衆議院

メインへスキップ



第11号 平成17年4月8日(金曜日)

会議録本文へ
平成十七年四月八日(金曜日)

    午前十時四十四分開議

 出席委員

   委員長 塩崎 恭久君

   理事 田村 憲久君 理事 平沢 勝栄君

   理事 三原 朝彦君 理事 吉野 正芳君

   理事 津川 祥吾君 理事 伴野  豊君

   理事 山内おさむ君 理事 漆原 良夫君

      井上 信治君    大前 繁雄君

      上川 陽子君    左藤  章君

      坂本 哲志君    笹川  堯君

      柴山 昌彦君    園田 博之君

      谷  公一君    西村 康稔君

      早川 忠孝君    松島みどり君

      水野 賢一君    森山 眞弓君

      保岡 興治君    柳本 卓治君

      加藤 公一君    小林千代美君

      佐々木秀典君    篠原  孝君

      鈴木 康友君    樽井 良和君

      辻   惠君    長浜 博行君

      古本伸一郎君    松野 信夫君

      松本 大輔君    山花 郁夫君

      江田 康幸君    富田 茂之君

    …………………………………

   法務大臣         南野知惠子君

   法務副大臣        滝   実君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   最高裁判所事務総局刑事局長            大谷 直人君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    麻生 光洋君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     西村 康稔君

  園田 博之君     坂本 哲志君

  柳澤 伯夫君     上川 陽子君

  河村たかし君     鈴木 康友君

  小林千代美君     古本伸一郎君

  佐々木秀典君     篠原  孝君

  仙谷 由人君     山花 郁夫君

同日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     柳澤 伯夫君

  坂本 哲志君     園田 博之君

  西村 康稔君     井上 信治君

  篠原  孝君     佐々木秀典君

  鈴木 康友君     河村たかし君

  古本伸一郎君     小林千代美君

  山花 郁夫君     長浜 博行君

同日

 辞任         補欠選任

  長浜 博行君     仙谷 由人君

    ―――――――――――――

四月七日

 会社法案(内閣提出第八一号)

 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案(内閣提出第七七号)

 会社法案(内閣提出第八一号)

 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

塩崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長安藤隆春君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長横田尤孝君、法務省保護局長麻生光洋君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局大谷刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津川祥吾君。

津川委員 民主党の津川祥吾でございます。おはようございます。刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案について、質問させていただきます。

 正直申しますと、監獄法に関して私も今回初めて詳しく勉強させていただいたわけでありますが、特に、過去の改正の経緯について調べてちょっと驚いたんですが、実質的な改正の動きとしては、昭和五十七年、平成二年、そして翌平成三年の三度にわたって刑事施設法案というものが国会に提出をされた。しかし、いずれも衆議院の解散により廃案になった。今回も、最近永田町の雲行きが俄然怪しくなっているのも、この法案の不思議な力が働いているのかなと思わないわけではないわけでありますが、それは冗談でありますけれども。

 ただ、行刑改革というのは当然大変大事なことでありまして、法律をそのままにして現場での実務運用面で何とか対応しようというのも限界でありましょうから、私どもといたしましても、ぜひよい形で行刑改革を進められますように取り組んでまいりたいなと考えているところでございます。

 ただ、法案の質疑に入る前に、一点、大臣にあえてちょっと確認をさせていただきたいことがございます。

 私自身もこの法務委員会の野党の理事の末席に座らせていただいているわけでありますけれども、委員会の運営、特に政府提出の閣法の審議をするに当たっては、提出者である大臣にぜひ御出席をいただいて御説明をいただきたい場合が多いわけでありまして、理事会の決定によりまして大臣の出席をお願いしたときには、当然出席をしていただかなければならないと承知をしております。

 このことは日本国憲法にも明記をされているわけでありますが、憲法を引き合いに出すまでもなく、南野大臣におかれましては、大臣就任後、大変な激務でありながら、壇上で泣きながらも御出席をいただいているわけでありますから、委員会に出席し、答弁し、説明することの重要性というのは当然重々御承知のことと思います。

 そこで伺いますが、仮に情報収集の点で不備な点があり、状況を正確に掌握せず、結果的に憲法六十三条違反の状況に至った場合、つまり、理事会で出席をしていただきたいとお伝えしたはずなんだけれども、どういう理由かわからないけれども、大臣自身は出席しなくてもよいと受け取ってしまうようなことになって結果的に委員会を欠席してしまうという状況に至った場合に、どういう措置をとるか、南野大臣ならどのような対処をされるか、お伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

南野国務大臣 お答えを申し上げますと申し上げても、何を指しておられるのかということもわからないではないですが、結果としてでありましても、閣僚の行為が憲法に違反しているということの前提で私が所見を述べるということはいたしかねるということをまずお断りしておきたいというふうに思っております。

 なお、閣僚の国会への出席の取り扱いにつきましては、国会運営に関する事柄でございますから、政府としては、与野党で協議をし、合意されたところに従って対応しているものと承知しておりますが、もとより、先生御指摘の憲法六十三条に規定されているとおり、国務大臣は答弁または説明のため出席を求められたときは国会に出席しなければならないものと認識いたしておりますので、泣きながらでもやってまいりました。

津川委員 いや、なぜ出なければいけないかを説明していただきたかったんじゃなくて、仮に、出てくださいと言われていたのにもかかわらず、結果的に出ない状況になった場合、これが憲法六十三条違反であるかどうかの判断はおいておいたとしても、仮にそうなった場合には、例えば、最低限、常識的には謝罪するのは当然としても、大至急原因を究明し、再発防止策をとり、必要であれば自分も含めしかるべき立場にある人に責任をとってもらうという程度のことは必ずすると思うんですね。

 ファクスが勝手に、勝手にというのも変ですが、壊れてしまったのでたまたま連絡が入らなかったとか、だれかが連絡をミスしたとか、自分が勝手に勘違いしたとか、だれかにはめられたとか、あえて間違った情報を渡されたかわかりませんけれども、結果的にそういう状況になったときには、そういったことをちゃんと調べて再発防止策をとる、責任をとらなければいけない人が出てくる場合には当然責任をとらせるということぐらいはちょっと言っていただきたかったものですから、もう一度答弁いただけますか。

南野国務大臣 具体的な事案においては、その事案ごとに事実関係または状況を異にするところでございまして、その事案に直面していない状況でその問題についてお答えしようがないわけでございますけれども、先生がおっしゃった特定の件についてはお答えできないということでございます。

津川委員 別に特定の件を言っているのではなくて、要するに仮定の話なので答弁は言えないという話だと思いますが、仮定の話だから答弁できないというのは、なってみないとわからないという話ですよ。例えば、宝くじが三億円当たったらあなたはどうしますかと言われて責任ある答弁ができるか。雑談なら、いや、私はどこかにちゃんと寄附しますよぐらいのことを言えても、責任ある公式な場で言っちゃって、じゃ、本当に三億円当たったときにどうするかというと、これはまた別の話になりますから、それは、いや、これは当たってみないとわかりませんという話になると思います。

 そうじゃなくて、もしも、非常に具体的な話で、出てくださいと言われたのに出なかったときにはどうするのかというだけの話であって、結果的にどうなるかわかりません、だれに責任があるのかどうなのかわかりませんから、だれを処分するだとか辞任するとか、そういう話をしているのではなくて、どうしますかということを言っていただきたかったわけでありますが、仮定の話なので答弁できないということは、自分もそうなってみないとわからない、こういう答弁でよろしいんですか。

南野国務大臣 先生おっしゃるとおり、役割としての務めは果たさなければいけないものというふうに思っております。

津川委員 それは、調べて、原因を究明して、再発を防止して、責任ある人には責任をとってもらわなきゃいけないということでよろしいですか。その役割というのはどういうこと……(南野国務大臣「違うね、それは違う」と呼ぶ)それは違う。いいですよ。早く答えてください。

南野国務大臣 先ほどお答えしたことと同じでございますので、そういう問題点については、事案ごとに事実関係という状況が異なってくるだろうというふうに思っております。そういうものについて、事案に直面していない状況ではちょっと今お答えしようがないということにさせていただきたいと思います。

津川委員 わかりました。

 ただ、ちょっと答弁していただきたかったのは、実際のところ、あえて申し上げれば、竹中大臣の話でもありますし、内閣を守りたいという気持ちがあるのもわからないではありませんし、余計なことを言って、マスコミに、南野大臣、竹中大臣批判とか書かれても困るでしょうから、そういったことはあるのかもしれませんが、竹中大臣が総務委員会に出席しなかった件については詳細は承知していないからコメントのしようがないけれども、一般的にこうであれば、このぐらい調べますよとか、やりますよというぐらいのことは言っていただきたいなと思ったんです。

 それは、仲間を守るというのは大事ですけれども、法令を遵守するということがやはり大事なわけでありまして、結果的に法令違反になってしまった場合に、みずからどうすべきかということをちょっとお述べいただきたかったわけでありますが、いいです。わかりました。

 では、法案の質疑に入らせていただきます。

 今回の一連の法整備というのは、時代の変化による行刑施設に対する社会的要請の変化に対応すること、それから、実際の実務上の問題点を認識した上で運用を改善するといったような理由があろうかと思いますが、具体的には、行刑改革会議から大臣への提言があり、それに沿った形で法整備を行おうとするものだというふうに思いますが、まず、基本的なことについて幾つか伺います。

 今回の一連の法整備に当たって、これまでの日本の行刑の基本理念というものが変わったのか、変わらないのか、これについて伺います。

南野国務大臣 我が国の行刑は、受刑者を一定の場所に拘禁して社会から隔離して、その自由を剥奪するとともに、その改善更生及び円滑な社会復帰を図るという基本的理念に基づいて行われてきたところでございますが、行刑改革会議の提言におきましても、この基本的理念は今後の行刑運営において維持されるべきものというふうに思っております。この法案におきましても、この理念を変更するものではございません。

津川委員 それでは、今回、監獄法を改正して一連の法整備を進めるということによる変化を明らかにするために、現行法上どうなっているかということと新しい法整備をしてどう変わるかというふうな形で質問させていただきたいと思います。

 まず、今大臣から御答弁をいただきました、一貫して追求されてきたという基本理念の前者の部分、受刑者を一定の場所に拘禁して社会から隔離し、その自由を剥奪するという部分については、まさに、まさしくそのことが実施されているということだと認識をしますが、後者の部分、その改善更生及び円滑な社会復帰を図るという部分について、これまでどのように現場で追求をされ、実現をされてきたかということについて、矯正局と保護局、それぞれ御答弁をいただければと思います。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰に関しまして、施設内処遇の立場から申し上げます。

 施設内処遇におきましては、この点につきまして、これまで刑務作業を中心とした処遇を展開してまいりましたところ、この刑務作業といいますのは、懲役刑の要素であると同時に、規律ある生活の維持、共同生活への順応、勤労意欲の養成、職業的技能及び知識の習得などという機能を有しておりまして、受刑者の改善更生及び社会復帰を図るための処遇方法としても相応の成果を上げてきたものと考えております。

 一方、刑務所における教育活動でございますが、これまでも受刑者の改善更生及び社会復帰に資するため、生活指導、教科教育等のほか、各施設が工夫を重ね、試行錯誤しながら、覚せい剤乱用防止教育や暴力団離脱指導などの処遇類型別指導の充実を図ってまいったところでございますが、これらの指導は、法律上の根拠が明確でなかったということから、受刑者に対してその受講を強力に働きかけることが困難な状況にあるなど、十分とは言いがたい面がございました。

 したがって、その充実を図ることが急務でありますことから、現在審議中の法案におきましては、受刑者の特性に応じて、刑務作業のほか改善指導、教科指導を実施する旨を明記したということでございます。

麻生政府参考人 我が国の社会内処遇におきましては、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図るという理念に基づきまして、行刑施設入所時から、保護観察官または保護司にその者の家族等を訪問させ、引受人及びその家族の状況、被害弁償の状況、被害者の感情、釈放後の職業及び生計の見込み等について、いわゆる環境調整というものを行っております。

 仮釈放後は、保護観察に付されている者を遵守事項を遵守するように指導監督をいたしまして、本人に本来自助の責任があることを認めて補導援護することによりまして改善更生を図ってきておるところでございます。

 今後とも、保護観察所におきましては、矯正施設と連携し、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰に努めてまいりたいと考えております。

津川委員 私が伺ったのは、何をしてきたかということだけではなくて、つまり、どのように追求してきたかという質問をしましたが、一緒に、どのように実現をしてきたかということも伺ったわけであります。

 私は、この点について、刑務作業が改善更生なり円滑な社会復帰に寄与している部分があるということはもちろん理解しますが、結果として、結論として、この部分について、必ずしも実現されてこなかった、あるいは現状不十分であったという認識に立つべきではないかというふうに考えるわけであります。この基本理念の後半部分は、現在必ずしも十分に実現されていないという認識でよろしいかどうか。

 また、保護局にもう一つ加えて質問いたしますが、満期の釈放者に対して具体的にどういったことをされているか、保護局にはそちらの部分についてお答えをいただいて、矯正局に今の現状についての認識を伺いたいと思います。

横田政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましては、特に改善更生、社会復帰の点で、教育の問題が結果として一番思うようにできない、そういう部分がございます。それは、先ほど申し上げましたように、義務づけの規定といいますか、本当は、改善更生、社会復帰を十全にするためには、やはりそれぞれの受刑者の個々の状況にふさわしいさまざまな指導をすることが必要なんですけれども、現行法のもとにおきましてはその点明確な根拠規定がございませんので、やはり矯正の立場から、この人に対してはこのような教育が必要だということにつきましては、これからできるようにしよう、そういうことでございまして、そういった点では、改めるべき点というか、この法改正によってやはり新しい制度をつくりたいという部分があったということは事実でございます。

麻生政府参考人 満期で釈放された者の取り扱いについてのお尋ねだったと思いますけれども、現在、犯罪者予防更生法という法律に基づきまして、更生緊急保護という手続がございます。そこにおきまして、満期釈放者等の者が、身柄の拘束を解かれた後、親族等の援助等が得がたい場合につきましては、更生緊急保護というものを行いまして、帰住先をあっせんいたしますとか、あるいは金品を給貸与いたしますとか、宿泊所を供与いたしますとか、そのような援助を行っているところでございます。

津川委員 済みません、保護局長にもう一点今の話で伺います。そういうルールがあるのはわかりますが、それが実際どのぐらい機能していると思うか。数字じゃなくていいんですが、十分に機能しているという認識なのか、不十分だという認識なのか、そのぐらいは言っていただけますか。

麻生政府参考人 現在は六カ月間という期間を限ってやっておるわけでございます。その期間の件もございますけれども、内容的にもなお一層充実する必要があるものと考えております。

津川委員 これは、一層充実するというのは要は不十分だというふうに読みかえていいですね。――はい。ありがとうございます。そうなんだと思うんですね。いろいろやってきたけれども必ずしも十分ではなかったと。いろいろな表現をしていただいたけれども、要は、改善更生及び円滑な社会復帰というものが十分ではないということだと思うんです。

 最高裁にも来ていただいておりますが、現在、裁判で実刑判決を出す際に、この今の部分、まさに被告の改善更生及び円滑な社会復帰ということについてどの程度考慮されているのか、お答えをいただければと思います。

大谷最高裁判所長官代理者 裁判所においてどのような刑にするかということを決めるに当たりましては、諸般の事情、要因が考慮されますし、個々の事件のさまざまな事情によっておのずから異なってまいりますので、お尋ねの点に関しまして一概に申し上げることはできませんが、一般論として申し上げますと、犯罪の重大性、犯行の結果、態様あるいは動機といった情状のほかに、被告人の反省の程度あるいは社会復帰への意欲といった情状も総合考慮されておりますので、そういう意味で、委員御指摘の点も量刑上考慮されているというように考えております。

津川委員 私、いつもじゃないんですが、こうやって質問をするときに想定答弁というのを書くことがあるんですけれども、今の想定答弁で私が書いたもの、さまざまな状況があるので一概にどの程度ということは言えないと、完全に、全く同じことをおっしゃったので、ちょっと笑っちゃったんですけれども。いや、そういったものも総合的に考慮していますよというのはわかります。そうじゃなくて、それはどの程度かということを伺ったんです。

 具体的にちょっと指摘をさせていただきたいんですが、これは私の理解を述べさせていただいて、その認識でよいか間違っているかをお答えいただければと思うんです。

 日本の刑事裁判において、その多くが量刑の程度が主たる争点になるというふうにまず認識をしております。そして、刑を確定する際、求刑の八掛けだとかいう意見もありますが、それはそれとして、基本的には被告が犯した罪の重さに対しての量刑を判断して、情状酌量によって多少短くするというようなことはあったとしても、改善更生という視点から量刑を判断するといったアプローチは余りないんじゃないかということであります。

 つまり、学術的にはさまざまな議論があると承知をしておりますが、現実に対処する場において、刑というものは基本的にはやはり応報刑であって、多少は情状酌量などはあるものの、目的刑としては考えていないのではないかということであります。

 例えば、刑の執行を猶予することによって自立更生を促して、受刑者を一定の場所に拘禁して社会から隔離し、その自由を剥奪するということをしないことによって円滑に社会復帰させる、あるいは社会から脱落させないというような考え方はあり得るかと思いますが、例えば、本人が反省をし、家族などが監督をし、その更生に協力すると述べているといった被告人のために酌むべき事情がそろっていたとしても、それは執行猶予をつけるか否か、あるいは多少の減軽をするかどうかの材料であって、実刑判決の量刑を判断する際に、被告の反省の程度に疑いの目が向けられるものではないことを考慮して、改善更生させるのに十年は必要なくて八年もあれば更生できるだろうといった形で目的刑的なアプローチはしないのではないかということを伺っているわけでありますが、いかがでしょうか。

大谷最高裁判所長官代理者 裁判の具体的な量刑というものにつきましては、これは個々の裁判官が行っていることでありまして、それを事務当局の方から、応報刑あるいは目的刑が何割、何割という形でやっているというようなことについて申し上げることは、これはなかなか難しいということは御理解いただきたいと思います。

 ただ、直接お答えになるかどうかわかりませんけれども、今まさに委員が御指摘になりましたように、裁判の一般的な実情を見ますと、被告人の家族が情状証人として被告人のために出廷して、出所した後はきちんとした監督を行うとか、あるいは、勾留された当時の雇い主等が法廷に出廷して、被告人が改善更生したときにはきちんと今後も雇い続けていきたいというようなことを情状として述べるということは、これは決して少なくないところでありまして、そういう点については裁判所としては当然考慮して刑を決めるというようなことは申し上げられるかと思います。

津川委員 同じ質問を検察の求刑についていたします。

 求刑をする場合、被告人に科せられるべき具体的な刑罰の種類と量に関して、その量刑について、被告の改善更生に必要とされる年数といったものを考慮するというようなことはあるんでしょうか。

大林政府参考人 まず、一般論として申し上げれば、検察当局においては、犯罪の軽重、犯行の動機、目的、態様、利得の有無、内容、犯人の前科、改悛の状の有無等、諸般の事情を総合的に考慮して求刑を決めるものと承知しており、御指摘の要因についてもそのような多様な事情の一つとして考慮をしているものと承知しております。

 今の委員の御質問について、もう少し付加して申し上げますと、確かに、改善更生及び円滑な社会復帰ということは、例えば検察官が行う不起訴とか、あるいは今おっしゃられる執行猶予判決の場合は非常にわかりやすい形ではあると思います。ただ、これは具体的な事案によって違うんでしょうけれども、例えば共犯者間において求刑の差が出る、それは犯行における役割自体にも、もちろんその観点もあるでしょうし、それから前科の有無とか再犯のおそれとか、そういう面からいえば、改善更生、社会復帰とかいう面も考慮してやはり差がついてくることもあり得るのかなと。ですから、仮に実刑事案であっても、やはりその分の考慮がなされる場合もあるのではないかなというふうに考えております。

津川委員 やはり、原稿を読むんじゃなくて、その後の生の言葉で言っていただくのが非常に答弁として理解するものですから、前半の部分は割愛していただいてもいいんじゃないかなと思うんですけれども。わかりました。要はそういったこともあり得るのではないかというような言い方ですね。

 念のためにちょっと大臣にも確認をさせていただきますが、大臣としても御自身の持論はあろうかと思いますが、持論ではなくて、日本の刑罰というのは目的刑というよりは応報刑的に適用されている、こういった御認識でよろしいでしょうか。

南野国務大臣 そのように存じております。

津川委員 大臣が一番はっきり言っていただきました。ありがとうございました。

 もう一点大臣に伺いたいんですが、日本の行刑の果たすべき役割について私なりにちょっと整理をしてみますので、聞いていただいて、大臣の御見解を伺えればと思います。

 私は、ちょっと極端な言い方になるかもしれませんので、誤解を恐れずにということを前提にさせていただきますが、社会が行刑施設を含めて刑事司法システムに対して期待するところというのは、究極的には特別予防的効果なのではないかというふうに考えます。もちろん一般予防効果というのは当然あっていいわけでありますけれども、例えば罰則を強化することで一般予防効果を高め犯罪を抑制しようとすると、かなりの罰則強化をしなければならないでしょうし、それがきく犯罪類型もありますが、きいてこないこともあるわけでありまして、社会は必ずしもそこまでの役割を行刑システムなりあるいは刑事司法システムに期待をしているとは言い切れないのかな。

 平たく言えば、社会は、受刑者が刑に服することによって懲りてほしいんじゃないか。懲りるというのは懲役の懲という字であります。これは法律用語とはちょっと使い方が違うかもしれません。つまり、当然、その過程において人権が不当に侵されてはならないということは大前提だとしても、もう懲り懲りだ、もう二度としない、再犯はしないというようになってもらうことを行刑施設、刑事司法システムに期待しているのではないかということであります。

 加えて言えば、被害者及びその家族の方々は、受刑者、加害者に対しては罪を償ってほしいと考えているのではないか。ただ、受刑者が再犯をしないということと罪を償うということは必ずしも一致しません。二度と同じ過ちは繰り返さないにしても、一生をかけて罪を償わなければならないということもあり得るわけであります。そして、本当に誤解を恐れずに言わせていただければ、受刑者が十分に罪を償ったかどうかを評価できるのは、最終的には社会ではなくて被害者なんじゃないかと思うわけであります。ですから、時として、仮に被告に死刑が確定し、執行されたとしても、被害者が望む罪の償いがなされたとは言い切れないケースというのが出てきてしまうのではないかと思います。

 罪を犯してしまった人にいかにしてその罪を償わせるかということも大変大事な問題ではありますが、その解決を行刑施設に求めても限界があるのではないか。それよりも、今はむしろ、罪を犯してしまった人が決められたとおり刑事司法システムに乗り、行刑施設から出てきたにもかかわらず、再び法に触れる行為をしてしまうというような現在の刑事司法システムの不備を是正するということに焦点を絞って、目的を明確にして対策をとるべきじゃないかということを考えるわけでありますけれども、大臣の御見解を伺えればと思います。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

南野国務大臣 先生、本当に哲学的な問題も含めながらお話しになられました。やはり罪は犯さない方が一番いい。犯さないためにはどのような育て方をするか、またどのような考え方をするか、どのような気持ちで生活するか、人に対応するか、それが全部もろにかぶってくることだと思います。

 犯罪を犯すということは、一時的なものであるかもわかりませんし、自分が考えて考えてやってきた計画的な犯行ということもあるかもわかりません。いろいろなことがその中にあるかもわかりません。罪を犯すということは、これは本当にしてはいけないことであろうと思います。それをしてしまったことによって、刑務所、または罰を与えられたときに、もちろん体刑的な罰、それも必要であろうと思います。

 先生がおっしゃるように、懲りてもらうようにするのにはどうしたらいいか。やはり、悪い、普通の環境でないところに環境をつくるということも、それも一つの方法かもわかりませんが、私が考えているのは、そういう環境もさることながら、その人がどのように罪を悔い改め、被害者に悪かったなという気持ちの反省とともに、自分の行動、考え、それを改善していけるということによって、今、法の改正の中でとっていこうとする矯正事業、矯正行政、そういうところに重きを置きながら、自分がやったことについての反省と同時に、そういう教育を受けながら、自分がさらにいい人間性を備えてリボーンするというところに私は我々の役割の大切さがあるというふうに思います。そういうふうな目的に沿いながら、法の改正ということも必要であろうというふうに思っております。

津川委員 冒頭に大臣は教育というようなことをおっしゃって、罪を犯さないようにするには教育も含めたさまざまなことが必要になってくるという話をされたと思うんです。私が言ったことがちょっと伝わらなかったかもしれませんが、行刑施設で、そこに入ることで結果的に罪を償うことができたとしたら、それは最も望ましいことだと思いますし、それは大いに研究をしていかなければならないことですが、それが困難な場合も想定されるわけでありますから、行刑施設の改革というのは、まず、徹底的に、確実に再犯を防ぐということに焦点を定めて目的を明確化すべきではないか。

 先ほどの施設の中での教育とかそういったものも、まさに再犯を犯さないことを目的とするために、それを自覚してもらえば、自分が犯してしまった罪を本当に自覚することができれば同じことはやらぬだろうという話であって、そういうことを自覚してもらうと罪を償うことができるだろうというのとは違うんじゃないかということを私は申し上げたんです。

 要するに、被害者の立場の感情で行刑施設のあり方を議論してしまうと、議論がちょっと錯綜するんじゃないか。そうではなくて、社会があえて行刑施設に求めている部分、それで行刑施設がこたえなければならない部分というのは、まさに、懲りてもらうところ、二度と犯さぬぞという形になってもらうところ。そう思ったけれども、出たら社会に受け入れてもらえないので、もう一回舞い戻ってきてしまったということも含めて、そういった対応をとらなきゃいけない。再就職とかさまざまなことも含めてやらなければいけませんが、被害者の感情という部分を行刑施設で云々ということではなくて、社会が求める部分ということをもっと限定するべきじゃないかということを申し上げているわけでありますが、大臣、もう一度御答弁いただけますか。

南野国務大臣 先生がおっしゃるとおり、極論は再犯の防止、そこにあろうかというふうに思っておりますが、委員御指摘のとおり、治安に対する国民の関心が本当に高まり、国民が安心して暮らせる社会というようなことを再生することが求められております。

 そういう今日、受刑者の改善更生及び社会復帰を図り、再犯を防止するための処遇を充実させることが極めて重要である。そのために我々はどのようにするかということがこのたびの改善であろうかと思っております。

津川委員 ありがとうございます。もう一度言っておきますが、別に、罪を償わなくてもいいとか、感情の部分はどうでもいいということを決して私は言っているわけではなくて、そういったところを混同してしまうと、ちょっと行刑改革というものが迷い込んでしまう部分があるのかなという思いがしたものですから、ここはやはりある程度明確に、優先順位と言うんですか、これをつけるべきかなということを申し上げたつもりでございます。

 ちょっと具体的なことを伺いますが、現行法上、作業というものはどのような目的でとらえられているか。あるいは今回提出された法律上、作業、改善指導、教科指導というものの目的はそれぞれどのようにされているか。

 今回、法整備で、冒頭大臣に答えていただいたように、理念は変わらないにしても、少なくとも行刑の現場を預かっていらっしゃる方々の声を伺えば、作業中心から教育へ重点をシフトしなきゃいけないんだというふうに受け取っていらっしゃる方は多いと思います。そして、法律上も、単に改善指導、教科指導という教育面を明記するにとどまらず、第十四条で処遇の原則というものがありますから、作業もまさに処遇の原則の中に入ってくるんだと思うんですね。

