衆議院

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第7号 平成19年3月20日(火曜日)

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平成十九年三月二十日(火曜日)

    午後二時三十八分開議

 出席委員

   委員長 七条  明君

   理事 上川 陽子君 理事 倉田 雅年君

   理事 武田 良太君 理事 棚橋 泰文君

   理事 早川 忠孝君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      今村 雅弘君    近江屋信広君

      奥野 信亮君    後藤田正純君

      笹川  堯君    清水鴻一郎君

      柴山 昌彦君    杉浦 正健君

      原田 憲治君    三ッ林隆志君

      武藤 容治君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君    保岡 興治君

      柳本 卓治君    山口 俊一君

      石関 貴史君    大串 博志君

      河村たかし君    中井  洽君

      横山 北斗君    神崎 武法君

      保坂 展人君    滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         長勢 甚遠君

   法務副大臣        水野 賢一君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   最高裁判所事務総局人事局長            大谷 直人君

   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 明裕君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 門山 泰明君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    梶木  壽君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           立岡 恒良君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十日

 辞任         補欠選任

  武藤 容治君     原田 憲治君

同日

 辞任         補欠選任

  原田 憲治君     武藤 容治君

    ―――――――――――――

三月十九日

 戸籍法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 戸籍法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

七条委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りをいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長鈴木明裕君、警察庁刑事局長縄田修君、法務省刑事局長小津博司君、法務省矯正局長梶木壽君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、経済産業省大臣官房審議官立岡恒良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局大谷人事局長及び小川刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしです。

 まず、法務大臣、第一問。

 名古屋の刑務所で起きました、もう何年になりますか、四年ほどになりますかね、この法務委員会で、自民党を初め共産党まで全党の委員が……(発言する者あり)民主党もです、私もです、刑務官が暴行したと一方的に、当事者に何のヒアリングもせずに言った事件が、三月三十日に判決を迎えます。

 判決は、何か十時から五時までが判決文の朗読らしいんですが、私は、これは、かねがね言っておりますように、事故であって、いわゆる故意の犯罪ではない、事故を隠した法務省のとんでもない陰謀だ、刑務官、現場の人間を、資質に問題があるなんというとんでもないことを言った、人権侵害どころか職権濫用罪にもなるというとんでもない事件だということで、四年間ほとんどの法廷に出てまいりまして、弁護士と協力して、私も弁護士の助手としまして、真相を明かすために努力をしてきました。

 判決が出ますので、それを受けて、法務大臣におかれましては、真相解明にきちっと努力すると。過去ここに報告されたことと全く違う判決が出ると私は思います。それは、皆さんが法務委員会で言ったことと全く違いますので、それは推測ですが、きちっと真相の解明に向けて、新たにこちらに真相解明のための報告をする、こういうふうにひとつ言ってください。

長勢国務大臣 先生がこの問題に大変長い間御苦労いただいていることは承知をいたしておりますが、判決がこれからでございますので、今からそれを予見したことを申し上げることは差し控えさせていただきますが、判決に沿って対応すべきものはしていきたいと思います。

河村(た)委員 では、委員長、これは平岡さんにも言ってありますので、それを受けて、委員会でやったことですので、理事会で協議されて結構でございますけれども、私としては、ぜひ集中審議を、本当は予算委員会も集中をやりましたから、そういうものを踏まえて、委員会としても、国民の皆さんに真相解明に向かって、ないし、本当に無実が出た場合は、刑務官の名誉回復等に向けて真摯な態度をお願いしたいということでお取り計らいいただけますか。

七条委員長 後日、理事会によって審査いたします。

河村(た)委員 それでは、きょうは皆さんのところに週刊朝日の「裁判官の裏口任官、天下りを告発!」この記事につきまして、一番最後のところに私のコメントがちょっと出ております、「司法試験に九度落ちたことを公言している河村たかし衆院議員は、こう話す。」ということで。私は仕事をしながらですから、別に弁解するつもりはありませんが。私は商学部の出身でございまして、夜学でございまして、仕事をしながら、家族もおった。これは経歴詐称ではありませんが、択一は四回受かっております。いろいろ環境もありましてこうなったんですが、このことについて質問したいと思います。

 まず、裁判官というのは、裁判を受ける権利というのが憲法にありますね、これはだれに聞こうかな、やはり最高裁ですか、ですから、当然公正な手続で選ばれた人でないといかぬですよね。

大谷最高裁判所長官代理者 委員のおっしゃるとおりであると思います。

河村(た)委員 二十年ほど前にここでも質問が実はあるんですよね、社会党の方ですけれども。

 端的に言いますと、後で一つずつ聞いていきますけれども、結論を先に言った方がわかりやすいので、要は、簡易裁判所の裁判官になる方が、ある特定の、いわゆる偉い様です、書記官の上の人たち、この人たちは、まあ言ってみれば内々の、八百長的といいますか、そうでないなら、はっきり否定してくださいよ、調査してから。その人たちだけは、まず、筆記試験なし、それから口頭試験も問題を事前に教えていただいて一〇〇%合格している。そのほかの書記官では、我こそはと思う人は、このパーセントを聞きますけれども、三割ですか、試験を受ける人はそのくらいしか受からない。とんでもないことが行われていた。それのちょこっとさわりの部分を、二十年前ですか、この委員会でも質問があったんだけれども、まだ直されていない。

 簡裁の裁判官も当然逮捕状を発付できますね。そういう人に逮捕状を発付される国民はとてもじゃないですよ、委員長。

 ですから、まず一つ、簡裁の裁判官はどうやって選任されるのか、一般的に。

大谷最高裁判所長官代理者 それでは、少し一般的にまず御説明したいと思います。

 裁判所法四十五条に規定する簡裁判事の選考採用手続ということでございますが、この選考は、最高裁判所に設置された簡易裁判所判事選考委員会によって行われることとなっております。

 第一次選考として論文式の筆記試験、第二次選考として口述の方法による法律試問と一般試問、この結果を総合して選考の適否を判定することとされております。

 その対象となる者が二種類ございまして、一つは、各地方裁判所に設置された簡易裁判所判事推薦委員会から推薦を受けた者であり、これらの者は今申し上げました第一次選考から受験することとなっております。そのほかに、簡易裁判所判事選考規則五条二項によりまして、簡易裁判所判事選考委員会は、推薦委員会から推薦を受けた者以外の候補者を選考することができるということとされておりまして、これに基づきまして、選考委員会の決定により選考に加えられることとなった者は第二次選考から受験する、こういうことになっております。

河村(た)委員 では、今の二種類の方がみえることはわかりましたね、一次から、筆記試験から受ける人と、二次、口頭だけでいい人。合格率は何%ですか。

大谷最高裁判所長官代理者 平成十八年度で申しますと、第一次選考が免除された者の受験者数それから合格者数は十人ということでございます。(河村(た)委員「何%ですか」と呼ぶ)合格率は一〇〇%ということになります。

 また、推薦組、これは先ほど申し上げました第一番目のルートということになりますが、この受験者数は百十八人、合格者数は三十三人であり、合格率は、先ほど委員も御指摘になりましたが、三〇%弱となっております。

河村(た)委員 これは十八年度ですが、それでは、二次のものは一〇〇%合格されておりますが、過去五年ぐらいさかのぼってどうですか。

大谷最高裁判所長官代理者 平成十五年から十六年、十七年、三年ということで今手元に資料がございますが、これらの年度についても合格率は一〇〇%でございます。

河村(た)委員 ちょっと聞いておいてちょうだいよ。一〇〇%受かる試験というのはどういうことですか。こういうのを八百長というんじゃないかな。

 では、今言った口頭試問だけでいい人、筆記試験を免除される人はどういう人なんですか。どういう基準があるんですか。どういうルールがあるんですか。

大谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所職員の中には、長年経験を積んで、その法律知識、実務能力がその執務を通じて実証されており、人物、識見においても簡裁判事としてふさわしい人材がいるところでございまして、そういった者につきましては、口頭による法律試問をもって簡裁判事として必要とされる基本的な法律知識を確認するとともに、一般試問を行って、最終的に簡裁判事としての適格性を審査して選考するという制度になっているわけです。このことは、外部の学識経験者にも加わっていただいた簡裁判事選考委員会でも従来から認められているところでございます。

河村(た)委員 経験があるとかなんとか言っていますけれども、きちっとした通達の条文を読んでください、どういう人か。

大谷最高裁判所長官代理者 最高裁の人事局長通達によりますと、第一次選考合格者、これは先ほど申し上げましたが、及び選考委員会が相当と認める者が第二次選考を受験することができるということになっております。

河村(た)委員 相当と認める人は一次の筆記試験が免除になるわけですよ。

 ところで、きょう、人事院、おりますね。人事院さんに聞きますけれども、一般職の国家公務員の採用において、相当と認める人間の筆記試験を免除する、そういうものはありますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 簡易裁判所の判事さんの選考方法につきましては、最高裁判所において定められているところでございまして、人事院としてその内容を正確に承知しておりませんので、人事院が人事院規則に基づいて行っております国家公務員の採用試験と比較するということが適当かどうかについては、私どもとしてはやや判断しかねるところもございますけれども、人事院が実施しております国家公務員の1種とか2種など、十四種ございますけれども、十四種の国家公務員の採用試験につきましては、おっしゃるような筆記試験の免除を行っている試験はございません。

河村(た)委員 ありませんよ、人事院の場合は。最高裁は、何ですか、これは。実際、現実的に、相当と認める人はどういう人が多いんですか、一〇〇%受かっておる人は。長年勤めておる人か、位が上の人なのか、顔がいい人なのか、何ですか、この相当と認める人というのは。どういう人が多いんですか。

大谷最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の判事選考委員会が相当と認める者として第二次選考からの受験を認めるか否かというのは、これは、長年の執務を通じて実証された法律知識、実務能力、人格、人物の識見等を総合的に勘案して判断するということでございます。年齢やポストについて形式的な基準で決めているわけではございません。

河村(た)委員 現実を言いなさいよ、現実を。

 それでは、最高裁の、裁判所事務局長ですか、それから、これは最高裁かどうか知りませんが、首席書記官とか次席書記官とかそういう方、上の方がみんな通っておるんじゃないですか、実際の話。長いことやった、末端と言っては御無礼だけれども、本当に勤め上げて上の方に行かなかった人たち、こういう人たちはこれに入っていますか。

大谷最高裁判所長官代理者 最近の例で申しますと、最高裁の首席書記官あるいは高等裁判所の首席書記官、高等裁判所の事務局次長などでございます。最高裁の勤務の者だけに限られるわけではございません。

河村(た)委員 最高裁に限られるわけではないけれども、要するに位の高い人がみんな筆記試験を免除されておるんじゃないですか、少なくとも。十分条件かどうか知らぬけれども、その中が全部とは言えないけれども、筆記試験を免除された人は、いわゆる位の高い偉い様が免除されておるんじゃないの。

