衆議院

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第14号 平成19年4月27日(金曜日)

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平成十九年四月二十七日(金曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 七条  明君

   理事 上川 陽子君 理事 倉田 雅年君

   理事 武田 良太君 理事 棚橋 泰文君

   理事 早川 忠孝君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      今村 雅弘君    近江屋信広君

      奥野 信亮君    岸田 文雄君

      北村 茂男君    小杉  隆君

      後藤田正純君    笹川  堯君

      清水鴻一郎君    柴山 昌彦君

      杉浦 正健君    鈴木 馨祐君

      土井  亨君    松本 文明君

      三ッ林隆志君    武藤 容治君

      森山 眞弓君    矢野 隆司君

      保岡 興治君    柳本 卓治君

      山口 俊一君    石関 貴史君

      大串 博志君    河村たかし君

      中井  洽君    横山 北斗君

      神崎 武法君    保坂 展人君

      滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         長勢 甚遠君

   総務副大臣        大野 松茂君

   法務副大臣        水野 賢一君

   文部科学副大臣      池坊 保子君

   経済産業副大臣      山本 幸三君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   財務大臣政務官      椎名 一保君

   厚生労働大臣政務官    松野 博一君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   最高裁判所事務総局経理局長            小池  裕君

   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君

   最高裁判所事務総局家庭局長            二本松利忠君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  山本 庸幸君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    梶木  壽君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    藤田 昇三君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  稲見 敏夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西阪  昇君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           黒川 達夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           荒井 和夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   参考人

   (同志社大学法学部教授) 瀬川  晃君

   参考人

   (三重県保護司会連合会会長)           森本 孝子君

   参考人

   (弁護士)

   (日本弁護士連合会刑事拘禁制度改革実現本部事務局長代行)         海渡 雄一君

   参考人

   (日本ダルク代表)

   (NPO法人アパリ理事長)            近藤 恒夫君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  清水鴻一郎君     岸田 文雄君

  杉浦 正健君     土井  亨君

  保岡 興治君     小杉  隆君

  柳本 卓治君     鈴木 馨祐君

同日

 辞任         補欠選任

  岸田 文雄君     清水鴻一郎君

  小杉  隆君     保岡 興治君

  鈴木 馨祐君     柳本 卓治君

  土井  亨君     北村 茂男君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 茂男君     松本 文明君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 文明君     杉浦 正健君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 更生保護法案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

七条委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。この際、やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、更生保護法案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、同志社大学法学部教授瀬川晃君、三重県保護司会連合会会長森本孝子君、弁護士・日本弁護士連合会刑事拘禁制度改革実現本部事務局長代行海渡雄一君、日本ダルク代表・NPO法人アパリ理事長近藤恒夫君、以上四名の方々に御出席いただいております。

 この際、参考人各位に委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多忙のところ御出席を賜りまして、ありがとうございました。委員長の七条でございます。今申し上げたとおり、きょうは、民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合の皆さん方の御出席を得られておりません。やむを得ず、こうして出席を得られない中で進めさせていただきますけれども、どうかよろしくお願い申し上げるところでございます。それぞれの立場で忌憚のない御意見を賜れば幸いに存じます。よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、瀬川参考人、森本参考人、海渡参考人、近藤参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず瀬川参考人にお願いいたします。

瀬川参考人 同志社大学の瀬川でございます。

 私は、刑事法、特に刑事政策を専攻しております。

 きょうの話でございますが、大体四つに分けてお話をしたいと思っております。

 まず第一は、社会内処遇といいますか、更生保護の重要性ということをお話ししたい。それから、法案に至る経緯といいますか、それを二番目にお話ししたいと思っております。三番目は、法案の基本的な方向性ということをお話ししたいと思います。それから四番目は、残された課題としてお話を申し上げたいというふうに思います。

 第一番目でございますが、刑事政策における重要性ということなんですけれども、歴史を振り返りますと、死刑というものが一番中心の時代があった。それから時代が進化していくわけですけれども、監獄中心といいますか、自由刑中心の時代というものがあった。そこからが現在の時代なんですけれども、いわゆる更生保護といいますか、社会内処遇に対する重視という時代に入っていったということでございます。それは、いわゆる自由刑といいますか、刑務所の処遇というものがやはり限界を持っているということであります。

 幾つか挙げますと、自由を完全に剥奪して、社会内における生活というものを教え込むのはなかなか難しいということでございます。

 つまり、よく言われますように、畳の上の水泳訓練という言葉がありますけれども、社会の水といいますか、そういう中で生活するというのは非常に難しいという問題を持っておりますので、トレーニングという点で、社会内処遇はすぐれているということは言えるというふうに思われます。

 それから、刑務所に入れてしまいますと、刑務所はもちろん意味があるわけですけれども、いわゆる社会あるいは家族から断絶した形で処遇がなされるということでございます。その点は、非常に大きなハンディキャップがあるということでございます。

 それからもう一つは、刑務所帰りというレッテルというのが我が国では非常に強い、世界的に強いと言っていいかもわかりませんが、非常に強いものがあるということでございまして、そういう意味で、刑事政策における更生保護の重要性というものは否定できないといいますか、むしろ強調されるべきであろうというふうに考えております。

 いずれにしましても、更生保護の重要性というのは、円滑な社会復帰ということに重点があるということでございます。

 それから二番目に、今回の法案に至る経過でございます。

 これは、平成十六年あるいは十七年にかけてでございますけれども、重大な再犯事件というものが発生したということでございます。特に、保護観察中にある者の重大再犯事件というのが非常に注目されたということでございます。

 そこから、更生保護に対する批判といいますか、問題意識というのが芽生えたといいますか、社会的には非常に大きな関心が喚起されたということでございます。非常に厳しい目が、特に保護観察に対して向けられたということでございます。仮釈放とか、あるいはそのほかの更生保護制度についても厳しい目が向けられた。

 特に、現代社会は安心、安全を求める社会といいますか、そういうふうに定義づけられると思いますけれども、その中でのいろいろな重大再犯事件というのが社会的に大きな関心を引いたということでございます。

 以来、第一回の会議といいますか、更生保護を考える有識者会議というのが平成十七年の七月二十日に開催されております。そこからちょうど一年間、この有識者会議で会議がなされております。ここでは、更生保護、特に保護観察のあり方というものが中心に議論をされております。

 保護観察というのは、コントロールする面とケアする面と両方あるわけですけれども、両方ともが大きな問題を持っていたという認識を我々は持っていまして、それで一年間にわたる会議が開催されたということでございます。

 この委員自体は更生保護関係者ばかりではありませんで、学者あるいは地方自治体の首長さん、それから新聞社の方とか、あるいは弁護士の方も入って、さまざまな観点から議論をされたということでございます。

 そこで、平成十八年の六月二十七日でございますけれども、報告書を取りまとめたということでございます。それが、恐らくお手元にあるかと思いますけれども、有識者会議の報告書でございます。

 そこで強調したことといいますか、我が国の更生保護というのは独特といいますか、非常に歴史的な意味合いを持っておりまして、これは、いわゆる民間の篤志家といいますか、ボランティアが中心になって行われてきたものであるということでございます。もう百年以上の歴史を持っているわけですけれども、いわゆる民間人が支えてきたという歴史を持っております。そういう意味では、そういうよき伝統といいますか、それは一方で肯定しながら、また新たな時代といいますか、そういう展開が必要じゃないかという認識に立って、今回の報告書をまとめたということでございます。

 ただ、その会議の進行する中で非常に悩んだことといいますか、非常に悩ましいことは関心がなかなか向けられない、重要な問題であるにもかかわらず、法曹三者もそうですし、あるいは国あるいは自治体もそうだと思いますけれども、なかなか関心が高まらない。そういう点で、この報告書、異例ではございましたけれども、この問題といいますか、犯罪者の立ち直りあるいは社会復帰の問題については国家の責任であるということを明記したということでございました。これは最後に非常に議論をしましたけれども、こういう形できちっと出そうという形で報告書を出したということでございます。

 それから、法案の基本的な方向性でございますけれども、大きく分けますと、大体四つぐらいあると思います。

 一つは、法律の統合ということでございまして、従来、犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法がございますけれども、この二本立てであったのを一本立てにしようということでございます。これは、法律家としては望ましいというふうに考えております。

 それからもう一つは、理念の明確化ということでございます。この点もいろいろな激しい議論をしましたけれども、いわゆる更生保護の理念というのは改善更生にあるのか、あるいは再犯防止にあるのかという点が対立点でございました。結局のところ、議論としては、私もそういう考えを持っておりますけれども、両方含むということでございます。表裏一体といいますか、不即不離と言っていいかと思いますけれども、犯罪者の改善更生、それから再犯防止に向けての処遇というものが非常に必要だということでございます。

 もちろん、今回の場合は、従来は改善更生にやや重点が置かれていると思いますけれども、再犯防止ということが非常に前面に出だしたということでございまして、我々としては両方の適正なバランスといいますか、そういうものを考えるべきだという立場に立って報告書をまとめたという経緯がございました。今回の法律では、この理念の明確化ということが行われております。

 それから、これは一番重要な点でございますが、保護観察をどうするのかということでございました。これは、用語としましてはキーワードなんですけれども、強靱な保護観察という言葉遣いをいたしました。強靱という意味は、強いという意味だけじゃなくて、しなやかさを持っているといいますか、柔軟性を持っている、そういう保護観察をつくり上げたいというふうに考えております。

 この角度から見ますと、この法案では遵守事項の強化といいますか充実が図られたということ、遵守事項というのは約束事といいますか、対象者、犯罪者ですね、対象者といわゆる保護をする側、更生保護をする側の約束事でございまして、遵守事項と呼んでおりますけれども、遵守事項を明確化して、あいまいなものからよりすっきりしたものにしようという試みをいたしております。

 それからもう一つは、特に性犯罪者が一番念頭にあったと思いますけれども、専門的な治療といいますか、そういうプログラムを受けるようにしむけるといいますか、義務づけるというあり方でございます。この点は、いろいろな事件の経過を見ましても、必要性というのは十分感じられるところであろうというふうに思っております。

 それから、保護観察の弾力化が図られたということで、具体的には変更、取り消しを認めるということでございます。決めてしまうとそれで固まってしまうというんじゃなくて、柔軟に運用するということでございます。

 それから、強靱の靱という字が非常に言い得て妙なところがございまして、さっきしなやかさと言いましたけれども、ケア面といいますか、先ほど保護観察というのはコントロールとケアと言いましたけれども、ケア面も充実させる必要があるということでございまして、この点で一番大事なことは就労といいますか仕事面だと思いまして、我々としては就労の支援ということを重視したということでございます。

 この角度からは、自立更生促進センターというものの立ち上げが予定されておりまして、この点は地域住民の理解を求めながらという条件つきかと思いますけれども、大いに積極的に進めていただきたいというふうに考えております。

 それからもう一つは、環境調整ということでございまして、これは、あらかじめ出所前にその対象者の環境を調整する、特に仕事面、住むところという点で環境を調整するということでございます。この環境調整も積極化するというのが今回の法案に盛り込まれております。

 それからもう一つは、いわゆる犯罪被害者の支援といいますか、そういう角度から、犯罪被害者の心情というもの、被害者の声を加害者に伝えるということに重点に置いております。

 それからもう一つは、仮釈放審理におきまして、被害者の意見聴取を行うということでございます。

 こういう形で、新たな方向性というものが四つほど法案の中に盛り込まれているということでございまして、この点は、いわゆる刑事政策を研究している者から見れば、基本的な方向としては積極的に進めていただきたいという方向性が出ているというふうに考えております。

 ただし、残された課題と先ほど四番目に言いましたけれども、これは何かということでございますが、これを推進するためにはまだまだいろいろな条件整備が必要じゃないか。保護観察というのは実際は、保護観察官という役職があるんですけれども、これは千名強いますけれども、実動部隊というのは七百名ぐらいでございます。保護観察の件数というのは年間六万件ございますので、逆の意味で天文学的な数字といいますか、事件負担量というのが恐らく、欧米に比べますと、もうおびただしい数を彼らがやっている。

 ただし、先ほど言いましたように、民間篤志家が実際には制度を支えておりまして、これは御存じだと思いますけれども、保護司さんが四万六千か七千おられると思いますけれども、この方々が支えている、あるいは更生保護施設の職員の方が支えているというのが現状でございます。

 そういう意味におきまして、私は今回の改正に当たっては、観察官の増員、報告書では倍増ということを言いましたけれども、とにかくこの数をふやしていただきたい。特に、改正していろいろな法案が通っても、保護観察官の仕事の状況が非常に悪化すればするほど状況は悪くなるわけでございまして、そういう意味で、観察官の数というのは重要なポイントになるというふうに考えております。

 それから最後に、監獄法は改正されましたけれども、刑務所は治安のとりでというふうに言われております。更生保護こそは社会内における治安のとりででございまして、そういう意味で、ぜひこの法案というもの、もちろん、パーフェクトな法案というふうに言えるかどうか、いろいろな問題点を含んでいると思いますけれども、御審議の中でいろいろな形で修正していただいて、いろいろな要請を盛り込みながらいい法案にしていただきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、先ほど申しましたように、改善更生と再犯防止の適正なバランスといいますか、その上に立って、わかりやすい法律といいますか、そういうものにしていただきたいということを念じております。

 以上でございます。(拍手)

七条委員長 どうもありがとうございました。

 次に、森本参考人にお願いいたします。

森本参考人 三重県の保護司会長をしております森本孝子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私、保護司をいたしましてちょうど二十八年になります。その間、本当にたくさんの対象者と、いろいろな事件とかかわってまいりました。そのいろいろな事件の中で考えたこと、いろいろと苦労したことなどを聞いていただきたく、今日参りました。学術的にどうだこうだというようなお話はできないので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 保護観察というのは、いわゆる対象者が刑務所や少年院に入っていくところから始まっております。それは、先ほどもおっしゃいましたが、環境調整という事項がございまして、それが保護司がかかわる仕事の第一歩でございます。

 これは、その家庭にお伺いをしまして、その方が帰住先となっている家庭でございますね、その帰住先、身元引受人が果たしてしっかりと引き受けてもらえるのかどうか、そういう家庭の調査に参るのですが、まず、見ず知らずで初めてそこのお宅に参りますので、お電話をいたしまして、私、このたびお宅の、この方の保護司をしている何々でございますが、ちょっとお尋ねしたいことがございますのでお伺いしてよろしゅうございますかと申し上げるんです。やはり向こうは、兄嫁には弟のこのことは内緒だから兄嫁がおると困るとか、お母さんでしたら、私は帰ってきてもらうと世間体が悪いのでほかへ行ってほしいと思いますが、父親が賛成しておるので父親がおるときに来てくださいとか、いろいろなことをまず第一に言われます。それをすべて、わかりましたということで受け入れさせていただいて、御指定の時期とか時間だとかいうのにこっそりと行かせていただきます。

 そして、書類とかを持っていきますと大変向こうの感情を害しますので、メモ程度のことで、暮らし向きだとか、収入はどうだとか、書類が参っておりますが、これだけの家族で本当に仲よく暮らして、本人が帰ってきても住む場所があるかとか、そういうことを、真実を知らないといけませんので、どうかうそをつかないで真実を教えていただきたいと願いながら、こちらが上手に誘導尋問というのでしょうか、聞かせていただきます。

 その環境調整の欄には、近隣の社会的な感情だとか、被害者への現在の状況だとか、そういうものも入ってございますので、被害者とはおつき合いがございますかとか、あのままですかとかお尋ねします。

 また、近隣のことは私もわかりませんので、どうしようかと思いましたら、幸い近くに更生保護女性会の役員がおったりしますので、決して犯罪のことは申せませんし、そういうことは本当に秘密厳守でございますので、あそこのお宅にこういう方がいらして、何か縁談とかいう話があるらしいけれども、あそこのうちどうかしらと、悪いですけれども方便を使わせていただいてお尋ねすると、更生保護女性会の方は、いや、そういう人はおられないように思うけれども、でもまあ仲よくしておられるとか、若い夫婦とはうまくいっていないとかいう真実を聞かせていただいて、本当にほっとして、よかったと思って、その事実を報告いたします。

 それが環境調整の始まりでございます。これが最初うまくいきますと、大変スムーズに家族との調整もできるのですが、ここで一つ段を違えますと、後で保護司は大変苦労することになります。

 そして、いずれ対象者が帰ってまいります。我が家を訪ねてくれます。応接間へ上がっていただいて、そしていろいろと話をするのですが、そのときまでには書類が来ておりまして、大体罪状だとか成育歴というものはわかっておりますが、余り罪状を詳しく読みますと私の胸の中が痛くなりますので、アウトライン、何がどうであったぐらいを頭に入れまして、成育歴はしっかりと読んで、そして会話を始めます。

 そのときに、遵守事項を持ってまいります。それで、遵守事項を読んでもらいます。特別遵守事項、このことは守ってくださいねということを約束します。それともう一点、私との約束をしていただきたい、うそをつかないこと、約束をする、この二つは守っていただきたいということを申し上げて、本当の保護観察が始まります。

 そのときに、私は、どんな方が来ようとも、これは我が家族である、身内であるということを我が胸に言い聞かせます。そうでないと、先ほど読んだ罪状が頭の中を左右しまして、やはりそこに隔たりというんですか、それができるともう保護司はだめですので、家族である、この子がうちの家族、このおじさんが私のおじさんだと思うことで親近感が生まれるので、きょうからは一緒に、どんなことでも、うそをつかない、何でも相談してくださいね、私は、今までと違って、これからのことを心配する人間だから、過去のことは問わないから、これからを問うからよろしくお願いしますということで、二人三脚で行こうということをお話しして始まってまいります。

 保護観察を担当しておりますと、いろいろなことがございます。例えば、夜間などに緊急に、今助けてほしい、夜十二時ごろですが、だれだれの家におるんやけれども、僕は追われていて、前に白い車がとまって、二人男がおって、それがおるから僕は帰れないし困っているからというような電話がございます。そのときに、行ってみると本当に白い車がありまして、携帯がございますので、来てもらったら困る、あれが出てきて僕を連れていくから来ないで、そこで保護司さんは待っていてというようなことがあるのです。

 そのときに、本当に、観察所へ電話をして、SOSを出して観察官に来てほしいと言いたいのですが、やはり観察官も大変な仕事、一人の観察官が百件以上の事件を抱えていらっしゃいますし、それはできないし、現在は、夜も電話ができる、そういう状態に整備はしていただきましたので、夜中でも観察官へ緊急電話をして相談はできるのですが、このときに警察に言っていいのか、警察へ言うとまた犯罪が何かプラスされるのではないか、本人のためによくないのではないかとか、頭の中でいろいろ考えるときがございます。そのときに、観察官に来てもらえるような余裕のある観察官の状態にしてもらえたら保護司は助かるんだがなとつくづく考える、そういう事態にも遭遇いたします。

 また、先ほど申しました遵守事項でございますが、今までは日常生活で当たり前の遵守事項が守れないんですね。そして、特別遵守事項もついておりまして、保護観察には、それが私たちの彼への教訓というんですか、これをもって更生してほしいという一つの大きな材料なんですが、それは守らなくても保護観察は終了いたしますし、定住地に生活するというたったそれだけの基本も守れずにどこかへ行ってしまう少年もおりまして、出てきましても、前の遵守事項を守らなかったからというそのことは問われませんし、あんなものは軽いものだということが彼らの間には横に流れますし、やはり私たちは民間でございまして、民間の社会内処遇でございまして、何の権力、権威もないんですが、やはり遵守事項だけは、あなた、守ってもらわないとと常に言うのですが、そこに何の力も持たせてもらえなかったら、本当に私たちは徒労に過ごしたということになります。

 このたび遵守事項を、普通の遵守事項、また特別遵守事項で、あのようにいろいろときちっと多方面にわたって提示していただけるということは、保護司にとりまして、大きな力というんでしょうか、私たちにとりましては、本当に助かる遵守事項になると思って、そのことをお聞きしたときにはまず第一に喜びました。

 だから、これからも遵守事項を守ってほしい、そのことについて、彼らと私も二人三脚でやってまいりますが、守れなかったらどうなるか、あなたはバックするのよ、やはりそのことが言える自分でありたいと思うのと、バックするのよと言っても、何言っているの、どこかへ行ったら終わりやないかということを今まで彼らは思っていたと思うのですが、そのことをしっかりと明記していただけるということはありがたいことだと思っております。

 保護観察をしていくのには、対象者とどう信頼関係を持たすかということが一番の、それも精神的な面ではネックでございまして、こちらが考えていることはこちらの考え以上に向こうにうつるという心の連鎖反応は対象者と保護司との間にできております。こちらが本当に彼らのことを思って、深い愛情を持って謙虚な気持ちで、どうしてもこの子を自立更生させたいと一生懸命に思っておりますと、何となく彼らには伝わりますし、家族にも伝わりまして、まず家族がその保護司の熱意、気持ちを理解してくれますと、対象者は自然とその家族の気持ちを受けて、こちらの方に心を開いてくれるというのでしょうか、だから、私たちは対象者との人間関係、信頼関係を重視するのが大変大きなお仕事だと考えております。

 それから、いろいろと指導していきます中におきましては、私は必ず、被害者への思いをどういうふうに考えているのかということを対象者に申し上げます。でも、いつも言いますと、対象者はまだ大変無視しますので、一カ月に三度会うということが大体の基準になっておりますので、二カ月に一度ぐらいは、被害者のことを考えているの、あの方は青春がなくなったのよ、だから、あの女性にはあなたはずっと悪かったという気持ちを忘れてはいけない、それを心の十字架としてあなたが生活していったら、必ずあなたの家族もそういう被害には遭わないでいけるわよとか、大変世間的なことですが、やはりそういうことを申し上げて、本人に常識を持たせる努力というのでしょうか、それは忘れてはいけないと思って、いつも考えてやっております。

 でも、そういうふうにして苦労しておりましたら、大変うれしい話もございます。

 十五、六から二十ぐらいまでの四、五年の間一生懸命かかわった子たちが、もう三十を過ぎて一人前になって、背広姿になって、先生と言って車の窓をたたいてくれて、先生と言うてくれる子は保護司で見た子だなと思いまして見ましたら、名刺を出してくれまして、どこそこの会社のコンサルタントをしたとか、今度子供ができたとかいう話を聞きましたら、もう本当に涙が出るほどうれしいですけれども、よかったねと言って再会を楽しむこともございます。

 こういう私たちの更生保護というのは、やはり保護司と対象者、周囲だけではなく、社会内処遇において自立更生をさせるというのが本来の目的でございますから、もっと地域の方々に、こういう人たち、苦しみながらも社会で更生しようとしているという人間がおるということを知っていただいて、二度と再犯に走らない、また仕事をさせる、仕事をさせるためには、地域のいろいろな方から就職口を提供していただくとか、地域を挙げてやはり取り組んでいただかないと、安全、安心の地域づくりは実現しないと日ごろ考えております。

 以上、私の経験から申し上げました。ありがとうございました。(拍手)

七条委員長 どうもありがとうございました。

 次に、海渡参考人にお願いいたします。

海渡参考人 本日は、意見陳述の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。日本弁護士連合会を代表して、更生保護法案について意見を述べさせていただきます。

 更生保護法は、刑事実体法である刑法、手続法である刑事訴訟法と並んで、刑事被収容者処遇法とセットで刑事司法の執行法ともいうべき基本法であります。従来の犯罪者予防更生法及び執行猶予者保護観察法を整理統合した総合的な法律でもあります。

 本日は野党の先生方が出席されていないという状況なわけですが、本法案の審議については、当連合会としては、十分時間をかけ、また、以下に述べさせていただきます幾つかの点について思い切った修正をお願いしたいというふうに考えております。

 第一点は、更生保護の目的に関してでございます。

 更生保護の本質は、罪を犯した者に対して、社会内で指導、援護を行い、その更生を実現していくことであります。こうした更生保護の目的が達成されることによって、結果的に再犯防止がもたらされ、より安全な社会の実現につながることが期待されております。

 法案の第一条においては、目的として再犯の防止を第一に掲げておりますが、制度の結果として期待すべきものを目的の冒頭に持ってくることは、更生保護の本質を誤らせる危険性があります。確かに、刑余者の再犯を防止するということは大切ですが、仮釈放者の再犯率が満期釈放者の再犯率よりも低ければ、仮釈放とその後の保護観察は再犯率を下げるために役立っているというふうに考えることができます。法案の目的規定においては、更生保護の対象者が仮にわずかな人数であっても再犯を犯した場合には、制度そのものが失敗しているととらえるような近視眼的な運用を生み出しかねないというふうに考えます。

 最初から再犯防止を至上命題とし、治安維持的な立場で対象者に接すれば、先ほど森本さんから感動的なお話がありましたが、対象者と保護司さんとの信頼関係をつくり改善更生を助けるということもできず、結果として再犯を減らすこともできないという結果になりかねません。

