衆議院

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第9号 平成14年11月19日(火曜日)

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平成十四年十一月十九日(火曜日)
    午後二時二十六分開議
 出席委員
   委員長代理理事 佐藤 剛男君
   理事 塩崎 恭久君 理事 園田 博之君
   理事 棚橋 泰文君 理事 加藤 公一君
   理事 山花 郁夫君 理事 漆原 良夫君
   理事 石原健太郎君
      岩永 峯一君    太田 誠一君
      左藤  章君    笹川  堯君
      下村 博文君    谷田 武彦君
      中野  清君    林 省之介君
      平沢 勝栄君    保利 耕輔君
      松島みどり君    保岡 興治君
      吉川 貴盛君    吉野 正芳君
      鎌田さゆり君    日野 市朗君
      平岡 秀夫君    水島 広子君
      山内  功君    石井 啓一君
      赤嶺 政賢君    木島日出夫君
      植田 至紀君    徳田 虎雄君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        増田 敏男君
   法務大臣政務官      中野  清君
   最高裁判所事務総局民事局
   長
   兼最高裁判所事務総局行政
   局長           千葉 勝美君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局参事官
   )            西原 政雄君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           青木  豊君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           桑田  始君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房技術
   審議官)         門松  武君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十九日
 辞任         補欠選任
  中川 昭一君     林 省之介君
  平沢 勝栄君     岩永 峯一君
  横内 正明君     谷田 武彦君
  不破 哲三君     赤嶺 政賢君
同日
 辞任         補欠選任
  岩永 峯一君     平沢 勝栄君
  谷田 武彦君     横内 正明君
  林 省之介君     中川 昭一君
  赤嶺 政賢君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 会社更生法案(内閣提出第五七号)
 会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五八号)

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     ――――◇―――――
佐藤(剛)委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。
 内閣提出、会社更生法案及び会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官西原政雄君、法務省民事局長房村精一君、国税庁課税部長村上喜堂君、厚生労働省大臣官房審議官青木豊君、経済産業省大臣官房審議官桑田始君及び国土交通省大臣官房技術審議官門松武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤(剛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
佐藤(剛)委員長代理 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局千葉民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤(剛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
佐藤(剛)委員長代理 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松島みどり君。
松島委員 自由民主党の松島みどりでございます。
 今回の会社更生法の抜本的な改革、これは経済界からも非常に歓迎されているところでございますが、幾つかの点について質問させていただきます。
 一つ目は、民事再生法ができましてから、大企業まで会社更生法を避けて民事再生法を利用するというケースが続出いたしました。しかしながら、大企業による民事再生法の利用というのが時々うまくいかないで、例えば、マイカル、宅配便のフットワーク、そしてホテルの目黒雅叙園、こういったような会社の場合は、一たん民事再生法という手段を選びながら、結局、会社更生法に移行した、そういうケースも出ております。
 今、会社更生法を改正する目的は、民事再生法のよいところを取り入れながら大企業にも活用しやすいものにするという意義づけと考えてよろしいんでしょうか。
房村政府参考人 民事再生手続は、使いやすさということを主眼といたしまして、担保権つきの債権であるとか優先権がある債権あるいは株主の権利、こういったものは手続の外に置きまして、比較的単純で簡易な手続構造といたしました。そのことによって、使いやすく、また迅速に手続が進行するという利点がございます。
 これに対しまして会社更生手続は、担保権つきの債権、優先権つきの債権あるいは株主の権利、また、株式会社を組織再編する、こういう行為もすべてその手続の中に取り込んでおります。そのことによりまして、株式会社をめぐるすべての権利関係を更生計画によって変更するという、非常に強力な反面、厳格で複雑な手続構造となっております。このため、どうしても時間がかかりますし、また費用も高くなる。こういうことが最大の問題点であると指摘されております。
 ただ、御指摘のように、権利者が非常に多岐にわたり複雑な関係にある大規模な株式会社においては、民事再生法でその再生を図るということは非常に困難な面がございます。そこで、今回の会社更生法案におきましては、会社更生手続の基本的な手続構造は変えることなく、その長所は生かしながら、個々の手続や制度をできる限り合理化することによりまして、御指摘のように、手続の迅速化という民事再生法のよさを取り入れつつ、大企業に活用しやすい手続とすることとしたものでございます。
松島委員 今、全体の性格づけをお伺いいたしましたが、これまで会社更生法の申し立ての件数はどのように推移してきているんでしょうか。
 そして、今回の改正で手続の開始要件を緩和するということになっておりますけれども、これまでは、申し立てから手続の開始まで平均どれぐらいの期間がかかっていたのか。平均と、それから、最も多いケースは何カ月ぐらいのところにグラフの分布図が来るか、それについてお答えいただきたいと思います。
千葉最高裁判所長官代理者 会社更生事件の申し立て件数でございますが、会社更生法が大幅に改正されました昭和四十二年以降、四十八年までは四十件から百件の間を推移しておりました。その後、第一次オイルショック後の昭和四十九年から五十二年にかけましては百二十件ないし百四十件と大変高い件数を記録しております。その後減少に転じ、昭和六十二年ごろから平成三年ごろのいわゆるバブル期には二十件に満たない件数になっております。その後は増加に転じまして三十件から四十件程度、平成六年と八年には二十件に満たない件数になりました。平成九年からは再び増加に転じまして、平成十年は八十八件の申し立て、これは最近のピークでございます。それ以降は二十件台、四十件台で動きまして、本年になりましてからは件数は著しく増加をいたしました。ことしの九月までに八十六件の申し立てということでございます。
 それから、処理期間でございますけれども、私の手元にございますのは平均的な処理期間のデータしかございませんが、昨年の七月現在、全国に係属しておりました会社更生事件二百十件についての調査の結果でございますが、申し立てから手続開始までは平均で四カ月ということでございます。ちなみに、開始決定から更生計画案提出までは約二年、手続開始決定から計画が認可されるまでは二年三カ月、こういう数字でございます。
松島委員 今の御答弁からも、かなり長い月日が各段階においてかかっているようでございます。これが新しい改正によって速やかになされることを願っております。
 具体的なことの質問に入らせていただきます。いわゆるDIPファイナンスの問題について伺いたいと思っております。
 今、一たび倒産した会社が再びよみがえる、再建途上にあるときに対しても融資を行っていこう、それを支援しようというと、まず民間金融機関はなかなか難しいものですから、日本政策投資銀行を初めとする政府系金融機関がこれに力を入れ、私ども経済を重視している国会議員もそれを後押ししている次第でございます。さらに、政府系金融機関だけじゃなくて民間金融機関からもDIPファイナンスがなされるように、信用保証をつけるとか、そういった制度の充実を今急いでいるところでございます。
 そのことで伺いたいんですが、更生手続を開始した後、一般に、従業員にそのまま働いてもらうその賃金ですとか、あるいは、例えば製造業ですと必ず必要な原料の購入費用とか、そういったものは共益債権として、必要なものだとして支払いが優先される、そういう仕組みに今の法律はなっております。これにDIPファイナンスが加わるのかどうか。運転資金として必要なお金、ある程度の資金の流れがないと、融資がされないと最低限の仕事も維持できないわけですけれども、このDIPファイナンス、この融資も共益債権の一つとみなされて超優遇措置を与えられるのかどうかという点。そして、そういうふうにみなされた場合に、会社更生法申請前の、それ以前のもともとの金融機関からの融資との関係で、金融機関が、以前にこれだけ貸したものが全然返ってこないのに、新しく必要だからといってお金をまた借りるというのはおかしいじゃないかという形で文句をつけることがないのか、つけた場合に、どういうふうにそれは整理されるのかについて伺いたいと思います。
房村政府参考人 御指摘のように、会社更生を成功させるためには、会社更生手続の申し立てをした後の資金繰りを支援していかないととても成功しない、こういうことになります。そのためには、おっしゃるように、賃金とか取引ということと並んで、支援融資した債権についても会社更生法上できる限り保護する必要がございます。
 現行法におきましては、更生手続開始後に再建支援融資をした場合、御指摘のとおりこれは共益債権として手続的に最も保護されております。万一会社更生手続が失敗して破産手続に移行いたしましても財団債権として最優先の保護が与えられる、こういう仕組みになっております。
 問題は、いわゆる申し立てをしてから手続開始前の段階でございますが、これにつきましても、現行法は、裁判所の許可を得て共益債権としたものについては、共益債権としての保護を与えることとしております。
 今回の改正では、現在の扱いでは開始決定前は保全管理人が融資を受けた場合にも個別的に裁判所の許可を得る必要があるとされておりますのを、保全管理人が融資を受ければ当然に共益債権となる、こういうことにして、より一層の保護を図っております。
 それともう一点。開始決定に至ればそういうことで共益債権になって保護されるわけですが、開始決定に至らずに棄却をされてしまう、そして破産手続に移行いたしますと共益債権にならなかったものですから、破産手続でも財団債権として扱われないというのが現行法の解釈でございました。その点を今回改正いたしまして、開始決定に至れば共益債権になったはずのものについては、たまたま開始決定に至らずに破産手続に移行した場合にも財団債権となるということで最優先の保護を与える。そういう意味では開始決定前の融資についての保護を厚くする、こういう手当てをしております。
 ところで、そういう厚い保護をした場合に、会社更生の以前の債権者との差がついて不満が出ないか、こういう御疑問だろうと思います。
 確かに申し立て後のそういう支援融資については最優先の扱いをしておりますが、逆に、そのような扱いをすることによって会社の更生が可能となり、それ以前の更生債権者につきましても単純に破産手続で清算をする場合よりより多くの弁済がなされる。それが会社更生の趣旨でございますので、そういう会社更生全体の趣旨から考えますと、そのような扱いの差があっても、究極的には更生債権者となる者の利益になっておりますので、その点は御理解をいただいているのだろうと思いますし、法律はそういう考え方でできております。
松島委員 一つの大企業の再建が果たされますと、それに伴って数多くの中小企業を含む取引先、さらには関連の、いわゆる下請その他の会社の経営の維持がなされまして、雇用という面でも非常に大切なことになってくると思います。したがって、金融機関をいじめてもと言ってはおかしいのですけれども、ぜひそれは、従来の金融機関に不満が出ても、それを押し込めて、血液が流れるように、資金繰りがつくようにしていただきたいと思っております。
 次に、社債の問題でございます。
 今、個人の方々が公募社債を多く持っていらっしゃる。これの保護に関して質問させていただきたいと思っております。
 例えばマイカルの場合ですけれども、利回りがいいとかいろいろな事情で非常にたくさんの方々が、一般の方々も社債を持っておられました。こういった方々で私が印象に残っているのは、ある新聞の投書欄にこういうのがありました。定年退職された六十代の男性ですけれども、一千万円をマイカルの社債に全部投じていた、妻にもないしょだった、これがパアになってしまって、家族にも語れない、いつ言い出そうかもう困っているというのがありました。
 はっきり申しまして、それを最初に読んだときの印象は、一番悪いのは、この人はばかじゃないかと。一つのものに全部お金をかけるという、こんな無知なことをしてはいけないというのを思ったのと、次に思いましたのは、今これが利回りがいいからこれに集中的に投資しましょうと誘った証券会社なりがいたとしたら、それはひどいなと思いました。しかしながら、そういうことは現実にあるわけでございまして、こういう個人の保護についてどうするかということ。
 今申しましたのは、非常に多くのお金を一つの社債につぎ込んだ例でございますけれども、それ以外にも、その人にとっては融通のきく額の中の、非常に大きなものであっても三十万、五十万円、大事なお金だけれども、そういった小さい額なんかで購入している人を入れると非常に多くの数になると思います。この社債の保護に関して、どのような仕組みになっているのか。
 と申しますのは、今、銀行預金などのような間接金融から、直接金融をふやさなければいけない、特に日本は間接金融に偏っているから直接金融をふやそうということがどんどん言われている。ただ、一般の人から見ると、株というのは怖いな、社債は株に比べて怖くない、社債の方が何となく安心のような気が、名の通った会社なら安全のような気がしている。そこでそういった悲劇がいろいろ起こると思うんですが、これの措置についてはどのようになされているんでしょうか。
房村政府参考人 御指摘のように、公募社債の問題につきましては、これを購入する人の自己責任の問題、あるいは発行する会社、あるいはそれを扱う証券会社等の問題と、多岐にわたろうかと思います。
 私どもとしては、これに直接関係いたします会社更生法あるいは商法の観点で申し上げますと、公募社債の場合には、御指摘のように、非常に多くの人が全国に散在をするということになりますので、その権利行使等を考えますと、その保護のために、商法においては社債管理会社の設置を義務づけております。そして、社債管理会社は、社債権者の権利の保全あるいは弁済の受領等のために必要な行為をすることができる、こういうことになっておりますので、会社更生で申しますと、まず最初に、債権者として必要となります債権の届け出、これを社債管理会社が一括してするということになります。通常は、債権者は個々、自分の債権をそれぞれが届け出なければならないわけでありますが、公募社債につきましては、社債管理会社が一括して届け出をする。また、その手続が進みまして、更生計画が認可されてその社債権者に対する弁済額が決まりますと、社債管理会社が個々の社債権者を代理してこれを受領することができる。したがいまして、届け出、受領というような行為について個々の社債権者がみずから行動する必要はない、こういうことにはなっております。
