衆議院

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第13号 平成13年11月27日(火曜日)

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平成十三年十一月二十七日(火曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 保利 耕輔君

   理事 奥谷  通君 理事 塩崎 恭久君

   理事 田村 憲久君 理事 長勢 甚遠君

   理事 佐々木秀典君 理事 平岡 秀夫君

   理事 漆原 良夫君

      太田 誠一君    熊代 昭彦君

      左藤  章君    鈴木 恒夫君

      棚橋 泰文君    谷川 和穗君

      西田  司君    松宮  勲君

      山本 明彦君    吉野 正芳君

      渡辺 喜美君    枝野 幸男君

      肥田美代子君    水島 広子君

      山内  功君    山花 郁夫君

      青山 二三君    藤井 裕久君

      木島日出夫君    瀬古由起子君

      植田 至紀君    徳田 虎雄君

    …………………………………

   議員           太田 誠一君

   議員           長勢 甚遠君

   議員           保岡 興治君

   議員           谷口 隆義君

   議員           小池百合子君

   法務大臣         森山 眞弓君

   法務副大臣        横内 正明君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    山崎  潮君

   法務委員会専門員     横田 猛雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  不破 哲三君     瀬古由起子君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬古由起子君     不破 哲三君

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 犯罪捜査のための通信傍受法の廃止に関する請願(不破哲三君紹介)(第五二七号)

 裁判所速記官制度を守り、司法の充実・強化に関する請願(木島日出夫君紹介)(第五九八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案(太田誠一君外四名提出、第百五十一回国会衆法第三一号)

 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(太田誠一君外四名提出、第百五十一回国会衆法第三二号)




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     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 第百五十一回国会、太田誠一君外四名提出、商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 両案について、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。太田誠一君。

    ―――――――――――――

 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案

 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

太田(誠)議員 ただいま議題となりました商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案並びに商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、両法律案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案は、株式会社の企業統治の実効性を確保するため、取締役の責任のあり方、監査役のあり方等を見直すものであり、その内容は以下のとおりであります。

 第一に、取締役の法令違反行為等に基づく会社に対する責任について、取締役が高額の賠償責任を負担することを恐れて経営が萎縮することがないように、商法が総株主の同意がなければ取締役の責任が免除することができないとしている点を改め、その取締役が負うべき損害賠償責任の額からその取締役の報酬の二年分等を控除した額を限度として、株主総会の決議をもって免除することができることとしております。

 また、会社は、定款をもって定めることにより、取締役会の決議により、同様に、取締役の責任を免除することができることとしております。もっとも、この場合には、事後に、株主に異議があるかどうかを確認し、総株主の議決権の二十分の一以上の株式を有する株主の異議があったときは、この取締役会による免除はすることができないこととしております。

 さらに、社外取締役については、その人材の確保を容易にするため、あらかじめ定めた額を超えて責任を負わない旨を定款で定めることができることとしております。

 第二に、株主の代表訴訟制度が乱用されることがないように、提訴権者につき、商法が六カ月以上継続して株式を保有する株主はだれでも株主代表訴訟を提起できることとしている点を改め、株主が株式を譲り受けによって取得した場合において、取締役の責任の原因となる事実があることを知っていたときは、株主代表訴訟を提起することができないこととしております。

 また、会社が取締役を補助するために、株主代表訴訟に補助参加をする場合には、監査役の同意を要することとして、補助参加が法律上禁止されていないことを明らかにしております。

 第三に、監査役の機能を充実するため、株式会社一般につき、監査役の取締役会への出席義務を明確にし、その任期を三年から四年に延長するとともに、監査役を辞任した者の株主総会における意見陳述を認めることとしております。

 また、監査役を三人以上選任することが要求されている商法特例法上の大会社の監査役について、社外監査役の員数を一人以上から半数以上にふやすとともに、社外監査役に該当するための要件を、就任前五年間取締役等でなかった者であることから、就任前全く取締役等になったことがない者であることへと厳しくいたしております。

 次に、商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案は、商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、関係法律に所要の整備を加えるものであります。

 以上が、両法律案の趣旨であります。

 よろしく御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。(拍手)

保利委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

保利委員長 この際、商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対し、長勢甚遠君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。佐々木秀典君。

    ―――――――――――――

 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

佐々木(秀)委員 ただいま議題となりました修正案について、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明いたします。

 第一は、取締役の会社に対する賠償責任の限度についてであります。

 原案は、この限度を一律に報酬等の二年分としておりますところ、社外取締役を除く取締役につき報酬等の四年分、代表取締役につき報酬等の六年分とするものであります。

 第二は、取締役の責任免除に係る株主総会決議の方法についてであります。

 原案は、「株主総会ノ決議」と規定し、普通決議をもって行うこととしておりますところ、総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の三分の二以上に当たる多数、すなわち特別決議をもって行うこととするものであります。

 第三は、取締役の責任免除に係る取締役会決議に対する株主の異議申し立てについてであります。

 原案は、免除することができない場合の要件を、議決権の二十分の一以上を有する株主が異議を述べたるとき、すなわち議決権の百分の五以上としておりますところ、議決権の百分の三以上を有する株主が異議を述べたときは、免除することができないとするものであります。

 第四は、株主代表訴訟の提訴権者の条件に関する部分を削除し、現行どおりとするものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同、採決、成立をお願いしたいと存じます。ありがとうございました。(拍手)

保利委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

保利委員長 これより両案及び修正案を一括して質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 両案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長山崎潮君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村委員 おはようございます。自民党の田村憲久でございます。

 きょうは、いよいよコーポレートガバナンス、提案者の先生方には御苦労をいただいてきた法律でございますけれども、この法案が上程されてまいりまして、審議ということでございます。皆様方の御労苦に心から感謝と敬意を表する次第であります。

 さて、この法務委員会の方も商法の改正というのが非常に今般多いわけでありまして、いかに企業経営というものが時代の流れの速さの中で変化しておるか、そんなことを改めて感じるわけでありますけれども、今回の改正に関しましては、一つは監査役の機能の強化、そして一つは取締役等の会社に対する責任の軽減、そしてまた株主代表訴訟制度の合理化、この三点が柱となって法改正をされた、このように認識をいたしておりますけれども、改めて、今回の主な改正点に関してお聞かせいただきたいと思います。

太田(誠)議員 我々が取り組みまして、大変長い年数が経過しております。

 この改正案の主要な点と申しますと、まず、監査役機能を強化するということでございます。監査役の取締役会への出席義務と意見陳述義務というものを法律上明らかにいたしまして、すなわち、監査役が堂々と取締役会においてその役割を果たせるようにということでございます。

 それから、監査役の任期を三年から四年に延長し、その辞任に当たっては、株主総会における意見陳述権を認めることといたしております。役員、取締役の任期が二年でありますので、その倍に延ばすことによって独立性を高めよう。それから、途中で辞任をするという場合が間々ありますが、これは望ましいことではないので、株主総会においてどういう事情でやめるのかということを明らかにすることで歯どめをかけるということでございます。

 さらに、商法特例法上の大会社については、社外監査役の人数を監査役の半数以上とするとともに、監査役の選任に関する監査役会の同意権及び提案権を認めることといたしております。いずれも、監査役あるいは監査役会の独立性を強化しようということでございます。

 第二に、取締役等の会社に対する責任を軽減するために要件を緩和し、株主総会の普通決議や定款の規定に基づく取締役会決議で、報酬等の二年分の額を超える部分につきまして責任を減免ができることとし、また、社外取締役との間の事前の責任限定契約を認めることといたしております。

 第三に、株主代表訴訟制度を合理化するために、提訴権者の範囲を見直すとともに、監査役の考慮期間を延長し、また、訴訟が提起された場合における株主に対する周知の徹底や、和解をすることも可能で、その場合に、総株主の同意を得ずに取締役の責任を免除できるとする規定、会社が被告取締役に補助参加することが禁止されるものではないということを明らかにする規定を設けることといたしております。

 以上が主要な改正点であります。

田村委員 取締役の会社に対する責任の軽減の部分も今御説明をいただきました。

 もう少し詳しくお聞きしたいわけでありますけれども、同時に、株主総会の特別決議による免除以外に、定款の規定に基づく取締役会議で免除できるようにというような規定、項目が盛り込まれております。与党さんの提出案に関しましては、普通決議でいいという話であったようでありますが、民主党さんの修正に関しまして、これが特別決議というふうに変えておられる部分もございます。

 この規定、要するに、株主総会の特別決議というもので免除をするというような規定がありますのに、それ以外に、定款によって取締役会議でもこのような責任の軽減策がとれるというふうにした、その理由というのはどういうところにあるのでありましょうか。

谷口議員 まさに今先生おっしゃったように、本来、株主総会で責任の軽減、免除というようなことであるわけでございますけれども、定款変更をして取締役会決議で責任の軽減を行い得るようにいたしたわけでございます。

 現行は、この責任の軽減につきましては、総株主の同意が必要であるというようなことになっておるわけでございます。そんなこともございまして、実際上、総株主の同意ということになりますと、責任の軽減が不可能な状態であるわけでございます。

 一方、今時、株主代表訴訟がいわば件数がだんだんふえてきておるわけでございます。そういう状況の中で、取締役が軽過失を行ったといったことで高額の賠償責任を負担せざるを得ないような状態になってくるということになりますと、経営の萎縮を引き起こすというような危険性があるということにかんがみまして、現行、総株主の同意が必要であるわけでございますが、今回、それとは別に責任の軽減の制度を創設しようとしたものでございます。

 今回のこの責任軽減制度の創設に当たりましては、経営の萎縮の危険性と、長期的には株主の利益、また、少なくとも短期的には会社ひいては株主の不利益となる責任軽減を認めることのバランスにおいて慎重に検討をさせていただいたところでございます。

 検討の結果、当初の案におきましては、株主総会の普通決議による責任軽減を認めることにしておったわけでございますが、取締役の責任の一部減免ということにつきましては、少なくとも短期的には、会社、株主の不利益において当該取締役の責任を軽減する措置であるということでございますので、株主の意思を最大限尊重する必要があるというような意見があることも踏まえまして、取締役の経営判断萎縮、先ほども申し上げました経営の萎縮という危険性をある程度回避しつつ、株主の意思を尊重する特別決議にすることを、もう一つの立法判断であると考えた結果でございます。

