衆議院

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第31号 平成15年7月9日(水曜日)

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平成十五年七月九日(水曜日)
    午前九時四十六分開議
 出席委員
   委員長 山本 有二君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 園田 博之君 理事 吉田 幸弘君
   理事 河村たかし君 理事 山花 郁夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 石原健太郎君
      太田 誠一君    小西  理君
      後藤田正純君    左藤  章君
      阪上 善秀君    笹川  堯君
      下村 博文君    中川 昭一君
      中野  清君    保利 耕輔君
      星野 行男君    保岡 興治君
      吉川 貴盛君    吉野 正芳君
      家西  悟君    中村 哲治君
      平岡 秀夫君    水島 広子君
      山内  功君    上田  勇君
      土田 龍司君    木島日出夫君
      瀬古由起子君    保坂 展人君
      徳田 虎雄君
    …………………………………
   参議院議員        南野知惠子君
   参議院議員        浜四津敏子君
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        増田 敏男君
   法務大臣政務官      中野  清君
   政府参考人
   (法務省大臣官房長)   大林  宏君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月九日
 辞任         補欠選任
  平沢 勝栄君     阪上 善秀君
  鎌田さゆり君     家西  悟君
  山田 正彦君     土田 龍司君
  不破 哲三君     瀬古由起子君
同日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     平沢 勝栄君
  家西  悟君     鎌田さゆり君
  土田 龍司君     山田 正彦君
  瀬古由起子君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案(参議院提出、参法第一七号)
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件

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     ――――◇―――――
山本委員長 これより会議を開きます。
 参議院提出、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。参議院法務委員長代理者参議院議員浜四津敏子君。
    ―――――――――――――
 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
浜四津参議院議員 ただいま議題となりました性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案につきまして、その提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 性同一性障害は、生物学的な性と性の自己意識が一致しない疾患であり、性同一性障害を有する者は、諸外国の統計等から推測し、おおよそ男性三万人に一人、女性十万人に一人の割合で存在するとも言われております。
 性同一性障害については、我が国では、日本精神神経学会がまとめたガイドラインに基づき診断と治療が行われており、性別適合手術も医学的かつ法的に適正な治療として実施されるようになっているほか、性同一性障害を理由とする名の変更もその多くが家庭裁判所により許可されているのに対して、戸籍の訂正手続による戸籍の続柄の記載の変更はほとんどが不許可となっております。そのようなことなどから、性同一性障害者は、社会生活上さまざまな問題を抱えている状況にあり、その治療の効果を高め、社会的な不利益を解消するためにも、立法による対応を求める議論が高まっているところであります。
 本法律案は、以上のような性同一性障害者が置かれている状況等にかんがみ、性同一性障害者について、法令上の性別の取り扱いの特例を定めようとするものであります。
 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的には他の性別であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについて必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の診断が一致しているものを性同一性障害者とし、そのうち、二十歳以上であること、現に婚姻をしていないこと、現に子がいないこと、生殖腺またはその機能がないこと等の要件を満たす者について、家庭裁判所は、その者の請求により、性別の取り扱いの変更の審判をすることができることとしております。
 第二に、性別の取り扱いの変更の審判を受けた者は、民法その他の法令の規定の適用については、他の性別に変わったものとみなすとともに、その効果は審判前に生じた身分関係及び権利義務に影響を及ぼすことはないものとしております。
 第三に、性別の取り扱いの変更の審判を受けた者については、新戸籍を編製することを基本とし、その者の戸籍の続柄の記載の変更手続が行われることとしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行することとするとともに、性別の取り扱いの変更の審判の請求をすることができる性同一性障害者の範囲等について法律の施行後三年を目途に検討等を行う旨の規定を設けております。
