衆議院

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第5号 平成13年10月26日(金曜日)

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平成十三年十月二十六日(金曜日)

    午前十時四分開議

 出席委員

   委員長 保利 耕輔君

   理事 奥谷  通君 理事 塩崎 恭久君

   理事 田村 憲久君 理事 長勢 甚遠君

   理事 佐々木秀典君 理事 平岡 秀夫君

   理事 漆原 良夫君 理事 西村 眞悟君

      逢沢 一郎君    荒井 広幸君

      太田 誠一君    熊代 昭彦君

      左藤  章君    佐田玄一郎君

      笹川  堯君    鈴木 恒夫君

      棚橋 泰文君    谷川 和穗君

      中川 昭一君    松宮  勲君

      山本 明彦君    吉野 正芳君

      渡辺 喜美君    阿久津幸彦君

      枝野 幸男君    仙谷 由人君

      肥田美代子君    水島 広子君

      山内  功君    青山 二三君

      藤井 裕久君    木島日出夫君

      瀬古由起子君    植田 至紀君

    …………………………………

   法務大臣         森山 眞弓君

   法務副大臣        横内 正明君

   法務大臣政務官      中川 義雄君

   最高裁判所事務総局総務局

   長            中山 隆夫君

   最高裁判所事務総局人事局

   長            金築 誠志君

   政府参考人

    (内閣官房内閣審議官

    兼司法制度改革推進準

    備室長)        樋渡 利秋君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制

   部長)          房村 精一君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君

   法務委員会専門員     横田 猛雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  鈴木 恒夫君     逢沢 一郎君

  西田  司君     佐田玄一郎君

  山花 郁夫君     阿久津幸彦君

  不破 哲三君     瀬古由起子君

同日

 辞任         補欠選任

  逢沢 一郎君     鈴木 恒夫君

  佐田玄一郎君     西田  司君

  阿久津幸彦君     山花 郁夫君

  瀬古由起子君     不破 哲三君

    ―――――――――――――

十月二十六日

 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 司法制度改革推進法案(内閣提出第一号)

 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七号)




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     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、司法制度改革推進法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進準備室長樋渡利秋君、法務省大臣官房司法法制部長房村精一君及び入国管理局長中尾巧君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所中山総務局長、金築人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木秀典君。

佐々木(秀)委員 おはようございます。森山大臣を初めとして、皆さん、御苦労さまでございます。

 司法制度改革推進法の審議も、参考人の御意見を伺うことを含めて、きょうで集中的に三日目を迎えることになりました。時間は必ずしも長くありませんけれども、内容濃密な議論が進められておりますことを私は喜んでおります。

 ところで、本日は、小泉政権が発足してちょうど半年目を迎えた、こういうことになるわけですね。依然として高い人気を得ている小泉内閣ですけれども、これは一つには、聖域のない、日本の国内のあらゆる分野での改革、日本の社会が閉塞状態にある、これを打ち破ろうという心意気、これに国民の皆さんが期待をしているのだろうと思います。

 しかし、残念ながら、この半年間、必ずしも小泉内閣はこれといった目に見える実績を上げていないと私は思うのですね。

 声高に掲げられた改革、特に小泉首相の掲げた六つの改革、特殊法人の改革、規制の改革、あるいは国民との対話、国債発行、不良債権の処理、特定財源の見直し、この六つだと言われておりますけれども、これもこの半年間で、現在、これといった実績、これだけのことをやりましたということを国民の皆さんに胸を張って誇れるものはできていない。御努力されているのはわかるけれども、それぞれに壁に突き当たったり苦労されている様子がありありとうかがわれることは、私はむしろもどかし思いで見ております。

 その中で、格段に進んでいるのはこの司法改革だと私は思うのですね。

 政府は、六月に出された司法制度改革審議会の意見書を最大限に尊重するという声明を出しておられますけれども、この意見書でも、冒頭、このように改革について言っておられる。「我が国は、直面する困難な状況の中にあって、政治改革、行政改革、地方分権推進、規制緩和等の経済構造改革等の諸々の改革に取り組んできた。」その後はちょっと中略しますが、「今般の司法制度改革は、これら諸々の改革を「法の支配」の下に有機的に結び合わせようとするものであり、一連の諸改革の「最後のかなめ」として位置付けられるべきものである。」こういうふうに述べておられるのですね。

 そうだとすると、この小泉総理が言っておられるようなもろもろの改革、本当はこの成り行きを見て、それによって今後起こるであろうことを想定しながら司法がどう対処していくかということになるべきものだろうと思うのですけれども、今度の司法改革は、むしろそれに先駆けてというか、そういうことを見越して前倒しにやろうということになるのかな、こう思うのですね。

 ところが、皮肉なことにこの司法改革の方は、実は小泉内閣が手がけたものではなくて、亡くなられた小渕総理のもとで、小渕内閣のもとでこれをやろうということで決められて審議会がつくられて、これまでに作業が行われてきて、これから具体的な作業に入ろうとしている。後先ではあるけれども、こういう司法改革の位置づけ、これは今の小泉内閣でも十分に認識されているからこそ、今用意されている今度の法案でも、この司法改革のために内閣に司法制度改革推進本部をつくる、そして総理大臣が本部長になって頑張るんだ、全閣僚が本部員になるんだ、こういうことにあらわれているのだろう、私はこう思うのですね。

 ですから、小泉総理が自分で提唱してのことではないにしても、小泉内閣を挙げてどうしてもこれを成功させていただかなければならないし、私たちもそのために協力することはやぶさかでない、こう思っているのですね。

 そこで、最初に、この法案の中では総理大臣が本部長になるということは決まっているのです。そして、副本部長を置くということも決まっているのですが、だれが副本部長になるかということまでは書かれていない。しかし、恐らく、担当大臣としての法務大臣、現実には森山法務大臣が、この本部が発足したら副本部長に就任されることは間違いないと私は思う。そうすると、本部の中でも、全閣僚が本部員になるといっても、さまざまな意見の集約、あるいはこれからつくられるであろう事務局の改革作業の進捗状況、そこの中の議論なんというのは、やはりその副本部長になられるであろう法務大臣を通じて皆さんがお聞きになることになるだろうし、それから、最終的な決断は本部長に任されるとしても、やはり法務大臣が御相談にもあずかるだろうし、非常に重要な役割を占められるであろうと思われる森山法務大臣に、この点についてぜひとも、御在任中に具体的な方向づけをすることができるようにできるのか、その御決意をお伺いしたいと思います。

森山国務大臣 この司法制度改革の考え方について大変高い評価をしていただきまして、ありがたく思う次第でございます。

 私も、法務大臣という仕事をちょうだいいたしまして、司法関係の責任者という立場で、小泉内閣の一員でございますし、ぜひこの考え方が具体化できるようにその道をつくっていきたい、私も精いっぱい努力したいというふうに考えております。

佐々木(秀)委員 私は、小泉内閣のこの改革がなかなか進んでいかない、あるいはうまくいかないことも相当出てくるのじゃないかなと思いますけれども、この司法改革がこれだけの準備態勢ができて進んでいく。これが仕上がるとすれば、その一点だけでも、ほかのことがだめになっても、小泉内閣というのは、我が国の政治史あるいは司法史、これに非常に大きな評価を受け、歴史に残る内閣になるだろう、私はこう期待しているのです。それだけにこの司法改革をぜひ成功させていただきたい、そのために法務大臣に御努力いただきたい、こう思っているのです。

 そういう点から考えると、先般来の議論の中でも出ておりますし、私もこの間、十八日の本会議の代表質問でも申し上げたのですけれども、この法の一条の目的条項が、どうも規制緩和という点に力点が置かれ過ぎて、本来司法の役割である国民の人権の擁護だとか社会正義の実現というような文言が見当たらない、これでいいのだろうかという思いが実はするわけであります。

 この点については、先般の参考人の御意見の中でも、例えば若林参考人がやはりそのように言っておられます。

  今回の改革、その一条を見ますと、規制緩和をこれから進めていく上での条件整備といった色彩が強く出されておりますけれども、今の司法の現状を見ますと、そもそも現状がやはり十分な期待にこたえていなかった、司法本来の役目を果たしていなかったという現状認識ももう一つ一方では必要ではないか。その意味でいうと、一条は、現状認識の点において少し欠けている面があるというような気もしております。

こう言われているのですね。

 先般の本会議での私の代表質問に対して、官房長官は、司法の役割としての人権擁護の重要性ということにお触れになってはいるわけですけれども、しかし、そのことについてはこの第一条の目的条項に入れないで、このような規制緩和を主にした条項がつくられたといういきさつ、これについて、準備室長の方がお詳しいかもしれないので、室長の方からお答えをいただきましょうか。どうしてこういう条文になったのか。

樋渡政府参考人 お答えいたします。

 およそ司法が国民の基本的人権を擁護し、社会正義の実現を図る役割を担っているということは言うまでもなく、本法案第一条に言う「司法の果たすべき役割」にもこのような内容が含まれることは当然であるというふうに思っております。

 本法案は、これを前提としました上で、司法制度改革審議会の意見にも指摘されていますとおり、社会の複雑多様化、国際化や規制緩和の進展等の内外の社会経済情勢の変化に伴って、このような司法の果たすべき役割の重要性がより一層増大するということにかんがみ、司法制度の改革を総合的かつ集中的に推進することを目的とするものでありまして、第一条はこのような趣旨を明らかにさせていただいたものだということでございます。

佐々木(秀)委員 この立法の経過が、審議会の審議は非常にオープンにされたわけですけれども、必ずしもこれがつくられて出てくるまでに明らかにされなかったということもあるものですから、どうも人権擁護などが軽視されているのではないかということを心配したのですけれども、決してそういうことではない、人権擁護、社会正義の実現ということをしっかりとらまえてさらにということなんだというように理解してよろしいですね、法務大臣。

 次に、これもこの間、本会議で質問させていただいたのですが、率直に言って、森山法務大臣の御答弁が、時間の制限もあったせいか、私、どうもひとつ明確でなかったように思えるものですから、もう一度質問させていただきたいのは、第四条、弁護士会の責務の関係であります。

 この間、参考人質疑のときにもお確かめをしたのですけれども、この司法改革について、弁護士会が積極的にやっていくんだということについてはいささかの疑いもないということが久保井弁護士会長のお話ではっきりいたしました。これは、審議会がつくられたときもそうですし、それから意見書が発表されたときもそうですし、日弁連は会長声明も出しておられる。それによって、在野法曹として社会的な責務を自覚しながらこの改革にも積極的に取り組んでいくということを内外に声明しておられるわけですね。にもかかわらず、この第四条に、国の責務の次にわざわざ弁護士会の責務ということを挙げられているというのは、果たしてその必要があったのかなという気がしないでもない。

 特に、弁護士法を見ましても、これは弁護士会というより個々の弁護士ということになるのかもしれないけれども、第一条「弁護士の使命」として、その第二項で、弁護士は社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならないという努力規定が置かれているのですね。その上さらに本法において第四条を置くということ、これは第三条の国の責務とどう違うのか、それからまた弁護士自治との関係での心配はないのか。

 この間の本会議の私の質問、これを契機にして国ないし行政が強固な弁護士自治を持っている弁護士会に対して干渉するとか介入する、そういうきっかけ、契機になるのじゃないかということを質問したのに対して、法務大臣は、そのようなことにはならないと思いますという御答弁をされているのですが、思いますでは困るのですね。ないならないとはっきり言っていただく、あるいは行政としてそういうつもりはないということを言っていただく、そのことでないと困ると私は思うのです。

 そこで、まず室長の方から、国の責務と弁護士会の責務の違い、なぜこれを置いたのか、このこと。それから、行政と弁護士会との関係、その自治権に対する関係などについて、もう一度法務大臣からお答えをいただきたい。お願いをいたします。

 では、室長の方からお願いいたします。

樋渡政府参考人 お答えいたします。

 弁護士は司法制度を支える重要な存在でありまして、司法制度改革審議会意見の中でも弁護士や日弁連及び弁護士会を対象とした改革等の項目が数多く掲げられておりまして、司法制度改革の実現のためには、政府、最高裁等のほかに、日弁連におきましても必要な取り組みを行うことが不可欠であるというふうに考えられます。そこで、本法案では、日弁連につきまして、司法制度改革実現のための必要な取り組みを行うように努める旨の規定を置かせていただいたものであります。

 日弁連におかれましては、司法制度改革審議会の意見に掲げられた弁護士情報の公開、弁護士の執務体制の強化、専門性の強化、弁護士会運営の透明化等の改革事項について、その実現のため必要な取り組みを行うように努めていただけるものと確信しております。

 なお、弁護士法との関係でございますが、委員御指摘のとおり、弁護士法一条二項は、弁護士は法律制度の改善に努力しなければならない旨を規定し、同法四十五条二項は、「日本弁護士連合会は、弁護士事務の改善進歩を図るため、弁護士及び弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。」と規定しております。これらは、弁護士の使命や日弁連の指導監督事務の目的として、弁護士法上、一般的に定められているものであります。

 これに対しまして、本法案は、司法制度改革の重要性にかんがみ、その実現のためには、日弁連が本法案二条の基本理念にのっとって必要な取り組みを行うように努めていただく必要があることから、特に日弁連の責務として第四条を置かせていただいたものであります。(佐々木(秀)委員「国の責務との違いは」と呼ぶ)はい、わかりました。

 法案の規定ぶりからも明らかになっているというふうに思われるのでありますが、第三条は、国会、政府、最高裁判所等の国家機関が、それぞれの立場で国政の重要課題である司法制度改革を実現するため、これに関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する旨を明らかにしたものであります。この司法制度改革に関しまして、政府が実施する、国が責務を負うことはいわば当然のことだというふうに考えております。

 一方、第四条は、弁護士が司法制度を支える重要な存在であることにかんがみ、この法律案におきまして特に置かれた規定でありまして、日弁連が、みずからの責任において、第二条に定める基本理念にのっとって、弁護士や日弁連にかかわる改革課題について司法制度改革実現のため必要な取り組みを行うよう努めるものとするという旨を規定したものであります。