大谷最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたけれども、偉いかどうかということで決めているのではないということでございます。繰り返しますけれども、長年の執務を通じて実証された法律知識、実務能力、人格、識見等が高いと認められ、簡裁判事にふさわしい、そういう資質があるかどうかというところが実質的な判断基準だということでございます。

河村(た)委員 そんなことより、実際の話はどうなっているのよ。実際に受かった人たち、筆記免除で受かった人たちは、実際、それでは、何の位もないかどうか知りませんけれども、全部の職制を知っておるわけじゃないですけれども、勤め上げて、そういう首席とか次席でなかった人、こういう人が何人かでもいわゆる筆記免除組に入ったことがあるんですか。

大谷最高裁判所長官代理者 過去のすべての例について今詳細に承知しているわけではございませんけれども、幹部職員が多いということは事実でございます。

河村(た)委員 多いんじゃない、すべてじゃないの。

大谷最高裁判所長官代理者 申しわけございません。今、手元で全員の受験合格時の地位等については把握しておりませんけれども、先ほど言いましたように、最近の例でいいますと、先ほど申し上げたような地位の人たちがなっているということは間違いございません。

河村(た)委員 識見とか、そういう人は、人間の位によって変わるんですか。それと、書記官というのは、十何年か二十年勤めますと、本当の現場でやらぬ、ただ事務だけ出てきて偉い様の顔をしておる人間、そういうふうに分かれると聞いておるんです。現場の本当の裁判に当たって、交通違反の過失割合がどれだけだとか、そういう現場で苦労しておる人たちは識見が低いんですか、あなたの言い方によると。資質に問題があるんですか。

大谷最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたけれども、この制度は、まず第一に、法律的な素養等があるかどうかについて筆記試験を行って選抜していくというルート、それが基本的にございます。そして、それ以外に、長年の経験、執務を通じてその法律知識、実務能力が既に実証されていて、人物、識見においても簡裁判事としてふさわしい、こういうように先ほど申し上げました有識者等も入った委員会で認められた方について、先ほど申し上げたような人数について別途任命している、こういうことでございます。

河村(た)委員 全く承服できぬ。少なくとも人事院にはないんですよ、こんなことは。だから、あなたのところで今把握しておらぬと言っておったから、改めて、過去十年にわたってこの筆記試験を免除した人の職制、これを全部出してください。委員会に報告してくださいよ、これは。

 裁判官が公正に任命されておるかどうか、どえらい重要ですよ、委員長。

七条委員長 大谷人事局長に申し上げますけれども、今資料提出がありましたが、十年間にさかのぼってできますか。

 では、御答弁ください。

大谷最高裁判所長官代理者 今の点については、後ほど提出いたします。

河村(た)委員 それではもう一つ。

 口頭試問のときに試験問題を教えておるという話があるんだけれども、これはとんでもないぞ。八百長ですよ、こんなことをやったら。憲法違反ですよ。国民の裁判を受ける権利の侵害ですよ。公正な裁判を受けることですからね、当然のことながら、公正に選ばれた裁判官による、公正な手続による裁判を受ける権利。

 これは本当ですか。

大谷最高裁判所長官代理者 簡裁判事の候補者の選考というのは、試験問題の情報管理を含め、厳正に行われておりまして、今御指摘のようなことはないと認識しております。

河村(た)委員 認識しておりますって、何ですか、それは。ないんですか。ないならないと断言してくださいよ。

 それでは、もしあったら、長官はやめますか、最高裁長官。

大谷最高裁判所長官代理者 私が御説明するということですので、そういうふうに、ないと認識しておりますというふうにしか申し上げる以外にはないと思います。

 今お話にありましたそれ以外の御質問につきましては、これと異なる前提に立って責任を云々するお尋ねにはお答えすることは適当ではないと思います。

河村(た)委員 ちょっと、何と言ったかよくわからぬのですけれども、今。何ですか。

大谷最高裁判所長官代理者 今、最後の方で委員から長官云々というお話があったかと思いますので、その点については前提が異なっておりますので、そういう点についてお答えすることについては適当でない、こういうふうに申し上げたということでございます。

河村(た)委員 とにかく、口頭試問で問題を教えているということはないと断言できないんだね、あなたはここで。

大谷最高裁判所長官代理者 具体的にそういう不正があったというようなことについては、ないというふうに思っております。

河村(た)委員 これは一遍あなたのところでも調査していただきたい、受かった人に。これは本当に重要ですよ。裁判員制度をやるんでしょう。そういうときに当の裁判官が、一部の上の方の偉い様だけ、最後の方は実務をやっておらぬ人間が、何か筆記試験は免除されて、口頭試問も問題を教えられておったといったら、これはとんでもないですよ。国民の裁判を受ける権利の重大な侵害だ。

 もう一回、それもちゃんと調査して、ヒアリングして、ここにきちっと報告してくださいよ。

大谷最高裁判所長官代理者 具体的に委員が御指摘の点は、その週刊誌にそういう問題が書かれたということを前提としてよろしいですか。(河村(た)委員「いや、私はヒアリングしております」と呼ぶ)はい。

 私どもとしては、特段、特に具体的な不正があったということについての、あるいは可能性があったということについての点を全く承知しておりません。我々としては厳正に試験を行ってきた、こういうことでございます。

 週刊誌等に書かれたことにつきまして、これは匿名の記事でありまして、私どもとしてはその真偽を確かめるすべはないということで御了解いただきたいと思います。

河村(た)委員 そんなもの、調べればわかるじゃないですか。私は当然聞いておりますよ。それから、本にも書いてあるじゃないですか。

 だから、あなた、ちゃんと調べて報告してください。これは言ってくださいよ、やる、やらないを。

七条委員長 時間の通告が来ておりますから、手短に。

大谷最高裁判所長官代理者 一点、今、本のことがございましたけれども、これも、この本を書かれた方の試験の模様に関する記述からしますと、二十年以上前の話でございまして、明らかに二十年以上前のことについて書かれているわけでございます。

 我々としては、そういう事実はなかったと思っておりますが、この点についても、確認のしようがないということでございます。

河村(た)委員 では、委員長、これは、悪いですけれども、理事会でやってもらってもいいんだけれども、極めて重要な問題ですから、理事の方から求めるなりして、真相を国民に伝えられるように御尽力をお願いします。

七条委員長 後日、理事会で協議いたします。

河村(た)委員 終わります。

七条委員長 次に、大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは、一般質疑の時間をいただきましたので、前回に引き続きまして、会社法の現代化を受けて、企業、会社、そして、もっと広く言えば、金融市場や、あるいは社会に非常に大きな影響を与えるというふうに思いますものですから、これがどのような影響を与え、かつ、どのような検討がそれに対して政府でなされているのかということを議論させていただきたいというふうに思います。

 一昨年に、会社法の現代化という言い方で、現下の情勢に沿うような形で会社法を見直す、非常に細かいところまで含めて、大改正でございまして、その影響が徐々にあらわれてくるんだろうと思います。

 その中でも特に、動きがあり、かつ、社会的な影響が非常に注目されているのが、合併対価の柔軟化というふうに言われている問題でございまして、いわゆる三角合併でございますね、外国企業が、自社の、外国の株をもってして、それを対価として日本の企業を株式交換の形で買収することができる、そういうふうな制度が整えられたわけでございます。これが整えられたところにおいて、その部分に関しては施行を一年間おくらせて、その間にMアンドAに関する対応策あるいは法制度の整備なんかを行った上で、安定的にその三角合併の世界に入っていけるようにということで、ことし五月から本格的に三角合併が行われ得るという状況になるわけでございます。

 その中で、これがどういうふうな影響を持つかでございますけれども、大臣にちょっとお尋ねしたいんですが、この三角合併、合併対価の柔軟化をもってして、外国企業が自社の株式をもって日本国会社の株式と交換することによって買収することができる、このことに関して、どのような経済効果といいますか影響があるというふうに思われているか、この大枠のところについて教えていただければと思います。

長勢国務大臣 先生の方が大変専門家でいらっしゃいますが、グローバル化の中で、外国の資本の日本への自由な投入等々、国際社会において、日本の経済の活性化に大きな役割を果たすものと思っております。

大串委員 今のお話は、グローバル化の経済の中で、資本の流入あるいは経済の活性化に資するというふうなお話でございましたけれども、それに伴っていろいろないい面の影響、それから、悪い面といいますか注意しなきゃならない影響もあると思うんですね。その中の一つとして、三角合併が行われた場合には、外資がどんどん日本に入ってきて、日本の経済社会に対してマイナスの影響もひょっとしたらあるんじゃないかという声も聞こえてきます。

 私自身の立ち位置を言わせていただきますと、外国からの資本の流入を促進するというようなことは、私自身はいいことだと思っておりますので、三角合併も、弊害に関しては正当な弊害であればそれを抑えながら、合併に関しては促進すべきという考え方を持っておるんですけれども、三角合併が導入される場合には、先ほども申しました外資脅威論というようなことも言われたりしております。

 大臣は、その外資脅威論みたいなものに関して、三角合併が起こった場合には、それは脅威を及ぼすほどのことになっていくのかどうか、その辺に関してはどのような所感をお持ちでしょうか。

長勢国務大臣 何よりも株主の方々に弊害が起こらないようにしなきゃならぬと思いますが、しかし、外資の導入自体は、すべてシャットアウトするということはマイナス面も多いと思いますし、その導入に伴う弊害がなるべく少ない形で導入を図っていくことがこれからの国際社会の中では必要なことだろうと認識しております。

大串委員 今お話しになった、弊害がないように進めていかなければならないということでしたけれども、大ざっぱに言うと、私の目から見ると、よく考えていかなきゃならない点として、二つぐらいあるんじゃないかなと思うんですね。

 一つは、一般的に外資脅威論と言われますけれども、本当にそのような、日本の国益を害するようなことがあり得るのかどうかということ。これは、例えば日本の先端的技術とか、あるいは日本の知的所有権とかそういうものを、これは外為法の世界かもしれませんけれども、どのように守っていくのかという側面が一つ。それともう一つ、株主の方に対する弊害とおっしゃったので、それはまた別の問題ですけれども、いわゆる投資家保護みたいな面の弊害、二つあろうかと思います。

 今はちょっと、議論はこの前者の方、すなわち、日本の全体の国益という観点からしてどうなのか、社会全体に与える影響としてどうなのかというところに議論を集中させていただきたいと思うんです。

 まず一つ、この三角合併というもの、外国企業の株式を使って、それを交換財として日本の企業を買えるようにする、このような例というのは先進国においてよくあるのかどうか、この辺に関して、外国の例みたいなものを、大臣、御存じですか。

長勢国務大臣 必ずしも私は詳しくはございませんが、それなりにあるんだろうという程度の認識でございまして、申しわけございません。

大串委員 これは先ほど、グローバル化した社会の中での話だとおっしゃいました。ですから、基本的に世界に連動した動き、おっしゃるとおり、お金の動きは今、世界をまたにかけています。そういう中で三角合併というものが行われる。ということであれば、世界のスタンダードとどういうふうな位置関係にあるのかということをよくよく知っていただいた上で、日本社会全体に与えるインプリケーションを考えていただく必要があると思うんですね。