 また、更生計画の内容といたしましても、債権者間の実質的な公平を害しない限り、更生計画の内容について差を設けることが許されておりますので、一般投資家が購入した公募社債につきまして、実質的な公平の観点から他の債権と比べて保護する必要性が高いと認められるような場合には、弁済率であるとか弁済時期の点において他の債権よりも有利な取り扱いをするということが法律上可能となっております。また、特に社債の金額が少額であるような場合には、早期に弁済することによって債権者数を減少させることができますので、更生手続を円滑に進行することができるとして、認可前に許可を得て弁済をする制度、これを利用することも法律上可能となっております。
 そのような種々の対応もされておりますが、問題は、届け出をいたしました社債権者が関係人集会において会社更生法上の議決権の行使をしようといたしますと、社債管理会社は、社債権者集会において特別決議によって授権をしてもらわないと、その権利の行使ができないということになります。
 ところが、社債権者、特に公募社債を購入したような人の場合、一般に投資対象として購入しているだけで、対象会社の経営ベースとかそういうものに余り関心がありませんので、社債管理会社が議決権行使の授権を得ようとして社債権者集会を招集しても、決議に必要な定足数を満たすことができないようなおそれがある。そうなってしまいますと、社債権者を代表して社債管理会社が議決権行使ができませんので、個々の社債権者が自分で議決権を行使しなければいけなくなります。ところが、社債権者集会にも来ないような人たちですから、まして、更生会社の関係人集会に出席するということはほとんど期待できません。したがって、社債を相当程度発行していると、関係人集会を開いても、そこで法律で要求されております多数をとることが非常に難しくなる。そういうことで、いかに合理的な更生計画が考えられて、他の債権者がみな同意しているにもかかわらず、社債権者の方々が出席しないということのために認可ができない、可決ができず認可もできない。そうなってしまいますと、破産手続に進まざるを得なくなって、結局、配当がほとんど得られない、こういうことになってしまう場合がある。
 そういうことが法制審の審議の中で、この会社更生手続に携わっている方々からの指摘がございまして、それを受けて、今回、そういう場合に対応するために社債権者の議決権の届け出制度という新しい制度を考えて、そういう不都合を除去しようとしたわけでございます。
 以上のような点を考えております。
松島委員 今お伺いしていても、私は何とか自分が理解できるぎりぎりぐらいのことなんですが、一般に、社債を買って持つという普通の方は、議決権何とかとか、何とか管理会社といってもわかりません。ですから、今後、こういう事態、もちろん会社更生法の申請をして、そして申請した会社がたくさんの社債を発行しているということはしばしば起こってくると思います。その都度、社債を持っている人から一番身近な立場といいますと、証券会社その他、売っているところだと思いますが、そういうところから、今おっしゃった中身をもっとわかりやすい日本語で、普通の退職後のおじいちゃん、おばあちゃんでもわかるようなことで証券会社には資料を配付していただいて、そして、会社更生法を申請した会社が新聞広告を出す際にも、皆さん、これで全く紙くずになるわけじゃありません、このようにして保護される可能性があるので早まらずにちゃんと持っておきましょうとか、親切に、そういうことが一般にわかっていただけるように、やはりプロによるプロのための難しい法律ですので、その辺の普通の方との接点のところだけは気をつけていただきたいと思っております。
 次に、今度は法務省じゃなくて国土交通省の責任者の方に伺いたいと思っております。
 これは何かと申しますと、ある会社が、会社更生法に限らないんですけれども、再建型の法的整理あるいは私的整理によって債務を一部免除されて、身軽になって再スタートを切る。さっきも申しましたように、これは非常にめでたいことで、頑張ってほしいことではあります。しかしながら、同業他社から見ますと、一社なくなって、ああ、ライバルが消えてちょっと楽になった、そんな思いを多分していることだと思います。
 そしてまた、これは実際によく聞かれることなんですけれども、国土交通省は公共事業を主管している官庁として一番大きなところなので質問させていただきたいんですが、例えばある会社は、今までの借金も金利も全然減免してもらわずに、一生懸命、一生懸命返し続けている。従業員のボーナスをカットしているけれども、そういうことは頑張ってやっている。別の会社は、会社更生法の申請なりなんなりをして、大分債務を免除してもらって、カットしてもらって楽になっている、身軽になっている。これが両方が同じように入札に参加して、そして身軽になった会社の方が、つまり、再建途上の会社が安値で攻勢をかけてくる。これはもちろん公共事業だけじゃないです、ほかの民間ベースの会社だったらどんどん安い受注をしていきます。そうした場合に、いわば、けなげに頑張っている、歯を食いしばりながらも、既存の枠組みの中で金利の減免などもなしに頑張っている会社が損をするんじゃないか。損といいますか、つらい立場になるんじゃないかという不満を随分聞くところでございます。
 これは、公共事業ならばすべての発注官庁及び自治体に関係していることではございますけれども、何といってもその中の長男ともいえる一番大きな国土交通省に、このやり方を改める意向、あるいは改めつつあるのか、どういうふうに対処しておられるのかを質問させていただきたいと思います。
門松政府参考人 お答えします。
 道路整備事業を含めた国土交通省の直轄工事の入札に関しましては、会社更生法等の手続の申し立てをした企業が新規の入札に参加するためには、更生手続等の開始決定後に競争参加資格の再認定を受ける必要があります。それまでの間、通常数カ月程度でございますが、国土交通省直轄工事の入札に参加できないことになります。
 競争参加資格の再認定を受けるためには、修正後財務諸表等に基づく経営事項審査を受けることが前提となっております。その後、競争参加資格の再申請がなされ、必要なヒアリング、再審査を行い、再認定を行うものであります。この場合、企業の経営状況、リストラによる企業規模の縮小等に伴って、競争参加資格上の経営事項評価点数、これが低下することになります。再認定の結果、当該企業の順位は下がるとともに、ランクが前よりも下がることが一般的であります。
 このように、会社更生法等の法的整理に移行した企業の競争参加資格の取り扱いは、適正な手続を経て公正な競争が行われるよう措置されているところであります。
 以上でございます。
松島委員 今お伺いしていると問題点がないことになるんですが、現実には、随分の指摘がなされて、不満を出す方が上がっております。
 今おっしゃった中の前半、ある一定期間ストップされるということ。これは、今後、この会社更生法が改正されますと、その期間がまず短くなる。次の、再審査というところ。入札の資格として、再審査し、さらにそのランクづけをどうするかという問題、今御指摘ありました。これについては、運用ということになると思いますので、運用面でやはりそういう逆差別、不公平が生じないように、ぜひ御配慮いただきたいと思っております。
 そしてまた、それはすべて国土交通省が全国のいろいろな形の発注側に指示したり指導する立場ではないかもしれませんけれども、多くの方々がやはり見ておられると思うので、今伺いましたようなスタイルということがほかのところにも広まるように、国道だとかダムだとか、国土交通省の直轄の事業だけでなくて、例えば国が補助して自治体にやらせる、自治体が実施主体となるようなところでも、同じように、準じた、そういう施策がとられているのかどうか、御点検いただければと思っております。
 今お伺いしたことは、いわゆるモラルハザードといったような問題でございます。それで、最後にまた法務省の方に伺いたいと思います。
 今回の法改正によりまして、経営責任のない取締役は管財人に選任することができるというふうになっております。この点でございますが、それまでの、その会社がだめになってきた過程における経営陣のうち、経営責任の有無というのはどうやって判定するのでしょうか。
 例えば、記憶に新しい山一証券。これは、社長さん自身も、破綻したときは、その一、二カ月か数カ月前に社長になられて、それまでこんな二重帳簿になっているのを知らなかったと唖然とした方でございました。
 これは、ちょっと極端にわかりやすい例だと思うんですけれども、同じように何人かが取締役としてボードのメンバーでありながら、この人は経営責任がある、この人はない。実際問題、何十人も、百人近い役員を抱えているような、取締役を抱えている会社ではそういうことが現実にあるんだと思いますけれども、その見切り、例えば平取であっても経理担当の人は知っている場合もあるし、いろいろな責任というものをどういうふうに見ていくのか。居座りを許すようなことになると、やはりモラルハザードを起こすんじゃないかと思っております。いかがでしょうか。
房村政府参考人 御指摘のように、今回、経営責任のない取締役を管財人に選任することができるように、条文上、管財人に選任できない欠格事由を明らかにしたところでございますが、この判断につきまして、取締役個々についてすべて判定をする必要はないわけでありまして、裁判所として、管財人として選任するに値する能力を持っている人について、取締役の中にたまたまそういう人がいて、かつ、それを検討するときに経営責任があるかどうかということを判断していけばいい。
 その方法としては、調査委員に対して、取締役等に商法上の義務違反等があったかどうかという調査及び報告を命ずるという制度ができておりますし、また、監督委員に対して、取締役等に経営者としての能力を含めた管財人としての適性があるかどうかの調査を命ずるという制度もつくっております。
 そのほか、更生手続開始の申し立てについて決定をする前に原則として労働組合から意見聴取をいたしますが、当然、そういうときにも各取締役等についての意見ということを聞く機会があるはずでございますので、こういったものを総合して判断をすれば、裁判所において適切に判断をすることができると考えております。
松島委員 ぜひよろしくお願いします。
 最後に、これは施行日は六カ月以内だったでしょうか、その施行日までに、今、会社更生法を申請しようかな、申し立てようかなと思っている会社に、買い控え的と言ったらおかしいですけれども、ちょっと待った方がいいんじゃないかということが起こってしまわないか。
 さっき最高裁の方から御説明ございましたように、ことしは非常にハイペースで、一月から九月までに八十四件ということだと思います。今、十一月の末でございますが、これから来年春にかけても非常にハイペースでその要求というか需要はあると思うんですね。
 それが、二カ月申請するのを待ってでも、その後に申し立てた方がスムーズにいくんだということが見えると、しばらくストップしちゃうんじゃないかと思いまして、この辺はどうお考えになるか。できれば、大変だと思いますけれども、大忙しで、大急ぎで早く施行していただきたい、そう思う次第です。
房村政府参考人 これだけ大きな法律を全面的に改正いたしますので、当然、周知の手続も必要になりますし、これを円滑に実行するための裁判所規則の制定も必要になります。そういう作業をできるだけ急いで、一日も早く施行するように努めたいと考えております。
松島委員 どうもありがとうございました。頑張ってください。
佐藤(剛)委員長代理 次に、漆原良夫君。
漆原委員 公明党の漆原でございます。
 まず、大臣にお尋ねしたいんですが、長引く不況によって、大規模な倒産事件が急増しています。しかし、これに対応する会社更生法は、先ほども話がありましたように、申請から開始決定まで四カ月ぐらいかかる。また、再建計画の認可には、さらにそこから二年以上もかかる。大変時間がかかるという批判がなされておりますし、また、平成十二年に施行された民事再生法に比べて企業再建の手法が弱い、もっと再建手法の強化をすべきであるとの指摘がなされておりますが、今回のこの大改正はこれらの要請にこたえたものであるというふうに私は理解しておりますが、今回の法改正の意義について、改めて大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
森山国務大臣 御指摘のとおり、現行の会社更生法の定める会社更生手続に対しましては、手続が厳格過ぎて時間がかかり過ぎるとの御批判や、企業再建のための手法をより一層整備すべきであるとの指摘がされております。
 そこで、会社更生法案におきましては、これらの指摘を踏まえまして、手続の迅速性を向上させ、あるいは再建手法を強化するためのさまざまな改正を行おうとしております。
 このような改正を行うことによりまして、経済的に苦境にある株式会社について、その事業の維持更生をより一層合理的かつ機能的に図ることができるようになるものと考えております。
漆原委員 民事再生法と会社更生法の一般的な関係について、増田副大臣に確認をしておきたいなと思っております。
 松島委員の話と重複しないようにしますが、一般的に、民事再生法は中小企業向け、それから会社更生法は大企業向けの手続というふうに言われておりますが、その理由についてお尋ねしたい。
 それから、あわせて、民事再生と会社更生の両事件における双方の平均的な負債額はどのくらいになるのか、お尋ねしたいと思います。
増田副大臣 お答えを申し上げます。
 民事再生法、民事再生手続は、無担保で、かつ優先権のない債権のみを手続に取り込み、企業の組織再編、こういうものを原則として手続外で行うものとされるなど、比較的単純で簡易な手続構造となっております。そのために、迅速に手続が進行し、手続費用も会社更生手続に比較をいたしまして低額であることから、中小企業を中心に幅広く利用されております。
 これに対しまして、会社更生手続は、担保権つきの債権、労働債権、租税債権等の優先権がある債権、また株主の権利をも手続に取り込み、株式会社の組織再編行為も行うことができるものとするなど、法的効力が強力である反面、厳格で複雑な手続構造となっております。このために、更生計画の成立までに一定の時間を要し、手続費用も高額になる傾向にありますが、上場企業を初めとする大規模な株式会社の再建に適したものとなっております。
 このように両手続の構造が異なっているために、基本的に、民事再生手続は中小企業向けの手続であり、他方、会社更生手続は大企業向けの手続であると説明されているわけであります。
 それから、民事再生事件と会社更生事件の平均の額はどうだということですが、民事再生事件の平均負債額は百億円程度であるのに対し、会社更生事件の平均負債額は五百四十億円程度であるものと承知をいたしております。
漆原委員 ありがとうございました。
 大規模倒産事件でも、そごうグループは会社更生法を申請しました。マイカルは、当初は再生法の申請をして、後に会社更生法に切りかえております。会社更生法は本来大規模倒産を利用対象として想定されると今説明していただいた法律であるにもかかわらず、利用者側は違った対応をしております。
 マイカルがなぜ民事再生法の申請をしたかは不明ですが、少なくとも、手続の迅速性あるいは再建手法の採用などの点で、現在の会社更生法よりも民事再生法の方が魅力があったのではないかというふうに考えますが、その点はいかがでございましょうか。
増田副大臣 御指摘のとおり、現行の会社更生手続は手続開始の申し立てがありましてから手続が終結するまでに多くの時間を要するのに比べまして、民事再生手続は迅速に手続が進行するものと承知をいたしております。また、民事再生手続には、包括的禁止命令の制度や担保権消滅の制度が設けられているなど、現行の会社更生手続にはない再建手法も採用されているものと承知をいたしております。
 したがいまして、これらの点も、大型倒産であるにもかかわらず民事再生手続が利用される一つの要因であろう、このように考えております。
漆原委員 今回の法改正の要点は三つあります。手続の迅速化、手続の合理化、再建手法の強化、この三点でございますが、概括的に説明をしていただきたいと思います。
増田副大臣 これまた御指摘のとおり、会社更生法案においては、会社更生手続について、手続の迅速化、手続の合理化、再建手法の強化を図るためのさまざまな改正を行っております。御発言のとおりであります。
 そのうちの主なものは次のとおりでございます。
 まず、手続の迅速化のための改正としましては、更生手続を迅速に開始するため、更生手続開始の要件を緩和していること。更生計画の早期成立を図るため、更生計画の可決要件を緩和していること。それから、会社更生手続の早期終結を図るため、更生計画上の金銭債権の弁済の三分の二以上が終了したときは原則として手続が終了するものとしていること。
