衆議院

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第6号 平成13年10月30日(火曜日)

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平成十三年十月三十日(火曜日)

    午後三時四分開議

 出席委員

   委員長 保利 耕輔君

   理事 奥谷  通君 理事 田村 憲久君

   理事 長勢 甚遠君 理事 佐々木秀典君

   理事 平岡 秀夫君 理事 漆原 良夫君

   理事 西村 眞悟君

      荒井 広幸君    熊代 昭彦君

      左藤  章君    笹川  堯君

      鈴木 恒夫君    棚橋 泰文君

      谷川 和穗君    谷本 龍哉君

      西田  司君    松宮  勲君

      山本 明彦君    渡辺 喜美君

      枝野 幸男君    肥田美代子君

      水島 広子君    山内  功君

      山花 郁夫君    青山 二三君

      藤井 裕久君    木島日出夫君

      瀬古由起子君    植田 至紀君

      徳田 虎雄君

    …………………………………

   法務大臣         森山 眞弓君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   法務副大臣        横内 正明君

   法務大臣政務官      中川 義雄君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官

   )            増井喜一郎君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    山崎  潮君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 木村 幸俊君

   法務委員会専門員     横田 猛雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  吉野 正芳君     谷本 龍哉君

  不破 哲三君     瀬古由起子君

同日

 辞任         補欠選任

  谷本 龍哉君     吉野 正芳君

  瀬古由起子君     不破 哲三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七号)




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     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官増井喜一郎君、法務省民事局長山崎潮君及び財務省大臣官房審議官木村幸俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村委員 自民党の田村憲久でございます。代表をいたしまして、御質問をさせていただきたいと思います。

 きょう総務省の方から、きょうの新聞ですけれども、九月の失業率の数字が出てまいりました。五・三%、非常に高い失業率。統計史上一番高いという話でありますけれども、ある意味では我が国に競争力が失われつつある、そういう数字なのかなということを裏返して感じるわけであります。

 今回、このように商法改正という、今までの一連の流れの中の一環でありますけれども、なるべく企業として、お金でありますとか人でありますとか、物も含めてでありますが、いかに効率よく、よりうまく回していくか、よりコストを下げながら、そして意欲を出させながら企業を運営していくか。そういう意味では、改正というものはある意味で必要な部分であろう。

 いろいろと昨今、商法改正を毎年のようにしておりまして、なぜこれだけ小出しでやってこられるのかなという部分もあるわけでありますけれども、これから来年の通常国会を目途に全般的な商法の改正ということも考えておられるようでありますけれども、今回この会社法制の全面的な見直しを検討されておられる、その経緯とそれから基本的な方針、さらには今後のスケジュール、まずもって法務大臣からお聞かせをいただきたいと思います。

森山国務大臣 先生御指摘のとおり、大変経済社会の変動が目まぐるしく動いておりまして、実は会社法制につきましては、会社分割法制の創設を内容とする平成十二年の商法改正によりまして、昭和五十年ぐらいのころから継続してまいりました全面手直しは一応一段落したというところであったのでございますが、その間にも、なお新たな現象が次から次へと出てまいりましたものですから、経済界を初め関係各界から改正要望が寄せられている状況でございます。

 そこで、法制審議会では昨年の九月に、会社法制を新しい世紀に見合ったものとするようにということで改めてまた審議を始めまして、今まだ継続中でございますが、その中で、企業統治の実効性の確保、高度情報化社会への対応、企業の資金調達手段の改善、企業活動の国際化への対応という四つの視点ということに重点を置きまして、大幅な見直しを行うということで審議をしていただいているわけでございます。

 その中で、高度情報化社会への対応の具体化であります株主総会のIT化を主な内容といたします会社関係書類の電子化、そして、企業の資金調達手段の改善の具体化であるストックオプション制度の改善を主な内容とします株式制度の改善につきましては、特に緊急性があるということで、今国会への法案提出を目途として検討を行いまして、九月五日に法制審議会において要綱が決定されまして、法案を提出させていただいたというわけでございます。

 そのほかの事項につきましては、鋭意また御検討を進めていただきまして、来春の通常国会への法案提出を目標としているところでございます。

田村委員 質問通告しておりました二番、三番は、もう今の御回答の中でほぼお言葉をいただいたというふうに御理解をさせていただきまして、第四問の方に移らせていただきたいと思うのです。

 今回の改正の中で、今大臣がおっしゃられましたとおり、ストックオプション制度というものをかなり使い勝手のいいものにしようということで、規制の撤廃といいますか、改正をなされる、そういう御予定であります。新株予約権というような新しい制度、概念ですか、こういうものを導入しながら、その中の一つとしてストックオプションというものを整備したというふうに私は理解をいたしております。

 この概要もお聞きをいたしたいのですが、あわせて、ストックオプションというものを、新株予約権という中において、これの有利発行みたいな形で今回は定義をつけておられると思うのですけれども、こういうふうな形に変えられた理由といいますか、今までは個別具体的にストックオプションという制度を別個商法の中で概念として設けておったと思うのですが、今回は新株予約権という中の有利発行というような形に改正された、その真意というものはどこら辺にあるのか、お聞かせいただきたいのですが。

山崎政府参考人 まず、ストックオプションがどのように変わったかという点を御説明申し上げます。

 まず、ストックオプションにつきまして、現在は個々にいろいろな規制を設けているわけでございますが、その大部分が解消されるというのが大ざっぱな言い方でございます。

 まず、ストックオプションにつきましては、新株予約権の有利発行と位置づけるわけでございますけれども、そして、株主総会の特別決議による授権があれば、新株の有利発行の場合と同じように取締役会の決議によって発行できることにしたということ。要するに、新株予約権というものは、ある将来の一定の期間で一定の価額によって買い受ける権利ということになりますが、その段階で考えれば新株をもらうのと同じになるわけでございますので、機能的には新株の発行とほぼ同じ役目をするという考え方から、その横並びで同じような制度にしているわけでございます。

 そして、新株の有利発行と同様の規制に服するということで考えますと、現在、ストックオプションは定款の定めを要するというふうに言われているわけでございます。それで、その中で正当の理由を要するという旨の規定がございますけれども、これも新株発行の有利発行についてはそういう規定がございませんで、それと規定を合わせるということで、その点は廃止をしているということでございます。

 それからまた、新株予約権を与える者の氏名とか、これに与える株式の種類、数、発行価額、こういうものにつきましても、現行法では株主総会の決議を経なければならないということになっているわけでございますが、これを株主総会の授権の範囲内で取締役会が定めるということにするわけでございます。これも、新株を発行するときの手続のスキームと全く同じでございまして、それと同じ並びにするということでございます。

 それから、ちょっと長くなって恐縮でございますが、ストックオプション、これを新株予約権の有利発行と位置づけたことから、結局、それを与える対象につきましては、必要性がある限りだれに対しても発行することができることにした。現在は、その会社の取締役あるいは従業員に限っているわけでございますけれども、これを限らないということでございますので、これは子会社の取締役や使用人でも結構ですし、また、第三者であります会社に貢献がありました弁護士あるいは経営コンサルタント、そういう者に与えても構わないということになるわけでございます。新株の有利発行、これもどれだけ発行するか、そういうものを決めてもらえば、あとは経営判断で、だれに渡すということ、これはできるわけでございまして、これも新株の発行と同じような考え方に統一をするということでございます。

 それから、新株予約権の目的となる株式の数、それから権利行使の期間についても廃止をいたしました。現行法では、発行済み株式総数の十分の一というふうに制限されております。また、権利行使期間は十年間というふうに定められているわけでございますけれども、これはもともと、さきの通常国会で商法の一部改正が行われておりますが、金庫株法の審議でございましたけれども、その改正になる前に、ストックオプションにつきましては自己株式方式のストックオプションもあったわけでございますが、自己株式の保有は極めて制限的に解されておりました。その関係で、十分の一、それから十年間の行使とか、そういうものが横並びで限定されてきたということでございますが、さきの通常国会におきましてその限定がなくなりました。それと同じ並びにするということから、廃止をしたということでございます。

 一たん、ここでちょっと切らせていただきます。

田村委員 今の御回答にありましたとおり、先般の通常国会で成立しました金庫株、あれが成立をしまして使い勝手がよくなって、いろいろな制限を外したという話でございました。

 現在の商法においては、ストックオプションに関しては規制があって、例えば付与対象者、今も言われたとおり、会社の従業員でありますとか取締役に限定しておったりとか、もちろんその付与する総数というものに対しても縛りをかけている。これは、かけているわけですから、それなりの合理的な理由があるんだと思うんですけれども、どういう理由で現在かけているんですか。

山崎政府参考人 現在、新株引受権のタイプのストックオプションでございますけれども、これが付与対象者が限られているわけでございます。

 これはもともと、将来の一定期間で一定価額で株券を取得することができる権利というものは、現行法の中では、社債とセットになった場合、新株引受権付社債というような形で、そういうセットで認められているわけでございますけれども、その例外としてこのストックオプションがございまして、これは、新株引受権単独で一つの権利になるということを例外として認めているわけでございます。

 そういうことから、これが余り広がってはまずい、要するに、物すごい例外的な制度として設けられたわけでございますので、これが広がらないようにということから、自分の会社の取締役と従業員、そういうふうに限るという規制が設けられたわけでございます。

田村委員 付与できる総数に関しても制限をしておったわけですよね。それ自体も今回は外した。

 一方で、金庫株という形で、原資といいますか配るべき株式を企業が取得しやすくなりましたから、そういう意味からしますと使い勝手がよくなったという話なんですが、当然これは、余りストックオプション自体を付与して権利を行使されるという形になりますと、株式が市場に非常にあふれてくる可能性がある。当然、株式が、需要と供給のバランスが崩れれば暴落するかもわからない。そういう問題点といいますか、憂慮すべきところもありますよね。そういうところに関してはどのような縛りをかけているのか、その部分はどのようにお考えになっておられますか。

