衆議院

メインへスキップ



第32号 平成15年7月16日(水曜日)

会議録本文へ
平成十五年七月十六日(水曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 山本 有二君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 園田 博之君 理事 吉田 幸弘君
   理事 河村たかし君 理事 山花 郁夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 石原健太郎君
      荒巻 隆三君    太田 誠一君
      後藤田正純君    左藤  章君
      下村 博文君    中野  清君
      平沢 勝栄君    保利 耕輔君
      星野 行男君    松浪 健太君
      保岡 興治君    山口 泰明君
      吉川 貴盛君    吉野 正芳君
      鎌田さゆり君    鈴木 康友君
      中村 哲治君    平岡 秀夫君
      水島 広子君    山内  功君
      上田  勇君    山田 正彦君
      木島日出夫君    中林よし子君
      保坂 展人君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        増田 敏男君
   法務大臣政務官      中野  清君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   衆議院事務総長      谷  福丸君
   衆議院警務部長      井上 茂男君
   政府参考人
   (法務省大臣官房長)   大林  宏君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    津田 賛平君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  吉戒 修一君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十六日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     荒巻 隆三君
  笹川  堯君     山口 泰明君
  中川 昭一君     松浪 健太君
  鎌田さゆり君     鈴木 康友君
  平岡 秀夫君     田名部匡代君
  不破 哲三君     中林よし子君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     小西  理君
  松浪 健太君     中川 昭一君
  山口 泰明君     笹川  堯君
  鈴木 康友君     鎌田さゆり君
  中林よし子君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
七月十五日
 国籍選択制度と国籍留保届の廃止に関する請願(前原誠司君紹介)(第四一八一号)
 同(植田至紀君紹介)(第四一九六号)
 同(中川智子君紹介)(第四二一〇号)
 民法を改正し、夫婦別姓も可能となるような制度導入に関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第四一八二号)
 重国籍容認に関する請願(山花郁夫君紹介)(第四一八八号)
 同(五島正規君紹介)(第四二五五号)
 成人重国籍の容認に関する請願(北川れん子君紹介)(第四一九一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
山本委員長 これより会議を開きます。
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房長大林宏君、刑事局長樋渡利秋君、矯正局長横田尤孝君、保護局長津田賛平君及び人権擁護局長吉戒修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村たかし君。
河村(た)委員 まず、二十分ほどですけれども、最近、国会の、そこにも監視カメラがありますし、にわかに、この向こうの議面の向こうにあります。数十台までいかない、二十数台ありまして、私も、警視庁の情報公開室に実はカメラがあった、これはなかなか、私は褒めるところは褒めておきます、やはり情報公開のところをカメラでねらうとは何事だということで予算で何回かやりまして、これは警視庁は英断をいたして、谷垣さん、立派なものだと思いますけれども。ただ、部屋をかえたんですけれども、やはり情報公開を請求してくる人間の画像をアプリオリに撮ることは問題があるということで、一応部屋をかえたんだけれども、撤去された。谷垣さんの判断でそうなったということで。
 それにまつわって、国会の監視カメラがすごい知らぬ間にどえらけにゃあようけできてしまって、このことは一定の必要性はあるんです、やはりあります。だけれども、世界のルールを見てみますと、非常に厳しいです。たくさんつくればつくるほど、やはりその画像はどう処理するかとか、ちゃんとここに監視カメラがあると表示しろとか、そのデータをどうするかとか、そういうことは当然のように、それから、もっと厳しいところは、アメリカ・ワシントンDCなんというのは、写してもこういう書類などをカメラで撮ってはならない、そういうふうな規定まで置いて、国民の自由を守るということに意を砕いておるわけでございます。
 とりあえずちょっと法務大臣に、人権擁護の現状におきまして、一応最高責任者の法務大臣、そのお立場、それから政府の中で、今のところ何のルールもありやせぬわけですよ、日本じゅうに、監視カメラ。何かわけわからぬ、めちゃくちゃあって、何にもないということでございますが、ちなみに言っておきますと、民主党はきょう朝、このいわゆる監視カメラと人権の調整をどうするかという法案を提出するということで部会で承認されましたということですけれども、政府として何らかの、積極的に人権を守るために方策をとっているということを一言ぜひ言ってくださいよ。お願いします。
森山国務大臣 監視カメラというのが最近特にいろいろなところで話題になっております。通常は警備その他防犯の目的で設置されるものでございまして、最近では、民間も含めて広く利用されているというふうに聞いています。
 他方で、それが安易に設置されて、あるいは記録されたデータが目的外に使われるというようなことがあっては、個人の肖像権とかプライバシー権の保護の観点から極めて問題であるということはおっしゃるとおりでございます。
 監視カメラの設置の是非につきましては、設置目的が正当であるかどうか、設置の必要が認められるかどうか、設置状況が妥当かそうでないか、使用方法が相当かそうでないかなど、いろいろと判断する必要が個別にございまして、統一的な設置基準や運用のルールを設けるのは容易ではないと思われますけれども、監視カメラを設置する機関におきましては、設置、運用するに当たりまして、それぞれの具体的な状況に照らして、個人のプライバシー等を不当に侵害しないように十分配慮しなければならないと思います。
河村(た)委員 もうちょっといいことを言うとこれは格好いいんだよ、大臣。立法化を、一応ルールを定めて、やはり法規、一応の、例えば、一番原則的に言えば、ここにありますという表示はするようにするとか、そういうような法制化を考えていくということぐらい言うと格好いいんですよ、これ。今これは新しい時代の、本当に世界じゅうでの大テーマですから、そのぐらい言ったらどうですか。
森山国務大臣 先ほど申し上げましたように、目的が正しいかどうか、設置の必要があるかどうか、設置の状況が妥当かどうか、あるいは使用の方法が相当であるかどうか、その他さまざまな問題点を個別によく検討しなければいけないと思いますので、何か一つ、あるいは一定のルールを決めてそれを法律にするというのはなかなか難しいのではないかというふうに私としては感じます。
河村(た)委員 それなら、せめて閣議で提案するぐらいは言ってくださいよ、これ。
森山国務大臣 今申し上げましたような難しい問題がありますので、なかなか閣議で提案するのはさらに難しいと思います。
河村(た)委員 そういう情けないことを言っておるもので、なかなか時代が進んでいかない。そんなのは、提案するなんて、提案すればいいじゃないですか。どういうものをというか、こういうことを考えていこうと。そのぐらい、いいでしょう。どうですか。
森山国務大臣 個別の監視カメラについて、これはどうである、あれはどうであるということをそれぞれ設置者が考えるべき問題だと私は思います。
河村(た)委員 本当はそれでは全然いかぬのですよ。やはり考えていくことはやらないかぬです。個別にやるのか、民間がやるのと国がやるのといろいろあるけれども、本当のアバウトなところでいいんですよ、本当のアバウトなところで。例えば、民間のコンビニの前についておるもの、では、これは政府としてはさわらぬでいくのか、さわるのかとかあるわけね。そのぐらいの気持ちにならぬですか。時代の要請だから一遍考えましょうというぐらいのことを言われたらどうですか、それは。
森山国務大臣 それぞれの設置者がプライバシーや個人の肖像権その他について十分考えていただくということは一種の常識でございまして、そのようなことを十分考えてほしいということは私も思っておりますし、そういう問題を検討しよう、あるいはどういうふうに表現すればいいかというようなことを考えるのはいいと思いますけれども、そのような問題がすぐには法律にはなりにくいのではないかというのが私の感じでございます。
河村(た)委員 余り言っておってもしようがないけれども、後ろの人の声がそのまま聞こえてくるものなので、これではいかぬです、本当に。やはりこれは議員が議院内閣制で行政府の長におりますから、そういうふうにやってもらわないかぬ。
 では、これはこれで、希望だけ申しておきますので、いろいろなルールがかなりいろいろありますから、法律で決めるとたまたま言っただけのことであって、民間は決めないというのもありますので、あらゆるものを含めた、個別的にこうこうはないけれども、スタートラインにはつこうというぐらいのことは、ぜひそう言ってください。
森山国務大臣 監視カメラというものが非常に最近注目されている問題でございますから、それについてみんなで総合的に勉強しようということは言えると思います。(河村(た)委員「内閣で」と呼ぶ)内閣というのは、ちょっとそういう性格のものではないと思いますので……(河村(た)委員「政府で」と呼ぶ)政府の関係する機関でそれぞれ勉強するということは重要なことだと思います。
河村(た)委員 何だか知らぬけれども、わかりませんけれども、まあいいわ、それは。
 それでは、次は衆議院の方に。
 きょうはちょっと珍しいですけれども、いつも議長席で座っておられるその御尊顔を拝しておりますけれども、事務総長が来ておられますので、この衆議院の、たくさんあるんですよね、これは、監視カメラというのはたくさんあるんですよ。
 これは自民党に言っておきますけれども、本来は保守の思想だからね。わかります、これ。住基ネットもそうだけれども、住基ネットなんて、自民党は賛成したらいかぬのですよ、言っておきますけれども。国民の自由を管理からどう守るか、自由主義というのはそういう思想なんであって、そんな、番号をつけてみたり、監視カメラをどんどんつくるという発想なんというのは、これはそれこそ全体主義の発想なのよ。間違ってもらっちゃいかぬですよ。本来の保守主義の思想というのは、一定の必要性はあるけれども、やはり個人の自由を社会の中でどうやって守っていこうかというのが、これこそが自民党がやらないかぬ、そういうことですよ、これは。こんなこと言っていかぬけれどもね、そういうことです。
 そういう立場で、この経緯、どういうふうで、また、どういう根拠でこれがつけられるようになったか、ちょっとお答え願います、事務総長。
谷事務総長 お答えいたします。
 細かい経緯は警務部長の方からあれしますけれども、あらあらのことを申し上げますと、そもそも監視カメラをつける契機といいますのは、具体的に、委員長、藤井委員長でございますが、そのときに大変セキュリティーが問題になりまして、話題になりまして、それでセキュリティー協議会をつくって、議運の中にそういうあれをして、私ども事務局に勉強を命じられまして、それで民間に委託して、その答申に基づいて、カメラを設置すればよろしいだろう、こういうお答えをいただいたのですが、もともとその前に、警務が今、交代制勤務でございますけれども、要するに、週休二日の休みがなかなかとれないので、勤務を軽減しますといいますか、要するに、機械化をすることによってそういうのが実現できるんじゃないかという、かねて問題意識がありまして、私どももそういう意識で勉強していたところに、そういう委員長の御指示もあって設置したと。
 その設置を進めているうちに、十三年の九月の十一日に例のテロの事件が起こりまして、また一挙にセキュリティーの問題が高まりまして、さらに全般的な監視カメラを増設したり、それから門のところの車の防止よけをつくったり、こういうことで現在監視カメラをつけておりますが、もともと先生も、こんなことをおっしゃったら、大変恐縮でございますけれども、私どもというのは、要するに先生方の活動あるいは先生方を補佐するために存在している事務局でございますから、要するに、それもこれもすべて先生方の活動のために、そのための秩序維持をするために私どもも努めてまいっておる、こういうことでございます。
河村(た)委員 そうすると、これ、どこかで決まったことは決まったの、ちゃんと議会をやって。議事録とかあるんですか。
谷事務総長 予算でございますから、予算の執行につきましては、あらあらそのときに概算要求、あと予算書を提出しまして、正月にそういうあれしますけれども……(河村(た)委員「予算じゃなしに設置」と呼ぶ)設置につきましては、議運で、警察小委員会でお諮りはしてあるんですが、定かな記録は残ってございません。懇談のことで大いに議論になって決まった、こういう感じでございます。
河村(た)委員 なるほど。
 そうすると、どう言いましたか、定かな会議録はない、懇談の中で決まったと。懇談の中でどういうふうに決まったんですか、これは。
谷事務総長 お答えいたします。
 もう御案内のことかと思いますが、庶務小なり警察小委員会なりというのは、大体、大方、実質的な審議では、すぐ懇談に入りますものですから、懇談というのは、要するに正規には議事録をとりませんものですから、したがってそういう意味で記録がない、こういうことでございます。
