衆議院

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第4号 平成14年3月20日(水曜日)

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平成十四年三月二十日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 園田 博之君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 棚橋 泰文君 理事 山本 有二君
   理事 加藤 公一君 理事 平岡 秀夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 西村 眞悟君
      荒井 広幸君    小此木八郎君
      太田 誠一君    後藤田正純君
      左藤  章君    笹川  堯君
      下村 博文君    鈴木 恒夫君
      西川 京子君    西田  司君
      平沢 勝栄君    保利 耕輔君
      松島みどり君    柳本 卓治君
      吉野 正芳君    岡田 克也君
      鎌田さゆり君    佐々木秀典君
      日野 市朗君    牧  義夫君
      水島 広子君    山花 郁夫君
      石井 啓一君    藤井 裕久君
      木島日出夫君    中林よし子君
      植田 至紀君    徳田 虎雄君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        横内 正明君
   法務大臣政務官      下村 博文君
   最高裁判所事務総局総務局
   長            中山 隆夫君
   最高裁判所事務総局人事局
   長            金築 誠志君
   最高裁判所事務総局民事局
   長           
   兼最高裁判所事務総局行政
   局長           千葉 勝美君
   最高裁判所事務総局刑事局
   長            大野市太郎君
   政府参考人
    (内閣審議官
    兼司法制度改革推進本
    部事務局長)      山崎  潮君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  和氣 太司君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 芦刈 勝治君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制
   部長)          寺田 逸郎君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    鶴田 六郎君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  吉戒 修一君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君
   政府参考人
   (公安調査庁長官)    書上由紀夫君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局ア
   フリカ審議官)      小田野展丈君
   政府参考人
   (国税不服審判所次長)  後藤 敬三君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           玉井日出夫君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十日
 辞任         補欠選任
  鈴木 恒夫君     小此木八郎君
  中川 昭一君     西川 京子君
  岡田 克也君     牧  義夫君
  不破 哲三君     中林よし子君
同日
 辞任         補欠選任
  小此木八郎君     鈴木 恒夫君
  西川 京子君     中川 昭一君
  牧  義夫君     岡田 克也君
  中林よし子君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
三月二十日
 定期借家制度の廃止に関する請願(石井郁子君紹介)(第九〇八号)
 同(大幡基夫君紹介)(第九〇九号)
 同(穀田恵二君紹介)(第九一〇号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第九一一号)
 同(中林よし子君紹介)(第九一二号)
 同(不破哲三君紹介)(第九一三号)
 同(藤木洋子君紹介)(第九一四号)
 同(吉井英勝君紹介)(第九一五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――
園田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官和氣太司君、司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、警察庁長官官房審議官芦刈勝治君、生活安全局長黒澤正和君、刑事局長吉村博人君、総務省行政管理局長松田隆利君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、民事局長房村精一君、刑事局長古田佑紀君、矯正局長鶴田六郎君、人権擁護局長吉戒修一君、入国管理局長中尾巧君、公安調査庁長官書上由紀夫君、外務省中東アフリカ局アフリカ審議官小田野展丈君、国税不服審判所次長後藤敬三君及び文部科学省大臣官房審議官玉井日出夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
園田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
園田委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所中山総務局長、金築人事局長、大野刑事局長、千葉行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
園田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
園田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
佐藤(剛)委員 自民党法務部会長の佐藤剛男でございます。
 きょうは時間が十五分でございますので、理事会ではお許し得ましたが、委員長、数字等については、皆様方の御討議の材料として、また私の質問に関連しますので、配付資料をお願いいたします。
 まず第一に申し上げたいことは、森山法務大臣が所信表明で第一に挙げられたのが、司法制度改革でございました。これは、内閣にも事務局が山崎事務局長を中心に五十数人でできていることだし、司法制度改革推進の副本部長になっておられるのが法務大臣である。そういう観点で今現在の司法の置かれている状況を見ますと、今こそしっかりとした裁判官の増員、裁判官だけじゃないですよ、書記官も含め、それから検察官も含め、つまり司法のインフラストラクチャー、人材インフラストラクチャーとでもいうんでしょうか、それがいかにも少な過ぎる。
 僕は拝見して、こんなことでよく運用をやってきたなと思って、私は、司法制度改革調査会を最初に自民党の中で立ち上げたときから、当時、保岡さんとともに、太田さんが主査やって、僕が補佐やって動き出したものでありまして、そのときの裁判所の予算の低さ、三千億円ぐらいしかなかった。それから人間の数が極めて少ない。不足ですね、簡単に言いますと。
 そういうことで、これをしっかりと政治の方できちんとやらないと、きちんとした司法制度というのを持たない国はみんな滅びている。世界の歴史は全部それが明らかになっているわけでありまして、その意味で、この司法改革の一つの大きな中核体としまして、裁判官の不足を解消すること。この法案のまさしくそれはこれなんですけれども、一生懸命やってわずかこれしかならない。これしかならないんですよ。
 それで、僕が今資料をお配りいたして、それから最高裁に聞こうと思っていますけれども、どれだけ今司法事件がふえているか。そごうが対象になりました民事再生法、何件ありますか。それはみんなお配りしている中でごらんいただけると思います。それから特定調停法、これは議員立法でバブルのときにつくった。それで、これも配付資料を見たらわかりますが、何件ありますか。四十数万件あるでしょう。千七百件以上のものがあるでしょう。だれがやっているんですか。裁判所がやっているんでしょう、簡易裁判所を含めて。
 それで、いかにもこれを処理していますといって、優等生みたいなことで裁判所の方があれしているけれども、もっともっとこれはきちんとした体制整備をして、国民の権利をきちんと守らなければ、司法がきちんと守らなければ、国民に対する国の信頼感がない。こういう点について、まず森山大臣から、司法制度改革問題、そして、法務大臣の立場からごらんになって、本法案についての重要性、将来への抱負、まずそれをお聞きしたい。
 それから次に、最高裁判所の千葉局長、千葉君の方から、今どういうふうにこの件数を処理してやっているのか、これだけのものができるのか。四十万件ふえちゃっている。それから、そごう問題だけだって千七百件ふえている。新しい事実でしょう。その問題を私はまず聞きたい、時間がないから。僕は十五分しかないんですから。
 それからもう一つは、そのためには、方策としてふやすことはもちろん必要。それと同時に、裁判所に負担をかけちゃいかぬ。できるだけ負担を軽くしなければいかぬ。
 そこで呼んだのが、いろいろな医事訴訟の問題も出るし、建築関係の訴訟も出るだろうし、それから知的財産の問題も出るでしょう。しかし、一番大きな問題は、国民の憲法上の義務である納税義務、しかもその納税について、税金を納めない下端の三百七十七、八万の部分を上げようとか下げようとかいろいろな話がある。
 そうするときになって、国民は、現場の税務署のマル査というのかな、調査に入って決められた瞬間に、これが最高裁まで争うにも、訴訟にどれだけの時間がかかり、金がかかるか。それを僕は今示そうと思って配った資料であって、国税庁長官もみんな呼んであれしたいと思っていたのだけれども、これはきょうは別にして、別の機会にするが、一つの例として、裁判所に対する負担を減らすために、国税不服審判所の後藤次長、来ているな、あなたに、今後の行政不服審査のあり方の問題、どういうふうになっているかという問題をあれして、僕は資料を配ってありますから、説明は省いて、そういうふうなことの段取りで私の質問をいたしますので、立ち戻りまして、まず大臣から御答弁をいただきたい。
森山国務大臣 大変力強い激励をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。
 司法制度改革というのは、明確なルールと自己責任原則に貫かれました、事後チェック・救済型社会への転換に不可欠な重要かつ緊急の課題でございまして、これを実効性あるものにするには、裁判官、検察官を初めとする司法を支える人材が必要でございます。それはもう先生のおっしゃるとおりでございまして、どんなに立派な制度をつくりましても、それを動かすのは人間でありますので、人材が十分いなければその実を上げることはできません。したがって、そのために必要な財政上の措置などを講ずることにいたしまして、この新しい社会にふさわしい、国民にとって身近で信頼される司法制度の構築に全力を傾けたいというふうに思っております。
 今お願いしております増員のためのこの法案でございますが、とりあえず、判事三十人、判事補十五人ということをお願いしているわけでございますが、もちろんこれは当面のものでございまして、実際にはさらに大幅な増員を何とか力を入れて、先生方にも御支援をいただいて、実現したいというふうに考えております。
佐藤(剛)委員 今、法務大臣がおっしゃられましたが、私は一けた違うんじゃないかと思って見ておるわけですよ、この増員の問題について。ですから、それについて、これは政治家がきちんとやらなきゃいけないし、財政当局もきちんとやらなきゃいかぬし、内閣にわざわざ司法制度の本部を置いたんだから、置けばいいってもんじゃないんですから、総理からきちんと入れて、予算はつけて、そういうふうなことを遠慮なく、大臣、私どもを使ってやっていただきたいと思います。
 じゃ、次、最高裁。今の現状で、まず、そごうの問題であれになった和議法を直した民事再生法、実行されてからどのぐらいあるか、確認を求めます。
千葉最高裁判所長官代理者 委員御指摘の民事再生の事件でございますが、十二年の四月から施行になっております。十二年では全国で六百六十二件の件数がございます。十三年では千五十七件と、件数が非常にふえているという状況でございます。
佐藤(剛)委員 千葉局長、これはだれがやっているんですか。ちゃんとできるんですか。
千葉最高裁判所長官代理者 この民事再生事件を担当しているのはもちろん裁判所でございまして、裁判官がやっておるわけでございますが、この事件は、やはり再建に向けての債務者側の努力、債務者側の本人、代理人の努力、それから関係する債権者、そういった人たちの協力のもとに手続を進めているということでございますが、裁判所が主宰する手続であるということは事実でございます。
佐藤(剛)委員 僕が言いたいことは、これだけふえている、仕事が。さらに、配付資料の中で、時間がないからあれですけれども、特定調停事件、これ、ごらんください、皆さん。四十八万件になっているんですよ、ふえているのが。どこでやっているんですか、これ、千葉局長。
千葉最高裁判所長官代理者 特定調停事件は、議員立法によりまして調停手続の特例としてお認めいただきまして、現在、簡易裁判所でこの事件を処理しております。
佐藤(剛)委員 四十八万件の処理を簡易裁判所がやって、裁判官の中に、組合というものはないだろうけれども、何の不満も出てこないというのは僕は驚きなんだけれども、それでうまくいっているんですか。局長、もう一回言ってくれ。
千葉最高裁判所長官代理者 特定調停事件は、件数は非常に多いんでございますけれども、調停委員の活躍によりまして、事件としては非常に順調に処理できていると思っております。処理期間は、手元にデータは持っておりませんが、二カ月、三カ月程度の短い期間で処理ができているというふうに思っております。
佐藤(剛)委員 私が最初に言ったのは、非常に裁判所というのは予算のとり方も下手。三千億だ、わずか。国の予算が八十五兆の中でわずか三千億だよ。それから、古い建物があったり何していて、非常に老朽化している。そういう面でのものを応援しようというのがこの司法改革なんだから、しっかりと必要なものはきちんと要求して、いいですか、裁判するにはきちんとしたそういう人材が要るんだから、それをお願いします。
 それから、次、行政不服審査法の問題について言います。
 納税義務というのは憲法にある。だから、納税義務で、今、三月十五日になるとみんな行く。それぞれみんな、そこで一たん決まる。あるいは、これは危ないなと思ったときはマル査が出てくる。調査する。そこで今度は決まる。決まった部分についてどんな手続があるかというのが、お配りした資料の行政不服審査の手続であります。つまり、不満を持っている人はすぐに裁判所に行けない。そうですね。後藤次長、答弁。一々おれは確認とるんだから、ちょっと答弁してください。
後藤政府参考人 不服申し立て前置主義につきましての御質問でございますが、そのとおりでございます。
佐藤(剛)委員 そこにいてくれ。
 それで、まず、不満がある人は何カ月以内に異議を申し立てできるんですか。
後藤政府参考人 御答弁申し上げます。
 不服申し立ての第一段階といたしまして、税務署長への異議申し立ては、処分から二カ月以内にしていただくこととされております。
佐藤(剛)委員 異議申し立て、当該税務署長だわね、簡単に言えば。税務署員がこれを立てた、百万円おかしい、一億円のこの決定なんておかしいといったときに、異議申し立てを税務署に言いますね。そうすると、そのときに税務署で大体これは何件ぐらいそういう処分というのが全部であるんですか、異議申し立て処分。
後藤政府参考人 お答えを申し上げます。
 今、手元の資料で御答弁申し上げますが、異議申し立て件数は五千六百五十件と承知しております。
佐藤(剛)委員 ちょっとちょっと、大間違いじゃないか、それ。異議申し立てだよ。各税務署のところに行っている、これはちょっとおかしいですよと争っている人たちの話だよ。九十万件あると僕は聞いているよ。あなたが言っている六千件というのは不服審査の中に来る話じゃないの。そこの違いをちょっと言ってください。
後藤政府参考人 今先生の御指摘のような大量の処分等が行われますが、この不服審査の手続といたしましては、第一段階目に異議申し立て、二段階目に審査請求というふうになってございますが、その異議は五千六百五十件でございます。審査請求は、お手元に……
佐藤(剛)委員 いやいや、だから要するに非常に複雑なんですよ。すぐに裁判に行けないんだ。いいかい。これが前置主義だと書いてある。僕は何を言いたいのかというと、不服審判所というのがあるんだから、わざわざ前置主義で、すぐに訴訟へ行けないんだ、地裁に。
 そして、そのためには、異議申し立てがあって、審査請求しなきゃいかぬでしょう、不服審判所に。あなた、不服審判所のナンバーツーだろう。異議申し立ての後何カ月以内にやらなきゃいかぬの、不服審判所に。応じなかった納税者、おかしい、おれのところ一億もやられるはずない、解釈の違いだという人はどこに行くの、今度。
後藤政府参考人 異議決定がございました後の、不服申し立ての第二段階といたしましての審査請求は、異議決定から一カ月以内に行っていただくこととされています。
佐藤(剛)委員 いや、違うんじゃないですか。異議申し立てというのは処分をやってから二カ月以内にやって、今度はそれが終わったら審査請求に行くんだろう、あなたのところに。審査請求というのはあなたのところに行くことなんだろう。そうだろう。何件来ているんだ、毎年。
後藤政府参考人 平成十二年度で申しまして、受理いたしました件数は三千四百五件でございます。
佐藤(剛)委員 その三千件受理して、そして棄却とか却下するわね。理由がない場合に棄却、手続がおかしい場合には却下する。そうでしょう。それ、三千のうち何割棄却、却下する。つまり、簡単に言えば、納税者が負けるというやつだ。それについて、審査まで行って、いや、一億円というのはちょっと高過ぎたな、じゃ五千万にしようかと。一部修正だな。それから、もともと解釈の間違いだったから直しましたと、何割が原告つまり納税者が認められて、何割が認められないのか。簡単な話だ。
後藤政府参考人 平成十二年度の不服申し立ての処理状況でございますが、棄却件数が全体の六六%、却下件数が一〇%、全部または一部の認容でございますが、一五%と承知しております。
佐藤(剛)委員 一五%を直したということだな。(後藤政府参考人「さようでございます」と呼ぶ)一五%しか直さないで、ほかのものはみんな却下、棄却だというから、前置主義でやっても、一たん現場で決めたものは全部行くわけだね。