 ということは、法律論だけ申し上げますと、法律上は作業というものの位置づけあるいは性質というものが変わってくるんじゃないかという点でありますけれども、お答えいただけますでしょうか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 まず、作業の目的といいますか性質についてでございますけれども、現行の監獄法は、刑法の第十二条二項において「懲役は、監獄に拘置して所定の作業を行わせる。」という定めがありますことから、それを前提といたしまして、監獄法の二十四条一項が、「作業ハ衛生、経済及ヒ在監者ノ刑期、健康、技能、職業、将来ノ生計等ヲ斟酌シテ之ヲ課ス」としております。

 これは結局、刑罰の内容として、所定の作業を科すことによって自由を剥奪するということに加え、作業が、これは先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますけれども、規律ある生活の維持、それから共同生活への順応、勤労意欲の養成、職業的技能及び知識の習得という機能を有しており、そういった観点から、受刑者の改善更生を図るための処遇方法として最も重要なものの一つであると考えられていることによるものであります。

 したがいまして、作業の目的の一つに、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図るということがあると考えておりまして、これは現行の監獄法においてそうでございますし、これから、今御審議いただいている法案が成立いたしました後の作業においてもやはり同様のものでございます。

 これは、刑法が変わっておりませんし、やはりそれは刑罰としての作業という面が動かないわけでございますから、では、作業がもたらすものはただ単に刑罰かといえばそうではなくて、今申し上げた側面があって、それはやはり改善更生に資するものである、これもまた変わらないことであるというふうに思っております。

 それから、改善指導、教科指導の目的でございますけれども、法案はその十四条におきまして、受刑者の処遇は、「改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行う」旨、受刑者の処遇の原則を明らかにしております。この作業、改善指導及び教科指導は、そのような受刑者処遇の中核をなすものでございまして、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図ることを目的とするものであることを前提としております。

 以上のとおりで、それぞれ、作業も改善指導も教科指導も、いずれも受刑者の改善更生、円滑な社会復帰を目的とすることにおいては同じでございます。

津川委員 刑法が変わっていないわけでありますから、そこで定めるところの刑罰としての作業というのは、今回の法の整備が行われても変わらないのは当然でありますけれども、現行の監獄法二十四条の一項、今読んでいただきましたけれども、それを読んでもあるいは今の現状を伺っても、作業が改善更生とか円滑な社会復帰に寄与している部分が大であることはもちろん認めます。先ほど申し上げました。

 ただ、法律の中に書かれているのは、いわば作業をすることの結果としてそういう部分があるということであって、今回の法律は、その処遇が、「その者の資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨」とするというのは、やはり法律上はちょっと違うと思うんですよ。

 要するに、これまでの監獄法はその目的が書かれていなかったから、では目的はないのかというと、そうじゃないというのはもちろん理解はしますけれども、法文上は、作業はこういうことをしんしゃくして科すんだということしか書いていない。今回の法律はこれを旨とすると。ちょっと性質が違うというふうに、現場では変わらないかもしれないですけれども、法律上は性質が変わるというふうに考えた方がいいんじゃないですか。いかがですか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃるように、十四条はそのような規定になっております。

 それから、矯正処遇について規定いたしました六十一条がございますが、六十一条で、受刑者には、矯正処遇として、作業を行わせ、並びに八十二条、八十三条に規定する指導を、これは改善指導それから教科指導でございますけれども、行うということで、矯正処遇として作業と指導というのが「並びに」ということでなっているわけですね。

 結局、作業につきましては、先ほど申し上げましたように、刑罰の重要な部分というか、刑罰そのものの部分があるわけですけれども、それはそれとして、やはり作業を通じてそれが改善更生、社会復帰に役立つという面があるわけです。

 先ほど申し上げましたように、現行の監獄法におきましてもそのようなものとして作業を考えてきて、そして行刑を行ってきたわけでありまして、この六十一条で矯正処遇として作業を行わせる、あるいは十四条を受けた矯正処遇ということにおきましては、これは従前、私ども行刑の側が考えておりました作業についての考え方をここでより明確にしたというふうな認識でございます。

津川委員 答えていただいているのか、いただいていないのか、よくわからないんですが。

 要は、現場でそうだと、そういうふうに認識をしていて、そういうふうに受けとめて、そういうふうに実施をしていたということを今伺っているんじゃなくて、法律の中で、監獄法の中で書かれている作業というのは矯正処遇であるという位置づけにはなっていないわけですね。矯正処遇でないとも別に書いていませんけれども。

 だから、法律上は性質が、明確になったという言い方をしてもいいですよ、でも、それは変わったんじゃないんですかということを聞いているんです。

 ついでに伺いますが、変わったんだから、本当のことを言えば、作業の中身についても実は見直さなきゃいけないんじゃないですかということを伺いたいんです。現場の作業を実際に取り仕切っていらっしゃる方々は、それはもちろん改善更生とか円滑な社会復帰ということを考えていらっしゃるのはよくわかりますけれども、そこが旨とされているわけではないので、現場でそこまでそれを優先して作業を選定し、つくってきたとは必ずしも言い切れない。ただし、法律には今回そう書かれちゃうわけですよ。

 ということは、現場の方々の受けとめ方として、これから作業中心から教育になってしまうという思いに加えて、作業そのものの性質もちょっと実は変わるんじゃないか、そういう受けとめ方をされている方がいらっしゃるものですから伺っているんです。どうですか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 初めに、行刑の理念ということを委員は大臣にお尋ねになりまして、理念そのものは変わっていないというのが大臣の答弁で、やはり行刑の理念というものは変わっていないわけで、作業も改善指導も教科指導も、この理念を実現するためのものであるわけですから、その点においてやはり変わったということにはならないわけです。あくまでも、ただ今回の法律によって矯正処遇というものの今までの役割を明確にいたしまして、その中で作業もそういうものであるということをより明確にしたという認識でございます。

津川委員 ちょっと水かけ論になるかもしれませんので、これはここでやめますが、この法案の審議の過程の中で、大臣が改善指導、教科指導が義務化されますというふうに何度か答弁をされました。先ほどは義務化というふうにおっしゃらなかったんだけれども、私が読む限りでは、改善指導、教科指導の義務化というのは明記はされていないと思うんですね。義務化をしたいという思いがあったにせよ、明記をしなかった理由を教えていただきたいと思います。

横田政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員、いわゆる義務化を明記していないのはなぜかというお尋ねなんですが、その点でちょっと認識のそごがございまして、私どもは、今回の法案には改善指導、教科指導の義務化は明記されているというふうに理解しておりますので、その点について御説明申し上げてよろしゅうございましょうか。

津川委員 では、私の方から言っちゃいますが、要は、改善指導、教科指導が八十二条、八十三条にあって、遵守事項等、第五十一条の中で刑事施設の長が遵守するべき事項を定めることになっていて、その中に、「次に掲げる事項を具体的に定めるものとする。」と書いてあって、その中の九に、七十一条、七十二条、六十二条、八十二条、八十三条に規定する指導を拒んではならないことと書いてあるから、拒むと懲罰になるので義務だというふうにおっしゃりたいんだと思いますが、まず、八十二条、八十三条に書いてあるのは、行刑施設の長がやることを書いてあるわけであって、受刑者がこれを受けなければならないというふうにはまず書いていないという点。

 それから、それを拒んではならないということについても、拒んではならないという遵守事項を、刑事施設の長はこの五十一条によって、「定めるものとする。」と書いてあるわけで、これは定めなければならないというふうに書いているわけじゃないわけですよね。

 ここで定めなければならないというふうに書いていれば確かに義務というふうに読むことはできますけれども、これは「定めるものとする。」というふうに書いてあるので、要するに、これは義務化をすることができる、義務とすることができるというふうに書いているわけであって、義務というふうには明記はしていないと思うんですが、いかがですか。

横田政府参考人 今五十一条では、一項で、「刑事施設の長は、受刑者が遵守すべき事項を定める。」二項で、「遵守事項は、次に掲げる事項を具体的に定めるものとする。」こうしているわけでございます。

 この条文は、結局、同項の九号、「拒んではならない」という規定がありますけれども、要するに、正当な理由なくこのような刑事施設の長が定めた遵守事項に違反してはならないということになっているわけで、「定める。」とか「定めるものとする。」と書いてある以上は刑事施設の長は必ず定めることになるわけでございますので、ねばならないという規定でなければ必ず定めることにならないんだということにはならないというふうに、私どもはそういう考えでもちろん法案を提出しているわけでございます。

津川委員 ねばならない、してはならないではなくて、ものとするあるいは定める、こういった書き方は、我々何度も法案を審議するときにひっかかって、これは義務なのか義務じゃないのか、いや、義務じゃないんですよとかという答弁を実は何度もいただいているものですから確認をしました。

 それから、もう一度あえて言いますが、私は、この改善指導とか教科指導というものはぜひ義務化をしていただきたいと思います。それを前提として申し上げますが、ただし、今の現状は改善指導の中身、教科指導の中身が必ずしも積み上がってきたとは言いがたい。中には随分前からやってきたものがありますという話がありますが、効果の部分も含めて、義務化するほど立派なと言うと語弊があるかもしれませんが、しっかりしたものが必ずしもでき上がっているわけではないのに義務化をするというのは、若干引け目を感じるからこういう表現にしたんじゃないのかなというふうに私は思ったのでそう質問したんですが、そうじゃないらしいですけれども。

 ただ、やはりこれで義務化だというのは、ちょっと法律を、用語を読むときにはちょっと語弊があるんじゃないかと思います。ただ、今言っていただいた腹のうちというか胸のうちというか、「定めるものとする。」というのは義務に非常に近いものだ、そういう表現だと思いますので、わかりました。

 では、これからも、とにかく、定めるものとするとか定めるとかいうふうに書かれたものは、なければならないというふうに書いているものじゃなくても、義務に非常に近いものだというふうに認識をしていただいてやっていただきたいと思いますので、これから、ほかの法案のときにもこのことを言いますので、よろしくお願いいたします。

 それで、こういったことを行刑施設で義務化をして、改善更生をこうやってやろうということを現場で皆さん知恵を出して工夫されていることを理解しますが、ちょっと違和感を感じるのが、先ほども最高裁と、検事の求刑の場合とお話をさせていただきましたけれども、要するに、この人はこういう刑だから懲役何年なんだというものをぼんといただいて、それから、じゃ、この人をどうやって更生させるかということは、後は現場でやってくださいというのはちょっと酷なんじゃないだろうか。

 つまり、検察が求刑をする際も裁判が判決を出す際も、この人の改善更生にはこのぐらい必要だろうということをしんしゃくされるという話をされましたけれども、実際には必ずしもそうなり切れていない。満期釈放の方の中には、これはもう十分に更生したとは言いがたいかもしれないけれども、でも満期だから出さなきゃいけないということが現場であるわけですね。そういうことを考えたときには、検察においても裁判においても、行刑の施設の現場で起こっていることについてしっかりと関心を持っていただいて、その連携をとっていただかなければならないと思います。

 これは、実はシステムも必要だと私は思っているんですが、今はその思いだけでよろしいですから、ちょっとそれぞれ御答弁いただければと思います。

大林政府参考人 先ほど申し上げたとおり、裁判における求刑の場合にも、それは改善更生の問題が必ず頭にあると思います。

 ただ、今委員おっしゃる問題は、今の制度の中でも、例えばある程度、求刑なり判決の場合にはそれなりの、犯罪に対する評価ですけれども、例えば行刑施設の中に入れば、当然それから仮釈放制度に向けて、環境調整で、被害者の人にも意見を聞くとかあるいは帰住先の調整をするとか、そういう意味において、やはり役割は違いますけれども、入ったら入った中で、当然矯正教育も行われるでしょうし、それから仮釈放制度に向けたいろいろな活動が行われる。やはりそれは役割分担じゃないかなと。

 ですから、入った中において今度はさらに矯正保護において、その人の態度なりあるいは被害者の対応とか家族の人たちのサポートの問題とか、そういう問題で改善更生に向けた活動というものは必ず行われるものですから、司法の場とそれから後の矯正保護の役割というのは、やはりそれなりに発揮すべきものもあり、今の現状においてもそれなりに発揮されているし、それから今おっしゃられる監獄法が今度改正されますので、そういう趣旨を踏まえて、それは検察においても今度の改正を踏まえて、それなりの認識を持って、さらに改善更生というものを頭に置いて、司法活動を担っていかなきゃいけないというふうには考えております。

大谷最高裁判所長官代理者 刑の決定に当たりまして、さまざまな情状というものが考慮されているということは先ほど申し上げたとおりでありまして、その意味からいいましても、裁判官にとって行刑の実情を知るということが重要であるということは、もう委員御指摘のとおりだろうと思います。

 その意味で、例えば裁判所といたしましては、従来から裁判官に対しまして行刑施設を巡視する機会を設けているところでありまして、今後ともこれを実施していきたいというように考えております。

津川委員 時間が来たので終わりますが、学説からも実務からも遠い議論にならないように、ぜひ実態を見ていただいて、今後もこの法律成立後はしっかりと運用していただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

塩崎委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

塩崎委員長 速記を起こしてください。

 次に、山花郁夫君。

山花委員 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。

 南野法務大臣にお伺いをしたいんですが、今までも随分、るる議論が重ねられてきておりますけれども、ちょっと違った視点から。

 行刑施設なんですけれども、例えば刑務所でいえば、普通の刑務所は男性がいて、女子刑務所は女性ということになっています。少年院についても、私も地元に愛光学園というのがございますけれども、女性の少年院と男の子とは分けてやっております。

 もう釈迦に説法の話でございますが、必ずしも男性、女性ということではっきりと区別できないのではないかという方、あるいは明確に御自身の身体的な特徴と心の性とが一致していない方も世の中にはいらっしゃるわけで、そういう方々が犯罪を犯すという議論ではもちろんありません。犯罪を犯した方の中にそういう方がいらっしゃるケースというものも、割合的には想定ができる話だと思います。

 こういった方がもしいらっしゃったケースで、もう本当に釈迦に説法ですけれども、例えば、いわゆる性同一性障害の特例に関する法律で、戸籍まで変えられるまでいかれた方はいいというか、はっきりと区別して取り扱えるんですけれども、まだ保険もききませんし、そこまでたどり着かない方はたくさんいらっしゃいます。

 環境も余りよくないと申しましょうか、つまりは、就職だってなかなか厳しいですし、家族ともいろいろ葛藤がある方もいらっしゃるしという中で、不幸にも行刑施設にお世話になるという方もいらっしゃるのかなと思いますが、はっきりとそこまで身体的に手をつけられていないようなケースですと、さすがに身体的な特徴が男性なのを女子刑務所に入れろと言うつもりもありませんし、逆もまた無理だと思いますが、入浴その他の点で配慮しなければならない点は多々あろうかと思います。

 過去、そういったケースがあったのかなかったのか、あるいは今後どういう取り組みをされるのか、特に、南野法務大臣だから、この点についてお伺いをしたいと思います。

南野国務大臣 先生の御心配はもっともだというふうに思っております。法案を作成するときにもいろいろ検討させていただいたわけでありますけれども、社会生活をなさる上での御不便というのは十分あろうかな。例えば、刑務所だけでなく、病院への入院その他についてもいろいろ課題はまだまだ残されているのではないかなと思っておりますが、行刑施設における問題について、きょうは御答弁させていただこうと思っております。

 行刑施設におきます性同一性障害者の処遇については、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律、これが整備されたことを受けて、同法により、家庭裁判所において性別の取り扱いの変更の審判を受けた者も含めながら、戸籍上の性に基づき、収容される施設や施設の収容区域等を決定することといたしております。

 また、施設での具体的な処遇につきましては、性別の取り扱い変更の審判を受けていない人も含めまして、必要に応じて、被収容者の身体の外形的な状態または入所前の生活実態、治療の状況、羞恥心等にも配慮した処遇を行うものにもなろうかというふうに思っております。

山花委員 当委員会でも、七月八日に、塩崎委員長も当時理事でいろいろ協議をさせていただいたものでございますが、当時の山本委員長から、この性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案について、当初は委員の方から附帯決議なりなんなりという議論もあったんですけれども、そうではなくて委員長からの発言ということで、「本法律案は、性別の取り扱いの変更の審判の請求をすることができる性同一性障害者の範囲等について、法律の施行後三年を目途に検討等を行うこととなっておりますが、当委員会といたしましても、性同一性障害者が抱えるさまざまな問題の改善に、引き続き真摯に取り組む所存であることを表明させていただきます。」と、委員長からそういうような表明をしていただいたという経緯がございます。

 これは議会の側のことですので、せっかく閣僚になられて、しかも人権を携わる法務大臣ということでございますので、ちょっと今回の法案の話と離れて、ぜひこういった取り組みをしっかりとやっていただきたいと思うんですけれども、その決意を一言おっしゃっていただきたいと思います。

南野国務大臣 先生の御指摘のとおり、やはり当該者にとってどういう生活が本当にいい生活になっていくのか、生活のクオリティーを高めるためにもこれから先考えていかなければいけないと思っております。

山花委員 法務大臣としてのお立場だけではなくて、内閣のメンバーとしても、ぜひほかの、特に厚労省等々ございますので、発言をしていただくことを希望したいと思います。

 さて、今回のこの刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案の中で、直接法律の形では規定はされていないんですけれども、人権救済のための制度の整備をしなければいけないのではないかということで、これはもう議論もあったところです。この点についての基本的な考え方ですけれども、行刑改革提言などにも盛り込まれておりますけれども、私も受刑者の方からお手紙が来ることもあって、中にはちょっとこれ何だろうと気になるものもございます。

 ただ、どうしても、もともとの行刑改革提言などの問題意識というのは、やはり矯正施設の中というのは、余り外部からの目が入らないものだから、あるいは本当に何か違法なことがあったかもしれない、あるいはそうではないんだけれども、ただ、状況がわからないから、話だけ聞くと何かとんでもないことがあったという印象を持ってしまうかもしれない、ともかくその辺のことをはっきりしなければいけないということで、第三者の目を入れることが大事だというような、ともかく、この「人権救済のための制度の整備」ということで、行刑改革提言でも「第一に、」ということで「第三者の目から見ることによって公平かつ公正な救済を確保する」、これが大事だという話になっているんです。

 今回、この提言を受けて、法務省としてもそういったことに取り組みたいというような話は伺っているんですけれども、法律案を見る限りはそこはどうなっているのかしらという感じですので、まず、どういう形で取り組んでいこうとされているのかということについて教えてください。

横田政府参考人 今委員が御指摘になりました行刑改革会議の提言では、「人権救済のための制度の整備」ということで、「公平かつ公正な救済」それから「不服申立制度等の整備等」ということを一つ掲げておりまして、これを受けまして、今度の法案におきましては、現行の監獄法では情願というものがあるわけですけれども、それにかえまして、不服申し立て制度の整備というものを考えておりまして、一つは、審査の申請という制度を改めて設けてございます。それからもう一つは、事実の申告ということ、これも新たな制度として設けておりますし、いろいろな苦情の申し出ということも、これまでさまざま、やはり受刑者が施設の運営等についていろいろ言いたいことがあるというようなことにつきましても、それをまた申し出できるということを法文上明確に、そういう制度として設けまして、それについてのさまざまな条文を設けているところでございます。これは第十二章にございます。

山花委員 刑事施設の不服審査会についてということなんですけれども、組織については暫定的かつ事実上の措置であるという位置づけになっている、これについてなんです。

横田政府参考人 失礼いたしました。

 この提言に言っている刑事施設不服審査会、仮称ということですが、それについて提言は、「暫定的かつ事実上の措置」、これは人権救済機関が設置されるまでの間の暫定的かつ事実上の措置ということで設けるべきだとされております。

 これまでのところ、この提言が求めております人権救済機関が設けられるには至っておりません。したがいまして、できる限り早期に、この提言の趣旨にのっとった措置の実施を図らなければなりません。

 私ども、現在、そのために、この刑事施設不服審査会(仮称)についての具体的な運営方法について検討を重ねておりまして、できるだけ早期にこれを実現したいと思っております。

山花委員 行刑施設の不服審査会なんですけれども、行刑改革会議の提言に沿う形で実現したいということと受けとめますが、この提言の中で、そのメンバー、委員については、くどいようですけれども、あくまでも第三者の目から見るんだということで、公平かつ公正な救済を確保するためのものなので、法務省の職員は委員にならないものとすべきだ、つまり、あくまでも外から見るのであって、いわば内部で、身内でチェックするといったって、そううまくはいきませんよねという問題意識だと思うんです。

 まずは、そういう趣旨の形で今後検討されるのかということと、委員についても、恐らく現在の法務省の職員のことを指しているんでしょうけれども、ただ、例えば余りにも直近にその身分を離れたような方がなられるというのも、この趣旨からすると余り好ましくないのではないかと私は考えるんですけれども、この点についてはどういう方針で考えられるんでしょうか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 委員の人選につきましても、現在検討中でございます。この改革会議の提言、今先生も引用なさいましたように、委員について提言があるわけですけれども、その中では、「審査会は、第三者の目から見ることによって公平かつ公正な救済を確保するためのものであるので、法務省の職員は委員にならないものとすべきである。 委員は、法務大臣が、法律、矯正行政、医療等に関する優れた識見を有する者のうちから選任することとし、委員の人選に当たっては、公正を期するものとすべきである。」こう述べておりまして、もちろん、私どもは、この提言に沿って委員の人選を行うことは当然でございます。

 問題は、委員もおっしゃっていた、現職はもちろんこれはなれませんけれども、法務省を退職した者がなれるのかどうかということについて、これは、委員としては、矯正行政に関するすぐれた識見を有する者のうちから選任ということもございますので、矯正行政にすぐれた識見を有する者として適任者がいれば、これは過去に法務省の職員であった者も入ることを排除するものではないというふうに考えておりますけれども、根本は、国民から見てもやはり信頼されなければいけない、公平公正であるということがわかるものでなければなりませんので、そういった観点から人選をすべきことは、これは当然であるというふうに考えております。

山花委員 矯正行政に関するすぐれた識見を有する方というのは、世の中、なかなか探しても、学識経験者といってもそうそういらっしゃらない、いないと言っているわけではありませんけれども、いらっしゃらないでしょうから、言われることもわからないでもないんですが、ただ、委員の中に、例えば矯正局にいた方だとかあるいは管区長の方だとか、そういう経験者が入られると、確かに物がわかっているという意味ではいいんでしょうけれども、反面、事人権救済に当たって、それで、やはり仲間がいるから、ちょっと大丈夫かなという疑念を持たれるおそれもありますので、そこはよく留意をしていただきたいということは申し上げておきたいと思います。

 また、この行刑改革会議の提言は、あくまでもそれは暫定的な措置ということと、この人たちが前提としていたのは、必ずしも今新聞報道等で法務省の人権擁護局が検討しているようなものであるということでもないのかな、そういう印象を持っておりまして、つまりは、この提言の中にもありますように、これはあくまでも暫定的なものだから法務省内に置くこととするが、こういう言い方であって、この人たちは本当は法務省の外にある人権救済機関を想定しているのではないかと私は考えているんですけれども、おかしな形での法案が出てこないことを祈っております。

 ところで、話は変わりまして、行刑の問題については、受刑者の処遇あるいは人権の問題とともに、この委員会でも私も随分議論させていただきましたけれども、医療が非常に、ちょっと何とかならないのかなという話は随分とさせていただきました。

 例えば、C型肝炎の患者に対して、過去にさかのぼってみても、インターフェロンを投与した例が一件しかなかったとか、あるいは、ある刑務所ですけれども、歯が痛いということで歯科診療を申し込んだんだけれども三カ月も待ったとか、そういう議論が、まだ南野大臣は就任されていないときですけれども、そんなようなこともあって、ある程度改善されたとは聞いているんですけれども、この点について、法務省でも問題意識は持たれていると承知をいたしております。

 ただ、今回の法案でも、そういうことをちゃんとやろうという意識は非常に感じられますが、矯正医療という雑誌がございますよね、法務省の、矯正医療じゃなかったでしたか、タイトルは。タイトルは合っていますか。

横田政府参考人 私も、今委員がどのような書籍、雑誌についてイメージしておられるか、ちょっとわかりかねますけれども、今聞いたところでは「矯正医療ジャーナル」、そういう本があるのではないかということで、今ちょっと耳にいたしました。

山花委員 今ちょっと手元に持ってきていないんですけれども、法務省の矯正局の中の、お医者さんたちが研究会をやって、その研究報告とか、そういうことをしている雑誌がございますよね。御答弁いただけますか。

横田政府参考人 申しわけありません。その雑誌名といいますか、機関誌名の正式な誌名、ちょっと今私も確認いたしかねますけれども、そういうたぐいの本が出ていることは、これは私も知っておりますし、読んだこともあります。

山花委員 ごめんなさい、手元に持ってくればよかったんですけれども、例えば、それのバックナンバーなんかを拝見いたしますと、覚せい剤の中毒で入った人が矯正施設内で例えば懲役何年という刑を受けて出所する際に、よくなって出ていっているかというと、必ずしもそうではないであるとか、人によってはもっと悪くなって出ていっているというようなことの報告が載っております。

 先ほど、社会復帰のことももちろん大事なんですけれども、矯正施設内でのそういう医療についてはやはりちゃんとやらないと、結局また、刑期が終わって出所をしても、症状が改善されていないんですから、また戻ってきてしまうおそれがあるのかなというふうに思っております。

 ただ、これは法務省だけで何とかできるという話でもないでしょうし、また厚労省にも協力を要請されているようですけれども、特に、きょうは厚労省の医政局長さんにお越しいただいていますので、今回、特に、こういう法案が今かかっています。まだ成立はしたわけではありませんけれども、もし成立をした暁には、しっかりとこれを受けて厚労省としても取り組んでいただきたいと思います。つまりは、受刑者という立場であっても、歯が痛くなればそれは患者さんだし、病気になれば病人ですよね、厚労省として全く関係ないという話ではありませんよねということについて、確認をさせていただきたいと思います。

岩尾政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、受刑者に対する適切な医療の提供を確保するために、厚生労働省と法務省が十分に連携をとって、その取り組みを進めていく必要があると考えております。

 私ども、法務省主催の関係省庁等連絡会議に参加しておりますが、それに加えまして、医療法を実際に施行するのは各都道府県でございますので、都道府県の知事あてに行刑施設の医療の確保に関する協力を求める通知を発出し、先般、二月でございますが、関係の主管課長会議におきましても、要請があれば必要に応じて協力を図っていただきたい旨の連絡をしたところでございます。

 今後とも、十分必要な連携をとってまいりたいと考えております。

山花委員 ありがとうございました。

 ぜひ、そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 さて、先ほど同僚委員からも、行刑の目的等の議論もございました。ぜひ考えていただきたい話があるんです。

 実は、ある衆議院議員経験の方で、受刑施設に入られて出てこられた方から話を聞いたのですけれども、ああそうかなと思ったんです。A級なのかL級なのかとかクラスによって随分差はあるんでしょうけれども、よく再犯率が大体五割ぐらいだと、ざくっとした言い方でされることがあります。半分の人が帰ってきちゃうということも問題はあると思うんですけれども、では残り五割の人たちがちゃんと社会復帰しているかというと、それもそうでもないんだとその方は言われていました。社会復帰というか、出た後に、例えば自殺をしてしまったりとか、変死の形で見つかったりする方が結構いると。

 確かに、施設を出ても、現在のような額の作業報奨金ぐらいですと、例えば三年勤めて何十万かもらったって、勤めてというのは刑期を終えて、何十万といったって八十、九十という額じゃないですよ、もう数十万ぐらいしかない。家に帰ったつもりだったんだけれども、離婚もされて、子供もどこかへ行っちゃった、家もない。そういうためには更生保護施設がありますという話かもしれません。もともと更生保護施設のできたいわく因縁、故事来歴からすると、それで出ていった人が自殺しちゃってということでできたようですけれども。