田村委員 確かに、経営者のいろいろな判断が、株主代表訴訟等々で結果的に大変大きな賠償請求という話になりますと、これは萎縮してしまうこともあると思います。

 昨年九月、大和銀行の例のニューヨーク支店を舞台とした事件でありますけれども、七億七千五百万ドル、大阪地裁がそんなような損害賠償命令をした。私もびっくりしたわけでありますけれども、こういうのを見ますと、確かにこれではなと思います。もちろんこれは悪意、重過失という部分がございますから、今回の法律が通ったといたしましてもこの件が免除されるというわけじゃないんだと思うんですけれども、それぐらいやはり今企業というのは非常に経営がしづらいといいますか、いろいろなリスクを抱えながら経営者は経営を担っておるという部分があるんであろうと思います。

 しかし一方で、このような法律が通っていくと、これは放漫経営だとか無責任経営につながっていくのではないかという声もあります。こういうような声に対してはどのようにお答えをされていかれるおつもりなんでしょうか。

谷口議員 無責任経営、放漫経営のおそれがないのかという御質問でございます。

 先ほども申し上げたわけでございますが、今回の責任軽減制度におきましては、一つは株主総会に基づく軽減の方法と、またもう一つは、株主総会の特別決議を経て定款の変更をいたしまして、その結果、取締役会決議に基づく責任軽減の方法、方向。また、社外取締役がございますが、今時、企業におきましては、取締役の業務執行をチェックするという意味において社外取締役を取締役会の中に入れるというようなことがふえておるようでございますが、このような定款の規定に基づく社外取締役との間の事前の責任限定契約により取締役の責任軽減を認めるといったようなことが今回の新たな責任軽減制度でございます。いずれにいたしましても、株主の厳重なチェックを受けるということになっておるわけでございます。

 まず第一点におきまして、株主総会決議による場合には、株主総会において、責任の原因である事実や責任を軽減すべき理由、軽減額等が開示された上で株主の判断がなされるということになります。

 次に、定款に基づく取締役会決議による場合には、取締役会に責任軽減の是非を判断することをゆだねることについて定款に規定する段階で、株主総会の特別決議による株主のチェックがなされるわけでございます。

 これにつけ加えて、個別のケースについて取締役会決議による責任軽減がなされた場合には、決議後、総株主の議決権の二十分の一以上、修正案につきましては百分の三以上ということになっておりますが、このような議決権を有する株主が異議申し立て期間内に異議を申し述べた場合には、取締役会決議による免除はできないものとしておるわけでございます。

 また、定款の規定に基づく社外取締役との間の事前の責任限定契約による場合につきましても、事前の責任限定契約を締結することができる旨を定款に定める際に、株主総会の特別決議によるチェックがなされる。さらに、個別のケースについて社外取締役が責任限定契約に基づき責任の軽減を受けた場合には、株主総会で契約の内容、軽減額等を開示することといたしておるわけでございます。

 以上のように、責任軽減につきましては、株主による厳重なチェックを経た上でなされるわけでございます。

 本改正案におきましては、一定株以上の会社については株主等の利害関係者がより多数になることも想定されるということから、さらに、取締役の職務の執行を監査する立場にある監査役の同意を責任の免除に関する議案等の提出に当たって必要なものとして、より厳重なチェックを行っておるわけでございます。

 このように、本改正案は、今おっしゃったような取締役の責任を容易に免除するものではなくて、会社経営者による会社の私物化、無責任経営、放漫経営に結びつくものではないというように考えておるところでございます。

田村委員 理解をいたしました。

 さて一方で、今の大和銀行のような件が出てくるわけでありまして、もちろん重過失というものがあって悪意であった、こういう部分があるのでしょうけれども、今般のこの法案に関しましては、あくまでもそういうものがないもの、善意で無過失、こういうようなものに限るというふうにされておられます。先ほどの質問とは全く対極に位置するのですけれども、それではなかなか経営の自由度がないではないかというような声も若干なりとも聞こえてくる。

 そこで、今回、なぜ善意そしてまた過失がないというふうな場合に限るような方向にされたのか、そのねらいをぜひともお聞かせください。

谷口議員 今回、先生おっしゃったように、善意かつ無重過失、軽過失を対象にしたということでございます。取締役が職務を行うにつけ、軽過失であるにもかかわらず予見しがたい高額の賠償責任が生じた場合に、取締役の過失に対する責任を減免するといった場合に、現行法では総株主の同意が必要なわけでございますけれども、そういうようになりますと、実態的に、実際上、責任の軽減が認められないということになるわけでございます。そこで今回の改正は、取締役が予見しがたい高額の賠償責任を負担することを恐れて経営が萎縮するといったような危険があることから、株主総会の決議または定款の定めに基づく取締役会決議により責任の軽減を認めようとするものでございます。

 以上のような改正の趣旨からいたしまして、取締役が職務を行うにつけ、悪意の場合は責任軽減の対象とすべきものではないということは、これは当然だろうというように思うわけでございます。

 また、取締役が職務を行うにつけ、重過失の場合でございますが、すなわち、著しく注意義務を欠くといった場合についても、悪意の場合と同様に、評価できる主観的な事情があるということでございますので、損害賠償責任の発生について極めて責任が高い、帰責性が強いというような観点で、今回、責任軽減の対象にすべきではないというように考えたわけでございます。

田村委員 そうでしょうね。やはりおっしゃられるとおりと私も思いますね。余りにも悪意がある場合には論外ですし、重過失だという場合に関しては、やはりそれなりの責任を負っていただくのが妥当であるというふうに思いますので、御理解をさせていただきました。

 社外取締役に対してなのですが、先ほど来の御説明の中にもございました。一つは、事後、株主総会の特別決議で免除する方法がございます。同時に、御説明のとおり、定款に基づいて事前に責任を限定的に決める契約を認めた。これは、なぜ社外取締役に限ってこのような方法をお認めになられたのですか。

谷口議員 今般、社外取締役を取締役会に入れておるという企業がふえておるわけでございますが、今先生おっしゃったように、事前免責契約ということで責任の免除ができるというようにいたしたわけでございます。

 本来、社外取締役というのは業務を執行しない取締役でございまして、過去にその会社または子会社の業務執行を行う取締役または使用人になったことがない、また現にそういう者ではないという方を社外取締役と言うわけでございます。すなわち、社外取締役は取締役会の構成員として業務執行の意思決定に加わるとともに、他の取締役の職務執行をチェックするという役割をする方でございます。

 しかしながら、社外取締役は現に業務を執行しない取締役であるということでございますし、過去にその会社の業務執行を行う取締役等になったことがないという者でございます。そういう観点で、必ずしも会社の業務に精通しているということではございません。このような立場にある社外取締役が職務を行うにつき、善意かつ無重過失の場合まで高額な賠償責任を負う可能性があるということになりますと、大変酷なことになるわけでございまして、また、高額の賠償責任を負う可能性があるということになりますと、社外取締役の人材の確保が非常に難しくなってくるというような問題もあるわけでございます。

 そういうこともございまして、今回の改正におきましては、定款の定めがある場合には、社外取締役について、あらかじめ定めた額を超えて賠償する必要がない旨の事前免除契約の締結を認めるといったことにしたわけでございます。

田村委員 取締役会の機能強化という今の流れの中で、やはり社外取締役というのは最近非常に注目をされてきております。そのような意味からいたしますと、やはりこのような規定があった方が社外取締役、非常に皆さん、なり手がふえるんじゃないかな、そんなふうに思うわけでありまして、今の御説明で御理解をさせていただきました。

 続いて、その責任の限定額の部分で、与党案が、簡単に言うと報酬の二年分というふうな話があったわけでありますが、それに対して民主党さんの方から修正案が出てまいりまして、代表取締役は六年分、それ以外の社内取締役は四年分、社外は規定どおり二年分というふうに修正案を出された。これに関しまして、原案の方はなぜ二年なのか、それから、修正案に関してはなぜこのような数字なのか、その妥当性といいますか根拠をお聞かせいただきたいんですが、同時に、ちょっとこれは通告していなかったので申しわけないんですが、監査役の場合はどうなるんですかね。監査役に対してはどうなるのか、それから社外監査役に対してはどういうふうになるのか。この点、もしあわせてお聞かせいただければありがたいんですが。

太田(誠)議員 二年というのはどうしてこうなったのかということでありますが、これは、常にコーポレートガバナンスのモデルとしたのはアメリカの株主代表訴訟制度でありまして、アメリカの場合は報酬の一年分以下としておる州が大変多いわけでありまして、そのことを踏まえて二年分という提案をいたしました。我が国は初めて今の大変巨額の賠償に上っているところからおろすわけでございますから、アメリカよりもちょっと厳しくした方がいいだろうということで二年分といたしました。妥当なところだと思って提案をいたしたわけでございます。

 監査役については、修正案には出ておりませんので、そのまま二年分であります。(田村委員「社外監査役」と呼ぶ)同様です。

佐々木(秀)委員 修正点についてのお尋ねもあったと思いますので、事前のお打ち合わせはしておりませんけれども一応お答えさせていただきたいと思います。

 私どもは、原案では、先ほど来御説明のように取締役一律二年という御提案でしたけれども、これでは、先ほどの御質問にも関連しますけれどもちょっと甘過ぎると。同じく取締役といっても、今の太田議員からの説明のように、社外取締役は業務執行に直接にかかわっておらないわけですね、間接的ということになる。ということを考えれば、直接に業務に携わっている取締役より責任が軽減されるというのは、これはまあ理屈があるんじゃないかと。ということになりますと今度は、業務執行に携わっている取締役の責任というのは重い。特に代表取締役は、それを束ねて、会社の代表者でもありますし、その取締役としての位置づけというのは一般取締役よりもさらに大きいということは、社会的にもこれは認知されること、妥当性を有するものじゃないかと思うんですね。そういう点で私どもはそれぞれの責任の限度に差をつけた、こういうことになります。

 ただ、監査役については、業務監査、経理監査、両方あるわけですけれども、これも業務執行に直接携わるものではないという点で、これもまた別な配慮があってしかるべきだろう、こういうことから、この際、監査役について特にその責任を重くするということについては一応見合わせた。しかし、今後また検討する余地は私は残っているのではないか、このように思っております。

田村委員 失礼いたしました。通告していなかったですか。申しわけございませんでした。

 原案それから修正案、それぞれの根拠といいますか言い分はあると思うんですけれども、導入をした、すぐだということもあると思います。制度がスタートする中においては、なるべく厳しいところからスタートした方がいいんじゃないかというような意味合いもあるということで、修正案の方も御理解をさせていただきました。

 もう一点、修正案に関してお聞きいたしたいんですが、ちょっと戻るようなんですけれども、先ほどの取締役の責任の軽減という部分で、株主総会の普通決議という原案から、民主党案の方は、修正案の方は特別決議というふうな形に修正をなされております。ここの点はなぜ特別決議という厳しい制約をされたのか、お聞かせいただければありがたいんですが。

