補助金が出ています。その補助金の総額というのが二千百二十四万円なんですね。ところが、この二千百二十四万円でやる業務をある大手ベンダーにお願いしたら、この見積書には九千五十七万円ということで、四倍以上の金額が返ってきている。これをいろいろA市がベンダーと交渉しても、非常に今SE不足だ、システムエンジニアが足りない、この値段でしかできないんだというふうに言われて、では、そうするとこの差額、七千万近いお金は一体誰が負担するのか、自治体が負担するのかという問題が生じています。

 これは、実は事務方と何度かやりとりさせていただいて、事務方からは、ベンダーに聞いたら、いや、A市はオーバースペックなものをこの際やろうとして要求しているんだなんという回答が返ってきて、例えばコンビニ交付もやろうとしているなんというふうに聞いたんです。しかし、私は再度そのA市の情報政策課長に確認しましたけれども、いや、コンビニ交付なんかは入れていません、それからオーバースペックでもないですという答えなのです。

 それと、もう一つ聞いたのは、これはA市に限らず、人口二十万、三十万ぐらいの同規模の市幾つかにも聞いてみたけれども、それぞれ情報担当の課長は、大変困っている、悩んでいる、お金が足りないと。しかし、それを事務方にまた返しても、いや、そういう実態は聞いていないと。つまり、国、政府に対して自治体もなかなか上げにくいのか、あるいは、最近になって発生している事案ですから、少しタイムラグがあって、政府には届いていないんじゃないかと思います。

 こういった問題が生じていますけれども、これはマイナンバーを所管する政務官である小泉政務官、この点いかがですか。

小泉大臣政務官 高井先生から御指摘のあった、A市と今表現されましたけれども、今、国としては、厚労省そして総務省の方で財政支援をして、マイナンバーの制度を導入するに当たっての補助金というのは用意をしています。

 ただ、マイナンバー制度に必要な補助金の対象外のものをあわせてタイミングもよく変えていこう、そういった自治体もありますが、やはりそれは、マイナンバーの制度導入の対象の中の補助金はそれで、それ以外のものは、もしやるのであればもちろん自治体の負担で一部やってくださいよ、そういったことがあるのは事実だと思います。

 ただ、今のA市のお話など、これからやはり大事なのは、しっかりと関係省庁が連携をして、そして個別の相談も聞いて、適切に対応していくというのが必要なことだと思いますので、今のお話も受けて、どういった状況になっているのか確認をして、そして適切に、スケジュールどおりマイナンバーが導入されていくような環境をつくっていくというのがやらなければいけないことだと感じております。

高井委員 実は、そういう御回答は事務方からもいただいていまして、ただ、それを受けてさらにまた現地の地方自治体とやりとりした結果、マイナンバーでやろうとしている以上のことをさらにやろうとしているんじゃないですかと、かなり私もしつこく聞きましたけれども、いや、そうではないと。今、マイナンバーで必要最小限のことをやろうとして、四倍の見積もりになっていると。それは、一つはやはりSEの単価が上がっている、これはもう間違いない。これは事務方の方も認めていますし、業界全体にそういう問題が生じています。

 しかし、だったらマイナンバーを延期すればいいじゃないかということかもしれませんが、私は、やはりマイナンバーは予定どおりやってほしいので、ぜひ、ここはよく、事務方任せにせずに、本当に政務官みずから、地方自治体、それから、あとベンダーですね。

 やはりベンダーが、例えば環境構築に二・五人月かけます。二・五人月というのは、一人が二月半。何で環境構築に二月半も一人の人が、しかも、単価は言いませんけれども、すごい高い単価なんですよ、今SE単価が。そんなお金が本当に要るのかとか、そういったことも、自治体が交渉しても、ベンダーは、いやいや、もう今は逼迫していますから、マイナンバーをスケジュールどおりやるためにはこの単価は譲れませんよということで、膠着状態になっていて困っているという声が現実に上がっていますから、もう一度よくそこは自治体やベンダーからヒアリングをしていただいて、本当に、これから噴き出してくる可能性がありますから、こんなことでマイナンバーがとまったら大きな損失だと思いますので、ぜひそこはしっかりやっていただきたいと思います。

 それともう一つ、マイナンバーについてですが、これは、ある調査、日経新聞の記事なんですけれども、企業がマイナンバー対応をしなきゃいけないわけですね。

 今回、十月に個人番号が通知されたときに、社員やその家族のマイナンバーを集めて、そして源泉徴収票などの書類に番号を書いて、一定期間保存する。どんな企業もやらなきゃいけないけれども、そもそもマイナンバーというのは聞いたこともないとか、何をやるかわからないという企業がたくさんあって、何と、このアンケート結果では、もう既にマイナンバー対応をしましたという企業は三%です。これからやります、計画中というのは三割。それから、七割は何も、もう計画すらない、何も着手していない。この中には恐らく、マイナンバーというのは何ですかとか、何をやるんですかというような状態だと思います。

 ようやく今月ぐらいから少し火がついてきたかなという気もするんですが、これは本当に間に合うのか心配ですけれども、いかがですか。

小泉大臣政務官 今、高井先生から御指摘のありましたアンケート、これは、日本情報経済社会推進協会、JIPDECというそうですけれども、そこが日本商工会議所との共催で全国九カ所で開催をした企業におけるマイナンバー制度実務対応セミナー、この参加者の皆さん、申込者の皆さんにアンケートを行った結果だと承知をしています。

 確かに、この結果を見れば、マイナンバー制度自体がわからないという方も答えていますが、わからない方も含めていらっしゃっている中で、どうやってこの制度を普及させ、導入していくか。今、優先順位をつけまして、やはり相対的に負担の大きい大規模な大きな企業から始めて、そして中堅、小規模事業者、こういうふうに対象を順次拡大してきたところです。動画のDVDとか小規模事業者向けの資料を作成して、わかりやすく伝えていきたいと思います。

 ただ、小規模事業者の中には、システム対応などは必要ない、そういったケースもありますので、追加的なマイナンバー対応の負担が軽微な事業者もその中にはあると思います。ですので、これから、マイナンバー制度の導入スケジュールに影響を及ぼすほど企業の準備が間に合わない状況にあるとは思っておりませんが、このマイナンバー制度の普及、広報をしっかりやって、事業規模別に配慮したきめ細やかな周知、広報に努めていきたいと考えております。

高井委員 これも、本当に甘く考えていると、もう十月とか十一月になって火が噴くというようなことも十分あり得ると思っていまして、私もそういうIT業界に仲間がたくさんいるので、非常に皆さん危機感を持っていて、例えば中小零細企業からすれば、税理士とか社労士さんが一番頼りになるんですけれども、そういった方々への周知も、事務方に聞くとやっていますと言っていますけれども、しかし、幹部の方に説明して、あとは下におろしておいてくださいとかいっても、実際やれませんし、あと、地道にPRをやっているのはわかるんですけれども、結構内閣府の職員が地方に出張へ行って、百人単位のところで講演、セミナーをやるなんてことをやっていたのでは、私は全然間に合わないんじゃないかと。

 むしろ、内閣官房、内閣府の職員は、マイナンバーについて普及してくれる伝道師の人を百人、千人研修して、その人が今度は中小零細企業に行く。多少のお金を取られても、それはもう、そういうのが必要だよということを国がPRする、マイナンバー対応というものが絶対必要ですからねということを周知していただければ、五万円とか十万円とかで民間の小さな会社はやってくれるんですよ、マイナンバーについてのレクチャーとか。

