衆議院

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第3号 平成16年3月12日(金曜日)

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平成十六年三月十二日(金曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 柳本 卓治君

   理事 塩崎 恭久君 理事 下村 博文君

   理事 森岡 正宏君 理事 与謝野 馨君

   理事 佐々木秀典君 理事 永田 寿康君

   理事 山内おさむ君 理事 漆原 良夫君

      江崎洋一郎君    小西  理君

      左藤  章君    佐藤  勉君

      桜井 郁三君    中野  清君

      早川 忠孝君    保利 耕輔君

      松島みどり君    水野 賢一君

      森山 眞弓君    保岡 興治君

      柳澤 伯夫君    山際大志郎君

      渡辺 博道君    泉  房穂君

      加藤 公一君    鎌田さゆり君

      河村たかし君    小林千代美君

      小宮山洋子君    田島 一成君

      辻   惠君    中井  洽君

      松野 信夫君    上田  勇君

      富田 茂之君    川上 義博君

    …………………………………

   法務大臣         野沢 太三君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   法務大臣政務官      中野  清君

   最高裁判所事務総局総務局長            中山 隆夫君

   政府参考人

   (司法制度改革推進本部事務局長)         山崎  潮君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    津田 賛平君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  吉戒 修一君

   法務委員会専門員     横田 猛雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     渡辺 博道君

  保岡 興治君     江崎洋一郎君

  枝野 幸男君     田島 一成君

同日

 辞任         補欠選任

  江崎洋一郎君     保岡 興治君

  渡辺 博道君     佐藤  勉君

  田島 一成君     枝野 幸男君

    ―――――――――――――

三月九日

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 弁護士法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

同日

 借地借家法の改悪反対、定期借家制度の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九二四号)

 同(石井郁子君紹介)(第九二五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九二六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第九二七号)

 同(志位和夫君紹介)(第九二八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九二九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九三〇号)

 同(山口富男君紹介)(第九三一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 弁護士法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

柳本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、裁判所法の一部を改正する法律案及び弁護士法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。野沢法務大臣。

    ―――――――――――――

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案

 裁判所法の一部を改正する法律案

 弁護士法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野沢国務大臣 まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下、その要点を申し上げます。

 第一点は、裁判官につき、判事の員数を六十七人、判事補の員数を十六人及び簡易裁判所判事の員数を十二人増加しようとするものであります。これは、民事訴訟事件・知的財産関係事件、倒産事件及び刑事訴訟事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判官の員数を増加するほか、これまで沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律中の特例規定に基づいて最高裁判所規則で定められていた裁判官の員数を裁判所職員定員法中に組み入れ、これらを通じて裁判官の員数を九十五人増加しようとするものであります。

 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数を四百人増加しようとするものであります。これは、民事訴訟事件・知的財産関係事件、倒産事件、刑事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判所書記官等を二百七人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を簡素化し、効率化すること等に伴い、裁判所事務官等を百九十七人減員し、あわせて、これまで沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律中の特例規定に基づいて最高裁判所規則で定められていた裁判官以外の裁判所の職員の員数を裁判所職員定員法中に組み入れ、これらを通じて裁判官以外の裁判所の職員を四百人増加しようとするものであります。

 次に、裁判所法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、裁判所書記官、家庭裁判所調査官その他の裁判官以外の裁判所の職員の研究及び修養について、その相互間の連携の強化により一層の充実を図るとともに、その体制の整備等を図るため、裁判所書記官研修所及び家庭裁判所調査官研修所を統合し、新たに裁判所職員総合研修所を設置するなど所要の法整備を行うものであります。

    〔委員長退席、下村委員長代理着席〕

 最後に、弁護士法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。

 第百五十六回国会で成立いたしました司法制度改革のための裁判所法等の一部を改正する法律により、司法修習生となる資格を得た後に企業法務の担当者及び国会議員等の職に一定期間あった者等に対して、所定の研修を修了したことを要件として弁護士資格が付与されることとなりました。この法律案は、以上のような弁護士資格の特例制度の見直しを踏まえ、さらにその一環として、法律学の教授または助教授の職にあった者等に関する弁護士資格の特例制度について、所要の改正を行うことを目的とするものであります。

 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、一定範囲の大学の法律学の教授または助教授の職に五年以上あった者に関する弁護士資格の特例を見直し、司法修習生となる資格を得た後にこれらの職にあった期間が五年以上となる者に対して、所定の研修を修了することを要件として弁護士資格を付与するものとしております。

 第二に、司法修習生となる資格を得た後に衆議院または参議院の法制局参事、内閣法制局参事官等の職にあった期間が五年以上となる者に関する弁護士資格の特例について、これらの者にも所定の研修を修了することを要件として付加するものとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、各法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

    〔下村委員長代理退席、委員長着席〕

柳本委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 この際、お諮りをいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省保護局長津田賛平君、法務省人権擁護局長吉戒修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 次に、お諮りをいたします。

 本日、最高裁判所事務総局中山総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小西理君。

小西委員 おはようございます。自由民主党の小西理でございます。よろしくお願いいたします。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず最初に、裁判所職員定員法に関しまして、質問をさせていただきたいと思います。

 今回、定員ということでございますけれども、やはり一般社会で考えますと、定員があるからには、何らかの基準でこの定員を算定していくというのが普通の考え方ではないかと思うわけであります。今現在、どういう基準でこの裁判所の定員そのものを算定しておられるのか、お伺いできればと思います。

中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所の定員、なかなかこれは複数の要因が絡んで難しゅうございますが、基本的には、裁判所にどの程度の事件数が来るかというところをベースに考えていくことになります。また、そういった事件数が減ったりふえたりしますところで、病理現象があらわれてきているのかどうか。

 例えば、病理現象としては、やたらに審理期間が延びてきた、あるいは控訴がふえてきた、あるいは控訴審における破棄が多くなってきた。こういったような病理現象があらわれるということになりますと、それは裁判官が非常に少なくなってきたということのあらわれでもありますので、そういったことも考え、その他、訴訟手続がどういうふうに仕組まれてきているか、IT化等の事務の合理化はどの程度進んでいるか。そういうことを、もろもろのことを考え、比較的長いスパンで考えてきているところでございます。

 ただ、近年は、そのほかに重要な要素として、充員の可能性というものを見るようにしております。判事の増員といいましても、結局は、基本的には、十年前に判事補をどのくらい採用したかというところよって大きく規定される。事件がふえてきて判事が足りないということになりますと、それを超えて埋めるということになりますと、それは弁護士任官をふやすということでありますが、日弁連も非常に強力に運動を推進してくれておりますけれども、残念ながら、まだまだ、年間五人程度というのが実情であり、そういった充員可能性がきちんと認められませんと、増員だけをして、お金だけをもらって何にも埋まらない、こういうようなことにもなる、そういうことも考えております。

 中期的なスパンとして、非常に時間が長くなって恐縮でありますが、平成十二年に司法制度改革審議会に対して、今現在の裁判の実情、特に民事裁判においては、証人等を調べますと二十・三カ月もかかっているという実情がありましたので、これを半減するには、審理期間を半分にするにはどの程度の裁判官が必要かということを、下級裁の裁判官の、それぞれ、一週間のスケジュールも全部組みまして、その意見も聞いて、シミュレーションをしながらはじき出しました。その数が四百五十人ということであります。

 これを十年間で実現していく。もちろんその間に事件数がふえてまいりますれば、それをさらに、もっともっと多くしなければならないわけでございますが、そういった四百五十人を十年間で増員していく、こういうところに基づいて昨今の増員要求をしているというところでございます。

 以上であります。

小西委員 定量的なもの、定性的なもの、いろいろあってなかなか難しいところだと思いますけれども、やはり一定の目標値、管理する数値なり目標を持ってやることによって、どこが足りないのか、またどこに余裕があるのか、これをしっかりと踏まえながらやっていっていただきたい。国民の血税でございますので、司法制度の、司法サービスをよくするためにも、ぜひともお願いしたいというように思っております。

 続きまして、今回の定員増の理由の中に、知的財産関連の事件の増加という理由が挙げられております。具体的に、採用または既存の職員の教育研修、どのようなことをこの知財に関連して考えておられるのか、お聞かせいただければと思います。

中山最高裁判所長官代理者 国策としての知的財産権の重視ということは、裁判所としても非常に重視しなければならないと考えております。

 そこで、知的財産に携わる裁判官につきましては、司法研修所におきまして、専門的知識を習得させるための特別研究を設けたり、あるいは若手の裁判官のときからこちらの方の専門家を育てるというようなことで、特別研修コースを判事補の研修のコースに設けたりしておりますし、さらには、世界的に名声がありますドイツのマックス・プランク研究所や米国のワシントン大学知的財産研究所のセミナーに、若手裁判官を半年あるいはそのセミナーの期間、派遣するなどの研修も行ってきているところであります。

 今後とも、この関係の施策はより充実させていきたいと考えております。

小西委員 知的財産権、我が国の国力、また国際競争力の上でも大変重要な点だと思います。何とぞよろしくお願いを申し上げたい、このように思います。

 続きまして、裁判所法につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 今回の改正におきましては、裁判所書記官並びに家裁の調査官、この総合研修の必要性というのを職員総合研究所に統合する理由として挙げていただいているわけでございますけれども、具体的にどのような効果が期待されるのか、また、今現状、どのような問題点が露呈しているのか、お聞かせいただければと思います。

中山最高裁判所長官代理者 それでは、一つ例をとって御紹介させていただきたいと思いますが、遺産分割訴訟、遺産分割審判というものがございます、これは調停もありますけれども。そこに関与する職員は、裁判官、それから調停委員、それから手続の公証官であり法律専門職である書記官、それから心理学等の人間関係諸科学の専門家である調査官、こういった者が絡むわけでありますが、ともしますと、問題意識を共有しないまま、スケジュールをそのままそれぞれが進めていくということになりかねません。そうなりますと、結局、遺産分割事件は比較的長期間かかるといいますが、やたらに長くなってしまって国民の期待にこたえられない、こういうことになっているわけであります。

 もう少し詳しく申し上げますと、例えば遺産分割では、前提として、相続人の範囲がどういうものであるか、あるいは相続財産がどういうものであるか、そういう法律的な問題、さらに、そこに特別受益をどう考えるか、あるいは寄与分をどう考えるかといった修正的な要素、それを踏まえた上での分割、こういうことになるわけでありますが、専ら基本は、そういったところでは、法律専門職である書記官がそのあたりのところを調査し、裁判官と考えていくということになります。

 しかし、感情的なもつれ、特に遺産分割ではそういったところの争い、親族間の争いというものが出てまいりますので、どうしても人間関係諸科学の専門家である調査官に途中でバトンタッチをしなければならない。しかし、そのバトンタッチのときに初めて調査官が問題点を、あ、こういうことかということがわかるようなことでありますと、またそこで時間をロスする。またそこで、調査官が入りまして、どうも遺産分割の財産の範囲にいろいろ問題があるようだというときに、下手をすると、また自分がそれを全部抱え込んでしまう。そういったときには、法律専門職である書記官の方に適宜フィードバックしなければならない。

 その辺のところを、ちょうどうまくこうやって、皆がバランスよく、同じ問題意識を持ってスケジュールを進めていきませんと、審理が迅速にできない、適正にできない、こういうことになるわけであります。

 数年前、もう少し前までは、そういったところが余り意識されておりませんで、その後、裁判所においてはもっと協働体制ということを考えていかなければならない、そういう意識のもとに、書記官研修所と家裁調査官研修所は一緒に合同して研修し、その辺のお互いのコミュニケーションというものを図っていくべきである、こういうふうにやってまいりました。ところが、場所が離れております。十条と白山でありますので、非常に時間がかかる。その打ち合わせにもなかなかはかがいかない、こういうような状況でありました。

 今回、これを一緒に統合することによって、そういった協働意識というものを非常に高めることができますし、それが事件処理の方に資することは明らかであります。さらに、それは和光というところで、司法研修所のすぐそばにできますので、裁判官の研修ともそれをマッチさせて、三者協働で体制を組んでいける、こういうようなメリットもあるというふうに考えているところでございます。

小西委員 効果の方はわかりましたけれども。

 もう一点、今回、統合することによって運営費用、財政も我が国も大変厳しい折でございますけれども、この方は、果たして減るのかそれともふえるのか、お聞かせいただければと思います。

中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 平成十六年度予算案における統合後の新研修所の運営経費は三億三千八百万でありまして、研修所統合前の二研修所の運営経費は八千二百万でありますから、二億五千六百万ほど増加ということになります。

 増加の主な理由は、裁判所職員総合研修所の設置に伴い、従来の研修所では施設が狭過ぎるといったような理由で必ずしも十分でなかった研修実施体制を充実させるため、必要な範囲で施設設備の整備を図った結果、庁舎の維持管理経費が増加したため、あるいは新たに清掃業務、警備業務を民間委託することにしたためでございます。

 しかし、他方で、統合による重複事務の合理化等で約十五人の削減が可能となり、さらに、庁舎管理業務の民間委託で庁舎管理等の業務に従事する職員が約二十五人削減予定であります。合理化による四十人程度の削減分を人件費に換算いたしますと、試算では約二億六千万ということになりますので、ちょうど運営経費の増加に見合う額ということで、裁判所としては、相応の合理化も一緒に行ったというふうに考えているところでございます。

