衆議院

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第29号 平成15年7月2日(水曜日)

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平成十五年七月二日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 山本 有二君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 園田 博之君 理事 吉田 幸弘君
   理事 河村たかし君 理事 山花 郁夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 石原健太郎君
      荒巻 隆三君    太田 誠一君
      左藤  章君    下村 博文君
      棚橋 泰文君    中野  清君
      中本 太衛君    平沢 勝栄君
      保利 耕輔君    星野 行男君
      保岡 興治君    吉川 貴盛君
      吉野 正芳君    鎌田さゆり君
      中村 哲治君    水島 広子君
      山内  功君    上田  勇君
      山田 正彦君    木島日出夫君
      中林よし子君    保坂 展人君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        増田 敏男君
   法務大臣政務官      中野  清君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   政府参考人
   (法務省大臣官房長)   大林  宏君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君
   政府参考人
   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月二日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     中本 太衛君
  後藤田正純君     荒巻 隆三君
  笹川  堯君     棚橋 泰文君
  不破 哲三君     中林よし子君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     後藤田正純君
  棚橋 泰文君     笹川  堯君
  中本 太衛君     小西  理君
  中林よし子君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 法務行政及び検察行政に関する件


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     ――――◇―――――
山本委員長 これより会議を開きます。
 法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房長大林宏君、刑事局長樋渡利秋君、矯正局長横田尤孝君及び厚生労働省年金局長吉武民樹君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村たかし君。
河村(た)委員 それでは、一番最初は、また同じことになるかわかりませんが、調活費というものですね、これをちょっと。これは後で木島さんが詳しい資料を出すそうで、そちらの方が詳しいと思うけれども。
 これは本当に、何か情報収集したんだけれども、どこにファイルしてあるんですか、まず。刑務所なり矯正管区なりが情報収集した、どこの机の上に置いてあって、どうやって整理されておるんですか。どこにあるんですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 調査あるいは情報収集というものは特定のセクションで行っているわけではございませんので、それぞれ、その調査、情報収集が必要なセクションにおいて集めた情報については、それぞれがそのセクションにおいて必要な方法をもって管理しているということでございます。
河村(た)委員 そんなもの、しかし、それぞれやっておるといって、全然だれも集約していないわけ、それは。
横田政府参考人 会計の問題でいえば、領収証とか会計手続書類、これはその担当のところで保管しているわけですが、情報そのものにつきましては、それぞれ担当のところで処理するところでございます。
河村(た)委員 担当のところでといって、何ですか、それは。それは矯正管区の、とりあえず矯正局の調活費を今やっていますけれどもね。何ですか、ばらばらに集めて、話す機会もないの、それじゃ。みんなで集まって、どういう話であったとか。会議はないんですか、まず、そもそも。
横田政府参考人 その扱いはいろいろあろうかと思います。もちろん、全体でその情報について協議をすることもあるでしょうし、また、その管区なら管区の中の特定の部署だけで処理されることもあろうかと思います。それはあくまでも、どういう情報が必要で、どういう情報を得て、そしてそれをどのように活用するかという問題だというふうに思います。
河村(た)委員 少なくとも会議はやるわけね、必ず。一人で情報を得て、それでさようならということはないわけですね。必ず報告するわけですね。
横田政府参考人 手続としては、担当者から取扱者という形で、さらに取扱者から責任者へということで、報告はされるということになっております。
河村(た)委員 では、その報告はどういうところに残っておるか教えてくださいよ、だれの机の上にあるとか。どうなっておるか。紙に書いてあるのか。何ですかね、これは。どういう状況で残っておるんですか。話し合って終わりですか。何も記録に残さないというんですか。どちらですか。
横田政府参考人 どういうイメージでお尋ねかちょっとわかりにくいんですけれども、あくまでも情報としては、報告書あるいは調査関係の書類という形で形としてでき上がっているでしょうけれども、後はそれをその担当のセクションが管理するだけであって、報告等は、別段、文書によってするとかあるいは口頭でしなければならないとかいう形にはなっていないというふうに思います。
河村(た)委員 そうしたら、報告書とかあるわけね、一応。少なくとも、あんたがこれを調べてくるか、私が調べてきますと。それで、後、報告も何もなしということではない。
 だから、そこの会議か何かわからぬけれども、矯正管区なら矯正管区のどなたかのところでどうだったと集約はする、意見を聞く、帳面に残す、そこまでは間違いないですね。
横田政府参考人 帳面に残すということがまたどういう御趣旨のお尋ねかわかりませんけれども、口頭報告であればそのまま形は残りませんけれども、それぞれの記憶に残るということだと思います。(河村(た)委員「最後、小さい声でわからなかった」と呼ぶ)
 帳面に残すということについてはちょっとどういう御趣旨でお尋ねかわかりませんけれども、先ほど申し上げましたように、調査結果につきましてはしかるべき報告という形ではなされますので、それがどういう形でかというのは、口頭の場合には形は残らないということであります。記憶に残るということですね。(河村(た)委員「記録にはない」と呼ぶ)記憶ですね。
河村(た)委員 記録に残っておるものはありますね、それなら。
横田政府参考人 記録ですね。
 情報という形での記録という趣旨であれば、例えば調査書あるいは報告書という形をつくればそれは残るということになります。
河村(た)委員 つくればいいって、それはほとんどつくってあるんでしょう。言いっ放しなんですか、それとも。あるんでしょう、それは。
横田政府参考人 ちょっと整理をさせていただきたいんですが、先生がお尋ねになっていらっしゃるのは、情報提供者からの情報そのものについての記録という御趣旨なのか、その情報提供を受けた担当者がその上司あるいは関係者に協議するあるいは報告をするといったときの記録を指していらっしゃるのか……(河村(た)委員「両方、両方」と呼ぶ)両方ですか。
 私、先ほどから申し上げておりますのは、担当者が所要の情報を得る、あるいは調査をするというときに、その情報というのは文書の形をもって手に入れるということがあるということですね。それは形として残る。それは特定の場所で保管しているのではなくて、それぞれ必要とするセクションが処理をしているだろうというふうに考えます。
 それから、報告の形態ですけれども、その報告の形態として、文書で報告をしているのか口頭で報告しているのか、その点、私、逐一確かめたわけではありませんけれども、恐らく、推測としては、多くの場合、口頭でしているんじゃないかというふうに思います。もし文書があるとすれば、つくったとすれば、それは文書として残るかもしれませんということです。
河村(た)委員 まあどっちにしろ苦しいですな、これは。多分これは、残念ながら真実と反しておるんではないかと思わざるを得ぬですけれども。
 黒塗りで出してくれということがいかぬのだったら、それじゃどういう形式で、次までで結構ですけれども、今言ったように、情報が上がってきた、その情報はどういう形式で、どこに保存されているか。ないし、その後、では所内で話し合わないかぬわな、これはどっちにしろ。
 担当者が何か情報を集めました、それでさようならでは、それは税金使ううちに入らぬじゃないですか、これは。だから、それは少なくとも会議があったと思います。そこで、じゃ、何件ぐらい会議があって、どういう情報が何件ぐらい、何件というかどういう形式で、じゃ、どういうふうにファイルされておるか、その辺を、そのくらいなら報告してくださいよ、幾ら何でも。
横田政府参考人 どうも私の答えが先生のイメージにちょっと合っていないような気がするんですが……。
 申し上げたいことは、先生は、必ずファイルがされているんだとか、それから、報告をすればそれが文書に残るんだという前提でどうもお尋ねになっていらっしゃるように私ちょっと理解するのですが、しかし、それは必ずしもそうではないということを先ほどから申し上げているわけで……(河村(た)委員「そうではないんだったら大変な税金の使い方ですよ」と呼ぶ)いやいや、情報そのものを得て、使っていることについては間違いないわけですから、それは決して税金のむだ遣いということではないと思います。
 ただ、問題は、それがどういう形で保管され、あるいはどういう形で協議あるいは報告をしているかということですけれども、それはいろいろな形態があるでありましょうということを申し上げているわけです。
河村(た)委員 では、その形態を報告してくださいよ。
横田政府参考人 形態については先ほど申し上げたとおりでございますが。