 やはり、そういったことを周知するというやり方をやっていかないと、本当に零細企業に至るまでマイナンバー、少なくとも、どんなに小さな会社でも、マイナンバーの番号を預かって書類に書いて、そしてそれを保管する。今回、個人情報保護法も改正になって、五千人以下という要件がなくなっていますから、もうどんな小さい会社でも個人情報保護法もかかるということですので、ここは甘く見ないで、ぜひ、事務方の言うことは少し疑うぐらいの気持ちで、政務官が先頭に立ってやっていただきたいと思います。

 それでは、がらっと話がかわりまして、動物愛護、動物福祉の向上について御質問をさせていただきたいと思います。

 これは、実は私がある方から依頼を受けて、私は地元が岡山なんですけれども、岡山の動物愛護センターに犬、猫の殺処分をやっているという現場を見に行ってまいりました。そのとき感じたことを、これはおかしいと思って、国会で今度質問しますというふうにフェイスブックに実は投稿しました。フェイスブックをやっている方は驚くと思うんですけれども、何と、その私の投稿が八百以上シェアされました。通常、私は、いいねがついても二百か三百なんです、多くついても。それが、いきなり八百のシェアがつき、全然知らない人から友達申請が殺到するという。私は、やはり国民的関心の高さがあらわれている証拠だと思いますので、この問題、でも、なかなか過去国会で取り上げている人は少ないので、ぜひ私がきょう取り上げたいと思います。

 皆さん、犬、猫の殺処分の現場を見られたことはありますかね。動物愛護センターへ行くと、ワンちゃん、猫ちゃんがおりに入っているわけですが、その犬と猫を生きたままベルトコンベヤーに乗せて、そしてがあっと運んで、大きな箱の中にどおんと押し込んで、そして炭酸ガスを注入して窒息死させる、これが殺処分です。しかし、実は、炭酸ガスで窒息死し切れない犬、猫がかなりいます。ところが、もう生きているか死んでいるかわからないまま火葬してしまう。だから、もう生きたまま焼き殺すというのが現実に殺処分では行われているんですね。これがしかも、今、年間で十三万匹。実は、これは十年前は三十九万匹だったので、もう三分の一まで減って、一昨年動物愛護法が改正されて、いろいろな取り組みのおかげで減ってはいますが、しかし、それでもまだ十三万匹が殺処分されている。

 では、この殺処分をどうやったらなくせるかというと、要は、動物愛護センターに引き取られている犬、猫を飼いたいという人が世の中にはいるわけですね。ただ、日本の場合、ペットショップで簡単に買えてしまうので、みんなそっちでばかり買う。これは、ペットショップをいろいろ規制するということも大事なんですが、動物愛護センターの犬、猫をいろいろな方に譲渡してあげる、ただで上げられるわけですから。ところが、これが、動物愛護センターの職員の数が足りなくてなかなかできない。

 これを、NPOが一生懸命やっている、ボランティアでやってくださる方がいるんですね。ただ、このNPOの支援というのもなかなか十分できていなくて、私がちょっと一つ提案したいのは、NPO法の中に別表というのがあって、NPOができる項目というのが二十項目だあっとあるんですが、その中に、ぜひ、動物福祉の推進を図る活動というのを入れるべきではないかと御提案したいんですけれども、いかがでしょうか。

小泉大臣政務官 私も、十五年間、長生きしてくれたラブラドールレトリバーを飼っていましたので、本当に動物愛護の思いというのはよくわかります。

 今御指摘を受けたNPO法についてですが、高井先生が御指摘されたとおり、法律の中には別表に二十項目の活動分野、これが該当する活動で、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動を行う団体に特定NPOを限定しております。

 この活動分野については、「多様な特定非営利活動を含むように広く運用するよう努めること。」という附帯決議がNPO法制定時に衆議院において付されておりまして、これを受けて各所管庁において、社会通念上不適当な解釈と考えられるものでない限り、幅広く各項目に適合しているものと認める旨の運用が行われていると聞いております。

 NPO法については、これは議員立法で制定、そして改正がなされているところですので、特定非営利活動として別表に、例えば、この二十項目ではなくて、さらに加えるなど、何を掲げるかについても国会で御議論をいただきたい、そういうふうに考えております。

高井委員 わかりました。議員間でもぜひ討議したいと思うんです。

 確かに、別表でほかの項目で、環境の保全とか社会教育の推進というところで実際は読んで、動物愛護団体というのはたくさんあるんですけれども、私がなぜここに入れたらいいかと思うのは、実は、ドイツでは、二〇〇二年の憲法改正で入れているんですね。国は、立法及び司法により動物を保護する、動物という言葉を憲法に書いている。その結果、ドイツは殺処分はゼロだと言われていますし、また、ティアハイムといって、動物愛護センターを行政がやるんじゃなくて、一〇〇%民間の、市民や企業からの寄附によって、そういう保護施設が千ぐらいある、人口二万人ぐらいの町にも必ず一カ所ある。そういう動物福祉の国なわけですけれども、やはり、法律に明記するというのは一つの象徴的効果があると思いますので、ぜひこれから考えていきたいと思っています。

 それでは、もう一つ、この動物愛護の問題で、虐待の問題、動物の虐待やあるいは遺棄。

 今、動物愛護センターで引き取りをしなくてもいいという規定が一昨年に入ったことによって、動物愛護センターでは預かりません。だから殺処分の数が減っているんですけれども、では、預からないから勝手にどこかに捨てちゃうというケースもふえているんじゃないかと思われます。

 こういった動物への虐待というのは、実は、これは人間の虐待とか、あるいは凶悪犯罪を犯した方を見ると、以前に動物虐待をやっている例というのが非常に多い、そういうデータもあるんです。そういうことから考えると、もっともっとしっかり警察に取り締まりをしていただきたい。

 動物愛護管理法では、動物の殺傷、虐待、遺棄については、二年以下の懲役、二百万円以下の罰金という非常に重い刑罰が科せられていますが、しかし、どうも、肝心かなめの現場の警察官がそういうことをちゃんとわかって、犯罪だという認識で取り締まられているのかというのがちょっと疑問であります。

 実は、アメリカにはアニマルポリスという組織があります。あと、イギリスにもインスペクターという名前の、まさに動物愛護、警察だけじゃなくて、消防とか保健所とかあるいは環境省、そういったいろいろな団体が集まってアニマルポリスというのをつくっています。

 実は、我が国にも、兵庫県が昨年の一月からアニマルポリス・ホットラインというのを設置したんですが、この成果、あるいはこれを他都道府県でやるという動きはあるんでしょうか。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、兵庫県警察では、平成二十六年の一月から、動物虐待事案等専用相談電話、いわゆるアニマルポリス・ホットラインというのを開設いたしまして、積極的な相談を促しているところでございます。

 平成二十六年の一年間の相談受理件数といたしましては百九十四件でありまして、このうち、虐待や遺棄に関するものは二十二件でありましたけれども、直接的に事件検挙につながったものはございません。

 兵庫県警以外の都道府県警察において同様の専用電話を設置するとの情報は現時点において把握しておりませんけれども、相談状況ですとか体制等を勘案して、各都道府県警察において適切に判断するべきものと考えております。

高井委員 もちろん各都道府県警なんでしょうけれども、それ全体を管轄しているのが国家公安委員長でございますので、ぜひ、この動物の問題、先ほど言いましたように、なかなか現場の警察官が、本当に犯罪としてしっかり、確かに、人の凶悪犯罪とかもふえていて、そっちが大事なのはもちろんなんですよ。動物より人が大事なのはもちろんですが、しかし、こういう動物の命を守るということも、法律にもあるわけですし、しっかり取り組まなければならないと思いますが、警察として今後この問題にどのように取り組む御覚悟か、ちょっと決意をお願いします。