佐々木(秀)委員 室長の今の御答弁は条文を読み上げられただけだと私は思うので、それによって違いが明らかになるとは到底思えないのだけれども、強いて私流に解釈するとすれば、第三条の方は、やはり国の責務というのは政治的な責任だと思うのです。これができなければ政治的な責任を負うよ、負わなければならない、そこまで課したものだ、私はこう思います。一方、第四条の日弁連の責務というのは、「努めるものとする」というのですから、ある意味では精神規定だろう、これに一生懸命にならなければ弁護士会としては社会的な責任は問われることになるかもしれないけれども、国の負うような政治的責任とは質的に違うものだ、私はこのように了解しているのですが、それでよろしいですか。

樋渡政府参考人 よくまとめていただきましてありがとうございます。御指摘のとおりだと思います。

佐々木(秀)委員 ということだそうですから、そのように了解させていただきます。

 次に、これからいよいよ改革案の作成作業が始まるということになる。その中で、きのうもお話が出ましたけれども、本部事務局の構成、あるいは顧問会議、検討会などが非常に重要な役割を果たすであろうということが言われております。時間の関係もありますので、きのう大分それに対して突っ込んだやりとりがありましたから、その点について余り深くは触れませんけれども、ただ、一点、確認をさせていただきたいのです。

 この顧問会議の方は、構成は改革対象の法曹三者以外の民間人に限定するという報道が今年十月一日の読売新聞で書かれているわけですね。改革審で会長を務めた佐藤教授など学者や経済人、ジャーナリストなど数人となる見通しだ、こう言われているのですけれども、具体的にはこれは、本部ができて、人選もそこでということになるんだろうと思うのです。しかし、そのときにやはり準備室などに意見を求められることは確かだろうと思うのです。

 これは、そういう対象法曹外の有識者を広くということになるとすれば、むしろ審議会のメンバー、あれだけ二年の間一生懸命やられたのですから、しかも、あの方々は国会の同意も得て委員になられて頑張ってこられた。それで、今度の改革もこの審議会の意見を尊重しながらやるということですから、どれだけ尊重されているかなどということも見届けていただくというようなことからすれば、むしろ、審議会の方々には原則として、それはお断りになる方は別として、御同意いただける方にはみんなこの顧問会議に入っていただいた方がいいのではないかと思っているのですが、そういうような構想がないのかどうか、この点どうですか。

樋渡政府参考人 御指摘のように、顧問会議のメンバーはこれから本部において決められるものだというふうに思っております。

 顧問会議の役割と申しますのは、考えておりますところでは、審議会の意見の趣旨にのっとった改革が行われているかどうかということと同時に、大所高所からの御意見を賜りたいということでございまして、審議会の委員であった方になっていただくのも一つの方法ではあろうかとは思いますけれども、審議会の意見は意見書で完結されておりまして、それを政府に提出され、政府はこれを最大限尊重して実行していくということでございますから、また違った角度の方からの御意見を伺いながら、審議会の意見の趣旨にのっとって行われているかどうかということを見ていただくのも一つの方法ではなかろうかというふうに思っております。

佐々木(秀)委員 もちろん、新しい方々に入っていただくということについては、反対はしません。しかし、審議会との関係などということを考えると、私は、審議会のメンバーであった方は、佐藤会長だけではなしに、いろいろなジャンルから入っているわけですから、特にいろいろなジャンルの方々に御協力いただくということをぜひ考えた方がいいんじゃないかなと思っておりますので、ひとつ検討材料としてお考えをいただきたいと思います。

 それから、先ほどの質問、日弁連に対する行政との関係での御答弁をまだ法務大臣からいただいておりませんでしたので、法務大臣、恐縮ですが、お答えをいただきます。

森山国務大臣 弁護士さんが司法制度を支える非常に重要な存在であるということは申すまでもございません。ですから、日弁連が司法制度改革実現のためにみずから積極的に努力をしていただく、役割を果たしていただくということが非常に大切だということは申すまでもないわけでございます。

 このような認識に立ちまして、この法案では、日弁連が、弁護士の使命及び職務の重要性にかんがみて、司法制度改革の実現のために必要な取り組みを行うように努めるという責務を負う旨を規定したものでございますが、司法制度改革の実現に向けましては、推進本部と日弁連がこれからも必要な連絡調整を行われることになると思います。日弁連におかれましては、みずからの立場で司法改革実現のために必要な取り組みを行っていかれるものでありまして、行政が日弁連に干渉するということではございません。

佐々木(秀)委員 今の点、簡単な言葉でお述べになったんですけれども、くれぐれも変なちょっかいを出すようなことがないように、ぜひお願いしたいと思います。そうでなくても、日弁連も非常に努力しているわけですね。自治権があるとはいいながら、何でもおれたちだけでやるよと言っているわけではない。綱紀だとか懲戒には外部委員も入っていただいて、客観的な、公正な運営をしようということで努めているわけですから、それ以上に行政、政府が介入するなどということは絶対にないように、ひとつ、この点は私からも念を押しておきます。

 今の簡単なお言葉ですけれども、法務大臣はそのことを御理解の上で、そういうことはしないよ、こうおっしゃったんだろうと思いますから、それでよろしいですね。――うなずいていらっしゃいますので、そう了解いたします。

 時間が迫ってまいりましたので、公開の問題などについてもお聞きをしたいんですが、これもきのう、同僚、仙谷さんの質問などで、審議会の情報公開と同じように、できるだけリアルタイムでこれからの改革作業の経過なども国民の皆さんにお知らせをしていくということについて、法務大臣、お約束をしていただきましたから、これを具体化する方策は、これから後、また時折私どもとしても確かめをする必要があると思いますので、次の機会に譲ることとしたいと思います。

 最後に、裁判所にお尋ねをしたいと思いますけれども、何といっても裁判所の司法改革に対する役割は大きいと思うんですね。この間参考人質問のときには、堀籠事務総長にも来ていただいて、かなりの御決意は伺ったようにも思うんですけれども、しかし、その中で、これも時間が余りありませんでしたので確かめられなかったんですけれども、裁判官の給源としての弁護士任官ですね。これについては、弁護士会と相当協議を詰めていただいて、弁護士委員の協力も必要でしょうし、また裁判所としても、どうも今まで、弁護士から裁判官になった人の話を聞いたり、あるいはなろうとする人の話を聞いたりしても、なかなかなりにくいという話を聞くんですよね。

 もう少しなりやすい、たくさん裁判官になっていただくような方策について、どんなふうに具体的に考えているのか、それから弁護士会との協議などによってそれを得る今後の見通しなどについて、簡単でいいですからお答えください。

金築最高裁判所長官代理者 委員御承知のとおり、最高裁と日弁連との間で弁護士任官等に関する協議会を設けまして、ことしの四月から月二回ぐらいのペースで弁護士任官の推進に向けまして精力的に協議を行っているところでございまして、これまで弁護士任官の基準とか手続等の問題について意見交換を行ってまいりましたけれども、今後、弁護士任官者の研修とか配置のあり方、勤務条件等についても、さらに協議を進める予定になっております。

 最高裁といたしましては、司法制度改革審議会の意見書が提言いたしますように、裁判官に多様な人材を確保するためには弁護士の任官を推進していくことが最も現実的である、意義のある方策であるというふうに考えているところでありまして、今後とも、日弁連との間で鋭意協議を重ねることによりまして、弁護士任官を推進するための具体的方策について協議を取りまとめることができるように努めたいと思っております。

 今、受け入れの関係でお尋ねがございましたが、この受け入れ体制につきましても、これまで、例えば、最初は比較的入りやすいと考えられる保全事件などを担当してもらいながら通常部で陪席を務めるといった形で、裁判官の生活や仕事への移行の円滑化を図ってまいりましたけれども、弁護士任官をさらに組織的に進めるという観点から、ことしの八月一日に京都地方裁判所におきまして弁護士任官者を中心とする部を発足させました。今後とも、弁護士任官者の受け入れ体制の整備充実には意を用いてまいりたいと思っております。

 また、弁護士任官者に対する研修につきましても、数年前から司法研修所で実施しておりますけれども、弁護士任官者の意見等もお聞きしながら、より一層の充実を図っていきたいと考えております。

佐々木(秀)委員 ほかにも質問したいことがたくさんあったんです。例えば、堀籠事務総長から、人事評価制度に関する研究会、メンバーについての御紹介はあったんですけれども、その審議の内容などについて公開していただけるのかどうか。堀籠事務総長は透明性が大事だということを言われておりましたから、これについてもやはり公開すべきだと私は思っているんです。委員の御同意があればなどという条件をちょっと言っておられたようだけれども、私は、それと関係なしにやはりこれを公開する必要があると思いますので、このことについても今後また次の機会にお尋ねをしたいと思いますけれども、ぜひこのことは積極的にお考えをいただきたいということを申し上げて、時間が参りました、質問を終わります。ありがとうございました。

保利委員長 次に、西村眞悟君。

西村委員 質問通知事項の二、三、四に限って簡潔に御質問いたしますので、お答えいただきますように。

 まず、司法の目的であり、かつ機能する前提としては、真実の発見という使命がございます。この真実が発見されずに、その上に人権擁護また国民の信頼等のスローガンがいかに掲げられても、それは空虚でございます。この点についての大臣の認識をまずお伺いいたします。

森山国務大臣 司法の責任、真実の発見とおっしゃいますことは、そのとおりだと思いますし、それが非常に重要なことだと私も考えております。

西村委員 それは、この法案にうたう社会の変化がいかに激しかろうとも変わらない司法の原点だと思いますし、今大臣のお答えもその線であったと認識させていただいて、次に進みます。

 したがって、司法制度のこのたびの改革のスタートは、真実の発見という使命に資するものでなければならない、それからそれてはならないんだという御認識は十分お持ちと思いますが、御確認させていただきたいと思います。

森山国務大臣 その大きな目的は変わらないというふうに思います。

西村委員 さて、近代資本主義を成り立たせている一つのソフト、重要なソフトは、職業的倫理、職業的使命感でございます。各人が各人の職業において倫理を持ち、また、その職業の中で使命感を持ってそれに取り組むというのが資本主義社会が動く原点であって、これがなければ動かない。

 さて、裁判のあり方は、我々の社会では職業的裁判官の倫理と使命感によって行われてきた。国際的にこの我が国の司法制度をどう評価するかということについては、私は広くは知りませんが、生の声で、ことしに入りまして、台湾の李登輝前総統にこういうことを聞かされたことがあります。我々は日本から一番学んだのが司法における廉直性、司法の正しさであった、それに反して大陸では、今も昔もわいろは文化であって、どうしてもわいろをとめることができないだろう、日本統治時代の五十年、司法に関する汚職は、私は調べたけれども、ただ一件であった、このように言っておるわけですね。そういう評価を受けておる。

 大臣は、我が国の近代、明治維新以来行われてきた、裁判における職業裁判官の使命感によって真実を発見し、司法の本来の使命を全うするという歩みは、これはだめだったんだ、したがって改革が必要と考えておられるのか、それとも、これを評価するというふうな前提で改革に臨まれようとしているのか、いずれでございますか。

森山国務大臣 今先生が紹介されましたような、外国から見ての日本の司法の廉直性、大変誇るべきものがあると思います。私は、今日に至るまで、その点については全く揺るぎのないものだと信じておりますし、誇りに思っている一人でございます。

 しかし、世の中の動きが非常に速くて、また、多様化、国際化、IT化、その他従来考えられなかったような新しい現象が次々起こってまいりまして、司法の世界もそれに対応していかなければいけない。そのような新しい時代に、より適切な司法制度を考えていかなければいけないということで、この改革をお願いしようとしているわけでございます。

西村委員 近代になってから、大臣が今言われたような変化は、まさにとどまることなく起こっているわけですね。その中で司法が機能してきた、これからも機能していくというのは、先ほども私が申し上げましたように、人間の使命感、人間の倫理観によって支えられる、いかにコンピューターが発達しようとも、いかに移動速度が速かろうとも、司法はついには人間の使命感と倫理観によってしか支えられないのだということについてはいかがですか。

森山国務大臣 非常に大事な要素でありまして、それはいつも変わらないことだと思います。

西村委員 したがって、ここでいかに改革の案がいろいろ出されようとも、人間の、職業的裁判官の使命感と倫理によって真実を発見するという使命の根幹が守られているという、このことを骨抜きにしてはならない。

 さてここで、裁判員制度というもの、国民の中からどなたかを選んで裁判の中に入っていただくこの制度は、真実発見とどういう関係があるのか、これとは無関係なのか。単に、真実発見とは無関係だけれども、普通の隣に住んでおるAさん、Bさん、彼及び彼女が司法に入っているから信頼が高まるのだというレベルなのか、それともこれは真実発見に資するのか。一般的には言えませんが、何を目指しておるのですか。真実発見に資するから、職業裁判官と並んで素人、隣に住んでいる彼及び彼女を入れるのがいいと思われているのかどうか。これが、ある意味では、大げさに言えば戦略目的が明確ではない。したがって、明確にしていただきたい。

森山国務大臣 真実の発見というのは常に変わらない目的でございますけれども、一方において、司法というものが国民にもっと近づくものでなければいけない、国民がもっと参加できるものでなければいけないということも最近の要請でございます。

 そのことを考えますと、ある一定の裁判の内容について、その判断に一般社会人の常識というものが反映されるということは、よりよい結論を導き出すのに有用なのではないかというふうに思います。

西村委員 そこで、循環論に戻っていくわけですけれども、国民の信頼を高めるとおっしゃいました。しかし、国民の信頼は真実発見があって初めてなし得るものだ、これが抜ければ国民の信頼も何もない、空虚なものだ。

 明確には述べられませんでしたけれども、身近な人が裁判所に入れば国民の信頼が高まる、これはある意味ではだれも反対する人はいないだろう。しかし、司法というのは厳しいものでございます。真実の発見というのは厳しいものでございます。真実の発見の前提から、人を死刑に処する、また人の御先祖から伝わってきた財産を取り上げるということが司法なんでございます。したがって、職業的裁判官は脳髄を絞り尽くして実体的真実の発見に努めねばならない。非常な矛盾をはらむ制度の中に我々は入ろうとしているという御認識はどうか持っていただきたい。