 つまり、社会復帰をするためには、ある程度、出た後働き口がないとどうしようもないでしょうし、あるいは、当委員会でもこの法案の審議のときに、いや、もっと懲らしめた方がいいような意見があったやに聞いておりますけれども、ただ、それによって再犯をするということは被害者をふやしちゃうということですから、そこは矯正としても考えていただきたいと思うんです。

 その上で、例えば、入っている間に持っていた資格が失われてしまうということで、社会復帰が難しくなるケースもあるやにかつては聞いております。例えばの話、運転免許証、入っている間に失効してしまって、出てからもう一回教習所なんかに通おうなんて思ったら、またお金がかかりますから。

 そこで、警察の方に聞いたら、いや、これは別に受刑者だからということで更新しちゃだめという話ではありません、今、法務省ともその点協議させていただいておりますということのようですけれども、こういった免許証の更新はできるように努めていただきたいと考えますが、この点いかがでしょうか。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の道路交通法令によりますと、法令により身柄を拘束されている者につきまして、運転免許証が失効してから三年が経過した場合には、出所後免許を再取得する際に、試験の免除が認められません。適性試験、技能試験及び筆記試験のすべてを受験しなければならないということになっております。

 このような場合に、運転免許証の失効により出所後の就労先の確保が困難になるほか、被収容者の中には、所持金も少なく、身元引受関係が不良で、家族から経済的な援助を得られない者も少なくないことから、このような者が出所後すべての試験を再受験しなければならないとすれば、本人の改善更生及び円滑な社会復帰の妨げになることが予想されます。

 そこで、当局におきましては、行刑施設内で運転免許試験を実施することについて、警察庁、各都道府県県警と協議し、警察の御協力を得まして、これまで一部の行刑施設におきまして施設内での運転免許試験が実施されてきたところであります。この場合は、再試験といいますのは適性試験のみすればいいということになっていますので、これを行っているという趣旨でございます。

 今後、さらに各都道府県警察とも協議を進め、御協力を得ながら、残りの行刑施設でも施設内での運転免許試験の実施を図っていきたいと考えております。

山花委員 それはぜひやっていただきたいと思います。

 また、資格が途切れちゃうということもそうなんですけれども、ともかく社会復帰をするためにということで、例えば、府中の刑務所で見させていただきましたけれども、あれはフォークリフトだったか、そういう資格が取れるようなこともやっていました。ただ、あの手のものはやはり結構スペースがないといけないし、なかなか大変なのではないかなと思いますし、すべてでやれといってもそう容易ではないと思います。

 そこで、外国の話なんですけれども、聞いて、ああなるほどなと思ったのは、たしかフランスの話だったと思うんですが、受刑者で比較的良好な方で、かつ希望する方に、中で調理師の資格を取るように研修をする。調理師免許があれば、出て、会社に勤めるというのはなかなか大変かもしれないですけれども、ラーメン屋を開くだとかレストランを開くだとか、初期投資は必要かもしれませんけれども、そういうことがあり得るんだ。フランスの結構有名なレストランの下働きをしている人というのは、刑務所から出てきている人というのは結構、結構といったってそんな驚くほどはいませんよ、そういう方もいると聞いております。

 そういった出ていくときに本当に役に立つ、つまりは、伝統工芸もいいでしょうけれども、それが、では世の中に出ていって、たんすをつくって売って飯を食えるかといったら、それはつらいわけですよ。そういうことよりも、むしろこういう調理師資格その他、出ていったときに使えるような、そういうことを検討していただきたいと思うんです。ほかにもいろいろ取り組んでいらっしゃると思いますけれども、現在どうなのかということと今後検討できるかどうか、そういうことについて御答弁いただきたいと思います。

横田政府参考人 御指摘のように、行刑施設において職業訓練というものを行っております。これは、受刑者に対しまして、職業的な知識、技能を付与し、さらに、公的な資格、免許を取得させて円滑な社会復帰を図ること、これを目的としております。

 平成十五年度におきましては、三十一の施設におきまして、情報処理科、理容科、就職支援コース科等二十一種目の職業訓練を延べ千六百八十四名の受刑者が受講しておりまして、延べ二千二百十四名の受刑者が溶接技能士、調理師免許等、各種の資格等を取得しております。

 資格などの取得は、出所後の就職等に直接役立ち、社会復帰の促進に有益であるため、従来から、資格等を取得できる職業訓練の拡大に努めておりまして、本年度は、ホームヘルパー科職業訓練を、既に実施している女子刑務所に加えて男子の刑務所においても開設する予定としておりますし、今後とも、社会情勢の動向を踏まえ、円滑な社会復帰につながるような職業訓練の拡大充実に努めてまいりたいと考えております。

山花委員 先ほど来行刑の理念とかいろいろ話がありましたけれども、ただ、現行の制度の枠内で考えると、結構限界があるのかなと思っています。例えば、保険の適用についても難しいという話があったりとか。

 ただ、先日、ブドウ酒事件でしたか、死刑判決を受けた人の再審の決定というのが出ております。実は私、免田事件の免田栄さんを御存じでしょうか、お話を聞いて、ああ、それはそうかと思ったんですけれども、あの人、今、年金をもらえていないんですよ。つまりは、死刑になる人が、年金を払えといったって、そんなわけないでしょうという話なんです。つまりは、死刑判決でああいうことになると結構センセーショナルですけれども、ケースによっては、誤判で無罪になるというケースもゼロではないわけですよね。

 現在、刑法上、懲役刑という刑罰になっていますから、役務を課すというのが刑の内容となっていますけれども、いわば海外から見れば強制労働が刑の中身だ、こういう話なんであって、だから作業報奨金しか出せない。そうではなくて、私は、将来的には自由刑という形、つまりは拘禁されていることが刑の中身であるということで、中の作業に対しては、外の世界と同じ額である必要はないと思いますけれども、対価を払う。払うことによって、例えば保険料も納付させるとか、あるいはそれによってある程度お金をためさせて、外に、しゃばに出たときの社会復帰のための原資にするというような考え方も、今回は刑事施設法ではそこまでいっていませんけれども、検討すべき必要があるのではないかということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

塩崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四分開議

塩崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松本大輔君。

松本(大)委員 民主党の松本大輔です。

 水曜日の新聞報道だったと思いますが、大臣が答弁に立つたびに泣いておりましたという報道があったんですが、中には、答弁を聞いた私も思わず泣きそうになるというケースもあるわけでございまして、お互い、泣きを見ないような、そんな委員会にしていきたいなというふうに思います。

 きょうは、先般の佐々木委員の御質問に触発されたというわけではないんですが、まず、ある詩を紹介させていただきたい、このように思います。

  あやまちは 誰でもする

  つよい人も 弱い人も

  えらい人も おろかな人も

  あやまちは 人間をきめない

  あやまちのあとが 人間をきめる

  あやまちの重さを

  自分の肩に背負うか

  あやまちからのがれて

  次のあやまちをおかすか

  あやまちは 人生をきめない

  あやまちのあとが 人生をきめる

こういう詩なんですけれども、大臣、今この詩をお聞きになられて、どのようにお感じになられたでしょうか。

南野国務大臣 本当に人の心をよくとらえているな、私にとっては過ちは私の足台になっていると思っております。

松本(大)委員 ありがとうございます。

 実はこれは、私が、文部科学委員を兼務しているということもあるんですけれども、ある小学校に授業参観に行きましたときに、その教室に掲げられていた詩でございまして、ブッシュ・孝子さんという方の詩だそうでございます。

 小学生に読ませるにはちょっと重い内容かなというふうにも思わなくもありませんが、ある教育サークルのホームページを見ますと、これは教室内で、例えば靴が隠されたとか体操服が隠されたとか、そういうときに道徳教育の見地から読み聞かせる教材となっているようでございます。

 私が思いますに、過ちを犯してしまった子に、勇気を出して過ちを認めろ、過ちは取り戻せるんだと伝えたいという趣旨はわかるんですけれども、むしろ過ちを認める勇気が必要なのは、小学生よりも、例えば竹中さんであるとか、あるいは政治倫理を疑われているような方ではないかなというふうに思うんです。過ちを認める勇気が出せないということとか、あるいは、落ちたら二度とはい上がれないんだ、過ちは取り戻せないんだという風潮をよしとしてきたこととか、監獄法の改正を百年ほったらかしにしてきたこと、これはすべて根っこではつながっているんじゃないかなというふうに私は思うわけでございます。

 こうした百年の不作為の非を認めて、過ちは取り戻せるんだ、大臣のおっしゃるところでいいますと、人はリボーンできるんだという、人間再生の可能性を信じていくということが、与野党問わず、あるいはもっと言えば、政治、行政、司法を含めた社会全体が共有することが、まず行刑改革の出発点ではないかと私は思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

南野国務大臣 先生の哲学をお聞きいたしました。私も、感銘を受けて、同じように考えております。(発言する者あり)

松本(大)委員 いや、泣きたくはないですけれども。うれし涙でございます。

 本法案の第一条には、「刑事施設の適正な管理運営を図るとともに、受刑者等の人権を尊重しつつ、適切な処遇を行うこと」が目的というふうにされています。平成十六年版の犯罪白書説明資料、ちょっと犯罪白書本体は重いのでこっちを持ってきたんですが、四十四ページに、過剰収容は、受刑者の居住環境、行刑施設の管理運営、適切な矯正処遇の実施、それぞれ1、2、3という番号が振ってありますけれども、この面で看過しがたい支障を生じさせており、いずれの観点からも、収容人員に応じた収容定員とスペースを確保することは不可欠であるというふうに書いてあります。

 今読み上げた犯罪白書、それからその前に読み上げた本法案の目的がそれぞれ対応しているんじゃないかなというふうに思います。つまり、この犯罪白書でいうところの1の受刑者の居住環境というところは、本法案の第一条の目的でいえば、「受刑者等の人権を尊重」というものに当たりますし、2の行刑施設の管理運営というところは、同様に、本法案の目的の「刑事施設の適正な管理運営」、また3の適切な矯正処遇の実施ということは、同じように、本法案第一条の目的の「適切な処遇を行うこと」にそれぞれ対応しているというふうに私は考えますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

南野国務大臣 そのとおりだと思います。

松本(大)委員 ということは、本法案の第一条の目的とこの犯罪白書を合わせて読んでみると、本法案には、刑事施設の適正な管理運営と受刑者等の人権尊重、それから適正な処遇という三つの目的があるけれども、過剰収容というものはそのすべての面で看過しがたい支障を生じさせているんだ、したがって、この法案の目的達成のためには、過剰収容の解消を図っていくということが不可欠であるというふうにこの両方を合わせると読み取れるわけなんですが、法務省もそういう認識をお持ちであるということでよろしいでしょうか。

南野国務大臣 法務省もというよりも、我々もそのように思っております。

松本(大)委員 ありがとうございます。

 確認させていただきますと、本法案の第一条には三つの目的が書いてある、刑事施設の適正な管理運営と受刑者の人権尊重、それから適正な処遇という三つの目的があるんだ、しかし、そのいずれの面からも過剰収容の問題が看過しがたい支障を生じさせているんだ、したがって、この法案の目的達成のためには過剰収容の解消を図っていくことが不可欠であるんだという認識を私も法務省も共有しているんだということをまず確認させていただいた上で、では、実際の過剰収容対策がどうなっているのかというところをちょっと確認してみたい、順を追って見てみたいと思います。

 一昨日の委員視察も含めまして、私、府中と広島と東京拘置所と山口と千葉、あと川越少年刑務所、六施設を訪問してきたんですけれども、六人部屋を八人で使っていらっしゃったり、二名独居というのをやっていらっしゃったり、あるいは教室を十六人部屋に転用していたというケースもありまして、過剰収容の実態は依然として厳しいなという実感を持ったんですが、まず、現状についてのデータからお伺いしたいと思います。

 平成十六年度末の既決の収容定員と収容人員、そして収容率を、見込みで結構ですので、お答えください。どなたでも結構です。

横田政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年末現在の収容定員と収容人員の数についてお答えします。

 まず収容定員でございますが、総収容定員は七万二千百八十二人、うち受刑者等が……(松本(大)委員「既決だけです」と呼ぶ)既決ですか。既決で五万五千二百二十人です。(松本(大)委員「十六年度末」と呼ぶ)十六年度末の定員でございます。それから、収容人員、実際に入っている数は六万四千九百三十一人でございます。

松本(大)委員 これは、きのうの質問取りのときに実はデータを確認させていただいているんですけれども、その際は、十六年度末の見込みの数字というのをこちらにいただいておりまして、これは既決ですけれども、収容定員の見込みが六万七百二十八人、そして収容人員は、法務省さんから受刑者収容状況という資料をいただきましたが、十六年度末の見込みは六万六千七百二十四人、計算しますと収容率は一〇九・九%になるんですが、今の数字と違っているのはどういう理由。

横田政府参考人 お答えいたします。

 私が先ほど申し上げましたのは平成十六年末現在でございまして、今委員がおっしゃったのは年度末で、この数字は、三月三十一日でございますので、まだ確定しておりません。そこで、見込みの数を申し上げたと思います。

松本(大)委員 その見込みの数は、今私がここで読み上げたもので間違いないでしょうか。

横田政府参考人 見込みはそのようでございます。

松本(大)委員 十七年度予算で、さらに千九百人分の収容能力拡充経費が計上されています。これによって十七年度末には先ほどの数字はそれぞれどういうふうに変化するんでしょうか。収容定員と収容人員、収容率の見込みについてお聞かせください。

横田政府参考人 お答えします。

 ざくっとした数字で御勘弁いただきたいんですが、平成十六年度の補正予算と十七年度の当初予算を合わせまして、トータルで七千三百六十人の収容増が図られることになっております。

 そうしますと、数だけで申し上げますと、この建物が全部でき上がれば、おおむね今の過剰収容状態が緩和、解消と言うと極端かもしれませんけれども、大体消えてくるような計算になりますけれども、現実の問題といたしましては、その間にまた次々と新しい受刑者がふえて、最近の年間の純増が大体四千人前後ございますので、そういった点からいたしますと、なおその分が足りないというか、収容する場所が足りないということになってまいります。

 大ざっぱなところで申しわけありませんけれども、そんなところでございます。

松本(大)委員 これも実はきのうの質問取りのときにお答えをいただいておりまして、ここに数字はあるんですけれども、今の局長の御答弁だと、緩和できるとか大体消えてなくなるとか、非常にぼんやりとしているんですが、やはり予算要求たるものは根拠を示す必要があるわけで、定員が何人、人員が何人だと見込まれる、だから収容率はこのぐらいになる、だからこの予算要求には正当性があるんだという話を普通の民間企業であればされると思うんです。

 ちょっと細かい数字だという御認識なのかもしれないので、きのうお聞かせいただいた数字をこちらの方で言っちゃいますけれども、十七年度予算で千九百人分の収容能力拡充経費が計上されることによって、十七年度末には既決の収容定員は六万八千五十一人、収容人員は七万一千二百三十人、これによって年度末の収容率は一〇四・七%になるというふうに私はいただいた数字からは計算したんですが、この数字でよろしいでしょうか、御確認をお願いします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 あくまでも見込み数字ですけれども、そういうことでございます。それで、それは、先ほど申し上げましたように、十七年度中にまた人がふえていくということを見込んだ上でそういう数字になっているということでございます。

松本(大)委員 受刑者がふえていくことを織り込んだというふうにおっしゃっていただきました。繰り返しますと、収容定員が六万八千五十一人、収容人員が七万一千二百三十人、収容率が一〇四・七%、そのように年度末にはなるであろうという見込みであるというふうに確認をさせていただきましたけれども、もしこの十七年度の計画が予定どおり進めば、さっきの質問ですけれども、十六年度末で一〇九・九%だった収容率が、これもまだ見込みですが、十七年度予算の収容能力拡充によって、十七年度末、つまり一年後には一〇四・七%まで改善する。現状は一〇九・九%の収容率が、一年後の十七年度末には一〇四・七%まで改善する。

 平成十一年度末以来の一〇〇%割れまであと一息というところになってくるわけですが、それでは、悲願の一〇〇%割れというのはいつごろ達成できるとお考えなんでしょうか。十八年度以降の計画や見通しについて教えてください。

横田政府参考人 大変申しわけありませんが、委員のおっしゃった一〇九%という数字がちょっと私わかりかねましたが……(松本(大)委員「これはいただいた数字から割りました。いただいた数字が違うんだったら訂正してください」と呼ぶ)

 いずれにいたしましても、今おっしゃるのは先々の見通しの問題でありますけれども、このように申し上げますと、これまたそういう予算要求の仕方でいいのかとおっしゃるかもしれませんけれども、なかなか既決の被収容者の動向というのは、いろいろな要因で動いてくるものですから、必ずしも予測することは困難でございます。

 さて、それでは十八年度末にどのくらいか、十九年度末にどのくらいかということについては、この場で、確たるというか、あるいは大まかな数字ということも率直に申し上げてちょっとお答えをいたしかねますので、その点、御了解をお願いしたいと思います。

松本(大)委員 過剰収容対策は、この法案の目的の三つの観点いずれの面からも看過しがたい支障を生じさせているんだ、だから過剰収容の解決が不可欠なんだというふうにおっしゃっているわけですね。なので、では現状はどうなっているんだ、その予算要求をして一年後にどうなるんだ、その後いつまでに解消するんだというのを検証していくというのは、真っ当な話だと思うんです。だから、何回か法務省さんともお話をさせていただいて、資料をもらってきたわけですね。もしその数字が違うのであれば、ぜひ御確認をいただきたいと思うんです。

 私あてに出していただいた「行刑施設の現状」の受刑者収容状況、十六年度末に収容人員が六万六千七百二十四人、そしてもう一つ、平成十七年四月七日付で法務省矯正局さんとしていただいた資料には、十六年度末の収容定員見込みは六万七百二十八人、この両者を割ると収容率が出てくるんだというふうに思うわけなんですが、それで一〇九・九%という数字を出したわけです。

 同様に、十七年度末の見込みについても、この「行刑施設の現状」という法務省さんからいただいた資料に基づいて、年度末の収容人員の見込みは七万一千二百三十人だ。一方で、十七年度に千九百人分の収容能力拡充経費を計上して、では、十七年度末に収容定員見込みはどうなるのか。この法務省矯正局さんの資料によれば六万八千五十一人だ。両者を割ると収容率一〇四・七%という数字を私は計算したんですけれども、収容率はここで計算すればいい話ですが、では、少なくとも収容定員と収容人員ついて、今の見込みの数字が、私がいただいていた数字が間違っているのかどうかというところだけでも確認していただけませんか。

横田政府参考人 あくまでも見込み、予測ということでお話ししているわけでございますので、間違っているというふうには認識しておりません。

松本(大)委員 間違っていないと。それで、先ほどの質問になるわけですけれども、十六年度末で一〇九・九%の収容率が、今回の予算計上によって一年後、十七年度末には一〇四・七%まで改善される。一〇〇%割れまであと一息になっているわけですけれども、十八年度以降の計画や見通しを教えてくださいという私の質問に対しては、先々の見通しはなかなか困難だとおっしゃるんです。きっと、予算を伴う話については、財務省さんに気を使って、この場ではなかなかおっしゃりにくいのかなということもわからなくはありません。

 実は、先日、伴野委員からの御質問に対しても、定量的な計画というのは、率直に申し上げてこれは難しいというふうに答弁をされました。一〇〇%割れまであと一歩まで迫っておきながら、では、いつ達成なんですかというふうにこっちが盛り上がって聞くと、急に口が重くなる。非常にいけずだなと思うんですけれども、今のような答弁だと、本当に過剰収容を解消する気があるのか、法務省のやる気を疑われかねないんじゃないかなというふうに思います。

 もしも官僚の皆さんが財務省に気を使ってお答えできないのであれば、これはぜひ大臣にお伺いしたいと思います。

 看過しがたい支障というのは見過ごせないという意味だと思いますけれども、見過ごせない支障なら、できるだけ短い期限を設定して、そのときまでには必ず取り除くという決意を見通しとともにおっしゃっていただけないでしょうか、大臣の口から。

南野国務大臣 本当に、この数の算定は大変難しゅうございます。多くの何人が罪を犯して刑務所に入られるか、それを予測するというのは、私は本当に少ない方々に持っていきたいと思うと、それは社会全体でやっていただかないと、教育から何から全部それには関与してくると思いますが、希望的観測ではその時点その時点で切ってしか人数は把握できない。

 それで、持っている施設との絡み合わせでやっているわけですが、PFIとか、いろいろな予算をいただく範囲の中でやっております。でも、予算をとることについては、年度末、この前の補正予算から始まりまして、最大限努力したつもりでございますので、その成果はお示しいたしていると思いますが、だから何年度でこれが一〇〇%になる、その先五〇%になるということはちょっと申し上げにくい。

 再犯防止ということも一つの問題点であろうかなというふうに思っております。お帰りにならないことを期待しながら我々は努力するしかないと思っております。

松本(大)委員 結果的に、刑務所、受刑者の方の数が見通しを下回ればそれでいいわけであって、いつまでに過剰収容を解消するのかという目標を立てること自体とそれは必ずしも矛盾していないというふうに私は思います。なぜならば、それは、法務省さん御自身が、看過しがたい支障を生じさせていて、その解消が不可欠だというふうにここに書いていらっしゃるからなんですね。

 本当にやる気があるのかというふうに私は思わざるを得ないわけでして、本当に看過しがたい支障がある、目的を本当に達成したいと思っている、普通の人であれば、本当に目的を達成したければ、看過しがたい支障があれば全力でそれを取り除こうとされるはずです。

 しかも、十七年度末には一〇四・七%、あと一歩のところまで来るわけですよね。であるならば、では、いつまでに達成できるんだということを明らかにされるというのは政治家としての責任であるとも考えますが、それとも、看過しがたいという言葉はうそなんでしょうか。本法案の一条に掲げられている目的を達成したいというのは、本気でおっしゃっていらっしゃいますか。

南野国務大臣 それは、まさに本気でございます。そのためには、前回の予算案にもしっかりと財務省にお願いしながら、この問題、この問題ということで、人材または予算、それを申し上げてまいりました。それはもう先生御存じのとおりだと思います。

 先生も同じく、いろいろな施設を御訪問されておられます。私も施設を訪問しました。独居なんてあり得ない、独居室なんてないのが今の現状でございますので、そういったことを考えるならば、やはり受刑しておられる方々も自分の精神的なものを取り戻そうと思えば環境から始まらなきゃならないということは私も存じ上げております。

 そういう環境の大切さということは切々に考えておりますが、要は、お金の問題があります。そのお金の問題も財務省と交渉しながら精いっぱい、またPFIについても、第二番目のPFIまで決めていただいたというところは大きな成果と思っていただきたい。一〇四%を一〇〇%にしたいのは、心ではあしたにでもしたいと思っております。

松本(大)委員 本気だというふうにおっしゃるんですが、いつまでにという期限を区切っていただけないと、目標達成が近いだけに、目に見えているだけに、非常にがっかりしてしまうんですね。

 例えば、私と大臣が、お互いが未婚で長年つき合ってきたとします。もうそろそろ結婚も見えてきたかなというふうになって、だけれども、私の両親が反対している。事実上、その両親の承認を得なければ結婚は不可能だというふうになっている場合、ところが、私は、いつまでたっても大臣と結婚したいという話を両親に話すそぶりもない。

 こういう場合、大臣が、では、いつになったら両親に自分との結婚の話をしてくれるんだというふうに聞いたとします。この場合、結婚が目的であって、その目的達成のための障害が両親の承認ということになるわけですけれども、大臣がそうおっしゃっても、私が、うん、そのうちねと言うばかりでいつまでたっても両親の承認を得ようとしない、こういう場合に、いや、でも、結婚したいという気持ちに偽りはないんだ、信じてくれと私が申し上げても、大臣はきっと信じられないと思うんですね。本気で私と結婚したいと思っているのかどうか、多分、その本気を信じられないというふうに思うんです。

 これは、悪意に基づくものならば、結婚詐欺という話にもなってしまうわけでございまして、もし一条の目的を達成するつもりが本気でおありなら、いつまでにその障害となっているものを解消するのか、過剰収容を解消するのか、政治家としての大臣の決意をもう一度だけお聞かせください。

南野国務大臣 先生の結婚の例えはおもしろうございまして、これならば別居で愛を交わしていこうかというふうに思うくらいでございますが。

 この人数の問題につきましては、先生ならいつと思われますか。(松本(大)委員「すぐですよ、これは一〇四・七%ですから」と呼ぶ)はい。私にしてみたら、一〇四%まで来ている、もう目の前じゃないか。そのためには、やはり犯罪を犯さないような、ITの問題から何からいっぱいあると思います。一人でも減らしていきたいということを皆さん方と協力したいと思っておりますし、できたら、その方たちがいい形で刑務所から社会に出ていく環境をつくってさしあげるということも、またこれは人数を減らすことにもつながるだろうというふうに思っております。

 相手方の数が読めない現状では、まだ先生御不満のお顔をしておられますが、私にしたら早急にしたいということだけ申し上げておきます。

松本(大)委員 ある方のお話によりますと、実は一〇〇%でも十分でないと考えていらっしゃる。実際、現場の感覚としては八割前後が適正な水準ではないかというようなお話も伺いました。年度末にもう一〇四・七%にまでなろうとしているわけですから、次の年度でやるとか、さらにその次の年度中には必ず達成するんだというような計画を、ぜひ大臣の政治的決断で立てていただきたいなというふうに思います。

 時間の関係もあるので、未決についてちょっと触れたいと思うんです。

 東京拘置所を見たり千葉刑務所を視察させていただきますと、未決の方が例えば六人部屋に四人で雑居していらっしゃる。この場合、収容率は四割る六で六七%になるという計算なんだと聞きましたが、何となく私は釈然としないものを感じたわけでございます。なぜならば、未決の方というのは無罪判決が出るかもしれない方たちですよね。既決の受刑者の方に比べてより一層人権の尊重が図られなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は思います。

 その意味では、例えばプライバシーの権利なども、受刑者よりもなお一層保護されなきゃならないんじゃないかなというふうに思うんです。現状、スペースがないということを言われてはいるんですけれども、でも、プライバシーの権利を保障する観点からも、未決の方は本来独居を原則として定員を定め、居室もそのように配置するべきではないかというふうに考えるんです。それとも、未決の方のプライバシーその他の人権については、今回の法案の内容じゃないので勘案しなくていいというお考えなのか。ちょっとそこら辺のところ、大臣の御見解をお聞かせください。

南野国務大臣 未決の方だからどうでもいいというわけではございません。このたび法案を考えていないということでおはかりになられるのは、これはちょっと別問題だというふうに思います。

 未決の被収容者の処遇に関しましては、逃走及び証拠隠滅を防止するという勾留の目的及び訴訟法上の防御権を尊重する必要性から、なるべく独居拘禁とするよう監獄法施行規則において規定されているということは、先生御案内のとおりだと思います。そのために、未決収容者を主に収容する拘置所や拘置支所の施設整備に当たりましては、単独室の確保に努めてきたところでありますけれども、やはり拘置所等は、検察庁などの都市部にある司法機関と近接している場合も多く、その立地条件は制限を受けざるを得ないところから、限られた立地を最大限有効に利用する必要がある。また、警察の留置場から円滑な移監を行うためにも、一定の収容能力を効率的に確保することが求められております。