山谷国務大臣 動物の殺傷、虐待事案については、自治体、関係機関、団体において、動物の愛護を促進しつつ、虐待防止のための取り組みを進めていただくことがまずは重要であるというふうに考えておりますが、悪質な事案については警察がしっかりと対応していくことが必要だというふうに考えております。

 このため、警察では、この種事案が連続して発生した場合など、悪質な事案に関し、迅速な検挙に努めているところであります。

 引き続き、動物の遺棄、虐待等に対しては、自治体、関係機関、団体と連携して適切な対応がなされるように、警察を指導してまいりたいと考えます。

高井委員 ぜひお願いをいたします。

 この動物愛護の一番の御担当は環境省でございますので、環境副大臣に来ていただいています。

 一昨年の動物愛護法改正、大きな改正で、それなりの成果があるんですが、しかし、先送りされたものもたくさんある。例えば、八週齢規制、これも附則で随分骨抜きになってしまっています。それから、飼養管理基準、飼う基準をもっと明確にした方がいいというのが、何かうやむやで検討項目から外れちゃったり、あるいは、さっき言ったペットショップ、生体小売業の規制も不十分である。

 さまざまな問題が先送りされておりますが、五年後に改正すると。もう二年近くたっていますので、あと三年後に改正をまた迎えるわけですが、この改正を控えて、環境省としてどのような取り組みをこの動物愛護について考えておられるか、お聞かせください。

北村副大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおりでありまして、平成二十五年に施行されました改正動物愛護管理法では、終生飼養、すなわち、動物がその命を終えるまでしっかり飼育をするということが買い主の基本的な責務として明確にされました。また、動物の虐待、遺棄等についての罰則も強化をされたところでございます。

 環境省といたしましては、自治体とも連携をして、改正法の適切な施行に努めるとともに、施行の状況についての調査等を今行っているところでございます。

 また、殺処分をできる限り減らし、最終的にはゼロにすることを目指すことを目的として、昨年六月に、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトのアクションプランを発表いたしました。このアクションプランでは、買い主、ボランティア団体、事業者等、関係する各主体に求められる取り組みを強化し、連携させるために、モデル事業の実施や普及啓発の強化等の取り組みを行っておるところでございます。

 環境省といたしましては、引き続き、犬、猫の殺処分の削減に向けて、自治体、ボランティア団体等と協力をしてアクションプランを強力に推進してまいりたいと考えているところでございます。

高井委員 先ほど冒頭申しましたとおり、極めて国民的関心が高い。特に、やはり子供がいなくてペットを飼っている方が大変ふえています。ぜひ、三年後の法改正をしっかりするために、今から準備をしていただいて。

 最後に、マハトマ・ガンジーがこういう言葉、名言を言われています。国家の偉大さや道徳的水準は、その国で動物がどう扱われるかによって判断することができる。私は本当にそう思います。小さな動物の小さな命を守れずして人の命は守れないと思いますので、ぜひこの問題も政府として真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 以上です。

井上委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 維新の党の小沢鋭仁でございます。

 TPPに関して質問させていただきたいと思います。

 まず、甘利大臣、閣僚会合、御苦労さまでございました。大臣を見ていますと、だんだん髪の毛が白くなりまして、苦労されているんだな、こう思って見ておりました。かつて、消費税を導入するときの税制二課長、名前は伏せますけれども、次官までされた方ですが、あのときも見る見る髪の毛が白くなったのを覚えていまして、交渉というのはそういった意味では大変だな、そのことを思い出しながら甘利大臣を見ておりましたら、ある新聞記者に言ったら、いや、あれはそうじゃないんだ、もともと白かったのを染めていたんだけれども、染めるのをやめたんだそうですよ、こういう話があって、本当かどうかわかりませんが、過剰な同情はやめようと思ったんですけれども、いずれにしても、閣僚会合、御苦労さまでございました。

 何点か聞かせていただきたいと思うんですが、実は、きょうは予算委員会からこの問題、御質問が出ていたというふうに承知をしております。さきの時間も他の委員の皆さんも質問されていて、その中で一点ちょっと気になったことがありますので、通告していないんですが、御感想で結構なのでお答えいただければと思います。

 今回のTPPのメリット、デメリットの中で、これはアジア太平洋地区におけるいわゆるメガEPAだ、こういう御認識をおっしゃられて、そして、その後、米国が太平洋国家としてきちっと位置づいてきてくれる、そのことが大変意義があると思う、こういう御発言がありましたよね。

 それで、つくづく思うに、さきの大戦以降の世界のある意味では大きな反省として経済のブロック化というのがあったということの中で、金融、為替に関してはIMF、それから貿易、関税に関してはガット、そのガットがWTOに変わって、そういった意味では、ブロック化ではない、世界全体のという流れがあった中で、しかし、昨今は、二国間EPAとか、そういう話を各国でお互いに競い合うようにしている。何か変だなと私はずっと違和感を感じてきていたんです。

 TPPは、これは今度はメガEPAだ、こういう話だし、そして、わざわざするつもりはないんですけれども、いわゆるアジアインフラ投資銀行、AIIBの話があって、そうすると、AIIB、これはインフラ投資という金融の話ですが、後ほどこのTPPの金融部門の話も質問したいと僕は思っているんですが、そういう金融の話もある。だから、何かブロック化みたいな話というのが進行するとしたら嫌だな、こう思っているんです。

 これは質問通告していないので、御感想でも結構です、大臣の御見解をいただければありがたいと思います。

甘利国務大臣 私は、WTO交渉も経産大臣のときにやった経験があります。理想的には、やはり世界機構たるWTOが関係国の調整を高度にしながら自由化を図っていくというのが本来の姿だと思います。

 ただ、WTO交渉、全体会合が開かれて、それから三十カ国ぐらいの会合、これでもまとまらないので六、七カ国の会合ということになるわけですね。日本は、私が入ったときには六、七カ国の少数国会合に入ることができまして、そこでやっているんです。その間、三十カ国はずっと待ちぼうけ、百何十カ国もずっと待っているだけということで、つくづく地球規模の交渉は難しいなと思いました。その七カ国も、それぞれ後ろについている国がたくさんありますから、どうしても利害がぶつかり合って、結局、十日ぐらいですかね、夜を徹してやりましたけれども、まとまりませんでした。

 そういう姿を見ながら、やはり地域ブロックがどんどん進んでいくわけですね。日本としては、ある時期まで、地域エリアのFTA、EPAは本来の姿ではない、あくまでWTOだという姿勢をとっていたんですが、あるときから変わりました。それは理想なんだけれども、そうすると日本だけ置いていかれるという危険性があるということで、二国間のFTAとか地域間のASEANプラス1みたいな、ああいうのにずっと走っていくわけなんですね。

 これは、ブロック化が問題を起こすということと、世界規模のものがスタックして動かないということのはざまでどうしていくかということだと思うんですけれども、私がTPPの利点で申し上げているのは、一つは、従来の枠を超えた自由化が進んでいく。つまり、物品の関税中心のFTAの域を超えて、物や人やあるいは資本や情報が行き交う仕組みができる、ルール分野が非常に充実してくるという新しいタイプのFTAだということが一つ。

 もう一つは、拡大するEPAである。つまり、十二カ国で完結するんじゃなくて、外側に、はっきりしているのは、韓国はどんどん入りたいと言っておりますし、ASEANの中でも幾つかの国が参加したいということをどんどん言ってきています。大きくなっていく仕組みですね。

