衆議院

メインへスキップ



第12号 平成13年11月21日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年十一月二十一日(水曜日)

    午前九時三十五分開議

 出席委員

   委員長 保利 耕輔君

   理事 奥谷  通君 理事 塩崎 恭久君

   理事 田村 憲久君 理事 長勢 甚遠君

   理事 佐々木秀典君 理事 平岡 秀夫君

   理事 漆原 良夫君 理事 西村 眞悟君

      荒井 広幸君    太田 誠一君

      熊代 昭彦君    左藤  章君

      笹川  堯君    鈴木 恒夫君

      棚橋 泰文君    谷川 和穗君

      西川 京子君    西田  司君

      松宮  勲君    山本 明彦君

      吉野 正芳君    渡辺 喜美君

      枝野 幸男君    仙谷 由人君

      肥田美代子君    水島 広子君

      山内  功君    山花 郁夫君

      青山 二三君    藤井 裕久君

      木島日出夫君    瀬古由起子君

      植田 至紀君    徳田 虎雄君

    …………………………………

   法務大臣         森山 眞弓君

   法務副大臣        横内 正明君

   法務大臣政務官      中川 義雄君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   石川 重明君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 上原美都男君

   政府参考人

   (警察庁長官官房国際部長

   )            村上 徳光君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    漆間  巌君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    山崎  潮君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君

   政府参考人

   (外務省大臣官房領事移住

   部長)          小野 正昭君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青

   少年局長)        遠藤純一郎君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            岩村  敬君

   法務委員会専門員     横田 猛雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  中川 昭一君     西川 京子君

  不破 哲三君     瀬古由起子君

同日

 辞任         補欠選任

  西川 京子君     中川 昭一君

  瀬古由起子君     不破 哲三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)(参議院送付)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長石川重明君、長官官房審議官上原美都男君、長官官房国際部長村上徳光君、刑事局長吉村博人君、警備局長漆間巌君、法務省民事局長山崎潮君、刑事局長古田佑紀君、入国管理局長中尾巧君、外務省大臣官房領事移住部長小野正昭君、文部科学省スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君及び国土交通省総合政策局長岩村敬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤章君。

左藤委員 おはようございます。自由民主党の左藤章でございます。

 いよいよ来年五月の末からワールドカップサッカーが日韓共同で開催をされます。今回の入管法の改正はフーリガン対策が目的の一つとなっていると思います。一九九八年のワールドカップサッカー・フランス大会では、フーリガンがどのような妨害行為を行ったのか、また、妨害行為を行った人の中には日本人や韓国の人たちもおられたのか、あるいは日本人や韓国の人以外の外国人はどうだったのか。それと、今月七日に埼玉で、日本代表とイタリア代表のサッカーの国際試合、いわゆるキリンチャレンジカップが行われましたけれども、そのときにフーリガン行為があったのか。これについて法務当局に質問をさせていただきたいと思います。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 一九九八年のワールドカップサッカー・フランス大会の開催期間中にありました主なフーリガン事件といたしましては、イギリス人サポーターが、マルセイユ、ツールーズの郊外からやってきました数百人の若者との間でけんか騒ぎを起こしたという事件がございました。それから、ドイツ対ユーゴスラビア戦に関しまして、フランスの憲兵隊の一員がドイツ人サポーターらに襲撃されて意識不明の重体となりまして、この関係等で約九十人の違反者が逮捕されたという事件があったと承知しております。

 当局におきまして、このフランス大会でフーリガンとして妨害行為等を行った者の中に日本人や韓国人がいたという事実は承知しておりません。

 なお、委員御質問ありました、今月七日に行われました日本代表とイタリア代表とのサッカー国際試合におきましてフーリガン行為があったという事実は承知しておりません。

左藤委員 ありがとうございました。

 やはり日本人は割と静かだなと、ほっとしましたけれども、そのときのフランス大会において、悪質で暴力的なサポーターであるフーリガンに対して、フランスはイギリスの例を倣って対策をしたと聞いておりますが、具体的にどのような対策を講じたのでしょうか。ひとつよろしくお願いします。

中尾政府参考人 ワールドカップサッカーのフランス大会におきまして、フランス政府は、関係各国と協調して種々の対策をとった上、特にフーリガンの関係で申し上げますと、内国治安維持及びフーリガン行為の防止ということで、フーリガン行為を行うおそれのある外国人約千五百人の入国を拒否したと承知しております。

 また、この大会で発生いたしましたフーリガン事件に関しまして、フランス国内での滞在が公共の秩序に対する深刻な脅威があるといたしまして、フーリガン行為を行った十八名に対して国外退去命令が出されたと承知しておりますし、また、同大会の刑罰法令違反者につきまして、百六十八件について刑事訴訟が提起されたものと承知しております。

左藤委員 ということは、かなり激しい大会であった、かなりエキサイトした大会であったということになるんじゃないかなと思います。

 そこで、我が国で来年行われる大会について、入管として偽変造文書対策として偽変造文書鑑識機器を二十一台もう既に配備している、購入しているということですが、補正予算でさらに二十三台を増配備するということとなっています。各空港、港湾の当該機器の相互間のアクセス、実際入ってきたときに、これはどうなっているんだとぱっと中央とのアクセス、これはどうなるのか、その辺の整備、またどういう方向でいくのか、お答えをお願い申し上げたいと思います。

中尾政府参考人 委員御指摘のとおり、全国の主要空海港及び国際定期便を運航している空海港に配備予定の最新鋭の偽変造文書鑑識機器は、合計四十四台ということになるわけでございます。この四十四台につきましては相互に回線で結ばれておりまして、いわゆるオンライン化しております。したがいまして、瞬時に相互にアクセスができるようになっております。

 したがいまして、地方空港の各偽変造文書鑑識機器と、主要な偽変造文書等の資料等を保管し、かなりのノウハウを蓄えております関西空港支局あるいは成田空港支局の偽変造対策室の当該偽変造文書鑑識機器ともオンライン化しておりますので、それとの間で、偽変造文書鑑識機器のそれぞれの基礎的な情報交換もさることながら、当該審査ブース等で発見された偽造旅券等についても映像等で完全に情報交換ができて偽変造のチェックができるシステムになっておりますので、偽変造文書の真偽の判定が今まで以上に迅速かつ的確に行えるシステムが構築できるものと考えておるところでございます。

左藤委員 今、入管局長のお話を聞きますと、機器、そういうものについては非常に整備をされ、かなり万全の体制だ、このように思いますけれども、フーリガン対策とか偽変造文書対策にはやはり入管局の人ですね、人的体制の整備がやはり必要不可欠ではないかなと思います。

 法務省は、平成十四年、入国審査官及び入国警備官をそれぞれどのように増員を要求しているのか。昨年も一部ありましたけれども、この前の質問でも、もっとたくさん、法務当局全体では千人ぐらいどうだろうと言いましたけれども、この入国審査官と入国警備官の増員の要求はどのようになっていますか、ひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。

森山国務大臣 大変いつも激励していただきまして、まことにありがとうございます。

 確かに、機器の整備は重要でございますが、それを操作するのは人間でございますので、人的体制もそれとともに拡充していかなければいけないというふうに考えております。特別に、最近御配慮いただきまして、十三年度中に、年度中としては珍しく一部増強していただきましたが、十四年度の増員要求といたしましては、入国審査官八十人、入国警備官八十人、合計百六十人を要求しているところでございます。

 かねてから、出入国管理については体制整備を含めて強化に取り組んできたところでございますけれども、今後とも人的体制の強化にさらに努めてまいりたいと思います。どうぞ御支援をよろしくお願いいたします。

左藤委員 今、来年度も百六十人ということで、ぜひひとつ我々もしっかりと頑張ってこの予算要求も含めてやらないかぬな、そして、安全な大会になるように頑張らなあかぬなと改めて思う次第であります。

 そこで、今おっしゃった百六十人が新たに入ったところで、今すぐ役立つわけじゃないと思います。ということは、今からやはり職員の研修をしなきゃならない、そういう状況。とりわけ偽変造文書に関する研修及びワールドカップサッカー大会の開催に向けて、職員についてどういう指導をして、どう対策をなさっているのか、大臣にお答えをお願い申し上げたいと思います。

森山国務大臣 入国管理当局におきましては、職員の偽変造文書鑑識に係る技術、知識の向上を図りますために、全国の地方入国管理局の職員に対しまして各種職員研修を実施しておりまして、入管職員全体の偽変造文書鑑識に係る技術、知識の向上を図るように努力しているところでございます。

 また、ただいま御審議いただいております改正入管法案が成立いたしました際には、フーリガン等に係る上陸拒否事由及び退去強制事由等新たに設けられます規定等に関しまして、職員に対してその内容及び運用上の留意点について十分に指導をしたいと考えておりまして、ワールドカップサッカーの適正な出入国管理の実現に努めてまいりたいと思っております。

左藤委員 よくわかりました。ぜひひとつ完全な教育、また研修をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後にもう一つ質問をさせていただきたい、このように思います。

 先ほど中尾入管局長からお話がありました、フランスの政府は一九九八年の大会でいろいろな対策をして無事成功裏に終われたわけであります。ところで、来年の日本、韓国で共催するワールドカップサッカーについて、聞くところによりますと、関係省庁連絡会議をもとに安全対策部会を設置するようでございます。その中で、法務当局はどのような体制で出入国管理を行い、韓国政府とどのような協力関係になっているのか、どのように進めるつもりか、副大臣からお答えをお願い申し上げたいと思います。

横内副大臣 ワールドカップの開催地は全国十カ所に分散をしておりまして、その利用される空港も、成田空港、関西空港だけではなくて、地方の空港まで分散して利用されるということが予想されるわけであります。

 そこで、開催のスケジュールがどうなるかというのが非常に大事なんですけれども、それが確定するのが十二月一日でありまして、具体的に申しますと、大会のファーストラウンドの組み合わせ抽せん会というのが十二月の一日に韓国の釜山で行われまして、そこでこのファーストラウンドにおける、予選リーグにおける我が国で試合を行う参加国と試合の開催日と試合の開催都市が確定をいたします。

 したがって、そのスケジュールが決まりますので、これを受けて、上陸が予想される空港がどこになるか、どのくらいが入ってくるのか、それに対して職員の応援派遣がどれだけ必要かとか、そういう大会に向けての体制の整備に取り組んでいくということにしております。

 また、委員がおっしゃるように、共催国である韓国との連携体制が大変に大事でございまして、これは外務省を中心とした局長級の会合、それから課長級の作業部会というようなものがございまして、これを頻繁に開いております。そして、大会関係者や観客等の円滑な出入国審査とかあるいはフーリガン対策について、今、両国で検討を進めているところでございまして、韓国とは緊密な連携を図りながらワールドカップサッカー大会の成功に向けて万全の協力体制で取り組んでまいりたいと考えております。

左藤委員 どうもありがとうございます。ぜひひとつ日韓両国それぞれ意志疎通をしっかりとやって、この大会が無事でありますように、そして入国管理の不手際がないように、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最後に、警察の方にも、いろいろな事件があるかと思います、そういう面を含めて、警備、そして安全であるように御手配をお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

保利委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原でございます。おはようございます。

 まず、冒頭に大臣に一問だけお尋ね申し上げたいと思います。

 今回の法案は、国際競技会だけでなくて、国際会議に関連して暴行等を行う外国人も上陸拒否や退去強制の対象になっておりますが、これは、過去に米国のシアトルやイタリアのジェノバで発生した暴動事件を念頭に置いたものと考えられますが、新たな上陸拒否事由の運用によっては、NGO等の意思表明の機会を失うことにもなりかねないという懸念がなされております。

 そこで、この上陸拒否事由の新設がこうした団体の活動を不当に制限するものにならないか、この点について大臣にお伺いしたいと思います。

森山国務大臣 改正法案の第五条第一項第五号の二の規定は、国際競技会や国際会議の経過もしくは結果に関連して、またはその円滑な実施を妨げる目的をもって行われる暴行等の具体的な違法行為を行うおそれのある者についてその上陸を拒否するというための規定でございます。

 ですから、国際会議に関連して行われるような集団デモンストレーションとか、あるいはそれ自体を規制の対象とするものではございませんで、先ほど申し上げましたように、具体的な違法行為を行うおそれがあるということでございますので、この規定によって適法に行われるNGOの活動が不当に制限されることはないというふうに考えております。

 特に、上陸審査の場面におきましては、外国人の意思表明の機会を不当に奪うものとならないように、適正な運営ができますよう徹底するつもりでございます。

漆原委員 特にその点をひとつよろしくお願い申し上げて、大臣への質問は終わりたいと思います。

 それでは、入管局長にお尋ねしたいと思うんです。

 この改正案では、退去強制事由として、二十四条四号の三でございますが、「人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したもの」という条文が追加されております。したがって、入国審査官は、殺人罪、傷害罪、脅迫罪、建造物等損壊罪の、これは刑法犯所定の罪についてその犯罪の成否について判断することになります。

 ところで、刑事被疑者または被告人には裁判を受ける権利とか弁護人選任権が憲法で保障されております。また、公判手続では厳格な証拠法則が適用されて、重大な事件については必要的弁護、弁護人がいなければ開廷することはできないというふうに、いろいろな権利が憲法上また訴訟法上保障されております。

 そこで、入管法における審査と刑事手続の関係についてお尋ねしたいと思うんです。

 まず、この六十三条二項にこうあります。「前項の規定に基き、退去強制令書が発付された場合には、刑事訴訟に関する法令」中略「による手続が終了した後、その執行をするものとする」、こう規定しております。刑事訴訟法による手続が終了した後とはどういう意味なのか、解釈を説明お願いしたいと思います。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの、入管法六十三条二項の関係でございますが、刑事訴訟に関する法令による云々とありまして、手続が終了した後ということの意味、解釈でございますが、これは、身柄拘束についての刑事訴訟に関する法令の規定による手続が終了した後、こういうふうに理解をしておるところでございます。

漆原委員 そうすると、身柄に関する刑の判決言い渡しがあった、実刑であれば刑の執行が終わった後、あるいは執行猶予であればその判決の後というふうに解釈していいのでしょうか。

中尾政府参考人 そのように解釈して結構だと思います。

漆原委員 そうすると、この入管の審査と刑事手続が先行したりあるいは並行的になされている場合に、刑事手続の終了前に入管独自が、殺人とか傷害とか脅迫とかという事実認定をして退去強制することはないというふうに考えていいのでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 制度的には、退去強制手続と刑事手続は別個の手続でございますので、入国審査官の事実認定のみで退去強制手続そのものを進めることはできることになっております。

 しかしながら、刑事手続が退去強制手続に先行しまたは並行的になされる場合には、退去強制手続におきましても刑事手続におきます事実認定は十分尊重いたしまして、適正に対処することにしております。

漆原委員 私が確認したかったのは、事実認定だけではなくて、刑事手続が終わった後でなければ退去強制することはないと考えていいかどうかという点を確認したかったのです。

中尾政府参考人 これも先ほど申し上げたとおり、身柄の関係でございますので、退去強制手続というのは一定の調査あるいは審査というものを含む手続でございますので、委員御質問の趣旨といいますのは、送還という執行のことをおっしゃっているのだろうと思いますので、それは基本的には刑事手続が終わった後での執行、身柄のその辺の執行が終わって後の送還ということになろうかと思います。

漆原委員 刑訴法の二百三十九条第二項は、こう規定してあります。「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」こう規定しておりますが、この規定は公務員であります入国審査官に告発義務を課したものというふうに考えてよろしいのでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に申し上げれば、刑事訴訟法二百三十九条二項に言う官吏の中には入国審査官が含まれるものと解されております。したがいまして、入国審査官は、その職務を行う過程で犯罪があると思料するに至ったときには一般的には告発義務を負う、こういうことになっているところでございます。

漆原委員 そうすると、改正法案の二十四条四号の三所定の事由で退去強制される場合は、検察官による不起訴処分の場合を除いてはすべて刑事裁判手続が先行する。換言すると、容疑者は刑事裁判を受けることなく入国管理官の事実認定、殺人、傷害、脅迫、建造物損壊、この事実認定のみで退去強制、送還まで執行なんですが、退去強制もしくは送還という執行をされることはないというふうに理解してよろしいのでしょうか。

中尾政府参考人 実際の取り扱いの関係でございますが、改正法の二十四条四号の三所定の事由について犯罪行為ということになりますので、捜査官により先立ってその犯罪というものが把握されるのが通常だろうと思います。

 したがいまして、実際のところは刑事手続が先行するのが通常のところでありますので、その場合には、退去強制手続による当該事由の認定に当たっては刑事手続での事実認定を踏まえて退去強制手続が進められる、こういうことになろうかと思います。

漆原委員 先ほど申しました、審査に先行して刑事手続が行われている、あるいは並行して行われている、この場合は裁判が終わった後に退去強制の手続をする、また送還もする、こうなっていますね。

 今私が申し上げたのは、刑事手続がまだ動いていない、捜査もされていない、入管の方が先にこの事実が発覚したという場合には先ほど申しました告発する義務を負うわけですね。したがって、結果的にはそこから刑事手続が始まっていく。だから、不起訴処分以外の場合は、事後的に刑事手続が始まった場合でもすべて裁判が先行するのだというふうに解釈していいかというふうに聞いたのですが、どうでしょうか。

中尾政府参考人 委員御質問の関係で申し上げますと、基本的にそういうことになろうかと思います。

漆原委員 いろいろな心配をされる方がおって、この改正条文が新設されることによって、裁判手続を経ることなく入管独自の調査によって退去強制される、あるいは送還されてしまう、そうしたら、刑事手続において規定されている被告人、被疑者の人権はどうなるのだという、こんな心配をされる向きがありますので、そうではないのだ、事前に刑事手続が先行している、並行的に先行している、あるいは事後的に刑事手続が追加される場合でも、すべてこれは裁判所による裁判が終わった後に退去強制手続が行われて、そして送還ということになるのだというふうに、今のお答えを私はそう考えますが、そのようにまとめて理解していいですね。

中尾政府参考人 基本的に先ほど先生の方に申し上げたとおりのことでございますけれども、制度的には、入国審査官の事実認定のみによって退去強制手続が進められることは、入管法の他の退去強制事由の中にも、具体的な事実に基づいて退去強制することができるということにはなっておりますので、当該事実認定で退去強制手続を進めるということは、制度的にはそういうことになっておりますけれども、先ほど来から申し上げましたように、現実の問題として、今回の改正法案の中のは、基本的には犯罪行為の中身を書いておるわけでございますので、私どもの方が独自で事実認定のみで対応する、そういうケースは現実問題として余り想定されない、こういうことでございます。

漆原委員 ところで、不起訴処分の場合には、入国審査官は独自の立場で犯罪事実の有無を判断することになるわけですが、この場合には、不起訴処分になった検察等の捜査記録、これは判断の対象にするのでしょうか。

中尾政府参考人 不起訴処分になった刑事事件につきましては、検察官から通報を受けないと私どもの方で基本的には把握できませんので、検察官から通報を受けることによりまして当該不起訴処分になりました事実を知ることが私どもでできるわけであります。したがって、その後に対象となった外国人から事情聴取することによって退去強制事由の有無を調査する、こういうことになります。

