衆議院

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第12号 平成28年4月6日(水曜日)

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平成二十八年四月六日(水曜日)

    午後零時五分開議

 出席委員

   委員長 西村 康稔君

   理事 亀岡 偉民君 理事 平  将明君

   理事 武井 俊輔君 理事 中根 一幸君

   理事 平井たくや君 理事 緒方林太郎君

   理事 後藤 祐一君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      岩田 和親君    尾身 朝子君

      大隈 和英君    岡下 昌平君

      木内  均君    北村 茂男君

      小林 鷹之君    武部  新君

      中山 展宏君    長尾  敬君

      ふくだ峰之君    福山  守君

      牧島かれん君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    若狭  勝君

      阿部 知子君    大串 博志君

      柿沢 未途君    神山 洋介君

      小宮山泰子君    鈴木 義弘君

      高井 崇志君    江田 康幸君

      濱村  進君    真山 祐一君

      塩川 鉄也君    島津 幸広君

      河野 正美君

    …………………………………

   議員           武部  新君

   議員           鷲尾英一郎君

   議員           中野 洋昌君

   議員           細田 健一君

   議員           谷川 弥一君

   議員           河野 正美君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   島尻安伊子君

   内閣府副大臣       松本 文明君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   内閣府大臣政務官     酒井 庸行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           舘  逸志君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  北村 茂男君     田村 憲久君

  真山 祐一君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  田村 憲久君     北村 茂男君

  大口 善徳君     真山 祐一君

同月六日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     福山  守君

  神谷  昇君     尾身 朝子君

  高木 宏壽君     小林 鷹之君

  古本伸一郎君     神山 洋介君

  池内さおり君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     神谷  昇君

  小林 鷹之君     高木 宏壽君

  福山  守君     石崎  徹君

  神山 洋介君     古本伸一郎君

  塩川 鉄也君     池内さおり君

    ―――――――――――――

四月五日

 特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案(内閣提出第三二号)

同月六日

 国の保育・教育・子育て支援施策の拡充に関する請願(池内さおり君紹介)(第一一九八号)

 同(山井和則君紹介)(第一一九九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法案(谷川弥一君外十五名提出、衆法第一八号)

 特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案(内閣提出第三二号)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 谷川弥一君外十五名提出、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。提出者武部新君。

    ―――――――――――――

 有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

武部議員 ただいま議題となりました有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法案につきまして、提出者を代表して、提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国の領海、排他的経済水域等を適切に管理する必要性が増大していることに鑑み、有人国境離島地域が有する我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に関する活動の拠点としての機能を維持するため、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別の措置を講ずる必要があります。

 以下、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、この法律において有人国境離島地域とは、自然的経済的社会的観点から一体をなすと認められ、領海基線を有する離島を含む二以上の離島で構成される地域内の現に日本国民が居住する離島で構成される地域のほか、領海基線を有する離島であって現に日本国民が居住するものの地域をいうこととしております。

 第二に、この法律において特定有人国境離島地域とは、有人国境離島地域のうち、継続的な居住が可能となる環境の整備を図ることがその地域社会を維持する上で特に必要と認められるものをいうこととしております。

 第三に、国は、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持のため必要な施策を策定し、及び実施する責務を有することとしております。

 第四に、内閣総理大臣は、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する基本的な方針を定めるものとすることとしております。

 第五に、国は、有人国境離島地域に国の行政機関の施設を設置するよう努めるものとするほか、有人国境離島地域内の所定の土地について買い取りその他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすることとしております。

 第六に、特定有人国境離島地域をその区域に含む都道県は、基本方針に基づき、当該特定有人国境離島地域について、その地域社会の維持に関する計画を定めるよう努めるものとすることとしております。

 第七に、国及び地方公共団体は、国内一般旅客定期航路事業等に係る旅客の運賃及び料金の低廉化について特別の配慮をするほか、住民の雇用機会の拡充を図るため事業に係る一定の費用の負担の軽減について適切な配慮をする等、特定有人国境離島地域に係る施策を講ずるものとすることとしております。

 第八に、国は、毎年度、予算で定めるところにより、計画の円滑な実施その他の特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する施策の実施に必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとすることとしております。