 以上が、本法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
山本委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 参議院提出、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
山本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
山本委員長 ただいま可決いたしました性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案について、委員会を代表して、発言させていただきます。
 本法律案は、性別の取り扱いの変更の審判の請求をすることができる性同一性障害者の範囲等について、法律の施行後三年を目途に検討等を行うこととなっておりますが、当委員会といたしましても、性同一性障害者が抱えるさまざまな問題の改善に、引き続き真摯に取り組む所存であることを表明させていただきます。(拍手)
     ――――◇―――――
山本委員長 次に、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房長大林宏君、刑事局長樋渡利秋君、矯正局長横田尤孝君及び保護局長津田賛平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。家西悟君。
家西委員 委員長、申しわけございませんが、座ったままで発言させていただくことをお許しいただければと思います。
 それでは、民主党・無所属クラブの家西悟でございます。おはようございます。
 本日、また法務委員会で御質問させていただきますけれども、せんだって、マスコミ報道で、京都拘置所においてHIV感染者の被告に対する差別、偏見事件があったと報道されています。
 細かい事実関係は恐らく現在調査中だと思いますが、この件について、法務省としてどのように受けとめておいでなのか、また今後どのようにしていくのか、まず冒頭お尋ね申し上げたい。ましてや、これは事実なのかどうかを、まずもってお答えいただければと思います。
横田政府参考人 お答えいたします。
 まず、事実関係について、現在把握していることから申し上げたいと存じます。
 詳細、どこまで申し上げるかということは、プライバシーの兼ね合いもございますので、差し支えのない範囲内で申し上げさせていただきます。
 現在私どもが把握している事実関係でございますけれども、新聞に報道されましたのは、一つは、京都拘置所におきまして、HIVに感染している被告人が散髪時にHIVと書かれた専用の洗面器を使用させられたというようなこと、それから、食事の際は専用の食器を使用させられ、使用後も回収されずに当該被告人自身に管理させていたというようなことが書かれておりました。
 まず、その一番目の、散髪時にHIVと書かれた専用の洗面器を使用させられたという点でございますけれども、この点は、京都拘置所では、所内に理髪室がございまして、そこで職員一名の立ち会いのもとに、理髪係の受刑者が被収容者の散髪をしております。そのときにひげそりをしますので、かみそりを使います。その使ったかみそりを、水をくんだ洗面器で洗浄している、振り洗いですね。洗面器を使うので、この当該被告人の散髪に際しては、彼が使う洗面器の側面にHIVというふうにマジックで書いてある、それを使っていたということでございます。
 今申し上げましたように、これは拘置所内の理髪室でやっておりますし、それから当該被告人につきましては本年三月中に二回散髪をしているそうですが、そのとき以外はこの洗面器は理髪室内のロッカー、これは扉がついたロッカーですけれども、ロッカーに収納しておりまして、使うときだけ取り出して、終わるとまたしまって、不必要に他人の目に触れるようなことはなかったと。
 なお、本年の三月末ごろに本人から、このHIVと記載されていることについて苦情が出まして、拘置所ではすぐにこの洗面器の使用を取りやめまして廃棄処分したというふうに聞いております。
 今申し上げましたように、まず、洗面器は一定の、理髪室の中でしか使われていない、それから理髪のとき以外には扉のあるロッカーに入っている。したがって、それを知っていたのは、立ち会いの職員と、それから実際に理髪を行っていた受刑者、それと本人……(家西委員「はい、わかりました。もうその後は」と呼ぶ)
 事実関係、もう一点。食事の関係、専用の食器ですけれども、これも、もともと被告人が幾つかの、ちょっとほかの病気もございましたので、炊事場から送られてきた食事を、本人の居房内に備えつけた食器に本人の面前で移しかえて、そして食べさせた。その後、その食器は回収しないで本人に洗わせていたんだけれども、これは本人の心情も考慮しまして、本年の七月一日以降ですけれども、それは取り扱いをやめまして、本人の専用食器をこの施設で管理しまして、そして食事をあらかじめそこに盛りつけて配食するようにしたということでございます。
 どう考えるかということですけれども、確かに……(家西委員「いや、とりあえず事実関係だけでいいんです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
家西委員 要するに、やっていたということはお認めになるということですよね。
 そして、この方がどうしてHIV感染者だということを知り得たのか、そのことについてお尋ねしたいと思います。
横田政府参考人 お答えいたします。
 調査しましたところが、この被告人は、本年二月に、警察署から京都拘置所に入所いたしました。そのときに、本人の疾病の有無に関しまして、HIVに感染しているということが警察署からの申し送りにあったということです。