 特に、東アジア地域というのは不安定要素があります。そういう不安定要素は、それぞれの国がある国際的な枠組みに入ってきちゃって、のっぴきならない関係になるということが、不安定要素をより少なくしていく効能があると思うんですね。だから、東アジアの安定には、中国やインドやアメリカという超大国それから人口大国がみんな入って、その中に接着剤で日本が入っているというのがあらまほしき姿だとずっと個人的に思っていたわけなんです。そういう意味で、アメリカがアジア太平洋にしっかりと位置づくということは、その第一歩になっていくんじゃないかと。

 ASEANの国もなぜTPPに入るか。ベトナムが入ってきましたね。ベトナムの大臣と私、二人で、さしでずっと話していたんですけれども、よく踏み切ったねと言ったら、構造改革を含めてこれにかけているということを言うんですね。相当な勇気が必要だったと思うんです、ああいう途上国にとっての先進的な枠組みへの参加というのは。それでもやはり意を決して行ったというのは、アメリカが東アジアでパートナーとなってくるということに相当期待をしているんだと思います。

 それは、経済も市場が開かれるということと、それから、恐らく安全保障の面でも間接的な安定要因になっていくということを期待しているんじゃないかなというふうに思っているわけでありまして、拡大していくということはとてもいいことだと思いますし、その中にできるだけオリジナルメンバーで日本が位置づけるということは非常に重要なことだというふうに思っています。

小沢(鋭)委員 大部分は私も同意ができるお話だと思います。ただ、いわゆる敵対的ブロック化といいますかあるいはまた閉鎖的ブロック化といいますか、そういった話が起こらないように考えながら進めていかなきゃいかぬのかなということを改めて申し上げておきたいと思います。

 具体的な質問に入るんですが、我が党の立場をまず申し上げておきますと、御案内のように、TPP推進論であります。ですから、今の政府といいますか与党は不十分だ、こういう位置づけでございますので、そういった立場で私は質問をさせていただくということをまず冒頭申し上げておきたいと思います。

 時間も経過しておりますので幾つかはしょりながら、今後のスケジュールというところを改めて聞かせていただきたいと思います。

 何度かきょうも質問が出ていた話でありますが、大臣は、ハワイの記者会見においてこういう発言をされているんですね。九月になったらもう進まなくなると思うが、次回はまとまるのではないかという話を十二カ国がしていたと思う、そこで米国が、ぎりぎりの日程にできるかどうかをうかがっている、だから、今回も逃したから米国の政治日程的に漂流感があるかというと必ずしもそうではないと思う、こういう言い方をされて、日本に帰ってきてからも、八月中の閣僚会合があり得るんだと思う、こういう話をされておりましたが、ここ一両日中の話で、どうもそれはだめだ、こういう流れになっているやに見ております。

 九月になったらもう進まなくなると思う、こういう大臣自身の御発言もあって、さっきからもう繰り返しになりますから言いませんが、アメリカの政治日程だとかカナダの政治日程だとか、いろいろな話があることを総合してそういう判断をされたと思うんですが、これは本当に大丈夫ですか。

甘利国務大臣 最終日の大臣会合の席で、アメリカが、今回大筋合意に至る道筋については断念せざるを得ないという発表をしました。幾つかの国から、いや、このまま粘り強く、少し延長しても続けるべきだという声も上がりました。しかし、アメリカは、一旦仕切り直しをした方がいいという判断をしたようなんです。そこで、私が発言したのは、次の日程はきちんと見据えるべきだ、できれば八月中にまとめるという確認をみんなでした方がいいのではないかという種の発言をいたしました。

 それは何かといいますと、緊張の糸が切れちゃうともう一回同じレベルに持っていくのに時間がかかりますから、できれば気持ちが切れないように追い込んでいった方がいいと思って発言したんですね。その考え方は、私は、その場で大多数の国が共有したというふうに思っています。ただ、アメリカは、どうしても今確定することはできないということを言いました。

 終わりまして、事務的にどう詰めていくかというのを水面下で接触せよという指示をすぐに出したんですが、交渉国は、夏休みを返上でずっとやってきているんですね。恐らく、これが終われば夏休みだという感じでやってきたんだと思うんです。だから、休みなしでやってきて、ある種、若干その緊張の糸が切れているんですね。そこで、少し心身をリフレッシュする期間が必要だというような思いを持っているんではないかと思うんです。

 そうしますと、次の日程は、きちんとやることを詰めていって、これならば大臣会合をやってもちゃんと収れんしていくというところになったときに設定するとすると、では、夏休みが終わる、復帰する、それから、では、こういう話を詰めて、次にこういうものをしてと重ねていくと、どうしても、一週間なりなんなりの時間が外れちゃうと、月内にというのは厳しくなるのかなという思いを持っているんですね。

 それを無視して日だけ設定しちゃうと、今度失敗すると非常に危険な状態になると思いますから、次はきっちり前段階を踏んで、つまり前さばきをきちんとやって本チャンに臨むというような対応をしなきゃいけないなと思っていまして、そうすると、なかなか八月というのは厳しくなってくるのかなという感じを、ここのところ、二日、三日持っているということであります。

小沢(鋭)委員 今のお話を聞いていますと、これは大先輩の甘利大臣にある意味では失礼かもしれませんが、私は率直に言って、若干これは漂流の過程に入るな、こういうふうに見させていただいています。

 この委員会のさきのやりとりの中でも、大臣は、日本は官僚機構がきちっとしていて、こういう話がありましたが、アメリカはそういう国じゃありませんから。ですから、そういった意味では、本当にがらっと変わっちゃうんですね、私のささやかな経験でありますけれども。いわゆる政治日程を決められないと言ったのはフロマンですよね。そういう話を含めて、やはりかなり政治的に振れていくな、こういう感じがするんですが、そんなことはないですか。

甘利国務大臣 結論から申せば、そういう心配はほとんどないと思います。

 恐らく、アメリカが一旦会を閉じるというのは、戦略を整理して、この延長線上でそのまま会議を続けるのではなくて、一旦間を置いて、戦略を整理していった方がいいという判断をしたんじゃないかというふうに思います。

 議長国アメリカの交渉を見ていますと、全体をシステマチックにずっと押していって網の中に入れていくというやり方というのは余り得意じゃないんですね。日本の場合は、官僚機構がしっかりしていて、TPP部隊が鉄壁ですから、水を漏れなくずっと押しながら間合いを狭めていくということができるんですけれども、そうするためには相当マンパワーも必要ですし、連携も必要ですし、それから各省との連絡ですぐに判断ができるという体制が必要だと思うんですね。リクエストオファー、いろいろ繰り返していって、向こうからボールが飛んできて、それに対して回答するのに、ちょっと待ってくれ、問い合わせをするから一週間待ってくれということになると、ずるずるっといっちゃうわけです。日本の場合は、即判断ができる体制ができている。

 システマチックにずっと交渉を押していくことができるというのと、そこまで行っていないというところの差があるんだと思うんですね。アメリカはなかなかそういうのは得意ではないですから、問題点をきちっと整理して、残っている課題ごとにソリューションをしっかり、方針をつくっていくということを一回巻き直した方がいいという判断だと思いますし、私も、それもそうだなというふうに思います。そこには、やはり日本が少し、議長国ではありませんけれども、そういうシステマチックに全体をまとめることができる国として、できるアドバイスはしていった方がいいんじゃないかなというふうに思っております。

 ですから、これで漂流するということではなくて、次を確実にまとめるために一呼吸置くということであろうというふうに考えます。

小沢(鋭)委員 今大臣がおっしゃられたように、要は、組織的に、システマチックにやれる国ではありませんから、アメリカのチームというのは。そこは、もう一回間を置いてというふうに思い直しています、こうおっしゃいましたが、余りそういうふうに思わないで、ここは、先ほど冒頭に答弁があったように、この機を逃してはだめだというくらいの気持ちで詰めていかないと、本当に僕は漂流すると思いますね。そこをまず申し上げたいと思います。