 したがいまして、その調査の過程で、捜査当局から当該事件について説明を受けることも可能だろうと思いますし、必要があれば、先生おっしゃったような関係で、関係資料を捜査当局の御理解を得て見せていただくこともあり得るだろうというふうに思っております。

漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。

保利委員長 次に、西村眞悟君。

西村委員 自由党の西村です。

 本法案に関しては、一歩前進であり、我が党は賛成しております。この時間をいただいて、出入国管理の問題、いかにあるべきかの問題意識の前提としての国内の治安の問題、これに中心を当てて、現状から始まって、政府の認識をお伺いしたい、このように思います。

 まず、我が国の治安状況でございますけれども、犯罪発生件数、検挙率、これの推移、増減、傾向ですね、そして外国人犯罪数の推移、増加傾向にあるのか否か、外国人犯罪者の国別集計等について一度御説明いただきます。

村上政府参考人 私からは来日外国人犯罪の統計についてお答え申し上げます。

 年間統計といたしまして一番新しい平成十二年の統計でお答えをいたします。

 平成十二年中における来日外国人による犯罪検挙件数、これは刑法犯と特別法犯を含んだものでございますが、三万九百七十一件、検挙人員は一万二千七百十一人で、十年前の平成二年に比べまして、検挙件数では約四・九倍、検挙人員では約二・七倍となっております。

 総検挙件数、人員に占める来日外国人の割合についてでございますが、件数では約四・七%、人員では約三・四%となっております。

 次に、国籍別の検挙人員ですが、上位五カ国について申し上げます。

 中国人が五千百八十九人、構成比が四〇・八%。二番目が韓国人でございまして、韓国人が千六百二十七人、構成比が一二・八%。三番目がフィリピン人。フィリピン人が八百五十七人、構成比が六・七%。次がブラジル人の八百五十五人、構成比六・七%。五番目がタイ人の五百四十三人、構成比四・三%等となっております。

 以上でございます。

西村委員 犯罪外国人について述べていただきました。

 犯罪の検挙率についてはどうですか。

吉村政府参考人 詳細な数字は持ち合わせてなくて恐縮でございますが、昨年の数字で申しますと、全刑法犯の認知件数が二百四十四万三千四百七十件でありまして、検挙件数は五十七万六千七百七十一件、検挙人員が三十万九千六百四十九人で、検挙率で申しますと、二三・六%になっております。

 ちなみに、全刑法犯、先ほど申しました二百四十四万件に該当する数字は、昭和四十八年当時、百十九万件でありますから、それと比較して大幅にふえているという状況にございます。

 いわゆる殺人罪等については、検挙件数、認知件数、検挙人員等の数の動きはそうございませんが、最近顕著でありますのは強盗等でありまして、その相当部分がまた来日外国人犯罪の部分も多いのではないかというふうに思っております。

西村委員 つい最近の警察白書等々では、検挙率が低下傾向にあると出ておりましたが、検挙率は低下傾向にあるのですか。今のお話ではちょっとその部分がわかりにくかったのですが、いかがですか。

吉村政府参考人 昨年一年間の全刑法犯の検挙率は二三・六%であります。ことしの上半期で見ますと、ちょっと今正確に手元に数字がございませんが、残念ながら、ことし上半期では検挙率が二〇%を切っております。数年前、十年前と比較いたしますと、かなり数字は落ちているという状況にございます。

西村委員 国内の警察の検挙率が落ちる傾向にありながら、外国人犯罪数が十年前の四・九倍、中国人がそのほぼ半分、こういう傾向であります。外国人犯罪者の増加、犯罪の増加というのは、出入国管理に直結した問題であります。こういう問題意識を持って出入国管理を、フーリガン対策がどうだこうだというよりも、考えないかぬなと思います。

 大臣、基本的な原則ですが、出入国管理というのは、国家の主権にかかわり、また今統計にあらわれたように国内の治安にかかわる。外国人を我が国に入れるかどうかは国家の裁量であることが原則である、これでいいんでしょうか、国家としての立場は。ちょっと予定した質問項目から前後しますけれども、まずこれを聞いておきたいと思います。

横内副大臣 委員のおっしゃるとおりでございまして、国家の裁量行為でございます。望ましからざる外国人の入国を阻止するというのが出入国管理の目的であります。

西村委員 これが出入国管理の大前提でありますね。

 この前提をお聞きして、次に、今の国内の治安の悪化です。このまま悪化し続けるならば、ある一定の範囲を超えれば、不安感が大きく穴を広げて、その深淵を国民が見ることになるであろう、こういうふうな方向に徐々に近づいておるんです。それで、警察官の武器使用基準の緩和について、いよいよそれが緩和されるということが報道もされております。これは非常にいいことでありますし、ここまで来たわけですから、それをやらなければならないと私は思っております。

 さて、この武器使用の基準を緩和しても、今までの例では、現場における警察官が自分の判断に応じて武器を使用した、けん銃を撃った。けん銃を撃った途端に、役所に帰って待っているものは、三十センチから四十センチの分厚さになるような書類の作成が待っている。なぜ武器を撃ったのかということなんだろうと思います。どういう手続でどういうことを要求されておるのか私はわかりませんが、一発弾を撃てば三十センチから四十センチの報告書を書かないかぬというふうな官僚的事務手続を放置して、現場の警察官が治安維持のために頑張れるのかという問題が一つあります。今でもこういうふうな書類の作成、これを要求しておるのか。

 それからもう一つ、かなり前に関西でシージャック事件がありまして、危機が迫って警察官がライフルで犯人を射殺した。これに関して、それをした警察官は殺人罪で告訴されて、弁護士費用はみんな自腹を切らねばならない。警察全体がその警察官を守るのか、組織として守るのかといえば、決してそうではない。こういう事態をほうっておいて、ピストルだけ撃つ基準を緩和しても何にもならない。むしろばかな刑事告訴を受けたりする。そのときは、警察は守らない、上級幹部は知らぬ存ぜぬで、自分だけ書類ばかり書かされるということになれば、相変わらず現場の警察官はピストルを本当に使うべきときにためらうし、またむしろ逃げようという意識になってもその現場の警察官の責任ではない、このように思います。

 武器使用基準の緩和はいいですが、今まで従来ある、私が今申し上げたような負担を警察官に強いる体制を維持しておるのか、それに何ら工夫があって、そして武器使用基準の緩和を考えておるのか、いずれなんだということがお聞きしたいところです。

石川政府参考人 今委員御指摘のように、警察官が武器を使用した場合に、これを報告させまして、事案を掌握してその検証を行う、これは必要があるわけでありますが、その際の報告が過度に煩雑でありますと第一線の警察官の負担となりまして、これが武器使用をためらう要因となるおそれがあるというふうには私どもも認識をいたしております。

 先般、国家公安委員会、警察庁におきましては、けん銃の使用に対する第一線警察官が過度に抑制的な意識を持っておる、これを払拭して警察官がけん銃を使用するべき場合に的確に使用することができるように、武器使用の要件等を定めます警察官職務執行法七条の範囲内で、けん銃の使用及び取り扱いに関します国家公安委員会規則を改正したところでございます。

 その一環として、けん銃を撃った場合における報告事務の簡素化を図りました。内容的には、人に危害を与えていない場合には、所属長に対する報告事項を軽減をする、また、今まで求めておりました警察庁長官への報告というものを要しないことといたしました。ただ、人に危害を与えた場合における報告に関しましては、その後の訴訟事案に備える必要があるということから、今回の改正ではこの点については軽減はいたしておりません。

 ただ、書類をたくさんつくればいいというものではないんで、なるべく警察官の武器使用をした後の負担が事務的にも経済的にも精神的にも軽減をするように、そういう形で私どもこの規則を運用してまいりたいというふうに考えているところでございます。

西村委員 細切れな答弁があるんです。私、まとめて聞いておるんでね。

 先ほど、人に危害を加えた場合と。人に危害を加えるために銃を使うんでしょう。当たり前じゃないですか。加える場合に、おっしゃったことは、訴訟に対処するためと。だけど、その訴訟は、前のシージャック事件のように、撃った警察官が自分で弁護士さんを選ばないかぬのかということになる。今までそれでやっていたはずです。自分で弁護士を選ばせて訴訟があればやらせるというんなら、何も役所でそんなこと要求せぬでも、直ちに弁護士さんに相談に行けというふうな指導をやればいい。

 今までどおりなんですか。警察官は職務として武器を使用して、武器使用というのは、相手に向けるわけですから、傷つけるわけですよ、相手の抵抗、犯罪の続行を阻止するためにやるわけですから。そのときには、訴訟を前提としていろいろ書かせて、訴訟になれば弁護士に頼みに行け、おまえの自腹だ、こういう体制になっておるんですか。

石川政府参考人 内容を御説明いたしますと、現在の状況で、けん銃の使用というのは相手に向かって構えるところから使用になっておるわけでございます。それから、威嚇射撃をするという場合も使用でございます。そういう場合には当たらないわけでございますし、また、車で逃走を図ろうとするときに車両等に向かって撃つという場合もございます。そういったような使用の状態のときには、相手に危害を加えてないわけでございますから、極めて簡単な事案の掌握にとどめる、こういうことでございます。

 それから、訴訟の問題につきましては、例えばシージャックのことを恐らくお尋ねだろうと思いますが、あれは、告発を受けまして、それが刑事事件としては不起訴になりまして、その後付審判請求というものをされたわけでございます。これに関していろいろ警察官が確かに取り調べを受けるといったような負担があったわけでございますが、この訴訟等に関する手続については、私ども、職務によって適正、的確にけん銃を使用した場合にはこれを個人に負担させるのは適当ではないという認識を持っておりまして、いろいろな工夫をして個人に負担がかからないようにこれからもやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

西村委員 それなら、シージャックのときは個人に負担をかけて、彼のポケットマネーでやったということですね。これからはそれは改めるということですか。

石川政府参考人 実は、シージャックの関係を私詳細には承知をしておらないんでございますが、付審判請求に関していろいろかかった費用、例えば鑑定をして証拠を提出しなきゃならない、そういったようなものについては恐らく公費でやっているんではないかというふうに思います。

 それから、今後の問題でございますけれども、なるべく公費によってこれを賄うということの方向を求めてまいりたいと思いますけれども、そのほかにも、現在工夫をいたしておりますのは、それぞれ互助組織等が、とにかく個人の負担を求めるというのはいかがなものかということで、いろいろな支援を行っているというふうに承知をいたしております。

西村委員 ちょっと歯切れが悪い。というのは、国家が警察官にピストルを持たせているというのは、公務のため以外に何物でもあり得ない。それを使う使用基準を緩和するといったときに、互助組織とは何だ、互助組織とは。上層部が警察官に互助組織をつくらせて、そういう発想で現場に仕事をやらす、そのいわゆる上級者の意識がわからぬ。互助組織の問題じゃない。

 国がピストルを持たせて、それに権限を与え、その事態に遭遇してそれを使用した場合には、個人の互助組織、お金を出し合ってお互いに助け合おうな、こういう発想で指導すれば、治安の維持もへったくれもないのです。上層部が悪い。現場の警察官ばかりに負担を強いて、そして殺されているじゃないですか。殺されてから、こういうふうな要件を緩和して、そして、繰り返しますが、何が互助組織だ、しっかりしろと言いたいな。

石川政府参考人 先ほど申し上げましたように、私どもも、公的に負担をする道というものを検討したいというふうに考えることを前提として、現在、今までの私どもが承知している限りのことを、実態を申し上げた次第でございまして、先生のおっしゃるとおりだろうと思います。

西村委員 今その方向でやりたいという答弁だけれども、けん銃を持たせて、使用基準を緩和して、治安維持に当たってくれという以上、それと同時にやりますという答えが出なければだめじゃないですか。

 余り怒っていてもしようがないから、次に行きます。

 次、ゆゆしき問題がありまして、テロ以来、アメリカの世論調査、子供を持つ母親を含む七五%のアメリカ人はパイロットが武装することに賛成である、半数のアメリカ人が、パイロットが武装している飛行機に乗る、乗りかえる、こういう世論調査であり、アメリカでは、十一月十五日、航空安全法が下院を通過した。これは、コックピットの中にパイロットがピストルを持ち込む、こういうふうなテロ防止対策だ。

 それから、全米パイロット協会の会長は、これは下院の公聴会での証言ですが、もし、パイロットが航空保安官として訓練を受けて、機体を貫通させ、気密キャビンの急激減圧を防ぐ崩壊型弾頭を発射する銃を持ち込むならば、空の旅はより安全になるであろう、こういうふうに明確に証言しているわけですね。

 それからまた、我が国のパイロットの有志諸君が、内閣総理大臣あての操縦室の防御に関する要望書、これは国際線のパイロットですから、今世界のパイロットがどういう意識を持って航空機を運転しているかを共通している日本人パイロットの要望なんですが、今アメリカのこういう動きを受けて、「安全に支障のない範囲で操縦室を防衛するための手段(場合によっては武装も含む)」を我々に与えてほしい、こういうふうな要望書があるわけです。我々は、これに真摯に耳を傾けなければならないのではないか、こう思います。

 大臣、来られています。御苦労さまですが、お聞きいたしますけれども、我が国の全日空また日本航空というのは世界を飛んでいるわけです。アメリカの今の世論調査の結果はそのとおりです。日本が漫然と今までどおりの体制を維持するならば、日本の航空機から乗客は半数以上逃げるということですね。アメリカは着々とコックピットの武装化を進めておるわけですから、我が国は何にもそれをしていないわけですから、半数以上逃げる。経済的な観点からも、またテロ防止という観点からも、コックピット内の防御策を早急に確定しなければ、ハイジャックというテロがまた日本で起こる可能性がある。しかも、起こらなくとも、日本の飛行機に世界のだれも乗らなくなる事態になってきたな、このように思うわけですね。

 したがって、質問項目は、パイロットが航空保安官としての訓練を受けた上で武器を携行するという方法についてのお考えはいかがになっておりますか。

漆間政府参考人 コックピット内に入られないようにするということにつきまして、一つは、物理的に入れないようにするという措置もございますし、もう一つは、万が一入られた場合に機長が武装していてそれに対応するという考え方、これはいろいろあろうと思います。

 確かに、アメリカの連邦航空局の方の連邦保安官の場合はかなりの訓練を受けております。したがって、そういう訓練を機長が本当に受けるということになるのかどうか、そこのいろいろな要素はあります。ただ、もし訓練を十分受けない状態で銃器を持つという形になれば、これは銃器の使用になれてない者が銃器を使用すればかえって危ない事態になるということがありますから、その辺のところが十分整備されるかどうか。その辺のところはよく詰めながら、検討を進めていくべきものだというふうに感じております。

西村委員 もちろん生兵法はけがのもとで、操作がわからぬものを持っても仕方がない。これはただの危険物です。

 しかし、世界の趨勢から見るならば、コックピットを、また乗務員がテロリストを排除する実力を備えていない飛行機は世界で利用されなくなってくる。こういう事態の中で、我がパイロットも、自分たちが飛行機に責任を持って操縦している以上、武装も含むコックピットの防御策をぜひお願いする、これは当たり前のことですね、世界の空を飛んでいるパイロットとしては。我が国政治がこれに対して反応を示さなければ航空会社はつぶれますよという事態になったのです。

 大臣か副大臣、どちらでも結構ですが、実は大臣がおられないときの質問予定なんですけれども、今の答弁をお聞きしまして、パイロット自身は、アメリカのパイロットと同じように航空保安官としての資格を、訓練を経て飛行機を守りたいと言っておるわけです。この方向での検討というのはやるべきだと私は思いますが、大臣及び副大臣のお考えはいかがですか。

森山国務大臣 確かにそのような考え方もあるかと存じますが、具体的には警察関係あるいは交通関係の責任者と相談しなければならないことでございまして、その方向で検討される場合は、私どもも一緒に相談に乗りたいと思います。

西村委員 この問題は、警察官、自衛官でない者が武器を持つという体制をつくるのですから、行政機構の方と相談しても答えは出ないです。アメリカが上下両院で審議したように我々が審議すべき問題ですね。それで、別にのほほんとすれば済む問題ではなくて、日本の飛行機に世界の人が乗らなくなるという傾向にある中での問題ですから、政治の判断ですな。

 この問題をやっていたら、四十四分までやから時間がなくなってまいりますので、次の問題に行きますけれども、テロ組織及びテロ支援国家に対する資金の流れを防止しよう、これも、九月以降国際的に大きな関心になっておりました。この趣旨の条約があったんですが、日本は慌てて署名したと聞いておりますが、この趣旨の条約に署名したんでしょうか。

森山国務大臣 テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約のことだと存じますが、これにつきましてはこの十月三十日に署名をいたしました。

西村委員 署名をすれば、その署名国としての国内的手続が待っている。さて、今、国際的な関心の中で、我が国は、このテロリスト及びテロ支援国に対する資金の流れをいかに防止する国内体制をつくらんとしているのか、それはいつまでにやるのか、どういうふうな概要でやるのかということについての御答弁をお願いします。

森山国務大臣 この条約につきましては、法務省におきましても、関係省庁と協力いたしまして、関連する国内法の整備につきまして鋭意検討を進めているところでございますが、条約が署名されましたことを踏まえまして、早期に締結できますように作業を加速させていかなければいけないと思っております。

 この条約では、テロ行為に関連する資金供与行為等の犯罪化や当該資金の没収などとともに、金融機関等による顧客の身元確認義務及び疑わしい取引の届け出義務などの、テロ行為を資金面から防止するための行政的規制の導入を考慮することも定められておりまして、国内法の整備といたしましては、これらの点につきまして検討が必要になると考えられております。これらのことを至急検討いたしまして、できるだけ早く締結したいというふうに考えております。

西村委員 その検討している足元で起こっていることについての認識をお伺いしますが、北朝鮮というのはテロ国家なんです。大韓航空機を爆破し、アウン・サン廟を爆破し、それから日本人を拉致し、これは国家テロであります。

 さて、その北朝鮮というテロ国家、この認識は、私は事実を列挙したのでありますから、相違はないと思う前提でお聞きしますが、その北朝鮮系の朝銀というのが軒並み破綻しまして、二年八カ月前に朝銀大阪が破綻して、受け皿銀行の朝銀近畿に三千百億円の公的資金が投入されました。二年数カ月後の去年の十二月、受け皿銀行で三千百億円投入された朝銀近畿がまた破綻いたしました。

 それで、十一月七日、これは九月十一日の後ですが、最近ですが、朝銀北東、朝銀中部、朝銀西、この三信組に対して二千六百六十億円の贈与と、破綻した四百六十九億円の不良債権の買い取り、合計三千百二十九億円の投入が決定された。そして、今申し上げた三千百億円投入されて、二年ちょっとでそれをすってんてんにしてまた破綻した朝銀近畿を含む残る六つの信組に対して四千四百二十一億円になろうとする資金が投入されるプロセスになっている。合計一兆円を超える資金が投入されていく。これは、朝銀がなぜ破綻したのかということを過去にさかのぼって今点検されていない。北朝鮮に対する送金である、これはほぼ確実に言えることである。