山崎政府参考人 確かに、ストックオプション、今回の改正案では数量的な縛りがなくなりました。御存じのように、会社が株式を発行する場合、授権枠がございます。全部を発行しているわけではございませんで、その枠がございますけれども、最大限はその授権枠の範囲内ということでございます。

 しかし、それでは大量に出し過ぎだということもあり得るかと思います。そういう場合には、これは株主総会の特別決議で承認をするということになります。そこで株主がチェックをするという形で、株主の保護が図られているということになります。

 それからまた、この関係で、発行手続等に問題がある、商法上の違法があるというような問題になりますと、発行の差しどめという手続も設けているわけでございます。そういう形で不都合は是正をするということでございます。

田村委員 アメリカの方でも非常にストックオプションというのは使いやすく使われているわけでありまして、うまく、ある意味では企業の社員、取締役も含めて、やる気を起こさせるといいますか、会社が利益を出して株価が上がれば自分たちの利益に直結するわけでありますから、非常にそれはいい制度であると思うんですが、同時に、この付与対象者を制限をなくしちゃったというのは、一方で、今もコンサル等々にこれで渡すことができるという話がございましたけれども、株式のマネー化といいますか、そういうことになっていく可能性は非常に高いんじゃないか。

 よくアメリカなんかで、どこまで本当の話かわかりませんけれども、私も新聞で読んだ限りでありますが、企業をつくるのに、ベンチャーをつくるのにお金は要らないと。要は、株式を使ってどんどんそれをばらまいて、何から何まで株でやってしまう。株が右肩上がりの間はそれでいいんでしょうけれども、今アメリカはITバブルがはじけてああいう状況で、多分、ストックオプションなんか仮に権利を付与されても行使できずに困っている方々はたくさんおられるんであろうなと思うのですね。

 そういう意味からしますと、日本の国にとって、こういうような株式のマネー化というものが世界の潮流といいますかアメリカの流れでありますけれども、そういうものに乗っていかざるを得ないという部分もあると思うのですが、果たしてそこら辺の危惧、心配点という部分に関してはどのようにお考えをいただいておるんですか。

山崎政府参考人 ただいまの点、御指摘の点についてお答え申し上げますが、現行法におきましても新株の有利発行という制度が認められておりますので、新株自体を、例えば会社の業績の向上に寄与した者に付与したり、資本提携先に付与することはもう既に行われております。

 今度、新株予約権につきましても、この新株の場合と同様に利用されることが予想されるわけでございまして、そういう意味で、何らかの経済的な対価に利用されるということ自体は、商法の規定に従って行われる限り、それ自体余り批判されることではないだろうというふうに思われます。

 確かに、株価が上がらないという場合に、社会的な混乱とか引き起こすような暴落とかそういうような場合、これは、これ自体があるからということではなくて、株式市場全体の問題としていろいろ対策を講ずるという問題でございまして、これがあるからそういう問題が引き起こされるとか、そういうふうにとらえるべきではないんじゃないかというふうに私どもは考えているわけであります。

田村委員 お金で払うものを無理やり株で渡すというようなことはないわけでありますから、ある意味では、そこら辺のところは契約される方々は自己責任で考えていかにゃならぬという話であろうと思います。

 さて、当然のごとく、ストックオプション制度が使いやすくなるという話でありますから、そうなってきた場合に絡んでくるのが税制の問題であろうと思います。現行の制度の中において、税制はどうなっていますか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現行の商法のストックオプション制度でございますが、私どもの理解するところでは、社員の勤務意欲、士気の向上、それから優秀な人材確保により我が国企業の業績向上や国際競争力の増大に資する、そういった観点から、自社の取締役及び使用人に限ってその付与を認めている、そういうふうに理解しているところでございます。

 これを受けまして、この政策目的に着目いたしまして、これを支援する政策税制といたしましてストックオプション税制というのがある。税負担の公平にも配意しつつ、一定の要件を満たすものに限りまして相当な優遇措置を講じてきているところでございます。

 具体的に申し上げますと、付与されましたストックオプションを権利行使した際に生じた経済的利益、これにつきましては、本来、給与課税、これは国、地方合わせまして最高五〇%の総合課税が行われるわけでございますが、それを行うかわりに、課税時期を株式を譲渡した時点までまず繰り延べる、さらに税負担につきましても、総合課税を軽い株式譲渡益課税、これは国、地方合計で二六%の申告分離課税ございますが、そういったものに振りかえるということにしているわけでございます。

 なお、現行制度におきましては、無制限に高額な経済的利益についてまで課税の繰り延べとか低い税負担とすることは、やはりこれは報酬や給与を現金でもらった方々との税負担のバランス等ありますので、課税の公平の観点から問題が大きいということで、こうした課税の公平の問題にも配意いたしまして、例えば権利行使価額の総額は年間一千万円以下とする、そういった一定の要件のもとで認めているということでございます。

田村委員 今回、規制が撤廃されて、付与者も原則自由という話になるわけでありまして、もちろん、これ、際限なく何もかも今のストックオプション税制を適用しろなんという話になりますとおかしな話になっちゃいますから、そんなことを私も要望するつもりもありませんけれども、例えば子会社、それもある一定の枠に適用されたような子会社になると思うのですが、そういう子会社に対して親会社がストックオプションを付与する、そして権利を行使するなんという話になった場合に、これは、グループとしてはやはりある一体性というものがそこにはあるんであろうと思うのですね。

 ですから、そういう部分に関して、やはり税制というものを、今の税制のみならず、新しい制度に合わせたような形に枠を広げるといいますか、対象を広げるといいますか、そういう御検討をぜひともしていただきたいなと思うのですが、何かございますか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 税制につきまして、今回の商法改正により、付与対象者の拡大など、ストックオプションを見直したところを受けまして、どうやって税制を考えていくかということで、今先生からも御指摘ありましたように、ただし自動的にその対象者が拡大するものでない、私どももそう思っております。

 具体的にお答えするのはなかなかまだ難しいわけでございますが、やはり、あくまでもこれは政策税制でございますので、そういったことも踏まえまして、その基礎となる政策の趣旨、目的、それから税制措置の効果、さらには先ほども申しました税負担の公平、そういった観点から、私ども慎重に検討してまいりたいと考えております。

田村委員 ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。

 さて、続きまして、種類株制度の見直しについてお聞きをいたしたいのですが、まず概要を簡単にお聞かせください。

山崎政府参考人 概要について申し上げます。

 現在、種類株式として一定のものを発行することができるということになっております。例えば利益、利息の配当とか残余財産の分配、そういう点につき異なる内容の株式を発行するということができることになっておりますけれども、この改正案では、このほかに、議決権を行使することができる事項について内容の異なる株式の発行もすることができるというふうに多様化したわけでございます。これは、企業が自己の判断で資金調達をする、その多様化を図ったものでございます。

 こういう形で多様化を図りますと、どうしても使う数がふえてまいるということから、現在、発行済み株式総数の三分の一までに制限されておりますけれども、これを二分の一までに拡大をするというのが第一点でございます。

 それから第二点は、例えば、利益の配当に関しまして内容の異なる種類株式を発行するという場合に、配当すべき額につきまして、現行法ではその上限の額を決めるということになっておりますが、いろいろ景気が変動いたしますと、その利益も変わってまいりますので、確定額でこれを上限とかされると非常に企業としても困る場合もございまして、柔軟性に欠くという問題もございますので、例えば配当可能利益の三〇%以内とか、あるいは国債の利率に準じたものとか、そういうような一定の基準を設ける決め方も許す、こういうふうに多様化したわけでございます。

 それからもう一つは、この種類株式の種類をふやしますと、種類株主というものがかなりふえてくるわけでございますが、その種類株主は、ある事項については議決権を持つけれども、それ以外には議決権がないという者も出てまいります。そうなりますと、その種類株主の人たちにいろいろ影響がある事項が決められるときに、何も投票権がなくていいのかという問題もございます。そこで、通常の株主総会の議決を経た後に、その利害のある事項については、種類株主の総会、ここでもう一回議決をするということで、いわゆる少数株主を保護する、こういうような制度を設けたわけでございます。

田村委員 投資家といいますか株主自身と、それから企業といいますか、それぞれがうまく利害調整をしながらつき合っていける、そんな改正なのかななんということをお聞きしながら思ったのですけれども、多分、こういうような改正をするためには、経済界からそういうニーズがいろいろとあったんであろうと思うんです。

 今、種類株で議決権を限定したというか、決めた、そういうような種類株式というお話がございました。具体的にどういうようなニーズがあって、どのような種類の種類株式というものが考えられるのか、想定されるのか、今お気づきになられている限りで結構でございますので。

山崎政府参考人 典型的には二つ挙げられると思います。

 一つは、通称で言いますと、トラッキングストックと言っているものでございますけれども、これは、配当額が会社のある営業部門の利益に連動するような株式ということでございます。例えば、子会社がある場合に、子会社の利益が出た場合に、その範囲内に限って利益配当を親会社の株主に与えるとか、そういうような、ある部門の営業成績によって変わってくるというようなものもございまして、これは大いに利用したいという経済界の希望がありまして、これがオープンになるということになるわけでございます。

 それからもう一つは、いわゆる新規企業、ベンチャー企業でございますけれども、ベンチャー企業は、とにかく資産がなかなかございませんので、お金が欲しい、投資してくれる方が欲しいわけでございますが、余りこれをやってしまいますと、今度は逆に経営権がなくなってしまうということもございまして、経営権は残したい、資金はいただきたい。それから、投資する方も結局、経営権というよりも、きちっとした配当をもらえればいいわけでございますので、利益処分案とか営業譲渡、こういうものについては議決権をちゃんと与えてほしいけれども、それ以外はいい、というようなものですね。これはお互いの利益のために非常にいいわけでございまして、こういうものに利用されるということで、典型的なものを二つ申し上げさせていただきました。