 第九に、この法律は、一部を除き、平成二十九年四月一日から施行することとしております。また、平成三十九年三月三十一日限り、その効力を失うこととしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西村委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房審議官舘逸志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 国境離島特措法案について質問いたします。

 私、二〇一二年の改正離島振興法の際に、実務者の一人として法案の策定にかかわってまいりました。各党、超党派で意見を出し合って、本当に離島団体、離島住民の皆さんの要望を踏まえる、中身としてそういう努力をしてきたつもりであります。そういう点でも、改正離島振興法がしっかりと執行されているのかということが特に政府に対して求められることではないかなと考えております。

 離島振興法第一条の目的には、人の往来及び生活に必要な物資等の輸送に要する費用が他の地域に比較して多額である状況の改善、これによる地域格差の是正というのが明記をされています。

 やはり運賃や物資輸送の費用が大変高い、そういう点での地域格差の是正ということが重要なんだ、こういう見地ですので、離島航路・航空路の整備強化は新たな離島振興法の最重要課題に位置づけられていると考えております。

 若干設問を整理してお聞きしようと思っておりますが、国交省にお尋ねしますけれども、二〇一二年の離島振興法改正の際の衆議院国交委員会における附帯決議であります。

  離島航路・航空路は離島住民の生活にとって欠かせない生命線であり、いわゆる「海の国道」として重要な役割を担っている航路もあることを踏まえ、必要な支援を行うこと。また、離島航路・航空路の安定的な維持が離島における定住の促進に欠かせないことから、その支援に関して必要となる新たな法制の整備を含め支援のあり方について検討すること。

とあります。

 この附帯決議に基づいて国交省としてはどのような取り組みをやってきたのかについて、説明をいただきたい。

舘政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、平成二十四年六月十五日の衆議院国土交通委員会附帯決議におきまして、離島振興に関する件について、先生御発言のようなことが決められております。

 これに対しまして、改正離島振興法の視点では、離島住民にとって離島航路、離島航空路は生活にとって欠かせない生命線であり、日常生活における移動また生活必需品等の輸送のために不可欠な交通手段、そういう認識を持っております。また、これらの交通手段は、離島地域の産業振興や島外との交流を進め、離島への定住促進を図るための基盤的な存在であり、離島の振興を図る上で、これらの手段を確保し、安定的な維持に努めることが必要であると認識しております。

 こうした認識に基づきまして、国土交通省といたしましては、地域公共交通確保維持改善事業によりまして、離島航路・航空路に対する運営費の欠損の一部に対して補助を行いつつ、島民向けの運賃の割引に対し支援を行っているところでございます。

 これらにつきましては、今後とも、地域の方々の意見も踏まえながら、関係部局と連携を図りつつ、必要となる支援に取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 国交省の話では、この離島航路・航空路についての路線を維持するための欠損補助、赤字補填、その範囲を出ていないんですよ。そこがやはり離島の皆さんにすると、その点では大変不十分だという声が上がらざるを得ないわけであります。

 もともと負担が大きいんですから、それを赤字補填だけでやっても、それがまた、運賃が高くて利用者が減ってさらに赤字補填、逆にどんどん縮小再生産するようなことになりかねないというのが今の実情ですから、こういう点についての若干の制度の見直しは行われましたけれども、やはり抜本的なこの点での対策の強化が必要だと思います。

 離島を抱える自治体でつくる全国離島振興協議会、全離島の要望書には、離島航路を海の国道として位置づけ、人流、物流を含めた離島航路運賃のJR等本土交通機関並み引き下げを初めとした離島航路補助金の増額及び就航船舶建改造促進など、全ての離島航路に対する支援を抜本拡充することとあります。切実な要望であります。

 そこで、提出者にお尋ねをいたします。

 このように、離島航路を海の国道と位置づけるという考え方についてはどのように受けとめておられるでしょうか。

鷲尾議員 お答え申し上げます。

 塩川先生御指摘のとおり、海の国道でありますが、道は陸だけではないという考え方のもとで、いわゆる海の国道が離島の住民にとって極めて重要な役割を担っていると認識をいたしておるところでございます。

 そこで、地域住民の貴重な足を確保するとともに、豊富な観光資源を活用して交流人口を拡大していく、これは今の極めて厳しい離島の現状に鑑みますと極めて重要だと認識をしておりまして、塩川先生御指摘のような、離島地域の交通利便ができる限り向上するように取り組む必要があると考えているところであります。