 それで、三角合併というものが世界的にあるのかないのかということに関して必ずしも大臣がつまびらかでないというのは、私、非常に不安な感じがいたしますので、それはぜひ責任を持って考えていただきたいと思います。

 経産省の方にお尋ねしたいんですけれども、この三角合併、経済に与える影響、社会に与える影響、外資脅威論という観点からすると、経産省の次官の方がこうおっしゃっていますね。これは、去年の十月三十日の次官の記者会見ですけれども。

 今、三角合併に関してはいろいろなことが言われています。この三角合併を使うことによって、いわゆる敵対的買収、今世上をにぎわせていますけれども、買収の中でもいろいろな買収方法がありますけれども、これはいい面もあるし悪い面もあるんだと思いますけれども、三角合併がこの敵対的買収をより促進してしまうんじゃないか、そういうふうな懸念を表されている向きがあります。そこに大きな論争があるんだと思いますけれども、経産省の次官の方は、昨年の十月三十日の記者会見のときに、三角合併自身は友好的合併であって、敵対的買収防衛策とは違いますというようなことをおっしゃっていますね。だから、三角合併自身は友好的なんだというふうなことをおっしゃっています。

 経産省の方にお尋ねしたいんですけれども、本当にこの三角合併というものは友好的合併なのか、あるいはこういうふうにおっしゃっているということは、どういうことを根拠にこういうことをおっしゃっているのか、その辺についてお答えいただきたいと思います。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、会社法の中で三角合併、ある意味では合併対価の柔軟化がどう位置づけられているかという話かと思いますけれども、基本的には、これは両当事企業の取締役会で合併契約を結ぶということを意思決定し、かつ、株主総会の了解を得て行うという意味で、いわゆるTOBのように公開市場でどんどん株を一方的に買い進めていくものとは違うという意味におきまして、基本的には友好的な手段であるというふうに理解をいたしておるわけであります。

大串委員 それはそうでしょう。実際に、三角合併の手続自体は、先ほどおっしゃったように、企業側で合意をして、それもちゃんと両社取締役会で諮った上で両企業で合意をして、そして株主総会にも最終的に諮った上で、理解をとった上でやるわけですから、その面だけでは友好的だというふうに言うことはできるんですけれども、そこに至る過程、すなわち、日本国会社のすべての株式を一発で三角合併するわけじゃなくて、例えば、幾らかの株式を市場で買い進めていって最後の詰めのところを三角合併で行い、そうすることによって日本国会社の全株を手に入れるというやり方を考えるところもあるんじゃないかと思うんですね。

 そうすると、一番最初の市場で株式を買い進めるところ、ここはいろいろなやり方があると思いますけれども、ここにおいて株式の買収がうまくいかない場合には、そこの部分を敵対的買収的な、すなわち、相手方企業の対応によっては、もうどんどんとにかく市場で敵対的に買収し始める、そこである一定のところまで株式を市場で買って、最後の詰めを、相手方の日本国企業が観念したところで三角合併で全株を押さえるということもあるんじゃないかと思うんです。

 その辺についての御見識はどうでしょうか。

立岡政府参考人 基本的には三角合併の属性は先ほど申し上げたところでございますけれども、先生御指摘のとおり、法案化のプロセスの中で、経済界の一部から、三角合併によって、まさに今おっしゃったように、我が国市場におけるいわゆる敵対的買収をふやすんじゃないかという懸念があった、これも事実でございます。

 したがいまして、そういう中で、政府といたしましては、施行を一年先送りすると同時に、企業がいわゆる買収防衛策を入れていく環境を整備する、あるいは買収ルールを整備するといったようなこと、それから、一年間の期間を設けまして、その間にしかるべく対応していくための時間を確保してきた、こういうふうに理解をいたしております。

大串委員 今おっしゃったことは、非常に重要だと私は思うんですね。すなわち、実際に敵対的買収が行われるかどうか、これはやってみないとわかりません。ただ、日本企業の幹部の人たちが敵対的買収が行われるかもしれないというおそれを抱く、これだけでも非常に大きな影響があると思うんですね。すなわち、日本の企業の経営者が、外国企業が自分たちを買収に来るかもしれない、しかも、一部は敵対的買収も含めてやってくるかもしれないというふうに思うことによって、日本企業の経営者の経営方針が少しずつ変わってくる可能性はあると思うんですね。

 これは、後ほどまたもう少し話せれば話したいと思うんですが、例えば、今、日本の企業の時価総額は世界に比べて非常に低いというふうに言われています。時価総額が低いがゆえに、日本企業というのは相対的に、ほかの国の企業に比べると買いやすい、買収しやすい、よって日本の企業は敵対的買収なり、あるいは普通の買収にもさらされやすいというふうに言われています。先ほどおっしゃったような、敵対的買収があるかもしれないなというふうな思いが日本企業の経営陣にあるとすると、それを避けるために、時価総額を上げなきゃならないというふうな判断なり具体的な行為に移ると思うんですね。

 今国会でも、経済の格差のところはかなり議論されました。企業業績が上がっているにもかかわらずなかなか労働分配率が上がらないねという議論がたくさんございまして、労働分配率が上がらない理由はどこにあるのか、いろいろ考えるところはあるんですけれども、グローバル化の中でなかなか賃金を上げられないというところも一つあるでしょうし、もう一つは、企業収益が上がっている部分の、果実の大部分を外部への流出として株主に配当する形で還元している割合が日本の企業はふえてきているんですよね。その日本企業の経営者の思惑の背景には、恐らく、株主への利益の還元を図って株価を上げる、株価を上げることによって自分の会社の時価総額を上げないと買収されやすい、そういうふうなことがおそれとしてあるんじゃないかと思うんですね。

 ですから、先ほど経産省の方がおっしゃった、一部経済界の中からは、買収されるかもしれない、敵対的買収を誘引してしまうかもしれないというふうな考え方がありますという企業側の認知自体が非常に大きなことだと思うんです。その認知自体を呼び起こしているという意味において、この三角合併が行われるかどうかというのが日本の社会全体に与える影響というのは極めて大きいんだと思うんですね。

 そこで、もう一つ私は確認したいのです。

 適切な仕組みなり取り組みなりを経た上で、この五月から三角合併は行われることになっております。今いろいろな報道もございますけれども、現在、法務省におきまして、この五月からの三角合併に関してどのような仕組みなり取り組みでこれを行っていこうとされているのか、その検討状況、内容についてお知らせください。

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 五月からの施行というふうに一年間延期をされてきた経過については、先生からも御指摘のあったとおりでございます。

 その後、関係各方面で御議論をいただきまして、一つの問題は、三角合併等を承認する株主総会の決議要件についての問題でございましたが、これについては、法務省令の関係規定を改正しないで、特別決議を要するということにして、今パブコメにかけておるところでございます。

 また、消滅会社の株主の利益を保護する必要がありますので、そのための方策として、当該株主に対し事前に当該合併の対価についての十分な情報が与えられるような措置を講ずるべきであります。そのため、法務省としては、会社法施行規則の関係規定を改正することにより、消滅会社に対し、合併の対価として交付される株式等の内容やその発行企業にかかわるより詳細な情報の開示を義務づけることとしたいと今考えておりまして、その改正案につきまして、今月十三日からパブリックコメントの手続に付しているところでございます。これらを踏まえまして、省令の改正作業を進めたいというふうに考えております。

大串委員 きょうは財務省の方にもお尋ねしたかったんですけれども、税制の問題もございますね。合併したときに生まれるといいますか、株式が交換されるときに観念的に生まれる利益に対してどのような課税が行われるか。これにつきましては、財務省の方で検討していただいて、結局は、ペーパーカンパニーを使った合併ではだめだ、基本的には実体のある外資系日本企業をビークルとして使った場合じゃないとだめだということになっていると思います。

 私は、大臣にぜひ一つお尋ねしたいんですけれども、先ほど申し上げましたように、今回のこの三角合併は日本の企業というものに非常に大きな影響を与えると思うんですね。外資がどんどん日本企業を買収してくるだろうというふうに日本の企業の経営者が思うと、ますます自分たちの株式の価値を上げなきゃならない、そして時価総額を上げなきゃならないというふうに思うんだと思うんですね。そうすると、どんどん株主主体、主眼の経営になっていく、労働分配率に関しては二の次になっていく、格差問題という観点からも対応がどうかなというふうに思われるようになっていくと思うんですね。すなわち、これは会社の問題だけじゃなくて、日本全体の格差問題とかも含めて大きな問題になっていくと思うんです。

 先ほどおっしゃった法務省で検討されている現在の特別決議あるいは情報開示というやり方、それからまた財務省の税の取り扱いも含めて、結局これが社会に対して株主偏重主義、そういうものを推進し過ぎてしまうんじゃないかという懸念もあると思うんですね。それによって日本の社会をゆがめてしまう可能性がある、そういうことも懸念としてあると思うんです。

 そういう大きな流れにつきまして、法務大臣はどういうふうに考えていらっしゃるのか、そういう大きなビジョンを持って考えていただいているのか、ここは法務大臣として非常に大きな責任のあるところだと思うんです。その辺についての大臣の見解を伺いたいと思います。

長勢国務大臣 会社法の改正の際に、今先生御指摘のような観点も含めて議論されたのであろうと思いますけれども、今施行になったところでございますので、また世界の情勢もいろいろ変わっていくんだろうと思いますが、状況を見きわめながら考えるべきことは考えなきゃならぬなということを今御指摘いただきながら思ったところでございます。

大串委員 会社法の改正、それを受けた影響については今後もちょっと議論させていただきたいと思いますが、事会社というものに限らず、社会全体に大きな影響があるということだと思います。法務省が所管している内容の多くはそういう広い影響を持っているということだと思いますので、ぜひ大臣には世界の大局観を持って当たっていただきたいというふうに思いますということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

七条委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 先日、十六日、お時間をいただきまして、質問させていただきました。そこでやり残しましたというか、前振りをさせていただきましたところを質問させていただきます。

 私の認識では、形骸化が随分進んでしまっているのではないかと考えます令状主義についてでございます。

 先日お尋ねをいたしましたら、却下率について、経年で、これは水野副大臣から御答弁をいただきました。十八年においては〇・〇二%、それから十五、十六、十七、これについては〇・〇三%ということで大変低い率でありますので、これは普通に考えると、数字だけで見ると、フリーパスのような、スルーで通っているんじゃないか、そのような印象を与えるんですが、別に取り下げというのもあるんですね。

 取り下げをされたものというのは、どうして取り下げをされて、どういうものが取り下げをされているんでしょうか。取り下げも、水野副大臣の答弁の中には十八年で八百九十三という数がありますが、ほかの年度においてもこの取り下げというのは相当な数があるんでしょうか。どういった理由で取り下げられているんでしょうか。お尋ねをいたします。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 取り下げにつきましては、平成十四年は、請求が十二万七千二百九十六人で、発付が十二万六千五百八十一人、却下が三十人、取り下げが六百八十五人でございます。却下となったものの割合は〇・〇二%、取り下げになったものを含めますと〇・五六%でございます。