 なぜなら、参考人質疑でも申し上げましたように、国民の彼か彼女かを入れればという、この入れればというのはどういう実態を前提にしているのかといえば、アメリカでも、陪審員の負担から逃れるためにいろいろな工夫をするということは真実の社会だろうと思うのですね。みんな職業の中で生きておるわけです。ボランティアだ何とかといって、自分の好きなボランティアをするのはいい。しかし、国民の義務だからといって、数日間、今まで全く知らなかった裁判所の中で、知らなかった手続においてやるということですからね。

 単に、民主主義だから投票に行け、投票に行くだけではないか、このことでさえ、国民の半分は投票に行かない現実が我が国にあるということ、この実態を見きわめながら、美名に流されずに、裁判所の真実、司法の真実発見というふうな目的に資するのか資さないのか。一時的に仲間が入っているから、ああ、何だと、裁判所フリーター論みたいな実態にならないように、どうか、この点については私は重大な危惧を持っておりますので、法務大臣として、司法の権威を守るという観点から、実態を研究しながら、実態を見きわめながら、政治家としての御判断、御発言をお願いしたいと思いますが、いかが思われますか。

森山国務大臣 国民の裁判への参加の仕方というのがいろいろあると存じます。いろいろな諸外国の例なども見学したり、あるいは文書で調査いたしましたりいたしますと、それぞれの国がそれぞれの国民の文化や法意識にふさわしい方法を探って、一生懸命にそれぞれに努力をしているというのがわかるわけでございますが、この国民の裁判への参加というやり方について、それはこれからつくっていただく本部において検討していただくことでございまして、そこが工夫のしどころだと思います。

 真実の発見ということが動かない目的であり、かつ国民が司法に参加するということも最近の要請であるとすれば、その両方を上手に立てる、うまく調整して、最も我々に納得のいく、あるいは国民が参加しやすいやり方を探し当てていくということが、大変難しいですけれども、これから大変重要な仕事になるというふうに考えております。

西村委員 本法案は、行政の長である内閣総理大臣が本部長になるというふうな前提であります。これについても議論のあるところでございますし、私も問題意識は持っておりますけれども、行政が司法のあり方を一〇〇%決めるという前提は、やはり三権分立上よろしくないですね。法曹の資格を持った者、そして裁判所、そして弁護士会、また国民の有識者、そして立法機関というところで議論をする方がベターかなと私も思っているぐらいですから、現実に司法を担っている人材の中から具体的な意見を吸い上げる努力が行政としては非常に重要です。

 ある意味では、行政というのは、違憲立法審査権等々で、法律に基づいてやった行政行為が違憲かどうか、違法かどうかと審査される側なんですから、これが司法の改革をやっているというのは、表現は悪いですが、泥棒が捜査機関の改革をやっているというのと同じなんです。

 さて、それで、司法の真実発見というものを基盤で支えるというのは、例えば刑事司法であれば、捜査のあり方、捜査機構のあり方、それから捜査の法的手段のあり方、これにかかってきますね。証拠を何も集めることができない、しかし真実は何だと裁判所でやっても仕方がないんですから。

 一点だけ聞きますが、この真実発見のために、その捜査を実現するために、司法取引という制度がありますね。つまり、例えば汚職または国の政治の根幹にかかわる重大な疑獄に関して、周辺の詐欺だとか恐喝だとかそういうことばかりが出てくるけれども、根幹にまでは行かない。したがって、多くはキーマンであるだれだれさんがビルから飛びおりて終わってしまう。これでガスが抜かれて、我々の社会は、漠然とした猜疑心が一方でありながら、日がたつにつれてそれを忘れながら今まで来ざるを得ないという状態ですから、大臣としては、司法制度の改革という一つの車輪を動かしながら、それを支える捜査機構のあり方、捜査の法的手段のあり方については同じ比重をもって、法務省また検察、そして国民各層の知恵を集めて検討すべき重大な課題である、このように思います。

 その意味で、大臣の御意見でよろしいですから、司法取引という制度を導入するということも考慮に値するのかどうか。

 そしてもう一つ、我が国に今起こっていること、たびたび私は言いますが、新幹線の犬くぎが抜かれるとか、送電線が倒されているとか、そしてまたサリンが地下鉄でまかれるまでそれを察知できなかったとか、日本人が数十名国内から北朝鮮に拉致されているけれどもそれがわからなかったとか、こういうふうな状態を放置していて、司法における社会正義の実現もなかろうかと思うんですが、御意見、御見識をお願いいたします。

森山国務大臣 司法制度改革審議会におきましても、その御意見として、犯罪の動向が複雑化、組織化ということが進んでおりますので、従来の捜査や公判手続のあり方あるいは手法では十分ではないというふうに懸念しておられます。刑事司法はその機能を十分発揮しがたい状況に直面しつつあるので、新たな時代における捜査、公判手続のあり方を検討しなければならないというふうにおっしゃっております。

 例えば、刑事免責制度の導入というのは、組織的犯罪等への有効な対処方策であるというふうにお認めになりながらも、我が国の国民の法感情、公正感に合致するかどうかということが問題でもあり、直ちに結論を導くことは困難であって、多角的な見地から検討すべき課題であるというふうにおっしゃっておられます。

 御指摘のような新たな捜査手法の導入については、このような意見を踏まえながら検討していく必要があるのではないかと思います。

西村委員 今お読みになったことは承知しておりますけれども、ぼつぼつ政治が決断すべき状況でもある、こう思いますね。

 国民感情、これはよく我々が物事を今決めねばならないときに使いながら実は決めないときに出てくる言葉なんです。本当に重大なんですね。日本人が何人国内で拉致されているか、その実数もわからない、新幹線の犬くぎが抜かれて、三百キロ近くで走っている列車が脱線転覆すればいかなる大惨事になったのかということを考えれば、ぼつぼつ決断すべきところなんです。司法制度改革は、このいわゆる社会の現状に対していかに対処するのかという前提を抜きにしては机上の空論になる、このように思います。

 どうかその意味で、ただ単に一つの司法制度改革というこの路線を見詰めるのではなく、複眼を持って社会全体の司法を支える治安の維持のあり方を御検討いただきたい。

 質問したいことはいろいろございますけれども、本日はこれでやめさせていただきます。ありがとうございました。

保利委員長 次に、木島日出夫君。

木島委員 日本共産党の木島日出夫です。最初に、法務大臣にお伺いいたします。

 今回の司法制度改革審議会の設置そして構成、そして二年間に及ぶ審議のありよう、その結果として提出されてきました意見書、これ全体をどのように評価しているのか、率直に法務大臣の御意見をお聞かせ願いたい。きょう、法務大臣は内閣を代表してこの司法制度改革推進法案を出している立場でありますが、そんな立場も踏まえて、全体的な評価をお聞かせ願いたい。

森山国務大臣 新しい世紀を迎えまして、我が国も社会経済情勢の変化ということに直面しておりまして、司法の果たすべき役割はより一層大きくなってきたと思われます。司法制度改革審議会の設置はまことに時宜を得たものであったというふうに思います。また、その構成も、司法制度の利用者の立場に立つ各界各層の方も入っていただきまして、法学者や法曹も加わり、国民の視点から司法制度のあり方について審議するにふさわしいものであったと考えております。

 この審議会におきましては、委員の皆様非常に御熱心に、二年間にわたり実に六十三回も会議を重ねていただきまして、さらに外国へもお出かけになって調査をしていただいたり、公聴会も催されるなど、非常に精力的な御審議をいただきました。

 ことしの六月十二日、我が国の司法制度全般についての広範な改革を内容とする意見を提出していただきまして、この御努力に対しまして心から敬意を表する次第でございます。そして、この御意見につきましては、これを最大限に尊重いたしまして、その実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

木島委員 今大臣は、時宜を得た審議会であり、熱心な二年間の審議であり、最大限尊重したいとおっしゃいました。時宜を得たということは、今日本の司法が改革を迫られている大きな問題があるということの裏返しだろうと思います。

 そこで、引き続いて、大臣は今日の我が国の司法には基本的にどのような問題があると認識しているのか、根本問題でありますが、お聞かせいただきたい。

森山国務大臣 我が国の司法制度ができましてから今日まで、それぞれの時代に国民のニーズにこたえるべく司法関係者が最大の努力をしてきたということはよく承知しておりますし、高く評価しているところでございますけれども、最近の社会の変化に伴いまして、国民各層からその改革についてのいろいろな提言がなされていることもよく承知しております。

 司法制度改革審議会におきましては、法曹三者は、我が国の司法制度改革が社会経済の変化等に柔軟に対応してきたとは言いがたいということについて真摯に反省しなくてはならないということも指摘されております。

 政府としては、これらの意見を十分に踏まえまして、司法制度改革の実現に全力を挙げて取り組み、国民のニーズにこたえなければいけない、そのような司法制度の改革に向けて努力してまいりたいというふうに思っているところでございます。

木島委員 この二年間の司法制度改革審議会のありようで最も評価されるものは、今回の審議が全面公開された、リアルタイムで公開された、その結果として、国民から非常にたくさんの意見が寄せられた、そして、国民から寄せられた意見が委員の皆さんによって熱心に論議、審議され、それが六月十二日の審議結果に一定程度反映されたことだと私も今思います。先日、当委員会にお越しいただいた参考人の方々からも、そのことが的確に指摘をされました。情報公開と国民からの意見の聴取、これがかなり本格的にやられた。率直に言って、これまでの政府の審議会などとは全く雲泥の差だったと私も評価します。

 しかし、残念ながら、今審議されている司法制度改革推進法案、この推進法案をつくる段階では、公開性や国民の意見の反映は極端になくなってしまったんじゃないのでしょうか。率直に言って、この推進法案は、言葉は悪いですけれども、法務官僚、司法官僚による密室での法案づくりであったと言わざるを得ないと思うのです。これは、司法改革は国民的基盤に立脚しなければならないというこの改革審議会の意見書の根本精神に逆行するものじゃないかと思います。

 そこで、法務大臣にお聞きします。一体、今度の司法制度改革推進法案がどんなメンバーによって、どんな手続によって立法作業が進められてきたのか、明らかにしていただきたい。

樋渡政府参考人 お答えいたします。

 政府は、司法制度改革審議会の意見を受けまして、今年六月十五日、司法制度改革審議会意見に関する対処方針を閣議決定いたしまして、同意見を最大限尊重して司法制度改革の実現に取り組むこととしました上、司法制度改革の基本理念及び推進体制等について定める司法制度改革推進のための法律案をできる限り速やかに国会に提出して、その成立を期することとしたものであります。

 これを受けまして、内閣官房に設置されました司法制度改革推進準備室におきまして、本法案の立案作業を行い、通常の法案と同様に内閣法制局の審査等の手続を経ました上、去る九月二十八日、その国会提出の閣議決定が行われたものであります。

木島委員 内閣官房に推進準備室が置かれて、通常の法案と同じようにこの推進法案を作成したんだ、そういう答弁であります。私は、根本的にそれは間違っている、この審議会意見書の理念、精神を全然理解していないと言わざるを得ないのです。

 それはなぜかといいますと、この改革審議会は、二年間にわたって国民の意見を聞いて論議もしました。大きな方向性は打ち出しました。いろいろな分野でいろいろな意見の対立、相克がある中でまとめ上げて、多数決じゃなくて全会一致でつくり出されてきました。しかし、率直に言って、日本の司法をどうすべきかの点で決定的に重要な具体化、それが重要な問題で先に残されているんです。

 一つだけ例を挙げれば、後で細かく論議しますが、陪審制度にかわるべきものとしてといいましょうか、打ち出されてきた刑事裁判における裁判員制度。一体、裁判員の数を何人にするか。私は、合議制ですから、三人の裁判官に対して少なくとも倍、三倍の裁判員を置くこと、そして評決の仕方も、一緒くたじゃなくて、裁判官の合議と裁判員の合議、それぞれの多数が必要だとか、そういう評決の仕方が必要だと思っておりますが、これは私の意見です。

 しかし、裁判員のありようや人数、評決のあり方がどうなるかによって、本質的に国民の刑事裁判への参加の問題が変わってしまうのです。それはもう法務大臣もおわかりだと思うのです。職業裁判官の間に一人や二人の裁判員が入って一緒になって合議をしても、それは国民の参加した刑事裁判にはならないことはおわかりのとおり。肝心かなめの問題なんですね。一体何人の裁判員を置くか、評決の方法をどうするか、それが完璧に先送りされているんです。方向性は打ち出したが具体化は避けたというのが、この改革審議会の意見書なんです。ほとんどすべての重要問題がそういう立場でこの意見書は組み立てられております。

 ですから、普通の法案をつくる各種審議会の答申と質が全然違うんですよ。それを今の答弁では、通常の法案と同じように、政府の責任として、この意見書を受けて、速やかにこれを推進したいので、通常のやり方で推進法案をつくった。私は根本的に間違っていると思うのですが、法務大臣、どうですか。

森山国務大臣 準備室長が申し上げましたとおり、法案の作成の手続というものを踏みまして、今こうしてお願いしているわけでございますが、私の感じでは、これはそのような舞台を正式に内閣の中につくるためのものでございまして、おっしゃいますような内容にわたることは、これからその舞台の中でやっていただくことなのではないだろうかというふうに思います。

 したがいまして、この法案につきましては、室長が御説明申し上げましたようなプロセスで提案させていただき、それでよかったのではないかと思います。

木島委員 まことにおかしいと思うのです。確かにこの法案は、改革の具体的内容をこれから論議する舞台をつくる法案です。しかし、どういう舞台のつくり方をするかが決定的に大事だ。先ほど言いましたように、日本のこれからの司法のありようにとって決定的な具体化がこれから図られるんですよ。