佐々木(秀)委員 この点についても、御承知のように、株主というのは実質的にはいろいろ問題があるにしても会社のオーナーということになっているわけですね。ですから、その株主の意向というのは最も尊重されなければならないものであろう。業務執行に携わる方の責任の問題についても、特にこれを軽減しようというようなことになるわけですけれども、あるいは免除しようということになる場合に、やはりそのオーナーである株主の意思は尊重されなければならない。

 そうすると、そこでもやはり要件はできるだけ厳しくしておいた方がいいのではないか。しかし、そうかといって総員のというのは、これはちょっと厳し過ぎると思いますので、会社の重要事項については総じて特別決議を要するということになっている。それと比較をしても、この問題というのはやはり会社にとっても大変重要な問題であるだけに、私どもは普通決議では足りない、特別決議を必要とするのではないか、その方が妥当性を持つのではないか、こんな考えで特別決議を提案して修正案に上せた、こういうことでございます。

田村委員 一方の、定款を変更してという方もやはり特別決議の事項でありますから、それに合わされたのかななんという気がいたします。これも、修正案の方も理解をさせていただきました。

 監査役制度の強化に関しても御質問したいんですが、もう時間の方が余りございません。まとめて質問をさせていただいてよろしゅうございますか。

 制度改正の趣旨に関しては先ほどお聞かせをいただきましたので、それはもう結構といたしまして、一つは、監査役の取締役会への出席及び意見陳述、これを法律上、今回、義務であると明示した趣旨、理由。それから、監査役を辞任した者に株主総会で辞任の理由を述べる機会を与えることにした理由。普通に考えると、辞任をするわけですから、なぜ理由を述べなきゃならないのかという部分があろうと思います。この理由。それから、今までは社外監査役を三人以上の監査役のうち一人以上というような規定であったわけでありますが、それを今回、社外監査役を半数以上というふうに変えられた、この理由。それからあと、社外監査役の要件を今回厳しくなされました。就任以前五年間という規定から、今まで就任していちゃだめだと。例えばその会社の取締役でありますとか子会社の取締役または支配人及び使用人、こういうふうに強化された、この理由。申しわけございません。時間がございませんので、まとめてお聞かせください。

太田(誠)議員 まず、監査役の取締役会における意見陳述権、出席義務といったことは、現に今は監査役は取締役会に出席をすることになっておりますけれども、それを義務づけることによって、何か事が起きたときに、法律上の責任を監査役が果たしていなければ、そこの怠慢は責任を追及されることになるわけであります。だから、今までよりも責任が重くなるわけでございますので、そのような扱いを取締役会においてなされるべきである。むしろ、取締役会を主宰している方に対して、監査役というものの存在を十分に受けとめるということをこういうふうに具体化したわけでございます。

 それから、なぜ株主総会において辞任について意見陳述をしなくちゃいかぬのかということでございますが、現実に、監査役についての強化というのは、この数年間、たび重なる改正をいたしてまいりましたけれども、実際には、今、三年間なのに任期途中で辞任をされるケースが多いわけであります。辞任をされた背景には、取締役の任期の方が二年なので、そのときのローテーションで、社内の監査役の方々にも、前もって話し合いをしておいて、やめていただこうかというようなことが多いようでございます。そんなことで監査役が任期途中で辞任されたのでは制度の意味がないわけでございますので、そういうことがないように、任期途中の辞任ということについては歯どめをかけたいということでありました。

 それから、なぜ株主代表訴訟と監査役の機能強化ということをワンセットにしたのかということが一番大きな法改正のポイントでございますが、それは一方で、アメリカのコーポレートガバナンスをモデルにして、日本の企業社会あるいは株式会社というコミュニティーの中での紛争の処理について客観性、株主の利益を専ら考える角度からのチェックというものを組み込まなければいけない、これがこのコーポレートガバナンスの考え方でありますので、その歯どめとなる権能として、特に大会社については監査役会の半数以上を社外にするとしたわけでございます。

 このモデルは、アメリカの取締役会における監査委員会とかあるいは訴訟委員会とか、取締役会の中に幾つも小委員会ができるわけでありますが、その小委員会の構成については、過半数が社外の取締役でなければいけない、そういう仕組みになっておるということを取り入れたものでございます。監査役会という制度を確立し、監査役の中の半数以上が社外の人でなければいけないということによって、客観性といいますか第三者性、経営者からの独立性を確保しようとして半数以上ということにいたしたわけでございます。

 そこで、その監査役会について相当の独立性が確保できたから、その同意がある場合には損害賠償の決議を取締役会ができるんだというような組み立てになっておるわけでございます。これが一番大事なポイントであります。

田村委員 今般のこの改正の必要性を感じながら、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

保利委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原でございます。おはようございます。

 提案者の皆様にまずお尋ねしますが、今回の取締役の責任を軽減する理由として、こう提案理由にあります。「取締役の法令違反行為等に基づく会社に対する責任について、取締役が高額の賠償責任を負担することを恐れて経営が萎縮することがないように」こう説明されておりますが、取締役が高額な賠償責任を命じられた具体的な事例だとか、あるいはその賠償額について把握されておられたら、教えてもらいたいと思います。

谷口議員 取締役が高額な賠償請求を命じられた具体的な事例ということでございますが、まず第一点は、大和銀行ニューヨーク支店不正取引事件というのがございます。賠償額が七億七千五百万ドル、日本円で約九百億円、このような賠償額になっております。

 これは、ニューヨーク支店の元嘱託行員が米国債などの無断売買を繰り返し行ったわけで、約十一億ドルの損失を出した事件でございます。銀行側は、この損失につき報告を受けた後も、アメリカの連邦銀行法などに反して、米金融当局に二カ月間事実を報告せず、同年九月、米司法当局に訴追されたわけでございます。同行は、九六年二月、約三億四千万ドル、日本円で四百八億円の罰金を支払ったわけでございます。監督義務違反により不正取引を発見できなかったことと、アメリカの金融当局への報告遅延によって罰金の支払いを余儀なくされたことを理由に、株主代表訴訟が提起されまして、平成十二年の九月、大阪地裁で、被告取締役らに総額七億七千五百万ドルの支払いを命じる判決がなされたわけでございます。

 もう一点は、住友商事銅不正取引事件がございます。これは最終的に和解になったようでございまして、和解額が四億三千万円ということでございます。

 これは、住友商事の部長が、銅地金の簿外取引で発生した米国銀行への債務を返済するため、一九八五年に、無許可で会社名義の不正取引を続けまして、住友商事に約二千八百五十億円の損害を与えた事件でございます。取締役らの監督義務違反を理由に代表訴訟が提起をされまして、本年三月、当時の取締役ら五人が、法的責任を認めることなく、連帯して四億三千万円を同社に支払うということで和解がなされたわけでございます。

 以上でございます。

漆原委員 株主代表訴訟が増加しており、また高額化傾向にあるというふうに私も認識しておりますが、今の二つの事件、それからそういう増額化傾向、こういうものが企業経営に及ぼす影響についてどんなふうにお考えか、教えていただきたいと思います。

谷口議員 企業経営に及ぼす影響ということでございますが、取締役の経営判断を萎縮させると、かえって株主の利益に反するという面が見られるわけでございますが、取締役の責任減免制度の見直しを通じまして、経営の効率化を実現し、競争力の強化が図られるといったようなことになると考えられるわけでございます。

 また、監査機能の強化ということによりまして企業倫理の確立が図られるといったことで、企業の健全性が確保されるというように考えるわけでございます。

 このように、今回のこの法案は、経営の効率化、また競争力の強化ということを通じまして、企業倫理の確立、経営の健全化確保のための諸方策が相まって、コーポレートガバナンス、まさに株主の利益の最大化ということでございますが、このようなことが確立されるということになるものと考えるところでございます。

漆原委員 法務省にお尋ねしたいのですが、先ほどアメリカの例が出ておりました。取締役の責任の軽減に関してアメリカの法制ではどうなっているのか、お教えいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど若干出てまいりましたけれども、アメリカの各州の会社法で、全米五十州ございますけれども、そのうち四十八州とコロンビア特別区、これにおきまして株主代表訴訟に関する取締役等の責任軽減の規定を設けているということのようでございます。

 二つのタイプがあるんですが、このうち、デラウェア州あるいはニューヨーク州を初めといたします少なくとも三十九州におきましては、会社が取締役等の責任をあらかじめ減免することができる旨の定めを定款に置くことができる、こういうことを認めております。また、別のタイプは、これはオハイオ州を初めとする数州でございますけれども、州の会社法の規定によりまして直接その減免が規定されるというタイプのものがございます。

 その減免の限度につきましては、多くの州で全額の免除も認めているという状況でございます。

漆原委員 それでは、我が国における株主代表訴訟の現状について、件数とか、あるいは、乱訴も指摘されておりますが、原告の勝訴率とか、そういうものを把握されていたら、法務省、教えてもらいたいと思います。

山崎政府参考人 最高裁判所の統計で申し上げさせていただきたいと思いますけれども、株主代表訴訟の申し立て手数料、これが八千二百円とされましたのは平成五年の商法改正でございますが、それ以降の数字で申し上げます。平成五年が八十六件、六年が百三十九件、七年が百六十二件、八年が百六十三件、九年が百八十七件、十年は二百件の大台に乗りました。それから十一年は二百二十件、十二年は二百六件ということでございまして、徐々に上がってきているという傾向を示しております。

 勝訴率がどのぐらいか、ちょっとそこの統計はございませんけれども、大きな事件として、三井鉱山株主代表訴訟事件というのが最高裁でございましたが、これは平成五年でございますけれども、認容額が一億円というものは一つございます。それから、間組の株主代表訴訟事件、これは平成六年の判決でございますけれども、東京地裁でございます。これは認容額は千四百万でございますけれども、こういうような幾つかの例はございます。

漆原委員 今、局長おっしゃったように、訴額が九十五万円というふうになりまして、印紙額が今おっしゃった八千二百円ですか、そういう改正と相まって代表訴訟をたくさん起こされて、乱訴の危険も指摘をされているところでありますが、現行の商法で乱訴防止のためにどんな規定を置いているのか、また現状の規定で乱訴防止は十分なのか、その辺のお考えを御説明いただきたいと思います。

山崎政府参考人 ただいま御指摘の点でございますけれども、現行の制度におきましては、代表訴訟そのものが取締役を害することを知って提起をされたというような場合には、裁判所が原告の株主に対して担保の提供を命ずることができるという制度がございます。この担保の提供に応じなければその訴え自体を却下する、こういう制度でございます。この担保提供命令制度、これが基本的には乱訴にわたるということを防止している、そういう機能を果たしているというふうに考えております。

