衆議院

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第11号 平成14年4月19日(金曜日)

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平成十四年四月十九日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 園田 博之君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 棚橋 泰文君 理事 山本 有二君
   理事 加藤 公一君 理事 平岡 秀夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 西村 眞悟君
      荒井 広幸君    太田 誠一君
      後藤田正純君    左藤  章君
      笹川  堯君    下村 博文君
      鈴木 恒夫君    西川 京子君
      西田  司君    平沢 勝栄君
      保利 耕輔君    松島みどり君
      柳本 卓治君    吉野 正芳君
      大出  彰君    鎌田さゆり君
      佐々木秀典君    日野 市朗君
      水島 広子君    山花 郁夫君
      石井 啓一君    藤井 裕久君
      木島日出夫君    中林よし子君
      植田 至紀君    徳田 虎雄君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   法務副大臣        横内 正明君
   法務大臣政務官      下村 博文君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十九日
 辞任         補欠選任
  中川 昭一君     西川 京子君
  岡田 克也君     大出  彰君
  不破 哲三君     中林よし子君
同日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     中川 昭一君
  大出  彰君     岡田 克也君
  中林よし子君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
四月十八日
 夫婦別姓制度の導入を図る民法改正反対に関する請願(高市早苗君紹介)(第一九〇〇号)
 同(赤城徳彦君紹介)(第二〇〇六号)
 同(浅野勝人君紹介)(第二〇〇七号)
 同(江藤隆美君紹介)(第二〇〇八号)
 同(岡下信子君紹介)(第二〇〇九号)
 同(亀井久興君紹介)(第二〇一〇号)
 同(瓦力君紹介)(第二〇一一号)
 同(塩川正十郎君紹介)(第二〇一二号)
 同(高鳥修君紹介)(第二〇一三号)
 同(滝実君紹介)(第二〇一四号)
 同(橘康太郎君紹介)(第二〇一五号)
 同(虎島和夫君紹介)(第二〇一六号)
 同(中村正三郎君紹介)(第二〇一七号)
 同(中山成彬君紹介)(第二〇一八号)
 同(萩山教嚴君紹介)(第二〇一九号)
 同(林省之介君紹介)(第二〇二〇号)
 同(平沼赳夫君紹介)(第二〇二一号)
 同(松本和那君紹介)(第二〇二二号)
 同(宮路和明君紹介)(第二〇二三号)
 同(村田吉隆君紹介)(第二〇二四号)
 同(望月義夫君紹介)(第二〇二五号)
 同(八代英太君紹介)(第二〇二六号)
 同(柳本卓治君紹介)(第二〇二七号)
 裁判所速記官制度を守り、司法の充実強化に関する請願(佐々木秀典君紹介)(第一九〇一号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第一九七三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)
 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七八号)
 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案(内閣提出第六一号)


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     ――――◇―――――
園田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長房村精一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
園田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
園田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
日野委員 おはようございます。
 この法律が出てきたのを見まして私の感想を言いますと、厄介なものが出てきたなという感じがしたわけであります。厄介というか嫌らしいというか、どうも名状しがたい複雑な思いがあります。
 今、日本の株式会社、いろいろなビジネスの大宗を占める株式会社というのは、日本できちんと型が決まっていたわけですよね。きちっと決まっていた。そして、そのことは日本のビジネスが世界に信用され、世界も安心して日本の株式会社と取引をし、もちろん国内のいろいろな取引関係、これも安定してきたということが言えるんだろうと思うんです。ところが、これを見ますと、一国三制度なんでございますね。一国三制度。一国二制度というのは聞いたことがあるが、一国三制度というのは、ちょっとそこまで行っていいのかねという感じがはっきり言って私はいたします。
 これで日本の企業は今までのように安定的な取引をきちんとやっていけるのかなというような不安が私の脳裏をよぎるわけですが、これはかなり混乱もあるだろうし、形の上での混乱のみじゃなくて、物の考え方がかなり大きく違うわけです。今までの日本の株式会社なんというのは、やはり基本は民主主義、これを根拠に置いてやってきていまして、そして、いろいろな合意手続を積み重ねて運営をしてきた。そういう伝統があるんですが、今度の場合はどうもそこいらをかなりいじっちゃっているような感じがするわけですね。
 この一国三制度、これについて、私は気に入らないのですが、大臣、いかがお考えになりますか。これで日本の取引の安定ということをきちんと守っていけるのか。また、日本の会社は、このごろは何ぼ実績が悪いといったって、やはり世界的に見たら信用されています。日本人というのはうそを言わない、日本の会社というのは信用してやって大丈夫だ、こういうきちっとした位置づけがあったわけですね。どうなるのかな、ちょっと心配なので、大臣、いかがですか。一国三制度でいいのでしょうか。
森山国務大臣 おっしゃるように、日本の会社というのは、今までの仕組み、法律的な枠組みの中で長い間やってまいりまして、その中でまじめに約束を守ってきちんと仕事をするという評価をいただいて、世界的にも信用があったことは確かだと思います。
 しかし、最近の国際経済情勢を見ますと、非常にダイナミックに、スピーディーに動いておりまして、そういう中で日本も競争力を持って生き抜いていかなくてはいけないということに伴う、従来の枠組みでは律し切れないといいますか、抗し切れないものが出てきているということも事実なのではないかというふうに思うわけでございまして、そのような事態に対処するべく新しい仕組みを法律的にも用意する必要があろうというふうに思ったところでございます。
日野委員 ここを議論すると非常にいろいろな分析を交えた長い話になるのでほどほどのところでとめておきますけれども、今大臣は世界の流れということをおっしゃいました。
 確かに、世界の流れは従来に比してかなり速い流れができていること、これは間違いありません。しかし、じゃ、それに今日本の企業がついていけないのかどうかということになると、私はそんなことないと思うんですよ。
 まず、政治の世界と切り離して考えても、今の年寄りのリーダーたち、あれを若手にかえてごらんなさい。これはきちんとした、そういった世界の流れに対応するビジネスの流れをつくっていけるだろうと私は思う。何もこれはグローバルスタンダードだなどと称してアメリカンスタンダードを持ち込むことはないのだと私は思います。そのことはまた後でもちょっと話題にさせていただきます。
 しかも、この法案では選択制なんですね。今までの日本は、この部分については強行的な組織づくり、強行法に基づく組織づくりをやってきた。これを、会社の形態を選択制にする。選択制にするということは、やはりどこかに自信がないのですよ、皆さん。法務省は自信がない。恐らく法制審も自信がなかったのかもしれない。その自信のなさというのは、かなり強いビジネスの世界からのプレッシャーといいますか圧力、これがあって、そして、本当はこんなことしなくたっていいのだがと思いながら、法務省はこの一国三制度をつくったのじゃないかなと私は思うんですよ。これはしようがないや、じゃ、ひとつアメリカのモデルでも取り込んでみてやってみるか、そんなところだったのじゃないのですか。私は、この一国三制度にする必然性というのは全くないと思う。いかがですか。
房村政府参考人 今回、この商法改正で、委員会等設置会社という従来にない仕組みを考えましたのは、ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、国際競争が激化する中で迅速に経営判断を行うことができる、そういう仕組みを日本においてもつくりたい、そのために、アメリカのみならずイギリス等でも採用されております、取締役会の監督権限を強化するとともに大幅な権限を業務執行を担う役員に委譲する、そういう仕組みを日本でも取り入れよう、こういうことを検討したわけであります。
 しかし、同時に、従来の監査役を置いて監査を担う従来型の会社においても国際的に活躍をしている企業もあることも事実でございますし、そういう意味で、企業のそれなりの事情に応じて選択の幅を広げて、その企業に最もふさわしい企業形態を採用して国際的に活躍していただくということを考えたものでございます。
 ちなみに、フランスにおいても、会社制度については二つの仕組みの選択制が採用されておりますので、必ずしも日本だけがそういう選択制を採用しているわけではございません。
日野委員 この間、参考人にお伺いして、経団連からおいでになった西川さんは、新しい形でやる会社というのは数社ぐらいでしょう、こう言っていた。私もそうだと思うんですよね。この数社のために、これだけの日本の株式会社の形態、これを一国三制度にしていいものかねという疑問の念といいますか、それは私としてはぬぐい去ることはできないのですね。日本の会社は随分海外なんかで不祥事も起きましたし、国内でも起きています。その不祥事が起きたときに、こういうことをやっておけば制度が悪いと言われないで済むというような考え方が、ひょっとすると法務省あたりにあったのかななんという思いも実はするわけですよ。
 それで、ちょっと伺いますが、こういう新しい形の会社をつくる、これは、同じ商法の株式会社編の中にくくられていたって性格としてはかなり違った株式会社になっているはずですね。なっているわけです。そうすると、どれを選択するのかというのはそれぞれの会社によって違うわけですが、あなたはこっちをやりなさいよ、新しい会社の方がいいですよ、新しいタイプの方がいいですよというようなことを会社の経営者に勧めるのか、それとも、そこはあくまでも会社の経営者の自主的な判断に任せるのか。私はこれは非常に大事なポイントだと思います。
 法務大臣、私は、それはもう会社の自主性に任せるべきだと思うんです。こうおやりなさいよなんということを法務省には勧めてもらいたくないと思うし、それから経済産業省なんかもそういうことをしてもらいたくないと私は思うんですな。やはりその国の伝統的なビジネスのパターンといいますか、形というのはそれなりに伝統的なよさを持っているものです。それから新しい発展をしていくというのは、基本をしっかり踏まえておいて発展ということはあるのであって、両省からちょっと。
 どうするんですか、これから。会社の経営者に、どちらをおやりなさいよと勧めたりなんかするんですか、しないんですか。するとすれば、どっちを勧めるんですか。
森山国務大臣 最初に申し上げましたように、今のような国際経済情勢の中で生き抜いていくということに必要なタイプを法律的に用意をしたというだけでございまして、お勧めするというようなつもりは全くございません。
下地大臣政務官 今大臣がお答えをしました国際的なグローバル化の中で、選択制でありますから、経済産業省としても、自分の経営のシステムに合った方法を選択していただくというふうなことになろうかと思いますので、このことに関して、指導をして、選択をするように促進するということはやるつもりはありません。
日野委員 あくまでもニュートラルであるということが望ましい、こう私は思います。
 この法律ができるに当たって、この改正をするに当たって、これは産業界からの要望というのが非常に強かった。日本を見ると、もう既にソニーなんかが始めたわけでありますけれども、法的な基礎というのは全くなしに業務執行役員というようなものを置いて、CEOと言われる、私に言わせてもらえば自称である、こう思いますけれども、そういう人たちを配置してやっているわけですね。
 何か日本の産業界の人にはCEOと言われたいという人がいると見えて、この間、みずほグループの特別顧問になった三社の人たちが、我々三社のCEOなんて言っているんだな。申し開きをする記者会見でですよ。ああいうときは、ちゃんと法的な根拠のある、我々旧銀行の代表取締役はとでも言えばいいものを、CEOはなんて言っているので、これは産業界自体がかなりかぶれているなというような印象を受けます。
 日本のビジネス界にも、この商法改正、このような組織改正の要望が非常に強かったようです。それで、実際やるところは数社だろうというような経団連あたりの見方なんで、ちょっとそこらにギャップがあるな、こう思うんです。
 日本の産業界もそういう考え方が強かったんですが、これをもっと強く推していたのはアメリカのビジネス界ですな。アメリカの方が非常に強く日本に対して要望していたように私は思います。
 私は、ここで非常に強い私の危惧の念をひとつ申し上げたい。アメリカというのは、かなり長期にわたって経済戦略を練り上げて、そして相手の国との間で、外交やら、また場合によっては貿易摩擦のようなものを引き起こしたり、いろいろな場面場面で覇権を握ろうとするわけですな。特に今問題になっているのは知的財産権についてのアメリカの取り組み。これはもう随分前に始まった。非常に熱心に彼らはやっているなと思って、非常に強い印象を受けたことがあります。そして現在の状態はどうなっているかという現状を見ますと、もう日本にしてもヨーロッパ各国にしても、知的財産権の縛り、これを非常に強く感じているはずです。特に日本なんかは、その関係の貿易収支なんかはもうまさにお寒い限りでありますね。そういった非常に長い先を見越したアメリカの経済的な戦略というものがこの中に見てとれるのではないか、私はこういうふうに思う。そういう危惧の念を、大臣それから経済産業省、お感じになりませんか。
 私は、日本にはまだこういうものを受け入れるだけの基盤がないと思っているんですよ。しかし、アメリカはこのような形の株式会社を非常に強く要望してきて、そして日本もそれに応じる形でこの商法改正が行われている。恐らく、こうやって見ていると、そのうちに、代表執行役員なんというのがアメリカ人に占められたなんという例がそっちこっちにいっぱい出てくるんじゃないか、こんなふうなことも考えますが、いかがでしょうか。これは大臣とそれから経済産業省、ひとつお願いします。