 先ほど法務大臣も、この二年間の改革審議会の設置、構成、運営のありようの中で国民各界各層の意見が入ってきた、それが非常によかったとおっしゃいましたでしょう。これからいよいよ本格化するわけですね。具体化するわけですよ。具体化のあり方によっては、全然骨抜きにされてしまうか、さらに前進するか、踏みとどまってしまうか、どうにでもなってしまうものが余りにも多過ぎるのですね、この審議会の答申の中身は。

 そうしますと、今回、舞台づくりの舞台が余りにもできぐあいが悪いと私は思います。というのは、改革推進本部は内閣そのものですよ。本部長が総理大臣であり、恐らく法務大臣が副本部長になるんでしょう。まさに政府そのものです。それが推進本部となって、そして下にあるのは五十数名の事務局、ほとんどすべてが官僚。昨日の答弁によりますと、五十数名のうち、日弁連から派遣される弁護士を含め七、八人ぐらいは民間人から入れたいぐらいな話でしょう。あとは、法務省、最高裁、財務省、文部科学省、官僚でがんじがらめになる。そこが実際に法案づくりに入る。国民の意見が入る余地はないじゃないですか。

 せっかく二年間の改革審議会が、国民各界各層からの代表を入れて、全面公開をして、さらに審議に対しても国民の声をどんどん寄せてもらって審議が行われてできた、しかし完璧ではない、方向性は打ち出したが結論めいたものは先送りしている、これからだ、まさに出発点だ、こういう性質を持った意見書に対して、こんな舞台装置では国民の意見は入らないじゃないですか。どうですか。

森山国務大臣 先ほど申し上げましたように、舞台というか枠組みをこれでつくっていただくことができれば、そこでどのような議論をするか、あるいはどのような調査をし、どのような国民の皆様からの御意見をどのようにして伺うかというようなことをこれからやらせていただくわけですので、これは枠をつくるだけだというふうに私は理解しております。

木島委員 だから、枠、この舞台が国民の声が反映できないような舞台だったら、とんでもない方向に司法改革が行ってしまう、あるいは国民が本当に願っている司法改革へは前進しないということを指摘して、きょうは時間をいただいておりますから、個別的には後から論議をしたいと思います。

 そこで、法案に即して一つ一つ聞きます。

 まず、第一条の目的条項であります。今回の司法改革の必要性を記述する事情として、この第一条は、規制の撤廃と緩和の一層の進展という立場を殊さらに持ち出してきております。これは私は公正を欠くと思います。

 これまで私、再三ここの場で主張してきたんですが、今回の司法改革を推進する背景には二つの流れがあったんじゃないか。一つは、確かにこういう規制緩和の流れ。争いがふえる、事後チェック型の日本にしたい、その役割を日本の司法に負ってもらいたい、そういう立場からの司法改革を求める流れ、確かにあります。経済界などそうです。自民党もそうでしょう。こういう流れと、もう一つ、司法の基本的な役割は基本的人権の擁護ではないか、そのためにも、今大事なのは官僚的な裁判所の改革ではないか。ヨーロッパと比べても、余りにも司法そのものに国民が関与していないということで、司法に対する国民の関与を要求する流れ、そういう意味での司法改革を求める流れ、これが一方では強くあった。

 私は、これまでここで、この二つの流れがぶつかり合って対立してきたという表現をいたしましたが、ある面ではこの二つの流れが融合し、合流して、問題によってはぶつかり合って、そしていろいろないまぜになってでき上がったのがこの改革審の意見書だと思っているんですね。

 ところが、それを受けてつくられたこの法律でしょう。その一番大事な目的条項に、その二つの流れの一つだけをつまみ食いしてきた。規制緩和の流れだけを、司法改革の背景にあるとして殊さらにそれを重んじているということはまことに不公正だと思うんです。どうでしょうか、大臣。

森山国務大臣 司法の任務が人権の擁護で、あるいは社会正義の実現ということにあるというのは当然のことでございまして、それを前提といたしまして最近の新しい変化に対応するというための法律でございますので、その新たな変化を特に強調し取り上げたのでございます。

木島委員 司法の目的が人権の擁護だ、当然のことだ、それが前提だという認識ならなおさらのこと、その当然の前提である人権擁護のためということを、そのために今の日本の司法を変えてくれという流れがとうとうとあったわけですから、現にあるわけなんですから、この法案のまず第一条の目的条項に併記する、あるいはそれを落とすのなら規制緩和の方の言葉も削り取る、こういうのが当たり前じゃないですか。そうすると、修正すべきですね。どうですか。

森山国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、当然の前提ということで、新しくこの法案をお願いする趣旨は新たな動きに対応するものであるということで、このような形になっているわけでございます。

木島委員 大臣は当然の前提とおっしゃいますが、今の日本の司法権が、司法部が、国民の個別的な具体的な人権擁護にとって、それが本当に頼りがいのある司法になってないということがあるから大問題になっていたんじゃないですか。

 おとといの参考人でも、つい最近は若干変わり始めたというような答弁もありました。確かに、ハンセン病の判決なんかは人権を重んじた判決だったと思うんで、ああいう立派な判決も出てきましたよ。しかし、大局的には、行政訴訟にしろ労働訴訟にしろ消費者訴訟にしろ公害訴訟にしろ、ほとんど国民の人権が抑え込まれ、行政権優位の判決が下されているじゃないですか。

 その一番根本的な原因は、日本の司法が、残念ながら官僚司法だ。時としては裁判官と検察官、指定代理人が交代する。きのうまで行政事件の被告の指定代理人だった人物が、次の日から裁判官席に座っている、こんな水害訴訟で原告が勝てるはずないじゃないか。そういう、当然の前提と大臣はおっしゃいましたが、当然の前提が行われていないからこそ司法改革してくれという流れがとうとうと今生まれてきたんでしょう。その結果としてこの意見書が出たんでしょう。そういうことを書いてありますよ、意見書に。まさにそれを書き込まなきゃいかぬのじゃなかったんでしょうか。

 では、ついでに第二条。司法改革の基本理念に、今大臣が当然の前提とおっしゃった基本的人権の保障が、この第二条の基本的理念から物の見事にすっぱりと脱落させられているんですよ。読んでください。

 ところが、この改革審議会の意見書はそうじゃありません。冒頭で、「司法制度改革の根本的な課題を、「日本国憲法のよって立つ個人の尊重(憲法第十三条)と国民主権(同前文、第一条)が真の意味において実現されるために何が必要とされているのか」を明らかにすることにあると設定した。」と言うんですよ。改革審議会に与えられた基本命題は、日本国憲法のよって立つ個人の尊重と国民主権が真の意味において実現されるために何が必要とされているのかをまさにこの審議会では論じるんだということを、冒頭ですよ、きちっと位置づけたんですよね。

 そして、その後にもこういう文章がありますよ。司法の役割を憲法の最も基礎的原理である個人の尊重原理に置いていることを、この審議会の基本理念と方向で明らかにしているんです。普通の人が読めばそれが読み取れるような文言になっています、この冒頭は。

 ところが、それを受けてつくられたはずのこの改革推進法案を見ると、第二条「基本理念」、一言も基本的人権を保障するためにということを書かれていないじゃないですか。改革審議会が一番大事なものとして基本に据えた基本的人権擁護、これが日本の司法の役割なんだ、それが果たされていない、どうあるべきか、それで司法改革を論議してきた最も大事な部分が、この法案の第二条から何で抜け落ちちゃったんですか。答弁してください。

樋渡政府参考人 先ほど来大臣が御答弁なさっておられましたように、およそ司法が国民の基本的人権を擁護する役割を担っていることは言うまでもなく、本法案第一条に言う「司法の果たすべき役割」にもこのような内容が含まれていることは当然であるということでございます。

 第二条も、同様の前提に立ちました上で、司法制度改革審議会意見におきます、一つが国民の期待にこたえる司法制度の構築、二つ目が司法制度を支える法曹のあり方、三つ目が国民的基盤の確立という三つの柱を、意見書の内容に沿って整理したものだということでございます。

木島委員 だから、この三つの柱はそれぞれ論議しましたね。その基本、基礎ですよ。基本的人権の擁護のために日本の司法を変えなきゃならぬ、その三つの側面から論議をして、三つの柱を立ててきた、その基本ですよ。この第二条は「基本理念」と書いてあるでしょう。それなら、基本理念に書き込んだらいいんじゃないですか、基本的人権を保障するためにこそこの三つの柱で意見書が組み立てられたと。私は、殊さらに削り取った、そこに大きな問題点を感じているわけです。

 じゃ、入れてくださいよ、大臣。入れましょうよ。答弁してください。削り取った理由にならぬです、今の答弁は。大臣、どうですか。

森山国務大臣 今準備室長から申し上げましたようなことで、この現在の法案の文章ができているわけでございますし、この舞台をつくっていただきましたら、その意見書の内容を最大限に尊重いたしまして、その中身に肉づけをし、具体化をしていくというわけでございますので、これはあくまでも舞台づくり、枠づくりだというふうに私は理解しております。

木島委員 だから、その舞台がどういう基本的な理念でつくられるかによって変わってしまうのですよ、結果が。当然の前提だと再三御答弁されました。これは議事録にちゃんと書き込まれますから、それはそれとして。しかし、そういうことを全く脱落させた形でこれからこの具体化が行われていったら、似ても似つかないような、逆のような司法ができ上がってしまうおそれだってあるのですよ、やり方によっては。

 私は、その一つは、民事裁判での敗訴者負担の問題だと思うのですよ。日弁連は反対していますわな。私も反対です。こんなものが行われたら、行政裁判なんか起こせやしませんよ。税務訴訟なんて起こせやしませんでしょう。ほとんど勝てない、そういう状況の中で、負けたら相手方の費用まで、弁護士費用まで持たなきゃいかぬ。

 だから、そういう問題も秘めているわけですから、基本的人権擁護のためにこそ司法の改革が必要なんだという基本理念がしっかりと明示されなければ、そういう縛りをこれから推進法案を立案する推進本部事務局の皆さんに持ってもらわなきゃいかぬからこそ、それを明文化で置く必要があると主張しているのです。大臣、どうですか。

森山国務大臣 再々申し上げておりますとおり、それは当然の前提であり、かつ、その意見書にも、先生御指摘のように、非常に強調して書かれているところでございまして、それを最大限に尊重して議論をしていただく舞台をつくるというのがこの法案でございます。

木島委員 もう押し問答はここでやめて、次に第三条。

 これはもう確認の質問ですが、第三条の「国の責務」、「国」というのは何を指すのでしょうか。

樋渡政府参考人 本条の「国」には、政府のほか、国会、最高裁判所等の国家機関も含まれるということでございます。

木島委員 それじゃ、第四条「日本弁護士連合会の責務」。

 日弁連は、先ほど言いましたように、審議会答申の中の民事訴訟弁護士費用の敗訴者負担制度の導入には厳しく反対しています。この意見書が出た後も厳しく反対しています。

 日弁連は、在野法曹の結合体であります。ですから、自治権を持っております。そのことが国民の基本的人権を国や行政の侵害から守る制度的な保障なんですね、これは。弁護士というのは、国と争っている国民の代理人として国相手の裁判をやりますから、相手の国から管理されていたんじゃ人権は守れない。制度的保障なんですね。

 それで、この法案のつくり方を見ますと、第一条で先ほど言ったような目的条項、そして第二条で基本理念。しかし、私が再三言っているように、基本的人権という観点を明示しようとしない、そして規制緩和という方向だけを明示する。まことに偏った、一方の立場からの意見書の理解ですね。そして、そのようなものとしてこの意見書を理解する立場から、意見書の趣旨にのっとって行われる司法制度改革の実現のために日弁連が必要な取り組みを行うよう努めるものとするという責務規定になっている、そういう組み立てです。

 そうすると、これに日弁連が縛られてしまったらどうなるか。私、一つだけ例を挙げますが、日弁連が反対している民事訴訟弁護士費用の敗訴者負担制度導入、これは突如として審議会の最終盤に持ち込まれてきまして、おかしな案が出て、国民の大反対運動がありました。意見書が集中しまして、若干それは後退したような文章になっていますが、しかし、敗訴者負担制度はつくるんだということが明示されました。日弁連は反対しています。

 この四条の責務条項で、それに日弁連が縛られたら大変なことになると思うのです。ですから私は、先日の参考人質疑でも、この意見書の一言一句、金科玉条として日弁連が縛られてはなりませんでしょうと質問しましたら、日弁連は縛られるものじゃない、敗訴者負担反対の立場はきちっと貫くと。

 がんじがらめに日弁連を縛り上げるという意味はないですね、四条は。

樋渡政府参考人 第四条は、日弁連は「司法制度改革の実現のため必要な取組を行うように努めるものとする。」旨の抽象的責務を定めたものでありまして、個別の政策課題につきましては、日弁連の具体的な対応を法的に拘束するものではございません。

 したがいまして、日弁連は、推進本部との間で所要の連絡調整をとりつつ、第二条に定める基本理念にのっとって、みずからの責任において改革に向けた必要な取り組みを行うものとされておりますので、そのような枠組みの中で、個別の課題に対する日弁連としての具体的対応を決するものと考えております。

木島委員 それでは次に、第五条の「基本方針」についてお伺いをいたします。

 この第五条は、司法制度改革の基本方針として三号掲げております。この三つの号がそれぞれ、改革審議会の意見書が立てた三つの柱、一つ、国民の期待にこたえる司法制度、二つ、司法制度を支える法曹のあり方、三つ、国民的基盤の確立、この三つの柱をそのまま、第五条「基本方針」の一号、二号、三号として中身を要約したものだと伺ってよろしいですか。

樋渡政府参考人 そのとおりでございます。

木島委員 そうしますと、私、きょうは時間の関係もありますから、一つだけ指摘します。第二号です。

 第二号は、司法制度を支える法曹のあり方に関する要約であります。

 率直に言って、私は、改革審議会の意見書の3です、「3 司法制度を支える法曹の在り方」、大変たくさんの提言をしております。なかなか裁判所にとっては耳の痛い提言もたくさん盛り込まれております。この3の提言の中から、「第五 裁判官制度の改革」、これが推進法の第五条の第二号からはすっぽりと抜け落ちちゃっているのですよ。

