衆議院

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第15号 平成13年12月5日(水曜日)

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平成十三年十二月五日(水曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 保利 耕輔君

   理事 奥谷  通君 理事 塩崎 恭久君

   理事 田村 憲久君 理事 長勢 甚遠君

   理事 枝野 幸男君 理事 佐々木秀典君

   理事 平岡 秀夫君 理事 漆原 良夫君

   理事 西村 眞悟君

      荒井 広幸君    太田 誠一君

      熊代 昭彦君    左藤  章君

      笹川  堯君    鈴木 恒夫君

      棚橋 泰文君    谷川 和穗君

      西田  司君    松宮  勲君

      山本 明彦君    吉野 正芳君

      渡辺 喜美君    肥田美代子君

      水島 広子君    山内  功君

      山花 郁夫君    青山 二三君

      藤井 裕久君    木島日出夫君

      瀬古由起子君    植田 至紀君

      徳田 虎雄君

    …………………………………

   法務大臣         森山 眞弓君

   法務副大臣        横内 正明君

   法務大臣政務官      中川 義雄君

   最高裁判所事務総局総務局

   長            中山 隆夫君

   最高裁判所事務総局民事局

   長

   兼最高裁判所事務総局行政

   局長           千葉 勝美君

   政府参考人

    (内閣審議官

    兼司法制度改革推進本

    部事務局長)      山崎  潮君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長

   )            坂東眞理子君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  吉戒 修一君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君

   政府参考人

   (公安調査庁次長)    栃木庄太郎君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策

   局長)          近藤 信司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           鈴木 直和君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次

   長)           青木  功君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局

   障害保健福祉部長)    高原 亮治君

   法務委員会専門員     横田 猛雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  不破 哲三君     瀬古由起子君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬古由起子君     不破 哲三君

同日

 理事西村眞悟君十一月二十八日委員辞任につき、その補欠として西村眞悟君が理事に当選した。

同日

 理事佐々木秀典君同日理事辞任つき、その補欠として枝野幸男君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十一月三十日

 犯罪捜査のための通信傍受法の廃止に関する請願(平岡秀夫君紹介)(第九九八号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第一一二三号)

 同(河村たかし君紹介)(第一二五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件




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     ――――◇―――――

保利委員長 これより会議を開きます。

 まず、理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事佐々木秀典君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任並びに委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      枝野 幸男君 及び 西村 眞悟君を指名いたします。

     ――――◇―――――

保利委員長 次に、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、内閣府男女共同参画局長坂東眞理子君、警察庁刑事局長吉村博人君、法務省民事局長房村精一君、刑事局長古田佑紀君、人権擁護局長吉戒修一君、入国管理局長中尾巧君、公安調査庁次長栃木庄太郎君、文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、厚生労働省大臣官房審議官鈴木直和君、職業安定局次長青木功君及び社会・援護局障害保健福祉部長高原亮治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所中山総務局長及び千葉民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本明彦君。

山本(明)委員 おはようございます。自由民主党の山本明彦です。

 夫婦別姓につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 夫婦別姓問題につきましては、一九九一年から、法務省の法制審議会が五年をかけて、一九九六年に、選択的夫婦別氏制度を含みます民法の改正をまとめました。しかし、いろいろと論議があったところでありまして、法案の提出までは至らなかった、こういうことだというふうに思います。

 しかし、ことしの八月の世論調査でも、御承知のように、賛成が四二・一%、反対が二九・九%と、賛成が圧倒的に昔と比べてふえてきておる。大分世の中も本当にそういった意味では認識が変わってきた、こんなふうに思っておりますし、ことしの十月には男女共同参画会議基本問題専門調査会が、選択的夫婦別氏に関する中間まとめを発表いたしました。その中で、少子化に対応するためにも結婚の障害を取り除くことが大切、また、女性の能力を生かし、女性に活躍してもらうためにも障害を取り除かなければならない、そのためにも選択的夫婦別氏制度は必要、こう述べておりまして、まさに夫婦別氏が俎上に上がりかかってきた、世の中で日の目を見つつある。大臣のお話を聞いておりましても、早く夫婦別姓が実現できれば、そんな形で発言されておるのをよくお伺いしております。

 しかし、私どもも地元へ行ってこういう話をよくするわけでありますけれども、もちろん賛成もありますし反対もあります。賛成の方は、そうですね、まあいいじゃないですかというぐらいの感じ、反対の方は、絶対反対だ、許せぬ、こういう感じでありまして、数が多い少ないということよりも、声の大きさが違うというのが実感でありまして、その点がこの夫婦別姓問題の一番難しい点ではないかな、そんなふうに感じております。

 私は、基本的には賛成という立場で質問をさせていただきたいと思います。

 森山法務大臣は、今の法制審議会の答申だとか、最近の世論調査だとか、国会の論議だとか、国民の声とかいろいろお聞きをいたしまして、法務大臣としてはこれからどのように取り組んでいきたいと思ってみえるのか、その点をまずお伺いしたいというふうに思います。

森山国務大臣 今先生がるるお話しくださいましたように、この問題は、結婚観とか家族のあり方とかいう問題と非常に深いかかわりがございますので、考えようによっては非常に難しい、あるいは哲学的な、人生観的な問題であろうと思います。ですから、いろいろな御議論があるのは当然でございまして、賛成の方もいらっしゃるし、また反対の方もあるというわけでございますが、平成八年の時点で法制審議会が答申をなさいましたとき以来五年経過いたしまして、その後の世の中の動きということもございますでしょうし、それを踏まえた人々の価値観の変化ということもあると思いますが、御紹介くださいましたような世論調査の数字にもなってあらわれてまいったわけでございます。

 ですから、そのような世の中の動きをよく見詰めまして、多様な価値観のある、さまざまな人生の生き方というものをお互いに認め合う寛容な社会ということを考えますと、このテーマは大変重要なテーマだというふうに私は思っておりまして、できることならできるだけ早くまとめたいというふうに思っていたのでございますが、先ほど来申しておりますような難しい問題でございますので、なかなか一本ににわかに集約するというわけにはいかないというのが実情でございます。

 しかし、次第に御理解も深まってまいりまして、最近、大変活発な議論が特に自民党の法務部会等におきまして行われていると聞いておりまして、その議論の内容を伺いましても、非常に具体的な議論として真剣に考えていただいているというふうに思いますので、できるだけ早くこれがまとまりますように、その議論の推移を見ながらさらに努力を続けていきたいというふうに思います。

 残念ながら、この臨時国会はあと二、三日で終わりでございますので、その間に提案するということは、あるいは成立させることはもっと難しいと思いますが、仮にこの臨時国会で思うようにいきませんでも、さらに努力を続けて、皆さんの御意見に耳を傾けながら、よい方向で結論を得て、来年の通常国会にはぜひ提案できるようにと願っております。

山本(明)委員 今大臣から、残念ながら今回の国会では間に合わないというお話がありましたけれども、私どもも話をしておって感じますのは、最初のうちはそんなに反応がないんですけれども、賛成、賛成という小さな声ですけれども、賛成、賛成と言っておるうちに、次第にあかんという声がだんだん大きくなってくるなというのが実感でありまして、今回の国会、臨時国会で提案されるかなと思っておったのが結局難しくなった、こんな状況だというふうに思います。

 それで、ちょっとお尋ねいたしますけれども、その答申の中でこんなふうに書いてあります。夫婦は、夫もしくは妻の姓を名乗るか、または各自の婚姻前の姓を名乗るものとする、夫婦が各自、婚姻前の姓を名乗るときは、婚姻の際に子が名乗る姓を定めなければならないと。子供のことですけれども、同姓か、または別姓を選んでもいい、別姓を選んだ場合は結婚をするときにもう子供の姓を決めなさい、こういうふうに書いてあったわけでありますけれども、法務省が試案をつくってみえるようですけれども、法務省の試案はこの点をどのように変えられたのか、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

横内副大臣 御指摘のように、法制審議会の答申と最近の法務省の案は食い違っている点がございます。

 現在法務省が検討している試案でも、夫婦が同氏または別氏を選択することができると言っている点は、法制審議会の答申と違いはございません。しかしながら、子供の氏の決定時期について違いがございまして、答申では婚姻のときにだけ決定することができるというふうにしていたわけでありますが、それは硬直的ではないかという批判、御指摘があったことを踏まえまして、法務省の今の案では、婚姻のときに一たんは決めるわけでありますけれども、その後、第一子が生まれたときに、その時点で婚姻時に決めた子の氏を変更することができる、見直しをすることができる、そういう形で検討しているところでございます。

山本(明)委員 子供の点というのは大変大事な点だというふうに思います。反対をされる方も子供のことが心配だということが大変多いわけでありますけれども、そうした意味で、今の、結婚のときにもう決めてしまうというよりも、少し融通性がついて、子供が生まれたときに変えてもいいというふうになったというのは大変前進ではないかなというふうに思います。このことが変わったことによって、おれは絶対反対だったけれども賛成に回ったという方もあるわけでありまして、そういった意味では大変大きな進歩だというふうに思います。

 ただ、子供のことが一番大切なんですけれども、私どものところにもよくいろいろメールが入ってきまして、税理士の女性の、事実婚をやってみえる方のメールがあったんです。子供のことで、小学生の子供らしいんですけれども、子供を持つ身で実感するのは、子供の世界にとっては親の名前なんて関係ないんです、お父さんと名前が違うけれどもどう思うと聞いても、だから何、聞いている意味がわからない、こう言います、こういって書いてきました。これは推進派ですから、それに合った考え方というのは当然でありますけれども、ほかが心配するほどでもないかな、そんな気がするところであります。

 やはりこれは、子供を育てるのは親でありますから、親の名字が違うからといって子供が不幸になるわけではなくて、親の愛情の深さによって子供が変わる、こんなふうに思いますので、少し別の問題ではないかな、そんな感じがいたしますけれども、子供に対する影響というんですか、大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。

森山国務大臣 確かに子供の名前をどうするかということが非常に大きなネックの一つでございましたが、いろいろな御意見を承りまして、今副大臣から御紹介したような案を法務省としては今のところ考えているところでございますが、特に、別氏の夫婦が子供を持ちました場合に、複数の子供がいる場合、二人、三人と子供を持っている場合に、その子供たちの氏を統一するべきかどうかということがまたもう一つの大きな問題でございます。

 これは、先ほど副大臣から申し上げましたように、法制審議会では、最初に、結婚したときに決めて、それでもう動かせないという感じだったんですが、法務省の現在の案では、結婚したときに一応決めるけれども第一子が生まれたときにもう一度考え直すということになっておりまして、ただし、子供の氏は三人いても四人いても同じ氏にした方がいいんじゃないかという考えは法制審議会の考えと同じでございます。ことしの八月の世論調査におきましても、その点については、同じ子供の氏はみんな統一すべきだという意見が多いようでございます。

 このようなことを考えますと、できるだけ現行の制度を維持しながら、子供の氏を統一することによって子供に対する影響をできるだけ少なくするということがいいのではないかと思われますし、既に選択的夫婦別姓制度をとっております諸外国の中でも、ドイツ、スウェーデン、オランダなどは、子の氏を統一して決めるということになっているようでございます。

山本(明)委員 子供については、そういったことで、しっかりと子供のためになるような方式を考えていただきたいと思います。

 もう一つの論議で、世論調査にもありましたけれども、通称使用でいいではないかというのがアンケートで二三%ほどあったというふうに思います。通称使用について、今、国の機関、国政の機関でことしの十月一日から通称使用がオーケーということになっておりまして、実施をしておるところでありますけれども、どういうふうな形で使用させておるかというのを、各省庁の人事担当課長の会議の申し合わせというのがあるんです。いろいろな書類で通称を使っていいよということがたくさん書いてありますけれども、見ますと、身分証明書というのがないんです。やはりこの身分証明書というのが通称を使う上で実際に一番欲しいものといいますか、はっきりとしたものになるわけですから、身分証明書というのが大事だと思います。国会議員の場合はできたようでありますけれども、身分証明書が国の機関でどうして入っていないのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

坂東政府参考人 国の行政機関での職員の旧姓使用につきまして、各省庁の人事課長会議の申し合わせをことしの七月十一日に行っておりますが、各府省は、職員から旧姓使用の申し出があった場合に、職場での呼称、座席表、職員録、電話番号表、原稿執筆、人事異動通知書、出勤簿、休暇簿の八項目に関して一律に旧姓使用の記載を行うこととしておりますが、御質問のありました身分証明書につきましては、職務上使用する場合、例えば警察ですとかあるいは税務関係ですとか、公権力の行使にかかわる場合もございますので、一律に旧姓使用を行うことは困難であるということで、八項目には含めておりません。

 これら八項目以外につきましても、各府省が旧姓使用をしてもよろしいという判断で個別に実施なさることにおいては妨げるものではないとしております。

山本(明)委員 今、どうしても職務上必要なものには身分証明書を発行するけれども、そのほかのものについては原則として発行しない、こんなふうに私は理解をいたしました。

 恐らく、どんな場合もそうだと思いますけれども、やはり通称使用というのは、はっきりすると言うとおかしいんですけれども、身分証明書まで発行して通称を認めるという格好になりますと、人格が二つになる。例えば、山本明彦と鈴木明彦と、昔の名前と今の名前の両方を使うということは、こちらの世界で山本明彦、こちらの世界では鈴木明彦となりますと、やはりどうしても自分の行動というのも変わってくるというふうに思います。変身願望と同じようでありまして、化粧をしたりとかマスクをかぶってやれば、やはりいつも思っていないことが、本音がどこかで出ちゃうとかありますから、犯罪にもつながりやすいという心配もあるというふうに思いますし、実際に犯罪の捜査でも恐らく難しくなってくるのではないかと思いますし、それが難しくなってくると今度は、総背番号制とか、いろいろな問題にまた波及をしてくるというふうに思います。

 したがって、私は、通称使用というのはそんなに安易に認めるべきではないじゃないか、そんなふうに思っております。

 そもそもこの夫婦別姓という問題自体も、いろいろ考えてみますと、これを実施することによってだれが困るんだろうかということであります。心配される子供のことについても、家族のことであります。余談でありますけれども、私はいわゆる婿養子でありまして、名字が変わった口でありますけれども、私はまあ別にどちらでもいいので関係はありませんけれども、やはりそうしたことで、養子になって名前を変えようが変えまいが、それはやはりその家族の、家庭の事情でありまして、ほかの人が、あのうちはどうした方がいいとかこうした方がいい、名前を変えちゃ子供がかわいそうだというようなことを、余分なことを口を挟む必要はないじゃないか、私はそんなふうに思います。

 他人の夫婦げんかに口を出さないのと一緒でありまして、やはりよその家庭に口を出さないというのが普通の社会だと思いますので、そういった意味で、この夫婦別姓を取り入れることができればありがたいといって助かる人がふえれば助けてあげるべきでありまして、それによって迷惑を受けることがないのであれば、当然こういった問題を進めていくべきではないか、感情だけで左右される問題ではない、こんなふうに私は思いますけれども、ただ、今言った反対される方が、絶対反対が多いものですから、議論をしっかり尽くして、国民の皆さん方が納得されるまで議論を尽くして、ぜひ実行していただきたい。そんなことを申し上げまして、私からの質問と意見とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

保利委員長 次に、漆原良夫君。

漆原委員 おはようございます。公明党の漆原でございます。

 法務省は、今年五月の二十五日、人権擁護推進審議会の答申を受けましてこの立法作業をしている、作業中であると聞いておりますが、法案の骨子、骨格と今後のスケジュールを教えていただきたいと思います。

吉戒政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、ことしの五月に人権擁護推進審議会から新しい人権救済制度のあり方について答申をいただいたところでございます。現在、答申の趣旨を最大限に尊重いたしまして、実効性のある人権救済制度を確立するため、次期の通常国会に関係の法案を提出するため、鋭意準備を進めているところでございます。

 法案の骨格でございますけれども、これは、答申で示されました、政府から独立性を有する委員会組織の設置等に関する規定と、それから、弱い立場にある人権侵害の被害者を実効的に救済するための救済の手法や調査権限の整備等に関する規定を骨格とするというふうな法案の作成を今準備しております。

漆原委員 人権救済機関の組織については、答申では、「積極的救済を含む救済を行う人権救済機関は、政府からの独立性が不可欠であり、そのような独立性を有する委員会組織とする必要がある」、こうしておりますが、現在、人権救済機関の組織についてどのような形態を考えておるか、説明願いたいと思います。

吉戒政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねの新しい人権救済機関の組織についてでございますが、これは、委員御指摘のような、先ほど申し上げました答申の趣旨、それから、ことしの六月に、与党三党の人権問題等に関する懇話会というのがございますが、その懇話会から政府に対してなされました新しい人権救済制度に関する申し入れ、こういうものを踏まえまして、組織といたしましては、国家行政組織法第三条の二項の規定に基づく人権委員会、これは仮称でございますけれども、この人権委員会を法務省の外局として設置するというような方向を考えております。