森山国務大臣 先生御指摘の御心配ということをおっしゃる方もございますが、ただ、好むと好まざるとにかかわらず、日本の企業も国際的な市場の中で力を発揮していかなければいけない。そういう立場にある幾つかの会社が現にあるわけでございまして、そういう会社といたしましては、国際的なビジネスの世界で通用し、その中で自由に活動できるような仕組みというものを必要としているというふうに思われます。したがいまして、その会社が、この仕組みが自分の会社にふさわしい、使いやすいと思われれば選択できるようにということでございまして、アメリカの支配に入るということを特に考えたわけではなく、国際経済の社会の中で伸びていくのにこのやり方が自分の社にとって必要であると思われたところが選んでいただくというわけでございますので、そういう御心配をしていただくことは必要ないのではないかというふうに思います。
 日本の会社ではいろいろな会社がありまして、もちろん主として国内の市場で活躍しているというところもたくさんあり、むしろその方が数としては多いかもわかりません。そういうところの会社は、このような制度は必要ない、今までどおりでいいんだというふうにお選びになる。それも全く問題のないことであり、それぞれの側面で必要なものを選んでいただくということでありますので、御指摘のような御懸念はないのではないかというふうに思います。
下地大臣政務官 お答えさせていただきたいと思っています。
 今法務大臣からお話がありましたように、グローバル化した経済構造になってきている。そういう意味で、WTOのルールに乗って、経済産業省でも、シンガポールとの自由貿易協定についての提案を今させていただいておりますけれども、相互に投資をしたり、投資を受け入れる、こういう国際化が今日本の経済の活力をつくるというふうに思っているわけであります。
 そういうふうな意味で、私たちは、経営者が国内の人材なのか、それとも海外の人材であるかというのが重要なものではなくて、この国経済を、この国の企業を、労働者も守り、そして株主も守りながらしっかりと運営をできるかどうかが非常に好ましいことだというふうに思っております。
 そういう意味では、私たちは、国際的な会社は選択制の中でこの制度、そして、今おっしゃったように、国内的な企業は今までの制度というふうなことで選択をしながら、これから自分の会社に合った仕組みの中でやっていくというふうなこと、こういうふうな中で、国際的な企業にある一定の選択肢が持てるような材料というのをつくるという意味で、この制度も一つの方法かな、そんなふうに思っております。
日野委員 アメリカが置かれている経済的な立場というものを、今さらながらですが、ちょっとごらんになってみてください。
 景気が低迷してきたのがずっとよくなってきた、それはどこのマネーに支えられてきていたのか。これは、ヨーロッパから、それからアジア、中でも日本、そういったところからお金が入って、そしてアメリカをファイナンスしていたわけでありますよ。
 ことしからヨーロッパはユーロで統一をされた。そして、それが今きちんと育ちつつあるわけですね。しっかりした転換をやってのけた。そして、今は、ヨーロッパ人とお話しになってみるとおわかりだが、ヨーロッパという非常に強固な意識が、通貨を一つのベースにしながらそこにどんどん育っている。恐らく、ヨーロッパの繁栄ということを彼らはまず第一に考えていくだろう。
 そして、あのテロがあって、景気が落ち込むということを心配されたけれども、それの反動で一応の景気は維持しているけれども、これからどうなっていくかということについて、彼らは非常に不安だと思う。その不安というのは、きのう、きょう始まった話ではなくて、ずっと長いこと続いている不安です。
 そこで、彼らは、まずアジアとの連携、ASEANにどうしたこうした、そういういろいろなアメリカの動きを見ていれば、アジア、特に日本との連携というものをきちんとやっていこうと。そして、日本に対する、私なりの言葉を使わせてもらえば、覇権を確立していこうという動き、これは、アメリカは、当然のこととして彼らは戦略的に考えています。そうしたら、アメリカのビジネスが日本においてもっときちんとやっていけるようにということを考えるのは当然だ。
 ウィンブルドン現象なんというので、よくみんな、ウィンブルドンはウィンブルドンでいいんだ、どこから資本が入ってこようが、人が入ってこようが、その国の会社が繁栄すればいいじゃないかと言う。今下地さんもちょっと言われた。しかし、私はそれには反対だ。そんなものではない。やはり日本は日本として、きちんと自分たちの国の経済をやっていくためには、あくまでも中心には日本の資本があり日本人がいなければいけない、私はこう思っています。
 そこでそういう心配をするんですが、そういう心配はないというのが今大臣のお話だし、それと同じようなことを、それを援用するような形で下地さんは言われたけれども、私はそんなことはないと思うんですよ。そういうスタンダードであろうと、日本のこれまでの伝統的なスタンダードであろうと、日本は今までのやり方をきちんとやっていけば、日本の企業は十分に海外に展開してやっていけると思う。
 今、日本の企業で行われていないのは、まず第一に、能力のある者、これを十分に使っていないということなんだ。政治の世界と重ね合わせないで聞いてもらいたいんですがね。まず、能力のある者に仕事の場をきちんと与えていく。それから、決断をきちっと早くやって、そして若者の力をどんどん使っていくこと、それから新しい仕事をどんどんやろうとする人たちを大事にしていくこと、その仕事をどんどん発展させていくこと、そんなことをやれば、私はこんなものは当たり前のスタンダードだと思うんですが、そういうスタンダードでちゃんと日本はやっていける、こういうふうに思います。
 でありますから、私は、この制度が一応できるということになっても、これについて、特に役所、それから、何かいろいろそのほかの経済団体とも連絡はしょっちゅうあるわけですから、こういう制度をどんどん使いましょうよというようなことだけは絶対にやらないでもらいたいというふうに思います。そもそも日本の今までの企業の文化にこの制度は合わない、私はこう思っています。
 みんなよく知っている話ですけれども、タイタニックジョークというのがありますね。皆さんも聞いたことがあると思う、有名なジョークですからね。タイタニックが沈むときに、女、子供、年寄りを先に逃がそうよ、こう言った。そして、男たちにどういうふうに説得したか。アメリカ人に対しては、あなたたちはヒーローなんだから、こう言った。イギリス人に対しては、あなた方はジェントルマンなんだから、ドイツ人に対しては、これはルールなんだ、こう言った。日本人に対しては、みんながそうするんだから、こう言ったという有名なジョークがありますね。
 これは、なかなか言い得ておもしろいジョークなんです。ヒーローという言葉にアメリカ人は非常に強く引かれますね。ですから、会社のCEOになって、そしてその会社のヒーローになるということに彼らは非常に強く引かれている。日本人はどうかというと、やはり合意を積み重ねてきた企業文化なんですね。私はそう思います。
 それで、日本では今まで合意を積み重ねてきたと言いました。そして、アメリカでは、一応アメリカンスタンダードの企業経営がやられてきて、それがいいんだと日本では思っている。
 ところが、非常に著名な例として、ひとつ私はエンロンの話をしておきたいんですが、そんな非常にすぐれたシステムだと言われるアメリカの企業形態の中で、エンロンのような事件が起きたのは一体何だと。しかも、アンダーセンあたりが買収されるか何かして、監査の資料を出すか出さないかで裁判にまでなっているというようなざまですな、言うなれば。何というざまだというふうに思います。
 これなんかは、どうしてこういう事態になったのか。これは、形態によってはしょっちゅう起きる可能性のある事件ですよ。これについて、経済産業省、どう見ておられますか。
下地大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。
 エンロンの問題については、今調査中であるというふうに認識をしております。
 それに伴い、先生が今御指摘いただいた監査の独立性に問題があったんではないかという指摘は、多くの皆さんからいただいているんではないかなと思います。
 アンダーセン社は、エンロン社のコンサルティングで監査業務からのものを上回る収益を上げていた、監査の独立性に疑問が投げかけられているというふうなことが指摘をされておりまして、まさにそういう意味では、監査制度そのものを私たちはもう一回しっかりとした形で考えていかなければいけないんではないかなと思っております。
 ただ、我が国の場合には、監査法人の行うコンサルティングの業務等の非監査業務の割合は比較的少なく、米国と事情は異なっているんではないかなというふうなことも認識をさせていただいております。
 しかし、今、金融監督庁でも、昨年の十月から、金融審議会公認会計士制度部会において論議をなされておりますし、当省、経済産業省においても、昨年の十月から本年三月にかけて、企業経営と財務報告に関する研究会というので提言をまとめさせていただいておりまして、御指摘の部分はしっかりとこれから検討しながら、独立性の確保をしていかなければいけないというふうに思っております。
日野委員 結局は、この間の参考人質疑の中でも言われたことですが、人を得るかどうか、つまり、人がきちっとやっていく、そういう倫理性といいますか、そういったものにかかることはよくわかるんです。泥棒をやってはだめだと言ったって泥棒をやるやつはやるわけです。しかし、そういうことが少なくなるようにという制度的な保障というのも必要だ。
 制度的保障が必要だというのは、これはまた後でちょっと伺いますが、大きい企業がこういう失敗をやるといいますか、トラブルを起こしますと、非常に世界的に大変な影響を及ぼすわけですね。このエンロンの倒産はそのとおりですね。それから、今問題になっている、私、これも大変な問題だなと思ったのは、ドイツのキルヒ、ワールドカップの放送権を全部持っているんだそうですね、ああいうところが倒産して放送ができないなんということになると、これはえらいことになってしまうなと思うんですね。
 ここで考えなくてはいかぬのは、企業人のモラル、特にトップに座る人たちのモラルということは非常に大きなものだ、こう思うんですね。日本でも、今度、みずほグループが、何てばかな、何てへまな、おまえたち、そんなことで会社のリーダーの資格があるのと思われるようなへまをやったわけですね。一体何でこんなことが起きたのか。巷間言われていることはいろいろあります。しかし、役所としてどうとらえているのかということ、それから、企業人、特に金融関係の企業トップの間には、とんでもない思い上がり、それから責任感の欠如、これはあるんじゃなかろうか、こんなふうに思いますよ。社長さんが申しわけをする。衆議院の委員会で、実害はなかったなんて何を言っているんだろうね、この人は。頭をぶち割って中身がどうなっているのか見てみたいなと思うようなことまで言ったりしている。
 私が今言ったことについてどうですか。
村田副大臣 日野委員から二つのことについて御質問があったというふうに認識しておりますが、一つは、みずほの今回の事態はどう受けとめているか、こういうこと、それから、特に金融関係の企業人としての責任感についてどうか、こういうふうなお話だったというふうに思います。
 この問題についてはまとめてお答えさせていただきたいというふうに思いますが、私どもも、今回のみずほのシステムトラブルの発生につきましては、極めて重大な事態だというふうに認識しておりまして、銀行法第二十四条に基づきまして、報告の徴求をしたところでございます。その内容といたしますのは、トラブルの内容、発生原因、銀行の対応状況、再発防止策等についてでございました。みずほから十日に報告を受けましたのでございますが、一応そうした報告の内容についての私どものお答えはございますが、何せ、みずほ自体におきましても必ずしも実態が解明し切れていない、こういうことでございますので、内容としては中間的な報告になっている、こういうことでございます。
 御指摘の責任の所在ということにつきましても、まずは全面復旧に努めるということが第一でございますが、それとともに、原因究明に全力を注いだ上で、しかるべき時期に責任の所在を明確化する所存、こういうふうにみずほ側から私どもは承っております。
 私どもも、引き続き相手方との接触を深めまして、追加の報告を適宜求めていきたい、こういうふうに考えておりますが、当然その中で責任の所在についても適切な対処をしていきたい、こういうふうに思っておりますが、金融システムの中核を担う金融機関が、このシステムのトラブルについて万全な責任感とそれからそれを完全に施行する体制を整えておったかどうかというようなことにつきましては、その中で表明される、我々も追及していきたいというふうに考えておるところであります。
日野委員 この問題について、私はいろいろ想像してみて、何で代表取締役が実害がないという言葉を使ったのか考えてみるんですよ。銀行はこれで格別大きな損をするわけではないというようなことだったのかな、それが彼をしてそんなことを言わしめたのかなと思ったりするのですが、とにかく、現在の金融機関のモラル、モラール、この両方、倫理的な問題とそれから士気の問題、やる気、こういったものがえらく衰えていることだけは間違いないね。しっかりしてくださいよ。私も随分、今まで金融機関の問題にはかかわり合ってきたけれども、感心したことなんてない。何てやつらだこいつらはと思わせられることの方が多かった。
 それで、アメリカ型の企業と日本と比べて、これは明らかに違うなというところをちょっと私は指摘しておきたい。
 それは、アメリカの場合、取締役が業務執行役員をしっかり監督するんだという意識が非常に強くある。これが一つ大事な、アメリカ企業の特質でしょうね。そして、取締役というのは株主からその権限を負託されているという意識が強い。そして、株主の利益代弁者である社外取締役、これが取締役会の過半数を占めている。日本は、社外取締役なんというのは人材不足だなんて言われていますけれども。それから、圧倒的な資金力を持った大株主、これが存在していて、ちゃんと社外取締役を送り込んでいる。こういった、日本とは明らかに違う、一つの企業文化といいますか、そういうものがアメリカには存在しているんですよ。そういうところの制度をまねて、こういった伝統のない日本にも、今度の商法の改正でやろうとしているような一連の改正を持ち込んできて、うまくいっていると思いますか。
 それともう一つ、あわせて聞きましょう。ソニーなんかが採用して、法的根拠も何もなしに、業務執行役だとかCEOだとか、こういってやっていますが、それがうまく、何とかかんとか機能しているんですか。その二点について。これは局長さんに。
房村政府参考人 まず、アメリカにおいては社外取締役が過半を占めているという実情にあるとか、株主構成の問題、御指摘がありました。確かに、日本において社外取締役を導入する企業がふえていることは事実でありますが、まだまだその数は少ないというのは御指摘のとおりだろうと思います。
 ただ、アメリカにおいても、社外取締役の役割が非常に重視されるに至ったのは比較的近年に至ってからのことでありますし、現状のアメリカの企業のそういう状態というものも、そういう長い経緯を踏まえて現在のような状態になったということだろうと思っております。
 そういう意味で、日本においても今後どうなるのか、これは予測の範囲に属するわけでありますが、社外取締役の導入にいたしましても、日経新聞のアンケート等によれば、相当多数の企業が社外取締役の導入を検討しているというようなことも伺いますし、そういう意味では、日本の現在の企業のあり方というものもこれから大いに変化する可能性というものはあるのだろうと思っています。
 そういう企業の多様なあり方に応じて、選択肢をふやして、その企業に最もふさわしい経営のあり方を選んでいただく、そういうことを考えて、今回、選択制でこの委員会等設置会社というものの改正をお願いしているわけでございます。