 将来に向かって目を向けますと、朝銀を利用する在日朝鮮人は、赤ん坊からお年寄りまで含めて人口十万に満たない。したがって、その中で商業活動を営む者の割合は推して推定される。数万の商工業者が利用する朝銀に一兆円を投入して全国十カ所近くの朝銀を今維持しても、将来、営業が成り立つはずがない。したがって、今我が国がやるべきことは、朝銀を救済することではなくて、預金を保証して朝銀を解散させることだ。過去にわたってと将来にわたってと、全くわけのわからないことをやりつつあるわけです。

 法務大臣が、今、テロ支援国家に対する資金の流れを防圧しなければならないとおっしゃって、その準備を進めているということは、国内の治安を預かる法務大臣として、朝銀に対する犯罪捜査と並行した破綻原因の徹底究明、これをしなければ、駆け込むように十月に今の条約に署名し、国際的な体面を整えた日本政府の背後が全く抜けてしまうわけです。

 そして、ある意味では、北朝鮮、金正日政権の高笑いが聞こえるんです。なぜか。九月十四日の北朝鮮労働新聞はこういう論説を載せておるんです。日本が攻めてくるという奇想天外の前提をもって、日本というのは縦深性が浅い国だから核攻撃ですぐ壊滅、屈服させることができると。これが九月十四日です。そして今申し上げた、その後起こったことは、米の支援のうわさ話がまた出てきたり、そして十一月七日の三千億円以上の投入が決定されていき、そして次に待っている四千億円以上の投入というプロセスが始まっている。北朝鮮は日本を恫喝することによって日本に言うことを聞かせるというふうな味をしめておりまして、今回もそれをやっているな、こう思うんですな。

 法務大臣としてはどう思いますか、この朝銀に対する公的資金の贈与及び不良債権の買い取り。それは銀行経理上のことを申し上げているんじゃなく、自分の足元で、テロ国家に対する資金のパイプをとめなければならないという国際約束のもとで、今大臣等で準備されている事態を前提に、これは今とめねばならない、徹底解明までとめねばならないと思われるのか、これは別のセクションがやっているので私は関係ないとおっしゃるのか。大臣としてはとめねばならないと思われると私は思いますが、いかがですか。

森山国務大臣 北朝鮮という国については非常にわかりにくいことの多いところでございまして、先生のおっしゃるような問題があるということが大いに考えられるということもあるかと思います。

 しかし、今具体的にお話しになっております朝銀の問題として考えますと、破綻金融機関の処理ということでございまして、この朝銀も我が国の法令に基づきまして設立された国内金融機関の一つでございますし、それを前提にいたしますと、預金保険法等の関係法令に基づいて、金融庁等の所管庁におきまして法令に基づいて適切に行っているものというふうに考えられるわけでございます。

 御質問の御趣旨は理解できないわけではございませんが、金融機関の整理といいますか処理ということにつきましては、今申し上げたようなことでやっていくことが適切であろうと思います。

西村委員 日本の法令に基づいて設立されたものであるということと当該信組が法令どおりやっていたということは全く別の問題で、法令どおりやっていたのかやっていなかったのかを捜査しなければ、署名した条約の趣旨に反する結果を日本政府みずからやっていることになる、こういうことを申し上げておるんです。

 したがって、金融機関の整理としては、こういう言い方をしたらあれですが、十万人もいてないんですね、赤ん坊からお年寄りまで。だから、預金を保証して、公的資金一兆円以上の注入はこの徹底解明がなされるまでだめだと。

 多分、日本が北朝鮮にとっては一番の金庫なんです。日本から送金された金によってミサイルの開発をやっているんです。そして、そのミサイルと核の開発をやって、日本は核攻撃で簡単に屈服させることができるという、驚くべき精神構造を持った政権なんです。そこにまた一兆円が、何割かが行くとなれば、日本国政府は日本国民の安全を売っておるのか、また、日本国政府は拉致された日本人のことをどう思っているんだ、こういうふうになるわけですよ。

 本当に人権の問題なんですよ。日本人妻は帰ってこられないのですよ。まして拉致された者は。そして、朝鮮総連、北朝鮮系の人たちは自由に北朝鮮に行って日本に帰ってくるんですよ。何を持っていって帰ってきているのかわかりませんが。一年に一万人近いんですよ、それが。日本人は一人も帰れないんですよ。こういう国なんです。出入国管理上、日本人の拉致問題の解決成るまで、北朝鮮にお帰りいただくのは自由に祖国に帰ってください、ただ、北朝鮮にいる日本人が祖国日本に帰れない以上、あなた方の日本再入国はお断り申し上げるというふうな政治的決断もあってしかるべきなんです。

 大臣、どう思いますか。本当の人権問題ですよ。日本人妻が数千名帰れない、望郷の念に駆られている。拉致された日本人が百四十名ぐらいいるかもわからない。しかし、日本にいる在日朝鮮人は行ったり来たりしている。そして、金融機関を破綻させ、一兆円以上の公的資金注入を待っている。こういうふうなことをして日本国民の政府と言えるんですか。したがって、再入国禁止も含め、この朝銀の問題は非常に重要な問題だと思いますから、どうか徹底究明の決意をここで聞かせてください。そして、日本人が帰ることなくして再入国はならぬ、こういう決断も法務大臣ならあってしかるべきなんです。

森山国務大臣 日本人妻や拉致された日本人の方々の件につきましては、御家族のお気持ち、関係者のお気持ちに十分思いをいたしまして、できるだけ速やかにその希望がかなえられますように、政府としても今後努力を重ねるべきだと考えております。

 一方、在日朝鮮人の皆さんの特別永住者の方への再入国許可というのは、いわゆる入管特例法におきまして、再入国の許可に当たり、本邦における特別永住者の生活の安定に資するとの趣旨を尊重するものというふうに規定しておりまして、その趣旨、目的に沿った運用がなされているわけでございます。

 先生のおっしゃるお気持ちは非常によくわかりますが、金融機関の整理とそれから今お話しの日本人妻等の問題につきましては、また別の話ではないかというふうに思います。

西村委員 別の話ではありません。資産凍結というのはテロ組織に対する最大の圧力なんです。

 質問を終わります。

保利委員長 次に、肥田美代子君。

肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今回改正される法案は、難民認定をも守備範囲に入れております。今や難民問題は国際化やグローバリゼーションの進展の中で焦眉の課題となっております。そうした問題意識から、改正案に関連して、主として難民認定問題について質問をさせていただきたいと思います。

 難民認定諮問委員会というのが平成八年まで法務省の本庁内に合議体としてあったようでございますけれども、これは、どのような法的根拠を持ち、どのような構成で、どのような審議をしていたのでしょうか。また、廃止された理由についてもお教えください。

森山国務大臣 難民認定諮問委員会と申しますのは、法務省の入国管理局におきまして、主として課長あるいは室長以上の局幹部によって構成されておりまして、難民認定申請案件に関する局内の意見の調整のために、平成八年の八月まで事実上開かれていたものでございますが、現在は開かれておりません。

 また、これはいわば局内の意見調整ということでありまして、特別の法的な根拠はございません。

 以上でございます。

肥田委員 廃止された理由についても教えていただけませんか。

森山国務大臣 これは廃止されたというわけではございませんで、その後、このようなやり方が現実にそぐわないということで、開かれていないということでございます。

肥田委員 それでは、難民認定の申請は、今は入国管理局総務課が所管する難民認定室で審査することになっておりますね。この認定審査の工程を教えていただきたいんですが、あえて大臣でなくても、局長さんでも結構でございます。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 難民認定をしたいという外国人がいるといたしまして、その外国人が難民申請として通常地方入国管理局等に申請をいたします。申請をいたしますと、難民と言えるかどうかの、難民の該当性等についての難民調査官による調査が開始されます。調査が開始されますと、その結果、難民調査官としての意見を付して、地方入国管理局長から法務省の方にその意見をつけて送付されることになります。

 基本的には、法務大臣の権限の難民認定の関係については、法務省の入管局長に委任をされておりますので、その前提といたしまして、難民認定室においてそれについての調整をいたしまして、その後に難民認定室から総務課長、官房審議官等の決裁を経て、私、局長のところに決裁に上がってくる、こういう形になっております。

肥田委員 私、十月十九日の質問でも申し上げたんですけれども、外国人を取り締まる立場にある入国管理局が難民認定手続を所管するということは、難民保護というより、その発想からいきますと、保護を求めた人をむしろ摘発の対象とする、そういうことにどうしても傾きやすいのじゃないかという懸念を持っておるものでございます。入管行政とは相対的に独立したものに改善すべきだと私は思っておりますけれども、いかがでございましょうか。

中尾政府参考人 お答えを申し上げます。

 難民認定をする政府の機関をどこに置くかという問題につきましては、昭和五十六年に難民条約に加盟する際に、当時の政府部内でどこの部局がいいかということが検討された経緯がございます。最終的に、人権という観点から、法律の関係がございますので法務省の所管が適当だろう、こういう経緯で法務省の所管になったということでございます。

 この問題につきましては、ちょっと正確ではないかもしれませんけれども、アメリカとか韓国等におきましてもこれは司法省の所管になっておりますので、そういう形では、日本でいう入管局が基本的に入管行政とともに難民認定の事務をやるということになっておりまして、特段それ自体は、相当でないとか妥当でないとかいうことにならないというふうに考えておるところでございます。

肥田委員 私は、今局長がおっしゃったことと全く反対の意見を続けて持っているわけでございますけれども、五十七年にそういうことがあったということでありますけれども、現在、こうやって難民認定について国際的にもいろいろな問題が提起されておりますし、また、日本の難民認定のハードルが高いということも実は国際的にも言われているわけなんですね。ですから、今、国際的な状況が五十七年の時代とは少し変わってきたということで、私はやはりいま一度考え直してみるべきじゃないかということを思うわけですが、大臣、どう思われますでしょうか。

森山国務大臣 現状、行政のあり方として一つ考えられるやり方でありまして、それに基づいてきちんと責任を持ってやっているということは私も自信を持ってお答えできると思います。先生のようなお考えもあり得るかなとは思いますけれども、現実の問題としては、行政改革の時代でございまして、部局を分けるとかふやすとかということはなかなか難しい、いろいろ考えなきゃならないことがあると思います。

肥田委員 政府はこれまで、難民条約の三十三条はあくまで難民として認定された者に適用されるという趣旨の答弁をしていらっしゃいます。しかし、国連難民高等弁務官、その事務所の執行委員会におきまして決議されました決定四十四、これは、難民申請者の拘禁は原則として許されないとしております。これが国際社会の難民に対する常識となっているようでございますけれども、日本も執行委員の一人として決定四十四を尊重すべきではないかと思うんですけれども、大臣、いかがでございましょうか。

森山国務大臣 確かにそのようなことが書いてございますが、その同じ第四十四におきまして、難民及び庇護希望者について、必要な場合、拘禁することを許容しておりまして、必要な場合というのは、身元を確認したり、難民の地位もしくは庇護の申請の基礎となる要素を確定する、あるいは、難民もしくは庇護希望者が庇護を申請しようと意図する国の機関の判断を誤らせる目的で旅行もしくは身分証明書を廃棄するというような不真正文書を使用した場合、または、国の安全もしくは公の秩序を保護するため等、法律で定められた理由に基づいた場合には許されるということが同じその四十四に書いてございますので、我が国といたしましては、その趣旨を尊重しつつ、適正な難民認定手続を行っているというわけでございます。

肥田委員 そうしますと、その決定四十四につきましては、政府は、この中身については尊重し、今後も履行していくということをお答えいただいたというふうに理解してよろしゅうございますね。

森山国務大臣 はい。

肥田委員 この間、同じ東京地裁で真っ二つに分かれた決定が出たわけですね。

 一つは、民事三部、そこで、アフガニスタン人の強制収容は、不法入国、不法滞在という、難民の移動の自由を保障した難民条約違反であると判断し、五人の拘束を解いております。これは、あくまで難民に認定された者という従来の政府見解を覆す内容でございました。そして一方、民事二部では、難民申請中の収容は違法ではないと。これはもう本当に驚くべきことなんですが、二つの全く違った決定が出たわけでございます。

 この二つに分かれた決定について、私はびっくりしたのですけれども、大臣はどういう感想をお持ちになりましたでしょうか。

森山国務大臣 私もびっくりいたしました。

肥田委員 お互いびっくりしたわけでございますけれども、即時抗告されたのですよね。不法入国までして日本に庇護を求めた人たちに国は即時抗告をされたということなんですけれども、私は絶対すべきではなかったと考えますが、どうして抗告されたのでしょうか。

森山国務大臣 同じような事犯について、二つの法廷にたまたま分かれて、日が違ったわけですが、一日違いで全く違う判決が出たわけですので、これはやはりさらにレベルが上の裁判所の御判断を仰がなければいけないという考えでございます。

肥田委員 民事三部の決定の中で、難民条約の存在を無視しているに等しく、国際秩序に反するもので、ひいては公共の福祉に重大な悪影響を及ぼすものであるというふうに、この強制収容のことを批判していらっしゃいますけれども、私はこれは大変当を得た批判の内容だとは思うんですけれども、このことについて法務大臣はお答えはいただけないと思います。

 しかし、ここでこうやって真っ二つに分かれてしまったということは、これは決定を下すことが大変難しいということなんですね。九人の中で五人と四人とに分かれておりますけれども、これは、意図的というか、内容でもって分けたのじゃなくて、受理の順番で分けたのですね。受理の順番で自然的に分けたにもかかわらず、真っ二つに分かれてしまった。

 今大臣に、即時抗告の理由もお聞きしましたけれども、もうここまで来ましたら、私は政治判断が必要なときではないかと思うんですけれども、いかがですか。

森山国務大臣 これは、裁判所の判断が同じようなことについて全く違ったという話でございますので、むしろ、政治判断ではなくて裁判所の判断をもう一度確かめるというのが筋ではないでしょうか。

肥田委員 今私が申し上げた意図は、こうやって、裁判官の一人ずつの判断によって、とても大切な人権にかかわる問題が全く違った形で判断されるということ自体、今私どもが抱えている難民認定問題についてというか、難民に対する問題について我々がいま一度政治家として判断すべきときに至っているのじゃないか、いつまでも司法の方に任せていていい問題じゃないのじゃないかという思いがするんですけれども、大臣、いかがでしょう。

森山国務大臣 お言葉でございますけれども、私どもの方は、条約や法律の解釈が裁判官によって違うというふうに理解いたしまして、それはやはりさらに上級の裁判所で判断していただくという必要があるというふうに思ったのです。

肥田委員 東京地裁の民事二部に難民条約第三十一条違反ではないとされたアフガニスタン人が、四名現在も拘束されております。

 この四名のうち一名は、これは報道でございますけれども、十一月十四日に自殺未遂を図り、ほかの一名は摂食障害を起こして歩けないほどに衰弱していると言われておりますが、これは事実ですか。

森山国務大臣 そのようなことは、実はプライバシーに関することでございますので、本来余り申し上げない方がいいかと思うのですけれども、あえて申し上げますと、お尋ねの収容中の四人のうちの一人が、十一月の十四日に、職員の目の前で規定の用量を大変超える一般市販の頭痛薬を一気に飲み干すというような行動に出て、さらに顔を洗う固形の石けんを口に入れてのみ込むというようなことをしたそうでございます。

 そこで、見ておりました職員が直ちに外部の病院の医師等に相談をいたしまして、その助言によって適切な処置を行いました結果、命にはもちろん別状なく、その後の診療においても異状は認められない、現在は非常に元気になって精神状態も安定しているようでございまして、これ以上の診療の必要はないという状況だというふうに聞いております。

肥田委員 多分、この一件だけじゃなくて、ほかにも事例があるのじゃないか、西日本あたりにも事例があったのじゃないかというふうに思うのですけれども、その事実関係はいかがでございましょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 どのような事例があるかというお話でございますけれども、委員がお話しになったような事例については、私の方は今のところ承知しておりません。

肥田委員 これも私は報道でしか知り得ていない情報なのでございます。それで確かめさせていただいているのですが、自殺または自殺未遂という事故があったのでしょうか、なかったのでしょうか、それだけお答えください。

中尾政府参考人 ないと承知しております。

肥田委員 確かに、精神状態が大変不安定な状況の中でそういうことがあったのだろうと思いますけれども、もう一つ、待遇面で問題があったのじゃないかというふうにも考えられるわけですね。

 ちょっと伺ったところでは、八人部屋で運動もできない、週二回おふろに入れるのだけれども五分くらいで出なきゃいけないということで、どうも人間らしい扱いを本当にされているのかなという危惧を私は持ったわけでございますけれども、その辺のところはいかがですか。

中尾政府参考人 東日本のセンターにおきまして、収容規則等にのっとって適正に対応しているものと承知しておりますので、委員がおっしゃるようなところはないのだろうと思います。

 そういう点につきましては、従来から、そういうことにならないように対応に努めているものと私どもは承知しております。

肥田委員 一年以上超えた収容もありますか。

中尾政府参考人 手元にちょっと資料がないのでまことに申しわけありませんけれども、収容者の中には一年を超える者がおると承知しております。

肥田委員 それは、内部の取り決めで、一年以上は収容しないとか、していいとかということはあるのですか。それとも、一年でも二年でも三年でもという話になるのでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 退去強制令書が発付されて収容しているケースでございますので、送還をしなきゃならない、送還をする条件が整うまでは収容を続けなきゃならないということになっておるわけでありまして、いつまで収容しなきゃならないとか、いつまでたったら収容をやめるとか、そういうような基準は別にございません。

肥田委員 それでは、収容の内規というか、それは一切ないということなんですね。わかりました。

 それでは、先ほどの自殺未遂者の話に戻りますけれども、やはりその本人が言っている言葉で、逃げてきたアフガンでは少数民族だといっていじめられ、日本では難民申請したのに収容され、だれも人間として認めてくれないと語っていらっしゃるのですね。私は、迅速な難民認定が二重三重に傷ついた少数民族の人々を救済する道だと思いますけれども、今本当に迅速な難民認定が行われているかどうか、ちょっと伺ってみたいと思います。

中尾政府参考人 おおむね一年以内に難民認定、不認定の結論が出ているのが最近の実情でございます。細かい数字はちょっと手元にはありませんので申しわけございませんが。

肥田委員 一年以上宙ぶらりんの状態になっていらっしゃる方もかなりいらっしゃると伺っておりますけれども、その数字はわかりますか。

中尾政府参考人 現在のところ、一年以上は十九名おるというふうに報告を受けております。

肥田委員 その十九名の人は、恐らく精神的にも経済的にも大変中途半端で不安定な状況に置かれていると思うのですけれども、こうやって長期化して認定判断をできない理由はどこにあるのでしょうか。