 次に、手続の合理化のための改正といたしましては、全国のどこにある会社であっても、処理体制の整いました東京地方裁判所または大阪地方裁判所への申し立てを認めるなど、更生事件の土地管轄を緩和していること。それから、更生計画案に関する議決権の行使方法として、集会に出席して行使する方法のほか、書面等により行使する方法を認めていることなどを挙げることができます。
 さらに、再建手法の強化のための改正といたしましては、保全段階における債権者の強制執行等を全面的に禁止する包括的禁止命令の制度、これを創設していること。それから、担保目的物の価額に相当する金銭を裁判所に納付することにより担保権を消滅させる担保権消滅の制度を設けていること。それから、裁判所の許可による更生計画認可前の営業譲渡の制度を設けていることなどを挙げることができると思います。
 以上です。
漆原委員 副大臣、どうもありがとうございました。
 以下、当局の方にお伺いしたいと思います。
 手続の迅速化でございますが、企業の信用や資産の劣化を防ぎつつ会社を再建するために何よりも要求されるのは、手続の迅速さであると思います。その一つとして、改正法は更生手続の開始要件を緩和というふうにしております。
 現行法は、更生手続の開始要件を、「更生の見込みがないとき」としておりますが、改正法では、「更生計画案の作成若しくは可決の見込み又は事業の継続を内容とする更生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき」というふうに変更されておりますが、まず第一点、現行法の更生の見込みとは一体どんなことを言うのか、改正法の更生計画案の可決の見込み、更生計画案の認可の見込みとはどのように違っているのか、説明をいただきたいと思います。
房村政府参考人 現行法の更生の見込みというのは、会社更生手続の申し立てをした株式会社が、今後、継続して収益を上げながら、これによって債務の相当部分を相当期間内に弁済できるか、こういった経営的判断を意味するというぐあいに理解されているところでございます。
 今回の法案で決めております「事業の継続を内容とする更生計画案の作成若しくは可決の見込み又は事業の継続を内容とする更生計画の認可の見込み」というやや長い表現でございますが、これは、そういう更生を求める会社が、更生手続の中で順次手続を進めまして、この更生計画案を作成し、関係人集会で可決をし、さらに裁判所がこれを認可するという手続を順次踏んでいく、それで最終的に更生ができる、こういうことになるわけですが、その間、例えば債権者の非常に強い反対があるとか、そういうようなことでおよそ可決の見込みがない、あるいは、現在の会社の状態からして到底これについて裁判所が認可をすることは考えられないような事態である、こういうような、経営的判断そのものというよりは、更生手続に即して手続内でそういった手続が前に順次進んでいく可能性がないことが明らかかどうか、こういう手続的判断を新しい要件としては定めているということでございます。
漆原委員 更生の見込みという経営判断を不要として要件を緩和した、そのことによって債権者とか担保権者が不利益をこうむることはないのかどうか、お答えいただきたいと思います。
房村政府参考人 今回この開始要件を緩和いたしましたのは、従来、更生の申し立てをしても、なかなか開始要件の判断が難しくてそこに時間がかかってしまう、こういうことでかえって時機に即した更生がしにくくなっているという批判を受けて、要件は緩和してできるだけ早く始める、そしてその早く始めた更生手続の中で更生の見込みについては判断をしていく、そして手続の中で見込みがないことが明らかになればその段階で更生手続を打ち切って、必要があれば破産手続の方に移行していく、こういうことを考えておりますので、緩和したからといって、このことによって債権者や担保権者が不利益を受けるということはないと考えております。
漆原委員 改正法は更生計画案の可決要件も緩和していますね。更生債権者の組では現行の三分の二以上の同意、これを二分の一以上の同意と改めている。そして更生担保権者の組では現行の五分の四以上の同意を四分の三以上の同意というふうに改めています。
 更生債権者あるいは更生担保権者がこの認可要件の緩和によって不利益を受けることはないのかどうか、この点を質問したいと思います。
房村政府参考人 御指摘のように、今回可決要件を緩和したわけでございますが、現行の可決要件につきましては、これは母数が総議決権数になっております。通常の議決要件は集会に出席した人の何分の一という決め方が多いわけですが、この会社更生法の議決要件は総議決権数を母数にしておりますので、いわば棄権をした人はすべて反対者にカウントされてしまうという、かなりそれだけでも厳しい要件になっております。
 その中で、この法律に定める例えば三分の二とか五分の四という要件をクリアしようと思いますと、利害関係人から同意を取りつけるために非常に過大な労力や時間を要する、こういうことが関係した方々から指摘を受けているところでございます。そのために結局更生手続の進行が遅延しているんだ、そういうことからこれを見直したわけでございます。
 確かに、更生会社の利害関係人、特に担保権者の立場に立って、減免をしなければならないことに反対している人から見ますと、なるべく厳格な方がいいということでありますが、しかしまた同時に、合理的な結論がなかなか決められないということになりますと、これは全員にとっての不利益でもありますので、そのような点を考慮いたしまして、諸外国の立法例等も参考にいたしまして、それぞれ、ある意味では一ランクずつ、三分の二を二分の一に、四分の三を三分の二に、五分の四を四分の三にという緩和をしたところでございます。
 ただ、この緩和がありましても、更生計画の内容が公正かつ公平であるか、あるいは遂行可能であるかというような法定の認可要件は変わっておりませんし、これは裁判所が厳格に判断をするということになりますので、今回の可決要件の緩和によりまして更生債権者あるいは更生担保権者の利益が不当に害されるということはないと思っております。
漆原委員 続いて、二番目の手続の合理化についてお尋ねしますが、改正法では管轄を東京地方裁判所または大阪地方裁判所と、全国どこからでも東京あるいは大阪の裁判所に裁判を起こせるというふうにして非常に便利がよくなったなと思う反面、遠隔地の株主あるいは更生債権者、担保権者、この人たちにとってみると権利行使が不便になるなというふうに感じますが、この点はどうなのか、またどんなふうに手当てをされているのか、お尋ねをしたいと思います。
房村政府参考人 会社更生手続は、債権者、株主等の多数の利害関係人を手続に取り込んで、その利害を調整しつつ事業の維持更生を図るということで、非常に複雑な手続になっております。裁判所における手続の中でも最も複雑な部類に属すると思われます。
 今回、使いやすく種々改正をしたつもりではございますが、やはりその複雑さというものはどうしても残ってしまいます。そういうことから、この事件を処理するということに関しましては非常な専門性が要求される。
 それで、全国の裁判所の中でも、やはりこの会社更生事件を数多く取り扱い、専門的に取り扱う体制が整っておりますのは東京地方裁判所と大阪地方裁判所でございます。また、会社更生事件に必要とされる管財人、これを確保するためにも、やはり東京、大阪というのは非常に有利な地にあります。そういうことから、事案に適した管財人を確保し、手続を迅速かつ円滑に進行するという観点からは、東京あるいは大阪で事件を取り扱えるようにするということは非常に有益であろう、こういうことから今回考えたわけでございます。
 ただ、御指摘のように、地方の事件を東京あるいは大阪で扱うことになりますと、距離的、時間的に関係者がいろいろ不便な点を生ずるということも事実でございます。そういうことから、会社更生法の手続の中でも、例えば書面投票を導入するとか、あるいは集会の任意化とか、債権者等の会社更生手続への参加の方法を一般的に柔軟かつ容易にするということで、できるだけそういう負担が関係者にかからないようにという配慮をしたつもりでございます。
 それと、それでもなお著しい損害または遅滞が生ずる、こういうような場合には、この会社更生事件を東京あるいは大阪から、本来の管轄裁判所であります、主たる営業所の所在地を管轄する裁判所などへ移送するという制度も認めております。こういうものを活用すれば御指摘のような弊害は防げるのではないか、こう思っております。
漆原委員 再建手法の強化についてお尋ねしますが、まず第一点、包括的禁止命令の導入について、改正法案では、個別の中止命令では更生手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときはという要件のもとで、強制執行等を一律に禁止する保全処分を命ずることができるとされておりますが、この制度を導入した理由と、特別な事情というのはどんなふうに解釈したらいいのか、教えていただきたいと思います。
房村政府参考人 会社更生手続が進んでいるさなかに会社の財産が強制執行等で押さえられてしまいますと会社の維持に非常に困難が生ずる、こういうことから、現行法においても、強制執行に対して個別的に中止を命ずることができるようになっております。
 ただ、同時期に多数の強制執行の申し立てがされるような場合、これは個別に中止命令を得ているのでは事務負担が膨大になりまして、事業の継続に支障が生ずるということも考えられます。そのようなことから、既に民事再生法で導入されました包括的な禁止命令、これを会社更生法でも取り入れるということとしたものでございます。
 ただ、これは一切の強制執行を許さないという非常に強力な効果を持つものでございますので、御指摘のように、これを発令するためには特別の事情というものを要求しております。これは、基本的には、個別に対応していたのではとても間に合わない、それでは会社の事業の維持更生に困難が生ずる、こういうような事情がある場合ということになります。
 例えば、非常に多くの債権者、しかも債務名義を有している債権者が多数存在していて、会社資産が各所にあって、それを差し押さえられた場合には直ちに会社の営業に困難が生ずることが予想される、こういうような事情がある場合には、あらかじめ包括的な命令をとっておくということが必要とされる場合ではないかと思います。
    〔佐藤(剛)委員長代理退席、園田委員長代理着席〕
漆原委員 次は、同じく、相当と認めるときは改正法案第二十四条一項二号に規定する強制執行等を包括的禁止命令の対象から除外することができるというふうになっていますね。
 三点まとめて聞きます。
 この二十四条一項二号の強制執行等とはどんな内容なのか。また、このような強制執行に除外制度を認めた理由は何か。続いて、相当と認めるときというのは一体どんなことなのか。それから三番目は、改正法の二十七条一項は包括的禁止命令の解除について規定をしておりますが、二十四条一項二号の強制執行等について、包括的禁止命令の解除という方式ではなくて、包括的禁止命令の対象から除外するという方式をとった理由について説明をしていただきたいと思います。
房村政府参考人 まず、この条文で規定しております強制執行等ということですが、これはもう広く、強制執行、仮差し押さえ、仮処分あるいは担保権の実行としての競売、国税滞納処分、こういったものをすべて含んでおります。
 こういうものを包括的に禁止するということでございますが、民事再生法に比べましても、会社更生法ですと、担保権つきの債権であるとか優先権のある債権、例えば労働債権というようなものもこの包括的禁止命令に含まれておりますので、包括的に禁止されることによって債権者が不利益をこうむる場合も当然ふえてくることが予想されます。
 そういう場合に備えまして、包括的に命令を出した後、その個別の債権者から不都合があるということで解除を求められるという制度ももちろんつくったわけでございますが、しかし、例えば給料債権のように生活の糧になっている、これについての強制執行が一律に禁止されたのでは明らかに不都合が生ずることが予想されるような類型の債権もございますので、そういう場合には、そういったものをあらかじめ、個別の解除の申し立てをまつまでもなく、その発令の際に除外する、こういうことを考えたわけでございます。
 その相当性としては、やはり禁止によって得られる会社側の利益とそれを禁止されることによってこうむる債権者の不利益、こういったものを比較考量して判断することになろうかと思います。
漆原委員 現行法は、保全段階において係属する強制執行等の中止を命ずることができる、こうされておりますが、改正法案ではさらに一歩進んで、事業の継続のために特に必要があると認めるときは、中止した手続の取り消しを命ずることができるというふうになっております。相当強い権限ですね。
 このような制度を設けた理由は何か、そして、特に必要と認めるとはどのような場合なのか、こういう制度を導入することによって更生担保権者の保護はどうなっているのか、またどのように配慮されているのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
房村政府参考人 強制執行を中止しますと、それ以上は手続が進まない。しかし、例えば差し押さえの段階で中止をいたしますと、押さえられたままでございますので、そのものを処分しようと思っても処分ができない。ですから、押さえられる対象が、例えば原材料であるとかあるいは途中の製品、仕掛かり品とかそういったものが押さえられてしまいますと、それ以上先に進めなくなってしまう、もう直ちに会社の営業に支障が生ずる、こういう場合もあり得るわけでございます。
 そういう場合に備えて、この強制執行を中止したままでは会社の事業の継続が困難となる、こういう事情のあるときには、この中止をさらに進めまして、取り消すことができる、こうしたものが今回の考え方でございます。
 ただ、その場合に、御指摘のように、強制執行の手続が取り消されてしまいまして、しかもその後、会社更生手続が順調に進めば会社更生手続の中できちんと保護はされますが、これもうまくいかなくなってしまうということになりますと、本来であればその強制執行によって得られたであろう額が損害として生ずるというおそれはあります。そのために、この中止については担保を立てて行うということにしておりますので、その点で債権者の利益は保護されているということになります。
漆原委員 更生計画認可前の営業の全部または重要な一部の譲渡についてお尋ねしたいと思います。
 改正法は、更生計画認可前の営業の全部または重要な一部の譲渡の制度を導入します。更生計画がまだ認可されていない前段階でのこのような一部譲渡の制度を導入した理由は何か、また、更生会社の事業の更生のために必要と認める場合とは一体どのようなことを想定されているのか、まず質問をしたいと思います。
房村政府参考人 企業が倒産した場合、その営業を譲渡することによって、譲渡先においてその事業の再建を図りながら倒産した企業の債権者等に対する弁済率を向上させるということは、当然その再建手法として考えられるわけでございます。
 ただ、営業の譲渡というのは、仮にそれが必要性や相当性を欠くということになりますと、結果的に事業が継続されず、また、債権者等の利益も害されるということになります。そういう非常に大きな影響を与えます。そういうことから、会社更生法案においては、原則としてこの営業の譲渡というのは更生計画によって行う、こうしているわけでございます。
 ただ、更生計画の樹立までというと、どうしても相当の時間がかかります。ところが、会社更生の申し立てをしたということになりますと、お客が逃げる、あるいは取引先が取引を断ってくる、こういうようなことから営業の価値がどんどん劣化してしまう、非常に急速に劣化すると言われております。そういうことから、更生計画でしかできないといたしますと、急速な劣化が生ずるような場合、いざ更生計画のときになってみたらもう譲渡すべき営業の価値がほとんどなくなってしまう、こういうことがあり得るわけでございます。そういうことから、やはり営業が非常に急速に劣化するような場合には、それを待たずに早い段階で営業譲渡ができるように手続を整備すべきではないか、これは非常に強い要望として出されておりました。
 そういうことから、今回、管財人に自由にできるということにいたしますとやはり問題が大きいだけに、裁判所の許可という裁判所の判断にかからしめて、その適正を担保した上で営業譲渡をできるようにするということとしたものでございます。
