衆議院

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第6号 平成13年3月21日(水曜日)

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平成十三年三月二十一日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 保利 耕輔君

   理事 奥谷  通君 理事 塩崎 恭久君

   理事 杉浦 正健君 理事 田村 憲久君

   理事 佐々木秀典君 理事 野田 佳彦君

   理事 漆原 良夫君 理事 西村 眞悟君

      荒井 広幸君    太田 誠一君

      熊代 昭彦君    左藤  章君

      新藤 義孝君    鈴木 恒夫君

      棚橋 泰文君    谷川 和穗君

      松宮  勲君    山本 明彦君

      横内 正明君    吉野 正芳君

      渡辺 喜美君    平岡 秀夫君

      前田 雄吉君    水島 広子君

      山内  功君    山花 郁夫君

      上田  勇君    藤井 裕久君

      木島日出夫君    瀬古由起子君

      植田 至紀君    保坂 展人君

      徳田 虎雄君

    …………………………………

   法務大臣         高村 正彦君

   法務副大臣        長勢 甚遠君

   外務副大臣        荒木 清寛君

   最高裁判所事務総長    堀籠 幸男君

   最高裁判所事務総局人事局

   長            金築 誠志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   石川 重明君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    五十嵐忠行君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   但木 敬一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制

   部長)          房村 精一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   法務委員会専門員     井上 隆久君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十一日

 辞任         補欠選任

  日野 市朗君     前田 雄吉君

  不破 哲三君     瀬古由起子君

  植田 至紀君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  前田 雄吉君     日野 市朗君

  瀬古由起子君     不破 哲三君

  保坂 展人君     植田 至紀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政に関する件(福岡地方検察庁前次席検事による捜査情報漏えい問題等)




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     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政に関する件、特に福岡地方検察庁前次席検事による捜査情報漏えい問題等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官柴田雅人君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁刑事局長五十嵐忠行君、法務省大臣官房長但木敬一君、法務省大臣官房司法法制部長房村精一君及び法務省刑事局長古田佑紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所堀籠事務総長及び金築人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 この際、法務大臣及び最高裁判所事務総長から、それぞれ報告を聴取いたします。まず、高村法務大臣。

高村国務大臣 福岡地方検察庁前次席検事山下永壽による捜査情報漏えい問題につきましては、法曹関係者の間での特別な関係による不公平な取り扱いがあるとの疑いを国民に抱かせるに至り、その信頼を回復するためには真相を徹底して解明することが不可欠であるとの認識に立って、最高検察庁において厳正な捜査及び調査が行われたところでありますが、去る三月九日、同庁から調査結果の報告を受け、関係者に対する処分等を決しましたので、ここに御報告申し上げます。

 最高検察庁の報告によると、平成十二年十二月二十八日、山下前次席検事は、脅迫事件の被疑者の夫である福岡高等裁判所判事に対し、被疑者がストーカー行為で告訴されていること及び同事件の被害者の連絡先や犯行に使用された携帯電話の番号など、捜査情報の一部を告知したことが判明しております。

 山下前次席検事による情報告知の目的は、被疑者の夫に捜査に対する協力を求め、早期かつ可能な限り関係者の名誉等が害されない妥当な事件処理を目指したものであるという報告を受けておりますが、被害者の方の実情を含む事件の全体像を把握していない段階で、罪証隠滅防止のための適切な措置を欠いた極めて独善的かつ軽率な行為であり、山下前次席検事の行為は、被害者の方に多大の御迷惑をおかけするとともに、検察と裁判所が癒着しているのではないかとの国民の疑惑や不信を招き、司法に対する信頼を著しく失墜させたものであると言わざるを得ず、また、組織の長である検事正が、事前事後にわたり報告を受けていたにもかかわらず、適切な措置がとられなかったことなど、山下前次席検事個人の問題にとどまらず、検察全体の問題でもあると認識しており、検察に関することを所管する法務大臣としても極めて遺憾であり、深くおわびを申し上げます。

 今回の事件を契機として、国民から検察官に対し、市民感覚からずれて独善に陥っているのではないか、被害者の心情に対する理解が十分でない、警察等の捜査関係機関に対する理解が十分でない等の厳しい批判がなされております。

 国民の検察に対する信頼を回復するためには、これらの批判を真摯かつ謙虚に受けとめ、検察官の意識改革を図る必要があると考え、三月九日、関係部局に対し、検事を一定期間市民感覚を学ぶことができる場所で執務させることを含む人事・教育制度の抜本的見直しを検討すること、幹部を含む検察官が犯罪被害者の心情や捜査現場の第一線で汗を流している警察官の活動等に対する理解を深めるための具体的方策を検討すること、部内研修等の充実強化を通じて、検察官が独善に陥ることを防止するとともに、検察官としての基本的あり方についての教育を徹底することを命じたところであります。

 また、今回の事件に関連して、検事と裁判官の関係のあり方が問われておりますが、法務省においても、当省への出向者が裁判官に偏っている現状を改め、裁判官以外からも広く人材を受け入れるための方策を検討してまいりたいと考えております。

 さらに、公訴権の行使や検察運営に関し民意を反映させることは、検察が独善に陥ることを防ぐとともに、検察に対する国民の理解と信頼を得る上で大きな意義があり、具体的には、検察審査会の一定の議決に法的拘束力を与えること、検察審査会が検察事務の改善に関し検事正に対して行う建議、勧告の制度を充実・実質化することなどの制度改革が重要であると考えております。

 なお、この問題は、現在、司法制度改革審議会において国民の司法参加という論点で議論されているところでありますので、法務省としても、こうした意見を三月十三日に開催された第五十一回審議会において積極的に提言したところであり、最終報告において改革の具体的な方向性が示されたときには、その実現に向けて所要の措置をとってまいりたいと考えております。

 職員の処分とこれに関連する人事異動等について申し上げます。

 最高検察庁においては、山下前次席検事等に対する国家公務員法違反等による告発事件につき、所要の捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑が十分でないものと認め、三月九日、不起訴処分に付したものと承知をしております。

 しかし、山下前次席検事は、極めて独善的かつ軽率な行為により国民の疑惑や不信を招いたばかりでなく、その後も自己の誤った行為を反省することなく、記者会見において自己の行為を殊さら正当化するような発言を行って、国民の疑惑や不信を増幅させました。同人の行為は、他人の非違をただすことを職務とする検察官としてあるまじきものであるものと認め、これらの点を考慮の上、懲戒処分として六月間の停職処分としました。

 次に、山下前次席検事の直属の上司である福岡地方検察庁検事正渡部尚については、情報告知を行う前後にわたって山下前次席検事から報告を受けていたにもかかわらず、いずれの機会にも適切な指示を行わなかったことが明らかになりましたことから、検事正としての職務上の義務を怠ったものと認め、渡部検事正については、懲戒処分として一月間俸給の月額の百分の十の減給処分としました。

 福岡高等検察庁検事長豊嶋秀直及び同庁次席検事佐竹靖幸については、渡部検事正及び山下前次席検事に対する指揮監督が万全でなかったと認め、監督上の措置として、検事総長から厳重注意処分としました。

 なお、渡部検事正は三月九日付、山下前次席検事については同月十日付をもって辞職しております。

 また、豊嶋検事長からは、管内検察庁に対して今回の事実関係を説明した上、必要な指導をすること、関係機関との間で今後の協力体制のあり方について協議することなど、所要の事後処理を行った上で早期に職を辞したいとの申し出があったので、その意向を尊重することとしたいと考えております。

 佐竹高検次席検事についても、福岡高等検察庁、福岡地方検察庁の幹部の体制を一新するため、最高検察庁に異動させる予定であります。

 以上であります。

保利委員長 次に、堀籠最高裁判所事務総長。

堀籠最高裁判所長官代理者 平成十三年三月十四日の最高裁判所裁判官会議において、いわゆる福岡の問題につき、最高裁判所調査委員会による調査結果の報告がされ、了承されました。

 このたび、衆議院法務委員会において、この問題について集中審議がされることになりましたが、その審議に先立ちまして、調査委員会の委員長を務めた私から、まず、調査結果の概要について説明させていただきたいと思います。

 調査報告の結論は、報告書の冒頭に掲げた三点にまとめられております。これを読み上げますと、

 一 古川龍一判事の妻古川園子を被疑者として、福岡簡易裁判所に対し、平成十二年十二月十三日、十二月二十二日、平成十三年一月九日、一月二十九日、一月三十一日の五回にわたって各種の令状請求があり、各回について裁判所部内で令状請求関係書類のコピーが取られたが、令状請求のあった事実を含めてこれらの書類の内容が古川判事に漏洩した事実はない。

 二 司法行政上の目的から、本件令状請求に伴い裁判所部内で伝達された情報が許容される必要最小限度を超えていた点に問題があり、さらに令状請求関係書類のコピーを取って伝達したことは、不適切であったといわざるを得ない。

  これらの問題点については、司法行政上速やかに再発防止策を講じなければならない。

 三 古川判事が、妻古川園子の刑事事件に関する証拠を隠滅したと認めるに足りる証拠はない。

というものであります。

 本件の令状請求関係書類のコピーの問題に関連して、裁判部門から司法行政部門への情報伝達のあり方について、調査委員会でまとめました意見を若干御説明いたします。

 裁判部門は独立してその職権を行使するものですから、裁判部門の情報は原則として当該部門内にとどめられるべきものであり、みだりに司法行政部門に開示することは、裁判の公正を確保する見地から許されないものと考えます。しかし、同時に、司法行政部門は、裁判が適正迅速に行われるよう、これを支援するためにあるものですから、このような目的を達するために合理的な必要がある限りにおいては、裁判部門から司法行政部門に対して情報を伝達することも許されると解すべきであります。この場合においても、令状請求事件については捜査の密行性の要請がとりわけ強いことなどから、このような情報提供が許されるのは例外的な場合に限られるものと考えます。

 司法行政上の措置を必要とする場合として通常想定されるのは、1当該令状請求事件の裁判を担当する裁判官を初めとする裁判関係者や、宿舎、庁舎の警備が必要となる場合、2忌避、回避の問題を生じて、裁判官の配置を変更したり、担当事務に変更を加えることを考えなければならないときなど、当該事件の裁判の公正性、適正性に対する信頼を確保するために必要な場合、3極めて例外的であるが、裁判官本人及び裁判官の妻子が犯罪の被疑者として捜査の対象となっているときのように、公正な裁判の遂行に対する差し迫った障害があり、当該裁判官がそのまま裁判事務を続けることが相当かどうかを検討しなければならない場合などがあります。このような場合、司法行政部門が司法行政上の手段をとる前提として、裁判部門から司法行政部門に情報が伝えられる必要があり、必要最小限の範囲でそれが許容されるものと考えられます。

 なお、後に説明いたします本件に関する分限裁判におきまして、最高裁判所大法廷は、本件の事実関係のもとにおいては、司法行政上とるべき措置を検討する目的で、令状の請求及び発付があった事実、被疑者名、被疑者が福岡高等裁判所判事の妻である事実、被疑事実の概要等を報告すること自体は許容されるものであると判示しております。これは、十五人の裁判官全員一致の意見であります。

 調査委員会は、本件では、調査の結果、令状請求に伴い裁判所部内で伝達された情報が許容される必要最小限度を超え、さらに令状請求関係書類のコピーをとって伝達したことが不適切であったといたしました。先ほどの大法廷決定でも、この点が指摘されました。

 そこで、今後に向けて再発防止策を立てることが重要であると考えます。本件において結果的に不適切な処理がされたことについて考えてみた場合、本件が裁判官の妻を被疑者として令状請求されたという希有な事態であったとはいえ、よるべき準則もなく、日ごろの職員の指導にも本件のような事態に対処できるだけのものが欠けていたことが原因の一つとして考えられます。この点は率直に反省しなければならないと思います。

 早急に検討すべき再発防止策は、令状請求があった場合において、それに関する司法行政部門に伝達する際の取り扱いについての準則を定めることであります。調査委員会は、裁判部門から司法行政部門への情報伝達のあり方を検討しており、これを参酌して可能な限り限定的で明確な準則を設けるのが相当であるとの提言をしているところであります。どのような形で準則をつくるかにつき、関係部局において直ちに検討に入ることといたします。なお、この準則を定めるに当たっては、捜査機関との協議も必要であろうと思われます。

 次に、関係者の処分について御説明いたします。

 調査結果報告が了承されたことを受けて、関係者の処分の手続が進んでおります。まず、最高裁事務総長の権限に係るものとして、コピーに直接かかわった渡辺福岡地裁首席書記官と松元福岡地裁事務局長に対し、三月十四日、いずれも懲戒処分として戒告いたしました。また、同日、福岡高裁の青山長官、土肥事務局長、福岡地裁の小長光所長及び古川判事に対し、福岡高裁が裁判官分限法に基づく懲戒の申し立てをすることが決定され、このうち福岡高裁の青山長官及び土肥事務局長については最高裁の大法廷において、福岡地裁の小長光所長については福岡高裁において、それぞれ三月十六日、戒告の決定がされ、即日確定いたしました。古川判事については、最高裁の大法廷で審理中であります。

 捜査ないし調査によって、裁判所からの捜査情報の漏えいはなく、古川判事においても証拠隠滅の事実が認められないという結論が出ましたが、この間の一連の出来事により、国民からさまざまな疑惑の目を向けられてもやむを得ない結果となったことはまことに遺憾であり、裁判所としては、このたびの件を重い教訓として受けとめ、平素の検察庁や検察官との関係においても厳正に襟を正していくべきものと考えております。これから司法の信頼回復に向けて努力してまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

保利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥谷通君。

奥谷委員 自民党の奥谷通でございます。

 私たちは待望の二十一世紀を迎えることができました。二十世紀末は、世紀末不安というようなことから、考えられないような事件、事故が多発したわけでありますけれども、二十一世紀は輝く希望の年を迎えたというような思いであったわけでございますけれども、あに図らんや、次々と不祥事に見舞われておるわけでございます。まずは立法をつかさどる立法府においては議員二人が逮捕されるというようなKSD事件、次いで行政府においては外務省職員による官房機密費の流用事件で容疑者が逮捕されました。今回の福岡事件では、国をつかさどる立法、行政、司法の三権のすべて、司法までが国民の信頼を裏切ることになりまして、まことに嘆かわしい、恥ずかしい思いでいっぱいでございます。福岡問題においては、国家と同等の大きな、独立した権力を持つ裁判官やあるいは検事のかかわる事件で、国の根幹を揺るがしたと思われます。

 法曹界は特に世間とのかかわりが薄く、判事、検事、弁護士になるためには司法試験に合格しなくてはなりません。自分の身の回りを見回しましても、こういった司法試験に合格するという人はそうめったにいらっしゃるわけじゃなくて、そういった方が勉強に勉強を重ねて、そしてやっと合格できるというような、国家試験の中でも一番難しい難関と言われておる分野でございます。優秀過ぎるというか、そういう感覚があるだけに、我々とは少しかけ離れた存在でありまして、少しはやっかみもあるんでしょうけれども、本当に我々の気持ちや世間の常識というものを理解してくれるんだろうか、そのような素朴な思いというものがあると思います。すなわち、多様な社会経験についての弱点があるんではないだろうか。それは、今度の司法制度改革審議会でも議論のあるところでございますけれども、まず第一点に、国民の司法界に対するイメージについて伺いたいと思います。

 弁護士においては一般国民も日常生活において接する機会が多いわけでありますけれども、特に判事、検事については、余りそういった機会はございません。そういった判事、検事に対して国民はどのような感覚を持っていると思われるか、お聞きしたいと思います。

長勢副大臣 一般的に申し上げまして、判事は、法と良心に従い、中立公平な第三者として裁判に当たっておられるわけでありますし、検事は、公益の代表者として、厳正公平を旨として、事案の真相を解明して、事案の内容に応じて適切な処理を行っておる、こういう職務を果たしてきておるわけでございます。

 法治国家において社会生活の最後のとりでというべき司法、検察でございますが、それだけに一般社会とは、今御質問ありましたように、若干交流が少ないという面もあります。そういうことから、難しいとか、融通がきかないとか、かたいとかという表現もありますけれども、それは裏返して言えば、最後のとりでとして、法の番人として厳正中立に職務を行っていただいておるという評価のあらわれでもあろうかと思いますし、また、最も信頼すべき人たちとして評価もいただいておるものと思っております。

奥谷委員 そのような土壌の中で、今回、福岡の簡易裁判所で起こった令状請求関係書類のコピーの問題、それからまた捜査情報漏えい事件の問題でございますけれども、これについてはたびたび法務大臣やあるいは最高裁の方からもコメントが出ておるわけでありますけれども、慎重には慎重を重ねる意味においても、再度、こういった問題の処理が国民の不信やあるいは疑念を晴らしたとお思いかどうか、お伺いしたいと思います。

長勢副大臣 今回の福岡地検、福岡地裁等におきます捜査情報の漏えい問題というものが検察、司法についての国民の信頼を大変大きく傷つけることになったということは、大変深刻な事態であると受けとめております。

 法務省におきましては、検察について、特に最高検をもって最大級の調査体制もしいて厳正に調査をいたしました。それに基づきまして関係者の異例ともいうべき処分も行い、また、それに基づいて辞職をなさるという形も出たわけでございますから、今とり得ることをそれなりに、厳正にやったというつもりでおりますけれども、このことだけで国民の皆さんの不信を払拭できたということにはなかなかならないだろうというふうに考えております。つまり、今回の事件は、単に個人的な問題というにとどまらず、検察全体のあり方の問題でもあるというふうに認識しておるわけでございまして、検察官の意識改革のための具体的な方策を進めていかなければならないと思っております。

 検察が独善に陥ることのないように、公訴権の行使や検察運営に民意を反映させる検察審査会制度の改革に向けて所要の措置をとるなど、一層の再発防止策に取り組んで、何としてでも国民の皆さん方の信頼を一日でも早く回復したい、こういう思いでおります。よろしくお願いいたしたいと思います。

奥谷委員 そこで、その調査結果と新聞報道においてたびたび食い違いが出てきておるわけでございます。これは、多くの事件でも、新聞の報道が少し行き過ぎた感じがあって、その後に、調査したところそのような事実がなかったとかいうような、ちょっと後退したような感覚がありまして、国民は、どっちかというと新聞を多くの方が読みますから、新聞報道をまず頭に入れてしまう。それからいろいろな当局の調査結果が出されても、それは何か難しい言葉が羅列してありましてなかなか頭に入らないのと同時に、どっちかというと新聞報道よりは後退した調査結果が多いわけでございます。

 例えば、今回、古川判事または園子夫人によってパソコンのデータ等が消去されたとか、このような報道が新聞ではあったわけですが、調査ではそのような事実はなかったというようなことで不問に付す。そういうようなことになりますと、ますます国民の裁判所あるいは法務省に対しての信頼関係というものに隔たりというものができていくと思うわけでございますけれども、こういったときに、新聞に対しての訂正とかあるいは何らかの対処というのはなされたんでしょうか。

古田政府参考人 ただいまのお尋ねでございますが、御指摘のような、ハードディスクのデータあるいはその他のパソコンデータの消去などの報道もあったわけでございます。

 私どもといたしましては、非常にさまざまな報道がなされましたことから、それについて、その主なものについてできるだけ個別にお答えをする、調査結果を明らかにするという観点から、調査報告書を作成いたしまして、この調査報告を新聞あるいはその他のマスコミ関係者にもお配りして私どもとしての調査結果というのを明らかにする。そういうことによってそれぞれ報道機関がどういうふうにお考えになるか、これはまた別問題ですけれども、そういうことでできるだけ、私どもとしてはいろいろな問題について疑念とされているところをお答えしたという措置をとってまいったわけです。

 なお、ただいま御指摘のパソコンデータの消去等については、一部の新聞には、これは誤りであったという訂正記事も出ていると承知しております。

金築最高裁判所長官代理者 最高裁の方の対応についてお答えいたします。

 最高裁といたしましては、調査委員会が本件に関して行いました調査の結果等を国会その他の場におきまして御説明することを通じまして報道機関にも広報いたしましたが、本件の事実関係について正確に国民の皆様方にお伝えするということが重要だと考えております。

奥谷委員 とかく新聞報道は、不確かな情報というか、その調査結果と違った報道でも、やはり売らんかなという姿勢で大々的に大きな活字でそういうものが躍るわけでありまして、逆に訂正記事というのは隅っこの方にちっちゃく載るというようなことで、我々も大変憤りを感じるときがあるわけなんですが、法曹界では特にそういったことが要求されると思いますし、また、その辺のめり張りをきちっとつけることが今後の信頼回復にもつながっていくことだと思いますので、そういうことには厳正に対処していただきたいと思うわけでございます。

 それから、憲法十四条で、すべての国民は法のもとで平等であるというようなことが掲げてあります。今回の事件では特に、身内に甘いのではというような部分が払拭できません。私も、地元へ帰りまして、できる限り知り得る弁護士とこの事件についていろいろと意見交換をしたわけでございますけれども、その中で、ずっと一連の流れの中で一番どこが問題かというようなことを聞きましたら、判事と検事がなれ合っているんじゃないかと国民が思うことがやはり一番の問題点であろう、ここがポイントであろうというようなことを言われました。

