衆議院

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第9号 平成14年4月12日(金曜日)

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平成十四年四月十二日(金曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 園田 博之君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 棚橋 泰文君 理事 山本 有二君
   理事 加藤 公一君 理事 平岡 秀夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 西村 眞悟君
      荒井 広幸君    太田 誠一君
      後藤田正純君    左藤  章君
      笹川  堯君    下村 博文君
      鈴木 恒夫君    平沢 勝栄君
      松島みどり君    柳本 卓治君
      山本 明彦君    岡田 克也君
      佐々木秀典君    中村 哲治君
      日野 市朗君    山花 郁夫君
      石井 啓一君    藤井 裕久君
      木島日出夫君    中林よし子君
      植田 至紀君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        横内 正明君
   法務大臣政務官      下村 博文君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十二日
 辞任         補欠選任
  吉野 正芳君     山本 明彦君
  水島 広子君     中村 哲治君
  不破 哲三君     中林よし子君
同日
 辞任         補欠選任
  山本 明彦君     吉野 正芳君
  中村 哲治君     水島 広子君
  中林よし子君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
四月十一日
 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案(内閣提出第六一号)
同月十二日
 更生保護事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)
 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七八号)


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     ――――◇―――――
園田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長房村精一君の出席を求め、説明を徴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
園田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
園田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤公一君。
加藤委員 おはようございます。民主党の加藤公一でございます。
 先週に続きまして、きょうは、法律のプロの大臣にじっくりとお話を伺ってまいりたいというふうに思っております。
 商法、基本法でありまして、きょうから質疑ということですので、図らずもトップバッターでございますから、まずは大局論から少し伺ってまいりたいと思います。
 今回の法案の趣旨説明を伺いました。その中に、最近の社会経済情勢の変化に伴って、株式会社等の経営手段の多様化及び経営の合理化を図るため、会社の機関関係を中心に、会社法制の全般にわたり改正をするということでございますけれども、ここで念頭に置いていらっしゃる社会経済情勢の変化というものをもう少し具体的にぜひ教えていただきたいと思います。
森山国務大臣 企業の国際的な競争というのが非常に激しくなっておりまして、これに伴って各企業が自主的にその競争力を強化していかなければいけないという事態になっているということが一つあると思います。我が国の会社の株式を欧米の株式市場へ上場するとか、あるいは公開による国境を越えた資金調達など、企業活動の国際化というのが急激に進んでいる、非常に速いスピードで急速にそのような状況が見られるということが非常に際立った状況の変化だと思います。
加藤委員 確かにおっしゃるとおり、企業活動のグローバル化というのは当然の流れでありまして、そのために法改正、商法を改正するということにはもちろん異論はないわけでありますが、一方で、日本の国内を見ますと、最近、企業の不祥事というのが立て続けに発生をいたしておりまして、余り実名を出すのはどうかとは思いますが、雪印さんであったりあるいは三菱自動車さんであったり、本来であればあってはならないような事件が続発をしているわけです。
 私自身、長くビジネスの世界におりましたので、本来であればそれぞれ企業の倫理に基づいてそうしたことがないように経営をしていくというのは当然のことでありますけれども、しかし、一方で、それを仕組みとして、ルールとして防いでいくというのも必要な手だてではないかと思いまして、そうした昨今続いております企業の不祥事というものを防止するということも今回の法改正の目的の一つに入るのかどうか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
森山国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、企業の不祥事というのが依然として後を絶たないという状況でございますのは、まことに残念でございますが、現実でございます。このような事態の発生をできる限り減らしていくということも今回の改正のねらいの一つでございます。
 今回の改正法案で提案申し上げております委員会等設置会社におきましては、取締役会の中に、それぞれの構成員の過半数を社外取締役とする指名委員会、監査委員会及び報酬委員会の三つの委員会を設けるとともに、業務執行を担当する執行役制度を整備いたしまして、会社の業務執行が適正妥当かつ迅速に行われるように配慮をしております。
 また、委員会等設置会社におきましては、取締役会は監査委員会の職務の遂行のために必要なものとして法務省令で定める事項を決定すべきこととされておりますが、法務省令におきましては監査委員会の事務をサポートする体制のあり方を定めることを求めておりまして、これによって監査委員会の監査機能が相当高められるということが期待されるわけでございます。
 こういう制度の改善についての取り組みの進展の中で大企業の不祥事が減っていくことを願っているわけでございます。
加藤委員 今のお話ですと、大規模会社が委員会等設置会社を選択した場合には、監査委員会の機能が高まっているから不祥事が減るのではないかというお話でございましたけれども、その選択というのは当然企業に任されているわけですから、今回の法改正だけで果たして本当に不祥事が防げるんだろうかというところは少し疑問を持たざるを得ないところです。
 今回の法改正で、先ほど大臣おっしゃったように、不祥事を減らしていくということも目的の一つだということでありますが、本当にこの法改正でそれが実現できるのかどうか、その選択という部分もありますので、いかがお考えか、一言お考えをお聞かせください。
森山国務大臣 変化の激しい国際競争に勝たなければいけない、また不祥事も早く発見して防がなければいけない、そのほかにもいろいろな目的がありますが、その二つの大きな目的を達成するための仕組みの変化ということが法律の役目だと思います。最終的には、その企業責任者の見識あるいは手腕、そのようなものが大変重要であるとは思いますが、先生も最初におっしゃいましたように、それらのものが十全に発揮できるような仕組みというものを整えるというのが今回の目的でございます。
加藤委員 きょうは、トップバッターでございますので、この件についてはまずこの辺にしておきたいと思いますが、執行役を分離するとかあるいは社外取締役を入れるということについても、それを選択したからといって本当にそれで不祥事が減るのかというのは若干疑問を持たなければならない部分もあるかと思います。社外性の議論というのは昨年の商法の改正でも随分出ておりましたけれども、これも今まとまっている話で本当にいいんだろうかというところもないわけではありませんが、これはまた後に譲りたいというふうに思います。
 では、法律本論でありますけれども、今回の改正後の特例法二十一条の十七以下の部分で、取締役の責任について規定をされております。しかし、この中で現行の商法の二百六十六条二項、三項というのに該当する規定がないわけでありますが、これは一体どういうわけか、理由を教えていただきたいと思います。
横内副大臣 商法の二百六十六条二項、三項の規定は、御案内のように、ある取締役が取締役会の決議に基づいてある行為をした、それで損害責任を負わなければならない、そういう場合に、その取締役会の決議に賛成した取締役も、またその決議の議事録に異議をとどめなかった取締役も同じように責任を負うという趣旨であることはもう御指摘のとおりでございます。
 その規定は今回の委員会等設置会社の取締役については適用しないといいましょうか、そういう義務を与えていない、課していないわけでございますが、その理由としましては、この委員会等設置会社の取締役は、取締役として会社の業務を執行するわけではない。執行役が執行するわけでございます。取締役会の構成員として取締役がやることは、会社の業務執行を監視することが中心的な役割になるわけでございます。
 したがって、取締役会で賛成したというだけで行為者と同じ責任を負わせるという、そこまでの厳格な規定を設けなくても会社の業務執行の適正を担保することができるのではないか、そういうことで、商法二百六十六条第二項、三項に相当する規定は設けなかったということでございます。
加藤委員 一方で、今のお話で僕ちょっと納得できないのは、これは二百九十四条の二というところだと思います、いわゆる総会屋に利益供与したらだめよというような話のところですが、そこについてはこの二百六十六条の二項、三項の規定を適用するということが実は書いてありまして、一部は適用するが一部は適用しないということになると、執行は執行役に今度任されるから、取締役にはそこまで厳格に責任を負わせなくていいというのは、どうも違うんじゃないかなというふうに思えるわけですね。
 今の副大臣の御答弁の中でいいますと、確かに、今度の委員会等設置会社を選択した場合には取締役は執行役の監視機能が強まるということでありますけれども、監視だけではなくて、取締役は、執行が分離されるということは、逆に言うと意思決定に専念をするというか、その意思決定の重みはさらに増すわけですから、経営判断に対する責任というのは現状の大規模会社よりもかえって重くなるというふうに考えてもいいんじゃないかと思いまして、その意味では、今のこの二百六十六条二項、三項の規定がないということがどうも腑に落ちないんですが、もう一回その点、御答弁をいただけないでしょうか。
横内副大臣 総会屋に対する利益供与のような事案については、反社会性が強いということで、引き続き同じような規定を設けているということでございます。
 繰り返しになりますけれども、従来は、取締役が監督と同時に執行も同じ権限を持っていたわけでありますが、今回は、会社の業務執行は執行役ということで、取締役の権限というのは、確かに、おっしゃるように、経営の基本的事項の決定の権限はあるわけですけれども、主たる権限というのはやはり監視、監督という権限でございますから、執行役が執行する業務についてまでも、取締役が仮に取締役会の決定に関与したからといって、すべてその責任を負うということになりますと、これはやはり過大な責任になるんではないか。
 特に、社外取締役をかなり入れることになっているものですから、果たしてそういうことで社外取締役が入ってくれるかどうか、そういう問題もありますし、やはり、取締役の今回のそういった権限が従来とは違うということを踏まえて、こういう規定にしたということでございます。
加藤委員 昨年の商法の改正なども踏まえて考えると、今のお話ですと、取締役の責任を随分軽くする方向に動いているように思えてなりません。何でもかんでも重くすればいいと言っているわけでは全然ないんですけれども、余りにも軽くし過ぎなんじゃないかなというふうに私は思うわけですね。
 今の御答弁ですと、取締役がある議決に異議を唱えなかったら責任をこれまではとっていた、委員会等設置会社に変えた途端にそれがなくなるというのは、どうもやはり腑に落ちない。
 確かに、総会屋等に利益供与するということの反社会性が高いというのはもちろんそのとおりでありますけれども、何も総会屋に利益供与することだけが反社会的な行為ではなくて、さっき申し上げた、例えば雪印さんの話とか三菱自動車さんの話とか、それにも匹敵するというか、場合によったらそれ以上の反社会的な行為、消費者に直接被害を与える話でありますから、それ以上の反社会的な行為だと思うんですね。それに対して、監視機能が重視されているから責任は薄いんだというのはちょっとおかしいんじゃないか。
 社外取締役の件についても、それは社外の人であろうが何であろうが、これはまた社外性の議論というのは別にありますけれども、取締役としてそこに入っている以上はやはり一定の責任というものは負ってもらわなければいけないし、その緊張感がないとかえってその監視機能が緩むんじゃないかと思うんです。
 余りしつこくやりませんが、もう一回だけ、副大臣、お考えをお聞かせください。
横内副大臣 繰り返しの答弁になるわけでありますけれども、取締役会は監督が主体になるわけでありますが、会社の基本的な経営方針の決定はするわけですね。そうすると、執行役からの提案に基づいてこれを決定した、執行役がそれに基づいて行動した、それで責任を課せられたときに、その基本的な方針の決定に参加した取締役も全部責任を負うということになりますと、執行役の責任みたいなものを全部負わないかぬ、同じように負わないかぬということになるわけですから、それはやはり過大な責任を課すことになるんじゃないか、そういうバランス論で、今回のこういう規定にしたということでございます。
加藤委員 きょうは第一弾でございますので、承って、私もまた勉強させていただいて、後のバッター、もしくは来週以降また確認をさせていただきたいと思います。
 一点、ちょっとこれは確認なんですが、取締役の会社に対する責任に関する部分でございます。改正後の特例法の二十一条の十七第一項というところの表現なんですが、これが現行商法の二百六十六条一項五号の表現と異なっておりまして、これは法律論上同じ内容を規定しているのかどうか、ちょっと確認をさせてください。
横内副大臣 結論は、同じ内容ということでございます。
 御指摘のように、改正後の商法特例法の二十一条の十七の第一項は、取締役または執行役はその任務を怠ったときは損害を賠償する責めに任ずるとされております。現行の商法二百六十六条第一項五号は、取締役は法令または定款に違反する行為を行ったときには損害を賠償するとされておりますが、これは同一の趣旨を規定したものでありまして、適用としては全く同じだということでございます。
加藤委員 先ほど来の議論と今の件とあわせて、少しまた研究をさせていただきたいと思います。
 次に進みますが、今回、改正後の商法でいいますと二百五十三条ということになりますでしょうか、すべての株主が電磁的記録で提案に同意したときはその提案を可決する総会の決議があったものとみなすという規定が入っておりますが、この電磁的記録というのは一体何を念頭に置いていらっしゃるんでしょうか。
横内副大臣 ここで「電磁的記録ヲ以テ」というのは、株主総会の決議である事項への同意を会社に伝える方法として電子メールを用いることを想定しております。
加藤委員 この御時世ですから、電子メールを使って非常にスピーディーに議決が図れるというのは、それは大変すばらしいことだと思いますし、私も異を唱えるものではないんですが、一方で、電子メールの利便性の裏側に大変危険な部分も当然ございまして、特にメールの場合ですと、成り済ましとか、あるいは二重投票みたいなことですとか、そういうリスクが当然ついて回るわけでありまして、会社の総会の決議でありますから、そこがやはりいいかげんであってはならないと思うんですが、不正防止についてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
横内副大臣 御指摘のように、二百五十三条の規定は、株主が電磁的な記録によって同意をしたときには株主総会の決議があったものとみなされる。株主総会の決議と同等の効果を発揮いたしますから、株主本人がこれを行ったかどうかということを会社としては確認をするということが大変に重要になるわけでございます。
 今回の法律では、具体的な不正防止手段というようなことは、具体的な方法についてまで法律に規定しているわけではありません。それは会社に任せているわけでありますけれども、会社の取締役は、会社の取締役の責任として当然善管注意義務があるわけでありますから、その善管注意義務を果たすために、例えば電子署名をするとか、あるいはあらかじめパスワードを株主さんに割り当ててそのパスワードでチェックをするとか、そういう本人確認のための適当な方法を選択してこれを実施させなければならないというふうに考えます。