 また、それにやや類似した執行役員という制度、これをソニーを初めとして相当の企業が導入しております。これは、取締役会の構成人数が非常に多くなって取締役会による意思決定に迅速さが欠けるというような点を考慮いたしまして、取締役の人数を減らして取締役会の意思決定を迅速に行えるようにするとともに、従来業務担当取締役が担っていたようなものを、新たに執行役員という、内部的な位置づけではありますが、非常に重要な使用人という形でその権限を明確化して、業務の適正化を図る、そういう考え方に基づいて行われているものだろうと思います。
 これについても、東京証券取引所が上場会社に対して行ったアンケートによると、回答した企業の約三五%が執行役員制度を導入しているということでございますし、それを検討している企業も相当数あるというぐあいに聞いております。
 そのようなことで、企業として意思決定を迅速に行い、時代の変化に対応するという自主的な努力をしているものと理解しております。
日野委員 これは私は、実は制度の問題よりも、本当は企業人のやる気の問題だと。あくまでも、やる気がなければ、どんなに制度をいじくってみたってどうにもなるものじゃありません。
 例えば、かの有名な日産のゴーン社長、あの人が日産に乗り込んで、これは大変なことが起きるぞというふうにみんなで大騒ぎになったわけですね。カルロス・ゴーンという人は、自分でも多国籍人だと言っているようですが、彼はレバノン人ですね。そしてブラジルで育って、フランスとアメリカで教育を受けて、そして現在に至っているわけですな。ルノーを経てですから、フランス的な色彩も非常に強いのだろうと思います。
 彼がやった日産の改革の中でも、私もちょっと調べてみた、やはり地域に対して非常に大きな影響を与えましたな。日産が撤退をする座間だとか村山だとか、非常に大きな影響を与えている。しかし、生首を切る、解雇ですな、生首を切るということはそんなにしないで済んでいるわけですね。退職または希望退職合わせて大体五百人ぐらいのところであります。下請なんかも、一応倒産はしないで、単価の切り下げだとかそれから発注量の減少だとかいろいろあって、つらい思いもしているんでしょうけれども、何とかかんとか持ちこたえさせた。
 その中で、やはり社長ゴーンさんの考え方はそれとして、日本側の今までの企業のあり方というもの、それから労働組合のいろいろな働きかけ、こういったものがかなり大きく影響していると思うんです。ですから、やはり地域なんかには手ひどい影響もあった、それから何人かは首にはなった、しかし、言われるほどの壊滅的な影響を与えることもなしに、日産そのものは一応立て直した、こういうことになっているわけですな。
 私は、ゴーンさんのやり方というもの、これはやはりCEOで、まさに非常に強い影響力は持つのだけれども、それに対して日本的な働きかけというものも必要なんだ、これがあって今日の日産があるというふうに私は評価しているわけです。これについてはいろいろな見方があるだろうと思いますけれども、私は、そういう評価をしている。
 そして、私は、何回も言ったように、合意の積み重ね、これをやってきた日本の企業文化というもの、人のつながりを大事にする、それから、チームをつくって、それを維持して経営に生かしていく、こういう日本の企業文化というのは、やはりもっと大事にされていく必要がある。ですから、アメリカなんかで極端にもてはやされているというか、極端にアメリカあたりで話題になっているCEOがどおんと日本に乗り込んでくるというようなことを私は好みません。
 これはもうかなり前のことだから名前を出してもいいと思うが、アメリカの自動車のビッグスリーのCEOたちが、ブッシュ大統領が日本に来たときに、そのしり馬に乗ってついてきて、日本に来てさんざんいろいろな言動を積み重ねて、彼らはアメリカに帰って、確かに、日本なんかにいろいろな要求をして、日本にそれをのませた、その成果なんかもあったのでしょう、会社が黒字になったときに彼らが得た報酬、これは何十億、円じゃなくてドルだったと思うな、平然とそれを手にする。こういうことは日本ではあってはならないし、日本では恐らくそういうCEOのあり方なんというのは受け入れられることはないだろうとは思うけれども、私は、そういう点からいって非常に心配をします、心配をしている。
 ですから、商法改正によってでき上がる委員会等設置の会社とか、そういったもののこれからをきちんと見守っていくということが大事だな、こう思います。
 もっと本当はいっぱい言いたいことがあるのですが、本当は三時間ももらえればいいのですが、一時間しかありませんから、ちょっと別の、法案の内部の問題についてお話しします。
 監査なんですよ、監査。日本は今まで、実際それが効果を上げなかったということも反省点としてはあるんだけれども、一応監査と執行というのは切り離して考えていた。監査の独立ということは大事なものとして考えてきたわけですね。
 日本では、社外取締役の人たちが、CEOであるとか執行役員であるとかそのほかの取締役、これをきちんと監視するという認識なんか恐らくないと思います。私も、何人か、大きな企業の社外取締役をやっている方を知っています。大学の先生が多いですね。そして、行って講演をする、こうやった方がいいですよというようなことを言う。これが社外取締役の現在の一つの型なのであって、ああいう人たちできちんとその会社を見張っていくことができるのだろうかと思うわけです。
 それから、これはもう一つ大事な点で、見逃しちゃいかぬと思う点は、アメリカの例なんかを見ると、CEOはどおんと自分の配下を連れて乗り込んでくるわけですよ。恐らく日本でもそうなるでしょう、特に外国人なんかがCEOになるときは。アメリカのホワイトハウスと同じだ。大統領がかわると、今までの人たちはいなくなっちゃって、新しい手下を連れた大統領がどおんと入ってくる。あれと似ているんですな。そういう事態の中で、この法律が予定しているような監査委員会というものが十分機能していくだろうかということが、私、心配です。この点については、この点は大事な点ですから、大臣のお話を聞かせてください。
 それからもう一つ。やはり形の上でも、きちんと執行と監査というのはそれぞれ独立性を持つんですよということが見えるということが大事なんだと思うけれども、どうでしょう。
森山国務大臣 おっしゃいますように、監査というものの役目は非常に重要でございまして、私どもも、企業の不祥事がいろいろと出ておりますことは大変残念であり、この改正の機会にそういうことが少しでも減るようにということを考えていることは、先生と気持ちは同じだと思っております。
 この改正法案において提案申し上げております委員会等設置会社におきましては、取締役会の中に、それぞれの構成員の過半数を社外取締役とする指名委員会、監査委員会及び報酬委員会の三つの委員会を設けますとともに、業務執行を担当する執行役員制度を整備しまして、会社の業務執行が適正妥当かつ迅速に行われるように配慮しているわけでございますが、取締役会は、監査委員会の職務の遂行のために必要なものとして法務省令で定める事項を決定するべきであるということとされております。
 その法務省令におきましては、監査委員会の事務をサポートする体制のあり方などを定めることを要求することを考えておりまして、これによって監査委員会の監査機能が相当高められるというふうに考えております。従来のいわゆる監査役という方々には、その仕事をサポートする事務体制というのは、あったところもあるんでしょうけれども、多くの場合、余りそういうものが用意されていないという例が多かったというふうに思っておりますので、監査役の仕事がきちんとできるように事務的なサポート体制を整えるべきだというふうに思っておりまして、そのことによって大企業の不祥事等が少なくなることを期待しているわけでございます。
 なお、従来型の監査役設置会社につきましても、昨年秋の臨時国会における商法改正によりまして、監査役の任期の伸長、監査役選任についての監査役会への同意権の付与など、監査役の権限及び地位の強化を図っておりまして、これによって会社の不祥事の防止が幾らかでも図られていくということを期待しております。
日野委員 では、民事局長にもう一つ質問を追加します、時間もないですからね。
 取締役と執行役を兼務できるようにするというふうにしたのは、僕は間違いだと思う。どうですか。
房村政府参考人 まず、いわゆるCEOがその息のかかった者を連れ込んできて支配してしまうのではないかという点でございますが、実は、現在の我が国で取締役会の監督機能について問題点が指摘されておりますが、それは、その代表取締役に権限が集中し過ぎている。
 実質的にこれから取締役になろうとする者を選ぶのは代表取締役で、その議案を株主総会に提出して、取締役になってくる。そして、取締役になった人について、では報酬はどうするかというと、株主総会で総額は決まっておりますが、個々の取締役への分配についてはほとんどの場合、代表取締役に一任されていて、その代表取締役の胸先三寸で個々の取締役の人の報酬が決まってしまう。また、監査役についても、基本的に自分が、いわば代表取締役が事実上選任をする、そういうようなことが指摘されているわけでございます。
 今回の委員会等設置会社につきましては、そういう点について今まで以上に業務執行役員に権限が集中いたしますので、その権限集中に基づいて取締役会の監督機能が侵されないようにということで、まず第一に、取締役になる人については、取締役会の中に設置された指名委員会で、しかもそこの委員の過半数は社外取締役である、こういう仕組みにいたしますし、同じように、社外取締役が過半数を占めている報酬委員会で報酬を決める。監査についても、社外取締役が過半数の監査委員会が独立して機能を発揮する。そういう仕組みで、全体として取締役会の監督機能を高める。そしてその取締役会において執行役の選任それから代表執行役の選任、こういうことをするという仕組みにしたわけでございます。
 もちろん、仕組みでございますから、運用の仕方によっては問題が生ずるおそれが全くないとは言えませんが、現在の日本の仕組みに比べて、特にこの委員会等設置会社において代表執行役に権限が集中し過ぎて監督機能が落ちるということはないだろうと思っております。ただ、その前提といたしましては、社外取締役になっていただく方々に、その社外取締役としての役割を十分認識してきちんとした監督機能を果たしていただくということが必要であることは、まさに御指摘のとおりだと思っております。
 そういう意味で、現在、企業の多くが社外取締役の選任を検討しているというのは、やはり外部から見て企業のあり方について貴重な意見をもらおうということで検討しているのだろうと思いますので、今後社外取締役になる方々にそういった役割を認識して十分な監督機能を果たしていただきたいと考えているところでございます。
 それから、執行役と取締役の兼任を認めるかという点でございます。
 確かに、執行と監督の分離ということを徹底いたしますと、兼任を認めないということも選択肢の一つとしてはあり得ると思います。ただ同時に、監督を十分に行うためには、業務執行の実情を知っている人たちがメンバーの中にいた方が監督を行いやすいということも指摘されているところでございます。そういう配慮から、アメリカ、イギリス等においては取締役と業務執行役の兼任を認めているところでございます。
 ドイツにおいては、考え方も異なりまして、株主総会で選任されました監査役が監督の権限を行使し、その監査役会において選任された取締役が業務執行を行います。それで、兼任は禁止されております。ただ、実情として、監督を行う監査役会に業務執行の情報が十分上がってこないという問題点が指摘されているところでもありますので、今回の法案では、その点はそれぞれの会社の判断にゆだねる、あえて一律に禁止をするということは行わないとしたわけでございます。
日野委員 この問題について、苦渋の選択という言葉を使ったのは江頭参考人だったでしたかな。私なんかが見ても、これは苦渋というよりは無理をした選択かな、こんなふうに思いますが、この監査の独立というのは、非常に基本的な会社運営の、民主主義の基本的なところにかかわりますね。
 もう一つ基本的なところを、時間がないんですが質問しましょう。
 いわゆる大会社の利益処分を今度は総会から移しちゃうわけですね。私は、総会の権限を縮小するというのは大体気に入らぬのですけれども、特に利益金処分、配当、まさに株式会社の一番根底のところにかかわるわけなんでありますよ。これを総会から今度はその委員会、そっちの方に移すということは、これは会社の基本的な民主主義にかかわってくるんじゃないか。もう会社の経理なんというのは一般の株主はわからないんだからそっちの委員会の方に任せてしまえみたいなことを言っている人が随分いるんですけれども、恐らく役所の公式の理由づけもそうなんでしょう。私は、それは思い上がりだと思う。
 今、みんな賢明になっていますよ。それに機関化がどんどん進んできますね。株主の機関株主化が進んでくる。そうしたら、そんなこと朝飯前で、計理士なんか呼んでしまいますよ。
 私は、これはやはり総会事項として残しておいた方がいいのではないか、こう思います。大臣、いかがですか。
横内副大臣 私から御答弁させていただきます。
 委員御指摘のように、利益の処分というのは、まさに株主にとって最も基本的な利益にかかわることでございますから、現行法上は株主総会の承認が必要だということになっております。
 ただ、この利益処分というのは、これは言うまでもないことでございますけれども、利益があった場合に、それを配当に回すのか、あるいは将来の設備投資に回して会社の発展に資するようにするのかという、非常に経営の根幹にかかわる事項だと思いますので、高度な経営判断を要するものだろうと思います。したがって、必ずしも経営に関する知識、能力を有しない株主が的確な判断ができるかどうかということがあろうというふうに思います。
 したがいまして、経営の専門家としてしっかりした取締役会があって、株主の利益を適切に代表し反映できるような、そういう体制があるならば、それは取締役会にゆだねた方がいいのではないか、そういう判断があるわけでございます。
 この点、委員会等設置会社におきましては、社外取締役が過半数を占める指名委員会で取締役候補者が選任をされるということで、取締役間の監督機能が高められておりまして、株主の利益を反映した厳正な審査をすることが期待をできるということでございますので、取締役会に利益処分等の決定権限を認めることにしたものでございます。
 なお、利益処分が株主にとって重要な利害にかかわるものであることは当然でありますので、委員会等設置会社におきましては、取締役の任期を一年といたしまして、利益処分の決定について不適切な決定を取締役会がした場合には、株主総会としてその取締役を解任することができる、そういうような措置もとっておりまして、株主の利益には十分配慮しているわけでございます。
日野委員 時間が来たのでやめますが、まだまだ聞きたいことはいっぱいあります。例えば、役員賞与なんかどうするのですか。それから、報酬委員会でお手盛りにならないようにするきちんとした制度的な保障であるとか、そういった問題がいろいろあります。
 時間が来ましたので、思いは残しながら、終わります。
園田委員長 西村眞悟君。
西村委員 商法は、本来自由な領域にございますから、要点のみ聞いておこうと思います。
 前回、会社の機関という構造問題が改正法の主眼でありますので、この部分についてお聞きしましたが、本日はそれ以外の点についてお聞きしたいと存じます。
 まず、大臣の提案理由説明によれば、従来の変態設立事項としての現物出資等の際の検査役の制度、これにかわるものとして弁護士等の専門家による財産の価格の証明制度を拡充する方向に改正するということでございますけれども、この拡充の意味についてお伺いするとともに、次に、なぜこの拡充を行うこととしたのか、この理由について重ねてお伺いいたします。