 平成十五年は、請求が十三万一千八百七十四人、発付が十三万一千十八人、却下が四十人、取り下げが八百十六人、却下となったものの割合は〇・〇三%、取り下げになったものを含めますと〇・六五%でございます。

 平成十六年は、請求が十二万九千八百七十人、発付が十二万八千九百五十二人、却下が四十人、取り下げが八百七十八人、却下となったものの割合は〇・〇三%、取り下げになったものを含めますと〇・七一%でございます。

 平成十七年は、請求が十二万九千百四十人、発付が十二万八千二百九十六人、却下が三十三人、取り下げが八百十一人、却下となったものの割合は〇・〇三%、取り下げになったものを含めますと〇・六五%でございます。

 平成十八年は、請求が十二万六千二百六十七人、発付が十二万五千三百四十四人、却下が三十人、取り下げが八百九十三人でございます。請求があったもののうち却下となったものの割合は〇・〇二%ですが、取り下げになったものを含めますと〇・七三%になります。

 以上は、平成十四年から平成十八年まで、地方裁判所と簡易裁判所の通常逮捕状について総数でお答えしました。

 三月十三日は、通常逮捕状について地方裁判所の数値を申し上げました。

石関委員 さっきお尋ねしたんですけれども、どういったものが取り下げられて、取り下げの理由とか、それについては承知をされていますか。

小川最高裁判所長官代理者 どういうものが取り下げになるというのは、これはちょっと一概に申し上げられないんですが、実情を申し上げますと、令状請求を受けた裁判官が令状を発付する要件を審査する過程で提供された資料だけでは疑問が生じた場合には、これは刑事訴訟規則の百四十三条の二に基づいて請求者に詳しく事情を確かめるというのが通例でございます。このような過程において、捜査官側の判断で請求を取り下げるということがございます。それが実情でございます。

石関委員 逮捕状には二通りあるのかなというふうに承知をしていますが、通常逮捕状それから緊急逮捕状、これはそれぞれどういった性質のものでしょうか。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 通常逮捕状の場合は、要件が、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由がある場合で、逮捕の必要性がある場合に、請求者、捜査官が疎明資料をつけて請求する、その要件があるかどうかを裁判官の側で判断して、要件があると認めれば発付するというものでございます。

 緊急逮捕状の場合は、長期三年以上の一定の重大な罪について、罪を犯したと疑うに足りる十分な理由がある場合に、逮捕状を求めるいとまがない場合に逮捕いたします。そして、速やかに裁判所に逮捕状の請求を出して、それで、その逮捕の手続に間違いがないというふうに裁判官が判断すれば緊急逮捕状を発付する、こういうことでございます。

石関委員 後者の緊急逮捕状については、事後に逮捕状の発付が認められないということはあるわけですね。それは、数としてはどれぐらいか、把握をされている数字を教えてください。それから、どんな場合に認められなかった事例があるのか、これについてもあわせて教えてください。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 緊急逮捕状につきまして、平成十四年から申し上げます。

 平成十四年の、請求は一万九千八百七十九件、発付が一万九千八百四十六件、却下が三十三件、却下率は〇・一七%。

 平成十五年は、請求が一万八千九百七十件、発付が一万八千九百三十七件、却下が三十三件、却下率は〇・一七%でございます。

 平成十六年は、請求が一万七千五百九十五件、発付が一万七千五百七十五件、却下が二十件、却下率は〇・一一%。

 平成十七年は、請求が一万五千七百九十七件、発付が一万五千七百七十四件、却下が二十三件、却下率は〇・一五%。

 平成十八年は、請求が一万三千九百八十六件、発付が一万三千九百六十五件、却下が二十一件、却下率は〇・一五%でございます。

 それで、どういう場合が却下になるのか。今ちょっと個別のところまではわかりませんけれども、一般的に申し上げますと、十分な嫌疑、罪を犯したと疑うに足りる十分な理由が逮捕の時点でなかったというふうに裁判官が判断した場合ですとか、速やかに請求しないといけませんので、請求が特に何も理由もないのに随分おくれてしまったというような場合などが考えられると思います。

石関委員 これは、通常の逮捕状にしても緊急の逮捕状にしても、経年で見たときに、通常の場合の却下率〇・〇二から〇・〇三の範囲ですね。今の緊急の方も、〇・一七から〇・一一、間に〇・一五があるということですので、これは非常に近似的な数字が毎年出るんですよね。何でこういうことになるんですかね。これは、何か理由があるんですか。それだけしっかりしているから大体これぐらいの誤差というか、却下をされるんですよということなのか。何か非常に似た数字が出るので素人的には気になるところなんですけれども、ちゃんと体制でやって、結果としてこういうことだ、そういうことですか。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 逮捕状の場合、請求を受けた裁判官は、先ほど申し上げましたが、請求者から提供された資料を基礎として、逮捕の理由、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるかどうか、それから逮捕の必要性が認められるかどうか、これを疎明資料に基づいて厳格に審査した上で、発付ないし却下をしているわけでございます。

 それで、どうしてそういうような近似的な数字になったかということは、そうした個々の裁判、令状の発付の裁判の集積だと思いますので、それがどういう原因かというところはちょっと申し上げられません。

石関委員 それでは、令状の審査の体制とか審査の時間、具体的にだれがそれを受け付けて、判事が判断をするということでありましたが、その前に事務官が受け付けるんでしょうね、それで、何人の判事が判断をするのか、それから審査時間についてはどれくらいか、個別でいろいろあろうかと思いますが、その個別の幅の範囲でも教えていただければと思います。短い場合はこういうこともある、夜中に申請が上がってきたときにはどういう体制になっているとか、昼間、普通の尋常な時間に上がってきたらこれだけの人数でこういう審査をしているんだ、こういう方法でやっているんだ、これを教えてください。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 事務官、書記官が受け付けて事務処理をするわけでございますが、令状の審査に携わる裁判官の数とか事務官、書記官の数、これは、庁にもよりますし、時間帯にもよりますので、一概に申し上げることはできません。

 それから、裁判官が個別の令状審査にどの程度の時間をかけるかということでございますが、これも、個々の事案によって大きく違います。つまり、疎明資料が非常に多ければ時間もかかりますし、あるいは非常に複雑な事案であればこれはまた時間もかかりますし、非常に簡単に検討できるものであればそんなに時間はかかりません。

 これは、時間ばかりは平均をとっているわけではございませんので、あえて私の経験で申し上げますと、数十分以内で検討が済むものもあれば、数時間以上にわたって検討するというような事件、場合によってはもっと長いものもございます。

石関委員 今局長から御答弁いただいた、それはやはりケースがいろいろあるんだと思います。しかし、数十分で済むものあり、数時間もかかるものもある、それぞれあろうと思うんですが、やはり今局長おっしゃったように、時間にもよると。夜中に来た場合は、十二分な人数もいない中で審査が行われるということもあるのかなと。万が一私が逮捕状を請求される場面になったときに、昼間、十分な体制がある時間であれば、そこでしっかり審査が行われる、でも、夜中、早く出してくれと検察官等からそういった申請が上がって、ばたばたと逮捕状が出されるということもあり得るのではないかな、今御答弁を聞いていて、こういう不安を覚えるんです。

 今あった、逮捕状の請求に際して提出をされる疎明資料というものについては、こういった要件を備えていなければいけない、こういった疎明資料の要件というものはあるんですか。これぐらいの分量だとか、ここからここまで詳細に記述をしていなければ疎明資料として受け入れられないとか、こういったものはあるんでしょうか。要件を教えてください。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 先ほど委員の方で、夜だとずさんにやっているのではないかという御趣旨のお話がございましたけれども、裁判所は二十四時間体制でやっておりますけれども、夜間であるからといって決してずさんにやっておりません。夜中でも、数時間以上かけて検討していることもございます。

 それから、疎明資料でございますが、これは事案によってさまざまでして、一定の形式的な要件があるとかいうようなことではなくて、これは先ほど申し上げた逮捕の理由、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由を疎明する資料、それから逮捕の必要性を疎明する資料、これはさまざまございますので、一概には申し上げられないと思います。

石関委員 それでは、きょうの朝刊にも記事が出ておりました、きのうから報道されておりますが、いわゆる北方事件というんでしょうか、先ほど質問された大串委員の地元であり、地元でも大変な問題になっているというふうに伺っております。

 佐賀県の旧北方町で三女性が殺害された。福岡高裁において、決定的証拠がないということで、二審も無罪になったということでありますが、ここにおいては、初めから自白を得る目的でなされ任意での取り調べの限界を超えていた、自白上申書、これが疎明資料ということになるんでしょうか、令状主義を甚だしく潜脱しており違法性が高いというふうに判決で指摘をされているんですが、このことについては、最高裁としてはどういう認識をお持ちになっていますか。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今議員御指摘の件は、個別の事件に関することでございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、一般論として申し上げますと、裁判所は、令状の発付に当たり、取り調べに違法がなかったかどうかということも当然審査いたします。ただ、事柄の性質上、捜査段階のごく初期に行われる捜査で、疎明資料が限られているということもございますので、事後的に見て、判決時と異なった資料に基づいて異なった判断がされる場合もあるということは御理解いただきたいと思います。

 ただ、いずれにしましても、裁判官としては、そのような可能性についても真摯に受けとめて、適正な処理を行うように努めることが重要だと考えておりますので、今後とも適正な処理に努めてまいりたいと考えております。

石関委員 それでは、先日もお尋ねしました。これは局長の答弁ですね。過去に再審で無罪が確定したという事件がございました、そういうものについては、裁判所としては真摯に受けとめてまいりたい、このように局長は御答弁されています。

 過去に再審で無罪が確定した、それには当然逮捕状が出されて、令状を出しているということですが、これについては過去どのぐらいの数字があるんでしょうか。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 昭和二十三年以降平成十七年までに、再審で無罪となった事件は合計七百七十一件でございますが、そのほとんどは、道路交通法違反の身がわり等について検察官から再審請求があったものでございます。

 具体的に申しますと、例えば平成八年から……(石関委員「重大なもの」と呼ぶ)重大な事件は、委員が御指摘になっておられる、いわゆる再審冤罪事件で令状発付が何件されているかということの統計はとっておりませんので件数まではわかりませんけれども、例えば、著名な再審無罪事件である弘前大学教授夫人殺し事件、それから加藤老事件、青森老女殺し事件、財田川事件、免田事件、松山事件、徳島ラジオ商事件、梅田事件、島田事件、榎井村事件では、いずれも逮捕状が発付されていると思います。

石関委員 今、大きなものをおっしゃってもらいましたけれども、これは数とかしっかり把握されていないと、この前局長がおっしゃったような真摯に受けとめるということにならないんじゃないですかね。過去を検証して、こういうことがあったと。