 どういう場合に裁判所によって許可されるかといいますと、まさに更生会社の事業の更生のために必要である、こういうことでございますが、これは更生計画によらずに早期に営業譲渡を行う必要があるという先ほど申し上げたような事情がある、また、営業譲渡の対価を初めとする譲渡契約の内容が相当であるかどうか、こういうことが当然ございます。こういうものを総合いたしまして、最終的にその営業譲渡が更生会社の事業の更生という手続の目的を達成するために必要である、こういう判断がなされる場合に初めて裁判所としてその許可をするということになります。
漆原委員 時間になりました。終わります。どうもありがとうございました。
園田委員長代理 日野市朗君。
日野委員 今回、会社更生法の改正ということになりました。それで、今私もずっと見せていただいておりますが、これは、世の中の動き、これとうまく組み合った形で会社更生ということを考えませんと、会社更生法改正は成立してみたものの使えないというようなことが起きるわけでありますから、これは非常に法務省としてもいろいろ気を使っておやりになったのだろうというふうに思います。ただ、やはりいろいろな観点からこれは見なくちゃいけませんので、主に法務省が見てきた部分というものをちょっと私の方へ教えていただきたいと思います。
 平成九年の十二月、「倒産法制に関する改正検討事項」、これは、法制審議会で、現行法を大幅に改正する必要はないんだということで、大体九項目ぐらいであろう、こういうふうになったんですが、それが、今度出てきたものを見ますと、大体五十四項目にわたってこの改正をするということになったわけでございますね。今までの会社更生法、これはもう形なしといいますか、ほとんど新しい形で会社更生法の改正案が出てきたような感じもいたします。
 そこで、法制審の中における審議過程、これをずっとちょっと私の方に教えてみていただけませんか。結論的なところは、それぞれ文書が出ているものを見ればわかります。しかし、審議過程というのはなかなかわからない。それは、景気悪化であるとか特に金融秩序の混乱、こういったものなんかは大きな影響を与えていると思うんですが、ひとつその経過を教えてください。
森山国務大臣 会社更生手続の見直しにつきましては、平成十三年の三月から法制審議会倒産法部会における審議を行ってまいりました。この部会におきましては、御指摘の「倒産法制に関する改正検討事項」に掲げられていた数項目の事項のほかに、これに対して寄せられた関係各界の意見、民事再生手続を検討した際の審議の成果、最近の倒産処理実務を反映させるために新たに倒産法部会の委員、幹事から募集した意見も審議検討の対象に加えられました。
 その結果、五十五項目にわたる実質改正が行われるということになったものでございます。この実質改正事項の中には、御指摘のとおり、手続の迅速化を図るものも多数ございます。しかし、いずれの事項も、債権者側の立場にある銀行や経済団体等から推薦を受けた一般有識者をも構成員とする倒産法部会におきまして、審議を尽くし、全会一致で採用されたものでございます。
 また、何よりも迅速に手続を進め、再建可能な企業かどうかを早期に振り分けることこそが債権者の利益にかなうものと考えられますし、債権者の手続保障についても十分に配慮いたしております。したがいまして、会社更生法案は債権者の保護に欠けるものではございません。
 そして、現下の経済情勢のもとで、会社更生手続を利用する企業が増加している反面、現行の会社更生手続に対して、手続に時間がかかり過ぎるとの御批判や企業の再建のための再建手法をもっと強化すべきであるとの御指摘があることを踏まえまして、早急な見直しが必要だと判断いたしまして、この国会に会社更生法案を提出した次第でございます。
日野委員 今の大臣のお話の中にもございましたけれども、会社更生法の改正についていろいろなところから意見が述べられたろう、こう思います。私も、これは当然だと思うんですよ、どんどんどんどんいろいろな意見が出てくることは。そしてその結果、今大臣は五十五項目とおっしゃいましたが、大体そのくらいあるんでしょう、数えてみませんけれども。そういうことだと思うんです。
 やはり、こういう法改正になってまいりますと、当然のことながら、一つは債権者の権利圧縮という問題が出てくるんだと思います。それから、手続の簡略化、こういうこと。当然こういうものはあっていいんだと私は思うんですね。しかし、我が国の倒産法制の伝統といいますか、それを見てまいりますと、やはり倒産法制の過程で債権者を保護していくということ、それからいろいろな関係者の意見をきちっと聞いていくということ、こういうことは我が国としては伝統的にばかまじめに守ってきているんですね。
 そういう中で、私は、今度はかなり大幅な改正だな、こんなふうに思っているんですが、そういう観点から、房村さんの方で何か言いたいことがあったらどうぞ話してみてください。
房村政府参考人 基本的経過は先ほど大臣から御説明したとおりでございますが、倒産法制を検討いたしている過程で、やはり当初は、最も必要とされるのが中小企業向けの簡易な再生制度、当時の段階では和議法しかございませんでしたので、これを何とか充実したものをつくる必要があるだろうということ。それから、特に個人再生向けのものも必要ではないか、そして破産法についても非常に古くなってございますので、これも全面的に見直さなければならないだろうと。
 会社更生法については、現在の我が国の倒産法制の中では唯一戦後にできたものでありますし、比較的使われているということから、そう抜本的に見直さなくても足りるのではないかというような見通しが当時はあったわけですが、その後、実際に作業を進めまして、特に民事再生手続、新しい仕組みをいろいろ工夫して使ってみますと、これが非常に評判がいい。そういうことから、会社更生法についてもその数項目にとどまらずもっと大幅に見直すという方向に動いたものでございます。
 債権者の保護という点につきましては、御指摘のとおり、会社更生法においても種々債権者の権利が不当に侵害されることのないような配慮をしているところでございまして、そのためにこの会社更生法の手続全体が相当重いものになっています。
 その会社更生法の基本的手続、更生担保権者、更生債権者、株主、そういう多くの利害関係人の利害を適切に調整しつつ、大規模な株式会社の更生を図る、そのために必要なしっかりした法律的な枠組みをつくる、そこは今回の改正においても維持をしつつ、できる限りの合理化を図る、それによって迅速に会社の更生ができるようにする、そして更生の見込みがないものについてはなるべく早く更生を打ち切って、別の手続に移って、必要な清算をする、こういうことが可能になるように工夫をしたつもりでございます。
日野委員 これは大変なことなんですね。会社を更生させていく、僕もその大変さというのはよくわかります。小さい会社だってこれは容易じゃない、それはよくわかるんです。しかし、これからは、我が国の経済状態が今のような状態であって、そう簡単に立ち直れる経済状態ではない、私はこう見ます。こんなこと言うと失礼に当たる向きもあるかもしれませんが、勘弁してもらって。
 そうすると、私は、これからは日本のこういった事業体、これをできるだけその機能を維持しながら経済活動をきちんとやってもらって、社会的な役割を果たしていってもらうということの必要性というのは非常に強く感じます。
 ですから、私は、倒産法制部会というのは実は民主党の中にもありまして、この倒産に関していかに政治が機能していくかというのは非常に大事な課題だと思っている。それで、これからの倒産法制のあり方についての見通しというものを少し教えてください。政府の方ではどう考えて、どういう作業を今やっているか。
房村政府参考人 大きく言いますと、特に企業を対象にする場合には、おっしゃるように、存続の価値のある企業についてはでき得る限りこれを存続する。また、もはや存続が見込めないものについてはできるだけ早く適正な清算を行うということがこの倒産法制には期待されているところだろうと思います。
 企業には、御指摘のように、非常に小規模なものから上場企業のような大規模なものまでございますし、また、個人で事業を営んでいる人もいます。そういう対象の特性に応じたそれぞれの手続を整備し、その手続の間の連携を十分とれるようなものにしていくということが必要だろうと思います。
 現在まで、民事再生法、それからそれを一部改正して行いました個人再生、こういったものを整備いたしました。今回、大型の株式会社を念頭に置いてある会社更生法の改正をお願いしているところでございます。
 さらに、清算型の最も基本である破産法についても、現在その改正作業を進めているところでございまして、順調にいけば来年の臨時国会には法案を提出したいと考えているところでございます。
 このように、それぞれの手続ごとに最も合理的な手続とすべく改正作業を進めてきておりますが、特に手続相互間の関係、こういったものについても、今回の破産法の最終的な段階では、そういったものを含めて、日本の倒産法制全体が適切な役割分担のもとに利用しやすいサービスを提供できるようなものとするという観点から、今一生懸命検討作業をしているところでございます。なかなか完全なものをつくるということは難しいわけでございますが、こういう大きな時代の変動におくれずに、適切な倒産法制を整備していきたい、こう考えているところでございます。
日野委員 ひとつ、健全な倒産法制の整備ということをお互いにやっていかなくちゃいかぬな、こう思っております。私も民主党の倒産法制プロジェクトチームの頭のところをやっていますので、いろいろ注文もこれからつけていきたいというふうに思っています。
 私、一つ心配する点があるんですね。このような会社更生法なんという法律は、これは悪用しようと思えば悪用の余地はあるんですよ。いかに企業がモラルをきちんと維持して、そして会社の更生ということにかかわっていくかということは、非常にこれは大事なことだというふうに思います。
 特に私心配するのは金融機関なんです。銀行。今もう評判悪くて、銀行の頭取あたりが、自分たちの首を切られるのが嫌だから、責任をとらされるのが嫌だから言っているのかどうか知らぬけれども、随分高姿勢で、こんなことでいいのかねと思うような、政府の方針に対してねじ込んだり何かやっていますな。あれを見ると、私、この連中は一体何様だというような感じもするんです。
 そこで、その銀行関係です。銀行について、これは特例法が決めてございますね。金融機関について会社更生についての特例、これが決められています。これは協同系の金融機関であるとかそういうところでは幾つかそういった更生手続なんかがとられているようですが、どうなんですか、株式会社としての銀行、これについて会社更生法の適用例はございますか。
西原政府参考人 本年の四月までは、預金等の負債につきましては金融機関の全額保護という状況のもとでございますので、したがいまして、金融機関につきましては更生特例法という適用はございません。
日野委員 これは国の法の手厚い保護によって、金融機関について更生法の適用ないんですね。
 しかし、今度、会社更生法が変わってまいりますと、御承知のとおりで、弁済期入りの債務を弁済することになると事業の継続に重大な支障を来すという場合は、これは更生法の適用になりますからね。そういう場合、ばたっと来る、突然来る可能性というのはあるんですよ。こういう点については、金融庁としては金融機関に対するどういう監視をやっておられるか、ちょっと教えてください。
西原政府参考人 私ども、金融機関について、いわゆる健全性をいかに確保するかという観点からは、常時、検査という形で資産を見るのと同時に、一方で、検査と検査の合間におきましても、いわゆるモニタリングと称しておりますが、いろいろな財務諸表にかかわるデータを取り寄せまして、流動性も含めまして、そういうことのないように常時監督をしているところでございます。
日野委員 それはよくわかるんですが、更生法の適用の要件として、破産の場合は、これはもうみんなが今言ったように、業務に重大な支障ということでもこれは更生法の適用の要件を満たしますから、そこは十分に注意しておいてもらわないと、ある日突然、更生法の適用になっちゃった、あとは全部債権関係保全されちゃった、こういうことになるとにっちもさっちもいかない、そういう事態が、私、想定されないわけじゃないと思うんで、こんなことになったら、金融秩序、この健全性というのは保たれませんからね。ひとつ、十分注意してくださいよ。しかも、金融庁の検査に対して銀行が文句を言っているような状態で、いや、これは困ったことだな、こう私は思っていますし、非常に心配もするんで、そこのところは、きちんと検査、モニター、あらゆる手段を使って、金融機関、特に銀行は指揮監督をやってもらいたいというふうに思います。
 それで、ちょっとこれはどうなるのかなと思うので、私もよくわからないので教えてください。もし銀行が更生計画に基づいてある更生会社に対して債権を放棄するというような形をとった場合、自己資本率は一体どうなりますか。
西原政府参考人 お答えさせていただきます。
 銀行がいわゆる債権放棄をするというような場合、これは、不良債権についてオフバランス化するときにはよく行われる行為なわけですが、その場合は当然のことながら損失に計上しなければいけないということで、そういう面では、自己資本の額からいわゆる減少効果ということになります。それで自己資本比率が下がる要因になるわけですが、もう一方で、リスクアセットとして、貸出金がオフバランス化でもって落ちる、減少するということで、いわゆるリスクアセットが減少するということが起こります。そういう意味で、自己資本比率が上がる要因と下がる要因があるわけでございます。
 これは一般的に申しまして、いわゆる分子、分母で見ますと、リスクアセットの方が全体的に非常に大きい額で、それで、自己資本の方がそれに比べると八%とか一〇%とか、そういう割合でございますので、仮に同じ額、分子、分母が引かれるということになりました場合には、いわゆる自己資本比率は下がるというような形になろうかと思います。
日野委員 それから財務省にもちょっと伺っておきますが、今のようなケースの場合、オフバランス化する場合の税務上の取り扱いはどうなりますか。これは有税で償却することになりますか、無税で償却することになりますか。
村上政府参考人 お答えいたします。
 今申し上げたケース、二通りあるかと思いますが、会社更生法の規定による更生計画の認可があった、それで債権が切り捨てられた場合というケースと、単純に会社はまだ倒産とかそういう状態に立ち至っていませんが債権放棄したという二つのケースがあります。最初の、会社更生法の更生計画認可の決定により、金融機関が有する債権が全部あるいは一部切り捨てられた場合は、当然、その決定があった日の属する事業年度において、貸し倒れとして損金に算入されます。それから別途、後のお話は債権放棄。債権放棄というのは、金融機関はお金を貸していますが、当該事業会社が、まだ倒産とかそういう状態に至っていませんが将来再建をするために放棄する場合ということなんですが、それはその債権放棄が合理的な再建計画に基づくものであるならばといった、そういう合理的な理由があれば、これは寄附金課税になるかという問題なんですが、通常は寄附金課税にしないという取り扱いにいたしております。
 以上でございます。
日野委員 寄附金課税にしないというのは、これは国税庁の内部での取り決めでございますね。
村上政府参考人 お答えさせていただきます。
 法人税法三十七条に寄附金課税の規定がございます。その寄附金に当たるかどうかの法令解釈通達というのは出しておりますが、その取り扱いというのではなく、法令解釈通達の九四一、九四二というのを出しております。
日野委員 次に、裁判所に伺います。
 実は、この会社更生法の中で非常に多くの部分が裁判所の規則になっているんですね。規則で決めますよ、こうなっているんですね。
 裁判所の人たちは非常にまじめな人たちで、企業の再建だとか、ここはつぶそうとか生かそうとか、こういう場合はどうしよう、ああしよう、これは非常に商売人たちが手練手管を使うところです。そういうところにうまく対処できるくらいの経験というか力量というか、こんなことを言っちゃ失礼だが、非常にまじめにやっておられるところにこれをやらせるのはちょっと気の毒ではあるまいか、私はこう思うんですよ。どんな形で規則を決めていこうとしておられるのか、ちょっとそのやり方を説明してみてください。
千葉最高裁判所長官代理者 最高裁判所の規則の制定の仕方は、御承知のとおり、最高裁の裁判官会議で決めるわけでございますが、この規則を制定するに当たりまして、一般の有識者、それから法律実務家の意見を聞きながら具体的な規定を定めていく必要があるというのはございます。
 今回の会社更生法の改正に伴う規則の整備はまさにそうでございまして、我々といたしましては、その場合には、最高裁の中に規則制定諮問委員会という組織がございますが、そういうものを開きまして、この規則制定諮問委員会に諮問をする、そこで調査審議をしていただいて、その建議を受けて裁判官会議で決める。この規則制定諮問委員会につきましては、会社更生手続について非常に知識経験のある人、それを委員に選んでいる、こういうわけでございます。