 いいですか。審議会意見書は、裁判官制度の改革、たくさんのことを挙げていますよ。最も大事な部分だと私は考えています。法曹一元化という言葉はなくなりましたが、かわりに給源の多様化、多元化、判事補制度の改革。判事補制度を段階的に解消するとまで言い切ったのですからね。弁護士任官の推進、裁判所調査官制度の拡充、裁判官の任命手続の見直し、裁判所運営への国民参加、最高裁判所裁判官の選任等のあり方、これはなかなか強烈な意見書ですよ。

 こういう部分が本法案の五条二号には書かれていないのですね。第二号には「法曹人口の大幅な増加、裁判所、検察庁等の人的体制の充実」あるいは「裁判官、検察官及び弁護士の能力及び資質の一層の向上のための制度の整備等を図ること。」こう記載されています。それだけしか記載されておりません。最も肝心かなめの勘どころである裁判所の中身を変える、それを物すごい力を込めてこの意見書には書かれているのですよ。それが全部表現されていないのですね。

 何でこんなになっちゃったのですか。意図的なんですか、それとも過失、ミスによって落ちちゃったのですか。

樋渡政府参考人 お答えいたします。

 この五条の基本方針のたがにまとめましたものは、いずれも司法制度改革審議会意見のいわゆる三本柱をまとめたものでございます。この意見書は、多岐にわたっておりまして、たくさんのことが書かれております。できるだけ簡潔にまとめていきたいということを第一義に考えたことでございますが、御指摘の裁判官制度の改革は、検察官制度の改革及び弁護士制度の改革とともに、審議会意見の「司法制度を支える法曹の在り方」に位置づけられておりますことから、本法案では、同条第二号の「裁判官、検察官及び弁護士の能力及び資質の一層の向上のための制度の整備等」としてまとめて規定しているところでございます。

 このような規定ぶりといたしましたのは、単に、検察官制度の改革、弁護士制度の改革、裁判官制度の改革としましたのでは、かえって審議会意見の方向性が表現されないのではないかというふうに考えたからであります。

 なお、裁判官制度の改革は、司法制度改革審議会におきましても重要な課題の一つとして議論されたものと認識しておりますから、審議会意見の趣旨を踏まえて所要の検討が行われるものというふうに考えております。

木島委員 いや、この法案の裁判官の能力及び資質の一層の向上なんという文言から、この審議会意見書がとうとうと述べている裁判官制度の改革、判事補制度も将来やめてしまう、弁護士任官をさせる、任命手続を見直すんだ、人事制度の見直しまで入っていますよ、裁判所運営への国民参加、こんなことは読み取れないですよね。一番大事な部分が殊さらに読み取れないような文言で五条二号が構成されているんですよ。

 私は、だから、何でこんなおかしな、この改革審議会意見書をまともに読んでこれを要約したら、違った文章になるはずですよ、日本語さえわかれば。だから、殊さらに裁判官制度の改革の部分を脱落させてしまったのは、私はやはり、もとに戻るけれども、この土俵づくりが、国民の代表も入っていない、国民の意見も聞かない、我々も全然知らぬ、準備室の一部の官僚と政府ですか、密室の中でつくっちゃった。その中には裁判所代表も入っているでしょう。だから、裁判所代表から、これは書かないでくれと言われたんでしょうか、一番肝心のところを。そう疑わざるを得ないんですよ。だから今問題にしているんですよ。

 そんな土俵づくりで、これからのこの具体化、法律案の作成に入っていったら、この意見書が指摘した裁判官制度の改革なんかできやしませんよ。そういう根本的な危惧を私は持つから、この五条二号の文章のつくり方はこの意見書を反映していないじゃないかと厳しく指摘しているんです。

 大臣、わかりますね、意味。どうですか。

森山国務大臣 木島先生のおっしゃることは、私も、その内容はわかります。しかし、準備室において準備いたしましたこの法案は、よく考えて、必要なものは十分入っているというふうに私は理解をします。

木島委員 だめだめ。とんでもない答弁で、必要なものはよく考えて入っていると。それは、入ってない部分が大変な問題だということの答弁だね。これはとんでもないことですね。だから私ども、後ほど、社民党と一緒になって修正案を出しますよ。

 それから、司法制度改革推進体制について伺います。これは同僚委員が再三きのうから質問を続けてきたところですから、簡単に言います。

 法案は、司法制度改革のために必要な計画を政府が作成することとしております。そして、その推進体制として、全閣僚から成る改革推進本部と事務局を置く、そういう構造になっています。私は、この推進体制は大きく二つの問題点があると思います。

 第一は、この体制の中には、改革審議会に見られたような国民的基盤がみじんもない、徹頭徹尾行政主導、官僚主導になっているということだ。何でこんな体制で改革を進めようとするのか。

 この点は、同僚委員からも厳しく追及されて、法案上は全くない顧問会議をつくるとか、検討会をつくるとか、そこに民間人を入れるとか、そういう答弁でありますが、法律上、国民の意見を反映する制度的保障はないんですね。府令でつくるとか省令でつくるとかおっしゃっておりますが、法律にこそそれを盛り込まなきゃ、制度的保障はないじゃないですか。

 なぜ、この法案の中に、あなた方がおっしゃる顧問会議なり検討会に関する位置づけ、権限、構成、人選などをきちんと書き込まなかったんでしょうか。書き込まなかった理由を述べてください。

樋渡政府参考人 お答えいたします。

 顧問会議が設置されました例といたしましては、中央省庁等改革推進本部の例がございます。このときも、顧問会議の設置につきましては政令で定めており、今回もこの例を踏まえて検討してまいりたいと考えておる次第でございます。

木島委員 だからだめなんだと言うんですよ。行政改革と違うんですよ、この司法改革は。

 しかも、この司法改革の審議会の意見書は、一番大事なところは後でしっかり論議してくれというので、先に送ったんですよ。その具体化によっては、司法の改革になるか改悪になるか、国民にとってどっちへ向かってしまうか全くわからない。ポイントの部分が先の論議に残されたんですよ。だから私は、中央省庁改革会議の前例に倣ったなんというやり方でこの法案がつくられ、土俵がつくられていることは根本的な間違いだと指摘をしておきたいと思うんです。

 もう一つの問題ですが、このような、もう白紙委任のような改革の進め方ですね。これがなぜ許されないのか、もう再三、私、先ほど言いました。審議会答申が、司法改革の根本にかかわる重要問題について、方向性が打ち出されただけで、具体的な内容についてはほとんど結論が出されていない、後の議論にゆだねられてしまったからであります。

 では、室長に聞きましょう。

 大事な部分で、方向性は打ち出したが具体化が、先に論議を送ったというのはどんなものが挙げられますか。幾つか挙げてください、思いつくもので結構ですから。

樋渡政府参考人 基本的に、その審議会の意見は方向性をきちんと持った意見としてまとめられているというふうに考えておりまして、それを実行するに当たりまして、その具体化に当たって詰めなければならない事項はございます。

 例えば、先ほど御指摘の裁判員制度につきましては、裁判員の数、この数の決め方は、評決の方法と同じように、その方向性を二つの面、それから国民の負担の面も考えて決定すべきであるという方向性を示していただいておりますので、その方向性に従って、本部が成立しましてから、検討会等を経まして決定されていくものだろうというふうに思っております。

木島委員 答弁の中にも、例えばの一つの例として、裁判員の制度の問題がありました。きのうの同僚委員の質問の中にも、換骨奪胎という言葉もありましたよ。これのつくり方によっては、国民の刑事裁判への参加の問題が、本当に格好だけで換骨奪胎されかねないわけです。

 私が先ほど言ったように、三倍ぐらいの裁判員がきっちり選任される、職業裁判官三人、裁判員六人から九人、そして評決もそれぞれ独立するというのが、本当の意味の国民参加になるでしょうね。そういう種類の問題がたくさん意見書にはちりばめられている。

 ちょっと言いましょうか。裁判官制度の改革だってそうですよ。判事補制度の段階的解消だって、いつまでに解消するのか、大事な分野。弁護士任官の拡大だってそうです。任用のあり方もすべて具体化は今後です。

 裁判官の数、検察官の数、大幅増員という言葉が書かれています。では何人にするんだということは書かれておりませんね。裁判所職員、検察庁職員の数、適正な増加という言葉が書かれています。では何人ぐらいにするんだ、全く書かれていないんですね。

 法科大学院のあり方、司法試験のあり方、決定的ですよ。ある程度は具体的なことは書かれていますが、肝心なところは先送りです。今、文部科学省や法務省などと論議に入っているわけでしょう。だから、それは先送りだという意味なんです。

 行政事件訴訟制度の見直し、これは決定的ですね、国と国民との争いですから。これを見直せとありますが、どういうふうに見直すのか、先送りですよ。

 どれ一つとっても、その結論を出すためには、改革審のやり直しじゃなくて、小型改革審のような、国民代表による論議が必要なものばかりだと私は思うんですね。それがこの法案には欠けている、制度上欠けているということを一つ指摘します。

 もう一つ、第二の大きな問題は、このような体制、土俵づくりでは、国民に審議の状況が公開されない、公開の担保がない、国民の意見を聞く保証がないということです。先ほど再三言っておりますように、事実上、密室の中での立法化作業になってしまうんじゃないかということを指摘して、この問題も同僚委員から再三指摘をされました。昨日森山大臣は、公開性の問題では、改革審議会がやったと同じぐらいにやってほしいと答弁されました。確認しますが、その気持ちには変わりありませんか。

森山国務大臣 昨日申し上げたことと変わってございません。

木島委員 しかし、この法案上は何の保証もないんですね。大臣答弁を法律に書き込むぐらいのことがやはり必要だ。それは本当に、ほったらかしにしますとせっかくの改革の方向が換骨奪胎されるおそれもあるからなんですよ、現に。それは裁判所からの圧力もあるでしょう。それから財務当局からの圧力もあるでしょう、お金を出せないと。もう現に出てきているわけですからね。ですから私は、法律にきちっとそれを書き込むことが大事だと考えています。

 それで、もう時間がほとんどなくなってしまいましたが、では、その方向性は打ち出されたけれども、審議会意見書が具体的な内容を殊さらに避けた部分の一番大きな問題として、裁判官、裁判所職員の増員の問題について、最高裁当局を呼んでいますが、この審議会の意見書を受けて、本当に今の最高裁はどのぐらいの数が必要だと考えているのか。

 意見書には、注書きとして数字が出ています。審議会に対して、当時の最高裁がこのぐらい必要だという数字を出した、それが注として盛り込まれているんですが、しかし、それは注であります。審議会の意見書は大幅な増員というのが結論でありますから、この審議会の意見書を率直に受けとめてやりたいという答弁を、最高裁の事務総長は一昨日の参考人の陳述としてやったわけですから、改めて、では具体的に何人ぐらいが必要だと考えているのか、ここで答弁を求めます。

中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 最高裁判所では、審議会に対して、裁判所の人的体制を充実させる方策として、この十年間で約五百人の裁判官の増員が必要であるというふうに申し上げました。これは、現在の事件数を固定して、これをふえないものと仮定したものとして言ったものでございます。

 しかし、例えば弁護士増ということが成りますれば、当然のことながらそのことは事件数を押し上げる要因になりますので、そういったところを、事件数がふえてまいりますれば、当然またそれはプラスアルファとして増員が必要であるというところもまた申し上げたところでございますけれども、残念ながら、私どもの考えと異なり、その五百という数字だけがひとり歩きをしておる、そういう状況でございますので、そのあたり、御理解いただきたいと思います。

 ただ、裁判所としてもう一つ申し上げておきたいことは、裁判官のこのような大幅な増員ということにつきましては、裁判所の戦力となり得る優秀な弁護士等からの任官者が大幅に増加するということが大前提であります。これが実現できませんと絵にかいたもちになるということで、弁護士任官が非常に重要であるというところを考えていることにつきましても、改めて御指摘させていただきたいと思います。

木島委員 もう時間ですから終わりますが、こういう具体的な、日本の司法制度の中核を担う裁判官が一体何人必要なのかという一番大事な問題だって、これからなんですよ。それだけに私は、この意見書を受けてこれを推進するに当たりましては、立法化作業に当たっては、本当に、全面公開と国民の意見を徹底的に聞いてしっかりした論議をする、そういう意味では推進体制の国民的基盤が非常に大事だということを最後に重ねて主張いたしまして、質問を終わります。

保利委員長 午後零時三十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十分開議

保利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。

 司法制度改革推進法案の質問をやる前に、先日一般質疑で公安調査庁の外国人登録原票の請求にかかわる問題について幾ばくか聞き残しがあったものですから、そのことを簡単にお伺いしておきたいと思います。入管局長には御足労いただいております。

 この間、国と地方公共団体の機関委任事務が法定受託事務に変わったということで、いわば通達の裁量行政が廃止されて全部法律に書き込むということになりましたから、今回の請求については、公安調査庁は破防法二十七条に基づいて請求された、出す方は、外登法、外国人登録法の第四条の三の四が根拠になるよというお話だったと思うのです。

 ちなみに、それ以前、言ってみれば機関委任事務の時代でしたら、その種の問題がもし地方自治体から、これはどうしたらいいかとかいうようなことで、仮に不明な点があれば請求元に問い合わせるよう等々指導もされておられたようですし、実際、せんだっての御質疑で私自身紹介させていただいたように、担当者の方から事務連絡、通達めいた文書も流して、こういうふうに対応しなさいというようなことも指導されていたと思うわけですけれども、現在はそういうことはなされておられるのでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 法定受託事務になって以降につきましても、各市町村から私どもの登録課の方に照会がございます。それで、照会に対して、照会に応じたしかるべき回答と申しますか、助言という形でお答えしているのが実情でございます。

植田委員 もちろんそれは、ああしなさい、こうしなさいという話ではございませんよね。法律にのっとって、こういう根拠があるので、受け手としてはこういうことになるでしょうということだろうと思うわけです。