漆原委員 三条委員会と考えておられるということを私は大変評価しております。ところが、今おっしゃった法務省の外局に置くということになりますと、法務省は、刑務所や入管など人権にかかわる部局でございますので、ある意味では身内に対して甘くなるんじゃないかという、実効性のある措置がとれるのかどうか心配する向きもありますが、この点について、今現在法務省はどんなふうにお考えでしょうか。

吉戒政府参考人 先生御指摘の新しい人権救済機関のあり方でございますけれども、これは、今回の中央省庁の再編に当たりまして、中央省庁等改革基本法十八条というのがございますが、その中で、「法務省の編成方針」の冒頭に、人権擁護行政について、その充実を図ることというふうな規定がございます。この規定が一つの根拠でございます。

 それから、法務省の人権擁護機関、これが人権救済を含む人権擁護活動につきまして戦後五十年にわたりまして実績を有しておるということから、先ほど申し上げましたように、人権委員会を法務省の外局として置くのが相当であるというふうに考えております。

 今先生御懸念の点でございますが、確かに法務省には矯正施設、入国管理局等の収容施設がございます。そういうことで、委員御指摘のように、内閣府に置くようにというような意見もございますけれども、申し上げましたように、新しい人権救済機関は国家行政組織法の三条委員会として設置するものでございまして、三条委員会の場合には、人権委員会の委員は国会の同意のもとに内閣総理大臣が任命するということになっております。それから、当然のことでございますけれども、人権救済の仕事につきましては、人権委員会ができ上がりました後は、今後は人権委員会が末端に至るまで指揮監督をするということで、権限の行使の独立性も確保されるということでございますので、先ほどのような問題点はございますけれども、独立性は十分に担保されているというふうに考えております。

 したがいまして、ぜひ法務省の外局として置かせていただきたいというふうに考えております。

漆原委員 その点、ぜひとも運用の面においても独立性が担保できるようにお願いしておきたいと思います。

 続いて、メディアの人権侵害に対する救済について、答申では大変抑制的な態度をとっておるわけでございますが、まず、マスメディアの人権侵害に対する救済、どのようなものとして考えておられるか、御説明願いたいと思います。

吉戒政府参考人 改めて申すまでもございませんけれども、マスメディアというものは民主主義社会の基盤をなすものでありまして、憲法上非常に手厚い保障を受ける、表現の自由、報道の自由を享受する一方で、その活動に対しては重い責任を有しております。

 御指摘のとおり、今回の答申は、こういうふうなマスメディアの地位にかんがみまして、マスメディアによる人権侵害については、まずマスメディア自身による自主的な対応、いわゆる自主規制機関でございます、自主的な対応とその充実強化が図られるべきであるというふうに提言いたしております。

 そういうふうな上で、答申は、積極的救済を図るべき人権侵害の範囲を限定いたしておりまして、犯罪被害者等に対する報道によるプライバシー侵害など特に救済の必要性の高いものに限定するとともに、マスメディアに対する調査につきましては、専ら任意の調査によるべしというふうにしております。

 私どもといたしましても、答申の、報道の自由、表現の自由を尊重する、こういうふうな姿勢を最大限尊重いたしまして、新しい人権救済制度に関する法案を準備したいと思っております。

漆原委員 報道によりますと、人権委員会の権限として特別救済という権限を設けたとありますが、もしそのとおりであれば、この特別救済の中身について御説明願いたいとともに、この特別救済の対象にメディアが含まれるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

吉戒政府参考人 答申におきましては、差別や虐待の被害者など、一般にみずからの人権をみずから守ることが困難な状況にある方々に対しては、救済手法の点におきましてより実効性の高い積極的救済を図るべきだというふうにしております。

 今委員御指摘の特別救済という言葉、これは報道の中で使われた言葉でございますけれども、これはこの答申における積極的救済というものを指しているものというふうに考えております。

 答申に言います積極的救済における救済手法でございますが、これは現行法のもとではできませんけれども、調停、仲裁、勧告・公表、訴訟援助などが提言されておりまして、こういうふうな手法を整備するために立案をいたしております。

 そして、この報道に言います特別救済でございますが、この中にはメディアも含まれるという点でございますけれども、答申においてこういうふうに書いてございます。マスメディアによる人権侵害のうち、犯罪被害者等に対する報道によるプライバシー侵害などについては、積極的救済を図る必要があるというふうに指摘されているところでございます。

漆原委員 これは大臣もお読みになったと思いますが、人権局長もお読みになったかと思います。きのうの毎日新聞の朝刊でございますが、「人権擁護法案」「素案判明」「報道に事前規制も」という大変大きな見出しで記事が載ってびっくりしました。

 ちょっと読んでみますが、この特別救済の中に調停委員会がある、「調停委には「調停前の措置」として、」、五十八条という条文まで載っているわけですね、「事前に「実現を不能にする」ための勧告をする権限を与えた。これにより、報道機関に対しては報道の「事前差し止め」の勧告ができる余地が残された」、こういうふうな報道があるわけなんですが、この記事の内容は本当かどうか、お答えいただきたいと思います。

吉戒政府参考人 今先生御指摘の報道記事、私の手元にもございますけれども、実はこの記事につきまして、私どもに対して取材はございませんでしたので、どういうニュースソースでお書きになったものかはちょっと私ども承知しておりません。ただ、今御紹介ございましたような見出しがあり、内容でございますけれども、この報道の内容につきましては、私どもから見ますと、必ずしも法案の準備状況を正確に反映したものではないというふうに承知しております。

 その点でございますけれども、人権擁護推進審議会におきましては、先ほど申し上げましたとおり、メディアの表現の自由、報道の自由には最大限配慮した審議がなされております。したがいまして、今用意いたしております法案におきましても、今先生御指摘のいわゆる事前規制にわたるような内容、こういうふうな内容が盛り込まれることはおよそないものというふうに考えております。

漆原委員 大臣にお尋ねします。

 答申には、行政に属する人権救済機関が報道内容の真偽や取材内容についての調査を行うことは、表現の自由、報道の自由との関連で相当でなく、これらの人権侵害は、原則として人権救済機関による積極的な救済にはなじまないものと考える、こうあります。私も全く同感でございます。掲載される記事内容が真実であるか否か、プライバシーの侵害になるか否か、こういう問題は行政が関与する問題ではない、挙げて司法の判断にゆだねるべきだと私は思っております。その意味で、行政による報道の事前差しとめなど断じて認めてはならないと私は思いますが、重ねて大臣の見解をお尋ね申し上げます。

森山国務大臣 答申におきましては、おっしゃるとおりの提言がなされているわけでございます。

 人権擁護推進審議会におきましては、このように表現の自由、報道の自由に十二分に配慮した審議がなされたわけでございまして、新たな人権救済制度の立案におきましても、報道の事前規制にわたるようなものは絶対に含まれないというふうに私は考えております。表現の自由、報道の自由に十分配慮した内容にしてまいりたいと考えております。

漆原委員 ありがとうございました。

 最後に、司法制度改革推進本部に尋ねます。

 昨日本部が立ち上がったわけでございますが、その作業の公開という点については、衆参の委員会で大変たくさんの時間を費やして議論がなされたところでもありまして、また、衆参の附帯決議でも、公開と透明性について要求しております。参議院では、顧問会議あるいは検討会の議論の内容をリアルタイムに公開すべし、こういうふうな附帯決議もなされておるわけですが、山崎事務局長、この公開という点について、決意を表明していただきたいと思います。

山崎政府参考人 ただいま御指摘の公開の点につきましては、国会で慎重な御審議をいただいたということ、十分に承知しております。私どもも、改革推進過程の透明性を確保するということ、それから、やはり国民各層からの御意見に十分に耳を傾ける、この二つがキーポイントであるというふうに認識をしております。

 ただいま御指摘の顧問会議あるいは検討会の議事の公開につきましては、国会の審議におきます御議論を踏まえまして、お集まりいただく方々の御意見も伺いながら、司法制度改革審議会と同様に、できるだけの公開の努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

漆原委員 以上で終わります。大変ありがとうございました。

保利委員長 次に、佐々木秀典君。

佐々木(秀)委員 民主党の佐々木秀典です。

 ただいま漆原委員からもお話がありましたように、司法制度改革推進法が成立をいたしまして、これに基づいていよいよ五十年ぶりの司法の大改革作業が始まるわけでございます。十二月一日にこの司法制度改革本部が発足をいたしました。

 お聞きをいたしますと、昨日、十二月四日、第一回の本部会議が持たれたとお聞きをしております。本部長は、この法律によって総理大臣、したがって小泉首相ということでございますけれども、森山大臣もこの会議にきのうは御出席だと思います。

 本部長からどのようなお話があり、また、それに対して本部員である各閣僚から何か御意見があったかどうか、あるいは、森山法務大臣はこれに関してきのうの閣議でどんなことをお述べになっておられるか、差し支えのない範囲でお知らせいただければありがたいと思います。

森山国務大臣 きのうの午後四時半ごろでございましたか、第一回の本部会合がございました。

 この際、総理から、今般の司法制度改革は、利用者である国民の視点から司法の基本的制度を抜本的に見直すという大改革であり、国民と国際社会から信頼される、新しい時代にふさわしい司法制度の構築に向けて全力を挙げて取り組む決意である、さらに、今後、改革の具体化に向けた作業を本格化させ、三年以内を目途に関係法案の成立を目指すこととなるが、膨大かつ広範にわたる作業を限られた時間で行うためには、推進本部を中心に全省庁が一丸となって精力的に取り組んでいく必要があるというような内容のごあいさつをいただきました。

 また、私、官房長官と御一緒に副本部長を仰せつかったわけでございますが、私からは、司法制度改革の今後のスケジュール等につきまして、早急に司法制度改革推進計画の策定に着手し、年度内を目途に作業を進めていくということ、それから、推進計画の決定後は、三年以内を目途に関係法案の成立等を目指し、具体的な法令案の策定等を進めていくということ、また、本部における法令案の策定等に当たっては、幾つかのテーマごとに検討会を開催し、意見交換を行いながら、事務局と一体となって作業を進める体制で臨むとともに、顧問会議の御意見も十分に伺っていくことなどを申し上げ、さらに改革推進過程の透明性を確保するとともに、国民各層からの意見にも十分耳を傾けていくことが重要であると考えるということなどを御説明申し上げました。

佐々木(秀)委員 ありがとうございました。

 そこで、この準備作業の実務に当たる体制としてまず事務局がつくられている。事務局長にきょうお見えの山崎さんが御就任になったということでございます。

 そこで、事務局長にお尋ねをいたしますけれども、この事務局体制は、メンバーの構成など含めて、どのようにできたのか。事務局の体制について、まずお伺いをしたいと思います。

山崎政府参考人 事務局の体制でございますけれども、従来の準備室におきます総勢が三十六名でございました。今回は、合計四十一名の体制でスタートを切っております。事務局長の私以下、次長二名、参事官九名も含みます四十一名体制でございます。今後、具体的に検討を続けていくという段階でいろいろ人がもっと必要になる可能性もございまして、私どもとしては、今後さらに充実をさせていきたいと考えているところでございます。

 それから、内容的には、三年以内ということでございますので、それを目途に関連法案の成立を目指すなど所要の作業を行いまして、その趣旨にのっとった司法制度改革を迅速かつ確実に実現したいというふうに決意をしているところでございます。

佐々木(秀)委員 事務局の総数、それから局長、次長あるいは参事官のところまで今御説明がありましたけれども、このメンバー構成、これは全部法曹でしょうか、あるいは法曹資格を持たない方もおられるのでしょうか。その辺の区分というか、それについて。

山崎政府参考人 このメンバーには、法曹資格を有する者と有しない者、各省庁からも人を派遣していただいております。そういう意味では、いろいろな出身の方が集まっているということになろうかと思います。

佐々木(秀)委員 先ほど、大臣からもお話がありました。各省庁挙げてということが本部長からも指摘をされたということですね。ですから、恐らく各省庁からもそれぞれ法曹資格を持たない方々も来ているのだろうと思うけれども、同時に、私どもが述べておりますのは、これは意見書を尊重しながらということが内閣でも確認をされておるわけですけれども、そうすると、広く国民各層からの意見を聞くためにも、この事務局体制の中にも場合によったら法曹あるいは各省庁以外の民間からの登用ということもあってしかるべきではないかと思うのです。

 その辺については現実にどうなっているか。また、今後増員の可能性もあるようなお話だったけれども、その中にはそういう民間登用ということが考えられているのかどうか。それについてお答えください。

山崎政府参考人 ただいま御指摘の点につきましては、各省庁等からの派遣以外に民間の弁護士を二名現実には登用しておりますし、それ以外、法曹以外の多様な知識経験を有する民間人の活用を図るということも検討しております。

 いろいろ予算等がございますので、それが承認を得られて、具体的に検討していきたいというふうに思っております。

佐々木(秀)委員 ぜひ、その辺を考慮して事務局体制を拡充していただきたい。

 それからまた、各セクションなどもつくられることになるのだろうと思いますが、これについても、きょうはまだ発足したばかりですから、この後についてもまたその都度お伺いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そしてまた、これもお話がございましたように、この推進本部の中には検討会を置く、それから顧問会議を置く、こういうことになっておるようですね。この検討会の構成について、それから、検討会でどういう作業をしていくかというような予定などについて、まだ検討会ができていないのだと思うのだけれども、これはどういうようにつくっていくのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。

山崎政府参考人 ただいま御指摘のとおり、まだ検討会は具体的に定まっておりません。私どもとしては、時期的な問題も考えまして早急にその検討をしなければならないということは十分承知をしております。

 そういう関係で、現在申し上げる段階にはございませんけれども、関係の方々の御意見にも耳を傾けながらそのあり方を検討してまいりたい。もうしばらく時間をおかしいただきたいというふうに思っています。

佐々木(秀)委員 もうしばらく時間をということなんですけれども、めどとしては、目途としては、いつごろ発足のめどなんですか。

山崎政府参考人 できれば今月中に方向は決めたいというふうに考えております。

佐々木(秀)委員 これは風聞かもしれないし仄聞にわたるのかもしれませんけれども、この検討会については、意見書に基づいて検討あるいは作業をしていくテーマを定めて、そのテーマごとに、小委員会というのか作業部会というのか、そういうようなものをつくっていく方向だというように聞いておるのと同時に、その仕分けについてというかテーマの設定について、今事務局の方で考えておられることについてやや心配があるというようなことも聞こえてくるのですね。

 というのは、司法制度改革審議会の意見書、これを尊重されるのは当然のことですけれども、何といっても、ここで三つの柱を立てておりますけれども、一番多くこの意見書の中でページを割いているのはやはり法曹のあり方、裁判所、検察、弁護士制度のところなんですね。それと、法曹養成、法科大学院構想などなどになってくるわけです。これは、どうも事務局の方で一くくりにして考えている向きがあるのではないかということも聞こえてくるのですけれども、しかし、それではいかがなものかな。

 それからまた、これも仄聞ですけれども、例えばADRだとかあるいは国際関係、例えば外弁問題だとか、そういうようなことについても独立にその検討のセクションを置いて考える、あるいは仲裁などについても同じように考える、そしてそれぞれについて同じような人数のメンバーを割り当てるというようなことを考えられているのじゃないかということを仄聞するのですが、私は、やはりこれはめり張りをつける必要があると思うのですね。

 特に、審議会の意見書で指摘されたものを見れば、やはりポイントの置き方というのはそれぞれ違ってきてよろしいのではないだろうか。特に、新しい国民の裁判参加の方式としての裁判員制度などについては非常に重要な問題だと思うのですね。

 その辺についての今の事務局のお考えはどうなっているのか。これをひとつお聞かせいただきたいと思います。

山崎政府参考人 ただいま委員御指摘の、司法制度改革の中で、法曹三者の制度の問題、法曹養成の問題、非常に大事だということでございますので、これも大変重要なテーマの一つであると我々当然認識はしてございますが、検討会をどのようなテーマごとに設けるかということ、それから問題となる論点、実際の検討作業のあり方等、これは一応総合的に勘案して決めていきたいというふうに思っております。

 現在は、私、着任しましてもまだ十分にこなしておりませんし、もう少し勉強して、いろいろなところに御意見があります。それも承知をしておりますので、その辺も総合的に勘案して決めていきたいということでございます。

 現在の段階で具体的内容はちょっとお許しをいただきたいと思いますが、ただいま委員御指摘の論点もよく踏まえながら、検討していきたいと思います。

佐々木(秀)委員 もう一つ、顧問会議の方については、どんな構想で、どんな人数あるいはどんな人をというようなことについて考えておられるのか、そしていつ顧問会議を発足させるめどなのか、それについてもお尋ねいたします。

山崎政府参考人 顧問会議のメンバーでございますが、政令で八人以内というふうに決まっておりまして、一応八人を目途で考えているわけでございますが、現時点では未定であるということでお許しをいただきたいんですけれども、この顧問会議の役割に照らしまして、適任の方にお願いできるように、その構成にも十分留意をしまして、できるだけ速やかに人選についての準備を進めてまいりたいというふうに思っております。

