衆議院

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第9号 平成17年10月28日(金曜日)

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平成十七年十月二十八日(金曜日)

    午前十時三十六分開議

 出席委員

   委員長 塩崎 恭久君

   理事 田村 憲久君 理事 早川 忠孝君

   理事 平沢 勝栄君 理事 三原 朝彦君

   理事 吉野 正芳君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 漆原 良夫君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      稲田 朋美君    近江屋信広君

      太田 誠一君    上川 陽子君

      北川 知克君    木挽  司君

      笹川  堯君    柴山 昌彦君

      鈴木 淳司君    谷  公一君

      福井  照君    松島みどり君

      松本 文明君    三ッ林隆志君

      水野 賢一君    森山 眞弓君

      保岡 興治君    柳本 卓治君

      枝野 幸男君    玄葉光一郎君

      篠原  孝君    津村 啓介君

      伊藤  渉君    保坂 展人君

      滝   実君    今村 雅弘君

      山口 俊一君

    …………………………………

   法務大臣         南野知惠子君

   法務副大臣        富田 茂之君

   法務大臣政務官      三ッ林隆志君

   外務大臣政務官      小野寺五典君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         米田  壯君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 辻   優君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     鈴木 淳司君

  谷  公一君     木挽  司君

  松島みどり君     福井  照君

  河村たかし君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     谷  公一君

  鈴木 淳司君     松本 文明君

  福井  照君     上川 陽子君

  篠原  孝君     河村たかし君

同日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     北川 知克君

  松本 文明君     柴山 昌彦君

同日

 辞任         補欠選任

  北川 知克君     松島みどり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

塩崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長米田壯君、法務省刑事局長大林宏君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房参事官辻優君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 おはようございます。民主党の津村啓介でございます。

 三日前のこの法務委員会での共謀罪に関する議論を引き継ぎまして、幾つかの論点について伺ってまいります。

 きょうは、少し時間をいただきまして、共謀罪に限らず、例えば、国際条約を担保する国内法整備の進め方とか、あるいは、先般私がお尋ねした際に、公布から施行まで共謀罪についてはわずか二十日間、その間の周知、広報については特別な予算は特にとられていないというお話がありまして、後ほどその議論をさせていただきますが、これから開かれた法務行政を進めていく上で、そうした世論調査のあり方あるいは広報のあり方、そういったものをどのようにお考えになっているのか、幾つか国民の関心の高いその他のテーマも踏まえながら、お話を伺っていきたいと思います。

 まず最初にお伺いいたしますのは、二年前に、平成十五年の八月ですが、女子差別撤廃条約の第四回、第五回報告書に対する委員会最終コメントというものが出されまして、いわゆる選択的夫婦別姓制度についてですけれども、このコメントが、民法の夫婦の氏の選択に関する条項、日本の民法の規定が差別的な要素を含む、そういった大変厳しい内容の懸念が表明をされたにもかかわらず、その後二年間、法務省としての特段の取り組みが見られない、あるいは、私が調べたところでは法務大臣が国会でその件について特にこれまで意見を述べられていない、そういうことでございますので、法務大臣として、このコメントに対するお考えを聞かせてください。

南野国務大臣 先生のお話でございますが、民法の規定では、夫または妻の氏のいずれを称するかを夫婦の選択にゆだねている、そういうことでございますので、男女の平等の理念に反するものではないということだと思います。女子差別撤廃条約に違反するものではないというふうに私は思っております。

 したがいまして、女子差別撤廃条約との関係で夫婦別氏制度導入のための民法改正が必要になるものではないというふうに考えております。

津村委員 そうしますと、さらに問わせていただくのですが、そのコメントには「委員会は、民法に依然として存在する差別的な法規定を廃止し、法や行政上の措置を条約に沿ったものとすることを要請する。」とかなりストレートな表現でコメントが付されているわけですが、このコメントには特に応じない、特にこのコメントを意に介さない、そういう意味ですか。

南野国務大臣 委員会の最終コメントが法的に認めざるを得ないものであれば、それが法的拘束力を有するものではないとしても、これに従うことも検討しなければならないというふうに思いますが、夫婦の氏に関する民法の規定に対する最終コメントが出ておりますが、これは、先ほど申し上げましたとおり、条約の適用に関する理解を誤っていると考えておりますので、この最終コメントを受けて民法を改正する必要はないものというふうに思っております。

津村委員 今おっしゃったことをもう一回繰り返していただきますが、この委員会のコメントは民法の理解を誤ったものということですね。

南野国務大臣 条約の適用の問題ですよね。違反ではないということでございます。

 このコメントについて先生は御理解しておられるというふうに思いますけれども、三百七十一、三百七十二にそのコメントが記載されております。読んだ方がいいですか。よろしいですか。(津村委員「それはいいです」と呼ぶ)

津村委員 私が申し上げたのは、条約に対する理解をこの委員会が誤っているというふうに先ほど大臣はおっしゃられたと思うんですが、それを確認しただけです。先ほどの御答弁、その部分を繰り返していただければ結構です。

南野国務大臣 最終コメントは条約の適用に関する理解を誤っているというふうに考えておりますということです。

津村委員 大臣の御理解についてはよくわかりました。

 続く質問ですけれども、この夫婦別姓制度についての世論調査というものがこの間何度か行われているわけですが、過去、昭和六十二年、平成二年、六年、八年、十三年というふうに実施をされておりまして、だんだん間延びをしているんですが、平成十三年が直近ということで、もう既に四年余りたっている。そういう中で、この三月、六月と、我が党の小林議員、藤田議員の質問に対して、既に四年近くが経過しているので、内閣府と相談しながら検討していきたい、あるいは、世論調査等も計画されておりますというふうな御答弁をなさっています。

 いろいろ事務局の方に御指導いただく中で、年明けには内閣府との来年度の世論調査実施についての協議が行われるというようなことも非公式に伺っておりますけれども、今後、内閣府とどのような時期に世論調査を実施するか、法務省としてどういう希望を持っているのか、どうやって協議を進めていくのか、少し具体的に説明してください。

南野国務大臣 前回の平成十三年の選択的夫婦別氏制度に関する世論調査におきましては、前々回の平成八年の世論調査から五年間たっているということでございまして、五年後に実施された。そこで、平成十七年度につきましては、まだ五年が経過していないということもありまして、世論調査の実施を希望しなかったということでございますが、平成十八年度につきましては、世論調査の実施に係る照会が内閣府から多分来ると思いますが、そういう照会があるならば、法務省から夫婦別氏制度に対する世論調査の実施というものを希望したいというふうに考えております。

津村委員 平成十八年については希望するということですね。(南野国務大臣「はい」と呼ぶ)できればマイクでお答えいただきたかったんですが。

 申し上げているのは、十七年度についても、今、まだ五年が経過していないからしませんでしたというお話でしたけれども、それは単に前回、平成六年と八年で二年間の間合いでやった後、今度はなぜか五年間あいて、そしてその後、三年後には先ほどの最終コメントが出たわけですよね。

 そうした、客観情勢としてはだんだん議論が煮詰まっていく方向にいくのかと思いきや、前回五年間やっていないから今回も言われるまでやらないという形になっていて、それは大変後ろ向きというか、特に、後ほどまた触れますけれども、世論調査とか、あるいは裁判員制度の話は後でしますけれども、なかなか法務行政というのは理解が進んでいない分野がたくさんあるわけで、共謀罪もそうですし、この選択的夫婦別姓制度もそうですが、そういったことを国民の皆さんに理解していただこうという姿勢が見えないということを申し上げたいのです。

 そういう意味で、今回、この世論調査についても、今、十八年度については希望するということを明言されたわけですから、それは一つの姿勢をあらわしていただいたということだと思いますが、引き続き、それでは具体的な話も含めてその姿勢を問わせていただきます。

 次の御質問ですけれども、平成十三年の世論調査において、この選択的夫婦別氏制度の導入賛成が法改正反対を上回ったということです。世論調査では賛成意見の方が上回ったということですけれども、これに対して、平成十七年、ことしの七月には、南野大臣は、大方の国民の理解を得ることができるような状況でさらに煮詰めていくというふうな御答弁をされています。大方の国民の理解が得られるというのはどういう状況を指すのですか、もう少し具体的に教えてください。十三年の世論調査では賛成が上回っているということですけれども。

南野国務大臣 先生御指摘のとおり、夫婦別氏制度の導入につきましては、大方の国民の理解を得ることができるような状況で制度改正を行うのが望ましい、それはどういうことかということでございますが、また、本当に国民の方々の納得ということもいただきたいというふうにも思っているわけでございます。

 世論調査におきまして、この制度の導入に賛成する意見が多数ということとなることは少なくとも必要なことかな、そのようなことを考えておりますが、その点についてなお皆様方の御意見もよくお伺いして、国民意識の動向について検討してまいりたいというふうに思っております。

 十八年度、調査させていただく方向で内閣府にはこちらがお願いいたしますので、その結果を見ていいのではないかなとも思っております。

津村委員 ごめんなさい、御答弁の意味がよくわからないんですが、私は、大方の理解を得られる状況というのは、例えば数字的なものも含めてどういう状況ですかということをできるだけ具体的に教えてくださいと申し上げました。それに対して今、大臣が御答弁、一点だけありましたけれども、それは世論調査で賛成が多い状況ということ、それだけをおっしゃいました。

 既に十三年で多いわけです。それだけを足して考えると、既に大方の理解を得られているという条件を満たしているようにも思うわけですが、恐らくそれ以外のことも勘案されているわけですから、ほかに何を勘案されているんですかということを聞いているわけで、そこはぜひきちんと答弁してください。

南野国務大臣 先生お話しの平成十三年の世論調査の結果は、選択的夫婦別姓に賛意する意見が四二・一%、これに反対する意見が二九・九%、通称使用を法律上認めるべきであるとの意見が二三%となっております。そして、選択的夫婦別姓の導入を認めない意見である後者二つの合計が五二・九%であるので、なお過半数を超えていることから、選択的夫婦別姓の導入に賛成する意見が、その導入を認めない意見を上回ったわけではない、今申し上げたような言葉でございます。よろしいでしょうか。

津村委員 私はアンケートの結果を伺ったわけではなくて、アンケートのことについては、一つ条件というか勘案材料だ、大方の国民の理解を得られるという状況について、一つの要素だということはもうお話はよくわかりました。ほかの要素としては、どういうことをもって国民の理解とみなされるんですかという質問です。

南野国務大臣 国民の御理解は、今アンケート調査ということがございますけれども、そのほかに、国会の審議などもその中に含まれるのではないかなと思っております。

津村委員 ごめんなさい、国会の審議というのは意味がよくわからないんですけれども、先ほどのアンケートの話に少し立ち入ると、とりわけ若い世代、未婚者、二十代、三十代の皆さんの賛成意見というのは大変大きくて、こうした社会的なというか文化的なというか、こういう問題について一概に因果関係というのはすぱっと言い切れない部分はあるんですが、しかし、これだけ少子化対策とか晩婚化とか、こういったことが問題にされているときに、なかなかそういう政府の取り組みや法律で若者というか人々を早く結婚させるということは、それは法律でできることではありませんが、しかし、こういった未婚者からニーズのある制度の一つだとすれば、これはもしかしたら少子化対策の一助となる可能性はあるわけですよね。

 そういったことを考えると、これは単に女性の権利とかあるいは人権の問題として考えるだけじゃなくて、やはりより大きなフレームワークで考えるべき問題で、これを五年間、国民の理解を得られることが重要だとおっしゃっておきながら、その理解が得られているかどうかを確認する作業さえされていないわけで、それは行政の怠慢だと思うわけですよ。では、ほかのことを勘案されているのでしたら、それはぜひ教えてくださいと言ったら、国会の審議と。別に、この夫婦別姓制度、私がここで初めて取り上げているわけじゃなくて、これまで物すごい議論が積み重なっているわけです。

 そういう意味では、必ずしも別姓制度がとにかくすばらしいということを言うつもりはありませんけれども、しかし、行政としてきっちりと御検討されている、あるいは国民との対話を進められているという形跡が見えないということを申し上げております。

 それ以上の御答弁はないわけですか。

南野国務大臣 私が国会の御審議と申し上げましたのは、国会でも幾つか御審議があったというふうにも思います。男女共同参画会議の中でもお話が出ていると思いますが、それが本当に煮詰まっていっているのかなということを私は申し上げたわけで、国会の審議もぜひ反映させていただきたいと思いますが、世論調査におきましては、この制度の導入に賛意する意見が多数となることは少なくとも必要であろうというふうに考えているところであります。

津村委員 私のきょうの質問の趣旨は、税金をいろいろ使って広報されたり世論調査をされたりするわけです。法務行政、大変大きなコストをかけて、いろいろな目標に向かって当然行政をされているわけですが、コスト対効果というか、何を目標にそういった取り組みをして、その結果どうなったかという事後評価、行政の事後評価というような視点が全く欠けていると思うんですね。

 それは、この夫婦別姓制度にしても、客観的なものは何もなくて、では一体どういう状況になったらどういう取り組みをする、そのためにどういう調査をする、何も主体的なシナリオというかスケジュールというものが組まれていなくて、内閣府から聞かれたらやりますというお話ですし、どうしたいのかということが全然見えてこないわけです。

 次の事例もその一つだと思うんですが、裁判員制度について伺ってまいります。

 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律というのがあるかと思いますが、公布日から五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されることと定められています。この五年を超えない範囲という期間を定めたその趣旨はどのようなものですか。

南野国務大臣 裁判員制度は、司法への参加についての国民の皆様方の自覚と、これに基づく協力があって初めて我が国の司法制度の基盤としての役割を果たすことができるものであると思うことから、法律の施行までの期間に制度の意義、内容について国民の皆様方に理解と関心を深めていただき、主体的に刑事裁判へ参加していただけるようにする必要がある。

 そこで、裁判員制度の実施までに十分な広報活動を行うことによりまして、広く国民の皆様方に制度の趣旨、内容をお伝えし、その理解と協力を得なければならないということでございます。関係法令の整備や迅速な裁判を実現するための運用上の検討、また、公的弁護制度を含めた人的、物的体制の整備など、さまざまな準備を行う必要がございます。

 このようなことから、裁判員法の施行日は、公布の日から起算して五年を超えない範囲で政令で定める日で行うというふうに決めているところでございます。

 広報のあり方としては、もう既に先生御存じのように、いろいろな媒体を通じ、またタウンミーティング等々も通じ、各地域での特徴も踏まえながら、さらに検討させていただいているわけでございますが、五年間というのはこういう理由でございます。

津村委員 ことしの二月に内閣府が行われた裁判員制度に関する世論調査というのを今手元に持っておるんですが、この結果によると、裁判員制度が導入された際に裁判員として刑事裁判に参加したいと思うかと聞いた問いに対して、「参加したい」とする方が二五・六%、「参加したくない」とする方が七〇%という状況でございます。そういった意味では、参加意識というか、大変低いと思うんですけれども、今後は、この五年間の間にどの程度この水準を上げていこうというふうにお考えか。何も考えがないのか、それとも、もしあるのであればどの程度の水準とお考えになっているのか、お聞かせください。

南野国務大臣 先生御指摘のとおり、ことしの四月に発表されました内閣府の世論調査では、裁判員として裁判に参加することに積極的ではない方が約七割おられた、これは事実でございます。制度の施行までには、逆に、少なくとも七割以上の国民の皆様が裁判員として刑事裁判に参加してもよい、または参加したいというような意識を持っていただくようにしたいと、今努力中でございます。

 また、広報啓発活動の効果測定のための方法としては、毎年内閣府の実施しております世論調査が有効と考えられるところでございますので、内閣府に働きかけをするなどいたしまして、適宜適切に世論調査を実施するほか、マスコミなどによる世論調査または各種モニター調査、それから説明会等におけるアンケート調査など、さまざまな手段や機会を活用してまいりたいと考えておりますし、今もその活動を続けつつあるところでございます。

津村委員 七〇%という数字、七割以上は少なくとも必要だと、そこは物すごくすぱっとわかりやすく数字を言っていただいたわけですが、逆に私はそれで伺いたいんですけれども、実は大臣は「七〇%以上の人がやるよと言ってくださるような方向に持っていけるというように今努力しているところでございます。」と六月にも答弁されています。なぜかそこが妙に歯切れがいいんですけれども、七〇%、ではそれはどういう目標なんですか。

 お立場のある大臣が七〇%という数字を口にされるからには、そこには何らかの裏づけがなければ単に口で言っているだけになってしまうわけで、この間の広報活動の経費は横ばいまたは削減されているような状況でもございますし、後ほどその話は必要があればいたしますけれども、全く具体的な努力が見えない中で、七〇%の人がやれればいいねという話をされているだけで、では、七〇%にならなかったらやめるのかといったら、別にやめないわけですよね。だとすると、その七〇%という数字はどういう裏づけのある数字で、そのためにどういう措置をとられているんですか。

南野国務大臣 私が申し上げたのは、必ずしも七〇%が絶対ということは申し上げていないのです。これは多くの、幅広い国民の方々の御理解を得るというのが第一前提になろうかと思っておりますので、幅広く国民の皆様の意見を裁判に取り入れるということによってよりよい刑事裁判を目指す制度であるということを御理解いただき、みんな参加する方向に向かっていただきたい。

 したがって、制度を所管する法務省といたしましては、少なくとも、幅広く多くの皆様方に、参加してもよい、参加したいという意識を持っていただく必要があるということで、まあまあ七割というふうに決めたという感じでございますので、七割なければいけないということではないということでございます。

津村委員 そうすると、七割とおっしゃったのは腰だめの数字ということですか。

南野国務大臣 五割を超えたからいいという問題でもないんじゃないか。私たちの気持ちとしては、もっと多くの人に理解していただきたいという希望的な数字でございます。

津村委員 もうちょっと数字というものにセンシティブになっていただきたいと思うんですよね。五〇より上で、今反対が七〇だから、では今度は賛成が七〇だったら何となくいい、腰だめの数字だ、別にそのために何の措置もとっていないと。物すごく無責任な数字の使い方だと思います。

 法務行政というのはそういうものなんですかね。多くの行政分野で、やはり数字を大臣がおっしゃるからには、その目標を達成するために何らかの努力をしてしかるべきだし、そのことを検証して国民にきちんと説明するべきで、何の根拠もなく、七〇%になったらいいねというお話を国会で答弁されるのはいかがなものかと思うんですが、もう少し誠実に御答弁いただけませんか。

南野国務大臣 四月に発表された世論調査では、「参加したい」人が四・四、「参加してもよい」が二一・二、「あまり参加したくない」が三四・九、「参加したくない」が三五・一という数字が出ましたものですから、これが逆になるといいねというような感じもございましたが、裁判員制度を円滑に始めるためには、広報啓発や国民の皆さんが参加しやすいような環境の整備など、さまざまな課題があろうかと思っております。最近の世論調査でも、必ずしも多数の国民が裁判員として刑事裁判に参加することに積極的ではない、この数字が明らかになったわけでございます。

 そこで、法務省としましては、最高裁判所、日本弁護士連合会などと連携協力し、大きく三つの段階に分けて広報啓発活動を展開していくことにいたしております。

 第一段階でございますが、現在の段階におきましては、制度の存在、意義などを周知していただき、関心を高める活動を行います。例えば、私法務大臣みずから、裁判員制度をテーマとするタウンミーティングに五回出席させていただきましたが、そういうような場を通じて理解を求めていく、または積極的な広報啓発活動を展開しているわけでございます。

 今後の第二段階では、世論調査等による検証結果をも踏まえながら、状況に応じまして、重点対象地域を中心とした幅広い広報も進めながら、また第三段階では、国民全体を対象にした、制度への理解を深め、参加意識を持っていただくような活動を行うというような計画でございます。

 また、全国組織の検察が広報啓発において果たすべき役割も非常に大きいものと思います。

 検察庁では、ことしの三月に、全検察を挙げて裁判員制度の広報啓発等を推進する体制を整えていただきました。そして、検事総長みずからが中学校に出向いて裁判員制度の説明を行うなど、率先垂範して広報啓発に当たっておられます。その陣頭指揮のもと、検察官はもとより、全国九千名の検察事務官が広報マンとしての役割を果たすべく、広報ビデオ「裁判員制度 もしもあなたが選ばれたら」、先生、これはごらんになられたと思いますが、上映開始等をいたし、地元の町内会に働きかけるとともに、リーフレットを全国の自治体、学校、図書館等に配布するなど、地域に密着した草の根広報に努めているところでございます。今後さらに積極的にこのような広報活動を展開していくことにいたしております。

 また、国民が参加しやすい環境の整備につきましては、政府では、最高裁や日弁連も含めまして関係省庁が参加する裁判員制度関係省庁等連絡会議において、円滑な実施に向けての行動計画をまとめました。この行動計画に基づきまして、政府を挙げて、国民の皆さんが裁判員になりやすいような環境の整備に努めることとしておりますので、法務省としても全力を尽くすということで取り組んでまいりたいと思っております。

津村委員 平成十八年度、来年については、この調査の実施をまた希望されるんですか。

南野国務大臣 今展開しているようなことをずっと調査していきながら、必要であればさせていただきたいと思います。

津村委員 必要と認識されているかということを聞いているんです。必要であればじゃなくて、必要ですかと聞いているんです。

南野国務大臣 御指摘の世論調査につきましては、内閣府において適切に実施されるというものでございます。法務省といたしましては、制度の施行までの間の節目節目においてその実施を内閣府に働きかける必要があるというふうには思っております。