 先ほど紹介した北方事件ですが、三女性殺害というのについては、これは殺人罪に問われて死刑を求刑されているんですよね。二審も無罪ということで、今後どうなるかわかりませんが、これは大臣にも以前にお尋ねをした死刑の問題。これはえらいことですよ、冤罪だったら。それを、裁判所が今みたいに、こういった大きな事件については、今挙げていただきましたけれども、過去、数字として把握をされているかどうかもよくわからないということでもありますし、私は大変な不安を感じます。

 これは任意で、この事件のように呼ばれて、それから自白をとられて、そのことが疎明資料となる、証拠となるということが大変行われているのではないかなという懸念を私は感じざるを得ないのですが、大臣はいかがでしょうか。

七条委員長 質疑時間が終了しておりますので、手短に。

長勢国務大臣 ちょっと御質問の趣旨が私にわからないところもあるんですが……(石関委員「聞いていただいていれば大丈夫だと思いますよ」と呼ぶ)事件の捜査あるいは起訴の手続というのが公正に行われなければならないということは当然のことであります。

 今おっしゃったことは、あれでしょうか、任意の取り調べが困るということをおっしゃったのでしょうか。ということであれば、ちょっと……(石関委員「大臣、聞いていなかったんでしょう」と呼ぶ)いや、聞いていましたよ。(石関委員「聞いていたら答えられますよ、今向こうを向いていたから、大臣、聞いていなかったんでしょう」と呼ぶ)いえいえ、聞いていたんです。だから……(石関委員「大臣、だめですよ。大臣、最高裁に言っていると思って今聞いていなかった」と呼ぶ)いいえ、それはそうではありませんが、私が能力がないからかもしれませんが、ちょっと意味がよくわからなかったんですけれども、申しわけありませんが、もう一遍教えていただけますか。

石関委員 今の局長の答弁を伺っていると、任意と称するもので大変な自白を強要に近い形で出されて、そのことが証拠として採用される、疎明資料になるということで、冤罪を招くという危険性を大変懸念せざるを得ないというふうに今の答弁を聞いていて私は強く感じるんですが、大臣はいかがお考えですか。

長勢国務大臣 北方事件の控訴審判決の中で、令状主義を甚だしく潜脱する違法性の高い取り調べであるという趣旨の判決の内容があるということは承知をしております。本件事件についてはともかくとして、一般論としてそういうことがあってはならないということはそのとおりだと思います。先ほどちょっと失礼いたしましたけれども、それは任意の取り調べであるかどうかということと余り関係ないのではないのかなと思ったものですから、ちょっとよくわからないと申し上げました。大変失礼しました。

石関委員 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

七条委員長 次に、内閣提出、戸籍法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。長勢法務大臣。

    ―――――――――――――

 戸籍法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

長勢国務大臣 戸籍法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、近年、自己の情報を他人に知られたくないという国民の意識の高まりを背景として、個人情報の保護が必要とされている情勢にかんがみ、戸籍公開の原則を見直し、戸籍謄本等の請求をすることができる場合を制限するとともに、当該交付請求をする者の本人確認、不正に交付を受けた者の処罰等を行い、また、戸籍の真実性を担保するため、戸籍の届け出をする者の確認手続及び届け出の受理の通知手続等を定めるほか、戸籍の制度について所要の整備を行おうとするものであります。

 第一に、この法律案は、戸籍謄本等の交付請求ができる場合の見直しを行うこととしており、その要点は、次のとおりであります。

 まず、原則として何人でも戸籍謄本等の交付請求ができるという従来の戸籍公開の原則を改め、戸籍に記載されている者等以外の者による交付請求については、自己の権利を行使しまたは義務を履行するために必要がある場合等戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合に制限することとしております。

 また、戸籍謄本等の交付請求をする者は、運転免許証を提示する方法等により、氏名その他の本人特定事項を明らかにするとともに、請求が代理人等によってされる場合は、代理権限等を明らかにしなければならないものとするなどの規定を設けることとしております。

 第二に、この法律案は、戸籍の届け出をする者の本人確認を行い、届け出の受理の通知手続等を定めようとするものであります。

 戸籍の真実性の担保のため、婚姻や協議離婚、養子縁組等の届け出について、届け書を市町村の窓口に持参した者が婚姻等をする本人であることが確認できなかった場合は、確認できなかった本人に対し婚姻等の届け出が受理されたことを通知することとし、あわせて、これらの届け出について、届け出の本人は、自己が届け書を持参したことが確認できない限りその届け出を受理しないようあらかじめ市町村長に対し申し出をすることができることとするなどの規定を設けることとしております。

 第三に、この法律案は、偽りその他不正の手段により戸籍謄本等の交付を受けた場合の制裁を強化し、過料の制裁を罰金刑の制裁に改めることとしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決していただきますようお願いいたします。

七条委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

七条委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官門山泰明君、法務省民事局長寺田逸郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神崎武法君。

神崎委員 戸籍法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。

 今回の改正は、戸籍の記載の真実性担保について見直しを行うこと、戸籍の公開制度について見直しを行うこと、それから不正の手段等によって戸籍謄本等の交付を受けた者に対する制裁を強化する内容になっておりまして、私は基本的に賛成の立場から確認の意味を含めてお尋ねいたしたいと思います。

 まず、戸籍の記載の真実性担保のため、出頭する者について本人確認手続を明記いたしております。法二十七条の二は、届け出によって効力を生ずべき縁組等の届け出について本人確認を義務づけております。届け出には、いわゆる報告的届け出と、戸籍の届け出によって、その届け出の対象である身分関係の発生、変更、消滅の効果が生ずる創設的届け出があると言われております。ここに、届け出によって効力を生ずべき縁組等の届け出としたのは、創設的届け出のことを指すと理解していいのかどうか。

寺田政府参考人 御指摘のとおり、この新しい改正案の二十七条の二の規定でございますけれども、できるだけ虚偽の届け出がされるということを抑止しようという趣旨のものでございまして、委員がおっしゃいましたとおり、これによって効力が生ずるというものの中で重要なものというのを対象として挙げてございます。具体的には、ここに書いてございます認知、縁組、離縁、婚姻、離婚でございますけれども、これはまさにおっしゃったような創設的な届け出と講学上言われるものでございます。

 報告的届け出も戸籍においては非常に重要なものでございますけれども、これにつきましては、もう既に起こったことを証拠をもって報告されてくる、それで届け出が行われますので、虚偽の届け出の抑止という意味では、重要性は今挙げております創設的な届け出に比べますと低いという認識でこのようにいたしているところでございます。

神崎委員 創設的届け出には、この条文で掲げている五つ、認知、縁組、離縁、婚姻または離婚の届け出以外にもいろいろな届け出がありますけれども、今重要なものを記載したというふうにお答えになられましたけれども、この五つの届け出に本人確認を限定した理由、これはどういうことでしょうか。

寺田政府参考人 おっしゃるとおり、創設的な届け出は、これ以外にも、例えば転籍届あるいは分籍届と言われるものがございます。転籍届は、本籍を変えるということで、届け出によって本籍が変わるわけでございますし、分籍届は、例えば両親の戸籍に入っている者の一部の子供が自分の戸籍を持つということで届け出をする、それによって自分の戸籍が新たにつくられる、こういうものでございます。

 これらは、実績からいたしましても、虚偽の届け出がされるということは比較的ございませんし、何といいましても、身分行為の重要性という観点からは、先ほど申し上げました認知以下五つのものが大変に重要でございまして、特に離婚等はよく虚偽の届け出の対象になりますので、そういったものを選んで確認の対象にしている、こういう趣旨でございます。

神崎委員 本人確認は、これまではたしか民事局長通達で行われていたと理解いたしておりますけれども、今回新たに法文上この点を明記された趣旨についてお伺いをいたしたいと思います。

長勢国務大臣 現在、通達でやってきたわけでありますが、まずその経過を申し上げたいと思います。

 近年、本人が知らない、当事者が知らない間に第三者によって虚偽の婚姻届が出される、あるいは養子縁組届が出される、あるいは戸籍に真実でない記載がなされるという事件が相次いで発生したために、これを防止する必要があるんじゃないかということが関係各方面から要望としてあったわけでございます。

 これを防止するために、平成十五年に本人確認の取り扱いに係る通達というものを発出いたしました。これは、婚姻届など届け出の一部について、届け書を持参した者に対する本人確認の実施及び本人確認をすることのできなかった届け出に対する通知を発出するという取り扱い、今回のと似たようなことでございますが、ということから通達をしたわけでございます。しかし、届け書を持参した者が使者、使いの人だったり、あるいは届け出人の一部のみについて本人確認ができたとき、両人でなくて一人だけという場合等の取り扱いなどには不徹底なものがあったために十分機能していないという指摘もあったわけでございます。

 そこで、今回の改正によって、従来の通達による運用を発展させて法律上の制度とする、これによって、例えば窓口で、何でだめなんだとかという混乱も防げますし、全国的な取り扱いの統一も図ることができるようになりますので、法律上の制度とすることがより適当であるという考え方から、今回、戸籍の記載の真実性の担保をより実効性のあるものとするために、法律上の制度にしたものでございます。

神崎委員 本人確認ができなかった場合の措置といたしましては、二つの考え方があると思うんですね。届け出を受理した上で本人に通知をする、届け出を受け付けた上で本人に通知する、それからもう一つは、本人から届け出をしていないという申し出があったときには受理しないこととする、この二つの方法があったと思うわけでありますけれども、この法律案では、届け出を受理した上で本人に通知するという考え方に立っておりますけれども、この考え方を採用した理由はどういうことでしょうか。

寺田政府参考人 この点は、戸籍の見直しを行うに当たりまして、一つの大きな考え方の違いが浮き出たところでございました。

 今私どもが提案を申し上げております、一たん届け出というものを受理いたしまして、それから、しかし通知は別途行うということになりますと、そこにこういう可能性をシャットアウトできるということにはならないわけでございます。他方、通知が行って一定期間内に御本人から何も申し入れがないときに限って届け出の受理をして記載するということになりますと、シャットアウトできるわけでございます。

 両者の間でいろいろ議論があったわけでございますが、後のようにシャットアウトするという考え方をとりますと、しかし、一定期間内はどうしても戸籍の届け出の受理を留保するという格好にせざるを得ないわけでございます。ただ、実際にお届けになられる方の大半は実は、例えば、今度婚姻をして立場が変わるので保険の手続をしたいというような方がおいでになるわけでございまして、そういう場合には、届け出をして、またすぐ次の、その届け出の効力が生じたことを前提にしたいろいろな作業をされたいわけでございます。

 そういうふうな考え方に立ちますと、完全にシャットアウトしようということのメリットは一方ではあるわけでございますが、他方では、しかし、圧倒的多数の方には逆に御不便をおかけするということになりますので、どうしても、一定期間留保してその期間は届け出の効力を生じさせないということには無理があるのではないかということになりまして、パブリックコメントでもやはり、今御提示しております、どちらかといいますと、事後的にそういう回復をするチャンスを与えるというような考え方の方が現実的ではないかという御意見でございましたので、私どもは、こういうことで提案をさせていただいているところでございます。