 それから、具体的な中身の話で、さっきのメリットのところで余り出ていなかったんですけれども、要するに、このメガEPAが進むと、グローバルバリューチェーン、こういうものが成立していく。工業製品でいえば、一言で言えばメード・イン・ジャパンからメード・イン・TPPだ、こういうような話のコンセプトが生まれてくるんではないか、こういうふうに思っていて、そして、私は、こういう時代になったら、アジアはもう外国市場ではなくて内国市場だというくらいの気持ちで取り組まなきゃいけないんじゃないか、こう思っている中で、やはりこのグローバルバリューチェーンというのができていくということの意義は極めて大きいと思うんです。

 こういうことに関しては、相当やはり進展があったという理解でよろしいでしょうか。

甘利国務大臣 まさにメード・イン・ジャパンからメード・イン・TPP、適切な言葉だと思います。その枠内に入っているものはどこの国にあってもそこと同じ内国民待遇、最恵国待遇を受けるということで、それから、いろいろな制約から解放される、いろいろな付加的な義務がなくなる、将来展望、透明性が確保されるということで、そこで、その域内における付加価値創造のチェーンがしっかりでき上がるということでありますから、その場合、外側にいるのと中にいるのとの優位性が全く違ってくるということになるわけです。

 これ自身が大きなGDPの枠でありますし、これがまた拡大をしていくという要素があります。ASEANがどんどん入ってくれば、韓国が入り、ASEANが入ってくると、やはり中国としても、その外側にいる不利を考えれば、入ってくるという選択を当然してくるんだと思います。

 でありますから、枠内に入っていることの有利さというものをしっかり共有できるようなシステムを構築していくということが大事だと思います。

小沢(鋭)委員 そうしますと、それをバックアップするというか支える体制として、いわゆる金融が大事になるんですね。

 今回の報道を見ていますと、これは例の秘密保護規定ですかがあってなかなか政府は表に出してくれないんですが、報道を見ると、例えば、ベトナムで、いわゆる地場銀行に外資が出資できる比率を引き上げて一五%から二〇%にしてくれるとか、あるいは、マレーシアの外国銀行の支店数が引き上げられるとか、店舗外にATMを設置することができるとか、そういう報道があるんですけれども、こういう話は、ある意味では日本の金融業界にとっては大変プラスの話だ、こう思っているんですが、これはそういうことでよろしいんでしょうか。

澁谷政府参考人 金融サービスの分野でございますが、今先生御指摘いただきました各国の規制を緩和する、自由化するという交渉とは別に、一般ルールを決めるという交渉がございます。こちらはもうほぼ収束に向かっているところでございます。

 御存じのように、WTOでは、金融については金融約束という取り決めがあるだけでございまして、これは一部の国しか受諾しておりません。TPPの十二カ国では、日本を含め五カ国でございます。

 TPPの十二カ国で、WTO並みの内国民待遇とかそういうものをまずみんなで確認するということ、それから、例えば日本に日銀ネットのような金融のネットワークがありますが、そういうものに加盟国の金融機関がつなげるようにする、こういったようなルールを決めるものでございまして、ある意味、日本の銀行、金融機関が海外に出ていくということは、海外で、やはり安心して日本の中小企業が行ける、そういう新しいインフラができるということですので、これは非常に期待をしているところでございます。

小沢(鋭)委員 さっき申し上げたグローバルバリューチェーンが構築できていくと、例えば大手の自動車産業にしても、中小の部品メーカーの皆さんたちが出ていくという話が安心してできるようになる。それに加えて、金もちゃんと、金もというか、まず、そういった進出に対して金融機関が相談に乗って、資金もつけてあげる、これは中小企業にとっては大変有効な話だ、こう思っていて、そういう話が現実に進むということでよろしいでしょうか。

甘利国務大臣 そういうことです。

小沢(鋭)委員 もう一つ、余り話題になっておりませんが、環境の話をお尋ねしたいと思います。

 環境も、二十二、二十三ですか、物によって分類は違うと思いますが、そのテーマの中の一つになっているわけで、ただ、その合意に達している、こう言われているんですが、極めて抽象的なんですよね。貿易政策と環境政策のバランスの確保、こういう書きぶりしかないんですね。私は自分なりにわかっているつもりでいるんですが、これの意味と意義はどういうことであるか、お願いします。

澁谷政府参考人 TPPの環境分野につきましても、今回ほぼ収束に向かっているところでございますが、今御指摘いただきましたように、貿易政策と環境政策とのバランスの確保、高い水準の環境保護といったようなことを確保するということでございます。

 具体的には、環境につきましては既に多国間の条約が多々あるわけでございます。ただ、そうしたものをTPPの十二カ国は守るんだ、かつ、TPPの環境のチャプターにおいてそれを実効性ある形で規律を守るということを、いろいろな仕組みを入れているわけでございます。例えば、国同士で協議をするメカニズムを入れる、あるいは、環境保護にやや技術的な不足がある国に対して協力をお互いにする、こういったような規定を設けているところでございます。

小沢(鋭)委員 そこのところは、もっと単純に言うと、貿易の振興になるわけだから、要は、貿易を振興するために、環境は少し悪くなったって、商売がうまくいくんだったらどんどんやろうや、いわゆる新興国なんかはこう思いがちだ、それではだめなんですよということを確認した、こういうことだと思いますね。

 でありますので、ここもぜひ、温暖化の話は、一歩外へ出てみればつくづく思うわけですね、猛暑日何日連続とか、あるいはまた、雨が降るとゲリラ豪雨で何とかとか。これももう本当に大事な話でありますので、今申し上げた話は、どちらかというと、ある意味では守りというか、当たり前の話を新興国もちゃんとやってくださいよ、こういうことなんですが、ぜひそこのところはもっとポジティブに日本はリーダーシップを発揮していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、池内さおり君。

池内委員 日本共産党の池内さおりです。

 きょうは、最初に、交通バリアフリーについて有村大臣に質問をします。

 障害者基本法に基づいて政府が講じる障害者の自立及び社会参加の支援などの計画を定めた障害者基本計画において、交通バリアフリーは、「分野別施策の基本的方向」の中の「生活環境」に位置づけられています。

 基本計画では、「分野別施策の基本的方向」の章の前に「各分野に共通する横断的視点」という章があって、その中に「アクセシビリティの向上」という項があります。そこでは次のように述べています。

 障害者基本法第二条においては、障害者を、障害がある者であって、障害と社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものというふうに定義をしています。障害者が経験する困難や制限が障害者個人の障害と社会的な要因の双方に起因する、そういう視点が示されています。このような視点を踏まえて、障害者の社会への参加を実質的なものとし、障害の有無にかかわらず、その能力を最大限に発揮しながら、安心して生活できるようにするために、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している、事物、制度、慣行、観念等の社会的障壁の除去を進めて、ソフト、ハードの両面にわたる社会のバリアフリー化を推進し、アクセシビリティーの向上を図るというふうになっています。

 バリアフリー化というと、例えば階段の段差をなくすとか、そういうハードの面に目が行きがちですけれども、基本計画はそうしたものにとどまらず、障害者の社会への参加を実質的なものとして、障害の有無にかかわらず、その能力を最大限に発揮をしながら、安心して生活できるようにしていくために、障害者の活動を制限して社会への参加を制約しているバリアそのもののフリー化を求めていると私は思いますが、大臣の見解を伺います。