 これらの諸事情を総合的に勘案してみますと、ある程度は共同室の整備もやむを得ないものというふうにも考えておりますが、なお、共同室に収容する場合におきましても、同一事件に関係する被収容者は居室を別にして、いろいろな配慮をとりながらお部屋の割り振りをしておられることは、先生、御見学でも御理解していただいていると思います。

 そういう居室のほかにおいても接触の機会がないように、あらゆる環境を想定しながらお部屋割り、またはいろいろなことを施設の職員はしておりますことも念頭に置いていただきたいと思います。そういう環境にございます。

松本(大)委員 限られたスペースの中でいろいろ配慮をしているんだというお話なんですが、ただ、きのうの委員視察で皆さんもお聞きになられたと思うんですが、警察の留置場に未決と既決の方が雑居している例があるというお話を聞きました。全国の警察でも同様の例は多いのでしょうか。これについて警察庁にお伺いしたいと思います。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 警察留置場は、御案内のとおり、刑事施設と比べますと小規模なものでございますので、この中で十分な収容を確保するためには、警察留置場におきます居室は複数留置を基本といたしております。現下の過剰収容状況のもとでは、受刑者を複数定員の居室に単独留置することは、収容効率を著しく低下させるため現実的に困難であると考えておりまして、そのため、受刑者につきましても他の被留置者と同一の居室において処遇を行っているのが全国的に実態である、そういうことであると承知しております。(松本(大)委員「数としてはどのくらいになりますか」と呼ぶ)数として、全国の留置場というのが約千三百カ所以上あるわけでありますが、現実にどれくらいの、実態として未決と既決が雑居しているのがその日によって違いますので、その辺の正確な数字は承知しておりません。

松本(大)委員 推定無罪の働いている未決の方と、有罪判決を受けた受刑者の方とでは、当然拘禁の目的が異なると思うんですね。逃亡または罪証隠滅と先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、逃亡または罪証隠滅の防止を目的とした未決勾留と、有罪判決を受けた者に対する懲罰としての拘禁が同じ施設で行われているというのは、先ほどいろいろ配慮されていると言いましたが、これは不適当ではないかなというふうに思うんですが、警察庁の見解と、その後でちょっと法務省の見解もお伺いしたいと思います。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 もちろん、単独収容することといたしても十分な収容力を維持できるのであれば、その方が望ましいというように我々も考えているわけであります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、受刑者を他の被留置者と分離して収容するとなると、現在の警察の留置場の現状、キャパシティーから見まして、本来複数の者を収容する居室に今度は単独で収容しなければならないということで、収容効率を著しく低下させることになりますので、現実的に困難であると考えておるわけであります。

 なお、受刑者と未決拘禁者を同一の居室に収容いたしたとしても、その性質に応じた適切な受刑者処遇を行うことは可能であるというふうに考えております。

 加えまして、警察留置場に収容される受刑者というのは、御案内のとおり、収容期間が一カ月未満に限られております。そういうことで、受刑者の処遇の多くを占めます矯正処遇をここでは行わないことにしておりますので、実施される処遇の多くは未決拘禁者と同様のものであるというふうに考えております。

松本(大)委員 現実的に困難であるからといって、本来そうあるべきかというところの考察を怠ってはならないと思うわけです。適切な受刑者処遇をやっていますよというふうにおっしゃるんですが、監獄法には三条二項みたいなものがあって、分けなきゃいけないというような、ちょっとこれは私の法律の理解が不足しているのかもしれませんが、そのような規定もあるわけで、今のような警察庁の見解に対して、法務省さんとしてはどのように思われるのか。これは大臣の見解もちょっとお伺いしたいと思います。

横田政府参考人 まず、警察留置場に受刑者と未決拘禁者を同一の居室に収容している点についてのことでございますけれども、この点につきましては、警察留置場における処遇、これは所管外の事項でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、監獄法の分界の規定が代用監獄に適用がないのかという問いでございますけれども、これは、分界を定めました監獄法第三条第二項の規定がどのように代用監獄に適用されるか、必ずしもはっきりしないところが実はございます。少なくとも、この第三条第二項は、監獄は、懲役監、禁錮監、拘留場及び拘置監の四種であるという第一条第一項の規定を受けているものでございます。したがって、代用監獄である警察留置場に必ずしもそのままの形で適用されないというふうに考えているところでございます。

松本(大)委員 視察させていただく中で僕も幾つか資料をもらったんですが、その中に法務省の英文表記があったんですけれども、法務省の英文表記はどうなっているか、局長は御存じですか。

横田政府参考人 ミニストリー・オブ・ジャスティスだと思います。

松本(大)委員 ジャスティスは正義ですよね。僕はそれを見たときに、法務委員であるというのはなかなかすごいことなんだなと思ったんですが、今の答弁を聞いて、いや、所管外の事項だから答弁できない、所管外の事項だったら、正義はどうあるべきかという考察を怠る、本来どうあるべきかを考えることはしないというふうに私には聞こえてしまいました。本当にこれでいいのかというふうに思うわけなんです。

 大臣、今局長の答弁をお聞きになられて、いかがですか。

南野国務大臣 担当として精いっぱいの御答弁をしたというふうに思っております。

松本(大)委員 泣きたくなるような答弁というのはやはりあるものだなと思わなくもないわけですけれども、大臣の見解を伺いたかったんですが、ちょっと時間の関係もあるので、これは、来年度には未決の部分の法改正も予定されているということなので、またそのときにでもぜひお話をさせていただきたいなというふうに思います。

 過剰収容の問題についてぜひ全力で取り組んでいただきたいと思うわけなんですが、その方策の一つに、外国人受刑者の移送という手段も考えられるところではないかなというふうに思います。

 平成十六年版犯罪白書によると、F級の新受刑者が平成九年以降毎年過去最多を更新している、十五年は千五百八十四人で新受刑者の約五%、年末の在所受刑者数約六万人のうちの三千人、これもおよそ五%がF級受刑者である、そしてその約半数が中国人である。

 これまでも、本委員会で何人かの方が取り上げていらっしゃったと思うんですが、局長の御答弁は「できるだけ早く中国との間で受刑者移送条約を結びたいと考えておりまして、その締結につきまして、外務省を通じて、現在中国側に打診しているところでございます。」とあります。十二月に打診をされたということがホームページか何かに載っていましたけれども、中国側からの反応はあったのでしょうか。

横田政府参考人 今委員御指摘のように、政府といたしましては、昨年十二月に、これは外交ルートを通じて、日中間での受刑者移送条約の必要性について中国側に提起したということでございまして、これに対しまして、中国側は、この移送条約の必要性には理解を示しまして、日本側の意見は重要なものであるとした上で、その条約は他国の裁判結果を自国内で受け入れた上で自国民に対して刑を執行するという問題を含んでいるとして、慎重な姿勢を示しているという状況でございます。

 私どもといたしましては、日中間での人的交流がふえるに従いまして、刑事司法分野での協力をさらに進める必要があると考えておりまして、受刑者移送条約の締結につきましても、引き続き努力をしていきたいと考えております。

松本(大)委員 結論からいえば、慎重な姿勢というのが中国側の姿勢だということですか。こっちからの受刑者移送条約の締結の申し入れに対して、理解を示すけれども、結局は、向こうの姿勢というのはなかなか慎重で及び腰である、こういうことでしょうか。

横田政府参考人 及び腰であるかどうかという、そこまでの形容が適当かどうかはわかりかねますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしてはぜひとも少しでも早くやりたいという気持ちがあるのに対して、慎重な姿勢であると評価をせざるを得ない対応であるというふうに考えております。そういう趣旨でございます。

松本(大)委員 その慎重な姿勢を受けて、過剰収容の解消が不可欠である、この法案の目的達成の上でも看過しがたい支障を生じさせているんだとされている法務省さんとして、その慎重な姿勢であるということをこのままよしとされるのか、それともこの次の段階、二の矢、三の矢があるのか、今後の交渉スケジュールなどを教えてください。

横田政府参考人 私どもといたしましては、ぜひとも中国との間で移送条約を締結したいと思っております。これは間違いのないところでございます。

 今後のスケジュールということでございますけれども、これもやはり相手あってのことでございますので、私どもといたしましては、あらゆる機会、ルートを通じて、引き続き、中国側にこの条約の必要性、それからどのような問題点が両者の間にあるのか、また、あるとすればどのようにしてその障害を取り除いていったらいいかといった点につきまして、真摯に協議を進めてまいりたいと考えております。

松本(大)委員 ポンチ絵というんでしょうかね。法務省さんからいただいた資料の中に、外国人受刑者移送条約の締結に向けては十七年度中に何かをやるんだというようなお話があったように記憶しているんですけれども、十七年度中にはどこまでのことをおやりになられるのか、そこだけでもお答えいただけませんか。

横田政府参考人 委員がごらんになった資料というのはちょっと私どもわかりませんけれども、私どもとしては、そのようなことは承知しておりません。

松本(大)委員 それは十六年度のお話だったのかもしれないんですが、この先一年間何をされるのかという予定もまだ全く白紙であるということですか。

横田政府参考人 白紙と言いますと、また、全くする気がないのかというふうに思われても困るんですけれども、決してそうではなくて、今後とも、いろいろな機会を通じて鋭意やっていく。それにつきましては、申し上げましたように、やっていきますけれども、これまた繰り返しになりますけれども、何しろこういう二国間の話でございますので、相手あって、それに対する対応ということになりますので、いずれにいたしましても、私どもは、ぜひこれは実現したいと考えていることは間違いのないことでございますので、その点は十分御理解をいただきたいと思っております。

松本(大)委員 相手のあることとはいえ、こうもはっきり過剰収容の解消は不可欠だというふうにおっしゃっているわけですから、本当にこうやって提出された法案の一条に掲げられている目的を達成するおつもりがあるのであれば、今後とも、この過剰収容問題の解決の一つの手段として、この外国人受刑者移送条約、とりわけ中国との締結に向けてぜひ全力で取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 次に、法案の目的の一つでもある適切な処遇という観点からの御質問を行いたいと思います。

 受刑者の総就業人員のうち、職業訓練、生産作業、自営作業、それぞれの就業人員と割合を教えてください。たしか、十六年十二月末時点で数字を持っていらっしゃるということなので、これで教えてください。――済みません、きのういただいているんですが、答弁としていただきたかったので。でも、資料を探されるのにお時間がかかるようであれば、では、きのうお伺いしたので正しいかどうかだけ確認したいと思います。

 十六年十二月末時点で、職業訓練が一・九%、生産作業が八一%、自営作業が一七・一%という数字を法務省さんからはいただいたんですが、この数字でよろしいでしょうか。おおむねでも結構です。

横田政府参考人 申しわけありません。

 法案の関係資料、これにも載っておる数字でございまして、間違いございませんというのが結論でございます。

松本(大)委員 職業訓練一・九%、一方で生産作業は八一%。作業にかかわる人が大半を占めていて、職業訓練に携われる方というのは大変限られているなという印象を持ちます。これで本当に出所後の円滑な社会復帰が可能なのか。再び罪を犯すことなく、真っ当な道で食べていけるだけの就業能力を身につけられるのか。大臣のおっしゃるところのリボーンというのは本当に可能なのか。多くの人は逆に出所してからも職にあぶれる可能性が高いんじゃないかなというふうに思わざるを得ません。

 所内では、現状では職業訓練には多くの人は携われない、つまりスキルを身につけられない。しかし、では逆に作業に励めば、スキルは身につかないけれども、出所後の社会復帰の元手となるようなお金は稼げるのかといいますと、それもかなわない。「刑務所の中」という映画が以前、山崎努さんか何かの出演でありましたけれども、原作の作者、花輪和一さんという方ですが、三年のお勤めを終えて手元にもらった金というのは五万九千二十五円だったというふうにおっしゃっています。山本譲司さん、「獄窓記」に書いていらっしゃいますけれども、十四カ月で三万七千八百七十七円だった。法務省さんからいただいた資料によると、十五年の出所者二万八千百七十人のうち、およそ二万人が五万円以下の作業賞与金しかもらっていらっしゃらない。とてもではないですけれども、出所後の社会復帰の元手となるようなお金ではないわけですね。

 では、それならば、一方でこの作業が生み出している価値というのはどのぐらいあるのかというお話なんですが、急遽委員長の御承認をいただきました配付資料なんですけれども、左下の方に国庫納入額というものがあります。平成十五年度で刑務作業収入は七十二億円となっているわけですが、これだけの作業収入があるなら、いっそのこと、これを毎年犯罪被害者の救済に充てるという制度をつくってはどうかなというふうに私は思います。それならば、たとえ受刑者への賞与金は少額だ、蓄財には資するものではないんだというものであったとしても、少なくとも、受刑者が懲役として、つまり贖罪の一環として取り組んでいるという作業そのものの意味合いがより深まるんじゃないかなと私は思うんですが、これについては大臣の御見解をお聞かせください。

南野国務大臣 刑務作業による収益ということに関連いたしておりますけれども、現行監獄法におきましては、作業収入はすべて国庫の歳入となっております。本法案におきましても、第七十六条におきまして国庫に帰属することとなっておるわけでございます。

 犯罪被害者の救済のあり方については、現在各方面で検討が加えられているものと承知いたしておりますけれども、いずれにしましても、受刑者の贖罪意識の涵養を図ることは重要でありますので、今後とも矯正教育の充実に努めてまいり、先生のおっしゃっておられるように、仕事といいますか、出られた後の状況なども検討していかなければならないというふうにも思っております。

松本(大)委員 官僚の答弁を求めているんじゃないんですよ。政治家としてあなたがどう思うか、あなたの判断を聞いているんですね。現行の監獄法では国庫の収入になるということなんて別に聞いていないんですよ。それから、本法案においても国庫に帰属することになっているんです、そんなことは聞いていないんですよ。

 本来どうあるべきだと考えていらっしゃるのか。だからこそ、こうやって政治家同士の議論をする意味があるわけですよ。しかも、各方面で考えていただけると。小泉さんじゃないんですから。あなたが法務行政の最高責任者なんですよ。だから、各方面で考えるんじゃなくて、トップのあなたが率先して、どう考えているのか、どうしたいのか、本来どうあるべきなのかという大臣の御見解をお伺いしているわけです。

 もう一度、大臣の政治家としての御見解をしっかりとお聞かせいただきたいと思います。

南野国務大臣 今先生がお配りくださいましたこの七十二億円という問題点、これがどのような形でこのような数字になっているのかということも考えながら、どのようにこれを検討していくのかということもやはり考えてみなければいけないと思いますので、私の今の気持ちで、これはこうしましょうというようなことは申し上げられないと思っております。

松本(大)委員 法律がどうなっているとか、法案がどうなっているかという話を確認するだけなら政治家は要らないんですよ。前例がない、正解がない、そういう蓄積がないケースで、ではどう考えるのか、どうしていくのかということに答えを出していくのが政治家の仕事じゃないですか。でも、ひょっとしたらその判断が間違っているかもしれない、そのときは選挙で結果責任を問われるわけですよ。だから政治的判断というものが必要になってくるわけですよ。

 でも、今の大臣のお話をお伺いしていると、今の法律がどうなっているからできないとか、今回の改正案でもそうなっていないからできないとか、あるいは難しいのでこれからいろいろ各方面に考えてもらうとか、私にはどう聞いても政治家としての思いというものが伝わってこないんですね。その種の御答弁を繰り返されていると、やはり官僚に政治家というのは本当に要らないよねというふうに思われてしまうんじゃないかなという気がいたします。

 そこで、ちょっと、さらに聞く気がだんだんなくなってきつつあるんですが……(発言する者あり)ありがとうございます。もう少しだけちょっと突っ込みたいと思います。

 この資料で、刑務作業の中には、図表の上の方ですが、刑務作業協力事業部、財団法人矯正協会というものが載っているわけでございます。国はこの矯正協会から、刑務作業収入七十二億円のうちの二十三億円を得ています。この表でいうところの4の国庫納入金二十三億というのがそれです。そして、この矯正協会が払っている管理運営費九・八億円、上に書きましたけれども、これの一部は、これは御答弁いただこうと思ったんですが時間がないので省きますと、実はこの矯正協会には三十七人の公務員再就職者の方が在籍をされていらっしゃるというお話をきのう法務省さんから確認させていただきました。そして、管理運営費九億八千万円のうちの一部は、その三十七人の公務員OBの方への報酬とか給与として支払われているわけでございます。

 しかしながら、もとはといえば、その販管費、管理運営費の出どころは矯正協会の粗利益ですね。この粗利は何かというと、つまりは刑務所内で受刑者の方が作業を通じて生み出した価値、利益です。であるならば、先ほどの質問と同様だということですが、先ほどの刑務作業収入と同様の考え方がこの管理運営費について、少なくとも人件費部分についてやってはどうかなということなんです。

 つまり、公務員OBの方であれば、既に退職金や年金を受け取れる方なわけですから、それらの方にここへの再就職を我慢してもらうかわりに、その分浮いた人件費を、先ほどの刑務作業収入七十二億円同様に、これもやはり犯罪被害者救済に充てるという考え方も可能だと思いますが、大臣、もう一度御見解をお聞かせください。

南野国務大臣 もしそういうことができればいいなと思いますが、いろいろ検討してみたい。今ここで、それでいいですよ、それをやりますよということは、やはり難しい問題点でございます。

 財団法人の矯正協会では、社会福祉を増進するため、矯正行政の運営に協力するとともに、矯正活動に関する一般の認識の向上を図って、もって犯罪の防止に寄与することを目的として活動しているというふうに承知いたしておりますが、常任理事などの役員、先生が今おっしゃったようないろいろな方々がおられて組織を守り立てていき、これが一つの課題として役割を展開してくださっているということでございます。

松本(大)委員 できればいいなという頼りない答弁だったんですけれども、普通の人は法律の範囲内で生活をされている。ところが、政治家というものは、法律の方が逆に間違っているんだと思えば、その法律を改正することができるし、ある法律の不在によって、不備によって人権が侵害されていると思えば、新たに法律をつくり出すことができる、これがやはり政治のだいご味じゃないかと思うんですね。その立法を現実的に担保するために先立つもの、つまり予算の後づけもできる、これがやはり政治家のだいご味だと思うんですよ。

 だから、本来持っている権能を十分に使えば、あるべき未来により近づけることができるというのが僕は政治家の仕事だと思いますけれども、今のお話だと、できればいいなと思うけれども、何かいろいろ仕組みがあってと言うばかりで、どうあるべきか、そのためにどういう手順で検討していきたいとか、そういう前向きなお考えは全く聞き取れなかったんですね。私は大変残念であります。

 たしか所信表明でも、人権の擁護なんだということをおっしゃっていたはずです。「私は、法務大臣を拝命以来、人権の擁護など、その職責の重大さに改めて思いをいたし、よりよき法務行政の実現に向け、国民の目線に立った、真に国民に信頼される法務行政の推進に取り組んでまいりました。」と書いてありますが、人権の擁護ということをおっしゃるのであれば、現状の法の枠内にぜひ思考を狭めないでいただきたいなというふうに思います。ちょっと前向きな答弁がいただけなかったので、これはまたいつか取り上げたいと思います。

 私が思うに、この刑務作業の収入、国庫納入金の七十二億であるとか財団法人矯正協会の管理運営費の部分は犯罪被害者の救済に充てるべきだというふうに思うんですけれども、それが仮に実現されたとしても、だからといって、今の作業がそれでいいんだというふうに考えているわけでもありません。実際、行刑改革会議の提言でも、一日八時間の刑務作業時間を確保しなきゃいけないというわけではないんだという趣旨のこともおっしゃっていらっしゃいます。

 刑法が定める懲役だからやらせなきゃいけないんだという理由もわからなくもないですし、就業能力向上を図る前に、きちっとした規律ある生活習慣を身につけさせるんだという必要もわからなくはないんですが、ただ、行刑改革会議も提言しているとおり、やはりその作業時間を一部教育的処遇の充実に充てていくということも行われてしかるべきですし、現に試行的に行われている。それで、四月からは七十四庁全庁で実施ということなんですが、実際どうなのかというお話をしたいと思います。

 刑事施設の全職員のうちに占める教育専門官の割合、平成十七年四月一日現在で結構ですので教えてください。それからもう一点、平成十七年度の職員純増分二百七十三名のうち、教育関係業務に従事する職員の数を教えてください。――済みません、ちょっと質問取りのときに細かくブレークダウンしていなかった私が悪いのかもしれませんので、お答えしておきます。だから、確認をさせてください。

 教育専門官は、レクリエーション及び生活指導に当たる刑務官及び幹部職員を加えても、全体に占める割合は二・八%、純粋な教育専門官としては百四名で、〇・六%にすぎない。しかも、ただでさえこれだけ少ないのに、十七年度の純増分二百七十三名には教育担当職員の純増はゼロというふうになっているわけです。

 まずこれを確認したいんですが、その上で最後に聞きたいんですけれども、これまでも、薬物依存者向けのプログラムが間もなくまとまるし、性犯罪者向けの処遇プログラムも今年度中にまとまるし、今回の法改正によって教育を受けることに関する根拠規定も盛り込まれる、だからこれから変わるんだというふうにおっしゃってきたんですが、今のような状態だと、この法案で適切な処遇というのをうたってはいらっしゃるものの、肝心の、それを担保するための人的手当てが全くなされていないんじゃないか、ということはこの処遇プログラムは絵にかいたもちに終わってしまうんじゃないかというおそれがあると思うんですが、これについてのお考えを最後にお聞かせください。

横田政府参考人 お答えします。

 まず、最初に委員がおっしゃった数字、教育専門官といいますか、これは実は、教育の中で、行刑施設におきましていわゆる学科教育を担当している者を教育専門官と呼んでおりまして、矯正処遇に当たる職員というものは、その人たちだけでは決してございません。心理などを含めて各種の専門家の方もおりますし、それから刑務官もまた、さまざまな形で矯正処遇に携わっている人がございますので、その点はちょっと、これでは余りにも少ないじゃないか、確かにこれだけ取り上げれば少ないことは明白ですけれども、決してこの人たちだけで矯正処遇をやっているわけではないということを御理解賜りたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、今度の法案におきましては、やはり改善指導それから教科指導といったものについてこれから充実をして、受刑者の改善更生、社会復帰を図るわけですので、これにつきましては、これまた抽象的かもしれませんけれども、その必要性ということにつきましては私どもも十分承知していることでございますし、その充実につきまして一生懸命努力してまいりたいと考えております。

松本(大)委員 教育専門官のお話はまた今度の機会にしたいと思います。

 私は、保護観察所を訪れたときに非常に印象的だったのは、更生という二文字をくっつけると甦るという字になるんだということをおっしゃっていらっしゃったことです。大臣もリボーンとおっしゃっていらっしゃるとおりでございまして、ぜひ矯正教育であるとか教育指導の充実ということに今後とも全力で取り組んでいただきたいということを最後に申し上げ、私の質問を終わります。

塩崎委員長 次に、小林千代美さん。

小林(千)委員 民主党の小林千代美です。

 松本委員の教育に対する質問に引き続きまして、私も、行刑施設における、特にこの改善指導、今回の目玉の一つだとも思います、これについて質問をいたします。

 私たち民主党も、今回、性犯罪者を対象としまして処遇類型別指導を実施している全国の十三の施設をそれぞれ手分けして視察してまいりました。私もその十三施設の中の四つを視察してまいりまして、現場からさまざまな意見を伺ってまいりました。

 もちろん、これは今は任意でしか受講できませんので、すべての受刑者を対象としたものではありません。あくまでも自分が受けたいというふうに言った者だけ受けているわけですから、全員ではないんです。しかしながら、少ない人数ですけれども、現場がさまざま苦労をして、そしてさまざまな知恵と工夫をしながらこの矯正教育に今でも既に当たっているという、この現場の取り組みについては私は評価をしたいと思いますし、それでもやはりまだ足りないところを、今回のこの法案を通すことにより充実させていかなければいけないというふうに思っております。

 実際にその指導に当たっている方のお話を伺いますと、まずは、全員を受けさせることができないというのが問題点の一つだ。本来ならばこの受刑者は性犯罪者を対象としたプログラムを受けてほしい、こいつこそ受けて、この人こそ受けてほしいのに、受けさせることができない。こういうプログラムを受講する人は、今は任意ですから、受ける受刑者は、言葉は適切でないかもしれないですけれども、いい受刑者なんです、いい受刑者に対してやっておりますよと。

 ところが、今回は、この法案が通ることによりここの部分は改正をされるわけで、すべての受刑者に対してこういった改善指導というものをすることができるようになる、これは一点評価することだと思います。

 そして、現場の声として一つ挙げていたのが、やはり人的、物的不足です。人も足りない。ノウハウもない。人手不足の中で、忙しい中で、教官が、刑務官がその対応に当たっているという現状でした。

 また、その教室も雑居房に転換させる工事を実際にやっているところもありまして、それを実際に私も視察してきて、ここは前は教室だったんですけれども、あるいは図書室だったんですけれども、それを今改造しておりまして、八人雑居につくりかえているところなんだよと。確かに、過剰収容対策も必要なんですけれども、ああ、これから教育指導も始まるのに教室つぶしちゃって大丈夫なのかな、どこでやるのかな。

 いろいろ知恵を働かせなければいけないと思うんですけれども、人も足りない、場所もない、物もない、そういうような中で、先ほど松本委員から指摘がありましたとおりに、どうやって本当にこれを、やる気があって、実行させていくのかというのは、私は大変難しい問題だと思います。理念はすばらしいものだと思います。ただ、どうやってそれを具体的に実行していくかです。

 それで、まず最初にお伺いをしたいのですけれども、今までは行刑施設の中では、矯正処遇といいますと作業だけでした。懲役ですから役務に服する、作業をするだけでした。しかしながら、今回この六十一条の中で、「受刑者には、矯正処遇として、」中略「作業を行わせ、並びに」中略「指導を行う。」こういうふうに規定が書かれているわけなんですけれども、この指導というのは、その後に八十二条、八十三条に出てきますけれども、改善指導と教科指導というふうにあります。

 これは、つまり今現在やっている作業と同じレベルで、同等に、作業も大切だよ、教育も大切、改善指導も大切だよという認識であられるのか、大臣にお伺いいたします。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

南野国務大臣 先生おっしゃっておられるそのとおりであります。

小林(千)委員 それを実行するために何が必要なのかということがこれから必要になってくるわけです。

 次に、では具体的に、作業。作業というのは、私も視察をしてまいりました。大体五十人、多いところだともっと多い人数が一つの工場の中でさまざまな作業に当たっているわけなんですけれども、その作業と同じレベルで、同等の水準で行わなければいけない改善指導、教科指導につきましては、こういった各種指導というのは、この法案の基本中の基本でもありますけれども、この十四条に書いてありますとおりに、受刑者の処遇についてはその者の資質及び環境に応じて行うということですので、五十人あるいは百人の十把一からげではなくて、あえて言えば個人個人の性格や行動様式ですとか、性向というんでしょうか、一人一人に資質に合わせた改善指導や教育というものが本当に行われるんでしょうか。まさか、十把一からげにはしないですよね。

南野国務大臣 先生がおっしゃるように、その人その人の個別に、合ったような形でニーズがある、そのニーズを義務化させていただくということでございますので、類型別矯正を強化するということにもなってくると思います。

小林(千)委員 今現在でも、私たちが視察に行った十三の施設の中で、これは性犯罪者を対象とした視察をしてきたんですけれども、性犯罪者に該当する受刑者はトータルで七百五十一名、その中で、任意ですから、そのプログラムを受けていたのが十三施設合計で、その年度、一年間で百二十八名でした。つまり、該当者の一七%しか現在教育を受けていなかったわけなんです。これを七百五十一分の七百五十一にするわけなんです。