河村(た)委員 別に事務総長は、一応ルールだと議長が最高責任者ですね、衆議院は。だから、議員が決めることですから、決まったことをやっておるだけだ、こういうことですか。
谷事務総長 そういうことでございます。
河村(た)委員 となると、議員が問題意識を持たないかぬということで、本当は議運でやるのもあれかわかりませんけれども。民主党の議運の長浜理事にはそう言っておきましたけれども、仁義だけは立てていかないかぬものですから、きょう、法務でこうやってやるよということは言ってありますけれども。
 そうすると、それはそれで、議運でやっていただく。しかし、これは大事なことですからね。
 あそこに全部ついておりますと、私もこの間、中の監視卓に行きましたけれども、通行人、全部わかりますからね。この間、私が、ずっとこういうのついておると言うて、ああ、これかこれか言うたら、きれいに映っておりますわ、みんな、そういうやつが。きれいに映っておるし、メモもとっておられるということでございます。
 となると、決めたことはいいんだけれども、運用ルールって、あるわけ。
井上参事 運用ルールというのは存在してございません。
河村(た)委員 存在しないと言うけれども、これはあかんよ、決めたことであっても。決めたことは何でも知らずにやりますということではいかぬですよ。やはり国民の、民主主義の殿堂でしょう、ここは。これを、来る人、全部カメラで映るわけでしょう。
 準備等はしてあるのか、どうなっておるんですか。
井上参事 現在作成中でございます。
河村(た)委員 作成中というのはどういうことかようわからぬけれども、それじゃ、何でつくらぬかったんですか、運用ルールを。
井上参事 カメラの設置の目的が、ただ、院内への不法侵入者を排除するということを目的としていますので、それでよかろうということで、頭の中に上がらなかったのではないかと考えております。
河村(た)委員 不法侵入者防止だけだったら、それこそ内部を映しておいたらどうなの。例えば塀の中だけ映るように。どうだね。
井上参事 今のところ、外の不審者を探すというのが目的も入っていますので、中だけ撮っていますと、入ってこられたという、既遂に終わってしまいますので、それはちょっとまずかろうと思いますが。
河村(た)委員 では、外の不審者と言いますけれども、これは不審者だけ映るんですか。
井上参事 もちろん、御指摘のとおり、そういうことはございませんが、侵入行為に着手した者が不審者でございます。
河村(た)委員 いや、不審者だけ映るのかと聞いている。はっきり言ってくださいよ。
井上参事 不審者だけは映りません。
河村(た)委員 そういうことなんですよね、これは。日本国民が映るわけですね、ここを通った人は全部。
 どの辺まで映っておるのですか、フェンスの外。
井上参事 カメラの設置場所にもよりますけれども、数メートルから十メートル先が映るということでございます。
河村(た)委員 十メーター。
 そうすると、それはあれですか、ちょっと聞いておくわ。何台あって、お金が幾らかかって、それは入札されたかどうか、まずちょっと聞いておきましょう。
井上参事 現在二十三台ございまして、総費用が一億四千八百万円余でございます。入札してございます。入札して、結果でございます。(河村(た)委員「入札した」と呼ぶ)はい。
河村(た)委員 入札しておらぬと聞いておるぞ、わし。随意契約と聞いておるがな。これ、きのう質問通告してあるよ。
井上参事 私どもは、きのうの時点で、入札の話はちょっと警務に届いていなかったものでございますから、原則として入札をするべきものだということでお答えさせていただきましたけれども、ちょっと申しわけございませんでした。
河村(た)委員 いや、ちょっと待って。これはきのう言っておったぜ、おれ。
 入札でないと言っていましたがね、随意契約だと言って。左の制服の方、ちょっと名前を忘れちゃったけれども、おったでしょう、横に。しゃべっておったがね、目の前で。頼むぜ、本当のことを言ってくださいよ。
井上参事 あいまいなことで大変申しわけございませんが、最初に十六台設置しまして、そのときには恐らく入札をやるわけでございますけれども、追加の分につきましては随意契約になるというのが、会計の方の処理では、会社がかわるというのも統一的な運用ができませんので、やっていないというのは追加の分かもしれません。随意契約……(河村(た)委員「かもしれませんか。これは断言してください」と呼ぶ)申しわけございません。
河村(た)委員 断言してくださいよ。こんなことは委員長、こんなのは絶対に断言できないかぬですよ。発注者でしょう。発注者でしょう、衆議院。これは発注者は断言できないかぬですよ。
井上参事 最初が入札で、追加分が随契でございます。
河村(た)委員 それだけのものが設置されておるということですね。
 歩行者に対する、要するに、ここに監視カメラがありますよというのを張ってありますか。
井上参事 そのような案内表示はございません。
河村(た)委員 これは本当に、余り事務局を怒ってもしようがないんだけれども、これはやはりまずいですよ。警察でも、やはり歌舞伎町なんかのものは張ってありますね。何か保護色で、同じ色のものでわからないようなのもありますけれども、これは本当にやらないかぬですよ。
 そんな、国会がそういうものなしで、私も自分で気がついたんだ。警視庁にいかぬじゃないか、いかぬじゃないかと言って、警視庁さん黙っておりましたけれども、あなた、自分の国会で何も言わずに何を言っておるんだという話ですよ、言ってみれば。これはまず、せめて監視カメラ作動中とか、やる気持ちはないですか。
井上参事 これから作成いたします運用規程の中で、先生御指摘の部分も十分取り入れていきたいと考えております。
河村(た)委員 それはいつごろからつくろうと思っていたわけ、運用ルール。きのうからじゃないですか、下手したら。
井上参事 きのうということではございません。かなり前からでございます。(河村(た)委員「本当かね。いつからですか」と呼ぶ)数カ月前からということで御理解いただきたいと思います。
河村(た)委員 では、それは委員会か何かつくって、どういう会議でやりましたか。
井上参事 初めてのケースで、恐らく、私ども考えておりますのは、運用規程でございますけれども、案を、たたき台をやはり事務局といいますか警務部でつくりました上で、警察小委員会の了解をとった方がよろしいのではないかと考えておるところでございます。
河村(た)委員 まあいいわ。余り責めておってもいかぬですから。本来はこれは議員の方の問題ですから、余り責めておってもいかぬですけれども。
 では、あそこにありますね、向こうに議面、この向こう側に。これは請願をやりに来るところですよね。あそこにはついていますかね、監視カメラ。
井上参事 はい、ついてございます。
河村(た)委員 それは当然、顔も映りますか。
井上参事 はい、映ります。
河村(た)委員 それはズームで何倍ぐらいの能力がありますか。
井上参事 ちょっと機械的な性能については数字を持っておりませんが、意図的にズームにするというような日常的な作業はやっておりませんので。
 先生御視察の折にごらんいただいたように、モニターは二十四ほどありますけれども、実際に常時それを見続けているという衛視はいないわけでございまして、何かあったときに音がして、ここを見てくれという警告が出るだけのことですから、あえて、だれが来ているのか、どの特定のグループが来ているのかということを監視する目的が全くございませんので、ズームにする必要はないと思います。
河村(た)委員 それは録画機能はありますか、それじゃ。
井上参事 はい、録画機能がございますが、これにつきましても、何も事件なり事故がなければ、あえて警務部の方で再生してじっくり調べるというのは、実益もございませんので、そういうことはやりません、やっておりません。
河村(た)委員 録画は今どうやってやっておるのですか。
井上参事 自動的に録画になります。
河村(た)委員 自動的ということは、全二十四時間、二十三台分、全部録画をして、それが何日分、どれだけ分保存しておってと、その辺のところをちゃんとお答えください。
井上参事 全台、全テレビ、二十四時間で録画といいますか記録はとれますけれども、それについても、先ほど申し上げましたように、何ら事件、事故がなければ、あえて再生する……(河村(た)委員「保存はどうなっていますか」と呼ぶ)保存は、今のところ、一週間程度で自動更新していきますので、一週間前に撮った画像というのは自動的にどんどん消滅していきます。
 ということで、この一週間が長いか短いかはいろいろ先生方の判断があると思いますけれども、御理解いただきたいのは、録画していますけれども、あえてそれを再生する必要性というのはほとんどないということを御理解いただきたいと思います。
河村(た)委員 そのビデオの、では、そこの議面のところに来た人の顔は、全部、顔というか、後ろを向いておれば別ですけれども、いわゆる一般的に入ったものは一週間分全部録画されておるということでいいですね。
井上参事 はい、そのとおりでございます。
河村(た)委員 これはやはりもうちょっと国民のことを考えないかぬよ。
 請願に来るということは、情報公開もよく似ていますけれども、やはり国民からすれば一定の権力に対して乗り込むわけですよ。これは、特にそういうのをみんなで大事にしようという憲法の規定もあるわけでしょう。これは一週間分、国民の皆さん全部映っておるわけだ、来た人の。いろいろな、さまざまな請願がありますよね。
 だから、あなたはそう言われるけれども、それは、要は変な悪用はしないということでしょう。だけれども、それはファイルできるわね、やろうと思えば。どうですか。
井上参事 恐らく、間違いなく、そのことも含めて運用規程に必ず入れなければならないことだとは思いますけれども、私どもの職域というのは院内に限られておりまして、請願に来られた皆様方の一人一人がどなたであるとか、どの団体が来たとかいうことは、録画を再生して追求したところでほとんど意味がないということで、実質的に現在のところ運用規程はございませんが、そういう御心配はされなくて結構ではないかというふうに恐れながら考えております。
河村(た)委員 それは事務局に言うんじゃないけれども、これは国会議員が考えないかぬことなんだけれども、本当にいかぬです、これはルールなしでやるというのは。これはいけません。そんな、請願に来た人の顔を二十四時間全部撮って一週間ファイルしておる。とんでもないことだよ、ルールなしに。そういうことです。
 これは民主主義の府として、中心として、国会がやってはいかぬことです。だから、一刻も早く、これは議運なり、こっちの法務の方からも、そういうことでしょう、大臣。国民の人権にかかわることですよ、これ。どえらい人権にかかわることですよ。だから、ちゃんとルールづくりをせないかぬということを、そのぐらい言ってもいいでしょう。法務大臣、どうですか。
森山国務大臣 国会の監視カメラにつきましては、今御説明があったように鋭意検討していらっしゃるそうですので、運用のルールを決めていただくということでよろしいんじゃないでしょうか。
河村(た)委員 何だか知らぬけれども、えらい客観的なお言葉ばかりでなんでございますけれども、そういうことですよ。そういうことに問題意識を持つという精神が、少なくとも僕は、国会議員が権力側であるという、余りそういう表現は使いたくないですけれども、やはり常に自戒しておらないかぬ、国会議員なり政府というのは。税金で食っておる人間というのは。
 それと、一定の権力を持っていますから、そういう人間は、やはり国民に対して、常にパブリックサーバントであるという原点を絶対に忘れぬようにせないかぬということは、特に自由民主党の皆様にもお願いをしておきます。本来の自由主義というのはこういうものであるということだと思いますけれども。
 それから、六月十八日に記者会見か何かで記者クラブに、これを余り報道せぬでくれというようなことを言ったという話がありますけれども、これは事実でしょうか。
井上参事 そういう事実はございません。
河村(た)委員 ございません。説明したこともないですか。
井上参事 説明はしましたが、そういうことを要請したということはございません。
河村(た)委員 説明はされた、こういう状況だということを。
 いいです、それ以上はいいけれども、ぜひこれは、事務局というよりも、国会議員である以上、やはり国民の権利を大事にするように、これは委員長、ひとつどうですか、御感想は。
山本委員長 委員長は議事を進めることが委員長の職務でありまして、感想を述べるのが職務ではありませんので、どうぞ質問を継続してください。
河村(た)委員 本当はそういうことじゃないんですよ。委員長というのはすごい権限を持ってしかるべきなんですよ、本来は。党より委員長の方が強い。そんなのは当然に本当はそうなんだけれども、いいです、余り、こういうふうにうなずいておられますので、そのくらいにしておきますけれども。
 ぜひ、僕は請願の窓口は撤去せないかぬかわからぬと思いますね、あそこは。防犯だったら、防犯目的だけだったら、ちょっと人数が物すごい来ますから難しいけれども、例えば金属探知器をきちっとするとか、ほかの方法はあると思うんですよ、あそこのところは、特に請願窓口は。
 だから、そういうことも含めてぜひ御検討を、皆さんからまた議運の方に上げてもらわないかぬけれども、そんな問題点を提言してください。どうぞ答弁してください。
谷事務総長 お答えします。
 今先生御指摘の点は、るる、私どもも十分至らなかった点もあると思いますから、マニュアルもそれは至急作成しまして、これは議運で一つのルールづくりのために、警察小委員会に近々上げるようにお話をしたいと思います。
河村(た)委員 ありがとうございます。
 それでは、国会関係の方は結構でございますので、どうもありがとうございました。
 そうしたら、行刑問題についてですけれども、この間の九月の事案のビデオ、これは変造されていた、鑑定書があると。これを国会に、結局あれは理事懇ですね、委員長もおりまして全員そろったところで、むざむざと、私たちに何の説明もなく見せたということでございますけれども、これほど委員会無視というのか国会軽視というのか、僕は本当に感じるんですけれども、どうですか、この点。
大林政府参考人 お答え申し上げます。
 いわゆる九月事件のビデオテープにつきましては、本年六月二十七日に理事懇談会の場で再生させていただきました。このテープには映像の欠落部分があり、その部分は上書き消去されている旨の鑑定書が作成されていましたが、テープを再生させていただいた際、映像の欠落原因について詳しい御説明をすることができませんでした。