 ですから、文書という形をつくっているかもしれませんし、あるいは口頭で報告をしているかもしれないということで、個別について私詳細はちょっと存じ上げませんけれども、恐らくそういう形で処理されているでありましょうということです。
河村(た)委員 では、次の委員会まででいいですから、そこのところの形態を報告してください、次までに。
横田政府参考人 形態ということをおっしゃいますけれども、後でまたよく、先生がどういうことをお知りになりたいか、ちょっと私理解が十分できていないものですから、また協議をした上で、必要な措置をとらせていただきます。そういうことで御了解ください。
河村(た)委員 何かようわかりませんけれども、私も何でようわからぬのかがわかりませんが。
 そんなもの、普通、調べりゃ何らかの、それはどこかに集まって何とかするということですから。いや、そうやってしてくれぬと、それは税金かけたんだからあかんですよ。これは税金ですからね、事は。そんなの、ただだれかに払いました、情報を集めたらしい、ああ一人で処理しておるなと、こんなのだめですよ、これは。それはだめですよ、局長、そういうことは。そういう処理はだめです。
横田政府参考人 決して私、一人で集めて一人で処理して税金のむだ遣いをしているというふうに申し上げたつもりではございませんので。
 いずれにしましても、私の理解不足かもしれませんけれども、どういう形態を先生が想定していらっしゃるのか、ちょっと私のあれとそごしますので、それはここで時間をとるのもいかがと思いますので、後でまた、先生の御意見を伺いながら考えたいと思います。
河村(た)委員 余り先生、先生言ってもらっても、そうあれでございますので、議員河村さんぐらいで結構でございますけれども。先生というのは余り感じがいいことないんですけれども。
 まあしようがないですわ。それじゃ、また相談するということでね。まあしかし、次の国会ぐらいには、相談を受けて何らかの報告をしていただけるように期待しておりますけれども。
 では次は、この刑務所の中に売店がありますわね。この売店の、この間もちょっと質問しまして、途中で終わりましたが、名古屋刑務所で、きょう皆さんのところへちょっと資料が配ってありますよ、「矯正協会の物品販売事業の収益の使途」ということでね。これはきのう法務省から持ってきていただいて、これはまたもうちょっとさらに詳しくということになっておりますけれども、一応きょうはちょっとさわりの段階でございますけれども。
 途中で、二段分のところから「名古屋刑務所分」とありますわね、これ。名古屋刑務所分、粗利一千万。この使途の前に、まずこれ、収容者の皆さんが買うわけだな、これは。私もこの間、名古屋拘置所によく伺いましたので、そこの横にここの売店があって、女性が御販売なされて、物品販売されておる。それで、このお金は、来た方もそうですけれども、家族も含めて、収容者の主に御家族が買われる。となると、やはりそれで利益というか、名古屋でいうと一千万も利益が出るというんですよ。それを、まあ運動会とか職員の何とかですね、こういうものに使うというのは本当にええもんかね、これ、まず基本的に。
 こういうものならこういう、看守さんやら職員の方がいろいろ、福利厚生もこれは大事だと思うんだけれども、それはそれでちゃんと予算措置なりするのかなんなりすべきであって、少なくとも、収容者の方でも、お金持ちの方もお見えになると思うけれども、一般的にはなかなかそうではないと思われるんだけれども、そういうような人から物を売ってもうけて、それを職員が使うようなものなんですか、まずこれ。その分値段を下げて、やはりちょっとでも、御苦労されておるところですから、経済的なものも大きな人権ですよね、受刑者の人権ですよ。その彼らに、そういうことで値段をちょっとでも安くして報いるべきではないかと思うんだけれども、どうですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 この表に書きましたように、その収益の一部が、これは矯正協会の収益ということになりますけれども、それが最終的には協会の事業としてこのような形で使われているということでございます。
 それで、最初のお尋ねですけれども、おっしゃるとおり、確かに刑務所の売店を利用する者、そこで物品を買う者は主に受刑者でありますし、あとは、面会に来た家族、知人、その他の人、あるいはその職員ということになります。確かに、受刑者の経済的負担においてこのような収益が生じているということは事実でございます。
 問題は、それが不当な利益であるかどうかということでありますけれども、この点につきましては、私どもといたしましては、不当な価格で販売するという批判を受けるようであってはならないと思いますし、委員がおっしゃるような趣旨で今後とも矯正協会に対する指導をしてまいりたいと思っております。
河村(た)委員 何か趣旨でということは、まあ余り詰めぬ方がええのかな。詰めて、すべて何もなしになってまうといかぬけれども。まあもうけぬようにするということですか。
横田政府参考人 端的に言えば、不当にもうけている、受刑者から収奪している、そのような批判を受けるようなことがあってはならないと考えているということでございます。
河村(た)委員 本当にこれは、ちょこっとばかりじゃないんです。名古屋刑務所で、皆さん見てほしいんだけれども、一千万、粗利と書いてあるんですよね、これ。一千万ですからね、なかなかでございますよ、これ。だから、それぞれ物品も若干高いぐらいですかね、ちょっと調べましたら。全品目にわたって見ておりませんけれども、高いと思います。
 ここで一千万ありますので、まず基本的な発想として、この受刑者の皆さんの負担で職員ないし職員の皆さんの経費に充てるということは、それは一遍考え直していただく、その基本的な発想、こういうことでいいですね、局長。
横田政府参考人 要は、不当な収益、利益を上げているかどうかということに尽きるのではないかと思います。
 矯正協会だから全く利益なしにしろということでも私はないと思いますし、問題は、矯正協会がやろうと民間の人がやろうと同じことだと思いますけれども、やはり一般的に言って不当に高い、町で一般に売られているものと比べても不当に高くて不当にもうけている、場所的な問題だとかいろいろなことを考えても、やはりそれは不当だと言われるようなことがあってはならないということだと思います。
 現状は、確認しましたところ、いずれにしましても、それぞれメーカーが指定しているいわゆる定価を超えるような価格で販売していることはもちろんございませんし、これは個々の判断の問題でございましょうけれども、現時点でこれが不当に高いと言えるかどうかということについては必ずしもそうではないんじゃないかとは思っていますけれども、先ほど委員がおっしゃったような趣旨もございますし、今後も引き続いてこの価格の点につきましては見ていって、そして必要な指導をしてまいりたいということでございます。
河村(た)委員 それで、じゃ、そのお金の使い道というのが、これはまた後で再度出していただくということだけれども、これは一千万あって、Gということで、還元分ということで、名古屋の管内ですか、これは五百万使って、あと本部に五百万を戻すというような格好なんだよね。これは本部に戻った中で、本部の職員というか、矯正協会というのは何人、これは給料をもらっておって、どういう方がなっておるんですか。
横田政府参考人 矯正協会の職員ですが、全体で約百十名いるということでございます。
河村(た)委員 どういう人がなるんですか、これ。給料をもらっておる人ですよ。
横田政府参考人 職員は大勢おりますけれども、全く一般の方から採用した者もおりますし、それからいわゆる矯正のOBという人もおります。
河村(た)委員 内訳はどんなものですか。
横田政府参考人 全体の内訳、申しわけありません、今手元に資料がございませんので、後ほど確かめておきます。
河村(た)委員 きのう夜ちょっと遅くなったけれども言っておいたけれどもな。いやいや、あなたの横におる方に、夜、言っておいたがな、わし、何人ぐらい天下りがみえるかといって。名前を言ってもいいけれども、名前は感じが悪いのでやめておきます。
 天下りは何人ぐらいおるんですか。わかるでしょう、百十人のうち。
横田政府参考人 確かな数字が必要ですので、後ほどまた調査の上お答え申し上げます。
河村(た)委員 これはだめだ、ちょっと電話かけてもらおうか、今。では、ちょっと悪いけれども、これ、すぐ電話してください、すぐわかるから。ちょっと中断させてくれる、これ、ちょっとだけ。すぐ電話かければわかるもの。(発言する者あり)はい、すぐわかる。
山本委員長 矯正会館。(河村(た)委員「ええ、ちょっと、きのう言ってあるから。すぐわかる」と呼ぶ)
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
山本委員長 速記を起こしてください。
 矯正局長。
横田政府参考人 済みません、正確な数を今確認していますけれども、今手元にある幹部の名簿といいますか資料によりますと、三十名ぐらいがOBになっております。
河村(た)委員 幹部というのは、どういう意味ですか。それなら、幹部は全部OBですか。
横田政府参考人 いわゆる役員ですね、理事クラス、それから事務局長あるいは部長、それから事業部の中のそれぞれの部長、そういったような人たちを一応幹部と考えております。部長職以上ということですけれども。(河村(た)委員「全部OBですか」と呼ぶ)はい、そうです。
河村(た)委員 これは、もう一回ちょっと考えますと、名古屋拘置所もそうですけれども、名古屋刑務所で何か物品を売っているわけね。それは多くの場合、経済的にも御苦労されておる受刑者の皆さんの負担で、それでもうけたといいますか、お金が名古屋で一千万あって、そのうち五百万を本部に入れる。そこの幹部、部長級ですか、全部OBだと、これ。
 まずこれは何を仕事しておるんですか、三十人も部長がようけおるんですけれども。毎日朝から晩まで何をやっておるんですか、この方は。
横田政府参考人 朝から晩までということで、概括的に一言で言うことは難しいと思いますが、それぞれ担当ごとに職務が決まっておりますので、その職務を担当しているというふうに理解しております。
河村(た)委員 それは仕事をやっておいてくれぬと困るけれども、何をやっておるんですかね。矯正協会というのは幹部が全国で三十人。これは本部で三十人だね。それぞれの矯正協会の支部というのがあるでしょう。例えば名古屋ならどこにあるんですか、矯正協会というのは。支部長というのはだれがやっておるんですか、例えば名古屋だと。
横田政府参考人 まず、先ほど申し上げた協会の部長職以上の幹部といたしましては、一名は関西ですけれども、そのほかは東京にある矯正協会の本部におります。
 それから、支部長でございますけれども、これは全部、それぞれの施設長が矯正協会の支部長になっております。
河村(た)委員 名古屋はだれがやっておるんですか。
