衆議院

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第11号 平成16年4月7日(水曜日)

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平成十六年四月七日(水曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 柳本 卓治君

   理事 塩崎 恭久君 理事 下村 博文君

   理事 森岡 正宏君 理事 与謝野 馨君

   理事 漆原 良夫君

      小野寺五典君    左藤  章君

      佐藤  勉君    桜井 郁三君

      中野  清君    早川 忠孝君

      保利 耕輔君    松島みどり君

      水野 賢一君    宮下 一郎君

      森山 眞弓君    保岡 興治君

      山際大志郎君    上田  勇君

      富田 茂之君    川上 義博君

    …………………………………

   法務大臣         野沢 太三君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   法務大臣政務官      中野  清君

   政府参考人

   (司法制度改革推進本部事務局長)         山崎  潮君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君

   法務委員会専門員     横田 猛雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  柳澤 伯夫君     小野寺五典君

  山際大志郎君     宮下 一郎君

  渡辺 博道君     平沢 勝栄君

同日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     柳澤 伯夫君

  宮下 一郎君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案(内閣提出第六七号)

 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)


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     ――――◇―――――

柳本委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブの各委員に出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省刑事局長樋渡利秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柳本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。与謝野馨君。

与謝野委員 まず、先般、下村委員からの質問の中にこの裁判員制度と憲法との関係について質問がございまして、答弁をいただいておりますけれども、自民党の中での議論も、また私の知っております法曹関係者の中にも、やはりこの裁判員制度は現行憲法の範囲を超えているんではないかという根強い議論が実はございます。

 明治憲法を読んでみますと、「日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権ヲ奪ハルヽコトナシ」と、ここは「裁判官」という言葉が使われております。一方、現行憲法では第三十二条で、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」ということで、明治憲法と現行憲法は規定の仕方が実は違っております。

 現在の憲法に禁止されてはいないけれども予定はされていないということを言う方もおりますが、いろいろな他の憲法の規定を読みますと、裁判官の身分保障があったり、実際、職業裁判官というものを前提にこの憲法は書かれているという議論があります。

 そこで、もう一度お尋ねしたいんですが、現行の憲法とこの裁判員法との、憲法上の規定と矛盾しないという議論はどういうところで成り立っているのかということを、もう一度御説明いただきたいと思うわけです。

山崎政府参考人 憲法は、司法権に関する七十六条以下の規定におきまして、裁判官の職権の独立やその身分保障を定めている、こういうことからすれば、裁判官による裁判が基本的に想定されているものと考えられます。また、憲法は、独立して職権を行使する公平な裁判所による法による裁判が行われること、これを要請しております。

 こういう関係から、七十六条の規定のほかに、今御指摘がございました三十二条において「裁判所において裁判を受ける権利」、それから三十七条で「公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利」、こういうものを規定しておりまして、このような要請を保障しているというふうに解されるわけでございます。

 したがいまして、今申し上げましたような独立して職権を行使する公平な裁判所による法による裁判が行われること、これを要請しているわけでございますので、その要請を満たす限り、憲法は、必ずしも裁判を行う者がすべて裁判官であるということまでを求めているわけではなく、裁判官以外の者が裁判に関与することを禁じるものでもないというふうに解釈されるところでございます。

 これを前提にいたしまして、今回の裁判員制度が憲法の要請を満たすものかどうかということが問題になり得るわけでございます。その関係では、繰り返しで恐縮ですが、手当てしている制度のポイントをちょっと申し上げたいと思います。

 まず、この法案におきましては、法による公平な裁判を行うことができる裁判員を確保するために、その資格に関する要件や、あるいは職権行使の独立に関する規定等、さまざまな手当てをまずしているということが一点目です。

 次に、法による公正な裁判が保障されていると言えるためには、適正な手続のもとで証拠に基づく事実認定が行われ、その認定された事実に法が適正に解釈、適用される必要がありますけれども、裁判官と裁判員が十分に評議を行うことで、双方の有する知識経験が合議体全体に共有されるということになるとともに、その過程で不適切な意見は是正されていくということが予定されているということ。

 それから、法令の解釈については、裁判官のみが判断の権限を有しておりまして、裁判員はその判断に従うこととされているということ。

 これに加えまして、裁判官と裁判員が対等な権限を有する事項についての判断は、双方の意見を含む過半数の意見によることとされている。

 こういう点を総合すれば、今回の裁判員制度につきましては憲法上の問題は起こらないというふうに考えているところでございます。

与謝野委員 戦前も、陪審制を取り入れたときに恐らく憲法との関係が問題になったんだろうと私は思いますけれども、戦前の陪審制も、陪審員の決定があっても、裁判所がこれはおかしいという判断をした場合にはそれをひっくり返すことができたということで、多分合憲性は確保されることになっていたと思うわけです。

 今回は、二審、三審は専門裁判官だけでやる、そういう制度を残しておくので、一審で裁判員制度を導入しても合憲性を確保されているんだというふうに考えた議論は、審議の過程ではございませんでしたか。

山崎政府参考人 ただいま申し上げましたように、裁判員制度の中でも必ず裁判官の意見は入るという形になっておりますし、今御指摘のとおり、控訴審あるいは上告審につきましては、これは裁判官のみによる判断が行われる。総体として見れば、最終的には裁判官による判断の保障がされているという形になるわけでございまして、こういう点から合憲である、こういう考え方も当然ございます。そういう点も含めまして考えたということでございます。

与謝野委員 そこで、裁判員制度の意義についてもう一度お尋ねしたいんですが、公正な裁判というのは、やはり真実を発見していただくという部分と、ある犯罪に対して社会的に妥当性のある量刑がなされるという、多分二つだろうと私は思うんですが、国民参加、国民参加という言葉をたくさん使われるんですけれども、国民参加によって真実発見がより高まるというふうに考えるのか、あるいは、量刑の判断について、国民がある程度納得できる範囲の量刑が期待されるということなのか、いずれなのか、あるいは両方なのか。

 そういうことを疑問に思っている方がたくさんおられて、むしろ、専門裁判官の方が精密に事実の判断や法律の判断をして精密なんじゃないか、あるいは、他の判例をたくさん知っておられるから量刑も均衡したものになっていくんではないか、こういう議論がありますが、公正という意味ではその点はどういうふうにお考えになっているでしょうか。

山崎政府参考人 公正という面で考えますと、一般の国民の方が裁判の中に入られるわけでございますけれども、枠組みといたしましては、やはり法と証拠に従って裁判を行っていくということになりまして、その枠組みは踏み越えられないということになります。

 そういう中で、では、一般の方がどのように職務を行っていくかということでございますけれども、この法文の中にもございますけれども、例えば、評議に当たりまして裁判官は懇切丁寧に裁判員の方にいろいろ説明をしなければならない、あるいは法廷でも、当事者は、裁判官を含め、わかりやすい文言で迅速な裁判を心がけなければならないという形を、規定を置いておりまして、そういう中で、プロがまず裁判員の方に、法の建前あるいは物の考え方の基本でございますね、こういう点はきちっとレクチャーをするということが前提になるわけでございます。