 まずその原因について簡単に御説明させていただきますと、まず、名古屋地方検察庁においては捜査当初から、このテープは改ざんがなされているのではないかとの問題意識を持って鋭意捜査を行っておりましたが、結局、改ざんが行われていたか否か、断定することはできなかったとのことであり……(河村(た)委員「国会に対する責任を言ってください」と呼ぶ)はい、それも申し上げます。
 刑事局では、その旨の報告を受けていたところであります。
 その上、理事懇談会では、法廷で再生されたテープをありのままに再生するようにとの要請を受けていたものでありましたし、さらに、テープの鑑定書は、事実を争っている被告人の弁護人が裁判の証拠とすることには反対していたという事情もあったことから、鑑定書の内容を刑事局が殊さらに言及するのはいかがか、こういうふうに判断していたところでございます。
 他方、矯正局では、昨年九月三十日に名古屋刑務所から名古屋矯正管区を通じ、映像の欠落は看守の操作ミスによるものである旨の報告を受けており、テープの鑑定書については、その存在すら認識していなかったものであります。
 このようなことから、六月二十七日のテープの再生時に、委員の方々に映像の欠落原因について詳しい御説明ができず、結果的に、再生したテープは改ざんされたものではないかと先生方の強い不信を招くことになりました。
 再生したテープの一部に不自然な映像の欠落があることは事実でございますし、省内の調整をすべき官房において、テープを理事懇談会に持ち込む前に、その原因究明のために参考となる資料がないのか否かを矯正、刑事の両局に改めて確認しておれば、映像の欠落についてそれなりの説明が可能であったと思われ、この点について配慮が足りなかったもの、このように反省しております。
 今後、このようなことがないように十分気をつけてまいりたい、このように考えております。
河村(た)委員 反省しておりますということは、謝罪をするということでいいですか。
大林政府参考人 そのとおりでございます。
河村(た)委員 とにかく、謝罪すると言われましても、いろいろ今言われましたけれども、まず――ちょっと先に進むか。
 九月のテープ、マザーテープがありますが、そこからダビングがされた事実はあるんですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる原本といいますか、マザーテープからダビングをしたテープが存在することは事実であります。先日、理事懇談会において再生いたしましたビデオテープも、そういう意味では、いわゆるオリジナルからダビングされたものというふうに聞いております。
河村(た)委員 そういうことを言ってもらっちゃ困るんですよね。この間のものは最近かどうか本当はよくわかりませんけれども、もっと早い段階で、九月二十五日でしたか、あれは、あの保護房の話というのは。その直後の辺の段階でダビングした事実はあるんですか。
横田政府参考人 ございます。
河村(た)委員 ある。そうすると、裁判所に出たビデオは、どういうビデオだったんですか。
横田政府参考人 私、矯正当局が理解している範囲では、原本を名古屋刑務所が名古屋地検に任意提出をしたというふうに聞いております。したがって、名古屋地検が持っていた証拠物としては、その名古屋刑務所が提出したいわゆる原本、それが法廷に提出されたものというふうに理解しております。
河村(た)委員 ちょっと、そうすると、ダビングは何本されて、どこへ行ったんですか。
横田政府参考人 少し細かくなりますけれども、ダビングの状況について申し上げます。
 名古屋刑務所におきましては、九月事案の犯行状況の一部を録画したビデオテープをダビングしている、先ほど申し上げたとおりでございます。そのうち、本年六月十九日以降、この法務委員会の理事懇談会におきまして再生すべきものなどとして名古屋地検から入手したダビングテープやその再ダビングテープを除けば、矯正局において取り急ぎ確認した限りで申し上げますと、現在、名古屋刑務所におきましては、四セット八巻のダビングテープを作成しているということです。そのほかに、現在、矯正局においては二巻二セットのダビングテープがございます。それから、名古屋矯正管区におきましては二巻二セットのダビングテープ四巻、合計八巻を保管しているというふうに聞いております。
 以上です。
河村(た)委員 要するに、最近持ってきたというやつとごちゃごちゃになるといかぬので、九月二十五日――まず犯行と言うのをやめてくださいよ、言い方、犯行。犯行というのは、反対になりますよ、もうすぐ、どちらの犯行か、これ。役所側の犯行になるよ、これ、そのうちに、もうすぐですけれども。とにかく、九月二十五日のビデオをいつダビングして、それをどこでだれがどこに渡したんですか、マザーテープを。
横田政府参考人 今申し上げた、ちょっとさっき不正確だったかもしれませんが、矯正局においては二巻二セットの四巻、矯正管区が二巻二セットの四巻で、合計八巻を保管しているということです。
 それから、それぞれのダビングテープがいつ、何月何日ということで、いつダビングされたかということについては、ちょっと現在把握しておりませんので、これから調査をいたします。
河村(た)委員 何かようわからぬといって、何日たったんですかね、これは一体。
 それより、矯正局の持っておるビデオはいつダビングされたビデオなんですか、それ。管区も本省も。
横田政府参考人 お答えします。
 矯正局が保管したダビングテープの内訳を申し上げますと、平成十四年、去年の九月二十六日に名古屋刑務所の職員が持参したものがございます。これは合計四十四分間の映像が録画された一セットでございます。それから、次に、十月三日にその名古屋刑務所の職員が矯正局に持参いたしました。これは合計十二時間の映像が録画されましたワンセットということであります。以上です。
 したがって、それぞれ名古屋刑務所が矯正局に持ってまいりましたテープは、持ち込んだより前ということしか今のところわかりません。いずれにしても、その前にダビングされたことは当然のことですけれども、それぞれが何月何日、名古屋刑務所でダビング作業が行われたかについては確認しておりませんので、わかる範囲で調査をいたします。
河村(た)委員 九月二十六日にもう矯正局、持っていたわけだ、九月二十六日。次の日じゃないですか、これ。もうすべてわかっていたんじゃないですか、こんなの。この間、何か新たに取り寄せたとかなんとか言って、持っていたじゃないですか、これ。
横田政府参考人 矯正局においてダビングテープを持っていたことは事実です。取り寄せたといいますのは、これは理事懇談会に提出するためにオリジナルを複製してもらって、それを届けてもらったということであります。
河村(た)委員 オリジナルということは、二十六日に持っておったやつとは何ですか。そうすると、ダビングされたわけだ、これ、ダビングされたわけだ。
 では、そこのところには十一分間はどういうふうに映っておったですか、十一分間。
横田政府参考人 先ほどのちょっとつけ加えさせていただきますが、九月二十六日と十月三日の二度にわたってダビングテープを持参させてもらっていますけれども、この理由をちょっとおわかりいただきたいと思います。
 二十六日に持ってきたテープですが、これは要するに、二十五日にまず、この事案発生日でありますが、九月二十五日に名古屋刑務所から矯正局に対しまして、職員による受刑者傷害事案が発生したという報告が入っております、当日。その翌日の二十六日にその状況の一部を録画したビデオテープの内容の概要について報告がありましたので、矯正局の方で指示いたしまして、刑務所の職員が説明を兼ねてこのビデオテープ、原本のダビングテープを持ってきたというふうに聞いております。
 その内容を確認したところが、その九月事案の関連部分と思われる四十四分間の映像しか映っていなかった。そこで、それはビデオテープの原本と同一性があるのかどうか……(河村(た)委員「十一分間はどうですか」と呼ぶ)関連部分と……(河村(た)委員「頭の十一分間」と呼ぶ)頭の部分については、ちょっと、済みません、確認します。二十六日持参分ですね。
 九月二十六日に持参されたビデオテープも、頭の部分というか初めの部分が、ああいう、何というんでしょうか、雨降りといいますか、霜降りといいますか、そういう状態であったということであります。
河村(た)委員 だから、これはあれですよね、結局、スイッチ操作でなんて言っていますけれども、スイッチ操作じゃないのよ、これ。
横田政府参考人 この点につきましては、当時、名古屋刑務所からは、その録画操作をした者の操作ミスによってこのような状態が発生したというふうに聞いておりました。
河村(た)委員 しかし、検察庁が鑑定依頼を出して、あなたのところがやったんだよ、検察庁が。これ、私が出したなら、ですけれども、私もそのやつをさらに鑑定してもらっておりますけれども、実は。間違いないです、これ、上書き消去されたと、操作ミスではないと、その十一分部分が。あなたのところが出しているんだぜ、自分のところで。
 それで、八名のこんな自分のところの本当の身内の人たちを冤罪で苦しめさせて、これ、上書き消去されておるのにまだスイッチミスだと言って、こんな漫然と続けておったわけ。
横田政府参考人 私どもは、当時、ビデオテープを受け取って確認したときに、その欠落部分については、これは名古屋刑務所の担当者が操作ミスのためにそのようなものが発生したんだというふうに聞いていたということを申し上げているわけでありまして、前回先生がお話しになった鑑定書にそのような記載があったということを否定しているわけではございません。
河村(た)委員 指摘しているわけでもないといって、検察庁の話はあれですか、都合のいいことだけ入るけれども、都合の悪いことは入らぬ、そういうシステムになっておるんですか。
横田政府参考人 都合がいいとか悪いとかということはちょっとわかりませんけれども、私どもが承知していたのは、つい先日までというかこの間までは、名古屋刑務所の報告、操作ミスだという報告しか承知していなかったということであります。
河村(た)委員 悪いけれども、中間報告にずっと書いてあるじゃないですか、何か犯行といって、ありもせぬことをずらずらと。あれ全部検察庁の言ったとおりでしょう。そういうのだけ入ってきて、皆さんの本当は部下だけれども、こういう人たちを守るための情報だけは入ってこないの。知っておったんじゃないんですか、実は。
 矯正局長、六月四日に、僕の質問に、変造はないと言っているでしょう。その前に樋渡さんに私質問しておるがね、樋渡さんに、同じ日に。
 刑事局長は知っておったわな、これ。ちょっと刑事局長に聞きましょう、変造の事実。
樋渡政府参考人 名古屋地方検察庁におきまして、いわゆる九月事件が発生した翌日である平成十四年の九月二十六日、名古屋刑務所から受刑者受傷の報告を受けて、十月一日に本件ビデオテープを押収したということでございまして、この問題のビデオテープの一部に録画されていない部分が存在していたということから、その捜査当初から改ざんがされているのではないかとの問題意識を持って捜査をしておったということでございます。
河村(た)委員 その鑑定書の存在、知らなかったんですか、それじゃ。連絡ないんですか。
横田政府参考人 鑑定をしたこと、鑑定委嘱をしたところからその鑑定結果が出たこと、その鑑定書の内容等につきましては、私ども承知しておりませんでした。
樋渡政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、名古屋地検では、捜査の当初から改ざんがなされているのではないかという問題意識を持っていたことから、その原因の解明に向けて、ビデオテープの鑑定嘱託を行うほか、関係者の取り調べを行うなど鋭意捜査を行っていたというふうに聞いております。(河村(た)委員「結果は、鑑定結果」と呼ぶ)
 鑑定結果については、個々の、我々報告を受けますのは、そういうものがありましても、結局、要するに、改ざんされたか否かということの結果は判然としなかったということを聞いておりますけれども、鑑定書自体、個々の証拠自体を私が見るわけじゃございませんでして、そういう報告を受けたということでございます。
河村(た)委員 これはめちゃくちゃで、こんなことで八人起訴して、犯罪だよ、これ、言っておきますけれども。無給処分にして、こんなの。
 矯正局に持っていっておるんでしょう、九月二十六日に。その中にまで、判断材料にしたわけでしょう、これ。テープを見たでしょう、当然。矯正局のどなたかがそのビデオを、九月、早い段階で見ているでしょう。
横田政府参考人 先ほど申し上げましたように、九月の二十六日にまず最初に四十四分間のものが持ち込まれておりますので、それは当時、担当者において再生して見ていると思います。
河村(た)委員 これはいかぬぜ、本当に。これはいかぬですよ、こんなの。こんなもので人を無給処分にしたり、逮捕してしまって、恐ろしいことだわ、これは。
 これは、まず、証憑隠滅罪になるんじゃないですか、ビデオの変造は、この十一分間。
樋渡政府参考人 証拠隠滅罪は、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅するなどした場合に成立するわけでございますが、犯罪に当たるか否かは、収集した証拠に基づき司法の場で判断されるべき事柄でございますのでお答えいたしかねますが、報告を受けている限り、結局、改ざんが行われたか否かは断定することができなかったとのことを聞いております。
河村(た)委員 これは、虚偽答弁で何とかできぬかね。これは鑑定書に書いてあるんですよ、悪いけれども。いいですか、これは検察が出した鑑定書ですよ。
 ちょっと委員長、本当にやってみませんか、これを委員会で。こんな答弁されておったら、委員会は何を真実追求するんですか、これ。どうですか、委員長、一遍委員会で鑑定しませんか、このビデオを。
山本委員長 もう一度、樋渡刑事局長、御答弁願います。
樋渡政府参考人 報告を受けている限りにおきましては、結局、鑑定を依頼しましたのは、要は、そのビデオが編集されているかどうかというようなことと、録音が聞き取りにくいところから、それは一体何を言っているのか、録音部分ですね、その部分の詳細な鑑定も求めたわけでございまして、その結果、確かに委員の御指摘の十一分間は上書き消去されているという鑑定結果になっておりますが、映っているところはすべて録画されたもので編集されていないという鑑定にもなっているわけでございまして、そのものが証拠として裁判所に提出されて採用されたということでございます。