加藤委員 今の答弁ですと、もう不正防止は会社の方に任せますよという話なんですが、現状では、例えばパスワードであったりあるいは電子署名であったりという技術を使っても、一〇〇%不正を防止するというのは非常に難しいだろうと思います。これは実際、紙に判こでも同じかもしれませんけれども、可能性は明らかに高くなるわけですね。自署したりするよりは、あるいは本人が総会に出席したりするよりは、やはり不正の可能性というのは非常に高まるわけでありまして、幾ら技術が進んでも、残念ながら、それは今の段階では防ぐことができない。
 それを企業側に任せて本当にいいのか。何のガイドラインもなくて、電子メールで総会の議決をとっていいですよと。それが要するに総会の決議になるわけですから、会社の根本を、不正や、あるいは不正とまでは言わなくても、非常にいいかげんな方法でも、やろうと思えばできてしまうわけでありまして、本当にそれでいいんだろうか、何かしらのガイドラインであるとかあるいはルール設定というのは必要ないんだろうかと疑問に思うわけです。大臣、もう一度、いかがお考えでしょうか。
横内副大臣 御指摘の点は、単に商法のこの問題だけじゃなくて、e―JapanというようなIT化を進めていく全体にわたって、非常に基本的な問題としてあることだろうというふうに思っております。
 何か商法の中で具体の方法を決めるというよりも、それはもうまさにIT化全般にわたる問題ですから、しかも、かなり技術も日進月歩に変わっていくことでもありましょうから、やはりそれはそのときそのときとしての最適な不正防止の手段をとるということで、その会社の方にそのやり方については任す方が適当ではないかという判断で、法律の方にはそういう具体的な方法は入れていないということでございます。
加藤委員 不正があったときにその会社が損失をこうむるというだけであればそちらにもう任せているだけでいいとは思うんですが、実際には、この商法を変えるということは日本の経済の根幹を変えるような話でもありまして、国家に対する影響というのは非常に大きいだろうと思うんですね。不正であるとか、あるいは、簡単に言えば非常にいいかげんな総会が幾らでもできてしまうようになっては、これは大変な問題でありまして、ここで何か決めてくださいというわけじゃありませんけれども、商法という非常に基本的な法律の改正に当たってでありますから、ぜひ不正防止を、はい、会社ごとにどうぞ安全なようにやってくださいというのはちょっと乱暴かなと思いますので、ひとつ御検討をいただきたいなというふうに思います。
 IT化を進めることに私自身は大賛成でありますけれども、その裏側の部分ももう少し目配りをいただきたい。これはお願いを申し上げておきたいと思います。
 では、次に移りますけれども、労使交渉の問題について、一言ちょっとお伺いしたいと思います。
 これまでの通常の株式会社の場合ですと、労使交渉は、経営サイドは人事労務担当の取締役という方が大体の場合出てこられて、そこで交渉をされてきたということになるかと思いますが、今後、大規模会社が委員会等設置会社に移行した場合でありますけれども、どういう方が交渉の窓口として出てこられるのか、どなたがその責任を負って交渉をされるのか。どう想定されているか、伺いたいと思います。
横内副大臣 委員会等設置会社におきましては、会社の業務を執行するのは執行役でございますので、労使交渉の窓口は労務関係を担当する執行役がなるものと考えられます。
加藤委員 そうしますと、取締役と執行役が分離されたときには、取締役は会社の基本的な方針、意思決定をして、執行はすべて執行役に任せる、こういう話ですから、当然その執行役が交渉に出てくる。ここまではわかるんですが、そうはいっても、一方で、人事労務に関することというのはまさに会社の根幹のことでありますから、それが取締役から執行役にきちんと委任をされているという状態でなければいけないんではないかというふうに思うんですね。
 単に業務執行は執行役に任せてあるからその人でいいんだよということで本当に大丈夫なのか。例えば、取締役会で執行役にここまで任せるという決議が必要なのか、それとも執行役という制度をとればそれだけでもう十分なのか、ここをいかがお考えでしょうか。
横内副大臣 取締役会は監督と同時に経営の基本的な方針というものを決定するという仕事があるわけであります。実際の業務の執行はそれに基づいて執行役が行うわけでありますから、労使交渉の問題、労務の問題もその担当の執行役がやるわけでありますけれども、当然のことながら、取締役会で決定をされた経営の基本方針の枠の中で、それに従って行うということであります。どこまで委任するかは、これはもうそれぞれの会社の中の判断の問題だろうというふうに思います。
加藤委員 わかりました。それもまた少し勉強させていただきたいというふうに思います。
 では、時間も迫っておりますが、ちょっと計算の件について伺いたいと思います。
 現行商法ですと、計算関係の規定というのが要するに商法の中に入っているわけでありますが、今後これが省令に委任をされるということに変わるようでありますけれども、これは一体どういう理由からでありましょうか。
横内副大臣 計算関係の規定を省令に委任するということにしておりますけれども、これは、委員も御案内のように、国際的な会計基準の見直しが進んでいるという状況でございまして、こういった会計基準の変更というのはかなり頻繁に今後行われていくんではないかという見通しがございますので、今後予想される会計基準の変更等に速やかに対応する必要がございますので、財産評価等に関する詳細な規定は、法律ではなくて、迅速な改正が可能な省令に委任することにしたということでございます。
加藤委員 頻繁に改正が行われるとか、速やかに対応する、もうおっしゃるとおりで、企業会計が国際化されていきますから、もちろんそういうふうに対応していただかなければいけないと思うんですが、だからといって、法律で規定していたものを省令にするのが本当にその趣旨に合っているのかというところがちょっと疑問であります。つまり、法律は変えにくい、省令は変えやすいということなのかもしれませんけれども、実際に本当にそうだろうか。
 考えてみますと、昨年はたしか商法は二回改正をされているんじゃないかと思いますし、企業会計は、決算は年一回でありますから、何も毎月変えなきゃいけないとか海外が今月変わったから来月変えなきゃいけないという話では全くないわけでありまして、その意味では、省令でなくて法律に規定をしておいたままでもさほど問題はないんじゃないかと思うんですが、どうお考えですか。
横内副大臣 法律をその都度直せばいいじゃないかということはあるわけでありますけれども、ただ、ほかのいろいろな法律と省令というものの分担関係を見ても、こういったかなり詳細な会計基準的なものは、一般的には政令なり省令に委任するというのが通常だろうというふうに思いますし、また、現在の商法の計算関係の規定というのは、法律という性格上、かなり大まかと言ったらおかしいですけれども、余り細かいことまで規定していないわけであります。しかし、内容的にはやはりもう少し具体的な、詳細なことまで規定をして、企業の会計の準則にしなければならないという面もありますから、より詳細な規定を省令で置くということで、そういう柔軟性、弾力性と同時に、詳細な規定も置きたいということで、省令に委任をするということであります。
加藤委員 では、法律から省令に委任をするという件について、別の観点からちょっと伺いたいと思うんですけれども、今回の整備法案の方で、農業協同組合、それから水産業協同組合、信用金庫、労働金庫等についてなんですが、商法の計算規定を準用するという規定が一部削除されて、かわりに、内閣府令であるとか農林水産省令でありますとか、各省庁の省令に委任をするというふうに変わるようであります。
 これでありますと、もともと商法で決まっていればそれ一つで済んだものが、各省庁の省令にゆだねられるということになりますと、その規定がまちまちになったり、あるいはその整合性をとるために時間がかかって、先ほどの迅速に改正をしていくということがかえって難しくなるんじゃないか、あるいは混乱をするんではないかというふうに思うわけでありますが、いかがお考えでしょうか。
下村大臣政務官 お答えいたします。
 御指摘の農業協同組合法、信用金庫法それから労働金庫法、これらの規定は、今も答弁がございましたように、いずれも、今回の商法の改正において計算関係規定の省令委任を行ったものと同趣旨で、より迅速に対応できるという形での改正でございます。
加藤委員 迅速は本当によくて、速やかに対応してほしい、企業会計を国際化してほしいというのは本当にそのとおりなんですが、かえって省令にするとどうも迅速じゃないように思えてならなくて、例えば改正後の商法で二百八十五条あるいは二百九十条のこの条文を準用するということを、それぞれの、例えば協同組合法ですとか信用金庫法とか、そちらに入れておけば済む。それであれば、逆に言いますと、各省庁が一々省令を変えなくてもそれを一つ変えれば済むということになって、かえってその方が迅速じゃないかと思うんですが、いかがお考えですか。
下村大臣政務官 省令は法律で準用できないということで、今回のような改正を考えております。
加藤委員 ということになると、やはり法律で今のように定めておいていただいた方がいいんじゃないかと思うんです。まあ余りここでしつこくやっても始まりませんので、これもまた次回以降に譲りたいとは思うんですが、趣旨として、企業会計の原則を国際基準に合わせるとか、その変化に迅速に対応する、もうおっしゃるとおりで、それはどんどんやっていただきたいんですが、どうも私なぞからしますと、今まで法律に書いてあったものが省令になることによってかえってそのスピードが失われるような気がしてならないわけでありまして、これはまた勉強させていただきますが、きょうからスタートしたばかりの商法の議論でありますので、いずれかのところでまた御説明をいただきたいというふうに思っております。
 若干ありますが、後の中村議員に譲りたいと思います。
園田委員長 中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治です。
 大臣にまずお聞きしたいのは、法学上の一般的な言葉の使い方として、監査というものと監督というものの違いはどういうところにあるのかということをまずお聞きいたします。
下村大臣政務官 私からお答えをさせていただきたいと思います。
 現行の商法上、取締役会は、代表取締役の選解任権限や個々の取締役の業務分担の決定、変更権限を有しており、これらの権限の行使を通じて各取締役における適正妥当な職務遂行を担保するようにする役割を担っているものでございまして、これを現行の商法は監督と呼んでおります。
 これに対して、監査役には、取締役会が有するこのような権限はないかわりに、報告徴収権、調査権等の権限が与えられており、これらの権限を活用して取締役の職務遂行に違法な点がないかどうかを調査し、そのような違法行為を発見したときには、取締役会に報告してその監督権限の行使のきっかけをつくったり、違法行為の差しどめを裁判所に請求したりすることができることでございます。このような監査役の職責について、商法は監査と呼んでおります。
中村(哲)委員 政務官、私そんなこと聞いてないんですよ。法学上の一般的な言葉の使い方として監査と監督というのはどういうふうな違いがあるかということを聞いているわけでして、それは私が聞こうと思った次の質問です。
 つまり、監査と監督はどう違うのか。普通に考えたら、監督というのは内部的なもの、上が下を監督したり、そういうふうな使い方だ、監査というのは第三者が部外者の立場から見てチェックをしていく、私はこういうふうなものだと思うんですよ。そういうふうな違いがあるんじゃないかな、そういうふうな言葉の使い方が一般法学上使われているんじゃないかな、そのように考えているんですけれども、その点についていかがでしょうか。
下村大臣政務官 監査には内部監査と外部監査があるわけでございますが、一言で言えば、監督とは適法性それから妥当性、それから監査については適法性を有するということであると思います。
中村(哲)委員 監査は違法性だけを判断する、監督というのは妥当性プラス違法性を判断するということだと思います。
 次に、私は、委員会等設置会社についての質問をこれからさせていただきます。特に、特例法における委員会等設置会社において、監査役制度が使われなくなって監査委員会制度が使われることになる、そういうふうなことに対する問題点を私なりに分析したことを聞かせていただこうと思います。
 それでは、本論に入ります。
 監査委員会というものは取締役会から選任されます。監査委員会は、監査役のかわりならば、独立性が担保されなくてはならないのではないかと私は思います。それでは、なぜ選任されるという行為が株主でなく取締役が行うのか、それについて私は聞きたいと思います。
 つまり、株主総会で選任されるべきではないのか、そういうふうなことをお聞きしたいんですけれども、そういう点についてどのようにお考えになるでしょうか。
横内副大臣 この委員会等設置会社の監査委員会のメンバーである取締役、これは株主総会で選任されるんじゃなくて、取締役会で選任をされるということになっております。その点を御指摘だろうと思うんです。
 この委員会等設置会社の取締役会というのは、一点は、従来の取締役会とちょっと違いまして、社外取締役が過半数を占める指名委員会によって取締役の候補者が選任をされる、また、同じく社外取締役が過半数を占める報酬委員会で個々の報酬が決定されるというようなことで、取締役会そのものが従来の取締役会と違って監督機能が非常に大幅に高められているわけですね。そういう取締役会で監査委員会のメンバーも選任をされるということでございます。
 加えて、監査委員会のメンバーについては、その独立性を高めるために、その過半数が社外取締役でなければならないということにされていることと、それから、その会社や子会社の執行役を兼ねることができないということにされているということにしておりまして、そういう意味で独立性は確保されているというふうに思います。
中村(哲)委員 今の副大臣の御答弁をさらに深めて聞きますと、取締役制度全体として取り組んでいるので、端的に監査役の制度と監査委員会の制度を比べることはできないというふうに考えていいんでしょうかね。
 つまり、監査役というのは取締役会からかなり独立性が高い制度ですよね。しかし、この新しい制度というのは、取締役会から選任されて、取締役会と監査委員会との関係においては、監査役と比べれば独立性は低いかもしれないけれども、指名委員会なり報酬委員会なりの制度とセットされていることによって、全体としてガバナンスが確保されているというふうに考えてよろしいんですか。
 つまり、監査役から比べれば監査委員会は取締役会に対しては独立性が担保されていないかもしれないけれども、全体としてガバナンスは確保されている、こういうふうな考え方の違いがあるんだ、そういうことでしょうか。
横内副大臣 御指摘のとおりだというふうに思います。
 委員が独立性と言ったときに何に対する独立性かということがあるわけですが、恐らく現在の監査役制度ですね。これについて独立性が問題になりますのは、いわゆる代表取締役、社長に対して監査役が独立していないという問題があって、そこで、昨年の臨時国会で、いわゆるコポガバ法で監査役の会社の代表取締役に対する独立性を強めたということがありました。
 今回の委員の御指摘も、今度は業務を執行するのはいわゆる執行役ですから、執行役に対してこの監査委員会が独立性がちゃんとあるかどうかという御指摘だと思うんですけれども、その点は御指摘のように、取締役会そのものが独立性が高まっているということと、それから同時に、監査委員会メンバーについては特別に、執行役を兼ねることができないとか、そういう独立性を高める規定が設けられているということで、全体として独立性が確保されているというふうに考えているということであります。
中村(哲)委員 その観点をもう少し具体的に詰めていこうと思います。
 監査委員会は、取締役の職務執行を監査しないのか、また取締役会自体を監査しないのか、その点についてお聞きします。
 というのは、これは法務省からいただいたカラーの組織図のペーパーなんですけれども、監査委員会から矢印は、執行役の方に伸びているんですけれども、取締役会の方に伸びていないんですね。点線で私がこういうふうに引いたのは、これは手書きで私が自分で入れたんですけれども、これは、点線が入っているように、監査委員会から取締役、取締役会の方にも監査はされているんじゃないか。法文上見てもそうじゃないかと思うんですけれども、この点について、いかがでしょうか。
横内副大臣 委員の御指摘のように、この絵は間違いでありまして、おっしゃるように監査委員会から取締役会に線が伸びてなきゃいけない。ある段階まではこれはあったんですけれども、委員にお渡ししたこの資料の段階でその点の間違いがありまして、その点はおわびを申し上げます。
中村(哲)委員 つまり、これは矢印が書いてあったらどういうことをみんなぱっと見て思うかというと、選任したメンバーから監督されるんやからおかしいんちゃうかということを、図にきちんと書いてあると、そういうふうに思うわけですよ。それが書いていないことによってその辺がぼけてしまう。そういうふうな問題点があるんです。
 だから、誤りであったということは、こういう法案説明するときのこれはわかりやすい資料ですよね、こういうわかりやすい資料のときに重要な要素が外れているということは、これは法案審査の前提を欠きますよ。本当に、こういうことはやはりきちんと取り組んでいただかないといけない。その点についてどのようにお考えでしょうか。
横内副大臣 御指摘のとおり、そういう誤りがあったことについては申しわけなく、おわびを申し上げます。
中村(哲)委員 もっと法文をちゃんと読んでください。
 それじゃ、具体的にもっと詰めていきますね。
 こっちに対して監査しますよね。今度、ここに書いてありますけれども、取締役会は「取締役の職務執行の監督」と書いてあるんですよ。つまり、監査委員会のメンバーに対してもこれは監督するんでしょう。それはどうなんですか。