横内副大臣 現行法では、現物出資が行われる場合に、これが過大に評価されるようなことがあっては大変でありますから、原則として裁判所の選任した検査役が調査をするということになっておりますけれども、不動産の場合に限っては、不動産鑑定士の鑑定評価つきの弁護士の証明がある場合には検査役の調査を要しないというのが現行法でございます。
 改正法案では、これを広げまして、一つは、検査役の調査にかわる専門家による財産価格の証明について、その対象となる財産を不動産だけではなくてそれ以外のものに広げたということが一点あります。それからもう一点は、財産価格の証明を行うことができる専門家についても、弁護士だけではなくて公認会計士や税理士を加えることにしたということでございまして、その点が大臣の提案理由説明で拡充と言っている内容でございます。
 それをどうしてそうしたかという御質問でございますけれども、現在の裁判所が選任する検査役は、時間が非常に長くかかるということがございます。それから同時に、費用も非常にかかるということがございます。さらに、実務として非常に困るというふうによく言われますのは、あらかじめどのくらいの期間がかかるのかというのが予測できない。裁判所が選任をして、そしてどんな検査役が出てくるかわからぬものですから、どのくらい検査に時間がかかるのかがわからないというのが、例えば組織の再編なんかをするときに非常に困るということが実務として言われておりました。
 そういう問題がありますので、そういう問題点を解消するために、会社が選んだ弁護士等の専門家による証明制度を一般化したということでございます。
西村委員 従来の裁判所が選ぶ検査役制度を使おうと思っても、今御説明いただいたような状況で使えないということであれば、検査役制度を廃止する、こういうふうな方向になぜいかないのか、なぜ、その使い勝手の悪い検査役制度を残すことにしたのかということについては、いかがでしょうか。
房村政府参考人 ただいま説明がありましたように、裁判所で選任された検査役の場合、多少時間がかかるあるいは費用もかかるということはございますが、しかし同時に、それだけ裁判所で選任していただいた検査役にきちんと調査をしてもらったということから、検査役による調査がなされた場合には、現物出資に係る発起人あるいは取締役、この人たちの価格てん補責任が免責をされるということになっております。
 そういう意味では、多少時間がかかってもその方が安心だと思えば検査役を選ぶという道も残しておいた方が、現物出資をする方にとっての選択肢がふえるということでございますので、今回、いわば選択肢をふやす形で、従前の検査役制度に加えてこの専門家による評価の制度を認めたものでございます。
西村委員 要するに、問題があるけれどもメリットもある、どちらを選ぶかは自由に決めていただきたいということだと思います。
 次の質問ですが、従来から運用されておる中で、検査役にはどのような人が選任されていたのかということについて、お答えいただきます。
房村政府参考人 多くの場合は弁護士が選任されておりますが、公認会計士あるいは監査法人が選任されている例もございます。
西村委員 今お答えになった範囲で、税理士は、検査役の調査にかわって財産の価格の証明を行うことができるものとして検査役には選任されていないわけですが、今回の制度では税理士が追加されておりますけれども、その理由は、どういう理由でございますか。
房村政府参考人 税理士の方々は、税務申告等を行うに際しまして資産の評価を行うということが業務の内容として予定されております。それから、地方自治法の規定によりまして、普通地方公共団体が外部監査契約を締結できる有資格者として、弁護士、公認会計士と並んで税理士が掲げられております。そういうことから、税理士に公正な評価を行うことが期待できると判断したわけでございます。
 また、弁護士や公認会計士ですと、どうしても地域偏在の問題がありまして、地域によっては弁護士、公認会計士の証明を受けることが困難な場合もある。そのようなことから、弁護士、公認会計士と並んで税理士も証明を行うことができる専門家に加えまして、どの地域においても専門家による公正な評価証明を得ることができるようにしたわけでございます。
西村委員 次に、改正法案の百七十三条の三項には、財産価格の証明を行うことができない者に関する規定が設けられておりますが、この規定を設けた趣旨を御説明いただきます。
房村政府参考人 これは、財産評価の適正を確保するためにこのような規定を設けたわけでございますが、まず、財産の現物出資者それから譲渡人、発起人、それから会社の取締役、監査役、支配人及び使用人、こういった人たちは当該財産の調査について特別な利害関係がありますので、客観的、公正な評価を行う者としてはふさわしくないということでございます。
 また、業務の停止処分を受け、その停止の期間を経過しない者及びこれらの者が一定以上社員となっている弁護士法人及び監査法人、これらはまさに業務を行うのに適格を欠くということでございますので、これらの者も評価をすることができない。
 このようなことによって財産価格の証明に関して公正性を確保するということを考えたものでございます。
西村委員 趣旨はよくわかるわけですが、その趣旨から見て、会社の顧問弁護士や顧問税理士は財産価格の証明を行うことができない者には含まれていないわけですから、それができるという前提にあるわけですが、これらの者をなぜ財産価格の証明を行うことができない者としなかったのか。非常に利害関係を持っておると思います。顧問弁護士等が、会社との密接な関係から、その関係に重点を置いて公正な証明をせず、誤った証明を行うおそれはないのかという点については、どういうふうに考えておられますか。
房村政府参考人 会社の顧問弁護士あるいは顧問税理士、これらの方々は、自己の専門職業人としての独立性を保ちつつ適正な助言等を会社に対して行うということを本来の職務としているわけでございます。そういう方々が財産価格の証明ということに当たった場合にも同じように専門職業人としての独立を保ちつつ適正な評価をしていただけるであろうということと、当該会社の法務あるいは税務に継続的にかかわって会社の内情に詳しい立場にあることから、ある意味では財産価格の証明を非常に適正かつ迅速に行うということも期待できる、そういうことから、これらの者について特に排除するということはいたしませんでした。
西村委員 次に、本案において、大会社について連結計算書類の作成と定時株主総会での株主への報告を要求しておりますけれども、この改正の意義をまず御説明いただきたいと存じます。
房村政府参考人 近年、大規模会社におきましては、いわゆる企業グループを形成して、一体となって営業活動を行うことが一般的となっております。そういうことから、企業グループ全体の財産状態、それから経営状況、こういうものを示す計算書類の作成義務を課し、これを定時総会に報告させることによりまして、株主に対する企業グループ全体についての情報開示を充実させようということでございます。
西村委員 大会社の中には、証券取引所に上場している会社もあるし、そうでない会社もあるわけでございますが、改正案は証券取引所に上場していない大会社についても連結計算書類の作成を義務づけるということとしておりますが、これは過剰な規制ではないかという指摘も考えられるところであるが、これについては当局はどう思われているんですか。
房村政府参考人 大会社といいますと、資本金が五億円以上または負債が二百億以上という株式会社で、株主の数も多いということが通常でございますので、連結計算書類の作成を一律に義務づけて株主総会における株主の議決権行使の判断資料とすることには合理性があると考えてはおります。
 ただしかしながら、御指摘のように、実際、現在連結計算書類をつくっておりますのは、証券取引法二十四条一項の規定によって有価証券報告書を作成すべきとされている上場会社が連結財務諸表を作成するということに限られているわけでございますので、そういうものをつくっていない大会社にすべて一律に現時点で直ちに連結計算書類の作成を義務づけるということになりますと、確かに御指摘のように実務上の混乱あるいは非常な負担を強いるということにもなりかねません。
 そこで、この改正法案では、附則におきまして、連結計算書類の作成を義務づける対象を当面証券取引法に基づき有価証券報告書を提出している大会社に限定いたしまして、その他の会社については当分の間この義務を課さない、その他の会社につきましては、その浸透状況等を見ながら将来判断をしていきたい、こういうぐあいに考えております。
西村委員 それは法務省令で定めることとなるということと思いますけれども、この法務省令で定めることとなる連結書類の具体的内容としてどのようなものがございますか。
房村政府参考人 御指摘のように、作成を義務づける計算書類の範囲、これは省令で定めるということとしております。現在、法務省令では、連結貸借対照表と連結損益計算書、これを定めるという方向で検討しております。
西村委員 証券取引法上は、有価証券報告書の添付書類として、今おっしゃった連結貸借対照表と連結損益計算書のほか、連結キャッシュフロー計算書も義務づけられておるわけで、これを今のお答えでは除かれているわけですけれども、この連結キャッシュフロー計算書は、連結ベースでの資金収支の状況を明らかにする意義を有するものでありまして、商法で先ほど来お答えの大会社について連結計算書類を導入するというのであれば、まさに連結ベースでの資金収支の状況を明らかにするための連結キャッシュフロー計算書、この作成も要求してもいいのではないかと考えるんですが、いかがですか。
房村政府参考人 開示を充実するという観点からいたしますと、まさに先生の御指摘のとおりだろうと思っております。
 ただ、連結計算書類は、単体の計算書類とともに株主総会の招集通知に添付するということになりますので、総会の二週間前には発出しなければいけません。また、会計監査人と監査役の監査も受けなければならない。そういうことを考えますと、貸借対照表と損益計算書に加えましてキャッシュフロー計算書まで作成を義務づけるということになりますと、実務上の対応が困難となるのではないか。そういうこともありまして、現在、義務づけを見送る方向で検討をしているわけでございます。
 ただ、連結のキャッシュフロー計算書の有用性というのはもう御指摘のとおりでございますので、今後の連結計算書類の活用状況とか関係各界の意見を踏まえて検討を続けていきたいと考えております。
西村委員 ありがとうございます。これで商法についての前回と今回の私のおおよその質問は終わるわけでございます。
 次に、大臣、副大臣、政務官に、これは質問じゃないですけれども、次の一般質疑の予告をさせていただきます。と申しますのは、次の一般質疑までにこの問題が片づいておらなければ、これはちょっとゆゆしきことだと私は思いますので。
 報道によりますと、共栄タンカー、本社は東京都、そこが管理するパナマ船籍タンカーTAJIMAにおいて、公海上で日本人航海士が殺害されました。犯人はフィリピン人船員でございます。船長は警察権を行使して彼を船内で拘束しております。このTAJIMAは、十二日姫路港に入港し、一週間以上経過しておりますが、そのまま現在の状態で、船内で船長の警察権により拘禁されている日本人航海士殺害犯人について、我が国は何ら接触はしておりません。この船の船籍国パナマは、容疑者を引き渡すとは言っておりません。フィリピンは、海外で犯した犯罪は裁けないと言っております。ところが、海上保安庁は、これ以上何もできないと言っております。入管は、容疑者の上陸はできないと言っております。
 便宜置籍船、これはパナマとかいろいろなところがあって、実質上日本の船としてこの日本に石油等々を運んでいる船は多くはこれなんですが、この船の状況が、日本人航海士と多くのフィリピン人、ミャンマー人で構成されている。そして、起こり得べくして起こったことである。これをこのまま放置するのか。
 姫路に着いているこのタンカーに日本人航海士を殺害したフィリピン人が乗っておる。何もできないのか。国の意思はどこに行ったのか。こういう便宜置籍船の中で起こったことはすべて、国外犯の刑法の規定に合う場合以外は、通貨の偽造とか、そういうこと以外は何らないのか。日本のために、日本の産業を支えるために、石油、天然ガス等を運んでくる日本人航海士が殺害されても日本政府は何もしないのかということでございます。
 ちょっとゆゆしきことでございますから、官僚の事なかれ主義はいいですが、政治決断を要する場面かな、このように思います。これは予告ですから、お答えは次いただきます。
 それから、もう一つは、これも予告ですが、外国人登録証で、台湾人の方には国籍欄に中国と記すように強制されているようでございますな。ただし、我が国の外国人登録法第四条は、国籍の正しい記載を義務づけなければならないと書いてある。しかしながら、台湾の出身者の方を中華人民共和国と書くようにと独断で決めつけて、日本当局は、台湾の方の外国人登録証には「中国(中華人民共和国)」、こう書いておるということですね。
 これは事実に反するんじゃないですか。中華人民共和国は台湾を一度も実効支配したことはございませんし、台湾二千二百万の人たちは独自にプレジデントを選んで独自に統治をし、それは完全な国家として機能しておりますね。国交がないというのは、これは日本国政府が、かつて国交があったんですけれども、国交をなくす措置をとったからそうなったので、台湾の方々の原因でも何でもないわけですね。
 また、日本国政府は、中華人民共和国の、台湾は中華人民共和国の不可分の領土であるという主張を尊重するけれども、それに従うというふうに国際的に約束したことは一度もないわけでございますから、この事実、実態に反する記載を強制するという日本の外国人登録は実務上おかしいのではないか、このように思っております。
 次回の、近いうちの一般質疑でこれをお答えいただきますが、お答えいただくことが目的ではありません。フィリピン人の日本人殺害犯の問題であれ、この問題であれ、私がこのように申し上げて、そして実務上是正されるならば幸せだと思って申し上げております。
 質問を終わります。
園田委員長 木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 前回の四月十二日に続きまして、具体的問題についてお聞きをいたします。
 最初に、委員会等設置会社についてであります。
 委員会等設置会社には三つの委員会が置かれる、指名、報酬、監査委員会でありますが、三名以上の取締役で構成し、過半数は社外取締役であることを要するとあります。
 そこで、本法における社外取締役の定義は何でしょうか。
房村政府参考人 委員会等設置会社における社外取締役の定義でございますが、当該委員会等設置会社の業務を執行しない取締役で、過去にその会社または子会社の業務を執行する取締役、執行役または支配人その他の使用人となったことがなく、かつ現に子会社の業務を執行する取締役もしくは執行役またはその会社もしくは子会社の支配人その他の使用人でない者であって執行役を兼任していないものをいうということでございます。
木島委員 要するに、その会社及びその会社の子会社の役職員でない者、かつ、かつて役職員でなかった者でありますね。なぜ親会社の役職員を排除しなかったんでしょうか。
 今、独占禁止法が緩和されまして、持ち株会社が解禁されてまいりました。企業再編のもとで、持ち株会社や親会社による会社支配が今日の我が国の企業法制の上で最大の問題になっているんじゃないでしょうか。持ち株会社や親会社から執行役も監査委員会のメンバーたる社外取締役も選任されれば、事実上、監視、監査は骨抜きになってしまうんじゃないでしょうか。なぜ親会社の役職員を社外取締役の定義から排除しなかったんでしょうか。