神崎委員 本人確認ができなかった場合、届け出を受理して本人に通知するということになっているわけでありますけれども、本人自身が、届け出をしていない、こういうことを明らかにしたときに、既に戸籍に記載されてしまった場合、受理された届け出の措置はどうなるのか、こういうことについてお尋ねします。

寺田政府参考人 今申し上げましたところからおわかりになりますとおり、今の御提案している仕組みは、受理は受理として効力を生ずるということでございます。ただ、今までのように、自分が全く気づかない間に届け出をされて、それを放置されているという事態は少なくとも避けられるわけでございます。

 それで、連絡が行きました御本人はどうされるかといいますと、家庭裁判所の許可を得て戸籍の訂正をされるという手続が一つございます。もう一つは、婚姻でございますと、婚姻無効等の実体的な効力を否定する裁判を経た上で、この戸籍を確定判決によって訂正するという道もございます。そのいずれかをおとりいただくわけでございます。

 なお、こういうことも実はやりたくない、全くシャットアウトしたいということになりますと、これは、あらかじめ、本人が出頭しない以上は戸籍の記載に変更を来さないように受理しないでくれ、そういう申し出をすること、これは不受理の申し出と言っておりますが、そういったことでいろいろなニーズに対応しよう、こういう考えに立っているわけでございます。

神崎委員 今お話があった不受理の申し出の件でございますけれども、不受理の申し出が受理されているのに過って対象となる届け出が受理された、こういう場合、戸籍に記載されている場合、どういう措置がその後とられるのか、お答えをいただきたいと思います。

寺田政府参考人 不受理の申し出は、これまでも、一定期間どういう届け出をしてはならないかということを特定していただいて、通達によって運用してきているわけでございます。具体的には、昭和五十一年の民事局長通達ということになっているわけでございます。

 今回、それを法制度に高めたわけでございますので、具体的には、どこの市町村においても、本籍地が、不受理の申し出を受けますと、この戸籍の分につきましては、御本人がきちっとした形で届け出をなされない限り、創設的届け出の重要な五つのパターンについては、届け出を受理しない、こういうことが法律上決まったわけでございます。

 それが四項の規定になるわけでございますけれども、このような規定が設けられました以上、それに違反して届け出を受理するということになりますと、これは完全に不適法ということになるわけでございまして、そういう意味からは、市町村長は、過って受理をしたということになりましたら、管轄法務局長の許可を得て、この戸籍を職権で訂正するということになるわけでございます。

神崎委員 次に、戸籍の公開制度の見直しにつきましてお尋ねをいたします。

 これまでは戸籍公開制度が原則だったと思うわけですけれども、今回戸籍の公開制度の見直しを行うわけでありますが、その理由は一体どういうことなのでしょうか。

 本来、戸籍制度は国民の出生から死亡に至るまでの親族法上の身分関係を登録し、これを公証するための制度でありますし、国民の社会生活及び経済生活において身分関係の証明を必要とする場合には、これを広く公開し、利用に供することは戸籍の重要な使命であると解されてきたところでございます。

 戸籍の公開制度の見直しによって戸籍制度の本来の目的を達成できるというふうにお考えになっておられるのか、また、これまでの戸籍公開制度によってどういう問題、弊害が生じて今回の見直しにつながったのか、大臣にお尋ねをしたいと思います。

長勢国務大臣 もともと、おっしゃっておられます戸籍の情報を公にする公開制度というものは、社会生活においてそれぞれの国民の親族的身分関係の証明を必要とする場合には、広く国民の利用に供されることが望ましいという考え方から、明治三十一年の旧戸籍法によって創設されたものでございます。

 基本的には、現行の戸籍法もこの考え方を受け継いでおるわけであります。ただ、戸籍の記載には、例えば離婚歴などのように本人にとってみると他人に知られたくないと思われる事項も含まれておるものですから、国民のプライバシー保護のために必要な措置として、昭和五十一年の戸籍法の改正によって、戸籍簿及び除籍簿の閲覧制度を廃止する、また、市町村長は、戸籍謄本等の交付請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができるというふうにされたわけでございます。

 それから約三十年たったわけでありますが、この間に、いわゆる自己のプライバシーにわたる情報を他人に知られたくないという国民の意識はますます高まってまいりましたし、個人情報の保護というものが社会的に要請されるようになっております。さらに近年、他人の戸籍謄本等を不正に取得するというような事件も発生をする、こういうことから、戸籍の公開制度について、時代の要請に合わせて見直すべきであるという要望が関係各方面から強く出されてきたわけであります。

 また、不当な目的によることが明らかか否かという現行法の要件の定め方というものも、抽象的で、地域によっては扱いが不統一、混乱があるということも指摘をされてまいりました。そこで、今回、戸籍を公開することによって果たされる公証機能の維持というものには十分に留意した上で、個人情報をより適切に保護する観点から、戸籍謄本等の交付請求をすることができる場合を明確にするなどの見直しを行うとともに、交付請求の際に、交付請求者の本人確認を行うこと、不正請求行為に対する制裁を強化すること等により、不正な請求を防止するという措置を講じ、今回の改正としたものでございます。

神崎委員 興信所や探偵を営む者が依頼者の戸籍謄本などを請求する場合、または、依頼者の婚姻等の相手方の戸籍謄本などを請求した場合、これは、法十条の二第一項第三号の、利用する正当な理由がある場合に該当するのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。

寺田政府参考人 今おっしゃいました新しい法案の十条の二の第一項でございますけれども、特に三号の文面上をごらんいただきますと、正当な理由ということでございますので、それ自体としてこれに当たるかどうかということは、一義的には両方の考え方があるわけでございます。

 ただ、私どもといたしましては、この法制審議会等の御議論もございますし、この間、試案をパブリックコメントにかけて、いろいろな方の御意見も伺った、その上でこの法案を出しているというその経緯からいたしますと、結論としては、この第三者の請求ということにおける正当な理由というのは極めて限られた範囲であって、興信所の方あるいは探偵業を営んでおられる方がこれをとるには、やはりここの正当な理由について、なかなかこれを認めるという理由をお見出しになることは難しいんじゃないかな、結論としてはそう思っております。

 ただ、この点は、先ほど大臣からも申し上げましたように、全国的に統一した扱いが必要だということになるわけでございますが、改めて、今申し上げました経緯等を参考にして、私どもの方で、具体的なケースはどうするかということを取りまとめまして、それをまた、改めて広く御意見を伺った上で、全国の市町村に、そういう考え方の基準というものをお示ししたい、こう考えているわけでございます。

神崎委員 今の場合、依頼者の戸籍謄本等を請求する場合でも、やはり正当な理由には当たらない、そういう基本的なお考えでしょうか。

寺田政府参考人 依頼者の戸籍謄本をとる場合には、依頼者御本人の代理人ないしは使者としてとるわけでございますので、これは御本人からそれなりの代理権限なり権限を証する書面を得れば、ここの第三者請求とは別に、興信所の方であれ、探偵業の方であれ、依頼者の、御本人の戸籍謄本はとることができます。この場合には、第三者の正当な理由という要件はかぶらないわけでございます。

神崎委員 法案では、一定の資格者につきまして特例を認めておりますけれども、弁護士等ですね、こういうような者に限定して特例を認めた趣旨、これについてお伺いをしたいと思います。

寺田政府参考人 この新しい法案の十条の二の第三項でございますけれども、ここに掲げてございます弁護士さんを初めとする士業の方々は、職務上戸籍謄本をおとりになることが、これまでも多かったわけでございますし、これからも当然予想されるわけでございます。こういう方々は、もともと現行法のもとでは、非常に職務上の請求ということで簡単に戸籍謄本をとれる。職業倫理というものが裏打ちになって、そう悪いことはされないだろうということでそういうことになっているわけでございますけれども、今のような見直しのもとでは、基本的には、こういう方々であるといっても、それはやはり第三者請求であれば第三者請求の要件を基本的には踏襲して、同じラインで請求していただくしかないかなというのが、基本的に審議会等で御議論いただいたところでございました。

 ただ、こういった、職業上頻繁にこれを請求される方は、一般の第三者とは違いまして、内容的には正当な理由、その他をかぶるといたしましても、手続的にはややそれよりは簡易な方法で認めてもいいのではないかというようなことがございましたので、この三項のほかに、四項と五項がございますけれども、三項においては、個々の請求について、個別の委任がなくても、受任している事件等について必要ある場合には独自の立場で請求ができるということは認めておりますけれども、それ以外の要件については、基本的にそのまま第三者請求の要件をかぶるということで決めているわけでございます。

 したがいまして、この三項の後段にございますように、要件該当性を認定するために必要な事項、例えば弁護士でありますと弁護士であること、どういう業務の種類か、あるいは事件の依頼者の名前等もこれを明らかにしなきゃならないということでございます。

神崎委員 一定の資格者についての規定を、今御説明のありました十条の二第三項で置いているわけですけれども、その上にさらに同条の四項、五項の規定を置いたその趣旨はどういうことでしょうか。

寺田政府参考人 今申し上げました第三項までにつきましてはさほど大きな議論はなかったわけでございますけれども、実は第四項、第五項についてはかなり議論があったところでございます。

 弁護士さん等専門の職種の皆さんというのは、先ほど申し上げましたように、これまでも戸籍謄本を御利用になる方が多くて、それほど事故がない職種もあれば、ありそうな職種もあって、さまざまでございます。しかし、一方で、個人のプライバシー等、戸籍の情報というのは非常に重要だということで、守る必要があるわけでございますけれども、他方で、この専門の士業の方々は、先ほど申しました、ある種の職業倫理のもとで、紛争性のある受任事件が仕事の性質上当然おありになるわけでございます。

 こういった場合に、御本人の名前を明らかにするということが適当かどうか。つまり、だれがこの戸籍を請求したかということを明らかにしないと弁護士もこういう他人の戸籍謄本をとれないということが適当かどうかという御議論になったわけでございます。

 これについては、実は両方御意見があったわけでございますが、最終的には、紛争性がある部分に限っては、御本人との秘密が特別に守られている弁護士さんというようなお立場におられる方々がとる場合については、やはりそれなりの配慮が必要なのではないかという御意見に最後集約されたわけでございます。

 そこで、ここの四項におきましては、どういう種類の紛争のある事件だということは明らかにしなきゃいけないわけでございますけれども、だれのために請求するかということは明らかにしなくていい、こういう弁護士さんの特例を設けたわけでございます。

 同じことは、簡裁の訴訟代理をなさる司法書士さん、あるいはADR等で紛争性のある事件を処理される社会保険労務士の皆さん、こういう方々についても事情は同じでございますので、紛争性のあるという基準で切り取って、その範囲でこの特例の適用対象といたしているところでございます。