横田政府参考人 刑務所長でございます。
河村(た)委員 刑務所長が兼務しておって、そこは、じゃ無給になるんですか。矯正協会は無給。
横田政府参考人 無給でございます。
河村(た)委員 三十名の給料というのは、これはOBですね。OBというと、何か僕の聞いた話では、これは所長ぐらいやらぬとなれぬのだという話を聞いて、これはなかなか立派な方しかなれぬのだと言っていますけれども、大体所長ぐらいのOBですか。それで、給料はどのくらいもらっておるんですか、大体。
横田政府参考人 それぞれ、いわゆる施設長ですね、所長以上といいますかを経験した人がなっていると聞いています。
 それから、部長以上の平均の給与ですが、約七百万円と聞いています。
河村(た)委員 それで、何年ぐらいお勤めになられるんですか、退職まで。
横田政府参考人 一番高い、最高といいますか、六十五歳と聞いております。
河村(た)委員 六十五歳まで。六十から六十五まで。
横田政府参考人 一般的にはそうですね。その前からなる人もいるでしょうけれども、大体六十五が上限だと思います。
河村(た)委員 大体充て職になっておるんですか。どこどこの方が、名刑の所長がやめられるとこういうふうになるとか、大体そういう感じですか、同じような。
横田政府参考人 大体ということですが、一般的にそういうケースが多いと聞いております。
河村(た)委員 退職金というのは、これはどうなるんですか。理事長も含め退職金、矯正協会やめるときに。
横田政府参考人 今ちょっと手元に資料ございません。また後ほどお答えできると思いますが。
河村(た)委員 それでは、それは後ほどですが。
 三十名おられて、三十名も要るんかね、これ。何をされておるんですか、まず。
横田政府参考人 矯正協会は約二万人の会員を擁する組織でございまして、いろいろなセクションに本部も分かれておりまして、例えば総務部とか、福祉部とか、文化部とか、事業部とか、あるいは附属中央研究所とか、いろいろございますけれども、それぞれ定められた事務分掌に従ってその事務を処理しているということでございます。
河村(た)委員 支部長は施設長をやっておるわけだね、これ。例えば名古屋なら名刑の所長がやっている、ということになれば、まあちょっと言えば全部わかりますがね。矯正協会の会員というのは、これは職員でしょう。だから、本部で三十人もおって、何をやっておられるんですか。座っておるだけの人もおりゃせぬかね。どうですかね。毎日来ておられますか。七百万円というとなかなかの給料ですよ、これは。なかなかですよ。その原資が何しろ売店での収益金ですからね。
横田政府参考人 いずれも常勤でございますので、先ほど申し上げましたように、それぞれ担当する職務に日々従事しているということでございます。
 それから、原資が売店の収益だということでは、もちろん売店の収益も原資でございますけれども、多くは会費収入で、会員である、ほとんどが現職の矯正職員なんですけれども、その人たちが毎月支払う会費が最大の原資でございます。
河村(た)委員 一遍、これはそれじゃ次にやりましょう、もう一つ問題があるけれども。これはこれで一遍ちゃんと調べてもらって、どういう仕事をやっておられるのか。看守さんの、下積みでやられておる本当の、平のという表現はいかぬかわからぬけれども、そういう人からみんなお金を上げて、それプラス売店の、受刑者の皆さんの負担でと。そういうことで、禄をはんでおられるのは、これは幹部の方が、三十人だけじゃないね、おられるんだけれども、どういうふうに経理がなっておられるのか、これはぜひ次、きちっと報告してくださいね。
横田政府参考人 ただいまの点につきましても、委員がお知りになりたい点、確認の上で適切に対処してまいります。
河村(た)委員 それから、もう一個わからぬのは、これが何かようわからぬのですよ。一千万利益が出て、何かしら見ておるとわけわからぬのだけれども、最近年食ったか何か知りませんけれども。
 一千万のうち五百万は、還元分ということで地域でまず使うんですよね、これ。被収容者教化費ということとか福利厚生費、消耗品費、こっちでまず使って、そのあとを本部に出すというんだけれども、これは公益法人会計においても、これはたしか二つに分けているんですね、公益法人会計というのは。収益事業、物品販売は三十三品目に当たりますから課税されることになりますので、税の関係も、こんなふうに頭から五百万、地元でこういうので落としてしまってええかね、これ。これ、どうですか。
横田政府参考人 頭から落としている、形の上ではそのようにもとれますけれども、いずれにしましても、これは、税その他の分というものを計算に入れた上でこういう処理をしていることでございますが。
河村(た)委員 何かわしも、これ、ようわからぬのだわ。何かな、年食ったせいかな。これ、ようわからぬのだね。経費といっても、普通の物の販売にかかる経費を引いて、その後の利益に課税して、公益法人だと軽減税率が適用になります。その前に、みなし寄附ということで、たしか二〇%だったじゃないかな、みなし寄附ということでごそっと本体に、これは抜けれるんですよ。その残ったお金を、後、本体事業に充てるのはええですよ。どうも、これ、おかしいなと思うんだよね。これは監査受けておるわね、監査というか。税理士さんはおりますか。
横田政府参考人 税理士はいるということでございます。
河村(た)委員 その税理士さんは国税のOBじゃないですか。どうだ、わからぬか。
横田政府参考人 済みません、直ちにちょっとお答えいたしかねますので、それも確認しておきます。
河村(た)委員 いや、そういうことでちょっと疑問がございまして、ひとつここは、税のことは、当たり前ですけれどもフェアにやってもらわぬといかぬということで、私もずっとかねがね国税のOBの問題は厳しく追及してまいりまして、それは検察庁も同じに厳しくされましたけれども、ええところは御立派でございます。今回の名古屋八事案はいけませんが。そういうことでございまして、一遍ちゃんと調べてくださいね、その辺のこと。ちょっと答弁を。
横田政府参考人 調べておきます。
河村(た)委員 では、この問題はこういうことにいたしましょう。
 それから、今、名古屋刑務所で非常に勇気のある方がああいう無実の罪で苦労されておる、そういうことで、後の名刑が今どうなっておるのかということで若干質問したいんだけれども、何かこの間集会があって、何というんですか、いろいろな何か、三級集会というんですか、それの話でしょう、多分。そういう集会があって、そこで、ざっと退出をみんな、収容者がされた、こんなことはいまだかつてないことなんだという話を伺いましたけれども、これは事実ですかね。
横田政府参考人 委員がお尋ねの集会と申しますのは、平成十五年、ことしの五月二十四日土曜日の午前九時十分から十時十分ころまでの約一時間行われたものを指していると思います。
 これは、名古屋刑務所におきまして、行刑累進処遇令に基づくいわゆる三級の受刑者四百八十五名ほどを講堂に集めまして、これは三級集会というふうに呼んでいるそうですが、集会といっても、何かを協議したり決定したりとかいうことじゃなくて、そこに集まってお菓子を食べながらビデオを見るとかそのようなことをしている、一種の息抜きのようなものだというふうに聞いています。
 その集会を行っておりましたところ、ビデオが始まってから十分から十五分過ぎたあたりから、用便をしたいというふうに申し出る者が出始めた。それぞれの居室に戻って用便をさせるために集会からの途中退席をその者たちに認めた。そうしましたところが、ビデオが始まってから三十分ころまでの間に、菓子など食べ終えてしまった者たち約百五十名ほどが、順次、用便を理由に五月雨的に途中退出を申し出たということなので、ある程度の人員をまとめながら、それぞれ数回に分けて居房に戻したということだそうです。
 このときの状況ですが、途中退出した受刑者らが、意図的に集団で一斉に退出した、立ち上がって出ていったということは決してございませんで、個々の受刑者らがそれぞれ途中退出を希望し、そして結果的にこれが多くの人員となったということであります。
 なお、このいわゆる三級集会でございますけれども、名古屋刑務所では二カ月に一回行っているところでございまして、従来から、集会中に用便を理由に途中退出を希望する者がいた場合には、居房に戻してそこで用便をさせる。本年一月とそれから三月に実施された集会でも、それぞれ三十名程度が同じように途中退出をしたということがあったそうでございます。
 以上でございます。
河村(た)委員 百五十名退出した、こんなことは初めてなんですね。
横田政府参考人 過去にさかのぼって確かめてこなかったので断定的に申し上げられませんけれども、きのう確認した限りでは、ことしに入ってからですと、一月、三月が先ほど申し上げたように三十名程度ということですので、数が多かったということは言えると思います。
河村(た)委員 一月、三月の三十名と当たり前のように言われるけれども、そういうのもしょっちゅうあるんですか、それは。
横田政府参考人 やはり、用便をしたいと途中で申し出る場合、それは戻していくということでございますので、この数が異常に多いということにはならないのではないかと私は思いますが。
河村(た)委員 用便というと、講堂みたいなところですけれども、そこの中にはトイレがあるんじゃないですか。
横田政府参考人 ここの場所には隣接していわゆるトイレを設置していないそうです。
河村(た)委員 いや、私はあると聞いておるんですがね。
横田政府参考人 失礼しました。私の誤解でございまして、トイレはあるそうです、教誨堂を使っているようですけれども。
 ただ、そこでさせますと、規律維持の関係でちょっと問題が生じかねないということで、このような場合には、必ず居室に戻してそこで用便をさせて、そのまま居残るというか、そういう形にしているそうです。
河村(た)委員 この百五十人出ていかれたというんですが、これはどういう評価をされておるんですか。
横田政府参考人 数としては、先ほども申し上げましたように、従来からすれば大変多い数だということは間違いないと思います。
 ただ、それをどう評価するかということですが、取り急ぎ調査した限りで申し上げますと、先ほど申し上げたとおりで、一斉蜂起というと言葉は悪いんですけれども、つまり、そのような不穏な空気のもとでなされたというふうに現場の方でも感じておりませんで、結果的に、最初出だした人がいて、それにばらばら出ていった者が多かったと。いずれも用便が理由であったので、それは、生理的現象であるということであれば制限するわけにまいりませんので、戻したということだと聞いております。
河村(た)委員 その場合、首席とか統括とか何かみえるでしょう、現場に。何か当然言わないかぬわな。指揮されたか何かしたんですか、これは。