 そうすると、その人たちが、次の手続としては地裁に申し出しなきゃならぬ。それから、だめな場合、次には高等裁判所に行かなきゃならぬ。次には最高裁判所に行かなきゃならぬ。何人行っています、裁判に。つまり、僕が言いたいところは、裁判所のお世話になって裁判所に負担かけているのは一年間に何人いるんだということだ。
後藤政府参考人 審査請求事件の処理で三千七十一件を処理してございますが、一審訴訟に行かれます件数は、そのうち四百七十五件と承知しております。
園田委員長 佐藤君、申し合わせの時間が過ぎております。
佐藤(剛)委員 済みません。では、もうやめます。
 それで、僕が聞こうと思ったのは、それは最高裁に行くまでの間に、僕の情報では六年かかる。六年かかって一億のものが、数字をきょう配付しているけれども、一億二千五百万になっちゃう。金がなければ最高裁まで争えない。いいか。
 それで、そういう前置主義をとっていて、不服審判所というのがあって、あなた方があるんだから、裁判所には出さないぐらいの、憲法七十六条で、行政機関は特別裁判所というのを置いちゃいかぬということになっているからやむを得ないが、あなたのところの審判所がしっかりとやれば、裁判所の負担をかけないで税務訴訟というものは済むんだよ。
 アメリカは日本の十倍の税務訴訟というのが起きているんだよ。いいかい。そうすると、そもそも行政不服審査があるということ自体も国民は余り知らないよ。だから、これをきちんと申告のときに配り、あるいは新聞の中に折り込みで入れるとか、そのぐらいのことをやらないと、国民は税金問題について百姓一揆を起こすよ。いいかい、しっかりとやるのが君らの仕事だよ。
 この問題は時間がないからこれ以上は取り上げないけれども、あらゆる機会に、一般質問もあるんだから、一般質問のときの宿題として残しておくから、よくやってください。
 それから最後に、副大臣、話聞いていて、法務副大臣として感想を。
横内副大臣 大変に重要な御指摘だと思っております。
 委員も御案内のように、司法改革の一環として、ADRというような、こういった専門分野の紛争処理の制度の充実を図っていかなきゃいかぬということも指摘をされて、司法制度改革の大変に重要な課題でありますので、法務省としても勉強していきたいというふうに思います。
佐藤(剛)委員 委員長、どうも申しわけございませんでした、少々時間を超過して。
 また引き続きましてやりたいと思います。また、おいでいただいた方々に質問できなくて、お許しいただきたいと思います。ありがとうございました。
園田委員長 石井啓一君。
石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。
 今回、判事三十名、判事補十五名、裁判官四十五名の増員でございますが、司法制度改革審議会の意見書では、裁判官は大幅に増員すべきであるというふうにしておりまして、具体的には、注書きで、事件数がおおむね現状どおりとすれば向後十年程度の期間に五百名程度の裁判官の増員が必要になる、そういう最高裁判所の試算も記述をされているわけでございますけれども、まず、この最高裁判所の試算がこの審議会の意見書できちんとオーソライズされているのかどうかということを確認いたしたいということと、それから、このたびの法改正はこの試算に基づいた初年度としての増員要求というふうに理解をしていいのか、確認をいたしたいと思います。
山崎政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、最高裁判所は司法制度改革審議会におきまして試算を示しております。
 この試算は、今後、事件がおおむね現状どおりで推移すること、これを前提といたしまして、向こう十年程度の期間で五百名程度の裁判官の増員が必要であるというふうにうたわれております。また、事件数が増加すれば、それに対応する増員が必要であるということもうたっているわけでございます。
 これは、私どもといたしましては、最高裁判所としての一つのシミュレーションを行ったものであるというふうに理解をしております。今後、各年度の裁判官の具体的な増員につきましては、昨日閣議決定されました司法制度改革推進計画のもとで、各種制度の改革の進展あるいは社会の法的需要を踏まえるなどいたしまして、必要な措置を講じていくことになるというふうに認識をしております。
中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 裁判所として今回の増員四十五名というものがそういった裁判所の試算を反映したものかどうかという点でございますけれども、今事務局長の方からお答えありましたように、裁判所としてシミュレーションしたところは、現在の事件数を固定して、そしてまた、制度等今後改革していかなければいけないところもないものと仮定して、その上で審理期間を一年ということにするためにはどうしたらよろしいかということで試算したものでございます。
 今後、そういったところで、また、司法制度改革で手続法等いろいろ変わってまいりますし、あるいは、弁護士がふえてきて、その質あるいは訴訟活動の内容、そういったものがいろいろ変わってまいりますけれども、そういったところをおきましても、今回のものは、前回審議会に対して最高裁の方からシミュレーションした結果を反映した増員要求である、こういうふうに御理解いただいて結構でございます。
石井(啓)委員 ところで、この司法制度改革審議会の意見書の中では、最高裁の試算、裁判官については五百名という数字を載せていらっしゃるわけでありますけれども、裁判官以外の裁判所の職員については、これも体制の充実強化ということで増員が必要というふうにされているんですが、具体的な増員数は載せていらっしゃらないわけでありまして、最高裁も恐らく試算はこの時点では出していないと思うんですけれども、この司法制度改革に伴って、裁判官以外の裁判所職員の増員というのはどの程度必要というふうに裁判所としては理解をされているんでしょうか。
中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 確かに、審議会に対しての中では、裁判所職員については、適切な増員を図っていく必要があるということは申し上げておりますが、具体的な数字は出しておりません。しかし、今後、裁判官を増員し、あるいは事件数が伸びていくというようなことになりますと、裁判所書記官あるいは家庭裁判所書記官というものの増員はまた不可欠でございます。
 ただ、具体的な増員規模について、どの程度かということを考えてみますると、例えば書記官を例にとってみましても、担当部署や事件数、あるいは裁判部の有無など庁の規模によって裁判官と書記官の比率は異なるというところでございまして、一概に裁判官の数の何倍というふうには言いがたいところがあることを御理解いただきたいと思います。
 具体的に申し上げますと、例えば一般の訴訟事件を扱っております立会部では、裁判官が三人のところに対して書記官が五人あるいは八人といったところでばらつきがございますし、他方で、執行事件等をとらまえてみますると、裁判官一人に対して書記官が七人というような部署もございます。
 そういうことを考えますと、今後どういった事件がふえてくるかといったところにも規定されてまいりますし、さらに、今後、民事訴訟法等のそういった手続法がどういうふうに改正されていくか、さらにはIT技術を利用したシステムがどのように裁判所の中に入ってくるか、そういったところも考えませんと、なかなかその辺の数は言えないというところはぜひとも御理解いただきたいと思います。
 裁判所としてこういうふうに答えておりますけれども、決してこれは一般職員について消極的な姿勢ということではございませんで、適切な数は必ず確保してまいりたい、こういうふうに思っていることだけは申し上げておきたいと思います。
石井(啓)委員 私が今司法制度改革審議会の意見書の中身を問いましたのは、私は、今回、この裁判所職員定員法、初めて法律を見させていただいて、裁判所の職員というのは毎年法改正で定員を決めているんだ、なかなか厳格な手続だな、こういうふうに思ったわけですけれども、ただ、例えば十四年度の定員の増員の中身、これが適正かどうかを判断するのにどこに根拠を置いたらいいのだろうか、こういうふうに考えたわけですね。
 確かに、今回の法律についてもそれぞれ理由が出されておりますけれども、毎年度毎年度、恐らく理由を立てて増員なり減員なり定員の要求をされていると思いますけれども、私は、当然のことながら、中期的なある方向性を持った上で毎年度の定員の法改正はやはりやられているんだろうと。
 ですから、中期的な方向というのをやはりきちんと示した上で、当該年度の定員がどうなっていくのか、こういう見方でないと、毎年度毎年度、委員もかわるわけでしょうから、新しい委員がまた見て、それが適切かどうかというのはなかなか判断しにくいんじゃないか、こういうふうに思いまして、今回はたまたまこの司法制度改革審議会の意見書が出されているというタイミングでございますから、今後の方向性もある程度見えているわけでございまして、その方向性の上に立ってやはり毎年度の定員のあり方というのは考えるべきであろう、私はこういう問題意識を持っているわけでございます。
 そういった意味では、この裁判所の職員の定員についても中期的な計画というのがどうしても必要なんじゃないか、私はこういうふうに考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 裁判所の定員につきましては、他の行政省庁と違いまして、総定員法という形ではなく、今委員御指摘のとおり、毎年毎年こういった形での裁判所職員定員法の改正ということで改正いただいているわけでありますが、これは、毎年の事件動向等を踏まえて、国会の方から、裁判所がきっちりと迅速適正な裁判に向けて努力をしているかどうかということをいろいろ御審議いただく、そういった利点もあろうかというふうに思っております。
 今委員御指摘になりました中期的な観点からというところにつきましては、基本的に、裁判所の裁判官数あるいは一般職数というのは事件数の動向に大きく規定されるところがございます。また、その事件数がどういった事件で伸びを示しているか、あるいは減ってきているか、そういったところにも大きく規定されているところがございまして、そういう意味では、こういった形での御審議というものは、一定、ある意味では合理性があるのかなというふうにも考えております。
 ただ、今御指摘いただきましたように、審議会が司法制度改革についての意見をお出しいただいたというところでもございまして、裁判所としては、さらに適正迅速な裁判を実現するという観点から、例えば審理期間を民事事件、刑事事件、家事事件等で半減する、そういう観点からシミュレーションをした結果が、さきにお話し申し上げました約五百人という数でございます。それを実現すべく、裁判所として今回の増員要求も行っているということでございます。
石井(啓)委員 私の手元には、過去の増員の経緯については平成四年から平成十三年度までの十年間のデータしかないんですけれども、例えば裁判官を見ますと、これははっきり方向性が出ていまして、平成四年から平成十二年までの九年間は判事補しかふやしていないんですよね。判事補だけしかふやしていなくて、数えましたら百九十一名ふやしています。判事については十三年から増員が出されていて、十三年が三十名。十三年は判事補さんは増員要求がなくて、またことし、十四年になって出てきていますね。
 先ほど、毎年の事件動向を踏まえてやるとおっしゃったけれども、では、この過去十年間を見て、何で判事補だけふやしてきたんですか。
中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 御承知のとおり、本当の意味での戦力ということになるのは、今お話しになりました判事ということになりますけれども、判事になるためには十年間の法曹資格が必要でございまして、その判事任官者の事実上の給源になっているのは判事補でございます。したがって、判事を増員できるかどうかということは、十年前の判事補がどの程度いたかというところから規定されるわけでございます。
 したがって、この十年間、ずっと事件数がバブル崩壊というものを受けてふえてきている、右肩上がりにどんどん伸びてきている、そういった中で、まず判事補を増員し、そして十年後になりましてようやく判事が増員できるような体制になってきたということでございます。
 本来でありますれば、その間、弁護士任官ということで、弁護士から判事になる方が非常に多いということになりますれば、そのあたりがまた変わった様相を呈してきたわけでございますけれども、一生懸命そのあたり裁判所の方も努力してまいりましたが、現実には、十年間で五十人程度の弁護士しか判事に任官しないという状況でございまして、現実に増員を判事でいただきましても充員ができない、こういったことになりますので、そのあたりの仕組みについて御理解いただきたいというふうに思います。
石井(啓)委員 もう一つ、裁判所の裁判官以外の職員についても、これもはっきり方向性が出ているんですよね、過去十年間を見ると。書記官を毎年ふやしていらっしゃいますね。合計で千三百十五名ふえています。一方で、技能労務者は毎年減らされていますね。十年間で二百八十九名減っています。速記官については、十年度から減らされている。これは十年度からなんだけれども四百名減っていますね。
 この十年間の職員の動向というのは、どういうふうに決めているんですか。
中山最高裁判所長官代理者 平成三年以降、バブル崩壊で執行事件、破産事件というものが非常にふえてまいりました。その結果、そこの中心的な戦力になるのは書記官でございまして、しかも、今後また右肩上がりに事件数が伸びていくことを考えますと、今後も裁判所においては書記官が非常に必要になるだろう、こういうふうにまず考えていた土壌がございます。
 他方で、他の行政省庁等を見ましても、いわゆる現業の行(二)の職員につきましては、すべてアウトソーシングというような形でやっているところがございますけれども、それが多うございますが、裁判所はずっとそういうことをやりませんで、行(二)の職員がおりましたけれども、そのあたり、国家財政が厳しい折から、もっと合理化を進めていかなければならないだろう、こういうふうに考えておりました。
 ただ、そういいましても、現実に勤務しておられる職員がおるわけでございますから、そういう方を、もちろん、そうやってやめていただくわけにはまいりませんので、定年でおやめになる方、その後の補充をせずに、そこの定員を振りかえていったというところが一つでございます。
 それから、速記官制度につきましては、実は速記官というものをずっと養成しておりましたけれども、これは二年間の研修をやってようやく一人前の速記官になりますが、現実に速記官はどの程度の仕事をやるかといいますと、週二時間しか法廷に立ち会えない、月八時間しか立ち会えない、こういうような状況でございます。
 今後、逐語録がどんどん必要になってくる中で、それではそういった逐語録需要に応じていけないだろう、そういうことを全体として考えまして、速記官を含めて今後の裁判所に対する逐語録体制をどういうふうに考えていくかということを平成九年に決しまして、今後は速記官に対しては養成をやめて、それにかわるものとして録音反訳という制度を導入いたしました。
 その結果、速記官がその後定年を迎えたということになりますと、その定数は不要ということになりますので、これを返して、その分書記官の方に振りかえて、さらに定員の有効活用をしていく、こういうことにしたわけでございます。
石井(啓)委員 過去を振り返って、やはりちゃんと方向性があるじゃないですか。裁判官については、判事補をまずふやしておいて、十年たったら判事さんをふやす、こうなんでしょう。それから、書記官についてもふやしていく、速記官については、録音技術等が発達しているから減らしていく、行(二)の職員も全体として減らしていく、そういう方向性がちゃんとはっきりしているじゃないですか。
 そういう方向性をちゃんと明示した上で毎年度の改正をおやりになったらどうか、こういうことを私は言いたいわけです。過去もそうだったわけでしょう。
 今回は、特に司法制度改革という方向性がはっきりしているわけだから、その中の制度改正もこれからきちんと決まりますよね、手続についても、あるいは将来像についても。だから、司法制度改革の具体的な中身がある程度わかった段階で、では将来的に裁判官の人員的な体制はどうなるか、これははっきりつかめるわけですよね。そういったものをきちんと国民の前に明示した上で毎年度の定員の管理もやるべきだ、私はこういうことを言いたいわけですけれども、最後にもう一度答弁を求めます。
中山最高裁判所長官代理者 毎年毎年の事件動向等を踏まえてといいましても、数年間の状況を見ながら、あるいは予測しながらやっていることは委員御指摘のとおりでございます。
 また、裁判所としては、しかしここでもう少し長期的なスパンで考えなければならないということで、特に一番大事な裁判官数について、先ほど申し上げましたように、十年間で審理期間を半減する、こういう観点からシミュレーションし、そして四百五十人、プラス五十人、プラスアルファという数を出したわけでございますけれども、それに基づいての増員要求であるということで、裁判所もそういう方向に進んでいるということで御理解いただきたいと思います。
石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
園田委員長 佐々木秀典君。
佐々木(秀)委員 民主党の佐々木秀典です。
 きょうは裁判所定員法の審議なんですけれども、それと直接にかかわりがない問題ですが喫緊の重要だと思われる問題がございまして、それから質問をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。
 まず最初ですけれども、実は、鳥取県の米子にあります少年院、美保学園というところで、これは、初等・中等少年院ですけれども、定員オーバーして少年の収容者がいるようです、ここで、その収容少年たちの指導に当たっている教官が、つまり職員である教官が、反復して、収容されている少年たちに対して暴行を加えていたということが、三月十四日付の地元の新聞、二紙私のところでは把握しておりますけれども、二紙で報道をされております。
 その報道内容によりますと、収容されている少年約二十人が四人の男性教官から反復して暴行を受けていた。一番その中でも主導的だったのは、恐らくここに農園があるんだろうと思いますけれども、農耕指導を担当していた五十歳の教官。スコップで殴ったり竹刀で突き飛ばすなどもしている。これは、教育指導の一環だということのようですけれども、それにしても余りにもひどいということで、鳥取地検の米子支部が特別公務員の暴行陵虐容疑で捜査に乗り出しているということも報道されている。
 法務省は、この事実関係をどのように掌握されておられるのか。そして、それに対してどういう対応をとろうとしておられるのか。仮にこれが事実だとすれば、これはもう大変な人権侵害だと思いますけれども、職員の、担当者の処分についてはどうされたのか、あるいはされるつもりなのか、それを含めてお答えをいただきたいと思います。
鶴田政府参考人 お答えいたします。