中尾政府参考人 基本的には難民認定中ということでありますけれども、それぞれについては、退去強制手続の中で退去強制令書等が発付されたり、あるいは退去強制手続中のもので、その中で難民認定がされて、そしてその関係であわせて収容になっているという前提でございますけれども、難民認定の申請につきましても、これは一度不認定としてもまた再度するというケースもございますので、そういう関係で長引く場合ももちろんございますが、それぞれの国の問題もございますので、それぞれの申し立て事由の中身の調査に時間を要する、あるいは、それぞれが申し立てる内容について慎重な調査を要するというような場合には必然的に時間がかかる、こういうことになろうかと思います。

肥田委員 確かに認定作業というのはいろいろ難しいところもあろうと思いますけれども、しかし、私は一年以上宙ぶらりんにしておくほど難しい内容があるというふうには思えないのですけれども、なるべく迅速にこれを認定していくためには、認定作業を進めるためには、あとどういうことが必要だと思われますか。

中尾政府参考人 私どもといたしましては、人権にかかわる問題でございますので慎重にしなきゃならぬということと同時に、委員御指摘のとおり、迅速に結論を出すということは、これは極めて重要だろうと思いますので、その観点で私どもの方で鋭意進めているところでございますけれども、それぞれの難民調査官の調査能力等も含めまして、あるいはそれぞれの難民調査官の数の問題等も考えざるを得ませんので、そういった体制の整備を今後も図りながら、そういうような難民認定の慎重かつ迅速の両方の要請にこたえていきたいというように考えております。

肥田委員 今、調査官の人数の問題を出していただきましたけれども、東京入管では何人の調査官がいらっしゃいますか。

中尾政府参考人 東京入管には、専従の難民調査官として六名おると承知しております。

肥田委員 その人数が妥当であるか少ないかということは私には判断できませんが、局長はひょっとしたら、その認定作業がおくれている理由は、これは六名でなくて調査官がもう少しいたらなというような御発想もお持ちですか。

中尾政府参考人 これは、希望を申し上げれば何でも多い方にこしたことはありませんので、数が多ければ多いほど、従来一人でやっていた仕事を二人でやれば時間が半分あるいはそれ以上になるわけでありますので、先ほど申し上げたように、迅速化を図ろうということになりましたら人数が多いにこしたことはない、そういうふうには思っておるところでございます。

肥田委員 近々アフガニスタン人をアフガニスタンに強制退去させるというような情報が入っておりますけれども、アフガニスタンの国情が安定するまでは強制令書を発付すべきでないと私は考えておりますけれども、いかがでしょうか。

中尾政府参考人 退去強制手続の関係で申し上げますと、退去強制令書の発付までは、これはそれぞれの手続に従って速やかに粛々と進めることは可能ですし、それぞれの国籍国がどういう国であるかどうかにかかわらず、退去強制令書の発付までの手続は、法にのっとって、手続にのっとって粛々と進めるべきものと私どもは考えておりますし、退去強制令書の発付時点までは特段変わりはないと思いますが、退去強制令書を発付し、送還すべきそれぞれの国の国情、あるいは送還に至る諸条件等が整わなければ現実問題として送還ができないわけでありますので、そういうところで、それぞれの国の諸情勢等、送還の条件が整うまでの状況を見きわめた上でしかるべく送還をする、こういうことになろうかと思います。

肥田委員 そうしますと、強制令書が出ても即時送還ということにはならないということですね。

中尾政府参考人 結局、送還ということになりますのは、相手受け入れ国が受け入れなければ現実問題として退去強制令書は執行できない、こういうことでございます。

肥田委員 アフガンから来た方の中には文字の読み書きが不自由な方々もいらっしゃるし、例えば口頭で、自国で迫害をされております、捕まるから助けてほしいと言った場合に、一時庇護上陸許可の申請とか難民申請の意思表示があったとして取り扱うべきだと私は思っておりますけれども、実務面ではそういうふうに行われておりますでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 一時庇護上陸許可制度というのがございますし、一時庇護上陸の申請をすれば、それの要件が整っておれば、そういうことで一時庇護上陸の許可をすることになろうかと思います。一時庇護上陸にはそれぞれ要件がございますので、要件に該当するということになりましたら一時庇護上陸を許可する、こういうことになっておるところでございます。

肥田委員 日本語とか英語を理解できない難民が難民申請をする場合に、少数民族の言語を含め、申請書の翻訳に苦労されていると伺っておりますけれども、難民認定申請書はどのように翻訳されておりますでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 難民認定申請をする場合には難民認定申請書を提出することになっておりますので、日本語を解さない、あるいは英語を解さない場合には、母国語がわかる適当な通訳人を介しまして母国語で記入してもらう取り扱いになっております。当局においてその母国語を日本語に翻訳してその申請を受け付ける、こういうことにしております。

肥田委員 そうしますと、例えばアフガニスタンからやってこられた少数民族のハザラ人なんかの場合はどういう扱いになっていますでしょうか。

中尾政府参考人 基本的にほかの難民申請者と同様ではあります。ハザラ族の場合はダリ語だったと承知しておりますので、それのわかる通訳を介して所定の手続を踏んでもらっているところでございます。

肥田委員 ダリ語の通訳をつけていらっしゃるというのは事実ですね。

中尾政府参考人 そのとおりであります。

肥田委員 私が聞き及んだところでは、ペルシャ語の通訳がついていて、半分ぐらいはわかるんだけれども、基本的には半分はわからなかったという話なんですが、今のは本当に事実でしょうね。

中尾政府参考人 詳細は私自身承知していないところがあるかと思いますけれども、アフガニスタン人につきましては、近隣諸国の関係もありまして、ダリ語以外にペルシャ語とかその他の言語を理解し、あるいはそれを使っている方もおられるわけでありまして、ペルシャ語と委員がおっしゃいましたけれども、多分、別の関係のアフガニスタン人で、ペルシャ語がわかる、理解できるアフガン人の難民申請の際の通訳でペルシャ語が使われているケースもあると聞いておりますので、それの例ではないか、こういうふうに思います。

肥田委員 もう一つお聞きしたいんですけれども、九月十一日以降アフガニスタンからやってきた人々がとりわけそうなんですけれども、難民申請中の人たちですけれども、その人たちにアンケート調査をされたというふうに聞いておりますけれども、これは事実ですか。

森山国務大臣 難民認定の申請中の者に対してアンケート調査をしたということはございません。申請人の身分のことや申し立て概要の一部を質問形式にした申請申し立て書にしまして、質問事項を説明しながら申請者に記入してもらうというやり方はしておりますが、アンケートというものではございません。

肥田委員 私が聞き及んでいるところによりますと、九月の十七日と十月の一日の二回、十数枚ですか、そういうペーパーでアンケートをとられて、それが即時、即刻回収されたということを聞いております。それも一人じゃなくて複数名なんですけれども、その辺の事実関係はありますか。

中尾政府参考人 個々の具体的な難民申請手続中の申請者の難民調査の中身について、個々にどうだった、ああだったということはお答えするのは必ずしも適当ではないと思いますけれども、一般的なことで申し上げましたら、先ほど私どもの大臣が申し上げたとおり、申し立て概要とかあるいは申し立て事項について、私どもの方で調査の効率化を図るというようなことも踏まえて、必要事項を必ず聞くというようなことも踏まえてつくられたものを難民申請をしておる者に見せて、それぞれについて質問形式で記入していただいたものを私どもの方が当該本人から、回収するというのは非常におかしいかと思いますけれども、そういうような形態で調査をしているケースもあるわけでありますので、そういったことを踏まえてそういうような評価をされる場合もあろうかと思います。

肥田委員 では、もう一度事実関係をお尋ねしますけれども、森山大臣はないとおっしゃいました。それで今、あるかもしれない、あったかもしれないというのが局長さんの御答弁でございますが、私は九月十七日と十月一日というはっきりした日を申し上げて伺っているのですが、そういうことはあり得るということなんですね。

中尾政府参考人 私の方で先ほど御答弁申し上げたことがちょっと不正確で、私の方の意が通じていないかと思いますけれども、基本的に、先ほど大臣から御説明申し上げたように、アンケート調査ということはやった事実はないということはそのとおりであります。したがいまして、別に私と大臣との話が違うということはありません。

 したがって、先ほど申し上げたような形で質問をして難民調査のことをやっているのが通常でありますので、それをとらえて側面的に委員のような見方というのは、それは一つの考え方ではあり得るかなという程度で私ども申し上げているところでありまして、アンケート調査というようなことをやった事実は別にございません。

肥田委員 私は、これを聞いたときに、恐らくビンラディンに関する情報をつかもうと思ってなさったんじゃないかというふうに思ったのです。

 それでは、もう一度局長さんにお尋ねしますけれども、難民申請中の人々に対しては、例えばアンケート調査、十数枚のペーパーで、そこに書き込ませるというようなことはあり得ないということでよろしいのですね。

中尾政府参考人 これも若干誤解があるのではないかというような気もいたしますけれども、難民認定申請書というのは、これはかなり大部なもので、いろいろなことを記入していただく書類でございますので、その書類自体が十枚を超えている場合があろうかと思いますので、それをもって、アンケートを求められてアンケートで答えたというような形の誤解を生んでいるのではないかと思います。決してそれ自体はアンケート調査でも何でもなくて、あくまでも、例えば難民申請書に基づいて、難民申請書に種々の記載をしていただく、こういうことになっているだけにすぎないというふうに思います。

肥田委員 難民申請書を作成するための補完手続だというふうに今おっしゃっていただいたわけですね。

 では、私、九月十七日と十月一日と申し上げたのは、難民申請中の十名ですか、その人たちにされているわけですが、同時にこういうことをされることはあるのですか。

中尾政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、難民認定申請書と、先ほど申し上げております申し立て書といういろいろな質問事項を書いたもの等合わせますと十枚を超えるのではないか、こういうふうに申し上げているところでございます。

肥田委員 では、局長がそういうふうにおっしゃるのならば伺いますが、難民申請書の作成は難民申請時にやりますよね。そうですね。そうしたら、申請時とこの日がずれているのはどういう意味でしょうか。

中尾政府参考人 先ほど来申し上げているように、私はあくまでも一般論として申し上げているわけでありまして、委員が言う具体的な日の関係でどうだというようなことで申し上げているわけではありません。

 ですから、難民認定申請書を書いた日に申し立て書を書く日もありますし、難民認定申請書を書いてから、それから時間を置いて申し立て書に記入していただくケースもございますので、種々ございます。

 そういうことでありまして、具体的な案件じゃなくて、一般的には、いろいろなケースの中でそれをいろいろな角度で見られることはあろうかと思います、こういうことで申し上げているだけでございます。

肥田委員 それでは、これ以上はしつこくなりますからやめますけれども、ビンラディンその他テロに関する情報を難民申請者からとった事実はない、全くないということでよろしゅうございますね。重ねてお尋ねします。

中尾政府参考人 そのようなことはないものと承知しております。

肥田委員 日本の難民の受け入れ体制につきましてはいろいろと内外から指摘されておりますけれども、やはり今後の難民の流入に備えて難民住宅とか医療保障あるいは教育プログラムなどをつくって中長期の計画を策定しなければいけないと思うのですが、難民受け入れについてはどうしても日本は積極的だなというような印象を持たれていない。

 そういうことでありますので、私は、難民受け入れ、避難民じゃありません、難民受け入れ体制についても今後前向きに進めていかなきゃいけないと思うのですけれども、ここのところを大臣にお聞きしたいと思います。

森山国務大臣 日本の場合は、先生もよく御存じのとおり、まず難民を申請するという方が少ないのでございます。ヨーロッパ大陸の国々とか、あるいはアメリカ、オーストラリアというような国情の国に比べまして、日本の場合は言葉も独特でありますし生活習慣も違いますし、ぜひ日本に行って難民を認定してほしいと希望する人が非常に少ないのです。

 その中で、ぜひにということで申請された方の場合は、まじめに審査をいたしまして、該当する方はきちんと認定をしているというのが現状でございまして、それ以上のことを何かしようとすることはちょっと今すぐには考えつきませんし、もしかつてのインドシナ難民のような事情がありましたときには、それはそれでまた別に内閣として決定していかなければいけないことだと思います。

肥田委員 今大臣からインドシナ難民の話が出まして、前回の質問のときにもそのことを申し上げましたけれども、一部報道で、この国が避難民を受け入れることについて、少し門戸を広げよう、しっかりとそういう体制をつくろうということが書かれておりましたけれども、これは政府内でどういう話し合いになっておりますでしょうか。

森山国務大臣 そのような報道があったということは目にしておりますけれども、政府の中で話し合ったという事実はございません。

肥田委員 そうしたら、話し合ったということはないということは伺いました。

 それで、法務大臣としては、これからリーダーシップをとってそういうことを進めていくべきだとお考えでしょうか、まだ時期尚早だと思っていらっしゃいますでしょうか。

森山国務大臣 まだ今のところ、そういうことを具体的に相談する状況ではないのではないかと思っています。一口で言えば、時期尚早でございましょうか。もう少し、事態が非常に大きく変化して、特に日本に難民を申請したいという人がたくさんいる、あるいは避難民を大量に保護する必要が日本としてあるという事態になりましたときにはまた考えるべきことではございましょうが、現在のところ、そういう状況ではないというふうに理解しております。

肥田委員 避難民が大変多く出てくるという状況もまだまだ可能性としてはございますし、どこの国でどうなるかという将来のことは私どもが想像できるものでもございませんけれども、ただ、泥縄式に、避難民がどっと出たから閣議決定でわっとしようということではなくて、もしもそういう事態になったらどことどこの省がきちんと手を組みながらしっかりとやっていこうという体制は、もうそろそろこの国がつくっていいんじゃないかと私は思うんですけれども、どうでしょうね。

森山国務大臣 具体的に、例えばアフガニスタンの問題というふうに考えますと、アフガニスタンはまだまだ非常に流動的で、どういうふうになりますか、一口に言って見当がつかない状況でございますので、そういうことを具体的に日本の政府の中で決めるという段階ではまだないと思います。

 もし万一そのような事態に急遽なったときには、前のインドシナ難民のときの経験もございますし、すぐに対応することは可能なのではないでしょうか。

肥田委員 国際的にも、恐らく私は日本にそういうことが今求められている状況にあると思うんですね。ですから、そうやってぽこっと出た新聞情報ではありますけれども、恐らく政府部内で、国際的な目をいろいろ気にし、そして感じながら、そういうことがぼつぼつ時期に差しかかったというふうに思われて出たお話ではないかと私は理解をさせていただいております。

 それで、先ほど難民認定の手続につきましていろいろ問題点をお話をさせていただいたんですけれども、この中で、私は、ちょっとこれは難民申請する人たちに対しては厳しいんじゃないかという四つのテーマを申し上げたいと思うんですが、それについて、もしそれが難民申請をする人たちにとって過酷な状況でないと思われるのならば反論していただきたいと思います。

 まず一つは、六十日ルールがございますね。この国に来て六十日の間にやらなければいけない、そして、例えば六十日を過ぎた人でも、国内に新しい事態が発生しましたら、それはその日から起算して六十日というふうになっておりますけれども、その国の新しい事態ということを政府に認めていただくのは、これまた難民申請をしている人たちから認めていただくのは大変難しいと思いますけれども、この点についてはどういうふうなお考えでございましょうか。

中尾政府参考人 我が国の場合は、難民認定申請については、委員おっしゃったいわゆる六十日ルールという、難民申請の申請期間というものを設けております。これはこれなりに合理的な理由があるものと私どもは考えておるところでありまして、基本的には、迫害を逃れて他国から保護を求める者につきましては、上陸後速やかにその事情を申し出るのが通常であります。そういうことから考えますと、六十日というのはかなりの、申請期間としては一応合理的な期間だというふうに考えております。

 もちろん、このような我が国同様の申請期間の制限は諸外国においても採用されているところでありまして、我が国だけではありません。韓国の場合には、我が国と同様、上陸後六十日以内に申請しなければならないということで、全く期間的には同じだろうというふうに思っております。資料等で、他のベルギーとかスペインとかこういうところでもそういう申請の期間が定められておりますし、最近の事情はともかくといたしまして、数年前、私どもの方で調査したところによりますと、いずれも一カ月以内とかそういうことで、日本よりも短い期間でその申請期間というものが定められているということは承知しておるところでございます。

肥田委員 そうしたら、二つ目ですが、申請者による立証義務がございますね。やってくる人は着のみ着のままで駆け込んでいらっしゃるわけでございますけれども、その中で、申請書類の中に逮捕状とか身分証明書とか、その国の政治または人権状況の客観的な説明も必要なんですけれども、これは、今必要条件とされておりますけれども、ちょっと過酷じゃないかなと私は思います。

 それから、申請書類は日本語が正ですね。それで、その人の母語が副になっておりますけれども、これも大変厳しいんじゃないかと思います。しかしこれも、局長からおっしゃられれば、当たり前のことだとおっしゃるかもしれない。しかし、客観的に見て、やはり逮捕状とか身分証明書とかそういうものを挙証責任として課するのはちょっと酷じゃないかと思うんですけれども、どう思われますか。

中尾政府参考人 委員先ほどおっしゃったような身分証明書とか逮捕状とかいうようなこと、それ自体は必ずしも難民認定に当たっての、それがなければならぬという要件には別になっていないわけでありまして、要は、具体的な、難民として迫害を受けているおそれがあるかどうかについての当該本人の申し立ての信憑性等を含めまして、いろいろな角度から私どもの方で判断するわけでありまして、客観的な物証がなければならないというようなことは、私どもの方で、法的にも要求されているものではございません。

肥田委員 難民認定申請を却下される場合、不認定になる場合でございますけれども、おおよそ二つの理由に行くわけですね。六十日ルール、それともう一つは、申請者が申請したことが事実じゃないというふうに説明されるわけでございますけれども、例えば、アフガニスタンの人々がやってきて、私の国はこうこうこうであります、だから私は身の危険を感じてやってまいりましたと言ったその人の発言内容、それから申請内容について、では、アフガニスタンに問い直されたり、こういう事実があるかどうかということをお聞きになっているんでしょうか。

中尾政府参考人 これは個々のケース・バイ・ケースで対応せざるを得ない問題でございまして、難民条約上、難民として認められる者の条件といいますか、難民としての定義が極めて厳格に規定されておりますし、私どもの入管法でも、難民条約に言う難民をもって入管法上も難民というふうに定められておりますので、その要件に該当するかどうかを判断するわけであります。

 そのときに、当該申請者の申し立てる内容につきまして、当該国籍国に問い合わすまでもなく、その申し立て内容がそれに合わない場合ももちろんございますし、それを問い合わせることもなく、その者の申し立てる内容の信憑性に疑義がある場合もございますので、そういうことを踏まえて対応して、ケース・バイ・ケースで対応しているのが実情でございます。

肥田委員 あと、インタビューの通訳の問題とか、それからもう一つ、異議申し立ての話ですけれども、決定した法務大臣に同じまた異議申し立てをして、それで改めて異議申し立てが認められるのかなと私は疑問に思うんですけれども、まずそのことも申し上げて、この認定手続にはやはりいろいろな問題があるから一度精査してみるべきじゃないかというふうに申し上げておきたいと思います。