 そういう範囲の中で最終的に判断をしていくわけでございますが、仮に、そういう中でどうしてもそういう法的な考え方について対応できないという方がもしおられるという場合に、あるいは量刑等について非常に偏ったような考え方をされるというような方々がおられる場合には、この法案の中でも解任という手続も設けておりまして、そういういろいろなセーフティーガードを設けているわけでございますので、そういう中で、最終的には一般の国民の方が入られても適正な裁判がなされるような、そういうような仕組みを設けているということでございます。

与謝野委員 そこで、刑事事件を起こした被告人は公正な裁判を受ける権利というのが憲法上保障されているわけですが、この憲法をつくったときというのは、この憲法の規定を書いたときの立法者の意思というのは、専門裁判官を多分前提にして書いたんではないかというふうに私は想像をしているわけですが、仮に、私が死刑または無期の罪を犯して一審に送られたという場合に、例えば仮にそういう場面に陥った場合は、私自身は、やはり専門裁判官だけで裁判をしていただきたい、自分の運命を決めていただきたいというふうに思うわけでございまして、なぜ被告人は、専門裁判官の裁判、裁判員制度の裁判というものに対して選択権を持たないのか、被告人の権利というのはやはり憲法上あるんじゃないかという議論があるんですが、その点はどうでしょうか。

山崎政府参考人 この点につきましては、司法制度改革審議会の意見でもこの点についての指摘がされております。それをちょっと読ませていただきたいと思いますけれども、この裁判員制度は、「個々の被告人のためというよりは、国民一般にとって、あるいは裁判制度として重要な意義を有するが故に導入するものである以上、訴訟の一方当事者である被告人が、裁判員の参加した裁判体による裁判を受けることを辞退して裁判官のみによる裁判を選択することは、認めないこととすべきである。」こういうまとめをしているわけでございます。

 これをもう少し具体的に考えてみると、諸外国で陪審制度と参審制度に大きく分かれるわけでございます。

 陪審制度の場合は、事実認定につきましては陪審員だけで決めるということになるわけでございます。したがいまして、プロの裁判官は入らないということでございます。それから、事実認定に関しましては控訴ができないという、そういう手続を設けておりますので、そこで、やはり選択権を与えて、プロの裁判官の裁判を受けるという道も設けているものというふうに私は理解をしております。

 それから、参審制度のヨーロッパを中心といたしました制度は、これは、今、私どもが裁判員制度と提唱しているものと近いものがございますけれども、裁判官と裁判員が一緒になって判断を行う、これはプロの裁判官も入っているわけでございます。こういう制度につきましては辞退を認めていないというのがもう世界的潮流でございまして、やはりポイントは、プロの裁判官も入って一緒にやっているというところにあるんではないかというふうに思っております。

与謝野委員 戦前の陪審制度というのは、多分、被告の方の選択権を認めていたんではないかと私は思いますが、うがった見方をすると、被告の方に専門裁判官だけの裁判あるいは裁判員制度による裁判という選択権を与えると、みんな専門裁判官の方の裁判を選択して、裁判員制度自体が成り立たなくなる、戦前の陪審制度もだんだんみんなが使わなくなっちゃった、そういうことを危惧してこういう制度を採用されたのか、今、山崎さんが言われたように、本質的な問題としてやはり選択権というものはないということの方が正しい、そういうふうにお考えになったのかという問題をお伺いしているわけです。

山崎政府参考人 ただいま御指摘の点につきましては、やはり辞退の権利を与えるということになりますと、利用されなくなる、そういう心配も片やあったと思います。

 したがいまして、今回導入する制度につきましては、陪審の形態ではなくて参審の形態をとっている、これが日本の国情にも合うだろうということでございまして、考え方として、やはりプロの裁判官も入って判断をしているので、そこで被告人の権利として辞退を認めるということにはすべきではない。それからまた、それを仮にした場合には、戦前と同じような失敗を繰り返す可能性もある。両方の理由があったんだろうというふうに私は思っております。

与謝野委員 そこで、大正末期に陪審制度というものが成立して、昭和に入ってからそれが実施されたわけですが、実際、戦前の陪審制度はどういうふうに利用されて、どういうふうに消えていったのかということについてお話をいただければと思います。

樋渡政府参考人 戦前の陪審法は、昭和三年十月から施行されまして、昭和十八年四月、陪審法ノ停止ニ関スル法律によりその施行が停止されましたが、その間、陪審の評議に付された事件の総数は四百八十四件でございました。

 陪審が停止されました理由につきましては、帝国議会における法律案の提案理由説明などによりますれば、陪審の評議に付される事件が逐年減少し、昭和十三年以降は毎年一件ないし四件にすぎない状況にありましたこと、その一方で、戦時下の緊迫した状況のもとで、各市町村による陪審員資格者名簿等の作成や陪審員の出頭の負担が少なくないことなどの諸事情を考慮し、その施行を停止したものと考えられます。

 そこで、陪審の評議に付される事件が逐年減少した理由につきましては、何分戦前のことでございまして、その理由は必ずしも明らかではございませんが、戦前の陪審法では、陪審裁判が原則とされる重大事件につきましても陪審を辞退できるなど、被告人に陪審の選択権が与えられていましたところ、裁判所は、陪審の答申に拘束されず、何度でも陪審を更新することが可能とされる一方、陪審の答申を採択して事実の判断を行った判決に対しましては一切控訴が認められないなどの制度的な問題がありましたことなどから、陪審を選択しない被告人が多かったことなどがその原因であるとの指摘がなされております。

与謝野委員 そこで、昨日の松島委員の御質問にもあったんですけれども、なぜもっと簡単な事件からやらないのか、死刑または無期または故意に人を死に至らしめた事件、そういう年間二千八百件余の事件、これは結構難しい案件が多いんじゃないか、その難しい方からやるんですかという御質問だったと思うわけでございますが、日本人の国民性とか伝統とかというのは、自分が人を裁くのは嫌だな、専門家にやってほしいなという気持ちが恐らく国民の間には非常に強いんじゃないか。これは、いろいろな世論調査に、裁判員制度はいいよというお答えを出す方がおられるんですが、職業上の理由とかそういうことと関係なく、自分が裁判員になったらどうするといったら、自分は参加したくないという人が圧倒的に多いわけで、そういう中で、この裁判員制度というのはどうも日本の文化や伝統に反しているんじゃないか。

 特に、日本の刑事裁判というのは非常に精密にやっている中で、文化、伝統に合わないばかりじゃなく、精密司法という従来の路線から外れてしまうんではないかという議論も実はありまして、その点について、日本人の国民性との関係で、こういう制度は将来定着する、あるいはなじんでいくということについてはどういう議論がされてきたんでしょうか。