 したがって、法案の第一条の目的規定は、「目的」の「又は」以下は、これらの者が善良な社会の一員として自立し、改善更生することを助け、もって、これらの者が再び犯罪をすることを防ぎ、またはその非行をなくし、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進することを目的とするというぐあいに修正するべきであるというふうに考えます。

 第二点は、国の責務に関してでございます。

 法案第二条第一項は、更生保護に関する国の責務について規定しています。更生保護は、施設内処遇と社会内処遇の双方にまたがる分野であり、組織の壁を越えて、法務省内の矯正、保護両部門が十分連携を図って行うべきであります。また、定住支援、就労支援などの問題に関しては、法務省と厚生労働省が組織の壁を乗り越えて連携すべきであると考えます。

 第三点は、地方更生保護委員会の委員の任命についてでございます。

 法案には、地方更生保護委員会の委員の任命について規定がございません。現状は、委員の大半が保護関係の機関の行政官のOBで占められているという実情にあるわけですが、これは、第三者たる審査機関には不適当と考えられます。

 瀬川先生たちがつくられました有識者会議の報告書におきましては、仮釈放審理が内輪で行われているとの批判にこたえるとともに、審理の公平性、的確性、透明性等を高めるため、地方更生保護委員会の委員に民間出身者等更生保護官署出身者以外の者も積極的に登用すべきである、精神医学、臨床心理学の専門家、社会福祉関係者、法律家等の多様な専門的知見を審理に活用すべきであるとされております。

 このような点を法案の中に具体化する、例えば、刑事施設視察委員会などに倣いまして、人格識見が高く、罪を犯した者の更生保護に熱意を有する者のうちから法務大臣が任命するといったような規定を法案に盛り込んでいただきたいと考えます。

 第四点は、仮釈放審理事務を行う人的資源についてでございます。

 先ほどの森本さんのお話にもありましたが、保護観察官が圧倒的に足りない。平成十九年度、全体で四十三名増員されたというふうに伺っておりますが、まだまだ焼け石に水というのが実態でございます。保護観察官の抜本的な増員、事務局を担う人的資源の拡大、これは急務であると考えられます。

 第五点は、仮釈放の積極化についてでございます。

 仮釈放は、保護観察を通じ、対象者の円滑な社会復帰と改善更生に極めて有益なものでございます。したがって、適性のある者に対してはできるだけ早い段階で実施されるべきです。また、いわゆる処遇困難とされる者についても、施設内処遇から満期釈放によって突然、何らの指導、援助もないまま社会に出ることは、受刑者本人にとっても、また社会にとっても、極めて再犯リスクが高い状態を生み出すというふうに考えられます。

 きょう、法務省の方でつくられたたくさんの資料を私のプレゼンの後ろにつけておきましたが、これを見ていただきますと、仮釈放になっている者とそうでない者との間で再犯率が二〇%ぐらい違うわけです。二〇%も違うということは、仮釈放するということ、そして保護観察をしているということが再犯リスクを下げているという端的な証明になっていると考えます。

 したがって、仮釈放は釈放に至るまでの基本的なステップである、原則としてすべての受刑者について仮釈放の可否の検討がなされるべきである、審査の機会が与えられるべきだと考えます。

 法案の三十四条一項は、仮釈放の基準については、すべて許可基準を法務省令にゆだねてしまっておりますけれども、有識者会議の提言においても、許可基準を改めて、運用準則を策定すべきだという意見が述べられております。仮釈放制度の刑事政策的意義、先ほど瀬川先生からもお話がありましたが、これを踏まえて、仮釈放の運用をいたずらに萎縮させない、めり張りをつけた運用をすべきである。提言の中には、犯情軽微な覚せい剤事犯者については、簡易尿検査を含む処遇プログラムを受けることを条件に、相当早期に仮釈放を認めることが検討されるべきである、これは非常に正しい指摘だと思いますが、そういう提言がなされております。

 このような提言を具体化できるような規定、例えば法案の三十四条一項に、法務省令で定める基準が、仮釈放制度の意義を踏まえ、適切かつ積極的な運用を促進するものであることを明確に書くべきであるというふうに考えます。また、法務省令で定める基準の中には、言い渡した刑期の三分の二の期間が経過したときといった具体的な規定を設けるべきではないかというふうに考えます。

 第六点は、仮釈放審理への受刑者本人の関与を認めるべきだという点でございます。

 可能な限り多くの者に仮釈放の機会を与えるために、受刑者本人から審理開始の申し出があった場合に職権によって審理を開始できること、仮釈放申請を棄却する場合には理由を告知すること、こういった点が提言の中ではっきりうたわれております。これは、法案に盛り込むことが予定されていた事項ではないかというふうに考えられます。ところが、現実にはこの点が法案に盛り込まれておりません。

 この点は、法案の三十五条一項において、地方委員会は、前条の申し出がない場合であっても、被収容者から申し出があった場合その他必要があると認めるときは、審理を開始することができるといったような修正が可能ではないかと考えられます。さらに、法案三十四条一項の後に二項を設け、刑事施設の長または少年院の長が前条の期間が経過しても前項の申し出をしないときは、被収容者が直接地方更生保護委員会にみずからの仮釈放を許すべき旨の申し出をすることができるといったような、本人の申請権を認める規定を置くべきことも今後検討されるべきだと考えます。

 第七点目は、仮釈放に当たっての犯罪被害者等からの意見聴取手続についてでございます。

 法案の三十八条、四十二条では、仮釈放等の審理において、被害者等から申し出があった場合には、被害に関する心情その他の審理対象者の仮釈放等に関する意見を聴取することとされました。ただし、仮釈放等の審理というのは、事件そのものからは相当時間が経過して行われるものでございます。審理対象者の状況、生活状況、心理状況などにはかなりの変化があると考えられます。また、被害者等の意見のみによって、真に仮釈放にふさわしい対象者の社会復帰が妨げられ、改善更生の妨げとなるような事態は避けなければなりません。

 被害者等から仮釈放等に関して意見を聴取するに当たっては、審理対象者が同意する場合には、被害者等に異議がない限り、被害者等に対して、審理対象者の改善更生の経過、どのように施設内処遇において改善更生の実が上がっているかということ、事後の事情等を知らせるべきであると考えます。被害者等と審理対象者の双方の意見、利益が適切に代弁され、改善更生の妨げにならないようにするためには、それぞれの対応に当たる保護司は明確に分け、かつ、必要な研修を行うなどの仕組みも不可欠であると考えます。

 第八点目は、遵守事項についてでございます。

 遵守事項違反は不良措置に結びつき得るものであります。遵守事項の内容は簡潔で実践的であること、すなわち対象者が努力すれば現実に遵守可能なものであるということが必要でございます。このことは、社会内処遇について定めました国連の最低基準規則、実はこれは東京で採択されているものなんですが、東京ルールズというふうに国連等で呼ばれていますが、この十二項の二において同様に定めております。さらに、遵守事項の違反が直ちに不良措置に結びつくのではなく、あくまで他に適切な社会内処遇措置をとり得ない場合に限って取り消し等の不良措置に結びつく、この点は東京ルールズの十四項の四にございます。このような点、国連の基準に従ったきめ細かな配慮というものが必要であると考えます。

 遵守事項の違反があった場合にも、まず警告を発するなどの手段を講ずるなど、弾力的な運用がなされるべきことが法に明確に規定されるべきだと考えます。

 法案の六十七条は、保護観察処分少年に対して、遵守事項違反に対する警告及び少年法二十六条の四第一項の決定の申請の規定を新設しようとしております。

 この点は、本通常国会において審議継続中の少年法等の一部を改正する法律案を前提とするものですが、法務省は、法制審議会少年法部会において、程度の重い遵守事項違反、本人の改善更生を図ることができないこと、これを要保護性の変化に対応させ、新たな審判事由として審判を行うのだという説明をされています。しかし、保護観察中の少年について、犯罪行為や触法行為、虞犯行為もないにもかかわらず、少年に対して施設収容の保護処分を行うことは、仮釈放の取り消し、本来施設収容の判決を受けていた者に対する仮釈放の取り消しとは法的性質が異なる行為であると考えられます。ここでは、もとの非行行為を後の処分において考慮に入れているというふうに判断せざるを得ません。このような処分は、少年を二重の危険にさらすおそれがあり、保護観察中の少年を極めて不安定な地位に置くことになります。法案六十七条については、ぜひ削除をしていただきたいというふうに考えます。

 第九点目は、仮釈放を取り消す措置についてでございます。

 仮釈放の取り消しは、実質的には新たな拘禁措置を命ずる不利益性の高い処分であることは間違いありません。そのためには、適正な手続的な保障が不可欠でございます。仮釈放の取り消しには、行政手続法十三条の趣旨に基づき、聴聞の機会が保障されるべきです。さらに、取り消しの重大性にかんがみ、事前に遵守事項違反の事実を書面で告知を受けることができるようにすること、弁護士が本人を補佐する立場で立ち会うことができること、疎明資料などを提出することができること、必要なときは証人調べなどもできること、こういった手続的な保障を法に明記するべきだと考えます。

 最後に、結論でございます。

 当連合会は、更生保護法案について、基本的にこのような法改正の方向性そのものについては異論があるわけではございませんが、今申し述べましたような意見に沿って法案の原案が修正されることを強く希望して、私の意見陳述を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

七条委員長 どうもありがとうございました。

 次に、近藤参考人にお願いいたします。

近藤参考人 近藤です。きょうはお呼びいただいてありがとうございます。

 私は、荒川区というところで二十数年前に民間の、名もない、薬物依存のリハビリテーションセンターを設立いたしました。モデルはありませんでしたから、その当時、刑務所か少年院か精神病院、そういうかぎのかかる場所しかない、何とか社会の中で回復できるシステムはできないものかどうか、ずっと考えておりました。

 荒川区というところはとても貧乏な区ですから、結構温かいところがあって、薬物依存の施設が建つなんというと大変な地域の攻撃に遭いますけれども、たまたま古紙回収業とかそういう場所でしたから、意外と地域住民の抵抗もなく、小学校と中学校の間に小さな倉庫を借りて、そこに、薬物で苦しんでいる人たちが集まって共同生活をしたりしながらリハビリに励むという施設をつくりました。したがって、現在まで国家の援助もなく、自前でやってまいりました。

 なぜ援助がなかったかというと、この紙に書いてあるように、あいまいな施設であるということなんです。あいまいな施設であるということは、裏を返せば、非常に柔軟で、いいかげんな施設である。あいまいさゆえに、国家の支援も自治体の支援も受けられないというところでした。それがよかったと思います。つまり、厚生労働省も司法も法務省も、どこも距離を置いていただいたというところが、とても自由にできたことだと思います。

 外国ではいろいろな施設が国家の、あるいはアメリカだとペンタゴンなんかも薬物の支援にお金を出しているところもありますけれども、日本は、地域社会でやっていても、あいまいな施設ゆえにどこも支援をしてくれなかったこと、それは本当に感謝できることでした。

 ただ、では企業の社会貢献とかそういうところがやってくれたかというと、ほとんど日本の場合はありません。やっていただいたのはほとんど外資系の会社でした。それからカトリックを含む宗教団体の人たちにわずかな支援をしていただきました。それでどうにか。

 では、税金を使わなかったかというと、決してそうではなくて、今、四五%から五〇%くらい、ダルクに来ている人たちは生活保護を受けております。

 そういう脆弱なダルクでございますけれども、新法改正のときから、私たちは、矯正局と一緒に、今、全国の四十八カ所の刑務所にダルクの人たちがメッセージを届けております。つまり、当事者が当事者を支援していく、こういう合理的なことですね。何かを教えるのではなくて、一緒に悩んで、そして共感を持って、グループミーティングに出ている、ただそれだけですけれども。

 出所後、その人たちが当然ダルクに来るかと思いきや、覚せい剤再犯防止プログラムに出席する人たちは、刑務所の中でもエリートの人たちです。つまり、早く出所できる人。まず、おうちがある、引受人がいる、刑務所の態度も甚だいい、働く場所もある、こういう人たちが仮釈放の対象になります。仮釈放の対象ですから、一見、とてもまじめなんですね。ところが、仮釈放の人たちはダルクには来ません。ダルクに来るのは満期出所者です。保護観察がつかない人たちです。

 満期出所者の人たちというのはどういうものかというと、再犯する、刑務所を何回も出入りしますね、それから刑務所での態度も余りよくない、仕事もない、戻る場所もない、この人たちがダルクに登場するんです。したがって、刑務所で再犯防止プログラムにのれない人たちがダルクに来るんです。ちょっと意外だと思います。だったら、この人たちをどうするかということを考えた方がいいと思います。

 保護観察がつく人たちは、仮釈放ですから、いい人たちですね。ところが、一方、刑務所の教育プログラムにものれない人たちが、行く場所もなく、わずかな報奨金を持って、働いたお金を持って、何万か持って出るんでしょうね、多分、おうちもない、住むところもない、この人たちはまた同じ犯罪を犯すしか道がないわけです。そして、保護観察のコントロールもないわけですね。

 では、まず国家として、この人たちに再犯をさせないためにどうするかということを考えるのであれば、再犯率を減らすのは、この満期出所者の人たちとどうかかわっていくか。

 私は、一つ考えるのは、きょうのこのテーマではありませんけれども、ひとつ聞いてください。この人たちのちゃんとした受け皿が社会にないわけですから、こういう人たちは保護会にも入れない人たちです。薬物の再犯者は保護会も余りいい顔をして受けてくれません、もちろん性犯罪もそうですけれども。だとしたら、もうちょっとシステムを考えたやり方があるような気がします。

 例えば、一番役に立たないのは何だったかというと、私、十年前に厚生労働省の薬物中毒者のアフターケアに関する研究というのを国立肥前病院と一緒にやったことがあるんですが、その中で、あなたは回復するときにどういうことが役に立ったか、どういう制度あるいはどういう場所が役に立ったかというアンケートをとりましたら、何と一番役に立たなかったのは保護観察だと、ゼロ。保護観察が悪いということじゃないんですよ。保護観察は期間が切れたらもうおさらばです。その次は学校。学校、役に立たぬ。やはり学校も卒業したら関係なくなるじゃないですか。これもだめ。本当に一番かかわらなきゃならないところが余り機能していなかった。

 機能しないのは、時間が経過するともう関係なくなってしまうからです。薬物依存というのは永遠に、生涯治療です。一度薬を使った人たちが再発しないようにやっていくのは、薬をやめただけでは問題じゃないんです。薬をやめて解決なら、刑務所で全部よくなっているはずですから。出た後、どういうところにどういうふうにつないでいくかという出会いの演出、これがない限り、満期出所者の人たちの再犯は防げないと思います。

 つまり、リレーしていくわけですね、保護観察が終わったら次はあなたはこういうところに行きなさいよと。ダルクでもアパリでもいいです、あなたは保護観察を、もう私の手を離れるんだから、次はこういうところに行きなさい、そういう情報を提供していくということをやっていかないと、生涯治療の人たちはどこへ行けばいいわけでしょうか。その情報を全然渡していない。それは、矯正もそうです。

 この間、僕はびっくりしました。覚せい剤で何回も来ている再犯刑務所の壁に「ダメ。ゼッタイ。」というポスターを張っているんですよ。役に立ちますか。だめになって来た人がまた「ダメ。」のポスターを見て、何か変わりますか。そこには何の情報も提供されていない。

 私が言いたいのは、やはり刑務所の中でもちゃんと差別がありますね。つまり、グループに参加できない人もいるんだ。しかし、グループに参加できない人に「ダメ。ゼッタイ。」のポスターを見せても、役に立たない。違う情報のポスター、あなたは今度こういうところに行ったらいいんじゃないですかみたいなポスターがなぜ張られないのか、それもよくわからないですね。そういう情報を提供していく人たちが、私たちにはとても大切です。

 この間、講談社から出ている週刊マガジンという少年の漫画に僕の顔が出ていました。五月号を買ってください、きっとまた出ていると思いますから。刑務所の人は中央公論とか文芸春秋を読みませんよ、週刊現代とか週刊マガジンしか読みませんから。そうしたら、その人たちが、その漫画を見て、ダルクに登場しました。必ずしもいい本が役に立つわけじゃない。

 そういう情報が、施政者としての皆さん方と私たちの間にちょっと隔たりがあると思いますけれども、お互いに歩み寄って、そして、立場の弱い人たちはいつまでたっても立場が弱いわけで、立場の弱い人たちを大切にするような、つまり、ほっておいてもいい人はいいじゃないですか、ほっておいたら必ず問題を起こすような人たちに対して、もう少し丁寧にその人たちをしっかりと考えていく、そういう社会にならないと犯罪は減っていかない。

 もう一つは、もう五十年もだめなことをやっていて、全く役に立ったわけではない、日本はそれで助かった部分もありますけれども。ゼロにならないということです、薬物は。人間が生きている限り、痛みを人間が持っている限り、薬物はこの世からなくならない。だったら、需要者、供給者は別ですよ、需要者を一人でも少なくしていくという発想に立って皆さん方は考えていただきたい。

 ゼロにならないです。薬は延々とあります。だから、ゼロにならないんだったら、供給をどうするかという問題よりも、むしろ使っている人を少なくしていくという具体的なことをどうしてやらないんでしょうか。それが、私がずっとこの二十数年間活動をやってきた中での一つ。

 満期出所者がダルクに来ると、ダルクはつぶれます。スタッフの仕事は、この人たちを、生活保護をかけに連れていくわけですね、東京都さんに。生活保護をかけて、そしてダルクに入れないと、ダルクはつぶれちゃいますから。こんな手間暇をかけないで、どうか、矯正福祉、今や刑務所は福祉のるつぼです。生活保護ということではなくて、あなたの回復のために、あなたが薬を使わないために国家はこういう支援をしていますよというような法案をつくっていただきたいというふうに考えます。

 乱雑ですが、時間ですので、終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

七条委員長 どうもありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

七条委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤容治君。

武藤委員 自由民主党岐阜第三選挙区から参っております武藤と申します。

 本当にきょうは大変お忙しい中をこの参考人招致においでいただきまして、皆さん、それぞれ貴重なお話、また御期待されるお話を賜りまして、本当にありがとうございます。

 大変時間が短くて、十五分しかいただいておりませんものですから、率直に、きょうは海渡参考人の方からも単刀直入に日弁連さんとしての御意見も賜りましたし、これから質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど海渡参考人からお話をいただきました。大変率直なお話でございまして、そういう意味では海渡先生にまたお聞きしたいこともございますけれども、先ほどの、特に今度の更生保護法の理念の問題につきまして、有識者会議で瀬川参考人が今まで大変議論をされてきた点だというふうに思っております。

 改めて、まず瀬川参考人に、先ほどの更生保護法のいわゆる理念の問題、改善更生をするのか、あるいは再犯防止なのかという点、その辺についてのもうちょっと深掘りしたお話をいただければと思います。

瀬川参考人 この点は、有識者会議でも大変な議論になりました。

 再犯事件を背景にして有識者会議が立ち上がりましたので、当然、再犯防止に重点を置いた改正というのがなされるべきだという意見もあったかと思いますが、ただし、そうなると、一番問題なのは、従来の更生保護の伝統といいますか歴史といいますか、そういうものに対して非常にマイナス面が大きいんじゃないか。特に、我が国の場合は、保護司さんを中心に、基本的に保護司さんが支えている制度でありますから、そういう点で、保護司さんに再犯防止をやってほしいということだけを主なお仕事としてお願いするということが本当にできるのかどうかということでございます。この点が非常に悩ましい問題であったということは率直に申し上げたいと思います。

 それから、海渡参考人の先ほどおっしゃった提案でございますが、私、個人的には、これはこれで正しい見解だというふうに思っております。ただ、では、保護観察に再犯防止という理念は含まれないのかというと、そうではないわけでございます。保護観察というのは、改善更生と再犯防止の両面を含んでいたというのが本来の姿であったというふうに思われるわけであります。

 そこで、問題は、目的規定として、文言としてどう取り上げるのがいいのかというところだろうというふうに思います。法案にありますような目的規定は、これはむしろ、私の観点からいいますと、海渡参考人のおっしゃったことをかなり含んでいるといいますか、盛り込んでいるような気がいたします、海渡参考人が後で否定されるかもわかりませんが。なぜかといいますと、最後に再犯防止というのを持ってくると、結局、再犯防止だけが非常に前面に出るということになりかねないんじゃないかということですね。この点は、この目的規定の中での一つの問題点だろうと思います。

 それからもう一つ、今回の法案というのは、やはり再犯防止といいますか、保護観察が持つ脆弱な面といいますか、そういう面を強くするという要請がありますので、この点は、先ほど少し簡単にしか述べませんでしたけれども、遵守事項というものをきっちり、あいまいな形じゃなくてきっちりとしたものにしようとしているわけであります。その点は、これは改善更生を含んでいますけれども、もちろんその点が一番重要なんですけれども、しかし同時に、再び犯罪を犯さないような手だてを何とかしようということをしているわけでありまして、その点では再犯防止ということが、先ほど、適正なバランスと言いましたけれども、改善更生、再犯防止が適正なバランスを保つような規定にすべきだというふうに考えております。

武藤委員 瀬川参考人、どうもありがとうございます。

 では、海渡参考人にその辺のことについて、御意見があれば、補足的なお話をいただければと思います。

海渡参考人 なかなかこれは難しい問題だとは思うんですけれども、やはり法案の目的規定というのは今後の運用の一つの理念になっていて、現場でもその理念に従って運用がされるという形になろうかと思います。

 私どもとしては、もちろん結果として再犯が減るということは大歓迎で、現に、先ほども申し上げましたけれども、今までの仮釈放制度というもの、そして保護観察制度というものが満期と比べて二割も再犯を減らしているという実績があるわけですね。それを支えてきたのが、先ほど森本さんもお話しになった保護司さんと対象者との深い信頼関係、本当に我が子と思って対象者と接する。しかし、再犯防止のために、遵守事項違反がないかどうか、遵守事項違反があったら直ちに不良措置につながるように通報しなければいけないとか、そういう運用になっていったときに、本当に今までのような更生保護の実を上げられるのかどうか、そこに私どもは懸念を抱いております。

 先ほど瀬川先生からも日弁連の意見も一つの考え方だということは言っていただいたんですけれども、我々の案の中にも、もって再犯を防止しというところはきちっと入れているわけですね。それが結果的な大きな目標なのだということは入れているわけで、しかしそれは、改善更生のために援助を与えていく、そのことによって本人の中から改善更生に向けた心理態度を引き出してくる、そういうことの結果としてもたらされて、それが社会にとっても利益になるんだ、そういうつながりを表現したつもりなんですね。

 ですから、かなりこの点は今後の更生保護行政の根幹にかかわる事柄かと思われますので、ぜひとも慎重に御審議いただいて、私たちの案が唯一の案であると言うつもりはないんですけれども、再犯の防止の位置づけということについては少し御配慮いただきたいなというふうに心から思います。

武藤委員 海渡参考人、どうもありがとうございます。奥様の党首にはいつも大変いろいろ我々もお世話になっておりまして、きょうは野党さん、残念ながら御出席になっておりませんけれども、よろしくお伝えくださればと思っております。大変貴重な御意見、ありがとうございます。

 今海渡先生がおっしゃられたこと、決してベクトルは、我々、皆さん、それぞれ日本国民として大きな違いはないと思っております。ただ、細目に至って、司法制度改革の流れが急激な変化をある意味でここでも及ぼしてきているのかなという思いでございます。したがいまして、おっしゃられたような意味で、我々、そこの部分のところはまたこれからも充足していかなきゃいけない思いでございます。

 ただ、今海渡先生がおっしゃられたようないわゆる遵守事項の問題でございますけれども、先ほど、三重県の名張の保護司会長であられます森本参考人からも大変期待をしているというお話もございました。私も岐阜県でございまして、保護司の方にもいろいろ御意見をいただいておりますけれども、今回の件については案外期待をされているケースが多うございます。改めて森本参考人から、その辺について期待のほどをお伺いできればと思います。

森本参考人 遵守事項というのは、私たち、保護司をいたしておりまして、ずっとそのことは今までかかわってまいりました。しかし、余り遵守事項によって私たちの保護観察が助けられたということはなかったようで、ただ会話の中で、遵守事項を守っているねと言ったら、守っていますと言いますけれども、その遵守事項に効力がなければ、四つございましてもこの間を抜けて、本当に遵守事項は書いてあるものにすぎなくて、自分の行動は自分で責任を持っておりますというようなことで終わってまいりました。やはりそこのところ、いかにも保護司としては対処のしようがございませんでした。

 ですから、言葉で、どういうふうに守らなければならないとか、そういうことは申してきたのですけれども、保護司の言っていることは、別に守らなくてもバックするわけでもないし、ええかげんに聞いておいたらいいぞ、彼らたちの情報の中ではそういうふうに思われているようでございますし、また、きちっと定住するということを決められておりましても、一カ月間また大阪へ行っていたとか、名古屋へ行っていたとか、そういうようなことでも許していかなければならないような遵守事項でございました。