 今回も判検交流とかいうようなことも出ておりますけれども、例えば判検交流、あるいは親戚、地縁、あるいは同窓、各種団体へのいわゆる帰属意識、また、同じ官舎あるいは夫婦、こういった関係をどのように把握して、どのように対処されておるかということをお伺いしたいと思います。

金築最高裁判所長官代理者 裁判官やその家族の状況などに関する情報につきましては、毎年一回、各裁判官から第二カードというものを作成、提出してもらっております。これは主として異動計画の立案に使用されるものでございますけれども、その中で家族の状況等についても書かれております。これは、裁判官が異動に際して考慮してほしいと考える事情を自主的に記載するものでございまして、家族状況などに関する情報ということでは、このカードの情報が大半を占めております。

 そのほかにも、裁判官本人に関しましては、病気で執務を長期間欠けるような事情が発生した場合などは随時情報が報告されてまいりますけれども、ただ、お尋ねのように、検事との関係とか、裁判官の地縁、同窓関係、各種団体への帰属といった情報につきましては、司法行政部門としては、本籍とか出身校などはわかる場合もございますけれども、それ以上逐一報告を求めているということではございません。

古田政府参考人 ただいまのお尋ねに関しまして、検察官につきまして御説明申し上げますと、御指摘のとおり、検察官の職務は厳正かつ公正でなければならない、それは当然でございますので、そういうような問題が生じ得る可能性、特に夫婦関係でありますとかそういう基本的な事柄につきましてはこれを把握して、御指摘のような疑念などが持たれないような人事配置等をしているところでございます。

奥谷委員 普通の社会では、地縁とか血縁とかあるいは同窓とか、こういった感情というのは非常に大事にするということが人間社会を生くときに一つ非常に重要になってくるわけですけれども、逆にこの世界では、そういった意味では非人間的なものを要求されるわけでございまして、そういう意味でも、普通よりももっともっと高いその良識というものが求められるんであろうと思います。

 次に、今回の処分で分限裁判という余り今まで聞きなれない言葉を聞いたわけであります。職務の独立性を保つために憲法で身分が保障されている裁判官がこの裁判にかけられること自体が司法に対する国民の信頼に大きな影を投げかけているわけですが、その割にはこの処分が、例えば戒告または一万円以下の過料というようなことになっておりますが、これでは何か軽過ぎるように思うわけでありますけれども、いかなる理由によるものなのか、御説明をいただきたいと思います。

房村政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、裁判官につきましては、憲法上身分保障がございますので、懲戒処分に関しても通常の国家公務員とは異なる扱いがなされております。

 国家公務員の懲戒処分としては、免職、停職、減給、戒告という四種類の処分が定められておりますが、裁判官につきましては、憲法上、その身分を失わせる罷免は公の裁判、弾劾裁判によるということが定められております。したがいまして、免職に相当するものとしては弾劾裁判の制度が設けられているわけでございます。

 一方、懲戒処分につきましては、裁判官分限法によりまして、ただいま御指摘のように戒告または過料という処分になっておりまして、通常の公務員の場合の停職、減給というものに相当する処分が懲戒処分としては定められておりません。

 この理由につきましては、停職と申しますのは、実質上、一定期間罷免をするのと同じことになるというようなことから、これを懲戒処分として行うことは憲法の精神に反するのではないか、また、減給につきましては、憲法上、裁判官の報酬につきましては在任中減額をすることができないと明文で定められておりますので、俸給を減額するこの減給の処分は憲法上やはり許されないのではないか、このような考量から、懲戒処分の種類としては戒告と過料に限られたものと理解しております。

奥谷委員 わかりました。

 次に、コピーの問題に移りたいと思います。

 憲法七十六条「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」とあります。今回のコピー問題につきましては、明確なルールがなかったにもかかわらず処分が決定をいたしておりますが、これはどういうような手続あるいは理由によるものなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

金築最高裁判所長官代理者 委員御指摘のように、令状請求があった場合に、これに関する情報を司法行政部門に伝達する際の取り扱いにつきましての準則は今までなかったわけでございますが、福岡地裁の首席書記官と福岡地裁事務局長につきましては、令状関係書類のコピーをとって情報を伝達するといった行為は本件における司法行政上の目的から許容される必要最小限度を超えた不適切なものであり、その結果、裁判所の信用を著しく失墜させるという重大な結果を生じさせたという理由によって、裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員法八十二条一項一号によりまして、最高裁事務総長の権限で懲戒処分として戒告をしたわけでございます。

 それから、青山福岡高裁長官、土肥福岡高裁事務局長及び小長光福岡地裁所長につきましては、福岡高裁が分限裁判の申し立てを行いまして、その結果、最高裁大法廷におきまして、青山長官については、青山長官は福岡高裁長官として高裁事務局長を監督し、高裁の司法行政事務を統括するなどの職責を持っているところ、職員の行為の結果、国民から裁判所職員が捜査情報を漏らしたのではないかという疑惑を抱かれる事態を招き、司法に対する国民の信頼が著しく傷つけられたものである。これによれば、被申立人は、これは青山長官のことですが、職員の指導監督において職務の遂行に欠けるところがあったというふうにいたしました。

 また、土肥事務局長については、同じく福岡高裁の事務局長として福岡地裁から司法行政上の報告を受けて必要な措置をとる職責があるところ、令状関係書類のコピーを漫然と受領していたものである。これによれば、土肥事務局長は、福岡地裁職員による事務処理の不適切さを認識して、地裁の事務局長に対してその問題性を指摘するとともに、これを是正すべく福岡高裁の監督権が発動されるように適切な措置をとるべきだったのに、これを怠ったものと言わざるを得ない。その結果、国民から裁判所職員が捜査情報を漏らしたのではないかという疑念を抱かれる事態を招き、司法に対する国民の信頼が著しく傷つけられたものであるというふうにいたしまして、それぞれ、裁判官分限法二条によって戒告されました。

 さらに、小長光所長につきましては、福岡高裁におきまして、小長光所長は、司法行政の担当者として適正な令状発付手続が行われるように裁判部門を支援するよう努め、この見地から職員の指導監督をすべきであったが、これを怠って、結果として裁判所の執務に対するあり方についての国民の強い批判を集め、司法に対する国民の信頼を傷つけたということで、同じく裁判官分限法二条によって戒告されたところでございます。

奥谷委員 IT時代に入りまして、情報管理というのがますます重要になってくると思います。今回の事件についても司法行政部門間の情報管理のあり方というものが問題になったところでございまして、今後、裁判所としてどのような対応をするのか、お伺いしたいと思います。

金築最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、今回指摘された問題点を踏まえまして、早急に検討すべき再発防止策として、令状請求があった場合における司法行政部門に伝達する際の取り扱いについての準則を定める必要があると考えております。調査委員会も、裁判部門から司法行政部門への情報伝達のあり方を検討しておりまして、これを参酌して、可能な限り限定的で明確な準則を設けるのが相当であるとの提言をしているところでございます。

 どのような形で準則をつくるかにつきましては、関係部局において直ちに検討に入ることにいたしますし、また、準則を定めるに当たりましては、捜査機関との協議も必要であると考えております。

 委員御指摘のように、IT時代に入りまして、これからは情報管理が非常に重要な課題になってきておりますが、裁判部門におけるセキュリティーの問題につきましても遺漏なきように努めてまいりたいと考えております。

奥谷委員 そこで、法務大臣が、検事を一定期間市民感覚を学ぶことができる場所で執務させるというようなことを言われております。この市民感覚を学ぶというのは大変大事なことなんですが、これは具体的にはどのような場所を想定されておられるのか、教えていただきたいと思います。

長勢副大臣 検察官は法を厳正に執行するのが役割でございますが、その執行に当たって、一般社会と感覚的にずれておるというふうに思われたり、納得されないというようなことであってはならない。そういう意味で、市民感覚を身につけていく努力を不断に行っていかなければならない、このように思っております。そのために、いろいろな方法を考えていかなければならないわけでございますが、例えば弁護士事務所ですとかあるいは民間企業などで勤務をする期間を設けるといったようなことも一つの検討対象になろうかと思います。

 今後、関係機関の協力も求めながら、検察官の人事あるいは教育制度について、抜本的にどうしたらいいかということをさらに検討してまいりたいと思っております。

奥谷委員 司法への信頼回復のために、これから大変な努力を積み重ねていかなくてはならないと思うわけでございますけれども、今後どのように努力していかれるのか、その御決意を、法務副大臣と、最高裁の事務総長さんが来られておりますので、お二人からお伺いしたいと思います。

長勢副大臣 今回の事件で、司法、検察の信頼について疑念を生じたということはまことに深刻なことでございますし、信頼を取り返すということはなかなか大変なことであるということも認識をして、今後、国民の検察に対する信頼の回復のために全力を挙げていかなければならない。

 種々の批判があるわけでございます。ひとりよがりであるとか、なれ合っているのではないかとか、あるいは、独善に陥っているのではないかとか、市民感覚がないのではないかとか、たくさんの問題が指摘されておるわけでございますし、こういう問題について検察官の意識改革ということがまず一つであろうと思いますが、そのためにどういうことを考えていかなければならないか真剣に取り組んでまいりたいと思います。

 また、検察の公訴権の行使やあるいは検察の運営についても不信が持たれないように、民意が反映できるようにする仕組みというものも考えていかなければならないと思っておるわけでありまして、検察審査会制度の改革ということも大きな課題であると思っております。現在、司法制度改革審議会で審議をいただいておりますので、それらも踏まえまして所要の対策、措置を講じてまいりたいと思っております。

堀籠最高裁判所長官代理者 裁判所職員の国家公務員法違反につきましては、捜査当局により嫌疑不十分とされ、また、古川判事及び裁判所外への捜査情報の漏えいはなかったものと認められたわけでございますが、令状関係書類をコピーして報告したという不適切な行為によって裁判所の執務のあり方に強い批判を招いたことはまことに遺憾でありまして、深く反省するところでございます。

 裁判所といたしましては、まず、先ほどの調査結果の概要説明でお話しし、また、人事局長が答弁いたしましたように、再発防止策を早急に策定していくことを考えております。また、古川判事の行為につきましては、裁判所と検察庁との癒着が原因ではないか、証拠隠滅があったのではないかといった非難がされ、国民の司法に対する信頼が大きく損なわれる結果となりました。

 証拠隠滅の点につきましては、捜査機関による捜査の結果、嫌疑不十分とされたところでございますが、この問題が裁判官のあり方や組織としての裁判所と検察庁のあり方に投げかけた問題は重大かつ深刻でありまして、裁判所としてはこれを真摯に受けとめる必要があると考えております。

 公正廉潔は我が国司法がこれまで培ってきた伝統でありますが、今回の事件により、私たちは、これが伝統によって守られるのではなく、基本的には裁判官個人の自覚、すなわち倫理の問題であることを改めて確認し、高い職業倫理を保持するため、意識の覚せいが必要であることを肝に銘じ、裁判官の間で徹底していかなければならないと考えているところでございます。

奥谷委員 ありがとうございました。終わります。

保利委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原でございます。

 まず古川判事の件からお伺いしたいと思いますが、調査報告書によりますと、古川判事が証拠隠滅にかかわっていないというふうに判断されておりますが、それを判断された理由をお尋ねしたいと思います。

金築最高裁判所長官代理者 調査委員会の委員が古川判事から事情聴取をいたしましたが、その際、古川判事は証拠隠滅はしていないというふうに述べたわけでございます。その供述を検討しますと、特に不自然な点はなく、理解が可能な供述でありましたほか、その供述の一部は捜査機関によって公表されました捜査の結果で裏づけられておりました。そのようなことから、捜査機関の捜査結果と同様に、最高裁の調査委員会といたしましても、古川判事が証拠隠滅をしたと認めるに足りない、こういう判断をしたわけでございます。

漆原委員 今の御説明はほとんど御説明になっていないんじゃないのかな。もっと詳しく、どんな理由でかかわっていないと判断されたのか、その理由をお聞きしたいのであって、本人が、かかわっていない、していないと言うからしていないというのじゃ、これは理由にならない。どんなやりとりがあって、だから客観的にこれはしていないというふうに判断されたのか、その判断の内容を言っていただかないと、信頼したくても信頼できないと思いますが、いかがでしょうか。

金築最高裁判所長官代理者 供述の検討だけではなくて、捜査機関の捜査の結果その供述が裏づけられているという点も重要な点であったわけでございまして、供述が信頼性があるというふうに認めた理由につきましては、これは非常に具体的なことでございまして、報告書の十五ページ以下に供述を引用しまして、これが不自然な点がないとか理解可能であるということはおのずから、その事実、供述の内容を引用しながら、御理解いただけるように報告書を記載したつもりでございます。

漆原委員 報告書を読ませていただきました。確かにそうだろうなと思いながら読ませていただいたんですが、そこのところは供述書の内容そのままだというふうに理解をさせていただきたいと思います。

 続いて、この古川判事のどのような行為が裁判官に課せられる職業上の倫理に反するのか。今回は、証拠隠滅はないんだけれども、しかし裁判官に課せられる職業上の倫理に反するということで分限裁判、こうなるわけなんですが、どんな行為が職業上の倫理に反するというふうにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

金築最高裁判所長官代理者 お尋ねの点は、現在、古川判事に対する分限裁判の申し立てがされまして最高裁大法廷で裁判手続で審理中でございますので、事務当局からはお答えしにくいところがございますが、その分限裁判の申し立ての前に公表いたしました調査委員会の調査報告の見解を御説明いたしますと、これは調査報告書の二十三ページ以下に記載してあるところでございますが、古川判事は、御存じのように山下次席検事から妻に関する捜査情報を告知されて、事実関係を確認し、妻が事実を認めた場合には早急に示談等の措置をとるべきことを求められたわけであります。

 古川判事は、刑事裁判に携わる者として、山下次席検事の目的を十分理解していたと思われますが、妻に対して何度か事実の有無を問いただしたものの、否認を続けたことから、山下次席検事が告知した捜査情報も資料として、被疑者である妻の言い分を補強するため、「捜査当局の描く事案の概要」やそれに対する「疑問点」などについて検討するなどしたものでありまして、この行為は、山下次席検事から捜査情報を告知された趣旨に反するものでありますし、刑事裁判官としての知識と経験を生かして捜査を分析し、これへの対処方針を立案するなど、実質的な弁護のための活動を行ったというほかないものであります。

 これらの行為の時点では既に弁護士に弁護を委任していたわけでありますので、裁判官としては、弁護活動の一切を弁護士にゆだね、みずからこれに関与することは厳に差し控えるべきであったと思われます。

 以上のような古川判事の行為は、無実であるとの妻の弁解を信じてとった行為とはいいましても、裁判官に対する国民の信頼に疑念を生じさせ、ひいては国民の裁判に対する信頼を損なう行為であり、裁判官に課せられた職業上の倫理に反するものと委員会としては判断したという次第でございます。

漆原委員 古川判事は、自分の専用のノートパソコンの中で「園子の容疑事実ストーカー防止法違反」というふうに題する書面をつくった。その中で「捜査当局の描く事案の概要」と「疑問点」「警察が園子を犯人と断定した根拠(推定)」と「反論」というふうな記述を残しているということなんですが、古川判事は、ノートパソコンに書いたこの書面をどこかに流出したんでしょうか。

金築最高裁判所長官代理者 古川判事は、御指摘の書面を弁護を委任した弁護士に交付しましたほか、福岡高裁事務局長に対して事情を説明する際に、口頭説明の補充として交付しております。それから、妻のためにもこれを印刷しております。

漆原委員 証拠隠滅をした事実がないというふうに考えますと、古川判事が、自分の奥さんの無実を信じて、山下さんから聞いた内容を前提として、山下さんからの情報だけを前提として分析したという。積極的に、山下さん以外のところから、捜査機関から情報をとったりするのであれば、これはまた大変なことでございますが、あるいはまた弁護人以外のところに情報を流したのであれば、これも大変なことだと思いますが、しかし、古川さんは山下前次席から聞いた範囲内の情報をもとにして分析をしたという。これをノートパソコンに書いて、弁護士さんに渡したという。

 これは、ある意味では、夫婦ですから、人情としてこの程度のことは許されるんじゃないのかなという感じも私は持っているんです。ただ、ノートパソコンに入れたのが悪かったのかなと。あるいは、例えば夫婦の会話の中で、こういう事件の被疑者になっていれば必ずこれは会話で出てくるわけでありますから、会話の中でいろいろ、私が考えると、こんな点が疑問なんじゃないの、こんな点は問題があるんじゃないのかな、あなたの弁護士さんのところに行ってこんな点も含めてよく相談をしていらっしゃいよというふうなアドバイスをしたら、そのアドバイスもいけないのかな。

 一体これは何がいけなかったのかな。ノートパソコンに入れたからいけないのか、それとも、夫婦の会話の中で、飯を食いながら、自分の女房が疑われている、女房の相談に乗ってあげて分析してあげる、これもいけないのかな。この程度のことは夫婦として当たり前だなと思うんですが、どの点がいけなかったんでしょうか。

金築最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、現在、大法廷でこの点を審理しておりまして、分限裁判の結果がどうなるかということが現在わかりませんので、あくまでもこれから申し上げる点は調査委員会の見解ということでお聞きいただきたいと思います。

 どうすべきであったかということであれば、先ほど申し上げましたように、古川判事はもう弁護士を依頼しておりましたので、裁判官としては、弁護活動と見られるような、評価されるような行為をせずに、弁護活動の一切を弁護士にゆだねて、みずからは関与することを差し控えるべきではなかったかなというのが調査委員会の見解でございます。

漆原委員 昔、偉い裁判官がやみ米を買わないで餓死したという話も聞いたことがありますが、裁判官としては物すごく高い倫理観を要求されているんだな、この事件でも大変高い倫理観を調査委員会では要求されているのかというふうに私考えておりますが、この事案を見ますと、一番悪いのは山下前次席でありまして、不注意に情報を古川さんに漏らした、ここから古川判事は裁判官としての立場と夫としての立場の板挟みになって苦しんだことになると思うわけなんです。

 一番悪いのは山下さんに決まっているんですけれども、古川さんとしては、裁判官としての非常に高度な倫理観を要求されれば、今局長おっしゃったとおりになるのかなというふうに思いますが、事務総長、この点についてはどんなふうにお考えでしょうか。

堀籠最高裁判所長官代理者 最高裁の調査委員会といたしましては、古川判事が捜査情報を分析してそれを弁護士に渡したという一連の行為が実質的に弁護活動に見られる行為に当たるのではないかということで、適当な処置が必要であるという報告をしたところでございますが、まさに委員御指摘の裁判官の倫理のあり方につきましては、現在、最高裁大法廷で審理しているところでありますので、その判断にまちたいというふうに考えております。

 私といたしましては、このような事態が出た場合には、既に弁護人がついているのであるから、裁判官の倫理観から考えた場合にはやはり弁護士に任せるのが適当ではなかったかというふうに考え、それを理由といたしまして、調査委員会としては、相当な処分が必要であるという報告をしたところでございます。

漆原委員 ありがとうございました。

 話題を変えて、司法行政の方に移ろうと思うんですが、司法行政というのは、司法と行政が一緒になったような言葉でなかなかわかりにくい言葉でございますが、そしてまた我々法律家としても、外部で、弁護士でやりますと、なかなか裁判所の中は見えない。

 そんなことで、裁判所の司法行政という観点について一般論からお尋ねしたいと思うんですが、まず、司法行政というのはどんなことなのか。また、だれがやって、だれが最終判断を行うのか、この辺をお尋ねしたいと思います。

金築最高裁判所長官代理者 確かに司法行政という言葉は、非常に一般の方にはなじみがない言葉でなかなかわかりにくいことかと思いますが、裁判所の仕事は、言うまでもなく裁判をすることにあるわけでございます。訴訟もございますし、執行、破産とか、あるいは本件で問題になりましたような令状の審査、発付というふうな仕事もありますが、いずれにしても、裁判ということで言えると思います。

 裁判することが裁判所の仕事でございますけれども、裁判をするためには、まず裁判をする裁判官、あるいは、一緒にその裁判の仕事に当たる書記官とかその他の職員が必要でございますし、それから物理的には、法廷とか、職員が仕事をするための部屋とか建物も必要なわけでございます。それから書籍その他の参考資料も必要でございますし、いろいろなものが、人的、物的なものが必要でございます。そのためには、人件費その他のお金がかかりますので、予算を要求して適切に執行するという仕事が出てまいります。

 それから、最高裁には規則制定権というものがございまして、新しい立法があったりいたしますと、それを執行するためにも規則をつくる。最近、非常にたくさん立法がございまして、規則が大分できておりますが、その立案というふうな仕事もございます。

 それから、OA化。裁判所の仕事も時代に合わせていかなきゃいけないということで、そういうOA化などの裁判所の仕事のシステムの企画立案もしなければならない。

 それから、裁判にもっと近い仕事でございますと、裁判官をどの部に配置するか。裁判所でいろいろ違いますが、例えば東京のような非常に大きな裁判所ですと、民事部にも刑事部にもたくさん部がございまして、民事部ですと、種類ごとに、破産部でありますとか執行部でありますとか行政部でありますとか、たくさんのいろいろな部がございます。そういう部に裁判官をどういうふうに配置するか、それから、その部にどういう種類の事件をどのぐらい、どういう割合で割り当てるか。これは事務分配というふうに申しておりますが、そういうことを決める必要もあるわけでございます。

