衆議院

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第17号 平成17年5月13日(金曜日)

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平成十七年五月十三日(金曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 塩崎 恭久君

   理事 田村 憲久君 理事 平沢 勝栄君

   理事 三原 朝彦君 理事 吉野 正芳君

   理事 津川 祥吾君 理事 伴野  豊君

   理事 山内おさむ君 理事 漆原 良夫君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      小野 晋也君    大前 繁雄君

      左藤  章君    笹川  堯君

      柴山 昌彦君    園田 博之君

      谷  公一君    早川 忠孝君

      松島みどり君    水野 賢一君

      森山 眞弓君    保岡 興治君

      柳澤 伯夫君    柳本 卓治君

      岩國 哲人君    加藤 公一君

      河村たかし君    楠田 大蔵君

      佐々木秀典君    田中 慶秋君

      高山 智司君    樽井 良和君

      辻   惠君    原口 一博君

      平岡 秀夫君    松野 信夫君

      松本 大輔君    江田 康幸君

      富田 茂之君

    …………………………………

   法務大臣         南野知惠子君

   内閣府副大臣       七条  明君

   法務副大臣        滝   実君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中藤  泉君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  増井喜一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            振角 秀行君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            鈴木 勝康君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           舟木  隆君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            鈴木 正徳君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  小野 晋也君     早川 忠孝君

  小林千代美君     田中 慶秋君

  仙谷 由人君     楠田 大蔵君

同日

 辞任         補欠選任

  早川 忠孝君     小野 晋也君

  楠田 大蔵君     岩國 哲人君

  田中 慶秋君     原口 一博君

同日

 辞任         補欠選任

  岩國 哲人君     平岡 秀夫君

  原口 一博君     小林千代美君

同日

 辞任         補欠選任

  平岡 秀夫君     高山 智司君

同日

 辞任         補欠選任

  高山 智司君     仙谷 由人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 会社法案(内閣提出第八一号)

 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八二号)


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     ――――◇―――――

塩崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長増井喜一郎君、金融庁総務企画局審議官振角秀行君、金融庁総務企画局審議官鈴木勝康君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省入国管理局長三浦正晴君、経済産業省大臣官房審議官舟木隆君、中小企業庁事業環境部長鈴木正徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木秀典君。

佐々木(秀)委員 民主党の佐々木です。

 会社法の改正という大変壮大なこの法案の審議も大詰めを迎えてきたように思います。

 考えてみますと、会社、つまり、これは世界じゅうどこでも、特に先進国はそうですけれども、企業あるいは会社の存在というのは、その国あるいはその社会にさまざまな意味で大きな大きな意味合いを持っております。もちろん、企業が行う経済活動あるいは生産活動、それがその国、社会、あるいは国際的にもさまざまな利益をもたらすものであることは言うまでもありません。

 同時に、会社、特に株式会社の場合には、そのオーナーとされるのは株主と言われているわけですけれども、その株主、あるいは取引をする先、それによる債権者あるいは債務者がたくさん生じます。また、企業活動をするために多くの人が働く場を得て、そこで生活の糧を得るというようなことから考えますと、まことに会社の存在というのは、私は、単なる利益追求の主体としてだけではなしに、大きな大きな意味合いを持っている。

 だからこそ、それに対する活動の活発化を求めるための仕組みをつくると同時に、しかし、そうかといっても、利益を追求するためには何をやってもいいということにはならないわけですから、そこでやはり公正性というものが要求される。それとの整合性を図らなければならない。そのために会社法という法律があるんだろう、またできなければならないと私は思っております。

 ところが、我が国の場合には、この会社法制については、明治三十二年につくられた商法の中の会社編に規定をされていたのが現在まで使われてきたということになります。しかし、明治三十二年というと、本当に昔のことでありまして、先人がその時代に商法、特に会社法制をここで先進国の例に倣ってつくり上げたというのは、私は大変なことだったのではないかなと思って、心から改めて敬意を表さざるを得ないわけです。

 しかし、百年近くにわたって、社会の情勢が変わり、経済情勢も変わり、国際的な環境も違ってくる。これは当たり前のことであります。そうすると、当初つくられた法規制あるいは法制度というものも変化を生じさせなければならないということも、これまた当然の要請だと思います。

 特に我が国の場合には、戦前から、あの悲惨なおぞましい戦争の時期を経て、それで今から六十年前に敗戦を契機にして大きく変わった。そういうところから、さまざまなまた時代の変化の要請もあったわけで、その都度、部分的な改正は会社規制についてもしてきたわけですけれども、しかし、部分部分の改正だけでは到底間に合わないというか、ここで統一的なきちんとした法整備が必要だということからこの会社法案がつくられることになったという、この時代の要請というのは私もわかります。

 そして、法制審議会でも、専門の部門がつくられて、専門家の方々の真剣な討議を経てこの法案が提出されたということについては、これまた敬意を表したいと思いますし、全体的な評価としては、そうしたさまざまな今までの反省点などを踏まえた上で一定の方向が出されているということについても、評価する面が私は非常に多いとは思います。

 多いとは思いますけれども、しかし、全般的に今回のこの会社法を見ますと、この審議が始まってからも、同僚の議員からも、あるいは、参考人にもおいでをいただいて御意見をちょうだいいたしましたけれども、その中からの御指摘があっても、やはり懸念される点も決して少なくありません。

 何といっても、これだけの膨大な法条が組み込まれているわけですから、これができたからといって、どんな会社にもうまく適用されることになるかどうかというのは、これは相当時間をかけて見てみなければわからないということになるわけですけれども、同時に、せっかくつくるものですから、うまく機能してもらわなければならない。そういう点での幾つかの懸念が、やはり皆さんから御指摘があるように、あります。

 そこで、私は、そういう点について少しおさらい的に、というのは、審議を通じて、あるいは同僚の議員からも御指摘があったことと重複するかもしれませんけれども、中盤を今経た段階で、おさらい的にその点をもう一度指摘し、あるいは御説明いただき、あるいは改善すべきところがあるなら改善の方向を目指したい、こんなふうに考えて質問したいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 ところで、私は今、けさの新聞一紙の朝刊を手にしているわけですけれども、各紙に出ておりますように、いわゆる大企業、大会社と言われるカネボウが大変な粉飾決算をしていたということが明るみに出ておりまして、その結果として、来月の十三日から上場を廃止されるということになってしまった。本当にこれは残念なことですね。

 そしてまた、これだけではありません。さきには、例の、これもまた大企業であります西武鉄道あるいは国土計画でも、あの堤会長などの役員によるこれまたいろいろな不祥事が明るみに出る。そのほかにも、さまざま残念ながら、企業関係の不祥事が相次いで出てきているわけですね。

 そういうことから考えますと、例えばこれは昨年の十二月二十四日の朝日新聞の社説ですけれども、会社法の制定について、企業活動の自由化に資するという点では評価するけれども、自由とともに規律が必要なんじゃないか、欠かせないのは、企業活動を活性化させつつ、会社に規律を守らせて、経営の暴走を防ぐ仕組みが必要なんじゃないかということを強調されている。私は全くそうだと思うんですね。そういう点で、やはり幾つかの心配があるのだろうと思います。

 そこで、私どもの党からも修正提案もされておりますので、また、私は、幾つかの修正だけでは足りない、この修正協議が今進んでおるようですけれども、やがてはそれを経た上で採決ということになるんだろうと思います。

 私どもの党の方針が、この修正協議がまとまれば、全体的には賛成という方向になるのではなかろうかと思っておりますけれども、仮に私どもが反対いたしましても、政府提案でありますから、与党がこれをどうしてもということになれば、これは与党多数なんですから通ることになる。したがって、これが廃案ということにはならないわけで、この会社法が新しくできることは間違いがないということになるわけです。

 しかし、先ほど申し上げましたように、この法律ができたとしても、今後、うまくこれが機能していかなければならないし、また、企業としても、今のモラルハザード、あるいは遵法精神、これをきちんと守ってもらって公正性を貫いてもらわなければ、これは社会的に大変なマイナスを与えるわけです。

 そういうようなことから考えますと、私は、やはりこれからも、これができた以降も、多くの関係者が正すべきものはどこかで正すというようなことも大胆に踏み込まなければいけないだろうな、こんなふうに思っているわけです。

 そこで、そういうようなことから、具体的な個別的な問題になるものですから、きょうは、主として、提案者であります政府の担当者、特に民事局長を中心にお聞きをしていきたいと思います。

 まず、今度の改正の一つの大きな目玉というか柱になっているものとして、従来ありました有限会社を廃止するんだ。有限会社については、商法ができました後に、昭和の初期ですけれども、有限会社法という法律がつくられて、それで有限会社という形式が、社員の有限責任を中心にしながら、しかし、中小あるいは零細の企業に適合する一つの類型としてつくられた。私は、これはなかなか日本的な知恵だったと思うんですよ。

 これについては、例えば過日参考人に来ていただいた中で、今度の会社法改正の中心的な方でもありました東大の江頭教授が参考人でおいでになったときに、同僚議員からの質問に答えて、「有限会社法制というのは大変いい制度で、また現実にうまく動いてきたんだと思います。」ということを言っておられるんですね。それからまた上村参考人も、有限会社制度というのは非常に柔軟性がある、それからまた閉鎖企業としての特色を持ってきた、特に同族的、家族的、閉鎖的な企業にとっては、ある意味では不自由さこそが重要なんだという御指摘もあったりした。

 それで、御承知のように、日本の企業というのはほとんど九十数%が中小企業だと言われているわけです。有限会社というのは、言ってみれば有限責任ですけれども、しかし、仕組みとしては、株式会社よりもいろいろな点で仕組みを柔軟にして、同族的、家族的あるいは小規模の企業運営にとっては非常にやりやすいという利点があったからこそ、今までうまく機能してきたと言われるんじゃないかと私は思うんです。

 ところが、今度の改正では、そういう利点をむしろ株式会社の方に入れ込むということで、有限会社をなくして、そういう持っていたものを株式会社にも入れて全部株式会社にしちゃうんだと。そういうようなことから、これは後でまた質問で出てきますけれども、株式会社の取締役の任期、これが今まで二年であったものを、定款によっては十年まで延長できるというようなこともこの有限会社などの要素を入れ込んだ株式会社にするからだと。

 それからまた、資本金なども一円以上でいいんだと。最低資本金制度は撤廃するということもそういうことの中に入れ込んでいるんだと言われるんだけれども、さて、わざわざそういうことにすることが例えば中小企業のためにもいいんだろうか。むしろ、私は、身の丈に合ったようなスタイルでの有限会社というものの方が、いろいろな意味でも機動的なんじゃないか。有限会社ということに対するコンプレックスだとかなんとかということも言われているというように言うんですけれども、私はそんなことはないと思うんですね。

 私も弁護士時代にいろいろ会社設立の相談なんかを受けたときには、北海道あたりでは大体が小さい会社ばかりですから、新しくつくろうなどというので、そんなに資本金を大きくして大きな会社を最初からなんということはまず難しいわけで、そうすると、私は、身の丈に合った有限会社の方がいいよということを勧めてきたんですね。それを、有限会社を廃止する。さっき言ったように、江頭参考人なんかもうまく機能してきたと言われる有限会社をなぜここでなくさなければならないのか。

 そして、その一方で、人的会社と言われる合名会社、合資会社は残そうというんでしょう。ところが、実際私たちも見たり聞いたりしているところでは、合名、合資なんという会社は余りないですよ。私はほとんどないと言ってもいい。これをわざわざ置かなければならないという、ここのところの理由がどうしてももう一つ納得できないんですよ。局長、この辺どうなんですか。もう少し説明してください。

寺田政府参考人 今冒頭に委員の方から、最近の会社をめぐるいろいろな不祥事を含めた情勢についてお話がありました。そこにはいろいろな原因があろうかと思いますけれども、本来なら大会社は大会社らしく、あるいは上場会社は上場会社らしく、そうでない会社はそうでないなりにという、今身の丈に合ったとおっしゃいましたけれども、そういうことを実際に機能するような形で当事者が自覚してやっていただくというのがこれからの社会のあり方ではないかと思うわけです。

 今までは、ともすれば制度設計者の側で、あなたの方は小さいから当然こういうふうな仕切りで内部のことはおやりなさい、それから外れればまたもう一段上の別のカテゴリーに行きなさいということを、どうもこちらの方から決め過ぎていたという反省が、江頭教授の参考人での御発言でもおわかりのとおり、あったわけでございます。

 私どもはそういう、今の企業というものが、いろいろな形で多様化して、それぞれ自分にふさわしい組織を選べる、あるいは選ぼうとしているにもかかわらず、必ずしも法制の方がマッチしていない、それにブレーキをかけるような形になっている部分がある、そういう点の反省が今回一つの大きな柱になっているわけであります。

 つまり、ここの、今御提示がありました有限会社それから合名、合資会社という会社の枠の問題にいたしましても、例えば有限会社ですと、出資者というのは五十人に限られてしまうわけです。しかしながら、小さな会社でもいろいろな形の出資者というのがあり得るわけでありますし、逆に、物すごい額の出資というのがあるけれども人数は小さいというように、いろいろあるわけでありますが、何をもってどういうカテゴリーに入るべきかということの選択肢がいろいろな角度から考えられるようになっているにもかかわらず、どちらかというとワンパターンの規制になっている、これを今回反省しているわけであります。

 具体的に有限会社について申し上げますと、先ほど申し上げましたような出資者の数でございますとか、さまざまな面で上手に御利用になれば、もちろん有限会社というのは非常にいい制度だという御評価をいただいているところでありますから、私どももそれを全く否定するつもりはございません。

 しかし、逆に株式会社の方を見ますと、百万社以上ある株式会社の百万社近くが、本来なら、今委員が御指摘になった、有限会社の方がいいよと言われるような会社であることもまた事実でありまして、そこは、例えば一つの例で言いますと、どうも株式会社の方が有限会社より若者の就職の際によく見てもらえるというようなことがあって、無理に株式会社にしておられるところがあるわけであります。

 こういうところを反省いたしまして、どちらかというと、基本的な発想というのは、出資者全員が有限責任を持った会社というものをつくって、その中に、いろいろなタイプがあり得るので、それをむしろ組織運営を含めて当事者が御選択になる、そこには当然、当事者の御選択になられる過程でのいろいろなお考えというのがおありでしょうし、そこから発する責任というものも自分で負っていかれるわけでありますけれども、そういう発想でむしろこれから会社法制をつくるべきではないかというふうに考えたわけでございます。

 そういたしますと、株式会社の中に今まで有限会社となり得るようなタイプのものも出てくるわけでございますので、そこで改めて、株式会社でありながら有限会社的なものと有限会社を並立させておくということは法制度の上ではそれほど意味がないのではないかという、これも江頭教授の御指摘にもございますけれども、あったわけで、そういう面から、今回、株式会社法制に一本化するということになっているわけであります。

 これに対しまして合名、合資会社といいますのは、これは無限責任社員がいる。なるほど、全体の数は株式会社、有限会社に比べますと二けた違うわけでございます。あるいは、場合によっては三けた違うと言っていいぐらいの違いはあるわけでございます。しかしながら、ではこれらのニーズが全くないかというと、それはないわけではないので、こういう無限責任社員がいる会社を使いたい方にそれを残しておかないという選択肢はやはりないんじゃないかということで、今回、これを持ち分会社という形で、一本化した表示をいたしておりますけれども、しかし残しておく。

 現実に、中心人物が無限責任社員になり、ごくわずかの出資者を募ってベンチャー的に企業をおやりになる場合に、こういうことも利用されないわけではないということも伺っております。そういう具体的なニーズがないわけではないので、これはこれで残しておくということでございます。それで、新たに、そういうものの一つの類型といたしまして、組合的な結合からスタートした合同会社というものをさらにつけ加えた。

 したがいまして、今回の法制はそういう全体の発想でできているということで御理解をいただきたいと思います。

佐々木(秀)委員 今お話がありましたように、新たな類型として合同会社をつくるんだということなわけですね。だとすると、合名、合資、かつてはあったのかもしれないけれども、最近では余り見かけない、つまり使われていない、設立されていない合名、合資会社を置く必然性というのがますますわからないんですよ。

 片方で、有限会社はそれこそ今までうまく機能してきたということだし、局長は今御答弁の中でも、百万社からの会社はほとんど有限会社という基準に合うような会社じゃないかという話もあったわけですけれども、私は全部そうだとは思わない。思わないけれども、さっき私も言い、今局長も言われた身の丈に合ったということから考えると、選択の余地というのは、有限会社というものを残しておいた方が私はいいようにも思うんですね。ただ、今度の会社法の中では大会社という類型も表示されて、それに対するいろいろな法規制もできるわけですけれども、その大会社あるいは小会社というような分け方だけでもいいのかなというような感じもしないではありません。

 これからは株式会社と名乗る会社がほとんどになるだろうと思うんですが、合同会社も新しくつくられるかもしれないけれども、ほとんどは株式会社でしょう。しかし、おっしゃるように、その中身ということになると千差万別なんですね。もちろん、大会社などという点において、それに対する規制、小規模会社とは違うようにするとはいいながら、例えば会社の代表者が自己表示をするための名刺をつくった場合には全部株式会社何々の代表取締役となるわけですから、外から見たら、全くそういう区別なんかつきっこないんですね。そういうことからすると、むしろ有限会社の代表取締役という方がいかにも身の丈に合って、私は、誠実な感じがして、信用性もむしろその方があるんじゃないかとさえ思われるんですけれども、さあこれがどうなるのか。

 そこで、今、合同会社というお話が出たんですが、合同会社という新しい類型をつくって、具体的にはどんな企業ができ、活動することを期待しておられるのか、その具体的なイメージなどについてもう少し御説明いただけませんか。

寺田政府参考人 企業を起こす場合に、そのうちの一部の方が先ほど申しました無限責任を負うということになりますと、これは持ち分会社、つまり合名、合資会社になるわけであります。

 これに対しまして、全員が組合として活動する、しかし外部に対しては全員が有限責任を負うというのがこの合同会社でありますが、外国にもこれに類するものがあるわけでございます。具体的には、ベンチャー企業でこれから創業をする、いずれは大きくなって株式会社の方に組織変更していくかもしれないけれども、当初はこういう組合的に、つまり全員が出資者であると同時に執行を担当するということがあり得るわけで、そういうものにこれが利用されることになるのではないかなというふうに思われます。

 それからまた、株式会社ということになりますと、基本的に非常に類型化された出資者からいろいろな形での出資を受けるわけでありますが、基本的には、これはやはりお金という形で出資を受けるわけであります。

 これに対しまして、もっといろいろバラエティーに富む出資の仕方があり得るわけで、自分はノウハウというものを出資する、あるいは、自分はこれまでの顧客というものをいわばのれんみたいなものの形で出資するというようなことがあり得るわけでございます。そういう合弁会社的なものをつくる場合にこの合同会社ということが利用できるわけでございます。

佐々木(秀)委員 全くこれは新しい類型なものですから、おっしゃるように、外国には例があってそれを参考にしておるということですから、その事例を私どもとしても研究した方がいいのだろうとは思うんです。せっかくつくるものですから、これによって合同会社が新しくできて、それがまた社会的にもいろいろな積極的な活動をして評価されるようになればいいんですけれども、なかなかこれがイメージがわかないものですから、これからどうなるかということを私どもとしてもよく見て考えなければならないなとは思っております。

 それから、先ほど申し上げましたように、これは、取締役の任期が、株式会社の場合でも定款の定めによって十年に延長できることになるわけです。これはまさに有限会社的な作風を入れ込んでということなんだろうと思うんだけれども、しかし、何にしてもこれは長過ぎるんじゃないかということがこの間の参考人の中からも言われた向きがあります。

 要するに、一つには、登記の手続を守るという遵守意識、これが薄くなりはせぬか、あるいは、実質的な経営者の交代というようなことがこんなに任期を長くすると外部から確認できなくなるんじゃないか、そういう弊害の心配が提示されているんですね。この辺で、日本弁護士連合会などは、せめて五年ぐらいにした方がいいんじゃないのという具体的な提案までしているわけですけれども、こういうことについては、この審議の過程で御意見はどうだったんですか、局長。

寺田政府参考人 この点は、有限会社と株式会社の法制を一本化することによるいろいろな問題がございますが、そのうちの非常に大きな問題の一つでございました。

 一方では、今の有限会社を含めた中小企業というものが全く取締役の任期について、株式会社法制をとったものは形式的に二年ということを遵守はいたしておりますけれども、しかし、それは実質的にそうであるかどうかわからない、他方、有限会社法制のもとにあるものについては、これは全く任期がない状態でございまして、放置されている。

 このアンバランスで、一方では、そういう中で、中小企業であっても、しかし、取締役について全く任期を設けずにチェックが働かないということをおよそ許してしまうのはどうかという御意見がございました。他方では、今、日弁連の御意見を御提示されましたけれども、もう少し、むしろ株式会社としてふさわしいものを一律に決めてしまうというのも一つの考え方だということがございました。それの中間といたしまして、原則として何年ということを決めて、何年まで定款等によってこれを延長することができるということが一つの中間的な考え方として出てきたわけでございます。

 したがいまして、一番長く考えてしまえば、もともと任期がなかったわけでございますので、十年でも二十年でも三十年でもということになるわけでありまして、他方、原則、今ですと委員会等設置会社は一年、一般の会社は二年ということでございますけれども、それにできるだけ近づこうということでございます。その間のいろいろな議論の末、結局、当事者の選択の幅というものをある程度確保しよう、しかし、全く目に見えないような形での任期の長さというのはやはりちょっと問題があるということで、最長十年、原則は二年ということに落ちついたわけでございます。

 登記実務の方では、取締役の任期があることによって、会社がその間に登記をしてくるということで、会社が実際に生きているかどうかというのがよくわかるわけでございます。会社の内部においては、取締役の任期というのが一つの執行部としての権限を与えられた長さということになるわけで、その間は、出資者同士でいろいろありましても、原則としては執行部というものに委託をしているわけでございますので、そういう意味での長さの決め方としては、これは一つの、完璧ではないかもしれませんけれども、合理的な決め方ではないかというふうに考えております。

佐々木(秀)委員 有限会社は、先ほど申し上げましたように、これはさまざまだと言うかもしれないけれども、どちらかというと、同族的な、家族的な、閉鎖的な会社の場合に有限会社をとってきたわけで、こういうような会社の場合には、おっしゃるように、事実上任期が、取締役の場合、役員の場合にないようだったということも事実なんです。これは言ってみれば、小さいから、役員も大体外から見ても、ああ、あの人たちがやっている会社なんだなということがわかっているからそう気にしないんだと思うんです、みんな。

 だけれども、少なくとも株式会社ということになれば、そんなに役員が長いというのはちょっと考えられない。特に、外部取締役なんかも今度は入れるわけですから、正直言って、これだけの規定を置いても、それなりの会社がそんなに十年というような長い期間を定款で決めるというのはそうないかなと私も思うんですよ、役員の交代などがあって、それによってまた経営が活性化していくということがあるわけですから。そういうことは考えるんだけれども、ただ、選択肢を広げるという意味にしても、十年というのはいかにも長過ぎるんじゃないかなというように思われるわけです。これもまた今後どういうことになっていくか、実態を見ていきたいとは思います。

 それとあわせて、先ほども申し上げましたように、残念ながら、大きな会社、小さな会社でも恐らくあるんでしょうけれども、役員が不正行為をするということが後を絶たないんですね。ところが、今度の会社法の規定の中では、取締役の責任が、従来無過失責任とされていたものが随分過失責任に変えられて、つまり、それだけ責任が軽減されているということがあるわけですね。

 そのうちの代表的なものが、例えば、百二十条の株主の権利行使に関する利益供与に係る責任、これはいわゆる総会屋に対する便宜供与などについての役員の責任ですね。それから二番目は、四百六十二条関係、剰余金の分配について、分配可能額を超えて剰余金の分配をした場合の役員の責任、取締役責任。それから、五十二条、会社設立時点での資本充実に関する取締役の責任ですね。

 これが従来みんな無過失責任だったはずですけれども、過失責任に転換されているというのはこれまたやはり非常に問題ではないのかな。財界あるいは経営側からの要請が強くあった結果なのかもしれないけれども、これは、こういうようないろいろな事象あるいは社会的な要請などから見てちょっとそぐわないんじゃないかと思うんです。局長、これはどうですか。

寺田政府参考人 今、三つのポイントを御指摘になられて、取締役の責任について論じておられたわけでございます。

 もともとこの点は、委員会等設置会社というものが出た当時、委員会等設置会社については、いろいろな権限のチェック・アンド・バランスがあるということが何となく前提となって、基本的には過失責任というスキームがとられたわけであります。しかし、その際に、厳密な意味で、委員会等設置会社とそうでない会社、取締役会、監査役というタイプの会社との間で一体どういう責任の違いがあるべきかということは、余り厳しく突き詰めて論じられなかったわけであります。

 そこで、その点について国会でも委員会でいろいろ御議論をいただき、附帯決議で、この点については見直しを図る、再検討をすべきだということで、一つの宿題となっていたわけであります。

 先ほど申しましたように、もちろん、委員会等設置会社についてはさまざまなメカニズムの点で一般の会社とは違うわけでありますけれども、しかし、それぞれ会社の取締役の責任というものを見る場合に、厳密な意味で無過失責任にしておく必要はないのではないか。むしろ、この点で、実務の運用に今さまざまな支障が出ているというような御指摘も実務の側からはあったわけであります。

 そこで、今回とりましたのは、基本的には過失責任にする、しかし、その過失の立証責任というのは取締役側にある、つまり、過失がないという立証を取締役側の方ですべきである、こういう形で全体のスキームをつくったわけであります。

 ただ、細かい点を見ますと、もちろんそうでないものもございまして、例えば、最後に挙げられました設立時点での取締役の責任について見てみれば、発起設立の場合には、今申し上げたように、実際に設立した際に現物出資されたものの価値が低かった、価値が下がってしまっていた、そこで取締役、発起人が責任を負うという規定があって、これが無過失責任とされているわけでありますけれども、そもそも、物を売り買いするということで会社側に損失がそのものの価値をめぐって出るということは一般にあるわけで、その場合は一般の任務懈怠のもとに責任が問われる。そういうスキームになっているにもかかわらず、ここだけこうなっているというのは、やはりちょっと違和感があるわけであります。

 この規定をもう少し子細に見ますと、現物出資をする、その評価が思ったほどではなかったということになりますと、ほかの出資者、つまり、現金で出資をした者との間にアンバランスが出てくるということは募集設立の場合にはあるわけでありますから、そういう意味では、一般の募集に応じた株式の引受人との間では無過失責任にしておく必要はあるだろうけれども、発起人同士の場合にはそこまでの必要はないじゃないかということで、先ほど申したように、これは過失責任に切りかえているということでありますが、全部が全部無過失責任から過失責任に切りかわっているわけではないわけで、そういう細かいところもいろいろ見ていることもひとつ御注意をいただきたいところであります。

 また、剰余金の分配の責任においても、これは立証責任を転換しているところが現実には非常にきいてくるところであろうと思いまして、特に最近では、繰り延べ税金資産などの将来予測を前提とした資産について、剰余金の分配をどうするか、その際にそれをどう見るかということが問題になるわけでありますけれども、これは、後になりまして事情が変わって、それについて本来配当すべきでない限度において配当してしまったということが生じ得るわけであります。それまでも無過失責任にしてしまうというのはどうかという現実の問題もこれまたあるわけでございます。

 ただ、今申し上げたことからもおわかりになるとおり、実際に、本当にしようがないんだなということはともかくといたしまして、過失が認められるケースというのは当然あり得るわけで、しかもそれの立証責任を転換しているわけでありますから、これは仮に過失責任主義に転換したとしても、かなり厳格に責任が問われ得る、そういうスキームではないかと私どもは理解しているわけでございます。そういう意味で、今回はいろいろ見直しを図ったわけであります。

 ただ、おっしゃるとおり、利益供与に係る取締役の責任につきましてはもう少し厳しくしておこうという御意見も、現に法制審でもございました。これについては、いろいろな立場の取締役についてそれぞれ考え方、見方が違い得るところでございますけれども、さまざまな議論の末、一律こういうふうにしたわけでございますけれども、ここは多少議論の余地はあるかなということは思っております。

佐々木(秀)委員 いずれにいたしましても、取締役は、社会的な存在である企業の経営について、これはよほど意識を持って、遵法的な意識を持ち、そしてまた企業が果たす役割や周囲に対する影響を考えると、コンプライアンスということもこの間来問題になっておりますけれども、この辺を徹底的に認識して経営に当たってもらわなければならないわけですから、やはり相当な経営責任というものがそこから出てくるのは当然のことだと私は思うんですね。そういう点で、余りその責任を軽減するというのは好ましくない。

 確かに、温度差もあるとは思います。今局長も、例えば総会屋に対する便宜供与あたりについてはもっと厳しくというような意見が出たということを言われているけれども、まさに本当にそうなんだと思うんですが、それだけにとどまらず、私は、責任は責任としてきちんとして、それを自覚しながら経営に当たってもらうということが必要だと思いますので、やみくもにこれを軽減することが企業の活性化につながるんだからいいんだということにならないんだろうと思うんですね。この点はやはり考えておかなければならないことではないかと思います。

 大分時間が迫ってまいりましたので、少し質問もはしょったりいたします、御了解いただきたいと思いますが、ここで、商号の問題についてお聞きをしたいと思います。

 会社の商号ですけれども、これは商法の十九条、二十条、それから商業登記法の二十七条、これで登記商号は守られていて、同一地域での類似商号、同一商号についての規制が随分緩和されちゃうわけですけれども、これはやはり、従前から当該商号を登記している事業者の利益を著しく害することになるんじゃないか。また、不正競争防止法の二条一項一号との関係はどうかと思うんです。私も弁護士時代に、この不正競争防止法を使って商号、それによるある商業行為を差しとめて、それが認められたという例があるものですから、そんなことを考えるんですけれども、これはちょっと余りにもルーズにし過ぎるんじゃないですか。

寺田政府参考人 ここは、私どもといたしましても、非常に難しい問題だなというふうに思っております。ただ、現実にこの問題を抱えておられる、これから登記をしようとされる方、会社をおつくりになろうとする方、あるいは既にこういう問題にたびたび直面されておられる専門家の方、これらの方々にとりましては、やはり今の類似商号規制のあり方というのは、効果がそれほどでもないにもかかわらず大変に手間がかかる。これは登記所の側もそうでございますけれども、しかし、特に利用者の方にそれで非常に時間とお手間をとらせているということは事実でございます。一方では、先ほども委員が御指摘になりましたように、この効果というのはせいぜい同一市町村内で、しかも同一目的の範囲内でしか生じないわけであります。

 しかしながら、同一目的であるがゆえに、同一かどうかということをめぐって、目的についてさまざまな記載を工夫される、それについて、本当にそれが明確で具体性があるか、あるいはきちっとした事業の目的として成り立ち得るのかというようなことを大変審査するわけで、そういった意味での手間を考えますと、やはり、そういった現場の方々が発せられておる声というのは、これはなかなか無視しがたいところがございます。

 そういうわけで、今回、事前規制とでもいうべき類似商号の規制を外すわけでございますが、もちろん、不正の目的を持って商号を悪用するというようなことになりますと、これは現在の商法でもございますし、これからの会社法でも差しとめ、損害賠償ができますし、今委員も御指摘になられました不正競争防止法によりましても、同じように差しとめ、損害賠償ができるわけでございます。

 問題は、このようなことをどのようにして効果的に当事者の方にやっていただけるかという実務運用の工夫だろうと思いますので、それは私どもも今後十分に努力をしていきたいと思っております。

佐々木(秀)委員 これは、私は本当に問題だと思うんですよ。何でこんなに緩めちゃうのかな、本当に心配でなりません。

 大分時間がなくなってしまいましたので、最後に、一番問題になっております株主代表訴訟の例の提訴制限、八百四十七条の問題ですけれども、特に二号の問題ですね。これはさまざま、この間、内藤参考人、浜辺参考人から、おかしいんじゃないかと厳しく指摘がありました。

 今度の会社法の提案理由の説明では、現代用語の表記にし、わかりやすく再編する措置を講じよう、こうなっているんですね。だけれども、これは片仮名を平仮名にしたからといってみんなわかりやすいというわけじゃないんですよ、大臣。特に、指摘をされるように、八百四十七条の二号の方は、これは本当に、「当該株式会社が過大な費用を負担することとなることその他これに準ずる事態が生ずることが相当の確実さをもって予測される場合」、こう書いてある。