横田政府参考人 先ほど申し上げましたように、用便をしたいというふうに申し出ているわけですので、その点で特段何らかの規制を加えるということは、これはむしろあり得ないことではないかと思いますが。
河村(た)委員 それは、用便は当然の権利でございますので、権利というか生理現象でございます。しかし、過去ないことであって、そこの横にもあると。私は、実は本当は余り管理論者じゃなくて自由を最も大事にする人間なんです。だけれども、こういうときに、多分僕の推測では、皆さんが、今回ああいうふうにされた八名の方なんかは、厳しく処遇した人たちじゃないんですか。こんなことなかったんでしょう、過去。
 では、トイレはトイレで行ってもらわないかぬですよ。しかし、ある集会で、私どもの集会でもそうですけれども、四百八十五人の集会で、何か始まったら十分か十五分後にトイレに行きたいと百五十人も退出するというのは、一般の集会でも、これはなかなか通常はあり得ないですね。何も言わなかったんですね、これ。彼ら、本来といいますか、今の八名の感覚でいえば、それなりにきちっとした規律を保とうとした、こういうふうじゃないんですか。
横田政府参考人 先ほど申し上げたように、これを規制すべきものではありませんし、する必要もないことでございますので、ここでいかなる措置をとれということでお尋ねかよくわかりませんけれども、現場としては、それでいいという判断で、それぞれ許したんだろうと思います。
河村(た)委員 そんなむちゃくちゃなことを言って、それはトイレに行くことを禁止できないなんて当たり前ですよ、それは。そんなの受刑者の人権と言うまでもないんです、人間の自然の話で。
 これは何かおかしいということですよ、はっきり言えば。そのぐらい素直に言ったらどうですか。何かおかしくなっていると、刑務所内が。どうですか。
横田政府参考人 この一事をもって名古屋刑務所はおかしくなっているという判断は、私はしておりません。
 それから、その措置としても、もしこれで何らか規制をしたときにどういう反応があったかということを考えましたときに、この現場の判断として、これはこれで何ら問題なかったわけですので、それでよかったと思っております。
河村(た)委員 その近くにもトイレがあったことですし、一遍これももうちょっと詳しく調べてほしいんだ。実際というのはわからないですからね、これ。今まで長年、長年じゃないけれども、議論してきましたけれども、何かえらい抽象的な話で、刑務官がどうのこうのであったということで、やはりこういう実際の行刑の実情というのは大いに報告してもらってもいいので、ぜひ、もうちょっときちっと状況を調べてください。今までの比較とか。
横田政府参考人 この点につきましても、後ほど委員と、どの程度のことまで御報告を求めていらっしゃるのか確認の上で、適切に対処いたします。
河村(た)委員 それから、この間、二月ですか、制圧途中に、手錠はかけていなかったようですけれども、手で押さえておったところが、外したらけられて、顔にけがをした人があると聞いておりますけれども、それは本当ですか。
横田政府参考人 委員がおっしゃるような事実があったというふうに聞いております。
河村(た)委員 そこで指揮をされた方かどうかわかりませんけれども、いたのかいなかったのか、いたということだけれども、いないというのか、そういうような話があるということは何か御存じありませんか。
横田政府参考人 指揮をした者がいたということは聞いております。
河村(た)委員 では、そこもまたちょっと再度調べます。
 それから……
横田政府参考人 ちょっと私、先走りしたかもしれませんけれども、いたというのは、委員がお尋ねになりたかったことは、次席矯正処遇官がその場に来たかどうかということかと思いましたので、それは参りましたという趣旨でお答えしたわけ……(河村(た)委員「いたと」と呼ぶ)はい。途中からですけれども参りましたということでお答えしたつもりですので、その点、ちょっと誤解ございませんようにお願いします。
河村(た)委員 では、またそれは後で聞きましょう。
 それから、ちょっと、よく出てくる懲らしめ目的というものですよ。これは五月の事案も九月の事案も、懲らしめのために、懲らしめのためにと、懲らしめのために手錠を引っ張った、こうなっている。
 まず、懲らしめのためにというのは何ですか、これは。どういうことなんですか。では、官房長に。中間報告です。
大林政府参考人 お答え申し上げます。
 中間報告で、一連の名古屋刑務所事案の動機を、懲らしめの目的、このように認定をしております。
 懲らしめるとは、制裁を加えて懲りるようにさせることを意味するものだと思います。私どもの行刑運営に関する調査検討委員会では、刑事局から、これらの事案は、そのような目的で違法に暴行が加えられたものと認められる旨の報告を受けたことから、その趣旨で中間報告に記載したものでございます。
河村(た)委員 制裁を加えて懲りるようにするということですね。
 これは前に言いましたけれども、昭和五十七年二月三日、日本経済新聞夕刊、元検事総長の伊藤栄樹さん、私どもの母校の、なかなか尊敬されておる方ですけれども、ここのところで、最後のところに、「しかし、被害者側によるあだ討ちを禁じ、これに代わって国だけが犯人をこらしめることにした、それが刑事訴訟の本質である。」こういうように検事総長御自身が、懲らしめるんだと言っていますよね。これは同じ意味ですね。
大林政府参考人 先ほど申し上げたとおり、懲らしめるとは、一般的に、制裁を加えて懲りるようにさせる、こういうことを意味するものだと思います。
 ただ、私どもの中間報告で記載したのは、そのような目的で違法に暴行を加えたというふうに認められるか否か、こういう問題であろうかというふうに思います。
河村(た)委員 目的でといって、そんな、正当な目的じゃないですか。
 それでは、正当な目的なんですね、懲らしめ目的は。
大林政府参考人 今の伊藤元総長の記載について、ちょっと私、今の時点で見ていませんのでわかりませんが、私の推測するところ、懲らしめるというのは、例えば親が子供を監護するのも、懲らしめという問題が出てくるかと思います。
 私が中間報告で言っている懲らしめの目的というのは、先ほど申し上げたとおり、刑事局等からの報告によりまして、そういう目的でさらに違法に暴行を加えた、いわゆる刑事事件になったという意味で記載されていますので、伊藤元総長が書かれているその懲らしめ目的というのとは多少意味が違うかな、こういうふうに思います。
河村(た)委員 多少意味が違うって、その前段は全く同じじゃないですか。後で暴行を加えたと言っておるわけでしょう、目的は懲らしめるということで。一般的にそういうことでしょう、懲らしめるというのは。だから、検事総長が言っている「こらしめることにした」。刑務官というのは懲らしめるんでしょう。そうじゃないんですか。ただ、それはいわゆる刑の執行ということ、当然刑の執行に限ります。自由を奪うなり懲役にする、働かせるという意味ですけれども、それが懲らしめなんであって、これは一体何なんですか、懲役の懲とも同じ字ですけれども。
 では、今官房長が言ったのは、本当に、懲らしめ目的は正当だということですよ。そのほかに、違法に暴行を加えたというんでしょう。違法な暴行なんかありませんけれども、この場合は。どうですか。
大林政府参考人 議論が抽象的になって申しわけございませんが、懲らしめの目的ということは、これは世の中において正当な場合もあろうかと思います。
 ただ、私が申し上げているのは、それが目的であっても、その手段において違法な暴行が加えられたということになれば、その行為全体が違法になるわけですから、そういう意味において、懲らしめの目的ということで、その先を見ないとその判断はできないのではないか、このように私は思いますが。
河村(た)委員 先を見ないとわからぬようなものを、ここの場合は報告書ですから、罪刑法定主義と余り関係ないか、ないことはありませんが、これは大きいですよ。だから、あなた、大臣だって無給にしたんでしょう、皆さん。こんなわけのわからぬ、後でどうにもなるようなことで、こんな処分理由にわざわざ書いてもいいんですか。
大林政府参考人 お答えが同じになるかもしれませんが、懲らしめという、要するに、そういう、刑務官が職務において暴行陵虐に当たるような行為をしたということそのものが処分の問題になっているところでございます。
河村(た)委員 そうだ、懲らしめ目的はやはり要らぬかった、これはおかしいんだ、今の答弁はそういうことだよな。これはなかなかでかいですよ。官房長も、自分でわけがわからぬ、正直なんだ、こんなことはおかしかったと思っているんですよ。何が何だか、定義もできぬじゃないですか、これ、懲らしめ目的の。復讐目的とか金銭を奪う目的とか遺恨だとか、みんなありますよ、大体こうですと言えますよ。懲らしめ目的と、これは検事総長までが言っている。まずいことをしちゃったなと思っているんじゃないですか。
大林政府参考人 今回の事件につきましては、やはりこのような行為に出るそれなりの動機はあったんだと思います。それが一つとして懲らしめの目的ということであったんだろう、こういうふうなことでこのような表示をしたものでございます。
河村(た)委員 それなら、これは本当に無罪になっちゃうよ、その意思の面でも。そういうことだろう。
 それから、ちょっと次に行きましょうか。
 先日、理事の懇談会といいますか、ビデオを見たんですけれども、あれは、どこがあれでいかぬのですかね。いかぬといいますか、私も受刑者の人権を当然大事にしますよ。当然のことです。どうなんですか、あれ。どういうつもりですかね。
大林政府参考人 私もこのビデオを見させていただきました。全体的な、いろいろな証拠があるんだろうと思います。私が見ていて、これで職務行為かなということで、全体的に見て、これが正当な行為とはちょっと言いがたいんじゃなかろうかと。
 具体的に申し上げますと、職員が受刑者の頭部付近を足で踏んだり腰の上に乗ったりというような場面がございました。あるいは、受刑者が、悲鳴といいますか、声を上げている部分もありました。これの評価というのは刑事裁判で明らかにされるとは思いますが、私が見た感じではやや行き過ぎじゃないか、正直なところ、私はそんなふうに感じました。
河村(た)委員 腰の上に乗ったりと言いますけれども、じゃ、例えば、すごく暴れているときに、例えば、体で、上に乗って制圧するという、これはいかぬのですか、こういうことも。
大林政府参考人 委員おっしゃるような場合、いろいろな場合があると思います。制圧の仕方も、いろいろな形で、かなり強力な形で制圧せざるを得ない場合もあろうかと思います。
 私が見た感じ、これはもう私の個人の感想で申し上げているのですが、倒れている収容者の状態で、多人数が囲んでいる状態でございました。そのような状態でこのような行為までいかがかというのが私の率直な感想でございます。