 そこで、海の国道として重要な役割を担っている航路につきまして、今般の改正を踏まえましてさらに必要な支援をできる限り行っていく、そういう趣旨でございます。

塩川委員 やはり地域住民の足の確保や交流人口の拡大、交通利便をしっかりと確保する、そういう点での重要さというお話でありました。

 離島航路というのは海の国道だと言っているというのも、御案内のとおり、陸の国道であれば、税金を使って整備をされて、住民は無料で利用できるわけであります。

 一方、海の国道であるはずの離島航路は、船の運航のために経費がかさんで、その維持のために住民は利用料金、運賃を払わなければならない。離島航路の赤字がかさめば、便数が減るなど一層不便になるなどの悪循環に陥るわけであります。

 そこで、今も若干法案に触れてのお話もございましたが、提出者に重ねてお尋ねいたします。

 今回の法案というのが、このような、離島航路・航空路の運賃を下げたり、また島での生活に必要な物資の購入費用を低く抑えたりするという離島住民の要望に応えるものとなっているのか、この点についてお答えいただけないでしょうか。

中野議員 お答え申し上げます。

 今回の法案が、航路、航空路の運賃を下げる、また物資の購入費用を抑える、こういう離島住民の要望に応えているものなのか、そういう御質問であるというふうに思います。

 本法案の第十二条におきましては国内一般旅客定期航路事業等に係る運賃等の低廉化について、また第十三条では国内定期航空運送事業に係る運賃の低廉化について、それぞれ特別の配慮をするものとしております。また、第十四条では、住民の生活または事業活動に必要な物資の購入等に要する費用の負担の軽減について適切な配慮をするものである、このように記載をしております。

 提出者といたしましては、これらの運賃等あるいは費用の負担につきまして可能な限り低廉化あるいは軽減をする、こういうことを期待しております。

 施策の詳細な中身あるいは制度設計につきましては、今後、内閣総理大臣が基本方針を定めました上で、政府及び都道県におきまして本法案の趣旨を踏まえ適切に検討されるもの、このように考えております。

塩川委員 運賃等の低廉化、物資購入費用の軽減等は特別の配慮ということの規定がある、これが離島住民の要望に応えるものに資することを願うものであります。

 全離島は、離島航空路への支援とともに、離島航路支援の抜本拡充を要求してきたところです。

 離島航路は離島住民にとって何物にもかえがたい根幹的な交通手段であり、離島航路の公共性は本土における幹線道路や鉄道の比ではないと述べて、しかも、離島航路の安全性、確実性、快適性並びに就航頻度は本土におけるいずれの交通機関に比べても劣っていると指摘をし、航路は離島にとって生命線であり、真の離島振興を実現するためには、従来の交通政策の延長ではなく、抜本的な対策が待ったなしだ、離島航路を海の国道として位置づけ、全ての離島航路に対する支援を抜本拡充することと要望しているところであります。

 そこで、提出者にお尋ねをいたします。

 今回の法案は、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持を図ることで我が国の領海、排他的経済水域等の保全に寄与することを目的としている中身であります。

 第十一条には、国は、特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する施策の実施に必要な財政上の措置を講ずるとあります。

 このように、本法案の主眼とするところは、領海、排他的経済水域等の保全のためにも人が住み続けられる離島の振興策が必要なんだということだと思うんですが、その点についてお答えいただけないでしょうか。

細田(健)議員 ありがとうございます。

 今、塩川先生からお話があったとおり、離島のハンディといいますと、まず第一が本土に移動するまで時間とお金がかかる、ここを何とかしてほしいというお話があるわけでございますが、地域社会の維持、振興を図るためには、離島航路の運賃の低廉化等を含めて各種の支援をさらに拡充して、抜本的に行わなければならないという基本的な考え方のもとでこの法案を提案させていただいたことをぜひ御理解いただければと思います。

 ありがとうございます。

塩川委員 現行の離島振興法の目的にも、我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用に重要な役割を果たしている離島の厳しい自然的社会的条件のもとでの地域格差の是正を図ることを掲げております。