 また、オウムのような事件が来ますと、裁判官や庁舎の警備というふうなことも必要になってまいります。

 司法行政に属する仕事を挙げてまいりますと、まだまだいろいろたくさんございますが、不正確を恐れずに簡単に申しますと、裁判手続以外の、人事とか会計とか資料整備とか、規則や制度の企画立案、事務分配といいました、裁判を円滑かつ適正に行っていくためのサポート、支援をするのが司法行政であるというふうに言えようかと思います。

 こうしたサポートが適切に行われないと、裁判も円滑、適正に行えないということになるわけでございまして、だれが担当するかということになりますと、裁判官は裁判官会議の一員として担当いたしますし、一般職員はそのもとで、所長の指揮監督のもとで日常的な司法行政に携わっております。裁判官の配置とか事務分配とかそういった重要なことは、司法行政の一番上の機関である裁判官会議で決められております。

漆原委員 大変莫大な話を手短におっしゃってもらって、本当に御迷惑かけて、ありがとうございました。

 その中で、裁判官の人事、裁判官の配置転換、昇給だとかいろいろなことがあるんでしょうが、裁判官の人事という観点に絞ってお尋ねしたいと思います。

 簡易裁判所から地裁、高裁、最高裁まであるわけなんですが、この裁判官の人事というのは最終的にはどこでお決めになるんでしょうか。

金築最高裁判所長官代理者 裁判官の人事といいますと、採用、正確には下級審裁判官の場合は指名でございますが、あと異動、正確な用語としてはてん補というふうに申しておりますが、それから昇給、報酬の決定ということもございます。これらはいずれも最高裁の裁判官会議で決められております。

漆原委員 昔、私どもが教わったのは、裁判官の人事というのは、最高裁の事務総局、今の事務総長が全部お決めになるんだということを聞いた記憶がありますが、実際は、事務総局でおやりになって、裁判官会議でそれが決まっていくという段取りになると思いますが、その点はどうなんですか。

金築最高裁判所長官代理者 事務総局の方は、当然、裁判官会議の補佐をするのが役割でございますので、案をつくって提出するということをやっております。特に、異動とか何かになりますと、これは各庁のいろいろな実情がございます。それから本人の希望ということもございますので、裁判官会議にかけます前に、高裁、地裁、家裁等と十分協議、連絡をしまして、本人にも承諾の有無を尋ねまして、そういう積み上げをしたものを裁判官会議でお決めいただいているということでございます。

漆原委員 裁判官の昇進についてお尋ねしたいんですが、昇進を決める一般的な基準は何かということと、それから、昇進についてのプラスの要素があるのか、あれば何か。あるいはマイナスの要素があるのかどうか、あればどんなものがマイナスの要素になるのか。この辺をお尋ねしたいと思います。

金築最高裁判所長官代理者 裁判官の昇進ということが何を指すのかということがございますが、一つは、裁判官になった以上は裁判長をやりたいというのが一つの目標でございまして、それを目指して若いうちは一生懸命やります。部総括というふうに言っておりますが、この部総括の指名というのは、やはりそれにふさわしい人物を充てるということで、法律的な能力、実務的な能力というのももちろん重要でございますし、それから、裁判長となりますと、部の職員をいろいろ指導していく、若い裁判官についても、部のトップとしての役割がございますので、そういうことを果たしていけるという評価を受けることがプラスの要素と申しますか、そういう点でちょっと問題点があれば、部総括、裁判長に指名されないというふうなこともある、こういうことであると思います。

漆原委員 裁判官としての能力、それから人格的なもの、総合的なものがもちろん判断されていくと思うのですね。

 具体的にお尋ねしますが、最高裁の判断というのが判例としてあるわけなんですが、最高裁の判断と違う違憲判決を出したとか、あるいは、行政事件で原告を勝訴させた、国の方を負かした、こういうふうな判決を書いた裁判官というのは、これはマイナスの要素になるんでしょうか、ならないんでしょうか。

金築最高裁判所長官代理者 まさに、委員御指摘ありましたように、裁判官の評価というのは非常に総合的なものでございまして、個々一つ一つの判決がどうだからというふうな観点で評価をしているということはございません。

 そもそも、判決の結論というのも、結局、その事件をずっと見ておりませんと、証拠関係にもよりますし、当事者の主張にもよるわけでございまして、その一つ一つの判決でこうだからああだからということではやっておりません。

漆原委員 日本の裁判所は、下級審はなかなか違憲判決を書かない。憲法九条問題にしてもですね。私、修習当時の実務庁の裁判長は違憲判決をお書きになったのですが、びっくりしました。なかなかお書きにならない。その辺の理由。やはり将来何かあるのかな。日本の裁判所はアメリカなんかに比べると随分違憲判決が少ないように思われる。この辺は、将来、上を目指していく場合に、違憲判決を書くと何かやはりマイナスになるのかな。こんなふうな感覚を私ども持っておったのですが、これは明らかな間違いというふうに認識してよろしいでしょうか。

金築最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、特定の判決でどういう結論を出したからということで人事は決めておりませんで、違憲判決が少ないこと自体は、これは、国会の議決した法律ですと、それについてどういう審査があるべきかということはいろいろな議論がございます。そういうふうなところから出てくるということもあろうかと思います。

漆原委員 最後の点は、そういうふうなところから出てくるというのはどういうことですか。昇進を恐れているということですか。

金築最高裁判所長官代理者 ちょっと舌足らずで失礼いたしました。

 憲法審査のあり方についてはいろいろな議論がある、いろいろ議論がされておりまして、そういう議論の結果としてという意味でございます。

漆原委員 裁判官が政治的なお考えをお持ちである、あるいは社会的な団体に属していらっしゃる、あるいは宗教的な団体に属していらっしゃる、したがってそういう考えを持っていらっしゃる。思想を持つことは自由だというふうに憲法はなっておるのですが、そういう思想に基づいて、政治的な思想、社会的な集団に属する、宗教的な集団に属している、これは裁判官の昇進についてはマイナス要素になるんでしょうか。あるいはもう一つ、こういうことは、最高裁事務総局としては現場から掌握する対象になるんでしょうか、ならないんでしょうか。

金築最高裁判所長官代理者 裁判官がどういう思想、信条を持っているかということは、人事上考慮すべきことでない、考慮しておりません。ただ、もちろん、これが具体的な行動に出まして、例えば団体所属とかそういうことになりますと、それが、公正さ、公正らしさを害しないかどうかということは問題になるということはあり得るかと思います。

 お尋ねの後段のこと、掌握しているかどうかという点になりますと、そういう考慮できないことは特に掌握しようとしていないということでございます。

漆原委員 どんな考えを持っているかということは考慮できないのですが、どんな社会的な団体に所属しているか、どんな宗教的な団体に所属しているか、これは掌握できるわけですね。そういう団体に所属している、そういう社会的な団体に所属している、これは最高裁としては掌握していないのですか。

金築最高裁判所長官代理者 そういう団体所属の有無ということを掌握するようなシステム的なものは特にございません。ただ、兼業になります場合に、兼業は許可が必要な場合がございますから、そういう観点で問題になることはありますが、それ以外は、本人が、例えば、私はこういう活動をしているとかいうことをいろいろ公表したりしますと、ああそうかなということはございますが、それ以外に、特にこちらの方で把握するシステムを持っているとか、そういうことはございません。

漆原委員 そういう社会的、政治的、宗教的なものを把握するシステムは最高裁にない、こうお聞きしてよろしいわけですね。

 昨年、オウムに対する裁判がいっぱい起こりました、いっぱいやりましたね。その場合に、たまたま裁判官がオウムの信者であったという場合もあり得る。そういう場合について、裁判の公平性というのはどういうふうに担保されていくんですか。

金築最高裁判所長官代理者 例えば、御指摘のような事件が提起されまして自分のところへ来るということになりますと、その裁判官は、具体的事情で、すぐ回避ということになるかはわかりませんが、回避すべきであるかどうかという問題が出てきますし、当事者等がそれを把握いたしました場合には忌避の問題になる、こういうふうに考えます。

漆原委員 最後に、裁判部門から司法行政部門へ捜査の情報が伝達される場合のマニュアルをつくりたいと思っている、準則をつくるというふうにおっしゃっておりますが、本当に、準則をつくってもらいたいと思います。今までこういうケースが一回もなかったのかどうか、どんな準則をつくろうとされておるのか、あらあらのお考えがあればお尋ねをしたいと思います。

金築最高裁判所長官代理者 まず、こういう事例があったかということでございますが、本件のように、裁判官あるいはその親族を被疑者とする令状請求があった場合ということは、特にデータをずっと継続してとっているわけではございませんが、近年は、そもそもそういう事例を私としては記憶しておりません。

 こういう問題についてのあり方につきましては、報告書にも記載いたしましたが、今まではこういうことに対する場合の準則といいますかマニュアルというものがなかったわけでございまして、その点がやはり一つの問題点だったというふうに認識しております。これからはできるだけ限定的で明確な準則をつくって、取り扱う職員等も不適切なことがないようにしたいと考えております。

 具体的には、調査報告書に記載いたしましたけれども、どういう場合にそういう情報というのは伝達していいか。例えば、警備の必要が出てくるとか、あるいは裁判官の事件担当の問題が出てくるとか、あるいはその裁判官が裁判をずっとそのままやっていいんだろうかというふうな疑問が出てくる場合、そういうものを検討する必要が出てくるような場合に、その目的の趣旨に沿った範囲で必要最小限度の情報、例えば、令状請求があった事実ですとか、被疑事実の概要ですとか、あるいは被疑者と裁判官の関係とか、警備を要する事情とか、そういったものを、ほかに情報が漏れない形で、裁判官も判断に関与するような形でつくっていってはどうか。

 これは、具体的にどういう形のものをつくるかということはちょっと検討を要するところがございまして、それから捜査機関との協議も必要だと思っておりますけれども、そういった明確なものをつくって、今後は間違いのないようにしたいと思っております。

漆原委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

保利委員長 次に、西村眞悟君。

西村委員 重複があるかと思いますが、まず最初に、古川判事の証拠隠滅の有無に関して、最高裁の調査とその結論を御報告いただきたいと存じます。

堀籠最高裁判所長官代理者 最高裁判所の調査委員会といたしましては、委員を福岡に派遣いたしまして、古川判事本人から長時間にわたりまして直接事情を聴取いたしました。その際、古川判事は証拠隠滅はしていない旨述べましたが、多角的な観点からその供述を検討いたしました結果、その具体的な供述に何ら不自然な点はなく、その一部は捜査機関により公表されました捜査の結果、裏づけられていたところでございます。

 このようなことから、捜査機関の捜査結果と同様に、最高裁の調査委員会といたしましても、古川判事が証拠隠滅をしたと認めるに足りないという判断をしたところでございます。

西村委員 関連いたしまして、マスコミの報道では、捜査段階において妻園子がパソコンのハードディスクの消去を行ったという具体的な報道がなされ、これが証拠隠滅疑惑に直結しているわけでございますが、この事実については捜査により認定されておりますか。

金築最高裁判所長官代理者 お尋ねの件につきましては、パソコンのハードディスクが消去されたかのような報道がなされているわけでございますが、この点につきましては、調査委員会は、古川判事本人の、一月三十一日午前二時ころパソコンのデータを消去したというふうに言われているけれども、自分は一月三十一日は午前三時三十分ころまで少年事件の起案をしており、そのことは今でも持っている仕事用のフロッピーの更新記録に一月三十一日午前三時として残っている。自分のノートパソコンも一月三十一日に押収された。これは起動しないというふうに報道されているけれども、一月三十一日の午前三時三十一分に更新するまで使っていたものが動かないはずはないといった供述などの資料に基づきまして、また、法務省から公表されました調査結果を踏まえまして、古川判事が妻園子の刑事事件に関する証拠を隠滅したと認めるに足る証拠はないものと調査委員会としては判断いたしました。

西村委員 次に、関連いたしまして、本件捜査の段階におけるいろいろな具体的な状況が報道され、それは今、最高裁からその事実はないという答弁をいただいております。

 さて、この捜査においては、先ほど申しましたように、パソコンのデータが消去された、それでまた、フライデーという週刊誌には、妻の交際日記録なるものが写真入りで、本誌は入手に成功したという記載とともに掲載されておるわけでございます。このパソコンを押収し、そのデータが消去されている、またフライデーに載った交際記録、これは捜査中の警察からマスコミに流れたものであるのかどうか、警察の御答弁をいただきたい。

五十嵐政府参考人 御指摘のパソコンのデータの消去の関係でございますけれども、これにつきましては、福岡県警察からは、本件においてパソコンのデータが消去された事実は確認されなかった、こういった報告を受けております。

 それから、雑誌掲載の写真についてのお尋ねですが、警察といたしましては、このような資料の出所はどこなのかということについては承知しておりません。

西村委員 いまだその件については警察は内部で捜査をされていないからわからないという段階であろうと存じます。

 さて、本件においては、今申し述べました数々の報道、そしてそれは、警察も裁判所も虚偽である旨確定されておるわけでございますが、それはあたかもあったかのごとく報道されることによって司法の権威が著しく侵害された。私が冒頭にお尋ねし、確定した古川判事の証拠隠滅に関して、重大な疑惑が国民の中に既に刻印されるに至っておるわけです。

 このような国家の司法に対する重大な疑惑を喚起する虚偽の報道の出所が警察の捜査段階にあるならば、これは明らかに守秘義務違反でございます。警察は、そのことに関して内部の捜査をし、立件すべき事態であるというふうに考えますが、いかがな御見解をお持ちですか。

五十嵐政府参考人 一般に社会的関心の強い事件におきましては、報道機関も各方面から取材しておりまして、警察の発表とは別にさまざまな報道が見られるところでございます。個々の報道について論評することは差し控えますが、捜査に当たっては秘密を厳守し、捜査の遂行に支障を及ぼさないように注意するとともに、事件関係者の名誉を害することのないよう注意しなければならないと考えております。

 なお、ただいま、守秘義務違反ではないか、立件云々というお話がございましたけれども、警察といたしましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば法と証拠に基づきまして厳正に対処したいというふうに考えております。

西村委員 さて、今、証拠隠滅、これがもう疑惑の核心なんでございますから、法務省にお聞きしますが、法務省においても、当該古川判事の民間人からの証拠隠滅の告発等があったわけですが、この件に関して法務省はいかに認定し、また告発に関してはいかに処理しておるのか、御報告いただきたいと存じます。

古田政府参考人 お尋ねの件につきましては、パソコン等のデータ、これはハードディスクのデータも含めてでございますけれども、本件に関連するそういうふうなデータが消去されたという事実は認めるに至らなかったという結果の報告でございます。

 古川判事に係ります証拠隠滅の告発につきましては、そのような捜査結果を踏まえまして、嫌疑不十分という処理をしていると承知しております。

西村委員 裁判官に対して誤った事実を前提として告発がなされた、しかし、誤った事実が真実であるかのように報道されている結果、その告発した人を一概に非難することはできない。こういう事態が、先ほど申し上げましたように、捜査段階の資料をもとに報道されたということはゆゆしき事態である。ただ、それが守秘義務違反であるかどうかの捜査については、それが真実疑惑があれば捜査の端緒としてやるという御答弁をいただいておりますので、それはここでとどめさせていただきたいと思いますが、本当に、虚偽の事実が報道されるということに関して無神経であってはならない。警察の捜査段階においての綱紀粛正を切にお願いする次第でございます。

 さて、我々公人と言われる者を含めて、裁判官という立場で、自分の配偶者に疑惑が降りかかった場合いかに対処すればいいのかというふうな根本的な問題がこの中に含まれております。

 冷酷に放置すればいいのか。仮に、最高裁が先ほど調査結果で御答弁されたように、一切関与するなということになれば、本件は、古川判事がそのように最高裁の言われるとおりしたとしても、裁判官の妻の犯罪疑惑でございますから、大々的に報道されたでありましょう。

 先ほど来、法務大臣も御説明されておりました、法曹、つまり検事を主体にしておっしゃったわけですが、市民感覚を持たねばならないんだと。この市民感覚とは何か。さて、仮に古川判事が冷酷に放置して、そして妻の犯罪が明るみになって報道された、そのときに、古川判事は、知っていても妻には何も言わなかった、全く妻のことには関与しなかったということになれば、裁判官は市民感覚を持っておるのか、人非人ではないか。

 今のこの妻の具体的な犯罪でなくてもよろしいんですよ、仮に紛争に巻き込まれて、子供であれ何であれ殺人までに至ったという事態になればどうなのか。その裁判官は市民感覚を持っておるのかといえば、私は重大な疑問があるわけです。

 したがって、これは古川判事一人の問題ではなくて、我々の問題としても考えなくてはならないんですが、後学のために、最高裁は、公的な立場にある人間の配偶者及び家族に犯罪の嫌疑がかかった場合にいかに対処すればいいのか、先ほどの答弁を聞いておりますと、弁護士に任せていればいいとおっしゃっておる。しかし、弁護士に任せるために彼女を連れて弁護士事務所に行くことも、既に弁護に関与したことなんです。

 そういう意味で、人非人ではないかという批判を受けずに、市民感覚を保持しながら、自分の妻が犯罪を犯しているということを告知された裁判官は、ではいかにすればいいのかということについて最高裁の御答弁をいただきたい。

堀籠最高裁判所長官代理者 委員御指摘の点は、確かに裁判官としては難しい問題であるというふうに思います。この点は、まさに現在、最高裁判所の大法廷に係属しております古川判事に対する分限裁判において審理中の問題でございます。したがいまして、以下の答弁は、あくまで既に公表いたしました最高裁調査委員会の見解ということで御理解いただきたいと思います。

 古川判事の本件における行為は、単に妻の弁解を取りまとめたというにとどまるものではございませんで、山下次席検事から告知された趣旨に反して、その捜査情報も資料として、刑事裁判官としての知識と経験を生かして捜査を分析し、その疑問点などを検討して対処方針を立案するなどの実質的な弁護のための活動を行っていたというほかないのではないかというふうに考えたものでございます。

 また、古川判事の場合について申し上げますと、古川判事がこのような行為をした時点では既に弁護士に弁護を委任していたわけでありますから、裁判官としては、弁護活動の一切を弁護士にゆだね、みずからこれに関与することは差し控えるべきであったのではないかと思われます。

 以上のような古川判事の行為は、無実であるとの妻の弁解を信じてとった行為であるとはいえ、裁判官に対する国民の信頼に疑念を生じさせ、ひいては国民の裁判所に対する信頼を損なう行為であって、裁判官に課せられた職務上の倫理に反するものではないかというふうに調査委員会としては考えた次第でございます。

西村委員 私の考えは少々違います。

 我々はなぜ当事者構造の裁判制度を持っておるのか。刑事裁判官は何に神経を集中されるのか。無辜を罰しないかです。無辜を罰してはならない、この大原則が刑事裁判を貫いております。さて、刑事裁判を担当する古川判事として、妻は泣いて強く否認したんだ、妻にかかった嫌疑は虚偽の嫌疑であろう、しからば、妻は無辜の罪に陥れられようとしているのではないか、したがって、捜査の分析、それの関心を彼なりに分析するのは、これは市民感覚を持つ法曹としての当たり前な姿ではなかったのかなと私は思います。

 最高裁の調査、警察の捜査、法務省の調査で、古川判事が証拠隠滅をしていないということが明確になっておるのに、なぜ分限裁判にかけられねばならないのかということは、今の御答弁でも、また先ほど漆原委員の質問でも出ておりまして重複しますので、本件はそこでやめます。

 次に、私自身は、何が司法の権威を傷つけたのかということについて私なりの考えを申し述べて、見解を伺いたいと思います。

 つまり、一般国民、国民が司法に対する信頼を持って初めて刑事司法の権威があるわけですね。

 さて、古川判事がマスコミのカメラに追われるままに、そして最終段階では、あたかもマスコミのカメラに追われる刑事被告人が顔を隠して逃げ去るような状況まで映され、国民が見たわけですね。現職の裁判官があたかも刑事被告人のように、マスコミのカメラから顔を隠して、フードをかぶって、タクシーを拾って乗り去っていく姿、この姿が実は司法に対する信頼を一番毀損したのである、このように思います。

 現職の裁判官でありますから、裁判所は組織として、そのようなカメラに猟犬のごとく追われる裁判官を放置せずに、公用車等を用意し、そして冷静な対応ができる場を設定するなどして、司法の信頼、国民から見える司法の信頼をなぜ守らなかったのか。これをなさなかった組織の責任者こそ、今回実は一番司法の権威を失墜した当事者であろうかな、私はこのように思いますが、裁判所の見解はいかがですか。

金築最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、古川判事が住む官舎の敷地内にマスコミ関係者が無断で立ち入ることがないように要請いたしますとともに、職員を派遣してできるだけの措置を講じたというふうに聞いております。

 また、当時古川判事は休暇取得中ということもありまして、公用車の差し向けというふうなことにもなかなか踏み切れなかった事情があると聞いておりますので、その点も御理解を賜れればと存じます。

西村委員 理解はしております。理解はしておりますが、その映像が一番裁判所の権威を傷つけたんだというふうに私が認識していることについて、重大な問題意識を持ってこれから対処していただきたいと存じます。