 しかも、先ほどおっしゃっていただいたように、その人それぞれの環境や、あるいは資質に応じた改善指導あるいは教育指導というものを具体的に行わなければいけないんですから、私は、これはやり方も大変難しいと思いますし、どういった方向でやっていくのかなというふうな具体的な疑問を抱くわけなんです。

 それでは続いて、八十二条なんですけれども、この八十二条のところに改善指導が出てきます。その中で、八十二条二項の中に、次に掲げる事情を有することにより改善更生が必要だというふうに言われている受刑者に対して特に配慮しなければいけないというように書いてあるわけなんですけれども、その中に挙げられているのは、一つに、麻薬、覚せい剤その他薬物依存者ですね。一つは、カテゴリーとして薬物依存者。そしてもう一つは、暴力団あるいは暴力団関係者が二つ目に挙げられております。そして三つ目には、「その他法務省令で定める事情」というふうに書いてあります。

 先ほど、それぞれ一人一人の資質に合わせた指導教育というものが行われるという答弁をいただきました。覚せい剤及び薬物と暴力団はこの中に含まれておりますけれども、この三番目のその他の事情というのはどのようなものでしょうか。それですべての該当者は含まれるのでしょうか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 この八十二条二項三号の「その他法務省令で定める事情」といたしましては、犯罪の原因となると一般的に考えられている問題状況の類型を改善するための処遇プログラムの策定状況も踏まえて定めることになると思います。

 具体的には、例えば一つは、犯罪の責任の自覚が欠如していることといった一つの類型があると思います。これは例えば、それに対しましては生命尊重教育、生命尊重指導あるいは贖罪指導、そういった対応をしていくことになると思います。それからもう一つ考えられますことは、窃盗や性犯罪など、ある種の犯罪について常習性、累行性といいますか、そういうものを持っているということで、これにつきましては、現在も行っておりますけれども、例えば累犯窃盗の防止の指導だとか、それから今委員御指摘の性犯罪防止指導といったものが一つの類型として考えられます。それからさらに、改善更生及び円滑な社会復帰に支障となる身体の障害とか精神の障害があることなどにつきまして、またそれに応じたさまざまな処遇、指導を行っていくということが考えられます。

 この改善指導は、個々の受刑者が有する改善更生等の支障となる事情を改善させることによって受刑者の改善更生を図ろうとするものでございますので、その指導の内容は、先ほど来委員御指摘のように、個々の受刑者の資質及び環境に応じたものとしなければならないこと、これは当然でございます。

小林(千)委員 今現在でも、さまざまな施設で独自のプログラムを利用しながら類型別処遇というものを、教育指導というものを実際にも行っているところです。

 その中で、視察に私たちが行ってまいりましたある施設、具体例で申し上げますと、例えば私は帯広に行ってきたんですけれども、ここは定員が、定員というよりも現在の収容人員が五百十六名で、そのうち性犯罪者のカテゴリーに入る方は対象者が十三名なんですね。ですので、そこの中で、五百人ぐらいの規模の中で十三人だけそのカテゴリーに分けて教育を行う。性犯罪以外でも、先ほどおっしゃいました常習性グループ何名ですとか、あるいは酒害、アルコール依存症何名ですとかということになると、さまざまな小さい集団が幾つも発生をするというふうに考えられます。

 そうすると、具体的にこの教育を行うと、それではやはり効率が悪い。例えば、ある程度同じような性向を持った者はグループを一カ所に集めるというのも方法の一つかと思いますけれども、そうすると、この刑務所は性犯罪者ばかりが入っている刑務所ですとか、この刑務所は、施設はアルコール依存症ばかりが入っているような刑務所ですとか、そんなこともひょっとしたら発生してしまうのかというような思いもあるわけなんです。

 もちろん、そういった教育のやりやすさ、少ない人員ながらそれを生かしながらやるというのは、そういったメリットもあるのかもしれませんけれども、一方で、同じような類型の犯罪の受刑者が集まるというデメリットもあると思います。また、どことか刑務所出身の人は性犯罪者だぞというようなレッテルを張られるというようなデメリットもあると思います。また、犯罪者、受刑者というのは、できればほかの人には自分の過去を知ってもらいたくないというようなプライバシーの問題もあるでしょう。

 デメリット、メリット、両方あると思いますけれども、例えば性犯罪者ばかりが集まるような行刑施設みたいなことも考えていらっしゃるんでしょうか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 もう委員も御案内のように、刑務所におきましてはこれまでも、覚せい剤乱用防止教育とか暴力団の離脱指導であるとか窃盗の防止指導、さらには被害者の視点を取り入れた教育など、罪名とかあるいはその犯罪に至る原因となった性格、行動傾向その他の円滑な社会復帰の障害となり得る要因に着目いたしまして、同じ類型に属する者を小集団として編成して行う処遇類型別指導というものを行っております。

 性犯罪者の教育などのように、その実施に当たりまして相当の専門性を要する場合には、専門スタッフなどの資源を特定の刑務所に集中させて、効率的、効果的な処遇を実施することも一つの方法であるというふうに考えております。

 ただ、今まさに委員もおっしゃったように、例えば性犯罪者ばかりを集めた刑務所を設けたとしますと、これは、あそこの刑務所から出た人はもうそれで、刑務所がわかるだけでその罪名もわかってしまうというようなことが、確かにこれはあり得ることなわけですので、例えば、ほかの罪種の受刑者も収容する刑務所の一画にそのような対象者を集める、そしてそこで専門的なプログラムを実施する、あるいは、プログラム受講中のみこの専門的なプログラム実施施設に収容して、それが終わったらまたもとの施設に戻す、そういった方策もまた考えるところでございまして、現在、こういったことについても検討しておりますし、さまざまなことを考えながら、委員もおっしゃるメリット、デメリットを考えながら慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。

小林(千)委員 続きまして、改善指導プログラムなんですけれども、今プログラムをそれぞれの類型に合わせて作成中だというようなお話も伺いました。

 やはり、私も視察に現場に行って、今はその施設独自独自の取り組みをやっていたと。一番問題だったのは、プログラムをどういうふうに自分たちでカリキュラムをつくるか。自分たちにはそういった特別の知識もなければノウハウもない。その中で、例えば、比較的取り組みが進んでいるというふうに言われております川越少年刑務所ですとか、あるいは少年院や鑑別所の方が教育といった面には力を注いでいますから、そういうところからノウハウを教えてもらってやっと自分たちでプログラムをつくったというようなところも、これは釧路だったんですけれども、おっしゃっておりました。

 これが全国の行刑施設で行われるとなると、やはり、それぞれが努力しなくてもある程度一般的なモデルカリキュラムみたいなものは当然必要だろうと思います。それを今矯正局でも作成中だというふうにおっしゃっておりました。同時に、他方、一人一人の資質あるいは環境というものに配慮をしなければいけないんですから、そのモデルカリキュラムがすべての方に該当するとも言えないところもあると思います。

 例えば、性犯罪者向けのモデルカリキュラムがあったとします。しかし、性犯の中には、強姦から強制わいせつから、あるいはわいせつ文書頒布まで入っていますから、それは性向からいえば強姦とわいせつ文書頒布では全く違うわけなんですよね、その者の持っている資質というものは。それに対しても個別的指導をしなければいけない。

 そうすると、モデルカリキュラムだけでは足りないのではないか、個別プログラムも同時に必要なのではないかと思いますけれども、これをどのように作成されているんでしょうか。

横田政府参考人 いろいろ委員の御意見を伺って、まさに御指摘のとおりだというふうに思っております。

 改善指導プログラムにつきましては、その指導目的や対象により、矯正局で統一的、標準的なプログラムを作成した方が望ましい場合と、それから、各施設の実情とか収容者の特性などから、施設ごとにプログラムを作成した方が望ましいものがあると考えられますので、プログラムの種類に応じて個別に検討することになろうかと思います。

 行刑施設におきましてはこれまでも、るる述べておりますように、覚せい剤の乱用防止教育であるとか暴力団離脱指導であるとか窃盗防止指導、被害者の視点を取り入れた教育などの処遇類型別指導を行ってきておりますけれども、これらの指導プログラムにつきましては、各施設が試行錯誤しながら工夫して策定している、これは委員ごらんになったとおりであります。統一的、標準的なプログラムが存在していないなど、十分とは言いがたい面がございました。

 改善指導などの矯正処遇プログラムを作成するに当たりましては、有識者の御意見も伺いながら、科学的、体系的なプログラムを整備していくことが肝要であると考えておりまして、既に当局におきましては、昨年、薬物事犯受刑者に対する教育処遇や、被害者の視点を取り入れた教育につきまして、有識者の方々とともに研究会を開催いたしまして、現在、標準的なプログラムの策定に向けて取り組んでおりますほか、性犯罪の再犯防止プログラムにつきましても、精神医学、心理学等の専門家の協力を得て標準的プログラムを策定し、これらに基づいて各施設を指導し、各施設がその実情に応じて具体的に実施すべきプログラムを作成していくことを予定しております。

 具体的な内容に関しましては、例えば、委員御指摘の強制わいせつと強姦では別のプログラムを策定するのか、あるいは共通のプログラムと個別の指導を組み合わせるのかなどにつきましても、今後、標準的なプログラムを策定していく中で十分にまた検討してまいりたいと考えております。

小林(千)委員 もう一つ、現場視察に行ってきた現場の担当の方から伺ったお話の中に、プログラムはやっとの思いでつくった、つくったんだけれども、実際に自分たちはそれはできないという話を伺ったんですね。

 特別の研修を受けているわけでもない、専門的知識を持っているわけでもない刑務官が、何とか、やっとこさっとこしてプログラムはつくったけれども、実際にそれをどういうふうに活用していったらいいかわからないというのが現状でございまして、今そのような方法でプログラムをつくったとしても、現場でそれがどのように、実際に教育にあるいは改善指導に携わる方が使いこなせるかどうかというのが大変重要な問題でございます。

 先ほど、松本委員の指摘ですか、教育専門官は二・八%しかいないというふうに言っていました。これは教育専門官だけではなくて、ほかの処遇に携わる刑務官も携わるんだよというふうに答弁されていましたけれども、刑務官すべてが例えば教育免許を持っているわけじゃないでしょうし、そういった薬物に対する知識があるわけでも、性犯に対する知識があるわけでも、残念ながらないでしょう。すべての刑務官がそれを一〇〇%持てといっても、それは実際にはなかなか難しいと思います。しかしながら、それを現場ではやらなければいけない。実際にプログラムができて活用しなければいけない。

 では、実際にそのプログラムを活用する職員の方々に対する研修、今は人手がなくて、研修に行かせたくたって、一人工いなくなるからだめだみたいなことを言っているのが現状なんですけれども、実際に今いらっしゃる刑務官にこれからどのような教育を施し、実りあるプログラムを実効性のあるものにしていくんでしょうか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 行刑施設で教育的な処遇を担当する職員につきましては、矯正研修所という、これは職員の研修専門の組織がございますけれども、そこにおきまして、効果的な矯正処遇を行うための専門知識や技能の向上を図るために、行刑施設教育活動充実化研修という、それを含めたそういった研修を行っております。

 さらに、各行刑施設におきましては、このような研修参加者による担当者に対する、伝達研修と私ども呼んでいるのですけれども、研修を受けてきた人が施設に帰って、そこでまた、そこの施設の担当者にそれを伝えていくということをやって、それら方法も含めまして、その研修の内容、成果というものの一層の徹底を図っております。

 そういうことで、担当者全員がその内容を確実に知り、そして専門性がより向上するということをやっております。これを進めていきたいと思いますし、これも含めまして、さらにさまざまな観点から、所要の研修についてまた検討して実施していこうというふうに思っています。

 それからまた、こういうことも考えられるのではないかということで、例えば、矯正研修所や矯正管区の専門職員、専門的な知識のある職員が施設に赴いていってそこで指導するといったようなこともまた検討の余地があるんじゃないかといったことも考えているところでございます。

小林(千)委員 先ほどの松本委員の指摘ですと、教育専門官はことしは純増ゼロだそうですので、本当にそれにどういうふうに取り組んでいくのか、本当にやる気があるのかというところは確認しなければいけないところですし、プログラムは矯正局がつくったところで、現場でそれが本当にやっていけるかどうかというのが一番重要なところですので、やはりこれは、答弁は求めませんけれども、しっかりと取り組んでいただかなければ困る、このように申し上げたいと思います。

 もちろん、職員の方々だけでそれを一〇〇%やれというのも難しい話だと思いますし、今現在でも、例えば、さまざまな外部講師の方を招いてそのプログラムを実施しているわけです。外部講師の中には、例えば大学の先生がいたり、あるいは心理学の専門家の方がいらっしゃったり、あるいは今でもダルクという、御存じだと思いますけれども、そういった薬物依存からみずから絶って通常の生活に戻ることができた、こういった自助努力のグループもたくさんある。そういうところと現在も連携はできているようですけれども、それだけではない、さまざまな外部との連携強化というものはこれからしていかなければいけないだろうと思うんですね。

 これは私の意見なんですけれども、今、市民団体ですとかさまざまなNPOですとかグループというものが市中にはございます。その中には、例えば犯罪被害者の方々のグループもあるでしょうし、あるいは性犯罪の被害者を支援している団体あるいはそういったNPO、市民団体もたくさんあります。そういったところと連携するみたいなことは考えていないのか、どの程度外部との連携というのを考えていらっしゃるんでしょうか。

横田政府参考人 こういった外部の方々との連携ということ、これは、これからの教育的な処遇、改善指導とか教科指導といったものを充実していく上にぜひとも必要なことであろうというふうに思っています。

 それに関連いたしまして、この法案の六十七条で「社会との連携」という規定を設けてございます。これは、「刑事施設の長は、受刑者の処遇を行うに当たり必要があると認めるときは、受刑者の親族、民間の篤志家、関係行政機関その他の者に対し、協力を求めるものとする。」そういう内容でございまして、こういった趣旨の規定を置きますのは、これはやはり受刑者の処遇を行うに当たって協力していただくことが必要な種々の団体や個人に対して積極的に協力を求めてまいりたいという趣旨でこのような規定を設けたわけでございます。

 現在、親族や篤志家あるいは関係行政機関だけではなくて、各方面の有識者それから被害者の視点を取り入れた教育における犯罪被害者やその支援団体、薬物依存離脱指導における今委員御指摘のダルクなどの自助グループなど、受刑者の改善更生に向けて専門的な知識や経験を生かした指導、援助をくださる方が多数いらっしゃいまして、現状におきましても、最近は特にこのような方々に受刑者の改善更生、社会復帰のための御協力をいただいているところでございます。

 このような、六十七条のような規定を設ける新法のもとにおきましては、こうした民間の活力と申しますか、そのようなものを一層積極的に活用して、矯正処遇の充実に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

小林(千)委員 さまざまな、そういった団体やNPOというのはあると思います。ぜひ、そういうところと積極的に連携を強化していただきたいと思います。

 それから、これはすべての受刑者に対して行われる指導あるいは教育です。すべての受刑者ということは、その中に当然、知的障害を持っている、精神障害を持っている受刑者も現実としています。そして、そもそも、そういった精神障害、知的障害を持っている方が刑務所に入所していることが正しいかどうかというのもあるんですけれども、そういった精神障害、知的障害を持った方には、それは教育、指導というよりも治療というものが当然必要だと思います。前回、私は医療の充実について質問をいたしましたけれども、そういった面で、こういった知的障害者、精神障害者に対する、改善指導、教科指導というよりも、こういった方々は医療の方を重視するべきではないんでしょうか。それが一点。

 そして、もう一点は、いわゆるF級と言われている受刑者、日本語での意思疎通が難しい外国人に対して、きめ細やかな指導をするといったらやはり言葉の壁というものが出てくると思います。先ほど、F級の中では一番中国人が多いということで移送をどうするんだという質問も出ておりましたけれども、こういった日本語での意思の疎通が難しい外国人に対しての指導、教科教育はどのように行う予定でしょうか。まさかこういった方々を対象としない、排除するわけではないと思いますが。

横田政府参考人 お答えいたします。

 まず、精神、知的障害者の関係でございますけれども、行刑施設は、刑の執行機関という枠組みの中で医療を必要とする受刑者に対しましては必要な治療を行い、努めて健全な状態で社会復帰させることを目的としております。精神、知的障害者につきましても、障害の種類や程度に応じて、専門的な医療の対象とすべき者につきましては医療刑務所に収容し、また、医療刑務所等に収容する必要のない者につきましては一般の刑務所において、それぞれ症状に応じ必要な治療を行っているところでありますが、現状におきましても、医療のほか作業療法や必要な指導を行っておりまして、新法のもとにおきましては、個々の受刑者に応じて社会生活に適応するための自立能力の育成に必要な指導や訓練を一層充実させるよう努めることが肝要であるというふうに考えております。

 それから、もう一つの、日本語での意思疎通が困難な外国人受刑者、いわゆるF級の受刑者につきましては、国際対策室が置かれている施設等に収容し、語学能力を有する職員のほか、国際専門官や外部協力者など語学の専門家の協力を得るなどの手段を講じながら意思の疎通に努め、必要に応じた指導をしているところであります。新法のもとにおきましても、それぞれその者にふさわしい矯正処遇が行えるように努めてまいりたいと考えております。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

小林(千)委員 精神、知的障害者に対しては医療刑務所に入所している、そこまでの必要がない者でも、通常の刑務所の中で必要な処遇をしているというような話でしたけれども、元衆議院議員の山本譲司さんのお書きになった「獄窓記」という本を見てみますと、そういった知的障害、精神障害を持った受刑者に対する医学的な、あるいは医療的なケアというものが実際現場では全くされていないというような実録ルポが書かれていたわけなんです。取り組んでおりますというふうに局長から答弁がありましたけれども、残念ながら、今それが全く十分ではないのではないか。

 だから、私はあえてここで、教育指導よりも、作業よりも、医療を充実するべきだ、こういうことを指摘させていただいたわけなんですけれども、局長、認識としてそれは正しいんですか、今の、知的障害、精神障害を持っている受刑者に対する処遇として。そして、これからはどのように取り組まれるおつもりでしょうか。

横田政府参考人 お答えします。

 これは一般論にもなるわけでございますけれども、この矯正教育の充実強化が必要であるということは、これにつきましては私どもも十分に認識しているところでございまして、そういった中で、御指摘の精神、知的障害者に対する処遇、治療を含めた処遇といったことにつきましても、引き続きその充実強化に努めなければならないという認識でございます。

小林(千)委員 ぜひ、しっかりと取り組んでいただきたくお願いを申し上げます。

 続いて、プログラムがこれから始まるのはいいんですけれども、実際に本当にこれが効果があるのかというのはなかなか検証が難しい。実際に、今までこういった処遇類型別指導をやっていたところに聞きましても、具体的な効果はどういうふうにありますかと聞いても、なかなか明快な答えというのは下さらないんですよね。それは数値として出てくるものでもないですし。

 ただ、例えば、一番最初に書いた作文とプログラムを受けた後で書いた作文とを見てみると、例えば被害者に対して贖罪の念を持つようになったですとか、ああ、この受刑者はこういうことを書くようになったのかというような感想を持っている刑務官もいらっしゃいますので、これは効果が全くないとも言い切れないでしょう。

 しかしながら、この八十二条の目的は、円滑な社会復帰に資するために、最終的には再犯を減らすという目的を持つわけなんです。実際にプログラムが始まり、あるいは今現在やっているところのこの効果検証というものをどういうふうにしていくかというのは大変難しい問題だと思うんですけれども、これについては、やはりその後というものも見ていかなければいけません。ここのときだけリップサービスでいいことを鉛筆なめなめ書いて、そうすれば仮釈放が早いかななんていう考えを持っている人がいるかもしれません。効果検証をするために、出所後も、もちろんプライバシーに配慮をしなければいけませんけれども、プライバシーに配慮をするという前提のもとで、ある程度の追跡調査というのはする必要があるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

横田政府参考人 追跡調査を行う必要があるのではないかというお尋ねでございますけれども、出所受刑者である特定個人の追跡調査を実施するというときには、これも既に委員自身もおっしゃっておりますとおり、やはりその者の動向を長期間にわたり把握し続ける必要があることから、プライバシーの侵害ということ、これはもう避けられないことでございまして、それを含めたさまざまな問題を生じかねないというふうに考えております。

 とは申しましても、御指摘のように、その矯正処遇を受けたことが出所後の再犯防止に実際に効果があったかどうかについて把握する必要は認識しています。これは私どももまた知りたいわけですから。ただ、それにつきまして、具体的にそれではどのような方法があるのかにつきましては、今申し上げましたプライバシーの問題にも十分配慮した方向で、それが可能なのかどうかということを含めて、引き続き、さまざまな観点から検討してまいりたいと考えております。

小林(千)委員 やはりこれは、追跡調査は難しいかもしれないですけれども、このプログラムがどの程度有効的なものであるのか、あるいは効果がないとすればどこをどう変えなければいけないのかというのは、これから時間をかけて行わなければいけないことですので、難しい問題ではあると思いますけれども、取り組んでいただければというふうに思います。

 最後の質問、これは保護局の方に質問をしたいんですけれども、今回の法改正はあくまでも塀の中だけのことでして、出所後については何も触れられておりません。しかしながら、ここで受刑者の方々はいずれ社会に戻ってくる、私たちの隣人となる方々です。もちろん塀の中だけでなくて、社会の中での処遇というのは、教育あるいは指導というのも当然切り離せない関係です。

 そこで、今までやってきたこのプログラムを検証していかなければいけない責任は、保護局の方にも当然あると思います。矯正局だけではなくて、そこで切れるのではなく、保護局とも当然連携をしていかなければいけないでしょう。また、出所した後で引き続き、できればプログラム、あるいは受講までいかなくても、さまざまな自分が疑問を抱いたとき、不安になったときにどこかに相談に行けるような、そんな体制もつくらなければいけないのではないかな。そういった面では、外部のさまざまな自助努力のグループですとかあるいはさまざまな団体ですとか、そういったところとの連携というのも必要だと思いますけれども、矯正局と保護局との連携、あるいはその後の教育、改善指導というものについて、保護局としてはどのようにお考えでしょうか。

麻生政府参考人 矯正と保護の連携でございますけれども、委員御指摘のとおり、緊密な連携が必要であると私どもも考えております。

 そこで、従来から、矯正と保護が連携を密にして、施設内処遇から社会内処遇への円滑な移行を図ることが重要である、こういう観点から、保護観察所では、受刑者が行刑施設に入った段階から、矯正と保護の間で情報を共有いたすようにしております。これを施設内の処遇及び社会に出てから、すなわち釈放後の処遇に活用いたしております。また、ごく一部の行刑施設でございますけれども、地方更生保護委員会の保護観察官を行刑施設に駐在させて連携を図っておるということがございます。それで、先ほど申しましたように、実際に仮釈放になった段階では、受刑中に把握されました問題点の特性を踏まえた保護観察処遇を行っておるところでございます。

 先ほど、連携ということでございますけれども、現在検討しているということを御説明しております、例えば性犯罪者に対する処遇プログラムですけれども、これも、施設内と社会に出た後の、この連携をどういうふうに図るかという問題がございますので、現在の研究会におきましても、矯正局と保護局が一緒にこれを行っておるということでございます。

 それから、関係団体との連携でございますけれども、これも現在、保護局ではいろいろな団体と連携をとらせていただいておるところでございまして、対象者が仮釈放になった場合には、例えば保健所等の関係機関を紹介するとか、あるいは先ほどお話の出ましたダルクとか、あるいは断酒会というようなところを紹介するとか、そういうところと従来から連携をとっておりますので、施設内でどういうところと関係があったのかということを御連絡いただきまして、施設から出た後も、私どもとしては、矯正と十分な連絡をとって社会内処遇を進めてまいりたいと思っております。

小林(千)委員 実はそこが十分じゃないと思っておりまして、今回の視察の中でも、出所後もアドバイスをしたいんだけれども、刑務官自身も、その刑務所の周り、あるいはその出所する者が帰住する近くに何があるのかというのは具体的に知らないから、アドバイスすることもできないといったような声も聞いたわけなんですよね。ですので、今の取り組みだけではなくて、具体的にその者に役に立つアドバイスをできるような協力関係をつくり上げていただきたいと思います。

 ぜひ、この法案が絵にかいたもちで終わることのないように、しっかりと取り組んでいただきたく最後にお願いを申し上げまして、質問を終わります。

塩崎委員長 次に、樽井良和君。

樽井委員 民主党の樽井良和です。

 同僚議員に続きまして、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案について、引き続き質問をしてまいります。

 せんだっての刑務施設の視察には公務のため出席できなかったんですが、現在に至るまで、地元堺の大阪刑務所、川越少年刑務所、あるいは奈良少年刑務所、三つ視察してまいりました。大体同じような感じに見えました。刑務官の方が順序よく説明して回っていただいて、それで受刑者の方が普通に作業なさっている。そんな形で、とりわけ受刑者の方から意見を聞くということがありませんで、実際に、山本譲司さん、さっき同僚の小林委員も言いましたけれども、「獄窓記」を書かれた方の実体験を伺いますと、議員や監督官庁が刑務所に視察に伺ったところで、大名行列みたいなもので、受刑者の視点から見た現実問題があからさまになっているような気がいたしません。

 そんな中で、まず質問したいんですが、このたびの法案の作成に関しまして、例えば、刑務官で、現職ではない退職した刑務官、もう何をしゃべってもいいというような刑務官でありますとか、今まで実際にいじめられた経験を持ったような受刑者の方とか、そういった方から十分な意見を伺ったのかどうか、その点に関して質問いたします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案は、法制審議会の答申を踏まえつつ、行刑改革会議の提言を最大限に尊重して立案したものでございますが、この行刑改革会議におきましては、行刑の実情について忌憚のない意見を聴取するため、矯正当局と直接の関係を持たない退職した刑務官や元受刑者二名からヒアリングを実施するとともに、無記名方式によるアンケートを刑務官及び受刑者に対して実施し、これらのヒアリングやアンケートの結果を十分に踏まえて提言を取りまとめられたというふうに承知しているところでございます。

樽井委員 実際に、例えば山本譲司さんとかにいたしましても、それほどいじめられた立場ではないと思うんですね。実際にひどい目に遭わされた受刑者の方というのは、その説明能力も含めまして、そういったところにあらわれてきちんと説明したのかどうか、その辺はちょっと気にかかっているんですが、そういうことも十分考慮の上でつくられたということで認識して、質問してまいります。

 まず、この法案も含めまして、今までの刑事施設の方向性。大臣にお伺いしたいんですが、大きなベクトルといたしまして、刑事施設で、要するに人に迷惑だけはかけるな、再犯だけは何としても防止したいんだ、そういう意味での方針を出しているのか、それとも、自立した社会人としてもう一回更生させて、何とか人生を立ち上がらせてやりたいんだ、そういう方針でプログラム等をつくっておられるのか、その辺についてお伺いいたします。

南野国務大臣 今、先生が二つのことをおっしゃいました。私としては後半の部分に大きなウエートをかけられていると思いますが、でも、その前半もやはり大切なことであろうかな。やはり受刑者の処遇ということを通しまして、真に改善更生させる、社会に復帰させるというところが一番大切であろうかというふうに思っております。

 そういう復帰を可能とするために、受刑者に通常の一市民として生活するに足りる一般的な、また職業的な知識、技術、技能、生活態度なども身につけていただいて、そしてお送りする必要があるのではないかな、そういうプロセスの中での我々の役割だと思っております。

樽井委員 例えば再就職するための技能、これも本当に大事だと思います。実際に社会に出て立ち上がらなければ、もう一回、やはりもとのもくあみになってしまうということはありますので、その辺もきちんと考えていただきたいし、そして、道徳的なことも、もちろん、大臣おっしゃるようにきちんと改善できる、そういった施設でありたい、そういったことに力を入れていただきたいと思います。