 ただ、基本的に法律に全部書き込むということになって、それにのっとって地方自治体は地方自治体として対応するということでございますから、その関係性においては、例えば、それぞれの当該自治体と法務省というものが、要するにこういう関係にあるわけではなくて、法にのっとって水平、対等な立場にあるのだなというふうに理解を一応しておいてよろしいわけでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員今説明いただいたとおりのことでございまして、法定受託事務になった以上、国と地方公共団体の関係につきましては、いわば対等かつ協力、そういう関係に変わったことはそのとおりだろうと思います。

植田委員 私自身は、今回のかかる調査そのものが問題だと考えている立場ではございますが、もちろん法務省さんは、それはそれとして、今回の請求そのものに法的な問題はないということは、せんだってさんざん聞いております。

 手続上問題ないと理解をされているということを押さえた上で、とするならば、仮に、法務省が法的な手続には問題がないと当然ながら理解をされた、しかし、実際請求を受けた自治体側がどうもこの調査そのものに問題があるんじゃないかという疑問を持つ場合というのは当然あり得ると思うわけですが、その点についての御所見はいかがですか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員御説明いただきました、今回問題になっている事案に関しまして、ことしの八月以降、幾つかの地方自治体の方から私どもの方に、外国人登録原票の開示請求につきましては、外国籍住民の人権により一層配慮して開示請求をするよう関係機関に図られたいという趣旨の要望書が参っておりますので、その関係の状況は私どもの方も承知しております。

植田委員 今入管局長が紹介された、ほかにもあるのかもしれませんが、私が承知しているのは、八月二十八日付で政令指定都市が外国人登録制度の改善に関する要望書というものを出されている、その一つの項目の中に今の実際御答弁で紹介いただいた事項があるわけです。

 この場合、政令指定都市になるだろうけれども、例えば、開示の請求があったときに、請求事項の精査が行われたのかどうか自治体側としてはどうも疑問の余地があるとか、また、本当に請求した方の当該業務に係る必要最小限の事項として向こうは請求してきているんやろうかとか、また、ここで書いてありますように、外国籍住民の人権に配慮しているんだろうかとか、当然、自治体側が疑問を持つ場合があるでしょう。そういう場合、実際に、今御紹介いただいたようなこういう要望も、地域の中でさまざまな住民の方からの要望を受けながらやはりこういう要望書を出されたわけでしょうが、請求内容によっては、法務省は法的な手続上問題はないとおっしゃったとしても、どうもそれは問題があるんじゃないやろうかと自治体側が疑問を持つケースは当然出てくるだろうと私は思うのです。

 事実認識として、そういうことがあろうということは事実としてあるんじゃないかと思うのですが、その認識についてまずお伺いできますか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今の関係で申し上げますと、仮定の話でございますけれども、一般的に申し上げましたら、個々の具体的な請求が将来出て、個々具体的に各市町村側が判断をするわけでありますので、委員がおっしゃっているような場面というものは当然想定されるだろうと思います。

植田委員 もしもの話にお答えいただくのは心苦しいわけでございますが、例えば、私が今住んでおります奈良県大和高田市、植田至紀というのが大和高田市長であったとしましょう。今回のような請求が公安調査庁から来た、でも、市長たる私は、これはだめだ、出すなといって開示を拒否するといったケースがもしあった場合、その件については法務省はいかなる見解をお持ちになられますでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今の件につきましても、あくまでも一般論としてお答えせざるを得ないわけでありますけれども、先ほど来申し上げていますように、その手の請求につきましては、基本的には、その請求を受けた地方公共団体の方でそれの妥当性というものを判断することになるわけでありますので、当該大和高田市でしたか、市長の方が、それは妥当性のない、必要性のないというふうに御判断されれば、それはそれで一つの判断だろうと思います。それはそれとして、私どもとしては、そういうことをやったことについては尊重せざるを得ないと思います。

 したがいまして、それが極めて逸脱しているというふうな、法に違反しているとかそういう場合になればまた別の対応があろうかと思いますが、そういうことでない限りは、それはそれの判断として尊重せざるを得ないというふうに思います。

植田委員 それだけ聞けば結構でございます。

 確かに、実際、法務省側からしてみれば、形式的要件を満たしておったら請求を拒否するという理屈づけはなかなか大変だろうということですけれども、間々そういうこともあり得る、そのときはその判断を当然ながら対等の立場として尊重せざるを得ないという御答弁でございます。だから、今回のケースでも、言ってみれば、自治体がしっかりしておって、外国人の人権に配慮した対応、それは法務省からしてみればどうもおかしいなと思っても尊重せざるを得ないというふうに私は受けとめたいと思います。

 この質問は、以上にいたします。

 司法制度改革推進法案にかかわって、既に、主な論点については、昨日もありましたし、また、きょうの審議の中でもありますので、幾つかかぶるところは承知しておりますけれども、丁寧に審議をしたいということでございますので、私なりの問題意識に従って幾つかお伺いしたいと思います。

 まず、今回の司法制度改革の基本目的にかかわってということで何点かお伺いしたいのですが、せんだって、この推進法案、本会議で代表質問を我が党の保坂議員がさせていただいたわけですが、その際の法務大臣の答弁にかかわって幾つかお伺いをしたいのです。

 といいますのは、そのときに我が党の保坂議員が代表質問でお伺いしましたのは、議事録でいきますと、「この司法制度改革推進法案が最大に重視すべきところは、まさに国民の視点、その一点であるということをまず確認させていただきたい」というふうにした上で、特に、法案に規制緩和や社会経済情勢の変化はうたわれているけれども、人権の実現という言葉がないことを指摘しながら、「人権の実現とは、司法制度改革の目的であり、基本ではないでしょうか。」ということで質問をしているわけです。

 それに対する、ここの部分に係る法務大臣の答弁は、「今般の司法制度改革により法の支配を拡充、発展させるということによりまして、国民の基本的人権の擁護も図られていくものと考えております。」と答弁なされているのです。この答弁でいけば、保坂議員が聞いているのは、国民の視点、その一点を法案が最大重視すべきなのではないかと問うているわけですが、そのことにはお答えいただいていないということと、保坂議員がここで聞いたのは、この文脈を読みますと、司法制度の改革の目的、基本に人権の実現があるのじゃないかというふうに聞いているのであって、司法制度の改革の結果について聞いているわけではないと思うのです。

 ですから、ここでは法務大臣の方から、基本的人権の擁護のために司法制度改革をするのですよ、そういう明快な御答弁をいただければと思います。お願いいたします。

森山国務大臣 司法というものは、およそ国民の基本的人権を擁護し、社会正義を実現するという役割を持っているわけでございまして、この法案の第一条に言います「司法の果たすべき役割」にもこのような内容が含まれているということは当然であると思います。この法案はそれを前提といたしまして御審議を願っているということでございます。

植田委員 大体察しのつく答弁でございますが、一条にかかわる話はちょっとまた後でお伺いいたします。

 保坂議員が代表質問で伺った点について、もう一つお答えいただきたいのです。

 今申し上げました質問に続いて保坂議員が、政府がこれまで薬害エイズであるとかハンセン病患者の隔離政策、また大気汚染等々の行政責任を否定し続けてきた、まずその事実を指摘した上で、「司法制度改革を前に、政府は行政責任をこれまで以上に率直に認め、真実を明らかにしていく覚悟と姿勢があるのか」ということを端的に聞いたわけです。この点について、森山法務大臣の方は、「事後チェック型行政への転換は、消費者、生活者本位の経済社会を実現するためでございまして、行政の責任逃れというものではないと思います。」と答弁されているのです。

 確かに、言ってみれば、保坂議員の質問の部分で、事前規制型から事後監視型になって、要するに行政の側は、文句があったらあんたら裁判に訴えなさいということがあったらだめよという趣旨のことを保坂議員流の言い回しで言っているのですけれども、ここでの質問は、事前規制型から事後監視型への行政の転換そのものについて論及しているわけでもありませんし、また、それがけしからぬ、けしからなくないということを言っているわけではないわけです。

 むしろこの部分は、言ってみれば、質問の話の中での一つの修飾語句なわけなんです。ですから、保坂議員の言葉をかりれば、国民の健康と安全のために必要な規制をサボタージュすることがあってはならないのだからしっかりとやれということですし、また、今紹介いたしました法務大臣の答弁をおかりすれば、まさに消費者、生活者本位の経済社会を実現するためには、政府が、みずからのあり方、これまでのあり方を、またこれからもそういう意思を明らかにしなければならないと思うわけですが、真摯に検証する、そして行政責任を否定することなく真実を明らかにするという姿勢が、過去のことにかかわってもそうですし、これからもそういう検証を常にやりながら行政というものはあるのだという姿勢が必要なのではないかと、私は保坂議員の質問を本会議場で聞いておったわけです。

 改めて、その点についての法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

森山国務大臣 植田議員のおっしゃいますことは基本的に私も同じ考えでございますが、消費者、生活者本位の経済社会を実現するために規制緩和等が推進され、社会が事前規制型から事後監視型に転換することに伴って司法の役割がより一層大きくなっているというふうに思うわけでございまして、司法制度改革が進められますことによりまして、そして司法がその役割を十分に果たせるようになるということによりまして、社会的弱者の保護、救済も図られることになると考えるわけでございます。

 先生の御指摘を踏まえまして、そのようなことを十分踏まえながら、真摯に司法制度改革に取り組んでまいりたいと思います。

植田委員 司法制度改革に真摯に取り組む前提の一つとして、かつてのそうした行政のいわば責任を認めてこなかったという事実について、真摯に改めて見詰め直す、そしてまた、今後もそうしたことについて常に検証をするということについてはよろしいということですね。

森山国務大臣 先生の御指摘を真摯に受けとめてまいりたいと思います。

植田委員 受けとめていただいたということは、そのとおりだというふうに日本語として理解するのが至当ではないかと思いますので、次に進みます。

 ここでは、幾人か、各先生方も聞いておるのですが、これを聞かぬことには、我々、法案に反対する理由の一つでもありますので、ちょっとダブるのですが、伺いますが、この第一条についてはやはり聞かぬとおられぬわけです。

 ここで、「国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要になることにかんがみ、」とあるわけです。ちなみに、我々、この意見書のすべてを首肯できるという立場ではありませんが、先ほども御紹介されておられましたけれども、「今般の司法制度改革の基本理念と方向」という三ページ目のこの文章は、全体の中でも実に格調の高い文章だと私は思います。実際、冒頭四行目から「「法の精神、法の支配がこの国の血肉と化し、「この国のかたち」となるために、一体何をなさなければならないのか」、「日本国憲法のよって立つ個人の尊重と国民主権が真の意味において実現されるために何が必要とされているのか」を明らかにすることにある」と、この司法制度改革の根本的課題を二つの柱として、これが設定課題になるわけですね。そして、そこからるる書いてあるわけです。「我が国は、直面する困難な状況の中にあって、政治改革、行政改革、地方分権推進、規制緩和等の経済構造改革等の諸々の改革に取り組んできた。」云々、そして、「今般の司法制度改革は、これら諸々の改革を憲法のよって立つ基本理念の一つである「法の支配」の下に有機的に結び合わせようとするもの」ときているわけです。

 こうした中身を読ませていただいて、改めてこの条文を読みますと、やはりこの一条は、あたかも規制緩和を後追いするのが主目的であるかのように、矮小化されているなというふうに思わざるを得ないわけです。大体、こういう法案を出されるときは、条文には書き込まへんのやったら、提案理由説明ぐらいにはちゃんと書き込みましょうというのがかわいらしいわけですけれども、提案理由説明でもほとんど同じことしか書いていないわけです。そういう中で、私としては、この一条が非常に矮小化されておるのじゃないかというふうに思わざるを得ないわけでございます。

 冒頭申し上げました人権の尊重というものについて、当然それは言わずもがなのことであるというふうに大臣はこの間答弁されておるわけですが、言わずもがなのことを法案の一条に書き込むことによって、この法案のバランスなり中身、また立法目的等々が著しくふつり合いであるとか不都合が生じるのでしょうか。不都合が生じるのであればその理由を御教示いただきたいと思いますし、不都合が生じないのに、それやったら根本原則を書けばいいじゃないかと素朴に思うわけです。何ら不都合がないのに書き込まないというのは、書いたらまずい何か合理的な理由があるのかな、私は素朴にそういうふうに疑問に思うのですが、その点はいかがでしょうか。

森山国務大臣 先ほども申し上げましたように、司法が、国民の基本的人権を擁護して、社会正義の実現を図ることを役割としているというのは当然のことでございまして、この意見書の冒頭に非常に格調の高い文章を書いていただいていることは私も読ませていただいておりますが、この法案は、これからこの意見書をちょうだいした上でいろいろ具体化していかなければならない、その作業をするための舞台をつくる、枠組みをつくるということがこの法案自体の目的でありますので、人権の尊重とか社会正義の実現とかいう、当たり前のことというか、大前提を改めて言う必要はないのではないかというふうに思います。

植田委員 いや、実現されておったら別にそれで結構なんですね。憲法で定めておるところの基本的人権を尊重しなければあかんといったって、現実にはそうではない。時として政府ですらそうした人権侵害というものを長きにわたってやってきた、その歴史というものは事実明らかになっているわけです。だからゆえに、このことに私はこだわるわけなんですね。言わずもがなのことだから書かぬでもよろしいんだということではないだろうと思うわけです。

 現実に、その大前提がまだ克服すべき課題であって、少なくとも基本的人権というものはあまねく確立されておらぬ。しかも、諸々の具体的政策なり、また、ここで言うところの司法制度改革を展開するにおいても、すべてのそうした施策に貫通されていなければならない、言ってみれば一番基底にあるものだと思うのですね。少なくとも現状を見たときに、そうしたことを書き込むことが、不都合ではないようですけれども、必要がないというのは、私は法律の専門家ではございませんから、いや、そんなものは書かぬでもいいのだとおっしゃる専門家もいらっしゃるのかもしれませんが、そこには非常にこだわるわけです。