山崎政府参考人 まず、事件の範囲の問題、重大な事件を行うという点も御質問ございましたけれども、この点につきましては、やはり全部の事件についてこの制度を設けるというのは極めて難しい状況でございます。

 そうなりますと、その一部、どこから入れていくかということになるわけでございますが、国民に負担をお願いするわけでございますので、では、軽い事件というふうに考えたときに、こういう例を出していいのかどうかわかりませんけれども、窃盗を三十件やったという事件についてといったときに、そういうパターンの事件にわざわざ御足労いただくということになったときに、国民の方がそれで自分が本当に行ってやろうということになるのかどうかなんですね。

 それは、やはり事件として国民に非常に関心があるもの、あるいは社会的な影響が大きいもの、そういうものだから自分も参加をしていきたい、こういうインセンティブになるのではないか。軽い事件は、一般の国民を入れていろいろな国民感情を反映させないでも、それはそれなりの量刑になる可能性もございまして、そこに一般の国民の方を入れていって本当に変わり得るのかという点についても、必ずしも理解が得られないんじゃないか。こういうことから、今回のような範囲になっているということでございます。

 それから、もう一つの御質問でございますけれども、本当に日本の伝統とか文化になじむのかという点でございます。

 確かに、私も、この法案に至るまで、日本の伝統や文化に合わないじゃないか、それを守るべきだというふうにいろいろ言われました。ただ、伝統、文化というのも変わっていくというものでございます。基本はありながら、その時代とともに変わっていくということで、必ずしも同じあり方であるべき必要はないじゃないかというふうに考えております。

 戦後、ではどういう制度がいろいろ設けられているかということを見ますと、まず検察審査会制度でございますが、これは戦後導入されまして、もう五十年を超えるものでございますけれども、これについては、非常に目立たないのでございますけれども、着実に五十年の歩みを経ているということでございまして、一つの大きな成果であるということでございます。これは、毎年八千人から九千人ぐらいの方が選ばれまして、着実に機能を果たしているというものでございます。

 それから、もう御案内のとおり、民事の関係でございますけれども、調停委員だとか司法委員だとか、そういうことに関して、家庭事件等について国民の方が参加をされて一緒に今裁判を行っている、紛争解決を行っているということでございます。

 それから、これは、世界の各国をちょっと見ても、事情によってその形はいろいろさまざまでございますけれども、諸外国で、かなりの先進国がこの制度を導入しておりまして、G8の中でこのような国民参加の制度を持っていないのは、刑事関係でございますけれども、持っていないのは日本だけという状況でございます。

 そういう点も考えまして、また、これから導入していくという場合に、やはり我が国の裁判制度とかあるいは社会のあり方、そういうものを踏まえて、なるべく日本の文化、伝統に合うように、また、国民の方に理解を得ていただけるようにその制度をいろいろ構築していった。必ずしも外国の物まねではなくて日本に合ったような形で導入をしたという点でございまして、今後、私どもも、大いに周知徹底をいたしまして、国民の方に理解をいただいて、積極的に参加していただくように努力をしなければならないというふうに考えておりますが、私は、制度としてやっていって日本の文化になじんでくるだろうというふうに確信をしているところでございます。

与謝野委員 そこで、二千八百件の裁判を裁判員制度で仮に行う、裁判員が六人で補充裁判員も何名か置いておかなければいけないということで、少なくとも十名ないしは十名以上の人を、ある一定の期間、時間的拘束をせざるを得なくなる。

 そうなりますと、単純に、例えば十人掛ける二千八百件というと、それだけで二万八千人ですが、その裁判員を選定する過程で、衆議院の選挙人名簿から任意抽出をして、その中からだめな項目に属している方は御遠慮願ってプールをつくるわけですが、最初、選挙人名簿を選ぶとき、これは各県の選管単位でやるのか、市町村でやるのか、中央選管全体でやるのか。あるいは、二千八百件を処理するについて、最初、任意抽出するその母数というのはどのぐらい大きくなきゃいけないというふうに考えておられますか。

山崎政府参考人 まず、抽出のやり方でございますが、この単位は、裁判所の本庁なりあるいは支部がございます。本庁であればその管轄の区域内がございます。そこの市町村がございまして、それぞれの人口はみんな違うわけでございますが、そこで例えば年間十件ぐらいあるだろうというふうに考えた場合には、それの必要人数を考えまして、人口比で割るわけでございます。そして、そういう形にして無作為で抽出をしてくる。こういうことになるわけでございます。ですから、市町村単位ということになろうかと思います。

 では、どのぐらいの母数を抽出するかということでございます。

 今御指摘がございましたように、六人といたしまして、補充員の方をどのぐらい置くかということはありますけれども、それを加えたものの大体五倍程度は抽出をした上で、いろいろな事情の方もおられますし、欠格事由に当たる方もおられる、それから就職禁止事由に当たられる方もおられるわけですので、そういう形で最終的には六名プラス補充員のところに絞りをかけていく、こういうイメージでございます。

与謝野委員 この法律は国会で成立した後五年以内に施行するということで、その間、国民的な啓蒙運動もやらなければならないし、裁判所あるいは検察庁、弁護士会もそうでしょうが、物的、人的な整備をしなければこの新しい制度に対応できないわけですが、国民の理解も相当進まないと多分この制度は成立しないと思うんですが、まず、予算とか人員とかそういう問題、それと、ある意味でこの裁判員制度という全く新しい制度を導入するということについて政府としてはどういう方針で啓蒙活動を行っていくのか。今、全部決まっているわけではありませんので、大体の方針だけ伺いたいと思っております。

山崎政府参考人 まず、積極的に広報活動をしなければならないということになろうかと思いますけれども、その内容として、国民参加の意義あるいは制度の内容、これを具体的に、裁判員がどのような手続で選任されることになるのか、あるいは実際の審理や評議において裁判員にやっていただくことになる職務の内容、こういうものにつきまして、やはり具体的かつわかりやすく説明することがまず第一だろうというふうに考えております。

 そういうことから、非常にわかりやすいようなパンフレットをつくったり、それから、現実にはいろいろなビデオを作成して理解をしていただくということになります。ビデオもいろいろなタイプのものがあろうかと思いますけれども、子供用に、子供というのですか、年少の方にはある程度アニメ的なもの、あるいは大人の方にはまた違ったタイプのものとか、いろいろなものが考えられると思います。とにかく、理解をしやすいようなビデオをつくっていく。

 それから、講演会、それも開いて、とにかく意識を高めるということもあろうかと思います。場合によっては、いろいろなところで多分行われることになると思いますけれども、模擬法廷的なものも必要になってくるかもしれません。そういうようなことをいろいろな形で総合的に行っていくということでございます。