河村(た)委員 そんなこと当たり前じゃないですか、そんなもの、映っておるところがという話は。問題は映っておらぬところの話で、ここの十一分は、もう一本違う手錠を使って制圧しておるところなんでしょう、これ。
樋渡政府参考人 映っていないものでありまして、その間をほかの供述とかそういうところで検察はきちんと捜査はしていると思いますが、その内容は裁判で明らかになるべきことだと思います。
河村(た)委員 これはだめだよ。
 それでは、官房長に。中間報告に書いてあるでしょう、この前の、ここのところは。
大林政府参考人 行刑運営に関する調査検討委員会におきまして今御指摘の中間報告を作成しましたが、私どもとしては、行刑運営の実情の分析などを行うのに必要な限度で、刑事局からの報告などに基づいて一連の名古屋刑務所の事案の内容の原因、背景を把握したものでございます。したがいまして、御質問のビデオの内容につきましては、その作成の際に確認するということはしておりません。したがって、中間報告にもビデオの記載はない、こういうことでございます。
河村(た)委員 いや、ビデオじゃなくて、この十一分間の間のことは、ずっと読んでいけばわかるじゃないですか。違うサイズのを持ってこいと言ったのを、もっと小さいといううその供述をとらせて。その前のところをいろいろ書いてあるじゃないですか、制圧していたところが。そこが映っていないんでしょう、物すごく重要なところが。
大林政府参考人 今申し上げましたとおり、中間報告におきましては、刑事局からの報告などに基づいて作成しております。ですから、先生御指摘の今の部分、映っていないということについては、先ほど申し上げたとおり、ビデオの内容についてはその時点で確認はしておりませんし、それは刑事局等の報告に基づいて記載したということでございます。
河村(た)委員 これは、委員長、本当はだめですよ、これ。十一分のところは連続で書いてあるんだから、中間報告に。保護房に入ってから、それから次の、もっと小さいのを持ってこいといううその記述があるんだよ。これは、もっと小さいじゃない、違うサイズを持ってこいと彼は言ったんですよ。そこのところをずっと書いてあるんだ。そこが抜けているんですよ、制圧している一番肝心なところが。
 後のところをぱっと見ると、一応これは制圧された後だから、一たんですね、だから非常に静かに見えるんです、そこが。その前の肝心な、本当の制圧の場面がないんですよ、刑務官が苦労しておるところが。そういうことなんだ。そうでしょう、これ。
大林政府参考人 今おっしゃられていることについては、それは捜査、多分、私の方は、先ほど申し上げたとおり、報告に基づいて記載してありますので、その詳細について、あるいはその証拠がどういうものであるかということまでは、ちょっとわかりかねます。
河村(た)委員 時間がありませんので。こんなめちゃくちゃな話はないよ、こんなことで起訴してしまって。肝心な部分ですよ、刑務官が苦労しているところがなくて。わざとやったんじゃないですか、下手したら、これ。何かおとなしい人に手錠をかけた、必要もないのにかけた、そういうふうに見えますよ。違うかね、これ。
大林政府参考人 今申し上げたとおり、詳細については私ども承知しておりませんけれども、最終的には裁判で確定される、こういうふうに思っております。
河村(た)委員 めちゃくちゃだよ、これ。こんなことで人を罪に陥れて、八名の刑務官の家族の人生をめちゃくちゃにすることなんてできるのかね、まず。最も重要なところの制圧場面がなしにだよ、これ。
 まず、それでは、ここをもう一回徹底的に調査する、だれが変造したのか、それをちょっと答弁してくださいよ。
横田政府参考人 先般の委員会で先生の方から鑑定書の話がございまして、その後直ちに、矯正局におきましては、その問題につきまして調査を行いました。それで、引き続きこの点については、必要な限りにおきましては調査をいたします。
河村(た)委員 ちょっと聞きたいけれども、これ、まだ犯罪だと思っているの。これ、皆さん、順番に聞こうか、それじゃ全員に。では、まず矯正局長からいきますか。
横田政府参考人 お尋ねは九月事案のことでございましょうか。(河村(た)委員「全部です。まあ、九月でいいですよ、とりあえず」と呼ぶ)九月事案でございますか。
 検察当局において起訴されたということは、十分有罪の証拠ありと、よって起訴したものというふうに考えております。
河村(た)委員 では、刑事局長、どうですか。
樋渡政府参考人 検察当局は、常に厳正公平、不偏不党の立場から適宜適切に所要の捜査を行った上で、有罪を得られる見込みがあり、公訴提起の必要があると思料される場合に公訴を提起しておりまして、一連の名古屋刑務所事件における公訴提起についても同様であると承知しておりますが、もとより、刑事責任の有無を明らかにする上での事実関係については、裁判において審理が尽くされ、最終的に確定されるものであることは当然でございます。
河村(た)委員 もう時間がなくなってきましたので。まだずっと全員に聞こうかと思ったんだよ、本当に。ずっと伝言ゲームでいいから、これ、本当は。
 こんなの、悪いですけれども、本当の刑務官が制圧している場面のないようなビデオを見て、あと、どこが犯罪だったんですか、あのビデオ。とんでもない話ですよ、これは。
 ということで、大臣に聞いても同じことしか言やせぬで、最低でも給与、この間、理事懇では一致したと思います、これは。余り、非公式だと言っておったのを、ここだと公式になってしまうけれども、まあいいですよ、やはり人生がかかっているんだから。委員長が大臣に、非公式にでも六割給料を払うように打診してくれということを、この間、理事懇で一致しましたけれども。そのことは非公式だからここでは聞きません、これは。
 ですけれども、もうこういうことはいけませんよ。私、だんだんもう頭に来た、本当に、ずっとやっておって。検察は神なのか、一体これ、検察は。検察だって間違うことはあるから、僕は個人的に責めるつもりはないけれども、こういうことになった場合、ビデオを刑務所の幹部に変造されて、だまされたかわからぬ、検察が。やはり、戻れる道をきちっと考えないかぬよ、これは。戻れる道を。何年間も無給で裁判できるわけないじゃないの。刑務官八名、どうやって暮らしていくんですか。
 延々と続きますけれども、とにかく、後戻りのための黄金の橋という言葉がありますけれども、ビデオが変造されていたんだから、早く公訴を取り消して、刑務官を家庭に戻して、官服を着せてやってください。お願いします。
山本委員長 石原健太郎君。
石原(健)委員 今、河村委員が指摘されていましたビデオにつきましては、私も一緒に見せていただいたわけでありますけれども、意図的に消されていたものであるとするならば、極めて重大な問題だと思います。また、消されたものであるとするならば、何のためにビデオを撮っていたかも、その意味もなくなるわけでありますし、刑務所内部の問題として極めてこれは重大なことだと思いますので、さらに調査を進められますことを、私からもお願いしておきたいと思います。
 それで、今、社会を明るくする運動の月間だと思うんですけれども、こうした運動も随分長く続いて、少しでも犯罪の少ない社会にしようという皆さんの努力が重ねられていると思うのでありますけれども、最近の状況などにつきまして、大変そうした運動にも深い関係を持つ保護司の経験をお持ちの副大臣から、状況とかその意義などについてお話をいただけたらと思います。
増田副大臣 保護司活動に御理解をいただいておりまして、ありがとうございます。
 お答えを申し上げます。
 社会を明るくする運動は、犯罪、非行の予防と犯罪者等の更生支援を目的といたしまして、昭和二十六年に法務省の主唱によりまして始められたものでございまして、本年で五十三回を数えるに至ったと思います。この間、昭和三十七年には七月一日を更生保護の日といたしまして、昭和五十年からは広報映画を作製することといたしておりました。また、昭和五十九年からは全国一斉に駅前で広報活動を行うことといたしましたほか、平成五年からは作文コンテストを開催するなど、さまざまな工夫を凝らしてまいりました。
 ちょっと一、二分余談に入りますけれども、本年も全国各地でこの運動が展開されました。ちょうど委員会の合間が、地元熊谷市で実施するのに間に合いましたので、駅頭におきまして、私も、記憶では昭和五十七年ごろから、市長のときはやっておりましたので、陣頭でこの広報活動には加わっておりました。
 参考なんですが、駅長、警察関係は署長以下数人ですが、社会を明るくする民間の方々、それから、保護司のもちろん全員の皆さん、我々も、もちろん市長も陣頭に立つというようなことで、市ぐるみ、一丸となって駅頭で、おりてくる方々、特に青少年を対象に、活動の意義を記しましたパンフを一生懸命配りながら、頑張ってくださいねと声をかけながらやっていたところでございます。そういうことも実はいたしてまいりました。
 そこで、最近の特徴といたしましては、昨今問題になっております少年犯罪の背景事情等にかんがみまして、本来あるべき親子、地域のきずなを取り戻すため、ワークショップ、体験学習ですがや親子触れ合い行事など、住民が参加、体験する形式の行事に重点を置きまして、全国各地で実施をいたしているところであります。
 このような中で、本年は、この運動の重点目標を、「犯罪や非行を防止し、罪を犯した人や非行をした少年の更生を支え、人々が支え合って生きていく明るい地域づくりに参画する」、このように定めまして、関係機関、そして団体にその目的を広く周知するとともに、それぞれの連携を深めまして、地域に根差した幅広い活動を行っておるというのが現在の状況でございます。
石原(健)委員 全国各地でさまざまな行事等も行われているようでありますけれども、これにかかる費用等の負担はどのようになっているのでしょうか。
大林政府参考人 法務省の予算では、平成十五年度におきまして、本年の社会を明るくする運動に関する経費として約二千二百五十万円が計上されているところでございます。
石原(健)委員 これは、全国の都道府県に割り振ったとすると、一カ所どのくらいに、一つの県に対してどのくらいになるんでしょうか。
大林政府参考人 今の点で、ちょっと割り振りの計算まではしておりませんが、非常に少ない額であると思います。
 この社会を明るくする運動につきましては、民間の団体や個人の方々にも、活動面あるいは経費面においていろいろと御支援を賜っている、このように聞いております。
石原(健)委員 次に、前にこれは大臣からいただいた資料に目を通してみましたら、冒頭、近年、中学生による保護観察事件が急増し、特に平成七年から平成十三年までの七年間に約三倍になったとか、それから、中の方に、中学生の保護観察対象者、交通関係は除く、平成七年末には四百三十九人であったのが、十三年末には千二百十二人、大分ふえているようであります。
 また、文部省によれば、中学校における暴力行為発生件数は、平成七年度に約六千件であったのが、十三年度には二万五千七百六十九件。この社会を明るくする運動とかいろいろ努力はわかるわけですけれども、そういう中学生なんかの犯罪やそれに類似したことが多くなっている。
 それで、法務省の方では、中学生サポート・アクションプランというようなことを計画されて実行に移されているようでありますけれども、このサポートプランで何か成果があるようなことがあれば、お話しいただけたらと思うんですけれども。
増田副大臣 お答えを申し上げます。
 中学生サポート・アクションプランは、保護司の地域活動の一環といたしまして、家庭、学校、地域社会が一体となって、中学生の問題行動への適切な対応及び中学生の非行防止の取り組みを推進するものであります。平成十四年から予算措置を得まして実施いたしております。
 具体的には、非行問題に関する豊富な知識、処遇経験等を有する保護司が直接中学校へ赴き、非行問題や薬物問題をテーマにした非行防止教室を実施するほか、生徒指導担当教師との合同事例研究会の開催などを行っております。
 各保護司が熱意を持って積極的に同プランに取り組んだ結果、保護司活動に対する理解が深まり、それまで一部に限られておりました保護司と学校等の連携が全国的に強化されてきたところであります。例えば、学校との間で非行問題に関する定期的な情報交換が行われるようになりました。また、多くの学校から保護司への協力要請がなされるなど、地域社会におきまして保護司と学校とが一体となって非行防止活動に取り組む体制が整ってきつつある、このように認識をいたしております。
 以上でございます。
石原(健)委員 そうした活動につきましても、何かと費用もかかると思うんです。
 費用をかけたら成果が上がるとか、かけなければ上がらないとか、そういうことではないんですけれども、何をやるにもやはり経費というのはかかってくると思うんですけれども、この運動に対する予算というのはどのくらいあるものなんでしょうか。また、それぞれの地域で、全国百二カ所か何かでモデルケース的にやっているようですが、そうした費用はだれがどのように負担しているのか、御説明いただきたいと思います。
増田副大臣 御心配をいただきまして、ありがとうございます。
 平成十四年度におきましては、この活動に従事をいたしました保護司に対しまして、実費弁償金として、先生御案内のとおり、約八百三十万円が支給されております。全国には九百の保護区があります。そのいただいた予算を、こう言うと恐縮なんですが、満遍なくそこへ、そして、あとは保護司の皆さんのあふれるその情熱と御理解、そして、こう言うと恐縮なんですが、奉仕によって職責を果たそうというので、現在邁進をしているところであります。
 重ねて、御心配には敬意を表します。
石原(健)委員 サポート・アクションプランが役所の方から学校や民間へのお仕着せみたいになってはこれまたまずいとは思うんですけれども、もしかそうしたアクションプランが実効性のあるものであれば、もっとこの百二カ所の、百二カ所だったと思うんですが、モデルケースだけじゃなくて、幅広く全国的にやってはいいんじゃないかとも思うんでありますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
増田副大臣 先ほどもお答えいたしましたとおり、中学生サポート・アクションプランは、保護司が、非行問題に関する豊富な知識、処遇経験等を生かしまして、学校との連携をとりつつ、非行防止活動を行うものであります。これによって中学生の問題意識が高められ、あるいは、生徒に問題行動の前兆が見られた場合や実際に問題行動が発生した場合には、効果的な取り組みが可能になるなど、中学生の非行予防活動に大きく寄与しているもの、このように考えており、今後も寄与していく、このように信じております。