日野委員 会社更生についての裁判所の決断というものは、ある意味で政治的なといいますか、基準を決めればそれにすぐ当てはまって、ぱっと右か左かが決まるというような問題ではない、裁判所のかなり政治的な判断なんかもつきまとうだろうと私は思っているんですよ。そういう点、大丈夫かと言えば大丈夫ですと言うに決まっていると思うんですが、そういうところを大丈夫なようにするためには、この諮問委員のメンバーにどんな人たちが入るのか、これが非常に大事なところだと思う。固有名詞を聞こうとは思いません。どんな人たちに集まって審議してもらうのか、ちょっと教えてください。安心できるかどうか。
千葉最高裁判所長官代理者 一般的に申し上げますと、規則制定諮問委員会の委員は、裁判官、検察官、弁護士、関係機関の職員または学識経験のある者から最高裁が任命する。
 この会社更生法の関係の規則の制定につきましては、民事の規則制定諮問委員会を開くということになります。現在の民事の規則制定諮問委員会の構成でございますが、学識経験者が四名、弁護士が五名、それから法務省等の関係官庁の職員三名、裁判所関係者が十名、こういうメンバーで規則が制定される、こういうことでございます。
日野委員 ここは非常に大事なところです。ひとつここは裁判所も腹を据えてやってもらわなくちゃならぬ場面だな、こう思いますので、しっかりやってもらいたいものだ、こう思います。
 それでは、私、さっきから倒産法制の流れについてずっと聞いているんですが、倒産法制の流れ、こう言ってきたわけなんですが、幾つか大事な問題がやはり積み残しになっているぞという問題がございます。
 さっき、松島委員でしたか、DIPファイナンスの話をしておられた。そういう新しい種類の債権、これができるのかどうか、超優先債権といいますか、そういったものができるのかどうか。今度は保全されると公租公課までもう押さえ込まれるわけでしょう。そういうような中で、超優先債権、弁済債権のようなものはできるのかどうか、ちょっと専門家の意見を聞いておきたい。
房村政府参考人 いわゆる会社更生手続が始まった後に、その支援としての融資を受けたときに、その融資を手続上どこまで優遇するか、こういうことでございます。
 現行法は共益債権ということにしておりまして、今回の改正はそれを基本的に維持しているわけでございますが、アメリカなどでは、共益債権の中でもさらにプライオリティーの高いスーパープライオリティーを与える、最優先のものとする、そういうような扱いをしないと融資が受けられない、それを救済するためにそういうものを認めようということが現になされております。
 それを日本でも取り入れるかどうかということは、実は会社更生法の審議の中でも議論をされました。ただ、議論の中で幾つか指摘をされたことは、まず第一に、再建支援融資の債権、これを保護するというのが現実に問題となるのは会社更生手続が不成功に終わった場合。成功してしまえば別にどの債権もそれなりの満足が得られるわけですので問題がないわけです。ですから、結局それが問題になるのは破産手続に移行した段階であります。
 そうしますと、破産手続の中でその債権をどう扱うかということになりますし、そうなりますと、破産手続の中で扱われる他のそれぞれの債権との関係、それを実体法でどう決めているか、こういうこととも当然関連いたします。そうしますと、会社更生法の中だけで検討するということには無理があるのではないか、こういう指摘がございました。
 それからまた、我が国で再建支援融資というものが認識をされ出したのはごく近年のことでございます。そういう実際としての実例もそう多くない、こういう段階で、実効性のある制度的手当てとしてどのようなものが必要かということが見きわめられるのか、こういう御指摘もありました。
 また、再建支援融資を活発にするというのは、単に更生手続法あるいは破産法の保護の程度だけではなくて、金融のあり方とかビジネス慣行とか、そういうものとも関係するのではないか、こういうようないろいろな指摘がありまして、少なくともこの会社更生法の検討の中でこれについて結論を出すというのは難しい、こういうことで、今回は会社更生法の改正作業の中では扱わないとしたわけでございます。
日野委員 もう一つ、DIPファイナンスと同時に問題だなと言われている部分に、いろいろな財産権の証券化が進みますね。その証券が転々流通している場合の、その証券を持っている債権者に対する取り扱い。それから、私、これはどうなんだろうと思ったのは手形です。手形も転々流通して、そして提示されたとき、その保全がなされたときに、これは交換所の方ではどう取り扱っていくのか。こういう幾つか、ちょっと考えざるを得ないなと思う点があるんですが、いかがでしょう。
房村政府参考人 手形のことは、これは手続が始まりますともう不渡りになってしまいますので、ちょっとおきまして、おっしゃった証券化の場合でございます。
 これは一般に、そういうファンドになるようなものを持っている、例えば債権であるとか不動産であるとか、そういった証券化の対象になるものを持っているところが、いわゆるSPC、特定目的会社にそれを譲渡いたします。そして、その代金を受け取る。SPCの方では、その対象物件から上がる利益をもとにいたしまして証券を発行して、上がる利益で利払いなり償還なりをしていく、こういう仕組みになります。
 問題になりますのは、証券化したところが会社更生手続が始まった場合に、その証券所有者がどうなるかということが多分問題だろうと思います。一般的に申し上げますと、証券化のスキームがきちんとしている限りは証券を持っている人はSPCから償還あるいは利払いを受けるということになりますので、その証券を持っている人については直接的には会社更生手続は影響を及ぼさない。SPCと証券化した会社との間は、会社更生手続の中で債権債務関係があればそれが解決を図られていくということではないかと思っておりますが、これもいろいろな仕組みがありますので、私どもとしてもさらに勉強を続けて、今後問題があれば必要な対応策を考えていきたいというぐあいに思っております。
日野委員 では、今度はいよいよこの法律の中身に入っていきます。
 私が関心があると言ったのは、まず、債権者がその債権の権利圧縮についていろいろ心配する点、それから手続の簡略化ということが債権者を害しないかという点、そういった点なんかに非常に私としても関心を持たざるを得ないわけですが、まず、管財人のところについて伺いましょう。六十七条三項になりますか。
 管財人については、取締役でも百条一項の適用を受けることのない者は管財人になれることになりますね。そこで、ちょっと伺いたいんですが、大体そういう百条一項の適用以外の者の典型例というのはどういうことが想定されているわけなんでしょう。実務上、わかりやすいようにひとつ。
房村政府参考人 従前は、管財人の欠格事由については特段の定めがなかったわけでございます。ただ、運用としては、会社更生を申し立てた会社の現役の取締役の人たちは管財人にしない、こういう扱いがほぼ確立していたわけでございます。
 ただ、中には、例えば会社がおかしくなって支援企業からその会社に送り込まれまして再建計画を立てる、それに従って会社更生の申し立てをするというような場合もあるわけでございます。そういう場合には、会社がおかしくなったことについて当然その取締役として責任があるわけではありませんし、また、再建のためにわざわざ選ばれた人材でございますので、能力的にも管財人として必要な能力を満たしているということがあろうかと思います。裁判所としても、従来のあれからすればその人が再建の中心になったというようなことからすれば、管財人に選ぶということが場合によれば望ましいということもあろうかと思いますが、従来の扱いでいきますと一律にそういう方を選ばないとしておりましたので、今回、そういう方は選んでも問題がないということを明らかにするという趣旨も込めまして、欠格事由としてこういう規定を置いたということでございます。
    〔園田委員長代理退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
日野委員 会社更生法は民事再生法と並行して置かれているわけですね。ですから、私は、民事再生法の処理方法と会社更生法の処理方法というのは本当は同じようなものの方が望ましいんだろうと思っているんですよ。民事再生法の方はいわゆるDIPの方式をとっている、つまりそれまでの取締役やなんかがそのまま居残ってやっている。これはいろいろな問題があることはわかりますよ。モラルハザードになったりなんかするというのはわかるけれども、民事再生法でやっているところに会社更生法の手続がぱっとかかってくれば、民事再生法の方は手続がとまっちゃうわけですね。そして、会社更生法の方に移っていくわけなんです。そういった点もありますからここらは同じように進めたらどうかと思うんですが、管財人の選任の仕方というのはDIPの方針を受けたものなのかどうか。
房村政府参考人 実は、会社更生法で民事再生法と同じようなDIP型、すなわち従前の取締役が原則として残って経営を続けるということをとるかどうかということも大分議論されました。
 民事再生法をつくるときには、アメリカにおいてこのDIP型が広く用いられている、日本においても、現経営陣がすべてかわらなければいけないということが利用の妨げになっているという声もありましたし、特に中小企業につきましては、その経営者、その人だからこそ経営が成り立つというような場合が多い。こういう指摘を受けまして、民事再生法では、従来の会社更生法の考え方とは違う、申し立て時の現経営陣が原則としてその経営に当たるという手続をつくったわけでございます。ただ、そういう現経営陣に問題がある場合もございますので、それは管財人を選任するあるいは監督委員を選任するということを再生法では行っております。
 会社更生法についても同じような仕組みにすべきではないかという御意見もございました。ただ、御指摘のあったモラルハザード、特に会社更生法の場合には、担保権まで持っている人たちに対しても、その権利が場合によれば減免を受ける、こういうような強い制約を課す、その場合に現経営陣がそのまま会社に残るということにしてしまうと債権者の理解、協力が得られないのではないか、こういうような指摘が非常に強かったということから、基本的には従前の、やはり裁判所の任命する管財人に会社の経営権と財産の管理権を与える、それを裁判所が監督するという体制を維持しようと。
 ただ、別にDIP型そのものを採用するわけではありませんが、従前の経営陣の中にも、経営責任がない、しかも今後の会社の更生のためにその能力がぜひとも必要だという人もいるだろう、そういう人を少なくとも管財人に任命する道は用意しておくべきではないか、こういうような御議論がありまして現在のような規定になったわけでございます。
日野委員 私、この規定を見ておりまして、現在の大きい会社の取締役会の姿というものといろいろ比較してみるわけですね。現在の会社の取締役会というのは、取締役としてそれぞれ独立しているように書いてあるけれども、実際は独立していないんですわな。その中で、実際権限を持っている、力を持っている人はこの人、この人、この人、あとはその人に対する補佐役だとかお手伝いだとか、それから、特殊の技能を持っている人なんというのもいますけれども、そういう形になっているわけです。
 そうすると、これは数人選べるわけですから、何人かと、それから、ぞっくりその下についてくる百条一項に関係のない人たちで管財人集団をつくっていくとすれば、余り今の取締役会と変わらないものができ上がってくるんじゃないか、そんな感じがするんですよね。いかがでしょう。
房村政府参考人 現在の管財人の選任の仕方を見ておりますと、管財人は、もちろん会社更生のために経営に当たるという意味で経営的な能力が要求されますが、同時に、会社更生手続を進めている間は非常に法律的な諸問題が多いということから、法律的な能力も要求されます。
 そういうことから、裁判所においては、通常、法律家管財人と事業家管財人、これをペアで選んで、そのお二方の協力で更生手続を進めていく。そのお二方が中心となりまして、必要な管財人補佐等を使って手続を進めていくということになりますので、この規定が新たに設けられたからといって、会社の取締役の方々を大勢管財人にするというような運用というのは多分ないだろうと思っております。
日野委員 こういう場合、どうなんですか。管財人には何人か選べます、複数人。その人たちが、ではこの取締役会を構成していた連中は自分の部下として使っていきましょう、単なる従業員として使っていきましょう、こういうことが成り立つんじゃないですか、どうですか。
房村政府参考人 現行法におきましても、管財人が選ばれますと、取締役会あるいは取締役の権限は、経営と財産の管理に関するものは管財人に移りますが、取締役としての地位は保っておりますので、管財人が管財業務の必要に応じて会社を支配しておりますので、その関係では、取締役が管財人の指示に従うということは現行法でも既に起きているわけでございます。
日野委員 それと、ここでちょっと伺っておきますが、DIPという考え方、これは、ある意味では魅力的な考え方でもあるわけですね。経済産業省の方はこのDIPについていろいろ御意見をお持ちだと伺ったんですが、どんな考え方をお持ちですか。
桑田政府参考人 今法務省の方からもお答え申し上げましたけれども、確かに、民事再生法上では、デター・イン・ポゼッションということで、従来の経営者の方が経営に参画をする。これは、中小企業におきましては、特に中小企業の経営者自身が能力を持っておりまして、それによって経営が左右されているということはあろうかと思います。片方で、大規模な会社になりますと、やはり一方ではモラルハザードの問題というものがございます。
 そういう意味で、経営の再建におきまして、経営者は緊張感を持って全力で経営の再建に当たるという観点に立ちました場合に、その企業の再建の中で、デター・イン・ポゼッションといいますか、従来の経営責任のない経営者の方々の知見も生かしながら使っていくというのは合理的なものであり、債権者の支持を得るということがもし可能であれば、そういう考え方もあるのではないかというふうに思っております。
日野委員 では、今度は、取締役の責任がここでは問われているわけですね。それで、取締役の責任ということを考えてみますと、この改正案には、九十九条の一項一号、そこに、会社の役員の責任に基づく損害賠償請求権を保全するための当該役員の財産に対する保全処分、こう書いてある。似たような規定は旧法にもあるわけですね。
 ところが、旧法は、いろいろ、こんな場合、こんな場合と書いておいて、そして、及び損害賠償の責任、こうなっているわけです。ところが、それを切っちゃって、この改正法の条文では、ずばり損害賠償請求権、こう来るわけですな。この間の違いはどういう違いなんですか、というのは、私、答えは大体想像がつくんです。ただ、この間、会社の役員の責任の追及というのは非常に厳しくなった、それをこれは反映して、何かここに意図があるのかな、こう考えるものですから、あえてお尋ねします。
房村政府参考人 御指摘のように、改正前の七十二条では非常に細かく書いていたものを、今回の九十九条ではごく簡単に書いておりますが、内容的には全く一致しております。やはり商法上の責任ということでございますので、その点については全く変わっておりません。
日野委員 取締役の責任というのは、コーポレートガバナンスに関する意見が非常に闘わされるようになって、そして取締役の責任の内容も変わってきました。そうしますと、ここで保全ということを言っている場合、いわゆる商法上の責任、これは、故意、過失がある場合、過失についても、重過失か軽過失かによって違ってきますわな、それから経営責任、まあ債務不履行か不法行為かわからぬけれども経営責任と、いろいろなケースが考えられるんですが、まず、これは経営責任について規定したものと考えてよろしゅうございますか。
房村政府参考人 経営責任という言葉にもよるわけですが、ここで規定しておりますのは、商法二百六十六条に基づいて取締役等が負う損害賠償義務のことを意味しております。
日野委員 非常に重い責任ということになります。それを実は裁判所はどう取り扱っていくかということになると、これは決定でやれるんですな。決定でやるということになると、条文にも書いてありますが、疎明、審尋、これによって決定する、こうなっている。もちろん、後には裁判手続がありますよ。しかし、この決定手続も、裁判までいかないで終わってしまうと、これはちゃんとした執行力を持って、債務名義になるわけですね。そこまで決定で決めるには対象が重過ぎるんじゃないか。疎明、審尋、それから決定ということは一人の裁判官でもできることになりますかな、そういうことでいいんだろうかという思いが私はちょっとするんです。