 これ以外にもいろいろあろうかと思いますけれども、まだ、現在そこまで具体的に固まっているわけではございません。

与謝野委員 そこで、裁判員に任意抽出で当たった方がおられるとして、もともと裁判員になるのは嫌だという方、それの類型を、法律には書いてありますが、もう一度ここでおっしゃっていただきたい。

 それから、具体的なケースに裁判員として選ばれた場合、裁判員も多分断ることのできる場合があるでしょうし、裁判所あるいは検察側、被告人・弁護人もちょっと待ってくれという場合もあります。そのケースをもう一度この委員会の場でおっしゃっていただきたいと思っております。

山崎政府参考人 まず、この制度全体の概要をちょっと申し上げますけれども、まず裁判員になれない欠格事由があるという方がおられます。その方は当然除かれるということになります。では、そこに当たらないとしましても、就職禁止事由に当たるという方がおられます。これは、また一定の政策に基づいて排除をしているということになります。

 そういう方を除いて、それから事件関係者、こういう者はもう当然除かれますけれども、それ以外の方から抽出するわけでございますが、まず、その候補になったときに辞退をすることができるかどうか、そういうことが一つございます。

 これは十六条のところに規定を設けているわけでございます。一号から七号までございますが、典型的なものは、年齢七十歳以上の者、あるいは学生で勉学に影響がある者とか、こういう者は典型的に辞退をすることができるということになっております。

 これ以外に、七号というのを設けてありまして、次に掲げる事由その他政令で定めるやむを得ない事由があって期日に出頭することが困難な者、こういうことでございます。その四つの典型例が書いてあります。

 一つが、重い疾病または傷害等によって出頭が困難である、それから二つ目は、介護、養育が行われなければ日常の生活を営むのに支障がある同居の親族の介護または養育を行う必要があるということ、それから、従事する事業における重要な用務であってみずからがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるもの、それから、父母の葬式への出席その他社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないもの、これが典型例として法律に掲げられているというものでございます。

 それからもう一つは、その他政令で定めるやむを得ない事由があるという場合でございまして、これはまだ政令はできておりませんけれども、従来からの議論といたしましては、思想、良心の自由が憲法で保障されておりますけれども、もしこの裁判員をやっていただくことになるとするとそこと抵触をするというような方がおられるような場合には、何らかの形で政令でその者は定めるということは考えておりますけれども、それ以外の点については、この法律が成立をいたしましていろいろ周知活動をする中で、国民の方からいろいろな声が上がってくる、そういうものの中でどういうものを置いた方がいいのか、そういう点も判断して最終的に政令で定めるということを考えております。

 これに当たらないという方でも、お引き取り願うという者、そういう規定も置いているわけでございまして、それは、例えば公平な裁判をすることができない、不公平な裁判をするおそれがあるというふうに認められる者、こういう者につきましては裁判員となることができないという規定を設けております。

 それからもう一つは、それぞれの当事者が、四名に限ってでございますけれども、理由は付さなくて結構でございますけれども、不選任にしてほしいという要求ができるということ。

 それから、裁判員として選任をされても、その職務を行うにふさわしくない、あるいはその間に病気になったとか、いろいろな事情がございますので、そういう場合には解任をして別の方を選任していく。

 こういうような手続を設けているということでございます。

    〔委員長退席、塩崎委員長代理着席〕

与謝野委員 憲法十九条には、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と。これを受けて何らかの政令をつくられると思うんですが、このとおり書きますと、ほとんどの方がこの条文に従って、自分は裁判員に就任するのは困るという話になるんですが、そこの書き方というのは、裁判員になっていただくというのは、ある種の、やはり非常に難しい問題について人に刑罰を与えるかどうかという非常に難しい判断をしていただくという責任を課する、義務を課すると言ってもいいと思うんですが、この書き方によっては、裁判員にならないという方が続出して裁判員制度そのものが成り立たなくなるおそれがあるということを心配される方が非常にたくさんおります。

 その点は、政令は相当やはり工夫をして書かないとならないというふうに私は思っておりますが、その点はどういうようにお考えですか。

山崎政府参考人 ただいま御指摘のような御心配があるということも、私も理解できるわけでございます。

 まず一番の問題点は、やはり国民に理解をいただいて積極的に参加していただけるように、そういう周知活動、広報活動をきちっとやるということが大前提だろうと思います。

 それから、ただいまの御指摘の点につきまして、確かに書き方によっては、これを口実に、私は嫌だという方が出てくるおそれがございますので、ここは十分に注意してその表現をきちっとしなければならないということは、そのとおりでございます。

 ただ、問題は、思想、良心による辞退という場合には、私どもはある程度狭く考えておりまして、そもそも、人が人を裁くような制度、こういうことを許容しない、こういうタイプの方は、まさにそれは思想、良心に基づくものと場合によっては言える可能性もありますけれども、ただ自分は人を裁きたくないという方は、それは思想、良心によるものと本当に言えるのかどうか。ただやりたくないんじゃないかということですね、これはやはり違うものであろうと私どもは考えております。したがいまして、そこは一応分かれるということ。

 ただ、問題は、どうしてもやりたくないというふうに頑強にこだわる方、こういう方についてはまた別の配慮が必要かなと。これは辞退事由には当たらないとしても、そのままでは本当に不公平な裁判をするおそれがあるという場合もございます。そういう場合には不選任を決定するということになりますし、あるいは、先ほど申し上げましたように、両当事者から理由を付さないでお引き取りを願うという制度もございますので、そういう中でお引き取りを願うということもある可能性があるということでございます。

    〔塩崎委員長代理退席、委員長着席〕

与謝野委員 もう一つ、この裁判員制度が成り立たなくなるのは、裁判の長期化という問題が多分あるんだろうと思います。

 先般の山崎さんの御答弁では、一日で終わる場合もあるし、まあ一週間以内ぐらいかなというふうに私は御答弁をお伺いしたんですが、世の中には、連続殺人事件とかあるいはオウム事件のように訴因が十六も十七もあったという事件もあって、相当長期化するものも十分予想されるわけでございます。

 そういうときに、果たして、それだけ長い期間、裁判員を一つの法廷に拘束できるのかどうか、そういう実は深刻な問題があって、例えば訴因ごとに裁判体を構成するのか、今までのように訴因が幾つあっても一つの裁判体でやっていくのか、それはどういうふうに考えたらよろしいんですか。

山崎政府参考人 基本的に、今回の裁判員の対象の事件の範囲を決めているわけでございますので、原則としては、訴因が幾つあっても、一つの裁判体、この中で判断をしていくということになろうかと思います。

与謝野委員 もう一つ、裁判員制度が壊れてしまう可能性のあるものとして、実際の事実の審理に当たった、あるいは評議に参加した裁判員がその内容をどんどんどんどん外にしゃべってしまうということになりますと、この裁判員制度、参加しても物言わぬ裁判員ばかりの集まりになるという可能性があって、私は、今の政府提案の中に書いてあります守秘義務というのは裁判員制度そのものを成り立たせるための重要な規定であると思っておりますが、それに対する山崎さんのお考えをお伺いしたいと思います。

