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第2号 平成13年2月21日(水曜日)

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平成十三年二月二十一日(水曜日)

    午後三時八分開議

 出席委員   

   委員長 保利 耕輔君

   理事 奥谷  通君 理事 塩崎 恭久君

   理事 杉浦 正健君 理事 田村 憲久君

   理事 佐々木秀典君 理事 野田 佳彦君

   理事 漆原 良夫君 理事 西村 眞悟君

      左藤  章君    新藤 義孝君

      鈴木 恒夫君    田中 和徳君

      棚橋 泰文君    谷川 和穗君

      松宮  勲君    山本 明彦君

      横内 正明君    吉野 正芳君

      大島  敦君    日野 市朗君

      平岡 秀夫君    水島 広子君

      山内  功君    山花 郁夫君

      中塚 一宏君    木島日出夫君

      瀬古由起子君    植田 至紀君

      徳田 虎雄君

    …………………………………

   法務大臣         高村 正彦君

   法務副大臣        長勢 甚遠君

   法務大臣政務官      大野つや子君

   法務委員会専門員     井上 隆久君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  渡辺 喜美君     田中 和徳君

  枝野 幸男君     大島  敦君

  藤井 裕久君     中塚 一宏君

  不破 哲三君     瀬古由起子君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     渡辺 喜美君

  大島  敦君     枝野 幸男君

  中塚 一宏君     藤井 裕久君

  瀬古由起子君     不破 哲三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件




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     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、法務行政等の当面する諸問題について、法務大臣から説明を聴取いたします。高村法務大臣。

高村国務大臣 委員長を初め委員の皆様方には、平素から法務行政の運営について格別の御支援をいただき、厚く御礼を申し上げます。

 昨年十二月の就任後、二カ月余りでございますが、法務行政が抱える諸課題は、かつてと比べると質量とも飛躍的に大きくなっており、二十一世紀という我が国社会の大きな変革期の始まりが法務行政にとっても大きな変革期であることを実感しております。

 今、急激に変化していく時代の要請を踏まえつつ、法秩序の維持と国民の権利の保全を通して国民生活の安定、向上を図るという法務行政の基本的使命をよりよく果たすため、従来の制度や方式にとらわれることなく、幅広い視点に立って必要な改革を進め、国民の期待にこたえられる法務行政の実現を目指して全力を尽くしてまいる決意を新たにしている次第であります。

 私は、現在、法務行政の抱える多くの新しい課題の中でも特に重要なものは、司法制度改革、経済構造改革に関連する民事・刑事基本法制の整備、人権擁護の推進の三つであり、さらに、出入国管理行政の充実強化も緊急に対処を要するところであろうと考えております。

 まず第一に、司法制度改革について申し上げます。

 司法は、近代国家の基本である法の支配を現実のものとする役割を担う、国民生活にとって極めて重要な基盤となるべきものでありますが、この二十一世紀の我が国社会においては、透明なルールと自己責任に貫かれた事後監視・救済型社会への転換が加速する中で、これを支える司法の役割がより一層重要なものとなると考えられ、政府全体として、行政改革等の諸改革の推進とあわせて、司法機能の質的、量的な充実強化を図るための司法制度改革を推進することが急務であります。

 本年七月には、司法制度改革審議会の最終意見が予定されておりますが、私は、ことしを司法改革元年と位置づけ、司法制度を所管する法務省の責任者として、国民的議論の動向を踏まえつつ、司法制度改革に本格的かつ真剣に取り組んでまいりたいと考えております。

 なお、今国会においては、これに関係するものとして、裁判所の人的体制の充実を図るため、判事等の増加を内容とする裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を本月十六日に提出したところであります。また、国民の多様な法的ニーズにより迅速的確にこたえるため、弁護士事務所の法人化を可能とするための法律案を提出する予定としております。何とぞ速やかに成立させていただきたいと考えております。

 第二は、経済構造改革に関連する民事、刑事の基本法制の集中的整備についてであります。

 二十一世紀という大変革と大競争時代にあって、さきに申し上げたとおり、我が国が、事後監視・救済型社会への転換、経済構造改革の推進等を図ることにより、自由かつ公正な経済社会を構築し、国際競争に勝ち抜いて大いなる発展を遂げていくためには、時代に即応した経済活動を支えるにふさわしく、かつ、国民にわかりやすいものとするための民事、刑事の基本法制の集中的整備を早急に行うことが不可欠であります。