 そんな中で、けさからずっと出ていますが、改善指導プログラム、これを受けることを受刑者の義務として、定められた改善指導を受けないと懲罰を科すこととされていますが、この改善指導プログラムの策定に本人の自発的な意見とか意思がもうちょっと反映されるべきだと思うのです。そして、もし反映させるとしたらどういうやり方で反映させるのか、その辺のお考えについてお伺いいたします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 改善指導等は、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を促進し、再犯防止を図るために必要なものでございますから、これを受けるか否かを専ら受刑者の意思にゆだねるべきものではなく、改善指導等が必要な受刑者にはこれを受けるよう積極的に働きかけるためにも、法案ではこれを受けることを受刑者の義務としたものでございます。

 一方で、改善指導等により、受刑者の改善更生の意欲を喚起し、社会生活に適応する能力を育成するという効果を十分に上げるためには、受刑者自身が自発的な意思に基づいてこれを受けることが望ましいことは言うまでもございません。

 法案におきましても、受刑者の処遇はその自覚に訴えて行うこと、これは十四条にあります。それから、必要に応じ、受刑者の希望を参酌して行うこと、これは六十一条の第四項に規定してございます。そんな規定を置いているところでございまして、改善指導などは無理やり一方的に押しつけるような形ではなく、受刑者にこれを受ける意欲を抱かせ、その方法についても、受け入れるべき受刑者の希望は受け入れるなど、受刑者本人の意思を適正に反映するよう運用に努めてまいりたいと思います。

 この受刑者の希望を参酌して行う、どのようなことで希望者の意思が矯正施設側に酌み取れるかということは、例えば、分類センターにおける入所時の調査の際とか、その後の再調査であるとか、あるいは受刑者から面接等の出願があって、その面接を受けるときとか、さまざまな場面がございますので、そういった機会に受刑者の希望といいますか意思、意欲、そういったものを酌み取っていきたいというふうに考えております。

樽井委員 受刑者が指導を受けるのに消極的なというのもおかしい話でありまして、そこを受けるように強く施設当局側が働きかけるということは、それは協調性とか、あるいは社会的な秩序の中でもって自分をちゃんと成り立たせるためには大切な一つの精神的な教育だというふうに認識しておりますし、実際、犯罪を犯した立場でありながら、それを罰するという機能もありますので、あれは嫌だ、これはやりたいとかいって、余り好き勝手やらせていて、それでその主張を受け入れて楽しい刑務所というものになってしまっても、また戻ってきてもいいやというイメージになりますので、それもそれで不適切かなと思うんです。

 やはり、ある程度、自発的な意思や本人の個性、特に得手不得手というのがあって、私も中で見たんですが、習字がむちゃくちゃうまい受刑者の方でありますとか、陶器なんかつくっていたらもう本当にプロですよ、その技術を持っている受刑者の方とかもいらっしゃいますので、得手をさらに伸ばしてあげるような作業なりあるいは教育なり、そういったことによって、社会に出たときに次のステップがちゃんと見つかるような、そういったことも確実にできるのではないかというふうに思っております。

 結局は、そういった納得いく、本人の得手不得手、こういうことも考えながら指導した方が、反発といいますか、あるいは、余りどんどん強制的にやりますと逆効果になる可能性があるというふうな気がするんですが、その辺についての所見をお伺いできますか。

横田政府参考人 おっしゃるとおりで、なかなか具体的な場面におきましては、過度であってはいけないし不足があってはいけないことでございますので、やはりこれは、まさにこの法案で規定しておりますように、それぞれの受刑者の個々の特性に着目しながら、より適正な、一番ふさわしい処遇というものを選択してこれを実行していく、そういうことが根本的な姿勢として必要だろうというふうに思っています。

 例えば、今度はいわゆる義務づけ規定でございますので、それを拒んだ場合には懲罰を科すことができるということになっております。しかし、これにつきましても、直ちに懲罰を科するのではなくて、まずこれを受けるように促しまして、そして受けないときにどうするかということでやっていくべきであって、これを直接的に結びつけながらやったのであっては、かえってそれは本当の教育にはならないだろうというふうに考えておりますので、その運用につきましては十分心してまいる所存でございます。

樽井委員 ちょっとこれは通告していない質問になって恐縮なんですが、今言われました、要するに改善プログラムを受けないときに、これ嫌だ、きょうはやめておくとか、そんな態度をとったときの懲罰というのは、具体的には、例えば、それを放棄したときに、何をどういうふうな形で懲罰として実行されるんでしょうか。

横田政府参考人 質問の趣旨は懲罰の種類のお尋ねだというふうに理解してよろしゅうございましょうか。もしそうであれば、百六条にその規定がございます。懲罰の種類として、戒告、それから作業の十日以内の停止、自弁物品の使用の停止、書籍の閲覧の一部または全部の三十日以内の停止等定めております。それが懲罰の種類でございます。

樽井委員 懲罰を受けてもまた、改善プログラムを受けたくないというような、余り嫌なプログラムだったら、学校なんかでもそうなんですけれども、廊下に立たされている方が宿題するよりはましやというような、そんな感覚になる方というのはやはりいらっしゃって、嫌なプログラムがだらだら続くというのは逆に集中力とかなくなるので、余り精神的にもいいことはないと思うんですね。より洗練された人間になっていくために、やはり一生懸命にやるというようなことは、だらだらしていたら怒ったりはしないといけないですけれども、当然本人も興味を持って、ある程度集中してできることをやらせてあげるとか、そういったことも必要なんじゃないかと認識しておりますので、そういうところも御配意をいただけたらと思います。

 受刑者の人権を尊重しつつ、性質及びその者の状況に応じた適切な処遇を行うというのは本当に難しいなと実感するんですが、その中でも、そういったことを配慮して、より適切な処遇を行えるようになるように努力していただきたいというふうに訴えておきます。

 次に、不服申し立ての件なんですが、アンケート結果がありますね。平成十五年十月二十日に法務省が発表した全国の刑務所の受刑者と刑務官に対するアンケート結果。これによりますと、刑務官からの暴力や脅し、いじめなどを経験した受刑者が三四・二%、自分自身がやりましたという刑務官が七・六%だと。それで、目撃経験がある、ほかの刑務官がいじめているのを見たぞというのが一〇・六%ということなんです。

 この数字はともかくとして、まず、このアンケート結果はどういう方法でとったのかということ、特に、受刑者が記述したアンケート用紙を回収して、そのアンケート結果を行刑施設当局がチェックする立場にあったのかどうか。まず、その辺からお伺いいたします。

横田政府参考人 行刑改革会議が行いました受刑者に対するアンケートの実施方法につきまして御説明申し上げます。

 行刑改革会議におきましては、受刑者に対して、まず一つは、全国の釈放直前の受刑者を対象とする釈放前受刑者アンケートというものをやりました。それからもう一つは、収容されている受刑者の性質の異なる三つの刑務所を指定いたしまして、これらの施設に収容中の全受刑者を対象とする施設別受刑者アンケートという二種類のアンケートを行いました。

 この性質の異なる三つの刑務所といいますのは、いわゆるA級刑務所それからB級刑務所、長期のL級刑務所、そういうことで分けております。

 これらのアンケートはいずれも、受刑者が萎縮せずに忌憚のない意見を述べることができますよう、まず無記名式といたしました。それから、行刑改革会議事務局におきまして、あらかじめ対象となった受刑者に対しまして、口頭及び書面により、このアンケートが有識者会議である行刑改革会議により行われるものである、それから個別の回答内容が施設の職員の目に触れることはないというようなことを説明いたしました。そういう配慮をしたというふうに承知しているところでございます。

 また、アンケートの回収でございますけれども、これも受刑者みずからに封をさせ、そして施設の職員がこれを集めて、開封することなくそのまま行刑改革会議事務局に回付いたしまして、行刑改革会議事務局の職員がそのアンケートが入った封を開いたというふうに承知しております。

樽井委員 適切な処置だと思います。そう説明しても、受刑者の中には、そうはいってもちょっとのぞかれるんじゃないかというような危険も感じる方もいたかもしれませんが、アンケートを回収したりするときに、封があったとしても、出すときに、あいつ、何か不服を申し立てるんだな、そういうことになっても、その受刑者がどうなるかというのはちょっと怖いわけであります。

 実際に、不服がありますよと訴えること自体が、何かいじめられている立場の受刑者からすれば本当に難しいことじゃないかというふうに思いますし、このたびのアンケートはそういうふうになったんですが、今度、例えばいじめられている人が不服申し立てのときに請願書を作成して同じようにやるときは、秘密保持への配慮というのを当然このようにするんでしょうか。どういうシステムで配慮しているのか、その辺をお伺いいたします。

横田政府参考人 この法案では、百二十四条におきまして、受刑者が不服申し立ての内容を職員に秘密にすることができるよう、刑事施設の長は必要な措置を講じなければならないこととしております。

 具体的には、受刑者が不服申し立ての書面を提出する際に、本人みずからに封をさせ、施設の職員はこれを開封して内容を見てはならないこと、受刑者に対し、作成途中の不服申し立ての書面を保管するための封筒を貸与して、職員による居室の検査等の際にも不服申し立ての書面は見てはならないということを徹底させることなどの措置を講じたいと考えております。

 このような措置は、現行法下における情願につきましても適宜とられているところでございます。

樽井委員 大体それで秘密保持ということになるとは思うんですが、絵面が妙に浮かばないんですよ。受刑者がずっとふだんどおり生活されていて、時間どおり規律正しくやっていて、ちょっと不服があるので、済みません、用紙を出したいんですけれども、持ってきていただけますかと言うんでしょうか。

 まず、実際に不服申し立てをするとき、どういったシチュエーションで訴えてそういう作業をするのか、その内容をちょっと具体的に教えていただきたいんです。

横田政府参考人 お答えいたします。

 不服申し立ての実際のプロセスですが、おおむね以下申し上げるようなことになると思います。

 まず、受刑者が何らかの不服があるとして、不服申し立てをしたいと考えます。そのような場合には、施設の職員に、不服申し立てをしたいということで、そのことを申し出ます。そして、職員から、その申し立てをするための用紙、それから書いている途中の、作成中の書面を保管するための封筒の交付を受けます。これを用いまして、刑事施設の長が定めた期間内に受刑者は不服申し立ての書面を作成します。この期間でございますけれども、今、情願の制度で申しますと、一週間、最長十日間ということが通達で定められております。

 このようにして不服申し立ての書面をつくりまして、これを受刑者みずから封筒に入れまして、封をした上で刑事施設の職員に提出し、そして矯正管区の長または法務大臣にその不服申し立ての書面を送付するという手続になります。

 以上でございます。

樽井委員 えらい理路整然とした、制度的には余り問題はないと思うんですが、何か、実際問題で考えたとき、私、不服があるのでと言った時点で、うるさい、ぽかっと、もともと服役していじめられている方ですから、その受刑者の立場からしたら、いじめられていること自体がそれと同じようなことなので、また、おまえ、不服かと、何回おまえは出しているんだとかいうような、そんな感じの対応になりそうな気がしてしようがないんですよ、実際問題で考えると。

 では、法律的にどうしろと言われても、法律的にはそれで完成度が高いものになっておるんですが、実際にそれを施行したときにそういうことになりはしないかということを思います。そういった監視の方もやはり力を入れていかないといけないと思うんです。

 「告発」という映画があったんです。これはアルカトラズ刑務所を閉鎖に追い込んだ実際の事件に基づいてつくられたものなんですけれども、クリスチャン・スレーターが若き弁護士でケビン・ベーコンが囚人役なんですが、このドラマの中での刑務官の暴力というのがすさまじいんですね。受刑者のケビン・ベーコンは、ただ少年時代に何か盗んだだけの、たしかそれだけの罪の受刑者なんですけれども、一回脱獄を試みたことによって、縛りつけられて、ぶん殴られて、それで気を失ったらまた水をかけられて、起きたらまたぶん殴られるとか、あるいは独房に寒いときに裸でほうり込んで何カ月か外に出さないとか、あげくの果てに、脱走して逃げられないようにアキレス腱をぷちっと切った、その切ったのが施設長なんです。

 この施設長は、要するに、考え方としたら、実際にあると思うんですが、おまえのようなやからの訴えとか行動によっておれ様のような者の立場が危うくなるのは許せない、そういう心理状態で向かっていくわけですね。

 だから、実際に、施設の中がぐるになったらと言ったらおかしいですけれども、施設の人に提出するんだといっても、不服申し立てをその施設の中でやる、あるいは、中でも、施設長自体にそういった理解というものが乏しければ、なかなかそれを実行する上では、やはり問題点が内包したまま、この法律だけは施行されているぞという認識のもとで、ずっと行刑施設はそのままになってしまうんじゃないかというような気がするんですね。

 それで、不服申し立てによる刑務官による報復についてちょっとお伺いしたいんですが、刑事施設内で、チクったらといいますか、告げ口したら報復を受ける可能性がやはりあると思うんです。いじめっ子、いじめられっ子の関係というと、先生に言ったらそれでおしまいじゃないですよ。先生に言いやがってと、後で報復されるというのが十分考えられる。

 刑務官による報復に対して、不服申し立てを行う受刑者に対して保障がないんじゃないか。受刑者の不服申し立てを調査するための信頼ある制度があるのかどうか、この辺についてお伺いいたします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 まず、受刑者は、不服があってもなかなか実際の場面としてはしにくいんじゃないのかということがございましたので、それについて若干御説明させていただきます。

 このいわゆる合本の中に、資料集が後ろにございます。その中の三十ページに「受刑者による不服申立て等の件数」という表がございますが、そこを見ますと、特に大臣情願が激増しておりまして、平成十六年には六千三百六十三件、それから巡閲官情願が千二百九十五件、所長面接が六千百十一件、そのほか、行政訴訟、民事訴訟、告訴・告発、人権侵犯申し立て、弁護士会あて、法務局あてという、さまざまなことで相当数の不服申し立てというものが現に行われておりまして、委員が御懸念になるような状況は日本にはございません。

 それから、今お尋ねの不服申し立てに対する刑務官の報復防止の件でございますが、不服申し立て制度が十分に機能するためには、不服申し立てをする者が職員による報復等を恐れて萎縮することがないようにすることが重要であります。おっしゃるとおりです。

 このため、法案におきましては、先ほど申し上げました申し立て内容の秘密保持に配慮すべきこととしていることに加え、不服申し立てをしたことを理由に、職員が受刑者に対し不利益な取り扱いをすることを禁止しているところでございます。

樽井委員 禁止しているといいましても、例えば受刑者に対してぼんと暴力を振るったりする刑務官というのは、今でも禁止されているようなものなんですけれども、禁止されているのにしているんですから、これでもきちんと目を光らせていないと、禁止しているけれどもやはりやるよということになりますので、そういった調査、信頼できる制度というものをぜひつくっていただきたいと思います。

 ただ、これを施行しただけでなかなか機能していないようなことになりますと、何か国連の人権基準委員会への批准とか勧告に配慮しますというような、こういったアクション的なことで終わってしまうことになりかねませんので、その辺は、この法律をきっちり施行できるように、その後の監視から制度の調査から、もう一回きちんとしていただきたいと思います。閉鎖的な行刑施設の中で受刑者が特定の不服を訴えることの難しさを認識して、実態調査を繰り広げながら不服申し立ての制度を改善してほしい、こう訴えておきます。

 それでは、不服の件はこの辺にいたしまして、刑務所医療と受刑者の健康問題について質問いたします。

 受刑者というのは、たばこ、酒はできないということで、ひょっとしたら私たちより健康なんじゃないかと思うようなこともあるんです。規則正しい生活もされています。それでたばこも酒もしない。そういった中ですが、ストレスは当然普通の人よりもあるだろうということになりますと、例えば実際に受刑者の方々を健康診断をしたりしますと、一般的な人と比べてどういった病気が多くてどういった病気が少ないとか、データに基づいて健康状態の実態をまず教えていただけますか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件につきまして、平成十六年十月一日の調査の結果がございますので、それに基づきまして申し上げます。

 十六年十月一日現在の行刑施設の被収容者七万五千六百九十二人のうち、何らかの疾病に罹患していた者は四万五千六百二十人、これは全被収容者に対する六〇・三%でございます。その中でも、高血圧、脳血管疾患、心疾患等の循環器系の疾患が七千九百六十九人、比率にいたしまして一七・五%、次が、胃炎、肝疾患などの消化器系の疾患が六千百三十六人で一三・五%、そして、統合失調等の精神及び行動の障害が五千四百八十四人、一二・〇%で、この三つが上位を占めております。

 ちなみに、社会一般における疾病状況と比較したいと思いますが、これにつきましては平成十四年の厚生労働省の患者調査の結果がございます。これを見ますと、第一位が循環器系の疾患、二位が消化器系の疾患でありまして、この点につきましては行刑施設に入っていた被収容者と共通しておりますけれども、第三位が、社会一般の疾病状況では、内分泌、栄養及び代謝疾患となっておりまして、この社会一般と比較いたしますと、精神及び行動の障害の割合が受刑者には多いということが特徴であるというふうに考えられます。

樽井委員 世間一般と比べて精神と行動の疾患が受刑者に多いということなんですが、それを治すためにはどういったことをすればいいとお考えですか。改善策といいますか、何かあれば教えていただきたいと思います。

横田政府参考人 お答えいたします。

 精神及び行動の障害に限らず、およそ疾病を有している受刑者につきましては、それぞれ適宜、これは国の責任でございますので、必要な治療を施しているということでございます。

 行刑施設といたしましては、医療刑務所がございますし、そのほかの刑務所におきましても、例えば医療重点施設とかそういうものを設けまして、それから、各刑務所に必ず医療部門ももちろんございますし、そういった中でそれぞれ適切な医療を施しているということでございます。

樽井委員 我が党でも、一日につき一時間以上の適切な運動を行う機会を与えなければならないんじゃないかというふうに提案しておりますし、スポーツによる改善ということを含めまして、運動の方はどんな感じで実行されていますでしょうか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 まず、現況でございますけれども、適切な運動の機会の付与、これは現行監獄法の三十八条では「健康ヲ保ツニ必要ナル運動ヲ為サシム」と規定しているにとどまっておりまして、大半の行刑施設におきましては、入浴を実施しない週に二日ないし三日において、一日三十分程度運動を行う、そういう運用になっております。

 このたびの法案におきましては、その三十四条に、「受刑者には、日曜日その他法務省令で定める日を除き、できる限り戸外で、その健康を保持するため適切な運動を行う機会を与えなければならない。」といたしまして、平日には原則として毎日、できる限り戸外で運動の機会を保障する旨の規定を設けたところでございます。

樽井委員 健全な精神は健全な肉体に宿るというようなことわざがありますけれども、体の方もある程度運動をして健康な状態に保っておく。有酸素運動なんかも血管が詰まるのを防ぐ上では有効だというようなことも医学上ありますので、そういったものもぜひ積極的に取り入れてほしいと思います。

 議員も、一日一時間ぐらい運動を義務づけた方が、大臣になる年齢になっても健康体で過ごせるんじゃないか、こういうふうに思いますけれども、受刑者の方々、これも一生懸命これから更生していかなくてはいけないわけですから、健全な精神を宿らせるためにぜひ体も健全に保っていただきたいというふうに思います。

 それで、先ほどからしつこく言っているんですけれども、医療のことなんですが、刑事施設の長は、受刑者が医師による診療を受けることを申請した場合、必要な医療上の措置をとらなければならないというふうにあるんですけれども、どこで聞いてもこの辺は、行刑施設を管理している側はちゃんとやっていますよという答えなんですけれども、どうしても実体験された方が、その辺は、実態は物すごいですよという話しか聞かないので、その辺の実態の調査あるいは認識、それで、それをどういうふうに改善しようと思っているのかということも含めて、ぜひお答えいただきたいと思います。

横田政府参考人 先ほど委員のおっしゃいました受刑者のアンケートの中でも、受刑者の不満といいますか、希望といいますか、それにつきまして、やはり医療に対する要望といったものが大変多いという事実がございます。これは私どもも十分認識しておりますし、それから、これもまた矯正医療の大きな問題といたしまして、やはり医師の不足ということが大きな課題であります。

 私どもといたしましては、与えられたさまざまな条件のもとで精いっぱい医療を行っております。しかしながら、受け手は受け手のまたさまざまな思いがございましょうし、そういったことで、そういったそごと申しますか、それがあるのであろうというふうには認識しております。だから、それは単なる受けとめ方の違いだよということでは決してございませんで、私どもは、矯正医療に問題があることは、繰り返しになりますけれども、認識しておりますし、今後ともいろいろな形でこの医療の充実は図っていかなければならないというふうに考えております。

樽井委員 もっと実態調査をきちんとして、内情をきちんと把握した上で改善の措置をとっていただきたいと思います。

 それで、実際に例えば受刑者が死亡した場合、刑事施設の長は、変死の疑いがないと認められる場合を除き、検察官に対しその旨を速やかに通知しなければならない、こうあるんですけれども、何か変死も余り検視官が見ていないというようなこともよく雑誌なりあるいは内部通の方々の訴えなどによって出てくるんですね。実際に刑務所で亡くなられたということはリンチの可能性なんかも多々あるんじゃないか、自殺の可能性もあるでしょうし。そういった中において、人権も含めまして、死んでもいいかげんな扱いしか受けない。ここに一つの、病気になってもいいかげんな医療でいいだろうというようなイメージが見てとれるんですが、検視においてもどういうふうに行われているのか、その辺の所見なり実態などをお答えください。

横田政府参考人 お答えいたします。

 受刑者等が行刑施設内で死亡した場合には、監獄法施行規則第百七十七条第一項に基づきまして、施設の長はその死体を検視することとなっております。その際は、死亡場所及びその状況、死体の現状、姿勢及び各部位の状況、着衣、携帯品等の状況、死亡の推定年月日時、それから死因、その他必要な事項を調査することとしております。

 また、自殺またはその疑いがある場合、犯罪による死亡またはその疑いがある場合、それから、自殺または犯罪による死亡の疑いがあるとまでは言えないが、自然死または事故死であると断定できない場合には、同条第三項の規定によりまして、検察官及び警察署に通報し検視を受けることとしておりまして、鋭意死亡原因の究明に努めております。

 それから、死亡事実につきましては、これは一時、いわゆる名古屋刑務所の事案をきっかけといたしまして矯正医療というものがさまざまな観点から検証されましたが、その中におきまして、死亡事案は全件公表するというシステム、矯正当局といたしましてこれを現在実行しているところでございます。

樽井委員 刑務所の医療、あるいは、最近、死因究明プロジェクトというのも私やっているんですが、検視官の方もかなり不足しているということで、こういった医師、検視官、この辺の充実にももうちょっと尽力していただきたい、こういうふうなことは強く訴えておきます。

 病気になっていろいろな苦しい目に遭いながらじっとしている受刑者というのは、幾らかつて罪があったとはいえ、やはりきちんと治してあげないといけない、そういったことを配慮していかなければ不服だらけの刑務所の実態というのがずっと続くと思いますので、その辺にも力を入れていただきたい、そういうふうに訴えます。

 それで、さっき、精神的な障害が普通の人よりも多いというのがありましたけれども、言葉による暴力が実際ひどいんじゃないかという報告があります。

 またまたこれは山本譲司さんの実体験で、私は本人から聞いたんですけれども、放送禁止で実際には言えないような言葉を使って相手を呼びつけるとか、その人の顔であるとかあだ名であるとか最も嫌っている言葉で、ばかにした口調で相手をどんどん攻撃していくということがあるというふうに聞いております。新人の議員なんかでも、先生先生と言われているうちに、だんだん偉そうになってくるような議員いますね。それと同じように、逆にずっとばかにされていたりしたら、だんだん卑屈になっていって心もすさんでくるんじゃないか、そういうふうに思います。

 刑期が終了したときには、当たり前ですけれども、最初よりは少しでも精神が向上しているのが本意だと私は思いますので、刑務官に対して、もうちょっと受刑者などの人権に関する理解を深めるために必要な研修及び啓発を行う必要があると思います。特に言葉遣い、そういったことに対してもどういった取り組みとか配慮をしているのか、また、今後、改善するためにされていくつもりなのか、その辺についてお伺いいたします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 突き詰めれば、やはりこれはいわゆる人権意識の向上に関する研修等ということであろうかと思います。刑務官に対しましては、これまで矯正研修所等におきまして、被収容者の人権尊重を図る観点から、被収容者の権利保障、国際準則等に係る研修など各種の人権研修を実施してきたところでございます。

 このような研修に加えまして、平成十六年度からは、行刑改革会議の提言等を踏まえ、相手の立場に立って考え、対話により相手を説得するなど冷静な対応ができる能力を習得させるとの観点から、民間プログラムによる人権研修を新たに導入し、実務に即した行動科学的な技法を取り入れた研修に取り組んでいるところでございます。さらに、平成十六年度において、刑務官が被収容者の立場に立って感じ、考える機会を与えるとの観点から、行刑施設内で日々起こるさまざまな事象をもとにしたロールプレーイングや事例研究を行う研修教材を配付いたしまして、各行刑施設において、この教材を活用しながらロールプレーイングを行うなどの自庁研修を実施し、効果的な研修の推進に努めているところでございます。

 今後とも、職員に対する研修に創意と工夫を凝らし、人権啓発に根気強い努力を続け、職員の人権意識の改革に努めてまいりたいと考えております。

樽井委員 その辺は、ロールプレーイングなどで確かに効果があると思います。例えば一回、受刑者として、その方は今研修生だというのを全く教えずにどこかの刑務所に入れてみるとか、それぐらいのことをした方が、もっと実際的に、うわっ、本当にこんなことをされたとか、あるいは、こういうことをされるときついよなとか嫌だな、また、こういうことをされたらうれしかったとか更生しようと思うだろうな、そういうことも実体験できると思います。

 それは行き過ぎとしても、それぐらいの取り組みをやってもいいんじゃないか。特に、法律を変える部分では、そういった取り組みもして、そういったところからも意見をとりながらやるぐらいの試みがあってもいいんじゃないか、そういうふうに思います。

 もう少し真剣に取り組まなければ、実態としてそういった問題があるというのは受刑者の経験された方からはどんどん言われる話ですから、実際には、そういった教育をしているにもかかわらず、そういったことをやっているということなので、実際の行刑施設の中で体験させるということもまずやっていただきたい、そういうふうに思います。

 それで、私は、大阪刑務所でしたか、岡田代表と一回視察に行ったときに、独房に岡田代表と入ったことがあるんですけれども、本当につるつるの、何の刺激もないところですよ。当然、何か蛇口とかあれば、それをけ飛ばしたりして壊したりとかするということなので、そういうつくりなんでしょう。

 何かの科学雑誌で読んだことがありますけれども、ああいう部屋に閉じ込めて、温度も生ぬるい一定の温度で、音も聞こえない、明かりも明るくなったり暗くなったりもしない、ずっとモノトーンにといいますか何にも変わらない状態でいますと、脳がぼけてくるといいますか、脳が刺激を求めて何かいらいらしてきて、手とかをちょっと切ったりしますと、痛いから脳に刺激が行くんですね。ぼけ防止の策として、わざと暴れたりとかするような精神状態になる。それ自体が原因だというふうな論文も読んだことがあります。