河村(た)委員 その状況というのはわからないでしょう。あれ、状況わかりましたか。その前、何か十一分、ビデオ切れているじゃないですか、十一分。あれ、何なんですか。それがわからなくて、あなたはよく人を罪だと言えますね、これ。
大林政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、今回の事件が有罪であるか否か、違法か否かというのは、裁判を通じて明らかになると思います。ですから、委員おっしゃるように、私はビデオを見た感想でしか言えません。ですから、この行為が、起訴されて、有罪なのかどうかということまで私は申し上げておりません。私の率直に見た感じではいかがかと、行き過ぎではないかという印象を受けたということでございます。
河村(た)委員 その前の肝心なところは、いろいろな対応があり得るんでしょう、当然。何か、制圧についてはきちっとしたマニュアルあるんですか。どこを押さえてはならないとか、手で押さえるべきだとか、あるんですか、まず。
横田政府参考人 刑務官は、矯正護身術というもの、これは必須科目で訓練しておりまして、そのような訓練の中で、ここまでしていい、これ以上はだめだとかいったようなこともおのずから体得するわけですし、制圧の仕方というものについても、一定の仕方に従ってやっていると聞いております。
河村(た)委員 別にきちっとした、制圧は例えば手ですべしとか、そういうことはないですよね。
横田政府参考人 これはもちろん、あくまでもその場の相手の対応との関係で必要な、必要かつ最小限の力を加えるということだというふうに考えます。
河村(た)委員 そうなんですよ、その場その場なんですよ。その場の前の重要なところのビデオがないんですよ、今回。そんなものでよく判断できたということですよ。
 それからもう一つ、悲鳴が聞こえるわけですけれども、その前の四十二分間ビデオがないですね、これ。突然悲鳴が聞こえますけれども、ありませんね。
大林政府参考人 ビデオに映っていない部分があったことは委員御指摘のとおりでございます。
河村(た)委員 そういうことでございます。まことにひどいとしか言いようがない、これは。何遍言っても、起訴する方が残酷きわまるということです。
 ちょっと最後に、通告してある一問だけ。
 松本少年刑務所で、職員が来たら三つ指をついて御苦労さまですと言わないかぬということがあったやに聞いておるんです、平成九年から十年ごろ。
 私は何遍も言っておきますけれども、やはり当然刑務官もルールを守るべきで、いわゆる法律で決まったきちっとした制圧行為以外はいかぬしということですから、こういうこともちゃんと聞くんですけれども、こういうことはあったんですか。
横田政府参考人 お尋ねが五、六年前のことでございまして、当時の幹部も異動していることなどから、現時点ではまだ把握できておりませんでしたので、この点につきましても、調査の上、追って御報告申し上げます。
河村(た)委員 では、時間ですので終わりますけれども、ビデオに関しては、肝心なところが映っていないという非常に大きな疑問が残るビデオであるということだけ申しておきます。
 以上です。
山本委員長 石原健太郎君。
石原(健)委員 刑事局長と矯正局長にお尋ねしたいわけでありますけれども、刑務官にせよ警察官にせよ、他人に、職務上とはいえ危害を加え、腕力を振るってけがをさせたり死亡させるというようなことがあっては、これは絶対いけないことだとは思うのですけれども、まれにそういう腕力を使わなくちゃならない場合も起こると思うのですけれども、そのような御認識はお持ちでしょうか。刑事局長さんと矯正局長さん、それぞれお答えいただけたらと思います。
樋渡政府参考人 例えば、逮捕に赴いた際に相手を制圧するために相当な範囲内での実力行使をすることが認められることは当然でございまして、このような場合には、刑法三十五条によれば、「法令又は正当な業務による行為」として罰せられないというふうに考えております。
横田政府参考人 ただいまの刑事局長の答弁と同様でございます。
石原(健)委員 先般、今話の出ましたビデオを私も見させていただいたのですけれども、刑事局長や矯正局長もごらんになっておりますか。
樋渡政府参考人 最近になって見ました。
横田政府参考人 私も先週でございますけれども見ました。
石原(健)委員 これは矯正局長にお尋ねしたいんですけれども、あの場合のテレビに映されている場面は、業務上というか、仕事の上でやっているというふうな認識を私は持ったんですけれども、それが限度を超えているとか超えていないかは別にして、とにかく仕事の上でやっているというふうに理解しましたが、矯正局長はどんな感じをお持ちでしょう。
横田政府参考人 言葉の問題になりますが、仕事の上でというふうに言うことがどういう意味かということは難しくなりますので、私は、仕事に関連して発生した事件だというふうに理解しております。
石原(健)委員 それで、他の、広島とか東京の、広島は刑務所で東京は拘置所なのかもしれませんが、やはり受刑者の中には相当激しく暴れる人もいるわけなんですよね。さっきの官房長は、ちょっと行き過ぎの部分があったんじゃないかなんというふうに言っておられましたが、私は、他の刑務所の状況なんか見るときに、あの名古屋の場合は、映っている限りはそう行き過ぎていることでもないように見ましたし、他の理事の方も、これはそれほどのことじゃないじゃないかなんて言っている理事さん方もおられたわけなんです。
 矯正局長は、あの画面を見てどんなふうに思われたでしょうか。
横田政府参考人 これは私個人の意見ということでお聞きおきいただきたいんですが、私、あのビデオを見て大変ショックを受けました。これはひどいと思いました。
 なぜかといいますと、身動きできませんでした。通常、私が聞いておりますのは、革手錠といいますのは、自殺防止、それから暴行の阻止といいますか防止のためにするものであって、身体の自由は手の部分の自由が奪われるだけです。それが革手錠の使用だと私は思っておりました。
 しかし、あのビデオで見た受刑者は、革手錠で締められて身動きできませんでした。本当に、声もほとんど出ない状態と私は見受けました。しかも、吐いておりました。これはもう、よほど強く締めつけられていたから全く行動の自由を奪われていたわけで、先生、ほかの部分をごらんになったか知りませんけれども、次に映っていたのを私が見たときは、次の人は自由に立ち上がって動き回っておりました。本来、革手錠はそういう限度でしか使用はできないはずだろう、私はそのように感じました。これはひどいと思いました。
 以上です。
石原(健)委員 そういうふうに動けなくて吐いたりしていたのは、彼は腸間膜内出血になっていたわけですよね。あの時点で、既にそういう内出血のために苦しくて身動きできなかったのかもしれませんし、戻したのもそれが原因かもしれないような気がするんです。可能性もあるわけですよ。
 ですから、矯正局長が一方的にそういうふうに断言して思い込むということは、これはまずいことじゃないかなと私は感じていますが、いかがでしょう。
横田政府参考人 私が申し上げたのは、あくまでもあの状態について申し上げていただけで、大変な状態にあるというふうに認識したということでございます。
石原(健)委員 いろいろな場合があると思うんですよね。本当に、てんかんみたいになって暴れ回ったり、自分の排せつしたものをあたり一面塗りたくったりするような人もいるわけで、これは裁判の結果なり、あと、ここの場で河村委員が真相を究明なさっているので、その結果等でいろいろだと思うんですけれども、いずれにしても、そうした検察の判断で八人が今起訴されているわけですね。その起訴されて裁判中の人たちというのは、就職をしたり、就職活動をやったり、そういうことができるというふうに矯正局長は思っておられますか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 起訴されている者につきましては、身柄を拘束されている者とそうでない者とございますけれども、身柄を拘束されている者につきましては、当然、就職活動を行うことは事実上困難であることが多いと思われます。
 一方、起訴はされておりますけれども身柄を拘束されていないという者につきまして、いわゆる在宅でございますけれども、このような人たちにつきましては、国家公務員法百四条等の規定に基づきまして、その職員の占めている官職との間に特別の利害関係がないなどの一定の条件を満たす場合には、その職員の所轄庁の長等の許可を受けまして、兼業を行うことも可能であると考えております。
 なお、今般の一連の名古屋刑務所事件で既に起訴されている者のうち、一名につきましては、本年三月十四日付で兼業が許可されているところでございます。
石原(健)委員 それは、規則上はそういうことは可能かもしれませんけれども、実際、弁護士と打ち合わせたり、裁判所にしょっちゅう行ったりなんなりというと、仮に就職したって、就職した相手にかえって迷惑かけるようなことになったり、とても私は、仮に在宅起訴であっても、今回のような場合には就職というのは非常に難しいと思うんですよ。
 そういうことを考えた場合に、やはり行政処分で給与がゼロにされているということは、本人たちにとって非常につらいのはもちろんのこと、今まで国のためにずっと仕事をやってきたそういう人に対して、国が家族を含めみんなを苦しめるようなことをやっているというのは、これはやはりちょっと考えるべき点もあるんじゃないかと思うんですよ。
 行政処分というのは、国家公務員全体に通じて、こうした起訴されたような場合、やはり公平であるべきことが望ましいと思うんですけれども、矯正局長はその辺どんなふうに考えておられますでしょう。
横田政府参考人 おっしゃるように、公平であることが要求されることは、これは当然だと思います。
 ただ、起訴休職された者に対しまして給与を支給するかどうか、また、支給するとした場合にどの程度支給すべきかということについては、それぞれの事情を考慮して決定すべきであると考えますが、本件の場合、八名の刑務官の職務義務違反はほぼ明白であると考えられますし、それから、本件のそれぞれの事案が、刑務官が受刑者を死傷させたという悪質かつ重大な事案であるということを考慮し、これらの者に対して何ら職務に従事していないにもかかわらず給与を支給することは、これは到底国民の理解を得られるものではないというふうに考えて、給与を支給しないことにしたものというふうに承知しております。
石原(健)委員 矯正局長は死傷させたなんて断言していますけれども、それは裁判が終わらないうちはわからないんじゃないですか、死傷させたかどうかということは。
 それで、前にも指摘はありましたけれども、とにかく、平成十四年、休職中の人、三十一名ですか、そのうち三十人は六割を国から支給されている。今回の問題については、与野党を通じて、ほとんどの理事さんが大変心配されている問題でもあるわけなんですよ。