 そのため、法務省においては、昨年十一月から、平成十七年までを目途に特別な体制を整えて、全力を挙げてこれに取り組んでいるところでありますが、私といたしましても、その一層の体制の充実を図り、断固たる決意でこれを推し進めてまいる所存でございます。

 まず、民事法の分野では、株主総会のIT化や、ストックオプション制度、株主総会と取締役会の権限配分、純資産額規制及び出資単位規制の見直しを含む株式会社法制の抜本的見直しを行うべく検討を進めるほか、民法における契約法制や担保法制、いわゆる建物区分所有法などを現代社会に一層適合させるよう所要の法整備を行うとともに、破産法等の倒産法制について全面的な見直しを行い、さらに、民法、商法について平仮名・口語体とする作業を進めたいと考えております。

 また、刑事法の分野では、クレジットカード等の支払い用カードを不正作出し、あるいは電磁的記録の情報を不正取得するなどして悪用する事件が多発している現状にかんがみ、支払い用カードに対する社会的信頼を確保するため、今国会において、こうした行為に対する罰則の整備を行うべく、刑法の一部を改正する法律案を提出いたします。IT革命の推進に資するための法整備の一環であり、速やかに成立させていただくようお願い申し上げます。

 このほか、倒産犯罪や民事執行・民事保全の妨害に関する犯罪等を含む経済関係犯罪に対する罰則の整備、コンピューターネットワークに関する捜査手続の整備、ハイテク犯罪に対する罰則の整備等についても鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

 第三は、人権擁護の推進についてであります。

 人権の世紀と呼ばれる二十一世紀を迎え、真に国民一人一人の人権が尊重される社会を実現するためには、従来にない新しい視点に立ちつつ、人権擁護行政のより一層の充実強化を図っていく必要があるものと考えております。

 私といたしましては、既にいただいている人権擁護推進審議会の答申及びさきの臨時国会で成立いたしました人権教育及び人権啓発の推進に関する法律にのっとり、人権啓発を推し進めてまいりますとともに、現在、人権擁護推進審議会において行われている人権救済制度のあり方についての調査審議の結果等を踏まえ、政府全体として、二十一世紀という新たな時代にふさわしい人権救済制度の確立のための施策の実現を着実に図ってまいりたいと考えております。

 第四は、出入国管理行政の充実強化についてであります。

 近年の我が国においては、国際化の著しい進展等を背景として、年間の出入国者の総数は約四千六百万人に達しており、その迅速かつ厳正な出入国審査を行い、IT等の専門的技術を有する外国人の受け入れについて検討するとともに、約二十八万人と推定される不法滞在者対策を強力に推進することが、政府全体の喫緊の最重要課題の一つとなっており、これらをつかさどる出入国管理行政の果たすべき役割はますます重要なものとなっております。

 殊に、これらの不法滞在者は、そのほとんどが不法就労活動に従事しているものと推定され、これらの者の一部による凶悪犯罪や組織犯罪も増加するなど、我が国社会にさまざまな悪影響を及ぼしている実情にあり、厳正な入国審査に努めて不法入国者の上陸を阻止するとともに、関係府省との密接な連携のもとに、不法滞在者の積極的かつ効果的な摘発を推進し、その着実な減少を図る必要があります。

 私としては、このような現状にかんがみ、各般の御理解を得て、可能な限り出入国管理行政に携わる人的・組織的体制の拡充に努めるとともに、より一層の創意工夫を重ねてこれらの課題に適切に対処してまいりたいと考えております。

 以上が緊急に取り組むべき当面の重要課題でありますが、法務行政の基本的使命に治安の確保及び法秩序の維持があることは改めて申し上げるまでもなく、その重要性は一層増しているところであります。

 我が国は、これまで主要先進国の中にあっては比較的良好な治安を享受してきましたが、最近における犯罪情勢を見ますと、刑法犯の認知件数が増加傾向にあるだけでなく、被害者が多数に及ぶ凶悪殺傷事犯、悪質巧妙な強窃盗や路上犯罪等が頻発するなど、法秩序維持に対する国民の信頼を揺るがしかねない状況が続いております。私は、このような犯罪情勢を的確に把握しつつ、変動する時代の要請にこたえ得る検察体制の一層の充実を図り、各種犯罪に厳正に対処し、国民が安心して暮らせる安全な社会の確保に努めてまいりたいと考えております。

