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第8号 平成13年4月6日(金曜日)

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平成十三年四月六日(金曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 保利 耕輔君

   理事 奥谷  通君 理事 塩崎 恭久君

   理事 田村 憲久君 理事 佐々木秀典君

   理事 野田 佳彦君 理事 漆原 良夫君

   理事 西村 眞悟君

      荒井 広幸君    太田 誠一君

      熊代 昭彦君    左藤  章君

      新藤 義孝君    鈴木 恒夫君

      谷川 和穗君    林 省之介君

      林田  彪君    松宮  勲君

      山本 明彦君    横内 正明君

      吉野 正芳君    渡辺 喜美君

      鎌田さゆり君    中村 哲治君

      平岡 秀夫君    水島 広子君

      山内  功君    山谷えり子君

      山花 郁夫君    上田  勇君

      藤井 裕久君    木島日出夫君

      瀬古由起子君    植田 至紀君

      徳田 虎雄君

    …………………………………

   参議院共生社会に関する調

   査会長          石井 道子君

   参議院議員        南野知惠子君

   参議院議員        小宮山洋子君

   参議院議員        大森 礼子君

   参議院議員        林  紀子君

   参議院議員        福島 瑞穂君

   法務大臣         高村 正彦君

   最高裁判所事務総局民事局

   長

   兼最高裁判所事務総局行政

   局長           千葉 勝美君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    山崎  潮君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児

   童家庭局長)       岩田喜美枝君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局

   長)           真野  章君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君

   法務委員会専門員     井上 隆久君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  棚橋 泰文君     林田  彪君

  中川 昭一君     林 省之介君

  枝野 幸男君     鎌田さゆり君

  日野 市朗君     中村 哲治君

  平岡 秀夫君     山谷えり子君

  不破 哲三君     瀬古由起子君

同日

 辞任         補欠選任

  林 省之介君     中川 昭一君

  林田  彪君     棚橋 泰文君

  鎌田さゆり君     枝野 幸男君

  中村 哲治君     日野 市朗君

  山谷えり子君     平岡 秀夫君

  瀬古由起子君     不破 哲三君

    ―――――――――――――

四月三日

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案(共生社会に関する調査会長提出、参法第一六号)(予)

同月四日

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案(参議院提出、参法第一六号)

三月三十日

 犯罪捜査のための通信傍受法の廃止に関する請願(日野市朗君紹介)(第八三三号)

 同(大出彰君紹介)(第八五五号)

 同(水島広子君紹介)(第八九三号)

 同(土井たか子君紹介)(第九二九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案(参議院提出、参法第一六号)




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     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 参議院提出、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案を議題といたします。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。参議院共生社会に関する調査会長石井道子君。

    ―――――――――――――

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井(道)参議院議員 ただいま議題となりました配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案につきまして、提案の趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。

 本法律案は、去る四月二日、参議院共生社会に関する調査会におきまして、各会派の総意をもって起草、提出し、同四日、参議院本会議において全会一致をもって可決されたものであります。

 今日、我が国を取り巻く社会的環境は大きく変化しておりますが、とりわけ男女が互いにその存在を認め合い、共生していく男女共同参画社会の構築は、まさに二十一世紀の最重要課題であります。

 日本国憲法には個人の尊重と法のもとの平等が規定されておりますが、社会においてはなお女性の人権が軽視されるという実態が存在しておりまして、その一つが女性に対する暴力であります。

 女性に対する暴力につきましては、平成十二年十二月に策定された男女共同参画基本計画において、新たな法制度や方策などを含め、幅広い検討が求められております。また、昨年六月にニューヨークで行われました女性二〇〇〇年会議では、各国がとるべき行動として、夫やパートナーからの暴力であるドメスティック・バイオレンスに対処するための法的措置が求められております。

 特に、女性に対する暴力のうち、ドメスティック・バイオレンスは、犯罪となる行為であるにもかかわらず、外部から発見しにくく、被害者である多くの女性が暴力を忍受せざるを得ない状況にあります。

 本法律案は、このようなドメスティック・バイオレンスの状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るため、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止及び被害者を保護するための施策を講じようとするものであります。

 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一は、前文についてであります。

 この法律案におきましては、特に前文を設け、本法制定の趣旨を明らかにしております。

 第二は、国及び地方公共団体の責務について定めております。

 第三は、配偶者暴力相談支援センターについてであります。

 都道府県は、婦人相談所その他の適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとしております。同センターでは、被害者に対し、相談、カウンセリング、一時保護等を行うものとしております。

 第四は、被害者の保護についてであります。

 配偶者からの暴力を受けている者を発見した者は、配偶者暴力相談支援センターまたは警察官に通報するよう努めるものとし、医師その他の医療関係者については、別途守秘義務が課されていることから、配偶者からの暴力による傷病者を発見した場合には、被害者本人の意思を尊重しつつ、通報できるものとしております。

 第五は、保護命令についてであります。

 被害者がさらなる配偶者からの暴力によりその生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申し立てにより、当該配偶者に対し、六カ月間の被害者への接近禁止または二週間の住居からの退去の一方または両方を命ずるものとしております。

 その申し立ては、一定の事項を記載した申し立て書を、被害者または配偶者の住所等を管轄する地方裁判所に提出して行い、裁判所は申し立てがあった場合には速やかに裁判をするものとしております。保護命令に違反した者は一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処するものとしております。

 これらのほか、国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間の団体に対する必要な援助、加害者に対する更生指導の方法等に関しての調査研究の推進等に努めるとともに、職務関係者に対し、被害者の人権、配偶者からの暴力の特性等に関する理解を深めるために必要な研修等を行うこととしております。

 なお、本法律につきましては、法施行後三年を目途にその施行状況等を勘案し、検討する旨の規定を設けてあります。

 以上が、この法律案の提案の趣旨及び主な内容でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようにお願い申し上げます。ありがとうございました。

保利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

保利委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長黒澤正和君、法務省民事局長山崎潮君、法務省刑事局長古田佑紀君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、厚生労働省社会・援護局長真野章君及び厚生労働省保険局長大塚義治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所千葉民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村委員 おはようございます。

 きょうは、ドメスティック・バイオレンス、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 まずもって、今まさに大変社会的な問題になっておりますドメスティック・バイオレンス、これに関して、参議院の先生方、女性の議員の先生方が超党派でこの問題にお取り組みをいただきましたことに、心から敬意を表させていただく次第であります。

 本当はいろいろとお話をさせていただきたいこともあるのですが、何分短い時間内にたくさんの質問をさせていただかなきゃなりませんので、直接の質問に入らせていただきたいわけであります。

 とにかく、最近のドメスティック・バイオレンスの発生件数、表に事件として出ているだけでも近年すごい伸びでありまして、警察庁の調べでありますけれども、昨年は千九十六件、殺人でありますとか傷害、暴行で検挙されておる。その前の年から比べると一一二・四%の増である。これは氷山の一部だと思うのですけれども、そういう社会的な要請、また国際的にも、今調査会長がおっしゃられたような背景の中において、当然のごとく今回この法案が提出をされてきておるものだと思うのですが、改めて、なぜこの法律案の制定が必要なのか、そういう部分に関して、その背景と考え方、こういうものを提案者からお伺いをいたしたいと思います。

南野参議院議員 お答え申し上げます。

 女性に対する暴力につきましては、国際的にも重要な課題として取り上げられております。今先生がおっしゃられましたとおり、先生のお考えのとおりでございます。

 国内でも、近年は、国際的な動向を受けまして、女性に対する暴力の問題が次第に大きくなって取り上げられるようになってまいりました。平成八年十二月に制定されました男女共同参画二〇〇〇年プランでも、女性に対する暴力は人権問題と位置づけられておりますが、新たな法制度や方策への取り組みは、諸外国に比べまして日本はまだまだおくれており、必ずしも十分ではないと思っております。

 このような中にありまして、平成十年八月、参議院におきます共生社会に関する調査会が設定され、その一年目の調査におきましては、女性に対する暴力をテーマに取り組みました。平成十一年六月の中間報告におきまして申し上げた提言では、法的対応について今後の検討課題としておりましたところ、昨年六月、理事会のもとにプロジェクトチームを設置し、三十回にわたる検討を進めてまいりました。