津村委員 内閣府とどうやって決めていくかというお話を、さっき夫婦別姓制度の話でもしているわけです。これは偶然じゃなくて、そこをきょうの質問のポイントと考えているので、また同じことを伺っているんです。

 裁判員制度、ことしの二月に非常に厳しい数字が出ているわけです。五年間を周知期間とされたわけです。あと四年しかないわけです。しっかりとその広報啓発活動を進めていくためには、私は、一年に一回でも少ないかもしれないぐらいで、これは本当に国民生活にかかわる、そしてこれからの法務行政を大きく変える裁判員制度の重要性、私がここで繰り返すまでもないわけですから。

 先ほどおっしゃられたように、一月か二月に内閣府から、来年は何の調査をしましょうかというのが来るわけですよね。そのときに、夫婦別姓制度については希望しますと先ほど御答弁いただいたわけで、裁判員制度も同様に重要だということも先ほどから議論されているわけですから、内閣府が決めることというふうな御答弁はここでは必要ないことで、内閣府のヒアリングに対して希望されますかということを伺っているわけです。一月、二月というのはもう間もなくです。

南野国務大臣 裁判員制度についてあと三年半しかございませんので、その間の取り組みを万全にしていかなければならないということはございます。

 広報啓発活動の効果測定のための方法といたしましては、毎年内閣府の実施している世論調査が有効と考えられるところであります。こういう調査は内閣府が担当してくださっておりますので、内閣府に働きかけるなどして適時適切に世論調査を実施するほか、マスコミ等による世論調査、これは先ほども申しました各種モニター調査、説明会等におけるアンケート調査、さまざまな手段、機会を活用してまいりたいと思います。

 裁判員制度は三年半というリミットがもう目の前でございますので、そこにかけて努力している最中でございます。

津村委員 この間、裁判員制度の普及に向けまして、どの程度の予算と人員を割いていらっしゃるのか、過去の実績と来年度の予算要求額を教えてください。

南野国務大臣 法務省の平成十七年度における予算といたしましては、広報用のポスターやリーフレットを作成いたしまして、全国規模で掲示、配布するなど、裁判員制度の広報啓発活動の推進のための経費として三億二千百万円を計上いたしております。また、法務省の平成十八年度における概算要求におきましても、同様の経費として三億五千七百万円を要求しているところでございます。

 次に、法務省における裁判員制度の広報啓発活動に当たる体制といたしましては、平成十六年七月一日から省内にプロジェクトチームを設置するなどいたしまして、所要の体制を整えております。このプロジェクトチームにおきまして、裁判員制度の広報啓発に関する全体的な企画立案を行い、実施しているところであります。

 また、全国の検察庁におきましても、広報担当の職員を中心として草の根的な裁判員制度の広報啓発活動に当たっております。

津村委員 そうした中、共謀罪の質問に続くわけですけれども、共謀罪につきましては公布から二十日で施行されるということになっているようですが、この二十日間という周知期間は私は大変短いと思うんですけれども、どういう理由で二十日間なんでしょうか。

南野国務大臣 二十日間という期間は、法例第一条で規定されております法律の施行に関する一般原則であります。また、法案の共謀罪は、現行法上、既に犯罪とされている行為を行うことを具体的かつ現実的に合意することを内容とするものでありますので、二十日間という期間が国民への周知期間として短過ぎるということはないだろうというふうに思われております。

 なお、従前の刑法の一部改正を見ましても、本年六月に成立いたしました人身売買の罪の創設等を内容とする刑法等の一部を改正する法律を含めまして、公布の日から二十日を経過した日から施行するものとするのが一般的なものでございます。

津村委員 その二十日間には、新しく共謀罪というものを新設したことについて国民世論に対してどのような働きかけ、広報啓発活動をされるんでしょうか。

南野国務大臣 法務省では、これまでも共謀罪等の法案に関する説明を当省のホームページに掲載しております。また、報道機関等に対してもできる限り丁寧に説明をしてきたところでございますが、今後とも必要な広報には努めてまいりたいというふうに思っております。

津村委員 ごめんなさい、私が聞き漏らしたのかもしれませんが、必要な広報をしている、これからも必要な広報をしたいというのは、全然御答弁になっていないと思うんですけれども、二十日間の間にどういうことをされようとしているんですかとお尋ねしました。

南野国務大臣 広報啓発活動でございますので、今までやってきましたとおり、報道機関に対しましても、またホームページなどに対しましても丁寧に説明をしていきたいということがございます。法務省のホームページ掲載の共謀罪QアンドAというようなものも出させていただいておりますので、いろいろなところで国民のアプローチはできるのではないかなというふうに思いますが、我々もわかりやすく努力しなければならないと思っております。

津村委員 一般的に犯罪を新設した場合、今回の場合は新しく共謀罪という犯罪を新設したということになるわけですが、そのほかの事例も含めまして、犯罪を新設した場合の広報や周知について、どの程度の予算をかけてどういう取り組みをされているのか、お金の話も含めて、少し具体的に教えてください。

南野国務大臣 法務省では、人員の手当てについて常に検討をしております。

 法律の改正など重要な施策に関する広報のための経費といたしましては、法務省のホームページ作成やそれから印刷製本費などの予算措置を講じております。年度途中に新たに法律が成立した場合であっても、ホームページやパンフレットなどを通じて、法律の内容が理解されるための措置を行うことが可能となっております。

津村委員 具体的な数字が全く出てこないんですけれども、私の手元に法務省からいただいた数字が一部あるんですが、何かあれば。

南野国務大臣 具体的な数字では、昨年度及び本年度とも、一般広報印刷製本費として五百七十五万五千円、法務省のホームページ経費といたしまして一千四百十五万五千円が予算措置されております。昨年度の実績につきましては、これらの予算をすべて使用したところでありますが、特定の法改正に伴う経費のみを切り出して、これがこれよということは申し上げることはできないということを御理解いただきたいというふうに思います。

津村委員 その前も含めて過去五年間の数字を法務省さんからいただいているんですけれども、おっしゃった数字ですが、ずっとホームページは五年連続その数字、一千四百万円、平成十三年からその数字ですし、一般広報印刷製本費というのはむしろ減っているんですね。昔はもうちょっとあった。

 こういう御時世ですから、どんどんお金を使ってくださいという話をするつもりはないんですけれども、しかし逆に、こういう御時世ですから、コスト感覚、何をするために幾らお金を使って、それがどういう成果になったのかということはやはりしっかりと検証していただきたい。

 こうやってさまざまな、新しい犯罪を新設されたり、夫婦別姓制度が国民の関心が高まっている、あるいは最終コメントを受けたということや、あるいは裁判員制度、これはもう本当に大きなまさにプロジェクトですよね。こういった大きな動きがある中で、全くこの辺のめり張りがきいていない、変化がない、説明もない。先ほどの七〇%というのも腰だめの数字。チェックとかコスト対効果とか、そういった視点が全く欠けているように思うんです。

 税金のむだ遣いを少しでも減らしていこうというのが、これから財政再建をしていく中で、これは与野党大きく違わない、重要な切り口だと思うんですが、私たちは自民党さん以上にしっかりとそこはやっていきたいという思いもあるものですから尋ねさせていただいているわけですけれども、これから、時間が余りありませんので、そういった視点でお話を伺っていきたいと思います。

 最後にもう一点、条約と国内法整備の関係について一点お伺いしたいと思います。ICCの問題でございます。

 ICC規程の締結が今おくれているということでありますけれども、外務省から小野寺政務官に来ていただいていますが、このICCへの取り組みがおくれている理由を聞かせてください。

小野寺大臣政務官 委員がICCに大変御関心を持っていただくことを大変感謝いたします。

 我が国の、国際社会における最も深刻な犯罪の発生を防止し、もって国際社会の平和と安全を維持する観点から、ICCの設立を、ローマ外交会議以来一貫して日本は主張してまいりました。ICC規程の締結のためには、同規程の対象犯罪が大変多岐にわたるため、これらの犯罪と国内法との関係について、各国の実行なども調査しながら検討する必要がありまして、また、犯人の逮捕、引き渡し等にかかわるICCからの要請に応じる義務の履行のためにも法整備が必要だということは委員御存じだと思っております。

 昨年十二月に日本で開催されましたセミナーにおいても、このことを、非常に難しい問題だということを、私も出席して痛感しております。

 このような国内法整備は緻密に進めていくことが大変必要でありまして、一定の時間を要することは御理解を得たいというふうに思っております。政府は、現在、これまでの調査や検討を踏まえ、我が国がICC規程を締結する場合の国内法整備の形式及び内容について、関係省庁で緊密に討議しつつ、具体的な検討を進めているということがあります。政府としては、ICC規程を限りなく早く締結するよう今努力をしているというところだと思っております。

 ただ一点、御存じだと思うんですが、ICC規程を締結すれば、加盟国として相応の予算の分担の義務を負うということになります。我が国が負担すべき額は数十億円に上るというふうに予想されますので、財政事情非常に厳しい中、このような財政負担について国民、国会、政府内部で可能な限り理解を得る努力も今後必要だというふうに思っております。

津村委員 今、政務官の御答弁にもありましたように、国内法の整備につきましては緻密な議論が必要だということだと思います。

 そうした中、これまで国内法の整備にどういった論点があるのか、これは参議院の犬塚議員が繰り返し取り上げていらっしゃるテーマでありますけれども、しかし、御答弁はいつも、法務省についてはこれだけですというような非常に限定的な御答弁しかこれまでされていないようですが、かなり議論も煮詰まってきたという中で、きょうは法務大臣から網羅的にこの点について御答弁いただけると伺っているんですけれども、国内法整備の具体的な問題点について網羅的に御説明ください。

南野国務大臣 国際刑事裁判所規程に今加入するために必要な国内法整備につきまして具体的な問題というならば、例えば一つとしては、同規程が対象とする集団殺害罪や人道に対する罪について現行の刑罰法規制以外に新たな罰則を定める必要があるか、また、次としては、同規程が対象とする犯罪は我が国と異なり時効にかからないとされていることがどのような影響をもたらすのか、また、部下などがこれらの犯罪を犯した場合の上官の責任に関して特別な規定が置かれていることがどのような影響をもたらすかなどについて十分検討する必要があると考えております。

 また、それ以外にも、同裁判所の運営に対する罪の創設、また同裁判所の捜査、裁判に対する協力及び犯罪人の引き渡しに関する手続の整備、また同裁判所が命ずる罰金等の執行の協力に関する手続の整備等の国内法整備についても検討する必要があると考えております。

 現在は、先ほども外務省お話しになられましたが、関係省庁とともに、こうした問題点について検討を重ねているところでございます。法務省といたしましては、外務省等関係省庁とも加入に必要な国内法整備について相当程度綿密かつ頻繁に検討し、作業を進めていることを御報告できると思います。

津村委員 詳細な御答弁ありがとうございました。

 時間が来ましたので、質問を終わります。

塩崎委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 きょうは私は、サイバー法の関係、ハイテク犯罪の方を中心に伺っていきたいと思います。答弁次第でもし時間が余りましたら、私のテーマでもあります、ちょっと聞きたいこともありますけれども、まずこのハイテク犯罪の方を、しかもきょうは政府参考人もお越しだということなので、細かいところも伺っていきたいと思います。

 まず、ウイルスをつくって送りつけるというのが「意図に反する」という文言ではあいまいじゃないかということを私は前の委員会でも指摘させていただきましたけれども、これを改めて伺いたいんです。

 条約の六条では割かし限定的な書き方をしているんですけれども、改正刑法を出すときには随分漠然とした書きぶりになっているのは、どうしてこういうことになったのかという経緯をちょっと教えていただきたいと思います。これは細かいことですから、どうぞ政府参考人で。

大林政府参考人 委員御指摘のとおり、今回の法案の規定は条約より広いということは、そのとおりでございます。

 今回の法案の不正指令電磁的記録作成等の罪は、電子計算機による円滑な情報処理を保護するためには、電子計算機のプログラムが不正な指令を電子計算機に与えないという社会一般の信頼、期待を保護する必要があるとの観点から設けることとしたものでございます。使用者の意図に反する動作等をさせるべき指令を与える電磁的記録であれば、それが社会的に許容し得るものである例外的な場合を除き、それだけで人のプログラムに対する信頼を害するものと言え、そのような電磁的記録を他人の電子計算機における実行の用に供する目的で作成等する行為は、処罰する必要性があり、その処罰範囲が広過ぎることはない、このように考えているところでございます。

高山委員 今の説明の中にも出てきましたけれども、ここから先は価値判断も伴うので、ちょっと大臣にも伺っていきたいんです。

 今の政府参考人の答弁だと、社会的に保護すべきものがあるというような、要するに私が言いたいのは、この法律の保護法益が個人的な法益なのか社会的法益なのかというような、これは争いはあると思うんですけれども、今政府側の方としては、インターネット社会一般を保護するという社会的価値があるんだというようなお話でした。

 大臣にちょっと伺いたいんですけれども、これはインターネットの、何というんですかね、いろいろな表現方法ですとか、これはむしろ表現の自由の一環の話だと思うんですよね。だから、我々が、例えば新聞を出したり雑誌を出版したり、あるいは放送をするときに取材をしたり、いろいろ今までかなり保護されてきて、この民主主義社会に資する表現の自由の一環だと思うんですけれども、これをインターネットの場合、個人的法益、特定のだれかの名誉が侵害されたであるとか、あるいはどこぞの会社が攻撃されて大きな経済的被害をこうむったという話でもないですね。社会的保護法益として保護する必要性というのは何か特にあるんでしょうか。

南野国務大臣 インターネットの社会におきましては、社会一般のものまたは広範囲のものの信頼、期待を保護する必要がある、そういう観点から設けることとしたというふうに存じております。

高山委員 大臣、そこをもう少し詳しく伺いたいんです。

 例えば、我々が言論活動をして、何か新聞をつくったりなんなりするときに、だれかの名誉を毀損しないようにしなきゃいけないとか、あるいは書いてあることが犯罪を助長するとか、そういうことはあれかもしれませんけれども、別に社会一般の信頼ということを考える必要はないのじゃないのかなと、普通に言論活動して新聞やら雑誌やらを出すときにですね。それはその媒体そのものの価値が問われるだけであって、これは信頼できる本だな、いや、この本は信頼できないなというのは、読む方が判断をすればいいことであって、どうしてインターネット社会だけはそういう社会一般の信頼を保護する必要があるのか、ぜひこれは伺いたいです。

南野国務大臣 我々が書いたりする場合は、自分が書いていますから、書いたそのものは自分の事実が証明できますね、自分が書いたということについて。でも、コンピューターであるならば、コンピューター自体が本当にそれを伝えているか、正常に働いているのかということに対する信頼がなければコンピューターの情報というものを信用することはできないということにもなろうかというふうに思っております。コンピューター社会においての出来事ということは、そういうふうに私は考えております。

高山委員 そうでしょうか。例えば、ウイルスによって画面がぐちゃぐちゃになっちゃった、そうしたら、やばい、ウイルスにやられちゃったなとは思うかもしれませんけれども、だからここの、コンピューターでいろいろ表示されているほかのまともな、何の攻撃もされていないサイトやら、あるいはネットショッピングやら、これが信頼できないということはないのじゃないんですか。実際に大きい損害が生じてから処罰すれば足りるのであって、漠然とした不安感だけでこういう表現の自由を規制するのはいかがなものかと思いますけれども、大臣、もう一度ちょっとお願いします。

南野国務大臣 私も思いますけれども、ハッカーが入ったり何が入ったり、ぐちゃぐちゃにされたものを信じてもらうということは、発信する人については、これは大変不公平であり、損害であるというふうにも思いますが、コンピューターにデータを入れておいたらおかしくなってしまうというようなこともあります。また、それで普通の人はコンピューターを使わなくなってしまう。普及ということにもこれはまた問題点が出てくるので、本当にコンピューターが正しく動くという確証があれば、我々が文字を書いたと同じく相手にそのものが伝わるのであれば、それは価値としてはそのようなものだろうと思っております。

高山委員 それは大臣、おかしいと思いますよ。コンピューターが、例えばウイルスに攻撃されるから、どんどん普及しなくなっちゃうんじゃないか、そういう危惧を確かに持たれることはあるとは思いますけれども、例えば、インチキなことをいっぱい書いている文書をビラで配ったり何かしたからといって、こういう紙媒体に何かを印刷して配るということがなくなりましたかね。私は全然関係ないと思いますね。

 それはやはり、良識ある我々が実際に書かれているものを判断して、こんなのはにせものだよ、いや、これは信頼できる、こういう判断をしているんじゃないんですか。それはインターネット社会においても全く同様だと思うんですけれども、その点はいかがですか、大臣。

南野国務大臣 先生だから判断できるということもあろうかと思いますが、判断できない人たちに対しても我々は保護していかなければならないということもあろうかと思っております。

 インターネットなどでは文言なども変えていきますよね、片仮名から平仮名、または平仮名から漢字と。そういうようなものも間違っていたりするようなことも一つの問題点となるのではないかなというふうにも思います。

高山委員 今の大臣の話だと内容の話に入っていますけれども、そこまでは私も言いませんけれども。

 とにかく、私が言いたいのは、どうしてインターネット上の表現だけ、その他の実社会でのいろいろな表現と比べてより保護しなきゃいけない必要性があるんでしょうか。それをぜひ伺いたいんです。

大林政府参考人 インターネットの社会になりまして、委員が御指摘のとおり、表現の自由等の問題が非常にある。それによって、インターネットによって利益を受けている人が大多数だと思いますけれども、御指摘のように、表現の自由の問題は非常に大事であり、慎重に扱うべき問題だと私たちも認識しております。

 ただ、もうこれは委員御承知のとおりだと思いますが、刑法に電磁的記録の不正作出、要するに、銀行なんかの通帳の記録を改ざんして打ち込むとか、あるいはコンピューター自体を壊すといった、そういう重大な結果を生じさせるものについては刑法に従来あったわけですけれども、御承知のとおり、インターネットが普及していきますと、今委員御指摘のような、例えば画面をぐじゃぐじゃにするとか、あるいは処理速度、情報処理の速度を遅くするというような事例、そういうウイルスもあろうかと思います。それについては、直接的にその機器を壊すような状態じゃございませんので、今まではなかなかそれは摘発できなかった。

 しかしながら、皆さん、要するに素人の方、私なんかもそうですけれども、そういう者がコンピューターを使うようになった。そうすると、起動させた途端にぐじゃぐじゃのものができる。それでまた、素人はそれに対してウイルスを駆除する方法も知らない。それは、コンピューターを扱う者にとっての信頼感という問題がやはり社会的な問題になり得るんじゃなかろうかということで、確かに、余りにも範囲が広い、コンピューターの問題はいろいろありますので、その処罰範囲が広がるのはいかがかとは思いますけれども、期待していたもののとおりコンピューターが動かないということは、やはり使用者の信頼にも影響しますし、せっかく今インターネット等のそういうIT社会を広げようとする世界的な状況からするといかがかなということで、そういう「意図に反する」というようなものについては今回処罰対象にさせていただいた、こういうことでございます。

高山委員 今参考人の方からもありましたけれども、確かに、それをリカバリーするのに、一回壊されたら時間がかかるから大変だと。それはあるとは思いますけれども、今回は未遂まで罰するように広げているわけですよね。

 私は、これはちょっと処罰範囲を広げ過ぎなんじゃないのかなと。政府の説明だと、これは社会的な、インターネット社会の信頼もあるのでというような答弁が多いですけれども、これはそもそも、個人的法益で足りるのか、いや、社会的法益まで広げなきゃいけないのかということで、十分ここがもう争いになることだと思いますよ。これは当然のことのように出してきていますけれども、大きい争いになるんじゃないのかなと思います。

 あと、私、次に違う質問をしますけれども、もう一回これは確認ですが、「意図に反する」というような規定の仕方をしていましたけれども、これは前もちょっと問題にしましたが、例えばウィンドウズみたいによく使われているソフトだと、こういうピンホールがあるんだよというのも指摘してあげるボランタリーな人というのは出てきているんですよね。結構、掲示板にこういう問題があるとか書いたりとか、そういう人というのはいると思うんです。そういう、善意でもってここはこういう問題点があるよと指摘したりですとか、あるいは、それこそワクチンをつくるためにウイルスをつくる方という方は当然いると思いますけれども、こういう人の取り扱いがこれでどうなるのか、教えていただきたい。

大林政府参考人 今のポップアップ的なもの、掲示の問題等が確かにございます。それで、先般も御審議いただいたわけでございますが、例えば今おっしゃったような表示については、確かに人によっては不愉快だと……(高山委員「違う違う、ポップアップは聞いていない」と呼ぶ)今のおっしゃるような問題が、例えば個人的な、先ほども申し上げた「意図に反する」という解釈の仕方でございますけれども、それが社会の信頼を害するか否かという規範的な判断というものがあろうかと思います。