 それから、入所手続というものを行いますけれども、そのときに医務課の職員が本人に既往症について質問しましたところ、本人が、外部の病院、外の病院でHIVウイルスの検査結果が陽性であるというふうに言われましたという答えがありました。
 それからまた、入所時に健康診断というのを行います。これは医師が行いますけれども、そのときにも医師に対してこの被告人が同様のことを申し述べたということですので、この医師がその外の病院に本人の病状等について照会したところ、その病院の方から、本人はHIVのキャリアだということ、そしてその検査結果について回答があったので、この拘置所におきましては、当該被告人本人がHIVのキャリアであることが確認されたというふうに聞いております。
家西委員 それでは、先ほど食器の問題とか洗面器の問題等々おっしゃられましたけれども、この件について、職員がどうして知ることになったんですか。全部の職員がどうして知ることになったんですか。それは何らかの管理上必要な問題ということで対処したということだと思うんですけれども、情報提供していたと。だとすれば、何の法律に基づいてやられたんですか。それか、何かマニュアルみたいなものがあるんでしょうか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 まず、根拠ということですが、特段どの法律に基づいてということではございません。これは、あくまでも処遇という、拘置所という一つの場所、特性、処遇を行うという、刑務所の場合は特にそうですけれども、処遇を行うという部門があるというその特性であります。
 つまり、例えば、ここの拘置所でいいますと、面会であるとか運動であるとか入浴であるとかあるいは診療等、日常生活のさまざまな場面において、多数の職員、それから拘置所でもやはり受刑者もおりますので、そういった人たちと本人が接する機会がいろいろあります。そこで、その際に、本人が置かれている立場あるいは心情といったものについて十分配慮した取り扱い、処遇といったものがなされなければなりませんので、そういうことで職員に周知したというふうに聞いておりまして、決して不必要に、必要がないのに本人の病歴を明らかにしたものではないというふうに承知しております。
 以上です。
家西委員 では、法律に基づいてやったわけではなくて、判断でやったと。
 これは、受刑者というかそういう人たちの中には、入れ墨を入れている方または麻薬常習の方、おられるわけですね。当然、HIV感染や感染症の感染をしている方が多くおられると思います。しかしながら、全部の人を検査されてきたんですか。違うでしょう。すべての受刑者に対して検査をしているわけじゃないでしょう。
 この人はたまたま自分がHIVだということを認められて、そしてそういう対応をしていたんでしょう。それに対する対応マニュアルか何かをつくられたんでしょう。つくっておいでなんでしょう。違うんですか。それは、通称、赤本と言われる、法務省、お持ちでしょう。うなずいておられるということは、あるということをお認めですね。これを資料請求したいと思います。出していただきたい。赤本というのがあります、行政対応マニュアル、これを出してくださいね。いいですか。
 委員長、いいですか、これは。
山本委員長 理事会で協議させていただきます。
家西委員 いや、ぜひとも出していただきたい。これにのっとってやっているのかどうか。それは出していただかないと困る。どうでしょう。
横田政府参考人 赤本、要するに規定類、マニュアルについてのそういう資料集というものは特にございませんが、どういう……(家西委員「赤本はあるんでしょう」と呼ぶ)俗に赤本と言われているのは、法令規定集をいいます。(家西委員「行政マニュアルと言われるものですか」と呼ぶ)それは、赤本というものはございません。(家西委員「通称、赤本」と呼ぶ)私ども、赤本といいますのは、監獄法を初めとする関係法令、通達それから通知、指示、そういったものを一まとめにしたものを通常呼んでおります。
家西委員 ぜひともその赤本というものを出していただきたい。これにはいろいろなものが書かれているというふうに聞いています。私は表紙だけは見たことがあります。これはマスコミでも取り上げられたことも過去にあります。そして、この中には、死刑のやり方やすべてがそこに書かれているということも、マスコミ報道されたこともあります。この本は、ぜひともそれは見せていただきたい。
 そして、その上で、この中に書いていないものをやったんならば、これは問題なんですよ。人権を尊重する法務省が、所管の拘置所において、HIV感染者に対して人権侵害を認めたということになると思うんですよ。どうなんですか。
 そして、自分が感染者だということを言われたということは、当然治療も受けたいということで言われたんじゃないんでしょうか。この間、何回、この拘置期間中に専門医に診断を受けさせたか、そして、CD4と言われる免疫細胞等の検査を受けられたのか。そして、処方を受けられて、適正に投薬されてきたのか。そこはどうなんでしょう。
横田政府参考人 お答えいたします。
 まず、特定の被収容者の具体的な診療経過等につきましては、プライバシーの問題もございますので、お答えするのは適当でないというふうに思います。
 京都拘置所の被収容者につきましては、ここに勤務しております常勤医によりまして医療措置を実施するほか、施設内で適切な医療が実施できない場合は、外部の医療機関への通院や近隣矯正施設に勤務する専門医の共助等によって対応することにしております。
 お尋ねの被告人につきましても、本人の病状の推移を考慮しながら、外部病院への通院を含め、必要な医療を行っているものと承知しております。
 以上です。
家西委員 先ほどの話に戻ります。
 赤本は必ず出してください。これは理事会じゃなくて、そちらに申し上げます、政府に。出してくださいね。出してくださいね、それは。行政対応マニュアルと言われるものです。
横田政府参考人 いずれにしましても、どういうことをお知りになりたいかということも含めまして、特定していただきませんと、どれかという……(家西委員「それを見て判断しますよ」と呼ぶ)それにつきましては、また後ほど、追って、別途、委員にも御相談した上で範囲等を決めていきます。