田村委員 今お聞きをいたしておりましても、非常に企業が使い勝手がいいといいますか、今言われましたような部分では、ベンチャー企業が非常に動きやすく資金を集められるといいますか、そういう意味では非常に必要な改正であるなと改めて感じました。

 先ほどのストックオプション、新株予約権の話にいたしましても、この種類株の話にいたしましても、それから、もう一点挙がっております情報開示に関して電子化を進めていくという話にしましても、これから日本の企業が世界の企業と戦っていく中においては当然必要でありますし、また、新規の企業が伸びていくためにはいろいろな意味で必要な制度が盛り込まれておるなということを改めて確認をさせていただきました。

 しかしながら、いろいろなところで話を聞きますと、会社法制の改正が余りにも急速度で進んでおりますものですから、例えば、司法試験の受験生ももう戸惑ってしまって、なかなか何を勉強したらいいのかわからないなんというような話も聞くわけであります。そういう意味からしますと、いかにこういう改正を、まあ、これに限ったことではございませんけれども、一連の商法の改正を周知徹底していくか、これが大変重要なことでありまして、制度を変えても、なかなか理解されなければうまく使われないという部分もございます。そこら辺、政府として、どのように対応をされていくおつもりなのか。これは、最後でございますので、大臣からお聞かせをいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

森山国務大臣 確かに、おっしゃいますとおり、経済社会の変動が激しいものですから、会社法とか商法とかの変化、改正が相次いでおりまして、なかなか理解が追いつかないということは現実でございます。

 特に、司法試験を受けようという学生さんなどの場合は、経験がほとんどないわけですので、実感を持ってわかるということが難しいと思います。学生さんばかりじゃなく社会全体にこの知識が正しく伝わって、上手に活用していただくということが目的でありますので、できるだけ実務の運用がやりやすいような適切なPR方法を考えまして、一生懸命広報に努力をいたしたいと思います。

田村委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

保利委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原でございます。

 私の方からは、まず、大臣に二点お伺いしたいと思います。

 まず第一点目は、この商法改正作業ですが、来年に向けて全面的改正に取り組んでおられると先ほどお伺いしました。そんな経過の中で、今回、三点、ストックオプション制度の改善、種類株式制度の弾力化を内容とする株式制度の見直し、三点目は会社関係書類の電子化などを盛り込んだ本法案をある意味で前倒しして、今回、今国会に提出されたわけなんですが、その理由として、田村委員の質問に対して、この三点は特に緊急性を要する事柄なんだというふうに先ほどお答えいただきましたが、その、まさに、特に緊急性を要するという中身をお尋ねしたいと思います。

森山国務大臣 今回の改正法案の中で、株式制度の見直しに関する部分は、会社の資金調達の需要が拡大して、その方法が多様化している現状にかんがみまして、会社の円滑な資金調達を可能にし、また新規企業の育成等に資するために、新株発行に関する規制の緩和、種類株式の内容の拡大、ストックオプション制度の見直しを含む新株予約権制度の創設などを行おうとするものでございまして、特に、景気の長期低迷が続く現在の我が国の経済情勢のもとで、企業の活力を再生し、新規企業の育成を図るために、早急に実現するべき課題だというふうに考えます。

 また、会社関係書類の電子化につきましては、これによって、株主総会の招集通知をインターネットを利用して送信し、また、株主が議決権を電磁的方法によって行使することが可能になるものでございまして、会社運営の合理化を図り、株主の権利行使の機会を確保するためにも、早急に実現する必要があるということでございます。

 改正法は、平成十四年四月一日から施行を予定しておりますが、これは、平成十四年の株主総会からIT化を実現したいという経済界の強い希望によるものでございまして、この国会で改正法が成立いたしませんと、株主総会のIT化がさらに一年以上おくれてしまうということになるわけでございまして、このような理由から、会社法の全面見直し作業を前倒しして、特に必要な部分について今回お願いしているということでございます。

漆原委員 株主総会の決議を要する事項が含まれているということから、今回、この三点を前倒ししたということですよね。

 次に、大臣の本法案の提案理由説明において、こう述べられております。本改正が「会社の円滑な資金調達を可能にし、また、新規企業の育成等に資する」と述べておられます。一般紙も、商法改正でベンチャー企業の支援を急げという、読売新聞などで書かれておりますが、今回の改正を歓迎しています。

 本改正案が、どのような意味で会社の円滑な資金調達を可能にするのか、また新規企業の育成等に資するのか、その辺をもう少し具体的に、大臣のお言葉としてお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。

森山国務大臣 今回の改正法案は、企業の資金調達手段におきまして直接金融の比重が増している最近の状況にかんがみまして、株式制度の見直しとして、新株発行規制の見直し、種類株式の内容の拡大、ストックオプション制度の見直しを含む新株予約権制度の創設などを行うことを主要な柱といたしております。

 このうち、新株発行規制の見直しは、新株の有利発行の決議の有効期間の延長等をするものでございます。また、会社が取引先等により機動的に新株の有利発行をすることを可能にするというわけでございます。

 種類株式の内容の拡大は、議決権を行使することができる事項につきまして内容の異なる株式を発行することができることとするなど、種類株式の内容により柔軟性を持たせるものでありまして、特に、新規の企業が投資家との利害調整を図りながら資金調達を行うことを可能にするものでございます。

 さらに、ストックオプション制度の見直しは、付与対象者や付与できる株式数の上限に関する規制を撤廃するものであり、資金繰りに余裕のない新規企業が弁護士や経営コンサルタントに報酬のかわりにストックオプションを付与することや、金融機関から個別融資を受ける際に貸出金利を軽減してもらうことを可能にするということも考えられます。

 このように、株式制度の見直しは資金調達の円滑を図るものでございまして、特に新規企業について必要とされるというふうに考えます。そのような意味におきまして、新規企業の育成に資するということを申し上げたわけでございます。

漆原委員 はい、大臣、ありがとうございました。

 続いて、これは多分民事局長になると思うんですが、ストックオプション導入の現状について、調査室の資料によりますと、平成十一年度、二万四千四百四十八社を調べたところ、導入している会社は八百二十六、導入検討中というのが千二百三十二社、検討も行っていないというのが二万二千三百九十、これは実に九一%になるわけなんですが、ストックオプション制度は日本の企業にまだ根づいていないのではないのかな。それから、この導入の検討も行っていないという回答が九一・五%もあったというこの数字、数値について、どのようにお考えでしょうか。

山崎政府参考人 ただいま御指摘のとおり、全体から比べれば、導入している会社はまだ少ないという状況をあらわしているかもしれません。

 ただ、現時点ではそうでございますが、この制度、我が国に取り入れてまだそれほど間がないわけでございますし、それから現在ではいろいろな規制がかかっておりまして、数量の規制もございますし、付与する対象者の規制とさまざまございまして、まだまだ十分に使い勝手がいいものになっているとは言えない状況でございまして、私どもとしまして、これの規制を、一種の規制緩和みたいな形でございますが、緩和して使い勝手がいいものということになればもっともっと使ってもらえるのではないか、そういう期待を込めて改正をしているということでございます。

漆原委員 法案の中身についてお尋ねしますが、まず新株予約権ということについてお尋ねします。

 現行法は、新株引受権を発行できる場合は、新株引受権付社債とストックオプションの場合に限定していますね。新株引受権付社債は、これは会社の資金調達の方法として利用されてきたわけなんですが、どんな利用状況になっておるのか、また、この新株引受権付社債ということでは利用上どんなことが不都合だったのか、この辺を質問したいと思います。

山崎政府参考人 現行の新株引受権付社債でございます。これは、一般的に、直接金融を受ける方法として企業が発行するという、資金調達の方法として使われているわけでございますが、それ以外に、単独でストックオプションとして使われているということでございます。単独というのは、新株引受権だけで付与しているという形で一般的に使われているわけでございますけれども、これについて、現在、経済界からいろいろな指摘がございます。

 まず、新株引受権について、原則として社債と一緒でなければならないということについては大変不便である。新株引受権を単独で利用することができないのか。それが利用できるならば、例えば個別の融資を受ける際にもこれを利用して有利な融資が受けられるとか、多目的に使える。これを何で一緒にしておかなければならないのかということで、これを単独で発行させてほしいという希望がかなり強くなったわけでございます。

 それからもう一つは、付与の対象者でございますけれども、これにつきましても、会社、企業が統合をいろいろされまして、親子会社、完全親子会社とかそういうものができ上がっていくところに、自分の会社の取締役あるいは従業員だけではなくて、子会社の取締役それから従業員が非常にいい働きをしたという場合に、子会社の株式を与える、あるいは新株引受権を与えるだけでは、これは流通性がございませんので、親会社の株とかあるいは新株引受権を付与したいわけでございます。ところが、現在ではそれができないということになっているわけでございまして、これが非常に使い勝手が悪い、実態に合っていないという指摘がございました。

 経済界はどういうふうにしてそれを逃れていたかということなんですが、逃れてというのは言葉は悪いんですけれども、どういう工夫をしたかということでございますけれども、これは、新株引受権付社債を一たん発行いたします、分離型のものを発行いたしまして、発行して間もなく社債の方は償還してしまいます。そうすると新株引受権が独立して残るわけでございまして、これを、親会社の新株引受権を子会社の役員等に付与するという、いわゆる疑似ストックオプションと言われているわけでございますけれども、こういう形で利用していたわけでございます。

 そういう希望が非常に強かったということと、それから、特にベンチャー企業でございますけれども、発行済み株式総数が非常に少ないわけでございまして、そういう中で、ストックオプションを付与するという場合に十分の一という規制がありまして、これでは足りないということから、その枠を外してほしい、こういうような希望が上がっておりまして、そういうものについて今回いろいろ改正を加えた、こういうことでございます。

漆原委員 わかりました。

 今までは新株引受権は、社債とプラスした場合とストックオプションの二つの方法に限定されていたけれども、今後、この新株予約権という制度ができた場合にどんな利用方法があるのか。どのような利用方法が考えられるかについて御説明いただきたいと思います。