 さて、私は知り合いの裁判官に配偶者がいるかどうか聞いて、おると言えば、もう離婚しろと。もう最高裁の報告では常人に要求しがたい高い倫理を求めておる、えらいことになるぞと。冷酷に放置すれば、市民感覚がなく人非人だと言われる。しかし、弁護士事務所に連れていって、弁護士と一緒に、彼女は無罪だと思う、彼女の弁解を聞いてやりたいというふうな夫としての当然のことをすれば、これはまた分限裁判だと。

 ここまで裁判所がするなら、今私が言った、権威が失墜したという根本の部分、映像、カメラの放列に被告人のように追われるままにすることを放任した裁判所のあり方も含めて、誤った疑惑からの司法の信頼回復のためにいかなる決断、対処をなし得るのかということについて、御見解をいただきたいと存じます。

金築最高裁判所長官代理者 このたびの件は、裁判官のあり方等についても非常に問題を投げかけた、そういうことで、裁判所としてもいろいろ考えなければいけない点があると考えております。裁判所あるいは裁判官が国民からさらに信頼を得るように、いろいろな面で努力していかなければならないというふうに考えております。

西村委員 法務省にちょっと本件に関してお伺いしますが、私の問題意識は、マスコミの報道が信頼を確保するか確保しないかの一番重要な分かれ道になった。本件では誤った事実に基づいて報道がだだ漏れになった、警察捜査段階にも責任があろうかと思いますけれども、それで古川判事がマスコミから顔を隠して逃げるような姿勢になってタクシーに乗り込む。これは無理がないんです。

 なぜなら、あのマスコミのカメラというものは大きな金属の塊でして、それを五台も十台も顔の前に並べられれば逃げるような形にならざるを得ない。それから、マスコミというのは、こういう立場になった公人の映像を映すのに、逃げるようなしぐさをするところばかり報道をするわけですね。例えば、僕は頭をかく癖があるから、頭をかくときに映して、反省している反省猿のような映像を映す。これがマスコミなんです。本当です。本当なんですよ、これ。皆さんも御経験されると思います。

 それで、このマスコミの風潮を見るとき、例えば松本サリン事件であれ、捜査段階によるちょっとしたコメントとマスコミが結託すれば、回復しがたい損害、名誉の失墜を国民に与える場合がある。国家の機関の権威に対して、回復しがたい信用失墜を与えることがあるんです。こういうふうな現状を見て、我々国民はマスコミのこういうふうな姿勢を受忍しなければならないいわれは全くない。むしろ反対に、そこからみずからの権利を守り、また名誉を回復する特別立法が必要だと私は日ごろ思っておるんです。

 これは、新聞の再販制度も含めて、今私が申し上げた趣旨の、防止と救済のための特別立法を具体的に御検討されるときに来ていると思うんですが、いかがでございますか。

長勢副大臣 報道による名誉毀損というような問題、あるいは国全体としての大きな問題ということを御指摘でございますが、こういう問題はいわゆる報道の自由にかかわる事柄でありますから、何よりも、報道の主体であるマスコミの側で、人権にも十分考慮する、あるいはそのための自主規制を行うという自主的な取り組みがまずもって肝要であろうと考えております。しかし、同時に、行き過ぎた報道によりまして個人の名誉、プライバシー等が侵害された場合には、現に法務省におきましても人権擁護機関として適切に対処するように努めておるところでございまして、具体的に、これらの報道機関に対して、人権侵害行為の中止、謝罪等による被害の回復、再発防止策等を求めるというような勧告も行うなどしておるところでございます。

 その中で、さらに立法措置が必要ではないかという御指摘でございます。

 人権救済制度のあり方について人権擁護推進審議会で調査審議を行っておりますけれども、昨年十一月二十八日に人権救済制度の在り方に関する中間取りまとめが公表されておるわけでございまして、そこにおきましては、マスメディアによる人権侵害に関して、表現の自由、報道の自由の重要性にかんがみ、まずマスメディア側の自主規制による対応が図られるべきであり、その充実強化を要望するとともに、犯罪被害者等に対する報道によるプライバシー侵害等については、被害者がみずからの人権をみずから守っていくことが困難な状況にあることに照らし、調停、仲裁、勧告・公表、訴訟援助により積極的救済を図るべきであるとの整理がなされておるところでございます。法務省といたしましても、この審議結果を最大限に尊重して、二十一世紀にふさわしい被害者救済制度の確立に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

西村委員 自主規制というのはなかなか困難だと思いますね。ただ、昨晩見ておりましたら、アメリカでグリーンスパンさんが歩いてくるときには、アメリカ、イギリスはみんなそうですが、カメラは一社も群がっていない、ぶら下がりもいない。こういうのは自主規制なんですかね、文化の違いなんですかね。これはわかりませんけれども、やはり金属の塊が群がって顔に突きつけてくるというのは、報道でも何でもなく、人間立ちどまらざるを得ない、また古川判事のように逃げざるを得ないような暴力だと私は思っております。今の御答弁を前提にして具体的な検討をしていただきたい、そういう時期に来ておると思います。

 それから、山下次席の問題について最後に触れさせていただきますが、おおよそ見ておりましたら、これは同じ捜査機関である検察と警察の相互不信があるのではないか、うまいこといっておるのかというふうに考えるわけでございます。この捜査機関同士の相互不信があれば、これはやはり犯罪捜査について重大な疑問、不安を生じかねない事態でございます。したがって、警察、検察の信頼回復の措置を含めた捜査機関間の相互不信の問題について、以後の対策等の所見を法務省から伺えましたら。

長勢副大臣 検察と警察が相互に信頼関係を持って一体として協力し合っていかなければならないということは、言を待たないところであると思っております。そういうことで今までもやってきたと思っておりますが、今回の件につきましては、十分な協議あるいは意見を踏まえるというようなことにやや問題があった点もあったかと思っております。

 こういうことも踏まえまして、この反省に立って、今後、検察官の方々が、捜査現場の第一線で汗を流しておられます警察官の活動等についての十分な認識、理解、これを深めることによって、さらに信頼関係を構築し、また、お互いに協力し合っていける体制を強化していくということが大事でございますので、そのための具体的方策を検討し、その実施に努力をしてまいる、こういう決意で今指示をしておるところでございます。

西村委員 本件は、極めて異例な事態ではありますが、司法の信頼がかかった重大な事件でありました。先ほど申し上げたように、警察からと思われる情報が異様に出た。これは捜査でも何でもない、マスコミにサービスするために、押収したものをマスコミに開示したというふうに思わざるを得ない。

 したがって、先ほどの、なぜ警察からの情報があやふやなままでマスコミに流れるのかという点に関して、警察には重大な関心を持って再発防止に努めていただきたいということを申し上げて、本件における質問をやめます。

 ありがとうございました。

保利委員長 次に、佐々木秀典君。

佐々木(秀)委員 民主党の佐々木です。

 きょうは、法務省と最高裁判所においでいただいておりますので、また、それぞれ調査委員会をつくられて報告書も出しておられますから、それぞれからお答えをいただきたいと思いますが、まず法務省に、山下次席検事問題についてお尋ねをしたいと思います。

 本件については、本年の二月五日、最高検察庁において調査チームが設置されている。以来、調査が進められるとともに、関連告発事件の捜査も並行して行ったとされていますね。ですから、調査、それから被疑事件としての捜査、この両方を並行して行われたというんですね。

 調査、捜査ですけれども、これは具体的にどのような方法で行われたのか。裁判所の調査報告の方を見ますと、どういう人がこの調査に当たって、どういうところで、どういう人に事情聴取をしたなどということが書いてありますね。ところが、法務省の方の調査報告ではそこまでは具体的にはなっていなかったのではないかと思われるものですから、お差し支えのない範囲で、明らかにできることを明らかにしていただきたいと思います。

古田政府参考人 いわゆる情報漏えい問題につきまして、捜査、調査を行った者は、御指摘の最高検察庁の総務部長をキャップといたしまして、そのもとに、検事九名、それから検察事務官十五名、これでチームを編成するとともに、福岡高検等の検察官の応援も得て、捜査及び調査を行ったということでございます。

 また、調査の内容につきましては、山下前次席を初め、当時の主任検事、その他本件につき関係した者から事情聴取等をしており、また、当時から残されていた関係資料の分析等を十分したということでございます。

 場所といたしましては、これは東京と福岡双方にまたがっております。と申しますのは、山下次席が東京に用務がありまして出張をいたしました。その際に東京でも事情聴取をしているということでございます。

佐々木(秀)委員 その東京での調査方法は、どこで、どういうふうにやったんですか。

古田政府参考人 場所につきましては、ある検察庁の関連施設という以上のことを申し上げることはちょっと差し控えたいと思いますが、これは、先ほど申し上げました総務部長をキャップとするそのチームの中の検事が事情聴取に当たっているわけでございます。

佐々木(秀)委員 本当はもっと詳しくお聞きしたいところなんですけれども、相当大がかりに、時間もかけ、回数も重ねておやりになったはずなんですね。単なる事情聴取じゃなくて、証拠の関係などについても、収集だとか分析だとかもちろんやっておられるんでしょうね。時間の関係もありますから、一々内容をお尋ねすることは、ここのところはそれじゃちょっと控えましょう。

 そこで、山下次席ですけれども、これは十二月の二十八日に古川判事と面談しているわけですね。ところが、その二十八日に古川判事と、同判事の奥さんが被疑事件とされている事件について面談をして話すということを考えておられたようだけれども、前日の二十七日に、山下次席は渡部検事正にこの事件を報告し、あわせて、翌日古川判事に会う意向だということも話しておられるんですね。これは調査報告の中で明らかになっていますね。法務省もお認めになっているようだ。

 それについて、福岡地検の渡部検事正もこれを了承した。そしてまた、二十八日に古川判事と山下次席検事が会ったその後で、同日に、山下次席は渡部検事正にその報告もしたというようになっておるんですけれども、その経緯と実際のやりとりなどについて、恐らくそれぞれから事情聴取をされたと思うんですけれども、どういうような話だったのか、その実情、把握しておることをお知らせいただきたいと思います。

古田政府参考人 まず、十二月二十七日の件でございますけれども、この時点では、山下次席から渡部検事正に対しまして、今回問題になっておりますような事件があると、それで、それをいわゆるチャート図に基づいて説明しております。

 そのときの話の内容といたしましては、非常に特殊な関係が背景にある事件で、そういう点からすると、動機を持っているほかの者がいる可能性を十分つぶしておく必要があるという捜査上の問題、それから、こういうたぐいの事件は、過去の例にもありますように、大事件にエスカレートする可能性もあるので早急な対策が必要であると思われるというような話、それと、事件の内容からして示談ができればその方がいいというような感想めいた話が出ておりますが、それ以上に、この時点で、古川判事に対して内容を告げて示談を勧めるというところまでは、二十七日は出ておりません。その話になりましたのは、二十八日、翌日になってからでございます。

 その翌日になって、検事正と次席が朝、恒例でいろいろその日の打ち合わせなどをするわけですが、その機会に、やはりこういう事件は早くとめないとどういう事件に発展するかもわからない、何はともあれとめる、やめさせることが必要だと思うという話が山下次席の方から出まして、検事正はこれに同意をしたわけです。その際に、示談という話を促す、こういうことには当然及ぶであろうということは検事正としては理解していたということでございます。ただ、警察に無断でやるということまでは、当時、検事正としては認識していなかった。

 したがいまして、その時点で検事正の認識としては、とにかく早くとめる必要があるということと示談を促すということがありますから、事案の概要程度を伝えるであろうということはわかっていた。その後、検事正に対する報告は、これは古川判事と山下次席が面談した後のことですけれども、古川判事を呼んで事件の概要を話して、それで弁護士を紹介しておいた、この程度の簡単な報告でございます。

佐々木(秀)委員 ということは、二十八日に山下次席が、動機としては、これ以上犯罪を拡大させないようにというような思い、あるいは事実があったとすれば示談を勧めて、なるべく穏便にといいますか、早く収束させるというような意図から古川判事に会って話した。それで、そういう意図についても古川判事に話したことを渡部検事正に報告をしているわけですね。その際に、渡部検事正は、その山下次席の行為を非難するとかいうようなことはなく、了承している、こう了解していいわけですね。よろしいですか、その点。

古田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、当時、検事正としては、警察と相談をした上でやるであろうと考えていたわけですが、それが非常に早く報告が来たので、どうも警察には言っていないんだろうなという判断をした。ただ、前のときの指示で、前のときの打ち合わせのときに、その点について自分から強く注意喚起もしていなかったので、それでその点についてはあえて何も言うことはしなかった。

 犯行をやめさせ、事実を認めさせて示談をさせる、そのことによって捜査もスムーズに運び、事件の処理としても、関係者の名誉等に著しい傷がつかないというような、そういうような点を考慮した点については、渡部検事正としてもそれについては是認をしていた、こういうことでございます。

佐々木(秀)委員 そこで、そうした山下次席の行為、それからそれを了承した渡部地検検事正の言動、これについて問題になって調査の対象となり、それぞれが、これは職務違反だということで処分を受けるに至っているわけですね。

 そこで、山下検事に対しては、国家公務員法違反、特に守秘義務違反としての告発、捜査情報の漏えい、これは守秘義務違反に当たるんだろうと思うんですけれども、そういう告発もあったわけですね。守秘義務違反ということになると、これは国家公務員法の百条の違反、そしてそれに対する、違反行為に対する罰則は百九条の十二号で懲役一年というような重い処分も予定されているわけですけれども、しかし、これについては検察の捜査の結果不起訴にしましたね。嫌疑なしということにした。このことについては、この調査報告の中でも百条違反に当たらないということを言っておられる。

 しかし、国公法の八十二条と九十九条、これには当たるということを言っておられますね。八十二条の方は、職務上の義務違反ですか、それと職務懈怠、この懲戒事由に当たるということと、それから「官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」という九十九条に違反するということが処分の理由になっているようですけれども、しかし、事実の経緯からすると、やはり、その意図はどうあれ、他の者は知らないような、この捜査の上で知り得た情報を漏らしているということになって、百条違反になるのではないかというのが私は一般的な市民感覚だろうと思うんです。

 本件の場合には、司法部内で検察と裁判所あるいは裁判官との癒着の問題などということが取りざたをされて、全体として司法の信頼に対して疑問を投げかけられている中でこのような処分は、後でまた渡部検事正の問題も聞きますけれども、これがまた身内意識じゃないかという批判が当然のことながら出てくるんだろうと私は思うんですが、この点は、事実の把握と、嫌疑不十分として国公法百条の守秘義務違反を不問に付したということの関係についてはそれほど深刻には考えておられないんでしょうか。これは当然のことだ、全く間違いはないと考えておられるのか、この点はどうなんですか。

古田政府参考人 この問題につきましては、最高検察庁におきましても非常に深刻な問題だととらえまして、御指摘の国公法上の守秘義務違反は成立するかどうかという観点から非常に慎重な捜査をしたわけでございます。そこで、これは結局嫌疑不十分という判断をしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、捜査の場合に、事案の内容などを判断いたしまして、一定の事項を、被疑者側の関係者でありましても信頼が置ける者に伝えて、事件の解明とそれから事後措置と申しますか、将来の処理を見越したいろいろな措置を依頼するということは、これは一般的にあり得ることでございます。

 本件の場合、先ほども申し上げましたように、要するに事実を認めさせて、可能であれば、被害者がもし納得するならば示談を成立させるということによりまして、関係者の名誉等に対するいわば副作用というべき侵害等ができるだけ起こらないようにしたい、こういうことを考えたわけでございまして、そのこと自体が、それがでは検察官の職責等に反するかということになりますと、そうではないと私どもとしては考えているわけでございます。

 したがいまして、本件につきましては、円滑、妥当な捜査処理を図るという目的で、信頼が十分できる裁判官という立場にある者に対して、その目的のために必要とされる範囲内の情報を提供している。そういうことからいたしますと、これはやはり捜査の目的に違反するような情報の告知とは言えない、そういうふうに判断されたということでございます。

佐々木(秀)委員 どうも、ごくごく一般から見ると、その辺の説明をいただいてもなかなか納得しにくいんじゃないかと思うんですよ。

 それと同時に、確かに、事件について捜査した結果立件するには当たらないという不起訴の権限を検察は持っているわけですけれども、同じく不起訴の場合でも、今言われたように全く嫌疑のないという不起訴処分、それから、証拠が十分じゃないという証拠不十分による不起訴、それからもう一つは、嫌疑としては十分にあるんだけれども、しかし情状からすると、今言われたような動機その他から考えて起訴処分まではちょっと行き過ぎではないか、ここはひとつ、嫌疑はあるんだけれども起訴するのを猶予するという起訴猶予等があるわけですね。

 本件の場合には、仮に起訴しないとしても起訴猶予に当たる事例ではないだろうか。そして、今の御説明のあった動機などの点について、国民の皆さんに納得していただけるような説明を付すべきではなかったか。それが、調査をし捜査をし、そして処分の決定をした検察の態度であるべきだったのではないだろうか。だから、今度の処分決定についても、なお国民の中からすとんと胸に落ちるような思いがなされておらないんじゃないか。不満などがまだくすぶっているように思えてならないわけです。

 ここでそのやりとりをしても時間を費やすばかりだと思いますので、ここからは法務大臣にもお尋ねをしたいんだけれども、法務大臣はまだお帰りになっていませんので、時間の関係もありますから、今度は裁判所の方にお尋ねをしたいと思います。したがいまして、私の通告した四番以降の質問については、大臣が来るまで留保させていただきたいと思います。

 それで、最高裁判所の方は、本件、古川判事の問題について、本年の二月の十四日、事務総局内に調査委員会を設置されました。そして、過日報告書を出されて、これもきょう、事務総長から御報告がありました。私どもも見させていただいたんですが、調査委員会の設置が法務省に比べてかなり遅いですね。法務省は二月の五日ですから、九日後ですね。これは、どうしてこんなに立ち上がりが遅かったんですか。もちろん、この発端は山下検事のということはあるけれども、しかし、もともとは古川判事の奥さんの問題ですからね。いち早く立ち上げる必要があったんじゃないかと思うんだけれども、どうしてこんなにおくれたんですか。

金築最高裁判所長官代理者 調査委員会立ち上げの経緯について御説明申し上げますと、本件は、当初は福岡高裁の古川判事の妻の犯罪という疑惑でございまして、古川判事自身の非違行為として調査をする、こういう問題ではなかったわけでございます。ところが、その後、古川判事自身の証拠隠滅疑惑とか、それから裁判所における捜査情報の漏えい疑惑というものが報道されるようになりました。このいわゆるコピーの問題が出ましたのが、二月六日火曜日の新聞でございました。

 裁判所としては、そういう関係については現状の把握がおくれておりましたけれども、福岡地裁、福岡高裁におきまして、関係職員について調査をいたしましてその事実関係の把握に努めていたわけですが、その調査結果を二月九日の金曜日に、最高裁の方へ高裁の土肥事務局長が参りまして、報告をいたしました。令状関係の資料がコピーされて高裁に報告されたという経緯とか、令状関係の情報が古川判事に流れていないかどうかというふうなことについての調査結果の報告を受けたわけでございますが、これによりまして最高裁の方では事案の概要が把握できましたので、土肥事務局長の報告は九日金曜日でございますが、週明け二日目の二月十四日の裁判官会議で、最高裁に調査委員会を置いて調査に当たる、こういうふうなことになった経緯がございます。

佐々木(秀)委員 今の説明をお聞きしても、それにしても立ち上げが少し遅いと私は思うんですよね。特に、調査結果として、この古川判事には証拠隠滅の行為はなかったというふうに断定されているわけだけれども、しかし、そういう疑念は持たれていて、報道なんかもなされるに至ったわけですから、そのことについてはもっと裁判所は敏感であってもよかったと思う。そして、そのための調査委員会の立ち上げ、とにかく自分たちの手で真相を究明しなければならないというその態度を早く見せるべきだったと思うんですけれども、その点でどうも、御説明を聞いても、立ち上げが遅かったんじゃないか、行動が遅かったんじゃないかという感じを払拭できないんですよ。

 それと、検事の場合には検事一体の原則がありますから、裁判所の場合には裁判官の独立があるし、裁判所の独立もありますから、相当対応も違うのは当たり前だと思うんですね。裁判官の場合には、その懲戒としては分限裁判によらなければならない。ただ、職員については、先ほど事務総長からお話がありましたように、司法行政上の権限によって懲戒をできる。

 そういうことで、本件の場合には二つの問題があったわけですね。一つは、古川判事自身の言動の問題ですね。それからもう一つは、これにまつわって、裁判資料のコピーといいますか、これを他に伝達するというこの二つが問題になって、そして、後の方の問題について、福岡高裁の長官あるいは福岡高裁の事務局長、それから福岡地裁の所長、それから福岡地裁の書記官などがこの調査の対象になって、それで職員の方の、例えば首席書記官なんかについては、事務総長さっきお話しのように、事務総長権限で一定の戒告処分をした、こういうことになるわけですね。その他の裁判官については分限法に基づいて分限裁判にかかった、こういうことですね。

 それで、分限の結果はさっきお聞きをいたしましたけれども、古川裁判官の分限裁判はまだ結論が出ていないということですね。今度分限裁判はいつで、いつ結論が出そうなんですか。