 大臣、おわかりになりますか。わかりやすいですか。私ども法律をやってきた者でもよくわからない。そうでなかった法務大臣は、そう言っては失礼ですけれども、特にわかりにくいんじゃないでしょうか。御感想をどうぞ。

南野国務大臣 本当にわかりにくいと思いますが、我々は幸せなことに漢文とかその他学校で教えてもらっていたという利点はあるかとも思いますけれども、それでも難しい、わかりにくいと思っております。

佐々木(秀)委員 わかりにくいのを置いておくことはないんですよ。今、お聞きをいたしますと、これも修正協議の対象になっているそうですから、何とかいい方向で修正していただかないと、これは非常に問題があると思います。

 そして、こういうことで提訴の条件を制限したって、結局、提訴自体を拒否することはできないんです。それは、提訴されて、訴状が出されれば、裁判官がそれについて審査しなければならないんですから、そんな、形式的なところの審査でなくて、中身に入ればいいんです。

 大体、株主代表訴訟なんというのは、株主が自分の利益のためにやるんじゃないんですから。勝ったってその人にお金が入るわけじゃないんです。損害賠償にしたって、本当は会社がやるべきことをかわってやるんですからね。会社のためにやるんですから、濫訴なんというのはそんなにあるはずはないということをみんな言っているんですよ。

 ぜひこの点を考慮していただいて、よい意味での修正ができるように期待をして、質問を終わります。ありがとうございました。

塩崎委員長 次に、津川祥吾君。

津川委員 民主党の津川祥吾でございます。

 今、佐々木委員が最後に質問をされたところから続けて、株主代表訴訟のところを質問させていただきます。

 今の佐々木委員の質問に対する大臣の答弁で、ちょっと私の聞き間違えだったかもわからないんですが、わかりにくいんじゃないですかということに対して、漢文を勉強されたからわかるという話、ちょっとそこを説明いただけますか。

南野国務大臣 先生方は漢文は習っておられないんですか。(津川委員「習っています」と呼ぶ)おられますよね。だから、そういうような文言の読み取り方という問題については、先生と同じ意見だと思いますけれども。

津川委員 まあ、どっちでもいいのですが、別に漢文がわかるからどうこうという話ではないと思いますが。まあ、いいです。済みません、そこは余談でございました。失礼いたしました。

 株主代表訴訟について、平成五年の商法改正のとき以降というふうに考えていいんだと思うんですが、大変に数がふえたということが一般的には言われているところでありますが、この数、そもそもどういうふうにふえてきたのか、数がどのように変化をしてきたのかということ、それから、その内容について、どういったものがふえているのかということについて、わかれば教えていただければと思います。

寺田政府参考人 申しわけございません、今ちょっと手元に資料がございませんが、株主代表訴訟につきましては、先ほど御指摘のとおり、訴額の改正がございましてからそれまでとは一けた違う提訴数が出まして、私どもも、この株主代表訴訟が昭和二十五年からできたわけでございますけれども、それまでと違って、株主代表訴訟が本来の機能を持つようになったというふうに考えているわけでございます。

 他方、しかし、株主代表訴訟が、全体としては非常に有効に機能しているわけでございますけれども、中には、どちらかというと、病理的現象かなとは思いますけれども、やや自分の利益のためにおやりになったようなケースが散見されるわけでございます。

 そういうものの対処として、今回の株主代表訴訟についての一つの手当てというのを御提案しているわけでございます。

津川委員 多分、きのう、質問通告させていただきましたよね、内容についてという話を。わからないならわからないでもいいんですが、していませんでしたかね。わかりませんか。お答えいただけますか。

寺田政府参考人 申しわけありません、ちょっと連絡の手違いだと思いますが。

 おっしゃるとおり、先ほど申し上げたとおりでございまして、それまでは数件あるいは十数件だったものが百数十件になったというようなことは事実でございます。

津川委員 わかりました。では、連絡の行き違いということで、また委員会を開いていただいて、そこでやらせていただこうかなと思います。それは冗談ですけれども。

 件数がふえたということはわかります。その件数がふえた背景、これが、適切にこの制度が運用されているけれども、中にはそうでもないものも散見されるというような話がございましたが、まず、費用がそもそも八千二百円で済むようになった、ありていに言えばそうなったわけでありますけれども、安くなったから、やりやすくなったからふえたのか、それとも、例えば株主の意識が変わったのか、日本の社会の風土が変化してきたのか、あるいは、会社の役員に不祥事がふえたのか、さまざまな要因が考えられると思うんですけれども、この数の変化というものをどのように評価されているか、伺います。

寺田政府参考人 これは両面あると思います。

 といいますのは、もともと、先ほど申しましたような訴額の改正が行われました背景には、これを利用したいんだけれども、あるいは現に利用してみたんだけれども、非常に訴額の点で障害があって困ったという声が出てきたわけです。

 それは当然、そのころからといいますか、その少し前からと言うべきでしょうけれども、株主代表訴訟によって、会社の不正といいますか本来あるべき姿でないことが行われていることをチェックしようということが、これは会社実務家の間にもあるいは学者の間でも随分言われておりまして、そういう背景のもとに改正が行われ、その改正が行われた結果、現に数が飛躍的にふえている、こういう理解でおります。

津川委員 では、そもそも論で伺いますが、日本における会社のあり方の中で、株主代表訴訟の位置づけというんでしょうかあるべき姿というのは、どのようにとらえられていらっしゃるのか。

 今回、法を改正する中にも当然こういった形で残っているわけでありますけれども、要するに、今の使われ方が、極端な言い方をすれば、まだまだ使いにくいような状況なのか、うまいぐあいに十分に活用していただいて、ある意味ニーズにはこたえているのか。その役割を果たしているのかどうか。

 あるいは別の形で、会社の、今局長のお言葉で言えば、あるべき姿ですか、企業のあるべき姿ではないことをしているものをチェックするものというのはほかにもいろいろあり得るわけですけれども、例えば、物を売っていれば、それを買った人、お客さんの声というものも当然そういったものに、いろいろなところに反映されるでしょう、会社のイメージというものにもいろいろ反映される部分があると思いますけれども、さまざまなチェックがある中で、この株主代表訴訟のあるべき位置づけというのをどういうふうにとらえていらっしゃるのか、お答えをいただければと思います。

寺田政府参考人 この制度が導入されましたのは、先ほど申し上げましたように、昭和二十五年、会社法にとっては大改正があったときでございます。このときに、それまでは株式会社においては株主がもちろん主役、先ほどどなたか委員がオーナーと表現されましたけれども、そういう位置づけをもって、株主総会というのがやはり全体の基本であるということが非常に大きなポイントであったわけでありますけれども、その昭和二十五年の改正において、どんどん大きくなる会社にとって古典的な株主総会中心主義というのはやはり現実的ではない、そのころから資金調達の機動性というものの意識というのがやはり高くなってきた。

 もう一つ、もちろん、言うまでもないことですが、アメリカの影響というのもあったわけでありますけれども、基本的にはかなりの部分を取締役ないし取締役会に委任をするということで、いわば株主総会の存在というのは一歩後ろに退いたわけであります。全体としてはそういうことになるわけで、その方が会社の物事を決める運用としては合理的だけれども、しかし、これに対して、本当に不正常な状態になったときに一体どうするかということで、これもまたアメリカにございました株主代表訴訟というのを導入した、こういう仕組みになったわけであります。

 しかし、長く日本の会社においては、典型的には株の持ち合いと言われておりますとおり、法人同士で株の持ち合いをする。株主というのは基本的に、そういう個人株主が会社の中での本当の主役となって活躍をするというようなことがおよそ想定されるところから遠いところにあったわけでありますので、そういう意味で、この株主代表訴訟というのは、もちろん中には先駆的に非常に頑張っておやりになっている方もおられたわけでありますけれども、しかし、全体としてはマイナーであったことは否定できないところであります。

 しかし、先ほど申しましたように、特に経済というのがある程度大きくなって成熟期になるということになりますと、こういう方々の中にも相当大きなウエートを占める存在というのが出てきたわけであります。また他方では、一株運動みたいな形でのチェックの仕方というのがアメリカでもあり、そういうものの影響も受けたということもございます。それで、全体として、こういう株主代表訴訟というのが会社の物事を決めるメカニズム、コーポレートガバナンスと今では申しますが、そういうものの中で一つ大きな柱であるという位置づけがようやく現実のものとして認識されるようになってきた、こういうふうに考えております。

 ただ、この制度というのは、本来は会社が取締役に対して取締役が損害を与えたからそれを回復するということを、取締役となれ合ってサボっているという状況を前提にしているものです。つまり、会社には損害がある、それを本来なら会社は、悪いことをした取締役と決然とたもとを分かって、それを訴えて取り返すべきである、それにもかかわらずそれをしていないというシチュエーションが想定されているものでございますので、あくまでそういう損害賠償スキームの中にあるということは否定できないところでありますが、その枠内で会社の不正を正す、コーポレートガバナンスを保つ一つの機能を持っているということは事実であろう、こういうふうに評価をいたしております。

津川委員 今の評価でいった場合に、損害賠償請求の枠の中であるにしても、会社のコーポレートガバナンスの一つの大きな柱であるという話ですね。柱であるという位置づけであって、現在年間百何十件ですか、これは現実的に見て十分活用されているというふうに評価しているのかどうか。いかがですか。

寺田政府参考人 これは、制度の存在意義があるということと制度が現実に活用されているということとはちょっと別のことだと思います。

 おっしゃるとおり、日本の百万社以上ある株式会社の中で、年間百件台あるいは二百件というような数字が多いか少ないかといいますと、これは論ずる方によっては当然少ないという評価も出てこようかと思います。

 しかし、先ほど申しましたように、こういう制度が機能し得るということが一つの会社運営での緊張感になっているということは否定できないところでありまして、その意味で、この機能というものは、会社の運用上一つの存在感を持って受けとめられているのではないかなというふうに思っております。

津川委員 少ないと言う人もいるけれども、そうとも言い切れないんじゃないかというような、そういった意見だと思いますが、多いということはないですよね。

寺田政府参考人 これは私どもの立場で多過ぎるとか少な過ぎるとかいうのはなかなか難しいところではございますが、この件数が裁判所にとって御負担になるような多さということではないというふうに私どもは認識をいたしております。

津川委員 実務上、裁判所にとっての負担云々という話をしていただきましたが、その部分の質問ではなくて、要は、本来の制度上の目的から外れた形で使われているかどうかという話です。お答えいただけますか。

寺田政府参考人 私は、これが全体として、使われ方がおかしいというようには理解をいたしておりません。

津川委員 ありがとうございます。

 それで、今回の会社法の中で、先ほど佐々木委員からも指摘のあったところでありますけれども、八百四十七条の一項の二号の部分の提訴制限でありますが、この文章がそもそもわかりにくいという指摘もありますが、これはこの文章の最後の、後段の部分のことをおっしゃっているんだと思うんです。

 まず、一つずつ確認をさせていただきたいんですが、二号、「責任追及等の訴えにより当該株式会社の正当な利益が著しく害される」、ここの部分を説明していただきたいんですが、「正当な利益が著しく害される」というのはどういったことを想定されているんでしょうか。

寺田政府参考人 これは少し専門的になるわけでございますけれども、例えば日本で株主代表訴訟をするということになりますと、当然、そこに一定の事実というものが公になるということが想定されるわけであります。その中には当然、会社にとっていろいろ、不正ではないけれども、あるいは非常に貴重である、秘匿しておきたい事実というのがあるわけであります。しかし、そういうものをオープンにせざるを得ないことによって、他の訴訟、特に外国で行われている訴訟に非常に悪影響を及ぼすというようなことが想定され、本来はそういうものを秘匿できたのに、あるいは会社の判断としては、そういうものを秘匿することは、会社全体にとってためにならないから訴訟をあえてやらなかったのに、この代表訴訟が行われた結果、そういうものを明らかにせざるを得ないというのを、会社の正当な利益が害されるのではないか、こういうような状況が一つ想定されるわけであります。

津川委員 それは、その株主の方と会社の方、会社の方というか、会社が例えば株主総会なりなんなりで話をしていただいて、どうなんだという話になる話であって、法律で制限をするという話なのかどうなのかちょっとわからないんですが、この立法事実、具体的にそういったものがあったというのがあるでしょうか。

寺田政府参考人 これは、日本で現に訴訟が起きていて裁判例として残されているものの中には、こういうものに当たるものはございません。

 ただ、会社実務家の方々は、むしろアメリカでいろいろな訴訟をされていて、アメリカにおいて、弁護士さんあるいは代表者と会社との間にいろいろな特権が訴訟上あるわけでありますが、そういうものが日本で訴訟をすることによって破られて、結果として会社の利益が害されるということがあるということは指摘されているところであります。

津川委員 では、この「著しく害される」の部分を伺いますが、「著しく」というのはどの程度のことをおっしゃっているんでしょうか。

寺田政府参考人 考え方といたしましては、およそ代表訴訟によって得られる利益、これは当然、会社が訴訟を怠っていて損害賠償請求をしない、その損害を回復できないということでありますけれども、そういうことと、会社の、訴訟をすることによって失う、先ほど申し上げたいろいろな利益ということを相関的に比較してのことでございますから、通常、これが同等である、あるいは少し被害の方が大きいという程度では足りなくて、わずかな金額を損害賠償として請求する、これに対して、会社が失う外国における特権というのが莫大で会社に被害が起きる、こういうケースを想定しているわけでございます。

津川委員 それは実際に訴えを受けて内容を精査しなければ判断できないと思うんですが、提訴そのものを制限してしまうという判断が非常に難しくなると思うんですね。要するに、損害賠償で会社が得られる利益と、そのことによって正当であるはずの利益が失われる部分が、どちらの方がより多いか、しかも、イーブン、ちょっと多いではなくて著しく多いという話を、これは受理もしないうちに判断をするという話ですか、今の話ですと。

寺田政府参考人 これは訴訟要件でございますので、訴訟の実体的判断に先立って審理が行われるということになります。つまり、具体的に申し上げますと、例えばその取締役に違法な行為があるかどうかということが実体審理の一つの大きな柱でありますけれども、そういうことを抜きにいたしまして、これをやることによって会社にどういう害があるかということを訴訟要件として審理する、こういう審理の仕方になるわけでございます。

津川委員 そういう判断で、さらに、このさらに後段の部分ですが、後段というか真ん中の部分ですが、「株式会社が過大な費用を負担することとなる」、これも、「過大」というのは、今おっしゃっていただいたように、会社が得られる利益よりもはるかに大きい費用がかかる、こういう判断でよろしいですか。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、損害賠償訴訟によって回復できる利益に比べまして、その訴訟を追行する、例えば弁護士費用でございますとかさまざまな調査費用、訴訟をする全体の費用というのが非常に大きい、こういうことを想定しているわけでございます。

津川委員 実際にそういうことは想定できるんですか。いや、どういう訴訟が出てくるかわかりませんけれども、普通に考えて、例えば株主代表訴訟、会社に損害を与えている、これは損害賠償請求をして三億円ぐらい取りなさいという話が例えばあったとして、いや、費用が一千万かかるからやめましょうという話にはならないと思うんですね。

 言っている意味がよくわからないんですけれども、そもそも訴えるときに、費用の方が多くかかるような訴えをするとするならば、何のためにするんだという話になるわけですよ。それをあえてここの法律に書いて、だめと書くのがどうもよくわからないんですが、お答えいただけますか。

寺田政府参考人 その今お話しになった点が、まさにこの株主代表訴訟の基本的性格にかかわるところでありますけれども、具体的には、例えば違法行為をした取締役というのがもはや倒産状態にある、極端に言えば、あちらこちらのサラ金からお金を借りてもう首が回らないような状態になっている、その相手に対して訴訟をする。そうすると、先ほども委員が御指摘になりましたように、一千万かかるかどうかわかりませんが、何百万とかかるというような状況を想定しているわけであります。そうすると、もし会社がその取締役となれ合いではなくて、訴訟をしたいと思う、しかし、相手はもう倒産状態にあるから、これは費用倒れだからやめておこうという判断があるわけであります。

 それが、どっちかなという程度だとこれに当たらないわけでありますけれども、これはだれが見ても、こんな、相手が倒産状態にあるのに、会社は別にバイアスがかかっているから訴訟をやめているわけではなくて、これは当然コストがかかるからやめているんだというときに、株主があえて、あの取締役について何か言いたいことがある、不正を追及したいということで代表訴訟を起こされるというケースがあるわけであります。

 それは、株主代表訴訟の機能として念頭に置かれる方があることは否定できないので、そういうケースがあり得るわけでありますけれども、しかし、それは本来、損害の回復ということを基本に置いているこの株主代表訴訟の理念には合わない、したがって、ここでそういう制限を置こう、こういう考え方でございます。

津川委員 今、この法律を新たに改正する前の段階で、今局長が想定をされた、ちょっと変わった方が、変わった方と言うと怒られちゃうかもしれませんが、独特な考えをお持ちの方が、やはりあのときの役員に一言言いたい、会社がつぶれるかもしれないけれども、費用がかかってもいいから訴えたいということで株主代表訴訟をした場合に、法律を変える前ですよ、今現在した場合に、どういう扱いになりますか。

寺田政府参考人 これは裁判所の御判断ということになりますので、私ども、確実にそれをどうだと言えませんが、先ほど申し上げましたこの損害賠償制度、株主代表訴訟制度の理念から考えますと、訴えが却下になる可能性も十分あると思います。しかし、明文の規定が何もございませんので、これはそのまま実体審理に入ろうという裁判所がおいでになっても別に不思議はございません。私どもとしては、そういうものを少し明確にしたい、こういうふうに考えたところでございます。

津川委員 いや、そのぐらいのことは別に書かなくても裁判官の方はわかると思いますけれども。今のお話であれば別にいいと思うんですよ、書かなくても、こんなものはなくても。

 一般論で伺いますが、民事訴訟でいわゆる門前払いになるケース、どういったケースがあり得るのか、教えていただけますでしょうか。

寺田政府参考人 これはさまざまございます。

 まず、当事者というのがおよそ存在しないというところからスタートいたします。中には、全く架空の方を被告にして訴訟を起こされる方だっておられるわけです、それはやや極端なケースでございますが。それから、結局のところ、ほかの訴訟要件というのがいろいろございますので、それがないというケースがございます。全く日本に裁判権がないというケースもあるわけであります。そういうさまざまな訴訟要件がございますので、これもそういうものに一つ株主代表訴訟の中でつけ加えるということになるわけであります。

 通常、却下するもので一番目につきますのは、当事者適格がないというケースでありまして、新聞紙上等に一番出てまいりますのは、行政訴訟をするのにその資格がないというケースでございます。

津川委員 今一つだけ例を挙げていただいた原告不適格とか、あるいはもう一回既に訴えたものであるものとか、いろいろあろうかと思いますが、基本的にそれは裁判所で御判断をいただくものだと思います。

 この八百四十七条一項の二号のようなもの、一号もそうですが、こういったものが一般的にどのくらいあるのか。普通の民事訴訟において、訴えるときに、こういう場合はできませんというふうにここまで具体的に書いているものはどういったものがあるのか、教えていただけますでしょうか。

寺田政府参考人 個々のケースについてどういうものが訴訟要件になっているかといいますと、これは種々ございます。

 先ほど申しました行政規定にはたくさん規定があるわけでございますけれども、これは非常に特殊なケースでありまして、訴訟担当と言っておりますけれども、本来、原告であるべき者は会社であるわけです。それに対して、その原告のすべき訴訟を株主であります者が原告になって提起するわけでありまして、そういうケースとしては、実定法の中には余り、具体的に書いてあるケースはないというふうに私どもは理解をいたしております。

津川委員 今お答えをいただいたとおりで、こういったケースの場合、余りないのかなと。

 この一号の書き方についても、ある意味でこれは当然といえば当然ですから、このぐらいはあってもいいのかもしれませんが、二号の部分についてはやはりよくわからない。局長、いいですか。間違いを言いましたか、今。いいですね。訂正されるなら訂正していただいても構いませんが。

 こういったところを書き込むこと自体がちょっとよくわからない、発想が少しよくわからなかったものですから、なぜこういったことをあえて書き入れるようになったのか、必ずしも法律に書き込まなくてもいいようなものをあえて書いた理由が特別にあればちょっと教えていただきたかったんですが、今お話を聞いている限りにおいては、特になくてもいいのかなという印象を受けました。

 次に行かせていただきます。

 取締役の責任について、先ほども質問があり、答弁もいただいたところでありますが、無過失責任とされていたものを過失責任に変える部分の中の設立の際の資本充実に関する責任、これを無過失責任から過失責任に変えるという話であります。これについて立法事実があるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

寺田政府参考人 実は、株式会社の設立の仕方はさまざまございますけれども、現物出資というのは一つの大きな柱として会社法の中でも位置づけをされておりますが、現実の会社の設立において現物出資がされることは非常に少なくなってきております。

 その少なくなっている理由は、もちろん、お金というものの今日における存在というものが一つあるわけではございますけれども、しかし他方、先ほど申したように、今、ベンチャー的な企業ではいろいろな形で現物出資をむしろしたいと思っておられる方はおられるわけです。また、今のMアンドA的環境のもとでは、会社をつくるに際して、何らかの営業みたいなものを切り離して持ってくるというようなこともあるわけであります。しかし、にもかかわらず、こういうものが全く利用されていない一つの理由は、現物出資についての規制が非常に厳しい。それは検査役の問題もあるけれども、取締役の責任等もあるというふうに言われております。

 これからの、さっき申し上げたノウハウ、特許、そういうものを現物出資したいという方がふえてくる環境のもとにおいては、少なくとも発起設立については株式引受人との間の不公平ということを重視することはないわけでありますから、この点について過失責任にするというのはそれほどおかしいことではないのではないかという考えからこうなっているわけでありまして、それなりの立法事実はあるというふうに理解をいたしております。

津川委員 現物出資が、今まで規制が厳し過ぎてなかなか活用されなかったと。例えば、これをもっと活用しやすく、自由にする、規制を非常に緩和する、緩和をするから逆に問題点が発生する可能性もあるので、実際、問題が発生する可能性もあるので、過失責任を無過失責任にするんですというのなら話はわかるんですが、今回、無過失責任を過失責任にして、同時に、現物出資についての検査役の調査を要しない範囲を拡大しているんですね。ダブルで緩和しているわけです。

 そもそも、この現物出資についての規制というものの趣旨からすれば、規制の潜脱が起こるということは当然発想としてはあり得ると思うんですが、それはどういう判断をされているんでしょうか。

寺田政府参考人 ですから、発起人が会社を設立したいと思う、出資者を募る、その際に、一部の者は現物出資をする、ほかの者は金銭で出資をする、その際の現物出資の評価をめぐっていろいろ問題が起きる、そういう点ではやはり無過失責任を維持しておく必要があるんだろうというふうに考えておるわけであります。

 これに対しまして、発起人だけで会社を設立する、それぞれ五百万なら五百万ずつ出す、ある人の五百万についての出資というものが評価をめぐって問題を生ずる、これは発起人間で解決できる問題であります。したがって、こういう面での責任というのを無過失責任にしておくまでのことはないのではないかというのが私どもの判断でございます。

津川委員 では、今まで無過失責任だった理由を教えてください。

寺田政府参考人 今までは、おっしゃるとおり、資本充実責任というのをやや観念的あるいは形式的にとらえていたわけであります。これについては、資本というものの位置づけというのが非常に大きなところがございまして、資本が充実しないと会社も設立できない、これは会社を設立する際に資本金を一千万要求するという考え方の背景にもまたあるわけであります。

 これに対しまして、資本というものの位置づけというのがそれほど大きなウエートを占めないようにその後法制が、徐々に考え方が切りかわってきた。ここで、どうしても資本充実責任というのが絶対なんだ、あらゆる場面においてそうなんだということからやや解放されまして、もう少し場合を分けてきめ細かく考えてみると、今のように、資本充実責任の中には債権者に対するものではなくて他の株主あるいは株式引受人に対するものがあるということで、そこの部分とそうでない部分を切り分けるというような発想の転換があることは事実でございます。

津川委員 お答えの中にはなかったんですが、私がこれを見たときの最初の印象として、最低資本金制度がなくなって一円でもいい、一円でもいいんだから何でもいいか、そういう発想が背景にあるように受けとめたわけです。

 だから、資本充実について、何かいろいろなところで緩和をしてきたような言い方をされましたけれども、やはり資本充実は大事だということを今回の質疑の中でも何度もおっしゃっていますよね。資本充実というのはやはり大事なわけですよ。

 一円で起業してもいいけれども、まあ一円でもいいですと言っているわけで、法律的にはいいだけの話で、本当はやはり資本をある程度充実していただくのが本来であろうかと思いますし、それについては、現物であるにしてもそれはやはりある程度確実なものでなければならないし、将来どんどん下がるかもしれないというものを、現物出資でございますといってどんどん出されるのは非常に危険だという発想を今後も持つべきだと思うんです。

 それについて、要するに、ここを緩和するからこっちを厳しくするとか、ここを厳しくするかわりにほかをフリーにするという発想ではなくて、これに関してはどこもかしこも緩和をしているわけですよ。私は、やはりこれは少し問題があるのではないのかなということを最後に指摘をさせていただきたいと思います。

 時間がなくなってしまいまして、済みません、大臣には何も質問をしませんでしたけれども、最後に何か言っていただこうかなと思うので……(南野国務大臣「いいですよ」と呼ぶ)いいですよって、そんなに遠慮されずに。何を言ってもどうお答えいただくのか何となく想像できちゃうのでちょっと質問しにくいんですが。

 要は、一連の議論の中で、私どもとして非常に問題意識を持っているのが、今回の会社法は基本法であって、これからの具体的な運用については何かほかの人がやるんですというような、そういう答弁が散見されまして、これは非常に危険な発想だなと思います。

 法務大臣として、会社法だけ見ていればいいんだということではなくて、やはり会社法にかかわる、商法にかかわる日本の会社のあり方、株式会社のあり方、前回も申し上げましたが、証券市場のあり方というものについて、これはもう密接不可分なものでございますから、こういったものについてもぜひ一体で改革を進めていかなきゃいけないという、その思いを一応言っていただければありがたいなと思います。お願いします。

南野国務大臣 最初の佐々木議員のお話にもありました、歴史的な問題を踏まえながら、今このような現状で、経済的な問題もいろいろ踏まえながら会社というものを見直していこう、では、その法制をどのようにするかというところに今立ち至っているのであろうというところでございます。

 そういう意味では、本当に真摯に、真剣に取り組まなければいけない。明治三十二年から始まった、百年後の今でありますので、そういう意味では、これから何年この改正した法案を使っていくのかということも一番大事なことだろうというふうに思っております。

 そういう会社をめぐる規制法の改善ということにつきましては、会社法の改正だけではなく、証券市場の法の整備それから関連税制の整備、そういったことも含めて、必要があるところが多いのではないかな、そのように、先生の御意見と一緒であろうと思っております。

 以上です。

津川委員 終わります。ありがとうございました。

塩崎委員長 次に、松本大輔君。

松本(大)委員 民主党の松本大輔です。どうぞよろしくお願いします。

 大臣、まずお伺いしたいんですが、相次ぐ企業不祥事の原因について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

南野国務大臣 大変悲しいことでございますが、そのような企業の不祥事というのは、単に企業の役員とか従業員によって不当な行為が行われる場合のみならず、また組織ぐるみで違法行為が行われる場合もある、さまざまな原因によって生じるものと考えておりますけれども、総じて申し上げるのであれば、企業経営や企業活動に携わる者の不注意または遵法意識の低さなどがこれらの原因になっているのではないかな、そのように思っております。

松本(大)委員 私は、実は今の御答弁では不満でございまして、それはなぜかというと、仕組みとしては法務省として一応最大限できることはやっているんだ、問題は、経営の現場で携わっている方の不注意とか遵法意識の欠如と。要するに、個人の責めだったり、さっき組織ぐるみという言葉がありましたけれども、そういうことが、当事者の責めに帰すべきことであって、それは、法務行政のトップとしての発言としては、私は、ちょっと無責任のそしりを免れないのではないかなというふうに思うんです。

 刑法の改正のときの議論でもありましたけれども、罰則を重くすれば恐らくは犯罪は減るんじゃないかと思う、しかし効果のほどは明らかじゃないんじゃないかというような、そんな印象を私は持ったんですけれども、どうも今の大臣の御答弁というのは、仕組みは用意されているんだ、法務行政としてもできるだけのことはしているんだ、要するに、最後は個人であったり組織の問題であって、法務行政のトップとしての責任というものではないんだ、何かそんなふうな聞こえ方がするわけなんです。

 では、私はどう考えているかというと、企業不祥事が相次ぐ、歯どめがかからないということは、要するに、企業の個別の問題ということもさることながら、再発防止のための企業統治の構造が不備である、企業統治の不備という構造的な問題にやはり最終的には起因しているんじゃないかというふうに僕は思うんですね。だからこそ、やはりこれについては、企業統治を担保するシステムを政治の責任としてしっかりつくり上げていく必要があるのではないかというような御認識をいただきたかったから、実はそういう御質問をしたわけなんです。

 トカゲのしっぽ切りとか、要するに個人の責任を追及するばかりで、結局、再発防止とか原因究明とかそういうことがなされてこないから企業不祥事が続くわけですし、そのことについてはやはり何らかの法務省としてのてこ入れが必要なのではないかというふうに私は思います。

 そこできょうは、企業統治の問題について、これは政治の責任としてしっかりその不備を是正していくんだという認識を大臣と共有しながら議論を進めていければなというふうに考えています。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、企業統治の目的と意義についてお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

南野国務大臣 先ほど私が言葉足らずであったということも一つございますが、もちろん、先生がおっしゃったように、企業統治システムを構築する努力というのは怠ってはならないということと同時に、もう一つ考えられますことは、今新しくこの法を改正しようとする、今まで使いなれて、もうそのようにインプットされている方が新しい法律に基づいて仕事をしなければならないということであれば、やはりその方たちへの広報活動ということは我々にとっても大きな問題であろう、そういうような認識を持っていただけるような方向にも我々は努めなければならないのであろうということも感じております。

 今先生がお話しの、企業統治の目的、その意義ということについてでございますが、企業統治というのは、企業経営を監視する仕組みとしてどのような仕組みを設けるかという課題であろうかと思っております。よい企業統治は、経営陣による不正行為を防止するということもございますが、企業の収益性や競争力の向上を図ることを目的として行われるものでもあろうと思っております。これによりまして、株主その他の会社をめぐる利害関係者の利益が適切に保護されるものとも思っております。

松本(大)委員 企業経営を監視し、不正行為を防止し、企業の収益力、競争力の向上を図る、株主やステークホルダー、利害関係人の利益というものを拡大していく、それが企業統治の目的と意義である、こういう答弁だったと思うんですが、では、私が一体どういう企業統治の姿を考えているかといいますと、それが、きょう配付させていただきましたこのA4の横の紙でございまして、経営者に対して伸びている矢印がそれぞれ経営を監視し、経営の規律を高めて、そのことによって長期的な株主利益の極大化を担保しているのではないか、私はそのように思っているわけでございます。

 まず、この1とした「内部統制」なんですけれども、これは企業内部のチェック体制ですね。最近では、より独立性を高めた社外監査役であるとか社外取締役の重要性が指摘されているところです。

 二番目の「議決権・監督是正権」というものなんですが、これについては、例えば取締役の解任、選任を行う株主総会の議決ですとか、現経営陣に対する株主代表訴訟というものが株主による直接のチェック機能ではないか。

 三番目の「市場規律」、これは、「日本版SEC」というものも書きましたが、残念ながら我々の提案は否決されたわけですけれども、証券取引の公正性の確保や不正行為の監視、摘発というものを行うことによって、株主や投資家の保護の役割を担わせるというものでございます。

 四番目の「外部財務監査」というのは、これは粉飾決算の最後のとりでとして機能すべき監視機能ではないか。

 五つ目の「買収提案」、これについてはちょっと意外な感をお持ちになられるかもしれないんですが、いつ取ってかわられるかわからないという緊張感が経営に規律を持たせるとともに、株主にとっては、より高い企業価値を実現してくれる経営者を選択する、その選択権が与えられるということですね。

 最後の六番とした「CSR(企業の社会的責任)」ですが、これは、株主以外の方についての企業の公器としての責任というものが結局は経営に規律を持たせるんだ、それは、環境であるとか、次世代への貢献だったり安全への配慮だったりするんだというふうに私は考えているわけなんです。