小西委員 これからいろいろなことを、新たな施策というのもやっていっていただかなきゃならないわけでございますけれども、十分にコスト面での検証、またコストに見合う効果が得られるのかどうか、こちらの方も、司法の分野でもやはりやっていってもらわなきゃいけないなと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、弁護士法につきまして御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 非常に基本的な質問でございますけれども、今回、弁護士法で新たに研修が想定されているわけでございますけれども、この研修で行われる内容として、どういう内容をどれぐらい、どういうレベルで考えておられるのか、お聞かせいただければと思います。

寺田政府参考人 この研修でございますが、これは、昨年に改正していただきました弁護士法の規定に基づきまして、去る八日に、日本弁護士連合会を研修を実施する法人として指定いたしました。今度は日本弁護士連合会がどのような研修案を持ってくるか、その研修案を今後研修内容として指定するという作業がまだ残っておりますので、最終的にはまだ確定はいたしておりません。

 しかし、現在のところ、日本弁護士連合会といろいろ御相談をさせていただいている中で多分こういうふうになるだろうというところを申し上げますと、全体といたしまして、今まで実務に全く携わられなかった方、あるいは理論的な面が若干弱い方、いろいろおいでになりますけれども、基本的な、特に法廷のいろいろな作業についての理論面、実際面でのいわば集合研修というような形での講義を中心とした講習というものをまず行う、その後、それぞれ弁護士事務所に分かれて、個別にいろいろその方々のニーズに見合った研修を行うというようなところを現在のところ考えておりまして、トータルといたしましては、必要最小限のものもそれからさらに応用的なものもいろいろ考えました結果、全体としては時間として約百九十時間程度の研修になろうか、こういうふうに見込んでおります。

小西委員 内容について一応二点伺ったわけでございますけれども、この研修でどういう能力を身につけなければならないのか、そこのところをもう少し具体的にお聞かせいただきたいなと思います。

寺田政府参考人 多少細かくなって恐縮でございますが、対象となられる国会議員の先生方あるいは企業法務の方々、行政の方々、いろいろ、いわゆる法律の、ある側面での実務経験というのをお持ちなわけでございます。しかしながら、共通していますのは、やはり法廷の経験というのは全くお持ちでないだろうというふうに考えております。他方、特任検事は、これはもう法廷の経験は十分にあるわけでございますけれども、逆に民事面での理論的な問題等が若干欠けているという、それぞれ、いろいろ問題はあるわけでございますが、共通の問題といたしまして、やはり民事でいいますと、どういうものが証拠として立証されるべきであるかということについての、私どもは要件事実と申しておりますけれども、そういうものについての理論面での共通した認識を持っていただくというための講義は、当然のことながら必要になります。

 そのほかに、法廷面でのいろいろな問題もございますし、特に弁護士倫理というようなところは、やはり共通の問題としてしっかり踏まえていただかなきゃならないだろうというふうに考えております。

 同時に、今度は個別の、それぞれの弁護士事務所での研修におきましては、やはり実際にどのように依頼者に対応するか、裁判所に対応するかというような実際面での必要な知識なりノウハウというようなものを学んでいただく、こういうようなことを予定しているわけでございます。

小西委員 まだこれから十分に、案につきましては日弁連とすり合わせをされていくと思いますけれども、やはり、より科学的な、例えば相手の人の心理であるとかいろいろなものを含めた形で、また、倫理につきましてもしっかりと研修をしていただきたいというように思っております。

 いずれの法律におきましても、我々国民の司法サービスの向上に欠くことのできない法でございます。今後とも十分にいろいろ検討、また反省と言うと言葉はおかしいんですけれども、いろいろな、結果に対して省みながら、改正、また手を加えていっていただきたいというように思います。

 その点最後に要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。

柳本委員長 漆原良夫君。

漆原委員 おはようございます。公明党の漆原でございます。

 まず、三月十日に神戸市の連続児童殺傷事件の加害者が関東医療少年院から仮退院になったわけでございますけれども、どういう理由で仮退院にされたのか、御説明を願いたいと思います。

津田政府参考人 お答え申し上げます。

 少年院におきます処遇が最高段階に達しまして、現時点で仮退院をさせまして保護観察による指導と援助により本人の改善更生と円滑な社会復帰を図ることが相当と認められたために、仮退院を許可したというふうな報告を受けております。

漆原委員 この加害者の仮退院については、法務省が初めて公表に踏み切ったということで、新聞、テレビ、大変大騒ぎをしておるわけなんですが、今回、仮退院について公表をしたという理由について御説明願いたいと思います。

津田政府参考人 男性が社会復帰をいたしますに当たっては、社会の理解と協力が不可欠でございまして、男性の更生を静かに見守っていただくためには、一方で男性のプライバシーを尊重しつつも、仮退院に対する情報を適切に公表することによって社会の正当な関心にこたえつつ、可能な範囲でその不安感を払拭すべきであると考えまして、このような形で公表するに至ったものでございます。

漆原委員 新聞報道によりますと、今回の公表についてこう書いてあるんですね。

 インターネットでは早速、仮退院をめぐる情報が駆けめぐった。掲示板、2ちゃんねるには昼前から仮退院関連の投稿コーナーが出現し、夕方までに投稿者は数千に達した。投稿では、男性の氏名や事件発生当時の写真と称するものを掲載したり、新しい住所地を憶測して自治体名を挙げたりしている。これに対し、法務省は、プライバシーを侵害し、平穏な改善更生と円滑な社会復帰を阻害する人権侵害行為だということで、掲示板開設者に削除を依頼したと。

 こういう記事が載っておりますが、これは事実かどうか。もし事実とすれば、経緯を御説明願いたいと思います。

吉戒政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、おとといの三月十日に、インターネットの掲示板に、いわゆる神戸連続児童殺傷事件の加害男性のものであるといたしまして、特定の氏名でありますとか顔写真等が掲載されたということを私どもの情報で認知いたしました。

 そこで、これらの記載でございますけれども、これは、本人のプライバシーを著しく侵害するとともに、平穏な改善更生、それから円滑な社会復帰の実現を阻害する人権侵害行為であるというふうに判断いたしました。そこで、東京法務局、大阪法務局、神戸地方法務局などの関係の法務局におきまして、当該掲示板の開設者に対しまして、開設者の方で定めております手続に従いまして削除の依頼を行いました。

 その後、この掲示板でありますとか、ほかのインターネットの掲示板にも同様の掲載等がございますようでございますので、それを認知した都度、削除依頼を継続的にやっております。

漆原委員 確かに削除されているんですよね。それはよかったと思いますが。

 この事件は、九七年当時に、その男性は中学生だったわけですね、その中学生の顔写真を週刊誌が載せたということで、法務省としては、少年法に違反をして人権侵害行為だということで、この出版社に雑誌の回収を命じたという経緯がありましたね。

 現在、この男性は成人になっているわけでありますけれども、週刊誌等がこの男性を追っかけて、現在の顔写真だとかあるいは住所地、勤務先、こういうものを詳細に、根掘り葉掘り報道する可能性があると思うんですね。このような報道は、私は、少年の更生とか社会復帰という観点からいったら決して好ましい状況ではない、こういうふうに思うんですが、こういう報道に対して法務省はどのように対処するのか、お教え願いたい。

津田政府参考人 委員がただいま御指摘されましたとおり、そのような事態が生じますとなりますと、男性が今後社会的に自立いたしまして更生する上で大きな支障となってまいることが懸念されることでございますので、この男性の円滑な社会復帰を静かに見守っていただくよう、報道機関の温かい御協力、御理解をお願いしたいというふうに考えております。

 なお、マスコミ等の行き過ぎた報道等によりまして人権が侵害された場合等につきましては、先ほど人権擁護局長からお答え申し上げましたように、法務省の人権擁護機関におきまして当該メディア等に勧告を行うなどの措置を講じられており、今後とも事案に応じて適切に対処されるものと考えております。

漆原委員 問題は、どの程度のことが、先ほど申しました成人に達している男性、この人ですよ、ここにいますよ、ここに勤務していますよ、こんな生活していますよ、こういうのが報じられた場合に、それは人権侵害になるんですか、ならないんですか。

吉戒政府参考人 今委員御指摘のとおり、個人の氏名、住所あるいはその勤務先、あるいは寄住先といいましょうか、そういうプライバシー情報の開示はまさにプライバシーの侵害でございますし、また、本件の場合には本人のこれからの改善更生を妨げるという問題がありまして、やはり人権侵害行為に当たるというふうに考えます。

漆原委員 問題は、法務省人権擁護局が行う勧告について、どの程度の法的拘束力があるのかないのか、その辺はどうですか。

吉戒政府参考人 これは、先ほど委員御指摘のとおり、この加害男性が少年時、今から七年ほど前でございますけれども、当時、週刊誌等におきまして写真あるいは氏名等が開示されたわけでございます。その際に、法務省の人権擁護機関の方では、出版社の方に勧告ということで、そういうふうな行為をしないということ、それから再発防止策等を要請したわけでございます。

 これはあくまで任意のことでございまして、相手方が応じなければそれ以上のことはできません。私ども、実際上強制的な権限もございませんので、あくまでお願いする、要請するということでございますが、今までは比較的応じていただいているというふうに考えております。

 今後、この事件につきましても同じようなことが予想はされますけれども、私どものお願いする任意の削除依頼にあるいは勧告にぜひ応じていただきたいというふうに考えております。

漆原委員 本当に任意の勧告ですね。

 ただ、実際、ここにいた、ここにいるというのを、そういうメディアが報じた場合に、大きな社会的な関心事ですから、相当大きなインパクトがありますね。本当に、今、吉戒局長がおっしゃったように、メディアがそれに応じてくれるのかなという心配があります。インターネットのこの書き込みの中でも、酒鬼薔薇聖斗を見かけたら書き込んでくれというのがありますね。こういう感じでどんどん書き込まれていく。これを見たら、国民みんなが興味本位で男性捜しするみたいな、物すごく嫌な格好になるんじゃないかなと。

 だから、法的拘束力のない段階で法務省が公表に踏み切ったというのは、本当にこの少年の更生にとっていいのかなと。静ひつの中で、平穏の中でこの加害者の男性が社会復帰をしていく、更生をしていくということを期待されて公表されたわけですけれども、今の実態を見ますと、擁護局の勧告なりは何にも法的拘束力がない、ただメディアの自主的な努力を期待するだけだということになるわけですね。

 こういう今の法的状況の中において仮退院させたと公表したということは、むしろ、何というのか、変な話、大きな怪物にえさをぽんと与えたような結果にならぬかいなという、物すごく心配している。どうでしょうか、この辺は。

津田政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、男性のプライバシーの問題と、一方では、これを公表しますことによりまして社会の適切な関心にもこたえるという形の中で、あるいは不安感の払拭という形の中で、ぎりぎりのところでこのような形で公表させていただいたものでございますし、寄住地等につきましては一切公表しておりませんし、今後ともこれについて公表するつもりもございません。

 また、仮にこの仮退院の事実を公表しないといたしましても、いずれかの時点では本人は仮退院することは、あるいは退院することにつきましてはどなたも御存じであることでございますので、いずれにしましても、出たあるいは出ないということでいろいろな形で報道がされるものと考えておりました。

漆原委員 この問題については、そういう不安があるということを、心配があるということを指摘だけしておきたいと思います。

 次に、最高裁にお尋ねしたいんですが、最高裁判所に下級裁判所裁判官指名諮問委員会が設置されたわけでございますけれども、その趣旨、目的、概略を説明していただきたいと思います。

中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御承知のように、憲法八十条には、下級裁判所の裁判官は最高裁の指名した名簿により内閣が任命する、こういうふうにされておりますけれども、最高裁判所の指名過程というものが、今までどういう基準で行われているのかということも含め、ブラックボックス化しているのではないか、より透明性というものを高めるべきではないか、国民にきちんと根差した司法ということを言うためには、国民の意識あるいは国民の視点というものもそういった指名過程に反映させるべきではないだろうか、こういうような問題意識から、司法制度改革審議会におきます最高裁のプレゼンテーションで、この原型となるようなものについてプレゼンさせていただきました。それを受けて、審議会の意見書は、そういった機関を設けるべきである、こういうふうに書かれたわけでございます。

 それを受けまして、昨年の五月に、一般規則制定諮問委員会を何度か開きまして、その結果、最高裁に十一人の委員から成る下級裁判所裁判官指名諮問委員会が設置されたというわけでございます。

 そこでは、最高裁判所から、任官候補者について指名の適否を意見をつけることなく委員会に諮問し、また必要な資料を提供し、これを受けて委員会は、下部機関である地域委員会、これは八高裁に対応するところにございますが、そこに指名候補者に関する情報の収集を依頼し、地域委員会が行った情報の収集を委員会で改めてその報告を受けた上、これらの情報に基づいて指名の適否について審議し、意見を裁判所に述べる、こういう流れのものでございます。

漆原委員 時間がないのではしょりますけれども、審査の対象について、これは裁判官の独立を侵してはならぬということは当たり前でございますので、ここのところはしっかり注意をしながらやってもらいたいと思います。

 最後に、最高裁が指名候補者について指名しなかった場合、この場合に指名候補者本人に理由が告知されるのかどうか、そして、その際にその候補者に不服申し立ての機会が与えられるのかどうか、ここだけお聞きしたいと思います。