 ただいま御指摘がありましたとおり、鳥取県の米子市にあります美保学園、ここにおきまして、昨年の八月ごろから本年一月までの間に、職員九名が二十数名の被収容少年に対しまして頭部をたたくなどしたという大変遺憾な事態が発生いたしました。このことは本年一月四日に発覚いたしましたので、広島矯正管区におきまして事実関係を調査した上、鳥取地方検察庁に通報いたしまして、現在そこで捜査が行われているところでございます。
 事実関係の確定につきましては、捜査中ですのでその結果を待たなければなりませんが、私どもの調査した限りでは、被害少年にはけがはなかったという報告を受けております。また、美保学園側から被害少年やその保護者に対しましては、事案の概要を説明いたしまして、加害職員が少年に対しまして可能な限り直接謝罪をするようにしております。
 今の対応は、まだ捜査中でございますけれども、とりあえず、事案を踏まえまして、職務の適正な執行について職員研修等の機会を通じてこれをさらに徹底させるとともに、監督者の巡回状況を見直すというようなことを行うべく、とりあえず三月十五日付で、全矯正施設に対しまして総務課長の通知を発したところでございます。
 なお、処分につきましては、現在捜査中ですので、その捜査結果を待ちまして、事実関係が明らかになり次第適切に対処したいと考えております。
佐々木(秀)委員 今のお話だと、とにかく事実があったことはお認めになっているようですね。その程度、内容などについては捜査中だということだけれども、しかし、検察庁の捜査にお任せをして、そこでの処分が決まらなければ当局としてはというようなことに私はならないだろうと思うのですね。司法捜査と別に、やはり矯正局としての調査はなさっているはずだろうし、またしなければならないと思うのですよ。
 そして、問題のある職員は、新聞報道では四名となっていたけれども、今のあれでは九名。これは大変な数ですよね。この者たちは今どういうようになっているんですか。そのまま職務させているんですか、あるいは職務を停止しているのか、その辺はどうなっているんです。
鶴田政府参考人 お答えいたします。
 事案の発覚して以来、捜査が行われておりますので、それに協力することにしておりまして、職責につきましては、先ほどお答えしましたとおり、捜査結果を待って迅速に対応したいと思っておりますので、現在の立場は、今美保学園に勤務しているということになっております。
佐々木(秀)委員 そういうことが美保学園としてもわかったわけでしょう。なぜ今までわからなかったのか。僕は、恐らく美保学園が隠ぺいしていたと思うんだよ。仲間内でもいろいろ言う向きがあるようだからね。それも報道されている。わかっているはずなのにそれが今まで発覚しなかったというのは、学園自体が隠しているとしか思えないんだよ。となると、私は、学園の代表者の責任だって大きいと思いますよ、院長を含めて。そういうことについても矯正局がしっかりやってもらわないと、これは大変な問題ですよ、人権侵害として。今のお話だと、傷害はなかったというけれども、これだって本当なのか。医者に見せないで隠ぺいしていたんじゃないの。そういう疑いだってあるでしょう。そういうことはだめですよ、隠したら。
 しかも、初等・中等少年院というのは、十四歳以上の子供たち、低年齢ですよ。しかも、非行歴の内容からいったって、そんな重大犯罪を犯した子供たちじゃないはずですよ。そういう子供たちに対して、幾ら教育のためといいながら、そこまで執拗な暴行を加えるというのは私は異常なことだと思う。
 ほかにはないんですか、矯正局。この際、全国の少年院を点検する必要があると私は思うけれども、そういう配慮はしていますか、これを契機に。
鶴田政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねは、美保学園以外にもという趣旨だろうと思いますけれども、私の記憶している範囲では、こういった美保学園のような多数の職員が関与したわけではありませんけれども、静岡県の駿府学園、あるいは群馬県所在の赤城少年院におきましても、職員が被収容少年に対しまして不適切な有形力を行使したというような事案がありました。まことに遺憾だというふうに受けとめております。
佐々木(秀)委員 私は総点検するべきだと思いますね。少年法の改正であれだけすったもんだしたんです。非行少年に対して、あの少年法の改正のときに論議になったように、幾ら厳罰主義というかそういうニュアンスを入れ込むにしても、やはり非行少年に対する対応というのは基本的には保護主義でしょう。どうやってそうした子供たちを直し、社会復帰させるか、ここのところにあるのでしょう。
 だとすると、それに対する対応の仕方というのは、本当に人間としての接し方を基本にしながらやらないと実は上がらないと私は思うのです。もう一回そこのところを基本に返って点検し、みんながそういう意識を持つようにしてもらわないと、本当に少年保護処分というのがもう絵にかいたもちになっちゃうということを私は心配せざるを得ないのですよ。そこのところを徹底してやってもらいたい。
 それから、さっき気になったのは、この問題になっている職員に対してですけれども、今そのまま職についているというようなことなんだけれども、謹慎させるとか職務停止をするとかそういう処置はしていないんですか。これは問題じゃないの。それはどうなっているんですか。
鶴田政府参考人 お答えいたします。
 加害行為に加わりました職員の職責につきましては、現在まだ行っておりませんけれども、四月の人事というのも、異動の期でもありますけれども、それ以前の段階で、しかるべく早急に検討したいと思います。
佐々木(秀)委員 たらい回しじゃだめですよ。ここで勤められないからほかの矯正施設にやるなんということだったら、またそこで問題を起こさないとも限らないのだから。それは、いっときはおさめているかもしれない。だけれども、そういう性向があるとすれば、意識が徹底的に変わらないとすれば、また繰り返すかもしれない。現に、この一番のひどい暴行をやったという人は、前の施設でもそういうことがあったという前歴があるようなことも言われているわけですからね。
 そして、子供たちにしたって、やった人間たちはわかっているわけでしょう。それがそのまま仕事しているというのは、一層不安が醸成されるんじゃないかな。何にしろ子供たちのことをよく考えてもらわないと私はいかぬと思いますよ。その点、しっかり心得て点検してください。
 また、今後、この後どうなったか、その処分などについて、今まだ最終的には処分されていないようだけれども、どうなったかについては聞こうと思いますので、それはあらかじめ言っておきますけれども、この際、本当に徹底してくださいよ、その点。
 一つは、最近犯罪が非常に多くなって、昨年もこの委員会で東北の方に視察に行きましたけれども、刑務所の収容者が非常に多かったということがございました。どうも少年院も、各地の少年院、収容定員よりは実際の収容数が非常に多い、過剰ぎみだ。一方、それに対して職員の数はふえないというようなことから、職員のいらいらが募っているんじゃないかという話もあるのですね。こういうことに対しては、法務省としてはどういうふうに対応していかれるつもりなのか、これはひとつ法務大臣にお尋ねしましょうか。
森山国務大臣 御指摘のとおり、行刑施設に入る収容者の数がふえておりまして、それを迎えるための施設が十分でないということは、全体として申せることでございます。
 少年院についても、場所によって多少の違いはございますけれども、今御指摘の美保学園は、この事件が起こりました当時、四〇%ぐらい定員オーバーしておりまして、非常に職員の負担が大きかった、そういうことがまたそのストレスにもなり、そのような不祥事にもつながったのではないかということも心配されるわけでございます。現在は、それは幾らか緩和いたしまして二〇%ぐらいのオーバーでいるようでございますが、それにしてもかなりのオーバーでございます。
 私どもといたしましては、これは非常に大切な分野でございますし、本当に最終的には人間でなければできないという非常に大事な仕事でありますので、できるだけ必要な数を確保しなければいけないと思いまして、十四年度の予算につきましては格別の御配慮をいただきたいということでお願いしておりますが、十分ではございませんけれども、精いっぱい努力をしたいというふうに考えております。
佐々木(秀)委員 こういう法務の仕事というのはやはり人なんですね。ですから、先ほど自民党の佐藤委員も述べておられたけれども、人員あるいは予算については相当思い切ったことをしないとその実が私は上がらないと思うのです。私もかねがね言っています。後で定員法の問題でもまたその点は質問したいと思いますけれども、そうした点で、予算要求にしてもやはり大胆な予算要求をし、また政府としてもそのことをお考えいただかなければならないんじゃないかと思っておりますので、私たちもこれについてはせいぜい援助いたしますから、大臣としても思い切って閣議でそのことを皆さんにお知らせいただきたいと思うのです。
 そこで、次の質問に行きたいと思います。
 次のお尋ねは、実は、一九九九年、平成十年ですけれども、いわゆる通信傍受法、私どもは盗聴法と言っておりますけれども、この法律がいわゆる組織犯罪法などと一緒に成立をいたしました。私たちは、これが大変問題がある、国民の人権にかかわりがあるということで反対をしたわけですね。しかし与党は、どうしてもこれが必要だ、組織犯罪あるいは麻薬犯罪などの捜査の実を上げるために欠かせない法律だということで、組織犯罪処罰法などとともに、非常に私どもの反対にもかかわらず、採決を強行されたことは記憶に新しいことであります。
 この法律は、平成十二年の八月から施行されておりますけれども、この法律の二十九条によって、その実施の状況については毎年国会に報告をする、こういう条項があるわけですね。ことしも、この条項に基づいて政府と法務省が二月の八日にこの実施の状況についての国会報告をなされたわけですけれども、この報告によって、昨年、平成十三年度の実施の状況についてどういう報告をなさっているか、これをひとつお答えいただきたいと思います。
古田政府参考人 平成十三年中の傍受の実施状況については、同年中に検察官または司法警察員において、傍受令状の請求手続をとったことはなく、またその発付及び傍受の実施はなかったという旨の報告をさせていただいたところでございます。
佐々木(秀)委員 念のためにお尋ねをいたしますけれども、これは十三年度ですが、施行後、十二年度についての御報告はどうだったですかね。
古田政府参考人 十二年につきましては、昨年の二月にやはり御報告をしておりますが、それにつきましても傍受の実施等はなかった旨の報告をさせていただいております。
佐々木(秀)委員 今お答えのとおり、この法律が施行されてから、実際に実施された、令状請求をされ、あるいはこれに基づいて事件の捜査が行われたということは一回もないということなんですね。
 だとすると、なぜあのときにあんなに緊急だということで、必要だということであの法律を通さなければならなかったのか。現実に何にも効果を上げていないわけですよ。私どもが言ったように、こんな法律は無益有害だと言った、皆さんからすると有害だとは思わないかもしれないけれども、益がないということはお認めになるんじゃないでしょうか、全然使われていないんだから。
 だとすると、私ども野党は、その後、この通信傍受法の廃止法案を出しているのですが、ずっと出してきている、むしろこのことも御検討いただいたらいいのじゃないかと思うのですね。
 それと関連いたしますけれども、実は、この政府の報告がことしの二月八日だということですけれども、その前日の二月七日ですけれども、国家公安委員会の定例委員会が開催されていますね。これには村井国家公安委員長も御出席になっておられるようですけれども、ここで、年次報告について警察庁から、今法務省の刑事局長から御答弁があったような報告があった。
 そして、それに関連して各委員からの発言があったようですけれども、そのうち一部の委員から、通信傍受法に基づく傍受の事例が一昨年に続き昨年もなかったということは、この法律が非常に運用しにくい面があるのじゃないか、使い勝手が悪いのじゃないかということから、この法律が運用しにくいのであれば、この法律を改正しなければならないと思われるという、改正を促すような発言があったようですね。あるいはまた、同じ委員かほかの委員か、氏名が特定されていないのでわからないのですけれども、捜査の傍受と行政傍受とを分けて考えて、行政傍受の必要性について検討してはどうかという発言があったというようにも聞いているのですね。こういうことについて事実であるかどうか、まずこのことをお尋ねしたいと思います。
吉村政府参考人 今委員おっしゃいましたとおり、平成十三年中の傍受実施状況につきまして、二月八日に国会報告をしているところでございますが、その前日に国家公安委員会が開催されまして、各委員にその旨報告をしております。
 その場で一部の委員から、これからの犯罪情勢に対応していく上で、同法が運用しにくいのであれば同法を改正しなければならないと思われる、あるいは、捜査傍受と行政傍受とを分けて考え、行政傍受の必要性について検討してはどうかという発言がなされました。私もその会議に出席をしておりますので、その旨承知をしておるところであります。
佐々木(秀)委員 それから、ことしの二月二十一日にも定例委員会が開かれて、そこで村井国家公安委員長が、この盗聴法の改正について積極的に発言をしていくということを述べられたやにも聞いておるのですけれども、この点についてはいかがですか。
吉村政府参考人 突然のお尋ねでございますので、その日にどういう発言があったかについては、今この場では詳細にはちょっと申しかねるところでございます。
佐々木(秀)委員 局長、同席していたのでしょう、この二月二十一日に。聞いていないですか。記憶で言ってください、記憶で。
吉村政府参考人 二月二十一日、恐らく同席しておったと思いますが、いろいろなテーマで二時間、三時間やっておりますので、だれがどのように言ったかということを、事前に御通告いただければ調査をしてまいりましたが、今現在は記憶がございません。
佐々木(秀)委員 そういうように言われたと私は聞いているので、確かめてくださいよ。仮にそうだとすれば、これはやはりゆゆしい問題だと私は思うのですよ。むしろ廃止の方について検討するというならわかるのだけれども、改正するというのは、どういう点で改正しようとするのか。
 しかも、ある委員、二月七日の定例委員会で発言があったという行政傍受などということになってくると、これはいわば予防的な問題でしょう。直接の具体的な犯罪とかかわりがないことについてもどんどん傍受できるようにしようということなのですから、これは本当にゆゆしい問題。この法案の審査のときに随分問題になりました。そのことが、はしなくも今、こういう委員の口から語られているということにもなりかねないのですよ。こんなことでいいのかどうか。このことについて、例えば公安委員会、警察庁、それから法務省、法務大臣、どんなふうにお考えになっているのか、これを聞かせてください。
吉村政府参考人 その国家公安委員会の場で既に、先生方から発言がございますので、警察庁の、私どもの方からいろいろ御説明をし、こちらの立場を申し上げております。
 二点ございまして、一つは、今申し上げましたように現行の通信傍受法の議論、もう一つは行政傍受の議論であります。
 現行の通信傍受の議論でございますが、それは、そのときの公安委員会でも私どもの方から説明をしておりますが、まず犯罪捜査のための通信傍受については、その実施に当たって、当然なことながら厳格な要件が法律で定められております。すなわち、その実施によって制約される国民の権利、利益が通信の秘密あるいはプライバシーといった重要なものでありますから、それに加えて、我が国ではこれまで一般的には用いられていなかった捜査手法でもあるということでありますから、私ども警察当局としても、この制度に対する国民の十分な理解を得るためには、そういう要件が定められているということでありますので、法の要件をよく見ながら、実際に当てはめられる事案があるのかどうかということを慎重に検討しているということを申し上げました。
 加えて、確かに、十二年の夏以降でありますから一年半弱ということに現時点ではなるわけでありますが、少なくとも昨年末現在、同法に基づく通信傍受の実施例もないということでありますので、実際に運用した場合の問題点のいわば検討もできていないわけであります。したがいまして、現段階では、性急に改正を検討するよりかは、まず現行法の効果的な活用を図りたいということで、委員の先生方の御理解も国家公安委員会では得られていると思っております。
 それから二番目の行政傍受、これは必ずしも意味が一義的ではないと思いますが、テロ防止等の犯罪捜査以外の、広く行政目的達成のために行われる通信傍受を指すということに一応議論を整理いたしまして、その種のものについては、先進諸外国においては行われている例があると承知をしておりますので、これは、その外国の行政傍受制度を含め、テロ対策の問題として外国の法制度を私どもの方でいわば勉強したい、調査をしたいということで国家公安委員会では対応しているところでございます。
佐々木(秀)委員 それでは、法務省にお尋ねしましょうか。
森山国務大臣 通信傍受の対象犯罪というのは薬物犯罪とか銃器犯罪でございますが、このようなものが、暴力団や外国人犯罪組織などによる薬物及びけん銃の密輸入事犯などが決して後を絶っておりませんので、十分に、この法律はなお必要であるというふうに思います。
 ただ、通信傍受は、組織的に行われる薬物事犯等の真相を解明するために極めて重要な手段でございまして、傍受を行うことが適当と認められる事案については通信傍受を活用するということでございまして、このような犯罪に対処するべき重要な手段だと思います。
 なぜ今まで通信傍受が行われなかったかということでございますが、まだ施行後、日が浅うございますので、今までのところなかったということでございますが、この法律は、国民のプライバシーを不当に侵害することがないようにということで、慎重を期するために非常に厳格な要件、手続が定められているということを踏まえまして、検察官あるいは司法警察員におきまして、適当な対象事例の選別とか傍受要件の検討等を慎重に行っているという結果、今日までそういう請求にまでは至っていないというふうに私は解釈しております。
佐々木(秀)委員 ある意味では、使われなかったというのはよかったのかなとも思ったりはするのですけれども、しかし、先ほどの刑事局長のお話のように、行政盗聴というか行政傍受というか、これも外国にある例なども勉強したいというお話だとすると、これにやはり意欲的なのかなというふうに考えざるを得ないんですよね。そういうことをあわせ考えるとなお、今の法務大臣のお話のように、必要だから、現在まだ使われていないけれども残しておくということは、非常に含みがあるようにも思われるわけですよ。やはり使い勝手が悪いからもう少し使い勝手をよく直さなきゃならないとか、あるいは行政傍受についても検討するというようなことだとすれば、私は、これはまた国民の皆さんに大変な不安を与えかねないとも思うし、要らないものだとすれば、むしろなくして出直す方がいいんじゃないかとも思ったりするんですよね。
 ですから、そのことを含めてこれは十分に検討していただきたいと思うし、私どもとしては、この法律が要らないという法案を、なくそうという法案をこれからも出していきたいと思いますので、ぜひこれについては御検討いただきたい、こんなふうに思いますね。