 実際に、例えば隔離の期間はどれぐらいが限度であるとか、あるいは保護室へ収容して何日ぐらいしたら人間はこんな状態になるんだというようなことを、生理学とかあるいは心理学、こういった部分の専門家などを交えて、そういったデータをきちんと管理してそういったことをやっているのかどうか、この辺についてお伺いいたします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 今委員がおっしゃっておりますのは、いわゆる保護室のことについてだと思いますが、この保護室の収容の関係につきましては、この法案では、刑事施設の規律及び秩序を維持するためにとる措置は、必要な限度を超えてはならないと規定しております。これは五十条第二項。その上、隔離及び保護室収容については、その必要がなくなったときは、直ちに中止しなければならない、不必要な隔離や保護室収容がなされることがないよう法律上十分な配慮をしているということでございます。

 この保護室収容が受刑者の心身に影響を及ぼすおそれがあるということもまた考えられるところでございますので、法案では、保護室に収容した場合、またはその収容の期間を更新した場合には、速やかに受刑者の健康状態について職員である医師の意見を聞くこととしております。これによって、必要に応じて医療上の措置が講じられることになります。

 そういった観点で、委員がおっしゃるような弊害のないように手だてをしているということでございます。

樽井委員 実際に弊害があるないというのをきちんと生理学上あるいは心理学上、いろいろな面でデータをとるなりしてきちんと施行しなければ、これは全国どこの刑務所でもそういうことをやりますので、その辺はもう少し、こんなものかなとか、あるいは、お医者さんがいたらもうそろそろ危ないと思うよとか、そんなレベルの話ではなくて、こういう状態ではこれぐらいが限度だとか、これ以上やったら逆効果で、逆に精神的には人格を崩壊して参ってしまうぞとか、そういったことも一度きちんとデータとして調べてやっていただきたいと思うのですが、その辺の取り組みというのはやっているんでしょうか、やるようなこともあるんでしょうか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 今委員がおっしゃったような、例えば保護室にだれかを入れて、言ってみれば、言葉が適当かどうかわかりませんけれども、実験的にやって、そして各種のデータをとるというようなことをしたことがあるかどうかにつきまして、私の知る限りにおいては、私はそんなことがあったということは存じておりません。

 ただ、一般的に、やはりこれだけ医学の水準というのも、これはずっと蓄積があるわけですし、上がっているわけですから、さまざまなシチュエーションにおいて人の精神や肉体にどのような影響が生ずるかということにつきましては、これは医学的に説明ができることではないかなというふうに私は思っています。この点につきましては、私自身は勉強不足でございますので、また調べてみたいと思っております。

樽井委員 大きな国全体の行刑施設の改革ですから、そういったことにもきちんとデータに基づいた管理をしていただきたいと思います。また、そのことを強く訴えたいと思います。

 それで、例えばこういう法律というのはかなり、今回理想にある程度近づいてきていると僕もこれを読んでいて認識するんですよ。ただ、例えば、昔ゴルバチョフさんなんていましたけれども、あの方なんかでも、奥さんも全部エリート集団ばかり見てきているから、こういったことができるだろうと理想的なものをぽんと振るんですけれども、実際にはこの中にはディスコでドラッグをやっていたやからみたいなのがいて、言ってみれば知的レベルとかいろいろなことも考えて、例えば何か不服があったら請願できるんですよと言っても、その請願の意味がどういうことかわからないとか、あるいは、訴えるにしても何にしても、字がちゃんと書けるか、文章能力があるかどうかとか、それぐらいのレベルまで、聞くところによると割と障害があったり知的レベルが低い方がいらっしゃるというような話を聞くので、あると思うのですが、その辺についての所見をお伺いしたいんです。

横田政府参考人 受刑者の中に知的障害を有する人、あるいは文字が書けない人などさまざまありますけれども、その人たちがきちんと不服申し立てができるかどうか、その手だてといいますか客観的状況について、このあたりにあるというふうに理解してお答え申し上げます。

 現行法における不服申し立てである情願につきましては、被収容者に対し収容開始時に情願の制度や方法について告知し、その際、情願書をみずから筆記できないときには職員が代書することも告知しておりまして、実際に知的障害者である受刑者や情願書をみずから筆記できない者からも情願の申し立てがなされております。また、情願書を職員が代書する場合には、これは当然のことでございますけれども、代書した職員が代書によって知り得た情願の内容を他に漏らすことを禁ずるなどの措置を講じております。

 法案における不服申し立てにおきましても、現在の情願におけるものと同様、今申し上げましたような同様の措置を講ずることを考えております。

樽井委員 余り時間がありませんので言いますと、絵にかいたもちにならないようにという同僚議員の話もありましたけれども、この制度もそういうところにも気を使っていかないと絵にかいたもちになってしまいますので、そういったところに配慮していただきたいというふうに思います。

 それで、今までは受刑者のことをずっと言ってきたんですけれども、当然刑務官の健康にも配慮しないといけないと私は思うのです。いろいろなところに聞きますと、休みが物すごく少ない。そして、この法律によって、今まで悪態をついていたような刑務官もちょっと控えたりして、いろいろな部分で管理する側の方もストレスがたまってくる。管理する側のストレスがたまれば当然いらいらしていい結果を招かないんじゃないかと思うので、刑務官の健康とかメンタルヘルスの部分に関してはどういった配慮をしているのか、あるいは今後もう少しこういう配慮をする用意があるというようなことがあるのか、その辺についてお伺いいたします。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 初めに、刑務官が大変厳しい状況下にあるということについて、若干の御説明をさせていただきたいと思います。

 行刑施設の収容人員は、平成十年以降、急激な増加が継続しております。特に、受刑者等の既決被収容者にありましては、平成十六年末現在約六万四千九百人、収容率にいたしますと約一一八%ということで、その収容状況は一段と厳しくなっております。

 被収容者数の増加に伴いまして、今委員が御指摘くださいましたように、職員の負担も大変増大しております。平成十五年度におきましては、例えば四週八休制が確保できず、週休日も満足に与えることができていない施設が七十四庁中六十四庁もあるほか、年次休暇の取得日数につきましても年々減少しておりまして、保安業務に従事する職員の平均は、平成十一年度には五・九日だったものが、平成十五年度には三・九日となりまして、国家公務員全体の平均がおよそ十一日程度であるのに比べますと、その負担の重さは顕著なものがあると考えております。

 このような状況のもとで、刑務官のメンタルヘルスにつきましては、常日ごろからそれぞれの職場等における職務研究会や個別相談等の機会を活用いたしまして、可能な限り刑務官の職務上の悩みや相談を上司が聴取するように努めているところでございますが、平成十五年六月に矯正局に窓口を設置いたしました。刑務官が矯正局の参事官に直接相談、提言できる体制を整備いたしましたほか、平成十六年三月からは、こうした窓口を矯正管区等にも拡大したところでございます。こうした窓口に対する相談の件数も相当の件数に上っております。

 一方、人的体制の整備につきましては、関係各方面の御理解を得まして、本年度予算におきまして五百三十四人の増員が認められました。さらに、行刑施設における業務の民間委託につきましても、平成十六年度二百十二人であったところ、本年度、十七年度予算では六百十七人と、約三倍の民間委託数となったところでございます。

 今後とも、窓口に寄せられた相談、提言などを施設運営に反映させるなどし、刑務官の日ごろの悩みなどに適切に対処するとともに、増強された人的体制を活用するなどいたしまして、過剰収容に伴う職員負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。

樽井委員 刑務官の方々も、本当にあの中でずっと作業をする受刑者を管理していたりしたらかなりの精神的なストレスになると思います。休みなんかも、有休を十分とって、家族旅行なんかして十分な保養ができるような、それぐらいの心配りがないと、とてもじゃないけれどもあそこでずっと、受刑者じゃないんですから、刑務官なんですから、どんどん自分たちまですさんでいってしまうようなことになったら困りますので、その辺のストレスなり健康、刑務官こそ健康でないとそれが受刑者に伝わりますので、そういったことに十分配慮していただきたいし、また十分な人員の確保なども当然行っていただきたい、そういうふうに強く訴えておきます。

 それで、この法律が実際に施行されたとして、ゆとり教育みたいに、理想的なんだけれども、実際はやってみたらなかなか困ったものだというようなケースが起こりかねないので、法律施行後大体五年ぐらいを目途として、この法律を施行した状況について検討を加えながら、この結果に基づいてまた十分な措置を講じていくというような体制をとらないといけないと思うのですが、その部分について、ちょっと大臣、所見なり御意見なりお伺いしたいのです。

南野国務大臣 本当に、この法案の運用状況につきましても、その実情を把握していきながら必要に応じて運用の見直しなど措置をしなければいけないということは、先生おっしゃるとおりだというふうに思っております。

 このうち、受刑者に対して行われる改善指導また矯正処遇につきましては、実際に効果を有しているかどうかを厳正に検証するとすれば、刑事施設を出所した者の生活状況等を含めた詳細な追跡調査が必要となるであろうと思います。その者のプライバシー保護等の観点から多少難しい面はありますけれども、釈放時にアンケートを実施して随時に回収できるようなことなどあれば、また、再犯の状況を把握するなど可能な範囲で処遇の効果を検証し、必要に応じて処遇の内容についても検討してまいりたいと思っております。

樽井委員 ありがとうございます。適切なお答えだったと思います。そのように実施して、より充実した制度にしていただきたいと思います。

 実際に、昔、同級生なんかですごい悪いやつというのがいましたよね、高校生、中学校のとき。ああいうやつに、自分が選挙に出る立場になって同級生へちょっとあいさつに行こうかということになって、三十も半ば過ぎぐらいに行くと、結構まともな人になっておるんですね。本当に頭が船みたいなリーゼントにして先生の腹をけ飛ばしていたようなそんなやつが、子供とか連れて結構普通のお父さんになって、仕事はあそこで働いているんだみたいな当たり前の答えが返ってきたり、結構人間というのは、いっときはちょっと悪くなっても、何か機会があったり、あるいは精神的に充実してきたり、目標を見つけたりしたら、更生していく可能性というのは十分あると思っていますので、そういう可能性をこの行刑施設の中でぜひ見つけられるような場にするということ、これを目指して理想的な施設をつくっていただきたいと思います。

 本当に、長いこと、朝から質問でお疲れだと思います。桜も満開になりまして、大臣、きょうは桜の色のおきれいな服を着ていらっしゃいます。この後はまた辻切りで地獄絵図に陥るかもしれませんけれども、心のケアを十分とって挑んでいただきたいと思います。

 それでは時間ですので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長三浦正晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 次に、辻惠君。

辻委員 民主党の辻惠でございます。

 刑事施設受刑者処遇法案の最後の質疑者ということでありますので、後半部分で、今後の矯正処遇を本当に前向きにどのようにやっていかれようとしているのかということについて、お互い建設的な論議ができればいいなというふうに思っております。そういう視点で質疑をさせていただきます。

 まず冒頭で、この法案そのものとは直接は関係はしないんですが、本日の朝日新聞の朝刊で、「スリランカの難民申請者収容」という記事が四段記事で出ておりまして、スリランカ出身で、日本で難民認定を申請しているプラバット・ランジタ・ラジャパクサさんが、仮放免の延長の手続に東京入国管理局横浜支局に出頭したところ、延長が認められないで、一緒に出頭した奥さんと長女、長男は仮放免の延長が認められたようでありますが、本人は仮放免が認められず収容されたという記事が出ておりますが、これはどういう理由でこういう収容になったのかについてお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

南野国務大臣 個別の事案でございますので詳細なコメントをすることはまず差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に、退去強制手続は被退去強制者を収容した上で進めるべきことが法律上認められてはおりますが、特に訴訟において当局勝訴の判決がされたような事案につきましては、基本的にはこの原則に沿って手続を進める必要があるものというふうに承知いたしております。

辻委員 退去強制処分の取り消し訴訟を起こしていて、第一審二〇〇四年十月一日、第二審二〇〇五年三月三十日、ともに原告が敗訴したということでありますが、恐らく最高裁に上告されるだろうというふうに思われるんです。これは一般論というベースでお答えいただくしかないのかもしれないけれども、最高裁に係属すれば、やはりこれはしばらく審理に時間がかかる可能性があるわけですから、当然仮放免があってしかるべきだと思いますが、そういう措置を講ずる可能性、余地はあるという理解でいいんでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁ございましたが、退去強制令書の発付を受けた方につきましては、入管法の規定によりまして収容が原則になっておりますし、速やかに送還をするというふうに規定がされているところでございますけれども、収容中に仮放免の申請があったような場合につきましては個々の事情を考慮しているところでございまして、今委員御指摘の訴訟の推移ですとか人道上の観点なども総合的に考慮いたしまして、仮放免を許可するか否かを決することになるというふうに思われます。

辻委員 この方に関しては、ことしの二〇〇五年二月十三日の朝日新聞朝刊でも取り上げられていて、スリランカの反政府運動のメンバーで、バケツで硫酸のような液体をかけられ、やけどが全身の六割に及んだ、そういう状態に置かれた方で、日本に滞在して十一年ということであります。

 難民認定申請の問題は個別の問題ですから、今まで却下されたりしているようではありますが、私は前向きな検討もあってしかるべき事案なのかというふうに思っておりますので、そういう経過なり今後のプロセスの中でぜひとも仮放免の検討というのはされてしかるべきかなというふうに思うということを、きょう申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、法案に関連した質問に移りたいというふうに思います。

 まず、警察留置場規定について少し伺わせていただきたいというふうに思います。

 百四十六条以下にありますが、まず百四十六条を見ると、第一編の規定中四条、七条から十条まで及び十三条の規定は適用しないというふうになっているんですね。七条から十条ということで、今回の改正の目玉の一つである刑事施設視察委員会の規定が適用を排除されているという関係になるんですが、その合理的理由が果たしてあるのかどうなのか疑問に思いますが、この点はいかがでしょう。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 警察留置場におきましては、都道府県警察を管理する機関としまして、それぞれ公安委員会が設置されていますことから、刑事施設視察委員会に関する規定は警察留置場に適用する必要はないと考えております。

 具体的にその理由を申し上げますと、都道府県公安委員会は、都道府県警察に対する管理の実を上げるために、留置場の運営状況を含め、警察業務全般について視察を行っているところでございます。

 また、留置業務に関して申し上げますと、警察留置場の運営や警察本部長の実地監査に関しまして、都道府県公安委員会は、その大綱方針を示して、その結果について報告を求めて必要な指示を行うほか、著しく不適正な業務があれば、これはまた警察法第四十三条の二に基づきます監察の指示権というのがございますが、その指示を行って、指示内容の履行状況を点検することも考えられるわけであります。

 したがいまして、これらを通じまして、都道府県公安委員会は、警察の行います留置業務を適切に管理することができると考えております。

辻委員 去年の六月ですか、この場で、鹿児島県の違法逮捕、取り調べの事案を一般質疑で取り上げさせていただいて質疑をいたしましたけれども、そのとき鹿児島県のこの違法捜査について、福岡の公安委員会にやはり事情を訴える手続をとっていたということを私も報告させていただいたと思うんですね。

 確かに、今おっしゃったように、それについて公安委員会が独立の機関として警察捜査についてのチェックをするという建前になって、一部機能しているのかもしれませんけれども、本来は、やはり受刑者に関する関係でいえば例外的な対象になるわけであって、代用監獄というのは未決が中心なわけでありますから、受刑者の処遇として代用監獄に存在する場合には、刑事施設視察委員会ということが、その権限のもとでチェックが及ぶというふうにした方がやはり望ましいのではないかというふうに私は考えます。恐らく水かけ論になるから、この点は一応指摘させていただくにとどめますけれども、そのことを申し上げておきたい。

 次に、百四十七条の「巡察」ということでありますが、「警察庁長官は、国家公安委員会の定めるところにより、警察留置場に留置されている者の処遇の斉一を図り、この法律の適正な施行を期するため、その指定する職員に警察留置場を巡察させるものとする。」というふうにあります。これを読むと、これは受刑者の処遇に限定されないというふうに読めますが、そのとおりですね。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 この規定は、警察留置場という施設の管理運営にかかわるということでございますので、既決、未決、両方ということでございます。

辻委員 今回の改正案は、基本的に受刑者の処遇に関するものだということが立法事実でも指摘されているわけであって、未決の収容者については改めて、一年後を目途として、別途改正案を作成するという確認のもとに提案されているというふうに考えられると思うんですが、だとすると、「警察留置場に留置されている者の処遇の斉一を図り、」というのは、未決の人がかなりのパーセントを占める代用監獄の被収容者について斉一を図るという目的を盛り込んだ規定がこの百四十七条「巡察」というふうになっておりますけれども、これに関して、受刑者の代用監獄で留置されている割合というのはどれぐらいなんですか。これは、統計の数字があれば教えていただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 受刑者が留置されているという場合のケースとしましては、一番多いのは刑が確定したときというところでございます。それ以外に幾つかございますが、全体を合わせまして、全被留置者というものの中で、人日数でございますが、〇・一二%ということでございます。

辻委員 一年間の代用監獄の被収容者の延べ人日数は約五百万、受刑者の代用監獄に収容されている延べ人日数は六千人、だから〇・一二%だ、こういうお答えでしょう。

 そうすると、今回のこの改正案は受刑者の処遇ということで提案がされているわけだから、〇・一二%の受刑者の処遇がなされる代用監獄についての関連規定として今回規定を盛り込むとすれば、残りの九九・八八%の処遇をどうするかという議論は一年後にやろうという理解になっているわけなんだから、そこで警察署に留置されている者の処遇の斉一はどう図るべきなのかというような議論がもっと積み重ねられ、なされた上で未決の収容者に対する対応ということは持ち出されてしかるべきなんだから、この警察庁長官の巡察規定を、要するに代用監獄全般の処遇ということでこの時点でここに挿入するというのは時期尚早である、まさにフライングであるというふうに私は思いますが、いかがですか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 この新法では、法務大臣は、この法律の適正な施行を期するために、各刑事施設につきまして実地監査を行わせるという規定が入っておるわけであります。この刑事施設には、受刑者のみならず、未決拘禁者も相当数収容されておりますが、実地監査の対象としての施設に関しては、受刑者と未決拘禁者とを分けることができないため、刑事施設を実地監査の対象としたものであるわけであります。同様に、警察庁長官による巡察は、先ほど委員御指摘のように、警察留置場に留置されている者の処遇の斉一を図るということを目的としております。これは、巡察の対象は御案内のとおり警察留置場でありますが、先ほど申しました刑事施設と同様に、受刑者と未決拘禁者とを分けることができないということで、こういう規定になっております。

 そして、警察庁長官の巡察を設ける理由というのは、これは受刑者の処遇者にとってもそうなんですが、全国的見地からやはり処遇の斉一を図る、これを警察庁がチェックする、こういうことが必要ではないかということでありまして、現状を何ら変更するものではございませんし、また、今後行われる代用監獄制度に関する議論に対して影響を及ぼすものではないと我々は考えております。

辻委員 〇・一二%の受刑者が代用監獄に留置されているという場面を想定したときに、今おっしゃったように、刑が確定した後、検察官から移監の通知が出て刑務所に収容されるまでの間の一カ月以内の範囲内で待機しているという受刑者が一つの類型ですよね。もう一つは、現に刑務所で受刑中の受刑者なんだけれども、余罪が発覚して逮捕、勾留をして取り調べをするというときに、刑務所内で逮捕、勾留を執行するのではなくて、代用監獄に移してそこで取り調べを行う、これがもう一つの類型として想定される受刑者が代用監獄にいる場面だろうというふうに思うんです。それが、数字でいえば全国で代用監獄の被収容者の中の〇・一二%であると。

 前者の分については、これは本来速やかに移監指揮を検察官がすべきであって、刑務所の方が過収容状態じゃなくて受け入れが十分であれば、刑が確定すれば一日か二日後にそれは移監指揮をして配属すればいいわけであって、そこをきちっとやることがまず先決である。そこで一、二日漏れた場合に、確かに、受刑者として、要するに未決と処遇がまさに混合するような形になって、本来の受刑者に対する矯正処遇が実効性を持たない、そういう例外的な場合が生じるわけだけれども、それはできるだけ早期に刑務所に移監してなくすというのが本来のあるべき姿だと私は思う。

 受刑者の受刑中に別件で逮捕、勾留という場合には、〇・一二%のうちの何割かわからないですけれども、これもまた例外中の例外なわけだから、それは捜査機関の側が刑務所に行って取り調べをやればいい問題であって、本来、例外中の例外としている、別の、本来あるべきところで解決されればいい問題を、そこを解決するということを正面に立てないで、そこは具体的な措置を講じないで、結果として現時点で〇・一二%残っているから、そこをどうするんだということで議論をするというのは、やはりこれは本末転倒なんだろうと私は思うんですよ。

 その本末転倒の議論のところに、未決の処遇についてはさらに今後協議をする、法曹三者を含めて一年間かけて協議をするという処遇の斉一の問題をあえてここに持ち込んで、巡察規定を入れるというのは、ある意味では、今後の議論の先取り的な、既成事実づくりというふうにも理解できなくはないと私は思うんですよ。だから、ここは本当に、今回、この法案はもう通ることになると思うんですけれども、見直し規定で、しっかり削除の方向で見直すべき問題だろうと私は思うということを申し上げておきたいと思います。

 次に、百四十八条に関連してですが、これは読みかえの規定で非常にわかりにくいんですが、結局、矯正処遇は行えないから行わないということ、また、懲罰制度についても適用はしない、あと、保健衛生の規定についても適用はしないということが主な内容に読めますけれども、そういう理解でいいんでしょうか。

安藤政府参考人 そのとおりでございます。

辻委員 だから、まさに例外中の例外、受刑者の代用監獄への収容は例外中の例外だから、こういう規定ぶりでとりあえずされていることだろうというふうに思うんですね。つまり、受刑者というのはやはり矯正処遇の対象なんだから、矯正処遇をすべきなのに、代用監獄の留置中は矯正処遇をしないということを言っているわけだから、例外中の例外だということを自認していることになるわけですよ。だから、例外中の例外の、全代用監獄の被収容者の中の〇・一二%を取り上げて巡察とかいうのは、やはりこれは本末転倒だろう、ちょっと繰り返しになって申しわけないけれども。

 それの関連で、次の百四十九条に防声具の使用というのがある。これも、確かに刑務所とは違って、代用監獄だから、大声を発する受刑者が出た場合に放置できないということで、例外中の例外だけれども、やはり対処する規定を設けておかなきゃいけないから、防声具の使用というふうなことでこの百四十九条の規定になっていると思うんです。

 これについては、去年の二〇〇四年四月二十一日に和歌山東警察で、防声具の使用によって死亡したという事故が新聞報道で出ていると思うんですけれども、そういうことにもかんがみれば、防声具の使用は本来代用監獄ではやはり禁止されるべきであろうし、かつ、受刑者にそれを適用するような規定をわざわざ今回百四十九条で設けるという立法事実、合理性はないんじゃないかと思いますが、いかがですか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 和歌山の事案につきましては、これは昨年四月でございますが、戒具を使用した被留置者が病院に搬送され死亡が確認されたということで、これにつきましては、戒具の使用に当たりまして、防声効果を高めるために防声具を二重に使用したという上に、さらに、その防声具の使用の上に、被留置者に布団をかけた、こういうことによって呼吸が困難となり死亡するに至ったものでございます。

 これにつきましては、原因につきましていろいろ調査結果を出しておるわけですが、ただ、防声具がどのように死亡の原因となったかについては必ずしも明らかではございません。しかしながら、やはり警察としては、防声具等の戒具を不適正に使用したという点と、動静監視が徹底されていなかったことが原因であるということで、関係警察官の処分を行って、今再発防止を行っているんですが、その関連で、それ以降、防声具の使用を一時停止しているということでございます。

 ただ、この防声具につきましては、現場で使用を停止という状況の中で、一線からやはりどうしても、そんなに多くございませんけれども、現場では被留置者が大声を上げて騒いで、これがまた他の被留置者の迷惑となるなど、場内の平穏や秩序を乱す事案が発生しておりまして、現場からは再開の求めが強いということでございます。

 加えて、これは行刑施設と違いまして、警察の留置場の場合はまだまだ保安室の整備が十分ではないということでございますので、現在、なるべく早く、防声具の新しい、より安全なものを鋭意開発しておりまして、それを開発し次第、また使用したいというふうに思っているわけであります。

 それで、今委員の御指摘のように、受刑者に対してということでありますが、先ほど来御指摘がある点につきましては、やはり本法案は、代用監獄制度や未決拘禁者の処遇等については今後引き続き法務省、警察庁、日弁連で協議を継続する、こういうこととしたため、当面、受刑者も一定の範囲で代用監獄に収容することができるとされております現在の代用収容規定、現行の監獄法一条三項をそのまま残したわけでありますが、その結果として、こういう規定を置いて、やはりそういう根拠を明確にしていきたいということでありますので、それ以上のものではございません。

辻委員 では、ちょっと戒具の使用に関連して、二〇〇五年三月二十五日、埼玉県深谷警察で、鎮静衣を使用したということでタイ人の男性が死亡したという報道記事がありますが、これは原因が既に解明されているんですか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 本件は、三月二十五日朝、埼玉県深谷警察署に勾留中の男性の様子がおかしかったため、救急車により病院に搬送しましたが、収容先の病院で死亡が確認されたという報告を受けております。

 この被留置者は、室内で大声を上げ、壁や金網に体をぶつけるなどの自傷行為を行っていたことから、一時鎮静衣などを使用していたというものであるわけでありますが、死因につきましては、今、解剖を実施しまして解明中ということでありますので、詳細につきましてはこれ以上お答えできません。

 なお、このケースでは、鎮静衣を取り外した後、しばらくしてから様子がおかしくなったとのことでありまして、現段階で報告を受けた限りにおいては、現場の警察官の鎮静衣の使用に問題はなかったものと判断しております。

辻委員 戒具の使用状況で、例えば昨年、全国で五百八件が報告されているようでありますが、被収容者の生命身体に対して、通常の生活状態ではないわけですから、余計体調が変調を来すということもあるわけですから、やはりそこはもっと適正に慎重に運用されるべきだということを申し上げておきたいし、とりわけ防声具については、原因が究明されるまではまだ使用を中断するということをされているわけだから、現時点でもまだ最終的な死因の解明なり原因の解明ができていないから中断されているわけでしょう。ですから、その辺の防声具の問題については、未決者に対する使用の問題としても、やはりもっと議論を深めていかなきゃいけないなというふうに申し上げておきたい。

 とりわけ受刑者については、さっき申し上げたように、二つの類型が、受刑者が代用監獄にいる場面があって、一つは、刑が確定した後、刑務所への移監がおくれているわけだから、これは確定したらすぐ送るというふうにすればいなくなるわけですよね。あとは、受刑中に別件で逮捕、勾留される場合は、逮捕、勾留の執行は刑務所でやって、捜査機関はそちらに取り調べに行けばいいわけだから、そうすれば、代用監獄における受刑者というのはなくなるわけだから、なくなるような方に努力をすることがまず先決であって、そこを努力することを言わないで、残った場合に防声具をどうするか、巡察をどうするかというのは本末転倒だということをやはり強く申し上げておきたいというふうに思います。

 ちょうど三十分たちましたから、残りの三十分で処遇の問題について前向きの議論をさせていただきたい、こういうふうに思います。

 まず、これは、美祢のPFI刑務所の関係で、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案というのが内閣委員会にかかっていて、そこで民間への事務委託への基本的考え方ということが論じられている。それを見ますと、権力性が強く委託になじまない事務と、権力性が弱く法律の根拠等を設けることにより委託可能な事務と、契約により委託可能な事務。つまり、自動車の運転とか窓口受付とかは委託可能な事務だ。戒具の使用とか武器の使用とか身体の検査は、権力性が強く委託になじまない事務だ。ちょうど真ん中に、中間に、権力性が弱く法律の根拠等を設けることにより委託可能な事務ということで幾つかが書いてあって、分類調査ということがあるんですね。