家西委員 あるということをお認めなんですから、出してくださいと言っているんですから、出してください。でないと、これ以上審議できないですよ。あることを認めているんだから、出してくださいね。ごまかさないで出してくださいね。
横田政府参考人 いずれにしましても、情報公開のルールといいますか、法律に従った範囲内では今の件も検討いたします。
家西委員 資料請求しているわけですからね、出してくださいね。
 大臣、どうですか、出していただけますでしょうか。それにのっとって今回の処置をしていたというんならば理解できます。しかし、そうでないんならば、これはおかしな話になります。だから、それは見せてくださいということで、出してくださいと言っているわけですから、どうぞ、大臣。
森山国務大臣 委員会の御指示に従います。
家西委員 委員会じゃなくて、資料を出してください。資料請求しているんです、政府に。
 ちょっと……(発言する者あり)ないんでしょう。ちょっと、速記とめてくださいよ。
山本委員長 では、ちょっと速記とめて。
    〔速記中止〕
山本委員長 速記を起こしてください。
 横田矯正局長。
横田政府参考人 まず大前提としては、お出しをするということです。
 ただ、先ほど申し上げましたように、情報公開との関係でできるかできないかの部分があるかどうか、ちょっと検討をした上で……
家西委員 ちょっと待ってください。もう一回速記とめてください。そんな話はないでしょう。速記とめてくださいよ、委員長。
山本委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
山本委員長 では、速記を起こしてください。
 横田矯正局長。
横田政府参考人 たびたび済みません。提出いたします。
家西委員 ありがとうございます。
 あと質疑時間がどれぐらいあるのかというのはよくわからなくなってきましたけれども、委員長。
 先ほど言いましたこの方は、HIV感染者であるということは、一定の免疫細胞が下がれば、当然、治療をちゃんと受けていかないと命にかかわってくるわけですよ。だからこそ、自分で告知して、しかもその上で、言っているわけですよね、検査もされて、治療を続けなきゃならない。そして、抗HIV薬、エイズの薬は、一たん飲み出したら、途中でやめるわけにいかないんですよ。やめるとどうなるかというと、この薬に耐性ができます。耐性ができて効かなくなる。薬が全く効かなくなっちゃうんですよ。だから、この人は言ったんですよ。にもかかわらず、過剰反応をし、あなたたちはそういう人たちに対して一体どういう対応をしてきたのかというのは明らかにしてもらわないと、収監されることによって命を縮めたというふうになりかねない問題だということ。
 そして、行政対応マニュアルというものにそういったものが書いているのかどうか。法律上でやっているわけじゃないということを言っているんだから、当然出していただかないと。しかも、必要に応じてじゃなくて、全部を見たい、これはその中で自分が判断をしていくということを私は言っているわけですよ。そして、その対応を今までちゃんとやってきたのかということをお尋ねしているんですよ。
 京都拘置所でこれほどの差別を受けて悔しい思いをしたということをマスコミに言われて、そしてこれが明らかになって、そして今回、七月一日から、食器も保管させていた、自分で洗って保管をさせていた、それを七月一日からちゃんとやるようになった。こんなものは、一部改善をした、改善じゃなくて、もとに戻しているんですよ。本来やらなきゃならない仕事をもとの仕事に戻しているだけの話であって、収監されている人間にそういうことをさせているということ自体の方がおかしいんじゃないですか。
 しかも、改善のお願いを何度もしたけれども、それは聞き入れてもらえなかったということをこの人は言っているわけですよ。人権をつかさどる省庁である法務省が何をやっておるんだという話になるからこそ、私は今、声を荒げて申し上げているわけですよ。しっかりとやってもらわないと困るということを、あわせて答弁をいただきたい。
横田政府参考人 お答えします。
 若干つけ加えさせていただきますが、まず、法令の根拠がないというふうに最初申し上げましたのは、これは周知をさせること自体のことであって、要するに、処遇というか、それ自体は監獄法以下の法令に基づいて行っているんだ、その法律の枠内でこういう措置をとっているんだという前提だということでちょっと御理解いただきたいと思います。
 それから、もう一つの診療のことなんですけれども、先ほど概略ですが、先生いろいろおっしゃいますので、もうちょっと申し上げますと、この診療経過ですけれども、先ほど申し上げましたように、入所時の健康診断のときに本人からHIVのことを言われた。そこで、外の病院に確認をしているわけですけれども、病院の方から、年三回前後、定期検査が必要であるという回答を受けているということです。それで、拘置所にいらっしゃるお医者さんも、もちろんこれはお医者さんですから、それを参考にいたしまして、HIVの治療の権威である外部の専門医からも病状管理等について助言を得ながら、その後の診療に当たっているというふうに聞いております。拘置所としては万全を期しているというふうに私ども理解しております。
 それから最後に、確かに委員おっしゃるとおりで、当該被告人の人権、心情に配慮を欠いた、不適切と言われてもやむを得ない面があったということは、私どももそう思います。
 したがいまして、今度のケースを一つのケースといたしまして、例といたしまして、私どもは、改めて、こういう方々に対する処遇といいますか対応につきましては、今後このような問題が起きないように十分指導してまいる所存でございます。
 以上です。