 それで、森山大臣にお尋ねしたいんですけれども、やはり他の省庁は、三十一人中三十人、一人三〇%という人がいますけれども、とにかく三十一名全員がもらっているわけですよね、他の省庁の職員は。法務省の職員だけが全くゼロだというのは、これはやはりちょっと公平を欠くような気がするんですけれども、大臣はその辺どうお考えでしょう。
森山国務大臣 法務省の職員及びその家族に対して先生方が御心配いただいていることはまことにありがたいことだと思いますが、このケースに関しましては、非常に深刻なかつ重大な犯罪の嫌疑がございまして起訴されているという状況でございます。
 ですから、その結果、全く仕事は何もしていないわけでありますので、そのような場合に国民の税金を給料としていただくということは筋が通らないのではないか、国民の皆様に御説明ができないのではないかというふうに思いまして、このようなことにいたしたわけでございます。
石原(健)委員 仕事を全くしていないというのは、休職して給与を六割ぐらいしかもらっていない人も、みんなこれ、仕事はしていないんじゃないかと思うんですよね。とにかく、休職給支給割合別刑事休職者数というこの表を見ますと、刑事休職者だから、これはやはり仕事はしていないと思うんですよね。でも六割の給与はもらっている。
 本当に裁判で悪いことをやったということが確定した人に対しては、もちろんこれは懲戒免職か何かになるんでしょうけれども、まだ結論の出ないうちは、就職も就職活動もできないというような状況にありますので、やはりもう少し温情を持って、厳しいということも非常にこれは大切とは思いますけれども、今回の場合は私はもう少し考慮していただいていいんじゃないかなというふうに感じておるところであります。
 そういうことで質問を終わりますけれども、どうもありがとうございました。
山本委員長 木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 六月二十五日に続きまして、矯正局と検察当局と公安調査庁が使用しておりますいわゆる調査活動費の支出と、これに関する会計検査のあり方についてお聞きをいたします。
 法務省の各局からいただいた調査活動費の基本的な流れ図。一枚目は矯正です。二枚目が検察です。三枚目が公安調査庁です。委員長の許可を得て配付をさせていただきたいと思うんですが、よろしいですか。
山本委員長 はい。どうぞ。
木島委員 前回も矯正局から聞いたんですが、見ながら答えてください。もう繰り返しませんが、予算が成立して、法務本省から全国の矯正管区にいわゆる調査活動費なるものが配分されていくと思うのですが、まずその金は、資金前渡官吏、会計係長か総務課長だということでしたが、ここのところにまず最初は配分されてくるというふうに聞いていいですか。
横田政府参考人 お答えします。
 まず資金は、ここの図表にございます、左端にあります官署支出官のもとで管理されるということでございます。
木島委員 それで、この流れ図の支出の手続のところにあるように、取扱責任者たる矯正管区長が官署支出官たる、同一人物ですが、管区長に資金請求をする。そして、そうすると、官署支出官が資金前渡官吏に対して、これは会計係長か総務課長だというんですが、支出請求をする。そして、資金前渡官吏が現金を管区長たる取扱責任者に交付する。その現金交付に対して、管区長たる取扱責任者が領収証書なるものを資金前渡官吏にまずは渡す。そして、そうやって取扱責任者たる管区長のところに置かれた現金が、今度は取扱者、これは矯正管区でいうと第一部長だということですが、これが領収証書を発行して、現金が交付されていく。まずこの方の流れです。
 そして右側は、一番右端に実際の情報提供者、協力者等があるわけです。ここから、ここに渡された謝礼に対して、協力者等の発行する領収書なるものが担当者に渡され、その担当者が取扱者たる第一部長にその協力者等から受け取った領収書を渡して、現金が交付されていく。
 こういう二つの流れになるんですが、そこで確認しますが、この協力者等が出した領収書、担当者を通じて取扱者までは上に上がるこの領収書と、左側の支出の手続の中の、まず取扱者が取扱責任者に渡す領収証書、それから取扱責任者が資金前渡官吏に渡す領収証書、言葉の使い方も変えているんですが、これは全く別物だと確認していいですね。
横田政府参考人 お答えします。
 そのとおり、別のものでございます。
木島委員 左側の支出の手続に記載されている領収証書なるものは、当然、発行者は取扱者であり、あるいは取扱責任者である、こう伺っていいかと思うのですが、その金額は、要するに丸めた金額、まとめた金額であって、一つ一つ、右側の協力者が謝礼を受け取ったときに発行する領収書、これは日付と金額が具体的だと思うのですが、こういう具体的なものではなくて、丸めた金額、まとめた金額と伺っていいのでしょうか、実態は。
横田政府参考人 多くの場合、そのようなものだというふうに聞いております。
木島委員 一点だけ念のため聞いておきますが、前回も質問に対して矯正局長が答えているのですが、この流れ図の中で、担当者から取扱者に対して報告という言葉がありますね。それから、取扱者から取扱責任者に対しても報告という言葉がありますね。これは何なんでしょうか。どんな情報を矯正管区が受け取ったかということの報告なんでしょうか。そしてもう一つ、それは文書でなされているのでしょうか。
横田政府参考人 お答えします。
 この報告は、この情報提供を受けましたということを主たる内容とする報告でございます。
 報告の形式としては、文書の場合もありましょうし、それから口頭の場合もあるということでございます。
木島委員 口頭の場合もあると。どっちが多いですか。
横田政府参考人 その観点で特に確認しておりませんので、現時点でちょっと何とも申し上げようがございません。
木島委員 きょうはこのところにしておきましょう。
 さてそれで、会計検査院を呼んでおりますが、お聞きをいたします。
 会計検査院法第二十四条、これは第三節、検査の方法の最初の条文であります。書類の提出、「会計検査院の検査を受けるものは、会計検査院の定める計算証明の規程により、常時に、計算書及び証拠書類を、会計検査院に提出しなければならない。」会計検査の基本条文であります。今私が示している矯正関係の調査活動費の基本的な流れ図がありますが、会計検査院法第二十四条に、計算証明の規程により、常時、計算書及び証拠書類を会計検査院に提出しなきゃならぬとあるのですが、これはどれを提出させているのでしょうか。また、その頻度はどうなんでしょうか。
石野会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 会計機関の取り扱った会計経理について、一定の定めによりまして、その取り扱った会計経理の計算を証明してもらうという仕組みでございまして、今お話しの調査活動費の流れで申し上げますと、官署支出官及び資金前渡官吏、これが会計機関でございますので、ここに計算証明を行ってもらうということで、一定の書類を、証拠書類それから計算書というものを提出してもらうということでございます。
 ただ、この調査活動費の場合には、この図でいきますと協力者等と書いてあります、こういったところの領収書等につきましては、その経費の性質上、本院へ提出せずに証明責任者の手元に保管する、いわゆる手元保管を認めるということを、計算証明規則第十一条の規定に基づきまして承認をしているところでございます。(木島委員「頻度は、月一回とか年何回とか」と呼ぶ)
 計算証明は、官署支出官あるいは資金前渡官吏というところは月証明ということになっておると思いますので、毎月その書類が提出されるということでございます。
木島委員 明らかになったと思うんです。
 会計検査院は、会計検査院法第二十四条によって検査はしておる、毎月、矯正局、法務省から計算書、証拠書類を上げさせているが、その書類というのは、この流れ図でいうと「領収書※3」は上がらない、「領収証書※1」と「領収証書※2」のみである。それは、発行したものは、一つは取扱者である矯正管区第一部長の発行したものであり、もう一つは矯正管区長たる取扱責任者が発行したもの、要するに身内だけの領収書しか会計検査院には月次の検査としては上がらないという仕組みになっているということですね。これではまともな検査ができるはずがないですね。
 次に、では会計検査院法第二十五条、実地の検査というのがあります。「会計検査院は、常時又は臨時に職員を派遣して、実地の検査をすることができる。」この実地の検査の場合には、この流れ図を例にとると、どこまで実地検査するんでしょうか、あるいは、矯正局の場合にはどんな頻度で行われているんでしょうか。ついでに、検察庁の場合はどんな頻度で行われているのか、公安調査庁の場合にどんな頻度で行われているのか、あわせて答弁願います。
石野会計検査院当局者 今申し上げましたように、証拠書類の手元保管を認めているということはございますけれども、これは手元保管を認めているということだけでございまして、検査をしないということではございません。実地検査に当たりまして、そういった調査活動費等につきましてもその内容を確認するということでございまして、今の流れ図の中でいきますと、ここに上げられておるような書類等は実地検査の際に確認するということで検査しておるところでございます。
 それから、頻度というお話でございますが、実地検査の実績ということで申し上げますと、昨年の実績で申し上げますと、地方検察庁等につきましては十三カ所、矯正管区につきましては一カ所、地方公安調査局等につきましては四カ所という実地検査を行っておりまして、その中で、調査活動費についてもその内容を確認するなどして検査しておるところでございます。
木島委員 昨年度の矯正管区に対する実地検査の実績が一カ所だというんですが、一カ所やったものは、過去何年さかのぼって実地検査したんでしょうか。
石野会計検査院当局者 我々は検査を行います場合に検査対象年度というものを一応決めておりまして、その年度の検査をまず行うということにしております。したがいまして、そこで何か疑問点等があればさかのぼって見るということになっておりますが、当面はその対象年度の一年を見るということで対処しております。
 昨年の実績がどうであったかは、今はちょっと具体は承知しておりません。
木島委員 そうすると、矯正管区が使っている調査活動費については、きょうは手元に、全国、矯正管区が八つですか、あるのは。そうすると、八年に一回、しかも一年分しか実地検査に入らないということですから、七年間は実地検査が入らない。それで、月次の会計検査院法二十四条によるものは、協力者等が発行した領収書は報告しないでいいということになるわけですから、事実上、検査なきに等しい状況だということになるんじゃないでしょうか。
 それでさらに、では実地検査について聞きます。