高山委員 ちょっと今政府参考人も全然違うページを読んでいたので、もう一回質問しますけれども、要するに、研究者で、ワクチンをつくるために自分でウイルスをつくる人というのは当然いると思うんです。マイクロソフトの社員の人だとか、そういう人ですよ。こういう人も罪に当たっちゃうんですか。だから、そこは違うんだということをちょっと確認させてください、こういう意味でございます。

大林政府参考人 失礼いたしました。

 今回新設する不正指令電磁的記録作成の罪は、「人の電子計算機における実行の用に供する目的」で行われることが必要とされております。ここに言う「人」とは犯人以外の者という意味でございますし、また、「電子計算機における実行の用に供する目的」とは、人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、またはその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える状態にする目的を意味します。

 したがって、不正指令電磁的記録作成等の罪が成立するためには、不正指令電磁的記録、すなわち、コンピューターウイルスが、犯人以外の者が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせないか、またはその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える状態にする目的を犯人が有していることが必要でございます。

 御指摘のような研究や実験目的の場合には、コンピューターウイルスを自分自身の電子計算機上で作動させるか、これを作動させることにつき承諾を得た第三者の電子計算機上で作動させる限り、行為者において犯人以外の者が使用している電子計算機で実行する目的がないか、あるいは犯人以外の使用者の意図に反する動作等をさせるべき不正な指令を与える状態にする目的がないことから、今の要件に当たりませんので、処罰されないことは法律上明らかだということでございます。

高山委員 今のように答弁しておいてもらわないと安心できませんからね。非常に大事な問題だと思うんです。

 あともう一つ、この間テレビを見ていましたら、フィッシング詐欺という、画面上ににせの、暗証番号を入れてくださいとか出る、こういうのが問題になっていますよということで、夕方のテレビ番組なんかで、だんなさんの承諾を得て奥さんを簡単にだませるんじゃないかと、奥さんがインターネットをやっているところを上からカメラで映して、ハッカーの人が侵入をして、そういう番組です。だんなさんの承諾は得ているんですよ。それで奥さんがインターネットにこうやっているうちに、フィッシング、だまされて、えっ、だまされた、気づかなかったという啓発番組なんです。

 こういう場合なんかは処罰するべきじゃないと私は思うんですけれども、これは文言上どういうふうに解したら処罰されなくなるんですか。

大林政府参考人 今の事例なんですが、これはプログラムをつくるということを前提にしておられるんでしょうか。当然、今おっしゃる啓発的なものとして使う、これは委員御指摘のとおり微妙な問題があろうかと思いますけれども、基本的には、利用者の意図に反するものであるかどうかというところが判断基準になるんじゃないかと思いますが。

高山委員 いや、だから、利用者の意図に反するということを言い出すと、もうかなりのものがこれは犯罪になっちゃうんですよ、僕が前回から指摘しているように。

 だから、やはり文言上縛りをかける必要があるんじゃないかなということを私は強く思っておりますし、今ちょっとこれを見ましたら、条約の方ですよ、条約の六条の二項で見てみると、括弧書きで、「犯罪を行うことを目的としない場合(例えば、コンピュータ・システムの正当な試験又は保護のために行われる場合)に刑事上の責任を課するものと解してはならない。」条約の方は結構わかりやすいんですよ。

 どうして日本の刑法は何かわざわざ処罰の範囲を広げるような文言になっているのかなということをまた私は改めて思いますけれども、こういう書き方はできなかったですか、日本の刑法の方で。条約の方がわかりやすいじゃないですか。

大林政府参考人 恐縮ですが、今の条文上は、意図に反して動作をさせないということで、「実行の用に供する目的」ということを書いてありますので、構成要件としては明確なものだというふうに考えております。

高山委員 いや、大臣、大臣、よろしいですか。

 今政府参考人の方から構成要件として明確という話はありましたけれども、私が今読み上げましたこの条約、例えば、コンピューターシステムの正当な試験または保護のために行う場合は刑事責任を課するものとは解してはならない、こっちの方が明確だと思いませんか、条約の方が。

 大臣、どうですか。刑法と条約、明らかに条約の方が明確に書いてありませんか。

南野国務大臣 明確かどうかということは、読む人の判断になってくるのではないかなというふうに思います。

高山委員 大臣、今のはちょっとおかしいんじゃないですか。条約と今の刑法の方の法文、これを読み比べていただいて、「意図に反する」ということの今争いがあって、質問して、そこで答弁をしてもらって、ああ、なるほど、そうなのねと明確になるレベルですけれども、これは条文上書いてあるじゃないですか。条約なんて、これは見ただけでわかりますよ。こういう方が罪刑法定主義の観点からも構成要件上明確と言えるんじゃないんですか、条約の方が。

南野国務大臣 今御説明したように、刑法の方が広く書いてあるということはそのようでございますが、仮に、他の犯罪を目的とする場合に限定をしますと、例えば、使用者の意図に反して電子メールを送信してしまうようなプログラムの作成等の行為が処罰できないこととなってしまうなど、相当性を欠く結果となるものと思われます。そういうような意味では、刑法の方が広くなっているということ。

高山委員 もとに戻りますけれども、ウイルスをつくるといっても、これからの、もっとコンピューター社会上の表現の自由ということを考えると、余り広くとるような条文というのはふさわしくないなというふうに私は思っています。しかも、この条約ぐらい限定をすれば、みんな安心してできるし、世界共通ということもあるのでしょうけれども、どうも日本のものは、確かに今大臣おっしゃったような、人にメールを送りつけるだとかなんとか、随分処罰範囲を広げよう広げようという気が強過ぎて、文言上も不明確だし、しかも処罰の範囲も、現在社会的に要求されているよりはちょっと広過ぎるのじゃないかなという印象は持ちました。

 だから、前回も私、大臣に伺いましたところ、条約よりも随分今出している刑法の方が広い範囲で処罰しているということでしたけれども、これはやはり、この条約に乗じて新たな捜査手法でどんどんこのインターネット社会に対する監視を強めようとしているんじゃないかなということで危惧を持ちました。けれども、この意図、条文のことはもうやめまして、次のジャンルに移ります。

 通信履歴の保全要請の話に移りたいと思うんですけれども、通信履歴というのは、メールの送受信だけじゃなくて、どういうものがほかに入るんでしょうか。これは刑事局長で結構です。

大林政府参考人 例えばということで、今おっしゃられたもののほかに、ホームページの閲覧に関する記録も含まれます。

 御案内のとおり、保全要請の対象となる通信履歴は、具体的には、電気通信の送信元、どこから、送信先、どこに、通信日時、いつといった情報の記録でございます。例えば、ホームページの閲覧に関する記録とは、ある特定のホームページが、いつ、どのコンピューターから閲覧されたかという情報等の記録を指すものでございますけれども、あるコンピューターからある特定のホームページを閲覧する際には、閲覧に使用するコンピューターと閲覧されるホームページの間で電気通信が行われることとなります。したがって、そのような電気通信の送信元、送信先、通信日時の情報の記録も保全要請の対象となる通信履歴に含まれることとなります。

高山委員 このパソコンからどういうホームページを見たかとか、そういうことというのは、捜査の必要上、保全する必要というのはやはりあるんですか。

大林政府参考人 最近問題となっております例えば覚せい剤等あるいは銃器等の取引について、ある被疑者がホームページを開く、それに対して買い受け者がそのホームページを前提にアクセスして、その後の取引関係の交渉をするという場合がございます。そのようなことで、最近比較的多くそのような事例が見られるところであって、そういう犯罪を防圧するためにはやはり必要だ、このように考えております。

高山委員 私は、ただインターネットを何でも自由にしろ、国からの監視はけしからぬというだけではないんですよ。これは、今参考人からお話があったように、銃器だとか薬物の犯罪で今こういうネットが利用されるということは非常にふえているので、むしろそういうところは強めた方がいいと思っているんですよ。

 けれども、今、このプロバイダーに保全要請を出すというのはわかりますけれども、むしろ今、こういうプロバイダーを使う通信だけじゃなくて、ピア・ツー・ピアというんですか、パソコン単体同士でよく通信できるようになってきているんですよね。こういう通信の方がむしろ今犯罪に使われているというふうに一般では言われていますけれども、こういうものに関する取り締まりというのは、逆にどういうふうになっていますか。

大林政府参考人 恐縮でございますけれども、今委員おっしゃられたような形態について、私も余り知識がないものですからちょっとお答えすることができないものですが、申しわけありません。

高山委員 今ここで、私、その方式を説明するつもりはないですけれども、とにかくそういう、今の捜査手法にしても、これは随分プロバイダーにだけ過重な責任、責任といいますか負担をかけている気がしますね。

 犯罪の方法も今どんどん巧妙化しているのであれば、捜査機関そのものがもうちょっと頑張ってこういうサイバー犯罪対策をするべきで、何かこの保全要請なんかにしても、ただプロバイダーに九十日間保存してくれ、それで、後からこっちはゆっくりチェックしていけばいいやと。それだけじゃない。捜査機関の人間が開示できる能力がなければ、その差し押さえの際にそこの職員に命じていろいろ探させる。これはちょっと、捜査機関側が余りにもサイバー犯罪に対しておくれをとり過ぎているような気がしますね。

 プロバイダーさんに過重な負担をかけている気がするんですけれども、私は、こういうサイバー犯罪に対してもっと力を入れるべきだぞということは申し上げた上で、このプロバイダー側の負担についてちょっと伺いたいんです。

 もう一回、今、保全要請、九十日間という話が出ていますけれども、今現在はこういうのはとっておけないんですか。実際にはどういう捜査をされているんですか、この法案が成立する前の今では。

大林政府参考人 主として警察がやっておられることだと思いますけれども、今でも、任意でプロバイダーの方が応じていただける限りにおいて、そのような要請をしている事案もあろうかと思います。

 今回も、一応、要請について法律化をしますけれども、これはあくまで要請でございまして、例えば罰則をかけるとかいう問題はございませんで、今お願いしているものについて根拠等を明確にするという趣旨でございまして、捜査機関においてもう少し知識を持ってしっかりしなきゃならないんじゃないか、もうそれは委員おっしゃられるとおりです。

 ただ、御案内のとおり、今、インターネット関係の技術が物すごく進んでおりますし、情報も分散して入るというようなことで、捜査も難渋しているのが現実でございまして、このような手段というか、こういうお願いもさせていただきたい、このように考えているわけでございます。

高山委員 今は、この法案ができるまでは、要するに捜査関係事項照会書というんですか、そういうのでやりとりしているという話も私は聞いたんですけれども、こういうのをやる前提として、今、任意の枠内でやっていますけれども、強制捜査を近々やるよ、だけれども令状が出ないから、その間の何日かの間だけ保全してください、私はこういうやり方が筋だと思うんですよ。本来、通信の自由で保障されていて、例外的に、犯罪に使われているかもしれないから保全して見せてください、こういう話だと思うのです。

 そうしますと、これはまず大臣に伺いたいんですけれども、保全要請してから令状が出てきちんと強制捜査に行くまでの間というのは、私は極力短い方がいいと思うんですけれども、今、一応これは九十日という日は与えられていますけれども、大臣、実際、運用されるときには、やはり極力短く、強制捜査の許可が出るまでの間の短い間にしてほしいというようにお考えになりませんか。どうですか、これは。それとも、九十日なら最大限九十日使っちゃってもいいんだということでございましょうか。

南野国務大臣 先生おっしゃられるように、短ければ短いほどいいのじゃないかなと思いますけれども、今までのことをチェックしてみると、やはり九十日、それより長くかかるようなケースもあるということでございます。

高山委員 あと、ちょっと時間がなくなってきたので、確認的に幾つか聞きたいんですけれども、通信の履歴、あるいは、先ほど言った薬物だとか銃器の犯罪のホームページ、これは今、犯罪者の方がもっと巧妙化していまして、成り済ましでやっている場合というのも多々あるんですよ。成り済ましというのは、本当の犯罪者が自分が登録してあるプロバイダーからやるんじゃなくて、他人に成り済ましてやっているということは当然考えられますよね。あるいは、途中からそういう成り済ましのこともあるかもしれない。

 そうすると、保全要請をかけて九十日といっても、物すごい膨大な量の記録をとることになりますけれども、これは他人の記録を誤って保存しちゃうということにはなりませんかね。

大林政府参考人 通信履歴の保全要請をする場合は、当然、ある犯罪を前提にして、その前後の通信履歴を要請することになると思います。その中で、通信履歴の中では、もちろん犯罪には何にも関係のない履歴、要するに往復の記録もあるかもしれません。それは捜査機関において省いていくこともできるでしょうし、今おっしゃられるような重要なものが仮にほかの人の名前で入っていた場合、これはやはり捜査において当然確認をするはずでございますので、にせのものだということがその過程でわかるのではないか、こういうふうに思います。

高山委員 成り済ましに関しましては、多分、今、対策ができていないと思いますよ。だから、これは実際に運用していく中でやっていくしかないんだなということで、ここで私は問題点の指摘をさせていただきます。

 それと、もう一つ伺いたいのは、保全要請をされたプロバイダー側は、これは、いきなり警察の人に、はい、こういう履歴ですと見せるわけじゃないですよね。どこかにとっておいて、それで強制処分が下ったときに、はい、こうですと見せるために保存しておくんだ、こういうことでよろしかったと思うんですけれども、九十日もの間どこか別枠で保存しておくとなりますと、これは昨今の個人情報漏えいの危険というのは物すごく高まると思うんですよね。

 これは、正常なシステム内であれば、こういうパスワードでこうで、今、個人情報アクセスというのは随分プロバイダーの方でもしっかりやられているようですけれども、だれ某のが怪しいから九十日間そのログをとっておいてくれと。これは別枠でとって、このフロッピーにでも入れておこうかなとやっていて漏えいしちゃったとなった場合、プロバイダーの責任は重大ですね。

 こういうのは、この法律上、プロバイダーの責任を免責するとか、あるいは、個人情報保護の観点からどういうふうに問われるんでしょうか。

大林政府参考人 基本的には、情報自体はプロバイダーが業務上保管してあるものが前提でございます。確かにそれを、例えば情報量が多いものとか、あるいは期間の問題が長期化した場合に、そういう過誤は起こらないとも限りません。ですから、おっしゃられる今の法案では九十日以内ということで、もちろん捜査機関としてはできるだけ短くすべきだと私たちも考えております。

 それから、これは、今度、明文化することによって、捜査機関から保全要請があった、それに対してプロバイダーが応じたということによってある面免責されるといいますか、法的根拠によってそういう行為を行ったということが言えるわけでございますので、その点では、そういう義務というものを公的に明らかにする、そういうものはあろうかと思います。

高山委員 今の刑事局長の話だと、免責されるというのは、例えば、だれか犯罪者のと間違えて私の記録が漏えいしてしまった、私は必ず訴えますけれども、今のは民事賠償が免責される、こういう意味でよろしいんでしょうか。

大林政府参考人 今の事例だと、私も一概にはちょっと言い切れないかなと。問題は、プロバイダーの方が特段の過失もなく、例えば、だれか従業員がそれをたまたま利用して出したとかいう状態であれば、当然、従業員が責任をとられるんだと思います。それがどういう流出の仕方かという、やはり事案、事案の問題じゃないかなというふうに私は思うんですが。

高山委員 今私が指摘したことも含めて、プロバイダーの方で、例えば、メールやら何やらは割合長く保存するそうですよ。あと、要するに料金を請求しなきゃいけないようなものも実際二カ月とか保存するものもあるみたいですけれども、例えば、いわゆるホームページ閲覧のログなんかは五日間ぐらいで削除しちゃうみたいです。

 私が言いたいのは、軽い気持ちで捜査機関の方があいつのを頼むよとやられたら、プロバイダーの負担は相当大きいですよ。しかも、範囲も膨大で、みんないろいろなところに格納しているのをまたこっちへ、こっちへというのは、プロバイダーの方でウエブログはこのアメリカのサーバーを使っているからここで集めてきて、それを一カ所にしてとっておけということですよね。

 これは物すごい負担を与えることになると思うんですけれども、こういう費用負担に関しては、今、法律を設計する上でどのように考えているんでしょうか。

大林政府参考人 法律案においてその手当てはしておりませんし、私どもも、捜査の必要上、プロバイダーにお願いするという立場でございます。ですから、委員おっしゃるように、例えば日数的なもの、量的なもの、技術的なもの、これがプロバイダーの方の能力をある程度超えるものならば、これはもう拒否していただいても仕方がないんじゃないかというふうに考えております。

高山委員 大臣、これは最後にちょっと大臣にも伺いますけれども、これはかなりプロバイダーにも負担が大きいですし、正直、今聞いていても何だかはっきりよくわからないなという部分もあったと思うんですよ。

 これはやはり文書でやりとりした方がいいと思いますけれども、保全要請、実務上どうだとかこうだとかいうんじゃなくて、条文上、やはり強制捜査、これは類似のものですから、文書で要求するというのを加えられるか、何かはっきりさせた方がいいと思いますけれども、いかがお考えですか、大臣。

南野国務大臣 通信履歴の保全要請ということでございますが、刑事訴訟法の第百九十七条第二項に規定する捜査関係事項照会につきまして、法律上文書では行うこととされていないのと同様に、保全要請につきましても、文書で行わなければならない旨法律上規定するまでの必要はないと今のところ考えております。

 もっとも、捜査関係事項照会が事実上一般に書面により行われているのと同様に、保全要請につきましても、その要請の範囲を明確にするなどのため、実際には書面により行われることになると考えております。

高山委員 大臣、もうそこまで法務省の側も、あるいは実際、実務上、警察の方も、本当に、電話一本でよろしく頼むということじゃなくて、きちんとファクスのやりとりはやっているようですから、やはり文書によるように明文化した方がいいと私は思いますよ。明文化しないメリットというのが私はわかりませんね。

 しかも、先ほどプロバイダーの情報漏えいの場合の責任も聞きましたけれども、それも、プロバイダーの方にもし口頭なり単なる事実上の要請でやっていたときに、どういう争いになるでしょうね。いや、そこの範囲までは警察の方としては頼んでおりません、勝手にプロバイダーの方が余分にとった中から漏えいしたんです、こういうおそれがかなり出てくると思います。

 もう一度ちょっと伺いますけれども、保全要請をかけて、それで、別枠でとっておいたところから個人情報を漏えいした場合、プロバイダーの責任というのは、今までどおりの個人情報漏えいの責任をそのまま問うことでいいのでしょうか。どうですか、大臣、まずお考えとしては。

南野国務大臣 そういうことにつきましては、先ほど局長の方からお答えさせていただきましたが、ケース・バイ・ケースということもあるのではないかなというふうに今のところ思っております。

高山委員 いや、大臣、ケース・バイ・ケースというのは、では、あれですよ、訴えられちゃって、それでそのプロバイダーの方が、いや、そうじゃないと闘って、あるいは何か和解なりして、やっとこさっとこ決まる話でしょう。そんな訴訟に巻き込まれること自体負担ですよ、プロバイダーにとってみたら。

 これは明らかに、むしろ本当は強制処分で、きちんと裁判所の令状をとってやるべきことを、捜査の必要上ということでちょっと広げているというようなイメージですよね。本当は強制捜査をやるべきなんだけれども、そこの前段階として認めているものなんだと。

 だから、これはある程度プロバイダーの責任を軽減するような措置をとらないと、随分プロバイダーに対して過重の負担というふうになると思いますけれども、大臣、ちょっともう一度答弁願えますか。裁判になるということそのものがもう負担ですよ、プロバイダーにとっては。

南野国務大臣 捜査機関におきましては、通信履歴の保全を要請する捜査上の必要性がある場合に限って保全要請を行うべきことは当然のことであります。しかも、保全要請を行う場合には、通信履歴の電磁的記録のうち保全が必要なものを特定して行わなければならないこととしております。

 また、プロバイダー等に過度の負担を負わせることにならないように運営したいというふうに思っております。

高山委員 今のお話で、当然だと思いますけれども、それは条文上どういうところにあらわれてきているんですか。これは刑事局長で結構です。

大林政府参考人 要件につきましては、今大臣が申し上げたとおりでございます。

 プロバイダーへの配慮という面におきましては、先ほど申し上げましたように、そういう罰則をつけないとか、あくまでもお願いするような形でございます。その使われ方もいろいろあろうかと思いますけれども、捜査というものが、例えばコンピューターを差し押さえるとかいうふうな、従来のような、大きなコンピューターとかサーバーなんかの場合にはそういう問題も出てきますし、一つ調整するといいますか、捜査の必要性あるいはプロバイダーの方々の負担をなるべく軽減するということで、今回、お願いする、しかも一応九十日以内でなければならないような形にしておりますので、そこはぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 それから、今委員がおっしゃられた書面化の問題は、確かにおっしゃられるように、そういう紛争を未然に防ぐために、ある程度はっきり確定させておかなきゃいかぬというのはおっしゃるとおりです。私どもとしては、従来の捜査関係事項照会の条文等にかんがみ、あるいは実務的に文書を用いているということで、今回、これを特に文書という形に規定しなかった経緯がございます。

高山委員 ちょっと今の刑事局長の答弁はわかりにくかったんですけれども、そうすると、プロバイダーの側としては、今のこの委員会でのやりとりなんかを信頼するしかないということですね。これは条文上は、プロバイダー、過重にコスト負担やら、あるいは今言ったように分けておいて保存しておいたものが個人情報を漏えいしてしまった、これは全然保護されていないじゃないですか。