中山最高裁判所長官代理者 本人から要望がありますれば最高裁が理由を告知する、こういうようなことになっております。

 また、これに対する不服申し立て手続は、特に法令上認められておりません。

漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。

柳本委員長 鎌田さゆりさん。

鎌田委員 おはようございます。民主党の鎌田さゆりでございます。

 私は、きょうは、弁護士法の一部を改正する法律案につきまして御質問させていただきたいと思います。

 その前に、野沢法務大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、今国会、この委員会に付託をされた法案の数、御存じ二十一本という大変な多い数と私は正直感じております。それぞれが大変重要な法案で、しかも司法制度改革推進本部からの提案の法案は、百年に一度の司法改革、これの基礎になっていく法案ですから、十分な審議が必要な法案ばかりだと思っております。

 そしてなおかつ、その法案に魂が入っていなければ、出したはいいけれども通るかどうかわからないような、そういう法案は少なくとも、絶対に出されちゃいけないような、そういう感じも持って今二十一本を見詰めている一人として、この法律案の提案のいわゆる責任者として、この国会、どのような気持ちでもって臨んでいらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。

野沢国務大臣 大変大事な点について御質疑がございました。

 私は、この国会に二十一本の法案がかかっていることをよくわきまえておりまして、特に司法制度改革にかかわる法案十本につきましては、これまで五年近くにわたって、総理を本部長といたします推進本部で練りに練ってまとめ上げたものでございます。これまでも既に、それぞれの政党レベルあるいはマスコミその他を通じましていろいろな御意見は伺っておるところでございますが、何としてもやはり国会における議論が一番大事でございますので、限られた時間ではございますが、十分濃密な御審議をいただきましてぜひとも成立させていただきたく、よろしくまた御協力のほどをお願い申し上げます。

鎌田委員 大臣の、濃密な審議、そういう言葉を私も非常に重く、そしてきっとほかのすべての委員の方も重く受けとめていらっしゃると思いますので、その基本的な姿勢を決してお忘れることなく、これからのぜひ国会審議、委員会運営に臨んでいただきたい、御要望申し上げたいと思います。

 弁護士法の一部改正、この今回の改正ですけれども、これはさきの百五十六国会、ここでの審議あるいは附帯決議からの流れを受けてのものとして私も受けとめておりまして、そしていわゆる特例制度の見直しでございますから、率直に高く評価を申し上げるところもございます。

 ですけれども、やはり、この委員会できちんとただしておかなければいけないところが数点ございますので申し上げますけれども、まず、弁護士は司法試験に合格し司法修習を終えた者という原則になるべく例外をつくるべきではないという根本的な考え、この考えから、実質的な法曹教育の法科大学院への移行や新しい司法試験制度の実施を前に、弁護士資格の特例を整理しよう、こういうものとして理解をしてよろしいですね。

野沢国務大臣 そのとおりでございます。

鎌田委員 幾ら特例による資格取得であっても、質量ともに拡充を目指すものであって、その資格は決して、いわゆる恩典ではございませんね。確認いたします。

野沢国務大臣 恩典というよりもやはり、それにふさわしい方に資格を持っていただく、ここに今回の重点がございます。

鎌田委員 そこでなんですけれども、そのふさわしい資格というものにとってとても大切なのは、やはり司法サービスを利用する国民、市民側からの目線だと私は思います。ですが、今回の法改正で特例がなお二項目残っております。このことはもう皆様も御存じのことだと思いますけれども。

 国民にとってはあくまでも、よい弁護士であるかどうかが大切であって、よい、すばらしい能力のある特任検事であったかどうか、すばらしい判断を示した最高裁判事であったかどうかということもこれは一つの大切な目線、物差しかもしれませんけれども、しかし私は、あくまでも国民にとっては、公正無比な客観的なフィルターを通って、そして弁護士資格を得るということがやはり一番重要ではないかと思うのですけれども、この特例が二項目なお残っている点についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

野沢国務大臣 今回の改正理由についてでございますが、昨年の通常国会におきまして、多様なバックグラウンドを持った弁護士を確保し、国民の多様なニーズにこたえるという目的で、弁護士資格の特例制度を拡充していただいたところでございます。

 その際に、国会において、ことしの四月から新たなプロセスとして法曹養成制度がスタートすることや、昨年の通常国会において拡充されました特例制度においては所定の研修を課すことといたしたことから、法律学の大学教授等に対する特例措置を見直すとともに、司法試験合格後、衆参の法制局参事や内閣法制局参事官等の職にあった者についても研修を課すべきであるとの御指摘をいただいております。また、衆参の法務委員会で附帯決議が行われております。

 今回の改正は、このような御指摘、附帯決議等に沿いまして、法律学の大学教授等に対する特例措置を見直すとともに、司法試験合格後、衆参の法制局参事や内閣法制局参事官等の職にあった者についても研修を課すこととするものでございます。

鎌田委員 大臣、大変申しわけございません。本当にこんな若輩者が大変失礼なことを申し上げますけれども、私が聞いたこと以外の答弁の方が、今の答弁では大部分を占めております。

 私は、今なおかつ特例が二項目残っていることについてどう考えているかとお聞きをしました。今回の法改正の概要をお聞きしたつもりはございません。

 ですから、今回特例を残したということが、公正無比なフィルターを通ることが大事だという私の意見、これと照らし合わせて、しかし、特例を残すことに対して大臣としてどうお考えになっているかということをお聞きをしたので、もう一度お尋ねをいたします。

野沢国務大臣 これは、さまざまな経験を持った皆さんに参加をしていただくという立場から、いろいろなケースを想定しておるわけでございますが、今回はそれを集約した形で、本改正案が最も適切である、こういう判断でお願いをしているわけでございます。

鎌田委員 さまざまなという言葉、先ほどとまた重ねておっしゃいましたけれども、私もそれはよくよく理解をしておるつもりです。

 ただ、司法サービスを利用する市民の側にとっては、どの角度から見ても公正無比な、客観性の持てるフィルターを通って、そして弁護士資格を取っていらっしゃる方というのが、やはりそこに依頼をする依頼人の立場からすると、とても大切ではないかと思い、私からあえて御質問させていただきました。再度はいたしません。

 ただ、大臣の御答弁の中で、そしてなお、だからこそ所定の研修という言葉もございました。この研修については、後ほどまたお聞きをさせていただきます。

 若干関連いたしますが、特任検事、それから最高裁判事、ここと、今回の特例の廃止となりました大学等の法律学の教授、これがいわば区別された形になったと思いますけれども、その根拠は何でしょうか。弁護士活動としての実務未経験という点では、私は違いがないと思いますけれども、いかがですか。

野沢国務大臣 御指摘の点、確かに区別されておるわけでございますが、特任検事につきましては、昨年の通常国会におきまして、弁護士資格の特例制度が拡充された際、副検事としての在職経験に加え、所定の試験に合格して、その能力についての客観的な検証を受けておるということ、そして、司法試験に合格した上、司法修習を終えた検事と全く同等の権限を有することから、五年以上の検察官としての職務経験を積んだ者について、所定の研修を要件とした上で弁護士資格を付与することとしたものでございます。来る四月一日から施行されるものと考えております。

 そういうことで、これは、特別考試合格が司法試験合格ということで、それを相当とみなしたということでございます。

鎌田委員 特別考試のお話が出ました。司法試験合格と同等という御答弁がございましたが、これもまた少し後に触れさせていただきたいと思います。

 それでは、大学等の法律学の教授、助教授の特例廃止の理由、これは前回の国会でもさんざん御審議ありまして、附帯決議等にもあらわれておりますけれども、大臣、これは改めてお伺いしますが、どこが不都合なのでしょうか。

野沢国務大臣 これは、これまでの国会の御議論を踏まえまして検討したものでございまして、これまでのこの法務委員会での結果を尊重したということでございます。

鎌田委員 先ほど失礼な口をたたいたのが災いをしたのか、そんな御答弁をいただくとは。

 これまでの国会の審議があったからというふうに簡単に御答弁されてしまわれましたが、やはり私、初めから申し上げているとおり、あるいは御質問させていただいているとおり、いわゆる大学等の法律学の教授、助教授の方々に特例的に資格を認めるのは、それは特権的だという長年のいろいろな方々の御意見、自民党さんの部会内でも出ている御意見、新聞等でも拝見をいたしました。

 そういう、まさに現場、実務を重視、そして弁護士として本当に、社会正義のために、そして人権擁護のために、実務で、現場で闘っていく、そういう資格を有している弁護士を、これからの日本の司法の充実で大事だからということだと私がかわりに言っちゃったみたいなものですけれども、だからこそ、大学の法律学の教授、助教授を、これまでの議論、これまでにもありますけれども、ここを今回廃止して、特任検事、最高裁判事というものをそうやって残すとなると、私の性格が決してうがっているとは私は思っていませんけれども、何だか、廃止しやすいところだけ廃止しちゃう、そして、既得権を守っていかなきゃいけないところはやはり守らなきゃいけないと。

 これは、私のみならず、地元に帰って、この分野、関係の方々から御意見を伺うと、今回のこの法案の改正は、既得権益の擁護と同時に権利の侵害だ、両方含んでいるという声も、法曹の分野の方から私は直接耳にしておりますので、やはりそういう声もあるということを、ぜひ、大臣、おとどめをいただきたい。そして、関係者の方もとどめていただきたいと思います。

 それで、今回の法改正の附則の第三条、経過措置というところがございます。その経過措置についてお伺いをいたしますが、大臣、私は、非常に強い違和感を、強い矛盾をこの経過措置に感じております一人でございます。経過措置の内容と根拠をちょっとかいつまんで御紹介ください。

山崎政府参考人 経過措置でございますので、私の方から答弁をさせていただきます。

 まず、経過措置の一つ目のポイントでございますけれども、この法律の施行時に既に五年の期間に達している、いわゆる権利を取得されている方でございますが、この方については従前どおりとするというのが一点でございます。

 それから、この法律の施行時にまだ権利が発生しているとは言えない方、ただし現在職務にある方について、一年未満の経験の方は、これは対象にはしない、しかしながら、この施行時に一年以上その職にあった方については、平成二十年三月の末までに五年の期間に達するという方については、従前どおりに扱う、ただし所定の研修は受けていただく、こういうようなことにしているわけでございます。

 これは、理由は、やはり長年続いた制度でございます。それから、これは、昭和二十四年ですか、そのころから続いている制度でございます。それから、この職にある方、それは、現在、一年以上職にあって、まだ五年はたっていないかもしれませんけれども、それなりに訓練を受けた方たちでございまして、そのまま在職すれば当然そういう能力を備えているという予定者でございます。

 このような方について、どうするかということは、二つ、考え方があります。一切ばっさり切り捨てるという考え方と、それは幾ら何でもかわいそうではないか、激変を緩和するべきではないかという考えと、二つございます。私どもは、その後者をとりました。

 ただし、一年未満の方については、駆け込みを許すという状態になりまして、濫用もあり得るということから、そこは保護をしない、こういう政策をとったわけであります。

鎌田委員 今の御答弁に関連してお聞き返しをさせていただきますけれども、すごくわかりやすいようで、よく考えないとわからないような感じもするんですが、附則のところに「「通算して五年以上となる者」とあるのは「平成二十年三月三十一日までに通算して五年以上になること。」とする。」というのが確かにございます。

 つまり、これは、平成十五年、平成十五年というのは去年ですけれども、平成十五年三月三十一日午後十一時五十九分五十九秒……いわゆるその日付の本当に寸前まで、法律学の教授、助教授としての籍を持っている者、あるいはその日付が変わって、そういうふうな区切りになっているというふうになりますね。

山崎政府参考人 法律上の書き方でちょっとややこしい書き方をしておりますけれども、この法律の施行時でございますから、予定されているのは現在四月一日ということになりますけれども、その時点で在職が一年以上になる者、こういう読み方をするわけでございます。

鎌田委員 だから、ことしの、十六年四月一日で一年以上になっている者ということでしょう。ですから、四月一日の午前零時で一年以上になっていればいいわけでしょう。ということは、去年の、平成十五年の三月三十一日から、一年さかのぼってということなんですけれども、そういうことでよろしいんですよね。

山崎政府参考人 十五年の三月三十一日ではなくて、四月一日に在職していればいい、こういうことになります。

鎌田委員 四月一日午前零時ピッピッポーのときに在籍していたということですね。ただ、そこで手続ということは、きっと前からかなと。ただ、法律上の仕切りのところでは、四月一日からの在職の証明がないとだめだということ、わかりました。

 ただ、私は、そこの時点から考えて、結局平成二十年の段階で五年になっていればいいという考え方、つまり、ことしの四月一日、施行のときで一年たっていなきゃいけないという考え方、この辺のところの、その数字の出てくる、特に一年という数字が出てくる根拠というものが私は全くわからなくて、ただ、先ほどの答弁の中で理由をおっしゃいました、長年続いている制度だと。これはもうまさに既得権益の擁護ですよ。長年続いているから、この権利、権益は守らなきゃと。そして、後半おっしゃった、しかし、一年やっていれば、これから先また四年かけて訓練されればそういう能力も付与されていくだろう、これがまさに期待権ですよ、期待なさっている。