 ですから、当然ここではそんなことはすべて織り込み済みなんだというふうにおっしゃるけれども、織り込み済みだといいながら、社会の実態はそうではないがゆえに司法制度改革というものが国民のために求められたのじゃなかろうかと私は思いますから、やはりそこは、書き込むことに不都合はないのだったら、ちょっとぐらい書き加えても不都合はないとおっしゃっていただければありがたいのです。

森山国務大臣 先ほども申し上げましたように、意見書は非常に格調の高い言葉でそのことを特に強調しておられます。その意見書をいただいて、それを最大限に尊重し、その精神を具体化していく舞台をつくるための法案でありますので、この場合はこれでよろしいのではないかというふうに思います。

植田委員 では、私の方が仮に百歩譲ったとして、さっきもその質問の冒頭申し上げましたけれども、条文に書き込むことまで要らぬだろうといっても、それだったら、大前提として、提案理由説明のところぐらいには書いたって不都合はなかったじゃないかと思うのです。何でそこまで書くのを嫌がられるのですか。私は条文に書けと言うているわけですよ。決してそこは日和るつもりはないのですけれども、せめて提案理由説明ぐらいには書いたって別に何の不都合もないじゃないですか。

 かつて、議員立法で、人権擁護施策推進法をこしらえようということでいろいろ議論して、最終的に出たわけですが――あれは議員立法じゃなかったかな。人権擁護施策推進法というものを出したときも、これも審議会を設置するだけの法律だったのですよ。でも、さまざまな問題があり、基本的人権の云々ということはちゃんと書き込んだわけです。

 ここで書き込むことに別に不都合はないのだから、何で提案理由説明にも書く必要はなかったのですか。

森山国務大臣 提案理由説明でございますけれども、これもこの法案を提案するための説明でございますので、やはり法案に則して御説明することが基本ではないかという理解でこのような文言になったのだと思います。

植田委員 いつまでもこのやりとりをしていると、きちきちやろうと思っても時間が足りなくなってきますが、要するに、書き込むことには不都合はないんだけれども、今回の法案で書く必要はないんだというお話でございまして、それだったらあかんということで、私どもも共産党さんと一緒に意思表示はさせていただいておりますので、それ以上やりとりはいたしません。

 あともう一つ、目的にかかわって、これは五条にかかわるわけですが、確かに、説明を聞いていると、意見書をつまみながら三項目記述しているわけです。そして御説明を受ければ、意見書に書いてあることは全部ここに含まれておるのですと、その御説明は再三いただいているわけですけれども、例えば、司法による行政のチェックに関する記述がないように思うわけです。これも意見書では、本格的な検討を早急に実施すべきと。かなり可及的速やかにやれというような個別課題というのは、やはり記述しておいて不都合はないだろうと思うのです。

 これも、意見書に書いてあるのですからちゃんとそのことも早急にやるのですという御説明をいただけるのでしょうからいいのですが、記述がなかったとしても、この行政チェック関係の立法というのは可及的速やかにしっかりとやられるのですねということだけはせめて確認しておきたいと思いますので、お願いします。

樋渡政府参考人 しっかりやるということはそのとおりでございまして、司法の行政に対するチェック機能の強化につきましては、司法制度改革推進本部の設置後、速やかに所要の検討は開始されるものと考えております。

 なお、本法案第五条の第一号に掲げます、民事に関する、「その解決のため専門的な知見を要する事件その他の事件に関する裁判所における手続の一層の充実及び迅速化」、及び最後の「等」の趣旨の中にこの司法の行政に対するチェック機能の強化というのが含まれているわけであります。

 詳しく申し上げますと、この場合には、行政実体法にかかわる部分とその他の部分、それを除く部分がありますので、行政実体法にかかわる部分を除く部分が先ほど申し上げました長い文章の「手続の一層の充実及び迅速化」に入っておりまして、行政実体法にかかわる部分が「等」という中に含んでおるということでございます。

植田委員 わかりました。

 例えば、例の小田急の一件もありますように、やはりここの部分の検討というものは、これからかなり早急に整備していただきたいところでございますので、あえて取り上げて聞かせていただいたわけでございます。

 続いて、これも話題に上っておりましたので、かぶるところは御容赦いただきたいのですが、四条にかかわってでございます。

 ここは日弁連の責務が規定されているわけですけれども、当然これは、先日の参考人の御質疑でも日弁連さんも了とされておられるわけですし、ないしはそう望まれたのだろうと思いますから、いろいろと聞くのは日弁連さんから大きなお世話やと言われるかもしれませんが、事実経過として、この条文を入れるということについて、当然法案策定の段階で事務方でいろいろ相談されたと思うんですが、その段階でどういう議論があったんですかということと、当然、こういう条文入れますけれどもいかがですやろかということは日弁連さんとも相談されているわけでしょうから、そこでどういう御議論があったのかということについて、まずお伺いできますでしょうか。

樋渡政府参考人 第四条は、日弁連は司法制度改革の実現のため必要な取り組みを行うように努めるものとするという旨、規定したものでございます。

 要は、法曹の中で大多数を占める弁護士が加入しております日弁連、この審議会の意見書の中でも日弁連が取り組まなければならない課題がたくさんありますことから、日弁連のこういった形での取り組みに努める責務というのは必要だろうというふうに我々も考えました。

 そこで、日弁連に対しましても、本法案の目的や概要、責務規定の必要性について御説明を行い、日弁連の御意見も承りながら本法案の作成作業を進めたものでございます。これに加えまして、通常の法案と同様に政府部内の調整を経て、第四条を含む法律案の作成作業を終えたものでございます。

植田委員 いや、これも素朴な疑問なんですけれども、さっき一条のところで、基本的人権にかかわってはかたくななまでに、いや、それは今回の法律では、要するに、推進計画をこしらえて、それをつくるための推進本部をつくるさかいに、そういう法律案で基本的人権のことをわざわざ書かぬでも言わずもがなのこっちゃという御説明やったわけですが、逆に言うと、弁護士法一条できちんと書かれているわけですから、別にこの四条がなくても言わずもがなのことと違うんかいなと私なんぞは思うわけです。

 ではここで、素人に教えてほしいんですが、今回のこの法律でこの四条がなければ画竜点睛を欠くということであるならば、この条文が必要とされる十分条件というのはどこにあったのか。要するに、どうしてもこの条文がないことには法案として、法案の全体としてまずいことがあるとするならば、なくてもいいものを入れたわけじゃないでしょうから、必要だから入れたんでしょうから、その言ってみれば必要十分条件というのを教えていただけますでしょうか。

樋渡政府参考人 先ほども少し申し上げましたように、弁護士は法曹の大部分を占めておりまして、司法制度を支える重要な存在でございます。司法制度改革審議会の意見の中でも、弁護士や日弁連及び弁護士会を対象とした改革等の項目が数多く掲げられておりまして、司法制度改革の実現のためには、政府、最高裁等のほかに、日弁連においても必要な取り組みを行うことが不可欠であるというふうに考えます。

 そこで、本法律案では、日弁連につきましても、司法制度改革実現のため必要な取り組みを行うように努める旨の規定を置いたものでございます。

植田委員 まあよくわかりませんが、よくわかりましたと申し上げておきます。

 というのは、弁護士法一条は、これは「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」と。当然、あまねく弁護士の皆様方はその一条を常に念頭に置きながらお仕事をされていると思うわけでございますが、実際、この二条に定めている基本理念にのっとりまして推進計画が作成されるわけですが、じゃ、その結果すべてにあまねく弁護士は拘束されちゃうんかいなというふうに思うわけです。

 実際、出てきた推進計画を一読した弁護士が、弁護士法一条の私の使命からすればどうもこれは納得がいかないよというような内容が含まれることもあるのと違うやろかと思うわけですが、少なくとも、ある弁護士にとって、この出てきた推進計画とは違う司法制度改革のあり方というものを追求していく権利というものはあるんでしょうか。

樋渡政府参考人 第四条は、日弁連は司法制度改革の実現のため必要な取り組みを行うように努めるものとする旨の抽象的責務を定めたものでございまして、個別の政策課題について日弁連及び弁護士の具体的な対応を法的に拘束するものだとは思っておりません。

 日弁連は、推進本部との間で所要の連絡調整をとりつつ、第二条に定める基本理念にのっとって、みずからの責任において改革に向けた必要な取り組みを行うものとされているのでありまして、そのような枠組みの中で個別の課題に対する日弁連としての具体的な対応が決められていくものと考えておりますので、いろいろな考え方は自由であろうというふうに思っております。

植田委員 次に、七条についてお伺いいたしますけれども、ここで、推進計画を閣議決定した場合に、「遅滞なく、これを公表しなければならない。」というふうな項目、七条にございます。

 計画がつくられて、閣議決定されて、遅滞なくこれを公表するなどというのは、ごく当たり前のことを書いてあるにすぎないんじゃないかと思うわけです。報告するなんということは当たり前でございまして、少なくとも、例えばきちんと国会に報告すべきやぐらいのことは書いたって、これも不都合はないと思うわけですけれども、それは何か不都合があったんでしょうか。

樋渡政府参考人 司法制度改革推進計画につきましては、内閣の責任のもとに総合的かつ集中的に司法制度改革を推進していくとの観点から、これを閣議決定し、その内容を国民全体にお知らせするため、これを遅滞なく公表するということにしております。

 国会からの求めがありましたら、本計画の内容を国会に報告することは当然のことというふうに考えております。

植田委員 審議の経過について、これからこの策定過程の経過についての透明性等々については後で伺う時間があればお伺いいたしますが、今の話をお伺いしていますと、私の聞いているのは、別にそもそもちゃんと国会に報告しますよということを書いたらいいじゃないと私は聞いているだけなんですが、いや、報告せいと言われれば報告しますという中身になっているわけですよ。要するに、遅滞なくこれを公表するなんというのは、そんなものは今の御時世当たり前のことでしょうということを申し上げているわけでして、もうちょっとやはり、この推進計画について公表するなんというのは当たり前なんですから、どういう形で公表するのかということを書き込むのが筋なのと違うかということを私は申し上げたわけです。一々もうお伺いいたしません。

 さて、また続いて、八条関係で、推進本部の中身にかかわってでございますけれども、私は、まあそもそもからいえば内閣にあること自体が疑問あるわけですけれども、ちなみに、この推進本部の中で、国民の参加、国民がこの推進本部に対して物を言うていくことができる、当然国民のための司法制度改革のはずですから、そうした国民の意見を聞く仕組み、反映させる仕組みというものはあるはずだろうと思うわけですが、この第四章では、そうした私の疑問はどこを読めば氷解するんでしょうか。教えていただけますか。

樋渡政府参考人 この法案の中には法律事項としては掲げてございませんが、先ほど来御説明申し上げておりますように、大所高所からの御意見を伺い、この立案作業が審議会の意見の趣旨にのっとって行われているかどうかということの御意見を伺うことができるように顧問会議を設けようとしておりますし、また、立案に当たりましては、幾つかのテーマごとに学者、実務家、有識者等による検討会を開催いたしまして、意見交換を行いながら事務局と一体となって作業を進められるような体制を構築する必要があるとも考えておりますし、また、広く国民の御意見を承るために、インターネット等を通じ、あるいはもろもろの機会を通じて、あるいはヒアリングを行うなどして御意見を伺いたいと思っておりますし、また、我々の進めているところを今度は反対に情報を公開していこうというふうにやっていこうと思っておるところでございます。

植田委員 顧問会議とおっしゃいました。要するに、今の御説明でいきますと、国民参加、国民の意見を聞く、またそれを反映させる仕組みとしてその顧問会議というものがあるというんだというふうに私は理解してよろしいですか。そういうふうに今の御答弁を理解していいですか。国民の意見を聞く、国民の意見を反映させる仕組みとしての顧問会議なんだというふうに理解していいのですかという質問です。

樋渡政府参考人 当然にそういう役割も担っていただけるようになろうと思いますが、顧問会議といたしましては、検討会と違いまして、顧問会議を置きたいというところの趣旨は、もっと大所高所からの御意見を伺いながら、かつ我々に不備なところを御指導していただけるとか、あるいはそもそもが、我々といいますか、この本部の行います立案作業が審議会意見の趣旨にのっとっているかどうかということの大局的な御意見を承りたいというふうに思っているところでございます。

植田委員 先ほど来何度か大所高所というふうにおっしゃるわけですが、さしずめ私などは小所低所から質問させていただいているんだろうと自身励ましながら質問させていただいているわけですが、国民はみんな法律の専門家じゃないわけですよ。やはりそこは、司法制度改革というんでしたらもう少し、司法制度改革というのはだれのためにあるのか、法律を一行も読んだことないけれども法律の恩恵に浴さなければならない、そういう国民のためにどんな改革が必要かというふうに私は考えるわけです。ですから、今顧問会議で大所高所というふうにおっしゃるのはいささか私はひっかかりを覚えます。

 といいますのは、時間がありませんけれども、私の父親なんぞは、田舎に帰りますと、おい、至紀、おれはおまえが代議士になったって全然うれしゅう思わへんけれども、弁護士になってくれたらほんまうれしかったでと申します。うちの父親は中学しか出ておりませんで、二十過ぎるまでほとんど字も読めなかった。そういうのなんか戦後でもいたわけです。それから字を覚えて勉強したわけですが、うちの父からしてみれば、代議士というのは、おまえにしたかて、何や国会でべらべらと理屈こねているだけやろうけれども、人助けはしてへんやないか、弁護士というのは少なくとも人助けしているやないかということも、よう父親、おやじに説教されるわけです。

 でも、そういう素朴な声というものをどう反映させるかということをどこでチャンネルをつくるのか、どこに回路をつくるのかということが、国民の意見を、何もうちのおやじを顧問会議に加えろと言うていませんよ、そんなこと言うていませんが、そういう人たちの思い、声にできへん声というものをどう反映させるのかというのがここでは見出し得ないのですということを言っているわけです。

 ですから、ちょっとその大所高所というのは、私は非常にひっかかりました。むしろ低所から、小所からの思いというものをどうくみ上げていくのかということにこそ問題があるということは私は申し上げたいと思います。