家西委員 専門医にお聞きになったというふうにも今局長の方から言われましたけれども、だったら、どうしてこういう対応になっていたんですか。これが理解できないんですよ。専門医だったら、こんなものは小学生でも知っている話なんですよ。小学校でHIV教育を受けたら、血液、体液、精液、感染源はこれだけ。にもかかわらず、この人の所持品に対してさわるときにもゴム手袋をし、外に消毒の洗面器か何か置かれて消毒をしていたということ。これは過剰反応なんですよ。余りにも無知過ぎる。HIVパニックと言われた一九八五年当時のような対応であり、今から何年前ですか、十八年も前の話を今京都拘置所はやっていたんですよ、この七月まで。一体何をやっているんだというふうに言わざるを得ない。お粗末な対応ですよ。
 それで、専門医に聞いていたら、どういうふうにしたらいいんですか、普通にしたらいいんだと、血液、体液、精液に直接さわらない限りには問題はないんだということを言われていたんじゃないですか。やっていないんでしょう。どうなんですか。
横田政府参考人 外部の専門医あるいは拘置所のお医者さんに対して、処遇を行う者がその対応について相談をしたかどうか、ちょっとそれは調査していないのでわかりませんが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、委員おっしゃるように不適切な面があったということは事実であるというふうに理解しております。
家西委員 もう残り時間が余りありませんけれども、しっかりと、法務省内部、そして刑務所、拘置所の職員を含めて、HIVやこういう感染症に対する教育をしていただきたい。そして、私は、今までやってこなかったんだろうと思います。やっていれば、こんなことには絶対なっていない。
 そして、もう一点最後に。今現在拘留中の、収監されている人々の中でHIV感染者はどれだけおられるのか。ましてや、C型肝炎、難病と言われる人たち、この人たちは何人おられて、その人たちはちゃんと医療を受けられているのかどうか、最後に御答弁いただきたい。
横田政府参考人 お答えいたします。
 まず、HIV等の感染症患者数でございますが、取り急ぎ調べた結果でございますが、七月八日現在、刑務所等におきましてHIV感染者として確認している者は十六人であるというふうに承知しております。
 それからもう一つはウイルス性肝炎の患者数ですが、これは行刑当局、法務省におきましては、いわゆる国際疾病分類を基本にした疾病分類表というのを設けまして、各刑務所から毎年定期的に、各施設における被収容者の疾病の罹患状況について報告を受けております。現在ありますのは平成十四年十月一日現在の調査結果、報告結果ですが……(家西委員「平成か」と呼ぶ)失礼いたしました。平成十四年十月一日です。そのときの結果でございますが、ウイルス性肝炎の患者数が一千五百四十人という結果になっております。
家西委員 だから、質問が漏れていますよ。難病の方々は何人おられるのかというのと、それと、この人たちが適正な治療を受けられているのかどうかというのもお答えくださいと言っているので、お答えください。
横田政府参考人 失礼しました。
 難病につきましてもこの疾病分類表において報告を受けておりますが、いわゆる難病に指定されている疾患の患者数が、メニエール病患者が四十六人、パーキンソン病の患者が十九人、それから心筋症の患者二十八人である、これが報告結果でございます。
 いずれも、これらの患者を把握しているわけでございますので、それぞれの施設において専門医等による適切な医療を行っているというふうに承知しております。
家西委員 時間が来ましたので、質問を終わります。しかし、ぜひともそういった教育は徹底してやっていただきたい。余りにも法務省、今までお寒いですよ。それだけ申し上げて終わります。
 ありがとうございました。
山本委員長 河村たかし君。
河村(た)委員 河村たかしでございます。
 きょうはビデオにつきまして、九月の名古屋刑務所の事案の、九月、保護房内を映したビデオがあるということで、それについて質問をしたいと思います。
 まず、大臣も見られましたね、このビデオ。ビデオを見られましたね、大臣、九月事案の、保護房の。
森山国務大臣 見ました。全部ではないんですけれども、ほとんど全部見ました。
河村(た)委員 それからもう一つ確認しますけれども、先日、みんな全員おったと思いますけれども、理事で集まって、委員長の部屋でこれを見ましたね。これは委員長、どうですか。
山本委員長 そのとおりでございます。
河村(た)委員 ところで、このビデオですが、これがまず、矯正局長、この間、石原さんの質問に答えて、あそこのどこが問題なのかということで、初めの部分が、ちょっともう一回答えてほしいんだけれども、非常に静かにしておるところをというような、何人かで入ってと、そういうことを言われましたね。速記録がないものですから、まだできておりませんが、そう言われた。たしかそう言われた。
横田政府参考人 記憶で申し上げますが、石原先生からは、あのビデオを見てどのように感じたかという御趣旨の御質疑がございました。それで、私はそれに対するお答えをしました。
 ビデオの、私が申し上げたのは、その後に別の人が私が見たのでは映っていましたと。その映っていた人の行動と、それから現在問題になっておりますいわゆる九月事件の被害者の行動といいますか、それとの比較を申し上げました。
河村(た)委員 何かようわけがわからぬですね。何かようわからぬ。
 初めに見られた印象を言ったんじゃないですか、たしか。初めのところを、何人かでどうのこうのとか。
横田政府参考人 それは言っていません。私が申し上げたのは、印象は何かということでしたので、これはひどいと思いましたというお答えをしました。
河村(た)委員 それは、おとなしい人にかけてどうのということは言っていなかった。
横田政府参考人 言っていません。(河村(た)委員「だって、石原さんはそう言ったでしょう」と呼ぶ)私は申し上げておりません、記憶では。
河村(た)委員 またそれは会議録をちょっと見なければいかぬのですが、ああ、ありますか、どう言っておりますか。ちょっと手短に。そんなことは言っておらぬですか。ちょっと見せてくれる。――手錠を締められて身動きできませんでしたというようなことと、そういうことか。物すごい静かだったということは、それはないのか。まあ、これはいいでしょう。