 気になるのは、分類調査というのは、矯正処遇を本当に的確にきちっと実効性のあるものとしてやっていくための前提として分類調査の作業をやるべきであって、民間へそれを委託するということではなくて、やはり矯正当局の側で、専門家も含めて、本当にいろいろなプログラムの作成も含めて、実効性ある処遇のために努力をしようというのが今回の法案の趣旨なわけだから、分類調査を民間に委託するというのは、文字どおり全部丸投げの委託ではないというふうに思いますけれども、非常に限定的に考えるべき問題だろうと私は思いますが、この点はいかがでしょう。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 本国会に提出いたしました構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に、「監獄法等の特例」として、行刑施設の事務のうち、施設の警備や職業訓練といった民間事業者に委託可能なものを委託できることとする規定を盛り込んでいまして、今委員御指摘のとおり、分類調査の実施もその対象としております。もっとも、これは、心理テストや面接等の実施事務に限って臨床心理士等の民間の専門家に委託できることとするものでございまして、その結果を踏まえ、分類級の決定や処遇指針の決定などは、これまでどおり行刑施設の長または職員が行うこととしております。

 このように、権限行使は行刑施設の長または職員が行い、その準備行為または事実行為について、法律に委託の根拠規定を設けるとともに、守秘義務、みなし公務員規定、監督規定など、事務を円滑かつ適正に実施するための担保措置を講じることにより、民間委託が可能であるというふうに考えております。

 以上でございます。

辻委員 だから、分類処遇の前提となる検査の、それこそ矯正的な判断を必要としない作業について民間に委託することがあり得る、こういう御趣旨ということだと思います。

 これは行刑改革会議の提言の中でも、たしか分類あって処遇なしという批判が加えられているということが引用されていますけれども、それなりに精緻に分類をしても、その分類がその処遇の中で、いろいろなプログラムの中で生かされていくということがないと、こういう批判にこたえたことにならないわけであって、そういう意味では、専門家の関与ということを矯正処遇の原則の中でうたっておられるわけだから、例えば心理技官とか、要するに分類処遇の間に働くというのではなくて、むしろやはり処遇の方にも組み込んで関与してもらうというようなことを検討すべきだと思いますが、そういう点はいかがですか。

横田政府参考人 おっしゃるとおり、現在も、例えば少年鑑別所に勤務するような心理の専門家も、また行刑施設におけるカウンセリングなどに、応援といいますか、やってもらったりとかということがございますし、こういった心理専門家の矯正処遇の場における必要性、重要性ということにつきまして、私どもも十分認識しております。

 今回の平成十七年度の予算措置におきましても、そのような方の増員あるいは民間委託の予算措置がとられているところでございます。

辻委員 矯正処遇の原則で六十一条の五項に、「必要に応じ、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識及び技術を活用して行う」ということなんですが、心理技官の方が、分類処遇だけじゃなくて、やはり処遇面でも関与する役割はあるだろうというふうに思いますが、それ以外に、ここに規定されている専門的知識及び技術を活用するような方の関与のあり方というのは、具体的に何か準備しているもの、想定しているものがありますか。

横田政府参考人 この規定は、いろいろな場面が考えられると思っています。現在、私ども、これはいろいろな機会に再三申し上げているところでございますけれども、特に性犯罪の問題が大きく社会問題ともなりまして、その性犯罪の再犯防止のためのさまざまな処遇プログラム、専門的、技術的、科学的な、統一的なプログラムを今つくろうということで、そういった中で、こういう医学であるとか心理学とか、そういった専門家の方々の御意見を聞いたそういう研究会を立ち上げてこれから具体的にやっていこうということがありますが、それは一つの例でございまして、今、これからまた具体的にこの法案ができた後に、この法律の趣旨を生かす形でさまざまな処遇というものを考えているわけですけれども、そういった中で、まさにこの六十一条の五項に定めた専門家の知識、技術、経験の活用ということについて、いろいろな場面で生かしていくことを前提に前向きの姿勢で検討してまいろうというふうにも考えております。

辻委員 精神障害にとらわれている方の割合もふえつつあるというような話ですから、そういう意味でのお医者さんのかかわりということももっと強化、増員していかなければいけないだろうし、福祉関係の方々の関与ということも、ある意味ではこれは作業とかいうふうにかかわってきてということになるかもしれませんけれども、そういう福祉関係の専門家の方にもやはり関与してもらう必要があるんじゃないかというふうに思います。ですから、その辺はもっと、いろいろ各界からの意見も集めていただいて、充実した具体的なプログラムを早急にやはり練り上げていっていただきたいなということを申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、幾つかちょっと伺いたいんです。

 隔離の点なんですが、やはり隔離を継続する必要があるというか場面もあるんだということなんですけれども、改善更生、社会復帰ということを考えたときに、これは昼夜独居はやはりまずいだろうと私なんかは思いますし、何かのときに隔離をするとしても長期についてはできるだけ限定すべきだろうというふうに思いますし、また、隔離の理由ということについて、やはり合理性、相当性がないといけないし、本人に対する通知のあり方についてもいろいろな配慮も必要かと思います。

 やはり、何で隔離されているのかということを伝えることが、隔離されないように自分を律しようということを、つまり、そこで社会性を達観するというようなことにもつながっていくんだろうというふうに思いますから、その辺の受刑者に対する告知の仕方等について、何か工夫があれば教えていただきたいと思います。

横田政府参考人 お答えいたします。

 この法案五十三条における隔離が合理性、相当性のあるものでなければならない、これは委員のおっしゃるとおりでございます。

 この五十三条に規定する隔離の対象者は、法文にも書いてございますように、処遇困難者や処遇上特別な配慮を要する受刑者が想定されるところでございます。理由を告知いたしますことでかえって職員と当該受刑者との関係を損なう場合も考えられることから、一律に理由を告知することは適当ではないというふうに思います。ただ、当該受刑者の性格傾向、それから隔離を要する理由等の個々の事情によっては、本人に理由を説明することが処遇上有効な場合も考えられますので、個々の場合に即し適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

辻委員 社会復帰ということを容易にするために外部通勤作業とか外出、外泊を認めていく、これについて、仮釈放の期限が来てからというようなことと絶対的な整合性はないというふうに私は思います。できるだけ早く、可能な場合にはそういう社会復帰に向けた措置というのは前倒しで進められてしかるべきなのだろうというふうに思うし、今は仮釈放が可能になってからというふうにされている規定についてはいずれ見直していただきたいというふうに私は強く思います。

 その外部通勤作業とか外出、外泊の対象の選定について、余り限定的に、例外的にするのではなくて、できるだけ前向きに広くやることが、やはりこの制度を今回規定している趣旨に沿うと思いますけれども、この点の御見解はいかがでしょう。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

横田政府参考人 お答えいたします。

 外部通勤作業等は、受刑者に自律心と責任感に基づく自主的行動規制を行わせることにより、円滑な社会復帰を図る制度でございます。刑事施設内における作業につくことによっては取得できない技能などを取得させたり、一般社会の中で正しい人間関係を築く方法を学ばせる効果もあり、また、外出、外泊は、家族関係の維持、修復を図り、釈放後の生活のための準備をすることなどができる点におきましても、受刑者の円滑な社会復帰に有効な処遇方法であると考えております。

 もとより、外部通勤作業等は実質的に受刑者の拘束を部分的に解除するものでございますから、その対象者は開放的施設において処遇を受けているなど自律的な行動が期待できる受刑者に限定する必要がありますが、ただいま申し上げたようなこの制度の意義を踏まえますと、外部通勤作業等による処遇が必要であり、かつ、諸般の事情にも照らして相当であるときは基本的には外部通勤作業等を許すべきであり、このような観点から適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

辻委員 次に、懲罰手続に関連して伺います。

 警察の業務についても、八〇年代に留置管理業務と一般刑事業務とは分けて、要するに収容者の起居動静については取り調べ手続とは区別されるということが、一歩前進したというふうにやはり私なんかは思います。

 懲罰手続において弁護士等の第三者が補佐人で関与する余地を開くべきではないかということについて、現状では難しいというお答えのようですが、だとすれば、やはり刑務所の職員の中でその辺の役割を分けるとかいうような工夫もあってしかるべきかなと思いますが、その辺は何かそういう方向でお考えになるようなことがありますか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 反則行為をした受刑者の正当な権利利益を擁護するという補佐人の役割を適切に果たすためには、刑事施設の実情を理解した上で受刑者と面接するなどして事情を的確に把握できる者を選定する必要がある一方、受刑者の取り調べや処遇等を行う職員とは一線を画する必要があるところ、このような必要性を充足しつつ適切に懲罰手続を行うために、補佐人には、刑事施設秩序の維持に当たる職務を担う保安担当部門の職員以外の者の中から選任した者を充てる等の工夫をし、さらにその職務能力を向上させるための研修等についても検討してまいりたいと考えております。

辻委員 それはぜひ検討して、実現していただきたい、こういうふうに思います。

 それから、弁護士の面会について、これは一般人との面会、家族との面会についても、やはりヨーロッパとか、私は刑務所を訪問したことがないからわからないですけれども、映画とかを見ていると、ずらっと横に並んで本人と家族が会話をして、立会人はプライバシーの問題もあるから余り中身は聞かないような、そういう配慮をしているところが多いように思うんですよね。ですから、立会人ということについては、やはり規律維持の発想がなお色濃く残った措置ではないかというふうに思うし、その辺はどんどん外していくような方向で考えるべきだと私は思うんです。

 当面、少なくとも弁護士の面会については原則として立ち会いはなしにすべきだというふうに思いますが、そういう方向で運用するということでお約束いただけませんか。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 受刑者の面会につきましては、刑事施設の規律及び秩序の維持、矯正処遇の適切な実施その他の理由から、職員による立ち会い等をする必要がある場合がありまして、法案では、このような必要があると認める場合には職員による立ち会い等をすることができることとしております。

 他方、法案は、受刑者が自己が受けた処遇について救済等を求めるため弁護士等と面会する場合には、立ち会い等をする必要があっても原則として立ち会い等をすることができないこととしておるところでございます。これは、このような場合には、受刑者が面会において、一方当事者である刑事施設の職員に知られることなく、弁護士等に対して救済等を求めるための相談ができるようにすべきであるということに配慮したものでございます。

 これに対して、例えば、離婚手続や貸し金の返還請求訴訟の相談のために弁護士と面会するような場合には、刑事施設の職員に知られないようにすべき要請は必ずしも大きくないことから、そのような場合にまで立ち会い等をする必要があるときであっても立ち会いなどをしてはならないとすることは適当ではないと考えております。

 もとより、受刑者と弁護士との面会につきましては、面会の相手方が弁護士であること及び面会の要件を十分に踏まえて立ち会い等の必要性を判断することになります。

 以上です。

辻委員 本当に、原則として立ち会いがなしという方向で運用を積み重ねていっていただきたい。それは弁護士の側もやはりちゃんとわきまえることが一方で必要だということを前提にしてですが、そういうことで運用を積み重ねていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それで、この行刑改革会議の提言で、やはり悪いことをしたから、それの処遇を充実させることに金をかけるというのは国民感情にはなじまないんだというような意見がある、しかし、そうではないんだ、きちっと金はかける、処遇もきちっとやる、充実をさせることが、ひいては社会復帰で再犯者を減らすという意味において国民全体の大きな利益になるんだという原理原則をきちっと言っているということを、やはり私は本当にちゃんと評価すべきだと。これは、法務委員である限り全員がちゃんと評価すべきだと私はまず思いますよ。

 その上で、受刑者が改善更生、社会復帰ができるようにするために何が必要なのか。希望を持てることが必要だと。理由はともかく、原因もいろいろ、ケース・バイ・ケースでしょうが、自分は一たん刑務所に入って受刑をすることになった、しかし、次はもう入らないようにしよう、社会復帰をしよう、きちっと生きていこうということが信じられる、希望を持てるような状況をつくり出すことがやはり一番重要なんじゃないかなというふうに思うんですよね。

 だから、私は、刑法の重罰化を一般的にするのは間違いだというふうに申し上げたのでありますが、そのときに、例えば三十、四十で外に出て、では社会復帰できるかというと、一般の三十、四十代の方も再就職が今難しいような状況の中で、しかも、これは今まで質問の中で出ていると思いますが、作業報奨金がやはり低い、更生資金として十分プールすることになっていないという現状があるわけですね。一カ月で四千五百円から一万七千円しか作業賞与金がもらえないというのは、やはりこれは私は改善すべきだというふうに思いますし、いろいろな理由があると思うけれども、それは改善の方向で考えていただきたいということを申し上げた上で、しかし、社会復帰して正業につくことが、やはりなりわいを持つことができないと希望を持って生きられないということになると思うんですね。そういう意味で、施設内での作業というか職業訓練ということが非常に重要性を持ってくる。

 この間、千葉刑務所に視察に行ったときに、大きなみこしをつくっておられて、本当に精緻な木彫りで、それで所長が言うには、二十年間受刑しているから、だから熟練するんですと。だけれども、その人はその先に復帰できないんですよ。無期刑の人だと多分思うし、今、無期刑の人を仮釈で出さないじゃないですか。だから、何を言っているのかなと私は思いましたけれども。

 つまり、やはり社会復帰してつぶしのきく職業訓練をきちっと、これは難しいと思いますよ、一般でも難しいんだから、刑務所の中でそれをやるというのはなかなか難しいと思うんですけれども、その辺でいろいろやはり工夫を講じておられるというふうに思うので、その辺についての何か前向きな意見があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。いかがでしょう。

横田政府参考人 行刑施設における職業訓練の必要性、有用性につきましては、ただいま委員がおっしゃったとおりであるというふうに思っております。

 平成十五年度におきましては、三十一の施設におきまして、情報処理科、理容科、就職支援コース科等、二十一種目の職業訓練を延べ千六百八十四名の受刑者が受講しております。

 職業訓練を実施するに当たりましては、社会のニーズに即し、社会復帰につながるような訓練種目を設定することが必要と考えておりまして、社会需要を調査するなど、適宜、訓練種目の見直しに努めておりますところ、本年度は、ホームヘルパー科職業訓練を、既に実施している女子刑務所に加え、男子の刑務所におきましても開設する予定としているほか、点字翻訳科職業訓練を新たに開設するなど、今後とも、社会情勢の動向を踏まえ、受刑者の希望等にも配慮しつつ、円滑な社会復帰につながるような職業訓練の充実拡大に努めてまいりたいと考えております。

辻委員 結局、私は大阪を選挙区としていて、地元は西成区があるから、ホームレス問題というのは非常に大きな問題で、これはホームレス支援法というのができて三年ぐらいになるんですけれども、国の側は、就労支援というのは第二失対事業をつくることになるからやらない、本来二次的な責任であって、一次的にはやはり地方自治体がやるべきなんだということを言っている。

 だけれども、例えば大阪でいうと、七割、八割は、ほかの地方から来た人が、大阪の西成に行けば食えるよということで、みんな大阪に何か旅費だけ渡して送っているとかいうようなことも報告をされているわけですよ。だから、これはある意味で社会的貧困の問題であるから、国の施策として問題にしなきゃいけないという問題だと思うんです。

 何を申し上げているかというと、結局、就労の機会をつくるというのは外にいるホームレスの人たちに対しても難しい。受刑者が外に出るに当たって、ある意味で就労支援を、これは矯正当局の手だけでは難しいと思うんだけれども、だから、それは社会政策的な観点とか労働政策的な観点とか、いろいろな観点の中で、今おっしゃった介護の問題とか、ホームヘルパーの問題とか、点字の翻訳の問題というのを職業訓練でつくっていこうというのは、これは新たな試みだからぜひもっと充実してやっていただきたいと思うんですけれども、今申し上げた矯正当局だけではなし得ない問題があるわけだから、その辺について、職業訓練のあり方について第三者委員会みたいな、こちらからも現状を報告して意見をもらったり、矯正当局からも要望して、ある意味では政治の責任なわけだから、もっと政治の方で頑張れというふうに委員会から言わせるとか、やはりそういうようなシステムがあればいいのかなというふうに私は思ったりするんですけれども、その点、いかがでしょうか。

滝副大臣 委員の御指摘は大変示唆に富む話だと思います。

 私も、もう一月以上前になりますか、副大臣会議でこの出所者の職探しについて話をしましたら、国土交通省の副大臣の方からそれなりの反応がございました。

 今、矯正局で、どういう格好で具体的なシナリオをつくるのか、そういうような検討もしてもらっていますので、やはりこれは各省で、関係のところでできるだけ知恵をかりないといけない問題だというふうに考えておりますので、そのような観点からやってまいりたいと思っております。

辻委員 あと、具体的な処遇プログラムに関して、やはり薬物中毒からどうやって脱していくのかとか、暴力団のくびきからどうやって脱していくのかとかいうことについてカリキュラムとかいうのが組まれていて、一回二時間で、三カ月で九回とか、ちょっといろいろケースがあると思うんですけれども、だから、そうやって講義を受けただけで、そう簡単ではないなというふうに思うし、それはそれとして一つの試みとしていいと思うんですけれども、もっといろいろな創意工夫があっていい。

 例えばアル中から脱するときに、いろいろ仲間同士が集まって集団で何かやろうというような、そういう場面を提供するとかいうことも病院の中で試みられたりしているように思うんですけれども、そういう意味で、薬物中毒や暴力団やその他の処遇のいろいろな類型別の中で、悪い要素から身を引き離すことができるための、自律的に引き離すことができるためのプログラムをつくっていくに当たって、何か創意工夫、こういうことはどうだろうというふうに考えておられるような点があれば、ぜひ御披露いただきたいと思います。

横田政府参考人 お答えいたします。

 矯正処遇等により受刑者の改善更生の意欲を喚起し、社会生活に適応する能力を育成するという効果を十分に上げるためには、受刑者自身が犯罪の責任を自覚し、自発的な意思に基づいて矯正処遇プログラムを受けることが必要であり、処遇プログラム内容といたしましても、受刑者みずからがその立ち直りにつき考えるものであるとすることが肝要であると認識しております。

 このような観点から、受刑者に対する教育を一層充実させるため、既に矯正局におきましては、昨年、薬物事犯受刑者に対する教育処遇や被害者の視点を取り入れた教育について有識者の方々とともに研究会を開催し、現在標準的なプログラムの作成に向けて取り組んでいるほか、性犯罪の再犯防止プログラムにつきましても、精神医学、心理学等の専門家の協力を得てプログラムを策定する予定としているところでございます。

 この具体的内容といたしまして、例えば薬物事犯者向けのプログラムでは、これまで主として実施されてきた講義形式による教育に加えて、受刑者が自分の薬物乱用の経験や影響等について自主的に話し合うことを通じて、薬物依存から離脱する困難さを理解すると同時に、今後、薬物に手を出さずに生活していくための具体的な方法を考えていくグループワークを充実させることや、ダルクなどの民間自助団体の協力を得て、薬物依存からの離脱に成功された方々と交流させ、また、釈放後にダルク等が実施するプログラムへの参加を動機づけることなど、どのようにしたら立ち直れるか、受刑者自身が考え、釈放後の具体的な行動に結びつかれるような内容を予定しております。

 今回の法案は、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図るための処遇を充実させることを重要な目的の一つとしているところでございまして、今後とも、このようなプログラムを拡充し、受刑者に対する指導を充実させてまいりたいと考えております。

辻委員 カリキュラムを組んで講師が何か言うということだけであっては、やはりあくまでも受け身なんですよね。だから、自分の側で主体的にかかわっていく、自分の中で自発性が涵養されていくようなプログラムをぜひ工夫してつくっていっていただきたいし、そういう意味では、体験者がこういうふうにしたんだよというようなことを語ってもらうような、そしてそれをグループの中でいろいろな論議をしながら自発性がわき起こっていくような、そういう試みというのを、既にいろいろチャレンジされていると思うんですけれども、ぜひどんどん充実させてやっていっていただきたいというふうに思います。

 予定の時間がほぼ参ったようですので、最後に大臣に伺いますが、おととい四月六日の日経新聞の朝刊を見ると、「南野知恵子法相が都内でのパーティーで、国会審議での野党からの質問攻めに思いをはせて」「壇上に立つときはいつも泣いていました」こういうことをおっしゃったというふうに新聞報道であるんですが、きょうは壇上に立たれたとしても泣く必要はありませんので。

 監獄法の百年目の改正というのは非常に歴史的な改正だというふうに私は思うし、いろいろな問題点があるんだけれども、今後努力をして前向きにやっていく中で、具体的な矯正処遇の実を上げていく少なくとも橋頭堡を築けている問題ではあるのかなというふうに思います。だから、そういう点に関して、大臣のお考えと今後の矯正処遇についての決意のほどを最後にお聞かせいただきたいと思います。

南野国務大臣 先生にお答え申し上げますが、この新聞記事は、この括弧の中は私が言った言葉ではございませんので、多分おもんぱかって書いた方がおられるんだろうというふうに思っております。

 先生が最後に御質問いただきました。監獄法は約百年前に施行されたものでございますが、当時としては、監獄に新たな刑事政策思想を吹き込んだ画期的な法律であったというふうに思っております。しかし、百年という年月を経まして、国民が安心して暮らせる安全な社会を再生することが喫緊の課題であるというふうに思っておる中、受刑者が真の意味で改善更生を遂げて社会復帰を図るための処遇を行うことが我々にとって不可欠であると思っております。

 行刑の運用全般について大幅な改革を実現することが求められるに至りましては、そのためには監獄法を改正し、御審議いただいております法案が必要不可欠であるというものでございます。もちろん、受刑者の処遇を適切なものにするためには法律を制定するだけで足りるものではなく、この法律の精神に沿った適切な運用に努めることが必要であろうかと思います。

 現在、刑事施設を取り巻く情勢は過剰収容など極めて厳しいものがございますけれども、私は、このような歴史的な場面に立ち会う矯正行政の責任をいただき、国民に理解され、支えられる施設を目指して、不退転の決意で改革に取り組んでまいりたいと思っております。本当に委員会、部会の皆様方のお力によるものというふうに思っており、ありがたく思っております。

辻委員 以上で終わります。

塩崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 この際、本案に対し、田村憲久君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。山内おさむ君。

    ―――――――――――――

 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案に対する修正案

    〔本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

山内委員 ただいま議題となりました修正案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 第一は、この法律の目的について、受刑者等の状況に応じた処遇を行う旨の文言を加えるものでございます。

 第二は、刑事施設視察委員会の意見の公表について、法務大臣が公表する概要に、委員会の意見を受けて刑事施設の長が講じた措置の内容を加えるものであります。

 第三は、刑務官に対し、被収容者の人権に関する理解を深めさせ、並びに被収容者の処遇を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修及び訓練を行うものとする旨の条項を加えるものであります。

 第四は、政府は、この法律の施行の日から五年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするとの条項を加えるものであります。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

塩崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。

 内閣提出、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、田村憲久君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩崎委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩崎委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田村憲久君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。津川祥吾君。

津川委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 刑事施設における過剰収容状況を早期に解消し、単独室原則を考慮した居室環境や一日一時間を目標とした運動環境の検討を含め、被収容者の生活環境の一層の改善を図るとともに、刑事施設職員の苛酷な執務環境を改善するため、必要かつ十分な予算を確保し、刑事施設の人的・物的整備に努めること。

 二 刑事施設における十分な医師等を確保し、地域医療との連携を更に強化し、矯正医療体制の充実に努めること。また、医療上の措置を必要とする受刑者に対しては、できるだけ受刑者本人の診療希望に配慮すること。

 三 外部通勤及び外出・外泊制度等については、本制度が導入された趣旨を踏まえ、対象者の選定などにおいて、適切な運用に努めること。

 四 刑事施設視察委員会は、幅広く各界各層から委員を選任することとし、委員会が刑事施設の長に述べた意見は、本制度が導入された趣旨にかんがみ、十分尊重すること。

 五 薬物犯罪者や性犯罪者を含む受刑者の再犯を防止するため、適切な処遇プログラムの策定、専門的知識を有する民間人の活用、社会の支援体制の強化など、矯正処遇及び社会内処遇を強化する施策を講じること。

 六 受刑者の生活及び行動に対する制限については、隔離、保護室への収容、懲罰の執行中の行動制限などが合理的な限度を超えることがないよう、適切な運用に努めること。

 七 代用監獄制度のあり方を含め、未決拘禁者等の処遇等については、日本弁護士連合会との協議を迅速に進め、早期の法整備の実現に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

塩崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。南野法務大臣。

南野国務大臣 ただいま可決されました刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

塩崎委員長 次に、内閣提出、会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。南野法務大臣。

    ―――――――――――――

 会社法案

 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

    〔本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

南野国務大臣 会社法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、最近の社会経済情勢の変化に対応するために会社に関する各種制度を見直すとともに、これを現代用語の表記にし、わかりやすく再編成する措置を講じようとするものであります。

 第一に、この法律案は、会社に関する各種制度について、体系的かつ抜本的な見直しを行うこととしており、その要点は、次のとおりであります。

 まず、利用者に利用しやすい会社法制とするため、株式会社と有限会社を新たな会社類型として統合することにより、現在有限会社としてしか認められていない、取締役の人数規制や取締役会、監査役の設置義務のない株式会社を認めることとするほか、最低資本金制度を見直して、現在一千万円以上の出資が必要とされている株式会社の設立時の出資額規制を撤廃することとしております。

 次に、会社経営の機動性、柔軟性を向上させるため、合併等の組織再編成に関する手続を整備し、株主、債権者の保護を図りつつ、機動的な組織再編を実現しようとするほか、機関設置等における定款自治の範囲の拡大等を行うこととしております。

 また、会社経営の健全性を確保するため、株主代表訴訟において、原告株主が株式交換等で株主たる地位を失っても一定の場合には原告適格を失わないこととするなど株主代表訴訟制度を合理化することとするほか、公認会計士、税理士の資格を持つ会計参与が取締役とともに計算書類を作成する会計参与制度の創設、会計監査人を設置することができる会社の範囲の拡大等の措置を講ずることとしております。

 さらに、創業の活性化等のため、出資者の全員が有限責任社員であり、内部関係については組合的規律が適用される新たな会社類型の新設を行うこととしております。

 このほか、株式の譲渡制限に係る定款自治の拡大、自己株式の市場売却の許容、会社に対する金銭債権の現物出資に係る検査役の調査の省略、株主に対する利益の還元方法の見直し、委員会等設置会社とそれ以外の会社の取締役の責任に関する規定の調整、大会社における内部統制システムの構築の義務化等の改正をすることとしております。

 第二に、この法律案は、会社法制を現代語化しようとするものであります。

 会社法制を規定している現行の商法典は、明治三十二年に制定された法律であり、片仮名の文語体で表記されているほか、現在は使われていない用語が多く用いられており、このために利用者にわかりやすい平仮名の口語体に改めるべきであるという指摘がされております。

 また、商法の中核をなす会社法制につきましては、商法本体に合名会社、合資会社、株式会社についての規定が置かれ、有限会社については個別の単行法が設けられているほか、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律において大規模会社や小規模会社について商法の特例規定が置かれているために、利用者にとってわかりにくいものになっているという指摘があります。

 そこで、この法律案は、片仮名、文語体の表記を平仮名、口語体に改めるとともに、会社法制についての規定を一つの法典としてまとめ、わかりやすく再編成することとしております。

 続いて、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、会社法の施行に伴い、有限会社法ほか八の関係法律を廃止し、商法ほか三百二十五の関係法律に所要の整備を加えるとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。

 以上が、これら法律案の趣旨でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

塩崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま議題となっております両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.