 何件か命じられたものがございまして、その内容は、訴訟の提起が不当な目的によるものであると認められた事例がございます。それから、その他では、勝訴の見込みがないと認められた事例、こういうものに担保提供命令がされているということで、一応の機能は果たしておるのではないかと理解をしております。

漆原委員 現行法の二百六十六条の五項、取締役の責任については、「総株主ノ同意アルニ非ザレバ之ヲ免除スルコトヲ得ズ」、こういう規定があるんですが、今回これが改正になるわけなんですが、この「総株主ノ同意アルニ非ザレバ之ヲ免除スルコトヲ得ズ」というふうに規定した理由を御説明いただきたいと思います。

山崎政府参考人 ただいま御指摘の点につきましては、昭和二十五年の商法改正で導入されたものでございます。それまでは、株主総会の特別決議によって取締役の責任を減免することができるというふうにされていたものでございますが、それを改めたものでございます。

 その趣旨は、この二十五年の改正によって取締役の権限がかなり大幅に拡大されたということに対応して、株主の保護をより強化する必要があるということから、総株主の同意ということになったわけでございます。では、必ず総株主の同意が必要かということにもなるわけでございますけれども、実は、その二百六十六条、御指摘いただいた五項の次に六項という規定がございまして、これは、取締役と会社との間の取引、あるいは利益相反取引、こういうものに関して損害が生じたときにその損害を減免する場合、三分の二の多数、いわゆる特別決議、これで免除することができるということを認めておりまして、必ずしも総株主の同意ということが要件ではない、現在の法制でもそうなっているということでございます。

漆原委員 法務省、ありがとうございました。

 あとは提案者にお尋ねします。

 今、二百六十六条の五項の説明をいただきましたが、この規定は二百六十七条の株主の代表訴訟と表裏一体の関係になっていると私は考えております。すなわち、たとえ一株しか持たない株主であっても、取締役の不正追及に関しては多数決をもってその権利を奪うことはできない、そういう、まさにコーポレートガバナンスの思想に立脚しているんじゃないかなというふうに認識しております。

 今回の法改正によって、総会の特別決議、これは修正案ですが、あるいは取締役会の決議によって取締役の免除の決定がなされた場合には、三分の一に満たない株主、または百分の三に満たない株主は、その免除決定部分についての株主代表訴訟を起こせない、こういう結果になります。このような結果は、取締役のモラルハザードを起こすとともに、コーポレートガバナンスの大いなる後退というふうに指摘する向きもありますが、提案者はこの指摘に対してどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

谷口議員 先ほど法務省の方から御答弁がありましたが、二百六十六条の五項の規定、総株主の同意により責任の減免ができるということでございますが、この規定が株主の代表訴訟提起権と表裏一体であるという指摘でございますが、代表訴訟提起権をどの範囲の株主に認めるかというような問題と、取締役の責任をいかなる条件で減免するのかといったような問題は、理論的には別の問題である、このように考えるところでございます。

 また、取締役のモラルハザードを招くのではないかという指摘がございましたが、今回、この法案におきましては、株主総会の決議、また、定款変更いたしまして定款に基づく取締役会決議、また、社外取締役の場合には事前の責任限定契約により取締役の責任軽減を認めるといったような制度がございまして、いずれの場合も株主の厳重なチェックを受けるといったような形になっており、モラルハザードに結びつくといったことに当たらないというように考えておるわけでございます。

 また、コーポレートガバナンスの問題でございますが、このコーポレートガバナンスは、経営の効率化を進めて、また企業倫理の確立を推し進めて、最終的に株主利益の最大化を図るといったことに目的があるわけでございます。これがこのコーポレートガバナンスの姿だ、このように考えておるわけでございますが、今回のこの法案は、現行法が、先ほどのように総株主の同意がなければ取締役の責任を軽減できないといったことになりますと、実態的には軽減できないということになりまして経営の萎縮を招くといったことになるわけで、ひいては企業の効率性また競争力を弱めるといったことになりますから、こういう観点からこのコーポレートガバナンスの精神にこれは合致するものだといったようなことを考えておるところでございます。

漆原委員 もう一つの指摘があります。コーポレートガバナンスとは一体どういうものかという観点から、こんな指摘があるんですね。

 コーポレートガバナンスとは、経営者の暴走を防止し、法令遵守と経営の効率化を促す原理である。違反行為を犯すかもしれないからあらかじめ免責できるようにしておくという今回の改正とコーポレートガバナンスとは全く無縁なものであるというふうな指摘もありますが、これについては提案者はどのように反論されるんでしょうか。

谷口議員 コーポレートガバナンスの考え方については今申し上げたとおりでございますが、一方で、この考え方については、広範な、また多岐にわたる考え方があるわけでございます。提案者といたしましては、先ほど御答弁させていただきましたように、経営の効率化、また競争力の強化を図り、企業倫理の確立を行うことによって、企業の健全性を確保し、最終的に株主の利益の最大化につなげていくということがコーポレートガバナンスの姿であると考えておるわけでございます。

 したがって、取締役の経営判断の萎縮を防止し、経営の効率化、競争力強化を図るということはまさにコーポレートガバナンスの方向に合致するということで、今の先生のおっしゃるような質問の御指摘は当たらないというように考えております。

漆原委員 今回の改正で、少数株主の権利というものに対してどのような配慮がなされているか、御説明いただきたいと思います。

太田(誠)議員 少数株主につきましては、今回の改正案では当初、修正前でございますが、取締役会に一たんゆだねたけれども、そこで決議されました責任減免ということについて少数株主の方が納得できないということであれば、総株主の二十分の一以上を有する株主が異議申し立て期間内に異議を述べたときは、その決議で免除できないということが規定をされております。この五%以上ということを考えましたが、多数の株主を擁する大規模会社では五%でも要件が厳し過ぎるということで、総株主の百分の三以上という要件の緩和が修正によって行われたところでございます。

 いずれにいたしましても、この少数株主権に対する配慮というのは十二分になされているというふうに思っております。

 先ほどからの御質問に、私もちょっと補足的にお答えいたしますけれども、総株主の同意が要るということは、たとえ九九%の株主は実はもう責任を減免してもいいんだと思っていても、最後の一人がどうしてもこれは許せないということであれば、その一%になってしまうわけですね。そうすると、九九%の株主の言うことが正しいのか一%が言うのが正しいのかというのは、結局これは株主総会での議決でもって決着をつけるのが妥当であろう。それは、過半数であれば余りにも簡単過ぎるという見方で修正がなされたわけでございますけれども、三分の二ならば十分にそのことは反映されていると思うのでございます。

漆原委員 それでは、各論について若干聞いてみたいと思います。

 この責任の軽減を、法二百六十六条第一項の全体ではなくて特に一項五号、これは法令または定款の違反行為、これに限定をした理由は何でしょうか。

谷口議員 先ほどからお話をさせていただいておりますように、取締役が職務を行うにつき、軽過失であるにもかかわらず予見しがたい高額の賠償責任が生ずる可能性がある、一方で、現行制度では総株主の同意ということで事実上減免が認められておらないということでございますので、現実の話として、取締役が高額な賠償責任を負担するということが考えられるわけでございます。

 そこで、今回の改正は、取締役が高額な賠償責任を負担することを恐れて経営が萎縮するという危険性があるわけでございますが、取締役が職務を行うにつき善意かつ無重過失である場合に限って、その取締役が負うべき損害賠償責任の額から最低限責任を負うべき一定の金額を控除した額を限度として、取締役会決議、また株主総会決議をもって免除ができるとしたものでございます。

 このような今回の改正の趣旨から、取締役のどのような責任について新設する責任軽減の制度の対象とすべきかを検討いたしたわけでございますが、予見しがたい高額の賠償責任が発生する可能性があるか否か、また過失責任であるかどうかの観点から、二百六十六条一項五号の損害賠償責任のみを新設する責任軽減制度の対象とすることにいたしたわけでございます。

漆原委員 はい、わかりました。

 それから、責任が免除される限度額、基準として「報酬」というふうに挙がっておりますが、これは二年、四年、六年といろいろありますが、この「報酬」の内容はどういう内容になっているのか、御説明いただきたいと思います。

谷口議員 「報酬」の内容でございますが、二百六十六条七項一号の報酬その他の職務執行の対価ということがあるわけでございますが、この対価とは取締役の職務執行に対する対価であり、取締役の職務執行の対価として定期的に支給される一定額の俸給のほか、利益を上げた功労に報いるものとしての賞与も職務執行の対価の一態様と考えられるので、本号に含まれると考えております。

 さらに、本号におきましては、取締役工場長、取締役総務部長等のように、取締役の地位と使用人の地位を兼ねるいわゆる使用人兼務取締役について、その使用人分の給与も本号の「報酬其ノ他ノ職務遂行ノ対価」に含むことといたしておるわけでございます。

 そのほか、取締役の退職慰労金及び使用人兼務取締役の使用人としての退職手当のうち取締役を兼ねる期間の職務執行の対価である部分の額や、取締役就任後にストックオプションの権利を行使した場合の利得も、免除ができない責任の範囲に含むということになっておるわけでございます。

漆原委員 二つ一遍にお尋ねします。

 一つは、八項の三号で「責任ヲ免除スベキ理由」を開示しなきゃならないという、この「責任ヲ免除スベキ理由」というのはどういう理由なのか。もう一つ、今度は、取締役会において責任免除の決議をする場合には、これは十一項でございますが、「特ニ必要アリト認ムルトキハ」という、この二つの条文について、どういう内容なのか、少しわかりやすく御説明いただきたいと思います。

谷口議員 まず、責任免除決議をなす株主総会において開示することを要する責任を免除すべき理由とは何かということでございますが、取締役の責任免除決議をなす株主総会において開示することを要する責任を免除すべき事由とは、その取締役の責任を免除する理由すべてを言うものと考えておるわけでございます。その中には、例えば責任の原因となっている法令、定款違反行為についてのその取締役の過失が極めて軽微であるということや、予測し得ない経済情勢の変化により損害額が拡大したことなどが含まれると考えておるわけでございます。

 また、取締役会決議により免除することができるとされているその理由についてということでございますが、多数の株主から成り立っております会社におきましては、取締役の責任軽減の株主総会決議を行うために臨時株主総会を招集するといったことは非常に難しい、実態的になかなか難しい話であるわけでございます。

 一方で、責任の免除が定時株主総会でなされる、それまで認められないということになりますと、当該取締役の賠償責任が軽減されるか否かということが長期間にわたって不明な状態が継続する、この結果、取締役が長期間にわたって不明な地位に置かれる、ひいては経営の萎縮を招くといったことになりかねない。そういうことで、取締役会決議により責任軽減を認める必要があると考えたわけでございます。