 関係の方とあらかじめ打ち合わせされた際にも、この期待権という言葉が私とやりとりの中で大分出ましたけれども、まさに、今回のこれは、この長年続いている権益、既得権を守るということと、そして一年という数字が出てきたところは、あと四年あればというような期待権。私は、この既得権を余りにも加護し過ぎている、そして同時にこの期待権を余りにも大きくかけ過ぎている、そのように感じますけれども、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 この大学教授に法曹資格を与えるという点については、これはその制度発足当初からしばらく、現在に至るまでそれなりの役割を果たしているわけでございまして、この点についてはさまざまなお考えがあるかと思いますけれども、今回とった政策は、大きなプロセスとしての法曹養成、こういう点を重視していこうということから、そちらに重点をかけるということから、この大学教授の関係につきましては政策的にこれを廃止していく、こういう流れにあるだろうというふうに思います。

 そうなりますと、今まで制度として動いていたもの、これについて、政策的な理由から廃止をするといったときに、その途中にある方をどのように擁護していくか。これは逆に、既得権というものではなくて、それなりに社会的な使命を果たしてきたもの、その途中にある方をどうするかというのは、逆にそれを一切切り捨てるというのはいかがなものかと私は逆に思っております。

鎌田委員 ではお伺いしますけれども、四月一日の時点で一年たっていて、あと四年間、きっと能力がつくだろうという期待を持たれて、守られた方々、この間の方々というのは、今回の法改正後、弁護士資格を取るにはどういうプロセスを経なくちゃいけないわけですか。法改正後の、つまりことしの四月一日時点で一年たっていない方ですね、だから、救われない、はっきり申し上げて守られない、この経過の中で守られない方々との違いは何ですか。

山崎政府参考人 一年未満の方は何もありませんということになります。司法試験を受けて、そして研修を受けてやっていただくという形になります。

 それから、一年以上在職の方で二十年三月末日までに五年に達する方、この方については権利が生じます。ただ、所定の研修を受けていただきまして、それを修了後、弁護士会に登録の申請をしてパスをすれば弁護士になれる、こういうことでございます。

鎌田委員 だから、四月一日の時点で一年たっていれば、所定の研修は受けるけれども司法試験は受けないということですよね。

 つまり、今回特例を見直して、公正無比なフィルターを皆さん通って資格を取る、その司法試験、一番初めに申し上げましたけれども、原理原則のところ、そこを、ことしの四月で一年たっていればそこは司法試験を受けなくていい。それで、一年たっていない人は、極端な話、一年より一日足りない人は、司法試験を受けて、そして五年の経験と研修。私は、そこを区別するのに何で一年なのかなと。

 そして、その四年が余りに、司法試験を免除されるくらいの、だって、その一年間やってきた法律学の教育現場で教えるということをこれからも四年間やっていき、どちらかといえば教育者として、もちろん法律というさまざまな専門分野、かかわりますけれども、私は、そこは、特例の廃止といっても、一年と四年というところの数字の分け方が余りにもざっくばらん、ざっくりし過ぎるし、そして、国民、利用する側にとっては、公正無比なフィルターを通る弁護士を、いい弁護士を国がつくるんだ、そういう考え方に立っているのかなと疑問符が大変多く浮かび上がってくると言わざるを得ませんが、もう一度お尋ねします。

山崎政府参考人 大きな流れは委員御指摘のとおりだろうと思いますけれども、例えば、この法律の施行時に四年半の在職経験があった方、こういう方についても一切だめということになるのかということでございまして、これは、では四年だったらどうか、三年だったらどうかと、いろいろな、どこで切るのかという問題が出てくるわけでございます。

 私どもは、そういうところでなかなか切れないだろうというふうに考えました。ただ、この法律の案がわかった段階で、それでは駆け込み的にその職についてということになりますと、そういう対応は許すべきではない。そうなりますと、やはり一年未満ということ、この法律の案がだんだんわかってきたころから施行時までというのは一年未満になりますので、そういう方については濫用のおそれがあるから、そこは排斥しましょうと。しかし、それ以外の方は、どこでどういうふうに切るかということは切り切れないということから、その方たちについても期待をそのまま尊重をするということでございます。

鎌田委員 もう時間がなくなってきましたので、私から最後にちょっと一方的に申し上げるだけにしますが、今の答弁は、私はすごく重大だと聞きました。濫用という言葉が出た。それから駆け込みという言葉はさっきからも出ていますけれども、法務省は、やはりそういうことが念頭にあるわけですね。そして、イコール、これはもうちょっと考えを進めていけば、やはり権益なんですよ。その先生方が例えば、実際にある例ですからはっきり申し上げますけれども、定年後にその資格を取ってみようかとか、あるいはもっと極端な話、そういえばそういう特例があったから、資格を取ってその資格でまた何かしらの収入をなどという話も聞こえてくるくらい。

 駆け込みを防止する、濫用を防止すると。つまり、やはり大学の教授の、法律学の先生方の現場ではそういうことが起こり得るんだ、そして、恩典として、あるいは本当に実務としてということよりも濫用ということが念頭にあって今回の数字も出てきているんだなということを考えると、私は、今の言葉は、弁護士の資格というものに対してやはりきちんと根本に返って考える必要があると思いますし、今の答弁は、私は私なりにすごく重いものだなというふうに、重大だなというふうに受けとめました。

 それでなんですけれども、これは、党としてのこれからの態度決定とはまた違った、私の自立した一人の行動として、議員活動として感じたものですが、結局、その資格を持っている、今回の特例廃止によってもなお守られる方々というのは、司法試験を受けずとも永久に、極端な話、生きている間は永久にその登録をする資格を持っているわけですよね。だから、生きている間永久に保護されていると言われているその資格、登録する資格というものが、私は、これは永久であっていいものかどうか。

 例えば、大学の職を辞して、教授の職を辞して職業をどう選ぶかというのは、これは職業選択の自由なんですけれども、例えば、その権利を行使する期間というものを、年限を区切るということも私は一つ手じゃないかなというふうに思うのです。例えば、五年以内にその権利を行使しなければ、あとはその権利は消滅する、例えば、大学が終わった後に少し悠々自適にお暮らしになって、しかし、そういえば登録する資格があったな、それで、はっきり申し上げて年齢的にもう本当に人生の集大成を迎えていらっしゃる、そういう御高齢になってから、では登録するかということがないようなことなども私は一つ考えられるのではないかな。

 永久にそうやって保護、保存されるべき資格なのかしら、特例資格なのかしらと思うのですけれども、これは大臣、いかがお考えになりますか。今後そういうことは一切考える余裕はないな、しかし、これから先、この国の形が変わる、あるいはさまざまなものが変わるにつれて検討に値するものかな。いかがでしょうか。

実川副大臣 委員御指摘の登録年限を区切るべきではないか、そういう御質問だと思いますけれども、司法修習を終えたことによりまして弁護士となる資格を有する者が、弁護士登録をするかどうか、いつ登録するかにつきましては本人の自由な意思にゆだねられるというふうに思います。

 また、経過措置によりまして弁護士資格を認められる者も、資格者であることには変わりはございません。弁護士登録をする時期につきましても、他の弁護士となる資格を有する者と同様に制限を設けるべきではないと考えております。

鎌田委員 私も、自分で考えついて、そして質問しようと思ったときに、非常に強烈だなというふうに自分自身思いました。

 しかし、先ほど来申し上げているように、百年に一度の司法制度の改革、そして本当に、以前この国会、委員会で、小泉総理がこの場にいらっしゃったときに、森山大臣と並んで座っていらっしゃったあのときに、小泉総理みずからが発した言葉が裁判ざたという言葉でした。総理みずからが、この国の司法の超責任者の方が裁判ざたなんという言葉を使う。こんな情けない国のリーダーをいただいている、その法務委員会のもとでの私の今の発言。

 私は私なりにその発言に対して非常に考えるところがあって、やはり市民にとって利用しやすい、そしてもっと司法が身近になるように、そして本当の弁護士としての使命を全うできるような、そんな制度をつくらなくちゃいけないという思いを持って、最後、質問させていただきました。

 予定通告しておりました研修の内容などについては、まさについ先日まで弁護士をなさっていた松野議員から詳しくあると思いますので、私はこれで終わります。ありがとうございました。

柳本委員長 小林千代美さん。

小林(千)委員 民主党の小林千代美です。

 本日は、裁判所法の一部改正、そして裁判所職員定員法の一部改正について御質問をいたします。特に、速記官の皆様方の課題についてお伺いをしたいと思います。

 私も、今回のこの質問をつくるに当たりまして、過去の議事録というものには大変お世話になったわけですし、それは皆様方も同じだと思います。国会の中の記録もそうなんですけれども、裁判所の中の記録というものに対しても、当事者の皆さん、裁判官の皆さんも弁護士の方も検察官の方も当然大きなよりどころとなっているでありましょうし、この記録のあり方というものは大変大きな役割を持っていると私は思っております。

 今、司法制度改革というものが進んでいるわけですけれども、この記録のあり方、迅速でしかも正確な記録というものはさらに求められるのではないかと認識をしております。その中で記録のあり方を考えることは、この司法制度改革についても大きな影響を与えるものと私も考えております。

 それでなんですけれども、今、裁判所の中でとられている逐語録の作成の方式、二通りあるというふうに伺っております。一つは速記方式、そして録音反訳方式、これは平成九年ですか十年でしたか、からとられたそうですけれども、速記とは違い、法廷の様子をテープで録音しておいて、その録音を業者に出して、そこでいわゆるテープ起こしということを行って記録をつくる、この二通りのやり方が今採用されているそうですけれども、現在における、この逐語録の作成に当たり、速記方式と録音反訳方式、大体何割ぐらい、何対何ぐらいの比率でとられているのでしょうか、最高裁の方にお伺いしたいと思います。

中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 速記官によるいわゆる速記録、これによるものが約四割であり、録音反訳によるものが六割でございます。

小林(千)委員 今、速記方式で約四割というお答えをいただきました。

 四割の比率を担っているわけですから、現在の逐語録作成方式の中で、この速記方式というものは大変重要な一つの柱をなしているというふうに考えてよろしいですね。お伺いいたします。

中山最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。

    〔委員長退席、下村委員長代理着席〕

小林(千)委員 それで、実際のこの速記がどのようにとられているかということをお伺いしたいんですけれども、実は、私も初めて、先日、実際に裁判所速記官の皆さんがとられている速記の方法というものを見せていただきました。このように目の前で速記官の方が国会の中でとられている手で書く方式とはちょっと違うようで、速記用のタイプライターみたいなものを打って、言葉をいわば記号化するそうですね。それで、その記号を見てそれを日本語に直す、このようなやり方で裁判所の中の速記方式はとられているというふうに見せていただきました。

 この日本語に直す方式なんですけれども、従来は、その打った記号を見て直していたわけなんですけれども、その中で、速記官の方々の努力により、自分たちでソフトをつくり上げた、「はやとくん」という名前らしいんですけれども、これにより、パソコンでその記号というものを日本語にいわば翻訳する、こういった作業をできるようになった、こういったことを速記官の方みずからが自分たちで研究をして新しいソフトを開発したというふうに伺っております。

 そして、もう一つは速記用のタイプライターなんですけれども、官から支給されているといいますか指定されているタイプライターではなくて、ステンチュラというアメリカから輸入された機械を使っている。そちらの方の機械は、それぞれの人の手に合わせて微調整ができるようになっている。例えば、打鍵の重さですとか、打ち込む深さですとか、手の体格に合わせた間隔も調整をできるようになっていて、キーのタッチも軽いということで、体にかかる負荷というものは大変少なくなっている。こういったステンチュラという機械と「はやとくん」というソフトを使って速記録をつくられている方が多いというふうに伺いました。

 しかしながら、この「はやとくん」というソフトも指定外ソフトということで、この「はやとくん」の研究開発についても、自分たちの勤務時間外の時間を使って、いわばプライベートの時間を使って、仕事に対してのことに時間を費やしている。それにかかるお金もすべて自分たちで自腹を切って行っている。その「はやとくん」も、認められていないソフトなので、支給をされているパソコンにインストールすることができないから、それを使うためには、自分の、私物のパソコンを持ち込んで使わざるを得ない状況になっていると伺っています。

 また、そのタイプライター、ステンチュラなんですけれども、これも、アメリカのメーカーで、そこから自分たちで輸入をしている、約四十二万円ぐらいかかると言っていました。四十二万円、仕事のために出費をするんですから、自腹を切って、これは大変大きな負担だと思うんですよ、私は。

 このように、自分たちで自助努力をしながら、仕事にかける情熱を持って勤務に当たっている、事務の改善に対して大変大きな努力をなさっていることに対して、私は大きな敬意をあらわさなければいけないと思っているわけなんですけれども、最高裁の方は、何で、とても有用な「はやとくん」ソフトを今インストールすることを認めていないんでしょうか。そして、このような速記官の方々の努力というものをどのように認識されているのでしょうか、お伺いをいたします。

中山最高裁判所長官代理者 裁判所では、現在、例えば全国の裁判所をつなげるJ・ネットというシステムをつくっておりますし、あるいは全庁でLAN化を進めているところであります。