 実施方法に工夫を凝らすなどしてまいりまして、このプランの一層の充実が図れるように頑張ってまいりたい、このように考えております。
石原(健)委員 犯罪が起きてしまうと、被害に遭った方やその家族の方も大変これはひどい目に遭われるわけでありますけれども、やはりそうした、中学生なんかが犯罪を起こさないように努めてやるということが、善導する、いい方に導くというんですか、そういうことがやはり社会に、大人にとって大切なことなんじゃないかと思うんですよ。大人がそういう責務を怠って、子供が犯罪を起こしてしまうということは、やはりこれは犯罪を犯した子供にとっても気の毒なかわいそうなことだと思うんです。
 ぜひ、今後とも、そうしたことには力を入れていただきたいと思うんですけれども、財務政務官も保護司をなさっているというふうにお伺いしていましたが、財務政務官はこうした社会を明るくする運動とかアクションプランなんかについてはどういう評価をしておられるんでしょうか。
田中大臣政務官 私も、今、石原先生の御質問の内容を承っておりまして、本当に大切なことだと認識をいたしております。
 私は、きょうは財務省の大臣政務官として答弁に上がっておりますけれども、長年にわたりまして現役の保護司を務めておりますし、さらには、仲間の若手の国会議員で保護制度を考える議員の会という議連を設けておりまして、その会長も務めておるわけでございます。今先生が述べられたことを、私自身、法務当局や文科省とも協議をしてきた経過がございまして、このことについて我々、真剣に政治家として推進をしていかなければならないと思っております。
 ただ、予算面についてもう少ししっかりとした対応をすべきではないか、こういう御指摘でございまして、私もそのような努力をいたしたいと思いますが、一方におきましては、法務省等と協力をさせていただいて、協議をして、その内容を十分吟味もしてまいりたいと思っております。
 ただ、保護司の皆様方は、本当に善意のボランティア団体でございますし、個々に崇高な思いを持って御努力をいただいておりまして、現場においては、そういう皆様方に大変な御負担をいただいているという現実もあるわけでございますが、また、そういうとうとい思いをも社会に生かしていただくように、私たちも評価をし、努力をしていくということが行政の立場ではなかろうかと思います。
 以上でございます。
石原(健)委員 別にそう私も、一生懸命保護司さんの肩を持とうとか持ちたいとか、そういう気持ちで言っているんじゃなくて、一般的に、常識的に、ただ考えながら言っているんです。
 保護司の人の仕事を見ますと、犯罪をした者の改善や更生を助け、犯罪の予防を図る民間団体の活動への協力とか、犯罪をした者を雇用する事業主の確保や雇用の促進を図る活動、犯罪をした者の改善や更生を助け、犯罪の予防を図る啓発宣伝活動、犯罪の予防に関する事項について住民からの相談に応じ、必要な助言、援助を行う、このほかいろいろあるわけですけれども、大変地域にあって責任が重い。例えば私に、だれか刑を終えた人を、石原さん、この人をまた犯罪を起こさないようによく面倒を見てやってくださいなんと言われたら、私だったら肩の荷が重くて、大変な責任を感じて、容易でないと思うんですよ。
 そうした責任のある仕事も負わされて、国家公務員の立場ということでもありますけれども、やはりそうした方々も、いろいろ活動をするに費用もかかってくると思うんですよ。ボランティア、ボランティアとおっしゃいますけれども、やはりただのボランティアの気持ちだけで、崇高な気持ちだけで、そういう方も確かにおられると思います、でも、全国で五万人ぐらい必要だとなれば、そうみんなにボランティアの気持ちでやれよと言うのも、これは無理じゃないかというような感じもするわけなんですね。
 大臣にいただいた「ともに手をとって」、これはアクションプランのことをいろいろ書いてあるわけですけれども、だれがこの本をつくる費用を出したかというのをちょっと見ますと、この事業は社会福祉・医療事業団の助成により行ったものですと。保護司の人たちの活動やアクションプランの解説や何かしたものが、そうしたところの費用でなされている。
 また、前に河村委員がこの委員会に配付された資料、お配りされた資料を見て、私びっくりしたんですけれども、刑務所の運動会とか職員の表彰、武道大会の経費などが売店から上がった利益によって賄われているわけなんです。
 受刑者というのは、刑務所で一カ月数千円とか多くても数万、多い人でも二、三万程度じゃないかと。そういうお金は、出所して社会に行ったとき、まず生活を維持するために積み立てておかなくちゃならない、必要、大切なお金だと思うんですよ。運動会の費用や何かを、そうした受刑者が売店で石けんや歯磨きを買ったお金から賄う。また、地元対策援助、地元の行事や何かに協力する費用なんかもそうしたお金で賄われている。刑務所と地元のつき合いなんというのは、所長の交際費か何かで出せばいい話であって、何で受刑者にそんなことまで負担させるのか、疑問なんです。
 こうした「ともに手をとって」をつくるお金とか、今言った刑務所の運動会とか、そういうのに国費を使ってはいけないような決まりでもあるんでしょうか。
津田政府参考人 まず、「ともに手をとって」の方につきましてお答え申し上げます。
 全国保護司連盟におかれましては、全国保護司組織の連絡と保護司活動の充実を図ることを目的とする社団法人でございますけれども、更生保護事業の普及啓発活動の一環といたしまして、現在、学校と保護司との連携強化推進事業が進められておるところであります。
 委員御指摘のパンフでございますけれども、同事業の一環といたしまして、全国保護司連盟が社会福祉・医療事業団の運用いたします子育て支援資金からの助成を受けまして作成、発行しておるものと承知しておりまして、同連盟の目的に沿う有意義なものと考えております。
 更生保護行政は、先ほど来御指摘のように、官民協働を基調といたしまして、今後とも適正な役割分担に留意しつつ民間活動の支援に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
横田政府参考人 委員から、運動会や武道大会の経費につきまして矯正協会から援助が出ているということについて、これは国費で賄われるべきではないか、そういうお尋ねだと理解いたしました。
 運動会は被収容者の教化行事の一環として行われておりますし、また、武道大会は警備訓練の一環として開催されているものであります。運動会の開催時における被収容者に対する特別食につきましては予算措置があります。これは、項が矯正収容費、目で被収容者食糧費ということで予算措置がなされています。また、武道大会につきましては、項、矯正官署、目、庁費の中の職員厚生経費として、職員の福利厚生のために必要な経費が予算措置されておりまして、大会の開催経費に充てられています。
 しかし、委員今おっしゃいましたように、矯正協会から一部援助がなされていることも事実でございます。これは、矯正協会は、矯正職員や元矯正職員等を会員といたしまして、矯正行政の運営に協力することを目的として設置されている財団法人でございまして、その目的を達成するために、矯正行政に対する協力事業や会員の福祉の増進に関する助成事業などを実施しているところでございまして、その事業の一環としてこうした行事などに対する助成が行われているというふうに理解しております。
 委員の御趣旨は、受刑者の作業賞与金等の中がこうしたものに回っているのではないかということでございますけれども、確かに売店の利益金の一部が矯正協会に入っているわけで、それは回り回っていえばこういうことに、それは理屈の上で入るということになるかもしれませんけれども、問題は売店が不当に利益を上げているかどうかということに尽きるのではないかと思いますので、これはまた別の観点から、必要があれば御説明申し上げたいと思っています。
 以上です。
石原(健)委員 予算措置がとってあるという、その予算がどのぐらいかは説明がなかったわけですけれども、矯正協会からは、運動会や彼岸の法要に二百二十万、名古屋の刑務所だけで来ているんですよね。また、武道大会等には百三十万。恐らく、役所で、刑務所でとっている予算は、国費は、これよりきっと少ないんじゃないかなというふうに私は想像したんですけれども、そこはわかっておりますか、幾らか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 委員が今おっしゃった百三十万円、二百二十万円といいますのは収容者関係としてでありまして、これは、運動会を含む各種行事だけではなくて、例えば彼岸の法要であるとかあるいは収容者に見せるビデオ代とか、そういうものが含まれてのものでございます。
石原(健)委員 全国保護司連盟というのが結成されていると思うんですけれども、その収入とか支出等について御説明いただけたらと思います。
津田政府参考人 全国保護司連盟は、全国の保護司組織の連絡と保護司活動の充実を図り、更生保護事業の発展に寄与することを目的として組織されております。(石原(健)委員「時間がないので、収入と支出だけ」と呼ぶ)はい。
 収入でございますけれども、保護司会連合会の分担金約四千九百万円、助成金約二千八百万円となっております。支出の方もでございますか。(石原(健)委員「いや、いいです」と呼ぶ)はい。
石原(健)委員 それで、収入の総額が七千八百万円で、分担金四千九百万円。これは、保護司が一人当たり千円ずつ出して、約四万九千人いるから四千九百万だと思うんですよ。助成金というのは、聞いたところでは、子育て資金や何かから来ているということで、全国的に保護司活動をやるその連盟に国からは一文もお金は出ていない、保護司さんがそれだけ苦労して駆けずり回ったあげくに、千円ずつ分担して維持している、こういうことのようなんです。
 政務官にお尋ねしますけれども、今説明あったように、こうしたアクションプランには全国で、全体で八百三十万円の予算、それから、社会を明るくする運動についてはこれまた全国で二千二百五十万、やはりこれではなかなか十分な活動というのはできないというふうに私は考えるんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
田中大臣政務官 本当に犯罪が急増している。私も数字を見て、戦後の混乱期に比べてもはるかに今日多い犯罪数でございますし、当然それにあわせていろいろな受刑者の問題等も出ております。
 それを未然に防ぐこと、またケアをすることが保護司の重要な仕事でございますし、私も今、大臣政務官の立場で財務省の中で、さらに法務省等とも十分協議をさせていただいて、真剣な御努力をいただく皆様方をサポートできる行政でなければならないだろうと思いますし、また、そういう社会を全体でつくっていくことに財務省としても努力をしなければならない、こんな思いでございます。
石原(健)委員 先ほども申し上げましたが、犯罪者をつくり出すということは国にとって非常に大きなマイナスになるわけですから、事前に犯罪を起こさないようにしてもらうということの方が私はずっと効果的だと思うんですよね。
 それで、あと最後に、刑務所が、閉ざされた刑務所とか、地域と隔絶しているとかいろいろ指摘もされておりますけれども、北海道の月形学園というところでは、地域との交流を図るためにいろいろな行事をしているようです。そのことについての内容と評価などについてお話しいただけたらと思います。
横田政府参考人 お答え申し上げます。
 委員おっしゃいました月形学園は少年院でございますが、ここにおきましては、成人式、卒業式、それから、桜を見る会ですが、観桜会、夏祭り、クリスマス文化祭といった季節ごとの行事に、地域の方々にいろいろな形で参加していただきまして交流を深めております。特に七月の、社会を明るくする運動期間中にこの月形学園で行われますバレーボール大会は、近隣の地元中学生を招いての交歓試合が行われるなど、月形町民挙げての行事となっておりまして、少年たちにとりましても、地域の人々に支えられているという実感を持つことのできる意義の深い一大イベントとして定着しております。
 こうした取り組みは、同町内にあります行刑施設であります月形刑務所においても行われておりまして、受刑者の運動会に地元の更生保護女性会等の方々をお招きするほか、今度は、月形町が主催する夏祭りとか秋祭り等の行事には刑務所の職員が積極的に参加するということで、地域との交流が活発に行われております。こういった地域との交流は、月形だけではなくて全国の刑務所、少年院で、それぞれ、地域の実情に応じて工夫がなされながら行われていると承知しております。
 そのほかに、月形学園では、少年たちが老人ホームなどを訪問して介護補助あるいは清掃等のボランティアを行っているし、月形刑務所でも、受刑者が町営墓地の清掃作業などのボランティア活動などを行っていると聞いております。
 このような交流行事によりまして地域住民との相互理解を深めることは、実社会に近い環境のもとで矯正教育が実施できるという点で、教育活動の幅が広がりまして大変意義深いものと考えております。また、委員おっしゃるように、地域に開かれた矯正をつくり上げるという観点からも望ましいものであると考えておりまして、今後とも、刑務所や少年院等の矯正施設におきましてさまざまな形で地域との交流を深めていくよう、矯正局といたしましても指導してまいりたいと考えております。
 以上です。
石原(健)委員 きょうは、田中政務官には再度お運びをいただいて、ありがとうございました。ぜひ今、この保護司会のことやなんか、財政的なことなんかも取り上げさせていただいたんでありますけれども、財務省にお帰りになって、ぜひ御発言をお願いしたいと思います。
 質問を終わります。どうもありがとうございました。
山本委員長 木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 昨年来、特に今通常国会で、行刑問題についてずっと審査、審議してきました。
 通常国会も会期末でありますので、きょうは総括的な質問をする予定だったんですが、名古屋三事案のうち最後に起きた事件、しかもずっと隠ぺいされ続けていた各事件の中で最初に発覚をした事件、昨年九月二十五日に発生したいわゆる革手錠傷害事件、これに関するビデオテープが上書き消去されていた。本当に重大なゆゆしい問題だと私は思わざるを得ませんので、昨日矯正局から調査結果報告書も出てきましたので、私は、この問題をおいて矯正行政を正すことはできないというぐらいに重大問題だと思いますので、そんな観点から、この問題に絞ってきょうは質問をさせていただきたいと思います。