房村政府参考人 基本的に、社外取締役等による監督あるいは監視の機能を重視しておりますのは、業務執行をつかさどる者が株主の利益を無視して株主に不利益を及ぼさないようにということを最終的に担保するということになりますので、子会社である委員会等設置会社の株主に当たるのは親会社でございますから、親会社の役職員はまさしく当該委員会等設置会社の株主の意向を反映することができるということでございますので、株主の意向を反映した取締役を子会社の社外取締役とすることは不当ではないというぐあいに考えております。
木島委員 親子会社といっても、親会社が一〇〇%子会社の株式を取得するわけじゃないんです。一定の割合の株を持って支配するというのが実態です。そうしますと、その実質上の親会社が、あるいは持ち株会社もそうですが、その地位を利用して執行役を送り込んでくる、当然です。同時に、今度の法律でつくられる委員会等設置会社の指名、報酬、監査委員になるべき社外取締役も送り込んできたら、実際上、全く同じ系列の支配に服するということになるわけでありまして、これでは本当の意味での執行役に対する、社外監査役でお目付役をさせるというこの法の趣旨の根本が換骨奪胎されてしまうんじゃないかということを私は指摘しているわけであります。
 次に聞きますが、では、本法での指名、報酬、監査の三委員会の社外取締役は同じ人物が兼任できるんでしょうか。
房村政府参考人 改正法では兼任は禁止しておりません。
木島委員 兼任できるんですね。そうすると、本法では最低三名の取締役で各種委員会を構成するとあります。兼任可能だということですから、社外取締役を二人だけ入れ込んでくれば、その二人が指名委員会、報酬委員会、監査委員会すべてに配置されるならば、要件を満たすことになるわけであります。
 本法で取締役会の権限は強大になりました。会社の基本的な方針それから利益処分権限あるいはみずからの報酬を決定する権限、これらが株主総会決議事項から外され、取締役会決議事項になったわけです。強烈な取締役会になるわけでありますが、その取締役会の中に、例えば十人で構成する取締役会の中にたった二人の社外取締役を入れ込んでくれば、三つの各種委員会の過半数を占めて運営ができるという仕組みになっているわけでありますね。
 そうしますと、これは法務大臣にお聞きしますが、さっき私、親会社から送り込まれてくると。執行役も送り込まれてくる。例えば今、私の例では、二人の社外取締役が送り込まれてくる、その二人が三つの各種委員会の委員になる、そうすると運営できるわけです。今最大の問題になっている執行部の暴走や独走、法律違反、不当な業務運営、これに対する監視機能をいかに強めるか、それがコーポレートガバナンスの真髄だと思うんですが、こんな形では執行役の暴走に対するチェック機能は全然働かないのじゃないですか。法務大臣、こんな形でいいのですか。法務大臣の御見解をお聞きしたいと思うんです。
森山国務大臣 大変重要な問題だと思いますが、その仕組みを具体的に動かしていく上で問題になるようなことを避けて、公正な、なお効率的な運営ということをしていく、それが非常に重要だと思いますので、今おっしゃったような問題は避けるべく、この仕組みの中でよりよい運営が行われますように十分監視していくべきだというふうに思います。
木島委員 お気持ちはわかりますけれども、私は、親会社、持ち株会社の例を指摘しました。しかし、日本の企業社会で最大の問題は、それに加えて銀行による支配ですよね。今崩れつつあるとはいいますが、基本的には銀行が融資を背景にして会社支配するわけです。ちょっと何か問題があると取締役を送り込んでくるわけでしょう。今度の商法改正によって、銀行から執行役も送り込んでくる。そして、ついでに、社外取締役の名のもとに、監査委員会、報酬委員会、指名委員会に配置されるべき社外取締役も銀行から送り込んでくる。こんなことをやられたら、本当に執行部に対するチェック機能なんて全く働かないことになるのは当然です。
 もう一つ、企業社会で最大の問題になっているのは、アメリカなんかと違うと識者が言っているのは、系列とか、いろいろな取締役になるべき会社の経営陣同士の横のつながりですよね。経団連とか日経連とかいろいろ経営陣の横のつながりが強固でありますから、経営者同士が友達同士で、Aという経営者がB会社の社外取締役に入って監査委員会に入る、B会社の幹部がA会社の社外取締役に入っていくというようなことが当然想定されるわけです。恐らくそうなるでしょう。そんなことになったら、社外取締役が入り込んだから執行役の暴走を監視できるんだという皆さんのこの法律をつくり出した根本的な思想が崩れてくる。まさに日本の企業社会はそこに問題があるんだということを指摘されているんじゃありませんか。
 だから、法務大臣は、そうならぬようにしたいという気持ちはわかりますが、そういう気持ちを具体化するための法的担保をきちっとつくることこそ商法改正の意味があるんじゃないかと思うんですが、大臣、再度答弁を求めます。
森山国務大臣 これはもう先生十分御承知のとおり、選択できる幅の一つでございますので、うまく運用がしにくい、自分の会社にとってこれはプラスではない、あるいはいろいろ問題が起こるであろうということであれば選択をする必要はないわけでありますし、この仕組みのよい点をさらに活用して、そして国際経済社会における力を発揮していこうということに使っていただきたい、それが必要な会社は選んでいただきたいということになっているわけでございますので、そこのところを御理解いただきたいと思います。
木島委員 先日の参考人質疑におきまして、経団連の幹部からお話がありました。恐らく二つの会社ぐらいしかこの仕組みは利用しないのじゃないかと。そのぐらい、私に言わせれば完璧なまでに、コーポレートガバナンス、企業統治に対する監視・監査機能、それが骨抜きにされた、そんな程度のこの法案に対しても、日本の経済界はお気に召さない、反対だという態度のようであります。そんな状況では、私は、今国際社会の中でも大問題になっている日本の会社運営に対する監視問題、これが充実されるものとは到底理解するわけにはまいりません。
 そこで次に、取締役会の責任軽減の問題についてお伺いします。
 委員会等設置会社については、取締役の責任が大きく軽減されることになっているようであります。簡潔で結構でありますが、具体的にどんなになるんでしょうか。
房村政府参考人 改正法のもとにおきます取締役、執行役の責任について簡単に御説明いたしますと、委員会等設置会社の取締役または執行役は、その任務を怠った場合、会社に生じた損害を賠償する義務を負うという一般的な義務がまずございます。
 それから次に、違法配当の場合ですが、違法配当については、取締役は違法配当の決議をするについて任務懈怠があった場合に責任を負うということになります。それから、執行役については、利益配当等の原案を取締役会に提出し、実際に配当行為等を行う場合に責任を負いますが、この執行役の責任については、無過失であることをその執行役が立証した場合には責任を負わないということになります。
 それから、総会屋に対する利益供与につきましては、現在と同じように、関与した取締役それから執行役がいずれも責任を負うということになります。
 会社との利益相反行為につきましては、これは関与した取締役あるいは執行役につきまして、原則として無過失であることを立証した場合にその責任を免れるという意味での、立証責任の転換された過失責任を負うとしております。
木島委員 法律のつくり方は大変難しいわけでありますが、俗っぽく簡単に言いますと、違法配当と利益相反取引については現行商法の無過失責任から過失責任へと軽減したと。細かい法律論争は私も知っていますが、はしょりますが、大ざっぱに言いますと、国民にわかりやすく言うとそういうことだと伺ってよろしいですか。
房村政府参考人 一言で言えばそういうことになろうかと思います。
木島委員 では、違法配当と利益相反取引について、せっかく現行法で取締役に対しては無過失責任という厳しい縛りをかけているのに、何で過失責任というふうに法律的には決定的に大きく責任を軽減してしまったのでしょうか。その理由を簡潔に答弁いただきたい。
房村政府参考人 無過失責任というのは、尽くすべき注意を尽くす、あらゆる努力を払ってもなおかつ責任が免れられない、自分としては最善を尽くして、ほかにしようがなかったという場合であってもなお責任を負うということですから、ある意味では非常に厳しい、過酷とも言っていい責任でございます。
 ところで、現在の配当の手続について申し上げますと、取締役が作成をして取締役会で承認をする、それについて会計監査それから監査役の監査、これがなされて株主総会に提出される、こういう手順になっております。
 今度の委員会等設置会社になりますと、まず執行役が原案をつくりまして、それを会計監査人が監査をし、監査委員会で監査をし、その後取締役会にかけられて、そこで承認された場合には株主総会に提出あるいは報告がされる、そういう形になるわけでございます。
 改正後の委員会等設置会社での取締役の任務を見ますと、作成に関与することはありませんで、会計監査人の意見を参考にして監査委員会で内容を監査する、あるいは、さらにそれに基づいて取締役会で内容を監査する、そういう職務になっております。これは、現行法のもとで、取締役会で承認後、会計監査人の監査を受けてそれから監査役が監査をする、いわば監査役と同じような任務を取締役が果たすことになります。
 現行法では、会計監査人あるいは監査役につきましては任務懈怠の場合に責任を負うという過失責任としておりますので、改正後の委員会等設置会社における取締役の配当議案に関する関与の仕方は現行法の監査役とほぼ等しいものということでございますので、責任についても同様の過失責任とすることが相当ではないかということで、過失責任に転換をしたわけでございます。
 次に、執行役でございますが、原案の作成に関与いたしました執行役は相当責任は重いわけでございますが、しかし一方、委員会等設置会社におきましては、監査委員会等で監査の充実を図る、特に社内の監査のサポート体制、いわば監査室とかそういった社内体制を充実いたしまして、そのような違法な議案が作成されないような全社的な監督体制の強化を図っておりますので、この原案の作成に関与いたしました執行役が最善の努力を払って、みずからの原案作成に当たって過失がないということを立証できた場合にまでなおかつ損害賠償の責任を負わせなくてもいいのではないかということから、立証責任を転換した過失責任といたしたものでございます。
 それでよろしいですか。
木島委員 基本的にはこの新法は取締役については役割が変化したんだ、現行法の監査役がしょっているような機能に基本的には取締役の権限、機能が変化したんだから、現行法の監査役が負っている無過失責任じゃなくて過失責任でいいんだというのが一つの柱。執行役の責任を軽減したのは、今度の法改正によって監査委員会による監査が厳しくなるから軽減してやってもいいじゃないか、こういう理屈のようであります。
 しかし、私は逆じゃないかと思うんですね。それは、実際監査委員会のチェックというものがいかに骨抜きになるかということを一つ先ほど私は指摘をいたしました。それから、取締役会の役割が現行法の監査役がしょっているような役割に変化するとはいっても、取締役会というのは取締役で構成するわけです。その取締役の総体としての権限は、利益処分権限も持った、報酬を決定する権限も持った、会社の基本的な方向を決める最も根幹にかかわるものを決議する権限も持った、強大化したわけですね。
 ですから、私は、取締役会の権限、権能は、総体としては現行法に比べて極めて強大になった、その分だけ株主総会の権限、権能が縮小されてしまったわけでありますが、そうであるならば、その取締役会を構成する一人一人の取締役の責任は一層強化されて当然だと思うんですよ。利益処分権限まで握った、自分の報酬決定権まで握った、これまで株主総会の権限だったものを取締役会の権限に引きずりおろしてきたわけですから、それであるならば、現行商法の取締役会の責任、現行法だって無過失責任である違法配当と利益相反取引について、無過失責任より重い責任はないのでしょうが、私は、もっと重くしても当たり前だと。権限が強化されればされるほど責任が多くなるというのは当たり前じゃないでしょうか。
 ところが本法は逆なんですよ。取締役会としての権限は強化されたけれども、今理屈を述べて、無過失責任から過失責任へと責任を軽減しておる。方向が逆じゃないでしょうか。
 これも基本問題だから、法務大臣、わかるでしょう、理屈。そう思いませんか、法務大臣。根本問題ですよ。権限が大きくなれば責任も大きくなる、当たり前じゃないですか。それが逆じゃないですか、どうですか。
森山国務大臣 先生のお気持ちはわからないことはないんですが、るる民事局長が御説明申し上げましたようなことがございましてこのような法案を出させていただいているわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
木島委員 全然理解できません。
 次の問題に入ります。
 株主総会招集手続の要件緩和の問題であります。
 本法では株主総会の定足数の要件を、これは定款変更の場合でありますが、現行制度から大きく緩和いたしまして、定款で緩和できるんだ、しかも三分の一まで下げていいんだという法改正であります。余りにもこれは安易じゃないでしょうか。
 それからもう一つ、社債権者集会の決議要件、定足数も緩和しております。現行法では定款変更の決議を準用しております。ですから過半数の出席ですよ。
 社債権者集会の決議、これは、支払い猶予とか不履行責任の免除とか和解とか、社債権者にとって決定的な問題ですね。自分の社債が支払い猶予をされる、不履行責任を免除する、和解をする、社債権者にとってはもうそれ以外にないと言われるほど決定的なことについての社債権者集会の決議の定足数の要件を、現行法では株式会社の定款変更と同じですから、過半数の出席で三分の二以上の賛成、その定足数の要件も三分の一にしてしまう。三分の一の社債権者が集まってきてその三分の二が賛成すれば、みずからの支払い猶予を認めてしまう。会社の失政、会社の経営責任、会社の経営が失敗して社債権者に社債が払えない、そういう場合の執行部の責任免除も認めてしまう。余りにもルーズ、安易じゃないですか。
 何でこんな安易な株主総会招集手続や社債権者集会の定足数の要件を緩和してしまうんでしょうか、理解できません。簡潔にその理由を述べてください。
房村政府参考人 まず株主総会の定足数でございますが、基本的に、株主の増加、あるいはキャピタルゲインを目的として議決権を行使しない個人投資家がふえているというようなこと、持ち合い解消によって安定株主が減少している、そういうようなもろもろの事情から、現在、株主数の多い会社においては定足数を充足することが困難になりつつあるという状況にあります。
 ところで、その定足数を満たすことができないということはどういうことかといいますと、株主の方が自分たちの考えを会社経営に反映しようということで集まっても、そこで株主総会が成立をいたしませんと、結局、自分たちの意思を反映する道がないということになるわけでございます。
 そういうことを考えますと、最も会社の基本的な意思決定機関である株主総会が機能不全に陥ってしまうということは、究極のところ、株主の意思が会社経営に反映しないということにつながるわけでありますので、私たちとしては、やはり株主の意思を的確に反映するよう、総会を開催してそこで初めて株主の意思が決定できるわけでありますので、そういう総会が開催できないような状況を避ける必要があるだろうということで、会社の状況に応じて定款で定足数を緩和するということを認めることにしたわけでございます。
 しかし、取り扱われる内容が重要な特別決議でございますので、無限定に、どんな少数の株主でも集まればそれでいいというわけにはいかないということから、三分の一まで緩和を認めるということにいたしたものでございます。