有村国務大臣 池内委員にお答えいたします。

 御指摘のとおり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、ソフトとハード、その両面にわたって社会のバリアフリー化を推進し、障害者の皆さんの自立と社会参画を支援することが重要だと認識をしております。

 平成二十五年に閣議決定をいたしました第三次障害者基本計画においては、公共交通機関や公共的施設等のバリアフリー化の推進、また、情報アクセシビリティーの向上を盛り込んでおりまして、現在、各関係省庁において具体的な施策を実施しています。

 ことしは、この第三次障害者基本計画、すなわち対象期間二十五年から二十九年度の中間の年に当たります。当事者の方々も参加していただいている障害者政策委員会において、この五年の中の中間年としての進捗状況のフォローアップを行っていただいております。

 その評価結果も踏まえて、今後とも、関係省庁と連携し、御指摘のあったソフト、ハード両面にわたる社会のバリアフリー化を着実に推進したいと考えております。

池内委員 全ての国民が分け隔てなく、ソフトとハードの面の充実をということで、私も本当にそう思います。

 私は、きょう、交通バリアフリーの問題を、この間進められている鉄道駅の無人化の問題に焦点を当てて議論をしたいと思います。

 鉄道駅の無人化の問題というのは既にもう地方で大きな深刻な問題となっていますが、都内でも一部改札、窓口の無人化に心配の声が上がっています。

 私も毎日電車を使っていますけれども、駅のホームで車椅子の方を補助していらっしゃる駅員の方のお姿というのは時折見かけます。バリアフリーのためには、エレベーターを設置したり階段の段差をなくす、こういうハード面の整備というのはもちろんですけれども、それだけじゃなくて、やはり、例えば車椅子の方がホームから電車に移動する際には、必ず駅員の方の手助けが必要になります。マンパワーはバリアフリーの一つの基礎的な土台だと思います。

 このマンパワーを無人化する、それはバリアフリーに対する方向ではなくて、新たにバリアをつくるということになるのではないかと思うんですが、有村大臣の見解を伺います。

有村国務大臣 先ほども答弁申し上げましたが、やはり、ソフト、ハード両面のバリアフリー化を推進して、障害者の皆様を含めた社会参画を支援することは重要だと認識をしております。

 来年の四月には、障害者に対する不当な差別的取り扱いの禁止はもとより、合理的配慮の提供を通じて障害者の自立と社会参加を推進することを目指す、いわゆる障害者差別解消法が施行されます。

 この法律及び同法の基本方針によって、各事業者については、過重な負担とならない範囲で障害者に対して合理的配慮を提供していただくよう努めることとされておりまして、今御紹介をいただいたように、例えば、車椅子の利用者のために段差あるいは階段に携帯のアドホックなスロープを渡していただくなど、移動や買い物やコミュニケーションなど、障害をお持ちの方々がその目的を達成できるように、代替措置の選択も含めて柔軟に対応していただくことが期待されています。

 このような施策を通じてバリアフリー化を確実に推進すること、事業者も含めた社会一般にその合理的配慮の取り組みを、働きかけを進めていくことによって、国民一人一人が生き生きと生活できる国を目指してまいりたいと考えております。

池内委員 来年四月の障害者差別解消法ということで取り組まれているということだと思うんですけれども、私は決して、駅の改札などの一部の無人化をやめさせるということは、事業者にとって過重な負担だとは思わないんです。それどころか、無人化することによってかえってバリアをふやすと。

 私自身もこの間、障害者の方々と一緒に、窓口が無人化された駅というのを利用してみました。

 二センチの階段の段差だったり、この二センチの段差という問題が大きなバリアになっていることとか、あと、真夏の暑い日差しの中で駅の職員が到着するまで待たされている時間の長さ。そして、車椅子の方が利用できる窓口というのは、駅によって、全てではない、限られています。その窓口まで移動するために歩かなければならないホームの長さというのも、私は実感しました。そして、ホームには幾つも林立している柱があって、この柱が立っているところというのは道幅が非常に狭くなっている。こういうところを視覚障害の方々がつえをかちかちやりながら通ることの恐怖も、私はともに歩いて実感をしました。障害者の皆さんの立場から世界を見ると、多くのバリアが存在をしています。

 私がとりわけ問題だと思っているのが、埼京線の十条駅の窓口、南口の改札を八月末に無人化する問題です。

 十条駅の周辺には多くの障害者施設があります。療育医療センター、障害者のための三つの特別支援学校、東京都の障害者スポーツセンターなどです。それに加えて、三つの大学、そして四つの高校があって、朝の通学通勤時というのは、電車到着と同時に出場の改札機に長蛇の列ができる改札になっています。入場記録のないSuicaなどがあった場合は改札機のトラブルが起きて、支援学校の子供たちが、混雑の中、立ち往生する。そんなとき駅員が、その子供に対して、目を見て、大丈夫ですよと声をかけて初めてうまく改札を通り抜けることができます。

 そして、車椅子の方には、切符の購入からバリアがそもそもあります。階段しかなくて改札まで行けない、こんな窓口だってざらにあります。全くもってこの論外の改札口についてはきょうは取り上げないんですけれども、券売機で切符を購入しようとしても、そもそもタッチパネルに手が届かない場合があります。そして、車椅子からタッチパネルを見ると黒く反射をしてしまって、何と書いてあるか判別できないという問題もあります。現状では、こうした個別の事情に全て駅員の方々が対応している。

 そしてまた、車椅子の方の中にはお話がうまくできない方もいらっしゃる。そのときには駅員さんが、切符を購入するときに、新宿ですかと聞くと首を横に振るから、では池袋ですかと聞くと首を縦に振る。そして、かばんを手にしながら指を指すので、財布を出すんですかと確認すると、そうだとうなずくので、駅員さんが切符を買う。

 こういう作業を、まさに丁寧な対応を行って、肢体障害を持っている方とか言葉をうまく発することができない方々に丁寧に対応して、まさにバリアをフリーにする活動、援助を駅員の皆さんがやっているということを私は学んできました。

 十条駅というのは、知的障害の方々もたくさん利用されています。周辺にある特別支援学校に通うために、社会参加の訓練として、家から駅を使って、電車を使って学校まで通っています。そういう子供たちが、先ほども紹介しましたけれども、駅員さんが対応してくれて初めて落ちついてSuicaのタッチがきちんとできるという状況が一日に何件もあるという報告なんですね。

 幾つも幾つもあります。

 また、視覚障害の方々というのは、周りにいる人に道なりを聞きながら歩いていくということが日常のやり方らしいんですね。改札の出入りでは、駅員に聞きながら、どこに何があるかというのを確認して前に進む。聴力障害の方も利用していて、例えばダイヤが乱れて周りがざわついてしまったときに、どのように対応していいかわからなくなる。新宿方向に事故がある場合、赤羽に戻って京浜東北線を利用した方がいいのか、それともずっと待っている方がいいのか、待つにしても何分なのか。

 こういう個々の出来事というのは全部具体的で、その全てにやはり駅員さんがいるから、マンパワーがあるから対応ができているということが私も実感ができました。やはり人がいてこそ臨機応変に対応ができる。

 JRによる駅改札などの無人化の進行というのは、障害者基本計画において施策の横断的視点として掲げられているアクセシビリティーの向上に逆行するのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

有村国務大臣 今御紹介いただいた個々のケース、共感するところもございます。車椅子、視覚障害者の皆さんの移動の大変さを御紹介いただきましたが、私自身もキャスターのあるベビーカーを引いてみて、二センチ、数センチの段差がどれだけのハンディになるかということを痛感しております。