 これはちょっと、これからのコンピューター社会の信頼というようなことを言うのであれば、プロバイダーというのは極めて重要な役割をこれからしますし、しかも、もう御案内だと思いますけれども、要するに、プロバイダーの料金なんて、どんどん今接続料を下げて、過当競争へ入ってきていますよ。こういう中で、どんどんコスト削減をしなきゃいけない中で、これはもう大きい負担になると思いますよ。

 しかも、どういうふうに訴えられるかもわからないという将来の不安まで抱えなきゃいけないということで、条文上どこが、プロバイダーの人が、自分がもし民事で訴えられたときに援用したりできるんでしょうか。

大林政府参考人 まず流出の問題なんですが、プロバイダーの方も非常にそこは慎重にやっておられると思います。ですから、流出される形態が、どのような形態でされるかによって、免責されるものかどうかということじゃないかなというふうに考えます。

 本法案をつくるに際しては、プロバイダーの方々からもいろいろな意見をいただいております。また、通信履歴をどの程度の期間で消されているのかという問題、いろいろ御要望も承っておりまして、そういう問題の中から、本件についてはあくまでも任意、過度な負担を与える場合にはプロバイダーの人がそれを拒否されてもこれはやむを得ないという形、制度にしてあることなどがありまして、そこは捜査機関側も、今おっしゃられる点に考慮して、捜査上の必要をなるべく限定する、期間を短くする、そういう努力をする必要はあるというふうに考えております。

高山委員 ちょっと繰り返しの部分もありますけれども、これは本当にこれからどんどんインターネット社会が広がっていく中で、住基ネットなんかでも問題になったと思いますけれども、キー情報というものですよ。その人がこのプロバイダーに参加しているというのがわかれば、そこからクレジット番号もわかっちゃう、あるいはETCカードの履歴なんかを調べればどういうところの高速を使ったかも全部わかってしまう、あと、どういうウエブページを見たかも全部わかってしまう。これは結構広いですよ。要するに、電話の通信履歴よりもはるかに広い通信履歴になるわけですよ、ネット上の通信履歴というのは。

 だから、それを漏えいするとなると、これは例えば単なる電話の記録あるいは手紙の記録、これよりはるかにプライバシーの侵害になる。要するに、プロバイダーにとっては、訴えられた場合に損害賠償の額が大きくなると思いますよ、キー情報ですから。

 こういうことを考えて、ちょっとこの立法は不備があったのじゃないかなと。私は、インターネット社会、これからどんどん広げていくので、ウイルスなんかを広目に処罰をしようという心意気はわかりますけれども、この条文のつくり方としては不備があったのではないかなということを指摘させていただきまして、質問を終わります。

塩崎委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

塩崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 前回に引き続きまして質問をさせていただきたいと思うんですけれども、せんだっての水曜日に参考人質疑をさせていただきました。参考人質疑の中でいろいろな論点もまた加わったというよりは、もともとあった論点だとは思いますけれども、少し掘り下げて検討しなければいけないのかなというふうなこともありましたものですから、そういう論点も加えながら、きょうは、皆さん方とともに審議をしていきたいと思っております。

 まず最初は、共謀罪というものを我が国の刑事法の体系としてどのようにとらえるかという問題でございます。

 先日の参考人質疑の中では、足立参考人の方から、共謀罪というのが、予備罪とかあるいは未遂罪とかそういうようなものよりもより広範に犯罪とされているということについては、我が国の刑事法の体系としておかしいのではないかというような指摘がありました。その点について、私もそうだろうなということで、川端参考人に対してその点を指摘しました。そうしたら、川端参考人が言われたのは、こんなふうに言っているんですね。

 「近代刑法のもとで本来既遂しか処罰されないようなものについても共謀段階で処罰の対象にするのはおかしいではないかという御疑問はもっともだ、私もそのように思います。ただ、これは、先ほど来お話ししておりますように、条約上の関係がございます。」ちょっと省略しまして、「国際条約の批准等に当たって、」「こういう要請がございますので、そういう共謀罪を処罰の対象にするという事態が生じてきている」のであります。こういう話なんですね。

 つまり、これは条約につくれというふうになっているからやっているのであって、本来、我が国の刑法の体系から見たときには、共謀罪がこれほど広範囲につくられるということについての、ある意味では正当性というんですか、法理論的に言うと正当化されるような説明が川端参考人からもなされなかったというふうに自分としては理解しているわけであります。

 そこで、川端参考人では必ずしも説得的でなかったこの問題について、法務大臣から説得力のある説明をお願いいたしたいと思います。

南野国務大臣 法案の共謀罪は、すべての犯罪の共謀を一般的に処罰するものではなく、死刑または無期もしくは長期四年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている重大な犯罪であって、かつ、組織性の要件、すなわち、団体の活動として、当該犯罪を実行するための組織により行われるもの等を満たすものに限って処罰することとしております。

 これは、組織的な犯罪は、たくさんの者が計画や準備段階に関与し、綿密な計画が立てられ、組織の指揮命令に基づいて行われることから、そのような犯罪の共謀がなされると計画どおりに犯行が行われる可能性が高く、また、一たびそのような犯罪が実行されると重大な結果や莫大な不正な利益を生ずることが多いことから、共謀の段階で処罰する必要性が特に高いというふうに考えられるものであります。

 このように、この法案では、処罰すべき必要性が高い重大かつ組織的な犯罪の共謀に限ってこれを処罰することとしたものでありまして、我が国の刑事法の原則にも沿うものであると考えられております。

平岡委員 組織犯罪処罰法でも、これは新たに、未遂を罰するというような規定が入っていたり、あるいは予備を罰するというような規定が入っておったりしているわけですね。そこでも範囲というのは限定されて導入されているわけですよね。組織犯罪処罰法でも範囲が限定されて未遂罪、予備罪というものが決められている。

 そういう状況の中で、この共謀罪だけが、先ほど大臣が言われたように、重大な犯罪という非常に極めて幅広い犯罪、これは六百十五ということで、過失とか何かを入れると六百十九とかになるそうですけれども、そういうのを除けば六百十五ということのようであります。六百十五もの犯罪について共謀罪を導入するということは、やはりおかしいじゃないかというふうに思うんですね。この組織的犯罪処罰法、その体系の中から見てもおかしいと私は思うんですけれども、その点について、どうでしょうか。

 先ほど大臣は、重大な犯罪であって組織性のあるものだからということで説明をされました。組織性のあるものという意味でいけば、組織的犯罪処罰法の中でそういう取り扱いになっていないということについて、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

南野国務大臣 この前も御質問があったかと思いますけれども、リストを挙げるということの難しさと、それよりも刑法で切る方がもっと理解しやすいというふうに私は思いますけれども、組織的犯罪処罰法におきましては、当時の我が国における組織的な犯罪の実態、統計上、暴力団構成員の占める割合、量刑の実情等を勘案し、組織的に行われた場合には、刑法に定められた法定刑では十分でないと考えられる罪を選択して刑を加重するとともに、これに対応して未遂罪を設け、また刑法上の予備罪の法定刑では十分でない罪についてだけ刑を加重した予備罪を設けるなどいたしております。

 このように、組織的犯罪処罰法の未遂罪や予備罪は、原則として法定刑を加重することが必要なものだけが選択されたものであって、もとより、これらの罪についてしか組織的に行われることが想定されないというわけではありません。

 したがいまして、組織的犯罪処罰法において未遂罪や予備罪を設けていない罪について、今回の法案で組織性の要件を満たす重大な犯罪について共謀罪を設けることは、矛盾するものではないと考えております。

平岡委員 今、だあっと読まれたもので、ちょっと私も全部流れに沿ってフォローできなかったので、この大臣の答弁、しっかりと議事録で精査した上で、これは本質的な問題だと思うので、この問題についてもっと議論をしていきたいと思います。

 そこで、これは前回の私の質問の中でも言ったんですけれども、我が国の国内法の基本原則、特に刑法の基本原則でいえば、法益侵害の結果が発生したものについて処罰するというものが基本原則だというふうに私は認識しておりますけれども、そういう観点からいえば、TOC条約三十四条第一項で、国内法の基本原則に従って措置をしていくんだというふうにある以上は、私は、こうした共謀罪とか陰謀罪というのは、予備罪を設けてやっているようなもの以上にさらに限定的に考えるべきだと思いますけれども、その点について大臣の見解をもう一度お願いいたしたいと思います。

南野国務大臣 国際組織犯罪防止条約第三十四条一項に言う「自国の国内法の基本原則」とは、各国の憲法上の原則のほか、罪刑法定主義や刑法の謙抑性等、国内法制において容易に変更することのできない根本的な法的原則を指すものと解されています。

 我が国の刑事法においては、現実に法益侵害の結果が発生した場合はもとより、いまだそのような結果が発生していなくても、その危険性のある一定の行為についても未遂犯や危険犯として処罰することとしているほか、特に重大な犯罪や取り締まり上必要がある犯罪については、予備罪や共謀罪等、実行の着手前の行為をも処罰することとしています。

 また、法案の共謀罪は、すべての犯罪の共謀を広く一般的に処罰するものではなく、重大な犯罪であり、かつ、組織的な犯罪集団が関与する犯罪の共謀に限って処罰の対象とするものであります。したがいまして、法案の組織的な犯罪の共謀罪の新設につきましても、我が国の刑事法における刑罰の基本的な定め方に反することにはならないものと考えております。

平岡委員 同じような答弁はいただいていますけれども、しょせん、そこはもう見解の相違でしかないのかもしれません。

 ただ、見解の相違でしかないということとして、私たちは、はい、そうですかというわけにはいかない。やはり本来の国内法の基本原則というのは、そういう明示的な憲法とか何とかということだけではなくて、長年の歴史というものがあるわけでありますから、そうしたものを覆していくためには、違う法体系をつくっていくためには、極めて慎重でなければいけないということを重ねてここで申し上げさせていただきたいと思います。

 次の話に移っていきますけれども、最初は、少し、この前の審議の中で打ちかけになっているような部分とか、ちょっとさらに突っ込んでいかなければいけないような部分、そこを最初にやりたいと思います。

 まず一つは、準備行為といいますか、顕示行為と言われているものでありますけれども、前回の質問の際に、TOC条約第五条に基づいて、立法化に当たって、合意に準備行為あるいは顕示行為を伴うこととした国として、オーストラリア、ロシア、フィンランド、ラトビア、サウジアラビア等を挙げておられました。そのときに、どんなふうに規定しているのかということを調べてほしいということの依頼をしていました。けれども、この件についての調査というのはできているんでしょうか。

小野寺大臣政務官 お答えします。

 まず初めに、若干の訂正もしくはおわびをしなければいけないと思っております。

 前回の私どもの答弁で、この準備行為を伴うこととした国ということで、オーストラリア、ロシア、フィンランド、ラトビア、サウジアラビア等ということで挙げさせていただきました。その後、委員の御指摘がありまして、各国それぞれ問い合わせをしましたところ、実は、その中で、フィンランド及びロシアについては、これは国連資料に基づいて私どもはこの五カ国について挙げさせていただいたんですが、個々の国に問い合わせましたら、両国ともそのような立法はなされていないということが判明いたしましたので、ここで訂正をさせていただきたいと思っております。

 それで、前回の御指摘の中でありました、まず、オーストラリアにつきましては、共謀罪の要件の一つとしまして、オーバートアクトを行ったことを必要とする立法がなされているということが結果として得られました。また、ラトビアとサウジアラビアにつきましては、まだ先方から明確な回答がございません。引き続き照会を行いまして、もし得られましたら速やかに御報告をさせていただきたいと思っております。

平岡委員 答弁を訂正しなければいけないような事態を起こさないように、しっかりと調査した上で答弁をお願いしたいということであります。

 先ほどのオーストラリアのケースについて言うと、私もちょっと事前に資料をいただきますと、ここにオーストラリアの英文があって、「アン オーバートアクト」と書いてあるんですね。これをちょっと条約の方を見てみますと、条約の方はオーバートアクトという表現は特にとっていなくて、肝心な部分、要点だけ言うと、「アン アクト イン ファザランス オブ ザ アグリーメント」というふうに書いてあるんですよね。必ずしも、このオーバートアクトと条約に書いてある準備行為、顕示行為というのは、英文でも違いがあるわけであります。

 そういう意味でいったら、やはりここは皆さん方が言われているように、この部分はオーバートアクトだけを示しているんだというふうに解釈するのは勝手な解釈であって、もっともっと、我々としては、この条約の条文に従って言えば、オーバートアクト以外の、我々が認識している準備行為あるいは予備行為といったようなものも当然含まれているというふうに解釈することに私は何の不自然さはないと思うわけでありますけれども、この点について、これは法務大臣の方がいいですね。国内法でどうするかという問題ですから、法務大臣にお答え願いたいと思います。

南野国務大臣 国際組織犯罪防止条約五条の「合意の内容を推進するための行為」、この内容、解釈につきましては、今外務省が御答弁されましたけれども、「合意の内容を推進するための行為」というのは、米国法におけるいわゆるオーバートアクトを念頭に設けられたものであると承知いたしております。そのような起草経過も踏まえて解釈されるべきであると考えられます。

 また、米国の判例におきましては、我が国における予備罪の予備行為には当たらないと考えられるような行為、例えば、殺人の共謀をした者が殺人の実行を依頼した者に対して報酬の一部を支払う行為や、薬物の密売を共謀した者が他の共謀者との間で密売について電話等で話し合って段取りをする行為もオーバートアクトに当たるとされているものと承知しております。

 したがいまして、まずは条約の解釈として、先生御指摘のような解釈ができるかどうかについて慎重に検討する必要があるというふうに思っております。

平岡委員 さっきからも言っているように、今回の条約の先ほど言いました顕示行為、準備行為というものが、英文ではオーバートアクトという言葉は使っていないわけですけれども、それがオーバートアクトに限られるんだというような解釈に立っておられるようですけれども、その解釈というのは、条約の条文上、どこかで明確になっているんですか。それとも、条約交渉の過程で明確にされていることはあるんでしょうか、どうでしょうか。

 外務副大臣じゃなくて政務官だそうですけれども。

小野寺大臣政務官 今お話のありました、合意の内容を推進するための行為ということでしょうか。

 本条約に言います「合意の内容を推進するための行為」というのは、合意の成立以後に行われる未遂に至らない何らかの行為を意味します。これは米国法のいわゆるオーバートアクトというものを念頭に置いたものだと考えております。(平岡委員「質問に答えてくれる。そんなことはさっき大臣が答えています」と呼ぶ)はい。

 具体的にこれが何に当たるかということに関しては、各国が国内法制を踏まえてそれぞれ合理的に解釈するということが条約上認められていると考えております。

平岡委員 今の答弁は、だから、条約には明文で書いたところもないし、条約交渉過程の中で、そういうふうにしますということで、あったこともない。その書かれたことに従って、各国がそれぞれの国内法制に従って考えていけばいいんだというふうに、今、外務大臣政務官が答弁されたということとしてよろしいわけですね。

小野寺大臣政務官 外務省としてはそのように考えております。

平岡委員 それなら、やはり今回の国内法制化に当たっては、少なくともこの条約の中で言われている顕示行為の部分については、我が国の国内法体系の中で示されている予備行為、準備行為というものをしっかりと法律上の位置づけをしていかなければいけない、法律の中でちゃんとこういうものを必要とするということをしていくべきだと私は思います。その点について、法務大臣、そういうことでよろしいですね。

 ちょっと時間をとめてください。

塩崎委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

塩崎委員長 速記を起こしてください。

 南野法務大臣。

南野国務大臣 「合意の内容を推進するための行為」というのは、米国法におけるいわゆるオーバートアクトを念頭に設けられているものであると承知いたしております。そのような起草経過も踏まえて解釈されるべきであると考えております。

平岡委員 今、法務大臣と外務大臣政務官が言っていることは全く違うことを言っているんですよね。そんな閣内不統一じゃ、この法案は審査できないですよ。どうなっているんですか。これは統一見解を出せと言ったら、もしかしたら、法務大臣のようなことが出ちゃいけないので、外務大臣政務官の答弁をしっかりと踏まえた法律案を出し直せということを私たちはここで強く申し上げたいと思います。

 そこで、次に、前回ちょっと時間が少なくて突っ込んだ議論ができなかったのでありますけれども、自首減免の話であります。

 自首減免について、私は、社会的な影響も非常に大きいから、こういう仕組みはやはり我が国の法制度に導入すべきではないのではないかというふうに申し上げました。それに対して南野大臣は、大きく分けて二つほど理由を挙げておられます。

 一つは、この自首減免の制度をつくることは、「共謀に係る重大な犯罪を未然に防止するため、共謀罪または参加罪の犯罪化を義務づける条約の趣旨に沿うもの」であるというふうに言われました。

 この自首減免の制度というのは、このTOC条約の中でつくることが義務づけられているんですか、どうなんでしょうか。

南野国務大臣 特に義務づけられてはおりません。

平岡委員 義務づけられていないものを、何でこんなものを入れるんですか。

 自首減免をするということ自体は、先ほどから申し上げているように大きな社会的影響を及ぼすものであるということであります。そういうようなものを、何で条約でも義務づけられていないものを、あえて我が国のこうした共謀罪の、極めて異例な犯罪をつくるときにこんなものを持ち込まなきゃいけないのか。この条約に反した行為をしていることに対して、私は強く抗議したいと思います。

南野国務大臣 条約に反したものではないと思います。このような規定を設けることは、共謀された重大な犯罪が現に行われることを未然に防止するためであって、共謀罪等を犯罪とすることを義務づける条約の趣旨に沿うものであると考えております。

 さらに、二十六条二項によりますと、「締約国は、適当な場合には、この条約の対象となる犯罪の捜査又は訴追において実質的に協力する被告人の処罰を軽減することを可能とすることについて考慮する。」という行が挿入されております。

平岡委員 義務づけられていないということは、これは確かなことでありますから、この自首減免の仕組みというものが極めて大きな社会的な影響を与えるということで、私は、削除すべきだというふうに前も主張しましたし、今回もそのことを主張させていただきたいと思います。

 特に、今回六百十五の重大な犯罪と言われているものに対してすべてこうした自首減免を設けているということの社会的な影響というのは、私は大きいと思うんですね。仮に、今回共謀罪というものをつくるにしても、その中で自首減免を認めるというようなことにしても、私は、その共謀というのが実行に移された場合には被害が広範、重大で、かつ、事後の回復措置をとることが困難なものに限定されるというような抑制的な姿勢が必要であるというふうに思うわけであります。

 この前の大臣の答弁の中でも、「必要性は重大な犯罪とされる各罪において変わるところはございませんので、一律にこれを設けることとしたものでございます。」重大な犯罪というのは、いろいろな、六百十五もあるもので、変わるところはないと。どうしてそんなことが言えるんですか。この重大な犯罪とされるものの中にはいろいろな犯罪があって、これを一律に設けなければいけないという、そんな単純な論理では納得できないですよ。大臣、どうですか。

南野国務大臣 四年以下の懲役に当たる犯罪であっても、重大な犯罪であることに変わりはありません。とりわけ、これが団体の活動として組織的に行われるときは、犯罪が実行に移される前にこれを阻止する必要性が極めて高いと考えられます。また、被害の大小についても、必ずしも法定刑の軽重によって一律に定まるものではなく、個別具体的な事件によってぞれぞれ異なるものと考えられます。

 したがいまして、一律に自首減免の規定を設けることには十分な理由があるというふうに思います。

平岡委員 私たちは、重大な犯罪が六百十五あること自体に異を唱えていますけれども、この重大な犯罪について一律的に自首減免の仕組みを設けること、このことについて、その必要性を一つ一つやはり吟味していかなければいけない、こんなふうに思いますので、ぜひこれから、その作業に法務省としてもおつき合いいただきたいというふうに思います。よろしいですね。

南野国務大臣 今、先生の御発言でございます。国会におきまして十分に御審議いただければというふうに思っております。

平岡委員 今の大臣の答弁を前提として、ちょっと次の話に移ろうと思います。

 重大な犯罪という概念についてでありますけれども、先ほどから私申し上げているように、仮に共謀罪というものがつくられるとしても、重大な犯罪というものをどうこの法案の中で位置づけていくかという点について言えば、内容を吟味した上で選別していくべきではないかということを従来から申し上げております。

 そこで、実は、これはことしの七月十二日の同僚議員の質問の中で、我が国の国内法において共謀罪の対象を長期四年以上の自由刑に当たる犯罪の共謀とする合理的理由は何なのかということを質問しておるわけでありますけれども、この点について明確な答弁がその当時なされておりません。

 この点について、重ねて法務大臣にお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

南野国務大臣 長期四年以上の自由刑に当たる犯罪の共謀とする合理的な理由はというお尋ねでございました。

 我が国におきましては、重大な犯罪の一般的な基準を定めるものはございませんけれども、例えば、弁護人がなければ開廷することができない必要的弁護事件、これは長期三年を超える懲役もしくは禁錮に当たる事件とされ、また、急速を要し逮捕状なしに逮捕することが認められる緊急逮捕は、長期三年以上の懲役もしくは禁錮に当たる罪とされています。