 なお、次の第五項でございますけれども、今申し上げましたのは、民事の事件を想定いたしますと容易に御理解いただけるところでございますけれども、刑事事件となりますと、必ずしも弁護士さんの依頼者が御本人であるとは限らないわけでございますし、ましてや国選弁護ということになりますと、これは国が依頼者なのか、あるいは何なのかということがよくわからないわけでございます。しかし、そういう場合にも、今言ったような、弁護士さん特有の、ある種の秘密を守るべき特権というのは維持されるべきだということには変わりないわけでございます。

 そこで、弁護士の皆さんが特定の方に活動する権限を有して、その権限が定型的に紛争性のある事件の特例として、この第四項に準じまして、このような刑事弁護の場合の弁護士さんの戸籍謄本をとる手続をここに定めたわけでございます。

神崎委員 過去に、資格者が興信所等の依頼を受けて、職務上の請求でないにもかかわらず、職務上請求用紙を用いて不正に戸籍謄本などを入手した事例があります。中には数百枚から千枚単位で不正請求した事例も見受けられますけれども、今回の改正によってこれらの不正を防止することができるのかどうか、この点についてお伺いをいたします。

寺田政府参考人 大ざっぱに不正請求と申しておりますけれども、その中には、これはここに書いてある本人だという成り済ましのような例がございましたし、あるいは目的自体が本当は不当なのにあたかも正当なごとく装う、幾つかそういうパターンがございますけれども、いずれにしても、不正請求があったことは事実でございます。

 今回の法案におきましては、請求者の本人確認、あるいは代理でございますと代理権限の確認、それから、今申しましたような資格者による職務上請求の要件の見直し、あるいは、請求理由が不明である場合には市町村長は資料の提供あるいは説明を求めることができるようにする、さらには、制裁を重くするということで、刑罰化を今度百三十三条でいたしておりますが、このような措置によりまして、これまでよりははるかにこういうものを抑止できる環境が整ったというふうに考えております。

 なお、今後とも、このような運用については十分注視してまいりたいと思いますし、関係の士業の皆さんとも十分に協議をして、それぞれの内部規則等で上手にやっていただくように配慮をさせていただきたいと思っております。

神崎委員 以上で終わります。

七条委員長 次に、矢野隆司君。

矢野委員 自由民主党の矢野隆司でございます。

 ただいま、法律界の専門家でもいらっしゃいます、また政界の御経験も大変豊富な神崎先生から、専門的かつ緻密な質問がございました。いささか重なる部分もございますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。

 今回の法律の改正は、明治三十一年以来、百十年目にして、原則公開であった戸籍法のあり方というものを大きく変える改正だと言われております。現在の戸籍法では、先ほどの神崎先生の御説明でもありましたけれども、戸籍は各人の出生や婚姻、転籍、死亡などを記録し、夫婦、親子の関係を公証する公文書である、また、だれでも交付請求ができるという原則がございます。

 しかし、その交付に当たりましては、各自治体の窓口での対応に大変ばらつきがございまして、弁護士さんなどを除けば、請求理由を明示しても、直系の方以外だめだとか、親族以外は請求できませんとか、何らかの家族関係がないと、理由のいかんを問わず請求を認めない自治体がございます。はっきり申し上げまして、昭和五十一年の戸籍法改正時の議論でも、当時三千四百ある自治体のうち三百九十の自治体が公開制限をしている、こういうことが参議院の法務委員会の記録に残っておりました。

 要するに、この公開原則というものは、現在でも大変厳しく運用されているのではないかと私は思うのでございますが、このことに対して、先ほどの公証の文書であるということから、請求等に行き過ぎた制限を今回の法律の改正で加えるべきではない、こういう意見も一方ではございます。

 そこで、今回のこの公開のあり方を見直すに当たり、不適切ではないか、こういう意見に対して、まず法務当局の御見解を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

寺田政府参考人 先ほど大臣からも御説明申し上げましたとおり、この戸籍法のもとにおける戸籍の情報というものを公の財産といたしまして、親族的身分関係の証明に当てる、これは我が国の大変重要な資産でもございますし、伝統でもあるわけでございます。これは、基本的には私どもも、この機能がしっかりしているということが我が国の社会にとって大変重要だということを強く認識しているところでございます。

 他方で、しかし、どういう利用の仕方をするかということには、やはりそれぞれの時代の流れに沿ったやり方というのがあろうかと考えておりまして、それは、例えばある国においては御本人以外はそれは使えないというようなところもあるわけでございますし、他方、全くこれをオープンにしておられるところもあるわけでございます。さまざまでございます。

 その中で、我が国においては、基本的にオープンにするというポリシーのもとで、しかし一定の、非常に不当な目的だということが市町村長の目から見て明らかだという場合に制限ができる、こういう仕組みがとられておりまして、昭和五十一年の改正以後は、そのことが明文上もはっきりされているわけでございます。

 しかしながら、その後の運用を見ますと、委員もおっしゃいますとおり、市町村長において不当な目的を見出すときに制限ができるということの扱いが、通達等では一部、いろいろな示唆はいたしておりますけれども、なかなか明確な基準としてはなり得ないというところがございます。他方で、先ほど来申し上げているとおり、個人のプライバシーというものについての感覚というのが非常に厳しくなっているという事情がございます。

 そこで、今回、法律の原則の上では、御本人等一定の範囲以外の方はこれを大きく制限するという形で、しかし、制限のパターンといたしましては、正当な権利の行使あるいは義務の履行について必要だ、あるいは官公署にこれを提出する必要があるというようなことを示しまして、これに準ずるものというものをさらにつけ加えて、第三者が請求する場合の基準といたしているところでございます。

矢野委員 そこで、個別に、今の問題に関連して伺いますが、交付請求に関する第十条ですが、今回の改正では、何人でも請求できるというところが、記載者、それから直系の尊属や卑属、配偶者、こういうふうに限定的に表記されておる。加えて、第三者、赤の他人が交付請求する場合はさまざまな要件が定められたわけですけれども、特に、この第十条の二の三で、家族関係にない者が請求をする場合に、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合は、戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由を明らかにしなければならない、こう書いてございます。これは、どのようなケースを想定して、あるいは実態に即して書かれたものか、教えていただきたいと思います。

寺田政府参考人 この正当な理由がある場合というのは、文面上はいろいろなことが考えられるわけでございますが、この検討の過程等の背景からこれを申し上げますと、大半の場合は、この一号、二号の権利行使、義務履行あるいは国、公共団体に提出する場合に含まれて、それに限るとしてしまう意見も実はかなり強くあったわけでございます。

 しかし、例えば成年後見人であったような者が、死亡した被後見人の遺品を相続人に渡すというようなケースを考えてみますと、これはそのいずれにも恐らく当たらないとは思うんですけれども、しかし、だれが相続人で、その人に渡さなきゃならないということがこの成年後見人にとって非常に重要だということは、どなたも否定なさらないところだろうと思います。社会通念上、どうしても戸籍の情報というものが必要だということは、その一号、二号に当たらない場合でも許容されるのではないか、そういうケースがあるのではないかというところから、この三号を設けるということにさせていただいているところでございます。

 したがいまして、文面上は非常に広くも狭くもなるところでございますけれども、今言ったような経過を十分にしんしゃくいたしまして、私どもの方では、市町村向けに基準をさらに細かくかみ砕いてお示しし、これにつきましては、また広く御意見を伺った上で、そういう措置をとりたいと考えているところでございます。

矢野委員 大変市町村長さんの裁量が広がるんじゃないかという懸念を、いささか私は持っております。地域によって判断や扱いにばらつきが出るかもしれない。

 と申しますのも、やはりこれは、昭和五十一年の改正時では、請求において不当な目的によることが明らかなときは拒否できる、こういう文言がございまして、実は、この点でまた大変議論になっておりました。その際に、当時の民事局長さんが、統一的な指針が出るものではないと半ば本音のようなことをおっしゃってはおられるんですけれども、それから三十年経過しておるわけで、法務当局としても、より現実に即した検討をされていると思うんですけれども、また、その時々の時代の社会通念に照らして正当な理由ありというものも変わってくるんじゃないかと思うんですけれども、その辺のことはどうでしょうか。

寺田政府参考人 今私どもが御提示している案といいますのは、先ほど申しましたように、一号、二号、さらにそれにつけ加えて三号という形をとっておりまして、三号というのは、一号、二号に当てはまらないけれども、しかしそれに準ずるものということで考えているところではございます。

 ただし、今矢野委員が御指摘になられましたように、この戸籍の公開の考え方については非常に幅広い考え方があり得るところでございまして、国によっても、あるいは時代によっても随分違うということが当然想定はされるわけでございます。私どもとしては、これについて、その時々でこの動向を十分に注視いたしまして、そこの社会通念がどのぐらいのところにあるかというところを見た上で、その時々の見直しというものもまた必要に応じてはしていかなきゃならないなというようには考えております。

矢野委員 それでは次に、第十条の三でございますが、請求に当たって、いわゆる本人確認を行うということで、運転免許証等とございますが、この等という部分の中身でございますが、運転免許証以外に、そういう身分証明関係として、法務当局としてどのようなものを想定されているか、教えていただきたいと思います。

寺田政府参考人 これは、まず、旅券、パスポートでございます。それから次に、写真つきの住民基本台帳カード、これらは運転免許証と並んで本人の同一性を確認するのに非常に適当な資料だと考えています。

 しかし、これらのものを所持しておられない方も当然おられるわけでございます。そこで、例えば、健康保険証や社員証のような写真のない証明書やら、あるいは民間企業の発行している身分証明書、そういうものを複数組み合わせるでございますとか、あるいは、市町村の職員と顔見知りであるということも、最終的には本人確認の手段として全く排除することはできないのではないかなというように考えているところでございます。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

矢野委員 では、ちょっと非常に具体的な事例になりますが、身寄りのないお年寄りが、例えば直接そういう自治体に出向けないという場合に、お手伝いさんとか介護士さんとか、そういった身近な他人の方に謄本の請求とか、あるいはお年寄りという例ですから養子縁組というような届け出が該当するかと思いますけれども、そういった場合は、現行の法律の場合とどのように申請方法が変わるのか、具体的にちょっと教えていただけたらと思います。

寺田政府参考人 これは、まず、郵送請求というのがございます。これは今もございますし、改正案においてもこれを認めているところでございまして、ここにおいては、一定の御本人確認の方法はとりますけれども、それは、例えば住民登録上の住所に返送するというようなことも、この郵送の点では本人確認の一つの手段だろうと考えているところでございます。

 それから、御本人が出頭してということが考えられますが、出頭できる場合には、もちろんこれは御本人でございますので、現行法と変わりなく、何の証明も必要なしに御本人のものをとれるわけでございます。