山崎政府参考人 先ほど一部申し上げましたけれども、付与対象者の規制を外すということになりますと、子会社の取締役、従業員にも与えることができるという、その系列会社の中で有効利用ができるということがまず一つでございます。

 それと、対外的な問題としては、顧問弁護士あるいは経営コンサルタント等、会社の経営上に必要な知識とか技術を提供してくれた方に差し上げるということと、それから、ある融資を受けるときに、低利で借りるというようなために、新株予約権ですか、これを付与して有利な融資を受けられる、多目的に利用ができる、こういうふうに経済界としては要望しているわけでございます。

漆原委員 ストックオプションの付与について、改正後は、今申されましたようにストックオプション付与の上限の撤廃。今までは発行済み株式総数の十分の一、これを授権枠の範囲内というふうに広げたこと。それから、付与対象者の制限を撤廃した。それから権利行使期間、これも十年間だったものを撤廃をした。あるいは付与方法の簡素化。そういう意味で、これは大幅な見直し、規制緩和を行っているわけですね。二つの点で、もう一度お伺いします。

 付与の上限規制を撤廃することによって、実務上、企業やストックオプションの付与を受ける者にとってどのような実益が考えられるのか。それから、付与対象者の制限を撤廃することによって、実務上、どのような実益があるのか。あるいは、どんなことを期待されているのか。もう一度まとめて御説明願いたいと思います。

山崎政府参考人 数量的な規制がなくなるわけでございますので、従来、株式の発行数が非常に少ない企業におきましては、まだまだいろいろ利用ができるところについてできなかったところが拡大するという形のメリットは十分あるわけでございます。その受け手の方も、それによってより一層働いて会社の業績を上げるということになりまして株価が上がれば、その段階で定められた価額の権利行使をすれば自分の方にもメリットがあるという形で、双方的にメリットがあるということになろうかと思います。

 これにつきましても、いろいろ指摘されるところはございますけれども、最終的には授権の株式の枠内でございまして、それから三分の二の多数決という特別決議を経るわけでございますので、そういうところで株主の利益はチェックをする、こういうシステムになっているわけでございます。

漆原委員 次の質問にも踏み込んで答えていただいたのかなと思いながら聞いておったんですが、規制が大幅に緩和撤廃をされることに伴って、不当に過大なストックオプションの付与が心配されるところですね。

 この不当に過大なストックオプションの付与の防止、こういうことに対する監視あるいは情報の公開について、この改正法案はどんな措置を講じているのか、教えていただきたいと思います。

山崎政府参考人 ちょっと先ほど先走ってお答え申し上げたかもしれませんけれども、まず、授権枠の範囲内であるということと特別決議が必要であること、その場合も、これは有利発行になるわけでございますので、特に有利な条件をもって新株予約権を発行することを必要とする理由を開示しなければならないということでございます。現行法では正当な理由と言っておりますけれども、そこまで要するわけではございませんけれども、いわゆる合理的な理由、これを開示するということで判断を仰ぐというシステムになっております。

 それから、こういう発行されたものにつきまして、これは登記上でもわかるということで、内容的にもいろいろなものが全部オープンにされるということでございますので、そういう点でチェック機能は働いているというふうに理解をしております。

漆原委員 対象者も枠も大幅に拡大されたわけですね。しかし、今おっしゃったように、現行法では正当な理由を要件としている。それでまた、特別決議の対象としても、取締役あるいは従業員の氏名も特別決議の対象にしているわけですね。しかし、今回の改正法によれば、正当な理由も要らない、また、取締役あるいは従業員の氏名も特別決議の対象としていない、不要だというふうになっているわけですね。

 そういう意味では、権限が広がった割には、逆にシステムとしては要件が緩和されているんじゃないかな。監視システム、情報の公開という観点から見れば、むしろ本来は強めなきゃならぬのが現行法より弱くなっているんじゃないかな、こんな印象を受けるんですが、この辺はいかがでしょうか。

山崎政府参考人 現象的にはそういうふうにお感じになられるかもしれませんけれども、結局、この問題に関しまして一番のポイントは、新株予約権、これは現在の新株引受権でございますけれども、これは将来一定の価額で新株を発行してもらえる権利でございます。もう一つ、すぐに発行する場合の新株の発行がございます。これは、時期が現在なのか将来なのかという点でございまして、最終的には新株を発行してもらえるもの、こういうことにおいては変わりがないわけでございます。

 そうなりますと、現在、新株の発行につきましていろいろな手続が置かれているわけでございますけれども、結局は、新株予約権というものも新株の発行の手続とほぼ同じに考えていいのではないかということで、例えば正当な理由を要するかどうかという問題につきまして、現在の新株の発行手続ではそこまで要求しておりませんで、その理由を開示するというシステムをとっております。それと合わせたわけでございます。

 それからまた、付与の対象者にどれだけの株を与えるかという点でございますけれども、確かにそういうような考え方も、現在非常に極めて制限されている中でとられているわけでございますが、この辺も必ずしもそうでなければならないということはないわけでございます。その発行の枠、限度、これはきちっと株主総会で決めていただきますが、だれにどういうふうに渡すかということは経営判断の一つという考え方も当然できるわけでございまして、現在、新株の第三者に付与する有利発行、この場合も、その枠だけを株主総会で決めていただきまして、だれに付与するかということは取締役会の判断で行うというシステムをとっているわけでございますけれども、それと同じ形にした、こういうことでございます。

 それは政策判断、考え方の一つでございまして、それでなければならないということではないというふうに我々は理解しておりまして、新株の発行と全く同じような並びで考えたということでございます。

漆原委員 確かに、新株の有利発行の場合と同じ構成になっているわけですよね。

 ただ、ストックオプションの制度を議員立法でたしかつくったんだと思いますが、そのときに、ある意味では非常に制限を、発行総数にしても対象者にしても行使年限にしても、あるいは正当理由にしても、ある意味で抑制的な議員立法、法律をつくったわけですね。それにはそれなりの理由があったんでしょうけれども、しかし、それによっても、今こういうふうに新株の有利発行と横並び、同じ法律構成にしても、株主の保護を害することはないんだということだと思うんです。

 ただ、新株の発行、ストックオプションに対する考え方が、つくられたときと現在とで大きく変わったのかな。特に自己株が全面解禁になりまして、この辺の法改正によってストックオプションに対する考え方も根本的に、制約的なものからオープンなものに変わっていったのかなという感じもするんですが、この辺はいかがでしょうか。

山崎政府参考人 確かに御指摘のとおり、このストックオプションにつきましては、スタートが自己株方式で行うものということでございまして、自己株方式で行うものにつきましては、その保有自体が非常に制限的に考えられていたわけでございます。その一態様としてストックオプションが入ってくるわけでございますので、ますます制限的に考えなきゃいかぬということで、思想はずっとそういう考え方でつながってまいりまして、新株引受権方式についても、その思想を引きずっているというのが今までの見方だろうというふうに思います。

 この通常国会で、金庫株法案でそこのところが合理化されたわけでございまして、いわゆる自己株の取得、保有の制限というのを外したわけです。別の形でいろいろチェックを設けるという形になりまして、そこがオープンになったということで、それとの考えの並びでいきますと、この新株引受権方式のものについても同じ並びで考えてくるということになりますと、やはり抑制的なものから自由なものへと考え方が変わってきているというふうに私どもは理解をしております。

漆原委員 種類株の制度について聞きたいのですが、先ほど、議決権の制限株式としては、トラッキングストックとかあるいはベンチャー企業、こんなふうに使われるんだとおっしゃっていましたね。そのほか、これの導入によって実務上この二つ以外にどんな効果が期待できるのでしょうか。特にベンチャー企業に関して、何か資金の調達に有利になる、こんなことが考えられますか。

山崎政府参考人 種類株につきまして、ベンチャー企業はもともと発行済み株式数が少ない中で、それを新たに発行して、それに議決権があるということになりますと、どうしても経営の主導権がどちらにあるかという問題も出てくるわけでございまして、ベンチャー企業は当初資産もなければ利益も上がらないという状況で続けて努力して、あるところで利益を上げていくということになるわけでございますから、どうしてもその間はかなり辛抱を強いられるということになります。経営も安定しなければならないということでございますので、これを利用していただければ経営の方の不安定さはなくなり、株が種類株でございますから、通常の株ではございませんから、若干相場としては安いかもしれませんけれども、少なくとも買い手があれば資金調達ができるということで、経営の安定にもつながるということでございます。

 経営が安定した段階で、その種類株を変更して通常の株にして、経営参加をもうちょっと広げてやるということも可能になるわけでございまして、そういう意味において、新規企業、ベンチャー企業においてこの種類株は大いに使い勝手がいいのではないかというふうに期待をしております。

漆原委員 今回の制度では、極論すれば、普通株でも議決権のない、あるいは制限つき、議決権の全くない株式を普通株で発行できる。本当に、そもそもこんなものを買う人いるのかなと思うのですが、制度としてはそういう制度になった。選択肢を広げたということになるのでしょうけれども、ただ、私も局長も、商法を勉強したときは、株主の基本的権利というのは利益配当請求権と議決権だというふうに私は教わったし、多分局長も教わったんだろうなと思うのです。そういう意味で、現行法は、議決権のない場合は必ず優先株に限るんだよ、優先の取り扱いを受けられないならば議決権が復活するんだよ、こう議決権と優先株はリンクしているわけですね。

 今回は、そういう意味ではこのリンクが全くなくなって、全然議決権のない株でも、最大限過半数を超えない、二分の一を超えない範囲でぐっと会社としては発行できるんだ、こういうふうになったのですが、そもそもこれは株式の概念が今回の法改正によって全然変わるのかなというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 確かに、私も勉強したとき、御指摘の二つの権利があるというふうに習っているわけでございます。