山崎政府参考人 この点につきましては、立案に当たりましていろいろ考えたわけでございますけれども、これはやはり、例えば評議の中で何が行われたか、だれがどういうことを言ったかということが外に出るということになりますと、結局、そのことによって嫌がらせあるいは仕返しを受けるおそれもございますし、そうなりますと、裁判員の方は、そういうことになるならばもう物は言わない方がいいという選択をするおそれがございまして、本当にこの裁判員制度そのものが成り立つかどうかという心配がございます。

 これは現在プロの裁判でやっているのも同じでございますけれども、やはりそういう点はこの制度のキーポイントになるのかなということで私どもは考えておるわけでございます。

与謝野委員 刑事局長にお伺いしたいんですけれども、裁判員が審理がまだ行われている最中に被告人関係者から金銭を受けた、これは、この裁判員法上の罪なのか、刑法上の罪なのか。あるいは、単純にお金を受け取った場合、あるいは具体的な請託を受けてお金を受け取った場合、これは一体どういう罪に問われるのか。裁判員というのは、公務員というか、みなし公務員というふうに考えるのか。裁判員にはよくそのことは知っておいていただかなければならないので、きちんと明らかにしていただきたいと思います。

樋渡政府参考人 お答えいたします。

 裁判員は刑法第七条第一項に言います「公務員」に該当しますので、その職務に関してわいろを収受した場合は収賄罪が成立するということになります。

与謝野委員 その場合、単純収賄も成立するし、請託を受けた受託収賄というのも成立し、両方、別々のケースで成立するのか、あるいは請託を受けたときのみ成立するのか、どっちでしょう。

樋渡政府参考人 裁判員は要するに公務員となるわけでございますから、一般の公務員と同じでございまして、請託を受ければ受託収賄でございますし、受けなければ単純収賄、その他の収賄の罪に関しても同様の考え方で成立するわけでございます。

与謝野委員 受け取った金品あるいは受け取る約束をした金品が被告人関係者以外であったような場合、例えば出版社あるいはライター、その場合は収賄罪は成立するのか、しないのか。

樋渡政府参考人 要するに、証拠上の問題でございまして、職務に関して金品を受領したかどうかということにかかわるわけでございますから、職務に関して金品を収受する以上は、通常の公務員と変わらずに収賄罪が成立するということでございます。

与謝野委員 その職務に関してというのは、例えば裁判員の職務が終わったらニュースをくださいと言って、金銭を収受した場合は贈収賄罪というのは成立するのかどうか。

樋渡政府参考人 その場合も具体的な証拠によるわけでございますが、事後収賄の要件がそろっていれば事後収賄ということになると思います。

与謝野委員 そこで、この国会で、取り調べ過程を可視化する、すなわち、録音とか録画とかということを主張する人たちがいますが、司法制度改革審議会でどのような議論がされたのか、あるいは、法務省刑事局長としては可視化についてはどのように今お考えになっているのかということをお伺いしたいと思います。

樋渡政府参考人 取り調べの状況の録音、録画や弁護人の取り調べへの立ち会いにつきましては、司法制度改革審議会意見におきましても、刑事手続全体における被疑者の取り調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であることなどの理由から、将来的な検討課題とされているところでございまして、法務省といたしましても、慎重な今後の検討が必要であると考えているところでございます。

 なお、最高裁判所、日本弁護士連合会及び法務省、最高検察庁は、本年三月、裁判員制度の導入等を踏まえ、検討を要する刑事手続のあり方等に関し協議、検討を行うために、刑事手続の在り方等に関する協議会を設けたところでございまして、この協議会におきましては、委員御指摘の取り調べ状況の録音、録画や弁護人の取り調べへの立ち会い問題についても協議、検討することとされておりまして、法務省としましては、同協議会における議論をも踏まえ、刑事手続のあり方全体の中で多角的な見地から検討することが必要であるというふうに考えております。

与謝野委員 英米あるいはフランスで可視化ということがあるので簡単に可視化ということを言うんですが、アメリカの制度はもっと厳しくて、まず、捜査手法からいうと、日本では麻薬取引にしか認められていないおとり捜査というのが犯罪全体に認められているということもありますし、自供すれば司法取引になるというケースもありますし、いわゆるワイヤタッピングという通信傍受は、日本では、法律は成立しましたけれども、非常に要件が厳しい。あるいは国会に対して、あるいは本人に対して通知や報告義務があるということで、非常に運用は難しい。そういう中での捜査と、日本のように令状主義が徹底している捜査と全く私は違うんだろうと思います。

 それで、今回まだ御準備になって、急な質問で申しわけないんですが、いずれ我々に資料をいただきたいと思うのは、アメリカの大陪審という制度があって、グランドジュリーというのですが、そこに送られてしまいますと、被告人も証人も参考人もいわゆる証言拒否ができない、それから弁護士の立ち会いもない、それから法廷侮辱罪も適用されるということで、そこに送られてしまうとほとんどしゃべらざるを得ないということで、そういう中で可視化というものがあるというふうに私は理解をしております。

 それから、フランスの予審の制度なんかは、勾留期間が、最近は半年ぐらいにした方がいいという話になっているんですけれども、相当長期間に及んでいまして、そういう意味では、そこで可視化ということが議論されているし、ある程度実施されている。

 イギリスの場合なんかも、可視化というんですけれども、例えば共犯者について自供するとき可視化というものがあるかというと、共犯者の自供を得るときの可視化なんというのはあり得ないという話であって、やはりそれぞれの国の捜査の方法とか、令状主義とかいろいろな、大陪審とか予審とかという制度が違うわけでございまして、そういうものを、完全な形ではなくて結構なんですが、いずれこの委員会でも、この国会で可視化の議論が出てまいりますので、取り調べあるいは起訴に至る過程の各国の制度の違いというものがまず前提に議論されなければ本当のことはわからない、可視化のところだけ議論すると非常に偏った議論になると私は思うので、刑事局において、あるいは改革本部において、そういうことも少し御研究いただきたいと思います。

 最後に法務大臣にお伺いいたしたいと思いますが、この裁判員制度というのは、五年の準備期間があるとはいえ、もう少し早く始めろと言う方もおられるわけですが、法務大臣が相当の決意を持ってこの制度を軌道に乗せるというお気持ちがないと裁判所も検察庁も弁護士会も大きく前進をしないと思うので、この裁判員制度にかける法務大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

野沢国務大臣 裁判員制度につきまして、これまでも広報を行いまして、近時、報道等でも大きく取り上げていただいているところでありますけれども、国民の関心も次第に高まってきているように思われるところであります。

 しかしながら、残念ながら、御指摘のとおり現段階では裁判員制度に対する国民の御理解はまだ十分とは言えないと考えておりますので、今後、さまざまな機会を通じまして、裁判員制度の意義やその具体的内容についての理解と関心を深めていただくように努めまして、その実現に向けまして全力を尽くしてまいる所存でございます。