 本当に一生懸命に本人も自立更生をしなければならない、こちらもさせなければならないと思いましたら、そこに何らかの力を与えていただきますことによりまして、対象者は、一つの関所になって、これは越えられないという基準を心の中に持ってくれると思いますので、そこのところをどうぞお考えいただきまして、遵守事項の重要性というものをもう一度考えていただきたいと思います。

 ただ、それを守らなかったらまた矯正へ収容しよう、そういうことは保護司としてはみんな思っておりませんし、決してそういうふうにはしたくないので、ひたすら守るためには、ちゃんとしたものを守ることによってあなたの自立更生がなされるという教材として力強いものを与えていただけたらと願っておりますので、よろしくお願いいたします。

武藤委員 どうもありがとうございます。

 我々はよく抑止力という言葉を使いますけれども、それがいい言葉なのか、適切なのかどうかはわかりませんけれども、大きな皆さんの御苦労の中で、お仕事に従事される中でお役に立てれば、それは大変ありがたいというふうに思っております。

 今森本参考人もおっしゃられましたけれども、いわゆる権力を振り回す、そういうようなものでは決してないと思っていますし、保護司の方々も当然そんなことは考えていらっしゃらないと思いますけれども、一つ今ちょっと問題になっているのかなと思うのは、地方更生保護委員会のあり方、先ほど海渡先生もおっしゃられたことですけれども、この辺をもうちょっとクリアというんですか、オープンにしなきゃいけないのかなという思いでございます。その辺について、では海渡参考人、よろしくお願いいたします。

海渡参考人 今森本さんが言われたことについても一言だけ。

 私の考えとほとんど変わりはないと思います。私どもも別に遵守事項を繰り返し違反している人に不良措置をとるなと言っているわけではなくて、遵守事項違反がどの程度のレベルになったら不良措置に結びつくのかということについてきちっとした見きわめができるような制度をつくらないといけない、一回目は警告、二回目は何かプログラムの講習を受けなきゃいけない、三回目ぐらいになってきたら、これはこのまま続けたら刑務所に逆戻りですよというような、何かそういう仕分けというんでしょうか、それがやはり法律の中に制度としてきちっと盛り込まれているべきで、遵守事項の違反を不良措置に結びつけてはいけないんだということは一言も言っていなくて、それは、遵守事項の本質としてそういうものではないと思っています。

 それと、我々が言いたいのは、不良措置につながるような遵守事項の内容を、そういう意味では非常に合理的なものにしなければいけない、現実的に実施可能であって、そして本人にとって非常に役に立つようなものを、漫然と遵守事項を出すのではなくて、よく考えられた中身のものを出す必要があるのではないかということを考えております。

 それと、地方更生保護委員会の委員について、これは有識者会議の提言に尽きているというふうに思います。ここで非常に重要な提言がされていると思うので、この中身をやはり法案に盛り込んでいただきたい。刑事施設の視察委員会については、矯正処遇に熱意のある人を選ぶ、そういう規定を入れていただいて、その規定のもとで、今、弁護士会、医師会の推薦した有為の人材が入っていっております。実は私も、八王子医療刑務所の視察委員に任命されたんですけれども。そういう実情を見ると、地方更生保護委員会についても何らかの任用の基準といったものをつくるということが必要なのではないかなというふうに申し上げているわけです。

武藤委員 どうもありがとうございます。

 時間があっという間に過ぎますので、それでは最後の質問をさせていただきます。

 今の理念の問題、それから更生保護の制度の問題、それから一番肝心なことは、再犯を防止するところでは、有識者会議でも出ておりますけれども、やはり就労の問題があると思っております。

 また、私は山本譲司さんの「累犯障害者」という本も読ませていただきましたけれども、やはり知的障害の問題というのは、今も隠れたところで大変な問題であろうかと思っておりますし、近藤参考人からさっきお話がありましたように、今の制度で整っていないところでの問題というのがやはり今厳然としてあると思っています。そういう形で、今後、司法制度改革をこれから続けながら、ちゃんとした制度づくりをしていかなきゃいけないと思っております。

 近藤参考人、今まで大変御苦労されてダルクをやってきておられますけれども、いわゆる依存症の方、いろいろな方とお会いになって、先ほど国立施設の問題もありましたが、今、安倍総理もいわゆる自立更生促進センターをつくる構想を持っておりますけれども、そういう形の中で少しずつ対応していけるのではないかと思っていますが、そのようなことについて、御意見があれば補足で伺いたいと思います。

近藤参考人 例えば、この時代になって、再発防止はリハビリテーションが必要だということは、皆さんもう周知の事実だと思います。刑務所に何年もいて、急に出て、あなた、すぐ働きなさい、それは、結核の人に、もうあなたは退院したから、すぐあしたから十時間労働しなさいと言っているのと同じことです。

 つまり、出所者の人たちは出所一週間前から興奮状態に入ります。出てからまた興奮状態に入ります。今まで飲まなかったコーヒーとかお酒とかたばことか吸うわけでしょう。当然もう普通の精神状態ではないわけです。そういう人にいきなりすぐ働きなさいと言っている方がおかしいわけで、その間、ヒートダウンするまでどこかで少し休ませなきゃならないと思いますよ。それが、急に就労だとかというプレッシャーがかかると、ノーが言えない人たちですから、多分いい人をやってしまうんでしょうね、嫌だと言えばいいんですけれども。私たちは、嫌だと言えるようになることが回復だというふうに思っていますから、依存症の人たちが自分のことをきっちり相手に伝えられる能力を養うことですね。

 それから、薬をやめたら問題解決かというとそうではなくて、サラ金問題、多重債務、それから就労も含めていろいろな問題を抱えている人たち、その人たちが、何が回復なんだといったときに、問題が起きたときに対処できるようになること、たったそれだけです。

 だから、そのことをちゃんと伝えられるような、保護観察官とかそういう人たちが自分たちで何とかしようと思わないで、あらゆる地域社会の資源を使いながら、だって、自分の力で何かできることというのは少ないですよ、相手はとにかく生涯治療の人たちなんだから、慢性疾患を持っている人たちなんだから、それを自分の力で何とかしようと思わないで、次に手渡すこと、そういうことができるようなカウンセリングをしてほしい、そう思います。

武藤委員 時間を超過いたしまして、まことに申しわけありません。

 大変貴重な意見をありがとうございました。先ほど申し上げたようにこれからも一生懸命やってまいりますので、よろしくまた今後とも御指導お願いいたします。どうもありがとうございました。

七条委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 きょうは、瀬川先生、森本先生、海渡先生、近藤先生、四人の先生方、貴重なお時間を賜って、貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。時間も十五分ということでございますので、早速質問をさせていただきたいと思います。

 まず、瀬川参考人でございます。

 更生保護というのが社会内の治安のとりでだ、こういうお話もいただきました。今回、再犯の防止ということが明記されたわけでありますけれども、やはり改善更生と再犯の防止というのをバランスよく考えていかなきゃいけない、私も本当にそのとおりだ、こういうふうに思っております。有識者会議の報告書、私もその方向でこれからこの更生保護というものを改革していかなきゃいけない、そう思います。

 その中で、先生から見られて、この有識者会議におけるものと比較して、今回の法案についてどう思われるか。私は、方向性としては賛成ということで評価していただいたと思うんですが、やはりそれが実際に機能するか、この更生保護が機能する更生保護になるのか、ここが一番大事なことだと思うんですね。その点を含めてお話をいただきたいと思います。

瀬川参考人 大変重要な問題、御質問だと思います。

 私は、有識者会議の方向でこの法案がつくられているということはそのとおりだというふうに考えておりますけれども、先ほど言いましたように、完全にパーフェクトかというとそうではございませんし、また、いろいろ重要な問題が残っているというふうに考えております。

 一番大きな問題で、私が先ほど言わなかった問題が一つある。それは、海渡参考人が言われましたけれども、仮釈放の問題でありまして、この点は今回の法案の中にはそれほど盛り込まれていないというふうにおっしゃっていました。これは、刑法改正に絡むところがあります。刑法に仮釈放の規定がありますので、そこで申請権があるとかないとかいうことは議論されるべき問題だと思いまして、私は先ほど余り申し上げませんでした。ただ、仮釈放の手続についてはかなり公正な手続にする必要があるというふうに考えております。

 委員会の人選もそうでありますし、それからもう一つは、仮釈放というのは受刑者にとっては最大の関心事でありますので、その点が不許可になった場合に、理由をきっちり受刑者に伝えるとか、そういう努力、あるいは仮釈放について、改善更生をうたっているわけですから、本人の自助努力といいますか、どうしたら自分は仮釈放になれるのかということを努力目標という形で伝える、そういう感じの仮釈放の手続が組まれたらどうかというふうに思います。

 刑法改正に絡みますけれども、この法案でできるところは、仮釈放の公正化ということをぜひやっていただきたいというふうに考えております。この点は、有識者会議ではかなり盛り込みましたし、ぜひお願いしたいところでございます。

 それからもう一つは、監獄法の改正と比較して、個人的な意見ですけれども、これは第三者評価という形で有識者会議の報告に書いてありますけれども、監獄法では視察委員会というのが設けられたわけでありますけれども、これが完全に機能していると思いますし、また、昔、代用監獄と言われた問題についても、留置施設についても視察委員会が設けられたということは極めて歴史的な転換であった。我が国の刑事司法にとって、これは透明化ということが出されましたけれども、透明化という点は極めて大きな変革点だったというふうに思うんですね。

 私は、社会内処遇というのは更生保護の中でも透明化というのがもっと必要じゃないかというふうに考えております。したがって、例えば、先ほど言いました仮釈放についても、どんどん基準を明確化して、国民に知らしむべきですし、それから受刑者にもちゃんと伝えるべきだというふうに考えておりますし、また、保護観察の運用とかということに関しましても透明化を図るべきだというふうに考えています。

 つまり、ありていに言えば、更生保護の視察委員会をつくってもいいぐらいの問題じゃないかというふうに考えております。この点は非常に費用がかかるといいますか、特に最近では一つの組織をつくるというのは大変大きな問題ではあるんですけれども、そこは工夫次第で幾らでもできるんじゃないかというふうに考えておりまして、そういう社会内で行われていることを社会内の人が知らないというのはおかしいわけですから、社会にいる人が社会内処遇でやられていることを十分知り得るような体制をつくるべきだ。そういう点では、私は、言葉はともかくとしまして、更生保護の世界でも視察委員会というものは設けるべきだというふうに考えております。

 そのほかたくさんありますけれども、時間がございませんので。

大口委員 そこで、海渡参考人にお伺いしたいんです。

 やはり、仮釈放というものを積極的に、適切に進めていくということが非常に大事だと思うんですね。できれば、仮釈放させて社会内処遇にスムーズに行くということが理想的です。もちろん、近藤参考人からはエリートだというお話もありましたけれども、本当に、そういう社会内処遇に向けて積極的に活用する、そのためにもいろいろ透明化していくことも必要だと思います。

 そこで、すべての受刑者を仮釈放の対象に、こういうお話でございましたけれども、一方、それに対して国民の理解も必要だと思うんですね。要するに、仮釈放中、保護観察中に重大再犯をしてしまった、こういうこととの関係について国民の理解をどうやって得ていくのか、お伺いしたいと思います。

海渡参考人 貴重な御質問、ありがとうございます。

 仮釈放を態度のよい受刑者に対する恩典であるというふうに考えると、そういう恩典を与えられたのにもかかわらず、また再犯をしてしまったということで、社会的な非難が起きる形になると思うんですね。

 先ほどの近藤さんの話と僕の話もつながるんですけれども、満期で突然出てきて何のサポートもない状態に置かれるというのは、これは最悪だと思うんですよね。いろいろな統計データなどを見ますと、満期出所で出て直後に再犯をしている人は非常に多いわけです。そこの部分を何とか減らせないか。

 期間の問題はあると思いますけれども、ある程度の期間は必ず、やはり仮釈放して保護観察をつける。仮釈放というと恩典のように聞こえますけれども、保護観察期間を置くんだ、社会に戻るときには、その中間のステップで必ず保護観察があるんだということを社会に向かって説明すれば、そのことによってマスとしての再犯は必ず減ります。

 もちろん、どんなに頑張っても仮釈放期間中の再犯はなくならないと思うんですね。しかし、そこは、僕は、政治家なりマスコミの皆さんもそうですけれども、重大再犯というのは確かに避けなければいけませんけれども、一般的な再犯というのはやはりデータで見るべきで、今までの再犯率がここまで下がった、したがって、積極的に仮釈放することは成功したんだというふうにやはりプレゼンしていく、そういうプレゼンをすることによって社会の理解を得ていく。

 これが非常にうまくいっているのが、フィンランドなんですけれども、フィンランドでは、そういう社会内処遇を活用する、そのことについて国民の大きな信頼も得られているという状況の中で、受刑者の数が減ってきている、再犯も減ってきている、そういうよい循環が起きているというような報告を聞いております。

 ですから、ぜひとも、仮釈放をふやすときに、国民に対してどう説明をするかといったことも、政府も当然必要なんですが、政治家の皆さんも考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

大口委員 森本参考人にお伺いします。

 森本参考人のお話を聞いておりまして、本当に感動いたしましたし、大変な御苦労をされているな、出所者の方あるいは保護観察の少年を自分の身内、家族、そういう思いでなければこの仕事はできないんだ、そういうお話を聞きまして、なかなかまねのできることではないな、それを二十八年もやられたことに対して、大変敬意を表したいと思っております。

 そういう中で、有識者会議におきましても、過度の負担を保護司さんに負わせている、ここはやはり、保護観察所、保護観察官のバックアップ体制をきちっとして、この負担を軽減させなきゃいけない。そして、自宅に招き入れたり、家族の理解も得なきゃいけません。特に都市の場合は、マンション、そしてオートロックで、マンションの管理組合からクレームがつくというようなこともあるわけですね。

 そういうことで、大変な困難の中でやられておるわけでありますけれども、この負担の軽減、そして、今、保護観察所、また保護観察官も、できるだけ保護観察官がバックアップできるようにということで改善はしておると思うんですが、まだまだではないかなと思っております。そのあたりについてお伺いしたいと思います。

森本参考人 ありがとうございます。保護司の実態を正しく理解していただいたことをうれしく思っております。

 本当に現場は、保護司も大変でございますが、観察所も大変でございまして、観察所の方はやはり観察官の人員が不足、本当に百件以上でございますから。私も七件ほど持って大変しんどい思いをしました。何件か保護司はみんな持っておりまして、観察官とコンタクトをとりながら、大体こういう方向でと思いましても、突発的なときにはやはり相談をしたいのですが、観察官は一人で、あっちへ出張し、またこっちへ行きで、つかまらないこともございます。やはりそこのところが一番知っていただきたいと思うこと。

 それと、保護司は実働の中でいろいろ苦労しておりますが、彼らを自立更生させるためには、保護司であれば、それぐらいの精神的なことだとか、いろいろな時間的なことだとかいうのは、快く社会人として、先輩として、こちらが持っていく、ボランティアをしていくということは、私は当然であると思いますし、この気持ちを一般社会の方々も同じように理解をしていただけたら、本当に更生のしやすい地域になっていくと思っております。

 技術的に保護司が大変困難というときには、観察所とも連絡をいたしまして即時対応するようにしておりますが、やはり今、保護司は四万六千人、五万人に足りておりません。何とか五万人の保護司が一生懸命そういう認識に立ちましてやれば、私はできることだと信じております。

 ただ、これ以上に対象者がふえないことを私たちは願っておりますし、刑務所の方でもう少し教育をして、少年院でももう少し教育をして出してきていただけたら保護司はありがたいですけれども、本当に一からいろいろなことを教えていかなければならないというところがございますので、出口までをもうちょっと教育というところでしていただけたらうれしく思います。

 以上でございます。

大口委員 ありがとうございます。

 最後に、ダルクの近藤恒夫理事長、我が党の勉強会にも来ていただいて、そのとき大変感動いたしました。本当に、一番救わなきゃいけない、家もない、仕事もない、そしてやはり人間の悩みがある限り薬物というものとかかわってしまう、そういう存在は残るわけですね。

 そういう中で、国の援助が受けられていないという中で、あいまいな組織というおっしゃり方ですが、非常に柔軟性があって、現場に適したことをやっておる、そして、横浜刑務所だけでなくいろいろな、今四十八の刑務所にこのプログラムというものを活用されて、回復者が、要するに、薬物で受刑された方が、みずからがお互いに話し合いの中でいい点を見せていく、共感をしていく、これはもう薬物の受刑者でなければできない仕事を、その使命を果たすということで、本当にそれにかかわっている方々のためにもなる、そういうことで、すばらしいシステムだと思います。

 矯正福祉の概念という新しい概念を打ち立てて、満期出所者についても、やはりそういう処遇というのを国としてきちっと考えるべきだ、我々民間も一生懸命やっているし、国には頼らないで頑張っていこうと思っているけれども、こういうものは本来国がやるべきなんだ、そういう思いを私は感じたわけでございます。

 本当に、覚せい剤、薬物犯罪というのは、全受刑者の四分の一ですね。それから、五年以内に、満期出所者の六割が累犯、仮出所者の五割弱が累犯という形で、非常に再犯防止という観点からいっても、この薬物のプログラムをきちっとやはりやっていかなきゃならない。

 そういうことで、ダルクの取り組みはすばらしいと思うんですが、今私が述べました感想について、こう考えているということがありましたら、お話ししていただければと思います。

近藤参考人 ダルクのない社会ができればすばらしいことです。しかし現実には、二十年前から考えますと、増殖に増殖を重ねてほとんどの都道府県にダルクができてしまいました。つまり、ダルクがあるということは、その地域の中のニーズがあるんだろうというふうに思います。

 ダルクは当事者活動です。つまり、ダルクには先生はいないんですよ。みんな仲間として、そういう治療共同体ですね。その穏やかな、緩やかな中で、では、そこの中で再発するのかというと、当たり前です、病気ですから再発します。そのとき、本人が正直になることをずっと待つことです。それはつらいことです。別に検査するわけでもないし。もう一つは、自分が問題を起こしたことを、それはあなたの責任ですと、ダルクの責任じゃないですよ、個人の責任ですから、責任を個人に帰していくようにしています。だから、かえって厳しいかもわかりません。何か規則があるわけでもないし。

 そういう意味では、国家がこういうことをやるとどうなるかというと、学校じゃないですけれども、問題が起きるたびにどんどんとたくさん校則ができて、結局、刑務所と同じようなシステムがまたでき上がってしまうような気がします。つまり、民間がやることがとても大切だというふうに思います。まあ刑務所をどんどんつくっていくのもいいんですけれども。

 もう一つは、犯罪者を減らすということをもうちょっと考えていく時代に来ているんだろうと思います。つまり、非犯罪化ですね。犯罪から治療にシフトしていくシステムがどうして考えられないのか。

 刑務所へ入れて国家が潤うんだったら別ですよ。つまり、刑務所に入る人に月間三十七万ぐらいかかってしまうわけですね。それが十万人になればどのぐらいのお金になるか。そういうロス、社会的な損失を考えたときに、ただ単に刑務所をどんどんふやして刑務所に入れればいいということじゃなくて、保護観察も含めた社会内処遇のシステムをもうちょっと一ひねり考えるともっと有効かなというふうに思います。

大口委員 時間をオーバーしまして、これで終わりたいと思います。本当にありがとうございました。

七条委員長 次に、民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合所属委員の質疑に入ることとしておりましたが、出席が得られません。

 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人の皆様方には、本当にきょうはありがとうございました。貴重な御意見をお述べいただき、また、現場の悩みやら、あるいは現場での御苦労のほどもよくお述べいただいたことに対し、委員会を代表して、厚く御礼を申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時八分開議

七条委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前中に引き続き、内閣提出、更生保護法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人の出席を求め、説明を聴取することとし、その人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 一昨日も、この更生保護法案につきまして質問させていただきました。一昨日は、主に条文解釈ということでいろいろと質問させていただいたわけでございます。そして、本日は、やはりこういう法案をしっかり実効性のあるものにしていかなきゃいけない、そういう点では、更生保護法の実施体制についてお伺いをしたいと思っております。

 午前中、四人の参考人から大変貴重な御意見を賜りました。この意見をこの委員席で聞くということは大事だなということを本当に実感したわけでございます。

 森本孝子三重県保護司会連合会会長は、もう二十八年保護司さんをやっている、それで、どんな人が来ても、この人は我が身内である、家族であると思うことで親近感が生まれる、そして、うそをつかないこと、過去のことは問わないから二人三脚で行こう、こういう思いでやっておると。私は本当に感動したわけでございます。非常にいいお話を聞かせていただいて、欠席の方はもったいないな、こう思ったわけでございます。

 そして、その中で、やはり夜中に電話がかかってくることもあると。(発言する者あり)

七条委員長 御静粛にお願いをいたします。

大口委員 いろいろな御苦労をされている。

 そして、今回、一般遵守事項、特別遵守事項、こういうことが決まって、そしてペナルティーについても明確になったわけでございますけれども、これについても、遵守事項は当たり前のことで、それが守れない、特別遵守事項、私たちは何の権力も持っていないが、遵守事項だけは守ってほしい、こういうことで、話をして、守れなかったときにバックアップするよということを明記してくれたこの法案については非常にありがたい、こういう御意見もいただいたわけでございます。

 そういう中で、きょうはまた、参考人の瀬川先生が有識者会議のメンバーということで、非常に貴重な御意見をいただいたわけであります。

 その有識者会議で、保護司への過度の依存を解消し、保護観察官と保護司がそれぞれの特性を生かして充実した処遇を実施できるようにするため、保護観察官と保護司の役割を明確化すべき、こう提言しているわけですね。

 保護司への過度の依存と言われている現状がどうして生じたのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 なぜ過度の依存が生じたのかという御質問でございます。

 御案内のとおり、保護行政、観察官と保護司が協働体制で実施をしておるわけでありますが、そうやっている中で、観察官の方が、みずからがこの責任者、主宰者という意識が少し薄くなってきたのではないかとか、また、そういうこともあってか、処遇上特別の配慮を必要とする者に対する場合に、保護司任せになるというか、関与することが必ずしも十分ではないというようなことも起こったり、保護観察官と保護司の職務、役割分担について、法令上も必ずしも明確に具体的に規定をされていないというようなことが重なって、保護司の皆さんに対する負担が大きくなってきたという点があるというふうに考えております。

大口委員 また有識者会議は、保護観察所が保護司に依存していることから生ずる保護司の負担を軽減するために、保護観察官による保護司への保護観察処遇に関する指導助言の充実、保護観察官の指導能力の向上、一人の保護観察官が平均七十五人の保護司を担当することになっている現在の地区担当官制度に対するよりきめ細かな指導助言を可能にする観点からの検討の必要性、休日、夜間等勤務時間外における保護司からの緊急連絡に対応できる体制を強化する必要性について提言をしている。

 そこでお尋ねしますが、以上の提言を踏まえて、現在、過度の依存解消に向けた取り組みがなされているのか、また今後実施予定とされている施策があるか、御説明願いたいと思います。

長勢国務大臣 今御説明いたしましたように、保護司の方々に過度に負担をかけ過ぎているんじゃないかという御指摘があるわけでございまして、こういう御指摘に対しまして、まず、性犯罪対象者、殺人等の重大事犯の少年などのように処遇に特段の配慮を要する、こういうことで保護司さんに大きな負担をかける者については、保護観察官がみずから直接処遇を行う、あるいは保護司さんと一緒にやる場合でも、保護観察官による面接指導を強化するということを今進めておるところでございます。

 また、保護司さんからもいろいろ相談を受けることがあるわけでありますけれども、それが迅速に対応できるように休日、夜間の緊急連絡体制を整備するとか、担当の保護観察官が不在であっても代理の者がちゃんと対応できるようにするといったような相談支援体制も充実強化していかなければなりません。各保護観察所では、こういうような取り組みを今進めておるところでございます。

 今度の法案でも保護観察官と保護司の適切な役割を置いているわけでありますが、この規定に基づいて、さらに観察官の意識改革、そしてまた実力の向上を図って、一層主体的、主導的に処遇に取り組む、また保護司さんにも、誠実で的確な助言や支援を行うことができるように努めることによって負担の軽減を図っていかなければならない、このように思っております。

大口委員 森本参考人も、夜中に対象者から来てくれ、こう言われて行くと、非常に身の危険を感じることもある、そういうときに保護観察官がそばにいてくれたらなということもおっしゃっておりました。しっかりバックアップ体制を組んでいただきたい、こう思っておるわけです。

 前回もこの保護観察官の抜本的な増員の必要性について大臣に所見をお伺いしたわけでございますけれども、保護観察官の数について、現在のところ千四十一人で、そのうち観察実務を担当する一般職が八百四人と承知しております。残り二百三十七人は管理職ということでございます。

 一般的に、各保護区において保護観察官はどのように配置されているのか、配置の状況についてお伺いしたい。また、保護観察官を適正に配置するために現在どのような取り組みがなされているのか、お伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 全国の保護区におきます保護観察官の配置の現状でございますけれども、保護観察官に対する保護区の担当ということを決めております。