 ですから、現行の離島振興法の第一条の目的のところにこのように、領域、排他的経済水域の保全、海洋資源の利用の立場でも離島における地域格差の是正が重要なんだという指摘があるものですから、今回出されている法案が狙いとする、人が住み続けられる離島の振興策というのは現行の離島振興法に基づいてもやれることなんじゃないのかなと私は思っておるところなんですね。

 ですから、現行の離島振興法に基づく施策の拡充を図るという考えはなかったんでしょうか。

細田(健)議員 ありがとうございます。

 確かに、御指摘のとおり、離島振興法そのものは、居住する者のない離島の増加及び離島における人口の著しい減少の防止並びに離島における定住の促進を図ることを目的の一つとして規定しているわけでございます。

 一方で、この法案は、離島の無人化防止自体を目的とするものではありませんで、我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に関する活動の拠点としての機能を維持し、もって我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に寄与することを目的として、有人国境離島地域の保全及び有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する施策を講ずるということを目的にしております。

 したがって、関連する地域社会の維持に関する施策でございますが、これを講ずることによりまして特定有人国境離島地域に人が住み続けることができ、また有人国境離島地域が有する我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に関する活動の拠点としての機能が維持され、その結果として領海、排他的経済水域等の保全が図られることになるというふうに考えております。

 したがって、今御説明をしたとおり、本法案と離島振興法そのものはそれぞれ目的が異なるということと考えておりまして、両者に重複や矛盾はないというふうに提出者としては考えております。

塩川委員 離島振興法の第一条の目的のところに、先ほど紹介したように、我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用等という立場からも離島に住み続けられることが重要だということが書かれているんですけれども、その中にも、後段の部分には居住する者のない離島の増加の防止、こういう表現もあって、今言ったように、この離島振興法の中にも、無人になるような島はつくっちゃいけないよねというのは入っているんですよ。

 ですから、今お話しの趣旨でいったとしても、この離島振興法をさらに拡充していく、こういう方向でも可能だったんじゃないのかなと思うんですけれども、その辺はどういうふうにお考えだったんでしょうか。

武部議員 塩川先生のお話のとおり、ベースにあるのが離島振興法でございまして、その中でも、有人国境離島については、本土から距離が離れている、あるいは人口減少が著しいというのが大変大きな問題になっておりますので、その他の内海も含めた離島振興法とは別に、特別なハンディを背負っている国境離島を、領海等を保全それから管理する上で、拠点機能を持っている国境離島について、さらにその保全の観点から今回この法律を用意させていただいて、そして地域社会を維持することが特に保全管理する上で重要な施策でありますので、保全管理をする上から、地域社会の維持をする施策について抜き出している、特に強く出しているということで御理解いただければと思います。

塩川委員 離島振興法との関係で、ちょっとそういう整理がついていないんじゃないかなと今の答弁で思うところなんですが、離島振興法による支援の拡充を行うべきだというのを私は思っているところです。同時に、現政権のもとではその枠内での拡充がやはり十分望めない、そのために、本法案は、領海等の保全という役割を位置づけることで支援の拡充を図るものとなっている、こういうふうに承知をしているところであります。

 それで、国境離島などと言わずとも、外海離島という言い方があるわけですよ。内海離島に対しての外海離島。外海離島というのは外洋に面していますから、他の離島と比べても自然的社会的条件が厳しいことは明らかであります。だとしたら、その条件の厳しさに見合った支援策の拡充を図っていけばよいわけであって、運賃の低廉化や物資の費用の負担軽減を行うのであれば、私は、離島振興法の拡充を図ると同時に、時代おくれとなっている離島航路整備法の抜本改正こそ行うべきではないかと思っております。

 そこで、昨年四月に説明を受けましたこの法案の素案骨子においては、第一条の目的に我が国の主権的権利を侵害する行為の発生によりという文言が入っておりましたが、起草案では削除されております。

 また、起草案第五条には、国は、有人国境離島地域に国の行政機関の施設を設置するよう努めるものとするとありますが、昨年四月に説明を受けた素案骨子には、自衛隊等の文言が入っていました。これも法文には規定されておりません。

 そこで、提出者にお尋ねしたいのは、この自衛隊の文言の件ですけれども、昨年四月の素案骨子に入っていた自衛隊等の文言が削除されたその理由は何なのかについて、お答えいただけないでしょうか。