 それでは、最後の五分になりましたので、ちょっと法務局の出張所の統廃合問題について質問させていただきます。

 大阪法務局の高槻、吹田、茨木の三つの出張所を統合するとしていますが、御承知のように、高槻市は平成十五年に四十万人の中核都市になる予定になっております。それにもかかわらず、国の事務である登記を扱う登記所が廃止されようとしていることは、地域行政のあり方としてはまことに不本意なことだと考えております。自治体も住民も、せめて登記所だけは残してほしいと切望しております。

 私も支局建設予定地にこの間行ってまいりました。駅からのアクセスが大変厳しく、道幅が狭いのですね。そして歩道がありません。ですから、もし車いすの方があそこに行かれるとなればこれは大変なことだと思いますし、交通渋滞が激しい場所でございます。ですから、車で行く人は渋滞を我慢しなければいけないし、徒歩で行く人は一体どうやって行くのかなと私は心配になる、そういうアクセスが相当困難なところでございました。

 こうした実情を考慮の上、ぜひとも地域住民の意思を尊重していただきたい、そういう対応をしていただきたいと思うんですけれども、法務省の見解はいかがでございましょうか。

山崎政府参考人 委員御案内のように、登記所の統廃合につきましては、全体としての行政の効率化、行政サービスの維持向上を目指して行っているところでございますが、統廃合されます登記所が所在する地域住民の皆様には距離的、時間的に御不便をおかけするということになっていること、これは否定できないところでございます。

 そこで、私ども法務省、法務局、地方法務局におきましては、統廃合までに一年ないし二年の期間を設けまして、適正配置の趣旨、必要性及び統廃合に伴います代替措置等につきまして、地元関係者の皆様方に十分御説明をいたしまして、可能な限り理解と協力を得て実施するように努めているところでございます。

 今御指摘の高槻市の登記所の統廃合につきましても、可能な限り地域住民の方々の意思を尊重してまいりたいと考えております。

肥田委員 ありがとうございました。

 終わります。

保利委員長 次に、山内功君。

山内(功)委員 民主党の山内功でございます。

 アメリカ大リーグで日本のイチローがMVPを取りました。朝からとても元気の出るニュースを聞いて、大変うれしくなるとともに、イチローの快挙と努力に心から敬意を表したいと思っています。スポーツは、実際にやっている選手はもちろんのことですけれども、それを楽しんでいる観客自身も、健康にも、また健全な気持ちにもなれますので、スポーツの振興は国政の中心において論ずべき国家の目標だと考えています。

 来年五月末から我が国と韓国で共催されますサッカーのワールドカップは、二十一世紀初めての、アジアで初めての、そして二カ国共催という形式としては初めての開催ということで、アジアから世界平和のメッセージを発信できる絶好のチャンスであろうと考えています。その成功に向けて、まさに国を挙げて取り組まなければならないと思います。

 その上、今回のワールドカップは、アメリカの同時多発テロ以後初めてのものであることから、かなり困難な課題も我が国にのしかかってきています。大量の観客が海外から押し寄せるわけであります。その中から、フーリガンだけでなく、テロリストもチェックしなければならない。

 そこで、特にテロ、フーリガン対策という観点から主にお聞きしますが、ワールドカップへ向けた警察の取り組み状況を伺いたいと思います。

上原政府参考人 お答えをいたします。

 警察におきましては、九月十一日の米国における同時多発テロ事件の発生を踏まえまして、来年の二〇〇二年ワールドカップサッカー大会での最大の脅威はテロであるというふうに認識をしておるところであります。

 したがいまして、今後とも引き続き関係省庁、海外治安機関等との緊密な連携を図りつつ、テロ組織に関する情報収集を強化するとともに、水際対策の徹底、ハイジャック等防止対策の徹底、主催者との緊密な連携による競技場等の警戒の強化、試合開催中の飛行規制の検討、BCテロ対策の強化等、テロの未然防止と発生時の迅速な対策を行うための必要な対策を推進しているところであります。

 一方、前回、フランス大会などにおきまして暴動等不法事案を引き起こしましたフーリガン、これが来日する可能性をも念頭に置きました諸対策をも推進しているところであります。

 このフーリガン対策につきましては、いわゆる水際対策が最も重要であるという認識のもとに、法務省入管局を初めとする関係省庁等と緊密な連携協力に努めているところであります。また、フーリガンに関する情報交換、意見交換を行うために、欧州、南米各国の治安機関に担当者を派遣いたしましたほか、欧州で開催されますフーリガン対策に関する国際会議にも担当者が出席するなど、海外治安機関との連携強化にも努めているところであります。

 警察といたしましては、テロとフーリガンという二つの脅威に対して万全を期して、全力を尽くして安全諸対策の推進に努めてまいる所存であります。

山内(功)委員 ただいま競技場上空の飛行規制の検討ということを言われたのですが、仮に規制を破って試合中に上空付近に飛行機が飛んできたというような場合に、会場の対応はどのようになるのでしょうか。

上原政府参考人 警察といたしましては、航空機を利用したテロ防止のために、危険物を機内に持ち込ませない、いわゆるハイジャック対策、それから、不審者等に小型飛行機をレンタルしないという小型航空機対策等々の対策を徹底することとしております。

 また、警察では、試合開始時に競技場上空の一定範囲における飛行を禁止する必要性がある、こう認識しているところでありまして、現在、飛行規制につきまして、航空法を所管される国土交通省との検討を行っているところであります。

 さらに、競技場に不審な航空機が接近した場合の対策につきましては、想定されるさまざまな事案に対しまして、関係機関との連携によりまして、警察ヘリによる上空警戒、あるいは観客の迅速な避難誘導計画等の作成などの諸対策について諸準備を進めているところであります。

山内(功)委員 試合の中止、観客の避難あるいは試合の再開などはどういうような指揮命令系統で行われるのでしょうか。また、それが現実の問題として可能なのかどうかも含めてお聞きしたいと思います。

上原政府参考人 これはケース・バイ・ケースによると思いますが、試合を主催いたしますJAWOC、いわゆる日本組織委員会の決定によるものと思われます。その前段で、FIFA、ワールドカップの世界フェデレーションですか、ここの意見も聞く必要があるだろうと思います。

 それから、情勢がどの程度まで悪化したとき、あるいはどんな事態が起きたときに試合を中止するかというのは、その時々でJAWOCと警察との連携によって決めてまいりたい、こういうふうに思っております。

山内(功)委員 BCテロ対策については具体的にどのように取り組まれるのか。手荷物検査のあり方、あるいは、例えば会場に白い粉がまかれたときに、試合は即刻中断して、その物質を調べることになるのでしょうか。ちょっとシミュレーションできれば教えてください。

上原政府参考人 警察庁におきましては、今般の米国の炭疽菌事案、散布事件を踏まえまして、今回お認めいただきました補正予算措置によりまして、いわゆるBCテロ対処能力の向上のために、NBCテロ対応専門部隊、これを現在の警視庁、大阪府警の二都府に加えまして北海道、神奈川等六道府県に設置するということを計画しておりまして、あわせまして、全国警察にも生化学防護服、生物剤検知器等の増強配備を図ることとしております。

 さらに、御質問のワールドカップ警備につきましては、これらNBCテロ対応専門部隊の効果的運用に努める、こういうことでありまして、これら装備資機材の万全な配備も行うことを考えているところであります。また、関係省庁との連携のもとに、一つは、毒物や薬品等の原材料の保管管理の徹底方策、これを推進いたしますとともに、競技場等におきまして仮にBCテロが敢行された場合を想定した総合的な図上訓練、図上演習の実施、現場での被害者の搬送等で実動力を有しております消防機関等との連携の強化など、その対策の推進に全力を尽くす所存であります。

 会場で仮に白い粉が散布された場合どうするのかというお尋ねでございますが、仮の話でありますが、大会会場において白い粉の散布という事案が発生しました際には、まず、危険物質の早期検知、回収及び被疑者の確保方策の検討、さらには、関係機関との連携のもとに、パニック防止にも配慮いたしました観客の迅速な避難誘導計画の策定等々の諸準備を今進めているところだということで御理解いただきたいと思います。

山内(功)委員 警備については、例えば韓国では軍隊まで出動させるということも考えておられるようですけれども、我が国においては、会場警備の規模とか対応はどのようになるのでしょうか。先日浦和で行われた日本、イタリア戦では約千名の警察官が動員されたと聞いているのですが、その態勢の組み方について、何らかの基準というかメルクマールはあるのでしょうか。

上原政府参考人 御紹介ありました、韓国がどのようにしてワールドカップサッカー大会の警備を行うのか、これは恐らく韓国の国情に合わせた諸検討が行われているものだと承知しております。

 我が国におきましては、まずもって警察におきまして、国際テロ及びフーリガンによる暴動等不法事案の未然防止のために現在全体的な警備計画を策定中のところであります。また、大規模な暴動等不法事案の発生に備えまして、全国の管区機動隊等の部隊を集中運用することによりまして、全国警察力挙げて万全の体制で臨みたい、こういうふうに考えております。

 さらにもう一つの日韓間の協議について付言いたしますと、日韓両国におきましては、来年のワールドカップ大会が共催されるということに基づきまして、安全対策に関する日韓定期協議というのをこれまで二回開催しております。日常的に情報交換を行う中で連携を緊密に行いたい、こういうふうに思っております。

 去る九月二十八日に開催されました第二回目の協議におきまして、日韓両国は、今次ワールドカップサッカー大会における最大の脅威はテロであるというような認識を共通にいたしまして、日韓相互の治安機関間のテロ関連情報の交換、これを強化するということでテロ対策に係る協力の強化を推進しているところであります。

 ただいまのところ警備計画につきましては策定中でございまして、時間が近づきましたらまた御説明ができるだろうというふうに思っております。

山内(功)委員 大会出場国が三十一カ国まで決まって、残り一つをめぐってウルグアイとオーストラリアが争っています。ほぼ参加国が出そろったんですけれども、七月に出された観客移動予測の暫定値と大きく異なってはいないのでしょうか。

岩村政府参考人 観客の需要予測でございますが、今先生御指摘のように、十一月の二十五日、来週になりますけれども、オーストラリアとウルグアイのプレーオフ、この結果で全出場国が確定するわけでございます。国土交通省は、これも御指摘のとおり、ことしの七月に、海外との観光客の交流として片道三十六万五千人という需要予測をしております。今後は、今申し上げたように、出場国が決まること、それから十二月の一日に釜山で組み合わせの抽せん会が行われます。これによってどこの会場で予選リーグが行われるかということが決まってまいります。そういったことを踏まえて来年の一月末に第二次の暫定値というものを試算して公表したいというふうに考えております。

 現時点で、今申し上げたように、まだ組み合わせが決まっていない、さらには出場国が決まっていないということで予測は難しいわけでございますが、この点は御理解いただきたいと思いますが、今海外でのチケットの販売総数を見てみますと約六十七万五千枚ということが言われておりまして、これは今後余り大きく変わらないという点を踏まえますと、世界のどこから日本のどこへ来るか、これについてはちょっと今はっきりしませんが、全体で見て、予測総数自体、これについては先ほど御説明した片道三十六万五千とそう大きな差異はないんではないだろうかというふうに思っているところでございます。

山内(功)委員 昨年六月の訪日された外国人のお客さんは三十八万人、つまり来年の六月には例年の約二倍の海外からのお客さんがあるということになるわけですね。そう考えていいんでしょうか。

岩村政府参考人 昨年六月におきます訪日外客数は、御指摘のように約四十万人でございます。こういうことを考えますと、先ほどの数字が三十六万五千でございますので約倍になるということが言えるわけでございますが、ただ、一方では、ワールドカップサッカー大会期間中において他の観光目的で来日される方がワールドカップに切りかえて来られるということもあると思いますので、そういった面の減少の面、それから、来年に向けて、ことしの九月の同時多発テロにより、現在、国際観光客というのが今影響を受けておりまして減っておる、そんなことも考え合わせなきゃいけませんが、そういうことを差し引けば最大約二倍のお客様が海外から来られるというふうに考えております。

 いずれにしても、大変多くの方が来られるわけでございますので、フーリガン対策を含めた諸対策について関係省庁が連携して検討を進めているところでございます。国土交通省としても、輸送対策等に万全を尽くしたいというふうに考えております。

山内(功)委員 入管当局に伺いたいと思います。

 先日の委員会でも質問をしたのですが、大会期間中の入国審査の体制はどのように強化されるのでしょうか。日本の国際空港や海港にいる入国審査官は、現在何人のところが来年の本番の六月には何人にふえることになるのか、具体的に述べてください。

中尾政府参考人 ちょっと手元に資料がなくて申しわけございませんが、大体入国審査官が千二百人ぐらいおりますので、その体制で対応せざるを得ないということでございます。増員の関係もいろいろお願いをして、増員をしていただいた数もプラスして対応せざるを得ないということになります。したがいまして、従来在留関係で在留審査に当たっている審査官を入国審査ブースの方に振りかえて応援態勢を組まざるを得ないというふうなことで、これまた、先ほど国土交通省の担当の方からお話があったように、十二月一日の釜山での組み合わせ抽せん会等々の結果を踏まえまして、どこの空港にどのぐらい張りつけをふやしたらいいかどうかも含めて総合的な計画を練った上で対応を考えたい、こういうふうに考えております。

山内(功)委員 在留資格の審査の方から応援を持ってくるといっても、そちらもまた重要な仕事でもありますし、在留外国人の方に迷惑がかかるという話にもなると思います。少ない人数で、しかし倍の訪日客に対応しなければならない、危険人物は入れないように厳重にチェックをするということになると、空港の審査ブースが長蛇の列となって、海外から来られたお客さんからブーイングが起きるということにもなるのじゃないでしょうか。

 韓国の仁川空港では成田空港の倍くらいの審査員がいるわけで、韓国ではスムーズに入れたのに日本では何時間も待たされたというようなことで、日本が国際的に恥をかくのではないかと心配もしております。

 いずれにせよ、参考人が言われる現状の想定では、来年の六月には大混乱が起きると思います。責任がとれますか。

中尾政府参考人 御指摘のような懸念が現実にならないように、私どもの方で最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

山内(功)委員 今回の改正案ではフーリガンの対策を講じるわけですけれども、実際に改正法の規定を運用する場合に、事前にフーリガンに関する情報収集を行う必要があると思うのですが、いかなる方法でこれを行うのか、教えてください。

中尾政府参考人 現在御審議いただいております改正入管法案の第五条一項五号におきましては、フーリガン行為により法令に違反して刑に処せられたとかあるいは国外に退去させられた、そういったいわば前歴のある者について、かつフーリガン行為を行うおそれがある場合にはその者の上陸を拒否する、そういう規定になっておる関係上、この改正法案の五条第一項五号の二の、先ほど申し上げた要件に該当する者について、外務省を通じまして、関係諸国に対して現在照会を行っているところであります。

 大会開催に当たりましては、それによって収集した情報に基づいて厳正なる審査をしたい、こういうふうに考えておるところでございます。

山内(功)委員 ある新聞に、逮捕歴十回というフーリガンが登場して、来年のワールドカップは何としても日本へ行くぜ、試合を楽しみ、日本文化を堪能したらおとなしく帰るさ、ドイツやアルゼンチンのフーリガンと出くわさなければなということを言っている記事があるのですけれども、こういう方はイングランドからそもそも出国できないようにできるのでしょうか。

中尾政府参考人 イギリスにおきましては、一定のフーリガン行為を過去にした者等について一定の条件下で出国を禁止する、そういう法制度がとられておりますので、そういった形で出国を英国の方で差しとめていただければ、委員御心配の新聞記事のような者については日本に来るのを阻止できるものと期待しているところでございます。

山内(功)委員 二〇〇〇年のヨーロッパ選手権で、ベルギー国内でイングランドとドイツのフーリガンが暴れた人数は三千名だったそうですけれども、日本でそういうことが起こった場合に、競技場近辺の留置施設に収容は可能なのかということが心配になります。

 ワールドカップの試合のある、例えば大分県では、県警自体の留置収容人数が二百九名、鹿嶋では、茨城県全体でも三百九十名の収容可能人数と聞いています。それら留置施設が全部空ならまだいいのですけれども、私の経験では、といっても留置された経験があるということじゃなくて、私の知るところでも、現在でも半分以上は埋まっているのが実態だと思うのですけれども、その点の心配はどうでしょうか。

上原政府参考人 御質問のように、大量検挙の事態が発生した場合に留置場施設をどうするのかというお尋ねでございます。

 近隣の警察署等の留置場に分散収容いたします。また、それを上回る被疑者数が出た場合には、それに応じまして、順次、県下の他の警察署の留置場に収容する、こういうことになると思っております。

 お尋ねの発生県の留置場だけで対応し切れない場合があるのではないかという点でありますが、この場合も想定をいたしまして、現在、隣接府県への留置場収容をすることによって対処する方向で検討を進めているところであります。

 また、留置場の収容能力の確保に向けまして、留置場に収容しております被留置者の行刑施設への早期移監、あるいは、逮捕被疑者の行刑施設への留置の可能性につきまして、法務省刑事局等々と必要な協議を今やっているところでございます。

山内(功)委員 今のベルギーの例では九百人が逮捕されたということなので、今の答弁ではちょっと私も納得できないのです。

 例えば、それが強制送還が相当だと判断されて、留置場から入管の収容施設に移ってきた場合に、また再び収容可能かどうかという問題が生じると思います。大会開催時に収容定員を超えた場合はどうするのでしょうか、あるいは、通訳の確保の対策などについてはどうなっているか、教えてください。

中尾政府参考人 私どもの方で、かねてから収容所の施設の整備拡充に努めてきたところでございますけれども、現在のところ、入国者収容所三カ所及び地方入国管理局等の収容施設が合計で十五カ所、合わせて十八カ所ございますが、収容定員が二千四百十八人でございます。この範囲で対応せざるを得ない状況に置かれておるわけでありますけれども、首都圏を中心に、収容施設の収容率が高水準に達しておることも踏まえまして、現在、東京入国管理局に収容定員百五十人の収容施設の増設作業を進めて、委員の方からは百五十人では足らぬとおしかりを受けるかもしれませんけれども、関係当局の御配慮によって、取り急ぎ百五十人の増設作業を進めているところでございます。

 先ほどの、大分等々の地方の会場等でそういう事態が発生した場合には、基本的には、地方入国管理局の収容場では当然賄えないことでございます。したがいまして、入国者収容センターの方に速やかに移送をする体制を考えておるところでございます。収容所全体では、三センターでございますが、ざっと千五百余りの収容定員でございますので、そのところに速やかに分散配置して対応をしていきたいというふうに考えております。

 通訳の関係についてでございますけれども、これまた頭の痛い問題でございますが、従来と合わせまして、職員等の語学研修を通じて、外国語会話能力を有する職員をできるだけふやし、その向上を図っていきたいというふうに考えておりますし、通訳人のリストを今後もできるだけふやして、独自の通訳人リストを確保いたしまして、その連携等を深めて、それに即応できるように今後とも努力したいというふうに考えておるところでございます。