 同時に、安全性や快適性や企業の経済的合理性ということなどさまざまな要因を考えますと、どの配置に、どこに人を置くか、どの程度のマンパワーを投入するかということも事業者の責任によるところがございますので、個々の案件に関しましては国交省所管でございます、国交省さんともよく連携をして、現状にバリアフリー化の精神を一つでも具現化していただけるように働きかけたいというふうに思っています。

 肝はやはり、先ほどタッチパネルのことを御紹介いただきましたが、それぞれの施設なりあるいはサービス機器というもののデザイン段階から当事者の方々の意見を入れ込んで、後づけするというのは動線もいびつになりますので、デザイン段階から当事者のさまざまな声を反映させていくという都市デザインあるいは空間デザインということを国全体で広げていく、そういう問題意識を持ってくださる方を広げていくことも大事なことだと考えております。

池内委員 今バリアフリーの具現化というふうに御答弁いただいて、ということは、バリアをつくるような駅の無人化は、やはりやめるべきだということでいいでしょうか。そのことによってバリアがふえるようなやり方はよろしくないと。どうでしょうか。

有村国務大臣 先ほどから拝聴しておりますと、委員は無人化ということに警鐘を鳴らしておられるようでございますが、駅員の皆さんも本当に、筆談とかあるいは手話によるコミュニケーションとか、相当な配慮も続けてくださっていることもこれまた事実でございますので、個々の案件について、その有人化、無人化ということをバリアフリーに絡めて私が担当大臣としてとやかくということの答弁は控えさせていただきます。

池内委員 十条駅の南口の無人化問題というのは、障害者施設が最寄りに多数あることから、既に関係者から多数の声が上がっています。障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会から、JR十条駅遠隔操作システム導入についての申し入れが北区長宛てに出されています。その内容の一部を紹介したいと思います。

 遠隔操作システムの導入は健常者中心の考え方であって障害者や高齢者など社会的弱者への配慮に欠けた対応と言わざるを得ません、昨年、障害者権利条約が批准、発効し、移動についても円滑な移動の自由が確保されることを求めています、また、オリンピック・パラリンピック開催に向けてスポーツ施設や交通アクセスの整備も進められています、交通機関の利用に当たって誰もが安心、安全にかつ利便性の向上を求めていますとして、障害者の利用が多いJR十条南口への遠隔操作システムの導入の見直しというのをJR東日本に強く働きかけてください、また、駅遠隔操作システムの導入改札はバリアフリーとなっていません、何よりも障害者や高齢者、幼児などが安心、安全に利用できるように駅改札のバリアフリー化を強く働きかけてくださいという中身なんです。

 駅や駅窓口の無人化というのはバリアフリーに逆行するということは私は明らかだと思います。とりわけ、障害者の利用が多い十条駅南口、この無人化をこのまま容認するということは、パラリンピックの開催にも障害者基本計画にも逆行するものと言わざるを得ません。国立競技場の見直しがなされたのと同じように、白紙撤回こそ必要だということを強調いたしまして、このバリアフリーの問題についての質問は終わらせていただきます。有村大臣には御退席をいただいても結構です。

 次に、マイナンバーに関連して、自治体の個人情報保護対策の現状について質問をします。

 自治体は、住民基本台帳や国民健康保険など、多数の個人情報を保有しています。私は、七月三日の内閣委員会で、マイナンバー実施に向けた自治体の個人情報システムの改修状況、その改修以前に行うべきとされている特定個人情報保護評価の実施状況について質問をしてきました。前回に引き続いて、自治体の特定個人情報保護評価について質問します。

 最初に、特定個人情報保護評価という仕組みが個人情報保護にとってどういう意味があるか、確認します。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定個人情報保護評価とは、番号法に基づきまして、国の行政機関や地方公共団体等が、マイナンバーを保有する前に、みずからマイナンバーを保有する際のリスクを評価し、その対策について書面に記載して公表する制度でございます。

 特定個人情報保護評価制度の趣旨、目的は、行政機関等がみずからリスクを評価し、その対策を講ずることによりまして、特定個人情報の漏えいその他の事態を未然に防ぎ、国民、住民の信頼を確保することにございます。

池内委員 今答弁があった中身だと思います。

 特定個人情報保護評価というのは番号制度における保護措置の一つとされて、その手順の基本というのは番号法の二十七条に規定されています。

 二十七条の手順はどのように定まっていますか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 番号法第二十七条に規定されております特定個人情報保護評価の手続といたしましては、行政機関の長等が、特定個人情報ファイルを保有する前に、評価書を公示し、広く国民に意見を求め、その意見を十分考慮し必要な見直しを行った評価書について、特定個人情報保護委員会の承認を受けるものとされております。特定個人情報保護委員会の承認を受けた評価書は速やかに公表するものとされております。

池内委員 第一項で、行政機関の長等が、特定個人情報ファイルを保有しようとするときに、当該特定個人情報ファイルを保有する前に、特定個人情報ファイルを取り扱う事務に従事する者の数など、事項を評価した結果を記載した書面を公示する、広く国民の意見を求めると規定して、同時に第二項で、その意見を考慮して必要な見直しを行った後に、特定個人情報保護委員会の承認を受ける、そして第三項で、委員会は、指針に適合しない場合には承認をしてはならないと規定をされ、第四項で、承認を受けた評価書は速やかに公表という手順が定まっています。

 番号法第二十七条は、特定個人情報保護評価は、公表の前に特定個人情報保護委員会の承認を受けるという手順を規定している。既に各自治体が公表している特定個人情報保護評価書、一万七千件を超えていますが、これらの評価書は特定個人情報保護委員会の承認を受けた上で公表されていますか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねいただきました地方自治体の評価書につきましては、番号法第二十七条第一項の適用によりまして法律の定める手続から除外をされておりまして、特定個人情報保護委員会規則において番号法第二十七条に準じた手続を定めております。

 この規則におきましては、地方公共団体等の全項目評価について、特定個人情報ファイルを保有する前に、評価書を公示し、広く住民その他の者の意見を求め、その意見を十分考慮し必要な見直しを行った評価書について、個人情報の保護に関する学識経験のある者を含む者で構成される合議制の機関等の意見を聞くものとされております。

 各地方公共団体におきましては、この規則に従いまして、委員会の承認は受けておりませんけれども、評価書を特定個人情報保護委員会に提出し、速やかに公表していただいているものと認識をしております。

池内委員 二十七条から地方公共団体を外すという答弁だったんですけれども、法律を素直に読むとどうしてもそのようには読めないから、法律にあることがやられていないということで、私はきょう質問をしています。

 番号法の第二十七条は、行政機関の長等を主語に、評価書についてパブリックコメントを求めて、特定個人情報保護委員会の承認を受け、公表する、この手順を定めている。主語の行政機関の長等には当然、地方公共団体の長が含まれています。

 地方自治体の評価書が特定個人情報保護委員会の承認を得ないで公表されているというのは、甘利大臣にお聞きしますが、番号法違反ではありませんか。

甘利国務大臣 地方公共団体は、番号法の委任を受けた特定個人情報保護委員会規則に従って適切に評価を行っているところであります。

 したがいまして、評価書について委員会の承認を得ていないことは、番号法違反に当たらないものと考えております。

池内委員 条文についてお聞きしますけれども、番号法二十七条の第一項の「行政機関の長」に、当然、地方公共団体は入っていますよね。

向井政府参考人 お答えいたします。

 二十七条一項におきましては、「行政機関の長等」、これは当然、地方自治体の長も入ります。「特定個人情報ファイル(専ら)」とありまして、「その他の特定個人情報保護委員会規則で定めるものを除く。」と書いてございます。この括弧書きの特定個人情報保護委員会規則におきまして、そういう今事務局長が述べましたような手続をした地方自治体の評価につきましては、ここから、そのファイルそのものから除かれている、そういう法律上の仕組みになってございます。