金築最高裁判所長官代理者 御指摘のように、古川判事に対する分限裁判はただいま最高裁大法廷で審理されております。お尋ねの、古川判事への分限裁判の決定がいつあるのかといった点は、大法廷の審理の方針にかかわることでございますので、事務当局としてはお答えすることができないわけでございます。

佐々木(秀)委員 それじゃ、既に終わっている分限裁判の方を確かめたいと思いますけれども、分限裁判なんというのは実際にどうやって行われるのか。数があるわけでもないですね。ごく最近では、例の寺西判事補の分限裁判があったですね。政治的な行動ということが理由だったと思いますけれども、それ以来のことでしょう。私は、質的には全然違うと思うんだけれども、むしろ寺西裁判官の分限裁判が不当だったと思っておりますけれども、それはともかくとして、今度の、もう既に終わった、三月の十六日に、福岡高裁での分限裁判、それから最高裁判所でも行われたんですね。青山福岡高裁長官らに対する分限裁判が最高裁で行われた。

 これは同じ日に出ているわけだけれども、分限裁判であっても裁判所は違うわけでしょう。片や最高裁判所で大法廷、片や福岡高等裁判所の分限裁判ですね。これは、一緒になったというのはお互いに連絡をとり合ってのことなんですか。それと、分限裁判、それぞれ何回法廷は開かれたんですか。そして、私ども全く分限裁判というのはなじみがないわけだけれども、これは部内の裁判になっちゃっているような感じがするんだけれども、これはかけられた当事者には弁護人などはつけておられるんですか、つけないんですか。やり方が全くわからないんだけれども、どんなふうに行われたのか、既に終わったこの二つの裁判について差し支えない範囲でお知らせくださいませんか。これは国民の皆さんも関心のあるところだろうと思うんですよ。だけれども、わからないですからね。私たち法律家でもわからない。

 公開、非公開のことについてもぜひお知らせください。

    〔委員長退席、奥谷委員長代理着席〕

金築最高裁判所長官代理者 福岡高裁と最高裁の決定が同じ日になったのは連絡をとり合ってしたのかというお尋ねですが、その点は事務当局として承知しておりませんが、通常そういうことはないのかなというふうに考えます。

 一つは、御承知のように、福岡地裁の所長が定年が迫っておりました。定年で退官してしまうとこれは処分の問題ができなくなりますので、ですから、福岡地裁所長が関係しておりましたコピーの問題、これは今回、高裁長官、高裁事務局長も事実としては同じ範囲のことでございますけれども、そういう関係があったということで、こちらの方は先週の金曜日になされたのではないかと思います。

 審問等の手続、具体的には承知はしておりませんが、審問は非公開でございますけれども、必ずしも本人が出頭するというふうなことではなくて、意見書を出して、それで本人は出頭しないというふうなこともございます。

 手続の詳細については、事務当局としては承知をしておりません。

佐々木(秀)委員 公開、非公開の問題なんかはどうなの。それと、弁護人がついているのかどうか。

金築最高裁判所長官代理者 公開、非公開の点では、公開されたというふうには聞いておりません。公開する必要はないということだと思います。

 それから、ちょっと今、正式に弁護人ということであるかどうか、弁護士さんをつけるということは可能であると思いますが、本件の場合にそれがついたというふうには聞いておりません。

佐々木(秀)委員 どうも、裁判官分限法を見ても、その点は全くはっきりしていないんですね。分限裁判の手続も、どういうようにやるのかなんて全然書かれていないんですよ。だから、ある意味ではこれは全く別世界で、それこそこれも秘密のうちにやられているようなもので、せめて、どういうように行われたかということは、それぞれの裁判所で、差し支えない範囲で国民の皆さんにも明らかにされた方がいいと僕は思うんですね。それこそ、これも裁判だと言っているんだから、裁判の信頼性の問題もあるわけで、こういう点は、今後の問題もあろうと思うけれども、考えなきゃならないと私は思いますね。

 そして、そこで行われた決定が、さっきも質問がありましたように、これは法定でそうなっているからしようがないんだけれども、過料一万円でしょう。これは司法罰ではありますよね、過料だから。科料ではないよね。行政罰ではなくて司法罰ではあるけれども、一万円以下でしょう。あとは戒告しかないんですからね。処分の内容としてはまことに軽い。ただ、そういうところにかけられたということで、それこそ裁判官の信用性ということが著しく損なわれるというダメージはもちろんあるんでしょうけれども、それにしても、この手続問題を含めて、これもなかなか国民の皆さんの御理解を得られないところではないかなと私は思います。

 それから、法務大臣がもうそろそろ来られるそうですけれども、その前にもう一つ聞いておきたいと思いますが、先ほど、裁判所としては、古川裁判官については証拠隠滅だとかそういう疑いはかけられたけれども、調査の結果その嫌疑はない。結局は、事務総長のお話、また調査報告にも書いてあるように、実質的な弁護活動と見られるようなことをやった。それについては西村議員の方から、いや、しかしそれは人間としてはという話もあったわけですけれども、なかなか難しいところではあろうかとは思うんです。

 これについて、このコピーをほかへ話をするなんというのは、司法行政上の必要に基づいてごくごく限られた条件では許される場合があるけれども、本件の場合にはそれを逸脱しているんだ、だから、例のコピーの方の問題からいうとそれが問題になっている、こういうお話だったですね。この司法行政の問題というのは、裁判所法によると、実は最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所それぞれに裁判官会議があって、ここで本当は決められるものだと。司法行政の問題というから、さっきお話があったような人事の問題だとか、そういう身分関係あるいは処遇の問題も本当は裁判官会議で行われるべきところだと思うんだけれども、その後に、所長にあるいは長官に権限を移譲してそこに任せるというようなことがずっと慣例として行われてきたんですね。かつてだったら、こういうような問題が起こった場合に裁判官会議があってもおかしくないと私は思うんです。

 例えば、余り時間がないから詳しく申せませんが、昭和四十四年だったと思いますけれども、札幌の地方裁判所で長沼裁判が起こったときに、例の、事件を担当した福島裁判官に対して札幌地方裁判所の当時の所長の平賀さんがこの事件の結果を云々するような書簡を送って、それが平賀書簡事件として大問題になりましたね。あのときには、札幌地裁で地方裁判所全裁判官が出席をした裁判官会議が開かれてけんけんがくがくの議論が行われて、その結果、その裁判官会議の決定として平賀所長に対して注意処分が出されたというようなことが報道であった。

 最近、裁判官会議なんということは全く行われていないんでしょう。今度の場合でも、福岡地裁あるいは福岡高裁で裁判官会議なんというのは開かれていないわけですね。その点どうですか。

    〔奥谷委員長代理退席、委員長着席〕

金築最高裁判所長官代理者 裁判官会議はどこの裁判所でも年何回か必ず開かれていると思います。これは事務分配を決めたりするようなこともございますので。

 今回の件でございますが、何せ、先ほど申しましたような事情で分限申し立ては非常に時間的な問題もあったということで、福岡高裁で申し立てをいたしましたときには常置委員会で決定したというふうに報告を受けております。

佐々木(秀)委員 本当は裁判所として、さっきも西村代議士から指摘がありましたけれども、裁判官の身内でそういうような問題にかかわった者が出た場合に裁判官としてはどう対処するのかなんということは、裁判官同士で話し合われてもいい問題だと私は思うんですよ。そのための裁判官会議などということもあってもいいのに、今回は全く行われていないですね。そこにやはり裁判所の閉鎖性というか、一般的な社会とは隔絶されたようなところがあるように私は思われてならないんですね。このことも別な機会にまた議論したいと思いますし、それから、あと予定していた裁判所に対する質問も、ちょっと時間の関係がありますので、しようがないのでこの辺で一応は終わりたいと思います。

 最後に、法務大臣がせっかく、忙しい中、あっちこっち行ったり来たりで大変でしたけれども、お見えになりました。実は、さっきお聞きをいたしましたら、山下次席が十二月の二十八日に古川判事に会って、それで、いろいろな思いはあったろうと思いますけれども、話をした。その前日に上司の検事正にもその旨伝え、そして古川判事に会った後また検事正に報告をして、検事正も、山下次席のとった行動、言ったことについては了解しているんですね。了承を与えているんです。

 これは、山下次席としては、全く独自にやったというのなら別ですが、事前にそうやって検事正にも伝えているわけですから、自分のやることについてある程度のお墨つきをもらっているということにもなるわけです。そして、やったことについても検事正は全く非難していないんですよ。だということになると、そう言っちゃなんだけれども、渡部検事正は山下次席と全く同罪じゃないか、むしろ、山下次席がやることについて励ましを与えたようなことになるんじゃないか私は思っているんです。ところが、二人に対する処分は全然違うんですよ。検事正の方は一カ月の減給処分でしょう。まあ御本人からはやめたいという辞任の申し出があったということだけれども、それは本人の問題ですからね。

 処分の仕方としてはこれは明らかにおかしいんじゃないかと私は思うんだけれども、法務大臣、どうなんですか。同列じゃないですか。

高村国務大臣 渡部前検事正でありますが、みずから積極的に非違行為を行ったものではなくて、部下職員を指揮監督すべき職務を怠ったというものでありまして、渡部前検事正としては、山下前次席はベテランの検事であることから、警察の意向等の確認を指示するまでもなく、当然山下前次席において行うものと考えていたこと等の事情が認められるわけであります。これらの事情に加えて、これまでの懲戒処分例を総合的に判断して、渡部前検事正に対して一月間俸給月額の百分の十の減給処分にしたものであり、その職責に応じた適切な処分をしたものと考えております。

佐々木(秀)委員 渡部検事正は自責の念を強くされて辞職ということを決められたんだろうと思うけれども、省みて、やはり自分の山下次席に対する態度が誤っていたからだと考えられたからそういう辞職の申し出をされたと思うんですよね。だけれども、諸般の事情を考慮してとおっしゃるんだけれども、どう見ても、外から見ていれば、この調査報告でも、渡部検事正が山下次席の言動を了承しておられる、それに対してとがめてもいなければ叱責もしていないというところから見ると、私は同列じゃないかと思うんですよね。みずからやったのではないと言うけれども、これは犯罪で言う正犯と共犯との関係みたいなもので、共犯者だから、幇助だとか何かの場合には正犯よりは軽いということはあっても、場合によると共同正犯ということだってあるわけですから。そういうことから考えると、私は、渡部検事正の一カ月百分の十の減給というのは、どう見ても軽い、山下次席の処分に対して軽過ぎるんじゃないかという感が否めないのです。そのことを意見として申し上げておきたいと思います。

 それから、この調査報告書が三月九日に発表されて、きょうも法務大臣から御報告がありましたけれども、法務大臣の発言がございました。この中で、検事に市民感覚を学ばせる人事教育制度の抜本的見直しの方策とか、あるいは、今度の場合にはどうも警察と信頼関係がなかったというか連絡がうまくいかなかった、検事正も、当然警察と連絡、了解の上で山下次席が古川裁判官に会うと思っていたのに、そうでなかったというようなことを言っておられるようですけれども、この警察官の活動に対する理解を深めるというか、あるいは信頼を深めるための方策ということを言っておられるようですけれども、まず、この二つについてどういうようにしたらいいと思っておられるのか、この辺、お話しください。

高村国務大臣 検事に市民感覚を学ばせることにつきましては、例えばでありますが、検事を弁護士事務所や民間企業で勤務させることなどを考えております。今後は、関係機関の協力を求めつつ、検察官の人事教育制度の抜本的な見直しについてさらに具体的に検討していきたい、こう考えております。

 それから、警察官の活動等に対する理解をより一層深めるための具体的な方策につきましては、幹部を含む検察官が第一線で汗を流し活躍している警察官との意見交換会を開催することなどを考えております。今後、関係機関と協議しつつ、その具体的内容等について検討してまいりたいと考えております。

佐々木(秀)委員 ぜひ、そういうことについて具体的な方策を立てて御努力をいただきたいと思います。

 判検交流の問題、法務行政への民意反映の方策については時間がないから割愛いたしますけれども、ただ、判検交流も一つの問題点だということを大臣が言っておられるのは、私はそうだと思うんですよ。

 この間のこの委員会での質疑の中でも判検交流が問題になりましたね。僕も実際に経験して驚いたことがあるんですよ。東京で弁護士をやっていて、ある刑事事件で立ち会いの検事とぎゃんぎゃんその事件でやり合ったのです。そうしたら、ある日突然その検事が転勤になりましたといなくなっちゃって、別の検事が担当するようになった。それからしばらくたって、三、四カ月後だと思うけれども、私は東京の地方裁判所で国を相手にした行政事件を抱えていたんですけれども、行ったら見たことのある人が黒いガウンを着て裁判官席に座っているんだ。そうしたら、この間まで僕とやり合っていた検事なんですよ。それが左陪席になって、裁判官になっている。こういうあり方は本当にいかがなものかと僕は思うんですよ。

 この間も話に出たけれども、今裁判官が現場では足りない。担当する民事事件などが三百件からやっと最近二百件ぐらいになったというけれども、二百件抱えてということは大変なことですよ。僕ら、弁護士をやっていたって、とてもじゃないけれども、そんなに事件なんかやれるものじゃないですよ。それでもあっぷあっぷしているんでしょう。

 そんな中で、裁判官が百人以上、法務省その他のところに行っている、出向しているということになると、現場の裁判官がそれだけ少ないわけで、この辺も問題があると思うし、今私が紹介したような判検交流のあり方というのは、これもまた問題だ、こんなふうに思っております。

 最後に、時間になっちゃったんですけれども、最高裁人事局長に一点。

 十九日に、司法制度改革審議会でこの件で御報告していますね、人事局長。そうしたら、そのときに中坊委員から、古川判事の個人的問題じゃないじゃないか、最高裁、裁判所全体としてどう考えているんだという何か指摘があったというんだけれども、どんな発言だったんですか。そして、どう答えたんですか。簡単に御紹介ください。

金築最高裁判所長官代理者 私が出まして、調査結果の概要を御報告いたしました。その後、もう少し詳しい事実関係等を確かめたいというふうに中坊委員がおっしゃいまして、私に、十分程度でしたでしょうか、そのときは、どういう事実関係だったかというふうなことのお尋ねがありました。

 その御質問の中で、いろいろ本件には重大な問題があるというふうなお話もありましたが、その当日予定されておりました議題があるということで、佐藤会長の方で予定されている審議の方へ入りたいということで、そこで私に対するお尋ね等は終わりになった、こういう経緯でございます。

佐々木(秀)委員 全然わからないんですよね。最後になって時間がなくなっちゃったから、これは後の同僚委員にまたお聞きしていただければいいと思うんですけれども、中坊さんが言ったのは、検察の方は検察一体の原則があるけれども、裁判所はそれぞれ個々独立だと言いながら、そして、さっき事務総長は裁判官一人一人の倫理の問題だと言ったけれども、しかし、裁判官のあり方についての司法行政のかかわり方、裁判所としてどう考えるのか、そのことを真剣に考えないと、古川判事一人の個人の問題じゃないよということを恐らく言いたかったんじゃないかと私は思うんですね。私もこれにまつわっていろいろ言いたいことがあるんですけれども、残念ながら時間がなくなりましたから終わりまして、同僚委員の方でまたその辺の補足の議論をしていただければありがたいと思います。

 大臣、お忙しいところをどうもありがとうございました。

保利委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 今回のこの捜査情報の漏えい事件、非常に残念な事件だというふうに私も思っております。一般の国民の方々が司法制度に対して持っているイメージというのはいろいろあろうかと思いますけれども、例えば裁判官について言うと、世間知らずで、おかたくて融通がきかない、あるいは検察官については、厳しいとか冷たいとか強権的であるとかといったような負のイメージもかなりあろうとは思うんですけれども、一般の国民の方々は、司法制度については公正に行われているというような信頼はある程度持っているんじゃないかというふうに私は思っております。

 そうした中でこうした事件が起こったわけでございますけれども、実は、検察と裁判官の問題については、私もちょっと弁護士をやったときの経験で判断いたしますと、いろいろな令状交付の申請とか、勾留の申請であるとか、あるいは保釈の申請というようなものがあったときに、裁判官が検事の言うことを非常にうのみにするといいますか、検事の言うことにほとんど従ってしまうというような実情、あるいはそれぞれの裁判が行われますと非常に高い有罪率であるというようなこと。これは一方で、日本の捜査当局、警察、検察が非常に優秀であるから、検察が言ってきたことについては裁判官も大体同意するようなことになっているんだということならば、それはそれで一つの日本の姿だろうというふうには思うのですけれども、そこに今回のような事件が起こってしまいますと、いろいろな国民からの信頼が失われてしまうようなことにつながっているのではないかというふうにも思います。そういうことが、今現在議論されております司法制度改革において、国民の参加というものが司法制度の中にできる限り持ち込まれていかなければならないというような議論になっているのだろうと思います。

 そこで、ちょっと大臣にお聞きしたいのですけれども、今回こういう不幸な事件が、残念な事件が起こったわけでありますけれども、最高検察庁の方で、今回の事件について調査、捜査をするということで取りかかったわけであります。法務省として直接的ではないかもしれませんけれども、法務大臣として、今回の最高検察庁による調査というものがどのようなものであるべきであるというふうにお考えになっておられたかということについて、まずお聞きいたしたいと思います。

高村国務大臣 基本的に言えば、捜査も調査も厳正なものでなければいけない、こう思っておりました。そして、捜査、調査、その結果だけによって国民の不信を一遍で払拭するというのはなかなか難しいことでありますが、少なくとも、国民の不信を払拭するその出発点になり得るものにならなければいけない、そういうつもりで私としては調査を命じてきたところでございます。

平岡委員 今回の最高検察庁による調査あるいは最高裁判所による調査を見ますと、私は、国民の信頼を得るためにできる限り事実関係を明らかにしようとする姿勢というものはかなり見られているのではないか、他方で外交機密費の問題でなかなか調査をしようともしないという姿勢に比べれば、非常に、国民の信頼を得るために努力しようという姿勢は見えているんじゃないかというふうに思います。ただ、具体的な中身について言えば、私はこれから後ほどいろいろと質問していきたいというふうに思っておるのですけれども、それはともかくとして、国民の信頼を得るためには、こうした残念な事件が再び起こらないというための努力、再発を防止するための努力ということがやはり必要ではないかというふうに強く思っているわけであります。

 そこで、先ほど法務大臣の方からもいろいろな説明がございました。その中にも再発防止のためのいろいろな努力が説明されておられますけれども、いろいろとお聞きしたいことがあるわけであります。

 その一つが、先ほども説明ございましたけれども、検察審査会の一定の議決に法的拘束力を与えるというようなことを、制度改革の一つとして重要であるというふうに説明がされておられました。

 ただ、考えてみますと、検察が一たん不起訴を決めてしまったようなものを、検察審査会が、いや、これは不起訴が不当であるから起訴しなさいというような議決をしても、検察当局というのは、人から言われたから、じゃ、その気になって起訴に向けて頑張りましょうというふうにはなかなかならないんじゃないかなというようにも思うわけです。そうすると、不起訴を決定した場合に、検察審査会が例えば起訴相当であるというような判断をしたことに対して、やはり実行させていくための仕組みというものも必要になってくると思うのですけれども、そういう点について今法務省としてどのようなお考えを持っておられるかお聞かせ願えればと思います。

高村国務大臣 検察審査会の一定の議決に法的拘束力を認めることは、公訴権の行使に民意を反映させ、検察官が独善に陥ることを防ぐとともに、検察に対する国民の信頼と理解を得る上で大きな意義があることから、これを導入することが相当であると考えているわけであります。

 この点を含め、検察審査会制度の具体的なあり方につきましては、現在、司法制度改革審議会において御議論されているところでありますが、例えば、審査機能の充実を前提とした上で、起訴相当の議決に直接公訴提起の効力を認めることなどが、例えばでありますが、考えられるところであります。

 まさにその点、今委員が御指摘になったように、起訴が相当と考えていなかった検察官がそうやるのか、どうなんだ、こういう話でありますが、被害者を初めとする審査申立人等から見て十分な訴訟活動がなされるか疑問を抱かせる可能性があるなどの問題が、不起訴処分を行った検察官が公訴提起をする、訴訟追行を行うことにはあるわけでありますから、検察官以外の法律家が訴訟追行に当たる制度をとることなどが考え得ると思います。今まさに、司法制度改革審議会の中で御論議をいただいているということでございます。

平岡委員 この点については、三月十三日の第五十一回司法制度改革審議会においても積極的に提言したというふうに法務省の方からも言われております。私自身は、この「検察審査会の一定の議決に法的拘束力を与えること」ということは非常に重要なことだというふうに思っておりまして、逆に言うと、これが本当に実のある制度になるように法務省の方でも積極的に考えていただきたいというふうに思っております。

 それから、再発防止策の第二点目でございますけれども、この中にやはり「検察審査会が検察事務の改善に関し検事正に対して行う建議・勧告の制度を充実・実質化すること」ということを述べられております。

 私もちょっと寡聞にして、これまでにどんな建議、勧告が行われて、それに対してどのような対応をしたのかということについて余り存じ上げなかったものですから、いろいろ法務省の当局にもお聞かせ願いまして、ある程度のことは聞かせていただきました。ただ、充実・実質化ということを具体的にどんなふうに考えておられるのかというところが、説明を、これまでの実績を聞いてみてもなかなか思い浮かばなかったのですけれども、どんなふうなことをこの充実・実質化の中で考えておられるかということを、法務省さんが今、現時点で考えておられるようなことを御紹介いただければと思います。