 では、一応この問題はこの程度にいたしまして、次に、今度は司法制度改革との関連で、人員の問題、聞いていきたいと思います。
 先ほども同僚委員からもお話がありましたけれども、司法制度改革の目標数値として、これは司法制度改革審議会の意見の集約として、今後十年間で裁判官五百人、これは裁判所からの御提案でもあるんですね。裁判官五百人ぐらいが必要だ、それから検察官千人、これの増員が必要だということが言われているわけですね。そして、これは弁護士総数というよりも法曹人口の総数として五万人を目標とするということが言われている。弁護士の数もほぼこれに近いものとして考えられているんだろうと思うんですけれども、仮に弁護士が総体として五万人近いということが目標だとすると、先ほども自民党の佐藤委員もお話しのように、裁判官の増員五百人というのは一けた違っているんじゃないの、こういう御意見がありましたけれども、私もそうじゃないかなと思うんですよね。実質五百人ぐらいの増員では果たして足りるんだろうか、あるいは検察官にしても千人の増員で足りるんだろうか、こういうように思われるわけですね。
 さっき、司法制度改革事務局長山崎さんの御答弁では一つのシミュレーションだというお話だったんだけれども、シミュレーションとしてもやはりこれは少な過ぎるんじゃないかな、もう少し大胆な人数増員を上げないと、それこそ司法改革の目的に沿わないんじゃないかとも思われるんですけれども、裁判所、この辺について、もう一度お答えいただけますか。
中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 まず弁護士数は、今後、今委員御指摘のように、五万人を目指す、こういうことになっておりますけれども、この弁護士数の増加は、今後弁護士の職域が広がり、法廷活動以外の多様な分野、例えば行政機関や民間企業などで活躍すべきであるという見地からも議論されており、専ら裁判事件を取り扱う裁判官の増員とは多少事情が異なるところはあろうかと思います。またさらに、ADR等、法制度がさらに充実することによって、裁判所に持ち込まれる事件数が弁護士の増加と比例して伸びてくる、こういうふうにも考えられるところもございます。
 しかし、そういったときに、率直に言って、どうしても右肩上がりに事件増が来ることは確かでございましょう。私どもの五百人という数字は、あくまでも現在の事件数はふえない、こういう固定化をして、その上でのシミュレーションでございます。したがって、事件がふえてまいりますればそれに見合った分を当然要求していくことになりますので、その部分をプラスアルファということで御説明申し上げているところでございます。
佐々木(秀)委員 今の御答弁で少し安心したんですけれども、このまま固定されるんだったらこれは全く意味ないと思うんですよ。だって、弁護士が今の倍以上ふえるというんでしょう。どうしたって事件はふえますよ、訴訟事件が。訴訟だけではないかもしれない、いろいろな事件がふえることは間違いない。裁判所に持っていく事件数だって、必ずいろいろな形でふえるに決まっていますよ。
 アメリカあたりである弁護士を題材にした映画を私も前に見たんだけれども、何だか見ていて嫌になっちゃったんだけれども、仕事がないというので、何しろアメリカはたくさん弁護士が多過ぎるものだから、それで事務所を開いたけれどもなかなか仕事がない、そこでお葬式の葬列の中に入って名刺を渡すんだ。つまり、相続事件というか、それをやろうとする、そんな話がありましたけれども、情けない思いがする。だけれども、そういう社会が日本だって来ないとは限らない。これじゃ困るんだよね。そしてまた、そういうふうに事件があったときに、それを適切に、しかもスピーディーに裁いていくだけの対応が裁判所になければ、私はどうにもならないと思うんだ。それこそ混乱だけが起きてしまって、かえっていいところがなくなってしまうんじゃないかということを恐れるんですね。
 ですから、今のお答えのように、やはり必要だとすれば大胆に、裁判官もこの五百というような数字にとらわれないでもっとふやしていくということを考えないと、私は司法改革の実は本当に上がらないと思う。これは検察官だって同じだと思います。ぜひそういうことで、必要なものについてはそれぞれ大胆に要求をする、実現を求めていくということで、私たちも協力をいたしますから、やっていただきたいということを申し上げておきます。
 そういうことからすると、これもさっき自民党の佐藤委員からのお話もあったんだけれども、裁判所の職員についてはこの法律でやりますから、例の公務員の定員枠ということにとらわれてはいないのではあるけれども、しかし、やはり意識はしているんだろうと思うんですよね。
 法務省の方はこの定員枠と絡んできますよね。以前もこの委員会でこのことについての質疑があったわけですけれども、法務省の職員の増員について、徹底した抑制と定員削減の努力をするということを期待している、これは総務省が言っているんですね。総務省の御答弁、これは去年、平成十三年の百五十三回国会の審議の中での答弁ですけれども、総務省は、司法制度改革審議会の意見については内閣として最大限に尊重する、このことについては総務省も変わりはない、ただ一方、政府としては、国家公務員の定数について、平成十二年七月に閣議決定した新たな定数削減計画があるわけで、省庁再編後の十年間で二五%の純減を目指す、こういう行政改革方針で、これを堅持するということも大切なことであると。
 そこでさっきの法務省の人員問題について触れておられるんですけれども、こういうことがやはり基本になっているとすると、これまた私は司法改革の実は上がらないと思うんですね。法務省の仕事も、先ほど申し上げたように、本当に人が大事な仕事場なんですから。これを定員法の枠の中で考えるとすれば、必要なところにあるいは必要な部署に配置をするにしても、パイが同じなんだから、どこかのところの部署が削られるということになる。これでは私はやはり法務の実というのは上がっていかないんじゃないかと思うんです。
 裁判所の職員についてはこれとは別個だ、今審議されている法律でやっているんだからとはいいながら、やはりその総定員ということを意識しながら考えておられるんじゃないかなと私は思うんですよ。そういうことで、この際、法務省の公務員の数についても、総務省としては思い切ってこの定員枠というものから別枠にしたらどうかな。前にも言ったんだけれども、そういうお考えにならないのかどうか、総務省にもう一度お聞きしたいんです。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 先生今お尋ねのとおり、法務省の職員も国の行政機関の定員ということになるわけでございますが、これにつきましては、行政機関の職員の定員に関する法律に基づきまして管理をされているわけでございます。考え方としましては、定員総数につきまして最高限度を定めておりまして、この中で、国民の要請にこたえましてすべての行政部門においてぎりぎりのいろいろな合理化努力を行っていただくということを前提にいたしまして、その上で、真に必要な部門につきまして、その合理化の努力を回していきまして増員を確保していくということで、めり張りのある定員配置を行ってきているところでございます。
 今お尋ねの、法務省の司法関係部門を別枠にしてはどうかということでございますが、これにつきましても、そういう聖域といいますか、別枠といたしますと、まさにこれもあれもという話がいろいろ出てくるわけでございまして、こういう中で、今申し上げました、国民の要請にこたえて全体としての合理化の努力と、その上で真に必要な部門への定員の配置という現在の仕組みが破綻をしていく、そういう心配がございまして、私どもとしては適当でないと考えているところでございます。
 現にこれまでも、政府全体としては大変な合理化努力をしている中で、まさにその合理化を踏まえて真に必要な部門の増員は行ってきているところでございまして、検事につきましてもこの六年間で二百二人の増員をいたしておりますし、それから十四年度予算においても三十九人の増を図ってきているところでございます。
 先ほども司法制度改革推進計画の話がございました。昨日まさに閣議決定されたところでございますが、ここの中でも、裁判官、検察官の大幅な増員等司法を支える人的基盤の充実を図るということが決定されておりまして、また本部の設置期間において、裁判官、検察官等について必要な増員を行うということが決定されておりますので、私どもといたしましては、その政府全体としてのスリム化あるいは合理化の方針のもとではありますが、この閣議決定を踏まえまして、法務省とも十分協議しながら、また法務省においてもいろいろな部門がございますので、そういう定員再配置の努力等もお願いしながら適切に対処していきたいと考えております。
佐々木(秀)委員 法務関係の人員でも特に入管関係ですね、これに人員が必要だということで、これはかなりふやしたはずです。だけれども、その分だけ別のところで減らされているところもあるんだよね。そうするとそっちが困っちゃう。例えば登記の部門なんかがそうだったと思います、法務局の関係ですね。それから、さっきも申し上げましたように、お聞きになっていたと思いますけれども、少年院の、収容少年が多いのに職員の数がふえていないということもあるんですよ。これじゃ困るんですよ。
 ですから、そういうことを考えながら、やはり必要なところには人を配置するということにならないと、形式的に定数削減だけでは困るんですよ。行政の実は上がらないんです。
 だから、法務大臣、お答え要りませんけれども、私、この間も申し上げましたけれども、このことはもう特に言っていただいて、法務関係というのは本当に人が必要なんだ、そのために予算も必要なんだということを言っていただいて、実現していただくようにぜひ御努力をいただきたいと思うんですね。この定員、この辺はこの程度にいたします。
 今度は裁判所にお聞きをいたしますけれども、これも前回の質問で私ちょっとお尋ねしたんですが、昨年の十二月の七日に、最高裁判所と日本弁護士連合会の間で、弁護士から裁判官に任官してもらおうということについての協議をなさっていた、それが取りまとめられて発表されておりますね。私は、大変結構なことだと思うんだけれども、この取りまとめに基づいて、当面、弁護士からの任官をどういうふうに確保していくのか、その見通しなどについてどんなふうに思っておられるのか、これをひとつお答えください。
金築最高裁判所長官代理者 お話しのとおり、昨年十二月の七日に日弁連と最高裁の間で「弁護士任官等に関する協議の取りまとめ」という表題で文書をつくりまして、そういう合意をいたしました。
 最高裁といたしましては、弁護士任官を積極的に推進していくための方策について合意に至りましたことは、まことに意義深いことだと考えております。今後、この取りまとめに従いまして、日弁連とも連携しながら弁護士任官を積極的に推進してまいりたいと思っております。具体的には、次のような弁護士任官推進のための環境整備等の方策を講ずることを考えております。
 まず、弁護士からの裁判官選考要領というのを改定いたしましたが、それに基づきまして、短期間の任官、裁判官は任期十年でございますけれども、必ずしも十年なくてもいいという任官でございますね。それから専門的分野、これは倒産事件でありますとか知的財産権事件、商事事件、それから家庭裁判所事件、こういった分野になるかと思いますが、そういった専門的分野で活躍してもらうための任官を進めていく。こういったものを積極的に進めていきたい。また、任官しやすいために弁護士任官者の裁判所の中での配置のあり方なども工夫改善していく必要があるんじゃないか、あるいは研修についても一層の充実を図っていく必要があるんじゃないか、そういうことにも取り組んでまいりたいと思っております。
 後の方で申し上げた点につきましては、昨年の八月に、京都地方裁判所におきまして弁護士任官者を中心とする部を発足させました。まだ期間がそうたっておりませんので、これからどういうふうに進んでいくかということを見守っていく必要があるかと思いますが、これも弁護士任官者の配置の工夫の一つとして位置づけられるものだと思っております。
 今後の弁護士任官の見通しという点でございますが、最高裁と日弁連の弁護士任官推進に向けての取り組みというものの進捗状況を踏まえる必要があるわけで、確定的なことを現段階で申し上げることはできないわけでございますが、現在既に数名の採用が内定しておりますし、今後、弁護士会からの推薦状況によるわけでございますけれども、本年じゅうにさらにこれに上積みする採用を期待しているところでございます。
 いずれにいたしましても、最高裁といたしましては、今後、より多くのすぐれた弁護士が裁判官を希望するように、今回の取りまとめに掲げられました具体的方策を着実に推進してまいる所存でございます。
佐々木(秀)委員 先ほど、これまでに弁護士から裁判官になった人の数が総数で五十人ぐらいだ、非常に少ないというお話があったんですね。これは私は、やはり、裁判官になろうとする弁護士の意向というのを、必ずしも十分に受け入れる裁判所の方でお考えになっていたかどうか問題があったと思うんです、従来。だから、弁護士の方では意欲があってもなかなかなりにくかったということがあったんだろうと思うんですね。
 そういう意味では、今度のこの協議の結果というのは、そういうお互いの意見が交わされてお互いを尊重しながらつくられたものだと思いますから、非常に私は有効に働くんじゃないかなと期待しているんです。
 したがいまして、弁護士からの任官というのも、特に今お話しのように短期的でもいい、あるいは専門的な知識経験を生かしたような裁判実務につくことも考えるというようなことで、相当私は期待できるんじゃないかと思いますので、これからもぜひ弁護士会との意見交換を通じながら、具体的にたくさんの弁護士に裁判官になっていただいて働いていただくように努力をしていただきたいと思うんですね。これは、お互いの努力が必要ですからね。しかし大変結構なことだと私は思います。これもまた、どれだけの実績が上がったかということを時間を置いてお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、最高裁判所は、裁判官の人事評価のあり方についての研究会を去年の秋に発足させておられますね。いろいろな外部の方々に来ていただいて、この研究会をつくっていただいて現に研究している。聞くところによると、もう十回ぐらいやったというのです。
 そこで、この研究会をなぜ置いたのか。そしてまた、この研究の結果、いずれはまとめられるんだと思いますけれども、どういうように活用していくのか。その目的、活用の仕方あたり、簡単にお答えいただきたいと思います。
金築最高裁判所長官代理者 裁判官の人事制度の見直しにつきましては、司法制度改革審議会意見は、「裁判官の人事評価について、評価権者及び評価基準を明確化・透明化し、評価のための判断資料を充実・明確化し、評価内容の本人開示と本人に不服がある場合の適切な手続を設けるなど、可能な限り透明性・客観性を確保するための仕組みを整備すべきである」というふうに言っております。
 このような意見を受けまして、最高裁は昨年、裁判所外部の有識者五名と高裁、地裁の裁判官各一名から成ります裁判官の人事評価のあり方に関する研究会を事務総局に設置いたしました。この研究会は、裁判官の人事評価制度の具体的検討の一環といたしまして、人事評価のあり方全般について、裁判所外部の有識者等の意見を踏まえつつ、多角的に調査検討してもらうために設置したものでございます。
 既に十三回この研究会を開催いたしまして、その協議内容等は最高裁のホームページにおいて公表されているところでございますが、ことしの夏をめどに協議結果を取りまとめるべく、精力的に協議が進められているところでございます。
 最高裁といたしましては、研究会の報告をいただいた上で、司法制度改革審議会意見の趣旨を踏まえて、裁判官の人事評価制度の整備を図りたいと考えております。
佐々木(秀)委員 裁判官の人事評価、つまりその裁判官がどういう働きをしておられるか。そして、その評価によってはいろいろなことに影響をしていくわけですね。
 その影響の仕方というのは、一つは任地、どこで働くか。これは裁判官に任地希望を一応聞きますよね、異動のときにも。どういうところへ行きたいかということを聞いている。しかし、必ずしもそこに行かされるかどうかということはわからないわけだけれども、時には全く本人の意思に反するようなところに行かされるということもあるわけですね。
 これは地域だけの問題じゃない。下級裁判所の場合に、高等裁判所にするのか地方裁判所にするのか、あるいは支部にするのかなどということもあるのですね。しかし、この任地の問題というのは、その裁判官にとっては重要なファクターになると私は思う。
 それから、給与の問題ですね。これもやはり評価によって影響があるんですね。
 それからもう一つは、例えば合議の場合の裁判長になれるかどうかとか、あるいは支部に行った場合に支部長になれるかということもあるのですね。そういうことも影響されるのですね。
 そういう点で、今はともかく、私は、これまでの最高裁判所を中心にした司法行政の中で、そういう裁判官に対する評価が非常に客観的に、適切に行われていたかどうかということについては、どうもかなり問題があったときもあったのじゃないかと思われるのです。
 それで、私はここにこういう本を持っていますけれども、表題がかなり比喩的ですごいのだけれども、「犬になれなかった裁判官」という本ですね。これは、人事局長、お読みになっていますか。安倍元裁判官、たしか司法研修所十四期だったと思います。私は十六期だから、修習生のときから知っている。お父上は安倍恕先生、東京高裁の長官だった安倍恕さん。私どもの修習生のときの研修所の所長ですよ。立派な方だったですよ。その息子さん。この人もすぐれた裁判官で、私は尊敬していました、先輩で。
 ところが、ひどかったのですね、この人の処遇。この中にも書いてあります。自分の後輩がどんどん裁判長になっていくのに、この人はずっと置かれて、支部回り、そして家庭裁判所めぐりですよ、ずっと。「家栽の人」という漫画がありました。そのモデルじゃないかと言われた人でもあるのですね。非常に職務に忠実で熱心だった人ですよ、部内でのいろいろな仲間内の評価はあるのかもしれないけれども。
 しかし、それにしても、部総括、つまり裁判長にもなったことはないでしょう、この人は。この人だけにとどまらないのですね。私の知っている人で、すぐれた裁判官だと思う人が、どういうわけか、ほかの裁判官と比べて、任地の点でも給与の点でも、明らかに差別をされているということがあった。そして、その理由について、本人に述べられていないんだよね。ここが問題なんだ。
 今度の人事評価の研究会の中でも、本人に理由をどういうように話すか、そして不服があった場合の処遇についても考えるべきだ、こういうようなことも書かれていますね。この辺については、裁判所はどうなんですか、この研究会の中で。これはやはり必要だと思うのですよ。
 例えば、もう古い話で恐縮だけれども、三十年近く前になるけれども、宮本康昭裁判官が判事を拒否されたでしょう、再任を拒否されたでしょう。そのとき本人は、どんなことでも、自分に不利になることでも何でもいいから言ってくれ、どうして自分はこういう処遇を受けなければならないのかということを、最高裁の当時矢口人事局長に言ったでしょう。だけれども、人事の秘密だといって、本人にも明かさなかったじゃないですか。もちろん一般の人たちにも明かさなかった。私は、こういうことではだめだと思うんだよ、みんなが納得するようなことじゃないと。