横内副大臣 御指摘のように、監査委員会は、執行役の職務執行は当然監査するわけでありますが、取締役の職務執行についても監査を行うということでございます。ただ、委員会設置会社におきましては、業務執行を行うのは執行役でございますから、監査委員会の監査というもののほとんどは執行役に対する監査になるわけですね。
 ただ、そうはいっても、監査委員会の監査は取締役についても行う。具体的には、取締役も取締役会への出席ということが一つありますし、それから、執行役から取締役会の招集通知を受けたときには取締役会の招集を行わなければならない、そういう職務がありますので、そういう職務がこの監査委員会の監査の対象になるということでございます。
中村(哲)委員 それと関連して、取締役会は基本的経営事項に係る業務執行の意思決定を行いますよね。その意思決定には、監査委員会のメンバーである取締役も参加するんですよね。それなら、監査委員会が取締役会を監査するのに、自分がメンバーとして参加して決定した取締役会での決定をどのようにして監査することができるのか。
 これは自己矛盾じゃないかと私は思うんですよ。これは、やはり制度的に非常に無理があるんじゃないか。取締役会から選任された監査委員会が、自分もメンバーとなっている取締役会の決定をまた監査する、そういうふうなスキーム自体が論理矛盾になっているんじゃないか。
 むしろ、監査委員会のメンバーは取締役会の議決権がない方が合理的なのではないかとさえ思います。監査委員会の取締役は、みずから判断する取締役会の決定に対してどのようにチェック、監査するんでしょうか。
 それについて副大臣のお考えをお聞きいたします。
横内副大臣 先ほども申しましたように、監査委員会は、業務の執行を行うのは執行役でありますから、執行役の業務の執行に対する監査というのがほとんどの仕事になるわけです。しかし、取締役についても一定の職務がありますから、それについても監査をするということでございます。
 そこで、委員がおっしゃる、自己監査みたいなものじゃないかという御指摘は、あるいは御指摘として確かにあると思うんですけれども、あくまでも監査委員会の監査のほとんどの部分は執行役の業務執行に対する監査であるということは御理解をいただきたいというふうに思います。
 おっしゃるように、一部、取締役会の職務についての監査もあるんですけれども、その限りにおいては確かに自己監査ということになりますけれども、その点は、監査委員会の監査が実効性をしっかり持てるようにいろいろな手当てをしております。
 例えば、今度の改正後の商法特例法の二十一条の七の第一項二号でありますけれども、監査委員会の活動を補完する内部統制システムをしっかりと構築させるということにしております。具体的には、監査委員会の事務局といいましょうか、監査委員会をサポートする手足となるようなそういう内部監査室的な組織をしっかりつくって、そこで監査をきちっと適正に行う、そういう監査の実効性を高める措置は別途とっております。
中村(哲)委員 内部統制システムをとられるということですから、その点についてはしっかり取り組んでいただきたいと思うわけです。
 次の質問に移りますが、関連して、そうであれば、監査委員取締役の任期が一年ということは任期として短いんじゃないかなと思います。
 監査役の任期が三年から四年になった。前は二年だったですよね、二年から三年になって、次、去年の改正で三年から四年になった。これというのは、任期を長期間にすることによって、きちんと監査の実を上げようという観点だったと思います。
 私は、監査役が四年というふうに任期が長くなってきたということと比較したら、やはり、監査委員取締役の任期も四年にすべきではないか、そのように考えるんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
横内副大臣 監査委員会のメンバーも取締役でありますので、今回の委員会等設置会社の取締役の任期は一律一年であるというふうにしていることとの関係で、同じように、この監査委員会メンバーたる取締役についても任期を一年として、信任するかどうかは毎年の株主総会に諮るということにしております。
 そうはいっても、監査委員会のメンバーというのは、社外取締役が過半数を占める指名委員会で候補者の人選がなされておりますし、そういうことで適切な人選が行われる仕組みができておりますので、監査委員会のメンバーの再任が不当に妨げられその地位が不安定になるというようなことはないというふうに思っております。
中村(哲)委員 その点についてはもう一度後でお聞きしたいと思うんですけれども、そもそも、この委員会等設置会社において、それを選択した場合に監査役が置けないということに問題があると思います。
 中間試案のときには、置いてもいいし置かなくてもいいという選択制になっていたと思います。つまり、委員会設置会社を選択した場合に監査役を置くのかどうかも中間試案では選択制だったですよね。しかし、今回、法案になったときに、監査役は置けないようになりました。これはどういうことなのかということを思うわけでございます。
 私は、置けるかどうかも選択制にすべきではないか、つまり、三委員会プラス監査役併存の形というものもやはりとるべきなのじゃないか、さらに進めて、むしろ、監査委員会制度自体をなくして監査役制度を残した方がいいんじゃないか、つまり二委員会プラス監査役制度というふうにした方がいいのではないかとさえ思っておるわけでございます。この点についての法務省の御意見をお聞きしたいと思います。
横内副大臣 今、試案の段階では併存を認めているという御指摘がありましたが、中間試案の段階では、もうそういう案は消えております。
 それで、監査役と監査委員会の併存を認めてもいいんじゃないかという御指摘でございますけれども、この委員会等設置会社の制度というのは、取締役会が業務執行者に対する監督を行う、そういう監督強化の手法としてこの委員会等設置会社の制度を設けているわけでございます。
 そこで、委員会等設置会社に別にまた監査役を残すということにしますと、監査という同一の職務を担当する機関が会社の中に二重に存在をするということになりまして、組織がいたずらに複雑になる。また、相互の権限調整、お互いにそれぞれ権限が例えば重複したりとか、その辺でまたそごが生ずるというおそれがあるということもありますので、委員会等設置会社というのは、業務の執行は執行役がやる、その執行役に対する監督というのは取締役会がやるんだ、その取締役会の中の機関として監査委員会が監査をやる、そういう仕組みにしているということでございます。
中村(哲)委員 副大臣、まず事実確認なんですけれども、中間試案の第十九の一の2には「1の場合においては、会社は、監査役を置くことを要しないものとする。」と書いてあるだけでありまして、これが現行法のように置くことができないということと同じ意味なのかどうか。私は、これはやはり表現が違いますから、置くことを要しないという表現と置くことができないというのは明らかに違うと思いますよ。大臣、答弁を撤回してくださいよ。
横内副大臣 確かに置くことを要しないと書いてあるわけでありますから、その読み方として、置いても置かなくてもいいというふうに読めるのかもしれませんけれども、そこの意味は、もう置かないということで、そういう趣旨で書いてあります。そのことは、法制審議会の委員の皆さんもそういう認識でその試案は受けとめております。
中村(哲)委員 この表現上のことでがたがた言っても仕方がないので、次へ行きますと、結局、執行役と取締役の兼務を可能にしたことが何でなのかなということを思うわけですね。先ほど副大臣の御答弁にありましたように、指名委員会というのが非常に大きな権限を持つわけですよね。それで、執行役と取締役のメンバーは兼ねられますよね。ということは、この指名委員会の社外取締役でないメンバーにも代表執行役というのは入ることができますよね。こういう制度になっていますよね。
 これというのはおかしいんじゃないかな。現行制度は取締役と監査役とを兼ねることはできませんよね。そういうことから考えると、代表執行役が取締役の議長にもなる、そして、指名委員会の、これは互選ですから委員長になれるかどうかわかりませんけれども、そういうトップになることになったら、結局そういうふうなチェックシステムも働かなくなりますよね。だから、独立性というのは担保されなくなるじゃないですか。
 先ほど副大臣のおっしゃることをお聞きしていたら、今回のこの委員会システムというのは、執行役と取締役というのを、いわば今までのような執行役の方が取締役会に当たって、今度、取締役会の方が従前の監査役なり監査役会に当たるというふうなすみ分けというふうに考えれば、代表執行役なり執行役と取締役会のメンバーというのが兼ねられるというのは、やはりこれはおかしいんじゃないかな、そういうふうに考えるのですけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。
横内副大臣 この委員会等設置会社というものの目的は、監督と執行を分けるというのが主たる目的でありますから、それを徹底していけば、委員の御指摘のように、執行役と取締役との兼任は認めるべきではないという議論も、議論としては確かにそれはあると思います。
 ただ、他方で、監督機関である取締役会の構成員である取締役の中に執行役を兼務している者がいた方が、会社の業務執行の状況とか会社の内情を把握することが容易になって、監督権限の適切な行使に資するという面もあるというふうに思います。
 この制度は米国の制度を参考にしているわけでありますけれども、米国においても、執行役員と取締役の兼任というのは制限されておらず、執行役員の一部が取締役を兼ねるのが一般的であるというふうにも言われております。
 そういうことで、この改正法案においては、取締役と執行役の兼任を法律で一律に禁止することはしないで、執行役を兼務する取締役を置くかどうかというのは、会社の選択に任せることにしたということでございます。
中村(哲)委員 米国でも認められているというふうなことでしたけれども、米国の制度が本当にいいのかどうかということを考えないといけないですね。
 エンロン事件が何で起こったのか、そういうふうな反省はきちんとしているのですか。やはりCEOが巨大な権力を握り過ぎたがゆえにエンロン事件が起こったと言われております。アメリカの現実にその制度で起こっている問題に関して反省なしにそのまま輸入するということは、これは日本の主体性が問われますよ。
 厳しいことを言うようですけれども、余り時間もなくなってきましたが、本当にこの点については検討しないとだめですよ。それはどのようにお考えでしょうか。ちょっと確認させていただきます。
横内副大臣 米国のこの制度を無批判に取り入れているというようなことは、これは全くないわけでありまして、法制審議会で専門の委員が十分な議論をして、もちろん、米国のその制度についても十分な検討をした上で、我が国に合う制度として、しかも選択制で、従来型の制度と新しい制度との選択制で導入をするということでありまして、決して米国のその制度を無批判に取り入れているということではございません。
中村(哲)委員 大臣に、これまでの審議の感想と、それから、商法典というものを今後どうしていくのかということをお聞きしたいわけです。
 私も法学を勉強してきて思うのは、この商法典は片仮名です。普通の人が読もうと思っても読めません。句読点も打ってありませんし、また、枝番号が多いので体系的な理解というものがなかなかしづらい、そういうふうな法律です。また、有限責任社員法が、この商法典と有限会社法、また、きょう話題となりました特例法とに分かれております。こういうことを考えても、会社法典という形で、商法典とは分離して、現代語にして、本当に若い世代が勉強しやすいような法律にしていかないといけないと思うのですね。
 特に、ロースクールが始まりますし、実務法律家というのがたくさん出てこなくちゃいけない、そういう時代に入ってきます。ということになると、やはり日本が主体性を持って会社法典というものをきちんと整備していく、こういうことが必要だと思います。
 きょうの先ほどのエンロンのことも踏まえまして、どのように会社法制を整備していくのか、お考えをお聞かせください。
森山国務大臣 いろいろと御指摘をいただきました点、大変参考になったと私も思っておりますが、これからの検討課題といたしまして、おっしゃいましたように、片仮名で書いてある、非常に古い時代にできた法律、その後必要に応じて改正を続けてはきておりますけれども、しかし、若い人が勉強しやすいように、現実の社会でもっと使いやすいようにということは、当然必要なことだと思います。
 平仮名の口語体の表記ということもいろいろなところから要求されておりまして、私どももその必要性を感じておりますので、そのことも含めて、スケジュールといたしましては、会社法全体の整合性を図ることも含めましてこれから検討いたしまして、私どもの予定といたしましては、平成十七年の通常国会にお出しすることができればというふうに思っております。
中村(哲)委員 平成十七年ということは二〇〇五年の一月から始まる通常国会だと考えてよろしいかと思います。あと三年という時間ですから、まあ短いのか長いのかよくわかりませんが、私としては、できるだけ早く、前倒ししてでもやっていただきたいなと思います。
 それじゃ、最後にコーポレートガバナンスという意味で、一点聞かせていただきたいと思います。
 去年の十一月二十七日に平岡秀夫委員がお聞きしている点でもあるんですけれども、完全親子会社、いわゆる持ち株会社を円滑に創設するために、株式交換、株式移転の制度が一九九九年に商法改正によってつくられました。その後、株主代表訴訟において、もとの会社の株主が、完全親会社、持ち株会社の株主となることによって、代表訴訟の当事者適格、原告適格をなくしてしまうのではないかという法律的な論点があります。
 これに関しては、今、現行法律では解釈が二つあって、当事者適格はあるという立場とないという立場があると思います。しかし、地裁の判断というのは、多分これは分かれ得るんじゃないかなと思います。現に、興銀事件においては、みずほホールディングスの株主になった株主からの代表訴訟に関しては、平成十三年三月二十九日、訴えの却下判決が出ております。それは確定しております。大和銀行の株主代表訴訟においては、これは和解が成立しておりましたよね。
 これは非常に問題があると思うんですよ。この間の読売新聞の記事によって、上村達男早稲田大学法学部教授も、これが問題だと。先ほどアメリカの話がありましたけれども、「アメリカでは、持ち株会社の株主による子会社取締役への株主代表訴訟は昔から認められている。」と書いてあるんですね。
 アメリカに制度を倣って会社法を整備しているんであったら、代表訴訟においても、きちんと子会社に対する責任も認めるように法改正しないといけないんじゃないですか。それはどのように、副大臣、お考えになっているんでしょうか。
横内副大臣 今御指摘がありましたように、会社が持ち株会社になった場合に、株主代表訴訟が提起をされていたその株主の株式というのは持ち株会社の方の株式に移転していくわけですね。それに伴って原告適格を失うんじゃないかという議論は、確かに議論としてあるわけでございます。そして、これについて、今委員も御指摘になりましたように、その株主は原告適格を失うという判断を示した地方裁判所の判例が一件ございます。
 ただ、この点については、株式移転後も株主の原告適格が維持されるという有力な見解もございまして、今のところ見解が大きく分かれておるというふうに言ってよろしいと思います。
 さらに、これに関連しまして、仮に原告適格が失われるとした場合に、株式が移転しますから、今度は持ち株会社の方がその訴訟を引き継ぐのかどうかという議論もありますけれども、この点についてもまた学界の議論が分かれているということでございまして、これは見解が今のところ大きく分かれているというのが現状でございます。
 したがいまして、判例や学説のこれからの動向というものをよく見きわめていきたいというふうに思っておりますけれども、万が一、今後の株主代表訴訟の実情から株主の利益が不当に害されるような事態が生ずることがあれば、所要の立法措置を講ずることも検討してまいりたいというふうに思っております。
中村(哲)委員 委員長、今の答弁は、答えていないと思うんですよ。今、現行法制の解釈の問題をおっしゃいましたけれども、私は政策判断を聞いております。そういうふうな議事進行での御指導もよろしくお願い申し上げ、時間が参りましたから、私の質問を終わらせていただきます。委員長には、今後、どうかよろしくお願いいたします。
 終わります。
園田委員長 植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 先ほどもずっと民主党の中村委員が、特に新たにできる監査委員会制度について重要な論点をいろいろ提起されていたと思います。与党席からも非常におもしろい質問だというふうな意見もありましたけれども、私もそう思いながら聞いていましたが、中村先生の質疑の途中からこの状況。法案審議ですから、やはりきちっと与党の先生方含めて御出席いただきたいと思います。私は、ここでもう座っちゃって集まるまでやりませんと言っても、別にそれは間違ったことではないだろうと思うわけですが、残念なことに、私、十時四十三分から財務金融委員会で質問があるんです。皆さん、自分とか、これは委員会で決定したことですから、ですから、ちょうど皆さんが質問で出ておられるというんであればよくわかります。採決がどこかであるというんだったらわかります。そういうことじゃないでしょうから、恐らく今御連絡をとっていただいていると思いますので、善処していただきたいと思います。