 どんなに重大なゆゆしい問題かといいますと、どの部分が消されたかという問題なんです。
 昨年九月二十五日午前八時過ぎに発生したのがいわゆる革手錠傷害事件です。これは、被害者が死亡ではありませんでした。生存しておりましたから事実が表へ噴き出してきたわけです。この事実が表に出たがために、実は、昨年五月の革手錠死亡事件も表に出る。そして、その追及の中で、一昨年十二月のホース水による死亡事件、真実は今裁判所でも解明中でありますし、当委員会でも解明中でありますから、断定は避けますけれども、少なくとも二つの死亡事件が明るみに出た最初のきっかけの事件だったんですね。
 そして、消されたものが、昨年九月二十五日の午前八時二十二分から三十三分までの十一分間に及ぶ、録画されていたビデオが上書き消去されたという問題であります。
 消去された部分というのは、刑務官たちによって制圧行為がなされていたと思われる時間帯です。恐らく革手錠等がはめられる、その制圧行為が映されていた、そのような決定的な録画部分が上書き消去されていたという事案でありますから、真実解明のためにも重大ですし、この問題の処理が、当の名古屋刑務所から名古屋矯正管区を通じてどのように本省矯正局に上がったか、そこを解明することが、矯正行政、矯正組織のありようを正すという点からも絶対避けて通れないと私は思いますので、事件にきょうはさわりません、刑事事件に私はさわるつもりはないので、矯正行政のありよう、矯正組織のありようについてお聞きします。
 最初に、昨日矯正局から出された調査結果報告四ページ、5、大変なことがここに報告されました。「約十一分間の映像の欠落の原因に関する名古屋刑務所職員の報告内容等」、要約をいたしますと、事件が起きた後、平成十四年九月三十日、名古屋刑務所の関係職員から、名古屋矯正管区を通じて、監視卓担当の前記看守Aの約十一分にわたる操作ミスによるものとの報告を受けていた。
 要するに、この事件の問題の十一分間の、ビデオテープから消去されていた問題は、当初矯正局は、平成十四年九月三十日に、上書き消去じゃなくて、看守Aの操作ミスによって映っていなかったんだという報告を受けていたんだと。
 しかし、今回、当委員会から再調査しろという厳命を受けて、今年、さきの七月の九日から十五日までの間に再調査しましたね。その再調査の結果、その看守Aの操作ミスというのはうそだった。「関係者の供述等により、その報告は、現在刑事裁判の被告人とされている職員Bが起案をした看守A名義の報告書に基づいたものであったことが判明した。」大変な報告が昨日我々に出されました。これは間違いないですか。
 そうすると、矯正局長にお尋ねしますが、この重大な報告を国会に提出するに当たって、この調査に、当然看守Aから直接聞き取りしたことは間違いないんですね。その中で看守Aは、私の操作ミスというのはうその報告だった、真実はちゃんと映っていた、しかしその後上書き消去されたんです、そういう真実の報告が、あなた方のこの七月九日から十五日までの再調査によって判明した、こう聞いてよろしいですか。
横田政府参考人 お答え申し上げます。
 看守Aですけれども、今回調査いたしましたところ、テレビ監視卓の操作をミスしたことは事実である、しかしながら、その時間は十一分にわたるものではなかったというふうに供述しておりました。そこで、さらに調査をしたところ、この報告書に書いてあるとおりの事実であることが現時点では把握されたということでございます。
木島委員 いいですか、いや、私の質問は、検察が、重大だというのでこのビデオテープは事件直後すぐ押収しました。そして、その十一分の部分については、どうもおかしいというので鑑定に付しました。そして、鑑定書は既に昨年の十二月の四日の時点で、上書き消去、十一分されたという大変なことを検察はもう鑑定でつかんでいたんですよ。その十一分についてですよ。
 ここの我々に出された報告書は、看守Aは十一分にわたる操作ミスという報告を去年していたんでしょう、矯正管区を通じて矯正局に対して。しかし、それは、十一分の部分については、だから操作ミスではない、ちゃんとそこは映っていたんです、その後だれかによって上書き消去されたんです、その事実をあなた方はつかんだんでしょう。だから、こういう文書になって我々に報告したんじゃないですか。操作ミスというのはその後の話でしょう。この十一分の話じゃないでしょう。
横田政府参考人 お答えします。
 録画を始める時点で、開始される時点で操作ミスがあったということを看守Aは申し上げているわけで、それ自体はやはりあったというふうに考えております。
木島委員 いや、ですから、今ほぼ鑑定の結果、十一分が、最初は映っていたけれども何者かによって上書き消去されたということは、もう検察はつかんでいるし、鑑定書もあるんですよ。それは認めるんでしょう、矯正局は。
横田政府参考人 いわゆる上書き消去されたと判断されるということが記載された鑑定書があることは、それは当然認めます。
木島委員 だから、今回我々に昨日出したこの報告書は、昨年九月三十日の矯正局に対する報告は看守Aの十一分にわたる操作ミスという報告だった、これはだからうそだったということを意味するんですか、この報告は。我々に対する報告の趣旨を聞いているんですよ。
横田政府参考人 お答えします。
 先ほど申し上げましたように、看守Aは、この録画が開始されるときに操作ミスがあった、したがって録画の開始が若干おくれた、そういうことを述べているというふうに現在理解しております。
 去年の九月の段階で、私ども矯正局が認識しておりましたのは、例の欠落部分、画面欠落部分ですが、それは看守の操作ミスによって生じ……(木島委員「十一分についてのみですよ」と呼ぶ)そうです。そういうふうに理解していたということでございます。
木島委員 八時二十二分から八時三十三分の十一分間についてのみ、今質問していますよ。映っていない部分はそのほかにもあったから、紛れた質問しませんよ、きょうは。
 では、現時点で矯正局は、その八時二十二分から八時三十三分については、当初のビデオには録画されていたと認識しているんですか。それとも、看守Aが昨年九月三十日に管区を通じて矯正局に上げたように、操作ミスによって最初からそんな部分は映っていなかったんだ、それを、そういう事実として今矯正局は認識しているんですか。どっちなんですか。根本問題です、これ。
横田政府参考人 何と申し上げたら、要するに、画面の欠落部分はありますよと。それは、ごらんになったように、雨降りといいますか霜降りといいますか、ああいう状態になっているという事実はあるわけですから、それは、もともと映っていた部分が上書きされてああなったのか、あるいはもともと何らかの原因であのような、いわゆる欠落状態が発生したのかという点については、まだ証拠的には断定できないというふうに私は考えておりますが。
木島委員 これは重大問題ですわ。今日この時点でいまだに矯正局は、問題の十一分、制圧行為があった時間帯ですわ、それは、監視カメラ、ビデオに一たんは録画されて後から消されたのか、操作ミス等か何か知らぬけれどもあって最初から録画されていなかったのか、判断していない。これは重大ですよ、法務大臣。
 一方じゃ、名古屋地検は、その部分は当初は映されていた、そして上書き消去されたんだという鑑定書を愛知県警から受けて、それを証拠申請しているんですよ、検察が。それは、愛知県警の鑑定書は真実のものだということを確信したからこそ、検察は証拠申請するんでしょう。うそがある、事実かどうかわからない、いいかげんな鑑定書だなんということだったら、絶対に日本の検察は証拠申請なんかしやしませんでしょう。そうでしょう。だからこそ、被告の一部は争って、それは証拠として採用されなかった、一部は、争っていない被告はそれを認めて、証拠として名古屋の地裁でもう採用されているじゃないですか。検察はそういう立場でもう事件を立件して、有罪のために今営々と努力しておるんでしょう。
 しかし、その根本の矯正局は、本当に最初映っていなかったのか、映ったのを後から何者かによって消されたのか、判断がまだついていないなんて、そんな答弁許されますか、法務大臣。――いやいや、我が委員会に対して、そんな報告だったと言ったら許されますか、そんなこと。いやいや、法務大臣ですよ。それは矯正局、こんな態度だったら怠慢のそしりそのものじゃないですか。
山本委員長 もう一度、矯正局長。
横田政府参考人 誤解を招いているのかもしれませんが、私が申し上げましたのは、鑑定書の存在はもちろん当然否定しているわけではございません。鑑定書の記載内容ももちろん否定してございません。ただ、それは鑑定書にそう書いてありますけれども、しかし、それは鑑定書とやはりその他の証拠とあわせて初めて事実認定ができるんだと。私どもは現在、まだ調査の途中でございます。そういったものをあわせた上で、やはり判断すべきものであると。
 鑑定書は、ああいう鑑定書に記載する方法によって、いわゆる上書き消去されたと判断されるというふうに書いてありますが、しかし、それはその判断であって、それが絶対、唯一無二だというふうに果たして言えるのか、それはほかのもっといろいろな関係証拠と突き合わせた上で初めて認定できることではないかというふうに申し上げているわけでありまして、そこは誤解をいただくとちょっと困ると思うんですけれども。
木島委員 それなら、この昨日の当委員会に対する報告書の中で、看守Aの操作ミスとの報告書は、今被告人である職員Bが起案した看守A名義の報告書に基づいたものであったことが判明した、こういう文章ですね。
 では、看守Aは自分の知らないところで自分の名前を使われて、Bによって操作ミスとの報告書がつくられたんだ、そういう供述は得ているんですか。
横田政府参考人 お答えします。
 この点につきましては、委員も御指摘されておりますように、私どもも重要な供述だというふうに考えております。
 したがって、この点につきましてはさらに調査を尽くさなければならないと考えておりますので、それ以上の詳細につきましては、今後の調査のこともございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
木島委員 これは根本的に大事なところです。こんなもの、すぐ調査すればわかるはずです。
 要するに、私の質問は、看守Aは自分の操作ミスだといううその、うそかどうか知らぬ、報告書を昨年もう上げられたんですよ。刑務職員にとっては決定的でしょう。操作ミスだという報告書を上げられていた。しかし、今度の報告によって、それは職員BがAの名前を使ってやったんだということがこの報告ですね。では、このAは、自分の知らないところで自分の名前が使われていたのか、自分も承知の上で、A、Bぐるでこういううその報告書を上げたというのか、どっちなんですか。どういう調査だったんですか。
横田政府参考人 つまりは、委員が今御指摘なさったような問題あるいは疑問というのがまだ存在するわけでございますので、この点についてさらに調査をしなければならないと考えているということでございます。
木島委員 本当に一番大事な部分がまだ調査もできていない、解明ができていない。これはゆゆしい問題ですね。
 では、次、五ページのところを見ましょう。
 「7 名古屋刑務所の本件ビデオテープの再生状況等」、本当にゆゆしいことがここに書き込まれております。
 「本件ビデオテープの再生及び上書消去の有無に関しては、九月事案当時の名古屋刑務所長、総務部長、処遇部長、首席矯正処遇官」以下「九名は、被害者への革手錠施用等が違法か否かを確認するとともに革手錠施用等に関与した職員を特定する観点から、それぞれ、九月二十五日夕刻から翌二十六日にかけて、」事件が起きたのは九月二十五日午前八時過ぎです。その日の「夕刻から翌二十六日にかけて、本件ビデオテープ二巻を所長室等において再生した旨供述する一方で、その際、上書消去を行った事実はなく、最初に本件ビデオテープを見た時点で、既に、九月事案の被害者の保護房収容時の状況が録画されていない現在の本件ビデオテープと同様の映像であった旨供述した。」と書いてあるんです。
 意味を解説します。こういうことです。
 今回、七月九日から十五日まで再調査した。当時の刑務所長、総務部長、処遇部長、首席矯正処遇官、次席、調査官、統括矯正処遇官、主任矯正処遇官、看守部長。十名調査しましたと言いましたね。そうしたら、その調査結果、何がわかったかといったら、事件が起きた九月二十五日の夕刻から翌二十六日にかけて、所長室等で彼らは問題のこのビデオテープ二巻を見たんだと。しかし、見たときにはもう問題の十一分はなかったんだという供述ですよ。
 九名は、全部一致して、もうおれたちが見たときには問題の十一分はなかったという供述を皆さんにしたということですか、これ。
横田政府参考人 おっしゃるとおりです。
 ただ、もしかすると誤解があるかもしれませんけれども、これは、全員が一カ所に集まって、そういうことではございませんですね。(木島委員「いや、そうは言っていません。所長室等と書いてあるから、一カ所とは言いません。正確に読んでいます」と呼ぶ)そういうように御理解いただいていればよろしゅうございますが、それぞればらばらに聞いておりまして、いずれもそのような答えで、見た時点では既に欠落部分があった、そのように述べております。
木島委員 私、よく正確に読み込んでいます。所長室等という、等という言葉があるから一カ所ではない。私はそんなこと承知していますよ。
 しかし、いずれも九人は全員、自分たちが去年の九月二十五日から六日にかけてビデオを見たときには、もうそんな十一分なんかありませんでしたよとあなた方に供述したというんですね。私に言わせれば、これは口裏合わせが完璧に行われていたということの逆証明だと思うんですね。これは、真実を供述していると矯正局は判断していますか。しかし、今度のこの調査結果、九人が全部一致して、おれたちが最初見たのはもうその十一分はなかったんだという供述は真実でないのではないかという疑いを持っているんですか。どっちですか。
横田政府参考人 この調査結果報告は、調査の中途で報告をしているというふうに御理解いただきたいと思います。したがって……(木島委員「質問に答えてください。この九人の供述は真実だと感じているのか、疑問ありと思っているのか、矯正局の思いを述べてください」と呼ぶ)いずれともでございます。なお調査が必要だと考えております。