 やはり、裁判所のこういう人事評価というものの透明性、公正性が確保されなければならないと私は思う。そういうことを目標にした人事評価の研究会でなければ意味がないと私は思うんだけれども、その辺はどうなの。
金築最高裁判所長官代理者 御指摘の、本人への開示あるいは不服がある場合の手続につきましても、研究会で議論をしていただいております。今後も議論していただく予定になっております。
 そうした検討を通じまして人事評価制度の整備を図りまして、ひいては適正な人事に資するということにしてまいりたいと思っております。
佐々木(秀)委員 余り具体的なお答えではないのだけれども、今私が言ったようなことについてお答えがいただけるようなのでないと、幾ら形だけ整えたって、やはり最高裁判所というのはというような評価を受けてしまうことになりますよ、最高裁判所の評価が。そういうことがないように、せっかくこの研究会をつくったんだから、透明、公平、それが担保されるような、裁判官を含めた人事評価の基準をきちんとつくってもらいたいと思いますね。それを要望しておきます。
 時間がなくなりました。
 司法制度改革の事務局長においでいただいていますけれども、きのうですか、推進計画が発表になっていますね。進捗状況はどうなんだろう。
 具体的には十個の検討委員会がつくられていて、各委員会で担当の問題をやっているというのだけれども、ただ、これはどの委員会も委員が十人だったかな。私は、もう少しめり張りをつけてもよかったのではないかと思うんだけれども、大事なところにはもっと人員を多く配置するというようなこともあってもよかったと思うんだけれども、その辺の進捗状況がどうなのか。
 それと、この推進法がつくられたときに、この委員会でも附帯決議をつけましたし、それから、特に参議院の法務委員会では、この審議の状況をリアルタイムで公開するようにという附帯決議がついているんだけれども、それにこたえられるものになっているのかどうか。その辺、まとめてお答えいただけますか。
山崎政府参考人 二つの御質問でございます。
 まず、検討委員会につきまして現状を申し上げます。
 御案内のとおり、十の検討会が設けられております。すべての会におきまして、第一回の会合はもう開催されております。この約二カ月間で延べ二十回の検討会が開かれております。一日に三つの検討会ということもございました。
 この検討会のメンバーの人数のことでございますが、全部十一人ということになっております。これは、検討会の役割、取り上げるテーマも影響しますし、それから学者、実務家、有識者、このバランスをとりまして、こういうような人数になっております。
 もう少しふやしたらという御指摘もございますが、私どもは、今見ておりまして、これ以上ふやしますとかえって議論ができなくなる、ちょうどいい人数かなというふうに今のところ判断をしております。これもまた、減らすのも難しい、ふやすのも難しいという状況で、実に微妙なバランスで行われているというふうに考えております。
 それから、公開性の問題でございます。
 これは国会の方でも御審議をいただきました。私ども、現在この検討会は会場で報道機関に直接会議を傍聴していただいております。それから、議事録あるいは議事概要、これはすべてインターネットで一般公開もしております。最大限透明性に努力をしているところでございます。
 ただ、この点に関しましては、議事録で委員のメンバーの名前を記載するものと記載しないものと、取り扱いが、十のうち半々に分かれているというのが現状でございます。これにつきましても御理解をいただきたいのは、この検討会は、私ども事務局と一体となって立案等を行っていくということで設けられているわけでございます。そういう関係から、立案の議論となりますと、右へ行ったり左へ行ったり、あるいは、自分の考えていることとわざと違う方面から議論を深めるために言うとか、さまざまなことが行われまして、そこで一々名前が出てしまいますと、矛盾しているとかいろいろ言われる可能性もあるということから、自由な発言ができにくくなるという方もおられます。そこで、私どもはそういう声をお聞きしまして、私ども事務局でそのやり方について決めるのではなく、メンバーの方々に決めていただくということでお任せをいたしました。その結果が五と五ということでございます。
 これは、ただ、決め方は当面こういう形でやっていこうというふうにメンバーの方も決められておりますので、また事情が変われば変わってくるということは当然あり得るということでございます。
佐々木(秀)委員 時間が参りましたので、一応終わります。その後の経過についてはまたお聞きしたいと思います。ありがとうございました。
園田委員長 西村眞悟君。
西村委員 前回に引き続き、我が国治安上重要な問題と思われるJR東労組内の革マル派浸透問題について質問いたします。
 松崎明JR東労組顧問は、サンデー毎日誌上で、みずからが革マル派をつくった一人と自認しているところ、このたび、毎日新聞社発行の「鬼の咆哮」というみずからの著書の中で、第八章「愚かな民よ 何が正しいかを知れ」という項目の百三十ページで、今私が問題、質問の主題としている革マル派の浸透について、公安調査庁は、「もはや「無用の長物」として潰れかかっている」、「官僚の側からすれば、整理縮小は困る。ポストがなくなる。だから、裏でいろいろ画策したり、様々なでっち上げ工作をする。例えば「JR東労組は革マルに影響を受けている」というような公式文書を出して、「公安調査庁が必要だ」とのメッセージとともに予算を獲得しようとする」云々、このように書いております。次に、「裏でコソコソせずに、公の場を設けるように公安調査庁に要請してやろうか、とも思う。こういうくだらないことを裏で言ったりやったりしているのが公安調査庁である」次に、「品性下劣な連中にそそのかされて、世論が形成されてしまうのだということをはっきりさせておかねばならない」「愚かな民よ 何が正しいかを知れ」という第八章でこのように書いております。
 大臣の御見解は前回伺いましたので、この発言、文章、彼の書いたものが真実であっても虚偽であっても、いずれにしても重大な問題でございます。公安調査庁及び警察の見解をお伺いしたい。
書上政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘に係る著作物が出版されておりますことは、私ども十分承知しておるわけでございます。ただ、公刊されております個々の著作物の内容については、これまでもコメントすることは差し控えさせていただいておりますので、同じように御理解を賜りたいと思います。
 ただ、私ども公安調査庁といたしましては、いずれにいたしましても、所管法律の定める業務を組織を挙げて取り組んでいるということだけは明確に申し上げたいというふうに思っております。
西村委員 わざわざ時間を割いて、どういう質問をするかと。質問する方が質問されて時間を割いておるんだ。こんなのだったら質問通告する必要がないじゃないですか。
 要するに、彼の言っていることが事実なのか事実でないのか。事実とすれば、彼は公安調査庁は税金の詐欺をしておるんだと言っておる。公安調査庁として、JR東労組顧問が言っていることが虚偽であるのか真実であるのか、これは税金をもって仕事をしているところである以上、答える責任がある。
 答えられないのなら大臣に聞く。大臣どうですか。大臣の前回の答弁を前提にして、松崎が言っていることは虚偽なのか真実なのか、これぐらいの答弁はしていただかねば困る。なぜなら、税金の詐欺を国家機関がやっているかということになるからです。
森山国務大臣 先ごろもそのような御質問がございましたとき、お答え申し上げました。何と申し上げたか一つ一つの言葉までは覚えておりませんけれども、先ほど長官が申しましたように、公刊されている個々の著作物の内容について細かくコメントするということは差し控えるべきかと思います。
 ただ、一般論として申し上げれば、健全な民主主義は言論、批判の自由を前提としておりますので、これはまた憲法上の要請でもありますが、他方、言論の自由といいましても、公共の福祉に反しない範囲で認められているものでございまして、法令によって言論の自由が一定の制約を受ける場合もあるということは承知しております。
西村委員 何か質問してむなしゅうなってきましたな。
 抽象論、一般論は教科書に書いてあるからわかるんですよ。本件問題がその抽象論、一般論に具体的にどう当てはまるのかということを聞いておる。真実であるか虚偽であるかぐらい答えられるでしょう。答えられないんですか。
 委員長、お指図願います。
園田委員長 書上長官。
書上政府参考人 私どもの仕事に関しまして今回の著作物でそういうことが言われていることは重々承知しておりますが、ただ、過去を見ますと、それぞれの立場において同様のことを言った著作物というのも相当あるわけでございます。こういったものについて、一々内容についてコメントするのは従前から答弁を差し控えさせていただいておりますので、ぜひとも御理解を賜りたいということでございます。
西村委員 それならこう聞きましょうか。革マル派がJR東労組内に浸透しているということをでっち上げて、税金獲得の手段に公安調査庁はしているのか。どうですか。
 おれの質問時間むだにせぬといてくれよ。きのう、質問する人間が質問を受けているのに時間をとるな。
書上政府参考人 お答えを申し上げます。
 だれがどう言っているかということとはかかわりなく、私どもは、先ほども申し上げましたように、税金をむだ遣いにしているというようなことはない、誠実に職務を励行しているというふうに確信をしておるところでございます。
西村委員 再度警察に確認させていただきますが、JR東労組内に革マル派が浸透しているというのは事実として警察の認定するところである、これでよろしいでしょうか。
芦刈政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のような著作物が出版されまして、その中に御指摘のような記述があることは承知しております。
 革マルにつきましては、さきの国会で私どもの警備局長から申し上げたものでありますが、重ねて申し上げますと、JR総連・東労組内において影響力を行使でき得る立場に革マル派系の労働者が相当浸透していると見ているとのことを申し上げたわけであります。これは、警察における日常の情報収集活動や捜査活動を通じて得られた結果に基づくものでございます。
 これも申し上げたかと思いますが、警察といたしましては、平成八年以降、革マル派非公然アジト十二カ所を摘発し、そのアジトから押収した資料の分析により、革マル派が国労役員宅やJR連合傘下のJR西労組役員宅に侵入した事件を検挙する一方、JR総連・東労組内における革マル派組織、いわゆるフラクションの実態や浸透状況について解明したところでございます。
 以上のような点を総合的に判断し、警察としての分析結果を申し上げた次第でありまして、その見解は現在でも変わっておりません。
 以上でございます。
西村委員 大臣、前回の質問の中で、満員の暗い映画館の中で火事だと叫ぶ表現の自由はないんだということを申し上げた。このJR東労組の顧問、現職であり、また、みずから労働組合のリーダーであると自認している人間が、今私が紹介したような表現をするというのは表現の自由の範囲内なのかどうか。表現の自由の周辺には名誉毀損また侮辱というものは許さないという法体系が我が国にもあるわけであります。
 大臣は、これは表現の自由なんだ、リーダーであり顧問である地位の者も何を言ってもいいんだ、つまり、これを言うのも彼の表現の自由として保護されるんだというふうにお考えですか。
    〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
森山国務大臣 先ほども申し上げましたように……
西村委員 先ほどおっしゃられたことは、先ほどお伺いしました。
 私は、この問題は治安上重要な問題だと思って取り上げさせていただいております。それで、その前提は、先ほど警察がおっしゃった事実の認定であります。しかしながら、私が取り上げるたびに、私に対する誹謗中傷が公にされております。例えば、昨年は、「今度は「日本の核武装化」を唱える超右翼議員を使って八百長質問」こういうことのビラ、これはJR東労組東京地本作成のもので、各組合の事務所のところに張り出されておるわけですね。
 前回の質問のときの直後にも、総連のホームページに「私の発言」欄、「私たちをとりまく自然も社会も何か狂っているよう。感じたこと、疑問に思ったこと、我慢ならないことなどなど、思いっきり発言しよう。」というものの中に、「チョー右翼の西村眞悟議員が「鬼の咆哮」に激アレルギー」こういう見出しで批判さているわけですね。それで、先ほど警察がおっしゃったようなアジトを捜査した結果、やはり非常に危険であるので身辺に注意していただきたいというふうな御忠告も、私の知り合いの警察からもいただいております。
 つまり、警察の事実認定を前提として、国会議員が不作為の責任を犯さないためにこの問題を積極的に取り上げる際に、今申し上げたような個人的リスクがかぶってくるんですね。さて、大臣の一般論でお好きな言論の自由からいいますと、この個人的リスクを放置しておりますと、リスクを冒して表現しようとする者はいなくなるんです。つまり、表現の自由の侵害を放置するわけです。
 それから、先ほどの公安調査庁の消極的な気概のない答弁、そういうふうなものを見ておりますと、そしてまたこの場でも、具体論を述べねばならない、答弁しなければならない場所で、一般論だけでこの時間を過ぎさせようとする姿勢から見ますと、JRの中における警察が憂慮している革マル浸透を放置している不作為を我々は犯しているのではないか。したがって、公安調査庁であれ、国家機関でこの革マルを認定している機関は、本件、この表現によって、国民に対して回復しがたい名誉を毀損されているのではないか。つまり、国民の安全を守るところが、マッチポンプのように国民の危険をでっち上げて税金を詐欺しているということなんですから。
 何か法的手段はないのか、考えられないのかということについて、これは昨日の通告では、公安調査庁、警察に、いかなる措置を講ずるのか、先ほどの、あっちこっちで言われていることですからをもって過ぎ去っていくのか、このことをちょっとお伺いしたい。
書上政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもの公安調査庁といたしましては、革マル派を暴力によって民主主義国家秩序を破壊することを容認する危険な団体というふうに認識しておりまして、従前から破壊活動防止法の観点から鋭意調査を進めてきているところでございます。ただいま御指摘のような事実も多々ございますので、今後ともなおこの調査を強化してまいる所存でございます。
芦刈政府参考人 議員の国会発言等をとらえて革マル派やJR総連によりかく主張が行われていることは承知をしております。もとより、警察といたしましては、犯罪の被害者となるおそれのある個人の方々に対しまして、情勢と必要に応じて警察官を配置するなど所要の警備措置を講じるほか、違法行為に対しては、これを看過せず断固とした取り締まりを行っていく所存でございます。
 なお、警察といたしましては、今後とも革マル派の動向には重大な関心を払うとともに、非公然アジトの摘発や指名手配被疑者の検挙を通じ、同派による非公然、非合法活動の実態解明に努めてまいる所存でございます。
西村委員 私の尊敬する政治家の一人にドゴールという方がありまして、彼は、指揮官に要求される資質は知性と本能だ、こう言っているんですね。公安調査庁であれ、警察であれ、打てば響くような問題意識、侮辱には断固として対抗する、部下のためにも侮辱は許さない、こういう知性と本能がこの問題に対処するに必要であると思います。
 次に行きます。
 日本人拉致問題については、有本恵子さんを拉致した実行犯の証言が出ました。時間がかなり費やされましたので、申し上げておった質問項目のすべてをお伺いするわけではございません。
 この八尾証言というものは、彼女が一九八七年十月十二日に入国してからかなりの年月がたってから出てきておる問題であり、かつ、警察が積極的に彼女の証言を引き出したのではなくて、彼女個人の心境また生活状況の変化によって、自発的に他の事件の証言として生まれたものであります。
 しかしながら、その内容は、自分は有本恵子さんをヨーロッパで拉致した、その拉致に北朝鮮国家が関与しておった、北朝鮮国家は、赤軍派及びよど号犯人を日本人拉致の道具として使っておったということでございます。
 そこで、大臣にお聞きします。
 テロという定義はいろいろございますという答弁は前回いただいております。したがって、アメリカは、北朝鮮をテロ支援国家と明確に認定しております。私も前回、我が国は大韓航空機爆破をテロと認定した、したがって我が国においてもテロの定義は定まっておるという前提で、日本人が拉致された、そしてその拉致に北朝鮮国家が関与したという明確な証言が出た現在、大臣は北朝鮮をテロ国家と認定しているのかどうか、まだためらっているのか、これをお聞きします。
    〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕
森山国務大臣 先ほど指摘されました八尾さんという人の証言でございますが、新聞にもかなり詳しく出ておりましたけれども、その内容が本当に真実のものであるかどうか、あるいは、その実態が本当にそのとおりであったのかどうかというようなことについては、さらに検討し、調査する必要があろうかと思っております。
 したがいまして、それを根拠にして何らかの結論を今すぐ出すというのは難しいと思いますが、先ほどもう二度と言わなくてもよろしいとおっしゃっておりましたけれども、テロ国家というものの、あるいはテロ支援国家というものの定義というのは非常に難しゅうございまして、アメリカはそのようにおっしゃっていますけれども、日本の立場といたしましては、まだ確立していないものと思っております。
西村委員 証言があって、それが裁判所における宣誓の上の証言であるということですね。そして、有本恵子さんが日本に帰っていないという厳然たる事実があり、また、彼女が北朝鮮にいるという差出人不明の手紙がかつて来ておった、北朝鮮という国家が、日本人のみならず多くの外国人を拉致したということ、これらの事実を総合して、なおかつ認定をためらうのか。
 法務大臣たるもの、この事実を前提にして認定をためらうならば、証拠の一部である人の証言によって事実認定をしている裁判制度それ自体を否定するものです。お答えが先ほどのごとくでしたからもうこれ以上聞きませんけれども、そうでしょう。裁判というのは、裁判官の事実認定は、過去の歴史的、一回的事実を証拠によって認定していくんでしょう。それが合理的だという我々の確信があるから、制度として機能しているんでしょう。
 法務大臣として、日本人の安全、人権が重大だという使命感が、それこそ知性と本能があれば、単なる証言のことだけを言ったんじゃない、有本恵子さんが現実に帰っていないという事実から総合して、いかなる認定に達するのかということですね。日本政府は認定したんですから、余りためらっていただく必要はないと思うのですけれどもね。ためらうことは、ある意味では法務大臣の責にふさわしくないことですよ。