 それで、いわゆる手錠の施用については、きちっとしたマニュアルはないと。本当のそこの、そこはいろいろな総合的な対応だと。非常に物すごい暴れておるときと、それはそれに応じて、矯正何とか術があって、割とひざで抑えるということの方が正確に抑えられるということがあるらしいんだけれども、そういうふうに臨機応変に総合的にやる、こういうふうだ、それで間違いないですね。
横田政府参考人 はい。使用基準そのものは通達がございますけれども、現場の対応はあくまでも相手との対応の問題でございますので、それによって必要な制圧をするということでございます。
河村(た)委員 さあ、そこで問題は、ずっとビデオの問題というのは、これはだれに聞いたらいいかな、やはり法務省かね。
 ことしに入ってからですか、このビデオがあるということで、これを提出してくれと。私がいろいろな質問をしたら、いや、ビデオを見ていただければわかるというような話で、ずっと長い間、これが非常に重要な一つの材料であるということを言ってこられましたね。これ、官房長、どうですか。
大林政府参考人 そのとおりでございます。
河村(た)委員 では、今言いましたように、大臣も見た、委員会でも見た、それから官房長も非常に重要な材料であると言ってきたビデオ、これが真正であることは、当然絶対的な要件ですな、これは。そうでしょう。
 それでまた、横田さんは、ことしの六月四日の私の質問で、「このビデオは、ダビングとか編集されていませんね。」と。「特に編集した事実はないと聞いております。」私が、「確認しておきますけれども、それは当然、検察庁で編集するということはあり得ないね。検察庁に提出されるまでに、マザーテープがそのまま来ておる、これでいいですか。」と。それで局長が、横田さんが、「舌足らずでした。もともと所持していた名古屋刑務所において、したことはないということでございます。」
 そういうふうに答えられておりますが、これは間違いないですね。横田さん、もう一遍。
横田政府参考人 はい、確かにそのようにお答えしました。
河村(た)委員 これは結論から先に言っておきますが、このテレビを見ておられる方もおると思いますので。
 要するに、このビデオが始まるのは八時三十三分のところですが、二十二分から三十三分まで十一分間、この間が、もうちょっと若干解説しておきますと、三十三分からぱっとビデオが始まりまして、それはどういう状況かというと、何人いますか、八人ぐらいじゃないですかね、七、八人、九人ぐらいの刑務官が中へ入って受刑者さんに手錠を施用していると。それで、その状況というのは、そんなに暴れたようには見えない。非常に、どういうか、割と静かな状況の中で施用がずっとされている。暴れた状況は余り見えませんですね、これ。
 それは間違いないですね。横田さん、覚えてみえるでしょう、初めのところ。
横田政府参考人 私が見た記憶では、もう初めからその対象者といいますか、被収容者は保護房の床に横になっていましたので……(河村(た)委員「暴れてはいませんでしたね」と呼ぶ)そうでしたね。そのように見えました。(河村(た)委員「暴れていなかったということですか」と呼ぶ)そのように見えました。暴れていないように見えました。
河村(た)委員 それで、たしか僕がどこが問題があるんだと聞いたら、横田さんは、そこの上に、体の上に乗ったり、そういうようなこと、あれは横田さんか、だれに聞いたかな、わし。――ああ、官房長か、官房長に聞いたね。それはやり過ぎではないのか、そういう答弁をされましたね。
大林政府参考人 そのとおりでございます。
河村(た)委員 となると、そういうところが問題だったんでしょう、要は。あのビデオについて、これ。全体で革手錠を施用するんだから、その前の、あそこで突然始まりますわね、八時三十三分で。その前の状況が、仮に物すごく暴れていたとか、当然一連ですよね、一連の流れに決まっていますけれども。全然評価、もしそうであったら評価は変わってくるでしょう、これ。これはどうですか。官房長にしようか。
大林政府参考人 その可能性はあると思いますけれども、その前段が委員御指摘のとおり判然としないものですから、ちょっと私の方で仮定での結論は出しがたい、こういうふうに思います。
河村(た)委員 まず、疑わしきは被告人の利益というのをちょっと確認しておきましょう。官房長、この格言に間違いないですね。(発言する者あり)刑事局長にしよう。では、刑事局長。
樋渡政府参考人 そういう格言があることは承知しております。
河村(た)委員 格言どころじゃなくて、それは刑事司法を貫く大原則ですね。
樋渡政府参考人 要は証拠によって判断すべきものでございまして、その場合の証拠の内容いかんによりまして、要は疑わしきは被告人に、被疑者、被告人有利ということにつながるわけでございます。
河村(た)委員 それから、検察官の「検察講義案」というのがあると思うんだけれども、その中に、ちょっと完全に、私は検察官じゃございませんので覚えてはおりませんが、検事は客観的証拠に基づいて云々ということで、いわゆる客観的証拠ですね。やはりみんながどう見るかということですよね、思い込みとかそうじゃなくて。そういうものについて冷静にというか、職務を行うという規定がありますね、これは。
樋渡政府参考人 委員が御指摘のように、思い込み等で犯人だと決めつけるわけにいかないことは、これはまた当然でございまして、今、「講義案」とおっしゃいましたか。(河村(た)委員「そんなのはどっちでもいいんです」と呼ぶ)はい。
 要は、客観的証拠というものが大事だということは、それはよく言われることでございますが、ただ、客観的証拠というものが何を指すかというのは、人によってまちまちでございます。
河村(た)委員 では、その前半部分ですね、三十三分に至るまでの全体像が極めて重要である、これは。これは認められますね。これは矯正局長に聞こうか。
横田政府参考人 何しろその前がどうであったかがわかりませんので、お答えのしようがないというのが私の気持ちでございます。
河村(た)委員 では、その前ですが、では聞きますけれども、前はなぜないんですか、二十二分から三十三分のところは。なぜないんでしょうか。