 そういうことで続けさせていただきますが、この商法、正直申し上げて非常に難しいなと思って、昨晩、質問をこしらえておったんですが、質問メモをこしらえているのか、論点について自分なりの読書ノートをつくっているのかと悩んじゃいました。いつも私は法務大臣に御教示を仰ぐような、どちらかというと余り追及はしたことないと思うんですが、特に今回は法務大臣からいろいろな御教示をまず賜って、きょう、私、三十分いただいておりますが、来週、できれば逐条的に来週いただいている分でやりたいと思うんです。特にきょうはざっくりとした、私なりに自分の問題意識を整理する意味でも、まず、商法改正、とりわけ会社法制の改正の経緯にかかわるお話についておさらいをさせていただければなと思っているわけでございます。
 もう既に百年以上たつこの商法、私も幾ら読んでもこればかりは本当につらいわけですが、一八九九年に商法が改正されて以来、それぞれの状況に応じて随時改正を行われてきたわけです。特にこの数年、合併制度でありますとか株式移転、株式交換、また会社分割等々一連の企業再編法制に引き続いて、昨年は、金庫株、単元株制度の導入、また新株予約権制度の導入等々、去年なんかは一年に三回商法の改正が行われたということでございます。
 この今回の改正に限らず、特にここ数年の一連の改正というものは、一九五〇年の商法大改正以来の改正であろうかというふうに思うわけですけれども、まず、入り口として、今回、今提案されている商法改正案のみならず、この数年の一連の商法大改正の流れを必然化する要件というものについて、まずその理由について御教示いただけますか。
森山国務大臣 おっしゃいますように、我が国の商法につきましては、もともと古い法律でございましたけれども、最近の経済情勢の大きな変化、また速い変化にできるだけ追いついていき、おくれないようにということで、いろいろな改正を最近は続けてまいりました。
 しかし、基本的に考えまして、このような競争激化の中で、組織が柔軟な再編成をして、企業がその経営の効率性や企業統治の実効性を高めるということが基本的に大切だという認識がございまして、平成九年以来行ってきました企業の組織再編成のための法整備が平成十二年の会社分割法制の創設によって一応一段落したということを機会にいたしまして、新しい時代の要請に適合した会社法制を整備していこうという考えで、企業統治の実効性の確保、高度情報化社会への対応、企業の資金調達手段の改善及び企業活動の国際化への対応という四つの視点から大幅な見直しを行うということにしたものでございます。
植田委員 一つ根底に流れる問題意識として、基本的には、いわば本物の株式会社制度といいますか、証券市場を活用する制度を構築しよう、そういう基本的な問題意識が底流にある、いわば市場のそういう意味での圧力というものが根底にあるというふうに、まず前提としてとらえておいてよろしゅうございますでしょうか、大臣。
森山国務大臣 そのような視点も考えられるかと思います。
植田委員 私は根底にあると言っておるわけで、いわばその辺に本質があるんじゃないのかと思っているわけですが、それも一つの柱だと、ややそこは理解にそごがあるようです。
 なぜ私はそういう問題意識を今回ちょろちょろと商法のいわば歴史みたいなものを勉強させていただいて感じたかというと、五十年前の、一九五〇年当時の改正、これは当時の戦後改革、いわば戦後の民主的諸改革の恐らく一環の中で商法も改正されたというふうに理解するわけですが、財閥の解体、そして持ち株の放出、そして独禁法制定、証取法制定、そして株式会社法大改正、そういう一連の流れがこのパーツにおいての戦後のいわば民主的諸改革の大きな流れだったと思うわけです。それは、理念としてあるのは、戦前の財閥中心の体制から、市民社会が企業社会を支えていくという転換を目指したものだろうと私なりに理解するわけなんです。そうした理解でいいのかどうかということをまずお答えいただきたいんです。やはりそこには、証券民主化という言葉が当たるかどうかわかりませんが、経済の民主化と申しますか、また健全な証券市場と、それを前提に成り立っている公開株式会社法制が、常に市民的に基礎を置く、いわば個人投資家によって支えられるという構図が五〇年改正のときには描かれていたんだろうと思うわけです。
 こういう理解でいいかということをまず踏まえながら、しかし、実際、年を経るごとに、そうした五〇年改正のときの戦後改革におけるこのパーツにおける理念と、そして現実の乖離がどんどん広がっていったんではないかと私は理解するんですが、その点もそういう認識でいいのかどうかということ。
 そして、今私が二つ申し上げましたけれども、もしそういう理解でおおむね正しいとするのであれば、では、その辺の理由が那辺にあったのかという点についても御説明いただければありがたいんですが。
森山国務大臣 昭和二十五年の会社法改正というのがございましたが、これは、その時点からさかのぼる何年かの間は戦時体制でございましたし、そもそも商法が最初にできたころというのはもっともっと初歩的な資本主義経済でありましたので、昭和二十五年の時点では、これはこれからの経済的な民主主義の社会ではうまくいかないということで大幅に見直されたと思います。
 そのときは、新しく接触することになった米国の会社法制を広範に取り入れたものではなかったかと思いますが、その主な内容は、授権資本及び無額面株式制度の採用による資金調達の簡易化、取締役会制度の導入と株主総会決議事項の取締役会への委譲による株式会社の経営機構の合理化、これらと関連して必要とされる株主の地位の強化などでございます。
 この改正によって導入されました諸制度につきましては、もちろんその後の社会の変化によって改正されたものもございますけれども、基本的な仕組みといたしましては現在においても機能を果たしておりますし、成果を上げてきたというふうに思われます。しかし、最近の急速な、また非常に大幅な経済社会の変化というものに新たな対応が求められているというふうに考えるわけでございます。
植田委員 大臣のお話ですと、少なくともこの五〇年改正の、恐らくその意義というものについての認識は私とほぼ同様だろうと思うわけですが、それの実際の理念と現実がどうであったかというところについては、やや大きく開きがあるのかなと思うんです。
 といいますのは、先ほども申し上げましたように、この五〇年改正で描かれた理念というものを、私は勉強させていただいて非常に評価しておるわけなんですが、ただ、実際、では本当に証券市場が活用される、先ほどの言い方で言うと市民的に基礎を置く、個人投資家によって支えられる、そうしたいわば市民が企業社会を支える体制というものが構築されたかどうかというところにおいては、むしろやはり乖離していたんじゃないか。というのは、例えば資金調達、これは間接金融でございますし、金融政策もしくは資本市場の規制というものは実際は大蔵省が取り仕切って、護送船団行政でやってきたわけです。それと、五〇年当時はありませんが、企業の意思決定等々も後には通産省の産業政策のもとにあったということは、やはり否定できないんじゃないのかなと。
 その意味で、株式会社制度といいましても、健全な証券市場が経営を評価する、そして資本家層が株式会社を支える、そしてまた経営者が常に証券市場の評価にさらされるというものとは実態としてはかけ離れていたんではないかなと私は思うわけです。
 その意味で、ある種不十分だというか、安普請と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、ある時期は、今申し上げましたような政府主導の体制というものが高度成長を支えた一つの機動力であったかもわかりませんが、結局、その限界がやはりバブル崩壊につながった一つの側面として見てとれるんじゃないのかなと思うわけですが、五〇年改正以降のこの間、そうした面において、今申し上げたような点、私は乖離していると申し上げたんですが、いかがですか。
森山国務大臣 最初に考えた、昭和二十五年のころに理想とした理念というものと現実の経済の動き、実態というものが常にいつもぴったりと合っていたというわけではないかもしれません。しかし、いろいろなこの枠組みができたことによって、その中でそれぞれの企業が努力をし、また政府もさまざまなお手伝いをして、その結果、戦後の復興ができ、高度経済成長も遂げてきたということも言えるのではないかと私は思いますし、それなりの機能を果たして、現在も基本的には評価すべきものがあると思います。
 しかし、それだけでは、あるいはその中にはいろいろな問題が新しく出てきて、そしてこのダイナミックな国際経済の中でしっかりと競争していくのには十分ではないということから今回の改正をお願いしようということでございますので、必ずしも先生と私の認識がそう開いているとは思いませんけれども、少し違うんでしょうか。私としては、今申し上げたような感じを持っているわけでございます。
植田委員 細々と聞いていくと、この五〇年改正以降の、私は乖離と申し上げましたけれども、一定、それは高度成長期の一つの背景としてそうした法制度があったというところまで私は申し上げているわけですから、そこまではどうやら大体同じようでございますが、その先がやや認識に開きがあるんではなかろうかというふうに思います。禅問答みたいになっちゃうんで次に進みます。
 そこで、一八九九年の商法制定当時のことを私なりにちょっとおさらいをさせていただきますと、当時、株式会社の機関は、株主総会、そして業務執行機関である独任制の取締役、そして業務監査及び会計監査の両方を行う監査役と、いわばこれは三権分立の構造で成り立っていたという理解でいいのかなと私も思っているわけです。そして、そこでは基本的には株主総会中心主義がとられていた。これはもう百三年前になるわけですが、ですから、株主総会がいわば最高かつ万能の決議機関として、業務執行を含めてすべての議決権を持っていて、取締役も株主から選任されなければならなかった。ある種理想的な姿だろうと思うわけですけれども、結局、しかしそれでは立ち行かないというのは、会社の大規模化等々の中で、少なくとも、会社のすべての重要な意思決定を株主総会で行うことは恐らく困難になったのだろうなというふうに思います。
 ですから、五〇年の改正で取締役会、代表取締役制度というのが導入されて、株主総会の権限が大幅に取締役会に移された。その意味で、所有と経営の分離が法制上図られたというのが五〇年改正の一つの画期だったのかなと素朴に理解しているわけです。その意味で、私自身、制度というものは、その時代状況また時代の要請に応じて変わり得るものだということは当然承知いたしますし、まして生き物相手に、会社制度なんですから当然そんなものは例外にはなり得ないだろうと思うわけです。しかし、株式会社とは何なのか、株式会社は何によって成り立つのかということを考えたときに、そうしたさまざまな環境の変化、時代を超えて、時空を超えてと言ったら大層ですけれども、一貫してやはり変えられないもの、守らなければならないものというものもあると思うんですが、何を守り何をいのかしてはいかぬものだというふうにお考えでしょうか。森山大臣。
森山国務大臣 会社法の基本的な目的、それは、株主と会社債権者双方の正当な利益を確保するとともにその調整を図るということが基本的な目的であり、その時々で変わるべきものではないというふうに思います。
植田委員 一応株主の利益ということをおっしゃっていただきましたが、少なくとも、企業統治の効率性や合理性を求める余りに、いわば株主主権というものが制限されるようなことが決してあってはならないと私は思います。
 その意味で、もう一度確認だけしておきます。
 具体的に、逐条的には来週、例えば提案権だとか特別決議にかかわるような話は来週伺いたいと思いますけれども、もう一度確認しておきますが、経営のいわば民主化という観点からも、株主主権の尊重というか、株主権というものを害さないように常に配慮をしておかなければならない、それはもう大前提ですよね。もう一度。
森山国務大臣 そのとおりだと思います。
植田委員 その御答弁を受けまして、具体的には、特にこの間の改正等々の動きを含めて来週またお伺いしたいというふうに思います。
 ざっくりしたことをもう一点お伺いしておきたいのですが、最近でこそコーポレートガバナンスというのがごくごく当たり前の片仮名として登場したのですけれども、例えばこの間、コーポレートガバナンスの議論の背景の中で、外国人株主の株式保有率の向上でありますとか、市場をめぐる環境の変化等々あるわけですけれども、特に九〇年代に入ってバブル経済が崩壊して以降、いわば経済のグローバル化等々といった環境の変化、また経営の変化等に直面すると、やはり企業の中にあった不良資産であるとか不採算事業の温存という非効率な経営、またそれによる収益力、競争力の低下というものが起こってきますし、また法令等遵守、コンプライアンスの問題等が顕在化してきた。
 そこで、改めて企業の意思決定の仕組み、機関間の牽制等々新たな経営のあり方をやはりしっかりともう一度構築していかなければならないということが基本的な背景だというふうに理解しておいてよろしいでしょうか。
横内副大臣 おっしゃるとおりだというふうに思います。
 近年、コーポレートガバナンスということの議論が活発になっておりまして、今回の商法改正もその一環になるものでございますけれども、会社というのは本来株主のものであるにもかかわらず、従来、ともすれば会社の経営において株主の利益というものが軽視されてきた、そういう反省があるし、また、実際にも株式の持ち合い構造が非常に今少なくなってきておりますから、従来はメーンバンクが会社をコントロールするというような面がありましたけれども、そういう機能が低下をしてきているということもございます。
 それから、全般的に、先進国において軌を一にしてコーポレートガバナンスの議論が高まっているということがございまして、そういう中で今回の商法の改正になったというふうに考えております。
植田委員 ありがとうございました。
 そこで、残り時間が少ないですが、監査役制度、また監査委員会にかかわって、幾つか簡単な論点、おさらいさせていただきたいと思うんです。
 先ほどの質疑にもありましたけれども、恐らく今回の監査委員会の問題というのは、当然ながら取締役が決めた監査委員会の委員が取締役を監査する、単純に言えばそういう仕組みですね。それはやはり手前みそだろう、自己監査になるじゃないかという問題があるんだろうと思います。
 それと、もう一つは、社外取締役が実際に社内の重要な情報にどれぐらいアクセスできるのかという問題、これも決着済みの問題とは私は言えないだろうと思うんです。
 そうなると、現行の日本の監査役制度の質が、この間、これは特に日本独特の制度と言われているわけですけれども、常勤監査役、外部監査役の導入等々、過去の法改正で現行の監査役制度の質というものがかなり向上している、まず私そう評価しています。それでいいかどうかということと、今回の監査委員会は、従来の監査役制度に比べて監査の質というものがむしろ劣化する懸念があるんじゃないかということは、これは実際、日本監査役協会も指摘をされているところでございますけれども、その点、ちょっと取りまとめて御答弁いただけますか。
房村政府参考人 まず、現在設けられている監査役制度でございます。
 これは、御指摘をいただきましたように、改正を重ねましてそれなりに監督機能が強化され、監査役制度によって企業統治の実効性を確保するということに大きく貢献しているというぐあいに考えております。
 それから、今回の法案で考えております委員会等設置会社における監査委員会制度でございます。
 これは、先ほど来答弁申し上げておりますように、執行役に従来より大幅な業務権限の委譲を可能にして、迅速な意思決定、業務執行を可能にする、そういうことと同時に、そのより権限の大きくなった執行役の行う業務を適正に監査するために、委員会等設置会社の監査委員会を設けてこれを充実させていくということを考えたわけでございます。
 そういう意味で、この監査委員会を設けましたのは、非常に役割の大きくなる執行役の業務の執行を適正に監査するということを主たるねらいとするということでございます。
 委員会等設置会社の取締役は、取締役として会社の業務をみずから執行することはできないということになっておりますので、取締役の役割としては、取締役会の構成員として会社の業務執行を監視することが中心的な役割になるわけであります。そういうことから、取締役として会社に損害を負わせるような違法行為を行う可能性というのは非常に少なくなってきているわけでございます。ただ、そうはいいましても、取締役としての職務というものもございますので、万全を期すために、そういう取締役としての職務の執行についても監査委員会の監査の対象ということにしたわけでございます。
 そういうことを考えますと、特に今回の仕組みによって、監査委員会の監査が自己監査で従来の監査役よりも弱くなるのではないかということは心配する必要はないのではないかと思っております。
 具体的に監査委員会に与えられている権限としては、通常の大会社における監査役と同様の権限を持っておりますし、また、監査役とは異なり、直接みずから取締役会において議決権を行使することによって、取締役会による適正妥当な業務決定や監督権限の行使にも寄与するということが可能な仕組みになっております。
植田委員 御説明の趣旨はよくわかりますよ。ただ、この制度自体が、いわゆるアメリカ型の制度を無批判に輸入したものではないというふうに先ほども御答弁ありましたけれども、基本的にアメリカ型ですね。
 とすると、さっきも議論ありましたが、今御安心あそばせと局長がおっしゃるのは、御安心したいわけですけれども、安心できへんような事態が起こったのが例のエンロンの話ですね。これを見ていると、アメリカのエコノミストや、また実際の株主の方々のお話等々、新聞等の記事を読んでいますと、アメリカの企業の場合、例えば社外取締役への報酬としてストックオプションを付与しているわけですから、極論すれば、そういう人らにとってみれば株価さえ上がればいいというような、そういう発想の人だっているだろう。実際、社外取締役は独立性と中立性が一応制度上担保されていても、本来は個々人の倫理観の問題ではないか、心構えの問題ではないかという指摘もあるわけです。