 鈴木宗男さんが領土をないがしろにして一つの利権に走ったのではないか、このような疑惑で、今、日本の政治が一カ月間空白したわけですね。
 領土が出てきた。次は国民ですね。国民の命をないがしろにして、北朝鮮に米を送れば拉致された家族、被害者が帰ってきやすくなるという幻想を抱かせながらたびたび米を支援しているのは、北方領土における今の疑惑と、領土と国民の命との違いはあれ、同じ精神構造だ。米を送り続けた結果は、今我々が見ているかくのごときものである。拉致、行方不明者があるかどうかの調査もしない。
 さて、鈴木宗男さんの道義的責任が云々されるならば、法務大臣として、米を送り続けた者の責任はどうなるんだということは、質問通告しておりますので、お答えいただきたい。
森山国務大臣 米の支援につきましては、法務省の所管に属さないことでもございますし、その当否に関して私からお答えすることは適当でないと思います。
 ただ、この問題を含む対北朝鮮外交のあり方については、政府全体として真剣に検討するべきことであろうと思います。
 なお、昨日、副大臣会議が持たれまして、拉致問題に関するプロジェクトチームが設置されたというふうに聞いておりまして、法務省といたしましても、法務副大臣が参加いたしまして、このプロジェクトチームの中で情報交換その他緻密な連絡調整を行いまして適切に対処するべく、そのような体制がスタートしたところでございます。
西村委員 次に、法務大臣として、拉致された日本人をいかにして救出しようとしておるのかということなんです。
 一例だけ聞きます。毎年一万人の北朝鮮の方が、在日の方が祖国に帰る、北朝鮮に帰る、また日本に再入国してきております。しかしながら、日本人は、拉致された日本人はもちろん、日本国籍を有する、多くは北朝鮮の方の配偶者として北朝鮮に渡った方もいまだ祖国に帰れていない。したがって、日本人を帰すまで再入国は禁止するというふうな決断が必要だろう。
 他にもいろいろ決断が必要ですが、断固とした決断がなければ、独裁政権に今まで米はかすめ取られ、何々はされ、このジレンマから抜け出せないだろうと思いますが、大臣としてはどう思いますか、具体的に。大臣、再入国禁止はどうですかと聞いているんです。
森山国務大臣 出入国管理及び難民認定法上、再入国の許可は、申請者の我が国における在留状況、渡航目的、国内外の情勢等、関連する事情を踏まえまして個々にその許否を決定するものでございますが、御質問のような方につきましては、入管特例法によって、その歴史的経緯及び我が国における定住性等にかんがみまして、それらの方の海外渡航が円滑に行えるよう配慮した上で再入国の許可を行うことになっておりますので、一律に再入国許可を認めないとすることは困難ではないかと考えます。
西村委員 私が法務大臣なら直ちにその決断をしますな。人の命がかかっているんですから。法律の条文と今までの平時の建前を朗読されるのは結構ですが、今決断をお聞きしたんです。それで、今突然聞いたんじゃないんですから。
 次に行きます。あと三分ほどございますから。
 破綻した朝鮮銀行と朝鮮総連の関係について、私は、平成十三年質問第二二号において、国内法の形式ではなくて、両者の関係の実態から見て、破綻した朝銀、朝銀信組ですが、朝銀は、朝鮮総連の実質的支配下に、コントロール下にあるのではないかという質問をしております。
 それに対して、実質的にそうだという答弁は、そうであるのかないのかという答弁は一切行われていない。形式的に、法の何条に基づいて設立されたものと承知しておりますとか、役員の選任はいつ何どきの会において選任されたというふうに承知しているとか、全く焦点を逃しているわけですね。
 残念だと思いながら経過しておりましたけれども、三月十二日、柳澤大臣は初めてその実態について言及しました。つまり、破綻した朝銀の受け皿銀行が朝鮮総連から独立していることを確認できれば、五千億円超の公的資金投入もあり得る、投入するんだと発言いたしました。ということは、破綻した朝銀が現段階において朝鮮総連から独立性を確保しているのかどうかわからないということなんです。つまり、破綻した時点においては朝鮮総連の実質上支配下にあったのではないか。ここにおいて、形式的な法の運用から実態を見て総合判断しなければならない時点に入ったと私は思っております。
 つまり、日本の金融機関だから破綻すれば公的資金を投入するという形式段階から、形式は日本の金融機関でも実質外国の独裁政権の支配下にある金融機関に対して、我が国は我が国の公的資金を総計一兆円以上投入しなければならないのかどうかという政治的決断であります。法を運用する者にとっては必ず遭遇する決定事項であります。
 したがって、大臣にお伺いしますが、時間がないですから、ざっと質問だけ言います。
 公安調査庁及び警察は、朝鮮総連と破綻した朝銀の実態について知っているのかいないのか、知っているとすれば、無関係と認識していたのか関係ありと認識していたのか、まずこれを聞きます。
 そして、大臣は、法務大臣として、破綻した朝銀に対しての公的資金投入に関しては何ら関与せず無関係でいいと認識しておるのか。朝鮮銀行が、テロ国家である、日本人を拉致した北朝鮮の国家に対して資金を投入している、そういう疑わしき事実があるという前提で今質問しているんですが、この公的資金投入に関して関与の必要があると思われるのか、法務大臣として。
 そしてまた、法務大臣の国民の人権を守るという大原則からして、破綻した朝銀に一兆円を超える公的資金を投入する日本国の今の動きは、大臣としていたし方ないと思っているのかどうかです。これをお聞きして質問を終わります。
書上政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども公安調査庁といたしましては、朝鮮総連は北朝鮮の強い影響下にある組織であるというふうに理解をしております。
 そして今、朝銀のお話が出たわけでございますが、朝鮮総連の傘下団体の一つに、在日本朝鮮信用組合協会、俗に朝信協と言いますが、こういう団体がございまして、既存の朝銀信用組合はそのすべてがこの朝信協に加盟しております。したがいまして、当然のことながら朝鮮総連からの人事その他を通じた一定の影響は受けているものというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、この朝信協は、本年の一月の発表によりますと、三月末で解散するという発表がございます。ただ、これまでの経過から見ますと、その後これがどういうふうに推移するのかということは注意深く見てまいりたい、その過程でこれが先生御指摘のような問題があったときには、所管の金融当局等に適宜関連情報を提供してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
芦刈政府参考人 朝鮮総連と朝銀の関係についてでありますが、いわゆる朝銀におきましては、それぞれ所轄の行政庁の認可に基づいて設立された独立の金融機関でありますけれども、朝鮮総連の傘下団体の一つであります在日本朝鮮信用組合協会、いわゆる朝信協でありますが、これは朝銀によって構成されておりまして、朝銀は朝信協の定款、規定及び諸決定事項に従うことなどが義務づけられているものであります。
 このため、警察といたしましては、朝銀については朝鮮総連と密接な関係にある団体であると認識しているものであります。
森山国務大臣 破綻金融機関の処理につきましては、御指摘の金融機関が我が国の法令に基づいて設立された国内金融機関の一つであることにかんがみまして、預金者保護の観点から預金保険法等の関係法令に基づきまして行うものでございまして、所管庁、これは金融庁でございますが、そこにおきまして適切に対処すると考えております。
西村委員 終わります。
園田委員長 木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。
 きょうは、私は、鈴木宗男議員の私設秘書、コンゴ人ムルアカ氏に関してお聞きをしたいと思います。
 資料を配付したいと思います。
 配付資料一をごらんください。ムウェテ・ムルアカ氏の日本在留資格についてでありますが、鈴木宗男議員の私設秘書、コンゴ人ムルアカ氏の在留資格は、九四年五月十六日に、それまでの人文知識・国際業務、在留期間一年から公用に変更されております。在留期間はデュアリングミッションになりました。
 法務省にお聞きをいたします。デュアリングミッションとは何でしょうか。
中尾政府参考人 お答え申し上げます。
 これは、任務のある間の期間ということでありますけれども、私どもの方の入管法上では、公用に関しては、公用活動を行っている期間、こういうことでございます。
木島委員 入管法第二条の二、別表第一によりますと、在留資格公用の場合は、「本邦において行うことができる活動 日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動」、こうあります。そうしますと、公用の在留資格が与えられ、在留期間はデュアリングミッションということは、ムウェテ・ムルアカ氏は、日本国政府の承認した外国政府コンゴ民主共和国、当時ザイールだったと思いますが、その公務に従事する者と認定をされたとお伺いしてよろしいですか。
中尾政府参考人 当時、申請に係る書類に基づきそのような活動をしておる者として認定したものということでございます。
木島委員 それまでの人文知識・国際業務、在留期間一年からこのような在留資格に変わった。大変な在留資格の変更であります。
 そこでお聞きをいたします。このような在留資格を付与するために、法務省入管当局はどんな申請書類を受け、どんな審査を行ったのか、答弁願います。
中尾政府参考人 公用への在留資格の変更の手続でございますが、在留資格を公用に変更する場合には、在留資格変更許可申請書二通を持参してこれを提出することとされております。その際の申請書にあわせて、資料といたしまして、口上書その他外国政府または国際機関が発行した身分及び用務を証する文書を提出することとされておりますので、このムルアカ氏の場合につきましても、今申し上げた申請書二通と口上書等の文書が提出され、それに基づいて適正な審査が実施されているものと承知しております。
木島委員 今の答弁は法律と規則を述べただけであります。
 現実に、どんな申請書が出され、それに添付した書類がどんなものであったのか答弁を願っているわけであります。そんな規則は私は百も承知しております。そういう申請書及び添付書類、そして申請経過を記載した記録はありますか。出してください。
中尾政府参考人 お答え申し上げます。
 これは、ムルアカ氏に係るものを含めまして、当時、一九九四年ですから平成六年であります、当時の公用、外交の在留資格変更許可申請関係書類につきましては、平成七年以前のものは保存されておりませんので、私どもの方としては、実際に委員御質問の具体的な書類、それから中身は今のところは承知しておりませんが、一般的に先ほど申し上げたようなことでございますので、そのような書類に基づいて審査をして許可をしているものと考えておるところでございます。
木島委員 当時、入管局とりわけ東京入管局は、保存期間は原則何年だったんですか。
中尾政府参考人 当時の文書取扱細則によりますと、この資格変更申請書類関係の記録につきましては十年ということになっております。
 ただし、例外的に二分の一の保存期間で廃棄することもできるようになっておりました。
木島委員 原則十年じゃないですか。十年たっていないじゃないですか。ただし書きが適用できるような状況じゃないでしょう。廃棄したということは間違いないんですか。大変なことですよ、これは。内部規則にも反しているじゃないですか。原則十年保管じゃないですか。隠ぺいじゃないか。答弁してください。
中尾政府参考人 これは、隠ぺいしたものではありません。これは、私どもの現時点で確認しているところで申し上げましたら、平成十二年の一月時点に、他の関係書類とともに廃棄処分されております。
 その関係につきましては、当時の稟議を経て、当時の東京入国管理局長の決裁を得て廃棄されておるものと承知しております。
木島委員 保管期間は原則十年です。何でこんな書類が例外扱いされたのか、その根拠を述べてください。
中尾政府参考人 この書類だけを例外扱いというわけではございません。当時の東京入国管理局の庁舎の関係、その他の関係で、書類の整理整とんということが進められた中の一環として、種々の大量の書類とともに順次焼却されてきたものの一つでございます。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように、公用、外交の資格変更の関係の書類につきましては、現時点では平成八年以降のものしか保存されておりません。
木島委員 法務大臣、大変なことですよ。原則十年保管ですよ。五年以上たったら例外でいいと。例外ならピックアップするんでしょう。公用、外交という重大な在留資格認定書類ですよ。一般の在留資格と別枠で保管されていると私は入管局から聞いております。原則十年保管ですよ。まだ十年たっていませんよ。その中から例外的に廃棄していいものはピックアップするんでしょう。今の説明では、ピックアップになっていないじゃないですか。
 大臣、これはとんでもない内規違反だと思いませんか。それだけ答弁してください、大臣。
森山国務大臣 平成七年以前の外交、公用への在留資格変更申請記録は、今局長が申し上げましたように、既に廃棄されて保存されていないと報告を聞いております。
 原則十年ではないかという御指摘でございますが、東京入国管理局の文書取扱細則によれば、その保存期間は十年とされておりますが、保存期間の二分の一以上を経過し、保存の必要性がないと認めるときは、一定の手続のもと廃棄できるということになっておりまして、この文書だけではなく、その以前の、七年以前のものは全部廃棄されたということでございます。
木島委員 だから、例外、原則、ひっくり返っているじゃないかと。
 質問に対して何の答えにもなっておりません。さっき入管局長は一般論を述べただけであります。どんな口上書が大使館から行われたのか、その口上書によれば、ムルアカ氏の身分、資格、活動がどういうものであったのか、今では答弁できる根拠がないということですね。
中尾政府参考人 これは、適正に私どもの方の職務が行われていると私の方は考えておりますので、したがいまして、その限りにおいて順次手続が行われたというふうに承知しております。
木島委員 適正に行われたかどうかを証する最大の唯一の書面が申請書であり、申請書に添付された口上書であり、また、こういう在留資格を与えるかどうか審査する審査の経過報告書であり、いろいろな大使館に問い合わせたかもしらぬ、そういう証拠じゃないですか。それが全部なくなったんです。私は今疑念を提起しているわけですよ。証明能力が完璧に失われているということじゃないですか。
 さきに配付した資料を見てください。ムルアカ氏は、八九年六月十五日、入管法上の、いわゆる現行法で言う特定活動で一年の在留資格を得ております。このときの特定活動とは何だったんでしょうか。
 現行法別表第一の五、現行法では、在留資格、特定活動、「本邦において行うことができる活動」は、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」とあります。特定活動の在留資格を得るには、法務大臣が特に認定した場合だけなんですが、旧法もこの概念は間違いないですね。
中尾政府参考人 そのとおり間違いございません。
木島委員 私の調べによりますと、このときの特定活動というのは、在京ザイール大使館のいわゆるローカルスタッフ、現地採用大使館職員、もっと言いますと、運転手だったと私は承知しておりますが、法務省、このときはそうだったんでしょうか。
中尾政府参考人 委員おっしゃるとおりのものと承知しております。
木島委員 ムルアカ氏は、現地採用の大使館運転手として在留資格が認められたが、それはいわゆる特定活動であり、在留期間一年だけだったという前歴があるんですね。こういう人物に対して公用としての在留資格が与えられ、在留期間も事実上無期限でしょう。デュアリングミッション、大使館としての公務に従事する限り在留資格の更新手続なんか要らない大変な特権を与えたわけですから。
 何でそんな特権がこのとき付与されたのか。改めて、九四年五月十六日にこの人物にこのような公用の在留資格を付与した根拠を、推測や法律上こうなっているというような、そんな一般論じゃなくて、具体的に答弁してください。
中尾政府参考人 先ほど委員の方のお話もありましたので、その記録の関係でもう一度御説明申し上げないと、その辺のことが……(木島委員「一般論はいいです、一般論だったら、私は法律、政令全部知っていますよ」と呼ぶ)いや、一般論じゃありません。(木島委員「時間つぶしですよ」と呼ぶ)時間つぶしではありません。つまり、外交、公用の記録がどれだけの必要性の問題でございまして、これは当時……(木島委員「いや、答弁、答えてください」と呼ぶ)いや、ちょっと待ってください。(木島委員「答えられないのなら、もう時間つぶしですからいいです」と呼ぶ)いやいや、これだけは答えさせていただきたい。
 つまり、公用と外交の在留資格の記録は……(木島委員「もういいです。どういう根拠でこの資格を与えたのかというのが質問ですから、一般論なんて聞きたくありません。時間つぶしですからもういいですよ。帰ってください。一般論ならいいですよ」と呼ぶ)いや、一般論じゃありません。(木島委員「一般論は私全部知っていますから。入管法、知っていますから」と呼ぶ)いえ、そうじゃなくて……
園田委員長 中尾局長、手短に答えてください。
木島委員 どういう根拠と資料でこの資格を与えたのか、具体的に。この問題について聞いているんですから。
中尾政府参考人 ですから、先ほど申し上げていますように、口上書というものが……(木島委員「だから、どういう口上書だったのかと聞いている」と呼ぶ)はい。通常、一般的には……(木島委員「一般論でしょう。彼に対するどういう口上書だったのかと聞いているんです」と呼ぶ)ですから、基本的にはそういう口上書でございますので、その口上書に基づいて審査をするわけでありますので、当該記録は、私どもの取り扱いでは、他の在留資格と別に、すべての関係について在留、公用ということで別つづりでつづっておる関係上で、一定の期間が来たらそれをどぼっと、ムルアカ氏のみならずそれを廃棄しておりますので、先ほど申し上げたようなことでございます。
木島委員 そんな一般論なんて聞いたってしようがないんですよ。
 具体的に聞きます。記録がないからわからないというならわからないという答弁でいいんです。
 このときの在留資格審査において、ムルアカ氏の旅券、これはどういう旅券だったのか、審査し、法務当局として在留資格を認定するに当たって判断の材料として調査しましたか、しませんか、それだけ。一般論なんかいいですよ、私は一般論、知っていますから。このときの彼の旅券、審査したか。
中尾政府参考人 この点につきましても、具体的に記録が残っておりませんので、基本的には……(木島委員「一般的な推測なんかは答弁しないでくださいよ」と呼ぶ)はい。二通りございまして、公用という資格を与える場合に、持っている場合は旅券を確認して、旅券のところにその資格を付与する、こういうことでございますので、確認はしているはずだと思います。
木島委員 確認はしているはずだというだけであって、ここで答弁できないんですよ。記録を廃棄してしまったからでしょう。大変なことですよね。