与謝野委員 どうもありがとうございました。

柳本委員長 御苦労さまです。

 漆原良夫君。

漆原委員 公明党の漆原良夫でございます。

 本日は、刑訴法等の一部を改正する法律案について質問をさせてもらいます。

 御存じのとおり、現行の刑訴法二百九十九条の第一項では、検察官が証人の尋問を請求する場合に、氏名と住所を被告人側に明らかにすればいい、その証人の供述調書等を開示しなければならないということになっていないわけでありますが、今回の改正案では、三百十六条の十四、検察官が証人尋問を請求する場合にも、その証人の供述内容が明らかになる供述調書等を開示しなければならないものとされております。

 検察官が証人尋問を請求した場合にも、その証人の供述内容が明らかになる供述調書等を開示しなければならないとしたその理由をお尋ねいたします。

山崎政府参考人 公判前整理手続において、被告人・弁護人が公判でする予定の主張を明らかにして十分に争点を整理する、そういうためには、その前提として、被告人・弁護人において、検察官が公判において証明する予定の具体的事実及びその証明のために取り調べを請求する証拠の内容、すなわち検察官の主張立証の全体像、これを把握することができるようにすることが必要でございます。こういうことから、その内容、供述書等を開示しなければならないというふうにしているわけでございます。

漆原委員 現行の刑訴法二百九十九条一項では、検察官が取り調べを請求した証拠書類及び証拠物について被告人側に開示しなければならないとされておりますが、取り調べを請求していないものについては開示する必要はない、こうなっております。これに対して、今回の改正で新設される刑訴法の三百十六条の十五と三百十六条の二十では、検察官が取り調べを請求していない証拠であっても、それぞれ、検察官が取り調べを請求した証拠の証明力を判断するために重要な一定類型の証拠と被告人側が明らかにした主張に関連する証拠について開示の対象とされております。

 検察官が取り調べを請求した証拠の証明力を判断するために重要な一定類型の証拠と被告人側が明らかにした主張に関連する証拠を開示の対象とした理由は、どのような理由によるものでしょうか。

山崎政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、やはり公判前整理手続で十分に争点を整理する、これが制度が動くかどうかのキーポイントになるわけでございます。そういう観点からこの制度を設けているわけでございまして、まず、検察官が取り調べ請求をしました証拠の証明力を適切に判断することができるようにするということによって争点の整理が十分になされる、そういうことを考えたわけでございます。そこで、その証明力を判断するために重要な一定類型の証拠、これを開示しなければならないとしているわけでございますけれども、例えば証拠物、それから鑑定書、証人請求予定者の供述書などにつきまして、開示の必要性とその弊害等を勘案して開示するものとしたわけでございます。

 また、被告人・弁護人が公判前整理手続におきまして、例えばアリバイ、それから正当防衛など、公判でする予定の主張を明らかにした場合、これに関連する証拠を開示することによって争点整理や被告人の訴訟準備をさらに十分なものとすることが期待されるわけでございます。そこで、被告人側の主張に関連する証拠につきましても、同様に開示の必要性と弊害等を勘案して開示することにした、こういうものでございます。

漆原委員 今回の証拠開示は被告人側からの開示請求があってから開示されるというふうな制度になっております。被告人・弁護人は、検察官が取り調べを請求した証拠以外の証拠については検察官がどのような証拠を持っているか具体的にはわからない。にもかかわらず、適切な証拠開示の請求をすることができるのかという批判がありますが、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 今回の改正法案におきましては、被告人が証拠開示を請求する場合、「開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項」、これを明らかにしなければならないというふうにしております。

 それで、この意味でございます。これは、どのような類型の証拠をどのような範囲で開示することを求めるのかということ、これが識別できるだけの特定を必要とするとともに、その程度の特定で足りるという趣旨でございます。

 もうちょっと具体的に言えば、何月何日付何がしの検察官に対する供述調書などと、開示を求める証拠を標目等によって個別に特定することまでは必要なくて、犯行現場から押収された証拠物、犯行状況の目撃者の供述書、それから被害者の死因に関する鑑定書、こういうような特定で足りる、概括的な特定で足りるということを意味しているわけでございまして、そういう概括的な特定ならば、被告人あるいは弁護人の側からも十分可能であろう、こういうことでございます。

漆原委員 その点はよくわかりました。

 今回の改正によって導入される証拠開示のルールは、開示の必要性と弊害を勘案して開示するか否かを決めるということになっておりますが、開示による弊害というのは具体的にどのようなことを考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

山崎政府参考人 大きく分けて三つほどありまして、まず一つは、証人威迫等の関係でございます。被告人に不利な供述をしている証人予定者に対して、被告人の関係者等が脅迫、買収等の手段によって被告人に有利な証言をするように働きかけをするというような、そういうことによる罪証隠滅あるいは証人威迫、こういうことが一つ考えられます。

 それから二番目といたしまして、会社ぐるみの犯罪において、検察官の立証に必要ではないが、捜査の端緒となった内部告発者の供述書が明らかになることによって、その当該内部告発者に対し、嫌がらせあるいは解雇等の報復が行われるおそれがあるということ。

 それから三番目でございますが、被害者等の私生活にわたる事項が記載された日記、手帳等の証拠物や供述書の内容が第三者に明らかになることによって名誉、プライバシーの侵害が起こるおそれがある、こういうようなものが典型的に弊害があり得る場合であるということでございます。

漆原委員 確かに、その点はよくわかります。だけれども、検察官が開示の必要性と弊害を勘案して相当と認めるときは証拠を開示する、こういうシステムになっているわけですから、ある意味では、開示するかどうかというのは検察官の胸三寸にかかっているのではないかというふうな指摘もされておりますが、この点について、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 今回の法案では、検察官は取り調べ請求をした証拠を開示するほか、それ以外の一定の証拠についてもその開示の必要性と弊害を勘案して開示しなければならないというふうにされているわけでございますけれども、検察官は、開示の必要性と弊害とを比較考量して開示の要否を判断しなければならず、恣意的な判断が許されるというわけではございません。

 また、被告人側が検察官の判断に不服がある場合には裁判所に裁定を求めることができるものとしておりまして、最終的には裁判所が証拠開示の要否を決するということにしているわけでございまして、被告人側には請求権を与え、それから検察官側には義務を課し、最終的には裁判所が判断をする、こういう構造をとっているわけでございまして、こういうことから、検察官の自由裁量にゆだねられるというものではないということでございます。

漆原委員 検察官による証拠開示については、従来から、いわゆる全面開示すべきだ、手持ち証拠の全面開示ということも主張されてきましたが、今回の改正案はそういう全面開示論をとっていない。手持ち証拠全面開示ということについては、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