 また、あらかじめ株主が定款により責任軽減の是非の第一義的な判断を取締役会に任せるといたしておる場合において、株主総会における株主の判断を待たずに、経営の専門家である取締役の集まりである取締役会が、当該賠償責任にかかわる経営判断の妥当性等の見地から責任軽減の是非を判断するということには十分な合理性がある、このように考えておるわけでございます。

 例えば、取締役の経営状況から見て取引を継続すれば会社に損害が生じるといったような場合において、取締役がこの取引を継続したときなどのように、会社を経営するに当たって不注意に会社に損害を与えた場合には、取締役は善管注意義務に違反したことに基づき、二百六十六条一項五号による会社に対する責任を負うことになるわけでございます。

 しかし、このような場合には、取締役が経営者としての専門的知識を駆使して会社のためによかれと思ってそのような判断を下しているということの方が多いわけでございまして、たまたまその判断が経済情勢の変化等から裏目に出たといったことで会社に損害を与えたという場合もあるわけでございます。このようなケースについては、経営の専門家である取締役の集まりである取締役会が、当該賠償責任にかかわる経営判断の妥当性等の見地から責任軽減の是非を第一義的に判断するということは十分合理性があると考えるわけでございます。

 そこで、今回のこの責任軽減制度におきましては、取締役会決議後、総株主の議決権の、原案では二十分の一以上、修正案によりますと百分の三以上でございますが、このような株主が異議申し立て期間内に異議を申し述べた場合には、当該賠償責任について取締役会決議による責任軽減はできないものといたしておるわけでございまして、最終的な責任軽減の是非の判断は株主が行うというような仕組みになっておるわけでございます。

漆原委員 よくわかりました。

 どうもありがとうございました。質問はこれで終わります。

保利委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、商法等の一部改正の法律案ですけれども、商法というのは六法の中の一つであると言われるように非常に基本的な法律であって、重要な法律であるわけでありますけれども、こうした法律が、この前の金庫株のときもそうだったのですけれども、きちっとした専門家で構成されている法制審議会で審議をされているのか、されていないのかよくわかりませんけれども、余り関与がないままに議員立法という形で提出されてきているということに対して、私は少し疑問に思っているところがあるわけであります。特に、今回の商法等の一部改正法案については、いろいろな学者の方から非常にたくさんの疑問点とかあるいは批判点が出されているというような状況にあるわけであります。

 そういう意味で、今回の改正法案と法制審議会というのは一体どんなかかわりがあったのか、なかったのか、まずそれをちょっと大臣の方からお聞きしたいと思います。

森山国務大臣 議員提案によりまして今回提出されております改正案につきましては、平成九年ごろから自由民主党を中心にいたしまして継続的に検討がされてまいったものと承知しております。

 この間、法制審議会におきましては、企業の組織再編のための商法改正法案要綱の審議を行ってきておりまして、今回の改正法案で取り上げられている項目を審議の直接の対象としたということはございませんでした。また、組織再編法制の整備を終えました昨年の九月以降は、法制審議会におきましては、現下の経済情勢に対応するために、今国会及び次期通常国会への法案提出を目途に会社法制の大幅な見直しを検討してまいりましたが、そこでも、議員立法との重複を避けるということで、議員立法の進行状況をにらみながら、これとはダブらないようにという配慮をしつつ、監査役制度及び株主代表訴訟制度についてはこれを審議の対象とはしなかったという経緯がございます。

 もっとも、株主代表訴訟制度は会社の機関の責任のあり方にかかわる重要な制度でございますし、また、監査役制度も企業統治のあり方にかかわる重要な制度でございますので、今後とも、この運用状況等を注視しながら、法務省としてもそのあるべき姿について検討をしていきたいというふうに思っております。

平岡委員 与党の方で検討しているから政府の方であるいは法制審議会の方で検討を控えるというのは本末転倒であって、与党の方が検討されるのは別にとめるわけでもありませんけれども、やはり政府として、必要な法律の改正あるいは制度の改正についてはしっかりと議論していくということをぜひお願いしたいというふうに思っているわけです。

 今大臣が触れられた中に、今、昨年の九月以降、次期通常国会に向けて会社法制の大幅な見直しを法制審議会において検討しているというお話がありまして、その中で、監査役制度については与党の方で検討しているのでしていませんというような答弁がありましたけれども、逆に言うと、今回の改正案に対して、商法学者の方々の中には、一方で法制審議会の方で取締役会の強化といったような形での検討が行われている中で、今回の法案というのはそれとは逆方向を向いた改正ではないかというような指摘もされているわけであります。そうした整合性のないことを政府と与党がお互いにやり合うということでは、本当に基本的な法律をどうするのかということについて政府として責任を持っていないんじゃないかというふうに思うのですけれども、この取締役会の抜本的な見直しと今回の監査役制度の改正について、どのような状況になっているのですか、まずそれをお答え願いたいと思います。

横内副大臣 御指摘のように、法務省では、会社法制の全面的な見直しとして法制審議会で審議を行っておりまして、ことしの四月十八日に中間試案というものを決定して公表したところでございます。この中間試案におきましては、企業統治の実効性を図るという観点から、取締役会の機能強化を図るための改正事項を検討しているということでございます。一方で、今回の法律は監査役の機能強化ということでございまして、おのずから分野を異にしているということでございます。

 これは釈迦に説法でございますけれども、代表取締役の業務執行に対するチェックというのは二つの手段があると思います。一つは取締役会による監督ということでありまして、これは主として代表取締役の判断の妥当性についてのチェックであります。それからもう一つは監査役による監査でございまして、これは適法性についてのチェックということだったと思います。

 したがいまして、審議会の方でやっておりますのは前者の方であって、今回の法改正は後者の方の、監査役の機能強化ということでございますから、対象分野は異にしておりまして、矛盾するものではありませんし、むしろ一体となって企業統治の実効性を期するというものだというふうに考えております。

平岡委員 とりあえずはそういう答弁になるのだろうと思いますけれども、ただ、取締役会の強化の問題についていうと、新しい制度では、各種委員会をつくった場合には監査役というものを置かなくてもいいというような仕組みになっていくというようなことも検討されているというふうに中間報告ではなっているわけでありますよね。そうすると、今の御答弁が本当に整合性のある答弁にそのときになるのかどうか、大いに疑問に思っております。

 今この議論に入ってしまっても仕方ありませんけれども、私がお願いしたいのは、基本的な法制、特に商法、民法といったようなものについて、専門家で構成されている法制審議会において十分な検討がなされるということが、ひいては国民一般の人たちにとってもわかりやすいし、かつ整合性のとれた法律としてできるということであるので、ぜひ、政府の方でもいろいろな問題について幅広く検討した上でこれからの法制度を考えていっていただきたいというふうに思っているわけであります。

 今回の改正法案については、与党がかなり勉強されて結論を出されたわけでありますけれども、その議論の過程が必ずしもよくわからないので、私、きょうの質問はいろいろ技術的な質問にも入ってしまって申しわけないとは思うのですけれども、ただ、この法律が仮に成立してしまいますと、一体この規定はどういう意味なのだろうか、この規定の持っている趣旨というのは一体どういうようなものなのかということを一般の国民の方々がわからないというようなことでは困りますので、そういう点も、申しわけないのですけれども、きょうはちょっと触れさせていただきたいというふうに思っております。

 そこで、通告した質問の順番とはちょっと違うのですけれども、先ほど来から余り議論がされておりません株主代表訴訟の問題について先に質問に入らせていただきたいというふうに思っております。

 今回の株主代表訴訟についての改正について言いますと、提訴権者の問題について、与党案でいろいろな改正が提案されていたわけでありますけれども、修正案の方では、与党案の改正に対して、現行制度に戻すような修正を考えておられるようでありますけれども、そのように現行制度を維持することとした理由は何なのでしょうか。これは修正案の提案者の方にお伺いいたしたいと思います。

山内(功)委員 本改正案によれば、取締役の責任原因について、提訴の初期の段階で、知っていたかあるいは知り得べきであったか、そういう点についてむだな認定をする必要がある。

 そして、株主の提訴についても担保提供命令という現行制度もありますので、担保の提供を命じられた株主が、自分の私欲を満たすために、あるいは乱訴のために、そして嫌がらせのために提訴する場合には裁判所の方できちんと担保提供命令を下しておりますので、それが納められなかった株主は取り下げをするか、あるいは納められなかったことによって却下という効果が生じてくる。

 訴訟の審理の進行の段階に入っても、取締役の自由な経営判断については十分言い分を聞きながら今までも審理がなされていること、そして、本案判決に至ったとしても、軽々に今までの判決で取締役の責任が認められた事例はないということがございます。そして実際に、一億とか二億とか、多額の損害賠償を認められた今までの判例でも、取締役が贈収賄を起こしたとか、そういう悪質、違法な行為のあった場合に限って取締役の責任が認められておりますので、本改正案では乱訴とか嫌がらせの防止にはつながらないという思いがございましたので、私たちの方で修正案を出させていただきました。

平岡委員 今御答弁いただいた修正案の提案者、山内先生は裁判官の経験者でもあり、弁護士でもあるということで、非常にお詳しいだろうと思いますけれども、こうした問題についても、先ほどちょっと私申し上げましたけれども、やはりきちっとした、制度のあり方について幅広い意見をもとに検討をするということがぜひ必要であろうというふうにも思っております。

 そういう意味で、現行制度を維持するということについての考え方というのは一つの重要な考え方であろうというふうに私も思っておりますけれども、ただ、今回の株主代表訴訟の問題について言いますと、提訴権者の問題だけではなくて、ほかにもいろいろな改正が入っているということでございます。その点についてもちょっとお聞きしたいと思うのです。

 まず、今回の与党の改正案の中には、訴訟上の和解については、商法の二百六十六条の五項、取締役の責任について免除する場合には株主の同意が必要であるという規定がございますけれども、この規定が適用されない、そういった規定になっているのですけれども、そうしますと、非常に単純に考えますと、株主代表訴訟を起こしておいて、そしてその中で会社とその代表訴訟を起こした株主との間で和解をするというような形で、なれ合いの訴訟、なれ合いの和解というものが行われてしまうというおそれがあるような気がちょっとするのですけれども、その点についてはどのようにお考えになっているのでしょうか。

保岡議員 先生の御質問でございますが、まず訴訟上の和解による責任の減免、これは訴訟当事者のみの判断によって被告取締役の責任を減免するものでございますが、原告以外の株主、これは、二百六十八条二項で訴訟参加して和解成立を拒むことができるわけで、各株主の利益保護が図られていると言えますので、訴訟上の和解により被告取締役の責任の減免を認めることが先生御指摘の商法二百六十六条五項の趣旨に反することはないということが言えると思います。