池内委員 確認しますが、では、条文の「その他」で読むということですか。

向井政府参考人 ここには、例示といたしまして、「専ら当該行政機関の長等の職員又は職員であった者の人事、給与又は福利厚生に関する事項を記録するものその他の特定個人情報保護委員会規則で定めるものを除く。」と書いてございますので、法の、この特定個人情報保護委員会規則で定めたものについては除かれるということでございます。(池内委員「「その他」ですか」と呼ぶ)「その他の」というのは、例示の前も含めて、規則で書けば除かれると。(池内委員「含まれる、「その他」に」と呼ぶ)はい。

池内委員 私は、それは物すごく無理があると思います。第二十七条をどう読んでも、自治体をこの手続の例外とすることはできないと思います。

 番号法が審議をされた二〇一三年五月二十三日の参議院内閣委員会で、今答弁に立たれた向井審議官は、特定個人情報保護評価の意義を問われて、このように答弁されています。

 特定個人情報保護評価は、行政機関、地方公共団体等が、個人番号、マイナンバーを含みます個人情報ファイルを保有するに先立ちまして、事前に、漏えいとか、そういう体制のチェックを、危険性などをみずから評価いたしまして、特定個人情報保護委員会、第三者委員会が承認する制度でございます、そして、番号法において新設するものでございますというふうに答弁をされています。

 特定個人情報保護評価は、地方公共団体も含めて、みずからの評価を第三者委員会である特定個人情報保護委員会が承認する制度だと、みずから答弁されていらっしゃいます。承認する制度だと国会で答弁しておきながら、実際には承認をしない制度運用になっている。甘利大臣、これは法律に基づかない運用だと思いますが、こんなことが許されるんでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 制度をつくる過程におきまして、そもそも特定個人情報保護評価というのは、一種、個人情報保護法、それから行政機関個人情報保護法の例外規定でございますが、実際の場合は、全て自治体の個人情報についてはそれぞれ条例で定めております。

 そういう場合におきまして、やはり、特定個人情報保護評価をやるに当たりまして、自治体の場合は、自治体の条例とか実情を知っておられる各自治体に、それぞれそのような特定の委員会というのは大体おおむねの自治体にございますので、それらの委員会に評価をしていただいた方が適切ではないかということで、このような制度設計になっております。

池内委員 法律のどこに書いてありますか。

甘利国務大臣 この間のやりとりは、どう整理するかといいますと、評価の手続については、番号法第二十七条第一項の適用除外の規定によって評価の一部の手続が除外されておりまして、特定個人情報保護委員会規則においては、その除外された手続について、番号法第二十七条に準じた手続が規定されているわけなんです。

 でありますから、このことから、現在の委員会規則は法律の授権の範囲を超えていないというふうに整理されるということだと思います。

池内委員 今大臣に答弁いただきましたけれども、では、その内容と二〇一三年の向井さんの答弁と、どう整合性がつくんですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 もともとの特定個人情報保護評価、そういう制度全体につきまして、おおむねそういうふうなものだと。ただ、今回、実際にやるに当たりましては、第三者委員会の特定個人情報保護委員会のかわりといたしまして、地方におきます独立のそういう委員会が代替することによって、むしろそちらの方が適切ではないかということで、そういうふうにしたものでございます。

池内委員 条文には承認と書いてあるんです。承認できるのは特定個人情報保護委員会だけです。本当に法律違反、私は許されない運用だと思います。

 特定個人情報保護評価というのは個人情報保護措置の柱の一つだ、政府自身がそのように説明してきた問題です。地方自治体の特定個人情報保護評価について、第三者の点検を受けない自己チェックであるということについて、専門家からも批判の声が上がっている。しかし、原点である法律に立ち返ってみれば、法律では明確に、第三者である特定個人情報保護委員会の承認を受けると手続が定められている。特定個人情報保護委員会による承認は、まさにこの点で、第三者によるチェックとして、制度の信頼性を担保する不可欠の手続として定められているものです。

 実際に政府は、国会での法案審議の際に、地方公共団体も含めて、みずからの評価を第三者委員会である特定個人情報保護委員会が承認する制度だ、明確にそう答弁して、議事録だって残っているわけです。現行の承認を受けない評価書は、法律違反と指摘せざるを得ません。

 個人情報保護措置の柱の一つの手続がこんな状態で、法律違反の状態で番号制度の実施に突き進むことは断じて許されないと思いますが、甘利大臣、いかがですか。

甘利国務大臣 御質問に対しての、どういう整理の仕方かというのは先ほどお答えさせていただいた次第であります。

 そこで、マイナンバー制度自身、このスタートを延期すべきではないかという御主張でありますけれども、マイナンバー制度は、もう今までも申し上げていますとおり、より公平公正な社会保障制度であるとか税制の基盤として、また情報社会のいわゆるインフラとして、国民の利便性の向上であるとか行政の効率化に資するものでありまして、本年十月に番号通知、そして来年一月の番号利用開始に向けまして、今後も着実に取り組みを進めていくことが重要だと思っております。

 マイナンバー制度につきましては、今回の年金個人情報の流出事案の発生を受けまして、地方公共団体を含めまして、マイナンバーを利用する機関のセキュリティーについて、関係機関において必要な確認等を行っているところでありまして、その状況を踏まえつつ、必要なセキュリティー対策が講じられるものと考えております。

 いずれにいたしましても、マイナンバー制度の円滑なスタートに向けて、政府として万全を期してまいりたいと思っております。

池内委員 どんなに万全と言われても、法律違反で、そのような状態でこの問題が進むということは、本当に、断じて許されないと思います。

 個人情報を危険にさらしながら、地方自治体のセキュリティーの管理もずさんなままでこのマイナンバー法に突き進むというのは、私は断じてやめるべきであるということを強く主張して、質問を終わります。

井上委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

井上委員長 次に、内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。甘利国務大臣。

    ―――――――――――――

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 国、地方ともに財政状況が極めて厳しい中で、地域における事業機会の創出や効率的なインフラ運営、さらには、民間投資の喚起による経済成長を実現していくためには、インフラ運営に民間の資金や創意工夫を取り入れていくことが重要であり、インフラの運営権を設定して、インフラ運営を民間に委ねる公共施設等運営事業を積極的に推進することが求められております。

 他方で、これまで国や地方公共団体が運営をしてきたインフラについては、民間にその運営ノウハウが十分にない場合がありますことから、公務員の有する専門的な知識及び技能を公共施設等運営権者に継承し、公共施設等運営事業の円滑かつ効率的な実施を図る必要があります。

 この法律案は、このような状況に鑑み、専門的な知識及び技能を有する公務員が、公共施設等運営権者の職員として、その業務に従事した後に、再び公務員となった場合における退職手当の取り扱いの特例を設ける等の措置を講ずるものであります。

 次に、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、公共施設等運営権者は、国または地方公共団体から職員の派遣を受け入れる場合には、公共施設等の管理者等との間で、当該派遣職員が従事する業務の内容や期間等を含めて、公共施設等運営権実施契約を締結しなければならないこととしております。

 第二に、当該派遣職員が、公共施設等運営権者の職員として、公共施設等の運営等に関する専門的な知識及び技能を必要とする業務に従事した後、再び公務員となった場合における退職手当の取り扱い等について、他の職員との均衡を失することのないよう、関係法律の特例を設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十八分散会


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