木島委員 法務大臣、これは重大な報告書ですよ。少なくとも、法務省から我が国会に対する報告書ですよ。九人一致して、おれたち去年の九月の末に見たけれども、最初からなかったんだ、そういう旨供述していますよという報告ですよ。本当かどうかが今問われているんですよ。そうしたら、そう供述しているが、その真偽のほどについてはいまだ調査中であると一項目書き込まなければ、我々、ごまかされるじゃないですか、国会は。これだと、この供述が真実であるかのごとき報告じゃないですか。
 法務省は逆の報告を我々にもう既にしているんじゃないですか。いいですか。本年三月三十一日、法務省が国会に出した行刑運営の実情に関する中間報告、この問題の中間報告の二十四ページです。重大なことが書き込まれております。読んでみましょうか。
  他方、名古屋刑務所内においては、処遇部門の首席矯正処遇官片根義晴などをメンバーとし本件の調査等を担当するチームが作られた。
  片根首席矯正処遇官は、本件犯行状況の一部等を撮影したビデオテープを再生したところ、八人ほどの刑務官が受刑者Zのいる保護房内に入り刑務官二人がかりで革手錠のベルトを引いているのを確認したことから、これでは正当行為であると主張することはできないなどと考え、これを隠蔽するため、事件に関係した刑務官に対し、革手錠を引いていたのは前田副看守長だけだったなどと虚偽の説明をするように指示し、これを受けて、事件に関係した刑務官は検察官に対しその旨説明するなどしていた。
ここまで、三月末に我が国会に状況報告しているじゃないですか。(発言する者あり)いやいや、これが真実なんでしょう。最高責任者ですよ、首席矯正処遇官片根義晴などをメンバーとして刑務所内に調査チームがつくられた。そして、ビデオを再生してみた。そうしたら、八人ほどの刑務官が寄ってたかって制圧行為をしていたのが映っていた。これじゃ大変だというんで、これを隠ぺいするため、革手錠を引いていたのは前田だけだったという虚偽の説明をするよう指示した。こんな報告をこの三月に国会に出しているじゃないですか。
 これと、今日明らかになった、その問題の制圧行為が映っているビデオ部分が本当は何者かによって上書き消去されていた。そして、その変造されたビデオテープが、直後検察によって押収され、そこが上書き消去されたという鑑定まで検察は握っておる。そうじゃないんですか。どっちが事実なんですか。
横田政府参考人 先ほど申し上げましたように、このビデオテープの映像の欠落につきまして先週来調査をしてきたわけでございますけれども、期間も限定されていた、それから、必ずしもすべて必要とする者についての事情聴取ができたという状況にもございませんので、先ほど申し上げたように、これは結果報告と書いてございますけれども、あくまでも今後なお調査をするという前提で現時点で報告するという趣旨でございますので、それで御理解賜りたいと思います。
木島委員 では、一点、質問します。
 この本年三月三十一日の中間報告の二十四ページのこの断定。片根首席矯正処遇官がビデオテープを再生したら、八人の刑務官がいる、保護房内に入っている。そして、刑務官二人がかりでベルトを引いているのを確認したから、これじゃ正当行為であると主張することができないと考え、これを隠ぺいするため、事実をつくりかえて虚偽の説明をするように指示した。
 この断定、皆さん方が国会に報告したこの断定は、何を根拠にこの文章をつくったのですか。この二十四ページの七行、この根拠、証拠は何ですか。
横田政府参考人 お答えします。
 これは、この中間報告書を作成する時点で刑事局が把握し、そして刑事局から出された資料に基づいてこの部分が記載されたというふうに承知しております。
木島委員 刑事局の方の報告だと。
 しかし、その報告の中にはビデオテープを再生したと書いてある。再生した部分にその八人が映っているということでしょう。
 この報告は刑事局の報告じゃないでしょう。法務省としての国会への報告じゃないですか、法務大臣。これを真実として我が国会に報告したんじゃないですか。法務大臣に確認します。
森山国務大臣 法務省としての報告でございますが、これは中間報告ということで、とりあえず判明いたしましたことを御報告いたしましたわけで、さらに詳しくは、続けて調査をしなければならない部分もほかにも幾つかございます。
木島委員 そういったって、この検討委員会の構成メンバーは刑事局だけじゃないんですよ。矯正局長も入っていたし、官房長も入っていたし、最高責任者は事務次官じゃないですか。法務省全体としてのその時点での事実をつかんで国会に報告したものなんでしょう。そこには、ビデオテープを再生したと、そこに八人の刑務官の存在を書き込んでいるじゃないですか。
 しかし、今回明らかになった事実は、その問題の十一分は消去されていた。消去されていたから、本当のところを私は知りません。河村委員は、恐らく当事者から事情聴取して聞いてきて、知っているんでしょう。その十一分に、革手錠をやっていたときの、制圧行為していたときが映っていたと盛んに言っているのは、当事者からの事情聴取をしているから、河村委員はそれを言えるんでしょう。そういうことでしょう。
 だから、法務大臣に聞きますが、私は、だれが何の目的で、そして共謀かどうか、この十一分間の大変大事な部分、決定的な部分が上書き消去された。いまだ、真実かどうか、矯正局はまだ判断していないと言っているが、検察、刑事局は判断しているわけですから。それが根本的じゃないですか。うその報告も上げられたということがほぼ出てきているんですからね。法務大臣はどう考えているんですか。
横田政府参考人 一点だけ、ちょっと申し上げさせていただきたいのですが、委員もごらんになったビデオテープで、欠落していない、映っている部分からいたしましても、刑務官が革手錠のベルトを引いている部分というのは映像されていたというふうに私は記憶しております。
 以上です。
木島委員 今の答弁は、欠落していた十一分はなくても、ほかの部分を全部見ると、いろいろな職員が保護房の中に入っていたことは映っている、そういうことを言いたいんですか。
山本委員長 矯正局長、もう一度。
横田政府参考人 そういう趣旨でございます。
木島委員 私は刑事裁判をここでやっているわけじゃないから、事実が何かを追求しているんじゃないですよ。だれが、何のために、だれの指示で、一番大事な十一分間を消したのか。そして、消した事実を恐らく伏せたんでしょう。うその報告が矯正局に上がったんじゃないか。その問題がいまだに解明されていない。一方、検察は徹底的にそこを追及して、上書き消去を勝手にだれかがやったということを鑑定でつかんで、そういう立場で刑事裁判を立件して裁判を係属中だ、そういう状況でしょう。
 私は、刑事事件は、有罪無罪、裁判所が判断するでしょう。そうじゃなくて、矯正行政のありようがこんなのでいいのかということを聞いているんです。最も大事な受刑者の人権が守れているかどうかを検証する唯一の証拠は監視カメラだ、ビデオですよ。絶対に公務員による違法があってはいかぬ、そのために監視カメラを据えるわけです。事件があったときに監視カメラを検証して、どういう事態があったのかを明らかにする、そのために監視カメラをつけているんでしょう。
 それが変造されていた、消去されていた。ゆゆしい問題だ。そして、しかもそれが真実が報告されていなかったという問題。それまた、矯正行政としてはゆゆしい問題。これが今浮かび上がっているんですね。まだ真実ははっきりしていない、しかし、このことだけでも、事件の全容の見直しと処分の全容の見直しが求められているんじゃないですか。そして、私は、法務大臣の政治責任だってこれは問われるような大問題だと思いますよ。
 最後に、時間ですから、このビデオの大事な部分の上書き消去問題に関する法務大臣の所見をお聞きして、質問を終わります。
森山国務大臣 上書き消去されたというような話がございまして、もし本当にそうだとすれば非常に大きな問題だと思いますし、ただ、上書きされた部分のもとの部分に何が録画されていたのか、あるいは、何らかの原因でそれが消去されたとすれば、なぜか、だれがしたのかというようなことについて、厳密には今のところわかりませんので、さらに調査を続けなければいけないというふうに思います。
木島委員 それをいつまでに調査して国会に報告するという、その腹づもりをちょっと述べていただいて、終わります。
森山国務大臣 できるだけ早くというつもりでございます。
木島委員 終わります。
山本委員長 保坂展人君。
保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。
 きょうの審議で石原委員からも指摘がありましたけれども、行刑施設の中で受刑者が物品を買うわけですよね、下着だとか日用品だとか。こういうところの売り上げの使い道についても、随分、私、疑問に思っておりましたけれども、まずは、前回のやりとりの答弁を実は訂正をしたいという申し出があったので、私、ちょっと復習ですけれども、ここでは矯正協会のトップの、この春に退任をされた方の、前会長の退職金を伺いましたところ、前回は、退職金は千二十万円で、うち五百万円は基金に寄附をしていただきましたという答弁があったんですが、この数字が根本的に違っていたというようですので、修正してください。
横田政府参考人 去る七月二日に保坂委員の御質問に対して私がお答えしたことの中に一部誤りがございました。おわびをして訂正いたしたいと存じます。
 その訂正したい部分でございますが、まず一つは、この春に退任した人についてということで、保坂委員がおっしゃった人についてお答えした部分ですが、これは私が申し上げましたのは、前会長を念頭に置いて申し上げたのでございますが、前会長の退任日は平成十四年五月三十一日でございまして、私が全くこれは誤っておりました。単純なミスといえばミスですけれども、私の誤認、誤認といいますか、勘違いでございまして、正確には昨年の春に退任したというふうに申し上げるべきでございました。おわびして訂正いたします。
 それからもう一点でございますが、今おっしゃいましたように、退職金が一千二十万円だった、そのうち五百万円を基金に寄附しているというふうに聞いているというふうにお答え申し上げましたが、この点につきましては、退職金の額は五百二十万円でございます。一千二百万円とありますが、五百二十万円。それから、五百万円を基金に寄附とありますのは、そのうち二百万円は受給を辞退しております。つまり、五百二十万円の退職金で、そのうち二百万円の受給を辞退したというのが正確なところでございました。
 これは、当時、これも私が混乱をしたといいますか、協会からの情報がいろいろ手元にございまして、かなり錯綜しておりまして、私がそこの点は混乱をして正確な数字がお答えできなかったものでございますので、これも謹んでおわびを申し上げまして訂正させていただきたいと存じます。
 以上でございます。
保坂(展)委員 私は、それは組織の長ですから、組織のいろいろなミスはおわびをする役割だというのはわかって聞いているんですが、トップの方の退職金が、答弁された額が千二十万円。しかし、事実は五百二十万円。これは経過があったんじゃないですか。内規が変わったという話を聞いていますよ。いわば、矯正局長が不注意だったとかそういう問題ではなくて、幾らだったのかと問われたときに、実際には、矯正協会の内部の内規では、それまでは千二十万円だった。しかし、それが変更されて、本当に支払うべきは五百二十万円だったのに千二十万円払ってしまった。ですから、差額が出るので、おわびして、元会長に返金していただいたと私は聞いているんですよ。本当にそういう経過だったのかどうか、そこまで確認したいと思うので。
横田政府参考人 今委員がおっしゃったように、給与規程の改定があって、そこで言ってみれば支給時に支給ミスがあった、それが誤りが判明いたしましたので、その後、いわゆる下方修正でございますけれどもいたしまして、過払い分については御本人から戻入してもらったということでございます。
保坂(展)委員 もう一点聞きますが、最初の答弁では千二十万円で、五百万円を基金に、こう言われているんです。今修正された答弁では、五百二十万円の退職金のうち二百万円を辞退をしたと。この基金にと、辞退をしたというのは同じ意味ですか、違う意味ですか。
横田政府参考人 申し上げます。
 辞退をしていただいた額につきまして基金を創設した、結果的に基金にしたということでございます。
保坂(展)委員 つまり財団法人の基金に充てたという理解をしますけれども。
 さて、そうなると、本来は、最初の答弁では、千二十万円を実際に前会長に支払って、そのうち五百万円を辞退して基金にですから、支払われた額は五百二十万円だった。そして、今回修正された答弁では五百二十万円中二百万円を辞退ですから、会長に渡るべきお金というのは三百二十万円で、その差二百万円。
 これを矯正協会に返金されたということですね。間違いないですか。もし戻されたのだったら、矯正協会は、領収書を会長に発行し、その写しを保存していますか。
横田政府参考人 お答えします。
 領収証は受け取っていないというふうに聞いております。
 なお、委員先ほど一千二百万円というふうにおっしゃっているんですが、厳密に言いますと、給与基準の計算によりますと約一千六十五万七千円ということでございますので。
保坂(展)委員 これは前回答弁されているんです、千二十万円で。それを言っているので、私が勝手に言っているんじゃないんです。
 それと、これ、大臣も聞いていただきたいんですが、本当にあれですよ、受刑者の日用品とか下着とか、そういうお金の売り上げもこれは矯正協会へ入っているわけですよね。それで、一千万円の退職金、しかしそれは多過ぎた、会長、戻してください、領収書をもらっていない。あり得ますかね、これは。ちょっと局長、じゃ、振り込みでもらったのか、あるいは現金でもらったのか。
 やはり答弁修正というのは大きな問題ですからね、そういう領収書を出してくださいよ、あるいは振り込み記録を出してください。
横田政府参考人 申しわけありません、至急、その戻入の手続につきましては、きちんと確認して、関係書類がありますれば、また、しかるべく措置します。
 それから、先ほど領収証をもらっていないというふうに、ちょっと私、断定的に申し上げました。これももう一回確認をすべきことだと思いますので、それも再度確認させていただきたいと思います。
保坂(展)委員 大臣、どうですか、これ。
 これだけ受刑者の日用品など、あるいは受刑者の作業で、大臣ともお会いしましたけれども、JAPICの展示会で、ああやって作業をしている。あるいは全国の刑務官もそこに動員されていますね、矯正協会には。そして、そういった皆さんの汗と労力の結晶の中で、矯正協会のあれでしょう、お金が、それは退職金の原資にもなるでしょう。あるいは、全国の刑務官はこれにみんな入るんですね、拒否する人はほとんどいないそうで。そういった会費として集めているんです。そういうお金が、払い過ぎちゃった、払い過ぎたことによって戻していただいたという答弁です。