 この六点について、可能な限り、きょうの質問をこれに沿ってさせていただきたいと思うんですが、実はこのページには裏がありまして、「政治に置き換えると…」というのを書かせていただいたわけでございます。

 余りこういう企業になじみのない方も、裏返していただけると、なぜ不祥事が続発するのか、なぜ利権政治が終わらないのか、なぜ執行権の交代の可能性がすべて排除されてはならないのかということがこの裏面で御理解いただけるんじゃないかというふうに思いますし、それぞれの持ち場が一体だれの視点でそれぞれの職務に当たるべきかということも、政治に置きかえてみれば非常に明らかではないかなと。それは、政治の場合は有権者、国民でありますし、企業の場合はやはり株主、こういうことになるのではなかろうかなというふうに思います。

 「買収者」というのは、これは後でも触れたいと思いますが、要するに、敵対的買収の中には、TOBだけではなくて、委任状の争奪合戦、委任状合戦というものがありまして、それについては、現経営陣と買収者との間で、どちらがより企業価値を高められるかという提案の競争をするわけですね。株主に対して、どちらの経営陣を選びますかという提案を行うわけですね。そういう意味では、政権選択と全く同じであるということでございます。

 こういう認識を私は持っているんだということを明らかにした上で、では、政府の取り組みはこれまでどうだったのかということをまたお伺いしていきたいと思うんですけれども、大臣、企業の不祥事対策として、企業統治という観点から、これまで我が国がとってきた施策、それからこれから、例えば今回の会社法にどういうものが盛り込まれているのか、その内容についてお聞かせください。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

南野国務大臣 先生のこの図、楽しく見させていただきました、裏もあわせまして。

 先生の今のお尋ねでございますが、不祥事対策という観点から、企業統治に関するいわゆる制度を充実させること、これは本当に重要なことだと思っております。

 企業統治に関しまして、これまではということでございますが、昭和四十九年には、商法特例法を制定いたしまして、大会社に対する会計監査人による監査の義務を位置づけたということでございます。また、平成五年には、監査役会、三人以上の監査役、いわゆる社外監査役の設置などの義務をつけております。また、平成十三年には、監査役会の構成員の半数以上を社外監査役とすること、さらに任期を四年とすることなどの監査役の機能の強化をいたしております。そういった改正を順次行ってきたところでありまして、それぞれ企業統治の向上に一定の効果があったものというふうに一応我々は考えております。また、株主代表訴訟制度の改善、企業財務情報公開の充実、これも貢献している課題であるかなと思っております。

 今回の会社法案におきましては、これらより一層の企業統治の向上を図るという観点から、大会社に対しまして、先生もずっとおっしゃっておられる内部統制システム、これの構築を義務づけていこう、さらに、代表訴訟制度の整備を図ることというところに重点を置きたいと思っております。

松本(大)委員 いろいろな取り組みを行ってきたし、今回の会社法の中でも、例えば営業報告書に内部統制の基本方針の概要の掲載を義務づけたというような取り組みをやっているんだということなんですが、きのうちょっと追加で大臣にお知らせした件について、それではちょっとお伺いしたいと思うんです。

 四月十日の朝日新聞に、「日本格付けワースト2 「株主軽視」で十点中三・五点」という非常に悲しい記事があったわけなんですけれども、これは二十三カ国中のブービーだった。ちなみに、最低点をマークした二十五社のうち十三社が日本企業だったということなんです。ちなみに、前年は十四カ国中の最下位だったわけなんですけれども、先ほどの御答弁では、いろいろな取り組みをしてきましたということですが、アメリカの企業統治の格付会社の目から見れば二十三カ国中の二十二位だったという非常に厳しい評価が下されているわけなんです。

 こういう評価が出るということは、法務省のこれまでの取り組みにもかかわらず、我が国の企業統治は実は諸外国に比べて非常におくれているんじゃないか、これまでの取り組みは不十分だったのではないかという感を持つんですが、大臣はその点についていかがお考えですか。

南野国務大臣 国際的な課題について、日本が下位であるというテーマは、このことだけでなく、いろいろな分野にもあるというふうに思いますが、このことに関しまして、議員御指摘の報道がされたということについては、了解いたしております、承知いたしております。

 この格付会社の評価方法の詳細は承知しておりませんけれども、各国の企業につきまして、取締役会の適正性、または情報開示及び内部統制、それから株主の権利などの状況を評価しており、法制度に対する評価というよりも、現実の企業における取り組み状況に関する評価という側面が強いのではないかなというふうに受けとめております。

 我が国のコーポレートガバナンスに対して低い評価が下された原因につきましては、報道によりますと、多くの企業が独立性の高い社外取締役を置いていないこと、これは、評価するのに客観的に評価できにくいと評価されているという、社外取締役の多くが株主よりも経営陣や従業員らの利益を重視していることなどが指摘されているようであります。

 さらにまた、コーポレートガバナンスに関する我が国の法制度は諸外国と比較しまして劣っているとは考えられておりませんし、近年、我が国の企業もコーポレートガバナンスの強化に積極的に取り組んでいるものと認識いたしております。

 格付会社の評価につきましてのコメントは差し控えた方がいいと思いますが、コーポレートガバナンスの強化充実、これは、我が国の企業経営を適正化し、さらに企業の競争力や収益性を向上させるために重要な課題であろうと思います。法務省といたしましても、必要に応じまして、法制度のさらなる充実や各企業において積極的な取り組みが行われるよう制度の普及、さらに定着に努力していきたいと思っております。

松本(大)委員 評価基準について詳細はよく知らないけれども、低い評価が下されたその背景には、日本の取締役が、独立性の低い、独立性の高いと言うべきか、独立性の高い社外取締役というものが導入されていないからなんだ、こういう御答弁だったと思うんです。

 では、今回の会社法改正でその点が是正されて、今後はその格付が変わり得るのかということが未来に向けては大事だと思うんですけれども、十七年四月二十二日付の企業価値研究会の論点公開の百九ページにもあるとおり、会社法によっても、結局、「親会社の役職員、取引先の役職員、取引金融機関の役職員などは社外に該当するため、独立性には欠ける」と。後で触れますが、「第三者の要件についてルール化の検討も急がねばならない。」という指摘が、これは経産省さんの勉強会だと思いますけれども、政府が絡む勉強会で指摘をされている。原因もわかっていらっしゃる。その原因について今回の会社法でも是正されないということが指摘されている。是正すべきだということも勧告されている。

 では、なぜ今回の会社法でそれを変えないんだというところをぜひお伺いしたいと思うんですけれども、これについては、では、今度はちょっと経済産業省さんにも聞いてみたいと思うんですが、論点公開ではこういう問題点が指摘されている、それが海外からの格付が低い原因にもなっている、だけれども、法務省としては、今回の会社法でもってそれを是正していくという予定は、今の会社法においてはないわけですね。だとすれば、経産省さんがこういう企業価値研究会というもので「第三者の要件についてルール化の検討も急がねばならない。」というふうにおっしゃるのであれば、これをもうこの際会社法の改正とあわせて立法化してはどうか、独立性を高めるべき何らかの法的手当てを講じてはどうかというふうに思うんですが、経産省としてはいかがお考えですか。

舟木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、企業価値研究会は経済産業省の局長の私的諮問機関でございますが、ここの論点公開におきまして、御指摘のとおり、「第三者の要件についてルール化の検討も急がねばならない。」というふうにしておるところでございます。

 この第三者の一つの例としまして社外取締役や社外監査役も挙げておるわけでございますが、この企業価値研究会の趣旨としましては、敵対的買収に対する合理的な防衛策の検討ということでこれを始めたわけでございますが、その中で、実際に敵対的買収に相当するようなことが起きたような場合、有事の場合と言っておりますけれども、そういう場合に防衛策を実際に発動するに当たって、取締役が保身に走ることのないように、取締役の恣意的な判断を排除する工夫の一つとして第三者によるチェック機能を働かせることが有効だというふうにしておるところでございます。その第三者の例として、先ほども申しましたように、社外取締役や社外監査役というのが、こういうものを含めて「独立性が高いほうが望ましい。」というふうにしておるわけでございます。

 したがいまして、第三者として、この第三者、要するに、有事の際に防衛策を発動することに対して、社内の取締役だけではなくて独立性の高い第三者によるチェックが必要だという観点から、この第三者についてどのような人がふさわしいのかといったようなことについて、ルール化といいますか、これは何も法律で決めるというだけではなくて、いろいろな形で、市場のルールということもあるでしょうし、また、ガイドライン的なものも含めて、ルール化というのは意味しているわけでございますが、そういったものを検討していく必要があるんじゃないかということでございまして、直ちに社外取締役や社外監査役の要件を会社法において、政府として御提案をしている会社法の法案の条文を変更すべきということを言っておるわけではないということを御理解いただきたいと思います。

松本(大)委員 本当に、法務省さんの管轄分野に気を使って、奥歯に物の挟まったような言い方をされているなというのが非常によく伝わってくるというか、ある意味では真摯なお人柄がよく伝わってくる御答弁だったわけですけれども、では、一体、この「第三者の要件についてルール化の検討も急がねばならない。」という急ぐべきその主体はだれなのか、だれに要望しているのか。

 だれが責任を持って取り組むべきかということが明らかにならない限り、最終的にはこの企業価値研究会が目的としている正当な企業の防衛措置の導入が担保されないということになってしまって、企業価値研究会の主目的は敵対的買収に対する防衛策の公正さを図るガイドラインを示すことであって、それを担保する措置としての独立性の高い取締役の設置というところまでは責任を負っていないし、それは法務省さんの管轄だから何とも言えません、だけれども、やってほしいなというひとり言では、何となく、ちょっと頼りないというか、私は悲しいなという気がするわけなんです。

 というのも、ちょっともう時間がないので省きますけれども、現状、社団法人生命保険協会によるアンケートによると、社外取締役を導入しているケースで、親会社、関係会社の役職員またはOBが三八%、取引先の役職員またはOBが二七%。つまり、独立性が低いと推定される社外取締役が六五%も占めているということなんですね。

 格付が低いということは、ひいては日本の魅力自体を損なっているということですから、ぜひこれについては法務省さんが責任を持って取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 きょうは金融庁さんにもお越しいただいておりますので、御質問をさせていただきたいと思いますが、この表でいうと「市場規律」のところなんですけれども、これは国会図書館の調査及び立法考査局というところに調査をお願いしたところ、ニューヨーク証券取引所、ナスダック、ドイツ、ロンドン、中国、いずれも法令や上場基準に企業統治に関する条項があるということだったんですが、我が国がどうかというと、東証での研究報告はあるものの、拘束力のある上場基準に企業統治に関する規定はないわけですね。

 そこで金融庁さんにお伺いしたいんですが、我が国においても企業統治に関する基準、こうあるべきだという基準を証取法や上場基準に位置づけるべきではないかと私は考えるんですが、それについての御見解をお願いします。

振角政府参考人 では、金融庁からお答えをさせていただきたいと思います。

 内部統制に関しまして、証取法につきまして言いますと、企業内容等の開示に関する府令というのがございまして、そこで十六年の三月期決算から、会社代表者による有価証券報告書の記載内容の適正性に関する確認書というのが、これは任意の制度でございますけれども導入されておりまして、その中では、財務報告に関する内部統制が有効に機能していたかどうかということについての確認が既に求められております。それがまず第一点でございます。

 それと、第二点としまして、取引所の方でございますけれども、ここでも自主規制規則等によりまして、上場有価証券の発行者の代表者が有価証券報告書等の内容について不実の記載がないと認識している旨を記載した確認書というのを当該取引所に提出するということになっておりまして、既にそういう措置は講じておるところでございます。

 それに加えまして、さらに、昨今、西武鉄道を初めとするいろいろな事件があったということで、我々としましても、基本的には財務諸表を中心とするところについて、もっときちっと内部統制を図る必要があるんじゃないかという問題意識を持っておりまして、現在、我が金融庁の企業会計審議会に内部統制部会というのを設けておりまして、財務報告に係る内部統制の有効性に関して、まず経営者が自分で評価しましょう、その基準と、それを第三者である公認会計士等による検証という基準について、今現在策定作業が進んでおりまして、本年夏ごろまでにその基準の骨格を取りまとめるべく精力的な審議をお願いしているということで、問題意識を持ちながら今改善を行っているところでございます。

松本(大)委員 実は、この「企業統治構造」の「会計監査人」から薄い線で「外部監査(内部統制関係)」というふうに書いたのが今御答弁いただいた内容なんですが、ちょっと時間の関係があるので、済みません、次に進ませてください。

 この表でいくと5の「買収提案」というところなんですけれども、先ほどから御紹介している企業価値研究会においても、敵対的買収者の脅威というものが結局は経営に規律を持たせる、経営の規律を高めるという効果について指摘をされているわけなんですけれども、その意味で、だからこそ経営権の交代というものはすべてが排除されるべきではない、だからこそ過剰防衛というものは防がなければならない、こういうことだと思うんです。

 それで、ちょっとこの論点公開に沿って御質問をさせていただきたいと思いますが、まず、「論点公開のみでは実質的な強制力に欠ける。」「「企業価値防衛指針」を行政が明確に定めるべき」というふうにされているんですけれども、これは、経産省さんとしては、今後、強制力を持つ防衛指針の法的性格はどのレベルで考えていらっしゃるのか、それは政省令なのか、それとも法案なのか、そういうことについてちょっとお聞かせいただけますか。

舟木政府参考人 お答え申し上げます。

 企業価値研究会の論点公開に、先生御指摘のような点があるわけでございます。経済産業省としましては、法務省と一緒になりまして、行政としてのガイドラインを策定したいというふうに考えているところでございます。これは、法律であるとか政令、省令というレベルのものではなくて、この分野は非常にまだ日本でも経験の余りない分野でございますし、私どもとしましても、まず行政としてガイドラインを示して、それで状況の推移をよく見ながら、必要があればいろいろなことを引き続き考えていきたいというふうに考えておるところでございます。

松本(大)委員 時間が来たので、最後の質問をちょっと大臣にしたいと思いますが、この企業価値研究会の報告書の中でも、会社法の現代化と証取法の改正とこの企業価値防衛指針の三つをもってルールの形成なんだ、防衛策の導入に当たってのルールの形成なんだというふうにおっしゃっているし、会社法だけでは過剰防衛になるリスクが高いということも、この中で指摘されているところなんですね。

 であるならば、この防衛指針がきっちりと具体化されて立法化された時点で、証取法、今回の会社法とこの防衛指針をセットで同時並行的に、それこそ財金と法務と経産の三部門の連合審査の形で同時並行的に論じていくべきではないか。何か、三つの柱といいながら、これだけ私的な研究会で議論をされて国会での審議もされないというのは国会軽視であろうというふうに思うんですが、その点について、大臣はどのようにお考えですか。

南野国務大臣 いろいろな省庁が絡んでおると思いますし、いろいろな部門が絡んでいるというふうにも思います。

 そういう意味では、先生の御意思に沿うように、ある部分については、検討していかなければならない部分もあるならば検討していくということですが、皆さんと検討を重ねていきながらいい方向に持っていきたい、結論としていい法案というものを検討していきたいと思っております。

松本(大)委員 もう時間が来てしまったんですが、御意思に沿うようにと言うなら、ぜひ連合審査、三部門の連合審査というものを再度検討していただきたい、このように思います。

 質問を終わります。

田村(憲)委員長代理 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。ふだん法務委員会ではございませんが、本日、差しかえで質問をさせていただきたいと思います。

 今回の会社法改正案、多くの論点を含む中で、私は、今回、会社法改正の中で会計参与制度に集中をしてお聞きをしたいと思っております。

 まず最初に、そもそもですが、今回の商法改正において、会計参与制度が三百七十四条として新たに導入される目的について、まず大臣、お答えください。

南野国務大臣 会計参与制度、これは計算書類の作成、そういった業務を行う有資格者である公認会計士や税理士の方が、取締役と共同して計算書類を作成します。そして、会社とは別に計算書類の保存または開示を行うことなどによりまして、取締役等による計算書類の虚偽記載や改ざんを抑止して、計算書類の記載の正確さ、それに対する信頼を高める目的で、この会計参与制度というものを導入していこうとしているものであります。

楠田委員 それでは、この会計参与を会社に置くことは今回任意となっておりますが、この任意の制度でどれほどの会社が会計参与を導入すると見込んでおられるか、大臣、お聞かせください。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

南野国務大臣 先生の御質問ではございますが、この参与制度というのは、そもそも、このたび取り入れていこうとしている新しい制度でありますので、どのくらいの数の会社が会計参与を設置するのかという予測は多少難しい面もございます。現在も計算書類の作成を税理士の方が行っていっております。そういう中小企業は数多いと思いますので、計算書類の信用性を高めることがまた取引や融資の場面で有利に働くということの認知が広く行われますのであれば、多くの会社が会計参与を設置する方向に向かうのではないか、そのように思っております。

楠田委員 最後に取引、融資の場面で有利に働いていけばというお話がありましたが、そうした観点、目的というのは、計算書類の信頼性を高めていくという中小企業庁においても以前から取り組んでおられる課題だと思いますので、この制度、大変重要な意義もあると私は思っております。しかし、せっかくこの制度を取り入れておきながら余り使われないのであれば、法律化の意義がやはり半減しますし、こうした思いから、幾つかの点において確認と提案をこれからさせていただきたいと思っております。

 現段階での話ですが、会計参与が計算書類を作成する上で統一した会計基準というものはお考えでありましょうか。

滝副大臣 現在、会社法の四百三十一条に会計の基本原則を書いてあるんですね。会計参与は、したがって、その一般原則に従って行うわけでございます。何と書いてあるかと申しますと、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従って計算書類等の作成を行わなければならない、こういうような原則を掲げているわけでございます。

 したがって、そこにも見られますように、統一的なものというものは基本的にはないわけでございますので、それぞれの慣行、こういうことになろうかと思います。

楠田委員 先ほどおっしゃられました公正妥当な慣行というのが会計の基本原則だと書いてありますが、法律にはよくこういう条文がありますけれども、何を言っているのか、意味がないという部分があると思います。

 それぞれの分野で会計が異なっており、それによって混乱がやはりある、信頼性がなかなか高まってこないという現実もあると私は認識をしておりますし、会計参与という制度が設けられても、それぞれその方々によって旧来の慣行にのっとってやるとすれば、やはりこの新しい制度の意義も半減してしまうという私は認識であります。

 そうした認識から、中小企業庁に確認をさせていただきたいと思いますが、今の会計基準、三種類ぐらいあるとも私は聞いておりますが、実態はどのようになっておりますでしょうか。

鈴木(正)政府参考人 ただいま委員から御指摘ございました中小企業の会計の関係でございますけれども、実は、中小企業の会計は、商法におきましては、公正なる会計慣行をしんしゃくするものというふうに規定されているのみでございまして、明確ではないという指摘がございました。

 このため、平成十四年六月でございますけれども、当面株式公開を目指さない商法上の小会社を念頭に置きまして、「中小企業の会計」を私ども決めまして、その普及に努めてまいりました。その後でございますけれども、平成十四年十二月に日本税理士会連合会さんが法人税法上の処理との関係について記載を追加いたしまして、中小会社会計基準を発表されまして、また、平成十五年六月でございますけれども、公認会計士協会さんが企業会計基準との差について詳しく説明した中小会社の会計のあり方に関する研究報告をそれぞれ公表されております。

 委員御指摘のとおり、三つ公表されておりまして、これは、中小企業に簡便な処理による計算書類の作成を促進するということで方向性は一致しておりますけれども、複数の基準があってわかりづらいという御指摘をいただいたところでございます。

楠田委員 中小企業庁の担当の方みずからわかりにくいという指摘があるということを事実として認められたわけでございますが、資料としていただきました、こういう「中小企業の会計」という大変砕けた文書をつくられて、こうしたもので徹底を図っておられる、そういう事実、努力というのは私ももちろん認めるところでございますけれども、やはり今の時点で、先ほどの答弁のように、まだわかりにくい点がある。それぞれのバックボーンによって実際に取り扱っているものが少しずつ違うし、視点も違う、先ほどの話ではやはりそうした点が明らかになっていると思います。

 この会計参与制度が導入されても、先ほどのような説明があるとすれば、私は、最初の時点で混乱というものも生じる可能性があるのではないか。実際に、企業会計、計算書類の信頼性を高めると言いながら、この制度が導入されても、ただのお墨つきで、余り内部が変わらないということではもったいないなと思っておるわけです。

 そうした意味で、先ほどの意見を踏まえて、今後どのような取り組みを中小企業庁として行っていくおつもりか、それをまずお聞かせください。

鈴木(正)政府参考人 今般この法案で提案されております会計参与制度の新設も見据えまして、中小企業における会計のあり方を統一的な指針として取りまとめるべく、ことしの三月二十二日でございますけれども、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の民間四団体の発意によりまして、「中小企業の会計」の統合に向けた検討委員会が設置されたところでございます。本委員会には、中小企業庁、金融庁及び法務省もオブザーバーとして参加しているところでございます。

 指針の内容はいまだ具体化しておりませんけれども、できるだけ中小企業の実務にかんがみまして、コスト・ベネフィット等の観点から、簡便な会計処理、また法人税法の規定を採用するという方向であるというふうに聞いております。

 本委員会におきましては、本年の夏を目途に中小企業の会計に関する指針を統一的な指針として取りまとめる予定であると伺っておりまして、私ども、このような指針ができました暁には、パンフレットの作成や説明会、研修の実施などによりまして、その普及に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

楠田委員 そのような説明をしていただきましたが、夏を目途にこれから具体化していくと考えておられますが、その具体化したもの、統一した基準というものを、会計参与制度が導入されるのをいい契機として、新たにでき上がる統一した基準というものを会計書類作成の基準として採用し省令などで指定するということは考えておられますでしょうか。

滝副大臣 今経産省から御答弁がございましたように、何らかの中小企業の会計についての指針というか基準が示される、こういうことになってまいれば、恐らく会計参与もそうした基準を用いて計算書類をつくる、こういうことは予想されるわけでございます。しかし、法務省としてそれを省令等で裏打ちするというようなことまでは考えているわけではございません。

楠田委員 予想はされるということでございましたが、この制度を新たに設けるに当たって、私は、各省庁、関係省庁がそれに努めていくということは当然のことだと思いますし、先ほどお見せしたようなパンフレットでの普及という形ではなかなか普及していかない。実際に、各地方で、そうした手が行き渡らないところほど、私は、信頼性が高まっていない、問題があるんじゃないかなという認識もしておりますから、そういう意味で省令等で指定というのが可能ではないかなと指摘をしたわけでございます。

 これがたとえできないとしても、その使用を実質的に奨励していくということは、行政の工夫で、昨今行政が出ていくとさまざま批判が出るというのも承知した上で、それでもなお、やはり正しいことに向けては旗振り役をするということは必要なことではないかと私は思うわけでございまして、最初にありましたように、融資や取引の場面で有利な点が実際にあれば、普及はもっと進んでいくんじゃないかと私は思っております。

 実質的に奨励することを私なりに考えてみたときに、例えば民間では、既に今、十七年の三月現在の調査によりますと、中小会社会計基準適用に関するチェック・リストというものを日本税理士会の方々がつくられておりまして、これを使用することによって、四十二の民間の金融機関が無担保融資制度を活用しておるというふうに聞いております。私も住友銀行に勤めておりましたが、新し物好きな銀行でございましたので、真っ先にこれを取り入れておられたという記憶がありますけれども、そうした民間の努力というものがあります。

 御存じかもしれませんが、例えば、これを使えば債務超過であっても融資の対象になるとか、無担保貸出期間を延長するとか、手数料が無料になるとか、こうした協調しての民間の新しい金融商品というものが既に出てきておりまして、こうした民間の取り組みを推奨するとともに、公的融資でこれを主導する考えもあるのではないかなと思っております。

 そこでまた中小企業庁の鈴木部長の方にお聞きしたいんですが、今の時点で、政府系金融機関の融資や各都道府県の信用保証協会、また都道府県の制度融資などにおいてこうしたインセンティブを現在行っているか、また、この会計参与制度の導入をきっかけに、今後行っていく予定があるかどうか、この二点をお聞かせください。

鈴木(正)政府参考人 委員御指摘のとおり、中小企業にとりまして、担保や保証に過度に依存せずに資金調達を行うということが非常に重要でございます。このためにも、財務諸表の質の向上が重要だというふうに考えております。

 現在、商工中金、また一部の信用保証協会では、「中小企業の会計」に基づきまして財務諸表をおつくりになり、その財務諸表の質が高いと認められた中小企業に対しましては、貸し付け条件の優遇、金利の優遇や審査期間の短縮をする制度を設けて活用しているところでございます。

 また、政府系金融機関では、本年度から、担保や保証に過度に依存しない融資、これを幅広く導入いたしましたけれども、会計参与制度が創設され、また中小企業会計の統一的な指針等ができました暁には、それを活用いたしまして、質の高い財務諸表をぜひ中小企業におつくりいただき、その中小企業に対しましては、審査期間の短縮等の優遇、こういうものが図られるようにしていきたいと考えております。

楠田委員 現時点での商工中金や中小企業金融公庫などを初めとするそうした融資で、私が知る限り、各都道府県でも、東京や埼玉でしたか、そうした信用保証協会でも取り入れているところがあるというふうにも聞いておりますが、今おっしゃられましたように、せっかく会計参与という制度を新たに採用するのですから、法務省、中小企業庁、また金融庁など関係機関が一体としてその普及を進めていく、またその中身というものも、株主や債権者からより信頼性が置けるものにしなくてはいけないなと思っております。

 今まで、こうした質問を考える上で、それぞれお聞かせいただくにおいて、やはり各省庁においてそれぞれ担当が異なってその一体性が欠けているというふうに私も強く認識をしたところでございまして、こうした新しい制度が導入されることで、私は、むしろこれをチャンスとして、今までの混乱を整理する機会じゃないかなと思っておりますので、この創設を機に、ただ単に創設することを目的とするのではなく、この後の実態的な信頼性確保に向けて、こうした今までの提案が行われていくように強く要望をさせていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきますが、これよりは、会計参与という新しい仕組みにおける責任の問題等を取り上げて質問させていただきたいと思います。

 会計参与は、会社または子会社の取締役、執行役、監査役、会計監査人または支配人などとの兼任はできないというのが案にございますが、これは当然のことだと思います。しかし、一方で、立場的には会社と独立をしているわけではなくて、会社内部の機関のようにも見えます。

 そこで、会社の計算書類を取締役や執行役と共同して作成することがそもそも業務執行と言えるのかどうか。また、例えば顧問税理士の立場で税法上の計算書類を作成すると同時に会計参与をされる方も多くいらっしゃると現実的には考えておりますが、こうした際に、利益相反の行為になるという事態が生じないかどうか、こうした場面を考えておられるか、お聞かせください。

滝副大臣 今の御指摘で二点あったかと思います。一つは、会計参与の業務が会社の業務執行かどうか、こういうことでございますけれども、おっしゃるように、会計参与が取締役と共同して作成することは、これは会社の業務執行だというふうには思っております。

 それから、会社のそういう計算書類をつくることと税理士として税法上の書類をつくることは利益相反になるんじゃないか、こういうようなことでございます。これは、かつてそういうような心配をするような議論があったのでございますけれども、結局は同じということに今理解をされているように思います。

 要するに、会計参与としてやる仕事も税理士としてやる仕事も、結局は、公正妥当な会計処理をどうするかということを税理士という専門的な立場で考えていくわけでございますから、そういう意味では、その業務そのものは全く同一の仕事、利益相反ということはあってはならないし、また考える必要はないんじゃないだろうかな、こういうことだろうと思います。

 もちろん、その過程で、税理士さんと取締役さんの間でいろいろ意見の調整をするとか、そういう事態は恐らくあるだろうと思いますけれども、税理士としての行為そのものが利益相反になるということは考えなくてもいいんじゃないだろうかな、こういうふうに思っております。

楠田委員 やはり業務執行に当たるということでございました。

 会計参与の責任は、改正案では、社外取締役と同様の規律を適用するものとされております。この点、会計参与が業務執行を行い、また信頼の高い書類を作成する高度な責任を考えますと、社外取締役よりも重い責任になるという考え方もございます。また一方、会社の責任に対しては、免責規定などが取り入れられまして、取締役よりも責任が軽くなるという案になっております。こうした根拠を、確認のため、この責任の分野において御説明願います。

南野国務大臣 会計参与と社外取締役は、業務全体を直接執行する代表取締役等と異なる社外の者であるという点では、その立場は共通しているかなというふうに思います。また、取締役会の構成員として取締役会決議を通じながら会社の重要な業務執行に関する意思決定を行う社外取締役と、専門家として会社の会計書類の作成を行う会計参与は、その職務の重要性において優劣をつけがたいものであります。いずれもその責任を合理的な範囲に限定することによりまして、その地位への就任にちゅうちょが生じないようにする必要があろうかと思っております。

 そこで、会社法案では、会計参与の会社に対する責任につきまして一般の取締役とは異なる取り扱いをして、社外取締役と同様の責任免除制度を導入することにいたしております。

楠田委員 次も確認でございますが、第三者が、特に共同して作成されたこの計算書類、信頼性が高まったとして取引すると思いますが、実際、内容というより、むしろ専門資格者のお墨つき、印鑑を信じて取引を行うこと、これも多くなると考えられますが、取引の相手方の保護というものをどのように図っていくか、この点についてもお聞かせください。

南野国務大臣 会計参与が虚偽の計算書類を作成したため、これを信じて取引を行った相手側が損害をこうむった場合におきまして、虚偽の計算書類の作成に関して会計参与に悪意または重大な過失があったときは、その会計参与は取引の相手方に生じた損害を賠償する責任を負うこととなります。これは四百二十九条の一項でございます。

 また、このような虚偽記載が重要事項についてなされた場合は、立証責任が転換され、会計参与が注意を怠らなかったことを証明しない限り、第三者に生じた損害を賠償する責任を負うこととなります。これは四百二十九条の二項一号のロというところでございます。

 以上でございます。

楠田委員 次に、会計参与が取締役、執行役と共同して計算書類を作成するほかに、会計参与報告書というものを作成することとなっていると思いますが、この具体的内容についてどのように考えているか。これは省令で取り決めていくと思いますけれども、この点について見通しをお聞かせ願いたいのと、また、あわせまして、こうした、特に取締役、執行役と意見を異にした事項も記載事項となっておりますが、この場合に、会計参与というのはどのような手だてがあるのかどうか、免責規定があるのかどうか、この点に関しても確認のためお聞かせ願います。

滝副大臣 会計参与につきましては、計算書類を作成する場合には、同時に会計参与報告を作成しなければならない、それは今御指摘のとおりでございます。

 この内容につきましては法務省令で定めることにいたしているわけでございますけれども、今考えておりますのは、会計処理の方法に関する事項、そういう基本的なことですね。それから、計算書類を共同で作成する際に問題になった事項、今御指摘のように、取締役等との意見が異なる、あるいは調整をしたとか、そういうような重要な経緯について記載をする、こういうようなことを予定するつもりでございます。

 そして、そういうような場合に、意見を異にした場合にどういうような責任があるか、こういうことでございますけれども、そのためにこの会計参与報告で意見の違いというものを明らかにするというわけでございますから、その意味では、会計参与の責任についてはその分だけは軽減される、こういうふうに考えられているわけでございますけれども、基本的には、その場合に、会計参与としてとる方法は、まず会計参与を辞任するのが一つの出処進退というか責任のとり方だと思います。それからもう一つは、株主総会において、出席をしてその旨を発言するということも、この会社法上、条文を置いておりますから、そういう二つの方法で会計参与としての責任を明確にするということをしなければいけないと思っております。

楠田委員 実際に辞任をして、その後は新たに再任を決めていって定款を書きかえていくという作業はなかなか難しいんじゃないかなと思っておりますのと、実際に意見を異にしたことを発言したこと自体で本当に免責はされるのかという点について、特段の配慮を願いたいと思っております。

 また、細かい点でございますけれども、会計参与が取締役、執行役と共同して作成した計算書類を会社とは別に五年間保存し、これを株主や債権者は閲覧、謄写が請求できるとなっておりますが、この閲覧できる時間帯というものをどのように考えておられますか。細かい話でございますけれども、会社でも土日に営業しているところもありますが、こうした各会計参与の事務所では土日は休みであるとか、そうした点も、事実上は、この運用上は起きてくると思いますが、こうした請求できる時間についてはどのように考えているか、お聞かせください。