 調査会あるいはプロジェクトチームの調査や検討を進める中で、法律案の前文にも書きましたとおり、女性に対する暴力、特に配偶者からの暴力は、犯罪行為であるにもかかわらず、配偶者間の問題であるがゆえに外部から発見しにくい、そして被害者である多くの女性が暴力を忍受せざるを得ない状況であったということから、人権の擁護と男女平等の観点に立って法律化を図ったところでございます。

 この法律によりまして、配偶者、とりわけ夫からの暴力の被害を受けている妻たちの生命と身体の安全が守られることを祈念いたしまして提出したところでございます。

 よろしくお願いします。

田村委員 少し早口で話をさせていただきたいと思います。

 当然のごとく、法律案がいよいよ成立いたしますと法律となってスタートするわけでありますが、ワークをしていかなければならないわけでありまして、動いていくためには、その法律をいかに運用していくか、また、充実した施策をどう推進していくか、ここが大変重要だと思います。この点を厚生労働省からお伺いいたしたいのです。

岩田政府参考人 配偶者からの暴力の問題は、提案者からの御説明にもありましたように、個人の尊厳そして男女平等の観点から考えますと、早急に取り組むべき大変重要な課題であるというふうに思っております。

 厚生労働省といたしましては、従来から、婦人相談所、婦人保護施設などを中心に取り組んでまいりましたけれども、この法律の施行を契機にいたしまして、関係行政機関ともよく協力をしながら、配偶者からの暴力で被害を受けた方の相談、支援そして保護、こういうことにつきまして全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思います。

田村委員 次に、この法律には前文が置かれております。大体、基本法には前文という形はあるのですけれども、こういう法律において前文をわざわざ置かれたその趣旨というものは一体どこにあるのでございましょうか。

南野参議院議員 一般的に申し上げますならば、法制定の理由または基本理念を強調する、さらに法律の内容の理解と解釈に役立てようとする理由でありますが、特にこの法律では、配偶者からの暴力が、犯罪となる行為であるとともに、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっているということを国民に対して明らかにするために設けました。

 以上です。

田村委員 次に、いよいよ法律の中に入っていくわけでありますけれども、第一条第一項の中に「配偶者からの暴力」という規定がございます。

 配偶者という言葉の示す意味に関しては、この中において、婚姻等の届け出はしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むと定義づけておりますけれども、それ以外にも、例えば元配偶者でありますとか、また恋人の間にも、ドメスティック・バイオレンスと言っていいのかどうかわかりませんけれども、似たような状況は生まれるわけであります。そういう意味からいたしまして、この中でなぜこういう元配偶者、恋人を含まなかったのか、これが一点。

 それからもう一つは、暴力というものの定義に関して、言葉の暴力というものも入るようなことが書いてありますけれども、精神的に影響を受ける心理的な外傷といいますか、こういうものは果たして暴力というものに該当するような趣旨になっておるのかどうか。この二点をお聞かせいただきたいと思います。

南野参議院議員 まず、お答え申し上げます前に一言申し上げたいのでございますが、配偶者からの暴力というのは、今から申し上げる点で一般の暴力とは異なるということを頭に置いていただきたいなと思っております。

 第一に、配偶者からの暴力は家庭内で行われるものでございますので、外部からの発見がなかなかしにくい、継続して行われる、また、エスカレートして重大な被害が生じることがある。また第二点は、独立の人格として尊重し合い、対等な関係であるべきでありますが、個人の尊厳を害し、男女平等を妨げているという特性があると思います。

 お尋ねの件でございますが、配偶者とは、婚姻の届け出をしている人、また、していない事実婚の人たちも含めているところでございますが、事実婚は法律婚と届け出のない違いだけでありまして、暴力の被害者として保護する必要には変わりがないということでございます。

 さらに、お尋ねの、元配偶者、恋人、元恋人からの暴力につきましては、暴力の特徴が一般的な暴力とは異ならないので対象とはできないという旨でございます。

 以上でございます。

田村委員 何となくわかりました。

 次に、今度は第一条第二項の「被害者」という言葉の定義でありますけれども、配偶者からの暴力を受けた後婚姻を解消した者であって、当該配偶者であった者から引き続き生命、身体に危害を受けるおそれのあるものを含むとしております。「配偶者からの暴力を受けた者」を広く規定しておるわけでありますけれども、その趣旨は一体どこにあるのかという部分。

 それからもう一つは、実はこれは、配偶者が別れた後の暴力も以前から続いていればというふうになっておるのですが、別れた事由によって、それまでは暴力を振るわれていなかったけれども、例えば浮気が原因で別れた、そのときは暴力はなかった、しかしながら別れた後、よくあのときに民事調停を申し出て離婚をしてくれたななんということで、後から暴力を振るわれるということも当然のごとく予想されるわけであります。そのときに一般の事件として片づけようとしますと、子供にとっては父親という場合がございますので、そういう場合、ほかの法律、ストーカー法等々で非常に訴えにくい部分もあるわけでありまして、このような場合どう対応していけばいいのかなというふうに、私は疑問に思っているのです。この点も含めて、お考えがございますればお答えをいただきたいのです。

南野参議院議員 お尋ねの件でございますけれども、一応、婚姻関係にあるときの暴力ということでありまして、その婚姻を解消した後につきましては、それはこの法律の範疇ではないということを申し上げておきたいというふうに思っております。

田村委員 いろいろな状況が出てきますので、どうか、これからまた三年後の検討も含めていろいろな御検討をいただきたいなと思います。

 続きまして、例の保護措置等々の申し出に関しまする案件なのですが、直接裁判所に申し出る場合に関しましては、公証人による宣誓供述書、これの認証をいただかなければならないという部分がございます。これは、手数料は政令で定めてあると思うのですが、一万一千円ぐらいかかるというんですね。裸一貫という言い方はおかしいですけれども、丸腰でもう家を出てきたいぐらいの危機的な精神的な状況に追い込まれながら被害者の方々はおるわけでありまして、そんな丸腰の中で手数料一万一千円取るというのは非常にこれはつらい部分がある。ここを、政令ということでありますけれども、いろいろと検討していただきたいなという気がいたすわけであります。

 これは提案者の方々というよりは法務省に、そこら辺、御検討いただけるかどうかお聞きをいたしたいと思います。

山崎政府参考人 宣誓供述書の手数料でございますけれども、手数料は、御案内のとおり、当事者が受ける利益の多寡に応じて金額を定めるというシステムでございます。そういう関係から申し上げますと、配偶者からの暴力の被害者に限ってその手数料を軽減するということは極めて難しいということになります。

 ただ、現在、これは規定がございますけれども、手数料を支払う資力のない被害者につきましては、その証明を受けますと支払いの全部または一部を猶予するという制度がございまして、これを御利用いただければというふうに思っておるわけでございます。

田村委員 もちろん、支援センターでありますとか警察の方を経由した場合には、当然公証人は関係ないわけでありますから手数料はかからないと思うのですが、いろいろな事由で直接裁判所という方もおられるわけでありまして、どうかその点はこれから御検討いただきますようにお願いいたします。

 続いて、この法律を運用していくに関しては、本当にいろいろな省庁が関連してまいります。警察も絡んでくれば、当然福祉の部分も絡んでくる、教育という部分も絡んでくると思います。そういう意味からしますと、やはりこの法律をうまく動かしていくためには総合調整というものが一つ必要でありますし、同時に、いろいろな状況、いろいろな状態の方々が来られますから、その方々に対しての接し方等々のマニュアル、研究等々も進めていただかなければいけない。

 そういう意味からしますと、やはりそれを中心になって運営していただくのは内閣府ぐらいになってくるのかなと思うのですけれども、そこら辺のところを、提案者の先生方が、これからうまく運営していただくように各政府機関に調整といいますか、これを御要望されているかという部分をお聞きしたいのです。

南野参議院議員 本当に先生の御指摘のとおりでございます。多省庁にわたっておりますので、この法律につきましては、行政内部で調整を行う省庁は内閣府であるというふうに思っております。

 また、配偶者からの暴力の防止のための研究、検討は、関係省庁との調整のもと、内閣府が中心にこれを行うものと思っております。

田村委員 それでは、もう最後の質問にさせていただきます。

 婦人相談所を当初は支援センターとして使うような趣旨のことが書かれております。当然のごとく費用がかかってくるわけでありまして、補助金ということになると思うのですけれども、補助金に関しては、減額されてしまったら困るわけでありまして、やはり制度的補助金とするのが最もいいのかな、こういうふうに思うわけでありますけれども、そこのところはどうお考えになられておられるのか。これは大変重要な部分でございますので、ぜひとも御意見をお伺いさせてください。