 実際、こういうエンロンのケースみたいなのが起こっている。これはやはり残念ながら、今確かに、きれいに御説明いただきましたけれども、社外取締役を中心とした監査委員会の機能がやはり疑問視される一つの傍証になるんじゃないかと思うんですが、では、エンロンのケースというのは例外的なものだとおっしゃいますか。それとも、アメリカで採用をしているこうした社外取締役を中心とした監査機能は、そもそも基本的に円滑に機能しているというふうに実証されるんでしょうか。そこはどうですか。
房村政府参考人 御指摘のように、どのような制度を設けましても、それを担う人によってまた違ってまいりますし、アメリカ側においてエンロンのような事件が起きたということは、私どももある意味では非常にショックを受けると同時に、現在アメリカにおいて、エンロンのような事件がなぜ起きたのかということは非常に精力的に調査されているようでございますので、私どもとしても、そういうものを注視して、今回お願いしております制度についてさらに見直しを加える必要があるのであれば、これは当然検討しなければならない。
 ただ、エンロンがどういう事情からああいうことが生じ、どこに問題があったかというのは、現在私どもとしてもまだわかりませんので、現在の段階で直ちに、今回のお願いしている制度について、エンロンの事件が起きたから特に問題があるということは言えないだろうとは思います。
 基本的に言えば、世界的に見ても米国のこういう企業統治のシステムというものは一般的に評価をされてきたわけでありますので、私どもとしても、そういう考え方で、無批判に入れたわけではなくて、日本の実情を考えながら、選択的な制度として取り入れるということにしたわけでございますので、問題点については今後とも当然種々検討を加えていく必要はあるかと思いますが、現在お願いしている制度については、それなりに合理的な仕組みになっているというぐあいに考えております。
植田委員 立法技術上の問題点を今聞こうとしていたのではなくて、そうした法的枠組みの中でエンロンのような事件が実際に起こっている。だから、私が聞いたのは、こうしたケースはアメリカにおける例外的なことなのかということなんですよね。だから、むしろそこをしっかりと検証していかなければならないと思うんですよ。
 過去商法改正してきた結果、日本の場合、常勤監査役は、大会社の場合ですと、その仕事をいわば支援、フォローをする常設の事務局も持っておるわけです。そして、経営会議や常務会といった重要会議にも日常的に出ている。必要があれば業務報告も受けられるという立場にあるわけです。
 もちろん、この米国型、恐らく選択制というところに一つのポイントがあるようなお話でもあるかもしれませんけれども、内部監査の担当部門を設けて、監査委員会のメンバーにいろいろな情報は提供することになるんでしょう、それは。しかし、今回の一件を見た場合、そうした仕組みが本当に機能するのかしないのかということについて、例えば米国型を輸入する以上、具体的に検証されたのかどうなのかということを聞きたいわけですよ。
 そうしないと、技術的な枠組みとしては、日本における法律としてはそれで成り立ったとしても、実際運用上どんな問題が起こってくるかについて検証を十分されていなかったということになるとすると、これは時期尚早ではないのかという話にも至るんじゃないかと私は素朴に思うんですが、その辺、要するにアメリカの事例をどう検証されたんですか。そこだけ最後、お伺いします。
房村政府参考人 基本的に、米国あるいは英国等先進国で、現在、企業については執行と監督を分離する方向でガバナンスを強化している、そういう流れの中で、日本の会社の特性を考えて最も参考となるものとして、米国において採用されている委員会等を設置した会社、これをモデルにして今回の案を考えたわけでございますし、一般的に、アメリカの企業統治システムがそれなりに評価されているということは当時も現在も変わらないのではないかと思っています。
植田委員 時間がないのでもう終わりますけれども、いずれにしても、当然、私もグローバルスタンダードには一定の理解を示しているつもりでございます。ございますが、問題点についての警戒心を怠ったままでは、別に私自身、偏狭なナショナリズムに走れなんということを言っているわけじゃございませんけれども、ある種のバランス感覚を持ったやはり制度的枠組みの構築、日本的風土に沿ったといいますか、それはそのバランスを考えたのが今回の法案なんだ、例えば中間試案段階の義務から選択制にしたのもその辺を考えたのよというふうな御答弁だろうと思いますので、そこはお伺いしませんけれども、大体今のお話をお伺いしまして、来週はやや民事局長さんの方にお伺いする場合が多かろうと思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。
 きょうはこれで終わります。
園田委員長 西村眞悟君。
西村委員 基本的なことについて、質問予定事項に従って御質問させていただきます。
 大臣及び法務当局に御質問させていただきますけれども、まず冒頭、本改正案は商法の機構についての改正でありまして、これが商法の法理論上出てきたというよりも、むしろ国際的な社会経済情勢にかんがみて、かようにしなければ我が国の会社活動が国際的に通用しなくなるというよりも、国際競争に伍していけないという問題意識から生まれてきたと思うんですが、この委員会等設置会社の制度を設けることは、現下の国際的な社会経済状況にかんがみて、具体的な理由、背景というのはどういうことでありましょうか、御答弁いただきたいと思います。
森山国務大臣 御指摘がありましたように、近年の国際経済社会というのは非常に大きな変化を示しつつありまして、そのスピーディーな躍動する経済社会の中で生き延びていって勝たなければならないということでございまして、そういうことを考えますと、現行の商法におきましては、取締役会で決定しなければならない事項が多岐にわたっております。取締役の員数が大変多く、外国で勤務する取締役もいるというような大規模会社の場合には頻繁に取締役会を開催することは難しいものですから、現在のような時代においては、国際的な競争力を確保する方法といたしまして、取締役会の決議事項を少なくして、業務執行を担当する役員による迅速果敢な業務決定を可能にするべきであるという指摘がございます。
 しかし、現行の取締役会制度は業務執行と監督の分離が必ずしも十分ではなくて、権限が事実上代表取締役に集中していることが多いために、その監督機能の大幅な強化を図ることなく業務決定権限を大幅に業務執行者に委譲することには問題があるわけでございます。
 したがいまして、新株発行や社債の発行なども含めた業務決定権限の大幅な委譲を可能にするためには、取締役会の監督機能の大幅な強化を伴う必要があると考えられるわけでございます。
 そこで、新株や社債の発行の決定も含めた取締役会の決議事項を大幅に業務執行役員に委譲することを可能にしながら、業務執行役員に対する十分な監督を実現することができる制度ということで、委員会等設置会社の制度を設けることにいたしたものでございます。
西村委員 機動的な業務執行を図り、この現下の国際情勢下でいうならば、もって我が国の会社の国際競争力を確保するということであろうと思いますが、我が国がこのようにして伍していく国際社会において、ちょっとお伺いしますが、諸外国は経営管理機構に関する法制はどのようなものをおおよそ持っておりますか。
房村政府参考人 まずアメリカでございますが、アメリカでは、取締役会、そこが、今回の法案の執行役に相当します業務執行者、これを監督するという制度がとられております。上場企業においては、その取締役会の中に監査委員会、指名委員会及び報酬委員会を設置することが通常であるという実情にございます。
 次にイギリスでございますが、イギリスも、アメリカと同様に取締役会が業務執行者を監督するという制度がとられておりまして、実務的には、監査委員会、指名委員会及び報酬委員会を設置することが多いと言われております。
 それから次にドイツですが、ドイツは、イギリス、アメリカとは異なりまして、まず株主総会で選任された監査役が監査役会を構成いたします。そして、その監査役会が取締役を選任あるいは解任をする、こういう仕組みにいたしまして、業務執行はその取締役が行うという、ある意味ではアメリカやイギリスの取締役会に相当することを監査役会が行い、取締役会が執行役に相当する、こういう形になっております。ドイツは、監査役会と取締役会は、今申し上げたように選解任の関係にあるので、全く別の組織になっております。
 フランスでは、イギリスのように取締役会が業務執行者を監督するという制度がとられていたわけですが、その後新たに、監査役と取締役会で構成されるドイツ型の仕組みもとれる、こういう選択制になっておりまして、二種類の機構のどちらかを選択する、こういう仕組みになっております。
西村委員 我が国は、今我々が審議している形の会社経営管理機構に移行していくわけでございますけれども、これは大規模会社でございます。したがって、大規模会社については、取締役の中に、メンバーの過半数を社外取締役とする指名委員会、報酬委員会、監査委員会を設けた上、業務執行を担当する執行役という機構を設けるというセットになっておるんです。
 例えば、報酬委員会は設けようや、あとは旧来どおりでいこうや、こういうふうな選択の道はないように思うんですが、この三つの委員会と執行役という機関をセットで導入しなければならないというあり方、これはある意味では、今私が例に挙げたように、報酬委員会はまあ公明正大を期すためにいいというふうにこれだけを導入するというふうな考え方からすれば、過剰な規制だと言われかねないわけでございますが、これは法案作成者としてはどういうふうに考えておられますか。
房村政府参考人 今回の委員会等設置会社は、業務を担当する執行役に大幅な権限を委譲した場合に、そこに権限が集中して取締役会としての監督が十分できないのではないか、そういう懸念を払拭するために、新たな委員会等を内部組織として持つ取締役会を置くことにしたわけでございます。
 現在の取締役会等を中心とする監督に疑問が呈されている理由といたしましては、取締役になる人は、代表取締役がその候補者を実質的に選任している。その結果、社内でずっと部下だった人たちが取締役になっていく。そして、その取締役等に対する報酬についても、株主総会で総額は決まりますが、各人ごとへの報酬の決め方は事実上代表取締役に一任されていることが多い。そしてまた、監査役についても、どうしても社内の代表取締役の部下だった人たちがなることによって十分な監査が行われにくい。そういうような問題点が言われているわけであります。
 そのために、監査役の強化ということに種々の対応策を講じてきたわけでありますが、取締役会全体としての監督機能を強化しようと思いますと、それに対して適切に対応できるようにしよう、そういうことから、取締役の候補を指名する指名委員会、こういうものをつくる。そして、そこは社外取締役が過半数で、業務執行を担っている人に対して独立性を有するような仕組みにする。また報酬についても、社外取締役を過半数とする報酬委員会によって各人ごとの報酬を決める。監査委員会についても同様に、社外取締役が過半数、かつ、業務執行をしている人は構成員に入れない。このようなそれぞれの委員会についての独立性を高める工夫をするとともに、この三つをセットで入れることによって、全体として取締役会の監督権を十分なものにしていこう、こういう発想でつくられておりますので、やはりこの三つをセットとするということが必要だろうと考えております。
西村委員 本日は概括的な問題についてざっと聞いていきたいと存じますが、先ほど大臣の御説明では、この執行役及び三つの委員会制度を設ける会社においては機動的な業務執行が可能になると。それは現実に我々目の当たりにしておりまして、例えば日産であるとか、世界的な大企業であるとか、劇的な経営者の変更によって劇的な変化がある。ということは、劇的なことをやっておるんだ、彼がやれるんだという体制だと思うんです。
 その観点から本法案の二十一条の七第三項を見ますと、なおかつ執行役に委任できない決定事項が相当多いわけでございます。これは、例えば株主総会の招集とか、二百四十五条の営業の重要な部分の譲渡。これは、例えば営業の重要な部分の譲渡を劇的にして、会社のリストラ、立て直し、方向転換をしていっているというのが今の経済状況における会社の姿であります。これから考えて、大臣の御説明いただいた立法の趣旨にかんがみれば、本法案二十一条の七第三項には、執行役に委任できない決定事項がなお相当多い。この相当多い理由は何であるか、これについては御説明いただけませんでしょうか。
房村政府参考人 かなりございますが、まず、委員会等設置会社で執行役に業務決定を委任できないということにつきましては、まず一番大きなものとしては、経営の基本方針を策定する、これは取締役会のある意味では一番基本の任務でございますので、これは委任できない。そういう基本方針に従って業務執行を行う執行役の選任及び解任、これはまさに取締役会の中心的な監督権限ですから、これも当然委任できないということになります。また、取締役会に設置をされます委員会を組織する取締役、これを選任することも取締役会の重要な権限でございますので、これも委任をできません。それから、執行役が数人ある場合の執行役の職務の分掌であるとか、あるいは代表執行役の選任であるとか、そういう執行役に対する監督権限の行使を担保する権限も、これも当然委任できない、こういうことになっております。
 そのほか、監査委員会の職務の遂行のために必要なものとして法務省令で定める事項、これは、会社の内部組織を使って監査を助ける、そういうサポート体制をつくらせるというようなことを考えておりますが、そういったことも当然取締役会の権限として委譲できないものとなっております。
 基本的には、会社経営の基本的事項や、執行役へ業務決定を委任すると取締役会の監督機能を損なうおそれがある事項、それから、株主総会の関係につきましては、やはり会社の基本的な最高決議機関でありますので、そこへの議案の提案権というようなものはやはり取締役として留保しておく必要がある。そのような考え方から一つ一つ判断をしてこの規定ができたわけでありますが、通常の業務執行に必要な権限はほぼ執行役へ委任は可能になるように考えております。
西村委員 次に、委員会等設置会社の制度においては監査役を置くことができないようになっているわけですね。改正法案が監査役と監査委員会の併存を許さないとしたのは、どういうわけでございますか。
房村政府参考人 委員会等設置会社の制度は、適切な企業統治を実現するための機関のあり方について、会社の選択の幅をふやすということから、業務執行者に対する監督強化の手法として、従来の監査役制度によるのではなく取締役会の内部に設けた監査委員会によると。しかも、この委員会制度として、先ほど申し上げましたように、他の報酬委員会、指名委員会とあわせて、取締役会の全般的な監督権限の強化を考えたわけでございます。
 そうしますと、委員会等設置会社に監査役制度を残しますと、監査という同一の職務を担当する機関が二重に置かれるということになりまして、組織がいたずらに複雑になり、相互の権限の調整も困難となるということから、監査役は置くことができないということといたしました。
西村委員 とするのならば、この監査委員会やそのメンバーの権限については一般会社の監査役や監査役会の権限と異なる点はないと考えてよろしいんでしょうか、何かあるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
房村政府参考人 監査委員会の権限は、取締役及び執行役の職務執行の監査、それから会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定ということでございます。監査委員会の有するこの監査権限は通常の大会社における監査役の権限と同様でありまして、改正法案は、監査委員会を組織する取締役、監査委員でございますね、それに通常の大会社における監査役と同様の調査等の権限を付与しております。組織が異なってまいりますので多少の違いはありますが、基本的には同様の権限を持っているというぐあいに理解していただければと思います。
西村委員 この委員会等設置会社における執行役という重要な制度ですが、現在も一般の企業で執行役員というふうなものがございますが、これと同じなんでしょうか、また違うんでしょうか。
房村政府参考人 現在、一部の企業で執行役員という制度を導入しているようでございますが、この執行役員というのは、法律的には特にそういう名称の役員はございませんので、要するに、代表取締役の指揮命令下に置かれる重要な使用人に対して会社の側でその役割を示すために任意に執行役員という名称を付しているということでございます。
 これに対しまして、今回の改正で考えております委員会等設置会社の執行役は、取締役と並ぶ会社の機関ということになりますので、執行役員と異なりまして代表権を付与されることが可能となっております。また、その責任も重くなりますので、会社及び第三者に対する特別の責任を負ったり、あるいは株主代表訴訟の対象とされるということもございます。
西村委員 次の質問ですが、一般会社の取締役は任期は二年でございますが、委員会等設置会社においては一年とされております。ある意味ではこれは半分になっておるわけですから、どういう理由かということについては明確に御説明いただきたいと存じます。