横田政府参考人 矯正当局の立場としてお答えいたしますと、わかりません。不明でございます。
河村(た)委員 不明。不明とは一体何ですか、それは。調べたのか、何ですか、それは。不明とは何ですか、それは一体。
横田政府参考人 不明というのは、映されていない、映っていなかった理由が何かは不明であるということで申し上げました。
 ただ、名古屋刑務所から報告を受けている限りで申し上げますと、その報告内容としましては、総合警備システムのテレビ監視勤務についた職員の操作ミスがあったということは聞いております。ただ、それが、それでは委員おっしゃる二十二分ごろから三十三分ごろまでの映像が録画されていないことの因果関係とはどうなのかということはちょっとわからないということでございます。
河村(た)委員 映っていなかった理由は不明、刑務所に聞いたら、職員の操作ミスがあったと。
 これは刑事局長もやはりそうですか、これ。それから、検察は知っていたんですか、それ。
樋渡政府参考人 これはまさしく法廷で明らかにされるべきことだというふうに思っております。
河村(た)委員 これは、そうしたら、不明であった、操作ミスがあったということですか。検察庁はこのビデオの鑑定依頼をしたんじゃないですか。どうですか。
樋渡政府参考人 鑑定はしたと承知しております。
河村(た)委員 その鑑定書にどう書いてありますか。
樋渡政府参考人 その鑑定書は、現段階でまだすべての被告人にわたって証拠採用あるいは証拠決定がされているわけではございませんので、私からはお答えいたしかねます。
河村(た)委員 まあしかし、あれでしょう、当然、矯正局長。刑事局長だとやりにくいので、これ。矯正局長、もしですよ、だれかの手によって……。消去されていないと承知している、「したことはないということでございます。」と、あなた、答えているじゃないですか、はっきりここで。ダビングとか、それから編集した事実はないと聞いておるじゃないですか。だれに聞いたんですか、これ。
横田政府参考人 名古屋刑務所の関係職員から報告を受けているということでございます。
河村(た)委員 いや、実は違うんですよ、これ、悪いですが。今の技術によりますと、どうやってビデオが消去されたかわかるんです、これ。これはわかるんですよ。
 あなたのところ、検察は十一月五日に鑑定依頼を出している。それで、十一月八日に逮捕しちゃった。それで、十二月四日に鑑定書が来た。鑑定書の中に何が書いてあるんだ、これ。矯正局長、全然確認していないんですか。大林さんも何も確認していないんですか、これ。
横田政府参考人 鑑定書なるものは見ておりません。
河村(た)委員 大林さんも何も知らないの、官房長も。
大林政府参考人 私は承知しておりません。
河村(た)委員 いや、私、これは鑑定書もそうですけれども、今、きちっとした鑑定に出すことができるんですよ。これは、残念ながら、上書き消去されていますよ、ここ。上書き消去。十一分、見せてもいいですよ、これ。
 だけれども、今の、証拠の関係だとか言われるけれども、証拠と関係なくですよ。なぜかというと、これは有罪無罪もあるけれども、委員会に出して、委員会というか理事会で見て、みんなに一定の心証を与えて、これがある、あると言ってきて、そういう証拠、ほとんど唯一、これしかないじゃないか、証拠は。それが、この十一分間、前が上書き消去されているんですよ。
 これはちょっと参考人できちっと聞くかしないと、こんなの、これはもうむちゃくちゃですよね。理事会ではないけれども、理事全員に、委員長のおる前で、変造されておったビデオを見せられたんだ、これ。
 一遍、ちょっと委員長にこれを見せるけれども、だからちょっと、これはここでもうやめてもらいたい。余りにばかにしておる、これは。こんなむちゃくちゃな話は。ちょっととめてくれる、これ、委員長に見せるから。
山本委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
山本委員長 速記を起こしてください。
 河村たかし君。
河村(た)委員 それでは、これはどこにあれかな、刑事局長になるかな、これは、確認は。刑事局ですか。
 では確認を、こういう文書があって、こういうことがあるかということをひとつ確認してください。
 「鑑定書」として、「平成十四年十一月五日付、名地特捜第六〇八号で名古屋地方検察庁検察官検事」、ちょっと名前は省略しましょうか、「から鑑定嘱託されたことについて次のとおり鑑定した。 平成十四年十二月四日 愛知県警察本部科学捜査研究所 技術吏員」、名前も省略します、後でお見せしますが。
 そこで、この「鑑定事項」の「(3)」としまして、「鑑定資料(1)及び(2)は、いずれも監視用ビデオテープであるため、上書き録画・録音されているものであるが、鑑定資料(1)は、午前八時二十二分の部分から同八時三十三分の間の部分は、画像及び音声とも録画・録音されていないが、この部分について、他の上書き消去した部分と異なり、上記録画等されていたものを敢えて消去した形跡の有無及びそれが認められる場合、復元の可否及び内容。」というふうに言っておいて、あとちょっといろいろ分析があって、「鑑定結果」「(3) 資料(1)の八時二十二分十二秒〜八時三十三分十五秒のタイムスタンプの間は、無信号で上書き消去したもので、復元はできない。」こういうふうにあり、最後、「上記の鑑定は、平成十四年十一月五日から同年十二月四日までの間、愛知県警察本部科学捜査研究所において行った。」
 そういうふうにあることに間違いないですね、この文書は。
樋渡政府参考人 先般の被告人岡本にかかわります公判において、そういった内容の鑑定書が証拠採用されたというふうには承知しております。
河村(た)委員 こんなの、しかし、証憑隠滅罪じゃないか、これ。どうですか、これ。
樋渡政府参考人 上書き消去した状況についてのお尋ねであろうというふうに思いますが、この点につきましては、まさしく個別の検察活動に関することでございますから、私からお答えいたしかねます。