南野参議院議員 ありがとうございました。

 まず、婦人相談所につきましては、この紙をごらんいただくと、この黄色いところでございますが、従来よりDV被害者の相談または保護に取り組んできたところでございます。配偶者暴力相談支援センター、この黄色いところでございますが、その一翼を担う施設としての役割が大変大きく期待されるところでございます。

 このため、法律におきましては、国の負担規定を設けるとともに、婦人相談員に要する費用または婦人保護施設などにおける保護についても国の補助規定を設けたところでございます。特に、当該補助金は、私が財務省に赴き申し入れを行いました。売春防止法の補助金とともに、その事業のために必要な額を確保でき、奨励的なものとして、将来減額することのないように制度的補助とすることにいたしております。したがいまして、平成十四年度の所要経費としては十億充てられておるところでございます。

田村委員 本当に大変重要な法案でありますけれども、例えば、窓口が警察と配偶者支援センターと二つあるというような、これからどうスタートして動いていくのかなという部分はございます。いずれにいたしましても、今まで大変御苦労があったと思いますけれども、これからもよりよい制度にしていくことを常に念頭に置いていただきながらこの法律に関与していただきたいなと、改めて心から敬意を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 本当にありがとうございました。

南野参議院議員 済みません。追加させていただきたいのですけれども、先ほど申しましたプロジェクトチームの立ち上げを昨年六月と申しましたが、それが四月でございます。

 それから、先ほど先生の心理的な外傷の質問で答弁を私が逃しておりましたが、きのうのテレビ、またきょうの新聞でもございますように、無言電話をかけて心理的なストレスを与えるということで、これはPTSD、心理的外傷ストレス障害と認めた上で、罰則が当たっております。傷害と判断されており、この事例でありますと、八カ月にわたって五百回かけたということで、これは懲役二年六カ月というふうになっております。

 以上でございます。

保利委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原でございます。おはようございます。

 この法案の取りまとめに当たっていただきました参議院の先生方、本当にありがとうございました。心から敬意を表したいと思います。

 早速質問に入らせていただきますが、まず、保護命令についてでございますけれども、保護命令の申し立ては口頭あるいはファクスですることができるのでしょうか。いかがでしょう。

福島参議院議員 民事訴訟費用等に関する法律の規定によって手数料、印紙を張らなくてはならない申し立てに係る書面については、ファクシミリを利用して送達することにより裁判所に提出することは今の段階ではできないというふうに考えられます。民事訴訟規則第三条第一項第一号です。

 ですから、保護命令についても、口頭またはファクスによる申し立てをすることはできず、書面を提出する方法でしなければならないというふうに考えられます。ただ、三年後の見直しでは検討事項になり得るかもしれないというふうに考えております。

漆原委員 十二条の第二項では、保護命令の申し立て書に配偶者からの暴力に関して作成された宣誓供述書の添付が必要とされておりますが、宣誓供述書の添付を必要とする理由はどんな理由なんでしょうか。

福島参議院議員 保護命令の申し立てをする際には、配偶者暴力相談支援センターの職員または警察職員に保護等を求めた事実がある場合には、裁判所からこれらに書面の提出や説明を求めるとして、迅速な証拠の保全を図るということにしております。

 ただ、それが配偶者暴力相談支援センターにも行っていないし警察にも行っていない場合もあり得るので、できるだけ被害の救済をするために、客観的、定型的な信用力のある証拠であることが制度上担保されている宣誓供述書を申し立て段階で添付すべきこととして、迅速に保護命令を発することを可能とする条件を整えることにいたしました。

漆原委員 十三条で、保護命令事件は速やかに裁判をする、こういうふうに規定されておりますが、この速やかに裁判するということはどういうことなのか。それから、保護命令を発するまでの間にどのくらいの時間がかかるのか、これをお答えいただきたいと思います。

福島参議院議員 条文の中に何日以内に出すということを書くのは、それを過ぎました場合に問題も生ずることから、条文上は速やかにというふうにいたしました。

 しかし、これは被害者の保護のためにできるだけ可及的速やかに出すようにということで条文上書いたわけで、保護命令を発するまでの期間は相手方の対応ぶり等の問題もあり、事件により区々ですけれども、申し立てのときに必要な資料等が提出され、また、相手方への期日の呼び出し等が円滑に行われるような場合であれば、可及的速やかに発せられることを期待しております。三年後の見直しのときに、どのようなケースでどれぐらいで出たかということをきちっと調査をして、また検討すべきだと考えます。

漆原委員 十五条の第四項には「保護命令は、執行力を有しない。」こういう規定がございますけれども、この規定を置いた趣旨についてお尋ねしたいと思います。

福島参議院議員 保護命令には民事上の執行力を付与しないとしたものですけれども、保護命令は抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判に該当することから、いわゆる債務名義性がないことを明らかにするためにこのような規定を設けたものです。

 なお、保護命令に違反した場合は一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処せられるとされておりまして、このような刑罰の定めによって実質的に保護命令の実効性が担保されると考えております。

 債務名義がないということを確認するためにこのような規定を置いております。

漆原委員 続いて、二十六条には民間の団体に対する援助に関する規定がありますが、この趣旨を御説明いただきたいと思います。

林(紀)参議院議員 お答え申し上げます。

 二十六条には「国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間の団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとする。」と書いてあるわけでございます。それでは、ここで言う民間の団体に必要な援助を行うというのは具体的にはどういうことかといいますと、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に資する情報の提供を行うこと、それから財政的な援助を行うこと、こういうことが考えられると思います。

 そして、配偶者からの暴力の問題といいますのは、公的な機関と民間団体とが緊密に連携をとりながら、被害者のいろいろな要望がありますので、その要望にこたえていく、これが望ましいと思っております。こうしたことから、重要な役割を担っている民間団体に対しては公的な援助を行うことがぜひとも必要であると考える次第です。

漆原委員 婦人相談所から一時保護の委託を受けていない、そういう民間の団体に対しては財政上の援助が行われるのでしょうか。いかがでしょう。

林(紀)参議院議員 現在、自治体などが独自の基準によりまして民間の団体に対して資金援助を行う例があるというふうに聞いております。そして、今後もこのような援助が継続されることが望ましいと考えております。

漆原委員 費用についてお尋ねしたいんですが、この法律において必要とされる費用はどのように支弁され、また負担されるのか、お尋ねしたいと思います。

南野参議院議員 この法律において必要とされる費用、先ほどもお答え申し上げましたが、まず第一は、都道府県は、次に掲げる費用を支弁するものとしているということで、配偶者暴力相談支援センターの業務につきましては、婦人相談所の運営に要する費用。さらに、配偶者暴力相談支援センターの業務につきましては、婦人相談所が行う一時保護に要する費用。さらに、都道府県知事の委嘱する婦人相談員が行う業務に要する費用。さらに、都道府県が行う保護及びそれに伴い必要な事務に要する費用というところでございます。

 国は、都道府県が支弁しました費用のうち、今申し上げました順番で、一、二というのはちょっと御理解しにくいと思いますが、その十分の五を負担するものといたしております。その他の、都道府県または市が支弁した費用について、その十分の五以内を補助することができるといたしております。

 なお、本法における補助金といたしましては、売春防止法上の補助金とともに、制度的補助金とすることでございます。

漆原委員 最後の質問になりますが、附則第三条、三年を目途に検討するということが書かれておるわけでございますが、この条文を設けた趣旨についてお尋ねしたいと思います。

林(紀)参議院議員 この附則三条といいますのは「検討」ということで設けているわけですけれども、この法律の施行後三年をめどとして、この法律の施行状況、実績などを勘案して検討が加えられる。先ほど来の御質問の中でも、今後この三年の見直しの中で考えてほしい、そういう御質問もございましたが、検討を加えまして、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものと考えております。

漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。

保利委員長 次に、西村眞悟君。

西村委員 簡潔に御質問いたしますので、お願いいたします。

 二十三条に、職務関係者による配慮等の義務が記載されておりますが、この趣旨を御説明いただくとともに、次の二十四条に、国、地方公共団体の教育啓発の項がございますが、具体的に、いかに教育啓発をされるのか、立法者のイメージはどういうものであるかということについて、御答弁いただきたいと存じます。

林(紀)参議院議員 お答えいたします。

 二十三条の趣旨ということですが、二十三条は、「配偶者からの暴力に係る被害者の保護、捜査、裁判等に職務上関係のある者は」、これを職務関係者と言うわけですが、「その職務を行うに当たり、被害者の心身の状況、その置かれている環境等を踏まえ、被害者の人権を尊重するとともに、その安全の確保及び秘密の保持に十分な配慮をしなければならない。」と一項めに書いてございます。

 被害者は、配偶者からの暴力によりまして心身ともに傷ついております。そこで、保護、捜査、裁判等の過程において職務関係者がそれに十分配慮した言動を行いませんと、この職務関係者の言動でさらに傷つくことがある、二次被害などと言われておりますけれども、そういうことがあると指摘されております。また、これらの過程で、加害者から報復される危険性というのも非常に多いということも指摘されているわけです。そこで、職務関係者は、「被害者の人権を尊重するとともに、その安全の確保及び秘密の保持に十分な配慮をしなければならない。」というふうにしたわけです。

 また、二十三条第二項の研修及び啓発の趣旨は、職務関係者に留意点を徹底し、被害者の保護を図るとともに、職務関係者の資質の向上を図る、こういう趣旨でこの項を設けました。

 続いて、二十四条についてお尋ねがございましたけれども、国や地方公共団体が国民に対して第二十四条に規定された配偶者からの暴力の防止に関する教育そして啓発を行うに当たりましては、国連が定めました女性に対する暴力撤廃国際日、これを踏まえて実施される、女性に対する暴力をなくす運動、こういうものを効果的に活用していくことが考えられると思います。

 ちなみに、国連総会は、十一月の二十五日を女性に対する暴力廃絶国際日に指定しております。内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省、そして地方公共団体、女性団体、その他の関係団体の協力のもとに、女性に対する暴力をなくす運動を現在実施しておりますけれども、平成十三年度からはこの実施期日を、十一月の二十五日の女性に対する暴力廃絶国際日に合わせまして、十一月の二十五日から二週間にわたってこれを行う、そして運動を強力に推進していくということにしております。

 以上です。

西村委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。

保利委員長 次の質問者が参りますまで、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

保利委員長 速記を起こしてください。

 次に、山内功君。

山内(功)委員 民主党の山内功でございます。

 二十一世紀は人権の世紀です。女性に対する暴力は、女性の人間としての個人の尊厳に対する人権侵害であると同時に、男女共同参画社会の形成を阻んできた大きな要因でもあろうかと思っています。根絶に向けた努力を十分にしていくことはもちろんでございますが、女性に対する支援の充実を図ることも重要であろうと考えています。そのためには、支援センターが十分に機能すること、そして保護命令制度が実効性を発揮することが重要だと考えています。

 まず、支援センターとしての機能を果たす「婦人相談所その他の適切な施設」とはどのような施設を言うのでしょうか。

小宮山参議院議員 配偶者暴力相談支援センターとして業務を実施する機関といたしましては、婦人相談所のほかに、男女共同参画社会の形成の促進を目的とする事業を行うために各都道府県が設置しております、いわゆる女性センター等が考えられると思います。

 ともかく、都道府県が持っておりますさまざまな施設、機関が総合的に対応することが適当であるという趣旨から、こうした規定にしております。

山内(功)委員 支援センターにおいては、外国人もその保護の対象になるのでしょうか。言葉の問題もあると思います。不法に在留している方を含めて、受け入れ体制はどのようになるのでしょうか。これは発議者と厚生労働省の方にお聞きしたいと思います。

小宮山参議院議員 この法律におきまして、センターの保護の対象者については国籍要件は設けておりません。したがって、外国人も対象となります。なお、現在の婦人保護事業でも同様になっております。

 また、現在の婦人相談所におきましては、外国人婦女子のうち、出入国管理及び難民認定法の違反者について、放置しますと危害が加えられるおそれがあり、また他に適当な援助施設が存在しないときは、入国管理局に連絡した上ですが、一時的に保護して差し支えないとしているところでございます。よって、この法律におきましても、このような対応をとることになります。

岩田政府参考人 ただいま提案者の先生からの御説明と重複いたしますところは割愛させていただきまして、外国人を受け入れるための体制がどうなっているかという点について御説明させていただきたいと思います。

 現在、婦人相談所で外国人の女性を受け入れておりますので、そのための通訳の費用、そして、不法滞在者の場合には入国管理局と婦人相談所の間を移動するための経費が必要になりますから、それらの経費を平成元年度以降、常時盛り込んでおりまして、外国人の受け入れに不適切なことがないように努めているところでございます。

山内(功)委員 次に、支援センターが相談に応じ、保護あるいは援助を行う被害者は、配偶者から暴力を受けた方のほかに、心身に有害な影響を及ぼす言動を受けた方を含むとなっておりますが、このように広くとらえられている理由は何なのでしょうか。

小宮山参議院議員 第一条「定義」でございますけれども、第一条第二項では、対象となる行為を明確にする必要性等から、いわゆる身体的暴力を配偶者からの暴力と定義をしていますので、被害者は、基本的にはこの身体的暴力を受けた者とされることになります。

 しかし、一般的に配偶者からの暴力といいますと、身体的暴力以外の精神的暴力ですとか性的暴力も含まれると理解されます。また、身体的暴力は精神的暴力、性的暴力と同時に行われたり、あるいは精神的暴力及び性的暴力によって心身に影響を及ぼす場合もございます。

 このように複合的になっておりますので、配偶者暴力相談支援センター等が行う相談等の業務につきましては、広くこうした被害を受けた者も保護の対象とするためにこのような形にしてございます。

山内(功)委員 それでは次に、新しく創設されました保護命令制度についてお聞きしたいと思っております。

 申し立て要件の中に「生命又は身体に重大な危害を受けるおそれ」と規定されておりますけれども、これはどのような状況を指して言われているのでしょうか。

大森参議院議員 「生命又は身体に重大な危害を受けるおそれ」というのは、被害者に対しまして刑法上の殺人とか傷害等の被害が及ぶおそれがある状況、このように解しております。

山内(功)委員 裁判所は、六カ月間つきまとい徘回する行為を禁止する保護命令と二週間住居から退去を命ずる保護命令を一号、二号で規定しておりますが、その命令を同時にあわせて発することができるのでしょうか。

大森参議院議員 結論から申しますと、あわせて命ずることができる場合もあるということになります。

 十条第一項のただし書きで、二号、退去命令につきましては「生活の本拠を共にする場合に限る。」とありますけれども、場合によりましては、まだ生活の本拠たる住居を失っていない状態で、そして接近禁止を求める必要がある状況もありますので、そのような場合にはあわせて命ずることができます。

山内(功)委員 十条ただし書きには、住居からの退去を命ずる場合は、「申立ての時において被害者及び当該配偶者が生活の本拠を共にする場合に限る。」と記してあります。このただし書きの趣旨、そして「生活の本拠を共にする場合」とはどのような場合を指すのか、教えていただきたいと思います。

大森参議院議員 まず、十条ただし書きの「生活の本拠を共にする場合」ですけれども、これは、申立人及び相手方が生活のよりどころとしている主たる住居をともにする場合を言います。

 例えば、常態として被害者が当該配偶者と生活の本拠をともにしている以上、被害者が配偶者暴力相談支援センターに一時保護されている場合や、実家に緊急に避難している場合等であっても、生活の本拠をともにする場合に含まれるものであります。

 それから、二号を設けましたことにつきましては、この十条で、保護命令の目的というものが「その生命又は身体に危害を加えられることを防止するため、」とありますので、生活の本拠をともにする場合に、この危険がある場合には退去を命ずるとしてこの目的を達しようとしたものであります。

山内(功)委員 はい、ありがとうございます。

 そもそも、この保護命令制度は、先ごろできましたストーカー行為等の規制に関する法律があるにもかかわらず、新しく創設された制度でございます。新しく創設するに至った理由は何なのでしょうか。