 第三者の戸籍謄本をとるという場合でございますが、これは要件は必要になりますけれども、これもやはり今までと同様にとれるということになります。

 問題は、お年寄りでございますので、どなたかにお頼みになって戸籍謄本等をおとりになるというケースがあろうかと思います。それについては、今までですと使者については何の本人確認もしないということでございますけれども、今回の改正法におきましては、十条の三の一項によって、依頼を受けた者がどなたかということをまず確認することになります。それから、請求者から与えられた代理権限を第二項によって確認するということになるわけでございますので、その点は今と異なるということになるわけでございます。

矢野委員 一方では、今回の法律の改正で、戸籍の不正取得の場合が三十万円以下の罰金に、百三十三条ですか、引き上げられております。厳罰化と言っていいのか、もうちょっと引き上げてもいいんじゃないかという意見もあるかもしれません。

 そこで、こういった不正取得の典型的な事例というもの、あるいはこのような不正取得が行われることを抑止する方策というものをお聞かせいただきたいと思います。

寺田政府参考人 先ほども申し上げたところでございますけれども、この不正取得でございますけれども、他人に成り済まして戸籍謄本をとってしまう、あるいは目的を隠して、あるいはうその目的を言ってとってしまうというようなことがあるわけでございます。

 最近は、一般の方がこういうことを行われることもまれにはございますけれども、しかし、目立つケースは、やはり専門の士業の方の一部の方が、本来はそういう目的でない、職務上の使用ではないのにだれかのためにとってあげる、そういうのが不正取得の典型的な例として残念ながらある、見受けられるところでございます。

 このような不正請求を防止するために、この法律案におきましては、請求者自体の本人確認をまず行うということは先ほど来申し上げているとおりでございますが、資格者につきましては、職務上請求の要件を先ほど申し上げましたように見直して厳しくしております。

 つまり、今までですと、ただ自分の仕事の上で必要だと言えばそれでよかったわけでございますけれども、だれのためにということを示すのを原則にいたしておりますし、紛争性がない限りはその原則に従っていただくわけでございます。さらに、今委員もまさに御指摘になりました、不正請求者、取得者に対しまして制裁を、三十万円以下の罰金の刑罰ということで、これまでの過料から引き上げをいたしておりまして、こういうことを総合的に見まして、これまでのような不正取得、不正請求を抑止できる度合いは格段に高まったのではないかなというように考えております。

 さらに、士業の方々は、やはり士業の方々の内部でもこういうことについていろいろ批判的な御意見もあるわけでございますので、そういう職務上請求のあり方についてさらに御議論をいただいて、一定の統一的なやり方、新しいやり方というものを工夫していただく、私どももそれにいろいろと示唆を申し上げる、そういうつもりでおります。

矢野委員 戸籍の記載事項についてお尋ねをしたいと思います。

 これはあくまでも参考までに伺いたいんですが、戸籍で真実でない記載がされることを防止するという点で申し上げますと、例えば、本籍地を特定の場所に、もっとはっきり言えば皇居や大阪城公園、あるいは世界遺産に指定された城郭などに置いておられる国民の方もかなりの数に上ると聞いております。これは真実の記載に当たるのでしょうか。

寺田政府参考人 本籍地といいますのは、実は、どこに置かなければならないという制約はございません。どういうものが本質的に本籍であるかということの定義もございません。したがいまして、日本国内の中であれば、どこでも特定の場所に本籍を定めることができるという扱いにいたしております。

 したがいまして、その範囲であれば、どこをお定めになっても不実記載に当たるということはないということでございます。

矢野委員 ということは、かつての本籍の意味合いは別としまして、現在の本籍というものは、戸籍が置いてある場所というか、その行政区といいますか自治体というか、それを指し示すだけの目次みたいなものだと考えていいんでしょうか。

寺田政府参考人 法律上は、この本籍地というものが戸籍においては必須の記載事項になっておりますので、本籍を置きたい市区町村のどこかということの意味しかございません。つまり、その市区町村に本籍を置きたければ、その市区町村のどこかの地を特定していただくという意味しかございません。

 ただ、伝統的に申しまして、この本籍地というのは、もちろん、御自分の出身地でございますとかさまざまな法律外の要素というのがそこに附属しているわけでございます。したがいまして、その本籍をどうお感じになるかということは、これはもう法律の世界の外の問題でございまして、それをしかし法律としても決して無視はできないというところではございますが、違法か違法でないかというレベルを置きますと、その問題は捨象されてしまうということにならざるを得ないわけでございます。

矢野委員 ありがとうございます。

 次に、前回の改正で戸籍簿と比べて大変公開に強弱をつけたと言われている除籍簿、除籍謄本の関係をお尋ねしたいと思いますが、ちょっと除籍簿をおきまして、改正法の百二十六条の、学術研究であって、公益性が高く、かつ、その目的を達成するためなら戸籍情報を提供できる旨の条文がございますが、この学術研究というものはどういったことを指し示すのか、教えていただきたいと思います。

寺田政府参考人 これは、従前の戸籍法には出てこなかった概念でございます。ただ、従来は、戸籍謄抄本とは別に、例えば医療機関が、どういう死因で、いつ、どなたが亡くなったかということを調べる必要がある、その場合に戸籍を利用されるということがございました。そういう医学研究上の必要から、昭和五十七年に通達を出しまして、一定の学術研究については戸籍の情報を戸籍謄抄本の公開とは別に出す、そういう手段を認めていたわけでございます。

 しかし、今回、どういう場合に情報が出るかということは全部法律の中に書いておいた方がいいという考えのもとに、今委員がおっしゃった百二十六条を規定しているわけでございますので、本質的に、先ほど申し上げました、従来の扱いを大きく変えるというつもりはございません。そこに書いてございますとおり、公益性が高くて学術研究の目的が達成できるというものであれば何でもいいわけでございまして、決して医学研究には限られるものではございませんけれども、しかし、主として、医学研究がこれからも対象にはなるだろうと思っております。

 どういうものを具体的に挙げるかにつきましては、また基準をいろいろ考えて、広く御意見を伺った上でお示ししたいと考えております。

矢野委員 重ねてお尋ねしますが、今のこの学術研究に関しまして、この文言に関しては除籍謄本についても該当するという理解でよろしいんでしょうか。

寺田政府参考人 百二十六条における情報の提供というのは、除籍、つまり除かれた戸籍に記載された事項、情報についても当てはまるわけでございます。

 なお、念のため申し上げますと、決して除籍謄本そのものをお出しするわけではありませんで、除籍謄本のうち必要な事項、情報についてこれを提供する、こういうことになるわけでございます。

矢野委員 ところで、最近、二十年間戸籍がなかった方がおられました。事情はさておきまして、その後、その方は戸籍を得られたというふうに聞いておりますが、一般論として、そんな何十年もたってから戸籍をつくる場合の手続というのは、何か特別なものがあるのかどうか、また、このケースと切り離しまして、一般的にそういう罰則みたいなものはあるのかどうかを伺いたいと思います。

寺田政府参考人 これは、特別の手続をそのために設けていることはございません。戸籍の記載は、原則として、届け出に基づいてされるというところでございまして、無国籍で長くおられた方においても、そのことは変わりないわけでございます。

 ただ、例えば、届け出については、届け出義務者というのが決められているわけでございます。しかしながら、届け出義務者が届け出をしないというときに、そのままほっておいてもいいということにはなりませんので、市町村長が職権によって戸籍の記載を行うということもできることになっております。これは、四十四条の三項で二十四条の二項を準用している関係でそういうことになるわけでございます。したがって、こういう手段も利用できないかといえば、こういう場合には当てはまることが比較的出てくるかもしれません。

 なお、正当な理由がなくて届け出期間内に届け出をしなかった者については、これまでは三万円以下の過料でございましたけれども、今回見直しをいたしまして、改正法では五万円以下の過料としているところでございます。

矢野委員 きょうは総務省からもお越しをいただいていると思います。余り時間がございませんので、簡単にお願いしたいんですが、今国会では住民基本台帳法の一部改正法案も提出をされております。戸籍と大変密接な関係にあると思うわけでございますが、その改正の中身といいますか、罰則も含めて、今回の戸籍法の改正とある意味連携しているというか、整合性のあるものになっているのかをお尋ねします。

門山政府参考人 今国会に提出いたしております住民基本台帳法の改正法律案でございますが、何人でも住民票の写しなどの交付を請求できるという現行の交付制度を見直しまして、個人情報保護に十分留意した制度として再構築いたしますとともに、転出などの際の本人確認を厳格化し、成り済ましの防止を図ろう、こういう内容のものでございます。

 改正の具体的内容といたしましては、住民票の写しなどの交付請求をできる場合につきまして、自己または自己と同一世帯に属する者による請求、それから二番目に、国、地方公共団体の機関による請求、三番目には、これら以外の者であって、自己の権利行使や義務履行に必要な場合など、住民票の記載事項を確認することについて正当な理由がある者による請求、これに限定いたしますとともに、住民票の写しなどを交付する際の本人確認、あるいは転出、転入等の届け出の際の本人確認について規定するものでございます。

 御指摘の罰則につきましても、偽りその他不正の手段により住民票の写しなどの取得を行いました場合の制裁措置を、三十万円以下の罰金に強化するということにしているものでございます。

 このように、今回の住民基本台帳法改正法律案につきましては、戸籍法の改正と整合性のとれたものとなっているというふうに考えているところでございます。

矢野委員 それでは、最後に大臣にお尋ねをしたいと思います。

 今回の法改正では、やはり各市町村において一律の運用がなされるように、ぜひともお取り計らいといいますか指導をしていただくべきものだと思うのでございますが、その点で、そういう一律の運用ということをどういう方法で確保されるのか、そういうことを含めて、大臣の御決意と申しますか、御所見を伺いたいと思います。

 七百七十二条について伺おうかと思いましたが、それについてはいろいろとございますので、私はきょうはそれは伺いませんので、よろしくお願いいたします。

長勢国務大臣 おっしゃるとおり、戸籍事務は、親族的身分関係を登録、公証する大変大事な事務でありますので、全国的に統一した処理を行うことは非常に大事なことだと思っております。

 今回の改正によって、幾つか、法改正、法律事項にしたものがありますが、従来、見せるとか見せないとか、とるとかとらないとかということになりますので、その根拠は何だということを言うような方もおりまして、窓口も大変苦労もしておったこともありますので、そういうことも法定化をするとか、また、利用される方々に対しても、十分理解をしていただいて、円滑な運用に努めてまいりたいと思います。

 戸籍の運用については、窓口担当者の集まりである全国連合戸籍事務協議会というものがありまして、そこでいろいろ参考の意見も聞かせてもらったり、また、そこを通じていろいろな指導もしてまいりましたが、これからも、そことも十分連絡をとるとともに、なるべく窓口の判断が少なくなるように、通達等で補足して、全国一律の運用が実施できるように努めてまいりたいと考えております。

矢野委員 終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

七条委員長 この際、連合審査会開会申入れに関する件につきましてお諮りいたします。

 内閣委員会において審査中の内閣提出、犯罪による収益の移転防止に関する法律案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等は、追って公報をもってお知らせいたしますので、御了承願います。

 次回は、来る二十三日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十八分散会


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