滝副大臣 基本的には、会計参与が保存する計算書類については、会社の営業時間内に閲覧させるように、こういうのが原則でございます。

 しかし、当然、会社の営業時間と会計参与が自分の事務所で営業をしている時間とが異なる場合があるわけですね。今先生の御指摘のように、土日はどうするんだとか、当然ずれというのもあり得るわけでございますから、そういう場合には法務省令で例外を定める、こういうようなことを認める方針でございます。会計参与である税理士の業務時間外は基本的には閲覧をすることができない、こういうような規定を設ける予定でございます。

楠田委員 時間も迫ってまいりましたので、最後、会計監査人の制度について二点ほど確認したいと思っておりましたが、これは取りやめまして、最後にやはり、前半で質問させていただきました、会計参与の導入において、その後の会計の、計算書類の基準について、また、それにおける、会計参与を取り入れることで、実際に、有利な場面といいますか、そうした場面が出てくるように、今後一層の努力を促すという点、法律が実現してしまえばそれで事足れりという考え方がやはり多くあると思いますので、その後の各省庁の連携を密にして、協力をして、ぜひともこの制度が実際に生かされて、最終的な目標であります中小企業の信頼性を高める、取引がしやすくなる、この点に特段の配慮をしていただきたいとお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。

塩崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

塩崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岩國哲人君。

岩國委員 民主党を代表して質問いたします岩國哲人でございます。

 まず最初に、法務大臣に、今回の、明治以来の百年に一回の大改正ということで大変な、この法案の書類を見ただけでも、これは今までの新記録だそうでございます。法務委員会が数ある委員会の中で新記録をつくったというのも、これは我々としても大変誇りに思っていいのかどうかよくわかりませんけれども、ただ、残念ながら、我々はこの短期間にとてもこれを読み通すこともできず、はっきり言って私はもうほとんど手つかずの状態なんです。

 大臣は、もちろんお目通しされなかったでしょうね。その辺をちょっと。この中の何ページぐらいを実際に自分の指でお触れになったことがありますか。先ほど、お通りがかりのときに、ここにちょっと手だけ触れていただきました。この書類が大変喜んでおると思いますけれども、実際にこの中の条文を、お読みになったというよりもお眺めになったのはどれぐらいのボリュームでございますか。まず、お答えください。

南野国務大臣 先生の高度な御質問でございますので、手でさわったら全部さわったつもりではいるんですけれども、そこまで至っておりません。本当に、ぱらぱらと見せていただきました。項目ごとには押さえさせていただいているのかなというふうに思いますが、それもまだまだ定かではありません。これからの勉強も含まっていると思います。

岩國委員 大臣、大変正直に、これからの勉強ということですから、我々議員もこれから勉強しなければならないわけです。

 ところで、先ほど、自民党の議員の方からも、これはまくらにでも使うよりしようがないなとおっしゃっておりました。私はきょうの質問のまくらに使おうと思って実はこれを持ってきたわけですけれども、大臣にそういうことをお話ししたら、ああ、これは足まくらかな、そういう冗談をおっしゃっていただきましたけれども、まくらにしても足まくらにしても非常に部数が多いわけですね。

 明治以来、百年間で初めての大改正。二十一世紀、世界の先進国の中で先頭を切って、この会社法。資本主義国家の中で、私はこの会社法というのは非常に根幹をなすものだと思うんですね。資本主義国家のまさに五臓六腑に相当するのが、また心臓にも相当するのがこの会社法だと思うんです。これに、立法の府の中心であるこの衆議院で何時間ぐらいの時間をかけて審議していただきたい、そういう願いを主管大臣として持っていらっしゃるんですか。この法案の審議に何時間をかけていただきたいと我々に期待していらっしゃるんですか。

南野国務大臣 単なる時間の数ではなく、その中身であろうかなと思っております。皆さん方が本当に熱を込めて御論議いただいていること、さすが衆議院の法務委員会だなというふうに思っておりますので、そういう皆様方の真摯なお力をこれに反映させていただき、通していただく。そして、次の何年間になるのか、百年になるのかわかりませんが、それが確かな歩みで使っていただけるような法案にしていきたいという願いもございます。

岩國委員 これは、その中身が問題だとおっしゃいました。今までの我々の質疑は中身が薄かったというふうにおっしゃっていることはないと思います。中身は濃いという前提で答えていただかなきゃいかぬのです。中身の濃い時間を何時間ぐらいこの審議にとっていただきたいと願っておられるのか。

 今までいろいろな法案が出てきたと思います。まず、このページ数は幾らですか、大臣。何ページあるのか、どうぞ。

南野国務大臣 ページ数というよりも、千条ある、九百幾らあるということは存じ上げております。

岩國委員 今まで審議時間にどれぐらい使われたんですか。そうすると、一時間当たり何条のスピードでやってきたのか。これは簡単な割り算ですから、どうぞお答えください。

 大臣が一生懸命計算していらっしゃる間に、私は、まず委員長にお伺いしたいと思います。

 委員長は、この委員会の長として、この大事な法案、日本の将来にとってこれは大事だということは委員長御自身よくおわかりになっていると思うのです。委員長として、この委員会でどれだけの審議時間をとりたいと思っておられるのか、自分が満足のできる委員長としての仕事をするためには何時間の時間が必要なのか、お答えください。

塩崎委員長 きょうで大体三十時間を経過すると思います。主な今までの大きな法律に匹敵するだけの時間は費やしてきたかなと思いますが、大臣がおっしゃったように、時間だけではなくて中身も伴っていなければいけないということで、来週も議論をいただくということで、おおむね三十時間超でやっていただけるというふうに理解をしております。

岩國委員 三十時間で、この会社法の法案だけでページ数約九百ページ。一時間当たり三十ページのスピードでこの委員会は審議をしておる。世間の人はこれを信用するでしょうか。一時間当たり三十ページ。私も相当速く読める方ですけれども、これは読むだけでも一時間三十ページ。本当に中身の伴った審議が、質疑がこの委員会で行われたと国民の前で言えますか。自民党の大きなスポンサーである経済界の皆さんに対しても、十分質疑をいたしましたということが言えますか。国民一般の皆さんあるいは法曹関係者にとっても、これは非常に関心の深いものです。一時間三十ページのスピードで、三十時間で物の見事に仕上げた。我々は、別に大量生産をやっているわけじゃないんですね。しかも、毎年毎年やっている法案でもないんです。

 経済大国あるいは経済先進国の日本として、その根幹をなすような会社法案を一時間三十ページのスピードでやっていいものでしょうか。大臣、どういうふうに思われますか。大臣の仕事は、大量のページ数の条文の多い法案をどんどんどんどん、そして自分の在任記録は一万五千ページを達成いたしました、そんなことは何の誇りにもならぬと私は思うんです。本当にいい法案を十分に質疑をしたか、そういう胸にやましいところはないのかどうか、それをお答えください。

南野国務大臣 胸にやましいところはないとまず申し上げながら、やはりこれだけの法案を皆様方に御審議いただきました。そういう意味では、本当に、セッティングしていただくこのお時間お時間、それが大変な御努力であったと思いますし、この法律が百年間使われてきました。その百年間の中で、いいところ悪いところがある程度見えてきたということもあるのではないかな。社会の情勢、経済情勢、国際情勢、そういうものをあわせながら、ポイントをどこに当てようかということも一つの整理の仕方であろうかなというふうに思っております。

 そのポイントにつきましては、皆様方から御提示いただいている、まだ途中でもあります、まだこれが終わったということにはなっていないわけでございますので、審議中でございますから、その経過の中で、私は誠意を込めて拝聴し、どのようにその中に盛り込んでいけるのか、どのように改正できるのか、仕上がりを楽しみにしたいと思っておりますが、今先生がおっしゃったように、何ページやったとか、そういうことが議員の評価であってはならないと思っております。

岩國委員 もちろん、私は量的な評価ということで満足するものではありません。ですから、十分に質疑をこなすためには、私は一時間三十ページのスピードでは足りないということを申し上げているんです。

 世間一般の人にそんな話を聞かれて、褒めてくれる人がいるでしょうか。要するに、衆議院というのは、法務委員会というのはいいかげんなものだと。どんどこどんどこあれだけの条文を、百年に一回の大改正といいながら、中身の審議も十分にできないぐらいに、大臣が目を通す時間もないし。

 委員長は、これに目を通されましたか。お答えください。

塩崎委員長 本体の方は、全部は読んでおりませんが、かなり読みました。

岩國委員 私は、はっきり言って胸が痛みます。こういう法務委員会の中で、このせっかくの条文に、十分手を触れることもないページがたくさんあるんです。白きやわ肌に手を触れもせずといったような言葉がありますけれども、私は、この条文は本当に私の方に向かって泣いているように思うんですね、全然見てももらえない、読んでももらえないページがこれだけあって。

 私は、国会に入って以来これで二回目です。予算委員会、行革特別委員会で地方分権推進法、あのときも墓標のように高く積み上げられました。今回はそれをやや上回っております。関係者の方に聞きましたら、これは国会の新記録なんだそうです、ページ数だけを見た場合に。

 審議時間において、本当にこれを審議した、内容も立派なことをやりましたよといって信じてもらえるような審議時間になっているかどうか。私は、もっとしっかりと審議時間をとるべきじゃないかと思うんです。

 関係条文を全部入れますと、これは五千ページ近くになります。三十時間ということは、一時間百七十ページの速さでこれに目を通す、大変な作業だと思います。目を通すだけがもちろん我々の仕事ではありません。しかも、この中身に至っては、この百年間の日本の経済界の内外を取り巻く情勢がどれだけ変わってきているか、そのことを考えれば、私は、委員長として、審議時間を仮に三十時間でやめますということは、全く無責任きわまる委員長だと言わざるを得ないと思うんです。法務大臣としても、せめて私の顔を立ててくれ、もっと十分審議時間を確保してほしいということを議会の関係者に説得されるべきではありませんか。

 結局は、限られた審議時間になるから、我々としても、つぼどころと思っても、本当にそれがつぼかどうかはよくわからぬのですよ。一人の人間のつぼといっても、けさもテレビでも言っておりました、三百六十五のつぼがあるんだそうですね。三百六十五のつぼが一人の人間にもある。この中のつぼどころはどこにあるか。それは、ただ指先でさわってわかるのは、指圧、マッサージの人はできるでしょうけれども、我々はその指圧、マッサージが仕事じゃありませんから、中を見なきゃいけない。

 私は、そういった点で、審議時間が余りにも不十分であるということを、まず法務大臣、主管大臣として、それに対してもっともっと異議を唱えられるべきだと思うんです。それはあなたの責任だと私は思います。

 国会の中では、委員長みずからが職をかけて審議時間を確保される責任があると私は思います。委員長自身も、経済界に関係のない人、文学界から来られた、あるいは全く別の畑からなら私はまだわかります。しかし、経済界に少しでも関係された人間であれば、三十時間そこそこでこの法案の審議を打ち切るというようなことがあっては、私は、あなた自身の経歴にかかわると言わざるを得ないと思います。

 最初にそのことを申し上げて、質問に入らせていただきます。

 まず、百年の大改正ということで、この百年ぶりの大改正の一番大きな改正点は何ですか。午前中も私は質疑を聞いておりました。一般の人にわかりやすく、この会社法はこういうふうに変わったんですよ、大変な作業だったんですよと。大変な作業の一番は何ですか、大臣。

南野国務大臣 いろいろあるとは思いますけれども、会社の名称の問題からまず変わって、そしてそれの機能が変わり、それからもちろん会計監査人等も含めながら、そういうものが逐次公開されながら、審議をいただきながら変わっていくポイントが挙げられたと思っております。

岩國委員 いろいろな改正点の中、午前中も読みやすくするということがここでありましたね、わかりやすくする。その一つの方向が、片仮名をなくすということで読みやすくしようと。私は、確かにそれは非常に大切な点だったと思うんです。

 今、世の中は片仮名の方に流れているんですね。若い人たちの使う言葉、あるいはいろいろな、使う商品にしてもブランドネームにしても、片仮名ほど流行し、片仮名ほど愛用されているというのが一つの流れ。

 もう一つは、この会社法で扱う会社の名前そのものが、片仮名の会社がどんどんふえておるんです。調べてみましたら、三十年前に東京証券取引所に新規上場された会社は一年間に十五社でした、その年は。片仮名の会社はそのうち六社、片仮名を使わなかった会社が九社。それが今からちょうど三十年前。昨年を見ますと、上場された会社は九十四社にふえました。そのうち七十社が片仮名なんです。しかも、英語を使っているのが二社。英語も実質的に片仮名グループに入れますと七十二社。三十年間に片仮名上場会社のグループは十二倍にふえているんです。

 世間一般の若い人たちの言葉も片仮名化が進んでおります。一方、資本市場の心臓部というところでも片仮名会社がどんどんふえている。最近のTOBで話題になったライブドアとフジテレビ、これも片仮名ですね。経済現象、会社をめぐるいろいろな問題は、むしろ片仮名会社が主役の時代が現に来ているんです、この数字が示すように。

 私は、だから片仮名へ返せと言っているのではありません。そういう心臓部の流れ、世間一般の片仮名の流れの中で、なおかつ片仮名をやめた方がいいというふうにお考えになるお気持ちはどういうところにありますか。

南野国務大臣 片仮名という字体もあるかもわかりませんが、先ほど佐々木先生がお読みになられた文章などは、文語体的な問題もその中に含まれているのではないかなと思っております。

岩國委員 こういったことは、一般に、法律の文章としては、私自身の経験を踏まえても、片仮名が多過ぎる文章よりも平仮名の方が親しみやすいな、日本人的かもしれませんけれども、私もそういうふうに思います。しかし、世間一般がどんどん片仮名化している中であえて平仮名に踏み切るには、それなりの説明なり、それなりの一つのポイントを置いてこれから世間一般に説明していく必要があろうかなと私は思います。読みにくい、だからかなわない。カナは無いと言うので、仮名を全部なくしてしまうわけですから。そういう世の中であるということをよく認識して、これからいろいろなところでの法務省としての宣伝に努めていただきたい、そのように思います。

 また、用語の点でも、この会社法案の一番最初の文章は何から、どういう言葉で始まっておりますか、大臣。

南野国務大臣 第一条のところで、「会社の設立、組織、」というような文言から始まっております……(岩國委員「いや、その前に何か書いてありませんか、目的なり、趣旨なり、朕何とかとか国会とか」と呼ぶ)はい。第一編総則のところで、第一章通則のところで「趣旨」というものから第一条が始まっております……(岩國委員「何と書いてありますか」と呼ぶ)「第一条 会社の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。」というところでございます。

岩國委員 その第一章が始まる前に、一番最初に書いてある大事な文章はありませんか、日本の国会がこれを決めたとか……(発言する者あり)失礼しました。商法の方です。

南野国務大臣 今見せていただいた商法の中の、三段ございまして、一番下の段でございます。「朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル商法修正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム」と書いてございます。

岩國委員 この「朕」という言葉、商法はある意味ではこの会社法の親法みたいな立場にあるわけですね。今度は会社法を独立させる。その本家本元の商法の方で「朕帝国議会」という言葉がそのまま残っておりますけれども、これはなぜ今なお引き継がれて改正もされないで使われるんですか。「朕」というのはだれのことを意味しておるんですか。「帝国議会」というのはどこに存在しておるんですか。お答えください。

南野国務大臣 「帝国議会」というのは我々参議院の先祖でございます。(岩國委員「朕は」と呼ぶ)「朕」については、これは国を代表しているものであり、これは天皇陛下と私は存じております。

岩國委員 戦争は終わり、国の体系は変わって、しかも、商法のような経済活動に非常に大切な法律の中に、私は「朕」という言葉が残っているのはおかしいと思うんです。大臣、そう思われませんか。

 それから、「帝国議会」という言葉そのものも、百年に一回の、明治以来の大改正というんであれば、「朕」とか「帝国議会」というのは、ちゃんとそういうことこそ改正する、そうあるべきじゃありませんか。

南野国務大臣 今我々が皆様方にお願いしている審議は、これは法律文でございまして、これは公布文でございますので、そこら辺のところの問題点があるのかなと思っております。

岩國委員 そうすると、二十一世紀もずっと「朕」「帝国議会」がこうして六法全書の中に残っていく、それは全然問題はないし、おかしくないことだ、こういうふうにおっしゃっているんですか。

南野国務大臣 先生お尋ねの法制的な問題については、私ちょっと勉強が足りていないというふうに思いますが、この問題についてまた詳しい方がおられたら尋ねてみたいと思っております。

岩國委員 今この場で答えていただけないということであるならば、この法案の採決までに必ず大臣の名前で回答を出していただきたいと私は思います。「朕」というのが何を意味するのか。「帝国議会」が何を意味するのか。そして、商法のここに、それは法律の一部ではないという判断を今示されましたけれども、そういう見解でよろしいのか。

 今、現代語にわかりやすくということをおっしゃったばかりじゃありませんか。町の、六本木とか銀座、新宿の若い人に聞いてみてください、朕というのは何ですかと。私の秘書は、この法案に備えて、インターネット、辞書で朕という言葉を調べさせました、私も再確認のために。私の秘書が持ってきたのは犬のチンの方ですよ。中国産の犬で奈良時代に日本にやってきたという、それから、顔は平面的で、非常に庶民的な風貌だと。最近の若い人の感覚というのはそういうところにあるんですね。だれも、これが国家を代表し、天皇陛下を指すと、さっき法務大臣がおっしゃった感覚とはもう全然ずれているんですね。

 全然ずれているような法律をそのままにしておいて、やれ、経済法の根幹の会社法の改正だとか、明治以来の大改正だと。この「朕」という言葉、「帝国議会」という言葉は、日本の法律の中に、法務省ですから御専門の方がいらっしゃるでしょう、何本の法律に今まだ残っているんですか。

寺田政府参考人 私どもの所管ではございませんけれども、まず、憲法の中にございます。それから、民法も先般現代語化いたしましたけれども、この部分は、制定当時の根拠となる説明文ということで、片仮名のままその部分だけが残されて、法律本体だけが変えられているわけでございます。これは内閣法制局とも御相談してそういう扱いにいたしておりまして、通常、法律、したがいまして六法全書に載る部分というのは、この部分以後の、法律として効力がある、先ほど大臣が言われました目次のところを含めた部分ということになるというふうに私どもは理解をいたしております。

岩國委員 では、先ほど、「朕」「帝国議会」という表現、それが経済関係法の中心にいまだに座っておることについての大臣の見解を出していただきたいということを私はお願いしました。

 委員長、必ずそれをお取り次ぎいただきますようにお願いします。

塩崎委員長 了解しました。

岩國委員 今、局長の方からそうした数については答えていただけませんでした。日本の法体系の中で「朕」という言葉が残っている法律は全部で幾つあるのか、そのリストを出していただきたい、「帝国議会」という表現も。

 一遍この辺で我々も知っておいた方がいいんじゃないでしょうか。こういう明治以来の大改正というときに、我々も、立法の府にいながら、そういう古い言葉、あるいは今は存在しない死語が堂々と残っているというようなことを私は見逃しておくわけにはいかない、そのように思うんです。

 例えば、最近の憲法改正論議の中でも、大臣御承知のように、今の日本の憲法を変えた方がいい、いや、変えない方がいい、いろいろな議論があります。変えた方がいいという議論をおっしゃる中には、これは占領軍のもとで、マッカーサーの指導でつくられたから、それが気に入らぬから、日本人の手でもう一回つくり直そう、これも一つの気持ちとして私はよくわかります。

 ならば、こういうことも私は同じように大切だと思うんです。マッカーサーがつくったから嫌ですという人が、朕がおつくりになったものはそのまま今でも受け入れる。占領軍の指導でつくられたものが嫌だという人が「帝国議会」という名前をそのまま大切に残しておく。この辺が非常に矛盾していると思うんですね。どの委員会がこれを議論するのか。この委員会しかないじゃありませんか。こういう法律の中で今は存在しない名前がいつまでも残っているということです。

 関連して、年号の問題です。

 この法律の中に、依然として、明治だ、大正だ、昭和だという用語が使われています。改正が何回行われたか。見てください。明治何年だ、やれ大正何年だ、昭和何年だと。そのたびに西暦に換算して、これは何年前の改正だったかということを一々頭の中で換算しなきゃいかぬでしょう。読みやすく、わかりやすくと言うのであれば、片仮名ばかりが読みやすく、わかりやすくの方向じゃないと私は思うんです。二十一世紀になって、まだ、やれ大正から何年たって、昭和何年たって改正が行われて、それからまた何年たって改正が行われたか。大臣もおわかりにならないでしょう。

 こういう大改正のときには、片仮名化と同じように西暦化もやるべきだ、そういう議論というのは全くなかったんですか。政府の担当者の中にもそういう意見はなかったのかどうか、あるいは、いろいろな有識者の御意見の中にも、参考人として今まで聞かれた中にもそういう意見は全くなかったのか、大臣自身の頭の中にもそういう発想は全くないのか、この三つをお伺いします。

寺田政府参考人 これは、政府の出す文書につきまして、法文以外のものについては西暦を併記するというような議論がかねてからございまして、現在はそういう扱いをしていることが多いというふうに思いますが、法文に関しましては、内閣法制局の統一的な扱いで、年については昭和、平成というような元号で表記するままになっておりますので、これもそのような扱いにいたしているわけでございます。

 なお、法制審議会において有識者等からそれを改めるべきだということを特に御指摘になられた方はおられませんけれども、私ども、一般的に西暦が表記としてわかりやすいという御意見があるということは承知いたしております。

岩國委員 私は、二十一世紀に入って、これから百年、少なくとも五十年使えるような法律をつくろうというのであれば、西暦化を大胆に決定すべきだったと思いますし、少なくとも、今局長がおっしゃった併用ということぐらいも、読みやすく、わかりやすく、計算しやすく、そこまで気遣いをした法律をつくってこそ、国民に感謝される法務委員会であり国会ではないか、私はそのように思います。

 島根県出雲市は、既に一九八九年、平成元年から、議会でそれを決定し、今でもずっと使っています。大臣は出雲市へおいでになったことはないかもしれませんけれども、日本の中で一番封建的、保守的、閉鎖的と言われると、大体あそこを指していることが多いんです。それは竹下登元首相の地元だと言えばもっと感じがよくおわかりになるだろうと思います。にもかかわらず、出雲市の市会議員と市民代表の人たちは、十八対二という圧倒的な差で、西暦を使うべきだ、当分は併用すべきだ、しかし、どっちかに決めなきゃならないときには西暦一本にすべきだ、そういう答申を私に出して、私が市長として、平成元年から出雲市役所はあらゆる公文書の中に西暦を使っております。

 そういう田舎の、田舎のと言っちゃいけませんけれども、封建的、保守的、閉鎖的、神話の国だとか神の国だとか、こんなことを東京で言うと問題ですけれども、出雲ではしょっちゅうそんなことを私は言っておりました。そういう地方でさえも、もう西暦という時代の風は十分に意識しているんです。あらゆる法律の中で最も国際感覚が必要で、経済がボーダーレスだ、グローバルだと言っているときに、ボーダーレスでもグローバルでもない年号がここにいつまでも残っているというのはおかしいんじゃないでしょうか。仏つくって魂入れずという一つの例が私はそこにもあると思うんです。

 そういうことについて、大臣自身はどういうふうにお考えになりますか。わかりやすい、計算しやすい、そういう法律をぜひこの機会につくってみようというお気持ちは全くありませんか。

南野国務大臣 先生が市長様をしておられた出雲の国は、普通我々が神無月と言うときに神在月と言って、全部の神様が集まってこられる、そういうゆゆしい、すばらしい神の国である、そういうところで市長様としておつくりになられたドームも見せていただきましたし、ワイナリーも本当に活性化してつくっておられるということも存じ上げております。そういう島根県のあり方ということで、年号が変わって、新しい西暦で全部整理されたというふうに思っております。

 それは、多くの国民の方々がどういうふうに思われるかなということが一つございますが、私としては、すべてが西暦で統一すればいいというものでもないのではないか。ある意味では、日本の日本らしさをどのように我々が後世代につなげていくかということもどこかで考えていかなければならない。それが個々の数字ですよとは私は申しませんけれども、そういう問題も、今憲法が検討されておる中でもいろいろと打ち出されていくものなのかなと思っております。

 それから、一つ訂正させてください。帝国議会を私は参議院というような誤解されるような言葉で言いましたが、参議院は貴族院ということでございますので、その点よろしく訂正させていただきたいと思います。

岩國委員 そうしたすべてを私は西暦と言っているんじゃなくて、現実的に併用ということもし得るわけですね。

 そして、年号というのは、御承知だと思いますけれども、これは神様がおつくりになったんだったら、出雲の人たちは抵抗があったと思います。よく調べてみると、これは神様がおつくりになったんじゃなくて、中国のある皇帝が始めただけの話。それが朝鮮半島に移り、日本列島に来て、そして次々と使われるようになったのが年号、元号。今後ろを振り返ってみたら、韓国も西暦、本家本元の中国も西暦。年号を使っているのはこの日本しか残っていない。しかも、それは神様がおつくりになったという拘束力も制約も何もないわけです。ただ一部の人がそう思い込んでいるだけの話です。

 この辺で、朕問答はこれぐらいにいたしまして、次に、会社法改正について、今まで我が党を含めいろいろな方から、会社法の目指すところは何だろうと。私は、二十一世紀の資本主義社会というものをはっきりと見据えて、先進国の中で一番最初に大きな改正をするのであれば、やはりよその国からも、日本という国はああいう企業、ああいう経済社会を目指すんだというお手本でなくちゃいかぬでしょう。

 今、世界の国も、政治思想も揺れています。経済のシステムもいろいろと問題も起こしています。だからこそ、政治家としては一つの、会社法をつくることによってその理念を明らかにする。どっちの方向へレールを持っていくか、そのレールはどっちへ向かっていくのか、レールの先にはどういう社会をつくろうとしているのか、これが私にはまだ一つ見えてこないわけです。これはもう何人もの委員が繰り返しています。

 レールだけではありません。法務省はどういう役割をしているか、会社法。会社をつくる方、運営する方、もう一つは、資本主義社会ですから、株式が発行されて、株式が流通する。発行市場と、もう一つの流通市場で金融庁がどういう役割をしているのか。あるいは、投資家の代表として、日本のSECはあるのかないのか、役に立っているのか。投資家は何を期待しているのか。物、金、人を結合する、そういう一つのそれぞれの立場の役割、ロールがはっきりしていないと思うんです。

 この部屋でしたけれども、財務金融委員会の中では証取法の議論もいたしました。証取法というのは、御承知のように流通の場で、発行の場である会社法とはちょうど対になるものです。私は、証取法の関係で金融庁の皆さんにも質問しました。今度の会社法の改正とちゃんとすり合わせができているかどうか、発行サイドと流通サイドとそのすり合わせが十分にできているかどうか。ちぐはぐなもので、連絡不十分、すり合わせ不十分なままに、会社法は会社法で満足し、証取法は証取法で終わりましたというのではおかしいと思うんですね。そういう市場のルールがはっきりしていない。レールもなければロールもなく、ルールもない、会社法の中を流れる精神にこの三つが欠けているように私は思うんです。

 資本主義社会をどういう方向に持っていこうとされているのか。資本主義社会というのは、資本家中心の、株主中心、投資家中心の社会をより目指すのか。資本主義社会を支える人、働く人を含めて、人中心のこれからの社会を構築するのか。あるいは、会社または経営者を中心とするのか。経営者中心の資本主義をつくるのか、投資家中心の資本主義社会なのか、支える、働く人中心の資本主義なのか、資本主義の中にもいろいろな資本主義があるわけです、一口に資本主義と言っても。あえて言えば、企業資本主義を目指すんですか。それとも、資本民主主義、一人一人の株主が民主的、平等に扱われる、それを理想としてこの会社法はつくられているのか。

 そういう点について、一言で言えばどういう資本主義なんですか。企業資本主義なのか、あるいは投資家中心の資本主義なのか。資本主義の中により民主主義を盛っていこうということなのか。資本主義の中に、より経営者、大資本だけを優遇するような、そういう方向に持っていこうとしているのか。大臣、お答えいただけるんだったら大臣からお答えいただきたいと思います。

南野国務大臣 経済の問題がそこの中に山積いたしておりますが、その経済を有効あらしめるのは人であろうかというふうに思います。

 人が健全に生きていくためには、もちろんいろいろなニーズが満たされなければいけませんけれども、その中で、やはりベンチャー的に自分の個性というものを高めていく一つ、もちろん、学校が済んでから自分が社会に出る、その社会の中で何をしようかというときに、やはりインカムの問題を考えていかなければならないだろう。そのときに、経営するという、会社という形の中でどのような会社がいいのかということも一つあろうかと思いますが、民主主義社会の中で経済という効率を高めていき、クオリティーの高い生活をしていこうとする場合には、今までやってきたことを少し変えてみたらもっといい形になるのではないかなという形で、今まで踏襲してきた会社法のあり方を近代的に変えていこうとしているのが今の法改正のポイントであろうかと思っております。

 私は、民主主義的に経済というものを取り入れていき、人もハッピーでなければいけないと思っております。

岩國委員 大臣は形容詞としては近代的とか民主主義とおっしゃいますけれども、朕が居たり帝国議会があったりするようなのは全然近代的でもないと思うんですね。

 それから、民主主義とおっしゃいますけれども、この会社法改正の中には、いわゆる企業を防衛しよう、そういう立場の、一般株主の権利が今までよりはむしろかなり危なくなるのではないか、資本主義社会における民主主義が少し危ないのではないかという指摘が今までもされております。

 ですから、近代的、民主的な方向に改正するというのであれば、西暦も使われておらないし、明治時代の言葉がそのまま残っておるし、ポイントは片仮名を消しましたという一つ、それだけが近代的、民主主義。しかも、片仮名を平仮名にしましたので、片仮名をなくしましたという方向ですから、若い人の好みでもなければ、会社の名前にどんどん片仮名がふえているときに、片仮名をなくすということだけが、私は片仮名のない方が読みやすいということは肯定しながらも、それで近代的、民主主義というのはおかしいのではないかと思います。

 資本主義か、別の主義を選ぶのか。例えば、予算委員会で今までもこんな議論がありました。銀行に対して公的資金をどんどん入れていく、これが本当に資本主義と言えるのか、我々は議論したことがあります。そのときに、共産党の委員から橋本総理に対して、資本主義の原点に返れ、こういう発言がありました。私はびっくりしました。これを自民党の方がおっしゃるならともかく、共産党の委員の方が資本主義の原点に返れと、自己責任、自立の。

 私は、これはすばらしい言葉だと思います。しかし、こういう言葉が国会の中で使われたのは、OECDの国の中で、G7の国の中で、世界の経済先進国の中で日本だけですよ。それはある意味では嘆かわしいことなんです。よその国が資本主義の中で、そしてそういう言葉が国会の中で言われる必要もない方向で経済政策を行われているときに、事もあろうに共産党の委員の方から資本主義の原点に返れと言われなきゃならないような経済運営が我が国ではなされておるということです。そのことを指摘しまして、自己株取得の問題と、それから社名、商号について質問したいと思います。

 まず、自己株式取得の点について。今回の改正では、自己株式取得がもっとしやすい方向への改正がねらいなんですか。それとも、自己株式取得というのはもっと制約していこうという方向で考えておるのか。簡単に、どちらの方向かだけお答えください。

寺田政府参考人 これまで、平成に入りましてから自己株式についてはいろいろな改正が行われてきましたけれども、今回の改正は、それの上に立ちまして、自己株式の取得というのを財源を明確にした上で取得しやすくするという方向にございます。

岩國委員 また、この自己株式取得ということについては私はいろいろな問題点があると思うんです。私は否定しているのではありませんよ。自己株式取得というものは、ルールを相当明確にし、レールもロールもルールもしっかりとさせなきゃならぬのは、この自己株式取得ということに対する法的な手当てがきちっとできているかどうかということなんです。

 そういう自己株式取得を容易にさせるということは、一般株主の権利を往々にして阻害したり、あるいは株価に大きな影響を与えるということから、これは透明性、公開性ということを徹底的にさせなきゃいかぬ。その点はこの条文の中にも、十分これで対応できるとお考えになっているのかどうか。自己株取得についての予告、やり方、そして情報の公開、透明度、この四点について、この改正で十分対応できるとお考えになっているのか、それが一点。

 二番目に、この自己株式取得について、他の企業、子会社に親会社の株式を持たせる、これは偽装された自己株式取得になるわけですね。自分が実質的に支配している会社をして自分の会社の株式を取得させるということについてはどういう制限が第何条で安心できるように入っているか、それが二番目です。