 それで、保護区の事件数はまちまちでございますので、その規模に応じまして、一人の保護観察官で一つの保護区を担当する場合もあれば、一人の保護観察官で複数の保護区を担当させるということもございます。大きい保護区でありますと、一つの保護区を逆に複数の保護観察官が分けて担当するということもございます。

 実例を挙げますと、大都市部を管轄する大規模な保護観察所におきましては、事件数の多い保護区が少なくございません。そういうような保護区につきましては、二、三人の保護観察官で分担するというようなことがございます。一方で、小規模な保護観察所におきましては、比較的事件数の少ない保護区が一般的ですので、一人の保護観察官に二つないし四つの保護区を担当させているというような現状でございます。

大口委員 私は、倍増ぐらいに向かってやるべきだ、こう思っておりますが、量の問題も、質の問題もございます。

 保護観察官は、現状では新任からベテランまで同じ保護観察官という職名のもとで仕事をしていると伺っております。有識者会議も、保護観察官が犯罪者処遇の専門家としての高い専門性を求められる職であることにかんがみて、保護観察官をその能力、経験年数等に応じて階層化するなどして、より高位の保護観察官にはより高い専門性と職責を求められることが明らかとなるような仕組みを検討すべきである、こういう提言もしております。

 また、保護観察官の専門性の向上のための取り組みとして、統括保護観察官等の官職を新たに設置したと承知しております。このような官職の設置が個々の保護観察官の専門性向上にどの程度寄与するかということについても、お伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 有識者会議の報告書では、専門性及び意識が不十分であるという問題提起がされておるところでございます。

 現在も、観察のプロとして自覚や実力を高める必要があるということで、研修を実施しておる、あるいは研究会等も実施しておるわけでございます。また、こういう保護観察官の観察処遇を強化するために、なるべく直接事件を担当するようにすることによって実力を蓄えさせておるということでございます。

 また、本年度からは、観察所長が、統括保護観察官等の管理職に昇任する前のベテランの保護観察官を指名して、新任の者の指導育成に当たらせるとか、また、中堅の保護観察官に対する訓練を強化するという実力を高めるための施策を行ってきておるところでございます。

大口委員 保護観察官の犯罪者処遇の専門家としての能力を高め、対象者の改善更生、再犯防止に一定の権限と責任を負う立場にふさわしい能力等を涵養するためには、保護観察官に対する研修が不可欠であります。

 この研修のあり方について、やはりカリキュラムにおいて、他の刑事司法機関や犯罪被害者等の視点を取り入れるとともに、事例研究、体験型研修をさらに重視することが考えられるわけでございます。この研修についての見直し、そして今後どうしていくのか、お伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 研修の実例について今若干申し上げたところでございますけれども、さらに平成十九年度からは、保護観察官の実力を計画的かつ系統的に向上させるために、研修、訓練体系の抜本的な見直しを行っております。

 例えば、新任保護観察官の研修期間を一年から二年に延ばす、また、実践的な科目をふやすということにしております。また、刑事司法手続に関する理解を深めさせるため、その二年の間に、他の刑事司法機関における実務研修を実施するというようなことも検討しておるところでございます。それと並行して、中堅保護観察官に対する職場内訓練を強化する、あるいは処遇能力強化のための研修の機会をふやすことなど、育成面での改革に努めてまいりたいというふうに考えております。

大口委員 これは、平成十七年三月、社団法人全国保護司連盟というところがアンケートをとって、保護司制度に関するアンケート結果報告書というものを出しております。これは、全九百六地区のうち八百十八地区の保護区からアンケートの回答が出ておりまして、切実な思いを公表した、こういうことだと思います。

 その中で、保護司の適任者の確保、これが非常に大事になっておるわけです。保護司の定数充足率が平成十六年度から下降傾向にあって、今、定員が五万二千五百のうち四万八千五百、こういうふうに聞いておるわけであります。このアンケートによりますと、今後、こういう保護司適任者の確保の方策として望ましい方法は、保護司会に保護司の内申委員会を設置する、こういう意見が八割ということで多いんですが、これに次いで、民生委員等の関係団体から推薦を得る方法が六割、こういう回答が寄せられております。

 保護司の適任者確保の現状について、それからこのアンケートの結果についての御所見をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 従来の方法ではなかなか保護司適任者の確保が困難になってきておるということから、今お話がありましたような全国保護司連盟の皆さんとも連携をして、一昨年から、保護司候補者内申委員会モデル地区事業というものを行ってまいりました。

 この事業では、例えば町内会、自治会、民生児童委員、少年補導員、教育関係者などなど、地域事情に詳しい方々に委員になっていただいて適任者を推薦していただくという方法によって、幅広く候補者を確保していこうという試みでございますが、十七年六月から十八年十一月までの一年六カ月間、全国の六十八保護司会をモデル事業として内申委員会を設置いたしましたところ、十五年六月から十六年十一月までと比較いたしまして、委嘱者が百十八人増加をしたという成果を上げておるわけであります。

 こういう成果も踏まえながら、今後ともこの事業の拡大に努めると同時に、さらに、保護司の適任者確保のために説明会を開催するなど、より積極的な広報活動の実施をして確保に努めていきたいと考えております。

大口委員 保護司会に対する国の支援ということを本当にもっと充実させていかなきゃいけない、私はこう思っております。

 保護区組織の運営、保護司会の運営でございますけれども、このアンケート結果によりますと、保護司会の事務局は、市区町村役場というのが二七・八%、次いで会長のお宅ですね、自宅が二五・九%、それから事務局長のお宅は二五・二%という形になっているんですね。設置場所として、やはり市区町村役場を希望するという意見が多いようでございます。

 また、保護司会の事務を行っているのは、事務局長、会長の順に多いわけでありますけれども、今後の事務局体制としては、自治体職員を希望する意見、非常勤の事務局員、保護司の配置を希望する意見、常勤の事務局員、保護司の配置を希望する意見の順に多い結果になっています。

 金銭的負担に関するアンケートの設問では、自治体の助成金の削減や組織活動の拡大による支出増大等により、予算上の問題が生じている保護司会が多い。保護司さんが中学校に行って子供たちのことを教育していく、そういうようなこともあるようですし、本当に、それこそ協力雇用主を探すことだとか、また、社会を明るくする運動だとか、どんどん保護司会の需要というのはふえているわけでして、そういうことで、自治体による助成金の義務化を求める意見も多いということでございます。

 また、保護司会の運営費は国が予算措置をすべきであり、自治体の予算や住民の寄附に頼るようでは、保護司のなり手がいなくなるなどという厳しい意見もあります。保護司組織に対する国からの予算措置というものを求める声が圧倒的に多く、保護司組織運営費、保護司会会費等、また、保護司の個人の持ち出しによる金銭負担が相当額に上っておる、保護司みずからが会費を出して保護司会を組織しているという実態が浮き彫りになっております。

 かようなことから、保護司組織に対する国からの予算措置、これについてはさらに拡充していただきたい、こう思いますが、大臣、いかがでございましょうか。

長勢国務大臣 保護司の皆さんには大変な御苦労をいただいておるわけで、今御指摘のような事務所の問題、専属職員の問題等々もあると思います。できるだけ、保護司の皆さん方が一生懸命活動できる基盤をつくるように、我々もさらに努力していかなければならないと思います。特に、今お話のありました保護司会の活動について、専ら個人負担に依存しているということでは十分な活動もできないということも考えていきたいと思っております。

 そういうことから、十九年度予算においては、保護司会の組織活動の充実を図るために、保護司会活動援助費を新設して、約一億七千六百万を計上いたしたところでございます。この経費は、保護司会において自主的な研修会を開催したり、機関誌を発行して広報活動を行うなどの組織活動を実施した場合に、それに要した費用を支給するものでございますけれども、そう大きな額でもございません。

 また、保護司の皆さん方がいろいろ活動される段階で、いわゆる持ち出しも少なくないというふうに聞いておりますので、実費弁償も含めて、一層拡充に努めていきたいものと考えております。

大口委員 実費弁償について、平成十九年度の予算で、予算総額一三・一%増という形で、補導費の特別分、一般分のアップ、それから環境調整費の千六百三十円の増、それから保護司会活動援助費、これが一億七千六百万、新設、こういうことになったわけでございますけれども、さらに拡充をぜひともお願いしたい、こういうふうに思っております。

 一昨日、赤池委員の方からも御紹介いただきました、更生保護の父、金原明善。これは静岡県の浜松出身の方でございまして、天竜川の治水に私財をなげうった。そのほかに、勧善会、出獄人保護会社、こういうものを設立して、無頼を感化せしめ生活の道を助けた、こういうことで更生保護の父と言われておるわけでございます。保護司会というものは本当に百年以上の伝統があるわけでございますけれども、しっかり対応していただきたい、こういうふうに思っております。

 それから、今回、法案で、仮釈放等の審理において被害者等から意見を聴取する制度、そして、悔悟の情を深める指導監督を行うため、被害者等の心情等を保護観察中の加害者に伝達する制度、三十八条、四十二条、六十五条、これが導入されたわけでございますが、この制度が機能していくために、更生保護に責任を持つ保護観察官が犯罪被害者等に対し責任ある対応をすべきだ、こう思っております。

 制度の運用のあり方、担い手である保護観察官と保護司との連携について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 今回の法案により導入をされる被害者施策において、被害者の方々に対応する事務を行う者について、被害者の方々のお気持ちにも配慮して対処する必要があるということから、各保護観察所に被害者関係事務に専門的に対応する保護観察官を置いて、これらの者に行わせたいと考えております。

 また、保護司の方につきましても、相手の心情を受けとめ、必要な支援を行うことについての素養と経験を有し、地域社会の実情や社会的資源について精通しているという特性を生かして被害者の方々への支援等を行っていただきたいと考えており、そのために、被害者への対応を専門にしていただく方を指名させていただきたいというふうに考えております。

 こうして、被害者施策の分野においても、観察官と保護司が連携してその実施に当たっていくことになるわけですけれども、御指摘のように、まず、観察官が責任ある対応をすべきであるというふうに考えております。特に、困難な事情を抱える被害者の方々への対応をどうしていくかといったような方針を立てたり、そのような方々への対応はみずからが主導的に行ったりするということが観察官として必要なことだろうと思っております。

 また、保護司の方々のそういうことに関する相談に対しても、十分に、誠実かつ丁寧に行わなければならない、そういうふうに努めていきたいと考えております。

大口委員 また、この法案で、受刑者等の円滑な社会復帰を図るため、その者の住居、就業先その他の生活環境の調整、環境調整をより能動的かつ積極的に行うものとしています。仮釈放者の二三・三%が、これは平成十七年でございますが、民間の更生保護施設に帰住している、こういう現状があり、民間の更生保護施設の役割はこれまで以上に重要になると考えます。

 この有識者会議においても、更生保護施設が優秀な人材を確保し育成できるよう、その経営基盤確立に必要な予算措置をすべきである、地方公共団体に対しても民間更生保護施設経営支援のための予算措置を講ずるよう必要な働きかけを行うべきである、こういう提言もあります。

 民間の更生保護施設の重要性についてどう考えるか、そしてまた、更生保護施設をどのように充実させていくのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 私も、就任いたしましてから幾つかの更生保護施設を視察させていただきましたが、犯罪や非行をした人たちの社会復帰のために大変重要な役割を果たしていただいているなというふうに思っております。高齢者など、出所後の行き場のない人たちあるいは職につけないために住居を確保して自立することが困難だという者がふえているわけでありますので、これからますます更生保護施設の役割は大きくなるものというふうに思っております。

 法務省としましては、こういう施設に対する委託費について適切な予算の確保に努めてきたところでございますけれども、例えば立てかえがおくれているとか、なかなか十分なことが確保できていないという部分もないわけではございません。今後とも、その充実に向けて十分に努力をしてまいりたいというふうに考えております。

大口委員 本日、参考人として出席された近藤理事長が運営しておりますダルクの関連についてお伺いします。

 二〇〇四年版の犯罪白書によりますと、覚せい剤取締法違反の受刑者は、全受刑者の四分の一を占め、満期出所者の約六割、仮出所者の五割弱が五年以内に再び服役するなど、他の犯罪に比べて再犯率が高いことが指摘されています。

 ダルクは薬物依存者の再犯を断ち切るために大変意義のある活動をしていると思いますが、現状において、刑務所、保護観察所はダルクとはどのような連携または協力をしているのか。また、法務省として、ダルクの意義を積極的に評価し、さらに連携の強化を図り、薬物依存者の再犯防止に努めるべきではないか。この点については法務大臣。

 また、ダルクのこのような活動について、厚生労働省として、連携の状況、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 ダルクについては、先生よく御存じのとおりでございまして、薬物依存者にとって大変意義の高い活動をなさっておられるものと考えております。法務省、刑事施設、保護観察所、それぞれにおいて薬物事犯の受刑者あるいは仮釈放者、保護観察つき執行猶予者の処遇を担当しておりますけれども、それぞれ、刑事施設、観察施設とも、ダルクのスタッフの方々にも協力をいただくことがあるという状況でございます。

 刑事施設においては、平成十六年度には薬物事犯の受刑者に対する指導を充実させるための外部の専門家を招いた研究会を開催しておりますが、そこにおいて、いろいろな話を聞かせていただくことが重要であるということから、ダルク等の民間団体の協力を得た指導を開始することにいたしまして、十八年度は三十四庁の刑事施設において実施をいたしました。また、本年度は五十七庁に拡大をして、ダルク等と連携して指導を行っておるわけでございます。

 また、保護観察所の仮釈放者や保護観察つき執行猶予者に対しても、みずからの意思でダルクに入寮することもありますし、その場合にはダルクのスタッフから保護観察所に連絡をしていただくなど、連携をとっておりますし、また保護観察官や保護司が、薬物依存の問題がある対象者に対しては、ダルクで行っているミーティングに参加をするように助言するということもやっております。

 さらに、保護観察所で実施しておる薬物事犯者の家族に対する講習会あるいは保護司や保護観察官に対する研修にダルクのスタッフの方に講師としておいでいただく、さまざまな面で御協力いただいておるところであります。

黒川政府参考人 御説明申し上げます。

 ダルクについては、各地で薬物依存症からの離脱のため、グループミーティングや生活訓練等各種のプログラムに取り組んでおられるものと聞いております。それぞれのダルクで活動内容はさまざまでございまして、全体を評価することは困難な面もあるとは思いますが、薬物の再乱用の防止の観点からも意義のある取り組みが行われていると認識しております。

 厚生労働省が薬物の再乱用防止に係る事業を実施するに当たっても、ダルクにおいて蓄積されているノウハウを参考とさせていただくため、御助言をいただいているところでございます。

 厚生労働省においては、再犯の連鎖を断ち切るという観点から、ダルクとの連携について、そのあり方も含め、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。

大口委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

七条委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 私は今、二つの点で抗議をしたいと思います。

 一つは、先ほど来開会に抗議をいたしましたけれども、更生保護法案、大変重要な法案だと思います。これまでの仮釈放や少年院の仮退院の扱い、そしてまたその最先端にいる保護司の皆さんの立場、大きな変更があるだろうという法案に対して、本日は非常に駆け足、また与野党合意がないまま参考人質疑などが入り、今ぎりぎりの協議に期待いたしますけれども、ぜひ委員長に対しては、拙速な採決などしないでしっかり審議を尽くしていただきたいということを申し上げたいと思います。いかがですか。

七条委員長 コメントは差し控えさせていただきます。

保坂(展)委員 法務大臣、二つ目の抗議というのは死刑の執行です。

 きょう、三人の方の死刑の執行がされたということでございます。先日の執行はたしか十二月の二十五日ですが、今回は、大阪の名田死刑囚、東京の田中死刑囚、そして福岡の小田死刑囚ということであります。

 この点に関して早急に調べたところ、名田幸作死刑囚は、恩赦を五回、再審請求を四回申し立てていて、最後の恩赦請求が本年の四月十七日、ここで不相当になって、弁護人に再審請求の準備をする旨の手紙を出した直後の執行だった。そして、小田義勝さんは、一審の死刑判決直後でもう控訴を取り下げておりますので、最後まで審理が尽くされていない状態であった。田中政弘死刑囚は、恩赦が棄却されて、四月十八日付で弁護人に発信した手紙には、恩赦請求書ができていて、あとは日付を入れて五月二十一日くらいに提出予定と書かれていた。

 大臣も御存じだと思いますが、戦後、免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件ということで、一たん確定した死刑囚が、その後、再三にわたる再審請求が認められて再審開始となり、そして結局冤罪ということが明らかになっている、こういう例もあります。

 国会開会中の死刑の執行というのも、実に十年ぶりだということです。ここのところ、確定死刑囚がどんどんふえている、百人を超しているということがあります。死刑の確定者というのがこの四、五年でウナギ登りにふえているんですね。ふえているということは、これからも百人を超えてどんどん積み上がっていくおそれがあるんですね。

 法務大臣が、死刑執行について慎重に精査をし、今私が言ったようなことを知ってこれを行ったのかどうかということについてお聞きします。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

長勢国務大臣 具体的な死刑の執行に関しては、コメントは差し控えさせていただきます。

 一般論として、法にのっとり、裁判所の判決を尊重して精査をし、慎重に検討して判断をしておるところでございます。

保坂(展)委員 大臣、昨年の死刑執行はクリスマスだったんですね。お一人、処刑された方は七十五歳で、前にも言いましたけれども、自分の足で立つことができなかったそうです。車いすで移動していた。ということは、どういう状態で処刑をされたのか。車いすですから、自分で立つことはできないわけですね。非常に残虐だということで、これはフランスの新聞などでも、クリスマスにクリスチャンである七十五歳の歩くこともかなわぬ老人の確定死刑囚を執行したということに対して、大変大きな話題を呼んでいます。

 世界の三分の二が死刑を廃止する方向である。そして、国会の中にはいろいろ意見があるでしょう。私は、死刑廃止を推進する議員連盟の事務局長をしております。各政党、すべての議員がそれぞれの立場で参加をしています。その中の最大公約数は、やはり国会の中で死刑制度についてしっかり議論を行い、衆議院、参議院に死刑制度調査会というのを置こうじゃないか。そこで国民に向けて幅広く議論をして、これから裁判員制度も始まります、また、この国会でも犯罪被害者の法廷参加ということも出てきます。

 ありていに言えば、死刑判決はこれからふえるだろう。そうすると、日本はこれまで数人の処刑ということで、それに対して我々も抗議してきましたけれども、しかし、これから執行数が大変伸びるんじゃないか、長勢大臣自身がこれからも大勢の方を処刑してしまうんじゃないか、こういう危惧の声も上がっているんですね。しっかり議論をすることを、法務省、法務大臣としても今やるべきじゃないでしょうか。

長勢国務大臣 死刑制度についての先生の御意見はたびたび伺わせていただいております。一方、また、世論の動向からも、日本において現行制度は維持すべきだという意見が、圧倒的といいますか、大きいというふうにも承知をいたしております。

 いろいろな議論があることはそのとおりでございますが、法にのっとりきちんとやってもらいたい、やるべきだという意見も大変あるわけでございまして、私としては、法にのっとり、慎重に精査をして判断していきたいと考えております。

保坂(展)委員 今回、確定者が百二人になっていたところが九十九人に、今回亡くなった、処刑をされた方によって、百を切ったわけです、大臣。

 この百人という数にこだわっていますか。私はこだわるべきじゃないという意見です。つまり、百人を超えた分は、百にしないようにどんどん処刑をしていくという方針なのか、そういうことにこだわっていないのか、どちらですか。

長勢国務大臣 死刑の執行は、人の生命を絶つという大変重大なことでございまして、たびたび申し上げておりますように、法にのっとり、事案を精査して、慎重に判断をしている結果として執行しておるわけでございまして、今おっしゃったようなことを前提に物を考えるということは全くございません。

保坂(展)委員 後ほど、改めて法務大臣室にも伺いたいというふうに思います。

 では、きょうは法案の大事な時間ですから、法案の方に入りたいと思います。

 法務大臣に伺いますけれども、今回、執行猶予者保護観察法を更生保護法に統合するということですが、執行猶予というのはどういう制度なんでしょうか。執行猶予というのはなぜあるんでしょうか。

長勢国務大臣 刑を執行するまでもなく、その間の様子を見ようという制度というふうに理解をしております。

保坂(展)委員 私の理解は、これは何か、さかのぼるとインド大法典というところに行くらしいんですけれども、あなたは明らかに罪を犯した、本来なら、三年なら三年、五年なら五年の刑に服してもらわなければいけない、しかし、あなたには改悛の状があるし、また初犯である、だから、とりあえずもう一度チャンスをやるから、その間はしっかり立ち直ってやりなさい、こういうまさに再チャレンジということであって、許しの思想というものも入っているのかな。いわば、合理的に考えれば、三年のものは三年なんですよね、五年のものは五年なんです。執行猶予というのは、これまで日本社会で、多分、刑事司法上、潤滑に働いてきた制度なんだろうというふうに思います。

 ところで、今回の更生保護法を見て、再犯の防止ということをかなり強くうたっています。再犯の防止というのは大事ですけれども、しかし、何によって再犯が防止されるのかといえば、これは更生をするということですね。その事件を起こした、そして刑に服した、それで仮釈放されたその人が、本当に更生をすることによって再犯がなくなるという関係がありますよね。

 私は、今回の再犯の防止を余り強調することによって、社会で受け入れて、社会内処遇をするという部分がおろそかになってはいけないんじゃないかというふうに思います。更生させるということをもっと強く押し出すためには、再犯の防止ということを余り強くそこにかけるとバランスが崩れるのかなと思いますが、いかがですか。

長勢国務大臣 更生保護は、再犯の防止だけを目的にすることになるということは、だれも考えていないんだろうと思います。罪を犯した人あるいは執行猶予の方々等々の改善更生を助けるということが第一義だろうと思います。同時に、再犯を犯せば改善更生もできなくなるのも事実でございまして、そこら辺、改善更生と再犯防止というのは一体のものだろうと思うわけであります。そういう趣旨を今回の法案において明確にしておるというふうに御理解をいただきたいと思います。

保坂(展)委員 例えば、三年のところを二年半で仮釈放された。そうすると、あと半年間ですね、保護観察の期間。これが終われば、一応その刑は満了するということだったと思います。今回、そこに遵守すべき条件が非常に細かく規定をされていますよね。そのことによって、いわばその仮釈放は取り消しになりますよということが言われる。

 大臣にお聞きしますけれども、三年の刑に服する方が二年半で出てきた、そして、あと刑の満了まで一週間である、その一週間の方が取り消しをされた場合に、どれだけの刑に服することになるんですか。一週間なのか半年なのか。

長勢国務大臣 本来の刑を勤めた分の残り、ですから、今おっしゃったケースだと半年ですかね、二年半で仮釈放になったというケース。だから、半年です。

保坂(展)委員 そうすると、あと一週間で刑が満了だという方、仮釈放中の対象者が仮釈放を取り消されるということは大変大きいわけですね。半年なり、あるいは一年なり残していたもの、つまり、この仮釈放中、保護観察中の期間というのは刑の執行に当たらないよということですよね、今お答えになったのは。

 そうすると、第一線で接する保護司の方が、これまで以上に、これまでも不幸な事件はありましたけれども、今までは、生かすか殺すかというような、そういった権限者ではなかった、しかし、保護司は権限はないにしても、遵守義務違反の疑いありということをいわば報告する役割になるわけで、その点で、保護司が置かれた立場あるいは信頼関係を基調にというふうにおっしゃっていますけれども、そこの部分が崩れてしまったり、あるいはその保護司の方が逆にうらまれたりとか、こういう心配もあるかと思うんですが、その辺はどう考えていらっしゃるんですか。

長勢国務大臣 いろいろなケースがあると思いますが、保護観察の制度がきちんと実施されるように、めり張りのきいた施策ができるような体制にしていくことが必要だというのが今回の改正の趣旨でございます。今先生御心配のようなことはないようにしなきゃいかぬと思いますが、同時に、きちんとした更生保護の役割が果たせるようにしていかなきゃならない、このように思います。

保坂(展)委員 これは保護局長に伺いますが、特別遵守事項で列挙されている一というのを見ると、「犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒その他の犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと。」と、少年でいえば虞犯に当たるようなことが書かれていますが、これはかなり幅広い概念じゃないでしょうかね。過度の飲酒がどこまでであるのか、いかがわしい場所というのはどういう場所であるのか、あるいは遊興といっても、例えばパチンコ等に興じていたということもこういうことに当たるのかどうか、だれがどのように判断するんですか。

藤田政府参考人 今回取り入れております特別遵守事項は、できるだけ具体性を持たせて、そして、対象者がどんなことをしてはいけないか、あるいはどんなことをすべきかということがはっきりわかるようにするという趣旨でそういう規定を置いたものでございますけれども、できる限り条文上も、類型を定めるに当たって具体化しようと思いましたけれども、やはり、個別の事案において、もう少し具体化する余地というのがどうしても残ってしまう。それは、法律の規定の定め方としてやむを得ないところかなというふうに思っております。