 これは最終的に、では普通株で議決権がないものとした場合でございますけれども、現在は優先株についてのみ議決権がないものとしておるわけですが、この優先というものの考え方なのですが、仮に一円でもプラスであれば優先になるわけでございます。一円とゼロ円、どれだけの差があるかということでございます。それで普通の株式も、株式の通常の配当はされるわけでございますので、それは得られるわけでございます。それがゼロと言っているわけではございませんので、その上の議決権がないものという形になるわけでございますので、私どもとしては、利益の配当が確保されていれば議決権を制限しても問題ではないというふうに考えております。

 また、この種のものについて、現在、例えば利益の優先配当をしない場合には議決権が復活するということが法で決まっておりますが、今回の改正案では、それを法で決めるのではなくて定款で定めて、ある事由が発生した場合には議決権を復活するということを定款で定めて、その事由が発生すればそれが復活するということも設けておりますので、最終的には議決権というものを背景に持っているということで、基本的な考え方が変わったのではないというふうに理解をしております。

漆原委員 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

保利委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょう審議の対象になっております商法等の一部を改正する法律案そしてその整備法でございますけれども、今回の法律改正というのはどういう位置づけに立っているのかということをまずお聞きしたいということで質問を用意したのですけれども、先ほど田村委員の方から同様の質問がありましたので、大臣が答弁された中で、いろいろな要因があって法制審で審議をしていただくということの中で、今回の法律改正、特に急ぐものがあったというようなお話がありました。

 その中で、企業の資金調達手段の確保ということが一つの大きな検討課題であって、今回のストックオプションといいますか、新株予約権あるいは種類株式といったようなものも、企業の資金調達をより円滑にといいますか、より多様化していろいろな手段を講じるということで確保に努めようというような趣旨でこれができているという説明になるんだろうと思うのですけれども、こうした新しい資金調達手段というものを時代の流れに応じて検討していくことも大変重要であろうとは思うのですけれども、では、既存の資金調達手段となっているものについて本当に問題なく行われてきたのかどうかということについても、商法を担当する省庁としては常に見ていかなければならないであろうと思いますし、いろいろ問題が生じているのであれば、それについてきちっとした対応をとっていかなければならないというふうに私は思っているわけであります。

 そういう意味で、今回、直接の法律改正の対象となっているわけではないのですけれども、最近ちょっと話題になりましたマイカルの破綻に関しまして、マイカルが発行していた社債について非常に大きなデフォルトが生じてしまうということで問題になっているという、この問題について少し議論させていただいて、これからの社債発行制度についての法務省、あるいは場合によっては金融庁のお考えも聞いてみたいという意味で質問したいと思います。

 当然のことながら、マイカルの問題については皆さん御存じだと思いますけれども、とりあえずちょっと申しますと、九月十四日に民事再生法の適用申請をしたわけですけれども、マイカルについては、公募で募集しました社債が約三千五百億円、特に、うち個人向けと言われているものが九百億円あるというふうに言われているわけであります。これによりまして、新聞なんかを見ますと、ある第三セクターは百十億円も買ってしまって、これのほとんどが焦げついてしまうであろう、そういう状況に陥ってしまっているということがありまして、一体これはだれに責任があるのかということも議論されているわけですね。

 だれに責任があるかといえば、当然のことながら、買った人がちゃんと判断しなかったのが悪いということであろうかと思いますけれども、格付会社にちゃんとした格付がされていたのか、あるいは証券会社が過度な販売促進行動みたいなことをしたのではないか、いろいろこういったような問題があるわけでありますけれども、ここは法務委員会であるので、私としては、社債管理会社というものが商法で規定されているものとしてこの社債の発行あるいは管理にかかわっているわけでありまして、この問題について少し焦点を絞ってお聞きしたいというふうに思っております。

 このマイカルについてはどういうところが社債管理会社になっているかというと、必ずしも現在、我々が公衆の一人として見ることができるものはたくさんないのでありますけれども、まだ一応、縦覧の対象になっているものをちょっと見てみますと、銀行が四つほどありました。この銀行というのは、社債管理会社という位置づけなんですけれども、他方で、実はこのマイカルに対して、あるいはマイカル・グループに対して多額の融資をしている金融機関でもあるということでございました。私が承知している四銀行について言うと、十三年の三月末で融資残高が千八百億円あるといったような状況でございます。

 そこでまず、質問になりますけれども、社債管理会社、これは商法に規定してありますけれども、商法上、社債管理会社が負う義務、特に我々が関心があるのは、社債を購入した人にとってみれば、社債管理会社がしっかりしていれば防げたであろうデフォルト、あるいはデフォルトに陥ったときの、少しでも多くの金額を回収したいということになるわけでありますけれども、社債管理会社が負う義務というのは一体どんなものなんでしょうか。

山崎政府参考人 商法上、社債管理会社につきましては、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他社債の管理に関する義務等を負うというふうに規定されております。また、その管理につきましては、公平かつ誠実に、善良なる管理者の注意をもってしなければならないというふうに規定がされております。

平岡委員 抽象的に書いてあるだけで、具体的にどんな義務を負っているかというのは、そこを見たんじゃさっぱりわからないということなのかもしれません。

 私が今手元に持っているものの資料の中に、マイカルが出しました発行登録追補書類というのがございまして、これは昨年社債を発行したものに関して出されているものなんですけれども、これを見ますと、この中に社債管理会社と発行会社との関係がいろいろ書いてあるのですよね。

 例えば、この中に書いてある「摘要」という欄を見ますと、「特定資産の留保」というのがあって、社債管理会社というのが、この社債のために特定の資産を留保することができるというような規定であるとか、あるいはその八項を見ますと、社債管理会社というのは、社債権者のために、社債管理会社の権限、義務を履行する上で必要であると認めたときにはいろいろな調査をするとか、あるいは書類の提出を請求するとか、そういうことができるようなことを規定してあるわけであります。

 これについて、今、商法の中で書いてある抽象的な規定のもとでこうしたいろいろな義務を社債管理会社が負っているんだろう、責務を負っているんだろうと思うのですけれども、一体社債管理会社というのは、どういう具体的な義務を負っているのが通常なんでしょうか。あるいは、このマイカルについて言うと、どういう義務を負っていたというふうに考えたらいいんでしょうか。

村田副大臣 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、マイカルの発行登録追補書類の摘要欄に特定資産の留保等について記載をされております。特定資産の留保でございますが、投資家保護上開示すべき情報として定められているわけではありませんでして、マイカルが参考情報として記載したものと認識をしております。

平岡委員 ちょっと今のを確認したいのですけれども、参考情報として書いてあるということは、社債管理会社は、ここに書いてあるような事項についての責任といいますか義務といいますか、そういうものは具体的には負っていないというふうに理解するんでしょうか。

村田副大臣 発行登録追補書類におきまして、募集の対象とする社債についての情報を記載する募集要項の新規発行社債の摘要欄に記載すべき事項は、内閣府令上具体的に定められてない、「摘要」というふうに書いてあるだけでありますので、先ほども申しましたように、マイカルが発行会社として参考情報として記載したものと認識をしております。

平岡委員 いや、私の質問は、例えば社債管理会社と社債発行会社との間でこういう約束をしていますよ、こういう約束をしているから、これを見て、社債管理会社はちゃんと社債の管理をするということだから安心して買ってくださいという意味において、この摘要に書いてあることというのは、その裏づけとなる契約関係というのが社債発行会社と社債管理会社の間にあるのですかということを聞いているのです。

村田副大臣 例えば、ただいまの摘要欄の特定資産の留保の状況について申し上げますと、マイカル側が、社債管理会社と協議の上、同社が所有する特定の資産を同社の他の債務に担保提供を行わずに当該社債のために留保することができることとされておりまして、この場合マイカルは、社債管理会社との間でその旨の特約を締結するものとされていることは承知しているわけでございますけれども、この特定資産の留保につきましては、社債管理会社の責務として行うものではありませんで、あくまで発行会社側の事情で発行会社から社債管理会社に対して協議するものと聞いております。

 いずれにしましても、マイカル社債について言えば、マイカルが社債管理会社との間でそのような協議を行い、その旨の特約を締結したという事実は、私どもとしては承知しておりません。

平岡委員 ついでに、第八項の「社債管理会社の調査権限」というのはどういうふうに理解したらいいですか。

 ちなみに、時間の節約のために読み上げますと、「社債管理会社の調査権限」というところに書いてあるのは、

 社債管理会社は、本社債の社債権者のために、社債管理会社の権限、義務を履行するうえで必要であると認めたときは、当社ならびに当社の連結子会社および持分法適用会社の事業、経理、帳簿書類等に関する報告書の提出を請求し、または自らこれらにつき調査を行うことができる。

こう書いてあるわけですね。ということは、これを見た人は、社債管理会社というのは、自分たちの買う社債について、発行する会社について、何か問題があったらちゃんと調査してくれるんだな、もともと法律の中に自分たちの債権の確保をしてくれると書いてあるのだから、いろいろそれに必要なことをしてくれるんだなというふうに私は理解するのだろうと思うのですけれども、この第八項については、社債管理会社はこういう権限を持っているということを、社債発行会社と社債管理会社との間でそういう約束になっているというふうに理解していいのですか。

村田副大臣 今読んでいただいたように、調査ができるというふうに書いておりまして、先ほどの特定資産の留保と同じように、発行会社が社債管理会社との間でそういう契約をしたということは、調査をしたということは、我々は承知をしていないということでございます。

平岡委員 今私が申し上げたのは狭い範囲の具体的な例なんですけれども、こういうような内容のもの、どこまで契約になっているのか私もよくわかりませんけれども、商法を見ている立場として、社債管理会社はこうしなければならない、こうするものとして社債管理会社を用意するんだという商法で予定してあるもの、それについて、ここに書いてあるようなこういうものについて言えば、これで社債管理会社は商法で定められている責務をちゃんと果たせるものになっているというふうにお考えでしょうか、法務省。