細田(健)議員 ありがとうございます。

 塩川先生から御指摘がありました素案骨子といいますのは、検討段階での本当にたたき台のものであるというふうに理解しておりますが、その後、たたき台を踏まえて、御党を初め各党からいただいた御意見を踏まえて現在提出している法案を取りまとめたということをまずぜひ御理解いただきたいというふうに考えております。

 その上で御説明をいたしますと、本法案の第四条におきまして、内閣総理大臣が関係行政機関の長と協議をして基本方針を定めることとされており、この基本方針において国の行政機関の設置に関する基本的な事項が定められるということになっております。

 私の地元であれば、佐渡でありましたらトキの保護センターでありますとかいうような、さまざまな施設が国の機関として設置をされておりますが、このように各種の機関があり、今後、政府がこの基本方針に従ってさまざまな政府機関を、どのような施設をどのように設置するかについては基本方針で定めることになりますので、第五条に特定の行政機関を例示として明記する必要はないと判断して削除したということを御理解いただければと思います。

 ありがとうございました。

塩川委員 我が党の指摘も踏まえて、自衛隊等の文言も削除されたと承知をいたしました。

 政府は、自衛隊配備などを実施すべきではありません。近隣諸国との懸案事項は、力による対抗手段ではなくて、外交交渉による平和的な解決こそ目指すべきであります。国境に接する離島の住民の方が望んでいるのは安全に漁業ができるような海にすることであって、平和の海、友好の海にするための協力の推進にほかなりません。対立と緊張などは誰も望んでおりません。

 歴史的にも、国境に接する離島は、国交が持たれるずっと以前から人々の間で自由に交易、交流が行われ、文化が交わり、国と国とを結ぶ豊かな地域として発展してきたところであります。お互いの国を豊かにする場所だった国境の島々が紛争の地にされるのは本当に不幸なことであり、国境の離島に必要なのは、トラブルが大きくならないようにするルールをつくることです。問題が起こっても話し合いで解決することが原則であり、憲法九条の精神にのっとった対応こそ求められます。

 本法案は、他の離島と比べて自然的社会的条件の厳しい外海離島への振興策を主眼とするものとなっており、離島住民、離島自治体の強い要望である離島航路の整備強化にも資するものとして、賛成をいたします。

 以上を申し述べて、質問を終わります。

西村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 谷川弥一君外十五名提出、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

西村委員長 次に、内閣提出、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。島尻国務大臣。

    ―――――――――――――

 特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

島尻国務大臣 ただいま議題となりました特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 産業構造及び国際的な競争条件の変化、急速な少子高齢化の進展その他の経済社会情勢の変化に対応して、産業競争力を強化するとともに、国民が豊かで安心して暮らすことができる社会を実現するためには我が国の科学技術の水準の著しい向上を図ることが重要となっております。

 この法律案は、このような観点から、特定国立研究開発法人による研究開発等を促進するため、政府による基本方針の策定、中長期目標等に関する特例その他の特別の措置等について定めることにより、世界最高水準の研究開発の成果の創出並びにその普及及び活用の促進を図り、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とするものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、国立研究開発法人のうち、研究開発等の実績及び体制を総合的に勘案して世界最高水準の研究開発の成果の創出が相当程度見込まれるものとして、物質・材料研究機構、理化学研究所、産業技術総合研究所を特定国立研究開発法人として定めます。

 第二に、政府は、特定国立研究開発法人による研究開発等を促進するための基本的な方針を定めなければならないものとし、内閣総理大臣は、総合科学技術・イノベーション会議の意見を聞いて、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものとします。

 第三に、特定国立研究開発法人の長の解任に関する特例、中長期目標等に関する特例、役職員の報酬、給与等の特例等を設けるとともに、科学技術に関する内外の情勢に著しい変化が生じた場合において、主務大臣が必要であると認めるときは、特定国立研究開発法人に対し、必要な措置をとることを求めることができるものとします。

 第四に、政府は、独立行政法人通則法及び個別法の運用に当たっては、特定国立研究開発法人による研究開発等の特性に常に配慮しなければならないものとします。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、平成二十八年十月一日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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