高村国務大臣 検察審査会が検察事務の改善に関し検事正に対して行う建議、勧告の制度は、検察運営に民意を反映させることができる点で、大きな意義があるものでございます。

 これらの建議、勧告の具体例といたしましては、被害者保護のため、軽微な事案を含め被害者からの事情聴取等を十分に行うべきであるとの建議について、検察官等に周知徹底を図る措置を講じた例や、不起訴記録の保存期間を見直すべきであるとの建議を受けて大臣訓令の改正を行った例があるなど、検察運営に一定の反映がされてきたところであります。ただ、現状で必ずしもこの制度が十分には活用されていないわけでありまして、これをより充実・実質化する必要があると考えたわけでございます。

 そのための具体的方策としては、例えば、検察審査会の建議、勧告に対する検事正の回答義務を法律に明示することや、その建議、勧告とこれに対する検事正の回答の各内容を原則として公表する、そういったことがとりあえず考えられるところだと思っております。

平岡委員 ここからは細かい話になりますので、事務当局でも結構でございます。

 再発防止策の第三点として、法務省においても、法務省への出向者が裁判官に偏っている現状を改め、裁判官以外からも広く人材を受け入れるための方策を検討してまいりたい、そういうのが記述としてあるのですけれども、これは一般の人が聞いてもなかなか具体的なイメージがわいてこないのですけれども、具体的に、どのような職務の内容にどのような人材を受け入れていくのかという点について御説明いただければと思います。

但木政府参考人 二通りあろうかと思います。

 まず、検察官につきましては、例えば弁護士経験の豊かな人に検察官になってもらって、市民的感覚を検察の中に吹き込んでもらう、こういうものも一つの類型でございます。

 それから、もう一つの類型といたしましては、現在、国際的な金融商品とか、非常に先端的な部門があって、必ずしも検察にその知識が十分でない分野がございます。ところが、事件そのものはそういう分野でももちろん起きるわけでありまして、そこで、こうした国際的金融関係の仕事に携わった人たちを例えば検察事務官に登用して、その知識を検察の捜査に生かしていただくというような制度も考えられるというふうなことでございます。

平岡委員 今の御説明だと、今回の事件に関連してどういうような改善につながっていくのかというのがちょっとわかりにくかったので、またよく検討した結果をお教えいただければというふうに思います。

 それで、次にちょっと調査の方の問題に移っていきたいと思うのですけれども、今回の法務省による調査あるいは最高裁判所による調査のポイントの一つというのは、山下次席検事が何を古川判事に伝え、古川判事がその伝えられたことに従ってあるいはそれを逸脱して何をしたのか、それに対して検察当局なりあるいは裁判所がどのように関与をしていたのかといったような問題に集約されるのではないかというふうに思うわけであります。

 そこで、一つ、私、調査報告書等を見ておりましてよくわからなかったのが、これは、山下次席検事が捜査情報を昨年の十二月二十八日に告知したということで、告知をした内容がずらっと書いてあります。それから、その報告書の後ろの方で、告知した理由は、背景といいますか、心の中には山下次席検事はこういうことを思って告知したのだという、自分の思いが書いてあるというのにとどまっているわけですね。

 むしろ、私は、調査報告書というのは事実をきちっと書いていくことが重要であって、実際には、二人が会ったときに古川判事に対して山下次席検事が捜査情報の告知以外に何かを伝えていると思うのですね。どうしてその伝えているということ自体がこの報告書の中に書いていないのか、非常に疑問に思うのですけれども、法務省、いかがでしょうか。

長勢副大臣 捜査情報を告知した際に山下次席検事が何を言ったのかということが不分明ではないかという御質問だと思いますが、かいつまんで申し上げまして、一つは、古川判事に対して、事実関係を確認した上で、妻の園子に犯行を認めさせてやめさせるということを求めたということ。それから二つ目に、犯行に用いられた携帯電話を確保して保全をするということを古川判事に求めた。三つ目に、その際、早急に被害者との示談を進めることを促したということにあるというふうに承知をいたしております。

平岡委員 今、非常にわかりやすくおっしゃっていただいたのですけれども、なぜその伝えた内容が伝えた言葉としてこの調査報告書に書いていないのでしょうか。

古田政府参考人 この調査報告書の体裁が、実は報道等で疑問とされている主要な点について答えるという形で整理をしたものですから、まず一体どういうことが伝えられたのか、その目的は何だったのかというような形で整理をしていったため、その目的のために、今副大臣から申し上げたようなことが実質的には記載されている、形式でそうなったというふうに御理解いただければと思います。

平岡委員 形式でそうなったと言われればそうかもしれませんけれども、読んだ人は、山下次席検事と古川判事との間に一体どんなやりとりがあったのかということがほとんどわからない。ある意味では、そういう変なやりとりがあった部分が後の思いの部分で消されているのではないかというような疑惑も持ってしまうということで、私は非常に不思議な報告書であるというふうに思っております。

 そこで、ちょっと話を進めますと、この報告書の中にも書いてあるのですけれども、今の副大臣の御答弁の中にもありました。被害者との示談を進めるということを依頼したというようなお話でありましたけれども、庶民感覚でいいますと、例えば次席検事とそれから高裁の判事が、次席検事から捜査情報を告知してもらって、そして示談をしてくれというふうに依頼するということは、つまりこれは事件を事件でなくする、いわゆる事件つぶしということを二人の間でやろうとしていたのじゃないかというふうに一般の庶民の人は受けとめると思うのですね。

 その点については、これが事件つぶしでないということでずっと言われておられますけれども、法務省はどのようにお考えになりますでしょうか。

長勢副大臣 一般的に申し上げまして、検察官が事件を処理する段階で、事案の内容に応じまして、その適正、妥当な処理を図る上で、示談という方法によって被害の早期回復、迅速円滑な紛争解決を図ることが適切であるという判断がされる場合には、関係者に対して示談を促すことがあることは一般的にあるということを一つまず御理解いただきたいと思います。

 本件においては、山下前次席検事においては、今回の判事の妻による脅迫等の事件というものが特異な人間関係に起因する事案である、そういうことから、早目に防止をしないと殺傷事件のような重大事件にエスカレートしかねない、またセンセーショナルな話題になっても関係者の名誉が汚される、その家庭にも打撃を与えるおそれがあるというような内容でございますので、そういう内容からして、早期に犯行をやめさせた上で、示談による解決が可能であればそれが適切であるという判断をして、その旨を判事に促したというふうに承知をしておるわけでございます。事案によってこういう判断があり得るということはあるわけでありまして、これをもって事件つぶしというふうに評価することは適当ではないと考えております。

 また、最高検察庁の報告におきましても、事件をやみからやみに葬るという意味での事件つぶしではない、被疑者の処罰を不当に免れさせることを意図したものではないというふうに報告をいただいておるところでございます。

平岡委員 例えば、検察官が示談を勧めるということもないとは言えないとは思うのですけれども、通常は、被害者がどういう意向を持っているかというようなこともある程度踏まえてそうした行動をとるのではないかというふうに思いますけれども、今回のケースは、示談について被害者の同意があるとか、あるいは被害者がどのように考えているかということがよくわからないままで、示談ということを検察官が積極的に言い出している。

 何かよくわからないのですけれども、通常だと、弁護士あたりが、これは示談にしますから穏便な処置をお願いしますというような形で進んでいくのが普通の姿であるにもかかわらず、次席検事が積極的に、被害者がどのようなことを考えているかもわからないような状況の中で示談を持ち出しているというのは、やはり事件つぶしというような印象が非常に強いのですけれども、こうした被害者の同意がないような状態でもやはり示談というものを検察官が勧めるケースというのは多々あるのでしょうか。

長勢副大臣 おっしゃった点は、まさに今回の山下次席検事のとった行動の問題点というか、極めて独善的かつ軽率なやり方であったということはおっしゃるとおりであるというふうに思っておりますし、そのように報告されておるところであります。

 私自身、極めて独善的かつ軽率な話でありますから、こういうことはほとんどなかったというふうに思っております。

平岡委員 それから、これは二月五日の報道の中にあるのですけれども、山下次席検事が、県警に対して、誤認逮捕なら県警本部長の首が飛ぶ、地検幹部も辞表を出さざるを得ないというようなことを伝えたことを記者に認めている、そういう報道があるわけですね。

 他方、こちらの法務省の報告書を見ると、そのあたりの話が全く触れていないということであります。報道があったからそれに対してどういうふうに言ったかというのを書けということまでは、必要があるかどうかというのはいろいろあろうかと思いますけれども、少なくともそういう疑惑が持たれていることに対して何らの説明もない報告書というのは、そういうことがあったというふうに認めておられるというふうに考えざるを得ないような気がするんですけれども、こうした事実はあったんですか、なかったんですか。

長勢副大臣 捜査を進める中で、検察と警察の間でいろいろな相談、打ち合わせをしておると思いますので、その間にいろいろなやりとりもあったんだろうと思っております。今の発言がそうであったかどうかという問題はありますが、あったとすれば、一般的に、間違いのないようにしようじゃないかというハッパをかけるという話し合いぐらいはちょいちょいあることだろうと思いますし、そういう意味でありますが、捜査の中の過程の問題でございますので、一般的にこういう問題は公表しないというのが原則でありますし、また、この発言があったかなかったかということと、山下前次席の守秘義務違反の成否とかあるいは処分というものとは直接的には関係がないということで、調査にはこのような理由から載せていないものだろうと思っておるところでございます。

平岡委員 いや、今回の山下次席検事の処分と関係ないということを言ったら、本当にこれは大変なことですよ。警察当局に対して、もし間違っていたら県警の本部長の首が飛ぶぞというようなことを言っていたとしたら、本当にそれこそ事件つぶしですよ。そういうことを行っていたら、本当に山下検事はこんな処分じゃ済まないはずですよ。それを今のような答弁で言われたら、これはちょっと私は納得ができないですね。もう一遍、ちゃんと国民の皆さんが聞いていてなるほどなと思う説明をしてください。

長勢副大臣 こういう事件の捜査の打ち合わせの中で、当然不穏当な発言は差し控えるべきだと思いますけれども、先ほど言いましたように、ハッパをかける、しっかりやろうや、間違いないようにしようやというようなことはよくあってしかるべきことかなと思う次第でございまして、その種の発言の一部であったかと思います。

平岡委員 仮定の議論をしても仕方がないのかもしれませんけれども、今の答弁を聞いていますと、こういうことを言ったかもしらぬ、言ったかもしらぬけれども、これはハッパをかけるために言ったんだというような感じがちょっとありましたけれども、そうであるならばそうであるということで、ちゃんと国民の前に、こういう事実があったけれどもこれはこういう趣旨でやったのでこういう問題はないんだという、そこをちゃんと報告書の中で書いていただかなきゃいかぬですよ。そうでないと、本当に何も書かないでおいたら、一体あったのかなかったのかわからない。多分あったんじゃないか、否定しないからあったんじゃないか、あったのに対して、これを事件つぶしという認定もしないで勝手に適当な処分をしてこの急場をしのごう、こういうふうに国民の皆さんが受け取るということになるわけですから、やはりそこは、ちゃんとした法務省の調査の中できちっとした事実の確認と、それに対する法務省としての、調査委員会としての結論というものを出していただかないといかぬというふうに思います。いかがでしょうか。

長勢副大臣 先ほど申しましたように、この問題、慎重にやろうという趣旨の発言であったというふうに承知をいたしておるわけでございます。先ほど言いましたように、捜査の過程のやりとりでございますので、それはできる限り公にはしないということが基本であるということで調査報告書を作成しておるというふうに承知をいたしております。

平岡委員 ちょっと承服しがたいんですけれども、時間も余りないので、次の問題と絡めてお話を伺いたいと思います。

 実は、この最高裁判所による調査の方では、古川判事が山下次席検事との間でどういうやりとりをしたのかというところがちょっとありまして、報告書の中ではこういうふうに書いてあります。事実関係を確認して、園子が事実を認めた場合には早急に示談等の措置をとった方がよいのではないかと告げられたというふうにあります。この「示談等の措置」の「等」というのは一体何を告げられたんでしょうか。

金築最高裁判所長官代理者 この「示談等」と申しますのは正確に申しますと、本人に聞きましたところ、示談か何かをすることを求められたということなので、その何かというのが何かわからないのですが「示談等」というふうな表現にした。ですから、具体的に、示談以外にこれこれということで依頼されたということがあるということを古川判事が言っていたわけではございません。

平岡委員 そこで、先ほど副大臣の方から、山下次席検事から古川判事に伝えられた内容の一つとして、今回のこの事件についての証拠物件を確保して保全するようにということを伝えたんだというふうに御答弁がありましたけれども、そのくだりが今度は逆に最高裁判所の方の調査には記載されていないという状況でございますけれども、この点については古川判事に対する調査ではどのようなことになっているんでしょうか。

金築最高裁判所長官代理者 私どもの調査委員会の方では、捜査の関係などございまして、山下元次席には事情を尋ねておりません。このことは報告書で事情を聞いた人の範囲が書いてございますが、そういうことで、法務省の報告書とは基礎にした資料が違いまして、こちらは古川判事から聞いた古川判事の記憶に基づくところなものでございますから、そういう点で、最高裁の調査委員会として認定できる事実は調査報告書に書いたとおりだ、こういうことでございます。

平岡委員 そうすると、古川判事の方からは、証拠物件を確保して保全するということを山下次席検事から言われたということの説明はなかったということですね。

金築最高裁判所長官代理者 そういうことを調査報告書で認定できるだけのものがなかったということでございます。

平岡委員 言葉で認定とかなんとかという問題じゃなくて、私は、そういう説明が古川判事からあったのかなかったのか、それを聞いているんです。証拠を保全してくれというふうに、山下次席検事から古川判事に対してそういう発言があったのかなかったのかを聞いているんです。認定の問題じゃないんです。もう一遍お願いします。

金築最高裁判所長官代理者 私自身が古川判事の事情聴取をしておりませんので、その点、どのぐらい明確な記憶といいますか供述があったのか、この点は私ではちょっとお答えができないんですが、少なくとも調査委員会に報告がありました限度では、調査報告書に書いたとおりの事実が認定できるということであったということでございます。

平岡委員 ある意味ではこの問題は、検察庁側に大きな問題があるのか、あるいは裁判所側に大きな問題があるのかという一つの線引きの問題でもあるわけですね。山下次席検事からどれだけの依頼が、どういう内容の依頼が古川判事にあり、古川判事はその依頼に基づいてどれだけのことをしたのか、あるいはその依頼を逸脱してどれだけのことをしたのか。先ほど私が冒頭申し上げましたような問題があるわけです。

 そこのところが非常にあいまいになっておって、何かどっちもどっち、何か知らないけれども余り責任がないよというような、そんなところで責任の所在があいまいにされているというのがこの両方の調査報告書の現状じゃないかというふうにも思うわけです。そういう意味で、もっとしっかりとした調査をしていただかなければいかぬという思いがあることをお伝えしたいと思います。

 それで、時間がないので、先ほどの同僚議員の方からもお話がありました件でちょっと御質問したいと思うんですけれども、質問の角度からしますと、まず、古川判事に対する分限裁判というのは現在最高裁の大法廷で審理中であるということで、他の高裁の長官とかいう方々については既に分限裁判で決定が出されているという状態になっておりますけれども、なぜこれは一緒に行われなかったんですか。

金築最高裁判所長官代理者 なぜ一緒にされなかったかというのは、これは、大法廷の方でどの事件をどういうふうな審理方針でやるかという範囲内の決定事項でございますので、事務当局の方でそのことがこういうことだということを説明することはできないわけでございますが、ただ、当然御認識とは思いますけれども、既になされました分限裁判の方はいわゆるコピー問題に関するものでございまして、この件については、福岡地裁の所長の定年ということもありまして、急いでされるという事情はあったかと思います。そういうことも一つの事情として推測はされる。

 それから、他方、古川判事の件につきましては、これはコピーの問題とは全然また別個の問題でございますので、同時に、一緒の時期にされなくても別に不思議ではないといいますか、そういう別個の事実については別々にやるということは、十分、通常あり得ることかなという気はいたします。

平岡委員 いろいろあるのですけれども、まず一つは、古川判事が今回の事件に関していろいろ行ったことについていうと、この調査報告書の十六ページから十九ページにかけて、高裁の長官がどのようにかかわったか、あるいは事務局長がどのようにかかわったかということのくだりがいっぱい書いてあるのですよね。

 ということは、古川判事に対してどのような分限裁判を行うのかということについていうと、これらの長官とか事務局長はどういう責任があったのかということもちゃんと一緒に審理しなければいけないわけですね。それはまた、私がそうやって聞くと、いや、これは大法廷がやることですから私は知りませんというのではなくて、実際は、この分限裁判をやるためには、高裁の常置委員会というところが分限裁判の申し立てをするわけですよね。この申し立ての中身に書いていなければ、大法廷は審理しようとしてもできないのでしょう。どうですか。

金築最高裁判所長官代理者 これは基本的に、分限裁判を求めるということがあれば、事実については必ずしも拘束されないのかなというふうにも思いますが、本件で問題にされたのは、先ほどお尋ねの件ですが、コピーの関係で長官、事務局長については問題にされたということでございます。

平岡委員 この最高裁の調査委員会の調査報告書を見ると、先ほど言いましたように、それだけ高裁の長官とか事務局長がかかわっているにもかかわらず、それらの人に対する考え方といいますか、対処のあり方、処分のあり方というのが何にも書いてないのですね。何にも書いてないこの調査報告書に基づいて、先ほど言いました高裁の常置委員会が申し立てをしている。

 多分この申し立ての中身というのは、こちらの、古川判事が行ったことに対してかかわっていたことに対しては何らの問題を問わない内容のものになっている。それだったら、大法廷も、自分たちは問題があるなと思っていても、訴えがなければ、申し立てがなければ、自分たちは審理できない。当たり前ですよね。

 ということは、やはりこの高裁の常置委員会で、あるいはその前のこの調査報告書の中で、この事件について、古川判事個人の問題に最高裁が押し込めようとしているというふうに我々は思うのですよ。そこは本当に、これを古川判事個人の問題として扱っていいのですか、高裁の長官とか事務局長の責任は何にもないのですか。答弁をお願いします。

金築最高裁判所長官代理者 古川判事の責任につきまして、そもそもどういう責任、分限事由を認定して分限をするかどうかというふうなことにつきましては、これから大法廷が決定するということになると思いますので、その際の関係者、それ以外の人の責任というものは、古川判事についての結論が出ないと、ちょっと云々するということはできないかと思います。

平岡委員 今の御答弁でいくと、古川判事に対する分限裁判の結論が出たら、古川判事の監督者という立場であった土肥事務局長あるいは高裁の長官に対しても分限裁判の申し立てをするかどうかということを高裁の常置委員会、あるいはその前提となる最高裁の調査委員会で検討するということであるというふうに受けとめましたけれども、それでよろしいでしょうか。

金築最高裁判所長官代理者 お尋ねのような点についても、決定が出ない、中身がはっきり決定がされないことには云々できない、現段階では申し上げられないということでございます。

平岡委員 今の段階では出せないということは、決定が出た後にはいろいろ検討していきたいということだというふうに理解いたしまして、ぜひ、これを古川判事個人の問題に押し込めるということではなくて、本当に裁判所全体の責任の問題ではないのか、そしてそれをちゃんとしていくことが、国民の司法に対する、裁判所に対する信頼を回復するものである、そういう気持ちになってこの問題に取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 そこで、今度は事件の再発防止の件でございますけれども、最高裁に対しては、いろいろな事件の再発防止ということで、裁判部門と司法行政部門の関係のあり方というふうなことで、特にコピー問題についてはそういうようなことで出されておられるようでありますけれども、やはりこの事件の本当の後ろにある背景というのは、裁判官とか検察官の、司法制度の中におられる方々の特権意識というものがあるのではないか。

 本来国民のためにあるべき司法制度ということを明確にしていくためにも、現在、司法制度改革審議会の中で、国民の司法参加ということでいろいろ検討されておられますけれども、その検討の中身としては、例えば、裁判員制度を採用するというようなことも検討されているようであります。そうなったときには、やはり国民のための司法制度であるということからいうと、一般の市民から選ばれる裁判員というのは職業裁判官よりも多数である、例えばフランスにおいては職業裁判官の三倍の数の裁判員がいるというような形で行われているようでありますけれども、ぜひそういう形で最高裁の方も考えていただきたいというふうに思いますけれども、この点についての見解をお示しいただければと思います。

堀籠最高裁判所長官代理者 御指摘の裁判員制度につきましては、現在、司法制度改革審議会において議論されているところでございまして、裁判員の主体的、実質的関与と評議の実効性の確保、被告人の憲法上の裁判を受ける権利の保障の趣旨等を踏まえて検討すべきという方向で審議がなされていると承知しているところでございます。

 裁判所は、国民の司法参加の制度のありようについては、審議会におけるこのような検討の結果を踏まえて、最終的には主権者である国民が判断すべき事項であると考えているところでございます。