大森参議院議員 ストーカー行為等の規制等に関する法律でも、その行為者には夫が含まれ得る、こういう解釈をしております。今回のこの法案との関係ですけれども、まず禁止命令制度、いずれも、将来の危害を防止する目的のために公的機関が一定の義務を課す命令を発して、その命令を刑罰によって担保するという点では共通する制度であります。

 しかし、今回、この法案で対象としております行為は、まず、家庭内で配偶者という特段の関係にある者から振るわれる暴力である上、配偶者からの暴力では、被害者と加害者が生活の本拠をともにしていることが多く、ストーカー行為等の規制等に関する法律の禁止命令とは異なりまして、場合によっては、加害者をその住居から退去させることを内容とする退去命令を発することも必要となります。こういうことから、ストーカー行為等の規制等に関する法律における禁止命令とは別個に、配偶者からの暴力について保護命令制度を創設する必要があると考えます。

 それから、配偶者からの暴力に対する規制も、個人の生命、身体を保護するために迅速な対応が求められていることからしますと、本来、行政作用の性質を有するものとも言えますけれども、今述べましたような特殊性に照らしまして、行政機関ではなく、司法機関である裁判所が判断するという手続をとることにいたしました。

山内(功)委員 また、別の法律で、民事保全法という法律がございます。民事保全法でも接近禁止の仮処分命令の申し立てをすることができると思うのですが、それにもかかわらず、保護命令制度というものを創設された意味を次に伺いたいと思います。

大森参議院議員 被害者が、さらなる配偶者からの暴力により、その生命または身体に危害を受けるおそれがある場合には、現行法のもとでは、民事保全法の仮処分命令により被害者への接近を禁止することができます。しかしながら、この手続につきましては、仮処分決定まで時間がかかる場合があること、それから、債務者つまり加害者ですが、その申し立てに対する損害賠償請求に備えて担保を立てることが必要となる場合もあること、それから、本訴が必要となるということもありますね。それから、命令には民事上の効果しかありませんので、十分な抑止力とならない、こういうさまざまな問題点、批判がありました。

 そういうことから、被害者の生命または身体に危害が加えられることを防止するために、刑罰で担保された命令を簡易迅速に発することができる保護命令制度を創設したものであります。

山内(功)委員 ありがとうございました。

 新しい制度でございますので、私たちはもちろんのこと、すべての人が、人権尊重の意識が社会全体に浸透するように、粘り強く、この制度を含めて、啓発に努めていく必要があろうかと思っております。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

保利委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時二十三分開議

保利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。瀬古由起子君。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 参議院における発議者の皆さんのこの法案提出に向けての熱い思いをしっかり受けとめて質問させていただきたいと思います。

 最初に、発議者の皆さんに御質問いたしますけれども、第三条に、婦人相談所から一時保護を委託されるものが満たすべき、厚生労働大臣が定める基準というのがございます。この基準というのはどのようなものでございますでしょうか。

小宮山参議院議員 被害者の一時保護の委託につきましては、給食、食事のサービスですとか入浴など、一日の暮らしに必要なこと、婦人相談所が現在行っている一時保護と同様のサービスを提供するものに対してこれを行うことが適当だと考えております。

 いずれにいたしましても、現在の一時保護の実情などを勘案いたしまして、できる限り多くのものが受託できるよう具体的な基準が検討されるものと考えております。

瀬古委員 そこで、厚生労働省にお聞きしたいと思うのですけれども、現在、全国に約二十数カ所と言われている民間シェルターが被害者保護などに取り組んでいます。大変財政的にも困難なところも多いというように聞いております。この法律により、一時保護の委託を受けて、そして財政援助もきちんと受けて、その役割を一層果たしていただくということが私は大変大事だと思うのです。その上で、民間シェルターの活動を支えて、そして被害者保護を充実させる上でこの基準というのが大変重要だというように思うのです。

 そういう意味では、その基準の策定に当たりましては、ぜひ民間シェルターの関係者の御意見も十分聞いていただいて、より現実に即したものとする必要があるのではないかというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

岩田政府参考人 委員のおっしゃるとおりだと思います。

 提案者の方からの御説明にもありましたけれども、具体的な基準を策定するに当たりましては、現在行われております民間のシェルターの実態について関係者からよくお話を伺いたいというふうに思っておりまして、その実態もよく踏まえ、民間のシェルターの活用ということを念頭に置いて基準を策定してまいりたいと思っております。

瀬古委員 そこで、婦人相談所だとかそれから母子生活支援施設など、いろいろな施設が一時保護または保護の施設として指定されていくと思うのですけれども、実際に現場に入りますと、現在ある婦人相談所の一時保護所だとかそれから母子生活支援施設などが、古いまま、大変老朽化が著しい、また、施設を利用する場合にも、今の生活実態にそぐわない決まり事などがたくさんございます。

 私が入ったところなんですけれども、例えばお部屋におふろもない。それで夕方からずっと夜遅くまでかけて順番におふろに入っていくんだけれども、赤ちゃんも中学生も、いろいろな家庭があるにもかかわらず、時間決めで入らなきゃならないということで、それでトラブルになってなかなかそこにいづらくなってしまうというケースもございましたし、雨が降れば、雨水がどんどん入ってきて、窓枠にタオルで絞らなきゃならないぐらい雨漏りがひどい場所ですとか、トイレも外にあるので、子供は怖がって行けなくて、それこそ部屋の中におまるを置いてそこで使う、こういう状態になっている場所もございました。

 それから、実際に運用の面でも、私が行ったのが母子生活支援施設だったんですけれども、条例などがございまして、素行善良、思想堅実な人しか入れない施設になっているとか、そのためには精神修養が必要だということがわざわざ条例の中に書かれていて、こういうところに配偶者から暴力を受けた人たちが入って本当に体も心もいやされるのかというと、大変だなというところがたくさんあるわけです。

 厚生省は、九九年の四月に通達で、こういう施設もDV被害者に対応していくことだとか、広域措置で利用するということにしておりますけれども、今回、新たな法律に伴って施設を利用しやすいものにしていく、そのためには、これを機会に、施設の改善のための思い切った補助、そして運用などの見直しも、本当に暴力の被害に遭った人たちにもふさわしい、もちろん児童福祉施設としても改善しなきゃならないものがございますけれども、この法律を契機に、施設の改善、運用の見直しなどを図るべきではないかと思うのですけれども、厚生労働省にお聞きしたいと思います。

岩田政府参考人 配偶者から暴力の被害を受けた方につきましては、まず婦人相談所の一時保護所で保護されますけれども、その後、生活の場がない方については、女性お一人のケースですと婦人保護施設、そしてお子さんを伴っておられる場合には母子生活支援施設に入所していただくということで対応いたしております。

 今先生からこれらの施設の老朽化等の問題が御指摘ございましたけれども、基本的には、設置主体であります地方自治体が御判断されることではないかというふうに思いますけれども、新しいニーズに対応できるように設備の整備も進めていただきたいというふうに思っておりまして、施設整備の場合は国庫がその二分の一を補助するということで、必要な予算措置は十分してございますので、そういう形で都道府県に働きかけたいというふうに思っております。

 また、生活面について、運用面でのお話がございましたけれども、国としては、例えば婦人保護施設については、生活の一般的な、通則的な内部規定を決めていただきたいということ、そして、お一人お一人について自立ができるように指導計画をつくっていただきたいということは申し上げておりますけれども、それ以上に、具体的にどういうルールにするか、どういう計画をつくるかというところについては全く立ち入っておりませんで、それぞれの施設において判断して決めていただくことだというふうに思います。

 仮に、その施設における運用が、配偶者からの被害を受けた方々が生活するということを念頭に置いてふさわしくないということがあるということであれば、それはそれぞれの施設の御判断で是正していただくべきものであるというふうに思っております。

瀬古委員 ぜひ積極的な施設の整備と運用の改善を進めていただきたいというふうに思います。

 そこで、もう一点お聞きしますけれども、第二十三条に職務関係者による配慮等が定められておりますけれども、婦人相談所がこのDV防止法の機能を担うということになりますと、所長以下の職員それから婦人相談員がDV被害者に適切に対応するために、DVの特徴だとか被害者保護のための研修がしっかり必要になってくるというふうに私は思います。特に被害者だとか被害者の子供さんへの精神的なケアの対応というのはとても大事だというふうに思います。