山崎政府参考人 先ほどから、具体的にどのような契約内容になっているかということは承知していないという答弁でございまして、私どもも当然その内容については承知する立場にございませんので、一般的な答弁はちょっと差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 法務省が承知していないということは、社債管理会社がちゃんと社債管理会社としての機能、役割を果たすということについて、どこが見ていくのですか。だれも関知しないという世界に入っちゃうのですか、法務省。

山崎政府参考人 この社債管理会社は、基本的には銀行と信託会社、それ以外にもございますけれども、そういうことで資格が決められておりますので、それぞれ、銀行法なり信託法でございますか、そういう所管をするところが全部権限を持つということになろうかと思います。

平岡委員 それでは、今度は金融庁の方にお聞きしますけれども、今回のマイカルの破綻に際して、マイカルの社債管理会社としての、いろいろ、先ほど言いました金融機関がたくさんおられるわけですけれども、その社債管理会社としての金融機関が、商法に定めている社債管理会社としての責務をちゃんと果たしているというふうに認識しておられますか、どうでしょうか。

村田副大臣 私どもは、もちろん、先ほど御答弁申し上げたように、発行登録追補書類の摘要欄に一定の記載があるということは承知しておりますし、また、そうした記載について、社債管理会社それから発行会社との間で契約が行われたかどうかということも承知をしておりませんが、先ほど申し上げましたように、社債管理会社の責務としてそうした契約をするかどうかというのを把握するということではないというふうに考えておりますので、私どもは承知していないというふうにお答えを申し上げたところでございます。

平岡委員 政府の中でどこも承知していないということになると、一体我々はどういうふうにしてこういう問題について取り組んでいったらいいのかというのがわからなくなってしまうのですよ。それだけ社債管理会社というのはあいまいな存在になっているのかなという気がして、この社債管理会社、もうちょっと法律的な位置づけを明確にしてほしいなということを、ちょっと感想として申し上げたいと思うのです。

 さらに、もう少し聞いてみたいと思うのですけれども、実は、この社債管理会社について言いますと、商法の三百十一条ノ二の二項に、社債管理会社が自分の債権について社債発行会社から担保の供与とかあるいは債務の消滅に関する行為を受けた場合、その後三カ月以内にその社債を発行した会社が支払いの停止をするというようなことであったときには、社債権者に対して損害賠償をしなければいけない、こういうくだりが実はあるわけなんです。

 先ほど言いましたように、今回の社債管理会社というのは、マイカルに対する融資をしていた金融機関がなっているというようなことでありまして、事実関係をちょっと確認したいのですけれども、マイカルの民事再生法の適用申請は九月の十四日でありました。ここで一応支払い停止ということになってくるのだろうと思いますけれども、それ以前三カ月以内に、マイカルからこれらの社債管理会社となっている金融機関はどの程度の債務の返済を受けているのでしょうか。

増井政府参考人 お答えいたします。

 マイカルの社債管理会社となった個々の金融機関のマイカルからの返済額でございますけれども、個々の金融機関の取引のお話になりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

 ただ、いずれにいたしましても、各金融機関、いずれも繰り上げ弁済といったような行為は行っていないというふうに聞いております。

平岡委員 今の答弁は、ちょっともう一度、あれですけれども、債務の返済はあったのですか、なかったのですか。

増井政府参考人 返済額については、先ほども申し上げましたように、個々についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

 ただ、今申し上げましたように、繰り上げ弁済といった行為はなかったというふうに聞いておるということでございます。

平岡委員 繰り上げ弁済はなかったということは、期限どおりの返済はあったというふうに理解をします。

 もう一つ、これは新聞報道なんですけれども、ことしの八月に、やはり社債管理会社となっているある銀行が、五百億円の追加融資をした際に子会社から担保の徴求をしているというふうに記事で書いてある。私も、それは本当かどうか知りませんけれども、これも商法の規定を見ると、担保の提供を受けた場合には損害賠償請求の責めに任じられるというふうになっているわけですね。これは、子会社から担保の徴求をしたという事実はあるのですか。

村田副大臣 個別行の融資取引に関する答弁は、まことに申しわけありませんが、差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 今、委員が御指摘のように、商法第三百十一条ノ二の第二項では、社債管理会社が自己の債権につき社債を発行したる会社より担保の供与を受けたると規定しておりますので、子会社の担保提供まで禁じているものとは私どもは承知していないと考えております。

 いずれにしましても、具体的なケースにおきまして当該責任を負うか否かは、司法の場で最終的に判断をされるものというふうに考えております。

    〔委員長退席、奥谷委員長代理着席〕

平岡委員 最終的には司法の場で決着をつけるということになるのかもしれませんけれども、今ずっと議論してきたように、社債管理会社が、これは今度大臣にお聞きしますから、よろしくお願いします。社債管理会社が要するに社債発行会社の融資機関となっているような場合には、社債を発行することによって資金調達とする一方で、それで余裕ができた分だけ、今度は融資をしている金融機関が自分たちの融資を回収するというような利益相反的なことが行われるということもあるわけですね。

 さらに、今議論しましたように、子会社から担保を徴求するのだったら何の問題もありませんよ、こういうふうに形式的には法律でなっている。だけれども、考えてみると、大体、子会社が融資をしてもらうときには親会社から保証してもらうとか、あるいは今度親会社が清算するときには、子会社の株式を持っているわけですから、その子会社の株式がどれだけの価値があるものかということについて評価して、それで清算されるという非常に密接な関係にあるわけですよね。

 そうしたさまざまな経済実態を踏まえてこの社債制度というものを考えていかないと、本当に今のようなことを、何か知らぬけれども、ある意味では法律に直接書いていないようなことを針の穴をくぐって逃れるようなことをしていたのでは、社債権者は安心して社債なんか買えないですよ。

 先ほどの、私が読み上げた発行登録追補書類なんかを見ても、一体これは契約でそうなっているのだろうか、なっていないかもようわからない。その契約の内容というのも、何か私が見ると、社債管理会社がしっかりと管理してくれそうに書いてあるのだけれども、よく見たら実際は全く何もしていない、こんな状態なわけですね。果たして、こんなので日本の社債制度というのはちゃんと機能するのでしょうか。大臣、どういうふうに思われますか。

森山国務大臣 大変難しい、専門的なテーマでございまして、今、御質問を伺いながら、大変勉強させていただいているところでございますが、御指摘の社債管理会社と社債権者との利益が相反するという問題、そういうことも考え得るかと思いますけれども、現行法においても相当に慎重な配慮がされているところでございまして、現行規定の運用状況等を注意深く見守りながらその見直しの要否について検討していくべきではないかというふうに考えながら承っていたところでございます。

平岡委員 最後になりますけれども、今回のマイカルの破綻を教訓として、社債制度についてどのように改善していったらいいか、そうした点について何かお考えがあったら法務大臣及び金融庁にお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

森山国務大臣 ただいま申し上げましたように、現行の規定におきましてもそれなりに慎重な配慮がされているというふうには思いますけれども、現行規定の運用状況等を注意深く見守りながら、その見直しをどのようにするべきか、するべきであるかないか、詳しく勉強させていただきたいというふうに思います。

村田副大臣 私どもといたしましては、投資家が自己責任原則に基づいて投資判断を行って例えば有価証券を買っていく、こういう事態を前にいたしまして、有価証券の内容や発行会社の事業内容、それから財務内容等につきまして適正なディスクロージャーが行われていることが絶対的に必要だというふうに考えております。

 従来、平成七年までは、適債基準というものあるいは財務制限条項というもので社債を発行できる会社というものを極めて制限してきた、こういうことでございますが、平成八年からそうした適債基準等を撤廃いたしまして、社債の募集等につきましては、当事者間の取り決めによりまして、元利払いの安全性を確保することを目的として社債の発行体に財務上の特約が課される場合には、その内容、発行体に関するリスク情報や発行体が抱えている営業上の課題等について、有価証券届け出書、発行登録追補書類等に記載することといたしましてディスクロージャーの拡充を図っているところでありますし、ことしの六月から、有価証券報告書等の開示書類の提出、縦覧の電子化を段階的に図っているところでありまして、一般投資家がその投資情報、企業情報等へのアクセスが容易になるように努めているところでございます。

平岡委員 私の承知している限りにおいては、有価証券報告書についても、今は金融庁ですか、中身はちゃんと適切であるかどうかということをチェックする権限というのを当局としては持っているわけであって、今回の問題についても本当にディスクロージャーされた内容というものが適切であるのかどうか、本当にそれが開示されたとおりに実行されているのかどうか、そうした点もよく見て開示制度のあり方をよく検討していただきたいというふうに思います。

 そして、法務省についても、本当に社債管理会社の問題、大きな問題があろうと思いますので、またいずれどんなところに問題があったのかということをお聞きしたいと思いますので、よく勉強していただいて、この問題についてどのように対応していくかというようなことを教えていただきたいと思います。

 そこで次の、今回の法律改正に直接かかわる話ではあるんですけれども、株式制度の見直しの部分について御質問したいと思います。

 まず最初、新株予約権についてでありますけれども、先ほど来の議論の中に、これまでの新株引受権については例外的なものであったので、余り広がらないようにいろいろ制限的にやってきたんだというような説明がありましたけれども、これまで、ワラント債、新株引受権付社債というような形で存在はしていたけれども、新株予約権そのものの発行が認められていなかった理由というのは一体何だったんでしょうか。そして、今回の改正においてなぜそれが認められるようになったんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、御指摘のとおり、新株引受権は単独で発行できないで社債とセットでやるという形になっております。現行法が単独発行を認めなかった理由は、結局、新株引受権は株価が権利行使価額を下回るときは無価値になるということになることから、投機性が高いというふうに考えられたことが大きな理由であるというふうに理解をしております。