平岡委員 ぜひ、今回の司法制度改革においては、国民のための司法制度であるということを裁判官の人も検察官の人も弁護士の人も肌身に感じながら司法が行われていくという視点に立って改革をしていっていただきたい、そういう頭で最高裁も取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 そこで、最後になりますけれども、実は、今回の事件についての調査というのは、法務省、最高検察庁、それから最高裁判所の方でやられたわけであります。冒頭申し上げましたけれども、私は、事実をできる限り明らかにしていこうという姿勢が見られている点については評価したいと思います。

 逆に、外交機密費の問題については、私も予算委員会で何度も質問いたしましたけれども、捜査当局が現在捜査しているのでそちらの方にゆだねたい、自分たちは外交問題をしっかりやることが国民から与えられた役割であるといったような答弁で、外交機密費の疑惑の問題について、調査をして国民の前に明らかにしていこうという姿勢が全く見られなかったということを非常に残念に思っているわけであります。そういう意味で冒頭申し上げたことを申し上げたわけであります。

 そこで、きょうは荒木外務副大臣にも来ていただいております。ぜひそういう姿勢に立って外交機密費の問題について調査に取り組んでいただきたいというふうに思います。政治が関与をしていることによってしっかりとした調査ができないというのでは逆だと思うのですね。政治がしっかりとしたリードをして、こうした外交機密費のような問題について調査をし、国民の前にその結果を明らかにしていくということはできるわけです。幾ら事務方にそんなことを言ったってできやしないのですから、荒木副大臣にぜひお願いしたいと思うのです。

 それから、内閣官房の方からは、実はできれば政治家の方をとお願いしたのですけれども来てもらえないようでありますので、余り答えは期待しておりませんけれども、審議官か参事官か、どなたか来られておられるということのようなので、御答弁をお願いいたしたいと思います。

荒木副大臣 私は、松尾事件に関する調査委員会の委員長を務めておりますが、今お話のありましたように、できる限りの調査を行い、もちろん捜査との関係も考慮しながら、国会等の場で、判明した事実を公表するという姿勢でやってきておりますし、今後もそうした決意でやってまいりたいと思っております。

柴田政府参考人 内閣官房におきましては、まずその調査でございますけれども、できるものはやったということでございます。外務省から提出されました見積書とか精算書、領収書を点検しまして、当時の担当者からお話を聞くなど、そういうことで、支払いと精算事務について事実をきちっと確認するとともに、松尾室長への支払いの実態の把握を行ったということでございます。

 今回の事案でございますけれども、外務省からも告発があり、私どもも被害届を出し、そして、今、松尾元室長は逮捕された状況になっておりますけれども、そういうことで捜査が進められているところでございます。私どもとしては、損害の実態というのを独自の調査により明らかにすることがなかなか難しい面があるのです。ですから捜査による真相の解明に全面的に協力しているところでありますけれども、そういう結果、管理面で何か反省すべき点とか改善すべき点というものがあれば、これはその有無を確認した上で、適正に対処するというスタンスで臨んでおるところでございます。

平岡委員 時間が来ましたので、終わりますけれども、ぜひ外交機密費の問題についてもしっかりとした調査をして、国民の前にその実態を明らかにし、そして、これからどうあるべきかということをやはりきちっと議論していくということを、政治家として政治主導で行っていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

保利委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

保利委員長 速記を起こしてください。

 この際、休憩いたします。

    午後四時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時四十七分開議

保利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。瀬古由起子君。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 まず第一点は、守秘義務違反についてお聞きいたします。

 福岡地検前次席検事・高裁判事問題で、法務省と最高裁判所から、それぞれ調査結果、調査報告書が出されました。また、福岡高裁の長官と事務局長、地裁所長については、分限裁判を経て、戒告処分がなされました。次席検事が、なぜ懲戒免職でなく、しかも嫌疑不十分による不起訴なのだろうか。古川判事についても、証拠隠滅行為はなかったから罷免処分には当たらないというだけでは、国民の納得が得られるものとは到底思えません。

 ここに持ってまいりましたが、東京新聞に三月十七日付で「読者百人に聞きました」、こういう記事が載っております。司法、検察間の癒着、持たれ合いについて、「今回だけの例外的なことと思う」が十二人、それに対して「今回だけのこととは思えない」が七十八人です。百人のうちこれほどの人が例外的なケースだったと考えていない。公正さや厳正さが殊のほか求められる司法、検察を、多くの国民が今回だけのこととは思えないと見ております。裁判官がこういう形で特別の配慮を受けるということは、司法への国民の信頼を失うことになるのは明らかだと思うんですね。

 まず、最高裁の事務総長、法務大臣、お二人に伺いたいと思います。今回の事件を通じて裁判所と検察が癒着していると国民から見られることは、今後の裁判にも深刻な影響を与えるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

堀籠最高裁判所長官代理者 本件に関しましては、裁判所と検察庁が癒着しているのではないかといった批判のあることは十分承知しているところでございます。

 裁判官は、中立公正な立場で事件の審判に当たるものでありまして、高い職業倫理が求められることから、国民の皆様からいささかも疑念を持たれることのないよう、襟を正していかなければならないと考えているところでございます。

高村国務大臣 検察及び司法にとりまして、厳正かつ公平であるとともに、国民からそうであると信頼されることは何よりも重要であります。今回、検察と裁判所が癒着しているのではないかとの国民の疑念や不信を招き、長年にわたって築き上げてきた検察及び司法の公平性への信頼を損ねたことはまことに遺憾であります。ただ、私としては、これまでも裁判その他司法の運営は一般的には公平に行われており、今後も公平に行われるものと信じております。

 いずれにいたしましても、今後、検察官の意識改革のための具体的方策を検討するとともに、検察が独善に陥ることを防ぐため、公訴権の行使や検察運営に民意を反映させる検察審査会制度の改革に向けて所要の措置をとるなど、法務・検察当局が一丸となって再発防止策に全力で取り組むことで国民の信頼を一日でも早く回復できるよう努めてまいりたいと考えております。

瀬古委員 それでは伺いますが、法務省の報告書では、「捜査機関が、捜査の過程で関係者の協力確保、事案の解明、事件の解決等のために、関係者に一定の捜査情報を告知することは、捜査への支障や関係者の名誉の不当な侵害等の弊害が生じないよう、その目的達成のため相当な時期・範囲・手段・方法で行うことが許される」、このように述べております。

 今回の捜査情報の告知に正当な理由があったのかどうか、これはだれが判断したんでしょうか。山下次席検事だけで判断したのか、それとも、これは集団的に議論されたんでしょうか。

古田政府参考人 事実関係の問題ですので私から申し上げますが、山下前次席が古川判事に事案の概要等を告げたのが昨年の十二月二十八日でございますが、その直前に、検事正に対して、古川判事に対してその妻に関するストーカー規制法等の事件で告訴状が出ていることを告げて犯行をやめさせることにしたいがどうか、こういう申し出があったわけです。やめさせるということは、当然、後、示談とかそういうことも含めてそういう処理に動いてもらうという相互の理解ではあるわけですが、それに対して検事正が了解をしたということでございます。それ以外には特に、ほかの者と相談をしたとか、そういう事実は認められませんでした。

瀬古委員 ではお聞きしますけれども、山下次席検事はだれからこういう事件が起きているということを聞かれたんでしょうか。

古田政府参考人 これは、その二日前に、この事件を捜査している警察からある検察官のところに事件について相談がございました。それで、その相談……(瀬古委員「はっきり言ってください、だれに相談が来たのか」と呼ぶ)それは、ストーカー事件についての警察との相談窓口となっている検事でございます。それで、その検事から事件について刑事部長に報告があり、刑事部長の指示で山下次席のところにこの事件についての報告が行われたものです。

瀬古委員 そうしますと、次席検事とそして検事正が話し合って決めたというんだけれども、それまでに、警察からの情報も含めまして、例えば刑事部長などもかかわっているわけですね。この人は、この問題について一緒に相談したとか、だれかに相談を持っていったということはないんですか。

古田政府参考人 もちろん、刑事部長も、この事件の捜査処理をどうすべきか、今後の捜査についてどういうふうにすべきかという事件の捜査上の問題点、これについては、例えば、先ほど申し上げましたストーカー事件担当の窓口検事との相談、あるいは次席検事との相談もしております。しかしながら、山下次席が古川判事にこのような対応をするということについては、検事正のみでございます。ほかの者は関知しておりません。

瀬古委員 まことにおかしな話だと思うんですね。刑事部長がある意味ではもちろん山下次席検事にも話してはいるし、それから上司に話しているわけでしょう。それは当然、いろいろな今後の捜査上の問題があるということで、単なる山下次席検事とそして検事正だけの問題じゃない。刑事部長から言って、上司に報告されているわけでしょう。そういう問題は当然全体の組織的な議論になりませんか。いかがですか。

古田政府参考人 検察庁の組織を申し上げますと、検事正が一番上になるわけです。続いて次席検事になるわけです。その指揮下にただいま申し上げました刑事部長その他の各部長、さらにその下にその部に所属している検察官、こういう仕組みになっているわけです。

 通常、事件の処理をどうするか、あるいは捜査方針をどうするかということについては、まずその主任と申しますか、その時点で、ただいまのことであれば、相談を受けた検事、これがそれなりの対応を考えて刑事部長に相談し、さらに次席検事の了解を得る、その際に刑事部長あるいは次席から指示が出る、こういう形になるわけです。その場合に、今後の捜査方針をどうするかということで、いろいろなケースがあるわけですけれども、一般的に申し上げれば、捜査方針全般については、ただいま申し上げたようなところで次席なり刑事部長が指示をする、あるいは必要な場合には検事正が指示をする、こういうことになるわけです。

 今回の場合には、ほかのいろいろな捜査上の問題等につきましては、それぞれ次席あるいは刑事部長から指示が出されておりますけれども、この古川判事に告知をして、やめさせて、事実を認めさせる、こういうことをするということについては、次席から刑事部長あるいはその下の検事には指示ないし相談はされていないわけです。

瀬古委員 捜査情報を漏らすという場合は、例えばその結果として円満解決するということもあるかもしれない、特別な例の場合。しかし、悪くすれば証拠隠滅だとか犯人を逃がしてしまうということだってあり得るわけですね。私は、大変紙一重の問題だと思うんです。そういう問題を、山下次席検事と検事正と二人だけでそんなことが決定できるものなんでしょうか。ある意味では、ひょっとしたら、例えば次席検事だけが決めて勝手に行動できるというシステムに検察はなっているんでしょうか。

古田政府参考人 仕組みの問題だけから申し上げますと、検事正の了解を得て次席の判断で行うということは、これは可能でございます。

 ただ、一般的に申し上げまして、おっしゃるとおり、現に下でその事件についていろいろ捜査等、対応を考えている検察官がいるわけでございますので、そういう者等の意見も聞くということは、これはその方が普通のやり方であるということは間違いないと思います。

瀬古委員 あるときには次席検事と検事正が話し合って二人だけで何とかしようやみたいな形で処理されるということは、今後のあり方としても十分あるというふうに考えていいですか。

古田政府参考人 率直に申し上げまして、こういう事態は大変異例なことでございます。したがいまして、こういうようなことが今後も十分あるというようなことは、これはあり得ないと思っております。

瀬古委員 十分あるかどうかわからないけれども、ケースとしては全くないわけじゃない。大体、国民から見ると、こんな大事な捜査情報を漏らすということをたった二人だけで決めてやっていいのかという問題が出てくるわけですよ。それに疑惑の目を国民が向けているわけですね。

 では、山下次席は担当検事ではなかったのに、担当検事には内緒で、現に警察が内偵中の事件であるにもかかわらず警察と相談したのでもない、また、無論被害者から直接そうしてくれるように言われたわけでもないのに、古川判事との接触をすぐにやった。これはなぜそういうふうになったんでしょうか。

古田政府参考人 この点につきましては、まず第一点といたしまして、当時、年末でありましたために、客観的にはどうかということは別といたしまして、こういう継続的なストーカー行為で、これがいろいろな大きな事件に発展する可能性があり、早くやめさせなければならないという気持ちがあったことは事実のようでございます。それと、事件の背景というのが大変特殊な関係でございまして、そういうことから、こういうふうな事件については、やはり関係者の名誉等ができるだけ損なわれない、申し上げれば副作用の少ない形で事件処理、捜査処理ができることが望ましいと考えたということでございます。

 問題は、結局、そういう配慮をする場合に、警察に対して、そういう線をどう考えるのか、対応をいろいろ考えるべきであるというようなアドバイスをいたしまして、警察の方で動いてもらうなり、それに従った捜査方針を立ててもらう、こういうやり方が普通なわけでございます。それを自分でやってしまった。そこのところにやはり非常に大きな問題があるわけで、この点につきましては、裁判官が絡む事件なので自分がやった方がいいというふうな、非常にある意味では安易な身内意識と呼ばれるようなそういう心理が働いたことは、これは否定できないと思っております。

瀬古委員 捜査情報告知の条件として、捜査への支障が生じないとの条件が付されているわけですね。担当検事にも内緒で、内偵中の警察とも相談しないで捜査情報を漏らすということが捜査への支障ということになるのは、山下次席も当然私は念頭にあったのではないかと思われるわけですね。

 この人は、ある意味では捜査情報告知の構成要件の問題についてはプロですから当然知っていらっしゃるはずなんで、相談するのを忘れていたとかうっかりしていたとかというものではなくて、これは、こういう構成条件を満たしていないけれどもやらざるを得ないという判断、そういう意図があったのではないかというふうに思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。

古田政府参考人 確かに一般論として、このような措置をとる場合には、そのことによって証拠隠滅等が起こるかどうかというふうなことを十分勘案してやらなければならないことは御指摘のとおりです。

 そこで、やはり告知の相手が刑事の裁判官、ベテランの刑事の裁判官であって、そういう不正行為とかそういうことを考えるという余地はない、そういう信頼性の高い人物である。刑事の裁判官であるがゆえに、証拠の問題とかそういうことについてはもちろん慎重さが要るということはわかっているわけでございますし、そういうふうなことから、被疑者側の者でありましても、そういう不正を働くことはないということを十分信頼してもいい、なおかつ、事実は事実として認めさせてもくれる、そういうふうに動いてもらうことが十分に期待できる、そういう判断をしたということでございます。

 それに少し過信があった、あるいは、そのときに注意しておく事項について注意が欠けていたという面はあろうかと思いますけれども、その判断自体は、ただいま申し上げましたような信頼が十分できるものであるということによるということでございます。

瀬古委員 裁判官であっても妻が被疑者であるという場合は、先ほど御指摘もありましたように、単なる裁判官だからいいという問題ではないわけですよ、夫婦の問題になってきますでしょう。そういう場合には余計に慎重にやらなきゃならないのに、裁判官だからちゃんと公正にやるだろうなんというのは、そこにやはり私は問題があるというふうに思うんです。それは、国民から見れば、やはり事件つぶしじゃないのかということを言われざるを得ない問題を持っていると思うんです。

 そこで、私はお聞きしたいんですけれども、山下次席が古川判事に情報を漏らした平成十二年十二月二十八日、それからその前後に、上司との相談もしくは報告について、調査結果では個別に記載されているわけですけれども、時系列的に全体の流れとしてはどういう経過だったのか。また、関係者の報告というのは、どういう形で、正確に言葉も含めてどのように行われたのか。電話だったのか、直接出向いてやったのか、そのときに立ち会っていたのはだれだったのか。やりとりの上で、事前も事後も含めてメモなどと報告書のようなものがつくられたのかどうか。そのときに相談を受けた上司は具体的にはどんな言葉で指示したのか、指示していなかったのか。その点、いかがでしょうか。

古田政府参考人 古川判事に告知をするということについて申し上げますと、この話が最初に出たのは、先ほど申し上げましたとおり、十二月二十八日の九時半過ぎぐらいであったと認められます。そのときは、先ほど申し上げましたとおり、検事正と二人だけで、山下の方から検事正に対しまして、この事件は早くやめさせた方がいい、自分の方から古川判事にストーカー規制法等で告訴状が出ているということを告げてやめさせるようにしたいという申し出があったわけでございます。それに対して検事正の方も、こういうたぐいの事件が大きな事件に発展するというようなおそれというのは感じておりましたし、また事件の背景が非常に特殊なものだということもありまして、示談で解決ができればその方がいいのではないかと考えていたことから、山下に対してそうだなということで同意をしたわけです。その際に、警察の方の意向はどうかなというようなことを多少検事正の方は言ったようではありますけれども、これは山下の方にはどうやら認識されていなかったようでございます。

 その後でございますけれども、検事正に対しては、山下次席から、古川判事を呼んで事件の内容を告げて、やめさせるように話をしてある、それで弁護士を紹介したという報告があります。これも次席から検事正に対してだけで、ほかに同席者とかそういう者はございません。その際の検事正の対応は、どうも警察には断らずにやってしまったようだということは気がついたわけですけれども、自分が事前に明確な指示をしていなかったというので、その点について殊さら何か言うことはなかった、そういうことでございます。

 それから次に、地検の中ではそれで終わりになるわけですが、高等検察庁がございまして、検事正に次席が報告をした後、やはり次席が高検の次席のところに赴きまして、検事正に報告したことと同じ内容のことを報告しております。

 さらに、まだその日のうちであったろうと考えられるわけですけれども、ちょうど年末の御用納めの日でございまして、検事長のところに年末のあいさつに行った際に、検事正と次席がこの問題について話をして、次席から古川判事に事案の内容を告げてやめさせるようにし、弁護士も頼んだ、そういう報告をしております。これに対して検事長は、事実を認めて示談になればいいけれども、そういかなければ強制捜査を考えなきゃいけないな、こういうようなことを言っていたというぐあいに承知しております。

瀬古委員 立ち会いだとか報告書の内容、報告のメモ、そういったものはどうなんですか。

古田政府参考人 こういう報告の場合に、立ち会いないしメモというようなものは特に行わないのが通常でございます。

瀬古委員 こういう大事な問題がどういう形でやられたのかということを一切メモにしないなんということはあり得ないし、ある意味では、本来、事後報告であってもきちんと報告を求めるというのが当たり前のことだと思うのですね。こんなのは口頭のやりとりだけで、やりました、やっていませんということは、例えば、警察の方はどうかというふうに検事正は言ったみたいだというようなことは書かれているんだけれども、さっきの御答弁では一切言わなかったみたいな話が出てくる。もっとその事実の経過を具体的に明らかにしていただきたいと思うのです、やりとりも含めて。

 これは委員長にお願いしたいと思うのですが、この間の、言葉も含めて、本当にメモもなかったのかどうかということも含めて、立会人が、そのときにどの場所にどの人がいたのかということも含めて、ぜひ資料を提出していただきたいと思うのです。

保利委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

瀬古委員 時間が余りありませんので、もう一つ伺います。

 この報告書で、特に、証拠隠滅に古川判事が加担した事実、山下次席が証拠隠滅を教唆した事実は認められない、こういうふうにありますけれども、夫が容疑者である妻に何かを話して、その結果、ある証拠物が廃棄されてしまった。夫が捨てろと言ったのだったら、これは証拠隠滅もしくは加担したという範疇に該当するかどうか。それから、捨てろとは言っていないけれども、この電話は犯罪に使われた疑いがあるというように言った場合には証拠隠滅に加担したというようになるのかどうか。

 それからもう一点ですけれども、捜査情報を仕入れた者が被疑者の夫に、あなたの妻の持っている証拠物を直ちに捨てさせなさいと言ったとすれば、証拠隠滅を教唆したという範疇に該当するか。あなたの妻の持っている証拠物は犯罪に使われた可能性があると言った場合は証拠隠滅の教唆に該当するのかどうか。その辺いかがでしょうか。

古田政府参考人 もちろん、ある証拠物を積極的に捨てるように指示をするとか、そういうことは証拠隠滅の教唆に当たるのは一般的に当然です。しかしながら、ある証拠物の存在を告知するということ自体は必ずしも直ちにそういうことになるわけではなくて、全体の状況の中でどういう意図でそういうことが行われたのかというふうなことを個別に判断して、それで判断すべきものということになると思います。

瀬古委員 時間が来ましたので終わりますけれども、今のお話でいいますと、これこれの疑いがあるというように言った程度では証拠隠滅だとか教唆にならないというケースがあるわけですね。そういう意味では、今回この二人がそういう証拠隠滅に加担したとか教唆したというようにはならないといっても、実際には、かなり際どいことまで言っても加担するとか教唆するということにならないという問題があるわけですね。

 引き続きこの問題は深く調査をして、司法の信頼を取り戻すためにやはり徹底解明していただくように要求して、質問を終わります。

保利委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社会民主党の保坂展人です。

 大臣、大変お疲れのところ、最後になりますけれども、大変大事な問題ですので。

 まず、今回の事態で、法務大臣の御発言の中でも、独善的にしてというような表現。さらに私、この法務委員会で、過去二年間にわたって判検交流の問題を見直すべきという趣旨の指摘をかなりしてまいりました。今回の大臣の発言の中にも、この問題、裁判官に偏っている出向者の現状を改めという部分、一歩踏み込んだ趣旨だなと受けとめます。

 ただ、国民全体に広がっているのは、この関係者に対する、検察あるいは裁判所双方に対する大変な不信感であります。そういう意味で、具体的に、なるべく要点を詰めながらお聞きをしていきたいと思うのです。