 職員研修の充実など、国としてはどのような対策を講じていくのか。そして、被害者の特に精神的なケアに当たる人材養成がおくれているというふうに私は思います。こういう人材をふやすためにどのような努力をされていくのか。また、専門家の配置、それから夜間の体制なども今後大変問題になってくると思いますけれども、その点いかがでしょうか。

岩田政府参考人 まず、婦人相談所の所長以下の職員、婦人相談員等の研修についてでございますけれども、従来からこれらの職員につきましては、全国であるいはそれぞれ都道府県単位で相当数の研修会が持たれておりまして、それらの場を通じまして、配偶者からの暴力についての理解を深め、そして被害者の保護について適切な対応がなされるようその資質の向上に努めてきたものでございます。

 特に、委員御指摘のとおり、カウンセリングなどの心理療法によって心の傷をいやす心理的なケアというのが大変重要になってくるというふうに思っております。婦人保護施設につきましては、従来から精神科医を嘱託医として設置することができるだけの予算措置をしてございます。また、母子生活支援施設につきましては、十三年度予算におきまして、初めてでございますが、心理療法が専門にできる担当職員を配置することができる経費を盛り込んだところでございます。これからも心理ケアの面で、専門家の養成、配置についてはさらに努力をしていかなければならないというふうに思っております。

 夜間警備についてもおっしゃられたかというふうに思いますけれども、夜間警備体制につきましても、十三年度以降、婦人相談所、婦人保護施設、母子生活支援施設等におきまして、警備の体制がとれるような措置を講じたところでございます。

 いずれにいたしましても、この法律が成立しました後、なるべく早い時期に、関係都道府県、関係施設の職員の会合なども開きまして、適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

瀬古委員 発議者の方にお聞きいたしますが、今回、保護命令に違反した場合の制裁が刑罰となっております。その理由はどういうことでしょうか。

福島参議院議員 保護命令の制度を設けることと、その保護命令に反した場合に刑罰の制裁、懲役一年または百万円以下の罰金としたことは、私たちは非常に工夫をしたところであります。

 保護命令は、配偶者からの暴力の被害者が、さらなる配偶者からの暴力により、その生命または身体に重大な危害を加えられることを防止する趣旨であることから、裁判所の発した保護命令の実効性を担保するために、保護命令に違反した者に対して刑罰をもって臨むことが相当である、命の問題がありますので、刑罰をもって制裁するというふうに設けております。そのことによって、保護命令の実効性を高めようというふうにしております。

瀬古委員 ドメスティック・バイオレンスは、被害者が加害者から逃げようとしたときに一番危険だというふうに言われているわけですね。それで、被害者の求めに応じて保護命令を迅速に出すことが大変必要だというふうに思っています。加害者の審尋を経ない緊急保護命令の仕組みを導入してほしいということが要望としてたくさん出されているわけです。保護命令を出すまでの間、無審尋の緊急保護命令を出すことが被害者にとっては一番望まれていると思うのです。

 今回、保護命令を盛り込むことが大変難しかったというふうに聞いているわけですけれども、そういう点でも、かなりぎりぎりの線で今回法案を提案していただいていると思うのですが、将来的にはこういう緊急保護命令という形が重要な検討課題だというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

大森参議院議員 保護命令が迅速に出されるということについては、委員がおっしゃるとおりであると思います。そのために、十三条におきまして「裁判所は、保護命令事件については、速やかに裁判をするものとする。」と規定しているところであります。

 それから、無審尋の緊急保護命令ということでありますけれども、十四条のところに、保護命令は原則として口頭弁論または相手方が立ち会うことができる審尋の期日を経て発せられると規定しておりますが、これは、命令違反には刑罰があるということもありますし、やはり手続保障もきちんとしなくてはいけないということでこんな原則をとっております。

 その上で、緊急に保護命令を発しなければ被害者の保護ができない場合のように、条文に書いてありますように、当該期日を経ることにより保護命令の申し立ての目的を達することができない事情がある場合には、当該期日を経ることなく保護命令を発することができることとされておりまして、ここのただし書きの部分が、今委員がおっしゃる、なるべく早く審尋を経ずして緊急保護命令を出す場合もあるのではないか、このような要望にこたえているところであります。

瀬古委員 この法律の成立にふさわしい生活保護の認定、国保の加入の問題を少しお聞きしたいと思うのです。

 これは厚生労働省にお聞きしたいのですが、配偶者とともに住んでいた居住地の福祉事務所もしくは保護されたところの福祉事務所が、例えば病気になった場合だとか生活する場合にどちらが担当するかということで、現場では実際には大変トラブルが発生しているわけですね。病気になった母子を前にして、これはどこで担当するかということが大変難しいケースもございます。

 そういう意味では、このDV法の成立にふさわしい生活保護の認定や国保の加入など、スムーズに柔軟な対応が必要になっていると思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

真野政府参考人 一時保護所に保護されましたDV被害者でございまして、他に居住地がなく、もとの住所地に戻ることが見込まれない者につきましては、居住地がない者として、一時保護所の所在地を管轄する福祉事務所において保護の実施に当たるということになっております。いろいろなケースの場合があろうかと思います。

 それから、先ほどありましたように、生活保護の場合には、いろいろな施策を活用して、最後に生活保護を適用するということで、扶養の認定なども行いますけれども、そういう場合にも、この法律の趣旨にのっとりまして、配偶者の追及を受けることのないような配慮をした取り扱いも認めております。

 今後とも、被害者の置かれた状況も考慮しながら、保護の適正に努めてまいりたいというふうに考えております。

大塚政府参考人 国民健康保険の適用についてのお尋ねもございましたので、お答えを申し上げます。

 国民健康保険の保険者でございます市町村、これは、それぞれの被保険者の資格を確認する被保険者管理という事務がどうしてもございます。そういたしますと、基本的には住民票をベースに管理をする、これは避けることができない仕組みでございまして、いろいろなケースがございましょうけれども、そのベースで事務を進めていかなければならないわけでございます。

 ただ、この四月からでございますけれども、国民健康保険におきましても、被保険者の個人カード化が可能という道を開きました。普及に多少の時間はかかると思いますけれども、こうしたことが普及してまいりますれば、いろいろなケースに対応できる、ある程度対応は可能になってくるというふうに考えております。

瀬古委員 最後に質問をさせていただきますけれども、本法案では、被害者に対して、自立支援のための情報提供その他の援助を行うとしております。被害女性が暴力から逃れて精神的、身体的に立ち直って自立していくためには多くの援助が必要とされます。

 今ある施策の要件を緩和して使いやすくするということも大切だと思うのですけれども、例えば母子寡婦貸付金、これは三十歳以上の母子と四十歳以上の寡婦を対象としているけれども、例えば、子供がいない三十歳以上の女性に枠を広げる、こういうことなども考えられるのじゃないか。また、この資金の貸し付けには保証人が必要となります。本当に着のみ着のままで逃げてきた、こういう女性にとって、保証人をつけるなんということは大変難しいわけですね。そういう意味では、このDV法の成立にふさわしい自立支援のための融資制度も新たに考えなきゃいかぬのじゃないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

岩田政府参考人 夫と離死別をした妻で成人に達しない子供がいる者、母子家庭の母と呼んでおりますが、そして、この母子家庭の母が子供が成人に達した後は寡婦というふうに言っておりますけれども、この母子家庭の母や寡婦を対象として、現在、母子寡婦福祉貸付金という制度がございます。

 先生がお尋ねの点は、子供さんがいないケースだというふうに思いますが、これについては、子供が成人した後の寡婦にもこの福祉貸付金が対象になっているということとのバランス、あるいは、中高年の女性の就職の困難度などを考慮いたしまして、子供さんがいない女性についても、四十歳以上の者について貸し付けの対象としているところでございます。

 また、保証人につきましては、これは公的貸付制度でございますから、その安定的な運営のために、返済履行の観点から保証人をお願いしているところでございます。これについても、物的担保はとらなくてもいいということ、そして身内に保証人がいないというケースもあろうかと思いますので、そういう場合には、貸し付けを受ける者同士がお互いに保証人になり合うといった相互保証の仕組みとか、母子福祉団体の役員の方に御協力いただくとか、格段の配慮をするように通知をいたしておりまして、現場でも最大限の配慮をしていただいているというふうに思っております。