 三番目。支配している会社ではない、しかし友好的な会社として、取引先として、その取引にその会社の存在がかかっているような会社に持ち合いという形でもって持たせる、この持ち合い株も偽装された自己株式であると私は思うんです。支配している子会社あるいは緊密な関係にある会社に持たせる持ち合い株、この二つがちゃんと取引所等において公開されているかどうか。公開されていないとすると、突然のようにその株式が売り出される。突然のようにだれかが買って、その会社は買っていませんと言うけれども、子会社が買っている、友好会社が買っている。そういうふうな自己株式の取得や売却についてどういうふうな対応がされているのか。

 四番目の質問としては、対象となるのは、自己株式取得と一般に言われますけれども、転換社債やワランツについてはどうなっているのか。買っているときは社債だから報告義務はない、しかし、その社債は一晩にして株式になる、そういうものを所有している場合に、それはどのように制約され、ルール化され、公開され、透明度の高い行為となっておるのか。

 以上四点、順番にお答えください。

寺田政府参考人 まず、自己株の取得の点でございますけれども、これは先ほど申しましたように、累次、平成十五年までに取得枠が広がってきたわけでございますが、今回はこれを踏襲しているわけでございます。加えて、先ほど申したように財源の制約をかけているわけでございますが、問題は、委員が御指摘になられましたように、自己株については、結局のところ、株主間の平等ということが非常に大きな問題でございますので、株主の間にどういう情報の提供があるかということがポイントでございます。今度の会社法においても、自己株の取得については、自分の会社の株主についてはすべて通知をしなければいけないということで、株主について情報を提供するという仕組みになっております。

 次に、親子会社における株式の取得の規制でございますが、これはもともと、先ほどもおっしゃいましたような自己株の取得の潜脱になるということで、実質的に自己株の取得を親子会社を通じてやってしまうという弊害があるわけでございます。したがいまして、これは現在の商法においても極めて限定的に認められている、二百十一条ノ二で認められているにすぎないわけでございますが、会社法も基本的にこのスキームを踏襲いたしまして、百三十五条で親子会社間の株式取得の禁止を決めるわけでございます。

 ただ、この場合に、単なる親子会社の形式だけではなくて、株式会社に限らずその他の類型の法人もこれに含まれるということで、そういう意味では、基本のルールを維持したまま、しかし、実質的にはそれをより強固にしているという仕組みにいたしております。

 三番目は、相互保有株式の議決権の問題をお尋ねになられたと思いますが、これは現在も、四分の一を超える議決権を他の株式会社が有する場合には、実質的にその会社の経営者によって相手方の会社の事項が決められるということになりますので、そういう場合においては議決権の行使が制約されています。これは現在も商法の二百四十一条の三項で規定しているところでございます。会社法におきましてもこの規定は踏襲するということでございまして、会社法の三百八条の一項で同様の規定を置いているところでございます。

 なお、委員がお尋ねになられました中で、会社法の仕組みでどういう公開の仕組みになっているかということがございますが、これらについて、実質的には、おっしゃるとおり証券取引上の問題があり、そちらの方での公開というのもあわせて、実際に一般株主となられる方においては有価証券報告書等で開示がされている事項もある、こういうことでございます。

岩國委員 有価証券報告書で公開されている例もある、しかし、それを強制しなきゃ意味がないじゃないですか。やっている会社とやっていない会社がある、こういう点についても、まだ私は今の答弁は不十分だと思います。

 それから、四分の一ルール、三社、四社、五社で四分の一を超えている場合、そういうのが日本の会社に随分ありますね。それについての御説明がありませんでした。例えば、丸の内の中では、以前私もそういう表現を使いましたけれども、企業防衛のために、あるいは企業防衛という名の経営者防衛のために持ち合いをお互いにやり合って、そして五社、十社で四割を持っている。その四割を持っているグループ、三菱グループは、三井グループは議決権を否定されていますか。そうじゃないでしょう、それぞれが四分の一以下だから。しかも、そのグループは毎週金曜日だとか何曜日だとかに集まってはいろいろな経営戦略をやっている、これはまさに議決権に関しては一体とみなさなきゃならない株式だと私は思うんです。そういう認識が全くないような答弁に私は不満を覚えます。

 また再度これについては質問させていただくことがあるかと思いますけれども、私はきょうの質問で、自己株式について否定的な意見から聞いているのではないんです。私は、役割をはっきりさせ、ルールを明確にすれば、自己株式取得はもっともっと奨励したいという気持ちがあるんです。

 私がウォール街におりました八七年の十月、いわゆるブラックマンデー、アメリカの株式大暴落、下げ幅は五百ポイントを超えました。その中で、一番最初に自分の会社の株式を買いに出たのが、メリルリンチとIBMとGMです。それで動揺がおさまったんです。ああいう大手の会社が自分の株式をこの段階でしっかりと買っている、それが、政府が買いなさいというふうな言葉よりも、実際に自分のリスクで自分の金で自分の会社の将来に自信を持って経営者がそういう判断をしている、それがアメリカの経済界の中心の人たちだ、そのメッセージが一番株価の動揺を食いとめたんです。私は、そのためにも、自己株式取得はもっと弾力的に、しかしルールは明確にしなければならないと思います。

 次に、商号の問題についてお伺いいたします。

 この商号について、どういう社名が禁止されておるのか。その点について、二十四条ですか、商号についての規定があります。こういう、誤解を与える、不正な取引につながるおそれのある社名は認められないということでありますけれども、具体的に最近どういう会社名が問題になったのか、お教えいただけませんか。

寺田政府参考人 今の点にお答えする前に、先ほど相互保有株式の議決権の中で、確かにグループの点についてお尋ねがございました。

 これはおっしゃるとおり、グループがトータルとして先ほどの四分の一を超えても、そのこと自体は直ちに議決権の制約として規定する規定はございません。しかしながら、今度の新しい会社法においては、ある会社とこの子会社が合計して四分の一を超えるような場合にはこれを規制の対象にすることを念頭に置いて、三百八条に法務省令で定める場合というのを置いてございますので、これはそこで迅速に手当てをすることが可能になるかなというふうに考えております。

 次に、商号についてお尋ねがございました。

 商号はどういう制約があるかということでございますが、これは各国の法制においていろいろ商号のつけ方についての規制がございます。一般的には、フランスのような、商号が会社の実態に合っていないといけないという考え方と、アメリカ、イギリスのような、商号は全く自由に定められるという方と、大きく分けまして二通りの方式がございますが、我が国にとっては基本的には後者、つまり商号は自由に定めるという原則をとっております。

 しかしながら、そこには全く制約がないわけではございませんで、商業登記法の二十四条に「登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき。」という条文がございますので、これにひっかけまして、公序良俗に反するあるいは違法を連想させるというような商号についてはこれを規制しております。

 例えば、最近の例でございますと、公安調査機関というような商号が許されないというような例がございます。また、道路公社株式会社でありますとか、その他公的団体を連想させるということも許されないわけで、その中には、明示的に個別の法律によってそのような文字を商号で用いることができないということを定めた一連の法律がございます。住宅供給公社、首都高速道路公団などがそういう例でございます。実際にそういう申請がされたということはございませんが、これは法律上もうこれが禁止されているということでございます。

岩國委員 そういう公的な機関であるかのごとく詐称する、これからもそういう人たちがいると思います。例えば、政府機関でもないのに政府機関であるかのごとく思わせる、県の名前、市の名前を使って会社の名前の上にかぶせる、そういうものは禁じられているとはっきり局長はおっしゃいましたね。

 では、日本郵政株式会社というのはどうですか。政府の政という字が入っています。私は、政府の政というのが入った会社名を聞いたことがありません。それは、まず取引所に上場されるべきではありません。まるで政府の一機関が上場を許されているというようなことは、全く前例がないこと。

 風の便りに聞くところによりますと、政府の一部では日本郵政株式会社という会社の設立を計画していらっしゃる。これは、商業登記法によって禁じられていることを、政府みずからが違法行為をやろうとしているということであって、こんなことを、同じ政府が会社法で近代化を目指し、公開性、信頼度を高めるといいながら、信頼度を裏切るような政の字を使っている。

 小泉総理は本会議の中でも、政は正なり、滝副大臣、お聞きになっていましたでしょう、政は正なり。正しいと言うんであればなおさら問題です。日本郵政株式会社は政府機関であって、しかも、その政というのは正しい、不正なことは絶対いたしません。政府機関でもないのに、政府の保証もないのに、そこがやっている事業は全部政府が保証している、そこの子会社の貯金にしても保険にしても。そういう受け取りをされて不正な取引につながる、そして名義詐称に類するような社名ははっきりと禁じられているということを確認していただき、私は質問の目的を達することができました。

 時間が参りましたので、田中代議士と交代いたします。

塩崎委員長 次に、田中慶秋君。

田中(慶)委員 民主党の田中でございます。

 今回、この会社法の問題で若干危惧している問題等について、大臣にまずお伺いしたいと思います。

 大臣、例えば現行の有限会社があるわけでありますが、これは昭和十三年に有限会社法が制定されて以来、今日まで続いている、これが実態であります。ところが、今回、この会社法が、一部では新しく統合される、しかし、現実にこの有限会社は存続を認める、こういうことになろうかと思いますけれども、一方においては新規は認めない、そして一方においては継続は認めるということになると、若干矛盾していないのかな、こんな気がしてならないわけであります。

 なぜそう言うかというと、やはり、この有限会社が今日まで中小企業等いろいろな形で育ってきた背景があるわけでありますし、そのことが存続することはそれなりに意義があると私は思いますけれども、今回認めないということになってくると、それぞれ、この有限会社そのものにある面ではハンディが生じるのではないか、不公平感があるのではないか、こういう形を危惧するわけでありますが、その辺どうでしょう。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 会社法案は、株式会社と有限会社を統合いたしまして株式会社に一本化いたすということでございますが、これは、従来の株式会社と有限会社の区別が理念どおりに利用されておらず、形骸化していると見られる上、最近では、株主総会と取締役のみから成る最も基本的な形の会社を出発点として、その成長に応じて、取締役会、会計参与、監査役、会計監査人など、必要とされる機関を選択しながらステップアップしたいと思っておられる中小企業のニーズが出てきているなどの社会経済情勢の変化に対応するための措置であります。

 そして、新規の有限会社の設立を認めないということは、非公開の株式会社におきまして、取締役の人数制限や監査役の設置義務の廃止などを行うこととしました結果、これまで有限会社制度でしか実現できなかったことが株式会社として実現することができるようになりますために、有限会社を株式会社と独立の制度として存続させる意義がなくなったからということでございます。

 もっとも、既存の有限会社につきましては、有限会社法の廃止に伴う経過措置によりまして、現行の有限会社に関する規定とほぼ同等の規律に従えばよいこととして、負担がかからないように配慮いたしているわけでございます。

田中(慶)委員 今大臣が言われていること、これは大変重要なことなんですよ。ということは、私はこのことで反対しているわけでも何でもない。要するに、今度の会社法で日の当たる部分をあなたが述べられているわけであります。

 一方、日の当たらない部分というか、心配される、危惧する部分というのが出てくるわけであります。そのことが、例えばこの現行の問題等についても、存続が認められて、例えば資金繰りその他のことで、現実には有限会社の資金繰りのアッパーが決まっているわけでありますから、そうすると、一方においては会社法に基づいて合併されたもの、あるいは名前、ネーミングが変わった部分と、一方においては有限会社が存続した部分について、この制度資金でも、ある面では、いろいろな資金繰りをお願いするときに、有限会社であるがゆえに不利な条件になってくる、私はそういうことを危惧するわけであります。

 それが今言われる裏の部分というか、影の部分になるわけでありますから、その辺をどう担保するのか、明確にしてください。

南野国務大臣 その件につきましては、ある会社が経済社会で受け入れられるかどうかは、会社の組織形態を含めたさまざまな要素が考慮された上で決定されるというふうに思いますけれども、最も重要でありますのは、現在におけるその会社の状況であります。また、その会社がどのような事業をしているかということであると思っております。

 したがいまして、現行の有限会社が会社法施行後に有限会社として存続いたしたとしても、必ずしもこのことのみで差別的に見られるようなことはないものと考えております。

田中(慶)委員 そうなれば一番いいわけですけれども、そうではない、現行でも有限会社と株式会社の制約があるわけでありますから、そのことを含めて、今度の会社法によってそれがさらに拡大なり不利にならないように担保しておかなければいけないんだろう、私はこのように思って申し上げているわけであります。

 特に、有限会社はほとんど中小企業でありますから、中小企業の皆さん方が、親がつくった有限会社、そのことを継承する、こういう形でずっと来ていて、今回の会社法に基づいて株式会社に移行したくても、いろいろな経過からして移行しない、結果として、それが今のような条件的な問題で不利なことが生じる。間違いなく、これは今の制度上、そういう条件が、ハンディがあるわけでありますから、そのことをしっかりと今回の制度の中ではある面では完全に担保しておく必要があるだろう、私はそう思っておりますので、ぜひそのことについては何らかの形で担保しておくように、せっかくつくる会社法によってそのようなハンディが生じてはいけないわけでありますから、ぜひそうしてほしい。これは要望しておきますが、お答えがもしあるんでしたら答えてください。――なければいいですよ。ぜひこれは何らかの形で担保しておくように重ねてお願いしておきたいと思います。

 特に、今回の資本金の問題、一円からという形で資本金が相当PRされております。しかし、資本金というものは、平成二年、政府が、当時の株式会社、有限会社の資本金、例えば株式会社は三十五万円から一千万円までアップされました。有限会社は十万円から三百万円までアップされたわけであります。それは、そのときの政府の答弁、社会的な信頼なり信用を得るためにということが大前提だったわけであります。

 ところが、一円という形になってくると、その辺、矛盾が生じませんか。大臣、答弁ください。

南野国務大臣 最低の設立する資本金が一円ということでございまして、実際、その会社がどのように運営、経営していく、その経営状況によっては、それは一円では到底どうしようもないことであろうと思いますので、その中身について評価されるものと承知しております。

田中(慶)委員 ちょっと私が言っていることを、十分理解が足りないと思います。ということは、政府が当時、株式会社についてなぜ資本金を一千万までしたんですか、有限会社を三百万までしたんですか。それは、グローバル社会がこれから来るよ、国際的な問題が来るから、それに十分信頼なり対応できるために、こういう政府の答弁だったんですよ。今、あなたの答弁とは若干違うのですよ、それは。

南野国務大臣 先生が今平成二年というふうにお話しになられました。平成二年の最低資本金の引き上げについての改革、これは主としまして、大小会社区分立法の一つの項目として行われたというふうに存じ上げております。

 すなわち、株式会社のような機関設計がされる会社は一定の資産規模を有することがそのあるべき姿であると考えられた、その考え方に立っているものであり、株式会社の設立を有限会社の設立よりも難しくして、それにふさわしい資産規模を求めるという立法政策によるものであったのかなと思っております。

 しかしながら、平成二年以降の経済情勢の変化または外国の立法動向、また近年における起業の促進の必要性の増大、そういうものにかんがみまして、今般、大小区分立法の考え方は採用しないこととしまして、会社設立を促進する政策をとることといたしております。そこで、最低資本金制度は撤廃することとしたものでございますので、それで御報告できたと思っております。

田中(慶)委員 御報告できたのではなくして、平成二年のときの政府の考え方が今回もう既に変わっているわけです。

 このこと自体、ある面では、インターナショナル的な考え方でするならば、要するに一円の資本金というものがとられている国というのは少ないわけです。むしろ、しっかりとした、六百万とか一千万とか、あるいは、こういう形でしっかりと資本金を担保している方が、EUあたりですと多いわけであります。

 こういうことを考えてくると、一円の資本金というものが、それは参加しやすいようでありますけれども、従来から社会的な信頼なり国際的な信頼を得るためにと言っていたことの言葉が、その表現が、一円ということになると、ちょっとおかしいんじゃないですか。

 それだったら、そのことを、一円に変える意味で、従来までこう言ってきた社会的な信頼なりあるいは世界的な信頼という問題等について、その言葉をちゃんと明確に言い直しなり翻して言わないと、矛盾を生じるんじゃないですか。そのことを私は申し上げているんですよ。大臣、答弁ください。

南野国務大臣 一円のあれでも設立できるという意味といいますのは、会社設立時の最低資本金規制の撤廃をするということでございます。

田中(慶)委員 そのことは存じ上げていますよ。そうではなく、従来から信頼関係とかいろいろなことを含めて言ってきたことが変わっているでしょう、そのことを申し上げているんです。

 では、例えば一円の会社に政府がどのような支援体制をとるんですか。恐らく、今の公的資金を見てくださいよ。資本金とかあるいは担保とか、こういう形で評価をされて、現実問題として、制度資金なりそういうものが出てくるんですよ。あなたが言っていることは矛盾していませんか。

南野国務大臣 先生の御質問に的確に答えられているかどうかわかりませんが、会社法案におきましては、各会社がみずからの財産状況を明らかにする正確な計算書類を作成し、これを適切に開示することにより、その信用性を担保するものとの考え方に立っております。

田中(慶)委員 質問しないことを答弁しなくていいですから。これから質問する問題ですから。(発言する者あり)親切といっても、それは、これから質問しようとする答弁を先にいただいたのではやりにくくて困りますから。いいですか。私の言っていることと違っているんですよ。

 私は、今の問題は、今回、会計参与制度の問題は会計参与の問題として、今大臣が言っているように、全部オープンにされる、フェアにされる、こういうことを含めていきますと、それはある面では、そのことはこれからの社会の中ですばらしいことだと私は思っておりますが、ただ、中小企業という立場で立っていくと、むしろそのことによって不利益をこうむるんじゃないですか。

 例えば、全部オープンになりますから、そういう点で、中小企業の皆さん方が制度資金を求めたときに、そのことによって、オープンにされたことによって、逆に資金に対する手当てができなくなるとか、あるいは、オープンになることによって、逆に増税ということもあるわけであります。

 そういう点では……(発言する者あり)いや、本当ですよ、これは。これははっきり申し上げて、そういうことが今まで中小企業のいい面でのうまみなり、やりくりなりということができていたわけでありますけれども、そういうこととあわせて、今のような問題の、影の部分というのが、そういう点があるわけですから。ただ何でもかんでも、いいものだ、いいものだと言っている部分と違う。

 まして、今の問題は、一番大切なことは、中小企業は、担保もない、技術がある、働くことに意欲がある、しかし、今のような形で資本金も一円とか少ない形で誕生していたものが、はっきり申し上げて、今回の制度資金の条件に合わなくなってきている、それをちゃんとこの際しっかりと担保してやる必要があるのではないか、こういうことを私は申し上げているのであって、今回の会社法をノーと言っているわけじゃない。影の部分をちゃんとしっかりしておかないと、中小企業の人たちが生きる道をふさいでしまう、こういうことを申し上げているんですから、はっきり答弁ください。

滝副大臣 先ほど来先生が熱心に中小企業の実際の会計処理の影の部分ということを強調されているのを私どもなりに受けとめまして、これはやはり、確かに際どい表現ではございますけれども、それが恐らく実態だろうと思いますので、この点については、金融庁あるいは中小企業庁とも連携をとりながら、その辺のところは、こういう制度改正によって不利にならないようなことをどこかで表明していかなきゃいけない、こういうふうに思います。

田中(慶)委員 会社法は、少なくてもそれぞれの企業が活力なり元気を出すためにつくる法律だと私は思っているわけであります。

 ですけれども、今のような形で、国あるいは地方自治体の制度資金がそのことによって導入しにくくなってはいけない、私はそう思っているわけで、そういうことをしっかりと担保してやらないと、中小企業の人たちは専門家、働くこと、技術があること、物をつくることを、極端なことを言えば本当に生きがいにしているわけですから、あとは細かいことは余りわからない人たちが多いわけでありますから、みんなグロスで幾ら、極端なことを言えば、どんぶり勘定みたいになっているわけです。

 そういう形で、今回のような制度が、私は、ある面では非常にいい部分があると思いますけれども、どんぶり勘定をしていたその人たちにとってみれば大変なことになってくるな、こういう形になるんだろうと思いますので、そのことをしっかりとさせていただかないといけない。

 それから、もう一つは、会計参与の問題の中で、税理士さんなり公認会計士さんがある面では大きくこれから活躍をされる部分が出てくると思いますけれども、また一方においては、やはりこの問題についてしっかりとした研修制度というものをつくり上げておかないといけないんじゃないかな。仏つくって魂入れず、こういう形になりかねない部分があるわけでありますから、その辺を今回どう担保されていくのか。

 私は、はっきりと、決算書類等々の信用が一方においては高まるかもわかりません、しかし一方においてはやはりそれぞれグレーゾーンの部分によって損害を生じる、その責任というものも当然これは負荷される問題だと思いますから、そういう点で、いろいろな形でそのことをしっかりと研修をされる必要があるだろうと思います。それはどういうふうに担保されているのか、教えてください。

南野国務大臣 先生おっしゃいますように、これから導入しようとしております会計参与というのは、株式会社における会計専門家としての役員であろうかと思いますし、社外取締役と同等の責任を負う者でございますから、相応の資質と能力が要求されるというふうに理解いたしております。

 このような観点に立ちますと、委員御指摘のとおり、会計参与となる公認会計士または税理士の方々の質の向上の方策の一つとして研修制度等が考えられるところでございます。それにつきましては、それぞれの団体等におきまして自主的な努力がされるものと期待いたしております。

 また、今後の会計参与制度のあり方につきましては、何分初めて導入する制度でございますから、施行後の運用の実態を踏まえながら、見直しの必要が生じた場合には適切に対応していく、フレキシビリティーにかかわっていきたいというふうに思っております。

田中(慶)委員 このことは、法律あるいは何かのところで担保されているんですか。

滝副大臣 基本的に、法律の具体的な条文で担保しているわけではありませんけれども、この問題につきましては、例えば税理士会とか関係団体が、先生御案内のとおり、もう随分前からこの問題をめぐっていろいろ議論をしてきてございますし、またその実績もおつくりになってきているというふうに聞いているわけでございます。

 私どもとしては、したがって、自主的にこの問題に取り組む、そういうようなものにつきましてできるだけの応援をしていきたい、こういうふうに思っております。

田中(慶)委員 ぜひそういう問題を、やはり企業活動がさらに活発化できるための条件として整備をしてほしいと思います。

 そこで、今、一つの問題として、日本版のLLCの問題等が今回の制度の利用の中で大きく浮き彫りにされてきていると思います。こういう点で、ある面では従来のように、外国ではもう既にこのことが大きく取り上げられたりしておりますけれども、LLCすなわち合同会社と、LLPすなわち有限責任組合等の問題等について、どのような形でこれを区別し、さらにまたどのような形でこの問題等について指導されていくのか、お伺いをしたいと思います。

南野国務大臣 お尋ねの件でございますが、合同会社と有限責任事業組合、この二つの違いについてでございますが、法人格があるかないかという点のほか、次のような違いがあると認識いたしております。

 すなわち、合同会社は社員が一人であっても設立することができるのに対し、有限責任事業組合は組合員が二人以上存在しなければならない。さらにまた、合同会社においては会社の業務の執行をしない社員がいるということもあり得ますが、有限責任事業組合においては組合員全員が業務を執行します。また、合同会社は他の会社と合併することや他の会社類型に組織変更をすることができますけれども、有限責任事業組合は合併や組織変更をすることができないということでございます。

田中(慶)委員 この両方についての問題で、例えば税制の問題、どちらがプラスかマイナスか。今大臣がおっしゃっているいい部分はわかりますけれども、もう一つの心配される部分もはっきりしておかないといけないと思います。リスクマネーといいますか、そのことはどうですか。

滝副大臣 基本的には、合同会社の方は法人でございますし、有限事業組合の方は、これは個人というか、個人の機能もあるわけでございますけれども、そういう問題でございますから、基本の問題になりますのは、要するに配当課税の問題をどうするか、こういうことであろうかと存じます。

 これにつきましては、この法案が実行できる段階までに税制上の具体的な方針を決めていく、こういうのが政府の基本的な段取りだというふうに理解をいたしておりますので、少なくとも、この問題につきましては基本的に経済産業省を中心にして税制要望の中でこなしていく、こういうようなことを考えなければいけないと思っております。

田中(慶)委員 私がなぜこういうことを申し上げているかというと、ここは法務委員会でありますから、経済産業委員会に非常に大きな影響が出てくるわけでありまして、こういうことを含めながら、特に、今一番日本で悪いのは、法律をつくっておきながら、後は政省令、結果的に法律の基本がおかしくなってくる、こういうことであります。

 今回も、今副大臣が言っているように、まだ法律の中では不備な点をまた実行に移るまでの間ということ。ですから、それぞれ議論をしていた、委員会でもそうでありますけれども、せっかく議論をしている、しかし答弁は、いろいろとこれからちゃんとした政省令で生かします。生かした結果とんでもない法律になっている部分が非常に多いわけでありますから、そのことを、そういうことにならないように、ぜひ注意してやってくださいね。

 特に、今度の法律の中では、一円以上の、起業家育成ということも非常にあろうと思いますけれども、そういう点では、私は、国が、一円以上で会社をつくることができますよ、大々的にPRをしているんですから、そういうことであるならば、やはり運転資金や制度資金もそれに十分対応できるような形をつくっておかないと片落ちだと思います。

 現実には、この一円からの、起業家育成といいますか、株式会社ができる。しかし、先ほど来申し上げているように、制度資金や政府資金、あるいは運転資金等について、恐らく、今のままで、国金であろうと商工中金であろうと、いろいろなところに行くと、はっきり申し上げて門前払いですから、それをどのような形で整合性をとっておやりになるつもりなのか、お伺いします。

南野国務大臣 起業家に対しましての、安定的に運転資金を調達することができる環境が整備されることは、おっしゃるとおり重要であろうというふうに考えております。具体的な支援の方策につきましては、法務省というより政府として対応することの方がいいのではないかと考えております。

田中(慶)委員 だから、先ほど言った、法律をつくるときにそのことも想定しながらやっていかないと、法律はつくりましたけれども、結果的にはそのことが障害になってだめだということがあるわけです。政省令で、こういう形。今、日本で一番この官僚社会の中で問題になっているのは政省令なんですよ、はっきり申し上げて。その政省令が、次から次と勝手につくられると言っては大変失礼ですけれども、局あって省なし、省あって国なし、これが政省令の、ある面では悪い表現かもわかりませんけれども、そういうことなんですよ。

 ですから、今大臣が言っているように、政府一体となってということでありますけれども、つくられたことにより、今、これは経済産業省にも大きな影響力があるんですから、当然そういう打ち合わせをしながらやっていかないと、後々これは大きな問題になりますよ。せっかくつくって、そしてその制度が、国がつくった制度資金等々、運転資金等々全部、行っても利用できない、門前払い、こういう形。どうするんですか。答弁ください。

滝副大臣 確かに、実際の法律を運用するに当たって、政省令の段階になりますと、立法者の意図がどこかで食い違ってくるということは大変心配をされるわけでございます。今度のこの会社法におきましても、そういうことのないように考えなきゃいけないと思っておるのでございます。

 特に、合同会社と有限事業組合につきましては、これは経産省ともども、こういうことでやろうということで同時に企画してきたものでございますし、また経産省も、いかに新会社を創設してくるか、こういうことの中でやってきた問題でございますから、先生の御意向につきましては、当委員会の議事録でも再三出てきている問題でございますから、それをベースにして、政省令の中でそれに食い違いのないような格好でフォローしていくべきだというふうには思っております。

田中(慶)委員 ぜひこれは何らかの形で担保するようにしておかないと、必ず出てくるんですから。大臣は余り経験がないかもわからないけれども、副大臣はそういう点でいろいろな形で実態にぶつかっていると思いますね、はっきりと。そういうことで必ずぶつかって、我々がいろいろな中小企業の相談事をしていると、そういうことにたびたびぶつかるわけであります。そうですよ。大臣、よく覚えておきなさい。

 ということは、制度資金、せっかく国がいろいろな制度をつくる。わかりにくい、使い勝手、しかし、それをクリアしても、では、現場に行くと、今のような担保の、無担保無保証制度が既に大々的に打ち上げられていながらも、現場では、担保がないとか保証人を出せとか、これが今の社会なんですから、やはりそのことをこの際はっきりさせておかないといけないことではないか。では、何のための会社法だったか、こういう形になりますから、ぜひそのことをしっかりと何らかの形で担保できるようにしておいていただきたい、このように思います。

 そこで、次は、敵対的買収というものが、ある面では、テレビその他を含めて、ライブドアあるいはニッポン放送、フジテレビ等々含めて、三カ月、四カ月非常に毎日のように報道されましたから、相当、敵対的買収といいますか、マネーゲームと言った方がいいかもわかりませんけれども、そういうことを含めて非常に関心の持たれたことだと思いますが、今回の合併、組織等の問題等について、この辺についてはどんな配慮をされ、あるいはまたその辺についてどのような検討をされたか、お聞きしたいと思います。

南野国務大臣 先生のお問い合わせは、敵対的買収防衛策についてどのような制度を設けているかということであろうと思っております。

 会社法案では、種類株式や新株予約権の内容を現行商法よりも自由に定めることができるものといたしております。敵対的買収への防衛策としまして、まず、公開会社において譲渡制限がされた拒否権つき株式、いわゆる黄金株を友好的な企業に対して発行することを認めております。

 また、アメリカではポイズンピルと呼ばれている手段に相当するものとしまして、既存企業におきまして、一定割合以上の株式を買い占めた買収者の株式を強制的に取得して、議決権制限株式に転換できるような種類株式を発行することや、買収者が一定割合以上の株式を買い占めた場合には、買収者の新株予約権が消滅し、かつ、買収者以外の株主に対して自動的に株式が発行されるような新株予約権を発行することも認めております。

 さらに、会社法案におきましては、株主総会の決議要件を加重することができるということを明確にしておりまして、敵対的買収者が過半数または三分の二以上の株式を買い集めた場合に備えまして、合併契約の承認を初めとする株主総会の各種決議要件を定款で加重することができることといたしております。

田中(慶)委員 この際、私は、せっかく会社法というものがつくられるわけでありますから、ある面で、非常にこれからフェアとオープンという形になってくると、外国からの外資というものが非常に投資をしやすくなってくると思いますね。しかし、無防備であってはいけないわけでありますから、今大臣が言われておりますけれども、具体的に、今の日本の状態をどのように見ておやりになっているのか、どういう検討をされたのか。

 もう既に、見てくださいよ、ゴルフ場は半分近い形で外資が入っていますよ。ホテルあるいは旅館等についても、非常に大きくこれがされております。今進んできているのは、さらにスーパーとか、あるいは物づくりの分野の小さい企業であっても、制度的に、社会的に大きく評価されているようなところまでリサーチをされて、そこまで突っ込んでいるわけですから、こういう問題を考えてくると、今の大臣が言っているような形だけではそれに対抗できないと思うんです、はっきり申し上げて。

 ですから、それをどう対抗手段として、別に私は外資をノーと言っているわけじゃないですけれども、しかし、より以上のものが今の日本の物づくりにまで今もじわりじわりと入ってきているわけですから、技術国日本が今崩壊をされつつある、こういうことをかんがみたときに、この問題を会社法という形の中で十分議論をし、それに対抗できるような措置をとったのかどうかということを重ねて質問したいと思います。

南野国務大臣 合併対価の柔軟化というものが実現しますと、合併がやりやすくなるというので、投資家が日本の企業を買収したいという意欲を増す可能性があります。それは、今先生がお話しなされたことであろうかと思います。

 その点につきまして、我が国の経済界には、買収意欲が強まる結果、いわゆる敵対的買収も増加するのではないかとの懸念がありましたので、それぞれの会社が、株主総会において、敵対的買収に対する防衛策を導入するかどうかを決める機会を与えようということになりまして、合併対価の柔軟化に関する規定の施行を一年おくらせることとしたのがその結果でございます。

 また、一年延期しました後に合併対価の柔軟化を解禁して問題がないかとのお尋ねでございますけれども、合併対価の柔軟化は友好的な合併を行いやすくするために有用な制度であり、その制度自体が敵対的買収をやりやすくするものではないというふうにも思われております。

 また、施行時期を一年おくらせております間に、防衛策を必要とする会社はこれを施すことが可能でございますので、仮に敵対的買収が増加することとなったとしても、特に問題はない、食いとめていけるものと思っております。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

田中(慶)委員 大臣が、一年延ばされて、その間にある程度の準備作業という形でできる、こういうことだと思います。

 ライブドアとニッポン放送の関係以来、三月の決算期あるいはそれ以降も日本では企業防衛というものが相当いろいろと検討されているわけでありますけれども、こういう問題を含めながら、大企業はそれでいいかもわかりません。しかし、中小企業はそこまでしっかりと啓蒙なりいろいろな準備なりされていない。