 したがいまして、条約において重大犯罪の基準として長期四年以上の自由刑とされたことは、我が国の国内法に照らしても合理性があるものというふうに考えております。

平岡委員 この長期四年以上の刑の取り扱いについては、前回の質問の際にも質問を申し上げました。国際的に見ると、ウクライナという国が、自分たちの国の中では重大な犯罪というのは長期五年以上の罪なんだというようなことで解釈宣言あるいは留保、どちらか明確ではありませんけれども、それを付した上で、自分たちは五年以上の罪について重大な犯罪とするんだという位置づけをしたということについて質問を申し上げました。この点については、まだまだ我が国として確認しなければならない点が幾つかあるんだというふうに答弁がされていますので、ウクライナの取り扱いについては、しっかりといろいろ確認した結果をこれからまた報告していただきたいと思います。

 多分きょうは間に合わないだろうと思いますから、その点はともかくとしても、我が国でもある意味では、長期五年超、五年を超える犯罪というものを見ていくと、やはりウクライナも五年というところで切って重大かそうでないかということを分けているようですけれども、我が国でも五年超というところはかなり境目があるような、そういう状況になっているというふうにも聞いています。重大な犯罪の数もかなり限定されてくるというふうにも聞いております。

 そういう意味でいくと、我が国の刑法体系の中でいうと、重大な犯罪というふうに認識されるものについて言うと長期五年超といった境目もあるのではないかというような指摘があるんですけれども、この点について法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

南野国務大臣 我が国におきましては、重大な犯罪の一般的な基準を定めるものはありませんが、長期五年を超えるか否かが基準とされているわけでもありません。

 この点、我が国では、弁護人がなければ開廷することができない必要的弁護事件は長期三年を超える懲役、禁錮に当たる事件とされていること等を考えれば、条約が重大犯罪の基準を長期四年以上の自由刑としていることは、我が国の国内法に照らしても不合理とは言えないというふうに思います。

平岡委員 不合理とは言えないという言葉自体がちょっと私、非常にひっかかるんですけれども。

 もともと私たちが言っているのは、こういう共謀罪というのは我が国において今までの法体系からいうと非常に異質なものである、こういうものを我が国に導入するときにはかなり謙抑的にすべきであるというのがまず根本にあるわけですね。だから、不合理でないというよりは、むしろ、こうすることの方がより合理性がある、こういうことの方がより我が国の法体系に合致している、そういう視点で物を見てほしいということを言っているのであって、三年以上にするとか四年以上にするということが不合理でないという理由だけでこういう異質な犯罪を我が国に持ち込むということに対しては、私はこれは強く抗議を申し上げたいと思います。

 そういう意味で、重大な犯罪についても、私は、一律に長期何年以上ということだけじゃなくて、長期何年以上についてもやはり抑制的であるべきだと思いますけれども、さらに、本来はどういう犯罪がこういうTOC条約で目的としていることに沿うようなものであるのか、このことをやはりしっかりと吟味していかなければいけない、このことを重ねて強く申し上げたいと思います。

 重大な犯罪について少し議論させていただきましたけれども、この問題については一つ一つの犯罪の中身をこれからやはり議論していかなきゃいけないということでもありますから、この点についてもしっかりとおつき合いをしていただきたいと思います。

 そこで、次に捜査の問題についてちょっと触れさせていただきたいと思います。

 先日の参考人に対する質疑の中で、共謀罪を捜査する手法というものを考えたときには、これはかなり大きな社会的な影響を与えてしまうのではないかという懸念が表明されています。そして、そのときに海渡参考人から提出された資料の中に、二〇〇四年九月に発足した国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部、本部長は細田官房長官でありますけれども、これが包括的なテロ対策を策定中だということで、新聞報道によれば、司法取引の導入とか、いろいろな捜査手法といったようなものを導入しようとしていると報道されているというふうにあるわけでありますけれども、この国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部においては、いろいろな捜査手法、これは検討されているんでしょうか、どうでしょうか。

南野国務大臣 お尋ねの昨年八月二十四日の閣議決定により設置されました国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部におきましては、主としてテロの未然防止対策という観点から、テロリストを入国させないための対策の強化、重要施設等の安全を高めるための対策の強化等に関する議論が行われており、司法取引とかおとり捜査などについては特段の検討はされていないものと承知しております。

平岡委員 他方、いろいろなところで、この共謀罪を捜査するためには司法取引とか盗聴とかおとり捜査といったようなことが必要になってくるのではないか、今回はそうしたものについての手当てはしないけれども、いずれ、この共謀罪が成立したときには、今度はどうやってこの共謀罪を摘発していくかという視点から、捜査の手法についてもいろいろなことが考えられてくるだろうというふうに言われているんですけれども、大臣、この点についての国民の不安についてどのようにお考えになりますでしょうか。

南野国務大臣 法案の共謀罪の捜査につきましても、他の多くのひそかに行われる犯罪の場合と同様の方法で捜査の手がかりを求め、必要かつ適正な捜査を尽くすことになると考えております。

 具体的に申しますと、実際に行われた別の犯罪の捜査の過程で共謀についての供述やまた犯罪計画書のような証拠となるものが得られることも予想されますし、共謀に参加した者の自首や共謀がなされたことを聞いた犯罪組織の構成員の情報提供等がきっかけとなって捜査が開始されることもあると思われます。

 司法取引につきましては、そもそも我が国には導入されていない制度であり、現行法のもとでこのような手法を用いることは考えられませんし、今回の法案において司法取引のような新しい捜査手段を導入することもしておりません。

 通信傍受法については、同法の別表に掲げられる対象犯罪に共謀罪は含まれませんが、適法な通信傍受の実施により共謀罪に関する証拠が得られることは考えられます。

 おとり捜査については、最高裁判所の判例においても一定の場合にこれを行うことが認められておりますが、共謀罪の立件を目的として捜査官が身分を偽って犯罪組織に潜入しおとり捜査を行うとすると、捜査官自身の安全等の面で問題が大きく、実際にそのようなおとり捜査が行われることは想定しがたいのではないかというふうに思っております。

 共謀罪の新設と新たな捜査手法の導入は、これはもう別の話であります。今回の法案におきましては、共謀罪の立証を念頭に新たな捜査手法を導入することはしておりませんので、将来、新たな捜査手法を導入するか否かについては、これは今後の各種の犯罪に関する捜査の実情等を踏まえながら導入の必要性などを検討すべきものであるというふうに考えております。

平岡委員 先ほど、おとり捜査の点については、安全の面でいろいろ問題があるからそんなことはやらないんじゃないか、そういう答弁でありましたけれども、多くの方が心配しているのは、先ほど私が言った自首減免の制度とあわせて考えてみると、安全の面はともかくとしても、とにかく何かまとめて、合意というものをつくり上げて、そしてそこのところで、おとり捜査で入ったような人が、自首減免という形でみずからは罪を免れるような形にした上で、いろいろな人を犯罪を犯した人たちという形で言い続けていく、こういうことも多くの方が心配しているんですよね。そんな心配があるんじゃないですか、どうですか。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

南野国務大臣 そういう心配はないんじゃないかなと、良心的な人であろうかと思っております、皆さんが。

平岡委員 今の答弁は、本当に大臣がもともと良心的な人だからそんなことを思うのかもしれませんけれども、取り締まる側というのは、そんな生易しいものじゃないと思いますよ。私もいろいろな経験をさせていただきましたけれども、やはり、垂れ込んでくる人というのが相当警察の捜査の中では情報としてあるわけですね。垂れ込んでくる人をうまく使えば相当なことができる。しかも、自首減免というものができる。こうなったら、共謀罪の捜査について言えば、本当にすごいことが起こってしまうんじゃないか、これはだれでもがそういうことを心配するわけですよね。

 これは通告をしていませんけれども、きょうは警察庁の人も来ていますからちょっと聞いてみたいんですけれども、犯罪捜査をする手がかりとして、内部者からの情報の提供あるいは内部者に近い人たちからの提供によって捜査が開始されるというケースはどの程度、どのぐらいの割合であるんでしょうか。

米田政府参考人 どの程度と言われましても、ちょっとそういう割合はとっておりませんが、確かに、内部者といいますか、例えば犯罪集団、例えば暴力団の中からの情報とかあるいは薬物密売組織の中からの情報によって検挙するということはございます。

平岡委員 共謀罪というのは、なかなか証拠をつかむことが難しいということから、多分、内部者からの通報とかあるいはおとり捜査のような形での捜査の開始というのが相当見込まれるんだろうと思うのです。そういう意味において、もともと共謀罪というものが極めて異質な犯罪であるということから、私はやはり、この捜査のあり方についても、先ほど言った自首減免のあり方をどうするのか、それから、おとり捜査を含めた、あるいは内部者告発みたいなことも含めて、どのような捜査であるべきなのか、この点についてしっかりと国内的な、国民の声、国民的な合意というものを踏まえてこの共謀罪を考えていくべきだというふうに思うんですね。

 共謀罪そのものが異質であるということ、そのことから、捜査のあり方についても、どういう捜査であるべきかということについての国民的合意というものが必要である、このことについて法務大臣の認識をいただきたいと思います。

南野国務大臣 法案の共謀罪には厳格な組織性の要件が付されておりますので、例えば、暴力団による組織的な殺傷事犯、悪徳商法のような組織的詐欺事犯、また暴力団の縄張り獲得のための暴力事犯の共謀など、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀に限って処罰されることになり、国民の一般的な社会生活上の行為が共謀罪に当たることはあり得ません。

 したがいまして、共謀罪を新設し、自首した場合の刑の減免の規定を設けたからといって、御懸念のように、国民生活が監視の対象とされるようなことはあり得ませんし、また、密告を助長するものでもないと思っております。

平岡委員 大臣とやっていても、質問していることと答えているところがちょっとすれ違いになっているという、小泉首相みたいに意図的なすれ違いとは違って、大臣も一生懸命該当する質問を探し出して読んでおられるからそんなことになってしまうのかもしれませんけれども、そういう、聞きたいことと答弁していることがちょっと違うということを大変私は本当につらく思っていますけれども、済みません。(南野国務大臣「適正なお答えをしているつもりですよ」と呼ぶ)そうですか。

 ともかくとして、実は、組織犯罪集団の問題についてきょう少し時間をとりたいと思ったので、今までの大臣の答弁をまた精査した上で、これから質問をさらに続けさせていただきたいと思いますけれども、今回のTOC条約における組織犯罪集団と法律における組織犯罪集団といいますか団体といいますか、これとはどういう関連になっているかということを、まず最初にちょっと確認をしていきたいと思います。これはほかのところでも質問されていることもありますけれども、答えていただければというふうに思います。

 まず、これは七月十二日の同僚議員から質問していた話でもありますけれども、TOC条約第二条の「組織的な犯罪集団」というのは、条文的に言うと「三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在し、かつ、金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため」に重大な犯罪を「行うことを目的として一体として行動するもの」というように定義をされているわけでありますけれども、そのように定義、ある意味では限定もされているわけでありますけれども、そういうことになりますと、この条約上の「組織的な犯罪集団」の中には、宗教的目的や政治的目的の集団は含まれないというふうに考えていいんでしょうか。

 この点について外務副大臣からお願いします。

小野寺大臣政務官 委員御指摘のとおり、これが「組織的な犯罪集団」に当たるということはありません。

平岡委員 そこで、今度、組織犯罪処罰法六条の二、今回つくろうとしている法文でありますけれども、その「団体」には宗教的目的や政治的目的のためにつくられた団体も含まれているというふうに考えていいでしょうか。法務大臣。

南野国務大臣 適切なお答えになっていることを希望いたしますが、国際組織犯罪防止条約は、「組織的な犯罪集団」とは、「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため」の重大な犯罪等を「行うことを目的として一体として行動するものをいう。」と規定しておられます。先生もこの一文を今さっき読み上げられました。したがいまして、御指摘のような宗教目的や政治的目的でつくられた団体が純粋な精神的な利益のみを目的として犯罪を行う場合には、この条約に言う「組織的な犯罪集団」には当たらないこととなると考えられます。

 他方、法案の共謀罪が成立し得るのは、犯罪行為を行うことが共同の目的に沿うような団体であり、かつ、団体内部に犯罪実行部隊を持つような団体の活動として行われる場合か、あるいは、例えばみかじめ料を獲得するための縄張りのような、その威力に基づく支配力を有するような団体、具体的には暴力団のような団体に関連して行われた場合に限られますが、したがいまして、御指摘の宗教目的や政治的目的という適正な共同の目的を有する団体については、たまたまその団体の幹部が犯罪行為を行うことを共謀したとしても、犯罪行為を行うことがその団体の共同の目的に沿うものではないので、法案の共謀罪が成立することはないものと考えております。

平岡委員 ここは多分、法務省は非常に意図的に考えている部分があるんですよね。というのは、第二条で「団体」の定義というのが置いてあって、この団体の定義には明らかに宗教的目的とか政治的目的のためにつくられた団体も含まれているというふうに私は思うんですけれども、それはそれでいいですね。

南野国務大臣 先生おっしゃるとおりでございます。

平岡委員 それで、組織犯罪処罰法六条の二に、今度は「団体」という言葉がまた出てくるわけですけれども、この「団体」に宗教的目的や政治的目的のためにつくられた団体が入らないということはないですよね。

大林政府参考人 二条の「団体」には含まれる、排除されていないというふうに思います。六条の二のその「団体の活動として、」そこの部分には、またそれは別の話だと思いますけれども。(発言する者あり)入ります。二条は、入ることがあります。

平岡委員 今の答弁でもわかるように、六条の二で出てくる「団体」というのも、これは先ほど言いましたように、宗教的目的とか政治的目的のためにつくられた団体も、概念としてはこれは入るわけですよね。入るんだけれども、法務大臣は、先ほどから読まれているのは、この六条の二で処罰されるような団体というのは登場してこないというか、そういう処罰されるような団体には、この条文からいったら、先ほどから言っているような宗教的目的とか政治的目的の団体は含まれてこないのではないか、こういうふうに言っているということなんですよね。

 だから、この六条の二というのをどのように考えるのかということがやはり本来、これまでもしてきたように、本質的な議論になってきているということだと私は思うのです。

 そこで、これは同僚議員からも指摘されていた話として、私は一つの例示の問題として取り上げてみたいと思うんですけれども、例えば官庁。これは警察署とかというふうに言わないでくれというふうに言っていますのであえて言いませんけれども、何とか署と言われるようなところですね。そういうようなところで組織ぐるみの裏金づくりの共謀というのが共謀罪に該当するのかという点について、六条の二に該当するのか、この点について、法文に則してどのように考えるべきなのか、この点を説明していただきたいというふうに思います。

南野国務大臣 この法案の共謀罪は、重大な犯罪のうち、団体の活動として犯罪行為を実行するための組織により行われる犯罪行為等を実行しようと共謀した場合に限って、そのような共謀した者を処罰の対象とするものであります。そして、団体の活動とは、団体の意思決定に基づく行為であって、その効果またはそれによる利益が当該団体に帰属するものをいいます。そこでこの要件が満たされるためには、そのような犯罪行為を行うことを共同の目的を有する団体として意思決定する必要があると解されます。

 したがいまして、犯罪行為を行うことが共同の目的に沿うような団体の意思決定に基づいて共謀が行われた場合に限って共謀罪が成立し得ることから、たまたま正当な目的を有する団体の幹部が相談して犯罪行為を行うことを決定したとしても、そのようなものは、一般に共同の目的を有する団体として意思決定したとは言えないと考えられるため、「団体の活動として、」という要件を満たさず、共謀罪は成立しません。

 したがって、お尋ねの官庁において、組織ぐるみで、いわゆる裏金づくりをする共謀をした場合については、そもそも官庁は正当な目的を持って活動している団体でありますので、仮に、たまたまその幹部が組織ぐるみで裏金をつくることを共謀したとしても、このような犯罪行為を行うことが官庁の共同の目的と相入れないことは明らかでございますから、「団体の活動として、」という要件を満たさないと考えております。

平岡委員 大臣、書かれたとおりに読み上げているから何の疑問も持っていないかもしれませんけれども、この共同の目的というのは別に、従来から議論されているように、この目的の中身が違法なものであるのか合法なものであるのか、適法なものであるのか違法なものであるのか、こんなことは問うていないんですよね。だから、共同の目的についてどこにも限定が付されていないこの団体が、その目的を実現する行為の全部または一部が組織により反復して行われるものを団体としていると。この目的も、必ずしも正当な目的に限られているわけじゃないんですよね。違法な目的であったって、別に除外はされていないんですよ。わかりますか、私が言っている意味は。

 だから、私がきょう委員会配付資料としてちょっとお手元に配らせていただいたものを見ていきますと、ここに、六条二のところで、かぎ括弧のところで私が書いています。

 かぎ括弧をつけさせてもらいましたけれども、このかぎ括弧の中に何が書いてあるかというと、これは「次の各号に掲げる罪に当たる行為」、これを説明している文章なんですね。行為がどういう行為なのかということを説明しているだけであります。その行為の中で、ではどういう行為なのかというと、「団体の活動として、」という、その団体の活動というのは第三条に書いてあること。そして、「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」という、その組織により行われるものというのが第二条に書いてある。その組織というのは、括弧の中で、「指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう」、こういう仕組みになっていると。

 この条文に照らしてみて、官庁がこれに該当しないという理由は、具体的にどこがどう違うから該当しないというふうに言えるんですか。この共同の目的の中には、合法な目的に限った団体、あるいは違法な目的に限った団体、どこにもそんなこと書いていませんよね。これは刑事局長でいいですけれども、どうですか。

大林政府参考人 繰り返しになるかもしれませんが、団体とは、組織的犯罪処罰法第二条第一項において、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体」等と規定されており、それから、団体の活動とは、同法第三条第一項において、「団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。」と、これは御指摘のとおりでございます。

 このような条文の規定からいたしますと、「団体の活動として、」という要件を満たすためには、犯罪行為、これは条文自体が次に犯罪行為を記載、具体的に三条は例示していますので、犯罪行為を行うことを共同の目的を有する団体として意思決定することが必要である、そのためには、当該犯罪行為を行うことがその団体が有している共同の目的に沿うものであることが必要である、解釈としてこのような結果になるんだろうというふうに考えております。

平岡委員 この第二条の団体のところの定義をもうちょっと見ていただけたらと思うんですけれども、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、」その目的を実現する行為の全部とは書いていないんですよね。「その目的又は意思を実現する行為」というふうに書いてあるんですよね。

 だから、共同の目的、確かに、警察の目的というのは、我が国の治安を維持するとか犯罪を摘発するとかそういうのがあるかもしれませんけれども、ただ単にその共同の目的に基づいて行われている行為だけを指しているのではなくて、その団体の意思、この意思は、共同の目的に限らず、例えば先ほど言いました、裏金をつくろうというような意思を持ったら、その意思に基づいて実現する行為を組織的に実行していたら、これは、当然ここに言う団体になるわけですよ。だから、官庁だって、共同の目的が確かに治安の維持みたいなものであるかもしれないけれども、その中でいろいろな意思が出てくる。その意思の中には、裏金をつくっていこうという意思もある。そういうことを行動したら、この団体には警察も入るんだというのがこの法文の意味するところだというふうに私は思うんですけれども、局長、どうですか。

大林政府参考人 団体という定義からだけすれば、委員おっしゃるように、官庁も含まれてきます。ただ、先ほどから御説明していますように、さらに、団体の活動という次の定義がございます。したがって、そこから「団体の活動として、」という要件を満たすためには、犯罪行為を行うことを共同の目的を有する団体として意思決定することが必要であり、そのためには、当該犯罪行為を行うことがその団体が有している共同の目的に沿うものであることが必要だ、こういう解釈になると思います。

平岡委員 私が言ったように、共同の目的に沿うものでなければいけないというのは、この条文を見ても、どこにもそんなことは書いていないんですよね。共同の目的を実現する行為、あるいはその意思を実現する、その意思というのは結合体の意思。結合体が、自分たちは裏金をつくろう、そういう意思を持ったときには、その意思を実現する行為というのをとるわけですよね。それを組織的にやるということですから、官庁がそういうことをしようということになったときには、やはりこれも、ここに言う、六条の二の対象になる。要するに、組織的犯罪集団という位置づけの中で検討されることになってしまうんじゃないか、この六条の二を素直に読めば。

 そういうふうになっているということを私は指摘させていただいて、時間が参りましたので、この後は同僚議員に譲ってまいりたいと思います。

吉野委員長代理 次に、枝野幸男君。

枝野委員 今の平岡委員の質問の流れで、別の角度から同じようなことを聞いていきたいと思います。

 株式会社は、二条に言う「団体」には入りますね。いいですか。

富田副大臣 入ります。

枝野委員 株式会社の意思決定機関は何ですか、商法上。

富田副大臣 取締役会だと思います。

枝野委員 株式会社が取締役会でリフォーム詐欺をやろうということを決めたら、それは株式会社という団体の意思決定ではないですか。

富田副大臣 団体の意思決定という点に限れば、今委員御指摘のとおりだと思います。

枝野委員 三条の「団体の活動」の中の「団体の意思決定」をそれとは違う意味で解釈する根拠を説明してください。

    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

塩崎委員長 速記を起こしてください。

 富田副大臣。

富田副大臣 リフォーム詐欺をしようという取締役の決定が、会社全体としての、リフォーム詐欺をするんだというような意思決定になる場合もあると思いますので、その場合は、この三条の、共同の目的を有することになると思いますが、そうではない場合も当然考えられる。