 社債権者につきましても基本的には同様の考え方でございまして、社債権者の意思を的確に形成して反映するというためには総会の成立を容易にする必要があるということから、議決権の三分の一まで引き下げるということとしたものでございます。
木島委員 安定株主が減ってきている、議決権行使のできない株主がふえてきている、だから会社執行部にとっては株主をたくさん集めて定足数を満たして株主総会を成功させるのは困難になっている、だから緩和したんだという話ですか。
 安定株主は減ってきているでしょう。だからこそ、株式会社の最高意思決定機関である株主総会の特別決議、あるいは社債権者にとって命である自分の社債がきちっと支払ってもらえるかどうかの社債権者集会で、会社執行部はもう全力を尽くして株主を集め、そこで株主の知恵を、株主総会を充実することを通じて出し合い、取締役が暴走していれば、ちょっと間違ったことをやっていれば、株主総会で徹底して議論してもらう、そして襟を正す、そういう場が求められているんじゃないでしょうか。
 安定株主があったから今までは、株主総会、しゃんしゃんで、全く形骸化してしまったわけです。前回、私指摘しました。それが崩れてきているんならなおさら、こんな形で定足数を下げて安易に株主総会を成立させてしまうんじゃなくて、まさにこんなときだからこそ、株主総会の機能をよみがえらせるために定足数をきちっと守るということが求められていたんじゃないか。
 今回の商法改正は、この面でも、余りにも会社経営の経営陣の便宜だけを図ろうとしているということを感じてなりません。
 次に、所在不明株主の株式売却制度についてお伺いをいたします。
 制度の内容をお聞きする予定でしたが、もうこれは私わかっていますから聞きません。
 五年間所在がわからぬ株主、通知をしても通知が届かない、配当ももらいに来ない、そういう五年間所在のわからぬ株主に対しては、会社が一方的にその株式を競売に付することができる、売却ができる、そういう仕組みであります。
 そして、そのとき、売却をした金は従前の株主に支払わなきゃならぬと法律に書いてあるんですが、従前の株主というのはだれですか。
房村政府参考人 その売却される前の株主、いわゆる所在不明株主でございます。
木島委員 五年間所在不明で配当も請求してこない、そういう株主の株券なんかはもう切ってしまえ、売却してしまえというわけでしょう。売却代金は会社が持つわけです。それを従前の株主に、その行方不明の株主に払わなきゃいかぬ。払えっこないじゃないですか。そうなるとどうなるんですか。
房村政府参考人 催告をして、要するに請求があるのを待つか、あるいは、法務局に弁済供託をするということになります。
木島委員 五年間も行方不明で通知が行かぬような株主ですから、売却しちゃって、売り上げた金を渡そうと思っても受け取らぬでしょう。供託して一定の時期が終わったら、その金は会社のものになるんですか。
房村政府参考人 この行方不明株主の請求権、これは民法の一般原則に従って十年の消滅事項に係ると理解しております。
木島委員 そうすると、十年たったらその金は会社のものになるんですね。
 私は余りにも安易だと。株主権というのは会社の区分所有権みたいなものですよ、法律上は。所有権、絶対ですよ。ですから、五年間その株主の行方が知れずに、通知が行かなかった、配当を取りに来なかった、今、現在社会では引っ越しなんというのは幾らでもあるわけですから、たまたま引っ越して通知をしなかった、そしてそういうことをきちっと会社に知らせなかったからといって、たった五年間でそういう株主権を抹殺するというのはいかがなものか、荒っぽ過ぎやしませんかと思うんです。
 時間がないから、法務大臣、そう思いませんか。所有権ですよ、株主権というのは。五年間行方が知れなかったら配当しないだけの話であって、株主権認めてやったらいいじゃないですか。強制的に売り払うことはないじゃないですか。六年目に出てきたら配当ちゃんとしてやればいいんで、ちょっと荒っぽ過ぎやしませんか、株主の立場から見て。
 法務大臣、どういう印象でしょうか。法務大臣の意見を求めます。
森山国務大臣 株主が行方不明であるということを原因とする所在不明株主の管理のコストということも無視できないものでございまして、そのようなことを考えますと、何ら責任がない他の株主の負担になるという結果になるわけでございまして、このような不当な事態を解決しなければいけないというのがこの案の具体的な動機でございます。
 所在不明株主につきましては、今民事局長が御説明したような方法で処理をしていくということでございまして、その結果、責任のない他の株主に対する負担を減らしていくことができるというふうに思われます。
木島委員 管理コストがかかるから、ほかの株主に負担がかかるといったって、管理コストなんかそんなにかかるものじゃないじゃないですか。通知が行かなかったというだけの話じゃないですか。私は余りにもこれは便宜的過ぎると思うんですよ。
 もう一つ、次に株券失効制度についてお伺いをいたします。
 これは、時間もありませんから制度の概要を簡単に私の方から言いますと、株券をなくしてしまった、紛失した、盗まれた、あるいはいろいろなトラブルがあって自分の手元から失われてしまった、そういう場合に、会社に申し出て、自分が権利者として認知してもらおうという仕組みでしょう。
 現在、民事訴訟法上の制度があるんですよ。公示催告、除権判決の制度。株券を失った場合、有価証券を失った場合には裁判所にきちっと届け出る。そうすれば、広く天下に、この株券を持っている者はいないか、いるんなら名乗り出てこいというんで、きちっと裁判所が公告をして、裁判手続をきっちりやって、あらわれなければその株券を失効させて、なくしたと称する株主にきちっと株券をまた渡せるようにするという仕組みでしょう。現行法で公示催告、除権判決の制度がきちんとあるじゃないですか。何でこんな制度をつくってやるんでしょうか。現行、除権判決、公示催告手続と今回新設される株券失効制度との根本的な違いは何ですか。
房村政府参考人 委員御指摘のように、現行法では、株券あるいは有価証券の失効制度としては、公示催告、喪失したということを裁判所に申し立てをいたしまして、裁判所で掲示板あるいは官報に公告をいたします。そして、六カ月間経過して申し出がない場合には除権判決ということでその証券を無効にする、こういう制度ができております。そしてその除権判決についてもまた官報で公告するということでございます。
 この制度ですと、会社との連携は何もありませんので、公示催告の手続が進んでいる間に、株券を取得した者が会社に名義書きかえを請求しても、会社としてはその株券について公示催告がされているかどうかということはまず知り得ないことですので、名義書きかえがされてしまう。そういうような連携がないということが指摘されているわけでございます。
 実際に、官報に公告をするといっても、官報の公告欄を注意して見ている人というのはこれは本当に限られておりますので、実際に、その株券を所持している人が、その官報の公告あるいは裁判所の掲示板でこういう公示催告の申し立てがされているということを知り得る機会というのは、事実上非常に少ないということだろうと思っています。
 今回、そういうことから、株券につきましては、通常、株券を取得して、その株券に基づく権利行使、議決権の行使なり配当の受領なりをしようと思えば、会社に株券を提出して名義書きかえをする、そういうことが行われるということに着目をいたしまして、株券を喪失した者が会社に株券喪失登録の申請をする、そして会社で登録簿にそれを記入する、そして会社としては株主名簿に記載された者にそういう喪失登録がされたということを通知する。さらに、株券が提出された場合には、その提出をした者に、この株券については喪失登録がされているということを通知する、そうしますと、株券を所持している者はその株券について喪失登録がされたということを知ることができますので、その場合に、その所持をしている者が、いや、これは自分が持っているからということで異議の申し立てをすると喪失登録は抹消する。その場合には、喪失登録をした者と現に所持している者との間で、その株券をめぐっての権利については、裁判所なりなんなりで争って確定をしていただく。
 喪失登録をして失効するまで一年間の期間がありますので、通常は年に一回定時総会が開かれますから、株券を取得した者は、その一年内には通常名義書きかえをする。したがって、この制度をとれば、会社に株券の喪失についての情報が集中しますので、株券を取得した者も自分の知らない間に株券が失効させられてしまうということは防げる、そういう考え方で今回の制度をつくったわけでございます。
木島委員 非常に長い答弁をいただきましたが、基本的には、会社との連携が現行公示催告、除権判決制度にはないということを言っているようでありますが、そんなの関係ないんですよ。
 除権判決の制度が何であるかというと、株券を失った者とその株券を現に、どこかで拾ったか、取得して持っている者との権利関係の問題なんですよ。そうでしょう。株券をなくしてしまった、しかしおれは本当の株主だという主張をする者と、たまたま株券を取得して現に持っている人、おれが本当の株主なんだという、その権利関係の調整なんですよ。だから、会社なんて関係ないんですよ。だからこそ、裁判所に申し立てして、天下に広く公告をさせて、名乗り出てこい、名乗り出てこないんならおまえの持っている株券は失効させるぞ、それが除権判決でしょうが。
 ところが、今度の仕組みというのは、会社の内部だけでやってしまう。しかも、現実に株券を持っている者に対して何の通知も行かないんですよ。通知はともかく、公告もされないんですよ。全く知らないところで株券を現に持っている人の権利が失われてしまうという仕組みなんですね。まことにこれも乱暴きわまりないと思うんです。現行制度があるんですから、それで十分だと思うので、これも私は、余りにも安易に会社の執行部の便宜だけを守り抜こうとした、あるいはその便宜を一層図ろうとした姿勢のあらわれかなと思わざるを得ません。
 時間ですから終わりますが、質問できませんでしたが、会社計算関係規定が現在は商法にきちっと載っております。それを今回の法改正で法律事項から省令事項に下げてしまう。まことにこれは安易、ずさんだと思うんです。これについても、商法で会社の計算というのは根本的な問題ですから、国民にも影響することでありますから、これは法律事項にしっかりする。証券取引法との整合性が必要であればその部分の商法改正をしっかりすればいいんですから、商法改正、国会の審議を経ずにすべて法務省だけでやってしまう、そんな省令事項に格下げ、二段階格下げ、こんなものは本当に許せないということを私は強調いたしまして、質問を終わります。
園田委員長 植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 先日に引き続きまして、最後になりましたが、何点かお伺いをしたいと思います。
 この間のコーポレートガバナンスの観点からの商法改正の焦点というのは常に監査役制度の改正であっただろうと思いますし、そして、その間の改正を通じて監査役制度が制度設計としてはほぼ完成の域に達しているんじゃないかと私は思っているわけです。
 そういう観点からいたしますと、今回の、米国型のガバナンスの方向性を示したと言われるわけですけれども、特にこの監査委員会の問題については、例えば監査役協会さんの方でも、かつて、もう昨年の段階でも、第三の選択肢を用意することが望ましいというような意見も述べておられるようですけれども、少なくとも、グローバルスタンダードに一定の理解を示すということは私は大切だろうと思いますけれども、当然ながら、我が国におけるありようとのバランス感覚の中で、この間の監査役制度の制度設計の到達点を踏まえたところでの選択肢もあったんではないだろうかと思うわけですが、その点についていかがでございますでしょうか。
    〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
房村政府参考人 御質問の趣旨は、監査役を残したまま例えば委員会等設置会社のような委員会も認める、こういう御趣旨でございましょうか。
 私どもとしては、現行の監査役の制度というものは、それはそれなりに会社の適正な運営のために大きな役割を果たしてきているというぐあいに考えておりますし、昨年の臨時国会でもその点の充実が図られたわけでございます。
 今回、特に私どもが考えましたのは、御指摘のような会社の経営判断を迅速に行うということで、執行役に大幅な権限委譲をし、それに見合った取締役会の監督機能を確保する。
 従来から、監査役の監査機能というのは適法性監査が中心であり、取締役会の監督機能というのは、適法性のみならず妥当性、経営として妥当かどうかというところまで判断が及ぶと言われております。業務執行権限を大幅に執行役に委譲するということになりますと、その妥当性も含めた取締役会の監督権限が強化される必要がある。そういう意味で、やはりその監査役と切り離された形で取締役会が監督権限を行使するということでは全体としての監督権限の行使として不十分ではないかということから、監査機能も取り込んだ形として、全体として取締役会の機能を充実しようと。
 そういうぐあいに考えますと、監査機能を担う監査委員会というものをやはり取締役会の内部機関として設置するということが全体として取締役会の監督機能を強化する方向としては望ましいのではないか、こういうことから今回考えたわけでございます。
 そういうことで、二つの制度の選択という形にしたわけでございますので、今後も会社の制度のあり方についてはいろいろな観点から検討を加えたいと思っておりますが、現状においてはこの二つの選択肢を会社に選んでいただくということがベストではないかと思っております。
植田委員 やはり、今回の改正が会社のコンプライアンス体制を危うくさせるものであってはならないわけです。だから、私がお伺いしたいのは、制度設計としてはかなり完成に近づいている現在の監査役制度の非常によく機能している部分が、今回の監査委員会の場合危うくならないかということなんです。
 例えばそれは、現行の監査役制度でいくと、常勤の監査役であり、監査組織、また独任制である、そしてまた地位の安定を背景とした発言力等々というものがあるわけでございますが、その点が失われてしまう危険可能性というものはやはり心配なところなんですが、その点、どうでしょうか。
    〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕
房村政府参考人 まず、監査委員会も基本的には監査役と同様の権限が与えられておりますので、監査のための調査権その他は全く同様でございます。
 それから、監査役については常勤の者が要求されている。これにつきましては、監査委員会は社外取締役が過半数ということを要求しておりますが、常勤の者がいるかどうかという点は、法律上特に規定はございません。
 これは、例えば、監査委員会の独立性を高める観点から、全員社外の取締役で監査委員会を構成するということも十分考えられるわけでありますが、そうなりますと常勤ということはなかなか難しくなりますので、そういう法律上の強制はしないということにしたわけでございます。
 ただ、その場合に監査の実効性が劣っては困りますので、その監査委員会の監査活動をサポートするための体制を社内に構築していただくということで、省令でそういう定めをするようにということをしておりますし、この点については監査委員会の報告も必ず出されることになりますので、全体としては、監査委員会の監査機能というのは、常勤の監査役を置いている現行の監査役の監査と匹敵するものが十分この法律で担保されていると考えております。
 また、身分の点につきましては、取締役ではありますが、この委員会等設置会社自身、取締役の選任を社外取締役が過半数いる指名委員会の権限に属さしめておりますので、そういうことで全体として取締役会の独立性を高める中で監査委員会の監査委員の独立性も担保されているというぐあいに考えているところでございます。