 まず、刑事局長にお尋ねしますが、検察当局は、今回の古川判事の妻のケースのようなストーカー事件ないし脅迫事件を何件程度受理し、捜査をしてきたかという点。そして、そのうち、関係者の名誉などに配慮して、在宅のまま刑事処分を終えたケースあるいは刑事処分を見送ったケースはそれぞれ何件か、具体的にお答えいただきたいと思います。

古田政府参考人 今回のようなケースというのは、これまであったかどうか、恐らく極めて珍しいケースだろうとは思うのです。ただ、今回のようなケースというよりは、男女関係のもつれの事件というのはというお話かと思いますけれども、これは、一般的にそういう統計はございません。したがいまして、確定的なことは申し上げられませんが、その事件の内容あるいは関係者の状況によりまして、もちろん場合によっては強制捜査をすることもありますし、在宅で事件捜査をするということも、これは普通あることだと考えられます。

 なお、ストーカー事件につきましては、昨年施行されましてから本年三月十六日まで、その間当局に報告がありました事件は二十九件ございます。これにつきましては、いずれも身柄の事件で、逮捕した事件でございます。

 ただ、一つ御理解をいただいておきたいことは、ストーカー事件で、警察の方で警告で処理している事件も相当ございます。これは刑事事件にはなりません。それともう一つ、大多数の事件は、いわば顔見知りといいますか、長いつき合いなどがありまして、言ってみますれば、逮捕までいかないとなかなかやまらないというようなたぐいの事件が非常に多い、そういうことは言えると思います。

保坂委員 なるべく答弁は簡潔にお願いしたいのですが、今回の山下次席を不起訴にした理由を簡潔に述べてください。

古田政府参考人 山下前次席検事は、この事件の背景にかんがみまして、関係者の名誉等に対する悪影響をできるだけ少なくする、それからできるだけ早くやめさせたい、そのために自白させて、それで関係証拠を確保して、示談ができればするというふうにしたい、そういうことでやったわけでして、そのために必要な限度の情報を、軽信とは言えるかもしれませんが、信頼できる裁判官、夫の裁判官に話をした。

 したがいまして、その目的自体、あるいはやったことの内容が、事件の捜査処理の迅速、円滑といいますか、それから妥当な事件処理を目指す、そういう捜査の利益のためにやったということでございますので、それが捜査の目的に反するような行為とは到底言えない、そういうことから、犯罪としての守秘義務違反には当たらない、嫌疑が不十分だ、こういうことでございます。

保坂委員 もう一点だけ刑事局長にお聞きします。

 今、山下次席の理由をお述べになりましたが、過去、国家公務員法の守秘義務違反で実際に立件された例で、今の理由で見送られた、不起訴になった事例はございますか。

古田政府参考人 まず、前提として、捜査に資する目的で行った行為がこれまでそういう事件として立件されたということは、私は承知しておりません。したがいまして、ただいま申し上げたような理由で不起訴になったという事件も承知しておりません。

保坂委員 それでは大臣に伺います。

 これはもう何度も問われたことかもしれませんが、どうしても、今の刑事局長の説明を聞いて、では、国民がこれで本当に納得できるんだろうか、やはり仲間内、身内の意識が強く働いているんではないか、こう私は今お聞きしても感じるわけなんですが、大臣はいかがですか。

高村国務大臣 懲戒処分をやったことを見てわかりますように、確かに全体から見てけしからぬことをやったことは間違いないのです。そのことで犯罪は成立しないよ、けしからぬことをやっておきながら犯罪は成立しないよということについては、一般の国民の方がどうも腑に落ちないと感じるのは、私、やむを得ないことだと思うのです。

 ただ、罪刑法定主義、犯罪が成立するかしないかということについては、これは極めて精緻な刑法理論のもとにしているわけで、国民が納得しないから理論的に犯罪が成立しなくてもともかく起訴しなさいということは、法務大臣として言えないところでございます。

保坂委員 今、大臣は二つのことをお述べになったのですが、懲戒免職に検事がなる、そういう場合の基準なり要件というものは具体的に存在しているんでしょうか。法務大臣にお聞きしたいのですが。

高村国務大臣 きっちりとした基準があるというふうには思っておりませんが、やはり今までの例とかそういったものを参考にしながらするわけでありまして、少なくとも、私が知る限り、大昔のことは別にして、犯罪が成立しないような場合に懲戒免職にしたということは、私は知らないわけでございます。

保坂委員 懲戒の具体的な基準についてお聞きしたのですが、後ほどもしお示しいただければお願いをしたいと思うのです。今は結構です、ちょっと時間がありませんので。質問がいっぱいあるもので、済みません。

 次に、大臣に伺いますけれども、検察官適格審査会がございますね、これは機能しているのでしょうか。法務大臣、お願いします。

高村国務大臣 今回の山下元次席検事の事案のように、検察官も、国家公務員として非違行為を行った場合には、公務秩序維持の観点から懲戒処分が行われるわけであります。

 他方で、検察官は、その職務と責任の特殊性から、一般の国家公務員に適用される分限免職等の規定が適用されないで、これにかえ、検察官が心身の故障、職務上の非能率その他の事由によりその職務をとるに適しないような事情があるときには、検察官適格審査会においてその適格性を審査し、不適格との議決がなされ、法務大臣がこの議決を相当と認める場合に、本人の意思に反しても免職させるという検察官適格審査会の制度があるわけであります。この制度のもとでは、同審査会は、あくまで公務能率維持の観点に立って審査を行うわけであります。

 懲戒処分と検察官適格審査会は、このようにその目的と機能が異なるものでありまして、今回の事案をもってこの審査が機能していないとは考えていないわけでございます。

保坂委員 丁寧にお答えいただいたのですが、実は、検察庁法二十三条に、すべての検察官について三年に一回審査をすることになっていますね。一体どの程度の時間をかけてこの三年に一回の全検察官審査をされているのでしょうか。一人何分ぐらいとか。

但木政府参考人 そこで判断される事項は、先ほど大臣から答弁がございましたように、心身の故障、職務上の非能率その他の事由によりその職務をとるに適しないような事情があるかどうかということですので、そういう一人一人何分かけるというような判断ではありません。

 例えば長期欠席をしている、あるいは事件を全然取り扱わない、そういう特別の人たちについての審査は行いますが、全体としては、この人たちが普通に勤務しておりますと言うだけでございます。

保坂委員 検察庁法二十三条の2のところには、「検察官は、左の場合に、その適格に関し、検察官適格審査会の審査に付される。」とあるのですね。その一に、「すべての検察官について三年ごとに定時審査を行う」と書いてあるのですよ。つまり、すべての検察官について三年ごとに審査を行う。大臣、どうでしょう、見解は。今官房長は、必ずしも行われていないというような趣旨に聞こえましたけれども。

但木政府参考人 検察官全員について三年に一度はやっております。やっておりますが、その一人一人について何分かけるんだというお尋ねでしたので、そういうやり方ではありません。(保坂委員「では、全体で何分ですか」と呼ぶ)全体で数時間かかっております。

保坂委員 それでは、これだけやるとちょっと時間がなくなるので、本当に機能しているのかどうか、さらに問うていきたいと思います。

 裁判所の方にお尋ねします。今回の山下次席の問題、ずっと言われていますけれども、裁判所の方にも大きな問題があるように思います。率直に言って、法務省の報告よりも裁判所の報告の方が、どうも首をかしげるような記述が多いというふうに感じるのですね。

 例えば、先ほど佐々木委員からお尋ねがありました。これは事務総長にお答えいただきたいのですが、新聞によりますと、これは中坊さんの司法制度改革審議会における発言です。簡裁から地裁、高裁、最高裁へと捜査情報が報告された。人事権の行使という司法行政の名のもとに、捜査の秘密よりも優先してこうしたことが行われたことは重大な問題だ。法務省は漏えい問題を検察全体の問題としてとらえ、改革する姿勢を示したが、最高裁は捜査情報の報告を容認し、コピーをした職員個人の問題にしている。こういう指摘をしたとありますね。どのようにこの中坊委員の御指摘に答えたのですか。

堀籠最高裁判所長官代理者 今回の、裁判官のあり方や、組織としての裁判所と検察庁とのあり方に投げかけた問題は重大かつ深刻でありまして、裁判所といたしましても、これを真摯に受けとめる必要があるというふうに考えております。

 今回の事件を踏まえまして、裁判官が高い職業倫理を保持するため、意識の覚せいが必要であるとも考えておりますが、このことは、裁判所組織のあり方について検討をしていくことを否定するものではありません。裁判所といたしましては、令状請求関係書類のコピー問題の再発防止策を策定していくほか、裁判官が高い職業倫理を保持していくことを裁判官の間で徹底していくことができるような裁判所のあり方を検討してまいりたいと考えているところでございます。

保坂委員 お願いがあるのですが、時間に限りがありますので、報告書でもう既に記されているところとか、書かれていることは、ここで繰り返さないでほしいのですね。

 今、私の問いは、その中坊委員の指摘はもっともだと受けとめられたのか、そうでないのか、それだけちゃんと答えてください。

堀籠最高裁判所長官代理者 中坊委員がどういう趣旨で申し上げたか、必ずしも私、十分認識しておりませんが、今回の件は、捜査情報のうち必要な限度のものが、最高裁には報告された、高裁にはコピーをして報告されたという問題でありまして、その報告のあり方につきましては、防止策の中で検討してまいりたいと考えているところでございます。

保坂委員 三月十六日に、この事態発覚後、初めて青山福岡高裁長官が記者会見しているんですね。

 記者会見している席で、この様子を伝えた毎日新聞の記事によりますと、「逮捕状請求書のコピーを入手したことは特別扱いとは思わない」。さらに、山下次席が「示談に持ち込もうとした意図はありうることと思った」。さらに、これは最高裁の報告書が出た後なんですね、処分をされたはずの青山長官がこう言っています。「自分が古川さんの立場なら、最高裁が指摘するような裁判官の分を守った行動ができたか分からない」。さらに、「裁判所がここまで信頼されていないと思わなかった。われわれはまじめにやっている」。

 この発言は事実ですか。

金築最高裁判所長官代理者 福岡高裁に確認いたしましたところ、御指摘の記事にあるような「逮捕状請求書のコピーを入手したことは特別扱いとは思わない」という発言はなかったと聞いております。長官の記者会見では、山下次席検事から古川判事への捜査情報の告知が特別扱いではないかとの観点から質問があり、その点について、当時は特別扱いであるとは思わなかったという趣旨の発言があったということでございます。念のため、会見の様子が詳しく報じられている福岡版の各新聞記事を調べましたところ、他社の記事は毎日新聞のようにはなっていないようでございます。

 それから次に、倫理の関係での発言でございますが、この点につきましても発言を福岡高裁に確認いたしましたところ、調査委員会の調査報告書に記載された裁判官の倫理に関連して、青山長官は、私が古川判事の立場に置かれた場合、実践できたかと言われれば何とも言えないという趣旨の発言があったと聞いております。

 青山長官は、古川判事が作成したメモ、調査報告書で問題にしているメモなんですが、そのメモの内容は見ていないとのことで、その限度の答えということでありまして、恐らく、古川判事の行動について問題となった点は裁判官にとっての高い職業倫理であるということをそういう表現で言われたというふうに思います。

保坂委員 事務総長に一言お答えいただきたいんです。

 最高裁は調査報告書の最後に書いていますね。「公正、廉潔は我が国司法の最も誇るべき伝統である。しかし、今回の事件により、我々は、これが伝統によって守られるものではなく、基本的には裁判官個人の自覚すなわち「倫理」の問題であることを改めて確認し、高い職業倫理を保持するため、意識の覚醒が必要であることを肝に銘じなければならない。」青山長官はちょっと意識の覚せいをしなきゃいけないんじゃないですか。つまり、これだけの事態の後、全く理解してないです、こういう発言は。

 今人事局長からいろいろ話がありましたけれども、場は記者会見ですよ。どこかでこそこそしゃべったという話ではない。VTRも回っていたでしょう。あるいは記者の録音も回っていたかもしれない。最高裁あるいは福岡高裁としても、どういう発言をされているのか、どなたか事務方がメモぐらいとっているでしょう。これは重要ですから、ぜひこの法務委員会に追加報告として、青山長官がどういう発言をしたのか、報告を出していただけませんか。どうでしょう。

堀籠最高裁判所長官代理者 御指摘の点については、最高裁として検討したいと考えております。

保坂委員 委員長にお願いしますが、異例かもしれませんが、これは、この事態を本当に再発防止していけるのかどうか、大変重要なポイントだと思いますので、最高裁に自発的にこの法務委員会に対して今の発言要旨について出していただきたいという要望について、検討願いたいと思います。

保利委員長 この点につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。

保坂委員 法務大臣に再びお尋ねをいたしますが、今回の事態で、現場の警察官の士気、あるいは検察と警察との関係が非常に気まずくなるんじゃないかというようなことが言われています。

 そこで、奈良で起きました、奈良県警の二人の警視が、贈収賄絡み、かなりの大金を受け取っていたということで書類送検という、任意捜査になったわけですけれども、検察当局が、今回福岡で警察に対し負い目を負ったことで、公平な指揮、その監督、あるいはその事件処理ができなくなっている、こういう懸念を感じるわけですが、いかがでしょうか。

高村国務大臣 お尋ねの奈良県警幹部による贈収賄事件につきましては、奈良地検において、三月十五日、奈良県警から収賄罪により被疑者二名、贈賄罪により被疑者二名の各送致を受けて、現在捜査中であり、今後、厳正公平に所要の捜査を遂げ、適正に対処するものと承知をしております。

 福岡地検の山下前次席の対応が古川判事の妻の脅迫等の事件の捜査を担当した警察官との信頼関係を著しく阻害したことは否定しがたい、こういうふうに考えておりますが、これが奈良県警幹部による贈収賄事件の捜査に影響を及ぼすことは全くあり得ないものと考えております。どうか委員もそこまで御心配なさらないでいただきたいと思います。

保坂委員 去年、警察問題というのはもうさんざん出たわけですよね。

 警察庁に答弁をお願いしますけれども、中坊公平さんが警察刷新会議のメンバーだったと思います。そうですよね。そして、今回のこの奈良県警の措置についてこういうふうにおっしゃっているんですね。贈収賄が疑われ、証拠隠滅のおそれもあるのになぜ逮捕しないのか。身内に甘いと言われても仕方がない。警察は巨大な権力を持っているだけに、腐敗しやすく、情報公開が最もおくれている。こうした構造的なものを考えるべきだ。今回の問題は刷新会議の提言前から起こり、提言を受けて警察法が改正された後も続いていたことになる。一体、提言をどう受けとめているのか。

 どう受けとめているんですか。

石川政府参考人 今御指摘の事案は、奈良県警の幹部職員が県内の運送会社から給与名目で長期にわたって、かつ多額の振り込み入金を受けているといったことで、重大な不祥事案だというふうに認識をいたしております。

 一昨年来、一連の警察に関する不祥事によりまして国民から非常に厳しい御批判を受けたわけでございまして、刷新会議から緊急提言もいただきまして、改革のために諸施策を推し進めている中でなおこのようなことが続けられていたという点で、まことに残念であり、深刻に受けとめているところでございます。

保坂委員 いや、中坊さんのコメントについては質問予告に入れていなかったので恐らく用意がないと思うんですが、警察刷新会議の中坊さんが、非常に不十分だと言っているわけでしょう。我々の提言をまともに消化していないんじゃないか、こうおっしゃっているわけでしょう。それをどういうふうに受けとめているのか。適当な指摘じゃないんだ、中坊さんとはいえ筋違いな指摘だ、こういうふうに思っているんですか。

石川政府参考人 刷新会議でいろいろな御指摘を受けたわけでございますが、この事案との関連で申しますと、関連するのは、警察の情報公開というものがおくれている、こうした問題についてきちっとした公表基準というようなものをつくって対応すべきではないかということが一つ。それから、身内に甘いといったような形で監察が機能していないんではないか、これについてきちっとした監察を強化すべきである、こういうこと。それから、公安委員会の管理機能を強化して、公安委員会の活動というものを活性化させるべきだ、こういったことの御指摘を受けたわけでございます。

 この事案の処理について申しますと、ことしの初めに端緒情報を入手して以来監察部門が鋭意調査を進めて、これは捜査に値する内容であるということで捜査に移行をしたわけでございまして、警視二名にかかわる不祥事を解明して、一名について懲戒免職、他の一名について停職六カ月の懲戒処分を行い、公表をいたしました。

 それから、奈良佐川急便関係のいろいろ言われておる問題につきましては、これ以外にも幾つかの問題点が把握をされておるわけでございまして、これらにつきましては、奈良県警において関係の警察官等の事情聴取をするといったようなことで丹念に今も調査を進めているわけでございまして、既に調査を終えたものについてはその結果を公表しているところでございます。

 また、奈良県警察においては、この事案について県の公安委員会に、一月の中旬でございますけれども、報告をいたしまして、以後、毎回、公安委員会が開かれるたびにこの問題についての中間報告をして、その管理、指導を受けながら対応してきた、こういうことがございます。そして、その……(保坂委員「委員長、答弁は質問に答えるように言ってくれませんか。全然聞いていないことばかりやっている」と呼ぶ)

保利委員長 できるだけ短く答弁してください。

石川政府参考人 そういうようなことで、先ほど申しました三点のことについて言うならば、刷新会議の緊急提言の趣旨というものを踏まえた対応をしてきたというふうに考えておりますが、なお調査を継続している事案もあるわけでございまして、警察庁としては、国民の信頼が得られるような徹底した調査をさらに進めるように奈良県警を指導してまいりたいというふうに考えています。

保坂委員 官房長に。端的に一言で答えてください。

 今回の福岡では大変に現場の士気が損なわれるようなことがあった。警察はまじめにやろうとして一生懸命やってきたと思います。ところが、この奈良県警の事態はそういった議論の中で起きたわけですよね。これは、今言われた、身内に甘い等々の議論もあった、警察刷新会議の議論に照らして今回の奈良県警の判断はどこに出しても恥じることがないんだ、これでよろしいと胸を張って言えますか。言えるか言えないか。

石川政府参考人 先ほど来申し上げていますように、現状においてできる限りのことをしておるというふうに認識をいたしております。

保坂委員 それは大変不十分だと私は思いますけれども、残りの時間、法務大臣に判検交流について。

 先ほどちょっと触れましたけれども、これは予告がないのでちょっとお聞きいただきたいんですが、裁判所の方も組織で上げていくわけですよね。今、理由を報告書で述べておられます。簡裁の令状請求のところから最高裁まで駆け上がっていったわけですね、情報が。その理由として、例えば裁判官が同じ官舎に住んでいるとか、あるいは親戚関係でありやなしやとか、裁判官同士親しいかどうか、そういうところも調べなきゃいけないんだ。したがって、そうやって組織で上げていくことは大事なんだ、こういうふうに最高裁が言っているわけです。

 先ほど佐々木委員の質問にもありましたが、訟務検事として法務省に出向しているその裁判官と、そして実際にその行政事件を担当する裁判官、これらが例えば同期だったり非常に親しい関係にあったりとか、あるいは家族ぐるみで親交があったりとかというのも考えられるわけですね。やはり判検交流そのものを公平な立場で見直すべきだというふうに私は思っています。法務省のサイドから努力をしていただきたいと思うんですが、もう一度伺います。

高村国務大臣 法曹というのは、裁判官になれば裁判官として、検察官になれば検察官として、弁護士であれば弁護士として、その立場立場において全力を尽くす、こういう理念に立脚してつくられている、こういうふうに思っております。だから、同期ということでいえば、裁判官と弁護士が同期などということはしょっちゅうあることでありまして、私も弁護士として同期の裁判官に当たったことがありますが、一つも有利に扱われたなどという気持ちを持ったことはありません。

 先ほどの話は、当事者自身との関係においてどういうことがあるかということはあるかもしれませんが、弁護士、裁判官、検事がどう親しいかということが大きな問題となるということであれば、それじゃ、一緒に司法研修所で修習すること自体がおかしいのではないかという話にもなりかねない話であります。そうではなくて、やはり、私が認識しているのは、判検交流、法務省、検察で裁判官からだけよそから入ってくる、弁護士からは入ってこない、あるいはそのほかの学者から入ってこない、そのバランスが著しく失しているということには問題があると考えておりますので、その点について何とかしたいとは考えております。

保坂委員 最後に一点だけ。

 今法務大臣、大変正しい認識だと思いますよ。法曹というのは、役割、役割で厳正に、どんな事件であっても、知り合いであっても、家族同士の交流がなまじあったとしても、ちゃんとやるんだと。それだったら、最高裁、いいじゃないですか、報告なんか上げなくたって。もしその現場の判事が自分は不適当と思ったら、自分で申し出ればいいじゃないですか。それだけ答弁を求めて終わります。

金築最高裁判所長官代理者 確かに、例えば公判、訴訟で、民事で訴え提起されたり、それから刑事で公判請求があったりした事件の場合は、おっしゃるとおり、その訴え提起があった後に、そういう当たった人は、回避するなり忌避で解決するなりということでもいいかもしれない。

 ただ、本件で問題になりましたのは、あくまで令状請求があったという事実自体をその裁判官が知るということが、奥さんの事件なものですから、それは適当でないという面があります。ですから、ちょっとその点は問題の側面が違うのではないかと思います。

保坂委員 終わります。

保利委員長 次回は、来る二十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十一分散会




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