 そういうことで、御指摘のように、やはりある程度包括的な形になっておりますので、具体的な事案におきまして、できる限りはっきりと本人がわかるようにさせていきたいと思っております。

 例えば、犯罪性のある者と交際をするというようなものにつきましては、暴力団の関係のある仮釈放者でございますと、暴力団の構成員及び準構成員とつき合わないこと、あるいはもっとはっきり、○○組の構成員とつき合わないことというようなこともあろうかと思います。

 それから、原因となった事件が共犯事件だということになりますと、今回有罪の裁判を受けた事件の共犯者と接触したり連絡をとったりしないことというようなことになろうかと思います。

 それから、いかがわしい場所への出入りということについて言いますと、例えば、暴力団の事務所に出入りしない、○○組の事務所に出入りしない、そういうふうなことがあろうかと思います。

 遊興による浪費ということにつきましては、遊興を原因にお金に困って財産犯をした対象者の場合でありますと、例えば、パチンコ、スロット、競馬、競艇、競輪をしないことというように定めることが想定されます。

 それから、過度の飲酒でございますけれども、これにつきましては、場合にもよりますけれども、具体的な事案で、例えば、その人の場合にはビールは一日当たり大瓶一本とするというようなことも考えられる。

 できる限り、本人も保護観察官の方でもわかりやすい、具体性のある遵守事項を定めるようにいたしたいと思います。

保坂(展)委員 法務大臣に伺いますが、昭和十一年に、例の治安維持法に絡んで思想犯保護観察法というのが施行されて、実際に思想犯保護観察制度というのがあったんですね。これへの反省から、戦後、非常にここの部分は慎重になったと言われているんですが、今の遵守義務あるいは特別遵守義務については、いわゆる政治犯などにも除外されずに適用されるものなんですか。

長勢国務大臣 刑罰対象者には同じように適用されます。

保坂(展)委員 我々はおおむね、こういった仮釈放中とか保護観察中の人がまた似たような事件を起こす、性犯罪などは特に、これは困ったことである、手当ては絶対必要だという立場ですが、今の大臣の答弁だとどうでしょうか。思想、信条の自由をしっかり守っていく現行憲法の中で、やはり刑罰なんだから一緒だということだと、これは結構恐ろしい規定に生まれ変わってしまう危険を感じますが、いかがですか。

長勢国務大臣 犯罪を犯された方々が仮釈放とか執行猶予になればそうだということでありますから、政治犯というのは、そういう犯罪は日本にはないわけでありますから、犯罪を犯した方に沿った形で遵守事項を守っていただくということになると思います。

保坂(展)委員 例えば、入管法などで、海外の捜査機関に政治的な理由によって云々、こういう事犯に対しては情報を提供しないという規定がちゃんとあるんです。ですから、政治犯という概念がないなんということはあり得ないですし、また、労働組合運動などでいわば刑法犯として検挙されるという例もあるわけですね。ですから、そこのところは慎重に議論しなきゃいけないところだというふうに今指摘しておきたいと思います。

 大臣にもう一つ、これは大変重いわけですね、仮釈の取り消しというのは。先ほど言った、あと一週間で満了だといっても、もう一回振り出しに、残余期間が戻るわけですから。そういうときに、イエローカードは出ないんですか。つまり、ちょっと危ないですよという警告があって、気をつけてそうならないようにするという手続が必要じゃないですか。いかがですか。

長勢国務大臣 御案内のとおり、保護観察中の状況が観察所長に報告をされて、それから保護観察委員会でその状況を審査して決定が行われるわけで、その間、保護司の方々も状況を十分注意し、警告されながら、状況を見きわめて報告をされて、それを踏まえて最終的に保護観察委員会で判断をされるわけですから、おっしゃるように、イエローカードを出してこうしてこうしてという手続が法定されていないということではそのとおりでございますが、慎重な対応をして、その状況に応じた判断をきちんとされる手続になっておると思います。

保坂(展)委員 非常に常習性が高いと言われている性犯罪の方なんですが、満期になってもやはり危険性があるということで、更生保護施設などに入りたいと本人が言っても全部断られるということがあるんですね。これに対する手当ては具体的に考えていますか。本人たちが入りたいと言っても、いや、うちの施設に来ては困るというふうに拒否をされてしまって、行く場がない。

長勢国務大臣 さっきちょっと保護観察委員会と申し上げたかもしれませんが、地方更生保護委員会の間違いでございましたので、申しわけございません。

 今の件でございますが、今やっておる具体的なことは局長から答弁させますが、できる限りそういうことが考えられるように進めたいと思っております。

藤田政府参考人 現在、刑事施設を満期出所した者に対する対応については、更生緊急保護の制度で施設にせいぜいお願いをする、施設がどうしてもということがあるかもしれませんけれども、その場合には、満期の場合、なかなか難しゅうございます。

 それから、仮釈の場合でございますけれども、これもなるべくなら施設に入っていただくように環境調整をぎりぎりまで頑張って、どうしてもだめというのは、あることはあるかもしれません。そのときは、家族あるいは親類、いろいろな引受人を一生懸命探すということが仕事になろうかと思います。

保坂(展)委員 日本の更生保護の分野、保護司さんもそうですよね、やはり全く、実費分といっても実費も出ない。だから、実費ぐらいは出してくださいよという声はあります。

 それからまた、私の知り合いでも、憩いの家といって、少年で、かなり大きな事件をやってしまったような子は、少年院を出ても、家に帰ってくるなと親がシャットアウトしちゃうんですね。そういう子と寝泊まりを一緒にしながら頑張っている人たちというのは、やはりかなり大変なんですね。経済的にもぎりぎりのところでやっている。

 そこでお尋ねなんですが、保護司の方々、そして保護観察官の増員、大幅なものが必要ですね。これは、現状に対して何割増しくらいの予算要求を法務省はしているんですか。

藤田政府参考人 ことしの予算要求は、八月でございますのでまだ検討中でございますけれども、昨年につきましては四十三名の保護観察官の増員の査定をいただきました。いろいろな必要性を検討しながら所要の体制づくりということを頑張っていきたいと思っております。

保坂(展)委員 私は倍でも間に合わないんじゃないかと思いますね。実際に今保護観察官で実務に当たっている方が八百人台というふうに聞いていますけれども、とてもじゃない。しかも、やることが非常に細かくなりましたよね。もっときめ細かく見ようということでしょう。そうしたら、大臣、やはりそれなりの予算を要求しなきゃいけないと思います。

 最後に一点、これだけは改善してほしいというのがあるんですね。

 保護司会というのがありますよね。この保護司会の運営予算も実は皆さんで出し合っているという話があるんですね。このぐらいはやはり法務省の更生保護の予算からしっかり手当てしていいんじゃないですか。どうですか。

長勢国務大臣 今、観察官の増員については一生懸命やっているわけですが、御案内のとおりの定員事情の中でございますので苦労しておりますが、おっしゃるように、十分な定員を確保するようにこれからも努力をしてまいりたいと思います。

 先生と意見が合うことは少なかったんですけれども、この保護司会に関しては、まことに私も同じ思いでございますので、一生懸命やっていきたいと思います。

保坂(展)委員 では、保護司会の運営費については、大臣が大変前向きな答弁を今回したということでよろしいですね。

 終わります。

    ―――――――――――――

上川委員長代理 この際、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局小池経理局長、小川刑事局長及び二本松家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上川委員長代理 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 この更生保護法ですけれども、保護司の方の意見や、いろいろ伺っていても、改正の必要性はあるし、しっかり議論しなきゃいけないなというふうに思っておりまして、内容的にはそれほど反対すべきことでもないなと。ただ、問題点が多いので、これは質疑によって明らかにしなければいけないことはあるけれども、徹底してこの法案を全部否定するんだというほどのものではないなと思うんです。

 どうも与党の理事の方の運営が余りにも強硬過ぎて、またこれは委員長も含むのですけれども、こういう大事な法案を、急に、趣旨説明をしてきた日にどんどん質問も進めて、この二日間ぐらいでやってしまう。更生保護を取り巻く環境がこういう委員会の場できちんと議論されて議事録に残ることを何か嫌がっているような節が法務省にもあるんだとしたら問題だなというふうに私は思っているので、それは強く抗議させていただきます。

 まず、伺いますけれども、実際、保護司の方が、出てきた方が言うことを聞かないだとか遵守事項を守らないとか、非常に苦労されているというような話も聞きます。実際、私、親が保護司をやっているものですから、よく話は聞いていますけれども、何か、ただ保護司の方が苦労をしているから、厳罰化といいますか、厳しくすればいいんだというようなことではちょっといけないのではないか。

 それは、保護司の方のことを考えることももちろん大事だけれども、実際に犯罪を犯して、罪を認めて刑務所の中で何年か過ごして、今度は社会復帰しようという人たち、今度は立ち直っていこうという人たち、日本は法治国家ですから、こういう罪を犯した人には何年の刑が下る、それがきちんと執行されれば、その後はもう罪人でも何でもないんだ、リセットできるんだというのが日本のいいところで、いつまでも、あいつは刑務所帰りだ、こういうレッテル張りがされてしまうのではやはり問題だなというふうに私は思っております。

 それで、そのためには、やはり厳しく厳しく見ることも大事ですけれども、逆に社会の方が温かく迎え入れる環境づくりもしなければいけないなと思っております。だから、その中で、特に保護司の方というのは民間の篤志家の方で、公務員でもなく、一番社会との接点となる方ですので、そういう方の意見というのは大事だと私は思いますけれども、まず、この保護司の点に関して大臣にも伺いたいんです。

 保護司会の方の話なんかをよく聞きますと、もう高齢化している、制度に対する社会の理解も不十分だ、それで、もうちょっと、お金が欲しいわけじゃないんだけれども、いろいろ予算措置をとってほしいんだというような話がよく出るんです。この点、法務省として、どんどんこれを増額してふやしていったりですとか、それが今どういう流れになっているか、教えてください。

長勢国務大臣 お父上を初め保護司の方々には本当に……(高山委員「母親です」と呼ぶ)済みません、母上様でございましたか。ごめんなさい。大変な御苦労をいただいておりまして、敬意を表したいと思います。

 本当に時間的にも金銭的にも御負担をいただいているということは、私もよく耳にするわけでございます。同時に、そういう篤志的にボランティアとしてやっているということにまた誇りをお感じになっておられる方もおられるわけでございます。そういうことを踏まえながら、やはり十分な活動ができるようにしていくことが我々の役割だと思っております。

 聞くところによると、先ほども議論になっておりましたが、会の活動自体も持ち出し、預かった方々に対するいろいろな活動も持ち出しというのも、ちょっとどうかなと私個人も思っております。

 ようやく、保護司会の活動に対する若干の負担をさせていただく制度を十九年度から設けましたが、こういうことと、また実費弁償の仕方も含めて、大変厳しい財政状況の中ではございますが、私としても、できる限りの努力を今後とも払っていきたいと思っております。

高山委員 保護司の方も民間の篤志家でボランティアですけれども、やはり気持ちよく受け入れてもらいたいんですよね。そうすると、お金の点でもやたらかつかつだ、それでこれするなあれするなということになりますと、幾ら温かい目で見ようと思っても、余り言うことを聞かない、遅刻する、こういうことがあると、では、おまえ、遵守事項、取り消しだというように言いたくなるような、のどのここまで出るような状態にさせてはいけないと思うんですよ。そのためにも、もう少し手厚い措置をというふうに思いますけれども、大臣は今ので十分だとお考えですか。

長勢国務大臣 今も申し上げたとおりで、大変御苦労をかけているなと思っているということは、十分ではないなと思ってはいるということでございます。

 そういう中で、いろいろな、財政事情その他もありますが、私としても、おっしゃるように、気持ちよくというか、十分な活動を社会のためにしていただけるように、そういう面での努力を払っていきたいと思っております。

高山委員 財務省に伺います。

 この点、法務省の方からも、保護司活動あるいは保護観察のこういう活動の充実を図りたいということですけれども、予算要求はどういうものが出されて、どういう決定をしていますか。

椎名大臣政務官 先生お尋ねの更生保護施設など、どのような予算要求がなされ、その査定結果ということでございますけれども、保護観察関係予算につきましては、平成十九年度予算におきましては、御指摘の更生保護施設における処遇機能充実強化のための更生保護委託費は、要求は三十二億五千万円でございましたが、直近の実績を反映して約三十二億二千万円、対前年度三千万円減と査定してはいるものの、保護観察関係予算は、対前年度約八億六千万円増の約二百十三億五千万円、要求は約二百二十億五千万円、措置しているところでございます。

高山委員 これは法務大臣に伺った方がいいのかもしれませんけれども、これは、これぐらいだろうなんという、前年比で見て少しずつみたいな現実的な要求をされているような気はしますけれども、なぜ思い切った要求をして、せっかく、だって、これは何年ぶりの改正ですか、更生保護法の枠組みを大きく変えようじゃないかというタイミングですよね。しかも、この法案は今回出されてきたもので、別に二年間たなざらしというわけでもないわけですよね、少年法とはまた違うものですね。

 今回、どうして大きく予算要求しなかったのか、あるいは、したんだけれども、内々、実は財務省に査定されたのか、ちょっとその辺を説明してください。これは、更生保護関係に携わる方で、何か余計面倒くさくなるだけで、これでは納得できないよという方もいらっしゃるんじゃないですかね。ちょっと説明してください。

長勢国務大臣 この法律は、公布後一年以内に施行することになっていますので、今先生がおっしゃったことも含めて、来年度予算に反映できるように努力をしたいと思いますけれども、先生も御案内のとおり、大変厳しい財政状況の中での話でありますから、どういうふうにするかはこれから検討いたしますけれども、できる限り先生の御意見を踏まえて、更生保護行政が飛躍的に充実できるように頑張ってまいりたいと思っております。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

高山委員 何かちょっと残念ですね、大臣の今の御答弁は。

 しかし、成立してから一年以内にというのであれば、何でこんなに審議を、こんなところで一日、二日急ぐのか全く納得もできませんし、もっとこれは委員会できちんと議論をして、確かにこの法案のためであればたくさん予算を獲得しなきゃいけないぞという世論をせっかく巻き起こそうとしていたところ、与党側の拙速な委員会運営によってなかなかそういう機運も盛り上がらないのではないかなと非常に残念な思いがします。

 この点、さらに財務省にもちょっと確認しておきますけれども、これは大事なことなので、もし法務省から大幅増の要求があった場合には、財務省の方では善処していただけるんでしょうか。

椎名大臣政務官 法務省からの要求に基づきまして、きちっと実情に合うようにやっていきたいと思っております。

 以上です。

高山委員 あと、この点に関してもう一つ、お金の面もそうですけれども、やはりこの保護観察等、保護司が今どんどんなり手が減っているということもあります。だから、もちろんそこも充実させなきゃいけないんですけれども、今、保護観察官も人数が少なくて大変だという話が出ています。この点も大幅増員をしなければ対応できないのではないか。

 しかも、これは、ただ予算要求で言っているんじゃなくて、実際いろいろな事件が起きていますよね。保護観察中の方がいろいろな犯罪を、累犯的なことを犯してしまっている、こういうことこそきちんとマンパワーで管理しなければいけないんじゃないのかなというふうに私は思うんですけれども、この点、総務省にも伺いますけれども、その前に、法務省の方でどういう人員増の計画を考えられているか、それとも今のままで十分だというふうにお考えなのか、大臣に伺います。

長勢国務大臣 保護行政が十分な機能を果たしているかということが従来から指摘をされてきているわけで、その一つは、観察官あるいは保護司さんの数の問題も指摘されているわけであります。

 法務省としては、従前から観察官の増員に努めてきておりますし、それを方針としてきておるわけで、今年度についても四十三人の増員をいただいたわけでありますが、これで十分だと思っておるわけではございません。引き続き、十分な定員、人員確保に努めてまいりたいと思っております。

大野副大臣 保護観察官の増員のことでございますが、皆さん方の御苦労を十分承知いたしているところでございますが、現下の厳しい定数管理の中で、ほぼ法務省のお考えの要求に沿うような形で、四十三人を増員いたしたところでございます。

 今後もまた法務省からこうしたことについての要求が恐らくあろうと思っておりますが、そうした要求を踏まえて適切に対処してまいりたい、こう思っております。

高山委員 まず初めに法務省に伺って、次に経産省にも伺いますけれども、私、この間、刑務所等を見学させていただいて少し思ったんですけれども、やはりちょっとやられている作業が古いといいますか、本当に実社会に出て人気の仕事につけるようなことをやっているのだろうかという思いが少しありました。

 それで、仮釈放なり何なりで社会に出てきたときに、結局、きちんとした仕事について自立ができるようになれば、その人はもうどんどん社会復帰をしていくんだと思うんですよね。だけれども、例えば、余り社会に出てから職につけないようなことを刑務所の中で教えられて、だからなかなかまた職がなくて、ああ、おれはやっぱり社会的に否定された人間だと思ってまた変な方向に行ってしまうということも十分考えられるので、まず、社会的に受け入れられるような最新の仕事をどんどん教えていかなければいけないし、また、保護観察中であったり仮釈放中の人に対しても、就労支援、これは力を入れていかなきゃいけないと思うんです。

 それは、旧態依然としたものではなくて、新しいところをどんどん開拓していかなきゃいけないと思うんですけれども、法務省の方は、まず、新規の開拓にどういう努力をされていますか、また、新しい仕事を教えるということに対してどういう努力をされているか、教えてください。

長勢国務大臣 最初のくだりは刑務所内の作業のお話だろうと思うのでございますが、それは先生のようにできれば一番いいわけでございますけれども、現実にそういう事業の確保に大変苦労も多いということも御理解いただけると思います。

 それから、出所後といいますか、更生保護施設においての就職支援というのが何よりも改善更生を図る、また再犯防止のためにも基本でありますので、昨年度から、厚生労働省とも連携をして、再就職促進に幾つかの成果を上げつつあるわけであります。

 また、雇用先を確保していくということが基本でありますから、そのことにもこれからも努力をして、一刻も早く職につけるようにということを重点的に進めていきたいというふうに考えております。

高山委員 最近法務省から出てくるもの、厳罰化もいいんですけれども、やはり立ち直ろうとする人をきちんと応援してあげるようなことももっと考える必要が私はあると思いますし、今の大臣の御答弁ではありますけれども、ちょっと不十分だなという印象を私は持っています。

 それで、これは経済産業省に伺いたいんですけれども、やはり雇ってくれる人というのがいなきゃいけないと思うんですね。協力雇用主じゃないんですけれども、経済産業省として、いわゆるムショ帰りの人というんでしょうか、仮釈放中だったり、あるいは本当に刑務所から出てきた人、こういう人たちを、やはりムショ帰りだとか言って差別するのはよくないと思うんですよ。ですから、そういうことで、まず、もちろん当然差別されないように御注意もしていただきたいし、また、そういう理解ある雇用主というものの発掘に何か協力していただいていることはありますか。

山本(幸)副大臣 先生御指摘のとおり、過去はどういうことがあろうと、再起しようという方をぜひ再チャレンジさせるということは大変重要なことであると思っておりまして、これは安倍政権の一つの大きな旗印でございます。

 そういう意味で、経済産業省としては、いろいろな過去があっても、ニート、フリーターも含めてですけれども、就職を支援するという立場で、厚生労働省等とも連携しながら、ジョブカフェモデル事業というようなことをやっておりますし、あるいは若者と中小企業ネットワーク構築事業というのをやっております。

 私も先般、千葉のジョブカフェに初めて行ってみたんですけれども、自分自身、指導員の話を聞いて、グループで、ちょっとした作業をやらされて、そういう教育でありましたけれども、やはり個別の指導員と相談をしながら、では、あなたはどういうところだったらいいですね、企業の方にも話をしてあげましょう、過去は過去としてそんなに気にしないでいいですよ、そういう指導をやっておりまして、これは非常に役に立つ事業じゃないかと思っております。そういう意味で、ぜひジョブカフェの門をたたいていただいて、やっていただきたい。

 ただ、基本はやはりそういう雇う企業の力がないとだめですので、中小企業を含めて元気が出るようにならなきゃなりません。その意味で、本日参議院で成長戦略三法を上げていただきましたので、これを活用して、元気をつけて、そういうことがどんどん進むようにさせていただきたいと思います。

高山委員 成長力の底上げも非常に大事だと思いますけれども、今の御答弁でわかったことは、法務省と経産省はほとんど連携していないんだなというふうに思いました。先ほど法務大臣が厚生労働省と連携して雇用確保というようなことを言われましたけれども、これはやはり雇用主の問題ですよ。中小企業庁を抱える経済産業省ときちんと連携して、もっと職場そのものをつくっていくというんですか、そういうことをしないといけないと私は思うんですけれども、大臣も、御出身もいろいろあると思いますけれども、経産省との連携ということをもう少し考えていただきたいと思います。

 それで、時間も一分しかありませんが、ちょっと文科副大臣に伺わなきゃいけないことがあるのです。

 文科省の方に伺いたいのは、まず、保護観察に付された、少年院から出てくる子がいますね、こういう子は学校との連携がやはりすごく大事だと思うんですけれども、この点はどのような連携を今しておりますか。今していることで結構です。

池坊副大臣 文部科学省も、さまざまな問題を抱えている少年を継続的に社会の中において再教育させるためのさまざまな施策をいたしております。

 例えば、学校、家庭、地域、関係機関の連携による取り組みとして、問題を抱える青少年のための継続的活動の場づくりの事業として五千万計上いたしております。これは、非行などの問題を抱えている子供たちを、ボランティアの方々が一緒に活動をして、それも継続的に活動することによって、子供たちの心をいやし、そして社会に受け入れられるような体制づくりをいたしておりますし、また、青少年の意欲向上・自立支援事業は二億円とっております。子供たちが、青少年が、まずみずから働こうとか自立していこう、そして、社会で生きることがすばらしいのだ、そう思えるような自然体験、社会体験などの場の提供をしております。また、問題を抱える子供等の自立支援事業というのは十二億ございまして、これは、不登校とか暴力行為、いじめ、特に学校教育においての取り組みです。それぞれ、地域の取り組み、学校における取り組み、そしてその連携による取り組みというのをいたしております。

 少年たちが再度社会に出ていくためには、やはり文部科学省がやらなければならないことも多いと思いますので、これからも法務省、厚生労働省と連携をとりながら、子供たちの自立支援に力をかしていきたいと思います。

 高山委員が前段でおっしゃいました温かい環境づくりこそが大切で、さすがはお父様が保護司でいらっしゃるからそういうお考えをお持ちなのだなというふうに私は思いましたけれども、みんながそういう気持ちを持って子供たちの自立を手助けすることが必要であるというふうに考えております。

高山委員 更生保護のジャンルですと、もともと犯罪者なんだから余りお金をかけたり人手をかけたりするのはおかしいじゃないか、彼らは犯罪をした人間なんだという被害者の立場ももちろんわかります。だけれども、それは刑罰ということで評価されるのであって、その後の立ち直りに関しては社会全体で、しかも、今の話にありましたように、法務省や警察あるいは厚労省といったところだけじゃなくて、経産省、文科省、いろいろなところが一体としてやっていかないと、結局、その人がもう一回犯罪者に戻ることになると、新たな被害者を生むというリスクもあるわけですから。

 ただ犯罪者、元犯罪者の人に甘いんだというのではなくて、犯罪を犯した人はきちんと刑罰で評価する。そこは厳罰化、どんどんするべきだと思いますけれども、今度、立ち直りのことに関しては、やはりもう少し社会全体で受け入れるような風土をつくっていかなければいけないと思うので、ぜひとも、委員会そのものの運営が暴力的に行われないようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

七条委員長 次に、大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志です。

 委員長、私、今週の初めにも同じ言葉で私の少年法に関する質問を始めさせていただきましたが、きょうも残念ながら同じ言葉を言わせていただかなければなりません。

 少年法もそうでしたが、更生保護法も非常に国民にとって重要な法案です。検討の過程もしっかり検証し、かつ内容もしっかり検証し、本当に更生保護が図られるということを法文の中で確認した上でやはり議論して、それで結論を出していかなければならない。どう考えてもそうなんです。私も質問内容、たくさん実はあるんです。これをきっちりとこの国会の場で議論していくのが我々の役割じゃないかと思うんです。

 ですから、今回のような、あるいは前回のような委員会運営というのは非常に私は遺憾でなりません。この点については、今週二回目です。週に二回こういうことを申し上げるのは非常に遺憾です。委員長、ぜひぜひ、この部分について強く抗議させていただき、お取り計らいをいただきたいというふうに思います。

 それで質問に入らせていただきたいと思います。

 先ほど申しましたように、この更生保護法、論点はたくさんあると思うんです。まず、そもそも論からやはり確認していかなきゃならないところがあると思います。この法案の見直しといいますか、もともとあった二法、二つの法律を合体させて一つの更生保護法としてつくっていく、このそもそもの流れのところをちょっと確認していかなければならないと思うんですね。