 先般の内閣官房の情報セキュリティ対策推進会議でも、各省庁の情報システムの脆弱性というものが指摘されましたが、その最大の要因は、内部ネットワークに個人用の端末をつないだり、ソフトを入れることにある、そういったところは非常に慎重に考えなければならない、こういうようなところでございました。したがって、今後こういったシステムを全国展開するに当たって、相当慎重な配慮というものをしなければならないのが一つであります。

 それからもう一つは、もともと「はやとくん」は、名古屋の遠藤さんという速記官の方が開発されたというものでありますけれども、NECの98のパソコンをベースに最初になされ、その後DOS/V、それからウィンドウズということで、いわばマイクロソフトがいろいろ変えてきた、そこに合わせてOSを合うように変えてきたというわけでありますけれども、裁判所の方も、その間、実は、MS―DOSからウィンドウズ三・一、ウィンドウズ95、98、そして二〇〇〇、XP、このように進んできているわけであります。そういった中にそれまでのOSに基づくものを入れましても、それはなかなか一緒に稼働しないということにもなりますし、また、そのソフト自体をインストールした場合には、そのメンテナンスを一体どうするのか、あるいは、ウイルスチェック等でいろいろ問題が起きてきた、やはりソフトの相性というものがございますから、システムに影響を及ぼしたときにそれはだれが責任を持ってやるのか、こういったところの問題も非常に難しいものがございますので、この辺の保守管理体制が整えられて初めて認められるということになるわけであります。

 このようなシステム上の制約から、私用ソフトのインストールについては、これは慎重に対応しなければならないということを御理解いただきたいと考えますが、速記官の執務環境の整備については、職員団体からも非常に強い要求が出てきているところであります。きょうも後ろに私どもの職員団体である全司法の委員長がしかとにらみに来ておりますけれども、そういうような職員団体の意見も十分聞きながら、できる限りの努力をしてまいりたいと考えております。

小林(千)委員 実際に今、パソコンのああいったITの進化というのは目覚ましいものがありますよね。パソコンなんか一年たったらもう大変古い、そんな進化を遂げているわけでございまして、もちろん、そういった環境に対応していくということは大変重要な課題だと思いますし、特にウイルス対策ですか、いろんなところからウイルスが入ってくる心配も今大変あるわけでして、それに対する防御ということも当然なされなければいけないと思っていますし、実際に今、録音反訳方式だと、テープを外に出して、データ、どういうデータでもらうかわからないですけれども、ディスクなりフロッピーなり、あとはデータで、メールで来るかわかりませんけれども、そういう状態で外からのものも実際に入っている、それもきっとチェックを当然されているんでしょうから、管理体制を十分にした上のこういった能率機器の導入というものについては、ぜひともこれから積極的に検討をしていただきたいとお願いを申し上げます。

 そして、このように、環境、特に技術的な環境というものは大変大きく最近変化をしてきているわけでございます。

 それで、立ち会い時間についてちょっと申し上げさせていただきたいんですけれども、今の速記官の方は、立ち会いが十時間というふうに運用の中で定着をしているというふうに伺いました。この十時間の根拠なんですけれども、昭和三十七年のときに、最高裁の方で労働科学研究所というところに調べてもらって、例えば同じ姿勢でずっとタイプを打ち続けるですとか、それをまた日本語に直すといった作業から、体に対する健康への被害、特に腱鞘炎、こんなことがどのように影響するかということを考えた上で、一週間で二時間、月に八ないし十時間という返答をもらったんですか、それがベースになっているというふうにお伺いをいたしました。

 でも、これは昭和三十七年ですから、もう四十年以上前の話なんですよね。このような能率器具も今どんどんと実際に使われている。また、三十七年のときですから、パソコンやワープロなんか当然ありませんで、鉛筆で書いていたんでしょうけれども、その環境がなくなって、記号をワープロで直すようになった。これに対しても負荷は随分変わってきていると思いますし、なおさら、今はそういった「はやとくん」というソフトも使われているということで、こういった環境の変化というものは目覚ましいものがあるわけですから、こういった環境のもとでの執務時間、立ち会い時間のあり方というものは、当然私は見直していかなければならないのではないかなというふうに思うわけです。

 もちろん、体調ですとか体格ですとか、個人差もあるでしょうし、労働時間の問題にもかかわってくることでしょうから、職員団体の皆さんとも当然議論をしていただかなければいけないわけなんですけれども、こういった、例えばステンチュラですとか「はやとくん」といったような能率器具の導入についてどのように考えているのか、また、速記官の皆様の今置かれているこういった、立ち会い時間なども含めまして、職務環境整備につきましてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

中山最高裁判所長官代理者 労働科学研究所等の経緯については、今委員御指摘のとおりではございます。

 ただ、昨年も速記官の方々がみんなで集まって議論をされたというような話も聞いておりますが、そこで、例えばステンチュラや「はやとくん」の使用を前提として、立ち会い時間、これを長くする、そういうようなことを前提に速記制度をもう一度考え直してもらう、あるいは考え直していくということはどうだろうか、こういうような提案がなされたものに対しては、そういった意見は少数にとどまったというふうにも聞いております。

 なぜ少数にとどまったかといいますと、やはり、昭和三十年代から出ておりました頸肩腕症候群等の職業病の歴史というものが重くのしかかってきて、それが不安を持たせているというところにもなりますし、そういったように、速記官の中に決してそのあたりのところが一致した意見になっていないということも踏まえていかなければならない。仮に、一部の速記官についてだけ立ち会い時間を延ばすということになりますと、では、その人たちの処遇を、一体どういう、ほかの人たちとどのようにしていくのか、速記官に二層化を持ち込むということが本当にいいのかどうか、そういうことも考えていかなければならないかと思っております。

 しかし、いずれにしても、平成九年の二月に速記官の養成停止を行いましたときに、時の事務総長はこのように述べました。

 これからもやりがいを持って働いていただけるよう、そのための環境づくり、処遇の改善等については、検討メンバー、これは当時、養成停止と録音反訳の導入方針を打ち出したメンバーで、職員団体の委員長等を務めた速記官がその中心でありましたけれども、その検討メンバーが提案しているところをもとに、責任を持って、鋭意検討を進めていく、速記官の方々には今後とも安心して職務に精励していただきたいと考えている、こういうふうに答えたところでありまして、これを私どもはきちんと重く受けとめて、今後とも種々の問題に対して対処してまいりたい、こういうふうに思っております。

小林(千)委員 執務環境の整備については、これはもちろん配慮をしていただかなければいけないことだと思いますし、今、安心して執務に当たっていただくようにということをお答えいただいたわけなんですけれども、実際に、今、速記官の方の置かれている状況を伺ってみますと、とてもじゃないけれども、安心して働いていける状況にないということを伺いました。

 といいますのも、司法サービスの充実ですとか司法制度改革ということで、弁護士の数も質ももちろんふやしていかなければいけない、裁判官の数もふやしていかなければいけないと同時に、職員の方も当然数を充実させていかなければいけないわけですよね。

 その中で、今回も職員定員法の改正で出てきましたけれども、まあ今回は沖縄分の組み入れというものがありますから、いきなり四百人にぽんとふえていますけれども、実質上の増員というものは、一般職の方で十名だと。とてもふえているというような環境ではない。しかしながら、職員の方の内訳を見てみますと、書記官の方は、ここ数年、二百人単位で、二百五十人ぐらいずっとふえている。その分、まあつじつまが合わなきゃ困りますので、速記官の方がそれだけ減っているという現状があるんですよ。

 実際に、速記官の方にしてみれば、平成九年で後輩も入ってきていない。自分たちの仲間も、当時八百七十人近くいらした速記官も今は三百八十三人になってしまっている、半分以下になってしまっている。後輩は入ってこないわ、人数はどんどん減っていっているわと、こんな環境にあったら、とてもじゃないけれども、不安を持つなという方が難しいのではないかなというふうに私は思っておりますけれども、こういった現在の速記官の方々に対する職場環境への配慮というものはしっかりとされているのか。書記官へ転用されているんですけれども、それが強制的なものになっていないのか、お伺いいたします。

中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 平成九年に速記官の養成停止というものを最高裁の裁判官会議で決定いたしましたときに、将来への不安ということを持たれるだろうということから、速記官から研修で書記官になれるというような制度をつくりました。

 本来、書記官は法律専門職であり、相当難しい試験を経なければならないわけでありますけれども、速記官については、書記官研修所における法律の勉強、さらにはその後の法廷立ち会いの経験から、これをクリアできるだけのものがあるであろう、こういう考えのもとに、特別に、そういった研修で書記官になれるというものをつくったわけであります。

 その結果、現在まで、そういった書記官の任用研修、あるいは正規の試験を受験するなどして書記官に転官した者は、二百五十六名ということになっております。その他は、結婚による自己都合退職とかあるいは定年退職者、こういうような方が中心ということになるわけであります。

 先ほど、速記官の定数が減ってきている、書記官にいわば振りかえているというところでありますが、これは、あくまでもそういった形で、あいた速記官の定数を使わせていただいているというものでありまして、これを無理に書記官への転用を進めているというわけではございません。速記官につきましては、毎年毎年、意向調査を行いまして、将来どうしたいかということを伺い、その上で、書記官にかわりたいという人に対してだけそういった措置をとっているわけでございます。

 今後とも、先ほどもお話ししましたけれども、裁判所職員としてやりがいを持って執務に臨んでもらえるようにするのはもちろんである、そのような配慮を十分していきたいというふうに考えているところであります。

小林(千)委員 それでは、今回の法改正の案の解釈なんですけれども、確認しておきたいところが何点かございます。

 今回の裁判所法の一部を改正する法律案の第十四条の二というところなんですけれども、総合研修所に関する項目です。この中で、「裁判所書記官、家庭裁判所調査官その他の裁判官以外の裁判所の職員」とありますけれども、この「その他の裁判官以外の裁判所の職員」、この職員の中には、速記官の方も当然含まれているわけですね。

寺田政府参考人 速記官も含まれております。

小林(千)委員 では、当然、速記官の方もこの総合研修所で研修を受けるということですね。

 その次なんですけれども、職員の研究及び修養に関する何とかのために研修所を置くと書いてあります。この研究及び修養の修養という言葉の中に、養成という概念も入っているわけですね。

寺田政府参考人 これは、研究及び修養が自動的に養成ということになるわけではございませんが、研究及び修養の結果、養成されるということも、当然あり得るわけでございます。

小林(千)委員 研究及び修養の結果、養成されることもあるというふうに御答弁をいただきましたので、これは、速記官の養成も法律上は可能となるということになるわけなんですよね。

 ということで、これからの司法制度改革の推進、特に、数年後には裁判員制度が始まるかもしれない、こういう状況にあるわけですので、これからの記録のあり方については広範な検討が必要になると思っているわけでございます。

 今回、私が質問をするということに当たりまして、現職の速記官の皆様から多くのお手紙をいただきました。その中で、速記官の方の声をぜひ聞いていただきたいと思います。

 ちょっと読み上げさせていただきます。

 私たち速記官は、これからどうなるかわかりませんが、日々、速記の技術を磨いています。速記録提出が急がれる事件では、即日あるいは次の日に速記録を提出しています。略語を数多く覚えなければならず、苦労はありますが、略語をうまく駆使して正確な文字をあらわせたときは、とても充足感があります。技術を磨くことは、とても楽しく、やりがいがあることです。この技術を、ぜひ、裁判員制度のもと、生かしたいと思います。

 このような手紙をいただいたんです。

 私は、こういった速記官の皆さんの仕事にかける情熱、熱意というものに対して大変感動いたしましたし、こういった仕事に対して熱意と誇りを持っている速記官の皆さんがこれから仕事をする上で将来的に不安定な状況に置かれることがないように、十分な配慮をしていただきたいと、これは重ねてお願いを申し上げたいんですけれども、どうお答えいただけますでしょうか。

中山最高裁判所長官代理者 委員御指摘の点も踏まえまして、裁判所としても、一生懸命そのあたりの改善に努めてまいりたいと思っております。

小林(千)委員 ぜひ積極的に配慮をしていただきたいと思いますし、これから司法制度改革が進む中で、職員の方が新しくできる総合研修所で研修を受けて質、量ともに充実されるということは、大変重要な課題になると思いますし、職員の方の拡充のための法改正となるようにお願いを申し上げたいと思います。

 この課題、どうやら毎年毎年やっているようでございまして、毎年出てくるということは、内在的な問題を含んでいるのではないかなと疑いたくもなるわけなんですけれども、ぜひ、これからの取り組み状況につきましても、私も法務委員のメンバーですので、これからも引き続き確認をしながら質問をしていきたいと思いますので、よろしく取り組んでいただきたくお願いを申し上げまして、時間となりましたので質問を終了させていただきます。

下村委員長代理 松野信夫君。

松野(信)委員 民主党の松野信夫でございます。

 私の方からは、弁護士法の一部改正法律案、先ほど我が党の鎌田さゆり議員の方からも質問通告がございましたけれども、これに関連いたしまして、特に研修、この特例に関しての研修などにつきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 今回のこの弁護士法の改正というものは、弁護士となる資格の特例を見直すというものでございますが、例えば、大学教授で五年以上経験があるということで直ちに弁護士の資格を与えるということについては、従前からいろいろと批判もございました。幾ら法律を勉強している、法律学には精通をしているというような大学教授であっても、理論は知っているけれども実務は知らない、こういうことで必ずしも市民の法的な要求には役に立たないんじゃないか、こういうような批判も従前からございました。現にここ数年見ましても、日弁連の方で、大学教授が弁護士の登録を申請した、これに対して、これは認めないということで登録を拒否した事例も二件ほどございます。