 具体的に日程はちょっとなかなかつかみにくいのでございますが、できる限り早くというふうに思っております。

佐々木(秀)委員 検討会については今月中にというお話がありました。顧問会議については今月中ということでもないんですね。そうならうなずいていただければ結構――簡単に。

山崎政府参考人 できる限り急ぐわけでございますが、これは事務方だけで済む問題でもございませんので、そういう政治日程等いろいろございますので、そこでややファジーにさせていただいておりますけれども、検討会の方はある程度事務的にできますので、今月中にはできる限りというふうに申し上げさせていただいて、お許しをいただきたいと思います。

佐々木(秀)委員 かつて衆参の法務委員会の附帯決議で、これは随分前のことですけれども、司法制度の問題については法曹三者でよく協議をしなさいという附帯決議があって、それに基づいて法曹三者協議会というのがつくられたということもありました。

 しかし、今度の司法制度改革については、さきにできた法律の中で、特に第四条を置いて、随分議論になりましたけれども、弁護士会の責務ということが置かれたわけですね。弁護士会は、この司法制度改革について、その責務を負うと同時に積極的な役割を果たすということになっているわけですから、ひとつこれについては十分に弁護士会とも協議をして事務局としてはおやりいただきたい。本部としても、ぜひこのことを大事にしながら、十分な議論を尽くした上で、意見を聞いた上で、今の検討会の構成についてもよいものをつくっていただきたい。特に要望したいと思います。

 時間が大分少なくなりました。最高裁、おいでですので、一点だけ。

 実は、十二月四日の朝日新聞が、これはスクープのような形ですけれども、弁護士のパート裁判官制度ということが大きく報道をされております。ほかの新聞には余り書かれていないんですけれども。これは最高裁と日弁連と合意でと書いてあるけれども、合意ができたのかどうかお尋ねしたいわけですが、しかし、こういう方向で進むということは、私は大変評価すべきことだと思うんですね。もちろんこれは司法制度改革の一環ですけれども、しかし、今度の改革作業でやらなければならないもの、あるいは現行の法律の中、あるいはその改正によっても進む漸進的な司法制度の改革というのはある。まさにこの弁護士のパート裁判官制度の案というのはそのうちの一環だろう、こう思うんですけれども、報道されているような方向で検討されておるのか、裁判所と弁護士会との協議が実際に行われているのかどうか、この実現の見通しなどについて、これも差し支えない範囲でまたお聞きをしたいと思います。

中山最高裁判所長官代理者 弁護士任官が進みますと、裁判官に多様な人材を獲得するということになりますし、さらに、キャリアの裁判官と弁護士出身の裁判官との間でお互いに刺激し合う、それが裁判所を非常に厚みのあるものとし、また組織として非常に活性的なものになる、こういうようなことでありまして、私どもとしては、これまでも弁護士任官について進めてきたところであります。

 この四月から、特にこれまで以上にその方策が推進できないかということで、弁護士会との間でこれまで十七回の協議を続けてまいりました。その中では、率直にこれまでのお互いの思いというものもぶつけ合ってまいりましたし、これまでになく実質的な協議ができてきたというふうに考えております。

 お尋ねの非常勤裁判官の問題でありますけれども、この問題につきましては、憲法上の問題点等が指摘されているところはございますが、制度の仕組みいかんによっては、こういった憲法に触れることなくできるところもあるのではないか。

 さらに、そういったものができますれば、場合によっては、常勤裁判官への一つのステップとして位置づけることも可能であり、さらに多くの方に裁判所の雰囲気を知っていただいて、その中から非常勤裁判官から常勤裁判官の方に気持ちを切りかえて応募してくれるのではないか、そういった思いもありまして、今議論を進めているところでございます。

 今現在、最終段階に入っているところでございまして、内容をタイミング的に御説明できるというところまで至っておりませんが、近々、これは有史以来のことかと思いますが、日弁連と最高裁ともに、共同会見でそのあたりをはっきりさせたい、公表したいと考えているところでございます。

 以上です。

佐々木(秀)委員 裁判所として、こういうことに大変前向きに取り組んでおられることを私も歓迎いたします。ぜひこれが早く実現いたしますように、心から望み、この制度をよいものにして、さらに全体的な司法制度改革がよりよいものとして実現することを願っておりますし、私たちもそのために努力を惜しまないということを申し上げて質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

保利委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 私は、入国審査の体制についてお尋ねをしたいと思います。

 九月の十一日のアメリカ同時多発テロを受けて、国内でのテロ対策というものが大変問われているところでありますが、一つには、テロリストあるいはテロリストになり得るような人間を水際で防ぐということが、ある意味で一番抜本的な、根本的な対策として重要だと思っています。

 そうした視点から、補正予算で最新鋭の偽変造旅券等の鑑識機器を配備したというふうに聞いております。従来、こうした機器がどの程度配備をされ、今回補正でどの程度配備されることになるのか、その辺のところを簡単に御説明ください。

中尾政府参考人 御説明申し上げます。

 本年の七月に、成田空港を初めといたします全国の主要空海港に最新鋭の偽変造文書鑑識機器二十一台を配備したところでございます。さらに、平成十三年度の補正予算におきまして、同型の機器二十三台を国際定期便の運航している空港等に配備する経費の要求が認められたところでありますので、順次これらの空港に配備いたしまして、偽変造文書鑑識体制の一層の充実強化を図ってまいることとしておるところでございます。

枝野委員 今の台数ですと、いわゆる出入国のチェックをする、成田なんかでよく見るブース一個一個につくわけではないわけですね。

 そうした中で、あそこの一次チェックといいますか、そこで疑わしいと思われるような人間を横の部屋に連れていって、そこでいろいろ質問をしたり、そこで最新鋭の機械でパスポートをもう一回きちっと見たりということだというふうに聞いているんですが、疑わしいというケースには二つある。パスポートそのものが疑わしくて連れていかれるケースと、パスポートそのものは一見正規のもののように見えるけれども、例えば、国籍の言語をしゃべれないとかということで連れていかれるケース。

 それで、パスポートそのものが疑わしいということで最新鋭の機械にかけたというケースではなくて、パスポートそのものはもっともらしく見えるんだけれども、ほかの理由で横に連れていってパスポートを最新鋭の機械にかけてみたら違っていました、こういうケースもあるんじゃないですか。

中尾政府参考人 委員御指摘のケースもございますけれども、具体的にそのようなものについての統計、件数をとっておりませんので詳細はわかりませんけれども、審査ブースには複数の、簡易な鑑識に適するようなものもございますので、そういうものでもチェックすることもございますし、委員御指摘のような、いろいろな関係で怪しいということで、当該パスポートを正式に鑑識の最新鋭の機械にかける、こういうこともございます。

枝野委員 つまり、ブースごとにある簡易の機械ではチェックがかからないけれども最新鋭の機械だったらチェックがかかるというケースがあり得るということですね。それはお認めになりますね。

中尾政府参考人 そのとおりでございます。

枝野委員 だとしたら、人員とか場所とかの問題をちょっと横に置いておいて、理想を言えば、すべてのブースにその最新鋭の機械を置いておけばよりチェックが厳しくなるというふうに思うんですが、そうしようと思ったら幾らぐらいかかりますか。

中尾政府参考人 これは、現実の問題として、非常に機械自体が大きいこともある程度ございますし、審査ブースでの円滑な入国審査の関係で、かなり時間を要するものをそこに置いて円滑な入国審査ができないという状況もございますけれども、仮定の話で、仮に今の機械を全部に置くといたしますと、概算で七十五億ぐらいかかるというふうに見込んでおります。

枝野委員 もちろん、機械は物すごく大きいものであると聞いていますし、それから、今のようなチェックよりも一件一件、一人当たりが時間がかかるので人手もふやさなきゃいけないだろうし、そうすると、成田や関空などの入国審査ブース全体としての広さも足りないだろうしという問題はありますが、今のような最新鋭の機械を全部に取りつけても七十数億という金が大きいと言うのか小さいと言うのか、だけれども、車の通っていないわけのわからない道路をもっとでかい額でつくっていることを考えれば、本当に国民の治安を守る、安全を守るという最優先の課題から考えたら、それに、いろいろな改造費とか、それから当然一件当たりの審査の時間がかかるようになるのだったら人手もふやさなきゃならないとか、そういうことをトータルしたって、機械全部で七十億ちょっとだったら、合わせたって何百億もかかる話じゃない。当然、こういうところの予算を要求するべきだと思いますが、これは政治家のどちらかの方にお伺いしたい。

森山国務大臣 大変ありがたい応援のお言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 しかし、現実に予算を要求するとなりますと、それを実際に、どのような場所にどのぐらい置いて、どのように運用していくかということをきちんと説明しなければなりませんし、それが実際には、先ほど局長から申し上げたようなことで、必ずしも適当ではないと思われる面もございますので、私どもといたしましては、精いっぱいの現実的な方法で、できる限り予算を要求し、その確保のために努めていきたいというふうに思います。

枝野委員 これ以上お答えになれないのはよくわかっていますが、高速道路がつくられるのが十年二十年おくれようが人の命にはかかわり合いはないわけです。ここで金さえかければチェックが可能な偽造旅券について、チェックをできなかったためにテロリストなるものが入ってきてということが万が一あったら人命にかかわる話ですから、どちらが重要なのかははっきりしているわけです。つまらぬ道路の工事なんかをする金があったらこっちをやるべきだということをもっときちっと、もちろん、いろいろなもっときちっとした概算を立てなきゃいけないと思いますが、するべきだということを申し上げておいて、次のところに進みたいと思います。

 もう一つは、入管のところでの出入国の情報の入力体制を強化するというようなことがなされるというふうに聞いておりますが、これは、現状がどうだったのをどういうふうに変えるのかということを簡単に御説明ください。

中尾政府参考人 現在、外国人の方から提出していただいております出入国記録、これはIDカードと言うわけですけれども、IDカードを本省に送付していただいて、それを一元的に電算入力をしていることでございますので、そういうことである程度の手間がかかることは現実の状態でございますけれども、米国における同時多発テロ事件を踏まえまして、本年度の補正予算で、全国の主要空港に必要な機器を配備いたしまして、外国人のすべての出入国情報を即日で取得できる環境を早期に整備することとしております。

 将来的なことにつきましても、本年度から三年計画で、外国人の出入国情報を旅券自動読み取り装置を使用いたしまして即時に、瞬時に取り込むことができる電算システムの開発を念頭に置いて、順次今それの開発を進めているところでございます。

枝野委員 今、即日という話があって、それを機械で読み取って一気にするのをこれから三年ぐらいかけると。いずれにしても、不法に入ってくる者があり得るとすれば二つ可能性があるわけで、偽造、変造旅券で入ってくるケースと、前科などがない人間は堂々と本人のパスポートで入ってきて日本でテロを起こす可能性もある。少なくとも後者については、名前とか入国日とかはきちっと把握ができる。

 このテロリストなどに関する情報は、これは一般に公開できる話じゃありませんから、警察などもきちっとは教えてくれませんが、警察などはきちんと各国と連携して情報を集めていますと言っていますが、警察の方も、入国管理局のブースのおじさんたちに全部情報をお渡しして、そこで、水際でチェックをかけるというわけにはなかなかいかないだろうと思います。

 そうすると、せっかく電算化をしていく、コンピューター化をしていくんだとしたら、どこの国籍の何のだれべえという名前が、あのブースのところでこうやって見ているときにぱっとコンピューターに入り、そのコンピューターが警察庁のコンピューターとつながっていて、検索をばあっとかけるだなんというのは、今のコンピューター技術だったら恐らく数秒単位なんだと思いますね。そうすれば、警察の方も、そういう極秘の情報についても、入管を含めて公開をすることなく、きちんと全部検索をかけて、要注意人物ということで入ってくる情報の人間が自分のパスポートで入ってくることについては、そこで全部チェックがかけられると思うんですけれども、こういう発想をしようとは思いませんか。

中尾政府参考人 委員御指摘のとおり、その辺の重要性は私どもの方も十分承知しておるところでございますし、特に九月十一日以降のテロ対策の関連で、私どもと警察等との間で十分な情報交換をやっておるところでございますし、テロリスト等の要注意人物の入国を水際で排除するという関係上、その辺のブラックリストに載せる情報を、必要に応じ、必要な範囲で警察等関係機関からいただくなり、私どもの方で提供するなりの形で、しかるべく対応をやっているところでございます。

枝野委員 いや、私が申し上げたいのは、本当に、確かに情報交換をしているというのはよくわかります。情報交換をしっかりしているというのはよくわかりますが、では、あのブースにいる入管の職員の方お一人お一人に、今、日本の警察というか公安当局が把握をしている危険人物のリストはこうですと全部きちんと伝えちゃっていいのかといったら、多分それはできないだろうと思いますし、していないだろうと思うんですね。

 だけれども、今コンピューターがこんなに発達している時代なんだから、機械で自動検索をかけるだけだったら、警察としても、法務省にまではちょっとここまで全部は、一覧としてまでは出しにくいなという話であっても、コンピューターの機械の中でがあっと検索をかけるだけだったら幾らでもできる。ヒットした場合にだけ、そこでちょっとその人間をとめておいて、法務省と警察とですぐに連絡するとかということが、今のコンピューター技術だったら簡単にできるんだと思います。

 こういうところにもっとエネルギーをかけて、今までのように、役所の偉い人同士で時々会って情報交換しましたというのではないことが今できる時代になっているわけですから、ぜひ検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

森山国務大臣 大変積極的な御提案で、私どもも検討してみたいというふうに思います。

枝野委員 次に、日本に密入国する人たちの密入国の仕方は、今のような飛行機に乗ってきて云々という話だけではなくて、いわゆる密航、貨物船などの底に潜伏していたり、あるいは不審船でやってきたりというようなケースがあり得ます。

 こういう人たちも含めて、日本に入国をし得る権限を持っていない人を水際で退去させるという最終的な、あるいは統合的な責任官庁はどこなんですか。

中尾政府参考人 非常にお答えしづらい御質問でございますけれども、これは、基本的には政府全体で、今の行政機構の中では内閣なり総理大臣、私の方からもしあえて御答弁するということになればそういうことになろうかと思います。

 現実の問題といたしましては、そういう水際で対応している省庁といたしましては、私どもの入国管理局、それから海上保安庁、それから警察、税関等々がございますので、それらが、それぞれが協力し合って今やっているのが実情でございます。

枝野委員 特に海上保安庁などとの関係が典型なんだと思いますが、まさに入国管理局という名前がついているわけで、法務省入国管理局が、おかしな人が入国しないようにということについて、一次的には責任を負っているようにみんな思っているわけです。

 だけれども、現実的に、不審船なんかでやってくる話については海上保安庁が実際には対応しなきゃいけないし、あるいは、きのう事務方の方とお話をしたら、貨物船などに潜伏してやってきたようなケースについては、港に泊まっている貨物船に乗り込んでいくときには海上保安庁の協力をいただいているんだというような話であります。あるいは、今の飛行機の実情からすると、飛行機の貨物室に隠れてというと凍え死んじゃいますからないんでしょうけれども、空港なんかのところへ何らかの形で紛れ込んで入ってくるような話だったら、これは警察がやらなきゃならないんだろうなと思います。しかし、そういうところにいろいろ分かれていますが、国家として不法な入国を防がなきゃいけないということについて、全体についてきちっと責任を持っているのがどこなんだ。

 したがって、こういう戦略のもとに海上保安庁の実動部隊はこういうことをやってもらう、警察の実動部隊はこういうことをやってもらう、税関のところではこういうことをやってもらうということをしっかりと、責任の所在と、その部分に限ってでいいから指揮命令系統をはっきりさせておくことがないと、それは、海上保安庁は海上保安庁で自分たちの職責のところはしっかりやるんでしょう、入国管理局も入国管理局できちっとやるんでしょうが、全体として、どうやって水際で防ぐかという戦略を立てる部局が存在していないんじゃないか、私はお話をいろいろ伺ってみるとそんな気がする。

 そういう意味では、入国管理局が、少なくとも不法入国に関する話については、部分的には、場合によっては海上保安庁に対して指揮命令権を持つ、警察に対して指揮命令権を持つぐらいの制度に変えていかないと、向こうは戦略的にやってくるわけですから、本当の対応ができないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 非常に貴重な御意見だと思います。その辺のところは、私どもの範囲でできる限り、その辺のところが可能かどうかも含めまして、努力したいというふうに考えております。

枝野委員 法務省限りでできることじゃなくて、まさに法務省を含めた霞が関の省庁体制の抜本的なところにメスを入れなきゃいけないんですが、どうも、役割分担はそれぞれやっているけれども戦略部局がない、戦略は全部官邸ですとかという話だとすると、官邸だってそんなものは、経済から何からたくさんあるわけですからできない。部分的に分けられるところについては、きちっとした戦略を立てる部局、そういう強い権限を持った部局を、例えば入国管理だったら入国管理庁とかあるいは国境警備庁的な話を今の入国管理局が中心になってつくっていくというような話が要るんじゃないか、こんなふうに僕は思っています。