山内(功)委員 若干残された時間で、国際的な規模で開催される会議の件について伺いますが、どのような会議を想定しているのでしょうか。閣僚級であれば二国間の会議でも国際的な規模の会議に含まれるのでしょうか。民間主催の会議は入るのでしょうか。民間主催の会議でも各国の閣僚が出席する会議は入るのでしょうか。教えてください。

中尾政府参考人 順を追って御説明申し上げます。

 改正法案に言います「国際的規模で開催される会議」の定義でございますけれども、これにつきましては、先進国首脳会議、いわゆるサミットとか、WTO等の国際機関が主催する会議、あるいはAPECのような政府間協議の枠組みのもとで行われる会議等を想定しておりまして、各国の首脳または閣僚等の国の意思を代表する者が集まって行う会議をいうものと考えております。しかも、その円滑な運営を確保することが我が国の国際的な責務とされるような相当な規模のものがこれに該当するというふうに考えております。

 委員御質問の、閣僚級の二国間会議は国際的な規模で開催される会議に含まれるかどうかという点でございますが、先ほど申し上げましたようなことで国際的な規模で開催される会議を想定しておりますので、基本的にはこのような会議は多数国間の国際会議ということになろうかと思います。

 したがいまして、閣僚級の二国間会議についてはこれに含まれないというふうに言わざるを得ないと思いますけれども、ただこれも、単にそれだけでノーというわけではなくて、会議の性質あるいは参加者等、それぞれの規模の大きさ等考えましてこれに認められる場合もあり得るだろうというふうに、幅を持って考えているところでございます。

 それから、その次の、民間主催の各国閣僚が出席する会議も含まれるのかということでございますが、先ほども申し上げたようなことで、具体的な会議の内容、規模等々によって判断せざるを得ないかと思いますが、民間主催の会議については、先ほど申し上げた我が国がその円滑な運営を確保する国際的な責務を負うような事態はやや想定しにくいのではないかというふうに考えられますので、基本的には民間主催の各国閣僚が出席する会議につきましてはこれに含まれないというふうに考えております。

山内(功)委員 今度の改正は、上陸拒否事由の拡大によっても国際会議に対するNGOなどの適法な行動は規制するものではないということを、これまでの参議院の審議でも本院でも法務省からこのような明確な答弁をいただいております。

 NGOの正当な政治活動の妨げにならないように、慎重な運用を徹底させていただきたいと思っています。大臣の決意をお願いします。

森山国務大臣 先ほども申し上げましたように、この法案は、暴行等の具体的な違法行為を行うおそれがあるという者についてその上陸を拒否し、あるいは実際にこれらの行為を行った者についてこれを国外に退去させるというための規定でございますので、国際会議に関連して行われるような集団示威行動それ自体を規制の対象とするものではございません。

 これらの規定によって適法に行われるNGOの活動が不当に制限されることにはならないと考えております。

山内(功)委員 大臣は、参議院の質疑で、入管行政の基本は円滑な外国人の受け入れと好ましくない外国人の排除であると答弁されておられますけれども、その意味では、来年のワールドカップは日本の入管行政が始まって以来の試金石になるのではないかと考えます。

 先ほどの局長の答弁を聞いていても心配が余り晴れないのですが、大臣から再度決意をお伺いし、質問を終わりたいと思います。

森山国務大臣 議員から念を入れた御質問でございまして恐縮いたしますが、おっしゃいますとおり、ワールドカップサッカー大会開催というのは、我が国の出入国管理体制につきまして大変大きな試金石でございます。

 ふだんに倍するお客様がおいでになる。その方々が円滑に出入国していただいて、しかも好ましくない人々が入らないように、そういう行為があった場合には排除するという非常に難しい仕事を預かるわけでございますが、法務省といたしましては、関係機関と緊密に連絡をとりまして、大会期間中支障のないように、空港その他の職員を応援派遣するなどいたしまして出入国審査に万全を期してまいりたいと思います。

 なお、収容施設につきましても御心配いただいておりますが、十三年度の補正予算におきまして東京入国管理局の収容施設の拡充が認められまして、できるだけ早く間に合わせたいというふうに思っております。

山内(功)委員 ありがとうございました。

保利委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

保利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。木島日出夫君。

木島委員 日本共産党の木島日出夫です。

 入国管理法の改正法案ですが、今回の改正の第一の趣旨が、いわゆる来年日韓で共催するワールドカップ大会でのフーリガン等への対策ということでありますので、最初に、フーリガンとは何か、これまでのヨーロッパ等におけるフーリガンの不法行為の重立った実例、それに対してどういう対策がこれまでとられてきたか、取り締まりの状況、その辺をお聞きしたいと思います。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、フーリガンとは、ワールドカップ等のサッカーの競技会の会場やその周辺の店舗等の破壊等を意図的に行う暴徒化したサッカーファンのことをいうというふうに承知しておるところでございます。

 歴史的には、十九世紀後半、英国でサッカーが誕生した直後からファンが審判に物を投げつけたりする暴行行為があったようでございますが、暴徒化したファンをフーリガンと呼ぶようになったのは一九六〇年代からであると承知しております。一九八〇年代に入りますと、場外での騒動がふえる一方で、ドイツとかオランダとかイタリアなどの他の欧州諸国にもこれらの暴力行為、フーリガンの行為が広まっていったようであります。

 各国におけるフーリガンの犯罪動向等は、詳細は承知していないところでありますが、極めて有名なのは、一九八五年のベルギーのブリュッセルでの欧州チャンピオンズカップにおいてフーリガンが暴動を起こし、その結果、競技場の壁が崩壊いたしまして、約四十名が死亡したという事件が大きく承知されているところでございます。その後、一九八九年には英国のシェフィールドでイングランドサッカー協会カップ、そして御案内の一九九八年のフランス・ランスでのワールドカップ・フランス大会での暴行事件、それから二〇〇〇年のトルコ・イスタンブールでの欧州サッカー連盟カップとか、ベルギー・シャルルロアのヨーロッパ選手権、これらでの暴行等の事件で負傷者が出たり商店等のガラスが割れたり、そういうような状況でございます。

木島委員 サッカーの国際大会、特にヨーロッパでの大会でフーリガンが暴行などを働くという状況でありますが、そういうフーリガン対策にヨーロッパ諸国はかなり長年月をかけた取り組みがなされてきている、国際間の協定なども前進しているとお聞きをしております。文部科学省をお呼びしておりますので、その辺の概要を御答弁いただきたいと思います。

遠藤政府参考人 ヨーロッパにおきましては、スポーツ関係のいろいろな条約といいますか綱領等々が定められております。

 一つは、ヨーロッパ・スポーツ倫理綱領というのがございます。これは、一九九二年のヨーロッパ・スポーツ閣僚会議におきまして採択されたものでございまして、フェアプレーの精神を導く倫理的考察がすべてのスポーツ活動、スポーツ政策、管理において不可欠な要素である、そういう基本原則のもと、行政機関、スポーツ関係団体、個人のレベルでのフェアプレーに対する責任をうたった、こういう倫理綱領が一つございます。

 それからもう一つは、スポーツ大会、特にサッカーの試合における無法行為・暴力行為に関する協定、こういう協定が一九八五年、欧州評議会において起草されたということでございます。これは、先ほどの御答弁にもありましたけれども、一九八五年に大きな事件が起きたということの反映ではないかと思いますが、フーリガン対策ということで、サッカーの試合における暴力行為等を防ぐ観点から、各国がそれぞれの法制度の枠組みにおきまして、とるべき方策、手続等を定めたものである、こう承知しております。この協定におきましては、スタジアムなどの物理的条件の整備や暴力行為に対する法律的措置、関係機関の間の十分な連絡調整、国際協力の重要性などを定めているもの、こう承知しておるわけでございます。

木島委員 今答弁されました、スポーツ大会、特にサッカーの試合における無法行為・暴力行為に関する協定は、欧州評議会及び欧州文化協定署名国がこういう合意をして協定したと伺ってよろしいですか。

 そして、この国際協力、国家の枠を超えた国際協力の取り決めはどんなふうになっているか、さらに突っ込んだ質問でありますが、御答弁願います。

遠藤政府参考人 欧州評議会及び欧州文化協定署名国が合意したというような協定であるということと、この協定を受けまして、欧州評議会の中に常設の委員会を設けまして、年一回、定期的な会合をなさっている、こう承知しております。

木島委員 ずっと時期が現代に近づいてくる一九九六年の四月二十二日に、EUで、サッカー試合に関連した暴動の予防及び抑止に関するガイドラインについての勧告、こういうものがなされているやに承知をしておるのですが、文部科学省、あるいは法務省入管局で結構でありますが、つかんでおるでしょうか。そういう中で、フーリガンなどの無法行為をした者に対するお互いの情報交換、サッカーの国際競技の開催国に対してそういう情報を渡す、そんな取り決めがどのように前進しているか、つかんでおったら答弁願います。

遠藤政府参考人 申しわけございません、詳細承知してはいないのですけれども、大変深刻な問題でございますので、最大限、各国連携してやっているもの、こう思っております。

木島委員 九六年にはEUでそういう各国間の合意がなされて、情報の提供など国を超えてやっておる。そして、前回フランスで行われたワールドカップは、それが非常に功を奏して、かつてのような暴動が鎮静化したと言われているわけであります。

 そこで、本法案について法務省にお聞きをいたしますが、今回の法改正で新たにつけ加わる第五条五の二、こういう国際競技会等の対策として、一定の要件に該当する者を上陸拒否ができるという新しい枠組みをつくるわけでありますが、他国でのフーリガンなどの情報をどのように収集していくんでしょうか。そして、どのようにこの法律が運用されていくんでしょうか。

 こういう枠組みが、ヨーロッパ諸国と比較しても、日本にはまだできていないと思うのですね。果たしてそういう情報がきっちり日本の法務当局、入管当局に渡されるんでしょうか。その辺どうでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、フーリガン等に関する情報につきまして、外務省を通じて、関係諸国に対して現在照会を行っているところであります。照会先の各国においてそれ相当の、これまで対応した関係もございますので、私どもの外務省を通じての要請にこたえていただけるものと思っております。

木島委員 実は、先ほど指摘をいたしましたスポーツ大会、特にサッカーの試合における無法行為・暴力行為に関する協定などでも、第七条のところに「情報の提供」というのがあるのです。「各国は、欧州評議会事務総長に対して、当協定に関して各国が措置した法律、制度等に関する情報を提供すること」とあるんですね。

 ここには、よその国でフーリガンが暴力行為を働いて、逮捕され起訴され有罪判決を受けた、そういう個人の前科前歴ですか、それをサッカー主催国に情報提供するというところまでは読み取れないのです。かなり慎重にやっているのかなと思うのですが、その辺、実態はどうでしょうか。協定を結んでいるヨーロッパ諸国の間でどうでしょうか。

 ましてや、こういう協定を持っていない日本に対して、じゃ、イギリス政府が、フランス政府が、ドイツ政府が、みずからの国内のフーリガン、懲役一年の判決を受けた前科前歴を果たして日本政府当局に情報提供してくれるものなんでしょうか。そういうものは国際人権上、大丈夫なんでしょうか。私は一番気がかりなところなんですが、法務省、どう考えていますか。

中尾政府参考人 御指摘の関係は、個人情報にわたるものでございますので、これは利用という面からしましても非常に慎重を要するところでございます。

 しかしながら、フーリガン行為の防圧は、我が国と、日韓共同開催ということでありますので韓国、あるいはそれに参加する国々とともに平穏に行われる必要があろうかと思います。そのための協力は、人権上の問題の生じない範囲でやっていただけると思っております。

 委員の御案内は多分自国民についての話だろうと思いますが、自国民についての情報までの要求ということで照会しているものではございません。それぞれの条文にもありますように、そういうことで刑罰を受け国外退去というようなことになりますので、一応当該国にとっては外国人を想定しておりますので、その限りにおいて必要な限りの情報をちょうだいできるというふうに考えておるところでございます。

木島委員 私どもも、ワールドカップが平穏裏のもとに開催されること、そして、フーリガンなど暴動や暴力行為を働くために入国することは断じて阻止すべきだ、それも入国、上陸の水際のところできちっとチェックをして送り返すということが必要だろうという意味で、これは賛成なんです。

 しかし、本当にその実効性を上げるには、情報が事前に提供されていないと実質上フリーパスになっていくんじゃないでしょうか。その辺の運用、この法律によって実効性はあるんでしょうか。その辺どうですか。

中尾政府参考人 これは議員御指摘のとおり、過去に国外退去等の前歴のある者を要件といたしますから、そういう者でない者については、残念ながら実効性を持つことはないということでございます。

木島委員 その辺を厳しくチェックすることが求められる。一方、そういう者でない者に対してやり過ぎると、全く無実の者に対してあらぬ疑いをかけて入国審査が厳しくされて、人権侵害にもわたるし日本国に対するイメージも大きくダウンする。そういう両側面がありますので、その辺を、運用を正しくやることが必要だということだけ申し上げておきたいと思います。

 続いて文部科学省に。

 それでは、これまでの国際のスポーツ競技において、サッカー以外で、こういうたぐいの暴力などを常習とするようなグループというのは現にあるんでしょうか。

遠藤政府参考人 スポーツ大会におきましては熱狂の余り暴力行為などに至る事例が全然ないとは言えないと思うのですけれども、ただ、フーリガンと呼ばれる暴徒化したようなファンにつきましては、サッカー大会で顕著に見られるものである、こう承知しております。

木島委員 そのとおりだと思うのですね。やはりサッカーに特有な現象であることは確かなんです。

 それで、法務省にお聞きをいたしますが、ところが、この法案のつくり方は、来年行われる日韓共催のワールドカップだけじゃなくて、「国際的規模若しくはこれに準ずる規模で開催される競技会若しくは国際的規模で開催される会議」、すべてひっくるめて同じ法律の枠のもとで規制しようというつくり方になっております。まことに拡大なんですね。

 しかし、今、文部科学省からの答弁によっても、現実の世界では、サッカー競技以外ではそういうことは、たまたまあったとしてもそれは例外的な話であって、フーリガンというようなことで特定され、いわゆるブラックリストに載るような形での組織化されたものはない。

 なぜこんなに規制の対象を広げてしまったんですか。そんな必要性なぜあるんですか。これは法務大臣。

森山国務大臣 来年のサッカー大会を控えまして、いろいろ準備が進んでおりますが、その中で、フーリガンについては、今までこういう規模の大きな大会を、オリンピックはございましたけれども、サッカーについては大規模な大会を開催するのは初めてでございまして、非常に心配されることがたくさんございます。

 したがいまして、フーリガンと言われて世界でも既に知られているような行動に対して事前に抑制しなければいけないということを非常に強く考えまして、それが第一の理由でこの法案をお願いしているようなわけでございますが、残念ながら、ほかの種類の競技会あるいは国際的な会議等に、周辺で騒ぎを起こして周りの商店街の家屋や器物を破壊するというようなことに及ぶようなケースが時々見られまして、そのようなことも、これから国際化の時代、日本でたくさん行われるはずの国際的な会議にそのような事態が起こっては困るということで、そのような前歴のある人はその際には遠慮していただこうという考えもございまして、あわせて、同じような趣旨でございますので、両方ともにカバーできるような法案というふうに考えたところでございます。

木島委員 そうしますと、この法律の運用ですが、国際的規模もしくはこれに準ずる規模で行われる競技会あるいは国際的規模で開催される会議、こういうのを大臣告示とかあるいは法務省の入管局長の告示などで特定して、その場合に備えて特別態勢に入る、そういうシステムでこの法案は動き出すのでしょうか。対象となる国際会議、国際競技というのは入管法のこの運用において特定されるのでしょうか。それが法律を読んでも全然見えませんので、お聞きします。

中尾政府参考人 その点でございますが、そのようなことを告示という形で行うべきなのか私どもの方の通達でやるべきなのか、その辺の方法論はまだ今のところ確定しておりませんけれども、少なくとも、先ほど大臣の方から御答弁申し上げたように、競技会につきましても相当程度の規模の競技会、あるいは国際会議についてもかなりの規模のものということで、限定的に運用したいというふうに考えております。その意味合いからいたしますと、現実に国内で開催される具体的な国際競技会ないしは国際会議がどういうものであるか、そのものとの兼ね合いで上陸審査を行うのが実務的で効果も上がることですし、それが本来のこの法案をつくった趣旨に沿うことでございますので、その辺は明確にして、全国の統一を図った形で対応したい、こういうふうに考えておるところでございます。

木島委員 そうすると、何らかの基準が必要ですね、これは特別態勢に入る国際競技、国際会議だ、これは違うんだと。その基準というものはこの法律第五条の五の二だけでは読み取れません。どんな基準を考えていますか。

中尾政府参考人 具体的なことで申し上げますと、オリンピック競技会それからワールドカップ大会、アジア大会等を基本的に想定しておりますので、各国を代表するチームや個人が参加する競技会ということになりますし、サミットのような会議につきましては、各国の首脳、閣僚等の国の意思を代表する者が集まっている会議でありまして、いずれにいたしましても、その円滑な運営の確保が我が国の国際的な責務とされるような相当規模の競技会、会議というふうに私どもの方で想定いたしまして、その範囲でそれぞれの競技会、会議を定めて運用していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

木島委員 参議院での審議でもそうでしたが、今回のこの審議でもそうですが、例えば国際会議、WTOの会議、確かに例はありました。ワシントンで行われた会議で一部騒ぎがあった。しかし、そういう場合に例えばデモ隊と警察官が衝突して逮捕などの状況が生まれる、そういう場合にこの法案が発動するということになりますと、人権上重大な問題が生ずるのじゃないかと私は思うのですね。

 改めて法務省に聞きますが、サッカーについては、ヨーロッパ諸国での国際間の協議、先ほど最初に言いましたね、ああいう取り決めがあって、取り決めに沿って各国が共同して情報の提供もし合う、そしてサッカー大会を守るということをやっているのですが、WTOとかG8とかASEANとか、そういう会議でたまたまあるところで警察官との衝突があったという場合に、そういう人物を前科者として、前歴がある者として、事前に日本政府はつかもうとしているのですか。そんなルールは今国際社会の中にあるのですか。もしそんなことをやったら人権上重大な問題になると私は思わざるを得ないのですが、それらに対する歯どめというのがこの法律の中にはありますか。

中尾政府参考人 改正法五条一項五号の二を見ていただきたいと思いますが、これは、それぞれの過去の行為について極めて具体的に列挙しておるところでございます。具体的な違法行為でなければならぬということがまずございます。しかも、それぞれの国際会議等の円滑な実施を妨げる目的をもって具体的な違法行為をした者でなければそもそもこの法律の対象にならないわけであります。

 したがいまして、デモ行為というようなことはこの法律では基本的には初めから対象外にされておりますので、デモ行為によって逮捕された者というのは基本的に該当しないということでよろしいかと思っております。