 私の調べによりますと、そのときのムルアカ氏の旅券は一般旅券だったんですよ。彼が公用旅券を取得したのは、この公用という在留資格を得た半年も後の九四年十一月十六日ですよ。客観的な事実なんですよ。だから、私は、こんな時期に、公用旅券も持たない、一般旅券しか持っていないムルアカ氏に対して、どんな客観的な資料で、調査で公用資格を与えたのか、全く疑念を持つわけであります。
 一点だけ聞きましょう、私はこういう質問をするということをきょう通告しておりますから。
 このとき、外務省、入管局としてムルアカ氏の身分をどういうものだと認定したのか。認定した書類がなくなったって、認定した人物が今いるんでしょうからわかるでしょう。ムルアカ氏の身分をどういうものと認定したのか、答弁してください。
中尾政府参考人 基本的には、ザイール、コンゴ大使館勤務者として対応したと承知しております。
木島委員 だから、コンゴ大使館、ザイール大使館勤務員というだけでは公用の在留資格なんか与えていなかったんですよ、法務省は。その資料がさっき私が提出したものでしょう。八九年六月十五日、ザイール大使館の勤務員でしょう、運転手でしょう。しかし、そんな者に対して、それだけで公用の在留資格なんか与えていないんですよ。特定活動なんですよ。答弁不能になっていると思います。
 このような公用への在留資格の変更が行われたのは、はっきり申しましょう、鈴木宗男議員の要請があったからではないのか。きょう配付の資料三を見てください。全く在留資格を付与したと同じ日、平成六年五月十六日、その日付で、自由民主党国防部会長、衆議院外務委員会理事鈴木宗男氏の記名捺印がある、「東京入国管理局御中」と題する文書があるらしいんです。事実関係、法務省、どうですか。
中尾政府参考人 委員御指摘の文書については、私どもがそういう文書を収受、受け取ったかどうかの存否も含めまして、確認できておりません。
木島委員 もう再三、当衆議院、参議院においてこの問題は二月以来取り上げられているものです。どんな調査をされたんですか。関係職員にどんな調査をしたけれども確認できていないんですか。
中尾政府参考人 これは、当時の記録が保存の関係でありませんし、先ほどおっしゃっている文書につきましても、朝日新聞のところでそういう形の文書だということで記事になった文書でありますし、その文書についても、通商代表機関の元理事長から入手したものだということで報道されたわけでありまして、私どもの方に現実に提出して、提出されたものの控えだという話にはなっておりません。
木島委員 まともに質問に答えていないんですが、どんな法務省の職員から調査をしているんですか。
 では、もっと質問を詰めましょう。
 この平成六年五月十六日付の鈴木宗男議員の「東京入国管理局御中」と題する文書の中身を読みますと、客観的にこの文書から読み取れることを言いますと、鈴木宗男氏は、少なくとも公用の在留資格など要求していないんです。在留期間三年の労働ビザを賜りたい、こんな願いになっていますよね、この文書。こういう申請書なるものがこうやって今表に出てきている、写しが。
 鈴木議員にこの要請の趣旨を当然常識的には、入管当局、法務省は聞いたと思われるんですが、そういう調査はありませんか。
中尾政府参考人 私どもの方で、報道を通じてその文面を見ましても、やや不正確な点もございまして、果たしてそのような文面は、法的にそういう書類を私どもの方の審査に当たって要求している書類でもありません、単なる陳情に類する書類でありまして、それがあるから、ないからということで審査には影響のあるものではございません。
 先ほど来申し上げていますように、通常の口上書というのは、当該在京のそれぞれの大使館が、当該大使館に例えば技術職員として雇用されている何がしについて在留資格を与えられたいという程度の中身の口上書でございます。そういう口上書である限り、私どもの方で、それを信頼して在留資格として公用ということを与えることになっております。
 それと、もう一点申し上げたいんですが、いわゆる公用の資格ができたときに、いわゆるローカルスタッフについても公用の資格が与えられるというふうなことで法改正がされたと承知しております。
木島委員 だから、もう法務省、入管局は、その前の時期に既に、ローカルスタッフとしては公用なんて資格は彼には与えずに、特定活動という在留期間一年の資格しか与えていなかったという前歴があるんですよ。今、どんな口上書が出されたのか、言えないわけでしょう、文書をなくしたんでしょう。推測なんか聞きたくないんです。
 私は、幾つか今指摘をいたしましたが、一九九四年の五月十六日のこの公用の在留資格の付与、まことに無責任で異常な行政処分だったと思わざるを得ません。保管記録十年が原則なのに、十年たたず今これを全部廃棄処分にしているというのもまことにおかしな行政行為だと思います。
 法務大臣、速やかに、この鈴木議員の関与の有無も含めて、九四年五月十六日の公用との在留資格付与の問題について徹底した事実調査を法務大臣が責任を持ってやって、速やかにこの委員会あるいは国会に報告をすべきだと考えます。調査に入っていただきたい。どうですか。
森山国務大臣 なお確認するために調査をいたしたいと思います。
木島委員 期限を切っていただけませんか。
森山国務大臣 できるだけ早くするようにいたします。
木島委員 十日とか十五日とか一カ月とか、詰めておきたいと思います。
森山国務大臣 大変申しわけございませんけれども、十日とか二十日とか何月何日までというのは、ちょっと今申し上げにくいと思います。
木島委員 次の問題に移ります。
 配付資料四の一、二を見てください。
 これは、九九年二月十七日、外務省天江中近東アフリカ局長が法務省竹中入管局長を往訪し、ムルアカ氏の活動に関する相談との文書を持参して、ムルアカ氏が公用の在留資格を保持しているのだが、それでは大学等での講義や鈴木副長官の私設秘書としての活動で収入を得ることがなかなか法的に問題がありそうだ、それを認めてほしい、そういう趣旨の相談を持ちかけている。この文書は、そのときに外務省天江局長が法務省竹中局長に渡した文書であります。これは事実ですか。これがそのときの文書でありますか。外務省、法務省、イエス、ノーで答えてください。
中尾政府参考人 これはコピーでありますけれども、私どもの方で持っているもののコピーではありませんが、内容はこのとおり、間違いございません。
小田野政府参考人 御説明申し上げます。
 当時の中近東アフリカ局長は、ムルアカ氏の求めに応じ、同氏の在留資格外の活動が可能か否かを法務省に相談したというふうに聞いております。そのときにメモを持参したというふうに承知しております。
木島委員 これがそのときのメモか。
小田野政府参考人 そのように承知しております。
木島委員 もう時間が迫っておりますから、法務省に結論だけお聞きします。
 こういう相談を受けて、法務省はどういう回答を外務省天江局長にしたのか、答弁ください。
中尾政府参考人 これは当時の外務省の局長と入国管理局長とのバイの関係で相談があった関係でありまして、この相談の紙に基づいて、当時の担当者がこういうことでありますということで当時の竹中局長に報告したと聞いております。
 内容でございますが、ムルアカ氏の、通商代表部の代表、大学の非常勤講師、私設秘書としての活動が、同氏の現に有する在留資格の公用の活動の遂行に当たりその妨げにならないことが口上書等によって立証された場合には資格外活動の許可を与えることができますが、これが立証されない場合には、当時ムルアカ氏が日本人と婚姻して婚姻の実態があるので、日本人の配偶者等の在留資格への変更申請を行うように教示するという対応が可能である旨、そのことを竹中入国管理局長に報告をしたと聞いております。
 その後、竹中局長の方からその担当者に話がなかったものですから、担当者といたしましては、当然竹中局長から中近東アフリカ局長に対して、報告どおりの回答が行われているものと理解していたと承知しております。
木島委員 法務省竹中局長から外務省天江局長にそういう回答をした。
 それでは外務省に聞きます。恐らくそれは事実なんでしょう。天江局長はそういう法務省竹中局長からの回答をもらって、その旨を鈴木官房副長官に報告しましたか。どうしましたか。
小田野政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、竹中入国管理局長から当時の天江中近東アフリカ局長がどのような御連絡をいただいたかについては、つまびらかにいたしません。
 それから、次の御質問でございますけれども、当時の中近東アフリカ局長が鈴木議員に対しどのような方法でいかなる内容の説明を行ったかにつきましても、現在、当時の関係者に確認中でございます。
木島委員 とんでもない答弁じゃないですか。
 既に外務省は、衆議院予算委員会に対して、理事会に対して、九九年三月一日、天江局長から鈴木副長官に対して、公用での資格ではいろいろなほかの活動をすることは問題になるんだ、資格外活動の許可をとるかしなければいかぬのだという説明に上がったということを予算委員会理事の皆さんには説明しているじゃないですか。何ですか、今の答弁は。答弁し直してください。
小田野政府参考人 御説明申し上げます。
 今のようなことではないかというふうに理事会に御出席の理事の方からお話がございました。それで、そういうことではないかというふうに私は聞かれましたので、現在関係者に確認中でございますというふうに御説明申し上げました。
木島委員 何ですか、それは。それでは衆議院予算委員会に対する報告というのは推測を述べたにすぎないのですか。こんな大事な問題で、公式の衆議院予算委員会理事の皆さんに。事実確認をしたからこそ報告したんじゃないんですか。
 もう一回、本当に大事なところですから、正確な答弁を求めます。
小田野政府参考人 御説明申し上げます。
 まさに、当時の中近東アフリカ局長が鈴木議員に対しまして、どのような方法でどのような説明を行いましたかということにつきまして、現在当時の関係者に対して確認中でございます。
木島委員 予算委員会理事会では日付まで特定しているんですよ。九九年三月一日、天江局長が鈴木副長官に報告したと。こんなもの、推測で答えられる回答じゃないじゃないですか。間違いないんでしょう。
小田野政府参考人 日付につきましては、三月一日ということで御説明申し上げております。ただ、内容につきましては、今申し上げましたとおり、関係者に確認中でございます。
木島委員 もう時間ですから終わりますが、二つの点を指摘いたしました。九四年の五月十六日の公用での在留許可の付与、そして九九年の時点での天江外務省局長から竹中局長へのこのお願い。そして、それが、一定の法務省からの回答があって、鈴木副長官に報告があった。もうこれ、一見明らかに、ムルアカ氏がいわゆる公用、政治活動に従事している者、公務に従事している者ということは明らかです。しかし、去る三月十一日の鈴木代議士の予算委員会での証言によりますと、民間人であるという認識であった。もう偽証であることは明らかです。
 私は、一昨日、偽証で告発をいたしました。東京地検特捜部が受理をいたしました。当然、捜査に入るものと思われますが、刑事局長をお呼びしておりますので、捜査体制がどのようになっているのか答弁を求めて、質問を終わります。
古田政府参考人 ただいま委員から御指摘の告発を東京地検で受理したわけでございます。
 ところで、委員御案内のとおり、議院証言法上の偽証罪につきましては、これは議会の告発が訴訟条件となっておりますので、そういうふうにされていることの趣旨についても十分慎重な配慮をしながら、検察当局においては、告発を受けて適切に対処してまいるものと考えております。
木島委員 終わりますが、一言説明しておきますと、今訴訟条件と言いました。これは起訴するための条件なんです。捜査のための条件ではないんです。ですから、今適切にやるとおっしゃいましたが、ロッキード事件では、強制捜査が先になって、委員会としての告発はその後になった、そういう前例もあるということは一応指摘しておきまして、時間ですから、質問を終わります。
園田委員長 植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 まず最初に、裁判所職員定員法にかかわりまして一点お伺いしたいと思いますが、三月十九日の閣議決定の推進計画の中でも、裁判所、検察庁等の人的体制の充実ということは当然触れられておるわけですけれども、今回の法案でそうした増員等々がまだまだ十分果たされているとは言えないわけですが、今後、こうした裁判官また検察官の増員に対して、改革事務局の方としてはどんな姿勢で臨むのか、どんな段取りで進めていくのかということをまずお伺いしたいと思います。
山崎政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、昨日、司法制度改革推進計画が閣議決定されたわけでございます。
 この中で、ただいまの点に関しまして、裁判官や検察官の増員につきましては、裁判官、検察官の大幅な増員、これを含む司法を支える人的基盤の充実を図ることが必要であるとした上で、「これらを着実に実施するため、本部の設置期間中においても、裁判官、検察官の必要な増員を行う」、こういうふうに記載がされております。
 今後の各年度の裁判官や検察官の具体的な増員につきましては、このような裁判官、検察官の大幅な増員が必要とした推進計画のもとで、各種制度改革の進展や社会の法的需要を踏まえるなどしまして、必要な措置を講じていくことになるというふうに考えております。
植田委員 今回の法案に直接かかわっての質問は以上でございますが、かかわりまして、幾つかの点お伺いをしたいと思うわけですが、実は昨年、同じこの法案の審議の際に、私、「裁判官に対する人権教育の具体的カリキュラム」についてお伺いしたことがありました。質問の後、その紙、一枚物をいただいたわけですけれども、これを見ますと、令状実務、少年事件、国際人権規約、人権擁護推進審議会関係、セクシュアルハラスメントということで、平成十、十一、十二年度の実施例であるということでいただいたわけですが、では、十三年度、これに追加されて実施されたようなものはあるでしょうか。まずその点、最高裁にお伺いします。
金築最高裁判所長官代理者 司法研修所におきまして、今委員が挙げられました、令状実務、少年事件、国際人権規約、人権擁護推進審議会関係、セクシュアルハラスメント等の事項について、前年度に引き続いて各種研修を実施いたしましたほか、平成十三年度には新規に男女共同参画社会関係の講演をいたしました。
植田委員 男女共同参画社会関係が去年までのものよりも一つ加わったということですね。
 私も、このカリキュラムを見せていただいて、別に悪いとは言いません。非常によくやっておられると思うわけですけれども、例えば、令状実務であるとか国際人権規約であるとか、恐らく、私は裁判官にならはるぐらい賢い人たちやったら、十分そういうことを勉強されてなっておられるん違うやろかと思うわけです。私なんぞは常にそういうことを持続的に勉強していかぬとあかんわけですが、令状実務とか、わざわざこういうことに特化して、もちろん教習所に行ってもペーパードライバーはおりますから、勉強していても実際なかなか使いこなせないという人もいるのかもしれませんが、もっと重要なことは、実際、裁判官は裁判をやるわけですから、人権侵害でいったら、差別の現状についてやはりしっかりと把握をしていく、やはりそこのところはみずから実感しなきゃわからない部分だと思うんですよ。
 例えば法律や実務処理の勉強もそれは私は大切だとは思いますけれども、それをそれなりにやってきたから裁判官になれるのであって、むしろ裁判官が弱い分野というのは、例えばそういう事件が起こる背景というものをいわば実感として認識することができるかどうか、そういうところはやはりなかなか弱い分野だろうと思うわけですが、そうした点というものをもうちょっと考える必要はないんでしょうか。私は、そんなことをもっと裁判官の方に理解してほしい、わかってほしいというふうに思うわけですが、いかがですか。
金築最高裁判所長官代理者 御指摘のように、単に座学で理論面を学ぶというだけではなくて、法的問題の背後にあるいろいろな事情まで踏み込んだ、実感の持てるカリキュラムと申しますか、そういうものを計画実施するということが重要であるというふうに思っております。
 そうした観点から、各種の研究会におきましては、問題研究などに刑事事件、少年事件、家事事件について具体的な諸問題を含んだテーマを扱ったカリキュラムを実施しておりますほか、参加者である各裁判官がみずから取り扱った事件等を素材に共同討議をするカリキュラムを設けるなど、そういう実感の持てるカリキュラムという観点からの工夫もしていると思いますけれども、今委員御指摘の点、念頭に置きまして、多様な研修カリキュラムの計画実施を考えていきたいと思っております。
植田委員 これからやられることですから、また来年私はこれをする機会があれば、その点について恐らくまたお伺いすることがあろうかと思いますし、またその経過についてお伺いすることもあるかもしれませんが、十五日に閣議決定されたいわゆる人権教育・啓発に関する基本計画でも、「人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対する研修等」と、かつて人権教育十年の推進本部では、議会関係者、裁判官等というのはなかったわけですが、新たにこの基本計画では入っています。「行政府としての役割を踏まえつつも、情報の提供や講師の紹介等可能な限りの協力に努めるものとする。」サービスしますよということを言うてはりますので、十分活用して、実りあるそうした研修を実施していただきたいというふうに思っておるわけです。
 そこで、人権教育等々にかかわりまして、きょう少しお伺いしたいのが、児童買春の防止に向けた取り組みにかかわってでございます。
 今最高裁については、今聞いたところ、この問題に特化した研修等はカリキュラムとしては組まれていないようですから、答弁求めませんが、この問題について実は毎年いただいている人権教育十年にかかわる関連施策で、特に特定の職業に従事する者に対する人権教育というところの資料を見させていただきましても、子供買春、子供ポルノの問題にかかわって具体的にどんなことをやってはるのかというのがちょっと見えにくいところがありますので、法務省さん、検察官、検察職員についてどのようなこの問題に関して研修をされているのか、わかればプログラム、教材、例えばどういう講師の方を呼んでいるのか、また関係文書等々、具体的に示していただきたいと思います。示せないのであれば、どういうことをやっているのか、まずお答えいただきたいと思います。
古田政府参考人 お尋ねの件につきましては、検察官あるいは検察事務官につきましては、任官後何回かにわたりまして研修をする機会があるわけでございます。そういう中で、いわゆる児童買春問題、児童ポルノの問題、こういうようなことについても研修の内容で触れるように最近しているわけでございます。
 また、もちろん、処罰法規を運用する立場でございますので、いわゆる児童ポルノ法とか、こういうことについての周知徹底は、これはもう全検察官に図るという措置をとっているわけでございます。
 ただ、この問題、これに特化してということよりも、研修等の中では、児童虐待とかそういう問題もあわせて、要するに、少年に対する被害を与えるいろいろな問題についてどう対応するか、そこで、被害者というふうな立場からどういうふうに考える、どういうふうに見えるかとか、そういうふうな被害者対策の一環としてこういう問題にも触れているわけでございます。