 もう少し申し上げますと、訴訟上の和解においては、裁判所の関与下で手続が進行するために、内容面でも手続としても公正な解決が図られることが期待できるわけでございますが、しかし一方で、今先生がおっしゃった訴訟当事者のみの判断で和解が成立するケース、そういう場合は、訴訟当事者のなれ合い等によって不公正な和解がなされるおそれも、これは可能性としては全く否定するわけにいかない。そこで、このような事態を防ぐために、我々としては、訴訟当事者でない会社や原告以外の株主に対しては訴訟参加や再審の訴えといった対抗手段を与えているわけでございまして、さらに今回の改正では、会社は、みずから訴訟を提起した場合、訴訟告知を受けた場合は遅滞なくその旨を公告して、これを株主に通知しなければならないということにして、各株主に対する訴訟参加への関与の機会確保を一層充実させているところでございます。

 また、今回の改正では、会社が訴訟当事者でない場合は裁判所が会社に対して和解内容を告知し、会社が和解に異議を述べる機会を与える制度を新設しておりまして、訴訟物たる損害賠償請求等の主体である会社の利益保護も図っているところでございます。

 以上のような理由から、先生が御指摘のようななれ合い訴訟についての手当ては、今度の法体系の中、改正の中で十分されているものと考えております。

平岡委員 今の御答弁では、訴訟告知を会社が受けたときには、会社はそれを株主に通知、公告する、それから、和解案が提示された場合には、裁判所は会社にそれを通知する、こういった内容があるから大丈夫だということであるんですけれども、仮に和解案が提示されたときに会社だけに通知するということでは、株主は、訴訟があるということは、訴訟があるということの通知を会社が受けて、それで通知、公告をすればわかるのかもしれませんけれども、そういう和解の方向に向かっているということについては、いつもいつもウオッチしているわけじゃないので、そういう時期においても、会社に対して通知がなされたときは会社はそれについて株主に対して通知、公告をするといったような制度があってもしかるべきだというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

    〔委員長退席、奥谷委員長代理着席〕

保岡議員 その点については、それは丁寧なことはどこまでも丁寧な制度を考えることはできますが、一方でまた、いろいろな手続の負担というものもありますし、一応、株主訴訟が提起されたことが全株主に通知されることによって、それを前提として株主としては訴訟参加等の機会を利用していただいて、また、参加した以上は同意がなければ和解はできないという仕組みになっておりますから、株主の和解についての関係の利益は守られている制度になっておると思います。

平岡委員 今回、訴訟の和解について二百六十六条の五項は適用されないという規定を置くわけでありますから、それに対してやはり株主の利益を保護するという万全の体制をとるということが私は必要ではないかというふうに思っておりますので、今の答弁、手続が大変だから、いろいろ費用がかかるからそれはいいんだという考え方だけではちょっと納得しがたい面があるというふうに思っております。

 それはそれとして、今回の株主代表訴訟について言いますと、会社が取締役を補助するために訴訟に参加するというようなことを前提とした規定が置かれているという状況になっています。この件については裁判所で今いろいろな判例が出ているということも私は知っているんですけれども、会社が全株主の利益を代表しなければいけないといいますか、代弁しなければいけないという立場に立っているということを考えると、取締役を補助するために参加するというよりは、むしろ会社が独立当事者参加のような形で裁判に参加するということの方が望ましい制度ではないかというふうに私は思うんですけれども、この点について、与党の今回の改正法案の提案者の方々においては、どのような考え方に基づいて今回のような制度にされたのか、あるいは、私が申し上げましたように、独立当事者参加にすべきであるという意見に対してどのようにお考えになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。

保岡議員 商法は、会社が株主代表訴訟の当事者でない場合であっても訴訟に参加することができる旨を規定しておるところでございますが、この商法の規定による訴訟参加というのは、民訴法の五十二条の共同訴訟参加と解釈されているわけでございまして、参加人には、参加人の同意がないと先ほど申し上げたように和解を成立させることができないなど、通常の補助参加人より強い権限が与えられているところでございます。

 つまり、株主代表訴訟が開始されますと、会社や原告以外の株主は当事者適格がなくなるため、訴訟当事者によるなれ合い訴訟を防止するという観点から商法において補助参加の特例を設けたものでございますが、一方、株主代表訴訟の当事者によるなれ合い訴訟を防止するためには、会社が独立訴訟参加人として株主代表訴訟に参加するという手段もとることができるわけですね。例えば、原告株主と被告取締役が通謀して、むしろ株主と取締役がなれ合って、会社の取締役に対する損害賠償請求を失わせ、または制限するための詐害的な訴訟追行を行っているような場合には会社の独立当事者参加が認められることは当然でございますから、結局、会社が株主代表訴訟の当事者によるなれ合い訴訟を防止する手段として、商法の規定による訴訟参加によるべきか、あるいは、今申し上げたような場合には独立当事者参加ができるわけですから、そういった参加によるべきかは、会社自身が、訴訟当事者の対応等、どちらが適切であるかということを考慮した上で判断すればいい問題だと承知いたしております。

平岡委員 会社が補助参加という形で株主代表訴訟に参加する場合については、いろいろな問題点が指摘されているわけであります。その中に、いろいろな学者の方が言っておられますけれども、補助参加を認めるということになった場合は、取締役や監査役が会社の利益を公正に判断して参加の決定ができるか疑問である、あるいは、会社の有する証拠資料や訴訟資料が被告にのみ有利に利用されることになるといったような問題があるというようなことで、この点に対してもいろいろな学者の方々が疑問を呈しているわけであります。

 そして、補助参加を認めた場合の話として、今回の改正法で認めるというわけではないんですけれども、補助参加が認められたということについて言うと、どうも原告株主にとって非常に不利になってしまうというようなことから、ここは大臣、ちょっとお聞きしたいんですけれども、株主代表訴訟でより公平な裁判を実現するためには、会社に対して証拠保全や証拠開示に応ずる義務を課していくという、その実効性を確保するための規定を設けるべきであるといったような意見があるわけでありますけれども、こうした考えに対して、今回の改正法とは直接関係ありませんけれども、どのようにお考えになっておられますでしょうか。

山崎政府参考人 ただいま御指摘の点につきましては、そういうような主張があるということは私ども承知はしております。

 この問題は、証拠保全あるいは文書提出命令、これが対象になるものだろうと思いますけれども、このあり方をどうするかということに大きくかかわるわけでございます。御案内のとおり、公文書に関しまして、さきの通常国会で文書提出命令の制度が成立したわけでございますけれども、私文書も含めまして、それでは文書の偏在している場合はこの場合だけかという問題もあるわけでございまして、この制度だけに手当てを加えるのか、ではほかはどうなのか、文書全体の問題にかかわってくるものでございます。

 そういう意味におきまして、御指摘の点は重々頭に入れながら、今後、本当に全体としてどう考えるべきか、そういう点も含めながら慎重に検討はしていきたいというふうに思っております。また、実務等でどういう問題が生ずるかきちっとフォローして、不都合があれば考えていきたいというふうに思っております。

平岡委員 今、文書の偏在というのはこの場合だけじゃなくてほかの場合にもいろいろあるので、全体的にいろいろなものを見た上で検討したいというような答弁でありましたけれども、まさにそういう文書の偏在があって公正な、公平な裁判が行えないという認識が当局にあるならば、政府にあるならば、やはりそこの部分については、国民は裁判を受ける権利というものを持っているわけでありまして、裁判というのは、公正公平な裁判でなければいけないということであろうと私は認識していますけれども、そうした観点から、本当にしっかりと検討をしていっていただきたいというふうに思っております。

 そこで、この株主代表訴訟の問題については、またちょっと別の視点からの問題が提起されておるわけであります。

 どういうことかといいますと、先般の商法の改正によりまして株式移転制度ということができ、それによって持ち株会社を設立するというふうな形で、今までは、例えばA銀行の株主であった人がA銀行の取締役に対して株主代表訴訟を起こしていたところ、この株式移転制度によって、その株主はA銀行の持ち株会社の株主になってしまったというようなケースが生じるわけであります。そうした場合に、A銀行の株主であった人が起こしていた株主代表訴訟が成り立たなくなってしまうというようなことでは、悪用の問題もありますし、訴訟コストの問題もあろうと思います。

 そういうことがあるのは、どうも私としては不自然な感じがするわけでありますけれども、この点について、政府は今どのようにお考えになり、そしてどのようなことを対応として考えておられるのか、ここを御教示いただきたいと思います。

山崎政府参考人 ただいま御指摘の点でございますけれども、株式移転をした場合に、代表訴訟の運命がどうなるかということでございますけれども、これは、商法上規定がございません。解釈にゆだねられているという結論でございます。

 これにつきましては、現在二つの考え方がございまして、株主は株式移転が行われますと原告適格を失うという判断をしました裁判例もございます。まだこれは一審段階でございまして、現在係属中でございますので、今、高等裁判所の判断を待っているという状況でございます。それで、こういう考え方が一方であるとともに、逆に、株式移転後も適格を失わない、維持されるという見解もございます。見解が分かれております。

 私どもは、現在、裁判を個別にやっておりますので、それに余り影響を与える発言はしたくないというふうには思いますけれども、いずれにしましても、まず裁判例でどういう結論が下されるか、それで可能だということになれば、それは解釈上そこで確立するわけでございます。仮にそうじゃないとした場合に、本当に不都合がどうであるかということを我々もよく見きわめて、本当に不都合が起こるのであれば、それはいずれきちっと手当てをせざるを得ないなというふうに思っております。

 ただ、仮に適格を承継しないとした場合でございますけれども、そうなりますと、今度、完全親会社がその子会社の取締役の責任を追及しないということに結果としてはなるわけでございますので、その場合には、親会社の株主は、親会社の取締役の任務懈怠を理由といたしまして株主代表訴訟を提起することができるということになるわけでございまして、もう一度裁判を起こし直さなければならないという事態にはなりますけれども、最終的なチェック機能が全く失われるわけではないという解釈になろうかというふうに思っております。

平岡委員 今まさに、もう一遍訴えを起こせばそれでいいじゃないかというような趣旨の答弁がありましたけれども、それはある意味では、日本のこの経済社会の中において訴訟が果たしている役割、あるいは訴訟を円滑に進めていく、迅速な裁判をしていくということから見たら、全く変な答弁だと私は思うんですね。