 この協力者等、情報提供者等が謝礼をもらって発行した領収書なるもの、これは私は、架空名義も事案の性格上許されていると聞いたりしているんですが、実地検査では追跡調査はやるんでしょうか。要するに、協力者の住所、氏名を確認してその者に当たる、本当に情報を提供してお金を受け取ったか、こういう追跡調査をやるんでしょうか。
石野会計検査院当局者 実地検査に当たりましては、そういった会計書類だけではなく、さまざまな資料あるいは説明といったようなデータを対査、照合しまして、その中で矛盾点がないかどうかというようなことで検査をするということをやっております。
 お話の、いわゆる協力者という領収書の名義人のところに直接当たっているのかどうかということでございますが、これにつきましては、そういった情報提供者の人身保護の面あるいは今後の調査活動に及ぼす影響ということを勘案いたしまして、なかなか困難な面があるのではないかなということで、現在のところは行っておりません。
 しかしながら、今申し上げましたように、実地検査におきましては、その手元保管の書類だけではなく、さまざまな書類を確認する、説明を十分受けるということで検査をしてきておるところでございます。
木島委員 官房長に確認だけしておきますが、配付資料の二枚目が、検察庁が使っている調査活動費の流れ図であります。それから、配付資料の三枚目が、公安調査庁が使っている調査活動費の基本的な流れ図でありますが、このとおりだと確認してよろしいですね。このお金の流れ、領収書等の流れは、細かい点は別にいたしまして、基本的には矯正局において使われている調査活動費の流れ図と同じだ、そう確認してよろしいでしょうか。
大林政府参考人 委員がおっしゃられるとおりでございます。
木島委員 そうしますと、この調査活動費なるものは、基本的に協力者等、情報提供者等にきちっと金が流れたかどうかを常時は会計検査されていない、それが明らかになりました。そしてもう一つ、何年かに一度だけたまたま実地検査に会計検査院が入った場合でも、実地検査に入ったときには協力者等が発行した領収書なるものは検査はするが、それが本当に真実なのかどうなのか、協力者等に当たって会計検査はしていないと。二つの点が明らかになりました。
 そうしますと、私、前回ここで、元大阪高検の公安部長をやっていた三井環氏なる者が、今、刑事裁判の被告人でありますが、その裁判で述べた陳述書なるものを前回読み上げましたが、簡単に言うと、この協力者等が発行した領収書は全部架空である、全部使われていないということを彼は言っているんですね。私は信じているわけではないですよ。しかし、そういうことを言われている。
 今、調査活動費の流れのあり方、そして会計検査の実態を見ましたが、これの実態だと、そう言われても反論できない状況が日本の会計検査の仕組みではつくり上げられている。その調査活動費なるものの特殊性なんでしょうか、そういうことを理屈にして。これでは国費、国民の税金が正しく使われたかどうか、全く確認しようがない、そういう仕組みだと思わざるを得ない。
 これは、法務大臣がやられる仕事なのか、会計検査院がシステムを変えなきゃいかぬのか、わかりませんが、どう思いますでしょうか。感想を聞かせてください、法務大臣。
森山国務大臣 調査活動費の一部経費の支出につきましては、その使途の性格にかんがみまして、計算証明規則上、会計検査院の承認を経て、簡易証明が認められておりますが、今後とも国民の誤解を招きませんように、適正な執行を確保するためにさまざまな工夫をしていくことが必要であると考えております。
 なお、良好な治安を確保するという法務省の責務を果たす上で、情報収集という事柄の性質上、具体的な使途を明らかにできない経費が必要であるということも御理解いただきたいと思います。
木島委員 とても理解できないんですがね。
 会計検査院に、ちょっと要望なり私の意見を言っておきますが、本当に会計検査をまともにやろうと思うのなら、抜き打ちで実地検査に入って、この取扱者、出納保管、矯正管区第一部長がみんな持っている、その協力者等が発行した領収書なるものを抜き取って、そして何枚か、全部やれとは言いませんが、発行者のところに当たってみる。そういう人物が実在するのか、そして本当にお金はもらっているのか、全く架空のものなのか、そういうことをやはりやるべきじゃないですか。全部やれとは言いませんよ。抜き打ちでいいですよ。それをやるのが本当の意味の会計検査じゃないですか。どうですか。
石野会計検査院当局者 こういった一連の調査活動という本来の行政に及ぼす影響ということもやはり一方で勘案しなきゃならないというふうに思っていますが、今お話しのように、どういったことまで情報提供者に当たれるのかどうかという、どういう場合に当たれるのか当たれないのかということは再度検討したいと思いますが、現在までのところは、そういった調査活動に及ぼす影響というふうなこと、あるいは情報提供者の人身保護の面ということを勘案して行ってきておらない、なかなか困難な面があるということは御理解いただきたいと思います。
木島委員 もう時間ですから終わりますが、しかし、こんなに、矯正管区の調査活動費が不正に利用されているんじゃないかというのがどんどんマスコミを通じて出てきているときだけに、そういう会計検査が求められているということを指摘し、最後に、委員長に取り計らいをお願いしますが、会計検査院法第三十条の二によりますと、議院等の要請による検査報告というのがあるんです。「会計検査院は、各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会から国会法第百五条の規定による要請があつたときは、当該要請に係る特定の事項について検査を実施してその検査の結果を報告することができる。」
 この法務委員会が会計検査院に調査活動費をもっとしっかり調査せいという要請をすれば、それをやる義務が法律上もあるんですから、ぜひそういう権限を当法務委員会が発動していただけるように要請をしておきたいと思うんですが、委員長。
山本委員長 理事会にてお諮りさせていただきます。
木島委員 終わります。
山本委員長 保坂展人君。
保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。
 先ほどの河村議員がお尋ねになっていたことについて、もし今の時点でわかっていたら教えていただきたいんですが、矯正協会のトップ、検事総長経験者が現在やられているということですが、過去三代ぐらい、どの程度給料が支払われていて、退職金は幾らだったのか、これを答弁していただけますか。
横田政府参考人 お尋ねの点は、個人情報にかかわる内容でございますので、個別の給与、退職手当等を申し上げさせていただくのはちょっと差し控えさせていただきたいのですが、退職金につきましては、これは、協会の定めによりまして、月額に勤務年数を乗じた額とされております。(保坂(展)委員「幾らですか」と呼ぶ)それで、勤務年数はまた個人差がございますので、五年から十年を超える場合もあるということであります。
 平均で申し上げさせていただきたいんですが、年間の給与額がおおむね一千万円未満であるということでございまして、あとは勤務年数に応じて退職金が計算されるということでございます。
保坂(展)委員 それはまずいですよ。矯正協会、矯正展、ことしも行ってきました、森山大臣とも会場内でお会いしましたけれども、これは、刑務所の中の作業によってでき上がった商品を一般の方に買っていただいたり、その売り子さんは矯正の職員ですね。要するに、まさに矯正協会というのは刑務所と分かちがたく結びついていて、そしてそこから上がってくる利益、そしてまた、会費というふうに言っていましたけれども、刑務官は会費を納めているわけでしょう、まさに公のお金ですね。
 だから、そのトップの給料が幾らなのか、そして過去二代、三代のトップの退職金が幾らなのか。これはやはり答えてもらわないと困りますよ。具体的に答えてください。
 これは、委員長、公益法人の退職金を答弁しなかった例ないですよ、私、決算委員会とかでもずっとやっていますけれども。
横田政府参考人 先ほど申し上げたとおり、平均しますと、年間給与額がおおむね一千万円未満であるということで、ひとつ御了承をお願いしたいと思います。
保坂(展)委員 これは、法務大臣、ちょっと私、驚いたんですけれども、公益法人改革、自民党でもやっていますね。それが、理事長の給料と退職金くらい、これは、答弁しない省庁はないですよ。委員長、いかがですか。
山本委員長 矯正局長、早急に調査して……(保坂(展)委員「いえ、もうわかっているんですよ。予告してあるんです」と呼ぶ)今わかっているの、では答弁してください。
横田政府参考人 この春に退任した人について申し上げますが、会長が年間給与一千五十万円ということでございました。(発言する者あり)
 これは、ちょっと待ってください。済みません。――ちょっと、ごめんなさい。
保坂(展)委員 速記とめてくださいよ。
山本委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
山本委員長 速記を起こしてください。
 矯正局長。
横田政府参考人 申しわけありません。
 退職金が一千二十万円だったということです。ただし、その五百万円を基金に寄附しているということでございます。
保坂(展)委員 この春の方はそうでしたけれども、その前の方、さらにその前の方について答弁してください。
横田政府参考人 申しわけありません。手元にデータがございませんので、確認いたします。
保坂(展)委員 では、委員長、これはデータとしてちゃんと出していただきたいということを要求いたします。
山本委員長 理事会で検討させていただきます。
保坂(展)委員 理事会で出すようにということになると信じて次に移りますが、法務大臣に伺いますが、免田栄さんという方は御存じですか。名前、御記憶ございますか。
森山国務大臣 お名前には、記憶がございます。(保坂(展)委員「どういう方ですか」と呼ぶ)詳しいことは存じません。
保坂(展)委員 一九四九年に逮捕されて五一年に死刑判決が確定して以降、六回無罪を訴えて再審請求を重ねて、八三年に再審無罪が決定して、晴れて自由の身になった、こういう方ですね。ですから、獄中三十四年。こういう方、ほかにも三人いらっしゃいますけれども、死刑囚の身でありながら、その無実が、長期にわたる訴えが実って晴れた、極めてまれなケースですね。こういうケースはやはり死刑を執行しなくてよかったというふうに私は思うんですが、どういうふうに感じますか。
森山国務大臣 そのような展開であったのであれば、おっしゃるとおりだと思います。