房村政府参考人 この取締役等の損害賠償請求権に対しまして、査定という決定手続で責任追及ができる、こういう仕組みは、今回の改正前から措置されております。
 これは、やはり会社更生に至るような場合、しばしば、取締役等が違法行為を行って、その結果、更生のやむなきに至ったという場合があり得る、そういうことから、この会社更生手続の中で、その原因となった取締役等の責任をできるだけ迅速に明確化したい、こういう要請から認められているものでございます。また、会社更生手続では、当然、その会社の状況等についての資料が豊富でありますので、また、その責任判断に必要な資料も集まりやすい、こういうことも加味されているかとは思います。
 そういうことでこのような手続が認められておりますし、また、その査定に対して異議のある場合には訴えによることができますので、保護に欠けることはないと思うわけでございます。
日野委員 さっきも言いましたように、コーポレートガバナンスの議論が非常に進んで、取締役の責任というのは非常に重くなったんですね。だから、旧法と同じ文言だからといって、同じ内容だとはちょっとこれは言えないと思う。その質的な重さがかなり違ってきたというふうに思うので、そこのところははっきりしておく必要があるだろうな。これから実務を行っていくについて、それから現在会社の経営をやっている人たちに対しても、経営責任というのは非常に重いものですよ、会社更生手続に乗っかったにしたって、あなたたち、責任を問われることになるんですよ、しっかりやりなさいよという警鐘を鳴らしておくということは非常に大事だというふうに私は思います。
 では、一時間十分というのは余り長くないので、次の論点に移りますが、まず、債権者の権利を害しないようにというのが私の念頭にあることです。それで、関係人集会というのは、今度は原則任意ということになっちゃった、こういう選択肢を選んだ理由を端的に述べてください。
房村政府参考人 会社更生手続の対象となります大規模会社、特に上場会社のような場合、債権者あるいは株主含めて、関係人が非常に多数に上るという場合がございます。そのような多数の方を集めて集会を開こうといたしましても、まず場所の確保から問題になるというくらい集会を開くことが困難であるという実情が指摘されております。
 また、それだけ多数の方になりますと、集会を開いても集会としての機能がおよそ果たせない。集会というのはやはり、一堂に会してお互いに十分な議論を尽くして、そして問題を見つけ解決策を探っていくということですが、余りにも多くの方が集まりますと、そのような集会としての機能を果たすことが難しくなる、こういう場合があり得るということをいろいろなところから御指摘を受けて、裁判所において、そういう各会社の実情に応じて集会を開く、あるいは集会を開いたのではとてもまとまらない、まとまらないと言うとおかしいのですが、集会としての機能が果たせない、こういうような場合には、集会にかわるもの、書面による決議というようなことも活用できる、そういう仕組みを考えまして、今回任意的なものとしております。
日野委員 任意にしたという、今おっしゃった説明というのはよくわかるんです、私も。しかし中には、自分としてはこう言いたいんだ、こういう主張をしたいんだ、しかしなかなかできないという人たちもいるので、こういう人たちを救済するといいますか、そういう人たちの意見をちゃんと聞いていくというメカニズムというのもやはりないと私はいかぬと思うんですね。そういうメカニズムの用意はありますか。
房村政府参考人 まず第一に、関係人集会をやはり開いてそこで意見を言いたい、こういう希望がある場合があり得ますので、百十四条で、管財人、あるいは例えば更生債権者委員会が構成されていればそのような委員会、こういう一定のものに関係人集会の招集の申し立て権を与えております。これがある場合には関係人集会が必要的に開かれる、こういうことになります。
 それから、従来の関係人集会で必要的とされておりました第一回関係人集会、これは、会社更生手続の開始に至った事情を報告し、利害関係人が会社の業務及び財産の状況について意見を述べる、こういう目的で開かれるものでございますが、これについては、任意的にいたしました関係で開かれない場合には、これに備えて、開かないときであっても、管財人はこの財産状況報告集会に報告すべき事項と同一の事項を記載した報告書を裁判所に提出しなければならない、こういう規定を置きまして、あわせて総則で、閲覧、謄写の規定を整備いたしましたので、関係人はその報告書を当然に見ることができる、こうしております。
 さらに、これは法律には書いてございませんが、裁判所規則において、財産状況報告集会が開催されない場合には、管財人は関係人説明会を開催する、あるいは財産状況等に関する報告書の要旨を利害関係人に送付するなどの情報提供のための適当な措置をとらなければならない、こういう規定が設けられる予定になっております。現に、民事再生法におきましては、民事再生規則の六十三条にそういった趣旨の規定が置かれておりますので、それと同趣旨のものを置く。このような種々の配慮をいたしまして、関係人集会を任意なものとすることによって関係人が不利益をこうむらないように配慮をしているところでございます。
日野委員 財産状況報告集会、これが開かれるという場合はまあいいんだが、これもまた関係者が多いとなると、これも開かないで、そして、じゃ文書か何かで何らかの方法でお教えしましょうと。これはどうも裁判所の規則のところに行くようですな。裁判所、ここはどんなふうになるか、見通しつきますか。まだ審議会やらないとだめですという話が出てくるんだろうと思うけれども。
千葉最高裁判所長官代理者 委員御指摘の問題は、法制審議会の倒産法部会でもいろいろ議論がございまして、そういう状況を踏まえまして、報告集会を開かない場合の代替措置につきましては、必要な規則を設けるという方向で考えてございます。
 具体的には、財産状況についての報告集会が開催されない場合に、今法務省の方から御説明がございましたけれども、民事再生規則の規定に倣いまして、集会で報告すべきこととされている財産状況に関する報告書の要旨を知れている更生債権者及び株主等に周知させるために、報告書の要旨を記載した書面の送付や関係人説明会の開催などの適当な措置をとらなければならない、こういう規定を用意してございますが、そのほかに、労働組合等に対しても、この報告書の送付、説明会の日時の通知、そういったものを行うという方向で規則の内容を検討しているところでございます。
日野委員 私心配するのは、この債権者委員会ですね。百十七条第一項になりますが、私は、これを開いてというのも一つの方法であろうということは認めます。しかし私、これはそんなに厳格な規定でもないし、場合によってはこれが恣意的に流れるということもあるんじゃないかと思うんですね。
 債権者委員会では、委員の数が三人以上で最高裁規則で定める人数以内であることとか、一項一号、二号、三号とこうあります。この規定を見ると、「更生債権者の過半数が当該委員会が更生手続に関与することについて同意していると認められること。」過半数なんですな、そんなふうになっていたり、また第三号では、「当該委員会が更生債権者全体の利益を適切に代表すると認められること。」なんという、これはどうやってそこの担保はあるのよと、私なんか意地悪な目で見ればそう言いたいようなのがずっと並んでいるわけですよ。これが恣意に流れない担保というのはあるんですか。
房村政府参考人 今回、この更生債権者委員会等を設けることといたしましたのは、やはり、会社更生手続が円滑に進み、適切な更生計画が樹立される、こういうためには、更生債権者を初めとする関係人が手続に積極的に関与して、その意見を言っていただくということが必要である、こういう考え方からこの更生債権者委員会を設置することとしたものですが、御指摘のように、我が国において企業の倒産処理に債権者が積極的に関与する伝統が乏しい上に、いわゆる整理屋というようなものが介入するという例もありますので、この更生債権者委員会をそういうことに利用するおそれも考えられなくはありません。
 そのために、御指摘のように、要件を法律に書きまして、更生債権者の過半数が同意している、また更生債権者全体の利益を適切に代表する、こういうことが認められる場合に委員会として裁判所が承認するという仕組みをとっておりますし、この承認につきましては、裁判所は利害関係人の申し立てあるいは職権でいつでも承認を取り消せる、こういうことをしておりまして、この更生債権者委員会の活動が債権者のためにならないということであればいつでも取り消せる、こういうような措置も講じておりますので、御懸念のような事態は避けられるものと思っております。
日野委員 善意に期待したいということになりますな、最終的には。
 それで、私もっと気になるのは、いわゆる代理委員なんですね。ここについてはもっともっといろいろ聞きたいんだが、代理委員を選任することを裁判所が勧告して、勧告しても選ばないときは職権で選任をする、こうなっているわけですな。これは前の規定にもあったわけだが、余り利用されてこなかったわけです。
 それで、この代理委員というのは、特に銀行なんか多数の預金者がいるというような場合、金融庁、どういうふうにこれはなさるおつもりなのか。実務上のこともありますから、大体ああなるんだなというのはわかりますけれども、実務上の指針としてもひとつ教えてください。
西原政府参考人 金融機関の場合ですけれども、先生おっしゃいますように、預金者という大変たくさんの債権者がおります。したがいまして、いざこういう処理を行っていく際には、これをどういうふうに扱うかということでその進行度合いが変わってくるということにもなるわけですが、更生特例法の方におきまして、預金保険機構が預金者のいわゆる代理としてその行動をするというようなことになっておりまして、倒産手続を円滑に進めるというようなことになっております。一方で、預金保険法の方におきましても、預金者がその倒産手続のもとで配当を受けるというようなことを待つまでもなく、預金保険機構にその預金債権を買い取りをしてもらうというような形で、預金保険機構がかわってそれ以後の行動を行っていくというような仕組みもあわせて講じてございます。
日野委員 ペイオフの一千万円を超える部分はどうなりますか。
西原政府参考人 これは、ペイオフ解禁後ということかと思います。
 ペイオフということになりますと、ペイオフの対象になるものにつきましては、元本について一千万、それとその利息というものが保護される。それは最低保証ということでございます。それで、それを超える部分につきましては、実際のところは、いわゆる破綻金融機関の財務の状況、財産の状況に応じて支払われていくということになりますので、そのケース・バイ・ケースで、どれだけ焦げついているか、その状況によって変わってくると思います。
 したがって、一概には言えないんですが、できるだけ早く、早期発見して早く手を打つことによってそれがほぼ満額に近いような形で戻ってくるというような形になろうかと思います。
日野委員 もう一問。代理委員と同じような役割を、保険機構はその一千万円を超える部分についても果たしますかということ。
西原政府参考人 その面では、同様の機能を果たすということになろうかと思います。
日野委員 時間がなくなっちゃったんで、これからがちょっと脂っこいところに入ろうかと思っていたんですが、法案八十三条で時価主義をとるということになりましたね。
 この時価で苦労して苦労している人たち、みんな時価で苦労しているんですね、この倒産関係をやるときは。旧法の考え方では、評価基準が不透明だとか、個々の資産と企業継続価値がどうもよくわからぬとか、いろいろな批判があったことはよくわかっております。しかし今度は、時価とは何かということで、同じような悩みを悩むんじゃないかと思うんですよ。不動産なんかは一物三価ですわな。時価というのは一体何なんだと。ここのところはどういうふうに決めるつもりです。
房村政府参考人 今回、財産の価額の評定につきましては、八十三条で御指摘のようにこれを時価としております。
 その時価とは何かということですが、これは、いわゆる市場で、特に売り急ぎとか買い急ぎとか、そういう状況なしに形成されるそのものの適正な値段、こういう理解でございます。
 一方、従前の、会社が継続するものとしてという継続価値、これについてはまたいろいろな考え方がございまして、特に、会社全体の継続価値ということになりますと、会社が上げ得る収益を予測しまして、それに基づいて収益還元法で会社の全体としての価値を算出し、それを各財産に割り振っていく。この財産に割り振るときには、収益に対してその財産がどれだけ貢献したかということを考慮して決める、こう説明されておりまして、実際上非常に複雑な、しかもわかりにくいという指摘を受けていたわけであります。
 時価にいたしましても、もちろん、理想的ないわば一種の市場を考えて、そこでの適正な価値ということでございますので、一義的に明確ということではありませんが、従前の継続価値に比べれば、やはりそこはわかりやすい。商法における通常の物の評価がまさにこの時価で行っているわけでございますので、会計的にも評価が容易ではないか、こういうぐあいに考えております。
日野委員 商法三十四条も、これはいろいろ価額の決め方が書いてありますな。流動資産はどうだ、固定資産はどうだ、債権はどうだ、それがいろいろ書いてあるわけで、私は、この時価についてはもっともっといろいろ議論しなくちゃいかぬだろう、こう思います。
 そして、特に私が心配なのは、最高裁なんですよ、まことに失礼だがね。市場において形成される時価というようなもの、これをうまくきちんとつかまえて最高裁の規則に載っけてもらわないと、これは実務が動かないということになってきたりなんかするんじゃないかなという心配もありますし、特に担保物の価額ですな。これは売ったときにならないと現実化しないわけですからね、時価はなんぼでございますなんて言っていたってそんなもの役に立たないわけですわな。そういういろいろな点で心配はありますので、そこいらは万遺漏なきを期したいな、こう思います。
 ほかの省庁も来ていただいて、もっと聞きたいこともあったんだが、漏れてしまったところはひとつお許しください。
 終わります。
佐藤(剛)委員長代理 次に、山内功君。
山内(功)委員 民主党の山内でございます。
 まず、今回の会社更生法の改正案が出たということは、現行の法律にどういうような問題点があったからなんでしょうか。
房村政府参考人 基本的に申し上げますと、会社更生法というのは、担保権者あるいは優先債権者、株主、こういったものすべてを取り込んでおりますし、また、更生手続の中で会社の組織再編の行為も行う、こういう非常に強力な力を持ったものでございますが、それだけに非常に時間がかかる。そういう意味で、一番強く主張されましたのは、会社更生法の手続が時間がかかる、こういうこと、使いにくいと。それに比較しまして、平成十一年につくりました再生法、これは非常に使いやすいという評価をいただいております。
 そういう意味で、今回の改正の主眼は、まさに今申し上げたような会社更生法の基本構造を維持しつつ、再生法のような使いやすさ、あるいは迅速さ、これをいかに取り込むか、こういう観点でやったものでございます。
山内(功)委員 しかし、最初、法制審議会での審議の過程では、会社更生法に関しては、議論が少し煮詰まらない、スローテンポの議論だったような報告も受けていますが、審議の過程でどんな点が具体的な争点になっていったんでしょうか。
房村政府参考人 今回、平成八年の十月以来、倒産法制をずっと法務省は検討してきているわけでございます。当初の審議は、御指摘のように余り会社更生法は中心になっておりません。それは、当時、日本の倒産法制を全般的に見直すということの中で、緊急度が高いのはやはり会社更生が余り対象としていない中小規模あるいは個人の再建手段、これがその当時和議法しかございませんでしたので、これの整備がやはり緊急課題だろう、そしてそれに次いで、そういった個人の再生、そして清算手続の基本である破産法、こういったものに問題が多いという認識からそちらが先に議論されたわけでございますが、その後、審議を進めていくにつれまして、会社更生法についても相当大幅に見直さなければいけないということになりまして、会社更生法について今回のような大幅な改正をお願いすることになったものでございます。