 今後とも、配偶者からの暴力を受けた被害者の方の自立をどういうふうに支援していくかという観点から、ニーズをよく把握し、施策の充実に努力したいと思います。

瀬古委員 被害を受けた女性たちが、自分の体や心、尊厳を取り戻して新しい生活が始められるように、そして女性への暴力が根絶される社会の実現に向けて、この法律がその第一歩になることを期待して、一層の改善も期待して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

保利委員長 次に、植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。

 まず、被害者の保護にかかわって、六条三項の趣旨について教えていただけますか。

南野参議院議員 お答え申し上げます。

 ただいまお伺いいたしました六条の三項の趣旨ということでございますが、守秘義務を負っている者が配偶者からの暴力などを発見した場合にちゅうちょすることなく通報できるということにしております。刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定でございますが、それは第六条第一項、二項の規定により通報することを妨げるものではないというふうなことを明らかにするものでございます。

 以上でございます。

植田委員 次に、第十条の保護命令についてですが、この第十条一号に、例えば、「被害者の身辺につきまとい、」とか「はいかいする」とか、そういう表現があるのですが、これがどのような行為を指すのかという点と、「その他その通常所在する場所」というのはどのような場所なのか、教えていただけますか。

大森参議院議員 十条第一項一号の解釈についての御質問でありますけれども、まず最初の「被害者の身辺につきまとい、」これにつきましては、相手方、つまり保護命令を申し立てられた者、命令が発付された者ですね、これがしつこく被害者の行動に追随することをいいます。

 それから「はいかい」ですけれども、「はいかい」というのは、相手方、先ほども言いましたように、保護命令を申し立てられ、命令が出た配偶者ですが、理由もなく被害者の住居、勤務先その他通常所在する場所をうろつくことをいうものであります。

 そして、「その他その通常所在する場所」といいますのは、これは住居、勤務先に並べて書いてあるわけですけれども、例えば、日ごろ被害者が通っている学校ですとか講習を受講している場所、こういうものをいうものであります。

植田委員 続いて、同じく保護命令にかかわって、十七条ですけれども、ここで二点お伺いします。

 一つは、保護命令を受けた者が保護命令を取り消す場合において、保護命令が効力を生じた日から三カ月が経過した場合に申し立てられることとしているのはどうしてかという点。

 もう一点は、保護命令を受けた者が保護命令を取り消す場合において、裁判所が被害者に異議がないことを確認するということを要件としている理由でございます。

 この二点、お願いいたします。

福島参議院議員 保護命令は、例えば六カ月間接近をするな、万が一接近をした場合には刑罰の制裁をするぞということで身の安全を図るものです。三カ月あるいは二カ月といった接近禁止の保護命令を出すことは予定をしていません。つまり、最低六カ月になるわけです。そうしますと、幾つかのケースの場合は、六カ月の間に接近禁止をほどいてほしいという場合もあり得ることだと思います。

 したがって、取り消しの制度を設けることは必要なのですが、保護命令を受けた日から近接した月日であるとするならば、保護命令の安定性を欠く。また、保護命令を受けた者、例えば夫が妻に対して、保護命令が出た直後から働きかけをして、取り消せ取り消せと迫るようなこともあるかもしれません。そうしますと、被害者の生活の平穏が著しく侵害されますから、保護命令が効力を生じた日から三カ月間はとにかく取り消しはできないということで、三カ月が経過した後に取り消しの申し立てをすることができるというふうにいたしました。したがって、保護命令を、六カ月出た後、三カ月たったら取り消しができるわけです。

 ところで、保護命令を受けた者の申し立てにより裁判所が保護命令を取り消す場合について、被害者への影響が甚大ですし、保護命令の取り消しについて被害者の真意をきちっと確かめないと、おどされてとか、あるいは不本意ながらとか、本当はそう思っていないということもあり得るというふうに思います。したがって、裁判所が被害者に異議がないことを直接確認をして、真意をちゃんと聞くということで、不本意な取り消しなどが万が一にも生じないようにというふうに法律的に担保しました。

植田委員 ありがとうございます。

 次に、調査研究の推進にかかわって、第二十五条で、加害者の更生のための指導の方法の調査研究の推進について触れられていると思うのですが、これはどこが所管するということでお考えなんでしょうか。

林(紀)参議院議員 お答えいたします。

 この加害者の更生というのは、真に配偶者からの暴力をなくしていくために本当に重要な問題だと思いますけれども、まだこれは始まったばかりというか、この法律が成立したところでスタートをするというようなことになると思います。これは、内閣府を中心として、関係省庁たくさんありますので、その調整のもとで調査研究が推進されるものと考えております。

植田委員 続いて、配偶者暴力相談支援センターのあり方について若干お伺いしたいのですが、提案者の皆さん方は、この配偶者からの暴力というのはいつ何どき起こるかわからへんということを認識されておられるわけですから、いつ何どきでも相談に応じることができる、そういう相談センターの体制というものも当然必要だろう、当然そういうふうにお考えだろうと思うわけです。

 ただ、では実際に二十四時間相談に応ずることができるかどうかというのは、これは都道府県がそれぞれ運用するわけですけれども、少なくともこの法案の二条では、国、地方公共団体の責務を定めています。そして、責務を定めているということは、すなわち、少なくとも配偶者からの暴力に対して、それを保護する責務がある以上は、その配偶者からの暴力というものの特性に応じた対応をしっかりやらなければならないという責務を当然定めているわけですから、こういうことでいけば、地方公共団体が二十四時間体制でそうしたことについて相談に応ずる体制をとるということもその責務の中に当然含まれておる。私はそういうふうに素直に理解するわけですが、そういう理解でよろしいわけですか。

小宮山参議院議員 二十四時間相談に応ずるかどうかにつきましては、各都道府県が配偶者暴力相談支援センターをどのように運用するか次第というところがございますが、私たち提案者といたしましては、二十四時間相談に応じるということを期待しております。

植田委員 できればそういうふうに、法律ができた暁には、そういう意味で法の趣旨を周知徹底していただくというふうにお願いしたいなと思うわけです。

 それで、やはり相談に当たって、その体制、相談員が一人おるというだけではあかんやろうと思うわけです。体制の整備にかかわって、まず相談員の確保、そしてまた、そういう相談ができる相談員の養成、育成というものも必要になってくるだろうと思いますし、特に、心理療法等々のカウンセリングであるとか、心理学的な専門性も要求されると思うのですけれども、その点、体制の整備についてはどのようにお考えでしょうか。

小宮山参議院議員 この法律の成立を踏まえまして、おっしゃるように、相談員の確保、養成などを含めて、婦人相談所の機能の充実が一層図られるように期待をしております。先ほども厚生労働省の担当局長からも、一部、心理的なものに対応するというお答えがありましたが、まだ一部だと思いますので、ぜひそのあたりの拡充もというふうに思っております。

植田委員 実際そのセンターで、例えば、私は亭主から殴られたんやと駆け込んでくる、でも、ようよう話を聞いてみたら、保護命令まで出さないかぬとか、まだそこまでいってへんやろなというような問題もあるやろうと思うのです。そういうものについて、やはり未然に防いでいくという役割もあると思うのですよね。ですから、そういう意味で、間口を広くして相談の体制の整備というものをしていかなあかんと思うのです。そこの点についてはどうでしょうか。

小宮山参議院議員 おっしゃるとおりだというふうに思います。

 配偶者暴力相談支援センターにおきましては、被害者だけではなくて、被害者に準ずるような、心身に有害な影響を及ぼす言動を受けた方に対しても保護の対象としまして、そうした方に関してさまざまな問題について相談に応ずる、あるいは、婦人相談員、相談を行う機関を紹介することなど、配偶者暴力相談支援センターは幅広く保護を行うことにしたいというふうに考えております。

植田委員 もうちょっと聞きたいところもあるのですが、時間がないので、次に進みます。

 もう一点、職務関係者による配慮、教育啓発にかかわってですが、まず提案者にお伺いしたいのですけれども、ここで言うところの職務上関係のある者、職務関係者というものは、これはセンターの職員はもちろんですけれども、医療関係者、自立支援にかかわるような者、裁判官、検察官、家裁の調停委員、公証人、警察官、そうしたものは全部関係者という理解でいいんでしょうか。まずその点から。