 いわゆる保護観察制度というものの持つ意味あるいは持つ問題点、現代的な問題点というものは長く指摘されておりました。これをどうにかしなければならないという、社会における声はたくさんあったと思います。その中で、長い間検討は続いてきたと思うんですけれども、平成十六年、十七年に象徴的な事件も起こりました。御案内のように、保護観察制度の中にあった者が再犯という形で痛ましい事件を起こすという社会の耳目を集めた事件でありました。その事件を受けてといいますか、その後に有識者会議での検討が進められ、そして今回のこの法律案という果実になっているわけであります。

 ここで大臣に確認させていただきたいんです。

 この法律の提案理由説明を読ませていただきまして、その点を確認していかなきゃいかぬと思うんですけれども、提案理由説明の中には提案の理由を書かれていますけれども、やはりこれが理由なのかなと思われる点は、「近時、社会及び犯罪の情勢が変化する中で、更生保護はその目的を十分に果たせていないとの指摘がされております。」こう書かれています。

 私、ぜひ大臣にお尋ねしてみたいのは、保護観察という制度を見直さなきゃならない、抜本的な見直しが必要なんだという声はありました、これに対する長期的な答えとして今回の法律が出されているのか、それとも十六年、十七年、世間の耳目を集める形で起こった痛ましい事件、これに対する事態対応みたいな形でこれが検討されているのか、どちらなんだろうか。流れから見ると、十六年、十七年の事件が起こって、会議体が呼ばれ、そこで検討が行われて、結論が出されているわけです。

 大臣、この法律はどうなんですか。保護観察制度の長期的な視点に立っているものなのか、それとも事態対応という側面が強いのか、その点について大臣の御見識をお伺いさせていただきたいと思います。

長勢国務大臣 法案の立案の経過は御存じのとおりだと思いますが、有識者会議においても、更生保護制度は、機能不全に陥りかけており、その目的を十分に果たせていない、こういうことがいろいろ重大な事件が起きたところで露呈をした、こういう評価でありまして、私どももそのように思っております。

 そういう意味で、再犯という形のいろいろな事件が起きたことが、こういうことをみんなで考え直そうという契機になったことは事実でございますが、時代に合わせた形で国民の期待にこたえられる更生保護制度につくり直そうという観点から提案を申し上げているものでございます。

大串委員 今のお答えを前提としますと、保護観察制度の長い間の問題がやはり指摘されていました。それは認識を同じにするんです。一つのきっかけといいますか、目の前にあらわれた事象として、十六年、十七年のいろいろな事件があった。それを目にすると、保護観察制度のより根底に潜む問題が明らかになっているじゃないか、だから保護観察制度をしっかり見直していこうという流れの中での話なんだろうと思うんですね。

 そこで、そもそも論、もう少し議論させていただきますと、一条の目的規定のところ、今回手を加えられています。目的規定に手を加えられて、「再び犯罪をすることを防ぎ、」ということ、そして「又はその非行をなくし、」ということと、それともう一つ、「自立し、改善更生すること」ということが並び立つような形で書かれています。「再び犯罪をすることを防ぎ、」というのは、これまでなかった文言を改めて書かれている。

 そうすると、大臣、この流れを見ると、先ほどおっしゃった保護観察制度の不備、これを立て直していこうというふうにおっしゃったことからすると、ちょっとずれを私は感じるんです。目的規定、法律にとって一番大事なところですよ。なぜそこに新たな文言として、しかも一番冒頭のところに「再び犯罪をすることを防ぎ、」というふうに書かれているのか、この意義、理由、これはどういうことなんですか。先ほどの、保護観察制度を抜本的に直していかなければならないというもともとのそもそも論のスタート台からどういうふうなリンクがあるのか、それをお答えください。

長勢国務大臣 再犯防止と改善更生というのは一体のものだと思います。当然、改善更生を図るということが基本でございますけれども、それに至らない間に再犯を犯すというようなことがあれば当然改善更生はますますおくれることになるわけでありますし、また、改善更生がきちんといけば再犯は防止される、こういう関係であって、これは一体のものだと思うんです。

 ただ、国民の中には、先ほど刑期の問題もありましたけれども、この更生保護制度というのはそういう意味で一体のものを期待しておられるわけですから、そのことを明確にして、基本的には、改善更生が基本であるということを明確に今回の改正で規定することができたと思っております。

大串委員 今最後に非常に重要なことをおっしゃったんですね。改善更生が基本なんだ、改善更生を図っていけば「再び犯罪をすることを防ぎ、」ということができていくようになるだろう、そういうふうな流れ、そういうふうな理解でよろしゅうございますね。それは、私も非常に意見を同じゅうするところなんです。そこが保護観察制度を抜本的に見直していかなければならないというときの一つの大きな観点、保護観察制度をしっかり見直すことによって更生改善を進め、それによって再犯がなくなっていく、そういう流れなんだろうと思うんですね。

 そうすると、まさに保護観察制度の抜本改革が必要であったそういう時期、先ほど高山委員からも話がありましたけれども、前に私も申し上げましたけれども、私の母親も二十年近く保護司をやっておりました。そういう中で、いろいろな問題点なりを聞いてきてはおります。

 それで、保護観察制度を抜本的に見直していくという観点からしますと、これは非常に大きな質問になって恐縮ですけれども、大臣、この法律を私つぶさに見てみて、どこが保護観察制度の抜本改正になっているのか。有識者会議の報告から見ても、すべてをきちんと網羅しているわけではないんですよ。いろいろ有識者会議から提言された中でも、オミットされていることもたくさんある。どこをもってして、これで保護観察制度の大きな、そして抜本的なきちんとした改善、改革になっていると言えるのか。これで大丈夫なんですと自信を持って言える内容になっているか、私は実は非常に不安なところがあるんです。

 方向性に対して悪いと言っているわけではないんですよ。ただ、本当に現在の保護観察制度がこれでうまくいくようになると言い切れるところがあるのか、そこを大臣はどう考えていらっしゃるのかということをお尋ねしたいんです。お願いします。

長勢国務大臣 今度の法案で、現行法の遵守事項の内容を整理して充実させることなどによって保護観察の充実強化を図ることにしておるわけでございます。

 一般遵守事項については、呼び出しや訪問を受けたときはこれに応じ面接を受けることなど、保護観察を受ける者が当然守るべき事項でありながら現行法では規定されていない、こういうものをきちんと明記することといたしましたし、また、特別遵守事項についても、より具体的で規範性の高いものになるようその定め方を整理する、また、随時その設定、変更、取り消しができるようにしておるわけでございます。

 これらによって指導監督が、明確な遵守事項のもとで、かつ対象者の状態に応じた弾力的なものとしてより実効的に行われることがこの法案によって期待をされておるわけでございます。また、その他、保護観察対象者に対し被害者等の心情等を伝達する制度を導入する等々、保護観察対象者にも悔悟の情を深めさせるための指導監督が一層充実したものとなることが期待されているわけでございます。

 ただ、おっしゃっていることもわからないわけではないわけで、これはやはりこの法律だけでというわけではないので、これの環境といいますか、先ほど来、予算定員の問題、保護司さんの問題あるいは施設の問題が議論されておりますが、こういうことに先生方の御支援、御協力もいただいて、我々も全力を挙げて取り組んでいかなければならないと思っております。

大串委員 今まさにおっしゃったとおりだと私も思うんですよ。法律の内容を見て、改正された内容自体が、方向性自体に私も反対なわけではないんです。こうやって、一つ一つボルトを締めるように法律の内容を改正していくということは必要なことだと思うんです。そして、まさにおっしゃったように、これ以外の面でもいろいろやっていかなければならないところがあると思うし、そういうところも国会でしっかり議論しなければならないという論点もあると思うんですね。

 おっしゃったように、私はあと二つの論点が非常に重要だろうと思っています。

 一つは、まさにおっしゃった保護観察官や保護司、これの体制といいますか環境の整備、予算とか定員も含めてこの面が非常に重要なのが一つあるだろうと私は思います。もう一つは、更生保護というフィールドの行政といいますか政府の機能は、恐らく法務省が管轄されていることだけでは十分になし得ない、他省も含めて、ほかの行政機能も含めて十分連携を図ってやっていかなければならない、その部分のボルトの締め方も必要なんだろうと思うんです。その二つの点が、やはり非常に重要だろうと思うんですね。

 それで、前者の方について、先ほど高山委員からも話がありましたけれども、私の方もちょっと確認させていただきたいんですが、保護観察官、保護司、人員的にも非常に厳しいものがあるというふうに言われています。

 ちょっと私、事実関係だけお尋ねしたいんですが、保護司の方々、人員的に言うと五万を下回るようになってきているんですけれども、この保護司の人員の近年の推移は、事務方の方で結構ですけれども、どのくらい減ってきているんでしょうか。そして、近年、近い将来で大きくまた減るというような見込みになっているんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

藤田政府参考人 保護司の法律上の定員、これは五万二千五百人でございます。それに対しまして、過去五年ぐらいの実数を申し上げますと、平成十五年で四万九千二百五人、十六年が四万九千三百八十九人、十七年が四万八千九百十七人、十八年が四万八千六百八十八人、十九年が四万八千五百六十四人ということで、微減といいますか、そういう傾向にはあるわけでございます。

 ただ、私どもの方で、保護司さんに対する発掘といいますか、これについて従来は、おやめになる保護司さんの個人的な人脈で探してお願いをするというようなことをやっておりましたけれども、それだけではなかなか難しくなったということを踏まえまして、一昨年から内申委員会というのも設けまして、これで、地域のいろいろな分野の方々、教育の関係者とかあるいは少年補導員でございますとか民生委員でございますとか町内会の方々、いろいろな分野の方に入っていただいて、そこで推薦をいただいて、それで保護司さんの候補者を発掘するというやり方をとりました。

 そうしましたところ、これはモデル事業として、全国で現在八百七十九あります保護区の中で六十八の保護区を選びまして一年六カ月間やってみましたところ、それに先立つ同じ期間に比べて、具体的な数字はちょっと厳密ではございませんけれども、百人ぐらいふえたという結果が得られておりまして、保護司さんの御意見を聞きましても、これはいい制度だ、これはどんどん拡大をしていったらどうだという声が強うございました。

 そこで、これは全国保護司連盟と法務省で協働でやっておりますけれども、今後近いうちに六十八を例えば百三十ぐらいにふやしてこの事業を拡大してみたいというふうに考えております。そういたしますと、急激に今後減っていく見込みかということになると、これは今後はむしろ実人員をふやしていく方向でいい結果が得られるのではないかと期待しておるところでございます。

大串委員 これは、日本の社会の変遷とともに大きな問題になってきているところだと思うんですね。微減なんですけれども、例えば、どこの地域でも消防団になり手がないとか、あるいは同じように保護司の方々が高齢化され、なり手がなくなってきている。どこでも起こってきている問題であって、本当に保護司の皆さんにこうやって頼っている制度というものがいいものかという根本論のところも問わなければならないし、あと、有識者会議では、この保護観察官の倍増ということも言われていますね。会議の方で倍増が必要だと言うほどの状況だということだと思うんですね。それと並び称して、こういう法案の改正も必要だということだったんだと思うんですね。

 その倍増が必要だというような状況に対して、本当にこれは熱心に取り組んでいかなければならないんですけれども、先ほど財務省の方に質問があっていましたけれども、今我々が求められているオーダーといいますか、これはもう倍増が必要だという提言がなされるようなオーダーなんですね。

 先ほど一般的な答弁がありましたけれども、ぜひ、財務省それから総務省の方に、定員の観点からもお聞きしたいんですけれども、予算面そして定員面から、倍増という方向性が視野に入るのか、そのイメージのところをぜひ教えていただきたいんです。お願いします。

椎名大臣政務官 答弁させていただきます。

 倍増は、先ほどのは定員の方でございますけれども、ちなみに、保護司の実費弁償金につきまして拡充すべきだと考えておりまして、厳しい財政事情のもとではありますけれども、保護司実費弁償金につきましては、実態調査の結果を反映させ、その単価を引き上げることなどによりまして、平成十九年度予算におきましては、対前年度、約六億五千万円増の約五十九億二千万円を措置しているところでございます。これによりまして、保護司実費弁償金は、平成十七年度予算額約四十億三千万円の約一・五倍となりまして、二年連続の大幅な増額となっております。

 財務省といたしましても、保護司の活動に十分に配慮したものと考えておるところでございます。

 以上でございます。

大野副大臣 こうした現場で御苦労されております保護観察官の数を倍増すべきだというような御指摘もございます。そうした中にありますが、定員純減は現政府の方針でもございます。こうした方針の中ではございますが、こうした声をしっかり受けとめながら、今後適切に対応してまいりたい、こう思っております。

大串委員 予算面で伸ばしていただいた。今五十九億、六億増を図っていただいた。そして、定員に関しては、政府の定員減の方針がありましたよね、その中で頑張っていくんだけれども、適切に対応していくという答え。

 基本からすると、倍増というオーダーが提言がされるようなところで、やはりそれがなかなか難しいというのが現実だろうと思うんですね。そういう現実を踏まえて、では、何ができるのか、どこをどう変えていくのかというのを考えていかなきゃならぬと思うんです。そういう目からして、今回変える法律は本当にこれでいいのかという論点も詰めていかなきゃならないと思う。

 だから、現在、先ほどおっしゃった今回のスタートラインは、保護観察制度そのものの問題が大きい、この現状を何とかしなきゃならぬという抜本的なところからくるとすると、まだ道半ばだと私は思うんですよ。だから、そういうことも含めてさらに議論していきたいというふうな論点が残っているんだと思います。

 もう一つ、駆け足になりますが、各省が連携しているかという中でどうしても確認しておきたいのは、今回、有識者会議の議論の中でも、この更生保護の世界では、やはり厚生労働省そして少年の分野で文部科学省、こことの連携が非常に重要だと思うんですね。

 ここで、厚生労働省、そして文科省の方にお尋ねしたいんですけれども、この有識者会議の中で、そもそも厚生労働省の方、そして文科省の方からきちんと、こういう論点がそれぞれ厚生労働行政そして文科省行政の中からあるんだ、こういう論点に関してはこうしてください、我々はこういうふうなことができます、こうすればよくなるんじゃないかという問題の指摘なり改善点の指摘なり、あるいは提言なりがなされたのか、なされていなかったのか、その点についてきちんと行われているか、私は確認したいんです。お願いします。

 厚生労働省の方からどうぞ。

松野大臣政務官 御指摘の会議の場におきましては、直接厚生労働省が提言をしてきたということはございませんけれども、再犯防止に関しての厚生労働省の動きといたしましては、有職者の再犯率といいますのが無職者の五分の一であるという事実がございますので、就労を勧めることによって再犯防止に関与していくというような考え方をとっております。

 このため、十八年度より、刑務所、少年院、保護観察所とハローワークとの連携によりまして、きめ細かな職業相談、職場体験講習、トライアル雇用等を行う刑務所出所者等就労支援事業を開始いたしました。平成十八年度の実績を見ますと、ハローワークに求職を申し込んだ刑務所出身者等二千二百六十八人のうち、七百三十人の就職が実現したところであり、今後とも事業の一層の効果的運用を図ってまいる所存であります。

池坊副大臣 今、有識者会議に文科の人間が入っていたかどうかというお話でございますが、私の知る限りにおいては入っていなかったのではないかと思います。きょう、この出席に際しては、急遽出てこいということでございましたので……(発言する者あり)お答えしているときは、ちょっとお静かに、最後まで聞いてください。もし、有識者会議に文科がどのように関係しているかという御質問が事前にあったならば、もっと詳しくお答えすることができたのになと残念に思っているということを私は申し上げたかったのです。

 ただ、更生保護法ができました限りにおいては、私どもは、文部科学省としてするべきことはしっかりと、法務省や厚生労働省と連携をしてまいりたいと思っております。

 例えば、刑務所の中で受刑者が、高校中退やあるいは高校に行けなかった人が勉強をして、高校履修の、昔でいいます大検です、履修資格、これを取りたいというときに、前は刑務所内で取ることはできませんでしたが、今度は刑務所内でそれを受験することができるようにいたしました。

 ですから、随時いろいろな状況に応じて、私たちは少年たちが自立していくために支援をしてまいりたいというふうに考えております。

七条委員長 時間が来ております。

大串委員 ありがとうございました。

 文部科学省の方から、他人に責任を転嫁するかのごとき発言があったのは極めて遺憾でございますので、その点は私は非常に遺憾だというふうに申し上げさせていただきたいと思いますし、また、厚生労働省の方、文科省の方も、検討会に参加していなかった、あるいは意見が提言されていなかったというのは、やはり検討の段階から問題が大きかったということを指摘させていただきたいと思います。

 終わります。

七条委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 こういう形で委員会が開かれましたので、いろいろしっかりとお尋ねをしたい、準備もいただきたいということもあったんですが、そのことができなくて残念だということは申し上げたいと思います。

 まず、これは大きく報道もされておりますが、JR北陸線の特急電車「サンダーバード」の車内で、二〇〇六年八月、当時二十一歳の女性が乱暴をされた。私は、このニュースに接したときに非常に憤りを感じまして、その後、またほかの詳しいニュースも読み直して、本当に、眠れないというと大げさかもしれませんが、それぐらいの気持ちになりました。

 このことについて、まず警察から、把握している経緯を端的に御説明をお願いします。

縄田政府参考人 突然のお尋ねでございますので、詳細な中身について十分御答弁できないかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。

 列車あるいは列車の駅の構内等で強制わいせつあるいは強姦事案等がございまして、ことしに入りまして、滋賀県で一名の男を逮捕し、余罪等を送致いたしております。

 引き続き、大阪府警におきましても被害の状況も確認ができまして、昨年の八月発生の事案でございますけれども、これは二十代の女性が列車の中で一人座っておられた横に座りまして、声を出すなということで恐喝をしまして、諸般のわいせつ行為といいますか、口に出すのもはばかるような行為があったということでございまして、大阪府警において本年の四月二十一日に逮捕いたしております。さらに引き続き捜査をする、こういうことでございます。

石関委員 鉄道内のこういった事件というか、強姦も含めたいろいろな犯罪に対しては、ここの場合も、鉄道警察隊というのがありますけれども、そもそも鉄道警察というのはどういう組織形態になっていて、警察庁の組織下にあってこうこう、これぐらいの配備をされているんだ、これについて教えてもらえますか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道の車内また鉄道の駅の構内を含めて、その安全を確保するための警戒に当たる要員として、鉄道警察隊という組織が各都道府県にございます。人数はいろいろ各県によって違うんですけれども、現在、全国ではこの鉄道警察隊の隊員としては二千名弱、千九百二十二名の者が従事しております。

石関委員 もう少し詳しくお尋ねしたいんですが、都道府県に所属をしているということですね。都道府県県警本部に所属をしているということですが、こういうふうに電車で都道府県をまたがって通行している、こういった中の防犯体制というのには鉄道警察隊はどのように対処をしているんでしょうか。全く乗っていないという列車の方が多いんでしょうし、またこういうのには乗っているとか、そういうのはあるんですか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 どの列車に乗るかということは、これは手のうちにかかわる問題でございますので、公にはしておりません。

 ただ、各県におきましては、情勢に応じまして計画を定めて、鉄道警察隊が列車に警乗するというケースがございます。それで県をまたがって行う場合には、これは広域にまたがりますので、警察庁において調整を行うということにしております。

石関委員 余り具体的なことを言えないというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、調整はどのぐらい頻繁に行われて、どうなっているんですか。

 私が恐れているのは、その調整がそんなに頻繁に行われていなくて、県をまたがって、都道府県県警というのは、群馬県から埼玉県まで乗りっ放し、こういうことが実際にできないので空白が生じている。私は、こういうことがあってはいけないという観点から、再度お尋ねをします。

片桐政府参考人 前提のお答えがちょっと私不十分でございましたが、鉄道警察隊の体制、また警察官の体制からして、全列車をカバーすることは不可能でございまして、したがって、そのうちからどれに乗るかということについては計画を定めて行うということにしております。

 その計画については、突然のお尋ねなので、どれぐらい頻繁にやっているかということはちょっと今把握しておりませんけれども、基本的には、都道府県から計画が出まして、それを見て警察庁において、お互いにダブった部分があるかないかとか、この部分は少し間隙があるんじゃないかとかいうことを勘案しながら調整を行っていくということにいたしております。

石関委員 特にこういう列車の車上がそういう防犯の空白になっているのか、あるいは普通の地域の方がどうか、これは一概に言えないと思いますが、非常に不安を感じるとこの事件によって強く思います。

 以前にも電車の中の事件や事故というのはもちろんあったと思いますし、こういった犯罪を防ぐための御努力というのはこれまでに何か、特に鉄道警察ですか、こちらの方なり警察庁で取り組まれてきたということはあるんでしょうか。これもトイレの中に連れ込まれて密室の中でということがあって、これは鉄道会社としては何かベルを取りつけるとか、既に違った目的で困った方が押すようなベルがついている、こういった設備もあろうかと思いますが、警察としては、何かこれまでこういった車上の防犯に対しての特段の取り組みというのはなされてきたんでしょうか。

片桐政府参考人 情勢に応じて、例えば警戒を厚くするとか薄くするとかということはあり得ると思います。大事なことは、警察だけではなくて鉄道事業者との連携だと思います。

 したがって、今回もそうなんですけれども、やはり鉄道事業者との連携を緊密に図りながら、事業者の方でできること、我々ができることをお互いに持ち寄りながら、いかに列車内、また駅構内の安全を図っていくかということを考えているということで、事業者との連携は今後とも図ってまいりたいと考えています。

石関委員 それはそれでしっかり進めていただきたいと思いますが、やはり一義的に警察にさらにしっかり頑張ってもらいたいということは申し上げたいと思います。

 それで、報道によると、二〇〇七年の四月二十一日に強姦容疑で再逮捕された方、植園貴光被告、三十六というふうに出ていますが、この方は、先ほども説明がありました、二〇〇六年の十二月、JR湖西線の電車内と駅トイレで二件の女性の暴行事件を起こしたとして逮捕、起訴され、現在公判中である、こういう報道がされております。

 このことが事実かどうかということを確認しつつ、こういう人が野放しになっていた、勾留をされていないために、またこのような大変許しがたい、許せる犯罪というのはそれはもちろんありませんけれども、私の感覚では特に絶対許してはいけない犯罪が起こったということ、私はそのような認識を持っているんですが、この認識についていかがでしょうか。

縄田政府参考人 ちょっと私ども正確に状況を把握しかねるところでありますけれども、先ほど御指摘の被疑者等につきましては、昨年の七月に出所をされた後犯行を行いまして、滋賀県警察にまず検挙されております。その延長線上といいますか、その余罪捜査の過程で、大阪府警で委員御指摘の事案につきまして解明がなされて、逮捕されて現在捜査中、こういうことでございます。

石関委員 わかりやすくお尋ねしますけれども、勾留しておかないでこういう人を野放しに結果的にしてしまった、その判断はどこでだれがしているんですか。

縄田政府参考人 逮捕、起訴された後に保釈といいますか出ておるというふうに、私どもの記録では、先ほども申し上げましたけれども、昨年の七月に出所された後に私ども検挙をいたしました。これは昨年の八月の事件ですから、出所後に犯行を犯したということです。それ以降につきましては、滋賀県警が検挙をいたしましたのはことしに入ってからでございます。

 したがって、こういった重要事件で起訴された後に出ておるということ、ちょっと私どもでは十分掌握できてはいないところでございますけれども。

小津政府参考人 ただいま御質問のございました具体的な案件につきまして、電車内での事件があったときに、その公判との関係で時期的にどうであったのか、逆に申しますと、その公判における身柄関係がどうであったのかということにつきましては、ただいま確認中でございます。

石関委員 早急に今の確認は引き続き行ってください。私の方で間に合わなければ、別の方にも引き続きやってもらいたいと思います。

 それでは、これは余り道徳的な話になると切りがなくなるのでどうかと思います。違う方、この関連でやりたいと思うんです。

 今回の法改正にもあります特別遵守事項、専門的な処遇プログラムというのがありますけれども、これは性犯罪者は特に処遇のプログラムがあるんですね。平成十八年度からは、性犯罪による保護観察対象者、法案の関係ですけれども、すべてに対して性犯罪者処遇プログラムの受講が義務づけられることになっている。これはどんなプログラムが行われているか、それが一つ。

 それからもう一つは、改善の実績というか、変な話ですけれども、こういう人がこういったプログラムを受けて再犯をしている、これについては、どれぐらいの率でこういう人が再犯をしている、更生できない人はどれぐらいいるんですか。二点。

藤田政府参考人 性犯罪者処遇プログラムというのをやっておりますが、これが五十一条の二項四号で義務づけることのできる処遇プログラムの、現在の段階におきましては唯一のものでございます。

 これは心理学の分野での認知行動療法というのがあると聞いておりまして、その療法に基づいて、性犯罪を犯した人に対して、まず、認知の分野、つまり、自分の衝動だけでやっても相手はどんなふうな気持ちなのかということをわからせるということが第一である、それがわかれば大分本人の気持ちも変わるだろうということだろうと思います。