房村政府参考人 今回の委員会等設置会社におきましては、一定の条件が満たされた場合には、利益処分を決定する権限が株主総会から取締役会に移されることとなります。そうしますと、従来は利益処分は株主総会で決定されていたわけでありますので、そういう株主にとってある意味では最も重要な意味を持つ配当政策の当否について、その株主総会の場で、定時総会で必ず意思表明ができたわけでありますが、それが取締役会に移るということになりますので、取締役のしたそういう配当政策の当否その他取締役の経営責任、こういったものに関しまして株主の意見を述べる機会を確保しよう、そういうことから、配当が毎年行われるということに着目いたしまして、任期を一年にして、毎定時総会ごとに取締役の選任議案の審議がされるということにしたわけでございます。
西村委員 今の御説明では、利益処分権限を株主総会から取締役に移すことを前提として、普通の会社よりも取締役の任期を半減の一年にしたんだということでございます。
 私どもの習ったときの商法は、所有と経営を分離するということでございまして、何が何でも利益だけは所有者がどうするか決めるんだという建前で動いていると思います。
 先ほどの、本案の二十一条七の第三項は、例えば営業譲渡また株主総会の招集日等については、なおかつまだ特別決議の株主権限を残しているわけですね、この委員会等設置会社においても。ただ、例えばゴーンという日産の人がおって、大工場を閉鎖していくんだということについては、大企業の株主は、経営者に任せて、もう留保は要らないんだ、ただ、そういうダイナミックな経営をして利益が出た場合に、その処分をいかにするかということについては株主である限り言いたいというふうなことなんだろうと私は思うんですけれども、委員会等設置会社において利益処分案を取締役会限りで確定できるとしたのはどうしてなのか。この原則があるにもかかわらず、会社においてはそれをしなければこの制度の目的を達せられないという何か重要な理由があるのかどうか、お伺いしたいと存じます。
房村政府参考人 利益処分ということは、株主の最も基本的な権利であります利益配当請求権に関連するものであります。そういうことから、現行法上、株主総会の承認を要するということにされているわけでございますが、しかし同時に、会社の経営を考えますと、この上がった利益のどの程度を配当に回すのか、あるいは会社の将来のために社内に残しておくのか、それは、ある意味では非常に高度な経営判断を要する。特にこれだけ変化の激しい時代になりますと、それを適切に行わないと会社としての発展が望めないということにもなりかねないわけでございます。
 そういうことから、必ずしも経営に関する知識、能力が十分でない株主が的確な判断をすることは困難な場合も多いかと思います。したがって、経営の専門家として株主総会において選任された取締役によって組織される取締役会の監督機能を高めることができ、かつ株主の利益を適切に反映することができるということであれば、取締役会にゆだねた方がより適切な判断ができるのではないか。そういうことで、今回の委員会等設置会社におきましては、先ほど申し上げたような内部機関としての三つの委員会を置くことによりまして、それなりに取締役会の独立性あるいは監督権限の十分な行使と、社外の取締役の方も相当入ってくる、こういうことから、この委員会等設置会社の取締役会であれば、ここで利益処分を決定させてもいいのではないかというぐあいに考えたわけであります。
 さらに、これも無条件で決定をゆだねているわけではございませんで、会計監査人と監査委員会の適合意見等があるという場合に限っておりますので、今回の法案でいけば株主の利益が害されるおそれはないと考えております。
西村委員 さて、この制度が導入された場合に、この制度を採用して委員会等設置会社とするという会社はどの程度あると予想されておりますか。需要の問題でございます。
房村政府参考人 これも日本に今までにない全く新しい制度なものですから、私どもとしてもどの程度利用していただけるのかということはなかなか予想することは困難ではございますが、今回の制度は、アメリカを初めとする欧米諸国の制度に類似したものでございますので、国際的な営業活動を行っている大規模会社であるとか、あるいは株主構成中に外国人株主が大勢いるような会社、そういうところでは採用を検討していただいているのではないかと思っております。新聞報道等でも、検討している会社のことが時々ニュースになっておりますので、できるだけ利用していただければとは思っております。
西村委員 この改正法案では、企業活動の国際化への対応として、外国会社を対象とする改正案も盛り込んでおられるわけでございますが、その外国会社についての改正の内容を概略御説明いただけますか。
房村政府参考人 現在、日本において継続的に取引をしようとする外国会社は日本に営業所を設置しなければならないとされているところですが、インターネット等の発達に伴いまして、必ずしも営業所を設置しなくても日本で営業活動を行えるような時代になっておりますので、規制緩和の観点も含めまして、代表者を定めれば、必ずしも営業所を定めなくても継続的な取引ができるということとしたものであります。
 また一方、そういう外国会社と取引をする債権者の保護を充実させる観点から、貸借対照表の公告義務であるとか、日本における全代表者の退任に伴って登記簿を閉鎖して日本から撤退する際の債権者保護手続、こういうものを定めて保護も図っております。
西村委員 外国会社の営業所設置義務を廃止するということでございますけれども、既に日本に営業所を設けている外国会社、これはそこら辺にあるわけでございますが、その既に営業所を設けている外国会社が、その営業所を廃止することもできるようになると考えてよいのか、そしてどのような手続でそれをするのかということについて御説明いただきます。
房村政府参考人 そういう外国会社は、営業所を閉鎖して代表者のみを日本に置くということは可能でございます。
 手続としては、営業所の閉鎖後、三週間以内にその営業所閉鎖の登記をしていただいて、四週間以内に代表者の所在地で代表者の登記をしていただくということになります。
西村委員 質問を終わります。ありがとうございました。
園田委員長 松島みどり君。
松島委員 自民党の松島みどりでございます。法務委員会で初めて質問させていただきます。
 私は、日本の企業が活力を取り戻し、あるいは活力を維持して、日本経済が再び世界に冠たる経済になること、これが私の政治課題の中で非常に大きな位置を占めておりまして、法務委員会での最初の質問が商法改正に関するものであることを非常に喜びに感じております。
 一つ目の質問は、この商法改正、これにおける中小企業への配慮、中小企業の位置づけというものに関してでございます。
 今回の改正の中で、計算関係規定の省令委任ということが出てまいります。これは、証券取引法の会計、公開を義務づけられているいわゆる大企業、上場あるいは店頭公開の企業の会計がどんどん進んでこのやり方が変わっていく、それに商法会計、全部の会社に適用される会計、これを合わせていくのに一々商法を改正しているのも時間がかかるだろうから、法務省令で定めればいい、そういうねらいではないかと思っておりますが、これを法務省令で定めるというときに、株式を公開していない中小企業が、今回の商法改正の目的でございます国際化という中の、その国際的な活動を行って、多くの株主がいる公開企業と同じような形で法務省令が、基準がつくられたのでは、やはり中小企業にとっては非常に負担が大きい。そして、負担が大きくとも、ぜひ必要なことならばやらなければいけませんけれども、他の、つまり親族を中心とした経営であって、中小零細企業の多くはそうでございますけれども、それであって、外部から資本を取り入れていないような場合に、それまでの必要はないと私は思っております。
 ですから、この基準を、二種類の基準なり、そのどちらを選んでもいいとか、あるいは公開企業にはこういう基準で、非公開の企業の場合はこういう基準でもよいとか、そういうことをつくってもらうように配慮がなされるべきだと考えているのですが、いかがでございましょうか。
 これについてちょっと外国の例を挙げますと、アメリカの場合は、あれだけSECが強い国でございますし、連邦の法律では証券取引法だけがたしか定まっていて、商法の方は、各州で会社法ございますけれども、これは主にその会計基準を決めて税金を取るのが目的みたいなそんな感じじゃないかと思っております。
 イギリスやドイツの場合も、これはすべての会社にあれする商法の方はかなり中小向けを基本とする商法、ドイツなどは、商法というのは中小企業が守れるような水準に規定を定めていて、国際的な企業とか大規模な企業は、外国から資本を取り入れるためにアメリカと同じような仕組みで会計をやれとか、あるいは連結決算しろとか、普通の商法より別個に上乗せするだけで、そういうふうになっておりますので、日本の場合も、そういうふうに二つの基準を設けられないだろうかと思っております。いかがでございましょうか。
    〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
横内副大臣 中小企業に対する配慮は大変に大事なことだというふうに思っております。
 現行の商法の会計に関する規定でも、例えば株式の評価については、大企業はこれは時価評価なんですけれども、中小企業が取得時価格で評価をするということも可能になっておりまして、会社の規模に応じた対応をすることができるように現行の商法でもなっておりますけれども、今回、改正法案で、委員が御指摘ありましたように、国際的な会計基準の変化とか、あるいはそれに伴う証券取引法会計が変化をしていく、それとの整合性をとる必要があるということで、法務省令に委任をすることにしておりますけれども、この法務省令をつくる際におきましても、複数の会計基準を示して会社の規模に応じた対応が可能になるように、今の現行法の構造を維持をしたいというふうに考えております。
松島委員 どうもありがとうございます。横内副大臣は、もう本当に商法改正の問題についてはプロでいらっしゃいますので、今の御発言、非常に重く受けとめて、整備をしていただきたいと思っている次第でございます。
 私、冒頭に、日本の企業が活力を取り戻すということを申しましたけれども、中小企業の場合はどうしても、技術開発とかあるいは営業とか、そういう方にやはり社長さんを中心にして一生懸命になりまして、経理の基準をきちっとつくっていくということはもちろん大事なことだけれども、なかなかそれまで手が回らないのが現状でございますので、よろしく配慮した形の二つの基準をつくっていただければと思っております。
 これに関連いたしまして、今おっしゃいましたように、既にその取得時価格とかいろいろな特例を設けてあるわけですけれども、今回の改正とは直接関係ないんですが、つまり、これから商法改正というのを次々といろいろな形でやっていく際に、中小企業への目線というのがどういう形でなされるだろうかと思っております。
 例えば、昨年、商法二百八十三条の改正によりまして、公告にかえてインターネットによる貸借対照表の公開というのが可能になりました。そもそもその貸借対照表の公開というのが義務づけであるけれども、現実には、これまで例えば日刊紙、日経新聞なんかに載せるというのを、大企業、公開している企業は当然やらなきゃいけない、やっている、中小企業は、義務づけと法律上あっても実際はやっていない。これも、おとがめがないから現実には運用としていいようなものはいいんですけれども、日刊紙に載せるという前提のときには、すべての、日本の百万を超す株式会社がやったんじゃ、とても載りもしない、スペースにしたって。昨年の改正によりまして、これがホームページで、インターネットによる公開も可能になったわけですけれども、これについても、本気でやらせたいというかやるべきだというふうな形で法務省は取り組んでおられるのか。
 あるいは、余り世の中でこれをやらなきゃいけないんだと認識している中小企業はありませんし、ありませんしと言うとおかしいんですけれども、三月の末に民事局長通達で、ただホームページといっても、自分の何となく今まで持っているホームページのままじゃ公開したことにならないので、各法務局で登記をしなさいと。ホームページのアドレスを登記しなきゃいけなくて、これも三万円、本店所在地でかかるんですよね。
 今、中小零細企業にとっては、たかが三万円じゃなしに、されど三万円というか、非常に大きな位置を占めております。ただ、法律が変わった、なおかつ、ホームページのアドレスを登記しなければそのことに応じたことにならない、かつ、登録というか、それに三万円かかる、ここまで知っている中小企業の方、零細企業の方は、株式会社ではあっても、ほとんどないんじゃないかな。
 このあたり、ちょっと私関係者に調べてもらいましたら、中小企業庁は随分御熱心にPRしているんですけれども、法務省の方はホームページにも載っていない。官報に載せたって官報なんて世の中の人は読みませんから、この辺、もし本気でやる気があったら、PRしなきゃいけないんじゃないか。ただ、余り本気でやって義務づけられたんじゃかなわないなという気もするんですけれども、そういうことを含めて、こういう商法改正における中小企業というもののマインド、中小企業向けの視線というのは、今後どういうふうに持っていかれるのか、一応お伺いしたいと思っております。
横内副大臣 委員の御指摘のように、貸借対照表についてインターネットで公開をするという措置が昨年の臨時国会の商法改正でできたわけでございます。
 もちろん、これは中小企業も利用できるわけでございますけれども、PRが少し足りないんじゃないかという御指摘があるわけでありますけれども、今まで、法務省としては、法律関係の出版物とか説明会なんかでそういう方法があるんだということは説明をしてきたつもりでありますけれども、しかし、PRが確かに足りない面があるだろうというふうに思いますので、経済産業省あるいは経済関係の団体とも、御協力をいただきながら、この制度、インターネットの貸借対照表公開だけじゃなくて、商法改正が頻繁に行われておりますので、そういうこと全体を含めてPRの強化に努めていきたいというふうに考えております。
    〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕
松島委員 ぜひ、よろしくお願いします。
 会社を営んでいる方にとっては、商法というのは非常に基本の大事な法律。だけれども、知らないで済ませる方も多いわけでございますから、法務省の、いろいろな法律がそうですけれども、法律は特に難しゅうございますから、読んでこれを理解してと、みんなそうもいかないので、できるだけそういうPRするときには、普通の日本人にわかる言葉で説明を加えて、できれば、これから商法改正についても、片仮名を何か改めるとか、現代的にということをいろいろ言われていますけれども、商法だけじゃないんですけれども、法律改正の際に、国語学者というと大げさになりますけれども、日本語をきちっと使う人たちの普通の言葉、そういう人たちのチェックも受けるべきである。単に片仮名を平仮名にしたんじゃだめだというふうに感じる次第でございますので、国語審議会というのが文部科学省にありますけれども、そこだけがやっていたんじゃ国語はよくならないので、法律もそういうふうに身近なものになるように努力をしていただきたい。よろしくお願いいたします。
 あと五分しかないんですけれども、これから申し上げますのは、いわゆる大企業についての一般的な質問でございます。
 国際化とスピードの経営を重視して、今回の改正で、株主総会特別決議の定足数を緩和するとか、いろいろ評価できることがあると思っております。そしてまた、昨年四月の中間試案にございました、新株発行や子会社の株式の譲渡の際に株主総会特別決議が必要、こういう厳しいのが経済界の要望などを受けてなくなったことは非常に喜ばしいと思っております。
 しかし、問題もございまして、これからの株式会社の制度というのは、これまでございました取締役会と監査役会の二本立てという現行の仕組みのままにしておくところと、新しく設けられます委員会等設置会社、これは社外取締役二名以上選任の会社が選択できるわけですけれども、この二つ、どちらか選ぶということになっていると思います。
 この中で、新しい制度、委員会等設置会社の場合だけ優遇されているように感じられる点が幾つかございます。
 例えば、利益処分を株主総会に諮らず取締役会で決めることができる、いわゆる取締役会の権限強化でございますね。それですとか、あるいは、取締役会の会社に対する責任というのは、現行では無過失の場合の責任まで含まれておりますが、原則として過失責任だけに限定するというようなこと。これは、私がちょっと法案を易しい言葉に自分で置きかえたつもりでございますけれども、こういったこと。これが、新しく設けられる制度、委員会等設置会社だけ認められて、今までの、従前型の会社のままだったらだめなわけですよね。
 これは、商法が新しいタイプの会社の選択を誘導しているというか、商法がというのは、言いかえますと、法務省がそれをねらっているかのように私は思いまして、そういうことはそれぞれの企業が考えるべきことじゃないか、だから、同じ、イコールフッティングにできないかと思っております。
 というのは、もう何人かの委員の方がおっしゃいましたけれども、エンロンの例を見ても、アメリカ式の社外取締役制度が必ずしも十分に機能しているとは限らない。日本の企業でも、企業がきちっとやっていれば今までの制度でも構わないのでございまして、新しい仕組みを取り入れるところだけこういう恩典を与えるようなのはいかがかと思うのですけれども、いかがでございましょう。
横内副大臣 今回の改正で委員会等設置会社制度を導入するのは、適切な企業統治を実現するための機関のあり方について会社の選択の幅をふやそうというものでございまして、各会社が、委員会等設置会社制度を採用するか、従来型のものを採用していくか、これは各会社の判断にゆだねているということでありまして、法務省として、今回改正するこの委員会等設置会社制度がお勧めで、これをとってくださいというようなことを考えているつもりは全くございません。それぞれの会社の判断でやってもらいたいというふうに考えております。