 そういうような問題点もございますので、こういうかねてからの批判に対する答えというのが今回の改正だろうというふうに考えておりますので、一応、私としてもこういう改正については理解ができるものでございます。

 そうしますと、やはり問題なのは、研修を受けて弁護士の登録資格が付与されるわけですから、この研修というものが一体どういうふうになるのか、これが極めて重要ではあろうというふうに思います。

 まず、今回の法改正によって実施される予定になっておりますこの研修、これが本当に実務を身につけ、そして市民の要求にこたえるようなものでなければならない、このように理解しておりますが、この研修の重要性について、大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。

野沢国務大臣 委員御指摘のように、弁護士資格の特例制度において課せられる研修につきましては、司法試験等に合格してその後五年ないし七年以上さまざまな分野で法律についての経験を積んだ方が実際に弁護士業務を行うのに必要な能力の習得に適切かつ十分なものでなければならないということは、私も重々承知しておるものでございます。

 特に、国民の権利利益に大きくかかわる弁護士業務に実際に従事していただく前提となる研修でございますので、その重要性を十分意識して取り組んでおるところでございます。

松野(信)委員 今大臣から、研修の重要性を認識しておられるというような御発言をいただきました。ぜひそうした観点に立って進めていただきたいと思います。

 ちなみに、昨年の百五十六回の国会での法務委員会での附帯決議第五項にこういうような記載もございます。「弁護士資格の特例を拡充することとなる者に課する研修については、司法修習の理念に基づき、」云々として「弁護士実務に必要な理論的且つ実践的な能力を涵養するために、十分な内容及び時間を確保するよう努めること。」こういうふうな附帯決議もなされているわけです。この趣旨に従って進めていただきたい、このように思います。

 そこで、この研修の具体的な内容ですけれども、私も、日弁連等々から聞いておるところでは、百九十時間程度ということで先ほどお話がございましたが、これで本当に十分な研修になるのかなという、いささか疑問も禁じ得ないところでございます。

 今回の研修を受けるという方の中には、先ほど来から出ています大学教授のような方もおられれば、あるいは企業法務に従事しておられる方もいらっしゃる。恐らく、企業法務に従事していらっしゃるような方については、企業から、おまえは弁護士の、取ってこいということでされるわけですので、企業の論理からするならば、一日も早く研修は切り上げて戻ってこい、こういうことも予想はされるわけで、これでは必ずしも十分な研修にならないおそれもある。こういうふうなことでありますので、本当に百九十時間程度で十分な研修になるかどうか、私は、いささか疑問ではないかなというふうに思っております。

 この具体的な研修の中身についてはどういうような状況になっているのか、これについてお伺いしたいと思います。

寺田政府参考人 では、長くなりますけれども、御説明をさせていただきます。

 最初にちょっと形式的なことを申し上げますが、弁護士資格の特例のうち、昨年の法律で認められました国会議員の先生方、それから企業法務、行政官の皆さん、特任検事、これらの方々については、既に、三月八日で、研修の機関といたしまして日弁連を指定しております。日弁連との間で、これらの方々にどういう研修をするかということについては、事実上、協議を進めながら、その研修内容を指定するという準備を現在いたしているところでございます。

 他方、現在御審議いただいております大学教授あるいは法制局の参事官等、新たな研修を課す部分については、これはまだ法律ができていないものでございますので何とも申し上げかねるところでございますが、しかし、事実上は、今申し上げました去年の法改正に基づく研修と同様のものが課せられるということが見込まれますので、事実上あわせて説明させていただきたいと思います。

 これらにつきまして、内容は、先ほど申し上げましたように、現在検討中でございますが、その検討の内容でございますが、先ほど来申し上げましたが、実務にやはり対応できる能力というものは十分に備えていただかなければならない、これが基本でございます。多くは、試験を受けておいでになって、その後、何らかの実務経験はいろいろな形でお持ちの方、あるいは学理的な、非常に深い研究をされておられた方ではおられますけれども、何といいましても実務が足りないわけでございます。

 そういう意味で、日弁連との間では、実務と申しましても、まず、例えば準備書面を書くとかいう前提となる、先ほど来申し上げました、要件事実の問題でございますとか、あるいは証拠をどういうふうに見るとかいうような学理的な問題も一部、論理的な問題もございます。

 そのほかに、それぞれ実際に、では、依頼者にどう対応するか、準備書面をどう書くか、証拠をどうやって拾ってくるかというようなところもございますので、これらを合わせまして、集合研修としておおむね積み上げたもの、いろいろなものがございます。民事面もございますし、刑事面もございます。それから、弁護士倫理というようなところもございます。

 こういったところを約四分の一、それから残り四分の三で、それぞれの弁護士の先生方に事務所で預かっていただきまして、その先生方に実際について、準備書面も一緒に指導を受けながら書いてみるというような、そういう研修がございます。

 これらを日弁連の方と御相談しながら合わせて計算してみますと、今のところはおっしゃったとおり百九十時間程度に積み上げとしてはなる、こういう見込みでございます。

    〔下村委員長代理退席、委員長着席〕

松野(信)委員 今の御説明でありますと、現行の司法修習生の研修が、大体、前期、後期、これは集合研修をして、その途中が実務研修をする、こういうような体制になっておりますが、それをある意味ではぎゅっと圧縮したような形でなされるのかなというふうに理解しておりますが、そういうことでよろしいんでしょうか。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、司法試験等に合格しているという面では変わりないわけでございますので、基本は、司法修習のいわばエッセンスというようなもの、とりわけ、こういういろいろなバックグラウンドを持ちながら、しかし欠けているだろうと予測されるところを重点的に補うというわけでございます。

 そもそも、この特例は、司法試験には合格したけれども、非常に実務経験がある、しかし、実務経験を長くやっている、あるいは大学の先生ですと理論的な研究をなさっているわけですが、そういったところで相当、弁護士資格を与えてリーガルサービスを提供する、いろいろな多面的なリーガルサービスが求められている、それを提供するのにふさわしいというところから認められているわけでございますので、多くの方は基本はできておられるというふうに思うわけでございますが、先ほども申しましたとおり、法廷活動を中心といたしまして、実務面でのやはり非常に基本にもう一度立ち返っていただくという作業はどうしても必要になる。

 いわば、法曹として持っていただかなければならないある種の共通の枠組みみたいなものは押さえていただく必要がある、そういったところを中心に研修の制度を組み立てていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

松野(信)委員 今予定しているような特例の研修、これを受講するであろうと予想する人数、あらかじめ御検討されているのではないかと思いますが、大学の教授あるいは企業法務等々、大体人数はどれくらいがこの研修を受けるというふうに予想しておられるでしょうか。

寺田政府参考人 内容を検討するに当たって、当然のことながら、一体どのぐらいの方がおいでになるだろうということも予測が必要になるわけでございますが、何分にも、企業法務の方で実際に七年以上やっておられる方ということを的確に把握する、あるいは行政官も同じでございますが、なかなか難しい現状にございます。

 しかし、いずれにいたしましても、私どもは、トータルといたしまして百名を超えることはないだろうという程度の見積もりはいたしております。

松野(信)委員 それで、この研修の実施機関ですけれども、これは、法務省令で定める法人において、法務大臣が指定する研修を受講する、このようになっておるわけでございまして、今のところは日弁連が法務省令で定める法人だということになるように聞いておりますけれども、日弁連が当分の間は、言うなら日弁連だけが当分の間この法人として研修を担当するというふうに理解していいのか、それとも日弁連以外もお考えになっていらっしゃるのか、この点について明らかにしてください。

寺田政府参考人 先ほど冒頭で申し上げましたとおり、昨年の改正の法に基づく指定の研修機関としては、もう既に日弁連を指定いたしております。八日に定めております。

 今度の改正法に基づく分も、もちろん理論的にはあり得るわけでございますが、これは見込みとしては共通のものにならざるを得ないわけでございまして、理論的にはいろいろ考えられますが、しかし、実際上の規模等も考えますと、私どもといたしましては、日弁連以外はないのではないかなという理解でおります。

松野(信)委員 それでは、ぜひ日弁連の方とも十分に打ち合わせをしながら進めていただきたいというふうに思います。

 それで、この研修ですけれども、日弁連の方で研修を実施し、この方はどうだこうだということで、研修履修の状況についての報告、これが法務大臣の方になされるようになっておりますが、仮に日弁連からの研修の成績が余りよろしくないというような場合、これについては、もう一度研修をやり直しするとか、あるいは法務大臣の方で認定はしないというようなことがあり得るのかどうか、これについてもお教えいただきたいと思います。

寺田政府参考人 御指摘のとおり、この五条の認定をいたしますのは、最終的には法務大臣でございまして、所定の研修の課程を修了したということが要件になっております。

 それも、また御指摘のとおり、日弁連から研修についての報告が出されますので、その報告に基づいて、この研修の課程を修了したかどうかの認定をするわけでございますが、当然のことながら、その報告の中にはいろいろなことが書かれているだろうと予測しておりまして、形式的には参加されましたけれども、しかし実質的にはほとんど研修を終えたと言えないような状況ということがあり得ないわけでございません。

 そういう場合には、もちろん評価としては研修の課程を修了したということにならないわけでございますので、申請を却下するということもあり得るわけでございますが、ただ、いろいろな事情を考慮いたしまして、この方が再び研修を修了することがあり得ないかどうかということをもう一度考え合わせまして、いろいろな事情によっては、もう一度研修を受けていただいて修了のチャンスを与えるということもあり得ないわけではないというふうに考えております。

松野(信)委員 研修の点も大変大事でありますし、また、それを受けて法務大臣が認定するというのも、特例という性格からしても極めて重要なことだというふうに思いますので、この認定の点については、ぜひともきちんと公平に、そして適切にやっていただきたい、こういうふうにお願いをしたいと思います。

 さて、残された時間で現在の司法修習につきまして御質問をしたいと思いますが、現行法は、司法試験に合格して司法修習を終了する、これはもちろん原則で、多くの人たちがそれによっているわけですけれども、これももちろん、現在では一年半の研修を受ける、こういうふうになっていて、これはこれでまた大変重要な研修だというふうに私は理解しておりますが、この点についても大臣の御所見を伺いたいと思います。

野沢国務大臣 御指摘のとおり、現在、司法修習を終えた者が弁護士の資格を持つということが決められているわけでございますので、現在の司法修習制度の養成コースというのは、極めてこれは重要でございますし、あわせて、今回採用しようとする研修につきましても、これが両立するように、十分な配慮を行いながら運用していかなければならないと考えておるわけでございます。

 また同時に、今回の法曹養成制度の中で、法科大学院ということで今度は実際の教育が行われるということを考えますと、これとの有機的な関連を図りながら、司法修習全体のあり方について十分これから考えながら進めていかなきゃならぬ、こう考えております。

松野(信)委員 現在の司法修習は、何も弁護士だけではないわけで、検察官や裁判官にもなるという者の研修にもなっているわけで、極めて重要性が高いというふうに理解をしておるわけであります。この研修が終われば、法律実務家として、直接国民の権利を擁護し、社会正義を追求したり、あるいは社会秩序を図っていくという大変重要な役目を負うわけでありますので、こういう司法修習、研修の重要性、今大臣のお話ありましたように、ぜひともこの重要性の観点に立って進めていただきたいというふうに思います。

 そして、現在の司法修習生というのは、もちろん修習専念義務、やたらアルバイトなんかしちゃだめだということで修習専念義務が定められているわけでありますが、この点も、修習の重要性から見て、これは安易にやはり緩和すべきではないというふうに私は考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。

山崎政府参考人 今後、きちっとした法曹として国民のために役に立つという人になっていただきたいわけでございます。そうなりますと、当然のことながら、修習専念義務という、これが一番重要なポイントになるわけでございます。

 このあり方については、修習期間、今まで二年、それから今は一年半、今後一年という時代も迎えます。また、その内容についても、法科大学院との連携、こういうことによって内容が変わってくることもあり得るわけでございますが、どのような時代になってもこの専念義務というのはきちっと守るべきであるというふうに考えております。

松野(信)委員 今お話ありましたように、いよいよ法科大学院というような新しい制度も発足するということで、やはり国民の権利擁護にちゃんとこたえられるような、そういう法曹を養成していかなきゃならない、こういうふうに考えておるところでありますが、いずれにしても、司法修習生が増加をしていくということはもう間違いないことでありまして、それにこたえられるだけの施設の整備あるいは教員の陣容等の強化、この辺が大変重要になってくるかと思います。

 平成十六年度には司法試験の合格者が大体千五百人程度だというふうにも予想されて、平成十七年の春に入所する司法修習生もだんだんふえていくわけでございますので、そういう物的、人的な体制の整備、これに向けての取り組みはどういうふうな状況でしょうか。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、ことしから千五百名体制に向かうということで、計画上は、計画と申しますか、司法制度改革の意見書はそういう考え方でできているわけでございます。恐らくはそういうことになるだろうというふうに考えておりますが、実際に司法修習をどうするかどうかは、これは、司法研修所は最高裁のもとにございますので、私どもで責任あるお答えはできないわけでございますけれども、最高裁から伺っているところでは、今後、千五百名から三千名へとふえていくことがあり得ても、十分に対応したいというお考えでいらっしゃるということでございます。