木島委員 それはごまかしですよ。単なるデモはアメリカでも犯罪にならぬでしょう。しかし、デモを行ったことによって警備警察官と衝突してしまって公務執行妨害で、アメリカの法制を私は詳しく勉強しておりませんが、逮捕され有罪になる、そういう者はこの第五条の五の二にひっかかるでしょう。「若しくは日本国以外の国の法令の規定によりその国から退去させられた者」、これも入るわけですからね。あるいは日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられた者も入るわけですから。そういう者に対するアメリカで有罪判決があった、これはWTOを妨害する者だというので日本の法務省に通告があって、日本の入管がそれでチェックするということでこの法律は動くのですか。それはもう本当に重大なことになるのですよ。

 それはなぜかというと、私、再三言っているように、今度のこの法案を、ワールドカップサッカーに対するフーリガンという歴史的な経過があって、ヨーロッパ社会で協調しながらそれを防止してきた、そういうものにとどめておけばそういう人権侵害のそしりというのは余り起きないのでしょうが、こんなに対象の国際会議、国際競技を広げてしまうからこそ、そういう心配が出てきているのです。どうですか。

中尾政府参考人 これは、先ほど来申し上げておりますように、具体的な公務執行妨害がそこに含まれるかどうかはともかくといたしまして……(木島委員「ともかくじゃなくて一番大事なところだよ、除外されるのですか」と呼ぶ)公務執行妨害、これは、暴行を加え、人を脅迫し、または建造物その他を損壊した行為、そういう行為としてそれぞれの国の刑罰法令に違反した、そういうことで刑に処せられている限りにおいては、その者についてはまず前段でそこに一応は該当する、こういうことになろうかと思います。かつ、それによって、またそれと同種同形態あるいはそれと関連性のある、または国際会議で同様のことをするおそれがある、こういう形で該当するということになろうかと思います。

木島委員 この構成要件で、暴行を加えて刑に処せられた者というこの概念も、日本の刑法の暴行罪とはちょっと違う概念ですよね。だから、アメリカなんかで行われたWTO会議で、いろいろな立場はあるでしょう、たまたま警察官と衝突してしまって、暴行的なことがあって有罪になってしまったなんということはこの法律だと除外できないのですよ、そういうふうに読めないのですよ。そういう運用をされると国際人権上非常に問題ではないか。

 ですから、少なくともそういう場合は発動しないんだ、運用における歯どめが必要なんだと思うんですが、これは大事な国際人権法との関係ですから、法務大臣、やはりそういう歯どめというのは考えるんだということを答弁してほしいんですが、どうですか。

中尾政府参考人 先ほどの答弁に対しましてちょっと補足させていただきたいんですが、これは、おそれのあるというものまでまた要件としてつけておりますので、その辺の判断については極めて慎重に対応させていただきたい。その辺のところのことは十分考えた上での運用を考えているところでございます。

森山国務大臣 この改正は、我が国で開催される国際競技、差し当たってはワールドカップのサッカー大会でございますが、そのような大規模な国際的な競技、さらに国際会議等が平穏な環境のもとで行われるということを確保するのが目的でございます。ですから、ワールドカップサッカー大会を成功させるためにも、ぜひともこれが必要だと思っておりますが、外国人の人権に十分配慮いたしまして、適正な運営が行われるように努力してまいります。

木島委員 次のテーマに移りますが、本法によって入管局が退去強制をかける必要があると判断した場合に、それだけでできるということですね。それから、先ほど同僚議員の方からも質問されていましたが、刑事手続で有罪判決を受けなくても、行政処分として退去強制が法律上はできる、並行して審査もできる、しかし、現実問題としては刑事手続が先行するんだという答弁がありました。しかし、その法的担保はないんですね。

 そこで私、一点だけこの問題で聞いておきますが、外国人が入国をしようとした、そしてそれに対しては、入管当局の事実認定によって退去強制事由が発生すると判断をしたという場合には、刑事手続なしでも退去強制はかけることができるわけですね。しかし、現実問題としては刑事手続を先行しているとおっしゃいましたが、では、そういうときにその当該外国人の身柄というのはどうなるんですか。

古田政府参考人 御質問の趣旨、必ずしも正確に理解はしておらないかもしれませんが、刑事手続がとられている場合には、御案内のとおり、その必要に応じまして逮捕、勾留されている場合があるということになろうかと思います。

木島委員 いやいや、ですから、刑事手続で身柄をとるほどの必要性がない、しかし一方では入管法上の退去強制事由に当たるというので退去強制が発令されるという場合に、身柄というのはどうなるんですか。その間の身柄は、だれが責任を持って、どういう処遇がされるんですか、この日本の入管法上。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 上陸拒否の場面と退去強制手続の場面というのは、これは別の関係でございます。

 上陸拒否というのは、上陸申請をして上陸を拒否すれば、その形で帰っていただくということで、基本的には、上陸拒否の場合は身柄の問題は原則的には生じません。

 ただ、その上陸の際に、例えば不法入国ということになりますと、これはあわせて退去強制事由に該当することになりますから、それをもって退去強制事由になりますと、違反調査の上、収容令書の発付ということで、入国警備官が違反調査をいたしまして、入国審査官の審査を行って退去強制手続に進む過程において収容という手続が始まりまして、収容ということでやるわけであります。したがいまして、不法入国した者について退去強制手続をとれることにはなっておりますので、それ自体は刑事手続にのせないまま退去強制するということは入管法上あるわけであります。

 基本的には、退去強制というのは、これは行政手続でございます。入管法上の建前からいたしますと、好ましくない外国人を速やかに退去させる、その好ましくない事由はどこにあるかということが二十四条に各規定がございます。二十四条の規定の中には、刑に処せられた者ということで退去強制事由になるものから、刑に処せられることを要しないで、売春等の従事者等の一定の具体的事実で退去強制事由に該当するものがございますので、それはもちろん犯罪になり得る場合もございますけれども、そういうことでできる、こういうことになっていることになろうかと思います。

木島委員 もう時間が迫っておりますから、では、今回の法改正のもう一つの大きな焦点である退去強制事由の拡大の問題についてお聞きします。

 これまで、一年以下の懲役、禁錮で、執行猶予者については退去強制事由ではなかった。今回それを退去強制事由に拡大するということ、重大問題なんですね。

 そこで、これまで執行猶予者については退去強制事由該当から除外していたのはどういう理由か、そして、今回対象を拡大した根拠、理由は何なのか、答弁を求めます。

中尾政府参考人 従来、執行猶予つき判決を受けた者は、刑に処せられた、これは入管法二十四条四号のリの規定の関係でございますが、その中で、ただし執行猶予判決を受けた者を除く、こういうふうになっている趣旨でございます。この規定は入管法制定当時から変わりはございません。これは、ポツダム政令から来たもともとの出入国管理令ということでございます。

 その当時は、我が国に在留する外国人の大半は、いわゆる在日韓国あるいは朝鮮人等の、基本的には我が国への定着性の強い、長い、長期在留型と私どもで申しておりますが、長期在留型の外国人で占められておりましたので、こういう外国人を念頭に置いて、この退去強制事由の中から執行猶予判決を受けた者を除くというふうになったものと承知しております。したがいまして、これらの方々については定着性が強いわけでありますので、直ちに退去させないで国内で更生をしていただく、こういう法の趣旨があったんだろうと思います。

 ところが、最近、いわゆるニューカマーの数が急激にふえてまいりまして、外国人登録者数は百六十二万人ぐらいおりますが、そのうちの百万を超えるのがいわゆるニューカマーで、従来の比率が変わってまいりました上に、外国人犯罪が非常にふえてまいりました。窃盗等あるいはピッキング盗になりましても、そういう組織として加わって犯罪を犯しているにもかかわらず、執行猶予を受けますと残りの在留期間在留を認めるということになりますと、またその組織に戻って犯罪を敢行する、そういうふうな関係がふえてまいりましたので、これについて、やはり退去させるのが相当ではないか、そういうようなことで退去強制の事由の拡大を図ったわけであります。もちろん、罪名については必要最小限度な範囲での拡大を図った、こういうことでございます。

木島委員 半分答弁になっていないのですね。これまでの法律も、決してニューカマーは対象じゃなかったわけじゃないわけです。これまでの法体系でも、ニューカマーの皆さん、短期滞在の皆さんであろうと執行猶予を受けた者に対しては退去強制事由から外していたのを、今回入れるわけですよね。

 それでは、刑事局呼んでおりますから、そうしますと、微罪、非常にささやかな犯罪を犯したという場合に、起訴されるか不起訴になるか、決定的な違いになるのですね、執行猶予でも退去強制が始まるということになりますと。そこで、では今回こういう退去強制事由を拡大したことに伴って検察当局の起訴基準、これは在日外国人に対して変わってしまうのでしょうか。その辺、運用をどうするか、お聞かせ願いたい。

古田政府参考人 さまざまな事件がございまして、起訴基準ということが具体的にどういうことか必ずしも明らかではございませんけれども、委員御案内のとおり、検察庁におきましては、それぞれの事件に応じまして、犯罪の内容、動機あるいは本人の状況その他の事情を考慮して起訴、不起訴を決めているわけでございまして、今回のこの改正によってその判断について変わるところはないと考えております。

木島委員 時間ですから終わりますが、最後に一問だけ質問させてください。

 そうしますと、今度の法律は、起訴されますと執行猶予でも退去強制ができると法第二十四条はなっています。しかし、行政法ですから、退去強制ができるということは基本的には退去強制するという意味なんですね。そうすると、起訴された以上、微罪であっても執行猶予がついてもみんなすぐ退去強制されてしまう。

 人にはいろいろな事情があります。たまたまそういう事件を起こしてしまった場合もあります。しかし、裁判所はそれをよく見て執行猶予をつけるわけですね。そのときに、退去強制をしない、そしてしばらく日本に在留することができる、そういうことが必要な場合も多々出てくると思うのです、これから。

 そういう場合に、救済方法というのはこの入管法の体系の中ではあるのでしょうか。あるとすればどういう手続でそういう場合に救済されるのでしょうか。それだけお聞きをして質問を終わります。

中尾政府参考人 まず、対象者につきましても、これは別表一に該当する者に限っておりまして、別表第二にまでも対象を広げておりませんけれども、委員御質問の、退去強制できるということになっておりますけれども、人道的配慮というものは基本的に従来から私ども入管の行政運用上やっておるところでございます。したがいまして、その事案、事案を慎重に見まして、仮に本号により退去強制手続の対象となった外国人につきましても、法務大臣が在留を特別に許可する余地がある場合には在留を許可するという人道的配慮の運用を行うこととしております。

 ちなみに、昨年でも七千件近い在留特別許可を与えている状況にございます。そのラインは崩す予定はございませんので、その辺のところを十分配慮しながら対応したいと考えております。

木島委員 終わります。

保利委員長 次に、植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。

 まず、法案の立法事実にかかわってお伺いをしたいと思うわけですが、これは参議院の審議の中でも我が党の議員がかなりしつこく取り上げておるところでございますから参考人よく御承知だと思いますが、言うまでもなくこの五条五の二号というのは三つ要件があるわけですけれども、一つは、日本国もしくは日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられた人、二つは、出入国管理難民認定法の規定により日本からの退去を強制された人、三番目には、日本国以外の国の法令によりその国から退去させられた者ということでございます。

 私も参議院の議事録は取り寄せていますので、当然現在お調べになっていることと思いますが、その進捗状況含めてお伺いしたいわけですが、今申し上げましたこの三つの要件に該当する者というのは過去にどれぐらいいるのかという点については、現段階掌握しているのでしょうか、どうでしょうか。

中尾政府参考人 参議院の法務委員会で御答弁申し上げたとおり、今現在鋭意関係諸国に、外務省を通じてその情報収集に努めておるところでございます。

 前回からの進捗状況ということでございますが、今現在鋭意その手続をとっているところでございます。

植田委員 余りこれだけで時間をとるつもりはないので、しつこく聞くわけじゃないのですが、幾つか、例えば前回、このワールドカップというと前はフランス、その前はアメリカですけれども、このときの例えば逮捕者であるとか起訴者、実刑を受けた者、そういうものについては現段階では承知されていますでしょうか。

中尾政府参考人 前回のフランス大会につきましては、法違反により刑事訴追された者の数は百六十八人ということは承知しているところでございます。その後のフォローはまだできておりませんが、そういう状況でございます。また、国外退去命令を受けた者が十八名おるという状況は把握しております。

植田委員 おおむね先日の参議院のときから報告できるだけのデータはまだそろっていないということなわけですね。

 ただ、私も気になるのは、例えば中尾局長が我が党議員の参議院での質問に答えて、「全体把握までもう少し、開催が来年の五月でありますし、法の施行が来年の三月を予定していますので、その間に確実な把握をしたいところでございますが」というふうな御答弁をされているわけです。ここにこだわるのは、そもそもの立法動機があるかないかということの根拠づけにかかわるバックデータというものが、法律ができてから、ワールドカップは五月にあります、法の施行も三月やからそれまでに調べておけばいいじゃないかというのは、これは物の順序というものが逆だろうと思うわけなんですよ。

 ですから、全体像が把握できていないにしても、少なくとも今回フーリガン対策ということで言っておられるわけですから、少なくともそうした個別の事例、例えばフランスの大会、アメリカの大会ぐらいのバックデータというものを取り寄せをしてここで説明するというのはできるというのがごく当然のことなんじゃないか。

 また、それならこれも恐らく、それぞれの大会の損害額なんというものもどうせわからへんということですからもう聞きませんが、実際WTOなんかでもいろいろとあったかと思います。例えば、二年前、これも調べようと思ったらそんなに難しいことではないだろうと思うのですが、シアトルの総会での逮捕者数であるとか、起訴、不起訴の実数であるとか国外退去者数、退去事由であるとか損害とか、そういうものについても承知されていないのでしょうか、どうなんでしょうか。

中尾政府参考人 まず、後段の御質問の方からお答えをしたいと思うのですが、米国のシアトルのWTOの閣僚会議の関係で申し上げますと、少なくとも二十二名が逮捕されたというふうに承知しておりますし、また、建造物損壊や店舗の売り上げ減少による損害額は開催三日目までに約七百万ドル、邦貨に換算いたしますと約九億円というような程度のことは把握しております。

 若干前段の御質問にお答えしたいんですが、先ほど木島委員にも御説明申し上げたとおり、これは極めて個人情報にかかるものでありますので、国際間でどういう形でどういうふうに情報を収集できるかということは、極めて限定された形でないと情報収集ができないわけでございますので、ある程度法案の形が固まった段階からでないと、私どもの方で外務省に所定のことをお願いして、所定の情報をいただくということにならざるを得ないという問題もございますが、しかしながら、この立法事実という関係から申し上げますと、これは数の問題あるいはそれぞれの中身の問題以上に、やはりそういうフーリガン等の人間が一人でも二人でも日本に来て、その競技会等の開催を妨害し、あるいは人を殺傷するという行為に及ぶおそれがあるということで、そういう危険性というものがある限りにおいては、少なくとも立法事実という点で申し上げれば一応は立っているのではないかというふうに考えております。

植田委員 いみじくもおっしゃいましたように、一応は立っておるということで、だから、個々の、どこそこのだれそれがどうしたこうしたということを私は聞いているわけじゃなくて、まさにバックデータとしての数字を聞いているだけであって、それはプライバシーも何も、数字と件数、そうしたものについて調査するということがそんなに手間暇かかるものなのかなと私は非常に疑問に思っておるわけです。そういう意味では、一応は立法事実という点にはたえ得るということですが、完璧にたえ得るだけのデータというものはこれからお集めになるという理解をやはりさせていただきたいと思います。

 それともう一つ、簡単なことなんですが、異議申し立ての受理、審査にかかわって、改めて処理の流れだけ御説明いただきたいんです。

 というのは、刑に処されたということだけじゃなくて、罪を犯したとか、またおそれというものが拒否の事由になるならば、やはりこれは裁量の範囲が増すわけですけれども、当然これも中尾局長は、極めて慎重な手続とか、最終的には法務大臣への異議申し立ての中での適正な判断を行うということをおっしゃっておられるんですけれども、実際に、五日ぐらいの会議で、レストハウスに終わるまでとどめ置かれて、そしてチケットどおりの便で送り返されるようなことになると、異議申し立ての制度そのものが機能したとはなかなか言えないんじゃないかという面もあるかとは思うんです。

 例えば、ワールドカップのチケットをかなり高い金額で買いました、そして過去にちょっと騒いだこともありましたということでブラックリストに載っかって、純粋にそのときは彼は試合を見に来たのに見れなくなるというケースもあるだろうと思うんですが、その点ちょっと、流れだけ改めておさらいをさせていただけますでしょうか。

中尾政府参考人 これは、個々具体的のケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないことになろうかと思います。

 委員がおっしゃったようなケースにつきましても具体的に、当該滞在目的、滞在場所、それぞれの当該リストに対応する具体的フーリガン行為を行った競技会と今回開催されますところのワールドカップとの関連性、その内容の同一性等も含めましてきめ細かい審査を行いますので、そういう事実があるから直ちに上陸が拒否されるというわけでもないということでございます。

植田委員 ですから、当然慎重にされるわけでしょうけれども、慎重にやられた結果拒否をされたという方が異議申し立てをする。その異議申し立てというものが、その方の権利を担保する意味で十分に機能し得るのかどうなのかという点については、いかがでございますか。

中尾政府参考人 手続的なことで申し上げますと、まず、入国審査官が、今回改正法案になっております第五条一項五号の二に該当する可能性があると判断した場合には、入国審査官が当該審査案件を特別審理官の方に引き渡すという手続になります。もちろん、特別審理官は口頭審理を実施いたしまして陳述をさせますし、それぞれの言い分も聞きますし、手持ちの資料等も見せていただきます。そういったことで調査をした上で、上陸条件としての適合性の判断をする。

 もしその特別審理官の認定に不服があるというときには、それは通知をしなきゃならぬということで、速やかに理由を示して通知することになっておりますので、その通知の内容を見た上で、三日以内に法務大臣に対する異議を申し立てる、こういう慎重な手続になっておりますので、その辺は十分に弁明の機会、あるいはそれぞれの立場を立証する機会はあるものと考えておるところでございます。

植田委員 そこはしつこくやっちゃいますと水かけ論になりますし、次の質問をやりたいので、聞きおいておきます。

 もう一点お伺いしたいのは、今回のアフガニスタン難民にかかわって、この点については午前中も審議されておられたようですので、それともちょっとかぶる部分もあるかもしれませんが、私なりの問題意識で何点か、できるだけ重複を避けながらお伺いしたいと思うわけです。

 まず、事実関係だけ。これも朝の質疑でもやりとりがあったと思うんですけれども、毎日新聞の十一月十七日付で、政府は十六日、アフガニスタンからの難民を相当数受け入れる検討を始めたという記事がありますけれども、そのことは事実であるのかないのか。まずその点、これは法務大臣にお伺いすればいいかと思いますが。

森山国務大臣 そのような趣旨の記事があったことは私も見ましたのですけれども、事実はございません。

植田委員 それは、法務大臣が御承知されていないということではなくて、当然、そういう検討をしたという事実は現段階ではないと。ちょっとしつこいようですが、もう一回、済みません。