枝野委員 共同の目的という関係は聞いていないんです。

 株式会社の意思決定機関は取締役会です。取締役会で、あることを決める。それは会社という団体の意思決定ですね。これは、商法上そうなりますね。そう副大臣もお答えになりました。その意思決定にはさまざまなものがあります。合法的なもの、違法なもの、いろいろなものがありますが、団体の意思決定であることには間違いありませんね。いいですね。

富田副大臣 団体の意思決定ということに限れば、委員がおっしゃるとおりです。

枝野委員 三条の「団体の活動」、括弧の中の「団体の意思決定」という場合に、今と日本語は同じなんですが、違うんですか、一緒なんですか。

富田副大臣 先ほどから申し上げているとおり、「団体の活動として、」という要件を満たすためには、犯罪行為を行うことを共同の目的を有する団体として意思決定することが必要であります。したがいまして、犯罪行為を行うことがその団体が有している共同の目的に沿うものであることが必要というふうに理解しています。

枝野委員 質問にちゃんと答えてください。僕はそんなこと聞いていないんです。団体の活動の定義の中に「団体の意思決定」と書いてあるので、その団体の意思決定の定義を聞いているんです。

 団体の意思決定の定義といったときに、今の商法上の取締役会で決めるというのが団体の意思決定だ、株式会社ならば。それが商法上の団体の意思決定ですよね。それとこの三条の括弧の中の「団体の意思決定」と違うなら、どうして違うのか、どういう根拠で違うふうに読むのかを説明してくれと言っているんです。

富田副大臣 私の頭が悪いのかもしれませんが、どうも先生がおっしゃっていることを正確には理解できないんですが、会社が取締役会で意思決定するのは、それは確かに団体の意思決定。この三条に書かれている「団体の意思決定」も、その限りでは同じ言葉ですが、この組織犯罪処罰法では、犯罪行為を行うということを団体の意思決定に基づいて行うというのを考えているわけですから、そういう意味では、会社でいろいろな意思決定がされますが、その会社全体として犯罪行為をやるんだということになれば、ここにストレートに当たってくるというふうに考えられます。

枝野委員 ですから、法律の条文というのは日本語ですよね。日本語に基づいて、団体の意思決定という言葉の、普通の日本語としては、例えば株式会社ならば、取締役会で決定したことが団体の意思決定だ、これはそうですよね、日本語としては。

 今、副大臣は、この三条で言う「団体の意思決定」は違う意味なんだとおっしゃっているんですよ。そうですね。(富田副大臣「違う場合もある」と呼ぶ)違う場合もあると。だから定義が違ってくるわけですよね、違う場合があるということは。どうして同じ日本語なのに違う読み方をするのか、その根拠はどこにあるんですかということを聞いているんです。

 何らかの根拠に基づいて、ここでの団体の意思決定は普通の日本語の意思決定よりも狭く解釈しますということの根拠になる部分がなければ、日本語としては、普通の日本語としての団体の意思決定全部が入るに決まっているじゃないですか。どこに根拠があるのか聞いているんです。

富田副大臣 団体の意思決定という文言を切り取って考えれば、先生の御指摘のとおりですけれども、この三条に言う「団体の活動」、「団体の意思決定」というのは、これに基づいて犯罪行為を行うというのを前提としておりますので、全体として考えれば意味が違ってくる場合がある、それはもう当然だと思いますけれども。

枝野委員 ちょっと待ってください。この条文、団体の活動として犯罪を行ったから団体の活動が犯罪性を帯びるのであって、団体の活動そのものの定義の中にどうして犯罪性が入ってくるんですか。どこにも書いてないじゃないですか。

 「団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。」と書いてあるんですよ。この効果、これによる利益が当該団体に帰属する、例えば、株式会社が取締役会の意思決定に基づいてリフォーム詐欺をやれば、その利益は株式会社に帰属しますから、後段は問題ないですよね。

 前段の定義は、「団体の意思決定に基づく行為であって、」ということしか書いてないんですよ。団体の活動の定義はこの括弧の中なんでしょう。だから、「以下同じ。」と書いてあるんでしょう。だから、この団体の活動の定義を聞いているんですが、ところが、その中に、それは犯罪を目的とするものであるなんということはどこにも書いてないじゃないですか。どうして勝手に解釈できるんですか。

 私がこの条文を解釈すれば、というか、私だけじゃないでしょう。これは日本語として普通に読んだら、取締役会で意思決定した、取締役会でリフォーム詐欺をやるということを決めた、そして、その結果もうかったものはその会社の利益になる、三条の団体の活動に当てはまらないという、そんな狭い解釈、勝手にしないでくださいよ。

 これは既に施行されている、我々は反対しているからこんな条文だめだと思うけれども、この法律は施行されているんです。警察が、抑制、謙抑的な立場からそういう運用をしない、していないということはよくわかります。しかし、法律の解釈として、どうして法律の条文の根拠がないのに、今みたいなものもちゃんと団体の活動には該当するとしないと。勝手に、国会のつくった法律を行政府が縮小して解釈している、こういうことになりますよ。違いますか。

富田副大臣 繰り返しになる部分があると思いますが、法案の共謀罪の構成要件は、団体の活動として行われる犯罪行為であり、かつ、犯罪行為を実行するための組織により行われる犯罪行為を遂行することを共謀することとなっております。

 ここで、団体とは、組織的犯罪処罰法第二条第一項において「共同の目的を有する多数人の継続的結合体」等と規定されており、団体の活動とは、同法第三条第一項において「団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。」と規定されている。これは、今先生御指摘いただきました。

 このような条文の規定からすると、「団体の活動として、」という要件を満たすためには、犯罪行為を行うことを共同の目的を有する団体として意思決定することが必要であり、そのためには、当該犯罪行為を行うことがその団体が有している共同の目的に沿うものであることが必要であるというふうに考えられます。

 言いかえますと、団体が有している共同の目的が犯罪行為を行うことと相入れないような正当な目的で活動している団体については、仮にたまたまその団体の幹部が相談して組織的に犯罪行為を行うことを決定したとしても、共同の目的を有する団体として意思決定したとは言えないため、「団体の活動として、」という要件を満たさず、共謀罪は成立しないというふうに考えられます。

枝野委員 同じことを繰り返して読まれても、今の説明になっていないんですよ。

 どうして、共同の目的に沿った意思決定じゃなきゃならないなんて書いてあるんですか。どこに書いてあるんですか。団体の意思決定は、共同の目的と、究極的には共同の目的のためかもしれないけれども、その共同の目的のための手段としていろいろなことを意思決定するんじゃないですか。違いますか。

 その中で、どこかで条文で絞ってあればいいんですよ、共同の目的に沿った団体の意思決定に基づく行為であってと書いてあれば、まだぎりぎり今の副大臣の説明は納得の余地があるかもしれない。しかし、そんなこと、条文のどこにも書いてないじゃないですか。

 団体の意思決定の中には、では、詐欺集団ではない株式会社が詐欺をやりましょうと取締役会で意思決定しても、それは団体の意思ではないんですね。いや、一般的な日本語としてですよ。

富田副大臣 ケース・バイ・ケースだと思います。

枝野委員 法律の条文は、限定的な例外がない場合、特別の定めがない限り、法律を通じて、違う法律であっても同じような意味で解釈すべきであるということは当然御存じですよね、副大臣。

富田副大臣 先生が言ったことをどこまで理解できたかわかりませんが、私が今聞いた限りではそのとおりだと思います。

枝野委員 したがって、先ほどの、その前の副大臣の御答弁は、株式会社が取締役会で意思決定したことであっても株式会社の意思決定にならない場合があるということをお認めになった。それで商法、会社法を解釈していいんですね。

富田副大臣 商法や会社法の解釈の場合の話をしているのではなくて、この法律の解釈をする場合に、今先生が御指摘のような場合であっても会社の意思決定にならない場合があり得るということを述べているだけです。

枝野委員 何でなんですかと聞いているんですよ。日本語をどう読んだって、団体の活動の定義の中には「団体の意思決定に基づく行為であって、」としか書いていないじゃないですか。いいですか。

 もっと丁寧に言いましょうか。団体の活動とは、いいですか、聞いてください、ちゃんと。いいですか。二条で団体の定義が書いてありますから、この括弧の中の「団体」を置きかえれば、団体の活動とは、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」の意思決定に基づく行為と書いてあるわけですよね。そこには、その共同の目的に沿った意思決定でなければならないだなんという限定は、日本語としてどうやって読めるんですか。

 「共同の目的」は「団体」にかかっているのであって、共同の目的を持っている人の集まりであれば団体です。その団体が意思決定をしたことが団体の活動です。その間のつながり、この「共同の目的」と「団体の意思決定」との間は、どの日本語でどうつながっているんですか。つながっていないじゃないですか。

富田副大臣 今、第二条を読んでいただきましたが、「この法律において「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われる」と書いてありますよね。「その目的」というのは「共同の目的」を当然指しますし、この共同の目的を継続的結合体の基盤にしているわけですよね。そういう意味では、共同の目的に沿うものでなければ、その目的を実現する行為にならないんじゃないの、逆にお尋ねするようになってしまって申しわけないんですが。条文を私が素直に読めば、そのとおりに読めますが。

枝野委員 ですから、その目的を実現する行為は確かにその「共同の目的」からつながっていていいですよ。だけれども、それは「団体」の定義にしかかかっていないじゃないですか、その団体がする意思決定についての縛りは日本語として何も書いていないじゃないですか。そうでしょう。ここに書いてある共同の目的を有するというのも、その目的を実現する行為というのも、全部「団体」にかかっているんですよ。

 「団体」というものを、すべてのいろいろな普通に言われている団体の中からこの法律における「団体」というのを限定するために、共同の目的とかその目的を実現する行為が組織的に反復ということが書いてあるのであって、それは「団体」の定義としてはそのとおりです。ところが、団体がこういう団体だからということについて幾ら制限がかかっていても、その団体がする意思決定というのはどうしてこの「団体」の定義によって制約されるんですか。

 団体がどういう意思決定をするのかということについて、いや、その団体の目的に沿った意思決定だけに対応するんですというんだったら、そのことを書けばいいんですよ。当該団体の目的に沿った意思決定についてというような趣旨のことを書くならば、先ほど来の副大臣の答弁は全部納得しますよ。しかし、その縛りが何にも書いていないから、普通に団体の意思決定といったら、目的に沿っていようが沿ってなかろうが、そうやって集まっている組織が集まって、その組織を使ってその組織に利益が属する形で物を進めましょうということを決めたら、それは団体の意思決定そのものじゃないですか。

富田副大臣 今、最後の部分はちょっとよく理解できないんですが、もともと先生がおっしゃっている、私が先ほど述べた条文解釈よりもっと明確にすべきだという点については、この委員会で御審議いただいているわけですから、より明快な手段があるのではないかという先生の御指摘はそのとおりだと思います。ただ、解釈としては、先ほど私が申し述べたようなのがこの条文の解釈になるというふうに法務省としては理解しています。

枝野委員 ですから、これは条文を変えなきゃいけない。少なくとも、あいまいなのは事実上お認めになっているわけですよ。いいですよ、法務省がそういう解釈をしてくださっているのは、これは悪いことじゃない。つまり、処罰の対象が無限に拡大しないために限定的に解釈をされている、運用をされているということについては、それは評価します。評価しますが、しかし、今の法務省や警察庁はそういう解釈をしているということだけであって、この条文を条文だけに基づいて解釈したら、先ほど来私が言っているとおり、団体の意思決定というものについては何の拘束もないんじゃないですか。

 副大臣に伺います。今の法務省の解釈は伺いません。この条文を、私が従来ずっと言ってきているとおり、この「団体の意思決定」には「共同の目的」はつながらないじゃないですか。つながらないという解釈をとったからといって、裁判で負けますか。

富田副大臣 今の枝野先生御指摘のような意見があることはもう十分承知しておりますけれども、私は法務副大臣の立場ですので、今の先生の質問に対して法務省としてしか答えられませんので、もうこれ以上の回答はできません。

枝野委員 ではまず、要するに、そういう解釈の余地もあるような法律はつくってあっても違憲無効だ。いいですよね。要するに、今の私の話は無視して、罪刑法定主義に反する法律、つまり、解釈が多義的で読む人によって解釈が分かれるような刑事法は違憲無効ですよね。

富田副大臣 もしそういう法律があれば違憲無効だと思いますが、決してこの法律がそういう法律になるとは思いませんし、先ほど来申し上げているように、先生の御指摘で、もっと明快に書けるではないかという御指摘があるのは承知しておりますので、それはもうこの委員会で御審議いただければと思います。

枝野委員 もう一つ。共謀罪の話が先ほど来、役所とかそれから普通の会社だったらとか、そういう話が出てきていますが、それとの関連で、この組織犯罪処罰法の「団体」というのは公然組織に限定されているんですか。

富田副大臣 限定されておりません。公然、非公然、両方入ります。

枝野委員 先ほど来のお話のとおり、ここに書いてある定義は、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」という定義を素直に読みますと、例えば前回以来ずっと出てきている役所の一部の組織、例えば、何とか課とか何とか署とかが組織ぐるみで裏金をつくりましょうだなんということを決めて、そして、従来その役所が持っている組織を利用して、その組織の指揮命令系統や反復性などを全部利用して、組織ぐるみ、つまり何とか署ぐるみとか何とか課ぐるみで反復、継続して多数人で行動をすれば、これは「団体」に当たりますよね。

塩崎委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

塩崎委員長 速記を起こしてください。

 富田副大臣。

富田副大臣 ちょっと今の御質問は、役所の中の一部の組織がそのような行為を行ったという前提でよろしいんですか、結果的に。

 一部ということを前提として御答弁させていただきますけれども、組織的犯罪処罰法におきまして、「団体」とは、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」をいいます。先生御指摘のような団体の中の部署がこれに当たるためには、その多数人の結合体がその所属する団体とは別個の独立した社会的存在としての実態を有するものであることが必要になるというふうに考えられます。

 御指摘のような団体の中の部署が団体とは別個の独立した社会的存在と認められるか否かは、個別具体的な事実関係、例えばその団体と部署との指揮命令関係、部署の位置づけや構成、その部署の活動によって当該部署や団体が享受する効果、利益などの事情を総合的に考慮し、社会通念に従って判断されるべきものであると考えられますが、現在の我が国の官庁や通常の会社の実態にかんがみますと、一般的には官庁や会社の中の一部署が団体と認められることは通常は考えがたいのではないかなというふうに思います。

枝野委員 正確に、もう一回お尋ねしますね。

 つまり、その前に私は、非公然組織も団体に当たりますねと確認しました。つまり、表向きは株式会社の何とか課、あるいは何とか省何とか局何とか課ということで活動をしています。ところが、その何とか課を構成する十人なら十人のメンバーが、課長をトップにして、この際だから税金かすめて裏金つくれるなということで、十人が共謀結託して、そしてその課長をトップにして、そして日ごろの日常業務のところで裏金を、これは横領になるんですかね、やって、裏金をつくっていきますということを反復継続して、しかも課長をトップに、ちょうどその省庁としての指揮命令系統と全く同じ指揮命令系統を使って、要するに裏金づくり集団が構造されていましたということは十分にあり得ます。

 民間企業でもあり得ます。何とか株式会社全体の中で、何とか営業所が営業所長を中心として、その営業所長がトップとなって反復継続して、その会社の業務を表向きかぶりながら、だけれどもそこで詐欺行為をばんばん営業所ぐるみでやっている、こういった場合は、会社や何とか省が団体とは言いません。その何とか課の課長をトップにしてつくられた非公然組織や、何とか営業所の所長をトップにしてつくられた非公然組織は団体に当たりますねと聞いているんです。

富田副大臣 先ほどの繰り返しになってしまいますけれども、個別具体的な事実関係、今先生は、指揮命令も全部そこで完結するんだというようにお話をされていますが、実際にその団体とその部署との指揮命令関係や、部署の位置づけ、構成、その部署の活動によって当該部署や団体が享受する効果、利益などの事情を総合的に判断した場合に、社会通念上独立した存在と認められるか否か、それはケース・バイ・ケースでやはり分かれてくると思いますけれども。

枝野委員 もちろん、個別の案件の該当性は個別に見なければできるわけないんですよ。だから、そういうことが当たり得ますよねという話なんですよ。当たり得ることは否定しませんよね。

富田副大臣 そういうふうに御質問していただければ、それは当たり得る可能性もあると思います。

枝野委員 そのときに、いわゆる犯罪集団でなければ、つまり正当な市民活動とか労働運動とか政治活動とかそういうことをきちっとやっている団体ならば、この法律には触れることはないですよと、ずっと御説明になり続けているんですよね。

 例えば、前回私がお尋ねをした選挙違反のケースですよ。選挙違反のケースで、候補者をトップとして選挙を応援する構造体というのができ上がるわけですね。これは一つの団体なんでしょう。

 それで、それ全体が選挙に当選するということが政治目的であれば、先ほどの話のとおりの限定した解釈をするためにちゃんと条文を変えれば、それはそこが選挙違反という違法行為を行うことを目的とした団体とはならないでしょうねという前回の説明は、この二条、三条、六条の二を修正すれば可能性があるということは認めましょう。すなわち、修正をした場合です。修正をした場合であっても、例えば選挙のときに選挙違反活動をするチームというのは別につくられたりするんじゃないんでしょうか。私は少なくとも買収とかやっていないから知りませんが。

 例えば、二十人なら二十人ぐらいのチームがあって、そこにはリーダーがいて、そのチームの中における指揮命令系統ははっきりしています、こういう話がありました。それで、このチームは基本的に選挙違反行為をやることのために存在をしているチームです。まさに、非公然でも構わないとおっしゃっていますよね。非公然で構わないし、大きな組織の中の一部分のある人の固まりでもあり得るということですよね。

 ということは、選対本部という全体としては、選挙に勝つとか政治目的とかという目的との関係で皆さんの解釈ならはじけるとしても、そういう部分のところについては、これは本罪に該当する余地があるということになりますね。

富田副大臣 前回以来の問題ですので、今先生が指摘された別働隊チームが団体というふうに認められるか否か、選挙をされている本来の団体と社会通念上別個独立のものというふうに認定できるか次第だと思います。

枝野委員 そうです、認定次第なんです。つまり、政治団体とか市民団体とかは犯罪集団じゃないからそういうところには適用ありませんよと御説明になってきたのは、全部個々の事案ごとの解釈、判定、認定次第によって、つまり、どこまで拡大するかというのはやってみないとわからないということを今副大臣がお認めになったんですね。ありがとうございます。その答弁を待っていたんです。(富田副大臣「違います」と呼ぶ)違いますか。だって、余地があるわけでしょう。

 つまり、反復継続性とか指揮命令関係とかそういう部分のところで、非公然組織でもオーケーなんですから、非公然な集団として十人とか二十人で反復継続して例えば組織的買収をやりますということで、継続的な組織で指揮命令関係があれば、そこは例えば公職選挙法違反についてでも共謀罪は成立する余地があるということではないんですか、先ほどの答弁は。

富田副大臣 先ほど私が答弁したのは、例えば専ら買収活動を行うことを請け負いこれにより収益を上げている団体があるとすれば、それは「団体の活動として、」と評価される場合があると思いますので、もともとの団体と別個独立として評価されるような場合であれば、それは当たる。

 ただ、その場合、先生がおっしゃっていた市民団体とか別の団体、その一部が、先ほど先生の御説明では特化した団体になっていると。その特化した団体の方が認定される可能性はありますけれども、もともとの団体の方は別に認定されるわけじゃありませんので、そこはちょっと解釈が違うんじゃないかと思います。

枝野委員 ここの論点はそこじゃないんですよ。つまり、先ほどのそれは、高山さんでしたか、平岡さんでしたか、要するにこの法律では、条約にある政治目的とか宗教目的とかという、そういう部分のところを外すという限定をかけていないんですよ。だから、市民団体とか政治団体とかというものの一部が、独立性を高めて、指揮命令系統がちゃんとあって、反復継続して違法行為を繰り返していたら、全体としてはあるいはその組織も、政治目的ととらえられるような組織であったとしても、この法律の対象に係り得る余地があるということじゃないでしょうか。違いますか。

富田副大臣 何が共同の目的かは、個別具体的な事案における事実認定の問題、継続的な結合体全体としての活動実態から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかについて社会通念に従って判断されますので、今先生の言う、こういう場合には必ずなるんだろうというふうにはならないと思います。

枝野委員 僕は、必ずなるんだろうと、済みません、言葉が滑って言っているかもしれませんが、少なくともそういうケースがあり得るんでしょうということを言っているんですよ。つまり、政治活動を目的としている団体であっても、あるいはグループであっても、チームであっても、反復継続性を持って主に選挙違反行為を行うようなチームについて言えば本罪に当たる可能性がありますねという、その可能性の余地を否定できないんじゃないんですかということを言っているわけです。

 もう一回、この間の話にもう一つ戻りましょう。

 先ほどのように、共同の目的に沿った団体の意思決定じゃなきゃいけないという条文改正を、修正を仮にしていただいたとしても、この共同の目的の目的のところがまさにまたあいまいなんですよね。例えば行使の目的とか、こういうときに使う目的という言葉よりもどうも幅広そうだなとは思うわけですけれども、前回私が挙げた例、つまり、政治団体、届け出なき政治団体、届け出がないのにお金を集めたり支出をしたりしている政治団体、これは政治資金規正法違反に当たりますし、しかもそれは長期五年の罪ですから、本罪、共謀罪の対象となる犯罪です。