 この会社更生法の法制審の審議の中で大きく議論が対立したような点でございますが、まず第一に、先ほどから出ております、更生会社の取締役に更生手続開始後も事業経営権、財産管理処分権を認めるかどうか、いわゆるDIP型を認めるかどうかという点が相当議論をされました。それから、更生会社の財産の評定及び更生担保権の評価の基準、これをこの改正法では時価としておりますが、時価にするのかあるいは処分価額にするのかというような点をめぐって相当議論がなされました。また、更生計画認可前の営業譲渡について株主総会の決議を必要とするかどうかという点も相当議論された点でございます。あと、可決要件としては、特に更生担保権者の議決権五分の四を四分の三と今回緩和しておりますが、この点もそうするかどうかという点で相当の議論がなされました。
 以上のほか、今回取り上げた多くの点が議論されたわけでございますが、そういう審議を経まして、ともかくこの国会に改正案をお願いしているということでございます。
山内(功)委員 最高裁にお聞きしますが、会社更生申し立て事件の事件数の推移とか平均審理期間、あるいは再生申し立て事件と対比しての顕著な特徴とか、そういうものがございましたら教えてください。
千葉最高裁判所長官代理者 事件数の関係でございますけれども、会社更生事件の申し立ては、平成十三年でいいますと四十七件、今年度は九月末まで八十六件の申し立てがされておりますが、民事再生事件は非常に多くて、昨年度は千百十件、大ざっぱに申し上げますと毎月百件程度の申し立てがある、こういう状況でございます。
 審理状況につきましては、先ほど申し上げましたが、会社更生事件につきましては、現状では、申し立てから開始決定まで平均で約四カ月、開始決定から更生計画案提出まで二年、開始決定から認可まで二年三カ月という期間でございますが、民事再生事件につきましては、これは大規模な地方裁判所十三庁で法施行後二年間に申し立てがあった事件についての調査でございますが、申し立てから開始決定までの期間は一カ月弱、それから、開始決定から認可決定までは約六カ月ということで非常に速くなっている、そういう結果が出ております。
山内(功)委員 そごうの企業再建についても民事再生手続を使って再建しているわけですから、会社更生手続を使いやすくするという今回の改正が必要性に乏しいのじゃないかという議論もあるようなんですが、その点はどうでしょうか。
房村政府参考人 御指摘のように、そごう、大規模な会社でございますが、これは民事再生法を使って成功しております。そういう意味では、民事再生法は一応中小企業を念頭には置いておりますが、大企業が使ってうまくいく場合もございます。
 ただ、民事再生法は、先ほども申し上げましたが、担保権つきの債権であるとか優先権のある債権あるいは株主、こういったものは手続の外に置いておりますので、大規模会社で担保権者が非常に多数いる、しかもその間の意見が一致していない、こういうような場合に再生手続で再生をするということは非常に困難でございます。そごうの場合には、実は、私的整理が先行しておりまして、担保権者のほとんどの同意を得ていた、こういう背景事情がありましたから民事再生手続でも再生が成功したということでございまして、そういう特別な事情がない、多くの関係者がいて、しかも意見が違うというような大企業が再生手続を利用するということはやはり難しいだろうと思います。現実にも、最近、民事再生手続の申し立てを行った相当の大きな会社が、うまくいかずに会社更生手続に移行しているという例も相当数見受けられますので、やはりそういう限界はあるのではないかと思っております。
山内(功)委員 昨年の更生申し立て事件数が四十七件で、ことしが九月までで既に八十六件にも上っているということ、そして更生法の改正案が強い効力を現行の法律に比べて付与しているということからすれば、会社更生法案というものをもっと早く国会に提出するべきだったんじゃないですか。
房村政府参考人 そういう御指摘を受けますと私どももなかなかつらいわけでございますが、実は、先ほどから申し上げておりますように、日本の倒産法制は非常に複雑で古い、破産、和議、会社更生、特別清算それから会社整理と五つの手続がありまして、これはいずれもその母法となっている法律も違いますし、制定の時期も違います。そういうものが複雑に絡み合っている上、いずれも全面的な見直しがなされていない、こういう状況にあったものですから、倒産法制全体を見直すべきではないか、こういうことがありまして、平成八年の十月から法務省として日本の倒産法制を全面的に見直すという作業を始めたわけでございます。
 当初は、いずれも関連いたしますので、全体を一括して改正しようということで作業を進めておりましたが、その後、バブル経済崩壊、不況の長期化、それに伴って倒産事件がふえる、こういうような事態が生じましたので、時間をかけて一括して改正するよりも緊急度の高いものから順次やっていく、こういう方向転換をいたしまして、そのまず第一弾として平成十一年に民事再生法案をお願いし、翌年の平成十二年には個人再生を中心とする民事再生法の一部改正、それから外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、こういうものを行ったわけであります。
 引き続き、残っております会社更生と破産法の検討作業を鋭意進めてきたわけでございますが、これはいずれも二百条を超す相当大きな法律でございます。これの検討作業を精力的に進めたつもりではございますが、やはり相当時間を要しまして、今回何とか見直しの終わった会社更生法をまずお願いをしまして、これの次に、可能であれば来年の秋の臨時国会には破産法をお出しする、こういうことで一通り倒産法制の全般的な見直しをしたいと考えているところでございます。
 御指摘のように、もっと早くできればということもありましょうが、私どもとしては精いっぱい頑張ったつもりでございますので、よろしく御審議のほどをお願いいたします。
山内(功)委員 それでは、DIP制の問題について質問をさせていただきます。
 会社更生というのは、まず原則として、倒産に至らせた無能な取締役を全員排除して、管財人が債務の極端に減った企業を、そして優秀な労働者の皆さんを残して企業を再建していくという手続だと思うのですが、そういう原理原則からすると、DIP制というのはちょっと会社更生法にはなじまない制度じゃないかと思うのですけれども、どうですか。
房村政府参考人 原則として管財人による管理の方法をとるか、あるいは経営者が引き続き行うかということは、制度の立て方としてはありますが、どのような考え方をとるにしろ、会社をおかしくした、御指摘のような無能な人をそのまま置くわけにはいかないわけでありまして、DIP型をとりました民事再生法におきましても、現経営陣にそのまま経営を続けさせたのでは問題がある場合には当然管財人を選任できる、こういう手続も用意しております。
 そういう意味では、現に経営に当たっている人は、会社の内情に非常に詳しい、あるいはその業界の事情に明るい、こういうようなメリットもございます。しかし同時に、従来の会社がおかしくなったことについて責任がある場合も相当数あるだろうと思います。そういうような事情を考慮して、制度の立て方として、現に経営に当たっている人の能力をどこまで生かすのか、あるいは、モラルハザードなどを考えて原則として交代してもらうという制度をつくるのかというのは、それは考え方の問題だろうと思います。
 アメリカにおいては基本的にDIP型を採用しております。ただ、日本は、やはりそういう意味では、中小企業におきましては経営者の方の能力がかけがえがない、こういう場合が多いということを考慮しまして、私どももDIP型でお願いしたわけでございますが、会社更生につきましては御指摘のような問題もございますので、また、大規模な会社になりますと、経営者の個性ということが中小企業ほど強くは影響しないということも考えまして、やはり今回も管財人を選任するという形を維持したということでございます。
山内(功)委員 しかし、経営責任を問われるか問われないかということの中には、法律上損害賠償請求をされる取締役ということだけではなくて、道義上悪い、あるいは社会的にあの人は責任を問われるべきだという取締役もいると思うのですが、査定の決定を受けるおそれがあるかないかというのはなかなか難しい判断じゃないのでしょうか。
房村政府参考人 今回、査定を受けるおそれのある取締役は管財人に選任できない、こういう規定を置きましたのは、これはいわば欠格事由でございます。
 ですから、欠格事由がないから適任だということでないのはもちろんのことでございまして、私どもとしては、こういう方は絶対できない。そうでない、査定を受けるおそれがないとしても、じゃ、管財人として適切かどうかということは、これは当然裁判所が御判断になるわけでありまして、おっしゃるような道義的責任あるいは経営的責任がある方については、仮に管財人に選んだ場合には、債権者等の理解が得られないということもありましょうし、そういう点は裁判所において適切に判断されるというぐあいに思っております。
山内(功)委員 この法律は、一年たったらどんどん返済計画を立てて返済をしていきなさいよと、テンポアップを図っていますよね。そうすると、優秀な管財人を探すというのが急がれると思うのですよ。優秀な管財人というのが更生会社のいわば生命線だと思うのですね。事業管財人が見つからないから、安易に、えい、もう従前の取締役を管財人にしてしまえというような考慮が働かないのか、心配するのですが、その点はどうですか。
房村政府参考人 御指摘のように、会社更生が成功するかどうかというのは、やはりひとえに適任の管財人を探せるかどうかということにかかっていると言っても過言ではない。もちろん、関係者の協力がなければ、いかに有能な管財人を選んでも成功はしませんが、やはり、何といっても管財人の役割が大きいだろうと思います。
 それだけに、裁判所の方も慎重に管財人を選んでいるわけでございますし、今回の会社更生法においても、調査委員に調査命令を出し、あるいは監督委員に管財人として適任かどうかということの報告を求めるというような手段も用意しておりますし、そこは従来のノウハウも培っていることと思いますので、今後とも裁判所において適切な方を選べるのではないか。
 特に今回、東京と大阪というような、管財人に有能な経験の深い方を選べるところに競合管轄を認めたというようなことも、管財人に有能な人を選べることを助長するのではないかというぐあいには思っております。
山内(功)委員 法務省はそういうふうに言われると思うのですが、それじゃ、実務上、裁判所の方はどういうような人を管財人に選任しているのか。
 例えば、破産管財人についてはリストをつくっているということを聞いたことがあるのですけれども、更生管財人も、法律管財人と事業管財人がいるし、必要なわけですから、そういう人たちを適切に選任することができるのかということを少し危惧しているのですが、どうですか。
千葉最高裁判所長官代理者 破産事件におきましては、件数が非常に多いということもありますし、管財業務の中心は財産の換価でございまして、事務内容も定型的な面が多いということで、あらかじめ候補者のリストを作成して選任をするというやり方をしております。
 これに対しまして、更生事件につきましては、これは一般的に言いますと、法律管財人も事業管財人もどちらも同じ問題があるのですが、法律管財人におきましてもやはり企業経営という面がかなり管財業務の重要な面を占めてきております。それとやはり会社の業務内容や規模、事件の個性に応じた管財人を選任する、こういうことが重要になってくるわけでございます。さらに、管財業務の処理には、高度な法律知識はもちろん必要ですけれども、経営的な観点からのノウハウも必要ですし、税務や会計などの知識も要求される。おのずと、選任される範囲というのは狭まってくるわけでございます。件数も少ないということもございます。現実には、東京、大阪のようなところは特にそうでございますけれども、過去に管財人あるいは管財人代理として実績のある人、そういう人を承知しておりますので、そういう人から選任をするというやり方をしております。
 事業管財人につきましては、これもリスト的なものはつくられていないわけでございますけれども、これもやはり企業経営はさまざまでございまして、適任者も業種や規模によって異なるわけでございますので、あらかじめそういうものをリストとしては持っていない。
 さらに、事業管財人の場合には、スポンサー企業を見つけまして、そこから派遣されるという場合がほとんどでございますので、あらかじめリストアップするということにもなじまない。そういう形で、実際上は、スポンサー企業を選ぶというのは大変な作業でございますけれども、事業管財人を選ぶのに大変苦労するということはそれほどないのではないかというふうに考えております。
山内(功)委員 更生申し立てをされれば、株券はパアになる、債権額は例えば十分の一に減らされる。これから弁護士の数も多くなって、アメリカ型の訴訟社会になるんじゃないかと思うのですよね。ですから、いつどういう時点で責任を追及する内容証明が来たり、訴訟が提起されたりするかもわからない。そういう状況で、腰の落ちつかない経営者が管財人になった更生会社は不幸だなと私は思うんですけれども、例えばそこに労働組合があったり、あるいは、いわば引っかかってかりかりしている債権者、そういう人たちも、取締役の経営能力とか手腕、そういうものについてはかなりの能力を持っておられると思うのですけれども、そういう人たちに意見を聞くという手続規定は必要ないのでしょうか。
房村政府参考人 まず、二十二条に、裁判所は、更生手続開始の申し立てがあった場合、原則として労働組合の意見を聞くということになっております。
 更生開始決定をする場合には当然に管財人を選任しなければなりませんので、その前の段階で労働組合から意見を聞く場合には、労働組合としては、管財人として適当な者についての意見も言えるということになっております。
 それから、債権者についてはそういう事前の意見聴取の定めはございませんが、開始決定後、第一回の財産状況報告集会が開かれれば、その場で管財人の選任について意見を言うことができます。また、この集会が開かれない場合には、書面で裁判所に意見を言うことができる。
 こういうことで、いずれにいたしましても、管財人の選任については裁判所に対して意見を言う機会は保障されております。
山内(功)委員 それでは、次に、会社更生法の申し立ての要件の中に、更生の見込みについては不要としたということ、そして、更生計画によらない営業譲渡を認める制度を設けたことによって、乱用的な申し立てというんですか、ためにする申し立てがふえるんじゃないかというおそれはないんでしょうか。
房村政府参考人 まず、今回、更生手続開始の要件を緩和いたしまして、更生の見込みの有無を裁判所の判断対象から除外をしております。そういう意味では、それだけ開始決定が容易になってくるということがございます。しかし、これは、手続を開始して、その後の手続の各段階の中で更生の見込みについては判断をして、その見込みがないことが明らかになった場合には会社更生手続を終了させる、こういうことを考えているわけでございます。
 入り口を狭くするということではなくて、入り口は広げるけれども、手続の中で迅速にその見込みを判断していこう、こういう考え方でございますので、特に、開始の要件から更生の見込みの有無の判断を除いたということから、乱用的な更生手続開始の申し立てがふえるということはないだろう、こう考えております。
 それから、営業譲渡の点でございます。
 更生計画によらない営業譲渡を認めるといたしましたが、これは、専ら更生計画によってのみ行うものとすると、その時期を逸して、かえって利害関係人の利益を損なう場合もあるということから、更生計画によらない営業譲渡を認めることとしたわけですが、この場合にも、営業譲渡によって利害関係人の利益を不当に害することのないように、裁判所の許可を必要とする、こうしておりますし、また、裁判所は、営業譲渡の許可をする場合には、債権者、労働組合等の意見を聴取しなければならない、こういう規定を設けておりますので、これらによって営業譲渡の許可の適正さは担保されると考えております。
 したがいまして、今回、更生計画によらない営業譲渡を認めましても、これを利用しようとして、乱用的に更生手続開始の申し立てをするということはないだろう、こう考えております。
山内(功)委員 それじゃ、裁判所は、営業譲渡を許可する際に、具体的にはどのような基準で判断するのですか。
房村政府参考人 これは要するに、更生に必要かどうかということになるわけでございます。
 営業譲渡は、先ほども申し上げましたように、本来は更生計画でやるというのが原則でございますが、これを貫きますと、会社の更生申し立てによりまして営業が非常に早期に劣化してしまう、計画を立てるころには営業譲渡の対価が非常に低いものになってしまう、こういう場合があり得ることを考えまして、早期に営業譲渡を認めようというものでございますので、裁判所としては、営業譲渡の許可に当たりましては、営業譲渡を早期に行わなければならないのかどうか、すなわち、営業譲渡を待っていたのでは非常に劣化してしまう、そういう事情があるかどうか、こういうことを当然判断することになります。また、具体的になされる営業譲渡の対価等が相当なものかどうか、こういうことを判断する。