森山国務大臣 もしあれば、私の知らないところでやるはずがないと思いますし、全く聞いたことございませんし、そういうことがあったといううわさも聞いておりませんので、なかったと思います。

植田委員 それは当然そうですよね。法務大臣に相談もなくこんなことができるわけがないわけですが、では、この記事は誤報だというふうに断言をされるわけですね。

 では、それは議事録が残りますので結構でございますが、ただ、参議院の委員会の中でも、いずれにしても、認識としては、特に避難民等々にかかわっては政府全体でいずれどこかで時期が来れば検討をしなければならないというのが、午前中を含めて御議論を聞いていて御認識だと思いますが、現段階ではそういう時期ではないけれども、そういう時期があればそういうことについても考えなければならないというお考えはお持ちなわけですよね。

森山国務大臣 そういう時期というよりは、そういう事態が発生いたしましたときには、改めて政府として、別に関係者全部で相談をして、政府で決めることだと思います。

植田委員 かつてのインドシナでしたかの例等も参考にしながらという話でしたので、それなりに、そんなに繰り返しませんけれども、ただ、これは仮定の話でございますからそれを前提にお答えいただければいいんですが、もしそういう事態が起き、そうしたことについて政府全体として検討しなければならないという事態に立ち至ったときに、難民といった場合、いわゆる避難民と、俗に言う条約難民とか、いろいろと定義分けはあるかと思いますけれども、実際に難民申請を日本でしておられる方々に対して、そういう事態が起こって難民を受け入れる、そういう政治判断のもとにいろいろな検討が行われたとして、そのときに、既に日本で難民申請をされておられる方々がいらっしゃるわけですけれども、そうしたことも含めて、基本姿勢として、政府としては何らかの特段の、その事態に応じた配慮というものを行う必要があろうかという局面もあるかと思うんですが、いかがですか。

森山国務大臣 午前中も申し上げましたけれども、難民ということで申請をされるということは今までもやっておりますし、数は大変少のうございますけれども、日本として、審査をして該当すると思われる方には難民の認定をいたしております。

 また、別に決めなければいけないと申したのは、難民ではなくて避難民の受け入れでございますので、避難民というのはまた別の話でありますから、もしそのような事態が仮に発生しても、今までやっております難民と直接は関係がないといいましょうか、変化はないはずだと思います。

植田委員 変化がないというふうにおっしゃられますと、そこはちょっと身もふたもない。わかるんですよ、今おっしゃったようにそれは避難民のこと。だから、避難民を受け入れるということで避難民を保護する、それは実際にどういう形の保護をするのか。

 なぜか誤報なのに、毎日新聞によればどうなんだろうということがいろいろ書いておりますね。例えば、受け入れ先に同省大村入国管理センターなどが候補に挙がっているがなどということも、候補地まで書いておりますけれども、実際、そうした施設に保護して、そして、そのままどこか別のところに退去される方もいらっしゃるだろうし、この機会に日本で定住したいという方も出てくるだろうと思うんですね、その避難民が。

 そうして、避難民に一定手厚い配慮を加えたときに、一方で、難民申請をされている方々が入管に収容されているといって、それで、これは後でもお伺いしますけれども、退去強制手続をやりながら、両方一緒にやっていますねんということでずっと収容されておるということになると、同じ被害を受けて、たまさか定義としては、そっちは避難民でこっちは難民ですと。それは、定義上は別物になるかもしれへんけれども、被害を受けて逃げてきたということにおいては同質な、質的には同じなわけですよね。質的にも違いますか、逃げてきて。だから、そこの方々と実際難民申請をされている方々のその処遇との間で著しい不均衡が生じるんじゃないかという疑問が生じるわけなんですよ。

 今までから難民申請は粛々とやっております、ですから避難民を受け入れても何の影響もありませんといったときに、避難民の手厚い処遇と比較考量したときに、入管に入られていろいろとしんどい目に遭うていますよというのとはかなり不均衡なんじゃないかと非常に素朴に私は思うんですが、不均衡というのはないのでしょうか。

森山国務大臣 御質問は非常にいろいろな仮定を置いての話ですので、なかなかお答えしにくいわけでございます。

 そのときの状況によって、現実的に本当にできること、あるいはするべきこと、随分いろいろな幅があると思いますので、今からそのようなことについて想像して申し上げるというのは適当でないと思います。

植田委員 いや、仮定の話だからこそもうちょっとお気軽にお話しできるんじゃないか。

 要するに、不均衡が出てくる場合もケースとして想定されるとするのであれば、そうしたことに対する配慮も、仮定ですけれども、そうしたことが出てくるケースもあり得るということは、仮定としては想像できるんじゃないですか。

森山国務大臣 大変難しい御質問で、お答えのしようがないのですけれども、日本としては、従来から言っておりますように、人道的な立場ということを尊重し、かつ人権を尊重してということで、その上でいろいろな仕組み、ルール、やるべきこと、できることを考えてやっていくことになるであろうと考えます。

植田委員 その点は、仮定の話ですからそれぐらいにとどめおいておきますが、ただ、午前中の審議でも、法務大臣自身がびっくりしましたという十一月六日の東京地裁民事三部の決定がございましたですが、非常に初歩的なことだけお伺いしますが、難民条約というのは、不法入国、不法滞在の難民について移動の自由を保障しているわけですよね。どうでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 難民条約の条文について、短縮したりかいつまんで言われますと非常に私どもの方で返答するのが窮するわけでありまして、これは正確に申し上げざるを得ないところでございますが、この難民条約三十一条二項というのはこういうふうに書いてあります。締結国は、前項の規定に該当する難民の移動に対し、つまりこの条約上の難民であるということがまず前提となっておりまして、その難民の移動に対して、必要な制限以外の制限を課してはならないということでございますので、必要な制限は課しますよ、しかしながら、必要な制限以外の制限は課してはいけませんよ、こういうことが書いてあるわけであります。そして、その上で、この必要な制限は当該難民の当該締結国における滞在が合法的なものとなるまでの間または当該難民が他の国への入国を得るまでの間に限って課す、つまり必要な制限を課す期限を書いてある、こういう条文でございます。そういう範囲で御理解願いたいと思います。

植田委員 今のとおりですから、要するに、必要な制限を課して、必要な制限を課していたつもりが、東京地裁では違反するというふうなものが出たものですから、びっくりということになったのだろうと思いますが、ただ、私は当然この決定の立場に立つわけですが、そこで、事実関係だけ。

 ことしに入ってで結構ですけれども、アフガンの国籍ないしはそれを自称されている、またそこにおける少数民族を名乗っておられる方々で、上陸拒否された数であるとか人数、また収容場所、収容所別、また退去強制手続に基づいて収容されている人数というものは、数字としては、これはレクで教えてくださいねと言っていましたので、調べておきますということやったので、データだけ教えてもらえますか。

中尾政府参考人 アフガニスタン人の上陸拒否者数につきまして、速報値で集計したものであります。確定した数字でないということを御了承願いたいと思いますが、本年一月以降九月末現在でアフガニスタン人の上陸拒否者数は九人と承知しております。

 また、本年一月以降に収容したアフガニスタン人の数につきましては、それぞれの収容者の数での統計資料はございません。ただ、収容場所別のアフガニスタン人の被収容者数について申し上げますと、本年十一月二十日現在、東京入国管理局に八人、東日本入国管理センターに十一人、西日本入国管理センターに四人、合計いたしまして二十三人収容しております。

植田委員 そこで、今の数はこれで結構でございますが、入管の判断にかかわってなんですけれども、ハザラ人よりまだ少数民族で、ケゼルバシュ人というのもいらっしゃるようですが、その少数民族の方が、UNHCRと相談した上で難民申請をされたのですが、却下されて、今異議申し立てをされているという事例がございます。これは、UNHCRからは難民該当性は極めて高いという評価を受けているわけですが、不認定となっているということで、日本の法務省の難民認定基準とUNHCRの判断というのはそんなに大きく異なるものなんでしょうか。そして、その上で、そうしたUNHCRの判断というものをどのように理解し、また取り扱っているのかについてお答えいただけますか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 入管法に言う難民というのは、これは入管法にもちゃんと書いておるところではありますけれども、難民条約一条の規定及び同議定書一条の規定により難民条約の適用を受ける難民、これが入管法が対象としている難民ということでございます。このような難民につきましては、我が国とUNHCRとの間で要件等のそごはございません。

 ただし、UNHCRはUNHCR事務所規程というものを定めておりまして、それの所定の責務に基づき、これをマンデートと称されているところでございますが、このマンデートに基づき、自主的に帰還する、あるいは第三国定住、あるいは種々の物的援助などの各種の保護を与える対象として、独自にマンデート難民というカテゴリーの難民認定を行うことがございます。これは、難民条約所定の保護を与えることを目的とする条約締結国による難民の認定とは目的とか対象を異にいたします。したがいまして、我が国の入管法上の難民の認定とUNHCRによるマンデート難民の認定とは必ずしも一致しないところでございます。

 私どもといたしましては、制度発足以来、条約が定める難民の基本的な権利及び自由を保障するという観点から、条約の規定を誠実に履行、かつ厳格に適用、運用しているところでございます。

植田委員 要するに、前提としては同一の認識から出発しているのだけれども、事務所規程でUNHCRが対応した場合、法務省の基本的なスタンスと違ってくる場合があるのですという、一般論としての説明でございますね。

 個々の事例について、私は、聞いたところでそれはお答えのしようがありませんから、今の御答弁を聞いておくしかないわけですけれども、ただ、そうした判断が異なる場合、これは法務省の立場ですから、UNHCRが何を言おうが、我々としては立場が違うということで、そうした認識なり判定なりには配慮はしないということですか。

中尾政府参考人 私どもといたしましては、マンデート難民ということで認定された者につきましては、条約上の難民ではございませんけれども、UNHCRが認定したということは重い事実として受けとめて、それはそれなりに尊重するという運用をこれまでやってきたところでございます。

 もちろん、すべてがすべて尊重するというわけではありませんけれども、尊重できるものは尊重して、在留特別許可等の人道的配慮ということも検討することはこれまでもやってきたところでございます。

植田委員 だから、個々のケース、今私が取り上げたケースについては、尊重するにはちょっと問題ありと判断されたということで理解しておきますね。一応尊重してやっていますよということでおっしゃったものですから、では個々のケースを私なりに調べて、ほんまにしているのかしてへんのかはまた別の機会に取り上げさせていただきたいと思います。

 時間がちょっと迫っていますので、外務省さん、お呼びしていますので、これは事実関係だけの話なんですが、ビザの申請にかかわって、共同通信の記事で、「日本政府が昨年からアフガニスタン人の入国を制限、来日者数が激減していることが三十日、分かった。」というような記事がございます。

 その上で、この記事によれば、在パキスタン大使館の担当者は、アフガン人は日本で難民申請するからビザは出せないというようなことを言って申請を受理しなかったというふうな記事が配信されておるわけですが、まずそれが事実であるのかどうなのか、そういうことでもって渡航証明を拒否しているような事実があるのかどうなのかということについて、また、これはパキスタンでの話ですけれども、ここ数年のアフガン人に対するビザの発行状況がどうなっているのか、この事実関係だけちょっとお伺いしたいと思ってお願いしたわけです。

小野政府参考人 お答えいたします。

 現在、アフガニスタン人より査証申請がなされた場合におきましては、在パキスタン大使館またはそれ以外の在外公館においては、これを受け付けておりまして、個々に審査を行っているということでございます。

 ただいま先生御指摘の記事の点でございますが、この事実はないというふうに承知しております。この点は、改めて在パキスタン大使館にも確認をしたところでございます。

 それから、第二点目の査証の発給件数でございますが、アフガニスタン人に対する例えば平成十一年の査証発給件数は一千百十八件でございます。それから、平成十二年につきましては五百八十四件、本年は、一月初めから十月末までに計二十四件の査証を発給しております。

植田委員 発行状況だけ見ると、激減はしていますね。その事実関係については、これも今回の直接の主題ではありませんので、少なくともこの記事がうそであるということを言明されたということだけは受けとめておきます。

 さて、難民申請者、収容者への配慮にかかわってなんですけれども、実際、九月の二十六日に羽田で入管の通報で警察に拘束された人は、政治亡命という意思表示をしておったようなんですが、難民申請という方法とか言葉を知らなかったものですから、結局警察まで使うて拘束されたわけです。

 実際、アフガニスタンの識字率というものが二割と言われるわけです。そもそもの母国語を読めない方々もいらっしゃるという実態があるわけで、まして、片言の英語をしゃべれる人もそんなにいないでしょうから、やはりその辺の配慮というものが十分なされているのかというのを、この間収容されている方々のそれぞれのケースをお伺いすると感じるわけなんです。

 特に、これも参議院の委員会でも指摘されていることですけれども、例えば参議院で指摘された後、いわゆるダリ語であるとかタジク語であるとか、そうしたものについての掲示物とかを作成したような事実があるのかどうか。また、そうしたアフガニスタンの置かれている条件、そこで住んでおられる方々の条件をしっかりと踏まえた対応をするよう、現場の入管の方に通達なりなんなり指示をしているのかどうか、その点はいかがでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 難民手続につきましては、日本語、英語を含む十一カ国語の難民認定手続案内を各地方入管局等に配付しております。それを使いまして、意思の疎通ということに遺漏がなきように努めておるところでございます。

 この点については、私どもの方でも、これからも充実していかなきゃならないというような観点から、難民認定申請書等につきまして、従来日本語と英語で記載しておりましたが、本年十月から、難民認定申請書それから通知書、理由書等の難民認定関係書類につきまして、中国語、トルコ語、ペルシャ語、ミャンマー語に翻訳いたしまして、その書類を各地方入管局あるいはその他関係のところに配付して、その辺のところの対応を図るように努めているところでございます。

植田委員 残念ながら、ダリ語やタジク語はないようでございますが、実際、これも午前中の議論でもありましたけれども、自殺未遂の方が出たわけですよね、バファリンを二十五錠も飲んで、なおかつ石けんまでのまれたというような。

 ただ、そのときに、ちょっとお話を伺っていて気になったのは、この方だけではなくて、摂食障害になったりとか、現実に爆弾の破片を浴びているような方、銃弾を受けているという証拠が明らかな方々が収容されているわけです。

 そういう意味で、アフガンから逃れてきた人というのは、大体タリバンというのは、そういうアフガニスタンで比較的裕福だった方々、タリバンじゃない方々を捕まえていって、そして金を払えば出してやるみたいな、そういうことをしているようでございまして、実際この自殺未遂をされた方も、そういう形で拷問も受けられて、そしてお金を払って出してもらった、そして逃げてこられたということでございます。

 そういう意味で、今収容されている方々の精神的な圧迫、心理的圧迫というものは筆舌に尽くしがたいものがあろうというのが当然想像できるわけでございます。しかも第二言語も堪能でない人ばかりですから、医療的な措置というものについて施設が当然、収容するからには、死線を越えてきた人たちなわけですから、そうした心の面でのケアというものはしっかりとやらなきゃだめだと私は思っておるわけです。

 実際、何か報告によれば、精神的にも安定しているようでございますというようなお話がありましたけれども、それはちょっとやそっとの話じゃないことはもうわかるわけですから、最低限そうした、いわゆる精神科であるとかそういうケアの体制というものについて、特段の配慮を行っているんですね。どうなんですか。

中尾政府参考人 私どもにおきましては、全国三カ所にあります、東日本入国管理センターそれから西日本入国管理センター、大村入国管理センター、三センターにつきまして、外部機関の臨床心理士によるカウンセリングを受ける機会を与えております。したがいまして、ストレス等により精神状態が不安定になった者につきましては、このカウンセリングを受けさせることとしております。もちろん、そのカウンセリングの結果、外部医療機関の専門医師の診察、診療を受けさす必要がある場合には、そういう処置もとっているところでございます。

植田委員 ちなみに、この自殺未遂をされた方については、個別事例ですけれども、外部のそういうお医者さんの診察等々やったんですか、やっていないんですか。個別ケースで申しわけないですけれども、この方の場合はどうでしたか。

中尾政府参考人 個別な案件でございますので、詳細は私の方で今承知しておりませんが、当該の自殺未遂の行為があった、自損行為があった後の処置はしかるべき対応をとっているものと承知しております。

植田委員 しかるべき対応をとっているという御答弁でございましたですけれども、その辺の事実認識がやや私とは異なるわけです。今私一々実例申し上げませんけれども、時間もうございませんから。実際に、承知しているとおっしゃいましたですけれども、それは実際の当事者の側にとって、またその方と直接対応されている弁護士の方から見て、どう考えてもこれはおかしいじゃないかという指摘はあるわけでございます。

 今までからやっておりますということではなしに、特にこのアフガン難民、今般の状況を考えたときに、見ればわかるわけですね。裸にしてみれば、鉄砲で撃たれて跡がある。どんなこと、どういう状況の中でこの日本までたどり着いたのかなんというのは容易に想像つくわけでございますから、その点について、特にそういう精神面でのケアについて、これまでどおりもちゃんとやっておりましたということではなしに、今後、しかもこういう自殺未遂の事件まで起こっておるわけですから、そうしたことについて、より細かく対応しますよと。そして、実際対応されているそういうお医者さんの方とかがすべてそうしたことに対処できるケースばかりとは限らないわけです。そういう場合は、他の方がきちんと、専門家の方が対処するなり、そうした具体的にきめ細かな対応を今般の状況をかんがみながらおやりになるおつもりはあるのかないのか、それはいかがですか。

中尾政府参考人 基本的には、個々のケースにつきまして、私どもの方でとり得る処置を今後とも最善を尽くしてやっていきたいというふうに考えております。

植田委員 最善ではないという指摘もあるがゆえに私は聞いておるわけでございます。そういう答弁はカエルの面に小便と言うんですよ。少なくとも、いろいろな御意見も承っておりますからそうしたことも念頭に置きながらいろいろな形で最善の対処を尽くしてまいりたい、それぐらいの答弁がないと終わりますとは言えませんので、もう一回。

中尾政府参考人 委員御指摘のところでございますので、私の方で十分御説明できなかった点があったかと思いますけれども、そういう御意見を踏まえて、今後とも最善を尽くしたいというふうに考えております。

植田委員 ちょっと時間超過いたしましたが、これで終わります。

保利委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

保利委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田村憲久君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。肥田美代子君。

肥田委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 ワールドカップサッカー日韓共催大会に当たっては、諸外国との十分な情報交換に努め、関係機関との連携を密にして、警備体制に万全を期すること。

 二 来日・在留外国人の増加にかんがみ、出入国管理体制を格段に充実させ、その適正な運用に努めること。

 三 フーリガン等対策に当たっては、非政府組織等が行う正規な活動への制約とならないよう、その運用に十分配慮すること。

 四 入国審査官による事実の調査に当たっては、人権擁護の観点に十分配慮し、慎重な審査に努めること。

 五 難民支援の現状にかんがみ、難民認定申請に際し、手続が一層迅速かつ適切に行われるよう、体制整備の充実に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

保利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 田村憲久君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

保利委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森山法務大臣。

森山国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

保利委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

保利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十九分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.