 さて、この団体の目的というのは、あるいはこの団体が存在をしているのは、違法性の認識を犯罪の成立には必要としていないのを前回詰めましたから、つまり、本人たちは意識をしていないけれども、違法な政治資金の出し入れをするということのためにこの団体は存在しているんですよね。それが意図かどうか、彼らの意図ではない、違法な政治資金の出し入れをするということが意図ではないけれども、政治団体の届け出をしないまま資金の出し入れをすることを目的としているんですよね。

 逆に言いましょう。この共同の目的、今のような団体の場合、本来は届け出なければならない政治資金規正法上の届け出をしないで、寄附を受けたり、あるいは政治活動のための支出をしている団体の共同の目的の目的とは何でしょうか。

富田副大臣 ここに言う共同の目的とは、結合体の構成員が共通して有し、その達成または保持のために構成員が結合している目的、要するに、構成員の結合関係の基礎になるものを言うと解されます。

 そして、何が共同の目的かは個別具体的な事案における事実認定の問題ですが、それは、ある特定の活動やある特定の時期の活動だけで判断されるものではなく、継続的な結合体全体としての活動実態から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかについて社会通念に従って判断されるべきものというふうに解釈しております。

枝野委員 ですから、具体的に、政治団体の目的は、自分たちの政治的主張を、あるいは自分の支持する政治家を当選させる等の意図で政治資金を受け入れ、それを支出する、これが共同の目的ですよね。違いますか。

富田副大臣 いや、共同の目的は今御説明したとおりであって、それでどういうふうに認定されるかという問題だと思いますけれども。

枝野委員 犯罪行為を行うような目的でないから、普通の会社はその目的に沿った意思決定であれば本罪に当たらないと、ずっと繰り返しているわけですよね。その犯罪行為、共同の目的と相入れ得る犯罪行為の犯罪には違法性の認識は必要ないですよね。いいですよね。

富田副大臣 前回の委員会で同じ御質問がありまして、違法性の認識は要らないというのが判例の多数ですが、必要だとする判例もあるというふうに御答弁いたしました。

枝野委員 いいですか。この届け出を怠っている、届け出をすることすら気づいていないという人たちの集まり、政治団体は、届け出をしないままお金の出し入れをするという政治資金規正法違反、しかも共謀罪の対象となる政治資金規正法違反の行為を反復継続して行うことのために、まさに集まっているわけですよね。違法性の認識は必要ないんですから、犯罪の成立に。彼らが政治資金規正法なんか無視して勝手にやりましょうよということで集まったら、それはけしからぬやつらでしょう。だけれども、犯罪の成立には違法性の認識は必要ないんですから。

 集まってきた十人、二十人が、だれも政治資金規正法でお金の出し入れをするには政治団体の届け出が必要ですということに気がつかないで、気がつかないままお金を出し入れしている。そのために集まっているんだから、やはりこういう場合には、実はみんなで集まって、だれも気がつかないうちに、政治団体をつくって寄附を集めましょう、支出をしましょうとみんなで合意をして、そのときにだれも政治資金規正法に気がついていなかったら、その瞬間に共謀罪が成立する余地がありませんか。

富田副大臣 今、先生が例として挙げられたような、違法な献金を集めるためだけに集まった団体が、政治資金規正法に言う政治団体にそもそも当たるのかどうか、ここもちょっとよくわかりませんけれども、やはり共同の目的に当たるか否かは、先ほど来御説明しましたように、個別具体的に、総合的に判断して決するしかないというふうに思います。

枝野委員 先ほど来申し上げているとおり、違法性の認識は必要ないんですよ、犯罪の成立には。犯罪の成立には違法性の認識は必要ないんだから、その届け出義務違反という政治資金規正法違反の犯罪が成立するためには、政治団体をつくり、なおかつ、届け出のないままお金の出し入れをするという客観的な事実だけでいいんですよ。

 そして、まさに、その届け出をしないで集まっている政治団体の人たちは、そのことのために集まっているわけですよね。お金の出し入れをするために。寄附を集め、支出をするために。そこに、この共同の目的においては違法性の認識が必要だなんということは何にも書いていない。

 一般的に、犯罪には違法性の認識は必要ない。彼らが集まってきている目的は、お金の出し入れをすること、その前提として届け出をしていないという状態でお金の出し入れをすることが、意図ではないですが、まさにその行為のために集まってきている団体なんですから、当然成立する余地があるというお答えにならないと理屈が通らないと私は思うんですが。

富田副大臣 ちょっと先生に政治資金規正法の政治団体の講義をするつもりはありませんけれども、政治資金法の三条に政治団体の定義がありますが、「この法律において「政治団体」とは、次に掲げる団体をいう。」というふうに書いてあります。一として「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」、二として「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」、三として「前二号に掲げるもののほか、次に掲げる活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体」、イとして「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。」ロとして「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること。」というふうになっていますので、先生が言われる違法な献金を集めることだけを目的としている団体は、私は、そもそも、この政治資金規正法上の政治団体に当たらないんじゃないかというふうに思うんですが。

枝野委員 いやいや、これは副大臣がおっしゃったとおり、共同の目的に沿わないような違法行為をするような意思決定は団体の意思決定に当たらないと言っていますよね、先ほど来、そのずっと前段階の話として。今おっしゃられたとおりの政治団体の定義で、まさにその政治的な主義主張を実現するための手段として、それに相入れる目的として寄附を集めたり支出をしたりするということは、まさにその政治団体の共同の目的と相入れる活動ですよね。それはお認めになりますね。

富田副大臣 ケース・バイ・ケースだと思いますが、先生が言うように、なる場合もあると思います。

枝野委員 というか、なる場合が多くないと困るわけです。みんなお互い政治団体を持っていて、そのためにお金の出し入れをしているわけですから。

 それで、そのお金の出し入れが実はたまたま政治資金規正法に反しているんですよ、届け出をしていない団体だった場合は。違法性の認識は必要ないんですよ。政治的な主義主張を実現するためにその目的に沿ったお金の出し入れをするという活動をしているにすぎないんだけれども、それは犯罪に当たる、共謀罪の対象になる犯罪に当たるということが起こるわけですよね。そうですよね。

 つまり、政治団体がちゃんと届け出をした上で寄附を集めたり支出をしたりする。これは、まさに共同の目的である政治活動とそのための手段としてその共同の目的に沿ったお金の出し入れをする、それと全く同じ活動をしている団体だけれども、そのお金の出し入れという行動が届け出義務違反を行った場合にはまさに違法な行為になるわけです。しかも、共謀罪の対象になるんですよ。

 これを共謀罪の対象から外す理屈を説明してください。

富田副大臣 今先生御指摘のような事案の場合、団体の活動としてと言えるか否か、すなわち、犯罪行為を行うことが共同の目的に沿うか否かについては、先ほど何度もお話ししましたが、認定される共同の目的と実行する犯罪行為との関係、すなわち、先ほど述べたような観点から認定される共同の目的と実行する犯罪行為の具体的内容に照らし、前者が後者をどの程度内包しているか、後者が前者の達成に客観的に見てどの程度資するものであるかなどの事情を総合的に考慮し、やはり社会通念に従って客観的に判断されるべきものと考えられます。

 したがいまして、御指摘の団体につきましても、一般論として申し上げれば、継続的な結合体全体としての活動実態から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかという観点から認定される共同の目的と実行する犯罪行為との関係を踏まえ、社会通念に従って判断されるべきものと考えられます。

 そして、個別具体的な事実関係によりますが、当該団体全体の活動実態として政治活動を継続的に行っているという実態のある政治団体であれば、犯罪行為を行うことがその共同の目的に沿うと認められることは通常は考えられないのではないかと思います。

枝野委員 だけれども、政治団体の目的に沿った活動として寄附を集めたり支出をしたりというのは、まさに政治活動、政治団体の共同の目的に沿った行動ですよね。違いますか。

富田副大臣 何度も繰り返しになって申しわけないのですが、やはりそうかどうかも具体的な事実関係を総合的に判断して、社会通念に従って判断されると思いますけれども。

枝野委員 ちょっと無理がありますよ。だって、政治団体はお金の出し入れ、寄附を集めて、その寄附で集まったお金を支出していろいろな活動をするというのがまさに政治団体の活動、みんなの集まってきた目的に沿った行動じゃないですか。それはそのとおりじゃないですか。それは素直にお認めになった方がいいですよ。

 問題は、その全く同じ寄附を集めて、そして、集まったお金で支出をして政治活動を行うという活動であっても、届け出をちゃんとしていれば適法だけれども、届け出をしていなかったら、その同じ行動が違法行為になるわけです。なおかつ、犯罪の成立には、これは届け出なきゃいけないことなんだ、届け出をしなきゃいけないのに届けていないんだという違法性を認識していることは犯罪の成立に必要ないわけです。だれも届け出なきゃいけないんだと気がついていなかったとしても、この犯罪は処罰をされるのです。

 客観的な外形を見る限りでは、全く適法な政治団体としての活動と全く同じ活動をしている。したがって、まさに共同の目的に沿った団体そのものの活動として寄附を受け入れる。これは罪数関係はどうなるのか。寄附を受け入れるたびに犯罪が一罪成立するのか、包括一罪になるのか。いずれにしても、要するに、犯罪性がどんどん重なっていくわけですよね、寄附を受けるたびに。これが共謀罪の対象に形式的には今入ってしまうんです。おかしい。私もおかしいと思います。これが入ってしまうのはおかしい。困るんです。

 それをこの法律でどうやって排除できているのか。後で、答えは大体わかっているんですけれども、どういう答えになるんでしょう。

塩崎委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

塩崎委員長 速記を起こしてください。

 富田副大臣。

富田副大臣 どうもよく理解できなくて申しわけないんですが、共同の目的の問題ではなくて、枝野先生の認識は、要するに、政治資金規正法が無届けでお金を集めている行為を処罰の対象にすること自体がそもそもおかしいのではないかという認識で御質問されているのではないかというふうに私には理解できるんですが。

枝野委員 全然違うんですよ。

 いや、政治資金規正法がある以上は、それは、政治活動をやろうと思ったら、ちゃんと政治資金規正法を勉強して、寄附を集めようよというときには事前に届け出しましょうねと。このことは間違っていないと私は思います。

 しかし、これが共謀罪の対象になると、十人なら十人ぐらい集まって、まず最初に、政治団体を立ち上げましょうよ。政治団体を立ち上げるので、じゃ、まずは寄附集めのためにこういう文書をつくろうとか、こうやって名簿を持ってきて、同窓会の名簿を集めて郵便を出しましょうよとか、そういう役割分担もして、組織性が整いました。だれも政治資金規正法のことに気がついていないから、それで、寄附下さいねなんて言って案内を出しちゃいましたと。既遂になっちゃうんですよ、共謀罪が。これはやはり変じゃないですか、こういう話なんです。

 既遂にならない理由をちゃんとこの法律の条文から説明できますか。説明しがたいんじゃないですか。違法性の認識は犯罪の成立には必要ないんです。だから、これは犯罪なんだと知りながら、つまり、届け出をしないで寄附を集めちゃいけないんだということを知らない状態であったとしても政治資金規正法違反は成立をするんです。だから、だれも気がつかないところで金集めしよう、政治活動のために金集めしようということで意見が一致した瞬間に、だれもその中で政治資金規正法を知る人がいなければ共謀罪が成立しちゃうんですよ。おかしくありませんか。これを排除するための理屈がこの法律でつくれるんだったらそれを説明してくださいと申し上げているんです。

富田副大臣 どうも、委員の望まれるような答弁にならないと思いますが、何度聞いても、やはりそれは共同の目的に沿うかどうかでもケース・バイ・ケースだというふうにお答えせざるを得ないと思うんですけれども。

枝野委員 いや、共同の目的に沿うか沿わないかという話じゃないと思いますよ。共同の目的には沿うんですよ。だって、政治団体が政治資金を集めるというのは共同の目的にかなっているんですよ。

 ただ、同じように寄附を集めるという行為であっても、政治団体の届け出をしてあれば適法だけれども、届け出をしていない状態で寄附を集めたら政治資金規正法違反になるというその不作為に対して違法性が帯びるんですよ。それで、不作為を前提とした寄附を集めるという作為の行為で違法になるわけです。

 それで、その作為的な行為、つまり、寄附を集めるということについては、これは全く適法な団体もやっている同じ行動なんだから、まさに共同の目的に反するとかそういうことは説明のつけようがないわけです。もちろん、そういうケースもあるかもしれないけれども、一般的にはつけようがないわけです。

 だとすると、その前提となっている不作為についての共同の目的に反するからとか、そういう説明をしなきゃいけないんじゃないですか。大分ヒントを教えてあげちゃっているんですが。そうでしょう、これは不作為が犯罪なんです。不作為犯について、さあ、共謀罪の成立をどういうふうに、いや、不作為犯じゃないな、正確に言うと。済みません、検事さん、ごめんなさい。

 正確に言うと不作為犯じゃないんだけれども、まさに不作為があることが前提に立っているからある作為行為が違法になるわけで、不作為のことについては故意も目的もないんですよ、この場合の。こういう場合でも共謀罪が成立してしまうんじゃないですか、不作為的な部分についての共謀というのはどうするんですか、こういう論点なんです、これは。わかっていただけましたか。後ろの方はわかっていただけたのかなと思うんですけれども。

富田副大臣 届け出をしないという行為についての共謀というのはあり得ないと思うんですよね。

 もう一つ、先生の質問をずっと聞いていて、違法性の認識が要らないというふうな前提でずっとやってきましたけれども、行政犯については、違法性の認識がない場合は、そもそも故意もない。故意もないという判例はあるので、そうすると、やはり先ほど来、どういった状況で今先生御指摘のような事例が出てくるかは、ケース・バイ・ケースになっていくというふうに言わざるを得ないと思うんですけれども。

枝野委員 時計をとめていただいて、後ろと相談して、今の答弁、そのままでいいかどうか。違法性の認識がないと故意がないというのはまずいですよ。時計をとめて後ろと相談してもらった方がいいですよ。

富田副大臣 違法性の意識の可能性すらないときは故意がないというふうな判例もありますので。

枝野委員 そうですね。違法性の認識の可能性もないならば故意はないというのは、そういう学説も判例もあるし、私もそうだと思いますが、政治活動をしようという人たちは、やはり政治資金規正法で届け出なきゃいけないんだということを認識する違法性の認識の可能性は十分ある。でないと、この法律を置いていることの意味がほとんどなくなりますよね。

 つまり、前例がある、一度つぶした政治団体を新たにつくり直すとか、ほかのところで政治活動してきた人たちが新たに政治団体をつくるとかいうときにはいいかもしれないけれども、普通の市民の皆さんが、今度市議会議員選挙で市民の代表を出そうとかと政治団体をつくるときは、ある意味ではみんな素人だ。素人だから知らなくて当たり前だよね、違法性の認識の可能性もないといったら、この条文自体が余り意味がなくなってしまうと思いますし、これは犯罪が成立するかどうか。

 実際にはこの法律はほとんど取り締まっていないわけですよ、届け出義務違反というのは。だけれども、まさに取り締まり当局のやりようによっては、これが犯罪だと。こいつら、届け出をしていないのに、金集めしようぜということを集まって謀議をしたということで共謀罪が成立しますというような濫用の余地が出てきたときに、濫用する人たちが出てきたときに、さあ、これは適用になりませんよという、排除するための根拠になる足がかりがどこにもこの規定には見えないと私は思っています。

 当然、皆さんもお気づきになって、過失犯はこの場合は対象にならないよねということはおわかりになっているわけですけれども、本当に過失犯だけでいいんですか。つまり、共謀罪の対象にならないという犯罪は本当に過失犯だけでいいんですかということを、ちゃんと四年以上の懲役のある犯罪について全部チェックをかけないと、今みたいなわけのわからぬ話のところで共謀罪成立の余地が出てくるというのは相当恐ろしいんじゃないですかということを申し上げて、きょうの質問は終わります。

 以上です。

塩崎委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 法務省の刑事局長に伺っていきたいんですが、共謀罪の歴史をちょっと伺いたい。

 戦前、共謀罪はあったでしょうか。あるいは、現在共謀罪があるというのは聞いていますけれども、このように広範な共謀罪の創設を戦後検討したことはあったでしょうか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 現行刑法に規定のある内乱陰謀罪や外患陰謀罪、爆発物取締罰則の爆発物使用共謀罪は戦前から存在したものであり、戦後においても、競馬法等における公正を害すべき方法による競走の共謀罪等が新設されております。

 今回の法案により新設する共謀罪のような規定が戦前存在したということは承知しておりませんし、また、戦後そのような規定の新設が検討されたという話も承知しておりません。

保坂(展)委員 そうすると、現在、戦前から設けられていたものも含めて、共謀罪、予備罪などの刑罰が限定的にしか設けられていないわけですが、それはどんな理由からでしょうか。

大林政府参考人 我が国の刑事法におきましては、法益の侵害の危険性のある行為のうち、明文で未遂の処罰が規定されている場合に限って未遂犯として処罰することとし、また、特に規定がある場合には、予備罪、共謀罪等実行の着手前の行為をも処罰することとしています。これは、法益の保護という観点から見て、軽微な罪についてまで未遂罪、予備罪、共謀罪等を処罰する必要はないとの考えによるものと思われます。

保坂(展)委員 軽微な罪まで含める必要はないという理由で極めて限定して設けられていたということですが、条約をめぐる議論の中で、共謀罪は我が国の法体系と相入れないんだというふうに当初説明したと言われていますが、その理由もちょっと確認をしておきたいと思います。

大林政府参考人 条約交渉の初期の段階において、我が国が、すべての重大な犯罪の共謀及び準備行為を犯罪とすることは我が国の法的な原則と相入れないと発言したことは、委員の御指摘のとおりでございます。

 当時は、いまだ共謀罪の対象となる重大な犯罪の範囲が定まっていなかったことに加え、共謀罪について、現在の条約のように「組織的な犯罪集団が関与するもの」という要件を加えることも認められていませんでした。この発言は、このような状況下において、我が国では犯罪の実行の着手前の共謀等を広く一般的に処罰することとはしていない実情を踏まえ、あらゆる犯罪の共謀を一律に無条件で処罰することとするのは、我が国の刑事法制の原則的なあり方に反するおそれがあるとした上で、共謀罪について、「組織的な犯罪集団が関与するもの」に限定することなどの修正提案を行ったものです。そして、その後の交渉の結果、共謀の対象を長期四年以上の重大な犯罪に限定し、かつ「組織的な犯罪集団が関与するもの」という条件を付すことも可能とされました。

 今回新設する組織的な犯罪の共謀罪は、そのような条件として厳格な組織性の要件を付したものですから、これが条約交渉の過程における我が国の発言の趣旨に反するものではありません。

 このような組織性の要件を満たす犯罪は、計画性が強く、各自が任務を分担し、組織の指揮命令を利用して行われるため、実際に行われるおそれが高いということなどを勘案して、このような共謀罪をつくったものでございます。

保坂(展)委員 日本政府としての発言は大変妥当だったと思いますが、組織的犯罪集団に果たして限定するのかどうかというのは当委員会でもずっと議論になっていることと思います。ですから、そこはそういうことを限定しないでこの共謀罪を新設すると、かなり影響は大きいということは法務省自身も認識をしていたということだと思うのです。

 そこで、ちょっと細かく、現在の陰謀と予備について、これは基礎的なことですから局長に伺いたいんですけれども、未遂以外は殺人、強盗等の極めて重い罪について例外的に予備罪が設けられている。また、さらに重大な犯罪について陰謀を置いているというふうに理解をしているんですが、この陰謀と予備というのは、どこでどういうふうに線引きされる概念なんでしょうか。

大林政府参考人 一般的に申し上げれば、陰謀あるいは共謀というのは、ある犯罪を計画して実行しようということで、具体的に相談することでございます。予備というのは、その犯罪行為の着手前、着手したら当然未遂の問題が出てきますが、着手前の段階においてその準備をするといいますか、そういう行為でございます。例えばの話、殺人をしに行くという場合に、刃物を買いそろえるのはまだ、その前提ですぐ刺せば別ですけれども、例えば相手の家へ行って殺人を行うという場合は、まだ刃物を買っただけでは殺人の着手とはちょっと言えない。したがって、予備ということになろうと思います。

 今お尋ねの、予備と陰謀あるいは共謀との問題は、これはケースケースでございまして、予備が先にあって、それからもう少し具体的な共謀が成立する。あらかじめ買っておいて、それからだれかと相談して入るということで、相談して、予備行為をして、着手するというのが一般的な形態だと思いますけれども、それは必ずしも前後関係、いろいろなケースがあり得るかなというふうに考えております。

保坂(展)委員 そうすると、今伺っていると、予備罪の方は、準備行為といいましょうか、例えば包丁を買うとか何らかの準備行為があったということであって、陰謀とか共謀というのはその前の段階である、プランニングというか、こういう段階だというふうに今お聞きしましたけれども、さて、その陰謀と共謀というのはどう違うんですか。