 それで、それではなぜ今回それをオープンにしたかということになるわけでございます。確かに、こういうようなことから単独発行を認めておりませんでしたけれども、新株引受権が公正な価格で発行されるならば、株式を公正な価格で発行する場合と何ら変わるものではございませんで、その価格の変動による危険は、その取得者、買い受け人が負担すべきものであるということでございますので、これを投機性が高いという理由で排除すべきではないというふうに考えられます。

 これは昭和五十六年の商法改正において導入されたものでございますけれども、この当時におきましては、まだ新株引受権の公正価格の算定方法が確立していなかったということから、その単独発行が認められなかったということになるわけでございます。

 近年の会計処理技術の進歩等に伴いまして新株予約権の公正価格の算定が可能となったために、その発行価額を取締役会における発行決議の決議事項として、新株予約権の行使価額とともに発行条件をより具体的に明示して発行させることが、現行の新株引受権付社債における新株引受権のように、社債の附属物として扱い、その独自の価値を法定の決議事項とする規定も置かず、適切な開示規定もない現行法の規制より適切であると考えたためでございます。単独で将来どういうような価値を持つかという算定方法が確立されてきたということから単独発行を認める、こういう理由によるものでございます。

    〔奥谷委員長代理退席、委員長着席〕

平岡委員 今価格設定が合理的にできるようになった、そういうお話がありましたけれども、その方法というのは一つだけで、だれが計算しても一つの価格に決まるんですか。

 今回、新株予約権の発行価額とかあるいは新株予約権の行使に際して払い込みをすべき金額というものを新株予約権を発行するに当たっては決めなければいけないということになっておりますし、さらにこれらについて、有利発行、有利な条件で発行する場合には特別決議をしなきゃいけないというようなことがあるわけでありまして、この発行価額というのがだれが見ても公正な価格であるというものがないと、こんなことをだれも決められないし、有利発行に該当するのかどうかもわからないということになるわけですけれども、一体、発行価額とかあるいは払い込みをすべき金額について、公正な価格というのはどのように決まるんですか。それは世の中で一つしか決まらないものなんですか。

山崎政府参考人 御指摘の点でございますけれども、新株予約権の発行時点において払い込まれます新株予約権の発行の対価がございます。それと、新株予約権の行使時点において払い込むべき権利行使価額、この合計額が問題になるわけでございますけれども、この合計額は、権利行使期間が決められるわけですが、その期間中におきます株価の平均値、これを中心にして、それより特に低い価格で発行すれば有利発行であるというふうに考えているわけでございまして、問題は、権利行使期間中における株価の平均値ということになるわけでございます。

 例えば、ちょっと時間がかかって申しわけないんですが、一つの例を申し上げますけれども、市場価格のある株式だったといたします。これにつきまして、権利行使期間中における株価の平均値につきましては、その特定の株式の株価の変動は、その株式について過去の株価の変動の仕方と同様になることが多いという経験則、これを前提にいたしまして、その株式の過去の値動きから当該株式の株価のばらつき度合いを求めるなど、統計的な手法を用いてその権利行使期間中に特定の株価になる確率を算出する、こういうやり方でございまして、その株価に確率を乗じたもの、これを算出して、これを全部合算をするということから平均値が求められる、こういう最近の手法でございます。

 これは、やはり確率が入ってくるわけでございますので、それから、過去に値動きがあったものから推測するわけですから、これしかないということではない、幅があるものであるというふうに私どもは理解をしております。

平岡委員 そうすると、今の前提でいくと、有利発行であるかどうかというのはどういうふうにして判断するんですか、幅があるものだとしたら。その幅を超えるもの、その幅がどの程度あるのか、だれがどういうふうにして判断するんですか。

山崎政府参考人 申し上げます。

 ただいま申し上げましたように、権利行使期間中における株価の平均値ということでございますが、確率でございますので、これもかなり推測も入るわけでございます。ですから、幅があるものでございます。それを一種の基準にして、それに比べて特に低いものということで、これが具体的な事案においてどのぐらいのパーセンテージかというのはなかなか一般的には申し上げられませんので、その点は御勘弁いただきたいと思いますが、それを基準にしてやる。やはり幅があるもので基準ですから、若干低かったとかいう程度では問題にならないということでございます。

平岡委員 次に、ちょっとストックオプションの話に移りたいんです。

 先ほどから何人かの方が既に質問されていて、重複しないように努めたいと思うんですけれども、一つ、今回、ストックオプションの対象者の氏名については明らかにしなくてもいいというような形で、規制緩和といいますか、条件が緩められたわけでありますけれども、考えてみると、ストックオプションというのは、ある会社の業績を向上させるということのインセンティブを与えるという意味において、その業績向上とどの程度密接な関係にある人なのかということをちゃんとやはり株主がチェックして、そして、ああ、この人なら業績向上につながるということで自分たちは認めてもいいというような判断をするというふうなことがないと、何か知らぬけれどもむやみやたらに、従業員みんなとか、どこそこの子会社の役員みんなとか、そういうわけにはいかないんじゃないかというふうに思うわけですね。

 そういう意味において、今回、ストックオプションの対象者について氏名を明らかにしなくてもいいというふうにしたのは、そもそものストックオプションの考え方からすると私はおかしいんではないかというふうに思うんですけれども、その点、先ほどちょっとありましたけれども、もう一度説明をお願いします。

山崎政府参考人 ただいま御指摘の点でございますけれども、現行法のような考え方もある、それは当然私どもも承知しております。ただ、これがすべてか、オールマイティーの話なのかということでございますけれども、これは、一定、発行する枠は株主総会ではきちっと決める、しかし、どういう状況でだれに付与するかというのは、それは経営判断の一つとしてそれにゆだねるというのも一つの考え方でございまして、これもあながち否定できない考え方でございます。その選択によるわけでございます。

 先ほど来いろいろ答弁させていただいておりますけれども、要は、新株予約権の発行、その有利発行というふうにストックオプションを位置づけるわけでございますが、もう一つの態様といたしまして、新株の発行をもってストックオプションに使うようなものもあるわけでございます。これに関しては、すべてだれに付与するということを株主総会で決めておりませんで、今回の法案も、その新株の有利発行、これに従ったわけでございますが、枠を決めて、だれに付与するかは経営判断でやっているわけでございまして、機能的には新株の発行と新株予約権の発行を同じに考えてもおかしくはないという考えによるものでございます。

平岡委員 経営判断の一つと言われると、では何で株主総会で特別決議まで要求してやるのかという、その辺に矛盾を来してしまうんじゃないかと思うんですけれども、少なくとも、この人に対してストックオプションを提供してもいいかどうかということについて言うと、ストックオプションというのは先ほど業績向上と密接に結びついたものであると言いましたけれども、その与える相手に、先ほど顧問弁護士とかコンサルタントとかという話が出ましたけれども、例えば顧問弁護士に多額の報酬を既に払っているにもかかわらず、この人にストックオプションをさらに上げなきゃいけない、本当にその合理性があるのかどうか、あるいはコンサルタントについても、多額のコンサルタント料を払っておきながらも、さらにストックオプションを供与する必要があるのかどうか、そうした判断をやはり株主が自分の会社として判断しなければいけない、そういうことになるんだろうと思うんですね。

 そういう意味では、百歩譲って氏名を明らかにしないというふうにしても、どういう人に与えるかということについて、その人がどのような報酬を得ている、既に会社から報酬を得ているといったような会社との関係を明らかにするための情報を公開する、株主に少なくとも判断の基準となるべき情報が提供される、そういう仕組みが必要ではないか。さらに言えば、いろいろ新聞なんかを見ますと、これで多分経営者の方々はお手盛りのストックオプションを相当やるんじゃないかということを心配している向きもあります。

 そういうことを考えると、本当にその人に対してストックオプションを提供することが会社の利益になるのかどうかといったようなことを監視するようなシステムというのを、これは株主総会は最後の決議機関ですけれども、株主総会に対してそういう意見を述べられるような、そうした組織をつくっていく必要があるんではないか、こういう指摘もあるわけです。

 この点に対して、法務省、どのようにお考えでしょうか。

山崎政府参考人 ただいまの御指摘の点につきましては、そもそもこの有利発行をする場合に、その発行を必要とする理由、これは開示しなければなりませんので、個々のだれにということではなくて、どういう用途で使いたいとかそういう必要性は全部開示するわけでございます。その上で株主総会の特別決議を経るわけでございまして、そこで一定のチェックは働いているというふうに私ども理解をいたします。

 それから、もう一点につきましては、例えば役員等に渡す報酬が妥当であるかどうかとか、そういうチェックの問題を御指摘になられているんではないかというふうに思うわけですが、例えば、法制審議会の方でも、会社の機関として報酬委員会制度、こういうものを設けて、その中にどういう機能を持たせるかとか、そういう議論を今やっているところでございまして、現在そこでどういう内容かというのをまだお話しできるところまで熟していないわけでございますが、今御指摘のような点も踏まえまして、その中で一応検討をしていくというふうに考えております。

平岡委員 ストックオプションについて言うと、いろいろな心配をされている向きが多いということでございます。適切な利用がされるようなさまざまな制度的工夫といいますか、枠組みというものをやはり用意していかなければいけないんじゃないかというふうにも思うわけです。

 先ほども、このストックオプションを適用する場合に課税処理がどのようになっていますかというような質問がありましたけれども、今回は、新株予約権について言うと、有利発行のケース、あるいは無償付与のケース、そして無償付与の場合でもさまざまなケースが想定されるわけでありますけれども、これについての課税処理が一体どういうふうになるのかということを多くの方々が関心を持っている、心配しているということであります。

 本来ならば、我々は、そうした課税処理がどのようになるのかということも含めた上で、今回のこの法律制度、新株予約権の有利発行とか無償付与というものが適切な制度になっているかどうかということをチェックしなければいけない立場にあろうかとは思うんですけれども、そこはさておいても、新株予約権の有利発行あるいは無償付与が行われるという今回の商法の改正に対応して、課税処理というのは、どのような考え方に基づいて税制として用意されることになるんでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 今まさに委員から御指摘ありましたところが本題でございまして、今回、改正を受けまして、新株予約権につきまして単独の発行が認められる、それから有利発行が認められる、それから新株予約権そのものの譲渡も認めることとされているということで、本当に大きく変わるわけでございます。