山崎政府参考人 全面開示を前提にいたしますと、先ほど申し上げましたけれども、罪証隠滅、証人威迫あるいは関係者の名誉、プライバシー、こういうことが侵害されるおそれがあるということが一つ理由がございます。

 もう一つ理由がございまして、検察官が取り調べを請求した証拠の証明力を判断するために重要ではなく、かつ被告人の主張とも関連しないけれども、開示の必要性が認められていないような証拠であっても開示をするということになるわけでございます。要するに、争点と関係のない証拠が仮に大量にあるという場合にも、これを全部提出をしなければならないということになるわけでございまして、これを提出することによって判断をするということは、かえってこれで審理がおくれてしまうおそれもある。

 こういうような二つの理由から、全面的な開示ということは相当でないというふうに考えているところでございます。

漆原委員 被告人・弁護人の方からすると、検察官が何か持っているのではないか、何か持っていて隠しているのじゃないか、こういう不信感が今まであるわけですね。したがって、今度の開示は非常にいいと思うんですが、弁護人・被告人が検察官の持っているもの、裁判所に開示請求する場合の資料にもなるものとして、証拠を全面開示とは言わないまでも、持っている手持ちの証拠のリストを開示すべきだという考えもあるんですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

山崎政府参考人 このリストについても私どもの検討会の方でも議論をいたしましたし、この法案を作成するに当たっていろいろ議論がございました。

 この点につきましては、まず、例えばリストをつくるときに供述調書、鑑定物、証拠物といったような証拠の標目だけが記載されたリストを被告人側に開示しても、余り意味がないのではないかということでございます。それからもう一方、各証拠の内容とか要旨まで記載したリストを開示するということになりますと、証拠開示の弊害があっても検察官手持ち証拠をすべて開示するのに等しくなってしまうのではないかというようないろいろな議論を経まして、このようなシステムはやはり適当ではないということから導入をしなかったということでございます。

漆原委員 時間になりましたのでこれで終わらせてもらいますが、若干残っておりますので、また機会を見て質問をさせてもらいます。

 ありがとうございました。

柳本委員長 富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 裁判員制度は、司法制度改革の中で大きな位置づけを持っていると思うんですが、私自身は、正直、ちょっとどうなのかなと個人的には思っております。

 その前提でちょっと御質問をさせていただきたいんですが、司法制度改革推進法の第二条に基本理念という項がございます。「司法制度改革は、国民がより容易に利用できるとともに、公正かつ適正な手続の下、より迅速、適切かつ実効的にその使命を果たすことができる司法制度を構築し、高度の専門的な法律知識、幅広い教養、豊かな人間性及び職業倫理を備えた多数の法曹の養成及び確保その他の司法制度を支える体制の充実強化を図り、並びに国民の司法制度への関与の拡充等を通じて司法に対する国民の理解の増進及び信頼の向上を目指し、もってより自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行われるものとする。」というふうに書かれております。

 この「並びに」以下の「国民の司法制度へ」云々のところで裁判員制度ということが出てきたんだと思うんですが、その前提として、ここに書かれております「高度の専門的な法律知識、幅広い教養、豊かな人間性及び職業倫理を備えた多数の法曹の養成及び確保」、これが大前提になると思うんですが、現在、ここの部分について法曹の養成、確保が着実に進んでいるんでしょうか。そのあたりについてはどのような御認識ですか。

山崎政府参考人 この点につきましては、もうおととしになるかと思いますけれども、この法務委員会でも御審議をいただきました、法科大学院制度と新しい司法試験制度の導入を図ったわけでございまして、まさに今御指摘の点を実現するために法科大学院を設けて、この四月から全国で六十八の法科大学院ができまして、その中で今、大体五千五、六百人ぐらいの生徒を受け入れてスタートを切ったところでございます。この理念は、まさに、ただいま推進法の理念を読まれましたけれども、その理念を果たすべく、こういうものを設けたわけでございます。

 これは、従来は法学部で、後は予備校でという形になるわけでございまして、では法学部でどれぐらいの教育ができたかというと、やはり法学部は会社に勤める方もおられますし、行政庁に行かれる方もいる、さまざまおられますので、法曹のための特別な教育をすることができなかったわけでございます。そうなりますと、その分を補うために予備校に行く、こういうことになりまして、試験科目だけを一生懸命やるということになってしまいまして、その弊害がいろいろ言われておりました。そういうことを取り除くためにこの法科大学院を設けたということで、これを一生懸命法曹としてもお手伝いをしていいものにして、法曹が育つようにこれから頑張っていきたいというふうに思っております。

富田委員 今事務局長が言われたように、法科大学院というのは、法曹実務者の養成という意味で物すごい意味があるというふうに私も思うんですが、この四月一日からスタートして、二年、三年と法科大学院で勉強されるわけですけれども、その後、今度司法試験の合格者が三千人程度にふえてきますよね。今事務局長の言われた法科大学院、現在でも五千五百から五千六百の定員がある。半分は合格しないわけですよね。ここのところをどういうふうに考えて今後の法曹の養成とかに取り組むのかという問題点もあると思いますし、私自身は、三千人毎年合格者を出して、この人たちは一体どこに就職するのかなと非常に素朴な疑問を持っているんです。

 それはともかくとして、新しい司法試験制度、また法科大学院制度というのは、司法制度改革推進法の理念にのっとっていると思うんですけれども、法務省の方からいただいた資料によりますと、平成二年までは、司法試験の合格者は毎年五百人前後でした。それが平成三年にまず六百名を超えて、平成五年には七百名、平成十一年に一千名、平成十四年度で一千百八十三名という資料をいただきました。この平成三年以降の、法科大学院の卒業生が出てくるまでの間、この司法試験の合格者、これまでずっと五百人ぐらいで来たものが急に増加していったということによって、ここの法科大学院の卒業生が出てくるまでの間の司法試験の合格者、増員した分、ここの人たちの専門的な法律知識とか幅広い教養とか豊かな人間性というのが本当に備わっているのか、また、そういう資質を備えるべく司法修習がなされているのかということについては、私は本当に非常に疑問に思うんですが、そのあたり、どうですか。

山崎政府参考人 確かに、御指摘のとおり、採用人員というんですか合格者をふやしてきているわけでございます。これは、やはり世の中の需要が非常に増してきている、そういう世の中に対応できるような法曹を輩出していこう、こういうことを考えたわけでございます。

 それにつきまして、確かに、それでは今までそれにきちっとした対応、教育等が完全にできるかという問題を控えているわけでございます。この点につきましては、前に司法修習の期間を一年半に短縮するとかそういう議論を、平成十年ごろですか、行ったわけでございますけれども、そのときの議論は、やはり事前の教育だけではなくて、それは仕事についてからも徹底した教育をしていくということ、それから、短い修習の期間であっても、やはり広い範囲について知識が得られ能力がついていくということ、あるいは幅広い識見等が備えられるようにそういう実務の運用の中で工夫をしていこう、それから仕事を持った以降も、それはそれぞれのところで、きちっとした研修等を踏まえて、立派な人間が出てくるようにやっていこう、こういう理念でやってきたわけでございます。