大林政府参考人 法律を立てるときの、そのときの状況でそのような用語が使われているケースはありますけれども、私どもの理解としてはほぼ同じようなもので、犯罪の実行について相談をすること、このように理解しております。

保坂(展)委員 そうすると、共謀罪の成立が問題となる犯罪類型の中に、陰謀罪を処罰するものも含まれていると思うんですね。そうすると、例えば陰謀罪の共謀罪成立ということも概念としてあり得る、こういうことですか。

大林政府参考人 それは、両罪成立することはあると思います……(保坂(展)委員「あり得る」と呼ぶ)あり得ます。

保坂(展)委員 そうすると、例えば破壊活動防止法なども該当すると思うんですが、政治的な結社などで現に人が住んでいるところに放火をするとか、重大な被害、損害が予想できるような場合に陰謀罪が置かれている。その陰謀罪の共謀罪が成立する場合というのは、では、その陰謀をはかるからどこかに集まろうぜというのは共謀罪成立となるんですか。

大林政府参考人 観念的には、それは両方立ってもいいような感じがしますけれども、現実問題としては、例えば殺人をしようとかいう実行に対する共謀、本犯に対する共謀と重複するんですよね。だから、今おっしゃるように、一応、共謀罪という概念として観念的にはあると思いますが、実際上の問題としては、今のように、犯罪をしましょうという共謀をするというだけの話、それは本犯に対する共謀であって、今回の共謀罪は共謀罪で、これは独立的なものとして成立はすると思いますけれども、分ける実益というのがちょっとないような感じがしますが。

保坂(展)委員 陰謀と共謀はほぼ同一だとおっしゃいましたよね。ほぼ同一の犯罪が、陰謀罪の共謀罪というのが理論的には成立してしまうんですね。でも、そんなことを成立させるというのは非常におかしい、屋上屋を重ねるようなもので、ここだけでもやはり変えるべきじゃないですか。陰謀という概念、共謀罪をこれだけ広範に入れるんだったら、ここはしっかり整理するべきじゃないですか。何か整理しない根拠というのがあるんですか。

大林政府参考人 今現在つくられている陰謀罪、刑の高いものにつきましては、私の記憶ではほとんどが現行法の陰謀罪の方が刑が高いんです。ですから、刑としては、陰謀にとどまった場合は現行の重い方の陰謀罪が成立するものだというふうに私は理解しています。

保坂(展)委員 いや、だけれども、共謀罪というのは独立してあるわけで、陰謀罪という構成要件をいわばクリアする、まさに共謀するということにおいて成立するわけでしょう。そうすると、ちょっと今の答弁はおかしくならないですか。

大林政府参考人 先ほど申し上げたように、それは、従来の陰謀になるものがありますね、陰謀罪は成立します。今回、その陰謀罪が四年以上の場合は、それに対する共謀罪も観念的には成立すると思います。

 ただ、従来の四年以上の陰謀罪というのは非常に数が少ないです。私の感じだと、もう既に今の陰謀罪自体が成立したら、もうそれはそれとして評価されるものであろうというふうに考えているわけでございます。

保坂(展)委員 ここはやはり、他の議員からも指摘されていますけれども、共謀罪、これだけ広範にかけることは反対なんですが、少なくとも概念上きっちり整理をしておくべきだというふうに申し上げたいと思います。

 次に、ちょっと角度を変えてやりたいと思うんですが、私がずっとこだわってきたのは、共謀共同正犯の際のこの共謀という言葉の意味内容が、結果として強盗であるとか窃盗であるとか、こういった犯罪が成立をしているという歴然たる結果があって、ではどうだったのかというふうにさかのぼって、その共謀行為があったかどうか、これが争いになるわけでございますね。

 ところが、今回の共謀罪の共謀は、結果がないわけですね。要するに、結果を至らしめない前にいわば逮捕するなりしてしまうということですから。そうすると、では、結果がまだない共謀の中身についてどのように罰していくか、どのように処罰していくかというのがかなり気になるわけなんです。

 例えば、若者グループが、すりやかっぱらいなんかをやってきた、そういったグループだったとします。その三人なら三人が、あの家に押し入ろうというふうに思った。そして、押し入るわけですから、何か工具みたいなもの、バールとかスパナみたいなものを持って、あるいはのこぎりとかそういうものを持って集まるという合意というのがあった場合、成立するわけですよね。何の共謀罪で成立するんですか、この場合は。

大林政府参考人 それは、まさに事実関係と収集された証拠によるものだというふうに思います。それはケース・バイ・ケースとしか言いようがありません。

 ただ、委員御懸念のとおり、結果が出ていないだけに、後から見て推しはかれるかという御懸念はあろうかと思います。共謀罪を仮に捜査する場合は、それはやはりいろいろな問題があると思います。前にも御審議いただいたように、例えば共犯者の供述が本当に信頼できるのかどうか、そういう前の段階でですね。そういう信用性の吟味というのが非常に大事だと思います。

 ただ、事案によっては、計画的なものは例えば文書で残っていたり、それから、彼らが、今言う共謀の範囲の一つの準備行為的なもので、具体的な、その犯罪しか使えないようなものを準備するようなこともあり得ますので、それはケースケースによっては共謀罪が証拠上立つ場合もあるかもしれませんし、なかなか実際上難しいという場合もあろうかと思います。

保坂(展)委員 こういった共謀がなくて、三人が瞬間的に家に押し入る。しかし、物理的に、コンクリートの高い塀があったり監視カメラがあったりしてあきらめた、引き返した、こういう場合は特に犯罪は成立していないかと思うんですが、今度は入った。入ったら、その家はもぬけの殻というか、引っ越した後でだれもいなくて、もちろんとるものもなかったという場合もあろうかと。それで、今度は家人がいた。家人がだれかいるというので逃げたという場合もあるだろうし、その家の人をおどして金品を奪ったと、いろいろ分かれていくわけですね、実際に結果は招いていないわけですから。

 そうすると、えてして共謀の中身が、結果の重い方に、例えば準備行為などの、バールでもしかすると強盗だったのかというところで認定されていくという心配はないでしょうか。

大林政府参考人 それは証拠次第、まさにそういう感じだと思います。

 問題となるのは、例えばA、B、Cがいた、Aは私は盗みのつもりでした、Bは強盗のつもりでしたという形で、罪名が供述によっては違う場合、それは相手が否認している場合もあるでしょうし、本当の認識がそういう場合もあろうかと思います。それは、その時点における、仮に共謀罪を立てるとすれば、そういうものを踏まえて慎重な捜査がなされるものだというふうに思っております。

保坂(展)委員 例えば、大学生のテニスをやっている男子学生が、女子学生何人かあるいは一人を、合コンだということでカラオケボックスか何かに招こう、そして度の強いアルコールを飲ませて、よからぬことを考えた人間がいるかもしれない。それに気がつかなかったメンバーもいるかもしれない。こういうことというのはかなり日常的に、犯罪に至らない手前の内容のいわば会話であるとかいうことは、若い世代の中で相当物すごく珍しいということではないように思います。

 共謀罪が成立した場合、ごめんなさい、ちょっと予告はその点はないんですが、例えば二十歳代の子供を持つ親はどんな点に注意したらいいですかね。というのは、こういうことなんです。

 私は子供の問題をずっとやってきて、いじめのグループなんかは、全員がいじめているグループというわけじゃないんですね。要するに、威迫されていじめられたやつが、金を持ってこいなんて言われたやつが見張りをやっていたりとかする場合もあるわけです。そして、パシリと言われたり、若者の中でも力関係があって、非常に性格が弱くて拒否できないタイプの男の子がグループの中にいるという場合もあるわけです。

 それで、グループの中で、例えば強姦の共謀とか恐ろしい内容の、犯罪に発展しかねない共謀の端緒が出てきたときに、やはり気が弱いから嫌だと言えない、あるいは僕帰りますとなかなか言えない、何となくうんとうなずいたり、黙って下を向いていたということでも、これは共謀罪のそのグループの一員というふうに認定されてしまう心配があるんじゃないかと、親として心配になるということも、今はないですけれども、この法律がありませんから。しかし、実際に施行されていったら、そういう場面というのは出てくるんじゃないでしょうか。どういう点に親は注意したらいいですか。

大林政府参考人 今度の共謀罪の関係で申し上げますと、いわゆる「団体の活動として、」という要件がございます。今おっしゃられた事案は、よほど凶悪化したグループでなければ、同じ犯行を繰り返していなければ、なかなか団体の活動としては言えないというふうに思います。

 今委員が御指摘なのは、例えばお子さんの場合ですけれども、なかなかちょっと、そういう事案では想定しがたいと思いますけれども、それを引き直して、例えば暴力団の場合でも気の弱い人もいるかもしれません。そういう意味においては、ある面、同じ社会、団体の中ではそういう問題は生じてくるのかなと。ですから、それは共謀が成立する以上は、あとは量刑の問題、処遇の問題ではないかというふうな感じがいたします。

保坂(展)委員 大学生でも、大規模なパーティーだ、コンパだということで、繰り返しいわば大変な事件を起こして、まさに世間を驚かせた事件もありましたよね。だから、大学生だからということで、別にそういう例がないわけじゃないので、そういう共謀の場にいて、同意も心の中でしない、あるいはうんとも言わなかった。しかし、どうだというか、目が合ったから、怖いからちょっと首を下げたという程度の若者も、行為としての、例えば強姦事件などがあれば、見張りをしていたにしても、その共謀の一員ということになってしまうわけですよね、今回の。どうですか。

大林政府参考人 共謀罪が成立するかどうかという問題になりますと、またいろいろな要件がありますけれども、共謀ということであれば、それは見張り的なものであっても、幇助犯になる場合もあるでしょうし、正犯になる場合もあるでしょうしということだと思います。

保坂(展)委員 そうすると、法律をよく読み込んで、この法務委員会の議論なんかを聞いていた場合はどうですか。そういう場合、あなた、自首しなさい、その場合は大丈夫だよというふうにある人がアドバイスするかもしれないですね。

 だけれども、若者というのは大体、地域で、学校で集団をつくりますよね。中には悪いやつもいるわけですよ。ちょっぴり、年齢的にも元気ですから、ぎりぎりすれすれのことをやる者もいるという中で、では、自首しますということが若者の集団の中でどういうふうになっちゃうのかというところは、チクリだということでもう大変な危機に陥るわけですね。それによって命を奪われた、少年犯罪なんか見ていくと、あります。

 これはどうですか。どう考えたらいいんですか。そういう共謀に当たりそうな、あるいは自分が疑われそうなときになったら自首しろと親は言うべきですか。

大林政府参考人 なかなかお答えしにくい設例かなと。それはもう本当にケース・バイ・ケースでございます。共謀罪の成立は別としても、犯罪の場合に自首すれば、それだけの刑の減軽がされる場合もあります。何も必要的な減軽でない、情状として評価される場合もあります。ですから、一般論として申し上げれば、確かに委員がおっしゃるような場合もあり得るかなというふうな感じはいたしますけれども。

保坂(展)委員 つまり、人間に印がついていないですね、犯罪をやっていますという。ですから、にこやかに近づいてきた若者が、果たして一般的な、つまり法を逸脱しない範囲の活動をしているかどうかというのはわからないわけですね。ですから、非常に身近な問題になってくるのかなと。

 それで、この共謀罪ということが、もともとの提案の趣旨は、組織犯罪対策で国際的な、越境的なということですから、ややというか、うんと広がり過ぎたなという印象を私は持ちます。

 そして、その際、立証する際にどうしても供述中心になりますね、これ。そうすると、ただでさえ自白偏重だと言われている、司法制度改革の中でもそういう議論があった、このことと逆行することになりませんか。

大林政府参考人 今委員も御指摘になったように、今度の共謀罪というのは、重大な犯罪について未然に防止しようということが目的でございます。

 先ほど私申し上げたとおり、前の段階であれば前の段階であるほど、それは確かに結果が生じていませんから、どのような共謀であったかという吟味というのは慎重になされるべきだと思います。ですから、それは供述が、仮にAという者がBとやりましたと言ったところで、それはやはり客観的な状況、彼らの組織性とか今までの行動とかもろもろ、あるいは利益の分配の仕方とかそういうものを総合して決められるものであって、安易に認定される、ある者の自白があったから共謀罪がみんなについて成立するというものではないというふうに思います。

保坂(展)委員 先ほど来の議論をちょっと私もしたいんですけれども、共同の目的というところが一つの論争点になっているわけですね。共同の目的というのが、やはり犯罪を実現する共同の目的というふうにこの法律を解していくのか、それとも、共同の目的というのはもう少し広いですよということなのか、この点についてもう一度確認を求めたいのですが、どうでしょう。

大林政府参考人 組織的犯罪処罰法第二条第一項は、団体を「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」と定義しております。これは、社会に存在する多種多様な人の集まりの中から、まずはある程度人の結びつきが強く、かつ、組織性の高いものを選別するためであり、この定義における共同の目的は違法な目的に限られるわけではない、このように考えております。

 しかしながら、この定義に該当する団体のすべてに関して共謀罪が成立するわけではありません。すなわち、単に団体に当たるだけではなく、さらに団体の活動として犯罪行為を行うという要件を満たす必要がありますから、団体が有している共同の目的が、犯罪行為を行うことと相入れないような正当な目的で活動している団体については、「団体の活動として、」という要件を満たさない、このように考えております。

保坂(展)委員 富田副大臣、いいですか。

 会社、営利を実現する会社、これは共同の目的に入りますかね。

富田副大臣 共同の目的には入ります。団体の定義ですね。入ります。

保坂(展)委員 そうすると、政治団体、市議会議員選挙、当選させようという政治団体も入りますね。

富田副大臣 入ります。

保坂(展)委員 では、刑事局長に伺いたいんですが、これまでの議論の中でずっと、どうも、共同の目的というのは、犯罪を実行する、犯罪を遂行するということにかかって共同の目的だと言われていたように思うんですね。

 前回、私、出しましたけれども、この組織的犯罪対策関連三法の逐条解説の方に、「その目的自体が必ずしも違法・不当なものであることを要しないのであり、例えば、会社が対外的な営利活動により利益を得ることなども、「共同の目的」に当たり得る。」というふうに書かれているわけですね。そこから考えると、今の政治団体も同様だと言えますか。

大林政府参考人 御指摘の解説の記載については、第二条第一項の団体自体の定義における共同の目的の例として挙げられておりまして、そこでは、共同の目的は特に犯罪目的に限られるわけではないという趣旨であると理解しております。

 他方、今御指摘のように、この記述が、対外的な営利活動により利益を得ることを共同の目的とする団体のすべてが無条件に第三条の「団体の活動として、」の要件に当たり得るかのような誤解を招く表現であるという御批判もあるかというふうに思います。

 これまで申し上げてきた、犯罪行為を行うことが共同の目的に沿うと言えなければ「団体の活動として、」という要件を満たさないという解釈は、法務省として、条文の構造や文言、組織的犯罪処罰法第三条第一項の加重処罰規定の適用事例における事実認定等を踏まえ、十分な検討を経てお示ししたものでございます。

保坂(展)委員 何か批判があるみたいなことをおっしゃっていましたけれども、これは法曹会というところの逐条解説なんで、捜査の現場とか、まさにこれを手本にしてやってないんですか。これは一私人の出した本なんですか。違うでしょう。

大林政府参考人 御指摘の解説は、立案当時に議論のあった点などについて、担当者個人の見解または説明を記述したものであり、もとより法務省としての確定的な見解を示したものではございません。私が今申し上げたとおり、これまで御答弁しているとおりの解釈が法務省としての解釈でございます。

保坂(展)委員 ちょっとまずいんじゃないですか、これじゃ。これは回収しないと。だって、これは捜査の現場で使われているよ。だって、財団法人法曹会、「組織的犯罪対策関連三法の解説」、これでどういうふうに立件するかどうかを決めるんじゃないですか、捜査機関は。これは一法務省の職員が見解をあらわしたものなんという答弁をするんだったら、回収するべきですよ。おかしいじゃないですか、これ。我々もこれを読んで実態の捜査がどうなるのかと議論しているわけですから、そんな答弁、おかしいよ。

大林政府参考人 今の、非常に厚い本でございます、それについていろいろな解釈の仕方を示しておることは事実であり、実務としてもそれは、運用されている中で参考とされていることは事実でございます。

 ただ、私が今申し上げたとおり、対外的な営利活動による利益を得ることを共同の目的とする団体のすべてが無条件にと、読み方によってはそのようなとられ方をする可能性があるという点においては、いかがかなというふうに思っております。

保坂(展)委員 この著者の三浦守さんというのはよくお目にかかる方のように思うんですが、どういう方ですか。

大林政府参考人 現在、法務省の大臣官房審議官をやっております。

保坂(展)委員 そうすると、この方は、私も五、六年前に、第一期の組織犯罪対策三法のいわば、当時与党でしたから与党内協議、そしてまた野党になってからも議論をさせていただいた中心メンバーだったと思いますし、また、条約の議論の中でも日本政府を代表して何度か行かれていますよね。ということは、つまり、今回政府が提案している法律の大きな柱をなしている方じゃないですか、どうですか。

大林政府参考人 今でも立法について大きな役割を果たしております。

 私が申し上げたいのは、組織的犯罪処罰法ができた当初においてそれぞれの解釈を示さなきゃならない。解釈というのは、やはりそれは、弁解するわけではございませんけれども、その当時の状況、社会状況の問題もございます。それから、いろいろな事項についてこれは一つの議論の対象となったというところでこのような記載がなされている。私も本人に確認をしておりますけれども、そしてまた、今回の答弁書作成においても審議官がタッチしております。審議官自体がいささか表現が誤解を招く表現だったと、彼自身が認めているところでございます。

保坂(展)委員 南野大臣、これは大事な場面です、これはもうぎりぎり特別国会最後の場面で。これはこのままじゃだめなんですよ。これはもう現に生きている法律として、この法律によって捜査され、また起訴されて、現在服役中の者もいるわけですね。まさに共謀罪は、この組織犯罪対策関連三法の改正案として出てきているわけです。

 だとすれば、今大林局長が言うように、本人も認めている、やや誤解を招くというか、ややじゃなくてうんと誤解を招くんですよ、今の答弁趣旨からいえば。そういうものが流通していて、それが違う、誤解がある部分があると。放置していいんですか、これ。きちっと私たちの前で見解を統一してしっかり示していただきたい。そうじゃないと、きょうもあしたもまた捜査もある、事件もある、困るじゃないですか、これは。今まさに治安を預かる大臣として、しっかり見解を示してくださいよ。きちっとこれは事情をただしてくださいよ。

南野国務大臣 今いろいろな意見が食い違うような討議がございますが、私としては書物を読んでおりませんので、その事実がどうかということについてはちょっと申し上げられませんけれども、誤解を招くのかどうか承知いたしておりませんが、検討してみたいというふうに思っております。

保坂(展)委員 ちょっと委員長、これを今大臣に見せていいですか、読んでいないというので。二行だけなんですが、見せていいですか。

塩崎委員長 どうぞ。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

塩崎委員長 速記を起こしてください。

 南野法務大臣。

南野国務大臣 今、確かに見せていただきました。御指摘の解説の記載につきましては、先ほど申し上げましたように、第二条第一項の団体自体の定義における共同の目的の例として挙げられており、そこで共同の目的は特に犯罪目的に限られるわけではないという趣旨であると理解しておりますが、これから少し検討してみたいというふうに思っております。

保坂(展)委員 検討じゃなくて、これは人の運命がかかっていることなんです、刑罰法規というのは。非常に重いです、この刑罰は。

 ですから、今大臣官房審議官ですね、審議官がお書きになって、そして刑事局長が言って、これは誤解を招くかなと、そして本人も認めていると言っているわけですから、早急に処理してください。これはもうまさに逐条解説書として出回っているわけですから、困ります。しっかり責任持って対処してください。

南野国務大臣 適切に処理してまいりたいと思っております。

保坂(展)委員 大林局長、この問題、これは我々、こういうものが出れば、前提としてこれを読み、そしてまた議論をしていくわけで、まさにこれは土台となった法律です。国会における答弁は必ずしもこのようなことはなかったわけですね、当時。ですから、これは非常に重大な問題だと思いますので、法務省内でもしっかり、大臣もそうおっしゃっていますので、やっていただきたい。

 一言、答弁を求めます。

大林政府参考人 解釈というのは、先ほど申し上げたとおり、それは時代時代で変わる部分もあります。設立当初の問題と、その後の犯罪情勢に従ってそれは当然、最高裁の判例だって当然変わります。ですから、先ほど申しましたように、私どもで今回の法案については検討いたしました。それで、条文の構造、文言、それから先ほどの組織的犯罪処罰法第三条一項の加重処罰規定の適用事例における事実認定等、これは裁判所の、もう裁判をやってきているわけですから、それを踏まえた上での結論としてお示ししたところでございます。

保坂(展)委員 大臣、こういう答弁が出ているわけですから、組織的犯罪対策三法の前提となる部分、何が団体で何が組織なのかと、抜本的な修正を求めます。いかがですか。

南野国務大臣 しっかりと整理してまいりたいと思っております。

保坂(展)委員 時間になりましたので終わります。

塩崎委員長 次回は、来る十一月一日火曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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