 最後に、不法滞在全体の問題なんですが、今、不法滞在者が大体二十六万人ぐらいいるというふうに聞いています。なぜ減らないんですか。

中尾政府参考人 これはいろいろな要素があろうかと思います。

 結局、不法に私どもの日本に来る人たちの目的ということになりますと、不法就労でお金を稼ぐということでございますので、日本経済の状況あるいは日本の労働市場も含めて、そういったことで不法就労を行う労働者のニーズが高いということが続けば続くほど、そういう流入圧力は摘発にもかかわらずどんどん上がるということは事実だろうと思いますし、もちろん摘発する方の体制ということになりますと、必ずしも私どもの方で満足できるものではありませんので、それ自体を摘発して国外に全部退去をさせるということがやはり十分できていないということも現実だろう、そういうふうに思います。

枝野委員 日本に来て不法滞在でも就労したいというニーズが高いということは日本という国にとってはいいことなんでしょうから、そこのところはどうにもならないとして、きちんとした摘発をしなきゃいけないんじゃないですか。二十六万人もの数を抱えているということは、この国は不法入国あるいは不法滞在ということについてはやむを得ないんだというふうに受けとめられても仕方がないんじゃないかというふうに僕は思います。

 その一方で、個別の具体的な事案を私は申し上げませんし、私自身も必ずしも全部知っているわけじゃありませんが、アフガニスタンからの難民申請に対して、入国管理当局からすれば普通の基準どおりやったという話なんでしょうけれども、現実的にそれを却下しているケースがある。

 これは、本当に我が国が、不法滞在、不法入国、こういうものに対してきちっとやっていて、二十六万をゼロにはできないにしても、日本国内にいろいろいるにしても五千人とか一万人とかという中です、この国はそういうことはきちっと、がちっとやる国なんですということであるならば、アフガニスタンからの難民の問題についても非常に厳しくチェックをしました、申しわけないけれども入れるわけにいきませんという話も、私が同意するかどうかは別として、一つの筋としては納得できます。

 しかし、片方で二十六万人も野放しにしておいて、今の国際的な、あるいは国内的なものも含めて、政治的、外交的な我が国のポジションからすれば、アフガニスタンからの難民申請に関してはかなり幅広に受け入れていくということが、今のあの国の置かれている状況を考えたときに、その国に対する我が国のコミットメントの今の現状から考えたときに、法律的にはともかくですよ、少なくとも政治的、外交的にはそこは幅広に受け入れますというのが、あれだけアフガニスタンにコミットしている日本の外交的なポジションから考えれば、むしろその方が自然な流れじゃないのか。

 日本はどちらなのか。徹底して不法入国、不法滞在は厳しくやるから入れないんだとやるんだったら、この二十六万人をどんと減らすということでやってもらわきゃいけない。いや、ある程度は仕方がないんだと思うんだったら、この難民問題というのは、政治的、外交的にもうちょっと今回は緩くやるべきじゃないか。いかがでしょうか。

森山国務大臣 先ごろ話題になりましたアフガニスタンからの九人、難民申請をされておりましたが、慎重に審査いたしました結果、その条件が該当しないということがわかりまして、難民不認定となったわけでございます。

 しかし、アフガニスタンのことについては、アフガニスタンの国内の事情が現在のようなことでございますので、人道上の配慮からその在留を認めるということがほかの国の場合よりもやや多くなっておりまして、結果的にはアフガニスタンの人についてはそれなりの配慮をしているところでございますが、今先生がおっしゃいましたように、アフガニスタンについては特別にするべきであるというお考えもあり得ると思います。そのようなことで特別の措置をいたします場合には、法務省の例えば入国管理局の判断だけではなくて、国全体として決めるべきことではないでしょうかと思います。

枝野委員 時間なので終わりますが、だとすれば、そういうことについてきちっと提起をする必要があるんじゃないかと思うし、二十六万人をきちっと減らしていくということについて、これも命にかかわる、場合によっては生命にかかわる、治安にかかわる問題なんですから、道路だの何だのをつくる金があったらこっちに回すということをもっと自信を持って法務省は予算請求するべきであると申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございます。

保利委員長 次に、水島広子君。

水島委員 民主党の水島広子でございます。

 本日、まず森山大臣に、司法と精神医療の連携についてお伺いいたします。

 与党政策責任者会議、心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告書が十一月十二日付で出されております。政府としてはこれに基づいて検討を進めておられるということですけれども、まず、この与党案は新たな立法を提案しているものですが、大臣は新たな立法が必要だと思われますでしょうか。

森山国務大臣 犯罪に当たるような行為を行った精神障害者の処遇につきましては、現在、このような精神障害者を含め、自傷他害のおそれがある精神障害者についての都道府県知事による措置入院の制度がございます。

 しかし、殺人等の重大な犯罪に当たる行為をした精神障害者の処遇がどのように決定され、またどのように処遇されるかにつきましての被害者を含めた社会の関心に十分にこたえていくという観点からすると、入院治療の要否や退院の可否等の判断に当たりまして、医療的な判断にあわせて法的な判断を行う仕組みが必要ではないかと考えております。また、退院後の継続的な治療を確保するための仕組みも必要ではないかというふうに思われます。

 重大な犯罪に当たる行為を行った精神障害者の処遇の問題につきましては、具体的な施策を早急に進めることが必要であると考えておりまして、現在、厚生労働省等とともに、各般の御意見を参考にしながら、また御指摘の与党プロジェクトチームの御意見等をも踏まえまして、法整備に向けて早急に結論を得られるよう検討しているところでございます。

水島委員 そうしますと、確認いたしますと、今の現行の法制の中ではこの問題に適切に対処することが難しいという結論に立って、新たな立法の必要性ということをおっしゃっていると理解してよろしいでしょうか。

森山国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

水島委員 それでは、政府の作業の現在の進捗状況をお伺いしたいのですけれども、現状がどうであるか、また、政府としては、どういう手順で、いつまでに何をまとめるつもりかということをお伺いしたいと思います。そして、その中でどういう方法で国民の声をくみ上げるおつもりであるか、そのことも含めてお答えいただきたいと思います。

森山国務大臣 この問題につきましては、これまで厚生労働省とともに合同検討会を何回か開催いたしてまいりまして、その中でも、医療関係者、またこの問題に関心を有する法律家、有識者などの御意見を伺ってきた上で、関係各方面からの要望書などもお受けしているところでございます。

 現在、これらのいろいろな御意見等を踏まえながら、厚生労働省とも協議しながら検討を進めておりまして、今後とも適宜、関係各方面からの御意見を伺いながら、早急に結論を得たいというふうに考えております。できれば、次期通常国会に必要な法案を提出することができればと思いまして、最大限努力をしているところでございます。

水島委員 通常国会に提出できればということでございますので、これはかなり大きな問題ですのでかなり根を詰めた作業が必要になるのではないかと思いますし、既にもう十二月に入っておりますので、ある程度はもう検討が進んでいるのではないかと思うのですけれども、ちょっとその内容についてこれからお伺いしてまいりたいと思います。

 与党案におきましては、「地方裁判所の判定機関は、裁判官、精神科医、精神保健福祉士等により構成し、処遇を決定する」とありますけれども、処遇決定における裁判官の役割をどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

森山国務大臣 殺人等の重大な犯罪に当たる行為をした精神障害者の処遇の問題につきましては、その処遇がどのように決定され、またどのように処遇されるかについての被害者を含めた社会の関心に十分にこたえるという必要があると思われます。入院治療の要否や退院の可否等の判断に当たって、医療的な判断にあわせて法的な判断を行う仕組みが必要ではないかと思っております。

 現在、その処遇の決定のあり方を含め、具体的な施策のあり方については、厚生労働省とともにさまざまな角度から調査、検討を進めているところでございますが、この問題に関して与党のプロジェクトチームの報告書におきましては、裁判官、精神科医などが関与してその処遇を決定する手続を設けるという御意見が示されております。

 今後は、そのような御意見をも十分に踏まえながら、早急に結論を得たいというふうに思っているところでございまして、まだ成案を得ておりませんので、ここで法務省としての案あるいは政府としての案を御説明できる段階ではございません。

水島委員 今、御説明はいただけないということではございますけれども、例えば今の裁判官の役割、また処遇の決定のあり方というのは非常に難しい問題だと思うのですけれども、例えば、裁判官と精神科の専門職の意見が異なる場合など、最終的に決定するのはだれになるべきかというような問題があると思います。この点についても政府としての案はお答えいただけないというような今の御答弁だと思いますけれども、今後、具体的にどのような手順で検討していかれるつもりなのかということ、そのくらいは多分検討していらっしゃると思いますので、それをお答えいただきたいと思います。

森山国務大臣 先ほど申し上げましたように、政府の案というわけではございませんが、この問題に関して与党のプロジェクトチームの報告書を拝見しますと、裁判官、精神科医等が関与してその処遇を決定する手続を設けるという御意見が示されております。そのような御意見を参考にさせていただきながら、さらに具体的に詰めていかなければいけないというふうに思っております。

水島委員 大臣としての個人的な御意見で結構ですけれども、このような、非常に難しい問題だと思いますが、裁判官がその最終的な決定者となるべきかどうかについてお考えをお聞かせいただければと思います。

森山国務大臣 個人的な意見ということもなかなか申し上げにくいのですが、この制度の、処遇をするかしないか、どのようにするかというようなことを決定いたしますにつきましては、本人の病状とか、予測される将来の問題行動のおそれの有無、内容などを考えた上で、本人の意思に反してでも入院をさせたり、あるいは通院を義務づけるというようなことが必要になるかもしれません。そういうふうに考えますと、やはりこのような判断はまさに法的な判断になじむのではないかというふうに思うわけでございます。

水島委員 現状の措置入院の制度でも、本人の意思に反しての治療ということでは、それを精神保健指定医が判断するというような構造になっているわけですけれども、あくまでも治療が必要であるかどうかということを判断するのは精神医療の専門職であるべきだと私は思っておりまして、これは非常に難しい問題だと思いますので、ぜひ十分な御検討をいただきたいと思います。

 そしてこの与党案におきましては、判定機関の決定に対する不服申し立て手続を定めるとございますけれども、不服申し立て手続のあり方をどのように考えていらっしゃるでしょうか。

森山国務大臣 重大な犯罪に当たる行為を行った精神障害者の処遇の問題につきましては、いろいろな事件がことしの間にもございまして、特にこの夏の事件などを考えますと、いろいろなことをできるだけ早く進めなければいけないというふうに思っております。

 不服申し立て手続を定めるということの御提案も、先ほどの与党プロジェクトチームの報告書の中にもございまして、そのようなことも含めて、今後とも早急に検討をしなければならない重大なテーマだと思っております。

水島委員 また、与党案におきましては、「保護観察所は、対象者の観察、生活環境の整備、継続的な治療を確保するための指導監督等を行う」とございますけれども、保護観察所がこのような機能を果たせるようになるためには、現状では不十分だと思いますが、現状に加えてどのようなことが必要だと考えておられるか。そしてまた、そのような場合に、具体的にどのような形で治療の継続が確保できるのかというところをお伺いしたいと思います。

横内副大臣 与党のプロジェクトチームの報告書におきましては、保護観察所は通院治療を要する対象者についてその継続的な治療を確保するための指導監督の実施などを担うべきことというふうにされているわけでございます。

 委員も御案内のように、保護観察所というのは、主として犯罪や非行を犯した者に対する保護観察の実施を担う機関でございますから、この報告書で要請されているような業務というのは新規の業務になるわけでございまして、そのためには、専門的な知識を有する者の確保、育成を急ぐなど、所要の体制整備を図ることが必要だというふうに考えております。

 また、どのようにして実際、保護観察所が仕事をするのかということでございますけれども、関係機関と連携をしながら対象者の指導監督ということをやるわけでありますけれども、やはり精神保健福祉士さんだとかそういう関係の方々と保護観察所が十分に連携をとりながら、対象者の出頭を定期的に求めたり、あるいは対象者の自宅に訪問をしたりというようなことをしながら指導監督をしていくということになるだろうというふうに思っております。具体的な方法というのは、今後、厚生労働省等とも十分協議をして、適切な方法を検討していきたいというふうに思っております。

水島委員 次に、与党案では専門治療施設を整備するとされておりますので、厚生労働省にお伺いしたいのですけれども、日本には司法精神医学の専門家が少ないという現状がございますけれども、専門的治療をどのように確保すると考えていらっしゃるでしょうか。

高原政府参考人 お答えいたします。

 重大な触法行為をした精神障害者の入院及び通院治療を担当する専門治療施設におきましては、対象者の社会復帰に向けて適切な医療を行う必要があると考えておりまして、内容といたしましては、薬物療法、精神療法、社会生活技能訓練等があろうかと思います。

 特に、触法行動を行ったということでありますと、ある状況に対してある思考パターンが働いて、それに対応して問題行動が起きるというふうなこともあろうかと思いますので、そういうふうな連鎖を断ち切るような精神療法といいますか訓練というものが必要かと思います。

 また、御指摘のように司法精神医学の専門家は非常に少のうございまして、これにつきましては、留学制度等を予算要求いたしまして、欧米等先進国におきます司法精神医学の研修等を考えております。

水島委員 その専門治療施設においては、医療スタッフの人員配置をどの程度の厚さにしようと考えていらっしゃるでしょうか。

高原政府参考人 これは法制定後の詳細な検討ということにもなろうかと思いますが、概念的に私どもが考えておりますことは、重大な触法行為をした精神障害者の入院施設ないしは通院施設におきましては、多くの場合、特に入院施設でございますと精神科の急性症状の患者さんであるということ、そういった特性をかんがみるとともに、諸外国でどういうふうな人員でやっているのか、現在日本におきます精神科の病棟のうち進んだところ、そういったものを総合的に勘案いたしまして、適切かつ良質の精神科医療が可能となるよう基準を考えてまいりたいというふうに考えております。

水島委員 また、与党案では、専門病棟からの退院後は他院への入院ではなく通院ということになっておりますけれども、こういう形態であると入院が長期にわたって、収容所化してしまうのではないかというような懸念がございます。また、どの程度の設備をつくるか考える上では平均在院期間を念頭に置いておく必要があると思いますけれども、現状でどの程度の入院期間を想定して、全国で何床の病床をつくろうとしていらっしゃるのでしょうか。

高原政府参考人 入院日数の決め方ということ自身、どういうふうな形で何をメルクマールに決めるのかということを検討中でございますので、なかなかはっきりした御答弁になりかねると思いますが、諸外国の知見や専門家の御意見を参考にいたしまして、社会復帰が可能となるような適切な入院期間を想定した上で、必要な病床を年次的に整備してまいりたいというふうに考えております。

水島委員 今延々と伺ってまいりましたけれども、ほとんどの質問に対して、現在検討中である、あるいはこれから検討していきたいということで、ほとんど明確なお答えをいただけなかったと思います。この問題は国民的な議論が必要な重要なテーマでありまして、政治的な対立に持ち込むことなく、与野党がしっかりと議論をする必要があると思っております。また、各界の意見をしっかりと聞いて、国民的なコンセンサスを得る必要もあると思います。何を聞いても検討中とのことで何も答えられないというような姿勢では、こちらとしても非常に大きな不安を感じますので、通常国会で突然ぼんと法案が出てくるというのではなく、きちんとその前の情報開示をしていただきまして、ぜひ私たちもその議論の中に入れていただけますようにお願いをいたしたいと思います。きょうはお答えいただけないということですけれども、いつならお答えいただけるのかということをぜひ早急にお示しいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、残りの時間で民法改正のことをお伺いしたいと思います。

 今国会で政府が民法改正案を出すのではないかと期待させられることが何度かございまして、そのたびに期待を裏切られてきたわけでございますけれども、昨日、自民党の有志議員八十二名の方が夫婦別姓導入に反対する意見書を、幹事長を初めとする幹部に提出されたということをけさの新聞で読みました。その中で、恒久不変な家族のきずなのためにというふうに書かれておりまして、この恒久不変な家族のきずなというのが何なのか、大臣がもしおわかりになれば教えていただきたいというのが最初の質問でございます。