松島委員 もちろんそうおっしゃるとは思うのですけれども、そうすると、こっちだけ条件緩和する、今までの会社はやはり信用できないと……(発言する者あり)ありがとうございます。広く多数の方から応援をいただいて、ありがとうございます。これについては、つまり、イコールフッティングになって、会社が自由な選択をできるように、つまり、従来型でもちゃんとできているところはできているのですから、アメリカに合わせるばかりが能じゃない、かように思っております。
 最後になりますけれども、先ほど一点目で質問させていただきました中小企業への配慮の省令委任の問題、ダブルスタンダードを設けてというような話と、今申しました、委員会等設置会社だけじゃなくて、従来型の監査役会を保存する会社についても、利益処分を取締役会でできるということだとか、それから、原則として取締役の責任を過失責任だけにとどめるという、こういった点なども認めるべきではないかということ、この二項目は、今他党の先生からも応援がありましたけれども、自由民主党の法務部会の商法に関する小委員会でも、私ども必要じゃないかと思って、決議をしているところでございます。また、広く委員の皆さん、先生方にお諮りした上で、この委員会としても、取り上げていただき、決議にできないかと思っておりますので、副大臣としてもよろしく御判断をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
園田委員長 漆原良夫君。
漆原委員 今回の改正では、アメリカ型の機関制度を取り入れた委員会等設置会社の制定に注目が集まっており、ずっとその議論が当委員会でもなされてまいりました。私は、株式関係においても、昨年の臨時国会での改正に続いて、今回は注目すべき改正の内容が盛り込まれていると思っております。
 その一つが、取締役や監査役の選解任を種類株主ごとに行うこととなる株式の発行を可能とする、こういう改正でありますが、この点、大臣の提案理由説明によれば、こうおっしゃっています。ジョイントベンチャーとして合弁会社を設立することや、ベンチャーキャピタルによるベンチャー企業への投資を行いやすくすることを目的とする改正である、こう説明をされておりますが、そこで、三点について尋ねます。
 第一点は、現在、ベンチャー企業等の中にどのようなニーズがあるのか。第二点は、現在の商法の規定では、そのニーズに対してどのような不都合があるのか。第三番目は、改正法案ではその点を、どのような解決を図っているのか。この三点について、まとめてお尋ねをしたいと思います。
横内副大臣 委員の御指摘のように、今回の改正では、取締役や監査役の選解任について内容の異なる種類株式の発行を認めるということにしております。そのニーズとして、ベンチャー企業等にそれがあるわけでございますが、具体的に申しますと、ベンチャー企業が資本の充実を図りたいということで資本を募った、しかし、募った結果として、株主総会でその創業者が取締役から解任をされてしまう、端的に言うと、会社が乗っ取られてしまうというような心配があるものですから、なかなか資本を広く充実するということができないというようなことがありまして、したがって、ベンチャー企業の創業者なんかが自分の利益を守るために、会社の業務の監督を行う取締役等の一部を選任したい、そういうニーズがあるということでございます。
 今のような場合に現在ではどういうことをやっているかということでございますが、取締役の選解任に関する株主間契約というものを結ぶということが行われているようでございます。しかし、現行の商法では、取締役は株主総会の決議で選任することになっておりますから、そういう株主間契約があっても株主総会でそれと異なった選任がされてしまえば、株主総会の決議そのものは有効でございますから、結果的に、例えばベンチャー企業の創業者が追い出されてしまうということがあるわけでございます。そういう指摘がなされているということでございます。
 そこで改正法案では、取締役または監査役の選解任に関する株主間契約によって達成しようとしている株主の利益を法律上保障するということで、取締役等の選解任について内容の異なる種類の株式の発行を認めるということにしたものでございます。
漆原委員 今回の制度は、現在行われている株主間契約を制度的に保障するものである、こんなふうな説明をなされておりますが、なかなか私ども、実務に暗うございまして株主間契約というそのものがよく理解できないので、たくさんの株主がいるんでしょうね、そういう株主間契約というのが一体どんなふうになされているのが実務の実態なのか、また、法的にそれにどんな不都合な点があるのか、その点を教えていただきたいと思います。
房村政府参考人 株主間契約がなされる典型的な例としては、合弁企業、ジョイントベンチャーがございます。
 例えば、Aという会社とBという会社それぞれが出資をして、Cという合弁企業を設立します。そのときに、例えば六対四の出資の割合にする。そこで、そのAという会社とBという会社では、自分たちの出資の割合に応じた取締役を確保したいということで、A社とB社との間で、出資をするに当たって、今後取締役を選任するときには、Aは六割出しているので六人、Bは四割出しているので四人、そういう形で、取締役の選任の数についての契約をする。
 あるいは、例えばジョイントベンチャーで、非常な技術、技能を持っている方が企業を起こす、会社を大きくするために出資をしてもらいたい。しかし、まさに自分の持っているノウハウがあってこそ会社が発展する、自分がその会社について取締役として業務執行を担わないとベンチャーとしての発展が望めない。しかし、お金を出した人が、出すときはいいけれども、後で変わってくるかもしれない。例えば利益配当について意見が違って、追い出されるかもしれない。そういう場合に、ある程度まとまった出資をする方との間でやはり取締役の選任についての契約をしていく。
 そういうことがこの株主間契約でございますので、公開企業のような非常に多く株主がいるときにはそれはとても実際にはできませんので、実際に用いられているのは、そういう比較的少数の株主で構成される企業ということになります。
漆原委員 よくわかりました。
 この制度は、先ほど六対四とかおっしゃった、ある意味では、少数株主であっても取締役の選任に関与させることを目的とする制度のようでもございますが、同じ現行の制度の中でも、取締役の累積投票制度というのがあって、複数の投票権を持つことが可能になっております。
 この現行の制度も、一部の株主により取締役を選任することができるようにするという趣旨でもございますが、この制度では不十分なのかどうか。そして、この制度と現在の、新しい制度との関連性をお尋ねしたいと思います。
房村政府参考人 累積投票制度は、選任される取締役の数と同じだけの議決権を付与いたしまして、それを特定の人に、例えば一人の人に投票するということで少数派も取締役が選任できる、そういうことを保障する仕組みでございますが、そういう仕組みのために、必ずしも持ち株数に比例した数の取締役が確保できるかどうかはわからないという点がございます。
 それからもう一つは、これは複数の取締役が選任されないと使えませんので、例えば任期の途中で取締役が辞任した場合とか取締役の任期が異なるというようなことで一人の取締役を選任するというようなときには累積投票を行う余地がなくなるということがございますので、やはり少数株主が確実に一定の数の取締役を選任するための制度ということを考えますと、累積投票制度では不十分ですので、今回、種類株主による取締役の選解任制度を設けるということにしたわけでございます。
漆原委員 昨年秋の臨時国会での商法改正では、議決権制限株式というものが創設をされたわけでございまして、臨時国会における議決権制限株式と、今改正法案における取締役や監査役の選解任を種類株主ごとに行うこととなる株式というのは、どのような関係というふうに理解すればよろしいんでしょうか。
房村政府参考人 今回の取締役の選任に関する種類株式というものも、取締役の選解任に関する議決権が、例えば数が決められるということで一部制限されるわけでありますので、議決権制限株とある意味では共通の面がございますが、従来の議決権制限株式というのは、株主総会における議決について一定の事項が制限されるというものでございます。
 しかし、今回の取締役や監査役の選解任についての種類株式ということになりますと、その種類株主ごとに種類株主総会を開いて、そこで取締役、監査役の選任あるいは解任を行うということで、取締役や監査役の選任、解任が、全体の株主総会と違う種類株主総会で行われるということになりますので、その意味では、従来の議決権制限株式とは異なる性質を持っております。
漆原委員 この改正法案によりますと、取締役や監査役の選解任を種類株主ごとに行うこととなる株式を発行することができる会社、これは譲渡制限会社に限るというふうになっておりますね。これは公開会社にも認めるべきだという意見もあったと思うんですが、なぜこの改正案は譲渡制限会社に限定したのか。そしてまたもう一つ、公開会社にも認めてもいいじゃないか、そういう論者の理由は一体どういう理由なのか。その二つをまとめてお尋ねして、なぜ改正法案は譲渡制限会社に限ったのか、ここをお尋ねしたいと思います。
房村政府参考人 この種類株主による取締役や監査役の選解任という制度は、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、当該種類株式を有する株主が、他の種類株主の意向にかかわらず、会社の業務執行等に当たる機関である取締役や監査役を選任あるいは解任することができるという制度でございますので、その株式をどのような者が取得するかということが会社の運営全体にとって大きな影響を与えるということになります。そういう意味で、やはり譲渡制限会社で株主の範囲が限られているようなところということが向いているということは言えるわけでございます。
 また、実際に取締役等の選任について株主間契約を結んでいる会社というのは、ほとんど譲渡制限会社でございます。こういうことを考えて譲渡制限会社に限定したわけでございますが、さらに、この取締役等を選任することに関する種類株式が乱用をされますと、不当に取締役等の選任が制限されるおそれもございますので、そういう意味で、必要性の高い譲渡制限会社に限ったということでございます。
漆原委員 次に、株式関係の改正のもう一つの柱であります、株券を喪失した株主が発行会社に喪失登録をする制度が今回できました。同じ有価証券であります社債券や、あるいは昨年秋の臨時国会で創設された新株予約権証券、こういうものについては、同様の制度を設けないで、従来の公示催告制度によることとしておりますが、これはどんな理由によるものでしょうか。
房村政府参考人 今回設けました株券の喪失登録でございますが、これは会社に株券の喪失登録をするということにしたわけですが、その理由といたしましては、会社に対しまして株主としては、権利を行使する場合に、株主名簿の書きかえを行いますし、あるいは株券所持者が会社に株券を提出するということになるわけでございますので、株券の所持者が会社に自己の存在を通知するということが制度的に担保されておりますので、そこに喪失登録をさせれば、株券の所持者の権利の保護も図られるということになっております。
 社債券とか新株予約権証券というようなことにつきましては、すべての証券所持者の氏名等がその会社に保管する原簿に保管されたり、提出されたりという仕組みになっておりませんので、やはりその点を考慮いたしますと、今回の株券喪失登録と同様の制度をここに用いるというのはできないだろうということでございます。
漆原委員 この株券喪失登録をされた株券につきましては、株券を喪失した者の権利を保護するために、いわゆる善意取得制度がありますね、この善意取得を制限すべきであるとの意見もあったと思いますが、この点、今回の制度はどのような考え方に立っているのかお尋ねしたいと思います。
房村政府参考人 確かに、株券を喪失した者の保護ということに重きを置きますと、株券喪失登録をしただけで善意取得を制限するということも考えられるわけでございますが、逆に、株券喪失登録がされた株券について善意取得が制限されてしまいますと、株券の交付を受けるに当たり、常に、株券喪失登録がされていないということをその都度確認しなければいけないということになりまして、結局、株券を利用した株式の流通に著しい障害が生ずるおそれがある。そういうことを考えまして、そういう制度の採用には至らなかったわけであります。
 ただ、改正法案における制度におきましては、株券喪失登録がされた株券についての名義書きかえを禁止し、会社に株券が提出されたときには会社に株券喪失登録者への通知義務が生じるほか、利益配当などの当該株券に係る株式についての権利行使を制限するなど、株券喪失登録をした者の権利が実質的に保護されるような手当ては講じているところでございます。
漆原委員 若干まだ質問は残りましたが、これはまた改めて、後日にさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
園田委員長 このままお待ちください。
 それでは、再開します。
 木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。
 きょう、商法という我が国の基本六法の一つの審議の開始であります。私は、まず、その商法の根幹である企業統治の基本的なあり方について、大臣の基本認識からお聞きしたいと思います。
 今回の商法改正は、会社の機関関係、株式関係、そして計算関係と大変多岐にわたっておりますけれども、最大の眼目、目玉は、商法特例法の大規模会社について、アメリカ型の機関制度、いわゆる委員会等設置会社を選択的に導入できるとしたことであります。
 そこで、法務大臣にまずお聞きいたします。
 これは、これまでの商法百年の歴史の中で我が国の会社機関に全くなかった新しい仕組みを導入しようとするものでありますが、その立法目的及びこういうものを導入しなければならない事情、難しい言葉で立法事実と言っておりますが、立法目的、立法事実はどこにあるんでしょうか。
森山国務大臣 御存じのように、今の国際経済社会が非常に大きく変動しておりまして、また、日本の企業が、国際的な競争の中で何とか勝ち抜いていかなければならない、生き延びていかなければならないという非常に厳しい状況に立たされております。
 そのようなことを考えますと、従来のやり方だけではなくて、さらに、国際的な競争に勝ち得るさまざまな機能を果たし得るような、そういう仕組みも選択できるようにするということが必要ではないか、そういう要請も経済界からの御意見としてございましたし、そのようなことを踏まえて、日本の企業が国際競争の中でしっかりと頑張ることができるようにというその仕組みをつくりたいというのが考え方でございます。
木島委員 企業統治のあり方について絞って私はこれから、今の質問もそうでありますが、聞いているわけであります。
 これまでの我が国の法制では国際競争に勝ち抜けないという基本的な認識をお持ちになっているということが述べられました。
 ことし三月一日の日本経済新聞の社説に、「エンロン疑惑と企業統治」と題するものが出ておりました。大変興味深くお読みをいたしましたので、一部披露をしたいと思います。「米史上最大の企業破たんに加え、インサイダー取引疑惑や会計監査法人との癒着、政界工作など様々なスキャンダルが噴出している。中でも社外監視制度など企業統治で高い評価を受けていたエンロンの取締役会が機能していなかった、との米議会の調査報告は、日本の経営者にも驚きだった。」
 別の部分ですが、「日本への教訓は、企業統治の確立だ。不祥事を連発した雪印グループや経営破たんしたそごう、マイカルを見るにつけ、経営トップを監視する危機管理としての企業統治の仕組みが欠けている企業が多いからだ。」こういう大変厳しい指摘がされております。
 先ほど法務省の答弁は、エンロンの破綻の原因、よく知らない旨の答弁がありましたが、米議会には既にこのような調査報告がきちんと出ているわけであります。私は、この日本経済新聞の社説はまことに正鵠を得た指摘だと思います。
 法務大臣にお聞きします。
 このような指摘をどう見るか、日本の会社における企業統治の現状問題がどこにあると見ているのか、端的に答弁を願いたい。
森山国務大臣 大企業の不祥事がいろいろと出ているのは御指摘のとおりでございまして、その理由として、経営者側の監視体制に対する認識や監査役の人選のあり方、その他運用の面について法の趣旨が十分に生かされていないというふうに言われております。これに加えて、現状の取締役会の制度につきましては、業務執行を監視するべき者が同時に業務の執行を行っているということにも問題があるという指摘もございます。
 そこで、今回の改正法案におきましては、取締役会の中に、それぞれの構成員の過半数を社外取締役とする指名委員会、監査委員会及び報酬委員会の三つの委員会を設けますとともに、業務執行を担当する執行役員制度を整備いたしまして、会社の業務執行が適正妥当かつ迅速に行われるように配慮いたしました委員会等設置会社の制度を用意したわけでございます。
 今先生が引用されました日本経済新聞の論説の終わりの方に、やや結論めいた書き方でございますが、無論、法律改正による企業統治の仕組みだけで十分ではない、仕組みを忠実に守って、実行する経営者の倫理観が不可欠であるということもつけ加えて書かれております。
 仕組みはいろいろと工夫をいたしまして、その中で構造的に起こる問題を解決していこうという努力は精いっぱいしなければいけないと思いますけれども、最終的には、経営者の見識とか力量とか倫理観とか、そのようなものが非常に重要であるということは私も感じているところでございます。