 ただ、これが三千名というようなすごい人数になったときに、そういう運用だけでは到底たえられないということも考えまして、この法科大学院の制度を設けた、こういうふうになるわけでございます。

富田委員 今、修習期間を一年半に短縮して、残りはその実務についてからそれぞれ研修していただくんだという話ですけれども、実際に司法修習生たちが自分の進路をどう決めるかということを見ると、実は、私の法律事務所にも私のパートナーにことし司法修習生がつきました。一月から三月まで私の事務所で修習されていました。私の事務所は、民事、刑事、家事事件も行政事件も、あらゆる事件が来ますので、彼にとってはすごいいい修習ができたと思いますし、今回、児童虐待防止法の改正案をつくるに当たっても、彼に資料を見せて、自分でどういう案をつくれるかやってみろというようなこともしましたので、実務修習としては結構充実したんじゃないかと思うんですが、彼の話を聞いていますと、もう実務修習につく段階で自分の進路をほぼ決めてしまっている。じゃ、何のための実務修習なんだと。

 実は、事務局長の後ろにいる辻参事官は、私の司法修習の同級生ですが、実務修習に行って裁判官や検事にじかに接して、自分は弁護士になろうと思っていたけれども、ああ、裁判官に向いているな、検事に向いているなと思ってそれぞれ進路を決めていくなり、それぞれまた裁判官や検事の皆さんから見て資質的にこっちの方が向いているぞというような指摘をされて自分の進路を決めていかないと、司法制度改革推進法で言うような本当の意味での法曹というのは育ってこないんじゃないかというふうに私は思うんですね。

 だから、今のやり方は決してベストではないんじゃないかなというふうに思います。もう少し司法修習のあり方を考えないと、本会議場でパフォーマンスするだけの弁護士出身の議員が出てきたりしちゃうんですよ。本当にそういうところをよく考えていただきたいなと思います。

 こればかり質問するわけにいきませんので、この法案について一つ質問したいんです。

 裁判官と裁判員の人数、構成について一つお尋ねをしたいんですが、現行では、重大事件を扱う法定合議事件は三人とされて、または重大事件でなくても、事実関係が複雑な事件では裁判所の裁量で三人とすることができる裁定合議事件というのがありますね。なぜこういうふうな制度がとられているかというと、このような事件については、より慎重に判断するということが裁判への信頼を確保する上で必要だと考えられている、また被告人の権利を守るという意味でも、大きな事件ですから、一人の裁判官で判断するよりは合議体で判断した方がいいというふうなところからこういうふうにとられていると思うんです。

 今回、裁判員制度を導入するに当たって、裁判員制度の対象事件は、法定合議事件の範囲内で一定の重大事件に限定されていることから、裁判員制度の対象とならない法定合議事件等との均衡から、より重大な事件を対象とする裁判員制度においても三人とすることが適当だというような考え方のもとに裁判官の方はまず三人だというふうに考えられたというふうに、調査室の方からいただいた資料にも記載がありますが、これはこれで間違いないですか。

山崎政府参考人 それはそのとおりでございます。

富田委員 それだとすると、一定の条件がついておりますけれども、法案の第二条第二項、第三項、第四項で、一定の条件のもとに、裁判官を一人、裁判員を四人とする合議体が構成できるというふうになっていますけれども、今の裁判官を三人とするんだという原則論からすると、裁判官を一人、裁判員四人というのはどうも論理的整合性、原則論と例外が論理的整合性に欠けるんじゃないかというふうに思われるんですが、そこはどうですか。

山崎政府参考人 まず、合議、何で三人で行うかということです。もちろん、事件が重大であるということと、やはり複数の目できちっとチェックをしましょう、こういう要請に基づくものだろうというふうに思います。

 これを、今回、一人と四人というものをつくったわけでございますが、まずここに至るステップといたしまして、当初は、三人の裁判官で公判前整理手続を行うわけでございます。そういうような行った結果として、ここに要件が書かれておりますけれども、争点が、被告人が争っていないということ、あるいは法律解釈や訴訟手続上の問題がないであろう、そういう予想をされるもの、あるいは量刑上もそう大きな問題が起こらないだろうというプロの判断がまず先行して入るわけでございます。その上で、これだったら裁判官は一人でいいだろうというふうにするわけです。

 それから、量刑上の問題はまだ残るわけでございますけれども、これは、裁判官は一人かもしれませんけれども、裁判員の方、四人入るわけでございまして、複数の目でチェックをするという要請は、これは満たしているというふうに考えるわけでございまして、そういう点では論理的整合性はとれているというふうに考えております。

富田委員 今、最初に一回、裁判官のプロの目が入っているというふうに言いますけれども、この裁判員制度の対象にならない法定合議事件は、依然として裁判官三人の合議体ですよね。それより重い事件だということで、プロの目が入るとしても、そうすると、今度、裁判員制度の対象にならない法定合議事件の方の裁判官の人数も、それだったら一人でいいじゃないかというように、なし崩し的になっていくんじゃないかという懸念を持っている人たちもいます。

 また、裁判官三人、裁判員六人という制度がベストなんだということで、本来、ここで、法案で決めているのに、一たんプロの目が入ったからといって、裁判官一人、裁判員四人というのは、今度、裁判員の意見、国民の常識を広く裁判システムに反映したいんだと言っていることからすると、なぜ六人が四人に減らさなきゃならないんだ、そこはやっぱり説明がついていないと思うんですが、いかがですか。

山崎政府参考人 いや、それは、そういう御意見もございますけれども、国民の負担ということですね、これの面もあるわけでございまして、先ほど申し上げましたような単位の事件であれば、それは、国民に多大な御負担をいただくということまでしないでも、ある程度の結論、きちっとした相当な結論は出てくるだろうということでございまして、両者のバランスで物を考えたということでございます。

富田委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、通告していたのがちょっと終わらなかったので、またぜひ質問の機会をいただきたいと思うんです。

 ちょっと最後に、委員長、紹介させていただきたい手紙があるんですが、私が修習中に千葉地裁で指導を受けておりました刑事裁判官、後にいわゆるロス疑惑事件で東京高裁で無罪判決を書いた裁判官から、ことしのお正月、年賀状をいただきました。こういうふうに印刷されていました。個人的に書いていただいた部分もあるんですが、印刷部分に、「今、伝えられている裁判員制度を、試しに在官中に担当しためぼしい事件に当てはめてみると、率直に言って疑問続出。また、世間に広まったワイドショウ的予断に流されない公正な判断をするには、職業的勇気と訓練が不可欠というのが実感で、報道規制ができない国では、裁判員らしい判断は育ちそうにない、と思う。」と書いてあります。私もこういうふうに思っております。

 以上で質問を終わります。

柳本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十二分散会


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