 国際的に見ますと圧倒的な国が別姓を認めているわけでございまして、それらの国では家族のきずなが弱いというのか、また、原則別姓の中国や韓国のような国には家族のきずなというものがないのか、そういうふうに考えますと、非常におかしな議論であると思います。反対者の方たちにとっては、家族のきずなは夫婦同姓のもとでしかつくれないのかもしれませんけれども、そういう人たちばかりではないわけでございまして、別姓の方が家族のきずなが強まるという方も少なくないわけでございます。反対派の方たちの意見を聞いておりますと、もういいかげんに人の多様性を学ぶべきではないかと思いますけれども、こういったことを十分に承知されている大臣でございますので、また世論調査の結果から見ましても多くの国民が大臣の味方でございますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 その上で、通常国会には出していただけるのかどうかということをお答えいただきたいのと、あとは、政府提出法案では選択的別姓の問題だけが盛り込まれまして、私たちが既に議員立法で提出をしております法案に含まれているもう一つの重大なテーマである非嫡出子の問題が置き去りにされております。日本も子どもの権利条約の批准国でございますし、子供の権利の問題というのは優先すべき課題だと思います。国連の委員会勧告につきましても大臣はその意味をよく理解されていると思いますし、だからこそ、五月十八日の法務委員会で私が質問しましたときにも、重大な問題と答弁してくださったのだと思っております。

 この非嫡出子の問題の現在の検討状況と、今後、この問題にどのように取り組んでいかれるおつもりか、具体的なタイムスケジュールを教えていただければと思います。

 以上三点、お伺いいたしましたが、お答えいただければと思います。

森山国務大臣 けさの新聞に出ました自民党の議員数十人の意見についてのお話がございました。

 この件は、その人の家族に関する意識とか、結婚というものをどう考えているかとか、そういう非常に個人的な問題が多いですから、いろいろな人がいろいろなことを言うのは当然といえば当然なんでございます。

 現に、同じ自民党でも、けさの山本先生の御質問ではぜひ早くやれというお話でもございましたし、自民党の中にもいろいろな方がいらっしゃいまして、最近それが表のテーブルにのりまして、自民党の法務部会におきまして大激論が闘わされているようでございまして、いよいよ具体的に真剣にみんなが考えてくださるようになったというふうに思って、私はむしろ喜んでいるところでございます。

 残念ながら、この臨時国会はあと三日しかない会期でございますのでちょっと難しいなとは思いますが、来年の通常国会までには何とか、その議論をしっかりと続けていただいて、よい結論を得て、提案できるようになってほしいというふうに願っております。

 また、子供の問題につきましては、この前も申し上げましたように、大変重大な問題であることはそのとおりでございますが、ちょっとこの選択的夫婦別姓とまた全く違う話でございますので、一緒にいたしますとむしろ難しいのではないか。一つ一つきっちりとやっていきたいと思いますので、とりあえず選択的夫婦別姓の方を世論調査も先にやっていただきましたし、これがめでたく無事に終わりましたら次に取りかかりたいというふうに考えております。

水島委員 ぜひよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

保利委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

保利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西村眞悟君。

西村委員 三十分、朝銀の問題を中心にして御質問いたします。

 現在は、複雑な行政事務がある時代でございまして、その一つ一つをとれば、日常的に相当法条を適用して処理すべきという事例の集積に見えますけれども、それらを総合して全体としての流れを見た場合に、非常に反社会的な不都合な結果が全体として招来されている、こういう事例はあり得べき時代だと思います。経済理論で言う合成の誤謬という問題を出すまでもなく、例えば、全く関係のない会社、法人等々がいろいろな手続をしておりますけれども、その中のかすかなつながりを総合して、そのコネクション、ネットワークを把握して考えますと、大きなマネーロンダリングのからくりであったり、テロに対する資金の供給のからくりであったり、このようなことを我々は察知していかねばならないんだ、こう思っているわけでございます。

 その観点から御質問申し上げますと、朝銀信用組合、朝銀と以下申し上げますが、これが全国で破綻していきまして、マスコミで言われておりますように、朝銀の破綻の実態が今解明されつつありますけれども、何かわからない中で、朝銀は朝鮮総連の集金マシンである、朝鮮総連というものは祖国である北朝鮮、金正日政権に献金をして、その日本からの献金による資金で北朝鮮は核開発をして、ミサイル開発をして、戦争準備をして、そして日本人拉致を含むテロ行為の資金としてそれを使うておったと。仮にこういうからくりが明らかになりました場合には、法務大臣として、これは我が国の法と正義に合致するからくりであるのか、また、国際社会がテロに対する支援資金の供給を防止するという要請を強く持っている現在、国際社会の要請にかなう事態であるのかどうか。この前提についての御認識をまずお伺いしたいと存じます。

森山国務大臣 北朝鮮につきましては、かねて核兵器の開発疑惑が取りざたされておりまして、また、九八年の八月に、ミサイルを発射して我が国の上空を越えて太平洋上に落下させたというようなことがあることはよく承知しておりますし、また、大韓航空機爆破事件とか、アウン・サン廟爆破事件、さらには日本人の拉致事件等についても、北朝鮮によるものとの疑いが強いということを指摘されていることは承知しております。

 また、今御指摘の朝銀の問題でございますが、これは金融機関でございまして、私は、その点についてそう詳しいわけではございませんけれども、朝銀が北朝鮮と非常に密接な関係にあるということも言われていることはよく承知しております。

 また、これがテロ行為につながっているのではないかという御指摘でございますが、最近アメリカが北朝鮮をテロ支援国と認定して、特に、九九年の国際テロ報告書では、オサマ・ビンラーディンと彼のネットワークとの接触を保ってきたと具体的に記述しているということなどは承知しておりまして、重大な関心を持っているところでございます。

西村委員 仮定の質問なんですが、北朝鮮は、内部は余りわからない国なんですけれども、人口の三百万が餓死をしておるらしいという報道もある、ある意味では資金のない国なんですね。この国が、先ほど大臣お答えになったように、ミサイルの開発はしておる、これは事実ですね、上飛ばしたんですから。核開発疑惑がある。そして、南の三十八度線のところに大規模な軍隊を張りつけておる。それを維持できる。こういう資金はどこから来るんだろうかということなんですね。

 この資金が、仮に朝銀の破綻に関連して、朝銀が朝鮮総連の集金マシンとして機能して、朝鮮総連から金正日政権に送られておったとしたら、単に金融機関の問題ではなくて、我が国の法と正義を守る意思ありやなしやという問題のみならず、九月十一日以降、国際社会がテロに対して、また無法国家に対して、資金の供給をやめようという強い要請を持って具体的に動き始めたこの中で、我が国の認識は国際社会と同様なのかということなんです。

 仮にという前提での質問ですけれども、そうであってはならぬと大臣は思われておるんでしょうか。

森山国務大臣 仮にというお話でございますので非常にお答えがしにくいんでございますけれども、万一、仮にそのようなことがあるとすれば、それは大変に困ったことだと思います。

西村委員 よって、法務大臣の使命としては、仮にあるのかないのかということを現実に確認するお立場にあると私は思うんですね。

 それで、現実に、それが仮にそうであって、朝銀破綻に対して公的資金一兆円が投入されてしまった後では、後の祭りなんです。なぜ今仮にという質問しかできないかと言えば、我が国はそれを解明していないからです。解明していないんです。解明の端緒はつかめたと私は思います。しかしながら、ここまで来れば解明を尽くさねばならない。こういう観点から、また具体的なことについての質問をさせていただきます。

 大臣は、日本国政府が過去に、朝銀もしくは朝鮮総連が北朝鮮に資金を供給しておったということを認めたことがあるというふうに御認識でしょうか。私は、千八百億円の資金が一九九〇年から九一年に流れた、日本国政府は核疑惑のさなかそれを国際社会に認めたことがあるんだと認識しておりますが、これはいかがでしょうか。

森山国務大臣 いろいろなことが取りざたされているということは聞いておりますけれども、法務省がそのような事実を確認したということはないと承知しております。

西村委員 法務省ではなくて、日本国政府です。日本国政府が、つまり外務大臣がそれを発言したことがあるのかどうか。法務省、法務大臣はないと思いますよ。それはいかがですか。

森山国務大臣 外務大臣がそのようなことをおっしゃったのでございましょうか。私はちょっと聞き及んでおりません。

西村委員 これはぜひお調べになっていただきたいと思います。朝鮮半島の核疑惑の問題の中で、アメリカは日本からの資金について重大な関心を示してきた最中でございました。全く流れていないんだと日本国政府は言わなかったと私は思っております。

 またこれについては異なる場所でも確認する機会があると思いますから、次へ行きます。

 それでは、朝鮮総連は、北朝鮮、金正日政権の日本における下部機関であって、実質上日本における北朝鮮の大使館的な機能を有している。それから次に、全国の朝銀の幹部人事はこの朝鮮総連が握っているということ。よって、朝銀は朝鮮総連の下部機関であり、当然北朝鮮の下部機関である。

 これについては、朝鮮総連に強制捜査が入ったときの朝鮮総連中央常任委員会の声明にありますとおり、「朝鮮総連中央常任委員会は、すべての在日同胞が、偉大な金正日総書記が指導する朝鮮民主主義人民共和国の周りに固く集結し、われわれの民族的尊厳と民族金融機関をはじめ同胞の生活、諸般の民族権利を守るために、朝鮮総連のさらなる発展と次代の未来のために、敢然とたたかっていくことを熱く訴えるものである。」こういうふうなコメントがありまして、朝鮮総連が発展することが民族金融機関を初め同胞の生活を守ることだ、そしてそれこそが金正日総書記が指導する朝鮮民主主義人民共和国の周りにかたく集結することである、こういうふうな相互関連する認識を朝鮮総連自身が示しておりますので、法務大臣としては、私が今お尋ねしたことについての御認識はいかがでございましょうか。

森山国務大臣 朝鮮総連は、金正日総書記への忠誠を強調し、北朝鮮と極めて密接な関係にある団体として把握されているということを承知しておりますし、また、全国の朝銀信用組合、朝銀ですが、これは、そのすべてが朝鮮総連の傘下団体の一つである在日本朝鮮信用組合協会に加盟しておりまして、朝鮮総連から一定の影響を受けているものと承知しております。

 そのような関係でございますことを見ますと、朝銀が北朝鮮から影響を受けているということは否定できないと考えます。

西村委員 それで、朝銀の幹部人事は朝鮮総連が握っておるんだというふうな御認識は、そこは具体的にはお持ちでしょうか。

森山国務大臣 団体の人事につきましては、法務大臣としてはお答えする立場にはないと存じます。

西村委員 先ほどの御答弁で大体、進みますけれども。

 さて、テロ組織に対する資金供与防止条約というのに我々日本は署名したわけですね。批准等々の手続はまだでございますけれども、この条約に署名した、九月十一日の同時多発テロ以来ですよ。この前提に立てば、我々、今仮定の質問、前提での質問が多いわけでございまして、どうかこれからは、国際的な要請、また我が国の存立の安全のために、仮定の質問ではなくて、我が国自身が現実にそれを探求できる能力のある国家として我が国の治安を守り得るという体制の中で質問をしたいんです。

 その意味で、我が国の国内組織から、具体的に申しますと北朝鮮に対する資金の流れ、これを追及し解明するというふうな体制が今十分なのか不十分なのかということを考えますと、私は不十分であると思わざるを得ませんが、大臣の御認識はいかがでしょうか。

森山国務大臣 お尋ねのテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約につきましては、一定の類型に当たる犯罪行為に対する資金提供などを犯罪とするとともに、その防止のための行政措置等の導入の考慮などを定めるものでございますが、我が国もこの十月三十日に署名しておりまして、法務省におきましても、現在、その早期締結に向けて、外務省等の関係省庁と協力しながら鋭意検討を進めているところでございます。

 この条約については、テロ行為に関連する資金供与行為等の犯罪化や当該資金の没収などとともに、金融機関等による顧客の身元確認義務及び疑わしい取引の届け出義務などの、テロ行為を資金面から防止するための行政的規制の導入を考慮することも定められておりまして、さらに国内法の整備ということが必要でございますので、これらの点について検討をしているところでございます。

西村委員 先ほど、北朝鮮、金正日政権と朝鮮総連、朝銀との相互関係についての御答弁を得ました。そしてまた北朝鮮という国家についての一つの認識を御答弁いただいたんですが、再度、今の時点で確認しますと、北朝鮮は、九月十一日のテロ以来、自分が国際テロ組織と結びついているというイメージを払拭するために、一貫してテロ支援国家という認定をテロ報告書で貫いておりますアメリカに対して、テロ支援国の認定を排除してくれ、削除してくれという要請をしておるわけです。

 また、日本国の朝鮮総連の強制捜査に対しても、我々が意識するしないにかかわらず、彼らの方が明確に意識しておりまして、このような声明を発しております。「アメリカで起きたテロ事件を契機に、日本国内で「自衛隊」の海外派兵と有事体制確立の動きが進む中で、わが共和国を敵視し、朝鮮総連と朝銀信用組合に対する弾圧が強行されたという事実を決して見過ごすことはできない。」

 それで、アメリカに対しても、テロ支援国という指定を解除してくれというふうに言っているわけです。

 アメリカの国内の議論はといいますと、北朝鮮が指定解除を受けるための最低限の条件として、一つ、テロ糾弾の国際条約か議定書に署名する必要がある、二つ目、テロを公式に糾弾する、三、日本赤軍のテロリスト四名を国外追放するということである。しかしながら、なおテロ支援国家の指定を解くべきではないと。

 その理由は、過去四十年間に三千六百人以上の韓国国民を拉致し、うち四百四十二人をなお拘束している。二、日本国民を少なくとも十人を拉致したままとなっている。三、ビンラディン一派を含む外国のテロリストとのかかわり合いを保ってきた。四、九〇年代にはイラク、リビア、パキスタン、イランなどに化学兵器、生物兵器、弾道ミサイルなどの部品や技術を売ってきた。そして、韓国との境界線への部隊の集中的な配備を減らすこと。こういうことを現実にやらなければ指定は解除できない、したがって、北朝鮮は、指定が解除できないので国際組織からの支援は受ける資格はない、こういうふうにアメリカは言っておるわけですね。

 法務大臣、余り管轄外のことばかりで恐縮ですが、やはりこれは国内である重大な国際問題に関連する事態ですのでお聞きします。

 先ほど、アメリカはこうだ、ミサイルは開発した、飛ばしたとおっしゃいましたけれども、我が法務大臣は、アメリカと同様、北朝鮮はテロ国家、テロ支援国家というふうな認識を持っておられるのかどうか。これについてはいかがでしょうか。

森山国務大臣 アメリカのコメントは今御紹介いただきましたし、先ほども申し上げましたように承知しておりますが、私といたしましてはそういうことを申し上げられる立場ではございませんので、御容赦いただきたいと思います。

西村委員 内閣の閣僚たる法務大臣が申し上げる地位にないというのは、だれが申し上げる地位にあるんですか。後学のためにお聞かせいただきたい。

森山国務大臣 これは大変難しい問題でございまして、私はちょっと申し上げられないということを述べたままでございまして、さらに申し上げれば、日本における朝銀の捜査につきましては、日本の捜査当局は、常に厳正公平、不偏不党の立場から、法と証拠に基づいて必要な捜査を行っているということは改めて申し上げたいと存じます。

西村委員 評価についてはともかく、事実についてはほぼアメリカと一定、同じだということでございまして、だから、どういう評価をしているということについては、地位にないとおっしゃったわけでございます。

 また、私も聞こうと思っておったのですが、日本の捜査当局は厳正な捜査をしておると。しかしながら、朝鮮総連中央常任委員会の声明は、昭和四十年代の大学紛争華やかなりしころのアジビラをほうふつとさせる内容であります。

 先ほどもちょっと触れましたように、いわく、「わが共和国を敵視し、朝鮮総連と朝銀信用組合に対する弾圧が強行されたという事実を決して見過ごすことはできない。」とか、この捜査が「民族金融機関に対する民族的差別に満ちた政治的弾圧以外のなにものでもない。」こういうふうに言っておる、認識しておる組織が我が国にある。

 およそ、我が国家から公的資金の注入を求める組織にして、公的資金を注入する以上は、いかなる破綻原因によって破綻しておったのかということ、責任者はだれなのかということを調べる捜査に対して、このような声明を発した。民族差別だ、弾圧だ、反共和国的行動だ、こういうふうなことを発する組織がいまだかつてあったのかということを考えれば、容易ならざる事態である。

 そして、我が預金保険機構は、もう総計六千二百億円以上を投入しておるのです。六千二百億円ですよ。道路公団に三千億円の公金を投入するな、もうしないんだといって、今、我が政府は大騒ぎになっておるのですよ。しかし、朝銀に対してもう六千二百億円投入しておるのですよ。

 そして、強制捜査が始まった。何のために破綻したのか、責任者がだれなのかということがわかり始めたのは、今、途上ですね。九月十一日以降に始めた。それも時効の壁にせきとめられて、せきとめられて、やっと少々の突破口で始めた、こういう事態です。こういう事態はもはや、ある意味では、預金保険機構の窓口でこちょこちょ法にのっとってやっているから、そういう事態ではない。したがって、私、この時間をおかりして質問しているのです。