 それらを総合いたしまして、早期に営業譲渡を行うことがこの会社の更生手続の目的を達するために必要なものなのかどうか、こういうことを判断して許可をするということになりますし、その判断のために債権者あるいは労働組合等の意見を聞く、こういう手続になっております。
山内(功)委員 更生計画によらない営業譲渡については、確かに労働組合の意見を聞くという規定はございますけれども、従業員が移動する、あるいは移動しないにかかわらず、まだ更生計画に沿った会社運営が行われていない段階での営業譲渡なわけですから、労働組合からの意見を聞くというにとどまらず、労働組合との協議を要件とするというふうには考えませんか。
房村政府参考人 営業譲渡を行うときに労働組合との協議を要件とすべきかどうかというのは、会社更生に限らず、一般的な問題でもあろうかと思います。
 特に、会社更生手続における営業譲渡を考えますと、営業譲渡というのは一般的に、営業秘密等の漏えいを防止するために、限定された範囲の者の間で交渉が進められる。しかも、更生計画によらない営業譲渡を考える場合は、当然、それを待っていたのでは目的が達せられなくなるほど資産の劣化、営業の劣化が速いという場合が想定されますので、迅速さが要求されます。
 そのようなことから、労働組合との協議を法律上の要件としてしまいますと、営業譲渡の迅速かつ円滑な実施を阻害することとなり、更生計画によらない営業譲渡を認めた趣旨を没却することにもなりかねない、こういうことを考えまして、特に協議を義務づけるということはいたしておりません。
 ただ、これは義務として協議を行わなければならないとしていないだけでありまして、管財人が労働組合との間で協議を行うということは当然自由にできることでありまして、営業譲渡を円滑に進めるために協議をするということは十分あり得るだろうと思います。そういう点で考えておりますので。
山内(功)委員 資料によれば、大体八割ぐらいの申し立て事件が大阪地裁か東京地裁に新受として係属をする。しかも、そのほかの二割のうちの幾らかの部分も、地方の裁判所から移送をされて大阪か東京で審理をされるということで、本社もない、従業員もいない東京地裁、大阪地裁で審理されるという事態も生じるわけですね。
 更生計画によらない営業譲渡の制度を設けることによって、使用人というか、労働者が更生会社では解雇される、そして、営業譲渡がなされた譲渡先でも雇用されないという事態も当然考えられるわけですから、そういう意味でも、組合との協議ということは大切な価値じゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
房村政府参考人 御質問の趣旨は、会社更生手続で営業譲渡がされる場合に、その雇用関係がどうなるのか、もとの会社を解雇されて、新しいところに雇われない、結局解雇されてしまう、こういうことがふえるのではないかという御懸念かと思います。
 営業譲渡がされた場合に、雇用関係や労働条件が法的にどのような影響を受けるか、この点については、裁判例、学説において見解は分かれております。
 ただ、実際にこれが問題になるのは、営業譲渡に伴って承継される雇用関係の対象から特定の使用人を排除する、そういうことが許されるかどうか、こういうことだろうと思います。それぞれの判例、学説の見解によりまして、法的な構成はいろいろ違ってはおりますが、どの見解をとりましても、このような場合に、原則として、合理的な理由もなく特定の使用人を排除することは許されない、こういう結論においては差異はないというところでございます。
 また、会社更生法案において、更生計画によらない営業譲渡を認める制度を設けておりますが、これについても、既に先ほど来御説明しておりますとおり、厳格な手続を要求しているところであります。
 そういうことから、更生計画によらない営業譲渡及び更生手続開始後の使用人の解雇は裁判所が選任した管財人が行うということ、あるいは、管財人が行う使用人の整理解雇については、判例等で確立しております通常の整理解雇の場合と同様の労働者保護のための規制が及ぶということについて、これは確立した考え方となっておりますので、更生計画によらない営業譲渡の制度を設けることによって不当に使用人の雇用が失われるという事態が生ずることはないと考えております。
 また、労働組合の意見を聞くために裁判所に義務づけているということ、あるいは管財人が任意に行うということは何ら妨げられない、こういうものを総合すれば、現行の制度でも特段不都合はないだろう、こう考えているところです。
山内(功)委員 それから、労働債権の問題については、社内預金、いわゆる預かり金、これが現行法に比べて労働者にとってはちょっと損な規定になっているわけですけれども、この社内預金について、都道府県の労働基準局や監督署に、企業が倒産することによってどんな苦情が来ているのかということ。それから、まだ事業所数としては二万五千社ぐらい全国で社内預金制度を採用しているようですけれども、この社内預金の範囲を削減していくというような方向は考えておられるのかどうか。あるいは、社内預金については、預金額に上限を設けるなどの対策を私としては検討すべきだと考えるのですが、そういうような方向性について、厚生労働省、お願いします。
青木政府参考人 社内預金についての相談、申告については、都道府県労働局あるいは労働基準監督署にはほとんど相談、申告は来ておりませんけれども、社内預金について労働者から請求があったにもかかわらず労働者に返還をされないということで、過去三年間を見ますと、平成十一年には八件、三十一人の労働者の方、平成十二年には二十件、三百八十三人の労働者の方、平成十三年には十四件、労働者百二人ということになっております。
 社内預金につきまして削減の方向かどうかということでありますけれども、社内預金につきましては、これは事業主が労使協定を結んで貯蓄金管理をするということでありますので、なおかつ、労働者が任意に貯蓄をするということでありますので、どういう方向ということは特段厚生労働省として考えているわけではありません。
 しかし、いろいろな状況から、委員御指摘のように、順次、労働者数あるいは貯蓄金管理の事業所数は年々減じてきているところであります。
 社内預金の預金額について上限を設けることについてはどうかということでありますが、今申し上げましたように、社内預金というのは、導入でありますとか廃止でありますとかは企業の労使に任されているところでありますし、預金額の限度や預金の保全方式、保全方法等についても、労使協定で定めることが要件とされております。
 それから、今申し上げましたように、制度を導入した企業にあっても、社内預金を行うか否かということについては個々の労働者にゆだねられているということであります。社内預金は現在では労働者にとっては、一定の利率が確保されるということでありますので、有用な福利厚生の手段となっているという現状にもございます。
 そういうことでありますが、社内預金の運用等に現在大きな問題が生じているということでもございませんので、現状では社内預金額の上限を設けるということは考えていないところであります。
山内(功)委員 厚生労働省にもう一点だけお伺いしますが、ILO百七十三号条約において労働債権は租税債権より優位な位置づけがなされています。こういう厳しい経済状況の中で、倒産法制を初め諸制度の見直しがこれからも行われていくわけですけれども、厚生労働省としては、営業譲渡の際の労働者保護あるいは労働者代表の手続関与の問題、そういうものをひっくるめて、労働者保護全般の問題について、立法措置あるいは検討会を設けるなどして、そのあり方を含めて検討する考えは今後ないんでしょうか。
青木政府参考人 会社の分割制度が先般導入されまして、それに伴う労働契約承継法案の国会審議の際に附帯決議がございました。それを踏まえまして、委員御指摘の営業譲渡等の企業組織再編時における労働契約承継に関する諸問題については、立法上の措置を含めて、学識経験者から成る研究会において調査研究をしていただいたところであります。
 ことしの八月に研究会報告がまとめられまして、その報告においては、個別労働者の同意を必要とする特定承継である営業譲渡、そういう営業譲渡の法的性格からして、あるいはまた、債務超過部門の譲渡による不採算部門の整理等に活用されるという営業譲渡の経済的な意義というようなことからして、また、特定の営業に従事するというよりも会社に就職するという労働者の意識が強い我が国の雇用慣行というようなことから、そういった際の労働契約関係の承継について法的措置を講ずることは適当ではないと指摘がなされているところであります。
 一方で、研究会の報告におきましては、企業が再編を円滑に行うというためには、労働関係に十分配慮しつつ対応するとともに、労使間で十分な情報提供が行われることが必要であると提言し、企業再編に当たって、企業が講ずべき措置、配慮すべき事項等に関する指針を策定して、その周知を図ることが必要だというふうに提言をしているところであります。
 この提言を踏まえまして、厚生労働省としましては、今後指針の策定に向けて、労使、それから学識経験者から成る研究会を設けて、委員御指摘のようなことを踏まえて検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
山内(功)委員 未払い賃金立てかえ払い制度の拡充なども論点としてはあると思います。
 その提言は、二年前の提言ですよね。ですから、これから来年の国会での破産法の審議まで倒産法制について法制化がどんどん進みますので、その検討することをもっと前倒しで検討をしていただきたいと思っています。
 それでは、法務省と最高裁判所にこの処理体制の問題についてお聞きをします。
 東京地裁で昭和四十八年から平成十三年までに終結した会社更生の二百五十五件の減じられた借金を何年で返したかという弁済期間について、少し調べました。一割から二割ぐらいの事件数がまだ十五年以上二十年以下の弁済期間であった。というと、この改正法案ではくくれないことになるわけで、毎年の利益、返済原資を生む利益は少しずつしか稼げない会社であっても、全くつぶすには惜しいなという会社もあると思うんですね。それが十五年から二十年だったと思うんですけれども、そういう企業がちょっときつくなるんじゃないんでしょうか。
房村政府参考人 今回、更生計画に基づく債務の弁済期間を十五年といたしましたが、現時点において、更生計画に基づく債務の弁済期間が十五年を超えるような事件もなおある程度存在するというのは御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、現代の経済社会の変化のスピードにかんがみますと、現行法の定める最長二十年の弁済期間はいかにも長い。また、このような長期にわたる更生計画について、その遂行が可能であるか否かを的確に判断することも困難である、これは否定できないことだろうと思います。
 そこで、この会社更生法案では、現代の経済社会の実情に適合するように債務の最長弁済期間を二十年から十五年に短縮するということといたしましたが、他方、例外的に、弁済期間を伸長することにより清算価値を上回る弁済が可能になるなど、更生債権者等に特に有利なものとなるような特別な事情がある場合には、二十年を超えない範囲で弁済期間を定めることができるといたしておりまして、一律に十五年ということを押しつけているわけではございません。
 したがいまして、御指摘のような事件について、十五年を超える弁済期間を定めざるを得ないような特別な事情が認められるということであれば、この新会社更生法のもとでもそのような更生計画を適法に作成するということは可能となっております。
山内(功)委員 最高裁にお伺いしますが、最高裁としては、ことしの一月から九月までの事件数から見れば、例えば年末までに百件を超えるかもしれないぐらいの申し立て件数がふえてくる、事件数が増加しても十分対応していきますということを言われるんでしょうけれども、実際、裁判官や書記官の増員あるいは研修制度、あるいは弁護士や公認会計士の専門的な能力がますます要求されるようになる、そういう点などについてはどのように考えていますか。
千葉最高裁判所長官代理者 会社更生法の改正がされますと、手続の迅速化が図られるわけでございますし、更生計画の決議の可決要件も緩和されるということなどもございまして、ある程度事件数がふえてくるということは予想されるわけでございます。
 裁判所といたしましては、どの程度事件数が増加するかという予測はなかなか難しいわけでございますけれども、これまでも倒産事件の増加に対しましてはいろいろな対応をしてきております。繁忙庁を中心に、必要な人員の増配置、それから特定の裁判官や書記官を専属的に倒産事件の処理に当たらせる、そういう事務処理体制を充実させるなどをしてきたわけでございますし、パソコン等のいろいろな器具などの配付もしてきているところでございますが、こういう施策を今後とも続けていきたいというふうに思っております。
 現状でも既に八割程度の事件が東京、大阪両方の地裁に会社更生事件は集中している状況にございまして、今後ともまた、競合管轄が認められるということからすれば、さらにまたこれがふえてくるわけでございますが、そういう状況も踏まえて、これまでと同様に事件急増に対する対応を考えていきたいというふうに考えております。
 研修につきましても、裁判官の研修、書記官の研修、それぞれございます。司法研修所におきまして、判事補に対する倒産事件の処理についての研修のこまも用意してございますし、書記官研修所においてもそういう研修というものを考えております。
 それから、これは東京、大阪だけではないわけでございますので、全国の裁判所でやはりこういう倒産事件の処理にたけた裁判官をふやしていく必要があるわけでございますけれども、東京地裁あるいは大阪地裁での専門部での経験を持った裁判官が全国にいるわけでございまして、そういう人たちが情報提供、ノウハウの提供をしていくということにもなろうかと思います。
 そういう全体的な観点でこの事件増については対応を考えていきたいというふうに考えております。
山内(功)委員 会社更生手続の趣旨や内容についての周知徹底の図り方、あるいは施行に向けた人的、物的な基盤整備のために、法務省としてはどのようなことを考えていますか。
房村政府参考人 会社更生法は、非常に専門的でかつ複雑な手続となっております。これを全面的に見直したものですから、相当使いやすくしたつもりではありますが、なお複雑さは残っておりますし、全く新しい手続となっている部分も多いわけでございます。したがいまして、これが円滑に施行されるためには、これに関係する人たちに十分この手続を理解していただかなければならない。そういう意味では、御指摘の周知徹底ということは非常に重要なことだろうと思っております。
 この手続につきましては、基本的には一番大きな役割を果たすのではないかと思われる弁護士会の方々にその内容を十分理解していただくということが重要だろうと思っておりまして、弁護士会とも協力して、私どもとしてできるだけ早期に情報を提供し、多くの弁護士の方々にそれを知っていただく、また、社会一般にこういう新しい手続ができたということを周知することも同時に重要であろうと思っておりますので、その努力も続けていきたい、こういうぐあいに考えております。
山内(功)委員 時間が参りました。企業倒産がふえ続けている、残業時間もなくなる、リストラで収入の道が途絶える、個人破産の申し立てもふえ続ける。だから、何とか、技術とか優秀な労働者がある企業は、立派な管財人と協力的なスポンサーを得て生き延びてほしいと思っています。そういう会社更生法になることを期待して、質疑を終わります。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
佐藤(剛)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております両案審査のため、来る二十二日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤(剛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、明二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十九分散会

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