 しかし、外国の企業が買収するというときに、物すごいリサーチをされて、日本で全然わからないようなことも全部リサーチをされている。そうですよ。だから、こういう問題をちゃんと何らかの形で、ブラックボックスではありませんけれども、そのことをしっかりと担保しておかないと大変なことになってしまう、物づくりはもはやそのことによって根底から崩れる、こういうことになっていきはせぬかと思っているわけであります。

 そのことをこれから十分、今度の一年間の中でしっかりと、施行までの間にまた問題点が生じたならば、実行に移す前に法律をまた変えるなんというようなことはあってはならないかもわかりませんけれども、そのぐらいの柔軟さを持ってこの会社法というものはやっていくべきじゃないか、私はこのように思っておりますので、それらについてどう対応されるのか、お聞きしたいと思います。

南野国務大臣 本当に先生の御懸念もこれありというふうに思いますし、我々としても、その一年間の間にどのような形で担保していく方策が見つかるか、いろいろな努力が積み上げられていくと思いますので、そこら辺を注視しながら、できる限りのことをしていきたいというふうに思っております。

田中(慶)委員 それから、私は、今回の問題で一番心配されていくのは、日本の企業の従来までの大きな、社会的といいますか、そういうものが、ある意味では慣習というものがこれで崩れる可能性がありますね。そのときに、一年の準備期間みたいな形の中で本当にそれに対応できるのかどうか、そのときにはさらに経過措置として何らかのことを考えているのかどうか、お伺いしたいと思います。

滝副大臣 やはり先生が御心配されますように、この新しい会社法の施行によって、各企業がそれぞれ、自分の実態と法律の仕組みというものを照らし合わせながら考えていっていただかなきゃならぬ。そういうことも含めて、この法律につきましては原則一年半後に施行されるわけでございますけれども、特定の、今の三角合併という部分については、外国株式の交換の問題についてはさらにそれから一年先に施行する、こういうような慎重な仕組みをとっているわけでございます。

 したがって、先生の御心配のように、これはやはり日本の企業が根本的に自分のところを見詰めてもらうということでもなければ意味がないわけでございますので、さような意味においては、大変な努力を経営者の皆さん方にしていただく、こういうことだろうと思っております。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

田中(慶)委員 外資による三角合併その他についても、今政府の答弁があったわけでありますけれども、三角合併というものがまだ日本の社会でなじんでいないわけですから、やはりそのためには十分なPRなりというものをちゃんとしていかないと大変なことになってくる心配が出てきております。

 一方、どうでしょう。今回のような形の中で、仮にこの配当の問題を含めながら、連結決算というものがあったと思いますが、従来まで政府は、系列のある、すべて連結された中での決算をされてきたと思います。今回それが、連結決算は外れているわけでありますけれども、その辺はどういう形で外したのか、教えていただきたいと思います。

南野国務大臣 連結配当というお言葉でございましたので、連結配当を認めるということは、例えば、親会社の単体では欠損があるのに、子会社に剰余金があることを根拠に親会社が配当してもよいということにほかならない問題でございます。この場合、親会社の債権者は、親会社の資産だけしか引き当てにすることができないにもかかわらず、連結配当ということによりまして親会社の資産が目減りしてしまうわけでございますので、親会社の債権者が害されるおそれが出てくることでございます。

 このように、連結配当は、親会社と子会社のそれぞれの債権者をどのように保護するかということなどについてでございますので、慎重な検討を要するということでございます。

田中(慶)委員 今のような大臣の考え方も当然あると思いますが、制度が新しくできるわけでありますから、そういう点で、やはり若干そこまで踏み込む必要もあったかなと思います。

 一方、配当政策が自由度を増し、そして株主配当が重要視されるために、逆に、従業員を軽視といいますか、そういうことになりはせぬかなということもあります。どちらかというと弱者がいつもしわ寄せを食うようなことになってはいけないと思いますが、その辺をどう担保されているのか、お伺いしたいと思います。

南野国務大臣 先生御心配の従業員へのかかわりということでございます。

 従業員への給与と株主配当をそれぞれ幾らにするかということにつきましては、会社の自治にゆだねられているところでございますが、会社法案では、配当の回数を自由にするなど、配当に関する会社の自由度を増しているものの、分配可能額を超える配当が許されないという本質的な点は現行法と同じでございますので、会社法の成立によって従業員への給与が軽視されるということは考えられていないと思います。

田中(慶)委員 いないのではなく、配当をより重要視するという、大体、従来までは三つです。株主があり、経営者があり、そこに働く従業員がありで、大体、三等分しながら利益配分をする、これが順当なやり方だと言われてきておりますけれども、今回会社法を制定することによって、今のような問題、従業員にしわ寄せが来てはいけないと思うし、また一方においては株主に逆にしわ寄せをしてはいけない。従来型の日本の企業の中におけるある面での三等分の慣習というか、そういうものがこの会社法によって大きく変わることになりはせぬかな、こんな危惧もしたものですから質問させていただいているわけでありますが、その辺は今の大臣の答弁では若干理解に苦しむんですけれども、もう一度、再度答弁をお願いしたいと思います。

滝副大臣 確かに、この買収問題に関連いたしまして、経営者の皆さん方が考え方を改める、どういう方向で改めるかというと、まず自分のところの株価を上げなきゃいかぬ、配当も上げなきゃいかぬ、そういうような一つの選択の仕方があったわけでございます。そういう中で、配当を上げ株価が上がってくれば買収が非常に難しくなる、こういうような計算があったものですから、そういう方向が一つの選択かなということの中では、先生御心配のように、いかに労働の対価を抑えていくかというようなことも考えられないではなかったと思います。

 しかし、しょせんは、人的資産というものは企業価値等を高めるための大きなエネルギーでございますから、そういうことを忘れて、ただ単に配当を上げる、それだけでは企業価値を高めることにならないと思いますので、そういうものをやはり経営者の皆さん方がじっくりと考えていただくということだろうと思っております。

田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、今副大臣が言ったことが一番大切なことですから、やはりそのことを会社法の精神の中にしっかりと組み込まれるように対応していただくように要望し、私の質問を終わります。

塩崎委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

塩崎委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中藤泉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 四月二十六日に引き続いて法務委員会の方で会社法案についての質問をさせていただくということでございますけれども、前回も、二十六日にも申し上げましたように、この法案は大変重要かつ広範な関係者のいる法案でありまして、私としてはぜひとも連合審査をやっていただきたかったということを言ったんですけれども、今回も重ねてそれを申し上げさせていただいて、残念ながらこういう形で質問することについて、私なりにある意味では抗議を申し上げておきたいというふうに思っております。

 といいながらも、この貴重な時間を利用させていただいて、またちょっとわき筋の質問をさせていただきたいわけであります。

 せんだって、私、竹中大臣の大臣就任以来の海外渡航記録について、出入国管理をしている法務省からどういう状況になっているかということをお聞き申し上げたわけでございますけれども、そのときには、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づいて、お答えすることはできないというふうに法務大臣から冷たくあしらわれてしまったわけでございます。

 そうしたら、四月二十八日付の政府の答弁書、我が党の幹事長代理であります平野議員から出された質問主意書の答弁書ではしっかりと竹中大臣の海外渡航記録というものが記載されて提出されていたという事実が判明いたしました。

 ということで、私も大変ショックを受けたわけであります。幹事長代理の平野議員なら答えられるけれども、副幹事長の平岡なら答えなくていいだろうと、まさかそんなことは思ってはいないんだろうと思いますけれども、なぜ国会のこの委員会の場で私が質問申し上げたときに答えていただけなかったのか。この理由について説得力ある説明をしていただかないと、私としてもこの委員会をとめざるを得ないということになるかもしれません。よろしくお願いします。

南野国務大臣 先生を怒らせてしまったということにつきましては私個人も遺憾だとは思いますが、私はルールにのっとって今お仕事をさせていただいているということも御報告申し上げたいと思っているところでございます。

 まず、答弁の経緯などについて説明させていただきますと、委員から、本年四月二十六日、当委員会において、竹中大臣が平成十三年に大臣に就任して以降の出入国状況がどうであったかとの質問をいただき、私としては、当省、これは法務省の保有する出入国管理記録の内容についてのお尋ねであると理解し、個人の出入国記録につきましては行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律における個人情報であるので、お答えを差し控えさせていただきたいとしつつ、委員会からの要請があれば、その段階において提出の可否について判断させていただきますと答弁申し上げ、これについて、現在、当委員会理事会においてその取り扱いを御検討いただいているところと承知しております。

 他方、本年四月二十一日、平野博文議員から内閣に対し、竹中大臣在任中の渡航地、渡航期間及び渡航目的についてすべて明らかにされたい、なお、公用、私用の別、金融、経済財政政策、郵政民営化その他大臣としての担当の別を問わないとの質問主意書が提出され、これに対しては内閣として調査の上、これは法務省ではございません、内閣として調査の上、同月二十八日の閣議決定を経て、同日付で、竹中大臣の海外渡航については二十一回あり、すべて公務のためのものであるとの趣旨の答弁をしたものと承知しております。

 質問主意書に対する内閣答弁につき、私は内閣を代表してお答えする立場にはありませんが、質問主意書は内閣全体に向けられたものであって、これに対して内閣としての調査を行ったお答えをしたものであるのに対し、私の当委員会における答弁は、あくまで出入国記録の保有省庁という立場から、その内容を公開することの可否に限ってお答えする趣旨で行ったものでありますので、この点をぜひ御理解賜りますようお願いいたします。

平岡委員 官僚答弁としてはそれでいいのかもしれませんけれども、私は、出入国管理を所管している法務省に対してお聞きしますとは言っていますけれども、なぜこれを聞いているのか、何が聞きたいのかというところは、前段でちゃんと言っているんですよね。竹中大臣については、所定の手続をせず海外渡航をした事実はないという調査結果を公表したということが杉浦官房副長官からあった、この件について、本当にそうなのかどうかということについて知りたいから教えてくれ、そういう趣旨で聞いているわけですよね。

 だけれども、法務省としては、出入国管理をする者として答えられないというのは、それはそれでいいのかもしれませんけれども、私が聞こうとしていることは、別に出入国管理から持ち出されたものでなければいけないという制約があるわけじゃなくて、海外渡航記録がわかればそれでいいんですね。だったら、それは法務省では答えられないかもしれないけれども、内閣府でちゃんと答えてもらえるから、そっちの方に聞いてくださいというようなことで答弁されても、それはそれでいいんじゃないかと思うんですね。そうしたら、私はここにちゃんと内閣府の人を呼んで、そういうふうに言っているけれども、内閣府、ちゃんと答えてくださいよ、こうやれば、私が聞きたいことがこの委員会でもちゃんと聞ける。

 私が聞きたいことは内閣委員会に行ってちゃんと聞かなければいけないというんだったら、私は、ここで聞きたいこと、財務金融委員会で所管すること、経済産業委員会で聞きたいこと、この会社法に関してはいろいろあるわけですよ。だから、それは一々全部聞きに行きなさいということになるんですか。そうじゃないでしょう。そのために、我々はここに来て、いろいろな人からも聞けるようになっているわけですから、そういう官僚的な答弁はやめてほしい。

 大臣も政治家ですから、私が聞きたいことは何なのか、それに対して誠心誠意答えようとしたらどう答えるべきなのか、それを考えていただきたいということで、まず抗議いたしたいと思います。幾らこのことをやっていても仕方ないのでありますけれども、私としては、聞きたいことを聞きたいということであります。

 そういう意味でいくと、これは内閣府になるのだろうと思いますけれども、竹中大臣が平成十三年に大臣に就任して以降の出入国の状況、出入国と言うと、これは法務省だから答えられないというふうに先ほどちょっとレクのときに言っていましたから、こう言わないで、海外渡航の状況について、あるいは帰国の状況について、政府に対して重ねて質問いたしたいというふうに思います。御答弁お願いします。

中藤政府参考人 お答えいたします。

 竹中大臣が初めて国務大臣に任命された平成十三年四月二十六日から平成十七年四月二十五日までの間の海外渡航につきましては、既に四月二十八日の答弁書でお示ししたとおり、合計二十一件となっております。

平岡委員 中身は事前に聞いておりますから、本当はその答弁でいいという意味じゃなくて、時間がないのでそのぐらいの答弁でいいということで、私としても納得はしておきます。

 ただ、表現が非常に何か回りくどい表現をしておりますものですから、ちょっと確認をしておきたいんですけれども、この質問主意書に対する答弁書では、竹中大臣の海外渡航については「別表のとおりであり、すべて公務のためのものである。」というふうに言っているわけでありますけれども、ちょっと変な読み方をすれば、別表に書いてあるのはすべて公務のためのものであって、別表のとおりになっていないものについては私用のものがあるかもしらぬ、こういうふうにも読めないことはないという意味で、この質問主意書は公用のものも私用のものもすべて含まれている、そういう内容のものであるということを確認したいと思います。

中藤政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がございましたが、質問主意書の方では私用等も含めてありやなしやということで、この「すべて」というものはすべての海外渡航を含む、こう御理解願えればと思います。

平岡委員 そこで、ちょっと関連して質問しておきたいんですけれども、公用の場合は、多分内閣府は、何らかの事情でというよりは、むしろ大臣をちゃんと監視しておかなければいけないという立場から、はっきりと把握しておられるんだと思いますけれども、私用の分については、ここの中に入っていないということというか、ここに入れるべきものは何もないということについてはどういうふうにして確認されておられるのか、この点、確認しておきたいと思います。

中藤政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の点につきましては、いわゆる公用以外についての渡航の有無という御質問かと思いますが、そこは竹中大臣に確認し、ないという回答を得て御提出申し上げているものでございます。

平岡委員 ということで、私用の分については、これに書かれているもの以外にはないということは、大臣個人の確認によってそういうふうに表現しているということで、その点については、内閣全体の答弁書で書いてあるわけですから、すべて内閣の責任においてそういう形がとられているということであるというふうに私としては理解させていただきたいと思っております。

 ということで、ちょっと貴重な時間を使いましたけれども、本題の会社法案の審議に入りたいと思います。

 せんだって、二十六日、株式の問題についてちょっと入りかけたところで時間が終わってしまったので、きょうはその点について時間の許す限りやりたいというふうに思っているんですけれども、その前に一点だけ、この前質問はしていませんけれども、大事な話なので質問をしておきたいことがございます。それは、自己株式の売却の問題についてであります。

 今回、会社法案においては、先ほど岩國委員の方から自己株式の取得の問題についての質問がありました。処分についてもいろいろな規定が設けられているわけでありますけれども、この自己株式の処分の仕組みというものについてはどういうふうになっているか、ちょっと概要でいいですから、とりあえず説明をしていただきたいというふうに思います。

寺田政府参考人 もともと、現行法のもとにおいて自己株式はどういう扱いを受けるかといいますと、まず、会社が自己株を保有した後消却する、これが大原則でございます。それから、これを処分する場合に、新株発行と同様の手続で処分する、これが第二の大原則でございます。

 このたび、それにつけ加えまして、取得において特に恣意的に取得するということではなくて、会社はいわばやむを得ず取得するような部分については市場で売却できるという規定を新たにつけ加える、つまり、これまでよりも処分の仕方を一つ広げた、こういう格好になっております。

平岡委員 今の市場売却の点でありますけれども、この点については我が党からも、株価操作の問題あるいはインサイダー取引に悪用されるというようなおそれ、こういうことから、この部分については適当ではないんじゃないかという指摘をさせていただいておるわけでありますけれども、この点について、会社法を所管する法務当局、そしてインサイダーとか株価操作の問題について所掌する金融当局、それぞれの大臣にこの点についての御見解を、我々が主張している点についての御見解を承りたいというふうに思います。

南野国務大臣 会社法案におきましては、株式会社が一定の自己株式を市場において売却することを認めておりますが、相場操縦やインサイダー取引等の弊害が生じないようにするために、厳格な要件を設けております。

 すなわち、自己株式を市場において売却することができる場合を、株式会社が株主からの株式買い取り請求権に応じて自己株式を取得した場合など、その会社の意思によらずに自己株式を取得した場合に限るとともに、株主総会の特別決議により、定款にこれを許容する旨の定めを置かなければならないものとしております。

 したがって、自己株式の市場売却を認めることにより、御指摘のような弊害が生じるおそれが高まることはないものと考えております。

七条副大臣 私は金融庁のサイドの方でお答えさせていただきますけれども、今回のこの改正法案が成立をした場合ということでございますが、自己株式の市場売却が可能となった場合、それが相場操縦的な行為あるいはインサイダー取引等に悪用されるおそれがあるかないかという、この可能性につきましては、可能性としては否定はできない。しかしながら、相場操縦的な行為やインサイダー取引は、自己株式を利用して行った場合にも当然証券取引法違反となり罰則規定の対象となることから、自己株式の市場売却が可能となることにより必ずしも自己株式がインサイダー取引や相場操縦的な行為に悪用されるというものではないというふうに考えているところでございます。

平岡委員 今法務大臣が答弁されましたけれども、例えば、市場で売却する株式の数が限定されるというか、義務的に買い取ったものしか売れないからとか、定款で市場で売れるように書いてあるからとかで、これで全く株価操作とかインサイダーで悪用されないという保証は何にもないわけですよね。はっきり言えば、数、量だけの問題ですよ。だから、そういう意味でいったら、今回の法制では、全くインサイダーとか株価操作の問題について会社法では対応できていないんですよ。

 逆に、これにどうやって対応するかといえば、今、七条副大臣が答弁されたように、それぞれのちゃんとした市場を監視する人たちが監視していればある程度は防げるのかもしれません。しかし、今、日本の状況はそれがちゃんとできているのか。これは、どういう事件が今まで日本で取り上げられたかということと、ほかの国でどれだけ取り上げられているかとを比べてみれば、歴然としているわけですね。そういう状況の中で、私は、日本においてはこういった自己株式の市場売却という問題については極めて慎重でなければいけない、こういうふうに思っているわけです。

 そこで、ちょっとまたお聞きしますけれども、諸外国で自己株式の市場売却についてどういうふうな取り扱いになっているかということについて、多分、この法案をつくるに当たってはしっかりと当局でもお調べになっているんだろうと思いますから、ここでちょっと紹介していただきたいというふうに思います。

寺田政府参考人 まず、イギリスにおきましては、自己株式は、これは先ほども日本では二つ大きな取り扱いの仕方があると申しましたけれども、イギリスにおいては全部消却するという原則になっておりますので、これは市場売却というようなことはあり得ないわけであります。

 アメリカそれからドイツ、フランスでございますが、アメリカは、主としてデラウエアの法律が多くの会社によって設立準拠法になっているところでございますけれども、デラウエアは市場において株式を処分することは自由になっているというふうに私ども承知しております。ドイツ、フランスにおきましては、これも規制はなく、市場売却によって処分することも可能であるというふうに聞いております。

平岡委員 ほかの国と日本の仕組みをそのままパラレルに考えるわけにはいかないと思うんですけれども、多くの国で自己株式の市場売却ということが認められているということは事実だろうというふうに思うわけですね。ただ、その事実の背景にあることが一体何なのか。やはり市場監視がしっかりとできているということではないのかというふうに私は思うんです。

 そういう意味で、これは法務大臣にも聞くことになっていますけれども、法務大臣は結構でございますので、七条副大臣からお答えいただきたいと思うんですけれども、我が国で自己株式の市場売却を認めてもいいというような状況になるためには、我が国においてどういう努力をしなければいけないか、どういうことを考えていかなければいけないか、この点についてお答えいただきたいというふうに思います。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、自己株式の市場売却につきましては、インサイダー取引とかあるいは相場操縦的な行為など不公正な取引が行われるおそれというのが生じるのではないかというような御指摘があることは私どもも承知しておりますし、そういったことは考えられることであるというふうに思います。

 こういった市場の公正性といいますか、あるいは取引の透明性、こういったものを高めるためにはいろいろな要件があり得ると思います。その中で非常に大事な要件の一つは、先生御指摘のような市場監視体制あるいは市場監視機能を強化するということだと思っております。

 私ども金融庁といたしましても、これまでいろいろな形で市場監視体制・機能の強化に努めてまいっております。こういった観点から、引き続き、有価証券市場の公正性、透明性の確保のためのルールの整備あるいは市場監視機能・体制の強化に努めまして、有価証券市場の信頼性の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

平岡委員 ちょっとこれは副大臣に答えていただきたいと思うんですけれども、今の日本の市場監視体制あるいは先ほど話がありましたようなルール、これが株価操作とかインサイダー取引を防止するのに十分なものとなっているというふうに考えておられますか、どうでしょうか。

七条副大臣 今御指摘をいただきました体制の強化ができているか、機能ができているかということでございますけれども、これにつきましては、金融庁としては、市場に対する国民の信頼性を確保する観点から、市場の公平性あるいは透明性の向上を図るためにこれまでも市場監視機能・体制の強化を着実に進めてきたところでございます。

 具体的には、市場監視機能の強化に向けた取り組みとして、昨年の六月に成立した証券取引法の一部改正法案により、本年四月から、インサイダー取引等の不公正取引、有価証券報告書等の虚偽記載を対象とした課徴金制度、これはもう先生もよく御存じのとおりでございますが、これをやるようになったということでもございますし、また、本年の七月からは、監視委員会の検査範囲を拡大するとともに、有価証券報告書の虚偽記載等に係る検査、報告徴求権限を関東財務局から監視委員会に移管するというようなことをし、強化をしているところでございます。

 また、市場監視体制の強化の方につきましては、課徴金制度の導入に伴い、本年四月、審判に伴う審判官やら審判手続室、課徴金調査・有価証券報告書等検査室を設置したほか、あるいは、本年七月にはディスクロージャーをめぐる問題を専門的にやる企業開示課を設置することにしているところでございます。

 さらに、いろいろなことを申し上げれば切りがないわけです。また、人数も強化をしたところでございますが、そういうようなことをやっておるところでございます。

平岡委員 私が質問したのは、どういう努力をしてきたかじゃなくて、今できているかということを聞いているんですね。それは確かに、当局としてみれば、できていませんと言うわけにはいかないでしょうから、ただ、足りないことはたくさんあるというふうなことは今言われたことの中でも重々よくわかりました。わかりましたので、私たちもこの部分については、しっかりとした監視体制ができるまではやはり自己株式の市場売却については極めて制約的であるべきであるということで、この部分についての修正を我々としてはぜひ行っていきたいというふうに考えておることを伝えておきたいと思います。

 そこで、私が前回以来ずっと皆さんと議論をしてみたいと思う話題に入るわけでありますけれども、株式とか新株予約権であるとかそういう問題、そもそも論からして、一体今の状況というのはどういうふうに考えたらいいのかというところをちょっと整理、議論してみたいというふうに思うんですね。

 ライブドアの問題なんかでも、いろいろな株式の名前が出てきたり、あるいはいろいろなタイプの新株予約権の付与の方式が出てきたりということで、一体こんなものが株式と呼べるんだろうかとか、あるいは、こんなことをやってそれは株主平等の原則に反するんではないかとか、いろいろなことが多くの国民の皆さんあるいは投資家の皆さんにも疑問に思えるような状況があったんではないかなというふうに私は思っています。事実、私自身はそういう疑問を持ちました。

 そういう意味で、前回の質問では、株式とは一体何なのか、その積極的要件あるいは消極的要件というのはどんなのがあるのかということで民事局長さんからお答えいただきました。私はあえてここでさらに聞くつもりはありませんけれども、今回の法律の中でも、種類株式ということでいろいろ規定がしてありまして、これは百八条に書いてあるわけですけれども、百八条の中には、そこに規定するもの以外の事項について異なる定めをする種類株式は発行できないと。つまり、そこに書いてあるものについての異なる定めをする株式だけは種類株式として発行できるというふうに書いてある。逆に言えば、そこに書いていない事項についての異なる種類の株式を発行することはできないというようなことで、株式の中でも発行できるものとできないものがあるということは、当然念頭に置いてあるというふうに思っています。

 ただ、よくよく考えてみると、どんな株式会社ならどんな株式が出せるのかというところについては、ちょっとこれは普通の人にはわかりにくいのかな、一般の人にはわかりにくいのかなという気がするんですね。どんな会社でもこんな株式は出せますよ、こんな株式は出しちゃいけませんよというのもあれば、この会社法の中では公開会社というふうに呼ばれていますけれども、普通、我々は公開会社というと上場会社のようなイメージを受けるわけでありますけれども、必ずしもこの会社法上の公開会社というのはそういうイメージも書いていないようでありますけれども、公開会社ならこういうものは出せないよと。あるいはさらに証取法との関係でいえば、上場会社ならこういう株式は、あるいは新株予約権の発行はできないよといったようなものがあるのではないか。

 そこのところは、今回の会社法では必ずしも、整理されていないというよりは、自分たちの庭先は少しは整理するけれども、ほかの庭先のことは知らないよ、だからこの会社法では発行できるよ、公開会社でも発行できるよとしておきながら、実は証取法の世界に入っていったら、いや、こんな株式を出されたんじゃ、あなたのところが発行している株式なんか上場できませんよといって、我々が一般的に意味している公開会社になれないといったようなことも出てくる、そういう構造になっているというふうに私は思うわけであります。

 そういう意味で、そこのところを少し理論的に、もうちょっと個別的な問題を踏まえながら、皆さんと議論をしてみたいというふうに思うわけであります。

 まず最初に、会社法の百八条の第一項に、先ほど言いましたように種類株式の話が書いてありますけれども、その中で、公開会社は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役または監査役を選任することについて異なる定めをした種類株式を発行することができないというふうにされています。これは、なぜ公開会社は発行することができないとされているんですか。普通の会社ならできるけれども公開会社はできないとされているのは、どういう理由でしょうか。

寺田政府参考人 種類株につきましては、平成十三年の改正、十四年の改正で、いろいろと整備をしてきたわけでございます。

 この百八条一項で今委員が御指摘になりました部分につきましては、平成十四年の改正によって導入されたもので、現行商法の二百二十二条の一項六号がそれに当たるわけでありますが、これは、ある種のベンチャー企業等において、創業者がおられる、あるいは一定の、それについて非常にもとからかかわりを持っておられる方がおられる、そういう方である株主とそうでない株主とを分けることはできないのかということで、それは分けることを認めて、そういう一連の株主の方だけに役員の選任権を一定保障いたしましょうと。つまり、そのことによって、その方々は経営権というものについて、ある程度の足がかりを得られるわけであります。そういうふうにしないと全体が企業として成り立たないような企業、こういうものを念頭に置いてつくっているわけでございます。

 もう少し詳しく申し上げますと、こういうものはつまり株主の個性というものが非常に大事で、それと全く正反対の状況であります所有と経営が大幅に分離した、委員の先ほどの御指摘によりますと上場会社ということになるわけでございますけれども、そういうものとは違うようなタイプの会社運営というものをそもそもされるということが予定されているわけであります。

 そこで、この種の株式については、公開会社あるいは委員会等設置会社にはなじまないということで、この会社法案の百八条においても、現行法の規定を引き継ぎまして、公開会社と委員会設置会社はこういう株式を発行することはできないということになります。これは、そういう、大会社にはふさわしくないある種の状況というものも念頭に置いた種類株ということになります。非常にある意味で強い種類株になるわけでありますけれども。

 そういうことで現在の規定、これからの新しい会社法案の規定が置かれている、こう御理解いただきたいところでございます。

平岡委員 そういう事情で公開会社としては発行できない種類株式があるということでありますけれども、逆に言うと、公開会社は、今局長が言われたように禁止されているというもの以外については、どんな株式でも、どんな種類株式でも発行できるというふうに考えていいんでしょうか。

寺田政府参考人 今申し上げたとおりでございまして、条文の規定の上で明確に禁止されているのは、その一つの種類だけでございます。残りの種類については、公開会社あるいは委員会設置会社も法律上は発行することができる。あとは、そういうことを発行するかどうかという株主の皆さんのチョイスということになるわけでございます。

平岡委員 そこで、会社法上は、公開会社は、明確に禁止されているもの以外の種類株式については何でも発行できるということとして扱われているということであります。

 では今度は、これは金融担当副大臣の方にお伺いいたしたいと思いますけれども、会社法上、公開会社が異なる種類の株式を発行することが認められるとして、その異なる種類の株式の上場は認められるんでしょうか。会社法上認められているから上場会社でもそれはいいんだということになるんでしょうか。どうでしょう。

七条副大臣 私の方からお答えさせていただきますと、敵対的買収防衛策の導入に際しては、投資家保護上問題が生じかねない事態も想定されることから、先般、東証から上場各社に対して、防衛策導入に際する投資家保護上の留意事項、これも先生御承知のとおりでございますけれども、これが通知されたところでございます。

 また、東証は、経済産業省等が今後策定する企業価値防衛指針、ガイドラインや、関係各方面との議論を踏まえ、種類株式に係る上場規則の制度化を含めた検討を行うことにしていると承知をしております。

 もう一つ申し上げますならば、種類株式の上場については、こうした、先ほど東証が出されました留意事項や制度化される基準に基づき判断されていくものと考えておるところでございまして、異なる種類株式の上場が必ず認められるものではないと承知をしている次第でございます。

平岡委員 今言われたように、会社法上公開会社が発行することができるというふうになっていても、これが上場株式として扱われるかどうか、つまり上場株式として扱われなければほとんど意味のない状態になってしまうわけでありますけれども、発行できても意味のない株式というような状況になってしまうということがあるわけですね。

 だから、そういう意味では、この会社法というものが、果たして今の大きな大きな経済規模になったこの日本において、本当にきちっと経済活動をする人たちに明確な指針となり得ているのかどうかということについては、私は大いに疑問があるだろうというふうに思っているわけであります。

 そういう視点から、ちょっと七条副大臣は企業防衛策の話に先に入ってしまわれましたけれども、今言われたような前提の中で、少し企業買収防衛策の話について見てみたいというふうに思います。

 いわゆるライツプランというのがあります。私は、つたない知識ではありますけれども、一種の変わった新株予約権の発行というような位置づけになるんだろうと思います。新株予約権の発行ということで、必ずしも株式とかあるいは株主そのものということではありませんけれども、買収者である株主と買収者以外の株主とに対して差別的な取り扱いを行っていることにつながっていくという意味で、このライツプランというものは会社法に定める株主平等の原則を侵すものではないかというふうに思うんですけれども、この点については、法務大臣、いかがお考えでしょうか。

南野国務大臣 先生がおっしゃるライツプランというのはポイズンピルと考えてもよろしゅうございますね。

 株式平等の原則とは、株主はその有する株式の数に応じて平等に取り扱わなければならないという原則でございますが、ライツプランは、例えば新株予約権を株主に対してその持ち株数に応じて割り当てることによって行うものでありますので、それ自体が直ちに株主平等の原則に反して既存の株主の利益を害するとは言えないというふうに考えられております。

 もっとも、新株予約権の発行が専ら特定の株主の利益を害する目的や役員の保身の目的のために行われる場合には、既存の株主の利益を害することとなる場合がありますので、そのような場合には許されないこととなると考えております。

平岡委員 今の質問に対して、逆の視点からちょっと聞いてみたいんですけれども、このライツプランスキームのもとで新株予約権を発行することが認められるという、その会社法上の根拠というのは一体どこにあるんでしょうか。

寺田政府参考人 ライツプランにもいろいろなバリエーションがございますが、今、典型的に考えて念頭に置いておられるのは、新株予約権を用いたものということになります。

 これは、会社法上は二百三十六条の一項七号の種類株式といたしまして、株主が例えば二〇%というような一定割合以上の株式を取得したことというのが条件にあって、株主の持ち株数に応じて無償で割り当てる。この割り当てそのものは二百七十七条でできることでございます。その後、買収者の方で二〇%以上の株式を取得した時点で、この買収者以外の株主の新株予約権を会社側が取得するわけでございます。これは二百七十四条に基づいてするわけでございますが、そして、新株予約権を取得すると同時に株式を出す、これが二百七十五条の三項に規定されているところでございます。

 つまりは、新株予約権の行使があって株式が発行されるということを、新株予約権を取得して株式を発行する、そういうふうに概念整理してあるわけでありますけれども、そういう規定、今申し上げた規定に基づいて、いわゆるライツプランの一種というのは成り立つ、こういう理解でございます。