 それで、わかった上で、どんなふうに今度は自分が行動を制御すべきかということを体系的なプログラムでやっていくということで、百ページぐらいある詳しいものでございますので、私も十分理解できておりませんけれども、コアプログラムというものが一番中心になるもので、おおむね二週間に一回の割合で、性犯罪のプロセス、認知のゆがみ、自己管理と対人関係スキル、被害者への共感、再発防止計画の各課程を保護観察官が個別処遇または集団処遇により実施をいたします。

 ただ、私どもだけでやっておるものではございませんで、矯正施設の中で、刑務所の中でこういうプログラムを相当の時間をかけてやっていただいておりまして、それを受けて、今度、私どもがまたやるということで、復習をするような形に保護観察期間中のプログラムはなりますので、両者相まって効果を発揮することを期待いたしておるところでございます。

 再犯の関係、ちょっと今、数、いろいろ持っておりませんけれども、保護観察期間中に仮釈放者がさらに犯罪を犯して刑事処分を受けるという率、これに限って申し上げますれば、仮釈の期間は短うございます関係で、少ない数でございますけれども、一・一%というふうに把握しております。

石関委員 私、お尋ねしたのは性犯罪者の処遇プログラムですが、それに限ってということですか。私は、性犯罪者の更生の可能性、プログラムの内容、こういった観点からお尋ねをしております。今のはもう一回確認をしたいのと、それから、これは数字を把握していなかったら、私、逆にこのプログラムの検証ができないと思うんですが、いかがですか。

藤田政府参考人 性犯罪者の再犯状況に限ってでございますけれども、これは犯罪白書の数字でございますけれども、仮釈放者につきましての……(石関委員「わかってからにしてください、時間がもったいないから。委員長、ちょっととめてください」と呼ぶ)

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 藤田保護局長。

藤田政府参考人 失礼しました。

 平成十二年中に執行猶予の判決を受けた性犯罪対象者七百四十一人につきまして、平成十六年の十二月末までの再犯の状況を調査したものでございますけれども、性犯罪者の再犯率は、仮釈放者でありますと三〇・八%ということになっております。

石関委員 これは、非常に高いですよね。委員の皆さんも同じ意識だと思います。極めて高い。

 ですから、プログラムの内容は私自身はつまびらかにわかりませんけれども、そういった事実も踏まえて、今後、こういった性犯罪者に対する対応はしっかりとっていかなければ、この列車の事件のようなことがまた起こる可能性が非常に強い。私は今の答弁を聞いて、またさらに強い懸念を持ちました。このことはしっかり、ここにかかわる関係者の皆様には、強く取り組むことを改めてお願いをしたいと思います。

 法務大臣に、またこのことをお尋ねしたいんですけれども、これは何という国になってしまったんだとか、こういう論調もあるし、私自身も、すべての関係者や、電車に乗っていて目撃したけれども声も出せなかった人も含めて、正直言って、一言で言えば暗たんたる気持ちです。しかし、そういったモラルを説いてもどうなのかという気持ちもありますが、犯罪を見つけたら勇気を持って対応しようとか、社会全体、我々国民全体がそういった犯罪に対して強くきっちりと対応する、そういった意味で犯罪に強い社会をつくる。

 国民の皆さんへのそういった意識の啓発というのもあろうと思いますし、今申し上げたような形で再犯プログラムというのもあろうと思いますし、法務大臣、特にこの件について、きっかけとして、ぜひそういった強化に取り組んでいただきたいというふうに思いますが、大臣の御認識、それから今後の取り組み、決意についてお尋ねをします。

長勢国務大臣 今御指摘の事件は、私も報告は聞いておりませんで、報道だけでございますので、事実関係は正確じゃありませんが、報道を見た限りは、これはどういうことなんだと大変憤りを覚えたことは先生と同じであります。

 何でこんなことが起きるのか、この日本で。非常に残念でありますし、社会全体としてきちんとこういう犯罪に対する意識というものを持つ、また、検察、警察も国民の信頼の中できちんとした活動ができるようにしていくということがこれからも大事だという思いを強くしております。

 いずれにしても、こういうことのないように、みんなで頑張っていかなきゃならぬと思います。

七条委員長 石関貴史君、時間が過ぎておりますので。

石関委員 大臣がおっしゃったとおり、我々議員もそうですし、関係のこちらにいらっしゃる皆さん、皆同じ気持ちだと思います。

 ただ、特段のこれからの取り組みというのを具体的にぜひ大臣在任中に何か示していただきたいし、我々が安心できる社会というもののために関係者の皆さんの御努力をお願いいたします。

 ありがとうございました。

七条委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 またきょうもこういう異常な事態で、職権によって立てられた委員会で質問しなければいけないという事態を私は大変憂えております。

 これまでこの委員会、更生保護法案の審議についてはすべて職権で委員会立てが行われ、参考人質疑も異例の職権日程立て、与党片肺での審議というような状況になりました。私は、今の与党は絶対的な力を持って、圧倒的な多数を持って、強い力を持っている、そういう立場にある人はしっかりと少数意見に対しても耳を傾けるという姿勢が必要であるというふうに思います。私は、そういう状況を許してきた委員長の責任は極めて重いものがあると思います。

 そこで、委員長にお尋ねします。

 この更生保護法案の審議、どうしてこんなに急がれるのか。私は、この法案を審議する余裕というものはこの国会においてまだまだ十分にあるというふうに認識しておりますけれども、まず委員長に、なぜこの法案の審議をこんなに職権ということで急いでやるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

七条委員長 当然のことながら国民の負託にこたえていかなければなりませんし、定例日においては各委員会を開くことが前提であり、それらのことを踏まえて考えるならば、審議拒否をすることの方がおかしいのではないかと私は思えてなりません。(発言する者あり)

平岡委員 今の発言は、本当に私は、委員長の委員会運営における不公正な運営であるということで、厳重に抗議を申し上げたいと思います。委員長がそういう認識でこの委員会を運営されてこられたこと、私は本当に残念に思います。

 そこで、私はこういう話も聞きました。

 きょうは、もしかしたら、この質疑、三時間ほど何か職権で立てられていますけれども、これが終わるあたりには質疑打ち切りと採決の動議を出そうという話があるようでありますけれども、質疑打ち切り、採決の動議が出たら、委員長、どうされるんですか。

七条委員長 コメントは差し控えさせていただきます。

平岡委員 もう一度お答えください。ちょっと聞こえませんでした。

七条委員長 コメントは差し控えさせていただきます。

平岡委員 議事運営の話についてコメントを差し控えるとはどういうことですか。

七条委員長 前提の話については何もできません。コメントは差し控えさせていただきます。

平岡委員 またそういう委員長の態度が、権力を持った人の立場として、私は本当に残念でしようがありません。これまでこういう形で委員会を開催してきた委員長に対して、厳重に抗議を申し上げたいと思います。

 そこで、今回の更生保護法案でありますけれども、更生保護のあり方を考える有識者会議というのが昨年の六月二十七日に報告書を出しておりまして、その中に、現在の更生保護の問題点の源というか、どこから発生しているかということを考えてみると、戦前の思想犯保護観察に対する不信感というものがあるんだというふうにこの報告書でも述べているわけですね。

 大臣、この思想犯保護観察というのは、どのような人を対象に、どのように行われてきたんでしょうか。

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 昭和十一年に思想犯保護観察法が施行され、治安維持法違反の罪により執行猶予の言い渡しを受けた者、起訴猶予処分を受けた者、刑の執行を終わった者または仮釈放を許された者は保護観察に付することができることとされました。

 この保護観察においては、対象者を保護して再犯の危険を防止するため、その思想及び行動を観察するものとされ、対象者に対しては、居住、交友または通信の制限その他適当な条件の遵守を命ずることがその法律で定められておるところでございます。

平岡委員 まさに思想犯保護観察というのは治安維持法違反の罪を犯した者に対して行われたものだということで、この委員会でもいろいろ議論されましたけれども、治安維持法違反という意味では、一九四三年に、創価教育学会の幹部、牧口常三郎、戸田城聖氏も検挙されたというようなことがあったわけであります。

 私は、今のこの日本の状況、安倍政権は美しい国というレッテルを張ろうとしていますけれども、戦前戦中のような真っ暗やみの国をつくろうとしているのではないかというふうに思います。権力を持った者が一見合法的な形をとって、自分たちの好きなように物事を決めていく、反対者の声は抑えつけていくというとんでもない状況に今陥ろうとしているというふうに思います。与党の理事の諸君は、これは多数決で決めるとか、議会制民主主義に基づいてやっているんだということを言われますけれども、私は、今の国会運営というのは本当に異常な状態だと思います。

 そこで聞きますけれども、大政翼賛会時代というのは、帝国議会というのは存在したんでしょうか。

駒崎事務総長 お答え申し上げます。

 存在いたしました。

平岡委員 議会は存在した。

 では、そのときの議会はどのように運営されたんでしょうか。

駒崎事務総長 昭和十五年以降、いわゆる新体制運動のもとで諸政党が解散いたしまして、昭和十五年十月十二日には大政翼賛会ができております。

 昭和十七年四月三十日には衆議院議員選挙が行われ、定数四百六十六のうち、三百八十一名の翼賛会推薦議員が、八十五名の非推薦の議員が当選しております。

 五月二十日には院内会派として翼賛政治会が結成されまして、八名の無所属を除く全員が参加しております。

 本会議の運営につきましては、議長が各派交渉会を招集して協議をしておりましたが、一会派のみとなったため、議長は会派の協議員と協議するため、議院協議会というのを設けまして、各派交渉会に準じて議事その他の事項について協議しております。

平岡委員 今の答弁にもありましたように、確かに議会はあった、物理的には存在した。しかし、本当にその時代に議会制民主主義というのはあったんだろうか。まさに、実質的にはなかった時代じゃないか。そういう時代が今ここに訪れようとしている、私はそういうふうに思えてなりません。

 そして、安倍政権の時代について言えば、これだけではありません。

 安倍総理は、集団的自衛権の行使について研究をするということで有識者会議を立ち上げたわけでありますけれども、まさにこういうことを述べているようですね。私の方針は随時述べており、所掌の部署において、私の方針にのっとって研究、整理しているのは当然だと言っているのであります。まさにこれは、権力者が一方的に自分の考え方を押しつけていく典型だというふうに思います。

 そういうことでいきますと、きょう、内閣法制局に来ていただいていますけれども、総理から具体的にこの集団的自衛権に関する行使の研究について指示を受けているんでしょうか。

山本政府参考人 集団的自衛権につきましては、総理が所信表明演説で述べておられますように、日本をめぐる安全保障環境が……(平岡委員「指示があったかだけ答えてください。指示があったのかなかったのか」と呼ぶ)その前提ですから。大きく変化する中で、時代状況に適合した実効性のある安全保障の法的基盤を再構築する必要があるということで、いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な類型に即して研究するということにされておりまして、昨日、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の設置が発表されたわけでございます。

 内閣法制局といたしましては、特段、これによって新たな憲法解釈の検討の指示を受けたということではございませんで、従来からの法律上の知見を生かして、総理の所信表明演説等を踏まえまして、不断の勉強を行っているということでございます。

平岡委員 新聞報道では指示をしたようなことが書いてありましたけれども、指示は受けていないということでありました。

 この件については、与党自民党の中でも、山崎元副総裁も、集団的自衛権の問題は憲法改正をもって正面から堂々と議論しなければならないという話であり、谷垣前財務大臣も、有識者会議はいかにも安倍さん好みの人を集めたんじゃないか、集団的自衛権行使は解釈変更で行うべき問題ではないのではないか、こういうふうに指摘しております。まさに、与党の政治家の中でも、こうした安倍政権の暴走に対して文句を言っている人がいる。

 それにもかかわらず、どんどんと自分の思っている方向に勝手に、これまでの経緯も考えずに進めていこう、こういうような動きを示している安倍政権のもとでこの国会運営は行われているんだということを私は指摘したいと思います。

 ついでに聞きますけれども、歴代の内閣法制局長官、きょう、たまたま読売新聞に前法制局長官が出ていますけれども、この人の話によると、これまでの憲法解釈というのは、ずっと積み上げてきた話である、それは、政府と国会との間で議論を積み重ねて、一貫した憲法解釈をとってきたんだ、本来あるべきは、憲法改正で対応するのが王道だ、こういう見解を述べておられます。

 歴代内閣法制局長官は、この集団的自衛権の行使の問題については、どういう考え方を示してきておられますか。

山本政府参考人 政府は、これまで、憲法第九条のもとで許される自衛権の行使といいますものは、我が国に対する武力攻撃があった場合に限られるというふうに説明してきております。

 集団的自衛権は、我が国に対する武力攻撃に対処するものではなくて、他国に加えられた武力攻撃を武力で阻止するということを内容とするものでございますので、その行使は許されないというのが従来の考え方でございますし、その旨を歴代の内閣法制局長官は国会等においてもるる述べているということでございます。

平岡委員 そういう考え方を踏まえて、現在はどういうふうにお考えになっていますか。

山本政府参考人 従来の考え方ということで今申し上げたわけでございますけれども、安倍総理大臣は、十九年一月二十六日の施政方針演説におきまして、いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な類型に即して研究を進めてまいりますと述べておられます。また、四月二十五日の参議院本会議におきましても、今回、要するに有識者懇談会を設けるわけでございますが、有識者の方々には、集団的自衛権の問題を含め、憲法との関係の整理につき、結論を予断することなく、さまざまな観点から検討していただきたいというふうにお考えになっていると承知しております。

平岡委員 今の例だけに限らず、今の安倍政権がいろいろなことについて非常に物事を強引に進めようとしている。これは、今回の国会の中でも、いろいろなところで、随所に例があるわけであります。そういうことを権力を持った人がやるというのは、私は、本当にこの国において悲しいことだというふうに思います。ぜひ、権力を持った人について言えば、その権力の行使を自制し、謙虚であるべきだということを重ねて指摘しておきたいというふうに思います。

 そこで、今回の更生保護制度の根幹の考え方でありますけれども、先ほど同僚の大串議員が、更生保護制度というのはそもそも何なのか、目的ということを言われました。実は、私もこれを見ていて非常に変だなと思ったのは、更生保護のあり方を考える有識者会議の報告書の中には、制度の目的についてこういうふうに書いてあるんですよ。

 犯罪や非行をした人の改善更生を助け、その人による再犯を防止し、社会を保護することである。これは、現在の犯罪者予防更生法もこういう脈絡の中で規定をしているわけでありますけれども、今回、更生保護法案になった途端に説明の仕方が変わっています。犯罪をした者及び非行のある少年が再び犯罪をすることを防ぎ、改善更生することを助ける、もって社会を保護することを目的とする。

 このように、報告書で書いている目的というものと、この法案が書いている目的というものが変わってきたのは、一体どういう考え方で変わってきたのか、この点についてお答え願いたいと思います。

藤田政府参考人 先ほど大臣の方から答弁がございましたけれども、改善更生と再犯防止というものの関係につきましては、表裏一体といいますか、そういうものであるというふうにとらえておるところでございまして、これは有識者会議においても、言葉は表裏一体ではなくて不即不離という関係だというふうに言われておりますけれども、ほとんど同じような意味合いでとらえているんだと思います。

 それで、改善更生と申しますのは、現在の犯罪者予防更生法ができた当時の審議でございますが、そこでの政府側の答弁で、内心の意思において再び犯罪をしないようにする状態になるというのが改善だ、そして、それが今度は、社会生活、行動というものにあらわれて、行動としても悪いことを再びしないようにする状態になるんだというのが更生である、その両方を改善更生というというふうに解釈をされておるところでございます。

 したがいまして、物の見方といいますか、再犯をするかしないかというだけの見方をすれば、再犯防止というのが出てくるし、それから、犯罪との関係においてその人はどんなふうになっていくかという見方をいたしますと、改善更生という言葉が出てくるということです。

 それでございますので……(平岡委員「もう結構です。私の質問に答えないなら、いいです」と呼ぶ)一体として出るものですから、順序は特段ないものと思っております。

平岡委員 表裏一体とか不即不離の関係にあると言うのなら、どうして今までの既存の法律とか、あるいはこの報告書というものに反する形で規定をされるんですか。この関係を見れば、再犯防止が直接の目的とされて、そして対象者の社会復帰ということではなくて、むしろ社会的排除をしていくという色彩が強くなった目的ではないかというふうに私は思いますけれども、この点について、大臣、お答えいただきたいと思います。

長勢国務大臣 有識者会議の報告書に沿って、この目的規定をこれからの保護観察に当たる者の意識の中に置いて、また国民の理解が得られやすいものにしたという改正でございまして、不即不離、一体、同じ言葉だと思いますが、そういう考え方でつくられておるわけでありまして、先生の解釈のように、まず再犯防止だけになったんだということを……(平岡委員「直接の目的になったんでしょう」と呼ぶ)直接の目的というか、そういうふうに書いてありますでしょうか。それは、先生は法制の専門家でございますからあれでございますが、我々は、この不即不離、一体のものとしての有識者会議の考え方に沿ってこの規定を御提案申し上げておるところでございます。

平岡委員 不即不離とか表裏一体なら、あえて変えないでくださいよ。政府として、国として何か方針を変えたかような、さっき言ったように、再犯防止を直接の目的として、こういう人たちが再犯しないようにということで、社会からできるだけ排除していくというような色彩が私は強く出てきてしまったのが今回の法案ではないかというふうに思いますね。そういう意味では、これはぜひ修正をすることが必要だというふうに思います。

 それから、報告書の中に、実はこういうくだりがあります。「我が国の更生保護制度は、これまで国民の十分な理解を得られず、」と書いてあって、私は、ちょっとこの更生保護制度について言うと、よく知らない人が多くはいるのかもしれないけれども、この更生保護制度についての理解というのはそんなに悪くないんじゃないかなという気がするんですけれども、あえてこういうふうに書かれたのは、具体的にはどういう事例とかどういう現象をつかまえてこのように、これまで国民の十分な理解が得られていないんだということを書いているんですか。

藤田政府参考人 当時、平成十六年から七年にかけまして重大な再犯が相次いでおりました。その中で、過去に保護観察の対象になった者がいた、あるいは保護観察がまさに始まったばかりの人もいた、そして、所在不明になっているのに保護観察所同士の連絡がきちんととれていなかったというようないろいろな事態が発生いたしました。

 その中で、国会でも、何をやっているんだというような御指摘を厳しく受けたわけでございますけれども、その議論の過程でも、更生保護というのは何だ、あるいは保護観察とはどういうものかということがなかなか制度として理解されていない、刑事司法の一番後ろの段階で、私どもとしては非常に大事なものだと思っておったわけでございますけれども、なかなか一般的には理解が得られていなかったものではなかろうかというようなことを受けて、そういう記述になったものと考えております。

平岡委員 大臣、今の答弁でいきますと、そういう事態を、国民の十分な理解が得られていない事態だということのようですけれども、一体これはだれのどういう責任があったというふうにお考えですか。

長勢国務大臣 やはり社会全体としても、改善更生についての認識というものが、役割、意義というものの認識が弱い、そのことについて十分な周知を図ることが不十分であったということが言えると思いますし、また、国の組織自体も大変弱いところがあったことも一つの原因だと思います。

 現実に、私の仲間にも保護司さんの方々もおいでになりますけれども、では、町内会、地域社会の中で保護司活動が大きなつながり、サポートを受けておるかというと、必ずしもそうではない。その原因は考えなきゃなりませんが、保護司さん方には大変御苦労をいただいているわけですけれども、やはり預かっている方々の立場をいろいろお考えになっていることも一つの原因かな、そういうことをどういうふうに考えていくかということは、十分、この法律の成立の後、みんなでこの法の内容がより機能するように考えていくべき論点の一つだろうと思っております。

平岡委員 そういうふうに、更生保護制度自体にいろいろ問題点があるというようなことの中で、この報告書の中では、現場の第一線で保護観察事件を担当する保護観察官を少なくとも倍増していくんだというようなことを言っているわけでありますけれども、これは大臣、どういうふうにして実現していくおつもりでしょうか。

長勢国務大臣 保護観察官の倍増は定員をふやすということになるんだと思いますが、十分な定員の確保にこれからも全力を挙げていくと同時に、観察官と保護司との役割分担、連携のとり方等々の改善も図っていかなきゃなりませんし、質の向上も図っていく、そういう中で、保護観察体制がきちんと機能するように、いろいろな場面での努力を払っていかなきゃならぬと思っております。

平岡委員 そんな抽象的な、一般的な答弁で納得してくれといったって、そんなの無理ですよ。

 では、さきの報告書に示されたような目標についてやっていくというなら、いつまでにどうやってやっていくんですか。具体的にちょっと答えてください。

水野副大臣 保護観察官の数の倍増ということが有識者会議の報告書にあったのは確かに事実ですけれども、これはやはり行財政事情がありますので、提言にあるということが即、必ずしもすぐ実現するわけではないんですが、例えば、平成十九年度からは更生保護官署において専門官制の導入を行い、いわゆるプレーイングマネジャーというものを、総務課長を除く課長百三十人を位置づけるとか、そういう意味で、現場の第一線の保護観察処遇を強化したり、同じく十九年度からは保護観察官に対する研修体系を見直し、一人一人の実力を向上させるような取り組みを図っているところでございます。

平岡委員 全然具体的なことがわからないような状態でどうするかということ、納得がいかないんですけれども、ほかにもいろいろたくさん質問しなければいけないことがあるので、ちょっと次へ移ります。

 この法案の第六十七条に、少年法の今回の改正で問題となった少年法第二十六条の四第一項を前提とした規定が置かれています。

 この問題については、我々も修正協議の対象として議論していましたけれども、一方的な与党の協議打ち切りによって、大串委員が指摘したように、実質的には何も変わらない、ただ単にほかの法律の条文で書いてあることを重ねて寄せ集めてきただけという、いかにも子供だましな修正案になっているということであります。

 これは私、もともと指摘しておりましたけれども、少年院に送るぞという威嚇によって遵守事項を守らせようとするのは、やはり保護観察制度の本来の意義を失わせるものだというふうに思いますね。

 大臣、この点についてどうですか。大臣としての見解をお示しいただきたいと思います。

長勢国務大臣 改善更生のために全力を挙げるというか努力をすることが保護観察でありますから、威嚇という意味ではなくて、保護観察の実を上げるための効果的なやり方を考えていくということは当然のことだと思います。

平岡委員 この有識者の報告書でも、いわゆる不良措置として遵守事項違反にある場合の措置というのがいろいろ書いてあるわけでありますけれども、その中で明示されているのは、仮釈放の取り消しとか、執行猶予の取り消しとか、戻し収容というようなものに限定されているんですね。だから、少年における保護観察のこの分については報告書の中でも全く出てこない、そういう状況なんですよ。

 それにもかかわらず、この法案においてこういうふうに規定されるに至ったというのは、一体どういうことなんですか。

七条委員長 質疑時間が過ぎておりますので、これを最後の質問にさせていただきたいと思います。(平岡委員「これは重要な修正協議の対象になったぐらいだから、保護局長なんかではだめだよ、非常に重要なところなんだから」と呼ぶ)

藤田政府参考人 有識者会議の設立の経過からしまして、仮釈放者による再犯ということに非常に焦点を当てられたことがございました。それで、少年関係も若干の議論はされたのでございますけれども、どちらかというと、そこの部分は集中的な議論、濃密な議論の対象になっておらないという経緯が背景にはあろうかと思っております。

七条委員長 平岡秀夫君、簡単明瞭にお願いします。時間が過ぎています。

平岡委員 いやいや、私が制止しているのに、委員長が指名して答弁させているから。どういうことですか。では、委員長がそんなことを言うんだったら、私も委員長の言うことは聞きませんよ。

 第六十七条の二項に、「遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるとき」と書いてあるんですけれども、その程度が重いとされる遵守事項というのはどんなものがあるんですか。これは、大臣じゃなくて事務方でも結構ですけれども、その程度が重いとされる遵守事項というのは一体どんなものがあるのか、明確にお答えください。(発言する者あり)

七条委員長 時間が過ぎております。時間が過ぎております。

藤田政府参考人 特別遵守事項は個々具体的に定められますので、例えば暴力団の事務所に出入りするような少年がいるということになると、その事務所に出入りすることは慎みなさい、特に暴力団のたくさん集まっている時間帯に行くべきではないというような遵守事項があったといたしますと、何度も少年がそこに行くというようなことになりますと、相当これは再犯に結びつく可能性があるのではないかという疑いが出てくるだろうと思います。だから、それが一回で必ず取り消すとか、そういうこととはまた別の話かと思っております。(発言する者あり)

七条委員長 約束の時間が過ぎております。持ち時間が過ぎておりますから、簡単明瞭にしてください。

平岡委員 今のは重大な答弁ですよ。今のは重大な答弁ですよ。(発言する者あり)

 今局長が答弁したことは、これは別の法律で、その少年に対して虞犯事由があるときにはまた別に家庭裁判所で審判することができるという規定があるんですよ。それでは、今の話は全く違う話じゃないですか。何かそんな違う話を出してきて、これでだますというのはおかしいよ、それは。