 今のお話は、裁判が済むのを待っております、商法に規定がありませんというふうなことで、それで本当に法務省はいいんですか。そんなことじゃ、我々、株主代表訴訟によってきちっと会社の取締役の責任が問える仕組みというものが本当にできているのか、非常に疑問に思うんですね。全く方向性の示されない、今裁判を待っています、商法には規定がありません、仮にこうであったとしても何かいずれできるから問題ないんじゃないですか、こんな答弁じゃ全く私は納得できないんですけれども、大臣、いかがですか。

森山国務大臣 今民事局長から御説明申し上げたような状況でございまして、株主代表訴訟というもの、これは大変大事なものではございますけれども、現状は今申し上げたような状況でございますので、裁判が進行中であるということを考えますと、これ以上のことを申し上げることは難しいのではないかというふうに思います。

平岡委員 これは立法的に解決するということであって、この裁判に対して影響を与えるということじゃないんですよ。これからこういうふうな仕組みとしてきちっと整理します、これによって株主代表訴訟が円滑に行われるように制度として準備しますということであって、裁判に影響を与えるということじゃないんですよ。どういう方向性を考えておられますか。

太田(誠)議員 最初から私ちょっと、御質問のことが私に向けられると思っていたらば、全部大臣にお聞きになるわけですね。

 平岡先生も立法府の一員なんですよ。立法府の中から法案が出てくるということが悪いとお考えなのかもしれませんが、これは立法権を、国民を縛るルールが法律でありますから、国民を縛るルールを、法律をつくる仕事をゆだねられているわけでありますので、したがって、そのゆだねられた我々が、なるべく広い範囲において法律を、このままでいいのか、あるいはもっといいものはないのかということを検討して、この法案でいえば、相当広い範囲で、これは民主党の方々にも呼びかけをして、四年半にわたってやってきたことでございますが、もし今のような御議論ならば、平岡先生がそのチームの中に入って御提案をされればよろしいんじゃないでしょうか。法律を提案するのは法務省に限る、あるいは法制審議会に限るというのはどうかと私は思いますよ。

平岡委員 今私が聞いているのは、今回の提案されている法案とは直接関係ないんです。それとはまた別の問題として、こういう問題が世の中で生じている、これに対して政府としてどのように考えておられるのかということを私は聞いているんです。この法案でその部分について何らかの解決がなされているのならば、それはそれで別にいいのかもしれませんけれども、この問題は最近起こった問題であって、そう簡単に結論が出る問題ではないと私も思います。そういう意味で、今政府に対してすぐに出しなさいと言っているわけではなくて、こういう問題に対して政府としてどのように考えていますかということを私は聞いているんです。

 そういう意味では、改正案の提案者に本来聞くべき筋合いのものではないと思っていますので、私の通告の中でも、この問題に関しては、提案者に対して聞くということになっていなくて、政府に対して聞くということで通告してありますので、その点はよく理解していただきたいと思います。

 そういう意味で、大臣、もう一度、今大分レクを受けられたようでありますので、適切な答弁をお願いいたします。

森山国務大臣 大変専門的な御意見、御質問でございますので、私十分承知していない面がございまして、失礼いたしました。

 今おっしゃいますように、今後、株主代表訴訟の実情などを見ましたところで、万一株主の利益が不当に害されるような事態が生じるようなことがありましたら、所要の立法措置を講じることも考えなければならないと思っております。

平岡委員 検討していただけるような答弁でありましたけれども、前提条件として不当に害されるようであるならばということを言われましたけれども、不当に害されるかどうかということについても、やはり政府として、もっともっと積極的に、本当にこの制度でいいのかどうかということを考えていかなければ、こう言っちゃなんですけれども、与党の先生方で非常に関心を持っておられる方々が、また何か、勝手にと言っては失礼ですけれども、法案を出されるということにもなって、それはいけないと言っているわけではないのです、でも、政府として僕は積極的にやってほしいということを言っております。だから、いいです。(太田(誠)議員「あなたが言っていることはおかしいですよ、さっきから。これは議員提案で、政治家同士の議論だから、やらせてくださいよ」と呼ぶ)どうぞ。

太田(誠)議員 今回のこの法案を提出して、速やかに民主党の提案を入れて修正をしております。だから、民主党の一員である平岡先生も、この法案の修正以降については責任を分担しているのですよ。それはいいことでしょう。立法府の一員で、こうやって選挙を経て議員になられたわけですから、国民から負託をされた責任を果たすことはいいことでしょう。

 だったら、どうしてあなたは、今のような立派な改正の問題意識を持っているのならば、それを提案なされようとしないのですか。どうして政府にさせるのですか。それは官尊民卑の考え方じゃないですか。自分で提案をして、民主党の中で根回しをして、多数を得て、我々に呼びかけてやれば、できるじゃありませんか。それが立法府でしょう。それが、これからの民主主義の社会はこうだということで、恐らく民主党でも今まで主張してきたことであり、我々も主張してきたことであり、国民が選んだ者が自分で自分たちを律する法律をつくっていくことを、どうして一緒にやろうとなさらないのですか。

平岡委員 別に一緒にやることを否定しているわけではありません。それは、私も、立法府の一員として、よりよい法律をつくっていくということに対しては努力していきたいと思います。

 ただ、遺憾ながら、やはり我々の持っている知識なりあるいは情報というものは限られているというのもまた事実であります。そういう意味で、情報とかそういうものがあるところでまずいろいろな政策の案を整理するということを、私としては、ぜひ政府としても前向きに考えてほしい。そして、我々が立法府で議論するときには、自分たちのこれまでの経験や知識やそれなりの考え方を生かして、よりよい法律をつくっていく。

 これは、何も国会だけが法律をつくることについてかかわっているわけじゃなくて、やはり政府全体が法制度をどうあったらいいかということは考えているわけです。それは、裁判所もそうでしょう。政府もそうでしょう。何も立法府だけが、我々はこう思うからこれでやるんだということで、一方的に物事をやっていいという世界ではないはずです。

 だから、そういう意味で、私は、与党が勉強することに対して、あるいは我々がいろいろなことに対して勉強することに対して否定しているわけじゃありませんけれども、我々だけができるという、そういう気持ちで物事に取り組んだのでは、やはりひとりよがりの考え方になってしまう。今回の改正案についても、商法学者の方々がこれほど多くの疑問点や批判点を出しておられるということを、やはり与党の先生方も謙虚に受けとめてほしいということであります。

 決して努力をしちゃいかぬということではなくて、そういう謙虚な気持ちで法案の作成に取り組んでいかなければいけないということを私は申し上げたいと思います。

 この議論をしても、法案の中身のいろいろな検討はできませんので、次に移りたいと思います。

 監査役の機能強化の点でありますけれども、監査役の機能強化の中身がどういう内容であるかというのは先ほどの質疑応答の中にもありましたから、私、問うつもりはありませんけれども、改正の趣旨、どういう目的で、どういう趣旨で今回の監査役の制度を改正しようとしているのか。

 先ほど私申し上げましたけれども、取締役会の改革ということが、今、法制審議会あるいは政府の方でも進められているという中において、どういう視点でもって今回の監査役の制度の改正が行われているのか、その目的、趣旨をお答え願いたいと思います。

太田(誠)議員 今回の監査役制度に関する改正の目的は、バブル崩壊後、もう大分時間がたっておりますけれども、いわゆる放漫経営とかあるいは経営者の不祥事という実態が明らかになって、企業社会に対する社会全体からの信頼が大きく失墜をしたわけであります。株主の利益を損なうという事例も多く生じました。また、不良債権処理や企業の国際化などが進んでおります。一般株主の信頼を得るべく、公正で、透明で、国際的にも信用ある企業体質を確立することが必要であるということで、この監査役制度の機能強化をするということになりました。

 コーポレートガバナンスの考え方からいたしますと、株主の長期的な利益を最大にするということが目的でございますので、あくまでもこれは経営の効率性というのが大切でありますが、同時に、経営者の不祥事あるいは経営の怠慢というふうなことから生ずるさまざまな問題に対するチェックが機能していなければいけないということでございまして、従来の監査役制度は、社外監査役の制度をその前の改正で導入をいたしましたけれども、その後、監査役会というものの中で社外監査役がもっと大きな発言権を持ち、経営者から独立した監査役、監査役会というものが確立されなければいけないということで、大会社については半数以上を社外とするということにいたしました。これは、モデルといたしましたのが、アメリカの取締役会の中に監査小委員会というのがありまして、そこが社外取締役を半数以上にしているということがモデルでございます。平成九年の改正の原案のときから、この案を我々は提案をいたしているわけでございます。

 さらに、監査役の任期を三年から四年に延長するということでもって、一層、監査役の経営者からの独立性、経営者の方の取締役、役員の方は二年の任期しかありませんので、その倍の任期を与えることによって、より独立性を強化しようといたしたわけでございます。

 さらに、しばしば監査役が任期途中で辞任をする、暗黙の約束であろうと思うけれども、任期途中で辞任するということがあり、今まで三年であったということが必ずしも有効に機能しておりませんので、四年というふうに長くいたしたわけでございます。

 また、監査役を選任する場合に、監査役会に同意権及び提案権を認めるということにいたしまして、大幅に監査役及び監査役会というものに対する独立性を強化いたしたということでございます。これによって、コーポレートガバナンス、その株式会社の中できちんと歯どめをかける、役員会の、取締役会の暴走に歯どめをかけるというふうな役割を果たせるようになったと信じております。

平岡委員 今、社外監査役について、監査役の独立性というものをより高めるといいますか確保するというようなことで、社外監査役について少し拡充したようなお話がありましたけれども、これは今の制度でもそうなんですけれども、この社外監査役の社外性の要件というものについて書いてあるわけですけれども、これを見ますと、親会社とかあるいは兄弟会社の役員あるいは支配人、使用人といったような人たちが入っていないのです。

 これはもともと入っていないので、今回の提案者の方に聞くのもちょっと申しわけないのかもしれませんけれども、今回の改正で独立性をより高めていこうという検討をされたのであれば、こういった親会社とかあるいは兄弟会社の取締役とかあるいは支配人、使用人といったような人たちについても、ある意味ではなれ合い性というものもあり得るのだろうと思うのですけれども、これについて、どのようなお考え方で今回入っていないというふうになっているのでしょうか。

太田(誠)議員 これは、子会社の役員というのは今問題となっている会社の取締役あるいは代表取締役の影響下にあるというふうに見られるので、子会社の取締役は親会社の方の監査役、社外監査役としては認めないということになる。あくまでも独立性ですから。

 ところが逆に、今度は、その親会社の役員をしていたりすることは、これは子会社に従属している関係ではありませんので、独立性は十分に担保されているということになるわけであります。親会社が子会社を支配することはあっても、子会社が親会社を支配することはないから、そこから社外監査役が出てくる、その社外性というのは十分に確保されているということになるわけであります。