 そこで、大臣、十一月二十九日に朝鮮総連本部に強制捜査が入りました状況を私ちょっと警察当局にお聞きしますが、また、ちょっと横でお聞きしておいてください。

 先ほどから読み上げている朝鮮総連のコメントや声明は、これに関してなされたものであります。

 では、お聞きしますが、この十一月二十九日の朝鮮総連本部捜査の経緯をちょっとお聞かせいただきたいのですが、現実に着手した時刻、それから押収物を搬入するトラックが出ていった時刻、捜査員が終了して朝鮮総連本部の建物から出てきた時刻、捜査人員、そして朝鮮総連建物の中の捜査場所、押収物の量、これをちょっと概略御説明いただけませんでしょうか。

吉村政府参考人 警視庁におきましては、十一月の二十八日に、当時の朝銀東京信組理事長ら五人、それと朝鮮総連の中央本部の財政局長、合わせて六人を業務上横領の容疑で逮捕いたしまして、現在捜査中であります。あわせて、十一月二十八日以降、朝鮮総連中央本部、東京都本部、西東京本部など、数カ所について捜索を実施しております。

 お尋ねの朝鮮総連中央本部に対する捜索でありますが、十一月二十九日午前十一時ごろから午後二時ごろまでの間、約三十名の態勢で朝鮮総連中央本部のビルの関係箇所に対しまして実施をされたものであります。具体的な押収状況でありますが、捜索・差し押さえ許可状に明示されました差し押さえるべきものとして、段ボール箱二箱分を押収しております。

西村委員 違ったら言っていただきたい。

 この手の事例で十一時から十四時までということで段ボール箱二つという捜査は、事前に打ち合わせて捜査したのかと思えるほど簡単な捜査ですね。大体こういう金融機関の捜査というのは、朝九時前に現実に着手して、出てくるのは暗くなってからで、そして押収するものはトラック数台に及ぶ、これが当たり前なんじゃないですか。段ボール箱二つというのは、ここに置いておきますからこれを持っていってください、はいと持っていった、こういうことなのか。

 また、捜査は捜査二課でやっておるのでしょう。違っていたら違うと言ってください。捜査二課でやって、公安は関与していない。そして、捜査二課の課長は預金保険機構に出向し、それから再度警察に戻ってきた人物である。そして、捜索の場所は総連の財政局のみで、その他の部署には入っていない。

 それで、一応当日の経緯を言いますと、二十九日朝のまだ薄暗い未明、六時ぐらいから学生ぐらいの年齢層の若い人たちが朝鮮総連本部の前にたむろし始め、総連に対する不当な政治的弾圧を即時中止せよ、在日朝鮮人に対する民族的差別と迫害を断固反対するというふうな横断幕を掲げてピケを張って、それで入ってくるのを阻止しておった。一度入ろうと思ったけれども押し戻されて、そしてボス交渉のような話し合いがあって、そのシュプレヒコールをかける人垣の中に吸い込まれるように二十名なり三十名の係官が入っていって、そして仰々しくほろをつけて入ってきたトラックに段ボール二つ積んで出てきた。

 これは、横領された資金の使途について実態解明を本当に目指しているのかどうか、本当にそのための捜査なのか、何か手打ちの捜査ではないのか。預金保険機構はその数日前に三千百億円の投入を決定して、あと朝銀東京を含む六つの信組に対して四千億円の公的資金投入をもう既定の事実のように進めておりながら、そこにおった人間が警視庁の課長に戻ってきて、その捜査二課だけで二時間ばかり中に入って、何をやったのかといえば段ボール二つですから、推して知るべしですな。厳選して段ボール二つにしたんじゃなくて、初めから段ボールに入れてもらっておったものを押収して帰ってきたんじゃないですか。

 何か違うみたいな感じですな。それならちょっと御答弁いただきましょうか、時間ないけれども。

吉村政府参考人 委員はいろいろおっしゃいましたが、いずれにしても朝鮮総連でございますから、あれは朝銀東京信用組合が金融機関でありますので、朝総連は金融機関ではありませんから、いわゆる金融機関対象の捜索とは多少場面が違うということをまず申し上げなければならないと思います。

 それから、当然のことながら、先ほど申しましたように、朝銀の東京信用組合五人と、それからその共謀ということでの朝総連の当時の財政局長を検挙したわけでありまして、その関連箇所ということでありますから、朝銀の、あのビル全体を全部捜索するということには当然ならないわけでありまして、もちろん捜索・差し押さえ許可状にもすべてのビル内の部屋を捜索できるとは書かれておりませんから、関係の箇所を必要十分な人員で捜索をやったということであります。

 今いろいろとおっしゃいましたが、きちんと捜査員が整々とビルの中の関係箇所で捜索をやり、押収した結果がそういう押収物であったということでありますから、できレースでやっているようなことはございません。

西村委員 そういうふうに反発をしていただけると思って言いましたけれども、先ほどから大臣と私の質疑を聞いておればわかりますように、これは北朝鮮というテロ国家に直結する資金のパイプの国際的関心がある部分に初めて入っているわけですから、ぜひ、横領された資金の使途について、徹底解明のために覚悟を決めていただきたい。

 それから、時間が来たと来ましたけれども、大臣、三年前に朝銀近畿に三千百億投入して、二年八カ月でまたすってんてんになって朝銀近畿が破綻しているんです。その破綻原因は何かといえば、二日前の衆議院予算委員会で、金融庁長官が、朝銀京都の破綻原因を調べていなかったんだ、だから受け皿銀行も三千百億投入してもまた破綻したんだと言っている。こういうことなんです。

 したがって、このままで、総計一兆円が投入されていくという事態。捜査がせっかく進んだのですから、国内の治安と法と正義を守る立場の法務大臣においては、どうかもう少し閣内でこの問題を、窓口の適用法令が相当であるからそのままいきますよというふうなセクト主義で放置しておっては将来に重大な禍根を残しますよという問題提起をしていただきたい。これをお願いして、私の質問を終わります。

保利委員長 次に、瀬古由起子君。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。私は、人権救済機関のあり方について質問いたします。

 人権侵害に対する人権救済制度のあり方を検討してきた法務省の人権擁護推進審議会は、さる五月二十五日、森山法務大臣に最終答申を提出しました。私たち日本共産党は、この答申について、同日、木島法務部会長名でその見解を明らかにしております。その内容は、この答申が、裁判所とは別に、我が国に政府から独立した包括的な人権救済機関を設置する方向を打ち出しており、一定の積極的意義があると考えるものでございます。

 しかし、この答申には幾つかの問題点があるとも考えています。その幾つかについて、質問いたします。

 まず第一点ですけれども、答申は、公権力による人権侵害や公害、薬害による人権侵害など、行政がかかわるものについてどのように対応すべきものと見ているんでしょうか。

吉戒政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、今年の五月に、人権擁護推進審議会におきまして、人権救済制度に関する答申が出されております。

 この答申におきましては、今お尋ねの公権力による人権侵害について、差別、虐待に該当するものについて積極的救済を図るべきものとしております。公権力によるその他の人権侵害、これにつきましては、答申の文言を読み上げますと、関係諸制度との適正な役割分担の観点等を踏まえ、「人権擁護上看過し得ないものについて、個別に事案に応じた救済を図っていくという方法をとるべきである」というふうにしているところでございます。

瀬古委員 積極的な救済の対象になるもの、これは今言われたように差別や虐待という関係だと思うんですけれども、それと同時に、では、積極的な救済の対象になるものと、もう一方の簡易な救済といいますか、こういうものとの区分はどうやって分けるんでしょうか。ともかく差別や虐待だけが積極的な救済だというふうに言えるんでしょうか。

 さらに、看過し得ないものといいますか、人権擁護上これは見過ごせないぞというものだけは救済を図っていくと言うんだけれども、これが看過し得ないか看過し得るのかというものは、どういう判断の基準で決まっていくものなのでしょうか。

吉戒政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、答申におきまして、簡易な救済という提言をしておりますけれども、相談、あっせん、指導などの専ら任意的な手法による簡易な救済、これにつきましては、これはすべて、あらゆる人権侵害を対象にいたすということにしております。

 それから、今委員御指摘のとおり、人権侵害の中で、差別や虐待の被害者など、一般にみずからの人権をみずから守ることが困難な状況にある人々に対しましては、より実効性の高い調査手続や救済の手法を整備いたしまして、積極的救済を図っていく必要があるとしております。

 さらに、差別、虐待などの一定の類型に属さない人権侵害につきましても、人権擁護の観点から看過し得ないものに対しましては、機動的かつ柔軟に積極的救済を図ることができる仕組みを工夫する必要があるというふうにしております。

 そこで、この人権擁護上看過し得ないものでございますが、今申し上げましたように、答申の中におきましては、まず差別、虐待を積極的救済の対象の中心にしながら、しかし、この類型に属さない人権侵害として、人権擁護の観点から看過し得ないものというものを、カテゴリーを取り上げているわけです。

 この人権擁護の観点から看過し得ないもの、これは非常に抽象的な書き方でございますけれども、これの判断は、被害の程度、被害者の立場などを実際に考慮いたしまして、個別具体的になされるというふうに思いますけれども、ごくかみ砕いて申し上げますと、被害者の方がみずからの人権をみずから守ることが困難な状況にあるかどうかということが一つのメルクマール、基準になるのではないかなというふうに考えております。

瀬古委員 私は、差別や虐待の問題については、これは本当に積極的に救済しなきゃならないというように思いますよ。

 同時に、例えば、みずから人権を守ることができないという場合でいえば、わざわざこの答申の中に、薬害だとか公害の問題などは、これはそれとは別のカテゴリーといいますか、いろいろな諸制度とか、そういうものがあるので、できるだけ除外をするというか、重く、積極的に救済するものから除いているわけですね。

 しかし、考えてみれば、薬害だとか公害などというものは、むしろその患者さんなどは一番みずからの人権を守れないような弱者であるわけですね。そして、その被害の規模も、もちろん軽いものもあるかもしれないけれども、今日本の国で惹起している公害や薬害の被害、そのすさまじさというようなものは大変深刻なものであるわけですね。それをあえて、わざわざ差別と虐待に特記して、それは積極的な救済の対象で、そして薬害や公害については、特別に問題がある人権擁護上看過し得ないものだけを限定するというのは、いかにも意図的に振り分けているんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですね。

 私は、人権擁護機関をつくるというなら、国が、公的な機関が被害を与える、人権侵害を与えたという場合は、その与えられた相手は国民であるわけですから、こういう被害、こういう被害というんじゃなくて、ある意味では、それは差別や虐待はもちろんですけれども、こういう公害やそして薬害の被害などは、当然真っ先に救済の対象にしなければならない問題だというふうに思うのですけれども、いかがですか。

吉戒政府参考人 委員御指摘のとおり、大規模な公害でありますとか薬害、この問題は非常に重大な問題であることは、私ども承知いたしております。

 ただ、公害にいたしましても、薬害にいたしましても、御承知のとおり、どちらも因果関係とか、あるいは関係者の責任の所在、こういうものの事実認定、あるいは法的な判断が極めて複雑困難な事案でございます。

 したがいまして、人権救済機関の行う手続あるいはその調査の中で、そこらあたりの因果関係とか関係者の故意、過失の問題でありますとか、そういう部分まで踏み込んで有効に対処することは実は極めて困難ではないかなというふうに考えておるところでございます。

瀬古委員 そうしますと、今、全国で起きています公害だとか薬害の問題は、もう訴訟しかないということになってしまうわけですね。それで、何年も何年も訴訟の期間がかかって、そのうちに被害者が亡くなっていくというケースが大変多いわけです。だから、こういうものこそ、ある意味では人権救済の機関としてどうなのかということを私はもっと議論しなきゃならないと思いますし、今度法律をつくる場合も、これをわざわざ、難しいから除くなんていったら、今、日本の多くの人たちがこの人権救済機関に期待しているものを、全くその期待を裏切ることになってしまうんじゃないかと思うんです。

 具体的にお聞きしますけれども、例えばハンセン病の人権侵害が、これはもうはっきり決着はつきました。これは、九十年にわたる強制隔離の歴史が断罪されて、そして政府も謝り、総理大臣も謝り、国会でも謝罪決議までしたものなんですね。これだって、裁判をやるのに大変な状態だというのは、法務大臣も一番よく御存じだと思うんです。

 ともかく裁判をやれば療養所から追い出されるかもしれない、また、本当に惨めな、苦労をした、そういう被害がまた家族に及ぶんじゃないかとか、平均年齢七十四歳ですから、もう裁判をやったって生きているうちに裁判の結果が出るかどうかわからない、そういう中でも勇気を振り絞って今回裁判をやられて、そして一審で判決が確定したわけですね。

 因果関係が、国は本当にもう逃げて逃げて、そういう事実はなかったなんて言っていたんですけれども、最後は認めざるを得ないという状況になったわけですが、こういうケースなどは、さあ裁判でどうぞというんじゃなくて、もう人権上本当に看過できない問題だということで、きちんと救済機関が積極的な対応をやるべき内容ではないかと私は思うんです。そして、今まで起きてきた水俣病や薬害エイズだとか、もう次々と行政機関がこういう人権侵害を行っている、こういうことで一層被害が拡大していったわけですね。公権力が人権をじゅうりんする、そういう存在になっている。

 その点では、私は、ぜひ大臣にちょっとこの機会にお聞きしたいんですけれども、今後、人権救済機関ができるとするならば、やはりこういう問題についても積極的に対応するということは当然じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

森山国務大臣 いろいろなケースがございまして、人権の侵害というのもさまざまでございます。

 今おっしゃいましたようなことにつきましては、私も短い経験ではございますが、特にハンセン病の問題なんかについては大変痛切な経験をいたしまして、身にしみてその難しさ、その厳しさということがよくわかったつもりでございますが、一般論として申し上げますと、人権擁護推進審議会の答申で提言されております新しい人権救済制度というのも、最終的な紛争解決手段である司法的な救済を補完するという意味で、その補完機能をさらにもっと充実していこうということであると考えております。

 ですから、紛争が最終的には裁判にならざるを得ない、日本の国の場合は、法治国家として、最終的には司法の判断を仰ぐという仕組みになっておりますので、それを補完するという意味で、この人権擁護機関につきましても、さらにもっと役目が果たせるようにしていこうという考え方と私は理解しておりますので、おっしゃいますようなケース、それぞれの内容、またその重みによって、いろいろな対応があるというふうに考えております。

瀬古委員 救済する対象が、そういう公害患者だとか薬害患者だとか、ある意味では本当に弱い人たちが国を相手に立ち向かうということですから、そういう点では、人権救済機関というのはどういう立場に立って仕事をするのか、こういう点が問われていると思うんです。国連人権規約委員会の勧告でも、公権力による人権侵害に対処する人権機関の必要性ということを強調されているわけですけれども、そういう公権力による人権侵害の問題は、こういう公害や薬害の問題については、より積極的な対応をすべきだというふうに私は思います。

 もう一点お聞きしたいんですけれども、答申は、ルールなき資本主義と言われる、大企業優先、職場に憲法なしという、大企業によって引き起こされた人権侵害の救済はどういうふうになっているかという問題なんです。

 具体的な事例で私はお話ししたいと思うんですけれども、静岡のフジカラーの解雇問題についてお聞きしたいと思います。

 この問題は、営業譲渡する必要もないのに、会社清算をする状況にもないのに、営業譲渡により会社清算をする、そして、リストラを目的に会社組織の変更を行いました。富士写真フイルムの一〇〇%の子会社であるフジカラー販売のまた一〇〇%子会社である静岡フジカラーを全員解雇して、フジカラー販売の八三・三%の子会社であるフジカラー三島に全面営業譲渡して、すべて従来どおりの仕事を引き続き行っているという状況なんですね。そして、静岡フジカラーの労働者だけ全員解雇する、こういうやり方です。

 こういうことが認められるならば、大企業はいっぱい子会社を持っていますけれども、そういう子会社のあるところ、子会社をつくろうとしているところは、営業譲渡さえすれば合法的にそこの労働者、一つの子会社の労働者を全部解雇することができるという、とんでもないことが起きているわけですね。労働者はどうか。たちどころに路頭に迷ってしまう。とんでもない、生存権を脅かす人権侵害が起きているわけです。

 今度の答申は、こうした大企業による人権侵害への救済機関としての役割、これはどういうふうになっているんでしょうか。審議会ではどのように論議されたんでしょうか。

吉戒政府参考人 今先生御指摘の、大企業による労働者の大量解雇といいますか、リストラの問題でございますけれども、私も人権擁護推進審議会の審議をそばで聞いておりましたけれども、リストラの問題がこの審議の過程におきまして人権問題として真正面から取り上げられて議論されたということはなかったものというふうに承知いたしております。

 御質問の前提の、静岡県の会社の件でございますけれども、これは具体的な事実関係を承知しておりませんし、また、個別具体的な事案について意見を申し上げるのはどうかと思いますので、その点についての御意見は差し控えさせていただきたいと思っております。

瀬古委員 先ほどの公害、薬害問題については積極的な救済から除外するみたいな内容になっていて、そして、今一番国民の間でも深刻な事態となっているリストラや首切りなど、突然生活の糧を失っていく、こういうものについては審議会で人権侵害としてきちっと議論されていない、これは大変大問題だというふうに私は思うんです。