平岡委員 今の説明でいくと、こういう新株予約権の付与、あるいはその剥奪については、これは自由に決められるというふうに理解していいんですか。

寺田政府参考人 今申し上げたようなことが、形式的に根拠規定がありますのでできるということです。

 しかし、問題は、その新株予約権の具体的な発行というものが不公正に行われるものではないか、そういう角度から当然違法、適法の問題が出てくるわけでございまして、そういう意味では、ある発行の根拠規定としては有効であるわけでありますけれども、その発行態様いかんによっては、それが別の角度から違法になるということはあり得るわけでございます。

平岡委員 今言われたように、このライツプランのスキームの中でも、根拠法的にはこういう法律に基づいて、あるものは出せるけれども、あるところからやはりこれは問題があって出せないということが当然あり得るんだろうと私は思うんですね。そういうふうなものについて、この会社法の世界では一体どうやってそこを判断するのか。こういうものが出せるのか出せないのかということを判断するというその根拠というのが、もしかすると多分二百四十七条のような一般的な、抽象的な規定であって、これは、たび重なる取引をやってみて、あるいは裁判でやってみて初めて、これがよくて、これはよくないというのがわかるというようなことでは、私は法的安定性に欠けるのではないかというふうに思うんですね。

 そういう意味では、この会社法の中で、ライツプランの中でもこういうものならいいよというふうなことを、それは法律にそのまま書くことは無理としても、こういうものならいいよということをうかがい知るようなスキームというものをこの会社法の体系の中で書き込んでいく、こういうことはできるんじゃないかと思うんですけれども、それはできないんでしょうか、どうでしょう。

寺田政府参考人 これは大変難しいところでございます。といいますのは、もともと企業防衛策、あるいは現在の経営陣の意向あるいは多数株主の意向というものを守るべき防御策というものを会社法自体が認めるということが一体どういうことかということにかかわるわけでありますけれども、会社法自体は、どういう株主、買収者というのも要するに潜在的な株主ということになるわけでありますけれども、どういう株主であればいい、どういう株主であればいけないという価値的な判断というのは会社法においてはなかなかできにくいところでございます。

 したがいまして、それは、言ってみればまた別のマーケットでの評価というのもございましょうし、あるいは、会社の中においてそれを仮に評価するとすれば、それはある種の平等原則の変形であります不公正さでございますとか、あるいは、価格が非常に有利で、それを許しがたい限度に達しているという原理以外に典型的にパターン化してお示しすることはなかなか難しいんじゃないかというふうに思うわけでございまして、防御策という意味で会社法の中に置くのはいかがかなというふうに感じているわけでございます。

平岡委員 法的安定性を考えたときには、何らかの基準がどこかで示されているということが必要であるというふうに私は思っているわけでありますけれども、この会社法の仕組みの中でそれを書くのがいいのかどうか、そこは一つまた議論のあるところだろうというふうにも思います。

 そういう意味で、ちょっと別の視点から聞いてみますと、これは金融担当副大臣の方にお聞きいたしたいと思いますけれども、先ほど言いましたように、買収者である株主とそうでない株主との間で差別的な取り扱いをすることとなるようなライツプランスキームを持った会社については、その会社の株式の上場というのは認められるというふうに考えていいんでしょうか。私はかなり疑問があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

七条副大臣 今お尋ねの、ライツプランスキームを持った会社の上場が認められるかどうかにつきましては、個別事案に即して東証等が判断することとなろうと思いますけれども、先ほど申し上げた、東証では先日、四月の二十一日に通知をした留意事項に反しないものは基本的には上場が認められない、こういうことになっておりまして、具体的には、ライツプランの導入は市場の混乱を招くものであり、投資家保護上適当でないとしているものではないかと思っております。

平岡委員 ちょっと時間がないので、ライツプランの話はとりあえず置いて、さらにちょっと黄金株の話もやろうと思っていたのでありますけれども、その話も置いておいて、実は、この問題については、先ほど来から東証の通知の話もありました。その東証の通知の中に、経済産業省が設置し、法務省がオブザーバーとして参加している企業価値研究会というのが、企業防衛策のあり方みたいな話でいろいろ検討しているというふうに伺っているわけでありますけれども、この研究会がどのような会社についての買収防衛策を検討しているのか、この点についてまずお答えいただきたいと思います。

小此木副大臣 お答えをいたします。

 企業価値研究会は、敵対的買収に対する公正なルールの形成を目的としております。したがいまして、検討の対象は、敵対的買収の対象となり得る上場企業と考えております。

平岡委員 そうなんですよね。この問題については、上場されている会社の問題ということで、上場会社における買収防衛策ということであるわけでありますけれども、ある意味では、先ほど来からずっとライツプランの話、あるいは、ちょっときょうは議論する時間がありませんでしたけれども黄金株の話、こういうような話については、株式の上場というものが認められるのかどうかという株式上場の基準の問題でもあるというふうに私は思っているわけです。

 そういうふうに考えると、これは何で経産省が設置し、そしてオブザーバーとして法務省が参加している企業価値研究会がやっているのか。やること自体は、やるなと言うつもりはありませんけれども、むしろやるべきは、こういった上場問題についてどうあるべきかを考えなければいけないのは、金融庁とか、あるいは証券取引所とか、そういうところが中心となって検討しなければいけない問題じゃないかというふうに思うんですけれども、金融担当副大臣はどうお考えでしょう。

七条副大臣 今の問題にお答えする前に、先ほど私が答弁をいたしました、東証での留意事項に反しないものは基本的に上場が認められないと申しましたが、これは認められるということの方が正解でございまして、少し間違った答弁をしたことをおわびさせていただきます。

 それから、今の企業価値研究会についてでございますけれども、企業価値研究会は敵対的買収に対する適切な対応策等のあり方について検討を行うため、これは経産省の経済産業政策局長の私的研究機関であるというふうに承知をいたしておりますけれども、金融庁としては、この研究会に直接的な参加をしていないものの、企業買収に関連する制度として証券取引法上のTOB制度を所管していることから、この研究会の検討内容を含め、関係省庁とは十分に連携を行っているところであります。

 いずれにいたしましても、金融庁としては、企業価値研究会における研究成果等も踏まえて、会社法制等との整合性に十分配慮をしながら、投資家の権利保護のために制度構築に努めてまいりたいと考えているところでございます。

平岡委員 上場基準の問題でもありますから、何か人がやったのを踏まえてどうこうするというような姿勢というのはおかしいだろうと私は思うんですね。

 そういう視点からいうと、五月十日の法務委員会で、同僚議員の質問に対して経産省の方がこういうふうな答弁をしています。経産省としては、法務省と共同で、企業価値研究会の論点公開をもとにして、今度は行政庁としてガイドラインを五月中にも出していきたいというふうに考えておりまして、東京証券取引所も、行政が出しますガイドラインもさらに参考にして制度化を進めていかれるということですと答弁しているんです。

 私は、これは話が逆じゃないかと思うんですね。むしろ東証で、上場基準はどうあるべきかということをしっかりと自分たちで議論して、自分たちでつくっていくというのがあって、これは経産省と法務省が一緒になって行政のガイドラインを、何か買収基準みたいなものをつくって、それに基づいて東証がその範囲内で上場基準に関する規則をつくるというのは、私は、全くの逆の話になっているというふうに思うんですけれども、この点、金融担当副大臣、どのようにお考えでしょう。

七条副大臣 これにつきましては、現在、経産省等によりまして、企業価値研究会において、先ほどの四月二十二日に公表されたいわゆる論点公開に沿って、企業価値防衛指針、いわゆるガイドラインを五月中旬までにまとめられる、こういうふうに聞いておりますけれども、まとめられた検討が進められるものと承知をしているところでございまして、東証は、このガイドラインが策定、公表された後に、その内容や関係各方面との議論を踏まえて、具体的な個別の防衛策の導入について、市場の開設者として、投資者保護の観点から市場規則及び開示制度の整備を行うことが予定されると聞いているところでございます。

平岡委員 投資者保護を考えなければいけない立場として、まずやはり自分たちの上場基準は何なのかということをしっかりとつくることが大切であって、企業防衛策としてこんなものが認められますよという、それを追認するかのような形で上場基準とかいうものをつくっていくというのは本末転倒だということを私は申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

塩崎委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 通告に従って質問をさせていただきます。

 話の流れからいうと、今平岡委員から指摘があったところでございますが、まず、根本的な法律の仕分け、それを教えていただきたいんです。

 先ほどの七条副大臣のお答えはなかなか厳しいなと思います。というのは、金融庁はまさに証券等監視委員会のやることも、大臣は、それは直接は自分たちで何もできないんですというような非常に無気力なことを言いながら、そして金融庁は、その自分らの庭先の中でもう手いっぱいになっている。それに対して経済産業省は、ダイナミズムの中でいろいろなことをやっている。法務省、法務委員会の委員の皆さんはそうではないでしょうが、非常に静的な中で、なかなか法律が現実に追いつかないでいる。

 まさに、どこからどこまでを市場でやるのか、どこからどこまでをこの会社法でやるのか、それから、どこからどこまでを省令委任にするのか、あるいは証取法やほかのところでいくのか。私は、委員長と昔、今もそうですけれども、議員修正やいろいろなことをやってきましたけれども、その中で特に思うのは、何をどの法律に委任するかということも大事なんですが、それで何をやるのか、ステークホルダーに対する最低の責任というのは何なのか、そして私たちがその法律の中に書き込むことは何なのか。

 大臣に、今回の会社法のつくり方の基本をまず伺っておきたい。

 今回の会社法では、さまざまな自由化や再編のツールや、あるいは種類株を中心とした自由化というものがあるんですけれども、法律で書く部分はできるだけ少なくしよう、あとはいろいろな市場やそういったところに任せていこうということでこの法律をつくっていらっしゃいますか。基本的な姿勢についてまず伺いたいと思います。

南野国務大臣 この法案をつくりますに当たりまして、我が国の経済市場の活性化のためには、公正で汎用性のあるルールが必要であるということになると思います。

 具体的なルールの作成に当たっては、やはり法的強制力を持たせる必要のあるルールについては法律をつくらなければならないというところであり、また、法律の委任に基づいて定められる政省令もルールを担うものである。政省令は、法律の委任に基づくものでありますので、法律と一体となって法規範を形成することになりますが、同じルールであっても法律で規定することが難しい技術的事項、細目的な事項あるいは機動的に対応する必要が見込まれる事項などを定めることになると考えております。

 さらに、法律や政省令で定められた事項を具体的な事象に当てはめる際には、必然的に法令の解釈が必要になりますけれども、かかる解釈の部分を補い、経済行動を起こす際の予測可能性を高めるために、政府または関係者の創意により作成されるべきものがガイドラインであるというふうにも考えております。

原口委員 つまり私が聞きたいのは、デフォルトルール、わざわざ法律でなくて、自由に決めさせてほしい、自分たちでやれることは自分たちに任せてほしいというのが経済界や市場の要請ではなかったか。その要請を受けてつくったんですかということを聞いているわけです。

 例えば、所在地についても、今までは本籍地のような発想で、それこそ行政区域が隣であるものしか認めない、そんなことは自由にさせてくださいよと。あるいは、欠格事由についても私たち修正の要求を出していますけれども、中小企業団体からすると、昔の、百年前からの考え方というのは、いわゆる倒産している人、破産をするということは非常に、社会的にはもう二度と起き上がれないというか、まさに破産法というものは社会から外へ出す、そういうものだったけれども、しかし、現行を見てみると、逆に言えば、自分の責任というよりも、むしろ社会的な事象の中で破産をし、そして、その中でもう一回復活をしなきゃいけない。

 そういったことまで厳しくやられたのでは自由で再生可能な社会ができませんよということで法改正をしているんじゃないですか。そこはいかがですか。

南野国務大臣 今まで長い歴史の中で、今の法律を使ってまいりました。その使い勝手について、現在の経済情勢、国の情勢、そういったものに照らし合わせ、いろいろな方の御意見も合わせながら、使い勝手のいいものにしていこうということでございますので、先生のおっしゃることと同種類のことだと思います。

原口委員 私は何も使い勝手の話をしているんじゃないです。法の理念について聞いているんです。この法の理念について私たち確定しないと、じゃ何が証取法で、ここにはいわゆるストックマーケットの話はいろいろ出てくる、だけれども、じゃボンドマーケットどうするんですか、あるいは企業結合法制どうするんですか。

 これは一番先に申し上げておきますが、もともと敵対的買収やいろいろなものについての制度をつくるのは、八〇年代のアメリカにおいては、コングロマリットディスカウントといいますか、要は、余りにもでかくなり過ぎて、そして、でかくなり過ぎてパフォーマンスが悪くなったものは買収のえじきになる、だからそれをさまざまに分割をしてみたり、さまざまな制度を、ライツプランもその中の一つで出てきたわけですけれども、やろうという反省から出てきた。つまり、企業結合法制を一緒に考える中で、ルール化を長い間かけてやってきた。

 それに対して、我が国の今回の法改正は、私、委員長にお願いをして資料を配付させていただきたいと思いますが、よろしいですか。

塩崎委員長 はい、どうぞ。

    〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕

原口委員 もうお手元に配られていますね。これはけさの三時に法務省からいただいたものでございます。この会社法で委任をしている政省令を挙げてくださいということを言ったわけです。膨大な、それこそ千条にも及ぶ法案ですから、委任というものが政省令にどう落とされているか、私たちはこの政省令の中身も精査しながら今いろいろな委員会では質問しているんです。ところが、きのうの段階では、何をどれぐらい政省令委任にしたかということもわからない。これだって条項だけですよね。

 私は、これは委員長にお願いをしますが、政省令の中でも重要なのがいっぱいあるんです。私たちの七項目の要請事項に沿っていえば、例えば、一番最初のところもそうですね、八百四十七条も政省令に委任されている。あるいは百二十条、取締役の過失責任化といったところも政省令に委任されている。じゃ、それはどういう委任のされ方、政省令で何が書かれるかによって全然意味が違う場合がある。ぜひそこの方向を出していただきたいと思います。委員長、理事会で議論をしていただきたいんですが、いかがですか。

田村(憲)委員長代理 理事会で協議をさせていただきたいと思います。

原口委員 この莫大な、これは三百以上ありますよ、数えてみると。逆に言うと、そこのところがわからなければ、現実にどうオペレートするかということが私たちにはわからないということを申し上げたいと思います。

 さて、一つ一つ修正項目について、今まで委員がそれぞれについて聞いていきましたので、確認の質問をしていきます。

 私たちは、今申し上げた八百四十七条一項ただし書き二号には問題があるということで、この削除を求めています。私は、この八百四十七条の一項ただし書き二号というものは外すべきだというふうに思いますが、法務大臣の御見解を伺いたいと思います。

南野国務大臣 会社法案八百四十七条一項ただし書き二号は、株主全体の利益を守るための制度である株主代表訴訟が、これによって会社の正当な利益を著しく害される等、逆に株主全体の利益を損ない、その制度本来の趣旨に反する結果となる場合に、このような訴えを許さないものとするため、実体的な訴訟要件を新たに法定したものである。

 このような制度趣旨に反する株主代表訴訟につきましては、その訴えの提起が許されるべきではないにもかかわらず、従前の裁判例に照らすと、いわゆる訴権の濫用の法理で十分に抑止することができるのかに疑問があり、また、担保提供義務による抑止も不十分な状況にありました。したがいまして、会社法八百四十七条一項ただし書き二号は、株主代表訴訟の提起を萎縮させるのではないかとの危惧も一部にございますけれども、一号と異なる独自の存在意義がありまして、立法措置を講ずるべき必要性があると考えております。

 ただし、二号の規定が十分に明確かなど、これまでの御議論には謙虚に耳を傾けてまいりたいと思っております。

原口委員 謙虚に耳を傾けるんだったら、削除してください。

 わざわざこの二号をこう書く必要は全くない。何となれば、会社は、その買収の主体はだれがやるのか。買収の主体というのは、企業がやるんじゃないんです。株主がやるわけです。株主が買収の主体で、その株主の主権あるいは株主の権利の保障ということを市場の中心に持っていくとするんだったら、私はこの条項はあってはならないと思います。いかがですか。

南野国務大臣 先生方の御議論をまちながら考えていきたいと思っております。

原口委員 御議論をまちながらということですから、ぜひ私たちは、やはりここは濫用法理でやれる話なんですね。逆に言えば、もっと法で書き込んでおかなきゃいけないのは、市場全体の底を破るような行為なんですよ。市場全体を全部壊してしまうかのような行為。

 私、今までの議事録それからきょうの委員会質疑、全部見ましたけれども、この間の中塚議員の質問に対する、たまたま合併対価の柔軟化ということで聞いているから、多分誤解の御答弁だったと思いますが、敵対的買収というのは、私はこれからふえるべきだと思うし、いや応なくふえてくると思います。

 アメリカだと、長期と短期の金利差を利用して、それでもっていろいろなことをやっている。それは、今、長短金利の差は低くなりつつあるけれども、しかし、行き場を失ったような資金というのは、より高い投資性の、効果のあるところを目がけてやはり飛んでくると思うんですね。敵対的買収が悪いという議論は、もうここではなかったと思います。逆に言えば、経営をさらにパワーアップ、市場を強化するためにはこれは大事。

 だから、南野大臣が中塚議員に対して、敵対的買収という中の合併、融和的な合併というのは、つまり定義違反だから、それはふえませんよということをおっしゃっているんですね。いいですか、それで。(南野国務大臣「それでいいと思います」と呼ぶ)お座りのままお答えいただいてありがとうございます。

 とすると、今度、会社法の中で議論をしておかなきゃいけないのは、じゃ、敵対的買収の中でも、やはり日本の国家としてこれだけは許せない、これだけはあってはならないというものがあると思いますが、これは局長で結構ですから、例えばどういうものがありますか。

寺田政府参考人 敵対的買収ということで一般的に言われるのは、会社にとって必ずしも同意できない、特に執行部にとって同意できない買収ということでございますが、一般的に、今原口委員がおっしゃったように、マーケットがオープンの、つまり上場されているような会社においては基本的にそういうことはあり得ることであって、なかなか何が敵対かということについての価値判断は、マーケットを所管するあるいは会社法制を所管する立場からは難しいかと思います。

 ただ、これについてはいろいろな場面がございまして、例えばアメリカでございますと、私どもの承知している範囲では、特定の産業について、ある種の株主の構成が偏りができるということは適当でないという国全体としての考え方があり、そういうことの上に、例えば法律でもって、一定の構成の株主というものがそもそもその会社の株のある種の部分を占めるということを許さないという行政規制をしているところがございます。これは、私はアメリカと申し上げましたけれども、その他の国にもあり得ることでございまして、現に幾つかあるというふうにも聞いております。

 我が国にも、実は、私どもの所管ではございませんけれども、外国為替管理法等のスキームにおいてそういうことも可能になるわけでございまして、言ってみれば、そういう産業保護ということが一つの敵対的買収に対する合理化する考え方としてあり得るだろうというふうに思います。

原口委員 だから、私は、そこのところの議論がやはり圧倒的に不足しているんだろうなと思うんです。

 これは、ことしの三月二十三日、東京高裁の決定がございました。ニッポン放送による新株予約権発行の差しとめの仮処分決定。この中で東京高裁は、弊害のある敵対的買収ということで四つの類型をそこで挙げて決定をしています。

 一つは、いわゆるグリーンメーラー。つまり、真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて、そして高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的で株式の買い取りを行っている場合。私は、これは企業全体のセーフティーネットからいうととても厳しいと思いますね。

 それから二つ目は、これもテレビで随分有名になりましたが、焦土化作戦。会社経営を一時的に支配して、そして当該会社の経営上の必要な知的財産、ノウハウ、あるいは取引情報や企業秘密などというものをその間にとって、そしてそれをグループ会社に移譲させるという作戦ですね。

 この焦土化作戦というのは、あのニッポン放送について言われたから皆さんよく割と矮小化した議論をされていたんですけれども、我が国の国家戦略としたら、では、日本は何で食べているのか。日本はこれからどういう戦略をとるかといったら、これは小泉内閣もおっしゃっていますけれども、知的財産戦略ですね。ここのところが簡単に、自由にとられてしまうようであれば、我が国の存立そのものがもたないわけですね。ここについてどう議論をされたのか、あるいはどういうファイアウオールをつくっていくかというのは、私もこの連休中これを全部読みました。もう本当に目が真っ赤になりますよ。しかし、その観点というのは出てこない。

 それからもう一つ。私どもは金融の方からきょうここに来させていただいていますから、会社経営を支配して、当該会社の資産を当該買収者やそのグループ会社の債務担保や弁済原資として流用する予定で株式の買収を行っている場合。これは、まだ不良債権処理の過程にありますので、私は財務金融委員会で朝銀の問題について取り上げましたけれども、今までの法制だけではこれはカバーできません。さっき外為法というお話がありましたが、外為法は日本の企業には通用しません。

 それから、四番目に東京高裁が挙げているのは、会社経営を一時的に支配して、当該会社の事業に当面関係していない不動産、有価証券などの高額資産を自分たちの手にとるというやり方。これを不良債権処理で利用されたときにはもう目も当てられません。

 銀行救済の預金保険法が発動していますから、つまり、私たちの予期せぬ国民負担をそこで生んでいくということになるわけで、ぜひ大臣、敵対的買収というのは私たちにとっては、市場にとっては大変いい。だけれども、今申し上げた少なくとも東京高裁が挙げているようなものについてはどこで担保するのか。私は、市場でやればいいという話だけではないと思いますよ。国家戦略を立てて政策的に、今局長がお話しになったお言葉をかりれば、行政的なさまざまなディレクションを与える措置が必要だと思うんですが、いかがでしょうか、大臣。

南野国務大臣 先生がおっしゃるように、ある意味では、そういうような防止策、対策ということも練っていかねばならないというふうに思っております。

原口委員 前向きの答弁をいただいたと思いますが、局長、法務省の中でそれはやらなければいけないということでしたけれども、やるという話でなかったので、検討いただけますか。

寺田政府参考人 先ほど私が申し上げましたのは、国として絶対に譲れない部分ということで申し上げたわけでありますが、今委員がおっしゃったような、つまり、マーケットとして許せない部分、あるいは会社の関係者の権利を不当に侵害し過ぎるということで組織として許せない部分、さまざまあろうかと思います。それぞれの関係の省庁もおいでになるわけでございますから、私どもも十分にそれぞれの面を御協力して検討をしてまいりたいというふうに考えます。

原口委員 各省庁とよく検討して、少なくとも今の四つの問題についてはどのようにするかということを早急に出していただきたいと思います。

 それから、これは確認答弁をしておきますが、法務省の皆さんも、今回、企業結合法制についてはやはり十分触れられなかったというふうに御認識があるかと思いますが、企業結合法制について、いつまでに整備をして国会に出そうというのか。皆さんからすれば、いや、今出している法制が一番ですよというのは、そういう答弁を求めているわけじゃありません。私たちも、これに協力して、よりよいものをつくれるというんだったらその方がいい。だけれども、金融の立場からすると、企業結合法制をどのようにするかというものがなければ、ボンドマーケットもストックマーケットも公正さを担保できないんですよ。ですから、企業結合のあり方というのはどうあるべきなのか。

 独禁法を改正して持ち株会社というのを一気に入れましたけれども、しかし、コングロマリットディスカウントと何回も言いますけれども、親会社と子会社でもって利益相反するような場合もある。今回、利益相反するようなそういう取締役の行為については無過失責任ということを、唯一そこを残されていますけれども、そういう企業連結法制について検討をいつまでに加えるというのか、そのことを明確に伺っておきたいと思います。あるいは、そのめどについて。

寺田政府参考人 これは、今まで商法中の会社編でございましたけれども、会社法についてはこれまでも毎年のように見直しをし、検討をし、それで改正法案を提出させていただいていたところでございます。

 ただ、今回、会社法として一たんこういう体系ができたわけでございますが、その後、例えば企業結合法制について問題があるという認識は私どもも持っております。ただ、その問題の性質が、すべての会社にとって問題のある部分、それから公開会社にとって問題のある部分、あるいは上場会社にとって問題になる部分、いろいろな性質の問題があろうかと思います。特に上場会社にとって問題になる部分においては、私どもの手に余る問題でもあるわけでございまして、そこは当然関係省庁の方のお考えというものもいろいろとすり合わせをしてやっていかなければなりません。

 したがって、全体としていつまでということはこの場でちょっと申し上げかねるわけでございますけれども、しかしながら、今後残された問題のうち一番大きな問題の一つという認識は持っておりますので、それなりの体制で検討はしてまいりたい、このように考えております。

原口委員 前向きの一定の答弁をいただいたと思いますが、大臣、法務省の中の検討でもやれることはあるんですよ。今回、会社法案の企業結合法制が欠落しているというのは複数の委員が指摘をしていますけれども、少なくとも多段階的株主代表訴訟を認めるべきだと私は考えていますし、民主党もそういう要請をしていますけれども、その問題について御回答をいただきたいと思います。

南野国務大臣 では、少し長くなりますけれども。

 我が国におきましても、近年、企業グループの形成が進展しておりまして、企業グループに関する適切な規制を行うという観点から、いわゆる企業結合法制の整備の必要性を唱える声があることは認識いたしております。今も局長の答弁にございました。

 しかし、企業結合法制に対する対応は、一般的に、親会社の支配下にある子会社が、その子会社の株主や債権者等の利益よりも支配者である親会社やグループ全体の利益を優先するおそれがあるということに対しまして、どのような措置を講ずるべきかという観点から議論が進められているところでありますけれども、国際的にその手法及び内容はさまざまでございますし、これを法制化している国はいまだ極めて少ない状況であります。ドイツぐらいかなというふうなお話も聞いております。

 我が国におきましても、グループ経営の進展に伴う利害関係者の利益の適切な保護は重要な課題であると考えておりますけれども、現時点におきまして、拙速な規制強化や制度の創設は、かえって利害関係者の保護に欠ける事態が生じたり、企業活動の妨げとなるおそれもあろうかと思いますので、今後とも、実務における問題の状況を勘案しながら、適切な方策について検討を進める所存であります。

 なお、今先生がお話しになられました多段階株主代表訴訟は、親会社の株主に子会社の取締役に対する訴訟提起権を認めるというものであります。しかし、このような措置を講じることとした場合には、より一層親会社の子会社に対する支配力が強固なものとなりますために、子会社の取締役がその株主等の利益よりも親会社やグループ全体の利益を優先するという行動をとるおそれ、すなわち、企業結合法制の議論において問題視している事態をより深刻なものとするおそれもございますので、その導入については、さまざまな角度からなお慎重な検討を要するものと考えているところでございます。

    〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

原口委員 ちょっと見解が違いますね。では、親子上場というのを認めてはいけないんですよね、親と子を上場させて、そしてその親の利益を子につけかえてみたり、あるいはそういう支配が強まるというのであれば。では、大臣の認識では、それはこういう会社法でやるんじゃなくて、上場基準でやればいいとお考えですか。

南野国務大臣 まだ方法は決めておりませんが、そのような検討も進めてみたいと思います。

原口委員 いや、通告にないことを聞いたからあれだと思うけれども、それじゃだめだと思いますよ。やはり企業結合法制、何もよそがやっていないからといって、よその二十年間やってきたような、アメリカが二十年間やってきたのに一挙に追いつこうとしていて、その根本のところはやはりコングロマリットディスカウントなんですよ。いろいろなものが一緒になって、そして利益相反の中で逆に弱っちくなっていく、それをどうするかということを会社法の根本の中で議論をしなきゃいけないと思っているんです。

 ほかの省からも来ていただいたので、企業価値研究会、七条副大臣に。

 私は、金融庁の中でも、ボンドとストックのマーケットの中で企業というのは一体どうあるべきなのか、その価値をどう高めるのか、あるいは、市場の底を突き破るようなそういうものに対しては何をやるのかというのを本気で研究する必要がある。私どもも、この間、東証の方と経済産業省の方に来ていただいて議論をしましたけれども、このガイドラインに沿って東証のルールを決めるとおっしゃっているんですよ。本当にそれでいいんですか。皆さんがまさに市場をチェックするところと市場の政策をつくっているんじゃないんですか。そこについての基本的な認識だけ伺っておきたいと思います。

七条副大臣 今、企業価値研究会の問題、先ほどの平岡先生のときにも少しお答えをさせていただきましたけれども、私どもは、金融庁としては、企業価値研究会の企業価値防衛指針、ガイドラインと東証の市場基準とは、基本的な方向性は同じものではある。具体的には、東証が上場基準等を整備する際には、企業価値防衛指針、ガイドラインの内容のみならず、関係各方面との議論を踏まえて、市場開設者としての投資家保護ができている、検討されているというふうに思っておるところでございますから、基本的には方向性は同じではないか、こう考えているところでございます。

原口委員 いや、そう思うんだったら私は質問しないんですよ。

 これは、百三十ページ、企業価値研究会の論点公開がございますよ。私、これを読んで非常に危機感を覚えたのは、いわゆる英国あるいは米国、企業防衛の手段が違いますよね。それに大陸法でも違う、EU指令も違う。これを読んでいると、何か足して二で割るような、そんなイメージなんです。私、それではとてもできないと思います。

 今度の会社法の中も、さっき平岡委員が質問しました自己株式の市場売却、本当にしっかりとする市場監視の機関がなければ、さっきデラウエア法の話がありましたけれども、これはやはりSECという物すごい強いのがあるから、つまり、結果の責任のところで思い切り市場を守るという自分たちの自信があるからこれがやれるんですよ。

 これも委員長がいるときに言って悪いですけれども、日本版SECというのをやはりきっちりつくった上で原則自由ということだったらわかりますよ。だけれども、インサイダー取引、株価操作、言いたくはないけれども、竹中大臣がETFなんという発言をして、みんなもうかるから買いなさいと。閣僚はみんな買ったわけでしょう。その後に、ある銀行をそれこそ株主責任を問わないで救済するんだったら、株は上がりますよ。国家的なインサイダーじゃないですか、一時的にそれで売り抜けて、そして大もうけをするというのは。

 ここまで種類株やあるいは自己株式の市場売却というのを認めるのであれば、パラレルに市場の監視機能というものを強化するという、さっき強化されたと言っているけれども、それこそ有価証券報告書の継続開示義務違反だって、議員修正で開示義務違反に穴をふさいだんですよね。

 ですから、もうそろそろ市場の自由、恐らくこれから、アメリカは年間七千億ドルを世界から集めないと回らない経済を持っていますけれども、どこかでアメリカの中にお金を呼び戻すという時期が来るかもわからない。あるいは、中国に対してたくさんの投資が行っているけれども、その投資が別に回ることもあるかもわからない。日本のROEはそれこそ四分の一ですか、あるいはPERも低いということをこの企業価値研究会は堂々と書いていただいていますけれども、だとするんだったら、どんどん資本を呼び込まなきゃいけない。

 資本を呼び込むときに一番必要なことは、私たちがこの会社法でぜひ明確にしておきたかったのは、私たちは、今までの労使という、そういう関係の中で議論しているんじゃないんです。会社のいろいろな人たちが使い勝手がいいから、要望されたことを入れて、結果として市場全体の日本の価値を下げたらだめですよということを言っているわけです。そのことだけを私たちは今回強く言っているわけですね。

 ですから、七条副大臣、ぜひ強力なSECをつくるということを考えられるべきじゃないのか、そのことに踏み切るべきじゃないか。これは、法務委員会でこういう質問をして申しわけないけれども、法務省がやる話じゃないですね。法務省も、これだけのいわゆる自由に向かったことをやるのであったら、それに対応するところが足りないということを自覚されるべきじゃないか。委員長に質問しちゃいけませんよね、日本版SECは必要ですかと。ですから、ぜひ副大臣にその決意を、決意だけで結構です。

七条副大臣 今、委員長ということでございますけれども、私の方から御答弁させていただきたいと思います。

 日本版SEC構想につきましては、各先生方、原口先生が日ごろからおっしゃっていただいていることはよく承知しているところでございます。

 先ほど来、金融コングロマリット化の出現という形の中で、金融の担い手の統合やあるいは金融市場等が今融合あるいは横断的な流れが加速していることはもう事実だろうと思います。

 こうした流れを踏まえて、金融行政当局に関して、銀行あるいは証券、保険の各分野を業態横断的に所管する、あるいは、企業検査、監督、監視、それらの分野についても、金融庁の現体制はこのような金融を取り巻く環境の変化に的確に対応した体制になっているものではないか。これはイギリスだとか、あるいはドイツだとか、アジアの韓国なんかを見ましても一元化を実現させているところと承知しているところでございます。

 したがって、金融庁としては、日本版SECを創設して、証券行政部門を銀行、保険行政部門から切り離して以前のような形態別の体制に戻すことは適当でなく、現在の体制の方が適当であると考えているところでございます。