平岡委員 今の御答弁のような御判断をされたということは、それはそれで、その是非というのはまた別途あろうと思いますけれども、やはり親会社といえども、例えば、親会社の経営の方針なり親会社がこれからどのようにしていこうかということについて子会社に対して影響を与えていくという意味において、必ずしも社外性といいますか、独立性というものが認められるわけではない、かなり、場合によっては癒着性みたいなものもあり得るんだろうと思うんですね。

 そういう意味で、商法学者の方々の中にも、親会社とか兄弟会社のようなケースの場合であっても、社外性というものについては否定されるべきであるということを言っておられる方もおられるので、そこは、今回の提案者の方について言うと、そこまで改めて踏み込むつもりはなかったということであろうかと思いますので、そこも提案者の方に余り強く聞いても仕方ないのでこれ以上言いませんけれども、これからの社外取締役という制度、取締役会の改革を通常国会で行われるということでありますので、そのときまでにこうした社外性の問題についても十分に検討していっていただきたい。これは政府に対するお願いということであります。

 そこで、監査役の権限の強化ということでいろいろ規定が置かれているんですけれども、この中に、二百六十条ノ三というところに、「監査役ハ取締役会ニ出席スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ意見ヲ述ブルコトヲ要ス」、こう書いてあって、これまでは、意見を述べることができるという形で、権利として書いてあったわけでありますね。それが今度は義務として書かれているということに形が変わっているということであります。

 私は非常に不思議な条文だなというふうに思っているわけでありますけれども、例えば、「必要アリト認ムル」というのは、だれが必要ありと認めるのかなと。本人が必要だと思ったら、自分はやらなければいけない義務がある。確かに、みずからがみずからを律するということからいえば、精神的にはそういうことも言えるのかもしれませんけれども、法律の制度としてこういう形で立法されているというのは、私は極めて不自然な感じがするわけであります。

 それはさておいても、義務として書いた以上は、その義務に違反した場合、あるいはどういう場合が違反なのか、こういったことがはっきりとしていないと、例えば病気になって監査役の人が取締役会に出席できないといったような場合に、一体この人はどんな責任を負うのか、これもはっきりしない、こんなことになってしまうのではないかと私は思うんですけれども、この点について、いかがお考えでしょうか。

保岡議員 監査役の役割あるいは監査役会の役割というのは、これは当然、企業の経営の適正を確保するためであったり、違法性をチェックするためであったりするわけですね。そういった監査機能の強化をするために、むしろ、権利としてだけじゃなくて、義務としてそれを位置づけるということで、より監査機能の強化につながるものだ、そういう改正でございます。

 同時に、先生御指摘のように、その義務を怠った場合どういうことになるのか、こういうことでございますが、これは、出席義務規定あるいは意見陳述義務規定に違反した結果、取締役会で違法な決議が行われた、したがって取締役の行為の差しとめ請求が講じられなかったというような場合には、監査役は、善管注意義務違反、要するに善良な管理者の注意をもってする義務違反ということで、当然これは、会社に損害を及ぼせば、不法行為として損害賠償責任を問われるということになると思います。

平岡委員 これも、こんな質問をしていいのかどうか私もよくわからないんですけれども、えてして起こり得ることだろうと思うんですけれども、例えば病気で取締役会に出席できなかった監査役がいて、その取締役会で何らかの決議がされちゃった。それが違法な決議であった、あるいは法令、定款に反するような決議であった、それによって何らかの損害が生じてしまった。こういうようなケースのとき、この監査役というのは一体どういう責任を負うのか負わないのか。ちょっと変な質問ですけれども。

保岡議員 一体いかなるケースが監査役の善管注意義務違反による損害賠償請求権を発生させるかということは、これはもう個別具体的なケースによって、今先生が言われた病気のようなケースも、それが仮病であったり、何でもない病気であるのに、病気を理由にあえて職務を怠ったと言えるようなケースであったり、そういう場合は善管義務違反の生ずるおそれがありますが、通常は、病気で出られないということの責任をとらされるということはないものと思います。

平岡委員 さまざまなケースが考えられるわけですけれども、監査役が取締役会に出席しなければいけないということになると、形の上では取締役監査役会みたいなものになるのかもしれませんけれども、監査役については議決権があるわけではないので、そこは何か意見を言うだけ。ただ、その意見に取締役が従うのか従わないのかというのはある意味では取締役の自由ということになると、監査役に対していろいろ義務をかけたところで、法律的な効果というのは非常にあいまいなものになってしまっているんじゃないかな。そうした点をきちっと整理しないままに義務を課するというのは極めて不自然な法改正ではないかというふうな、個人的な感じがしております。

 何か答弁を求められておりますので、どうぞ。

太田(誠)議員 その結果、こういうふうにして監査役の責任を強化したことによって、それが今度は、例えば今の、株主の損害賠償を減免するということを取締役会が決議する場合に半数以上の賛成がなければできないと言っているわけだし、また、裁判に補助参加する場合も過半数以上なければできないということになっているわけでありますから、監査役の発言権を強化し、代表訴訟や補助参加ということについて今より監査役会の発言権を強化しているわけですから、それだけの責任を負わなければいけない、それだけの責任を常時出席して果たしてくださいということで、整合的にできていると思いますよ。

平岡委員 今の答弁では少しわかりにくいところがあるので、またいずれ整理して、質問する機会があれば質問させていただきたいと思います。

 ちょっと、非常につまらない質問でまた恐縮なんですけれども、この社外監査役の社外要件というのは、社外というのはこういうものだというのが書いてあるわけですね。そこで、就任するときに、過去、例えば子会社の役員であってはいけないとかというようなことがあるんだろうと思うんですけれども、今回の改正で、ちょっとあり得るケースとして考えられるのが、かつてある会社の取締役であった人が、その当時は子会社ではなかったということで監査役になりました、その後、その会社というのが監査役になった会社の子会社になってしまったというような場合、文言だけを見ると、これは監査役をやめなければいけないというようにも読めてしまうんですけれども、その社外要件というのは就任時のものと考えていいんでしょうか。それとも、在職中確保されていなければならないという要件と考えるんでしょうか。

太田(誠)議員 その社外要件は就任時のものだと理解しております。今いろいろな、後で起こる複雑なことというのは全部は考えているわけじゃありませんけれども、一応、大前提として、社外要件というのは就任時のものと思って提案しております。

    〔奥谷委員長代理退席、委員長着席〕

平岡委員 今のは確認ということではあるんですけれども、ただ、ケースとしては、かつて自分が勤めていた会社なので、非常にかわいいというか、愛情の気持ちを持っていて、先ほど来から議論されている独立性というような点について、やはりちょっと疑問がないわけではない。それは、ある程度割り切りの問題だろうと思いますので、きょうの質問では、その点だけはっきりさせておけば後で混乱が生じないかなという程度の問題でございます。

 そこで、せっかく監査役をやってきたので、残り時間もわずかになりましたので、監査役の問題についてもう一つ質問させていただきたいと思います。

 実は、今回の取締役の責任制限の問題について言うと、監査役の責任の免除についても準用する形がとられています。先ほど、取締役の責任を免除していく、制限していくということについては、なぜ今回こういう改正をするのかということでの中の答弁で、経営に萎縮が起こらないようにするんだということで説明がありました。これだけでないのかもしれません。

 ただ、経営の萎縮の問題があるのは、基本的には取締役の問題であろうというふうに思うんですけれども、取締役に限らずに監査役についても、今回、責任の免除あるいは責任の制限の仕組みを持ち込んだ理由というのは一体何でしょうか。この点についても、かなり商法学者の中では疑問に思っている方が大勢おられるということでありますので、明確にその点の趣旨を説明していただきたいというふうに思います。

太田(誠)議員 それは、代表訴訟の対象に監査役もなり得るということでありまして、監査役だけをこのような責任免除の制度から外す理由がないということでございます。

 特に、取締役の方は、軽い過失に執行責任があって、軽い過失の状態で責任軽減の規定があるわけでありますので、その監査を十分に果たせなかったということで監査役がそのまま代表訴訟の対象として残るということは、これはバランスを失することでありますので、取締役と同様の責任軽減の規定を設ける必要があるということです。

平岡委員 バランス論で答えられましたけれども、そもそも取締役について今回の責任免除あるいは責任制限ということについてやろうとしている立法趣旨からすると、監査役に対しては本当にその必要性があるのかどうかちょっと疑問に思っておるわけであります。

 具体的な手続を見ても、取締役について責任制限をする場合には監査役会の同意が必要であるといったようなことがあるわけですけれども、当然のことながら、監査役についてこういった責任制限をする場合に、監査役の同意というようなことを、制度的にもこれは入っていませんけれども、そういった手続的にもちょっと違った手続になってしまうわけですね。だから、バランス上当然に必要だという議論というのは、どうも説得力に乏しいというような気がいたしておるわけでありますけれども、先ほど谷口先生、取締役の責任制限について、こういう立法趣旨であるということを言われましたけれども、監査役についても同じように当てはまるのかどうか。別に谷口先生でなくてもよろしいのですけれども、御答弁ありましたらお願いします。

保岡議員 先生御案内のとおり、企業活動も国際化して非常に複雑多岐にわたって活動する会社もあって、監査役の監査の範囲も非常に広範にわたって、非常に専門的な知識や、あるいは事実についてのいろいろな調査なども責任が重いわけです。こういう企業活動を規律する法規もまた一方で非常に複雑化したり、国際的な対応をせざるを得ないというようなことがあったり、監査役も、こういう時代にわずかのミスで多額に会社に責任を負わせられるような、取締役と連帯して責任を問われるようなケースがあるわけですね。

 そういうようなことで、私は、余りにも巨額な損害賠償請求というものを監査役に残すということは適当でないという立法の考え方はある、そしてそういう考え方に立って我々は対応したということを申し上げたいと思います。

平岡委員 取締役のように会社の経営に対して直接的に行動を起こすあるいは責任を持つというのと違って、監査役の場合は何かちょっと違うんじゃないかなという感じがするんですけれども、時間が来ましたので、きょうは済みません、大変限られた時間でありまして、取締役の責任制限の問題についてもあと二時間分ぐらいあったかもしれないのですけれども、時間が参りましたのでおしまいにしたいと思います。

    ―――――――――――――

保利委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま議題となっております両案及び商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する長勢甚遠君外三名提出の修正案審査のため、明二十八日水曜日午前十時、参考人として東京大学大学院法学政治学研究科教授岩原紳作君及び日本弁護士連合会司法制度調査会委員本渡章君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明二十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会




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