 実際の事態は、こういう解雇されるケースになるとどうなるかということになるんですけれども、例えば、労働委員会制度というのがございますよね。そこに、労働委員会で申し立てを行う。ところが、なかなかテンポが遅くて、労働者がもう本当に、緊急に、すぐ食べていけなくなるわけですから、ある意味では何らかの救済を行わなけりゃなりませんが、実際には時間が、尋問というのは裁判と同様な方法とも言えるけれども、通常のケースでも大体八カ月から十カ月、調査で大体三、四カ月かかりますから、結論が出るのに一年以上かかってしまうわけですね。労働者は生きていくために、家族を養っていかなきゃならない、働かなきゃならない。

 このケースでもどうなっているかといいますと、五月に地労委に申し立てて、この間、雇用保険の仮給付で、既に四人は十月にこれが切れてしまう。一月には残る十二人も切れることで、全員、仮給付が打ち切られて全く収入が途絶えてしまうわけですね。経営者側は、この仮給付が切れるということが絶好のチャンスといいますか、ある意味では労働者側が悪い条件をのむことを計算に入れて次々と結論の引き延ばしを図る、こういうやり方をしているわけです。

 本来、労働者の救済制度である労働委員会制度が、労働者の失業状態を背景に労働者を兵糧攻めにする、こういう状況が実際にあちこちであるわけですね。せめて仮給付が切れるまでに結論を出すべきじゃないか、こういう声もあります。労働委員会制度の改善、こういうものについて厚生労働省はどのように考えていらっしゃいますか。

鈴木政府参考人 労働委員会制度についてのお尋ねでございますが、今御指摘のように、労働委員会制度の中で不当労働行為の審査状況でございますが、現在、その審査処理が長期化しているという認識を持っております。

 このため、本年十月に厚生労働省として、学識経験者から成ります不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会を開催しております。この中で審査手続等の問題について十分検討して、その検討結果を踏まえて迅速化に向けて対応していきたいと考えております。

瀬古委員 大臣にお聞きしたいのですけれども、こういう労働者を兵糧攻めにするような、だんだんもう条件が悪くて闘えないような状態にしていく、こういう制度的な問題で、それでまた裁判をやるということになると、もう本当に気の遠くなるような年数がかかり、家族も本人も大変苦労を強いられるわけですね。そしてやり方も、突然解雇という形で、それで仕事は同じように会社は営業している、こんなやり方でしょう。本当にだれが考えても労働者の人権侵害そのものだと。こういう場合には、やはり人権救済機関としても大企業のこういう対応についても一定のチェックができる、労働者の救済が図られるようなことは当然今度の救済機関としても考えるべきだと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

森山国務大臣 今の具体的なケースのお話については、事実関係がよくわかっておりませんのでコメントは難しいのでございますけれども、一般的に申し上げますと、今まで労働関係あるいは女子差別の問題など、それぞれのいろいろなケースに応じた調停、あるいは調整する、相談、苦情処理の機関というのがございまして、それらが長い間の経験を持ち、また、勘どころがわかっているという意味で非常に有効な機能を果たしているというふうに思うわけでございます。

 ですから、現在それがそのままでいいとは申しませんけれども、今厚生労働省のお話にもありましたように、いろいろと改善充実のための苦労もしておられるようでございますので、それはその専門の分野の方にまずはお任せするということが重要ではないかと思うのですが、さらに人権という問題でぜひともこれを取り上げてほしいというケースがありました場合には、もちろんテーブルにのせないことはございませんが、先ほど申し上げましたように、これはあくまでも基本的には司法判断を得るための補完機関である、最終的には司法の判断によって結論を得るということが仕組みになっているということも重要なファクターだと思いますので、その辺をよく勘案して進めていくべきことであろうと思います。

瀬古委員 司法の補完機関だといいましても、その司法のあり方も本当に長期にわたるというこういうケース、そして私が対象としている問題は、あくまでも相手が公的な機関の場合、そして大企業の場合なんですね。そこをやはりきちんと踏まえていただきたいと思うのです。単なる民民でやり合っているという問題じゃないんです。物が言えない、なかなか発言できない、こういう労働者や国民が対象になっているというケースなんです。

 もう一点、私は聞きたいと思うのですが、公権力と大企業、二重の人権侵害について行われている例を見てみたいと思います。

 通称横浜人活事件といいますけれども、国鉄の改革法が国会で成立した五日後の一九八六年十二月三日、国労組合員が、助役に暴行、傷害を負わせたとして逮捕され、それを理由に国鉄から懲戒免職処分を受けました。一九九三年五月十四日、横浜地裁は、起訴された三名についての無罪の判決を言い渡し、検察庁は不起訴になったその二名についても無罪であることの証明を出しました。

 きょうは最高裁判所に来ていただいていますけれども、この事件の経過は間違いありませんでしょうか。

千葉最高裁判所長官代理者 事件の経過は、委員御指摘のとおりでございます。

瀬古委員 判決は、事件が国鉄の管理者によってでっち上げられたもの、事件が当局によって仕掛けられたものであるというテープまで見つかったのですね。そして、医師をだまして助役は診断書をとったことも、その医師自身が証明している。この助役は、現在JRの関連会社の幹部として出世をしております。

 この時点で、はっきりでっち上げ事件、無罪ということになったわけですから、本来なら国やJRは職場に復帰させるということが規定上も常識的にも当然だと思われたのです。ところが、当局は、刑事事件では負けたので今度は民事で争って、国鉄時代の問題はJRは関係がない、国鉄からJRになりましたからね、関係がないとして、採用を今拒否し続けております。この間、歴代運輸大臣も鉄道局長もでっち上げ事件として認めて、解決のためにしばらく待ってほしいと言って約束をしていたのです。

 しかし、あれからもう、事件が発生して十五年の月日が流れて、一体いつまで待たすのか、こういう怒りの声が広がっています。犯罪者の汚名を着せられて、人間として、労働者として恥ずかしくない生き方をしたいと闘ってきた労働者たちです。お父さんがJRに戻るまでは寂しくないよと電話口で言ってきた子供さんはもう大きくなった。裁判が解決したら一DKの住宅からせめてもう一部屋ある住宅に住んでみたい、こう言って娘さんがその夢を語っているわけですね。家族も歯を食いしばって頑張ってきた十五年でした。余りにも長過ぎる。裁判のそれこそ乱訴、乱用と言うべきものだというふうに私は思うのですね。

 労働者と家族を路頭に迷わせて、人間としての尊厳を踏みにじる、こういう国と大企業が一緒になって横暴を行う。文字どおり人権の救済機関が対象とするのは当然じゃないかと思うのですが、こういう問題点についてどのようにお考えでしょうか、大臣にお伺いします。

森山国務大臣 先ほど申し上げましたように、個別具体的なケースについてはなかなか難しいのでございますけれども、今おっしゃるようなケースも人権の侵害の一つであるということを考えますと非常に大切な問題だとは思いますが、労使関係に関するものであれば、先ほどのケースと同じように、労働委員会その他の専門機関がございますし、そちらの方でまずはやっていただいて、それでうまく結論が得られないときは司法制度ということになるわけでございまして、裁判が長くかかり過ぎて困るというお話もございましたが、それは、先ほど来御協議いただいて、法律もつくっていただきました司法制度改革の中でこれから努力をして、少しでも敏速に結論が出るように努力していきたいというふうに申し上げるほかございません。

瀬古委員 私は、裁判が長過ぎるから問題だと言っているわけじゃないのです。国や大企業がずるずる延ばして労働者を大変弱い立場に追い込んで、そして、まさに裁判を利用してといいますか、こういうやり方について国の人権救済機関としていかがなものかということをお聞きしているんです。

 その点は、一般的な裁判の問題を言っているわけじゃない。こういう労働者が、国や大企業によっていじめられている、苦しめられている、人権を侵害されているという点についてはしっかりと私は人権救済機関として見ていくべきだというふうに思うんですが、最後にもう一度伺いたいと思います。

森山国務大臣 国であろうと公共機関であろうと、また大企業であろうと中小企業であろうと、あるいはその反対側の労働者というか、あるいは零細な従業者であるということと関係なく、裁判というものは、どちらから見てももっと迅速に結論を出してもらいたいというのは一般の要求だと思います。

 それを踏まえて、さらに改善をしていきたいというのが私の考えです。

瀬古委員 終わります。ありがとうございました。

保利委員長 次に、植田至紀君。

植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。

 きょうは、さくっと三つぐらいの課題についてお伺いをしたいわけですが、今、資料を配っていただいております。

 これは、参考資料としてお配りさせていただきましたのは、七月二日付の毎日新聞の全国版で一面広告をされたものなんですが、タイトルが「狭山事件の「眠っている証拠」を隠さないで出してください」という、狭山事件の再審を求める文化人の会というところが意見広告をされたものでございます。

 まず、この狭山事件にかかわりながら、いわゆる捜査過程で収集した証拠の開示にかかわる問題、この点からまずお伺いしたいと思うわけですが、ちなみに、狭山事件の中身につきましては、私がここで別に解説をせずとも、この資料の中に「狭山事件とは」という記載がありますように、私の生まれる二年前ですから、一九六三年の五月に起こった事件でございます。

 当時、埼玉県の狭山市で女子高生が誘拐をされて身の代金を要求され、そして最終的には殺害をされたという事件で、私の主観でいえば、差別と予断に満ちた捜査に基づいて、無実である石川一雄さんが逮捕、拘束され、一審では死刑、そして七四年の高等裁判所では無期懲役という判決を受け、その間ずっと石川さんは無実を訴えてきて、そして数年前に仮出獄された後もこの間ずっと無実を訴えて闘ってこられてきているわけでございますけれども、この間、経過だけ言っておけば、再審請求をして、それが棄却され、今異議申し立てをやっておる、そういう経過でございます。「疑問だらけの狭山事件」、「未解明の事実」、「東京高検に眠る多数の証拠」等々見出しがありますから、これを参照していただければ問題点等がわかるかと思います。

 そこで、まず法務大臣にお伺いいたしたいのですが、こうした一面で新聞広告が出るぐらい、もちろん狭山事件にかかわらずさまざまな冤罪事件、被告とされた、また犯人とされた方々が無実を訴えて、しかも非常に重い罰を受けておられる例というのはたくさんあるわけですけれども、こういう証拠開示を求める社会的な要請は十分にあるだろうと思うわけです。

 それは、例えば、特に再審請求をしている場合、開示されていない証拠の中にやはり新たな無実を示す新証拠があるのではないか、これは見てみないと弁護団だってわからないわけですから、ですからこの狭山の弁護団にしてもそういう取り組みを間断なく続けているわけですが、こうした社会的要請についてどう認識されるかという点、まず入り口でございますが、法務大臣、お答えいただけますか。

森山国務大臣 刑事訴訟法第二百九十九条の第一項によりまして、検察官が公判廷で取り調べを請求する証拠物及び証拠書類につきましては、あらかじめ弁護人等に閲覧の機会を与えなければならないものとされており、これに加えまして、最高裁判所の決定により、裁判所は、一定の場合には、その訴訟指揮権に基づき、検察官が所持する証拠の開示を命ずることができるとされております。

 実際にも、検察官において、事案に即して、証拠開示の要否、時期、範囲等を検討しまして、被告人の防御上合理的に必要と認められる証拠につきましては、これを適正に開示することとしておりまして、また、検察官と弁護人との間で意見が異なる場合には裁判所において判断されることになりますが、検察官においてはその判断に応じて適切に対応しているものと承知しております。

 このように、弁護人等が公判の準備をするために必要な証拠の開示を受ける機会は既に適切に保障されていると考えられますが、この問題につきましては、司法制度改革審議会の意見におきましても、刑事裁判の迅速・充実化を図るために十分な争点整理が行われることが必要であるというふうな観点から、充実した争点整理が行われるのには証拠開示の拡充が必要であると言われ、そのために、証拠開示の時期、範囲等に関するルールを法令により明確化するとともに、新たな準備手続の中で、必要に応じて裁判所が開示の要否につき裁定することが可能となるような仕組みを整備するべきであるというふうに指摘されております。

 このような御意見の趣旨も踏まえまして、さらに検討を進めていきたいと思っております。

植田委員 私は別に解説を聞きたかったわけじゃなくて、年末なんで、歳暮がわりにもうちょっと気のきいた答弁をいただけるのかと思ったら、私には余り歳暮を贈るおつもりがないのかななんて、寂しく思っておりました。

 要するに、どない思うてはるんですかと。それは後で、特に司法制度改革にかかわってお伺いするつもりでおりますが、実際に、こうした声が上がっている、そうした思いをどう受けとめられますかと、実はそんなに難しいことを伺ってなかったですので、もう一度お願いします。

森山国務大臣 特にそっけないことを申し上げたつもりはございません。大変丁寧にお答えしたつもりであったのでございますが、具体的な事件については私から申し上げるべきものではないと考えております。

 一般論として申し上げれば、再審事件における公判不提出記録の開示につきましては、事件の争点との関連性、関係者のプライバシーの保護、将来の捜査における協力の確保等の観点から、事件を担当する検察官において一つ一つの事案ごとにそれぞれ適切に対処しているのではないかと思っております。

植田委員 余りしつこく聞いても色よいお話がないので、次に進みます。

 そこで、この点、九八年に国連の人権規約委員会で勧告を受けておりますよね。そのとき、九八年の十月二十八日、二十九日、ジュネーブで、政府報告書にかかわる審査で、この証拠開示にかかわる、しかも狭山事件にも直接かかわって、各国の委員からいろいろなやりとりがされている。基本は、要するに、検察官が公判に提出しようとする情報しかアクセスが認められていないということについて問題にしていたわけです。

 その当時、日本政府代表、当時の酒井法務大臣官房参事官は、例えば「検察官において、個々の事案ごとに、事件の争点との関連性やそうした弊害の有無の点をふまえて、記録の開示を個別に判断することとしている」であるとか、特に狭山事件にかかわっては、当時、九八年当時ですけれども、八一年から九五年まで「九回にわたる弁護人からの証拠開示請求に対し、合計二十八点の検察官手持ち証拠を開示し、現在も検察官と弁護人との間において、証拠開示についての話し合いがおこなわれている」と、ちゃんとやってますねんという回答を国際の社会の舞台では堂々とおっしゃっておられるわけです。

 このやりとり、証拠開示にかかわる当時の議論の中での政府の見解をまず紹介させていただいたわけですが、今も、今私が例示いたしましたお考えは何ら、動かざること山のごとしで、変わっていないのですかという点。これは実に簡単です。注釈は結構ですから、変わっております、ないしは変わっておりませんということでお答えいただければと思います。

古田政府参考人 再審請求段階におきますいろいろな不提出記録の開示問題は訴訟構造全体とも非常に深い関係があるわけで、それを十分考えなければいけないという問題を持っている問題でございます。

 ただ、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、この証拠開示問題については司法制度改革審議会の御意見もありますので、これを踏まえて、今後明確なルール等についてさらに定めていく必要があると考えているところでございます。

植田委員 先々、司法制度改革で確かに「刑事裁判の充実・迅速化」のところでありますから、そのことを受けてやりますということなのでしょうが、この九八年の勧告というのは、少なくとも検察官には公判に提出する予定がない証拠を開示する義務はない、弁護側には手続のいかなる段階においてもかかる証拠、資料の開示を求める権利が認められていないことにまず懸念を表明している。その上で、弁護側があらゆる証拠、資料にアクセスすることができるようにすべきだというふうに言っているわけですよね。ですから、とりあえず、司法制度改革の話も後で簡単に聞きますよ、この勧告はどう受けとめて、この勧告を受けとめて何か検討をやろうとしているのか、やらないのかということをまず聞いておるわけです。

 私は今、勧告を受けてどうなのだということを聞いたわけですから。その点についてまず聞いた上で、一つ一つ、順々に片づけていかないと質疑が成り立ちませんので、まずそこのところを聞いているのです。

古田政府参考人 御指摘の勧告については私どもも十分承知しておりますが、勧告は勧告として、そこに含まれていることについては我々としても十分尊重して検討を加えるべきものと考えております。

 しかしながら、先ほども申し上げましたように、いろいろな、法制上あるいは訴訟構造との関係で、そこら辺の御理解等も人権規約委員会にさらに十分にいただかなければならない問題もあろうかと思っておりまして、いろいろな条件というのをどう考えるべきか、そこら辺が一番大きな問題だと考えております。

植田委員 尊重はされるというわけでございますから、尊重するということは、当然、そういう御意見も頭のどこかに、念頭の比重の置き方はともかくとして、尊重しながら検討はされるという理解でいいわけですね。尊重される以上は、こうした意見も踏まえながら、念頭に置きながら証拠開示のあり方については検討しなければならないのだろうなという問題意識はお持ちであるというふうに法務省さんはお考えだというふうに私は素直に理解していいのですね。