 とりわけ組織的犯罪は、国民の平穏な生活に極めて重大な脅威を及ぼすものであり、国際的にもその撲滅のための対策が強く要請されておりますので、このような情勢を踏まえ、いわゆる組織的犯罪対策三法等の適正かつ効果的な運用を図り、また、昨年十二月に我が国が署名を行った国際組織犯罪条約の批准に向けた検討を行い、犯罪に対する国際社会の取り組みに引き続き貢献してまいりたいと考えております。

 また、近時、酒酔い運転等を伴う悪質重大な業務上過失致死傷事件が後を絶たず、被害者やその遺族の方を中心に、その量刑や法定刑についてさまざまな指摘がなされていること等にかんがみまして、刑法改正等の検討を含め、交通関係事犯の刑のあり方について検討を進めていく所存でございます。

 さらに、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づき、三年間の観察処分に付されているオウム真理教につきましては、同教団が依然として麻原彰晃こと松本智津夫を絶対者とする教義を維持しつつ活発に活動を展開していることにかんがみ、今後とも、公安調査庁において、観察処分に基づく調査を進め、同教団の活動状況を継続して明らかにするとともに、適切に関係地方公共団体に調査結果を提供するなどして、公共の安全の確保に寄与してまいりたいと考えております。

 以上のほか、今国会においては、民事訴訟における公文書の提出範囲に関する規定の整備を行うための民事訴訟法の一部を改正する法律案、公益も営利も目的としない中間的な団体に法人格を取得する道を開くための法律案などを提出いたします。何とぞ速やかに成立させていただきたいと考えております。

 また、当面の大きな課題として、外国人受刑者の円滑な社会復帰等を目的とする受刑者移送制度の実施に必要な国内法整備、犯罪者の適切な処遇のための矯正・保護行政の充実強化、電子認証制度の運用などIT社会のための施策の推進、国等が関与する訴訟の迅速化及び情報公開法の施行に伴う関係訴訟への対応を含めた訟務事務の強化などが山積しております。

 もとより、行政改革を初めとする諸改革が推進される中で、情報技術を駆使した事務の効率化を行うべきことは当然でありますが、法務行政を進める上で最後によるべきところは人でありますので、私としては、各種業務における人的体制の充実にとりわけ力を注ぎ、体制を整えて適切にこれらの課題に対処し、国民にとって実り多き二十一世紀となるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 最後に、一言申し添えます。

 現在、福岡地方検察庁次席検事から脅迫事件の被疑者の夫に対し、捜査に関する情報が伝えられたことについて報道されております。

 本件につきましては、本件脅迫事件の捜査とは別に、最高検察庁において厳正な調査及び国家公務員法違反についての捜査を行っているところでありますが、仮にも、法曹関係者の間での特別な関係による不公平な扱いがあるとの疑いを国民に抱かせるようなことがあるとすれば、長年にわたって司法が積み上げてきた信頼がこれにより損なわれかねないものと深く憂慮しており、調査及び捜査の結果を踏まえ、所要の措置をとってまいりたいと考えております。

 この課題の多い時期に当たり、委員長を初め委員の皆様の一層の御理解と御指導を賜りまして、法務大臣としての重責を果たしていくことが私の使命であると考えております。長勢副大臣、大野大臣政務官とともに全力を尽くす所存でございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

保利委員長 なお、平成十三年度法務省関係予算及び平成十三年度裁判所関係予算につきましては、お手元に配付いたしております関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承をお願いいたします。

 次に、長勢法務副大臣及び大野法務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。長勢法務副大臣。

長勢副大臣 このたび法務副大臣に就任いたしました長勢甚遠でございます。

 内外に重要な問題が山積しておりますこの時期に法務行政を担当することとなり、その職責の重大さを痛感しております。

 急激な社会変革の時代にあって、国民のニーズに的確にこたえ、社会が直面する種々の困難な問題を迅速かつ的確に解決するために、高村法務大臣を補佐して、国民にわかりやすい法務行政を実現し、国民の期待と負託にこたえてまいりたいと考えております。

 委員長を初め委員の皆様方からより一層の御指導、御支援を賜りまして、重責を果たしてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

保利委員長 次に、大野法務大臣政務官。

大野(つ)大臣政務官 このたび法務大臣政務官に就任いたしました大野つや子でございます。

 時局柄大任でございますが、高村法務大臣、長勢法務副大臣のもとに、よき補佐役として、時代の要請にかなった法務行政の推進のため、誠心誠意努力してまいりたいと考えております。

 委員長を初め委員の皆様方の御指導、御支援をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

保利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十三分散会




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