 したがいまして、研修等におきまして、これに特化した教材とかそういうものが特に用意されているわけではございません。
植田委員 今法務省にもお伺いいたしましたが、少なくとも法務省、最高裁では、子供ポルノ・買春問題にかかわって、それに特化して具体的に研修等を行っているわけではないので、例えばそれに特化したプログラムや教材等々というものは示されないということで、研修の中でそういう問題にも触れていますよというお話であったかと思います。
 そこで、この点、ちょっと法務大臣にお伺いしたいんですが、昨年十二月の横浜会議でも、森山法務大臣が政府を代表してかたい決意を表明されたわけです。非常に私はそのことについて敬意を表するとともに高く評価するものでございますし、実際、そもそも児童買春・ポルノ禁止法というものの生みの親でもいらっしゃいまして、そういう意味では、この法律を大きく育てていきたいという思いで法務大臣はいっぱいだろうというふうに私は思っておるわけですけれども、例えばこの横浜会議におけるさまざまな議論、またグローバルコミットメント等を踏まえて、ちなみに、じゃ、本年度、具体的に予算等でどんなものが反映しているんでしょうか。
森山国務大臣 児童買春、児童ポルノ処罰法の関係では、諸外国におけるこの種事犯の実態などを調査研究する経費といたしまして、十四年度の予算案においては百四十八万円を計上しております。
 また、この関係の予算として特別に、特定してお示しすることは難しいんですけれども、この法律に関するものも含めて、検察庁の職員に対する各種の研修とか事件の捜査処理のための経費ももちろん確保しております。
植田委員 聞き違いでなければ百四十八万と、えらいまたかわいらしい金額やと思うわけですけれども、なぜこのことを聞くかといいますと、それは、せめてこれはけたが違うん違うかと。
 最近いただいた資料で、「インターネット上の子どもの安全ガイド」というきれいなカラーのパンフレットがあります。私もこれを見たときに、やはり児童買春・ポルノの防止に向けて政府も本腰入れてやるんかいなと思って中身読ませていただいたわけですが、ふっと見ると「エクパット編」とあるわけです。NGOが翻訳されたわけですけれども、後で伺いますと、ほとんどボランティアで翻訳をされたと。
 じゃ、その翻訳をしたこの本について、日本政府が支援をして幾ばくか印刷をしたんかいなと思いきや、小さく恥ずかしそうに、ただし書きで「本ガイドの翻訳及び出版に対しては英国外務連邦省から援助を受けた」というふうに書いてあるわけです。要するに、NGOがこしらえて、イギリスの外務省が金を出してこしらえたということです。
 これ、非常に恥ずかしい話やと素朴に私は思いますよね。法務大臣も、この辺、せっかく法律こしらえて、さあ運用しようと思って、要するに、いわゆるスキルの開発等々も当然日本が責任持ってやらなきゃならないのを、翻訳はNGO、お金についてはイギリスの外務省と。これはちょっと日本として、日本の取り組みどうなってんねんと言われてもこれはしゃあないと思うんですわ。
 後で聞くと、警察庁が二千部ほどこれを買い取って配っているらしいですが、少なくとも、非常に有益なこうしたものの作成等々、これを一万、二万刷ろうと思ったら百四十八万円では恐らく無理やろなと思いますが、これは法務大臣、どうですか、ちょっとみっともない話やと思いませんか。そのことも含めて、これからどうしたいか、法務大臣なりの決意をお伺いします。
森山国務大臣 今申し上げました百四十八万円というのは、先ほども御説明いたしましたように、諸外国におけるこの種事犯の実態を調査するということでございます。
 十三年度は、今おっしゃいました横浜の大会その他、日本の政府が招致したものでございますので、それにかかわる経費を相当、あれは外務省の予算だと思いますが、出しておりますので、我が省の十四年度の百四十八万だけではないということを御理解いただきたいんです。
 今お示しくださいましたパンフレット、なかなか魅力的なもののようでございますし、大変参考になるのではないかというふうに思います。検察や警察が力を入れるということも非常に重要でありますが、さらに、国民の多くの方に御理解をいただいて、社会的な、こういうものをなくそうという風潮を高めるということも基本的に重要だと思いますから、そのような資料を活用するということは重要ではないかと私も同感でございます。
 ただ、その費用を全部持つということが可能かどうか、それを買い取って、必要な部数、警察官とかあるいは検察の人とか、そういう人全部に配るというだけの予算的なゆとりがあるかどうか、ちょっと私も今すぐにわかりませんけれども、できるだけの範囲で活用したらよろしいのではないかというふうに思います。
植田委員 思いはよくわかりますが、みっともないでしょうと私が申し上げたのは、今後、こうしたことを政府としてやはり責任を持って教育、啓発に努めていくんだという意思表示をもう一度なさってください。
森山国務大臣 この問題については、さっきも申し上げましたように、国民の意識の啓発ということが大変重要だと思いますので、法務省も政府の一員として、特にここに深くかかわる立場の役所として啓発活動にも一層力を入れていきたいと思います。
植田委員 いつも聞いていると、皆さん、どこに聞いても、これからも充実に努めてまいりますとか、一層努力しますと。私はそういうことは忘れていませんので、その都度、じゃ、どこが充実しましたかということは、いずれちゃんとお伺いいたします。
 何でこの件、私言うたかというと、いいものですから、せっかくイギリスの方の御配慮もあってやられて、実際に警察含めて配られている、そんなに部数は多くはありませんが、いい作業ですわ。こうしたことをもっと率先してやりなさいということなんですが、何でそういうことを言うかというと、本来、そうした子供買春、子供ポルノなんというのと接点を持つ、具体的に直接自分がそういうことをやる、見るなんということをおよそやらないであろうとおぼしき方々が引っかかっておるわけですわね、この児童買春、児童ポルノで。恥ずかしい話ですけれども。だから、私なんか、少なくとも裁判官全員に配って、外務省の役人にもこれ全部配って、いつも持っておけというぐらいのことをやってほしいと思うわけです。
 さっきも最高裁、男女共同参画社会のこと、ふやしましたとかおっしゃっていましたけれども、一々固有名詞は申し上げませんけれども、それは身に覚えのある話やと思うんですよ。身に覚えありますでしょう。元東京高裁の判事の子供買春事件というのが現にあったわけですわ。要するに、世の中にはええ人もおるけれども悪い人もおる。でも、そういう不心得者も確かにおるかもしれませんが、裁判官にそんな不心得者がおったらあかんわけですわ、はっきり申し上げて。
 これはもう、裁判官に対して、少なくともこの子供買春、子供ポルノ禁止法の趣旨というものが徹底してへんということじゃないですか。徹底していたらそういうことは起こらぬわけでしょう。私の言っていること全然間違ってへんと思いますよ。そういうことのまさに証左ではなかったかと思うわけです。
 そのことは当然反省されていると思いますが、その反省の弁とともに、今回のこの子供ポルノ・買春禁止法の趣旨を今後具体的にどう徹底されるのか、その点についても最高裁に伺います。
金築最高裁判所長官代理者 御指摘の事件はまことに言語道断の事件でございます。裁判官が犯罪行為を犯したわけでございますので、これは研修以前の問題かと思いますが、裁判官の人権感覚というものを深める、人権意識を深めるという見地からの研修というものももちろん必要でございまして、そういう研修カリキュラムのあり方を考えていくことが必要であると思っております。
 基本的には、裁判官の人権感覚というのは、日々の執務とか事務処理をする中で、合議とか先輩裁判官の指導、自己研さんを通じて、裁判官のあり方とか心構えとして養われていくものであろうと考えておりますけれども、これを補完するものとしてそういうものを考えていきたい、こういうふうに思っております。
植田委員 ほんまに大丈夫なんですかと聞きたいところですが、大丈夫なように頑張りますということでしょうから、今後あったらもっとぎゃんぎゃん言いますさかいに、そこは御覚悟召されてください。それと、こうしたことも踏まえて、法務省としてちゃんと締めるところを締めてほしいと思います。
 あと、最高裁にもう一つ、これは事実関係だけですが、実際、子供買春・ポルノ事件の裁判にかかわって、被害者保護措置の運用状況がどないなっているか、わかる範囲で結構です、御教示いただけますか。
大野最高裁判所長官代理者 児童買春、児童ポルノ処罰法の違反事件におきましては、児童の供述調書が同意されることが多いという実情にありまして、児童を証人として尋問することは少ないというふうに聞いております。私どもが児童買春の事件におきまして被害児童を証人として調べたという事例で、遮へいの措置をとった例が一例あるというふうに聞いております。
植田委員 あと、これは警察庁と法務省にそれぞれお伺いしますが、この禁止法十条には、法務大臣はよく御存じだと思いますが、国民の国外犯にかかわる規定があります。
 今後、余り歓迎すべきことではないですけれども、国外犯事件は恐らく増加するだろうと推察することは容易だと思うわけですけれども、事件の迅速な処理でありますとか、外国人の被害児童の取り扱い、適切な保護等を確保するために、これまでどんな措置を講じてこられたか。講じてこられなかった、具体的に余り見るべきものが、報告するほどのことがないというのであれば、今後いかなる措置を検討しているのか、もしくは予定しているか。これは警察と法務、両方に一応お伺いいたします。
黒澤政府参考人 児童買春等の国外犯の取り締まりでございますけれども、法の施行を受けまして、重点的かつ積極的に取り組んでおるところでございます。
 具体的に申し上げますと、外国の捜査機関との連携強化が重要でありますことから、警察職員を海外に派遣することなどによりまして、外国捜査機関から具体的情報が速やかに提供されるような緊密な関係の構築を図ることによりまして、外国の捜査機関と緊密な捜査協力を行い、これまで、平成十二年十一月タイ王国、十三年一月カンボジア王国における児童ポルノ製造事件、それから、十三年十二月カンボジア王国における児童買春事件の三件の国外犯を、法施行以来、検挙いたしておるところでございます。
 また、事件の摘発を実効あるものとするために、先ほど来出ております、昨年の十二月に横浜市で開催されました第二回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議におきまして、国際捜査協力の強化を目的といたしまして、警察庁主催のワークショップを開催いたしました。その開催とともに、本年の一月でございますけれども、国外犯捜査に関する全国捜査会議を開催いたしたところでございます。
 今後とも、児童買春等の国外犯の取り締まりに対する取り組み及び国際捜査協力をより一層推進し、国内における児童買春、児童ポルノ事犯の突き上げ捜査の徹底や関係機関等からの端緒情報の入手、外国捜査機関、NGO等からの通報に対する迅速的確な捜査を図るなど、さらに積極的に取り組んでまいる所存でございます。
古田政府参考人 ただいまのお尋ねにお答えする前に、ちょっと一言だけ補足させていただきたいんですが、先ほど、児童買春とかそういう問題についての教材、特化したものはないと申し上げましたが、個別の法律、これは処罰法規の運用でございますので、それに誤りがないように、その観点あるいはその趣旨はどういうふうに理解すべきか、法律ごとでのそういう実務上の参考資料はできるだけ整備に努めているということでございます。
 さて、ただいまの国外犯の問題でございますけれども、基本的には、ただいま生活安全局長から御答弁があったとおりでございまして、外国で行われた行為であっても、これについて端緒が得られた場合には的確な捜査をする。そのためには国際共助が大変重要でございまして、そういう観点から証拠の収集等にも十分努めるように努力しております。
 現にそういうことで証拠の収集をしたものもございますし、いろいろなそういう共助の体制というのが、日本の場合かなり柔軟にできるようになっておりまして、外国にお願いするときも、あるいは外国から受けるときも、こういう問題に限らず一般的に広く対応ができるようになっておりますので、それを活用してやっていきたいと考えております。
植田委員 よくわかりました。
 最後、持ち時間五分ですが、人権教育・啓発に関する基本計画について、何点かお伺いしたいと思います。
 今回閣議決定された基本計画、これは教育啓発推進法の七条に基づいてつくられたわけですが、八条で年次報告を出すとなっているわけです。これはいつ出すんでしょうか。簡単なことですので、端的に。
吉戒政府参考人 お答え申し上げます。
 人権教育・啓発推進法七条に基づく基本計画、これは三月十五日に閣議決定いただきました。同法八条に基づきます年次報告ということが次の作業になります。
 これは、同法の附則の第一条のただし書きの規定によりまして、平成十三年度に講じた施策につきまして、平成十四年度、来年度に報告するという段取りになります。したがいまして、その具体的な時期、公表の時期はこれから検討したいと思いますけれども、来年中に報告できますようスケジュールを今後詰めてまいりたいというふうに考えております。
植田委員 わかりました。
 できれば、その年次報告についてはこの場で集中審議なんかをやっていただきたいなと希望しております。
 この基本計画の二十八ページから二十九ページのところ、いわゆる同和問題について書いています。冒頭、「同和問題は、我が国固有の重大な人権問題であり、その早期解消を図ることは国民的課題でもある」とあるわけですけれども、これは法務省さんにまず伺いますが、当然ながら、部落問題の解決を図る施策を推進するというのは国の責務ですよね。これも端的に、るる御説明は結構ですから、責務であるかないかだけ答えてください。
吉戒政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、国は同和問題を含む各人権課題につきまして、その解決に向けた施策を策定、実施する責務を有している、これは人権教育・啓発推進法にも書いてあることでございます。そのとおり、承知いたしております。
 そこで、今回策定いたしました人権教育・啓発に関する基本計画におきましても、同和問題を含む各人権課題を掲げますとともに、その課題ごとに関係府省庁の取り組みを盛り込んでおります。同和問題につきましては、今、委員御指摘のとおり、この基本計画の第四章の2の(5)におきまして、二ページにわたりまして詳しく取り上げているところでございます。
植田委員 要は、当然、この前提となる教育啓発法にも国の責務が入っているわけですから、部落問題を解決する責務を国が有しているということは確認できる。
 そこで、文科省さん、これも一言で結構なんですが、同和教育を含む人権教育の推進というのも当然国の責務ですよね。これも端的に、責務ですと言っていただければ結構です。
玉井政府参考人 お答えいたします。
 従来から、人権尊重のための教育の推進に努めておりまして、同和問題の解決に努めているわけでございます。
 そして、閣議決定をいたしました中に、これも御案内のとおり、重要な人権問題の一つとして同和問題を位置づけ、国全体さまざまな取り組みを行うことになっております。したがって、文部科学省関係の取り組みといたしましても、同和問題に関係する差別意識についての人権教育の事業を推進すること、あるいは、学校、家庭及び地域社会一体となって進学意欲と学力の向上を促進し、学校教育、社会教育を通じて同和問題の解決に向けた取り組みを推進することなどを盛り込んでおりますので、そういう観点からの努力をさせていただきたい、かように思っております。
植田委員 最後、一点、内閣官房に伺います。
 この基本計画では、いわゆる、今取り上げました部落問題を初めとして、重要課題が「その他」含めて十二項目にわたって書いてあるわけですが、もちろんこれを策定するときにも十分踏まえられたであろうところの人権教育のための国連十年に関する国内行動計画、この国内行動計画では漏れているものが、この十五日に閣議決定された基本計画ですと、大ざっぱに見て、三つありますよね。一つは犯罪被害者と、インターネットによる人権侵害、それと同性愛者への差別。この三項目については、人権十年の推進本部が策定した計画には入っていないわけです。
 当然ながら、今度は、推進本部としても、この人権教育・啓発の基本計画を踏まえて、これら三点も含めて推進を図られるという理解でいいのかということなんです。
 というのは、ことし一月に出た「国内行動計画の推進状況」を見ましても、ここではちょうどこれの基本計画に該当する部分が「重要課題への対応」ということで書かれてあるわけですが、ここで、当時、この国内行動計画のときに「その他」ということで表記されていた部分は、ことし一月の報告でもないんですよね。要するに、九項目だけやって、「その他」にかかわるいろいろな重要な人権問題については、少なくともここでは、推進されたかどうかということがうかがう余地がないわけです。
 少なくとも、来年またこれを出されるときは、当然、今の問題も含めて、具体的にそうしたこともしっかり配慮して進められるという理解でいいんでしょうね。
和氣政府参考人 お答え申し上げます。
 人権教育のための国連十年推進本部におきましては、平成九年七月に人権教育のための国連十年に関する国内行動計画を取りまとめまして、これに基づいて、関係府省におきまして所要の施策を着実に推進しているところでございます。
 その推進状況につきましては、御案内のように、本年一月には、平成十二年度における実施状況を中心として推進状況の取りまとめを行ったところでございます。
 人権教育のための国連十年推進本部といたしましては、国内行動計画の推進に当たりまして、人権教育・啓発の基本計画等の動向にも配慮する必要があると考えておりまして、先生御指摘の、犯罪被害者等に対する配慮あるいはインターネット等新たな人権侵害の課題につきましても、必要に応じて、国内行動計画の推進状況の取りまとめの中で重視してまいりたい、そう思う所存でございます。
植田委員 現に総理を本部長とする推進本部があるわけですから、法務省さんも、文科省さんが中心に取りまとめられた今回のこういう基本計画がありますけれども、いわゆる広い意味での人権教育を推進する本拠は推進本部やということをゆめゆめ忘れんと、これからも取り組んでいただきたいと思います。この点の取り組み状況も、また機会あるごとにお伺いしたいと思います。
 以上で終わります。
園田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
園田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
園田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
園田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
園田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十四分散会


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