原口委員 もう全く、自分らが大蔵省にいたときの長い手を放すのが嫌だと言っているとしか聞こえないんですね。

 私は、そういう状況であれば、委員長、答えたいですか。聞きますよ、どうぞ。まあいいです、基本的に政府との質疑ですから。

 ぜひ、これは自民党さんの中にも私たちと同じような考え方の人は多いと思いますよ。つまり、行政のところが何もかも縛ると。だから、私は、今回の会社法の改正の根幹のところは非常に賛同しているんです。つまり、必要最低限のところを法に書きますよ、その後はどうぞ市場でやってくださいと。だけれども、国家として外せないところは検討していますかということをさっき質問したわけです。

 もう一つ、法務大臣にお伺いしますが、銀行法、今度まだ金融庁は出してこられませんけれども、銀行法は郵政民営化法、今回のもっと厚いのを見ました、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備云々というものですね。これを読んでみると、銀行法の改正と、それから、どうもこの会社法の改正も前提としてつくられているようなんです。

 それは法務大臣、何か省庁間の調整というのがございましたか。その認識についてどうですか。

南野国務大臣 これは、郵政の民営化法案ということは、法文上は会社法案を前提として作成されているものと理解しております、法文上は。

原口委員 非常に何か禅問答みたいで、法文上以外では何ですか。つまり、この会社法の法文を前提に、いわゆる改正法を前提としているわけですね。

南野国務大臣 これからつくっていこうとしているこの新しい会社法の法案の中で、そのやり方といいますか、法文上は会社法案を前提としているのが郵政民営化法案であるということです。

寺田政府参考人 私どもの承知している範囲では、郵政民営化法案の中に、当然のことながら、今の郵政公社を株式会社にするという部分がございます。その場合に、現行法の商法における株式会社法の条文を引用してこの法律をつくることも可能ですし、今これからできます会社法案の条文を利用してこの郵政民営化法案の条文をつくることも、どっちもできることでございます。

 ポリシーとしては特にこの会社法でなければできないことを用いて郵政民営化法案をおつくりになっているというふうには理解しておりませんので、どちらでもできることだろうと思いますが、実際にはこの会社法案の条文に沿っておつくりになっておられますから、そういう意味で法文上はと、こう大臣から申し上げたわけでございます。

原口委員 そのとおりなんですよ。

 だから、今両方でもできると、郵政民営化。私はそれはどうかと思います。これはきょうここの主題ではないですから別のところで言いますが、少なくとも銀行法については改正しなければ、郵政民営化法はその過程において機能しないということだけ申し上げておきます。

 経済産業省もお見えでございます。

 今回の企業価値研究会について、ルール整備が必要ということ、つまり、ルールなき市場ということが何回も出てくるんですね。ところが、現行の商法でも何とかなるんだということが取ってつけたように出てくるわけです。本当なんでしょうか。

 皆さんが考えていらっしゃるルールというのは、先ほど私は、法による、法に書き込むところは少なければ少ない方がいいという考え方を示しました、基本的な企業活動の自由については。どんな考え方で今まとめようとされているんでしょうか。

舟木政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省といたしましては、現行の商法のもとでもいろいろな企業買収に対する防衛策の導入は可能であるというふうに考えておりますが、一方で、過剰な防衛策というのはやはりその企業価値を毀損してしまう。我々がこの企業価値研究会のメーンのテーマとしておりますのは、まさにこういった敵対的な企業買収によって企業価値が毀損されることのないようにしたいということでございまして、そのために、過剰な防衛策を排除することが必要で、そのためにこの企業価値研究会の検討を行っているところでありまして、この企業価値研究会で論点公開を出していただいておりますので、これをもとに、経済産業省としましては、法務省と共同しまして、公正な防衛策に関する指針を策定したいというものでございます。

原口委員 だから、私が伺っているのは、どこまでを法律でやって、皆さんは法律を所管されていないからガイドラインという形になるんでしょうけれども、基本的に、この条項を見れば、企業価値を損ねるのは過剰な防衛の方が大きいんだ、そして、その過剰な防衛については、これは証取法だけではやはり無理なんですね。いろいろなほかのルールもやらなきゃいけない、会社法も発動しなきゃいけない場合があるというふうに私は思います。

 それで、これは法務大臣にも、それから経産省にも、あるいは金融庁にも伺いたいんですが、やはりルールの汎用化というのはとても大事だと思います。ルールの汎用化、つまりヨーロッパの中でも、イギリスと大陸法制をどうするかというのでEUの中でも物すごい議論がありました。資本が自由に動くためには、その地域のルールというのはできるだけ広い範囲で、汎用化している、あるいは共通化している方がいいわけでございます。

 今後、少なくとも、今の敵対的買収に対する防衛策やさまざまな企業法制についての考え方は、私たちは、この企業価値研究会の言葉をかりれば、やはり四つ、五つ考え方が違いますね。その世界的なスタンダードというか、あるいはさまざまな企業に対するビヘービアをそろえていくという作業についてどのようにお考えになっているのか。

 いや、それは当面、自分たちの国益に沿って、自分たちのシステムをもっともっと強化していくという考え方も一方であると思います。どのようなスタンスに立つのか、一般的に伺っておきたいと思います。法務大臣。

南野国務大臣 公正で汎用性のあるルールを作成する場合には、広く視野を持ちながら、世界におけるルールも参照した上で、我が国にとって適切なルールを作成することが必要であると考えております。殊に企業関係法令につきましては、国際性を意識すべきものと考えております。

 ただ、他国の制度を無批判に受け入れたり、あるいは、ある国の制度とある国の制度を足して二で割ったようなものを作成するのではない、これは当然でございますが、我が国における他の法律の規定との整合性や、我が国独自の歴史、生活習慣また文化なども勘案しまして、真摯に検討することが大切であると思います。

 そのようにして作成されたルールが、結果として公正で汎用性のあるものとなり、他国から見ても評価されるものになることが望ましいと考えております。

原口委員 そのためには、やはり目指す市場というか、目指す社会の総体的な理念というものが必要だということを申し上げておきます。

 ちょっと時間が迫りましたので、財務省に伺います。

 会社法案と税制というのは、ある意味ではセットで議論されるべき話だと思います。その税制との検討状況がどうなのか。それからもう一つは、私は、会社は株主のものであるというのであれば、一回利益に対して法人税で課税をしているわけだから、株主配当に対してまで課税をするということを株主の方から見れば、二重課税のところが必ずついて回ると思うんですが、そのことについて、基本的な御認識を政務官に伺いたいと思います。

倉田大臣政務官 会社法案に対する税制の整備についてでございますが、これにつきましては、今後、関係各省から御要望が具体的に出てくるのではないか、こう考えております。財務省といたしましては、具体的な税制改正要望を受けた後に、新たな会社法の実施までの間に適切に対応していきたい、こう思うわけでございます。これが第一点でございます。

 第二点目の御質問は、配当課税についてでございます。

 企業価値云々という場合に、株主が企業を所有しているんだ、こんなような考え方から、二重課税というのはおかしいのではないか、こういう御質問ではないかと思うんですけれども、法人が負担する法人税というものは、まず価格設定、あるいは賃金、それから利潤の分配などとも関係をしてくるわけでございます。したがって、法人税の負担というものは、法人またはその株主のみならず、例えば労働者とかあるいは消費者、価格転嫁ですね、こういうものにも一部負担が帰着しているのではないか、つまり株主だけが法人税を全部負担しているというわけでもない。これが考え方でございます。

 となりますと、では、法人税とそれから個人所得税との調整といいますか、今私申しましたように、株主のみが法人税を負担しているわけではないという観点に立ったとしても、先生のおっしゃるような二重課税的な要素が出ないではない。そこで、現在までいろいろと長年考えられてきたところは、法人税と個人税との調整をするために配当控除をする、こんな考え方であると思います。これについては、我が国のみならず諸外国においても同じような制度がある、こう考えている次第でございます。

原口委員 配当課税のことも存じ上げていますが、法人に課税をした上で個人の株主に配当課税をするという理由はやはり乏しくなってきていると思います。配当控除も少なくて、こうした観点から大胆な見直しが必要であるということを指摘だけさせていただいておきます。あとは財務金融委員会で直接大臣とやります。

 それで、もう一回法務大臣に戻りますが、一般に会社のコンプライアンスあるいはガバナンスといったときに、日本の法制度は個人の責任が中心となっているんです。しかも刑事が中心となっている。そのために、今回のJR福知山線の脱線事故もそうですが、まさに会社として組織的に継続的な違反をする、それがなかなか外に出てこない。

 きょう、私、専門が心理学なんですけれども、「ヒューマンエラーの心理学」というのがあるんですね。これはぜひ法務省に、法務省の中で個人の犯罪についてそれをどう防ぐかという研究機関はあります。しかし、組織的に継続的に誤った意思決定を安定的に行う傾向というのが、今の日本の会社組織のある意味では病理になっているんです。この病理を研究することをやっていただけませんか。

 私は、この病理の心理学からいうと、ただただ罰を重くする、あるいはただただ命令系統の規定をするということだけでは、逆にやみが深くなっていくんです。そういう観点から研究をお願いしたいのが一点と、もう一つは、もう時間が来ましたからこれでやめますが、組織としての問題を改善するための法整備が必要なんです。今回の証取法の課徴金制度も、経済司法の大改革の中で私たちは行政制裁金というものを出させていただいている。

 実は、恐るべき内部告発がこの間ありました。JR西日本の大阪からUSJまで行くのは、当初は十分だったそうですよ。つまり、すべての、もう思い切りスピードを上げて、ブレーキをかけて、それでUSJまで行った。ところが、それでがんがんに宣伝をしてきたけれども、もう耐えられなくなって十五分にしているということも出てきました。あるいは、部品の問題についても、国鉄時代から天下りをするためのものがあって、ペーパーカンパニーを二社通さないとそこの部品の会社に行かないんだそうですよ。つまり部品の会社からすると、二つ上で中間マージンをただの紙会社が取っているために、天下りのところが取っているために、粗悪品しか出せないというのを組織的にやらざるを得ないという状況。

 こういったものに対して、私は、今の経済法制の中では根本的に対応できないというふうに思いますので、根本的な研究と、それから法整備についての検討を要請して、質問にしたいと思います。いかがでしょうか。

南野国務大臣 先生の今の御指摘は大変大切なことであろうと思います。企業の中にも、心理的な状況の中で会社をどういうふうに持っていくかという一番大切な部分、またそれが病理的な形になるということは、これまたマイナスということになろうかと思っております。そういう問題につきましても、今先生の御提言、勉強させていただきたいと思っております。

原口委員 これで質問を終わりますが、ぜひ、与野党慎重に審議をして、そしてよりよい修正を仕上げていきたいということを申し上げて、質問にかえます。ありがとうございました。

塩崎委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司です。

 きょうは本当に長い間、会社法の質疑をずっとしてお疲れだと思いますけれども、いろいろ話を伺っておりまして、今回の会社法の改正ということで、本当に会社の組織もかなり融通無碍にできるようになって、それはいい面もあるだろうし、悪い面もあるだろうというふうに思います。

 それで、人間とは違いまして会社というのは法人で、ある意味フィクションでございますので、何を一体信頼して取引をすればいいのか、第三者にしてもそうだろうし、お金を貸す人もそうだろうし。そういう意味でいうと、今回の改正の中でも、計算書類といいますか、会社の財務状況がどういうふうになっているのかということをしっかり把握していくということが非常にこれからも、今までも重要だったんですけれども、特に重要だと思うんです。

 そういう中で、南野大臣に伺いたいんですけれども、今回新設された会計参与ということに、大臣としてもう一度、ちょっとくどくなりますけれども、何を期待するのかというところを伺いたいんです。

南野国務大臣 会計参与という役割ということでございますが、計算書類を作成する場合に、同時にまた会計参与報告を作成しなければならないこととなっておりますので、最も適切な立場で、また専門者でありますので、そこら辺については、適切な資料をつくっていただくということが大きな役割であろうと思います。

高山委員 午前中から同僚議員の方からも、特に中小企業向けの会計というのはどうなっておるんだというような話もありまして、その中で、中小企業向けの基準にはいろいろなものがあるというようなこともありました。

 これは南野大臣にちょっと伺いたいんですけれども、中小企業の方でこの会計参与というのは任意の設定となっているんですけれども、会計参与のいる会社がつくられた計算書類と、会計参与がいない会社でそれまでの経理の方がつくった計算書類ということで、南野大臣といたしましては、これはどちらの方が社会的信用性が高いのかなとお考えですか。

南野国務大臣 それはもう先生は回答をおわかりになりながらお聞きになっていると思いますが、やはり会計参与がおられることの方が、より客観的な観点から見ても、ああ、信用できる会社だな、そのように思われることだろうと思います。

高山委員 そうしますと、これは会計参与さんが会社の必要的な機関としてついて、しっかり計算書類をつくった方がいいじゃないかという考えも当然あると思うんですけれども、これはなぜ、任意ということで、必要的機関にしなかったんでしょうか、大臣。

南野国務大臣 それにつきましては、もう既に税理士さんを懇意にしてお雇いになっておられて、それでもいいかなと思われる方もおられる会社もあるでしょうし、また、会社によっては、自分たちのやり方でやっていこうとおっしゃる方たちもおられると思います。そういう意味では任意に雇用される問題だというふうに思いますが、参与の方がおられた方が社会的な評価、第三者評価としてはいいのではないかな、これは思っております。

高山委員 そうしますと、実際、すごい小さい会社に対して会計参与をもう無理やりつけろということになると、逆に余計な負担をしてしまうんじゃないかということもありますけれども、では、会計参与がついているということで何か特別にこの会社法としてちょっと評価をしていこう、この会社の方が社会的信用は足るんだということは何かお考えですか。

寺田政府参考人 会計参与を付したということによって会社法の効果としてより何か高いものがあるかとおっしゃられると、そういうことはございません。

 ただ、会計参与がつきますと、会計参与の責任というものがございますので、株主にとりましては責任を追及する相手がふえるという効果はございます。

高山委員 そうしますと、ほかのいろいろな、会計参与が作成した計算書類というので信頼が高められた場面というのは、例えば金融機関からお金を借りるだとか、そういう第三者が出てくる場合が多いと思うんですけれども、例えば、普通の会社、会計参与さんのいない会社に貸すときには、では五%で貸しましょう、だけれども、会計参与がついた計算書類を一緒に出してくれれば、ではこれは四・五%という特別金利で貸しましょう、このようなことで、会計参与がついた計算書類をより普及させようということで、金融機関の方で特別ローンなどをつくった方がいいというふうに私は考えております。

 ちょっと金融庁に伺いたいんですけれども、この点、今回、せっかくこの会社法で会計参与という新しい制度ができましたので、金融庁の方でも、金融機関に対しまして何らかの優遇策をとって、より公正な計算書類の作成に資するようにやっていこうじゃないかというようなことを、これは成立後でしょうけれども、今考えているかどうか、検討中かどうかをお願いします。

鈴木(勝)政府参考人 会計参与と金融機関の融資のあり方という点でお尋ねでございます。

 金融機関の融資のあり方でございますけれども、やはりこれは、与信先の事業計画ですとか財務状況ですとか、もう委員御承知だと思いますけれども、返済財源等を的確に把握する、そして、健全な会計に対してその信用リスクに応じてプライシング、いわば金利設定を行う、こういうことが適切な融資を行う上で重要であると考えております。

 今るるおっしゃいましたけれども、金融庁として、こういった借り手企業が会計参与の制度を含むさまざまな取り組みを通じて財務諸表ですとか計算書類の質の向上に努めること、これは期待しているところでございまして、金融機関がこうした取り組み状況を勘案して融資判断を行うことが望ましいものだと考えております。

 ただ、ここで強調しておきたいのは、御指摘の、会計参与作成の計算書類を有する借り手企業への優遇措置、プライシングについてどうするかという点は、やはり金融機関がみずから行うべき問題ではなかろうかというふうに考えておりまして、そういった意味では、金融機関の自主性にお任せしているということが適切ではないかと考えている次第でございます。

高山委員 金融庁の方からはそういうお答えでしたけれども、あと、経産省にもお願いしていると思うんです。

 経産省の方で、特に中小企業向けの融資制度あるいは保証の制度ですとか、いろいろな優遇的な制度融資、そういうのがあると思うんですけれども、例えば、その中で今、一千五百万までは無担保無保証で貸しましょうという制度がある中、会計参与のつくった計算書類が添付されていたら二千五百万まで貸しましょうとか、そういうような制度融資を通じて、こういう中小企業の財務状況が会計参与がつくことでどんどんクリアになっていくわけですから、よりいい方向に行くと思うんです。

 経産省の方としては、中小企業政策の中で、この会計参与を積極的に評価していこうということは今の時点で何か考えられていますでしょうか。

鈴木(正)政府参考人 ただいま委員から御指摘がございました政府系金融機関の融資の関係でございますけれども、既に「中小企業の会計」というものを私ども平成十四年の七月に発表しておりまして、商工中金及び一部の信用保証協会でございますけれども、この「中小企業の会計」に基づきまして、財務諸表の質が高いと認められました中小企業に対しましては、金利等の貸し付け条件の優遇や審査期間の短縮をする制度を設けて活用しているところでございます。

 今回、この会計参与制度、また「中小企業の会計」につきましてはただいま統一的な指針が検討されておりますけれども、こういうものができました暁にはこういうものを活用しまして、質の高い財務諸表を作成している中小企業に対しまして、例えば審査期間の短縮そのほかの優遇措置、このようなものが図られることを期待しているところでございます。

高山委員 私も経済産業委員なんですけれども、さすが先端的なことをやられている経済産業省だなというふうに思います。やはりこういう会計参与のようないい制度ができたときにはそういうことを積極的に評価していこうということでしたが、今局長からもありました質の高い計算書類というのは、これはやはり、この後つくられるいろいろなパンフレットにおきましては、会計参与設置の会社がなるべく優遇されるようにしていただきたいなというふうに私は思います。

 それでは、ちょっと今度は会計参与の位置づけということで、全く変わりますけれども、これは大臣に伺いたいんです。

 この間も大臣に伺いましたけれども、株主代表訴訟のことなんです。株主代表訴訟で訴えられる相手というのは、これはだれが一応訴えられることになっているんでしょうか。局長でも結構です。

寺田政府参考人 これは当然のことながら、取締役、監査役、それから委員会設置等の会社においては執行役、そういう者が会社の役員としてございます。こういう者に対して株主が代表訴訟の提起ができることになりますが、この会計参与もその一人でございます。

高山委員 そうしますと、ちょっと大臣に伺いたいんですけれども、では、会計参与というのは財務担当の取締役というようなイメージなんでしょうか。それとも、それから頼まれて計算書類をつくる、単なる経理部長みたいな位置づけなんでしょうか。これはどちらなんでしょうか。

南野国務大臣 会計参与は会社の役員でありまして、取締役と同様に、任務を怠ったときには会社に対する賠償責任や第三者に対する損害賠償責任を負う場合も持っております。

 もっとも、会計参与は取締役とは職務の内容が異なりますから、会計参与は計算書類の作成についての責任は負いますけれども、それ以外の業務についての責任は通常負うことはないという立場でお仕事をしていただきます。

高山委員 そうしますと、この計算書類の作成に関しましては会計参与はかなり重い責任を負うのじゃないかなという印象を私は受けました。

 そうしますと、計算書類をつくるためにいろいろと、ちゃんとこういう書類を出せとか、会社内の人に対しても、あるいは外の人に対してもでしょうか、権限がないとまずいと思うんですけれども、会計参与にはそれに見合った権限というものが与えられているんでしょうか。細かい話ですので、これは民事局長でも結構ですけれども。

寺田政府参考人 これは、当然のことながら、会社の会計に対する調査権限がございます。

高山委員 会社の会計に対する調査権限は当然あると思うんです。その内容の細かいところを聞いているんですけれども、こういう書類を出せだとか会社の中の人に言う権限ですとか、そういうのはいろいろあるんですか。

寺田政府参考人 会社法におきましては、三百七十四条で会社参与の権限が規定されておりまして、その二項をごらんいただきますと、会計に関する報告というのも取締役等から求めることができる、また、三項で子会社に対しても報告を求めることができるということになっております。逆に、会計参与というのは、そういうことでいろいろなことを発見した場合には報告義務を負う、そういう権限と義務がセットになっているわけでございます。

高山委員 今のは会計参与に就任した後じゃないかと思うんですけれども、例えば、私がもし税理士さんでしたら、会計参与になってくれと言われたときに、本当にこの会社は大丈夫なのかな、怪しい会社だったらおれは逆に訴えられちゃうかもしれないからちゃんと調べなきゃいけないなというふうに思うんです。これは当然大臣もそのようにお考えだと思いますけれども、予備的に、会計参与に自分がなる前に、頼まれたときに、では、おたくの会社のこういうのを見せてください、こういうふうにやって、就任前にいろいろ調査して、それで納得してから就任するという権限は法的にはあるんでしょうか。

寺田政府参考人 先ほど申し上げましたような権限というのは、これはあくまで会計参与という正式の位置を得てからのことでございます。もちろん、これは会社と合意ベースでそういうことになるなら、こういうものを見せてもらわなきゃならないということを事前におやりになることは、これはそういう手段でもって可能だというふうに思いますが、法的な権限という規定の仕方はしておりません。

高山委員 そうしますと、結構都合の悪いことをこれからはちょっと会計参与に押しつけちゃおうなんということで利用されないように非常に注意していただきたいなとは思います。

 それと、責任の重さということが取締役と同程度ですけれども、例えば、報酬の規定などは取締役と同様、お手盛りにならないような規制だとか、そういうのはかかっているのでしょうか。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、これは三百七十九条で、定款で定めるかあるいは株主総会の決議によって決めるということになっております。

高山委員 そうしますと、顧問税理士さんが同時に会計参与さんになるケースも多いというふうに考えられていますけれども、その顧問料と、また会計参与としての報酬というんですか、これはどのように考えたらいいんでしょうか。合算して考えるべきなんでしょうか、それとも別なんでしょうか。

寺田政府参考人 会社の税理士さんの顧問料というのは、これは全く契約ベースの問題でございます。もちろん、逆に、税理士さんとして一体どれだけ取っていいかという問題は、あるいは税理士会としての問題は独禁法に反しない限度であろうかとは思いますけれども、それは全く契約ベースの問題だというのが基本でございます。それに対しまして、先ほどのものはあくまで会計参与として会社として決めるものでございますので、その両者は併存する、つまり、両方をそのまま収入として得ることももちろん可能でございます。

高山委員 そうしますと、限度額の規制などは、顧問税理士さんの顧問料はまた別に考えられるということですね。配当可能利益の中から出さなきゃいけないというのとはまた別の点だ、別建てで考えられるということでしょうか。

寺田政府参考人 これは当然、顧問税理士さんの顧問料というのは、その顧問税理士としての仕事に対して与えられるものでございます。したがいまして、先ほど申したのが原則ということになるわけでございます。もちろん、非常にイレギュラーなケースというものが考えられなくはない。つまり、会計参与というものの株主総会で決まった額の脱法行為として顧問税理士さんにお支払いするというようなことは全く考えられないわけではありませんけれども、それは、そういうレベルに達すればまたそういうことで別の規制がひっかかるということになろうかと思います。

高山委員 ちょっと今のはよくわからなかったんですけれども、その別の規制というのは一体何なんですか。

寺田政府参考人 これは恐らくは、顧問税理士として税理士法上の倫理の問題になるのではなかろうかというふうに思います。

高山委員 わかりました。

 あともう一つ聞いておきたいのが、先ほども同僚議員からありましたけれども、例えば、財務担当の取締役と会計参与で意見が対立した場合には、会計参与としてはこれはどういう身の処し方があるのかということです。もう一回ちょっと確認なんですけれども。

寺田政府参考人 これは一番ドラスチックなやり方としては、当然、そういうことではもう私はこのまま仕事は続けられないということで辞任されることもあり得るわけであります。しかも、辞任する際にはどういう理由で辞任するかということを明らかにするということがあり得るわけでありますけれども、通常は、これを会計参与の仕事といたしまして、仕事の上でも説明責任を負っている際に、その説明を、これこれこういうことで取締役と意見を異にするということを株主に対して申し上げるということになるのではなかろうかと思います。

高山委員 ちょっと大臣に伺いたいんです。

 取締役に対してここはこうじゃないかと意見を言うということで、これは会計参与の重要な仕事だと思うんですけれども、それと似たようなもので監査役というのがありますね。監査役でも、特に大会社じゃない場合は定款で会計監査に限ることができるですとか、監査役の権限を縮小することもできたりするようになったみたいですけれども、今回、今私が聞きたいのは、監査役の仕事とあと会計参与の仕事というのはどういうところが明確に違いますか。

寺田政府参考人 会計参与というものは、もちろん会社の役員と同等の扱いを受けるわけでございますけれども、ただ、やはりこれは専門家で一定の外部性を持っているわけであります。したがいまして、独立して事務所に自分の調査した結果というものを備え置いて、これを株主のために資料として提供する、公開する、そういう機能を持っております。その点が監査役と大きく違うところでございます。

高山委員 そうしますと、会計参与は、取締役の違法行為ですとか、そういう法令遵守に対しては発言をすることができるんでしょうか。会計参与が違法行為に対して言うことができるのか。

寺田政府参考人 会計参与というのは、基本的には、会計監査権限というのを、会社の内部においてこれをともに扱う取締役と一緒に行使するわけであります。そういう意味では、あくまでその権限というのは会計監査権限に限られているわけであります。

 もし、会社の会計監査権限の中でそのようなことが間接的に明らかになるということになりましたら、その限度で、もちろん外部から見て何らかの形で明らかになるわけでございますけれども、一般論として申し上げれば、取締役が違法行為をする、そのことをこの会計参与が調査する、そして指摘をする、そういう立場にはございません。

高山委員 そうすると、この会計参与が書類を作成している中でいろんな違法行為に気づいたりなんかした場合に、どのような形で取締役に言っていくのかというのは、これは事実上の問題だけなのか。何か法的な担保はないんでしょうか。

寺田政府参考人 先ほど冒頭に申しましたように、さまざまな権限があると同時に、義務もあるわけでございます。その義務の一つとして、その職務を行うに当たって、つまり会計監査権限を行使するに当たって、違法行為があればそれは株主に報告しなきゃならないという義務は課せられております。

高山委員 そうしますと、では、会計書類をつくるに当たっては、こういう違法性の指摘なんかもどんどんしていくべきなんだというようなことと私としては理解いたしました。

 それと、先ほど出ました帳簿の閲覧に関してなんですけれども、帳簿閲覧の請求ができる人というのはだれになるんでしょうか。

寺田政府参考人 三百七十八条の二項で、株主と債権者ということになっております。

高山委員 会計参与さんが、会社の本店とは別に帳簿を保管しておく理由というのは何ですか。

寺田政府参考人 この会計参与は、あくまで外部の専門家でございますが、しかし、内部に入って内部で会計の監査をする。全く外部である会計監査人と違うことは違うわけでありますけれども、しかし、一定程度の独立性を持ってその結果というものを株主なり債権者なりに伝えるという機能を持っているわけであります。

 そういうわけで、この会計参与というのは、自分の事務所にその書類を置いて、仮に会社内部の者による会計監査の結果というものが改ざんされるというような事態が生じましても、独立してその結果を備え置いておりますので、その備え置いたものを外部の方あるいは株主の方が正しいものとして見ることができる、そういう担保する機能があるわけであります。

高山委員 これはちょっと大臣にも伺いたいんですけれども、帳簿の閲覧のことなんです。

 会社というのがどういう実態を持っているのかをちゃんと知るためには、やはり帳簿がどこでもきちんと見れなきゃいけないという、これは当然あると思うんですけれども、逆にこれは、会社を経営される方からすれば、大臣もおわかりだと思うんですけれども、なるべく自分の帳簿というのは何となく見せたくない、自分の実態がどうなのか、そういう側面も当然あると思うんですよね。

 そういう中で、確かに株主や債権者、こういった人たちには、利害関係者ですからきちんと見せなければいけない。だけれども、ライバル会社ですとか、そういうところには帳簿を見せたくないなというふうに思うと思うんですけれども、例えば、税理士さんの事務所で別保管している帳簿がほかに漏えいしちゃったような場合、これは何か罪になるんですか。

南野国務大臣 会計参与の方は、作成した計算書類などを五年間、会社とは別に備え置くべきこととされております。また、株主や債権者は、会計参与に対して、計算書類の閲覧を請求することができるというような形になっております。

 また、株主や債権者は、会社に対しても閲覧等を請求することができますけれども、会計参与が会社とは別に計算書類を開示することにより、会社が勝手に計算書類等を改ざんするような不正を防止することができます。

 また、会計参与が閲覧をさせる場所は、今先生がおっしゃったように、会計参与が定めた場所とされておりまして、通常は会計参与の税理士事務所等になるものと思っております。

 また、会計参与が閲覧に応じる時間は、これまたこの前も話題になりましたけれども、原則として会社の営業時間内といたしておりますけれども、会社の営業時間と会計参与の事務所の営業時間が異なる場合に備えまして、法務省令で例外を認めることとしております。

高山委員 いや、大臣、また後ろから今ペーパーが来ましたので、もう一度伺いますけれども、私が伺いたいのは、第三者、全然関係のない、債権者でも株主でもない人がたまたま見ちゃうようなことというのはあると思うんです。今、個人情報保護法が施行されてから、その辺にとは言いませんけれども、例えばいろいろな名刺なんかをばっと壁に張っていたような店でも、やばいから隠したりですとか、結構皆さん神経を使っていらっしゃるんですね。

 そんな中で、例えば税理士さんも、いろいろな会社の会計参与になっていると、五年間も計算書類を保管しなきゃいけないというと、どこかで盗難に遭ったりですとか、あるいはちょっと置いておいたのがだれかに見られちゃう、こういうことはあると思うんですけれども、そういった場合にどういう責任を負うんでしょうか。

南野国務大臣 それぞれに専門職者でございます。そういう意味では、税理士法、刑法等の罪に当たるということです。

高山委員 それは、故意に漏らした場合は当然そうだと思うんですけれども、大量に保管していたところが盗難に遭ってしまった、そういう場合も罪になるんですか。

寺田政府参考人 会社法上の問題としては、そういうことについての規制は何らございません。しかしながら、税理士法上あるいは公認会計士さんの場合は公認会計士法上、問題が生じまして、もちろん故意の場合には刑事犯ということになろうかと思いますけれども、そうでない場合にも一定の倫理規定に違反するということは当然に考えられるわけでございます。

 それから、一つだけ、ちょっと私、先ほどの説明の中で、会計事務処理のことを会計監査と申しましたが、ここは訂正させていただきます。

高山委員 私も、会計参与と会計監査でかなりややこしい質問をしたので、それはしようがないと思いますけれども。

 そうしますと、税理士さんのこれから負わなきゃいけないリスクは結構大きい部分もあると思うんですね、保管義務なんて課されちゃいまして。そうなってきたときに、本当に今のお話だけでよいのか。何か会社法内で考える必要というのはありませんか。

 もうちょっと具体的に言いますと、取締役と同じ責任を負うということでしたけれども、取締役で、特に社外取締役でも免除の規定というのがあると思うんですけれども、責任の免除の規定というのは、会計参与の場合には他の社外取締役より軽くするべきなんでしょうか、それとも重いんでしょうか、それとも全く同じなんでしょうか。

寺田政府参考人 これは、結論から申しますと、一般の社外取締役と同等という扱いにいたしております。

 それがいいかどうかでございますが、一般の社外取締役にもいろいろな方がおいでになり、また、会計参与というのも、今度制度を発足させるわけでございますけれども、どういう運用状況になるかということも少し慎重に見定めなきゃならないところもございます。仮に、委員のおっしゃるようないろいろな不都合が出てきた場合には、もちろんまたさまざまな見直しを行っていかなきゃなりませんが、当面は今のような基本的な考え方で対処してまいりたい、このように考えております。

高山委員 時間が過ぎましたので、最後に大臣にお願いでございますけれども、この会計参与は、中小企業の会計の透明性、また計算書類の信頼性を高めるという意味でも、非常に有用な制度だと思います。この後、連合審査等を通じまして、法務大臣の強力なリーダーシップでもって、ほかの財務大臣、また金融庁、そして経済産業省に、ぜひともこの会計参与を積極的に評価してほしいということでお願いしたいというふうに申し上げて、質問を終わります。

塩崎委員長 次回は、来る十七日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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