林(紀)参議院議員 今名前を挙げていただきましたが、そのとおりでございます。配偶者暴力相談支援センターの職員だけではなくて、警察官、検察官、裁判官、弁護士、家庭裁判所の調停委員、公証人など、こういう人たちを想定しております。

植田委員 そこで、これは最高裁にお伺いしたいのですけれども、私、せんだっての質問のときに資料でいただきました「裁判官に対する人権教育の具体的カリキュラム」というのがあります。令状実務、少年事件、国際人権規約、人権擁護推進審議会関係、セクシャルハラスメントと五項目あるわけですけれども、これが九八年から二〇〇〇年度、三年間やられているというんですが、今後、ドメスティック・バイオレンスについてもカリキュラムに加えられるのかどうなのか、その辺の段取りはどうなのか、お伺いしたいと思います。

千葉最高裁判所長官代理者 裁判官に対しましては、司法研修所における各種の研修におきまして、講演とか共同研究といった形で、従前から、親子間の問題、夫婦間の問題、そこでの暴力問題、そういうような諸問題を取り上げたカリキュラムを実施しております。

 それから、被害者の保護に関する諸問題を取り上げたカリキュラムも行っておりまして、裁判官がドメスティック・バイオレンスの問題について理解と認識が深められるような、そういう配慮をしてきているところでございますが、今回のこの法律が成立しました暁には、その法律の趣旨にのっとった運用ができるように、今後とも同じような対応をしていきたいと考えております。

植田委員 今後とも同じようなというよりは、より充実した対応を望みたいわけです。

 次に、検察官についてですが、これは、国連人権教育十年の関連施策の中で法務省さんの方でいただいている資料なんですが、検察官、検察事務官に対する各種研修における人権教育、人権擁護局の総務課長の「人権をめぐる諸問題」、九十分間とかいうことで研修をなさっておられるようなんですが、これでも、例えばDVについてはどういうふうに取り上げられているのかというようなことが必ずしも明示的ではないので、これまで取り扱ってきたのかどうか、そして今後どうするのか。これは法務省、お願いいたします。

古田政府参考人 ただいまの御指摘のものは、これは大変一般的な人権教育に関するもので、その中でも御指摘のDVの問題は当然取り上げております。

 しかし、検察庁におきましては、これまでも、家族間における御指摘のような暴力行為、こういう事件送致がありましたときは、家族関係の実情とかそういうことを十分勘案いたしまして適切な処理をするように努めてきているところでございます。また、職員に対するいろいろな研修がございますが、そういう機会にこういう問題につきましても、さまざまな方法でその意識を喚起するというふうなことをやってまいっているわけでございます。

 今回、この法律が成立しました暁には、なお一層そういう努力を重ねていきたいと考えております。

植田委員 次、警察庁にお伺いいたしますけれども、同じくいただいた資料を見ていますと、どうやら研修の中で被害者カウンセリング技術専科なるものをなさっておられるようです。まず、ここでDVについてこれまで取り扱ってきた経緯があるのかどうか。それと、この技術専科なるものは、対象者が被害者に対する相談支援担当者ということになっていますから、当然そうした問題をトイメンに受ける方々に対する研修だろうと思うんですが、参加人員が二十人、実施期間が五日間。ちょっとこれは規模が小さ過ぎやしないかなとも思うわけです。今回、私もこの法案に賛成いたしますし、恐らく成立するでしょうから、それを受けて、積極的にもっとこうした問題については取り組みを強化していただきたいなという思いも込めながら、御見解をお伺いしたいと思います。

黒澤政府参考人 委員御指摘のカウンセリング技術専科でございますが、これは、必ずしもドメスティック・バイオレンス事案に特定せずに、カウンセリングに関する専門的知識及び技術を習得させることにより、被害者対策の一層の充実を図るものでございます。

 私どもといたしましては、一昨年の十二月でございますけれども、女性・子どもを守る施策実施要綱というものを定めまして、各種施策に取り組んでまいっておるわけでございますけれども、職員に対する教育につきましてもいろいろ工夫を凝らしてやってまいったわけでございます。今年度からでございますけれども、警察庁それから府県警察におきまして、ドメスティック・バイオレンス事案を含む警察安全相談業務を担当する職員を対象とする実務専科を実施いたしまして、ドメスティック・バイオレンス事案を盛り込んだ各種事例研究や相談受理対応要領について教育を行っていくことといたしております。

 また、全警察職員一人一人に至るまで意識改革を図りまして、この種事案の特性でありますとか被害者への対応のあり方につきまして徹底を図るために、各種会議、研修会等の場において指導を行っているほか、今年度からは、警察学校における採用時教養でありますとか、巡査部長、警部補昇任試験教養時におきまして教育を行うことといたしておるところでございます。

 本法律案が成立した後にも引き続きこの種教育を一層充実いたしまして、この種事案に対する取り組みをより一層積極的に推進してまいる所存でございます。

植田委員 それぞれのお役所で工夫はされてこれから進められるんだろうと思いますけれども、お話を伺っていると、まだ緒についたばかりという印象は受けるわけでございます。そういう意味で、今回のこのDVの問題は、行政側より、むしろ民間の本当に小さいいろいろな取り組みが先行してきたということがあろうかと思います。そういう中で、実際に活用できるようなスキルも既に開発されているだろうし、そうした対応方というのはむしろ地域社会でもっと根をおろしつつある、そういうものとの連携というものがこれから必要になってくると思うんです。

 最後に二点お伺いしたいんですが、まず教育啓発にかかわって、既にいろいろな相談、うちの奈良でもそういうことをやっておられる方がいらっしゃいます。衆議院で私の対立候補でしたけれども、やっておられる方もいらっしゃいます。いろいろな相談をされておられます。そうしたものをもっともっと生かす意味で、恐らく提案者の皆さん方もいろいろなところで意見を伺ってこられたと思いますので、まず、そうした教育啓発に係る具体的なプランなりやり方について、具体的に今提案者の皆さん方がどういうイメージを抱いているか、それをひとつお伺いしたい。

 冒頭申し上げましたように、民間の取り組みというのはやはり行政の側より先行しているということは事実です。例えばセンターがこれから、来年の四月一日にできるとします。すると、やはりそこに、民間の団体のいろいろな人たち、専門的なさまざまな取り組みをしてきた方々、当事者と常にトイメンに立ってきた方々にどんどん参加を求めていけばいいと思うんですよね。その参加のあり方と、そしてまた、実際独自にやっておられる民間での取り組みに対する具体的な支援のあり方、この民間と行政の側との連携についてもお伺いしたいと思います。

林(紀)参議院議員 ただいま御質問がありましたけれども、関係省庁が大変多岐にわたっておりますので、一義的には、この法律ができましたら、その省庁がそれぞれの持ち場にふさわしい形できちんと積極的に取り組んでいくということが必要だと思います。

 しかし、私たちが今までこの法案をつくるに当たりまして、三十回にもわたっていろいろ論議をしてまいりましたが、私自身の経験から申し上げますと、やはりドメスティック・バイオレンス、配偶者からの暴力というのが、こんなにたくさんの人が、世論調査によりましても二十人に一人が命にかかわるような暴力を受けている、そして、どのような実態かということもいろいろお話を伺いました。そういう中でこの法律がどうしても必要だということになりましたので、教育啓発につきましても、そういう原点に立っていくということが非常に必要かと思います。

 それから、援助につきましてですけれども、今までいろいろ大変な苦労をなさってきた民間の団体に対する援助というのは、情報の提供そして財政的な援助ということがもちろん考えられるわけですが、現在、自治体などが独自の基準によって民間の団体に対しては資金援助を行う、こういう例が今方々でありますので、それが積極的に広がっていく、それが望ましいことだと思っております。

植田委員 時間が参りましたので、最後に一言だけ申し上げます。

 当然、今回の法案は私も大賛成でございますけれども、今回成立した後、この法律がもっともっと当事者のまなざしで進化していかなきゃならぬと思います。幸い、三年後の見直しということがございますので、この法案が成立して施行して終わりじゃなくて、これからまたもっとよりよい法案にしていこうという検討がその瞬間から始まるんだということをこの場で課題としてお互いに共有し合いながら、私の質問を終えさせていただきたいと思います。

保利委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保利委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

保利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会




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