 ちょっと、大臣、現在別にある制度で対応できる話をここで持ち出してきて、これがなければ対応できないという説明は、答弁として虚偽ですよ。大臣、どうですか。

藤田政府参考人 現在、犯罪者予防更生法の四十二条で、虞犯通告ということができる制度がございます。ただ、その虞犯通告の制度と申しますのは、いわば保護観察をあきらめる制度になって、もう虞犯だから裁判所がまたやってくださいというような趣旨のものだと保護司、保護観察官たちは受け取る。そういうことでなくて、こちらの方の新しい制度になりますと、できれば、本人に警告を一度発しても、あくまで保護観察の枠の中で少年を改善指導していきたい、そういう気持ちをいわば実現することができる制度ではないかということで、趣旨が異なるように理解をいたしております。

七条委員長 平岡秀夫君、最後にしてください。

平岡委員 これは、保護観察処分に処された少年に対する処分だけれども、六十七条の二項でできる処分というのは、少年法二十六条の四第一項の決定の申請であって、この第一項の中には少年院送りも入っているわけでしょう。だから、それは全然違うじゃないですか。保護観察処分とは違うじゃないですか。保護観察処分の枠内の話だと言っているけれども、そうじゃないじゃないですか。

七条委員長 質疑時間が過ぎております。その辺、しんしゃくをしていただきたいと思います。(発言する者あり)

藤田政府参考人 犯罪者予防更生法の方の虞犯通告につきましては、もう保護観察をいわばあきらめて、一つ新たな処分といいますか、判断を求めるというものだと思います。

 一方のこの警告の制度は、いきなりやるのではなくて、まず警告をするんだということで、そこに、できるだけ保護観察の枠の中でやりたい、いきなりやるんでなくて、警告をすることによって本人を保護観察の枠の中にとどめておきたいということ、そういう希望がかなうといいますか、そういうことを前提にした制度であるという理解でございます。

七条委員長 平岡秀夫君、質疑終局をお願いいたします。

平岡委員 いや、全く、全然説明になっていないですね、それは。そもそも、問題の本質が全く理解できていない、そういう答弁であるというふうに思います。

 委員長、重ねて聞きます。

 この雰囲気はどうも、質疑終局動議、採決の動議を出す状況が歴然としてきているように思いますけれども、重ねて聞きます。その動議が出たときに、委員長……

七条委員長 時間が来ております。申し合わせの時間が過ぎておりますから、平岡秀夫君の時間の終局をお願いいたします。

平岡委員 それを認めるんですか、どうですか。その質問に対して明確にお答えください。

七条委員長 後の方の通告がありますので、平岡秀夫君の時間が過ぎておりますので、速やかに質疑を終わっていただきたいと思います。(平岡委員「委員長、私の質問に答えてください」と呼ぶ)

 もう一度、では、何が言いたいか、言ってみてください。質問が、足りないものがあれば言ってみてください。

平岡委員 いやいや、委員長に対して質問しているんですよ。だから、今のこの雰囲気は、どうも質疑終局の動議と採決の動議というのが出されてくるような雰囲気になっておる。

 そういう状況の中で、委員長に重ねてお尋ねいたします。

 もし、そういう動議が出てきたときに、委員長はどういうふうに対応されるのか、そのことを明確にお答えください。

七条委員長 次の質疑者は赤池誠章君でありますから、次の質疑者に時間を譲っていただきたいと思います。(発言する者あり)

 平岡君の質疑時間は、既にもう終了しております。(発言する者あり)平岡秀夫君の質疑時間は、終了いたしております。(発言する者あり)終了いたしております。

平岡委員 こういう状況での質疑打ち切り、採決というのは、国民の皆さんに対して極めて私は説明しにくい事態だと思います。きょうは、このまま質疑を打ち切って、散会されることをお願いいたします。

七条委員長 次の質疑者は赤池誠章君でありますから、赤池誠章君に質疑を譲ってください。(発言する者あり)時間が過ぎております。(発言する者あり)次の質疑者は赤池誠章君であります。時間が過ぎておりますから、その場をおりてください。(平岡委員「動議はどうなる、動議は」と呼び、その他発言する者あり)既に時間は過ぎております。既に時間は過ぎておりますから、次の質疑者に移らせていただきますが、御了承願いたいと思います。(発言する者あり)

 次の質疑者に入ります。赤池誠章君。

赤池委員 自由民主党の赤池誠章でございます。

 一昨日、更生保護法で質問をさせていただきました。きょうは、取りまとめということもございますし、午前中、参考人質疑を聞かせていただきまして、改めて今回の更生保護法案の重要性、緊急性を痛感したところでございます。

 一年半前、初めて国会議員になりまして、この一年半、教育基本法の改正を初めとする教育関連法案、そして憲法改正のための国民投票法案など、歴史を画する、まさに戦後レジームの脱却に向けての新しい国づくり、法務行政におきましてもさまざまな司法改革が進む中で、一昨日もお話をさせていただきました、犯罪の摘発から矯正、そして本法案の更生保護と、大きな司法行政の流れの一環の中で、ともすれば国民の理解がなかなか行き届かない、本法案の重要性を改めて参考人の質疑の中で確認したところでございます。

 瀬川参考人は、有識者会議のメンバーとして、法治行政の大きな歴史の流れを、死刑から、いわゆる監獄を中心とする自由刑、そして社会内処遇、本法案の目的である更生保護への大きな流れということを教えていただきました。そして、刑務所が社会の治安のとりでであるとしたら、更生保護、社会内処遇は、まさにその中での中核を占める、社会の中での治安のとりでということであります。そういう面で、世界一安全な国日本の復活、国民の体感治安の向上のために、本法案をできるだけ速やかに成立させる意義というものを改めて瀬川参考人から教えていただいたところであります。

 そして、森本参考人からは、二十八年間の保護司の体験で、感動的な体験を交えたお話をいただきました。改めて、日本の世界に誇り得る保護司制度の重要性というものを実際に携わる方から確認させていただいたところであります。

 そして、海渡参考人からは、法律実務者としての課題、問題点の指摘があったわけでございます。言ってみれば、海渡参考人の課題が本法案でしっかりクリアされているかどうか、それが具体的になれば、本法案の意義が改めて明確になるのではないかと聞かせていただきました。

 まず第一点、既に一昨日も、そして本日の質問の中にもありました更生保護法の目的について、理念の部分であります。改善更生と再犯防止の視点をどうとらえるか、既に十二分に大臣初め法務当局から、また瀬川参考人からも御意見をいただいております。時代の流れの中で、今回の改正が、重大事案がきっかけとなって、国民の大きな関心、世論の重視の中で、従来の更生改善だけではなくて、再犯防止の視点を入れざるを得ない、その視点もしっかり明確に答えていただいたと思っております。

 そして、国の責務についても、法務省内、それぞれ、厚労、きょうも野党の方から文科との連携という話もございましたが……(発言する者あり)経産省もそうですね。国の責務について、これは法案に一々何々省ということを書くというのは当然おかしな話でありまして、国というのは一体であります。そういう面で、しっかり質疑の中で担保していただいたのではないかというふうに思っております。

 そして、地方更生保護委員会委員の任命についてでございます。これは、既に有識者会議でも指摘があるところでございます。そういう面で、改めて地方更生保護委員会の委員の任命について、具体的に有識者会議の指摘を踏まえる中で、現在どのように行われているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

長勢国務大臣 地方更生保護委員会委員の民間有識者の登用についてのお尋ねでございます。

 有識者会議の最終報告を踏まえ、当省におきましてもその実現に努めておるところでございまして、昨年十月には、民間委員として元新聞社論説委員一人、元教育関係者一人の計二人を任命いたしました。また、本年四月には新たに元教育関係者二人の民間委員を任命したところでございます。犯罪者や非行少年の仮釈放審理を適切に行うには相当の経験や専門知識が必要となるわけでありますが、なかなか適任者を得るには難しい面もあるところでございますが、今後とも積極的な登用に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

赤池委員 既に、今指摘がありました委員の任命に関しましても、運用面で配慮がなされているということではないかというふうに思いました。

 それから、仮釈放についてでございます。そういう中で、人的資源の問題として保護観察官の大量増員、既に各委員から指摘があったところであります。有識者会議では倍増ということがうたわれているわけでございますが、当然ふやしていかなければいけない。

 ただし、既にこの法案にも位置づけられておりますとおり、保護観察官は高度な専門的な知見が必要となってくる、また現場体験も踏まなければいけないということから考えますと、今後とも、予算措置、十分な配慮の中でふやしていくというのは当然でありますが、ただ、これは粗製乱造的な形でどなたでもいいというわけには当然いかないわけでありまして、そういう面では、保護観察官、現役の方々の採用、そして研修、OJT含めての充実とともに、量の確保においてもその辺の格段の配慮をしていただかなければいけないというふうに思っております。

 そういう面で、量さえ確保できればそれで済むという専門官ではないという視点もしっかりと見きわめた中で、引き続き充実、増員の体制を図っていただきたいというふうに思っております。

 それから、参考人の方から指摘がありました仮釈放の言ってみれば積極化の問題、つまり、ダルクの近藤理事長もお話をしていた刑期満了者の問題も含めて、いわゆるすべての方に保護観察というものを、刑期を満了した方でも事前に前倒しして積極的に対応すべきではないかという、刑法、それから保護観察、仮釈放、一つの大きな考え方の御提案をいただいているわけでございます。これに関しては、有識者会議での中長期的な課題でも位置づけており、本法案の枠の中では十分な議論が、限定的な議論になってしまうとは思いますが、その辺でのいわゆる仮釈放の積極化に関しまして法務当局の御見解をお伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 仮釈放者に対する保護観察が社会復帰の過程として重要な役割を担っておって、対象者の改善更生と再犯防止につながる効果を有しているということは御指摘のとおりでございます。

 ただ、裁判所の定める刑期というものは、対象者の改善更生や再犯防止という観点だけではなくて、行った犯罪の軽重、情状を初めとする諸般の事情を考慮した上で刑罰として刑事施設に拘禁をする期間を定めるものでございます。刑期より短い期間で釈放されることが原則であるというふうに定めたり、あるいは再犯のおそれや社会の感情等の諸般の事情を度外視して可能な限り早期に仮釈放を許すとすることは適当ではないんじゃないかというふうに考えております。

 また、処遇上の観点から見ましても、施設内での処遇から保護観察に移行させるべき時期というのは、施設内での処遇内容や、あるいは受刑者の改善更生の進捗状況によりまして個々に異なるものでございます。一概に刑事施設における収容期間をできる限り短くすべきであるということも言えないのではないかというふうに思っております。

 もとより、仮釈放は、保護観察に付することが対象者の改善更生のために相当であるというときに許すべきものでございまして、仮釈放に当たって、実効的に保護観察が実施できる時期を考慮することは重要でございます。仮釈放を許すべき場合には、適切に、時期を失しないように努めていくということが大事だと思います。

赤池委員 ありがとうございました。

 それから、受刑者にも仮釈放の申請権を認めるべきではないかという御意見もいただいているわけでございます。その点に関しましても、法務当局からの御見解をお伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 受刑者に申請権を認めるべきであるという意見は一部にはあるわけでございますけれども、仮釈放と申しますものは、本来刑務所に入っておらなきゃいけないはずの者が特に改善更生のために刑務所を仮に出て社会内の処遇をされている、そういう状態を、いわば特別の事情が生じたためにもとに戻すということでございまして、それは、本人にとってみれば社会の中にいる方が塀の中に帰るよりも、利益でないといいますか、そういうことではあるかと思いますが、新たな不利益を課するというものでもないわけでございます。

 したがって、申請権を認めるということになりますと、これは、受刑者に法律上の権能を与えて、地方委員会にこれに対応する義務を課するということになります。その趣旨が、受刑者から申し出を受けた地方更生保護委員会に審理を行って仮釈放の当否について判断をすべき義務を課すということになりますと、これは受刑者に申請権を認めることになるわけですけれども、仮釈放というのは、先ほど申し上げたように、改善更生を図る行政目的で刑の執行の形態を変更するということで、これはいわば国の裁量に属すべきものだというふうに考えられるところでございます。

 有識者会議の議論でも若干この点は出ましたけれども、申請権を認めるべきであるという意見はなかったものと承知しております。

赤池委員 ありがとうございました。

 そういう面では、受刑者の仮釈放申請権ということは、権利というのはあり得ないということがよくわかったわけでございます。

 続きまして、遵守事項の部分におきまして、現実可能性というものを考慮して、また不良措置に関しては、他に適切な社会内処遇の手段をとれない場合にのみ行うべきであり、まず警告を発すべきということを事前に法律である程度規定すべきではないかという主張、そして質問があったわけでございますが、その辺に関しましても法務当局の御見解をお伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 遵守事項につきましては、本人にこれを守らせて改善更生をするものですので、本人に実行可能なものでなければいけないということは間違いのないところでございまして、異論はございません。

 まず警告を発して、それから取り消し等のいわゆる不良措置に移行すべきであるという見解についてでございますけれども、これは、不良措置によって施設内処遇に移行させるのは、その者を保護観察に付して社会内で処遇することが改善更生のために相当でないと認めるときでございまして、遵守事項に違反したことの一事をもって必ずしも直ちに不良措置をとるということとはなりません。遵守事項に違反いたしましても、その者に対して依然として社会内処遇が有効で相当と認められるならば、不良措置をとる必要はないものと考えております。

 また逆に、違反した遵守事項の内容とか違反態様等によりましては、もはや当該違反によって社会内での処遇が相当でないということが直ちに明らかになるという場合もあり得るだろうというふうに考えております。

 したがいまして、一律に警告等の手続をやるということになりますと、不良措置をとるべき事案で的確に不良措置をとることができなくなるというおそれもございますので、適切ではないのではないかと考えます。

赤池委員 そういう面では、午前中の参考人質疑で森本参考人からも、保護司の現場の中で遵守事項、今回の法改正が本当に我々の味方、力になるという言葉もちょうだいをしておりますし、その中であくまでベースにあるのは信頼関係、人間関係を大事にした上でのいわゆる指導、保護、観察ということも教えていただいたわけであります。そういうものを法で規定することがかえって保護観察の目的に反してしまうということではないのかなということを聞かせていただいたわけであります。

 そういう面では、午前中の海渡参考人の懸念、課題に関しては、すべての面で本法案、そしてまた運用面でクリアされているということが明確になったのではないかというふうに思います。

 そして、さらに法案に関して幾つか細かい点も聞かせていただきたいというふうに思っております。

 法案第三十条、保護観察所の長が官公署等に援助や協力を求める規定、基本的には犯罪者予防更生法五十七条を踏襲しているわけではございますが、その違いというのをよく見ますと、「その他の団体」というものが「その他の者」に変わっているわけでございます。これによって、ボランティア、個人に協力をお願いするという法的な根拠を持つということになるということだと思いますが、それに関しまして大臣から見解をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 法案の第三十条は、保護観察所の長がその所掌事務を遂行するために官公署や学校、病院、公共の衛生福祉に関する機関その他の者に対し必要な援助や協力を求める場合の法的根拠となる規定でございます。御指摘のとおりでございまして、現行法では「その他の団体」となっているものを、この法案では「その他の者」というふうにしております。

 これは、団体以外の個人、例えば更生保護ボランティアである更生保護女性会員やBBS会員等の個人に対して協力を求める場面も少なからず想定されることから、こうした個人も含まれることを明らかにする趣旨のものでございます。民間ボランティア組織の方から、個人としてであっても法的根拠を持って活動することができるようになるという趣旨の御要望もあったわけでございまして、これを契機に、現状においてもボランティアの個人の方々の協力が行われているわけですが、より得られやすくすることによって、連携協力の関係を一層強化していきたいと考えております。

赤池委員 そういう面では、より民間の活力を、さらに法的な面でもサポートをしていただけるのではないかと思いますし、また保護司の方々、女性会、そしてBBS会、協力雇用主、さまざまな民間ボランティア間の、民民同士の連携、ネットワークも非常に重要になってくるのではないかというふうに思っております。そういう面では、官が民のことをとやかく言うことはできないわけでございますが、その辺の民民協力の推進、支援も、ぜひ運用面に関して御配慮をいただきたいというふうに思っております。

 それから、午前中、ダルクの近藤参考人から生々しい話を聞かせていただいた薬物犯罪者についてでございます。薬物犯罪者について、この新法の中で具体的にどのような特別遵守事項を定めることが想定をされているのか、当局の見解をお伺いいたします。

藤田政府参考人 特別遵守事項につきましては、これは個々の保護観察対象者の改善更生の状況等に即して定められますので、一概には言えないわけでございますが、一般論として申し上げますと、例えば薬物犯罪者について考えられる特別遵守事項といたしまして、歓楽街の路上で密売人と接触して、そして覚せい剤の購入を繰り返していた保護観察対象者に対して、覚せい剤などの規制薬物の密売人と一切接触しないことというようなことを、五十一条二項一号のしてはならない行為の類型として定めることができるだろう。あるいは、当該歓楽街で密売人と出会うおそれの高い区域を特定いたしまして、当該区域に立ち入らないことというようなことを定めることも考えられます。

 それから、五十一条の二項の四号の類型の特別遵守事項といたしまして、法務大臣の告示に定める薬物事犯者処遇プログラムを受けることということが、これは、現在は性犯罪者処遇プログラムしかございませんけれども、薬物関係でそういう体系的なプログラムができた暁には、そういうことも考えられるだろうというふうに考えます。

赤池委員 一昨日もお話をさせていただきましたが、刑務所の視察を通じてでも統計的でも、既に御指摘のありましたとおり、再犯のきっかけが薬物という比重が大変大きいという側面もございます。その辺の取り扱いに関して、新法のもとで、また先ほど質問させていただいたボランティアの協力の中で、ぜひ実効性の上がるものをしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、保護司に関しましては、既に参考人の方々、また他の委員からも重々ございました。その保護司と並んで、我が国の大変重要な役割を果たしているのが民間の更生保護施設でございます。行き場のない刑務所出所者らの受け皿の役割を、この民間の更生保護施設が一気に引き受けているのが実情であります。

 更生保護施設というのは、御案内のとおり、保護司そのものも、一昨日、金原明善翁の話もさせていただきましたが、明治十六年に大阪で池上雪枝さんという神道の教導者が民の力で、少年感化院でございますけれども、スタートしている。そういう面では、まさに保護司、そして更生保護施設というのがなぜ民間かという、その歴史、伝統が我が国にはあるわけでございます。

 その辺の伝統を踏まえる中で、更生保護施設に関する問題点、また施策について、大臣から御見解をお伺いしたいと思います。

長勢国務大臣 更生保護施設は、現在、全国で百一施設あります。平成十七年度において更生保護施設に保護された者の人数、これは約八千六百人でございますが、刑事施設からの仮釈放者の二三%、満期釈放者の五%が更生保護施設に帰住しているという大変大きな役割を果たしているわけであります。

 ただ、課題としては、近年、いわゆる刑事施設の収容者がどんどんふえておりまして、また高齢者もふえておりまして、出所後に行き場がないという者がふえております。また、犯罪を犯した方々の就職が困難であること、あるいは飲酒、薬物使用を初め、健全な社会生活を営む上でのさまざまな問題を持つ者が多いというようなこともあって、更生保護施設の負担が大変大きくなっている、これを何とかしていかなきゃならないということが大きな課題であると思っております。

 予算面、施設面、いろいろなものがあるわけでございますが、更生保護施設の役割というのは非常に大きいものになっていくというふうに思っておりますので、この改善向上に我々としても一生懸命努めてまいりたいと考えております。

赤池委員 私の地元、私の自宅のすぐ近くにも民間の更生保護施設がございます。おつき合いがある関係もありまして、これはうちの地元のみならず、全国の更生保護施設の充実支援に、ぜひ引き続き御尽力をお願いしたいと思います。

 それに関連して、有識者会議の報告書の中で、社会復帰のための強力な支援と強靱な保護観察実現のために自立更生促進センター構想を国として推進してほしいという提案がなされております。現在、法務省では、北海道に、少年たちを受け入れて、農業を学ばせながら処遇をするという施設を整備して、今年度中に開業を目指しているというふうに聞かせていただいております。

 自立更生促進センター構想を推進しているというこの部分と、更生保護法案ではこのセンター構想に関係する規定を置かれているのかどうか、副大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

水野副大臣 自立更生促進センター構想に関しては、この法案の中で規定しているのは、まず第五十七条の第二項でございまして、ここでは、指導監督を適切に行うため特に必要があると認めるときは、保護観察所の長が保護観察対象者に指導監督に適した宿泊場所を供与することができる旨の規定を置くこととしております。

 現行法のもとでも、保護観察対象者に宿泊場所を供与するということはあるんですが、それは応急の救護の規定によるほかないんですが、この新しい自立更生促進センター構想における宿泊場所の供与というのは、適当な住居がなくて困っている者などに福祉的な観点から行うというよりは、むしろ保護観察官が直接濃密な指導監督を行うためにこれに適した場所を確保するという積極的な側面が強いことですので、応急の救護の規定とは別に、この指導監督のために宿泊場所を供与できるという、この構想の趣旨に照らした規定をここに新設しております。

 また、もう一つ言うと、さらに第五十一条の第二項第五号にも特別遵守事項として、法務大臣が指定する施設等に一定の期間宿泊して指導監督を受けることを義務づけることができる旨の規定を置くこととしておりまして、ここで言う法務大臣が指定する施設として、自立更生促進センター構想の中で国が整備する宿泊施設を指定することを想定しておるところでございます。

七条委員長 今、審議途中ではございますけれども、先ほど、平岡秀夫君からの本日委員会の散会の動議が提出されました。この散会の動議について採決をいたします。

 先ほどの平岡秀夫君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立少数。同動議は否決されました。

 引き続き、赤池誠章君の質疑を続行いたします。

赤池委員 きょうも午前中、参考人で保護司の方も来ていただいておりますが、去る三月八日に、保護司の全国組織であります全国保護司連盟が、更生保護法案の早期成立を求める決議を採択しております。また、三月二十六日には、更生保護女性会の全国組織である日本更生保護女性連盟も、この更生保護法案の早期成立を求める決議を採択しているわけでございます。

 既に冒頭述べましたとおり、更生保護の目指すところというのは、罪を犯した人や非行少年の立ち直りを助けるという、まさに安倍内閣の掲げる再チャレンジ精神そのものであると考えておりますし、まさに犯罪の摘発、そして矯正、更生保護と、法務行政を中心として社会の治安を取り戻し、そして世界一安全な国日本、国民の体感治安の向上のために、それが、安倍内閣、自公連立政権が掲げる美しい国づくりではないかと感じております。

 最後に、法務大臣に、本法案の成立に向けての決意、意気込みをお伺いさせていただきたいと思います。

長勢国務大臣 今度の法案は、罪を犯した人や非行のある少年を切り捨てるのではなくて、本人にやり直す気さえあれば、差別することなく社会に受け入れ、改善更生の道を歩ませながらやり直しの機会を与えていく、失敗しても再チャレンジの機会のある社会を構築していくという、日本の文化、伝統に基づいた制度を構築しようとするものでございまして、極めて重要な法案であると思っております。

 関係方面からも強く成立の要望をいただいておるところでございまして、ぜひ早急に成立をさせていただいて、我々もこの法の趣旨にのっとり、更生保護のための責務を果たしていきたい、このように考えておる次第でございます。

赤池委員 これで質問を終わらせていただきます。(発言する者あり)

七条委員長 先に手が挙がりましたので、矢野隆司君。

矢野委員 本案の質疑を終局し、討論を省略し、直ちに採決されることを望みます。

七条委員長 ただいま矢野委員の方から動議が提出されました。(発言する者、離席する者あり)ただいまいろいろな話がありましたが、動議を提出されたのは矢野隆司君であります。先に矢野隆司君の動議を採決をいたします。

 ただいま矢野君から提出されました動議に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

七条委員長 マイクを返してください。マイクを返してください。マイクを返してください。起立多数。ただいまの動議は可決されました。(発言する者、離席する者あり)

 引き続き動議がありますか。動議がありますか。動議がありますか。(発言する者あり)では、動議があるんなら座ってください。

 では、高山智司君。

高山委員 動議を提出いたします。

 これだけ今議事運営が混乱している中で、このまま議事を進められないように、まず休憩をしていただきたいと思います。休憩の動議を提出いたします。

七条委員長 ただいま高山智司君からも動議が提出されました。

 これについて採決をいたします。

 ただいまの動議に対して賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立少数。ただいまの動議は否決されました。(発言する者あり)否決されました。

 さらに、先ほどの動議の中にありました矢野君の動議につきまして、可決されましたので、これより可決されます。

 内閣提出、更生保護法案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立多数。本案は可決されました。(拍手、発言する者あり)

 本案の委員会報告の作成を委員長に一任することに賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立多数。そのように決しました。

 これにて散会をいたします。

    午後四時三十八分散会


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