 それで、十四条のところでも、「資料の提出その他の協力」ということで、一つは、関係行政機関、最高裁判所及び日弁連に対して本部は必要なときには協力を求めることができる、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができるとありますし、それ以外の人にも、特に必要があると認めるときには必要な協力を依頼することができるというふうに書いてあるわけですが、これは一方通行だろう。要するに、これはあくまでも主体は推進本部なんです。推進本部が必要やと思うたら聞く場合がありますよということですね。

 では、国民が意見を言いたいときに、一体どこにどういうふうにするんだ。せめて、それはパブリックコメントをとったり公聴会をとるなんというのはもうイロハですから、それぐらいは黙っていてもやらはると思いますけれども、やらへんのやったらやりませんと言っていただければいいですが、一方通行じゃないですか。国民の意見を、ではどこでどういうふうに聞くのですか。少なくともこの条文の中で、そういう意見を聞きながら推進計画の作成に努めなければならないぐらいの条文があってしかるべきだろうと思うのです。

 何でそういう条文を入れることはしなかったのですか。入れて何か不都合があったのでしょうか。

樋渡政府参考人 先生の御指摘のとおりに、当然にそういう情報提供も行いますし、あるいは現在もインターネットをあけておりまして意見も募集しておりますし、いろいろな形で国民の皆様からの意見を聞かせていただいて、できるだけ透明な形での改革を進めてまいりたいというふうに思っております。

植田委員 いや、だから、それはどんな形で聞くのですかということを私は聞いておったのですけれども、それはいろいろな形なんですね。できるだけ透明とおっしゃいましたけれども、できるだけは余計だった、透明でよかったのじゃないかと思います。

 それで、あと、最後二点ばかりお伺いしたいのです。これも記述がないのだけれども、当然そんなこともやるのですよとおっしゃられるのですが、お伺いしたいのです。

 一つは、労働事件に関することが明記はされていないわけですけれども、これも、例えば労働委員会の救済命令に対する司法審査のあり方であるとか労働参審制の導入の当否、労働事件固有の手続の整備等々、これは意見書では早急な整備ということで、先ほどの行政事件のかかわりと同じなんですけれども、これについても当然ながら早急に対応されるのですねということで理解していいのかということでございます。

 その点についてはどうかということと、もう一つも同じ趣旨ですから続けてお伺いいたしますが、民事事件における証拠開示の拡充、これも重要な問題だったと思います。特に、私ども、ですからさきの通常国会でも民訴法の改正には反対したのですけれども、訴え提起前の時期を含めて当事者が早期に証拠を収集するための手段を拡充すべきとたしか意見書にあったと思うのですが、この民事証拠開示に関して早急に再検討を加えるのですねというこの二点、お伺いできましょうか。

樋渡政府参考人 まず初めの労働関係事件への総合的な対応強化の点でございますが、本法案の第五条第一号に掲げる、民事に関する、「その解決のため専門的な知見を要する事件その他の事件に関する裁判所における手続の一層の充実及び迅速化、」及び「裁判外における紛争処理制度の拡充」の中に含まれておりまして、もとより司法制度改革審議会意見にもありますように、民事裁判の充実、迅速化を図る上で重要な意義を有するものでありますことは十分に認識しております。したがいまして、労働関係事件への総合的な対応強化につきましては、司法制度改革推進本部の設置後、速やかに所要の検討が開始されるものと考えております。

 また、証拠収集手続の拡充の件でございますが、これも本法案第五条の第一号に掲げる、民事に関する、「裁判所における手続の一層の充実及び迅速化」の中に含まれておりまして、もとより、司法制度改革審議会意見にもありますように、民事裁判の充実、迅速化を図る上で重要な意義を有するものであることは十分に認識しております。したがいまして、証拠収集手続の拡充につきましても、司法制度改革審議会意見の趣旨を踏まえ、速やかに検討がされるべきものと考えております。

 以上でございます。

植田委員 質疑時間が終了いたしましたということでございますし、委員もお集まりのようですので、以上で終わります。

保利委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保利委員長 この際、本案に対し、木島日出夫君外一名から、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。木島日出夫君。

    ―――――――――――――

 司法制度改革推進法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

木島委員 私は、日本共産党、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました司法制度改革推進法案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の第一は、第一条「目的」の項から「国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要になることにかんがみ」を削除するものであります。

 司法制度改革審議会意見書は、司法改革を求める二つの流れが合流してつくられました。一つは、国民の司法参加を進め、憲法と民主主義、基本的人権を守ることを使命と考える司法改革の流れ、もう一つは、企業の経済活動の一層の自由化、規制緩和を推し進め、事後チェックの役割を司法に求める流れであります。

 しかるに、本条は、後者の立場のみを取り上げており、偏ったものと言わざるを得ません。したがって、この文言は削除しました。

 第二は、第二条「基本理念」について、冒頭に「基本的人権を保障するために」をつけ加えることであります。

 戦後の我が国の憲法は、国民こそ主人公という国民主権の原理に立ち、一人一人の国民が人間として尊重されるよう基本的人権の保障を高らかにうたっております。そして、裁判の使命は、国民の基本的人権を守ることにあり、司法権の行政・立法権からの独立、裁判官の独立も、そのための制度的保障であります。改革審議会の意見書も、司法の役割をそのようなものとして位置づけています。

 そこで、この第二条に、今回の司法改革の基本理念として、基本的人権の保障を明記することとしたものです。

 第三は、第五条第二号に「裁判官の任命手続及び人事制度その他の司法行政の在り方の見直し」を加えることであります。

 第五条第二号は、改革審議会の意見書が立てた三つの柱のうち第二の柱、司法の人的基盤の整備を要約したものであります。そこでは、単に法曹人口の増大や人的体制の充実だけではなく、裁判官の任命手続の見直し、弁護士任官の推進、裁判官の人事制度の見直し、裁判所運営への国民参加、最高裁判所裁判官の選任のあり方など、裁判官制度の改革の必要性をうたっています。

 しかし、改正法案にはこの部分が抜け落ちています。そこで、この部分の改革を推進させるために本文言を追加するものであります。

 第四は、第九条に第二項を設け、「司法制度改革推進計画の作成」「法律案及び政令案の立案に当たっては、それらを公表し、広く国民の意見を聴かなければならない。」との文言を加え、改革推進に当たって、国民からの意見聴取を義務化したものであります。

 改革審議会が審議を全面的に公開し、国民の意見を広く聞いたことが高く評価されていますが、改革推進のためには、一層の公開と国民の意見の反映が必要だと考えます。

 第五は、改革推進体制が官僚主導となることを回避する制度的保障として、改革推進本部のもとに、国民の声を反映できる顧問会議を置き、事務局次長は弁護士をもって充てることにしたものであります。

 以上が修正の趣旨であります。

 今次の司法改革を真に国民的基盤を持った国民のための改革にするために、同僚各位の御賛同をお願いして、提案理由といたします。

保利委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

保利委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。植田至紀君。

植田委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、社会民主党・市民連合及び日本共産党提出の修正案に賛成し、内閣提出の司法制度改革推進法案に反対の立場から討論を行います。

 内閣提出の司法制度改革推進法案は、まず第一に、「目的」において、司法制度改革の根幹があたかも規制緩和にあるかの記述がなされ、司法制度改革審議会意見書の内容をさらに矮小化するものと言わざるを得ません。司法制度は国民の人権確立、救済、擁護の根幹であることをまず明確にすることが求められるのではないでしょうか。

 第二に、司法制度改革推進本部の体制に国民参加の視点が何ら見られないことであります。

 国民の意見を聞くだけでなく、国民の意見が反映される体制こそが必要であるにもかかわらず、これでは官僚主導による恣意的な制度改悪が行われる危険をぬぐい去ることはできません。かかる体制で司法制度改革を進めるとすれば、敗訴者負担制度など司法制度改革審議会で意見の分かれた問題に、慎重な検討が加えられる保証がありません。また同様に、審議会で提起された行政訴訟についても、抜本改革が行われる確証がありません。

 第三に、法案四条において、日本弁護士連合会の責務を定めていることであります。

 言うまでもなく、弁護士の社会的使命は弁護士法一条に定められているとおりであり、司法制度改革の目的を矮小化した法案一条、二条によって縛ることは、弁護士法一条をないがしろにするものと言わざるを得ません。

 第四の問題は、法案からは法務省の自己改革の意思が見えないことです。

 第五条一号で手続の迅速化に言及していますが、被疑者及び被告人の身柄拘束の適正化や取り調べの適正化、公判審理での直接主義及び口頭主義の実質化などを明確にすべきです。刑事司法の自白中心、調書裁判、人質司法といった根本問題に全く触れられていません。

 第五は、裁判所の自己改革の道筋が明らかになっていないことです。

 第五条二号の規定は、判事、検察官の大幅増員、裁判官の任命手続、人事評価のあり方、判事補制度見直しなどの審議会意見書における積極的な提言が全く生かされていません。

 それに対して、我が党と日本共産党が提出した修正案は、「目的」の第一義に人権の確立と擁護を、「基本理念」においては国民の基本的人権を擁護することを明記し、推進本部の構成等についても、国民に開かれた運用に近づけようとするものであります。修正案への委員各位の御理解とその採択を求めるものです。

 私は、司法制度改革は国民参加で行うべきと主張してきました。ややもすれば法曹三者が了とすればそれでよしとしてきたあり方自体を、国民参加の議論で止揚していく司法制度改革こそがまさに改革と言えるのではないかという点を申し上げまして、討論を終わります。

保利委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保利委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、司法制度改革推進法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、木島日出夫君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保利委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田村憲久君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。佐々木秀典君。

佐々木(秀)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    司法制度改革推進法案に対する附帯決議(案)

  本法の施行に当たっては、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 政府は、今後の司法制度改革の推進に当たっては、司法制度改革推進本部に広く国民の意見を反映することができるような、機関の設置及びその他の措置を講ずること。

 二 司法制度改革推進本部は、司法制度改革作業の経過を含む情報について、透明性の確保に努め、国民に開かれたものとすること。

 三 政府は、司法制度改革の推進に当たっては、人権擁護と社会正義の実現の観点を踏まえて、積極的に取り組むものとすること。

 四 政府は、司法制度改革を実効性あるものとするため、裁判所、検察庁等の人的・物的体制の充実等を始め、特段の予算措置を行うように努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

保利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 田村憲久君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保利委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森山法務大臣。

森山国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

保利委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

保利委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。森山法務大臣。

    ―――――――――――――

 商法等の一部を改正する法律案

 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案

    〔本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

森山国務大臣 最初に、商法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を説明いたします。

 この法律は、会社の資金調達の需要が拡大し、その方法が多様化した現在の社会経済情勢のもとで、会社の円滑な資金調達を可能にし、また、新規企業の育成等に資するため、新株予約権制度の創設、種類株式の内容の拡大、新株発行に関する規制の緩和等、株式制度の見直しを行うとともに、高度情報化社会の到来に対応して、会社の作成する書類を電磁的記録で作成し、また、株主が議決権を電磁的方法により行使すること等を可能にすることにより会社運営の合理化を図り、株主の権利行使の機会を確保するため、商法、有限会社法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律を改正しようとするものであり、その要点は、次のとおりであります。

 まず、商法につきましては、第一に、会社は新株予約権を発行することができることとしております。

 新株予約権とは、あらかじめ定めた価額で会社の株式を取得することができる権利で、現行法上の新株引受権付社債の新株引受権がこれに相当するものです。これにつきましては、これまで、新株引受権付社債として、社債との組み合わせでなければ発行できないとされていましたが、新株予約権の単独発行を認めることとし、その発行等の手続を整備することとしております。また、これまで、ストックオプションとして、各別に規定を置いていたものについて、新株予約権の有利発行として整理し、付与対象者や付与できる株式数、権利行使期間に関する規制を廃止するとともに、株主総会の授権決議における決議事項を簡素化することとしております。

 第二に、種類株式の制度を見直し、株式の種類として、新たに、議決権を行使することができる事項につき内容の異なる株式を発行することができることとして、種類株式の内容を拡大した上、このような議決権を行使することができる事項につき制限のある種類の株式については、発行済み株式総数の二分の一まで発行できることとしております。また、利益の配当に関して内容の異なる種類の株式については、定款でその上限額その他算定の基準の要綱を定めることで足り、具体的に配当すべき額については、取締役会等の発行決議において定めることができることとして、種類株式の機動的な発行を可能にしております。さらに、株式会社が種類株式を発行した場合には、株主総会の決議事項とされているもののうち、種類株主がその利益を保護するために必要と考える事項について、全体の株主総会の決議のほかに、定款をもって、その種類株主の総会の決議を要すると定めることによって、その種類株主の利益を保護することとしております。

 第三に、株式の転換に関して、新たに、会社から強制的に転換をすることができる強制転換条項付株式を認めることとし、これに伴い、株主から転換を請求できる従来の転換株式を転換予約権付株式と呼ぶこととして、両者を区別することとしております。

 第四に、株主総会における新株の有利発行の決議の有効期間を延長する等、新株の発行に関する規制を緩和し、株式会社の資金調達の円滑化を図ることとしております。

 第五に、高度情報化社会の到来に対応するため、会社は、その作成すべき会社関係書類を電磁的方法により作成することができることとしております。また、商法上、会社または株主等から行う通知、請求等についても、電磁的方法によることができることとしております。これにより、例えば、会社が株主総会の招集通知をインターネットを利用して行うことが可能になりますし、他方で、株主が議決権の行使を、同様に、インターネットを利用して行うこともできることになります。

 第六に、計算書類の公開に関し、会社は、取締役会の決議をもって、貸借対照表またはその要旨の公告にかえて、貸借対照表に記載され、または記録された情報を、五年間、電磁的方法により開示する措置をとることができることとしております。

 最後に、以上のような商法の改正に伴い、有限会社法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律についても、所要の改正を行うこととしております。

 続いて、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を説明いたします。

 この法律案は、商法等の一部を改正する法律の施行に伴い、非訟事件手続法ほか百十八の関係法律について規定の整備を行うとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。

 以上が、これら法律案の趣旨でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

保利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十日火曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十八分散会




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