古田政府参考人 証拠開示の問題につきましてはさまざまな御意見があるわけでございまして、意見の一つとしてそういう御意見があることも踏まえながら十分検討をしたい、そういうことでございます。

植田委員 ということは、検討の必要がないということであればまた話は違ってきますけれども、いずれにしても、国際社会から批判を受けているということは事実として、こういう批判、懸念が勧告されているということは事実としてあるわけですし、それを尊重されるということは、少なくとも、この日本において十分に公正な裁判を受ける権利が何ら問題なく保障されているわけではないよという批判がいろいろなところからあるという事実を認識した上で、その問題の指摘を念頭に置いて検討されるということでいいわけですね。くどいようですが、済みません。

古田政府参考人 一般的に申し上げまして、日本の場合、刑事訴訟の実際の運用におきまして、そのような不公正な裁判が行われているというような認識は私どもとしては持っておりません。

 また、証拠開示の問題一般につきましては、細かいことを申し上げますと、いろいろな問題が実はあるわけでございます。先ほどから抽象的に申し上げておりますけれども、まず再審請求の問題以前の問題として、最初の確定審の段階で、そこら辺、ルールをきちっと決めて、その範囲で裁判をする、そういうシステムをとっている場合に、そこでほかの、例えば関係者のプライバシーの問題とか、そういうこともすべて考え合わせた上で、どういうふうな対策あるいは対応が適当であるか、そういう観点から、証拠開示の問題については十分検討を要する問題がある、そういうことを申し上げているわけでございます。

植田委員 現在の再審制度は新証拠を再審開始の要件としている以上、弁護側に全面証拠開示するのは当たり前だと私は思っているわけですが、そうでもないようですから、そのことについては言いません。ただ、もし全面証拠開示せぬでもええということであれば、検察が持っている未開示証拠の中には再審開始の新証拠が全く含まれていない、ないしはそういう可能性がないというふうに判断されているのでしょうかということ。

 もう一つ、今プライバシーとおっしゃいましたけれども、プライバシーのことを問題にするのであれば、まさにその理由を検察官は弁護側に対して説明して、それこそ両者で協議しながら具体的にその取り扱いを協議すればいいわけであって、プライバシーの問題がありますのでそもそもと。

 例えば狭山事件の場合も、積み上げれば二、三メートルあるくらいの資料があるらしいです。その中に、果たして弁護側から見て新たな証拠だと言われる物が全くないと言い切れないと私は思うのですが、言い切りはるわけですか。とりあえず二点、お願いします。

古田政府参考人 個別具体的な事件の証拠の中身について私から申し上げることは差し控えたいと考えておりますけれども、一般的に申し上げますれば、弁護人の御主張になっているポイント、それは一体何か、そういうことも弁護人から十分お伺いした上で、それに関連がある物等については、先ほど申し上げた諸般の事情を考慮しながら、できるだけ開示するようにしているものと承知しております。

植田委員 できるだけ開示するように努力されているというのは、そうおっしゃるのですが、弁護側からしてみれば、例えばこの案件、私はこれを取っかかりにして言っていますので、とりあえず答弁する際に個別事例のことは頭からのけてもらってもいいですが、二、三メートルの証拠があって、そこに何があるのかも弁護側はわからぬわけです。要するに、この証拠を出せとかいう話ではなくて、どんな証拠があるのかもわからないわけですね。だから、それがプライバシーが壁になっているのであれば、そのことについては取り扱いを検察、弁護側できちんと議論すればいいではないかということを言っているわけです。それやったらまずいわけですか。

古田政府参考人 先ほど申し上げましたのは、プライバシー等ということで、一つの例示として挙げたわけでございますが、いずれにいたしましても、まずは訴訟の手続の上から申し上げれば、確定審の段階でそこら辺の問題というのを本来きっちり片づけることが必要だということは大前提だと思われるわけです。

 さらにそれを超えてということになりますれば、この証拠開示の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、いろいろな考え方があるわけでございまして、そういう考え方を踏まえまして、特に具体的にこういうポイントの点でどうしても知りたいことがある、そういうような問題が具体的に特定されますれば、それに応じて対応するということが原則であろうと考えている次第です。

植田委員 もう時間が、別の質問にも移りたいので、最後にもう一点だけ。

 司法制度改革で、「刑事裁判の充実・迅速化」のところで、「充実した争点整理が行われるには、証拠開示の拡充が必要である。そのために」云々かんぬん、要するに仕組みを整備すべきとあるわけですが、これを検討するに当たっては、こうしたさまざまな個別の事例でいろいろな問題提起がある、また国連の勧告等もある。もっとも、それを丸々、丸のみされるほど立派な法務省かどうか私もわかりませんが、そういうことも当然念頭に置きながら、そうしたことも検討の素材の一つとして今後検討されるのですね。そうですか、そうでないかで結構ですから。どちらか、二つに一つの答弁で結構です。

古田政府参考人 先ほども申し上げておりますとおり、証拠開示の問題というのは非常に複雑な要素が絡む問題でございまして、いずれにしても、適正な裁判を迅速に実現するという観点から、どうあるべきかということを引き続き鋭意検討したいと思っております。

植田委員 複雑な話を私は全然聞いていませんから。要するに、そうした問題提起を念頭に置きながら検討するんですか、しないんですか、二つに一つですよと言うのに、何か複雑なことがありますので云々かんぬんと。私が聞いていることは実にシンプルなことですよ。だから、それだけ言うてくれはったらいいのですよ。先ほども申し上げましたとおりと、先ほど申し上げていただいたことは繰り返していただかなくても結構ですから。

 それなら、そうじゃないんですか、るる言わはるのは。いろいろな意見を踏まえながら検討するんでしょうと聞いているんだから、みんなの意見を踏まえながら検討するとお答えになれば、それで済む話じゃないですか。でしょう。そんな難しいこと聞いてへんのやから。

 先ほども申し上げましたようにというくだりは結構ですから、もう一回お願いします。

古田政府参考人 繰り返して申し上げることになりますが、いずれにいたしましても、要は、適正な裁判を迅速に実現するための証拠開示というのはどうあるべきか、それについていろいろな御意見があるわけで、そういうことを、いろいろな御意見を踏まえながら検討する、そういうことでございます。

植田委員 だから、いろいろな御意見を踏まえながら検討するとおっしゃっていただければ、行ったり寄ったり戻ったりせんかて済んだんじゃないですか。こっちかて時間が、ほんまはもっと早う終わるつもりやったのですけれども、申しわけない、次に進みます。

 もう一つは、教育、啓発にかかわる推進法が昨年できましたけれども、これにかかわって、今、人権教育・啓発に関する基本計画が策定されているかと思います。その進捗状況はもう聞きません、時間がありませんので。パブリックコメントもちゃんとやるのかというのも聞こうと思っていましたが、それぐらいはやられるだろうと、私も法務省に全幅の信頼を置いておる一議員として、聞きません。

 そこで、中身にかかわって、人権教育・啓発の現状、情勢について。これは私どもが与党のときに、自社さでさんざん議論して、人権教育のための国連十年推進本部というものを立ち上げておるわけです。そして、それが活動しておるわけです。今の人権教育・啓発の現状、情勢にかかわって、ここでの取り組みなり、このことが当然踏まえられ、また言及されているというふうに私は認識しておいていいでしょうか。もう時間が来ていますので、端的で結構です。

吉戒政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この基本計画の策定に当たりましては、昨年の人権教育・啓発推進法が成立した際の衆参両院の附帯決議の趣旨に沿いまして、人権教育のための国連十年に関する国内行動計画を踏まえることにしております。

 この国連十年国内行動計画は、人権に関する課題を網羅的にとらえておりますし、その推進すべき取り組みも示しております。現在、関係各省庁におきまして、この計画に基づく関連施策がそれぞれ実施されているところでございます。

 したがいまして、今私どもでつくろうといたしております人権教育・啓発に関する基本計画の策定に当たりましては、これらの実情を十分に踏まえまして、さらに、国連十年国内行動計画策定後、これは平成九年でございますから、その後の国内外の諸情勢の変化にも配慮しながら、より一層充実した内容にしたいというふうに考えております。

植田委員 中身を最終的に見させていただいてから、私も時間があれば一市民としてパブリックコメントもさせていただければと思っておりますが、それよりも、また委員会でお話を伺う機会があればとも思います。

 一点だけ、簡単なことで文科省さんをお呼びしていて本当に恐縮なんですが、きのうレクしたら、法務省では答えられへんから文部科学省を呼んでおくれやすという話だったので、お願いしたのです。

 というのは、厚生労働省所管で隣保館というのがあります。社会福祉法の中で隣保事業という項があって、それを根拠にして隣保館というのがあるわけですが、これは地域における人権センターという位置づけがあろうかと思います。社会福祉施設であるということは当然そうだと思うのですが、隣保館の設置運営要綱を見てみますと、社会福祉施設であると同時に、社会教育施設としての概念もそこには重なり合って入っているのじゃないかというふうに私は理解するので、そういう認識でいいのかどうかということだけお伺いしたいということでわざわざ、無理を言いました。済みませんが、簡単で結構です。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 隣保館につきましては今先生御指摘のとおりりだと私どもも承知をいたしております。公民館は、これはもう言わずもがなではございますけれども、社会教育法に基づきまして、実際生活に即する教育あるいは文化に関する各種事業を行う社会教育施設ということで、本来、法律上の目的とか性格は異なっているわけでありますけれども、人権教育あるいは人権啓発に関する施策を一層推進するためには両者の連携というものが大切であろう、こう考えておりまして、私どもは、従来から、この隣保館と公民館等の社会教育施設が、それぞれの特色を生かしながらも、地域住民の人権問題に対する理解の増進を図り、課題の解決に向けて積極的な連携を図っていくように話もしておりますし、引き続きまた都道府県を通じまして指導もしてまいりたいと思っております。

植田委員 これは後で私に教えていただければ結構ですが、今回文部科学省をお呼びしたのですが、隣保館の設置運営要綱では「福祉の向上や人権啓発のための住民交流の拠点となる地域に密着した福祉センター」とあるわけなんですね。昨年の教育・啓発推進法の審議で、これは議員立法でしたけれども、何で人権教育と人権啓発と定義分けするのだと聞いたら、当時の提案者が、いや、人権教育は文科省所管でございまして、人権啓発は法務省でございまして、つかさつかさで定義分けをしたのでございますという答弁があったわけです。隣保館設置運営要綱では「人権啓発」と書いているのに、何でレクのときに、いや、これはちょっと法務省ではお答えしかねますのでということになったのか、ちょっと不思議に思っております。それは単に意思の疎通がうまくいかなかったのかもしれません。レクに来られた方との意思疎通、私の方が言葉足らずの点があったかもわかりませんが、これは事後でいいので、ちょっと御説明いただければと思います。

 先に進みます。

 この基本計画の中で、普遍的な人権といいましても、人権や差別にかかわる問題というのは、当然、個別具体的な課題でございます。それは、人権教育のための国連十年の行動計画でも九項目にわたって、「重要課題への対応」ということで、幾つもあるわけでございます。ですから、それぞれの問題、例えば、法律で整備されておっても実際まだまだ内実が伴っていないとか、法律そのものが存在し得ないとか、また、事業がなされているけれども心理的差別は実際まだ解消されていないとか、個別の問題によって、例えば在日の問題、アイヌ民族の問題、被差別部落の問題、いろいろと、それぞれ当然対応方が違ってくるという意味においては、そうした重要課題をそれぞれの手法で解決していくという努力がやはりなされなければ、またそういう方向性がこの基本計画で示されなければ、画竜点睛を欠くということになるかと思うのです。

 ここで、同和問題、部落問題を例示いたしますと、人権教育のための国連十年国内行動計画では「同和問題」という項目があるわけです。そして記述がされておるわけですが、当然ながら、恐らく基本計画でも、十年の行動計画を踏まえながらですから、それだけさくっと抜け落ちることはないと思っていますのでその点は結構ですが、この同和問題にかかわって、この間事業法がずっとあったわけです。最終法であります地対財特法が来年の三月で期限切れを迎えるということで、いわゆる特別対策としての同和対策事業というものはそこで終了するということでございます。

 しかし、そのことがすなわちイコール部落差別が解消したということを意味するわけではないわけです。当然ながら、人権を確立し、差別を解消するというトータルな行政の中において部落差別を解消して同和問題を解決していく、その行政というものは当然これからも存在し得るというふうに理解しておいていいのかどうか、その点についてお願いできますでしょうか。

吉戒政府参考人 先生御承知のとおり、法務省におきましては、かねてから、同和問題が憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるというふうな認識のもとに、国民に対する啓発活動をこれまで行ってきたつもりでございます。

 御承知のとおり、平成八年五月十七日に出されました地対協意見具申におきましても、「同和問題に関する国民の差別意識は解消へ向けて進んでいるものの依然として根深く存在しており、その解消に向けた教育及び啓発は引き続き積極的に推進していかなければならない」というふうに書いてあるところでございます。

 さらに、私どもの人権擁護推進審議会におきましては、平成十一年の七月にいわゆる人権教育・啓発に関する答申を出しておりますけれども、その中でも同和問題を主な人権課題の一つとして位置づけております。

 したがいまして、来年の三月末でいわゆる地域改善対策特別措置法が失効しました後も、より一層、同和問題の早期の解決に向けて、法務省の人権擁護機関におきまして積極的な啓発活動を進めてまいりたいというふうに考えております。

植田委員 済みません、あと一問だけお伺いして終わりたいのですが、三点目ですが、人権侵害の被害救済にかかわる国内人権機関にかかわってです。

 午前中も、また先ほども質疑がありましたので一点だけにとどめますが、答申でもわざわざパリ原則を資料として添付されておられます。こういうのを見ていますと、恐らく法務省の御決意としては、国際水準、パリ原則に沿って、どこへ持っていっても恥ずかしくない、恥ずかしくないどころか、自信を持ってこれぞ国内人権機関だと言えるような人権機関をおつくりになる決意で恐らく鋭意作業をされているものであろうというふうに私は確信したいわけでございます。

 その一つの大きなポイントは、やはり独立性の確保だろう。これについても、恐らく三条委員会でどうのこうのという話、そこはもうやりとりがあったでしょうから繰り返しませんが、パリ原則によれば、「構成並びに独立性及び多様性の保障」ということになっています。

 当然、独立性というものを確保される一つの目安として、どういう構成メンバーなのかとか、多様性がどういうふうに保障されているかというものを担保されていなければ、三条委員会でこしらえましたというだけでは内実を伴わない場面も出てくるのじゃないかと思います。

 ちなみに、このパリ原則では、るる書いてあるのですが、五つの参加させる対象、こういう人たちを参加させるのがいいですよ、させるべきだよということ。これは答申に添付されている資料でございますが、aが人権と人種差別と闘う努力とを責務とするNGO、労働組合等々、bが哲学または宗教思想の潮流、cが大学及び資格を有する専門家、dが議会、そして、五つあるうちの最後の五番目に政府の省庁とあるのですが、括弧書きで「これが含まれる場合、その代表は助言者の資格においてのみ審議に参加すべきである」と。関西弁で簡単に言うと、余り出しゃばったらあきまへんでという趣旨だろうと私はこれを読み解くわけでございます。

 少なくとも、こうした多様な人たちがその独立性の確保されるであろう委員会にしっかりと参加をされるということが保障されなければならないし、また、まさに答申の中で参考資料としても添付されていて、恐らくこのパリ原則にかなった形で立派なものをつくろうと御決意されている法務省の方ですから、政府の省庁でこういうふうに括弧書きで書いてあるなということも十分御理解いただいていると思います。

 そういう意味で、独立性の確保に加えて、それが確保されるためにはそうした構成、多様性というものが保障されなければならない。その点、特に構成、多様性というものをどのように担保していくおつもりか。これは、時間がありませんから簡単でいいです。こうしたパリ原則を十分踏まえて対応いたしますと一言いただければ結構でございますので、そうでないということであればちょっと長くなるかもしれませんが、お願いいたします。

吉戒政府参考人 人権擁護推進審議会の答申におきましては、当然のことながら、パリ原則あるいは人権ハンドブック等の国際スタンダードを踏まえた提言がされたものと承知しております。

 今、人権委員会の委員の構成の点でございますけれども、これは答申におきましても、人権問題を扱うにふさわしい人格識見を備えた者を選任すべきである、その選任手続については、透明性を確保するとともに、国会の同意を要件とするなど国民の多様な意見が反映される方法を採用すべきであるとの指摘がなされてございます。

 したがいまして、こういうふうな答申の提言に沿った方向で、今立案の作業を進めております。

植田委員 もう終わりますが、短い答弁でよかったのです。答申がパリ原則を踏まえながらやっているわけですから、そのパリ原則を踏まえるのですねということを聞いているだけなので、これはまた次回、別の機会をいただいたときにやります。済みませんでした。

 以上で終わります。

保利委員長 次回は、来る七日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十七分散会




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