植田委員 今回の法案については、私どももきのう部会で議論もいたしまして、積極的ではありませんが、消極的に賛成だということになったわけです。
 ただ、私自身もややひっかかりがありますのが、次にお伺いします社外取締役にかかわってですけれども、経営者の監視機能ということで社外取締役に期待されるというのは、やはり経営者から独立した立場にあるということだろうと思います。
 その意味で、社外取締役の客観性を評価できるいわば基準、物差しというものは、やはり独立性があるかどうかということだろうと思いますが、その点についてと、その場合、私は、今回言われている要件以上に、社外取締役に何か特別の資格を要求するということもこれから検討していく必要があるんじゃないかというふうに思っているわけです。
 これは、経営戦略、違法行為防止、会社経営の監督機能等々、社外取締役が脚光を浴びておりますが、私は特に違法行為防止という観点で現状の要件では弱いんじゃないかと思っているわけですが、その点いかがでしょうか。
房村政府参考人 社外取締役の定義といたしましては、その会社の業務を執行していない取締役だということと、その会社もしくはその子会社の業務を執行する取締役であるとか使用人であるとか、そういう経歴がなく、かつ現にそういう地位についていない、そういうことを要求しているわけでございます。これで、社外取締役として、執行役の行う業務執行とは切り離された地位に立つ人であるということは担保されているだろうと思っております。
 このような範囲で指名委員会においてその候補者を選任いたしまして、株主総会においてその者が適任であるという理由は当然説明されるわけでありましょうから、そのような過程を経て、社外取締役に期待されております会社の業務の監督ということを行える適任の人材が選任されるのではないかというぐあいに考えているところでございます。
植田委員 実際、例えば会社経営者間の人的な関係の中で社外取締役に就任する人だっているでしょう。そうなると、やはりそこで十分な監視機能は期待できへんでしょう。それが果たして社外取締役として好ましいのかどうなのかというのは、素人の私でも即思うわけですよね。
 だから、今おっしゃられたような定義を定めても、ありていに言えば社交界といいますか、友人まで排除はできないわけですから、そういう意味で、今の定義でも完全な独立というものを求めることは困難でしょう。だから、新たな何らかの特別の資格要件というものを、もうちょっと網をかけるのが必要じゃないですかということを申し上げたんですよね。でも必要ないとおっしゃるんでしょうからあえてお伺いはいたしませんが、ただ、今後の実際の運用状況の中で当然これは検討していく必要があろうかということは否定されませんよね。
房村政府参考人 取締役会の監督機能を適切に果たす上では、この社外取締役の役割というのは非常に重いものがあるだろうと思っております。そういう意味で、できるだけ適任の方になっていただきたいと思いますし、社外取締役になった方々については、その自己の責任を自覚して、十分その務めを果たしていただきたいと思っているわけでございます。
 今後、この社外取締役の活用のされ方を私どもも十分見ながら、さらに今後何らかの措置をとる必要があるということであれば、それはまた検討しなければならないというぐあいには考えますが、現段階では、この制度をまずは運用していただきたいということでございます。
植田委員 そこで、もう一つ。
 私自身、その社外取締役というものの効用といいますか、期待はできるだろうと思いますが、ただ、これは参考人質疑のときにもお伺いしたわけですが、恐らく社外取締役の多くの場合が、ほかの会社で本業を有しておって非常勤で就任するだろう、そうなると、複雑な業務執行をそれこそ適切に、効果的に監督できるかどうかやはり疑問になる。また、そうした技術的な側面まで含めた監督を社外取締役には期待できないだろうというようなお話をしたところ、経団連の方は、社外取締役というのは、要するに一年に一回、二年に一回あるかないかの大勝負をかけるときにきちんと判断をすればいいんだというふうなことをおっしゃっていました。
 そうしょっちゅう出張ってくることがない方がいいにこしたことはないですけれども、そう言われてみても、例えば昼あんどんみたいにゆっくり休んでいて何かのときだけ、大勝負のときだけのこのこ出てきて適切な判断ができるということではないだろうと思うんですよね。赤穂浪士の討ち入りかて、京都で大石内蔵助は遊んでおったわけだけれども、江戸の情報を適切に仕入れて適切な判断をしておったわけですよね。日がな遊んでいたわけじゃないはずです。だから討ち入りは成功するわけです。
 例としては必ずしも適切ではなかったかもわかりませんが、要するに、社外取締役が会社のさまざまな個別、特別な情報へのアクセスをやはり保障されていなければならないんじゃないかということです。少なくとも、それこそ大勝負をかけるような判断をするときのその判断に資するための情報というのは常に掌握していなければならない。判断というのは氷山のてっぺんにすぎぬわけですから。
 そういう意味で、仮に、お飾りではなくて、社外取締役を本当に機能させていくということであれば、特別に情報提供を行うであるとか、その補佐の体制等々、またスタッフの整備、そういうことについての配慮をやはりしなければならないし、本来そうしたことの配慮をきちんと法の中で書き込んでおく必要があるんじゃないのかなと私は思うんですが、その点はいかがでしょうか。
房村政府参考人 御指摘のとおり、社外取締役の方が十分その職責を果たそうとすれば、会社の実情についてそれなりの情報を持って適切な判断をする必要がありますし、そのためには、その情報収集等に協力する組織が会社の中に必要だろうと思います。
 そういうことで、先ほども申し上げましたが、特に社外取締役の中でも監査委員会に属する方々についてはその必要性が非常に大きいわけでございますので、そういうことも考慮いたしまして、私どもとしては、監査委員会の委員が求めたときにはその情報を提供しなければならないというような条文をもちろん置いておりますし、先ほども申し上げましたように、社内体制として、そういう監査を充実するために必要な体制をとるべく省令で定めるということにしているわけでございます。
植田委員 わかりました。
 次に、今回いわば三委員会、監査、指名、報酬の三つの委員会があるわけですけれども、欧米なんかでは、コーポレートガバナンス委員会、執行委員会だとか、戦略委員会だ、財務委員会だ、公序委員会であるとか株式委員会、倫理委員会等々あるようでございますし、中間試案でも、訴訟委員会というものを置くかどうかというのも検討事項の中に入っておったようですけれども、この検討過程の中で、いわば普及型とも言える三委員会に限定した理由を一つまずお伺いしたい。
 また、今でも、社外的、社内的問わず、会社の中で自発的に経営諮問委員会とか報酬委員会、指名委員会というのを設けている会社がありますけれども、選択しなきゃ別にそのままでいいんですけれども、選択した場合、これらはやはり当然変容を求められるわけですね。
 その場合、選択するかしないかは会社側の判断だからまあいいやということであればそれでいいわけですが、もう一つ、会社の存在意義を考えた場合、やはり社会との関係においてそれが常に問われるわけでございますから、将来的に会社の中に、例えば環境委員会であるとか倫理委員会であるとか、そうしたものをきちっと置くということで企業の社会的責任を果たしていくということも、アメリカやイギリス、アングロサクソン型の国ではそうしたものもあるわけですから、そうしたものも当然必要があれば今後設置をするということも含めてお考えがあるのかないのか。
 ちょっとその点、まとめて御答弁いただければありがたいと思います。
下村大臣政務官 最初の御質問だけ私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 結論から申し上げまして、この三委員会以外の委員会を任意に置くことを禁止しているわけではございません。ただ、この指名、報酬、監査の三委員会は、委員会等設置会社におきましては必ず置く必要があるというふうに考えているわけでございます。
 理由は、新しい会社制度になりますと、業務執行者に対する監督機能の強化が必要になってくるわけでございまして、取締役会の監督機能を強化するために三委員会を、過半数は社外取締役を置くことによって、それぞれ新しい委員の指名、また委員、役員の個別の報酬、また代表役員からの取締役会の独立性、これを確保するために三委員会をつくるというふうにいたしまして、これによって、取締役会が執行役に対して業務決定権限を大幅に委譲することを許容し、一方で取締役会の監督機能が特段に強化されるということで考えておるものでございます。
房村政府参考人 この法律に規定されています三委員会以外の委員会でございますが、これは、ただいま政務官が御説明しましたように、任意に設置することは認められております。
 ただ、委員会等設置会社では、取締役に業務の決定を委任することが禁じられておりますので、任意に設置した取締役で構成されている委員会の決定を最終的な会社の意思決定ということにするわけにはいかない。したがいまして、その委員会で議論された結果を踏まえて取締役会で最終的には決定をしていただく、そういう形になろうかと思います。
 取締役会にかわってその諸委員会で決定をするということは、法律上はできないということになります。
植田委員 だから、お伺いしたのが、例えば倫理や環境といったことについて、そういうランクアップがこれから必要になってくるんじゃないですか、そこを聞きたかった。
 現状はそうだろうということは、つくったらあかんと法律には書いてへんわけですから、それは、つくるのはそれぞれ任意でやればいいのでしょうけれども、これからそうした問題について企業が社会的責任を果たしていくために必要になる場面が出てくるでしょう、そういう場合、必要があればそういうものを今のランクで設置できるようにするお考えはありますかということ。
房村政府参考人 それは、今後、会社においてそういった点についてどういう運営がなされるのか、またその必要性がどの程度のものであるのかというようなことを、十分実情を見ながら検討をしていきたいと考えております。
植田委員 あと、今回アメリカの制度を参考にというか、移入されたわけですけれども、アメリカの場合でも、主要委員会、監査、指名、報酬それぞれ全員社外取締役ですね。中間試案を見ると、これも、社外取締役の割合が過半数でいいかどうかも検討事項になっていたと思います。
 そのことを踏まえたときに、私は、例えば監査委員会なんかの場合は、全員社外取締役の方がよりその委員会としての効果を発揮するだろうと思うのですけれども、その点は、御見解、いかがですか。
房村政府参考人 御指摘のように、監査委員会の場合全員社外の方が独立性は高いのではないか、そういう観点ももちろんあろうかと思います。
 ただしかし、同時に、監査を充実させるためには、社内の実情に明るい人がいるということも望ましい側面がありますので、そこは会社の判断によってどちらでもふさわしい形態を選択していただきたいということでございます。
 これは、指名委員会にしろ報酬委員会にしろそういうことでございまして、独立した立場での判断ということと会社内の実情を十分踏まえた判断ということ、いずれもが求められているわけでありますので、どのような形でそれを達成するかというのは、その会社の実情に応じた形態を取締役会において判断していただいて、委員会を構成する取締役のメンバーを適切に選んでいただきたい、こう思っております。
植田委員 時間がないので、先、お伺いいたしますが、次に、重要財産等委員会の権限にかかわることもちょっと御確認させていただきたいのです。
 まず、改正案の中身を見れば、いわば現行の常務会を法定した経営委員会ではなくて、権限を重要な財産の処分、譲り受けや多額の借財の決定権限に限るということになっていますので、素朴に考えれば、中間試案の段階より後退したようにも思うわけですが、少なくともこの重要財産等委員会の権限は、柔軟な運用が可能になる、そういうことを認めていく方がいいんじゃないかなというふうに私は思うわけです。
 例えば、今言った二百六十条二項一号、二号だけでなくて、他の取締役会の専権事項も、会社のそれぞれの、それこそ自主的な判断で委員会の権限とすることを認めることがまずいのかどうなのかということなんですよ。
 また、取締役会の専権事項以外の事項についても、会社の自主的な判断でこの重要財産等委員会の権限にしても別にそんなに悪いことじゃないと思うのですけれども、あかんのですか。
房村政府参考人 基本的には、緊急を要する事項について機動的に会社の意思決定をすることを可能にしようということからこの重要財産委員会も考えられたわけでございます。
 そういう意味で、一般的な取締役会の権限規定であります二百六十条の中では、「重要ナル業務執行」全部を任せるということは、取締役会の権限のほとんどすべてを委譲してしまうという形骸化につながりますし、そういうことから、柱書きの部分を外して、具体的に各号に掲げられている、例示されている業務、これを検討したわけでございます。
 そうしますと、三号の支配人の選任とか四号の支店の設置というようなものは、これは取締役会を招集していたら間に合わないというほどの緊急性はないだろう、こういうことから、これも外そう。やはり実務界からの要望も強く、実際にも必要性が高いだろうと思われます重要財産の処分と多額の借財、これについてまず重要財産委員会に委任できることを認めよう。また、こういう会社内部の決定について、重要財産委員会の権限の範囲というのもできるだけ明確なことが望まれるということから、今回はこの二つに限って認めるということとしたものでございます。
植田委員 さて、先ほども議論にあったようですが、執行役が取締役を兼任することができるわけですが、あくまでも新しい制度を採用するかしないかというのは選択制なわけですから、仮にですよ、執行役と取締役が兼任できないというのは使い勝手が悪いと思うんであれば会社の方が採用せえへんならいいだけの話なんですよ。要するに、制度にあっては兼任することはできませんよということも十分これは可能だったんだけれども、なぜそうしなかったんです。
 それと、もう一つ続けてお伺いしますが、執行役と取締役が兼ねられるんであれば、監査の対象である執行役たる取締役が監査委員会の構成員になることも可能だと。へ理屈みたいですが可能ですよね、そうなっちゃいますね。そこはどうなんでしょうか。その二点。
房村政府参考人 まず、執行役と取締役の兼任を禁止しなかったという点でございます。
 これは、執行と監督、これを分離するんだということを突き詰めますと、この兼任を禁止するということも考えられるわけでございます。
 これは、現にドイツの仕組みは、株主総会で選任された監査役会、これが監督を行いまして、監査役会で選任された取締役が執行を行う、しかも兼任は禁止されている。ですから、そういう制度もあり得ないわけではありません。しかし、一方、監督と執行といっても、会社の業務運営を適切に行うための分業でございますので、やはり、現に行われている業務執行について明るい人間が監督機関である取締役会の構成員としていた方が、監督についても内情を把握して十分できるという考え方もあるわけでございます。アメリカとかイギリスは、そういう考え方に立ちまして、取締役と業務執行役との兼任を認めているということでございます。
 我が国で今回導入するに当たりましても、そういう制度を参考にして、会社の判断にゆだねる、あくまで分離を貫きたければ兼任しないという形で会社がやってもいいわけですし、そのような情報を得ることを重視して兼任を認めるということでも構わない、それは会社の選択に任せるということにしたわけでございます。