 これは重要な答弁ですよ。領収書があるかどうかもわかりませんなんて、そんないいかげんなことでいいんですか。どういうふうに考えますか。
森山国務大臣 おっしゃるように、非常に貴重なお金でございますので、その処理については十分慎重にしなければいけないし、必要な書類は、きちっとそろえておかなければいけないと思います。
 今局長が申しましたように、さらに調べまして、必要な書類は提出させていただくということを言っておりますので、そのような方向でやってもらいたいと思っています。
保坂(展)委員 これはなかなか偉い方ですからね、この会長というのは。戻してくださいということを本当に言えたのかどうかと私は疑問に思っているんですよ、実は。かといって二回払ったとも思えないんですけれども、一体何があったのか、数字の証拠をきちっと出してくださいよ、これはもう信頼にかかわる問題ですから。
 答弁してください。
横田政府参考人 再度そういう書類等も確認させていただいて、確かなところをまた御説明申し上げます。
保坂(展)委員 先ほど石原委員が触れていらっしゃったので、私も同様の問題意識を持っているんですが、物資販売ですね、刑務所や拘置所の中の物資販売において上がってきた利益、これは、人数の多いところだと利益が億、総売り上げが相当の額になる。名古屋の場合なんかは一千万円というふうに紹介をされていましたけれども、こういった資金で、これを受刑者の福利厚生に還元していくというんならまだわかるんですが、職員の福利厚生に充てていいものだろうかということを指摘しておきたいと思います。
 その上で、何か、甲府刑務所では受刑者の下着を購入しようとするとパンツが一枚千円らしいという情報が入ってきたんですが、こんなことがあるんですかね。
横田政府参考人 この点につきまして、先ほど、取り急ぎ現地に確認いたしました。そうしましたところ、下着、パンツですね、一番高いものの価格が税込みで七百四十円だという報告を受けました。
 以上です。
保坂(展)委員 千円からはおつりが来ますけれどもね。七百四十円のパンツというのは、どうですか。これだけのデフレ不況の中で、相当安くなっていますよ、下着なんかは。お金もない受刑者の方が七百四十円、どうですか、適正ですか、この価格は。一般より高いんじゃないの。
横田政府参考人 パンツの価格の相当性は確かめます。
 いずれにしましても、私どもは、矯正協会全般について、販売価格については販売物品がいわゆる適正な価格でなければならないという認識をしておりますので、今後ともそういった点に注意を払いながら、協会の指導をしてまいりたいと思います。
保坂(展)委員 一番安いのは幾らかという声も上がっていますので、それを教えていただきたいのと、その七百四十円と一番安いものを、どの程度のものなのか私どもに見せてください、局長。
横田政府参考人 確認の上、しかるべき方法で委員にお見せいたすようにいたします。
保坂(展)委員 調活費の問題に移りたいと思います。
 先日、この委員会でやりとりをしまして、調活費については、検察庁あるいは公安調査庁のかなり大きな金額の調活費、検察の方は大分減額をされてぐっと減っていますけれども、これについての問題もさることながら、法務本省、例えば刑事局においても、驚いたのは訟務関係、こちらが調活費を使っていたということが先日明らかになりました。
 まず、刑事局からお聞きしたいんですが、刑事局は検察庁と同一組織ということはありませんよね。全く違うと。どこが違うんですか。
樋渡政府参考人 違う組織でございまして、検察庁は、独任制の官庁たる検察官が執務する場所を総称して言っております。刑事局は法務省の一部局でございまして、法務省設置法に基づいてその権限を行使しているところでございます。
保坂(展)委員 法務省刑事局の捜査によると、ということはないわけですよね。捜査上の秘密というのは刑事局には存在しないものというのが常識的な理解だと思います。
 さて、そうすると、刑事政策立案のためにはそれ相応の予算が充てられているのではないでしょうか。しかし、それを明かすと今後の活動に支障が出るような、刑事政策立案についての秘密の協力者、謝金を払う対象というのが本当にいるんですか。
樋渡政府参考人 刑事局が捜査機関でないことは委員の御指摘のとおりでございまして、刑事局には刑事課、国際課、公安課、刑事法制課等がございまして、刑事立法を初め、犯罪の予防に関すること、検察に関すること、国際間の共助に関することなど、刑事に関し幅広く所掌しておりますところ、これら刑事局の所掌事務を円滑、適正に遂行するためには、刑事政策や刑事立法に対する公式の意見のみならず、非公式の意見、情報など、刑事政策を取り巻く諸情勢について、あらゆる角度から幅広に、生きた情報として収集することが必要でございます。
 そのような情報収集活動のうち、特に秘密裏になされる必要がある場合に調査活動費から支出する必要があるというふうに考えているところでございます。
保坂(展)委員 ですから、そういう、例えば国際条約に基づく国内法の整備であるとか、さまざまな刑事立法が考案されますけれども、それはその法律ごとにきちっと予算立てされているはずですし、少なくとも刑事政策立案について、覆面の何か協力者というのが存在するようには思えないんですよ。とするならば、なぜその予算がこの五、六年のうちに急激に減ったんですか。いかがですか。
樋渡政府参考人 その点は、この間も説明申し上げましたように、コンピューターネットワーク等の方に振り向ける必要があったから、その予算を獲得するためにやむを得ずといいますか、そういうような政策の変更をしたということでございます。
保坂(展)委員 もしかすると国際的な刑事政策立案の際にそういう協力者が必要かなとも考えてみたんですが、そうするとむしろ増額しなければいけないはずなので、そういうのもちょっと考えにくい。
 そして、では官房長に伺いますが、前回答弁いただきました、それは確かに訟務関係の調活費についてです。訟務は、まさに国を代理して法廷に立つわけですから、まさか相手の住民であるとか、これは国民ですよね、国民から行政訴訟を起こされる、その国民の動向であるとか代理人のありようだとかバックグラウンドとかを、訟務担当者が調査活動として謝礼を払って情報をとる、こういうことを今もやっているんですか。
 荒れる法廷とおっしゃったですね。大分、今は昔の話になっています、荒れる法廷というのが。そのあたりは、ほとんどこれは納得できないので、一体、必要なんですか、訟務で調活というのは。
大林政府参考人 お答え申し上げます。
 訟務の行う調査活動は、あくまでも法廷対応、事件の処理を円滑にするための情報収集でございまして、相手の調査といいますか、そのようなものではない、こういうふうに考えております。
 今おっしゃられた、かつてのように法廷内が荒れる可能性のある場合には、法廷で対応する訟務職員や証人等の安全上の問題もあり、警備依頼等を検討する必要もあるので、相手方の動向に関する情報も必要な場合があった、こういうふうには承知しております。しかしながら、最近はこのような事件は減少しておりまして、あくまでも法廷活動を円滑に進める、こういう観点から行っているものでございます。
 ただ問題は、もう一つつけ加えさせていただきますと、事実の調査とか法律的な意見を聞くこともしておりまして、具体的なことはちょっと申し上げられないんですが、一般論として申し上げますと、学者の先生方その他、国に協力していること自体が明らかになることを嫌う方もおられる。したがいまして、自分の名前を出さないことを前提にいろいろな識見等を披露してくださる方もおる、こういう場合もある、そういう費用にも用いられているというようなことを聞いております。
保坂(展)委員 どうもこの調活費の話を聞いていくと、円滑という言葉が出るんですね。私は、これは潤滑費ではないかと思っているんですよね。コミュニケーションを潤滑にして部内の意見をまとめたりとか、いろいろ対外的にもあるかもしれない、役所同士もあるかもしれない。法務本省で、調活費の使途の中で、情報提供者も含めて飲食を伴う会合ということは一般論としてはあり得るわけですね。これは官房長に聞きます。
大林政府参考人 調活費というのはいろいろな使い方をされるのだろうと思いますが、訟務ではそのようなことはないというふうに聞いております。
保坂(展)委員 大臣、これはまだ潤滑費じゃなくて、きちっとした費用だと言っているんですよ。そうすると、謝礼を払っていくしかないんですね、幾ら減額されたといっても。
 そうすると、今、学者とかいろいろおっしゃっていましたけれども、それは、ちゃんと学者に払える予算はありますよ。学者の方に、それから刑事政策を立案するにしても。調活費がこんなに減ったということは、やはりこのありように問題点があった。インターネットを使ったということばかり強調していますけれども、全廃したらどうですか、もうこれは、あり方を徹底的に見直して。いかがですか。
森山国務大臣 私も詳細にはわかりませんけれども、調査活動費の使い道はいろいろあって、人間関係を円滑にしていく、潤滑とおっしゃいましたけれども、そういうためにさまざまな行動をするんだろうと思います。
 その結果、今官房長が御説明申し上げたような内容、さらには先生御指摘のように、もしかしたら一緒に食事をするというようなこともあるかもしれないと思いますので、そういうことは人間の生活においてある程度は必要なんじゃないだろうかと私は思いますので、廃止するというのはちょっと性急ではないかと思います。
保坂(展)委員 大臣、飲食は自分のお金でやらなきゃだめですよ、これは。税金使って潤滑していたらだめです、これは。これは、ちょっとそんな答弁で終わったら大変なことになりますよ。人間関係を潤滑にすることもあるのでいささかは必要じゃないかという認識ですか、本当に。しっかりやはり襟を正してもらわなきゃ困るんじゃないですか。
森山国務大臣 もちろんそういうもので賄うべきものでありまして、この調査活動費をそれに使っていると私は別に現場で見たわけではないし、そういうものをやっているという確信も全くございませんが、いろいろな問題があるんではないかということで、そういう意味ではいきなり廃止するということは難しいんではないかということを申し上げたわけです。
保坂(展)委員 大臣、よく実態を見て、これは誤解を呼ぶというんだったら全廃してください。実態、今見られていないというので、見てください。
森山国務大臣 私も少し勉強させていただきます。
保坂(展)委員 残る時間、森山大臣に、長崎の残虐な、そしてまたその後の展開も本当に心胆寒からしめるような展開になってございます。
 そして、閣僚の中で鴻池大臣が、我々としても本当に驚くような発言をされましたね。これは、嘆き悲しむ家族だけではなくて、犯罪者の親も映すべきだというのは、これはテレビにという意味だと思いますが、親を市中引き回しの上打ち首にすればいいというふうに述べたと。これは児童相談所の所長なども、魔女狩りのようなもので体が震える、見せしめによる制裁からは恐怖以外の何物も生まれない、社会の一人一人の問題として何ができるか考えるべきだというふうにコメントされていますが、鴻池大臣がその後発言について言及されていることは存じ上げていますけれども、まず市中引き回しというのは、あの時代、江戸時代であれば、まさにそこで見ている人しか見ないわけですよね。今日、今の時代というのは、テレビです。テレビで、それこそ日本全国ですよね、そこに親が出てこいと。そして、どうなんでしょうか、本当に現在の、近代の法体系の根底を覆すようなこれは発言だと私は思いますね。しかも、この発言、もっともだという声も一部にあるわけですね。これはなおゆゆしき問題じゃないですか。
 犯罪によって亡くなったお子さんやその遺族の心情も考え、やはり、このような発言が閣僚から出てくるということについて、まさに法務行政をつかさどっている大臣としてどういうふうに考えますか。
森山国務大臣 鴻池大臣のお言葉、伝えられているとおりなんだろうと思いますが、もしそうだとすれば、非常に私としては適当ではないというふうに思うわけでございます。
 ただ、鴻池さんの気持ちとしては、被害者の方々の気持ちを考え、加害者の方にも責任を感じてもらいたいということをあのような言い方で言われたんではないかと思いますが、私自身の気持ちから申しますと、被害を受けた方が悲しむのは当然でございますし、周りの方が同情するのも当然ですけれども、加害者だということが何日かたってからわかったその子供の親の気持ちを考えますと、それもまた本当につらいだろうと思います。
 自分の、世間に会わせる顔がないといいましょうか、そういう気持ちで、非常につらい感じでいらっしゃるはずでございますので、それをさらにあのような表現で、被害者の人に同情するという気持ちはそれでよろしいんですけれども、表現が余りにも行き過ぎであったというふうに思うわけでございまして、その後、御本人も反省されて、言葉には幾ら例え話でも気をつけるように努力するというお話をいただきましたので、今後はそういうことがないと思いますが、私としては、あの発言は本当に残念だなというふうに思います。
保坂(展)委員 少なくとも、私たち一人一人がこの社会をつくっているわけで、子供たちがおかしくなっていく、そしてまた異常な行動が出てくるということについて胸を痛めない者はいないと思います。
 少なくとも、我々がこういう社会を形成しているという自覚、そして責任感、そして痛みを多くの方が感じている中で、まさにテレビの前へ引きずり出してこいということは、メディアによるリンチですね。責任をとれというのは、これは明言しませんが、考えることは限られてくるんじゃないでしょうか。そういう状態になったときに、親がどう責任をとれと言われたときにどういう行動をとるのか、恐ろしいことだと思いますね。
 しっかりと森山大臣から、これはこの内閣のもちろん見解だというふうには伝えられていませんけれども、やはりそういう誤った誤解を与えないように、しっかり発言をしていただきたいということを求めます。一言お願いします。
森山国務大臣 御趣旨のように、これからも十分気をつけてくださるよう申したいと思っております。
保坂(展)委員 それでは、終わります。
山本委員長 次回は、来る十八日金曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.