河村(た)委員 だから、ちょっと矯正局長にも、あなた、無給処分しているんだから、起訴して、八名の刑務官を、生活も奈落の底に落として大変な苦労をさせているんだから。その証拠が変造されていたと、これ。わかっていて、あなた、何か知っておるか知っておらぬかわけのわからぬようなことを言って、これは証憑隠滅罪の可能性もあるでしょう。証憑隠滅罪ですよ、これ。なぜ告訴しなかった、これ。こんなビデオをまた法務委員会の理事会に漫然と出して、これは国会の無視も甚だしいですよ、こんなの。
 もう、ちょっとやめてください。これは全部証人喚問か何かやるまでだめですよ、こんなの。(発言する者あり)いや、当然このビデオが本物かどうかチェックしなきゃだめですよ、そんなもの。――では、矯正局長、一言しゃべってください。
山本委員長 矯正局長、答弁してください。
横田政府参考人 先ほど申し上げましたように、私は、今委員がおっしゃったような鑑定書の存在も、内容はもちろん存在も知りませんで、今委員がおっしゃったことでそういう鑑定書があることを知りました。
 したがって、それに対して今証憑隠滅に当たるのかどうかとかおっしゃられても、これはまた別の証拠関係の問題でございますので、私からは申し上げることは不適切と思います。
河村(た)委員 そんな、知りませんで済むことじゃないですよ、これは。済むことではありません、言っておきますけれども。
 これはとにかく当委員会で、本当は証人喚問をやらないかぬ、証人喚問を。理事会でみんな見たんだし、この前提に基づいていろいろな審議をしてきたんだから、これは。証人喚問をやらないかぬ。それをやらない限りはやれませんよ、こんなの。隠滅された証憑に基づいてどうやって審議続けるんですか。(発言する者あり)いや、だから決めてくださいよ。(発言する者あり)いやいや、そんなもの必要ないじゃないですか。
山本委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
山本委員長 速記を起こしてください。
 河村たかし君。
河村(た)委員 では、証拠採用された日と、私どもが委員長室で理事で全員で見た日、あの日をちょっと教えてください。
樋渡政府参考人 鑑定書の証拠採用、岡本被告人の関係での証拠採用は、正確な日付、今はちょっと手元にありませんが、わかりませんが、彼の第一回か第二回、初めのころの公判でございますから、三月の末ごろではなかったかと思います。
 ただ、少し説明させてもらってよろしいですか。
山本委員長 どうぞ。
樋渡政府参考人 この鑑定書は、先生が御指摘の映っていない部分がなぜ映っていないのかという鑑定でございまして、テープ自体は、作成の真正が立証された上で裁判所に当時映されたものだというふうに、作成の真正が立証されて裁判所が認めた上でこれを証拠採用しているものでございます。
河村(た)委員 作成の真正がといって、だれかがつくったに決まっておるじゃないですか、テープは。何を言っておるか、わけがわからぬけれども。
 その前の十一分間が上書き消去されていて、これは非常にきちっとつくってありますよ。途中で録画中にビデオデッキの入力端子からビデオケーブルを外し、しばらくして再接続する方法が一つある。それから、もう一つは、一たん録画した後巻き戻し、ビデオの入力端子からビデオケーブルを外して再録画する。この二つの方法があるが、鑑定により、この場合は後の方法である、一たん録画した後巻き戻し、ビデオの入力端子からビデオケーブルを外して再録画する方法であると。こういうふうに、この方法により消去されたと判断されるとはっきり書いてあるんですよ、これ。何を言っておるんですか、あなたは。
 これ、まあいいけれども、では、矯正局長と話をしなかったの、このことを。矯正局長、あなたはうそを言ったことになるよ、悪いけれども、今も。職員の操作ミスがあった、これはあなた、刑務所から聞いているでしょう。あなたは刑務所からだまされたよ、幹部から。
横田政府参考人 先ほど申し上げましたように、私ども矯正局はそのような報告を受けております。
河村(た)委員 ちょっと待ってください。では、全然聞いていないということね、この鑑定書のこと、ビデオのこと。聞いたのは、刑務所の幹部から、操作ミスでこうなったということを聞いただけね。
横田政府参考人 幹部といいますか、関係職員からということですね。(河村(た)委員「刑事局からこの鑑定書のことは聞いていないわけね」と呼ぶ)聞いておりません。
河村(た)委員 これは、しかし、私たち国会で何を見せられたんですか。何だったんですか、あれ、委員長室で見たのは、理事会で。何だったんですか。私たちをだましたんですか、これ。
樋渡政府参考人 先生が読み上げられました鑑定書の中におきましても、一たん録画されたものの一部が上書き消去された方法によるんだというふうに書いてございました。要するに、あのテープ全体、消された部分以外は、当時の模様を録画したものであるということの真正が立証されて法廷に顕出されたわけでございまして、後はその隠れた部分をどうやって検察官が立証していくかという問題だろうというふうに思っております。
河村(た)委員 ちょっと相談してくださいよ。あれは当たり前のことだよ。消されとらぬ以外のところは真正だなんて、だめだめ、そんなもの。ちょっと委員会で、これ、本当にだまされたんだから。
山本委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
山本委員長 速記を起こしてください。
 委員の皆さんに申し上げます。
 十五分間休憩し、再開は、午前十一時十五分とさせていただきます。
    午前十一時休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時十五分開議
山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件の調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時十六分散会

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