木島委員 経営者の倫理観は非常に大事だ、私もそのとおりだと思います。そしてまた、きちっと正しい倫理観がそのとおり通るように仕組みとしても確立することが大事だ。そういう立場から、業務を執行する者と業務執行を監視する者との分離、これが非常にかぎだという趣旨のお話、私もそのとおりだと思います。
 そこで、私は、我が国の会社法制の最大の問題の一つに、会社の経営トップの事業執行に対してチェック機能が全くというほど働いていないことが挙げられるんじゃないかと考えております。経営トップの暴走を一番身近なところでチェックするのが取締役会と監査役会であるはずでありますが、これまでの我が国に発生したさまざまな不祥事を見ますと、これが機能不全に陥っております。そして、次のチェック機関が、我が商法では株主総会であります。しかしこれは、法務大臣御案内のとおり、しゃんしゃん総会とやゆされておりますように全く形骸化しておりまして、取締役会の暴走をチェックする機能など果たしておりません。総会屋との癒着なども指摘されているのは御存じのとおりです。
 そこで、法務大臣にお聞きします。法務大臣は、なぜこのような状況が我が国で是正できなかったと見ているのか、会社法制のどこに根本的な欠陥があると見ているのか、繰り返しになるのかもしれませんが、端的な答弁を、大臣の考えを述べていただきたい。
森山国務大臣 今先生御自身がおっしゃいましたように、我が国の会社の中におきましては、現行の商法によりますと必ずしもチェック機能が十分働かないという面があったわけでございまして、その結果さまざまな不祥事をもたらしたということもあるかと思います。
 その中でも、最初に申しましたように、経営者の認識、良識、倫理観ということが大変重要で、それがもししっかりとしていればこんな問題にはならないと思うことが多々あったわけでございますが、しかし、現実にそのような問題が起こってきた。これが構造的にもたらされたものでもしあるとすれば、それは是正しなければいけないということで、そのことも含め、国際的な競争ということも考えて、今回の商法改正ということに至ったわけでございます。
 国際競争の面から申せば、現在の商法におきましては、取締役会で決定しなければならない事項が余りにもたくさんございまして、取締役の数も多うございますし、たびたび開くということが非常に難しい。大規模な会社の場合は重役が外国に赴任して住んでいるというようなものも少なくございませんで、そういうことを考えますと、頻繁に取締役会を開催することが困難であるということもあり、国際的な競争の中で機動的に、機敏に動くということが難しいということもあるということで、先ほど申し上げたような仕組みに変えて、その方がその企業にとってやりやすい、ふさわしいという場合にはそれが選べるようにという仕組みを用意したというわけでございます。
木島委員 倫理というのは非常に大事なんですが、倫理に任せていたんではだめだったということを、この十数年来の日本の企業社会が示したんじゃないかと私は思います。それは政治倫理も同じです。政治家に倫理だけを求めていたんでは不祥事は絶えない、だからこそまともな政治が行われるような仕組みをつくろうということが求められているので、同じように、企業のトップに倫理を求めるためにも、倫理を外さないような仕組み、枠組みこそが求められている、それが商法改正の方向でなくてはならぬと私は思います。社内・社外監査機能を強めて、また株主の力も強めるために、株主代表訴訟の機能を強化することこそ、今我が国の商法改正の基本方向でなければならぬと思います。
 しかし、残念ながら、昨年我が国では、自民、公明、保守、与党三党の議員立法で、株主代表訴訟の機能を抑え込む商法改悪が強行されました。法務大臣もこれに追随をいたしました。これは方向が逆だったんじゃないでしょうか。改めて、この問題についての法務大臣の所見を求めます。
森山国務大臣 昨年、議員提案でお出しいただいて成立いたしました改正は、それなりに現実の経済社会の要望にこたえたものだというふうに思いますので、これが大変困ったことだと私は思っておりません。むしろ、それが現実の経済社会を円滑に動かしていくための一つの重要な要素であったというふうに思う次第でございます。
木島委員 そんな認識だからだめだと私は思うんです。今こそ、株主が取締役陣、特に執行部の暴走をチェックすることが求められている、その一番最後のかぎが株主代表訴訟だったんです。その機能を抑え込んで、取締役に免責を与える、暴走した取締役に免責特権を与えるような法改正を是認するような法務大臣の姿勢では、私は、日本の企業社会がまともなものにならないんじゃないかと思えてなりません。そのことを指摘しておきます。
 もう一つ。ことしの一月二十一日の読売新聞に若杉敬明東大教授の「商法改正 日本型企業統治に限界」という論考が出ておりました。調査室の皆さんの努力で冊子にも載っております。披露してみたいと思うんです。こう言っています。
 わが国では歴史的に株主利益が重視されず、独特の株式会社経営を作り上げてきた。そのような経営はグローバリゼーションの下ではもはや通用しない。
  株主のガバナンスの下、新しい効率的な株式会社を再構築するのが商法改正の精神である。ただし、会社には、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会・環境などさまざまなステークホルダー(利害関係者)がかかわっている。すべてのステークホルダーと市場原理に基づくフェアな取引をした上での株主利益追求でなければならない。
このような指摘があります。
 このただし書きが大変大事だと私は考えている一人でありますが、このただし書きがつけ足しになってしまって、株主利益の偏重になってしまうことを私は大変危惧するものでありますが、まさにここで指摘されておりますように、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会、環境などの利害関係者による企業経営者に対するチェック、これこそが現在の日本で求められている最も重要な観点ではないかと思うんです。ドイツ法制などは、まさに経営陣の暴走を従業員そのものがチェックするような仕組みがずうっとこの間、従業員持ち株制度等々でつくり出されてまいりました。
 法務大臣の認識はいかがでしょうか。こういうもろもろの関係者によるチェックこそが今、日本で求められているんではないかと思うんですが、どうでしょうか。
森山国務大臣 確かに、おっしゃるとおり、今の社会ではさまざまなことが求められておりまして、もともと、商法の目的といいましょうか、それは株主の利益ということが重点であり、その株主の利益とあるいはお互いに矛盾するかもしれない債権者の利益とか、あるいはその他関係者の利益を調整するということも重要な要素だと思います。
 そのような意味で、取り上げられましたこの文章の内容について、私も全く異議はございませんけれども、商法の役目というのは、それらのものをどのように調整していくかということが一つの眼目なのではないかというふうに思っています。
木島委員 ところが、これまでの我が国の商法もそうですが、今回の政府提出の商法改正案には、このような従業員とか顧客とか取引先とか債権者とか地域社会とか環境など、こういう大変大事な、現在社会を構成する基本的な分野分野です、こういう人たち、利害関係者による、企業経営の暴走をチェックしようという仕組みや発想が全く出てこないんですね。出てこないんです。異常なことです。
 私は、縦割りの弊害だけとは考えていないんです。商法はこういう会社の技術的なことだけを規定しているものであって、環境とか取引先とか債権者とか顧客とか従業員、労働者、これは別の委員会、別の省庁の所管だなんという発想に恐らくこれまでも法務省は立っていたし、今回、そういうものが全く、片りんさえうかがえないのは、そういうところにも原因があるのかなと思うのですが、なぜそういう発想が今回の改正で出てこないのか。どう思います、法務大臣。
森山国務大臣 先ほども申し上げましたように、商法の重要な役目というのは、株主の利益の保護、そして、それともしかしたら矛盾するかもしれないさまざまな要素、それとの調整ということが重要な役目だと思います。
 しかし、さまざまなものの中で、お挙げになりました従業員とかあるいは債権者とか、企業にとって直接的にかかわりのある、あるいはどうしてもそれがなければ企業が成り立たないというような重要な要素、それを頭に置いて十分考慮するのは当然でございます。仮に、従業員が全く離反してしまうといいますか、納得のできないというような事業を企業がしようといたしましても、それは成り立たないのではないかと思いますので、そのようなことは、当然、執行する責任者の考えるべき重要な項目だというふうに思いまして、それは既に、ある意味で前提になっているのではないかと思います。
 環境とか消費者とか、そのようなことも当然必要不可欠な問題でありまして、特に最近の社会においては、そういうことを留意しない経営というのはあり得ないと私も思いますので、良識のある経営者であれば当然の常識ではないでしょうか。
木島委員 私は、そういうさまざまな分野の利害関係者の意見やチェック機能をまさに商法の中に取り込んでいくことこそが今求められているのではないかと問題意識を持っておりますので、その点だけ指摘して、今回の改正の目玉である委員会等設置会社制度の導入の問題について、具体的にお聞きします。これは法務大臣じゃなくても、法務省民事局長でも結構です。
 従来型の取締役会、監査役会による執行と監視の分離、取締役会が執行をやる、監査役会が監視するというこの分離ですね、これがこれまでの商法の基本原則でしたが、こういう企業統治のやり方を残して、今度は選択的にこの委員会等設置会社制度を導入する。どのような理由からでしょうか。外国から見て日本の会社法制がますますわかりにくくなる、二つの制度が併存するとわかりにくくなるのではないかという指摘があるが、どうして選択制にしたのですか。
房村政府参考人 現行法は、取締役会が業務執行についての監督を行う、また、監査役が監査を行うという形で行われておりますが、その監査役の独立性を高めるというようなことで会社の経営の適正さを担保するという努力を種々重ねてきておりまして、昨年の国会においても、そういう改正をしていただいたところでございます。
 それはそれとして相当の貢献をしてきているものと思っておりますが、先ほど来大臣も申し上げましたような、さらに大幅な権限委譲を業務執行を担当する者にして迅速な経営を可能にする、そういう仕組みを今回考えよう、そういう新しい仕組みとしてこの委員会等設置会社を考えたわけであります。これは、会社によってそれぞれ実情も異なりますし、従来型の、取締役会が業務執行の監督を行い、それと共同するような形で独立性の高い監査役を設けて適正化を図っていくという方向もそれなりに、そういう仕組みのもとで国際的にも活躍している企業も現にあるわけでございますし、また、アメリカ型のそういう制度を採用したいという声もあるわけですので、私どもとしては、それぞれの会社が、実情に応じてどちらかを選んで、それぞれの仕組みのもとで適正な会社運営をしていただければということで選択制を考えたわけでございます。
木島委員 性格の全く違う二つの形を併存すること、わかりにくいじゃないか、こういう指摘に対する真っ正面からの答弁になっていなかったので残念ですが、また次、聞くかもしれませんから、用意しておいてください。
 新制度では、監査役会は廃止されます、取締役会は従来どおり株主総会から選出をされます。そこでお聞きしますが、新しい制度の新取締役会は、各種委員会、執行役とか、指名委員会、報酬委員会、監査委員会、この三つの委員会の選出のほか、基本的にどのような機能を担うんでしょうか。簡潔に答えてください。
房村政府参考人 基本的な機能といたしまして、会社の基本的な経営方針を取締役会が定めるということが、ある意味で非常に大きな役割になってまいります。そして、その経営方針に従って会社の業務執行を担当する執行役、これを取締役会が選任をする、そしてその執行役の業務執行を監督をし、適当でないと思えば解任をする、そういうことによって取締役会の考えている会社の経営方針を実現していく、それが業務の執行と監督を分離したということの意味だろうと思っております。
木島委員 それともう一つ、非常に大きな権限付与として、この制度では新たに利益処分、これが、今までの商法ですと、株主の利益の根本にかかわる問題で、会社財産の保全の根本にもかかわる問題ですから、非常に決定的に大事なものとして株主総会事項だったのを、今度は新しい取締役会事項にした。それも一つの権限と見るべきじゃないんですか。
房村政府参考人 おっしゃるとおり、従来は必ず株主総会の承認が必要であったものが、今回の委員会等設置会社におきましては、会計監査人と監査委員会の適合意見がある場合には、取締役会の決議で株主総会の承認にかわるという仕組みにしておりますので、おっしゃるように大きな変化だと思います。
木島委員 そこで、これは、もう時間が迫っておりますので、大事な点ですから、法務大臣、よく聞いておいて、法務大臣に答弁を求めます。
 今回の法改正について、社団法人日本監査役協会から二つの点で厳しい指摘がなされております。現行商法の監査役制度よりも監査の品質が低下する懸念があるという指摘であります。
 一つは、先ほど同僚委員も厳しく指摘しておりましたが、取締役会をメンバーとする監査委員会の監査は、主として執行役の業務執行を対象とするものでありますが、先ほど、基本的な取締役会の権限として、基本的なその会社の経営方針、これを決めるとありました。ところが、その決めるに参画をした取締役の一部が監査委員会に入るのです。そうしますと、監査委員会の任務は、こういう基本的に自分が決めた基本的な経営方針を監査する、また取締役の職務執行をも監査対象にする、だからこれは自己監査になる、自分が決めたことを自分が監査する、こんなものじゃだめではないかという根源的な問題点が指摘をされたわけであります。
 もっと言いましょう。具体的に言いましょう。これまでの商法で、一番大事な利益処分権限は株主総会にありました。それを今度は株主総会権限から外しました、取締役会の権限にしました。
 最も問題なのはタコ配です。配当すべき利益が出ていないのに、株価を引き上げるために、株主にいい顔をするために、もろもろのことを考えてタコ配がなされ、それは、商法違反で今まで大会社の経営陣が次々と逮捕、投獄された経験を我が国は持っています。この利益処分の最大の問題であるタコ配、こういうものも取締役会が決めるのです。そういうタコ配を業務執行役員と一緒になって決めてしまった、共犯ですね、そういう人物、取締役が監査委員会の一員になるのです。そんな監査委員会にその問題が指摘できるでしょうか。監査の実は上がるのでしょうか。
 日本監査役協会が指摘しているのは、非常にきれいな言葉で、余り私みたいなどぎつい言葉は使っておりませんが、監査の品質が低下する懸念があるというのはそういう意味なんです。
 法務大臣、根本的にこの法案は狂っているのじゃないですか。法務大臣の認識を求めます。
森山国務大臣 新しい制度の中で、委員会等設置会社におきまして監査委員会を設けましたのは、これによって取締役会の監督機能を強化いたしまして、執行役の行う会社の業務の適正を図るということが主たるねらいでございます。
 一方、委員会等設置会社の取締役は、取締役として会社の業務を執行することはできず、取締役会の構成員として会社の業務執行を監視することが中心的な役割になります。したがいまして、取締役として会社に損害を負わせるような違法行為を行う可能性も著しく少なくなるわけでございますが、改正法案におきまして、万全を期するために、会社の業務の執行を行わない取締役も監査の対象としたものでございます。
 監査委員会を組織する取締役は、業務執行に対する調査権限等の通常の大会社における監査役と同様の権限を有しているだけではなくて、監査役とは異なり、取締役会においてみずから議決権を行使することによりまして、取締役会による適正妥当な業務決定や監督権限の行使に寄与することができるというふうに考えます。
 さらに、委員会等設置会社におきましては、監査委員会の監査が実効的なものとなりますように、取締役会は監査委員会の職務の執行のために必要なものとして法務省令で定める事項を決定しなければならないことといたしまして、監査委員会の活動を補完する内部統制システムを構築させるということにしております。
 こういうことから、委員会等設置会社における監査委員会の監査機能が監査役よりも弱いものではないと考えております。
木島委員 時間が来たから終わりますが、本法で執行と監査を分離するというのはわかります。しかし、それを分離しても、大もとのこの会社の基本方針を決めるのは取締役会であります。執行役も監査委員会もみんな一緒になった取締役会が決める。
 我が国のこの十年を見ても、バブルのときに日本の建設業界、不動産業界は全く当てもないのに湯水のように銀行業界から金を借りて土地を買いあさって、それが今企業破綻の根本原因になっているのでしょう。それから、そごうもそうでしょう。全く先の展望もないのに、全国各地にデパートを乱立して今つぶれているのでしょう。
 そういう会社の基本方針を決めるのは取締役会ですよ。その取締役会を構成するのは、執行役であり、今度の法案では監査委員であり報酬委員であるのでしょう。みずから決めているのです、それを。私は非常に言葉が悪いから、もし悪いことをやったら泥棒ですね、共犯です。泥棒の片割れが泥棒の片割れを監視できますか。
 この法案はそういう根本的な問題点があるということだけはきょう指摘して、この次にもっと具体的な個別問題は質問したいと思います。きょうはとりあえず終わりたいと思います。
園田委員長 次回は、来る十六日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十六分散会


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