松野(信)委員 先ほど来から、修習、研修が大変重要であるという大臣のお話もありましたし、また山崎事務局長の方からは、修習生に対する修習専念義務というものは今後とも維持をするというようなお話がございました。修習生が本当に経済的にも安心した状況で修習に専念できるよう、経済的な配慮もやはりしていかなければならないというふうに思うわけであります。

 しかし、どうも新しい司法修習においては、修習生に対する給費制というのを見直すというような動きがあるやに聞いておりますが、この点はいかがでしょうか。

山崎政府参考人 この点につきましては、私ども事務局にございます検討会で検討中であるということでございます。

 この内容でございますけれども、今後における司法修習生の増加に効率的に対応して法曹人口の増加を実現するため、司法修習生の給費制につきまして、貸与制に移行することを含め、その見直しについて検討している、こういう状況でございます。

松野(信)委員 先ほど来から、修習専念義務もあるし、修習生はやたらアルバイトなんかにいそしむんじゃなくて、一生懸命修習しなきゃならない、国民の権利をしっかり守る将来の法曹になるべくやっていかなきゃならない。そうであれば、やはり経済的にも安心した状態で修習に専念できるように配慮をしていかなきゃならない。私は、現在のこの修習生に対する給費制、これはやはりしっかり維持をしていかなきゃならない、こういうふうに考えております。今、山崎事務局長のお話では、貸与制というような点も検討しているというようなお話がありましたけれども、その点については、私は大変憂慮しているわけであります。

 一方では修習専念義務だ、修習は大事だというふうに言っておきながら、経済的にはそれを取り上げてしまうというのでは、ちぐはぐな状況ではなかろうかというふうに思います。貸与ということであれば、当然金を返さなきゃいけない、こういうふうになりかねないことではないかと思います。しかも、貸与ということで、任官をした、判事あるいは検事になったということであれば、その貸与の分については場合によっては免除しますよ、一方、弁護士になった者に対してはしっかり金返せと、こういうようなことにでもなったらとんでもないことだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 ただいまの御意見につきまして、私どもの検討会の中でもそのような意見もございます。これについてはさまざまな御意見がございまして、現在、私どもの方といたしまして、そこを最終的にどのようにしていくか、今検討会の方にもお願いをしております。また政府としても、最終的にどのようにしていくか検討中でございますが、さまざまな御意見があるということを頭に入れながら進めたいというふうに思っております。

松野(信)委員 どうも給費制を見直すということの背景には、国の財政状況が非常によろしくない、こういうようなこともあるやに聞いておりますけれども、そうしたことの理由で給費制が見直されてしまうということは、大変よろしくないことだということを申し上げたいと思います。

 先ほど来から申し上げているように、司法修習生が十分な研修の実を上げる、もちろん修習に専念して、立派な裁判官、検察官、弁護士になっていく、そのためにはやはり経済的なバックグラウンド、これがしっかりしなければならない、こういうふうに考えますので、ぜひとも給費制の点については現状を維持していくということを前提に進めていただきますよう要請をさせていただいて、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

柳本委員長 佐々木秀典君。

佐々木(秀)委員 民主党の佐々木です。

 本件について最後の質問者になりますが、ひとつおつき合いをいただきたいと思います。

 最初に、先ほども同僚、漆原委員から御質問がございましたけれども、私も、一九九七年の神戸連続児童殺傷事件の犯人の今度の少年院の仮退院措置、これについて若干お尋ねをしておきたいと思います。

 何といっても、この事件はもう大変世間に大きな衝撃を与えました。幼児二人が殺されている、そして、関連して、他の幼児二人が大きなけがを負っているという事件であります。それが同一の少年、一人の少年によって起こされた犯罪であった。そしてまた、その犯罪もさまざまな、世間に対するいろいろな表現などをして、その内容あるいは記載の仕方などについても大きな大きなこれまた関心を持たせた事件でありましたけれども、捕らえてみれば十四歳の少年であったということで、その殺人の手口あるいはその後の言動などからはとても想像がつかなかったということの衝撃は、今でも私どもの記憶に新たなところであります。

 ただ、何といっても、この少年、しかも幼少少年であったということから、少年法のあり方の問題も議論をされて、これがきっかけになってその後の少年法の改正にもなるということになったわけでありますけれども、早いもので、その子供が既に二十一歳になっていたということにも改めて年月の早さを感じると同時に、この少年が、保護処分を受けて少年院で処遇を受けて、今度仮退院になった。これがもしも、あの事件が成人によって起こされたものであれば、死刑の問題はともかくとしても、やはり死刑という刑が存続する以上は、その犯人が精神の障害がある、心神喪失あるいは心神耗弱などでなければ、間違いなく無期刑以上の重刑を処せられたであろうことは間違いないと思うんですね。少年であったればこそ、また、どうも、その後、治療処置も受けているようですから、心神の障害もあったのやもしれませんけれども、そこまで行かなかったことについて、被害者及び世間一般についてはまたいろいろな考えを持っているに違いないと思うんです。

 そこで、改めて、この少年院の仮退院が、これはまた先ほどの漆原委員からの質問ですけれども、公表されたということもあって、マスコミは一斉に大きく取り上げております。

 そこで、まず、こういう措置がどんな手続で行われたということはなかなか一般の国民の皆さんはわかっていないわけでありまして、この少年が、少年法によって保護処分として少年院に入れられていたということですけれども、その後、どういう経過を踏まえて、どういう手続によって今度の仮退院になったのかということについて、まず、それでは、保護局の方からわかりやすく簡単に説明をしていただきましょうかね。

津田政府参考人 少年院からの仮退院は、少年院長からの申請に基づきまして、地方更生保護委員会において審議を行った上で決定いたします。地方更生保護委員会では、本人の人格、在院中の行状、職業の知識、入院前の生活方法、家族関係その他の関係事項を調査いたしますほか、委員が少年に面接いたしまして審理を行いまして、処遇の最高段階に達した者について保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるときなどに仮退院を許可しております。

佐々木(秀)委員 今、手続についてお伺いをしたわけですけれども、各段階で接見をし、それについて審査をして、そして仮退院に相当するということで今度の措置になったんだろうと思いますね。

 しかし、これについてお聞きをいたしますと、従来、被害者に対して、少年についてこういう措置になったということの通知がされたということはなかった、今度が初めてだというふうにも聞いておりますし、それからまた、公表したということも初めてだというようにも聞いております。

 そこで、法務大臣に、なぜ本件については特に被害者に対して通知をすることになったのか、そして、その通知はいつなされたのか。それからまた、一般に対する公表については先ほど漆原委員にもお答えがあったようですけれども、もう一度、なぜ公表に踏み切ったのか、あわせてお伺いをしたいと思います。

野沢国務大臣 まず、仮退院を決めたというところから申し上げたいと思いますが、私も、この事件についての重大性、また衝撃性、極めて心を痛めてきた問題でございまして、この問題の取り組みについては、委員御指摘のとおり、これからも大変心して取り組まなきゃいかぬ問題だと思います。

 まず、仮退院の決定でございますけれども、これは、少年院におきます処遇の中でそれぞれレベルがございますが、一応最終段階まで到達したということで、現時点で、仮退院させて、保護観察による指導と援助によりまして本人の改善更生と円滑な社会復帰を図るということが現段階で相当と認められましたため、関東地方更生保護委員会の皆様方の慎重な御審議の上で仮退院を許可したとの御報告を受けておるわけでございます。

 それから、この件について公表をしたということでございますけれども、これにつきましては、一つ大事なことは、やはり本人が社会復帰をしていくためには社会の理解と協力が不可欠であるということが大事でございます。あわせて、今度はその男性のプライバシーを守る、この問題もまた大事な課題であるということでございますので、今回は、出院に関する情報を適切に公表することによって社会の正当な関心にこたえながら、可能な範囲で不安感を払拭し、今後の課題を温かく見守ってやるということで、一昨日の公表に至ったわけでございます。

佐々木(秀)委員 大臣、被害者への通知はいつでしたか。

野沢国務大臣 被害者への通知は、仮退院をした直後に御連絡を申し上げておりまして、これにつきましても、これまでの慣例にとらわれず、何としても被害者のお気持ちを配慮した措置ということで実行しております。

佐々木(秀)委員 津田局長にお確かめをしたいと思いますけれども、これは仮退院ですね。仮というのは、どういう状態までが仮なんですか。仮というのが取れることはあるんですか。

津田政府参考人 この案件の場合、最終的には本年の十二月三十一日までが収容期間となっておりまして、一昨日仮退院いたしましてから十二月三十一日までがその期間ということになります。

佐々木(秀)委員 ということになりますと、十二月のその時期を過ぎますと、今度は正常な社会復帰ということになるわけですか。それでよろしいんですか。

津田政府参考人 十二月三十一日を過ぎますと、一般の社会人として生活していくということになります。

佐々木(秀)委員 ということのようですね。

 もちろん、こういう措置を決めたということについては少年のというか、今はもう成人になっているわけですけれども、本人の様子などが十分に吟味されて、社会生活をやっていけるんだという判断に立たれたからだろうとは思うものの、しかし、一般には、本当に大丈夫なのかなという心配を持ちますよね。あわせて、さっき漆原委員からもお話がありましたけれども、公表されたことによって、今度、インターネットなどによるこの情報の錯綜がすさまじいものがあるようですね。

 ということになると、仮が取れて、社会復帰をしたといいながら、社会生活をするその少年に対しても、少年というか今は成人になりましたが、当人に対してもさまざまな影響が出てくるんじゃないかとか、本当にこれは心配ですね、確かに。これは漆原委員御指摘のとおりだと思うんです。

 この点についてどうしていくかということの方策は、まだ具体的にはお示しになられていないようですけれども、この辺を考えないと、私は、アフターケアとしては、また大変なことにならざるを得ないと思いますので、この点はひとつ十分に、法務省を中心にしながら御配慮いただきたい。

 もちろん、報道によりますと、弁護士の方なども加わって、いろいろな関係者がこれを支えていく態勢をつくっていくということも報じられておりますけれども、そうした方々にも御協力をいただきながら本人のこれからの生活というものを支えるというか、していかなければならないんだろうと思いますので、ぜひその点についても、法務省、力を注いでいただくことをお願いしたいと思います。

 あわせて、今回のことによって、新聞にも大きく報じられておりますけれども、被害者の親御さんの手記、それからまた加害者というか犯人の両親の手記、いずれも痛ましい。本当に痛ましいですね。被害者の手記によりますと、今度のこの仮放免の通知をもらう前に、本人の状況などについては以前にも何回か報告を受けているということですので、今度の通知とあわせて、私はこのことは大変結構だと思うんです。こうしたことについての配慮がやはり今まで足りなかったんじゃないだろうかなと思います。

 あわせて、犯罪被害者の支援のための方策が、まだまだ私は日本の実情として十分だとは思えません。そこで、私たち民主党は、かねてから、被害者支援の法案も議員立法でつくって提出をし、まだ通ってはいませんけれども、また出そうとしている。本来ならば、私どものこうした思いも受けて、政府の方でもっとしっかりした被害者保護あるいは支援政策というものをつくる必要があるんだろうと思うんです。今度の予定されている司法ネットの法案の中でも一部考えられてはいるようですけれども、その要綱を見ても私はまだまだ不十分だと思うんですが、この辺について国としてどう考えていくのか。法務大臣、ひとつ簡単に。

野沢国務大臣 犯罪被害者に対するこれからの取り組みにつきましては、既に平成十二年に、いわゆる犯罪被害者保護二法によりまして、証人の負担に関する軽減の制度、あるいは公判廷における被害者が意見を陳述する制度、さらには被害回復に資する制度を新設するというような法整備を行ってきたわけでございますけれども、少年に対してどうするかということにつきましては、少年院在院者につきましても出院情報を被害者やその御家族に通知することについて、現在、制度整備について鋭意検討いたしておるところでございます。

 そのほか、犯罪被害者のための施策の充実を求める国民の皆様の声が高まりを見せているという中で、現在、法務省内に研究会を設けまして、現行制度に加え、さらにどのような形で被害者の保護、支援の充実を図ることができるかについて調査研究を進めているところでございます。

 これらの結果を踏まえまして、これから犯罪被害者の方々の保護、支援に関する施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

佐々木(秀)委員 これは本当に大事なことだと思いますので、私どもももちろん力を注ぎます。御一緒によい犯罪被害者の支援制度をつくっていきたいと思いますので、頑張っていただきたいと思います。

 それでは、津田局長、退席していただいて結構です。

 それでは、裁判所定員法に関連して最高裁判所にお尋ねしたいと思いますけれども、言うまでもなく、司法改革についての審議会の意見書の中でも我が国における法曹人口の不足ということが強く指摘をされて、そこで、法曹人口をふやすためのさまざまな手当てが司法改革の関連で考えられ、今法案も出されてきているわけですが、特にその中で、やはり裁判官の数が少な過ぎる、私どももそう思います。恐らくこれから弁護士はどんどんどんどんふえていくでしょうけれども、しかし、それに見合って裁判官の増員が本当に真剣に考えられていくんだろうかという心配が実はあるわけです。