 ちなみに、完全な分離をしておりますドイツでは、やはり業務執行に当たっている取締役会から業務執行に関する情報が必ずしも十分監査役会に上がらずに、監査にやや困難な面もあるというような指摘がされているということもございます。
 監査委員が執行役を兼ねられるかということでございますが、これは兼ねられません。やはり、業務執行に関与する者は監査には携わらないということでございます。
植田委員 いや、本当に難しい法律なので、文学部出身の人間がこんな商法の質疑を、参考人を入れて三回もやるというのは、ここ十日ほど頭がくらくらしておりまして、御教示、ありがとうございました。人手不足ですから、私がいつもやらぬとあかんので。
 それで、あとは法務大臣に気軽に御答弁いただければいいですが、そんな気軽なことを聞くわけじゃないんです。
 コーポレートガバナンスとステークホルダーとの関係にかかわりまして、少なくとも利害関係者とは何かというときに、消費者、株主、取引先、そして地域社会、社会全体ありますけれども、当然従業員もその中に入るというのは、まず共通認識として持てますよねというところを導入にします。どうでしょうか。
森山国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
植田委員 といえば、従業員を初めとする利害関係者とも対等な話し合いというものをやっていかなければ、企業経営、公正な経営というのはやはり困難になるということでよろしゅうございますか。
森山国務大臣 従業員がいなければ会社はやっていけないわけでございますし、非常に重要な部分を担っているわけでありますから、会社にとってその重要な部分である従業員とその代表が会社に関する発言権を持つということは、何らかの形で持つということは、十分必要なことであろうと思います。
植田委員 答弁のおしりの方の何らかのというあたりを最後お伺いしたいわけですけれども、OECDの閣僚理事会でも九九年にコーポレートガバナンス原則を採択しているわけですけれども、ここでもステークホルダーの役割というものをきちっと盛り込んでいるわけですよね。
 その意味で、従業員と当然株主、経営者にとってはどっちも重要なステークホルダーなわけでございますし、特にドイツであるとかヨーロッパ諸国では従業員代表制度でありますとか監査役制度等に法律で従業員の参加を認めているわけです。日本のこの会社法制でも、いわば効率性のみならず公平性もきちっと確保した企業統治のあり方というものを追求するのであれば、こうした議論も至極自然な発想だと思うわけですけれども、いかがですか。
森山国務大臣 会社には従業員以外にも債権者や取引先、その他多くの利害関係者がおりますので、そのうち従業員だけを特別に扱うというのはどうかという議論もございますし、取締役の指揮命令下で勤務する従業員の代表者が監査役会のメンバーになって監査を行う場合に、その監査の中立性がどのように確保されるかというようなことも問題かと思います。
 ですから、従業員の会社経営への関与を認める制度、どのような制度が望ましいかということについては、今申し上げたような幾つかの問題も含めまして慎重に検討していくべきだと思います。
植田委員 特に七〇年代にヨーロッパ諸国で経営参加の法的制度化というものが進展して、恐らくそれと並行しながら日本でもそういう議論があったかと思います。七〇年代のヨーロッパ諸国というのはいわば社民政権が多かったわけで、一つは、いわゆる自主管理社会主義といいますか、そうしたものの影響もあったんだろうと思います。残念ながら日本では余り根づきませんで、そういう社会民主主義は非常にじり貧傾向にあるのが残念なわけですけれども、ただ、七〇年代後半の経済的な危機を背景にして、労使協議の実質的な強化の中で、そうした実質的な経営参加というものが展開されていることは事実だろうと思います。
 ここは、私自身すべて労働組合の側に立つわけではありませんし、推薦をもらっているわけでもありませんから、そんなに肩を持つこともないんですが、ただ、先日の連合の方が参考人としてお述べになっておられたことというのは、やはり傾聴に値すると思うわけです。それは、先ほども紹介しましたOECDのコーポレートガバナンス原則でも、利害関係者の位置づけというのは法的に明確にすべきであるということは、これはかなりの分量を割いて述べているわけです。
 そういう意味で、一つは、利害関係者としてもいろいろいらっしゃるだろうけれども、その一つの要素として、我が国の企業統治、コーポレートガバナンスというのが、株主とともに重要なステークホルダーであるところの従業員というものが法的、制度的にどのように位置づけられるか、そのことができてやはり完成するんじゃないかというふうに思っているわけです。
 その意味で、商法上で規定を設けなんということを言うわけじゃございませんけれども、これから労働者の経営参加、意見反映ができるような制度的な枠組みというものについて、少なくとも検討していくべきだと思いますが、検討していただけますよね。どうぞ。
森山国務大臣 今七〇年代のお話をされましたので、私も図らずも思い出しましたが、そのころ私は労働省という役所におりまして労政局の課長をしておりました。その当時非常にそういう議論が盛んだったということは記憶しております。
 ただ、日本の場合は、ヨーロッパ諸国と違いまして、労働組合が企業別組合が中心であるとか、あるいは、経営者になっている方々ももともとは従業員の方から上がってきたというような人たちで、大きく言えば従業員の代表みたいな感じでもあるわけでございました。そんなことがちょっとヨーロッパと事情が違ったんでしょうか、必ずしも労使協議制という身構えたものができたというわけではございませんでしたが、しかし、労使の話し合い、意見の交換ということは重要であるということで、私が担当者でございましたけれども、産業労働懇話会というものをつくりまして、毎月一度であったかと思いますが、そのような場をトップレベルで定期的にずっとやってきたということがございました。今もまだやっているかどうか、ちょっとはっきりはわかりませんが、そんなことで、労使の意見を交換する、お互いに協議する、お互いに責任を持った話し合いをするということは非常に重要なことだと思っております。
植田委員 特に個々の労働者、従業員の経営参加ということの場合、先進的事例はヨーロッパであるわけですが、ヨーロッパの場合むしろ産業別組合でありますから、かつて日本の労働運動が停滞したその理由が、日本の労働組合は企業別で組織されているということがよく指摘されているわけですけれども、今回のこの経営参加という観点ですれば、その企業別組合であるということがむしろ労使の円滑な関係というもののやはり一つの背景にもあっただろうと思うんです。だから、日本の場合の方が、そうした労働者の方、従業員の方が具体的に経営に参加していく制度的枠組みをつくる条件はむしろヨーロッパよりあるんじゃないのかなというふうに思うわけです。
 七〇年代もそういう話があったんですから、二〇〇〇年代、二十一世紀もどうせやっていかなきゃならないんですけれども、そこは、過去の昔語りは今お伺いいたしました、非常に勉強になりましたが、今のお立場としても、当然その思いで、重要なステークホルダーたる労働者の経営へのさまざまな形での参画にかかわって、引き続き法務大臣のお立場としてもやっていくべきだなというふうにお思いでしょうか、御決意だけお伺いします。
森山国務大臣 時代が変わりましても、労働者と経営者の話し合い、お互いにそれぞれの職場がより発展するように、それぞれの立場で努力をする、意見も交換していくということは重要なことだと思います。
植田委員 ありがとうございました。
 鋭意、そこの部分については私もこだわっているところでございますので、引き続き、また機会があれば取り上げたいと思いますが、正直申し上げて、商法というのはほんま難しかったですね。
 以上で終わります。
園田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
園田委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。中林よし子君。
中林委員 私は、日本共産党を代表して、商法等の一部を改正する法律案ほか一案に反対の討論を行います。
 今日、我が国の会社法制に求められているのは、取締役による暴走や違法、不当な企業運営に対する監督機能を強化することにあります。
 しかし、本改正案は、以下のとおり、株主総会や監査役による取締役監視機能を、国際化、効率化を理由に、ますます形骸化、弱体化させ、社会の要請に逆行するものであって、到底賛成することはできません。
 反対の第一の理由は、アメリカ型の委員会等設置会社を選択できるとして、取締役による監査委員会を設置した場合に、監査役をなくすこととしていますが、これは会社執行部に対する監視機能を低下させるものであります。
 反対の第二の理由は、利益の処分または損失の処理の議決及び取締役の報酬決定を株主総会決議事項から取締役会決議事項とすることは、取締役の業務執行に対する株主総会によるチェック機能を大きく後退させるものです。また、株主総会並びに社債権者集会の特別決議の要件を緩和することは、総会の軽視、形骸化に拍車をかけるものです。さらに、取締役及び執行役の第三者に対する損害賠償責任を悪意または重大な過失があったときのみに軽減することは、取締役、執行役に対するチェック機能を減少させるものです。
 反対の第三の理由は、会社の資産、計算書類等に関する記載事項について、現在法定しているのを法務省令で定めるとした点であります。これは、国会審議を回避して、国会、国民の会社組織、運営に対するチェック機能を大きく後退させるものであります。
 反対の第四の理由は、株式について、株券失効制度の創設であります。
 現在は、裁判所に公示催告、除権判決手続を申し立てて行うこととなっていますが、株券の管理が大変との理由でこれを会社組織内でできるようにするものでありますが、大企業の便宜だけを図るものであって、当該株主の利益を損なう危険があり、喪失株券の善意の取得者との関係で問題もあり、司法判断にゆだねる現行制度を改める必要性はありません。また、五カ年間所在不明の株主の株式を一方的に売却できる制度の創設も、余りにも乱暴と言わねばなりません。
 今、会社法制の改革に求められているのは、今回も見送られた使途不明金の詳細を含めた大会社の計算書類の公開を抜本的に進めることであり、株主総会の形骸化を食いとめ、株主代表訴訟がしやすいように改めるなど、大企業に対する真の民主的規制を実現することであります。今回の商法等改正案は、このような国民の期待に逆行するものであり、我が党が賛成できないのは当然であります。
 以上で、反対討論を終わります。(拍手)
園田委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
園田委員長 これより採決に入ります。
 まず、内閣提出、商法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
園田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
園田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
園田委員長 この際、ただいま議決いたしました商法等の一部を改正する法律案に対し、塩崎恭久君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び自由党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。加藤公一君。
加藤委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    商法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 委員会等設置会社制度が企業形態に多様な選択肢を保障するという見地から導入されたことにかんがみ、制度の選択については企業の自主性が損なわれることのないよう、配慮すること。
 二 計算関係規定を省令で規定する際は、証券取引法に基づく会計規定等の適用がない中小企業に対して過重な負担を課すことのないよう、必要な措置をとること。
 三 取締役会の利益処分に関する権限及び取締役の責任の在り方については、施行後の実績をふまえつつ、委員会等設置会社を選択した会社と委員会等設置会社を選択しなかった会社との整合性に留意しつつ、引き続き検討すること。
 四 委員会等設置会社制度の運用にあたっては、社外監視機能が充分発揮されるよう、社外取締役要件等の周知徹底を図ること。
 五 会社法制の現代語化に際しては、会社の実態及び制度に応じた、分かりやすい法文の表現及び構成について、特に留意すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
園田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 塩崎恭久君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
園田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森山法務大臣。
森山国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
園田委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
園田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
園田委員長 次に、内閣提出、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。森山法務大臣。
    ―――――――――――――
 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
森山国務大臣 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約を締結するとともに、国連安保理決議第千三百七十三号を実施し、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際的な要請にこたえるために所要の法整備を行おうとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、公衆または国等を脅迫する目的をもって行われる殺人、凶器使用等による傷害その他の一定の犯罪行為を公衆等脅迫目的の犯罪行為とし、そのために資金を提供または収集した者を十年以下の懲役または千万円以下の罰金に処する旨の処罰規定を新設するものです。
 第二は、資金提供罪及び資金収集罪について、所要の国外犯処罰規定を設けるものです。
 そのほか、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律を改正して、右資金提供罪において提供された資金等を同法における犯罪収益とし、当該資金の没収等やいわゆるマネーロンダリング行為の処罰を可能にするとともに、疑わしい取引の届け出制度の範囲を拡充するなど所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
園田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る二十三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十二分散会


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