 したがって、新株予約権が発行され、また付与され、それから譲渡や行使が行える、その場合にどういう課税を行っていくかという問題がございますが、まさに今お答えできるのは、その所得の性格や内容に応じまして適正に課税する必要がある、したがいまして、今後、会計処理なども踏まえまして検討してまいりたいということでございます。

 ただ、一つありますのは、ストックオプション、今回、新株予約権の無償付与と構成されております。それから、付与対象者の制限も撤廃されるということでございます。さらに、今申し上げましたが、新株予約権の譲渡が認められる。そういったことを踏まえますと、新株予約権の譲渡や行使の時点などにおける適正な価値を担保する、そういった観点から、新株予約権の付与や行使に関する調書、そういったものの手当て、そういった税制の手当てについても検討していく必要があるんじゃないかと考えている次第でございます。

平岡委員 課税の問題については、そもそもの原則といいますか理論といいますか、公平性とかあるいはまた政策目的とか、さまざまな要素を勘案して構築していかなければならないということであろうと思います。そういう意味では、また今度どういう制度が出てくるのかということを我々としてもウオッチしていきたいというふうに思っております。

 そこで、今、会計処理の話がちょっと出たので、これは参考までに教えてもらったらと思っているんです。

 新株予約権の発行に伴っていろいろお金が会社に払い込まれることになるわけでありますけれども、何か新株予約権とかというような、株と名前がついていると、どうしてもそれは資本というような位置づけで受け入れられるのかなという気もするんです。事実、アメリカでは、ストックオプションについては、全面的ではないのかもしれませんけれども、資本勘定で受け入れるというような会計処理もされているというふうにも聞くんですけれども、一体、今回の新株予約権の発行に伴う払込金というのは、会社計算上どのような位置づけになってどのように処理され、それはどういうところで決めていくことになるんでしょうか。

山崎政府参考人 この点につきましては、まず新株予約権、これは付与の段階、発行段階ですね、このときにその対価をもらいます、それから権利行使のときにも対価をもらう、こういう構造になりますが、最初に付与の時点で発行する発行価額ですね、これは資産の部に計上をするということになります。ただ、資産の部に計上され、そのままにしておきますと利益として使われてしまうわけでございますので、それを避けるために負債の部に同額を計上するということでバランスをとるわけでございまして、結局この金額から配当はされない、そういうふうにまず手当てをいたします。

 それでは、権利行使がされなかった場合、これにつきましては、負債の部に計上した額を取り崩しまして、これは同額の利益として計上をするという形をとります。

 それから、権利行使がされた場合でございます。された場合は、当初に払われた額とこの権利行使をされた額、これを合算いたしまして、当初から負債の部に計上されたものを取り崩しまして、それで合算したものを資本金と資本準備金、これはどちらかに分配をする、こういうような構成を考えているところでございます。

平岡委員 時間がないので、種類株式制度の方にちょっと移ろうと思うんです。

 先ほど、種類株式というのはどのような必要性があって今回認めることにしたのかというような質問に対して、資金調達の多様化を図るんだというような御説明がありました。果たしてどんなようなニーズがあり、それに対してどの程度利用されるのかというのがよくわからないんですけれども、法務省としてはどの程度ニーズがあるというふうに今見込んでおられるのでしょうか。

山崎政府参考人 量的な問題、まだ予測ですし、ちょっと我々としてもそこまでは把握しておりませんので、お答えできないので申しわけございませんけれども、どういう態様で使われるかという問題に関しましては、トラッキングストックを大いに活用するという使い道がございますし、それから、新規企業、ベンチャー企業が経営権を失わない形で直接融資を受けるという手段としてこの種類株式を使う。特に、無議決権、議決権のないもの、あるいは特定の事項についてしか議決権のないものという形で発行して、経営が安定するまでそういう種類株で運営をしていく、こういうことで大いに使われるというふうに私どもは期待をしております。

平岡委員 私は、できる限り質問が重複しないように聞いていますので、態様の方は先ほど二人の委員の方から質問があって答えておられたので、そこはあえて聞かないで、分量的な問題でちょっと聞いたので、もう余り時間がないので余り文句を言ってもしようがないんですけれども、それはちょっと気をつけていますので、よろしくお願いします。

 それで、先ほど漆原議員の方からも、株式の本源的な要因というのは何かというと利益配当請求権とか議決権であるにもかかわらず、今回こんなものができて本当に株式なんでしょうかねという質問がありましたけれども、それに関連してちょっとだけ確認をしておきたいんです。

 ある人が、永久に議決権を行使できないという無議決権株式は認められないだろうというふうに言っている人がいるんです。仮にこんなものが出されてしまうと、どっちだろうかといってみんなが悩んでしまうかもしれません。ここで、一応、解釈の問題として、こんなものは本当に株式かなとみんなが首をかしげてしまうようなものかもしれません。だけれども、先ほどの民事局長のお話の中に、何かとにかく今回いろいろ踏み切ったんだというようなお話がありました。

 永久に議決権を行使できない無議決権株式というものも、この種類株式の一つとして発行することが今回の法律によって認められるでしょうか、認められないんでしょうか。

山崎政府参考人 永久に議決権を行使できない無議決権株式、この発行も禁じられていないというふうに考えております。

平岡委員 禁じられていないということは、出してもだれも文句を言わないということですね。

山崎政府参考人 そういう株式の買い手がいるかどうかという問題でそれは相場が決まっていくということで、それでもいいという方もおられるわけでございまして、配当は配当で、優先ではないんですけれども配当はされるということになれば、一つの権利は守られているという形になりますので、それもあながち否定はしない、こういうことでございます。

平岡委員 この議論は、先ほどの配当とかましているとさまざまな議論が出てきて、配当請求権もないけれども議決権もないというようなことで、またいろいろと組み合わせがあって、どこまでならいいのかというような議論もあるんじゃないかなとは思いますけれども、それはさておいて、ひとつ今回、私は、種類株式制度について非常に大きな不満を持っていることを言います。

 というのは、別に中身ではないんですけれども、実はこれは私、余り詳しくないものですから、今回の法律案とそれからせんだって出された試案というものを見比べながら、こつこつと調べてみました。

 そうしたら、試案と大きく違っているところが幾つかあるんです。幾つかあるんだけれども、それについて余り説明をしていただけなかった。当然、国会議員だから法案なんか見ないでも質問ができるのではないかというふうに思っておられたのかもしれませんけれども、まじめに質問に取り組もうとする議員にとってみれば、ちゃんとその辺を説明してもらわないといかぬなと。国会議員だけじゃなくて国民の皆さんにも、なぜ今回の法案が試案と異なる内容になったのかということについてちゃんと説明して出してもらわないと、みんな困ってしまうわけですね。

 そういう意味で非常に大きな不満があるんですけれども、その点についてちょっと関連して質問いたしますと、例えば種類株主については、試案においては、拒否権を認めるべきでないという事項を幾つか列記しておったんですけれども、今回の新法の二百二十二条の第七項では、そうした拒否権を認めるべきでない事項というのを何も規定していないという状況になっています。これはどのような経緯で、どのような議論によって現在の法律案になったんでしょうか。

山崎政府参考人 確かに、御指摘のとおり、中間試案では列挙しておりました。中間試案ですからたたき台でございますけれども、そういうような考え方と、それから逆に、拒否権を与えるのはこの事由に限らないじゃないか、ほかだっていろいろあるはずだ、全部列挙できるのかという議論も巻き起こしました。そういうことで、この中間試案に挙げたものについて限定列挙はしないで、少数の株主の保護の観点から一般的に拒否権を認めるべきではないかということで、このような改正案になったということでございます。

 これについていろいろな不都合がもしあるということであれば、これは改正案の中にございますが、強制転換条項付株式という制度を今度設けております。定款で一応、一定の事由があったときには強制転換をすることができることを設けておりますので、そういうところでいろいろ問題が生ずる場合には、会社側としては強制転換の事由に当たることを定めておけば、それに当たれば通常の株式にするということで混乱を避けることもできるという制度を設けておりますので、これで通常の事態は解消できるということで、このような改正案にしたものでございます。

平岡委員 今の説明を聞いてすぐぱっと理解できるほど頭もよくないので、今度何か、どうしてそうなったのかというのをちゃんと説明した文書でも下さい。

 それから、もう一つやはり試案と今回の法律案で異なっている問題の中に、株式譲渡制限会社については、数種の株式を発行する場合には、その種類株主総会で何人かの取締役を選任するという制度を提示しておったんですけれども、今回はその点、法律案では何か消えているようにも見えるんです。これは、どうしてこうなったのかということについてちゃんと説明してもらえますでしょうか。

山崎政府参考人 御指摘のとおり、この問題についてはこの改正案の中には含まれておりません。種類株主総会の取締役の選任という点につきましては、会社の機関に関する法制度、これ一般とも密接に関連しておりますので、これは次期通常国会にあわせて改正案を提出したいということでございまして、今回取り上げなかったのは、なくしたという意味ではございませんで、次期通常国会の方で御審議をいただきたい、こういう趣旨でございます。

平岡委員 最後になりますけれども、商法改正という非常に専門的かつ技術的な法律であるならば、少々説明をしなくてもいいんじゃないかというような気持ちを法務省の方々は持っておられるのかもしれませんけれども、やはり我々は、この法案をきちっと審議していかなければならない立場でありますので、そして国民の皆さんにとってみても、法務省は一体どういう考え方に基づいて今回の法案を提出しているのかということをやはり明らかにする意味でも、きちっとした情報開示、そしてそれに基づいた国民的な議論がちゃんとできるような、そういう仕事の進め方をしてほしいということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

保利委員長 次回は、来る十一月二日金曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会




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