保坂(展)委員 それで、私は、ことしになってから二回、この免田さんからまたお手紙をいただいていまして、なるほど大変重大なことが書かれているんです。御本人が訴えるには、私の再審無罪判決と同時に身柄の釈放がされたわけではないというんですね。再審無罪が確定してからも、裁判所、検察、弁護士の法曹三者の協議があって、それでようやく出されている。なお、はっと驚いたのは、一審の死刑判決、確定している死刑判決、これが取り消されていないというんですね。だから、身分的にはまだこれは今確定死刑囚で、しかし、再審無罪は再審無罪。何か二重の判断があって、自分の一審確定の死刑判決になぜ取り消しがないんだろうかということを訴えられているんですね。
 これは、矯正局長、どういうふうに、どういう身分ですか、免田さんは。
横田政府参考人 大変申しわけございません。不勉強で、再審無罪判決の効果というか効力ということでございますが、現実の姿についてちょっと確認をさせてください。
保坂(展)委員 それでは確認してください。
 それで、そういうこと、多分、日本の刑事司法のシステムの中で、死刑という一番重い刑罰を科した、その確定死刑囚が実は無罪だったということは、そんなに想定してこなかったんじゃないかと思います。
 ここで何回か取り上げたこの方、免田栄さんは、一九四九年に逮捕されていますから、国民年金制度、国民皆年金目指して年金制度が発足する前に逮捕され、そして五一年に死刑判決が確定していますから、確定死刑囚としていわば年金制度の発足の時期を獄中で迎えるわけです。
 御承知のように、確定死刑囚というのは、要するに拘置所で執行を待つ身でございますから、この方に、歴代の矯正局長にも聞いてきましたけれども、年金制度が発足しますよ、あなたがもし払えないんなら免除申請しなさいよということをアドバイスしたとは到底思えないんですね。これまでの答弁では、しかし、放送したんじゃないかとか、あるいは何か所内で回覧するものを見たんじゃないかと言っていますけれども、免田栄さん自身は、そんなもの見なかった、私は知らされていないと言っているんですね。
 これは、少なくともこの一点、この制度が発足するときに死刑を待つ身である免田さんに、矯正の方が、確かにこういう局長通達を出しています、受刑者に対しては、こういう制度が発足しますよと。しかし、免田さんには説明しなかったんじゃないですか。これは率直にどうですか。
横田政府参考人 お答えします。
 確かに委員おっしゃいますように、これまでも何度かこの点について御指摘がございまして、そのときそのときの矯正局長が答えているところでございますけれども、この点につきまして改めて検討させていただきました。
 しかしながら、何分にも四十年以上も前でございまして、記録等もございませんので、結局は推測になりますが、その点では従来の答弁を超えるものではございませんで、各収容者に個々に説明することはなかったかとは思われますが、しかし、恐らくは、放送や文書の掲示、回覧等によって告知したのではないかというふうに考えるということで御了承いただきたいと思います。
保坂(展)委員 法務大臣、よろしいでしょうか。
 死刑を待つ身であった免田さん自身は、こういった年金が発足したから免除の申請をすればなんということは説明を受けていないと言っているんですね。私は、うそをついているとは思えないんですよ。まさに、年金どころか自分が死刑になるかどうかが直面する最大の問題ですからね。そしてまた、矯正の職員としても、確定死刑囚にその問題を説明するというのは、やはりあり得ないんじゃないかと思います。
 私は、免田さんはうそをついていないだろうというふうに思いますけれども、大臣の所感、いかがですか。
森山国務大臣 免田さんが年金を受けることができない状態であるということについては、大変難しい問題でもございますし、私も個人的にお気の毒なことだと思っておりますけれども、先ほど矯正局長が答弁申し上げましたとおり、当時、どのようにして年金制度の周知を図ったのかは明らかではございませんが、現在では、各拘置所において、生活心得等についての冊子に年金制度や手続等についても記載しておりまして、これを死刑確定者の居房にも備えつけているわけでございますので、その点は前よりはよくなっていると思いますし、今後、免田さんのような事態にならないようにすることが肝心だと思いまして、そのようにしたいと考えています。
保坂(展)委員 年金局長、来ていただいていますけれども、まさにこの免除申請ということがあれば、この免田さんのケースは、確定死刑囚という身分であっても、その後、冤罪が晴れて社会に出てくれば、年金受給資格というのは六十歳からあっただろうと。しかし、そういう、今お聞きのような事情でこういった申請ができなかった。
 もう一人、赤堀政夫さんというやはり再審無罪が決定した確定死刑囚で、冤罪が晴れた方がいらっしゃいます。この方の場合は、やはり相当この年金問題、老齢年金をもらいたいということをかけ合いにかけ合って、どうにか、これは老齢年金はもらえていないんですけれども、障害年金という形で支給が始まったというふうにも聞いているんです。
 その辺の事情、この制度の谷間に置かれた人たちの問題というのは、現行の年金制度じゃどうにもならないのかもしれないけれども、やはり私は何らかの救済が必要だと思っているんですけれども、いかがでしょうか。簡単にお願いします。
吉武政府参考人 今委員お尋ねのありました赤堀さんのあれにつきましては、年金受給そのものがある意味でプライバシーでございますので、制度的にお答えを申し上げたいと思います。
 昭和三十六年四月から拠出制の国民年金を施行いたしまして、その前に例えば病気になられた、私どもは初診日と言っておりますが、障害の原因となるような病気になられた方がおられて、そして、障害というのは障害等級がございますので、ある程度の状態にならないと年金は支給になりませんけれども、例えば内部障害の方でありますとかは、その疾病の状態が変わってまいりますので、その後、昭和四十一年に事後重症制度というのを創設いたしまして、その改正前で申しますと、三年目にある障害の状態になられないと障害年金は支給されないという状態を変えまして、それから以後、そういう状態になられたときに支給をするという形になっております。
 そういうケースで申し上げますと、例えば矯正施設に長年入所されましても、三十六年以前に障害の原因となるような初診日を持った方については、障害の状態に達しますと障害基礎年金が支給されるという仕組みがございまして、これに該当されるようなケースだろうというふうに思います。
 今のようなケースは、例えば二十前障害の方も同じでございまして、二十前、子供のころに障害の原因になる疾病になられまして、それで、二十までに既に障害等級に該当すれば障害基礎年金が支給をされるわけですが、例えばこういう方が矯正施設に入所をされて、それで、出られた後に障害の程度が重くなられて障害等級に該当するという場合には支給をされる、そういう仕組みでございます。
保坂(展)委員 今、年金局長が専門的に説明してくれたわけですけれども、その赤堀さんの障害の方も非常に、証明するものとか、例えば受診記録とか、そういうものは乏しかったそうですよね。しかし、やはり何とかできないのかという現場の努力も世論もあって、赤堀さん自身もこれは老齢年金ももちろん望んでいるわけですけれども、一定の前進は見たけれどもまたこれは議論をしている最中と。
 そこで政務官、副大臣に伺いたいんですけれども、まさに年金制度発足の前に逮捕されてしまって、誤判によって、誤った逮捕と誤った司法判断によって一たん死刑確定をしてしまったこのお二人、年金の、今、免田栄さんはもう七十六歳です、そして体調も悪い、そして非常に年金受給ということを、これは日弁連も勧告を法務大臣に向けて、昨年でしょうかね、されている。赤堀さんに関してもされているようですけれども、いかが受けとめられますか。政治家としてどういうふうに受けとめられるか、何とか決断できないのかというふうには私は思いますが、いかがでしょうか。
 では、副大臣、そして政務官にお願いします。
増田副大臣 御質問で、昔を思い出しておりました。
 昭和三十四年に熊谷市会議員になりました。三十六年春に年金が施行されました。年金はもらえないだろう、そんなもの当てにならないよ、国民的な背景で、一般国民はほとんど知らなかったと思います。したがって、刑務所の中でどういうようなことがあったか、恐らくなかなか知らなかったんじゃないかという方へ私は想像をいたしております。
 そこで、お尋ねの関係なんですが、その問題に対して、年金法自身が私よくわかりませんので、この際、谷間に対して何か手はないのかな、自分でも取り組んでみたい、このように思っております。
中野大臣政務官 今副大臣からもお話ございましたけれども、今委員のおっしゃったこのようなケースというものは、いろいろな意味で気の毒な面がたくさんあるわけでございまして、それについてはまだ具体的に私も、年金の問題については、今申し上げる段階ではないと思いますけれども、やはりそういう意味で、それを救うといいましょうか、そういう姿勢の中で頑張っていきたいと思いますので、どうかこれからもよろしくお願いしたいと思います。
保坂(展)委員 では、大臣に最後にお問いかけしたいんですけれども、本人の怠慢とか、本人の手続をできるのにできなかったという理由ではなくて、例えばそういった手続ができなかった人たちとして中国残留の孤児の皆さんがございます。これは法律的な手当てをして処理をしたということなんですけれども、この今私が取り上げたお二人についても、確定死刑囚ですから、年金の話というのはもうはるか、ちょっと発想のしようがない状況に多分拘置所側もあったと思います。
 しかし、拘置所側の予想を大きく覆して、再審請求が実った、これは画期的なことですよね。やはり司法というのも間違うことがある、その場合にはそれを認めて自由の身にすると。自由の身になっても、三十年、四十年いますと、なかなかこれは、働いて、しかもお年もとっておられますから、だから年金の問題というのは現実的になるわけです。
 そういう際に、今の法制度、年金の仕組みなどではなかなか難しいんだと年金局の方は言っていますけれども、これは、では議員立法でもつくって解決するべき問題なのか、それとも、やはりこれだけのケースについて、一生懸命相談していただいて何らかの道が開けるのかどうか、ぜひ御努力をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
森山国務大臣 大変まれな難しいケースだと思いますので、研究しなければならないと思いますので、そのようなことでやってみたいと思います。
保坂(展)委員 研究は速やかにお願いします。七十六歳で高齢ですので、何年もかけて研究をしているうちに年金の受給そのものを見ないというような結果にならないように、ぜひ老後を安心して送れるように私の方からも望んで、終わりにしたいと思います。
山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五分散会


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