 裁判所の方からのシミュレーションとして、今後十年間、事件数の増大などを考えて、それとの関係であと五百人ぐらいの裁判官ということを言っておられるようですけれども、私は、そんなことでいいのかなと。さっきもお話しのように、今度は司法試験の合格者が千五百人になる。やがては三千人になるというわけですね。弁護士もこの十年間の間に五万人近くにしようという。そうなってくると、事件だってどんどんどんどん多くなるわけですし、裁判官の数が十年間で五百人ぐらいというシミュレーションは、私はちょっと見直す必要があるんじゃないかと思いますが、今後十年間の事件数の増加の見通しとそれに伴って必要とされる裁判官の増員数、今の五百人というのを見直す必要がないのかどうか、この辺はどうですか、最高裁。

中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 その五百人という数字は、平成十二年に司法制度改革審議会で裁判所としてプレゼンテーションしたものでございますが、これはあくまでも、現在の事件数を固定して、増加しないという前提で算出し、その上で審理期間を半減するのであれば幾らぐらい必要か、こういうことで出したものでございます。

 今委員御指摘のように、今後、法曹がふえてまいりますと、予防法務という面で抑えるような要素もありますけれども、基本的には事件数は右肩上がりになっていく。それに見合った増員もまたしていかなければなりませんし、先般お決めいただきました迅速化法に基づく検証、これに基づいて、やはり裁判官の数のところ、人的体制のところも問題であるというようなことになってまいりますれば、私どもの方はあれは基盤整備法というふうに考えているところでもありますし、全部を二年以内ということになれば、それ相応のものがまた必要であろう。さらには、裁判員制になれば、いろいろこれまでとは違った職務もふえてまいります。その辺も配慮していかなければならないということでありますから、決して五百人というものを固定的に考えているというわけではございません。

佐々木(秀)委員 裁判官は一般的には大変少ないものだから、事件が多くなって忙しいという話を聞くわけですね。一番最近の資料に基づいて、おありになったらお示しをいただきたいんですけれども、例えば東京地方裁判所の裁判官、刑事、民事、一人当たりの事件の持ち数というのはどれぐらいなのか。

中山最高裁判所長官代理者 平成十五年の東京地裁におきます裁判官一人当たりの手持ち件数でございますが、民事訴訟事件が約百七十件、それから刑事訴訟事件が約九十件でございます。

 これは、平成三年にバブルが崩壊いたしまして、その後、増員の効果が出ませんで、平成六年、七年ころが一番、ある意味では手持ち件数が非常に多くなった時期でありますが、その当時は裁判官の手持ち件数が二百八十件、人によっては三百件というところで、その間は確かに繁忙感というものはございましたが、今は相当落ちついてきているというふうに思っております。

佐々木(秀)委員 確かに、ひところよりは少なくなったり、あるいはさまざまな工夫が凝らされて裁判についても迅速化の要求にも応じているということもあるんですけれども、しかし、片っ方で迅速ということが要求されると、それだけ負担も多くなることは間違いないんですね。

 何にしても、私は任官はしませんでしたけれども、弁護士だけですけれども、それでも、事件の処理の能力ということを、普通の平均的な法曹人の能力から考えても、あるいは体力を含めて考えても、私は、少なくとも二百件なんというのはとてもまともにやれると思えないですね。きちんと資料を読み、記録を読み、そしてしっかりした判断をするということのためには、私は、地裁の裁判官でもせいぜい民事だったら百件、刑事だったら五十件がいいところじゃないかと思うんです。

 それを超えているという今のお話は、やはり私は過重負担になっているんじゃないかと思って心配でなりません。そういうことから考えると、私は、やはり裁判官はもっと大胆に増員ということを考える必要があるんだろうと思います。

 また、例えばよく言われる破産事件ですけれども、これもすさまじい。例えば、平成六年で破産事件の新受の件数が四万三千件だったんですけれども、これが平成十五年で二十五万一千件になっているんですから、すさまじいふえ方ですよね。そのうちに自己破産が、これは経済関係の反映だと思うんだけれども、平成十五年で二十四万件ですからね。経済状態が落ちついて景気がよくなったら少しは減るかなとも思うものの、しかし、この趨勢というのはなかなか改まらない。

 こういうことにやはり裁判所は対処していかなければならないわけですからね。これを考えても、私は、やはり裁判官の増員ということについてお互いにもっと大胆に方策を考えていく必要があるだろう、こんなふうに思っております。きょうは時間がありませんから、この程度にいたします。

 また、下級裁判所の裁判官の指名諮問委員会の問題については、先ほど漆原委員からお尋ねがあったようですから、これは省略をさせていただきます。

 最後に、先ほど同僚の小林委員から、裁判所法の改正について、速記官の問題についての御質問がございました。私は、非常に的をついた御質問が多かったと思うんですけれども、関連して、私もちょっとお伺いをいたします。

 いずれにしても、逐語的な訴訟記録というのは、私は、裁判にとって絶対に必要なものだろうと思います。そして、それが正確であると同時にまた迅速につくられるということも、これはもうニーズだと思うんですね。それにこたえられる方策をこれからどうするかということになるわけです。

 先ほどのお話だと、一つは録音反訳方式、全体の六〇%ぐらい、そしてソクタイプによる、速記官が記録をつくるというのが四〇%ぐらい、こうなっているわけですね。

 裁判所の方では、今後、音声認識技術を開発して、しゃべったものが文字になって転換できるような今開発がなされておる、これに期待しておるというお話があったわけです。この実験、私ども見させていただいたけれども、まだ実用化できるだけにはなっていないですね。私どもも、なるほど、よく文字に転換できているなとは思うものの、しかし、あのときに発声している人たちのその発声というのは、リアルでやりとりしているというよりは、何かつくられたシナリオに基づいて、非常にわかりやすい言葉でしゃべっているように思えてならないわけですね。

 だけれども、訴訟関係で供述をする人というのはいろいろな人がいる。特に、方言なんというのもある。それからまた、言語の発声が非常に不明瞭だとか、あるいは、そう言ってはなんですけれども、言語障害を持っている方もいるというようなことになると、これは音声認識技術でそこまで行けるのかなという心配があるわけですよ。

 その点は何といっても、ソクタイプによる、速記官の方々だと、現にその関係人を見ながら聞きながらやるわけですから、正確性という点では、音声認識技術がどんなに進んでも、それはなかなか今の速記、そして、さっきもお話があったけれども、その速記官の方々が自主開発をしたという通称「はやとくん」ですか、この方式にはなかなか、まさるものになるんだろうかという心配があるんですね。

 特に、さっきもお話しのように、裁判員制度が今度導入されるということになると、その関係でもリアルタイムの文字化というのがどんどん必要になってくるだろうと思うんですが、この音声認識技術の実用化の見通しについては、裁判所はどう考えているんですか。

中山最高裁判所長官代理者 今委員から御紹介がありましたとおり、今、裁判所では、日本IBMと、音声認識技術をベースにこれを調書化する、しかも、その調書の裏には、その発話された音声というものがリンクされている、こういうものを共同開発中であります。

 現在、これは委員の方にもごらんいただきましたけれども、九割方の正確性であるということであります。これは六十個ぐらいの調書を読み込ませて、その上でのことでありますが、日本IBMによりますと、今後一万の調書を読み込ませることによって、例えば、刑事事件、民事事件でも医療過誤、行政訴訟、そういったそれぞれの分野で使える辞書というものが開発されていくことになり、相当精度は上がってくるということであります。

 私どもとしては、そういう意味では非常に自信を持っているところでございますが、他方で、先ほど方言についてなかなか対応できないではないかということがありましたが、例えば、沖縄ではウチナーグチといいまして、私どものなかなかわからないところもございますが、それでもって決して心証をとるわけではございません。本土から沖縄の方に裁判官が赴任してまいりまして、その裁判官が認識したところが記録される。それでなければまた心証と符合しないということになりますので、決してそういうものではなく、そのあたりのところは、裁判官の訴訟指揮に基づいて適切に対応できるものだろうと思っております。

 また、「はやとくん」はなかなかすぐれた技術だと私も思いますけれども、これは、二年間の厳しい、それこそ本当に厳しい研修をして、それでようやく一人前になるという機械速記の弱点というものをやはり依然として抱えている。そうなりますと、速記官として養成するということは、今後四十年間、裁判所も雇用者責任を果たさなきゃいけないというところがありますので、その辺のところも考えていかなければならないのではないかなと思っています。

 あと一点、大変長くなって恐縮でありますが、裁判員制になりますと、これは委員もかねてから御指摘のとおり、裁判手続のあり方、公判のありよう、それだけではなくて、記録のありようにも大きな影響を及ぼすのではないかと思っております。

 現在の刑事裁判の一つの問題は、口頭主義が徹底されていないところで、調書に余りにも依存しているところがあるのではないだろうか。裁判所の中では、同意された書証を読み返して丹念に読み、あるいは、証人が、そういった供述は違うというようなことの供述があったということで、調書を採用してそれをまた克明に読む、こういうようなことをやってきて、これがいわゆる行き過ぎた精密司法になっているのではないかな、こういうようなところもありますけれども、裁判員制になりますれば、これは裁判員に回し読みで調書を読んでもらうというようなことはほとんど不可能であります。証人尋問を中心にしたものにせざるを得ないだろう。しかも、その証人尋問も、反対尋問を次回にやる、日を置いてやるというようなことにはなりませんで、その主尋問で非常に心証が明らかなときに直ちに反対尋問をやっていただく、こういうふうなものを仕組んでいかなければならないだろう。

 そうしますると、逐語調書の重要性というものは、控訴審あるいは上告審においてはそれは今までと変わりませんけれども、少なくとも一審においては、相当その比重というものは減ってくる。むしろ、そういった音声、語調といったものもあわせて必要なときにそこの部分だけが聞ける、こういうようなものにしていく必要があるのではないかなというふうに個人的には考えているというところをつけ加えさせていただきたいと思います。

佐々木(秀)委員 時間がなくなりましたので、最後に、今の点に関連して、もう一回だめ押しの確認をしておきたいと思いますけれども、そうすると、今、音声認識技術がどのぐらいで実用化されるのだということについてはまだお答えがなかったと思いますけれども、それをあと何年ぐらいと見ているのかと、それができた場合には、一〇〇%大丈夫だという、まあ一〇〇%はないでしょうね、九十七、八%なんかになった場合には、今の録音反訳方式による調書の作成はなくなるのかどうなのか、それから、それまでの間は、さっき四〇%という、今のソクタイプを使った速記で調書を起こすというこれは続いていくのか、この辺はどうなんですか。

中山最高裁判所長官代理者 裁判員制度が何年ごろから実施されるかというところにもよりますけれども、それまでの間に実用化させたい、こういうふうに思っております。年限でいえば、三年ないし四年というふうに考えておるところであります。あと、その間、裁判所の中ではいろいろな形での実験を行っていきたい、録音体引用というような形で利用できるところは使っていきたいというふうに思っております。

 録音反訳につきましては、これはもともと、最初に平成九年に導入することを決めましたときから、過渡期のものである、こういう位置づけでやっておりました。したがって、音声認識が本格化してそれが使えるということになりますれば、それは消えていくということになろうかと思います。

 ただ、速記官につきましては、速記官の意向というものをきちんと踏まえてやらなければいけませんので、今後とも、やりがいを持った職場環境づくりに専念したい、こういうふうに思っているところであります。

佐々木(秀)委員 さまざま、どれにしても、一〇〇%ということはないと私は思うんですね。しかし、よりよいものを目指していくということについては、お互い、当事者は努力をする必要があると思います。

 そして、そんな中で、速記官の人たちが「はやとくん」というようなシステムを自主的に開発してやってきたという努力は、私はやはり評価してさしあげる必要があるんじゃないかと思うし、それが現に実働しているわけですから、稼働しているわけですから、これを余り否定的にとらえるというのはいかがなものかなと思います。

 それらこれらを含めて、どうかひとつ、これらの人々の努力もやはり評価をしながら、よりよい制度をどうやってつくっていくかということに、みんなで努力をしていきたいと思います。そのことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

柳本委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、下村博文君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。下村博文君。

下村委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、近時、増加を続ける民事訴訟事件・知的財産関係事件等及び社会・経済情勢の変化に伴い複雑多様化する各種紛争事件の適正・迅速な処理を図るため、また、司法制度改革について行われている議論の動向をも踏まえ、裁判官及びその他の裁判所職員の増加、下級裁判所の施設の充実など、裁判所の人的・物的拡充に努めるべきである。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

柳本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 下村博文君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 次に、内閣提出、裁判所法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、下村博文君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山内おさむ君。

山内委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、訴訟関係者等からの逐語録に対する需要に応えられる態勢を整備するとともに、裁判所速記官が将来的に不安定な状況に置かれることのないよう十分な配慮をすべきである。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

柳本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 下村博文君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 次に、内閣提出、弁護士法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、下村博文君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。上田勇君。

上田委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    弁護士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、弁護士資格の特例制度において課される研修については、司法修習の理念を損なうことのないよう、内容の充実を図るとともに、十分な時間の確保に努めるよう、格段の配慮をすべきである。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

柳本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 下村博文君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柳本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、各附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野沢法務大臣。

野沢国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。

    ―――――――――――――

柳本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

柳本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


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